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登録日:2010/02/26(金) 12 43 22 更新日:2024/04/05 Fri 23 08 30NEW! 所要時間:約 24 分で読めます ▽タグ一覧 PS2 SDK SFC SIREN SIREN ReBIRTH SIREN ReBIRTH←の原作 どうあがいても絶望 ゲーム サイレン シレンだと思っていたのかぁ? ステルスゲーム? バミューダトライアングル ホラー マゾゲー リンドブルム 二秒でHもしない 佐藤直子 八百比丘尼 初見殺し 名作 和風 外山圭一郎 屍人 幻視 怪作 最凶難度 死に覚えゲー 津山三十人殺し 漫画版は別物 漫画版は別物←色んな意味で 異界 群像劇 羽生蛇村 羽生蛇村異聞 裏の顔 赤い水 鬱展開 鬱展開の嵐 2003年11月6日発売。 SCEから発売されたホラーアクションゲーム。 オーディオメーカーにも同名の会社があるが、この項目ではそちらについては扱わない。 【あらすじ】 【概要】 【登場人物】・須田恭也(すだきょうや) ・神代美耶子(かじろみやこ) ・竹内多聞(たけうちたもん) ・宮田司郎(みやたしろう) ・牧野慶(まきのけい) ・四方田春海(よもだはるみ) ・八尾比沙子(やおひさこ) ・安野依子(あんのよりこ) ・志村晃(しむらあきら) ・前田知子(まえだともこ) ・石田徹雄(いしだてつお) ・恩田美奈(おんだみな) ・恩田理沙(おんだりさ) ・前田 隆信(まえだ たかのぶ)/真由美(まゆみ) ・美浜 奈保子(みはま なほこ) ・高遠玲子(たかとおれいこ) ・名越栄治(なごしえいじ) ・神代亜矢子(かじろあやこ) ・神代淳(かじろじゅん) 【クリーチャー】・屍人(しびと) ・堕辰子(だたつし) 【用語】 【余談】 【あらすじ】 0 00、赤い海からサイレンが響き、一つの村が消えた。 その村にいた人々は、自分たちが謎の赤い海に囲まれた異界に取り込まれたことに気付く。 そこは、『屍人』と呼ばれる怪物たちが支配する世界。 絶望的な状況に追い込まれた人々は、果たして異界から脱出することができるのか…。 【概要】 キャッチコピーは「どうあがいても絶望」。 テクモ(現コーエーテクモゲームス)の『零』シリーズと並び、当時のホラーアクションアドベンチャーゲームでは珍しい和風テイストを打ち出したビジュアルが特徴。 ただし、本シリーズでは実際の役者をモデルにした、より生々しいキャラクター造形や、和風ホラーだが敵として出てくるのは幽霊ではない(*1)、 基本的に敵は倒されても時間が経つと復活してしまう等、当時の同系統のゲームや一般的なイメージからは色々と外れた独自性が打ち出されている。 内容についても、世界観の核にクトゥルフ神話を彷彿とさせる設定が見られることを始めとして、 東西の名作ホラー、諸星大二郎や伊藤潤二の漫画作品から引用、あるいはインスパイアされたと想像される部分が多く見られ、 そのテの作品が好きな人間だとニヤリとさせられるのは間違いない。 また、和風ホラーを代表する作品と捉えられている一方で、作中に登場してくる眞魚教のイメージやゲーム内の設定、用語の多くを聖書伝説から引用されているのも特徴で、 登場人物や舞台は昭和時代の日本らしさが強いながら、何処となく歪んだ異国感も混在している。舞台となる羽生蛇村の無理くさい名前はバミューダトライアングルに由来する等、恐らくは意図的にシリアスな笑いも込められている。 一応シナリオ上の主人公は存在するが、ストーリーは所謂群像劇として描かれているため、操作キャラは数人存在する。 一般的に主人公として紹介されている須田恭也も活躍するのは序盤と終盤で、中盤は一章毎に他の主人公が立ち代わりするので全体で見るとさほど目立っている訳でもない。 よって、プレイヤーは各ステージの主人公となるキャラクターを操作し、設定された終了条件を満たしながらゲームを進めていくことになる。というか使い難かったり弱い主人公だろうが攻略を強いられるというか。 本作の大きな特徴としては『視界ジャック』が挙げられる。 これは、ステージ内にいる敵味方の視界を盗み見ることができるシステム。 敵の屍人はかなり強く、丸腰の時に見つかったり、銃を持っている敵に見つかったりすることは死を意味するので、 視界ジャックを使って屍人の動きや位置を確認し、見つからないように移動するのが基本となる。 その上、屍人が見ているものや普段の行動が謎解きに関わってくることもあるため、これを使いこなさないとまずクリアできない。 また、本作は、 ずっと走らせているとキャラクターが息切れを起こして移動速度が遅くなり、それでも走るとやがて立ち止まって息が整うまで行動不能となるため、敵の目を盗みながら慎重に進むことを余儀なくされる。 手に入る武器はバールのようなものや火かき棒などの日常用品が多く、攻撃力も低い。武器を持つことすら出来ない操作キャラも。なお、素手で殴ったりは(ゲーム中は)できない。 敵は倒しても一定時間経過で復活するため、武器が弱いのもあって、これまでのホラーゲームのような「敵を全滅させながら進む」プレイングは実質不可能。 操作キャラの耐久力は低く、攻撃力の高い敵であればワンパンで死んだりする。とあるキャラクターは敵に触られた時点でゲームオーバーに。 銃は強力な分弾数が少ないが、敵には弾数制限は存在しないため、射程が長い猟銃を持った敵が登場するステージは例外なく難関。 地図は表示されているが、操作キャラや敵の位置などは表示されない。建物などの配置も複雑で、敵やアイテムの位置を暗記していないとひたすらぐるぐる歩かされる羽目に。 終了条件(クリア条件)はほとんどノーヒント。特に第2終了条件に関しては「わかるかんなもん!」とキレても仕方ないくらいにヒントが乏しい。 等々、それまでの同ジャンルのタイトルと比較しても類を見ない難易度の高さを誇り、多くのプレイヤーを絶望させたマゾゲーとして有名。 しかし、緻密な世界観・設定や多くの伏線を張りながらも謎を残して終わるシナリオが話題となり、根強いファンを生み出した。 ただゲームをクリアしただけではシナリオの全てを理解することはできないが、それが逆にファンの想像力を掻き立て、インターネットなどでは白熱した議論が交わされた。 上記の謎の終了条件や攻略の難しさも(公式がネット上でのみ前日譚やSDKの書き込みといった裏設定的なものを公開していたこともあってか)それを踏まえたものとも考えられるし、 そうなることを見越してそういう仕様にしたと考えても、世界観・設定的に納得できるものだったりする。プレイヤーの腕前を上げることは必要だが。 また、前述した通りかなり難易度が高いものの、絶対にクリアできない難易度というわけではなく、やり込むとクセこそ強いものの慣れが必要なゲームなのだと解ってくる。 ストーリー、世界観、キャラクターなどの作り込みがしっかりなされていることもあり、『SIREN』は無限にループする世界での物語であるという裏設定やら、 謎の終了条件2も、その円環に閉ざされた世界から抜け出そうとする人々によって繋がれた微かな希望のバトンであることなどを理解することで、 プレイヤーが制作陣の作りこみの深さを称賛したり、ストーリーなどの奥深い考察にのめり込むという現象が起こる。 よって「クリアできない=クソゲー」と極端な思考をする人を含む一部プレイヤーを除けば、クソゲーと言われることはほとんどなく、中にはディスクが擦り切れるまでやったなんて人も。 関連書籍として、公式から様々な用語を解説したムック本『SIRENマニアックス』が出版されている。細かな謎は残っているが、SIRENファン必携の一冊であることは間違いない。 単純に読み物としても面白い一冊だが、その分入手しづらいのが難点。 2018年に本作の実質的なリブート版である漫画『SIREN ReBIRTH』が連載されている。 【登場人物】 ・須田恭也(すだきょうや) オカルト好きが高じてネット掲示板で仕入れた情報をもとに羽生蛇村にやってきた高校生。 自転車がパンクして山を彷徨っていたところで怪しい儀式を目撃したが淳に見つかり、彼らから逃げ回るうちに美耶子と遭遇。 何か事情がありそうな上、盲目な彼女を放っておけずに彼女と共に村の追っ手から逃げようとするが…。 通称SDK。武器は火かき棒と拳銃、狩猟銃、日本刀、宇理炎。後に異界ジェノサイダーに転職する。 「THE BUSTER!」 ・神代美耶子(かじろみやこ) 須田が山中で遭遇した盲目の美少女。 尊大な口調で話し、同行してしばらくは「ぐーず☆」を初めとする罵倒の数々で一部のプレイヤーを興奮させる。 盲目ながら生まれつき視界ジャックを可能とする程の強い霊的能力を持ち、普段は愛犬のケルブの視界をジャックして『目』になってもらっていたが、 異界入りした直後にケルブと死別してしまい、以降はその直後に出会った、自分に強い印象を残していた須田に助けられることになる。 そうして一緒に行動するうちに須田に信頼を寄せるようになり、デレを見せ始めるツンデレヒロイン。 実は人としての戸籍が存在しない。「美耶子」というのも、神代家に生まれ、「神の花嫁」となる役目を負わされた娘に代々に引き継がれ続けてきた名前である。 『神の花嫁』として幼い頃から村で神聖視されており、彼女の存在は事情を知らない人間にとっては村の中でも秘密となっていた。 儀式での重要な役目を負っていたものの彼女は(導きに従い)自らそれを拒絶し、偶然に出会った外部の人間である須田に村から連れ出してもらおうとする。 歴代の『美耶子』の中でも特に強い力を持つらしく、それ故にか黒幕にとっては儀式を完遂させ得る存在として期待をかけられていたらしい。 因みに、中の人はガチの霊感少女だったらしく、撮影中は頻繁に「見える」を連発してたらしい……。 ・竹内多聞(たけうちたもん) 大学で民俗学を教えている助教授。 羽生蛇村出身で幼少時代に地震で両親を亡くした過去を持つ。 強い霊感の持ち主で幽霊の類を見慣れているため、化け物だらけの異界でも基本的に冷静(*2)。 銃の不法所持(確実)とヅラの疑惑(嫌疑)あり。志村じいちゃんと知り合いらしい。 村を離れていたこともあってか羽生蛇村についてのかなり正確な情報を集めることが出来ており、そのことを記した手帳は最終決戦に臨んだ恭也の大きな助けになった。 当人は知らなかっただろうが、実父(臣人)も郷土史家で羽生蛇村の研究成果を実費で出版していたり。 某千の風の人にそっくり。 ・宮田司郎(みやたしろう) 通称撲殺天使みやたん。 村にある宮田医院の若き院長で、どこか影がある人物。 ネイルハンマーを持たせたら右に出る者はいない。スパナ様?え?誰ですか?それ? 春海の内緒の友達という「みやちゃん」も彼ではない。 今作の裏主人公と言える存在。 ・牧野慶(まきのけい) 通称ヘタレ求道師あるいは丸腰牧師。 村の土着宗教・眞魚(まな)教の求道師。ホラーゲーム界屈指のキングオブヘタレ。 八尾コンで困ると八尾に縋りたがり、一人で行動中は八尾さん八尾さんうるさい。 ネイルハンマーを持たせたら右に出るものしかいない。というか、大人の操作キャラクターの中では唯一武器を「持てない」ヘタレ。 一応終盤でヘタレは解消される。銃のリロードがとてもかっこいい。 …が、実は………というか言うまでもなく… ・四方田春海(よもだはるみ) 観測会にただ一人来ていた小学生。 両親を事故で亡くした影響でふさぎこみがちになり、クラスでも孤立することが多かったという。 ゾンビの街とか霧の深い街とかを平気で歩き回る幼女たちに比べるとごく普通に非力な幼女で、 ゲーム的な事情もあり、彼女が主役となるシナリオの難易度は非常に高くなっている。 いろいろストーカーされて大変な子。 生き延びる為に策を弄する必要があるため、伝説の軍師「四方田春海(しほうでんしゅんかい)」扱いされることもある。 ただ出典の関係から「しほうでんしゅんかい」と呼ぶと「ニコ厨死ね」と言われることもあるため注意。 様々な偶然や幸運が重なり、登場人物たちの中で唯一現実世界に帰還したが、彼女を救助した自衛官は……。 ・八尾比沙子(やおひさこ) キリスト教を思わせる村の独自の信仰である眞魚教の求道女。 聖職者らしく慈愛に満ちた女性で、よそ者である須田の怪我を心配したり、逃がそうとしたりと優しい人物。 しかし、意図の読めない謎めいた言動や、村の暗部について知っているような素振りを見せるなど、怪しい人物でもある。 ・安野依子(あんのよりこ) 竹内の生徒で、彼を慕って勝手についてきた女子大生。 異界に迷い込んでもあまり危機感を持っているようには見えず、「待て」と言われても待たなかったり、 ラジオを使った陽動作戦を行おうとする竹内に「こんなガラクタ拾ってどうするんですか?」と水を差してきたり、 迂闊な行動をしかけて竹内に制止されるなど、良く言えばマイペース、悪く言えば空気の読めない言動が目立つ。 おかげで彼女を「ウザ子」「クズ子」等の心無いあだ名で呼ぶプレイヤーもいるが、後半はそのマイペースさが癒しにもなる。(*3) ・志村晃(しむらあきら) 羽生蛇村に住む猟師。70歳。 誰が見ても猟師と分かるような服装・装備と風貌のナイスシルバー。 彼のステージはもはやゴルゴゲーも同然である。 彼の一族は代々「勘」の鋭い者が多く、晃自身も八尾の異常性に気付いている稀有な人物の一人だが、 過去のとある事情から、その異常性を表立って主張したりはせず、むしろ固く口を閉ざして生きてきた。 妻や子を早くに亡くし、従兄弟の貴文も村の暗部を探って『行方不明』となった(*4)ことで厭世的になっており、 異界入りした後、どうあっても異界から抜け出せないことを悟り、「化け物(=屍人)」にならないよう自らの猟銃を使って自殺するが…。 ・前田知子(まえだともこ) 両親と喧嘩してプチ家出中に巻き込まれた女子中学生。 異界をさ迷い歩いているうちに牧野と合流するが、事故というより狙撃手のせいで牧野とはぐれてしまい、一人で散々屍人に追いかけられるはめに。 ようやく両親の下にたどり着いた時には、両親(と該当シーンが採用されたCMを見た視聴者)を恐怖のドン底に叩き込む姿になっていた。 その後は仲直りして一家で仲良く暮らしている。ミス裏の顔。 ・石田徹雄(いしだてつお) 村の警官。 一番最初に出てくる屍人(*5)であり、銃を持っていることもあって初見で訳も分からないまま彼に射殺されたプレイヤーは多い。 終盤では羽根屍人となってプレイヤーを苦しめるが、生来の酒好きと電気を利用したトラップにかかり拳銃を奪われる羽目に。 「了解…射殺します」 演じたのはゲーム実況プレイヤーの「えどさん」こと江戸清仁。 ・恩田美奈(おんだみな) 宮田医院に務めている看護師。 生前は宮田と交際関係であったが、物語開始時点で既に死亡しており、本編では最初から屍人化した状態で登場する。 恋人の宮田と妹の理沙に執着しており、彼らを執拗に付け狙う。細い身体に見合わず異様にタフ。 何故か「かごめかごめ」を口ずさんでおり、その理由についてプレイヤー間で考察されることも(*6)。 ラスト近くの坑道では妹同様ノックバックしない。妹と共に待ち構えていたが…撲殺天使には勝てなかったよ……。 ・恩田理沙(おんだりさ) 羽生蛇村から就職のために都会へ出てスーパーで働いてた美奈の双子の妹。21歳。 だが職場に馴染めずにいたところ、怪しい業界の人に危うく騙されかけたことで傷心し、実家に戻ってきた。 これらの背景からも分かるようにかなりの不幸体質であり、物語に登場してからも徹頭徹尾運が悪い不憫な子。 異界入り後は姉からの手紙にあった宮田医院に向かい、そこで会った宮田としばらく行動を共にするが、 宮田とはぐれたところに再会した、屍人化した姉に何故か意識を同調させられ(*7)、ナース服を身に纏い、第二の美奈となって宮田に迫り、 その宮田に絞殺されたことで姉と同様に屍人化し、以降は美奈と姉妹で宮田を執拗に追跡するようになる。 しかし持っている武器は傘。お察しの通り最弱武器。叫び声が非常に耳に刺さってうるさい。 名前の元ネタは本作の中核スタッフであるプロデューサーの外山圭一郎とシナリオの佐藤直子がコナミ時代に出掛け、 本作にも強い影響を残した初代サイレントヒルに登場する看護婦リサ・ガーランドから(*8)。 ・前田 隆信(まえだ たかのぶ)/真由美(まゆみ) 前述した知子のご両親。 プチ家出した娘を探しに八尾のいる教会へとやって来た。 はっきり言うとストーリーの本筋には関わらない登場人物であるが、 とあるステージで登場した際のインパクトの強さから、プレイヤー達に強い印象を残した。 母の爆笑エアクッキングは一見の価値あり。父のエア芸も必見。いやはや芸達者な家族である。 詳しくは実際にプレイ、又はプレイ動画にてご確認下さい。 ・美浜 奈保子(みはま なほこ) かつては人気を博したアイドルだが、年を重ねる毎に人気が低迷。今は落ち目のタレント。 将来への不安からかヒステリックな言動が多い。天の川を「てんのかわ」と読むなど頭も悪い。 オカルト番組のレポーターとして村に来ていたところ、異変に巻き込まれる。 途中で拳銃を入手するが、一般人のはずなのに拳銃の扱いがうまい。恐らく自身の出演ドラマ「ヒットマンは雌豹」で学んだと思われる。 赤い水が永遠の若さをもたらしてくれると思い込んで入水するが、そのために皮肉な末路を辿ることになる。(元ネタは間違いなく諸星大二郎の名作『暗黒神話』) ・高遠玲子(たかとおれいこ) 村の分校の先生。武器はバール。上の傘よりは使いやすい。 天体観測会の引率として学校に来ていて巻き込まれた。 元来生徒想いの優しい先生であったことに加え、かつて娘を亡くしたことがきっかけで離婚してしまった過去から、 クラスで孤立しがちだった春海を、まるで母親のように普段から気にかけていた。 その優しさは春海と共に異界に巻き込まれてからも変わらず、文字通り命をかけて春海を守ろうとする。 終盤にはアフロになったりクチビルゲになったりするが、春海を想う気持ちはずっと持ち続けていた。 最後は車のガソリンに火をつけて… ・名越栄治(なごしえいじ) 村の分校の校長。 優しい校長先生で生徒からも信頼されていたが、「はるみちゃんのにおいがするよぉ」の失言でただのロリコンとバレた。 イベントで見せたさわやかな校長スマイルで有名。後にヒトデに進化した。 登場する屍人の中でも異様なタフさを誇り、倒してもすぐ復活してしまうため、登場するステージではかなりの難敵。 ・神代亜矢子(かじろあやこ) 美耶子の実の姉。美少女である美耶子と比べると良くも悪くも普通の顔。ちょっと眉毛が濃い。 代々神代家には必ず二人の姉妹が産まれ、妹は「神の花嫁」となり、姉は婿を取って次の世代を産むのが役目と定められており、 亜矢子もまたその役目に従い、婚約者として後述の神代淳を迎えている。 自分と違って「神の花嫁」として幼い頃から周囲の人々に神聖視され、思いを寄せる婚約者まで執心していることから、妹の美耶子を疎んでいるが、 これは亜矢子自身が神代家の『闇』を何も知らされておらず、美耶子の境遇をほとんど知らないのも原因である。 一応「儀式の際に人身御供となる」ことは知っているのだが、幼い頃から妹ばかりが重んじられてきたことへの鬱屈からか、 人身御供となるその時が近づいている妹やその境遇に同情することなく、自分の事しか考えていない。 一方の美耶子は、村の暗部や真実を知っていて達観しており、亜矢子の方がある意味自分より哀れな境遇にいることも察しているため、 亜矢子の嫌味や敵意を全く意に介さず、むしろその本心を見抜いて内心哀れみさえ向けているなど、亜矢子は一人で空回っているような状況にある。 そんな状況だったため、訳も分からないまま異変に巻き込まれて異界入りし、終盤までなんとか生き残っていたのだが、 「彼女を捧げれば儀式が完遂される」と見込んでいた美耶子を捧げたことで、既に「次の花嫁は必要ない」とした黒幕に用済みとばかりにあっさり焼殺された。 …と、徹頭徹尾蚊帳の外のままで本編でも何をしていたかほとんど描写されず、さらに登場したデモシナリオも3つ程度と相当少ない。 そのうえ敵として出てくることもないため、登場人物の中では忘れられても全くおかしくない程一番影が薄い。 さらに言えば、黒幕の思惑に反して儀式は完遂できなかったため、実際には生かしておくべきだったのに早合点で殺されてしまったという、 亜矢子にとっては殺され損もいいところな幕切れであった。 ちなみに、彼女も美耶子と同じく不完全ながら不死の命を持っているので、自らを焼き殺した炎が特別なものであったりしなければ、 肉体が死んでも精神は死ねず、その後も精神体として一人で異界を彷徨っていると思われる。 ・神代淳(かじろじゅん) 亜矢子の婚約者で入り婿。元々は神代の家とはなんら血縁関係のない家柄らしい。 厨二病臭い言動からも窺えるが選民思想でもあったのか、楽園に導かれるという大嘘を吐かれていたせいもあるが、 儀式を成功させたところで淳や神代家にも“利”はないにもかかわらず、色々と闇深い神代家の真実を勘違いした末にノリノリで儀式に協力している道化。 こういった事情もあり、婚約者である亜矢子よりも「神の花嫁」である美耶子の方に興味を持っているのだが、彼女が人身御供であることも理解しており、 つまるところ、亜矢子を嫉妬させる目的も込みで執着する素振りを見せているというサド気質。 半ば意地になっていたのか、はたまた何も考えていなかったのか、異常な事態の中でも空気を読まずに美耶子を追い続け須田を銃撃。 二人が永遠に(人としては)別れる直接の原因となる。 最終的には都合よく黒幕に使われ、気圧されるままに儀式を手伝わされた挙句、 不完全状態で復活した、正体も知らぬままに降臨を待ち望んでいた神=堕辰子の暴走に巻き込まれ、あっけなく命を落としてしまった。 人としては死んだものの亡骸が堕辰子が逃げ込んだ“いんふぇるの”(*9)に堕ちており、そこで半屍人化。 「全てを終わらせてほしい」という美耶子の願いを受けて“いんふぇるの”に到達してきた須田の前に立ち塞がった。笑い声がムカつく。 序盤は狙撃銃を使った銃撃戦。ある程度ダメージを与えると、銃を捨て斬鉄剣と似た設定の日本刀「焔薙」を使って切りかかってくる。 尚、ここでゲームオーバーになると、上記の厨二病全開の高笑いをする。 ラスボス直前ながら、敵としての強さ(厄介さ)は後に控えるラスボス並である。 最後には常世の存在をも滅することが出来る『宇理炎』の炎によって滅ぼされ、遺された彼の『焔薙』が以降の須田の武器となる。 更に、終了条件2では円環から抜け出すべく導かれた人々により紡がれた『木る伝』が宿り、堕辰子の首を落として真の止めを刺す力になることに。 リブート版のコミック『SIREN ReBIRTH』では、神代姉妹の従兄弟兼幼馴染(つまり神代家の分家の出身)にあたる人物になっている。 【クリーチャー】 ・屍人(しびと) 村を闊歩する怪物。 元は普通の村人であったが、異界で死亡したり、異界に溢れる「赤い水」を摂取したことで不死の怪物として化した。 プレイヤーを恐怖のどん底に叩き落す敵だが、憎めない一面を見せることもあり、愛されキャラ扱いされることも。 詳しくはリンク先へ。 ・堕辰子(だたつし) 遥か昔、羽生蛇村に堕ちて来たと言われる常世の存在。 眞魚教の言う御主=神とは堕辰子のこと。 伝承では翼を持つ蛇として描かれている。 しかし、実際にはそんな格好いいものではなくモチーフはタツノオトシゴである。(*10) 【用語】 赤い水 異界のそこかしこに見られる謎の赤い液体。 現実世界には存在しないもので、現実世界の水(雨なども含む)は異界ではほとんどこれに置き換わっている。 これをなんらかの形で体内に取り込むと、たとえ致命傷に近い傷であっても治ったり、体力が回復したりする他、 登場人物の大半が異界入りした後に「幻視」を使えるのは、少量でも体内に赤い水を取り込んだ影響とされている(*11)が、摂取量が一定量を超えると屍人化する。 また、取り込んでしまった時点で日本神話における『黄泉戸喫(よもつへぐい)』の原理により、現実世界に帰ることが叶わなくなる。 その正体は堕辰子の血であり、劇中に登場する屍人がみな目から血涙を流しているのは、赤い水の代わりに自身の血液を排出しているためである。 また、異界の羽生蛇村の周囲にある『赤い海』は全てこの赤い水であり、屍人は『海送り・海還り』を繰り返した後、これと一体化すると言われる。 海送り/海還り 屍人と化した人間が日に四度、村に響き渡るサイレンに誘われて『赤い海』に向かい、そしてさらに異形化が進んで帰ってくること。 ゲーム中のムービーでその様子を見ることができる。尚、サイレンのように聞こえる音は堕辰子の叫び声。 上記の通り『赤い海』とは堕辰子の血であり、屍人は最終的にはこれと一体化するのであるが、一度の『海送り』で一体化することはまずなく、 たいていはまだ一体化する段階ではないとして、異形化が進んだ上で村に帰ってくることになる。 ストーリーが進むにつれて異形化が進んだ屍人が増えるのもこれによるもの。 現実世界の村でもおそらくこれを基にしたと思われる民俗行事(当然屍人になったりはしない)が伝わっているとか。 神代の呪い 神代の血に掛けられた呪い。 作中では神代に属する美耶子・亜矢子の他、須田が美耶子の血を取り込むことでこの呪いを受けている。 神代家の者(直系に限る)は先祖が犯したとある罪の影響で、「神=堕辰子」に近付くことを拒絶される呪いを受けている。 これにより赤い水の影響を受けず、屍人にもならない他、神代家に生まれる子供は例外なく女の子となる。 尚、入り婿である淳や美耶子の父親などは元々外部の人間なので呪いを受けていない。 本来一度発症すると止めることができない屍人化も、神代の血(呪い)を取り込むことで進行が食い止められる。 そのため美耶子は須田の屍人化を防ぐべく血を与えた。 + 以下ネタバレ注意 大本になった呪いは、神代の先祖である八尾に掛けられた不老不死の呪い。 その子孫である神代家直系の女性もその影響で不死ではあるのだが、呪いを受けた本人ではないためか呪いの効力も不完全であり、 不死なのはその精神だけなので、身体が老い、朽ちても精神のみが永遠に現世に囚われ続けることになる。 なお、肉体の方も、腐るでもなく完全に消滅させられない限りは朽ちたような状態で残るので、想像だに出来ない苦しみを味わわされる。 外伝小説『羽生蛇村異聞』の二章にて、先代の神代美耶子が神代家の屋敷の地下道で、 苦しげなうめき声をあげながら這いずる異形の存在を(視界ジャックで)目撃し、恐怖感に駆られて絶叫しているが、 その正体は神代家の直系で、かつ、『神の花嫁』に選ばれなかった者たちの成れの果てである。 亜矢子はそれらの事実を一切知らずに異界に巻き込まれ、何も知らないままに八尾に焼き殺される末路を迎えるわけであるが、 徹頭徹尾蚊帳の外だったとはいえ、歴代の神代家の人間のように生き地獄に堕とされることなく死ねたのはむしろ幸運だったのかもしれない。 【余談】 羽生蛇村のモデルは埼玉県の廃村。 廃墟、心霊スポット巡りブームの中で『SIREN』のモデルになった場所として人気になっている。 ストーリーやシステムで某静岡の一作目に似ている部分があるのは、プロデューサーと脚本が同じ人だから。 CMが怖すぎると抗議され放送中止になっているが、たった7件なので宣伝戦略ではないかと思われる。 割と多くのプレイ動画が動画投稿サイトに投稿されており、解説プレイや攻略プレイと様々なものが上がっているため、 プレイしたけど攻略できない、怖すぎて自分じゃプレイできる気がしないがストーリーは知りたい、というような方は一度探してみるのもいいかもしれない。 2013年8月にはツイッターにて当時のスタッフや出演者がつぶやく10周年イベントが行われた。 収録風景やラフスケッチなど秘蔵の写真もアップされているので、気になった方は「SIREN2013」でググっていただきたい。 2014年には「SIREN -赤イ海ノ呼ビ声-」のタイトルで漫画化。 コミカライズ版として原作に忠実な形で進行していたが、掲載紙の休刊と作者の体調不良が重なり途中で連載休止に。 公式サイトから再開を断念する告知が行われる有様となった。 コミカライズ版と入れ替わる形でweb漫画サイト「Z」の新作漫画として連載されたリブート版に関しては『SIREN ReBIRTH』を参照。 + どうあがいても(もう少し詳しい)ネタバレ 1300年程も前、後の羽生蛇村となる村を大飢饉が襲った。 村人達は雨乞いを行うも効果は無かった……と思われていたが、それから一月程の後、 流星と共に空から奇怪な形をした岩(後に眞魚岩=別名「天降りの神石」と呼ばれることになる隕石)と、 大きな魚のような姿をした常世の存在、堕辰子の幼体が落ちてきた。 当時村は、飢饉による飢餓で壊滅状態にあり、それでも村に残っていた村人たちの内、 数人の村人が飢えに耐えきれずに(大きな魚にも見える幼体の)堕辰子に群がり、その身を食べてしまった。 “神”(人間より上位に位置する常世の存在)である堕辰子の肉を食らうという禁忌を犯した村人たちに“呪い”が掛けられ、 その身を貪られた堕辰子がサイレンのように鳴り響く断末魔の叫び声を上げた瞬間、 たちまち堕辰子の肉を口にしていた村人たちは一人の女を残して死んでしまい、それ以外の村人達も程なくして飢饉で死に絶えた。 この時に堕辰子の肉を口にしながらもただ一人生き残った女というのが、 当時妊娠しており、生まれてくる子のためにもと堕辰子の身を口にした八尾比沙子であった。 しかし、これは唯一“呪い”をかけられず、許されたから生き残ったなどということではもちろんなく、 生きてはいたものの彼女も“呪い”をかけられており、それは、死した魂の行きつく先でもある常世へと渡ることを拒まれる…、 すなわち、死の安らぎを与えられず、永遠に現世を彷徨う“不老不死の呪い”であった。 ちなみに、何故彼女だけこのような呪いを受けたのかは定かではなく、一説には妊娠していたためとも。 八尾はその“呪い”によって永く現世を彷徨ううち、その原因が自分の腹の中の子、 そして、更にその子孫にも自らが口にしてしまった堕辰子の血肉……、つまりは『実』が引き継がれているからではないかと思い至り、 それを返していけばいずれ“呪い”が解けるのではないかと思うようになる。 そして、呪いによって必ず姉妹で生まれてくる自らの家系に連なる子孫の内、 姉には次の子を成させ、妹の方は堕辰子への生贄、つまりは「神の花嫁」として捧げるようになった。 いずれ堕辰子に全ての『実』を返し、自身に掛けられた“呪い”を解いてもらう。 これこそが、羽生蛇村で行われている儀式の原点であり、八尾の目指す目標である。 儀式の中心となる神代家とは、即ち八尾の直系となる家系のことであり、この家に生まれた女(*12)は、 “呪い”をかけられた本人ではなく、あくまでその子孫という関係からか、八尾と比べると不完全な“呪い”を生まれながらにかけられており、 いうなれば“不死の呪い”とでもいうべきその“呪い”によって、肉体がいずれ朽ちても精神だけが永遠に現世に留まることになる。 また、生まれた姉妹の内、妹は必ず「美耶子」と名付けられ、代々、御印=初潮が来ると、 呪いの主(と八尾が思い込んでいる)にして、八尾が復活させようとしている神である堕辰子に、「神の花嫁」として捧げられるという運命を背負わされることになったのである。 また、八尾の属していた村は上記の通りに八尾を残して飢饉と呪いにより滅びているのだが、 生き残った八尾から“呪い”を受けながらも血族が広がっていく中で、その血族が近隣の村々の人間たちと混ざり合い、 数を増やしていって新たなる共同体となったのが現在の羽生蛇村である。 このため、直系である神代のみならず、実は、この村に生まれた人間は全員が八尾の血縁者であり、 直系である神代のような“呪い”までは受けていないものの、少なからず羽生蛇村に生まれた人間は勿論、村そのものが呪われている=因果率が狂ったような状態になっている。 “神”を食べる禁忌を侵して以来、羽生蛇村の立地自体が現世と異界の狭間に存在しているような状態となっており、 儀式の失敗により堕辰子が自身の血と肉で染まった村の一部を異界に持っていってしまうのもこのためである。 羽生蛇村では、独自の信仰として眞魚教が根付いている訳だが、これも上記の通り一族の祖にして、 呪いを受けた張本人である八尾の願いというか妄想に基づき生まれた信仰である。 そして、村人達がそれを疑いもせずに受け入れているのも、呪い=因果率が狂わされているせいだという。 常世に近い異界の住人である屍人や、村人の大半がずっと歳をとらない八尾に一切疑問を持たないのも、呪いによるものとされており、 一部の者を除き、ほとんどの村人は八尾がずっと若々しい姿であることにもし疑問を抱いても、頭がぼうっとし、すぐに疑問そのものを忘れてしまうという。 ……そして、ゲーム本編より27年前の1976年。 当時の(ゲーム本編視点では先代の)美耶子は、女中で母親替わりの「澄子」に促される形で、 儀式を拒絶して宇理炎を持たされた上、密かに村から逃がされようとしていた。 更に、同じ頃に新たに儀式が行われるとの報せを聞いた志村晃の息子で、生まれついて呪いの影響が弱く(=因果率が狂った影響を受けておらず)、 以前より八尾の存在を疑っていた晃一(*13)は、偶然にも儀式の失敗を企んでご神体である堕辰子の首を持ち出していた。 後のゲーム本編の主人公達のように、彼にも紡がれた因果の導きがあったのかもしれない。 その後、澄子の導きで神代家地下の秘密の通路を抜け出し不入谷教会へと到着した先代の美耶子は、 ここで図らずも堕辰子の首を盗み出してきた晃一と出くわすことになる。 こうして、実である美耶子と、現世に残されている自らの肉体の一部である首を欠いたことにより、 常世より呼び出された堕辰子は完全な儀式の遂行に失敗。 その替わりとして、現世から常世に還る際に羽生蛇村そのものを異界に飲み込んでしまったのである。 これは、本来は『実』である美耶子を吸収して常世に還るのが正常な儀式の手順であるのだが、その『実』が得られなかった上、 更に実体の方の首まで欠けていたことから色々と不十分だった結果、替わりとして同じく自分の血肉を含んでいる羽生蛇村自体を持ち帰ってしまった…ということらしい。 この時の八尾は、永く生きるうちに自身の素性を忘れており、神代家の女中として働き先代の美耶子の世話をしていた。 つまり、上述の先代の美耶子の世話をしていた「澄子」として暮らしていたのだが、儀式の失敗によるショックで、本来の自分とその目的を思い出した。 ちなみに、どうして八尾に『澄子』の人格が生まれたのかも不明。 八尾の中にも長年に渡り達成されない儀式の完遂や、自らの子孫を生贄とすることへの疑問が育っていたのかもしれない。 いずれにせよ、この結果と異界化のショックを受けて「澄子」の人格に替わって、儀式を遂行することのみを目的とする八尾本来の冷徹な人格が表層化したという。 その後、先代の美耶子と行動していた晃一は、混乱の中での逃亡途中に傷を負ってしまったのか屍人化の兆候が表れ、 晃一は自らの身体の異常に気付くと、屍人…つまり化け物にならず、人間のままであり続けたいと願い、 先代の美耶子に頼み、自らの身体を拘束の上に杭を打ち込んで「封印」された。 自分を助けてくれたパートナーを失い、ショックを受けていた先代の美耶子も、 「澄子」を装って近付いてきた八尾の素性に気付くことが出来ずに敢え無く囚われてしまい、 目隠し・拘束の上で宮田医院の地下に幽閉される末路を迎え、ある意味でマッチポンプ的な逃亡劇は失敗に終わったのであった。 なお、先代の美耶子が何故か殺されずに幽閉されたのかについては、彼女を溺愛する「澄子」の人格の影響もあったという。 やがて、儀式が失敗し、村に大きな被害をもたらした張本人が先代の美耶子と志村晃一だと知れ渡ると、 生き残った人々は二人への憎悪から「駆け落ちに失敗した」と噂されることとなったが、真相はこういった経緯だったのである。 この時に異界化に巻き込まれた羽生蛇村=現実世界では土砂崩れが起こったことにされ、 31人が土砂に呑み込まれ、2人が死んだ大災害と伝わることとなった。 登場人物の一人、竹内多聞はこの災害に家族で巻き込まれ、両親を喪ってただ一人、現実世界に留まることとなってしまった。 後に牧野慶、宮田司郎となる双子も異界に巻き込まれつつ生還したが、父親は即死。 母親も、様子を見に来た見に来た牧野の父と宮田の母(元々は兄妹)に子供達を託して力尽きた。 双子はそれぞれ、後継者がいなかった牧野家と、後継者であった本来の『司郎』が異変で死亡してしまった宮田家に引き取られることになった。 二人があそこまで違う性格の持ち主となったのかはその家庭環境に問題があり、 牧野は儀式の失敗に関する責任感に押しつぶされていく養父を見続けていたことで八尾に縋るへタレとなり、 宮田は本来の『司郎』を失ったことで精神の均衡が崩れた養母に歪んだ愛情を注がれ、 宮田家の後ろ暗い事情を嫌というほど知りながら育ったため、どこか感情が欠落した人間になったのである。 それから27年後。 御印が出たことで本編に登場する美耶子が「神の花嫁」にされることとなったが、 (幽閉されたままで死ぬことも出来ない先代の美弥子の働きもあり)儀式を拒絶した美耶子は、ご神体である堕辰子の頭部を持ち出して破壊し、この時点で儀式は失敗。 こうして、またしても羽生蛇村は異界に飲み込まれてしまう。 27年前と同じく、儀式の失敗=堕辰子が異界に還る替わりに村の一部を異界に持ち去るということなので、 こうして異界に取り込まれた羽生蛇村が、27年前に取り込まれた羽生蛇村と混ざり合った異様な世界となったのが、ゲーム中の異界化した羽生蛇村である。 それぞれ異なる時代の羽生蛇村の一部一部を、レイヤーを重ねるように組み合わせているようなものとすればイメージしやすいだろうか。 そして、エンディングの通り、今回も現実世界では羽生蛇村は大規模な土砂災害に呑み込まれたとして認識されている(*14)。 須田は美耶子と出会ってから彼女を村の外に連れ出すべく奔走するが、傷口から体内に入った赤い水によって屍人化が進行していく。 そんな須田を見かねた美耶子は、唯一屍人化を食い止められる神代の血、つまりは自分の血を須田に分け与えることで屍人化を食い止めるが、 これにより、須田も神代の呪いを受け継ぐことになってしまった。 しかし、須田は今回も本来の人格を取り戻した八尾に美耶子を攫われ、自分も大怪我をしてしまう。 そんな彼を救ったのが、偶然彼を見つけ、治療した宮田であった。 宮田は屍人と化した恩田美奈、そして彼女と意識が同調してしまい、自ら絞殺して屍人としてしまった恩田理沙を撃退しつつ村中を走り回っていたが、 その中で病院の地下に拘束されていた先代美耶子と邂逅。 ミイラと化しながらも神代の呪いで魂が現世に残っていた彼女から『宇理炎』と呼ばれる神の武器を受け取ると共に、 八尾のたくらみを阻もうとする彼女の意思に影響され、その通りに活動し始めていた。 須田(と偶然彼の近くで倒れていた安野)の救助もその一環であり、 宮田は意識が回復した須田に二つあった『宇理炎』のうち一つを渡し、「君の役目だ」と告げた後、宮田はどこかへ去っていった。 須田はその後、儀式を行おうとする八尾の元へ辿り着くが、後一歩及ばず、 美耶子は堕辰子への生贄とされ、その肉体は現世から消滅してしまう。 そして堕辰子は復活するが、以前に須田に血を分け与えていたことで美耶子の『実』としての完全性が失われてしまっていたため、堕辰子は不完全な状態で復活。 その上、突如儀式を行っていた「屍人の巣」の天井部分が爆破されたことで堕辰子は苦手な直射日光を浴び、焼け爛れて弱体化してしまった。 これは須田たちと別れた後、牧野と思いの丈をぶつけ合った後に彼を殺害し「求導師」となった宮田がダムを破壊したことで、 「屍人の巣」の屋根が倒壊したことによるもの。 そして宮田は、水が抜けたダムの底で蠢く、半屍人となった村人たちを見つける。 彼らは自分たちが半屍人となった際、未だ健常な他の村人に自分たちが危害を加えぬよう、自らダムの水底に身を沈め、ずっと苦しみ続けていたのだ。 永い間生き続け、苦しみ続けてきた彼らを哀れんだ宮田は、命を犠牲にして『宇理炎』を使用。 屍人をも灼き尽くすといわれる煉獄の炎を発生させ、次々にそこに飛び込んで死という安息を得る彼らを見ながら、宮田は『宇理炎』を使った代償で衰弱していく。 朦朧とする意識の中、自分を呼ぶ恩田姉妹の幻影を見た宮田は、 生前ついぞ見せなかった安堵した微笑を浮かべながら、自らも煉獄の炎の中へ消えていった。 一方一連の出来事で意識を失った須田は、肉体を失いながらも彼の傍に寄り添い続ける美耶子と夢の中で話す。 そして須田は、美耶子と「あいつら(屍人や堕辰子等)を全部消す」という約束を交わした。 意識を取り戻した須田は、美耶子の導きで八尾や堕辰子が逃げ込んだ『常世』の世界の一つである『いんふぇるの』へと乗り込む。 本来自分に連なる人間や常世の存在しか入って来れない『いんふぇるの』に入ってきた須田を見た八尾は、 彼こそが『実』を盗み、復活を不完全なものにさせた元凶と理解して憎悪を向ける。 美耶子との約束を守るべく、堕辰子らに立ち向かう須田に、もう一つの『神の力』が味方する。 それは、須田以外にも春海を救おうと命を懸けた高遠らが解放した『木る伝』であった。 一方の八尾も、「もう、待つのはいや」と叫ぶや、堕辰子に自らの『実』を捧げ、彼の存在を完全復活させた。 やがて始まった最後の戦い。 須田は神代の呪いを引き受けたことで得た不老不死の命を用いて無限に使える『宇理炎』、 堕辰子の前に戦った屍人と化した神代淳から奪った刀『焔薙』とそれに宿った『木る伝』の力、 ……そして、肉体が消滅して魂だけの存在となってなお、須田の傍に寄り添う美耶子の力により、ついには堕辰子を打ち破る。 全ての元凶であった八尾も、まるで白髪の老婆のような姿になった後、 切り落とされた堕辰子の首を抱えたまま、崩壊していく『いんふぇるの』に発生した奈落の底に落ちていった。 しかし、既に常世の存在となっていた須田、そして彼の血を様々な形で体内に取り込んでいた竹内、安野、牧野は、異界から現世に戻ることはできなくなっていた。 唯一赤い水などを摂取せず逃げ回っていた春海も、名越校長の屍人に追い詰められていたが、 屍人と化してなお春海を思い続けていた高遠が校長を道連れに奈落に落ちて行ったことで窮地を脱する。 そして、友達であった美耶子に導かれた須田の手によって、春海は「どうあがいても絶望」な異界から唯一、現世に帰還することが出来たのであった。 その後、須田は美耶子との約束を守るべく、羽生蛇村に残る屍人を殲滅していった。 実はこの須田の行為こそ、村に訪れる前の須田が興味を持っていた『羽生蛇村三十三人殺し』の噂の元ネタであり、 時空がねじれている常世で虐殺している須田の姿をたまたまOP時点より過去の時代の人間が見てしまい、昔の噂となっていたのだ。 (※つまり須田は、自分で自分を呼び寄せたことになる。この辺りも、この作品が『時間ループもの』であることを強く印象付ける設定といえるだろう) なお、竹内と安野もそのまま異界に残されたとされている。 唯一宮田に殺された牧野だけは、人間としての原形を留めぬ『肉塊』として蘇るという謎めいた末路を辿った。 そして八尾は、切り落とされた堕辰子の首を抱えて奈落に落ちた影響で、その首を必要とする世界に首を届ける「運び屋」のような存在になった。 実はこの八尾こそが、美耶子にご神体である堕辰子の首を壊されて儀式が出来なくなった本編中のかつての八尾に首を届けた張本人でもあった。 八尾自身も、羽生蛇村の『無限ループ』の要因となったのである。 …なお、八尾は『実』を捧げることが“呪い”を解く方法と思い込んでいるが、本当に解けるのかは不明である。 「マニアックス」によれば、堕辰子の肉を食べた者達に発動した呪いは『常世の存在を下位の存在が食べる』という禁忌を犯したことに対して、 堕辰子当人ではなく、堕辰子よりも上位の存在が八尾にかけた呪いとされており、 堕辰子がたとえ許したとしても、呪いをかけた大本の存在が八尾を許すとは限らず、そもそも呪いが解けるのかどうか自体不明確である。 八尾は、「絶対に許されない」という絶望に気付かないまま、自分の子孫を生贄に捧げ続けていた可能性もある。 あるいはそれが、本当の意味で八尾にかけられた呪いなのかも知れない…。(*15) ~劇中に出てくる羽生蛇蕎麦の作り方~ 多めの沸騰したお湯で麺を3分間ゆでる。 ↓ 麺をざるにあげ、冷水でよくそそぐ。 ↓ 肉水、酢、唐辛子、砂糖で作ったスープに麺を入れ苺ジャムを乗せて完成。 お好みで季節の果物を加えても美味です。 ↓ ( ゚д゚)ドウアガイテモゼツボー 追記・修正は絶望してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 実写映画は、ひぐらしみたいなカンジだったな。 -- 名無しさん (2013-09-06 12 46 19) 淳に手こずってた頃が懐かしい。個人的には蛇ノ首谷の休憩所に居る2匹の犬屍人が最大の強敵だった。 -- 名無しさん (2013-10-07 17 29 07) ↑↑ネットで公開されてたという初期の企画の予告篇を見たが、原作の雰囲気に近かった。 -- 名無しさん (2013-10-23 02 03 03) 羽生蛇蕎麦うまい? -- 名無しさん (2014-03-02 11 43 09) 漫画版が出るようなのですげえ期待してる -- 名無しさん (2014-04-19 16 54 10) ここに来ての唐突なコミカライズは新プロジェクト開始への布石か? -- 名無しさん (2014-04-19 17 49 17) 糞ガキが書いたのか? -- 名無しさん (2015-04-21 09 41 08) スパナの存在に気付かずにゴール付近まで来て氏んだけど、チェックポイントから再開したら何故かスパナ所持しててやっとその存在に気付いた -- 名無しさん (2015-12-19 06 50 14) ここでは他の屍人の説明はないのか -- 名無しさん (2015-12-19 06 56 48) 設定面において「ヒントはやるから自分で考えてくれ」みたいな突き放したスタンスを取ってるゲーム。漫然とプレイしていると疑問だらけになりネットや資料を見てやっと理解したという人も少なくなかったのでは -- 名無しさん (2016-09-19 17 42 38) 今更角川文庫版『火の鳥』第3巻を拝見して気付きましたが、 ひょっとして『SIREN』って『火の鳥 異形編』のオマージュなのでしょうか……? -- 名無しさん (2017-06-08 20 19 43) ↑元ネタが同じ『八百比丘尼伝説』故に偶然似たのでは?オマージュ元の一つという可能性もありますが -- 名無しさん (2017-07-16 22 59 50) プレイ動画観るのすすめるのどうなの -- 名無しさん (2017-08-02 05 11 44) 登場キャラのアクション性が強くなったら、ラストオブアスみたいなゲームになりそう -- 名無しさん (2017-11-15 17 24 27) ↑2 あくまで「買ったけど進められない人」がプレイ動画みるのはいいんじゃないの? ちゃんと金出してソフト買ってれば。 -- 名無しさん (2018-01-05 15 45 40) 今年とTwitterでSIREN本編の物語の鍵となる出来事が起こった日時にちなんでファンが一斉に記念ファンアートを投稿する記念祭になってたりとか今なお熱烈なファン達による根強い人気のある作品だよね…… -- 名無しさん (2018-09-28 22 04 59) ネタバレの中身が割と間違ってるなぁ -- 名無しさん (2020-03-10 14 10 26) ↑だったらせめて間違ってる内容を具体的に指摘しろよ -- 名無しさん (2020-08-10 14 07 54) ネタバレ読んでみたけど、内容というか文章がおかしいところが見受けられるな。最初の方の節で行くと、「たった三人の村人だけは飢えに耐え切れずに、堕辰子に群がり、これを食べてしまう。」とか何かいつの間に村丸ごと全滅していたりとか。 -- 名無しさん (2021-02-11 22 34 57) 原作ゲーム『SIREN』と、リブート版に当たる漫画作品『SIREN ReBIRTH』との相違点を特集した記事として、『SIREN ReBIRTH』の項目(記事)を新規作成してくれることを強く望みます。 -- 名無しさん (2021-12-13 03 13 41) 登場人物の部分、可能な範囲で演者さんの名前追加したいなぁ。特に八尾さん役の人とか情報なさすぎてむずいけど・・・。 -- 名無しさん (2023-04-20 11 40 48) 美耶子の「(導きに従い)自らそれを拒絶し・・・」とあるけど美耶子が誰かに導かれていたっていう描写とか説明あったっけ? -- 名無し (2023-05-03 08 52 47) ↑×3 本作とは無関係だけど、海外で『SiREN』というタイトルのホラー映画があった。日本では未公開で悪魔の翼を生やした美女クリーチャーが登場する感じ -- 名無しさん (2023-05-19 00 27 25) 当時チビッ子で寝るときはテレビをタイマー付けて寝るくらいにはビビリだったがCMでコレが流れてきたときにゃもう耳塞いで蹲って動く事が出来なかった -- 名無しさん (2024-02-29 13 44 25) 名前 コメント
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登録日:2011/05/11(水) 17 10 33 更新日:2023/12/29 Fri 00 20 52NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 SIREN SIREN ReBIRTH SIREN ReBIRTH←真の主人公 「これ、宮ちゃんの…」←違う アダルトチルドレン スパナ王子 ネイルハンマー ネイルハンマー宮田 ネタバレ項目 ラチェットスパナ 加害者にして被害者 医者 双子 因習と因果の犠牲者 宮田司郎 宮田無双 弟 意外といい人 撲殺天使みやたん 歪んだ愛情(愛憎)の産物 満田伸明 裏主人公 院長 画像:SIRENオフィシャルサイトより。 ゲーム『SIREN』に登場する人物。 声:満田伸明 年齢/27歳 誕生日/1976年6月13日 職業/医者 羽生蛇村にある宮田医院の院長。 名字が違うが牧野慶は双子の兄にあたる。 また、同じ病院の看護師・恩田美奈とは恋人である。 性格は冷静で兄に比べ落ち着いているものの、感情の変化が乏しく冷めた反応も多い。 喋り方にも抑揚がなく、無気力を通り越して無感覚な印象を受ける。 イケメンである。双子かつ中の人も一緒な牧野よりもずっとイケメンである。 ※以下ネタバレ 蛇ノ首谷で穴掘りしていた際に突然起こった異変に巻き込まれたらしく、そこで目を覚ます。 蛇ノ首谷を脱出後、大字粗戸にたどり着いた時に美奈の妹の恩田理沙と会い、彼女と行動を共にしながら宮田医院(ただし27年前のもの)に到着する。 院内で休憩中、同じく病院にたどり着いた双子の兄である牧野慶と話し込んでいたが、屍人と化した恩田美奈の襲撃に遭う。 そして美奈と意識が同調し、精神に異常をきたした理沙を絞殺するが、その直後にサイレンが鳴ったために理沙は屍人化して復活。 なお、理沙を絞め殺した際に「流石双子だな、死に顔もよく似ているよ」と呟いたことで、美奈を殺害したのも彼だと判明する。 宮田は屍人化して襲ってくる恩田姉妹を撃退しつつ、病院の地下に向かう。そこには、生前に椅子に目隠しをされて拘束されていたと思しきミイラがあった。 訝しみながらも近付いた宮田に向かって、ミイラはひとりでに手を持ち上げ、その手に握っていたものを差し出すかのような姿勢を取る。 それを「自分に受け取れと言っている」と解釈した宮田は、ミイラが握っていた宇理炎を受け取った。 ※ちなみにこのミイラは公式HPで閲覧出来る「羽生蛇村異聞録」に登場する、先代の神代美耶子。 とある事情から27年前に拘束され、身体は既に朽ち果てているが、神代の呪いで精神だけ生き残っていた。 その後、橋の下で瀕死になっていた須田恭也と安野依子を偶然発見。 宮田医院まで連れて行って輸血などの応急処置を施し、2人の意識が戻ったのを見届けてから立ち去った。 そして宮田は、儀式が失敗に終わってしまい、失意の内に屍人の巣をさ迷っていた牧野の前に姿を現す。 双子でありながらまったく異なる道を歩んだ彼ら。 牧野を光とするなら影の人生を歩んできた宮田は、求導師として生きることの辛さや重圧を牧野から聞いてなお、 「それでも私は、牧野さんになりたかった」と長年抱いてきた思いを吐露した後、 「これでこの舞台から退場する」 「さよなら、兄さん」 と言い銃を自分のこめかみに当て、発砲した。 後に、この場所を訪れた竹内多聞が宮田の名札付の白衣の燃えカスを発見している。 ※以下さらにネタバレ 先のイベントで自殺したように演出された宮田だったが、実は自殺しておらず、牧野を射殺していた。 宮田は射殺した牧野の求導師の服を奪い、宮田司郎の名を捨てて「求導師」牧野慶として行動を始めていたのだ。 (名前は牧野慶になるが、モーション、声、装備、そしてかっこ良すぎるリロードでバレバレ) 「牧野」となった宮田は、「自分に出来る事」を探しつつ、屍人の巣でさ迷っていた須田に「受け取れ、お前の役目だ」と宇理炎の片割れを渡す。 そして、耶辺部落で爆弾を入手した宮田は、姉妹共々頭脳屍人となりつつもなおも自分に追いすがってくる恩田姉妹を退け、ダムを爆破した。 ※これによりこの水が屍人の巣に流れ込んで日光を遮っていた違法建築を破壊したため、堕辰子は直射日光を受けて瀕死となった。 その後、宮田は水が無くなったダムの底で、半屍人となりつつも自ら水底へと身を沈めてサイレンの音に抗い続けていた、かつての異変に巻き込まれた村人たちを発見。 屍人になっていない村人たちを守るべく「永遠に生きる苦しみ」に耐えていた彼らを哀れんだ宮田は、「求導師」として彼らを救うため、自身の命を代償に宇理炎を使用する。 屍人ですら消滅させる「煉獄の炎」へ自ら飛び込んでようやく死という安息を得る彼らを見ながら、宇理炎を使った代償で一気に衰弱していく宮田。 意識が朦朧とする中、地面を割って立ち上る蒼い火柱の中で、自分を呼ぶ恩田姉妹の幻影を見た彼は、微笑みながら彼女たちの元に向かうように歩き、火柱が立ち上る大穴へ落ちて行った。 ※以下さらにさらにネタバレ 実は宮田家には養子で入っており、旧名は吉村克明 。 生まれたばかりの27年前に起きた儀式失敗による異変に家族共々巻き込まれるが、 因果律に基づいて"必然的"に現世に戻ってきた。 ※両親は現世に戻ってきたものの、父親は即死。 母親も即死こそしなかったが、そこに通りかかった牧野の父と宮田の母に息子達を託した後、譫言を漏らしてすぐに事切れている。 克明は異変による災害で息子の司郎を失った宮田家に養子として引き取られる。 しかし宮田医院の跡取りとなるべく異常な愛情と熱意を注ぐ養母と、 そんな彼女を狂気じみていると感じながらも干渉せず、むしろ彼女の愛情を一心に受ける自分を疎ましく思う養父との間で歪んだ育ち方をすることになる。 さらに宮田医院は、村の暗部を知る者や知れると都合の悪い存在を始末する裏の姿を持っていた。 村の求導師とされる牧野家に引き取られ、何もしなくてもいずれは期待、尊敬される立場になる自身の半身たる兄とはまさしく対照的な立場にあった。 ただ、引き取り先が違ったというだけで日陰に追いやられ、自分とほとんど同じ顔に頭を下げて働くことを余儀なくされた宮田は、兄への羨望と嫉妬の念を募らせながら育った。 これで牧野がまだ自分より有能であれば諦めもついたかもしれないが、ご存知の通り牧野が、 無能!ヘタレ!八尾コン! であったのもフラストレーションを溜める一因となったに違いない。 ※ただし、牧野が八尾コンになったのは儀式の失敗を苦に早々と養父が自殺して八尾しか頼れる人がいなかったことや、八尾自身が牧野を意図的にそう育てたせいでもあり、 一概に彼だけが悪いというのはやや酷な話でもある。 そして成長し院長の座を継いだ彼は、異変当日に何らかの理由で(宮田のコンプレックスを傷つけるような発言をしたというのが有力)恋人の美奈を衝動的に殺害。 事実を隠蔽するために死体を埋めていた時に異変に巻き込まれた。 ちなみに理沙が遭遇し助けを求めたのは、彼女がまさに探していた姉を殺し、その遺体を埋めた直後の宮田だったりする。 あまり感情を表に出さない宮田が彼女の顔を見て「美奈…!?」と一瞬驚きを露わにしたのも、殺したはずの人間(と同じ顔)と出くわすという状況のせいであろう。 一方の美奈はというとサイレンと共に屍人として復活し穴から這い出ているが、すぐ近くにいた宮田を発見できずに明後日の方角へ行ってしまっていた。 また宮田は27年前の異変の生還者として、物心つく前に儀式を阻止しようとして失敗し異界に取り残された先代の神代美耶子から、 “夢”という形で八尾の目論見を阻止しようとする彼女の指示を受けていたが、得体の知れない夢にどうするべきか分からずにずっと悩んでいた。 本編後半、つまり「牧野」はその指示に従うことを決意したため、宇理炎を受け取ったり、瀕死の須田&安野を助けたりと本来の宮田らしくない行動を取ったとされる。 ※なお牧野も同じ夢を見ていたが、ヘタレな上に八尾が無視するよう教えていたため、目を必死に背けていた。 彼は最終的に"殺人者・宮田司郎"を捨て、"真の求導師"として苦しむ人を救い、 堕辰子を滅するきっかけをも作った後、かつての恋人とその妹と幻影を見ながら、安らかな顔で逝った。 正直視点を変えれば自分勝手な生き方を送ったマッドドクターだが、 コンプレックスを克服し、最期は自らの命を賭して多くの人を救った宮田はまさにSIRENの裏主人公的存在であり、ファンも多い。 名前の元ネタは白い巨塔の田宮二郎。 本名の方の元ネタはピーコ。 ちなみに恩田姉妹のその後だが、第2日目に医院の地下で宮田により二人揃って解剖された後、 最後には理沙は宮田に杭を打ち込まれ、美奈は坑道内に生き埋め(?)にされている。 屍人の行動理由を考えれば美奈(と姉の意識と同調した理沙)が宮田に執着するのはそれだけ彼を愛していたためとも取れるが、 そこまでの責め苦を味わわせた張本人がいまわの際とはいえ笑顔の彼女たちに呼ばれる幻影を見ながら逝くというのは些か都合が良すぎやしないだろうか… ◆主な装備 ラチェットスパナ 宮田の車に乗っていた工具。 最後まで所持しているが、1日目の7時にもうネイルハンマーを手に入れてしまうため、 よほどのマニア以外は最初のステージくらいでしか使わない。 ぶっちゃけいらない子。求導師になった後も持ってるが ネイルハンマー 宮田を代表する武器。 大字粗戸のゴミ箱に捨てられていた。 その辺に捨てられていたゴミなのに拳銃1発と同等という、恐ろしく強い武器で、 打撃武器では神の武器である焔薙を除けば最強。 なにそれこわい。スパナがゴミのようだ! ちなみに2、NTでもネイルハンマーは出てくるが、なぜか恐ろしく弱い。 やはり宮田でないと使いこなせない武器なのかもしれない。いや、本来は工具なんだけども。 ( 三)<ふむ?工具だと何か問題でも? なお、宮田がこの武器を使って屍人を無双していく姿や、そこから転じて宮田自身を撲殺天使宮田と呼ぶファンも。 ちなみに求導師になった後も持っていた。3日で美奈や理沙を倒すための拳銃の弾を温存するために道端の雑魚を倒す武器としてはかなり役立つ。 38口径短銃 コルト・ディテクティブ・スペシャル。 元は竹内が所持していた拳銃だが、なぜか牧野になりきった宮田が持っている。 気絶していた時に盗…借りたのだろうか。 ◆リブート版『SIREN ReBIRTH』 基本的に原作と同じだが、リブート版における(須田恭也と立場が入れ替わった)事実上のメイン主人公として扱われていることもあり、 「完全に牧野慶とは対照的な人物」かつ「(義理の息子に躾の度を越えた虐待を行っていた養母・宮田涼子と同じく)加害者にして被害者にあたる人物」として描かれるため、 悲惨な生い立ちがより克明に描写されている。 その他にも 恩田美奈との恋愛関係が掘り下げられたこともあり、美奈殺害の経緯が改変されている 宮田涼子との関係が改変されると同時に、彼女と共に築いた歪な親子関係(共依存)の描写が追加されている 宮田涼子・恩田美奈・恩田理沙に思うところがある節を見せている …などと原作ゲームとは対照的に良くも悪くも人間味のある(人間臭さを持つ)ダークヒーローとなっている。 中の人は昼ドラの脇役や舞台やCMなどマルチで活躍する俳優。 ここ最近ではヘルシア緑茶のCMに出演していた。 またラーメンチェーン七鐘屋も経営している。 追記、修正は真の求導師になってからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ニコ動の10周年記念生放送のお陰で常に酔っ払ってるイメージが付いちまったw -- 名無しさん (2014-06-17 22 53 15) 嫌いなキャラじゃないし寧ろ好きな部類だけど私情で3人殺してるのに最終的に救われてるのは何か納得いかない。2の永井は事故で1人殺したらあの仕打ちなのに。 -- 名無しさん (2014-08-07 19 42 57) 永井は戦いを楽しんでいたから闇人ランドに堕とされたという説があるよ -- 名無しさん (2014-09-10 00 25 20) 無能な善人より -- 名無しさん (2015-01-31 00 01 20) ン宮田です -- 名無しさん (2015-05-15 15 54 28) スパナの存在気付かずゴール前付近まで来て氏んだらチェックポイントでいつの間にか所持してたな -- 名無しさん (2015-12-19 06 58 35) ボス撃破のチャンスを作った事と耐えてた屍人達を(家に帰っちゃった二人除いて)救った事の功績は大きいわな ところで、あの穴はどこに通じてるんだ? -- 名無しさん (2016-09-23 16 40 23) 不安とか動揺とか恐怖とか渦巻く中、突き進む爽快感!··· ···とか? -- 名無しさん (2016-10-22 13 22 15) ※以下、さらにネタバレ 中の人「バカヤロー↑」 -- 名無しさん (2016-11-06 08 00 40) 恋人の腹に子供いたってマジ? -- 名無しさん (2016-11-19 23 42 38) 踏まれてるやつよく子供って言われてるけど、1ヶ月程度じゃ形にすらならないよ -- 名無しさん (2017-02-20 00 46 14) プロフィールを最初知った時、羽生蛇村って異変関係無くても元々ヤバい場所だったんだな -- 名無しさん (2017-02-20 01 09 24) 荒らしコメントを削除しました -- 名無しさん (2019-10-12 13 23 43) コミカライズだと妊娠の描写あったし、宮田も屍人になっての再会でそれに気づいたふしもあったな -- 名無しさん (2020-02-24 16 22 35) 思えば彼の育ての母親(宮田涼子)は、周りのせいで歪んでしまった様子…。(宮田家に嫁いだけど子供が生まれず苦労して(何か言われたらしいし)、二度と子供を産めない体になってしまったけどやっと子供が授かった、しかしその実子は儀式の失敗による災害で亡くなってしまう。) 尚、彼女は外伝小説では最終的に病気で寝ていた状態が描かれていたけど、その後はどうしているかは不明らしい。 -- 名無しさん (2020-10-13 00 36 34) 須田・多聞・宮田はSIRENのメイン主人公という認識です。ただ、須田が表主人公だとすると、宮田は裏主人公と言えるでしょう。(多聞は、準主人公に近いかもしれない。) -- 名無しさん (2020-10-13 00 41 21) 『SIREN ReBIRTH』では、宮田の性格が屈折する経緯が描写される前後に、彼のコンプレックスが更に強調されているんだよな… -- 名無しさん (2020-12-27 02 00 06) 『SIREN ReBIRTH』において、宮田にとって初めて(恩田姉妹を殺害する前に)殺した人間がメンヘラな養母(毒母)の涼子になっているだよな…ちなみに涼子は死後ホルマリン漬けになっている -- 名無しさん (2021-01-09 17 55 21) 彼女は心から宮田を愛していたが宮田が背負わされた村の闇が深過ぎたんや… -- 名無しさん (2021-04-28 01 09 10) 宮田です(半ギレ) -- 名無しさん (2021-09-17 09 23 28) 『SIREN ReBIRTH』では、涼子が村の人々(主に義家族であった宮田家)のせいで精神を病み歪んだ人格を持つようになったことが示唆されているんですよね…晩年は記憶障害を患うほど容態が悪化し、舅(義理の息子の養祖父)の命令に従った宮田の手にかかって殺される最期を遂げた -- 名無しさん (2021-12-13 01 46 42) この人が救われたというか安らか逝けたのは、命を代償に救ったからのかもな。 -- 名無しさん (2022-11-07 18 13 56) 漫画版だと宮田&牧野の誕生日は6月6日で、13日は本物の宮田司郎の誕生日ってなってたのね。 -- 名無しさん (2022-11-18 22 34 47) 宇理炎(ウリエル)つながりでヤコブ(牧野と合わせてヤコブとエサウ)がモチーフのひとつだったりするんだろうか。『ヤコブこそがウリエルが「人間と暮らすべく転生した姿」であったともされている』らしいし -- 名無しさん (2023-07-29 13 03 44) 名前 コメント
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A「打撃/巡回」体育館を巡回。 上通路ハシゴ側~下 B「打撃/巡回」体育館を巡回。 開始地点方面~下 C「打撃/巡回」3,4年教室横を巡回。 狭い範囲をうろついている。 D「打撃/固定」 1,2年教室横の廊下で固定。 E「打撃/固定」 図書室前の廊下に固定。 F「打撃/固定」 図書室内に固定。 G「打撃/巡回」 図書室内を回っている。 H「打撃/固定」最初は階段を上り、2階空き教室中扉で固定。 警戒状態になると体育館隅まで移動。鍵入手後は強制的に3,4年教室横の階段に固定。そこで警戒すると再び2階へ。 終了条件1(TA) 当wiki管理者の記録[02 09 93] リロード不要プレイでもあります。 体育館の敵は上から一体だけ倒す。(強行突破も可能ですが、危険な上、攻撃による体力減少の影響もある為避けます。) 体育館の扉を開けたら、ターンして扉を閉める。 2階の一番手前の教室扉を開け、隣の教室の敵Hを倒す。 図書室側の扉から出て、教材倉庫で道具入手。 体育倉庫で鍵を拾ったら、敵を全て無視して脱出。 終了条件2(TA) 当wiki管理者の記録[02 28 96] リロード不要プレイでもあります。 条件1と同様にして2階へ。 廊下の敵は無視して、すぐに教室へ入り、空き教室の敵Hを確実に倒す。 敵をかわしつつ、まずは教材倉庫で道具入手。 図書室に入り本を拾ったら、立ち止まらずに進み脱出。
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Born From A Wish――隙間録・ジェイムス・サンダーランド編 窓の外には、真っ白い霧が充満していた。 目を凝らしても、映るものは流れゆく霧の動きと、流れの隙間に時折見える木々の陰ばかり。 相変わらずの、ホワイトアウト。“レイクビュー”とは名前負けも良いところだ。 本来は静かで美しい湖畔の景観も、これでは誰かの心を安らげる事は出来そうにない。 やはり、それも――――私のせいなのだろうか。 ホテルの図書室で、木製の小さな椅子に腰を落ち着かせたまま、私はこれまでの経緯を振り返る。 町の異常や、町を跋扈する怪物は、自分と何かしらの関係がある。薄々は勘付いていた事だ。 それと同じく、町に到着してから一度として晴れる事の無かったこの不自然すぎる濃霧も、やはり自分と関係していたのだろうか。 目を背けていたかった現実を覆い隠そうとしていたのか。 それとも無くしてしまった記憶を追いかける焦燥感が形となって現れていたのか。 いや、どちらにしても既に私は現実を理解している。 妻との――――メアリーとの思い出が残るあの部屋で。つい先程確認したビデオテープの映像で、全ての記憶は取り戻されている。 それでも、未だに霧は晴れていない。町も私も、怪異から開放されていない。記憶を取り戻しただけでは、終わらないのだろうか。 ――――当然か。結局私は、肝心な事は何も成していないのだから。 耳につけているヘッドフォンの音が途絶えてから、どれくらい経ったのだろう。 聞かされていたのは、絶望と苦痛の始まりの声だった。 妻の担当医から、彼女の余命を告げられた、三年前のあの日の思い出。 もう記憶は取り戻しているというのに。この場で改めて現実を突き付けられて。 呆けた様に眺める霧の中には、この三年間の苦しみが映像となり、走馬灯の様に移り変わって。 最後に浮かんだものは、もう誰の温もりも感じられない、空っぽになってしまった冷たいベッドだった――――。 やはり、向き合わねばならない。 自分の心に対して。そして、死なせてしまった――――いや、殺してしまった妻に対して。 けじめをつけない限りは、この怪異は恐らく永遠に終わりを迎える事は無いのだ。 それが例え、どの様な結論であり、どの様な結末に至ろうとも。決着は、私自身でつけなくてはならない。 私はゆっくりとヘッドフォンを耳から外し、デスクの上に戻した。 そしてナップザックをデスクの上に置き、中から道具を一つ一つ取り出して並べていく。 ブルー・クリーク・アパートの一室で見つけた、『白の香油』。 ガソリンスタンドに置き忘れられていた、『書「失われた記憶」』。 歴史資料館の割れたガラスケースに展示されていた、『黒曜石の酒杯』。 そして、この図書室でつい今しがた手に入れた、『赤の祭祀』。 町をさ迷い歩く中で、何故だか手にしてしまった道具の数々だ。 その理由も、今ならば分かる。 私は惹かれていたのだ。この町の、とある伝承に。 この町は、サイレントヒル。 ここには古から伝わる神達と、それを崇める人々がいた。 彼らは、力を持っていた。非現実的な――――死をも否定する力。 死者を、甦らせる事の出来る力。 もしもその伝承が真実であるならば――――。 トルーカ湖の中央辺りに浮かぶという離れ小島で、これらの道具を用いて死者蘇生の儀式を行えば、メアリーは、還ってくる。 私は、それを求めてしまった。 現実から逃げ出して、都合の良い記憶を作り出し、己の醜さからは目を背けていたくせに。 心のずっと奥底では、妻が甦り幸福だったあの頃を取り戻すという希望を求めていたのだ。 ――――そんな事が、許される筈もないのに。 妻の顔に枕を押し付けた時。 枕の下で必死に抵抗していた彼女の力強さは、今の私の手には鮮明に蘇る。 あの痩せ細っていた身体のどこにそんな力を残していたのか。 それは、気を抜いてしまえば私の方が押し負けてしまう程に強い力だった。 三年間の闘病生活で体力などすっかり失われていた筈なのに。 死にたくない。 生きていたい。 その想いを剥き出しにして、メアリーは最後の時まで力強く抵抗した。 そんな、本心では決して死など望んでいなかったメアリーを。 薬の副作用と死の恐怖に苦しみ、外見も性格も醜く変わり果ててしまったメアリーを見ている“私”が辛いから。 治る見込みなど無いメアリーを、いつまでも介護していなくてはならない地獄の様な日々から“私”が解放されたいから。 そんな、己の醜いエゴで殺しておきながら――――あまつさえ、そうする事がメアリーの為なのだと、その責任すら転嫁しておきながら。 彼女と共に幸福に生きる未来を求める事など、許される筈がないではないか――――。 デスクに並べた道具を一瞥し、私はもう一度窓の外に目を向けた。 記憶は全て取り戻した。 この町に来た本来の目的も。 妻が今どこに居るのかも。 その目的の為には、儀式の道具は必要ない。私には、その資格もない。 このまま、ここに置いていこう。 そして、そろそろ向かわなくてはならない。 この先で“私の中のメアリー”が待っている筈なのだ。 これ以上逃げている訳にはいかない。答えを出しに行かなくては。 一面が乳白色で覆われているこの殺風景な霧の世界も、それで晴れてくれると良いのだが。 妻との思い出の景色をこのままにしておくのは、とても忍びないのだから。 私は立ち上がり、図書室の扉を開いて――――。 それが、十時間程前の出来事だ。 私が図書室を出て、異形と化した妻の幻影と対峙し、そして当初の目的――――トルーカ湖での入水自殺を果たしてから、岸辺で目を覚ますまで。 時間にしてみれば半日も経過していない筈だった。 その間に、一体何が起きたというのだ。 現在の時刻は、午前二時半を回ったところだった。 私は今、再びレイクビューホテルの図書室に戻って来ていた。 いや、“戻って来た”という表現が正しいのかどうかは良く分からない。 レイクビューホテルは、本来とは全く別の場所に存在していたのだから。 そうだ。今は何故か、このサイレントヒルの町並みが変化しているのだ。 濃霧に包まれた岸辺で意識を取り戻し、訳の分からぬままに町の中に戻り、さ迷い歩いて、私はその事に気が付いた。 このホテルもさっきまでは湖の北岸にあった筈だが、今はどういう訳だか湖の東側に存在している。こうして辿り着いたのは、はっきり言えば全くの偶然だ。 その時点では、本当にここが私がさっきまでいたレイクビューホテルなのかどうかも断定は出来なかった。 私がこの図書室まで戻って来たのは、それを確かめる為でもあったのだ。――――いや、他に向かう宛が無かったのも事実なのだが。 そして結論を言えば、位置は変化していても、ここは間違い無くあのレイクビューホテルの様だ。 図書室内の書物も、デスクの上に置きっぱなしのヘッドフォンも、動かした椅子の位置も、私が最後に触ったままの形で残されていた。 建物の間取りも、覚えている限りの範囲では違和感は無い。ここが別のホテルだという可能性はまず無いだろう。 ただ一つだけ、この図書室内にはさっきとは異なる部分があった。 確かにデスクの上に置いた筈の二つの道具と、二冊の本。 死者蘇生の儀式で使用する道具と本が、全て消えて無くなっていたのだ。 どうやら誰かが持ち去ったらしいが、あれらの道具の意味を知っての事だろうか。 誰かが誰かを甦らせようとしているのだろうか。 だとしたら――――。 ――――いや。 それは私にとっては大した事ではない。 あれらの道具が何処に消えようと。誰が使おうと。私にはもう関係は無い。 重要なのは――――こちらだ。 私は顔を上げ、窓の外の濃霧に目を向けた。 そう。 重要なのは、こちらだ。 怪異は、今もなお続いている。 終わっていないどころか、その度合いを増している様に思える。 どういう事だ。 私はまだ、罪を償えていないという事なのだろうか。 まだ、思い出せていない記憶があるのだろうか。 それとも、今度こそ私は狂ってしまったというのか。 或いは――――これは私とは無関係の事なのか。 分からない。 私には、何も分からないが。 とにかく、私は戻るしかないのだろう。 もう一度。 この町の中へ。 この、真っ白い霧の中へ。 私の罪が許されたのかどうかを知る為に――――。 【D-3/レイクビューホテル/OPより約14時間前】 【ジェイムス・サンダーランド@サイレントヒル2】 [状態]:困惑 [装備]:無し [道具]:黒革の手帳 [思考・状況] 基本行動方針:怪異の原因を突き止める 1:私はまだ許されていないのか……? ――――Continue to Silent Syndrome 【アーカイブ解説】 【白の香油@サイレントヒル2】 ガラス瓶に入った白く濁った香油。 Rebirthエンドを見る為の必須アイテム。 【黒曜石の酒杯@サイレントヒル2】 黒曜石で作られた古めかしい杯。 Rebirthエンドを見る為の必須アイテム。 【赤の祭祀@サイレントヒル2】 ある古き神について書かれている。 Rebirthエンドを見る為の必須アイテム。 語れ。 我は真紅のものである。 嘘と霧は、彼らではなく、また我である。 汝らは我が一人であることを知っている。 そう、一人は我である。 おお、信じる者よ。 四百の僕、七千の獣と共に 言葉を聞き、そして語れ。 太陽の下にあっても、 それは忘れてはならない。 無限の盲目と降り注がれる矢、 それは我の復讐である。 枯れ行く花の輝きと否定される死者、 それは我の祝福である。 汝らは我と我の司る全てを 沈黙のうちに称えよ。 赤き心臓の四方へ放つ誇り高き香りよ。 白き酒を満たす杯、全てはそれに始まる。 【書「失われた記憶」@サイレントヒルシリーズ】 この町やその近辺の伝承や歴史について書かれている。 サイレントヒル2ではRebirthエンドを見る為の必須アイテム。 サイレントヒル2・マリア編やサイレントヒル3にも同アイテムが登場する。 一、 その名前は、この土地を奪われ、そして追われた彼らの伝承に由来する。 『静かなる精霊眠る場所』、ここでいう精霊とは自然世界における構成要素であり、同時に死者であり、崇めるべき存在だという。 そしてこの伝承は、そう呼ばれるこの土地が、神聖な祭祀のための場であったと語る。 しかし最初に彼らからこの土地を奪い、移住したのは、今この町に住んでいる人々の祖先ではない。それより前にも、移住者たちはいた。 その時は、この町は別の名前であった。だが、それが何という名前なのかは、記録はなく、知る者もいない。 わかっているのは、その名前があったということ、そしてこの町が何らかの原因により、一度は放棄されたということだけである。 二、 根強く期待――それは信仰と言い換えても良い――されているのは、『死者の復活』という奇跡である。 光落ちた丘の上で獣は歌う その言葉は血に、 その滴は霧に、 その器は夜に かくして墓は、ただの野に変わり すべての民は再会の怖れと喜びにふける スチェルパバの救いの下に 私は迷わず 古い伝承の中にもそれは語られる。 元々、この宗教では必ずしも死は終わりではなく、死者は過去の存在ではない。 死は人を精霊あるいは自然へと帰す通過点でしかない。それも可逆な変化である。 back 目次へ next MEMORY――隙間録・三上脩、加奈江編 隙間録・目次 羽生蛇村異聞 第三話・外伝『理尾や丹』――隙間録・吉村俊夫編 MEMORY――隙間録・三上脩、加奈江編 投下順・目次 譲らぬ決意
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須田 恭也(すだ きょうや) 男/16歳/高校生 本作のメイン主人公。中野坂上高等学校所属の高校2年生。1987年7月26日生まれ。オカルト好きで好奇心旺盛なごく普通の少年。通称SDK。羽生蛇村で起こった“一人の村民による全住民の大虐殺”という衝撃的な事件の噂に惹かれ、夏休みを利用して羽生蛇村を訪れる。羽生蛇村付近の山中でマウンテンバイクがパンクして彷徨っていたところ、村で行われていた怪しげな儀式を偶然目撃、異変に巻き込まれた。 神代 美耶子(かじろ みやこ)女/14歳/神の花嫁 本作のヒロイン。羽生蛇村の旧家・神代家の末娘。村で数十年に一度行われる秘儀の生贄”神の花嫁”として育てられる。そのため役所や警察など公的機関の干渉を一切受けず、戸籍すら持たない特異な存在である。離れに軟禁され、世話係以外との接触を絶たれた環境で育ったせいか、かなりの世間知らずで、初対面の恭也を「お前」と呼ぶなど誰に対してもぞんざいな口調で話す。生まれつき盲目であるためか、神代家の中でも強い幻視の力を持っている。 竹内 多聞(たけうち たもん)男/34歳/民俗学者 城聖大学に勤務する民俗学講師。1969年2月14日生まれ。専門は民俗学だが、考古学から宗教学、果ては神話やオカルトの類にまで興味を示し、その前衛的過ぎる理論から、学会では異端児扱いされている。羽生蛇村の調査中、突如異変に巻き込まれるが、事態を予測していたのか拳銃を用意していた(入手ルートは不明)。強引に付いてきた教え子の安野依子とともに脱出をはかる。 安野 依子(あんの よりこ)女/22歳/大学生 城聖大学の4年生。1981年6月25日生まれ。東京都品川区在住。竹内多聞を慕っており、半ば強引に竹内の調査に同行して異変に巻き込まれた。 牧野 慶(まきの けい)男/27歳/求導師 羽生蛇村の教会の主。”求導師(きゅうどうし)”と呼ばれる眞魚教(まなきょう)の祭司。立場上、村人から尊敬と信頼を寄せられているが、本人はそのことを重荷に感じており、求導女(きゅうどうめ)の八尾比沙子に縋っている。儀式を執り行っていた最中、異変に巻き込まれた。 宮田 司郎(みやた しろう)男/27歳/医師 羽生蛇村の医者。1976年6月13日生まれ。表向きは医者であるが、村の暗部を担う人間であり、儀式の弊害になる人間を秘密裏に始末する役割を課せられてきたせいか、どこか人間的な感情が欠落している。 恩田 理沙(おんだ りさ)女/21歳/家事手伝い 羽生蛇村出身の女性。東京都中野区在住。中学校卒業後、集団就職で一度上京し、スーパーのレジ係として働くも周囲になじめず、さらにはキャッチセールスの被害に遭って、傷心のまま村に帰る。村の診療所で働く双子の姉・美奈に会おうとして異変に巻き込まれた。 四方田 春海(よもだ はるみ)女/10歳/小学生 羽生蛇村の小学4年生。村人の中で赤い水の影響を受けずに幻視が(わずかだが)使える数少ない人間の一人でそのため周囲からの疎外感を持っている。深夜の学校で行事『星を見る会』の準備を手伝っていた際、異変に巻き込まれる。 高遠 玲子(たかとお れいこ)女/29歳/小学校教師 小学校教師。体育大学教育学部卒。四方田春海がいるクラスの担任である。学校の行事『星を見る会』の準備をしていた際に、春海とともに異変に遭遇する。 前田 知子(まえだ ともこ)女/14歳/中学生 羽生蛇村に住む中学2年生。1989年5月11日生まれ。些細なことで両親と喧嘩をして家出を決行、異変に巻き込まれる。 志村 晃(しむら あきら)男/70歳/猟師 羽生蛇村の猟師、初期装備として猟銃を持っている。27年前に妻子を土砂流災害で失い、家族が眠るこの土地から離れられずにいる。村人の中で赤い水の影響を受けずに幻視が(わずかだが)使える人間。70歳とは思えない機敏な動きが可能で、口調は渋い。 美浜 奈保子(みはま なおこ)女/28歳/TVレポーター グラビアアイドル出身のTVレポーター。特技はケーナ演奏。一時は、ドラマ「ハートはドキ土器」に出演するほどの人気があった(しかし処女作から出演経歴の殆どが珍妙なタイトルの作品ばかりである)が、現在ではすっかり下り坂に差し掛かってしまっている。本名は田中奈保子(たなか なおこ)。心霊番組のレポーターとして羽生蛇村の取材に訪れ、異変に巻き込まれる。 神代 亜矢子(かじろ あやこ) 女/16歳/高校生 神代家の長女で神代美耶子の姉。1986年8月24日生まれ。 “神の花嫁”として常世へ旅立つ運命にある妹・美耶子に対し、子を成して神代の血筋を繋いでいくことを運命付けられた存在である。自分よりも、妹の美耶子に畏敬の念が集まっていることに劣等感を持ち、許婚の淳までもが美耶子に執着していることに激しく嫉妬している。 八尾 比沙子(やお ひさこ)女/年齢不明/求導女 “求導女”と呼ばれる、求導師の補佐役。物語の序盤、負傷した須田恭也を助けた。穏やかな物腰と献身的な態度で、牧野をはじめ多くの村人達の信頼を集めている。 前田 隆信(まえだ たかのぶ)男/45歳/村役場職員 前田 真由美(まえだ まゆみ)女/40歳/主婦 前田知子の両親。異変後、知子の身を案じて、村を探し回る。 神代 淳(かじろ じゅん)男/18歳/神代家養子 神代亜矢子の許婚。1984年11月29日生まれ。入り婿のため、神代の呪とは無縁である。村の権威・神代家の跡取りであることを鼻にかけ、言動は非常に傲慢で執念深く、無抵抗の人間をいきなり銃撃するなど、サディスティックで卑怯な一面を持ち合わせる。 石田 徹雄(いしだ てつお)男/享年24/駐在巡査 羽生蛇村の駐在所に上司と共に駐在している巡査。無類の酒好きで、村の利き酒大会で優勝して広報に載ったり、濡れ衣であるが飲酒運転致死の疑いをかけられたこともある。 恩田 美奈(おんだ みな)女/享年21/看護師 宮田医院に勤務する看護師。恩田理沙の双子の姉。院長である宮田司郎とは恋仲。 名越 栄治(なごし えいじ)男/享年55/小学校校長 羽生蛇村小学校折部分校の校長。他の同級生と馴染めない四方田春海を思いやり、担任の高遠玲子が『星を見る会』というイベントを立ち上げようと提案した時、参加者生徒が春海一人であるにも関わらず校庭の深夜使用許可を許した、度量の深い先生でもある。本来の性格は温厚であり、持ち前の優しさから多くの生徒や教諭から慕われている。 竹内 臣人(たけうち おみと)男/享年34/郷土史家 竹内 好子(たけうち よしこ)女/享年31/主婦 竹内多聞の両親。父親の臣人は村の歴史と文化、独特の宗教性などを書き記した「竹内伝書」を遺している。27年前の土砂流災害で行方不明となる。
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【38口径短銃】 石川清隆に支給。 城聖大学の講師、竹内多聞が故郷である羽生蛇村を教え子の安野依子と共に訪れる際、 携行していた小型リボルバー拳銃。どのような経路で入手したのかは謎。 ゲーム中においては、後にこの拳銃は別の人物の手に渡る事に。 【焔薙】 リック・ゼラルスに支給。 羽生蛇村の旧家、神代家に代々伝わる家宝。「ほむらなぎ」と読む。 同村の秘祭を行う祭儀場である眞魚岩から採取した隕鉄を精錬して鍛えられた刀。 鍔の部分には同村独自の信仰の証である「マナ字架」が透かし彫りにされている。 ゲーム本編では最終戦の時に入手及び使用可能になる。 【ネイルハンマー】 曽良に支給。 釘抜きにも使える金槌。 ゲーム本編において打撃武器屈指の威力を誇り、使用者である宮田司郎は、 白衣姿から「撲殺天使宮田」の異名を持つ。 【火掻き棒】 神田修次に支給。 火の周り具合を調節するのに使う長い金属製の細い棒。 ゲーム中においては主人公・須田恭也がかなり終盤まで主力武器にしていた。 もっと他に武器になりそうな物があるような気がするが。 【鉄パイプ】 春巻龍に支給。 何の変哲も無い鉄パイプ。リーチと威力が平均的で使い勝手は良い。 ゲーム中においては竹内多聞が使用する。 【二十二年式村田銃】 ヴォルフに支給。 羽生蛇村の老猟師、志村晃が狩猟で使用していた旧式の猟銃。 性能は新式には劣るが、装弾数が8発もあるのが特徴。 【二十六年式拳銃】 ルミーア・ホワイトに支給。 旧式の中折れ式リボルバー拳銃。 ゲーム中においては羽生蛇村にテレビ番組の撮影で訪れた元アイドルのリポーター・美浜奈保子が使用する。 現実の二十六年式拳銃は命中精度が悪いとの事だが……。 【百円ライター】 中村アヤに支給。 燃料が切れたら廃棄する方式の簡易ライター。 ゲーム中においては「ライター」と表記され、羽生蛇村小学校折部分校教諭・高遠玲子が、 屍人の手から教え子・四方田春海を救うのに使った。 【狩猟用狙撃銃】 聖徳太子に支給。 狩猟用として広く普及しているボルトアクション式狙撃銃。 ゲーム中においては主人公・須田恭也が終盤に入手し使用する。