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芽衣のストーカー事件から2ヶ月程経った8月のある日の夜の神姫センター、応接室の一室で密談が行われていた。 「―――と言う訳でして、ぜひともお願いしたいのです」 神姫センターの企画スタッフにお願いされる。クロエとエリアーデ 「お話は分かりました。でも私たちで良いのでしょうか?」 「是非に、と言うよりもエリアーデさん以外に適役がいないのです」 そうまで言われてしまえば断る理由がない。と言うよりも元々断る理由がない。あとはエリアーデの返事だが、 「まぁそこまで言うのでしたら仕方がありませんわ、お受けいたします。ですわよね?クロエ」 「と言うことなのでそのお話受けさせていただきます」 「良かったです。それでは細かいところのお話をさせていただきます」 密談は続き、夜は更けていく 季節は移り変わり秋、四連休初日の神姫センター、中ではコウモリやガイコツなどのおどろおどろしい様々な飾りが雰囲気を醸し出す。全てはある神姫大型イベントを盛り上げるためである。 イベントホールには百人を超える神姫とそのオーナーがひしめきあっていた。 急に照明が落ち、盛大なドラムロールと共にステージ中央の一か所にスポットライトが当たる。そこには一人の魔女の恰好をした女性がマイクを握り立っていた。 「皆様!お待ちかねの大イベント、ハロウィンパーティーの開催です!」 湧き上がる歓声、熱気の渦に会場が包まれる。 「さて、今回のイベント、ハロウィンパーティーでは休日三日間を使った大イベントです。皆様、準備はよろしいですか?」 会場内のボルテージがぐんぐん上がっていく。 「それでは!初日である今日はバーチャルフィールドを使ってのダンジョンに挑んでいただきます!このダンジョンでは時間以内に最深部まで到達する事でクリアとし、到達者には明日の二日目に参加するチケットを進呈!!当然ダンジョン内にはトラップやモンスターがおりこれを倒しながら進んでいくわけです。更に中では参加者同士が会うこともあるでしょう、そこで協力して進むも良し、倒すも良し、クリア条件はただ一つ先に最深部までたどり着くこと、しかし!参加人数の半数に達した時点でたとえ時間内だとしても終了とさせていただきます」 今回のイベント、ハロウィンパーティーはこの仙石神姫センターにしかない最大200名まで同時参加出来るバーチャルフィールドを利用した最大級のイベントだ。このシステムを利用したイベントでは今回のダンジョン意外に二手に分かれてのウォーゲームなどがあり他県からも人が来るほどの月に一度は行われる大人気イベントだ。 3フロアに分かれ登録を済ませたオーナー達が携帯端末を手に開始を待っていた。 オーナーはこの携帯端末を利用して神姫と視覚を共有し協力してダンジョンを進んでいく、というのが今日のイベントの趣向だ。 携帯端末に進行役である魔女が映る。 「それでは皆様、迷宮への扉が今!開きます!それではグッドラック」 制限時間は2時間、クリア条件は最深部への到達、ハロウィンパーティーの開催だ。 複雑に入り組んだ迷宮、そこでは慎重に進んで行く者。トラップを気にせず大胆に進んで行く者。他神姫と出会い協力する者、戦う者。他神姫を減らす為に狩りに行く者。十人十色様々な神姫が戦いを繰り広げてゆく。 ここからはダイジェストでお送りしよう。 その1、隆&リヒト 「マスター、僕このイベントが終わったらマスターに言いたい事があるんだ」 ハウリン型のリヒトが恥ずかしそうに告げる。 「どうしたんだ急に?今言えば良いじゃないか」 マスターの言葉にリヒトが決意を固めた。 「うん、じゃあ言うよ。僕、隆の事が・・・あぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!」 「どうした!リヒト!リヒトォォォォォォォォ!!」 隆の悲しみの絶叫がフロアに響いた。 その2、ワンダーVSデッド 「ヒャッハァ、ここはとおさねぇぜ!」 狭い通路を全身を使って通せんぼするストラーフ型のワンダー、それに冷笑を浮かべるフブキ型のデッド、ゆらりと陽炎のようにデッドが揺らめいた。 「ふっ」 「何!」 いつの間にかワンダーを通り抜け、デッドがすぐ後ろに立っていた。驚き後ろを振り向こうとした瞬間。 「お前のライフはもうゼロだ」 その言葉を聞くことなくワンダーは倒れた。 その他 「節子ぉぉぉぉぉ!」 「何よりもぉぉぉぉ速さが足りない!」 「狙い撃ちます!」 「ゴ○ディオ○ハンマー!」 「計画通り」 「少し頭冷やそうか」 「変態だー!」 「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ×10」 「ジャスト1分、悪夢は――」 「でっかい迷惑です」 「ギガスマッシャー!」 「因果!」 「私のは百八式ある」 「エクスカリバー!!」 「お前なんかピーで、ピーして、ピーピーピー」以降禁止言葉過多の為音声カット 「お前は今まで食べたパンの数を覚えているのか?」 「あんた嘘吐きだね」 「中に誰もいないじゃないですか」 「ゴッドハ○ドス○ッシュ!」 ダンジョンで繰り広げられる壮絶な戦いを見ていた観客の一人が呟いた 「・・・カオス・・・だな」 そんな中目覚ましい活躍をする神姫達がいた。いずれも県内の神姫オーナーには名の知れたトップランカーばかりだ。 勢いは衰えることなく続々と最深部へと歩を進める中、開始1時間で最深部へと到達した神姫が一体 「おぉっと、これは、サイファ!ダンジョンクリア一番乗りは紫電のサイファだ!」 紫電の二つ名を持つエウクランテ型のサイファが右手に握った剣を高らかに掲げた。 「この勝利を我が主に捧げる!」 勝鬨を上げるサイファ、湧き上がる観客達、そして最深部に新たな神姫が 「二番手は風切りの千姫!それに続くのは――」 それに続くように続々と到達者が集い始める。 続く
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君はボクに似ている ◆YhwgnUsKHs 「あ、あの、誤解を招くような言い方しないでください!」 「…………」 「…………」 沈黙が流れる。 「……あ……」 そそそ……。 「あの、今更木陰に戻っても……」 つい大声を出して隠れていた木の陰から飛び出してまで叫んでしまった少女、伊波まひる。 相対するのは、メカポッポ一号を手に取り、まひるを見つめる新庄・運切。 そそそ、と木陰に戻って行くまひるに新庄はすかさずいつもの癖で突っ込んでいた。 「伊波、さん……で、いいですか?えっと……誤解、なんですか?あなたのことに付いて」 「え」 新庄がまひるに向かってそう聞いた。 なぜ新庄がこんな事を聞いたのかといえば……彼女の『誤解』という言葉を確かめたかったからだ。 なにしろ新庄にとって、『男性を見ると無差別に襲い掛かる』という彼女の情報は、微妙に気にしないわけにはいかない情報だったのだ。 新庄・運切は特別な体質の持ち主だ。 その体質とは、新庄の性別に関してである。 新庄は、男性でもあり女性でもある。 『お前は何を言っているんだ』と言いたくなるだろうが、本当だから仕方ない。 周期は約半日。午前5時半~6時の間に、新庄の肉体は女性から男性に変わる。顔つきはさほど変わらないのだが、胸や……えー、股間、とかは大きく変化する。 変化自体はあまり時間が掛からず、霧のようなものがかかり、それが晴れると変化が既に終了している。 そして午後5時半~6時の間に、男性から女性に肉体が変化し、以下このサイクルが続く。 これが彼、もしくは彼女の特異体質である。 ちなみに肉体が変化するなら精神はどうなのか、と言うと新庄の精神自体は1つである。男の人格と女の人格が別々に居る、とかはない。 その精神自身の性別、に関しては答えにくい。 閑話休題。 そういうわけであり、今は女性の肉体である新庄だが、それも午前5時半まで。 さっき確認した現時刻は、午前2時を回った辺り。肉体変化が起こるまで、数時間しかない。 数時間で新庄は『男性』になるのだ。 そういうわけで、新庄にとってまひるの『男性を見ると無差別に襲い掛かる』という情報に関しては真偽を確認しなければいけないことだった。危険な意味で。 もし、本当だったなら。 『おっと、5時半になってしまった。実はボクは男の子だったのさ!なんていうジェンダーシンデレラ!』 『嫌ァァァァァァ!』 『ひでぶ!』 めたたたぁ! 【新庄・運切@終わりのクロニクル 死亡確認】 (今の想像のボク、変装した佐山くんでしょ) 『さあ、なんのことかね』と白々しく言っている佐山の姿が夜空に幻覚で見えてしまったが、新庄はとりあえず見なかったことにした。 今の想像は過剰だったにしても、襲われる事はあり得てしまうわけだから、新庄としては誤情報ならとても有難い。 誤解と言った以上、是非まひるには完全否定してもらいたいのだが。 「えっと……その……無闇に……男の人を、殴ったりは……」 (目が泳いでる……!) さっきと打って変わって、言葉を選んで、というより言葉を濁して目線が明らかに逸れ、動揺が顔に如実に表れている。 やっぱり本当なのかな、と新庄が思っても仕方ない。 「でも、男の人を見ただけで殴るなんて……なんで?」 「そこには彼女の父親が関わっている」 「うわ!? メカポッポくん!?」 ふと呟いた言葉に、メカポッポ1号が反応して久しぶりに声を発した。 どうやら新庄が呟いた言葉を質問と認識し、『まひるの性癖の理由』を答え始めるらしい。 新庄としても、それは正直興味が遭った、のでそれについ耳を傾けてしまった。 「彼女の父親は彼女を溺愛していた。故に、彼女に男を近づけないようにする為、男と接触するのを阻むだけに飽き足らず、幼少の頃から伊波まひるに男は恐ろしいものだと教え込んだ。 言葉で教えるだけでなく、男が悪役のビデオやDVDばかりプレゼントし、伊波まひるに男の恐怖を教え込んでいった。結果、彼女は男性が目の前に居るだけで反射的に殴るようになってしまった。 それで自分まで嫌われてしまったのは計算外だったようだが。更に、彼女の腕力を上げる為、彼女の持ち歩くカバンに鉄板を入れて彼女が気付かないうちに彼女の腕を鍛えていった。 それによって彼女のパンチは、バイト先の壁に穴を開けるほどになり更に男が寄らなくなった。しかし彼女自身はだんだんと男にも歩み寄ろうとしている。 なぜなら、彼女は同僚の小鳥遊宗太が」 「いやーーーーーーーーーーーーーー!!」 ガシャアアア!! まひるの叫び声が響いた瞬間、新庄の手元で喋っていたメカポッポ1号が、鈍い音を残して……消えた。 新庄の手元のすぐ上には、まっすぐ伸ばされたまひるの腕がある。 腕の先の拳は……グーに握られている。 新庄からいくらか離れていたはずのまひるはいつの間にか新庄の近くまで接近していて、その顔は真っ赤、湯気が上がっていそうにも思えるほどで、少し涙目にもなっている。 何が起こったか、を簡単に説明すると。 メカポッポ1号によって大いに自分の過去を暴露されてしまったまひるは、気恥ずかしさやら怒りやら戸惑いやらがごっちゃになり、混乱。 更に、自分の秘めたる思いに情報が及んだ瞬間、本能のままにその暴露元にその脅威の脚力で接近し、その脅威のパンチでメカポッポ1号をぶん殴り、空の彼方へかっ飛ばしてしまったのだった。 空にキラン、と何かが輝いた。 『俺、このロワイアルが終わったら、sfさんと結婚するんだ……』 言ってもいない死亡フラグなセリフが聞こえた気がするが、気のせいだろう。 「あっ!?」 我に返ったまひるが新庄を見やる。 見れば、新庄はメカポッポを掴んでいた手をそのまま空中に固定したままに、俯いている。 まひるは冷静になり、気付いた。 よく考えれば、自分がしたことは他人の支給品(多分)をぶっ飛ばしてしまったわけで……怒られても仕方ない。 彼の知っている男ならば、小さい物を吹っ飛ばしたら烈火のごとく怒るだろう、とかもなぜか思い浮かんだ。 まひるは自分がしでかしてしまった事に気付き、新庄に謝罪しようと思った。 「ご、ごめんなさ「ごめんなさい!」……え?」 まひるは唖然となった。 謝ろうとした瞬間、新庄が先に謝罪の言葉を言って、頭を下げたからだ。 「ボク……そんな事情があっただなんて、知らなくて……変に怖がったりして」 「い、いえ、気にしないで」 「気にするよ! だって……だって、酷いよ……そんなの」 「え……」 新庄は憤っていた。 自分の体質の悩みは先天的なもの(詳しくは分からないが、おそらく)だ。 誰かによって施されたとか、では……多分ない。 どう生きるかを悩んだ事はあった。けれど、そこにはまだ選択の余地があった。 けれど、まひるにはそれがない。幼い頃から教え込まれたそれは染み付いて、もう反射的なそれになってしまっている。 選択のしようがない。彼女の体が、もう男性を拒絶するようになってしまっている。 あまりに、理不尽だ。 「子供は親の所有物じゃないのに」 「あっ」 新庄が呟いた言葉に、まひるははっとした。 その言葉は、同僚の小鳥遊宗太が父親に言ってくれた言葉と同じだったからだ。 (この人は、見ず知らずの私の為に……怒ってくれてる) 新庄の悲しそうな、それでいてどこかに怒りを滲ませた表情に、まひるはそれを感じた。 すっと、何かが動いた。 「え……」 まひるがそれに気付くのには少しかかった。 自分の目の前に誰かが立ち、その誰かの手が背に回って……。 (抱きしめられてる?) そう。新庄がまひるをそっと抱きしめていた。 まひるはその胸に明確な感触を感じた。 大きな、胸。 当然、それは向かい合わせの相手のものだ。 「ボクは……女だよ。だから、今は安心して。ここに男はいないから。これくらいしか、ボクにはできないけど」 ***** (言っちゃった……) 新庄は落ち着いたらしいまひる(なぜか少し落ち込んだようにも見えるが)の体を離し、少し心の中で思った。 自分は女性であり、男性である。数時間すれば男になってしまう。なのに、嘘をついてしまった。 けれど、まひるの事情を知ってしまった新庄には他にできることが思いつかなかった。 せめて、今ここでだけでも彼女に安楽をもたらしたかった。そんな、お人よしな考え。 (佐山くんなら、多分もっと別の解決方法を思いつけるんだろうなぁ……) 新庄にできないことは佐山ができる。 佐山にできないことは新庄ができる。 自分と佐山は逆の存在。 だからこそ、共にいたい。そんな存在。 「あ、あの……」 「? 何?」 『私より……大きい』とか呟いていたまひるが、立ち直ったのか新庄に顔を向けていた。 何か聞きたそうにしているので、新庄はそれに答えた。 「女性なのはわかりましたけど……なんで男の制服を?」 「あっ」 しまった。 そう、説明するとかいうよりそもそも、新庄の格好は尊秋田学園の『男子』制服だ。 おそらく、男性の切として過ごしている間にここに連れてこられたのだろう。 その途中、女性になってしまったのだ。 (ど、どうしよう) 「も、もしかして……男装の、趣味が?」 まひるのこちらへの視線が怪訝なものになっている。 まずい。 新庄としてはせっかく遭えた、無害そうな女性だ。正直、ここで彼女を不安にさせたり、自分との間に亀裂を入れたくない。 どうすれば。 『新庄君』 そのとき、幻聴とともに新庄に妙案が浮かんだ。 それはおそらくまひるとの仲をなんとか穏便にできそうな案だ。けれど、躊躇いも覚える案だ。 なぜなら、その案は……確実に、ある人物を犠牲にすることになる。 けれど。 (佐山くん……ボクに、力を貸して!!) 新庄は決断した。 どこかにいるであろう、パートナーの姿を思って。 目の前の少女を救い、これからのために! 新庄は、決意と共に!! 「これは……ボクがいる寮のルームメイトの、趣味なんだ!!」 「…………」 「…………」 「…………男装の、趣味?」 「ううん。女性に、男装させるのが趣味」 「…………」 ここでまひるの脳裏に浮かんだのは、先の小鳥遊宗太である。 実は、彼は幼少の頃父親によって女装させられていたとても嫌な記憶がある。 その写真によって、姉や同僚に脅されるほどである。 まひるは思った。 (娘に女装させる父親がいるくらいだから……ルームメイトに男装させる人も、いる!!) 「ひ、ひどい!!」 「そうなんだよ! その人ってば、生まれた頃からなんか普通の人と何かがズレてるっていうか、ネジというよりボルトというよりもはや設計図がいくらか書き間違えちゃった感じで! 佐山宇宙が頭の中にあって、いつのまにか佐山空間を作り出して! それていで、ボクの体を……触ったり」 「犯罪!?」 「あ、いや、そこは彼もいくらか抑え……てくれるから、いいんだけど……と、ともかく!これはその人の趣味で、ボクは女の子だよ!」 「わ、わかりました……でも……気持ち、わかります」 「え?」 「私の同僚も……ちょっと、変なところが」 「いや、ルームメイトに比べたら」 「彼、小さいものが大好きなんです」 「それはよくあるんじゃない?」 「彼、『12歳以上は年増』だって」 「おかしいよその人!!その人の成年って何歳から!?」 「小さい女の子とかも……『親になりたい』って」 「その人なんとかしよう!」 「私のことなんて……『虫以下』…って」 「もう駄目としか言えない!」 小鳥遊にもまひると同じく家庭環境とか色々あったのだが……答えてくれるメカポッポ1号は、もういない。 がしっと、新庄がまひるの手を握った。 その目には、何か共通な何かを互いに感じた。 「伊波さん……」 「……えっと」 「あ、新庄です。新庄・運切(さだきり)」 「……新庄さん……」 2人は、熱く手を握り……少し涙目になっていた。 「頑張ろうね、伊波さん!」 「はい!頑張りましょう新庄さん!」 「いろんな意味で!!」 「いろんな意味で!!」 男と女の間で悩んだ新庄・運切。男を殴ってしまうことに最近悩んできた伊波まひる。 変だけど頼れる男と共にある新庄・運切。変だけど優しい男に好意を抱いた伊波まひる。 共通点、といえるほど綺麗なものではない。 けれど、どこか似たような感じを得る2人は、殺し合いと言う環境下でも……今、友情の芽生えを感じていた。 熱く、力強く。 ちなみに、夜空に。 『ははは。覚えていたまえ新庄くん』 『ははは。覚えていてください伊波さん』 と、怖い笑顔で嗤っている2人の少年の姿が幻覚として見えていたが……まあ、気にしないでいいだろう。 ***** 「伊波さんの知り合いは、変だけど大丈夫だと思う小鳥遊くんだけ、だね?」 「はい」 即答。 「それで、新庄さんの知り合いは、ブレンヒルト・シルトさんと、変だけど殺し合いには乗っていないと思う佐山さんでいいんですね?」 「うん」 また即答。 「あと、伊波さん……敬語じゃなくていいよ?ボクら、歳近いと思うし」 「え? じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」 新庄はこうは言ったものの、ブレンヒルトについてはやや微妙な考えだった。 なにせ、彼女との面識はそれほどでもない。直接会話したことも……大分ない。 彼女と親交(?)のあるのは、尊秋田学園図書館司書ジークフリートや独逸UCATディアナくらいのものだ。 ジークフリートとはよく話すほうだが、それでもブレンヒルト自身とはそれほどでもなかった。 だから、彼女がこの殺し合いに乗っているか否か、佐山ほど自信を持って断言はできない。 「とりあえず、まずはメカポッポくんを捜しにいこうよ。心配だし、彼の情報は必要だと思うから」 「そ、そうね。……ごめんなさい」 「いいよ。すぐに止めなかったボクが悪いんだから。それに……」 「え?」 「う、ううん!なんでもない!あっち、だよね?」 「う、うん。多分あっちに」 まひるが指差した方角を新庄は見据え、そちらに足を進めた。 (謝られる資格、多分ボクないから。だって、ボクだけ何も言ってない) まひるは自らの過去を暴露した(というかさせられた)。けれど、新庄は自らの秘密を語っていない。ましてや嘘をついてしまった。 新庄はいつか告白したいと思っている。どっちにしろ、数時間すればバレてしまうことだ。あまり隠し事はしたくないし、隠し続ければ疑念を抱かせることになってしまう。 昔のように女性『新庄・運』と男性『新庄・切』の双子として演技するのも無理だ。なにせ、名簿で『新庄・運切』と明確に書かれてしまっているのだから。 けれど、気がかりがある。まひるの男性恐怖症だ。 2人きりで、自分が男でもあると告白したり、目の前で姿が変わったら、先のようにまひるは暴走し、錯乱してしまう可能性がある。 この殺し合いと言う物騒な環境下で、それはあまりに危険だ、と新庄は思う。彼女が目の前から走り去ってしまったら、最悪の事態だ。 だから、仲介役が欲しい。新庄が秘密を語った時、まひるを落ち着かせられる仲介役が。 1番の適役は彼女の唯一の知り合い、小鳥遊だろうが、女性ならば誰でも大丈夫かなと新庄は思った。 メカポッポを捜しに行き、その近辺で安全な女性を捜し、同行してもらう。 女性には前もって自分の事を説明してから、5時半以降に女性同伴の元、まひるに新庄の秘密を明かしたい。 男性は、見つけても避けるしかないだろう。何せまひるの恐怖症はかなり根深い。新庄1人では、男性とまひるを一緒に行動できるように取り計らうのは無理がある。 5時半がタイムリミットだ。正確には、5時半から6時までの間に、ランダムのタイミングで体が変わる。 つまり、5時半ジャストかもしれなければ、6時少し前かもしれないわけだ。 それまでに、同行できる女性を見つけられなかったなら……覚悟を決めて、告白しよう。彼女が混乱せずに信用してくれることに期待するしかない。 佐山や、運命のスプーンの指す先も心配だが、まずはまひると自分の秘密についてなんとかしよう、と新庄は決めた。 とりあえずの方針を決め、新庄はまひると共に森を歩き始めた。 行く先は、メカポッポ1号の消えた先。 全てを解決できる選択肢。 『まひるを見捨てる』という選択肢は、新庄にはなかった。 新庄はその選択肢が思いつけないほどには、お人好しだった。 【G4/森/黎明】 【新庄・運切@終りのクロニクル】 [状態]:健康 [装備]:尊秋多学園の制服、運命のスプーン@ポケットモンスターSPECIAL [道具]:支給品一式 [思考・状況 1・メカポッポ1号が吹っ飛んだ方角へ向かう。 2・メカポッポ1号と、小鳥遊、もしくは仲介役の女性を捜す。 3・まひるに自分の秘密を告白する。 4・まひると行動する。 5・佐山と合流しここから脱出する 6・ブレンヒルトについてはまだ判断できない。 7・人殺しはしない。 ※まひるを信用しています。 ※小鳥遊宗太については、彼の性癖とかは聞いています。家庭環境は聞いていません ※まひるの支給品を知りません。 ※新庄の肉体は5:30~6:00の間にランダムのタイミングで変化します。 変化はほぼ一瞬、霧のような物に包まれ、変化を終えます。 午前では女性から男性へ、午後は男性から女性へ変化します。 【伊波まひる@WORKING!!】 [状態]:疲労(中)、足に擦り傷・切り傷 [装備]:学校の制服 [道具]:支給品一式、不明支給品(0~2)、ARMSのコア(中身は不明)@ARMS [思考・状況] 1・メカポッポを捜しに行く。 2・新庄と行動する。 2・諦めない。 ※新庄を信用しています。 ※佐山・御言に関しては変な人ということを聞いています。ブレンヒルトについては、知り合いということだけ聞いています。 ※新庄の特異体質を知りません。 ※運命のスプーンのことは知りません。 ※メカポッポ1号がまひるに殴られてどこかに吹っ飛ばされました。 1kmはさすがに飛ばないので、G-4エリア内、もしくはG-4を囲む9エリア(ただしG-4寄り)のどこかに落ちると思われます。 吹っ飛んだ方角、落ちるエリアなどは後続の書き手に任せます。 殴られたショックで、どこかが故障、破損している可能性があります。 ※メカポッポ 参加者のある程度詳細な情報を持っています。他の知識、自我の有無は次回以降に任せます。 時系列順で読む Back 今はただ、顔を上げ Next イスカンダル大戦略 投下順で読む Back 今はただ、顔を上げ Next イスカンダル大戦略 匙は投げられた 新庄・運切 Believe 匙は投げられた 伊波まひる Believe
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元スレURL 花丸「マル、鞠莉さんに狙われているのかな……」 概要 毎日図書館にやって来る妖しい先輩は さらに大事な領域に踏み入って… タグ ^国木田花丸 ^小原鞠莉 ^まりまる 名前 コメント
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なぜ不安なのか? 人を不安に駆り立たせる様々な要因は、周辺環境によって受ける外圧的要因と、自らに由来する内在的要因に大別できる。 Ⅰ.外圧的要因 ◆社会状況 一流大学を卒業して一流企業に就職すれば安定した生活・・・・・というのは過去の話で、むしろ大きな組織にいるからこそ不安に感じる人は多い。 また、インターネットの普及によって情報があまりに多く氾濫し、何を信じたらいいのかわからないという不安も語られるようになった。 不安そのものが多様化しているとも考えられる。 さらに、年金や就職等の世代間格差が議論されるが、世代によって生活する前提条件が変わってしまうことも、不安要素の一つといえる。 ◆人間関係 自分が周囲からどう思われているのか、守られていないのではないかという不安は、日本社会においては決して小さくないようである。 自分の考えがみんなと異なり、批判される(共感してもらえない)ことに対し、それを回避したいという思いが強いのは、国民性なのだろうか? Ⅱ.内在的要因 ◆受け身思考 未経験の事象に対する恐怖感が強い、失敗を恐れ過ぎる、リスクをとろうとしない、主体性に欠ける、他責思考が強い・・・・ こうしたことも日本人の国民性と評する声が小さくないが、より不安を大きくする要因となっているのは否めない。 ◆自ら作る不安 守るものがあれば、それを失う不安は自ずと生じるし、知らぬが仏というように、知れば知るほど不安の要素も増えていく。 仕事等が自分のやりたいことと違い、自分の進む道が見えないという不安も、自分で招いた不安といえる。 前のページ 次のページ ■
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【検索用 そのままで 登録タグ VOCALOID u160(ういろー丸P) そ 初音ミク 曲 曲さ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:u160(ういろー丸P) 作曲:u160(ういろー丸P) 編曲:u160(ういろー丸P) 唄:初音ミク 曲紹介 曲名:『そのままで』 u160(ういろー丸P)氏、60作品目。 歌詞 なにもしないで 君のことだけ 想っていられたら なにもしないで 君のとなりで 眠っていられたら 愛なんてくだらないと 吐き捨てる君は さみしげで 愛なんて 信じなくていいよ 君だけが全てで それが答え 眠らないで 変わらないで ずっと そのままで 消えないで 醒めないで ずっと ずっと ずっと そのままで 世界なんて 信じなくていいよ 君だけが全てで それが答え 眠れなくて 変われなくて ずっと そのままで 笑えなくて くだらなくて 病気だけど それでも 眠らないで 変わらないで ずっと そのままで 消えないで 醒めないで ずっと ずっと ずっと そのままで コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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最近は、恋愛に消極的な人が増えてきています。 特に『草食系男子』という言葉ができるところをみると、本当にそのような人が増えてきているのでしょう。 また、自分のことにいっぱいいっぱいで、とても恋愛をしている余裕がないということもあるのでしょう。 とにかく恋愛よりも仕事、遊びという人が増えてきているので、周囲に異性がいたとしても、なかなか恋愛をすることができません。 合コンや飲み会に参加しようにも、合コンのようなものはセッティングするのが面倒なので、なかなか開くことができません。そのような人は、異性との出会いの場を提供する恋活パーティーに参加してみてはいかがでしょうか。 恋活パーティーとは、恋愛をしたいけど異性との出会いがないと嘆いている人や、周囲に恋愛をしたいと思える異性がいないので、新たな出会いを求めている人などが参加しているパーティーです。 つまり、恋活(恋愛活動)をしている人たちが集まるパーティーです。 恋活パーティーのポイントは、このような人が集まってきているというところです。 恋愛をしたい、恋人を見つけたいという人が参加してきているので、こっちからも積極的にモーションをかけることがしやすいのです。 気に入った人がいたときは、どんどん攻めていくことができるのです。 恋活パーティーに参加しに来ている人は、全員が異性との出会いを求めてきています。 なので、恋愛に消極的な人がいないということなので、もし恋活パーティーに自分好みの人がいたときは積極的にモーションをかけることができる、というところが恋活パーティーのポイントです。 しかし、恋活パーティーのいいところはここだけではありません。恋活パーティーは合コンに必要な、『参加者の募集』と『参加者のスケジュール合わせ』、『会場の予約』そして『費用集め』を主催してくれる会社が全てしてくれる、というところも恋活パーティーのいいところです。 これら合コンのセッティングは本当に大変で、特に一人でするのでしたら、かなりの労力が必要になります。 また、参加者を集めるには、人のつてが必要になります。知り合いがあまりいないという人は、合コンを開くのも難しいのです。しかし、恋活パーティーならば、恋活パーティーを主催してくれる会社が、参加者の連絡やスケジュール合わせ、そして会場の予約まで全てをしてくれるのです。 自分は何もしなくても、簡単に合コン・飲み会に参加することができる、ということを考えると恋活パーティーは、かなり便利なものだと思えませんか。 スケジュールさえ合えば簡単に参加することができる恋活パーティー、恋愛がしたい、気軽に異性との出会いをしてみたいという人は、参加してみてはいかがでしょうか。
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作品名:魔法少女育成計画シリーズ 使用者:アカネ(= 不破 茜(ふわ あかね)) 魔法少女育成計画に登場する能力。 視界内の任意の座標に斬撃を発生させる魔法。 “斬る”魔法なので発生した斬撃は振った物体の大きさや硬度を無視し、光線だろうと切断できる。 能力についての詳細任意座標への斬撃 万物斬断 欠点 関連項目 関連タグ リンク 能力についての詳細 任意座標への斬撃 斬撃を視界内の任意座標へ移す視界内に入っていれば、三次元上の距離(ユークリッド空間)を無視して直接斬撃を発生させることができる。魔法少女の視力は最低ニキロまで見渡す可能。 間違いない、人影の動きに合わせて攻撃を受けている。斬撃を飛ばしているのかとも思 ったが、動いてから破壊までの時間差が全く無い。 (中略) 要するに近距離で刀を振るわれているのと同じだ。刀の軌道に従って斬られているのだ から、その軌道から身体をずらせば避けることができる。 万物斬断 見えているのならば文字どおり何でも斬れる光学兵器の攻撃を切断する。光を切断可能。 光速攻撃に魔法の発動が間に合う。 プフレが不意を突いて車輪を飾る小鳥の口から光線を発射し、その光線が刀を振るって 発生した斬撃により分断される。 サイズを無視して斬る事ができる脇差や刀でも、一太刀でビルを両断することができる。 縦二十メートル、横も同程度にある建物を斜めに切断したのだ。斜めに切られた上半分 が、こちらに向かってずり落ちている。 欠点 視界が塞がれれば使えない刀自体は魔法少女アバターの固有装備なので直接斬ることはできる。 刀を振る必要がある大振りだと再度振るまでに時間を必要とする。 この魔法を使う時は、刀を振りかぶる必要があった。剣を振るう速度を上げれば、それ だけ魔法の強さ、使いやすさは向上する。 固有武器に脇差しがあるため、一緒に振りかぶることで隙を減らせる。 アットマークが描かれた札が次々に飛び、弾けては岩に変化する。日本刀を持った魔法 少女が奇声を上げ、左手で脇差を抜いた。左手にそっと添えるようにして、人差し指、中 指、親指のみで持ち、右手の刀とともに、視認も困難な速度で振り回した。 関連項目 関連タグ 万物切断 能力 軌道操作 高次元化 魔法少女育成計画 リンク
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梓「・・・へ?」 純「う゛・・・(やっぱこの嘘は無理あったか・・・)」 梓「純、ノーパンなの?」 純「えっと・・・(でも今更嘘でしたなんて言えない)」 梓「よかったぁー!!」 純「うん・・・って、はいぃ?」 梓「ノーパンなのって私だけじゃなかったんだぁ!」 純「そうそう、梓だけじゃって何ぃぃぃぃぃ!?」 梓「私ね、実は今日ノーパンなんだ!それで先輩達から逃げてきたんだけど・・・」 純「(こいつ・・・馬鹿じゃねぇの!?)」 梓「ノーパン人口って結構多いんだね!本当によかった!」 純「いや、ノーパン人口って何」 梓「いやぁ、それなら貸せないよね!だってパンツ履いてないんだもんね!」ウキウキ 純「あ、うん・・・(仲間を見つけたからか、嬉しそうな顔してるなー梓)」 梓「仲間を見つけたのは嬉しいけど・・・これからどうしよう・・・」 純「えっと・・・他に知り合いはいないの?」 梓「うーん、あとは・・・唯先輩の友達の和さんって人が・・・」 純「まだ学校にいるかな?」 梓「生徒会の人だから、多分まだ仕事してると思うけど・・・」 純「じゃあその人に頼るしかないんじゃない?」 梓「でも・・・あまり仲良くないし・・・」 純「事情を説明すればなんとかしてくれるよ」 梓「そうかなぁ?現実的じゃない気がする・・・それなら水泳部の方が・・・」 純「水泳部?」 梓「そう、きっと今の時間はまだ泳いでるから、更衣室に着替えが置いてあると思うんだ?」 純「いや、そっちの方が現実的じゃないでしょ!?」 梓「そうかなー?」 純「とりあえず、生徒会室行ってその和さんって人と話しなよ」 梓「うん、わかった。じゃあ行こっか」 純「へ?私はジャズ研に戻るよ?」 梓「はい?」 純「いや、いやいや」 梓「乗りかかった船、でしょ?」 純「えー」 ※安価 純ちゃんを連れてく 純「わかったよ、一緒に行ってあげる」 梓「うん!さすがノーパン仲間だね!」 純「大きい声で言わないで」 梓「そっか!ごめん!二人だけの秘密だったね!」 純「あ、うん・・・(梓、本当に生き生きしてるな)」 梓「えっと、じゃあどのルートからいこうかな・・・」 純「体育館の前を通るか、理科室の前を通るか、だね・・・」 梓「理科室の前の方が人いなさそうだよね?」 純「うーん」 ※安価 体育館の前を通る 純「あえての体育館で」 梓「本当にあえてのだね。でもなんで?」 純「ほら、そろそろ文化祭が近いでしょ?だから体育館でリハーサルとかしてるかもよ?」 梓「なるほど。それで、体育館にいなかったら予定通り生徒会室に行けばいいか」 純「そういうこと」 梓「純ってたまに頭いいよね」 純「梓ってたまに一言多いよね」 梓「さっ行こう!」 純「はいはい」 … … そのころ 紬「さっき窓が割れたような大きな音がしたけど・・・なんだったのかしら?」 律「さあ?とりあえず梓探そうぜ」 紬「ねえ、りっちゃん・・・」 律「んー?」 紬「澪ちゃんを探した方がいいんじゃない?」 律「へ?なんで?」 紬「だって・・・音楽室に入ってくるなり、泣きながら走って行っちゃったでしょ?」 律「・・・へ?澪のヤツ、泣いてたか?」 紬「え」 律「え?」 紬「気付かなかったの?」 律「ああ、ごめん。気付かなかった・・・」 紬「そのあとすぐにりっちゃんが『探しに行こうぜ』なんて言うから、私はてっきり澪ちゃんのことかと・・・」 律「いんや、『澪は戻ってきたってことは失敗したんだなー、じゃあ私達の出番か!』って思って言ったんだよ」 紬「すれ違う幼馴染・・・悪くないわ・・・!」 律「まーた始まったよー」 紬「あら、ごめんなさい」 律「ま、いいけどな。事実だし」ボソッ 紬「へ?今何か」 律「いいい言ってない!///とりあえず、澪と梓探すぞ!」 紬「りっちゃん・・・適当に歩いて、どっちか見つかればいいや、って思ってるでしょ?」 律「うーん、あたり」 紬「他に方法もないし、そうしましょうか」 律「お、体育館でなんかやってるぞ!」 紬「何かしら?」 律「うーん、文化祭の打ち合わせじゃないか?」 紬「なるほど、じゃああそこにいるのは実行委員達ね?」 律「うん、多分」 紬「あれだけ人がいれば二人を見かけた人もいるかも」 律「お!そうだな!行ってみようぜ!」 … … 梓「で・・・とりあえず体育館に来てみたけど・・・」 純「人はいるけど・・・和さんって人、いそう?」 梓「いそうなような、いなさそうなような・・・」 純「・・・。しょうがない、聞き込みでもしようか」 梓「そうだね」 純「すみませーん」 女子1「はい?」 純「和さんって人、見かけませんでしたか?」 女子1「和さん・・・あ、真鍋さんね?」 梓「はい!そうです!」 女子1「真鍋さんだったらステージの裏にいると思うわよ」 純「そうですか、ありがとうございました!」 梓「ありがとうございます!」 純「・・・案外簡単に見つかったね!」 梓「うん!」 ステージ裏 梓「えっと・・・暗くてよく見えないや・・・」 純「あ、あのすみません」 ???「はい?」 純「真鍋さんって方、いますか?」 ???「あら、真鍋は私よ」 純「和さんですか!」 和「ええ、どうしたの?」 梓「用事があるのはわたしの方なんです」 和「あなたは、梓ちゃんじゃない」 梓「あれ、私のこと覚えててくれてたんですね!」 和「ええ、唯から話は聞いてるわ。どうしたの?」 梓「あの・・・パンツを」 和「え?」 梓「だから、その・・・」 和「わかったわ。本当にいいのね?」 梓「へ?」 和「ふんっ」ドゴォッ! 梓「ぐはぁ!?!?」 純「」 梓「な・・・なん、で・・・?」ヨロヨロ 和「え、今パンチをって言ってたから・・・」 梓「パンチじゃなくて・・・パンツ、です・・・」ゼェハァ 純「梓、生きろ」 和「あら、ごめんなさい。でも、パンツ?」 純「そうなんです、梓は和さんにパンツを借りようとここまで来たんです」 和「」 和「はい?」 梓「だから・・・パンツを貸してほしいんです、今日1日だけでいいんで・・・!」 和「それは、なんで?」 純「軽音部のみんなにパンツを見せろって追いかけられてるらしいんです」 梓「はい、それで、今日のパンツは可愛くないからみんなに見せられなくて・・・」 和「あの子達がやりそうなことね・・・。主犯は唯?それとも律かしら?」 梓「いいえ、澪先輩です」 和「なんと」 梓「みんなかなりノリノリで、それで、私逃げてきたんです」 和「そうだったの・・・」 梓「お願いします!本当に一生のお願いです!」 和「・・・しかたがないわね」 梓「!?あ、ありがとうございます!!」 和「こんなのでよければ、どうぞ」 梓「」 純「・・・何このババアみたいな下着」 梓「純!シャラップ!」シッ 和「ふんっ」ドゴォ! 純「ぐはぁ!!!」 梓「・・・だから言ったのに・・・」 和「梓ちゃんは純ちゃんみたいなこと、言わないわよね?」 梓「えっと・・・(どうしよう、ノーパンの方がマシだ)」 和「梓ちゃん・・・?」ユラッ 梓「(ひぃぃぃ!)もちろん!ありがとうございます!感激です!」 梓(これは・・・この場は借りてポケットに仕舞って置こう、うん) 純「かはっ・・・おぇ・・・!」ゼェハァ 和「そう?」スルスル 和「はい、どうぞ」 梓「あ、あとがとうございました!」 和「ちょっと待って。梓ちゃんの下着は?」 梓「へ?」 和「交換しないと、私ノーパンになっちゃうわ?」 梓「えええ・・・っと・・・」 和「ほら、早く」 梓「キモいパンツだから、誰にも見られたくないです・・・」 和「そう・・・しかたがないわね。今日はノーパンで過ごすわ」 梓「あ、ありがとうございます!」 梓(ああ!これで和さんの下着がババ臭くなかったら完璧だったのに!) 和「それじゃ、頑張ってね」 梓「ありがとうございました」 純「ぐぇ・・・がはっ・・・!」 梓「・・・」 和「純ちゃんはここでしばらく休ませることにするわ」 梓「えっと・・・」 純(梓、置いていかないで・・・!殺される!) 梓「はい、純もちょっと疲れたみたいなんで、しばらく休ませてあげてください」 和「ええ、喜んで」 純(えええええ!?私にとっては全く喜ばしくないんですけどぉぉぉ!?) 梓「それじゃ!」 梓「純、ごめん。今度アイス奢る」ボソッ 純「(割に合わねぇぇぇぇ!!)」 … … 律「うーん、いそうでいないな、二人とも」 紬「一筋縄ではいかないってワケね?」 律「どうしよう、一旦部室に戻るか?」 紬「うーん、もうちょっと探しましょう?」 律「って、あれ・・・?」 紬「どうしたの?」 律「今、ステージ裏から出てきたの、梓じゃないか?」 紬「えーと・・・そうね」 律「はっはっは!梓みーっけた!」ダッ 紬「あらあら」ウフフ 梓「!?律先輩とムギ先輩!?」 律「待てこらー!!」ダッ 梓「もー!なんなのー!」ダッ 律「こらー!待てってばー!」 梓「次から次へと・・・!」 紬「うふふふふふふふふふふふふ」 梓「ムギ先輩怖っ!」 律「パンツ見せろー!」 梓「いやなこった!」 律「パンツくらいいいだろー?」 梓「駄目です!駄目ったら駄目です!」 律「細かいことは気にスンナ☆」 梓「全っ然細かくねぇです!」 律「梓ー!私の方が足速いこと、忘れんなよー!?」 梓「げっ!」 紬「うふふふふふふふふふふふふふ!」 梓「お前は日本語喋れよ!さっきから怖ぇよ!」 律「よっしゃ!!!」ガシッ 梓「きゃっ!?」ガクッ 律「捕まえたぜ!」 紬「りっちゃんナイス!」 梓「は、離せです!」 律「いやなこった!」 梓「いやー!いやー!」 律「なんだよ、スカートめくるだけだって!」 梓「それがイヤだって言ってるんですよ!」 紬「梓ちゃん、乙女には乗り越えなきゃいけないことがあるの!」 梓「パンツ晒されるのが乙女の務めだと言うなら今すぐ乙女なんてやめてやる!」ジタバタ 律「いいから!観念しろ!」 梓「律先輩!」 律「なんだよ!」 梓「澪先輩とは話しましたか!?」 律「話してねぇよ!」 梓「なんですって・・・!話して!そして離して!」 律「いやなこった!」 梓「早く行かないと!」 律「なんだよ!」 梓「手遅れになります!」 律「澪とは後で話すよ!」 梓「後でじゃ駄目です!」 律「なんでだよ!」 紬「そうよ!りっちゃん!やっぱり澪ちゃんを優先しましょう!?」 律「ムギまで何言ってんだよ!」 梓「ムギ先輩の言うとおりです!急ぐです!」 律「そんなこと言って逃げようとしてんだろ!」 梓「何言ってるんですか!今すぐ澪先輩を探してください!」 律「こ と わ る !」 梓「律先輩のわからずや!」 律「大体、なんでそんなに早く澪と話しなきゃなんないんだよ!」 梓「それは私の口からは言えません!」 紬「りっちゃんだって本当はわかってるんでしょう!」 律「なっ・・・!」 梓「そんなに私のパンツがみたいならいいですよ!私はここで待ってます!」 紬「!?」 梓「だから早く行ってあげてください!」 律「くっそ~・・・!わかったよ!///」 紬「りっちゃん、私も一緒に探すわ!」 律「おう!じゃあ見つけたらケータイに連絡してくれ!」 梓「・・・ケータイ持ってるなら澪先輩に電話しればいいじゃないですか」 律「あ、そうか」 紬「それもそうね」 梓「ほら、早く」 律「う・・・わかったよ、あとでな」 梓「なんで」 紬「澪ちゃんとの会話、聞かれるの恥ずかしいとか?」 律「ままままさか!///」 梓「じゃあ早くかけて下さいよ」 律「わ、わかったよ!」 律「うぅ・・・///」 プルルルル・・・ 只今電話に出ることが出来ません・・・ 3
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チームタレ目 パンツの話 某パンツ診断を回した結果のページです。 超おふざけで書いてます。 9月某日 この日、マンション(TL)では誰にどんな女装をさせるかで盛り上がっていた。 そして誰かが某パンツ診断をしたことによりマンションは一気に女装とパンツの話で持ち切りとなる。 もちろんその話題に便乗してチームタレ目のメンバーもパンツ診断を回した。 その結果。 木坂、榧島、真野の3人は、何故か全く同じスタンダードの白いパンツを引き当て大はしゃぎ。 「なんで皆同じパンツ引いてるの」 「3枚セットだった…?」 「これは村田くんも穿かないといけないでしょう」 そんな話をしてた折に、話題の中心人物である村田が登場。 彼も早速パンツ診断を回す。妙な期待をする3人。 しかし彼が引いたパンツは、なかなか際どい(というか男が穿いたらもろ見えの)真珠をあしらった細いパンツであった。 「予想の斜め上を行った」 「まさかすぎる」 「まぁ、こう見えても彼、爛れているから…」 この日は村田だけパンツが際どいということで終わった。 翌日 この日もパンツ診断が話題に上ったので木坂、榧島、真野は昨日同様、パンツ診断をした。 しかし昨日と打って変わって、3人全員もろ見えのパンツを引いてしまう。 「もはや隠す気持ちがない」 「今日は全員もろ見えタイプか…」 「村田くんが気になる」 そして遅れて登場した村田。彼も話題に応じてパンツを引いた。 その結果… あろうことか、真珠をあしらった細いパンツをまた引き当てたのだ。 「待って、昨日と同じパンツでは」 「えええええまたなの」 「お気に入り?お気に入りなのそれ?」 「お気に入り疑惑が出てるの面白すぎる」 9月10日 この日、真野は寝不足によりパンツ診断を回さず就寝。 (中の人が前日の台風直撃により寝不足だったため) 真野が寝ている間でも、チームタレ目のパンツ診断は行われていた。 榧島はレースをあしらった紐タイプのパンツを。 木坂は村田のお気に入りによく似た真珠をあしらったパンツを引いた。 今回も、もろ見えタイプばかりである。 「村田くんは…?」 「ここまで来ると期待しかない」 謎の期待を背負われて村田も引く。 その結果… コルセット付きのレザーパンツだった。 「もはや一人勝ち状態…」 「どMの真価が発揮された(?)」 「なんで彼だけベクトルがおかしいのか」 おまけ 翌日起きた真野が引いたパンツはもはやパンツと呼べるのか分からない代物であった。 一人回さず寝ると際どいものを引いてしまう呪いでもあるのか?(白目) ちなみに村田くんの親である村長さんはこんな名言(迷言)を残している。 チームタレ目で1番運がいいのは村田だな パンツ見ればわかる 9月11日 今日もチームタレ目はパンツ診断を回していた。 「毎日何しているんだこのチーム」と思ったそこのアナタ。正常です。 このチーム、とりあえずパンツ診断が流れてきたら回してるので若干トチ狂ってます。 榧島は典型的な水色と白の縞々パンツを。 木坂は丁度バンドで着る衣装の話をしていたせいか、チャック付きのレザーパンツを。 真野は黒いレースをあしらったパンツを引いた。 「これはちょっと…引く…」 「うーん、見えちゃう」 「見えはしないけど…情熱的かな…」 はい。みなさんお待ちかね、村田のターン。 例の真珠をあしらったパンツが余程お気に入りだったのか、真珠しか残ってないパンツを引き当てたのであった。 もはやパンツですらない。真珠。 「あれは穿いていると言っていいのか」 「引きの強さが違う」 「うん…(朝起きて引いたパンツが村田くんとお揃いだった…恐怖…)」 「こうなると最終段階はノーパンだね」 以上、チームタレ目 パンツの話でした。 面白い結果が出たら追記していくよ。
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師弟対決♭キミはありのままで(後編) ◆gry038wOvE 「サガーク――」 サガークが空を舞う。 それを見やった後に、名護は顔を顰めた。 「……渡君。一つルールを申し出たい!」 「ルール……? 構いませんが――」 「――そうか。それは、裸でぶつかり合う事だッ!」 そう言って渡のもとに突進した名護は、そのまま渡の左の頬に体重を乗せたパンチを叩き込んだ。 突然の一撃に、渡は困惑しながら吹き飛ばされ、倒れ転がる。 「あぐっ……!?」 それを見つめる名護の右の拳は震えを止めていた。 頬を抑えながら、意外そうな瞳で名護を見上げる渡の姿。 険しい瞳で渡を見下ろす名護の姿。 二人の目線がぶつかっている。 仲間から向けられるにはあまりに嫌な瞳だったが、今はそれが全く不快にならなかった。 自分の貫きたいものを貫く為の必要な戦いだと――それぞれの拳/痛みが告げる。 「キバの鎧がないのなら、今の君にイクサで挑む意味はない。 ……それは俺の望む戦いではない……!」 「構いません……そっちがその気なら――僕にも鎧など必要ない!!」 渡は力強く立ち上がり、大きく体を振るうようにして名護を殴ろうとした。 だが、名護はそんな大振りのパンチをすぐに避け後退した。 再度、名護は渡に接近し、渡へと殴り掛かる。 「くっ……!」 「渡君……これは、この俺だから、わかる……! 俺はかつて――自分の父を死なせた自分の罪を、『正義』という言葉で逃れようとした! 君も……ここで人を誤って死なせた罪を、『王』という言葉で逃れようとしているだけだと!」 「――ッ!」 「だが、君は俺とは違う。ただ純粋なだけだ。勿論……俺よりずっと良い意味で。 今の生き方は、そんな君のしたい事でも……すべき事でもない筈だ……!」 力強い一撃を放とうとするが、渡は咄嗟に背を向けて走り出した。 渡の行った先は砂場だ。 ここでは足を飲まれやすく、そのぶんだけ拳に威力は乗せにくい。踏ん張りが効かないのだ。バランスの悪い地形へと、無意識に誘い込んだのだろう。 「逃げるな渡君……考え直しなさい! 本当の王とは何なのか……!」 名護は言いながら、渡を追いかけた。 足は思いのほかふらふらと動き、砂場に入ると尚更バランスが崩れやすくなった。 これまでの疲労は勿論の事、想いを伝えるというのは想像以上に酸素が要る。 だが、構わない。そんな事はもはや気にしていなかった。 名護の拳が渡のもとへと届く。 「正しく、優しく、強い者だけが本当の王を、権力者を名乗り、誰かを導く事が出来る……!」 「いや――強さだけが、王の最低条件……。 正しさを通すには、世界を守るには非情である事が必須なんです……――!! そうでなければ……何も守れない!!」 威力のない名護の拳を避け、渡は逆に名護の顔面へと拳を叩き込んだ。 大振りな先ほどの一撃を反省してなのか、その拳は真正面へとまっすぐに突き出される。 名護の目のあたりにそのままヒットする。体重は乗らないが、命中しやすかった。 名護の顔に広がる鋭い痛み。思わず右手が片目を抑えそうになる。 だが、こらえて名護はその腕を掴む。 「……それでは……たとえ世界を守れても、今以上の物に変える事は出来ない……!」 名護は渡の脇腹を蹴った。 長い脚を使っての美しい軌道を描いた蹴り。 「ッ!」 渡の身体はまたも吹き飛び、砂場に倒れる。 名護は馬乗りになろうとするが、そこで渡の思わぬ力が名護を吹き飛ばす。 しかし、その痛みも名護は構わない。 「変えるって……なんなんですか……! 僕はただ……!」 立ち上がろうとする名護に、今度は渡がとびかかった。 抱き合うようにして掴みかかった二人は、そのまま砂場で転がるようにして相手を振りほどこうとする。 だが、ただ体が汚れるばかりだった。 「渡君……非情は、あくまで最後の手段だ……! すべてじゃない……! 非情である事に囚われる王は……本当にあるべき世界を見失う……! この世界の歪みを、過ちを……困難を、導く力にはなりえない……!」 「変えたり……導いたりより先に……壊れていく世界はまず守らなきゃいけない……! 守った後は、貴方が、世界を正せば良い……! きっとそれが……一番……!」 「俺は王なんかの器じゃない……世界を導く王の座があるなら、そこに座るのは、君でも俺でもない……!!」 名護が叫んで、渡を振りほどいた。 渡の身体が転がるが、そこから起き上がる。 一足先に名護も立っていた。 そんな名護に向けて、渡は肩を抑え、倒れそうな体で前かがみに睨むように訊いた。 「じゃあ誰だと……!?」 「名護啓介の弟子……紅音也の息子……仮面ライダーキバに変身し――紅渡の名を持つ男……かつて俺が見た君……! 弱さと向きあい……誰かに優しくできる……そんな、かつての君だ……!! 君の中にいる、本当の君だ……」 自分の中にある自分。――ふと、何かに気づいたように渡の瞳孔が大きくなる。 名護に、そんな風に評価されていた自分がいた。 だが、今は違う……。冷徹な王になろうとしている。 名護は続ける。 「今の王にあるのは……ただのクイーンの血筋……。 だが、もう一つの血があってこその仮面ライダーキバ……紅渡だ……! 受け継ぐべきは……キングの名前じゃない……! 優しき君の……紅の名だろう!」 「違う――!! その名前は捨てる……! ファンガイアの王である事こそが僕の力! 紅渡は……大事な人も守れなかった……そして、紅渡の迷いは、その手で人を殺した! それなら、僕はもう迷わない!! 迷いを振り切る事で――すべてを捨て去ってキングになれば、僕は……!」 渡は駆け出し、名護へと再び大振りなパンチを叩き込んだ。 同じように疲弊していた名護は咄嗟にそれを避ける事が出来ない。 何より、左目が先ほど渡に殴られて反応速度が遅れたのだ。 「大切な世界を守れる――!! 失われた世界の人々を、弔う事が出来るんだ!!」 だが、名護の身体が偶然にもよろけた。 それは自分でも思いもよらぬほどの疲労が、足の先から彼の身体を倒そうとした為だろう。 その瞬間に渡が間近に迫り、支えを要した名護の身体は渡の腹のあたりを抱えるようにしてぶつかった。 渡のパンチは不発し、同時に渡の声が名護の頭上で漏れる。 「守れなかった者たちも……ここで死んだ人たちも……父さんも……前のキングも……他の世界のライダーの名も……ディケイドも……!! 全部……僕が記憶する……! 全部、弔って、覚えて……背負う……!! 僕の世界の統べる世界の下にあった、犠牲として……!! それでいい……犠牲は王だけが……僕が覚えて――背負えば良いッ!!」 名護は、そのまま体重をかけて二歩、三歩と前に歩く。 攻撃的な意志があったが、攻撃的な意味のない動作。 あるのはクリンチのように、相手の攻撃動作を止め回避する意味合いだが、これもまた偶然そうなっただけだった。 渡も思わず、名護を巻き込んで数歩下がる。 「そんなに張り詰めてどうするんだ、渡君……! かつて……ある男が俺に対してこう言った……! 張り詰めた糸はすぐ切れる……お前には遊び心がない……! 余裕がないから、たとえ強くても俺に勝てないんだ……と! その人の息子である君が……そんな大事な事を忘れてどうするんだ……!」 紅音也の話だった。 再び頭に浮かぶ父親の姿に――何かを思う。 自分の腹を巻くようにして突進し、まだ前に進もうとする名護に向けて、渡は言い放ち――彼の身体を突き放す。 「もう……遊びじゃない……! 僕は父さんじゃないし……! それに、父さんは……もういない……!!」 名護の身体は、すっかり力を失っていて、僅かの力でもよろよろと後退した。 バランスを失い、息も絶え絶えながら、名護はまだ渡の瞳を見て構え、言った。 「いや……彼は……君の中にいる……! 確かに君は、紅音也じゃない……。 だが、その人を消さずにいられるのは、君だけだ……!」 同じようにして、ひとつひとつの言葉に動揺する渡もまた、あまり積極的に攻撃を繰り出したくはない様子だった。 体中が、名護への攻撃を拒絶する。 歩き出すのが怖い。前に進むのが怖い。彼に何かを言われるのが怖い。それは純粋な恐怖とは、また違う――何かその後に来る心の動きを未然に止めたい、計算の為の恐怖。 しかし、名護の言葉は途切れない。何を言われても、名護には確固たる想いや確信が、いくらでも湧き上がるのだから。 「君が君らしくいれば……そこに、きっと、彼の姿も現れる……! それが……君たち親子を見た俺の――俺の、確信……! そして、この世の理だ……!!」 「世界の宿命を前に――守るべき世界を前には、誰の子でもいられない……僕が僕らしくいる事なんて許されない!! それが王の運命だ!! だから――自分の手が穢れるとしても……それが誰かに利用されているとしても、関係はないッ!!」 「自分を……見失うな……渡君! 誰より……君自身が……そんな事望んでいないだろう! 君は、やっぱり……君らしく生きればいい――君は……役職や使命なんかの為に……生きているわけじゃない……!!」 「王になる事も……僕自身が決めた運命だ……!!」 「そうじゃない……渡君! それは、君が自分を縛る為に定めた鎖……いつでも解き放てる、だから――」 何かが渡の胸の中で蠢く。 暴走する本能。怒りでもなく、欲望でもなく、悲しみでもなく、何か……欲望以上の欲するものが渡の中に聞こえた。 これは鎖だ。 己の中にある、何かひとつの感情を縛る鎖が、揺れ動いている。 それがはちきれかけている。 「――――――――運命の鎖を解き放て!! 紅渡!!」 名護が叫んだ――渡が呆然とする。 渡が名護を見た――名護が接近する。 名護の身体が渡を包んだ――渡の身体が硬直する。 渡の腕が居場所をなくして空を掴んだ――名護の声が聞こえる。 名護は、渡をいとしい家族のように抱きしめていた。 「渡君……。俺は……君に、君らしくいてほしい……それだけだ……。 だから、もう一度だけでいい、もう一度……今度は……俺の隣で戦ってくれ! キバとして、紅渡として……!!」 「名護さん……」 「君がそんな運命を辿るとしても、仲間として……師匠として……君と戦った日々には、まだ未練がある……! せめてもう一度……君が隣で戦ってくれたのなら――俺にはまだ……そのチャンスが欲しい……!」 名護は、友として渡を抱きしめるのみだった。 彼の中の真の想いは、結局のところそれに尽きた。 誰かの命が渡の手に奪われるだとか、渡の行為が悪だとか、貫く正義があるだとかではなく――ただ、望まない行動を続けている渡の姿が、名護にとっては、見ていられないほど痛々しかった。 それだけだった。 名護から見ても――渡は、馬鹿だった。 だが、どこまでも優しかった。 そんな渡に対する感情は、どれだけ暴力を乗せてぶつけたとしても、憎しみにはなりきらなかった。 「……」 そして、渡もまた同じように……名護の愚直なまでの想いや後悔、罪や友情を感じながら、彼を否定しきれなかった。 いや、どこまでも肯定し続けた。 そして、渡には、名護に勝つ事は叶わなかった。――この男は、どこまでも、渡の前を往く、自分の師匠だ。 「…………わかりました――名護さん。 この場は、僕の負けです――僕も、紅渡も……負けを認めるしかありません……」 力なく、渡がそう言うと――名護は、ほっとしたように力なく崩れ落ちた。 名護の体重が全て地面に吸われる。 「わかって……くれたか……はは……」 そう言って笑った後で、名護はそのまま地面に大の字になって寝転んでいた。 心の底から湧き上がる、不気味なほどの高笑いと、彼の目に見えている夜空の星たち。 汗まみれで痛む体と、張り詰めていた空気が抜けていく心地よさ。 「――それなら良かった……。 正直、思ったより体がボロボロだったんだ……。 君は強い。だから、これ以上、長引かせるわけにはいなかった……」 そうして一人で公園の地を独り占めにするかの如く寝転び、自嘲気味に笑う名護だった。 彼の中に到来しているのは、勝利の喜びよりも、その勝利によって渡が初めて「紅渡」である事を認め、名乗った事だった。 彼はキングではない。――紅渡。ずっと隣で戦ってきた仲間、俺の弟子。 運命の鎖を、解き放ってくれた。 そんな渡が、名護を見下ろして、少し吹き出して無邪気に笑った。 よく見た笑顔、そのままだった。名護もまたつられた。 「……名護さん、目に大きな痣ができてますよ」 「君こそ……頬が少し腫れているじゃないか」 「そりゃ、痛かったですから……。だって、名護さん本気で殴るんですもん」 「君が言える事か。少しは手加減しなさい」 「ごめんなさい。……でも、効きました」 「俺も同じだ。だが、同じ痛みを分かち合うのも、まあ悪くない」 それから、名護は上体を起こした。 このままずっと寝転んでいたいほど、体は休息を欲していたが、それよりももっと向き合って、改めて言いたい事がある。 「――もう一度、共に戦おう、渡君」 名護からは、それだけだ。 世界の為に戦うな、とは今は言わなかった。 ただ……隣で戦ってくれていれば……その中できっと、いつか。 裏切る事のない名護の仲間とともに、変わってくれる。 親しくなった相手を殺められるほど、渡は冷酷にはなりえない。 それに――その時の為の言質を取る。 「それでも……もし、考え直すつもりがないのなら、戦うというのなら……その時は、真っ先にこの名護啓介に牙を向けなさい……。 この俺を倒してから――それができなければ、君に彼らは倒せない。俺も、覚悟は出来ている」 まずは自分を倒せ、と。 これから二人で向かう先にいる、他の誰でもなく……。 それに対して返事をする事もなく、渡は無垢な笑顔を見せて言った。 キングではない、紅渡としての言葉を。 「……僕は、名護さんと出会えてよかった。 名護さんは僕にとって、大事な仲間で……大事な師匠で……大事な、友達です。 ありがとうございました、名護さん」 「……俺も同じ思いだ。……ありがとう、渡君。 君ならきっと、やり直せる。誰よりも優しく、正しく、強い……本当の王として」 「名護さんは、最高です」 「……君こそ、最高だ」 しかし――――。 「……」 ――――そこで、紅渡としての時間は、終わった。 「……でも、ごめんなさい、名護さん――。 ――これが僕の、裏切りです」 そんな声と、何か鈍い痛みとともに、名護の意識は途絶された。 もはや、名護は自分の身に何が起こったのかさえ、記憶していない。 ただ、それから先――ちょっとした事が起きた。 ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ 名護は、夢を見た。 目の前に現れた紅音也が、ふと告げる。 ――生きて立っている、この男と会うのはいつ以来か。 彼の遺体は確かに見かけた。それが彼を見た最後だった。 だが、いつ、彼といつ、どうして会ったのか。 それが名護の中で思い出せなくなっていた。 しかし、そんな事は名護にとって些末な話だった。 「……名護」 音也は、ただ一方的に、どこか切なげな表情を見せて名護に言った。 声を返せない。名護に声を返す力はない。 それは、夢だから。 この夢の中で、名護に声を発する権利は与えられなかった。 ただ、頭の中で考えたり、疑問に思ったりだけはできた。 音也が何故、こんな時に自分の前に現れたのか――名護には全くわからない。 そして、名護は余計に意味のわからない事を音也から告げられる事になった。 「……人の記憶は、脆くて弱い。 だがな、それでも世の中には『どうやっても忘れられる事のない天才』というのが生まれてしまう。勿論、この俺たちの事だ」 人の記憶……? それがどうした……? 脆くて弱い、記憶……。 「――忘れんなよ。 いつか、きっと……お前の中の強さと、あいつの強さがきっと結びついて、もう一度良い音楽を聞かせてくれる。 こんなに良い音楽が、この世界の歴史から消えて良いわけがない。いや、神が許しても俺は許さない。……俺は信じてる」 何を忘れるなと言った……? あいつとは、あいつとは誰の事だ……? 「じゃあな――後は任せたぞ」 疑問を訊く事もなく、音也は去っていく。 それは、あの自由気ままで勝手な男らしい、去り際だった。 だが、音也の瞳はどこか――懐かしいような純粋さを、常に含んでいた。 名護の中で――何かが張り裂けそうになる。 俺は……一体。 ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ 「――――名護っ……! おい名護っ……! いい加減起きろ!」 名護が目覚めると、キバットバットⅡ世が飛び回っていた。 何か妙にうるさいものが叫んでいるような気もしていたが、それは彼の声だったのだろうか。 名護は少々、煩わしく思いながら目覚めた。 「ようやく目覚めたか。 随分と寝覚めが悪そうだが……まあ別れの言葉も告げずに立ち去るのはこちらの寝覚めが悪いんでな。 最後にせめて、お前に伝言を授けに来てやったぞ」 キバットの声を訊きつつも、名護は辺りを見回す。 一人で何故、こんなところのいたのか――まったく覚えがない。 その前までは、名護は確か病院で仲間たちと会議をしていた。その後で、何か理由があってここに来たのかもしれない。 ……しかし、その記憶がない。 ここに来るだけの必然性もわからないし、その事情を知っているのはキバットだけだろうと思ったが――彼は、「別れ」などと云っている。 彼は何かを知っているのだろうか。 いずれにせよ、何故別れなどと云うのだろうか。 「別れる……? 最後……? 何故、俺たちと行けない……キバット君」 「残念だが、名護。俺は新たなる王の覚悟を、見届けた。 奴の孤独、悲しみ……闇、闇、闇だ。それは確かに、かつての主を上回る。気に入った。 俺の力を受け継ぐにふさわしいキングだ」 名護には、彼の告げた言葉の意味がまったくわからなかった。 ただ、何となく惨めで――何となく、歯がゆい思いがある。 すっかり置いてきぼりで、それでも、置いていかれるわけにはいかない気分。 いや――自分も、何か大事な事を忘れているような……。 「……何の事を言っている? それより、俺は何故こんなところで眠っていたんだ……? 教えてくれ、キバット君。一体、何があった……?」 「フンッ、哀れだな……。とにかく、これは王の命令だ。伝言だけは授けてやろう。 ディケイド――奴は世界の破壊者。ディケイドを倒す事が仮面ライダーの使命、もし会ったのなら奴だけは真っ先に破壊せよとの事だ。 ……さて、俺は王のもとへと行く。悪いが、翔一たちにもよろしく頼んだぞ」 そう言って、キバットは物憂げな顔とともにどこかへ飛び去り、夜の闇に溶けてしまった。 果たして、彼が何を知っていたのか――それはわからないままだった。 「――待て、キバット君! ……どういう事だ。 世界の破壊者……それに……新たなる王とは一体……!」 立ち上がって追いかけようとしたが、体中がズキズキと痛む。 追いかけるどころか、その行先を見つける事さえ無理だった。 結局、何故キバットとここにいて、ここで何をしていたのかさえ――名護にはわからない。 「だが、俺は何故――。くっ……」 頭の中で、キバットの言葉を整理する。 「――俺の……仮面ライダーの使命? ディケイドを倒す事が……? いや、俺には何か、もっと大事な別の何かが……」 違和感。 目の前に霞み消える何か。 ここで、さっきまで誰かと話していたかのような錯覚。 そして、何も話していないのに、何か話し足りないような感覚。 (夢、だったのか……?) ……なんだか、それも含めてすべて夢だったような気がした。 そうだ、さっきまでここで気を失い眠っていたのだ。夢に違いない。 目覚めるとともに、胸を締め付ける……そんな何か切ない夢を見ていたのだ。 ただそれだけだ。 今立ち向かうべきは、現実だった。 「――ッ!」 ふと、左目に痛みが走った。 目やにでもついているのかと思って触れると、少し腫れている。 こんなところをぶつけたり、戦闘で負傷したりした覚えがない……物貰いだろうか。 そんな事を思っていると、少し、涙が出た。 それは痛みから出たのか、目のどこかが刺激されたのか、それとも何かの情動が流したものなのかは、誰にもわからなかった。 それを気にする事もなく、名護はそれを拭った。 視界の先に、ある物が見えた。 「缶コーヒー……? 何故こんなところに置いてある? ……中身が入っているが、まあ良い。ゴミはゴミ箱に捨てなければ」 ベンチの上に置いてあった缶コーヒーだ。 名護は不思議に思いながらも、それを近くのゴミ箱に放り捨てた。 ゴミ箱には、既に同じ空き缶が一つ入っていた。そういえば、自分も先ほどコーヒーを飲んだのか、口の中から微かにコーヒーの香りがした。 まさか、あそこに置いてあった缶コーヒーでも飲んだのだろうか。 ……いや、そんなわけはないか。 そう思いながら、名護は不思議そうにベンチを見つめた。 「――」 ふと、ベンチに、誰か座っていたような気がした。 誰かが笑いかけたような気がした。 しかし、名護はその違和感の正体を、もう気にも留めなくなっていた。 疲れているのかもしれない、と思いながら。 「――俺は……こんなところにいる場合じゃない。 戻らなければ……仲間のもとに……」 名護啓介には――仮面ライダーイクサには、往く場所があった。 ここで出来た仲間たちのもとだ。まずは、そこに戻らなければならない。 名護は、それから辺りを見回し、カブトエクステンダーを停めた場所だけ思い出した。 それでも、やはり何故ここにやって来たのかだけはわからず――ただ、もうそれを考える事もなく、跨り、その場を去った。 ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ ♯ ♪ 「――新たなるキングよ。確かにお前の言う通り、奴からは『紅渡』に関する記憶がすべて消えていた」 「ありがとうございます、見届けてくれて……。 それより、貴方こそいいんですか? もともと彼らと一緒だったんでしょう?」 「構わん。俺は誰の味方でもない。気の向くままに、在るべきところに戻るだけだ。 それから、キングよ……貴様がキングを名乗るのなら、俺への敬語もやめろ。俺は王の鎧に過ぎん」 紅渡――いや、赤い錆色の戦士へと、キバットは告げた。 渡の今の姿は、人の記憶を代償として変身する忘却の仮面ライダーに変わっていたのだった。 戦う為ではなく、それは忘れさせる為の変身だった。 名護を殴打し、気絶させた後――彼は、この姿へと変身したのだ。 「……」 やがて、戦士の変身を解き、彼は再び紅渡という青年の姿を晒す。その手に持っていたカードは、そのまま砂となり消滅していく。 渡が名護のもとを去る時に見せた覚悟――それは、“名護啓介の記憶の中から紅渡という青年の存在を消す事”だったのだ。 もはや、名護は渡の名前を聞いても素知らぬ顔ができるほど、渡の存在を忘れ去っているだろう。 これでもう二度と、彼の事を紅渡と呼ぶ人間は存在しえない。 それでいい。 あれが――名護啓介に抱きしめられてから少しの間だけが、紅渡の最後の時間だった。あそこでもう一度、紅渡の名前を名乗ったのは、最後の決意。 ほんの少しだけ王の運命から解放され、もう一度、名護に本当の意味で別れを告げる為の行いだった。 (名護さん、僕は――これ以上貴方と同じ道を進む事は出来ません……。 僕の罪を貴方が背負うというのなら……それだけ多くの人を傷つけ、苦しめる必要があるのなら、最初から僕がいなくなってしまえばいい。 そうすれば、貴方はもうこれ以上、背負わない。苦しまない。 そして、貴方は正義の味方――仮面ライダーイクサでいられる) 師匠である自分が罪を共に背負うと、名護は言った。 ならば、その事実ごと消してしまえば良いのだ。 確かに、罪というのは誰もが無自覚に背負う物。知らない事も、忘れる事も、また罪だと云えるかもしれない。 しかし、それでも罪はただ在るだけでは本人を苦しずには済む。知った時、背負う覚悟を持った時に初めて罪は圧し掛かり、人を苦しめるのだ。 だから、名護にはすべて、忘れてもらう。 師匠と弟子であった時間も、キバとイクサであった時間も、友であった時間も、先ほどの戦いも――すべて消えてしまえば、名護はきっと、一つの大きな罪から解放される。 もし、地獄なんていうものがあるというのなら、そこで渡の隣を歩く必要はない。 愛する妻と、天にいれば良い。 ……それで、いいんだ。 (でも、名護さん。 貴方の言葉は確かに響いた。貴方への最後の言葉も嘘じゃない。 僕は僕らしく生きたい……ずっとそう願っていた。 今はそれが出来ない立場だけど……それをわかってくれて、本当に嬉しかった。 ――貴方はやっぱり最高です、名護さん。 ありがとう……僕は、忘れない) カブトエクステンダーを駆り、どこかへ去っていく名護の背中を、渡は潤んだ瞳で見つめていた。 既に、彼は切り替えたのだろう。 それから、決意を秘めてキバットへと言った。 「――行こう、キバットバットⅡ世」 「いいのか……」 キバットバットⅡ世もまた、珍しく他者を気遣うような素振りを見せた。 それは、単純にキバット自身もまた、翔一たちと別れた事に少々思わしいところがあったからかもしれなかった。 しかし、彼は闇のキバの鎧。 帰るべき場所は悲しみや闇の淵にいる、王の隣だ。 そういう意味では、キバットにとってはうってつけの場所ともいえるが――しかし、渡はそれをどこにもぶつけなかった。 「――名護さんは……いや、彼は別の道を行くよ。仮面ライダーという道へ」 どこか爽やかにはにかみながらも、心の奥底には悲しみが溢れていた。 大事な人から存在が消えるという事は、これほどまでに辛い物なのかと。 これからたとえ名護に会っても、彼は気づかずにすれ違っていくだろうし、もしかしたら今度会えば止める言葉ひとつもなしに襲い掛かってくるかもしれない。 そう思うと……。 ……だが、渡は――キングは去りゆく名護に背を向けながら、次の瞬間にはファンガイアの王としての毅然とした面持ちをしていた。 「……僕は、王の道へ」 決して、振り向く事なく歩いていく渡。 運命の鎖は、紅渡と名護啓介を引き裂き――そして、それぞれの道が交わるのを阻もうとしていた。 ただ、どこかできっと――見えない鎖は、二人を繋げていた。 【二日目 深夜】 【D-2 市街地】 【名護啓介@仮面ライダーキバ】 【時間軸】本編終了後 【状態】疲労(中)、ダメージ(大)、左目に痣 【装備】イクサナックル(ver.XI)@仮面ライダーキバ、ガイアメモリ(スイーツ)@仮面ライダーW 、ファンガイアバスター@仮面ライダーキバ 【道具】支給品一式×2(名護、ガドル)、ラウズカード(ダイヤの7,8,10,Q)@仮面ライダー剣、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト 【思考・状況】 基本行動方針:悪魔の集団 大ショッカー……その命、神に返しなさい! 0:病院の方に戻る。 1:直也君の正義は絶対に忘れてはならない。 2:総司君のコーチになる。 【備考】 ※時間軸的にもライジングイクサに変身できますが、変身中は消費時間が倍になります。 ※『Wの世界』の人間が首輪の解除方法を知っているかもしれないと勘違いしていましたが、翔太郎との情報交換でそういうわけではないことを知りました。 ※海堂直也の犠牲に、深い罪悪感を覚えると同時に、海堂の強い正義感に複雑な感情を抱いています。 ※剣崎一真を殺したのは擬態天道だと知りました。 ※ゼロノスのカードの効果で、『紅渡』に関する記憶を忘却しました。これはあくまで渡の存在を忘却したのみで、彼の父である紅音也との交流や、渡と関わった事によって間接的に発生した出来事や成長などは残っています(ただし過程を思い出せなかったり、別の過程を記憶していたりします)。 ※「ディケイドを倒す事が仮面ライダーの使命」だと聞かされましたが、渡との会話を忘却した為にその意味がわかっていません。ただ、気には留めています。 【紅渡@仮面ライダーキバ】 【時間軸】第43話終了後 【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、地の石を得た充足感、精神汚染(極小)、相川始の裏切りへの静かな怒り、心に押し隠すべき悲しみ、ゼロノスに二時間変身不能 【装備】サガーク+ジャコーダー@仮面ライダーキバ、エンジンブレード+エンジンメモリ@仮面ライダーW、ゼロノスベルト+ゼロノスカード(緑二枚、赤一枚)@仮面ライダー電王 、ハードボイルダー@仮面ライダーW、レンゲルバックル+ラウズカード(クラブA~10、ハート7~K)@仮面ライダー剣、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ 【道具】支給品一式×3、GX-05 ケルベロス(弾丸未装填)@仮面ライダーアギト、アームズモンスター(バッシャーマグナム+ドッガハンマー)@仮面ライダーキバ、北岡の不明支給品(0~1)、地の石(ひび割れ)@仮面ライダーディケイド、ディスカリバー@仮面ライダーカブト 【思考・状況】 基本行動方針:王として、自らの世界を救う為に戦う。 1:レンゲルバックルから得た情報を元に、もう一人のクウガのところへ行き、ライジングアルティメットにする。 2:何を犠牲にしても、大切な人達を守り抜く。 3:ディケイドの破壊は最低必須条件。次こそは逃がさない。 4:始の裏切りに関しては死を以て償わせる。 4:加賀美の死への強いトラウマ。 5:これからはキングと名乗る。 【備考】 ※過去へ行く前からの参戦なので、音也と面識がありません。また、キングを知りません。 ※東京タワーから発せられた、亜樹子の放送を聞きました。 ※ディケイドを世界の破壊者、滅びの原因として認識しました。 ※相川始から剣の世界について簡単に知りました(バトルファイトのことは確実に知りましたが、ジョーカーが勝ち残ると剣の世界を滅ぼす存在であることは教えられていません)。 ※レンゲルバックルからブレイドキングフォームとクウガアルティメットフォームの激闘の様子を知りました。またそれによってもう一人のクウガ(小野寺ユウスケ)の存在に気づきました。 ※地の石にひびが入っています。支配機能自体は死んでいないようですが、どのような影響があるのかは後続の書き手さんにお任せします。 ※赤のゼロノスカードを使った事で、紅渡の記憶が一部の人間から消失しました。少なくとも名護啓介は渡の事を忘却しました。 ※キバットバットⅡ世とは、まだ特に詳しい情報交換などはしていません。 ※名護との時間軸の違いや、未来で名護と恵が結婚している事などについて聞きました。 118 師弟対決♭キミはありのままで(前編) 時系列順 119 可能性の獣 投下順 紅渡 120 Bを取り戻せ/フィアー・ペイン 名護啓介