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『募金』 13KB 制裁 思いやり 野良ゆ ゲス 現代 24作目です。 『募金』 えっと、冷凍うどんと野菜と今晩のお惣菜、あと他に買うものは無いよなぁ、よし。 お、ちょうど空いてるレジがあった、ラッキー 「以上で966円になります」 1000円札を受け皿に乗せると、店員さんから品物の入ったビニール袋を直接受け取った。 一般的なスーパーマーケットなどで買い物をしたとき、買った物を自分で袋に詰める必要があるのだが、 このお店では、量が少なければ店員さんが直接品物を入れてくれるらしい。 「ありがとうございました、またお越しくださいませ」 その言葉自体は機械的だけど、言葉と一緒に会釈をされると、なんだかおじぎを返したくなるんだよなぁ、 あれ、ああ無意識に頭を下げてしまった。 買い物をするだけなのに、客がおじぎをするのも変かな?どうなんだろう。 店員さんから変な人と思われてないだろうか? そういえば、お釣りを受け取るときの表情はどんな風に見えたんだろう、ぎこちなかったかな? レシートを折りたたむタイミングはあれで良かったかな? それと財布にお金をしまうのが少し早くなかったかな? 早すぎるとせっかちに思われるかもしれないし、遅すぎても鈍いと思われるかもしれない…… 色々なことを考えながらお店の出口へ向かって行くと、何かの文字が視界に入った。 それから3秒ほど経った後、その言葉が頭の中に入ってきた。 「義援金……」 そこでふと立ち止まった。 たしか、サービスカウンターの隅に義援金の文字があったな。 お財布の中には1000円札がそれなりに…… いや、でもここで今引き返すのも何だか不自然だし、それこそ変な人だと思われないだろうか? でも、ここで募金しなかったらきっと後悔する、 だからここは引き返してでも・・・ いや、後悔するとかしないとかじゃなくて、自分が募金したいからするんであって、 細かいことを気にする必要はないじゃないか。 サービスカウンターの前に行き、財布からおもむろに1000円札を取り出すと、 それを見た店員さんはふっと姿勢を正した。 「恐れ入ります」 あぁ、そう言われるとなんだか照れくさいな、 早くお金を入れてこの場から離れよう。 ……あれ、この募金箱、小銭を入れる隙間しかない。 お札はどうやって入れるんだろう…… えっと、えっと、とりあえず店員さんに渡そうか。 「どうぞ」 「え、はい、えっと、こちらですよね」 「え?え、あ・・そうです募金です、募金です」 「はい、わかりました。ありがとうございます」 店員さんは少し戸惑った様子を見せ、受け取ったお金が募金であることが分かると 1000円札を折りたたんで募金箱にそっと入れた。 その表情は何となく嬉しそうであり、おごそかでもあった。 ああそうか、何も言わずいきなりお金だけ渡されてもそりゃ困惑するだろうな。 無理にでも募金箱にお札を入れておけばよかったな。 なんだか恥ずかしいなぁ、早く帰ろう。 買い物袋を提げて歩いていると、ふと先ほどのことが頭に浮かんだ。 さっきは店員さんにお金を渡したけど、よく考えたら店員さんが募金箱にお金を入れるのも変な話だ。 力になりたいという自分の意志で、募金箱に直接お金を入れようとしていたのに、 その間に店員さんが介入したら、募金じゃなくてただの徴収になってしまうような…… いや、そもそも店員さんに直接お札を手渡してしまったのは自分のミスであるわけだし、 それに自分としては、ただ募金できれば良かった訳で、別に体裁を取り繕おうとは考えてなくて…… いや、それだとなんだか冷たい感じがしないだろうか? 募金は気持ちが大事なのに、その気持ちを伝えられないようでは募金の意味が無いような…… いやでも、気持ちを前に出しすぎると、何か見返りを期待しているように見えていやらしいような…… ん、なんだあれ? 「ゆっくりぼきんしていってね!!にんげんさん、あわれなれいむのためにゆっくりぼきんしていってね!!」 野良のゆっくりだろうか、電柱の傍に空き缶を置き、しきりに募金募金と言っている。 先ほどの件もあり、少し興味が沸いたので近くに行ってみることにした。 「ゆ!?にんげんさんぼきんしていってね、たくさんでいいよ!!」 「さっきから募金募金とうるさいんだが、お前はここで募金活動をしているのか?」 「そんなことみればわかるでしょ?にんげんさんはばかなの?」 とても募金を求める側の発言とは思えない。 そんなことを言われて募金する人がいるだろうか……。 「なるほどねぇ、ゆっくりが募金か。っで、何の募金をしてるんだ?」 そういうと、野良れいむはゆっへんと体を起こして得意げな顔をする。 「れいむはあまあまさんがたべたいんだよ、だからあまあまさんをかうおかねをぼきんしてるんだよ!!」 「つまり、私利私欲のために募金活動をしてるわけだな」 「ゆ?なにかもんくでもあるの?にんげんさんだっておかねをもらうためにぼきんしてるでしょ? わかったらとっととれいむにおかねをわたしてね!!」 人間が行う募金と、こいつのやってる募金もどきは根本から違う。 募金に明確な定義があるかどうか分からないけど、 自分が得をするために募金活動をしてます、と言う人はいないだろう。募金詐欺は別だが。 また、僧侶が道端で托鉢を行っているのを時々見かけるのだが、 結果的に自分たちの食費になってはいるものの、あれは修行の一環としてやっているのであって、 托鉢で得をしようという考えは微塵もあるはずがない。 つまり、こいつの言う募金は托鉢とも全く異なる。 こいつのやっていることは、はっきり言うと”物乞い””かつあげ”だ。 まぁ、募金とやらの意図ははっきりと明言してるから、詐欺ではないのが唯一の取り柄だが。 「そうか、わかった。募金してやろう」 「ゆ!はやくぼきんしてね!!あまあまさんがいっぱいたべれるだけぼきんしてね!!」 「ただし条件がある」 「ゆ?」 ぽかんと間抜けな表情をする野良れいむ、 自ゆんの口元からよだれが垂れているのに気がついていない様子だ。 「本来、募金活動は自分以外の者に対して、物的、金銭的な援助をするために行っている。 だから今回も募金したそのお金で、他の野良ゆっくりのためになることを実行すること、 それが今回、俺が募金をしてやる条件だ」 「ゆ?どういうこと?」 はてなと首をかしげる野良れいむ、 自ゆんでは可愛いと思っているのかもしれないが、はっきり言ってキモい。 「例えば募金したお金で飴玉を買ったとしたら、その飴玉を他のゆっくりにも舐めさせてやる、といったことだ」 「ゆゆ!?それじゃあれいむはあまあまさんがたべれないよ!!」 「いや、飴玉を食べるな!とは言わない。他のゆっくりのためになったその時、いっしょにお前も飴玉を食べたらいい」 「ゆ、それならおっけーだよ!!はやくぼきんしてね!!」 体をくねくねと動かして嬉しさを表現する野良れいむ、 はっきり言って気味が悪い。 空き缶の上に10円玉を軽くいったん乗せ、そのまま手のひらの中に硬貨をしまいこむ。 「ゆ?」 「まぁ募金といっても、ゆっくりであるお前が物を買えるわけがないだろうから、募金したお金で飴玉を買ってきてやろう」 「とっとともってきてね!!れいむははやくあまあまさんがたべたいよ!!」 野良れいむは体をピンと伸ばして、キリッとした目を見せる。 その姿を見て、自分の頭の中でアドレナリンが大量に分泌される感覚を覚えた。 さっそく先ほどのスーパーで、飴玉を1つだけ買ってくることにした。 野良れいむとのやり取りで何となく吹っ切れて、 スーパーで飴玉1つだけを買うことに、さほど恥ずかしさは感じなかった。 「買ってきたぞ」 「ゆゆ、とっととあまあまさんをよこしてね!!」 「ん?あっちに野良のゆっくりがいるが、連れてこないのか?」 「ゆ?どうしてつれてくるひつようがあるの?それよりあまあまさん!!」 もうすでに、募金の条件を忘れてしまったらしい。 「他のゆっくりのためになることをするのが募金の条件だったよな。 それが実行できないというのなら、俺が行った募金自体が無効になる。 よってこの飴玉はお前の物ではなくなり、俺のもとに戻ることになる」 「ゆ!?それはだめだよ、はやくあっちのまりさをつれてきてね!!」 「おいおい、俺があの野良まりさを連れて来たら、お前の役目が無くなるだろ。 そうなると、他のゆっくりのためになることができてないから、お前は飴玉を食べられなくなる。それでいいのか?」 「ゆっ、ゆっくりりかいしたよ、まりさをつれてくればいいんでしょ!ほんとうにおうっようのきかないにんげんさんだね!!」 そう吐き捨てると野良れいむは、向こうのほうにいる野良まりさに近づいていき、 ちょこちょこと何かを言って、野良まりさといっしょにこっちに向かってきた。 こちらにやってくる野良れいむと野良まりさ、どっちも卑しそうな顔をしている。 「ゆっ、ゆっ、にんげんさん、まりさをつれてきたよ」 「ほんとうにまりさがそのあまあまさんをたべてもいいのぜ?」 「そうだよ、まりさのためにれいむがあまあまさんをよういしたんだよ、ゆっくりたべていってね!!」 「それならゆっくりいただくんだぜ」 野良まりさは地面に置かれた飴玉に近づき、舌を小さくペロペロと動かし始める。 「ぺーろぺーろ、し、し、しあわせーーーーー」 「いい顔してるじゃないか、なぁ、れいむ」 「ゆ、そうだね、まりさはゆっくりしていってね!!」 「ゆん、いっぱいゆっくりさせてもらうのぜ」 飴玉を舐めて幸せそうな顔をする野良まりさ、 一方で飴玉を舐めていない野良れいむは、もどかしそうな顔をしている。 「ぺーろぺーろ、ゆーーーんあまあま~~~」 「ゆっ・・・・・」 「あまあまさんがちいさくなってきたから、まりさはおくちのなかにあまあまさんをいれるんだぜ」 「ゆ!それいじょうはだめだよ、それはれいむのあまあまさんなんだよ!!」 「いやさっきお前は、このまりさのために飴玉を用意したって言ったよな」 「そうなんだぜ、このあまあまさんはれいむがまりさにくれたものなんだぜ!! だからまりさはこのあまあまさんをぜんぶもらうんだぜ!!むーしゃむーしゃ」 「どぼぢでぞんな゛ごどい゛うのぉお゛お゛お゛お゛お゛お゛」 飴玉を頬張る野良まりさを、泣きながら横で見つめる野良れいむ、 その後ぴょんぴょんと跳ねて、しきりに悔しさを訴え始めた。 ここにきて初めて、この野良れいむが少し哀れに思えてしまった。 対して、嬉しそうに飴玉を食べる野良まりさの表情は、非常に憎たらしく見える。 「れいむだってあまあまさんたべたいんだよ!!」 「だってよ、まりさはどうなんだ?その飴玉をれいむに舐めさせてやる気はあるか?」 「ゆ?このあみゃあまさんはまりさにょものなんらぜ、れいむにあげるうぁけないんだぜ!!むーしゃむーしゃ」 「だとよ、あはははは」 ぐちゅっ 「ゆ!?」 「ぎゅっ・・・どぼでぃでぇ・・・・・・・」 踏みつけた足をそっとあげると、ペチャンと潰れた野良まりさの帽子が見えた。 「も゛っど・・・ゆっびゅじじだがっだよ゛・・・・・」 口の中に飴玉を頬張ったまま、野良まりさはその場で断末魔を放った。 ピクピクと痙攣はしているが、もう二度と飴玉を食べることはなさそうだ。 「なぁれいむ、俺がこの野良まりさを潰した理由が分かるか?」 「ゆ・・・・・・」 野良れいむは言葉が出ないようだ。 「この野良まりさは、飴玉をくれたお前に対して感謝の気持ちを示さず、1粒の飴玉を譲り合おうという気持ちも持っていなかった。 募金をした俺からすると、他にも1粒の飴玉を求めている人がいるのに、こんな卑しい奴のために募金をしてしまった、 そのことで、この野良まりさに対しても自分に対しても憤りを感じた。だから自らの足を汚して、野良まりさを潰した」 「ゆっ・・・・・・・・」 「まぁ、お前には良く分からないことだろうなぁ。それから……」 野良れいむに近づいていき、足首をグルグルと回して腱を伸ばす。 「今からお前を潰そうと思うんだが、理由は分かるか?」 「ゆ!?」 「5……」 野良れいむはビックリした顔をする。 「4……3……」 「ゆゆっ」 野良れいむは目を大きく見開く。 「2……1」 「にんげんさん、その・・・・」 「なんだ?」 「ごべんな゛ざい゛!!れ゛いむ゛のおぐぢがわ゛るがっだでず!!はんっせいしでまず!!だから゛ごろざないでぐだざい゛!!」 「……0」 ブジュッ 「ゆぎ・・・・・・・・ゆ?」 野良れいむではなく、潰れていた野良まりさを上から踏んでとどめをさした。 「生意気な言葉についてはんっせいしてるのは分かった、それはもう許してやろう、それはそれでいい。 だが、それはそうと他にもう一つ、俺に対して何か言うことがないか?」 「ゆっ・・・にんげんさん・・・・・」 「なんだ?」 「れいむにもあまあまさんをよこしてね、2つでいいよ!!」 ぐじゃっ 「ゆげぇええええ」 「やはりな。最初から分かってたが、お前は自ゆんのためだけに募金とやらをしていたんだ」 「ゆぐぐぐぐぐぐ」 「さらに言うと、募金をした俺に対して感謝の言葉も全くなかった」 「いじゃいいいいいいい」 「別に俺は感謝されたいと思ってる訳じゃない。ただなぁ、 お前は己の卑によって『募金』という言葉を汚したんだ。そのことだけは絶対に許さねぇ」 「やめでぇえええええええ」 「募金はなぁ、お互いの気持ちが繋がってないと成り立たないんだよ。 ゆっくりごときが、募金と銘打って金をたかるんじゃねぇよ」 ずしゃっ 「ゆ゛っ・・・・・ゆ゛っ・・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・もっど・・・・ゆっぐじ」 グシャッ 死に際の言葉を言い終える前に、野良れいむを潰してやった。 野良れいむは結局、飴玉を口にすることなく死んでしまった。 あぁ、自ゆん勝手なゆっくりたちを殺してやったのに、何となく虚しい。 自制心の無いゆっくりと一緒にいると、何故か憂鬱になってしまう。 なんだか胸のあたりがチクチクしてきた。 そこでふと飴玉を買ったことを思い出し、飴玉の袋の内側を見てみた。 するとそこには、『当たり』の文字が小さく書かれていた。 おや、飴玉の当たりなんか相当久しぶりに見たな、 小さいころ、当たりの飴玉袋を集めて、いっぺんに飴玉を交換しに行って、 交換した3つのうち、2つがまた当たりだったのはいい思い出だ。 その飴玉を、日頃仲の良い友人におすそ分けしたなぁ、よし。 そこで、この当たりの袋と飴玉1つを交換することにした。 飴玉を買ったスーパーへ戻り、飴玉1個をレジで交換し、 そのまま、義援金を募金したサービスカウンターへ向かった。 「あれ、さきほどの……」 「さっき募金箱の中に、自分の気持ちを入れるのを忘れてました。 えっと、飴玉を入れるスペースは無いですよね、代わりに10円玉を入れておきます。 このお金で誰かが飴玉を食べられますように」 そう言って募金箱に10円を入れる。 すると店員さんはふっと微笑んで「ありがとうございます、10円でも立派な募金ですよ」と返事をしてくれた。 ちょっと臭い言い回しだったかな、と少し思ったが、恥ずかしさは全然なかった。 お店を出る頃には、自分の中のもやもやした気持ちなど、もうどこを探しても見当たらなくなっていた。 そう、細かい見て呉れなど二の次だ。 周りから卑屈に見られようとも、滑稽に見られようとも、別に立派でなくてもいい。 ただ、心の中で誰かの幸せを真に望むことができれば、それでいいじゃないか。 お店を出ると、周りの景色が何となく明るく感じられた。 飴玉を舐めながら空を眺め、道端をゆらりゆらりと歩いていると なぜか涙が出てきた ------------------------------------------------- ※生存報告が遅くなりました、鉄籠あきは無事です。 東北沖地震で被災された被災者の方々におきましては心中お察し申し上げ、 日々の生活における負担が和らぐことを心から望んでおります。 それと同時に、微力ながらも何か力になりたい、と望む人々が、 日本各地で様々な行動を起こしていることをご理解いただけたら幸いであります。 私は被災していない身ですし、被災者の方々がこの作品を読まれているかどうか分かりませんので、長々とは語れませんが、 一つだけ、被災者の方々にどうしても伝えたい思いがあります。 どうか、生きてください 挿絵:
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・画像保管はされてないマンガなのですが、 4月22日の朝に嘆きあき様が描いていた即興マンガのifストーリーです。 どんどんやってね!って嘆きあきが言ってたので。 『嘆きあきリスペクト』 D.O 「ねぇ、おにいさん?なんかね、おにわからゆっくりのこえがするきがするの。 もしかしたらのらがすみついたのかも・・・ れいむ、あかちゃんがいるし、なにかされちゃうかもしれないよ・・・ まりさ、こわいこわいだよ・・・なんとかしてね、おにいさん・・・」 そう飼い主のお兄さんに語るまりさは、金バッジゆっくり。 つがいのれいむは銀バッジゆっくりで、その頭上には一匹だけ、 まだ種類もわからないほど小さなおちびちゃんがぶら下がっていた。 「ちっ!野良か。ちょっと見てくる。住み着いてやがったらすぐに追い出してやる。」 「ゆぅーん!ゆっくりありがとう!」 だが実は、話題になった野良ゆっくりは、 何を隠そう金まりさと銀れいむが連れてきた野良れいむ一家なのであった。 ちなみに野良れいむの方は、自分の子れいむと子まりさを育てる食料が手に入らず困っていたところで、 食料と引き換えに一仕事して欲しいと言われて連れてこられた、残念なゆっくりである。 それで、連れ込んだ理由なのだが、金まりさと銀れいむがお兄さんに内緒ですっきりーして作った子供を、 茎ごと野良れいむに移植し、お兄さんの目をごまかしつつ産み落とさせるためという、 誰にとっても失礼な、どうしようも無いものであった。 しかも、そうして2匹の可愛いおちびちゃんを産ませたはいいものの、 後でお兄さんの方から、『子供か、1匹だけなら産んでいいぞ。』という返事をもらってしまったのでさあ大変。 今度は、中途半端に育ってしまった赤ゆっくり2匹を見せては、お兄さんに怒られると判断し、 野良れいむ一家に養子に出すことを勝手に決め、自分達は新たな赤ゆっくり1匹を作り今に至っている。 ・・・だけではなく、こうしてついてきた嘘を隠し切るため、 金まりさは野良れいむ一家をお兄さんに処分してもらうことにしたのであった。 「(ゆふふふ・・・これでまりさたちは、あんったいだよ。)」 その頃庭では、お兄さんが早くも野良れいむ一家のおうちを発見し、駆除に乗り出していた。 「ゆぁぁああ!?にんげんさんにみつかっちゃったよぉおお!?」 「おい、お前ら!!ここでなにして・・・」 「ゆわぁ!!にんげんさ・・・」 そして、一人と一匹は、恋に落ちた。 --------------------------------------------- 「おにいさん・・・はい、あーんしてね・・・」 「れいむ・・・ムシャムシャ・・・とってもおいしいよ。」 お兄さんに、口移しでご飯を食べさせる野良れいむ。 いや、もはや野良ではない。 愛れいむとでも呼ぼうか。 「すーりすーり・・・おにいさん、れいむ、とってもしあわせーだよぉ。」 「ああ、俺もだ。すーりすーり。」 すーりすーりし、ぺーろぺーろし合いながら寄り添う一人と一匹。 その姿を、愛れいむ一家とバッジ付き夫婦達は見せ付けられていた。 とはいえ、愛れいむのおちびちゃん達は(養子に出されたバッジ付き夫婦の子供達も含め)、 のんきなものである。 「ゆわ~。おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇるにぇ。」 「ゆっくりがんばってにぇ!」 「まりしゃもむーちゃむーちゃしゅるよ!」 そりゃそうだ。 子ゆっくり、赤ゆっくり達は、すでに野良生活で充分な苦渋を味わっていたので、 この光景も、愛れいむが人間さんとスキンシップをするお仕事をして、 自分達を養ってくれているなどと思っているのだから。 むしろ誇りに感じているくらいだろう。 一方、元から飼いゆっくりの、バッジ付き2匹は大いに不満であった・・・ そして、それから3日後。 バッジ付き夫婦に、待望のおちびちゃん、金まりさにそっくりな赤まりさが誕生した。 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 「おお、ついに産まれたか!ゆっくりしていけよ。」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」 お兄さんも、別にバッジ付き達が嫌いになったわけでもないので、普通に祝福する。 愛れいむに口移しでご飯を食べさせてもらいながらだったが。 そしてその姿を見て、生まれたての赤まりさがお兄さんに飛びついていった。 「ゆぅーん!まりしゃも、そのごはんしゃん、むーちゃむーちゃさせちぇにぇ!!」 「駄目。」 そして、あえなく拒否された。 「ゆ・・・どうしちぇ・・・。まりしゃ、こんにゃにきゃわいいのに・・・。」 理由は、生まれたての赤まりさ以外にとっては、明白であった。 愛れいむとお兄さんが食べているのは、人間のための食事。 ゆっくりに与えられるのは、ゆっくりフードか専用のお菓子。 お兄さんは赤まりさの自尊心を折らない程度にやんわり説明する。 これは、飼いゆっくりの舌を肥やさないことと、 飼いゆっくりが自分と人間を同列とみなさないために、必要な処置である。 金まりさも、銀れいむもそうしているし、これは当たり前のことである、と。 だが、赤まりさは腑に落ちなかった。 「でみょ・・・でみょ、しょのれーみゅおにぇーしゃんは・・・」 「れいむは俺の特別な存在なんだ。ゆっくりとか人間とか、そういう問題じゃない。」 「おにーさん・・・(ポッ)」 頬を赤らめる愛れいむと、愛する者にだけ向ける優しい目をしたお兄さん。 そして甘い口付けを交わす両者・・・ 「ゆぅぅ・・・どうしちぇ・・・」 だが・・・それは、赤まりさ以上に、 我慢の限界に達していたバッジ付き夫婦の怒りを爆発させた。 「いいかげんにじろぉぉおおお!!」 ぼふんっ!! 「うおっ!?」「ゆぁんっ!?」 一人と一匹の間に、銀れいむが勢いよく飛び込んだ。 「おにいさんは、れいむとまりさのおにいさんなのに、どうぢで、どうぢでぇぇえ!!」 銀れいむは、愛れいむを突き飛ばしてそのまま、お兄さんの胸の中で大声で叫んだ。 ・・・だが、お兄さんの表情は、銀れいむの望んでいた、 以前のように優しく、自分達だけを見ている顔ではなかった・・・ 「・・・まだわかんないみたいだな。ちょっと外で頭を冷やそうか。」 --------------------------------------------- 数日後。 バッジ付き夫婦と、その間に生まれた赤まりさは、 庭に造られた犬小屋サイズのゆっくりハウスに住まわされていた。 「ゆぅぅぅ・・・どうぢで、どうぢで・・・」 「ゆっくちできにゃいぃぃ・・・」 「あのくそでいぶぅ・・・おにいざんを・・・おにいざんをぉぉ・・・」 理由は明白で、愛れいむとお兄さんの関係を理解するまで、という理由で、この一家は外に締め出されたのであった。 赤まりさはおろか、バッジ付き夫婦にとってもはじめてのキツーイお仕置きである。 とはいえ、 食事は以前と同じゆっくりフードだし、雨風をよけるため、小屋には扉までついている。 ふかふかのお布団も用意してあって、実質外飼いとすらいえないほど優遇されていた。 何度も言うが、別にお兄さんはこの一家を嫌いになったわけではない。 ただ、愛れいむとその子供達に、逆恨みで危害を加えられてはまずい、と思ってこの処置をしただけなのである。 「まりさ・・・ゆっぐぢぢでだのに・・・どうぢで、どうぢでぇぇぇ・・・」 「くそでいぶぅ・・・のらのぐぜに、おにいざんを・・・おにいざんをぉぉ・・・」 「まりしゃ・・・きゃわいいのに・・・きゃわいくっちぇ・・・ごめんにゃしゃい・・・」 だが、この3匹は、この後もお兄さんとれいむの関係を理解することはなかった。 むしろ、悪化していったといっていいだろう。 「「「ゆっぐぢでぎない、ゆっぐぢでぎないぃぃいいい!!」」」 そして結局3匹は、老衰と非ゆっくりで永眠するまでの数ヶ月、 窓の外から恨めしそうに、家の中の元野良と、元自分達のおちびちゃんの姿を眺め、 バッジ付きとは思えないほど怨念に満ちた形相を浮かべて生き続けたのであった・・・ ※ 私の技術や発想ではこれが限界でした。 嘆きあき様、今後もゆっくりしていってください!!
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『そのれいむを僕は知らない』 8KB 小ネタ 飼いゆ 野良ゆ 希少種 愛護人間 独自設定 小ネタです お暇な時にどうぞ ※俺設定注意 ※作、長月です 今まで書いた作品はこちらに http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/393.html ご意見、ご感想、ご要望は感想用掲示板(長月用スレ)でおねがいします。URLは下にある通りです。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板(長月用スレ) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852907/ 「ゆゆっ!!まってたよおにいさん!!」 会社から家に帰ると庭から一匹のれいむが僕の前に飛び出してきた。 髪はボサボサ、体は薄汚く、生ゴミのシミなどが目立つリボンには飼いゆである事を示すバッジがない。 どう見ても野良ゆっくりである。 「おにいさん、れいむをもういちどかってね!!」 なぜか馴れ馴れしくもう一度飼ってくれと頼むれいむ。僕はれいむなど飼った覚えはないのだが。 「悪いけど僕はお前なんて知らないよ。それよりここは僕の家だ。とっとと出て行ってくれ。」 そう言うと僕はれいむを蹴飛ばし家に入った。後ろでれいむがなにか喚いているようだが無視する。 だって僕はこんな野良れいむのことなど知らないのだから。 そのれいむを僕は知らない 「おかえりなさい、おにいさん。おしごとおつかれさまでした。」 玄関でさなえが出迎えてくれた。このさなえ、僕の飼いゆで金バッジのゆっくりだ。 下手な人間より礼儀正しく手もかからない僕の自慢の飼いゆっくりである。 「ところで・・さっきからおそとのほうがさわがしいですけどなにかあったんですか?」 心配そうに玄関のドアをさなえは見ている。さっきの野良れいむのことを言っているのだろう。 「おにいさぁあああああああんんん!!!あけてぇええええええ!!!」 相変わらずれいむはドアの外で騒いでいる。いいかげん近所迷惑なのだが。 「いや表で野良れいむにからまれちゃってね。困ったもんだよ。」 アメリカ人のように僕は大げさに肩をすくめるしぐさをする。 そのまま台所に行き、さなえの餌皿にゆっくりフードを入れた。 「おにいさぁああああああんん!!!!れいむのことわすれちゃったのぉおおおお!!!!」 「・・・なんだかおにいさんのことしってるみたいですけど?」 「知らないよ、あんなれいむ。どうせ誰かと人違いしてるんだろ。」 「・・そうですか。」 腑に落ちない顔をしながらさなえは餌皿のゆっくりフードを食べ始めた。 「えーとタウンページどこだったかなー・・・」 僕は僕で電話帳を探し始める。確か電話機近くのマガジンラックに入れておいたはずだ。 「おにいさぁあああああああんんん!!!あけてぇええええええ!!!。」 玄関からはまだれいむの喚き声が聞こえる。もう夜ふけだというのに全く回りを気にする様子はない。 「まったく・・・あいつは何も変わってないな・・・」 さなえに聞こえないよう僕はぽつりとつぶやいた。 本当は僕はあの野良れいむの事を知っている。 だって赤ゆの頃あいつを拾ってあそこまで育てたのは僕なのだから。 おそらく人間にケンカを売って踏み潰されたのだろう。 靴跡のついた両親らしきゆっくりの死骸のそばで泣いていたのを会社帰りに見かけたのがれいむとの出会いだった。 別に無視しても良かったのだが、このままじゃこいつ死んじゃうんだろうなと思うと放っておけなかったのだ。 れいむを育てるのは大変だった。 まず人の話を聞かない。聞いても全く飼いゆのルールというものが理解できていない。そんなのゆっくり出来ないと反発する。 周りの者の事など考えず、声だけはでかくてすぐ癇癪を起こし、自分に都合の悪いことはごまかすことしか考えない。 トイレの場所、餌の食べ方、人間への言葉遣い、マナー、他の飼いゆっくりへの接し方などなど。 なだめすかしてなんとか理解させてもすぐ忘れて同じ失敗を繰り返すのだ。 あまりの反省のなさに捨ててやろうかと思ったこともあるくらいである。 それでも根気強く、時には体罰も辞さない躾を行った結果、ようやく人前に出せる程度にはなっていた。 このまま頑張れば金は無理でも銀バッジ位は取れるかもしれない。 そう思っていた矢先の事だった。 「おにいさん、れいむはこのまりさとけっこんっするよ!!」 れいむが野良まりさを連れて来て、ここを出て行く言ったのは。 当然僕は引き止めた。出来の悪い奴ではあったがそれなりに愛着もあったのだ。 野良ゆの世界がいかに過酷でゆっくりできないものか説明し、つがいが欲しいのなら銀バッジに合格したら自分がゆっくりショップから買ってきてやると、かなり譲歩した提案までした。 しかしれいむは必死で説得する僕を鼻で笑い、こう言い放ったのだ。 「わるいけどおにいさんにはもうようはないよ。これからはこのまりさにゆっくりさせてもらうから。おにいさんはくちうるさくてぜんっぜんっゆっくりしてなかったしね!!」 ショックだった。れいむがそんな風に思っていたなんて。 確かに僕は口やかましくゆっくりできない奴だったかもしれない。でもそれは全てれいむを思っての行動だったのに。 なのにれいむは僕を利用することしか考えていなかったのだ。まるで寄生虫のように。 呆然とする僕をおいてれいむ達は2匹で寄り添うように跳ねていく。 後には主を失った赤茶色の銅バッジが寂しそうに転がっているだけだった。 あの日から僕はれいむのことを完全に忘れることにした。 あんな恩知らず記憶の隅に置いておくのも腹立たしい。 れいむの餌皿、クッション、買ってやった玩具を全てゴミに出し、れいむの映っている写真も全て焼き捨てた。 その上で金バッジさなえを大金はたいてゆっくりショップから購入したのだ。 全てはあの忌々しい存在を僕の脳内から消し去るために。 そう僕はあんなれいむの事など知らない。 最初から僕らは出会ってなどいなかったのだ。 「ゆゆっ。やっとでてきてくれたんだね、おにいさん。ゆっくりしすぎだよ!!」 玄関のドアを開けるとれいむが目を輝かせて僕の方へ跳ねてきた。 「・・・・・・・・・・」 「・・・あれっ?おにいさんもしかしておこってるの?」 無表情で無言な僕を見てれいむは必死にぼくのご機嫌を取ろうとする。 「ちがうんだよ、あのまりさとはただのあそび、ほんとうにいっしょにゆっくりしたいとおもってるのはおにいさんだけだよ!!」 「・・・・・・・・・」 「もうっ!!おにいさんおかおがゆっくりしてないよ!!もっとゆっくりわらってね!!れいむはおにいさんのえがおをみるといちばんゆっくりできるんだから!!」 「・・・・・・・・・」 不思議なものだ。本来なら発狂しそうなれいむの言葉も見知らぬゆっくりの戯言だと思えばまるで腹が立たない。 だいたい僕はこんな見知らぬ野良れいむの与太話を聞くために外に居るわけではない。 そろそろあれが来るはずだから出迎えねばならないのだ。 そんな僕の心を見透かしたように家の前に一台の白いライトバンが止まる。 「まいどー。加工所のゆっくり回収サービスでーす。」 運転席から作業着姿の中年男性が出てきた。手には透明な箱を抱えている。 最近は便利になったものだ。こんな夜でも加工所がゆっくりを回収しに来てくれるのだから。 「どぼじでかこうじょがくるのぉおおおおおお!!!!」 思わぬ天敵の乱入にれいむはもみ上げをわさわさ上下させて取り乱す。 なんで加工所が来たのかって。簡単なことだ。僕がさっき電話帳で番号調べて呼んだからだ。 だってそうだろう?見知らぬ野良ゆっくりが僕のうちの敷地に勝手に入った挙句、玄関の前で大声で喚き散らしているんだから。 どう考えても駆除対象のゲスゆっくりだ。 「おにいさんたすけてぇええええええ!!!!」 加工所がゆっくりできないと言うのを本能的に知っているのだろう。れいむは僕に泣きついてきた。 「もうにどとのらになるなんていいませんっ!!!おにいさんのいうことぜんぶききますぅ!!!だからゆるじでぇえええ!!!かこうじょは・・・かこうじょはいやぁあああああ!!!!」 泣き喚きながら僕の足にすがりつくれいむに向かって僕は真顔で答える。 「許すも許さないも、僕はお前の事など知らないよ。」 「ゆぅうううううう!!!?どぼじでぞんなごどいうのぉおおおおお!!!!!?」 最後の希望があっさり崩れ、れいむは目を白黒させて絶叫している。 「・・もしかしてこのれいむとは知り合いですか?」 いぶかしげに職員の男は僕とれいむの顔を交互に見た。どうやら僕が捨てたのではないかと疑っているらしい。 「いいえ。僕はこんなゆっくり知らないです。」 嘘ではない。僕はこんなれいむ知らないのだ。 まぁ正確には「知らない」と言うより「知ったこっちゃない」と言った方が正しいが。全く日本語という奴は難しいものだ。 「あーそうですよね。時々いるんですよ、こういう妄想と現実の区別がついてない奴が。」 「でいぶはうぞづぎなんかじゃないぃいいいい!!!ぼんどうにおにいざんのかいゆっぐりなのぉおおおおお!!!!」 「はいはい。野良ゆはみんなそう言うんだよ。」 男は手馴れた様子で暴れるれいむを透明な箱に押し込め、車に乗り込む。 「じゃ、確かに野良れいむ一匹回収しましたんで!!!」 ブロロロ・・・・ 僕に一声かけるとそのままれいむを乗せて発車した。 「・・・さようなら。見知らぬ野良ゆっくりのれいむ・・・」 僕は加工所のライトバンを見送りながらそうつぶやく。 まだそれ程深まっていないはずの秋の夜風がやけに冷たく身にしみた。
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『人間に飼われるというのは…』 6KB いじめ 野良ゆ 都会 現代 初投稿です 「おでがいじまずうううううう!れいむをかいゆっくりにしてくださいいいいいいい!!」 よくありふれた光景だな。薄汚れた野良れいむが道端で自分を飼ってくれと叫んでいた。 お飾りになにかを引きちぎった跡があるから、おそらく捨てられた元飼いゆだろう。 どうせ飼い主に無断で野良を引き込んですっきりー!してガキ作った挙句に捨てられたとか、 よくあるつまらない理由で野良になり、家族を全部失って過酷な野良生活に耐えられなくなったとか多分そういう手合いだろう。 「れいむはもとぎんばっじでした!ごはんさんに文句はいいまぜん!食べるときむーしゃむーしゃっていいまぜん! おといれだってきめられたところでできまず!にんげんさんをゆっくりさせてあげられるよ!だから…… ゆんやああああ!どぼじてみんなれいむをむしするのおおおおおおお!?」 必死で道行く人間たちに呼びかける野良れいむ…… がもちろんそんな戯言に耳を傾ける奇特な人間がいるはずもなく、野良れいむを無視してさっさと歩き去っていく。 俺はそんな野良れいむを横目で見ながらバスを待ってたのだが…… バスが来るまでまだ時間があるみたいなので、ちょっとした暇つぶしに声をかけてみることにした。 「なあおい」 「ゆっ!に、にんげんさんれいむをかってくれるんですか!ありが」 「おいおいまだ飼うと決めたわけじゃねえよ。まずはお前の話を聞いてからだ」 「は、はなしをしたらかってくれるんだね!やったああああああああっ!いいよっなんでもきいてね!」 「……ふむ。お前さっき言ってたけど元飼いゆっくりなんだってな?」 「そ、そうだよ!だかられいむはおぎょうぎよくできるよ!だからかってください!」 「で、さっきから飼ってくれ飼ってくれってぎゃーぎゃー騒いでるけど……お前なんで飼いゆになんかなりたいわけ?」 「かいゆっくりになればあまあまたべほうだいだからだよ!ひろくてかいてきなおうちにすんで、あとびゆっくりのまりさと おちびちゃんをたくさんつくってゆっくりしたいよ!」 野良が飼いゆに憧れる典型的な理由だな。だが…… 「…………なんだよ。お前がさっき喚いてたこと全部嘘じゃねえか」 「ゆっ!?」 「人間をゆっくりさせてあげられる?嘘つけ。お前はお前がゆっくりすることしか考えてねーじゃねえか」 「な、なにいってるのおおおお?れいむがゆっくりしているところをみれば、にんげんさんもゆっくりできるでしょおおおお!?」 「え?お前さ……もしかして人間をゆっくりさせることがそんなに楽勝な事だと本気で思っているわけ?お前が飯を食い散らかして げっぷと糞をひりだすところを見せれば人間が本気でゆっくりできるとでも?」 「ゆっ!?そ、それは……」 「どうやらお前は飼われるって事がどういう事なのか勘違いしてるな。飼われるってそんなにいいもんじゃねーぞ?」 「そんなことないよ!かわれることはしあわせー!なんだよ!かちぐみなんだよ!?」 「いいだろう世間の大人どもが本当の事を言わないなら俺が言ってやる。いいか飼いゆっくりってのはな……人間に飼われるってのはなあ」 「人間の奴隷になるってことなんだよ」 「…………ゆ?」 「わからない?飼いゆっくりは人間をゆっくりさせるのが仕事なんだよ。その為には飼いゆはゆっくりすんなって言ってんの」 「……」 どうやら俺の言うことを即座に理解できなかったらしい。硬直したままたっぷり三十秒たった後、野良れいむは再び叫んだ。 「な、なにそれえええええええ!!?」 「飼いゆっくりの実態とはそういうもんだ。なにお前飼われていたくせにそんな事もわからなかったの?そりゃ捨てられるわけだ」 「ち、ちがうよおおおおお!かいゆっくりはとてもゆっくりできるんだよおおおおお!?」 「……なあ、よーく考えてみろよ。飯を食べるときむーしゃむーしゃしあわせーと言うな、勝手に野良とすっきりーして子供を作るな、 外を自由に歩き回るのも飼い主同伴じゃなきゃダメ、野良とは付き合うな、ゆっくりしていってね!に反応するな…… どれもゆっくりにとって幸せーと感じる事のほとんどを飼いゆに対して禁止してるんだぞ? それはなんの為の決まりだと思う?………ゆっくりの為じゃない。全部全部飼い主をゆっくりさせるためだけの決まり事だ。違うか?」 「ゆ、ゆぅぅぅぅ……!」 「飼い主を全身全霊でゆっくりさせろ、その為にはゆっくりの本能すら押し殺せ。自分のゆっくりより飼い主のゆっくりを最優先しろ その仕事を上手くやれたなら……まあ衣食住くらいは保証してやる。それが飼いゆっくりという奴の正体だ。 この待遇はどう考えても奴隷以外の何者でもないと思うが、どうよ?」 「………」 野良れいむはすっかり放心状態だ。 どうせこいつも善良気取っているが、腹の中じゃ密かに飼い主はゆっくりの奴隷だとでも思ってるクチなんだろうな。 己の身をわきまえない糞饅頭め。だから捨てられるんだよ馬鹿が。 「………れ……も……いよ……」 「あ?」 「どれいでもいいよ……!れいむ、もうおなかぺーこぺーこなのも、さむいさむいなのもやだよおおおお!」 「いくら餓えても野良の方がまだマシかもしれんぞ?奴隷の飼いゆなんて窮屈なだけだ」 「ぜんしんっぜんれいっ!でにんげんさんをゆっくりさせますからあああ!ごはんさんもがまんします!つがいもいりません! おちびちゃんもほしいといいません!だから!どれいでいいからでいむをかってくださいいいいい!」 「……飼いゆになるってすごく辛いかもしれんぞ?ゆっくりできないと思うぞ?それでも飼いゆになりたいというのか?」 「はいいいいいっ!かくごはできていますうううううう!」 そうか……プライドを捨てて、自由を捨てて、奴隷になってでも人間に飼われたいというのか。 野良のくせにいい覚悟してるじゃねえか……ならば俺の返事はただひとつだな。そう…… 「あー悪いけど俺は無能な奴隷はいらないから。汚ねえ野良の糞れいむを拾うとか勘弁な!」 「………ゆっ?」 「つまりさ、人間は優秀な奴隷しか欲しいとは思わないわけ。ペットショップにいけばいくらでも優秀な奴隷候補がいるから 飼うんならそっちにするよ」 「れ、れいむはむのうじゃないよ……?ちゃんとにんげんさんをゆっくりさせられるよ……?」 「そうかあ?お前さ……前の飼い主の言いつけ破ったから捨てられたんじゃねーの?」 「ゆぐっ!?」 「やはりな。決まりも守れない無能な奴隷はこちらから願い下げなんだ。悪いな♪」 「れ、れいむはんせいしました!もうにどといいつけをやぶってのらとすっきりー!したりしませんからあああ!」 「いやー今さら反省されてもなー俺には関係のない話だし……お、バスが来たみたいだ。 じゃあなれいむ!せいぜい飼いゆになろうと通行人に嘘垂れ流しながら無様に足掻いて人知れず野たれ死ねよ♪」 「あああああああ!まっで!にんげんさんまっでええええええええええええええ!!」 俺が乗り込んだバスを泣きながら必死で追いかけてくる野良れいむ。 が、路線バスがゆっくりごときに追いつけるわけがない。 たちまち引き離されて……あ、後ろから来た軽自動車に轢かれた。馬鹿だなーあいつ まあいいか。適当な口からでまかせだったけど野良れいむを精神的にいたぶれて少しはすっきりー!したしな。 直接潰すとばっちいし後片付けが面倒だから少しの間の暇つぶしにはこのくらいでいい。
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野良ゆっくりNo.1 16KB 虐待-普通 愛で 観察 妊娠 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 子ゆ ゲス 現代 続き物です。そんなには長くならないと思いますがお付き合いください。 とある日曜の昼下がり、春の足音はすでにそこまで来ているらしく、狭いながらも立派な我が家の庭にも春の息吹が感じられる。 どこからやってきたのかわからないがタンポポの種が芽を出し土筆が生えていたなと思ったらもう咲いている。 草花を愛でる趣味は無いが、去年コンビニで買ったジュースのおまけとして貼り付けてあったコスモスの種を適当に庭に撒いていたのが たくましく淡いピンクの花を付けている。 「これはこれでいいけど、そのうち全部刈らないとなぁ」 なんて独り言を呟きながらリビングのソファで昼寝を始めた。 心地よいまどろみから深い眠りに入りかけた矢先、突然リビングの窓がカチカチと音を立てた。 リビングの窓に視線を移すとそこには一匹のゆっくりが石を咥えて窓を小突いている。 うっすら灰色でいろんな色の染みだらけな体、煤けたリボンやら髪飾り、口の周りはひび割れしていて生気が無い、目は焦点が定まって ないのか空を見つめている。 ん?れいむのゆっくりか...その咥えた石で窓を叩き割り、うわさの「おうち宣言」てのをやるのかな? そう思いながら俺はガラスの向こうの薄汚いれいむを眺めていた。 カチカチ れいむは何度も口に咥えた石で窓を小突く。 カチカチ 相当弱っているらしく力無く繰り返す。 カチカチ 割ったら最後、とっ捕まえて包丁でなます切りにしてやる。 カチカチ 割ったら? ガラスを?! おいおい!!! 俺はまだ寝ぼけていたのだ、なんで悠長にガラス割られるのを待つんだ?! 俺は焦ってソファから跳ね起き窓に向かった。 すると窓の向こうの薄汚い野良れいむが窓越しに何か言っている。 「....おにいざん..どうが..どうがごごをあげでぐだざい...おねがいじまず...。」 俺はガラスを割られたら大損害と思いサッと窓を開け 「お願いされなくても開けるわっ!お前ガラスが割れなかったからって今度は俺に開けろって?バカか?!」 いきなりの俺の怒声に面食らって野良れいむは咥えていた石を落とし硬直していた。少しの間を空けて野良れいむが 「ずびばぜんずびばぜん...れいむはれいむはぞんなおぞろじいごどでぎまぜん。おにいざんにみでほじがっだだげでず!」 なんだなんだ?てっきりこいつらお得意の「ゆっくりしていってね!さっさとあまあまよこしてね!」とか言いやがると思ったら いきなり謝りだしたぞ?特にれいむ種は大体高飛車で常に命令口調で喋るのが普通なのに....はは~ん元飼いゆっくりか? 「お前捨てゆっくりか?」 「...ばい」 野良れいむは一言返事して押し黙っている。 「用が無いのならさっさとどっか行け!歩くのが面倒なら今から塀の向こうにぶん投げてやるぞ!」 「まっでくだざい!」 そう言うと野良れいむは大きく伸びたと思ったら器用に腰?を折り額を窓の下に置いてある石で出来た足台に額を押し付け 「おねがいじまず!おねがいじまず!れいむばれいむばにんげんざんのだめにばだらぎまず!おうだもうだいまず!がんばっで にんげんざんをゆっぐりざぜまず!おながいじばずがらあああ!れいむをがっでぐだざい!.........れいむのおながにば..... あがじゃんが.....」 おいおい...子持ちかよ...。 だがそんなデメリットを負いながらその野良れいむに対して興味が沸いてきた。 まず一つは見てのとおり野良期間が長いことを伺える薄汚れた外見だがゲス化が進んでいない。ゲスの代名詞であるれいむ種なのに 暴言の一つも吐かない。虐待の工程の中では度々平身低頭になることがあるが大概は痛めつけられた後だ。だが、この野良れいむは 最初からこんな調子なので興味が尽きない。 一体どんな事があってこいつは捨てられたのだろう?気になる....。 次に大抵のゆっくりは「す~りすりっ」の段階で体の表面から分泌した精子餡が含まれた粘液で妊娠をして額から蔓を伸ばして子を宿す 「植物性妊娠」なのだが、この野良ゆっくりは違った。原種に近いのか、もしくは人によってキチンと性交渉の方法を教えられて、 正式な方法である「まむまむ」に「ぺにぺに」を挿入してからの体内受精によって妊娠する「胎生妊娠」なのだ。 母性が強いれいむ種であり母子の絆がもっとも深い胎生妊娠で生まれた赤ゆっくりは、額から伸びた蔓から生まれる「植物性妊娠」の 赤ゆっくりとは違い、母親の胎内でゆっくりと母の愛情の塊である「ゆん水」に包まれ、植物性妊娠で生まれた赤ゆっくりより深い絆で 結ばれている。 そんな赤ゆっくりの目の前で親ゆっくりを虐め殺したらどんなに素敵な悲鳴が聞けるのだろう?いや、逆もありきだ、わくわくが止まらない...。 そう、俺は隠れ虐待おにーさんなのだ! 「よし!わかった。お前がそこまで言うのなら飼ってやってもいいが住むのは外だぞ!おまえらの家は用意してやる。ご飯は死なない 程度に食わせてやろう!」 「ああああ!あじがどうございまず!あじがどうございまず!にんげんざんのめいわぐにならないようにじまず!なんでもいうごとを ぎぎまずのでがっでぐだざい。」 だから飼ってやると言ってるのにバカか?こいつは。 「とにかくお前は臭いし汚いからちょっとこっち来い!」 いつまでも窓の下の足台に額をこすり付けている野良れいむの髪の毛を掴み、顔を背け体に接触しないように風呂場に持って行った。 「お?おじょら?」と定番の台詞を吐いている野良れいむを風呂の洗い場に転がしシャワーの温度を調節した。 そのまま洗濯機に洗剤と一緒にぶち込んでも良かったが、こいつらは長時間濡れているとグズグズになって溶け出すので面倒だ。 野良ゆっくりごときにシャンプーだの、ボディソープだのと洗う部分によって洗剤を変えるのは面倒なので頭からシャンプーをぶっ掛けた。 「ぎぃやあああああ!!おべべがおべべが!でいぶのすきとおるようなおべべがぁぁ!」 「うっせぇなぁ~ちょっと黙ってろよ!」 「...ずびばぜん。」 目にシャンプーの原液が入ったらしくビッタンビッタンと暴れる野良れいむを押さえつけて一言言ったら体を痙攣させつつも大人しく なった。頭の髪飾りも髪の毛も体も全部一緒くたに手早く洗ってタオルで水分を拭き取りドライヤーで乾かしてやったら結構綺麗になった。 どす黒く汚れたリボンは鮮やかな紅白と黒の柄を取り戻し、よく観察すると針穴が開いていた。多分元はバッジ付だったことが伺える。 髪の毛はベタベタで所々固まっていたが、いまは艶のある綺麗な黒髪がサラリと光沢の輪を光らせている。 薄汚れた体は残飯や生ごみを漁っていた時に付いたらしく黄色や茶色の染みだらけだったが、今は真っ白でその名の通り「もち肌」で、 すべすべしている。 「いよぉーし綺麗になったぞ!」 「...にんげんざん...でいぶをぎれいにじでぐれであじがどうございまず!」 「次はお前の家を庭に置いてやるから、その間これでも食っとけ!」 俺はリビングに敷いたバスタオルの上に綺麗になった野良れいむと皿に盛った昨晩の残り飯にオレンジジュースぶっかけた気持ち悪い餌を 置いて野良れいむの寝床作りに取り掛かった。 窓の下の足台横辺りに、かなり昔に飼っていた犬の犬小屋を置いてのその中に着なくなったトレーナーとかTシャツを大量に放り込んで 野良れいむ、いや元野良れいむの家を完成とした。 「にんげんさん、おいしいごはんさんありがとうございます。れいむはしあわせ~です。とってもゆっくりできました。」 家を完成させてリビングに戻った俺を迎えた声は鈴の音のような綺麗な音で感謝の気持ちを唱えていた。 「おい!お前その声はどうした?」 「はい、れいむはすてられてからいろんなものをたべました。きたないもの、くさいもの、かたいもの、とげとげなもの....きがついたら ずっとおくちのなかがいたくてたいへんでした。でも、にんげんさんのおいしいごはんさんをたべたらいたくなくなりました。」 ほ~そうか、あの聞き取りづらい声は口の中が怪我をしていたせいだったのか 俺はとりあえず落ち着いてタバコに火を点け、元野良れいむ改め、俺の飼いゆっくり「れいむ」と会話をして教育レベルを計りつつ 素性を聞くことにした。 「お前はどうして捨てられたんだ?」 「はい、まずはまえのごしゅじんさま「おねーさん」のはなしからはなします......。」 「おねーさんはとってもゆっくりしていて、いつもれいむとなかまのれいむたちをあたたかいおうちのなかでゆっくりさせてくれました。」 「れいむ達って他にもゆっくりが居たのか?」 「はい、れいむのほかにれいむが、いち、に、さん、し、ご、いました。」 「おまえ3より先を数えられるのか?!」 「はい、れいむはぎんばっじさんでした。なかまのれいむもみんなばっじさんでした。」 「他のゆっくりは居なかったのか?まりさとか、ぱちゅりとか、ありすとか?」 「いなかったです。みんなれいむでした。」 はは~ん「れいむ種」を専属に飼っているゆっくり愛好家だったのかぁ 「で、なんでそんなにゆっくりしたおねーさんがお前を捨てたのよ?お前全然ゲスじゃないだろ?バッジも付いているし。」 「...うぅ。...ぜんぶあのおっきなれいむがわるいんです。」 「大きなれいむ?なんじゃそら?」 「あるひ、おねーさんとれいむのゆっくりぷれいすに、しらないにんげんさんがやってきました。しらないにんげんさんはとってもおおきな れいむをつれてきました。ひとりでどあさんもあけられるおおきなれいむでした。」 「一人でドアって随分大きなれいむだな。」 「はい、おっきなれいむはれいむのことをおなかで「ぽよんぽよん」してあそんでくれました。あそんでいたらおおきなれいむが、 なかよくおはなしをしている、おねーさんとしらないにんげんさんに「でいぶはでいぶはおなかがすいたわ!おにーさんむ~ちゃむちゃ したいよう」といいました。」 「そんで?」 「するとおねーさんが「あらあらお腹がすいたんでちゅか~?今用意するから待っててね」といって、しらないにんげんさんとなかよく ゆっくりしながらごはんさんをとりにむこうにいってしまいました。そうしたら.....。」 「そうしたら?」 「....そうしたら....うっ...むぐっ」 「おいおい、こんな所で餡子吐くなよ、あ~あ~泣くなよ床が汚れる!」 「ずびばぜん...ずずっ....。ぞうじたら、おおきなれいむはこういいました「こんどはれいむがれいむに「ぽよんぽよん」するばんだよ」 といって、れいむのうえにのってきました。「れいむはおおきいかられいむつぶれちゃうよ」といってもやめてくれませんでした。 こんどはれいむの「まむまむ」に「ぺにぺに」をいれようとしてきたので「れいむぜんぜんすっきりしたくないよ、はやくやめてね」と いったけどおおきなれいむはやめてくでません。「んほっはずかしがることはないわ!れいむがやさしくしてあげる」といって、れいむの 「まむまむ」に「ぺにぺに」をいれて「ずんずん」してきました。」 「おねーさんに助けてと言えば良かったのに」 「はい。れいむはおおきなこえで「おねーさんたすけてー」といいました、するとおねーさんがやってきて「キャーなにやってんの! 早くれいむから退きなさいよ!!」といってれいむをたすけようとしましたが「んほほほほほっほっほ~....ずっぎりいいいい!!ちょっと おそかったわね!とってもきもちよかったわ、こ・の・こ!」といってれいむは...にんっしんっしちゃったのです。」 「ほう、それで捨てられたのか。」 「はなしはまだあります。おねーさんはとってもおこって、しらないにんげんさんに「あんた!どうしてくれるの!責任取りなさいよ!」 とどなりました。そうしたら、しらないにんげんさんが「しょ~がねぇ~だろ。ゆっくり共のする事なんだから。一々怒るなよ!」といって れいむののことをつかんで「お望み通り責任って奴をとってやるよ!ほらバッヂ返しとくぜ!責任取ってこいつを嫁に貰ってくぞ」といい れいむのばっじさんをとって、おねーさんになげつけて、れいむをつれだしました。」 「へぇ。それでお前の飼い主は黙ってたのかい?」 「いいえ、おねーさんは、れいむをかえせとたすけようとしてくれましたが「なんだ?しつけーなー!金か?金が欲しいんだな! ほら、やるぞ!こんな銀バッヂゆっくりなんぞこの程度で十分だろ」と、いっぱいのきらきらさんをおねーさんにぶつけて、れいむを つれだしました。」 「すげぇ話だな。銀バッジを小銭でか?それでお前はそこで飼われたのか?」 「いいえ、それでれいむは、おおきなれいむといっしょに、にんげんさんの「すぃー」にのせられました。おおきなれいむは「ゆほほほっ れいむせんぞくのすっきりちゃんがきたよ~」といって、また「すっきり」しようとしてきました。れいむはまたすっきりしてしまうと おねーさんがなくので、いっぱい「ていっこう」をしました。 「...んで?」 「そうしたら「うるせーゆっくりだな!あの女そっくりで反吐がでるぜ!やっぱお前なんかいらない!」といって、にんげんさんの 「すぃー」のなかからそとに「おしょら~」されました。 「そこで捨てられたのかアハハ!」 「れいむはいっぱいあるきました。なんどもおひさまがあがってしずみました。おなかがいつもすいてなんでもたべました。あるひ「ごーく ごく」したくてこうえんさんにいったら、しらないゆっくりに「ばんばん」されました。おなかがすいてかりをしていたらしらないにんげんさん に「ばんばん」されました。それでもれいむは、おねーさんとれいむの「ゆっくりぷれいす」にかえりたくてあるきました。でも、どんどん あるけなくなりました。おなかのあかちゃんがおおきくなって「ず~りずり」しかできなくなりました。あるひ、おねーさんとれいむの「ゆ っくりぷれいす」とそっくりなおにわさんをみつけました。」 「そこが俺ん家だったのか?」 「はい、おねーさんはいなかったけど、にんげんさんがねていました。しらないにんげんさんのおにわにはいると「ばんばん」されるのは わかっていました。けれども、もうあるけません。でも、れいむがいっしょうけんめいおねがいしたらかってくれるかとおもって「おにー さん」をおこしました。 「おにーさんって...お前...。」 「おねがいじばず!おねがいじばず!れいむを、れいむをがっでぐだざいぃぃぃ!ぜめで、あがじゃんがおおぎぐなるまででいいでず!」 「だから飼うって言っただろ!本当にお前、元銀バッヂだったのか?」 「....ばい。」 「んで、その赤ちゃんはいつ生まれるのよ?」 「おひさまがあがったらうまれるかもしれません。」 「随分と話がはええな。まぁ今夜だけは家の中で寝ろ。俺ももう寝るから。あ、あと「うんうん」と「ちーちー」そこの箱だからな!」 「はい、れいむはちゃんとおといれできます。」 「はいはい、早く寝ろ」 ~~~翌朝~~~ 「だぁあああああ遅刻遅刻ぅ!!」 昨晩遅くまで、れいむと話し込んでたから寝坊した。 「あ、おにーさん。おはようございます。ゆっくりしていってね!」 「うるせーゆっくりなんかしてらんねぇよ!遅刻なんだよ!バカ!」 「ゆ..ゆぅ。....あの...おにーさん。そろそろ赤ちゃんが生まれそう...。」 「そんなもん後回しだ!じゃぁな!」 「お、おにーさん!まってぇ~!あがぢゃんが!あがじゃんが!!......。あがじゃんはひとりでうめないの...あがじゃんは 「ぽーん」とうまれるから、だれかがうけとめてあげないと、しん..じゃ...っう!」 「おにーざんばやぐがえっでぎでねぇ....いぎぎぎ...」 「おにーさんはまだかしら.....れいむの赤ちゃんはまだゆっくりしていてね.....おなかがいたいよ。おにーさん。」 「おにーさん、おねがいだからはやぐがえっでぎてぇ~おひさまもゆっくりとおちたよ....おにーざあぁん」 俺は会社帰りに本屋に寄って「胎生妊娠したゆっくり」の事を立ち読みで調べてからコンビニで買い物を済ませ帰宅した。 帰宅早々俺を迎えたのはこの世の者と思えない奇声だった。 「んぎぎぎいぎ~うばれる!うばれる!ぎいいいいいい!!おっおっおに~ざああん!」 「なんだまだ生んでなかったのか?」 「おっおっおにいざん!どごいっでだの?!れいむあがぢゃんがうばれぞうなんだよ!いっだよね!ぞういっだよね!」 「んだよ!なんかカチンときたぞ」 「ずいぶばぜんずびばぜん!れいぶあがぢゃんがうばれぞうでおがしがっだです。」 「何を取り乱してんだこの野郎!」 「ずびばぜん...いまがらあがぢゃんが出てぐるので、おにーさん.....うげどめでぇえええええ!!!」 「は?!」 れいむの口の下にちょこんと穴があるだけの「まむまむ」がメリメリと音立てながら広がっていく。中から強烈な力で押し出されるように 目を瞑った赤ゆっくりが顔を覗かせた。 「あああああああ!!!!!れいぶのあがぢゃん!!!!ゆ...ゆっくりうばれでねー!」 そう絶叫したと思ったら勢いよく先ほどの赤ゆっくりが飛び出してきた。俺は反射的になんだかよくわからない粘液まみれのそれを受け止めた。 「おにーさんありがとう。あぁれいむのはじめてのあかちゃん...ゆっくりしていってね!」 「おかーしゃん?おかーしゃんなの?ゆ?ゆ?こっちがおとーしゃんなの?」 「そうよ~れいむはおかーさんだよ」 「おかーしゃん!ゆっくちしていっちぇね!」 「はい、ゆっくりしていってね!」 「おとーしゃんもゆっくちしちゅえちぇにぇ!」 「おいおい!勝手に父親にすんなよ!やめてくれよ」 「ゆぅぐ..おきゃーしゃん...おとーしゃんがゆっくちしちぇきゅれない...」 「おちびちゃんあのね、そのひとはおにーさんといって.....ゆ?!ゆ?!ゆぐぅっっ!..........まだうばれる!」 「まだ生まれんのか?いい加減にしてくれよ」 俺がそう言いかけたかどうかで2匹目が勢い良く飛び出してきた。あいかわらず粘液まみれだ....せっかくのスーツが台無しだ。 「おい!いい加減にしろよ!これ以上生んだら潰すからな!」 「ずびばぜん...たぶんもう、うばれません。おなかがすっきりしました。」 「.....ったく頼むぜ」 「にゃんだかゆっくりしちぇないおやだね!ゆっきゅりしへねってね!.........おへんじゅはまだなの?」 「.....おい!酷いな、この2匹目は?!」 「ちゃんときゅこえなきゃったの?おみみしゃんきこえないの?おとーしゃん!」 「....潰すか。」 「まって!まってください、おにーさん!おちびちゃん!れいむがおかーさんだよ。ゆっくりしていってね!」 「おきゃーしゃん!ゆぅ~ゆぅ~♪ゆっきゅしちぇいっちね!」 「おちびちゃん。ちゃんときいてね。おにーさんはとってもえらいんだよ!だからちゃんとあやまってね!」 「ゆぇ~ん、れいむはわるくないもん!あのぐじゅがちゃっちゃとおへんじしないからわるいんだもん!」 「やっぱ潰す....。」 「ずびばぜん!ずびばせん!おちびちゃんはちゃんとれいむが「しつけ」をするのでゆるしてぐだちい。」 れいむは初めて出会った時のように床に額を擦り付けて謝罪している。その周りでは生まれたばかりの赤ゆっくりが暢気にコロコロと 転がっていて。先に生まれた方の赤ゆっくりは母親の髪の毛の中でガタガタと震えて息を潜めている。 「お前はいつもそれだな。まぁいい、ちゃんと「しつけ」できなかったら即潰すからな!」 「ありがとうございますありがとうございます。れいむはちゃんとやります。」 「家の中に居られるのも今晩限りだぞ!明日の朝には庭に住むんだからな!」 「はいいいいい!わかりました!れいむちゃんと、おにわにいきます。」 「スーツはベタベタだし、今朝は遅刻するし。なんだか疲れたからもう寝る!お前ら大人しくしてれよ!」 「おにーさんおやすみなさい。.....あの....。」 「なんだよ!はっきり言えよ!」 「ねるまえにごはんさんを....。」 「あー飯ね。これでも食っとけ」 俺はいつぞやの結婚式の引き出物で貰ったバウムクーヘンを一本丸まま投げてやった。 「ありがとうございます。こんなにいっぱいありがとうございます。」 「は?何言ってるの?それは今日の分だけじゃなくて今週の分だぞ!足りない分は自分で外で探せ」 不意を付いた言葉に凍りつくれいむは間を置いてからこう言った 「おにーさん。こんしゅうって、あと6かいもおひさまあるよね....。」 「不満か?」 「いえ、ふまんじゃないです。おにーさん、ごはんさんありがとうございます。」 「じゃあな!俺はもう寝る」 次回、野外編に続く。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る でいぶの飼い主は苦しんで死ね -- 2013-08-02 09 37 14 ↓です。 続きは見つかりました。 anko1364 野良ゆっくりNo.2 anko1381 野良ゆっくりNo.3 anko1428 野良ゆっくりNo.4(完) …が、回想のゲス飼い主とゲスゆっくりは出てきませんでした。 気になる方はそこだけ注意。 -- 2012-02-12 22 48 43 ぐぬぬ…続きが見つからぬ ゲスというよりもはやキチガ○の(回想の)お兄さんが せいっさいっされるところが読みたい -- 2012-02-12 22 25 41 いきなりあまあまって時点で期待せざるを得ないw -- 2011-10-15 09 56 51 飼いゆ泥棒って犯罪だろ。 おまけに顔見知りだし。バカなんだな。 -- 2011-07-14 20 53 37 れいむの口調が小学生の作文みたい -- 2010-12-16 08 14 08 いや、なんだかんだでいい人じゃないか?このおにーさん 一般人でもこんなれいむの言うこと聞かないだろ -- 2010-09-18 15 20 46 きっと次女れいむのゲス気質は大きなでいぶとゲス飼い主のそれが遺伝したのだろう 母親のゆー性遺伝餡はすべて長女へ受け継がれたんだろうな -- 2010-07-28 12 57 37 このおにーさんは悪くない と思う -- 2010-07-12 00 14 03 たしかにおねーさん以外の人間の人格は悪いな でもこの隠れ虐待おにーさんはゆっくりにここまでするなんて結構いい人な気がしなくはない -- 2010-07-08 03 10 42 おねーさん以外の人間が品性下劣でむかつく… -- 2010-06-21 19 25 57
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元野良れいむの里帰り 「れいむはゆっくり里帰りするよ!」 食事中、口をモゴモゴとさせながら考え事をしていたれいむが 突然飯粒を撒き散らしながら叫んだ! 私は4つに割った豆腐ハンバーグの一つを口に入れてゆっくりと租借する。 最近はがっつり肉!縦横無尽に肉!などといった野性味あふれるメリケンチックな 食生活よりもこういったヘルシーな食事を好むようになっていた。 余り野菜の処分にも最適だ。そもそも日本人は何百年も穀物中心の食生活を送っていたのだ。 それをここ十数年で肉中心の食生活に移行する等という行為そのものが 「むししないでねっ!」 れいむがお膳に乗ってぽいんぽいんと跳ねる。 私は茶碗を持って視線を逸らす。うるさいったらありゃしないよ。 「ゆっくりきいてねっ!馬鹿なにんげんさんっ!」 れいむはやや踏ん反り返り気味の姿勢で眉毛をきりっ!とさせて すぅっと息を吸い込むと元気一杯に叫んだ。 「れいむはゆっくり里帰りするよ!」 「そうか、じゃあブン殴っていいな」 れいむは自信ありげな、きりっ!とした顔のまま拳を頬にめり込ませて 残像を残しながら吹き飛んだ。 「ゆべしッ!」 そういえば「ゆべしもち」ってどんな食べ物なんだろう?餅なのか? おぉ、ももてつももてつ。 殴られたれいむはもみあげで両目を押さえながら「目がみえねぇ」と咆哮して畳を転げまわった。 「おねがいしますから、ゆっくりきいてくださいね」 すんすんと咽び泣きながられいむが語りはじめた。 れいむは元々は野生のれいむであった。 れいむが住んでいたゆっくりプレイスはとてもゆっくりしたプレイスであったが、 たまにゆっくりが失踪したり、たまにゆっくりが茎を生やして死んでいたり、主にまりさが突然死んだり、 「とてもこわいわ」とぺにぺにからカスタードを垂らしながらありすが怯えだしたりと ゆっくりながらも時折起こる「いへん」に困り果てていた。 「最後のありすが犯人だよね」 私の問いかけを無視してれいむが話を続ける。 れいむは新たなプレイスを求めて旅にでた。 苦難につぐ苦難。そしてありとあらゆる困難がれいむに襲い掛かった。 何度も心が挫けそうになった。いや、実際挫けて2、3日不貞寝したりした。 そんな長い長い旅路の末にれいむは新たなゆっくりプレイスを見つけたのだ。 「なんでそんなゆっくりがここで飯くってんの?」 「れいむは・・・れいむは「しあわせー」になったよっ!」 ポロポロと涙を零しながらも満面の笑みを浮かべてれいむが叫ぶ。 「だかられいむは「れいむはしあわせだよー」って群のゆっくりに報告しにいきたいよっ!」 私の足元で一心不乱にゆっくりフードを貪ってた筈のまりさが 「いいはなしなんだぜ」と澄んだ瞳からスーッと涙を流している。 また何時ものれいむの奇病か、と最初は思った私だが 中々どうしてこの暴飲暴食を繰り返すクソ饅頭にしてはいい心がけである。 そんなことを考えていたのか。知らなかったなー 私は茶碗をお膳に置いてパン!と手を叩いた。 「そうか、よし!じゃあ今度の休みはれいむの里帰りだね」 私は木の枝を杖代わりにしてフラつきながらも何とか歩みを進める。 進めど進めど視界に入るのは鬱蒼と茂った原生林。 唾を飲み込むも、ただ喉がゴクリとなるだけで、カラカラに乾いたそれを潤す事はできない。 思わず咳き込む。息を切らしながら辺りを見回す。今は一体何時であろうか?昼なのか?夜なのか? 今思い起こせば「れいむがみちあんないするねっ!」等という台詞そのものが死亡フラグ丸出しではないか。 そんな「沼に城建てたいです」と同意の無謀な申し出に何の疑問もなくついてきてしまった結果が 「ごらんの有様だよ!」 私は崩れ落ちるようにその場に倒れこむ。 そのはるか後方を「どぼじでぇぇぇ?」と変な呻き声を発しながら 僅か数時間でガリガリにやつれたれいむがフラフラとついてくる。 逆に聞きたい、どうして産まれて来ちゃったの? 「ぢぐり゛ん゛ざんどごいっじゃっだの゛ぉぉぉ・・・・?」 「竹林さんん?ここにはそんなの生えてないでしょぉぉぉ・・・・?」 ここにはブナの他にカツラ、ハリギリ、アサダ等の木が生い茂っているが、 れいむのいう竹林などこんなところには無い筈である。 そもそも竹林というのは栽培を目的として人間の手によって作られたものの名残りであり、 こんな山の奥地にそんな物があるのは考えられない。 「・・・・今日はここにキャンプを張るぞ」 私は背中に背負った大荷物を地面に降ろす。 れいむの群で一泊しようと考えていたので、 防災リュックに寝袋を詰め込んだ即席キャンプ用品を持ち込んでいた。不幸中の幸いである。 もはや里帰り所ではない。 私にはサバイバルの知識はあまり無かったが、 暫くここでゆっくりと体力を回復させた後、方位磁石で一定の方向へ進めばどこかへ出る筈だ。 とりあえず水分補給。そして体温を落とさないようにして体力を温存するのが賢明。 水分補給・・・・すいぶ・・・ん?・・・あれ? 「なにこれ」 中には何やらモニョモニョとやわらかい物体。 水は・・・・?缶詰は・・・・?寝袋は・・・・?リュックの大部分を占有したやわらかい物体。 その物体はなにやら申し訳なさそうな顔でダラダラと汗を流しながらこちらを見ている。 そんな物体が「ニコリ」と力の無い笑みを浮かべた。 「やってくれた喃」 「・・・ち、ちがうんだぜ」 「やってくれた喃」 「・・・ちょっとした「さぷらいず」のつもりだったんだぜ」 「やってくれた喃、まりさ」 「・・・まさかこんなことになるなんて思わなかったんだぜ」 私はまりさと初めて出会ったあの日の光景を思い出す。 あの時もこんな寒くて薄暗い夜の道だった。 コンビニ帰りの私の前にまりさが通せんぼするように現れて・・・ 「ゆっくりしてい」 「死ねッ!」 あの日と同じように私はまりさを大空へ放りなげた。 願わくばこのまま天に召されますように。 トップーン! この音!? 私とれいむが目を見開いた。 「水か!?」 「ゆっ!おみずさんはゆっくりできるよ!」 こんな所に池があるとは。まさに砂漠のオアシスだ。 息を切らせながら何とか音のした方向へ歩みを進める。 しかし眼前に広がったのは緑色に濁った水面。 湧き水によって構成された池ではなく、窪みに雨水が溜まっただけの沼だった。 こんな色をした水を見たことがある。バスクリンを入れたお風呂だ。 透明度は限りなく0に近く沼の深さはわからない。 まりさはそんな沼の水面に帽子を浮かべ、それに乗ってニヤニヤと笑みを浮かべている。 「あぶなかったんだぜ」 バッチーン!とウィンクしながらフヒュー!と口笛を吹くまりさ。 あぁ、死なねぇかなあいつ。 スカスカになったリュックの中にあった小さな鍋でその液体をすくってみる。 ドロリとした液体。もう何か寒天みたいにプルプルしてる。 「ゆっ!ごーくごーくするよ!」 「しないほうがいいな、これは」 私に制止されたれいむが「どぼじでぇ」とえぐえぐ嗚咽した。 それをいつの間にかれいむの傍らに戻ってきたまりさがなだめる。 「人間さん、まずは手持ちの荷物のチェックをするんだぜ」 無駄に男前の表情で私に提案するまりさ。無駄に眼光が鈍く光る。 残された荷物の中でこの状況の打開策を見出す。真っ当な意見だ。 しかしこいつが言うと無性に腹が立つな。 リュックサックの中から出てきたのは先程の小さな鍋、携帯ガスコンロ、 そして大量のごはんとベーコン つまり残された食料はベーコンご 「なに出してるのぉぉぉぉ!?すぐにそれをしまってねぇぇぇぇ!」 「馬鹿なんだぜぇぇぇ!そんなのたべたらなんか色々あって最終的には死ぬんだぜぇぇぇぇ!」 クワッと形相を浮かべて激昂する2匹。 場合によっては死ぬまでゆっくりしてしまう餡子脳が こんなときに限って即座に危険を察知し本能でそれを食する事を拒絶したが、 私がはふっ!はむっ!はっふっ!とベーコンとごはんを食べ始めると 先程の危険信号も御座なりに早々に「ゆっくりたべるよ」と群がりだした。 「やれやれ」 当然食料はこれだけでない。リュックの中にはまりさが中で食べ散らかした スナック菓子が少々にミネラルウォーターが2本、それにポケットの中にはチョコレートが3枚程ある。 れいむの実家の群の連中へと沢山お菓子を持ってきたのが幸いした。 2匹に食料がある事が知れると寝込みを襲われたり、変な皮算用をして初日にして食料を食い尽くす可能性がある。 余裕を持たせて食料を配分して救助を待つ。狭い日本、嫌でもすぐに助けは来るであろう。 少々ひもじいかもしれないが5日は持つだろう。 私は遭難した不安よりも普段体験できない血沸き肉踊るサバイバルに少しばかり胸を躍らせていた。 ・・・・がっ!それから13日後。 「ゆくり・・・・・・ゆくく」 半日ほど斜め45度に傾いたまま微動だにしなかったれいむが久しぶりに口を開いた。 その傍らにはパンチラスポットで一心不乱に女子が通るのを待つ小学生のような眼差しで天を仰ぐまりさ。 食料はとうに底をついた。 何処かで聞いた「遭難中はやたら動き回ると逆に危険だゾ」 という情報を盲信した為に既に動き回る体力は私たちには残されていなかった。 「むー・・・・しゃ・・・むー・・・・しゃ・・・」 木の根元に生えているキノコに見えなくも無い物体を貪るまりさ。 それを見てれいむがまりさの方へカタカタと顔を向ける。 「まりさ・・・だめだよ・・・・外の食べ物をむーしゃむーしゃ・・・したら・・・」 「・・・・ゆ゛っ?」 「・・・・お家のごはんが食べられなくなっちゃうよ」 「れいむ・・・いまは「ひじょうじたい」なんだぜ・・・そんなにゆっくりしてたら生き残れないんだぜ・・・」 「ゆ゛っ・・・!そうだね・・・ゆっくり理解したよ・・・」 普通逆だよね。 仲良くならんでキノコに見えなくも無い物体を貪る2匹を見つめながら ボーッと携帯コンロのスイッチをつけたり消したりを繰り返す。 もはやツッコミを入れる気力も無い。 コンロの上でボコボコを湯気を立てる緑の液体。 はじめて見たときはとても腹に収める勇気は無かったが、 今となってはもしかしたら大丈夫かも知れないと思い始めた。むしろ全然いけそうな気がする。 いかんいかん、あぶないあぶない。 鍋をコンロからどかしてまりさをじっと見る。 「まりさ・・・こっちへきてくれ・・・」 「ゆっ?なんなんだぜ?人間さん?」 私の消え入りそうな声に気がつき、足元に寄って来るまりさ。 「・・・・この上に乗ってみてくれるか?」 私が指で指し示した先は携帯ガスコンロ。 まりさはコンロの上に飛び乗って怪訝な眼差しを向ける。 「あんまりゆっくりできないんだぜ?人間さん」 私はおもむろにガスコンロのスイッチを捻る。 青々とした炎がまりさの尻を焦がす、チリチリと煙が上がって辺りに甘い臭いが漂う。 「ゆっ!なんかいい匂いがしてきたんだぜ?ゆっくりゆっくり・・・・ゆ゛っぐおおお???」 まりさが華麗なバク転を決めつつ地面に顔をめり込ませた。 「もうすこしだったのに・・・!」 私は無念の表情で地面に拳をたたきつけた。 舌で火傷した部分を舐めようと舌を伸ばすが、届かずに変なポーズをとりながらまりさが叫んだ。 「なっなにしてるんだぜぇぇ!人間さんんんん!」 「虐待SSでしょおおおおお!焼かれなさいよおおお!虐待ばかりの所ですがゆっくりしていってくださいねぇえええ!」 「ゆっくりできるわけないでしょぉぉぉ!がえる゛!!おう゛ぢがえる゛ぅぅぅ!!」 他のえすえすさんだったらそろそろ畑を荒らしたれいむが足を焼かれて 「ゆぎゃー」とか言っててもおかしくない時間帯である。 それなのに何をやってるんだお前たちは!不甲斐ない!不甲斐ないよ! 「いいのか!お前ら!私が死んだらwikiにまともに収録されないんだからなっ!」 「ゆっ!しったこっちゃないよ!お先にどうぞゆっくりと息をひきとってねぇぇぇぇ!」 「飼い主さんに何てこというのぉぉぉ!ばかなの?しぬの?このおちんちん!」 何て醜い生き物だ。ゆっくり、ゆっくり、と連呼しながらも その生涯でゆっくりする事なくただの一度も無く、ゴミを喰らい、無限に存在する外敵に怯え、 逃避するように無計画に繁殖し、宝物のように子供をかわいがる一方で自分に危機がせまればそれをあっさり 「やめてねっ!それもう終わったからねっ!過去にすがるのはやめてねっ!」 「すっきりしろ」 「ゆ゛っ゛?゛」 「そこのれいむとすっきりしろ」 「ゆ゛゛っ゛っ゛??」 私はまりさとれいむを鷲づかみにするとお互いの頬を無理やり擦りだした。 身を捩って私の手から逃れようとする2匹。 「やめてね!れいむとまりさは「ぷらとにっく」な関係だよ!」 「そうだぜ!すぐにやめるんだぜ!人間さん!」 「ネンネだねぇ、こういうのは初めてかい?」 「ゆっくりやめんほおおおおおおおおおおおっ!」 「やめるのぜんほおおおおおおおおおおおおっ!」 「すっきりー」 2匹はあっさりとボタボタと謎の液体を滴らせながら恍惚の表情ですっきりした。 れいむの頭からにょきにょきと茎が生えてそこからにっこりと笑みを浮かべた実ゆっくりが顔を覗かせる。 それを見て恍惚の表情で「んほぉんほぉ」言っていたれいむが目を輝かせる。 「ゆ~♪れいむのおちびちゃんすごくゆっ」 私はれいむの頭から生えた茎を毟り取ると煮えたぎった緑の液体に放り込んだ。 ニッコリと微笑んだ表情のままサッと茹で上がる赤ゆ達。 れいむは「すごくゆっくりしてるよ~」の顔のまま完全に停止している。 「ごめんね。テンプレ台詞最後まで聞くのめんどかったからごめんね」 緑の液体にプカプカと浮いた赤ゆ汁をお椀に移して自分と二匹の前にコトリを置く。 ようやくれいむの餡子脳の処理が追いついてクワッ!と形相を浮かべた。 「な゛に゛じ」 「バカっ!」 私はれいむに平手を食らわせた。これは暴力ではない。心の涙だ。 「ゆびゅ!?」とくぐもった声を漏らしながら地面を滑るれいむ。 顔を上げたれいむはどうして今殴られたの?今こっちが怒ってたよね?どういうこと?どういうこと? と、言わんばかりの表情でキョロキョロと辺りを見回している。キョロキョロしても答えなど無い。 「良く聞きなさい、れいむ!」 私はブライトさんの「殴って何故悪いか」のポーズでれいむに説いた。 「もし目の前に玉子焼きさんがあったらどうする?」→「・・・ゆっ・・・?ゆっぐりとだべばす」 「卵さんは鳥さんのおちびちゃんだけど食べてもいいの?」→「・・・ゆっ!・・・でも卵さんはれいむのおちびちゃんじゃないよ」 「他人だったら食べてもいいの?私とれいむのおちびは他人なんだけど?」→「ゆゆっ・・・!そ、それは・・・!」 「それって差別じゃない?ゆっくりしてないよね?」→「ゆ゛っ!?・・・れっ、れいむはとってもゆっくりしているよ・・・!」 「いまどういう状況かわかってる?」→「と、とってもゆっくりしていないじょうきょうだよ・・・・!」 「今何問目?」→「おうどん!」 「何とか皆で生還しようっていう気はあるの?」→「ゆっくり!ゆっくりじだいです!」 「もし目の前に赤ゆ汁があったらどうする?」→「ゆっぐりだべばす!!」 「ではいただきます」 手をあわせて赤ゆ汁を貪る私とまりさ。 れいむは口をパクパクさせて虚空に目を泳がせるだけである。 しかし私とまりさの手は直ぐに止まる。 コトリと置かれるお椀。 「・・・・い」 「ゆ゛っ?」 かすかに聞こえた一言にれいむは正気に戻る。 しかしこれは聞き間違いである。そんな言葉がこの状況で出る筈が無い。 れいむは意を決して口を開く。 「い、いまなんて」 「まずい!」「まずいのぜ!」 「んおあゆ!!」 まったりとしていなくて、コクがなく、それでいてしつこい。 一見すると抹茶ぜんざいのようにも見えるそれは吐瀉物と甲乙つけがたい仕上がりだった。 生ゴミでも極上の本マグロになるこの状況でこの体たらくは一体どういう事だ。 こんな事をしておいて何だが、まずい!まずすぎる!無性に腹が立ってきた。 「どういうことだ!れいむ!」 「どういうことなんだぜ!れいむ!」 「ゆ゛っ!?ゆゆゆっ???」 れいむは人間とまりさと赤ゆ汁を何度も見回した後に正面を向いた。 「ご、ごべんな・・・・なにいってるのぉぉぉぉぉ!!れいむのおちびちゃんがまずいわけないでしょぉぉぉ!」 もうすこしで「ごべんなざい」する所だったれいむがすんでのところで踏みとどまり お椀に顔をつっこんで一心不乱に赤ゆ汁を貪りはじめた。 「うめっ!これめっちゃしあわせー!しあばぶぜッ!」 探偵物語を思わせる芸術的な赤ゆ汁噴出をするれいむ。 まっず!これめっちゃまずっ!まずいっていうかなんか口が痛い! にっこりと微笑んだ赤ゆが地面をころころと転がった。 「ひぎっ!まずひぎっ!ひぎがなえっ!?」 ビクッ!ビクッ!と痙攣しながら地面をのたうちまわるれいむ 赤ゆを差し出したのにまずいとか言われちゃてるぅ・・・・くやしい・・・!・・・・でもっ!ビクビク! ビクビクするれいむを華麗にスルーしながらまりさが天を仰ぐ 「ゆっ!人間さん!何かがいるんだぜ!」 上空には羽音のような低い振動音が響いた。 虫かとも思ったがその音を発する物体の姿は見えない。 どんどん大きくなる音。もはや到底虫とは思えない。 ガサガサと物体が枝を縫う音が遠くからどんどんこちらに近づいてくる。 ヒュン! 物体が木の隙間から一瞬だけ姿を現して再びその姿を消す。 一瞬見えたそれは生首、振り乱した黒髪、引きつった表情、それは空を飛ぶゆっくりだった。 足元でカタカタと鳴る歯の音に気がついて足元の2匹に視線を移す。 れいむとまりさは目を剥き出し顔を真っ青にして震えている。 「きっ・・・きき「きめぇ丸」だぁぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁぁ!」 「ゆっくりできない!きめぇ丸はゆっくりできないんだぜぇぇぇぇ!」 まだそんなに残っていたのかダラダラと冷や汗を流しながら怯える2匹。 ふふっ、なんだ・・・二人ともそんないい顔できるんじゃないか。 まるで心を閉ざした少女が見せた刹那の笑顔を見るご両親のような眼差しで私は2匹を見た。 しかし2匹が口にした「きめぇ丸」とはいわゆる希少種だ。 れいむやまりさといったその辺りの草むらを探せばアホみたいに居る通常種と違って 希少種はその姿を殆ど人前に現さない。 しかも通常種のゆっくり達がその存在を肯定しているだけで、 その姿を実際に見たという者も収められた映像も存在しなかった。 小さい頃、森の中を笑顔を浮かべながらフワフワと舞うように飛んでいる「捕食種」は見たことがあったが、 空を高速で飛びまわるゆっくりなどという荒唐無稽な存在など誰が信じられるだろうか? 「おぉ・・・・」 意外にも先に口を開いたのは希少種、きめぇ丸の方だった。 何時の間に回りこんでいたのか、私たちの後ろで笑顔を浮かべていたきめぇ丸。いや、それ笑ってるの!? 「おぉ・・・・ゆっくりゆっくり」 目の錯覚かと思った歪んだ顔は実際に歪んでいた。 こちらには視線を向けずに虚空に目を泳がせ、時折ヒュン!ヒュン!と音を出して首を振るきめぇ丸。 そのたびにれいむとまりさは「ゆっくりできない!」と恐れおののいた。 ゆっくりする事を信条として、ゆっくりした者ほど賞賛を浴びるゆっくり達にとって 高速移動という行為はゆっくりとは間逆。まさに異端。それが希少種たる所以か。 「お困りのようですね・・・・おぉ、くうふくくうふく」 その物腰は意外にもやわらかだった。 民家の窓を割って進入しておいて「ここは自分の家だ」と主張する通常種との格の違いを伺わせる態度。 しかし次の瞬間きめぇ丸が残像を残しながら移動する。 「私と同じですね」 上空に飛び立つきめぇ丸。その口にはれいむがくわえられている いつの間にかまりさの隣でアホ面をぶら下げていたれいむの姿が無い。 一瞬にしてきめぇ丸に連れ去られたのだ。 ニヤァッ!と主に全身がキモい笑みを浮かべながら高速で首を振り回すきめぇ丸。 一緒にれいむも残像を残しながら高速で振り回される。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 カッ!と目を見開いて絶叫するれいむと共にきめぇ丸は飛び去った。 「え?あ・・・ちょっ!ま、待てっ!」 私とまりさが地面を蹴ってそれを追いかけた。 「まるでおそらを・・・・とんでますぅぅぅぅ!!!」 素っ頓狂なれいむの絶叫を辿りながら漆黒の森を走る。 しかし、スピードの差は歴然としており、その差は徐々に離されていく。 徐々に小さくなっていくきめぇ丸とれいむのシルエット。 赤ゆ汁を少し飲んだとはいえ体調は最悪、その上この悪路の山道。見失うのは時間の問題だった。 「だずげでね゛ぇぇぇ!お゛ね゛え゛ざんんんんん!」 もはやきめぇ丸とれいむの姿は見えない。ただ叫び声のする方向へ全力で駆けるしかない。 しかしその時、辺りが俄かに明るくなり森全体を照らす。 姿を見失っていたきめぇ丸が再び視界に収まる。思ったよりもまだ遠くへは行っていなかった。 「ゆっ!人間さん!周りをみるんだぜ!」 まりさの驚いたような声に咄嗟にきめぇ丸から視線を移し辺りを見回す。 先程までブナを主とする原生林が生い茂っていた筈の光景が一変していた。 咲き乱れる竹林。それが回廊のようにどこまでも続いていた。 ボゥと青白い光を放つそれが辺りを明るくした原因だった。 竹林さんどこいっちゃったの? れいむの言葉を思い出す。 ここがれいむの故郷なのか?こんな奥地に竹林があるなんて・・・? 光っているのはコケか何かだろうか? 様々な考えが脳裏をよぎったが、ひとまずそれを完全にシャットアウトする。 今は目の前の希少種かられいむを取り戻す事だ。それだけに完璧に集中する。 「まりさ!」 私の問いかけに「ゆっ!」と返事をしてまりさが大きくジャンプして帽子をポーン!と飛ばす。 帽子の中からこぼれ落ちたのはまりさが水面を移動するときに使う小さな木の棒、オールだった。 それを空中で武器の代わりに口にくわえたまりさは器用に再び帽子をキャッチして私の肩に乗る。 「まかせたぞ!まりさ!」 「ゆっくりまかせるのぜ!にんげ・・・・んざあああああああああああああ!?」 私はまりさの口の中に杖代わりにつかっていた棒を突っ込んでそれを大きく振り上げて加速させる。 手で投げると思ったの?ばかなの?しぬの?主人公気取りなの? ありえないくらいに大口をあけて横に伸び上がるまりさ。主に存在がキモい。 懇親の力を込めて足を地面に叩きつける。 大地が振動して円形状に落ち葉が地面から跳ね上がる。 その衝撃を足から膝、膝から腰、腰から肩、肩から肘を経由して力に変換させて一気に棒を振り下ろす。 遠心力とてこの原理で大地から伝わってきた力は更に増幅してまりさに伝わる。 「んぎょぶばッ」 白目を剥いてまりさが変な呻き声を漏らしながらヒュバッ!っと棒から射出された。 遅れて地面に足を叩き付けた時の轟音が竹林に響く。 私はヘッドスライディングするような姿勢で地面に倒れこんだ。 空気を切り裂き、弾丸のように体を変形させながらまりさが 地球の自転、磁場、重力とかなんか色々な物に逆らいながらきめぇ丸に向かって突進する。 「おぉ、はやいはやい」 ヒュンヒュン!と首を振りながら、れいむを宙へ放り投げるきめぇ丸。 「とんでるのにそこからもっとお空をどんでるぅぅぅ!」 涙を撒き散らしながら上空へ昇っていくれいむ。 きめぇ丸は突進してくるまりさを事も無さげに避け・・・ 「おぉ?」 避けたと思ったそれはまりさでは無く、まりさの帽子だけだった。 きめぇ丸の目がカッ!と見開かれる。 帽子は囮。二段構えの攻撃。 通常種ごときに一杯食わされるとは、おぉ、ぶざまぶざま。 何処から来る?後ろか横かそれとも上か? 何処から来ても主に余裕で避ける自信がきめぇ丸にはあった。 「ばやぐだずげでね!」 まりさはちょっと手前の木の枝に突き刺ささっていただけだった。 主にうっかりミスだった。 「おぉ、おろかお」 しかし次の瞬間きめぇ丸の後頭部に衝撃が走る。視界が歪む。 まさかまりさも囮の三段構えの攻撃? 再び見開かれるきめぇ丸の両眼。 「ゆ゛っぐり゛どおりまずがらね゛っ!」 完全に存在を忘れていたれいむが頭に直撃しただけだった。 きめぇ丸は「おぉ、おちるおちる」とフラフラ地面に落ちる。 それを追うように涙が尾を引きながられいむも地面へ吸い込まれていった。 「人間さん!れいむが落ちるんだぜ!そのまえにまりさを助けてね!」 「そこで死んでくださいね!」 人間は既に起き上がり、落ちるれいむに向かって突進していた。 しかし先程の投擲で殆どの体力を使い果たしてしまった為に、 もはや先程までの速度で走ることはできない。 地面に向かって落ちていく2つのゆっくりの影。届かない!私はそう思った。 れいむと初めて出会ったあの日。 餡子塗れのまりさのおさげを持ちながら家路を急ぐ途中だった。 「ゆ゛っぐりしでいってねぇええええ!」 スポーン!と森の中から愉快な形相を浮かべてれいむが元気に飛び出してきた。 それを咄嗟に殴る私。「ひゃぶえ」と声を上げながら電柱に激突するれいむ。 「ゆっ?ゆっ?」と餡子塗れで辺りを見回すれいむ。そんなれいむが私に気がつき声をかけてきた。 艶やかに輝く髪、もみあげをフワッと棚引かせて小首を少し傾げる。 その動きに連動して髪をまとめたリボンがピン!と動いた。目を輝かせて私を見ながら満面の笑みを浮かべる。 「人間さんはゆっくりできるひとっ?」 「そいつはこのまりさに聞いてみな」 おさげを掴まれてブラブラと揺れるまりさが 「ごゆるりとしていってね・・・」と呟いてニコリと力なく笑った。 「れいむはゆっくり帰・・・・」 餡子まみれで元居た場所から逃げだしてきたれいむ。 私は以前れいむが住んでいた場所はとてもゆっくりできない所だと思っていた。 しかしれいむは里帰りして自分は幸せに暮らしている事を伝えたいと言ってきた。 元住んでいた場所には仲間が居たのだ。ゆっくりできない場所ではなかった。 私はそれが少しうれしかった。そしてれいむが今幸せだと言った事が少しうれしかった。 気がつくと落ちてくるれいむは目の前にまで迫っていた。届く。もう少しで届く。 竹林の回廊が途切れる。眼前に広がる草むら。丸く大きな月。 私はれいむを受け止めて草むらを転がった。 「意外と走れるものだな、無事でよかったれいむ」 息を切らしながら胸に抱いたれいむの後頭部を優しく撫でる。 れいむがゆっくりと顔をあげる。 歪んだ顔、吊りあがった口、お飾りのぽんぽん 「おぉ、ぬくいぬくい」 それは頬を赤らめたきめぇ丸でした。 振り返ると腹に枝が突き刺さったままのまりさが苦笑いを浮かべている。 その傍らには綺麗な餡子の花を咲かせて「ギョッギョッギョッ!」と痙攣するれいむ。 「オゥフ」 私はどうしていいのかわからなくなり、とりあえず草むらを走った。しゃにむに走った。 「こんなふざけたえすえすさんじゃ無かったられいむは死んでたよ!ばかなの?しぬの?てぬきなの?」 ぷくぅ!と頬をふくらませて怒りを露にするれいむだったが ファンタオレンジをかけてやると「あまい!」「しゅわしゅわする!」と怒りを忘れて喜びだした。 草むらを駆け回っているうちに元居た原生林の森に戻った事に気がつき あんなに広大なジャングルのように感じた森も少し歩いただけでアスファルトの公道に出た。 これほどただの道路を見ただけで感動したことは生まれてから一度も無かった。 自販機を見つけて2匹に手当てをして現在に至る。私はこういう部分を3行で済ませる奴は死んだほうがいいと思った。 「にんげんさん・・・・あのちくりんさんは・・・ゆっ」 まりさの頭にもジュースをかける。途端に「あまい!」「しゅわしゅわする!」と喜びだす。 あの竹林。一体なんだったのだろうか?れいむはあそこから「こちら」へやってきたのだろうか? 私とまりさは見た。あの竹林の先の光景を。明らかに「こちら」とは違うあの光景。 あれは一体なんだったのか?れいむが「鍵」の様な役割を果たしてあちらへの扉を開いた? ゆっくり達は元々はあちらに住んでいてれいむの様にこちらに移って来たのだろうか? いやいや・・・考えるのも馬鹿馬鹿しい。赤ゆ汁で変な幻覚を見ていたという憶測の方がまだ合点がいく。 「人間さん!まりさはいいことを思いついたのぜ!」 まりさがぽーん!と跳ねて私の頭の上に乗る。 そしてそれが全てを解決する大名案であるかのように誇らしげに叫んだ。 「まりさはゆっくりと里帰りするんだぜ!」 まりさをつかみ森へ放り投げる。 どうか二度と帰ってきませんように。 「あぶなかったんだぜ!」 まりさは街灯に体をひっかけてパッチーン!とウィンクするとフヒュー!と口笛を吹いた。 あぁ、死なねぇかなあいつ。 「ゆっくりゆっくり」と妄言を垂れ流すゆっくり達。 しかし元は本当に人間をゆっくりさせる力があったのかもしれない。 街灯にぶら下がりながらニヤニヤと笑みを浮かべるまりさと 「あまい」「ゆっくりあまい」と嬉しそうに叫ぶれいむを見て私はふとそんなことを考えた。 そんな1人と2匹を上空から見下ろすまるい影。 歪んだ顔、吊りあがった口、お飾りのぽんぽん きめぇ丸は顔をあげて辺りを見回す。 元居た場所とはかなり違う光景。まずい空気。夜の闇の中を生き物ように蠢く光。 全てが物珍しくきめぇ丸の興味を引いた。 「おぉ・・・・ひろいひろい」 そう呟くときめぇ丸は光り輝く街へと向かって飛び去った。 以後、その存在だけがゆっくりの口から語られてた 希少種、きめぇ丸が頻繁に人々に目撃されるようになる。 とか思ったんだけど、やっぱりナシの方向でお願いします。 おしまい 今まで書いたもの ゆっくり見せしめ ゆっくり電柱 ゆっくり脳内補完 副工場長れいむの末路 副工場長れいむの末路2 副工場長れいむの末路3 副工場長れいむの末路4 ゲスが見た夢1 ゲスが見た夢2 元野良れいむの里帰り このSSに感想をつける
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元野良れいむの里帰り 「れいむはゆっくり里帰りするよ!」 食事中、口をモゴモゴとさせながら考え事をしていたれいむが 突然飯粒を撒き散らしながら叫んだ! 私は4つに割った豆腐ハンバーグの一つを口に入れてゆっくりと租借する。 最近はがっつり肉!縦横無尽に肉!などといった野性味あふれるメリケンチックな 食生活よりもこういったヘルシーな食事を好むようになっていた。 余り野菜の処分にも最適だ。そもそも日本人は何百年も穀物中心の食生活を送っていたのだ。 それをここ十数年で肉中心の食生活に移行する等という行為そのものが 「むししないでねっ!」 れいむがお膳に乗ってぽいんぽいんと跳ねる。 私は茶碗を持って視線を逸らす。うるさいったらありゃしないよ。 「ゆっくりきいてねっ!馬鹿なにんげんさんっ!」 れいむはやや踏ん反り返り気味の姿勢で眉毛をきりっ!とさせて すぅっと息を吸い込むと元気一杯に叫んだ。 「れいむはゆっくり里帰りするよ!」 「そうか、じゃあブン殴っていいな」 れいむは自信ありげな、きりっ!とした顔のまま拳を頬にめり込ませて 残像を残しながら吹き飛んだ。 「ゆべしッ!」 そういえば「ゆべしもち」ってどんな食べ物なんだろう?餅なのか? おぉ、ももてつももてつ。 殴られたれいむはもみあげで両目を押さえながら「目がみえねぇ」と咆哮して畳を転げまわった。 「おねがいしますから、ゆっくりきいてくださいね」 すんすんと咽び泣きながられいむが語りはじめた。 れいむは元々は野生のれいむであった。 れいむが住んでいたゆっくりプレイスはとてもゆっくりしたプレイスであったが、 たまにゆっくりが失踪したり、たまにゆっくりが茎を生やして死んでいたり、主にまりさが突然死んだり、 「とてもこわいわ」とぺにぺにからカスタードを垂らしながらありすが怯えだしたりと ゆっくりながらも時折起こる「いへん」に困り果てていた。 「最後のありすが犯人だよね」 私の問いかけを無視してれいむが話を続ける。 れいむは新たなプレイスを求めて旅にでた。 苦難につぐ苦難。そしてありとあらゆる困難がれいむに襲い掛かった。 何度も心が挫けそうになった。いや、実際挫けて2、3日不貞寝したりした。 そんな長い長い旅路の末にれいむは新たなゆっくりプレイスを見つけたのだ。 「なんでそんなゆっくりがここで飯くってんの?」 「れいむは・・・れいむは「しあわせー」になったよっ!」 ポロポロと涙を零しながらも満面の笑みを浮かべてれいむが叫ぶ。 「だかられいむは「れいむはしあわせだよー」って群のゆっくりに報告しにいきたいよっ!」 私の足元で一心不乱にゆっくりフードを貪ってた筈のまりさが 「いいはなしなんだぜ」と澄んだ瞳からスーッと涙を流している。 また何時ものれいむの奇病か、と最初は思った私だが 中々どうしてこの暴飲暴食を繰り返すクソ饅頭にしてはいい心がけである。 そんなことを考えていたのか。知らなかったなー 私は茶碗をお膳に置いてパン!と手を叩いた。 「そうか、よし!じゃあ今度の休みはれいむの里帰りだね」 私は木の枝を杖代わりにしてフラつきながらも何とか歩みを進める。 進めど進めど視界に入るのは鬱蒼と茂った原生林。 唾を飲み込むも、ただ喉がゴクリとなるだけで、カラカラに乾いたそれを潤す事はできない。 思わず咳き込む。息を切らしながら辺りを見回す。今は一体何時であろうか?昼なのか?夜なのか? 今思い起こせば「れいむがみちあんないするねっ!」等という台詞そのものが死亡フラグ丸出しではないか。 そんな「沼に城建てたいです」と同意の無謀な申し出に何の疑問もなくついてきてしまった結果が 「ごらんの有様だよ!」 私は崩れ落ちるようにその場に倒れこむ。 そのはるか後方を「どぼじでぇぇぇ?」と変な呻き声を発しながら 僅か数時間でガリガリにやつれたれいむがフラフラとついてくる。 逆に聞きたい、どうして産まれて来ちゃったの? 「ぢぐり゛ん゛ざんどごいっじゃっだの゛ぉぉぉ・・・・?」 「竹林さんん?ここにはそんなの生えてないでしょぉぉぉ・・・・?」 ここにはブナの他にカツラ、ハリギリ、アサダ等の木が生い茂っているが、 れいむのいう竹林などこんなところには無い筈である。 そもそも竹林というのは栽培を目的として人間の手によって作られたものの名残りであり、 こんな山の奥地にそんな物があるのは考えられない。 「・・・・今日はここにキャンプを張るぞ」 私は背中に背負った大荷物を地面に降ろす。 れいむの群で一泊しようと考えていたので、 防災リュックに寝袋を詰め込んだ即席キャンプ用品を持ち込んでいた。不幸中の幸いである。 もはや里帰り所ではない。 私にはサバイバルの知識はあまり無かったが、 暫くここでゆっくりと体力を回復させた後、方位磁石で一定の方向へ進めばどこかへ出る筈だ。 とりあえず水分補給。そして体温を落とさないようにして体力を温存するのが賢明。 水分補給・・・・すいぶ・・・ん?・・・あれ? 「なにこれ」 中には何やらモニョモニョとやわらかい物体。 水は・・・・?缶詰は・・・・?寝袋は・・・・?リュックの大部分を占有したやわらかい物体。 その物体はなにやら申し訳なさそうな顔でダラダラと汗を流しながらこちらを見ている。 そんな物体が「ニコリ」と力の無い笑みを浮かべた。 「やってくれた喃」 「・・・ち、ちがうんだぜ」 「やってくれた喃」 「・・・ちょっとした「さぷらいず」のつもりだったんだぜ」 「やってくれた喃、まりさ」 「・・・まさかこんなことになるなんて思わなかったんだぜ」 私はまりさと初めて出会ったあの日の光景を思い出す。 あの時もこんな寒くて薄暗い夜の道だった。 コンビニ帰りの私の前にまりさが通せんぼするように現れて・・・ 「ゆっくりしてい」 「死ねッ!」 あの日と同じように私はまりさを大空へ放りなげた。 願わくばこのまま天に召されますように。 トップーン! この音!? 私とれいむが目を見開いた。 「水か!?」 「ゆっ!おみずさんはゆっくりできるよ!」 こんな所に池があるとは。まさに砂漠のオアシスだ。 息を切らせながら何とか音のした方向へ歩みを進める。 しかし眼前に広がったのは緑色に濁った水面。 湧き水によって構成された池ではなく、窪みに雨水が溜まっただけの沼だった。 こんな色をした水を見たことがある。バスクリンを入れたお風呂だ。 透明度は限りなく0に近く沼の深さはわからない。 まりさはそんな沼の水面に帽子を浮かべ、それに乗ってニヤニヤと笑みを浮かべている。 「あぶなかったんだぜ」 バッチーン!とウィンクしながらフヒュー!と口笛を吹くまりさ。 あぁ、死なねぇかなあいつ。 スカスカになったリュックの中にあった小さな鍋でその液体をすくってみる。 ドロリとした液体。もう何か寒天みたいにプルプルしてる。 「ゆっ!ごーくごーくするよ!」 「しないほうがいいな、これは」 私に制止されたれいむが「どぼじでぇ」とえぐえぐ嗚咽した。 それをいつの間にかれいむの傍らに戻ってきたまりさがなだめる。 「人間さん、まずは手持ちの荷物のチェックをするんだぜ」 無駄に男前の表情で私に提案するまりさ。無駄に眼光が鈍く光る。 残された荷物の中でこの状況の打開策を見出す。真っ当な意見だ。 しかしこいつが言うと無性に腹が立つな。 リュックサックの中から出てきたのは先程の小さな鍋、携帯ガスコンロ、 そして大量のごはんとベーコン つまり残された食料はベーコンご 「なに出してるのぉぉぉぉ!?すぐにそれをしまってねぇぇぇぇ!」 「馬鹿なんだぜぇぇぇ!そんなのたべたらなんか色々あって最終的には死ぬんだぜぇぇぇぇ!」 クワッと形相を浮かべて激昂する2匹。 場合によっては死ぬまでゆっくりしてしまう餡子脳が こんなときに限って即座に危険を察知し本能でそれを食する事を拒絶したが、 私がはふっ!はむっ!はっふっ!とベーコンとごはんを食べ始めると 先程の危険信号も御座なりに早々に「ゆっくりたべるよ」と群がりだした。 「やれやれ」 当然食料はこれだけでない。リュックの中にはまりさが中で食べ散らかした スナック菓子が少々にミネラルウォーターが2本、それにポケットの中にはチョコレートが3枚程ある。 れいむの実家の群の連中へと沢山お菓子を持ってきたのが幸いした。 2匹に食料がある事が知れると寝込みを襲われたり、変な皮算用をして初日にして食料を食い尽くす可能性がある。 余裕を持たせて食料を配分して救助を待つ。狭い日本、嫌でもすぐに助けは来るであろう。 少々ひもじいかもしれないが5日は持つだろう。 私は遭難した不安よりも普段体験できない血沸き肉踊るサバイバルに少しばかり胸を躍らせていた。 ・・・・がっ!それから13日後。 「ゆくり・・・・・・ゆくく」 半日ほど斜め45度に傾いたまま微動だにしなかったれいむが久しぶりに口を開いた。 その傍らにはパンチラスポットで一心不乱に女子が通るのを待つ小学生のような眼差しで天を仰ぐまりさ。 食料はとうに底をついた。 何処かで聞いた「遭難中はやたら動き回ると逆に危険だゾ」 という情報を盲信した為に既に動き回る体力は私たちには残されていなかった。 「むー・・・・しゃ・・・むー・・・・しゃ・・・」 木の根元に生えているキノコに見えなくも無い物体を貪るまりさ。 それを見てれいむがまりさの方へカタカタと顔を向ける。 「まりさ・・・だめだよ・・・・外の食べ物をむーしゃむーしゃ・・・したら・・・」 「・・・・ゆ゛っ?」 「・・・・お家のごはんが食べられなくなっちゃうよ」 「れいむ・・・いまは「ひじょうじたい」なんだぜ・・・そんなにゆっくりしてたら生き残れないんだぜ・・・」 「ゆ゛っ・・・!そうだね・・・ゆっくり理解したよ・・・」 普通逆だよね。 仲良くならんでキノコに見えなくも無い物体を貪る2匹を見つめながら ボーッと携帯コンロのスイッチをつけたり消したりを繰り返す。 もはやツッコミを入れる気力も無い。 コンロの上でボコボコを湯気を立てる緑の液体。 はじめて見たときはとても腹に収める勇気は無かったが、 今となってはもしかしたら大丈夫かも知れないと思い始めた。むしろ全然いけそうな気がする。 いかんいかん、あぶないあぶない。 鍋をコンロからどかしてまりさをじっと見る。 「まりさ・・・こっちへきてくれ・・・」 「ゆっ?なんなんだぜ?人間さん?」 私の消え入りそうな声に気がつき、足元に寄って来るまりさ。 「・・・・この上に乗ってみてくれるか?」 私が指で指し示した先は携帯ガスコンロ。 まりさはコンロの上に飛び乗って怪訝な眼差しを向ける。 「あんまりゆっくりできないんだぜ?人間さん」 私はおもむろにガスコンロのスイッチを捻る。 青々とした炎がまりさの尻を焦がす、チリチリと煙が上がって辺りに甘い臭いが漂う。 「ゆっ!なんかいい匂いがしてきたんだぜ?ゆっくりゆっくり・・・・ゆ゛っぐおおお???」 まりさが華麗なバク転を決めつつ地面に顔をめり込ませた。 「もうすこしだったのに・・・!」 私は無念の表情で地面に拳をたたきつけた。 舌で火傷した部分を舐めようと舌を伸ばすが、届かずに変なポーズをとりながらまりさが叫んだ。 「なっなにしてるんだぜぇぇ!人間さんんんん!」 「虐待SSでしょおおおおお!焼かれなさいよおおお!虐待ばかりの所ですがゆっくりしていってくださいねぇえええ!」 「ゆっくりできるわけないでしょぉぉぉ!がえる゛!!おう゛ぢがえる゛ぅぅぅ!!」 他のえすえすさんだったらそろそろ畑を荒らしたれいむが足を焼かれて 「ゆぎゃー」とか言っててもおかしくない時間帯である。 それなのに何をやってるんだお前たちは!不甲斐ない!不甲斐ないよ! 「いいのか!お前ら!私が死んだらwikiにまともに収録されないんだからなっ!」 「ゆっ!しったこっちゃないよ!お先にどうぞゆっくりと息をひきとってねぇぇぇぇ!」 「飼い主さんに何てこというのぉぉぉ!ばかなの?しぬの?このおちんちん!」 何て醜い生き物だ。ゆっくり、ゆっくり、と連呼しながらも その生涯でゆっくりする事なくただの一度も無く、ゴミを喰らい、無限に存在する外敵に怯え、 逃避するように無計画に繁殖し、宝物のように子供をかわいがる一方で自分に危機がせまればそれをあっさり 「やめてねっ!それもう終わったからねっ!過去にすがるのはやめてねっ!」 「すっきりしろ」 「ゆ゛っ゛?゛」 「そこのれいむとすっきりしろ」 「ゆ゛゛っ゛っ゛??」 私はまりさとれいむを鷲づかみにするとお互いの頬を無理やり擦りだした。 身を捩って私の手から逃れようとする2匹。 「やめてね!れいむとまりさは「ぷらとにっく」な関係だよ!」 「そうだぜ!すぐにやめるんだぜ!人間さん!」 「ネンネだねぇ、こういうのは初めてかい?」 「ゆっくりやめんほおおおおおおおおおおおっ!」 「やめるのぜんほおおおおおおおおおおおおっ!」 「すっきりー」 2匹はあっさりとボタボタと謎の液体を滴らせながら恍惚の表情ですっきりした。 れいむの頭からにょきにょきと茎が生えてそこからにっこりと笑みを浮かべた実ゆっくりが顔を覗かせる。 それを見て恍惚の表情で「んほぉんほぉ」言っていたれいむが目を輝かせる。 「ゆ~♪れいむのおちびちゃんすごくゆっ」 私はれいむの頭から生えた茎を毟り取ると煮えたぎった緑の液体に放り込んだ。 ニッコリと微笑んだ表情のままサッと茹で上がる赤ゆ達。 れいむは「すごくゆっくりしてるよ~」の顔のまま完全に停止している。 「ごめんね。テンプレ台詞最後まで聞くのめんどかったからごめんね」 緑の液体にプカプカと浮いた赤ゆ汁をお椀に移して自分と二匹の前にコトリを置く。 ようやくれいむの餡子脳の処理が追いついてクワッ!と形相を浮かべた。 「な゛に゛じ」 「バカっ!」 私はれいむに平手を食らわせた。これは暴力ではない。心の涙だ。 「ゆびゅ!?」とくぐもった声を漏らしながら地面を滑るれいむ。 顔を上げたれいむはどうして今殴られたの?今こっちが怒ってたよね?どういうこと?どういうこと? と、言わんばかりの表情でキョロキョロと辺りを見回している。キョロキョロしても答えなど無い。 「良く聞きなさい、れいむ!」 私はブライトさんの「殴って何故悪いか」のポーズでれいむに説いた。 「もし目の前に玉子焼きさんがあったらどうする?」→「・・・ゆっ・・・?ゆっぐりとだべばす」 「卵さんは鳥さんのおちびちゃんだけど食べてもいいの?」→「・・・ゆっ!・・・でも卵さんはれいむのおちびちゃんじゃないよ」 「他人だったら食べてもいいの?私とれいむのおちびは他人なんだけど?」→「ゆゆっ・・・!そ、それは・・・!」 「それって差別じゃない?ゆっくりしてないよね?」→「ゆ゛っ!?・・・れっ、れいむはとってもゆっくりしているよ・・・!」 「いまどういう状況かわかってる?」→「と、とってもゆっくりしていないじょうきょうだよ・・・・!」 「今何問目?」→「おうどん!」 「何とか皆で生還しようっていう気はあるの?」→「ゆっくり!ゆっくりじだいです!」 「もし目の前に赤ゆ汁があったらどうする?」→「ゆっぐりだべばす!!」 「ではいただきます」 手をあわせて赤ゆ汁を貪る私とまりさ。 れいむは口をパクパクさせて虚空に目を泳がせるだけである。 しかし私とまりさの手は直ぐに止まる。 コトリと置かれるお椀。 「・・・・い」 「ゆ゛っ?」 かすかに聞こえた一言にれいむは正気に戻る。 しかしこれは聞き間違いである。そんな言葉がこの状況で出る筈が無い。 れいむは意を決して口を開く。 「い、いまなんて」 「まずい!」「まずいのぜ!」 「んおあゆ!!」 まったりとしていなくて、コクがなく、それでいてしつこい。 一見すると抹茶ぜんざいのようにも見えるそれは吐瀉物と甲乙つけがたい仕上がりだった。 生ゴミでも極上の本マグロになるこの状況でこの体たらくは一体どういう事だ。 こんな事をしておいて何だが、まずい!まずすぎる!無性に腹が立ってきた。 「どういうことだ!れいむ!」 「どういうことなんだぜ!れいむ!」 「ゆ゛っ!?ゆゆゆっ???」 れいむは人間とまりさと赤ゆ汁を何度も見回した後に正面を向いた。 「ご、ごべんな・・・・なにいってるのぉぉぉぉぉ!!れいむのおちびちゃんがまずいわけないでしょぉぉぉ!」 もうすこしで「ごべんなざい」する所だったれいむがすんでのところで踏みとどまり お椀に顔をつっこんで一心不乱に赤ゆ汁を貪りはじめた。 「うめっ!これめっちゃしあわせー!しあばぶぜッ!」 探偵物語を思わせる芸術的な赤ゆ汁噴出をするれいむ。 まっず!これめっちゃまずっ!まずいっていうかなんか口が痛い! にっこりと微笑んだ赤ゆが地面をころころと転がった。 「ひぎっ!まずひぎっ!ひぎがなえっ!?」 ビクッ!ビクッ!と痙攣しながら地面をのたうちまわるれいむ 赤ゆを差し出したのにまずいとか言われちゃてるぅ・・・・くやしい・・・!・・・・でもっ!ビクビク! ビクビクするれいむを華麗にスルーしながらまりさが天を仰ぐ 「ゆっ!人間さん!何かがいるんだぜ!」 上空には羽音のような低い振動音が響いた。 虫かとも思ったがその音を発する物体の姿は見えない。 どんどん大きくなる音。もはや到底虫とは思えない。 ガサガサと物体が枝を縫う音が遠くからどんどんこちらに近づいてくる。 ヒュン! 物体が木の隙間から一瞬だけ姿を現して再びその姿を消す。 一瞬見えたそれは生首、振り乱した黒髪、引きつった表情、それは空を飛ぶゆっくりだった。 足元でカタカタと鳴る歯の音に気がついて足元の2匹に視線を移す。 れいむとまりさは目を剥き出し顔を真っ青にして震えている。 「きっ・・・きき「きめぇ丸」だぁぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁぁ!」 「ゆっくりできない!きめぇ丸はゆっくりできないんだぜぇぇぇぇ!」 まだそんなに残っていたのかダラダラと冷や汗を流しながら怯える2匹。 ふふっ、なんだ・・・二人ともそんないい顔できるんじゃないか。 まるで心を閉ざした少女が見せた刹那の笑顔を見るご両親のような眼差しで私は2匹を見た。 しかし2匹が口にした「きめぇ丸」とはいわゆる希少種だ。 れいむやまりさといったその辺りの草むらを探せばアホみたいに居る通常種と違って 希少種はその姿を殆ど人前に現さない。 しかも通常種のゆっくり達がその存在を肯定しているだけで、 その姿を実際に見たという者も収められた映像も存在しなかった。 小さい頃、森の中を笑顔を浮かべながらフワフワと舞うように飛んでいる「捕食種」は見たことがあったが、 空を高速で飛びまわるゆっくりなどという荒唐無稽な存在など誰が信じられるだろうか? 「おぉ・・・・」 意外にも先に口を開いたのは希少種、きめぇ丸の方だった。 何時の間に回りこんでいたのか、私たちの後ろで笑顔を浮かべていたきめぇ丸。いや、それ笑ってるの!? 「おぉ・・・・ゆっくりゆっくり」 目の錯覚かと思った歪んだ顔は実際に歪んでいた。 こちらには視線を向けずに虚空に目を泳がせ、時折ヒュン!ヒュン!と音を出して首を振るきめぇ丸。 そのたびにれいむとまりさは「ゆっくりできない!」と恐れおののいた。 ゆっくりする事を信条として、ゆっくりした者ほど賞賛を浴びるゆっくり達にとって 高速移動という行為はゆっくりとは間逆。まさに異端。それが希少種たる所以か。 「お困りのようですね・・・・おぉ、くうふくくうふく」 その物腰は意外にもやわらかだった。 民家の窓を割って進入しておいて「ここは自分の家だ」と主張する通常種との格の違いを伺わせる態度。 しかし次の瞬間きめぇ丸が残像を残しながら移動する。 「私と同じですね」 上空に飛び立つきめぇ丸。その口にはれいむがくわえられている いつの間にかまりさの隣でアホ面をぶら下げていたれいむの姿が無い。 一瞬にしてきめぇ丸に連れ去られたのだ。 ニヤァッ!と主に全身がキモい笑みを浮かべながら高速で首を振り回すきめぇ丸。 一緒にれいむも残像を残しながら高速で振り回される。 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 カッ!と目を見開いて絶叫するれいむと共にきめぇ丸は飛び去った。 「え?あ・・・ちょっ!ま、待てっ!」 私とまりさが地面を蹴ってそれを追いかけた。 「まるでおそらを・・・・とんでますぅぅぅぅ!!!」 素っ頓狂なれいむの絶叫を辿りながら漆黒の森を走る。 しかし、スピードの差は歴然としており、その差は徐々に離されていく。 徐々に小さくなっていくきめぇ丸とれいむのシルエット。 赤ゆ汁を少し飲んだとはいえ体調は最悪、その上この悪路の山道。見失うのは時間の問題だった。 「だずげでね゛ぇぇぇ!お゛ね゛え゛ざんんんんん!」 もはやきめぇ丸とれいむの姿は見えない。ただ叫び声のする方向へ全力で駆けるしかない。 しかしその時、辺りが俄かに明るくなり森全体を照らす。 姿を見失っていたきめぇ丸が再び視界に収まる。思ったよりもまだ遠くへは行っていなかった。 「ゆっ!人間さん!周りをみるんだぜ!」 まりさの驚いたような声に咄嗟にきめぇ丸から視線を移し辺りを見回す。 先程までブナを主とする原生林が生い茂っていた筈の光景が一変していた。 咲き乱れる竹林。それが回廊のようにどこまでも続いていた。 ボゥと青白い光を放つそれが辺りを明るくした原因だった。 竹林さんどこいっちゃったの? れいむの言葉を思い出す。 ここがれいむの故郷なのか?こんな奥地に竹林があるなんて・・・? 光っているのはコケか何かだろうか? 様々な考えが脳裏をよぎったが、ひとまずそれを完全にシャットアウトする。 今は目の前の希少種かられいむを取り戻す事だ。それだけに完璧に集中する。 「まりさ!」 私の問いかけに「ゆっ!」と返事をしてまりさが大きくジャンプして帽子をポーン!と飛ばす。 帽子の中からこぼれ落ちたのはまりさが水面を移動するときに使う小さな木の棒、オールだった。 それを空中で武器の代わりに口にくわえたまりさは器用に再び帽子をキャッチして私の肩に乗る。 「まかせたぞ!まりさ!」 「ゆっくりまかせるのぜ!にんげ・・・・んざあああああああああああああ!?」 私はまりさの口の中に杖代わりにつかっていた棒を突っ込んでそれを大きく振り上げて加速させる。 手で投げると思ったの?ばかなの?しぬの?主人公気取りなの? ありえないくらいに大口をあけて横に伸び上がるまりさ。主に存在がキモい。 懇親の力を込めて足を地面に叩きつける。 大地が振動して円形状に落ち葉が地面から跳ね上がる。 その衝撃を足から膝、膝から腰、腰から肩、肩から肘を経由して力に変換させて一気に棒を振り下ろす。 遠心力とてこの原理で大地から伝わってきた力は更に増幅してまりさに伝わる。 「んぎょぶばッ」 白目を剥いてまりさが変な呻き声を漏らしながらヒュバッ!っと棒から射出された。 遅れて地面に足を叩き付けた時の轟音が竹林に響く。 私はヘッドスライディングするような姿勢で地面に倒れこんだ。 空気を切り裂き、弾丸のように体を変形させながらまりさが 地球の自転、磁場、重力とかなんか色々な物に逆らいながらきめぇ丸に向かって突進する。 「おぉ、はやいはやい」 ヒュンヒュン!と首を振りながら、れいむを宙へ放り投げるきめぇ丸。 「とんでるのにそこからもっとお空をどんでるぅぅぅ!」 涙を撒き散らしながら上空へ昇っていくれいむ。 きめぇ丸は突進してくるまりさを事も無さげに避け・・・ 「おぉ?」 避けたと思ったそれはまりさでは無く、まりさの帽子だけだった。 きめぇ丸の目がカッ!と見開かれる。 帽子は囮。二段構えの攻撃。 通常種ごときに一杯食わされるとは、おぉ、ぶざまぶざま。 何処から来る?後ろか横かそれとも上か? 何処から来ても主に余裕で避ける自信がきめぇ丸にはあった。 「ばやぐだずげでね!」 まりさはちょっと手前の木の枝に突き刺ささっていただけだった。 主にうっかりミスだった。 「おぉ、おろかお」 しかし次の瞬間きめぇ丸の後頭部に衝撃が走る。視界が歪む。 まさかまりさも囮の三段構えの攻撃? 再び見開かれるきめぇ丸の両眼。 「ゆ゛っぐり゛どおりまずがらね゛っ!」 完全に存在を忘れていたれいむが頭に直撃しただけだった。 きめぇ丸は「おぉ、おちるおちる」とフラフラ地面に落ちる。 それを追うように涙が尾を引きながられいむも地面へ吸い込まれていった。 「人間さん!れいむが落ちるんだぜ!そのまえにまりさを助けてね!」 「そこで死んでくださいね!」 人間は既に起き上がり、落ちるれいむに向かって突進していた。 しかし先程の投擲で殆どの体力を使い果たしてしまった為に、 もはや先程までの速度で走ることはできない。 地面に向かって落ちていく2つのゆっくりの影。届かない!私はそう思った。 れいむと初めて出会ったあの日。 餡子塗れのまりさのおさげを持ちながら家路を急ぐ途中だった。 「ゆ゛っぐりしでいってねぇええええ!」 スポーン!と森の中から愉快な形相を浮かべてれいむが元気に飛び出してきた。 それを咄嗟に殴る私。「ひゃぶえ」と声を上げながら電柱に激突するれいむ。 「ゆっ?ゆっ?」と餡子塗れで辺りを見回すれいむ。そんなれいむが私に気がつき声をかけてきた。 艶やかに輝く髪、もみあげをフワッと棚引かせて小首を少し傾げる。 その動きに連動して髪をまとめたリボンがピン!と動いた。目を輝かせて私を見ながら満面の笑みを浮かべる。 「人間さんはゆっくりできるひとっ?」 「そいつはこのまりさに聞いてみな」 おさげを掴まれてブラブラと揺れるまりさが 「ごゆるりとしていってね・・・」と呟いてニコリと力なく笑った。 「れいむはゆっくり帰・・・・」 餡子まみれで元居た場所から逃げだしてきたれいむ。 私は以前れいむが住んでいた場所はとてもゆっくりできない所だと思っていた。 しかしれいむは里帰りして自分は幸せに暮らしている事を伝えたいと言ってきた。 元住んでいた場所には仲間が居たのだ。ゆっくりできない場所ではなかった。 私はそれが少しうれしかった。そしてれいむが今幸せだと言った事が少しうれしかった。 気がつくと落ちてくるれいむは目の前にまで迫っていた。届く。もう少しで届く。 竹林の回廊が途切れる。眼前に広がる草むら。丸く大きな月。 私はれいむを受け止めて草むらを転がった。 「意外と走れるものだな、無事でよかったれいむ」 息を切らしながら胸に抱いたれいむの後頭部を優しく撫でる。 れいむがゆっくりと顔をあげる。 歪んだ顔、吊りあがった口、お飾りのぽんぽん 「おぉ、ぬくいぬくい」 それは頬を赤らめたきめぇ丸でした。 振り返ると腹に枝が突き刺さったままのまりさが苦笑いを浮かべている。 その傍らには綺麗な餡子の花を咲かせて「ギョッギョッギョッ!」と痙攣するれいむ。 「オゥフ」 私はどうしていいのかわからなくなり、とりあえず草むらを走った。しゃにむに走った。 「こんなふざけたえすえすさんじゃ無かったられいむは死んでたよ!ばかなの?しぬの?てぬきなの?」 ぷくぅ!と頬をふくらませて怒りを露にするれいむだったが ファンタオレンジをかけてやると「あまい!」「しゅわしゅわする!」と怒りを忘れて喜びだした。 草むらを駆け回っているうちに元居た原生林の森に戻った事に気がつき あんなに広大なジャングルのように感じた森も少し歩いただけでアスファルトの公道に出た。 これほどただの道路を見ただけで感動したことは生まれてから一度も無かった。 自販機を見つけて2匹に手当てをして現在に至る。私はこういう部分を3行で済ませる奴は死んだほうがいいと思った。 「にんげんさん・・・・あのちくりんさんは・・・ゆっ」 まりさの頭にもジュースをかける。途端に「あまい!」「しゅわしゅわする!」と喜びだす。 あの竹林。一体なんだったのだろうか?れいむはあそこから「こちら」へやってきたのだろうか? 私とまりさは見た。あの竹林の先の光景を。明らかに「こちら」とは違うあの光景。 あれは一体なんだったのか?れいむが「鍵」の様な役割を果たしてあちらへの扉を開いた? ゆっくり達は元々はあちらに住んでいてれいむの様にこちらに移って来たのだろうか? いやいや・・・考えるのも馬鹿馬鹿しい。赤ゆ汁で変な幻覚を見ていたという憶測の方がまだ合点がいく。 「人間さん!まりさはいいことを思いついたのぜ!」 まりさがぽーん!と跳ねて私の頭の上に乗る。 そしてそれが全てを解決する大名案であるかのように誇らしげに叫んだ。 「まりさはゆっくりと里帰りするんだぜ!」 まりさをつかみ森へ放り投げる。 どうか二度と帰ってきませんように。 「あぶなかったんだぜ!」 まりさは街灯に体をひっかけてパッチーン!とウィンクするとフヒュー!と口笛を吹いた。 あぁ、死なねぇかなあいつ。 「ゆっくりゆっくり」と妄言を垂れ流すゆっくり達。 しかし元は本当に人間をゆっくりさせる力があったのかもしれない。 街灯にぶら下がりながらニヤニヤと笑みを浮かべるまりさと 「あまい」「ゆっくりあまい」と嬉しそうに叫ぶれいむを見て私はふとそんなことを考えた。 そんな1人と2匹を上空から見下ろすまるい影。 歪んだ顔、吊りあがった口、お飾りのぽんぽん きめぇ丸は顔をあげて辺りを見回す。 元居た場所とはかなり違う光景。まずい空気。夜の闇の中を生き物ように蠢く光。 全てが物珍しくきめぇ丸の興味を引いた。 「おぉ・・・・ひろいひろい」 そう呟くときめぇ丸は光り輝く街へと向かって飛び去った。 以後、その存在だけがゆっくりの口から語られてた 希少種、きめぇ丸が頻繁に人々に目撃されるようになる。 とか思ったんだけど、やっぱりナシの方向でお願いします。 おしまい 今まで書いたもの ゆっくり見せしめ ゆっくり電柱 ゆっくり脳内補完 副工場長れいむの末路 副工場長れいむの末路2 副工場長れいむの末路3 副工場長れいむの末路4 ゲスが見た夢1 ゲスが見た夢2 元野良れいむの里帰り このSSに感想をつける
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『ゆっくりを飼うよ!』 6KB いじめ 飼いゆ 野良ゆ いつもの小ねたです 「むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇぇぇぇぇ!!これおいちー!とーっても、ゆっくちできりゅよ!!」 ペットショップで売っていた、賞味期限ギリギリの安物ゆっくりフードを、満面の笑みを浮かべて食べている子れいむ。 大きな声で叫びながらの食事マナーは、飼い主の少女を不快にさせた。 クチャクチャと音を立て、食べカスをボロボロと床に溢す。 少し食べては、グネグネと体をくねらせて大喜びし、少し食べては大はしゃぎでエサ皿の廻りを跳ね回る。 「ちょっと!食べ方が汚いわよ!親に注意されなかったの?もっと綺麗に食べてよね!まったく、野良って全部こうなのかしら?」 「ゆゆー?なにいっちゅえるの?れーみゅは、とーってもきれいで、ゆっくちしちぇるよ!しつれーなこと、いわにゃいでね!ぷんぷん!」 食べ方を注意された事に腹を立てたのか、子れいむは少女を睨んでぷくーっと膨れ上がる。 少女はそんな子れいむを捕まえると、水槽から取り出して机の上に置いた。 「ゆぷぅぅぅ?!なにしゅるのぉぉぉ?!まだ、れーみゅが、ごはんをたべちぇるでしょぉぉ?!どーしちぇ、じゃましゅるのぉぉ?!」 「何その態度?私はあなたの飼い主なのよ?!これはお仕置きが必要ね…」 そう言うと少女は子れいむを押さえつけて、ペン立てから取り出した定規で子れいむの底部を叩いた。 「ゆぴゃい!いちゃい!ゆびゃ!ゆびぃ!やめちぇ!どーしちぇ、れーみゅをいじめりゅのぉぉ?!ゆぴゃ!ゆぴぃ!やめろぉ!このくじゅ!ゆびゃぁぁぁぁん!!」 子れいむは底部を叩かれる度に、体を大きく震わせ、両目を跳び出さんばかりに見開いて涙を流す。 それでも、どうしてこんな目に合っているのか理解して無い様で、嗚咽を漏らしては少女を罵倒していた。 「どう?少しは懲りた?反省して、私の言う事を聞くなら、許してあげるわよ?」 「ゆびぇぇぇ…なにいっちぇるの?はんしぇーするのは、くそにんげんでしょ?れーみゅは、なんにも、わるいこちょしてないのにぃ!ゆるしゃないよ!!」 一旦仕置きを止めて、様子を伺う少女。 だが子れいむに反省の色が見えないばかりか、少女を涙目ながらに睨みつけ、怒りをぶつけるのだった。 少女はそんな子れいむを見て、呆れたようにため息を一つついた。 何故少女が、野良ゆっくりを飼い始めたのか、疑問を持つのは当然だろうが理由は簡単である。 同級生の家で飼いゆっくりを見て、自分も飼ってみたくなったのだ。 だが、友人の家で見たゆっくりは、ペット用に躾けられたゆっくり。 自由気ままに生きている、野良とは全くと言っていほど別モノなのだ。 ゆっくりの事をよく知らない少女にとっては、野良も飼いゆっくりも区別がつかなかったのだ。 ゆっくりとは言え、一応は生き物。 飼うとなると、当然それなりの苦労がある。 少女も野良ゆっくりの躾に、悪戦苦闘していた。 「ゆゆ~ゆ~ゆ~ゆゆ~ん♪」 楽しそうに歌を歌っている、野良ゆっくりのれいむ。 体を揺らしながら、目を細めて自分の世界に入りきっている。 そんな野良れいむの元に、少女が現れた。 「あっ、いたいた!まったく、どういうことなのよ?!」 「ゆゆ?どーしたの、にんげんさん?なにかあったの?ゆっくりしていってね!」 爽やかに笑う野良れいむとは対照的に、少女はとても不機嫌そうに眉をしかめる。 「あんたの子供、全然言うこと聞いてくれないじゃない!何なのこれは?頭悪いの?」 「ゆゆ?なにいってるの?れいむのおちびちゃんは、とーってもゆっくりしている、いいこだよ!!にんげんさんも、ゆっくりできたでしょ?」 少女が怒っているのを、不思議そうな顔をして見つめる野良れいむ。 少女はそんな野良れいむの態度が面白くないのか、更に苛立たせた声を上げる。 「ゆっくりしてる?!何がよ?!こんなに頭の悪いゆっくりは、要らないから!!」 グチャ! 「ゆびゃ!………ゆぎゃぁぁぁぁぁ?!おちびちゃんがぁぁぁぁぁ!!どぼじでぇぇぇぇぇ?!ゆっくり!ゆっくりしてねぇぇぇぇぇ!!」 そう言うと少女は、握り締めていた子れいむを、野良れいむの顔面目がけて投げつけた。 握られた時に死んだのか、野良れいむにぶつかって弾けたのかは知らないが、子れいむは大量の餡を野良れいむに浴びせて絶命した。 野良れいむは、変わり果てた我が子を見て大泣きをする。 そんな野良れいむに興味がなくなったのか、少女はその場を後にした。 「ゆふふ~ん♪のじぇのじぇ~!まりちゃ、かいゆっくちに、なれたのじぇー!!ゆっくちー!きょーからまりちゃ、しあわしぇに、ゆーくちくらしゅのじぇ~♪」 今度は野良の子まりさを拾った少女。 子まりさはすっかり上機嫌で、少女の手の中で幸せそうに体を揺らす。 飼いゆっくりになれれば、自分が幸せになれると思っているようだ。 だが当然ながら、子まりさの思い描いたような暮しは待っていなかった。 「いちゃいの、いやなのじぇぇぇぇ!!どーしちぇ、まりちゃをいじめるのじぇぇぇぇ!!ゆびぇぇぇぇぇん!」 「はぁぁ?!何言ってるの?あんたが何時まで経っても、トイレの場所を覚えないから悪いんじゃない!この馬鹿ゆっくり!!」 「ゆびゃぁぁぁん!まりちゃ、ばかじゃにゃいのじぇぇぇぇ!!おとーしゃんが、てんしゃいだって、ほめてくれたのじぇぇぇ!!」 「天才なら、なんでこんなに覚えが悪いのよ?夢でも見てるの?!このうん○ゆっくり!」 何度教えてもトイレの場所を覚えず、水槽内の至る所にしーしー、うんうんを撒き散らす子まりさ。 少女はそんな子まりさの両頬を抓り、宙吊りにしてお説教するが、子まりさは何故怒られているのか理解していなかった。 子まりさは少女から逃げようと、必死に体をブリブリと動かしてみるが、その度に抓られた頬が痛み、涙を流してゆんゆんと泣いた。 この他にも、餌の食べ方が汚いとか、芸を仕込もうとしてが、思うように覚えない等で、子まりさは尻を叩かれたり、デコピンを喰らったりしていた。 念願の買いゆっくりになれたと喜んでいた子まりさは、たった一日で飼いゆっくりになる事の厳しさをその身に刻む事になった。 そして翌日。 少女は子まりさをその手に握り、公園にやって来た。 「ゆゆ?きのうの、ゆっくりしてるにんげんさん!ゆっくりしていってね!きょうはどうしたのぜ?おちびはげんきなのぜ?」 少女は、昨日拾った子まりさの親である、野良まりさの元にやってきた。 野良まりさは少女を見上げると、満面の笑みで挨拶をする。 少女はそんな野良まりさに、笑顔を返した。 「ええ、とっても元気よ。元気に泣くから五月蝿いくらいね。」 「ゆゆ!それはよかっ………ど、どういうことなのぜ?おちびちゃんが、にんげんさんを、ないてこまらせたのぜ?」 少女の言葉に、顔を曇らせる野良まりさ。 だが少女は笑顔のまま、野良まりさを見つめる。 「そうよ。とっても五月蝿かったわ。お父さんにね、野良より、ちゃんとしたペット用のゆっくりを飼った方が良いって言われたの。だからこれを返しに来たの。」 そう言うと少女は、握っていた子まりさを、野良まりさの目の前に放り投げた。 「ゆびゃ!いっちゃいぃぃぃぃ!ゆびぇぇぇぇぇん!ゆっくち!ゆっくっちぃぃぃぃ!ゆっくちさせちぇよぉぉぉ!ゆんやぁぁぁぁ!!」 「ゆ?………ゆわぁぁぁぁぁ!!おちびちゃん!どぼじでこんなことずるのぜぇぇぇぇ?!おちびちゃんは、とーってもゆっくりした、さいこうのゆっくりなのにぃぃぃぃ!!」 子まりさは顔を真っ赤に腫らして、尻をブリブリと振りながら泣き叫ぶ。 野良まりさは、そんな子まりさの体を舌で優しくなめながら、少女を睨み付ける。 「どうしてって言われてもねぇ…このちびまりさは、ペット失格だから。飼い主の言う事聞かないんじゃ、要らないわ。じゃあね!」 少女はそう言うと、野良親子に背を向けて公園を後にした。 「ゆぅぅぅ!どーしちぇ…まりちゃ、とーってもゆっくちしちぇるのに…ゆびゃぁぁぁぁん!!ゆっくちぃぃぃ!」 「おちびちゃん、ゆっくり!ゆっくりしてね!…ゆぐぐぐ…どぼじで…なにがちがうのぜ…なにがわるいのぜ…おなじゆっくりなのに…」 野良まりさは誰に言うでもなく、悲しそうに、悔しそうに、そう呟いた。 子まりさは、そんな野良まりさの隣で、駄々をこねる様に体をブリブリと動かして、何時までも泣いていた。 完 徒然あき
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『れいむが愛したれいむ』 7KB 小ネタ 番い 思いつき小ネタ 「おはようれいむ」 『おはようれいむ』 れいむはれいむのことが大好き、れいむもれいむのことが大好き。 二匹は仲睦まじく、立派な木の根っこの穴の洞窟のおうちに住んで、毎日をゆっくりと幸せに暮らしていました。 「かりにいってくるね」 『いってらっしゃい、るすはまかせてね』 揺れる真っ赤なリボン、つやつやの黒髪をなびかせてれいむはお外に元気に駆け出します。 ぽいんぽいんぽいん。 おうちを離れ、静かな森をしばらく跳ねていくとご近所さんと出会いました。 「れいむ!おはようだぜ!」 「きょうもげんきなんだねー、おはようだよー」 「ちーんぽ!がんばるみょん!」 皆それぞれ元気に挨拶をしてくれます。 「おはようみんな、きょうもごはんさんいっぱいとれるといいね、じゃあ、きをつけてね」 れいむもにっこりと笑って挨拶を返し、皆と別れて森の奥へと入っていきます。 それからゆっくりじっくり散策し、食べられるキノコさん、死んじゃった虫さん、美味しい葉っぱにあまあまな木の実。 たくさんほっぺに詰め込んで、日が傾いた頃、れいむは大好きなれいむの居るおうちに帰ります。 『おかえりれいむ、けがはない?』 「ただいまれいむ、だいじょうぶだよ!」 笑顔で迎えてくれるれいむに、れいむは微笑みを返し、 ほっぺに詰め込んだたくさんのご飯さんを大きな葉っぱのお皿の上に丁寧に吐き出します。 「きょうもいっぱいとれたよ!たくさんたべてね!」 『ありがとうれいむ、たくさんいっしょにむーしゃむーしゃしようね』 「うん!れいむもいっしょだね!」 『れいむもいっしょだよ』 むーしゃむーしゃ、しあわせー! 二匹は一緒にご飯を食べて、笑顔で今日の出来事を話し、ぴったりと寄り添って目を閉じ、幸せに浸りながらゆっくりと眠ります。 そして朝、れいむは狩りに、れいむは二匹の大事なおうちを守って、二匹はいつまでも仲良く幸せに暮らしました。 「こんばんわなのぜ」 ある日夜遅く、れいむのおうちに体格の良いまりさが訪ねてきました。 「どうしたの?」 れいむは眠たそうにしながら応対します。 「えと…その…」 まりさはれいむが現れると、もじもじとした後、おぼうしを器用にひっくり返して、 中から小さな可愛いお花を取り出し、れいむに差し出しました。 「ま!まりさはれいむがだいすきなのぜ!かりもできるしとってもかわいいし! まりさのおよめさんになってずっとずっといっしょにゆっくりしてほしいぜ!」 早口でそういって、まりさは頬を染めてぎゅっと目を閉じ、れいむの答えを待ちます。 まりさの口に咥えられ、夜風に揺れている花を見つめながら、れいむは困った顔で静かに口を開きました。 「…ごめんねまりさ、まりさのきもちはとってもうれしいけど、れいむにはたいせつなこがいるんだよ」 「そ…そんな…」 半開きになったまりさの口からぽろりと花がこぼれ落ちます。 まりさは告白が失敗したことがとっても悔しくて切なくて、両目一杯に涙をためて、ついにぽろぽろと泣き出してしまいました。 「え…えへへ、ご、ごめんのぜ!ばいばいだぜ!」 無理して笑顔を作ってから、まりさはれいむに背を向けて駆け出していきました。 れいむはそれを申し訳なさそうに見送り、ゆっくりと愛するれいむの元に戻ります。 『どうしたの?』 「ううん、なんでもないよ…」 ちょっぴり切ない気持ちになって、れいむはれいむと、れいむとれいむが出会った頃のお話をしながら目を閉じました。 「ねえれいむ、れいむはれいむのことだいすきだよ」 『ありがとうれいむ、れいむもれいむのことだいすき』 「れいむがれいむとけっこんっするのを、おとうさんとおかあさんははんたいしたね」 『だけどさいごはわかってくれたね』 ---だから殺した。 「れいむも、さいしょはれいむといっしょにせいかつするのをふあんにおもっていたよね」 『やっぱりまりさやちぇんのほうがかりはとくいだからね、でもやっぱりれいむがいちばんだから』 ---分かってくれないなら、分からせればいいんだ。 「さいしょのおちびちゃんはしんじゃって、とってもかなしかったね」 『でもつぎがあるよ、たくさんのおちびちゃんにかこまれてしあわせーになりたいね』 ---どうして潰しちゃうの?れいむはこんなにれいむが好きなのに。 「つらいこともかなしいこともいっぱいあったけど、いまはしあわせーだよ」 『これからもふたりはずっとずっといっしょだね』 ---どうしてご飯を食べてくれないの?どうしていっつも泣いてるの?どうしてれいむを好きっていってくれないの? どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして れいむはこんなにれいむがすきなのに。 でもれいむがれいむのことこんなにすきなんだから、れいむだってれいむのこといつかはすきになってくれるよね。 れいむがれいむのことすきなのは、ずっとずっと、ずっとずっとかわらないよ。 だかられいむはれいむがれいむのことすきになってくれるまで、ずっとずっとそばにいるからね。 はなれないよ、はなさないよ、ずっと、ずっとふたりはいっしょだよ。 それは二匹のれいむが出会ったとっても”幸せ”(不幸)な物語。 親の反対を”説得”(殺)して乗り越えて。 ”幸福”なれいむは”愛する”れいむと結ばれました。 ”幸福”(不幸)なれいむは”愛する”(していない)れいむと結ばれました。 二匹が願ったずっと一緒のゆっくりした日々は”夢のとおりに”(無理やりに)現実になったのです。 れいむの愛したれいむ、キラキラの大きなリボン、もちもちのほっぺた、愛らしい瞳、その笑顔。 「れいむ、れいむはれいむがだいすきだよ」 『れイむもれいムがだいスきだよ』 幸せなれいむ(の頭の中)に響く幸せな(声)---。 れいむはうっすらと目を開けて、幸せな表情で愛したれいむ(だったもの)を見つめます。 (大好きなれいむはれいむをうっとりと見つめ返します)。 月明かりに照らされる、綺麗なおりぼん(綺麗なお顔、綺麗な髪の毛、やさしい笑顔)。 「れいむはれいむとずっとずっといっしょだよ」 「レイムモレイムトズットズットイッショダヨ」 誓い合う二匹はいつまでもいつまでも笑顔で共に寄り添い、ゆっくりとした日々を過ごしました。 それはれいむを愛したれいむの幸福に満ち溢れた物語。 誓い合う(二匹)はいつまでもいつまでも笑顔で(共に)寄り添い、ゆっくりとした日々を過ごしました。 それは(れいむ)を愛したれいむの幸福に満ち溢れた物語。 おしまい。 ----------------------------------------- ご無沙汰しておりました、ばや汁です。 以前スレで初登校日は6月10日をいう書き込みをさせていただいたと思いましたが、 よくよく調べてみたところ、6月4日が第1作目のかみさま投稿日だということが判明いたしました。 本日は5月30日、ふと気付けば残すところ一週間を切ってしまっています。 もう一年もたったのか、と感慨深くもあり、あっという間の一年だったなというような気もします。 一周年以内に目指せ50作!と行きたい気持ちはあるのですが、なかなかキーボードを叩く目処がたっていないのが現状… スローペースになってしまうかもしれませんが、ゆっくりと、時には精一杯がんばりますので。 細々とした活動ではありますが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 anko3107 ゆかりん anko3114 命の価値 anko3125 ちるの時々まりさ anko3129 はるですよ 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。 挿絵:にとりあき]
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私の家では一匹のさなえを飼っている。 最近のさなえ人気で値段はそんなに高いものではなかったのだが、 一応銀バッチつきなので諭吉さんが2枚ほど飛んでしまった。 可愛くて、言う事も良く聞くのだが、やはりゆっくりなのか、それとも銀バッチのせいなのか、少々お馬鹿なところがある。 「おねーさん、おねーさん、みてください!」 さなえが私を呼ぶので、様子を見に行く。 まあ、最近の私を呼ぶ理由は大体解っているのだが。 「ゆふふふ…おねーさんみてください!このぎんばっちが、めにはいらぬかー!です!」 得意そうにそう言うと、髪に付いているヘアピンタイプの銀バッチを、誇らしげに私に見せるさなえ。 「今度は何を見たの?なにが気に入ったの?」 「えっと、ですね。これはきーもんさまなんですよ!だからおねーさんは、『ははー』ってやってくれないとだめなのです」 やはり、今回もTVに影響されてた為の行動の様だ。 さなえの言う「きーもんさま」と言うのは、お年寄りに人気の時代劇だ。 爺さんが家紋入りの印籠を見せびらかすと、悪漢共が地面にひれ伏すという代物なのだが、 どうやら、さなえはそのワンシーンを気に入った様で、早速それを真似したという訳である。 「んー、でもね、さなえ。私は悪い人じゃないから、それを見ても『ははー』ってやらなくても良いのよ?」 「そうなのですか?しらなかったのです。さなえはまだまだべんきょうぶそくですね」 実際のところは平民は平伏さなければならないのだが、面倒だったのでいい加減な説明をする。 それでも、すぐに私の言う事を信じるさなえは、納得してくれた様子である。 「じゃあ、わるものさんならいいんですね?」 「そうね、悪者が居ればだけどね」 さなえは何か思い付いた様子で、またTVに見入っていた。 「ゆえーん!おねーさん、いたいですぅぅぅ!」 さなえが泣きながら私の所にやってくる。 見たところ外傷はないようではあるが、ゆっくりというのは痛がりであり、さなえも例外ではなかった。 「はいはい、泣かないの。どこも怪我をしてない様だけど、何があったの?」 「おときちさんが、おときちさんが、さなえをぶったのですぅぅぅ」 何かと思えば、これも何時もの事である。 さなえの言う「おときちさん」とは、このあたりを縄張りとしている野良猫である。 もっとも、おときちとは、私が勝手につけた名前。 白い毛並みに丁度背中の辺りに、音符のような黒い毛が生えているのがその由来である。 おときちさんは賢い猫なので、飼いゆっくりに危害を加えたという話は聞かない。 きっとさなえに対しても、何時ものように猫パンチで迎撃した位であろう。 さなえは、それを痛がっているのだろ。 「さなえ、おときちさんに何かしたの?」 「おときちさんに、『きーもんさま』みたいに、ぎんばっちをみせたら、たたかれたんですぅぅぅ」 やはり予想通りだった。 おときちさんは自由猫なので、私の家の庭を平気で横切っていくのである。 そのおときちさんの通行の邪魔をしたので、さなえは猫パンチを喰らったのだろう。 これが普通の猫ならば、引掻かれたりするところなのだろうが、そこは地域に愛される野良猫だ。 さなえよりも頭が良いのかも知れない。 「だめよ、おときちさんのお散歩の邪魔をしたら。それにおときちさんも悪者じゃ無いでしょ?」 「でも、さなえをいじめますよぉ!」 「それは苛めてるんじゃないのよ?じゃれているのよ?TVでもやってたでしょ? ムシゴロウさんが、これは遊びのつもりだとかって言ってるでしょ?あれと同じよ」 「ゆぅぅぅ、そうなのですか?」 私は納得のいってない顔をしているさなえを抱き上げると、優しく撫でながら「そうよ」と答える。 撫でられているのが気持ち良いのか、さなえは目を細める。 何とか泣き止んでくれた様なので、そっと床にさなえを降ろすと、また元気良くTVのある部屋に跳ねて行った。 「おねーさん、おねーさん、あれはなんですか?」 さなえが、今日も私を呼ぶ。 さなえは何時もの様にTVを見ていた。 今日はどうやら戦隊物を見ているようだ。 「おねーさん、どうしてこのにんげんさんは、こんなかっこうをしているんですか?」 「そうね、悪い奴らと戦っているからよ」 「わるいやつらさんは、いつもこんなかっこうを、しているのですか?」 「何時もじゃないと思うけど…どうなのかな?」 TVを不思議そうに見つめるさなえ。 まあ、私も実際にこんな格好をした連中を町で見た事はない。 さなえが不思議がるのも当然だろう。 「あぁ、さなえ。この人達の真似をしても、こんな風に変身は出来ないからね?」 「はぅぅ…ざんねんです」 さなえは心底残念そうに、ため息をついた。 少し可愛そうな事をしたかもしれないが、変身ヒーローになったつもりで、 また、おときちさんに戦いを挑まれても面倒なので仕方ない。 「おねーさん!あのおおきなにんげんさんは、なんなのですか? いっぱいくっついて、おおきなにんげんさんになりました!!」 私はしばらくの間、さなえの質問攻めに合う羽目になった。 幼い子供を持つ親は、同じような心境なのだろうか? 「もーげ、もーげ、もげもーげ♪TOSHIAKIもーげー♪もげもげー♪」 さなえがTVを見ながら何か歌っている。 TVに映っているのは、胴付きふらんと、ゆゆことみょん。 最近一部で流行のアイドルゆっくりグループ、「MOGE隊」というやつだ。 「ちーんぽ!」 『MOGE!!』 「こぼーね!」 『MOGE!!』 「もげもーげー♪みんなもいじゃえー♪もげ!もげ!もげもげー♪」 TVから流れる歌にあわせて、さなえも一緒に歌いながら体を伸ばしたり、跳ねたりしていた。 楽しんでいるさなえには悪いのだが、私はこの歌は好きじゃない。 というか、お子様やゆっくりの教育に良くないので、公共放送では流さないで欲しい。 私はTVのチャンネルを変えるとこにした。 「あぁぁぁ!もげたいさんが、いなくなっちゃいました!!どうなっているのですか?!」 急にチャンネルを変えられて慌てるさなえ。 実はさなえは自分でチャンネルを変えたりする事は、まだ出来なかったりする。 映っているTVをノンビリ眺めているだけなのだ。 半泣きになりながら、困った顔をしているさなえ。 ちょっと可愛そうな事をしたと思いつつも、さなえのリアクションを楽しんでいる私が居た。 「おねーさん、おねーさん!おしえてください!」 さなえが私に聞きたい事があるらしい、何時もの通りTVの部屋まで行ってる。 「おねーさん、どうつきさんになるには、どうしたらいいのでしょう?」 「胴付き?何で急にそんな事を…」 そう言いながらTVの方を見ると、そこに映っていたのは胴付かなこだった。 きっとこの胴付かなこを見て、自分も胴付になってみたくなったのだろう。 何やら、CMの様で新型オンバシラがどうのとやっていた気がするが、一瞬だったので良く解らなかった。 何に使うのか良く解らない、ゆっくり用アイテムの一つなのだろうが、それよりも問題は、目の前のさなえである。 確か噂では、カレーを食べさせれば良いらしいのだが、どうも都市伝説くさい。 何とか適当に誤魔化そうと考えていると、今度はまた違うCMをやりだした。 「おねーさん!あのおにぎりさん、おいしそうです!」 「はいはい、そうね…」 今度はコンビニのCMだ。 多分、これで胴付の一件は忘れてくれるかもしれない。 「今度買ってきてあげるわね」 「ゆわーい!おねーさん、だいすきですー!」 あっさり話題が変わってしまうあたり、単純で助かるかもしれない。 まあ、とりあえず、今度このオニギリを買ってきてあげるか。 「おねーさん、おねーさん、もんだいですー!」 夕食の支度をしていると、ふいにさなえが私の元にやってきた。 また何かのTVに影響されたのだろう。 そういえば、昨日はクイズ番組を熱心に見ていた。 「さなえのだいすきな、たべものさんはなんでしょーか?こたえてください!」 自信たっぷりな顔でそう言うさなえ。 正解して欲しいのか、外して欲しいのかはよく分からないが、とりあえず私は普通に答える事にする。 「オニギリでしょ?今日の中身はおかかよ」 「はぅ!せいかいですぅぅぅ」 あっさり正解した事が残念だったのか、少ししょんぼりするさなえ。 「ほら、そんな残念そうな顔しないの。私がさなえの好物を知っているから、さなえは好きな物を食べられるんでしょ?」 「はぅ、そうですね…おねーさん、だいすきですー!」 私がそう言うと、さなえは嬉しそうに跳ねていた。 「ゆゆ!ここはおはなさんがいっぱいだよ!きにいったよ!ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!」 なんだか庭にゆっくりがやって来た様である。 どこから入ってきたのかは知らないが、後で進入経路を調べておくか。 そんな事を考えて、庭の方に向おうとすると、さなえの声が聞こえてきた。 「いけません!ここはおねーさんと、さなえのおにわです!でていってください!」 「なにいってるのぉぉぉぉ!!ここはれいむのおうちでしょぉぉぉぉ?!」 お前が何を言っているのかと、思わず突っ込みを入れたくなる野良れいむだ。 何時の間にお前の家になったんだと聞いてやりたい所だが、さなえとのやり取りが面白そうなので、少し見てみる事にする。 「ちがいます!どうしてそうなるんですか?」 「さなえがいじわるをするよ!まったく、さなえはゲスだね!ゲスはせいさいするよ!!」 「あなたはわるいゆっくりですね!わるいゆっくりは、たいほしますよ!!」 二匹とも睨み合って一歩も退かないで居る。 このれいむは、どうやら私のさなえより頭が悪そうである。 それよりも、さなえはどうやら刑事ドラマの影響を受けているようだった。 「たいほ?!なにいってるの?!このさなえはあたまがかわいそうだね!」 「わるいことをすると、たいほされるんですよ!れいむさんはたいほですよ!!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!わるいのはさなえでしょぉぉぉぉ!!」 何て言うか、一向に話が進まない。 でも、確かに私のさなえはお馬鹿であるが、薄汚い野良に言われたくはない。 そろそろ出て行こうかと思っていると、見慣れた奴が庭に現れた。 にゃー! 「あ、おときちさん!」 「ゆゆ?!なんだ、ねこさん………ゆわぁぁぁぁ!どぼじでこんなところに、ねこさんがいるのぉぉぉぉ?!」 急におときちさんを見て怯えだす野良れいむ。 どうやら、猫の怖さを知っているようだ。 にゃー! おときちさんが、さなえと野良れいむを見比べているようだ。 それからしばらくして、野良れいむの方ばかり見ている。 「ゆわぁぁぁ!やめてね、こっちをみないでね!………れいむはにげるよ!ゆっくりさ…」 バリッ! 「ゆ?………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!いだいいぃぃぃぃ!れいむのおべべがぁぁぁぁぁ!!」 おときちさんが、野良れいむを引掻いた。 野良れいむは片目を潰されて転げまわっている。 「ゆ?おときちさん?もしかして、わるいれいむさんを、さなえにかわって、せいばいしてくれたのですか?」 にゃー 成敗って、警察と時代劇を混ぜて覚えてるのかも… でも、これでさなえと、おときちさんが仲良くなったのかもしれない。 そんな事を考えて見守っていると。 にゃっ ぺしっ! 「ゆ?………ゆわぁぁぁぁん!おときちさんが、さなえをぶったのですぅぅぅぅ!!」 おときちさんが突っ込みを入れるように、さなえの頭を叩いた。 そんなに力は入ってないと思うのだが、さなえは泣きながら家の中に入ってきた。 どうやら、この二匹の関係は今まで通りでいくらしい。 あの後おときちさんが、野良れいむをおもちゃにして遊んでいた。 おときちさんは野良れいむを、一口齧っただけで食べようとはしなかった。 やっぱり野良は不味いのだろうか? そんな訳で、結局野良れいむは私が潰してゴミに出す事になった。 「おねーさん、おねーさん!すごいですー!」 今日もまたTVの部屋から、さなえの声が聞こえる。 今度は何に影響されたのだろうか? 今度は何を見ていたのだろうか? 家のお馬鹿な同居人は、今日も楽しそうである。 完 徒然あき