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※駄文、稚拙な表現注意 ※俺設定注意 ※グロテスクな描写注意 ※あっさり小話第4弾です。 まりさは幸せだった。 金バッジも、あまあまも、おもちゃもふかふかのクッションもこの路地裏にはないけれど。 ダンボールハウスにいる優しいつがいのれいむ。自分とれいむに似た3匹のかわいいおちびちゃん達。 それさえあれば後はなにもいらない。 それがまりさのゆっくり。それがまりさの全てだ。 「ゆーゆー、みんなゆっくりしてってねー・・・」 しとしとと雨が降り続ける路地裏にまりさの幸せそうな声が響いた。 幸せまりさ一家 作、長月 まりさは元々金バッジを持つ飼いゆっくりだった。裕福な広い家をもつ飼い主に飼われ、ゆっくりとしては十分勝ち組と言えるゆん生だっただろう。 しかしまりさはゆっくりできなかった。 「ねぇ、おにいさん、いっしょに・・・」 「ああ、悪いが、今忙しいんでな、後にしてくれ。」 「ゆぅ・・・」 理由は唯ひとつ。飼い主のお兄さんが構ってくれなかったからだ。 お兄さんは朝早くから夜遅くまでお仕事をしており、帰るのはいつもまりさが寝た後。たまの休みの日もパソコンで書類やレポートを作っており、まりさは全く相手にされない。 元々、お兄さんはまりさを部屋のインテリア程度にしか考えていなかったのである。 寂しいからつがいが欲しいといっても「ゆっくりはつがいを作るとゲスになる」とあっさり却下。まりさの孤独を充たしてくれるものは誰もいない。 まりさはゆっくりには広すぎる家でいつも一人ぼっち。 どんなに美味しいあまあまを食べても、どんなに立派なおうちに住んでいてもそれを誰かと共有しなければゆっくりできない。 ゆっくりとはそういうものだ。だからこそゆっくりは群れを作り、つがいや子供を欲しがるのである。 寂しがり屋のまりさには寂しくつらい毎日だった。 そんなゆっくりできない日々を送っていたまりさだったが、庭で行倒れていた野良れいむを介抱したことががまりさのゆん生を変えた。 身なりこそ汚いが誰よりも優しく気立てのいい野良れいむ。 寂しさも手伝ってまりさはれいむを好きになり、れいむのほうも行倒れていた自分を救ってくれたまりさに悪い感情を持つはずもなかった。 しかし2匹は野良ゆっくりと金バッジ。そう簡単に結ばれるはずもない。 ある日、飼い主に野良れいむと会っていたことがばれてしまった。 お兄さんは折角、高い金はたいて買った金ゆっくりが汚らしい野良と仲良くしているのを知り大激怒。野良れいむと今後一切会ってはいけない、でなければ捨てるとまりさに厳重注意した。 まりさは迷った。 まりさとて馬鹿ではない。野良ゆっくりがどれだけ大変なのかは知っているし、苦労して取った金バッジや飼いゆとしての恵まれた暮らしに未練がないと言えば嘘になる。 しかしまりさは優しすぎた。賢く上手く生きていくにはあまりにも。 「いいんだよ、まりさ。れいむはひとりでもいきていけるよ。まりさまでのらでゆっくりできなくならなくていいよ。」 そう言って寂しく笑うれいむの顔を思い出すとどうしても踏ん切りがつかない。 結局まりさはれいむを見捨てることができなかった。 こうして飼いゆっくりとしての全てを失ったまりさ。 しかしまりさは後悔はしていない。もう一人ではないのだから。念願だった家族が出来たのだから。 お兄さんに捨てられた後、まりさはれいむに正式にプロポーズし、れいむもこれを受け入れた。あまり良い場所ではないがマイホームも手に入れ、今では3匹のおちびちゃんに囲まれ幸せ一杯である。 まりさは思う。 例えどれほどたくさんのあまあまを手に入れようと、どんなに立派なおうちに住んでいようとそれを一緒に喜んでくれる誰かがいなければ何の意味もない。不味い残飯や雑草も家族みんなで食べればゆっくりできるし、どんな場所でも家族が一緒ならそこが一番のゆっくりプレイスだ。 だからまりさは幸せ・・・幸せなゆっくりなのだ・・・と。 「まりさはれいむとおちびちゃんがいれば、きんばっじさんもあまあまもいらないよ・・」 そう言ってまりさは子供たちにすーりすりをする。愛する家族にすーりすりするこの時こそがまりさの至福のゆっくりタイムだ。 ボトッ・・・ その時子まりさの顔から巣の中に何かがこぼれ落ちた。 「もーおちびちゃんたら・・・・おめめがとびだしてるよ。」 そう言って飛び出たおちびちゃんの眼窩に目をはめ込むまりさ。 「ふふふー・・・こんなかわいいおちびちゃんがいてまりさはほんとにしあわせーだよー・・・」 そう笑うまりさの頬には、一筋の涙がつたっていた。 本当はわかっていた。 もう愛する家族はこの世にいないことを。 数日前から降り続く雨により、この路地裏にはカビが繁殖し、成す術もなくみんな死んでいったことを。 そしてまりさ自身もすでにカビが発症しており、もう長くないことも。 ただ認めたくなかった。 認めてしまえば世界が壊れてしまいそうで。まりさ自身も壊れてしまいそうで。 「ゆーゆーみんなゆっくりしてってねー・・・」 まりさの一人ぼっちの家族団らんが小雨の降る路地裏にいつまでもいつまでも響き続けていた。 後書き 季節ネタ、梅雨をテーマにした本作。よく考えてみたらカビってゆっくりからしてみたら中世ヨーロッパのペスト並に怖い病気ですよね・・・ 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。 追伸 感想用掲示板ができましたので、そこの長月のスレにご意見、ご感想はそちらでおねがいします。URLも書いておきますので。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品 anko259 ゆっくりちるのの生態(前編) anko268 選ばれしゆっくり anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 anko292 ゆっくり見ていってね anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い anko333 夢と現実のはざまで anko350 あるまりさの一生 anko385 ゆっくりを拾ってきた anko425 ゆっくり Change the World(出題編) anko448 ゆっくり Change the World(出題編2) anko484 ゆっくり Change the World(解答編) anko497 あるゆっくりできない2匹の一生 anko542 てんこがゆっくりするSSさん anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編) anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編) anko932 誰も救われない話 anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚 anko1057 もらうぞ anko1127 めすぶた祭り anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語 anko1500 ある愛でお兄さんの午後 anko1530 どうして・・・ anko1638 とてもかわいそうなでいぶ anko1672 奇跡のドス anko1713 まりさときゃっしゅさん anko1775 ゆっくりしたおちびちゃん anko1836 希少種になる薬
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『『野良れいみゅは飼いゆっくちになりちゃい』』 8KB 愛で いじめ 小ネタ 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ うんしー 多分ネタかぶりかも 「あにょね、おきゃーしゃん・・・。」 「ゆ?なあに、おちびちゃん?」 「れいみゅね、おおきくなったらかいゆっくちになってゆっくちちたいよ。 でもにぇ・・・。」 「ゆ?でも?」 「どうやっちゃらかいゆっくちになれるかわかたにゃいにょ。」 『野良れいみゅは飼いゆっくちになりちゃい』 残暑のきびしい、うだるような夏の昼下がり。 子れいみゅは公園の中の段ボールで親れいむにたずねた。 「れいみゅはどうやったらかいゆっくちになれるにょ? かわいいれいみゅにゆっくちおちえてにぇ。」 段ボールの中は日陰になっているとはいえ、風もほとんど入ってくることはない。 暑いのですりすりをすることもできない。 2匹は適当な距離をとりながらぐったりとしていた。 「おちびちゃん・・・。」 この親れいむ、野良の両親から生まれた生粋の野良ゆっくりである。 どうやったら飼いゆっくりにになれるのか、わかるはずもない。 「れいみゅね、すずちいゆっくちぷれいしゅでゆっくちしちゃいよ。 きのうかいゆっくちのゆうかがあいすさんっていうのをむーちゃむーちゃちていたよ。 ゆうかがむーちゃむーちゃしていたあいすさんをれいみゅもたべちゃいよ! ちゅめたくてゆっくちできるっていっちぇたよ!! あちゅいのはもうやじゃよ!!! ゆーん!ゆーーん!ゆっくちしたいよ!ゆっくちさせちぇー!!!!」 子れいむはしーしーをもらしながらゆんゆんと泣き始めた。 あまりにもうざいその様子は虐待鬼威惨ならすぐに潰したくなるに違いない。 「ゆぅ・・・。おかあさんもどうやったらかいゆっくりになれるのかわからないよ。」 親れいむは子ゆの頃、両親に人間の恐ろしさを教えられてきた。 人間さんに決して近づいてはいけないと両親はいつも言っていた。 自分の餡子の中にもおぼろげに一斉駆除などの恐怖の記憶がうけつがれている。 人間はゆっくりしていないし、またゆっくりもできない生物なのだ。 そう、れいむの餡子が囁いている。 でもおちびちゃんは飼いゆっくりになりたいという。 なんとかしてあげたい。 おちびちゃんをゆっくりさせてあげたい。 ゆっくりしているおちびちゃんをみて自分もゆっくりしたい。 どうしたらいいのだろうか? 親れいむは考える。 「ゆゆ!そうだよ! かいゆっくりににきけばいいんだよ!」 「どういう・・・こちょなの・・・?」 「こうえんさんにやってきたかいゆっくりににどうやったらかいゆっくりになれるのかきけばいいんだよ。 かいゆっくりになるほうっほうっ!をきいてそれをすればいいんだよ! ゆっくりりかいできた?」 「ゆゆっ!ちょれはめいっあんっ!だにぇ! とっちぇもゆっくちできるあいっであっ!さんだにぇ! ゆっくちりきゃいしちゃよ!!」 ~翌日~ おねえさんとゆうかにゃん(胴なしのプラチナバッジ)は日課の朝のお散歩の途中、公園に立ち寄った。 ゆうかにゃんはおうちに専用の温室をおねえさんから与えられていて気の向くまま自由にお花を育てている。 この公園の花壇にはゆうかにゃんの育てていないお花もたくさん植えられている。 この公園の花壇のお花はきれいに手入れがされているのだ。 ゆうかにゃんはこの公園の花壇を見ながら次はどんなお花を育てようか考えたりするのが好きだったりする。 おねえさんはベンチに座るとゆうかにゃんに自由にしていいよといった。 ゆうかにゃんは花壇にぽぷよんぽぷよんと跳ねていく。 おねえさんはそんなゆうかにゃんをみながらゆっくりしていた。 ゆうかにゃんが花壇を眺めてあれこれと考えいると、子れいむが近づいてきて話しかけた。 「ゆっくちしていってね!」 「・・・。」 「れいみゅはれいみゅだよ。」 「・・・。」 「あにょね、あにょね・・・。 れいみゅはね、かいゆっくちになってゆっくちちたいの! どうちたらかいゆっくちになれりゅ? かわいいかわいいれいみゅにゆっくちおちえてね!!」 「・・・。」 ゆうかにゃんは子れいむが話しかけても何の反応もしない。 「どぼぢでむじずるにょぉぉぉぉぉぉぉお゛!!!!」 しーしーをぷしゃぁっ!っと出し、泣きながら子れいむは叫んだ。 心配した親れいむも近づいてきた。 親れいむもゆうかにゃんに話しかける。 「ゆゆっ!むししないでね!むしするのはゆっくりできないよ! おちびちゃんのしつっもんっ!にゆっくりしないでこたえてあげてね!!」 「・・・。」 無言のゆうかにゃん。 「「どぼじでむじずるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお゛お゛お゛!?」」 ゆうかにゃんはプラチナバッジだ。 野良ゆっくりとは話してはいけないと教育されていたし、 もしそうでなくとも花壇を見てゆっくりしているときに叫ぶゆっくりと会話なんてしたくなかった。 遠くからゆうかにゃんの様子をみていたおねえさんが心配してゆうかにゃんのところまで行き、 ゆかにゃんを抱き上げた。 「ゆうかにゃん、大丈夫?」 「うん、ゆうかは平気よ。 うす汚いゆっくりがまとわりついてきてゆっくりできなかっただけなの。 心配してくれてありがとうね、おねーさん。」 そういっておねえさんにゆうかはほほえんだ。 「そう、大丈夫ならよかったわ。」 微笑み返すおねえさん。 「「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお゛」」」 さらに叫ぶれいむ親子。 「ゆん!れいむはね、おちびちゃんをかいゆっくりにしてあげたいんだよ! でもどうやったらかいゆっくりになれるのかわからないんだよ! だからかいゆっくりのゆうかにどうやったらかいゆっくりになれるのかききたかったんだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「れいみゅ、かいゆっくちになってゆっくちちたい! かいゆっくちになりちゃい! りきゃいできりゅ!?」 おねえさんはゆうかにゃんを抱っこしながられいむ親子の方を見た。 れいむ親子はおかざりのりぼんがほつれていた。 体も汚れているし子れいむはしーしーの跡ががびがびになっている。 髪もほこりまみれだった。 おねえさんは抱きかかえているゆうかにゃんの頭をなでながらゆうかにゃんに尋ねた。 「ねえ、ゆうかにゃん? ゆうかにゃんがゆっくりできるのってどういうとき? お花を育てているときかしら?」 「ゆうかはね、お花を育てているときはゆっくりできるよ。 でもね、 一番ゆっくりできるのはね、 おねーさんがゆっくりできているときだよ。 おねーさんがゆっくりできているとゆうかもゆっくりできるよ。 ゆうかはおねーさんにゆっくりして欲しいの。」 「うふふ、そうなの。 ありがとうね、ゆうかにゃん。 私はゆうかにゃんにいつもゆっくりさせてもらっているわよ。 ゆうかにゃんもゆっくりしてね?」 そういっておねえさんはゆうかにゃんにほほをすりすりした。 「うにゃーん。 おねーさん、ゆうかはいいつもとってもゆっくりできているよ。 ありがとうね、おねーさん。」 そんなゆっくりとしたおねーさんとゆうかにゃんの雰囲気なんて全く考えずれいむは大声で叫ぶ。 「おちびちゃんがかいゆっくりになってゆっくりしたいっていってるでしょぉ!? かいゆっくりになるほうっほうっをおしえろっていってるでしょ!? わからないの!?ばかなの!?しぬの!?」 「おねーさん、ゆうかはね、馬鹿は相手にしないほうがいいって思うの。 ・・・ゆうかが黙らせようか?」 「でいぶはばかじゃな゛い゛ぃぃぃぃ!!」 「ゆぉぉぉ!びゃびゃあがれいみゅをかいゆっくちにしてゆっくぢざぜろぉぉぉお゛!!! あばあばよごぇぇぇ!ぜ~どりぇいぃぃぃ!」 「おねーさん、ゆうかはね、ゲスは相手にしないほうがいいって思うの。 ・・・・・でもねおねーさんを侮辱するのはゆるさない・・・・。 ・・・おねーさん、ゆうかがゲスを制裁していいかしら?」 「れいみゅはげすじゃなぃぃぃぃぃ!!!」 おねえさんはため息をつくと喋った。 「ゆうか、怒るのはゆっくりしていないわ。 私は別に何も気にしていないのよ? そろそろ帰って朝食にしようか? きょうはトーストにゆうかにゃんのすきなハチミツをかえてあげるね。 ・・・そうね、れいむさん達にひとつアドバイスをあげる。 飼いゆっくりになるにはね他人をゆっくりさせてあげることができないとだめなのよ。 それじゃあね、れいむ親子さん。 (とはいっても野良ゆっくりっていう時点で飼いゆっくりになれるわけないのよね。 せいぜい虐待鬼威惨に捕獲されるくらいかしら?)」 そういうとおねえさんは公園の出口にむかって歩いて行った。 「ゆぷぷっ! そんなのかんったんっ!だにぇ! れいみゅはかわいいからみているだけでかいぬしさんはゆっくちできりゅよ! れいみゅ、きゃわいくっちぇごめんにぇ~!」 「な~んだれいむたちのゆっくりしているとこををみればゆっくりしていないにんげんはゆっくりできるにきまっているよ! なにもとくっべつっ!なことなんしなくてよかったんだね! おちびちゃん、れいむたちはかいゆっくちになってにんげんにゆっくりさせてもらえるうんっめいっ!だったんだね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 数日後、 公園のゆっくり専用のごみ箱に 髪を抜かれ、 両ぴこぴこをちぎられ、 目玉をあまぎられ、 全ての歯を抜かれ、 全身が穴だらけので焦げ目のついているゆっくりと子ゆっくりが捨てられていた。 死に顔は苦悶に満ち満ちていた。 あのれいむ親子かどうかわわからない。 おしまい 挿絵:車田あき
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『れいむは話を聞かない』 5KB 小ネタ 自業自得 日常模様 野良ゆ 現代 作、長月 感謝のSS書き第2弾 ※俺設定注意 ※作、長月です れいむは話を聞かない それは夕方のこと。 道を歩いていたら一匹の野良れいむが俺の前にやってきた。 「おねがいしますぅうううう!!!!おちびちゃんをにんげんさんのかいゆっくりにしてくださぃいいいい!!!」 必死に土下座するように顔をこすり付けて頼み込むれいむ。その目からは滝のごとく涙が流れている。 おちびちゃんというのはおそらく数メートル後ろの電柱のそばにいる子ゆっくりのれいむとまりさのことだろう。 2匹ともぐったりした様子で肩を寄せ合うようにして電柱の影で寒さに震えている。 「あ・・・」 俺はあることに気づいた。 「なぁれいむ、ひとついいか?」 「おねがいしますぅうううう!!!!!このこたちはれいむのきぼうなんですぅううううう!!!」 駄目だこいつ。全く人の話聞いてねぇ・・・ 「れいぶはのらのまりさとすっきりしておうちをおいだされちゃったんです!!れいむなんどもあやまったんだけど、おにいさんゆるしてくれなくてぇえええ!!!」 しかも自分の身の上話始めやがった。誰も聞いちゃいないのに。 なんとか同情を引きたいのは分かるが野良ゆっくりとすっきりして捨てられたって悪いのはお前だろうが。 そんな主人との約束も守れないようなアホゆの子供、飼ってもらえると本気で思っているのかこいつは。 「アーホーアーホー」 空を飛ぶカラスもそんなれいむを小馬鹿にするように鳴いている。俺も全く同意見だ。 「いや、だからなれいむ・・・」 「いまはふゆさんだかられいむたちぜんぜんゆっくりできないんですぅう!!!おうちをつくってもにんげんさんにこわされちゃうし、かりにいったまりさもかえってこなくてぇええ!!れいむはひっしでおちびちゃんのためになれないかりを・・・」 俺の話など完全無視。野良のしんぐるまざーとして子供を育てる苦労を長々と話し始めた。死ぬ程どうでもいいのだが。 正直うざい。そしてうるさい。 ここまでうざくてうるさいと加工所に通報されないか心配になるレベルだ。 「なぁれいむ。そのおちびちゃんのことなんだがな。」 「えっ!!かってもらえるんですか!!!ありがとうございますぅううう!!!」 どういうわけか俺が子れいむ達を飼うと思いこむれいむ。誰もそんなこと言ってないのに恐ろしく自分に都合のいい餡子脳だなこいつ。 一銭にもならない100万ドルの笑顔をこちらに向けるれいむ。そんな顔されても俺の住んでるアパートはペット禁止なんだが。 「おちびちゃんはとってもいいこでこのまえもよつばのくろーばーさんをれいむにさがしてきて『みゃみゃがしあわしぇになりますように』っていってくれたり・・・」 今度は自分と子供達との思い出話を語り始めた。やたらご満悦な顔でそんな話されても反応に困るしなんかむかつく。 そもそもなんで俺が飼う事決定みたいな雰囲気になってんだ? 「悪いけど俺のアパートではゆっくりは飼えないよ。」 「ゆ!!?」 正直にその旨を伝える俺。なぜかれいむが俺に裏切られたような顔をしてるが飼えない物は飼えない。 「そうじゃなくて俺が言いたいのは・・」 「・・・どぼじでぇ!!!どぼじでにんげんさんはみんなそうなのぉおおおお!!!」 笑ったかと思ったら今度は怒り出した。こいつめちゃくちゃ情緒不安定だな。 というか俺、野良ゆ相手になにやってんだろう・・・無視して素通りすれば良かった。 「にんげんさんはいつもそうだよ!!みがってなりゆうでれいむをすてて!!!のらになったらおうちをこわしてゆっくりできなくしてぇええええ!!そのうえかってくれるなんてうそつくのぉおおお!!どうしてそんなにゆっくりしてないの!!どうしてのんなにじぶんのことしかかんがえないの!!!てめえのちはなにいろなのぉおおおお!!!」 そんな俺の思いなど知らずまるでパンクロッカーのように咆え続けるれいむ。そんなこと唯の大学生に過ぎない俺に言われてもどうしようもないんだが。 それにしても人の話も聞かず自分の要求押し付けて、断られたら逆切れって・・・こいつ本当に救いようがないな。 大体身勝手な理由で捨てるってお前の場合勝手に野良とすっきりしたんだから100%自業自得だろうが。 後、飼ってやるなんて一言も言ってない。勝手に自分の妄想を既成事実にするなよ、まったく。 まぁ、いい。さっさと用件だけ言ってとっとと帰ろう。 「あのな、れいむ。実はな・・・」 「なんなのぉおおおお!!!いいたいことがあるならはっきりいったら!!!」 「いや、だからな・・・さっきからお前のおちびちゃんカラスに襲われてるぞ。助けなくていいのか?」 「・・・ゆ・・・・?」 振り返るれいむ。そこにいたのは 「ゆんやぁあああああああ!!!れいむのおちびちゃんがぁあああああ!!!」 カラスについばまれ最早原型をとどめていない子供達の姿だった。 「どぼじでぇえええええ!!!どぼじでなのぉおおおおお!!!!」 ピクピクと痙攣する我が子を前に絶叫するれいむ。 「ゆ・・・ゆ・・・」 子ゆっくり達はすでに中枢餡が露出するほどついばまれている。どう見ても手遅れだ。 「どうしても何も・・・お前がベラベラとどうでもいい話してる間にカラスが来たんだよ。」 「どぼじでおじえでくでなかったのぉおおお!!!」 「教えようとするたびにお前がワァワァ喚いてたんだろが。お前のおちびちゃん達、残り少ない体力ふりしぼって『たすけて・・おきゃーしゃんたすけて・・』ってお前に助けを求めていたのにお前全然気づいてないし。」 「ぞんなぁあ・・・・ごべんねぇえええおちびちゃん!!ごべんねぇえええええ!!!」 さっきの3割増しの大声で泣き喚くれいむ。あれだけ喚いてよく声が枯れないものだと不思議に思う。 それにしても教えてやるべきなのだろうか。あの電柱に隠れている奴のことを。 「ごべんねぇえええええ!!!!たずげであげられなぐでごべんねぇえええええ!!!」 まぁ教えても無駄だろう。どうせこいつ話を聞かないだろうし。 寒いことだしもうと帰るとするか。 「ヒャッハァアアアア!!!れいむは虐待だぁアアアア!!!!!」 「ゆんやぁあああああ!!!!ゆっくりできなぁあいいいいい!!!!」 背後からモヒカンお兄さんの雄叫びとれいむのこの上なくゆっくりできない叫びが聞こえた。 後書き 感謝のSS書き第2弾。話聞かないで自爆する奴って人間でもいますよね・・・ ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。
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※駄文、稚拙な表現注意 ※俺設定注意 ※グロテスクな描写注意 ※あっさり小話第4弾です。 まりさは幸せだった。 金バッジも、あまあまも、おもちゃもふかふかのクッションもこの路地裏にはないけれど。 ダンボールハウスにいる優しいつがいのれいむ。自分とれいむに似た3匹のかわいいおちびちゃん達。 それさえあれば後はなにもいらない。 それがまりさのゆっくり。それがまりさの全てだ。 「ゆーゆー、みんなゆっくりしてってねー・・・」 しとしとと雨が降り続ける路地裏にまりさの幸せそうな声が響いた。 幸せまりさ一家 作、長月 まりさは元々金バッジを持つ飼いゆっくりだった。裕福な広い家をもつ飼い主に飼われ、ゆっくりとしては十分勝ち組と言えるゆん生だっただろう。 しかしまりさはゆっくりできなかった。 「ねぇ、おにいさん、いっしょに・・・」 「ああ、悪いが、今忙しいんでな、後にしてくれ。」 「ゆぅ・・・」 理由は唯ひとつ。飼い主のお兄さんが構ってくれなかったからだ。 お兄さんは朝早くから夜遅くまでお仕事をしており、帰るのはいつもまりさが寝た後。たまの休みの日もパソコンで書類やレポートを作っており、まりさは全く相手にされない。 元々、お兄さんはまりさを部屋のインテリア程度にしか考えていなかったのである。 寂しいからつがいが欲しいといっても「ゆっくりはつがいを作るとゲスになる」とあっさり却下。まりさの孤独を充たしてくれるものは誰もいない。 まりさはゆっくりには広すぎる家でいつも一人ぼっち。 どんなに美味しいあまあまを食べても、どんなに立派なおうちに住んでいてもそれを誰かと共有しなければゆっくりできない。 ゆっくりとはそういうものだ。だからこそゆっくりは群れを作り、つがいや子供を欲しがるのである。 寂しがり屋のまりさには寂しくつらい毎日だった。 そんなゆっくりできない日々を送っていたまりさだったが、庭で行倒れていた野良れいむを介抱したことががまりさのゆん生を変えた。 身なりこそ汚いが誰よりも優しく気立てのいい野良れいむ。 寂しさも手伝ってまりさはれいむを好きになり、れいむのほうも行倒れていた自分を救ってくれたまりさに悪い感情を持つはずもなかった。 しかし2匹は野良ゆっくりと金バッジ。そう簡単に結ばれるはずもない。 ある日、飼い主に野良れいむと会っていたことがばれてしまった。 お兄さんは折角、高い金はたいて買った金ゆっくりが汚らしい野良と仲良くしているのを知り大激怒。野良れいむと今後一切会ってはいけない、でなければ捨てるとまりさに厳重注意した。 まりさは迷った。 まりさとて馬鹿ではない。野良ゆっくりがどれだけ大変なのかは知っているし、苦労して取った金バッジや飼いゆとしての恵まれた暮らしに未練がないと言えば嘘になる。 しかしまりさは優しすぎた。賢く上手く生きていくにはあまりにも。 「いいんだよ、まりさ。れいむはひとりでもいきていけるよ。まりさまでのらでゆっくりできなくならなくていいよ。」 そう言って寂しく笑うれいむの顔を思い出すとどうしても踏ん切りがつかない。 結局まりさはれいむを見捨てることができなかった。 こうして飼いゆっくりとしての全てを失ったまりさ。 しかしまりさは後悔はしていない。もう一人ではないのだから。念願だった家族が出来たのだから。 お兄さんに捨てられた後、まりさはれいむに正式にプロポーズし、れいむもこれを受け入れた。あまり良い場所ではないがマイホームも手に入れ、今では3匹のおちびちゃんに囲まれ幸せ一杯である。 まりさは思う。 例えどれほどたくさんのあまあまを手に入れようと、どんなに立派なおうちに住んでいようとそれを一緒に喜んでくれる誰かがいなければ何の意味もない。不味い残飯や雑草も家族みんなで食べればゆっくりできるし、どんな場所でも家族が一緒ならそこが一番のゆっくりプレイスだ。 だからまりさは幸せ・・・幸せなゆっくりなのだ・・・と。 「まりさはれいむとおちびちゃんがいれば、きんばっじさんもあまあまもいらないよ・・」 そう言ってまりさは子供たちにすーりすりをする。愛する家族にすーりすりするこの時こそがまりさの至福のゆっくりタイムだ。 ボトッ・・・ その時子まりさの顔から巣の中に何かがこぼれ落ちた。 「もーおちびちゃんたら・・・・おめめがとびだしてるよ。」 そう言って飛び出たおちびちゃんの眼窩に目をはめ込むまりさ。 「ふふふー・・・こんなかわいいおちびちゃんがいてまりさはほんとにしあわせーだよー・・・」 そう笑うまりさの頬には、一筋の涙がつたっていた。 本当はわかっていた。 もう愛する家族はこの世にいないことを。 数日前から降り続く雨により、この路地裏にはカビが繁殖し、成す術もなくみんな死んでいったことを。 そしてまりさ自身もすでにカビが発症しており、もう長くないことも。 ただ認めたくなかった。 認めてしまえば世界が壊れてしまいそうで。まりさ自身も壊れてしまいそうで。 「ゆーゆーみんなゆっくりしてってねー・・・」 まりさの一人ぼっちの家族団らんが小雨の降る路地裏にいつまでもいつまでも響き続けていた。 後書き 季節ネタ、梅雨をテーマにした本作。よく考えてみたらカビってゆっくりからしてみたら中世ヨーロッパのペスト並に怖い病気ですよね・・・ 面白かった、ゆっくりできた、と言う方は下のゆっくりできたよ!!ボタンを押していただければ幸いです。 追伸 感想用掲示板ができましたので、そこの長月のスレにご意見、ご感想はそちらでおねがいします。URLも書いておきますので。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 今まで書いた作品 anko259 ゆっくりちるのの生態(前編) anko268 選ばれしゆっくり anko279 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 anko292 ゆっくり見ていってね anko304 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 anko313 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い anko333 夢と現実のはざまで anko350 あるまりさの一生 anko385 ゆっくりを拾ってきた anko425 ゆっくり Change the World(出題編) anko448 ゆっくり Change the World(出題編2) anko484 ゆっくり Change the World(解答編) anko497 あるゆっくりできない2匹の一生 anko542 てんこがゆっくりするSSさん anko558 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ anko577「餡子ンペ09」ゆっくりを愛でてみた anko613「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ anko633「餡子ンペ09」としあき博士のれいぱーありす矯正計画 anko735「餡子ンペ09」あるてんこの一生 メスブタの群れ anko764「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(前編) anko791「餡子ンペ09」あるさなえの一生 ゆっくりは皆それぞれ(後編) anko932 誰も救われない話 anko1022 あるババ・・お姉さんの結婚 anko1057 もらうぞ anko1127 めすぶた祭り anko1224 あるちるのの一生 ずっと続いていく物語 anko1500 ある愛でお兄さんの午後 anko1530 どうして・・・ anko1638 とてもかわいそうなでいぶ anko1672 奇跡のドス anko1713 まりさときゃっしゅさん anko1775 ゆっくりしたおちびちゃん anko1836 希少種になる薬
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「ふたば系ゆっくりいじめ 475 野良ゆっくりの一家の訪問を受けた/コメントログ」 「ふたば系ゆっくりいじめ 202 そして家族の崩壊」のシリーズ 最初の家族:父まりさ、養子キモまりさ(父まりさをおかーしゃんと呼ぶ)、末妹れいむ(親権は離婚れいむに有り。よく父まりさの所に遊びに来るという設定だったのでそのまま居着いたのだろう) 2つ目:離婚した母れいむ、{姉れいむ、妹まりさ}(この姉妹の行動が離婚の一因でもある。おにいさんに姉妹と一緒に離婚したれいむが住むことに目を瞑って貰っている模様) 3つ目:今回登場した母れいむ、生き残った子れいむと子まりさ。子れいむの方は逃げた父親のゲス因子がたぶん多め 4つ目:今回登場した父まりさ、母ありす、そして子まりさと子ありす -- 2010-01-26 01 23 14 このシリーズ好きだわ~、現代にゆっくりがいたらまさにこれって感じがするわ~ -- 2010-07-23 14 51 43 文句言いつつも何だかんだで助けてるんだなぁ…このお兄さん好きだ。 そして、さなえゲットしたおねえさん、ラッキーすぎるw -- 2010-10-11 22 41 25 何と言う優しい人だ…でもまあゆっくりさなえは欲しいな -- 2010-10-24 03 38 44 女性の作者は父まりさ:ゲス、母れいむ:母性(笑)の設定を好むよね -- 2010-11-12 00 38 11 最初の家族の子れいむ…すっげえゲスだな… てっきりあいつは死ぬかと思ったんだが生きのこりやがった…。…軽々しくゆっくりを潰さないのがこのお兄さんのいいところだし、まあ仕方あるまい。 -- 2011-01-17 00 32 20 ゲス人間てそんなゲス? -- 2016-01-15 10 58 38 何がゲス人間なんだゲス? -- 2016-02-28 07 26 15 やっぱりこのお兄さんゆっくりに詳しいよな~。職業何やってるんだろう?何でこんなに詳しいのかね~? ・不味くて高いエサ→濃い味に慣れさせず、健康を考えたエサ ・キモまりさの件→元野良ゆっくりが見ず知らずの孤児を殺す可能性があるから ・今回の他一家訪問時の対応→野良の現状を正しく理解させ、生存率を上げた ・お姉さんの野良さなえ→素人目には分からない病原菌の危惧(ゴキブリを食べる野良を素手で触って平気だとでも?) -- 2018-01-03 16 30 24 ↓×2、↓×3 野良れいむ一家から金銭を強奪するのは、少なくとも善良的な人間ではないよな? ※説明文のヤフ○クは、さなえの価値に気付かないことか? -- 2018-01-03 16 36 32
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『野良夫婦と金バッジ夫婦』 28KB 思いついたネタをそのまま叩きつけただけの代物です 野良夫婦と金バッジ夫婦 夕方、仕事から帰ってくると玄関前にボロボロのゆっくりの夫婦(まりさ・れいむ)が座り込んでいた こちらを見るやいきなり2匹は地面にガンガン顔を打ち付けて 『にんげんさんのゆっくりぷれいすにはいったのはあやまりまず!でぼれいぶがにんっしんしててもううごけないんでず!』 『おちびちゃんがうまれるまででいいのでここにおいてくだざい!』 「あぁれいむ。君はお腹に子供がいるんだからそんなことしちゃダメだって。生まれるまでなんて言わず自由に動けるようになるまで置いてあげるよ」 『あじがどうございまず!あじがどうございまず!』 『にんげんさんありがとう!』 庭に置いてやろうかと思ったけど家に入れてやろうかな 「どうせなら家の中に入りなよ。お腹の子供もきっとゆっくり出来るよ」 『おうちのなかにはいっていいの!?』 『やったよまりさ!おちびちゃんもあんっしんしてうまれることができるよ!』 2匹とも思わぬ幸運が舞い込んだ事で大はしゃぎだ。最も僕の方はちょっとした思惑があるんだけどね 「2匹ともちょっと待っててね。。まりさ!れいむ!出ておいで!今日から一緒に住む子達を紹介するよ!」 『どうしたのおにいさん?』 『そのれいむとまりさがいっしょにすむゆっくりなんだね!』 この2匹は僕が飼っている金バッジのれいむとまりさだ。赤ゆから育てた僕の自慢なんだけどどうにも面白みに欠けるんだよね 優等生すぎると言うか何というか。そこで生粋の野良と接触させればどんな変化が起こるか見てみようってわけだ 『そっちのれいむはおなかにおちびちゃんがいるの?』 『そうだよ!はじめてだからちゃんとできるかしんぱいだよ…』 『だいじょうぶなのぜ!まりさがついてるのぜ!』 『いいなぁ…れいむもおちびちゃんがほしいよ…』 ちなみに僕のれいむはこんな事を言っているが別に禁止した覚えはない 勝手にすっきりしてはいけない=おちびちゃんを作ってはいけないという認識になってるようだ 胎生妊娠での出産なら何時でも許可するのになぁ 普段滅多に話すことのない野良ゆ相手にうちのれいむとまりさは興味津々でいろんな話を聞いている れみりゃをやっつけただの 犬と戦って勝っただの 半分ホラ話だろうとは思うが野良の生活が危険で一杯という事を勉強できるから良いかな しかし…何かうちのれいむと野良まりさの様子が変だな…?気のせいか? チラチラと見つめ合ってる。そんな感じだけど… とりあえず野良夫婦を風呂で洗ってやり食事を振舞ってやった うちのゆっくりは舌が肥えないようにゆっくりフードそれなり味を食べさせている しかし野良夫婦はそれなり味ですらご馳走になるのか一心不乱に食べている 『おにいさん、すっごくおいしかったよ!ありがとう!』 『ありがとうなのぜ!おかげでおなかいっぱいなのぜ!』 「うんうん。喜んでくれて何よりだ。それじゃそろそろ寝ようか。もう時間も遅いしね。みんな御休み」 野良まりさは金れいむの虜になっていた 美しい黒髪 皺一つない綺麗なおかざり シミ一つない美しい肌 美ゆっくりの名に恥じない美しさだ それに比べて自分の番はどうだ? お飾りは所々解れていて汚い 肌はススや油が付着し薄汚れている なぜ自分はこんな薄汚いゆっくりを番に選んだ? 考え始めるだけでもう気分が悪くなる。何とかあのれいむにの気を引くことはできないか? 金れいむは野良まりさが気になって仕方がない 体からあふれる野性味 体の傷は勇敢なゆっくりであるという証明 程よく引き締まった体からは逞しさを感じさせる それに比べて自分の番のまりさはどうだ? 気弱でいつも飼い主の言いなり 見た目は美しいがあんな逞しさを感じさせない体でどうやって自分を守る気なのか? そもそもまりさと番になったのは自分達がショップでセット売りされていただけと言う理由で飼い主に結婚させられただけだ 出来ることならあのまりさの番になりたい。しかしあのまりさには既に身重の妻が居る せめておちびちゃんを産むことさえできればあのまりさと一緒に居ても苦にはならないのだが… 深夜。電気は消え闇が部屋を包み込んでいる。そんな中、金れいむが金まりさの元へと這いよっていった 『まりさ…まりさ…』 『ゆっ…?なにれいむ?どうしたの?』 『まりさ、れいむたちもおちびちゃんつくろうよ』 『なにいってるの!?かってにすっきりしちゃだめってばっじのしけんさんのときにべんきょうしたでしょ!』 『でもれいむもおちびちゃんほしいよ!』 『だめだよ!おちびちゃんはがまんしようね!』 れいむは諦めきれないといった表情でまりさを見つめている。そしてとうとう… 『それじゃおしえてね!まりさはれいむとおにいさんのどっちがだいじなの!!』 まりさは困惑した。番であるれいむは大事だ。しかし飼い主であるお兄さんはそれ以上に大事だ。まりさは… 『おにいさんだよ!おにいさんがいなきゃまりさたちはおそとでくらすことになっちゃうんだよ!?』 『まいにちたべてるごはんだっておにいさんがおしごとをしてかってきてくれてるんだよ!』 まりさの答えはどこまでも正論だ。しかし正論だけが正しいとは限らない。れいむはまりさの答えに激昂した 『もういいよ!まりさなんてしらないよ!!』 れいむはそう言うと自分の寝床へ戻っていってしまった それを野良まりさが見ていた… まりさの返答に怒りが収まらないれいむ。タイミングを見て野良まりさがれいむに声をかけた 『ならまりさがれいむのおねがいをかなえてあげるのぜ』 『ま、まりさ!?』 『れいむ、まりさとすっきりするのぜ!そうすればおちびができるのぜ!』 金れいむにしてみれば千載一遇のチャンスだった。しかし金まりさの言うとおり飼い主の逆鱗に触れればこの家を追い出されるだろう 今まで飼いゆっくりの生活を送ってきたれいむには野良の生活はあまりにも過酷すぎる 『でもおにいさんがなんていうか…かってにすっきりしたらおうちからおいだされちゃうよ…』 『だいじょうぶなのぜ!おにいさんだってかわいいおちびをみたらきっとゆるしてくれるのぜ!』 それは死亡フラグでしかない。もっとも飼い主のお兄さんはすっきり禁止など一言も言ってないので大丈夫だったりするのだが れいむは考え込んだあと… 『わかったよ!れいむはまりさとすっきりするよ!でもれいむははじめてだからやさしくしてね?』 『わかってるのぜ!それじゃさっそく…』 『『すっきりーーー!!』』 翌朝。金まりさと野良れいむは信じられない光景を目の当たりにした 金れいむの額に実ゆっくりが実っている。れいむの隣では野良まりさがニヤニヤと笑っている そんな状況の中お兄さんが朝ごはんの支度が出来たと彼らを呼びに来た 「皆おはよう!朝ごはんが出来たよ!みんなはやく……れいむ?ソレは何?」 『ゆゆっ?おちびちゃんだよ!このまりさとすっきりしたんだよ!』 『そうなのぜ!きょうからまりさがれいむのだーりんなのぜ!』 『までぃざあああああああああああああ!なんで!?どぼぢで!?でいぶはどうなるのおおおお!?』 『れいぶぅうううう!どういうことなの!?すっきりはあれほどだめっていったでしょ!!』 『れいむとはりこんするのぜ!かわりにこっちのきれいなれいむとけっこんするのぜ!』 『そんなのゆるせるわけないでしょおおおお!れいむはまりさのおくさんだよおおおお!!』 「あー…皆落ち着いて。れいむ(金)、君はそれでいいの?」 『いいよ!もうあのまりさにはうんざりだよ!』 「そっちのれいむ(野良)は良いの?」 『いいわけないでしょおおおおおお!までぃざはでいぶのだんなさまなんだよおおおおおおおおお!!』 「こう言ってるけどどうするのまりさ(野良)?」 『そんなきちゃないれいむなんてぽいなのぜ!こっちのれいむのほうがいちおくちょうまんばいかわいくてきれいなのぜ!』 うちのまりさはどうするんだろうなぁ。聞いてみるか 「まりさ(金)君の意見を聞きたいんだけどいいかな?」 『まりさはもうどうでもいいよ。れいむのすきにすればいいよ……』 「わかった。とりあえず皆ご飯を食べよう。その後でゆっくり話し合えばいいさ」 結局両者ともに意見を変えることはなかったのでとりあえずの処置としてそれぞれ別の部屋に住まわせることにした あのまま一緒の部屋においといたら絶対殺し合いになってるだろうしそれは僕の望むところではない 一時的な措置として金まりさは野良れいむと同じ部屋に入れておいた。あの状態なら手荒な真似はしないだろうと判断した上での事だ 金まりさ&野良れいむの部屋- れいむはずっと部屋の隅で泣いている。まりさに裏切られ一気に絶望へを叩き落とされた為暫くは立ち直れそうにない 金まりさからは表情が消えただ天井をボーっと見つめている。非常に危険な兆候だ 部屋を移されて3時間がたった頃れいむが急に苦しみ出した。どうやら陣痛が始まったようだ 『ゆぎぎぎぎぎ!うばでるぅううううう!!』 あまりの大声にまりさも正気に戻った 『れいむ!?どうしたの!だいじょうぶ!?』 『あがじゃんがうまでるぅううううう!』 『ゆわぁ!た、たいへんだ!ど、どうしよう…おにいさんはおしごとにいってるし……そうだ!きょうかしょさんにのってたやりかたで…!』 『ゆぎぃいいいいい!!!いだいぃいいいいいいいい!!』 激しい陣痛がれいむを襲う。金まりさがれいむに指示を出し始めた 『れいむ!まりさにつづいてね!「ゆっゆっふ~ゆっゆっふ~」このこきゅうをつづけてね!あかちゃんをうむときのだいじなこきゅうだよ!』 『わがっだよぉ!ゆ゛っゆ゛っう゛~~!ゆ゛っゆ゛っう゛~~!』 『そのちょうしだよ!ゆっくりつづけてね!』 こころなしかれいむの呼吸が落ち着いてきた。ゆマーズ法が功を奏したようだ 『ゆっ?れいむ!おちびちゃんのあんよがみえたよ!もうちょっとがんばってね!』 まむまむから赤ゆのあんよが出ている。人間なら逆子といってかなり危険な状態だがゆっくりならば何の問題もない 『あがじゃん!うっぐりうばれでねぇええええええええ!』 『もうちょっと!もうちょっとだよ!』 『んぎぃいいいいいいいいいい!』 『まりさのおぼうしでうけとめてあげるからはやくでてきてね!』 勢いよくまむまむから飛び出しついに一匹目が産声を上げる 『ゆっくちしちぇいっちぇね!』 『れいむ!れいむによくにたおちびちゃんだよ!』 『よがった…ゆぎぃ!?まだうばれるぅううううう!!』 『おきゃーしゃんがんばっちぇ!』 『ゆぎぃいいいいいいいいいい!』 2匹目も無事誕生した。元気なれいむだ 『れいむ!だいじょうぶ?』 『だ、だいじょうぶだよ…ゆぎっ!?まだうばれるのぉおおおおお!?』 どうやら3匹妊娠していたようだ 初産で3匹は体力が持つか心配だがお兄さんに振舞われたゆっくりフードの御陰で栄養状態は多少ではあるものの改善されていた為無事に産めるだろう 『おちびちゃんのあんよがみえるよ!がんばって!がんばってねれいむ!』 『おきゃーしゃんがんばっちぇ!』 『れいみゅのいもうとははやくうまれちぇね!おきゃーしゃんがいちゃいいちゃいだよ!』 『ゆぎぃいいい!がんばるよぉ!れいむはおかあさんだからねぇ!んぎぎぎぎぎぎぎ!』 3匹目も産まれた…が 『ゆっくちしていっちぇくださいね!』 産まれたのは取り替え子のさなえだった 『すごいよ!さなえがうまれたよ!』 『ゆっ?ほんとうだ!これがかみさまのいたずらってやつだね!』 計3匹の子宝に恵まれたれいむ。我が子の誕生にれいむは笑顔を取り戻した 『おきゃーしゃん。おとうしゃんはどこにいりゅの?』 そう言われて一瞬困惑したが直ぐに返事をした 『あそこのまりさがおとうさんだよ!』 突然の指名に金まりさは驚きを隠せない 『ゆっ!?い、いいの!?』 『いいよ。まりさはれいむとおちびちゃんたちのためにがんばってくれたんだから…ほらおちびちゃんたちにあいさつしてあげてね!』 『わかったよ!ま、まりさがおとうさんだよ!おちびちゃんたち、ゆっくりしていってね!』 『『『ゆっくちしちぇいっちぇねおとうしゃん!』』』 金まりさは思わぬ形で父親となった。その表情はどこまでも幸せそうな笑顔だった 野良まりさ&金れいむの部屋- れいむは幸せだ。強く逞しいまりさの子を授かり念願の母親となることが出来た 額の我が子を見つめるその表情はまさに幸せの絶頂と言った感じだ 『ゆぅ~んれいむのおちびちゃんゆっくりしてるよぉ~』 野良まりさはと言うと… 『れいむとすっきりできたのはいいけどおちびがじゃまなのぜ…まだまだまりさはすっきりしたいのに…』 ご覧の有様である。野良れいむと番になったのも好きな時に好きなだけすっきりするためのすっきり奴隷という認識でしか無かった 『まりさもおちびちゃんにはなしかけてあげてね!おちびちゃんもきっとよろこぶよ!』 『チッ わかったのぜ。まりさがおとうさんなのぜ…ゆっくりするのぜ』 (なんだかまりさのようすがおかしいよ…ぜんぜんゆっくりしてないよ…) 時刻は昼。昼食はお兄さんが置いて行ってくれたのでそれを食べることにするが… 『まりさ、ごはんにしようね。おにいさんがおいていってくれたフードさんがあるよ』 『まりさはおなかがぺーこぺこなのぜ!』 そう言うとまりさは餌皿に顔を突っ込み凄まじい勢いで食べ始めた 『うっめ!まじぱねぇ!これまじぱねぇ!!』 『なにやってるのぉおおおお!れいむのぶんまでたべないでぇええええええ!』 『うるさいのぜ!まりささまのすーぱーむーしゃむしゃたいむをじゃまするのはゆるさないのぜ!!』 結局全部平らげてしまった。れいむは心なしか顔色が悪い。それもそのはず、常に茎に餡子を吸われているため食事を抜くのは死に直結する 無論まりさはそれを承知している。れいむに茎を抜くように仕向けているのだ 『まりさ…おなかがすいてしにそうだよ…』 『だったらくきをぬいてしまえばいいのぜ。そうすればあんこさんをとられなくなるのぜ』 『そんなことはできないよ!おちびちゃんがしんじゃうよ!』 『そうしないとれいむがしぬのぜ?まりさはれいむにしんでほしくないのぜ?しぬかくきをぬくかはれいむのすきにすればいいのぜ』 『いやだよ!れいむはぜったいにおちびちゃんをうむよ!』 『チッ すきにすればいいのぜ。それよりももういっかいすっきりするのぜ!』 『だ、だめだよ!れいむはいまにんっしんしてるんだよ!すっきりしたらしんじゃうよ!』 『そんなのしらないのぜ!』 『だめ!やめてぇ!』 『『すっきりー!!』』 れいむの額に2本目の茎が生える。1本でもかなりの負担なのに2本ともなれば… 『はやくくきをぬかないとしぬのぜ?』 『れいむは…おちびちゃんをまもるよ……ぜったい…みすてない……から…』 このれいむの母性はぼせい(笑)では無いようだ。しかしゲスの前では無力だ 『さぁて…もういっかいせんいくのぜ!まだまだげんきなのぜ!ぜつっりんでごめんねー☆』 『やめでぇ!もうしんじゃうよぉ!』 『あんっしんするのぜ!まりささまのてくにっくでゆんごくへいかせてあげるのぜ!』 『『すっきりー!!』』 れいむの下腹が膨れ上がりれいむはさらに餡子を吸われる事となってしまった 『どうするのぜ?はやくくきをおってぽんぽんのおちびをつぶさないとしぬのぜ?』 『い…や……だ………』 『チッ かってにするのぜ。それじゃまりさはすっきりしてつかれたからすーぱーおひるねたいむなのぜ!』 『おぢびちゃん…おかあさんが……ぜったい…うんであげるからね……』 みるみる顔が青さめていく。お兄さんが帰ってくるのは早くとも夕方だ。それまで持つかどうかは分からない… 「ただいまみんな。良い子にしてたかい?」 『おにいさんおかえりなさい!みて!おちびちゃんがうまれたよ!』 まりさが嬉しそうに僕に報告してくれる。どうやら金れいむのことは吹っ切れたようで何よりだ 『おとうしゃん、あのおにいさんはだれ?』 『おにいさんはまりさたちのかいぬしさんだよ。おちびちゃんたちがたべたごはんさんをかってくれたりおうちをかってくれたとってもやさしいゆっくりできるおにいさんだよ!』 「へぇ、れいむにさなえかぁ…ってお父さん?」 『おちびちゃんにはおとうさんがひつようだからまりさにおとうさんになってもらったんだよ。だめだった…?』 不安げに尋ねてくるが僕は笑顔で答えてやる。そうなることは何となく分かってたしね 「いいやそんな事はないよ。まりさ、お父さんとして色々やらなきゃいけない事が多いけど頑張るんだぞ?」 『わかったよおにいさん!まりさはおとうさんだからね!』 本当は金れいむとの子供のお父さんになってもらいたかったがこの野良れいむも中々悪くない。将来はバッジ試験を受けさせてもいいかもしれないな そう言えば…いつもは迎えに出てくれる筈の金れいむが居ない。いつもなら出迎えてくれる筈なのだが 「まりさ、れいむ(金)を見てないかい?」 『そういえばみてないよ…おへやからもでてこないし…』 「心配だな。ちょっと待ってて見てくるから」 お兄さんが金れいむの部屋に行くとそこには… 『うっめ!まじぱねぇ!これまじぱねぇ!』 まりさが一心不乱に何かを貪り食っている。昼食の残りでも食べているのか?いや違うあれは―――― 「まりさ、何を食べている?」 震える声でお兄さんがまりさに聞く。まりさは何事も無かったのように 『ごはんをたべてるんだぜ!なかなかおいしいのぜ!』 まりさが言うご飯とは金れいむだった 2本の茎を生やしまりさに食い破られたであろう下腹の当たりには未熟ゆの死体が転がっている 「オイ、ソレはれいむじゃないのか!?」 『ゆゆっ?ちがうのぜ!おまんじゅうなのぜ!あのやくたたずならしんだからおまんじゅうとしてたべてあげてるのぜ!』 「死んだ?どういう事だ!!」 お兄さんの大声に驚く野良まりさ。しかし相変わらずへらへら笑いながらこう答える 『あのばかれいむはくきをおればたすかるのに『おちびちゃんはころせないよぉ!』とかばかなことをいってしんだのぜ!ばかにはおにあいのさいごだったのぜ!』 「そうか。わかった」 そう言うとお兄さんは部屋から出て行った 『おいじじい!でざーとさんをもってくるんだぜ!』 知るか。この報いは受けてもらうぞ 外で待っていた野良れいむと金まりさ夫妻が心配そうにお兄さんを見つめる。お兄さんの大声は廊下まで響いていたためだ 『おにいさん、れいむになにかあったの?』 「皆、ちょっとの間2階で待っててくれるかな?ご飯は用意してあげるからね」 『しんだってきこえてきたけどまさか…』 「そのまさかだよ。れいむ(金)がまりさ(野良)に殺された。茎が2本生えてたし多分無理矢理すっきりさせられての衰弱死だね」 『まりさ…なんでそんなことを…』 野良れいむが青ざめながら呟く。離婚したとは言え元番の凶行に驚きを隠しきれないようだ 「僕が何とかするからまりさ達は2階に居るといいよ」 『わかったよ。おにいさん、まりさをせいっさいするの?』 「君達ゆっくりのルールじゃゆっくり殺しは制裁なんだろ?安心して。そこまで酷い事はしないから。ちょっとお仕置きするだけだよ。ちょっと…ね」 お兄さんはそう言うと子供たちを抱えて2階へと上がって行く。金まりさ夫妻もそれに続いて2階へと上がって行った 『なぁああああにやってるのぜあのくそどれいは!はやくでざーとさんをもってくるのぜ!』 好き勝手に喚いてくれている。まぁそれもここまでだ 「まりさ、悪いがこの家から出て行ってもらうぞ」 『はぁ?なにいってるのぜ!ここにはまりさのれいむがいるからでていかないのぜ!でていくのはあのうすのろのまりさのほうなのぜ!!』 うすのろのまりさと言うのは金まりさの事だろう。よくもまぁ好き勝手に言ってくれる 「悪いがお前の元番のれいむならうちのまりさの嫁になったから諦めてくれ。そもそもお前はあのれいむを捨てたんだろう?」 『なにいってるのぜ?あのれいむはまりさのおくさん。じじいのかってたれいむはすっきりふれんどなのぜ!かんちがいするのはよくないのぜ!』 あぁコイツに少しでもまともな返答を期待した僕がバカだった。さっさとヤってしまおう 「君達ゆっくりの間じゃゆっくり殺しは制裁の対象なんだってね?この近くに公園があるからそこのゆっくりに制裁してもらおうじゃないか」 『なぁあああああにいってるのぜ!まりさはなにもわるいことはしてないのぜ!』 僕は無言でまりさの顔面に蹴りを入れる 『ゆぎぃ!?までぃざのぷりちーふぇいすがぁあああああ!?』 「公園のゆっくりに制裁してもらいやすいようちょっと身だしなみを整えようか。髪の毛を剃るよ」 『やめどぉおおおおおおおお!までぃざのかみのけにてをだすなぁああああああああ!』 このまま剃るのでは長すぎるのでハサミで適当な長さに切る 『あぁあああああああああああ!!!までぃざのたいようのようにきらめくおうごんのかみのけがぁああああああああああ!!』 「こんなもんかな。それじゃ剃るよ。動くと危ないからじっとしててね」 シェービングクリームなんて上等なものは使わない。剃刀も処分しようと思ってた使い古しのT字剃刀で十分だ 「そーりそーり ザクッ じょーりじょーり ザクッ 」 『いだいぃいいいいいいいいいい!!やめどぉおおおおおおおおおお!!!』 皮を削ってしまっているが知ったこっちゃ無い 30分後見事なハゲ饅頭が完成した。所々皮がめくれて餡子が露出しているが気にしない お下げは止めてくれとしーしーを漏らしながら懇願したのでそれは許してやった。どうせ明日には死ぬんだしね 「それじゃ明日までこの箱の中に入っててね。明日公園のゆっくりに君を引き渡すから」 『いやだぁああああ!じにだぐないぃいいいいいい!』 「れいむだってそう言った筈だよ?自業自得って奴だ理解してくれ」 『まぢがっでないぃいいいい!までぃざはまぢがっでないぃいいいいいい!』 「はいはいゆっくりゆっくり」 ゆんやーゆんやー喚くハゲ饅頭を透明な箱に入れ蓋をした。中で何か喚いているがまったく聞こえない。加工所の謎技術で作られた透明な箱は凄いなぁ 翌朝涙であんよを塗らしたハゲ饅頭入りの透明な箱を抱えて近所の公園へと足を伸ばした。金まりさ親子には朝ごはんを置いてたので安心して出かけられる 公園を見渡すと丁度朝の清掃作業を行っている公園ゆっくりの集団を発見したのでさっそく声をかける 「ゆっくりしていってね!ここの群れの長は誰かな?ちょっと話があるんだけど」 『ゆっくりしていってね!ぱちぇがここのおさです。なにかごようですかおにいさん?』 随分口の利き方がしっかりしてるな。相当優秀なんだろう 「実はこのまりさを制裁して欲しくてね。僕の家に子供が生まれるまで置いてくれって上がりこんで自分の番を裏切った挙句僕の飼いゆだったれいむを殺したんだ」 長にハゲ饅頭を見せた。流石に帽子が無いとまりさだと分からないだろうから帽子は残しておいた 箱に入ったハゲ饅頭まりさの顔を見るなり長の顔が青ざめる。ぱちゅりーは元々他のゆっくりと比べても顔色は悪いんだけど… 『まりさ…!そんな……』 「知ってるのかい?」 『このこはむかしここからでていったぱちぇのこどものまりさです。まさかこんなことになるなんて…』 「そうか…それは残念だったね。それじゃこいつの制裁を任せてもいいかな?」 『はい、こどものやったことのせきにんはおやがとるべきですので…』 「よし、それじゃ君達の制裁を見せてもらおうかな」 『はい。すこしまっていただいてもよろしいでしょうか?まだあさのおそうじがすんでませんので…』 「いいよ。仕事を優先してくれればいいから」 僕は家から持ってきた朝食のサンドイッチを食べながら公園ゆっくりの掃除をぼんやりと眺めることにした 30分後、掃除が終わり長と野良にしては体格が立派なちぇんとみょんがやって来た 『おまたせしました。この2ゆんがせいっさいをおこないますので…』 「よしわかった。それじゃ箱から出すね」 箱から禿げ饅頭を出すなりいきなり大声でわめき始めるハゲまりさ。どこにこんな元気が… 『ごのくそおやぁああああああああ!おやがこどもをころしていいとおもってんのかぁああああああああ!』 『よくもそんなことがいえるわね。おさななじみのありすをすっきりのしすぎでころしてせいっさいからにげだしたゲスのぶんざいで!』 「おいおい、そんな事までしてたのかコイツ」 『うるざいぃいいいいいいい!までぃざのゆうっしゅうないでんしをむだにしたゲスなんてしるかあああああああああ!!』 こりゃ重症だ。こいつ生粋のゲスじゃないか 『ちぇん、みょん。このゲスをせいっさいしなさい!』 『わかったよー』『ぺにす!』 2匹のゆっくりは枝と言うよりは鈍器に近い木の棒をまりさに振り下ろし始めた 『いだい!ゆっぐりできないいいいいいい!!』 『じぶんがなにをしたかわかれよー!』『たんしょう!そうろう!』 『までぃざはわるぐない!わるいのはあのでいぶとあじすだぁああああ!』 『すこしでもはんせいのことばがでるかとおもったら…ほんとうになさけないわ。あなたのおとうさんはとてもゆうっしゅうなゆっくりだったのに』 『うるさいぃいいいいいい!あんなまでぃざをゆっぐりさせながったくそおやなんかしるかぁああああああああ!』 「どういう事?」 『あのこのちちおやはとてもゆうっしゅうなゆっくりであのこをきびしくきょういくしてたんです』 『あるひあのことかりにいってあのこだけがかえってきたんです。あのこがいうにはにんげんさんのすぃーにつぶされたとのことなんですが』 このまりさの性格を考えれば言ってることは100%嘘だな。そうなると… 「ひょっとしてさ、まりさに殺されたんじゃないの?子供の体当たりっていっても大人を道路に突き飛ばすくらいは出来るだろうしさ」 『むきゅ!?まさかそんな…!いくらなんでもそれはないとおもいます!』 「分からないよ?こいつは生粋のゲスだし十分有り得る。ちょっと聞いてみるね」 そう言うと僕はちぇんとみょんに制裁を止めてもらいハゲ饅頭に聞いてみることにした 「まりさ。君のお父さんを殺したのは君だね?」 『な、なにいってるのぜ!?』 「本当の事を言えば助けてあげるよ?ゆっクリニックに行けば君の髪の毛も治してもらえるんだけどなぁ~」 無論嘘だ。助ける気など無い。だがこの馬鹿は簡単に引っかかるだろう。自分の保身しか考えてなさそうだし 『まりさがやったのぜ!あのくそおやはまいにちまりさにあれをやってはダメ。にんげんさんにめいわくをかけるなってうるさいからつきとばしてやったのぜ!』 「嘘じゃないね?嘘だったら助けてあげないよ?」 『うそじゃないのぜ!だからはやくたすけてね!あとばいっしょうのあまあまもちょうだいね!』 本当に言うとはなぁ。それじゃ制裁の続きを…と 「ちぇん・みょん。ヤっちゃっていいよ。このバカは死ななきゃ治らない」 まりさの告白に長ぱちゅりーはエレエレとクリームを吐き出している。ちょっと悪いことしたな 『なにやっでる!はやぐだずげろぉおおおおおおおおお!』 「嫌だ」 『まりさ…すこしでもあなたをしんじたぱちぇがバカだったわ…ちぇん!みょん!てっていてきにやりなさい!』 『わかるよー!』『まらあああああああああ!!』 う~ん。何か面白みに欠けるな。このまま叩き潰させるのも芸が無いし…よし、すっきりが好きなら好きなだけさせてあげようじゃないか! 「長、ちょっと待っててくれるかな?まりさには死よりも重い罰を与えようと思うんだけど」 『おにいさんがそういうなら…ちぇん!みょん!いったんきゅうっけいしなさい!』 「よし、それじゃちょっと準備するから勝手に殺さないでね」 さて、それじゃ一旦家に戻って準備をしようかな 1時間後。罰を与える為の準備を終わらせ公園に戻った。ハゲ饅頭は相変わらず自分の罪を認めずゆんやーゆんやー騒いでいる 「お待たせ。ちょっと遅くなっちゃったよ。最期の捜し物がなかなか見つからなくてね」 『おかえりなさいおにいさn…なんでれいぱーが!?』 そりゃ驚くよなぁ。街に住むゆっくりにとってれみりゃ以上の天敵だし 「大丈夫だよ。そのありすは僕との約束があるから君たちを襲ったりはしない」 『んほぉおおお…おにいさんはやくぅ…はやくすっきりしたいのぉぉぉぉ…』 「はいはい、ちょっと待っててね。すぐに終わらせるから」 僕はだいぶ前に会社のビンゴゲームで貰った携帯型足焼きホットプレートを取り出すと電源を入れ熱が回るのを待った 『むきゅ…?おにいさんこれはなんですか?』 「これは悪いゆっくりに御仕置きするための道具だよ。これの上に悪いゆっくりを載せてあんよを焼いちゃうんだ」 『それはむっきゅりできなくなりますね…にんげんさんはすごいことをかんがえますね』 長と話す間に熱が十分回ったのを確認し早速ハゲ饅頭を載せる! 『ゆぎゃぁあああああああああ!あづいぃいいいいいいいいいいいい!までぃざのあんよがああああああああああ!!』 「えーっと…成体ゆっくりの場合は5分でいいのか。全然使わないから勝手が分からないなぁ」 解説書とにらめっこをしながらあんよを焼く。虐待お兄さんならライターの火だけで見事に焼き上げてしまうらしい。羨ましいとは思わないけど 5分が経過しあんよはこんがりと焼きあがっている。これで跳ね回ることは出来ないはずだ 『やめでぐだざい!すっきりどれいのれいむをころしたことはあやまります!だからゆるじでぐだざい!』 「いや、れいむを奴隷呼ばわりしてる時点で反省してないでしょ君?だから止めないよ」 「さてお待たせしちゃって悪いねありす。それじゃ好きなだけすっきりするといいよ」 『こんなはげまんじゅうとすっきり…?たまにはげてものもいいわぁ!』 雄叫びと共にぺにぺにをいきり立たせ猛然とハゲ饅頭に突進し、一気にぺにぺにをまむまむに突き入れた 『あああああああああ!までぃざのばーじんさんがぁあああああ!』 『んほ?はじめてだったのねぇええええ!やさしくしてあげるわぁあああああ!』 あーあ、初めてなんて言うから余計ハッスルしちゃったよ 『そろそろいくわよ!ありすのあいをうけとってねぇえええええええ!』 『いやだぁああああ!にんっしんしたくないぃいいいいいいいいいい!』 『『すっきりー!!』』 ハゲ饅頭の下腹が膨れ上がっていく。どうやら胎生妊娠らしい 『ありすはまだまだすっきりしたいわぁあああ…おにいさんいいでしょぉ?』 「いいよ。好きなだけすっきりしていってね!」 『それじゃありすのてくにっくをみせてあげるわ!おうぎ!すっきりましんがん!!』 奥義?どこで覚えたんだそんな言葉。まぁどんなのか見せてもらおうかな 『すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりぃいいいいいいいいいいいいいい!!』 何だこれ…腰?を振りながら射精しているのは良いとしてどんどん自分の体が萎んでるのに気づいてないのかありすは? 1分後全てを出し切ったありすは満ち足りた表情で死んでしまった。無茶しやがって… 『いやだ…すっきりこわい…すっきりこわいよぉ……』 一方ハゲ饅頭は無数の茎を生やして死にかけている。簡単に死なれちゃ面白くない 茎をハサミで切り取り口の中に突っ込み無理やり咀嚼させる。吐き出そうとしたので口を塞いで強引に飲み込ませ持ってきたオレンジジュースを体にぶっかけ蘇生させた 「それじゃこのハゲ饅頭は置いていくね。どうせ君ら野良ゆはすっきり規制してるだろうしこいつで好きなだけすっきりするといいよ」 『それはありがたいですおにいさん、どうすればしなせずにすむのでしょうか?』 「う~ん…僕はこういうのはあまり詳しくないけど君らと同じようにご飯を食べさせるだけでいいんじゃないかな。まぁたまに様子を見に来てあげるよ」 『わかりました。おにいさんのせいっさいはべんきょうになりました。ありがとうございます』 「気にしなくていいよ」 『ゆっぐりでぎないぃぃぃ…ころせぇ…までぃざをころぜぇぇぇぇぇ……』 ハゲ饅頭はその後1年に渡り多くの公園ゆっくりのすっきりの相手を務めストレス解消に尽力し衰弱死した。好きなだけすっきり出来たんだ本望だろう 金まりさと野良れいむ親子はというと れいむは子供たちと一緒に銀バッジ試験に向けてまりさを教師に勉強中だ。物覚えが非常に良くこの分なら余裕で合格できるだろう まりさは不器用ながらも父親をこなし子供たちから好かれるいいお父さんになった 子供達が一人前の金バッジゆっくりになったられいむとの間に子供を作りたいと言っているので許可するつもりだ 金れいむはあの後庭に小さな墓を立ててやり弔ってやった。残念だけど仕方がない これからはあの子達にゆっくりさせてもらおう。僕にはもったいないくらいのいい子達だしね 後書きの様なもの こんにちは&こんばんは。早いもので今回で11作目となりました 飼いゆに野良ゆを近づけるとこうなるんじゃないのだろうかと思い書いてみた次第です 書き手の感性でまた違った展開になりそうなネタだと書きながら思いました 自分で書いといてアレですがお兄さん準備良すぎでしょう? 書いてから読み直してみると金まりさが良い子すぎる気がしますね 金まりさが野良れいむに対して『おまえたちがこなきゃれいむはまりさのおよめさんだったんだよ!ゆっくりしてないでしね!!』な展開でも良かったような気がしないでもないです 過去作 anko4214 処刑ゆん anko4218 餌付け anko4230 少女の目覚め anko4239 おかあさんのけっかい anko4250 本当にいいのか? anko4275 素直すぎるが故に anko4279 のうかりんとまりさ anko4289 放し飼い anko4301 俺とれいむとお袋 anko4321 傷だらけのまりさ
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ばや汁あきのSS感想用掲示板はこちら anko4663 ものれいむ anko4269 ふとちゃん anko4242 バッジを貰う日 anko4186 ばかじゃないもん anko4182 穴倉 anko4169 続おしかけ anko4137 おためしリアルありす anko4087 ゆーしゃまりちゃの冒険 anko4078 公衆便所 anko4060 可愛いあの子と家ゆっくり anko3717 いっしょに anko3635 バトル anko3625 陽射しの中の… anko3529 てのりれいむと愉快?な仲間達 anko3452 れいむが愛したれいむ anko3129 はるですよ anko3125 ちるの時々まりさ anko3114 命の価値 anko3107 ゆかりん anko3096 雨 anko3090 てのりれいむ anko3078 げすまりさ anko3067 わけあり おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3047 ぶろてん おまけ anko2949 野良れいむ anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2807 母の音 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2489 あこがれ 前編 anko2427 ぶろてん anko2413 せんたく anko2369 ゆっくぢ anko2349 たたかい anko2332 とかいは anko2304 ぼうけん anko2241 かいゆ anko2223 まちかどで anko2112 ぼくとペット anko2111 おもちゃ anko2110 とおりま anko2068 おしかけ anko2023 あるむれ anko2007 ゆんりつせん anko2001 でぃーおー anko1983 はこ anko1965 わたしは anko1959 続ゆなほ anko1943 わけあり anko1939 たなばた anko1915 ゆなほ anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1906 どうぐ・おかえし anko1896 いぢめて anko1869 ぬくもり anko1847 しろくろ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1831 とくべつ~前篇~ anko1830 とくべつ~後篇~ anko1748 かみさま
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『しゅっさん祝い』 6KB いじめ 野良ゆ 赤ゆ 虐待人間 いつもの小ネタです。 「かわいいれいむが、いまらかしゅっさんするよ!だからおいわいをちょうだいね!!」 公園で昼食をとっていると、足元に汚い塊が現れた。 薄汚れている割にはムッチリと太った体系をしたゆっくりが、何故か得意そうにニヤつきながら私を見上げている。 「あんた野良ゆっくりでしょ?番はどうしたの?それに何で私がお祝いしないといけないの?」 「つがい?れいむはしんぐるまざーだよ!だーりんのまりさは、じぶんのむのうさをなげいて、おたべなさいをしたんだよ! ね?れいむは、とってもかわいそうなゆっくりでしょ?だから、せかいのみんなで、いたわらないといけないんだよ!!」 野良れいむは独自の理論をにやけ顔で私に語る。 どの辺が可哀想なのかも解らないが、何故世界中で面倒を見なくてはならないのかも解らない。 どうしてゆっくりという奴は、無駄に自信満々なのだろうか? そんな事を考えていると、野良れいむが私に向かって底部を見せる様に仰け反った。 「おしゃべりは、ここまでだよ!かわいいれむが、しゅっさんするよ!おちびちゃんを、しっかりうけとめてね!それがおわったら、おいわいをちょうだいね!!」 野良れいむが偉そうにそう言うと、底部がミチミチと音を立てて開き始める。 広がっていくその穴からは、キラキラと目を輝かせた赤ゆっくりが顔を見せた。 「ゆゆ!かわいーれーみゅが、ゆっくちうまれりゅよ!せかいのみんにゃで、おいわいしちぇね!」 生まれながらに親と同じ思考回路なのか、得意げに眉を吊り上げて宣言する赤れいむ。 私は少し腹が立ったので、弁当の割り箸についている爪楊枝を取り出して赤れいむを突付いた。 「ゆっぴゃ!いっちゃい!いっちゃい!やめちぇよぉぉぉぉ!どーしちぇ、れーみゅをいじめりゅのぉぉぉ?!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」 爪楊枝で突付くたびに大声を張り上げて、涙をこぼす赤れいむ。 私は突付くのを一旦止めると、赤れいむの目の前で爪楊枝を構える。 「ほら、このまま生まれるとこれに刺さるわよ?あんた達が生まれたって、誰も祝福なんてしないわよ?!だからさっさと生まれて死になさい!」 「ゆっびゃぁぁぁぁぁ!どーしちぇぇぇぇぇ?!れーみゅ、うまれちゃくないぃぃぃ!みんにゃでおいわいしちぇよぉぉぉ!ゆえぇぇぇぇぇん!!」 このまま生まれると爪楊枝に刺さる事が解ったのか、赤れいむは急に身を捩って暴れ出した。 「ゆっごぉぉぉ?!ゆぶるぅぅぅぅ!おなかがいだいぃぃぃぃ!おとびちゃぁぁぁん!なにじでるのぉぉぉ?!さっさとゆっくりうまれてねぇぇぇぇ!!」 流石に母体にも負担が掛かるのか、野良れいむは両目を見開いて涙と変な汗をダラダラと流し始める。 苦しそうに歯を食いしばりながら、揉み上げをワサワサと激しく動かすその姿は気持ち悪いの一言に尽きる。 「ぶっぎゅぉぉぉぉ?!やべでぇぇぇぇぇ!れーみゅ、うまれりゅぅぅぅぅぅ!!ちくちくいやぁぁぁぁぁぁ!!」 どうやっているのかは解らないが、赤れいむも両目を見開いて歯を食いしばりながら、必死に外に出ないように堪えている様だ。 そこで私はある事が気になった。 これだけ力を入れているこの状態で、爪楊枝で突付いたらどうなるのだろうと。 思いついたら即実行。 力んでいる赤れいむの口の下辺りを爪楊枝で突付いてみた。 「ゆっぴぃぃぃぃ!いっちゃいぃぃぃぃ!れーみゅのばーじん、まむまむしゃんがぁぁぁぁ!ゆびぇぇぇぇぇぇん!ひどいよぉぉぉぉ!!」 ブルブルと震えながら悔しそうに涙を流す赤れいむ。 私は赤れいむに突き刺した爪楊枝を引き抜いた。 「ぶしゅるるるぅぅぅぅ?!ぶびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 力んでいたところに親れいむのまむ圧も加わったせいか、赤れいむはまむまむから勢い良く餡子を噴出させた。 奇声を上げてどんどん萎んでいく赤れいむは、干し柿のような姿になるとポロリと親れいむから生れ落ちた。 「ぶびゃ…び…びび…ゆっくぢ…じだが…ぶ………」 赤れいむは、産声の変わりにお別れの言葉を呟いて、動かなくなった。 ゆっくりのくせに一度もゆっくりする事も出来ず、赤れいむは死んだ。 「ぶひぃぃ!やっどうまれ…ゆっぎぃぃぃ!まだだ!まだうばれるぅぅぅぅぅ!」 そんな事とは知らない親れいむは、出産が終わり安堵の表情を浮かべるが、休む間もなく再び産気づく。 広がったままのまむまむから、新たな弾が装填されるかの様に顔を見せる赤ゆっくり。 「きゃわいーまりちゃが、ゆっくちうまれりゅよ!みんなで、おいわいしゅるのじぇ!!」 姉と同じ台詞を吐いて、得意そうに目を輝かせる赤まりさ。 私は二発目が発射される前に親れいむを動かした。 角度、方位、風向きを計算して狙いをつけて親れいむを固定する。 親れいむは出産に気が向いているため、私が動かしている事に一切気がついてない様子。 そして秒読み開始だ。 5、4、3… 「かわいーまりちゃが、おしょらをとんでりゅぅぅぅ!うまれちゃのじぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ベチャ!ポトッ! 勢い良く生まれ出た赤まりさは放物線を描いて飛んでいくと、ゴミ箱の中に消えていった。 汚らしい音を立ててゴミ箱の中にぶつかったので、様子を見に行ってみた。 ゴミ箱の中には、片目が飛び出して餡を吐いている赤まりさが、ガタガタと震えて涙を流していた。 「がびゃ…びゃ…ここ…どきょ…どぼじ…いだ…い…ゆ…っぢ…」 「ここはゴミ箱よ。生まれてすぐにゴミ箱行きなんて、流石ゴミ饅頭ね。あんた達なんか生まれても、祝ってくれないのよ」 「しょ…しょん…な………まり…ちゃ…ごみじゃ………ゆ…ぢ…じだが…び…」 私の言葉を聞いた赤まりさは、力なく目の前のゴミを見つめるとそのまま動かなくなった。 私は赤まりさが死んだのを見届けると、息を切らせている親れいむの元に戻った。 「ゆひー…ゆひー…じぬかとおもっだよ………さあ、おちびちゃん、ゆっくりして………ゆおぉぉぉぉ?!おとびちゃん?!どこいったのぉぉぉぉ?!」 「何処見てるのよ?ほら、あんたの後ろよ。そこに汚いのがあるでしょ?」 「ゆうぅぅぅ?!なにいってるのぉぉぉぉ?!おちびちゃんは、きたなくな………ゆっがぁぁぁぁぁ?!なにごれぇぇぇぇぇ!!」 親れいむは私が指差した方を向くと、唾を撒き散らしながら大声を上げた。 萎れてはいるが、リボンで我が子を判別できたのだろう。 親れいむは揉み上げをワサワサと動かして、変わり果てた姿の我が子を見て涙を流した。 「死んでるわよそれ。残念ね、これで出産祝いは無しね」 「ゆっがぁぁぁぁぁぁん!おちびちゃんが、しんでるぅぅぅぅ!!ゆおぉぉぉぉ!どぼじでぇぇぇぇぇ!!」 私は号泣する親れいむを放置して、職場に戻ろうと歩き始めた。 「ま、まっでぇぇぇぇ!!でいぶがかわいそうでしょぉぉぉぉ?!かわいそうだとおもっだら、おみまいをちょうだいねぇぇぇぇ!!」 なるほど、そう来たか。 何処までも厚かましいゆっくりだ。 私は萎れた赤れいむの残骸をゴミ箱に捨ててから、親れいむを持ち上げた。 「ゆわぁぁぁぁ!おそらをとんでるうぅぅぅ!!わかったよ!かわいそうなれいむを、かいゆっくりにしてくれるんだね!さすが、くそどれいはよくわかってるよぉぉぉ!!」 私はそんな親れいむを、思いっきり空に放り投げた。 高く中に舞い上がった親れいむは、そのままゴミ箱の中に落下していった。 「ゆわぁぁぁぁぁ!おそらをとんでるみたぁぁぁぁぁぁ 『グチャ!!』 ぶびゃ?!」 着地の衝撃であんよが潰れ、片目が行き追い良く飛び出した親れいむは、ガタガタと震えて呻き声を上げている。 昼休みの一時を楽しませてもらったお礼に、形を残しておいたままゴミに出してあげた。 この公園に来ると、毎日違うアホなゆっくりとの出会いがあるから面白い。 完 徒然あき 挿絵:車田あき
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野良ゆっくりの一家の訪問を受けた 33KB 私は鬼に~番外編 ・本編が書きすすすまないので ・時系列的には本来は本編の後に入れる話でしたが、ネタバレはあまりありません ・ゲス人間の行動? ヤ○オクとか頭が回らないDQNだったんでしょう 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おいじじい、いまからここをまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ! まりささまはつよいから、さからわないほうがみのためだぜ! いますぐおうちをあけわたしてどれいになれば、いのちだけはたすけてあげなくもないんだぜ!?」 「れいむのまりさはとってもつよいんだよ! からすさんものらねこさんもおいかえすんだよ! にんげんなんか、かんたんにやっつけちゃうよ! ゆふん!!」 「「「「おとーしゃんがんばっちぇー! くしょじじいにゃんかやっちゅけちゃぇー!!」」」」 まりさの左頬に深くめり込んだ人間の右フックは容赦なくまりさの内部の餡子を揺さぶり、ついでに歯を何本かへし折った。 丸い、頭部そのものが全身であるゆっくりの体は人間の手加減気味のパンチを食らっただけでゴムボールのように吹き飛んで、地面に転がる。 その時の拳の感触を何といって表現すればいいのだろう? けして軽くは無いはずの、柔軟で弾力がある饅頭生物は脆いように見えて、しかし意外と殴打したくらいでは結構暴力に耐える。 持ち上げる時には少なくない重量も感じる。 バレーボールくらいの体の大きさから見て体積もそれなりにある。 だが殴ったり蹴り飛ばしたりする時は、まるでギャグマンガみたいに軽く吹っ飛ぶのだ。 意思の作用する力がどうの、思い込みによる観測効果がどうのとか、難しい理屈をこねてゆっくりの不思議に挑む偉い学者もいるが、今はどうでもいい。 人間は地面にうつぶせになってピクピク痙攣しているまりさのくすんだ金色の髪を乱暴に掴み、自分の顔の高さにまで持ち上げた。 「ゆひぃ…ゆひぃ…やべでぐだざい…ばりざがわるがっだでず……にんげんざんのほうが、づよいでず… だずげでぐだざい…いのぢだげは……!」 もう既に何発殴られたのかすら、まりさにはわからないだろう。 ゆっくりは3以上の数を「大きい」「多い」「たくさん」「いっぱい」としか認識できないし、人間のほうも殴った回数をいちいち数えていない。 だから、また一発、今度はストレートで、髪を掴まれたままのまりさの顔面に一撃をぶち込んだ。 「ゆべりゃぁぁぁっ!! もうなぐらないでぇぇぇ!! だずげでぇぇぇ!! やだぁぁぁおうぢがえるぅぅぅ!? もういだいのやだよぉぉぉぉっ!! じんじゃうっ! じにだぐないよぉぉぉ!! ゆっぐりじだいよぉぉぉ!! おねがいごろざないでぇぇぇっ!! ゆるじでぇぇぇぇっ!?」 情けない悲鳴を上げながら命乞いする野良のまりさには、先ほどの人間の玄関前できった啖呵ほどの威勢は既に無い。 顔面を痣だらけにし、目から砂糖水の涙を流し、口の中は殴られすぎて歯が数本しか残っていないという無残な姿で必死に人間に許しを乞うているばかりだ。 今まで街に棲んでいる野良の生物を相手にどのように格闘し、勝利してきたかは人間は知るよしも無い。 だが、カラスや野良猫程度を追っ払えるくらいの実力を背景に、「きっと人間にも勝てる」とか思い上がったのは想像に固くない。 別にそんなゆっくりは、この街には掃いて捨てるほどいるし、人間もこの手の増長した野良ゆっくりに絡まれるのは二度三度では無かった。 だから特に、感慨も無い。 また一発、今度はアッパーを決めて、まりさのアゴだかぺにまむだか、あにゃるだかよくわからん部分に重いダメージを喰らわせた。 「ゆげろぉぉぉっ!!」 口と、口の下の穴から同時に餡子を噴出しながら、野良まりさは仰け反って一瞬空を飛び、そして後頭部から地面に墜落した。 「まりざああああぁぁぁぁ!! もうやべでぐだざいいいいっ!! れいむだぢのまげでずがらあああ!! まりざはもうごうざんじでるでじょおおお!? どうじでまだなぐるのおおおおお!?」 「「「「おとーしゃぁぁぁぁん!? ゆぇぇぇぇぇぇん!!」」」」 後ろのほうで、夫かつ父親が一方的にボコボコにされる一部始終を見せ付けられていた、野良まりさの家族は泣き叫びながらまりさに駆け寄ろうとする。 子らが野良まりさに体を摺り寄せようとし、妻であろう野良れいむは人間と愛する夫との間に庇うように立ち、大粒の涙を流しながら人間に訴えた。 が、人間は素早く野良れいむを片足で踏みつけ、動きを封じ、4匹の子ゆっくりたちのうち子まりさと子れいむを一匹ずつ両手で掴んで捕獲した。 「ゆぎぃぃぃぃ! いだいよぉぉぉはなじでぇぇぇ! どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!?」 「「ゆぴぃぃぃぃ!! たしゅけちぇおかーしゃぁぁぁぁん!!」」 「れーみゅのいもーちょがくるしがってるよ! やめてあげてね!」 「ゆぇーん!! おにぇーちゃぁぁぁん!!」 人間は両手に少しずつ力を込め、掴んだ子ゆっくりらをじわじわと握りつぶしてゆく。 五本の指は固くぎっちりとテニスボールサイズの子ゆっくりの体を締め付けているため、逃げる事ももがく事すらもままならない。 苦悶の表情と涙を流しながら必死に子まりさ・子れいむは父母に助けを求めたが、父は散々に痛めつけられて倒れたまま動かず、母は人間の足の下でもがき苦しんでいる。 残りの子ゆっくりたちは人間の足にポスポスと体当たりをして母と姉妹達を助けようと懸命な抵抗をするが、全く無意味だった。 「やべでぇぇぇ! ちびぢゃんだぢをはなじでぇぇぇ!!」 「断る」 ゆっくり、ゆっくりと万力のように緩慢に力を込めながら、人間は子ゆっくりの命を奪ってゆく。 締め付けられて縦長に変形した子ゆっくりたちの皮は、中身の餡子を変形させて相当な苦痛をもたらすと共に逃げ場の無くかかる圧力で破れる寸前までになっていた。 そして、野良れいむは愛する我が子が「ゆぴぴぴぴ…」と悶え苦しみながら、最後に口や体の裂けた部分から餡子を漏らして絶命する様を野良れいむは時間をかけてまざまざと見せ付けられた。 「たぢゅげ…おが…ぢゃ…ぐるじ……ゆびゅっ!」 「れーみゅまだちにちゃくにゃ……ぶびゅりゃっ!」 破裂するかのように無残な最期を遂げた我が子らの、人間の指の隙間からはみ出て落ちてきた餡子を顔に浴びながら母れいむは絶叫する。 その傍らで、残りの子ゆっくりらも受けた衝撃の大きさに全身と思考を硬直させ、固まったまま声にならない叫びを上げていた。 「ゆ…ゆわああああああああ!! れいむのおちびぢゃんだぢがあああああああ!! だいじなおちびぢゃんだじがあああああ!! まりざにぞっぐりですできなおちびぢゃんがあああ!! れいむによくにてがわいいおちびぢゃんがああああああ!! どおじでええええええぇぇぇぇっ!? どおじでごんなごどぉぉぉぉぉ!? おちびぢゃんはっ!! おちびぢゃんはなんにもじでないでしょおおおおおおっ!! どうじでっ!! ごろずなられいむだちだけにじでよぉぉぉぉ!! どおじでおちびぢゃんをごろずのおおおおおお!?」 だが人間は、野良れいむには答えない。 その視線は前方に倒れている…いや、倒れて動かないフリをして、実はゆっくりと這って逃走しようとしていた野良まりさに向けられていた。 人間は無言で足元で固まっている残った二匹の子ゆっくり、先ほどと同じ組み合わせである子まりさと子れいむを両手にそれぞれ掴んだ。 「ゆぴぃっ! た…たしゅけちぇぇぇぇ! にんげんしゃんにちゅかまっちゃよぉぉぉ!! つぶしゃれりゅうううう!!」 「ゆっ! まりしゃおしょらを…ゆわぁぁぁぁ!! たしゅけちぇぇぇぇ!!」 姉妹の握りつぶされる様をしっかり見せ付けられていた子ゆっくりは、即座に自分たちが次に殺される番なのだと理解し、泣き叫んで助けを求めるが、 母親は人間に踏みつけられたままで、父親は地面に倒れた姿勢のままプルプル震えている。 前者は動きたくても動けず、どうにか逃れようと体をムニュムニュと動かすのが精一杯だし、後者は既に気絶から覚醒しているのは見え透いているのに起き様としない。 「や、やべでぐだざい! そのごだぢはだずげでぐだざいいいいい!! おねがいでず、ごろざないでぇぇぇ…!!」 野良れいむは踏みつけられた窮屈な状態のまま人間を見上げ、懇願するが人間はれいむの方を見ようともしない。 代わりに、前方で震えているまりさの方に向かって口を開く。 「おい、まりさ」 「……」 「起きてるのはわかっている」 「……!!」 「これからお前の家族を皆殺しにする」 「ゆっ!!」 「だが、お前が身代わりに殺されてもいい、家族を助けてくださいと言うんだったら、そうしてやってもいい」 「……ゆ」 「どっちにする?」 二択だった。 人間が野良まりさの家族を殺すという宣言に間違いが無いのは、先ほど子ゆっくり二匹を容赦なく握りつぶして見せた事からも確かだろう。 この人間はゆっくりを痛めつけたり殺す事に一片の躊躇も持ち合わせていない。 いくら降参しましたと命乞いをしても、何度も何度も殴られ続けたまりさ自身が痛いほど理解しているだろう。 ゆっくりは仲間同士でさえもやたら好戦的な傾向にあるくせに、戦った相手が自分より強いとわかるとすぐに「ごべんなざい!」と謝り、 時には卑屈にへりくだってまでそれ以上攻撃される事を回避しようとする。 謝りさえすれば、全て許してもらえるだろうという魂胆が、ゆっくりの思考の根底にあるからだ。 ゆっくり同士の戦いなら、別にそれでいいんだろう。 他の野生動物も降参した相手の命までは取らない事が多い。 だが、人間という生き物は違う。 ゆっくりと人間は同種ではないし、人間にも様々なのが居る。 ゆっくりを殺したって、別に少しも心を痛めなかったり、むしろ喜んで行う人間も少なくない。 人間社会の大半にとってゆっくりは虫と同じ程度の命の価値だ。 好き好んで愛玩生物として飼育する人間も居るが、それは人間の都合でゆっくりを捕獲・監禁し玩具にしているだけだ。 ゆっくりを大事にしたり保護しようと活動している人も居るが、それは「人間の所有財産」、つまり家畜として、かけたお金や時間の浪費への執着があるから大事なのだったり 人間の自己満足による思想・イデオロギーによって「野生生物としてのゆっくりとの共存」を唱えているに過ぎない。 人間はあくまで人間の価値基準でしかゆっくりを見ない。 居ないなら居ないで、深刻に困るほどじゃない。 邪魔なら邪魔で、ハエでも潰すみたいに駆除する。 別に、ゆっくりがそんな人間という生物を、どんなにゆっくりできない存在で、悪魔みたいに思っていようとも、どうでもいい。 今の野良まりさの状況が、不運によるものか、それとも自業自得の結果なのか、「ゆっくりの習性だから人間に突っかかっていくのは仕方ない」なのか、 どう解釈しようと、それは解釈する人間の好きなようにすればいい。 確かなのは、今野良まりさの目の前に居るのはまりさがどんなに「やめて、ゆるして」と懇願しても、まりさの死か妻と子らの死の どちらかしか要求しない、「謝ったって絶対に許してはくれない」という絶望的な相手だという事だ。 それに対して、まりさは数秒間の間逡巡し、そしてあっけなく答えを出した。 「まりざは……まりざはまだじにだぐないよぉぉぉ! そいづらをごろじでいいがら、まりざはみのがじでね!! ごべんね! れーむもおちびだぢも、まりざのみがわりになっでね! まりざはゆっぐりじないでにげるよ!!」 そう言ってガバ、と体を起こすと猛然と逃走を始める。 それに対して、妻である野良れいむは「まりざああああああ!? ごのうらぎりものおおおおおお!!」と罵声を投げかけ、 子ゆっくりたちは泣き喚きながら自分らを見捨てた父親の後姿に向かって、まだ助けを求めていた。 人間は、そんなまりさの後姿を特に気にすることも無く、見送った。 猛然と逃走と書いたが、それは実際には野良まりさの主観である。 体中をボコボコに殴られて重傷を負っているまりさの動く速度は、跳ねる事も出来ず、かといって這う速度もナメクジの数分の一以下でしかなく、 人間との距離もまだ1mも離れても居ない。 加えて、まりさは歯が殆ど折れ、顔も痣だらけで醜い姿だ。 あんな状態では何日生きられるかも定かではない。 仮に生き延びても、野良の生活環境では満足に怪我を治療する術も無く、体に不具を背負ったまま後遺症に悩み続けるゆん生を送る事になるのだろう。 「ゆひぃ、ゆひぃ! まりさは…しぬのはいやなんだぜ…れいむとおちびたちのぶんまでゆっぐりずるんだぜぇ……! ゆひぃ…ぜぇぜぇ……おうぢにかえっだら…おとっどきのあまあまをたべで…ゆっぐりじで…… あだらじいおよめざんと…あだらじいおちびをづくっで……しあわぜにぃ……ゆひぃ……」 人間が家族を見捨て、自分ばかりが助かりたいと必死に逃げ行くまりさの惨めで哀れな姿から興味なさげに視線を外した時、 まりさはまだようやく人間の家の門柱を通り過ぎて道路にでようとした所でしかなかった。 この後の野良まりさが生きようと死のうと、人間にはどうでもいい。 ノロノロと這いずりながら道路に出て車に轢かれるのかもしれないし、下校途中の悪ガキに見つかって遊び殺されるのかもしれない 野良犬や野良猫やカラスに発見されて、食われるのかもしれない。 運良く自分のおうちまで辿りついたはいいが、他のゆっくりが既におうちを占拠していて住処を奪われた上に殺されるのでも、 あるいは辿りつく前に力尽きるのかもしれない。 それらよりも、人間の興味は既に残された野良まりさの家族たちに移っている。 「どおじでええ…あんなにいっじょにゆっぐりじようっでいっでだのにぃ…まりざぁ…!」 「ゆぇぇぇぇぇぇぇん! まりしゃまだちにたきゅにゃいよぉぉぉぉ! ちゅぶしゃれちゃくにゃいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぁぁぁぁぁん! きゃわいいれーみゅだけはたしゅけちぇぇぇぇ! にんげんしゃんをゆっくちしゃせてあげりゅかりゃぁぁぁ!」 足元で踏まれながら悲嘆にくれる野良れいむ。 父親に見捨てられ、絶望の涙を流しながらそれでも生きたいと叫ぶ子れいむ。 どうにかして助けてもらおうと必死に懇願する子まりさ。 人間は子まりさの発言にちょっとだけイラッとした表情を浮かべかけたが、反射的に潰してしまうような短絡的な事はせず 今度は野良れいむに向かって話しかけた。 「おい、れいむ。 子供たちを助けて欲しいか?」 「まりざ…まりざ……ゆっ!?」 「これからお前たちを皆殺しにする。 だが、お前か子供たちのどちらかは殺さないでやってもいい。 どちらを選ぶ?」 何の気まぐれか、人間が突きつけた選択は野良れいむにとって希望の光明に思えた。 内容そのものは先ほど野良まりさに出されたものとほぼ同じだったが、れいむには地獄で唯一の救いを見つけたような思いだった。 どちらを選ぶかなんて、そんなの決まっている。 子らの母親であるれいむは、迷うことなく人間に告げた。 「ゆ…それ、ほんとうだね? うそつかないよね? れいむかちびちゃんたちか、どっちかたすけてくれるんだね!? だったら、ちびちゃんたちをたすけてね! れいむはどうなってもいいよ! れいむをころしてちびちゃんはおうちにかえしてあげてね!!」 母親らしい毅然とした態度で、野良れいむは宣言した。 人間の両手に掴まれている子らもそれを聞いて絶望の叫びから一点して表情が変わる。 「ゆっ…おかあしゃぁぁぁぁん!!」 子まりさはキラキラした涙を一粒落し。 「ゆぅぅぅ! やっちゃよ! れーみゅたしゅかりゅよ! ゆっくち! ゆっくちー!」 子れいむは顔をキラキラ輝かせながらはしゃいで喜びを表現した。 が、しかし、人間は冷静に、野良れいむの我が子を思う自己犠牲の精神を一蹴した。 「…馬鹿かお前は? 子供たちが助かっても親のお前が死んだら、どうやってこいつらを育てるんだ? 子供たちだけでどうやって生きていくんだ? 餌はどうするんだ? 何を食べるのか、どこで手に入れるのか教えてるのか? 教えたとして、こいつら単独でそれができるまで育ってるのか? カラスとかの外敵から身を守る術は? 雨とか風とから隠れられる方法は知ってるのか? 台風とか冬とか特にどうするんだ? それとも、こいつらを預かってくれる奇特な知り合いがどっかにいるのか? 普通いないだろ? さっきの父親は一回お前らを見捨てたぞ? 今から追いかけて行って、子供たちを渡して家に帰すのか? あんなボロボロで汚くて、狩りもできるかどうかもわからない、今にも死にそうなまりさにか? お前たちを裏切って自分だけ助かろうとした、あのまりさにか? おいれいむ、本当にお前が死んでこいつらだけ残していいのか? それがお前の選択か? お前の選択は、はっきり言ってこの二匹に孤児になって飢えて寒くて守ってくれる存在も無くて惨めに死ねって言ってるのと同じだぞ? 自分で頭が悪いと思わないのか?」 「……………!!!」 「ゆ……ゆぅぅぅぅぅぅ! おかーしゃぁぁぁん! まりしゃたちをひちょりにしにゃいでぇぇぇぇ!! まりしゃおかーしゃんいにゃいといきちぇいけにゃいよぉぉぉぉ!!」 「ゆ…ゆっ? ゆぅぅぅ!? それっちぇれーみゅたち、おかーしゃんにすちぇられりゅってこちょにゃのぉぉぉぉ!? そんにゃのやぢゃぁぁぁぁ! いくじほーきしゅるくじゅおやにゃんかしにぇぇぇぇぇ!! れーみゅをゆっくちしゃせにゃいおかーしゃんにゃんか、おやじゃにゃいよぉぉぉぉぉ!!」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おねがいじます! まりざとありずのちびちゃんたちを、かいゆっぐりにじでぐだざい! どっでもゆっぐりできるおちびちゃんたぢなんでず! にんげんざんにめいわぐをかけない、にんげんざんをゆっぐりさせるおちびちゃんでずから! もうすぐふゆになるのに、もうどごにもごはんがないんでず!! このままだと、おちびちゃんがうえじにしでじまいまず!! どうか、どうがおねがいじまずうううう!!」 「とってもとかいはなおちびちゃんなんでずう! まりざとありずはがいゆっぐりでした! いまはのらをやっでるけど、おちびちゃんたちはしっがりとかいはにそだててまず! あいさつもできるし、ごはんもぎょうぎよくたべるし、おといれもおぼえさぜでまず! れいぱーにもなりまぜん! だがら、おちびちゃんだぢをゆっぐりざせであげてぐだざい! ごはんとあったかと、ゆっぐりをくれるだけでいいでずがらあ!! おねがい! おちびちゃんがしんじゃううう!!」 そう言いながら、野良まりさとありすがまりさのお帽子の中から取り出したのは、弱りきった子まりさと子ありすだった。 子まりさの目はうつろで、ゆはー、ゆはーと小さい呼吸をしている。 頬もこけて、栄養失調で死に掛けているのだろう。 子ありすはゲホゴホと苦しそうに咳き込んでいる。 どうやら病気にかかっているようだ。 二匹の子ゆっくりはどちらも野良にしては妙に小奇麗で、両親もお帽子の中に入れて風に当たらないように大事に運んで来る辺り 随分と大切に育てられてきたのだろう。 いつか人間に拾ってもらって飼いゆっくりにして貰う時のために躾けもしてきたと言っている。 なるほど、あまりにも馬鹿な規格外品とか低ランク品とか、増長して飼い主を怒らせたとかで捨てられた元飼いゆっくりでは、こうはいかない。 何を思って前の飼い主が捨てたのかの事情はわからないが、少なくとも銀バッジ以上のランクはある飼いゆっくりたちだったようだ。 「そうか、お前らか。 最近この辺の家を回って、子供たちを拾ってもらおうとしている野良ゆっくりというのは」 人間は、近所の噂になっていたその野良の一家の弱りきった子まりさ・ありす姉妹をそっと手に取ると、親ゆっくりたちを見下ろした。 飼ってくれるのか!と期待を込めて人間を見上げる野良まりさと野良ありすであったが、その期待は思わぬ形で裏切られた。 「馬鹿だろう、お前ら」 その言葉と共に野良まりさの顔面に人間の靴の爪先が叩き込まれ、野良まりさは顔面に大きな凹みを作って後方に吹き飛ばされた。 それを、唖然として見つめる野良ありすの頭上に、間髪いれず叩き込まれるのは、同じく人間の踵落とし。 悲鳴すらあげる間もなく、野良の夫婦はビクビク、と痙攣し呻く饅頭になる。 捨てられる飼いゆっくりというのはこの街では珍しくも無い。 一説によれば、飼いゆっくりが飼い主によって不法に捨てられるのは犬や猫に比べて2倍~2.5倍もの割合になるという。 ゆっくりはその知能や受けた教育のレベルごとに等級で定められ、高ランクの金バッジ付きともなればペットショップで数万円、銀バッジでも数千円~1万円台にはなる。 ランクの高いものほど家畜として人間への貢献度が高い個体とされ、低ランクの銅バッジは数百円、バッジ無しではワンコインで買えるが 低ランクが気軽に買えることと、しかし高ランクでも簡単に捨てられてしまう事への関連はあまり無い。 ゆっくりは見た目は可愛い(あるいはキモ可愛い)ので愛玩動物としてはブームが続くほど人気商品であり、ゆっくり用フードや 玩具、衣服、散歩用リードやハウスなど様々な商品が販売され続けるくらいにはペット市場を賑わせている。 だが同時に、ゆっくりを嫌う人間も多い。 その一番の理由は、ゆっくりが「人間の言葉を喋る」ことにある。 ペットと意思疎通が出来るというのは、それが好きだという愛好家にとっては大きな長所である。 誰でも一度は、ペットが何を思っているのか、知りたいし、会話が出来たらいいのにと思う。 また、ゆっくりにはある程度の知能があることと合わせて介助ゆっくりや盲導ゆっくりなどの人間を助ける分野で活躍するゆっくりもおり、 それらの社会貢献の大きさに近年では「プラチナ」という特別ランクも新規に与えられようとする動きすらある。 しかし、常にそれが長所に働くとは限らない。 喋るという事は、同時に「喋って欲しくない時」にも「喋って欲しくない事」にも、喋る可能性があるという事だ。 「一言で言えばな、ウザいんだよお前らは。 人の家の玄関先でギャーギャー喚きやがって… 子供たちを助けて欲しくて必死なのはわかるがな。 昨日も隣と向かいの家で同じ事やってただろ? 聞こえてるんだよ、しっかりとな。 いい加減うるさい。 大声ださなくても人間にはちゃんと聞こえてるんだから少しは黙れ。 そんなんだからお前らは捨てられるんだ。 時と場合と場所を考えろ」 ゆ゛っゆ゛っ…と地面にはいつくばったまま呻いている野良まりさと野良ありすに、人間はいかにもイライラしているという表情を 顕にして言葉を投げかけるが、当のゆっくりたちはちゃんと見えてはいないだろう。 聞こえているかは微妙だが。 ゆっくりを捨てる人の大半は、「ゆっくりが喋ってウザい」事を理由に捨てている。 一旦、見て可愛いとか流行で興味を引かれてとかで購入し買い始めた人間の多くが、半年以内にゆっくりを捨てているという統計もある。 何しろ、ゆっくりは四六時中、何をするにもイチイチ自分の行動を口にするのだ。 「ゆっゆっ ゆっくりはねるよ!」 「ゆっくちころがりゅよ!」 「ごはんをたべるよ! むーしゃむーしゃ! しあわせー!」 「ゆー! しゅーぱーうんうんたーいみゅ! しゅっきり~!」 「ゆっくりおうたをうたうよ! ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」 「ゆっくりおひるねするよ! ゆぴー、ゆぴー」 「ゆっくりしずかにすすむよ! そーろそーろ!」 「ゆっくりあそぶよ! ぼーるさんゆっくりころがってね!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 はしゃぎまわる子供にウザいと感じるタイプの人間には、ゆっくりのこういう喧しさには耐えられない事も多い。 逆に、それが好きだという人間には、そういうゆっくりの性質はお馬鹿で可愛げのある生物に感じる。 無論、不必要に騒がない事を前提に躾けられた高ランク品のゆっくりも売りに出されているが、今度はゆっくりの わざとらしく感じる事さえある幼児語や、子ゆっくり・赤ゆっくりの過剰な崩した赤ちゃん言葉がイライラする、という人もいた。 人間に対して媚びるような感じなのも、裏があるようで嫌だ、という人もいる。 また、ゆっくりという生物が構造的には菓子類、饅頭であることの奇妙さに関連して、「饅頭の癖に子供を作るとか気持ち悪い」 とかいう、ゆっくり自身にとっては理不尽な理由で捨てられる場合もあった。 生物であるゆっくりに、そうした生物らしさを否定するような理由で嫌い、一度飼い始めたものを捨てる人間は大抵の場合 ゆっくりにそもそも非生物的な、アニメのキャラクターやファンシー系マスコットキャラのような「生々しくない」ペットを… つまり所、縫いぐるみとかペットゲームの中の架空のデジタルペットのようなイメージを勝手に抱いて購入した身勝手な人たちだ。 もっともゆっくりは「動く饅頭」であることを売りにする事で犬猫ハムスターより生々しくないペットとして、 ペット制限のあるマンションでも拒否されることは少ない事や非現実的な愛らしさを前面に出して売り始めたのだから こういう誤解が生じるのもある程度は仕方ない。 極端な場合、ゆっくりが飲食し排泄するというだけで嫌になり、捨ててしまう人もいるのだ。 ゆっくりの排泄物は多くが餡子などの糖分であり、衛生的にそれほど問題は無いのも賃貸住居でのペット制限の緩い理由の一つなのだが 嫌いな人には、出すものがなんであるかよりも「行為」の方が重要なのだ。 そういった「ゆっくりを嫌う」人たちの半数は、二度とゆっくりに関わらないか思考や意識から排除するが、 残りの半数はゆっくりを徹底的に嫌悪するようになる。 「そもそも何でお前ら、人間のところになんか来た? お前らを捨てたのは人間だろう。 捨てた人間がたまたま、お前らを気に入らなかっただけで、別の人間なら優しくしてもらえるとでも思っていたのか? 馬鹿なの? 甘いの? 餡子脳はもはや砂糖オンリーでできてるの? 世の中にはお前らが大嫌いで殺したいと思ってる人間なんか大勢居るんだが? 少なくとも、お前らが野良生活やってて、誰もお前らに優しくしたり、可哀想だから拾ってやろうって人間は居なかっただろ? 居たらお前ら、こんな野良生活してることも、子供を死にかけさせる事にもなってないだろ? まあ好きな人間でもお前ら汚い野良なんて、一度捨てられた元飼いゆっくりなんて、拾う奴は居ないよ。 お前たちが前は金バッジだったか銀バッジだったか知らないけがな。 とにかく、お前らは俺が、訪問先の人間が『ゆっくりを好んで痛めつけるタイプの人間』かもしれないとか思ったりしなかったのか?」 人間の長文台詞と長いナレーション解説文の間に、野良まりさと野良ありすはどうにかまともな思考が出来る程度には回復をし始めていた。 「ゆ…ゆびっ…ぞんな……まりざだぢなんにもわるいごどじでないのに……どぼじでっ!」 「……ありずは、ありずはおちびぢゃんだぢをゆっぐりざぜであげだがっただげよ! ありずだぢだって、いっしょうげんめいいぎでるのよ!? どおじでいじめるのよおおおお!! ごんなどがいはじゃないごどずるのおおおおおお!?」 ゆっくりを虐める人間というのは、二種類居る。 まず、楽しいから虐待する人間。 ゆっくりは人間に近い感情を持ち合わせているし、人間の言葉で喋り、泣き叫ぶ。 痛めつけたり泣かせれば、言葉というわかりやすい反応を示してくれる。 それが楽しいという人間で、しかし、それはアングラな趣味であると認識しているから、大抵は人目のある場所でそんな事はしない。少なくとも大っぴらにはしない事が多く、彼らの活動・交流の大半はインターネット上のやり取りだ。 彼らはゆっくりをどんなに虐待しても心が痛まないし、むしろ嬉々として行う。 アングラなコミュニティでは「いかにゆっくりに苦痛と絶望を与えて死なせるか」の方法について、共通の趣味人同士で その方法を議論しあったり、実際の過程の動画が画像をアップロードして楽しんでいる。 次に、嫌いだから、憎いからゆっくりを痛めつけ、殺す人間。 ゆっくりを可愛がる目的で飼ったことのある、もしくはゆっくりの嫌悪し唾棄すべき「生々しい」部分に不快感を覚えた事のある人間でほぼ占められる。 彼らの感情の根本は、ゆっくりに対する失望と「裏切られた」という思いだ。 可愛いペット生物として購入したはずなのに、実際には自分の期待と違った、思い通りにはなってくれなかったという ゆっくり自身から見れば理不尽極まる怒りによる、一種の八つ当たりでゆっくりを虐待し、最後には殺す。 多くがゆっくりという生物が存在することすら嫌悪し、その根絶を(実際に出来るか出来ないかはさておき)しょっちゅう口にする。彼らはゆっくりを虐待・迫害してもなんら心が痛まないのは上記のタイプと同じだが、違うのは、しばしば彼らは ゆっくりを殺すのは正しいと述べることだ。 彼ら曰く、ゆっくりというのは気持ち悪いだけの存在であり、殺したいと思うのは全人類の総意であるという。 ゆっくりに対して明確な憎悪を抱くし、それが悪いと思わないので、往来でも平気で野良ゆっくりを蹴り飛ばしたり、踏み潰す。 彼らは徹底して、この世界に存在するゆっくりは嫌いである。 彼らが殺さないゆっくりと言うのが存在するならば、それはこの世界でペットとして飼われたり野良として路地裏を這いずり回っていないゆっくりであろう。 「…俺はお前たちゆっくりなんて生き物はな、ウザムカつくし不愉快な存在しにか思ってない。 お前たちの馬鹿さ加減にはほとほと呆れるよ。 自分たちの未来に、ゆっくりできる事しか起こらないと思っている。 何でも自分の都合のいい方にしか考えないし、必要なことなのに『ゆっくりできない』と言って、苦難に直面しても逃避する。 そして結果として自滅する。 子供を増やしすぎたり、餌を集められなくて越冬が出来なかったりな。 ロードローラーにひき潰されそうになってるのに、自分は勝てると思って威嚇してる馬鹿も見たことある。 そんな馬鹿の極みの生き物なんかに、優しくしてやるとか思っているのか? 今まで回ってきた家ではそうで無かったんだろうが、出てきた人間がお前たちを問答無用で殺す人間だったらとか 考えた事は無かったのか? それとも考えたくなかったから、逃避したのか? 甘い考えに逃げ込んだのか? そんな馬鹿だから、飼い主にも捨てられるし、子供も死なせかけるんだよ。 後悔しても遅いけどな」 人間は、死刑宣告でも告げるかのように野良ゆっくりたちに冷たい視線と言葉を浴びせた。 そう、後悔しても遅かった、とまりさは思った。 この人間は、自分たちをけしてゆっくりさせてくれない人間なのだと思った。 それが解った所で、もうどうしようもなかった。 「ゆううううううう!! おちびちゃん…まりざとありずのおちびぢゃんがああああああ!!」 「やべでえええええ!! おちびぢゃんだぢをごろざないでええええ!! おねがいじまず、なんでも、なんでもじばずがらああああ!! どうが、とがいはなおちびちゃんたちのいのぢだげはああああああ!!」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おねがいでず…これ、これでなにが…たべものを…おちびちゃんだぢにわげであげでくだざい…」 「おにゃかしゅいたよ…」 「ゆぅ…」 「おねーちゃん…ゆぐっ」 買い物袋を提げて玄関の前でポケットから家の鍵を探していた時に、見るからに薄汚い野良ゆっくり達が後ろから声を掛けてきた。 その一家には以前、公園で見たことがあった。 歌を聞かせるから、お金かごはんをちょうだいね! とか言ってド下手糞なパフォーマンスを披露していた野良れいむの一家だ。 母れいむ、子れいむ、赤れいむと、れいむばかりのシングルマザー一家の中に何故か子さなえが混じっている。 さなえは希少種と言われ、ペットショップでは等級が銅バッジでも銀バッジ並の値段で売られている人気品種だが、野良で見るのは珍しい。 一帯どういう経緯でこの一家にさなえが生まれているのかは知らないが、子さなえも他の子れいむ赤れいむと並んで 母れいむの足元で空腹と疲労とで憔悴しきった顔をしてぐったりとしていた。 片目の潰れかけた、というか顔の半分が靴跡状に陥没して潰れかけた母れいむが器用に揉み上げの上に乗せて差し出す厚紙を受け取る。 見れは、そこには1000円札の模様と数字がプリントされていた。 「…何で野良ゆっくりがこんなものを持っているの? 何処で手に入れたんだか知らないけどさ」 「おうたのだいきんとしてもらったんだよ……でも、わるいにんげんさんが、とろうとして…れいむはやべでねっでいっだんだけど! だいじなおちびぢゃんだぢが、ふだりもごろざれで!! どおじで、どおじでごんなごど!! れいむだちががんばっでうだって、おどっで、おかねもらっだのに!! れいむだぢのおがねなのに!!」 残った片目を潤ませて涙声で訴える母れいむ。 そこには悲しさと悔しさが入り混じっていた。 そのゲスな人間は、れいむ一家が公園を出た直後に襲い掛かって一家の子供を二匹も潰し、残りの子供を人質にとって母れいむにお金を渡すように要求したが、 母れいむがついに折れて1000円札を差し出すと、途端に激怒して母れいむを蹴り飛ばし、唾を吐いてその場を立ち去ったという。 そして母れいむは、何故か人間が捨てて行ったその1000円札を持って、生き残ったおちびちゃん達を連れて公園を後にした。 子らの命を奪われた代わりに、どうにかお金を奪われなかった事を幸運に思いながら、残りのおちびちゃんたちにこれで何か 美味しいものを食べさせてあげられる、ベーコンサンドにしようかポンデリングにしようか、パスタにしようかと 楽しみにお店に持っていくが、どうしてかどこも買い物を拒否されるというのだ。 「おみせじゃどこも、これじゃかいものでぎないっで…! おかねなのに、れいむがひっしにまもったおがねなのに…!! おねがいでず、にんげんさん!! どうかそのおがねと、そのたべものをこうかんしでぐだざい! なんでもいいでずがら、ぜいだぐはいいまぜんがら!! おちびちゃんたち、いちにちじゅうがんばっでうだったんでず!! おなかがずいでるんでず!! このざいあめだまでもなんでもいいでずがらあ!! なにが…なにが…」 「うーん…困ったなあ……同情はするんだけどさあ、これじゃ何も買えないのは当たり前だし、 私も食べ物を交換してあげるわけには行かないと思うよ?」 「どぼじで! どぼじでそんないじわる…」 「だってさあ、これ、玩具のお金だもの。 本物じゃないの。 だから、ごめんね?」 母れいむは目を見開き、驚愕の姿勢で硬直した。 何日も何日も、公園で歌った。 今時歌だけじゃ誰も見向きもしてくれないと言われて、踊りも加えた。 下手糞すぎるといわれて、おちびちゃんたちと一生懸命レッスンした。 うるせえ!と罵声と共に石を投げつけられて、おちびちゃんの一人が潰され死んだ。 それでもおちびちゃんたちのために、頑張って毎日公園でパフォーマンスをしていた。 そうすればお金や食べ物がもらえると、信じて。 おちびちゃんたちの中で唯一、違う子の子さなえが言った。 れいむしか居ない一家の中で、何故か一人だけ違う種で生まれてきた変な子だったが、その明るく前向きな笑顔は母れいむを元気付けた。 「おかーさま、しんこうしつづけちぇいれば、いつかしあわせーになれりゅのです! しんじつづけりゅのがだいじです!」 小さな葉っぱの付いた小枝を口にくわえて振る「みこみこごっこ」をして遊ぶ子れいむ達や子さなえの笑顔が母れいむの支えだった。その笑顔を守るためならば、どんなに辛くても我慢すると自分に誓った。 そうして、ようやくお歌の代金を貰えるまでになったと思って、手に入れたお札に家族みんなで喜んで、 これで食べ物が買えると信じて、しかし悪人に奪われそうになり、子が犠牲になって、母れいむも片目を失って あげく、そのお金は偽物で…… 「ゆああああああああ!! そんなのっで! そんなのっでないよおおおおおお!! あんまりだああああ!! どおじで、どおじでごんなごどおおおおおお!? どぼじでかみざまは、れいむだぢばっがりいじめるのおおおおお!! しんじだのに、いっじょうげんめいしんじだのにいいいい!!」 母れいむの今まで耐えてきた分の感情が、やるせなさが決壊したダムのようにあふれ出し、大声で天に向かって慟哭する。 片目から流れ落ちる涙がポツリポツリと足元の子らに落ちて、「ゆっ! あめしゃん!?」と子らは驚いて目を覚ました。 「流石に可哀想になってきた……。 はあ…まったく…。 彼が野良が好きな理由がわかった気もする…。 こうしようか、私がお買い物できる本物のお金を上げる。 その代わり、あんたは……そうだね、その子さなえを私によこしなさい。野良でも希少種だし1000円の価値はあるでしょ」 「ゆっ…!? なにいっでるの!? おちびちゃんをうれだなんで…! れいむのおちびちゃんのなかで、ひとりだけちがうこだからって…!! しんこうとかわけわかんないこどいうこだがらってで…! しんじつづければどがいっで、しんじでもなんにもならながっだのに、きぼうなんがもだぜでれいむをだまじだこだがらっで!! みぞごなわないでね!! れいむをばがに… ……おねがいします、にんげんさん、このちびちゃんあげるから、おかねください」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、庭で飼っているゆっくりたちの家をダンボールから木箱やポリバケツに改修していると、 友人の訪問を受けた。 「こんちわー あの野良子まりさ元気? 何やってるの?」 「…雪が降ったらダンボールの家なんか、重みで潰されるからな。 壊れない家に建て直ししてやってるのさ」 「ふうん…中にタオルとか敷いてあげるんだ? 結構本格的だね。 あれ? なんかゆっくりが増えたね?」 「ああ、二家族ほど。 放っとくと凍死するか餓死するしかない奴らだからな。 俺はそういう奴らを見ると、鬼になりきれない」 「君の所で飼われるゆっくりは、どのみちふしあわせーだろうけどなあ…。 めっちゃ不味いフードか雑草しか食べられないんだから。 あ、そういえばさ、この間希少種のゆっくりさなえ拾ったんだ♪ なんと1000円で!」 「1000円…? ショップで買ったら最低でもその10倍はするだろう。 それホントにさなえか? 髪の色塗っただけのれいむとかじゃないか? 詐欺じゃないか?」 「ちゃんと本物だよ! まあ、野良だったけど…」 「嘘をつけ。 希少種が野良やってたら、一日も経たないで誰かに拾われて、その日のうちにネットで競売されてる。 虐待趣味か愛玩か…落札する奴は相場の3倍出しても欲しがるからな。 …というか、その拾ったさなえはちゃんとペット医に見せたか? 野良は病気を持ってたりして死にやすいんだぞ」 「拾ったのは事実だししょうがないじゃん、そんな事言われても。 お医者? 必要ないでしょ、風邪薬のませればゆっくりは治るんだし、君の所だって野良だらけだけど、病気で死んで無いじゃん」 そんな人間たちの会話を横目に、秋の色の濃い人間の庭でゆっくりの家族たちはそれぞれ紅葉する木々の景色をゆっくりと楽しんでいた。 「おかーしゃん、もみじさんきりぇいだね!」 「ゆっ、そうだね! まっかでひらひらおちてきて、とってもゆっくりしてるね!」 「おとーしゃん、もみじしゃんをおぼうしにつけてあげるにぇ!」 「ありがとうおちびちゃん、おぼうしがとってもきれいになったよ!」 「ゆぎぎ…まりざのうらぎりものおおお!!」 「おかーしゃん、おにゃかすいたよ…くさしゃんがきいろくにゃってたべられないよ…」 「むーしゃむーしゃ…ゆびぇぇ! もみじしゃんおいちくにゃいいい!! ごはんしゃんたべちゃいよおお!」 「おかーしゃん、れーみゅゃにあのこすもすさんとっちぇね! おいしそうだよ、ゆゆーん!」 「ゆっ!だめだよ! かってにたべたらにんげんさんにおこられるよ!」 「そーだよ! まりしゃもうつぶしゃれりゅのいやだよ!!」 「ゆー! れーみゅはおなきゃすいちぇるのに! くしょばばあ! にんげんしゃんにふみつぶしゃれてればよかったんだ!」 「「どおじでぞんなごどいうの(にょ)おおおお!?」」 「おちびちゃん、きょうもおくすりのもうね! はやくよくなってね!」 「ゆええ…おくしゅりにがいからいやなのじぇ…」 「とかいはじゃにゃいわ…」 「だめよ! とかいははにがいおくすりでものむものなのよ! それと、おくすりくれたにんげんさんにかんしゃしましょうね!」 賑やかな庭が冬を銅過ごしたかはまた別の話 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓×2、↓×3 野良れいむ一家から金銭を強奪するのは、少なくとも善良的な人間ではないよな? ※説明文のヤフ○クは、さなえの価値に気付かないことか? -- 2018-01-03 16 36 32 やっぱりこのお兄さんゆっくりに詳しいよな~。職業何やってるんだろう?何でこんなに詳しいのかね~? ・不味くて高いエサ→濃い味に慣れさせず、健康を考えたエサ ・キモまりさの件→元野良ゆっくりが見ず知らずの孤児を殺す可能性があるから ・今回の他一家訪問時の対応→野良の現状を正しく理解させ、生存率を上げた ・お姉さんの野良さなえ→素人目には分からない病原菌の危惧(ゴキブリを食べる野良を素手で触って平気だとでも?) -- 2018-01-03 16 30 24 何がゲス人間なんだゲス? -- 2016-02-28 07 26 15 ゲス人間てそんなゲス? -- 2016-01-15 10 58 38 最初の家族の子れいむ…すっげえゲスだな… てっきりあいつは死ぬかと思ったんだが生きのこりやがった…。…軽々しくゆっくりを潰さないのがこのお兄さんのいいところだし、まあ仕方あるまい。 -- 2011-01-17 00 32 20 女性の作者は父まりさ:ゲス、母れいむ:母性(笑)の設定を好むよね -- 2010-11-12 00 38 11 何と言う優しい人だ…でもまあゆっくりさなえは欲しいな -- 2010-10-24 03 38 44 文句言いつつも何だかんだで助けてるんだなぁ…このお兄さん好きだ。 そして、さなえゲットしたおねえさん、ラッキーすぎるw -- 2010-10-11 22 41 25 このシリーズ好きだわ~、現代にゆっくりがいたらまさにこれって感じがするわ~ -- 2010-07-23 14 51 43 「ふたば系ゆっくりいじめ 202 そして家族の崩壊」のシリーズ 最初の家族:父まりさ、養子キモまりさ(父まりさをおかーしゃんと呼ぶ)、末妹れいむ(親権は離婚れいむに有り。よく父まりさの所に遊びに来るという設定だったのでそのまま居着いたのだろう) 2つ目:離婚した母れいむ、{姉れいむ、妹まりさ}(この姉妹の行動が離婚の一因でもある。おにいさんに姉妹と一緒に離婚したれいむが住むことに目を瞑って貰っている模様) 3つ目:今回登場した母れいむ、生き残った子れいむと子まりさ。子れいむの方は逃げた父親のゲス因子がたぶん多め 4つ目:今回登場した父まりさ、母ありす、そして子まりさと子ありす -- 2010-01-26 01 23 14
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・本編が書きすすすまないので ・時系列的には本来は本編の後に入れる話でしたが、ネタバレはあまりありません ・ゲス人間の行動? ヤ○オクとか頭が回らないDQNだったんでしょう 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おいじじい、いまからここをまりささまのゆっくりぷれいすにするんだぜ! まりささまはつよいから、さからわないほうがみのためだぜ! いますぐおうちをあけわたしてどれいになれば、いのちだけはたすけてあげなくもないんだぜ!?」 「れいむのまりさはとってもつよいんだよ! からすさんものらねこさんもおいかえすんだよ! にんげんなんか、かんたんにやっつけちゃうよ! ゆふん!!」 「「「「おとーしゃんがんばっちぇー! くしょじじいにゃんかやっちゅけちゃぇー!!」」」」 まりさの左頬に深くめり込んだ人間の右フックは容赦なくまりさの内部の餡子を揺さぶり、ついでに歯を何本かへし折った。 丸い、頭部そのものが全身であるゆっくりの体は人間の手加減気味のパンチを食らっただけでゴムボールのように吹き飛んで、地面に転がる。 その時の拳の感触を何といって表現すればいいのだろう? けして軽くは無いはずの、柔軟で弾力がある饅頭生物は脆いように見えて、しかし意外と殴打したくらいでは結構暴力に耐える。 持ち上げる時には少なくない重量も感じる。 バレーボールくらいの体の大きさから見て体積もそれなりにある。 だが殴ったり蹴り飛ばしたりする時は、まるでギャグマンガみたいに軽く吹っ飛ぶのだ。 意思の作用する力がどうの、思い込みによる観測効果がどうのとか、難しい理屈をこねてゆっくりの不思議に挑む偉い学者もいるが、今はどうでもいい。 人間は地面にうつぶせになってピクピク痙攣しているまりさのくすんだ金色の髪を乱暴に掴み、自分の顔の高さにまで持ち上げた。 「ゆひぃ…ゆひぃ…やべでぐだざい…ばりざがわるがっだでず……にんげんざんのほうが、づよいでず… だずげでぐだざい…いのぢだげは……!」 もう既に何発殴られたのかすら、まりさにはわからないだろう。 ゆっくりは3以上の数を「大きい」「多い」「たくさん」「いっぱい」としか認識できないし、人間のほうも殴った回数をいちいち数えていない。 だから、また一発、今度はストレートで、髪を掴まれたままのまりさの顔面に一撃をぶち込んだ。 「ゆべりゃぁぁぁっ!! もうなぐらないでぇぇぇ!! だずげでぇぇぇ!! やだぁぁぁおうぢがえるぅぅぅ!? もういだいのやだよぉぉぉぉっ!! じんじゃうっ! じにだぐないよぉぉぉ!! ゆっぐりじだいよぉぉぉ!! おねがいごろざないでぇぇぇっ!! ゆるじでぇぇぇぇっ!?」 情けない悲鳴を上げながら命乞いする野良のまりさには、先ほどの人間の玄関前できった啖呵ほどの威勢は既に無い。 顔面を痣だらけにし、目から砂糖水の涙を流し、口の中は殴られすぎて歯が数本しか残っていないという無残な姿で必死に人間に許しを乞うているばかりだ。 今まで街に棲んでいる野良の生物を相手にどのように格闘し、勝利してきたかは人間は知るよしも無い。 だが、カラスや野良猫程度を追っ払えるくらいの実力を背景に、「きっと人間にも勝てる」とか思い上がったのは想像に固くない。 別にそんなゆっくりは、この街には掃いて捨てるほどいるし、人間もこの手の増長した野良ゆっくりに絡まれるのは二度三度では無かった。 だから特に、感慨も無い。 また一発、今度はアッパーを決めて、まりさのアゴだかぺにまむだか、あにゃるだかよくわからん部分に重いダメージを喰らわせた。 「ゆげろぉぉぉっ!!」 口と、口の下の穴から同時に餡子を噴出しながら、野良まりさは仰け反って一瞬空を飛び、そして後頭部から地面に墜落した。 「まりざああああぁぁぁぁ!! もうやべでぐだざいいいいっ!! れいむだぢのまげでずがらあああ!! まりざはもうごうざんじでるでじょおおお!? どうじでまだなぐるのおおおおお!?」 「「「「おとーしゃぁぁぁぁん!? ゆぇぇぇぇぇぇん!!」」」」 後ろのほうで、夫かつ父親が一方的にボコボコにされる一部始終を見せ付けられていた、野良まりさの家族は泣き叫びながらまりさに駆け寄ろうとする。 子らが野良まりさに体を摺り寄せようとし、妻であろう野良れいむは人間と愛する夫との間に庇うように立ち、大粒の涙を流しながら人間に訴えた。 が、人間は素早く野良れいむを片足で踏みつけ、動きを封じ、4匹の子ゆっくりたちのうち子まりさと子れいむを一匹ずつ両手で掴んで捕獲した。 「ゆぎぃぃぃぃ! いだいよぉぉぉはなじでぇぇぇ! どうじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!?」 「「ゆぴぃぃぃぃ!! たしゅけちぇおかーしゃぁぁぁぁん!!」」 「れーみゅのいもーちょがくるしがってるよ! やめてあげてね!」 「ゆぇーん!! おにぇーちゃぁぁぁん!!」 人間は両手に少しずつ力を込め、掴んだ子ゆっくりらをじわじわと握りつぶしてゆく。 五本の指は固くぎっちりとテニスボールサイズの子ゆっくりの体を締め付けているため、逃げる事ももがく事すらもままならない。 苦悶の表情と涙を流しながら必死に子まりさ・子れいむは父母に助けを求めたが、父は散々に痛めつけられて倒れたまま動かず、母は人間の足の下でもがき苦しんでいる。 残りの子ゆっくりたちは人間の足にポスポスと体当たりをして母と姉妹達を助けようと懸命な抵抗をするが、全く無意味だった。 「やべでぇぇぇ! ちびぢゃんだぢをはなじでぇぇぇ!!」 「断る」 ゆっくり、ゆっくりと万力のように緩慢に力を込めながら、人間は子ゆっくりの命を奪ってゆく。 締め付けられて縦長に変形した子ゆっくりたちの皮は、中身の餡子を変形させて相当な苦痛をもたらすと共に逃げ場の無くかかる圧力で破れる寸前までになっていた。 そして、野良れいむは愛する我が子が「ゆぴぴぴぴ…」と悶え苦しみながら、最後に口や体の裂けた部分から餡子を漏らして絶命する様を野良れいむは時間をかけてまざまざと見せ付けられた。 「たぢゅげ…おが…ぢゃ…ぐるじ……ゆびゅっ!」 「れーみゅまだちにちゃくにゃ……ぶびゅりゃっ!」 破裂するかのように無残な最期を遂げた我が子らの、人間の指の隙間からはみ出て落ちてきた餡子を顔に浴びながら母れいむは絶叫する。 その傍らで、残りの子ゆっくりらも受けた衝撃の大きさに全身と思考を硬直させ、固まったまま声にならない叫びを上げていた。 「ゆ…ゆわああああああああ!! れいむのおちびぢゃんだぢがあああああああ!! だいじなおちびぢゃんだじがあああああ!! まりざにぞっぐりですできなおちびぢゃんがあああ!! れいむによくにてがわいいおちびぢゃんがああああああ!! どおじでええええええぇぇぇぇっ!? どおじでごんなごどぉぉぉぉぉ!? おちびぢゃんはっ!! おちびぢゃんはなんにもじでないでしょおおおおおおっ!! どうじでっ!! ごろずなられいむだちだけにじでよぉぉぉぉ!! どおじでおちびぢゃんをごろずのおおおおおお!?」 だが人間は、野良れいむには答えない。 その視線は前方に倒れている…いや、倒れて動かないフリをして、実はゆっくりと這って逃走しようとしていた野良まりさに向けられていた。 人間は無言で足元で固まっている残った二匹の子ゆっくり、先ほどと同じ組み合わせである子まりさと子れいむを両手にそれぞれ掴んだ。 「ゆぴぃっ! た…たしゅけちぇぇぇぇ! にんげんしゃんにちゅかまっちゃよぉぉぉ!! つぶしゃれりゅうううう!!」 「ゆっ! まりしゃおしょらを…ゆわぁぁぁぁ!! たしゅけちぇぇぇぇ!!」 姉妹の握りつぶされる様をしっかり見せ付けられていた子ゆっくりは、即座に自分たちが次に殺される番なのだと理解し、泣き叫んで助けを求めるが、 母親は人間に踏みつけられたままで、父親は地面に倒れた姿勢のままプルプル震えている。 前者は動きたくても動けず、どうにか逃れようと体をムニュムニュと動かすのが精一杯だし、後者は既に気絶から覚醒しているのは見え透いているのに起き様としない。 「や、やべでぐだざい! そのごだぢはだずげでぐだざいいいいい!! おねがいでず、ごろざないでぇぇぇ…!!」 野良れいむは踏みつけられた窮屈な状態のまま人間を見上げ、懇願するが人間はれいむの方を見ようともしない。 代わりに、前方で震えているまりさの方に向かって口を開く。 「おい、まりさ」 「……」 「起きてるのはわかっている」 「……!!」 「これからお前の家族を皆殺しにする」 「ゆっ!!」 「だが、お前が身代わりに殺されてもいい、家族を助けてくださいと言うんだったら、そうしてやってもいい」 「……ゆ」 「どっちにする?」 二択だった。 人間が野良まりさの家族を殺すという宣言に間違いが無いのは、先ほど子ゆっくり二匹を容赦なく握りつぶして見せた事からも確かだろう。 この人間はゆっくりを痛めつけたり殺す事に一片の躊躇も持ち合わせていない。 いくら降参しましたと命乞いをしても、何度も何度も殴られ続けたまりさ自身が痛いほど理解しているだろう。 ゆっくりは仲間同士でさえもやたら好戦的な傾向にあるくせに、戦った相手が自分より強いとわかるとすぐに「ごべんなざい!」と謝り、 時には卑屈にへりくだってまでそれ以上攻撃される事を回避しようとする。 謝りさえすれば、全て許してもらえるだろうという魂胆が、ゆっくりの思考の根底にあるからだ。 ゆっくり同士の戦いなら、別にそれでいいんだろう。 他の野生動物も降参した相手の命までは取らない事が多い。 だが、人間という生き物は違う。 ゆっくりと人間は同種ではないし、人間にも様々なのが居る。 ゆっくりを殺したって、別に少しも心を痛めなかったり、むしろ喜んで行う人間も少なくない。 人間社会の大半にとってゆっくりは虫と同じ程度の命の価値だ。 好き好んで愛玩生物として飼育する人間も居るが、それは人間の都合でゆっくりを捕獲・監禁し玩具にしているだけだ。 ゆっくりを大事にしたり保護しようと活動している人も居るが、それは「人間の所有財産」、つまり家畜として、かけたお金や時間の浪費への執着があるから大事なのだったり 人間の自己満足による思想・イデオロギーによって「野生生物としてのゆっくりとの共存」を唱えているに過ぎない。 人間はあくまで人間の価値基準でしかゆっくりを見ない。 居ないなら居ないで、深刻に困るほどじゃない。 邪魔なら邪魔で、ハエでも潰すみたいに駆除する。 別に、ゆっくりがそんな人間という生物を、どんなにゆっくりできない存在で、悪魔みたいに思っていようとも、どうでもいい。 今の野良まりさの状況が、不運によるものか、それとも自業自得の結果なのか、「ゆっくりの習性だから人間に突っかかっていくのは仕方ない」なのか、 どう解釈しようと、それは解釈する人間の好きなようにすればいい。 確かなのは、今野良まりさの目の前に居るのはまりさがどんなに「やめて、ゆるして」と懇願しても、まりさの死か妻と子らの死の どちらかしか要求しない、「謝ったって絶対に許してはくれない」という絶望的な相手だという事だ。 それに対して、まりさは数秒間の間逡巡し、そしてあっけなく答えを出した。 「まりざは……まりざはまだじにだぐないよぉぉぉ! そいづらをごろじでいいがら、まりざはみのがじでね!! ごべんね! れーむもおちびだぢも、まりざのみがわりになっでね! まりざはゆっぐりじないでにげるよ!!」 そう言ってガバ、と体を起こすと猛然と逃走を始める。 それに対して、妻である野良れいむは「まりざああああああ!? ごのうらぎりものおおおおおお!!」と罵声を投げかけ、 子ゆっくりたちは泣き喚きながら自分らを見捨てた父親の後姿に向かって、まだ助けを求めていた。 人間は、そんなまりさの後姿を特に気にすることも無く、見送った。 猛然と逃走と書いたが、それは実際には野良まりさの主観である。 体中をボコボコに殴られて重傷を負っているまりさの動く速度は、跳ねる事も出来ず、かといって這う速度もナメクジの数分の一以下でしかなく、 人間との距離もまだ1mも離れても居ない。 加えて、まりさは歯が殆ど折れ、顔も痣だらけで醜い姿だ。 あんな状態では何日生きられるかも定かではない。 仮に生き延びても、野良の生活環境では満足に怪我を治療する術も無く、体に不具を背負ったまま後遺症に悩み続けるゆん生を送る事になるのだろう。 「ゆひぃ、ゆひぃ! まりさは…しぬのはいやなんだぜ…れいむとおちびたちのぶんまでゆっぐりずるんだぜぇ……! ゆひぃ…ぜぇぜぇ……おうぢにかえっだら…おとっどきのあまあまをたべで…ゆっぐりじで…… あだらじいおよめざんと…あだらじいおちびをづくっで……しあわぜにぃ……ゆひぃ……」 人間が家族を見捨て、自分ばかりが助かりたいと必死に逃げ行くまりさの惨めで哀れな姿から興味なさげに視線を外した時、 まりさはまだようやく人間の家の門柱を通り過ぎて道路にでようとした所でしかなかった。 この後の野良まりさが生きようと死のうと、人間にはどうでもいい。 ノロノロと這いずりながら道路に出て車に轢かれるのかもしれないし、下校途中の悪ガキに見つかって遊び殺されるのかもしれない 野良犬や野良猫やカラスに発見されて、食われるのかもしれない。 運良く自分のおうちまで辿りついたはいいが、他のゆっくりが既におうちを占拠していて住処を奪われた上に殺されるのでも、 あるいは辿りつく前に力尽きるのかもしれない。 それらよりも、人間の興味は既に残された野良まりさの家族たちに移っている。 「どおじでええ…あんなにいっじょにゆっぐりじようっでいっでだのにぃ…まりざぁ…!」 「ゆぇぇぇぇぇぇぇん! まりしゃまだちにたきゅにゃいよぉぉぉぉ! ちゅぶしゃれちゃくにゃいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぁぁぁぁぁん! きゃわいいれーみゅだけはたしゅけちぇぇぇぇ! にんげんしゃんをゆっくちしゃせてあげりゅかりゃぁぁぁ!」 足元で踏まれながら悲嘆にくれる野良れいむ。 父親に見捨てられ、絶望の涙を流しながらそれでも生きたいと叫ぶ子れいむ。 どうにかして助けてもらおうと必死に懇願する子まりさ。 人間は子まりさの発言にちょっとだけイラッとした表情を浮かべかけたが、反射的に潰してしまうような短絡的な事はせず 今度は野良れいむに向かって話しかけた。 「おい、れいむ。 子供たちを助けて欲しいか?」 「まりざ…まりざ……ゆっ!?」 「これからお前たちを皆殺しにする。 だが、お前か子供たちのどちらかは殺さないでやってもいい。 どちらを選ぶ?」 何の気まぐれか、人間が突きつけた選択は野良れいむにとって希望の光明に思えた。 内容そのものは先ほど野良まりさに出されたものとほぼ同じだったが、れいむには地獄で唯一の救いを見つけたような思いだった。 どちらを選ぶかなんて、そんなの決まっている。 子らの母親であるれいむは、迷うことなく人間に告げた。 「ゆ…それ、ほんとうだね? うそつかないよね? れいむかちびちゃんたちか、どっちかたすけてくれるんだね!? だったら、ちびちゃんたちをたすけてね! れいむはどうなってもいいよ! れいむをころしてちびちゃんはおうちにかえしてあげてね!!」 母親らしい毅然とした態度で、野良れいむは宣言した。 人間の両手に掴まれている子らもそれを聞いて絶望の叫びから一点して表情が変わる。 「ゆっ…おかあしゃぁぁぁぁん!!」 子まりさはキラキラした涙を一粒落し。 「ゆぅぅぅ! やっちゃよ! れーみゅたしゅかりゅよ! ゆっくち! ゆっくちー!」 子れいむは顔をキラキラ輝かせながらはしゃいで喜びを表現した。 が、しかし、人間は冷静に、野良れいむの我が子を思う自己犠牲の精神を一蹴した。 「…馬鹿かお前は? 子供たちが助かっても親のお前が死んだら、どうやってこいつらを育てるんだ? 子供たちだけでどうやって生きていくんだ? 餌はどうするんだ? 何を食べるのか、どこで手に入れるのか教えてるのか? 教えたとして、こいつら単独でそれができるまで育ってるのか? カラスとかの外敵から身を守る術は? 雨とか風とから隠れられる方法は知ってるのか? 台風とか冬とか特にどうするんだ? それとも、こいつらを預かってくれる奇特な知り合いがどっかにいるのか? 普通いないだろ? さっきの父親は一回お前らを見捨てたぞ? 今から追いかけて行って、子供たちを渡して家に帰すのか? あんなボロボロで汚くて、狩りもできるかどうかもわからない、今にも死にそうなまりさにか? お前たちを裏切って自分だけ助かろうとした、あのまりさにか? おいれいむ、本当にお前が死んでこいつらだけ残していいのか? それがお前の選択か? お前の選択は、はっきり言ってこの二匹に孤児になって飢えて寒くて守ってくれる存在も無くて惨めに死ねって言ってるのと同じだぞ? 自分で頭が悪いと思わないのか?」 「……………!!!」 「ゆ……ゆぅぅぅぅぅぅ! おかーしゃぁぁぁん! まりしゃたちをひちょりにしにゃいでぇぇぇぇ!! まりしゃおかーしゃんいにゃいといきちぇいけにゃいよぉぉぉぉ!!」 「ゆ…ゆっ? ゆぅぅぅ!? それっちぇれーみゅたち、おかーしゃんにすちぇられりゅってこちょにゃのぉぉぉぉ!? そんにゃのやぢゃぁぁぁぁ! いくじほーきしゅるくじゅおやにゃんかしにぇぇぇぇぇ!! れーみゅをゆっくちしゃせにゃいおかーしゃんにゃんか、おやじゃにゃいよぉぉぉぉぉ!!」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おねがいじます! まりざとありずのちびちゃんたちを、かいゆっぐりにじでぐだざい! どっでもゆっぐりできるおちびちゃんたぢなんでず! にんげんざんにめいわぐをかけない、にんげんざんをゆっぐりさせるおちびちゃんでずから! もうすぐふゆになるのに、もうどごにもごはんがないんでず!! このままだと、おちびちゃんがうえじにしでじまいまず!! どうか、どうがおねがいじまずうううう!!」 「とってもとかいはなおちびちゃんなんでずう! まりざとありずはがいゆっぐりでした! いまはのらをやっでるけど、おちびちゃんたちはしっがりとかいはにそだててまず! あいさつもできるし、ごはんもぎょうぎよくたべるし、おといれもおぼえさぜでまず! れいぱーにもなりまぜん! だがら、おちびちゃんだぢをゆっぐりざせであげてぐだざい! ごはんとあったかと、ゆっぐりをくれるだけでいいでずがらあ!! おねがい! おちびちゃんがしんじゃううう!!」 そう言いながら、野良まりさとありすがまりさのお帽子の中から取り出したのは、弱りきった子まりさと子ありすだった。 子まりさの目はうつろで、ゆはー、ゆはーと小さい呼吸をしている。 頬もこけて、栄養失調で死に掛けているのだろう。 子ありすはゲホゴホと苦しそうに咳き込んでいる。 どうやら病気にかかっているようだ。 二匹の子ゆっくりはどちらも野良にしては妙に小奇麗で、両親もお帽子の中に入れて風に当たらないように大事に運んで来る辺り 随分と大切に育てられてきたのだろう。 いつか人間に拾ってもらって飼いゆっくりにして貰う時のために躾けもしてきたと言っている。 なるほど、あまりにも馬鹿な規格外品とか低ランク品とか、増長して飼い主を怒らせたとかで捨てられた元飼いゆっくりでは、こうはいかない。 何を思って前の飼い主が捨てたのかの事情はわからないが、少なくとも銀バッジ以上のランクはある飼いゆっくりたちだったようだ。 「そうか、お前らか。 最近この辺の家を回って、子供たちを拾ってもらおうとしている野良ゆっくりというのは」 人間は、近所の噂になっていたその野良の一家の弱りきった子まりさ・ありす姉妹をそっと手に取ると、親ゆっくりたちを見下ろした。 飼ってくれるのか!と期待を込めて人間を見上げる野良まりさと野良ありすであったが、その期待は思わぬ形で裏切られた。 「馬鹿だろう、お前ら」 その言葉と共に野良まりさの顔面に人間の靴の爪先が叩き込まれ、野良まりさは顔面に大きな凹みを作って後方に吹き飛ばされた。 それを、唖然として見つめる野良ありすの頭上に、間髪いれず叩き込まれるのは、同じく人間の踵落とし。 悲鳴すらあげる間もなく、野良の夫婦はビクビク、と痙攣し呻く饅頭になる。 捨てられる飼いゆっくりというのはこの街では珍しくも無い。 一説によれば、飼いゆっくりが飼い主によって不法に捨てられるのは犬や猫に比べて2倍~2.5倍もの割合になるという。 ゆっくりはその知能や受けた教育のレベルごとに等級で定められ、高ランクの金バッジ付きともなればペットショップで数万円、銀バッジでも数千円~1万円台にはなる。 ランクの高いものほど家畜として人間への貢献度が高い個体とされ、低ランクの銅バッジは数百円、バッジ無しではワンコインで買えるが 低ランクが気軽に買えることと、しかし高ランクでも簡単に捨てられてしまう事への関連はあまり無い。 ゆっくりは見た目は可愛い(あるいはキモ可愛い)ので愛玩動物としてはブームが続くほど人気商品であり、ゆっくり用フードや 玩具、衣服、散歩用リードやハウスなど様々な商品が販売され続けるくらいにはペット市場を賑わせている。 だが同時に、ゆっくりを嫌う人間も多い。 その一番の理由は、ゆっくりが「人間の言葉を喋る」ことにある。 ペットと意思疎通が出来るというのは、それが好きだという愛好家にとっては大きな長所である。 誰でも一度は、ペットが何を思っているのか、知りたいし、会話が出来たらいいのにと思う。 また、ゆっくりにはある程度の知能があることと合わせて介助ゆっくりや盲導ゆっくりなどの人間を助ける分野で活躍するゆっくりもおり、 それらの社会貢献の大きさに近年では「プラチナ」という特別ランクも新規に与えられようとする動きすらある。 しかし、常にそれが長所に働くとは限らない。 喋るという事は、同時に「喋って欲しくない時」にも「喋って欲しくない事」にも、喋る可能性があるという事だ。 「一言で言えばな、ウザいんだよお前らは。 人の家の玄関先でギャーギャー喚きやがって… 子供たちを助けて欲しくて必死なのはわかるがな。 昨日も隣と向かいの家で同じ事やってただろ? 聞こえてるんだよ、しっかりとな。 いい加減うるさい。 大声ださなくても人間にはちゃんと聞こえてるんだから少しは黙れ。 そんなんだからお前らは捨てられるんだ。 時と場合と場所を考えろ」 ゆ゛っゆ゛っ…と地面にはいつくばったまま呻いている野良まりさと野良ありすに、人間はいかにもイライラしているという表情を 顕にして言葉を投げかけるが、当のゆっくりたちはちゃんと見えてはいないだろう。 聞こえているかは微妙だが。 ゆっくりを捨てる人の大半は、「ゆっくりが喋ってウザい」事を理由に捨てている。 一旦、見て可愛いとか流行で興味を引かれてとかで購入し買い始めた人間の多くが、半年以内にゆっくりを捨てているという統計もある。 何しろ、ゆっくりは四六時中、何をするにもイチイチ自分の行動を口にするのだ。 「ゆっゆっ ゆっくりはねるよ!」 「ゆっくちころがりゅよ!」 「ごはんをたべるよ! むーしゃむーしゃ! しあわせー!」 「ゆー! しゅーぱーうんうんたーいみゅ! しゅっきり~!」 「ゆっくりおうたをうたうよ! ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」 「ゆっくりおひるねするよ! ゆぴー、ゆぴー」 「ゆっくりしずかにすすむよ! そーろそーろ!」 「ゆっくりあそぶよ! ぼーるさんゆっくりころがってね!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 はしゃぎまわる子供にウザいと感じるタイプの人間には、ゆっくりのこういう喧しさには耐えられない事も多い。 逆に、それが好きだという人間には、そういうゆっくりの性質はお馬鹿で可愛げのある生物に感じる。 無論、不必要に騒がない事を前提に躾けられた高ランク品のゆっくりも売りに出されているが、今度はゆっくりの わざとらしく感じる事さえある幼児語や、子ゆっくり・赤ゆっくりの過剰な崩した赤ちゃん言葉がイライラする、という人もいた。 人間に対して媚びるような感じなのも、裏があるようで嫌だ、という人もいる。 また、ゆっくりという生物が構造的には菓子類、饅頭であることの奇妙さに関連して、「饅頭の癖に子供を作るとか気持ち悪い」 とかいう、ゆっくり自身にとっては理不尽な理由で捨てられる場合もあった。 生物であるゆっくりに、そうした生物らしさを否定するような理由で嫌い、一度飼い始めたものを捨てる人間は大抵の場合 ゆっくりにそもそも非生物的な、アニメのキャラクターやファンシー系マスコットキャラのような「生々しくない」ペットを… つまり所、縫いぐるみとかペットゲームの中の架空のデジタルペットのようなイメージを勝手に抱いて購入した身勝手な人たちだ。 もっともゆっくりは「動く饅頭」であることを売りにする事で犬猫ハムスターより生々しくないペットとして、 ペット制限のあるマンションでも拒否されることは少ない事や非現実的な愛らしさを前面に出して売り始めたのだから こういう誤解が生じるのもある程度は仕方ない。 極端な場合、ゆっくりが飲食し排泄するというだけで嫌になり、捨ててしまう人もいるのだ。 ゆっくりの排泄物は多くが餡子などの糖分であり、衛生的にそれほど問題は無いのも賃貸住居でのペット制限の緩い理由の一つなのだが 嫌いな人には、出すものがなんであるかよりも「行為」の方が重要なのだ。 そういった「ゆっくりを嫌う」人たちの半数は、二度とゆっくりに関わらないか思考や意識から排除するが、 残りの半数はゆっくりを徹底的に嫌悪するようになる。 「そもそも何でお前ら、人間のところになんか来た? お前らを捨てたのは人間だろう。 捨てた人間がたまたま、お前らを気に入らなかっただけで、別の人間なら優しくしてもらえるとでも思っていたのか? 馬鹿なの? 甘いの? 餡子脳はもはや砂糖オンリーでできてるの? 世の中にはお前らが大嫌いで殺したいと思ってる人間なんか大勢居るんだが? 少なくとも、お前らが野良生活やってて、誰もお前らに優しくしたり、可哀想だから拾ってやろうって人間は居なかっただろ? 居たらお前ら、こんな野良生活してることも、子供を死にかけさせる事にもなってないだろ? まあ好きな人間でもお前ら汚い野良なんて、一度捨てられた元飼いゆっくりなんて、拾う奴は居ないよ。 お前たちが前は金バッジだったか銀バッジだったか知らないけがな。 とにかく、お前らは俺が、訪問先の人間が『ゆっくりを好んで痛めつけるタイプの人間』かもしれないとか思ったりしなかったのか?」 人間の長文台詞と長いナレーション解説文の間に、野良まりさと野良ありすはどうにかまともな思考が出来る程度には回復をし始めていた。 「ゆ…ゆびっ…ぞんな……まりざだぢなんにもわるいごどじでないのに……どぼじでっ!」 「……ありずは、ありずはおちびぢゃんだぢをゆっぐりざぜであげだがっただげよ! ありずだぢだって、いっしょうげんめいいぎでるのよ!? どおじでいじめるのよおおおお!! ごんなどがいはじゃないごどずるのおおおおおお!?」 ゆっくりを虐める人間というのは、二種類居る。 まず、楽しいから虐待する人間。 ゆっくりは人間に近い感情を持ち合わせているし、人間の言葉で喋り、泣き叫ぶ。 痛めつけたり泣かせれば、言葉というわかりやすい反応を示してくれる。 それが楽しいという人間で、しかし、それはアングラな趣味であると認識しているから、大抵は人目のある場所でそんな事はしない。少なくとも大っぴらにはしない事が多く、彼らの活動・交流の大半はインターネット上のやり取りだ。 彼らはゆっくりをどんなに虐待しても心が痛まないし、むしろ嬉々として行う。 アングラなコミュニティでは「いかにゆっくりに苦痛と絶望を与えて死なせるか」の方法について、共通の趣味人同士で その方法を議論しあったり、実際の過程の動画が画像をアップロードして楽しんでいる。 次に、嫌いだから、憎いからゆっくりを痛めつけ、殺す人間。 ゆっくりを可愛がる目的で飼ったことのある、もしくはゆっくりの嫌悪し唾棄すべき「生々しい」部分に不快感を覚えた事のある人間でほぼ占められる。 彼らの感情の根本は、ゆっくりに対する失望と「裏切られた」という思いだ。 可愛いペット生物として購入したはずなのに、実際には自分の期待と違った、思い通りにはなってくれなかったという ゆっくり自身から見れば理不尽極まる怒りによる、一種の八つ当たりでゆっくりを虐待し、最後には殺す。 多くがゆっくりという生物が存在することすら嫌悪し、その根絶を(実際に出来るか出来ないかはさておき)しょっちゅう口にする。彼らはゆっくりを虐待・迫害してもなんら心が痛まないのは上記のタイプと同じだが、違うのは、しばしば彼らは ゆっくりを殺すのは正しいと述べることだ。 彼ら曰く、ゆっくりというのは気持ち悪いだけの存在であり、殺したいと思うのは全人類の総意であるという。 ゆっくりに対して明確な憎悪を抱くし、それが悪いと思わないので、往来でも平気で野良ゆっくりを蹴り飛ばしたり、踏み潰す。 彼らは徹底して、この世界に存在するゆっくりは嫌いである。 彼らが殺さないゆっくりと言うのが存在するならば、それはこの世界でペットとして飼われたり野良として路地裏を這いずり回っていないゆっくりであろう。 「…俺はお前たちゆっくりなんて生き物はな、ウザムカつくし不愉快な存在しにか思ってない。 お前たちの馬鹿さ加減にはほとほと呆れるよ。 自分たちの未来に、ゆっくりできる事しか起こらないと思っている。 何でも自分の都合のいい方にしか考えないし、必要なことなのに『ゆっくりできない』と言って、苦難に直面しても逃避する。 そして結果として自滅する。 子供を増やしすぎたり、餌を集められなくて越冬が出来なかったりな。 ロードローラーにひき潰されそうになってるのに、自分は勝てると思って威嚇してる馬鹿も見たことある。 そんな馬鹿の極みの生き物なんかに、優しくしてやるとか思っているのか? 今まで回ってきた家ではそうで無かったんだろうが、出てきた人間がお前たちを問答無用で殺す人間だったらとか 考えた事は無かったのか? それとも考えたくなかったから、逃避したのか? 甘い考えに逃げ込んだのか? そんな馬鹿だから、飼い主にも捨てられるし、子供も死なせかけるんだよ。 後悔しても遅いけどな」 人間は、死刑宣告でも告げるかのように野良ゆっくりたちに冷たい視線と言葉を浴びせた。 そう、後悔しても遅かった、とまりさは思った。 この人間は、自分たちをけしてゆっくりさせてくれない人間なのだと思った。 それが解った所で、もうどうしようもなかった。 「ゆううううううう!! おちびちゃん…まりざとありずのおちびぢゃんがああああああ!!」 「やべでえええええ!! おちびぢゃんだぢをごろざないでええええ!! おねがいじまず、なんでも、なんでもじばずがらああああ!! どうが、とがいはなおちびちゃんたちのいのぢだげはああああああ!!」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、野良ゆっくりの一家の訪問を受けた。 「おねがいでず…これ、これでなにが…たべものを…おちびちゃんだぢにわげであげでくだざい…」 「おにゃかしゅいたよ…」 「ゆぅ…」 「おねーちゃん…ゆぐっ」 買い物袋を提げて玄関の前でポケットから家の鍵を探していた時に、見るからに薄汚い野良ゆっくり達が後ろから声を掛けてきた。 その一家には以前、公園で見たことがあった。 歌を聞かせるから、お金かごはんをちょうだいね! とか言ってド下手糞なパフォーマンスを披露していた野良れいむの一家だ。 母れいむ、子れいむ、赤れいむと、れいむばかりのシングルマザー一家の中に何故か子さなえが混じっている。 さなえは希少種と言われ、ペットショップでは等級が銅バッジでも銀バッジ並の値段で売られている人気品種だが、野良で見るのは珍しい。 一帯どういう経緯でこの一家にさなえが生まれているのかは知らないが、子さなえも他の子れいむ赤れいむと並んで 母れいむの足元で空腹と疲労とで憔悴しきった顔をしてぐったりとしていた。 片目の潰れかけた、というか顔の半分が靴跡状に陥没して潰れかけた母れいむが器用に揉み上げの上に乗せて差し出す厚紙を受け取る。 見れは、そこには1000円札の模様と数字がプリントされていた。 「…何で野良ゆっくりがこんなものを持っているの? 何処で手に入れたんだか知らないけどさ」 「おうたのだいきんとしてもらったんだよ……でも、わるいにんげんさんが、とろうとして…れいむはやべでねっでいっだんだけど! だいじなおちびぢゃんだぢが、ふだりもごろざれで!! どおじで、どおじでごんなごど!! れいむだちががんばっでうだって、おどっで、おかねもらっだのに!! れいむだぢのおがねなのに!!」 残った片目を潤ませて涙声で訴える母れいむ。 そこには悲しさと悔しさが入り混じっていた。 そのゲスな人間は、れいむ一家が公園を出た直後に襲い掛かって一家の子供を二匹も潰し、残りの子供を人質にとって母れいむにお金を渡すように要求したが、 母れいむがついに折れて1000円札を差し出すと、途端に激怒して母れいむを蹴り飛ばし、唾を吐いてその場を立ち去ったという。 そして母れいむは、何故か人間が捨てて行ったその1000円札を持って、生き残ったおちびちゃん達を連れて公園を後にした。 子らの命を奪われた代わりに、どうにかお金を奪われなかった事を幸運に思いながら、残りのおちびちゃんたちにこれで何か 美味しいものを食べさせてあげられる、ベーコンサンドにしようかポンデリングにしようか、パスタにしようかと 楽しみにお店に持っていくが、どうしてかどこも買い物を拒否されるというのだ。 「おみせじゃどこも、これじゃかいものでぎないっで…! おかねなのに、れいむがひっしにまもったおがねなのに…!! おねがいでず、にんげんさん!! どうかそのおがねと、そのたべものをこうかんしでぐだざい! なんでもいいでずがら、ぜいだぐはいいまぜんがら!! おちびちゃんたち、いちにちじゅうがんばっでうだったんでず!! おなかがずいでるんでず!! このざいあめだまでもなんでもいいでずがらあ!! なにが…なにが…」 「うーん…困ったなあ……同情はするんだけどさあ、これじゃ何も買えないのは当たり前だし、 私も食べ物を交換してあげるわけには行かないと思うよ?」 「どぼじで! どぼじでそんないじわる…」 「だってさあ、これ、玩具のお金だもの。 本物じゃないの。 だから、ごめんね?」 母れいむは目を見開き、驚愕の姿勢で硬直した。 何日も何日も、公園で歌った。 今時歌だけじゃ誰も見向きもしてくれないと言われて、踊りも加えた。 下手糞すぎるといわれて、おちびちゃんたちと一生懸命レッスンした。 うるせえ!と罵声と共に石を投げつけられて、おちびちゃんの一人が潰され死んだ。 それでもおちびちゃんたちのために、頑張って毎日公園でパフォーマンスをしていた。 そうすればお金や食べ物がもらえると、信じて。 おちびちゃんたちの中で唯一、違う子の子さなえが言った。 れいむしか居ない一家の中で、何故か一人だけ違う種で生まれてきた変な子だったが、その明るく前向きな笑顔は母れいむを元気付けた。 「おかーさま、しんこうしつづけちぇいれば、いつかしあわせーになれりゅのです! しんじつづけりゅのがだいじです!」 小さな葉っぱの付いた小枝を口にくわえて振る「みこみこごっこ」をして遊ぶ子れいむ達や子さなえの笑顔が母れいむの支えだった。その笑顔を守るためならば、どんなに辛くても我慢すると自分に誓った。 そうして、ようやくお歌の代金を貰えるまでになったと思って、手に入れたお札に家族みんなで喜んで、 これで食べ物が買えると信じて、しかし悪人に奪われそうになり、子が犠牲になって、母れいむも片目を失って あげく、そのお金は偽物で…… 「ゆああああああああ!! そんなのっで! そんなのっでないよおおおおおお!! あんまりだああああ!! どおじで、どおじでごんなごどおおおおおお!? どぼじでかみざまは、れいむだぢばっがりいじめるのおおおおお!! しんじだのに、いっじょうげんめいしんじだのにいいいい!!」 母れいむの今まで耐えてきた分の感情が、やるせなさが決壊したダムのようにあふれ出し、大声で天に向かって慟哭する。 片目から流れ落ちる涙がポツリポツリと足元の子らに落ちて、「ゆっ! あめしゃん!?」と子らは驚いて目を覚ました。 「流石に可哀想になってきた……。 はあ…まったく…。 彼が野良が好きな理由がわかった気もする…。 こうしようか、私がお買い物できる本物のお金を上げる。 その代わり、あんたは……そうだね、その子さなえを私によこしなさい。野良でも希少種だし1000円の価値はあるでしょ」 「ゆっ…!? なにいっでるの!? おちびちゃんをうれだなんで…! れいむのおちびちゃんのなかで、ひとりだけちがうこだからって…!! しんこうとかわけわかんないこどいうこだがらってで…! しんじつづければどがいっで、しんじでもなんにもならながっだのに、きぼうなんがもだぜでれいむをだまじだこだがらっで!! みぞごなわないでね!! れいむをばがに… ……おねがいします、にんげんさん、このちびちゃんあげるから、おかねください」 冬のゆっくりと近づきつつあるその日、庭で飼っているゆっくりたちの家をダンボールから木箱やポリバケツに改修していると、 友人の訪問を受けた。 「こんちわー あの野良子まりさ元気? 何やってるの?」 「…雪が降ったらダンボールの家なんか、重みで潰されるからな。 壊れない家に建て直ししてやってるのさ」 「ふうん…中にタオルとか敷いてあげるんだ? 結構本格的だね。 あれ? なんかゆっくりが増えたね?」 「ああ、二家族ほど。 放っとくと凍死するか餓死するしかない奴らだからな。 俺はそういう奴らを見ると、鬼になりきれない」 「君の所で飼われるゆっくりは、どのみちふしあわせーだろうけどなあ…。 めっちゃ不味いフードか雑草しか食べられないんだから。 あ、そういえばさ、この間希少種のゆっくりさなえ拾ったんだ♪ なんと1000円で!」 「1000円…? ショップで買ったら最低でもその10倍はするだろう。 それホントにさなえか? 髪の色塗っただけのれいむとかじゃないか? 詐欺じゃないか?」 「ちゃんと本物だよ! まあ、野良だったけど…」 「嘘をつけ。 希少種が野良やってたら、一日も経たないで誰かに拾われて、その日のうちにネットで競売されてる。 虐待趣味か愛玩か…落札する奴は相場の3倍出しても欲しがるからな。 …というか、その拾ったさなえはちゃんとペット医に見せたか? 野良は病気を持ってたりして死にやすいんだぞ」 「拾ったのは事実だししょうがないじゃん、そんな事言われても。 お医者? 必要ないでしょ、風邪薬のませればゆっくりは治るんだし、君の所だって野良だらけだけど、病気で死んで無いじゃん」 そんな人間たちの会話を横目に、秋の色の濃い人間の庭でゆっくりの家族たちはそれぞれ紅葉する木々の景色をゆっくりと楽しんでいた。 「おかーしゃん、もみじさんきりぇいだね!」 「ゆっ、そうだね! まっかでひらひらおちてきて、とってもゆっくりしてるね!」 「おとーしゃん、もみじしゃんをおぼうしにつけてあげるにぇ!」 「ありがとうおちびちゃん、おぼうしがとってもきれいになったよ!」 「ゆぎぎ…まりざのうらぎりものおおお!!」 「おかーしゃん、おにゃかすいたよ…くさしゃんがきいろくにゃってたべられないよ…」 「むーしゃむーしゃ…ゆびぇぇ! もみじしゃんおいちくにゃいいい!! ごはんしゃんたべちゃいよおお!」 「おかーしゃん、れーみゅゃにあのこすもすさんとっちぇね! おいしそうだよ、ゆゆーん!」 「ゆっ!だめだよ! かってにたべたらにんげんさんにおこられるよ!」 「そーだよ! まりしゃもうつぶしゃれりゅのいやだよ!!」 「ゆー! れーみゅはおなきゃすいちぇるのに! くしょばばあ! にんげんしゃんにふみつぶしゃれてればよかったんだ!」 「「どおじでぞんなごどいうの(にょ)おおおお!?」」 「おちびちゃん、きょうもおくすりのもうね! はやくよくなってね!」 「ゆええ…おくしゅりにがいからいやなのじぇ…」 「とかいはじゃにゃいわ…」 「だめよ! とかいははにがいおくすりでものむものなのよ! それと、おくすりくれたにんげんさんにかんしゃしましょうね!」 賑やかな庭が冬を銅過ごしたかはまた別の話