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※俺設定注意 ゆっくりいじめ系1894 楽園~まりさの場合(3)から連続したSSです。続編を読むにあたって、当SSをご覧になる必要はありませんが、見た方が楽しめるかも知れません。 presented by [498] 「ありす、ゆ虐は好きかい?」 「ええ、だいすきよ。」 複数のモニターに映し出されたゆっくりの親子を眺める一人と一匹、一週間程前にあの惨劇を演出した男とゆっくりありすである。 この男、数年前に人間だった頃の名前を捨て、今は『虐待 鬼畏惨』と名乗っている。隣に鎮座するありすは今から二週間程前にこの鬼畏惨の下へ『楽園入り』したありすだ。 このありすは群でも評判の『とかいは』なありすだった。子守をすれば子は直ぐ笑い、知識は老ぱちゅりーの次に豊富で、身嗜みにはいつも気を遣い、群の勤めで得ていた俸給は一匹でゆっくり家族2世帯分はあった。 だがこのありすは『ゆっくりする』という事を知らなかった、体験した事がなかったのだ。生まれて直ぐに群の『えーさいきょーいく』コースの放り込まれ、そこで『とかいは』の何たるかを徹底的に叩き込まれた。結果は先にも述べた通りだ、ありすは名実共に『とかいは』になる事が出来たが、その生に充足する事は無かった。 そんなある日の事、ありすに『楽園入り』の吉報が届いた。ドスが宣言し、周囲が祝福する中、ありすは満面の笑みを浮かべ、醒めていた。 どうせ何処へ行っても変わりはしない、精々面倒な仕事が無くなるくらいだ……この頃のありすは生きるという事にさえ倦怠感を感じるようになっていた。 ありすが辿り着いたその日、『楽園』では鬼威惨による『優秀なゆっくりを論破し貶めながら破壊する』といった嗜好の虐待が繰り広げられていた。 理知的だったゆっくりがアイデンティティを否定され、理性を破壊され、みっともなく命乞いをしながら無残に殺されていく様を透明なケースの中で見ていたありす。その心は、迫った死の恐怖より、初めて見る世界への高揚感で満たされていた。 「にんげんさんっ!」 「ん、どうした?慌てなくても次は君の…」 「それ!なんていうの?」 「……これかい?これはアルコールランプといって主に…」 「そうじゃなくてっ、にんげんさんが『やってること』!」 「『やってる事』ぉ?……そうだな、これはね、 『ゆっくり虐待』 っていうんだよ。」 『ゆっくりぎゃくたい』……はじめて聞く言葉だが何故かしっくりくる。それに良い、とても良い…!これは最高の表現方法だ……っ!これこそが自分の求めていた『ゆっくりする』という事なんだ!! 「変な事を聞くありすだね、それがどうしたんだい?」 「わたしも……『ゆっくりぎゃくたい』がしたいのっ!!」 「…………………」 「…………………」 「……なん……だと………?」 我が耳を疑う鬼畏惨。それもその筈だ、結構な時間をゆっくり虐待に費やしてきたが…自分から同族を虐待したいなんて言い出すゆっくりは見た事が無かった、ゲスでもそんなこと言った奴は居ない。 ありすは初めて見つけたこの強烈な価値観を覆そうとは思えなかった。 両親から学ぶはずの『ゆっくりする』という、あたり前の事を、ありすは人間の男を通じて知ったのだ。 奇妙な事だが……虐待を働き、ゆっくりを殺す『虐待お兄さん』が、ありすの心をまっすぐにしてくれたのだ。 もう、醒めた目つきはしていない…彼女の心には、さわやかな風が吹いた……。 鬼畏惨はありすを『"こちら側"に引き込まない』という態度をとっていたが… ドスが変化をもたらさず、ゆっくり達もそれを教授するしか能の無い、ありすの住む環境では、ありすの気持ちを止める事はできない…。 彼女の中に、生きるための目的が見えたのだ… こうして『ゆっくりありす』は、クイーンありすに憧れるよりも…… 『虐待お兄さん』に、憧れるようになったのだ! 時は現在へ戻る。 「ところでおにいさん、なんであのこれいむはびょうじゃくなの?なにかしたんでしょ?」 「ああ、気づいたか。そうだ、あの子れいむには生まれる前から細工がしてあるんだ。」 「うまれるまえ?でもまりさにとうよしたのはそくしんざいとジュースだけでしょ?ほかはみてないけど……」 「ふむ、ならこれは覚えているかい?」 鬼畏惨は親指大のブロック菓子を取り出した。まりさがれいむの子を身篭った際、栄養剤として与えた物である。 「…なるほどね、で、どくでもしこんだの?」 「いや、だがまぁ似たようなもんだ。これはゆっくりの細胞を時間経過と共に破壊していくウィルスが入っているんだ。」 その名を『YUKKURI-DIE』 実験レポートを提出する事を条件に八意永琳から譲り受けた、対ゆっくり広域殺戮用細菌兵器。例によってゆっくりの遺伝情報のみに反応するという安心設計だ。 この『YUKKURI-DIE』は、特殊な装置を用いてゆっくりの遺伝情報を与える事で変異する。変異したウィルスは、宿主の体に刻まれているゆっくりの遺伝情報がおよそ5%まで合致する場合に、その細胞を破壊していく。感染経路は要検証だが、論理的には空気感染も可能。 ゲスによる人里への被害や、レイパーによるゆっくりの異常発生を防ぐのが主な開発目的である。 ちなみに今回変異させるのに使ったのは、摘出したれいむの陰茎だ。 「……と、言う訳さ、今のところれいむには『YUKKURI-DIE』の症状は現れてないみたいだね。」 「そうだったの…あら、そろそろ『おつとめ』のじかんね。」 「ん、もうそんな時間か。じゃあ僕はまりさを迎えに行ってくるから、ありすは先に行って待機しててくれ。」 「ええ、わかったわ。」 「わかってると思うが、『とかいは』に振舞うのを忘れずにな。」 そう言うと男はゆっくり一家が暮している部屋へ向かった。 「きょうもおつとめにいってくるよ!」 「いってらっしゃい、まりさ。ゆっくりがんばってきてね!」 「「す?りす?り♪」」 部屋に入ると、まりさが家族全員に出勤前のすーりすーりをしているところだった。 鬼畏惨の心臓が早鐘を打つ。嗚呼、今すぐこいつ等を切り、刺し、打ち、抉り、炙り、削り、剥ぎ、溶かし、潰したい!そんな感情を必死に押し殺す、強く握った拳には血が滲んでいた。 「ゆゆ、おにいさん、ゆっくりおはよう!」 「ん、おはよう、まりさ。今日もお勤めご苦労様。」 「かぞくのためだからね、とうぜんだよ!ゆっへん!」 「黙れ駄饅。」 「ゆうっ!?いまゆっくりできないこといわなかった!?」 「ははっ、きのせいだよ、僕がそんな事言う訳無いじゃないか。」 「ゆっ、それもそうだね、うたがってごめんね!」 「いいんだよ、それじゃあ行こうか ありすが待ってるよ。」 季節は秋。窓の外に紅葉を仰ぐ事が出来る部屋の真ん中で、ありすはクッションに身を沈め、まりさが来るのを待っていた。 憂鬱だ。必要な事とは理解しているが、あんなヌケサクをこれから数時間もの間相手にすると思うと在りもしない胃がキリキリと痛んでくる…しかもその後は『あのこたち』の調教もしなければならない……だが全ては唯一瞬、あのカタルシスを味わう為だ…文句は口に出すまい。 ありすが待機してから数分、部屋のベルが鳴り、ドアから鬼畏惨と抱えられたまりさが現れた。 その場に降ろしてもらい、ありすの下へ跳ねてくるまりさ。ありすも先程まで作っていた渋面を捨て、実に『とかいは』な笑みを湛え、まりさを迎える。 「あらこんにちは、まりさ、ゆっくりしていってね。」 「ゆ!きょうもゆっくりしていくよ、ありす♪」 と、まりさも笑顔で返す。これから夜になるまでまりさはここで過ごす事になる、それが鬼畏惨がまりさに与えた「おつとめ」だった。 最初は部屋の中央で待つありすを見て泣き叫んでいたまりさだったが、鬼畏惨が『このありすは本来は都会派だ』『あの時はたまたまレイパー化しただけだ』と言い、当のありすも、あの時と違ってとてもゆっくりとした佇まいだったので、まりさはその言葉を信じ、受け入れたのだ。これはまりさが『楽園』に来るまで、悪意や敵意、嘘といった事と無縁の環境で育った為である。 まりさにとって『おつとめ』とは、『よるまでありすのあいてをする』事だった。性的な意味ではない、これでもゆっくりは一部を除いて人間以上の貞操観念を持っており、愛した相手以外との『すっきりー』は苦痛以外の何物でもないのだ。その点、ありすはあの日以来レイパー化する事も無く、『おつとめ』の間はありすとのゆっくりとした時間を満喫していた。 今日で『おつとめ』も一週間、すっかりありすに心を開いたまりさを見て満足げな鬼畏惨。 「もう十分だな、よし。」 「…おにいさん、もうすぐなのねへぇ……?」 三脚にビデオカメラを取り付ける鬼畏惨と、それを見てにちゃあ、と汚い笑みを浮かべるありす。 「ゆ?おにいさん、それなあに?」 「これかい?これは君達がゆっくりとしている様子を他のゆっくりにも見て貰う為の道具さ、素敵だろ?」 「ゆゆぅ!?そんなのはずかしいよぉ///」 「だいじょうぶよ、まりさ。わたしたちのゆっくりとしたすがたをみて、ほかのこたちにもゆっくりしてもらいましょう?」 「んゆ…ありすがそういうなら……」 「ん、じゃあとりあえず朝の食事の風景から撮ろうか。まりさ、今日はなにが良い?」 「ゆ!まりさ『はにーとーすと』がいい!」 「じゃあわたしもおなじで。ふふっ、まりさとおそろいね。」 「ゆぅん///」 まりさの食事は三食全て『おつとめ』の時間に与えられていた。最初にまりさが好みそうな物を鬼畏惨が用意し、次の日からまりさに選ばせる、といった具合だ。まりさは初めて人間の甘味を口にしたとき、涙を流しながら『こんなすばらしいあまあまをもらえるまりさはきっととくべつなそんざいなんだとおもいました』と訳の分からない感想を口にする程感動していた。 「わかった、たっぷり甘くするから楽しみにしててね」 「ゆうん!そんなこといわれたらゆっくりまてないよぉ♪はやくもってきてね♪」 「はいはい黙れよ」 「……ゆ?いまなにかいt」 「何も言ってないよ。」 それから撮影を開始する鬼畏惨。朝の食事の風景から、その後まりさとありすがゆっくりと過ごす様子を撮影する。二回目の食事を持っていくときにテープを交換し、回収したテープは管制室へ持ち帰り早速編集作業に取り掛かる。 「しかし自分でそう仕向けたとはいえ、一家揃って思い通りに動いてくれる……姉妹達の仲があんなに良くなったのは予想外だったな、だが嬉しい誤算だ。まあ概ね…計算通り……っ!」 ぶつぶつと独り言を呟きながら編集途中のテープをそのままにモニタへ目を移す鬼畏惨。親子部屋では丁度姉妹達が昼食を終え、11匹固まって眠りに就いたところだった。 さてさて、あの饅頭共にはいつ種明かししてやろうか……邪な笑みを浮かべながらそんな事を考えていると、親子部屋を映したモニタから大音量の怒声が聞こえてきた。 『な に を し て い る の っ !』 一家の音声を余すとこなく拾う為、カメラにはそれぞれ指向性マイクを付けていた。そのそれぞれが拾った怒声がサラウンドで鬼畏惨の耳を襲う。 椅子から転げ落ちそうになるのを何とか持ち堪え、慌ててモニタを確認する鬼畏惨。モニタの向こうでは、寝床から這いながら、まりさがありすに犯されたとき以上の凄まじい形相で姉妹達を睨み付けるれいむの姿があった。 そこからの鬼畏惨の行動は速かった。編集途中のテープを上着のポケットに入れ、透明な箱を持ち、まりさとありすが居る『おつとめ』の部屋に乱入し、目を白黒させるまりさを透明な箱に押し込み、ありすに『行くぞ虐待者、ストレスの貯蔵は十分か?』と告げ、箱を抱えて親子部屋へと駆けて行った。 ありすは鬼畏惨の意図を理解し、これから起こる事を想像して絶頂しそうになりながら主の後を追う。 親子部屋のドアの前、抱えた透明な箱の中で、まりさがぷくー、と膨らんで怒りをあらわにしている。 「おにいさん!いきなりなにするの!せっかくありすとゆっくりしてたのにっ!」 「はあ、はあ、はあ……」 「はあはあいってないでありすのとこにかえしてね!そしてゆっくりあやまってね!ぷんぷんっ!」 「はあ、はあ……は、はははっ、そうかそうか、おまえはゆっくりしてたのか!」 「ゆ?あたりまえでしょ!?わかったらはやくもどしてね!いくらおにいさんでもゆるさないよ!ぷくー!」 「ぐっ…ぐふっ……えふっ、えふっ…!」 「ゆ、ゆゆ?どうしたの?おにいさん、なにかへんなかんじがするよ?」 「ふふふ、いやなに、次は僕の番だと思ってね……」 「ゆ?」 バンッ! 開け放たれるドア、そして 「次は僕がゆっくりする番だ。」 return to main story...⇒
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アナル表現有り しなないゆっくりがいます 一応元ネタあり 初投稿になります あれ?ゆっくりが妙に賢い・・・ まりさの馬鹿 「む~しゃ、む~しゃ!!しあわせぇぇぇぇ!!!!!」 とあるまりさは人間の畑に忍び込んで、野菜を食べていた。 とても幸せそうな笑顔だった。 だが幸せになれないのは野菜を育てていたお兄さんだった。 「またゆっくりかよ・・・・・・もう勘弁してくれよ・・・・・・」 趣味で作っていたとはいえ、何度も何度も畑に入っては野菜を食べられてはたまったものではない。 また今度もゆっくりを踏みつぶそうかと足を上げたその時、お兄さんはとあることを思い出した。 ゆっくりは思い込みが強いという事を。 ならば思いこみをさせればもう畑によりつかなくなるのではないかと思い、お兄さんは行動を起こした。 「だいこんさ~ん、まりさにた・・ゆぴぃぃぃぃぃ!!!!」 まりさは突然の痛みに悲鳴を上げた。振り返るとおしりの穴にお兄さんが指を突っ込んでいたのだ。 いわゆるカンチョーというやつだ まりさはケツを貫かれた痛みに悶絶していたが、痛みが引いたのかお兄さんの方を向いて 「なにするのおにいさん!!!まりさはごはんをたべていただけなのに!!!!」 またいうか・・・・とお兄さんはため息をつくが、気を取り直してまりさに魔法の言葉を言う さてさてうまくいくかな 「まりさ、今おにいさんはお前に三日殺しという幻想郷につたわるサンボという格闘技の裏ワザをかけた。 おまえは三日後のかけられた同じ時間に・・・・・永遠にゆっくりすることになる」 空白の時が流れた・・・・・ 空白の均衡をまりさが先に破った 「・・・おにいさん。うそはいけないよ・・・・。おしりになにかいれられたていどでゆっくりが」 「残念だがこれは事実だ。数年前にもおまえみたいなゆっくりにかけたらそいつはああなった。 というとお兄さんは大根の生えている土を指差した。 「この土はな、死んだゆっくりでできている。いわば死んだゆっくりの墓場だ。 ここにいる奴らの共通点はただ一つ。三日殺しをくらった奴らだ。 食らえば全身から餡子を吐きだし、永遠にゆっくりする。 ゆっくり理解したか?」 再び空白の時が流れた。 この均衡を再びまりさが破った。 「どぼじでぞんなごどをするのぉぉぉぉぉ!!!!!ばりざはなにぼばるいごとをじでないのにぃぃぃ!!! いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!じにだぐないぃぃぃぃ!!!!!」 まりさは絶叫した。 「まりさ、おまえはたった三日で死ぬ。おまえたちゆっくりにはとてもありがたい三日間なんだぞ!!」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!どうゆうごどがぜづめいじろぐぞじじいぃぃぃぃぃ!!!」 お兄さんはまりさにゆっくりと説明することにした。 なぜありがたい三日なのか。 説明するためにお兄さんはまりさを片手に移動を始めた。 まずお兄さんは都合良く他の畑に入ろうとしているゆっくりの近くへまりさと一緒に来た。 もちろん見つからないようにだ。 「いいか、あそこにゆっくりがいるだろ?」 「ぞれがどおじだんだぜぇぇぇぇぇぇ!!!!ごのゆっぐりごろじぃぃぃぃぃぃ!!!!」 「あのゆっくりはこれから永遠にゆっくりすることになる」 「うぞゆうんじゃないゆっぐりごろじがぁぁぁぁぁぁ!!!あんばにゆっぐりじでいるゆっぐりが えいえんにゆっぐりずるばずないんだぜぇぇぇぇぇぇ!!!!」 数分後 「おい五平!!またゆっくりが入っているぞ!!!」 「おいまたかよ・・・・・、ったくやってられないぜ・・・・」 そういうと五平と言われた男は侵入したゆっくりに近づいてきた。 「ゆ!!かとうなごみくず!!わざわざまりささまをこんなつちくさいところにいかせてなにもざいあくかんは ないのかだぜ!!!まいにちまりささまのごうていのまえにごはんをおくしかのうがないごみくずは おわびにまりささまのあんよをぺーろぺーろするん・・・・ゆびぃ!!!」 「あ~~~~、うっせ!!!」 畑に入ったまりさは五平のもっていた鍬によって一瞬にして永遠にゆっくりすることになった。 おとこは何もなかったのように畑に戻って仕事に戻った。 「どぼじでゆっぐりじでいだばりざをごろずのぉぉぉぉぉ!!!!」 一連の流れを見たまりさは叫んだ。 「どうして?そんなの簡単だ。あれがおまえの本来の姿だ」 「ぞんなごどないよぉぉぉ!!!!うぞゆうなまりざごろじぃぃぃぃ!!!!」 「わかってないなぁ。おまえは畑に入った瞬間から永遠にゆっくりする運命だったんだよ。 それを俺が温情で三日の猶予を与えたんだぞ。ついでだ、お前にゆっくりのたどるべき運命を見せてやる。」 そう言ってまりさを家へ連れて行きビデオを見せた。 見せたビデオはさまざまなゆっくりが自然の猛威や同族による殺ゆっくり、自分の業によって自滅していくもの をまとめたビデオだった。 なかには人間に逆らってゆっくりできなくなったゆっくりの虐待ムービーまであった。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!やべでよぉぉぉぉぉぉ!!!そのでいぶば いいおがあざんなんだよぉぉぉぉ!!!!どぼじでいじべるのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「おねえざぁぁっぁぁぁん!!!!!!やざじいみょんぼいじべないでぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「やべろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!ぞのぢぇんはながまおぼいのいいぢぇんだよぉぉぉぉ!!!! どぼじでだべじゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」 ビデオが終わった後、まりさは肩で息をしていた。 あたりには甘ったるい液体が流れていた、おそらく涙と汗だろう。 お兄さんはまりさを森の入口まで運んでやった。 最後に男は言った。 「三日後、お前はどうあがこうが死ぬ。この三日はお前にとっての懺悔の時間だ。 むれに帰ったら、畑にちかづいたらどうなるか群れののゆっくりに教えてやるんだな」 お兄さんの計画はこうだ。 思い込みが強いのならただのカンチョーで本当に三日後に死ぬだろう。 その様を他のゆっくり達にみせ、人間の恐ろしさを教育してやる、というものだった。 森から帰ってきたお兄さんはうまくいっている事を豊作の神にお祈りした。 翌日、まりさは群れにかえってからため込んでいた食糧を食べていた。 ゆうぅ、まりさはもうすぐしんじゃうんだ。死んじゃうんならすきかってやっていいよね まりさは完全に自堕落になっていた。 そうやってお腹一杯になるまでご飯をたべてから今までの楽しかった思い出を振り返って ひとつ思い出したことがあった。 「ゆ・・そういえばゆきさんをみたことがなかったよ・・・・ しぬまえにみたいなぁ・・・・・・」 ゆっくりは冬の間ひたすら巣に籠って冬眠するため、雪を見ることになるゆっくりは たいがい越冬に失敗したゆっくりだ。 まりさはいままで噂に聞いたことしかなかった雪を無性に見たくなったのだ。 昼ごろ、まりさは残った食糧を帽子の中に入れ、群れのみんなに別れを告げることを決意した。 一番の親友のれいむには今までの経緯を話してから旅立とうと決めていた。 だが、れいむに経緯をはなしたら 「まりさのばか!!!!にんげんさんのいっていることははったりだよ!!! そんなこともしらないの!!!ばかなの?しぬの?」 と怒らせてしまった。 だがまりさはそんなれいむにごめんねと言うと、そのまま旅立っていった。 れいむは最後までまりさを馬鹿呼ばわりしていた。 まりさはいままで雪を見たことがなかったため、死ぬ前に雪がみたかった 群の知恵袋であったパチュリーが「雪が見たいならこの道をまっすぐ行きなさい」と教えてくれた。 まりさは教えてもらった道をそのまま進むことにした。 道中、まりさはゆっくりできなくなるキノコをたくさん集めた。 死の恐怖から一刻も早く解放されたいという思いからいつの間にかかき集め始めていたのだ。 三日後にはまりさは永遠にゆっくりしちゃうんだ・・・・・ このきのこさんよりもゆっくりできない苦しさを味わうのかな・・・・・・・ その前にこのきのこをたべて永遠にゆっくりしたほうが楽になるのかな・・・・・ と考えてきのこを食べようとした。 このきのこさんをたべれば・・・・このゆっくりできない気持ちから・・・・解放されるよ。 でも・・・・でも・・・まりさは・・・・・・じにだぐない!!!!!!! まりさはキノコをたべるのをやめて、帽子の中にしまった。 捨てきれない辺り、まだ諦めきってはいないのだろう。 それから歩くこと3時間・・・・・ 「おきゃあしゃ~~~ん、どこ~~~?おきゃあしゃ~~~~ん!!!!!!」 一匹の赤れいむが親を探して泣いていた。親とはぐれたのだろう。 そう思いまりさは赤れいむに話しかけた。 「そこのあかちゃん、どうしちゃったの?」 「おかあしゃんがいにゃの~~~!!!!うわ~~~~~ん!!!!!」 「おねえちゃんはこれからこのみちをまっすぐいくよ・・・・・とちゅうまでいっしょにいく? おかあさんがみつかるまでひとりでいたら・・・・あぶないよ」 まりさは親切心から赤まりさに申し出た。 「あぶにゃいのこわくちぇやだぁぁぁぁぁぁ!!!!!! おねえちゃんといっちょにくきゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」 赤まりさはまりさの申し出を受け入れ、一緒に行動することになった。 道中、まりさはいろんなゆっくりにあった。 親をれみりゃに食べられたり、動物に襲われたり、落盤などの事故で失って途方に暮れていた 赤まりさと子まりさ。親に捨てられたゆっくり。 みなまりさについてくるかと聞いたらついてくると答えた。 気づいたときにはまりさを先頭に赤ゆっくり・子ゆっくりの行列ができていた。 目指すは北、死ぬ前に雪さんをみるよ・・・・・ それから、まりさはきのこさんを食べて死ぬよ・・・・ まりさはそう考えていた。 二日後の朝 まりさは雪が降る大地に立っていた。 まりさの願いが神様にでも通じたのか、何十年に一度の異常気象が幻想郷を包み、 その異常気象が雪を降らせていたのだ。 ここまでまりさ一行は道にある食べ物を食べつつ進んでいった。 不平不満があったもののおかあさんを見つけてくれると勝手に思い込んだ子ゆっくりたちは 渋々まりさについていき、奇跡的にも誰一匹犠牲を出すことなく目的地にたどり着いた。 まりさは辺り一面に広がる雪に感動した。 死ぬまえにとてもゆっくりできる光景がみえたよ まりさはもう思い残すことはないよ、と 一方、赤ゆっくりと子ゆっくりは寒いと文句をいうものと初めて見る雪に興奮しているもののの半々だった。 「ゆう~~、まりさおねえちゃん!!!ここはゆっくりできないしさむいよ!!ゆっくりごはんをもってきてね!!」 「ゆわ~~、しろしろさん!!ゆっくりしていってね!!!」 まりさは雪を見れた感動の余韻に浸り、今なら楽になれると考え、ずっと帽子の中に入れていた 自決用のキノコを取り出し、食べようとしたが 「ゆ!!まりさおねあちゃん!!それはゆっくりできないキノコさんだよ!! はやくすててね!!」 賢い子ゆっくりに気づかれた 「ゆっくりとめないでね!!まりさはゆっくりできないきのこさんをたべていきるくるしさから かいほうされるんだよ!!!!」 とまりさは言うと子ゆっくりは 『どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!!』 と叫んだ。 いままで苦楽を共にしたまりさが死ぬと言い出すのだから当然といえば当然だ。 だがまりさの方も早くこの苦しみから解放されたいという願望から口調がだんだん苛立ってきた。 「まりさははやくえいえんにゆっくりしたいんだよ!!ゆっくりじゃましないでね!!」 もちろんそんなことを許さない子ゆっくり達も 「だめだよ!!えいえんにゆっくりしちゃうなんていけないことなんだよ!!」 と必死にまりさのキノコを奪うなどして止めにかかる。 こんな問答が30分程延々と続き、ここでまりさの堪忍袋が切れた 「ゆぎゃぁぁ!!!ばやぐ!!ばやぐばりざをゆっぐりざぜでぇぇ!!」 そういうと、子ゆっくりたちは突如狂ったかのように叫んだまりさに驚いて静かになった。 「いい!!まりさははやくえいえんにゆっくりしてゆっくりしたいの!!! ”いきさつ”をせつめいするからじゃましないでね!!」 とここでここまでの経緯を赤裸々に語りだした。 特にお兄さんの三日殺しを受けた辺りから見せられたゆっくり関係の話、ビデオを これでもかというくらいに誇張しながら語りだした。 まだ純真な赤ゆっくりや、知識がまだ足りない子ゆっくりにはどれだけの衝撃だっただろうか。 どのゆっくりも涙としーしーを流しながらまりさの話を聞いていた。 話初めて1時間、ようやくまりさは話終えた。 まりさは非常にすっきりした顔になっていた。 いままでの苦労を全てぶちまけて、自分の邪魔をするゆっくり達に説明したことで もう邪魔しないだろうと考えたからだ。 話を聞いていたゆっくり達は全員涙を流しながら俯いていた。 中にはあまりの話に否定するために騒いだゆっくりもいたが、 まりさが根気よく教えていやいや理解した。 さて、ようやく永遠にゆっくりできるとまりさは近くに転がっていた毒キノコを食べようとしたが 「おねえちゃんのばか・・・・」 一匹の子ゆっくりが喋った。 どこか重みを感じる一言に、まりさはハッと子ゆっくりを振り返った。 「おねえちゃんのばか!!どぼじでつらいげんじつをびんなにじゃべっちゃうのぉぉ!!」 と叫んだ。 「おねえぢゃんのぜいでもうゆっぐりでぎなぐなっぢゃっだよぉぉぉ!!! おねえぢゃんのぜいだよ!!もうなにをやっだっでえいえいんにゆっぐりじじゃうぎょうふに びぐびぐじじゃうんよぉぉぉぉ!!!」 そう、まりさの話は子ゆっくりや赤ゆっくりの精神に深い傷を残す程深かった。あまりにも深かった。 もう少し成熟していればある程度は聞き流せただろうが、 親しかった者から突き付けられた現実は幼い精神力しか持たないゆっくり達には深すぎたのだ。 「おねえじゃんのばが!!でいぶはいぎるぎょうぶがらがいぼうざれるね!!!」 というと、辺りに転がっていた毒キノコを食べて死んだ。 これに続くように、他の赤ゆっくりや子ゆっくりは我先に毒キノコを食べ、死んでいった。 残ったのはまりさ一匹だけだった。 まりさはちびっこ達を死に追いやった自分の行動に深く後悔したが、 同時に自分の行動を邪魔するゆっくりがいなくなったことに喜んだ。 これで心おきなく永遠にゆっくりできるよ・・・ そう思い食いかけのキノコを食べようと口を開けたその時、偶然死んだゆっくりと目があった。 何も語りかけてこない筈の目が、まりさを恐怖に陥れた。 なんでまりさをみてるの・・ねえ、なんでみてるの!!そんな怖い顔でまりさを見ないで!! そんな絶望に染まりきった顔でまりさを見ないで!!!! こわい・・こわいよ・・やっぱり死ぬのはこわいよ!!! まりさは恐怖からキノコを置いてそのままいずこかへ走り去っていた。 死んだゆっくりたちは死してなおまりさを見つめていた。 まりさが走り去ったのはお兄さんに三日殺しをかけられてから73時間経過した頃だった。 所変わってお兄さんの家 「やっぱ思い込みが強いといっても限度があるか・・・」 お兄さんは野菜にかぶりついているゆっくり達を見ながらそう呟いた。 「やっぱり即潰すしかないかなぁ」 お兄さんは鍬を構え、ゆっくり達に近づいて行った。 それから、お兄さんの畑には黒色の肥料が混じるようになった。 このSSに感想をつける
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【作品名】日常 【ジャンル】アニメ 【名前】長野原みお 【属性】腐女子 【大きさ】小柄な女子高生並 【攻撃力】張り手一発で成人男性の警察官を気絶させる 【防御力】大きさ相応 【素早さ】 5mほど跳躍できる 電車より少し遅いくらいの速度で走行可能 だるま落としの上段が全く落ちない間に 「後方から飛んできて自分に当たった段をキャッチ→1m後方にいる人の頭に投げ返す」ことができる反応、戦闘速度 描写では中に浮いた状態の上段がほぼ全く落ちていないが、 時間が経過していないということはないので、上段が0.1mm落ちたと仮定し計算する →作中時間0.0045秒で上記「」内の行動ができる 【特殊能力】なし 【長所】普通とは思えない戦闘力 【短所】腐ってやがる。速すぎたんだ 【戦法】初手張り手 vol.4 555 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2011/10/02(日) 20 01 56.55 ID byfJYbXv 長野原みお考察 素早さが凄いが、それに対して攻撃不足で防御は紙。 浦島可奈子より上は無理だろう。そこから下を見てみる。 △:飴谷千歳 当たらないが倒せない △:浦島可奈子 同上 ○:佐倉杏子 ひたすら張り手して気絶させ勝ち ○:園崎魅音 同上 △:音無小夜 当たらないが倒せない △:主人公(FB海の呼び声) 当たらないが倒せない ○:大島アリサ 張り手で気絶させ勝ち ○:ノヴィア・エルダーシャ 先手とって張り手勝ち △:花岡弥依 当たらないが倒せない ○:九鬼揚羽 防御は普通なので張り手勝ち ×:朱鷺宮神依 一発じゃ倒せない。時止め→斬殺負け △:藤堂晴香 当たらないが倒せない ○:イカ娘 張り手勝ち ○:ニセもん タイムマシンの上に飛び乗ってボコり続け勝ち ○:レン ジャンプして張り手勝ち ○:アマナ 張り手で気絶させ勝ち まあ、多分大丈夫だろう。 成瀬川なる>飴谷千歳=浦島可奈子=長野原みお
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「あ、ありすのおにーさんはおにーさんだけよ!あんたなんて、おことわりよっ!?」 「おいおい、だからお前の飼い主はお前らなんていらないって言ってるって・・・」 「そんなのうそよっ!!!?」 ありすは今までのゆん生で一番大きな声で叫んだ。 あの優しいお兄さんがそんなこと言う訳がない。 ありすの大好きなお兄さんがありすを見捨てるはずがない。 「いやいや、嘘じゃないんだよなぁ。何せ・・・」 誰に話しかけるでもなく、あらぬ方向を向いてつぶやいた男はおもむろにお面を取り、地面に落とした。 その表情は溢れんばかりの悪意を孕み、赤ゆっくりなら見ただけで泣き出しそうなほど邪悪に歪んでいる。 しかし、ありすは彼の表情よりも顔立ちに気を取られていた。 「当の本人がそう言ってるんだからなぁ」 「お、おにーさん・・・?」 お面の下にはありすのよく知る、ありすの大好きな、ありすの家族の顔があった。 「おにーさん、どうちて・・・?」 「決まってるだろ? お前とチビ共を虐待するためさ」 「そ、そんなのうそよっ・・・!?」 予想外の事態に混乱し、状況の飲み込めないありすは右往左往しながらも男性の言葉を否定する。 しかし、彼女の目の前にいるのは確かにありすの飼い主の男性だった。 今まで見たこともないほどに邪悪な表情をしているが、どこからどう見ても見間違えるはずがない。 「で、でもぉ・・・ありすとおにーさんはかぞくなのよ!」 「家族に裏切られるのって辛いだろ?」 「それに・・・おにーさんが、ありすのおちびちゃんにひどいこと・・・」 「残念ながら俺がしたんだよ。なかなか面白かったよ」 一生懸命決して多くない語彙で男性から今の状況を否定する言葉を引き出そうとするありす。 が、男性の口から出てくる言葉に彼女の望むものはひとつとしてなかった。 「でも、おにーさんはつかまってるって・・・」 「そんなもん嘘に決まってるだろ? そもそもお前に言ったことの大半は嘘だよ、バーカ」 「ゆぐぅ・・・」 そろそろ言葉を思いつかなくなってきたらしく、ありすは俯いてしまった。 「なあ、チビ共。お前らからもこいつに何か言ってやってくれよ?」 「「「「・・・・・・」」」」 「なんだ、お前らもまったく状況が理解出来てないのか」 口を半開きにして呆然と自分を見つめる赤ありす達の姿を見て、男性はため息をついた。 が、すぐに気を取り直すと、再びありすの方を向く。 「ありす」 「ゆゆっ!?な、なあに、おにーさん?」 「お前・・・俺のペットにはなりたくないって言ってたよな?」 先ほどまでとは打って変わって、彼は柔和な笑みを浮かべている。 「ちがうわよ!ありすはおにーさんのぺっとだからおにーさんの・・・ゆぅ?」 「つまり俺のペットにはなりたくないんだよな。 それじゃ、そこでせいぜいのたれ死んでね」 「どほぢぢぇしょんなごぢょいうのおおおお!?」 今の彼の温厚な笑みは、先ほどとは打って変わってかつてのありすの大好きなお兄さんの笑顔そのもの。 それとじっと見つめていると、昔に戻ったかのような錯覚すら覚えそうになる。 「そりゃ、お前のことが大嫌いだからだ」 しかし、錯覚は錯覚に過ぎなかった。 優しい笑顔は徐々に悪意に染まって行き、攻撃的な恐ろしい笑みへと変貌してゆく。 ありすはその光景を見つめながら「器用なことが出来るもんだなぁ」と見当はずれなことを考えてしまった。 「本当にありすって奴らはよぉ・・・救いようのないクソレイパーばっかりなんだよ、わかるか?」 「あ、ありすは・・・ちがうわよ!?」 「猫被ってるだけだろ?薄皮一枚はげばすっきりの事しか考えてないクソレイパーだよ」 そんな事を口にしながら顔をしかめる男性。 彼の暗い輝きを放つ瞳の奥に、ありすは彼の悪意の根源を垣間見た。 それは・・・怒りだった。 「どうちでぞんなごどいうのおおお!?あでぃずなにもぢでないよおおお!?」 「ごちゃごちゃ五月蝿いんだよ!俺のまりさをレイプしたクソレイパーのガキが!!」 「ゆぐっ!?」 「みゃみゃああああああ!?」 「「「ふぁひゃー」」」 彼が叫び終えるのと同時に強い衝撃を受けてありすは宙を舞った。 宙を舞いながら、痛みと悲しみのせいで止まらない涙でぼやけた視界の向こうに男性の笑顔を見た。 ありすに蹴りを浴びせたと思われる右足を前に突き出した不自然な体勢で笑っていた。 「俺のまりさを犯し殺したクソッタレのガキなんだよ、お前は!」 「ゆぐぅ・・・いぢゃ、いぃ・・・」 「確かにお前が犯し殺した訳じゃない。でもな、そんなもん知ったこっちゃないんだよ!」 しかし、彼はありすを見ていなかった。 ありすの向こう側に全てのありす種の存在を見出し、彼女達を憎悪の眼差しで睨んでいた。 あくまでも狂気を孕んだ笑顔のままで。 「あの日までは俺もどこか対岸の火事のように思ってた・・・でもな、それが間違いだったんだよ」 「みゃmy・・・ゆびぃ!?」 「お、おぢびぢゃあああああん!!?」 ありすに向かって、いや世界中のありすに向かって語りかける男性は母の元に駆け寄ろうとした4つ目のありすを踏み潰した。 が、彼は彼女を潰した事に何の感慨も持っていないらしく、叫ぶありすのことなどお構いなしに語り続ける。 おかげで、ありすはようやく目の前の現実を受け入れることが出来た。 「ゆぐぅ・・・ゆっぐりりかいぢだわ・・・」 「何を?」 「おにー・・・ざんが、ゆっぐぢできだいひどだってごとよ!」 「ぶっぶー、不正解」 両手で大きなバツ印を作りながら、男は長女赤ありすに大きな足を叩きつける。 もっとも、彼自身は軽く踏んだ程度のつもりなのだが、彼女にとっては必殺の一撃以外の何者でもないだろう。 押し潰された長女赤ありすのカスタードが四方八方に飛び散った。 「おぢびぢゃああああああん!?」 「可哀想だよな。無能な馬鹿親が間違った理解をしたせいでこんな目に遭うなんて・・・」 「「おひぇーはーん」」 「お前のガキ共がどうなるかは俺の気分しだいだって事・・・理解出来たか?」 今度はピザのように薄く伸ばされた三女赤ありすの頭上に男性の足が掲げられている。 その行動の意図する所は流石にありすでも簡単に理解出来た。 勿論、彼女の力ではこの事態を打開するのは不可能であると言うことも。 「分かるよな? ありす種ってのは存在しているだけで恥ずかしいんだよ」 「・・・・・・・・・」 「そうか、分からないか。じゃあ、仕方ないな」 三女の真上にある男性の足がわずかに動く。 「や、やめでね!?ゆっぐりりがいぢだわ!りがいぢだがら、やべてね!?」 「じゃあ、言ってみろよ? 何を理解したんだ?」 「あ、あでぃずだぢは・・・いぎでるだけでゆっぐぢでぎないいながものよぉ・・・!」 これ以上子ども達を死なせないためにも、彼女は男性を下手に刺激しないようにその屈辱的な言葉を口にした。 プライドと子どもの命、どちらが大事かを見誤るほどありすは愚かではない。 全身をわなわなと震わせ、目にいっぱいの涙を溜めて、口をへの字に曲げて・・・それでもありすは子どもを優先した。 「はい、正解」 「お、おねがいよぉ・・・あぢずのおぢびぢゃ・・・」 「と言う訳で死ね」 「ゆぴぃ!?」 しかし、男性のありすに対する悪意の、憎悪の根深さを完全に見誤ってしまっていた。 もし人間ならば容易に想像出来たことだが、ありすにはそれを想像することが出来なかった。 憎い相手を、いつか裏切りの絶望を与えるためだけに慈しむという行為を可能にするほどの妄執を。 「どほぢでぞんなのごどずるのおおおおお!?」 「自分で言ったろ? 生きているだけでゆっくり出来ない田舎者だって」 「ゆひぇーん」 ありすの子どもは薄皮の次女赤ありすただ一匹。 そして今、男性の足が彼女の頭上に大きな影を作った。 彼女だけでも救いたい一心で痛む体を引きずってゆっくりと這いずるありす。 「焦るなよ。こいつは治療すれば元気になる見込みがあるし、生かしてやってもいいんだ」 「ゆゆっ!?ほ、ほんとうに・・・っ?」 「ああ、本当さ。もうお前の子どもはこいつ1匹しかいないしな」 「いっぴき・・・?ま、まりさの、まりさのおぢびぢゃ・・・」 一瞬、体を傾けて考えるような仕草をするありす。 その直後に目先の問題に気を取られて重要なことを忘れていたことに気づいた。 苦痛と屈辱と疲れきっていた表情が驚愕によってわずかに活力を取り戻す。 「ああ、あいつらならとっくに潰したよ。もういらないし」 「ど、どほぢでぇ!?あのごだちは!ありぢゅぢゃないでぢょぉ!?」 「ありすが親ってだけで同罪なんだよ」 そう呟くとポケットから子まりさ達のものと思しき帽子を取り出し、無造作に放り投げる。 破れ、ほころび、汚れ、解れた小さな山高帽はツヤのない安っぽい黒い布切れに成り果てていたが、間違いなく子ども達のものだった。 まりさ種の子どもなら生かしてもらえるかも知れない、そんな儚い期待は抱くと同時に打ち砕かれた。 「・・・・・・お、おに゛ぃざん・・・」 「何だ?」 「・・・おぢびぢゃ、だげは・・・ゆっぐぢざせであげで、ねぇ・・・!」 彼の憎悪がもはや常軌を逸していることを理解したありすは泣きながら笑う。 全てに絶望しきった果ての諦めの境地だった。 それでも無駄だろうと半ば諦めながらも最後の1匹になった子どものために命乞いをした。 「言われなくてもそのつもりさ」 「ゆっ・・・ゆっぐぢ、ありが・・・」 その一言で十分だとありすは思った。 その一言で彼が本当は優しい人なのだと信じることが出来た。 その一言で自分の子どもの無事を確信できた。 散々酷い目に遭わされ、裏切られたにもかかわらず。 「ただし・・・最低のクソレイパーとして、な」 「ゆぅ・・・ゆゆっ!?」 「お前の母親みたいなクソレイパーにしてやる、って言ったんだよ」 男性はまくし立てるように喋り続けた。 まりさを殺したありすやその子どもだけじゃもはや満たされない、と。 ただありす種を片っ端から潰すだけじゃ気がすまない、と。 ありすの子孫を命ある限り苦しめ、欺き、偽りの希望にすがりつかせて最後には絶望させてやる、と。 産まれたその瞬間にそれを後悔するするくらいの絶望をカスタードに刻み付けてやる、と。 「や、やめでぇ・・・おねがいよぉ・・・ありずのおぢびぢゃんを、でいばーにぢないでぇ!?」 「言っただろ? お前らを苦しめるのが俺の目的なんだよ。 死んだくらいでゆっくりできると思うなよ」 「お、おねがい、ぢまずぅ・・・おちびぢゃ、んをとかいはのゆっぐぢぃ・・・ゆぶぅ?!」 必死に懇願しながらありすは再び最後の1匹になってしまった我が子の元へと這いずっていく。 なんとか彼女を守ろうと、混乱と恐怖のあまりに言葉も発せず怯える彼女を慰めようと。 しかし、またしても男性に蹴り飛ばされ、ささやかな望みが叶うことは無かった。 「ゆ゛っ・・・お゛にぃ、ざぁん。ひ゛とづだけ、ゆっぐぢ・・・おぢえでねぇ」 「何だ?」 「あ゛ぢずのまま゛は・・・ほんどうに、れい・・・ゆびぃ!?」 「クソレイパーのガキでもちょっとはマシだと思ったんだがな・・・所詮クズだな」 2度蹴り飛ばされ、かなりの量のカスタードを漏らしたありすにもはや動く力も残されていない。 そんな彼女が見出した最後の希望が男性の軽蔑に満ちた眼差しによってかき消された。 「ありすのままはほんとうにれいぱーだったの?」 結局、ありすがその言葉を言い終える前に男性は次女赤ありすを捕まえて立ち去ってしまった。 「ゆっぐ・・・ゆ゛びぃ・・・」 男性の徐々に小さくなって行く背中を見つめながら、ありすは呻いた。 もはや痛みすらも感じない体で、何とか男性に追いつこうと底部に力を込めた。 けれど、一歩も動くことが出来なかった。 「おぢびぢゃ、ごべんでぇ・・・」 ありすは謝った。 自分のせいで、もっとも忌むべき存在にされてしまう我が子に。 自分の無力で守れなかった小さな命に。 自分の子どもだったばかりに理不尽な憎しみに巻き込まれた子ども達に。 「まりぢゃぁ・・・ごべんねぇ・・・」 ありすは謝った。 自分のつがいになったせいで不幸に巻き込まれたまりさに。 もっとも、ありすに彼女の末路を知る術などないのだが。 「みゃみ゛ゃ、ごべんなさぃ・・・」 ありすは謝った。 男性に言われるがままに嫌悪してしまった母に。 果たして彼女がレイパーだったのか、真偽は定かではないが。 それでも謝らずにはいられなかった。 「お゛にぃさぁ・・・ごべ、ん・・・」 ありすは謝った。 理由は分からないけれど、飼い主の男性に。 最後の最後に酷い裏切りを受け、本来憎むべきはずの彼に。 その言葉を最後にありすは二度と動かなくなった。 家に帰った男は次女赤まりさの皮の厚みを戻す作業を行いながら、一人考え込んでいた。 あのありすの表情を、絶望を見たことで多少は大事なものを奪われた憎しみから解放された。 もう、この赤ありすを叩き潰して、唯一生き残っている親まりさも処分して、新しいゆっくりでも飼おうかと。 「おい、れいぱー」 「ゆえーん、ありしゅれいぴゃーぢゃ・・・」 「うるさい」 皮の厚みを取り戻したことで何とか喋れるようになった彼女にでこピンを食らわした。 痛みからいっそう激しく泣き喚き始めるが、彼は気にも留めずに思案を続ける。 しかし、今の自分はきっと普通にゆっくりを飼っても満たされることはないだろう、と。 ありすの子ども達を嬲ったときの、曰く形容しがたい暗い快感。 ありすを絶望させていくときに感じた得体の知れない幸福感。 それらが、彼を捕えて放さなかった。 「そうだな・・・せっかくだからありすに言った事を本当にやってみようか?」 「ちょうどレイパーと可哀想な被害者も居る事だしな」 ありすやその子どもだけじゃ満たされない。 ただ片っ端から潰すだけじゃつまらない。 ありすの子孫が苦しみ、欺かれ、偽りの希望にすがりついて最後には絶望する様をもっと見たい。 産まれたその瞬間にそれを後悔するするくらいの絶望をカスタードに刻み付けてみたい。 治療を終えた男性はいつか哀れな被害者になる黒帽子を被った饅頭の元に食事を持っていった。 →ありす虐待エンドレス1へ ‐‐‐あとがき‐‐‐ ありす虐待といえば今や引退してしまったあのお方 彼の作品は本当に素晴らしかった 落として落として更に落として、もはやそこより下はないと思えるところで更に落とす 最後には肯定の言葉をもって突き落としたりと、一片の尊厳すらも残さない驚愕の虐待でしたね 氏の影響がこの作品の随所にも見られます(悲しいほど劣化してるけどな!) というか、ビデオネタのことを思い出したのがすでに70kbほど書き終えてからと言う・・・ ああ言うガチ虐待を書ける人が妬ま羨ましい byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
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「あ、ありすのおにーさんはおにーさんだけよ!あんたなんて、おことわりよっ!?」 「おいおい、だからお前の飼い主はお前らなんていらないって言ってるって・・・」 「そんなのうそよっ!!!?」 ありすは今までのゆん生で一番大きな声で叫んだ。 あの優しいお兄さんがそんなこと言う訳がない。 ありすの大好きなお兄さんがありすを見捨てるはずがない。 「いやいや、嘘じゃないんだよなぁ。何せ・・・」 誰に話しかけるでもなく、あらぬ方向を向いてつぶやいた男はおもむろにお面を取り、地面に落とした。 その表情は溢れんばかりの悪意を孕み、赤ゆっくりなら見ただけで泣き出しそうなほど邪悪に歪んでいる。 しかし、ありすは彼の表情よりも顔立ちに気を取られていた。 「当の本人がそう言ってるんだからなぁ」 「お、おにーさん・・・?」 お面の下にはありすのよく知る、ありすの大好きな、ありすの家族の顔があった。 「おにーさん、どうちて・・・?」 「決まってるだろ? お前とチビ共を虐待するためさ」 「そ、そんなのうそよっ・・・!?」 予想外の事態に混乱し、状況の飲み込めないありすは右往左往しながらも男性の言葉を否定する。 しかし、彼女の目の前にいるのは確かにありすの飼い主の男性だった。 今まで見たこともないほどに邪悪な表情をしているが、どこからどう見ても見間違えるはずがない。 「で、でもぉ・・・ありすとおにーさんはかぞくなのよ!」 「家族に裏切られるのって辛いだろ?」 「それに・・・おにーさんが、ありすのおちびちゃんにひどいこと・・・」 「残念ながら俺がしたんだよ。なかなか面白かったよ」 一生懸命決して多くない語彙で男性から今の状況を否定する言葉を引き出そうとするありす。 が、男性の口から出てくる言葉に彼女の望むものはひとつとしてなかった。 「でも、おにーさんはつかまってるって・・・」 「そんなもん嘘に決まってるだろ? そもそもお前に言ったことの大半は嘘だよ、バーカ」 「ゆぐぅ・・・」 そろそろ言葉を思いつかなくなってきたらしく、ありすは俯いてしまった。 「なあ、チビ共。お前らからもこいつに何か言ってやってくれよ?」 「「「「・・・・・・」」」」 「なんだ、お前らもまったく状況が理解出来てないのか」 口を半開きにして呆然と自分を見つめる赤ありす達の姿を見て、男性はため息をついた。 が、すぐに気を取り直すと、再びありすの方を向く。 「ありす」 「ゆゆっ!?な、なあに、おにーさん?」 「お前・・・俺のペットにはなりたくないって言ってたよな?」 先ほどまでとは打って変わって、彼は柔和な笑みを浮かべている。 「ちがうわよ!ありすはおにーさんのぺっとだからおにーさんの・・・ゆぅ?」 「つまり俺のペットにはなりたくないんだよな。 それじゃ、そこでせいぜいのたれ死んでね」 「どほぢぢぇしょんなごぢょいうのおおおお!?」 今の彼の温厚な笑みは、先ほどとは打って変わってかつてのありすの大好きなお兄さんの笑顔そのもの。 それとじっと見つめていると、昔に戻ったかのような錯覚すら覚えそうになる。 「そりゃ、お前のことが大嫌いだからだ」 しかし、錯覚は錯覚に過ぎなかった。 優しい笑顔は徐々に悪意に染まって行き、攻撃的な恐ろしい笑みへと変貌してゆく。 ありすはその光景を見つめながら「器用なことが出来るもんだなぁ」と見当はずれなことを考えてしまった。 「本当にありすって奴らはよぉ・・・救いようのないクソレイパーばっかりなんだよ、わかるか?」 「あ、ありすは・・・ちがうわよ!?」 「猫被ってるだけだろ?薄皮一枚はげばすっきりの事しか考えてないクソレイパーだよ」 そんな事を口にしながら顔をしかめる男性。 彼の暗い輝きを放つ瞳の奥に、ありすは彼の悪意の根源を垣間見た。 それは・・・怒りだった。 「どうちでぞんなごどいうのおおお!?あでぃずなにもぢでないよおおお!?」 「ごちゃごちゃ五月蝿いんだよ!俺のまりさをレイプしたクソレイパーのガキが!!」 「ゆぐっ!?」 「みゃみゃああああああ!?」 「「「ふぁひゃー」」」 彼が叫び終えるのと同時に強い衝撃を受けてありすは宙を舞った。 宙を舞いながら、痛みと悲しみのせいで止まらない涙でぼやけた視界の向こうに男性の笑顔を見た。 ありすに蹴りを浴びせたと思われる右足を前に突き出した不自然な体勢で笑っていた。 「俺のまりさを犯し殺したクソッタレのガキなんだよ、お前は!」 「ゆぐぅ・・・いぢゃ、いぃ・・・」 「確かにお前が犯し殺した訳じゃない。でもな、そんなもん知ったこっちゃないんだよ!」 しかし、彼はありすを見ていなかった。 ありすの向こう側に全てのありす種の存在を見出し、彼女達を憎悪の眼差しで睨んでいた。 あくまでも狂気を孕んだ笑顔のままで。 「あの日までは俺もどこか対岸の火事のように思ってた・・・でもな、それが間違いだったんだよ」 「みゃmy・・・ゆびぃ!?」 「お、おぢびぢゃあああああん!!?」 ありすに向かって、いや世界中のありすに向かって語りかける男性は母の元に駆け寄ろうとした4つ目のありすを踏み潰した。 が、彼は彼女を潰した事に何の感慨も持っていないらしく、叫ぶありすのことなどお構いなしに語り続ける。 おかげで、ありすはようやく目の前の現実を受け入れることが出来た。 「ゆぐぅ・・・ゆっぐりりかいぢだわ・・・」 「何を?」 「おにー・・・ざんが、ゆっぐぢできだいひどだってごとよ!」 「ぶっぶー、不正解」 両手で大きなバツ印を作りながら、男は長女赤ありすに大きな足を叩きつける。 もっとも、彼自身は軽く踏んだ程度のつもりなのだが、彼女にとっては必殺の一撃以外の何者でもないだろう。 押し潰された長女赤ありすのカスタードが四方八方に飛び散った。 「おぢびぢゃああああああん!?」 「可哀想だよな。無能な馬鹿親が間違った理解をしたせいでこんな目に遭うなんて・・・」 「「おひぇーはーん」」 「お前のガキ共がどうなるかは俺の気分しだいだって事・・・理解出来たか?」 今度はピザのように薄く伸ばされた三女赤ありすの頭上に男性の足が掲げられている。 その行動の意図する所は流石にありすでも簡単に理解出来た。 勿論、彼女の力ではこの事態を打開するのは不可能であると言うことも。 「分かるよな? ありす種ってのは存在しているだけで恥ずかしいんだよ」 「・・・・・・・・・」 「そうか、分からないか。じゃあ、仕方ないな」 三女の真上にある男性の足がわずかに動く。 「や、やめでね!?ゆっぐりりがいぢだわ!りがいぢだがら、やべてね!?」 「じゃあ、言ってみろよ? 何を理解したんだ?」 「あ、あでぃずだぢは・・・いぎでるだけでゆっぐぢでぎないいながものよぉ・・・!」 これ以上子ども達を死なせないためにも、彼女は男性を下手に刺激しないようにその屈辱的な言葉を口にした。 プライドと子どもの命、どちらが大事かを見誤るほどありすは愚かではない。 全身をわなわなと震わせ、目にいっぱいの涙を溜めて、口をへの字に曲げて・・・それでもありすは子どもを優先した。 「はい、正解」 「お、おねがいよぉ・・・あぢずのおぢびぢゃ・・・」 「と言う訳で死ね」 「ゆぴぃ!?」 しかし、男性のありすに対する悪意の、憎悪の根深さを完全に見誤ってしまっていた。 もし人間ならば容易に想像出来たことだが、ありすにはそれを想像することが出来なかった。 憎い相手を、いつか裏切りの絶望を与えるためだけに慈しむという行為を可能にするほどの妄執を。 「どほぢでぞんなのごどずるのおおおおお!?」 「自分で言ったろ? 生きているだけでゆっくり出来ない田舎者だって」 「ゆひぇーん」 ありすの子どもは薄皮の次女赤ありすただ一匹。 そして今、男性の足が彼女の頭上に大きな影を作った。 彼女だけでも救いたい一心で痛む体を引きずってゆっくりと這いずるありす。 「焦るなよ。こいつは治療すれば元気になる見込みがあるし、生かしてやってもいいんだ」 「ゆゆっ!?ほ、ほんとうに・・・っ?」 「ああ、本当さ。もうお前の子どもはこいつ1匹しかいないしな」 「いっぴき・・・?ま、まりさの、まりさのおぢびぢゃ・・・」 一瞬、体を傾けて考えるような仕草をするありす。 その直後に目先の問題に気を取られて重要なことを忘れていたことに気づいた。 苦痛と屈辱と疲れきっていた表情が驚愕によってわずかに活力を取り戻す。 「ああ、あいつらならとっくに潰したよ。もういらないし」 「ど、どほぢでぇ!?あのごだちは!ありぢゅぢゃないでぢょぉ!?」 「ありすが親ってだけで同罪なんだよ」 そう呟くとポケットから子まりさ達のものと思しき帽子を取り出し、無造作に放り投げる。 破れ、ほころび、汚れ、解れた小さな山高帽はツヤのない安っぽい黒い布切れに成り果てていたが、間違いなく子ども達のものだった。 まりさ種の子どもなら生かしてもらえるかも知れない、そんな儚い期待は抱くと同時に打ち砕かれた。 「・・・・・・お、おに゛ぃざん・・・」 「何だ?」 「・・・おぢびぢゃ、だげは・・・ゆっぐぢざせであげで、ねぇ・・・!」 彼の憎悪がもはや常軌を逸していることを理解したありすは泣きながら笑う。 全てに絶望しきった果ての諦めの境地だった。 それでも無駄だろうと半ば諦めながらも最後の1匹になった子どものために命乞いをした。 「言われなくてもそのつもりさ」 「ゆっ・・・ゆっぐぢ、ありが・・・」 その一言で十分だとありすは思った。 その一言で彼が本当は優しい人なのだと信じることが出来た。 その一言で自分の子どもの無事を確信できた。 散々酷い目に遭わされ、裏切られたにもかかわらず。 「ただし・・・最低のクソレイパーとして、な」 「ゆぅ・・・ゆゆっ!?」 「お前の母親みたいなクソレイパーにしてやる、って言ったんだよ」 男性はまくし立てるように喋り続けた。 まりさを殺したありすやその子どもだけじゃもはや満たされない、と。 ただありす種を片っ端から潰すだけじゃ気がすまない、と。 ありすの子孫を命ある限り苦しめ、欺き、偽りの希望にすがりつかせて最後には絶望させてやる、と。 産まれたその瞬間にそれを後悔するするくらいの絶望をカスタードに刻み付けてやる、と。 「や、やめでぇ・・・おねがいよぉ・・・ありずのおぢびぢゃんを、でいばーにぢないでぇ!?」 「言っただろ? お前らを苦しめるのが俺の目的なんだよ。 死んだくらいでゆっくりできると思うなよ」 「お、おねがい、ぢまずぅ・・・おちびぢゃ、んをとかいはのゆっぐぢぃ・・・ゆぶぅ?!」 必死に懇願しながらありすは再び最後の1匹になってしまった我が子の元へと這いずっていく。 なんとか彼女を守ろうと、混乱と恐怖のあまりに言葉も発せず怯える彼女を慰めようと。 しかし、またしても男性に蹴り飛ばされ、ささやかな望みが叶うことは無かった。 「ゆ゛っ・・・お゛にぃ、ざぁん。ひ゛とづだけ、ゆっぐぢ・・・おぢえでねぇ」 「何だ?」 「あ゛ぢずのまま゛は・・・ほんどうに、れい・・・ゆびぃ!?」 「クソレイパーのガキでもちょっとはマシだと思ったんだがな・・・所詮クズだな」 2度蹴り飛ばされ、かなりの量のカスタードを漏らしたありすにもはや動く力も残されていない。 そんな彼女が見出した最後の希望が男性の軽蔑に満ちた眼差しによってかき消された。 「ありすのままはほんとうにれいぱーだったの?」 結局、ありすがその言葉を言い終える前に男性は次女赤ありすを捕まえて立ち去ってしまった。 「ゆっぐ・・・ゆ゛びぃ・・・」 男性の徐々に小さくなって行く背中を見つめながら、ありすは呻いた。 もはや痛みすらも感じない体で、何とか男性に追いつこうと底部に力を込めた。 けれど、一歩も動くことが出来なかった。 「おぢびぢゃ、ごべんでぇ・・・」 ありすは謝った。 自分のせいで、もっとも忌むべき存在にされてしまう我が子に。 自分の無力で守れなかった小さな命に。 自分の子どもだったばかりに理不尽な憎しみに巻き込まれた子ども達に。 「まりぢゃぁ・・・ごべんねぇ・・・」 ありすは謝った。 自分のつがいになったせいで不幸に巻き込まれたまりさに。 もっとも、ありすに彼女の末路を知る術などないのだが。 「みゃみ゛ゃ、ごべんなさぃ・・・」 ありすは謝った。 男性に言われるがままに嫌悪してしまった母に。 果たして彼女がレイパーだったのか、真偽は定かではないが。 それでも謝らずにはいられなかった。 「お゛にぃさぁ・・・ごべ、ん・・・」 ありすは謝った。 理由は分からないけれど、飼い主の男性に。 最後の最後に酷い裏切りを受け、本来憎むべきはずの彼に。 その言葉を最後にありすは二度と動かなくなった。 家に帰った男は次女赤まりさの皮の厚みを戻す作業を行いながら、一人考え込んでいた。 あのありすの表情を、絶望を見たことで多少は大事なものを奪われた憎しみから解放された。 もう、この赤ありすを叩き潰して、唯一生き残っている親まりさも処分して、新しいゆっくりでも飼おうかと。 「おい、れいぱー」 「ゆえーん、ありしゅれいぴゃーぢゃ・・・」 「うるさい」 皮の厚みを取り戻したことで何とか喋れるようになった彼女にでこピンを食らわした。 痛みからいっそう激しく泣き喚き始めるが、彼は気にも留めずに思案を続ける。 しかし、今の自分はきっと普通にゆっくりを飼っても満たされることはないだろう、と。 ありすの子ども達を嬲ったときの、曰く形容しがたい暗い快感。 ありすを絶望させていくときに感じた得体の知れない幸福感。 それらが、彼を捕えて放さなかった。 「そうだな・・・せっかくだからありすに言った事を本当にやってみようか?」 「ちょうどレイパーと可哀想な被害者も居る事だしな」 ありすやその子どもだけじゃ満たされない。 ただ片っ端から潰すだけじゃつまらない。 ありすの子孫が苦しみ、欺かれ、偽りの希望にすがりついて最後には絶望する様をもっと見たい。 産まれたその瞬間にそれを後悔するするくらいの絶望をカスタードに刻み付けてみたい。 治療を終えた男性はいつか哀れな被害者になる黒帽子を被った饅頭の元に食事を持っていった。 →ありす虐待エンドレス1へ ‐‐‐あとがき‐‐‐ ありす虐待といえば今や引退してしまったあのお方 彼の作品は本当に素晴らしかった 落として落として更に落として、もはやそこより下はないと思えるところで更に落とす 最後には肯定の言葉をもって突き落としたりと、一片の尊厳すらも残さない驚愕の虐待でしたね 氏の影響がこの作品の随所にも見られます(悲しいほど劣化してるけどな!) というか、ビデオネタのことを思い出したのがすでに70kbほど書き終えてからと言う・・・ ああ言うガチ虐待を書ける人が妬ま羨ましい byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
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ゆっくり命令していってね!(後) 66KB 虐待-凄惨 観察 理不尽 実験・改造 共食い ツガイ 赤子・子供 現代 チート 『ゆっくり命令していってね!』 ※ただひたすら、ゆっくりにチートっぽいアイテムで実験をする話です 山の中腹にある見晴らしのいい場所に、使われなくなって久しいログハウスがある。その近くにゆっくりの家族がいた。 数は二つだ。まりさとれいむの家族が一つ。まりさとありすの家族が一つ。 二匹のまりさは実の姉妹である。ありすの番のまりさの方が、ほんの少しだけ年上だ。 この二組の家族は巣穴がお隣同士だったのもあって、とても仲良く付き合っている。 今日もこうして、子どもたちを連れて一緒にピクニックに来たくらいだ。 「ゆっ♪ゆっゆゆゆっゆっゆっ♪ゆっ♪ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆっゆっ~♪」 「ゆゆゆゆゆ~♪」 子ゆっくりと赤ゆっくりは元気いっぱいだ。子ゆっくりはれいむとまりさが四匹ずつ。赤ゆっくりはまりさとありすが二匹ずついる。 「ゆぁぁ……おちびちゃんたち、おうたがじょうずですごくゆっくりしてるよぉ……かわいいよぉ……」 「おちびちゃん…ほんとうにゆっくりしてておかあさんうれしいよお……。おちびちゃんはまりさのたからものだよぉ…」 さっきから声を揃えてお歌を歌っている子ゆっくりたちを見て、親のまりさとれいむは幸せそうにすりすりしている。 「ゆっふっふ。まりしゃはここをゆっくちぷれいしゅにしゅるんだじぇ。まりしゃがいちばんさいしょにみつけたんだじぇ」 「おねーしゃんしゅごーい!まりしゃもいっしょにいしゃしぇちぇにぇ!」 「ありしゅはときゃいはにゃたからもにょをみちゅけるよ。おかーしゃんにぷれじぇんとしてあげりゅの!」 「ありしゅもしゃがしゅ!おとーしゃんをゆっくちしゃしぇてあげりゅからにぇ!」 一方赤まりさたちは、ゆっくりプレイスを見つけようと、あちこちを探索している。 その近くで、赤ありすが両親を喜ばせようとして宝物を探していた。。 「ゆゆん♪ありすのおちびちゃんたち、まりさににてとかいはよ。おかあさんもうれしいわ」 「ありすのおちびちゃんもありすににてかわいいよ。まりさはこんなおちびちゃんたちにかこまれてとってもゆっくりできるよ」 ありすとまりさはは幸せそうに寄り添う。 「おかーしゃん!ありしゅ、きれいないししゃんみちゅけた!おかーしゃんにあげりゅね」 「ありしゅもきれいにゃはなしゃんみちゅけたよ!おとーしゃん、これあげりゅ!」 「うふふ、おちびちゃん。ありがとう。とってもとかいはないしさんね。おれいにぺろぺろしてあげる」 「ゆきゃきゃ♪おかーしゃんくちゅぐっちゃい。もっちょやっちぇにぇ」 「じゅりゅい。ありしゅにもおかーしゃんしちぇ~」 「ゆぅぅ…おちびちゃん、こんなにりっぱなゆっくりになってくれておとうさんはうれしいよお!」 「あちゃりまえだよ!まりしゃはおとーしゃんのゆっくちだよ。とってもゆっくちしたゆっくちになりゅんだからにぇ」 「はやくおおきくなっちぇ、おとーしゃんとおかーしゃんをゆっくちしゃしぇてあげるんだじぇ!」 二組の家族は、自分たちの宝物がすくすくと育ち、ゆっくりとしているのを幸福に満ちた目で見守っていた。 今日は既に狩りを終え、みんなで山の恵みを存分に味わった。 柔らかい木の実や香りのいい葉っぱ。みずみずしい芋虫さんに歯ごたえのあるコガネムシさん。 子どもたちがお腹いっぱいになるまで食べられ、自分たちも満腹になるまで食べることができた。 子ゆっくりと赤ゆっくりはお歌や探検に飽きたのか、いつの間にか両親の所に寄り添っていた。 「おかーしゃん、いっしょにぽかぽかしようにぇ」 「しゅーりしゅーりするよ、ゆゆ~ん。おかーしゃんのほっぺ、とってもゆっくちできるのじぇ」 「おとーさんといっしょにいるとれいむ、とってもゆっくりするよ」 「まりさもおとーさんとゆっくりするね。すーりすーり」 「ぺーろぺーろ。おかーしゃんのほっぺ、とってもおいしいのじぇ」 「ありしゅも。ありしゅもおかーしゃんのほっぺぺーろぺーろしゅりゅ!」 子どもたちに一番大事なのは、やっぱり両親だ。 あまりにも厳しすぎる自然の中で、こうして両親と子どもがどちらも欠けることなく暮らしているのは奇跡に近い。 両親は、自分たちの幸福が奇跡であることが分かっていた。 「これもれいむたちがゆっくりしているからだね。ゆっくりしたゆっくりだから、こうやってみんなでゆっくりできてるんだよ」 しょせんはゆっくり。その奇跡が自然の気まぐれであり、自分たちは常に注意を怠らなければならないとは思っていなかった。 むしろ、自分たちがゆっくりしているからこそ、こうやってしあわせーな時間を噛みしめていられるのだと勘違いしていた。 だからだろう。二組のゆっくりの家族は、山道を自動車が上ってきて近くで停車したのを見ても、逃げることはなかった。 自分たちはゆっくりだ。ゆっくりはゆっくりしていて当たり前なのだ。そう思っていた。 幸福を維持しようと努めないものたちが、ずっと幸福でいることなど不可能だろう。 事実、家族のゆっくりとした団らんは、これが最後となり永遠に回復することはなかった。 * * * 「主任、探す手間が省けましたね。ここにゆっくりたちがいますよ。しかも家族連れで二組も。運が良かったですね」 「まったくだねえ。せっかくコンビニで撒き餌を買ったのに。これじゃ損したよ」 A主任と助手は車から降りると、日当たりのいい草むらで並んでゆっくりしているゆっくりに近づいた。 普通、野生動物なら人間が近づいただけで即座に逃げるはずだ。 なのにゆっくりたちは、子連れでありながらAが近づいても身動き一つしない。警戒心がちっともないらしい。 ゆっくり特有の間抜けそうな顔で、Aと助手を交互に見比べているだけだ。 「ゆっ!おじさんはだれ?おじさんはゆっくりできるひとなの?」 真っ先に口を開いたのありすだった。 「あ~。まあそんなとこ」 「ゆっくりできるひとならいいわ。ここはありすたちのゆっくりぷれいすよ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 反射らしく、ありすの「ゆっくりしていってね」に合わせて他の親と子どもたちも一斉に「ゆっくりしていってね」と言う。 「ゆーっ。おにいしゃん、おててにもっちぇるのはなに?もしかしちぇおいしいもにょ?」 「おいしいものまりさにちょうだいね。おれいにゆっくりさせてあげるよ」 「あまあまだったられいむほしいよ。いっぱいたべさせてね」 「あまあまほしいんだじぇ~」 早速助手の持つビニール袋の中身に関心が向いたのか、子どもたちが騒ぎ出す。 普通なら、無防備に人間に近寄る子どもたちを親がたしなめるはずだ。 「にんげんさん。おちびちゃんたちはおいしいものをほしがっているよ。ひとりじめはよくないよ。みんなでたべようね。いっぱいちょうだい!」 「ひとりじめなんていなかもののすることよ。ありすたちにもおすそわけしてほしいわ」 「れいむはおなかいっぱいだけどあまあまならまだいけるよ!あまあまあったらちょうだいね!」 とまあ、まったく警戒する様子がない。善良なのではなくただ単に阿呆だ。 「君たち、あまあまが食べたいんだね」 「たべたい!れいむあまあまがたべたいよ!」 「あまあまほしいよ!いっぱいむーしゃむーしゃしたいよ!」 「あまあまほしい!ありすもたべたいわ!」 「あみゃあみゃ~!」 「ほしいんだじぇ~!」 「あまあまだったらほら、そこにあるじゃないか」 「ゆ?」 「ゆゆ?」 「どこ?あまあまなんてないよ?」 Aの指摘に、ゆっくりたちは周囲をきょろきょろと見回す。 しかしそこにあるのは草ばかり。いるのは親と子どもと親戚だけだ。 食欲をそそられる、甘くておいしそうなあまあまなどどこにもない。 この人間さんは何を言ってるの?馬鹿なの? ゆっくりたちは、次第にそう思い始めた。 「ほら、そこにあるじゃないか。君たちの親、君たちの子ども。それがおいしいあまあまだよ」 「ゆゆゆっ?おじさん、なにをばかなこといっているの?はやくれいむたちにあまあ………」 「動くな」 「ゆぎっ!?」 「ゆゆうっ!?」 「ゆひぃ!?」 「ゆぴっ!?」 馬鹿な人間さんに抗議しようとしたれいむの体が、突然動かなくなった。 周りにいたゆっくりたちも、いっせいに体を硬直させて動きを止める。 A主任の手に握られていたのは、彼の発明品であるメガホン。 ドスまりさの体と口から出る超音波を再現&強化し、ゆっくりを洗脳するとんでもないアイテムだ。 ゆっくりたちは「動くな」という命令に従い、思い思いの格好で停止している。だるまさんがころんだをやっているかのようだ。 目だけが、「ゆゆ?なんでありしゅのからだがうごかないにょ?」と訴えている。 どうやら野生のゆっくりにも、メガホンの効果はあるようだ。 「さて、このれいむの番は誰かな。返事しなさい」 「まりさだよ!まりさ!」 「では子どもたちは誰かな。れいむの子どもたちはれいむの近くに、そうでない子どもたちは自分の親の近くに行きなさい」 「ゆっくりうごくよ!」 「ゆっくちおかーしゃんのしょばにいくにぇ!」 「黙って動くように」 Aの命令通りに、二組の家族は分かりやすく二つにはっきりと分かれた。 子ゆっくりと赤ゆっくりは一匹残らず、勝手に動く自分の体に驚いている。 だがいまだに、原因が人間さんにあるとは気付いていないようだ。 Aはきょとんとしたゆっくりたちに構わず、助手に指示する。 「では、実験を始めようか。コンロでお湯沸かしといて。それとあのトタン板持ってきてよ」 * * * 子れいむはわけが分からなかった。いきなり人間さんがやってきて、れいむたちにあまあまをくれるような気がした。 (やっぱりにんげんさんはゆっくりしているゆっくりがうらやましかったんだね。れいむたちがかわいかったんだね。かわいくってごめんね!) などと考えていた。 あまあまがいっぱいもらえるはずだったのに。 気付くと、体が勝手に動いておかーさんとおとーさんのいる方に近づいていた。 動くつもりはなかったのに、あんよさんが勝手にそうしていた。 (れいむのあんよさんどうなっちゃったの?なんでかってにうごくの?) 人間さんはれいむたちの家族と、ありすたちの家族とを二つに分けると、向こうに行って大きな乗物からいろいろ取り出し始めた。 地面に置いた何かからは、いきなり恐い火さんが燃え上がった。お兄さんはその上にお水が沢山入ったものを置いた。 何をしているんだろう。 れいむは、人間さんのしていることはあんまりゆっくりできないことだな、としか思っていなかった。 おじさんがこっちにやってきた。手に変なものを持っている。 右手には変な音が出るものを。左手にはお菓子と固そうな板だ。 表面はざらざらしていて、痛そうなとげとげがいっぱい突き出していて、全然ゆっくりできないものだ。 「まずはまりさからはじめようか。そこの子まりさ、こっちにでてきなさい。喋っていいよ」 「ゆっ!まりさになにかようなの?」 れいむの隣にいたまりさがぴょんぴょんと跳ねておじさんの方に近づいた。 「まずはこれをあげよう。食べていいよ」 「ゆゆっ!あまあまさんだ!ゆっくりたべるね!むーしゃむーしゃ。ちょっとにがいけどあまくてしあわせー!」 おじさんは、手に持っていた固くて茶色のあまあまを割ってまりさにあげた。まりさは一口で食べるとすごく嬉しそうな声を上げる。 (いいなあ、まりさ。れいむもあまあまさんほしいよ。おじさん、れいむにはもっとたくさんちょうだいね) 「おいしかったよ!もっとまりさにちょうだいね。いっぱいでいいよ!」 舌なめずりしながらおじさんに催促するまりさを、おじさんは全然ゆっくりしていない目で見ていた。 どうしてだろう。れいむたちが可愛いからおじさんはあまあまをくれるんでしょ?なんでゆっくりしていないの? おじさんが、口の所に変な音が出るものを当てた。 「まりさ。あのログハウスの丸太と地面の間に狭い隙間が見えるだろう。分かるかな」 「わかるよ。あそこだね。とってもせまいね!」 「あそこにまりさは入れるかな」 「むりだよ!あかちゃんでもはいれないよ。はいったらまりさつぶれちゃうよ。ぷんぷん!」 「あそこに入りなさい。潰れてもいいから入るんだよ」 「ゆっ!?ゆゆゆゆぅ!?」 「さあ、行きなさい」 おじさんの横を、まりさが信じられない顔をしながら這っていく。 「むり!むりだよ!まりさあんなところにはいったらつぶれちゃうから!つぶれちゃうよ!」 (そうだよ。あかちゃんだってあんなせまいところにはいれないんだから。まりさがはいったらつぶれちゃうよ。なのに……なのに…………) 「なんであんよさんとまってくれないのおおおおおおおお!?まりさむりだよおおおおおお!?」 れいむの心で思っていたことと、まりさの叫びとはまったく同じだった。 れいむの見ている目の前で、まりさは後ずさりする形でログハウスへと近づいていく。 ログハウスの玄関付近に、丸太と地面の隙間がある。 狭いところだ。赤ゆっくりならかろうじて入れるが、同時に潰れてしまうに違いない。 おじさんは、そこにまりさが入るように命じた。 絶対に無理な話だ。れいむは、当然まりさが断るものと思っていた。確かにまりさは断った。 それなのに、まりさはおじさんが何もしていないのに、ずりずりと這って隙間に近づいていく。 「あんよさん!!むりだから!まりさそんなのできないよ!とまって!とまってあんよさん!とまってえええええええ!!」 「静かなのも変だねえ。みんな、動いちゃ駄目だけど喋っていいよ」 おじさんがそう言うと、れいむたちは急に喋れるようになった。さっぱりわけが分からない。 分かるのは、まりさが絶対に無理なことに挑もうとしていることだけだ。 「まりさ!まりさああああ!やめてよ!そんなことしたらまりさしんじゃうよおおお!」 「おねーしゃんやめちぇええええ!しょんなことしちゃだめええええ!!」 「おちびちゃん!なにしてるの!おじさんのいうこときいちゃだめだからね!つぶれちゃうよ!!」 「やめてよおおお!まりさにはそんなことむりだってばああああ!」 みんなは口々にまりさを止めようとする。 実の家族ではないありすたちも、いつも仲良く遊んでくれたまりさを心配していた。 「わかってるよおお!わかってるのに…わかってるのに…あんよさんがかってにうごくのおおおお!まりさおかしくなっちゃったよおおおおお!!」 まりさ本人が一番困っている。今まで見たことがないほどまりさは焦っていた。 おじさんはまりさを、じっと見ているだけ。 まりさは必死で足を動かさないよう抵抗していたようだけど、ついに隙間にたどり着いた。 「むり!むりむりむりむりいいいいい!どうじで!どうじであんよさん……いだいいいいいいい!!」 まりさは、後ろ向きに隙間に体をねじ込んでいく。狭い隙間に体を無理矢理入れていくから、体が押し潰されて痛いのだろう。 それなのに、まりさの体は勝手に動いているみたいだ。 「いだいっ!いだいいだいいだいいいいい!やめでええ!ごんなにぜまいどごろ、はいれるわげないいいいいい!あいいい゙い゙い゙!!」 「おちびちゃんんんんんんんん!!!」 「やめてえええええええええええ!!」 「まりさあああああああああああ!!」 次第に、まりさの顔が膨れ上がり始めた。 「ゆぶううううううう!!ぐるじい!あんござんが!あんござんがばりざのがおに!がおにいいいいいい!うぐううううう!!」 狭い場所に入っていくまりさの体の中では、柔らかな餡子が下半身から顔の方へといっせいに移動を始めたらしい。 そうすることしか、隙間に体を入れる方法はないのだ。 結果的に、まりさの餡子はかき回され、押し潰され、ひどい激痛と共に顔面へと殺到する。 「ぢゅぶれるううううううう!ばりざづぶれぢゃううううううう!ぐるじいよおおおおおお!!!!」 「おちびちゃああああんん!!もうやべでええええええ!!」 「ばりざあああああああ!!やべでよおおおおおお!!」 頬が張り、顎が膨らみ、両目を見開いてまりさはどんどん奇怪なゆっくりに変わっていく。 れいむは気がつくと、涙を流しながら叫んでいた。 あんな苦しそうなゆっくりの顔なんて、初めて見た。 そしてきっと、絶対に忘れられないだろう。 「ゆぶっ!ゆぶうっ!ゆ゙……ゆ゙ぶゔゔゔゔゔゔゔゔゔゔ!!!」 「ゆああああああ!!」 「まりざああああああ!!」 「おねえしゃああああああんん!!」 思いの外あっけなく、まりさの限界は訪れた。 体内の圧力に、まりさの目と口が耐えきれなかったのだ。 まりさの両目と口から、勢いよく目玉と歯を巻き添えにして、餡子が噴水となって噴き上げた。 それは小さなゆっくりの体から飛び出したとは思えない高度と勢いで、弧を描いて立ち尽くすれいむたちに吐きかけられた。 目玉がころころと草の間を転がり、歯はあちこちに散らばった。 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 れいむは自分でもぞっとするような声を上げて叫んだ。 餡子の噴水が終わると、そこには皮だけになったまりさが顔を隙間から覗かせて息絶えていた。 両目と口の所にぽっかりと穴が空いたそれは、とても忌まわしい仮面になっていた。 「れいぶのがわいいおぢびぢゃんがああああああ!!」 「まりざがああああああああああああ!!」 両親の声が、どこか遠いところから聞こえてくる気がした。 れいむは気を失いたかった。 実の姉妹がむごたらしく死んだショックから、意識を消して逃避したかった。 それなのに、意識は今もはっきりし、目は死んだまりさの顔から離れてくれない。 呆然としたれいむの目の前に、おじさんが立っていた。 ようやく分かった。このおじさんは、ゆっくりできない人「かも」しれないと。 * * * A主任は、手に持っていたトタン板を子れいむの前の地面に突き刺した。 「ゆっくり…おじさん……ゆっくりしていってね……。かわいいれいむにいたいことしないでね」 れいむは怯えた目をAに向ける。 Aが直接手でまりさを隙間に押し込んだならばもっと騒いでいるだろうが、ゆっくりの目にはまりさが自分から隙間に入ったとしか見えない。 因果関係くらいは感じているだろう。れいむはさっきまでの生意気そうな目付きをしていない。 「俺はまりさに何もしてないよ。まりさが自分から隙間に入っていったんじゃないか。どうしたんだろうね、まりさは」 「うん……。そうだよね。まりさがじぶんから……あんなことしたんだよね」 「親御さんはどう思う。まりさはどうしたあんなことしたんだろうね。俺は何もしてないよ。ただ、できるかどうか言っただけさ」 「ゆゆう……。まりさ…まりさ…。そうだよね…まりさがじぶんではいっていったんだよ」 「おちびちゃん……なんで…なんで…ゆあああぁぁぁ…………」 親のれいむとまりさも、子まりさの行動は全然理解できなかったらしい。 Aの手が触れていない以上、Aのせいにすることもできない。 「さっき俺が言ったこと覚えてる?みんなあまあまが欲しいって言ってたけど、あまあまはちゃんとあるんだよ。君たち自身があまあまだからね」 「ゆっ。おじさん、へんなこというのはやめてよね。れいむあまあまじゃないよ。おちびちゃんだってそうだよ」 「まりさもあまあまなんかじゃないよ。あまあまはやくちょうだいね」 「だからさあ、君たちそんなにあまあまが食べたかったら、共食いすればいいんだよ。君たちの中身は餡子なんだからさあ」 「ゆゆゆう!もうおこったよ!はなしのわからないおじさんはかえってよ!れいむたちのゆっくりぷれいすからでてって!!」 「では命令だ。この子れいむを除くれいむたち、親のれいむをゆっくり食べなさい。そして親のまりさは、子どものまりさを全部ゆっくり食べなさい」 「ゆゆぅ!?」 「ゆひっ!?」 信じられないことを聞いた、とれいむの家族はいっせいに固まった。 Aの言ったことは、最大のタブーとされる共食いをするようにとのすすめだった。 「な…なにいってるのおおおおお!まりさのかわいいおちびちゃんをまりさがたべられるわけないでしょおおおお!!」 「馬鹿なの?死ぬの?と言いたいわけかな」 「あたりまえでしょおおおおお!おちびちゃんをたべるわけ…たべるわけ…わけ……おぢびぢゃんにげでえええええええ!!」 真っ先に命令に従ったのは、親のまりさだった。 器用にも大口を開けたまま叫ぶという芸を披露しつつ、まりさは動けないでいる一匹の子まりさに噛み付いた。 「いぢゃいいいいい!おとーさんいぎなりなにずるのおおおお!!!まりざだよお!おどーざんのだいじなまりざだよおおおお!!」 「にげでえええ!おぢびぢゃんおねがいだがらにげでええええ!おどーざんがっでにおぐぢが!!だべだぐないいいいい!!」 親ゆっくりの口の大きさならば、子ゆっくりを丸呑みにできる。 しかし「ゆっくり食べるように」と命令されたまりさに、ひと思いに子どもを楽にする選択肢はない。 頬をかじる。 「いぎゃあああ!まりざのもぢもぢのほっぺがああああ!!」 髪の毛を引き抜く。 「びゃあああああ!まりじゃのがみのげ!おどーぢゃんひどいよおおおお!!」 両目に口を当て、目玉を吸引する。 「いぢゃいいいいい!おめめが!ぎれいなおめめええええ!おどーじゃんなんでぇ!なんでごんなひどいごどずるのおおお!!」 「ゆがああああああ!!だべだぐないよお!!おぢびぢゃんだべだぐないいいい!どうじでおぐちざん!おぐぢざあああああん!!」 帽子を飲み込み、後頭部を食いちぎり、傷口から子まりさの柔らかな餡子をすすり上げる。 「うばあああああ!ごべんねえ!ごべんねおぢびぢゃああああんん!おぐぢががっでにごんなひどいごどずるのおおおおお!」 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙……」 子まりさは声も上げず、不規則な痙攣を始めた。 それでも両目のなくなったぼろぼろの顔は、お父さんにやめるよう懇願している。 願いは届かず、ついに親まりさは子まりさの体を引きちぎった。 「ゆ゙っ…………」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!だべぢゃっだあああああ!!まりざ、おどおざんなのにおぢびぢゃんを!おぢびぢゃんをだべぢゃっだあああああああ!!!」 口から子ゆっくりの餡子をぼたぼたこぼしながら、まりさは子どもを食べた事実に泣き叫ぶ。 「おいしいかい。さぞかし甘いだろう。念願のあまあまだよ」 「あばぐないいいいいいい!!おいじぐなんがない!おぢびぢゃんがおいじいはずないいいいい!!!」 「おいしいって言いなさい。むーしゃむーしゃ、しあわせー、と言いなさい」 「おいじいいいいい!むーじゃむーじゃ!じじじあわぜええええええ!!」 「よく言えたね。ほら、まだ二匹残っている。それも食べなさい」 「おぢびぢゃあああああんん!にげでよおおおおお!おどーざんがらにげでええええ!」 「おどーざんやべでええええええ!まりざあんよがうごがないのおおおおおお!」 「いやじゃあああああああ!おどーざんにだべられでじぬのはやじゃああああああ!」 番のれいむと子れいむたちの方も、とんでもないことになっていた。 「ゆっ!いだっ!いだいっ!いだいよおぢび!!おぢびぢゃんやべで!いだい!おがーざんいだい!!」 「おかーしゃあああん!おぐぢががっでにうごくのおおおおおお!!」 「むーしゃ、むーしゃ、うげええええ!おがーしゃんだべぢゃっだああああ!!」 「やべでえええ!おぐぢざんどまっでよおおおおおお!おがーざんがじんじゃうううううう!!」 動けないでいる親れいむを、三方から子れいむが取り囲み、その体に歯を立てている。 ゆっくりと、子れいむの歯が親れいむの皮を食い破り、口が親の体を食べて飲み込んでいく。 れいむは体を食べられていくおぞましい感触と、それが自分の子どもであるという事実に涙を流して身をよじる。 「おがーしゃあああんん!ごめんねええええ!れいむごんなごどじだぐないのにいいいい!」 「まずいよおおおお!おがーしゃんなんてだべでもおいじぐない!ぎもじわるいいいいいい!」 「おげええええ!!れいむおかーざんをだべでる!だべでるよおおおお!うげえええええ!」 「どうじでえ!?どうじでおぢびぢゃん…いだいいいい!あんごだべないで!あんご!れいむのあんごが!ああああああいだいよおおおお!!」 一匹の子れいむが、ついに餡子に頭を突っ込んだ。腐肉にたかる蛆虫のように、体を傷口にねじ込んでいく。 「どうだい子どもたち。甘いだろう。うまいだろう。君たちが食べたかったあまあまだよ」 「ごんなのぢがううううう!おがーざんはあまあまじゃないよおおおお!だべだぐないいい!」 「やべでっ!やべざぜでぐだざいおじざん!ごのままだどれいぶが、れいぶがじんじゃいまず!れいぶがじんだらおぢびぢゃんががなじみまず!」 「おがーざんだべだくないいいいいい!おがーざんだべでもじあわぜじゃないよおおおおおお!」 「好き嫌い言わずに食べなさい。食べきれなくなったら吐いてでも食べなさい」 Aに助けを求めるれいむの顔は、苦痛で歪んでいる。 自分の体を生きたまま子どもたちに食べられるという体験は、さぞかし恐ろしいものだろう。 「あがぎい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!ぎがあああああああ!あんごだべええええ!いだい!あんごが!おぢびぢゃん!おぢびぢゃああああああ!!!」 三匹がついに完全に親の体内に潜り込んだ。親れいむは発狂したかのように白目になって絶叫する。 尻を振ってバランスを取りながら子れいむたちは親れいむの体を貪っていたが、次第に全身を傷口に突っ込んでさらに食べようとする。 「だずげで!だずげでええええ!れいぶだべられぢゃう!れいぶのがらだがおぢびぢゃんにだべられぢゃうよおおお!いやだあ!ゆっぐり、ゆっぐりじだいいいい!!」 生きたまま食べられ苦しむれいむの体が、あちこちぼこぼこと盛り上がっては移動する。 あの中で、子れいむが親の餡子を食べているのだろう。 凄まじい光景が繰り広げられている。 ほんの少し前まであったはずのゆっくりプレイスは、今や地獄になっていた。 顎が外れるくらい大きく口を開けていたれいむが、急に異様な痙攣を始めた。 「ゆぎゃ!ゆぎゃぎゃぎゃぎゃ!ゆぎゅり!ゆっぎゅり!ゆぎゅぎゅぎゅぎゅ!ぎゅぎゅ……ぎゅ!!」 中枢餡を食べられてしまったようだ。 れいむは口を開けたまま、痛みと苦しみと絶望に顔を歪ませて死んだ。 子ゆっくりは、れいむにとって宝物だった。何よりも大切なおちびちゃんたちだった。 そのおちびちゃんが、れいむの体を食い荒らし、死に至らせたのだ。 どれほどの絶望を味わっただろうか。どれほどの苦痛を味わったのだろうか。 「よし。もう食べなくていいよ。出てきなさい」 ぽっかりと空いたれいむの口から、三匹の膨れ上がった子れいむが姿を現した。 どのれいむも、親の体をたっぷり食べたせいでまん丸に膨らんでいる。 表情はいずれも、ゆっくりとはかけ離れた陰惨なものだ。 自分たちが、親れいむを殺したのだ。 自分たちのせいで、親れいむは生きたまま食べられて死んだのだ。 ゆっくりたちの頭でも、それは重たい罪悪感となって三匹を打ちのめしている。 「おかーさん……ごめんね…ごめんね…ほんとにごめんね……」 「れいむたちのせいで、おかーさんが……しんじゃったよ……」 「れいむが、おかーさんをたべちゃった……。おかーさん、くるしがってたのに……いたがってたのに……」 一方まりさたちの方も、親子の役割が反転しただけで同じようになっていた。 「ごべんねえええ!おぢびちゃんだちごめんねえええ!わるいおどーざんでごめんねええええ!おちびぢゃんをだべるおどーざんでええええええ!!」 「いぢゃいいぢゃいいぢゃいいい!どぼじでええ?どぼぢでおどーざんごんなひどいごどずるのお!?」 「まりさのおかおおおおおお!!おかーさんにもうほめてもらえないよおおおおお」 何度も謝りながら、親まりさは子まりさたちをゆっくりとかじっている。 既に二匹は禿饅頭になり、目を失い、頬から餡子を垂れ流している。 ひと思いに殺して楽にしてあげることもできず、親まりさは子どもたちを食べては謝り、謝っては食べていた。 「おげえええええ!!あんごが!おぢびぢゃんのあんごがぐちにいいいい!だべだぐないよお!おぢびちゃんだぢとゆっぐりじだいよおおお!」 「おどーざんまりざとゆっぐりじでよお!いっしょにゆっくりじようよお!すーりすーりじでよおお!ぺーろぺーろもじでよおお!だべないでよおおお!!」 「やべでよおお!なんでごんなひどいごどずるのお!?ゆっぐりじでよお!いじわるじないでよおおお!やざじいおどーざんにもどっでよおおおお!!」 どんな惨劇にも、終わりはある。 二匹の子まりさは、少しずつ体をかじられながらも次第に命が尽きようとしていた。 親まりさは泣きながら自分の口を封じようとするが、無意味だ。 こんなことはしたくなかった。子どもを食べるなんて、考えるだけでもおぞましいことはすぐやめたかった。 できることなら、子どもたちを助けたかった。 傷をぺーろぺーろしてあげたかった。泣いているからすーりすーりして慰めたかった。 しかし、親まりさに許されたのは、二匹を口にくわえ、ゆっくりと奥歯で押し潰すことだった。 「ちゅぶれるよおおおお!おどーざん!おどおおおざあああああんん!だずげでええええ!おどおおおお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!」 「ゆゆゆゆゆううううううう!!…ぢゅぶれる!もうまりざぢゅぶれるゔゔゔゔうううう!!」 「うわああああああ!!まりざが!ばりざが!ばでぃざが!ばでぃざが!だいじな!がわいい!おぢびぢゃんを!だべだんだああああああああ!!!!」 まりさは自分がしたことの罪の重さで、声が嗄れるほど泣き叫んだ。 両親を見て、まりさは親になることに憧れていた。 番のれいむとの間にできた、大事なおちびちゃんたち。 まりさのことを「おとーさん」と呼んで慕ってくれた、ゆっくりしたおちびちゃんたち。 親になれた誇りと幸福感は、まりさの餡子を温かくしていた。 守ろうと誓った。どんなことがあっても、たとえ自分が永遠にゆっくりすることになっても、おちびちゃんだけは守ろうと誓った。 それなのに実際はどうだ。 まりさは子どもを殺した。殺さないでと哀願する子どもを食べたのだ。 ゆっくりたちの最大のタブーである、子殺しと共食い。それを一緒に犯したのは親であるまりさ。 おちびちゃんたちの餡子の味が、舌から消えない。 その悲鳴が、耳から消えないのだ。 まりさはあまりの恐ろしさに、半狂乱になって慟哭する。 ゆん生すべてに絶望しきった顔でうつむく三匹の子れいむと、泣き叫ぶ親まりさ。 計四匹は、Aによって作り出された地獄の生き残りだった。 実験が終われば、解放される。 「ごくろうさま。後は好きにしていいよ」 Aのメガホンからの声は、そのまま四匹の死刑宣告だった。 「ゆげええええええええええ!!!」 「ゆげえええええええええ!」 「ゆげええええええ!」 「ゆげええええ!」 四匹はいっせいに、体内の餡子を口から猛烈な勢いで吐き出した。 親を食べた子れいむ。子を食べた親まりさ。 どちらも、自分の体の中に親や子の餡子が混じっていることが到底我慢できなかったらしい。 「「「「ゆげっ!ゆげっ!ゆげえええええ!ゆげがげごげえええええええ!!!」」」」 吐く。ひたすら吐く。食べた餡子だけでなく自分の餡子も一緒に吐く。 猛烈な吐き気に目を見開きつつ、子れいむと親まりさはそろって体の餡子を吐きつくして死んだ。 死ぬことによってしか、自分たちの罪を忘れる方法がなかったのだろう。 四匹の顔は、体の中身を吐く苦悶と、やっと死ねる安堵とが混ざった不気味な表情だった。 * * * れいむは、すべてを見届けた。 大事な家族が、一人残らず惨死する様子を残らず餡子に刻み付けた。 おねーさんのまりさは、向こうで狭い隙間に無理矢理体を押し込んで死んでしまった。 おとーさんに、まりさたちは食べられて死んだ。 おかーさんは、れいむたちに食べられて死んだ。 おとーさんとれいむの妹たちは、餡子を吐いて死んでしまった。 まだ体はぴくぴく動いているけど、もう死んでいるのくらいは分かる。 れいむは半時間足らずで、家族全員をむごたらしい仕方で失ったのだ。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆーん…ゆーん…ゆぅぅぅん」 涙がぽろぽろこぼれて、れいむの足元を濡らしていく。 いまだに信じられない。 ゆっくりしたおとーさんとおかーさんが、無惨な仕方で死んだことが。 妹とおねーさんが、もうこの世にいないことが。 自分が、ひとりぼっちになってしまったことが。 れいむはもう、耐えられなかった。 「おじさん」 「ん?なにかな」 れいむはおじさんに声をかけた。 おじさんはこっちを見るけれど、何だかれいむを見ているような気がしない。 「おねがいがあるの。れいむも、おとーさんとおかーさんのいるおそらにいかせて」 「俺に自殺の手伝いをしろと?」 「れいむひとりじゃこわくてできないから。もう、れいむいきていたくないよ。おじさん、れいむをおそらにいかせてね」 れいむは生きることを放棄した。 死にたかった。もう、おとーさんもおかーさんも、妹もおねーさんもいないこんな世界に一人で生きていたくなかった。 もしかしたら、ありすたちがれいむを受け入れてくれるかもしれない。 でも、れいむの餡子には家族の死に様が焼き付いている。この先生きていても、ゆっくりすることはできないだろう。 れいむは死を願った。 「いいだろう。死なせてあげよう」 「ありがとう、おじさん。なるべくいたくないようにしてね」 れいむは目をつぶった。 人間さんはゆっくりよりもずっと強いとありすから聞いている。その人間さんに頼めば、楽に殺してくれるだろう。 れいむはすべてを諦め、自分を一撃で潰してくれるであろう人間の足か手を待った。 お空にいる家族の元に、一刻も早く自分も行きたかったのだ。 「れいむ、目を開けなさい」 おじさんの声は、なぜか絶対に従わなくてはならないものに感じた。 れいむは目を開けた。 「この板が見えるだろう」 「すごくゆっくりできていないいたさんだね。ざらざらしているし、とげとげがいっぱいあるし、すーりすーりしたらとってもいたいよ」 「れいむ、これに後頭部を擦りつけて死になさい」 「ゆ……ゆゆゆ?」 れいむは目を丸くした。 おじさんが言ったのは、さっきおじさんが地面に突き立てた痛そうな板に、体を擦りつけろという命令だった。 痛そうな板とは、錆びたトタン板のことだ。 表面はサビでざらつき、ゆっくりの柔らかい饅頭皮などすりすりすればたちまちぼろぼろになってしまいそうなものだ。 「や…やだよ。こんなのにすりすりしたら、ものすごくいたいよ。しんじゃうよ」 「れいむは死にたいんじゃなかったかな」 「ゆっ、ゆっ、でも、れいむいたいのいやだよ。おじさんれいむをおそらにいかせてくれるっていったでしょ!」 「俺は楽に死なせてあげるなんて約束してないけどな」 「ゆっ…!ゆっ!ゆっ!ゆゆゆゆゆゆ…………!」 れいむの頭は真っ白になった。 足が勝手に動き、トタン板に近づく。 後頭部が、トタン板に触れた。髪の毛ごしでも、そこが尖っていて危険だということが分かる。 「さあ、ゆっくりこすりなさい。たとえすごく痛くても、絶対に死ねるから」 れいむの体が、おじさんの言葉に意志に反して忠実に従った。 全身を使って、後頭部をトタン板に擦りつける。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 あっという間に髪の毛が全部根本から削れ、地肌が剥き出しになった。 れいむは恐怖した。この先に待っている、ゆっくりできない拷問に等しい時間を予想して。 あまりの恐ろしさに、れいむの思考は停止した。苦痛のみを感じる饅頭にれいむは退化したのだ。 「ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!!!」 れいむは言葉を失った。口から出る言葉は「ゆっくりしていってね」の中にある音だけになった。 地肌が削れていく。れいむは口を開けて叫ぶ。 「ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐりいいいい!!!」 涙を流し、舌を口から飛び出させ、れいむは叫び続ける。 それしか苦痛から逃れる方法は思いつかなかったのだ。 だが、れいむの小さな抵抗は、圧倒的な苦痛の前に脆くも粉砕される。 「ゆっぐり!ゆっくり!ゆっくりして!ゆっくりして!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくり!!」 餡子が削られていく。 今まで一度も体験したことのない痛みが、れいむの後頭部から体全体をかき回している。 まだ、待ち望んでいる死が遠いことが分かる。 この痛みと苦しみが、当分の間続くのだと分かってしまい、れいむは滝のような涙を流した。 死んだらお空に行けるなんて嘘だ。死んで家族みんなとまたゆっくりできるはずがない。 だって、こんなに痛い。痛くて痛くてたまらない。 お空に行くなんてきれい事だ。死は、ものすごく恐い。 恐くて恐くてたまらないのに、もうほかになにもできない。れいむには死ぬしかできない。 「ゆっくりじで!ゆっぐりじで!ゆっぐりじで!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっぐり!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 餡子が削れる速度が遅くなった。 トタン板のざらざらした部分に、餡子がくっついて削れるスピードが落ちてしまったのだ。 もし人間がトタン板を移動させるか、餡子を拭き取ったらなら、比較的早くれいむは死ぬことができただろう。 人間の助けはなく、トタン板も動かない。 「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っっ!ゆ゙っっ!ゆ゙っっ!」 れいむの口からは「ゆ゙っ」という濁った音しか聞こえなくなった。 それ以外のすべては、痛みに集中されている。 ひたすられいむは死ぬことだけを願った。早く死んで、こんな痛みだらけのゆん生から逃げたかった。 それなのに、一向に意識は途切れてくれない。 餡子でなまったトタン板の表面は、実に緩慢にれいむの餡子を削っていく。 「……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!……ゆ゙っ!」 ただひたすら、れいむは何もかもが終わる瞬間を待っていた。 れいむの中枢餡が削れてしまうまで、あとどれくらいかかるのだろうか。 それまでれいむは、存分に絶望と苦痛と恐怖を味わい尽くすことだろう。 * * * 「ごの゙………あ゙ぐま゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 「ゆっぐりごろじはじねえええええええええええええ!!!」 ゆっくりと体を削っていくれいむを見ていたA主任に、残されたまりさとありすの家族から罵声が浴びせられた。 Aはそちらを向く。 実にゆっくりたちの心情に無関心に、Aはまりさとありすの家族を見る。 家族はメガホンからの命令である「動くな」に忠実に従い、さっきからそこを一歩も動いていない。 だが、まりさとありすの目は怒りと憎しみで燃え上がり、Aを殺さんばかりに殺気を振りまいている。 「よぐもまりざのいもうどのがぞぐをおおおおおお!よぐも!よぐも!よぐもごろじだなあああ!じねえ!おまえもざっざどじねえええ!」 「ごのゆっぐりごろじいいい!なんでごろじだ!あんなにゆっぐりじだがぞくをなんでごろじだんだ!ぜっだいゆるずものがああああ!」 「きょのゆっくちごろち!ゆっくちできないおじしゃんはおうちにきゃえるんだじぇ!」 「まりしゃぷくーしゅりゅよ!ぷくーっっ!!どう?きょわいでしょ!もっときょわがれ!」 「ありしゅもぷくーしゅりゅ!ぷくぅーっ!きょわい?ないちぇあやまっちゃらゆるしてあげりゅ!」 いくら頭の悪いゆっくりでも、Aが何かをしたせいで向こうの家族が惨死したことをようやく理解できたらしい。 家族揃って、Aに対してバッシングを行っている。 特に、親まりさと親ありすの怒りは半端ではない。 ずっとお隣同士で仲良くしていたれいむの家族を、目の前でめちゃくちゃにされたのだ。 思い出すだけで、餡子が凍り付くようなひどい死に方だった。 あんなのは、断じて許されるべきではない。 この人間は、ゆっくりたちのささやかな幸せとゆっくりを、土足で踏みにじったのだ。 そして、自分たちも同じようにされるかもしれないという恐怖。 二匹は唾を飛ばしてAを罵る。 対するAは、急に嬉しそうな顔をした。 「今日は運がいいな。こんなに元気なゆっくりたちに出会えるなんて俺もついてる。ちょうどよかった」 Aとしては、まりさとありすたちの反応はむしろ歓迎すべきものだった。 ゆっくりに行った実験で分かったことは、頭のいいゆっくりでない限り、自分たちの体に起こった異変が人間によるものだと理解できていないらしい。 「どうじでおぐぢざんどまっでぐれないのおおおおお!?」 「どうじであんよざんうごいでぐれないのおおおおお!?」 と叫ぶだけで、それが人間によって引き起こされたものだとは分からないのがほとんどだ。 あの帽子を奪われたまりさだけは、かろうじてそれが分かったようだ。 たいていのゆっくりは、自分をゆっくりできなくさせたAを恨むことなく死んでいった。 Aは今度は、人間を憎むゆっくりがどう行動するか、憎しみが中枢餡に刷り込まれた命令を上回るかどうか実験したかったのだ。 「ちょっとこのゆっくりをかまってくれない?」 「え?は、はい。分かりました。どのようにでしょうか」 「とにかく挑発して。徹底的に怒らせてほしい。一匹くらいなら殺してしまってもいいからさ」 急に妙なことを言いつけられた助手は、どうしていいのか分からず少しの間フリーズしていた。 「そんなに難しく考えなくていいから。いかにも虐待大好きな人間みたいに振る舞って」 何度か頭の中でテンプレなセリフを考え、助手は怒髪天を衝くゆっくりたちに近寄った。 「おい。そこの薄汚いクソ饅頭。お前だよお前。そこのでかいまりさ」 「ゆがあああああ!まりさはくそまんじゅうなんかじゃないいいい!しねえ!おまえなんかさっさとしんでしまええええ!」 「じゃあ殺してみろよ」 「ゆゆ?」 唾を飛ばして怒鳴る親まりさから少しだけ離れた場所で、助手は地面にあぐらをかいて座る。 「ほら。俺はここにいるからさ。逃げも隠れもしない。さっさとそこから動いて俺を殺してみろよ。できないのか?」 「いっだなああああああ!!そごにいろ!まっでろ!いまずぐに、まりざがおばえをごろじでやるがらなああああ!」 まりさは吠えた。 妹を殺された怒り。妹の家族を殺された悲しみ。人間に対する憎しみ。すべてを込めてまりさは地面を蹴った。 全身を使った体当たりが、座っていた助手に炸裂する。 助手の驚いた顔。まりさは生きた弾丸となって、助手の胸板に激突した。 吹き上がる血しぶき。肉片を周囲にばらまきつつ、まりさは助手の体を一撃で貫通した。 ……まりさ。れいむ。おちびちゃん。かたきはとってあげたよ。おそらでゆっくりしていってね。 まりさは倒れた助手にかまうことなく、A主任を睨み付けた。 Aは驚き、恐怖し、失禁しながら土下座してまりさに命乞いをする………… ………わけがない。 まりさはそこから動けない。 「動くな」という命令がキャンセルされない限り、まりさは見えない箱に閉じ込められているに等しい。 「じねええええええ!ごろず!ごろず!いまずぐごろず!いもうどの!いもうどのがぞぐのがだきだ!がだきだああああああ!!」 「まりさ!がんばって!ゆっくりごろしはうごかないでいるわよ!ちゃんすよ!」 「がんばりぇおとーしゃーん!」 「にんげんしゃん!おとーしゃんはしゅごくちゅよいのよ! 「あやまりゅならいまのうちにあやまっちぇにぇ!」 「あやまっちぇもにんげんしゃんはしにゅけどにぇ!もうおしょいよ!」 ありすと赤ゆっくりたちは声援を送るが、まりさはやはり動かない。 頭に血が上っているらしく、まりさは自分が動けないでいることが分からないでいるらしい。 「おーい。クソ饅頭さん。どうしたの?殺す殺すって言ってるけど、何で俺まだ生きてるのかな~」 「ゆがあああああ!だまれえええええ!おばえなんが!おばえなんがざっざとごろじでやるうううう!」 「期待しているよ~。頑張ってね、クソ饅頭さん。ほらほら、俺はここにいるぞ」 「だまれえええええ!いもうどのがぞくのがだきいいいいいいいいいい!!!」 このまりさは、ゆっくり同士ならばきっと上位にランクインするパワーの持ち主だろう。 しかし、やはりまりさは動かない。 大声で叫び、上半身をぐねぐねとちょっとだけ動かして体当たりしようとするが、一歩も動かない。 「まりさー。さっきから口だけでちっとも動かないけどさ。お前ホントに妹の家族の仇を取る気があるの?もしかして嘘?」 「ぢがう!ぢがう!ぢがうもん!ばりざほんぎだもん!にんげんなんが、まりざがやっづげでやるううう!」 「だったらなぜ何もしないんだよ。あ!分かった。お前恐いんだな。恐くて体が動かないんだ。まりさは臆病だったんだね」 「ぢがううううううう!ばりざはおどーざんだ!おどーざんはゆうがんで、つよぐで、りっばなゆっぐりなんだ!おぐびょうなんがじゃないいいいい!!」 「いや、俺は臆病でも別にいいと思うよ。生物界の最底辺にいる下等生物が、勇敢とか強いとか立派とか言っても笑えるだけだし。あはははははは!」 「わらうな!わらうな!わらうなあああああああ!」 「うるっせぇんだよこのクソがあああああああ!!!」 「ゆぎぃ!?」 いきなり助手はまりさをからかうのをやめ、手でまりさの顔をひっぱたいた。 「いだいいいいいいい!いだいいだいいだいいいいい!」 「ぎゃあぎゃあやかましいんだよゴミカス!てめえにできねえことばかりぬかしやがるんじゃねえ低能の青二才が!」 「ば、ばりざは!ばりざはぎゃびゆぎゃあ!」 「ばりざはなんだよ。え?言ってみろよ。さっさとご託並べてみせろよ出来損ないの饅頭よぉ!」 「うっ…ゆぐっ…ぐっ……ばりざは、ばりざはおどーざあぎゃいぎゃい!いぎゃああ!やべぢぇ!やべぢぇよおおお!」 「やめてってどの口でほざくんだよクソが!てめえはおとーさんじゃなかなったのかよ!強くて立派なおとーさんじゃねえのかよ!!」 「びぎっっ!ぶびっっ!びがっっ!!ばり!がばっ!ばりざはっ!ばでぃいがぁ!おどぉ!おどあがぁ!だがっ!だあゔぁ!」 「何言ってるのか分からねえなあ!もっとはきはきしゃべりやがれオラ!!」 「ばでぃざは…ばでぃざはおどーざんだ!ゆっぐりじだおどーざんだ!おどーざんだがらあああああっっ!あぁぁいだいいいいい!!」 まりさの口に平手がヒットした。 舌と歯茎を激しくぶたれ、まりさは目から涙を撒き散らして悶絶する。 餡子と一緒に、数本の白い歯が地面に落ち、きらきらと光っていた。 「いっ…いだい……いだいよ………まりざ…おどーざん…みんなの…がだき………ぶぎゅるううううっっ!!」 歯が折れた激痛に耐えるまりさを、助手は蹴飛ばした。転がるまりさをうつぶせの状態で踏みつける。 ぎゅっと力を込めると、「ぶびびっ!」と間抜けな音がしてあにゃるからうんうんが少し飛び出した。 「うぜえんだよ。そろそろぶっ殺すぞ」 「ぶぎゅ!びゅぐうう!じゅぶっ!じゅぶれる!ぢゅぶれるうううう!!」 「まりざああああああ!おねがいだがらやべでえええええ!!」 「おとーしゃああああん! 「おとーしゃんにいちゃいいちゃいしにゃいでえええええ!」 「やめちぇええええ!」 「おとーしゃあああん!ゆんやあああああ!」 今までは激痛だけだったのが、命の危険に代わったことでまりさは足の下でぶるぶる震え始めた。 いっせいに叫び出すありすと赤ゆっくりたち。 助手はそれを見ると、まりさの顔を靴で地面にこすりつけた。犬の糞を踏んでしまった人間が、靴を地面でこするのと同じ動きだ。 「べぎゅ!ぶぎゅ!ゆぎゅうう!」 丁寧にまりさの顔を地面で磨いてあげてから、手で持ち上げてありすの眼前に突き出す。 「ほらありす、見ろよ。感動の再会だ」 「ま、まままりさっ……まりざあああああああ!ひどいいいいいいいい!」 「あっ……あでぃ…ず……あでぃ…ず…………」 ありすから見ればとても美ゆっくりだったまりさの顔は、無惨にも傷だらけだった。 たっぷりハエタタキで叩かれたことにより、ほっぺたは黒く変色し中の餡子が滲んでいる。 顔は踏みつけられ、地面に擦りつけられたことによりいくつもの傷ができ、片方の目は腫れ上がって見えなくなっていた。 半開きになった口からは「ゆひゅー、ゆひゅー」と苦しそうな息が漏れ、舌と歯茎からは餡子が漏れている。 「ありず……ばり……ざ…は、おど……ざ…ん……だ、よ……。みん…なを…まも…る…がら……ね」 息も絶え絶えのまりさは、そんなひどい姿なのにありすに笑いかけた。 口から発せられたのは、力強い約束の言葉。まりさはみんなのおとーさんだ。おとーさんだから、絶対に人間なんかには負けない。 強い意志が言葉に込められていた。 「くだらね。カッコつけてんなよ生ゴミが。死に損ないの分際でよくそこまで言えるよなあ」 「ゆぎゅうっっ!」 まりさは、笑顔のまま地面に叩き付けられた。仰向けになったまりさと、助手と目が合う。 助手は口調とは裏腹に、ちっとも虐待を楽しんでいる様子はない。 だが、彼のすることは容赦がまったくない。 「おいクソまりさ。俺はこれからてめえを三回踏みつける。分かるか?てめえのお粗末な頭でも分かるように、三回で我慢してやる」 「ゆっ……ぐっ……ごろ…ず……おばえ…なんが……ごろじで……」 「分かんなくても別に構わねえけどな。三回だ。三回だけ耐えてみろ。そうすればてめえの勝ちだ。分かったな」 「ぐっ…ゆぐっ……」 「人間なんかに負けねえんだろ?せいぜい頑張って耐えろや。まずは一回!」 助手は足を持ち上げると、靴の裏の全面を使ってまりさの口の下、腹に当たる場所を踏みつけた。 「ゆぶぐぎゅうううう!!」 人間ならば自動車が衝突した破壊力だろう。内臓が引き千切れてもおかしくない状況だ。 しかしゆっくりに内臓はなく、中に詰まっているのは餡子だけ。内臓破裂で死ぬことはできず、苦痛のみが体を駆けめぐる。 「まりざああああああ!ひどいごどじないでええええ!」 ありすの叫びが聞こえる。 まりさの口からはもりもりと餡子が吐き出され、あにゃるからも餡子が飛び散ってありすと赤ゆっくりたちの顔にかかった。 「ゆっ!……ぶげっ!……ゆぶげっ!」 まりさは両目を血走らせ、顔を左右に振って激痛から逃れようとする。 助手の足が再び上げられた。 「二回目!」 「ぶげゆがっっっっ!!」 次は踵を使ってまりさを踏みつける。 圧力が限界に達したらしく、まりさの右目がすぽーんと飛び出した。 「ゆっぎゅ!ぎゅぐ!ぎゅぐうううう!」 まりさの顔はゆっくりとはかけ離れた顔になっている。あまりの苦痛に何も考えられないようだ。 「三回目!これでラストだ!」 「ゆぶぎゃああああああああああ!!」 * * * 三回目の踏みつけが、まりさの腹を直撃した。 靴の踵はまりさのまむまむを踏み抜き、皮と餡子のミンチに変えた。 凄まじい激痛に、まりさの視界が真っ白に染まる。 (まりさの…まむまむ…それとぺにぺにが……ごめん…ごめんねありす……もうまりさ…あかちゃんつくれないよ) 自分の生殖器が回復不可能なまでに破壊されたことが分かり、まりさの無事な左目から涙が流れた。 まむまむとぺにぺにを破壊されたゆっくりは、肌をすりあわせてすっきりすることもできない。EDになってしまうからだ。 まりさは、これで生涯子どもを作ることなく生きていかなければならない。 まりさの体を踏みつけていた足が、どけられた。 (かったよ…まりさ、にんげんにかったんだ……。さんかい、まりさはたえたんだよ) 全身の激痛を忘れ、まりさは勝利を味わっていた。 あの人間の攻撃に、まりさは耐え抜いたのだ。餡子と皮に力を入れ、破れないように力を入れて耐えたのが報われたのだ。 ざまあみろ、人間。おとーさんは強いんだ。恐れ入ったか。 「あ…でぃ……ず。あ…りず」 「まりさ!?まりさあああ!ぶじなの?ぶじなのねええええ!?」 「ゆへ…へ…まり……ざ、にんげん……に、がっだ……よ。ばり……ざの……がぢ…だ……よ」 「まりさあああ!すごいわ、まりさはすごいゆっくりよおおおお!」 「ぞう……だ、よ。ばりざは……づよい、おどーざ…ん……なんだよ」 ありすの賞賛の声が、痛みの中でも心地よい。 人間の自信を、まりさは打ち砕いたのだ。 まりさは、家族を守って生き抜いたのだ。 半殺しの状態で、なにをどう守ってどう生き抜いたのかは分からないが、とにかくまりさはそう信じて疑わなかった。 「ま…まげ……まけいぬ……の…にんげん、は…ど、とっとど…あや……ばっで、ね……」 まりさは、ぼろぼろの顔を上げて助手を睨み付ける。 だが、助手が言ったことは、まりさに対する謝罪でも賞賛でもなかった。 「ねえ主任。俺、何回こいつを踏みつけましたっけ?忘れちゃったんですよ」 助手のとんでもない発言に、まりさは驚愕した。 (さんかいだよ!さんかいまりさをふんだよ!そんなこともわからないの?さんかいもかぞえられないの?おおばかなの?) Aは答えた。 「二回だよ。後一回残ってる」 「ゆっ!?ゆぶっ!?……ざ!…ざんが……ざんがい!……ざんがい!………ざんがいぶんだ!ざんがいばりざをぶんだよ!」 「さんかいよ!もうさんかいまりさをふんだわ!だからもうやめて!ふまないでええええ!」 「ざんがい!ざんがい!ざんがい!ざんがい!ざん゙がい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙!!」 「悪かったなクソ饅頭。後一回残ってたわ。じゃ、三回目だ」 「ざんが……ぎゅぶぐうううっっっ!!」 助手の足が、まりさの体を踏みつけ、貫通し、大きく引き裂いた。 * * * びしゃっ、と放射状に餡子が飛び散り、まりさの両目が白目になる。 もちろん、助手もAも数はカウントしていた。三回まりさを踏んだことは分かっていた。 だからどうした。 始めから、助手は三回踏む時はまりさが死なないよう手加減し、四回目で殺す計画だったのだ。 そんなことも知らないまりさは、断末魔の苦しみを全身で表現していた。 まりさの胴体をほぼ二つに裂いた傷口からは、致命的となる量の餡子が地面にだらだらと流れていく。 「…あ……あり…ず……ごべん……ね。だべな…おどーざ……で……んね…………」 何度も「ごべんね」と呟きながら、まりさは次第に弱々しく体を震わせ、動かなくなった。 最後の一撃に耐えられなかったことを、まりさは後悔していた。 家族を守れずに死んでしまうのを、まりさは悲しんでいた。 何よりも、平気で約束を破った人間たちを、まりさは憎んでいた。 いろいろな感情が沸き上がり、真っ暗闇に消えていく。 (じにだくない!まりざじにだくないよ!ありず!おぢびじゃん!いっじょにもっどゆっぐりじだい!いやだあああああああ!) 最後までありすに謝りながら、まりさは永遠にゆっくりした。 誰も守ることができず、仇を取ることもできず、無意味に死んだのだ。 「死ぬ時になってようやく駄目な父親って分かっても遅いんだよ」 「まり……さ。まりさ……。よ……よくも…よぐもおおおおおおおおおお!!!」 ありすは、まりさの心意気をあざ笑った助手に、体内のカスタードが煮え立つほどの怒りを感じた。 まりさとの約束を平気で破って、まりさを殺した人間が許せなかった。 「だまれええええええ!ごのいながものおおおおおおお!おばえなんがにばりざのなにがわがるうううううう!」 「分からねーよ。こんな薄汚いゴキブリ以下のゴミの塊の考えることなんて、分かるわけねえだろ」 「ゆるざないいいいいい!よぐも!よぐもばりざをばがにじだなあああああ!よぐもおおおお!」 ありすはいままで、「とかいはじゃないわ」と使わなかった悪口を使い、助手を罵る。 そうでもしなければ、発狂しそうだった。 「悔しい?そんなに悔しいの?だったらほら、こっち来いよ。俺に体当たりしてみろよ」 「ゆぐあああああ!ゆぐう、ゆぐうううううう!うごげえええええ!ありずのあんよざん、うごいでえええええ!」 「おおうぜえうぜえ。まりさがうざいからお前もうざくてお似合いだわ、やっぱ」 「ゆぐぎぐがあああああ!!!ゆるざない!おばえはぜっだいゆるざない!みんなをごろじで、ばりざもごろじだおばえはゆるずものがあああああ!!!」 ありすがどんなに怒りに身を焦がしても、足は一歩も憎い助手の方へと動くことはなかった。 * * * 「はい。もういいよ」 「……分かりました」 「なかなか演技派だね、君。ちょっと俺も驚いたよ」 「恐縮です。大学にいた頃、演劇をやっていたものでして」 A主任の静止に、助手はすぐに応じた。 助手は別に、まりさたちに本気で腹を立てたのではない。挑発の一環として、怒った振りをして見せただけだ。 徹底的にゆっくりを虐待し、蔑み、汚物のように扱う。怯えるのではなく、人間に怒りを抱くように助手はゆっくりを誘導したのだ。 努力のかいがあって、ゆっくりたちは二人を憎み、ぎりぎりと歯ぎしりまでしている。 「では命令だ。まずはそこの赤まりさ、あそこにある熱湯を入れた鍋の中に自分から飛び込みなさい」 「ゆゆっ!あ、あんよしゃんがかっちぇにうごくんだじぇええええ!?」 「おちびちゃんどうしたのおおおおお!?」 父親に似ずに「だじぇ」口調の赤まりさの顔が、驚きで歪んだ。 「あんよしゃん!?にゃんでうごきゅにょ?まりしゃ、おかーしゃんといっしょにいちゃいんだじぇ!」 両親の知能では、ゆっくりの体に起こった異変が人間によるものだと理解できた。 無垢に育った赤ゆっくりの頭では、人間によって自分たちの体が操られていることなど想像もできない。 「おちびちゃん!あんよにちからをいれて。こっちにはねるのよ!こっちにきて!」 「しちぇるのじぇえええ!しちぇるにょに、あんよしゃんにちからいれちぇるにょに、とまらにゃいんだじぇええええええ!!」 ぴょんぴょんと必死で抵抗しているようだが、少しずつ赤まりさは家族のいる場所から遠ざかっていく。 逆に赤まりさが近づくのは、助手がコンロで沸かしていた鍋だ。 既に長時間火にかけられたことにより、中の熱湯は沸騰寸前にまで熱せられている。 ご丁寧にも、鍋の横にはゆっくり用のプールに使われている階段が備え付けられていた。 赤まりさは少しずつ階段をのぼっていく。 「ゆんやあああ!ちょまっちぇ!あんよしゃんちょまっちぇえええ!あちゅあちゅしゃんはゆっくちできにゃいいいいい!」 どんなに赤まりさが抵抗しても、体は勝手に動いていく。 ついに、鍋の縁にたどり着いた。 吹き上がる高熱の湯気が、赤まりさの顔を撫でる。 「ゆひいいい………!いやじゃぁ……。あちゅあちゅしゃんにどぼんやいちゃじゃあああ……」 「おちびちゃんんんん!だめええええええ!」 ぽとん、と赤まりさは熱湯の中へとダイブした。 最後の最後まで、両親の方を見続けた赤まりさの顔は、「どうしちぇたしゅけちぇくれにゃいにょ?」と言わんばかりだった。 「あ…あぢゅいいいいいいいい!あぢゅ!ぢゅぴっ!あぢゅうううううううう!」 「おおおおぢびぢゃああああああん!い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 ありすの絶叫が上がる。 高温の湯は、ほぼ一瞬で赤まりさの体を溶かしてしまったようだ。 最後の言葉である「もっとゆっくちしちゃかっちゃ」の声さえ聞こえない。 「よぐもおおおおお!よぐもありずのごどもだぢをおおおおお!!」 ありすの怒りも、ありすの体と同じように二人には届かなかった。 * * * 「ゆんやあああああ!まりしゃしにちゃくないのじぇえええええ!」 「おきゃーしゃーん!たしゅけちぇよお!にゃんでしょこにいりゅにょおおおおお!」 「ありしゅがきゃわいくにゃいにょ?おかーしゃんありしゅをたしゅけちぇええええ!!」 「お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!おぢびぢゃあああああんん!やべでえええええ!!」 あまりにも叫びすぎたのか、正気を失いかけているありすの目の前で、恐ろしい光景が繰り広げられていた。 熱湯が満たされた鍋の縁。そこに設置された階段の最上段。 後一歩足を踏み出せば命はない危険な場所に、かわいいおちびちゃんたちが横一列で立っている。 「さて、誰からまりさの後を追って飛び込んでもらおうかな」 メガホンを持ったAが、順繰りに三匹の赤ゆっくりたちを見ていく。 「ゆんやあああああ!まりしゃはやめるんだじぇええええ!」 「ありしゅもやじゃああああ!しにちゃくにゃいいいいいいい!」 「もうやめちぇえええ!ごめんなしゃい!なにがわりゅいのかわかりゃにゃいけどごめんなしゃい!」 途端に、Aの足が止まった。 「ごめんなさい?今君はごめんなさいって言ったね」 「そうでしゅ!ありしゅでしゅ!ごめんにゃしゃい!ありしゅたちがわるかったでしゅ!」 一匹のありすは、涙を流しながらひたすら謝っている。 謝れば、助けてもらえるかもしれない。そのはかない希望にありすはすがっていた。 いつも、いけないことをしておかーさんやおとーさんに怒られても、きちんと「ごめんなしゃい」って謝れば許してくれた。 だから、このこわいおじさんも、謝れば許してくれるに違いない。 何が悪いのか分からないけど、とにかく死ぬのは嫌だった。 「そうか。ちゃんと君は謝れるんだね。ほかの子たちはどうかな?」 「ゆああああああ!ごめんなしゃい!ごめんなしゃい!まりしゃもあやまるんだじぇええええ!」 「ありしゅも!ごめんなしゃい!おじしゃんごめんなしゃい!ごめんなしゃい!ごめんなしゃああああい!」 たちまち残りの二匹も、「謝れば許してくれるかも」という希望に飛びつき、矢継ぎ早に謝る。 三匹とも必死だ。ここを先途と涙と涎を振りまき、Aの気を引こうと声を張り上げる。 「よくできたね。じゃあ、罰として死んでもらおうか」 「「「なんじぇえええええええ???ちゃんとあやまっちゃのにいいいいいいいい!!!」」」 「謝ったってことは、自分が悪いと認めたんだろう?なら罰を受けなくちゃね。そして罰は死刑。はい、みんなそこに飛び込んでね」 「「「いやじゃああああああ!!おがーじゃあああああああああ!!!ゆびぎゃびいいいいいいいい!!!」」」 三匹は揃って、親ありすに救いを求めながら鍋の中に飛び込んでいった。 「あぢゅいいいいいい!まりじゃ、まりじゃじんじゃううううううう!!」 「びびびびいいいいいいい!あびい!あびいいいいいいい!」 「もっ…ぢょ……ゆっく…………ぢ……!」 親ありすには、赤ゆっくりたちの最後は見えなかった。 だが、代わりに恐ろしい断末魔の絶叫がしっかりと届いていた。 「あ……あ……ああ……あがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!あ゙があ゙あ゙あ゙あ゙!あああああああ!!!」 目を剥いたありすに、Aが近寄る。 ありすはAが近づいても、気が違ったかのように叫び続けるだけだ。 「命令だよ、ありす。今までのことは全部忘れて、ゆっくりしなさい」 メガホンを使って、Aはありすに命令した。 「ゆ゙っ……ゆ゙っ……ゆ゙ゆ…………」 ありすは一瞬、俯いて目を閉じた。顔がほんの少し、いつものゆっくりしたものになる。 しかし、すぐに顔を上げた。 顎が外れるほど大きく開かれた口から聞こえてきた言葉は、初めての否定だった。 「なにいっでるのおおおおおお!?まりざと!おちびぢゃんが!じんだのにどうじでゆっぐりでぎるのおおおおおおお!!!」 「命令だよ。全部忘れなさい。そしてゆっくりするんだ」 「ゆっ……ゆゆう………でぎるわげないいいいい!まりざああああああ!おぢびぢゃああああん!ゆがあああああああ!!」 「忘れるんだ。早くゆっくりしなさい」 「ゆっぐり……ゆっぐり……でぎるがああああああ!!ごのゆっぐりごろじ!ゆっぐりごろじ!おばえもじねえええええ!!」 「うん。やはりそうか。これがメガホンの限界だ。これが見たかったんだよ」 Aは、初めて命令に反抗したありすに満面の笑みを浮かべた。 これが、Aが今まで散々にありすの家族を痛めつけ、地獄を味わわせた理由だった。 「主任、どうしてです?なんでこのありすは命令に従わないんですか」 側で助手が驚きを隠せないでいる。 今まで、Aが製作したメガホンから発せられる命令に、逆らったゆっくりはいない。 中枢餡に刻み付けられた命令は、たとえ「死ね」と命令しても実行される。 「この音波は中枢餡に影響を与えるよね。どうも、中枢餡の機能はゆっくりの行動を制御するものらしいんだよ。だから逆に言えば、情緒は操れない。 それが確かめたかったんだ。ありすを見れば分かるだろう。ゆっくりしろ、と命令して体はゆっくりしているけど、それを上回る憎しみと怒りがある。 動かないでいることはできるけど、今まで体験したことを忘れたり、感情を消すことはできないんだ。そっちは普通の餡子に記録されているらしい。 これがメガホンの限界だ。ゆっくりの体は操れても、感情は操れない」 「でも、あの時主任が『笑え』って言ってまりさは笑いましたよね。あれはどうなんです?」 「ただの反射だよ。顔面の皮が中枢餡からの刺激で笑みの形になっただけ。意志とは無関係に笑わせただけだよ。そんなもん。 でもいいよね。こっちもゆっくりの意志とか感情とか関係ないし。とりあえず、ゆっくりの行動だけ操れればそれでどうでもいいや。 じゃあ、ありす捕まえて。それ、帰ったら解体して中枢餡の変化とか見るから」 「分かりました」 助手の手がありすを掴み、トランクの中にあった頑丈なケースに放り投げる。 「ゆっ…ゆぐ……がえじで!まりさをかえじで!おちびちゃんをがえじで!みんなをがえじで!ありずのゆっぐりをぜんぶがえじでよおおおおおお!」 ありすは泣いた。 すべてが奪われ、踏みにじられたことに涙を流した。 憎しみも怒りも、平和的なゆっくりの頭では長続きさせることができない。 残るのは、悲しみだけ。 ありすは泣き続けた。 研究所で生きたまま解体され、中枢餡にメスが入れられる待ち焦がれた死の時まで、ありすの涙は絶えなかった。 挿絵 byM1 02へ続く
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前 美鈴は巣穴から離れ、先ほど捕らえた母子まりさ三匹の処分に取りかかる。 「っと、結構時間食っちゃったけど、あの二匹は逃げてないわよね」 それは杞憂であった。 ちゃんと温和しく、ありすとぱちゅりーは待っていた。 二匹の目の前に置いた失神しているまりさ母子を、これまでの恨みで攻撃したりもせず、 未だ気絶したまま転がっているれみりゃヘッドを食べるでもなく、温和しくしていた。 どのように温和しいかと言うと── 「ぱちゅりー……あのときは、なにもできずごめんね……うっ、ぐずっ……うぅっ」 「むきゅぅ~ん、ありす……いいのよ、もうすぎたことは……」 またも二匹だけの世界を構築し、ゆっくり語りあっているだけで、他には特に何もして いない。 普通ならば、隙ありと見て逃げ出すか、または復讐心や食欲に身を任せるであろうから、 やはりこの二匹は普通のゆっくりと比べると、色々とおかしい。 「……変なゆっくりたちね」 変なゆっくりだと思ったからこそ、まだそれほど痛めつけたりもせず生かしているのだ が。 「さて……あんたたち、お喋りもいいけど注目よ!」 二匹の目の前に立って、美鈴は言った。 「ゆっ?」 「むきゅ?」 言われた通り会話をやめて、美鈴に視線を向ける。 「これが終わったら、さっき言った通りお願い聞いてあげるから、しっかりと見届けるの よ! わかったわね?」 まりさ母子の頭から帽子を取り、モデルになった白黒の魔法使いと同じように長くのび た金色の髪の毛を使って、近くの立木の枝に多少の間隔を空けて吊り下げる。 母まりさと二匹の子まりさは三匹とも、まるで奇妙な果実のように吊された。 「こ……これから、なにするのよ?」 「むきゅ! まりさをつるして、どうするの?」 美鈴が何をしようとしているのか、ありすとゆっちゅりーには見当がつかない。 「いいから、見てなさいよ。あんたたち、こいつらに恨みがあるんでしょ? きっと楽し い気分になれるわよ」 言いながら、失神したまま吊された三匹に気付けをして、目を覚まさせる。 「……ゆっ! ぎっぎぎっ……い、いたいぜ! どうなってるんだぜ?」 「……ぅゆっ! ゆゆゆゆゆゆっ!? なにこれ? かみのけひっぱられてる!」 「……っゆぐっ! ゆぅ~っ……あっ! まりさのぼうしがぁ~っ!」 目覚めた途端に騒々しい。 髪の毛で吊しているため、自然と髪は上に引っ張っり続けられるため、不自然に目のつ り上がった顔がかなり滑稽である。 「ゆっくり休めたかしら?」 だいたい美鈴の胸の高さぐらいに吊り下げた三匹の顔を見て、にっこりと微笑んだ。 「ゆっ! お、おねえさんっ! どういうことなんだぜ? おろしてほしいんだぜ!」 「やすめないよっ! こんなんじゃ、ゆっくりできないよぉ~っ!」 「まりさのぼうしっ! かえして! かえしてよぅ、おねえさぁんっ!」 三人揃って一斉に違う事を喋るので、とても聞き取りづらい。 「本当に、あんたらはうるさいわね。黙んなさいよ」 黙れと言って、こいつらが黙るとも思えないが、一応言うだけ言ってみた。 「ゆっ! ひどいんだぜ、おねえさん! まりさたちをゆっくりおろしてほしいんだぜ!」 「やめてよ、おねえさん! ひどいことしないでよ! まりさたちなにもわるいことして ないよ!」 「ゆっ! そうだよ! おねえさんは、そのありすとぱちゅりーにだまされてるんだよ!」 言うだけ無駄だった。 美鈴は一方的に喋って、とっとと処分に取りかかる事にする。 「あんたたちは、このありすとゆっちゅりーを虐待していたらしいから、罰を受けるのよ。 罰の内容は……凌遅三〇〇〇刀、滅九族!」 青竜刀を突きつけて、怒鳴るように言い放った。 「り、りょうちさんぜんとう? なんだかわからなんだぜ? ゆっくりせつめいしてほし いんだぜ!」 「ゆっ! ぎゃくたい? よくわからないけど、そんなことしてないよぅ~!」 「ばつなんかうけたくないよっ! わるいのはありすとぱちゅりーだよ!」 ゆっくりたちが、もちろん凌遅刑がどういう刑罰なのか、知っているわけもなかった。 「むきゅ! りょうち! な、なんてことなの……」 「し、しってるの? ぱちゅりー」 見届ける事を命じられ、観客となった二匹が声を上げる。 「え? 知ってるんだ……ゆっくりのくせに」 ひょっとしたらゆっちゅりーは、紅魔館の近くに良く居るバカで有名な氷精よりも、頭 が良いのかも知れないと美鈴は思った。 「むきゅぅっ! そ、そんなのみなきゃいけないのぉ~っ! むきゅぅぅぅぅっ!」 本当に知っているのか、これから目の前で展開される惨劇を思い描き、ゆっちゅりーは 恐怖に打ち震えた。 「だ、だめよ! ぱちゅりー、きをしっかりもって! みなきゃいけないのよっ!」 失神しそうなゆっちゅりーを、ありすが懸命に励ます。 見届けなさい、と言われた以上、失神したらいけないと考えたのである。何故こんなに ゆっちゅりーが怖がるのかは、わからないが。 気分を出すため、美鈴はポケットから爆竹を取り出し、三回それを弾けさせた。 「いくわよ!」 まず子まりさのうち一匹を血祭りに上げる。 こう言う用途には全く向いていない青竜刀を器用に使い、美鈴は子まりさの皮を餡子が 露出しない程度の深さまで切り入れて、1センチほど切り剥いだ。 「ゆ゛ぎぃぃぃぃっ! い゛だい゛ぃぃぃぃぃっ!」 ゆっくりの皮は、人間の皮膚の表皮にあたる薄皮と、それに密着している皮本体で構成 されている。 薄皮は柔らかいが多少は強靱に出来ており、熱や痛みへの耐性も人間の表皮とほぼ同じ 程度──要するに材質が違うだけで、人間の表皮と変わらない物であった。 それに対して薄皮に密着している皮本体は、人間で言うならば真皮であり皮下組織でも ある筋肉と言うべき存在であった。 また、餡子は内臓であり骨であり筋肉でもあり脂肪でもあり、血液でもあると言う存在 である。 つまり、餡子が露出しない程度に皮を切り剥ぐと言う行為は、人体に喩えると「内臓や 骨に達しない程度に皮と肉を切り剥ぐ」と言う事である。 「まず一刀!」 斬って剥ぎ取った皮を足下に落とす。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ! お゛ね゛え゛ざん゛っっ! ま゛り゛ざの゛ごども゛に゛、 な゛に゛ずる゛ん゛だぜぇぇぇぇぇぇっ!」 絶叫する母まりさ。 単なる便利な性欲処理相手ぐらいにしか思っていない母れいむが痛めつけられた時と違 い、餡子をわけた自分の子への虐待には敏感に反応した。 「ま゛り゛ざぁぁぁぁ! お゛ね゛え゛ざん゛っっ! や゛べでぇぇぇぇぇぇっ!」 もう一匹の子まりさも悲痛な叫びを上げる。 母体は違うが姉妹である子れいむの生死や苦しみには無関心だが、同じ餡子が詰まった 姉妹が痛めつけられるのは悲しいようだ。 「三〇〇〇回やったらやめるわよ」 母まりさと姉妹まりさの必死の制止に対して、何ら心を動かされた様子も見せずに言い 放ち、二刀目を子まりさの身に刻む。 「ゆ゛っぎゃぁぁぁぁ! い゛ぎっ、い゛だい゛ぃぃぃぃぃっ!」 皮と肉を切り剥がされているのだから、その痛みがどれほどのものかは想像せずとも、 明らかであろう。 「はい、二刀。あ、そうそう……この子の次は、あんたらよ」 さらり、と言ってから美鈴は三刀目を入れる。 「なっ……なななななっ……あっ、あぁっ、あっ……」 「むきゅ、きゅ……きゅきゅきゅきゅぅっ……」 中身の素材は違っても、基本的な身体構造は一緒であるため、ありすとゆっちゅりーに は、子まりさが与えられている痛みがどんな物か良くわかる。 「こっ、ここここ……こん、なの……みとどけないと、いけないの……」 憎み恨んでいる相手だとは言え、同じゆっくりが切り刻まれるのを見続けるのは、精神 的に強い負担がかかる。 「むっ、むきゅきゅ……そ、そうよ、ありす……こ、これがさんぜんかいつづくのよ……」 三千という数字がどれほどの数なのか、ありすには良くわからなかったが、ともかくす ごく多い数だと言う事だけは何となくわかった。 一〇刀目を入れた時点で、子まりさは痛みと恐怖に耐えかねて気を失った。 「ほら、どうしたの? まだたったの一〇刀しか入れてないわよ?」 美鈴は呆れたように言うと、気付けを行い強制的に目覚めさせる。 「はい、一一刀!」 「ゆ゛っぎゅぎぃぎゃぁぁぁぁ! だずげでよ゛ぉぉぉぉ! お゛があ゛ざあ゛ぁぁん゛!」 あまり身体が大きくないため、もうこの時点で子まりさの表面は、切り剥がされた凸凹 が遠目にもわかるぐらい、はっきりと付いている。 このまま続けると、やがて凸凹が目立たなくなるであろう。 「ま゛り゛ざの゛ごども゛があ゛あ゛ぁぁぁぁ! び、びどい゛ん゛だぜぇぇぇぇぇぇ! や゛め゛でぐれ゛だだだだぜぇぇぇぇぇぇっ!」 我が子の苦しみを、ただ嘆き叫んで傍観するだけだった母れいむと違い、母まりさは吊 られたままの身体で、美鈴に体当たりをしようとさっきから試みているが届かない。 いくら髪が長いとは言え、吊せる長さにも限度があり、強度的な問題もあるため、美鈴 は頭皮からせいぜい15センチほどの位置で吊り下げたのである。 届くはずもないのだが、それでも母まりさは懸命に何度も身体を揺らし、髪の毛を引っ 張られる痛みに耐えながら体当たりを試みる。 ──その努力が、報われる可能性は皆無であった。 気絶する度に、気付けを行って目を覚まさせ、ひたすらに美鈴は子まりさの皮を切り剥 ぎ続けた。 「これで、一二〇刀!」 頭髪の生えている部分は切り削いでいないため、一二〇刀目にして、子まりさの露出し ている表皮はほぼ全て切り剥がれた。 つるりと滑らかな薄皮を皮本体ごと失い、でこぼこざらざらした肌となり、薄く中の餡 子を透けて見させている。 「ゆ゛ぎゅっ……ぎゅぎゅぎゅぎゅ……!」 喉が涸れ、体力も相当に消耗しているため、子まりさの上げる悲鳴も、かなり小さなも のとなって来ている。 「ふぅ、細かい作業は神経使うわね……」 感覚的にはジャガイモの皮むきと似た作業であるが、小さく少しずつ皮を切り剥がすと 言うところが大きく違う。 美鈴の腕前ならば、細かく切り剥がすような事はせず、大根のかつらむきのように切ら ずに繋げて全部ぺろんと剥くのも朝飯前だが、それでは凌遅刑にはならない。 「んー、ちょっと三〇〇〇刀は多すぎたかしら」 細かい作業とは言っても、さくさく手際良く行っているため、そんなに長い時間を掛け たわけではないが、さすがに三〇〇〇回も繰り返すのは面倒に思えてきた。 「剥き終わりで、キリもいいから少し休もう」 美鈴は、ここでちょっと一息入れる事にした。 「ゆ゛っ、ゆぐっ! ゆ゛ぐぐぐぐぐっ……ひ、ひどいんだぜ……まりさのかわいいこど もが、こんなぶさいくに……ぐしゅっ……」 美鈴が五〇刀目を入れたあたりで、漸く体当たりが無理だとわかった母まりさは、力な く吊り下げられたまま涙をこぼし嘆いている。 「ゆっ……ゆっゆっ……ぐずっ、ぐじゅっ……まりさたち、なにもわるいことしてないの に……ひどいよ、おねえさんっ!」 まだ無事な方の子まりさも泣いていた。 「どこがかわいいのよ? 下ぶくれのへちゃむくれじゃない? むしろスリムになって良 かったって思いなさいよ」 馬鹿にしたように言うと、美鈴は足下に堆く積んだ子まりさの皮を爪先で蹴り散らした。 「さて、次はどっちからやろうかしらね……」 母まりさの、涙でぐしょ濡れになった顔を眺める。 「ゆ゛っ! まりさはおおきいからじかんがかかるんだぜ! やるならこどもからやって いいぜ!」 自分の身への危険が目前に迫った途端、母まりさは母性を放棄した。 「ゆゆゆっ! お、お゛があ゛ざん゛っっ! な゛に゛い゛っでん゛の゛ぉぉぉぉぉっ!」 信頼していた母親に裏切られ、子まりさは悲しむより先に激高する。 「ごどぼを゛ま゛も゛る゛の゛がっお゛や゛でじょぉぉぉぉ! だずげでよ゛ぉぉぉぉ!」 必死の形相で子まりさは母に抗議した。 今までずっと結束してきたこの親子の関係は、こうして崩壊の時を迎えた。 「あらあら、親子喧嘩はだめよ。仲良くしないと、ゆっくりできなくてよ」 青竜刀の切っ先で、ちくちくと母まりさの頬を軽く突っつきながら、美鈴は嘲った。 「ゆっ! やめてだぜっ! おねえさんっ! こどもなんて、またつくればいいんだぜ!」 まだ成長していない子供よりも、すぐに子供が作れる成体が重要と言うのは、種の保存 のみを目的とするならば正論である。 「ゆぐっ! こんなひどいこというなんて……もう、おかあさんなんかだいっきらい!」 「ゆぎっ! じょうとうだぜ! おまえなんかまりさのこどもじゃないぜ! ゆっくりし ねだぜ!」 先にやられるか後にやられるかだけで、待っている末路は変わらないのだが、いつの間 にかこの二匹の中では、どちらかが助かると言う前提になっていた。 「また子供作るって言っても、相手のあてはあるの?」 休憩がてら、しばらく喋ってみることにした。 「ゆっ! おねえさんはまりさのみりょくをあまくみてるんだぜ! まりさのまむまむは さいこうなんだぜ!」 物凄く下品で下劣な自慢である。 「へー、そうなの……」 こんな返答が返ってくるとは思わなかった美鈴は、うんざりした目で母まりさを見た。 「そうなんだぜ! まむまむだけじゃないぜ! まりさのぺにぺにもさいこうなんだぜ!」 かなり聞くに堪えない。 「……そ、そう……」 こんなのと会話するんじゃなかったと美鈴は後悔した。 「ゆっ! あそこのぱちゅりーだって、さいしょはいやがってたのにさいごはいっしょに すっきりしたんだぜ!」 あごをしゃくって、ゆっちゅりーを指した。 そう言えば、あの二匹はどうしてるんだろう──凌遅刑の執行に熱中していて忘れてい た、ありすとゆっちゅーりの存在を思い出し、美鈴は視線をそちらに向けた。 「ちょっと、あんたたち!」 時々瞬きをするので失神しているわけでは無さそうだが、無言で口をぽかんと開けてい る二匹に声を掛けた。 「……ゆひぃっ! み、みてますっ! ちゃんと、みてますからっ!」 「むっ、むきゅきゅっ! ぱちぇもみ、みて、みてるわよぅっ!」 言われた通り、しっかりと見届けていた事をアピールする二匹。 もっとも見るには見ていたが、途中から視覚から入ってくる情報をカットしていたと言 うか、見るに堪えない惨劇を認識しなくなっていたようだが。 「そう、ならいいわ……それじゃ、続けましょうか」 言うと美鈴は、まだ無傷の子まりさに近づいた。 「ゆっ! おねえさんっ! こっちこないで! まりさにひどいことしないでぇぇぇっ!」 これから自分がなにをされるのか、姉妹がどうなったのかを見ていただけに、子まりさ は必死の形相で命乞いをする。 「ごっ、ごろ゛ざな゛い゛でぇぇぇぇっ! い゛だい゛の゛や゛だぁぁぁぁぁっっ!」 「大丈夫よ、すぐには殺さないから。痛いのはその代償よ」 すぐには殺さない──そう、中身の餡子を失わない限り、ゆっくりはそうそう簡単に死 なない生き物である。 基本的な生命力に関してのみなら無駄に強いと言うか、餡子さえ漏れないようにすれば、 いくら殴る蹴る斬る撃つ焼く、などの攻撃を加え、痛みと苦痛を与えても、なかなか死な ない。 もっとも、焼くと高熱が中の餡子に影響を与えるためか、意外と早く死に至ってしまう 場合もあるが。 「い゛だい゛の゛ごわ゛い゛ぃぃぃぃっ! や゛だぁぁぁぁっっ! お゛があ゛ざぁぁぁ ん゛っっ!」 ついさっき「だいっきらい!」と言ったばかりの母に助けを求める。 しかし、そんな我が子に対して母は、 「ゆっ! おかあさんのために、ゆっくりしんでねだぜ! まりさのかわりは、ちゃんと つくってあげるんだぜ!」 これで自分は助かると思ったのか、余裕すら伺わせる表情で、楽しそうに言い放った。 いや、あんたを見逃すとは一言も言っていないわよ──心の中で美鈴は突っ込みを入れ た。口に出して言うと、またうるさそうだから。 しばらくの間は、自分は助かったと思わせておいて、あとで存分に現実の非情さを餡子 の随までわからせれば良いのだから。 「心の準備は良いわね? まだでもするけど」 何かこだわりがあるのか、またも美鈴はポケットから爆竹を取り出し、三回それを弾け させた。 必要無いと思える行為でも、行う事によって得られるものがあると、美鈴は常日頃から 考えているのである──誰も居ない自宅に帰って「ただいま」と挨拶し、「おかえりなさ い」と自演するなどの虚しい行為も、そんな考えのもとに日課としているのである。 「や゛だっ! や゛だぁぁぁぁっっ! やべでぇぇぇぇぇっ! ぎぃや゛ぁぁぁぁぁっ!」 吊されて逃げ場が無いにも関わらず、身を捩り、なんとか逃れようと足掻くが、完全に 無駄な努力であった。 すぐに美鈴の左手に掴まれ、皮に青竜刀の刃をあてられる。 「一刀!」 「ゆ゛ぎぃっ! ゆ゛ぎぎぃぃぃっ! い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃっ! お゛があ゛ざ ぁぁぁん゛っっ!」 餡子が露出しない程度の深さまで切り入れ、一センチほどの大きさに切り削いだ皮を足 下に落とす。 「二刀!」 「ぎびゅっ! ゆ゛ぎぎぎぃぃぃぃぃっ! ゆ゛ぎゃぁぁぁっ! や゛だぁぁぁぁっっ!」 絞め殺される鶏よりも、騒々しく聞き苦しい悲鳴が夜の森にこだまする。 「二〇刀! あら、頑張るわね。まだ気絶しないなんて……えらいわよ」 意識を失わず、きちんと苦痛を味わっている子まりさに、美鈴は賞賛の声を贈呈した。 「ぼべら゛べでぼう゛べじぐだびぃぃぃぃぃっ! ぼお゛っや゛べでぇぇぇぇぇぇっ! い゛だい゛ぃぃよ゛ぉぉぉぉぉっ!」 せっかく褒められたのに、子まりさは失礼な反応を示した。 これで喜ぶ方がどうかしているが、重要なのは褒め言葉を素直に受け取らなかったと言 う事実である。 「褒められたら素直に喜ぶものよ。お仕置きね」 非情に理不尽である。 だが美鈴ルールは、今この場では絶対の価値を持っている。圧倒的な武力を背景として いるのだから。 「ほーら、みんな大好き、からーい、辛い、とっても辛い醤よ」 傷口に塩どころではなく、傷口に激辛調味料である。 「ゆ゛じゅぼぁお゛ぎゅあ゛ぁぁぁぁぁっ! じ、じびる゛ぅぅぅぅぅっ! う゛ぎぃぃ ぃぃぃっ! だう゛ぇどぅぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」 甘い餡子で出来ていて、皮にも甘みを含む、全身甘い物のかたまりなゆっくりにとって、 辛い物は猛毒に等しい。 多少の撥水力のある表面の薄皮にならともかく、餡子が薄く透けて見えている箇所に垂 らされたのだから、たまらない。 「ゆ゛びゅっ! あ゛びゃっ! あ゛じゅっ! ぶべぇぼぉぉぉぉぉっ!」 白目を剥き、子まりさは口と底部から餡子汁を漏れ出させる。 「あら……失神しちゃった? しょうがないわね……ふんっ!」 激痛に耐えかねて意識を失った子まりさを、美鈴は気の力で無理矢理に目覚めさせる。 「ゆっくり寝ちゃだめよ。ゆっくり苦しまなきゃ」 そう言って、美鈴は二一刀目を入れた。 「一〇六刀! ……あら、もう剥き終わりね」 「あ゛じゅっ……う゛ゅぎゅっ……う゛ぁう゛ゅう゛ゅう゛ゅぅ……!」 休憩を少し挟んだものの、細かい作業を続けているわけだから、どうしても雑になる箇 所は発生する。 この場合、雑になるとは、面積を大きく切り削ぎ過ぎてしまう事だ。 だいたい1センチ×5ミリ程度を目安としているが、それより大きくなってしまう事も 良くある。 「やっぱり、人にするのとは感覚が違うわね」 これも集中力を高める修行だと思えばいいか──そんな事を考えながら、美鈴は母まり さに目を向けた。 「ゆっ! おねえさん、おつかれさまだぜ! おわったんだね? さぁゆっくりしないで、 はやくまりさをかいほうしてほしいんだぜ!」 美鈴に視線を向けられて、これで開放して貰えると思いこんでいる母まりさは、嬉しそ うに言った。 痛く苦しい思いをして頑張って産んだ愛する──愛していた我が子が、苦痛を与えられ、 悲惨な姿と成り果てて行くのを、この母はニタニタしながら眺めていたのである。 最初に子まりさが凌遅に処された際は"愛する我が子"の処刑だったので、とても悲しい 気持ちで見ていたのだが、今しがた行われたのは"自分が助かるための生贄"の処理と言う 認識なので、見ていて楽しかった。 子まりさに美鈴が一刀入れ皮を切り剥ぐごとに、少しずつ自分の開放が近付いていると 思っていたからだ。 「なによ、あんた。ずいぶん嬉しそうじゃないの?」 額に浮かんだ汗を服の袖で拭いながら、美鈴は言った。 「ゆっ! だって、みっともないひめいをあげて、どんどんぶっさいくになってくのをみ るのは、とってもたのしいんだぜ!」 「あらあら、自分の子供なのに?」 ここまでの返答は予想していなかった。 こいつは化け物か、と言いたげな目で美鈴は母まりさを凝視する。 「ゆっへっへっ! おねえさんなにいってるんだぜ? またつくればいいんだぜ! こど もなんかいくらでもでてくるんだぜ!」 ああ、そう言えば……そんな事を言った歴史上の人物がいたな──そう思いながら、美 鈴は口を開き、 「あんた……まるで、カテ」 「むきゅ! まりさはまるで、かてりーな・すふぉるつぁだわ! そんなこといってるか ら、こんなめにあうのよ!」 途中まで言ったところで、ゆっちゅりーの言葉にかき消された。 「……うそっ! なんで知ってんの?」 言いかけた言葉を邪魔された不快感よりも、驚きの方が上回った。 「むきゅ? だってゆうめいじゃない? ぱちぇがしっててもふしぎじゃないでしょ?」 これが徳川家康だとか織田信長など、人里に住む人間の子供が普通に知ってそうな日本 人の人名だったならばともかく。 「有名って……どうかしらね」 「ゆへっ! またぱちゅりーのちしきじまんがはじまったぜ! そのものしりづら、へど がでそうだぜ!」 小馬鹿にしたように鼻で笑い、まりさは茶々を入れた。 黙っていれば、もしかしたら存在を忘れられて助かったかも知れない。 そう、美鈴の興味の方向は、ゆっちゅりーの異常な知識量に、この時点までは向いてい たのだから。 「あ、いけないいけない、あんたの事すっかり忘れてたわ」 自分がしようとしていた事を思い出し、すかさず美鈴はまりさの方へと向き直った。 「ゆっ! まりさをわすれるなんてひどいぜ! ゆっくりあやまってほしいぜ! でも、 あやまるまえに、はやくおろしてほしいぜ!」 どこをどうやったら、こんなに巨大な態度が取れるのか不思議である。 「そうね、忘れちゃってごめんなさいね……それじゃ、はじめましょうか」 妙なところで律儀な美鈴は、口先だけの詫びではなく、踵を揃えきっちとお辞儀をして 謝ってから、おもむろに左手でまりさの頬を掴む。 「ゆっ! なっ、なにするんだぜ? まりさをどうするきなんだぜ? はやくかみのけほ どいてほしいんだぜ!」 思いがけない美鈴の行動に、まりさは慌てた。 「ちゃんとおろしてあげるわよ。終わったら、ね」 皮に青竜刀の刃をあてる。 「ゆっ!? お、おねえさんっ! や、やくそくがちがうんだぜっ! なにをするきなんだ ぜ? やめてくれだぜ! おねがい……おねがいしますだぜっっっ!」 美鈴がこれから何をしようとしているのか、はっきりと悟ったまりさは懇願した。 「約束? 先にするか後にするかの話で、誰も助けるなんて言ってないわよ」 「ゆゆゆゆゆっ! そっ、そんな……ひ、ひどいんだぜ! なんで、まりさにひどいこと するんだぜ? まりさはなにもわるいことしてないんだぜっ!」 力の限り身体を揺さぶって、美鈴の手からなんとか逃れようと、まりさはもがく。 仮に美鈴が手を離したとしても、吊されている以上逃げようもないのだが。 「今まで好き放題に生きて、充分にゆっくりしてきたんでしょ? これも運命だと思って、 ゆっくり受け入れなさいよ」 「い゛っ、い゛い゛や゛だぜぇぇぇぇぇっ! ぞん゛な゛の゛ま゛り゛ざばい゛や゛だぁ ぁぁぁぁぁ!」 まだ一刀も入れていないにも関わらず、まりさは大きく見開いた目から涙を垂れ流し、 口からは涎をこぼし、底部から餡子汁を失禁させている。 「もうお漏らし? こんなんじゃ途中で狂い死にそうね……」 呆れたように美鈴は言い、 「まぁ、狂っちゃったらその時考えよう……まず、一刀!」 ゆっくりと刑の執行を開始した。 「ぼぉぎゅあ゛ぁぁぁぁっ! い゛だい゛ぜぇぇぇぇぇっ! ゆ゛ぎぎぃぃぃっ! ゆ゛ ぎゃぁぁぁっ! じぬ゛う゛ぅぅぅぅぅぅっ!」 大きな口の奥から餡子を全て吐き出さんばかりに、物凄い大声で悲鳴を上げた。 「……そっか、子供よりも大きいから、もちろん声も大きいのよね」 耳の奥がキンキンする。 たった一刀入れただけでこの調子では、先が思いやられる。 「や゛べでぇぇぇぇぇぇっ! や゛べでぇぇぇぇぇぇっ! だずげでぐだざい゛だぜぇぇ ぇぇぇぇっ!」 「……子供よりも、親の方が見苦しいなんて……なんなのよ、こいつ」 直径40センチクラスの大物であるにも関わらず、たった1センチ程度皮を切り削いだだ けで、ここまで取り乱すとは予想外である。 今日は予想外な事態が多すぎで、正直もう美鈴はうんざりしていた。 「この程度もうちょっと我慢なさいよ。あんた大人なんでしょ?」 「だあ゛ぁぁぁでぇぇぇぇっ! い゛だい゛ん゛だぜぇぇぇぇぇっ! がばん゛な゛ん゛ がでぎな゛い゛ぜぇぇぇぇぇぇっ!」 とても情けない答えが返ってきた。 なるべく"ひどく殺そう"と思っていた美鈴であったが、ここまで情けなく見苦しいと、 "ひどく殺す"のが物凄い重労働に思えてきた。 「おねえさんっ! だまされないでっ! まりさはうそつきなのよっ! がんばって!」 「むきゅ! ありすのいうとおりよ、おねえさんっ! まりさのえんぎよ、それわ!」 ありすとゆっちゅりーが、くじけそうになった美鈴の心を察したのか、外野から声援を 送る。 「ゆ゛ぐっ! あ゛り゛ずぅぅぅぅ! ばぢゅじぃぃぃぃ! よ゛、よ゛げい゛な゛ごど い゛う゛ん゛じゃな゛い゛ぜぇぇぇぇぇぇっ!」 今にも白目を剥きそうだったまりさが、地の底から響くような怒りの籠もった声で、二 匹に対して獅子吼する。 「ああ、演技だったのね……ふーん」 危うく騙されるところであった。 考えてみれば、痛みにあそこまで弱いんだったら、暴力でありすやぱちゅりーを支配で きるわけがない。 攻撃手段が主に体当たりな以上、ケンカが強いゆっくりは痛みにも強いのだから。 「本当に見下げ果てたやつね……さくさく行くわよ!」 鳴らし忘れていた爆竹をポケットから取り出し、美鈴は自分の耳に詰めた。 外耳道と同じぐらいの太さの爆竹は、良い具合の耳栓代わりとなった。 「気を取り直して、二刀!」 「あ゛びゃぁぁぁぁぁっ! ゆ゛う゛ゅぅぅぅぅぅっ! じぬ゛ぅぅぅぅっ! ごろ゛ざ れ゛る゛ぅぅぅぅぅぅぅ!」 耳栓のおかげで、あまりうるさくない。 「ああ、そうだわ……こいつにはこれも使おう」 「う゛ぎゃあ゛ぁっ! な゛、な゛じぃぃぃぃ? じびる゛ぜぇぇぇぇぇっ!」 演技ではない絶叫をまりさは発した。 「さっき見てたでしょ? あんたの子供にも使った醤よ。特別に、あんたには一刀ごとに 垂らしてあげるわ」 その代わり一回に切り剥がす皮は大きめにしよう──時間かかりすぎるし。 「な゛、な゛っ、な゛ん゛でだぜぇぇぇぇぇっ! ぞう゛な゛も゛う゛づがばな゛びで、 ぼじびぜぇぇぇぇぇぇっ! ゆ゛ぎぎぃぃぃっ!」 醤が何かは知らないが、それが垂らされると物凄く痛いと言う事は、たった今知ったの で、もう演技ではなく本気でまりさは取り乱している。 「ごべぶな゛ざい゛ぃぃぃぃぃぃっ! ばり゛ざう゛ぉゆ゛る゛じでぐだざぃぃぃぃっ!」 美鈴に向かって、まりさは詫びた。 自分でも何で謝っているのかわからないが、とにかく詫びた。 「あんたが詫びるべきは、ありすとゆっちゅりーでしょ? 私はあの二匹に代わって、あ んたに罰を下しているのよ。最初に言ったでしょ?」 無論、そんな事はちょうど良いから用いた口実に過ぎない。 確かに、ゆっちゅりーの話を聞いて多少の義憤を抱いてはいるが、所詮ゆっくり同士の 事である──美鈴は、まりさに苦痛を与えたいと自ら思って行っているのだから。 「ゆ゛う゛う゛う゛っ……あ゛じずぅぅぅぅっ! う゛あ゛ぢゅぢぃぃぃぃっ! ばり゛ ざが、ま゛り゛ざがばる゛がっだん゛だぜぇ……ゆ゛る゛じでぐだざぃぃぃっ!」 まりさはすかさず、ありすとゆっちゅりーに詫びた。 助かりたい一心で詫びた。 詫びれば助かると思ったから。 「なにいってのんよ? ばっかじゃないのっ! ゆるすわけないでしょっ!」 「むきゅ! きゅきゅきゅっ! あやまったぐらいで、ゆるされるとおもってるの?」 子まりさが酷刑を受けていた時は、見るに堪えない惨劇に喘いでいた二匹だが、恨み骨 髄と言うか、餡の随まで恨んでいるまりさに対しては、非情に冷淡であった。 「ゆ゛ぐっ! ぞ、ぞう゛な゛ぁ……び、う゛ぃどぉい゛ぜぇぇぇぇぇっ! あ゛じずぅ ぅぅぅっ! う゛あ゛ぢゅぢぃぃぃぃっ!」 ──なんでゆるしてくれないんだぜ? ──まりさが、このまりさがあやまってやっているんだぜ? ──どうしてなんだぜ? 「……残念だったわね。それじゃ、三刀!」 さもありなんと言った面持ちで、美鈴は淡々と刑を続行した──そして、またまりさの 口から絶叫が迸る。 「一五刀! ふぅ、大きいと削ぎ甲斐があるわね」 「う゛ぁぎう゛ゅぅぅぅぅぅっ! あ゛じずぅぅぅぅっ! う゛あ゛ぢゅぢぃぃぃぃっ!」 一旦手を休め、美鈴はまりさの状態をじっくり見てみた。 近くの箇所にばかり集中して皮を切り剥ぐと、その部分に圧力が強くかかって餡子が漏 れ出す危険性があるため、一刀ごとに美鈴は削ぎ剥ぐポイントを変えていた。 そのため、ところどこが凹み、醤によって変色していると言う、非情に醜い姿にまりさ は変貌していた。 鏡を持って来れば良かったわね──道具の選定が甘かった事を、少しだけ悔やむ。 「あはははははっ! みて、ぱちゅりー! あのまりさが、あんなぶさいくになっちゃっ たわよっ! あーっはっはっはっ、おっかしぃーっ!」 「むっきゅっきゅっきゅっ! まるでりゅうきんのしょけいね! あくらつなけんりょく しゃは、こうしてむざんにくるしんでしぬのがおにあいだわっ!」 まりさがどんどん壊され変形させられて行くのを、二匹は心から楽しんで見ていた。 あのまりさが、絶対的な力で好き放題にしてきて、ありすとゆっちゅりーをあまりゆっ くりさせてくれなかったまりさが、今ゆっくり死に向かっている。 そう、本当にゆっくりと、ゆっくりらしく、ゆっくりと。 「ひとつ削いでは黄帝様♪ ふたつ剥いでは神農様♪ やっと五〇刀♪」 「ゆ゛びゅぎゃう゛ぁぁぁぁぁっ! ゆ゛る゛じでぇぇぇぇぇっ! ごべぶな゛ざい゛ぃ ぃぃぃぃぃっ! あ゛づぅぃずぶぅぅぅぅぅぅぅっ! ぼあ゛ぢゅぢびぃぃぃぃぃっ!」 二〇刀目あたりから、美鈴は歌いながら執行している。 イレギュラーが多く何度か面倒な気分に捕らわれたが、ここに来てやっとテンションが かなり高まり、楽しくなってきたからだ。 「ふひゅひゅっ! もう、まりさったら、ぞっとするぐらいきもちわるいわねっ! あん なにしろくてきれいだったのに、しみだらけできたならしいわよっ!」 「むきゅきゅきゅきゅ~! やっと、そのみにくいこころに、ふさわしいすがたになって きたわね! ゆっくりしぬために、がんばってねっ!」 観客の二匹も、大変ノリノリである。 美鈴が一刀入れる度に喝采を送り、まりさが悲鳴を上げる度に嘲笑し、まりさが詫びを 入れる度に罵倒している。 「うん、公開処刑ってのは、こういうものよね……執行人と観客が一体化しないと」 遠い目で、そろそろ白みつつある空を眺め、美鈴は呟いた。 「ゆ゛る゛じでぇぇぇぇぇっ! ごべぶな゛ざい゛ぃぃぃぃぃぃっ! い゛だい゛ぃよ゛ ぉぉぉぉっ! じう゛ぃだぐな゛う゛ぃぃぃぃぃぃっ!」 美鈴が手を止めていても、まりさは叫び続け、その悲鳴は休まる事がない。 もう喉もカラカラで、声を出すのも辛いはずなのだが、喉よりも削がれ醤で灼かれた身 体が痛い。 叫ぶ事で少しでも気を紛らわせているのである。 「ぷっぷぷぷっ! しにたくないだって! いつもありすたちに、ゆっくりしね! って いってたのに!」 「むきゅっきゅっきゅぅ~! これがいんがおうほうなのだわ、まりさ! いままでのあ くぎょうざんまいを、ゆっくりはんせいするがいいわ!」 それを眺める二匹もまた、沈黙を忘れたかのように喋り続けている。 もう、今すぐ死んでも悔いは無いと、二匹は思っていた──こんなに楽しいものが見ら れたのだから。 「洪武帝様の言う事にゃ♪ 肉を削ぐは国のため♪ 皮を剥ぐは天のため♪ 命を奪うは 朕のため♪ ほい、一〇〇刀♪」 「う゛ゅお゛ぎゅあ゛ぁぁぁぁぁぁっ! だずげでぇぇぇぇぇ! う゛ぁじぅぃずぅぅぅ ぅっ! ゆ゛う゛じでぇぇぇぇぇぇっ! ごう゛ぇう゛な゛ざい゛ぃぃぃぃぃぃっ!」 無事な皮と言うか、まりさの皮は、もう切り剥がされていない部分の方が少なくなって いる。 ところどころ削がれて変色させられ、ではなく、ところどころ手付かずな皮が残ってい る、と言うべき惨状であった。 「ゆっほほほっ! もうなんかいありすにあやまったのかしらね、まりさは? でもきっ と、ありすがまりさにあやまったかいすうよりはすくないわよねっ!」 「むっきゅきゅきゅぅ~! ぱちぇにはあやまらないなんて、まりさはほんとしつれいだ わ! さっきからあわせて、ありすには97かいあやまったのにぱちぇには89かいよっ!」 まりさが目も当てられない姿となっても、まだまだこの二匹の抱いた強い憎しみと恨み は消えていない。 一応まりさが100回謝ったら、ゆっちゅりーはありすと相談して、美鈴に「もう楽に」 してあげても良いと言うつもりであったが、回数がまだ足りていない。 ゆっちゅりーとありすに言われたからと言って、美鈴がまりさを楽にしてやるかどうか は、定かではないが。 「だいぶ良い姿になったわね。数もキりがいいから、そろそろ終わらせてあげるわよ」 神経を使って細かい作業を続けた成果を、満足げに眺めながら美鈴は、まりさに優しく 語りかけた。 「ゆ゛ぎっ! お゛っお゛ね゛え゛ざん゛っっっっ! ぞ、ぞぞべ、ぼん゛ど?」 思いの外元気な声をまりさは出した。 中の餡子には、垂らされて染み込んだ醤のダメージしか与えられていないので、体力が まだ残っていたのである。 餡子へのダメージが大きくは無いと言っても、散々に与えられた苦痛で確実に体力を奪 われているため、仮にこのまま地面に下ろし開放したとしても、余命はせいぜい保って丸 一日か二日程度だが。 もちろん、それは外敵に全く襲われ無ければ、の話である。 「ええ、本当よ。だって、もう皮がほとんど残ってないし」 ぶっちゃけた話、僅かばかり残った皮を剥ぐのが面倒なのである。目も疲れたので。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じじじじじじじががががががどどどどう゛だぜぇぇぇぇぇぇっ!」 痛みを忘れ、歓喜の叫びをまりさは上げた。 生き延びられる、助かる、許された──耐え難い苦痛と絶望の中、言われた通り、あり すとゆっちゅりーに謝り続けた甲斐があったと、心の底からまりさは喜んだ。 働いてくれるありすを、気晴らしで虐めるのはやめよう。 色々役に立つ事を教えてくれるゆっちゅりーを、ちゃんと尊敬して大事にしよう。 そして、また新しく子供をいっぱい作って、みんなで仲良くゆっくりしよう! ──まりさは、これからは罰を受けないように、真面目に生きて行こうと思った。 「えぇぇぇぇっ! おねえさんっ! まりさをゆるしてあげちゃうの?」 「むきゅっ! おねえさん、まりさにはもっとはんせいがひつようだと、ぱちぇはおもう わ!」 まりさが心を入れ替える気になった事を知らない二匹は、不満で頬を膨らませた。 「あら、まだあの二人は許してないみたいね……どうする?」 やっぱり、と心の中で思いながら、美鈴はまりさに質問した。 「あぁぁぁりぃぃぃぃずぅぅぅぅ! おあぁぁぁじゅゅゅじぃぃぃぃぃ! びどい゛ん゛ だぜぇぇぇぇっ! ゆ゛る゛じでぐだざい゛ぃぃぃぃぃぃっ! な゛ん゛でう゛ぉじま゛ ずがら゛ぁぁぁぁぁっ! お゛ね゛がい゛ぃぃぃぃぃぃっ!」 顔を見せた希望が、再び遠のき消えるのを必死で引き留めるように、まりさは口から餡 子汁を吐き散らして吠えた。 「だって、まりさうそつきだもんっ! ほんきであやまってるの?」 「むきゅききゅっ! まりさはおおかみしょうねんなのよ! かんたんにはしんようでき ないわっ!」 今までのまりさの所行を良く知っていて、実際に被害を受け続けてきた、ありすとゆっ ちゅりーは冷たく言い放った。 「ぞっ! ぞう゛な゛ごどな゛い゛ぜぇぇぇぇっ! ぼん゛どびっ! ぼう゛どじ、も゛ ぼごれ゛がら゛ば、あ゛じずに゛や゛ざじぐじま゛ずぅっ! う゛ぁぢゅう゛ぃぼだい゛ じに゛じま゛ずぅぅぅぅっ! お゛ね゛がい゛ぃぃぃぃぃぃっ!」 ──因果は応報した。 続く このSSに感想を付ける
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ニコニコ動画/アイドルマスター/高槻やよい ソロ高再生 2008-10-31 【リンク】 THE IDOLM@STER 公式サイト THE IDOLM@STER Wikipedia The iDOL M@STER ニコニコ動画まとめWiki ◇◆『ニコニコ動画/アイドルマスター』へ ◇高槻やよい◆ ソロへ/デュオへ/デュオ高再生へ/トリオへ/トリオ高再生へ/殿堂へ/コミュへ/その他へ/墓地へ アイドルマスター ふるふるフューチャー☆ エースオブクラブ やよい アイドルマスター 星間飛行 超もやしンデレラ やよいちゃん アイドルマスター やよい Do-Dai ラフタイムスクール パジャマやよいかみおろしてみた ShinySmileショートver アイドルマスターL4U 高槻やよいソロ my song カウガール アイドルマスター ふたりのもじぴったん やよい アイドルマスター 「私はアイドル」 REM@STER-A やよい アイドルマスター スカートを売ってお仕置きリハをするやよい アイドルマスター 「夢はなにいろ?」 ReProduce やよい アイドルマスター Catch You Catch Me(さくらVer)カードキャプターやよい アイドルマスター 「キメラメキメキ♪ Unlimitable やよいゾーン Edit」 アイドルマスター ロケットガール 高槻やよい 「GO MY WAY!!」 BB.ver アイドルマスター やよい「楽しそうに…ですね!」 アイドルマスター あしたまにあ~なOP 『sweet strawberry toast』 アイドルマスター かたくり粉 ブリーフ&トランクス MAD アイドルマスター やよい デパチカ アイドルマスター やよいにコッペパンを歌って貰いました アイドルマスター "12円の春" やよい (120円の春 歌:YURIA) やよいごまえー(高画質版) ◇◆『ニコニコ動画/アイドルマスター』へ ◇◆『ニコニコ動画』へ Amazon THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 02 高槻やよい
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やあ!こんにちは!俺はグルメお兄さん!職業は料理研究家さ! 普段は料理教室を営んでいるよ! で、こっちは俺の飼いゆっくりのれいむ! 「ゆっくりしていってね!」 それと飼いゆっくり2号のありす! 「ちょっとおにいさん!にごうなんていわないでほしいわ!」 彼女(?)達は俺の大切な仕事仲間でもあるのさ! え?「ゆっくりに料理なんて出来るのか」だって? 違う違う!俺は今「ゆっくりの味」を研究してるんだ! 彼女達にはその協力をしてもらってるのさ! 今日はその研究結果を発表させてもらうよ! ~Case.1~ ヒャッハー!海だー! 「ゆわーい!うみだー!」 「ふたりともー!そんなにはしゃぐとあぶないわよー!」 今日はいつもやってる料理教室をお休みにして海に遊びに来たのさ! もちろん彼女達も連れてきてね! と、いうわけで!早速泳ぐぞー! 「れいむはにじゅうごめーとるおよぎきるよ!」 いやいや無理だろ!危ないからちゃんと浮き輪つけてね! 「ふたりとも!うみにはいるまえにちゃんとじゅんびうんどうしなきゃだめよ!」 「ゆゆっ!うっかりわすれてたよ!」 おおそうだったな!イッチニーサンシー… いやー泳いだ泳いだ!疲れたなー! 「れいむもたくさんおよいだよ!」 お前は波にのまれてただけだろが! 「おにいさん!それはいわないおやくそくだよ!」 はいはいそうでしたね!え?なんでれいむが海に入ったのに溶けてないのかって? 「思い込み補正」だよ!ゆっくり察してね! 「ゆうぅ…おくちのなかがしょっぱいよ!ゆっくりできないよ!」 お前海水結構飲んじゃってたからなあ…それにしても腹減ったな… 「ゆゆっ!おにいさん!それなられいむをすこしだけたべてもいいよ!」 お?いいのか?じゃあお言葉に甘えて…プチッ 「ゆあんっ///」 色っぽい声を出すな!まあいい、いただきます! …これは!兵庫県赤穂市、元祖播磨屋の塩饅頭の味だとッ!? なるほど…海水を飲んだから浴びたからかは分からんが、まさか味が変わるとはな… 「あら、ふたりとももうおよぎおわったの?」 おお、ありす、お前は泳がないのか? 「およぐのなんていなかものよ!ありすはここでとかいはにはだをやいていたのよ!」 俺は都内に住んでいるんだが?…確かに結構日焼けしてるな…それにしても美味そうだ… 「…おにいさんったらもう、しかたないわね…すこしだけならたべてもいいわよ…?」 それじゃ遠慮なく…プチッ 「ゆぅんっ…///」 なんで千切られて官能的な声を上げるんだお前らは! まぁいいか、じゃ、いただきまーす これは…黒糖饅頭の味だと…!? たしかに色は似てるが…日焼けしてこうなるとは… それにしても今日は疲れた!そろそろ帰るか! ん?なんか海のほうが騒がしいな… 「ぎゃー!」「助けてくれー!」 うわっ、何故か海にシャチがいる…さっき上がっといてよかった… ~Case.2~ おっ!あれはオオヨシキリだな!よし!写真取っとくか! 「ゆゆ~ん!ゆっくりしたとりさんだね!でもへんなこえだね!」 今日はれいむを連れてバードウォッチングに来てるのさ! ちなみにありすは鳥に対しトラウマがあるので(主にカラスのせいで)お家でお留守番してるのさ! 「おにいさん!あのとりさんはなんていうとりさんなの?」 おお、あれはルリビタキだな!よしシャッターチャンスは逃さないッ! 『ホーホケキョ ホーホケキキョ』 「ゆゆ?おにいさん!このなきごえもとりさんの?」 ああ、これはウグイスだな、どこにいるのかな~ 「ゆ~ん!ゆっくりできるなきごえだね!」 ………… いや、ない、それはないだろ、いくらなんでも… でも…気になる…!すごく気になる…! すまんれいむ!いただきます! プチッ 「ゆふぅ///」 何が「ゆふぅ」だ!舟木兄弟かお前は!いただきます! …おいおい…嘘だろ…なんでウグイスの鳴き声聞いただけで… 中の餡子がうぐいす餡になってるんだよ!! …今日は凄い発見をしてしまった…ちなみにこの後家に帰ってからうぐいす豆を作って食べさせてみたが 餡子には何の変化もなかった…一体どうなっているんだ!? ~Case.3~ 「おにいさん!ここがとかいはなまっさーじやさんなのかしら?」 えーと地図はと…ああ、ここだここ、やっと見つけたわ。 「おにいさんのほうこうおんちにもこまったものね!」 うるせえやい、誰が連れてきてやってると思ってるんだ、全く。 ところで今日はありすを連れて巷で評判のゆっくり専用マッサージに来たのさ! ちなみにれいむはお友達のまりさ(飼いゆっくりだよ!)のところに遊びに行ってるのさ! 「さっそくいくわよ!おにいさん!」 おーおー張り切っちゃって、やれやれだぜ。 「おねえさんがとかいはなまっさーじをしてくれるのね!ゆっくりよろしくね!」 あ、マッサージ師の方ですか、え~っとじゃあAコースでお願いします。 ありす、俺はここで待ってるからマッサージが終わったらきなさい、ゆっくりしてきてね! 「ありがとうおにいさん!ゆっくりしてくるわ!」 ~数十分後~ 「おにいさん!ゆっくりまっさーじしてもらったわ!」 お、終わったか…お~お前綺麗になったな、お肌がツヤツヤだぞ。 「そ、そんなにほめられるとてれるわ!」 いや、本当に綺麗になったよ…美味そうだし。 「そ、そこまでいうのならすこしだけたべてもいいわよ!すこしだけよ!///」 いいのか?それじゃ少しだけ… プチッ 「ゆぅんっ///」 なんか本格的に艶っぽいぞ…では、いただきまーす。 おお、美味い!かなり美味くなってるぞ! でもこの味…この舌触り…どこかで食べたような… あ…!そうだ!これは…! 仙台銘菓 「萩の月」だ!!! なるほど…ありす種はコンディションが最高になると萩の月の味になるのか… また新たな発見をしてしまったな… よし!じゃあ帰るか!ありす! 「ゆふふ♪ありすとってもとかいはになっちゃったわ♪」 おいおい鏡に映った自分に見とれるなよ… 以上が今までの研究結果さ! また新しい発見があったら報告させてもらうよ!またね! おしまい 散歩してたら思いつきました ちなみに今まで書いたもの 『ふたば系ゆっくりいじめ 160 寄生生物とゆっくり』 『ふたば系ゆっくりいじめ 362 ゆっくりおうえんしていってね!!!』
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元銀バッジまりさの末路 上 39KB 虐待 悲劇 理不尽 差別・格差 誤解・妬み 飾り 同族殺し 共食い 野良ゆ 赤子・子供 ゲス れいぱー 都会 現代 ぺにまむ anko436「れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!!」の外伝です。 ・『ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!!』の外伝です。 他の作品にも関わりがあるのでそちらを見ていただいた方がよくわかると思います。 ・なので一応現代設定です。 ・外伝なのに本編より長いのは気にしてはいけない。 ・俺設定あり。 ・一応『ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね!』とも関わりがあります。 天然あき ある公園に一匹の帽子に傷のあるまりさがいた。 そのまりさは心底イラついていた。 すっきり相手のれいむに逃げられてしまったからだ。 このまりさは心底ゲスだった。 純情なフリをして優しそうなお兄さんに買ってもらい、ゆっくりしていたのだ。 このまりさは人間の前でだけ狡猾な典型的なゲスタイプで、このタイプに騙されてしまう飼い主やゆっくりショップは多い。 金バッジならまだしも銀バッジ程度ならゆっくりでも純粋を演じて獲得が可能だからだ。 そうしてまんまと優しいお兄さんに買われたまりさは飼いゆっくりとして飼い主のいない所でゆっくりと好き勝手し始めた。 飼いゆっくりには手を出さず、野良のゆっくりと行きずりのすっきりや虐殺を行った。 にんっしんし、追ってきたすっきり相手のありすとれいむを家に侵入した悪いゆっくりと騙り、 子供共々飼い主に拷問で苦しめて殺させて信用を得たりしていた。 まりさは自分が選ばれたゆっくりだと思っていた。 つがいのありす達は自分とは違う劣った存在だと思い込んだのだ。 だから、自分に助けを求め、恨み言を吐き、子の助命を嘆願したつがいの目の前で御馳走を食べたり、子供をすっきり殺したり 食べたり出来たのだ。 だが、そんな日々も簡単に崩壊した。 何度も繰り返せば調子に乗り、やり方も注意力もおざなりになる。 散歩途中に出会ったれいむとすっきりし、子供を殺すところを飼い主に見られてしまったのだ。 飼い主は何も知らず家に帰って来たまりさから瞬く間に銀バッジを奪い、保健所へ連れていこうとした。 まりさの帽子が少し破れているのはバッジを無理矢理取ったからだ。 身の危険を感じたまりさは必死に逃亡し、今に至る。 もうお家には戻れない。 「それもこれもれいむがおとなしくしなないのがいけないんだぜ!!」 自分の非道を棚に上げてまりさは文句を言う。 実際はれいむが死のうが死ななかろうが飼い主に一部始終を見られたのだから末路は決まったようなものだっただが…。 まりさは選ばれたゆっくりだという自負があった。 一度選ばれたのだからまた選ばれるのは当然と考えていた。 実際はそんな簡単な話ではないが…。 「ゆう…おなかがすいたんだぜ…」 一度とは言え飼いゆっくりを経験したまりさには舌が肥えてそこらへんの雑草やゴミを食べる事が出来なかった。 ならば人間がいない今、食えるものなど限られていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆっほゆっほ!これできょうもおちびちゃんたちがゆっくりできるよ!」 公園の前を一匹のまりさが跳ねていく。 それを木陰に隠れて見つめるのは傷有りまりさ。 ゆっくりと後をつけていく。 「ゆっくりかえってきたよ!」 「ゆっくりおかえりまりさ!!」 「「「ゆっきゅりおきゃえりなしゃいおちょうしゃん!!」」」 そしてまりさがダンボールで出来たおうちに入っていくのを見届ける。 ただ傷有りのまりさはそれを何をするでもなく見ていた。 「む~ちゃむ~ちゃちあわしぇ~!!」の声を聞きながらまりさはずっとおうちを見続けていた。 翌日。 「それじゃあいってくるよ!!」 「ゆっくりいってらっしゃい!!」 まりさがおうちから出て狩りへと向かう。 それを見送るれいむ。 傷有りまりさのお眼鏡でも中々の美ゆっくりだ。 リボンが少し破れているのが難だが…。 それはさておき、まりさが跳ねていくのを見届けて、傷有りまりさは行動を起こした。 「おちびちゃんたち、きょうもゆっくりしようね!」 「ゆう、まりしゃはゆっくちちゅるよ!!」 「「れいみゅみょゆっくちちゅるよ!!」」 れいむ達がおうちに戻るのを見計らって、傷有りまりさはまりさの後を追った。 「おはなさん!ゆっくりまりさにたべられてね!!」 公園の緑地帯に生えた野花を口で器用にちぎっていくまりさ。 街に住んでいながら野草を食うのに抵抗がないタイプのようだ。 その様子を見ながら傷有りまりさは辺りに誰もいないのを確認し、口に石を幾つか入れてまりさに近寄っていった。 そして、 「ゆっくりしていってね!!」 大声で叫んだ。 するとまりさはこちらを向いて…、 「ゆっくり…」 答えようとした。 だが傷有りまりさはまりさが答えるよりも速く口から石を吐き出した。 ちょうどまりさの顔の中央に石が命中する。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 突然の激痛にまりさは混乱する。 その隙を傷有りまりさは逃さなかった。 瞬く間に口に入れた石を吐き出す。 今度は目に当たり、まりさの左目が潰れる。 「ゆびい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!? どうじでごんなごどずぶの゛お゛お゛お゛お゛!!?」 まりさには何が起きたかよくわからなかった。 初めて会ったまりさにいきなりゆっくりさせらなくされたのだ。 「まりさなにもわるいごどじでないのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 いきなりの理不尽にまりさは思わず叫ぶ。 しかし、 「うるさいんだぜ!! クズはさっさとまりさにおぼうしをわたしてさっさとしぬんだぜ!!!」 返ってきた答えはあまりにも酷いものだった。 傷有りまりさはまりさの帽子を奪い取り、更に口に含んだ石を加重にして体当たりする。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?いぢゃいよお゛お゛お゛お゛お゛!!やめでね!!ゆっぐりじようよ!!」 「まりさにたべられるしかなのうのないあまあまがしやべるんじゃないぜ!!」 傷有りまりさはそのまま何度も何度もまりさを踏み付ける。 最初の一撃で戦意を奪われたまりさはまともな反撃も出来ずに、 「もっちょ…ゆっぐりじだがっだ…」 そのまま息絶えた。 傷有りまりさはそのまま死んだまりさの帽子を被り、自分の帽子をまりさの成れの果てに被せた。 辺りに誰もいないのは確認済みだ。 例え他のゆっくりがまりさの叫び声を聞いてやって来ても人間を騙せる程度の知 能と口八丁を持つ傷有りまりさなら騙し通してしまえる程度の自信はあった。 これで傷有りまりさとまりさは入れ代わってしまった。(傷有りまりさはこれから便宜上ゲスまりさとする。) 「む~しゃむ~しゃそれなり~…」 ゲスまりさはまりさを食べて腹ごしらえする。 栄養豊富だった飼いゆっくりとはいえ、一日何も食わないのは流石に堪えたよう だ。 舌の肥えたゲスまりさが何とかして食えるもの…それがゆっくりだった。 何とか腹を満たす事の出来たゲスまりさはかつてまりさだったものを帽子に詰め込んでいく。 そうして、ゲスまりさはまるで何事もなかったかのように跳ねて行った。 傷付いた帽子はもういらない。 もしかしたら元飼い主が捜しに来るかもしれない。 だがここに帽子があれば、元飼い主も死んだと勘違いしてくれるかもしれない。 そのような理由で主に捨てられた帽子だけがそこに残っていた。 「ただいまなんだぜ!!」 「「「おきゃえりなしゃいおとうしゃん!!」」」 「おかえりなさ…まりさなの?」 帽子をパンパンにしてれいむ達のいるおうちに入ってくるゲスまりさ。 元気に答える赤れいむ二匹に赤まりさ一匹。 目の前にいるのが父親ではない事に気づいていない。 それに対し、少し違和感を感じるれいむ。 「なにいってるんだぜ? まりさはまりさにきまってるんだぜ!!」 呼吸するかのようにさも当然に嘘をつくゲスまりさ。 「ゆうう…でもなんかちがうきがするよ…」 れいむは何だか釈然としない表情を浮かべていた。 「きっとおちびちゃんのせわでつかれてるんだぜ!! きょうはごちそうだからこれをたべてゆっくりすればだいじょうぶなんだぜ!!」 そう言って帽子かられいむにとって愛するつがいの成れの果てを出す。 「ゆ…ゆああああああ!!? あみゃあみゃだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 子まりさが歓喜の叫びを上げる。 同族殺しはゆっくりできない為、発覚すれば殺されるのがわかっているので中々 野生のゆっくりは甘味をとる事が出来ないのだ。 中身が甘味だと知らないゆっくりも多い。 だから「れいみゅはたべぼのじゃないようう!!?」等という台詞をはけるのだ。 「にんげんがすてたのをひろったんだぜ!!」 あまりにもあっさりと嘘をつくゲスまりさ。 成れの果てを出す時も帽子を口にくわえていた(触れているから装着していたの と同じ判断とされた)からまだバレていない。 「ゆゆゆううううう!!? すごいよまりさ!とってもゆっくしてるよおおおおおおッ!!!」 完膚なきままにぐちゃぐちゃにされたつがいの成れの果てだとれいむも気付かず目を輝かせる。 まりさに対する違和感も忘却の彼方だ。 「いちゃじゃきまーしゅ!!」 「む~ちゃむ~ちゃ…ち、ちちあわしぇええええ!!?」 「うみぇ!きょれめっちゃうみぇえ!!」 「とってもおいしくてゆっくりできるよおおおおおお!!!」 皆夢中になって父親であり夫であったものを食っている。 そのあまりの醜態にまりさは自然と笑みが零れてしまう。 やはりこいつ等は馬鹿だと…。 「ゆっゆゆ~…おにゃきゃいっぴゃいだよ…」 「れいみゅ…ねみゅきゅなっちぇきちゃよ…」 人間を遥かに越える単純な身体と知能を持つゆっくりは食べた後すぐ眠くなって しまう。 「ゆふああ…そうだね、きょうははやいけどす~やす~やしようね…。まりさ…とじまりをおねがいするよ…」 親れいむが大口を開けて欠伸をする。 後始末はゲスまりさに任せてさっさと眠りにつく身勝手な親れいむ。 まあいい、どうせ短い付き合いだ。 ゲスまりさは軽蔑の感情を顔に一切出さずゆっくり達が眠りにつくのを待った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆんせ!ゆんせ!」 「すぴ~…ゆぴ~…」 「…とってもゆっくりしてるよぉ…」 ゲスまりさがとじまりの何処から持ってきたレンガを積み重ねていく。 確かにこれをしておけば猫や捕食種に襲われる危険性はなくなる。 だが、それは逆にここから逃げる事も難しくなるという事だ。 完全な成体であるまりさですら一苦労なのだかられいむや赤ゆっくりにレンガを動かせるわけがない。 「ゆっふっふっふ…これでじゅんびがととのったんだぜ…」 ゲスまりさはほくそ笑む。 今まで下らない家族ごっこをしてきたがそれも終わりだ。 「れいみゅ…あきゃあしゃんみちゃいなおきゃあしゃんになりゅよ…」 他のゆっくりは全く起きる気配はない。 ゲスまりさはゆっくりと元の帽子の持ち主が使っていた木の棒を口にくわえて、 「まりさすぺしゃるをたっぷりあじわうんだぜ!」 そのまま親れいむのあんよに突き刺した。 「ゆんぎょああああああああああああああああッ!!!?」 突然の激痛に雄叫びを上げる親れいむ。 「ゆ…どうちちゃのおきゃあしゃん…?」 「そんなおおぎょえだしゅなんちぇゆっきゅりしちぇにゃいよ…」 「…ゆっきゅちちちぇね…」 その叫びに目を覚ます三匹。 「いぢゃあ゛い゛い゛い゛!!! れいむのぎれいなあんよがいぢゃい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 だがありすは子供の声にも気付けず痛みにのたうつ。 「ゆ、ゆううううう!!? おきゃあしゃんのきりぇいにゃあんよがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「おちょうしゃん、はやきゅおかあしゃんをたしゅけちぇね!!?」 やっと親れいむの様子がただ事ではないと理解した赤ゆっくり達は父親だとと思 い込んでいるゲスまりさに助けを求める。 だが、 「うるさいんだぜ!!」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 親れいむを突き刺した木の棒で赤ゆっくりまりさを突き刺した。 「おちょうしゃんなにしゅるにょおおッ!!?」 「ゆっきゅりできにゃいよお!!」 「まりさのごはんはゆっくりだまるんだぜえ゛!!」 続いて非難してくる赤れいむ二匹にも突き刺す。 「ゆぴいいいいいいいいちゃいよおおおおおッ!!!」 「おとうしゃん、どぼぢでごんなごどずぶのおおおおおおッ!!!?」 「まりさ…どうじで…がわいいおちび…ちゃんに…ごんなごど…」 愛するつがいの凶行に訳がわからない親れいむ。 「ぷ…ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」 すると突然笑い出すゲスまりさ。 「ゆ…?」 それに驚くどころか呆気に取られるれいむ。 「まだきづかないなんてとんだあんこのうなんだぜ!!まりさはおまえのかぞくのくずのまりさとはちがうんだぜ!!」 そう言ってもみあげを使って帽子を取る。 途端、れいむ一家の顔が蒼白していく。 「ゆああああああああおとうしゃんじゃないいいいいい!!?」 「どうちちぇちらないまりしゃがおちょうしゃんのおびょうしかびゅっちぇるの おおおおおお!!?」 「おちょうしゃんをどきょへやっちゃのきょのおおおお!!?」 「おまえらのおとうさんならまりさがゆっくりできなくさせたんだぜ!!かんしゃするんだぜ!」 ゲスまりさは誇らしげに言う。 「ゆ…ゆ…ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!ごろじでやる゛う゛う゛う゛う゛う゛!!! ばりざをゆっぐぢでぎなぐじだげずはごろじでやぶう゛う゛う゛う゛!!!」 「うるさいってなんどいえばわかるんだぜ!!」 「ゆぎゅう゛う゛!!?」 激昂する親れいむを体当たり一撃で黙らせるまりさ。 いくら怒ろうにも親れいむの身体は最初の一撃でに負ってしまって いた。 「おまえらだってどうるいなんだぜ!! じぶんのかぞくをたべて“しあわせ~”とかいってたんだぜ!!」 その言葉にれいむ一家全員が硬直する。 そして一拍おいた後、 「ゆげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 いきなり中身を吐き出しはじめた。 自分が家族であるれいむを食した事をようやく理解したのである。 だが嘔吐というの結構な労力がいる。 これでただでさえ出来ない抵抗が更に出来なくなってしまった。 「ようやくきづいたんだぜ!まったくどしがたいあんこのうなんだぜ!!」 ゲラゲラと笑い続けるゲスまりさ。 それを睨み付ける事しか出来ない親れいむ。 「きょろちちぇやりゅうううううううう!!!」 一匹の赤まりさが怒りに身を任せて体当たりしてくる。 だが赤ゆっくり程度の体当たり等大したダメージにもなりはしない。 簡単に体当たりし返す。 「ゆぎゅあ゛あ゛!!?」 「まりしゃあ゛あ゛あ゛!!?」 「きょろちちぇやりゅううううう!!?」 赤まりさが簡単にやり返された事に今度は赤れいむが体当たりしようとする。 しかしゲスまりさは不敵に笑い、 「いいのかだぜ? なかみがでたらゆっくりできなくなるのぜ!」 そう告げた。 そこでやっと自分の身体が危険な状態である事を思い出す。 「ゆ…ゆぐぅ…」 悔し涙を流しながら黙り込むれいむ一家。 それを見てゲスまりさは更に気分をよくする。 今まりさはこの場では神に等しい、と思い悦に浸る。 そして、 「まりさはおなかがすいたんだぜ。 だからおまんじゅうをゆっくりたべるんだぜ」 「ゆ、おまんじゅうしゃん!?どきょ、まりしゃもたべりゅ!」 まりさの宣言に目を輝かせて辺りを見る赤まりさ。 所詮は赤ゆっくり。 甘いものの欲求が全てを忘れ去らせてしまった。 だが、 「いただきますなんだぜ!!」 「ゆぴゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 その期待もゲスまりさに身体の三分の一をかじり取られる事で激痛に塗り潰され た。 「まりしゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 赤れいむが妹である赤まりさの悲惨な姿に思わず絶叫する。 「いぴゃいよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「ごろぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!! ぐぶはごぼじべやぶう゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「どぼぢでぎょんなぎょちょちゅるのおおおおお!!?」 れいむ一家がそれぞれの絶叫を上げる。 しかしとうのゲスまりさは…、 「む~しゃむ~しゃ~ちょとしあわせ~♪ やっぱりたべるならあかちゃんにかぎるんだぜ♪」 と美味しそうに赤まりさの身体を食べていた。 そしてそのまま二口、三口と赤まりさをゆっくりゆっくりと食していく。 一口で殺さないのは苦しめて甘さを上げる為である。 「おちびじゃん!!じっがりじべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 親れいむの悲鳴が響く。 赤れいむ二匹は隅の方でガタガタ震えている。 「もっちょ…ゆっぎゅり…しちゃ…「む~しゃむ~しゃしあわせ~」」 最期の一言すら言う事も出来ず赤まりさはゲスまりさの栄養になったのだった…。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいみゅのきゃわいいいみょうちょぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛れいみゅおうちきゃえりゅう゛う゛う゛う゛う゛ う゛!!?」 「おちびちゃんが…ゆっぐりしてだまりさにぞっぐりだったかわいいおぢびじゃんが…」 家族が一日にして二匹も減ったショックに親れいむは呆然としており、赤れいむは泣き叫んでいた。 「うるさいんだぜ。 ゴミはちゃんとかたづけとくんだぜ」 そう言ってゲスまりさは赤まりさの帽子を赤れいむの近くに放り投げる。 「まりしゃああああああああ!!?」 赤れいむは赤まりさの形見となった帽子へ駆け寄る。 それを見ながらゲスまりさは、 「はやくそのきたないおぼうしをたべるんだぜ」 と告げる。 「「ゆ?」」 ゲスまりさの言葉を理解できない赤れいむ二匹。 ゲスまりさは舌打ちしてもう一度告げた。 「はやくそのぼうしをむ~しゃむ~しゃするんだぜ!!」 「ゆゆ、できりゅわけないでしょおおおおおおおお!!?」 「きょれはきゃわいいれいみゅのいみょうとのおびょうしだよ!! ぞんにゃのでぎりゅわけないでしょおおおお!!!」 当然拒否の叫びをする。 だが、 「たべないならまりさがおまえたちをむ~しゃむ~しゃするんだぜ!!」 ゲスまりさは有無を言わせずに告げた。 「ゆ…ゆぅ…」 流石にさっき自分の家族を食われたばかりでその言葉が本気である事はゆっくりしていたゆっくりの餡子脳でもわかった。 「ゆ…ゆうぅ…」 死にたくない…けれども家族の形見を食べたくない…。 「はやくするんだぜ!! そのきたないおぼうしをたべるか!まりさにたべられるかどっちがいいんだぜ!?」 だがゲスまりさは食わなければ殺すと告げている。 元より選択の余地などなかった。 「ゆっきゅり…む~しゃむ~しゃちゅるよ…」 そう言って帽子を食べ始める赤れいむ。 「ごみぇんね…まりしゃ…」 泣きながら最愛の家族を食べていく。 「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!! こいつらじぶんのかぞくのたいせつなおかざりをたべてるんだぜ!!どうしようもないクズなんだぜ!!」 かつて自分の子供ですっきりしたり食い殺した事を完全に棚に上げて嘲笑うゲスまりさ。 「ゆ、ゆうううう…」 屈辱の涙を流しながらも赤れいむは帽子を食べつづける。 その姿を嘲笑うゲスまりさ。 「ゆ、ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 すると突然叫び声を上げて親れいむがゲスまりさにタックルした。 「ゆがあ゛あ゛!!?」 まさかあんよに穴が開いた状態でそんな抵抗してくるとは夢にも思わなかったゲスまりさはそのまま体当たりされて転がる。 「おちびちゃんたちいまだよ!!はやぐにげるんだよ!!」 親れいむは逃げるように促す。 「ゆ、ゆうう…でみょおきゃあしゃんは…?」 「いいからはやくにげるんだよ!! あのまりさはゆっくりしてるおかあさんがやっつけるよ!!」 「ゆ、ゆう…」 「しっかりするんだよ!!しんじゃったまりさのぶんまでいきるんだよ!!」 迷う赤れいむに親れいむは叫んで行動を促す。 「ゆ、ゆううう!!にげりゅよ!」 「まっちぇおにぇえちゃん!」 赤れいむが跳ねて出入口に向かう。 「おちびちゃん…げんきでね…」 赤れいむ二匹を逃がす為に親れいむはゲスまりさに立ち塞がる。 ゲスまりさはというと…、 「ぷ、ぷくくく…ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」 転がった姿勢のまま馬鹿笑いしだす。 「ゆうう、なにがおかしいの!!!?」 いきなりの馬鹿笑いに驚き戸惑う親れいむ。 それはゲスまりさが答えるよりも早くわかった。 「れんがしゃんゆっきゅりどいちぇね!」 「れいみゅのじゃまをちゅるなんちぇゆっきゅりちちぇにゃいよ!!」 「ゆゆゆううううう!!?」 親れいむは気付いた。 眠る時はいつもレンガで塞いでいた事を…。 それは外からの外敵の侵入を防ぐのに役に立ったが同時に中から外への脱出を困難にする事でもあった。 赤れいむ二匹にレンガを動かすことは出来ない。 親れいむも今の状況では出来ない。 そもそも親れいむは完全に忘れているが赤れいむ二匹も決して軽くはない怪我を負っているという事を…。 ゲスまりさとつがいのまりさが入れ代わっているのを気付けなかった時点で詰んでいたのだった。 「まさかここまであんこのうだとはおもわなかったんだぜ!」 「ゆ、ゆうううう!! かわいいちびちゃんはれいむがまもるよ!!」 もはやゲスまりさを倒す以外に道はないと親れいむは判断する。 だがさっきの自分を省みない不意打ちの際に今までとは比ではない量の餡子を撒 き散らしてしまった。 ゆっくりだから気にもならないが周囲には甘ったるいニオイが充満していた。 「どいちぇねれんぎゃしゃあああああん!!?」 「れいみゅがゆっきゅりできにゃいよおおおおおお!!?」 涙を流しながら絶叫する赤れいむ二匹。 体当たりしても無駄な事を内心理解しているのだろう。 それの盾になる形で前にいる親れいむ。 「おちびちゃんたちは…れいむがまもるよ…!!」 「ゲラゲラゲラ…これだからのらはばかでいやになるんだぜ!!」 ゲスまりさはその親れいむの姿を嘲笑う。 そして、 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりの代名詞とも言える言葉を放つ。 そうすれば必然的に、 「ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」」 言葉を返してしまうのが哀れなゆっくりの性だった。 その隙をゲスまりさは見逃さなかった。 さっきのお返しと言わんばかりに親れいむに体当たりする。 「ゆぎゃあ゛あ゛!!?」 不意打ちとなった一撃を受けた親れいむは先程のゲスまりさのように転がっていく。 その結果、 「ぷぎゅ!!?」 ぶちゅり、と音を立てて赤れいむ一匹が親れいむの下敷きになって潰れた。 「おねえちゃんぎゃちゅびゅれちゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ゆ…ゆゆゆ!!?」 残った最後の子供である赤れいむの叫びで何が起きたか親れいむは理解してしまった。 「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!! おちびちゃんをまもるんじゃなかったのかだぜゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!」 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 自分が殺した…そんな現実から逃避する為に親れいむは怒りをまりさにぶつけようとする。 だが、 「こんどはきかないんだぜ!!」 「ゆぎゅあ゛あ゛!!?」 元々の状態でぶつかり合えば親れいむがゲスまりさに勝てる訳がない。 簡単に体当たりで吹っ飛ばされる。 「おきゃあしゃああああああん!!?」 赤れいむが親れいむに駆け寄る。 「お…ちびちゃ…にげ…」 「ちっきゃりちちぇよおきゃあじゃん!? いっちょにゆっぎゅりじようよお゛お゛!!!」 逃げるように促す親と、親を心配する子。 窮地になると家族ですらあっさり見捨てるゆっくりという種では珍しく強い絆を持っているようだ。 だが、そんなものはゲスまりさの前には何の意味もなかった。 「ゆうう、うごいたらおなかがへったんだぜ。はらごしらえをするんだぜ」 「ゆ!?きゅ、きゅるにゃきょのきゅじゅああああああ!!?」 赤れいむは逃げる。 動揺した頭は親れいむの口の中に避難するという選択肢すら浮かばず、狭いおうちの中を跳ね回る。 しかし、赤ゆっくりが成体から逃げられる訳がなかった。 「やじゃあ゛あ゛!!?れいみゅはゆっきゅりしゅりゅにょお゛お゛お゛!!ごんなどごべじびだぶないいい!!?」 跳ね回る赤れいむ。そのすぐ背後に迫ったゲスまりさ。 ゲスまりさの舌の届く位置まで追い付かれた赤れいむにもう逃げる術はなかった。 「いただきますだぜ!!」 最初から赤ゆっくり全て食うつもりだったゲスまりさは舌を器用に使って一息に赤れいむを口に入れ、よく噛んだ。 「ゆぎいぃッ!!!?」 断末魔ともとれる叫びを上げ、赤れいむの声は完全に途絶えた。 最初の一噛みで死ねたのはむしろ幸運と言えよう。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!?」 最後の一匹も食われてしまい絶望する親れいむ…いやもう子供はいないのだからただのれいむだ。 「む~しゃむ~しゃそれなり~♪」 口の周りを餡子で汚しながらも幸せそうな顔をするゲスまりさ。 れいむの目からでもとてもゆっくりしている事がわかる。 どうしておちびちゃんたちがゆっくりできなくなったのにこんなゲスがゆっくりしてるの…? れいむは憎かった…。 家族を殺したゲスまりさを…。 何も出来ない自分を…。 だがれいむはただゲスまりさを憎悪を込めた眼差しで睨みつけるしか出来なかった。 「はらごしらえがおわったらつぎはうんどうしたくなってきたぜ」 ゲスまりさは邪悪な笑みを浮かべてれいむを見ながら舌なめずりをする。 途端にいきり立つゲスまりさのぺにぺに。 それでれいむにはまりさが何をしようとしているのか理解出来た。 一瞬にしてれいむの顔が恐怖に染まる。 「い、いや…こないで…」 れいむは歯をガチガチ鳴らし、はいずりながら逃げようとする。 だが今のれいむの状態ではゲスまりさから逃げることも、出入口を塞ぐレンガを どかす事も出来ない。 「かおはいまいちだけどまりさはかんだいだからがまんしてやるんだぜ!」 「ごっぢぐるな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……!!!?」 れいむの悲痛な叫びが響いたのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ゲスまりさは跳ねていく。 用のなくなったおうちを捨てて。 れいむは結局あの後、ゲスまりさのすっきり用ゆっくり兼食料製造機としての生涯を送った。 最後の方には虚ろな瞳で「まりざぁ…おちびじゃん……おねぇぢゃ…おにいざ……」と譫言を呟き続けて子供の作りすぎで黒ずんでいった。 栄養を十二分に手に入れたゲスまりさは次なる獲物を探して跳ねていく。 人間に会えばどうなるかわからない。 ゆっくりを虐めるのを楽しむ人間がいる事をゲスまりさは知っている。 ゲスまりさの元飼い主もその一人だった。 飼いゆっくりは可愛がるが野良には容赦しない。そんなタイプだった。 だから人間に飼ってもらうにはゆっくり見極めなければならない。 捨てられた時点で希望は皆無だというのに…。 ゲスまりさは浅ましくまだ飼いゆっくりとしての生活へ舞い戻る事を諦めていな かった…。 『ゆ~ゆゆゆ~ゆゆゆ~ゆゆゆ~♪』 すると何処かの家から耳障りな雑音が聞こえた。 「ゆうう、ゆっくりできないぜ…」 どうやら同じゆっくりからしてもあまり上手ではないらしい。 だがおうたを歌うゆっくりは野良の割合が高い。 おうたを好むのはれいむ種が多く、れいむ種はまりさ種よりも戦闘力は低い。 それに飼いゆっくりだったらおうたは歌わないようにさせるか、人間からでも聞 けるものに矯正するかのどちらかだ。 つまりはこのゆっくりは勝手に人間の家に入ったゲスだとゲスまりさは判断した。 これはチャンスだ。 そうゲスまりさは考えた。 人間のおうちを勝手に占領するゲスなゆっくりをやっつけて人間に恩を売ればも しかしたら飼いゆっくりになれるかもしれない。いや、そうに決まってる!! 実際はゲスまりさも薄汚い野良なので、同じような駆除対象でしかないのだがゲ スまりさは自分と野良ゆっくりに隔絶したものと無意識下に考えている為気付きもしない。 まあこれはゲスまりさだけではなく元飼いゆっくりに多い傾向ではあるが。 それはさておき、ゲスまりさは誰にも気付かれないようにゆっくりと野良ゆっくりのいる人間の家の敷地に近付いていく。 そこには予想通りバッジのないれいむ一家がそこにいた。 バッジが無い、これでゲスまりさが益々チャンスと判断した。 あれをゆっくりできなくしてゆっくりしてやろう。 ゲスまりさはそう結論して近付いていく。 「そろーりそろーり…」 ゲスまりさはゆっくりと近付いて行く。 声を出して雑草を倒しながら進んで行く。 ここまでして気付かないのはゆっくり位なものだ。 そして、 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりでは回避しようのない不意打ちを始めた。 「ゆっくりしてい…ゆげぇえ!!?」 ゲスまりさは親らしきれいむの返答を聞かず体当たりする。 「ゆぎゅう゛ぁ!!? な゛にずぶのぼぉッ!!?」 口から餡子を吐き出して非難する親れいむを無視して口に入れてある石を重みにした身体でゲスまりさは体当たりする。 「やめちぇね!おきゃあしゃんいちゃぎゃっちぇるよ!!」 「おきゃあしゃんをいじみぇるにゃあ゛あ゛!!!」 「うるさいんだぜ!!」 ゲスまりさは難無く赤ゆっくり四匹を弾き飛ばして、親れいむに攻撃を続ける。 「ちゃっちゃとしぬんだぜ!!」 「ゆぎいい゛い゛い゛!!?」 出鼻をくじかれた親れいむは反撃も出来ずただ嬲られていく。 赤ゆっくり達は最初のゲスまりさの攻撃で完全に萎縮してしまい何も出来ない。 「はやきゅきょいくちょじじい!!!」 「おきゃあしゃんをたじゅけりょおおおおおお!!!」 ただ赤ゆっくり達が勝手に奴隷と思い込んでいた人間に来るように催促するだけだった。 当ゆっくり達は気付いていないが今日がもし平日だったら男は仕事で家にいない かもしれないのにまるでいるのが当然のように扱っていた。 まぁ今回は男がいたからよかったが…。 「ばかなれいむはゆっくりしぬんだぜ!!」 「ゆぴいッ!!?」 「やめちぇね!おきゃあしゃんいちゃぎゃっちぇりゅよ!!?」 「どうちちぇぎょんなきょちょずるこぼお゛お゛!!?」 ゲスまりさは答えず体当たりを繰り返す。 すると、 「ゆうう!!じじい!はやきゅおきゃあしゃんをたちゅけりょおお!!!」 赤ゆっくりの一匹がゲスまりさの背後の誰かに向けて叫んだ。 やっと人間が来た! ゲスまりさはそう確信して人間の方へ向き直る。何処と無くゆっくりさせてくれそうな雰囲気をしていた。 そして、 「おにいさん!まりさはこのにんげんさんたちにめいわくをかけるわるいゲスなゆっくりをせいっさいしてるんだよ!!」 と高らかに宣言したのだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「っちい!つかえないじじいだったんだぜ!!」 ゲスまりさは舌打ちしながら不満そうな顔を隠しもしない。 ゲスまりさは自分があのクズのれいむ一家を懲らしめて、その恩で男のペットに なろうとしたのだ。 しかし、男はそれを丁重に断り、人参を渡す事で帰ってもらう事にしたのだ。 野良ゆっくりに対してならば破格の扱いなのだがゲスまりさはそれでも不服だった。 ゲスまりさの目的は飼いゆっくりになる事。 帽子も野良のものに変わっており、人間からも同じ飼いゆっくりからも元飼いゆっくりであるとはわからない。 飼い主にしてやろうとしたのに男はまりさの要求を拒否しやがったんだぜ!! 下手に出てればいい気になってるんじゃないぜ!! みたいな事を考えていた。 与えられた人参等にまりさは騙されはしない。 とかも考えててもいたが結局それで引き下がったし、下手に出てたら調子に乗ったのはゲスまりさの方であった。 むしろ普通ならばすぐにれいむ一家共々潰されるのがオチだ。 庭でしか飼わず、外に出すつもりがない場合は飼いゆっくりにわざわざバッジを付けない飼い主もいる。 その場合はさっきのゲスまりさが行った行動は殺されてもおかしくなかっただろう。 それを無傷で尚且つ野良では滅多に手に入らない人参をまるごと数本手に入れら れたのだから結果としてはかなりいい方なのだがゲスまりさは不満足だった。 「あのじじいはみるめがないんだぜ!! こんどあったらもっとおやさいをよこしてもらうんだぜ!!」 ゲスまりさはあの家の主であった男を都合よく食い物をくれる人間と判断したようだ。 ゆっくりは一度相手を見下せばその見下された相手はどんどんそのゆっくりの中で下位となっていく。 見下せば見下す程相手に対して強気になるのがゆっくりだった。 それは飼いゆっくりであろうと変わらなかった。 それがゲスまりさにとってどんな災いになるかも知らずに…。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― とりあえずゲスまりさはゆっくりできる場所を探して跳ねていく。 食糧は手に入れた。あとは住居だけだ。 すると、 「ゆ…ゆぅ…」 一匹のやつれながらも気品らしきものがある美ありすが倒れていた。 カチューシャにはバッジを無理矢理外したような跡がある。 ゲスまりさは間違いなくあれは元飼いゆっくりだと確信した。 おそらく捨てられて食うものを得られず衰弱して倒れたのだろう。 「……………」 別段不思議でもないゲスまりさが飼いゆっくりの時にもよく見た光景。 それなのにまりさは何故かありすから目が離せなかった。 「たず…げで…」 ゲスまりさに気付いたありすは助けを求める。 いつものゲスまりさなら見捨てるか殺してむ~しゃむ~しゃするかのどちらかだ。 だが、何を感じたのかゲスまりさは持っている人参を分け与え始めた。 食べやすいよう一度ゲスまりさがかみ砕いて渡す。 「ゆ…ゆゆ、ありがとう…まりさはゆっくりできるまりさだね!!」 何とか会話出来るまで回復したありすはゲスまりさにお礼を言う。 「……………」 だがゲスまりさはそっぽを向いてしまう。 何だか照れ臭かったのだ。 「ゆうう?まりさどうしたの?」 「な、なんでもないんだぜ!!」 ゲスまりさの行動に首(?)を傾げるありす。 「そ、それじゃまりさはいくんだぜ!!」 「ゆ、ちょっとまって! いっしょにとかいはにゆっくりしましょ!!」 去ろうとしたゲスまりさをありすは呼び止める。 ゲスまりさがありすの方を見ると、ありすは屈託のない笑みを浮かべていた。 それを見ただけで顔が真っ赤になるゲスまりさ。 ゲスまりさは感じた。 ゆっくりできないんだけどゆっくりできる不思議な感覚を。 今まで感じた事のない感覚にゲスまりさは戸惑っていた。 「…ゆ、わかったんだぜ…」 ゲスまりさはその感情の正体がよくわからないながらもその感情に従う事にした のだった。 その感情が恋だと気付くのにゲスまりさはもう少し時間がかかりそうだった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あれから数日が経過した。 三以上数えられないゆっくりからすればたくさんの日が過ぎたのだ。 「おちびちゃんたち、きょうはおさんぽにいくんだぜ!」 「おしゃんぽ!おしゃんぽ!」 「とっちぇもときゃいはにぇ!」 野良生活にすっかり慣れたゲスまりさにはあのありすとの間に二匹の子まりさと 子ありすの子供が出来ていた。 あの後台風の直撃を経験し、公衆便所へ逃げ込んだがそこへやって来たゆっくり 出来ない人間から逃げて二匹は互いに愛し合うようになった。 所謂吊橋理論というやつだ。 ゆっくりの馴れ初め等誰も聞きたくないから割愛するとして、ゲスまりさはこうして初めて可愛いと思える我が子を手に入れた。 野良ゆっくりは生存競争が激しく、三日かそこらで子供を産む個体も多い。 のんびり子供を産めるのはゆっくりできる森や山のゆっくり、もしくは飼いゆっくり位だ。 ゲスまりさに子供は結構いたが大体がゲスまりさ自身の手で殺されているからい ないも同然だ。 ゲスまりさは可愛い可愛いおちびちゃん二匹を見るだけで頬が緩んでくる。 ゲスまりさは初めて幸福というものを感じたのだった。 いつしかゲスまりさの中での目的が“かいゆっくりになる”から“ありすとおち びちゃんたちとゆっくりする”に変わっていた。 「おきゃあしゃん、ありぇにゃに~?」 「あれはね、“おといれ”っていってにんげんさんがうんうんとしーしーをするばしょよ!」 「おとうしゃんおとうしゃん! まりしゃきれいなおはなしゃんみちゅけちゃよ!!」 「ゆゆう、さすがまりさのおちびちゃんなんだぜ!!」 先日の台風で公園に住むゆっくりの数は激減して餌にも余裕が出来、家族でのんびり散歩できた。 公園をぴょんぴょんと跳ねていくゲスまりさ一家。 すると、 「おちょうしゃん、あしょこににゃんだきゃゆっきゅりできにゃいのぎゃいりゅよ!」 子まりさがゆっくりできない何かを見つけた。 それは一匹の成体れいむに二匹の子ゆっくり位のはげまんじゅうだった。 何故かおかざりが頭ではなく顎の部分につけられているから気付きにくかったがはげまんじゅうがれいむ種である事がわかった。 「ゆゆう、いなかものなれいむね…」 「ゆっきゅちできにゃいよぉ…」 ありすと子ありすが不満げな顔をしている。 それを見たゲスまりさは、 「おとうさんにまかせておくんだぜ!! あのゆっくりできないゆっくりどもをせいっさいしてくるんだぜ!!」 家族の前で良いところを見せたいゲスまりさはありす達にそう告げて跳ねていく。 相手はボロボロの成体とはげまんじゅう。 「ゆっくりしていってね!!」で不意を打つ必要すらなかった。 「ゆっくりしねえ!!」 ゲスまりさが叫びながら体当たりをする。 「ゆぶぐえッ!!!?」 傷だらけの成体れいむがゲスまりさの体当たりで転がっていく。 「おきゃあしゃあ゛あ゛あ゛あ゛ん!!?」 「ひょほひへほんにゃひょほしゅふのほおおおおおお!!?」 転がっていく成体れいむを見ながらはげまんじゅう二匹がゲスまりさを非難する。 「ププ、ゆっきゅりできにゃいきゅじゅがなにきゃちゃべっちぇりゅよ」 「いなきゃもにょにょくちぇににゃまいきにぇ!」 一番大きい成体れいむがあのザマだった為、相手が弱いとわかると途端に強気になるのは人間もゆっくりも同じだ。 「よひゅもおひゃあ゛じゃんをお゛お゛お゛お゛!!!」 はげまんじゅうがゲスまりさに体当たりを仕掛ける。だが貧弱な子ゆっくりの体 当たりなどゲスまりさの前には意味がなかった。 「きだないクズがまりさにざわるんじゃないぜ!!」 ゲスまりさは逆にはげまんじゅうを弾き飛ばし、上からのしかかる。 汚らわしいものに触れられたと思いブチ切れたゲスまりさははげまんじゅうを綺麗に半分だけ踏み潰す。 身体の半分が無くなった事によりはげまんじゅは苦しむが、ゆっくりは中身を三分の一以上失えば死に、脳の部分の役割を持つ中枢餡を破壊されれば死ぬので綺麗に半分潰されたはげまんじゅうは、即死には至れず、致命傷の中で無駄な苦しみを味わう事になった。 「ゆ、ゆひぃ…いひゃいほぉ…ゆっひゅひぃ…」 顔のある前面の方だけが動いて気持ち悪い。 「どうひへ…へいひゅは…ほんな…へに…」 目が苦しみから逃れようとせわしなく動き、ある一点の方向を向いたまま、動かなくなった。 ゲスまりさは目障りだとばかりにそのはげまんじゅうを完全に潰すと生き残っているもう一匹のはげまんじゅうへ意識を向ける。 「ゆひぃ!!?」 今まで呆然としていたはげまんじゅうも、自身に危険が迫っている事に気付き、 恐怖に顔が引き攣る。 しかし、 「おちびじゃんは…れいむがまもるよ…!!!」 「おきゃあしゃん!?」 転がした筈のれいむが戻って来てゲスまりさに立ち塞がる。 親の愛情は強しとでも言うべきかもしれない。 ボロボロの身体ではげまんじゅうを守る姿は憐れでありながらも何処か美しさがあった。 命に代えても子供を守ろうとする覚悟は高潔でもあった。 「おちびちゃんをいじ「うるさいんだぜ!!」ゆぴぃ!!?」 しかし現実の力の差の前にはそんなものは意味がなかった。 「ゆっくり!できない!くずは!いきてる!だけ!むだ!なんだぜ!! だから!!ゆっくり!!しないで!!さっさと!!しぬんだぜ!!」 「ゆぎぃ!?くびぃ!?ひびぃ!?」 何回もの踏み付けるかのような体当たりにれいむは餡子を吐き出す。 傷口からも溢れていく餡子がゲスまりさの体当たりでポンプのようになって飛び散る。 「ゆ…ゆひぃ…」 れいむの餡子を半分出した時点でゲスまりさは体当たりを止め、はげまんじゅう へ向き直る。 「や、やじゃ…ちにちゃきゅにゃい…」 はげまんじゅうはゲスまりさに完全に萎縮してしまった。 「にげ…ちぇ…おちびちゃん…」 れいむが死に体でありながらも逃げるように促す。 「ゆ、ゆわああああああああん!!!」 はげまんじゅうは涙を流して逃げ出す。 だが所詮赤ゆっくりの逃げ足などたかが知れている。 「ゆっくりできないくじゅはいきでるだけむだなんだじぇ!!」 するとはげまんじゅうが逃げた先に赤まりさが立ち塞がり体当たりで弾き飛ばす 。 「ゆげえ!!?」 はげまんじゅうは回避行動も取れず転がってしまう。 「まじゃおわりじゃにゃいじぇ!!」 赤まりさははげまんじゅうの後を追い、何度も体当たりを仕掛ける。 「ゆぎい!!?いぢゃい゛い゛い゛い゛い゛!!!」 泣き叫ぶはげまんじゅう。 「ぷきゅきゅ、きたないなきごえね」 「まりしゃおねえしゃんやっちゃえ~♪」 嘲笑う声は聞こえても助けようとする声はしない。 「ゆ、ゆひぃ…」 それでもはげまんじゅうは必死に逃げる。 「そろそろ死ぬんだぜ!」 しかしそんなはげまんじゅうの努力を嘲笑うかのようにゲスまりさがはげまんじ ゅうにのしかかる。 その結果、ついにはげまんじゅうの皮が破れて餡子が漏れ出す。 迫り来る死の予感にはげまんじゅうは戦慄する。 そして、 「おきゃあしゃんたぶべッ!!?」 親に助けを求めようとして、ゲスまりさに跡形もなく潰されたのだった。 「お…ちびちゃん…」 れいむはただただ呆然と呟くだけだ。 それに対して歓喜の声を上げるゲスまりさ一家。 「さすがありすのだ~りんのまりさね!とってもとかいはよ!!」 「ゆゆ~ん。てれるんだぜありす♪ そういうありすもかわいいんだぜ♪」 「おちょうしゃんもおきゃあしゃんもとちぇみょゆっきゅりちちぇるね!」 「とっちぇもときゃいはにぇ!」 互いにゆっくりできないやつを倒した喜びを分かち合う。 その時、ゲスまりさが近付いてくる足音に気付いた。 ゲスまりさが振り向いて反射的に、 「ゆ?なんのようなんだぜ!! いまとりこみちゅうなんだぜ! さっさとどっかいかないとゆっくりできなくさせるんだぜ!」 と威嚇した。 ゲスまりさが叫んだ先にはかつてゲスまりさに人参を捧げた男がこっちに向けて歩いて来ていた。 男の方は数日の間に野良として適応し、薄汚れたまりさとかつて庭に勝手に住み着いたれいむ一家の親れいむを殺したまりさが同じゆっくりだとは気付かなかった。 だが変な所で頭の回るゲスまりさは男があの時人参を捧げた男だと言い切った時点で気付いた。 だから人間の強さを知っているゲスまりさでも強気な態度を崩さずにいる事が出来たのだ。 そして、その声に反応したれいむも男に意識を向けた。 次の瞬間、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 突然の大絶叫を上げて、目を見開いたまま親れいむは二度と動く事は無くなった。 ゲスまりさ一家もそれに対してビックリする。 ゲスまりさ達が一体何なのかとれいむの方を見ると既にれいむは息絶えていた。 これ以上なく顔を恐怖に歪めて…。 『いったいなんなんだぜ?』 ゲスまりさはれいむが急に叫んだ意味が理解できなかった。 あの叫び声は台風の日にトイレに逃げ込んだ時に現れたゆっくりできない人間に 殺されていったゆっくりが上げた叫び声と似ていた。 と、考えている内に男は踵を返して公園から出ていこうとする。 男が逃げようとしている。 そう判断したゲスまりさは再び男からゆっくり出来る何かをもらわなければなら ないと考えていた。 「ちょっとまつんだぜ!!」 だから咄嗟にゲスまりさは男を呼び止めた。 「何だい?」と呟きながら男が親まりさの方へ振り向く。 ゲスまりさは完全にこの男を見くびっていた。 かつて弱っちい赤ゆっくり四匹の言われるままだった男…ゲスまりさが散々罵倒したのに何もしないでただ人参をよこしていた男…。 下と一度見なしたらとことん下と見なすゆっくりという種の特徴。 その本質は他のゆっくりに比べて頭の回るゲスまりさもその本能だけは消せなかった。 かつてゲスまりさは誓った。 今度会ったらもっとおやさいをよこさせてやろうと。 もはやゲスまりさの中ではこの男から野菜を貰う事が確定していた。 『そうだ、ぜっせいのびゆっくりのありすとてんかいっぴんのかわいさをもつお ちびちゃんをみたぶんもはらってもらうんだぜ!!』 と決めたゲスまりさはむかつく笑みを浮かべて…、 「さっききれいなありすとかわいいおちびちゃんをみてたんだぜ!!かんしょうりょうをようきゅうするんだぜ!!」 と言い放った。 これには思わず男も渋い顔をする。 しかしゲスまりさは気にせず宣言する。 「ぜっせいのびゆっくりのありすときゅうきょくのかわいさのおちびちゃんをみたんだからとうぜんなんだぜ!! でもまりさはかんだいだからいちまんえんでゆるしてやるんだぜ!!」 「ゆゆう!!ぜっせいのびゆっくりだなんててれるわまりさ!!」 「「きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇー!!」」 ありすとかわいいおちびちゃんが答える。 「……………!?」 男の身体が強張る。 「ゆ?どうしたんだぜ? はやくよこさないとまりさがじきじきにゆっくりできなくさせてやるんだぜ!」 男がよくわからない行動をするのにゲスまりさは疑問に思った。 だが、 「きっとありすとおちびちゃんたちのかわいさにみとれちゃったのね!!」 ありすの一言で納得してしまった。 もしかしたらこれが最後のチャンスであったかもしれなかったのに…。 「ゆ、そうなのかだぜ!! なかなかみどころのあるじじいなんだぜ!!」 いくら頭が回ろうとも所詮はゆっくり。 一度見下した相手は痛い目に遭わなければ見直さないのだ。 「ゆぅ~、しょうがないわね。 とかいはなありすがさーびすしてあげるわ。 さぁ、おちびちゃんもいっしょにいいましょう!!」 勘違いして勝手に話を進めているありす達。 だが男はそれに反応しない。 そして、 「かわいくってごめんね~♪」 「「きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ~!!」」 親ありすと子ゆっくり二匹はそう言いながらウインクした。 「ゆううう!!?さすがありすなんだぜ!!さーびすおうせいなんだぜ!!ありすはせかいいちのきりょうよしなんだぜ!! はやくくそじじいはいちおくちょうまんえんはらうんだぜ!!」 男は調子に乗ったゲスまりさの言葉にも反応しなかった。 ただ…、 「ゆゆう!!?」 目から大粒の涙を流していた。 そして…、 「……謝らなくって…いいんだよ……」 こうして…ゲスまりさは大切な家族を失う事になったっだった……。 続く あとがき おかしい…何でこんなに長くなってるんだ…? 本来はさっさと殺して終わらせる筈だったのに無駄に長くなってる…。 個人的には出てくるゆっくりは全てしっかり殺したいから長くなってしまっているのか…? と、いうわけで申し訳ありませんが長すぎるので上と下に分けて作らせていただきました。 どうか御了承ください。 それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。 ところで、天然お兄さんは虐待人間と愛護人間どっちに該当させればいいんだろうか? 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 最後が面白かった(小並感) -- 2018-12-04 00 05 25 奴だ! -- 2016-08-30 16 57 14 あれー、最後のセリフどこかで聞いたような(棒 -- 2014-04-23 19 22 24 またお前かwwwこいつはやばいww -- 2013-05-10 16 26 24 The ゲスの称号を持つゲスまりさには嘔吐が出るくらい醜い死に様がお似合いだね☆ -- 2013-04-09 20 44 47 オイ……やべぇよ…やべぇよ…この鬼意惨は… -- 2012-10-13 17 04 43 ゲスは死ね!「 -- 2012-02-24 11 34 14 リンクしているのがいいねwww このクズの死に様に期待 -- 2011-10-10 22 00 20 ゆっくり駆除してくれた所までは良いゆっくりだったのに人間を見下すからこうなるんだ糞饅頭が。 -- 2011-03-25 12 34 52 こいつが来るとはwwww イラつくけどすげーおもしろいwwwww -- 2011-02-27 20 18 20 散々同族殺ししておいて恋とか家族持つとかゲスのクセきめぇんだよ。 あと、最後の文章見たことあったと思ったら、 お ま え か! -- 2010-11-25 08 52 43 またお前かw -- 2010-09-17 10 01 19 ま た お 前 か ! ! ! -- 2010-09-11 14 52 17 久々に驚いたわ!!まさにあんたかってかんじ!! -- 2010-09-11 00 44 57 おまえか! -- 2010-07-30 18 33 04 奴か… -- 2010-07-17 23 48 19 最後の人間の台詞で噴いたw あ・ん・た・か! -- 2010-07-13 01 05 19