約 1,476,269 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/9590.html
京太郎「おーっす」ガチャ! 京太郎「…って言っても誰もいないけどな」 京太郎「さてと、牌譜を…」 和「…」ガチャ! 京太郎「おおっ!?…和か」 和「あ、須賀君、今日は部活の日ではありませんが…?」 京太郎「いや~、その、なんとなく…ね?」 和「へぇ…」ジトー 京太郎「うっ…」 和「…なるほど、牌譜を取りに来たんですね」 京太郎「い、いやな、持ち帰っちゃダメなのは分かっているんだが」 和「はぁ…あー、私は何も見てません、見てませんよ、ええ」 京太郎「へ?」 和「須賀君はたまたま忘れ物をしたんですよね、おっちょこちょいなんですから」 京太郎「そ、そうだな!そうなんだよ!」 和「ふふふ…」 京太郎「ははは…」 優希「そこにいるのは誰だじぇ!?」ガチャ! 和「きゃっ!」 京太郎「うおぉい!!なんだ優希か…」 優希「ん?なんで二人とも居るんだじぇ?」 京太郎「俺は忘れ物で…あれ?和はなんだ」 和「え、えーっと、私はですね」 優希「まったく…のどちゃんはまた牌譜をこっそり持ち帰ろうとしたのか?」 京太郎「ほえ?」 和「うっ、そ、それを言うならゆーきだって!」 優希「私は堂々としてるからいいんだじぇ!」 咲「あ、あれ?なんでみんな居るの?」ガチャ 京太郎「咲、お前もか」 和「…なんだか揃ってしまいましたね」 優希「ふむ、打つか?」 咲「わ、私は読みかけの本を取りに来たんだけど…」 京太郎「牌譜はいいのか?」 咲「あ、ちょっとだけ持って帰ろうかと…はっ!」 優希「なーんだ、皆考えることは一緒だじぇ」 和「お正月は暇ですからね、たまには牌譜でもと」 京太郎「まったく…ビビり損だったな」 咲「あはは…皆同じだったんだね」 優希「じゃあ、最後に打つじぇ!」 和「負けませんよ」 京太郎「最後ぐらいは勝ちたいな!」 咲「じゃあ、私も本気で行くよ!」 ワイワイガヤガヤ カン!
https://w.atwiki.jp/kyo-saki/pages/26.html
170 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2009/10/22(木) 02 36 22 ID ygtFG82O 流れをぶった切って何かオリオン座流星群が来てるってことで、麻雀部のみんなで見に来たって設定で。 京「部長~こんな夜中に学校に忍び込んで大丈夫なんすか?」 久「大丈夫大丈夫。それに今日を逃したら次はいつになるか分からないでしょ?」 京「そうですけど……へ……へっくしゅ!」 和「須賀君、寒いんですか?」 京「ん、あ~、ちょっとだけな。最近朝晩は冷え込むようになってきたしな~」 咲「京ちゃん、大丈夫?」 優「犬のくせに寒いなんておかしいんだじぇ!」 和「……須賀君、隣……いいですか?」 京「へ?お、おぉ。」 ギュッ! 京「の、和!?」 和「こ、こうしてくっ付いていれば暖かいでしょう?」 京「あ、あぁ」 咲・優(ムッ!) 咲「きょ、京ちゃん!わ、私も隣いい!?」 京「へ?お、おぅ」 ギュッ! 京「ちょ!な、なに腕に抱きついてんだよ!?」 咲「だ、だって寒いんだもん!」 優「あ~私も何だか寒くなってきたじぇ。」 ギュッ! 京「だー!お前も何してんだ!離れろ!」 優「ん~?咲ちゃんとのどっちは良くて私はなんでダメなんだじぇ?」 久「あら~、暖かそうね。じゃあ私も」 ギュッ! 京「ちょちょ!ぶ、部長……その……背中に……!」 久「当ててんのよ。あ~、須賀君って暖かいわね」 まこ「星がキレイじゃの~」 終わり
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7094.html
清澄麻雀部- 新学期到来 まこ「おお、おんしらが入部希望者か?」 優希「そうみたいだじぇ」 モブ子「は、はい!」 モブ美「うわあ!あの染谷さんだ…!本当に会えるなんて!」 モブ乃「先鋒の片岡さんもいますね。感動しちゃいます…!」 和「新入生の皆さん、今日からよろしくお願いしますね」 咲「よ、よろしくね」 モブ子「!!!」←感激で言葉が出ない モブ美「は、原村さんだーーー!中学の時からずっとファンでした!」 モブ乃「あ、あの伝説の決勝戦を制した宮永さんに会えるなんて…」 まこ「大げさすぎるぞ。これから一緒の部員として頑張るんじゃからな」 優希「気軽にするといいじぇ」 モブ子・モブ美・モブ乃「「「はい!」」」 京太郎「そうだぞ。皆、よろしくな!」 モブ子(この人は…?) モブ美「え?誰?」 モブ乃「…」 京太郎「ぐはっ!」 咲「きょ、京ちゃん…!」 和「失礼ですよ、きちんと先輩に挨拶をしてください」 モブ美「は、はい!すいません…」 京太郎「まあ仕方ないよな…俺は大会に付いて行っただけで、 試合には出てないから知らないだろ普通…」 京太郎「麻雀部2年の須賀京太郎だ。改めてよろしくな」 モブ子「は、はい」 モブ美「はい、よろしくお願いします!」 モブ乃「よろしくお願いします」 まこ「まあ今日は麻雀部の活動を見ていったらええ」 モブ子・モブ美・モブ乃「「「わかりました」」」 数週間後- 優希「くう…!1年がここまで強いとは思わなかったじぇ…!」 咲「うん、皆強いよね。私たちが教えることなんてほとんどなかったよ」 和「基本がきちんとできているのは良いことだと思いますね」 まこ「まあ、だからなんだろうけどのお…」 京太郎「だーっ!また振り込んだ!」←ネット麻雀中 モブ美「須賀先輩!そこでそれを切っちゃいけないでしょ!」 モブ乃「先輩、焦りすぎ…!」 モブ子「私だったらこうしますよ。ほら、これが出てるじゃないですか。だから…」 まこ「京太郎は後輩にたくさん教わっとるのお」 咲「それは良いことなんですが…」 モブ美「先輩、ここはね…」フニュッ 京太郎「お、おい近いぞモブ美(あ、当たってるし…)」 モブ美「近づかないときちんと教えられないも~ん///」 優希「ちょっと近すぎるじぇ…」 和「…」スタスタ… まこ「お、おい和対局中にどこへ…」 モブ美「それで、ここは…」 京太郎「な、なるほどな…この場合はどうしたら良いんだ?」 モブ美「この場合は 和「この場合はですね」」 モブ美「!?」 和「こちらの牌を切るのが定石だと思います」ポニョン 京太郎「の、和!?近い!近いって!」 和「いいじゃないですか、いつも教えてるときはこうやってたじゃないですか?」 京太郎「そ、そうか?で、でもな…(うおおお理性を保て!理性を保つんだ!)」 和「続けますよ、この場合は…」 モブ美「…」ガックシ 優希「和ちゃんの武器は偉大だじぇ」 咲「あれには誰も勝てないよ…」 京太郎「うーん、なんかこの状況みたことあるような… 気になるな、ちょっと牌譜を見直したいな…」 京太郎「あの棚の上の所か…うーんわずかに届かないな…」 モブ乃「で、でしたら私を持ち上げてください」 京太郎「い、いや流石に悪いよ。何か乗るもの探してくるぜ」 モブ乃「わざわざそんなことしなくても大丈夫です。さあ、お願いします」 京太郎「でもよ…」 優希「…」スタスタ… 咲「あれ、優希ちゃんまで京ちゃんのところに…」 モブ乃「さあ早く…///」 京太郎「わ、わかっ 優希「待つじぇ京太郎」」 モブ乃「!?」 優希「私を持ち上げるんだじぇ。私の方が小さいし持ち慣れてるだろ?」 優希「モブ乃は別に重くはないと思うけど、身長が高いし出会ってそう経ってない 女の子相手に持ち上げるのはどうかと思ってたんじゃないか?」 京太郎「そ、そうなんだよ。ごめんなモブ乃、なんかさセクハラみたいになりそうで やりにくかったんだ」 京太郎「じゃあ、優希頼む」 優希「任せるじぇ!さあ来い!」 モブ乃(べ、別にセクハラされても良かったのに…)ガックシ 和「小柄だと良いこともたくさんあるんですね」 咲「優希ちゃんは色々と行動力があるね…」 京太郎「じゃあ、ちょっと買い出しに行ってきますね」 まこ「別におんしがせんでも…」 京太郎「いいんですよ!こういうのは俺に任せてください!」バタンッ 優希「相変わらず京太郎はよく働くじぇ」 和「本当に…素敵な人ですね」 咲「それが京ちゃんだもん」 数分後- 京太郎「ふーっ!疲れたぜ!ちょっと休憩したいな…」 モブ子「で、でしたら…!私がマッサージをしてあげましょうか?」 京太郎「そうか?なら頼むぜ」 モブ子「はい…///」 モブ子「んしょ…んしょ…」 京太郎「んー」 モブ子「ど、どうですか?」 京太郎「そうだな、少し身体が楽になってる感じがするぜ」 モブ子「そうですか…///良かったです」 優希「京太郎の奴気持ちよさそうだじぇ」 和「私も後でしてもらいましょうか」 咲「…ってない…」 優希「ん?どうしたんだじぇ咲ちゃん?」 咲「全然なってないよ!!!」スタスタ… 和「さ、咲さん!?一体どこへ…」 モブ子「先輩…もっとしてあげま 咲「京ちゃんはここを押すと気持ちいんだよね」」 モブ子「!?」 京太郎「うおっ!咲、それめっちゃ気持ちいい!」 咲「私がマッサージしてあげる」サスサス 京太郎「身体が凄く軽くなった…流石だな咲」 咲「えへへ///私は京ちゃんの事なら何でもわかるんだから///」 モブ子「…」ガックシ 優希「咲ちゃん…やはり最大のライバルとなりそうだじぇ」 和「幼馴染というのは大きなアドバンテージですからね」 部活終了- 京太郎「おーい咲帰るぞ!お疲れっした!」 咲「まっ、待ってよ京ちゃん!」 バタンッ 和「さて、京太郎君もいなくなりましたね」 優希「1年共に聞く!」 3人「「「…?」」」 優希「お前ら全員京太郎に惚れてるじぇ?」 3人「「「…はい///」」」 和「はあ…彼も罪な人ですね。ですが負けませんよ」 優希「私ものどちゃんも、そして咲ちゃんも皆京太郎のことが好きだじぇ」 優希「1年共!今日からライバルだじぇ!正々堂々戦おうではないか!」 3人「「「は、はい!」」」 和(大げさすぎる気もしますがね…私も負けたくありません) 帰り道- 京太郎「結局一回も勝てなかったなー」 咲「でも2位にはなれたんでしょ?」 京太郎「まあそうなんだけどな…後輩がもともと強いとはいえ、 先輩の面子が立たないぜ…」 咲「良いんだよ京ちゃん。私がたくさん教えてあげるからね!」 京太郎「ありがたいんだが、咲の説明はどうもわからなくて… とにかく色々と訳が分からないんだ」 咲「な、なにそれ!私ってそんなに説明下手!?」 京太郎「いや、そういう訳じゃないんだけどな…」 京太郎「とにかく、後輩に少しでもいいところ見せれるようになりたいぜ。 これからもよろしくな咲」 咲「うん!あと2年もないけど、たくさん麻雀しようね! そして、たくさん思い出作ろうね京ちゃん?」 咲「じゃあ明日も迎えに行くから!」 京太郎「おう!じゃあな」 咲「うん」 咲(中学生の時からずっと秘めてるこの想い。叶えてみせる) 咲(絶対に誰にも負けない!) カンッ
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2515.html
花見 16KB 虐待-普通 小ネタ 虐待人間 なかなか暖かくなりませんね… 「「「かんぱーい!」」」 仲間達と紙コップグラスを交わし、ビールを一気に飲み干す。 ぽかぽかと暖かい日差しに、まだ少し冷たい風が心地よい。 桜はどの木も八部咲きほどで美しい。 ここは地元でも有名な桜の名所。 山中に立てられた神社の一角に陣取っている俺達。 周囲には似たような花見客が桜の木下を陣取り、思い思いに花見を楽しんでいた。 俺は休日に職場の人達と花見に来ている。 気の会う同期、気になっている事務の女の子、仕事の事は五月蝿いが優しい先輩、 一年たってようやく仕事に慣れてきた新人、そして……… 「はっはっは!今日は無礼講だ!じゃんじゃん飲んでくれ!」 当然無礼講なんて言葉は、有るが存在しないような物。 まともに聴いてはいけない言葉。 この花見は部長主催ので行われている。 部長は仕事は出来るが職場内ではあまり好かれていない。 禿げ上がった頭を、わずかに残った髪の毛で隠してはいるが、所詮それでは中国の緑化運動である。 厳しく五月蝿く、そして嫌味な部長の愛らしいトレードマークのバーコード。 そんな物を眺めていては、せっかくの花見も楽しみ半減である。 点数稼ぎに忙しい奴らは必死でゴマをするいい機会ではあるが、俺はそんな事に興味は無かった。 ただ、今日一日が無事に終わってくれればと願うだけである。 「そろーり、そろーり」 「みつからないようにするんだねー!わかるよー!」 何処からか聞きなれた少し高めの声がする。 声が聞えた方に目をやると、そこには見慣れた奴等が居た。 街中では駆除の対象、山間の農村では害獣、山中では山の幸。 そう、愛らしくも憎らしい人類の隣人(?)「ゆっくり」である。 「ゆふふ!にんげんがいっぱいいるのぜ!」 「まりさー、ほんとうにやるの?わからないよー」 「まりささまにまかせておくんだぜ!」 草むらに隠れて様子を伺う二匹。 食べ物を探しに狩りに出かけたまりさとちぇんは、春先になると賑わう神社までやって来ていた。 まりさは春になると人間がここに集まるのを知っていた。 人間の食べ物を手に入れる事が出来る数少ないスポットだった。 「ちぇん、よくみるんだぜ!にんげんのかおがあかいんだぜ?ああなっていれば、らくしょうなんだぜ!」 「まりさ、あぶないよー!おさもいってたんだよ!にんげんさんにかかわっちゃだめだって…わかってねー!」 「ちぇんはおくびょうなんだぜ!だまってまりささまにまかせるのぜ!」 まりさは去年の春にこの場所を偶然見つけた。 群れの住む山からゆっくりの足で、小一時間ほどの距離があるこの神社。 そこで人間達の食べ残しを味わって以来、その味が忘れられずこうして今年もここにやって来た。 まりさとちぇんは草むらを慎重に移動していった。 そして草むらから一番近い桜の木下に陣取る花見客に目をつけた。 「それじゃあちぇん、ばれないようにいくんだぜ!………そろーり、そろーり…」 「にんげんさんに、みつからないようにするんだねー!わかるよー!」 まりさには勝算があった。 かつてこの場所でゴミを漁る姿を人間に見られ、追いかけられた事があった。 まりさは必死に逃げ回ったが、人間は予想以上に足が速くあっさりと捕まってしまった。 まりさはその時、死を覚悟した。 だが顔の赤い人間が突然気分が悪くなったため、その隙を突いて逃げ延びる事が出来たのだ。 そんな体験を元に得た知識。 顔の赤い人間は怖くない、もし捕まっても可愛く謝れば何とかなるだろう。 いざとなったらちぇんを犠牲にしてでも逃げる気で居たまりさであった。 そんな考えを内に秘め、人間の背後から慎重に忍び寄る。 そして……… 「おい!何やっているんだ?」 あっさりと人間にばれてしまった。 「ゆわわわわ!どうしてばれたんだぜ?!まりさささまのけいかくは、かんぺきなはずだぜ?!」 「いやぁぁぁぁ!こわいよぉぉぉぉ!わからないよぉぉぉぉ!」 バスケットボールサイズのゆっくり二匹を素早く捕獲した俺。 少し薄汚れている二匹ではあるが、野生のゆっくりならばこんな物だろう。 都会の野良なら素手で捕まえる気も起こらないだろうが、こいつ等はそこまで汚れては居なかった。 うろたえるまりさと、怯えて泣き出すちぇん。 大声で騒ぐため、周囲が二匹を鷲掴みにしている俺に注目しだした。 「何これ?野生のゆっくりって奴なの?」 「うわっ!きもちわりー!よくそんな物素手で持てるな………」 「先輩、さっさと潰しましょう!なんなら俺が…」 そんな騒ぎに部長も気がついた。 部長は不審そうな顔で俺のほうを見る。 「なんだね、その丸っこい物は…ちょっと見せてみなさい」 俺は部長に言われるままに、何故か謝るまりさと解らないだらけのちぇんを部長に渡す。 部長はそんな二匹を興味深そうに眺める。 「にんげんさん、まりさをゆるしてね!かわいくってごめーんね♪」 「こわいよぉぉぉぉ!わからないよぉぉぉぉ!!」 「まあ落ち着きたまえ、君達は何なんだ?如何してここに来たんだ?説明してみなさい」 部長は優しく二匹に語り掛ける。 まりさがその言葉を聞いて安心したのか一瞬に嫌らしく笑ったのを俺は見逃さなかった。 怖がって、わからないを連呼するちぇんに変わり、まりさがここに来た理由を話す。 ゆっくりの説明なので、聞くに堪えない稚拙な内容で話を進めるまりさ。 まりさは気が付いていない様だが、話を聞いているとこのまりさは大分人間を舐めているのが解った。 そんなまりさを睨み始める社員数名とは対照的に、部長は熱心に話を聞いていた。 部長は案外良い人なのかも知れない。 「なるほど、よく解った!それなら一緒に花見をすればいいだろう!」 「はなみ?それはゆっくりできるんだぜ?ゆわーい!」 「にんげんさん、ちぇんたちをゆるしてくれるの?ゆっくりありがとなんだねー」 部長の発言に驚く一同。 ゆっくり二匹は嬉しそうにはしゃいでいた。 「ちぇん、かわいいー!これも食べてみる?美味しいわよ」 「おねーさん、ありがとなんだねー!ゆっくりできるよー」 「おいまりさ!これ食え!美味いぞ!」 「むーしゃむーしゃ!しあわせー!ゆっくりできるんだぜ!」 すっかり溶け込んでしまったまりさとちぇん。 ちぇんは猫っぽい外見が受けるのか、女性社員に人気だ。 まりさは男性社員におつまみを貰って大満足の様子。 男性社員数名がなんだかイライラしているような感じではあったが、穏やかに花見は進行していった。 「おいまりさ!これ飲んでみろ!」 「ゆゆ?それはなんなんだぜ?ゆっくりできるんだぜ?」 若手社員の一人がまりさにビールを勧める。 彼は先程からまりさを見るたびにイライラしていた様子だった。 まりさが嬉しそうに近づいてくるのを見て怪しく笑う彼。 俺はビールを飲みながら成り行きを見守る事にした。 まりさは幸せの絶頂だった。 人間の食料を好きなだけ食べられるこの一時を、存分に堪能していた。 怖いと思っていた人間も、それほど恐れるも程ではないと油断しきっていた。 「おいまりさ!これ飲んでみろ!ビールさんだぞ!美味しいぞー!」 ゆぷぷ!またばかなにんげんが、まりささまにおいしいものをくれるんだぜ! ゆぷぷのぷー♪このままこいつらを、どれいにしてやってもいいくらいなんだぜ! そんな事を考えながら、というか普通に喋りながら手招きする人間の方へ向かうまりさ。 人間に言われるままに大きく口を開けてそれを待つ。 口いっぱいに広がるその味に思わず言葉を漏らす。 「ごーくごーく!し、し、しあわ…?……ゆぎゃぁぁぁぁ!にがいぃぃ!じょわじょわぁぁ!ゆっくりできないぃぃ!!」 それは予想外の味だった。 今まで与えられた食べ物はまりさにとって未知の味だった。 若干しょっぱい物や辛い物もあったが、依然味わった物とは比較にならない程まりさを喜ばせた。 自然界では味わえない味覚にまりさは心底ゆっくり出来ていた。 ところが、今口の中に入れられたこの水は、まりさにとってゆっくり出来ない要素ばかりだった。 苦味と炭酸、それにアルコールがまりさを苦しめた。 かつて間違って食べてしまった苦い草など比較にならないほどの刺激。 まりさは思わずビールを吐き出し、泣きながら転げまわった。 「うわっ!きったねー!」 「だめじゃないかまりさ、このくらい飲めないと社会人とは言えないぞ!」 まりさに理解できない単語を喋る人間。 苦しむまりさを見て楽しんでいる様子だった。 このにんげんはゆっくりできない! ようやくまりさがその事に気が付くが、時すでに遅し。 怪しく笑う人間は数名でまりさを押さえ、無理やり口を開かせてビールを注ぎ込んだ。 「ゆごぼぼごぼぼおぉっぉぉぉ?!ゆげぼぼ!むむむむむぅぅぅ?!」 若手社員数名に抑えられ、無理やり口にビールを注ぎ込まれるまりさ。 必死に抵抗するも、当然適うわけも無ない。 ビール500ml缶を二つ空になるまで口いっぱいに注ぎ込むと、社員の一人がまりさの口を塞いだ。 両目をむき、必死で身を捩るまりさは涙と変な汗を大量に流し震えている。 社員数名はそんなまりさの姿を見て大笑いしていた。 俺もそんなまりさをつまみに日本酒を飲む。 かつて鬼威参と呼ばれた過去を懐かしみながらの一杯。 日本の春を満喫していた。 「ゆげっ!ごぼっ!ゆひっ、ゆひっ……どぼじで「こんなごどずるんだぜぇぇ?!ゆっくりできないんだぜぇぇ!!」 ビールを飲み干す事で苦痛から解放されたまりさは、笑う社員達に抗議の声をあげる。 ビール腹ではないが、まりさの体は膨らました水風船のようになっていた。 「こらこら、お前たち!あんまりまりさを苛めちゃ駄目だぞ!」 「ゆびぇぇぇん!ぶちょーしゃーん!…?!…ゆいっく!まりちゃどうしたんだじぇー?ふーらーふらするんだじぇー?」 部長の一声でしぶしぶまりさを離す社員達。 まりさは嬉しそうに部長に駆け寄るが、酔いが回ってきたのかふらふらしている。 一方ちぇんの方は女性社員になでられ気持ちよさそうに寝ている。 女性社員は不安そうにまりさを眺めていた。 「ぶちょーしゃん…っゆいっく!あのにんげんしゃんたちが…ゆいっく!まりしゃをいじめめめ……めがまわるぅぅ!」 「こら!ゆっくりを苛めちゃいかんぞ!…もう大丈夫だぞまりさ!安心してゆっくりしなさい」 「ゆぴょぴょ~♪ゆいっく!ばーきゃ!ばーきゃ!おこられちゃ~♪ぶちょーしゃんだいしゅきー!」 部長を味方につけ調子に乗るまりさ。 そんなまりさを見つめる男性社員一同は、俺も含めて拳を硬く握り締めていた。 「はっはっは!私も好きだよーまりさ!………それにしても、まりさの金髪は綺麗だねー」 「ゆぷぷぷ!もっとほめちぇー!ゆぃっく!まりさはゆっくりできるんだじぇー!ゆぃっく!」 まりさは部長に撫でられ目を細める。 部長も嬉しそうに頬を緩める。 あんな部長の姿を見るのは初めてだが、まりさに募るイライラは消せそうに無かった。 「まりさの金髪は素敵だねー帽子も素敵だねー」 「ゆぷー♪それほどでもあるんだじぇー!ゆぃっく!でもぶちょーしゃんのぴかぴかあたまも…ゆぃっく! とーってもゆっくりできるんだじぇー!ぴかぴかぽ~~ん♪」 「…なんだと?!」 一瞬空気が凍りつく。 春の温かい日差しが嘘のように思えるほどの寒さと静けさが辺りを包む。 調子に乗ったまりさが、部長のトレードマークを褒めてたのだが、 部長自信は愛すべきトレードマークをかなり気にしているのだ。 酒の勢いもあってか何時も以上に恐ろしい部長、その背中によく分からない鬼神の様なものが見える気がする。 俺の酔いも一気に醒めてしまった。 「このゆっくり野郎が!俺の頭がナミ○イみたいだってぇぇ?!」 「ぶちょーしゃん?どうしたんだしぇー?ゆぃっく!もっとなでてほしいんだじぇー♪」 「てめぇにピカポンなんていわれる筋合いはねぇぞぉぉぉぉぉ?!」 「どうしたんだじぇー?はやくなでるんだじぇー!このむの………ゆわわわわわわぁぁぁぁ?!」 酔っ払いのアホ饅頭もようやく事態を理解出来たのか、部長の鬼の形相を見てしーしーを漏らしていた。 のんびり寝ていたちぇんも、女性社員の腕の中で解らないを連呼しながら泣いていた。 まりさを苛めていた社員達は、怯えつつも期待を込めた目で部長の行動を見守る。 部長はまりさのおさげを掴むと、そのままゆっくりと引っ張っていった。 「いだいんだぜぇぇぇぇ!!やめろぉぉぉぉぉ!このぐぞじじいぃぃぃ!!」 「…じじい?じじいだとぉぉぉ?!今お前は俺のことを爺と言ったのかぁぁぁ?!俺は…俺は…俺はぁぁぁぁ!! ドラえ○んじゃねぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆっびぎぃぃぃぃぃ?!ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!まりさのすてきなおさげさんがぁぁぁぁぁ!!」 部長は叫ぶと同時にまりさのおさげを力いっぱい毟り取った。 まりさは泣き叫びながら、おさげを目で追う。 「おい糞袋!てめぇの群はどこだ?!まとめて禿山にしてやるぞぉぉぉぉぉ!!」 「ゆっひぃぃぃぃ!そんなことおしえるわけ………あんないします、にんげんさんんん!だからまりさだけはぁぁぁ!!」 だぜ口調だったまりさはあっさりと群の住処までの案内役を買って出た。 部長は男性社員数名を選んで山に向かう準備を始めた。 「準備は良いかぁぁぁぁ?!ゆっくり共を根絶やしにしてやるぞぉぉぉぉ!!」 「「「「「ヒャァァァッハァァァァ!!」」」」」 部長の声にに呼応する様に叫ぶ社員達。 意外とこの職場に鬼が多い事に驚いた。 「………やめて…やめてほしいんだよー!わかってねー、ぶちょーさん!」 さっきまで震えていたちぇんが突然声を上げると、鬼の一団は一斉にちぇんの方に向き直る。 ちぇんは睨まれると一瞬ビクッと髪の毛を逆立てた。 恐怖に身を振るわせ泣きながらも、じっと鬼部長の目を見つめるちぇん。 「み、みんなはわるくないんだよー!おねがいだよ!やめてほしいんだよー!」 「なんだぁぁぁ?!お前もハゲ饅頭にしてほしいのかぁぁ?」 「わ、わ、わ、わがらなぁぁぁ!」 ちぇんは恐怖に耐え切れず、しーしーを漏らした。 だがそんな状況でも、やめてよーと小さく呟いていた。 「ふん、お前だけは見逃していあるから好きな所に行ってしまえ!」 そう部長は言い残すと、一団を率いてまりさの案内の元山に向かっていった。 「わからな…ゆひっ…ゆぐ…らんしゃま……みんな……」 「ん?お前、番でも居るのか?」 ちぇんは泣きながら頷く様な仕草をした。 俺は空のリュックを背負って一団を追いかけた。 俺はゆっくりがあまり好きではないが、このちぇんの根性に免じて番だけでも助けてやろうと思ったのだ。 「おらぁぁぁぁ!出て来いやぁぁぁ!ゴミ袋共がぁぁぁぁ!」 「ヒャァッハァァ!毛を毟れぇぇぇ!抵抗するならぶっつぶせぇぇぇ!!」 「ゆんやぁぁぁぁ!こわいのじぇぇぇぇぇ!!」 「ゆげぼぉぉぉ?!」 「やめてね!れいむのかみのけさんをひっぱらないでね!」 「まりさのおぼうしがぁぁぁぁ!!どぼじでこんなごどするのぉぉぉぉ?!」 俺が一団に追いついた時には既に部長達がゆっくり達を狩り始めていた。 逃げ惑うゆっくり達にそれを負う社員達、聞えてくるのは奇声とゆっくりの悲鳴。 そんな惨状の中でちぇんの番のらんを探す。 そして運良くらん種の帽子が草むらを移動しているのを見つける事が出来た。 「ゆひぃぃぃぃ!にんげんさんだぁぁぁ!たすけ…むぐぐぐぅ…」 「喋るな、聞きたい事がある。お前の他にこの群にはらん種はいるか?お前の番はちぇんか?」 俺は手際良くらんを捕まえる口を塞ぐ。 らんは状況が良く理解出来ない様だったが、涙目ながらに頷いた。 「よし、ならこの中で大人しくしていろ!助けてやる。」 俺はらんをリュックにしまい、神社まで帰ろうとする。 そんな俺の前に部長が立っていた。 「それがあのゆっくりの番か?」 いきなり部長に睨まれて、俺は只頷くしか出来なかった。 「そうか!ならそいつも見逃してやろう………ところで、だ………お前もゆっくり狩をしていかないか?」 そう言うと部長が怪しく笑った。 俺も黙って頷いた。 「ヒャァッハァァァァァ!久しぶりにゆっくり潰しだぁぁぁ!!」 「ゆびゃぁぁぁ!…おそらをとんで…れいむをはなしてねぇぇぇぇ!!ぷくぅぅぅぅぅ!」 俺に捕まり騒ぎ立てるれいむ。 空気を大量に吸い込み膨らんで威嚇を始めた。 俺はそんなれいむをそのまま手ごろな木の枝に突き刺してやる。 丁度額に当たる部分に枝が刺さる様に押し付けていく。 「ゆぎゃっ!ぶっしゅぅぅ?!いだいよぉぉぉぉぉ!れいむをおろじでぇぇぇ!!」 両目で額生えた枝を眺めながら、痛みに顔を歪ませ必死に体を揺するれいむ。 体を揺するたびに激痛が走り、自重で傷が広がっていく。 「ゆぎぎぎぎ!いががが…れいむのあたまがががが…ゆっぎぃぃぃぃ!」 そのうちに頭が裂けて地面へ落下するれいむ。 頭から餡を撒き散らし、ゆっゆっと痙攣しているれいむ目掛けて蹴りを一発お見舞いする。 「ゆげっぼぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」 間抜けな悲鳴と共に豪快に吹っ飛んでいくれいむ。 逃げようとしていたまりさにぶち当たると、そのまま餡を撒き散らして息絶えたようだ。 忘れていたこの感覚。 ゆっくりを蹴り飛ばす感触。 泣き叫ぶゆっくり達の悲鳴。 殴られ変形したゆっくりの間抜け顔。 久しぶりに血が騒ぐ。 「むぎょぉぉぉぉ!ぱちゅのむれがががが!…ぐぼっ!エレエレエレエレエレエレ……」 「ゆぎゃぁぁぁぁ!ありすのとかいはなぺにぺにがぁぁぁぁ!」 「どんどん行くぞ!ゆっくり野郎どもがぁぁぁぁ!」 「ゆぎゃぼぉぉぉぉ?!」 社員一同団結してゆっくりの群を殲滅していく。 赤ゆ、子ゆ、成体、一切の区別なくゆっくりを蹴散らしていく。 餡やクリームに身を染めながらも、ゆっくりの毛を毟り、捻り殺していった。 日ごろ堪った鬱憤がこんな形で発散されるとは思っても居なかった。 群を殲滅した頃には部長をはじめ社員一同は、餡やクリーム塗れで甘ったるい匂いに包まれていた。 地面や木々には汚らしいゆっくりの花が散っていた。 始終部長に抱えられていたまりさは、白目を剥いて気絶していた。 とんだ花見になってしまったが、充実した休日を送る事が出来た。 あの後無事に対面したちぇんとらんは、一番可愛がっていた女性社員が引き取っていった。 元々賢い固体だったようで、特に粗相もなくゆっくり暮らしているそうだ。 案内役のまりさは部長にあんよを焼かれ、ハゲ饅頭にされた後、会社のゴミ箱謙コンポストとして活躍している。 だぜ口調のだったまりさも、今ではプラゴミや生ゴミを文句も言わず食べて餡子に変換している。 おかげでゴミの量が減り、花壇の肥料代が浮いたと経理の人が喜んでいた。 後で部長から聞いた話では、あの神社の神主と部長は古い知り合いで、 決まって春に現れるゆっくり達に腹を立てた神主が、部長にゆっくり駆除を依頼して来たらしい。 あのまりさ以外にも、たびたびゆっくりが現れては神社に訪れる花見客に迷惑を掛けていたそうだ。 部長は学生時代にあの神社の周辺に住んでいて、ストレス解消のために山に入ってはゆっくり狩りをしていたらしい。 あのまりさが俺達の桜の木の下に現れるのも、俺がらんを探しに来るのも部長の計算の内だったようだ。 ゆっくり狩りついでに社員のストレス発散を行ってしまうと、部長が下準備をしていたそうだ。 ちなみに職場内のお兄さんと思われる人物は、すべてチェック済みだったようだ。 当然俺の事もばれていた、とてもこの人には敵いそうにない。 その話を聞いて、あまりにも強大な存在に見えてしまった部長。 鬼威参としても、会社員としても数段上の存在がこんなにも身近に居るとは思わなかった。 俺は部長を尊敬すると共に、いつか部長のようになりたいと思うのだった。 完 友人にSSの描き方を教わりました。 設計図みたいなのを作れば良いそうなのですが、このSS勢いだけで書いています。 二本ほど教わった方法で書いてみようかと思いますが何時になるやら… 徒然あき 徒然あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 部長カッコイイよー、スペック高いし(笑) -- 2015-05-06 12 42 51 部長ぱねぇなwww -- 2012-04-04 23 03 25 俺は部長を尊敬すると共に、いつか部長のようになりたいと思うのだった。 …頭髪以外は。 -- 2012-02-12 00 27 14 ちぇんは可愛いな -- 2011-05-23 23 25 15 この部長…できる! -- 2011-01-06 15 02 04 面白かったよー -- 2010-10-27 12 08 36 なんだこの部長すべて計算ずくかよ、、ハイスペックすぎだろ -- 2010-07-25 05 11 36 金髪の子かわいそう。ハゲ嫉妬すんな。 -- 2010-07-14 00 08 00
https://w.atwiki.jp/2ch10th/pages/43.html
じぇにゅいん 生息板:競馬2板のウマゲノムスレ 競馬2板のウマゲノムスレから来ました。 いつもはコテで活動していないのですが、 今回の件をスレの住人に報告したところ、 華麗にスルーされましたw そんなマターリ進行のスレ出身者ですが、 どうぞよろしくお願いします。 当日は「Mの法則」で競馬予想します!
https://w.atwiki.jp/sakideeroparohokanko/pages/71.html
優希印2/3 衣×京太郎×優希 衣の人 第2局 396~ 421 支援3つ 優希印3/3 結局勝負は・・。 「ロン、清一色、一万八千の二本場で一万八千六百だ」 「なっ・・」 南にも入らず衣が優希を飛ばして決着した。 「う、うそだじぇ・・」 自分の得意な東場での、しかも自分が飛ばされての決着に信じられない様子の優希。 そしてそれを見る他の清澄メンバーも信じられない様子だった。 (強い、いや・・強いつぅレベルか、咲はこんなんどうやって戦ったんじゃ?) (強いですね・・ものすごく・・) (驚いた、これはまた桁外れね・・団体戦より強くなっているわ) (衣ちゃん、前に戦ったときよりも強くなっている) 最初の一回、それ以降優希はおろか久やまこも全く上がれず衣の圧勝、久やまこも油断していた訳ではない優希の運が落ちたのでもない、ただ天江衣と言う成長した豪運の力に認めさせるというやる気が加わり、強すぎるその力の前に為す術もなく敗れただけ。 「ふぅ・・終わったぞ京太郎」 「お疲れ・・」 衣を気にかけながら、力なくうな垂れる優希も京太郎にはやはり気になった。 「片岡・・これで認めるな」 衣に問われた優希が顔を上げる、ぼろぼろと涙をこぼしながら。 「ぐや・・ぐや、ぐやじぃ・・な、などぐできなぃじぇ・・」 今の麻雀の結果からか、それとも京太郎を盗られたという悔しさからか、どうしても納得できない様子の優希。 「ゆーき・・・でも」 「わ、わがっじぇるじぇ・・なっどくじなきゃ・ならないのばぁ・・」 和に諭される優希、理屈では分かっているのだろう、しかし心から納得はできないようだ、それは一つの疑問もあったからだろう、そして優希は涙声でその疑問を口にする。 「ど、どうじて・・ぎょうだろうが・・こいづにごくはくしたのかっでおもうど・・」 そう言って京太郎と衣を見る優希、すると衣が一歩踏み出して優希の勘違いを指摘する。 「何を勘違いしている、告白したのは衣の方だ」 「えっ・・・?」 「衣が好きだと認識して、どうすれば良いかは京太郎に先に聞いていた『心惑う好きになったら告白するしかない』と、だから告白した、そして相思相愛の仲になったのだ」 「そ・・そんな・・・だったら・・私にも・・」 衣の衝撃の言葉に、泣くのも忘れて肩を落とす優希。 (あったんだじぇ、チャンスはいくらでも・・自分から踏み出していれば、犬なんていってないで告白していれば・・・京太郎と私も・・・こいび・・とに・なれたんだじょ) そんな可能性を考えれば、優希の納得しかけた心が再び騒ぎ出す・・もはや手遅れと知りながら、そして衣もそんな優希の心境が手に取るように分かった。 「今のままでは納得尽くのは無理か、おい片岡納得したいか?」 「そうしたいのは山々だけど、そんなのいきなりは無理だじぇ・・」 優希は必死に納得しようとしている、だがどうしても考えてしまう・・・自分があと少し踏み出していれば、あるいは・・・と、だから優希は納得尽くことができなかった。 「ならば衣と京太郎とついて来い、あるいは納得尽くかもしれんぞ」 「えっ・・・で、でも・・」 「京太郎、良いな?」 「えっ、ああ、まあ優希が納得するならそれで・・・」 衣が何をしようとしているのか、京太郎には想像できなかったが、それでも優希を今のまま数日間、下手をすれば数週間そのままにしておくよりはましに思えた。 「よし、では邸に戻るぞ、ハギヨシ」 「はい、それではお車の用意をしてまいります、新しい紅茶はこちらで使っているカップに淹れておきますので、お飲みください、それでは失礼します」 ハギヨシはさっと片づけを済ませて、新たに淹れた紅茶を用意すると、足音もたてずに部室を後にした。 「ど、どうも・・・って、いないわね」 「それじゃあ、行くぞ京太郎、片岡も」 「おう」「う、うん・・・」 「では、邪魔をしたな、失礼する」 衣はそう言い残して、京太郎と優希を引き連れて部室を後にした。 「ふぅぅぅ・・・なんていうか、台風の後みたいね」 「じゃな、心情的にもそんな感じじゃ、しかし強いと思っていたがあそこまでとはな・・はぁぁ」 試合に参加していた二人は長いため息をつく、圧倒的な差を見せ付けられての惨敗に意気消沈していた。 「わしはあれじゃが、部長はまだチャンスあったやろ、あのまま続けといたら」 「どうかしら、今日の天江衣は凄かったわよ、勝ちたいという意思が溢れていたから、決勝の時よりも凄かった風に見えたけど、咲はどう思ったかしら?」 「はい、凄かったと思います、あの時にアレだけのものを出されていたら、私も勝てていたかどうか・・」 勝って当然の状態で挑んできた決勝の時とは違い、今回は勝って認めさせると言う明確な意思が垣間見えた、そういう意味で今日の衣は決勝の時とは一味も二味も違っていた。 「勝負の事はもう良いです、それよりもゆーきは大丈夫なんでしょうか・・」 「ふぅ、わからないは・・けど少しでもましになるんじゃないかしら」 「何か吹っ切れることがあればええんじゃが・・」 「優希ちゃん・・・」 優希を心配し全員で部の入り口を見るが、誰かが戻ってくる様子はなかった。 「さて、じゃあ・・ケーキでも食べましょうか」 「そうじゃな、腐っても勿体無いしの」 「部長とまこさんは、ゆーきの事心配じゃないんですか!?」 「そ、そうですよ、こんな時にケーキなんて」 抗議する和と咲を見て久が苦笑しながら諭した。 「今の私たちに出来るのは待つことだけよ、それに同じ麻雀部の須賀君も居るんだから、彼を信じましょ、麻雀はたよりないかもしれないけど、二人の女性を惚れさせちゃう男よ、だからね・・」 「あっ、そ、そうですね・・・」「うん、私、京ちゃん信じます」 「部長の言うとおりじゃ、今のわしらじゃ何もできひん、せいぜいケーキを食べる位じゃ、ほれ、和も咲も食わんと」 和も咲も久の言葉に諭されて納得して、まこからケーキの皿を受け取る。 「いただきます」×4 さっそくケーキを食べ始める四人。 「うん、おいしいわね」「うま・・これが値段の差というやつか・・」 「おいしい、これってゆーきの分、置いておくことできますか?」 「おいしい・・・京ちゃんや優希ちゃんとも食べたかったな、それに衣ちゃんとも・・」 (衣ちゃんが告白したのか・・・それで京ちゃんの恋人に・・・) 「・・うらやましい・・・かな・・・」 ぽつりと言葉を零す咲、その言葉がたまたま耳に付いた久は首を傾げた。 (あれ、もしかして・・・惚れさせちゃったのって三人だったのとか?) 衣達がたどり着いたのは、京太郎が衣の邸に宿泊時に使うゲストルームだった。 「ここに何があるんだじぇ?」 大きな部屋に驚き、少し警戒しながら部屋を見回す優希。 「おい、衣・・・ここってまさか?」 京太郎もここに連れてこられて、何をするか・・自分の考えた事が間違いだと思いつつも衣に確認する。 「そうだ、今からするぞ、京太郎」 ここで、そして衣の「する」という言葉が意味するのはただ一つ、それは男女の交わり、秘め事、情事。 「ちょっとまて、優希の前でか!?」 「そうだ、これを見れば納得尽く・・どのような結果になるかは不明だがな」 「いや、しかしだな・・・」 衣に何か考えがあるのはわかったが承服しかねる京太郎、当然といえば当然か、失恋のしかも諦めきれない状態で、好きだった相手と恋敵の性行など見せられたらどの様な状態になるか分からない、少なくとも相当のショックは受けるだろう。 「ま、まつじぇ、何をすんだじょ!?」 「まぐわい、交わり・・いろいろと言葉はあるが、百聞は一見にしかず、見るほうが早かろう、重々納得したいのならば目を逸らすな」 「・・・・わ、わかったじぇ」 衣の口にしている言葉の意味すらわからない優希、だがそれでも胸のもやもやした気持ちを晴らしたいという思いがあり大きく頷く。 「ということだ、するぞ京太郎、優希を納得尽くしてやろうではないか」 「・・・わかった、中途半端にするのはよくないからな」 あるいはこれを見れば優希も自分の事を完全に諦める事ができるかもしれない、京太郎もそう思い衣の案に同意した。 そして、ゆるやかに京太郎と衣が顔を近づけて・・・唇が重なる。 「つぅ!?」 (き、ききききき、キス!?、なんだじぇ、なんで・・こんなこと私の前で・・) 思いを寄せていた者が別の誰かと仲睦まじく恋人同士のキスをしているシーン、目を逸らしたくなる・・それでも。 (なんで、なんでこんなのを見せるんだじぇ、京太郎ぅぅ・・それにこのままいくと・・) 恨めしい、羨ましい、嫌気もさすが納得もしたい、納得したいからかそれとも・・優希自身にもよく分からず、二人のキスから目が離せない。 京太郎も言葉を出さずじっと見ているそんな優希が気にかかるが。 「京太郎・・・今は」 そんな京太郎に視線で集中するように訴える衣。 「悪い・・」(今は衣としているんだからな、優希を見るのは駄目だよな) 再び唇を重ねて、今度は舌を絡め取るとり、互いの口の中の唾液を熱をやり取りする。 (あ・・あんな熱烈に・・あんな・・すごいじょ・・) 視線を逸らすことすら忘れ、ただただ京太郎と衣のディープキスに見入る優希。 京太郎と衣は息もせず互いの唇に集中する、そしてそれを見ていた優希も息をするのを忘れていた。 「・・はぁ・はぁ・・はぁ」 「・・はぁ・・はぁ」 「・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・」 京太郎と衣は唇を離すと息を整える、それを見て優希も慌てて空気を吸う。 衣はちらりと優希を見るが、息を整えるのに必死で文句や怒るわけでもなく、泣いて逃げる訳でもなければ、止めに入る訳でもない、だがもし優希が止めに入ったとしても無駄であろう。 「・・・京太郎、最後までするぞ」 「ああ、そうだな、するぞ」 衣も京太郎も今までのキスで興奮して、既に押さえが利かない状況になっていた。 「今日は衣が脱がせてやるからな、少し待て」 「えっ、ああ」 衣は自分の着ていたものを全て脱ぎ捨てると、既に京太郎は上着だけは脱いでいたので、ズボンを脱がして、膨らみがあるトランクスに手を掛け・・それを脱がせる。 「で・・でかいじょ!」 トランクスの下から現れた、京太郎の勃起したペニスの大きさに思わず声を上げて驚く優希。 「そうだ・・京太郎のおちんちんは大きいぞ、情交は知っているか?」 「じょ、情交・・・よくわからないじぇ・・、け、けどぉ・・」 (間違えなく・・京太郎と・・今から・・するんだじょ・・) 衣の言葉は分からずとも、今から京太郎と衣がすることは優希にも理解できた、そして理解したことを衣も優希の表情から読み取る。 「意味を知るならよし・・京太郎」 何をもとめるのか、知っている京太郎はそのまま衣の股間に手を伸ばして、衣のおま○こに触れる。 「ふぁっ・・!?」 くちゅ・・くちゅ・・・ キスを見られていたことに興奮していたのか、衣のおま○こは既に濡れており、準備が整っていた。 (あっ・・京太郎の手が・・天江衣の・・あそこに・・) それを羨む様に見つめる優希は自然と自分の股間に手が伸びていた・・・。 「京太郎・・今日は衣がするから、そこに座ってくれるか?」 「じゃあ、頼むぞ・・」 京太郎がベッドに腰掛けると反り返ったペニスが天井を差す、衣はその上に自分のおま○こがくるように合わせて腰を下ろす。 「えっ・・う、うそぉ・・だじぇ・・そんなの無理・」 優希がそういい終わる前に、ゆっくりと衣の膣内に京太郎のペニスが飲み込まれてゆき・・。 ツプゥ・・ツプゥ・・ぐちゃ 「うんっ!!・・うくぅ・・はくぁぁ!!」 「くぅぅ・・きついなぁ・・・」 少し苦しそうな声をあげながら衣が腰を下ろして終わると、京太郎のペニスが衣の膣内に納まった。 「はぁぁ・・入ったぞぉ京太郎・・」 「ああ、上手に出来たな・・」 京太郎に頭を撫ぜられて褒められると、衣は目的を達成したのと褒められたので満足げに微笑む。 「は、入った・・い、痛くないのかじょ?」 予想をはるかに上回る光景に優希は一瞬呆けるが、直ぐにサイズオーバーのペニスを納めている衣の事が気になりだす。 「最初は腹部を無理やり切り裂かれると思うほどの激痛だった・・・」 「う・・うげぇぇ・・」 少し想像してしまったのか、痛そうな表現に顔を顰め優希。 「ふぅ・・だが、徐々に慣れていった・・・すると心地よく、いや気持ちよくなる」 「で、でも最初は凄く痛いんだじぇ?」 「ああ、本当に好きでなければ耐え切れぬ・・・」 「えっ?」 衣の言葉に、優希は驚いて目を見開いた。 「好きだから、本気だから、だから耐えられる・・どんな激痛も、どんな苦しみも、それを凌駕する恋心を持てば・・・、今は中から京太郎の熱さを感じて、心地よい幸せだ・・京太郎はどうだ?」 「やっぱり好きな女性とできるって言うのは凄く幸せにだ、それに凄く気持ち良いぞ衣」 「そうか・・ふふ、じゃあ動くぞ!」 衣がゆっくりと腰を上げて・・・落とす、それを繰り返す。 ズブッ・・ズン!ジュブ・・・ズン! (ああ、こいつは・・・京太郎の事を本気で好きなんだじぇ) 目の前で繰り広げられる行為、今は痛そうではないが、きっと最初は・・その痛みに耐え切った衣の恋心を本物だと優希はようやく理解した。 (私はどうだ・・・耐える自信はある・・耐えてみせるじょ、でも・・) 自信があろうとも、それに挑戦する機会すら与えられない、諦めきれないが諦めるしかない。 目の前で京太郎と衣が・・・。 「くっう・・いいぞ、衣、衣の腰と膣内が連動して・・凄く良い!!、もっと早くだぁぁ!!」 「わ、わかっふぁぁくぅ!!、こ、衣もいいぞおぉぉ!!、京太郎のおちんちん気持ちよくてぇぇ!!」 ズブッ!ズン!ズブッ!ズン!ズブッ!ズン! 二人の顔が快楽に染まる、衣は京太郎のリクエストに答えて更に速度を上げる。 (ああっ・・めちゃくちゃ・・気持ちよさそうだじぇ・・京太郎、あんな顔するんだ・・じょ) 恋した者の悦楽に浸る表情、それが例え他人が与えているものだとしても愛おしく見えるのは恋故か。 (わたしも・・したい、きょうたろうぅぉ・・うはぁぁ・・よろこばせたいじぇ!) 欲望、愛情それらの交じり合う願望、優希は・・・。 「くぅぅぅ!衣のおま○こよすぎてぇぇぇ!!」 「ふぁぁぁぁ!!おおきくなるぅぅ!!じこ・・しちょうううう!!きょうたろうのおちんちんがころものなかでぇぇぇぇ!!らめぇぇぇもうらめぇきょうたろうぅぅぅぅ!!」 「おれもいくからぁぁ!!ころももいけぇぇぇ!!」 「いぐぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 「ああっ・・」 二人が絶頂に達する、瞬間優希も体が火照るのを感じた。 ドクゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「りょうおおひぃぃ!!うまるぅぅぅれんふうまるぅぅぅぅぅ!!」 衣の膣内が京太郎の精液で満たされてゆく、熱い精液は衣を感じさせながらそれをでも直、それを求める様に痙攣する膣内にペニスは射精を続けた。 「まだ終わりじゃないぞぉぉぉぉ!!」 ドクゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥゥン!!ドクゥゥゥゥン!! 「いっぱぃぃ・・いっぱいぃぃになっているのにぃぃぃ・・・あはぁ・・」 抜いてもいないのに、収まり切らなくなった一部の精液が、京太郎と衣の結合部のすきまから少しだけ溢れていた・・。 「はぁ・・はぁ・・ふぅ・・衣、今日は頑張ったな・・ありがとう凄く気持ちよかったぞ」 「あはは・・はぁ・・はぁ・・、奮闘したかいが・・あったな・・・京太郎」 チュ・・チュ・・ 頑張った分のご褒美といわんばかりに、京太郎に顔を近づけてキスを強請る衣、もちろん京太郎はそれに答える。 「衣・・」 「京太郎・・・」 キスをしつづける京太郎と衣、終わらないように見えたその行為も。 「す・・すごいじぇ・・」 そんな優希の声が二人の耳に届いて、どちらとも無く離れて二人は優希を見た。 「優希・・・」 「片岡・・どうだ?」 衣にそう訊ねられた優希は、ゆっくりと一度だけ首を縦に動かして口を開いた。 「納得した・・確かに天江衣は京太郎の恋人だじぇ、もう反論はしないじょ」 二人の営みを目の当たりにして、もはや優希に否定する気は起こらなかった。 「優希、衣・・これでよかったんだよな?」 これで全て終わり解決したと思った京太郎、だが衣は違っていた。 「京太郎帰結は尚早、衣達は一番大切な事を片岡から聞いていない」 「えっ・・」 「な、なんだ・・これ以上私に何を求めるじょ?」 衣の考えがわからず、京太郎も優希も混乱していた。 「片岡よ、お前は京太郎への思いを断ち切ることできたのか?」 「衣!?」 追い討ちの様な衣の問いに京太郎も止めようとしたが、衣の真剣に優希に見つめていた、その問いが優希を傷つけるためでは無いとすぐに分かり、そのまま見守ることにした。 「そ、それは・・・まだだじぇ」 優希は納得していない訳ではない、でも心と頭は別、納得できても恋心と気付いてしまった京太郎への思いは、切れず消えず積もるばかり。 「そうか、ではなぜ告白しない?」 「なぁ!?」(ど、どういうつもりだ衣は・・) 「ええっ!?」(な、何言っているんだじぇ、こいつ・・そ、そんなことしても・・無駄なだけなのに) 衣の問いには見守るつもりだった京太郎も驚いて、思わず衣に訊ねた。 「こ、衣、言っている意味がわかっているのか・・・衣って恋人が居るのに、告白って・・」 「そ、そうだじぇ、恋人がいる相手に告白って・・そ、そんなの無理だじぇ・・、それともあ、天江衣、お前・・京太郎と別れてくれるんだじぇ!?」 「衣が京太郎と別れる訳ないだろう!」 優希に聞かれた衣は大きな声で即座に否定した、その答えに優希は特に驚かない、予想通りの答えが返ってきただけなのだから。 「だったらなぜそんなこと聞くんだじょ?」 「別に恋人が一人である必要は無いだろう?」 「へぇ・・?」「はぁ・・?」 間の抜けた声だった、衣のあまりに予想外の発言に2人ともしばし言葉を失い、ようやく京太郎の口からでてきたのは。 「えっ、いや、その衣さん、日本一夫一妻制ですよ」 そんな当然の話だった。 「京太郎、その程度の常識、衣だって知っているぞ」 馬鹿にされた感じがしたのか、少し不機嫌そうな衣。 「だ、だったらなんで?」 優希に再び聞かれて、衣は不機嫌そうな表情を止めて真剣な表情に変わる。 「妻は一人だが、妾や愛人のいる者もいる、京太郎の恋人の座を譲る気はない、だが二番、三番でもいいというのなら好きにするが良い、無論京太郎が良ければだが・・・」 優希から京太郎に視線を移す衣。 「こ、衣はそれで良いのか?」 「構わない、片岡を見ていて想像したのだ、もしも・・もしも衣より先に誰かが京太郎の隣に居たとして、それでもしも今と同じように京太郎を好きなったら、衣は京太郎の事を諦めきれるかと・・・・」 衣は緩やかに首を横に振った。 「無理だと思った、たぶん今の片岡みたいに情交を見せられても、それでもなお・・思い続けるだろう、思いの前では理性も常識もなんだ意味をなさない、だからもし情交を見てもまだ片岡が京太郎の事を諦めきれないなら・・・機会を与えようと思った」 衣の言う機会、それは二番目の恋人になるか否かの選択、普通なら馬鹿な話と一蹴してしまいそうだが、それでも優希は考えていた。 (恋人が居るのに告白、確かに諦めはきれないじょ・・でも・・) 「い、良いのか・・たとえばだけど優希と、情交を交わしても」 「構わないが・・・あまり片岡ばかりに感けるなよ、あくまでも一番の恋人は衣だということを忘れるな」 放っておかれている場面を想像し、頬を膨らませて拗ねる衣。 「安心しろ・・俺は衣が一番好きだよ」 京太郎の言葉を聴いて、膨らませていた頬を萎めて笑う衣。 「ならばよし、さぁ・・どうする片岡よ、うっ・・くはぁ・・京太郎はまだまだ行けるぞ」 衣がゆっくりと腰を上げて立ち上がると、衣のおま○こに収まっていた京太郎のペニスが現れる、一度射精したにも関わらずまったく萎えず、入る時と変わらず勃起したままだった。 「んんっ・・溢れてくる・・・」 押さえるものも無くなり、衣の膣内から大量注がれた精液があふれ出る。 (あ、あんなに射精したのに、大きいまま・・・すごいじょ・・でも、きっと痛んだじぇ) 優希も知識がまったく無いわけではない、でも限りなく無い等しく男性器も見た経験は無い、それでも京太郎ものが大きいのは理解できた、だからきっと伴う痛みも大きいのだと思えてくる・・・が、同時に。 (あれを受け入れたら・・京太郎はよろこんでくれるじぇ・・・で、でも、それは告白を受け入れてくれたらで・・・・もしも断られたらじぇ) 京太郎を喜ばせたいと思う気持ちも大きかった、でもそれはあくまで告白を受け入れられた場合、断られればそんなこともなくなる、あるいは今よりも遠い関係になってしまうかもしれない、それならばいっその事・・・と思ってしまう。 (駄目だ、駄目だじぇ、そんなことじゃ・・このままじゃあの繰り返しだじぇ) 告白しておけばと思った、あの時衣の言葉を聴いたあの瞬間に、それは後悔、取り戻せない後悔。 「望むなら踏み込め、望まぬなら去れ、さぁどちらだ片岡?」 だから衣に最後の問いを受けた瞬間、優希がしたのは告白するでも、逃げるでもなく、スカートのチャックを下ろす事、当然スカートは重力に抵抗することも無く床に落ちた。 「優希!?」 「京太郎、私は京太郎が好きだじぇ、二番目でも・・何番目でも良いんだじぇ、本気で好きだから・・・だから側に居させて欲しいじょ」 優希は一歩踏み出す。 「良いんだな・・・?」 「無論だ、でなければここまでお膳立てなどせん」 衣は焦らない、言葉通り良くなければここまでのする必要は無い、つまり最初から逃げなければ受け入れると、決意していたのだろう。 (衣は良いというけど、でも・・・本当に良いのか優希・・うん?) 京太郎は優希が体を小刻みに震わせているのに気がついた、いつも生意気で自信満々な態度を取っている優希とは違う、瞳も震えて今にも泣きそうな表情をしていた。 (馬鹿だな俺は・・・、アレを見て告白するなんてのは、そんな簡単なことじゃねぇだろう、つまり優希は・・・) 本気、その一歩がどれほど重いく勇気がいるか京太郎には想像もつかない、でもその勇気に答える術なら知っていた、だから両手を広げて優希に答えた。 「俺も優希は好きだぞ、今までは友達としてだったけどな・・・今は女の子としてな」 「あ・・ああっ、それで・・・・それで十分だじぇ!」 感極まった優希が京太郎に飛びつく、その衝撃で飛びついてきた優希ごとベッドに倒れこむ京太郎。 「おっと・・」 「京太郎!京太郎!京太郎!」 抱きつき名前を連呼しながら、京太郎の顔を覗きこむ優希・・・。 「少し五月蝿いな・・・」 「えっ・・あっ、ごめんだじぇ・・」 怒られたかと思い少しへこんだ優希が謝ろうとすると、京太郎は笑いながら顔を近づけ。 「口・・塞ぐぞ」 「うっ・・!?」 優希が五月蝿くできないように、自分の唇で優希の唇を塞ぐ京太郎、優しく触れるだけの単純なキス、時間も長くない。 「・・・どうだ、少しは静かになったかな?」 「・・な、なるじぇ・・しずかにぃ・・私のファーストキス・・だじょ」 唇が離れると少し意地悪な質問をする京太郎に、ファーストキスの衝撃に優希は少ししおらしい返事だった。 「ふふっ、京太郎との初接吻は凄いだろう、全身から力が抜けるみたいだろう?」 「う・・うん、確かに凄いじぇ・・・話に聞いていたのの何倍も凄いじぇ・・」 衣の問いにも、幸せそうにはにかみ答える優希。 「これは序の口だぞ、先ほど見せただろう・・なぁ京太郎・・・」 「ああ」 衣は京太郎と優希の間に頭を割り込ませて京太郎の唇を奪う。 「あっ・・・これってさっきの・・」 ディープキス、京太郎と衣に性交の前に見せられたのを思い出す優希、互いの味を味わうようなキス、それを羨ましそうに見つめる優希。 「はぁ・・京太郎・・」 「衣・・・」 唇を離してもじっと見つめあったままの二人、優希はそれを面白くない・・いや寂しく感じた、そして頭に浮かんだのは。 「京太郎ぅぅぅ!!京太郎ぅぅ!!」 大きな声で京太郎の名前を連呼する優希、それに驚いた京太郎と衣は優希に見た。 「無視して、わるかったけど・・どうしてそんな大きな声出すんだ?」 京太郎に聞かれた優希は、照れくさそうに頬を染めて顔を背け、指を遊ばせながら答える。 「だ、だって・・五月蝿いと、また塞いでくれるかもしれないじぇ・・」 声を出したのは知識も場数も衣に負けている優希が、必死に京太郎の注意を引こうと考えた作戦だったようだ。 「そうだな、今は優希の相手をしないと」 「そうだったな、では衣は二人の手伝いに回るとしよう・・」 衣が頭を引くと、京太郎は優希に再び唇を重ねる・・・今度は舌もつけて。 「うっ・・ううっ!?・・ふっ・・ふふん!・・」 最初はどう対応すれば良いのかわからず迷っていた優希だったが、徐々に京太郎の舌導かれて舌を懸命に使い出す。 「う~ん・・・うんく・・・うん・・ぷはぁ・・・はぁぁぁぁぁ」 必死に答えた末に、息切れで唇を離した優希は荒い息遣いをしながらなんとか呼吸を整える。 「はぁ・・はぁ・・はぁ・・すぅ・・はぁぁぁ、す、凄いじぇ・・あらまがぼうっとするじぇ・・」 「満足したか?」 「えっ・・私は満足だけど、京太郎は・・まだ・・だじょ?」 優希の視線が京太郎の、もっとも自己主張が激しい部分に注がれる、まだ硬く優希のお腹を押し上げるペニスに。 「まあな、じゃあキスはこれくらいにして・・・バンザイしてみろよ」 「えっ、ば・・バンザイだじぇえっ!?」 優希が両手を挙げると、後ろから衣が優希の服を一気に脱がした。 「裸にならないでも、できるが・・・双方裸のほうが、互いの肉体の温かさをよりよく感じることが出来るぞ」 「そ、そうなんだ・・ありがとうだじょ」 衣のアドバイスに従う優希、優希は必要ないからかブラを付けておらず上を脱げば、残るはパンツのみだった。 「ブラしてないんだな?」 「うっ、小さくてごめんだじぇ・・・」 「気にするな・・・って、俺はそんなこと気にしてないぞ」 体勢を入れ替えて、優希と京太郎の上下を入れ替わり、優希が下、京太郎が上になった。 「そうだ、京太郎は胸の小ささなど気にするはそんな器の小さな男ではない」 そういって優希以上に無い胸を自信満々に張る衣。 「で、でも京太郎は、のどちゃんみたいなおっぱいが好きなんだじぇ?」 「まあ否定はしないが、でも小さい胸も好きだぞ」 大きい胸に惹かれるのは年頃か男の性か、それは分からないが京太郎が大きなおっぱいが好きなのは事実、でも衣とした後で・・というか衣の裸に反応してから、小さい胸も良いという結論に京太郎は達していた。 「そ、そうなんだ・・・じゃ、じゃあ好きに弄繰り回すといいじぇ」 「そうさせてもうぞ」 「ひゃう!・・あっはぁ・・」 胸に京太郎の手が触れると、一瞬びくっと体を震わせる優希、だが直ぐにそれを受け入れて気持ちよくなってゆく。 小さいが、硬くなく少女らしい肌は、揉み上げる京太郎の指に吸い付く様だった。 「優希、優希はここや・・ここを自分で弄ったりするのか?」 京太郎は片手で優希の乳房を揉み上げながら、もう一方の手を優希の下着の上からわれめをなぞる。 「ひゃっあ!?・・じょ・・じょぉ!そ、そこは・・・」 優希の下着は中に納まっている部分から分泌される液体によって、湿り気を帯びていた。 「ここは?」 「す・・するじょぉ!!、もんもん・・したときにぃとか・・するじょ」 どうやら優希はそれとは認識せずに自慰行為をしていたようだ。 「よくできました・・と」 褒めながらちゃんと答えられたご褒美にと、優希の頬にキスをする京太郎。 「こ・・・答えてよかったじょ」 「もう、準備できているみたいだな・・」 「だ、だって京太郎と天江衣の・・を見てだじぇ、京太郎にキスして弄られたら・・じゅ、準備万端になっちゃうじょ」 顔を真っ赤ににしながら、可愛らしい言い訳をする優希を見て、ドキッとする京太郎。 「今の優希・・すげぇ可愛いぞ」 「は・・はうっ、きょ、京太郎・・そろそろ・・お願いだじぇ」 濡れて少し脱ぎにくそうにしながらも、悪戦苦闘の末になんとか下着を脱ぎ捨てる優希。 優希のおま○こはほんの少しうぶ毛の様な陰毛が生えていた。 「ああ、わかった・・・痛かったらちゃんと言えよ」 「えっ、で、でも・・・京太郎がや、やりづらいじぇ?」 優希は戸惑う、自分が痛いと連呼すれば京太郎がし辛くなるのではないかと、そんな優希に二人を見守っていた衣が助言をする。 「大丈夫だ、素直に痛みを口にしたほうが痛みがましになる、どうしてもの時は『止めて』と言うんだぞ、それを約束してもらえば、それ以外にどれだけ言おうとも京太郎は続けてくれるぞ、そうだろう京太郎?」 自分の経験からくる知識を、教える衣は小さいくてもしっかりとしたお姉さんに見え、思わず微笑んでしまう京太郎。 「ああっ、そうだな、衣の時にちゃんと言ったよな」 「そ、そうなのか・・じゃ、じゃあお願いするじぇ・・」 「わかった、ちゃんと最後までするぞ」 「ありがとうだじぇ」 「おおっ、それとな・・・」 何かを思い出して、ごにょごにょと優希に耳打ちする衣。 「えっ・・そ、それ言うのか・・なんか恥ずかしいじょ・・」 何を言われたのが京太郎にはわからないが、優希は何かを口にするのを迷っているようだ。 「これは・・・京太郎が喜ぶぞ、初めての時にこういわれると京太郎が興奮すると言っていたからな・・」 「ほ、本当か・・すぅ・・はぁ、じゃ、じゃあ言うじぇ!」 深呼吸をすると意を決し、その言葉を口にする優希。 「わ、私のおま○こに京太郎のおちんちんを入れてください!・・だじぇ」 京太郎は確かに自分が教えた事だと思い、自分を興奮させるために恥ずかしそうにしながらも口にした優希を見て愛おしく思い、それに答えるために。 「ああ、いくぞ」 押し当てられる剛直なペニスが、優希のおま○こに割ってはいる。 「うっ・・ぐっ!・・おし広げられるじぇ・・」 言葉通り優希の膣内を押し広げながら、少しずつゆるやかにペニスを押し入れる京太郎。 「ふっ・・くっ、やっぱりきついな・・」 衣の時と比べれば、京太郎も経験したために少しはなれていたが、それでも優希の膣内はきつく締め付けて少しずつ進むしかない、やがて・・京太郎の動きが止まる。 「うん・・ここは、どうする優希、今から優希の処女を完全に貰うけど、一気に行くか・・・それともゆっくり挿入して欲しい?」 せめてもの選択肢を優希に与える京太郎、優希は考えずに・・いや待ちきれずに直ぐに答えた。 「い、一気に来てほしい、早く京太郎を感じたいじょ!」 「わかった・・痛いから・・そうだな深呼吸でもしてれば楽になると思うぞ」 「わ、わかったじぇ・・すぅ・・はぁ・・すぅ・・はぁ」 優希が息を2度目の深呼吸を終えた瞬間、京太郎は優希の膣内の全てを手に入れようと、力を入れて処女膜を突き破る。 ズブンッ!。 「い、いだいぃぃぃ!!・・いだぃじぇぇぇ!!」 突き破れて、一番奥まで挿入を許した瞬間、凄まじい激痛が優希の体に駆け抜けて悲痛な叫び声を上げさせる。 「はぁく・・・はぁく・・・」 「よく耐えました・・・」 痛みからから口をぱくぱくと開いたり閉じたりを繰り返す優希、京太郎は優希を褒めてあげながら頬にキスをする。 「は・・はぅ、ほっぺにキスされると・・少し楽になるじぇ・・」 「そうか、じゃあ・・もう一、二回・・」 京太郎は頬にキスを繰り返した、さらに優希の頬を舐める。 「ひゃぁつく・・く、くすぐたいじょ・・京太郎」 「楽になったか?」 「う、うん、楽になったじぇ、ありがとう京太郎・・・それで、これから・・なんだじょ?」 衣と京太郎との情交を見ている優希には、当然これが終わりでないことはわかっていた。 「ああっ、激しく動かないと、射精しないからな・・・動いても大丈夫そうか?」 「ま、まだじんじん痛いけど、京太郎のおちんちんの熱を感じるじょ、熱くて大きくて・・・これが私のおま○こで暴れたら、お腹が引き裂かれるそうだじょ・・・」 優希印3/3
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/22.html
133 名前:1/4[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20 16 08 ID lCzKwsXu 久「須賀くん、次はこれをお願いね」 京太郎「ひぇぇぇ、もう勘弁して下さいよ~」 久「ダメよ、まだまだ仕事は残ってるんだから。それ終わったら、すぐに戻ってきてね」 京太郎「くそぉぉ、京太郎、行っきまーす!」 まこ「もう少し手加減してやってもええんじゃ?」 久「……須賀くんには、あれくらいがちょうどいいのよ///」 まこ「…あんたも不器用じゃのぅ」 久「///」 トントン 美穂子「すみません、上埜さんに、お話があるんですが」 まこ(愛人が来よった) 久(やめて、そんなんじゃないわよ) 久「なにかしら?話って」 美穂子「須賀くんに雑用させるのを、やめてあげて下さい」 久「あら、どうして?」 美穂子「雑用のせいで、彼が麻雀を打てる時間が短くなってると思うんです」 久「……須賀くんに聞いたのかしら?」 美穂子「ええ、偶然ですが」 久「まったく、須賀くんったら………………えーと、福路さん、これはうちの部のやり方だから、」 美穂子「覚え立ての時期に牌に触れないのは本人のためになりません!!」 まこ(……なんか、前と雰囲気違うのぅ) 久「……」 美穂子「わかってもらえましたか?それでは、失礼…」 まこ「ちょっと待て」 美穂子「…はい?」 まこ「なぜじゃ?なぜ、雑用をやめさせようと、わざわざ言いに来たんじゃ?」 美穂子「理由は、さっき言いましたが?」 まこ「わしが聞きたいのは、京太郎のような生徒がいる他の学校に対しても同じことしとるんか?っちゅうことじゃ」 美穂子「!!……あ、あなたには関係ありません///!し、失礼します///」 バタン まこ「……顔あげたらどうじゃ?」 久(……) まこ「……あんたも、ことあるごとに京太郎に雑用を押しつけて、いつまであんな小学生みたいなこと続ける気じゃ?」 久(…………私だって、須賀くんと、もっと上手に話したいわよ///) まこ「風越のキャプテン、京太郎好みの、ええ胸しとったのぅ」 久(…………そうなのよね、須賀くん、私より福路さんのほうが好きそうなのよね……) まこ「しかもあの行動力じゃ、京太郎にアタックする日も近いかも知れんのぅ」 久(…………もし福路さんがアタックしたら、私が入るスキなんて……) 久「…………ジュース買ってくるわ」 優希(なんで京太郎、風越のキャプテンをおんぶしてたんだろ……はぁ、結局京太郎に聞けなかったじぇ) 久「あれ?この自販機、壊れてるのかしら?」 優希(ん?あれは部長……今の私は他人のことに構ってる余裕はないけど、一応助けるじぇ) 優希「部長、任せるんだじぇ。この自販機はコツがあるんだじぇ」 久「あら、優希」 優希「おかしいじぇ、全然出ないじぇ。タコスソーダじゃだめか?それなら出せるじぇ」 久「嫌よ、そんなの」 美穂子(のど渇いちゃった、ジュースジュース) 美穂子「あ」 久「あ…………」 美穂子「…………ジュースが出ないんですね。バナナミルクは、こうです」 ゴトン 久「……」 美穂子「……」 ダッ 優希「ぶ、部長!待つんだじぇ!」 久「はぁ…はぁ…」 優希「はぁ…はぁ…ぶ、部長、どうしたんだじぇ?何かあったのか?」 久「な、何でもないわ」 優希「でも、あんなに仲良さそうだったのにおかしいじぇ。なんかあったんなら聞くじぇ」 久「……………やっぱり、女の子って、胸なのかしらね…」 優希「それを私に言うとはひどいじぇ。部長は十分大きいじぇ」 久「そうね、ごめんなさい。……でも、私も和みたいに胸が大きかったらなぁって」 優希(のどちゃん?…………!!そうだったじぇ、そういえば京太郎は、おっぱいしか見てないんだじぇ…) 久(誰が見ても福路さんは私より魅力的……しかも須賀くんにとっての私は、雑用を押しつけるだけの嫌な先輩なんだろうな………) 美穂子(助けたのに、お礼も言わないなんて………あんな人にこき使われて、須賀くんかわいそう…) 京太郎「あ~のど渇いた」 美穂子(え~っと、レモネードは) 京太郎「あ、風越のキャプテン。足、どうでした?」 美穂子「えっ、須賀くん!?」 京太郎「なに驚いてるんですか?」 美穂子「い、いえ…なんでも」 美穂子(私のこと、ずっと風越のキャプテンって呼ぶのかな……確かに、それほど親しい仲じゃないけどさ…) 京太郎「…足、あまり良くないんですか?」 美穂子「あ、だ、大丈夫。固定してもらったら、なんとか歩けるようになったわ」 京太郎「そうですか、よかった」 美穂子「あ、あなたが、すぐに運んでくれたから……///」 京太郎「ど、どういたしまして///」 ゴトン 京太郎「あ、よくその自販機から買えましたね」 美穂子「この会場は、全国大会のたびに来てるから」 京太郎「そういえば、そうでしたね」 照(……またこの自販機前に来てしまった) 美穂子「あ、宮永さん」 照(え、福路に京ちゃん…………なんで、この二人、またいっしょに…) 京太郎「あ、照さんじゃないっすか」 美穂子「あれ?……二人は知り合いなんですか?」 京太郎「いやあ、そうなんですよ。実は」 照「や、やめてください!!!」 京太郎・美穂子「!」 京太郎(照さん……昔のことはあまり聞かれたくないのかな?) 美穂子(ど、どうしよう……なにか悪いこと聞いちゃったのかな…) 照「……」京太郎「……」美穂子「……」 美穂子「あ、ちょっと用事を思い出したので、私はこれで」 照(どうしよう、京ちゃんの前で怒鳴っちゃった……感じ悪い女だと思ってるだろうなぁ………) 京太郎「え、え~っと、照さんは、Dペッパーか、じゃあ俺もそれにしよ」 照(私はタコスソーダの子みたいにかわいくないし、福路みたいにスタイルもよくない。嫌なところ見せちゃったなぁ…) プシュ 京太郎「いやあ、Dペッパーとか久しぶりだな。ゴクゴク、ぷはぁ~、やっぱうまいっすね、これ!」 照(やっぱり、私さっき感じ悪かったよね……京ちゃん私に気を遣って、明るく振る舞って……) 京太郎「照さん固まってどうしたの?飲まないんすか?」 照「う、うん、飲むよ」 プシュアアアアアアアアアアア!!! 照「きゃっ!」 京太郎「照さん、これ、とりあえず俺のジャージでよければ、どうぞ」 照「う、うん」 照(私、怒鳴った上に、ジュースまでこぼして、こんなに迷惑かけちゃって…) 京太郎「制服、シミにならないといいですね……」 照「う、うん」 照(私に気を遣って……たぶん京ちゃんの制服にもかかってるのに………) 京太郎「きっと業者が缶を振っておいたんですよ。ひどいことするなぁ」 照「う、うん」 照(………どうせなら、いいところを見せたかったな…………………ぐす) 京太郎「て、照さん!?な、泣いてるんですか?」 美穂子(……………盗み聞きなんて、よくないと思うけど、二人の関係が気になる…) 照(京ちゃんに迷惑かけて、気を遣わせて、私って………) 美穂子(会話の内容はよく聞こえなかったけど、須賀くん、私と話してるときより楽しそうだったな…) 優希(京太郎は、おっぱいしか見てないんだじぇ………くやしいじぇ。私も見てほしいじぇ) 久(福路さんが本気になったら、私なんて………) 照・美穂子・優希・久「はぁ、私なんかじゃ……」 和「優希、どうしたんですか?」 優希「…なんでもないじぇ」 和「何でもなくないです。優希、様子がおかしいですよ?」 優希(……) 和「…優希、須賀くんですね?」 優希「……ち、ちがうじぇ」 和「じゃあなんで顔を背けるんですか?」 優希「……」 和「…………悩んでる場合じゃありませんよ!優希!」 優希「え?」 まこ「胸がないからって悩んでないで、行動あるのみじゃ!」 久「え?」 菫「大丈夫だ!照、手段はある!」 照「え?」 京太郎「さ~て、のど渇いたな」 ドンッ、ビシャッ 京太郎「うわっ」 照「あ」 京太郎「て、照さん!?ま、またですか?」 照「う、うん。ごめんなさい」 京太郎「ジャージを変えしに行く途中で、のどが渇いたって……せめて返してからにして下さいよ」 照「う、うん。ごめん」 京太郎「ああ、今度は俺の制服がDペッパーまみれだ」 照「で、でも。京ちゃんのジャージは、ほら、無事だから」 京太郎(ん?…………前より激しくこぼしたのに、今回は泣かないんだな?…………ま、いっか) 京太郎「~~」照「~~」 京太郎「それじゃ、照さん、俺はこのへんで」 照(……また緊張して、うまく会話できなかったな…) 久(…………福路さんだけじゃなくて、あの白糸台の人もライバルなの?でも私だって) 京太郎「そういえば……このジャージ、照さんが着てたのか///) 久「ごめん須賀くん!」 ドンッ 京太郎「うわっ冷めて!」 久「廊下がバナナミルクまみれね!早くモップで拭きなさい」 京太郎「えぇ!?ぶつかってきたの部長じゃないっすか!」 久「試合前の選手に労働をさせる気かしら?清澄で留守番しててもよかったのよ?」 京太郎「わかりましたよ!やりますよ!」 久(しまった、かわいい女の子アピールをするつもりが、つい癖で…………でも、まだ!) 京太郎「部長ぉ、終わりましたよ~………でも、俺のジャージが…着るものが、着るものが…………」 久「はい///」 京太郎「え?部長、なんでこんなところにジャージ持ってきてるんですか?」 久「別にいいでしょ///」 京太郎「え、でも」 久「…私がいいって言ってるんだから、受け取りなさいよ///」 優希(…………部長も京太郎を狙ってたのか、なかなかやるじぇ。でも、負けないじぇ!) 京太郎「さすがに部長のジャージはきついなぁ、サイズが合わない。ていうか、見た目的にこれはアリなのか?」 優希(今だじぇ!) ドンッ 優希「京太郎、ごめんだじぇ!でも、私は京太郎の事が好きなんだじぇ!本気で好きなんだじぇ!私のことも見てほしいじぇ///」 京太郎「うわ!臭っせぇ!なんだよこれ!優希こんなもん飲んでんのか。ああ、部長のジャージが!部長のジャージが!」 優希「ちょ、私の話も」 京太郎「ちょ、今は黙ってろ。早く洗わないと!」 優希(…………) 和「見損ないました須賀くん」 京太郎「え、俺なにか和に見損なわれることを?」 和「しらばっくれるつもりですか!優希のこと…」 京太郎「ああ、あの時はジャージが汚れて、それどころじゃなかったんだよ」 和「え?」 京太郎「優希がなんか言ってた気はするんだけど……俺、それどころじゃなくて」 和「じゃあ、優希がなにを言ったか知らないんですか?」 京太郎「だからそれどころじゃなかったんだって」 和「そうですか……優希に伝えておきます。でも、須賀くんからも謝ってください」 京太郎「あ、ああ、わかった」 和「……『見損ないました』と言ったのは取り消します。言い過ぎました」 京太郎(ほっ……よかった) 京太郎「こんなところにいたのか、優希」 優希「……話しかけるんじゃないじぇ」 京太郎「あのときは悪かった。ジャージにかかったタコスソーダが気になって…」 優希「……私は、傷ついたじぇ」 京太郎「おまえの話を聞かなかったからか?なら、ここで聞くよ」 優希「……もう、忘れちゃったじぇ」 京太郎「そんなわけないだろう…………なぁ、いつまで怒ってるんだよ」 優希「……ずっとだじぇ」 京太郎「じゃあ、どうすれば許してくれる?」 優希「一つだけ言うことを聞いてくれたら、許してもいいじぇ」 京太郎「わかった。で、俺はなにをすればいいんだ?」 優希「目を閉じて、タコスソーダをかけちゃった時からのことを全部、忘れてほしいじぇ」 京太郎「そんなことでいいのか?」 優希「ここで私と会ったことも、忘れてほしいじぇ」 京太郎「わかった、こうか?」 優希「京太郎、まだ忘れきれてないじぇ」 京太郎(そんなこと言っても、こんな事で忘れられるわけ…) チュッ 京太郎「ん?」 全国大会終了後 藤田「少年、いいところに!…………ジュースを買おうと思ったら、自販機が壊れていたようでな」 京太郎「……はぁ」 藤田「一本買っただけなのに、こんなにたくさん出てきてしまったんだ。一本もらってくれないか?」 京太郎(Dペッパー、レモネード、バナナミルク、タコスソーダ…………か) 藤田「どうした?早くしろ」 京太郎「あの、――――――ですか?」 藤田「ああ……好きにしろ」 京太郎(俺の名前は須賀京太郎。この全国大会、やけに女運に恵まれ充足した時間を過ごしていたことに気づいていなかったと言えば嘘になるが、 まさか優希と一騒動あってから、照さん、風越のキャプテン、なんと部長までもが次々に俺のもとに想いを伝えに来たのには、さすがに驚いた。 突然の板挟みにあって辟易した俺は誰の想いにも答えることが出来ずにいたのだが、藤田プロに4種類の缶ジュースを見せられた時に決心が付いた。 缶ジュースを選ばされたあの時、俺が藤田プロになんと言ったのか、その後の俺の生活がどう変わったかは、ここでは控えておく。 咲が知ったら、きっと怒るだろうから。) おわり 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hyakukami/pages/3020.html
依頼主 チロンヌプカムイ 出現条件 チロンヌプカムイ解放 クリア条件 以下のアイテムを持ってくるキイチゴ:3 成功報酬 薬草(HP回復) 自分のHPが50%程回復し、仲間のHPも25%回復する。大変貴重な薬草 貢物値+30 依頼時 雪の森にキイチゴって果物あるの、知ってる?おら、あれ、食べてみたいな~… クリア時 くれるの?ありがとうな~!へへ、いい匂いだな~。
https://w.atwiki.jp/kyo-saki/pages/23.html
133 名前:1/4[sage] 投稿日:2009/10/18(日) 20 16 08 ID lCzKwsXu 久「須賀くん、次はこれをお願いね」 京太郎「ひぇぇぇ、もう勘弁して下さいよ~」 久「ダメよ、まだまだ仕事は残ってるんだから。それ終わったら、すぐに戻ってきてね」 京太郎「くそぉぉ、京太郎、行っきまーす!」 まこ「もう少し手加減してやってもええんじゃ?」 久「……須賀くんには、あれくらいがちょうどいいのよ///」 まこ「…あんたも不器用じゃのぅ」 久「///」 トントン 美穂子「すみません、上埜さんに、お話があるんですが」 まこ(愛人が来よった) 久(やめて、そんなんじゃないわよ) 久「なにかしら?話って」 美穂子「須賀くんに雑用させるのを、やめてあげて下さい」 久「あら、どうして?」 美穂子「雑用のせいで、彼が麻雀を打てる時間が短くなってると思うんです」 久「……須賀くんに聞いたのかしら?」 美穂子「ええ、偶然ですが」 久「まったく、須賀くんったら………………えーと、福路さん、これはうちの部のやり方だから、」 美穂子「覚え立ての時期に牌に触れないのは本人のためになりません!!」 まこ(……なんか、前と雰囲気違うのぅ) 久「……」 美穂子「わかってもらえましたか?それでは、失礼…」 まこ「ちょっと待て」 美穂子「…はい?」 まこ「なぜじゃ?なぜ、雑用をやめさせようと、わざわざ言いに来たんじゃ?」 美穂子「理由は、さっき言いましたが?」 まこ「わしが聞きたいのは、京太郎のような生徒がいる他の学校に対しても同じことしとるんか?っちゅうことじゃ」 美穂子「!!……あ、あなたには関係ありません///!し、失礼します///」 バタン まこ「……顔あげたらどうじゃ?」 久(……) まこ「……あんたも、ことあるごとに京太郎に雑用を押しつけて、いつまであんな小学生みたいなこと続ける気じゃ?」 久(…………私だって、須賀くんと、もっと上手に話したいわよ///) まこ「風越のキャプテン、京太郎好みの、ええ胸しとったのぅ」 久(…………そうなのよね、須賀くん、私より福路さんのほうが好きそうなのよね……) まこ「しかもあの行動力じゃ、京太郎にアタックする日も近いかも知れんのぅ」 久(…………もし福路さんがアタックしたら、私が入るスキなんて……) 久「…………ジュース買ってくるわ」 優希(なんで京太郎、風越のキャプテンをおんぶしてたんだろ……はぁ、結局京太郎に聞けなかったじぇ) 久「あれ?この自販機、壊れてるのかしら?」 優希(ん?あれは部長……今の私は他人のことに構ってる余裕はないけど、一応助けるじぇ) 優希「部長、任せるんだじぇ。この自販機はコツがあるんだじぇ」 久「あら、優希」 優希「おかしいじぇ、全然出ないじぇ。タコスソーダじゃだめか?それなら出せるじぇ」 久「嫌よ、そんなの」 美穂子(のど渇いちゃった、ジュースジュース) 美穂子「あ」 久「あ…………」 美穂子「…………ジュースが出ないんですね。バナナミルクは、こうです」 ゴトン 久「……」 美穂子「……」 ダッ 優希「ぶ、部長!待つんだじぇ!」 久「はぁ…はぁ…」 優希「はぁ…はぁ…ぶ、部長、どうしたんだじぇ?何かあったのか?」 久「な、何でもないわ」 優希「でも、あんなに仲良さそうだったのにおかしいじぇ。なんかあったんなら聞くじぇ」 久「……………やっぱり、女の子って、胸なのかしらね…」 優希「それを私に言うとはひどいじぇ。部長は十分大きいじぇ」 久「そうね、ごめんなさい。……でも、私も和みたいに胸が大きかったらなぁって」 優希(のどちゃん?…………!!そうだったじぇ、そういえば京太郎は、おっぱいしか見てないんだじぇ…) 久(誰が見ても福路さんは私より魅力的……しかも須賀くんにとっての私は、雑用を押しつけるだけの嫌な先輩なんだろうな………) 美穂子(助けたのに、お礼も言わないなんて………あんな人にこき使われて、須賀くんかわいそう…) 京太郎「あ~のど渇いた」 美穂子(え~っと、レモネードは) 京太郎「あ、風越のキャプテン。足、どうでした?」 美穂子「えっ、須賀くん!?」 京太郎「なに驚いてるんですか?」 美穂子「い、いえ…なんでも」 美穂子(私のこと、ずっと風越のキャプテンって呼ぶのかな……確かに、それほど親しい仲じゃないけどさ…) 京太郎「…足、あまり良くないんですか?」 美穂子「あ、だ、大丈夫。固定してもらったら、なんとか歩けるようになったわ」 京太郎「そうですか、よかった」 美穂子「あ、あなたが、すぐに運んでくれたから……///」 京太郎「ど、どういたしまして///」 ゴトン 京太郎「あ、よくその自販機から買えましたね」 美穂子「この会場は、全国大会のたびに来てるから」 京太郎「そういえば、そうでしたね」 照(……またこの自販機前に来てしまった) 美穂子「あ、宮永さん」 照(え、福路に京ちゃん…………なんで、この二人、またいっしょに…) 京太郎「あ、照さんじゃないっすか」 美穂子「あれ?……二人は知り合いなんですか?」 京太郎「いやあ、そうなんですよ。実は」 照「や、やめてください!!!」 京太郎・美穂子「!」 京太郎(照さん……昔のことはあまり聞かれたくないのかな?) 美穂子(ど、どうしよう……なにか悪いこと聞いちゃったのかな…) 照「……」京太郎「……」美穂子「……」 美穂子「あ、ちょっと用事を思い出したので、私はこれで」 照(どうしよう、京ちゃんの前で怒鳴っちゃった……感じ悪い女だと思ってるだろうなぁ………) 京太郎「え、え~っと、照さんは、Dペッパーか、じゃあ俺もそれにしよ」 照(私はタコスソーダの子みたいにかわいくないし、福路みたいにスタイルもよくない。嫌なところ見せちゃったなぁ…) プシュ 京太郎「いやあ、Dペッパーとか久しぶりだな。ゴクゴク、ぷはぁ~、やっぱうまいっすね、これ!」 照(やっぱり、私さっき感じ悪かったよね……京ちゃん私に気を遣って、明るく振る舞って……) 京太郎「照さん固まってどうしたの?飲まないんすか?」 照「う、うん、飲むよ」 プシュアアアアアアアアアアア!!! 照「きゃっ!」 京太郎「照さん、これ、とりあえず俺のジャージでよければ、どうぞ」 照「う、うん」 照(私、怒鳴った上に、ジュースまでこぼして、こんなに迷惑かけちゃって…) 京太郎「制服、シミにならないといいですね……」 照「う、うん」 照(私に気を遣って……たぶん京ちゃんの制服にもかかってるのに………) 京太郎「きっと業者が缶を振っておいたんですよ。ひどいことするなぁ」 照「う、うん」 照(………どうせなら、いいところを見せたかったな…………………ぐす) 京太郎「て、照さん!?な、泣いてるんですか?」 美穂子(……………盗み聞きなんて、よくないと思うけど、二人の関係が気になる…) 照(京ちゃんに迷惑かけて、気を遣わせて、私って………) 美穂子(会話の内容はよく聞こえなかったけど、須賀くん、私と話してるときより楽しそうだったな…) 優希(京太郎は、おっぱいしか見てないんだじぇ………くやしいじぇ。私も見てほしいじぇ) 久(福路さんが本気になったら、私なんて………) 照・美穂子・優希・久「はぁ、私なんかじゃ……」 和「優希、どうしたんですか?」 優希「…なんでもないじぇ」 和「何でもなくないです。優希、様子がおかしいですよ?」 優希(……) 和「…優希、須賀くんですね?」 優希「……ち、ちがうじぇ」 和「じゃあなんで顔を背けるんですか?」 優希「……」 和「…………悩んでる場合じゃありませんよ!優希!」 優希「え?」 まこ「胸がないからって悩んでないで、行動あるのみじゃ!」 久「え?」 菫「大丈夫だ!照、手段はある!」 照「え?」 京太郎「さ~て、のど渇いたな」 ドンッ、ビシャッ 京太郎「うわっ」 照「あ」 京太郎「て、照さん!?ま、またですか?」 照「う、うん。ごめんなさい」 京太郎「ジャージを変えしに行く途中で、のどが渇いたって……せめて返してからにして下さいよ」 照「う、うん。ごめん」 京太郎「ああ、今度は俺の制服がDペッパーまみれだ」 照「で、でも。京ちゃんのジャージは、ほら、無事だから」 京太郎(ん?…………前より激しくこぼしたのに、今回は泣かないんだな?…………ま、いっか) 京太郎「~~」照「~~」 京太郎「それじゃ、照さん、俺はこのへんで」 照(……また緊張して、うまく会話できなかったな…) 久(…………福路さんだけじゃなくて、あの白糸台の人もライバルなの?でも私だって) 京太郎「そういえば……このジャージ、照さんが着てたのか///) 久「ごめん須賀くん!」 ドンッ 京太郎「うわっ冷めて!」 久「廊下がバナナミルクまみれね!早くモップで拭きなさい」 京太郎「えぇ!?ぶつかってきたの部長じゃないっすか!」 久「試合前の選手に労働をさせる気かしら?清澄で留守番しててもよかったのよ?」 京太郎「わかりましたよ!やりますよ!」 久(しまった、かわいい女の子アピールをするつもりが、つい癖で…………でも、まだ!) 京太郎「部長ぉ、終わりましたよ~………でも、俺のジャージが…着るものが、着るものが…………」 久「はい///」 京太郎「え?部長、なんでこんなところにジャージ持ってきてるんですか?」 久「別にいいでしょ///」 京太郎「え、でも」 久「…私がいいって言ってるんだから、受け取りなさいよ///」 優希(…………部長も京太郎を狙ってたのか、なかなかやるじぇ。でも、負けないじぇ!) 京太郎「さすがに部長のジャージはきついなぁ、サイズが合わない。ていうか、見た目的にこれはアリなのか?」 優希(今だじぇ!) ドンッ 優希「京太郎、ごめんだじぇ!でも、私は京太郎の事が好きなんだじぇ!本気で好きなんだじぇ!私のことも見てほしいじぇ///」 京太郎「うわ!臭っせぇ!なんだよこれ!優希こんなもん飲んでんのか。ああ、部長のジャージが!部長のジャージが!」 優希「ちょ、私の話も」 京太郎「ちょ、今は黙ってろ。早く洗わないと!」 優希(…………) 和「見損ないました須賀くん」 京太郎「え、俺なにか和に見損なわれることを?」 和「しらばっくれるつもりですか!優希のこと…」 京太郎「ああ、あの時はジャージが汚れて、それどころじゃなかったんだよ」 和「え?」 京太郎「優希がなんか言ってた気はするんだけど……俺、それどころじゃなくて」 和「じゃあ、優希がなにを言ったか知らないんですか?」 京太郎「だからそれどころじゃなかったんだって」 和「そうですか……優希に伝えておきます。でも、須賀くんからも謝ってください」 京太郎「あ、ああ、わかった」 和「……『見損ないました』と言ったのは取り消します。言い過ぎました」 京太郎(ほっ……よかった) 京太郎「こんなところにいたのか、優希」 優希「……話しかけるんじゃないじぇ」 京太郎「あのときは悪かった。ジャージにかかったタコスソーダが気になって…」 優希「……私は、傷ついたじぇ」 京太郎「おまえの話を聞かなかったからか?なら、ここで聞くよ」 優希「……もう、忘れちゃったじぇ」 京太郎「そんなわけないだろう…………なぁ、いつまで怒ってるんだよ」 優希「……ずっとだじぇ」 京太郎「じゃあ、どうすれば許してくれる?」 優希「一つだけ言うことを聞いてくれたら、許してもいいじぇ」 京太郎「わかった。で、俺はなにをすればいいんだ?」 優希「目を閉じて、タコスソーダをかけちゃった時からのことを全部、忘れてほしいじぇ」 京太郎「そんなことでいいのか?」 優希「ここで私と会ったことも、忘れてほしいじぇ」 京太郎「わかった、こうか?」 優希「京太郎、まだ忘れきれてないじぇ」 京太郎(そんなこと言っても、こんな事で忘れられるわけ…) チュッ 京太郎「ん?」 全国大会終了後 藤田「少年、いいところに!…………ジュースを買おうと思ったら、自販機が壊れていたようでな」 京太郎「……はぁ」 藤田「一本買っただけなのに、こんなにたくさん出てきてしまったんだ。一本もらってくれないか?」 京太郎(Dペッパー、レモネード、バナナミルク、タコスソーダ…………か) 藤田「どうした?早くしろ」 京太郎「あの、――――――ですか?」 藤田「ああ……好きにしろ」 京太郎(俺の名前は須賀京太郎。この全国大会、やけに女運に恵まれ充足した時間を過ごしていたことに気づいていなかったと言えば嘘になるが、 まさか優希と一騒動あってから、照さん、風越のキャプテン、なんと部長までもが次々に俺のもとに想いを伝えに来たのには、さすがに驚いた。 突然の板挟みにあって辟易した俺は誰の想いにも答えることが出来ずにいたのだが、藤田プロに4種類の缶ジュースを見せられた時に決心が付いた。 缶ジュースを選ばされたあの時、俺が藤田プロになんと言ったのか、その後の俺の生活がどう変わったかは、ここでは控えておく。 咲が知ったら、きっと怒るだろうから。) おわり
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2194.html
偽者の生きる価値 61KB 虐待-普通 愛で 自業自得 飼いゆ 自然界 現代 うんしー ぺにまむ すいません、長いです。 長い上に、独自設定がありますので、ご注意ください。 『偽者の生きる価値』 私は生き物を見るのが好きだ。 例えそれが、野生とはほど遠い、趣味のための生き物であっても、やはり おもしろい。 野生動物に関心を抱く人間の中には、いかに人間の用意した環境下で生き る動物が悲惨な存在であるかを強調する人物もいる。 だが、自然の驚異の一部を手元に置いてみたいという感覚は、博物学が隆 盛した時代から、いや、ひょっとしたら、植物を集中的に育成しようとし たり、落雷から生まれた火を飼い慣らそうとした時代から、人間が自然に 持つ欲求の一つだったのかもしれない。 まあ、実際はそんな屁理屈を頭に思い描くわけでもなく、ついつい、ホー ムセンターに行くと、私はペットコーナーに行ってしまうのだ。 と言ってもそこにいるのは、スタンダードな熱帯魚や、今では近所の水系 で見られなくなったフナやタナゴのような淡水魚、そして昆虫などである。 自分が小学生の頃は図鑑でしか見たことがなかったような、海外のカブト ムシやクワガタムシまで、こんな地方都市のホームセンターで売っている のだから、いい時代になった…のか? 「まりしゃは…まりしゃはゆっくりしたいんだじぇ…」 「ゆぇぇぇん!!!ゆっきゅりできにゃいいいいいっ!!!」 そのとき、私は、ふと足を止めた。普段、このペットコーナーで見慣れな いものが売っている。 「ゆっぴぃぃぃっ!!!まりしゃはゆっきゅりぷれいしゅにいきたんだじ ぇぇぇ!!!」 まりさつむりである。 ご存知、まりさ種の亜種(改良品種という説も)、とんがり帽子の代わりに 巻貝のような貝殻に入っているまりさである。 私はこの店でゆっくりを見るのは初めてなので、ついじっくり観察してし まった。 『広告の品!まりさつむり!一匹150円!五匹なら700円!』 しかし、このまりさつむり、つむりにしては格安な上に、狭いケージにた くさんぶち込まれてぴーぴー泣いている。よく見ると、貝殻の中でぐった りしている個体もおり、扱いが良くない。 在庫一掃のために、売れ残りの個体を安価で売っているのだろうか? それとも、何か捕食種のための餌用の品種なのだろうか? 「ゆ!?おにーしゃん!まりしゃをゆっくりさせてほしーんだじぇ!!」 私が見ていることに気がついたのであろう、一匹のまりさつむりが私に 声をかけてきた。私が黙って観察していると、はっとしたように、 「おにーしゃん!ゆっくちちていってにぇ!!」 と付け加えた。 とてもしっかり教育を受けているようには見えないが、相手をゆっくりさ せる言動をしないと、ゆっくりさせてもらえない、ということは理解して いるらしい。安いからといって、げすとは限らないかもしれない。 私はそう思った。 どうせ、むかついて全部潰しても千円しないのだ。気まぐれもいいだろう。 それに飼育している生き物や、勝手に家に侵入してくるネズミや害虫の類 をのぞけば、ずっと一人で暮らしていた。話相手が欲しいとも思ったので ある。 結局、30分ほど悩んだ末、私は初めに声をかけて来たつむりを含む、五 匹を購入した。店員さんは、私が選んだ五匹をビニール袋に入れると、何 やらガスを封入し、ゆっくりを眠らせた。袋を開けて新鮮な空気に曝して おけば五分ほどで目を覚ますとのことだった。 飼育の道具は、ゆっくり専門のものは持っていないが、以前飼っていた、 魚やヤドカリ、昆虫用のものがあるので、それらを流用しよう、そう考え た。また、何事も知識から入りたがる私は、ゆっくりの本を何冊か買い、 帰途に着いた。 私は夕食を済ませると、大学生の頃、研究のために使っていた大型のプラスチ ックバットを洗い、砂を敷き詰める。そして、砂の中に埋めるようにして、水 入れを設置した。ゆっくりの足場になる部分には、あんよを滑らせないように、 滑り止めの構造になっている。最後にベッド代わりに、ティッシュを丸めて隅 におけば完成である。 だが、中途半端に、ジオラマちっくな飼育環境を作りたくなってしまう。 私の悪い癖だ。とりあえず、熱帯魚の水槽装飾品であったモアイ像とプラスチ ック製の人工水草を設置した。なかなかシュールであるが、センスはないと、 自分でも思う。熱帯魚の水槽にダース・ベイダーの人形沈めて、藻を生やして グリーン・ベイダー作って喜んでるような人間だからしょうがない、と自分で 自分を諦め、次の作業に移った。 トイレの設置である。小さなプラスチック製のちりとりを砂の上に置き、ちり とりの中にも軽く砂を敷いておく。これで飼育環境は完成である。もし、つむ りが大きく成長することがあれば、それはそのとき考えようと思う。 こうやって新しい動物のためにいろいろ作ったり、設置しているときはかなり 楽しい時間である。いつの間にか、外は暗くなっていた。 そろそろ、ここの安っぽい眠り姫に起きていただこう。 私は、ビニール袋を開け、廉価版つむりたちをそっと、飼育用バットの砂の上 に置いていった。 「ゆぴぃぃ…ゆぴぃぃ…」 五匹ともぐっすり眠っている。私は今のうちにお茶を入れ、読書をしながら彼 らの目覚めをのんびり待つことにした。 人が横になれるくらいのスペースに、まだ赤つむりから子つむりへの移行期に ある個体五匹が投入されるのだ。彼らにはなかなか贅沢なゆっくりぷれいすと 思って欲しいものである。 そういえば、つむりの貝殻って、自分で形成するのだろうか? よく見れば今回買ってきたつむりが被っている貝殻はてんでばらばら、中には、 先端が欠けているものもいた。 どうして同じつむりなのに、こんなに貝殻がいろいろ…ってこれは、実際に海 に落ちている巻貝の貝殻ではないだろうか? だとすると、生まれてきてから、帽子の代わりに与えられた、もしくは自分で 被ったということになる。 「ゆぴっ…?…ゆゆ!!?」 どうやら目覚めたようだ。 「ゆっくりしていってね!」 私は先手を打って挨拶した。 「ゆ!ゆっきゅりちていってにぇ!!」 「…!!…ゆっくち!ゆっくちちていってにぇ!!」 私の挨拶に、寝ぼけ眼のつむりたちも挨拶を返してくる。 「おにーしゃん!まりしゃをかってくれたんだね!ありがとうなんだじぇっ!」 「おにーしゃんがかいぬししゃんなの?」 「はい、ここはお兄さんのゆっくりぷれいすですよ!でも、この砂さんがあ るところはみんなのゆっくりぷれいすです!ゆっくりしていってくださいね!」 それから、私とつむりたちの生活が始まった。 「まりさはおみずさんをごーくごーくするよ!!!」 「まりしゃはおみじゅしゃんで、まりしゃのおしりをきれーきれーしゅるん だじぇーっ!!!」 (けつ洗ってる横で水飲んで平気なのか?) 生き物の飼育は最初が肝心だ。 新しい環境に慣れることができず、死亡する個体が出るからである。逆に言 えば、最初の一週間くらいを無事に乗り切れば、丈夫な個体として飼育でき る可能性が高い。 「みなさん、ごはんの時間ですよ!」 まりさつむりたちは、最初跳ねようとしたが、貝殻が重くて跳ねられなかっ たようだ。ずりずりと貝殻を引きずりながら、餌入れへと近寄っていく。 こうやって見ると、どうも貝殻がつむりの体に対して大きいような気がして ならない。はっきり言って動きにくそうである。 「ゆわぁいっ!しゃきしゃきもやしさんはゆっくりできるよぉっ!!!」 「ありがちょー!おにーしゃん!」 「むーしゃむーしゃ…しゃーきしゃーき…しあわすぇ~っ!!」 「ゆぅぅぅ、まりちゃちゃまはあまあまがたべたいんだじぇっ!!じじぃは ゆっきゅり…うわーい!おちょらとんでりゅみちゃあい!…」 私はできるだけつむりと一緒に過ごすようにし、つむりの要望に答えて、ゆ っくりぷれいすの中におうち(市販のゆっくりはうすの安価なもの)、水分の 多い野菜を中心とした食事などを用意した。 その代わり、生意気な口を利いた個体や、うんうん、しーしーを指定の場所 以外でした個体にはしっかり、罰を与えた。 「お兄さんが苦労して取ってきたごはんさんをいらない子はせいっさいっし ますっ!!」 「ふじゃけるんじゃないじぇ!!!じじぃなんきゃこのまりちゃちゃまがび ょうしゃちゅ!!?」 輪ゴムを構え、この生意気なつむりのおでこ、あにゃる、ほほ、あんよに痛 みを与えていく。 「ゆんやあああああっ!!!」 「贅沢言う子はげすです!げすは許しません!」 ぴしーん! 「お兄さんをじじぃとか言う汚い子はくずです!くずも許しません!」 「ゆっぴゃああああああっ!!!までぃざのあじゃるぅぅぅぅっ!!!」 ぴしーん! 「ごめんなさいできないのはかすです!かすも許しません!」 「ゆんぎゃあああああああ゛!!!だじゅげ!だじゅげげぇぇぇぇ!!! …ば!ばでぃざをなめるなああああっ!!!」 なんとこの口の悪いつむりは、貝殻の中に入り込んでしまった。フタは持 っていないようだが、人間の指では奥に入ったつむりを取り出せそうにな い。実際に指を突っ込んでみたが、がじがじと甘噛みされてしまった。 「ゆへへえええん!!!ばきゃなじじいはまりじゃじゃまにてもあじもで ないんだじぇええええっ!!!」 大泣きしながら、暴言を吐いてくる。忙しいことだ。 (ぶっ殺そうかな…) そうも思ったが、とりあえず、貝殻を傷つけずにヤドカリの中身だけを取 り出す方法を試してみることにした。 貝殻の奥、てっぺんの方を炙るのである。 私はタバコを吸わないため、チャッカマンを取り出し、土間に置いたつむ りの貝殻のてっぺんにファイアーした。 じじじ…という貝殻の表面が焼ける音がし、しばらくすると… 「あっぢゃっ!ここめっちゃあっぢぃ!!!」 しゅぽーんという音が聞こえてきそうな勢いで、巻貝の入り口からまりさ が飛び出てくる。輪ゴム発射。 ぺちーん 「ひっぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」 ぺにぺににでもあたったのだろうか?今にも死にそうな声で泣き喚き、ご ろごろと転がり続ける。 私はそれを捕まえ、ぷりんぷりんと動くおしりに遠慮なく輪ゴムを叩き込 んでいく。 「ゆびびびびびびっ!!!ごべんなざいごべんなざいごべんなざいぃぃ! やべで!もうやべで!ばでぃざのおじりおがじぐなっぢゃううううっ!!」 だが、私は容赦なく輪ゴムを叩き込み続けた。しーしーが手を汚したが、そ のしーしーをつむりの体に塗りこむようにして、握りなおす。 「悪いのは誰かな?ちゃんと言わないと分からないですね!」 「ゆぎぃっ!!!ゆっぴっ!!!ばでぃざです!!ばでぃざはゆっぐりでぎ ないゆっぐりでず!!ごべんなざい!!」 私は生意気なつむりが泣いて必死に謝るのを満足いくまで観察すると、地べ たにそっとつむりを置いてやった。あちこちがミミズ腫れのように赤く腫れ あがり、背中の一部が褐色に変色していた。おそらく、貝殻を炙った時の火 傷だろう。 (まあ、死ぬ前にペットの立場と振舞い方を学習できるといいね!) 「また、私のことをじじいと呼んだり、私に命令したら、同じことをします。 つむりは私より弱くてダメなんです。ゆっくり理解してくださいね!」 「ゆぎっ…ゆぎっ…ゆっくり…りかいちたよ…」 つむりの瞳はまだ反抗的であったが、プライドはずたずたになったようだ。 案外、しっかり躾を済ませられるかもしれない。泣きじゃくるつむりは覚束 ない足取りで、ごはんの容器へと這っていく。 「ねえ、まりさ!」 「ゆひっ!!ごめんなざい!ごめんなざい!ごめんなざい!いきででごべん なざいぃっ!!!ばでぃざはただのうんうんめいかーでずぅ!!」 「もう怒ってないですよ。それより、貝殻かぶらなくていいのかな?」 「ゆ?あつあつのかいがらさんはゆっくりできないんだじぇ!」 お飾りへの依存が低いのかな?それとも貝殻はお飾りとみなさないのかな? そのとき、私はそう思った。 その後も、私は飴と鞭を繰り返し、つむりたちを躾けていった。時につむり は何度も同じ過ちを繰り返したが、私の場合、両親が怒りっぽく、幼少時に よく怒鳴られていたばかりいたせいか、我慢強いというか、冷めた性格が形 成されている。そのため、何をされても、躾のための必要性以上に怒ること はなかった。そして、十日が過ぎた。 ある日、私は町の図書館に寄る用事があったので、ついでにまりさつむりの 生態について調べてみた。 それによれば、まりさつむりというのは、本来水辺の環境に適応したまりさ 種の一亜種であり(古い資料では変種とされている場合もある)、水に溶けに くい体と、防御に優れた貝殻を持っているらしい。貝殻はまりさ種の帽子と 同様に、まりさ本体と一緒に成長し、狩りの際の餌の保管に使われるが、仮 の巣としての機能も持ち、中にたからものを蓄えたり、貝殻の奥に潜り込ん で睡眠をとったりもするらしい。全長は最大で60センチ、体重3−5キロ… (う~ん…大きく育ったら、庭で生活してもらうしかないかな…) そこまで読んで、開いたページの最後の部分が目に留まった。 ごく稀に、通常のまりさ種からまりさつむりが生まれることがある。この場 合、外見上はつむりから生まれたまりさつむりと変わらないが、比較的水に 弱く、体が溶けやすい、貝殻がそれほど頑強ではなく、中に引っ込めるだけ の奥行きを持たない場合が多い。このような、貝殻として本来の機能を果た していないつむりの貝殻を、貝殻帽子という。 (あいつらは、純正のまりさつむりじゃないのかな?) 「ゆゆ~ん♪ゆゆ!?おにーしゃんおかえりなんだじぇっ!!!」 「ゆっくりおかえりなちゃいっ!」 私は帰宅してから、つむりで実験、というよりは遊んでみることにした。ま ずは、一匹のつむりの貝殻を取り上げる。 「ゆゆ!おにーしゃんそれはまりさのかいがらさんだよ!ゆっくりしないで かえしてね!」 中にたからものが入っていないことを確かめると、代わりにオカヤドカリ用 の綺麗なアートシェル(巻貝を藍色の塗料で塗りつぶし、金色の太陽があしら われているもの)を与えてみた。これは以前、ヤドカリを飼っていたときに購 入したものである。 「ゆゆ!?これはまりさのかいがらさんじゃ…ゆゆーん!!!みまさまのお ぼうしみたいだよっ!!」 自分の貝殻ではないにも関わらず、気に入ってしまったらしい。 「ゆゆ~ん!みまさまのかぶっちゃったよっ!!!…うふふ…」 「つむり、この古い貝殻はいらないのかい?」 「ゆ?ふるいかいがらさんはゆっくりできないよ!まりさはあたらしいかい が らさんをきにいったよ!おにーさん!ゆっくりありがとう!」 私は、ずるい、自分も、と騒ぐほかのつむりたちに、また今度な、と言い聞か せてから、つむりたちの飲料水を取り替えた。 自分の貝殻に対して思い入れがないのだろうか? それとも、どこからか取ってきた貝殻でも、頭に乗せれば、一緒に成長してい くのだろうか?そうだとしたら、いくらなんでも不思議すぎるが。 それから、まりさつむりたちの住んでいる容器の中に、小さなプールを作って やった。砂の中に水を張った底の深い皿を埋め込み、積み木と木片で出入りの ための階段をつくってやった。 もし、こいつらが純つむりなら喜んで水辺で遊ぶのではないか? こいつらがなんちゃってつむりならば、遊んでも短時間であり、水辺でゆっく りするなんてことはないだろう。 私は、こいつらの正体を見極めてみたくなったのである。 「ほら、ここで水遊びしなよ!きれーなお水さんで遊ぶの好きだろう?冷たく て気持ちいいですよ。」 今は六月後半、梅雨の間は、肌寒い日もあるが、ここのところ、雨が降らず、 暑い日が続いていた。 「ゆわぁいっ!!!ありがとうおにーさん!おみずさんあそびはゆっくりでき るよっ!!」 水遊び自体は好きらしい。半分ほどの個体が新しいプールへとずりずり這って いく。私は彼らをゆっくり観察するために、まずは近くの食料品店にひとっ走 り飲み物を買いにでかけた。夏は苦手なのだ。 事件が起きたのはそのときであった。 「ゆゆ~ん!おみずさんきもちいいよぉっ!!」 どん! 「ゆびゃああーっ!?」 出来立てほやほやのぷーるで遊んでいたみまつむりは、後ろから何者かに突 き飛ばされ、浅い水の底に軽く頭をぶつけてしまった。 「まりさだけきれいなかいがらさんもらうなんてずるいよっ!!!まりさも みまさまみたいになりたいから、そのかいがらをゆっくりかしてね!すぐか えすよっ!!」 まりさ種の「貸して」はたいてい返ってこない。 「いやだよ!これはおにーさんがまりさにくれたんだよ!おにーさんはまた こんどっていってたよ!ゆっくりがまんしてね!!」 「まりさのほうがかわいいから、まりさがみまさまになるよ!!!ゆっくり りかいしてね!!」 二匹は喧嘩をはじめてしまった。 「ゆぎーっ!!!まりさおこったよ!!!」 アートシェルを奪おうとしたつむりは、みまつむりにぷくーっするまでもな く、いきなりあんよに噛み付いた。みまつむりは自慢の新型貝殻の中に逃げ 込む余裕すらなかった。 「やべでね!!まりさにかみつかないでね!!まりさのしるくのようなあん よにきちゃないはがたつけないでねっ!!」 「ゆぎーっ!!!ゆぎぎーっ!!!」 みまつむりは、噛み付いているつむりを引き離そうと、体をぶんぶんと揺す る。 「はなじでえええええっ!!!まりざのあんよはなじでっ!!!」 「ゆゆ!!けんかはやめるんだじぇ!!けんかはおにーしゃんがゆっくりで きないんだじぇ!!!」 ここに来て、騒動に気がついたつむりが、慌てて二匹の仲裁に入った。しか し、遅かった。 べりっ 「ゆひっ!!?ゆわああああああ゛っ!!!ばでぃざのみずみずじいあんよ がああああ゛っ!!!」 みまつむりのあんよは、無残にもその半分が剥ぎ取られてしまった。なおも 噛み付こうとするつむりを、仲裁に入ったつむりが抑える。 「ばでぃざのあんよざんなおっでねぇええええっ!!!」 みまつむりは必死にあんよをぺーろぺーろしようとするが、舌が届く場所で はなかった。 「ゆゆ!!まりさがまりさのあんよをぺーろぺーろするんだじぇ!ゆっくり うごかないでほしいんだじぇ!!」 仲裁に入ったつむりが、舌の届かないみまつむりの代わりに、そのあんよに 舌を伸ばし、ぺーろぺーろしようとする。 ぐじゅり 助けようとしたつむりの舌があんよに触れただけで、みまつむりのあんよは 崩れてしまった。もはや、自力で動くことも出来なくなりつつある。 「ゆぎゃあああああっ!!!ぺーろぺーろじゃゆっくりできないよぉっ!! おにーさん!ゆっくりしないでおにーさんよんできてねええええっ!!!」 「ゆぐぐ…わかったんだじぇ!!まってるんだじぇ!!」 人間さんに何とかしてもらう。最早助かる手段はそれしかなかった。仲裁に 入ったつむりはゆっくりしないで、お兄さんを探しに行く。しかし、這い回 ることしかできない以上、その外へお兄さんを呼びに行くことはできなかっ た。 「おにーさん!!おにーさん!!どこにいるんだじぇええっ!!!たすけて ほしいんだじぇええっ!!ゆびいっ!!?」 ただひたすら泣き叫び、助けを請うみまつむり、そこにアートシェルを奪お うとしたつむりが体をねじり、勢い良く貝殻をみまつむりに叩きつけてきた。 崩壊寸前だったみまつむりのあんよがとうとう崩壊した。餡子が水面をサー ッと流出していく。 「ゆぎゃあああああっ!!!でねいでね!!!ばでぃざのあんござんでない でぶっ!!?」 「かいがらさんをひとりじめするげすはゆっくりしねっ!!!」 更なる一撃で、みまつむりの下半身が崩壊した。口も下半分が崩れ、もうま ともに発音することもできない。 「ゆっくりしたかいがらさんはまりさのものだよ!ゆっくりりかいしてね!」 とどめの一撃によって、みまつむりの餡子は皮の破れ目から派手に噴出し、 みまつむりはわずかに痙攣する以外、生きている証を失ってしまった。 「ゆゆ~!これはとてもゆっくりできるかいがらさんだよ!!」 みまつむりをゆっくりさせたつむりは、いそいそと自分の貝殻を脱ぎ捨て、 アートシェルを身に着ける。念願のアートシェルを手に入れ、顔をほころば せるつむり。 「ゆ~…ひっこししたらおなかすいちゃったよ!ゆっくりごはんさんたべに いくよ!!」 だが、あんよがうまく動かない。 「ゆゆ!!?まりさのあんよさんどうしたの?ひっ!!?」 半身が水に使ったまま、派手に動いたことで、あんよが溶け始めていたのだ。 大慌てでプールの出口へ向かおうとするが、崩れかけのあんよではそれ相応 のスピードしか出ない。そして、その間も少しずつあんよは崩壊していく。 「ゆひっ!!ゆひっ!!」 「ただいまーっ!!!友達に会っちゃって、長話しちゃいました!」 「おにーざんっ!!!だずげでえええっ!!!まりざをだずげであげでええ ええっ!!!」 私がつむりたちの尋常ならざる様子に、彼らの飼育容器であるプラスチック バットをのぞいたとき、そこにあったのは、新設したばかりのプールでぐず ぐずに崩れた、二つの大福だったものだった。 (通常のまりさ種から生まれた突然変異だったのか?でも突然変異がこんな にたくさん…人工的に増やしたのか?だから安かったのか?) そう思いながらも、私は一匹にだけ新しい貝殻を与えたことを後悔した。 そんな簡単に躾ができるのならば、あんなに捨てられた野良ゆっくりが増え るわけがないのだ。 言葉遣いの悪い個体や、トイレの場所を覚えなかった個体をしかりつけ、一 緒に生活していくうえで、不快にならないための最低条件をクリアーしただ けで満足してしまっていたのだろう。 七月になった。 まりさつむりたちはすっかり大きくなり、野球ボールぐらいの大きさになっ た。もう子ゆっくりと言ってもいいだろう。 (そろそろ、新しいゆっくりぷれいすを用意してやらないとな…) しかし、貝殻は成長せず、今では髪の毛の上にちょこんと乗っているだけだ った。 (…やっぱり、つむりじゃないな…) そんなことを考えていると、一匹のつむりが私に話しかけた。 「おにーさん!!!ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね!…どうしました?」 「まりさはそろそろあたらしいかいがらさんがほしいよっ!!!いまのかい がらさんはちいさくなっちゃってあたまがはいらないよ!!」 ある日、たまには、プラスチックバットの外にも出してやろうと、私は、彼 らを一匹一匹摘み上げ、部屋の中に放してやった。 「ゆゆ~ん!まりさ!おにーさんにあそんでほしいよ!!!」 一匹のつむりが甘えてくる。私は貝殻を落とさないようにして、ゆっくりと つむりの頭を撫でてやった。 つむりはゆゆーんと気持ちよさそうにしている。 「なあ、まりさ、まりさは本当にまりさつむりなんですか?その貝殻さんは まりさのものなの?」 「ゆ゛!!?…な、なにいってるの!?まりさたちはどこからみてもかわい いまりさつむりだよ!みればわかるよ!」 私は昨日買ったばかりの、「新ゆっくり図鑑(第二東京大学出版)」を広げ、 まりさつむりのページを探した。 「でも、つむりの貝殻と形が随分違うよ、ほらこれ。」 私は様々なまりさつむりの写真をつむりに見せる。どの個体も、水棲のつむ りも、突然変異のつむりも、赤つむりも、成体も、自分の体に見合ったサイ ズの貝殻を持っていた。そして、貝殻の形状は巻きつきの弱いサザエのよう なものであり、私のつむりたちのように、尖った巻貝、丸っこいヘルメット のような巻貝、先端が折れている巻貝を頭の上にちょこんと乗せているもの はいなかった。 「ゆゆゆ!!?…でも!まりさはつむりなんだよ!!まりさはつむりだから ゆっくりできるんだよっ!!!」 私はこの言葉が引っかかった。やはり、こいつらはまりさつむりじゃないの ではないかと。私は、部屋の中でゆっくりパズルで遊んでいるつむりを捕ま え、私の前に持ってきた。 それは、あの口が悪く、私に一番叱られて、痣と傷が絶えないつむりだった。 「ゆゆ!!おにーさんどうしたんだじぇ!!?まりさはなにもわるいことし てないのじぇ!!」 私は有無を言わさず、さっさと質問した。 「ねえ、君たちまりさつむりじゃないんじゃない?正直に言わないと、また 痛い痛いしますよ?」 「ゆぴっ!!?」 何度も輪ゴムやでこぴん、めん棒あにゃるぐりぐりなどで痛い思いをしてい る口悪つむりの顔はさっと青ざめた。 さっきまで話していたつむりもこちらをじっと見ている。 「ゆゆ…ゆゆゆ…」 私はこのまりさの態度で、遅まきながら確信した。このつむりたちはまりさ つむりじゃない。 私は、いつもの輪ゴムよりも太くて痛そうなゴムを取り出し、片手でぱちん ぱちんと、目の前の口悪つむりに見せ付けるように鳴らした。 「ゆっびぇえええええっ!!!まりざはまりざなんだじぇ!!!でもつむり になったのじぇ!!つむりじゃないとゆっくりできないっでいうから、つむ りになったのじぇえええっ!!!」 口悪つむりは泣きながら、あっさりと口を割った。 「まりさたちはまりさなんだじぇ!すてきなおぼうしさんかぶってたんだじ ぇ!でも、にんげんさんのせいでぱぱとままとおわかれして、おぼうしとら れたんだじぇ!おぼうしのかわりにかいがらさんもらったんだじぇ!!」 要するに、こいつらは生まれながらのまりさつむりではなく、二次的にまり さつむりにされた通常のまりさ種だったのだ。 おそらく、適当な貝殻を帽子の代わりに被せて、まりさつむりとして、通常 のまりさ種よりも高く売ろうとしたのだろう。 祭りの露店で、カラーれいむなどと一緒に、このようなまりさが売られてい ると、前述の図鑑のコラムに書いてあった。それの売れ残りが田舎のペット ショップに格安で回って来たのだろう。 よくもまあ、帽子への執着を捨てられたものである。もっとも、野良ゆっく りの中ではお飾りを失い、同属からの攻撃に怯えながらも、生活しているも のもいる。決してゆっくりできることではないのだろうが、帽子がなくても 生きていくことはできるのだろう。 「つむりにならないと、まりさはゆっくりできないっていわれたんだじぇ! おぼうしのないまりさはゆっくりできないんだじぇ!!でもまりさはゆっく りしたかったのじぇ!!だからつむりになったのじぇ!!」 堰を切ったかのように、次々と自分の過去を話す口悪まりさ。残り二匹のつ むりもどきも心配そうな表情で、私の前に集まっていた。 「おにーさん!ごめんなさい!!まりさをすてないでね!!まりさはゆっく りできるまりさになれるようがんばるよ!!…ゆぐっ…つむりになるよ!! だからすてないでねっ!!ゆわあああん!!!」 「ごめんなざいおにいざあああんっ!!まりしゃはゆっくりできないまりし ゃなんだぜえええっ!!!でも、これからもおにいざんのかいゆっくりでい だいんだぜえええっ!!!」 泣き喚き、必死に土下座しながら、捨てないでと叫び続けるつむりもどき。 ひょっとしたら、お飾りを失ったことで、自分はゆっくりできないと認識し た際に、ゆっくり特有の無駄に高いプライドも壊れてしまい、それで従順に なったのかもしれない。 そう考えると、口悪つむりは、なかなか根性があったと、ほめてやってもい いのかもしれない…人間だったら。 飾りを失わせて、自尊心を破壊、従順なゆっくりを作るという考えは悪くな いように思えるのだが、かご売りされていたということは、飾りを取り戻す と元の自尊心が戻ってくるということだろうか? それを防ぐために、あからさまに不似合いな汚い貝殻を被せておいたのだろ うか?そうだとしたら、よく考えたものである。 私は、最初からワケありだろうと、踏んでこのつむりもどきを買ったので、 別に騙されたと思わなかったし、怒りも感じなかった。ついでに言えば、今 のところ捨てる気はなかった。 「まりさたちはお兄さんの大切な飼いゆっくりですよ!それを捨てるなんて とんでもない!今度、新しい貝殻を探しましょうね!!」 私の一声につむりもどきたちは、半ば唖然とした、半ば喜んだ表情で顔をあ げた。 「ゆわああああん!!!おにいいざあああああんっ!!!」 「おにいいざんのがいゆっぐりでよがっだよおおお゛っ!!!」 「ぎょうはおにいいざんといっじょにねるぅぅぅっ!!!」 これで、貝殻を背負いながら跳ねようとしたことも、あっさりと自分の貝殻 を放置したことも、水に弱かったことも説明がつく。 ついでに言えば、それで一人称が「まりさ」だったのだろうか?だが、私は まりさつむりをこの目で見たことがないので、つむりの一人称がどのような ものかは分からない。 また、つむりもどきは貝殻が自分の体の一部ではないため、成長に伴って、 ヤドカリのように、貝殻をより大きなものに代えていかなければならないの だろう。 貝殻を変えていく、ということは一つの貝殻に対する執着は弱く、通常のま りさ種の帽子に対する執着のようなものが見られなかったのだろう。 ヤドカリは、個体によって、宿貝の選択に差があると言われている。基本的 には自分の体にフィットしたサイズの、欠損の少ない貝殻を好む個体が多い と報告されている。 また、ヤドカリは貝殻資源の少ない場所に生息している場合、木の実やサン ゴ片、最近では人間のゴミを宿貝の代わりに背負っているという。 私は、このつむりたちに、新しい貝殻として、いろいろなものを与えてみよ うと思った。 その日、私は親戚の家に所用ででかけていた。 そのついでに、つむりもどきたちの新しい宿貝を用意してきたのである。 家に着いた頃には夕方になってしまった。遠くの山からヒグラシの物悲しい 鳴き声が聞こえてくる中、なぜかうちの庭では、ニイニイゼミが頑張ってい る。 ふと、玄関を見ると、一匹のゆっくりがいた。玄関で見知らぬゆっくりが 待機していたら、飼ってくれ、または飯よこせと命令しに来たか(たいてい の場合、懇願ではない)、侵入できず途方に暮れているかのどちらかである。 「ねえ、君、うちに用ですか?」 「まりさはしんぐるまざーなんだよっ!!!かわいいんだよっ!!だからご はんさんをちょうだいねっ!!!」 「お前がかよっ!!」 思わずつっこんでしまった。 どこかにこの戦法で見事ごはんさんを手に入れたれいむがいて、それを持ち 前の狡猾さで、真似たのだろうか?まりさも堕ちたものである。 それにしても、今時、悠長な野良ゆっくりである。都市部では景観美化のた めに税金を投入して、野良ゆっくりを駆除している自治体もあるというのに。 まあ、全てこの辺りが田舎だからであろう。なにせ、未だに野良犬が小学校 に侵入して、授業が中断するような町である。 「まりさのゆっくりできるおちびちゃんみてね!みたらゆっくりしないでご はんさんもってきてね!まりさはぎんばっじさんなんだよ!」 「ゆっくちちていってにぇ!」 「あまあまちょーだい!まりちゃはあまあまがほちーよっ!」 どこにも銀バッジのない母まりさの影から出てきたのは、二匹の子まりさで あった。母まりさはさも、すごいだろう、とでも言いたげな表情でふんぞり 返っている。 こういうことは、赤ゆでやった方がいい気もするのだが、ずっとこの方法で 食べ物をもらってきたのだろうか?それとも、最近浅知恵ではじめたのだろ うか? 「一人で子育てとは、大変ですね!」 「ゆゆ!!おにーさんははなしがわかるね!だからまりさにあまあまちょー だいねっ!べーこんごはんさんでもいいよっ!!!」 私は軒先に放置してある、「それ」を何本か取り出した。どうやらまだ使え そうだ。私は野良まりさが帽子から取り出した、二匹の子まりさをそっと拾 い上げた。 「ゆゆ!おちょらをちょんでりゅみちゃーいっ!!!」 露骨に赤ゆっくり言葉が残っているところを見ると、ずっとこの物乞いを続 けてきたのだろう。 「まりちゃはまりちゃだよっ!おにーちゃんはゆっくりできりゅひと?」 私は笑顔で答えた。 「さあ、どうでしょうね?」 私の足元で母まりさは心配そうにそわそわしていた。 「ゆゆ!おにーさん!おちびちゃんたちをゆっくりしないでかえてね!!ゆ ゆ!!ひょっとしておにーさんはまりさのおちびちゃんをかいゆっくりにし たいの!?まりさのおちびちゃんはとてもゆっくりできるからね!きもちは わかるよ!でも、それならまりさもかいゆっくりにしてね!!まいにおにー さんにごはんさんをよういさせてあげるよっ!!」 私は子まりさを二匹並べるように手で持ち、それの先端をまむまむにねじる 込むように差し込んだ。 「だめ!やめちぇね!まりちゃは、まだ…こころのじゅんびぎゃおおおおお おおおおお゛!!!」 「やっべ!ちょっと裂けちゃいましたか!」 「ゆぎっ…ゆぐ…ゆ゛…まりちゃのはじめちぇ…」 もう一匹にも同じようにねじ込んでいく。 「ゆぎょおおおおお!!!まりぢゃのばーじんがあああああっ!!!」 「そんなもんあってもなくても、君らには関係ないんじゃないですかねぇ…」 ちなみに、この作業をしている間、母まりさは、ふかふかべっどさんがほし いよ!だの、さくさくしょーとぶれっどさんがほしいよっ!とか、好き放題 なことを言っていた。誰も飼うなんて一言も言っていないのに… 「ほらっ!おちびちゃん返しますよ!」 「びゆっくりもよういしてね!きんばっじが…ゆ!!?」 母まりさは目を丸くした。目の前に差し出された、ロケット花火の先端をま むまむに無理矢理ねじ込まれた子まりさの姿に。 あまりに無理矢理ねじ込んだので、腹部の皮がぱっくり裂けていた。 「ゆぴいいいっ!!!ゆぴいいいっ!!!まりちゃのじゅんけちゅがぁっ!」 「ゆげっ…ゆげげっ…」 一匹の子まりさは目を見開き、がくがく痙攣している。 (これは無理矢理過ぎたかもしれないね。) 「ふぁいえるするよっ!」 唖然として声も出ない、母まりさの目の前でロケット花火に点火し、それを母 まりさの目の下あたりに刺し込んだ。 「ゆっぎいいいいいいっ!!!なにずるのおおおおっ!!!ばでぃざになにず るのおおおっ!!!やべでね!これどっでね!ばでぃざのじゅぎょぐのおぢび ぢゃんがえじでねっ!!!ばでぃざの…」 母まりさがそこまで騒いだ時点で、導火線がなくなり、ロケットに点火された。 ひゅるるるる~ぱんっ!! 空の彼方から、微かにゆ゛っ!という断末魔の声が聞こえて気がする。途中で 取れた子まりさの帽子だけが、庭にゆらゆらと落ちてきた。 「ゆっぎゃああああああっ!!!ばでぃざのしんじゅのようなおべべがあああ ああああっ!!!」 どうやら、母まりさはロケット花火の火花が目に入ってため、子ゆの晴れ姿を 見ることが出来なかったらしい。 私は哀れみを込めて、母まりさを持ち上げ、投球フォームに入った。 「あきゃきゃきゃきゃ!!!感謝しろよぉ!これで君はしんぐるまざー卒業だ! こぉんぐらぁちゅれいしょぉぉぉん!」 「ゆわあああい!おぞらどんで!!?ゆびっ!!なにずるのっ!!!」 母まりさを掴んだ右腕で大きくバックスイングを取り、左足をぐっと前に踏み 出す。 「元中学ボールスロー郡大会四位入賞をなぁめぇるぅなぁぁっ!!」 「はーひーふーへーほぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 母まりさはバイキン○ンみたいな声で鳴きながら飛んでいった。 「まあ、花火にはちと時間が早かったみたいですね!」 私は落ちている二つの帽子を見て、とあることを思いついた。 私は落ちたままになっていた子まりさの帽子を回収した。子まりさが死ぬ前に、 本体から離れた帽子なので、死臭の問題はないはずだ。 「ただいまーっ!!」 戸を開けると同時に、エアコンの効いた室内の冷気が、汗まみれの私の全身を愛 撫してくれる。 私が帰宅すると、つむりもどきたちは、私がデコレーションとして入れたモアイ 像の小さなレプリカの横で 「「キリッ!」」 と三匹一列に並んで、やや上を向いていた。どうやら、モアイの真似をして遊ん でいるらしい。なかなか微笑ましく、写真に撮りたい光景である。 「おにーさーん!まりしゃ!おなかすいたんだじぇ~っ!!」 「まりさも!まりさも!」 「はいはい、ごはんですよ!」 そう返事をして、私は予め用意しておいたトウモロコシを与える。昨日、ご近 所さんからもらったものなのだが、私はトウモロコシが好きではないのだ。 「ゆゆ!まりしゃ!おにーさんのごはんさんだいすきっだよっ!!!」 「ゆゆ~ん♪とうもろこしさんっはゆっくりできるよっ!!!」 「ゆわぁぁぁん!まりさ!こんなあま~いおやさいさんたべたことないんだじ ぇ!!おにーさん!ありがとうなんだじぇっ!!」 最後の返事は、あの口のとりわけ悪かった個体のものだ。忍耐強い躾の成果な のか、いい子になったものである。頭の十円禿げと、体の痣が痛々しいが。 私はつむりもどきたちが、トウモロコシに夢中になっている間に、砂の上に、 四つの新お帽子候補を置いた。 まず、以前、ロケット花火で吹っ飛ばした子まりさの帽子、それと同じものの 先端を切り落としたもの、ちょうどいい大きさのサザエの貝殻、プラスチック コップである。 さて、宿貝のお引越しは観察できるだろうか? 私は彼らの様子をそっと物陰から見守ることにした。 「ゆぷーっ!おなかいっぱいだよ!!ゆっくりーっ!!…ゆゆ!?」 食事を終えた一匹のつむりが、私が置いた帽子etc の存在に気がついたようだ。 「ゆゆーっ!!おぼうしさんがあるよっ!!!」 その一声に他のつむりたちも一斉に振り向く。 「「おぼうしさんっ!!!」」 「ゆぅ~んっ!!おにーさんがまりさにあたらちいおぼうしよういしてくれた んだねっ!!!」 やはり、所詮はつむりもどき、お帽子への未練はあるらしい。まあ、野良ゆっ くりの中でも、帽子を失った個体が、より弱い個体からお飾りを奪おうとする ことがあるのだから、当然の反応だろう。 「これはまりさのおぼうしなんだじぇっ!!」 真っ先に帽子(完全体)に手、ならぬ舌をつけたのは、あの口の悪かったつむり である。 「ゆゆ!!だめだよ!まりさがいちばんさいしょにおぼうしさんをみつけたん だよっ!!」 「まりしゃだっておぼうしさんでゆっくりしたんだじぇっ!!」 早速、三匹で奪い合いになった。各々が帽子の端っこに噛み付き、帽子を自分 のものにしようと引っ張り合う。 「ゆぎぎぎぎぎ…これはまりしゃのなんだじぇ!!!」 「ゆんぎぃっ…まりさのだよっ!!まりさのおぼうしさんだよ!」 みちみち… もう結果は見えてきた。 「ゆっぎっ…おぼうしさん!まりさのあたまにかえってきてぇっ!!」 「ぎぎぎぎぎぎ…もうおもいのいやだよ…ぎぎぎ…ぎ!?」 べりりっ 「「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」 哀れにも三匹に必要とされた帽子は弾けるように破けてしまった。 「まりざのあだらじいおぼうじじゃんがああああああっ!!!」 「ゆっぐぢ!ゆっぐぢなぼっでねえええええっ!!!ぺーろぺーろ…」 「ゆわああああん!!ゆわああああん!!やっどばでぃざのぉぼうじざんが えっでぎだのにいいいいいっ!!!」 お帽子の復活、という宿願?を目の前にぶら下げられ、自分達でぶち壊して泣 き喚くつむりもどきたち。もっとも、きれいな帽子が一つしかない時点で予想 できた結果ではあるが。 「ゆぅ…しかたないよ…まりさはほかのおぼうしさんさがすよ…」 一番手に入れたかったはずの、まりさの帽子がばらばらに千切れてしまったこ とで、つむりもどきたちは十分間ほど泣き喚いた後、他の帽子候補へと目を向 け始めた。 「ゆぅ~ん?…ゆゆ~ん?」 一匹のつむりが目をつけたのは、プラスチックコップであった。帽子や貝殻ほ ど、中にものを詰め込めないこの手のものは、あまり好まないのではないかと 思っていたのだが、狩りをする必要のないこの環境では異なる考えが芽生えた のかもしれない。 つむりは、それまで頭に乗っけていた見栄えのしない貝殻から出て、コップを 被ってみる。 「これはかるくてうごきやすいよ!!!まりさはゆっくりできるよっ!!」 このコップまりさは、軽快に動けることが余程嬉しかったのか、ぽよんぽよん と床の上を跳ね回っている。 「ゆぅぅ…まりさはこれでがまんするんだじぇ…」 あの口悪まりさが選んだのは、先端のない帽子だった。 「ゆゆ~…へんなかたちなんだじぇ…でも、これがまりさのおぼうしっぽいん だじぇ…」 どうやら、口悪まりさは、まだ帽子に未練があるようだ。 「ゆんゆん…?ゆゆゆ…?これはおっきくて、なかがひろんだじぇーっ!!! これならたからものさんをいっぱいあつめられるんだじぇーっ!!」 こちらのつむりもどきが注目したのはサザエの貝殻だ。このサザエはかなり大 きなもので、水族館の土産物として売っていたものである。生前は身も合わせ て1キロ近い重さだったという。 当然、今まで、見につけていた貝殻よりもはるかに重いため、動きは鈍重なも のになりそうだが、中に広いスペースがあることが気に入ったらしい。 被り物の選択に個性が現れるのは見ていて楽しかった。 世間は夏休みのシーズンになった。今のところ、帽子を交換する必要はないみ たいだ。この時期はゆっくりにも暑いのか、よく冷房の吹き出し口の真下か、 扇風機が当たる場所で、三匹ともゆっくりしていた。 コップまりさはいつも、私の家の中を所狭しと跳ね回っていた。本人曰く「探 検」しているらしい。活発に動けることが何より嬉しいようだ。 欠け帽子まりさ(旧口悪つむり)は、すっかり従順になっていた。ちょくちょく、 遊んで遊んでと、私のところに来る辺り、元々は甘えん坊であったようだ。そ れともこれがデレ期というものだろうか? サザエまりさはのんびりとしか動けなかったため、ほとんど餌入れの近くか、 私の寝室でうろうろしていた。これでは遊べないだろうと思い、パズルの他に もクレヨンとスケッチブックを与えたら気に入ったらしく、スケッチブックは すぐに前衛芸術でいっぱいになってしまった。 私は一人暮らしが長かったので、正直、今の生活が楽しかった。 だが、ある日、悲劇は起きてしまった。 「ゆぴー…ゆぴー…ゆぴゅ?」 コップまりさが目を覚ましたとき、そこは真っ暗な空間だった。 お兄さんも、他のまりさたちも眠っているのか、不気味なくらい静かであり、 ただエアコンの微風だけが静かな音を奏でていた。 コップまりさはついつい、エアコンの涼風が直撃する位置にある、小さな棚の 上で眠ってしまったのだ。 「ゆゆぅ…まりさはしーしーしたいよ…」 風に当たる場所で眠ってしまったためか、コップまりさは尿意を催した。しか し、トイレに行くには、この棚から降りなければならない。 お兄さんが、ゆっくりでも降りられるように、棚の横にぶ厚い本で階段を作っ ておいてくれたはずなのだが、真っ暗で何も見えなかった。 「ゆゆ?こわいけど、まりさはゆうきをだすよ!!」 ちょんちょんっと、あんよの先で階段の位置を確かめようとするまりさ。だが、 まだ寝ぼけていたため、バランスを崩してしまった。 「ゆうっ!!?…ゆぎゃっ!!!」 暗がりの中、ゆっくりにしては高いところから落ちたコップまりさは、床と接 吻してしまったのである。 「ゆぎいいいいいっ!!!まりざのわんだほーふぇいずがああああっ!!!」 そして、頭の上にコップがないことに気がついたのは、その数秒後のことであ った。 「いじゃいよおおっ!!!おにいさ…ゆゆ!!?まりさのこっぷさんがないよ っ!!!」 被っていたコップはプラスチック製であるため、割れることはなかったが、家 具の隙間へと転がっていってしまっていたのである。 「こっぷさんでてきてね!!まりさといっしょにゆっくりしようねっ!!」 暗がりの中であったが、コップはすぐに見つかった。 「ゆゆ!!こっぷさんゆっくりしていてね!!いま、まりさがいくよ!」 やっと、当初の目的であるトイレに行ける。コップまりさは安堵の表情で、コ ップへと跳ねていった。 「こっぷさん!まりさのあたまにもどろうね!」 やっとコップの隣まで跳ねてきたまりさは、コップの口の方へ回り込もうとし た。 べちょ 「ゆ?」 そして、何かに張り付く。 「まりさはかれいにじゃんぷするよ!ゆんっ!…ゆゆっ!!?…ゆんっ!!」 しかし、いくら跳ねようとしても、あんよが何かにべっとりと張り付き、動か なかった。そこは家具の隙間に設置する粘着式のネズミ捕りだったのである。 コップは、粘着式ネズミ捕りにくっついたために、この位置で止まっていたの だ。もし、部屋が明るければ、さすがにコップまりさも気付いたであろう。つ まることろ、不運であった。 「ゆぎいいいいっ!!!ゆんっ!!…どぼじでばでぃざのあんよざんうごがな いのおおおおっ!!?」 ゆんゆんと脱出を試みるコップまりさ、しかし、どうやってもあんよは動かな かった。 そのとき、とん、という、何かが落ちたような物音がした。お兄さんの足音だ ろうか? 「ゆ゛ゆ゛!?おにいざん!!?だじゅげで!!!ばでぃざのあんよがうごが ないよぉっ!!!」 だが、返事はなかった。代わりに何か、生温かいものがコップまりさの背中に 触れる。 「ゆ?だれ?おにいさん!!?」 だが、まりさはあんよがくっついているため、振り返って正体を確かめること はできなかった。 「だれ?だれなの?まりさはまりさだよ!ゆっくりしないでたすけてね!」 そのとき、チューッという鳴き声がすぐ後ろから聞こえてきた。ネズミである。 それは、お兄さんの家に住み着いているドブネズミだった。尻尾も合わせれば 60センチはあろうかという大型のネズミであり、家ネズミと総称される、人 家に住みつくネズミの一種である。 今、コップまりさがはまっている罠は、このドブネズミの通るルートにわざわ ざ仕掛けられたものであったのだ。そして、ネズミはこのご馳走を見逃したり しなかった。コップまりさの背中をがぶりと食いちぎる。 「ゆっぎゃあああああああああああああっ!!!だれ!!?だれなの!!? ばでぃざをだべないでねっ!!!ばでぃざはおいじぐないよっ!!!」 ドブネズミはあっという間に、食いちぎったコップまりさの体だったものを咀 嚼すると、少しずつ齧り取るように、粘着式ネズミ捕りからはみ出ている、コ ップまりさの背中を食べていった。 「やべでえええ!!!ばでぃざをだべないでえええっ!!!ゆぎゃあああああ あっ!!!いじゃいっ!!!いじゃいよおおおっ!!!ゆぎぃぃっ!!!」 その日の夜、友達との酒につき合わされ、疲れきっていたお兄さんが目を覚ま すことはなかった。 翌朝、お兄さんが見たのは、後ろ半分がなくなり、苦悶の表情で絶命していた コップまりさの変わり果てた姿だった。 「ああ…ごめん…ごめんよ…私が気がつけば…」 飼い主がしっかり見ていれば、ゆっくりの大半の事故は防げるという。だが、 それはつまり、ゆっくりに付きっ切りでもない限り、どんなに優秀なゆっくり でも死ぬ可能性はあるということでもあった。 八月になった。 あの二匹のつむりもどきにバッジをつけてやった。 サザエまりさは銀バッジの試験に受かることが出来た。しかし、欠け帽子ま りさは、銀バッジを取得できず、いまのところ銅バッジだった。 銀バッジを取れなかったことを、欠け帽子まりさは私に何度も泣いて謝った。 「おにいさん!ごめんなんだぜ!!まりさのせいでおにいさんがゆっくりで きないんだぜ!!!ばかなまりさをゆるしてほしいんだぜぇぇぇっ!!」 私は何も怒っていないし、困ってもいなかった。 私はそもそも熱心なペット愛好家ではない。ただ、まりさたちが野良に間違わ れて殺されることのないよう、バッジを取ろうとしただけである。 この辺りに棲んでいるのは顔見知りばかりだったから、銅バッジでも一向に構 わなかった。 そう説明しても欠け帽子まりさは泣いて謝罪を繰り返していた。 「私は別にSHAZAIしてもらわなくてもいいんですけどねぇ…」 私は、一緒にバッジ取得目指して勉強頑張ろうと欠け帽子まりさを励まし、 その話を終わりにさせた。 その代わりに、欠け帽子ではなく、ちゃんとした帽子を作ってあげた。 いや、正確には作ってあげようとした… 元はといえば、私が実験と称した遊びのために切り落としたものだ。代用の帽 子が売っていない以上、尻拭いぐらいはしてやりたい。 そう思って、小学生と中学生の頃の家庭科の教科書を探し出し、欠け帽子の先 端を私なりに必死に補修(代わりの布を当て、縫い付ける)してみた。 …してみたのだが… 帽子の先端はヘタクソな縫いつけのせいで、指が縫い目から入りそうな上に、 素材が違うせいか、縫い付けた先端部位がへにょりと垂れて、いかにもかっこ 悪い。 「ゆ!!?ゆわあああああいっ!!!まりさのおぼうしさんだぜ!!まりさの おぼうしさんがかえってきたんだぜ!!!ゆ…ゆわあああっ!!まりさのおぼ うしさんゆっくりしていってねええええっ!!!」 それでも、欠け帽子まりさは大喜びしてくれた。正直、見てくれが悪いので、 欠け帽子まりさにはちゃんと謝ろうと思っていたのだが、逆に泣きながら感謝 されてしまった。 今となっては、私はこいつらが可愛くて仕方がなかった。 その日、私は欠け帽子まりさに元気になってもらおうと思い、公園に向かった。 帽子の件では喜んでくれたものの、今でも、銀バッジを取り損ねたことを謝り 続けているのである。私は欠け帽子まりさには、そろそろバッジのことは忘れ て楽しく過ごして欲しかった。 土日の公園には、他の飼いゆっくりたちも飼い主と遊びに来ていることが多い。 外で遊び、友達でも作ってくれれば、欠け帽子まりさも元気になってくれるの ではないか?そう思ったのだ。 「ゆゆゆ~ん♪おにいさんとこうえんでびゅーたのしみなんだぜ!!!まりさ! おにいさんとこうえんでいっぱいゆっくりしたいんだぜ!!!」 「はい、たくさん遊びましょうね。」 私は欠け帽子まりさの跳ねるペースに合わせて、公園に歩いていった。 手にはサザエまりさを抱えている。こいつは、這うことでしか移動できず、欠 損帽子まりさと一緒に行動できないためだ。 「まりさもこうえんさんたのしみなんだじぇ!!!おそとでたからものさんさ がしたいのじぇ!!」 サザエまりさはそう言って大事なたからもの―それはサザエまりさが庭の木の 根本で拾ったタマムシの羽だった―に頬ずりをする。このサザエまりさは収集 癖が強いのか、綺麗な虫の羽だの、珍しい形の木の葉や木の実、部屋の隅に放 置されていたラムネのビー玉などを拾ってきては、 「ゆゆ~ん…これはいいものなのじぇ!」 と一人悦に入っているのだった。 …まあ、なんにせよ、可愛いやつらである。 そうこうしているうちに川の近くの公園についた。 この公園は河原近くの野原に作られたもので、元々の植物相や環境を巧みに取 り入れたものだった。河川から取り入れた水が公園の中に小川や小さな湿地帯 を形成し、今の季節、そこは水生昆虫やトンボの溜まり場になっていた。 私は、周りのゆっくりの飼い主たちに挨拶を済ませ、後はつむりもどきたちの 好きにさせた。飼い主たちと、今年の山菜やキノコの出来具合、川での漁獲な ど、私には無視できない話が始まってしまったからだ。 「ゆゆ!!まりさはみんなにあいさつするんだじぇっ!!」 「まりさもこうえんでびゅーするんだぜっ!!」 欠け帽子まりさは、この新しい帽子、素敵な帽子を被ったまりさがみんなに受 け入れられる瞬間を心待ちにしていた。それは、生まれてすぐ帽子を奪われて 以来、欠け帽子まりさの宿願だったのである。 一方、つむりの道を選んだ、サザエまりさも友達を作って、たからものを見せ 合ったり、交換したりしたいと思っていた。お兄さんの家の中には、もうめぼ しいものはないように思えたからである(めぼしいものはお兄さんが先手を打っ てしまってしまったせいであるが)。 二匹のつむりもどきは、サザエまりさの移動速度に合わせてゆっくりと、まる で井戸端会議のように談笑する、この辺りの飼いゆっくりの輪の前で高らかに 挨拶をした。 「まりさはまりさだぜっ!ゆっくりしていってね!」 「まりさはつむりだじぇっ!ゆっくりしていってほしんだじぇ!」 すかさず、定番の挨拶が返ってくる。 「ゆっくりしていってね!!」 そして、定番の挨拶の後には、和やかだが刺激的な談笑が始まるはずだった。 だが、つむりもどきたちの期待に反して、周囲の反応は冷たいものだった。 「まりさはれいむやおちびちゃんとひーそひーそするよっ!」 「あやややや…これもしょせーじゅつ!おおせちがらい、せちがらい!」 「ゆぅ…おぼうしがゆっくりできないまりさだよ…」 「きっとやすものなんだねぇ~わかるよ~」 「げらげらげらげらげらげらげらっ!!」 「みゃみゃ!あれへんなおぼうちちてるまりちゃがいるよ~!」 「おちびちゃん!みちゃいけないよ!!」 他人の飼いゆっくりであることもあり、表面上は笑顔で取り繕うゆっくりたち、 このあたりが飼いゆっくりの知能なのだろうか? しかし、所詮はゆっくりである。ひーそひーその陰口は、欠け帽子まりさとサ ザエまりさにばっちり聞こえていた。 「まりさもつむりも…おにいさんと…ゆっくりできる……」 言い返そうとした欠け帽子まりさの声は次第に小さくなっていく。 サザエまりさは何も言えず、ただ、貝殻の中に引っ込んで涙をこらえていた。 誰かに認めてもらえない限り、自分の価値を自分で認めるという、適度な自尊 心を持つことは容易ではない。 人間さんに認めてもらうことで、やっと再建されようとしていたつむりもどき たちの自尊心は、他のゆっくりに認めてもらえなかったことで、再び崩壊して しまったのである。 「ゆっくちできないゆっくりはちねっ!!」 「い~んぽっ!」 子れいむと子みょんがバカにした笑いを浮かべながら、サザエつむりに体当た りをしかけてくる。 だが、ダメージを負ったのは、調子に乗った子れいむと子みょんの方だった。 二匹のあんよや頬は、堅いサザエの貝殻によって、ざりっと傷ついた。 「ゆぴゃああああっ!!!れいみゅのめるへんなあんよがああああっ!!!」 「ゆっきいいいいっ!!!みょんのほっぺがいちゃいみょおおおん!!!」 子供達の泣き声を聞きつけ、両親がやって来る。 「ぢょっどおおおおっ!!!れいむのかわいいおちびちゃんになにしてるのお おおっ!!!」 「みょんのたまのようなおちびちゃんにいじわるするやつはせいっさつっする みょん!!ゆっくりしないであやまってみょん!!」 「ゆひいいっ!!!まりさはなんにもしてないんだじぇ!!」 さっと貝殻の中に閉じこもるサザエまりさ。親みょんは軽く体当たりをしてみ たが、サザエまりさが入っているサザエの貝殻もなかなか重いので、ビクとも しなかった。 「ゆゆぅ!!ひきょーみょん!!でてくるみょん!!」 「何やってるの!!他人様のゆっくりに迷惑かけちゃだめでしょうっ!!!」 親れいむとみょんを怒鳴りつけたのは、四匹の飼い主である、おばさんだった。 おばさんはすかさず二匹を持ち上げると、容赦なくそのお尻をぺんぺんする。 「ゆっぎゃああああっ!!!どぼじでれいぶがおごられでるのおおおっ!!」 「あんたらが他人様のゆっくりに暴力ふるってるからでしょ!!まったく世話 の焼けるバカゆっくりだね!!」 「ちがうみょん!!!このゆっくりできないつむりがおちびちゃんをいじめた みょん!!ゆっぎゃああっ!!!」 「ちゃんと見てたよ!あんたらがしっかり躾しないからでしょ!!!親なら責 任持ちなさいよね!!!」 おばさんの百烈張り手によって、二匹のお尻が通常の三倍まで、真っ赤に膨れ 上がったところで二匹は解放された。 「山の方のあんちゃんのところのゆっくりか?ごめんなさいね?痛かったでし ょう?」 「ゆ、ゆっくりだいじょうぶなんだじぇっ!!」 だが、サザエまりさの目は真っ赤だった。子ゆっくりの体当たりが痛かったの ではない、心が痛んだのである。 「すいません!どうかしましたか!?」 お兄さんがゆっくりたちの変な様子に気がついてやってきたのはそのときだっ た。そこに、欠け帽子まりさの姿はなかった。 欠け帽子まりさは公園の後方にあった草むらに飛び込み、泣きながら跳ねてい た。 げすと呼ばれるゆっくりは、悪いことが起きた場合、その責任を他者に転換す ることで悲劇を量産してきた。だが、生まれてすぐに自尊心を砕かれたつむり もどきたちは、ただひたすら自分自身を責めることしかできなかった。 口が悪かったのは、自分は何の価値もないと本当は思っている自分の心を奮い 立たせるための精一杯の虚勢だったのであり、たまに見せたげすのような言動 は、まだ赤ゆっくりであった頃の未熟な精神から生まれたものか、彼らなりに 普通のゆっくりらしく振舞おうとした、不器用な結果であった。 「ゆええええええんっ!!!ごべんなざいっ!!ごべんなざいっ!!」 欠け帽子まりさは何に謝っているかのか良く分からなかったが、とにかくごめ んさないを繰り返しながら、跳ねた。おそらく、自分がここに存在しているこ とそれ自体を様々なものに謝っているのであろう。 生い茂ったヨシの葉が、鋭いススキの葉が、草むらを無我夢中で跳ねる欠け帽 子まりさの頬を切り裂いていく。 「ゆひいいいんっ!!!まりざがっ!!まりざがっ!!ゆっぐりでぎないぜい でっ!!」 薄々、いや何度も感じていたのだが、やはり自分には価値がないのだ!お兄さ んのところにいてもきっと迷惑なだけなのだと。 自分には価値がないからと、いろいろなことから逃げる。 決して珍しいことではないが、それがある種の甘えであることに気がつけるほ ど、欠け帽子まりさは成熟していなかった。そして、生まれてすぐに自尊心を 破壊されたつむりもどきには、それは困難なことだった。 「おにいさんごべんなざいっ!!おにいさんごべんなざいっ!!」 ひょっとしたら、心のどこかで、お兄さんが探しに来てくれて、大丈夫、まり さはゆっくりしているよ、と励ましてくれるのを期待しているのかもしれない。 一種の構ってちゃんの精神状態である。 そして、欠け帽子まりさは公園裏手の草むらを抜け、河原に出た。公園の裏側 は河原になっており、よく釣り人が釣り糸を垂らしたり、自称博士の昆虫少年 が虫取り網を片手に駆け回っていたりする場所であった。 「ゆゆ…とおくにきちゃったんだぜ…」 そろそろ戻るべきだろうか?それともここでお兄さんが迎えに来てくれるまで 心を落ち着かせるべきだろうか? 欠け帽子まりさがそう考え始めたとき、視界の隅に動くものがあった。 「ゆあああん?みなれないまりさなんだぜぇ…」 そこにいたのは、一匹のぶくぶくに太った野良まりさであった。 川にかかった橋のたもとに、粗大ゴミが無造作に捨てられている場所があり、 そこは、最近ここら辺の飼いゆっくりの餌をくすね、庭の植物やゴミ捨て場を 荒らしている野良ゆ一家のアジトだった。 彼らの存在はまだ人間には察知されていないものの、この辺りの飼いゆっくり には知られており、近寄ってはいけない、ということは常識だった。 「ゆ?まりさはまりさだよっ!!」 欠け帽子まりさは、野良まりさの態度になんだか、ゆっくりできないものを感 じながらも、一応挨拶をした。 「まりささまはまちでそだったきんばっじなのぜぇっ!!きんばっじのまりさ さまはどうばっじまりさなんかとはなさないんだぜぇっ!ぶっひゃひゃひゃひ ゃひゃっ!!みじめなぼうしかぶってるのぜぇっ!ゆっくりできないゆっくり なのぜぇっ!」 欠け帽子まりさはカチンと来た。確かに、自分の帽子の形は変だが、ちゃんと お兄さんが直してくれたのだ。こんな汚い野良まりさに笑われるようなもので はなかった。 「ゆゆ!?なにいってるんだぜ!!まりさのぼうしはゆっくりできるんだぜ! !おにいさんがゆっくりな…どぼじでおぼうじざんごわれぢゃっでるんだぜえ ええええええっ!!?」 無残にも、欠け帽子まりさの帽子の先端は、もげて、後方に引きずられていた。 欠け帽子まりさが草むらを強引に跳ねてきたことで、帽子の先端が取れそうに なっていたのである。 「みんなでてくるのぜぇっ!!!ゆっくりできないあわれなゆっくりがいるの ぜぇっ!!」 ゴミ捨て場から出てきたのは、番であろう、頭が半分剃られてしまった、汚い れいむ、そして子れいむと二匹の子まりさであった。 「ゆぎゃぎゃっ!!!ばぎゃみぢゃいなぼうじをがぶっだまりざがいるよっ! おおみじめみじめ!!じねばいいのにっ!!おぢびぢゃんだぢどはおおぢがい だねっ!!」 「ゆぷぷ!へんにゃぼうちなんだじぇっ!!!まりちゃちゃまにょだんでぃな おぼうちとちがいしゅぎるのじぇっ!!!」 「ゆっくちまりしゃしゃまのすまーとなおぼうしみるといいんだじぇ!!!み たらまりしゃしゃまにあまあまもってくるんだじぇっ!!」 「どうちようもにゃいまりちゃはぷりちーきゅーちーれいみゅにあまあまもっ てきてにぇ!!!ちぬのはちょれきゃらでいいよっ!!」 一斉に欠け帽子まりさを罵倒する家族と、欠け帽子まりさの崩れた帽子とを見 比べて、野良まりさは満足そうにうなずいた。 「やっぱりきんばっじのまりささまのかぞくは、そこらへんのかいゆっくりと はひとあじちがうのぜぇっ!!!」 この野良まりさは町で飼われていた頃、飼い主との努力の甲斐あって金バッジ を取得したのだが、その数日後に野良れいむとすっきりしてしまったがために 捨てられたのだった。 所詮はマナーやルールを知識としてしか持っていない、金馬鹿の典型みたいな ゆっくりだったのである。 「こんなどうばっじよりもにんげんさんはきんばっじのまりささまをだいじに するべきなのぜぇっ!!まちがったよのなかはたださなければならないのぜぇ っ!!それはきんばっじであるまりささまのやくわりなのぜぇっ!!」 そういうが早いか、野良まりさはその巨体で、欠け帽子まりさに体当たりをし た。 「ゆっぎゃあああっ!!」 欠け帽子まりさは思いっきり吹っ飛ばされ、全身を河原の石にしたたかに打ち 付けた。 「よわいのぜぇっ!たいしたことないのぜぇっ!ゆっくりできなくてよわいま りさをかうなんてばかなにんげんさんなのぜぇっ!!」 その一言に、欠け帽子まりさが目の色を変えて咆哮した。 「おにいさんのわるぐちをいうなあああっ!!!このぉぶたまりさぁっ!!! おまえのばっじはきんじゃなくて、かわいたいぬのうんうんのいろだっ!!!」 逆上した欠け帽子まりさは近くの小枝を拾い、果敢に野良まりさに立ち向かう。 ぽきっ 「!!?」 だが、小枝では、肥満した野良まりさの皮を貫くことはできなかった。 「だぁれがぶたなのぜぇっ!!?まりささまはどうみてもはくちょうなのぜぇ っ!!!」 野良まりさはその巨体からは信じられないほど高く飛び上がり、欠け帽子まり さを押しつぶした。 「!!?ゆべええええええっ!!?」 欠け帽子まりさは上から勢い良く、野良まりさにのしかかられ、眼球が破裂し もりもりと餡子が口とあにゃるから噴き出す。 「きんばっじまりささまは、ゆっくりできないげすをせいっさいっするという しめいがあるのぜぇっ!!みんなでこのしめいをかんすいするのぜぇっ!!」 野良まりさの呼びかけに、周りで見ているだけだった家族もせいっさいっに参 加する。 「どうばっじのぐずみだいなまりざじねっ!!れいぶはきんばっじのづがいな んだよ!!!えらいんだよっ!!のーぶるなんだよっ!!」 「せいっさいっ♪せいっさいっ♪」 「まりちゃちゃまはむてきなんだじぇっ!!!」 「はやきゅあまあまもってこにゃいとちんじゃうよ!?できにゃいならなんで いきてりゅの?ばきゃなの!?ちぬの!?」 野良まりさに潰された挙句、四匹のゆっくりに次々と踏み潰され、もはや、潰 れた帽子と餡子以外に、そこにまりさがいたことを教えてくれるようなものは 残っていなかった。 「ゆひゃひゃひゃひゃっ!!!ゆっくりできないおぼうしのくずはいきるかち がないのぜ!!」 「まりちゃのいだいさをおもいちったか!!まりちゃはきんばっじのこどもな んだじぇっ!かわいいんだぶっ!!?」 そのとき、野良の子まりさの一匹が勢い良く空を飛び、河原の石に叩きつけら れ四散した。 「おちびちゃん!!?ゆわあああああああ゛っ!!!ばでぃざのようぜいのよ うにがわびびおぢびぢゃんがああああ゛っ!!!」 そこにあったのは、飛び散った餡子だけだった。 私は一匹150円のゆっくりを溺愛するほど博愛精神あふれる人間ではないが、 自分の所有物を汚い野良ゆに潰されて黙っているほど、無気力ではなかった。 「ゆっくりできない帽子?だが、このきっっっちゃない帽子よりはマシなんじ ゃないですかね?」 私は後ろから野良ゆっくりたちに接近し、野良まりさの帽子を取り上げる。 泥とよくわからない汁で汚れ、そこはかとなく、濡れた野良犬みたいな臭い のする帽子だった。いや、この表現は野良犬に失礼か… 「ゆひっ!!!なにするんだぜぇええええっ!!!はやくまりささまのきれ ーけいのぼうしかえすんだぜぇ!!ぼうしをかえして、まりささまのあにゃる にきすすれば、ゆるしてやってもいい、ってがいあがささやいてるんだぜぇ ぇぇ!!!」 「るせぇんだよ!!ごみ饅頭っ!!!」 私は野良まりさの口の中に思いっきり蹴りをぶち込んだ。舌がにゅるりとして 気持ち悪かった。 「ゆぶぅっ!!?」 野良まりさの歯がへし折れ、口内に、傷口からはみ出た餡子と、お兄さんの靴 に付着していた土の味が広がる。 「どこにあんだよ、貴様の自慢の金バッジ!!?ただの捨てられたゲスじゃね ぇか!?それが、うちのまりさをっ…」 私は、野良まりさの帽子にバッジがないことを確認すると、真っ二つに引き裂 いた。 「ぼうぢいいっ!!!ばでぃざのびろーどのようなおぼうぢ…」 「おまえらの餡子は何色だぁぁぁぁっ!!!」 私は二発目の蹴りを野良まりさのぺにぺにだか、まむまむがある辺りにぶち込 む。 「ゆ゛ごばああああああああああっ!!!」 ぐにゃりという何かが潰れた感触と共に、しーしーかなんだかよく分からない ねっとりしたものが野良まりさの下腹部から河原へと広がっていく。 「ばでぃざあああああっ!!!どぼじでごんなごどずるのおおおっ!!?れい ぶだぢはなんにもわるいごどぢでないのにいぃぃっ!!」 「やめるんだじぇ!!まりちゃちゃまのおちょーさんをいじめりゅげちゅはま りちゃちゃまが…ゆゆ~ん!おちょらとんでりゅ…ぶぎぇ」 さらに拾い上げた子まりさを握りつぶし、野良まりさの口内に拳と共に叩き込 んだ。 「ゆ゛ぼげえええっ!!?おびびばん!!?ゆぐぶぶぶ…おびびばんがあああ あっ!!!」 私はそこで、野良れいむの方に向き直った。さっきこいつが不快な発言をした 気がしたからだ。 「やべで!やべでよねっ!!れいぶはきんばっじのづがいなんだよ!!!こう きなんだよ!!!ゆっぐりれいぶのかちをりがい…ゆびいいいいっ!!?」 私は人の頭ぐらいの大きさの石を両手で拾い上げた。 「じゃんくにしてやるよおおおおっ!!!げすののらごときにっ!!貴様らに 価値なんかあるわけねぇだろぉ!!?」 そして、それを野良れいむに頭上から叩きつけた。 「ゆぐぶぅっ!!!」 野良れいむの片方の眼球が飛び出し、餡子が眼孔と口からぶちまけられる。 「まだまだいくぜぇっ!!!はでにしねぇっ!!!しねぇっ!!しねぇぇぇ ぇぇっ!!!」 野良れいむに何度も何度も、石を叩きつける。 「やべ!!…ごぶっ!…れいぶばっ…きんばっぼっ!!…づがい!…!…」 石が叩きつけられる度に、野良れいむはつぶれ、餡子を吐き出し、最後には汚 い皮とリボンらしき千切れた布、そしてぐじゃぐじゃの餡子だけが残った。 「そろーり、そろーり…」 「なに逃げようとしてんだよぉ!このゴキブリ以下のみそっかすがっ!!」 「ゆ!!?」 私は両親を見捨てて逃げようとしていた、可愛い可愛い子れいむをむんずと掴 み、リボンを引きちぎる。 「ゆぎゃあああああ゛っ!!!れいみゅ!きゃわびびれいみゅのまあべらずな おりぼんんんんんんっ!!」 「おんやぁ、ばっちぃリボンだなぁ…だぁが気にすんなよ!どうせもうすぐも っとばっちくなるんだ!貴様の面がなぁっ!!!」 私は子れいむの顔を手頃な大きさの石にごしごしとこすりつけていく。子れい むの顔はみるみる削れていき、眼球が潰れ、皮が削げ落ち、歯が零れ落ち、餡 子が零れ落ちた。 「脆弱ぅっ!!!脆弱ぅっ!!!」 「ゆびびびびっ…ゆぎい…ゆ゛…ゆ゛………」 そして、私は動かなくなった「子れいむ」だったものを川に投げ入れた。 「さて…」 私は一匹、ゴミの山に逃げ込もうとしていた野良まりさの正面にあっという間 (ゆっくりから見ると)回り込んだ。 「まりさはにげるよ!ばかなにんげんさんはおってこないでね!ゆびっ!?」 「おい…」 私は腰にぶら下げている、野草採取用の小刀を取り出した。キラリと光った刃 のきらめきに野良まりさの背筋を冷たいものが走り、股間からおそろしーしー が噴き出す。 「ゆ!ぞ、そうだおにいさん!まりざに!まりさにいいかんがえがあるよ!!」 (こいつまだしゃべれたのか) 私は先程、野良まりさの口の中に子まりさの遺骸をぶち込んだときに、舌を引 き抜いておかなかったことを後悔した。 「あんなへんなおぼうしのまりさじゃなくて、まりさがおにいさんのかいゆっ ぐりになるよ!まりさはきんばっじだったんだよ!!こんないいはなじはない よ!!!」 可能な限り満面の作り笑顔で媚を売る野良まりさ。こいつは本当にこれで赦さ れ、飼ってもらえると思っているんだろうか? 「バカだろお前。」 私はぴっと小刀で野良まりさの目と口の間を軽く薙いだ。 「ゆっびいいいいっ!!!ばでぃざの!ばでぃざのきんばっじのこらーげんだ っぶりのびはだがああああっ!!!」 化粧品会社が聞いたら、株価がずっこけそうなセリフである。 私はまだ怒りは収まっていなかったが、落ち着きは取り戻し始めていた。 「バッジの色がどうした?バッジはただの金属の塊だ。そのバッジにふさわし い飼い主とゆっくりが獲得して、初めてバッジに価値が出るんだ。お前は捨て られたのでしょう?飼い主と一緒じゃない時点で、お前のバッジの価値はゴミ クズ同然だ。」 「ゆぎいいいっ!!!ぢがうよっ!!ばでぃざはきんばっじなんだ…」 私は無意味な発言を許すつもりはなかった。 「そして、バッジ以外に誇れることのない、貴様の価値はゴミクズ以下だ。」 野良まりさの帽子だった布で、小刀についた汚れを拭く。 「ゆっくり理解する必要はないです。お死になさい。藁のようにお死になさ い!」 私は一歩、野良まりさに近づいた。 「ひっぐ…ばでぃざは!だれよりもゆっぐりでき…きんばっ…」 「命日おめでとう!!!はぁぁっぴぃっでぇぇすでぇいぃぃぃまぁりぃさぁ ぁぁっ!!!」 私は野良まりさの眼球に小刀の刃を差し込み、横に薙いだ。ぷちゅりという 小さな破裂音と共に、透明な液体がとろりと流れ落ちる。 「ゆぎっ!!?ゆっがあああああああああああああっ!!!」 野良まりさが痛みのあまり狂ったような叫びをあげる。 「ひゃーはっはっは!!!切れろっ切れろっ切れろぉぉぉっ!!!」 私は勢いに任せて小刀を振り回した。その度に野良まりさの皮が、髪の毛が、 餡子が、えぐれ、飛び散っていく。面倒なので、途中から、力ずくで皮を引 っ張ってはいだ。蹴りをかまし、二度と移動できないよう、あんよもずたず たにしておいた。 「ゆっぎ…ゆ゛…ゆっぐ゛…まり…ゆっぐ…ゆ゛…」 最後に残ったのは、ゆ、ゆ、と呪文を唱え続ける、所々に皮が残った、汚い 餡子の塊だった。その頭には帽子は既になく、髪の毛も砂漠の植物より哀れ なことになっている。 だが、まだ口は動いたし、目も片方残っていた。 「はあ…はあ…そのままここでゆっくり死ね!貴様に価値はありません。そ れを思い知りながらゆっくり死になさい。」 「ゆぐ…まっで…ゆ゛…たじゅ…まっで…」 私は欠け帽子まりさのつぶれてしまった帽子を回収し、河原を立ち去った。 「また助けられなかったな…ダメな飼い主で…ごめんよ…」 明日の天気は朝方から雨だった。 結局、五匹のまりさつむりもどきのうち、生き残ったのは、一匹だった。 それは、結果的に見れば、あくまでつむりであろうとした、普通のまりさだ った。 あれから二年が過ぎ、サザエまりさは永遠にゆっくりした。 ある日、朝起きたら、静かに眠っていた。それは、二度と目の覚めることな い眠りだった。 サザエまりさの墓は、欠け帽子まりさの隣に作ってやった。 「おぎゃーしゃん!!ゆっぐりしてね!!ゆっぐ…ずっとゆっぐり!ゆっぐ りしてね!!」 サザエまりさと、サザエまりさよりも早く永遠にゆっくりした番のありすと の間にできた子まりさが私の腕の中で泣いていた。 私はこの子まりさを大切に育てるつもりだった。 別に金バッジはいらない。でも、山菜や野草の見分け方を教え込もうと思う。 一緒に私の仕事、山菜やきのこを取ることができたら、きっと楽しいと思う のだ。 こいつは私にとって、唯一無二の、何者にも代えがたい価値を持つ思い出の 継承者なのだから。 ― 完 ― 本作を書き上げるにあたって、過去の帽子、つむり関連の作品を読み直しま したが、そのレベルの高さに落ち込む一方でした。ストレートなゆっくり作 品を書いてみようとチャレンジしたのですが、独自性をしっかり出せたかと いうと、最後がよくあるパターンで…いろいろ書いて糧としていきたいです。 少しでも楽しんでいただけたのでしたら、幸いです。 お読みいただきありがとうございました。 過去作という名の暴走の歴史 「ふたば系ゆっくりいじめ 777 南の島のまりさ」「ふたば系ゆっくりいじめ 783 南の島の生命賛歌」「ふたば系ゆっくりいじめ 793 南の島の葬送行進曲」 「ふたば系ゆっくりいじめ 817 南の島の風葬墓」「ふたば系ゆっくりいじめ 827 南の島のスカーレットクロス」「ふたば系ゆっくりいじめ 846 南の島の天の河」 「ふたば系ゆっくりいじめ 866 あまりにも南の島のまりさ」「ふたば系ゆっくりいじめ 890 とてつもなく南の島のまりさ」 「ふたば系ゆっくりいじめ 908 むらさの舟歌」 「ふたば系ゆっくりいじめ 932 まりさときのこ狩り」 「ふたば系ゆっくりいじめ 958 うつほは舞い上がる、空高く」 「ふたば系ゆっくりいじめ 992 北方ゆっくり戦史 二つの群れ」「ふたば系ゆっくりいじめ 1001 北方ゆっくり戦史 ヴェルギナの星の旗の下に」 挿絵 by儚いあき 神奈子さまの一信徒の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る バッジを取ったらそこがスタートなのにゴールと錯覚して増長する 金ゲスあるあるだな。 結局チョロチョロせずにサザエをお飾りにしたまりさが天寿を全うしたか ゆっくりすることが本分だからそれをしっかり認識しないとゆっくりはすぐに死ぬ。 -- 2021-07-29 16 30 46 わかるわー 野良けげすなのねー(ゆうかにゃんbar) -- 2016-05-28 16 54 14 DIO「あの男レイと条太郎のセリフを言ってた気がするな」 ブロリー「レイのセリフを言ってたが、条太郎のセリフは無いだろ」 DIO「お前は、ジョジョを知らないだけだろ!!」 -- 2015-01-01 18 12 36 野良はこの世から消えればいい -- 2014-01-02 18 41 10 お兄さんがちゃんと見てれば死ななかったのにね。 責任転嫁は良くないな -- 2013-08-22 02 46 07 欠けた帽子のまりさめっちゃ可哀相だと思ったよ。あのきったねえバカまりさたちは死ぬべきだね。 -- 2013-07-27 18 43 18 れいむ種はどうしようもないクズなんだねわかるよー -- 2013-01-20 08 47 14 偽つむりは9割9分ニートにされるもんな・・・ -- 2012-10-03 23 27 35 面白かった でもお兄さんの人格というか口調がなんか安定してなかった感じ 公園に出てくるアホ飼いゆの飼い主って大体ヒステリックばばあが多いから ちゃんとゲス行為を叱るおばちゃんが凄く新鮮だった に激しく同意 -- 2012-02-11 05 02 38 いやー、俺も最後のまりさは後のきのこ狩りまりさだと思うぞ? -- 2011-01-06 02 18 18 つむりって、他のゆっくりより能力が低すぎる気がするね。 決まっては無いけど他のSSで見るのはこんな感じだな 純つむり:水耐性あり、鈍重だけど貝殻にあわせてそれなりの力がつく、水草が取れるので生活能力あり 似非つむり:通常種から生まれる、一応本物のつむりではある、水耐性無し、殆どのつむりSSだと甘やかされて、成体になると自力で動けなくなる つむり話は前者よりも後者のがSS数多い程に悲劇話が多いから無能に見えるのかもな -- 2010-12-12 06 46 30 イイハナシダナー;; つむりって、他のゆっくりより能力が低すぎる気がするね。 水辺ならもっと違ってみえるのかなー -- 2010-12-11 19 57 25 まりさも墜ちたものだ 最低辺(ゆっくり)中の最低辺(れいむ まりさ)がこれ以上どう墜ちると? -- 2010-09-22 19 19 37 つむり関係は悲劇が多い気がする この偽つむりもある意味不幸だったけど、普通の飼いゆで居られて良かった ケガですぐ死ぬゆっくりだから、飼いゆですら寿命で死ぬSSは少ないけど この偽つむりたちは幸せだったと思う 最初の二匹は、まあゆっくりだから仕方ないね 本編とは関係無いんだけど 公園に出てくるアホ飼いゆの飼い主って大体ヒステリックばばあが多いから ちゃんとゲス行為を叱るおばちゃんが凄く新鮮だった -- 2010-09-14 23 13 35 ↓絶対違うww -- 2010-09-04 22 36 40 タイトルだけ見て虐待かと思ったけど全然違った…。死んじゃった子たち、特に口悪まりさは可哀相だったけど普通に良い話でゆっくりさせてもらったよ。 最後に残った子まりさって932番のSSに出てくるきのこ狩りまりさだよな? -- 2010-09-03 17 33 07 すごく楽しめました!ありがとうございます! -- 2010-07-02 09 46 32 ゆっくり出来る話だったよ! -- 2010-06-24 02 09 09 面白かった。 -- 2010-06-16 03 05 16 これはいい作品だわ -- 2010-06-03 02 48 10