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『たんぺん』 2KB 小ネタ 初投稿、小ネタ2本です 【ゆびあそび】 「殺しはしない」 そう言った青年は、みかんの皮でもむくように れいむの皮を剥いた。 むき出しの中身を瘧のように震わせ 激痛にかみしめた歯はそこかしこが欠けている。 頭のてっぺんから均等にはがされた皮が花弁のように広がって 一見皿に載った餡子の塊に見える。 「ひゅぶ!ひゅっ…!」 口の端から液化した餡子が泡を噴いて飛び散っても れいむは口を開かない。 「そのまま口を開くなよ」 「ひ、びゅご!!」 びしゅ! 曲げた人差し指が勢い良くはじかれ れいむのこめかみだった部分を吹き飛ばす。 「ぐンンンンン゛ン゛ッッ!!」 「我慢しろ」 びしゅ!びしゅ! 「ン!!ぎゅ!!ビュブ!!」 続けて弾かれた指が眉間、左頬と指の形を刻んでいく。 「でないと」 「ぶぐーッ!…びゅぐー…ッ!」 「赤ちゃん死んじゃうぞー」 その一言で、れいむの目に光が戻る。 皮を失っているので、平時のように表情が読みづらいが 僅かに身悶えするものの、続く5連打を耐えきる。 「あとひといきだぞ」 「ふ ビチュ 音が変わる 伸ばした人差し指と親が一気に両目に突きささる。 あしの皮まではがれている筈が、全身の痙攣で2cm程浮かび上がり 次の瞬間絶命する。 「おっと、死んじまった」 青年は約束を守って口の中の子供たちを見逃すことにした。 ほんの数分間とはいえ、自分を楽しませてくれた野良れいむを残して のんびりと家の中に帰っていく。 かみしめた歯は、子供たちを守るために決してゆるまず。 鼠色の曇天はポツポツとしずくを落とし出していた。 【どくはいってる】 「まりささまはしってるのぜ!その『れいぞうこさん』のなかはおいしいものでいっぱいなのぜ!!」 「さすがまりさだね!これでおいしいものをむーしゃむーしゃしほうだいだよ!」 開けていた窓から侵入りこんだ野良ゆっくりの番い まりさとれいむの基本セットだ。 まりさが先導して意気揚々とキッチンの方に向かっていく。 薄汚れた黒帽子には不自然な欠損がみとめられる。 大方棄てられた元野良ゆ 人間様の住居の作りも、大方の処は承知しているらしい。 あけるのぜ!とはしゃいだ声が聞こえる。 キッチンのカウンターからこっそりのぞきこむと 黄ばんだ体をこすりつけて、器用に冷蔵庫を開けるところだった。 「ごはんさん!まりささまにむーしゃむーしゃされるのぜ!!」 「まりさ?どうしたの!はやくれいむにもたべものちょうだいね!」 「すこしまつのぜ!」 引きずり出される冷蔵庫の中身たち。 内容量20L程度の家で一番小さい冷蔵庫だ。 小瓶、タッパー、チューブ、パウチ 小瓶は二個が協力して タッパーは舌で器用に チューブとパウチは幼児のように噛みちぎって 各種スパイスと 赤味噌と 練り辛子とワサビのチューブと 自家製カレー粉を 勢いよく大口に詰め込んで 「「これどくはいってる!!」」 と叫んで爆散した。
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※胴付きゆっくりがでます 厨ゆっくり注意 あとあんまりいじめてない 「ハッピーバスデイトゥーユー、ぱちゅりー。おめでとう」 「むきゅう!ありがとうおにいさん!」 「満1歳の誕生日だな、ぱちゅりー。何か欲しいプレゼントはあるか?」 「むきゅ・・・・・・」 「どうした?黙ってちゃ解らないぞ?」 「・・・・・・ぱちゅは、あれがほしいわ」 「え?アレって・・・えぇ!?アレ!?アレが欲しいの!?」 「むきゅう・・・・・・だめ?」 「いや、駄目ってわけじゃないけど、その・・・大丈夫なのか、ぱちゅりー?」 「むきゅ!だいじょうぶよ、おにいさん!」 「・・・・・・本当に?」 「ほんとうよ!ほんとうにだいじょうぶだから、おねがい、おにいさん!」 「・・・・・・本当の本当に?」 「だいじょうぶだから!だからおねがい、ぱちゅにあれをください!」 「・・・・・・そこまで頼まれたら断れないんだけどな」 「むきゅっ!?いいの、おにいさん!?」 「嫌だって言ってもどうせ勝手に持ち出すだろう?それくらいならくれてやるさ」 「ありがとう、おにいさん!ぱちゅ、このごおんはいっしょう・・・・・・」 「いやいいから。それより、もし無理だったらちゃんと返すこと。いいな、ぱちゅりー?」 「むきゅ!わかったわ、おにいさん!」 そんなやり取りをしたぱちゅりーの誕生日であった。 ゆっくり○○○りー それから一ヶ月。 俺とぱちゅりーは散歩に出かけていた。 ぱちゅりーの手にはあの日のプレゼントが握られている。 どうやらよっぽど嬉しかったらしく、あれから肌身離さず持ち歩いているというわけだ。 「むきゅー♪おにいさん、かぜがきもちいいわね」 モヤシなはちゅりーの身に余るものではないかと最初は心配していたが、どうやらそれも杞憂だったようだ。 どうせならもっと早くにあげても良かったのかもしれない。 「ゆっへっへ!!じじい、まりささまにおやさいをよこすのぜ!!」 「ゆぅっ!!れいむとまりさのためにじじいはあまあまもってきてね!!」 とか何とか思っていたら、いきなり野良ゆっくり共が飛び出してきた。 下卑た顔で餌を要求する奴ら。口悪いなぁこいつら。 「なにしてるんだぜ!?さっさとまりささまにおやさいもってこいのぜ!!」 「ゆっ!?まりさ、このじじいはきっとばかなんだよ!!だかられいむたちのいってることがわからないんだよ!!」 なんかこっちを無視して勝手に盛り上がっている野良共。 いや解ってるけど反応したくねぇんだよ。 「ゆっ!つかえないじじいなのぜ!そんなやくたたずはまりささまがころしてやるのぜ!」 「ゆぅ~!かっこいいよぉ、まりさ~!」 いまどきの野良ならこんな態度をとればどうなるか知っているだろうに、こいつらはそんなこともお構いなしに悪態をつきまくってくる。 野良になって日が浅いのか、よっぽど幸運だったか、もしくは底抜けのアホなのだろう。 「まりささまのいうことがりかいできないばかはゆっくりしね!」 「ゆ~ん!まりさぁ、そんなばかなんかころしちゃってね!」 ぽよぽよと跳ねながら近付いてくる野良まりさ。 あんまり触りたくないなぁ。そう思って、足を上げたその時・・・ 「そこまでよ!!」 ぱちゅりーが割って入った。 俺を守るようにぱちゅりーは立ちふさがっている。 「ゆっ!?まりさ、ぱちゅりーだよ!!」 「ぱちゅりーがいったいなんのようなのぜ!?じゃまだからさっさとどくのぜ!!」 突然の闖入者に驚く野良2匹。 正直俺もちょっと驚いてる。何してんのお前。 「おにいさんをきずつけようとするものはこのぱちゅがゆるさないわ!」 キッと野良まりさをにらみつけながら宣言するぱちゅりー。 ちょっと感動。あとでナデナデしてやろう。 「ゆひひひひひひ!!ぱちゅりーにゆるされなくってもけっこうだぜ!!」 「よわっちいぱちゅりーがれいむたちにかてるとおもってるの!?ばかなの!?しぬの!?」 ぱちゅりーを口汚く罵る野良2匹。 ゆひひひひって。久しぶりに聞いたぞキメェ。あと殺す。 「おにいさん、このぷれぜんと、あずかっててほしいの・・・・・・」 「ぱちゅりー、お前・・・・・・」 「だいじょうぶよ!すぐにこのまりさたちをやっつけるから、あんしんして!」 お前それ死亡フラグ立ててるよ。 そう思っても決して声に出さない。あとついでにぱちゅりーのプレゼントを預かる。 「まりさー!そんなぱちゅりーなんかころしちゃってね!」 「むきゅっ!」 「ゆっくりできないぱちゅりーは、まりささまにたおされてゆっくりしね!」 野良れいむのイラつく声援を受けながら、野良まりさはぱちゅりーに襲い掛かった。 「ぼぇ゛っ!!!?」 奇妙な声を出しながら野良まりさは道路に叩きつけられた。 もちろん叩きつけたのはぱちゅりーだ。 俺は見た。 まりさがぱちゅりーにぶつかろうとしたその瞬間、ぱちゅりーはまりさを片手で捕まえ跳躍、ぶんぶんと振り回しながら道路に叩きつけたのだ。 見紛う事なきメキシカンタイフーン。お前一体どこでその技覚えたんだ。 やっぱりアレの影響かもしれない。って言うかアレのせいに決まってる。 一ヶ月前、俺がぱちゅりーに贈ったものの正体。 それは広辞苑だ。 対人間ですら鈍器となるそれを、脆弱極まりないはずのぱちゅりーは一ヶ月肌身離さず持ち続けた。 そりゃあ鍛えられるってものだろう。 ぱちゅりー改めまちょりーが野良まりさに告げる。 「むきゅ。もうけっちゃくはついたわ。さっさとたちさりなさい」 「ゆげっ・・・!?い、いまのはなにかのまちがいなんだぜ!!まりささまはつよいんだぜ!!」 どうやら野良まりさの闘志はまだ折れていないらしい。見上げた根性だが、止めといた方がいいと思う。 「こんどこそ!!ぱちゅりーはまりささまにやられてゆっくりし・・・ぎぇっ!?」 あ、また捕まえられた。 「むきゅ!!」 まちょりーは思いっきり腕を振り回し、野良まりさを叩きつける。片手で。 右に。左に。壁に。道路に。何回も何回も何回も。うわ、すげぇ痛そう。 「ぼぎゅぇ゛っ!!ぶぉ゛っ!!え゛べっ!!ばびぃ゛っ!!」 ようやくまちょりーは野良まりさを開放した。 倒れ伏した野良まりさを見下ろすまちょりー。超強そう。 「ゆ・・・・・・ゆぎ・・・・・・」 「ばりざあああああああああああああああああああ!!!!」 最早息も絶え絶えといったところの野良まりさを見て泣きながら絶叫する野良れいむ。 「ばりざじっがりじでええええええ!!!いまでいぶのおながにはばりざのあがぢゃんがいるんだよおおおおおお!!!!」 「ゆ・・・・・・!?な、なんだってだぜ・・・・・・!?」 ここで非常にどうでもいい事が発覚した。 どうやらこの野良れいむの腹の中には野良まりさの餓鬼がいるらしい。 本当にどうでもいい。 「ばりざあああああああ!!!おながのあがぢゃんのだめにもがっでえええええええええ!!!」 「ゆ・・・・・・ゆゆ・・・・・・!!」 フラフラと立ち上がる野良まりさ。 まるでその目はチンピラから改心して己の信念のために戦う男のように澄んでいた。 え?なにいきなりいい人になったみたいな展開になってるの? 「まりさ・・・・・・ひくきはないのね・・・・・・?」 「ゆへへっ・・・・・・すまないのぜ・・・・・・まりさは・・・たいせつなものをせおっちまったのぜ・・・・・・」 なんかいきなり戦う者だけに通じ合う会話みたいなものをしだすまちょりーと野良まりさ。 いやちょっと待てよ。何なのこれ?何?俺がおかしいの? 「ぱちゅりー・・・・・・よわっちいとか、ゆっくりしてないとかいって・・・すまなかったのぜ・・・」 「いいのよ、まりさ・・・」 「ありがとうなのぜ・・・もうひとつたのみをきいてくれないのぜ・・・?」 「ぱちゅでよければいくらでもきくわ、まりさ・・・」 「まりさと、ほんきで・・・たたかってほしいのぜ・・・そうすれば・・・もしまけても・・・くいなくいけるのぜ・・・」 「!まりさ、あなたってゆっくりは・・・!」 80年代ジャンプ的会話を続けるまちょりーと野良まりさ。 もう突っ込むまい。 「わかったわまりさ!このぱちゅりー、ぜんしんぜんれいのこぶしをもっておあいてするわ!」 「それをきけて・・・あんしんしたんだぜ・・・!」 「いくぜ、ぱちゅりー・・・!ゆあああああああああああ!!!」 そう言って、野良まりさは跳躍した。 疾い。どこにそんな力があったのかというほどの速度。今までとは比べ物にならぬほどの疾さをもって、まちょりーに肉薄する野良まりさ。 思わず真面目になって解説してしまった。 「むきゅう!!」 だが、そんな野良まりさをまちょりーは掴んだ。 自身の最高の攻撃。それを受け止められて野良まりさは満足したのだろう。 まちょりーの指の間から、野良まりさの穏やかな笑みを垣間見た気がした。 まちょりーがキッと眦を上げた。 全力で戦った相手には全力で礼をしようというのだろう。 そうでなければ野良まりさとの約束を違えることになる。 「おわかれよ!!」 別れの言葉と共に、野良まりさの顔面を握りつぶす。 ぱちぇどうこく。 なんとなくだが、旋風が巻き起こっているような気がした。あ、目にゴミが入った。痛い。 野良まりさの・・・否、まりさの遺体がまちょりーの手から落ちる。 まちょりーは咄嗟にまりさを抱え、そっと道路にまりさを下ろした。 ズタズタとなった表情からは何も読み取ることが出来ないが、このまりさはゆん生の最後に何か大切なものを得たような気がする。 いつの間にかこのノリに慣れはじめた俺が言うのだから間違いない。 「さよなら・・・まりさ。あなたもまさしくともだったわ・・・」 そうだ。このまりさは強敵(とも)だった。これからもこのまりさは俺とぱちゅりーの胸の中に生き続けr 「ゆげぇっ!まりさがやられちゃったよぉ!」 空気を読まずに野良れいむが声を上げる。 「ぷんぷん!まったくまりさはつかえないね!れいむのためにじじいたちをころすこともできないなんて!」 ・・・ほぉ。 「せっかくおなかのなかにあかちゃんがいるってうそもついてまりさのやるきをださせたのに!ほんとうにぐずだね!」 あれ嘘だったんかい。この野良れいむ本当にいい根性してやがる。 「ゆっ!でもじじいとぱちゅりーはまりさにきをとられてるね!あのぐずもおとりくらいにはつかえるね!」 俺もまちょりーも思いっきりお前のこと凝視してるけどな。まちょりーに至っては睨んですらいる。 「じじいとばかなぱちゅりーがあのぐずまりさにきをとられているすきにれいむはにげr」 「にがさないわよ」 ガシッとまちょりーが野良改め屑れいむの後頭部を鷲掴みにする。 どうやらまちょりーは強敵(とも)をここまで侮辱されたのではらわたが煮えくり返ってるらしい。 「れっれいむをはなしてね!れいむはまりさがしんでしんぐるまざーになっちゃんたんだよ!」 じたばたと暴れてまちょりーから逃げ出そうとする屑れいむ。 いや嘘だって知ってるから。お前がでかい声で言ってるの聞いちゃったから。 「れいむはかわいそうなしんぐるまざーになんだよ!!かわいそうだとおもうなられいむにあまあまちょうだいね!!」 いきなりでかい態度で食い物を要求し始める屑。 うぜぇ。久々に殺したくなった。 「きいてるの!?ばかなの!?しぬの!?だまってないでれいむにあまあまちょうだいね!!」 「・・・・・・わかったわ、れいむ。ぱちぇがれいむをつれていってあげるわ」 「ゆっ!?つてれく!?どこに!?ゆっ!!もしかしたらゆっくりできるゆっくりぷれいす!?」 「ちがうわ、れいむ。れいむがいくところは、もっとべつのばしょよ」 「ゆっ!?なに!?どこ!?もったいぶらないで、さっさとれいむにおしえてね!!」 「げすゆっくりは、かこうじょにいけ」 本日二度目のぱちゅどうこく。 屑れいむの絶叫が青空に響き渡った。 おわり ――――― 何を書きたいのか自分でもわからない書き溜めです。 最初は ぱちゅりーに広辞苑持たせたら面白そうじゃね? ↓ まちょりー面白くね? ↓ なぜか80年代ジャンプノリ となってしまいました。反省している。 全く関係ない話なんだけどゆうかはギガンテックプレッシャーとジェノサイドカッター使えると思う。 というか使わせたい。 というか書く。いつか書く。書きたい。 このSSに感想をつける
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『野良さん、ありがとう!』 24KB 差別・格差 嫉妬 飼いゆ 野良ゆ ひまつぶしに。 ※※飼いと野良ゆの格差ものです※※ 初夏に手をかけた時節の公園、広場から少し外れた木陰の続く裏道を、ゆんしょゆんしょと二匹のゆっくりが走っていた。二匹ともいまだに小さな子ゆっくりのまりさとれいむ。せいぜいもう赤ちゃんとは呼べないかな?という程度の年頃である。 さてさてこの二匹の子ゆっくり、見るひとが陽光のなかきらめくお飾りにつけられたバッジを見ればわかるとおり、飼いゆっくりだ。もちろん身体も未熟、知識も未熟、まだまだこれからたくさん両親や飼い主さんからじょうしきっを学ばなくてはならない立場。金銀胴なる飼いゆっくりのランク付け以前の、単に「この饅頭は野良ではないですよー」という程度のしるしでしかない。 そんな二匹が人通りの少ない公園の裏道で、両親とも飼い主さんとも離れて子ゆっくり二匹だけで走っている理由は、このさい重大な伏線でもなければドラマティックな何かでもないので一口で言ってしまうと、単に冒険心ゆえ少々周りを見ることを忘れてしまっただけだ。もちろん、この公園までは飼い主さんに連れられて、両親同伴できている。飼い主さんから一家丸ごと自由に遊んでいいよといわれ、さらに両親からも自由に遊んでいいよといわれ、両人ちょっと目を離した隙にこんなところにきてしまったという、まあ子ゆっくりにありがちといえばありがちな話である。 この公園、もちろん子ゆっくりを放して遊べる程度には安全な場所で、子まりさも子れいむも両親の姿が見えなくなったことは気づいているが、不安はない。いや、まったくないといえば嘘になるものの、これも子ゆっくりにありがちだが好奇心のほうが勝っており、少々の不安はだいぼうけんっのスパイスでしかないのだ。それに、なんだかんだで大好きな飼い主さんも大好きなお父さんお母さんも、なにかあれば二匹をすぐ見つけてくれるはず…… しかしいかに平和な公園といえども、子ゆっくりが100%安全なわけではない。例えば間違えて道路にでてしまい車さんに轢かれる、例えば人間さんが遊ぶボールにぶつかってしまう、例えば急な雨さんが降りだしてくる。それに例えば、 「ゆぷぷぷぷ。くさいんだぜ。すっごくくそにんげんくさくて、はながまがりそうなんだぜ!」 「おお、くさいくさい。ほんとうにくそにんげんにかわれる、やせいをうしなったかちくっのにおいはたまらないよ!」 『野良さん、ありがとう!』 これだ。野良ゆっくりである。いきなり子まりさと子れいむの目の前に、大人サイズの野良二匹――野良まりさと野良れいむがあらわれた。 こんな野良ゆっくりたちが人通りの少ない公園の裏道で、両親とも飼い主さんとも離れた子ゆっくり二匹の前に現れた理由も、このさい深遠な理由などなければ何らかの因縁の結果でもないので一口で言ってしまうと、単なる偶然である。実のところ、野良二匹は特に意図して子ゆっくりに絡もうとしたわけですらない。ゆっくりは――野良であろうとバッジ付きであろうと、基本的に自らの考えたことをそのまま口にだしてしまう習性がある。それがどんな状況を引き起こすか、あるいは周りにどんな印象を与えるか、のごとき「機微」や「空気」を読んで「考える」ことが極端に苦手なのだ。 子まりさと子れいむは、ぴたりとあんよを止めた。これがもう少し成長して、飼いゆっくりとしてのきょういくっをもっと受けていれば、こんなミステイクはおこさなかったであろう。野良に関わってなにひとついいことはなく、無視をすべきだというのは飼いゆっくりの「いろは」の「い」である。もちろん二匹とて生まれつきの飼いゆっくり、いちおうそんな程度のことは両親から言われている。要するに一瞬おどろいて足を止めてしまった、というだけなのだが―― 「それにしてもほんとうに、かいゆっくりはぜんゆっくりのなかでもさいていへんっなのぜ! あのひょろひょろあんよのついたきみのわるい『にんげん』みたいなかとうせいぶつに、よりによってえさをめぐんでもらっていきているなんて、まりさならはずかしくてせけんさまにかおむけできないのぜ」 「ゆーん、ほんとうにきびしいやせいのせかいでさばいぶっしているれいむたちにとってすれば、いきているだけではずかしくないのかしんぱいになるよ! こんなくそにんげんくさいおちびをうんだおやも、きっとあくしゅうをまきちらすうんうんゆっくりなんだろうね! うんうんいちぞくだよ!」 「な、なにをいってりゅのじぇー! かいぬしさんをばかにすりゅのはゆりゅしゃないのじぇ!」 「おちょーさんとおかーさんをばかにしにゃいでね! れいむ、ゆりゅせないよ!」 思わずきっと野良二匹をにらみつけ、子ゆっくりたちは声を張り上げた。……張り上げてしまった。自分たちならいざ知らず、敬愛してやまない飼い主さんと、尊敬してやまない両親を、ひとまとめに馬鹿にされたからである。 「ゆあーん?……れいむ、いまなにかきこえたのぜ?」 「……まりさ、なんだかくっさいくっさいいきにのせて、みみざわりなおとがきこえたきがするよ」 先ほどまで嘲笑を浮かべていた野良二匹が、口元を引き締め眉根をよせる。ずい、と一歩野良まりさが前にでた。 「おちびども。いまもしかして、まりさたちにくちごたえっをしたのぜ?」 のーびと身体をそらせて、野良れいむが二匹を見下す。 「うんうんはれいむたちのしかいにはいるだけでつみなんだよ。それをよりによって……」 一メートルほどの距離で睨み合う子ゆっくり二匹と、野良二匹。――子ゆっくりたちは既にぷるぷると小刻みにふるえており、目じりには砂糖水の涙すら浮かべている。はじめて会う野良、はじめて会う明確な敵意。おしつぶされそうな重圧に思わず半ぴょんぴょん下がってしまう。それを見て、にへりと野良二匹は再び笑みを浮かべた。 「あやまるならいまなのぜ。さいっきょうのまりささまが、いまならあんよをなめるぐらいでゆるしてやるのぜ……」 「くっさいかいゆっくりごとき、ぷくーのぷではんごろしなんだからね。ちょうしにのるんじゃないよ」 「あ、あやまりゃないのじぇ!」 「そ、そうじゃそうじゃ!」 恐怖を呑み込むために声を張り上げる。それを聞いて、野良二匹の目に剣呑な光が宿った。そんなにせいっさいがおのぞみなのぜ?……そんな声が音になる、その直前。 「ななななな、なにをやってるのおちびちゃん!!?」 ステレオでそんなシャウトが公園の裏道に轟いた。 次の瞬間、ばっと両組のあいだに影が躍り出る。ゆっくりである。野良たちと同じ程度のサイズの、これまた同じまりさとれいむ。 「お、おちょーさん!」 「おかーさん!」 あらわれたのは子ゆっくりの両親だった。明らかなテンパりとパニクりをその表情に浮かべて、野良を見て子供たちを見て野良を見て、そして子供たちをもう一度見て。 「ここ、こののらさんたちになにかしたのおちびちゃんたち!?」 親まりさはおさげをぶんぶんと振り回しながら、子ゆっくりたちに詰問する。 「ののの、のらさんごめんなさい! おちびちゃんたちがとんだしつれいを!?」 親れいむはあんよを曲げてとにもかくにもと野良たちに頭を下げる。 「おちょーさん、しつれいなのはこいつりゃなのじぇ!」 「しょうだよっ! おかーさんたちだけじゃなく、かいぬしさんもぶじょくっしたんぢゃよ!」 「うんうんおちび、なにをいってるのぜ? まりささまはくそにんげんはゆっくりできないし、そのえさにあさましくくいつくかいゆっくりもゆっくりできない、めいはくなしんじつっをいっただけなのぜ?」 「そうだよ! くっさいうんうんどもはしょせんうんうんなんだから、そこのうんうんれいむのいうとおりいきてるだけでとんだしつれいっだよ。くっさいほもさぴうんうん、かいゆうんうん、はながまがりそうだよ!」 「お、おちょーさん、いみゃのきいたのじぇ……?」 「ゆるせにゃいよ。くさいのはそっちののら……」 「おちびちゃんたち! なんてことをいうのおおおおおお!」 「のらさんたちにわるいでしょおおおおおお!?」 血相を変えて叫ぶ両親に、一種唖然となりすぐに明確な涙目を見せる子ゆっくりたち。そんな情景に、野良まりさも野良れいむもこれ以上ないまですっきりー!なドヤ顔を浮かべた。 「そっちのでかぶつうんうんは、たしょうちからのさ、うまれとそだちのさ、どちらがゆっくりしているかわかっているみたいなのぜ」 「そのとおりだね。かんだいなれいむたちがいまならいっかそろってどげざっぐらいでゆるしてあげなくもないよ」 「いいかいおちびちゃんたち、のらゆっくりさんたちにひどいことをしちゃいけないんだよ」 「ゆぷぷぷぷ、そのとおりなのぜ。まあ、さいっきょうのまりささまにひどいことなんてできるわけがないけど」 「おとーさんまりさのいうとおりだよ。おちびちゃんたちはかいゆっくりでしょ? かいゆっくりならかいゆっくりらしいせつどっがひつようなんだよ」 「そのとおりだよ! うんうんのにおいまきちらしてわがものがおであるくなんて、はんざいっだよ! あめりかさんならそしょうものだよ!」 「のらさんたちだってね、ほんとうはひがいしゃなんだよ」 「そのとお……ゆ?」 「のらさんにひつようなのはあたたかいどうじょうっなんだよ」 「ゆゆゆ?」 いま何か、とてもゆっくりできない言葉が、相変わらずうんうんくさい空気にあわせて流れてきたような……と野良二匹が小首をかしげると、先ほどまで諭すような目で子ゆっくりたちを見つめていた親ゆっくり二匹が、視線を野良たちに移した。 「みてごらんおちびちゃん。のらさんたちのすがたを」 反射的に、野良れいむが答える。 「とってもゆっくりして、うつくしいびーなすっみたいな……」 「きたないよ」 「ゆべえ!?」 ……答える、のを無視して子れいむが思わずぽつりと漏らした言葉に、潰れたカエルのような声をだす野良れいむ。ちょっタンマいまなんていった?きたない?汚いだと?飼いゆっくりふぜいが、うんうんと変わらない存在が、このれいむ様のことを汚いなんて――! 「おいくそちび! いまのもういっか」 「おちびちゃん! だめでしょほんとうのことをいっちゃ! のらさんがきずついちゃうよ!」 「そうだよおちびちゃん! めっ! のらさんだってほんとうはきれいきれいしたいのに、それがかなわないんだよ!?」 「ななななななな、なにをいってるんだこのくそかいゆっぐりぃぃぃぃ!?」 野良二匹の叫びに親ゆっくり二匹は反応を見せず、あえてきびしさっを宿した瞳で子供たちの顔を覗き込んだ。 「おちびちゃん、おちびちゃんはたしかにあんなおかざりもよごれていて、『は』はおはぐろっみたいにまっくろで、はださんもへんなしるがこびりついてて、おまけにあにゃるにはうんうんのかすがもうひとなつもまえからすみついてるような、あんなすがたじゃないよ?」 「……でもね、おちびちゃんたちがひとりっでああならずにすんでいるわけじゃないんだよ。かいぬしさんがきちんとおちびちゃんたちをみてくれて、それではじめてあんなみすぼらしくならずにすんでるんだよ。のらさんはね、ゆっくりできないあんなすがたになりながらも、ひっしにがんばってるんだよ!」 「おちょーさん」 「おかーさん」 そういわれて改めて、子ゆっくりたちは野良に目線を写す。なんだかギリギリと歯ぎしりをし、目を血走らせ、びったんびったんとおさげで地面を叩いている。ゆっくりしていない。ぜんぜんゆっくりできていない。しかし――いま大好きなおとーさんとおかーさんのいったことを考える。なんだかみんながゆっくりするために大事なことの淵に手をかけていると、漠然と二匹は思った。 「おちょーさん、のらさんはひぎゃいしゃ……なのじぇ?」 「そうだよ、おちびちゃん。しゃかいというりふじんっなせかいで、のらさんたちはぜったいにゆっくりできないさだめにうまれてしまったんだよ」 「おかーさん、のらさんはそりぇでもがんばってりゅ……の?」 「おちびちゃん、そのとおりだよ! のらさんたちにとって、かいゆっくりやにんげんさんをばかにすることは、いきるためにひつようなことなんだよ」 「おばえらざっぎがらなにをいっでるんだあああああああ!!!」 「おばえらがうんうん! でいぶだぢがほうぜぎっ! ぞれがしんじづだろうがああああああ!!!!!」 「おちびちゃんたち、のらさんはああおもいこまないとだめなんだよ。たとえばおちびちゃんたちにはしんじられないかもしれないけど、のらさんたちのしょくじはほんとうにひどくて……」 「ひどいっでいうなあああああ!! まりざはかりのめいじんっなのぜえええ!!! ごのまえもいもむしさんにかまきりさんに、それにとんぼさんまではんてぃんぐっしたのぜええええええ!!!」 はっ、とそれを聞いて子ゆっくりどもが目を見開く。どーだまいったかのぜ?このくそちびども、と野良まりさ。 「し、しんじりゃれないのじぇ……」 そうなのぜそうなのぜえええ!?まりさはつばを飛ばして叫ぶ。あめいじんぐっなまりささまの狩りによるご馳走はうんうんどもなんかとは…… 「おちょーさん、もしかして……」 「そのとおりだよ、おちびちゃんたち。のらさんはね、いもむしさんやかまきりさんやとんぼさんをたべてるんだよ」 「ゆゆっ!?」 信じられない両親の発言にびっくり仰天の子ゆっくりたち。 「ゆゆっ!?」 子ゆっくりたちのその反応にびっくり仰天の野良たち。 「で、でみょいもむしさんやかまきりさんやとんぼさんはまじゅいまじゅいだよ……?」 「でもそれがのらさんたちのしょくじなの。かいゆっくりみたいにあさにたらこぱしたさん、ひるはかいせんちゃーはんさん、さんじのおやつにあまあまのけーきさん、よるはおにくたっぷりっのすきやきさん、でざーとにちょこれーとさん……なんてしょくせいかつっはできないんだよ」 「ま、まりしゃそれでもしんじりゃれないのじぇ。むしさんをそのままたべるなんて、きもちわる……」 「おちびちゃん!!」 その時! 親まりさの愛のおさげ鞭が子まりさの頬に飛んだ。ゆゆゆっとじんわり痛む頬を抱える自分のおちびちゃんに、声を強くする。 「のらさんにしつれいでしょ!? のらさんはね、のらさんはね、ごはんをくれるかいぬしさんなんていなんだよおおお!?」 「そうだよおちびちゃん! のらさんはいちにちじめんをはいずりまわって、やっとそのひたべられるだけのむじさんやきのみさんをとってきて、ふしあわせーっなごはんさんでまいにちがんばってるんだよ!?」 「お、おちょーさん……ごめんなのじぇ」 「ちがうでしょおちびちゃん。おとーさんやおかーさんにあやまってもいみがないよ! あやまるならあまあまもたべられず、あじなんてにがにがしかしないむしさんをちょっとだけたべてこれからもまいにちをすごす、ふこうなのらさんたちにでしょ?」 「そ、そうだったのじぇ」 「れ、れいむもひぢょいことをいっちゃったよ。いっしょにあやまりょう、まりしゃ」 いまだに真剣な表情を崩さないお父さんとお母さん。正直なところ、子まりさにとって両親に叩かれたのははじめての経験であったし、子れいむにしたところであそこまで強い口調で何かを教えられたのははじめてだった。だからこそ、だからこそである。これこそが大好きで尊敬できるお父さん、お母さんの子供である自分たちが、本当に学ばなくてはならないことなのだと、直感できた。野良さんに、謝らなくてはならない。 ぴょんぴょんと野良さんたちの前まで跳ねて、二匹は同時に頭を下げて言った。 「のらさんたち、ごめんなさい。ゆっくりしていって――」 「ふふふふふざげるなあああああああああああああああ!! このうんうんっ、うんうんっ、うんうんっくそがいゆっくりどもおおおおおおお!!!!」 野良ゆっくりたちは爆発した。何がたらこぱしたさんだ、何がかいせんちゃーはんさんだ、何がさんじのおやつのあまあまのけーきさんだ、何がおにくたっぷりっすきやきさんだ、何がでざーとのちょこれーとさんだ、何が飼い主さんだ、何が飼いゆっくりだ――!! 「おばえらなんで『じゆう』がまったくないどれいだろうがああああああああ!!!ゆっくりできない、くさいくさいくそにんげんにっ! くびわをつげられたどれいゆっぐりだあああああああ!!!!」 「ぞうなのぜっ!!! 『じゆう』こそがゆっぐり! ゆっぐりこそが『じゆう』!! がいけんなんてうんうんいかなのぜ! おいしいごはんさんなんか、『じゆう』にくらべだらはのあいだにはさまったはくそなのぜええええええ!!!」 「ゆゆ……『じゆう』さん?」 「のらさんたちは『じゆう』なのじぇ?」 ぽかんと不思議そうにこちらを見る子ゆっくりどもに、野良二匹ふーふーと息を整えながらようやく数分ぶりの笑みを浮かべた。これは地獄に一本の蜘蛛の糸が垂れてきたようであった。先ほどまで屈辱という針と怒りという火と嫉妬という金棒によって責め立てられていた野良たちにとっては。 「そ……そ……そうなのぜええ……『じゆう』なのぜ、まりささまたちは……あ、あばあばさんがあっても『じゆう』がなければむいみっなのぜえええ……」」 「ふう……ふう……じ、『じゆう』がないなんてうんうんかいゆっくりどもはほんとうにゆっくりで、できてないね……」 ――さてさて、先ほどまで両親に諭され、ひとつ大人になったかのように見えた子ゆっくりたちも、しょせんまだまだ未熟者である。そうまであからさまに「お前はゆっくりしてない」といわれれば、むくむくとまた反抗心が沸きあがってきてしまう。いぶかしげに聞き返した。 「そそ、そんなに『じゆう』さんはいいのじぇ?」 「ゆふん。そのとおりだよ! くそにんげんにかわれたあわれなかいゆっくりのうんうんあんこのうじゃわからないかもしれないけどね」 「れいむ、あまりかわいそうなくそちびをおいつめちゃだめなのぜ。こいつらは『じゆう』がないから、ゆっくりできていないのぜ」 完全に数分前の余裕を取り戻した、というよりは数分前の余裕を取り戻さねばならないと餡子を総動員させた野良二匹。ぐねりと縦長に反り返り、口元にいやらしい嘲笑を浮かべ、ちびどもを見下ろす。……なお子ゆっくりたちの両親はというと、とりあえずのらさんが元気になってよかったよー、てなものである。 とにもかくにも、野良二匹にはやらねばならないことがあった。先ほどから痛めつけられ、削り取られたプライドの修復である。『じゆう』! このマジックワードを武器に、今こそくそなまいきな子ゆっくりに反撃開始だ。 「ゆーぷぷぷぷぷぷぷ! まりさたち、『じゆう』でごーめんね!」 「ゆっくりしてるれいむたちだからー、『じゆう』があってー、なんでもできるんだよー!」 「ゆゆ? のらさんたちは『じゆう』だから、なんでもできりゅの?」 「そうだよ! それが『じゆう』! だよ!」 「じゃあじゃあ、もしかしてれいみゅいつもいやなあめしゃんのひでも、やっぱり『じゆう』なの?」 「そのとおりなのぜ! きいておどろくなだぜ! 『じゆう』あふれるまりささまたちはっ、なんとっ、あめさんのひでもっ、おうちがしっかりしてるからぬれずにすむのぜええええええええ!!!」 どうだこのくそちびども、お前らこそ屈辱と怒りと嫉妬に身がふるえるがいい、と口から泡を飛ばしておさげをぴっとつきつける。……が、どうにも子ゆっくりたちの反応は芳しくない。不思議そうに小首をかしげて、 「……のらさん、それはあたりまえなのじぇ」 「それに『じゆう』とはあんまりかんけいないきがするよ……」 「はあああああ!? なにをのんきなことをいってるのぜっ!? おうちがしっかりしてるからぬれないのはぜんぜんっあたりまえじゃないのぜ!!? まりささまがみっかみばんねずにえださんやはっぱさんをあつめて、ようやくっかんせいしたのぜえええ!?」 「そうだよくそちびどもおおおお!!!! それにたくさんったいようさんがのぼるとかってにはっぱさんがどこかにいっちゃうから、そのつどあつめなおしっするんだよおおおお!? ぜんぜんっあたりまえじゃないでしょおおお!?」 「でみょ、でみょまりしゃたちにとっては……」 言いかけた子まりさの後頭部が何者かにはたかれる。ゆゆゆっと目を回しながら振り向くと、そこにはぷくー寸前の怖い顔をしたお父さんとお母さんが…… 「おちびちゃんっ! またのらさんをこまらせてるんだね!? いいかいおちびちゃん、おちびちゃんはかいぬしさんのいえのなかで、あめさんもかぜさんも、あつささんもさむささんもかんけいなくかいてきっにくらせるけど、のらさんはそうはいかないんだよ!?」 「それに、あめさんのひはせまいすでさむいさむいにたえてちぢこまるだけののらさんと、ひろいかいぬしさんのいえでおそととかわらずあそべるかいゆっくり、どっちが『じゆう』かはわかるでしょおおお!? のらさんは『じゆう』にすがってるんだよおおお!? それがかんちがいっだとほんとうのことにきづかせるなんて、かわいそうだよおお!!」 「ゆがあああああああああ!!! まだおばえらがああああああ!!! ごのうんうんうんうんうんうんどもおおおおおおお!!!!!」 同時に叫ぶ野良二匹。……と少しして、憤怒で額をぐねぐねと地面にこすり付けていた野良れいむが、「お、お、おばえら……」と餡子から搾り出されるような声をだし、 「おばえらがいゆっぐりはっ、おちびをづぐれないんだろおおおおおおおおおお!!?」 口が張り裂けんばかりに叫んだ。ゆゆゆゆっ、と野良まりさも反応する。 「そそそそ、そうなんだぜっ!! 『じゆう』のないおばえらはおちびをづぐれない、ぞれががいゆっぐりなんだぜえええええ!!!! ねえねえどんなぎもぢどんなぎもぢいいいい!? しそんをのごぜないってどんなぎもぢいいいいいいい!? 『じゆう』がないってどんなぎもぢいいいいいいい!!!??」 「……の、のらさん、まりしゃとれいみゅをうんでりゅから、おちびをつくる『じゆう』はあるきがするのじぇ……」 「――――ゆゆ?」 「それにのらさんたちはつがいだよにぇ? 『じゆう』なのらしゃんたちはおちびちゃんはつくりゃなかったの?」 「――――ゆゆゆゆ?」 野良二匹が同時に押し黙る。おちびちゃん、おちびちゃん……! 今まで忘れていた、というよりはゆっくりできなさすぎてフタをしていた記憶が、餡子の奥から蘇ってくる。確かに二匹にもおちびちゃんがいた。一匹は生まれた次の朝には餓死し、一匹は公園でカラスにつつかれて出餡多量。前者は「なぜうんだにょ?」、後者は「つぎはこんにゃつきゃえないおやどもはいやなのじぇ」が遺言だった。 「おちびちゃん」 そのとき。ひどく冷静な声で。訳知り顔で。同情をその瞳に浮かべて。――ね、おちびちゃん、と親ゆっくりが言った。 「さっきもいったでしょ、のらさんたちがいってる『じゆう』はかんちがいなんだよ。こどもをつくれてそだてることができてるまりさたちと、こどものいないのらさんたち……ね、おちびちゃん、むずかしいかもしれないけどこれでさっしてね」 「わ、わかったのじぇ……のらさんたち、ごめんなのじぇ」 「ごめんなしゃい、のらさん」 ――二匹の野良の餡子のなかで、ぷつん、と何かが切れてしまった。はっきりとその音まで、聞こえた気がした。 「……ね」 「……しね」 「のらさん?」 「いだよ……」 「さいするのぜ……」 「のらさん? の――」 「し、し、しねええええええええええ!!!!! このっ、うんうんのっ、きたならしいっ、くさいごみくずのっ、こえだめよりはえのわいた、ぐぞがいゆっぐりいいいいいい!!!!」 「せいっさいなのぜえええええええええ!! ぜっだいにゆるざないのぜええええええ!!! だんで、だんでばりざざまがごんながいゆっぐりどもにいいいいい!!!! がいゆっぐりどもぞごになおれええええすーぱーせいっさいだいむのはじまりなのぜええええええ!!!」 屈辱が餡子に火をともした! 怒りがあんよによる跳躍を爆発させる! 嫉妬のエネルギーを弾丸のごとき体当たりにこめて! ぽっすん。野良まりさが子まりさに、野良れいむが子れいむに。ぶつかって、跳ね返って、転がって、向き直る。 「の、のらさん……」 子ゆっくりたちがぽつりと呟き、その声が更に野良たちのせいっさいっ感情を増幅させた! 「しねええええ!!! しねええええええええ!!!!!」 「せいっさいなのぜええええ!!! せいっさいなのぜえええええええ!!!!!」 ぽっすん。ぽっすん。ぽっすん。ぽっすん。 ――もう大分傾いた太陽のもと、遠くから聞こえる人間の子供たちの歓声のなか、木陰も涼しい公園の裏道。困惑を顔に貼り付ける子ゆっくりたちと、意味は違うが同じく困惑する親ゆっくりたち。そんな悠長な景色のなかで、凄まじい表情を浮かべひたすら自分より小さな子ゆっくりに体当たりを敢行する野良たちの姿は、もしこれが絵画であるなら「空回り」ないし「場違い」なる題がつくであろう。 野良たちの主観ではたっぷりと、正味なはなし客観的には十秒にも満たないほど短い時間が過ぎ。野良まりさは全身を上下させて仰向けに野良れいむは全身をふるわせてうつぶせに、だらりと倒れこむ。限界だったようだ。 二匹のぜーはーぜーはーどうなのぜきいたのぜしんだのぜくそかいゆっくりがごみになったみたいだねつよくってごめんねぜーはーぜーはー、という途切れ途切れの声をBGMに、ぽつりと子まりさが呟く。 「のらさん、いまのなんだったのじぇ……?」 せい……さいっ……だよ……と野良れいむが答え、だから……さっさとくそちびはしぬのぜ……と野良まりさが続ける。 「でもおきゃしいよ……のらさんのたいあたり、こどものまりしゃとあそびでおすもうっすりゅときより、よわかったよ」 そんなことないのぜ、という意味の抗弁を弱弱しい呼吸で野良まりさが口にしかけるが、その前に親ゆっくりたちがずいっと一歩前にでて口を開いた。 「おちびちゃんたち。これが、これも……のらさんなんだよ。よわかったでしょ? おちびちゃんたちいかだったでしょ? それでも、しかたないんだよ。のらさんはね、ろくなものをうまれたてっのころからたべていないから、ちゃんとせいちょうできないんだよ」 「ようするにねおちびちゃん、のらさんたちとかいゆっくりでは、かんきょうっのちがいだけじゃなくて、ゆっくりとしてのすぺっくっもうめられないさがあるってことなんだよ」 ぽかん、と野良ゆっくりも子ゆっくりも、口を開け放しにする。それってつまり―― 「のらさんたちはまりしゃにはぜったいかてにゃいってことなの……じぇ?」 「おちびちゃんたち。これがげんじつっなんだよ。かいゆっくりじゃない、かいぬしさんがいない。それだけで、ゆんせいにここまでのさがでちゃうんだよ。がいけんはきたないきたない、しょくじはまずいものしかたべられない、『じゆう』もぜんぜんない、そもそもおちびちゃんもまともにそだてられない、そういうかんきょうっのちがいをぜんぶさっぱりーにしても、いっぴきのゆっくりとしてさがありすぎる……」 「そ、そんにゃにょざんこくっすぎりゅよ! じゃあのらさんたちはゆっくりできないよ!」 「そうだよ。おちびちゃんたちみたいなかいゆっくりにとってみれば、のらさんたちはぜったいにゆっくりできないよ。でもね、でもね! おちびちゃんたち、よくかんがえてごらん。それはあくまでかいゆっくりとくらべたら、だよ……だからね、きょうおとーさんとおかーさんがいっただいじなことをおもいだしてごらん」 「ゆ?」 「ゆゆ?」 二匹の子ゆっくりは、今日学んだことを思い出そうとする。大事なこと……みんながゆっくりするためにとても大事なこと。 「のらさんたちも、ゆっくりできにゃいけど、がんばってりゅのじぇ?」 「のらさんがわりゅいんじゃなくて、ひがいしゃなにょ?」 「だからのらさんたちをわりゅくいっちゃだめなのじぇ?」 「ただでしゃえのらさんよりあっとうてきにゆっくりしてるりぇいむたちが……」 「のらさんたちにほんちょうのこちょをいうのはゆっくりしてないんだじぇ」 「そうだよ、おちびちゃんたち! だからかいゆっくりとのらゆっくりのあいだにはくらくてふかいかわっがながれてるんだよ! それがおちびちゃんたちがまだほんのあかちゃんのころから、くちをすっぱくして『のらとはかかわるな』といってるりゆうなんだよ」 「それにね、おちびちゃんたちがやさしいかいぬしさんのもとで、のらさんみたいなひさんっすぎるせいかつをおくらないようにうまれることができたのも、たんなるぐうぜんっだよ! だからかんしゃして、おごらないように、けんきょっにならなきゃいけないんだよ!」 「けんきょ……しょうしないとまりしゃたちはすぐおごっちゃうのじぇ……」 「だきゃらじぶんのためにも……のらさんにほんとうのことをいってばきゃにするのはよくないよ……」 ――はっ、と今まで地面を見つめて考え込んだ子ゆっくり二匹が、目を上げた。その目には紛れもない光が宿っている。古来より、その光をさして人は知性と呼ぶし、光がさすことを成長と呼んだ。ほんの一時間にも満たない出来事であったが、いままさに二匹の子ゆっくりは、単なる「おちびちゃん」から半歩「大人」の世界へ足を踏み入れたのだ。両親がゆっくり、ゆっくりと笑みを浮かべてうなずく。それを教えてくれたのはおとーさんおかーさんと、そして…… 「ゆっ、のらさん!」 二匹は同時に、いまだにだらりと身を地面に横たえる二匹の野良ゆっくりに向き直る。爽やかな風が、裏道を走りぬけた。ざわざわと木々が囁きを交わす。 「ありがとう、ございましたっ!」 ――いって踵を返した二匹の親ゆっくりと、二匹の子ゆっくり。飼い主さんのもとへ、いるべき場所へと帰ってゆく。その影のうちふたつが、つい一日前よりほんの少しだけ伸びているように見えるのは、気のせいだろうか? そして二匹の野良はというと……極めて遺憾ながら、これも二匹の親ゆっくりの「教育」を最後には十全に受け取ってしまっていた。すなわち、自分がどんなに努力しても絶対に届かない「ゆっくり」を享受する存在がいること、そしてそれを知ってしまったからには自分たちは二度と「ゆっくり」できないということ。だからふたりはその場で成長を止めた。あえてその死因を言語化するならば、「絶望」――ということにでも、なるだろう。実のところ、野良には珍しくない死に様であった。
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4月22日の朝に嘆きあき様が描いていた即興マンガのifストーリーです。 嘆きあきさんが、リスペクトOKと書いていたので、QNQNしたので、即興で書いてみました。 D.Oさんがすでに書いているので、底辺作家の作品の需要は無いに等しいかと思われますがご容赦ください。 読んでくれるという奇特な方は、とかいはに保管されている嘆きあきさんの漫画をお読みになってから読んでください。 嘆きあき様、応援してます。 ここから本編 「ねぇ、おにいさん?なんかね、おにわからゆっくりのこえがするきがするの。 もしかしたらのらがすみついたのかも・・・ れいむ、あかちゃんがいるし、なにかされちゃうかもしれないよ・・・ まりさ、こわいこわいだよ・・・なんとかしてね、おにいさん・・・」 (これで、おにわのれいむたちはくじょされるよ。あのこたちは、まりさになついてなかったし、もういらないよ) 飼いまりさは、心の中でそう呟く。 飼いれいむは、額の茎の”飼い主さんに認められた”我が子にお歌を歌って聴かせており、まりさとお兄さんの話は聞こえない。 まあ、飼いまりさが意図的に遠ざけたのだが。 「ふーむ、庭に野良ゆか…」 お兄さんは考えていた。 確かに庭には物置などがあったり、住みつくスペースはあるかもしれない。 昼間は、飼いゆを庭に出している。何かあっても困る。 とりあえず、確かめることにした。 「ゆぅ…、くさしゃん、にぎゃいぃ…」 飼いゆ夫婦の子供たちは、生まれてからしばらくお菓子を食べていたこともあり 草をあまり食べられなくなってしまい、少し衰弱していた。 「ごめんね…おかーさんは、あまりかりができなくて…」 もともと、庭の中には雑草くらいしか無く、飼いゆたちからの食事の供給が無くなった今は、ご飯が足りなくなっていた。 そもそも、庭の野良れいむには、なぜ急に飼いゆ達がおちびちゃんたちに会いに来なくなったのか分からないので、庭を出るという選択肢は無いのだ。 「お、本当にいた」 「ゆゆ?」 人間の突然の登場に固まる5匹。 「どこから来たんだ、お前ら?」 「ゆ、あのね…」 飼いまりさは重大なミスを一つ犯した。 それは、庭の野良れいむにお兄さんに話が出来る機会を与えたことだった。 「まりさ、話がある」 お兄さんが庭から戻り、まりさを呼びつける。 飼いれいむと一緒に子供をあやしていたまりさは、外の野良れいむ達が駆除されたと思って喜んでお兄さんのところに跳ねてくる。 「どうだったの、おにいさん?のらは、いた?」 まりさは、お兄さんの顔がいつもと違いゆっくりしてないこと変に思いつつも、外の様子を尋ねる。 「いたよ」 ぶっきらぼうに答えると 「おい、れいむもちょっと来い」 「ゆゆ?れ、れいむはこどもを、にんっしんしてるんだよ!いどうさせたら、かわいそうだよ!」 飼いまりさは、外の子を切り捨てたことを知らない飼いれいむが余計なことを言っては不味いと慌ててお兄さんを止める。 「それは俺が決めることだ。おい、れいむ!早くしろ!」 お兄さんは飼いまりさの要望を却下して、飼いれいむを呼ぶ。 飼いまりさも、だんだんお兄さんが不機嫌なのを感じ取る。 飼いまりさは、おそるおそるお兄さんに尋ねる。 「ねえ、おにいさん、ひょっとしておこってる?ゆっくりしてね…」 お兄さんは向き直る事無く、目線だけをまりさに向けると 「お前、嘘をついたな?」 「ゆううう?!」 「おにいさん!まさか、のらなんかのいうこと、しんじてないよね?まりさは、きんばっちで、おにいさんのかいゆだよ!」 涙目で弁解するまりさ。 それを見て「ふー」とため息をつくと、 「俺もゆっくりの言ってる事が、本当か嘘かくらいは分かるつもりだ。赤ゆが器用に嘘をつくのと、金バッチが器用に嘘をつくのとどっちが可能性が高い?」 「ゆぐ…」 そこへ、ゆっくりと飼いれいむがやって来る。 「おにいさん、まりさ、どうしたの?ゆっくりしてね?あかちゃんの、たいっきょうっにわるいよ!」 お兄さんは、到着してオロオロするれいむに話しかける。 「おまえ、外に他の野良に育てさせたが子供がいるだろ?」 「ゆゆ?」 飼いれいむは、まりさを見る。 「あのね…」ここまで、言いかけた飼いまりさだが 「黙ってろ!!」 お兄さんが一喝して黙らせる。 「で、どうなんだ?」 「ゆう…おちびちゃんを、どうしてもつくりたくて…」 そう言って、飼いれいむは黙ってしまったが、この返答は肯定と捉えるに充分だった。 お兄さんは、天を仰ぐ。 「俺が飼いゆに求めている事は、頭の良さでも、行儀でも、礼儀正しさでも無い」 「ゆぎゃああああ!!!」 まりさの顔面が抉れ、転がっていく。 怒りで衝動的に蹴り飛ばしたのだ。 「誠実さだ。癒されたいんだよ、俺は。飼い主を騙す糞饅頭なんか、いらん」 「ぐぎゅ!ゆびゅ!やべ、やべでえ!」 お兄さんのストンピングが、飼いまりさに炸裂する。 「やめてね!まりさが、いたがってるよ!」 滝のように涙を流し、飼い主を止める飼いれいむ。 「子供をつくられるのが、嫌な訳なんかじゃねーんだ。飼い主を”ゆっくりさせる”という思考の無い奴が嫌いなだけなんだよ!」 グシャ おにいさんの一撃で飼いまりさは絶命した。 「ゆっくりさせます…。おにいさんを、ゆっくりさせます…」 飼いれいむが呟く。 「もう遅いんだよ」 飼いれいむの額に手を伸ばすと、茎ごと実ゆを毟り取り、握りつぶした。 「ゆああああああああ!!!!!!!なにするんだあああああ!!!!!!」 怒りに震え、飼い主に体当たりをする飼いれいむ。 お兄さんは、醒めた目で”それ”を見下すと、渾身の一踏みで飼いれいむを踏み潰し、番と子の後を追わせた。 そして、3匹の元飼いゆの死骸を、すでにさっき町内の美化の為に処分した野良5匹の残骸と共に袋に詰めた。
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『ガキ大将的ゆ虐』 10KB いじめ ギャグ パロディ 小ネタ 野良ゆ ちょっとした小ネタです 「おらー!お前のせいで野球の試合、負けちゃったんだぞー!」 「どぼじでぇぇぇ?!かんげいないでしょぉぉぉ?!」 一人のガキ大将的なお子様が、野良ゆっくりのれいむをバットで殴っています。 この子は町内でも有名なガキ大将。 ジャリアンという名で親しまれています。 ジャリアンは野球の試合に負けた怒りを、空き地で暮らしていた野良ゆっくりにぶつけています。 「やべでぇぇぇ!!どぼじでこんなこどずるのぉぉぉ?!れいむだっていきでいるんだよぉぉぉ!!」 「そういうセリフは、ふつうの生き物のように生きてからいえぇぇぇ!!」 「ゆっごぉぉぉぉ?!」 ジャリアンは野良れいむを掴んでバットで殴りました。 れいむはボールのように大きくバウンドして、転がっていきました。 ジャリアンがゆっくりを苛めているのは何時もの事。 大人は誰も気にしません。 幸いな事にこの町にはゆっくりんピースやゆーシェパードなどといった愛護団体も居ませんでした。 ジャリアンや虐待好きな鬼威参にとっては平和な町でした。 ジャリアンは野良ゆからもその名を知られており、賢い野良ゆはジャリアンに近づきませんでした。 公園に住んでいる野良けんじゃのぱちゅりーは、群の仲間にジャリアンの恐ろしさを教えます。 「むきゅ!いいこと、じゃりあんにはちかづいちゃだめよ!きょうはぱちゅりーのきけんこうざよ!」 野良けんで群の長のぱちゅりーは定期的に群の仲間にジャリアンの恐ろしさを「こうざ」と称して教えていました。 ケース1 れいむは狩から帰ってきました。 れいむは自分と同じくらいの大きさの布の袋を、引きずりながらおうちに帰るところでした。 以前拾ったにんげんさんの使っている袋を、れいむは狩の獲物を入れる袋に使っていました。 今日も大漁です、ところが… 「おい!野良れいむ!何だその袋は?」 「ゆゆ?!にんげんさん?!れいむになんのごようなの?れいむはかりからかえってきたばかりで、つかれているんだよ!」 「そうか、俺はその袋が気に入った!俺が貰ってやろう!」 「ゆゆ?!なにいってるの?!これはれいむのものだよ!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 「俺のものは俺のもの!野良ゆっくりのものも俺のものだー!!」 ジャリアンはそう叫ぶとれいむの持っていた袋を取り上げました。 れいむは怒ってジャリアンに体当たりをしたり、ぷくーっと脅かしたりしました。 「なにしてるのぉぉぉ?!それはれいむのものでしょぉぉぉ!!」 「なんだ?!さからうのか?!なまいきだぞ!ゆっくりのくせに!」 ジャリアンはれいむを殴りました。 れいむは涙を流して逃げていきました。 この後ジャリアンは、れいむから奪った袋を、ゴミ捨て場に捨てに行きました。 ケース2 「ゆわぁぁぁ!かえしてね!まりさのすてきなおぼうしかえしてね!」 まりさがジャリアンに帽子を取られて泣いています。 ジャリアンは、まりさの帽子をちょっと借りるぞ!と言って取り上げてしまいました。 「やめてね!ゆっくりのものをとるのは、どろぼうだよ!わるいことだよ!」 「だれがドロボウだ?!いつかえさないっていった、えいきゅうにかりておくだけだぞ!!」 ジャリアンはそう言うと、まりさを蹴りました。 蹴られたまりさは、そのまま電柱にぶつかりました、 痛くてゆんゆんと泣くまりさを見たジャリアンは言いました。 「ゆびぇぇぇぇん!どぼじでぇぇぇぇ!!」 「お前たちは、人間のものをとるだろ?人間の家をうばおうとするだろ?俺はただ借りているだけだ!えいきゅうにな!」 「そんなの、にんげんさんがひとりじめするからでしょぉぉぉ!!まりさたちはわるくないよぉぉぉぉ!」 「うるせぇ!正しいのはいつも俺だ!」 ジャリアンはそう言うと、まりさをもう一度蹴りました。 まりさは今度はドブに落ちて永遠にゆっくりしてしまいました。 ケース3 ジャリアンがバットを持って歩いています。 そこに偶然とかいはありすが通りかかりました。 ジャリアンはありすを見るなり言いました。 「買ったばかりのバッドの殴り具合をためさせろ!!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!」 ありすはバットで殴られました。 「ゆぎぎぎ…ごんなの、どがいはじゃないわぁぁぁぁ…」 ジャリアンはゆっくりにとっての自然災害のようなものです。 ありすは訳もわからず永遠にゆっくりしてしまいました。 ケース4 ジャリアンは公園でぱちゅりーを見つけました。 「もりけんだ!おい、もりけんぱちゅりー!今からクイズをやろう!ぽかぽかクイズだ!」 「むきゅ!に、にんげんさん?!なにをいっているの?」 戸惑うぱちゅりーを、ジャリアンはジャリアンはバットで一発殴りました。 ぱちゅりーはむぎゅっと潰れ、涙を流して痛がりました。 「むぎゅぅぅぅ?!いだいぃぃぃ、なにをするのぉぉぉぉ?!」 「ガハハハハ!!もんだいに答えられなかったり、はずれの場合はこうやって殴られるんだ!楽しいだろう?」 「たのしいわけないでしょぉぉぉ?!どうしてこんなことしなくちゃいけないのぉぉぉ?!」 「分かりました、それでははじめます!」 「はなしをきけぇぇぇぇぇl!!」 ジャリアンは怒るぱちゅりーを無視して、問題を出しました。 「むきゅぅぅぅぅ?………ちょっとわからない 『バキッ!』 むぎょあぁ?!」 「はい、アウトー!!」 ジャリアンは楽しそうにぱちゅりーを殴りました。 ジャリアンの出す問題は、ゆっくりには答えられそうにない、意地悪な問題ばかりでした。 しばらくするとぱちゅりーは、ボロボロになっていました。 「むぎゅ………どぼじで…?」 ケース5 ジャリアンはお歌を歌うのが大好きです。 ですが、あまり上手くはありません、と言うより騒音、雑音のようなものです。 ゆっくりのお歌も、人間が聞けば同じようなものかもしれませんが、ジャリアンのお歌は人間が聞いてもひどい物でした。 では人間にとっての騒音も言えるジャリアンのお歌は、ゆっくりにとっては? 『ボエェェェェ!!』 今日もジャリアンは楽しそうにおうたを歌って歩いています。 そのお歌を聞いた通行人は、顔をしかめますが、注意はしません。 それもその筈です。 「ゆぎゃぁぁぁ?!なんなのこのおどはぁぁぁ?!あたまがわれるぅぅぅぅ!!」 「ゆんやー!やめちぇぇぇぇ!もうききたくにゃいのじぇぇぇぇ!!」 あちこちから、野良ゆっくりの悲鳴が聞えます。 独特のリズム感と音程、独自の音楽を楽しむゆっくりですが、ジャリアンのお歌はやはり有毒なようです。 ジャリアンのお歌を聴いた野良ゆっくりは、どれも苦悶の表情を浮かべて苦しんでいます。 弱い赤ゆっくりは、これだけで死んでいるものも居ます。 「おまえかぁぁぁぁ?!このおとをだしているのはぁぁぁぁ!!」 ジャリアンの前に一匹のゆっくりが飛び出してきました。 少し大きめの、野良れいむです。 「何だ野良ゆっくりか?俺様の歌にもんくでもあるのか?」 「あるにきまってるでしょぉぉぉぉ?!あれのどこがおうたなのぉぉぉ?!れいむのほうがもっとじょうずだよぉぉぉ!!」 このれいむはお歌に自信がありました、自称「うたひめ」という奴です。 ジャリアンは、お歌を馬鹿にされた事に腹を立て、れいむを掴んで壁に投げつけました。 「うるせー!!俺様の歌にケチをつけるのか?!ゆっくりが芸術をりかいできるのか?!」 「ゆぎぎぎ………もっどゆっくりじだがった………」 ジャリアンは歌いながら去って行きました。 この他にも、れいむ狩りと言ってれいむ種ばかり捕まえたり、まりさボーリングと言ってまりさ種でボーリングのまねごとをしたりと、ジャリアンはゆっくりを苛めていました。 ぱちゅりーはジャリアンの恐ろしさを熱心に群れのゆっくり達に教えました。 野良生活をしている群れのほとんどのゆっくりは、人間の恐ろしさを知っているため、素直にこの忠告を聞きました。 ですが、捨てられて間もないゆっくりや、山から下りてきたゆっくり達は、パチュリーの言うことを聞こうとはしませんでした。 「ゆぷぷ!じゃりあんだってにんげんでしょ?れいむはにんげんなんかこわくないよ!」 「わかったのぜ!じゃりあんをどれいにすれば、まりさはえいゆうなのぜ?」 こうして一部のゆっくり達は、ジャリアンを奴隷にしようと盛り上がり始めました。 「おまえがじゃりあんだね!さっそくだけど、れいむのどれいにしてあげるよ!!」 早速一匹のれいむがジャリアンを見つけました。 れいむは得意げに、ジャリアンを奴隷にしてからの事を妄想していました。 群れに帰るとれいむは英雄とたたえられ、長に祭り上げられ、何不自由なく暮らして… そんなれいむですが、すぐに現実に引き戻されました。 「あ?俺はジャリアンじゃないんだけど…」 「ゆ?」 「まあ、生意気な野良ゆっくりみたいだからここでつぶしておくか…」 「ゆ?なにをいって………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!」 現実に戻ったれいむはそのままあの世に旅たちました。 「なんだこのまりさは?俺に何かようか?」 「おまえがじゃりあんなのぜ?いたいめをみたくなかったら、まりささまのどれいになるのぜ!」 このまりさは運良くジャリアンを見つけたようです。 ですが、ジャリアンを見つけたと言う事は、同時に運が悪い事でもあります。 「ちょうど良かった!俺は日ごろから、お前の目つきがきにいらなかったんだ」 「ゆゆ?なにいってるの………ゆぎゃぁぁぁぁ!!いだいぃぃぃぃ!!ごめんなざいぃぃぃぃ!!」 「どうした?俺をどれいにするんじゃなかったのか?」 「ごめんなざいぃぃぃぃ!!までぃざが、までぃざがどれいでいいでずぅぅぅぅ!!」 「よし、わかった!だが、俺はむのうなどれいはいらないんだ!せめてどれいなら、俺のためにしねぇぇ!!」 「ど、どぼじで?………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!」 まりさはジャリアンの奴隷になって、永遠になりました。 こうしてジャリアンを探しに行ったり、ジャリアンに挑んでいったゆっくりは永遠にゆっくりしてしまいました。 ですが、被害はそれだけに留まりませんでした。 「ゆっがぁぁぁ!いきなりなにするのぉぉぉ?!」 「何言ってる!お前が俺様のまえに飛び出してきたのがわるいんだろ?!」 「ゆぎぎ…にんげんざん…どぼじで…こんなこどずるの…?」 「俺さがまイライラしているときに目の前に現れるからだ!」 こんな風に、あちこちでゆっくりが被害に合っています。 ぱちゅりーの「こうざ」まじめに聞いていたゆっくりも被害にあっていました。 なぜなら… 「ひさしぶりだな!おさのぱちゅりー!」 「むぎゅうぅぅぅ?!じゃりあん?!どうしてじゃりあんがいるのぉぉぉぉ?!」 「おさ!あれがじゃりあんなの?!」 「ゆぅぅぅ?!あれがじゃりあん?!に、にげるのぜ!」 「むきゅ?!ぱちゅはみんなにおしえたでしょ?!なんでじゃりあんがわからないのぉぉぉぉぉ?!」 それもその筈です。 たしかにぱちゅりーはジャリアンの恐ろしさは教えていましたが、ジャリアンがどんな姿をしているのかは教えていなかったからです。 ジャリアンは逃げ出そうとしたまりさを捕まえて言いました。 「これから俺のリサイタルをやる!聞かないやつ、逃げるやつはしけいだ!!」 「ゆひぃぃぃぃぃぃ!!」 こうしてジャリアンリサイタルが始まりました。 ジャリアンはご機嫌でお歌を歌っていますが、聞いているゆっくりは命がけです。 赤ゆや子ゆはほとんどが気絶しているか死んでいます。 「ゆぎぃぃぃぃぃ!!くるじぃぃぃぃ!!どぼじで、じゃりあんはへいきなのぉぉぉぉ?!」 「むきゅぅぅぅぅ!きまってるでしょ!めでぃすんがじぶんのどくでしぬ?」 ちなみに長ぱちゅリーはジャリアンのお歌に多少の抵抗が出来ているので、苦しがっていますが死にはしませんでした。 それでも群れの半分以上が餡を吐いて死んでいます。 ジャリアンはそれを見ても、自分のお歌に酔いしれているだけだと思っています。 ジャリアンは満足そうに帰っていきました。 「むぎゅぅぅぅ………じごくだったわ…」 ちなみにこのぱちゅーは何時までたってもジャリアンの姿を群れの仲間に教える事を思いつきませんでした。 ですが、ジャリアンは増えすぎる公園のゆっくりたちを適度に減らしてくれるので、群れには役立っています。 もっとも、ぱちゅりーはその事に永遠に気がつかないでしょうが… 続かない… 某絵師さんと名前が似ている気がしますが、気のせいだと思います。 徒然あき
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『ガキ大将的ゆ虐』 10KB いじめ ギャグ パロディ 小ネタ 野良ゆ ちょっとした小ネタです 「おらー!お前のせいで野球の試合、負けちゃったんだぞー!」 「どぼじでぇぇぇ?!かんげいないでしょぉぉぉ?!」 一人のガキ大将的なお子様が、野良ゆっくりのれいむをバットで殴っています。 この子は町内でも有名なガキ大将。 ジャリアンという名で親しまれています。 ジャリアンは野球の試合に負けた怒りを、空き地で暮らしていた野良ゆっくりにぶつけています。 「やべでぇぇぇ!!どぼじでこんなこどずるのぉぉぉ?!れいむだっていきでいるんだよぉぉぉ!!」 「そういうセリフは、ふつうの生き物のように生きてからいえぇぇぇ!!」 「ゆっごぉぉぉぉ?!」 ジャリアンは野良れいむを掴んでバットで殴りました。 れいむはボールのように大きくバウンドして、転がっていきました。 ジャリアンがゆっくりを苛めているのは何時もの事。 大人は誰も気にしません。 幸いな事にこの町にはゆっくりんピースやゆーシェパードなどといった愛護団体も居ませんでした。 ジャリアンや虐待好きな鬼威参にとっては平和な町でした。 ジャリアンは野良ゆからもその名を知られており、賢い野良ゆはジャリアンに近づきませんでした。 公園に住んでいる野良けんじゃのぱちゅりーは、群の仲間にジャリアンの恐ろしさを教えます。 「むきゅ!いいこと、じゃりあんにはちかづいちゃだめよ!きょうはぱちゅりーのきけんこうざよ!」 野良けんで群の長のぱちゅりーは定期的に群の仲間にジャリアンの恐ろしさを「こうざ」と称して教えていました。 ケース1 れいむは狩から帰ってきました。 れいむは自分と同じくらいの大きさの布の袋を、引きずりながらおうちに帰るところでした。 以前拾ったにんげんさんの使っている袋を、れいむは狩の獲物を入れる袋に使っていました。 今日も大漁です、ところが… 「おい!野良れいむ!何だその袋は?」 「ゆゆ?!にんげんさん?!れいむになんのごようなの?れいむはかりからかえってきたばかりで、つかれているんだよ!」 「そうか、俺はその袋が気に入った!俺が貰ってやろう!」 「ゆゆ?!なにいってるの?!これはれいむのものだよ!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 「俺のものは俺のもの!野良ゆっくりのものも俺のものだー!!」 ジャリアンはそう叫ぶとれいむの持っていた袋を取り上げました。 れいむは怒ってジャリアンに体当たりをしたり、ぷくーっと脅かしたりしました。 「なにしてるのぉぉぉ?!それはれいむのものでしょぉぉぉ!!」 「なんだ?!さからうのか?!なまいきだぞ!ゆっくりのくせに!」 ジャリアンはれいむを殴りました。 れいむは涙を流して逃げていきました。 この後ジャリアンは、れいむから奪った袋を、ゴミ捨て場に捨てに行きました。 ケース2 「ゆわぁぁぁ!かえしてね!まりさのすてきなおぼうしかえしてね!」 まりさがジャリアンに帽子を取られて泣いています。 ジャリアンは、まりさの帽子をちょっと借りるぞ!と言って取り上げてしまいました。 「やめてね!ゆっくりのものをとるのは、どろぼうだよ!わるいことだよ!」 「だれがドロボウだ?!いつかえさないっていった、えいきゅうにかりておくだけだぞ!!」 ジャリアンはそう言うと、まりさを蹴りました。 蹴られたまりさは、そのまま電柱にぶつかりました、 痛くてゆんゆんと泣くまりさを見たジャリアンは言いました。 「ゆびぇぇぇぇん!どぼじでぇぇぇぇ!!」 「お前たちは、人間のものをとるだろ?人間の家をうばおうとするだろ?俺はただ借りているだけだ!えいきゅうにな!」 「そんなの、にんげんさんがひとりじめするからでしょぉぉぉ!!まりさたちはわるくないよぉぉぉぉ!」 「うるせぇ!正しいのはいつも俺だ!」 ジャリアンはそう言うと、まりさをもう一度蹴りました。 まりさは今度はドブに落ちて永遠にゆっくりしてしまいました。 ケース3 ジャリアンがバットを持って歩いています。 そこに偶然とかいはありすが通りかかりました。 ジャリアンはありすを見るなり言いました。 「買ったばかりのバッドの殴り具合をためさせろ!!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!」 ありすはバットで殴られました。 「ゆぎぎぎ…ごんなの、どがいはじゃないわぁぁぁぁ…」 ジャリアンはゆっくりにとっての自然災害のようなものです。 ありすは訳もわからず永遠にゆっくりしてしまいました。 ケース4 ジャリアンは公園でぱちゅりーを見つけました。 「もりけんだ!おい、もりけんぱちゅりー!今からクイズをやろう!ぽかぽかクイズだ!」 「むきゅ!に、にんげんさん?!なにをいっているの?」 戸惑うぱちゅりーを、ジャリアンはジャリアンはバットで一発殴りました。 ぱちゅりーはむぎゅっと潰れ、涙を流して痛がりました。 「むぎゅぅぅぅ?!いだいぃぃぃ、なにをするのぉぉぉぉ?!」 「ガハハハハ!!もんだいに答えられなかったり、はずれの場合はこうやって殴られるんだ!楽しいだろう?」 「たのしいわけないでしょぉぉぉ?!どうしてこんなことしなくちゃいけないのぉぉぉ?!」 「分かりました、それでははじめます!」 「はなしをきけぇぇぇぇぇl!!」 ジャリアンは怒るぱちゅりーを無視して、問題を出しました。 「むきゅぅぅぅぅ?………ちょっとわからない 『バキッ!』 むぎょあぁ?!」 「はい、アウトー!!」 ジャリアンは楽しそうにぱちゅりーを殴りました。 ジャリアンの出す問題は、ゆっくりには答えられそうにない、意地悪な問題ばかりでした。 しばらくするとぱちゅりーは、ボロボロになっていました。 「むぎゅ………どぼじで…?」 ケース5 ジャリアンはお歌を歌うのが大好きです。 ですが、あまり上手くはありません、と言うより騒音、雑音のようなものです。 ゆっくりのお歌も、人間が聞けば同じようなものかもしれませんが、ジャリアンのお歌は人間が聞いてもひどい物でした。 では人間にとっての騒音も言えるジャリアンのお歌は、ゆっくりにとっては? 『ボエェェェェ!!』 今日もジャリアンは楽しそうにおうたを歌って歩いています。 そのお歌を聞いた通行人は、顔をしかめますが、注意はしません。 それもその筈です。 「ゆぎゃぁぁぁ?!なんなのこのおどはぁぁぁ?!あたまがわれるぅぅぅぅ!!」 「ゆんやー!やめちぇぇぇぇ!もうききたくにゃいのじぇぇぇぇ!!」 あちこちから、野良ゆっくりの悲鳴が聞えます。 独特のリズム感と音程、独自の音楽を楽しむゆっくりですが、ジャリアンのお歌はやはり有毒なようです。 ジャリアンのお歌を聴いた野良ゆっくりは、どれも苦悶の表情を浮かべて苦しんでいます。 弱い赤ゆっくりは、これだけで死んでいるものも居ます。 「おまえかぁぁぁぁ?!このおとをだしているのはぁぁぁぁ!!」 ジャリアンの前に一匹のゆっくりが飛び出してきました。 少し大きめの、野良れいむです。 「何だ野良ゆっくりか?俺様の歌にもんくでもあるのか?」 「あるにきまってるでしょぉぉぉぉ?!あれのどこがおうたなのぉぉぉ?!れいむのほうがもっとじょうずだよぉぉぉ!!」 このれいむはお歌に自信がありました、自称「うたひめ」という奴です。 ジャリアンは、お歌を馬鹿にされた事に腹を立て、れいむを掴んで壁に投げつけました。 「うるせー!!俺様の歌にケチをつけるのか?!ゆっくりが芸術をりかいできるのか?!」 「ゆぎぎぎ………もっどゆっくりじだがった………」 ジャリアンは歌いながら去って行きました。 この他にも、れいむ狩りと言ってれいむ種ばかり捕まえたり、まりさボーリングと言ってまりさ種でボーリングのまねごとをしたりと、ジャリアンはゆっくりを苛めていました。 ぱちゅりーはジャリアンの恐ろしさを熱心に群れのゆっくり達に教えました。 野良生活をしている群れのほとんどのゆっくりは、人間の恐ろしさを知っているため、素直にこの忠告を聞きました。 ですが、捨てられて間もないゆっくりや、山から下りてきたゆっくり達は、パチュリーの言うことを聞こうとはしませんでした。 「ゆぷぷ!じゃりあんだってにんげんでしょ?れいむはにんげんなんかこわくないよ!」 「わかったのぜ!じゃりあんをどれいにすれば、まりさはえいゆうなのぜ?」 こうして一部のゆっくり達は、ジャリアンを奴隷にしようと盛り上がり始めました。 「おまえがじゃりあんだね!さっそくだけど、れいむのどれいにしてあげるよ!!」 早速一匹のれいむがジャリアンを見つけました。 れいむは得意げに、ジャリアンを奴隷にしてからの事を妄想していました。 群れに帰るとれいむは英雄とたたえられ、長に祭り上げられ、何不自由なく暮らして… そんなれいむですが、すぐに現実に引き戻されました。 「あ?俺はジャリアンじゃないんだけど…」 「ゆ?」 「まあ、生意気な野良ゆっくりみたいだからここでつぶしておくか…」 「ゆ?なにをいって………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!」 現実に戻ったれいむはそのままあの世に旅たちました。 「なんだこのまりさは?俺に何かようか?」 「おまえがじゃりあんなのぜ?いたいめをみたくなかったら、まりささまのどれいになるのぜ!」 このまりさは運良くジャリアンを見つけたようです。 ですが、ジャリアンを見つけたと言う事は、同時に運が悪い事でもあります。 「ちょうど良かった!俺は日ごろから、お前の目つきがきにいらなかったんだ」 「ゆゆ?なにいってるの………ゆぎゃぁぁぁぁ!!いだいぃぃぃぃ!!ごめんなざいぃぃぃぃ!!」 「どうした?俺をどれいにするんじゃなかったのか?」 「ごめんなざいぃぃぃぃ!!までぃざが、までぃざがどれいでいいでずぅぅぅぅ!!」 「よし、わかった!だが、俺はむのうなどれいはいらないんだ!せめてどれいなら、俺のためにしねぇぇ!!」 「ど、どぼじで?………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!」 まりさはジャリアンの奴隷になって、永遠になりました。 こうしてジャリアンを探しに行ったり、ジャリアンに挑んでいったゆっくりは永遠にゆっくりしてしまいました。 ですが、被害はそれだけに留まりませんでした。 「ゆっがぁぁぁ!いきなりなにするのぉぉぉ?!」 「何言ってる!お前が俺様のまえに飛び出してきたのがわるいんだろ?!」 「ゆぎぎ…にんげんざん…どぼじで…こんなこどずるの…?」 「俺さがまイライラしているときに目の前に現れるからだ!」 こんな風に、あちこちでゆっくりが被害に合っています。 ぱちゅりーの「こうざ」まじめに聞いていたゆっくりも被害にあっていました。 なぜなら… 「ひさしぶりだな!おさのぱちゅりー!」 「むぎゅうぅぅぅ?!じゃりあん?!どうしてじゃりあんがいるのぉぉぉぉ?!」 「おさ!あれがじゃりあんなの?!」 「ゆぅぅぅ?!あれがじゃりあん?!に、にげるのぜ!」 「むきゅ?!ぱちゅはみんなにおしえたでしょ?!なんでじゃりあんがわからないのぉぉぉぉぉ?!」 それもその筈です。 たしかにぱちゅりーはジャリアンの恐ろしさは教えていましたが、ジャリアンがどんな姿をしているのかは教えていなかったからです。 ジャリアンは逃げ出そうとしたまりさを捕まえて言いました。 「これから俺のリサイタルをやる!聞かないやつ、逃げるやつはしけいだ!!」 「ゆひぃぃぃぃぃぃ!!」 こうしてジャリアンリサイタルが始まりました。 ジャリアンはご機嫌でお歌を歌っていますが、聞いているゆっくりは命がけです。 赤ゆや子ゆはほとんどが気絶しているか死んでいます。 「ゆぎぃぃぃぃぃ!!くるじぃぃぃぃ!!どぼじで、じゃりあんはへいきなのぉぉぉぉ?!」 「むきゅぅぅぅぅ!きまってるでしょ!めでぃすんがじぶんのどくでしぬ?」 ちなみに長ぱちゅリーはジャリアンのお歌に多少の抵抗が出来ているので、苦しがっていますが死にはしませんでした。 それでも群れの半分以上が餡を吐いて死んでいます。 ジャリアンはそれを見ても、自分のお歌に酔いしれているだけだと思っています。 ジャリアンは満足そうに帰っていきました。 「むぎゅぅぅぅ………じごくだったわ…」 ちなみにこのぱちゅーは何時までたってもジャリアンの姿を群れの仲間に教える事を思いつきませんでした。 ですが、ジャリアンは増えすぎる公園のゆっくりたちを適度に減らしてくれるので、群れには役立っています。 もっとも、ぱちゅりーはその事に永遠に気がつかないでしょうが… 続かない… 某絵師さんと名前が似ている気がしますが、気のせいだと思います。 徒然あき
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※胴付きゆっくりがでます 厨ゆっくり注意 あとあんまりいじめてない 「ハッピーバスデイトゥーユー、ぱちゅりー。おめでとう」 「むきゅう!ありがとうおにいさん!」 「満1歳の誕生日だな、ぱちゅりー。何か欲しいプレゼントはあるか?」 「むきゅ・・・・・・」 「どうした?黙ってちゃ解らないぞ?」 「・・・・・・ぱちゅは、あれがほしいわ」 「え?アレって・・・えぇ!?アレ!?アレが欲しいの!?」 「むきゅう・・・・・・だめ?」 「いや、駄目ってわけじゃないけど、その・・・大丈夫なのか、ぱちゅりー?」 「むきゅ!だいじょうぶよ、おにいさん!」 「・・・・・・本当に?」 「ほんとうよ!ほんとうにだいじょうぶだから、おねがい、おにいさん!」 「・・・・・・本当の本当に?」 「だいじょうぶだから!だからおねがい、ぱちゅにあれをください!」 「・・・・・・そこまで頼まれたら断れないんだけどな」 「むきゅっ!?いいの、おにいさん!?」 「嫌だって言ってもどうせ勝手に持ち出すだろう?それくらいならくれてやるさ」 「ありがとう、おにいさん!ぱちゅ、このごおんはいっしょう・・・・・・」 「いやいいから。それより、もし無理だったらちゃんと返すこと。いいな、ぱちゅりー?」 「むきゅ!わかったわ、おにいさん!」 そんなやり取りをしたぱちゅりーの誕生日であった。 ゆっくり○○○りー それから一ヶ月。 俺とぱちゅりーは散歩に出かけていた。 ぱちゅりーの手にはあの日のプレゼントが握られている。 どうやらよっぽど嬉しかったらしく、あれから肌身離さず持ち歩いているというわけだ。 「むきゅー♪おにいさん、かぜがきもちいいわね」 モヤシなはちゅりーの身に余るものではないかと最初は心配していたが、どうやらそれも杞憂だったようだ。 どうせならもっと早くにあげても良かったのかもしれない。 「ゆっへっへ!!じじい、まりささまにおやさいをよこすのぜ!!」 「ゆぅっ!!れいむとまりさのためにじじいはあまあまもってきてね!!」 とか何とか思っていたら、いきなり野良ゆっくり共が飛び出してきた。 下卑た顔で餌を要求する奴ら。口悪いなぁこいつら。 「なにしてるんだぜ!?さっさとまりささまにおやさいもってこいのぜ!!」 「ゆっ!?まりさ、このじじいはきっとばかなんだよ!!だかられいむたちのいってることがわからないんだよ!!」 なんかこっちを無視して勝手に盛り上がっている野良共。 いや解ってるけど反応したくねぇんだよ。 「ゆっ!つかえないじじいなのぜ!そんなやくたたずはまりささまがころしてやるのぜ!」 「ゆぅ~!かっこいいよぉ、まりさ~!」 いまどきの野良ならこんな態度をとればどうなるか知っているだろうに、こいつらはそんなこともお構いなしに悪態をつきまくってくる。 野良になって日が浅いのか、よっぽど幸運だったか、もしくは底抜けのアホなのだろう。 「まりささまのいうことがりかいできないばかはゆっくりしね!」 「ゆ~ん!まりさぁ、そんなばかなんかころしちゃってね!」 ぽよぽよと跳ねながら近付いてくる野良まりさ。 あんまり触りたくないなぁ。そう思って、足を上げたその時・・・ 「そこまでよ!!」 ぱちゅりーが割って入った。 俺を守るようにぱちゅりーは立ちふさがっている。 「ゆっ!?まりさ、ぱちゅりーだよ!!」 「ぱちゅりーがいったいなんのようなのぜ!?じゃまだからさっさとどくのぜ!!」 突然の闖入者に驚く野良2匹。 正直俺もちょっと驚いてる。何してんのお前。 「おにいさんをきずつけようとするものはこのぱちゅがゆるさないわ!」 キッと野良まりさをにらみつけながら宣言するぱちゅりー。 ちょっと感動。あとでナデナデしてやろう。 「ゆひひひひひひ!!ぱちゅりーにゆるされなくってもけっこうだぜ!!」 「よわっちいぱちゅりーがれいむたちにかてるとおもってるの!?ばかなの!?しぬの!?」 ぱちゅりーを口汚く罵る野良2匹。 ゆひひひひって。久しぶりに聞いたぞキメェ。あと殺す。 「おにいさん、このぷれぜんと、あずかっててほしいの・・・・・・」 「ぱちゅりー、お前・・・・・・」 「だいじょうぶよ!すぐにこのまりさたちをやっつけるから、あんしんして!」 お前それ死亡フラグ立ててるよ。 そう思っても決して声に出さない。あとついでにぱちゅりーのプレゼントを預かる。 「まりさー!そんなぱちゅりーなんかころしちゃってね!」 「むきゅっ!」 「ゆっくりできないぱちゅりーは、まりささまにたおされてゆっくりしね!」 野良れいむのイラつく声援を受けながら、野良まりさはぱちゅりーに襲い掛かった。 「ぼぇ゛っ!!!?」 奇妙な声を出しながら野良まりさは道路に叩きつけられた。 もちろん叩きつけたのはぱちゅりーだ。 俺は見た。 まりさがぱちゅりーにぶつかろうとしたその瞬間、ぱちゅりーはまりさを片手で捕まえ跳躍、ぶんぶんと振り回しながら道路に叩きつけたのだ。 見紛う事なきメキシカンタイフーン。お前一体どこでその技覚えたんだ。 やっぱりアレの影響かもしれない。って言うかアレのせいに決まってる。 一ヶ月前、俺がぱちゅりーに贈ったものの正体。 それは広辞苑だ。 対人間ですら鈍器となるそれを、脆弱極まりないはずのぱちゅりーは一ヶ月肌身離さず持ち続けた。 そりゃあ鍛えられるってものだろう。 ぱちゅりー改めまちょりーが野良まりさに告げる。 「むきゅ。もうけっちゃくはついたわ。さっさとたちさりなさい」 「ゆげっ・・・!?い、いまのはなにかのまちがいなんだぜ!!まりささまはつよいんだぜ!!」 どうやら野良まりさの闘志はまだ折れていないらしい。見上げた根性だが、止めといた方がいいと思う。 「こんどこそ!!ぱちゅりーはまりささまにやられてゆっくりし・・・ぎぇっ!?」 あ、また捕まえられた。 「むきゅ!!」 まちょりーは思いっきり腕を振り回し、野良まりさを叩きつける。片手で。 右に。左に。壁に。道路に。何回も何回も何回も。うわ、すげぇ痛そう。 「ぼぎゅぇ゛っ!!ぶぉ゛っ!!え゛べっ!!ばびぃ゛っ!!」 ようやくまちょりーは野良まりさを開放した。 倒れ伏した野良まりさを見下ろすまちょりー。超強そう。 「ゆ・・・・・・ゆぎ・・・・・・」 「ばりざあああああああああああああああああああ!!!!」 最早息も絶え絶えといったところの野良まりさを見て泣きながら絶叫する野良れいむ。 「ばりざじっがりじでええええええ!!!いまでいぶのおながにはばりざのあがぢゃんがいるんだよおおおおおお!!!!」 「ゆ・・・・・・!?な、なんだってだぜ・・・・・・!?」 ここで非常にどうでもいい事が発覚した。 どうやらこの野良れいむの腹の中には野良まりさの餓鬼がいるらしい。 本当にどうでもいい。 「ばりざあああああああ!!!おながのあがぢゃんのだめにもがっでえええええええええ!!!」 「ゆ・・・・・・ゆゆ・・・・・・!!」 フラフラと立ち上がる野良まりさ。 まるでその目はチンピラから改心して己の信念のために戦う男のように澄んでいた。 え?なにいきなりいい人になったみたいな展開になってるの? 「まりさ・・・・・・ひくきはないのね・・・・・・?」 「ゆへへっ・・・・・・すまないのぜ・・・・・・まりさは・・・たいせつなものをせおっちまったのぜ・・・・・・」 なんかいきなり戦う者だけに通じ合う会話みたいなものをしだすまちょりーと野良まりさ。 いやちょっと待てよ。何なのこれ?何?俺がおかしいの? 「ぱちゅりー・・・・・・よわっちいとか、ゆっくりしてないとかいって・・・すまなかったのぜ・・・」 「いいのよ、まりさ・・・」 「ありがとうなのぜ・・・もうひとつたのみをきいてくれないのぜ・・・?」 「ぱちゅでよければいくらでもきくわ、まりさ・・・」 「まりさと、ほんきで・・・たたかってほしいのぜ・・・そうすれば・・・もしまけても・・・くいなくいけるのぜ・・・」 「!まりさ、あなたってゆっくりは・・・!」 80年代ジャンプ的会話を続けるまちょりーと野良まりさ。 もう突っ込むまい。 「わかったわまりさ!このぱちゅりー、ぜんしんぜんれいのこぶしをもっておあいてするわ!」 「それをきけて・・・あんしんしたんだぜ・・・!」 「いくぜ、ぱちゅりー・・・!ゆあああああああああああ!!!」 そう言って、野良まりさは跳躍した。 疾い。どこにそんな力があったのかというほどの速度。今までとは比べ物にならぬほどの疾さをもって、まちょりーに肉薄する野良まりさ。 思わず真面目になって解説してしまった。 「むきゅう!!」 だが、そんな野良まりさをまちょりーは掴んだ。 自身の最高の攻撃。それを受け止められて野良まりさは満足したのだろう。 まちょりーの指の間から、野良まりさの穏やかな笑みを垣間見た気がした。 まちょりーがキッと眦を上げた。 全力で戦った相手には全力で礼をしようというのだろう。 そうでなければ野良まりさとの約束を違えることになる。 「おわかれよ!!」 別れの言葉と共に、野良まりさの顔面を握りつぶす。 ぱちぇどうこく。 なんとなくだが、旋風が巻き起こっているような気がした。あ、目にゴミが入った。痛い。 野良まりさの・・・否、まりさの遺体がまちょりーの手から落ちる。 まちょりーは咄嗟にまりさを抱え、そっと道路にまりさを下ろした。 ズタズタとなった表情からは何も読み取ることが出来ないが、このまりさはゆん生の最後に何か大切なものを得たような気がする。 いつの間にかこのノリに慣れはじめた俺が言うのだから間違いない。 「さよなら・・・まりさ。あなたもまさしくともだったわ・・・」 そうだ。このまりさは強敵(とも)だった。これからもこのまりさは俺とぱちゅりーの胸の中に生き続けr 「ゆげぇっ!まりさがやられちゃったよぉ!」 空気を読まずに野良れいむが声を上げる。 「ぷんぷん!まったくまりさはつかえないね!れいむのためにじじいたちをころすこともできないなんて!」 ・・・ほぉ。 「せっかくおなかのなかにあかちゃんがいるってうそもついてまりさのやるきをださせたのに!ほんとうにぐずだね!」 あれ嘘だったんかい。この野良れいむ本当にいい根性してやがる。 「ゆっ!でもじじいとぱちゅりーはまりさにきをとられてるね!あのぐずもおとりくらいにはつかえるね!」 俺もまちょりーも思いっきりお前のこと凝視してるけどな。まちょりーに至っては睨んですらいる。 「じじいとばかなぱちゅりーがあのぐずまりさにきをとられているすきにれいむはにげr」 「にがさないわよ」 ガシッとまちょりーが野良改め屑れいむの後頭部を鷲掴みにする。 どうやらまちょりーは強敵(とも)をここまで侮辱されたのではらわたが煮えくり返ってるらしい。 「れっれいむをはなしてね!れいむはまりさがしんでしんぐるまざーになっちゃんたんだよ!」 じたばたと暴れてまちょりーから逃げ出そうとする屑れいむ。 いや嘘だって知ってるから。お前がでかい声で言ってるの聞いちゃったから。 「れいむはかわいそうなしんぐるまざーになんだよ!!かわいそうだとおもうなられいむにあまあまちょうだいね!!」 いきなりでかい態度で食い物を要求し始める屑。 うぜぇ。久々に殺したくなった。 「きいてるの!?ばかなの!?しぬの!?だまってないでれいむにあまあまちょうだいね!!」 「・・・・・・わかったわ、れいむ。ぱちぇがれいむをつれていってあげるわ」 「ゆっ!?つてれく!?どこに!?ゆっ!!もしかしたらゆっくりできるゆっくりぷれいす!?」 「ちがうわ、れいむ。れいむがいくところは、もっとべつのばしょよ」 「ゆっ!?なに!?どこ!?もったいぶらないで、さっさとれいむにおしえてね!!」 「げすゆっくりは、かこうじょにいけ」 本日二度目のぱちゅどうこく。 屑れいむの絶叫が青空に響き渡った。 おわり ――――― 何を書きたいのか自分でもわからない書き溜めです。 最初は ぱちゅりーに広辞苑持たせたら面白そうじゃね? ↓ まちょりー面白くね? ↓ なぜか80年代ジャンプノリ となってしまいました。反省している。 全く関係ない話なんだけどゆうかはギガンテックプレッシャーとジェノサイドカッター使えると思う。 というか使わせたい。 というか書く。いつか書く。書きたい。 このSSに感想をつける
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『理解できない』 10KB 愛で 考証 日常模様 飼いゆ 野良ゆ 独自設定 対話=ダイアローグ みたいな? このお話は以下のお話と関連があります。 anko4614 さぽーとするよ! anko4617 しあわせなけっこん ただし、読まなくても問題はありません。 「どぼじでなのぉぉおおおお!!」 「・・・・・・またなのかぜ・・・」 住宅街にある一軒家の庭。 銅バッジのまりさが住む小屋の前の部屋から 絶叫が響いた。 「・・・で、みごとにだまされちゃったわけなのかぜ?」 「うぐ。だって、無修正だって・・・超レアモノだって・・・ぐすん」 部屋の住人のお兄さんの愚痴を 呆れ返りながらも一言一句、ゆっくりの理解できる範囲で 最大限解釈して聞いてあげる。 「再生したら・・・ぐすっ 七○代のバァさんが・・・ 確かにレアだけど!違うでしょぉおお!?むしろ、お顔にモザイクかけるべきでしょぉおおおお!?」 「でも、ぬいちゃったのかぜ?からだには もざいくさんがなくてもよかったのかぜ?」 「うぐぅうぅ!?うわぁぁぁぁああん!!!」 部屋には開花したばかりの栗の花の香りが漂っていた。 銅まりさとお兄さんの関係は少し変わっている。 普段は餌と水を補充するだけで お互いにそれ以上を求めることはほとんどない。 ときたま、お兄さんの愚痴を聞いてあげたり お互いの気が向いた時に一緒に散歩をするくらいだ。 そして、銅まりさもお兄さんもそれでいいと思っている。 銅まりさは元々夜店の景品だった。 的屋のおじさんは今流行りで値段の安い子ゆっくりを仕入れて景品にしていただけで ゆっくりなどには興味もない。 まりさは何度となくお話をしようとしたけれど その度無視されるか睨まれた。 生まれてすぐ親から引き離され 最低限の躾を文字どおり体に仕込まれ 売られた先では誰とも会話することなく ケースの中でじっとしているだけ。 何も聞こえない箱のなかで 真っ暗な場所と 眩しくて、楽しそうな人間さんが一杯いて、でもまりさを一瞥もしない人ばかりの場所。 この二つを何度も何度も往復した。 そのうちまりさは自分を取り囲む世界の全てに興味を無くした。 それを数えきれないくらい繰り返したあと 初めて的屋のおじさん以外がケースを開ける日が来た。 開いたケースを覗きこむ男の子を見ても、まりさは何も感じなかった。 男の子は困ったような、それほど興味も無さそうな感じだったが 「えーっと・・・ゆっくりしていってね!・・・だっけか?」 このケースに入れられてから、初めてまりさに声をかけてくれた。 「ぐす・・・まりさひどい・・・」 「いいかげん がくしゅうしてほしいだけなのぜ。ゆっくりでも こんなになんども だまされないのぜ」 「いいもん、次はぜったい引っかからないから」 「だといいのぜ」 お兄さんはおバカだけれど、割とポジティブだと思う。 下らない事で騙されて大泣きし、七転八倒することはあっても いつまでもくよくよしていたり怒り狂っている姿は見たことがない。 そしてこういうことがあった日は必ず 「まりさ、散歩いこっか」 目的もなく、近所をぶらつくのだ。 男の子が、にこにこしながらじっとこちらを見つめている。 庭に置かれた歪んだ木のおうちで、まりさは視線のやり場に困っていた。 男の子のおうちに連れて行かれてから暫くは玄関で暮らしていた。 でも男の子のお父さんが邪魔だからと庭で飼うように言い 今日は朝から男の子と庭でふたりきり。 「よーし!りっぱなおうちを作ってやるからな!」 男の子はとっても楽しそうに、木のパーツと釘でおうちを作り始めた。 何度も手に金槌をぶつけて、その度痛そうに涙を浮かべながら、それでも真剣に。 まりさは分からない。 男の子と出会ってから、ほとんど会話らしい会話をした覚えがない。 勝手に話しかけられて、時たま相槌を打つだけ。 そんなまりさのために、とっても痛い思いをしてまでおうちを作ってくれている。 話し方をほとんど忘れてしまったまりさは 「どうして?」とだけ聞いた。 男の子はややあって「庭に住むなら、おうちがいるだろ?」とだけ答えた。 その時は、お互いそれで十分だった。 「・・・でさー、言ってやったんだよ。唐揚げには塩だろって」 お兄さんのお話に適当に相槌を打ちながら近所を散歩する。 お散歩の時はいつもそうだ。 まりさは相槌こそ適当だが、話は一言一句漏らさずに聞いている。 まりさが話し方を思い出せたのは、このお散歩のおかげだから。 まりさがお兄さんと対話できるようになったのも、このお散歩のおかげだから。 「にんげんさん!まってね!おねがいだから おはなしをきいてね!」 「ん?」 お兄さんが立ち止まって振り返る。 野良ゆっくりだ。 「れいむはしんぐるまざーなんだよ!おちびちゃんがおびょうきで、くるしそうなんだよ!」 お兄さんが振り返ったことで、話を聞いてもらえると思ったのか 野良れいむが早口でまくし立てる。 頭の上には萎びた小茄子のようなれいむのおちびちゃんが乗っている。 お兄さんは、夫の故まりさとの出会いから語り始めるれいむの話を ふんふんと頷きながら聞いている。 まりさは気が気ではない。 「わかった、じゃあこれでよければあげるよ」 お兄さんがポケットから飴を取り出し 包みを破いて野良れいむに差し出す。 野良れいむはひったくるようにして飴を奪うと すかさずおちびちゃんのお口にねじ込んだ。 「あま・・・あま・・・ぺーりょ・・ぺーりょ・・・」 飴を口に入れるとすぐにおちびちゃんの顔色が良くなる。 容態が安定して落ち着いたのか、野良れいむがようやくお礼の口上を口にする。 「ありがとうだよ!にんげんさん!」 「いやいやどういたしまして。飴玉一個でいいなら楽なもんだしね」 「ゆ・・・!じゃ、じゃあ、れいむたちをかい・・・」 「うん?」 「飼いゆっくりにしてね!」そう言おうとする野良れいむを 銅まりさは睨みつける。 お兄さんの視界に入らぬよう、一歩下がって、殺意を込めて。 「な、なんでもないよ!ありがとう!さようならだよ、にんげんさん!」 どうやら怖気づいたか、多少の分別を持ち合わせていたのかは知らないが 野良れいむの方から引き下がってくれたようだ。 別にまりさは野良れいむが憎いわけでも、自分の地位が脅かされると思ったわけでもない。 人間とゆっくりでは、絶対に相容れることはない。 そう思っているからだ。 「ふーん?ゆっくりって、一々行動を口にしたり、お飾りを付けてないとゆっくりできないんだ。変なの」 男の子が不思議そうにまりさに言葉をかけてくる。 綺麗に光るバッジをおぼうしに付けてもらってから 男の子と一緒でなくても自由にお散歩に行っていいと言われた。 平日の昼間はお父さんとお母さんは"おしごとさん"に、男の子は"がっこうさん"に行っているため まりさは男の子が帰ってくるまで何もすることがなかったが 外出が許可されてからは、男の子と良く行く自然公園へ遊びに行くようになった。 自然公園には同族たちが沢山いる。 男の子はまりさに沢山話しかけてくれるが お話の内容はさっぱり分からない。 でもここならば、お互いにお話のできる存在が沢山いた。 男の子は、自分がいない間にまりさが何をしていたか気になるようで いつもお話を求められた。 まりさはその都度公園での出来事や思ったことを話すが いつも男の子は不思議そうだった。 まるで、まりさが男の子の話を聞いていた時のように。 「野良とか野生のゆっくりって、大変そうだよなー」 お兄さんが残りの飴を口に放り込みながら、先ほどのれいむの話をする。 ごはんも満足に食べられず、病気になればバタバタと死に 人間や動物にも簡単に殺される。 それがとても可哀想だと言うのだ。 そうだろうか、とまりさは思う。 一番野生に近いだろう、自然公園の野良の群れは お腹いっぱい食べられることはなくても 病気でおちびちゃんが死んでしまっても 皆やりくりに頭を悩ませ、悲しみを共有し合い、それでも楽しそうに生きている。 決して自分たちが可哀想などとは言わない。 人間さんだって同じはずだ。 誰もが毎日を幸せに、満足できる生活など送っていないじゃないか。 いや、「飼いゆっくり」は可哀想と言えるかもしれない。 ゆっくりを飼う人間さんたちは飼いゆっくりと一緒にゆっくりすると言う。 もっと割り切った人間さんは、飼いゆっくりが飼い主をゆっくりさせ 見返りにゆっくりをゆっくりさせてあげるんだと言うだろう。 でもどっちも真であり偽だ。 飼い主の望むゆっくりを飼いゆっくりが与え 人間が考えるゆっくりのゆっくりを飼い主が与える。 それがお互いに合致すればよいが、そうでなければギブ・アンド・テイクの関係すら成り立たない。 そうした関係の行き着く先は"その飼いゆっくりの破滅"でしかない。 その場で殺されなくとも、飼いゆっくりの体は草や虫を受け付けない。 徐々に慣らす余裕もなく、突然放り出されれば結局死が待っている。 這いつくばって生にしがみついたとして、自分のプライドも尊厳も全て売り払い 飼いゆっくり時代には決して味わうことのなかった死の恐怖に怯え続ける毎日しかない。 つまるところ、飼いゆっくりは生まれた時から 自分の生死すら人間の自由にされる奴隷契約書に勝手にサインされた状態なのだ。 そんな飼いゆっくりと元飼いゆっくりが可哀想でないとしたら この世に可哀想なゆっくりなど存在しないだろう。 そんな取り留めもないことを考えているうちに おうちに着いてしまった。 お兄さんは気難しそうな顔をしている銅まりさを不思議そうに見ている。 お兄さんはとっても優しいよ でもお兄さんにはまりさの考えていることは分からないだろうし まりさもお兄さんが考えていること、憶測はできても理解はできないんだよ。 お兄さんはお散歩で気が晴れたようで、その日はもう顔を合わせることも無かった。 今日のまりさは機嫌が悪い。 飼いゆっくりと野良ゆっくりの披露宴などという 茶番劇に付き合わされたからだ。 彼女らは披露宴が終わった後 飼い主に結婚の許可を貰いに行くと言っていた。 成功するはずがない。 奴隷が勝手に自分の意志で行動するなど、許されるはずが無い。 人間がお前たちの思いを理解することなんてありはしないんだ。 自分を連れ出したありすが 彼女らの幸せそうな姿を羨ましそうに見ている。 これから死地に送り出そうというのに! 彼女はそんなこと思ってもいないと知りつつ、つい辛くあたってしまう。 自分のそばから逃げるように去るありすを見送ると ふと幹部のちぇんがこちらを浮かない顔で見ているのに気づく。 どうやらこの群れの中で奴だけは結果を予想できているらしい。 なら、そう言ってやれよ! 自分は部外者だ、言っても空気を悪くするだけ。 幹部の重責を担っているなら、群れの構成員を守るという自分の責務を全うしろ! この場で言葉に出すことはできないため 視線に思いを込めて睨みつける。 奴は困ったような顔をして首を振るだけだった。 分かりきった事だった。 新郎新婦だった"もの"にすがりついて泣き叫ぶありす。 狂乱し、自失し、右往左往する群れの連中。 同情したのか、自分を重ね合わせたのか、涙を流す元飼い。 自分と同じく、幸せが踏みにじられた姿を狂喜する元飼い。 地獄絵図だ。 呆然と立っているだけの幹部ちぇんをおさげで張り飛ばす。 こうなった責任はお前にもある、幹部としてやるべきことをやれ。 それだけ言ってありすの元へ駆け寄る。 後ろから幹部ちぇんの指揮を執る声が聞こえた。 ありすを無理やり引き剥がし、おうちまで連れていく。 その間、ずっと幸せそうだった新郎と新婦の話をしていた。 家に着いてからも、帰ると言った時も、その後もずっと。 「おい、まりさ!」 朝、家を出ようとしたところでお兄さんに呼び止められる。 今度はなんだろう? あれから3日目、まだありすはおうちから出てこない。 今は、お兄さんの相手ができる気分じゃない。 できれば早めに切り上げたいが・・・ 「これ、持って行ってやれ」 お兄さんがゆっくり用のお菓子が入った袋を差し出してきた。 持って行って?なんで?まりさ、何も言ってないよ? お兄さんはぽんぽんっと銅まりさのおぼうしを叩くと すぐにおうちに入っていってしまった。 まりさには、人間さんの考えることが、理解できそうにない。 あとがき 作者の考えるゆっくり観はこんな感じです。 "しあわせなけっこん"の2つの手記もどちらも真でどちらも偽です。 お互い自分の望む姿が見えているだけ。 でもとりあえずゆっくりは無残に死んでね!すぐでいいよ! 過去作 anko4604 ミニゆっくりと遊ぼう! anko4606 ミニゆっくりと遊ぼう!2 anko4608 ミニゆっくりと遊ぼう!3 anko4614 さぽーとするよ! anko4615 ミニゆっくりと遊ぼう!4 anko4617 しあわせなけっこん
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『バニラハザード (前)』 36KB 不運 戦闘 同族殺し 共食い 野良ゆ 都会 独自設定 ぺにまむ 四作目。初めて連載物に挑戦。 ※注 ゆっくりに関しての独自設定強し 人間さんが被害に遭う描写あり ゆっくり同士での殺害描写あり 作中、視点変更あり 一部のゆっくりがかなり優秀です 過去作品 anko2612 ひやしあんよ anko2626 主食ゆっくり anko2644 間食ゆっくり ドカッ!! 「ゆべらぁっ!?」 「れいむうううううぅぅぅぅぅ ぶべっ!?」 「黙れ糞饅頭」 蹴り飛ばされたつがいに向かって叫ぶまりさの頭を、男が勢いよく踏みつける。 男は今、ゆっくりへの制裁の真っ最中であった。 このれいむとまりさの二匹は、男が換気用に開けていた窓からの侵入を試みたところを見つかり、捕獲された。 そして、休日を邪魔された男の怒りのはけ口として、激しい暴行を加えられていた。 「ゆぎっ…ゆぎ……れいぶのきれいなおがおがぁ……」 「なんでなんだぜえええええぇ!? まりさたちはおひっこしをしてただけなんだぜえええええええぇ!?」 「俺の家にか? ふざけんなよ」 男は舌打ちし、バレーボールほどの大きさのまりさを帽子ごと片手で掴み上げる。 そしてそのまま棚の下で呻いてるれいむの方に向き直り、力いっぱい投げつけた。 「久しぶりの休みを邪魔しやがって、この野郎がああああ!!」 ドゴッ!! 「おぞらぶびぇっ!?」 「まりびゅっ!?」 まりさの肉弾をまともに食らったれいむは再び棚に叩きつけられ、口から泡の混じった餡子を吐き出した。 当のまりさはバウンドして棚にへばりつき、黒い染みを残しながらずり落ちてくる。 「…ゆげぇ…ゆげ……」 「まりざ、まりざぁぁ……」 二匹が自身のゆん生の最後を覚悟した、その時だった。 バリンッ!! 棚の上にあった褐色の瓶がまりさ達の衝突によってバランスを崩して落下し、大きな音を立てて砕けた。 四散した瓶の破片と共に、入っていた茶色の液体が床一面にまき散らされる。 そして、その飛び散った液体は、傍にいたれいむのまりさの全身にも振りかかった。 ゆっくりできない音と衝撃に、れいむが悲鳴をあげようとする。しかし、 「ゆh」 「あ……ああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」 同時にあげた男の悲鳴が、れいむの悲鳴をかき消してしまった。 「俺の…俺のバニラがあああああああああっ!?」 言うが早いか、すぐさま割れた瓶の底を掴み、床に飛び散った液体を手ですくい集めようとする。 その表情は、完全に我を忘れていた。 「畜生おおおおおおおおっ!! 早く! 早く拭かないと!!」 手での回収は無理だと判断したのか、男はすぐさま部屋を飛び出した。 ドアを蹴り開け、戻ってきたその手にはボウルとふきんが握られている。 「くそおおっ!! くそっ! くそっ! 五千円もした俺のバニラが、バニラがあぁ…」 「…れいむ…あとすこしだょ…」 「…そろー…り……そろ…ー…り……」 ずり… ずり… 少しでも液体を回収しようと、男が一心不乱に床の液体をふきんに染み込ませ、ボウルに絞り出す工程を繰り返す。 そのゆっくりできない姿を横目に見ながら、れいむとまりさは侵入してきた窓に向かって濡れた体を必死に引きずっていく。 ――そして、 「くっそおおお!! あの糞饅頭どもがあああぁぁっ!! 何処だ! 何処に逃げたあぁっ!!」 男が床にこぼれた液体を可能な限り回収し、再びれいむとまりさの存在を探そうとした時には、 二匹の姿は、すでに窓の外へと消えていた。 バニラハザード 近年、日本全土を襲った異常気象は秋の収穫量を大幅に激減させる結果となり、全国の農家に甚大な打撃を与えた。 しかしその影響は、何も人間に限られたことでは無かった。 収穫できる作物が減り、それを餌とする昆虫も共に減少。そして、それら両方を餌とするゆっくり達にもまた、壊滅的な食糧危機をもたらしたのだ。 その結果、民家、ゴミ捨て場、商店街、学校…わずかな食料を求めてさまよう野良ゆっくり達が、街中の至る所で見られようになった。 そして、それらは冬の季節が近づくに従い、次々と物言わぬ死体へと変わっていった。 「…ゆっ! おかーさん!?」 「ゆゆっ!? おうちがみつかったの?」 「…おとーさん、やっときたのぜ…」 「もぅ、さむいさむいはいやだよ…」 吹きすさぶ北風の中、引っ越し予定先のおうちの前で待たせていた子ゆっくり達が、あんよを引きずる両親の姿を見つけ、次々と声を上げた。 れいむ種とまりさ種がそれぞれ二匹ずつ。その外見はどれも薄汚れ、寒さでぶるぶると小刻みに震えている。 この一家は、新しいおうちを求めて自ら公園の群れを離れた野良ゆっくりの家族であった。 狩りの名人であった父まりさの努力により、他のゆっくり達が飢餓で苦しんでいる中でも四匹の子供達は立派な子ゆっくりへと成長することができた。 しかし、それもここまでが限界であった。 留まることを知らない冬の寒さと、食料を分配しあう群れの制度から、父まりさは今までの食料調達では一家全員が冬を越せなくなることを危惧したのだ。 そこで、自ら住み慣れた公園の群れを離れ、より食料確保が望める場所への引っ越しに踏み切ったのだった。 …最も、ゆっくりの行動範囲では、公園付近までの移動が限界だったのだが。 「ゆぅ…おちびちゃん、ぶじだったんだね…」 「…とりあえず、いったんおちびちゃんたちのもとへもどるのぜ……」 元気な子供達の姿を見て気分が落ち着いたのか、両親がお互い顔をほころばせる。 地面を蹴るそのあんよにも、少しずつだが力が戻ってきた。 先ほど二匹が受けた傷は、実はそれほど深いものではなかった。 ゆっくりは内部の中枢餡に深刻なダメージを受けるか、自身を構築する内容量が1/3を下回らない限り、早々死ぬことはない。 この二匹は男の手によって痛めつけられはしたが、外傷は全て殴打によるものであり、外皮が破れるような傷を受けなかったことが幸いした。 まだ中枢餡を揺らされたショックは残っているものの、すぐに元気な姿を取り戻すことだろう。 二匹と子ゆっくり達との距離が、次第に縮まっていく。 ――その時だった。 「ゆゆっ!? おとーさんとおかーさんから、あまあまなにおいがするよ!!」 「…あまあまもってきてくれたの?」 「おねーちゃん! あまあま! あまあまたべたい!!」 「さすがおとーさんはかりのめいじんっ! なんだぜっ!!」 「「ゆ?」」 あと少しといったところで子ゆっくり達が両親の異変に気づき、突然騒ぎ出したのだ。 「あまあま? れいむあまあまなんてもっていないよ?」 「…たぶん、さっきのおみずさんのせいなんだぜ…ひっしでにげててきづかなかったけど、たしかにあまあまのにおいなんだぜ」 あの時、二匹が浴びたものは、お菓子の香辛料などで用いられるバニラオイルであった。 先ほど二匹を虐待していた男は料理を趣味としており、最近ではケーキやクッキーなどの焼き菓子作りにも挑戦していた。 何事も本格的に材料を揃えなければ気が済まない性格だったらしく、彼はつい先月、通販で税込4980円もする高級バニラオイルの大瓶を購入したのだった。 揮発性の高いバニラエッセンスとは違い、油脂を溶剤としたバニラオイルは数滴たらしただけでも非常に強い香りを放つ。 それを全身に浴びた二匹の体からは、数メートル離れていても明確にわかるぐらい、強烈な甘味性の匂いを周囲に撒き散らしていた。 「おかーさん! あまあま!!」 「…ごめんねおちびちゃん、あまあまはもってこれなかったよ…」 「でも、あまあまのにおいがするよ?」 「これはおうちをよこどりしたじじいにやられたんだよ…ごめんね、ごめんねぇ…」 「ゆぅ…そんなぁ…」 「……もしかして、おかーさんたちだけであまあまをむーしゃむーしゃ、したんじゃないのぜ?」 姉まりさが放ったその一言に、とたんに子ゆっくり達の顔が疑惑の表情へと変わった。 寒い屋外で、長時間待たされ続けた子供達。 かたや、そばでむせ返るほどに強烈なあまあまの匂いを発している両親。 子ゆっくり達がそれを訝しむのには、そう時間はかからなかった 「そうだよ! きっとおかーさんたちはあたらしいおうちで、あまあまをむーしゃむーしゃしてきたんでしょ!!」 「そんな…どぼしてぞんなこというのおおおおおおお!?」 「れいむたちをさむいさむいおそとでまたせてるのも、こっそりあまあまをむーしゃむーしゃするためなんでしょ!?」 「ほんと…? おかーさん、それほんとうなの…!?」 「ちがうよ! おかーさんはおちびちゃんたちのあんっぜんのために……」 父まりさと母れいむは多少人間に対する認識は甘かったものの、そこそこ優秀な個体ではあった。 今まで公園という限られたゆっくりプレイス以外でほとんど行動したことがない子供達では、何か危険があった時に対処できないと判断したのだ。 そのため、二匹は引っ越し先を見つけた際、子供達を安全な場所に待機させておき、二匹での探索を試みたのだった。 もしこの判断が無かったならば、おそらく二匹の子供達は、冒頭の場面でいともたやすく全滅させられていたことだろう。 しかし、引っ越しが失敗した今となっては、その行動は子供達に疑惑の種を植え付けるきっかけとしかならなかった。 「あまあまをひとりじめするげすおやなんて、もうまりさのおやじゃないんだぜ!!」 「ちがうよおおおおおおお!? おちびちゃん、しんじてえええええええええええええええ!!」 「だったらしょうこをもってくるんだぜ! あまあまをもってきてまりさたちにもむーしゃむーしゃさせるんだぜ!!」 「そうだよ! れいむたちもあまあまたべたい!!」 「たべたい!!」 「ゆうぅぅ、そんなこといわれても…」 「それがひとりじめしたしょうこなんだぜ、まりさg」 「…いいかげんにするんだぜ!!」 先ほどから黙っていた父まりさが、突然声を張り上げた。 その威厳あふれる声に、全員の体がびくりと硬直する。 「…そこまでいうなら、しょうこをみせてやるんだぜ」 そう言うと、疑惑のきっかけを作った姉まりさの方にあんよを進めた。 その鋭い眼光に睨まれ、姉まりさの顔色が変わる。 「…ゆ……く、くるんじゃないのぜ!?」 「……………(ずり、ずり)」 「ご……ごめんなざいぃぃぃ!? まりざがわるがっだのぜえぇぇ!?」 「……………(ずり、ずり)」 父まりさの外皮が、姉まりさに触れる。 「………ゆ、ゆひぃぃ!?」 すーり……すーり…… 「……ゆ?」 「……これがしょうこなんだぜ、おちびちゃん」 怯える姉まりさの饅頭肌に、父まりさがすーりすーりを繰り返す。 その表情には、いつもの穏やかな表情に戻っていた。 落ち着いてきたところで、父まりさはすーりすーりをやめ、姉まりさから離れた。 「……ゆ!? おねーちゃんからもあまあまなにおいがするよっ!!」 やがて、姉まりさのそばにいた妹れいむが声を上げた。 父まりさに付着していたバニラオイルがすーりすーりによって付着し、姉まりさも両親と同じ甘味を発するようになったのだ。 「これでわかったのぜ? このあまあまの匂いは、おとうさんとおかあさんのはだについたものなんだぜ」 「ゆぅ…そうだったのぜ……」 甘味の正体を知り、姉まりさの声が力が弱々しくなった。 少しでもあまあまを食べれる希望にすがりたかった分、そのショックは大きなものだった。 「…おかーさん、ごめんなさい……まりさおなかがすいて、わるいこといってしまったのぜ……」 「いいんだよ、おねぇちゃんがいちばんつらいおもいをしていることは、おかーさんにもよくわかっているよ」 「ゆぅぅ…ごめんなざいぃぃ……」 涙を流して謝る姉まりさに、母れいむも優しくすーりすーりをして慰める。 そのゆっくりした姿を見て、妹達も母れいむにすり寄ってきた。 「おかーさん、れいむもすーりすーりしたいよ!」 「おねーちゃんだけずるーい!」 「こらこら、かわりにおとうさんがすーりすーりしてやるんだぜ」 「おとーさんはおはだがごーつごーつだから、おかーさんがいいー」 「どうしてそんなこというのおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆふふ、おちびちゃんたちもまだまだあまえんぼさんね。みんなすーりすーりしてあげるからこっちにきてね!」 「「「ゆわーい!!」」」 わざとおどけて見せたお父さんまりさと優しいお母さんれいむを見て、子供達の顔にも再び笑顔が戻ってきた。 皆ですーりすーりしてあまあまの匂いを擦りつけ合い、お互いにゆっくりできる匂いに家族で笑い合った。 …それが家族全員で笑い合った、最後のひと時だとも知らずに…… 数分後、一家は一旦おうち探しを中断し、食料を確保するために近所のゴミ捨て場を探し始めていた。 最近はゴミの回収に防護ネットやポリバケツが用いられるようになり、ゴミ捨て場からの食料調達は困難となってきたが、たまにマナーの悪い人間が無断でゴミを投棄していくことを、父まりさは知っていた。 そして、それらは回収日でないことから、大半が無防備な状態で放置されているということも。 一生懸命あんよを動かし、一家はやっとの思いでゴミ捨て場へと到着した。 「…おちびちゃんはここで…ゆ!? だれかいるんだぜ」 いつものように子供達を待機させようとした父まりさは、ゴミ捨て場にすでに先客がいることに気がついた。 ゴミ捨て場の陰から、ごそごそと動くあんよが見え隠れしている。 皆でそろーりそろーりと近づいてみると、やがて大きな赤いリボンが物陰から姿を現した。 「れいむがいるよ! ゆっくりしていってね!!」 そこにいたのが同種だった事に安堵したのか、姉れいむが父まりさの脇をすり抜け、ぴょんぴょんとその野良れいむに近づいていった。 気配に気付き、一心にゴミ袋をあさっていた野良れいむが振り向く。 大きさは、母れいむと同じくらいだろうか。 野良ゆっくりの例にもれず全身は薄汚れ、黒く跡が残るほどに頬をこけさせたその姿は、明らかに食糧不足によるものだった。 異臭の漂う生ゴミをくちゃくちゃと咀嚼しながら姉れいむを見つめるその瞳からは、どこからも生気が感じられない。 「おちびちゃん! はなれちゃだめなんだぜ!!」 野良れいむの表情に不信感を抱いた父まりさが、慌てて姉れいむを追いかけた。 当の姉れいむは、すでに野良れいむの足元にまで接近している。 「れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!!」 「…………」 ぼたぼたぼたぼた 野良れいむの半開きになった口から、咀嚼していた生ゴミがこぼれおちた。 濁った二つの瞳は、じっと姉れいむを見つめ続けている。 「れいむはおなかがすいたんだよ!! いっしょにごはんさんをむーしゃむーしゃしていいですか?」 「…………ま…」 子供達は、今まで公園内の群れの中でしか生活してこなかった。 両親に教えられたとおりにきちんと挨拶ができる姉れいむを、群れのみんなはいっぱいいっぱい可愛がってくれた。 れいむはちゃんと挨拶できたよ。 ちゃんと丁寧にお願いできたよ。 期待の眼差しで見つめる姉れいむに向かって、野良れいむが大きく口を開けた。 そして、姉れいむが期待していたその返答は ぐちゅっ ――顔の右半分への、痛みだった。 「………あ……れ………?」 「……ゆふっ……ゆふふふっ…あま…あま…あまあま……」 突然現れた激痛に、姉れいむの体がびくんと痙攣した。 恐る恐る、目の前にいる野良れいむを見上げる。 くちゃっ、くちゃっ、くちゃっ、くちゃっ 先ほど生ごみを咀嚼していた口元から、見覚えのあるものがはみ出していた。 ずっと大切にしていた、真っ赤なリボン。 みんながたくさん褒めてくれた、さらさらな黒髪。 「…ゆ…あ………ああ………」 右目が動かない。真っ暗で、何も見えない。 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ びちゃっ くちゃくちゃと咀嚼を繰り返す野良れいむの歯の隙間から、白いものがどろりとこぼれ、姉れいむの足元に落ちた。 「ああ…ああああああああああ!?」 それがぐちゃぐちゃに潰れた自分の右目だということに気付いた瞬間。 姉れいむの意識は、そこで途切れた。 「おちびちゃああああああああああああああああああああん!!!!」 父まりさがびくびくと痙攣を続ける姉れいむに駆け寄った。 「おちびちゃん!? しっかりするんだぜええええええっ!! おぢびじゃあああああん!!」 その姿は、酷いものであった。 姉れいむの右半分がざっくりと食いちぎられ、傷口から大量の餡子が吹き出ている。 幸い傷は中枢餡までには達していなかったものの、一目で見て絶望的な状態であることが感じ取れた。 「ゆふぇっ、ゆふぇふぇふぇ…あまあま…あまあまぁぁぁ……」 「このくそげすがあああああああああああああああ!!!! どういうつもりなんだぜええええええええええええええええええええええええ!!!!」 未だにくちゃくちゃと姉れいむの一部を咀嚼し続ける野良れいむに向かって、父まりさがあらん限りの声を張り上げた。 「どうぞくぐいはげすいかのきんきなんだぜええええ!! ぜったいにゆるさないんだぜええええええ!!」 「……どう…ぞく? なにいって…るの?」 憎悪をむき出しにする父まりさに放たれたのは、野良れいむの予想外な一言だった。 「れいむは…あまあまさんを……むーしゃむーしゃしてるだけ…なんだよ……?」 「…な、なにわけのわかんないことをいってるんだぜえええ!?」 その一言に、父まりさの思考が混乱する。 あまあま? このクズれいむは何を言っているんだ? お飾りも無くなってないし、丁寧に挨拶もした。そのおちびちゃんのどこをどう見ればあまあまだと言うのか? その答えはいくら考えても出てこない。 「あまあまさん……ゆめにまでみたあまあま…さんを、れいむははじめ…てむーしゃむーしゃ…した…んだよ」 くちゃっ、くちゃっ、くちゃくちゃくちゃくちゃ 「あまあまあまあまあまあま……ふひっ、ふひっ、ふへほほほふへはほっ」 咀嚼を続ける野良れいむの体がびくん、びくんと痙攣しだし、あんよの上から親指ほどのぺにぺにが隆起し始めた。 両目はぐるりと反転し、恍惚の表情で満たされたまま機械的に口元を動かし続ける。 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ 「…じあばっ! …じっ、じあわぜ!! じあ、じあばぜえええええええええええええええええええええええええええええええ!!」 「く……くるってやがるのぜ……」 口から、目から、ぺにぺにから、全身から大量の砂糖水を撒き散らして叫ぶ野良れいむの狂気の表情に、父まりさは身じろぎをした。 そしてお下げを使い、まだかすかに痙攣を続ける姉れいむを自分の後ろに隠し、身構える。 「あ…あれ……あま…あまがふえてるよぉ……!?……むーしゃむーしゃしたら、あまあまがふえちゃったよおおおおお!?」 口の中の物を飲み込んだ野良れいむが、突然父まりさに向かって叫んだ。 左右のもみあげをばしばしと地面に叩きつけ、満面の笑みを見せる。 「このくず…まりさもあまあまにみえてやがるのぜ!?」 「…いいにおいがするよぉ……ぜんぶ…ぜんぶれいむが…むーしゃむーしゃしてあげるよおおおおぉぉぉおお!!」 「いい…におい…?」 この一言で、父まりさは気付いてしまった。 野良れいむがなぜ、姉れいむをあまあまと間違えたのか。 「まさか……この、においのせい…なのぜ?」 そう。 全ては、全身に浴びたバニラオイルの匂いが原因だった。 ゆっくり――特に街に住む野良ゆっくりは、人間の持つあまあまに対して異常な執着心を示す。 自然の中では手に入らないその甘味は、時にはゆっくりの味覚をも破壊し、麻薬的な中毒性を及ぼすほどに強力である。 その幻の食物を求めるあまり、人間に無謀な要求をして殺害されたり、同族を裏切り、凄惨な殺し合いにまで発展した事例も数多く残されている。 しかし、ここで疑問が残る。 どうしてゆっくり達は、ほとんど口にしたことがないあまあまを、あまあまとして認識することができるのか? …それは、嗅覚である。 あまあま自体には口を付けた事がないゆっくりでも、その元となる匂いは街中のいたるところに存在している。 道端やゴミ箱に捨ててあるお菓子の空箱、アイスの袋。 店の室外機から流れ出てくる、焼いたお菓子の香り。 人間が食べているものと、そこから漂う匂いを重ね合わせることで、ゆっくりはあまあまがどんなものであるかを認識していたのだ。 そして、それらの匂いの元の大半は、バニラ香料によるものである。 ゆっくり達がバニラ香料をあまあまとして認識してしまうのも、当然のことであった。 そして一番の原因は、この野良れいむはまりさ一家とは違い、極限に近い飢餓状態であったという点だった。 ――吐き気のするような生ゴミを漁り続け、それでも全く満たされない空腹感。そんな時に現れた、今まで何度も夢見てきたあまあまの香り。 その源が今、目の前にある。 同族? 違う。 あれはあまあまだ。 あまあまだから、食べていい。 食べていい食べていい食べていい食べていい食べてい食べて食べ食べ食べ食食食食食食食食食食食食食食食食食食食食…… ゆっくり特有の思い込みの力が後押しとなり、異常なまでに肥大化した食欲が野良れいむの中枢餡を蝕んでいく。 それが理性を完全に手放す段階に至るまでには、十分すぎる程の条件が揃っていたのだ。 「いだだぎばあああああああず!!」 野良れいむが大きく口を開き、父まりさに全力で飛びかかった。 白目をむき出しにしたその表情からは、完全に理性が失われている。 「…ふざけるんじゃ…ないのぜえええええっ!!」 しかし、すでに攻撃に対して身構えていた父まりさは軽く身をひねって野良れいむの突進をかわした。 そのままバランスを崩した野良れいむの横顔めがけて、全力の体当たりを炸裂させる。 「ぶびゅぅっ!?」 アスファルトに強烈なちゅっちゅを交わしたれいむの顔から、白い粒が混じった餡子が飛び散る。 口を開けたまま激突した衝撃で、何本かの歯が一緒に砕けたのだ。 「ばが…れいぶのばが…あばあば……」 「しねっ! しねっ! くずれいむはただちにしぬんだぜええええ!!」 激痛でのたうち回るあんよの先端に、父まりさが全体重をかけて飛び乗る。 顔の傷口から、さらに大量の餡子が噴き出した。 「ぶじゅうぅぅ! ぶっ! ぶびっ!! ぼっ! ぶっ!!」 「しねっ! しねっ! しねえええええええ!!」 数十回にもわたるストンピングの末、野良れいむは断末魔を残すことすらできずにそのゆん生を終えた。 ――あまあまを食べたという、最高の快感と共に。 「ゆふぅ…ゆふぅ……じごくへ、おちるんだぜ…」 中身の大半を撒き散らし、べったりとピザ生地のように広がった野良れいむの死体に唾を吐きかけると、父まりさは倒れた姉れいむの元へと向かった。 すでにその周りには、母れいむと残りの子供達が集まっていた。 「おぢびぢゃん…どうしてこんなめに……」 「ゆぐっ…ゆぐっ…」 「ここはきけんなんだぜ…はやくべつのばしょにいどうしたほうが、よさそうなんだぜ…」 「べつのばしょって…どこ…なんだぜ…?」 父まりさは、感づいていた。 ゴミ捨て場の周囲から、いくつものゆっくりの目が、こちらを凝視していることに。 …そして、そのどれもが先ほどの野良れいむのように、狂喜の光を宿していることにも。 「…とりあえず、おさのぱちゅりーなら、なにかしってるかもしれないのぜ」 「また、こうえんさんにもどるの…?」 「…しかたがないんだぜ、いまはおひっこしより、じぶんたちのいのちのほうがだいじなんだぜ」 「……ゆぅ…わかったよ。おさなら、きっとおちびちゃんをなおしてくれるよ…」 「おねーちゃん、れいむがみているから、がんばってね…」 「……それと…なんだぜ」 必死に姉れいむを頭に乗せようとするつがいに向かって、父まりさが言いづらそうに切り出した。 「そのおちびちゃんは…ここにおいていくんだぜ……」 「…ゆ?」 「お、おいて…く?」 「おとーさん、なにいっt」 「なにいってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!??」 最初に静寂を破ったのは、母れいむの必死な叫びだった。 「おちびちゃんをおいてくって、なにかんがえてるのおおおお!? ばかなの!? しぬのおおおおおお!?」 「……しかたがないんだぜ…それに」 「おちびちゃんはすなおでいいこなんだよおおおお!? まりさにとってもだいじなおちびちゃんでしょおおおおおお!?」 「わかってる…わかってるんだぜ……」 姉れいむは、誰の目から見ても生存は不可能な状態だった。 ショック症状からはなんとか切り抜けたものの、中身を大量に流出しすぎている。 持って、あと数分の命といったとこだろう。 「…おねぇ……ちゃん…」 「そんな…そんな…」 「……」 残った子供達は、両親と姉れいむを交互に見つめたまま、誰も口を挟もうとはしなかった。 「このままじゃ、ほかのおちびちゃんたちもきけんにさらされるのぜ…ほかのおちびちゃんたちのためなんだぜ…」 「まりさはほかのおちびちゃんたちのほうがたいっせつなんだねええええ!? そんなげすだったんだねえええええっ!!」 父まりさの必死の説得にも、母れいむは全く耳を傾けようとしない。 二人の討論が次第にヒートアップしていく。 ――その、時だった。 「…………ぉか………さ……………」 「おち…び?」 「おちびちゃん!? めをさましたんだね!!」 蚊の鳴くような小さな声に、皆の視線が一斉に姉れいむの方へと向けられた。 「ぉ…かぁ…さ………ぉと…さ………ごめん…なさ……」 「おちびちゃんは…なにもわるいことはしてないんだぜ…あやまらなくていいんだぜ…」 「いう…こ…と…きかな…から………」 「おちびちゃん! すぐにげんきになるからあんしんしてね!! れいむがぜったいにまもるからね!!」 「おね…が…おか……さ……」 「おねーちゃん…おねーぢゃぁぁん…」 姉れいむの削れた右半身から、ごぼりと餡子が漏れる。 母れいむがもみあげを使って必死で押し戻そうとするが、どう見ても焼け石に水であろう。 「れい…む…おい…て……にげ…………て…」 「そんな!! おちびちゃんはだいじょうぶだよ!! そんなこといっちゃだめだよ!!」 「おね………が………」 「………おちび…」 姉れいむは、姉妹の中で一番素直な子ゆっくりだった。 妹達のお手本となるように誰にでも元気に挨拶し、正しい言葉づかいから群れの皆から好かれていた。 その姉れいむが、ゆん生で初めて両親に告げたわがまま。 ――それが、自分を置いて逃げること。 「……………おちび…ちゃん、わかったよ……」 母れいむが静かに姉れいむに言った。 「おかあさんが、のこされたみんなをまもってあげるから……それで…いいでしょ……」 「…………ぁ……り………ぁと……」 中身の大半が流出し、白くなった姉れいむの肌を、母れいむがもみあげで優しくなでる。 それに倣うように、姉れいむの体が少しずつ萎んでいく。 「おちびちゃん……ゆっくり…していってね……」 「……ゅ……………………て…ね…」 涙を流す家族達に向かって、姉れいむは精一杯の笑顔を向けた。そして軽く目を閉じると、 …そのまま、動かなくなった。 父まりさと母れいむは、残された子供達を連れてすぐにその場を離れた。 ――動かなくなった、姉れいむをその場に残して。 やがて家族達が去った後、あちこちの物陰から沢山のゆっくり達が顔を出した。 れいむ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、ぱちゅりー。 単身、つがい、親子連れと、その組み合わせは様々だ。 彼らは、まりさ一家から発するあまあま(バニラ香料)の匂いにつられてきた野良ゆっくり達である。 当初、父まりさと野良れいむの争いを目撃したゆっくり達は、どちらかがあまあまを隠し持っていると踏み、手を出さなかった。 彼らは少し離れた場所で隠れていた事が幸いし、いきなり飛びかかるほどまでに理性を失うには至らなかった。 そして、一家が去った後、まだあまあまの匂いが残っていることに気がつき、おこぼれを貰おうと這い出てきたのだ。 …だが、そのちっぽけな理性も、そこまでが限界だった。 あんよを進めるに従って、どんどん強くなるあまあまの匂い。その匂いが中枢餡を優しくくすぐり、少しずつ蝕んでいく。 やがて、匂いの元凶である、姉れいむの死体の前であんよを止めると、野良ゆっくり達は一斉に睨みあった。 湧き上がる空腹感、死体からわき上がるあまあまの匂いが死臭と同族食いの禁忌に打ち勝つまでに、そう時間はかからなかった。 ぱくっ 一匹の赤ちぇんが、姉れいむの右半身から溢れ出た中身に飛びついた。 まだ幼かった分、理性を手放すのが誰よりも早かったのだろう。 「むーちゃ、むーちゃ、むーちゃ……」 ごくり… 幸せそうに咀嚼するその姿を見て、他のゆっくり達も一斉に姉れいむの死体に群がった。 ぐちゃっ ずるり どぴょっ くちゅっ 引っ張り、噛みつき、掻き出し、 バニラ香料でコーティングされた姉れいむの死体は次々とちぎり取られ、原形を失っていく。 「むーちゃむー…ぶちゅ!!」 次々と死体に殺到するゆっくり達に、最初に飛びついた子ちぇんが潰された。 その死体は、姉れいむの残骸と混ざり合い、他のゆっくり達の腹の中へと一緒に消えていった。 くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ 咀嚼音が、あちこちから響き渡る。 手に入れた念願のあまあまの味を、口の中で溢れるあまあまの香りを、より沢山味わうために。 くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ やがて、口の中で咀嚼していたあまあまが無くなった時、さらなる悲劇が起きた。 ぶちっ ぐちゅっ みちゃっ びちょっ 姉れいむの死体に群がっていたゆっくり達が、近くにいたゆっくり達を襲い始めた。 死体を漁った時にお互いに付着した、あまあまの匂いを食べるために。 ぐちゅっぐちゅっ ずずず ぶちぶちっ ぐちょっ そこには、種族も大きさも関係なかった。 空腹とあまあまの匂いによって理性を破壊された中枢餡は、すでに同族をもあまあまとして認識していなかった。 ぱちゅりーも、子ゆっくりも、赤ゆっくりも、ただ目の前のあまあまを食べるために手当たり次第に襲いかかっていく。 その行為は、大量に発生した死臭があまあまの匂いを隠すまで、何度も何度も続けられた。 くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ …やがて、あまあまの匂いを失ったゆっくり達が、公園の方へと移動を始めた。 僅かに残った、父まりさ達のあまあまの匂いを頼りに、次々とあんよを進めていく。 その顔はどれも、あまあま中毒によって完全に理性を失っていた。 ――公園周辺にいたゆっくり達の大半がまりさ一家の敵となった、瞬間であった。 「ゆひぃ…ゆひぃ…いったい……どうなってるんだぜえぇぇ…!?」 「おとーさん、だいじょうぶなのぜ?」 公園から数メートルほど手前に路上駐車された車の下。そのわずかな隙間にまりさ一家は避難していた。 あれからまりさ一家は、公園に向かうまでに何匹かの野良ゆっくり達と遭遇した。 そして、そのどれもが一家に近づいた途端、いきなり襲いかかってきたのだ。 れいむだけでない。まりさ、ありす、挙句の果てには子ゆっくりまで、まりさ一家をあまあまと呼び、牙をむいた。 最初はそれらを相手にしていた父まりさであったが、公園に近づくにつれて次第にその数は増していき、ついには物陰で避難するはめとなってしまったのだ。 「…しばらくは、ここをうごけないんだぜ…」 「ゆぅ…もう、つかれたよ…」 「れいむ、まわりはどんなかんじなんだぜ?」 「ちょっとまっててね…」 母れいむがタイヤの影から、外の様子をこっそり覗き込む。 「……あま…あま……いーいにおいがするよぉ……」 「とかい…は…むーしゃ…むーしゃ…」 「……ふぇら……ふぇら……そー…せーじ……」 周囲には、何匹かのゆっくりが辺りを徘徊していた。 そのどれもが生気のない顔つきをしつつも、ぎょろぎょろと目玉を動かしている。 まりさ一家から発せられる、あまあまの匂いの元を見つけるために。 「だめだよ…あちこちにゆっくりできないゆっくりがたっくさんいるよ…」 「そうなのぜ……ぱちゅりーのおうちまではまだあるのに…」 「おとーさん、ほんとうにおさならなんとかしてくれるのぜ?」 「…わからないんだぜ。だけど、まりさにはそれしかおもいつかないんだぜ」 ここに来る途中、父まりさは全身についたバニラオイルの匂いを落とすために、いくつかの手段を試みてみた。 水浴びや砂浴び、苦い草やタイヤにすーりすーりしたり、挙句の果てには痛みに耐えながらブロック塀で肌を削ったりもした。 もしこれが水溶性のバニラエッセンスだったならば、多少は効果があったのかもしれない。 しかし、ホールケーキ(円形ケーキ)でさえ数滴入れれば十分なバニラオイルを全身に浴びたのだ。 父まりさの必死な抵抗は、ただいたずらに自身の体をボロボロにするだけで何の意味も成さなかった。 そこで父まりさは、前の群れの長であったぱちゅりーを頼ることにしたのだ。 公園の群れを一人で管理し、時には人間さんと会って話をしていた所を父まりさは見たことがある。 その優秀さを認めていた父まりさは、ぱちゅりーなら何か良い方法を知っているかもしれないと踏んだのだった。 それに、狩りの名手であるまりさは、群れを離れるまで食料調達に大きく貢献していた。 そんな自分の頼みを今さら無碍には扱わないだろうという、打算的な狙いもあった。 「ゆぅぅぅ…さすがに、おなかがすいてきたのぜ…」 「おちびちゃん、もうすこしがんばるんだぜ、ぱちゅりーのおうちにいったら、いっぱいごはんさんをむーしゃむーしゃするんだぜ」 「おねーちゃん、まりさもがんばるから、おねーちゃんもがんばろうね!」 空腹を訴える姉まりさに、末っ子まりさが激励の言葉をかける。 決して、末っ子まりさだけがお腹を空かせていないわけでは無い。 少しでも家族を元気付けようとする、精一杯の強がりであることに皆はすぐ気づいた。 「わかってるんだぜ…まりさもみんなとむーしゃむーしゃしたほうが、たっくさんしあわせになれるんだぜ」 「れいむも、みんなといっしょがいいよ!」 「おねーちゃん! いっしょにごはんさんたべようね!」 家族皆の表情に、少しだけ笑顔が戻っていく。 辛いのは自分だけではない。 一番小さい末っ子まりさがあんなに頑張っているんだ。自分達だって負けてられない。 末っ子まりさの小さな強がりは、皆の心に大きな力を与えてくれた。 「………………みつけたよぉー………………」 ――そこに、招かれざる客が現れるまでは。 一家の表情が一瞬にして凍りつき、一斉に声がした方向を振り返った。 車と塀の隙間によって作られた暗闇の中―― 三つの赤い瞳がまりさ一家をじっと見つめていた。 「…………あまあま…こんなところにあったんだねー……」 「……ハァフ…ハァフ…………」 やがて、二匹のちぇんが暗闇から姿を現した。 片方は父まりさ、もう片方は姉まりさ程の大きさであることから、恐らく二匹は親子なのであろう。 しかし、その外見はまりさ一家とは比べ物にならないほどに酷い状態であった。 ちぇんの全身には爪跡のような傷が無数に走っており、その傷の一つが左目を醜く潰している。 そして子ちぇんは帽子、両耳、尻尾の全てが欠損しており、口元からは絶えず茶色い泡を吹き出していた。 二匹の眼はどちらも血のように赤く染まっており、先ほどの野良れいむと同じ狂気を感じさせていた。 「おちび…ちゃんが…よろごぶんだよー……わかるよ…わがるよぉぉ…」 「……grrrrrrrrrrr……」 すでに子ちぇんは、言葉を発することすらできなくなっていた。 飢餓と甘味の匂いによって肥大化した食欲が、中枢餡にある言語機能までをも破壊してしまったのだ。 金属を擦り合わせるように唸り声を放つその姿は、もはやちぇんと呼べる姿とはかけ離れて見えた。 「ゆひ…」 「ゆわわわわ…」 「お、おとーさぁん…」 突然の異常事態と二匹の異様な姿に、父まりさの判断が一瞬遅れた。 慌てて、硬直したままのわが子に向かって指示を出そうと叫ぶ。 「おちび! はやくおとうさんのところまでにg…」 だが、その一瞬だけ生じた隙を、獣と化した二匹の赤い瞳は見逃さなかった。 「あまあま…あばあばたべるよ、たべるよたべるよたべるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 父まりさの声が引き金となり、二匹のちぇんが一斉に飛び出した。 飢餓状態にあるとは思えないその驚くべき素早さは、瞬く間にまりさ達との距離を縮めていく。 ちぇんの体が跳ねた。 その赤い瞳には、一番近くにいた末っ子まりさだけが映り込んでいる。 「わがるよおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 「ゆt」 ――末っ子まりさには、何が起こったのか分からなかった。 近づいてくる、真っ赤なぴかぴかさん。 突然目の前に現れた、恐ろしい怪物の姿。 そして、いきなり訪れた暗闇。 くちゅっ …だが、末っ子まりさの思考はすぐに終わりを告げた。 自慢のお帽子も、さらさらの髪も、宝石のようなおめめも、輝く白い歯も、自慢のあんよも、大事な餡子さんも、 すべてちぇんの口の中で潰され、一つとなったのだから。 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ 「あ…ああ…」 すぐそばで全身をがたがたと震わせる姉まりさに見向きもせず、ちぇんが恍惚の表情で口の中のものを咀嚼していた。 一瞬の出来事だった。 さっきまで傍にいた末っ子まりさが、ちぇんの口の中へと姿を消したのだ。 「ま、まりさ……どうして…?」 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ 「か………かえせええええ!! まりざのだいっじないぼうどをがえぜええええ!!」 なけなしの勇気を振り絞り、姉まりさがちぇんに向かって全力で体当たりを仕掛けた。 姉まりさの渾身の一撃はちぇんの横腹に命中し、僅かにちぇんの体が傾く。 それでも、当のちぇんは全く動じなかった。ただひたすらに、咀嚼を続けている。 くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ 「やべろおおおおおおおおおおおお!! はきだせ! くぢのながのものをはきだぜええええええええええ!!」 姉まりさは、まだ末っ子まりさが死んだことを頭の中で否定し続けていた。 口の中に入っただけで、まだ生きてるかもしれない。 少し傷ついても、皆でぺーろぺーろしてあげれば大丈夫に違いない。 その希望に必死ですがり、姉まりさは大切な妹を救い出すためにひたすらちぇんへ無謀な攻撃を繰り返す。 「はきだせ! はきだせ! はきだせえええええ!!」 ――だが、 そのちっぽけな希望も、すぐに打ち砕かれることとなった。 突然ちぇんが咀嚼を止め、地面に向かって静かに口を開いた。 その口の中から、粘液にまみれた黒い塊がずるりと吐き出され、姉まりさの目の前に落下した。 ぼちょっ 「」 「ゆふ…ゆふふふふふふ…ごれなら…おぢびちゃんも、むーしゃむーしゃでぎるんだね…わがるよぉぉ」 姉まりさの願いは、違う形によって叶えられた。 ちぇんの口から吐き出された、拳大ほどのぐちゃぐちゃな黒い塊。 その周囲には、白いリボンや、金髪の破片、見覚えのある物が沢山からみついている。 そして、その塊からはゆっくりできない死臭と共に、自分と同じあまあまの香りを発していた。 歯が不自由なわが子のために、ちぇんが口の中で咀嚼していたもの。 それは間違いなく、数分前まで自分を励ましてくれた妹の、成れの果てだった。 「……ぁ………」 「おちびちゃーん、あまあまだよぉー だっくさんたべでねー」 「…ガフゥッ!……ガフッ!」 末っ子まりさだった塊に向かって、子ちぇんが涎にまみれた口を大きく開く。 ぐちゃっ 「…ぁ………ああぁ…………あああああぁ……」 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」 「おちびちゃん!!」 突然、姉まりさの視界が真っ暗になった。 我を取り戻した母れいむが、姉まりさを急いで口の中に避難させたのだ。 その口の中では、姉まりさが叫びながら必死に暴れまわっているのが感じ取れる。 それでも母れいむは、我が子を離すまいとしっかり歯を食いしばって耐えていた。 「れいむ! おちびちゃんをつれてはやくにげるんだぜ!!」 帽子の上に妹れいむを乗せた父まりさが、母れいむの背中に向かって叫んだ。 その口元には、先端を鋭く尖らせた割り箸が咥えられている。 「ひまひふほ(いまいくよ)!!」 「まりさがみちをつくるんだぜ! れいむはあとにつづくんだぜ!!」 「ははっはほ(わかったよ)!!」 背後で繰り広げられる惨劇から目をそむけるようにして、二匹は車の下から勢いよく飛び出した。 ――わずかな希望の残る、公園に向かって。 ちぇんは幸せだった。 あまあまを食べたことによるものでも、理性を失ったことによるものでも無い。 「ガフガフガフガフ!!」 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ 目の前のおちびちゃんの、幸せな顔を久しぶりに見ることができたからだ。 ちぇんには三匹のおちびちゃんがいた。 どれも自分とよく似た、笑顔の絶えない素敵なおちびちゃんだった。 つがいに先立たれ、ご飯をお腹いっぱい食べることができなくなっても、ちぇんはおちびちゃんがいるだけで毎日が幸せだった。 …ある日、毛むくじゃらの化け物がおちびちゃん達を連れ去るまでは。 全身をズタズタにされながらも、ちぇんはおちびちゃん達を取り戻すために必死で戦った。 結局、助け出せたのは一匹だけ。それ以外は皆、化け物の玩具にされて、じわじわと嬲り殺しにされた。 そして唯一助け出せたおちびちゃんもまた、帽子も、耳も、尻尾も、歯も、全身の至る所を奪い取られ、ゆっくりできない姿となってしまった。 それでも、ちぇんは諦めなかった。 もう一度おちびちゃんの笑顔を見るために、ちぇんは様々な手段を試みた。 自身の食事も忘れて、ずっとおちびちゃんの傍にいてあげた。 …でも、どんなにすーりすーりしても、ペーろぺーろしても、おちびちゃんの顔に笑顔が戻ることは無かった。 ――そんな時だった。突然どこからともなく、あまあまの匂いが漂ってきたのは。 (…むにゃむにゃ……あまあまにつつまれてしあわせなんだよー……ここがきょうからちぇんのおうちだよー) 昔、おちびちゃんがクッキーの空き箱の中に入って、あまあまの残り香の中で気持ち良さそうに眠っていたのを思い出す。 (…きっとらんしゃまのようなあじなんだねー。いちどでいいからたべてみたいよー) 僅かに残ったあまあまの匂いを嗅いで、あまあまの味を想像していたこともあった。 もし、そのあまあまをお腹一杯食べることができたら、おちびちゃんはまた、自分にあの笑顔を見せてくれるだろうか。 再び、あの日々に戻りたかった。 あまあまがあれば、 あまあまが… そして、目の前の誘惑にちぇんは自らの意思で理性を放棄した。 その後の事はもう、何も覚えていなかった。 ――いや、思い出す必要なんかない。 「わかるよー………わらってるん…だねー…」 ちぇんは幸せだった。 夢にまで見たあまあま香りに包まれて、ずっとずっと、幸せそうにおちびちゃんを見つめていた。 …やがて匂いに集まってきた他のゆっくり達が、自分の体を食い破るその時が来ても。 ちぇんはずっと、おちびちゃんに向かって優しく微笑み続けていた。 最後の時まで、ずっと――― ――to be continued… 挿絵:○○あき
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れいむ そらを とべるようになり いへんなどを かいけつする。 おさいせんを いつも きにしている。 タイプ ノーマル・飛行 特性 ハクレイのみこ 分布 種族値 HP 70 すばやさ 70 こうげき 70 とくこう 70 ぼうぎょ 70 とくぼう 70 進化系統 ちびれいむLv18でれいむLv36でEれいむ レベルアップで覚える技 Lv01 はたく Lv01 なきごえ Lv01 ふうましん Lv04 なきごえ Lv07 ふうましん Lv10 みこにさいせん Lv15 とびげり Lv22 リフレクター Lv22 ひかりのかべ Lv29 ふういん Lv38 あくび Lv47 ていそくいどう Lv56 そらとぶみこ 覚える秘伝マシン 02 そらをとぶ 04 かいりき 06 いわくだき 倒すと獲得できる努力値 こうげき +1 ぼうぎょ +1 育成例