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夜。 太陽が沈みほとんどの人が家に帰る時間。薄暗い路地を私は走っている。心臓がばっくんばっくんと打って要求している。動くことをやめるように。走ることをやめるように。 でもそんなこと今は聞いていられない。肺の中の酸素をすべて使い切っても、腕や足がぼろぼろになったとしても、私は走らないといけないんだ。だって、そうでしょ? 私の後ろには私を喰らわんとする化け物がいるんだから。 「……はぁ……はぁ……んく……うあ……」 口からはもうまともな言葉も出て気やしない。だらしのなく出てくるよだれもぬぐう暇さえない。ひたすら走って、走って、走るのみ。それ以外私にはどうしようもできなかった。その化け物を一目見て直感でわかった。逃げなくてはいけないんだって。理由なんてわかんない。ただ、変だ、って。そう思った。異質。異常。異なっている。根本的に私とは違うものだって。 「ん……くっ……んん……あっ!」 空き缶。どこかの誰かが捨てたのであろうそれを踏んだ。気をとられてしまい私の足は互いにもつれ合いあっけないほど簡単に転んでしまった。 「いっ……た……」 ひざ、ひじといった部分から伝わってくる痛み。すりむいたんだ、きっと。でも、もうそんなの関係ない。体はとうに限界を迎えていた。足も心臓も肺も何もかもが。立ち上がれない。動けない。逃げられない。 「いや……やぁ……」 目から涙が流れる。痛みのせいなんかじゃない。これから襲いくることへの恐怖が。私の心を芯から染めきっていた。ひたすらに怖くて、仕方がない。震えが止まらない。何もできない。 顔を上げるとそこには。 化け物が立っていた。 目が覚めると地面に寝転がっている。こんな癖、私にあっただろうか。いやない。それではなぜ。 しかし、いくら考えてもその答えは分からない。とりあえず周囲の状況を確認してみることにしてみた。 とりあえず、空が暗い。つまり夜だ。記憶に残っている最後の景色も夜であったことからそんなに時間は経ってはいないはず。 「いったい……何が……?」 服についた汚れを払い、落ちていた荷物を拾い上げる。念のため中身を見てみたが何も盗られていないみたいだ。なぜ、倒れていたのかはわからないが何事もなかったみたいなので気を取り直して家に帰ろうと、一歩前へ進んだそのときだ。 「ふぇ?」 軽い。あまりにも軽すぎる。荷物のことだけではない。とにかく体全体がまるで風船でできているのではないかと疑うほどに軽い。そのことに思わず自分でも間抜けな声を出してしまった。 「気のせいじゃ、ない……?」 実験だ。とりあえずその場で軽く垂直に飛んでみよう。 「およ?」 その場でジャンプしたにもかかわらずほとんど音が立たない。それどころか力を入れた瞬間自身の体は下から誰かに押し上げられたように浮き上がり約一メートルほど飛んでいたのだ。 おかしい。私自身体力に自信があるわけではないし過去にここまでの跳躍したこともない。というよりここまで飛び上がれるものは本当に人間なのか、とそこまで疑える。 けど数分が経過しているが特に体に痛みが出ているわけでもないしこのよくわからない力を利用するのも悪くはないかもしれない。 と、そうこうしているとのどが渇いてきた。 どこかに、自動販売機でも置いてないかな。 なんか飲みたくてしょうがない。 そうだ、珍しく紅茶でも買おう。家に帰ったら、 赤ワインでも飲もう。 「う、ううん……」 地面にうつぶせになって倒れている私。何が、あったんだっけ。とにかくいつまでも寝ているわけにはいかないし、立ち上がらないと。 「よっこら、っと……え?」 立ち上がってみてびっくりした。だって、私の着ている制服が血まみれなんだから。びっくりした私は思わず服を脱いで確認した。ここ、路地裏だし大丈夫だよね……? 「うわどうしよこれ……」 首周りから胸にかけて汚れているようでまだ少しぬれていることから時間はそこまで経っていないみたいだけど。でも、なんで? 不思議に思った私はとりあえず首をさすってみた。すると、予感はしていたが液体の残っている感触があり、その手を見てみるとやはり血でぬれていた。 「え、ていうかこれ大丈夫なの? もしかしたらやばい?」 いったい私は気を失っている間にどれくらいの血液を失ってしまったのだろう。三分の一失っただけでショック状態になるとか聞いたことある気がするけどどうだっけ? けれども今のところ私の体に異常はないし大丈夫、なのかな。あ、服どうしよう。下に着ていたセーターは大丈夫だったからそれでいいかな。いいよね。どうせ家は近いんだし。 「帰ろうっと」 落ちていた通学かばんを拾い上げていざ歩こうと足を前に出す。うん、大丈夫。ぜんぜん大丈夫じゃん私。あれ? そういえば怪我したような気がするけど傷とかないや。まぁいいよね。それになんか変なことがあったにもかかわらずすごく気分がいい。 それにしてもなんか忘れてる気がするけど……忘れたってことはたいしたことないよね。 あーなんかお腹空いちゃった。それにのども渇いちゃったし。 あ、そういえばダイエット用に野菜ジュース買っといたんだ。 赤い、色の、野菜ジュース。 早く、飲みたいなぁ。 おそらくもし私を見ている人がいたら不審に思うだろう。浴びるようにペットボトルの中の紅茶を飲んでいる変な人がそこにいるのだから。すでに三本目。気づけば私は二千円分の紅茶を買い、そしてもう半分以上を飲み上げてしまっている。 理由はいたって簡単なもの。のどが渇いているからだ。乾いている。渇いている。干からびている。 それこそ砂漠の中にある砂のように。いくらつばを飲み込んでもその渇きは癒えず、とうとうつばさえもでなくなり紅茶をがぶがぶ飲む始末。 それでも、渇きは癒えない。それどころかどんどん酷くなる一方だ。胃の中が紅茶でいっぱいになっているだろうにもかかわらずだ。明らかに異常なこと。けど対処の仕様がない。わからない。 「飲みたい……」 何を? と思わず心で問う。もちろん答えは返ってこない。 「飲みたい……」 いいながらもその口は今もなお紅茶を含んでいるはずなのに。 「ノ……ミ……タ……イ……」 かすれた、音にもならない声が、私にだけ染み渡る。それは、まるで私自身へ私自身が要求しているように。 「AAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 気づけば私はガムシャラに走っていた。声という音域を外れ、獣じみた叫びを放ちながら。 頭の中でささやく。甘く、芳醇に、私を誘う。 チヲ、ノメ、ト。 アタタカク、アカク、アマク、イケルモノノ、チ。 チヲ、ノメ、ト。 「ただいまー」 ドアを開き、玄関で靴を脱ぎ、家に上がる。と、ここで向こうからいい匂いが漂ってくる。それは私の鼻をくすぐって、つい反射で口の中でよだれが出てきてしまう。この匂いはたぶんビーフシチュー、なのかな。 「お母さーん、今日ってもしかしてビーフシチュー?」 「そーよー。よくわかったわねそこからー。玄関でしょ今いるの?」 そういえばそうだ。私って、こんなに鼻がよかったっけ。 「まぁいいわ。そんなことよりさっさと着替えて着なさいねー」 はーいと返事をして私は階段を上り自室へ向かう。リズムよくトン、トン、トンと。 部屋に入ってひとまず着ている服を脱ぐ。するりと衣が脱げ落ちていく。人が自分を繕うためにつけている人間としての鎧が。 今の私は下着姿。この状態で部屋の外をうろつけば確実に軽蔑の視線が私に向けられるだろう。 「軽蔑……」 って私はいったい何を考えてるの! そんなの変態じゃない変態! 露出狂じゃあるまいし…… 「……あーもー! そんなことよりご飯、ご飯!」 思わず出てきた邪まな考えを振り払いちゃっちゃと着替えを済ませると部屋を逃げるように飛び出した。 「あらあら。いくらおなかが空いたからってそんなにあせらなくても誰も盗らないわ」 あまりにもどたばたと駆け下りたためかお母さんがそんなことを言い出す。息を整えながらイスに着いて料理が出されるのを待つ。 「うふふ、誰に似たのかしらねぇ。お父さんかしら?」 「もうそんなのどうでもいいよぅ……あ、それよりお姉ちゃんは?」 「多分、勉強中よ。あの子は今大事な時期だから。邪魔しちゃだめよ」 お姉ちゃん。私より二つ上で、いわゆる受験生。今、すごく忙しいみたいで、いっしょにご飯を食べることすら滅多にない。いい大学目指してるんだって。 「さ、ご飯にしましょう? 今日はビーフシチューよ? って、知ってるわよね」 「あぁもうお腹ぺっこぺこだよ! いただきまーす!」 全力で走っている私。人間では到底出せそうもないスピードで動くこの体は目的もなくただひたすらに走り回る。 むしろ、考えたくはなかった。私の頭を巡りに巡る思考回路を封鎖するために。自身がそうではなくなる恐怖。いつのまにか人道から外れたことを考え、そして実行してしまうそうな。そんな思考。 走っても走っても、逃げども逃げども、ソレが離れることなどない。なぜなら、それは私の頭の中で生きているからだ。ソレは腐っていて、それでいて、魅惑な息を私の脳髄に吹きかける。落ちてしまえば楽だろう。いや、楽に違いない。けれども、私に残されたヒトカケラの"人"が。ソレをかたくなに拒み続けていた。 走りに走って、いつのまにか路地裏の方に来てしまっていた。ここまで来るのに時間はそんなにかかっちゃいない。三分か、四分くらいだろう。それでも心臓はほとんど正常に鼓動を繰り返している。 どうかしている。普通じゃない。体も、心も。 「どうなっているのか……全くもって……」 途端。心臓の衝動。誰か、いや、何かからの非道なまでの圧力によって締め付けられている。 「アッ……ガッ……ケハ……」 止まる。心臓が。コドウが。イノチが。トマル。オワル。 「ウ、ア、コン、ナ、ノッテ……クヒッ」 カエルがひしゃげたような音を出しながら、私の体は落ちていく。路地の、冷たいアスファルトの上へ。 さようなら。 誰に言うわけでもないが、なんとなく、頭の中でそう呟いていた。 さようなら。 「あーあ。今日ももう終わりかー」 そんなことを、私はお風呂場で誰に言うわけでもないけど、言っていた。 「また明日も学校……あー休みたーい」 口ではこうは言っているが、実際は冗談だ。 もしも、明日いきなり台風が来て学校にいけなくなったりとか、大雪が降っていけなくなったりとか、インフルエンザが急に流行って臨時休校になったりするんだったらいいけど。 どうせ、そんなことはおきっこないんだから。だから、半ば諦めがちに学校に通っている私。 いかなきゃいけない。そう自分に言い聞かせて、毎日、登校する。 「はぁ。やんなっちゃうなぁ」 私は普段はこんなこと、考えない。だってせっかくの晴れてる心も一気に台無し。曇り空。 そういえば私、なんでこんなこと考えちゃったんだろ……? 「う~……あぁもう! 分かんないからパス!」 ぱしゃとお風呂の中に顔だけ潜ってネガティブな思考はシャットダウン。ぶくぶくぶくと泡が出ている。ほんとはお行儀悪いけど誰もいないんだから気にすることはないよね。 「おーい、いもうと~」 「っひゃあ!」 予想だにしていなかったのは私も姉ちゃんもおんなじみたいで向こうも驚いたようで。 「ちょ、ちょっと何、大丈夫!?」 「あ、ごめん驚いちゃってそれで……えへへ」 「まったく……どうせあんたのことだからお風呂でぶくぶくしてたんでしょ」 ばれてる…… 「ど、どうして分かったの?」 「だって昔はよくいっしょに入ってたじゃない。あんたいつもやってたし」 「そんなにしてたっけ?」 「してたしてた。それはもうぶくぶくぶくぶく。しまいにはよく母さんにしかられたかな」 そういえばもう何年くらい入ってないのかなお風呂。小学校くらいまではいっしょに入ってたけど二人とも中学にあがってしばらくしたら、いつのまにか入ることはなくなってた。 「いつのまにか、いっしょに入ることなくなったよね」 「え? ああ、そりゃいつまでもいっしょってわけにはいかないでしょ?」 「まぁそうなんだけど……あ、そういえばさっき私のこと呼んだけどなんだったの?」 「いきなり話が変わったわね……そういえば、なんだっけ。ああ次私入るからって言おうとしたのよ」 「なんだ、それだけなのか」 「あのねぇ……それだけなのに話を伸ばしたのはあんたの方でしょ」 「えへへ、ごめんごめん。もうちょっとしたらあがるから」 ほんとに頼むわよ、と言うと姉ちゃんはそのまま洗面所を立ち去っていった。 私も、もう上がらないとね。 もちろん風呂上りは、ダイエットのためのトマトジュースを思いっきり飲み干す。 いつもは、にんじんジュースだけどね。そういう気分なんだ。 そういう、ね。 一つの体が、そこにあった。 薄暗く、ひんやりとした空気がじめっと肌に触るそこはいわゆる路地裏と呼ばれている場所。 その体はピクリとも動きはせず、もしも誰かがそれを見たら救急車を呼ぶかそれともその状態を確かめに行くか。人によっていくらでも取る行動はあるだろう。 だが、もし勘の鋭いものがそれを見たとしたら。おそらくほとんどの者がこうするだろう。 "全力で逃走する" しかし幸か不幸かそれを目撃したものは誰一人としていなかった。 "それ"が、至って平然と立ち上がる姿を目撃したものも。当然いなかった。 「けひ……キひゃ……」 鳥か獣がか細く啼いたような、そんな音が体の口から洩れた。 体は、周囲に散乱していたプラスチックの群れを全く認識していないのか。踏み、蹴散らし、時にはすっ転びそうになりながら。その場を後にしようとした。 そのとき、体はその動きを停止し、辺りを見回し始めた。 当然その辺にゴミ屑同様に撒き散らされているプラスチックの塊を探しているわけではない。 鼻をヒクヒクと震わせて、何かのニオイを嗅ぎ取ろうとしている。 と、ある一点を向くと、それらの動きを全て停止させた。 そこには、女がいた。 制服を着ていて、通学かばんと思わしき物から携帯電話を取り出している。どこから見ても学生なのは明らかだった。 しかしそんなことはカレにはなんの関係もなかったのだった。 「あ、メール。 なんだお母さんか。 えっと……"ご飯できたから早く帰りなさい"……はいはい。わかってますよーだ」 少女は、そのメールを読み終わるとすぐさまその返事を打ち込み始めた。 「"りょーかいいたしましたお母様。すぐさま帰宅いたします"……っと」 内容を打ち終わりそれを送るべく送信ボタンを押す。携帯電話の画面には、紙が折られ紙飛行機になり、それが飛んでいくという映像が流れている。それが三度ほど繰り返されたとき、画面には"送信完了"の文字が映っていた。 「もぉーこのぐらいでいちいちメールなんか送ってこなくていいのにー」 そう言いながら携帯電話を折りたたむとかばんの中にテキトーに突っ込んだ。 家に帰ろうと、視線をかばんから戻すべく顔を上げると そこには、見たこともない男の顔があった。 「あーやっぱりお風呂上りはこれだよねー!」 お風呂から上がって早速私はトマトジュースを飲み干していた。よく友人などからは味の事をたびたび聞かれるけどそれはまったく問題ない。なぜならこのトマトジュースを含んだ野菜ジュース類は母が考案しそして何度も行われた細かい調整でようやく完成したジュースなのだ。(そのときの失敗作は私たち姉妹が強制的に始末させられたのだけど)もちろんまずいわけはない。 「そう言ってくれるとこっちも嬉しくなるわねー」 キッチンの流し台でお母さんは今日の晩御飯に使われた食器を洗い流している。手伝ってあげようかとも思ったけど私がお風呂に入っている間にほとんど終わってしまっていたようなので今日はやめておいた。 「それにしてもまたパパ帰りが遅いわ……ここのところいつも残業ばっかり。食事用意してるこっちの身にもなってほしいわ!」 そう言うとお母さんは頬を膨らませる。いい年してるのにって突っ込むと怒られるからしないけど。 「でもさぁ、そういうときって普通先に言っておくもんじゃないの?」 「確かにそうなのよね……ま、今日はたまたま残業が入っちゃったってことにしておくわ。そして食器洗い終了っと」 見てみると確かに流し台には一枚も食器は残っておらずそして全てがきれいに拭かれていた。 と、突然お母さんが欠伸をし始めた。それを見て思わず私も欠伸がうつってしまった。 「あらもう欠伸する時間帯……? 一日ってほんと短いのよね」 背伸びをしながらそんなことを言うお母さん。言ってることは共感できるけど。 「じゃ、私もう寝ちゃうから早百合もさっさと歯磨きして寝なさいね?」 「は~い」 口ではこうだけど実際はそんな気は毛頭ない。だってテレビ見るんだもん。夜更かしは学生の特権なんですって誰か言ってた気がするし。どうしても見たいし。別にいいよね。 すでにお母さんは自分の寝室に移動している。つまりここのテレビ独占し放題。バレると後が怖いけどね。 前に友達に聞いたんだけどわりと自分の部屋にテレビがある人も多いらしく私としては羨ましいの一言。ズルイぞ。 「さてさて、まずはスイッチを……オン!」 プツン、というなんだか歯切れのいい音がなり徐々にテレビの画面が明るくなる。なんかこういう瞬間ってドキドキするの私だけ? 「おっとっと音を下げて……っと。これでよし。何から見ようかな……」 そのとき、あまりテレビから聞くことのないプーンという音が二度すると、画面上部にはニュース速報の文字が流れている。 「こんな時間に速報かー。あれかな。地震とか?」 というより他に思いつかなかっただけなんだけど。 ゆっくりと流れてくるニュース。しかし私の予想に反して、"地震"の二文字はなく。代わりにこの二文字が流れていた。 「殺……人?」 "連続猟奇殺人事件" 普段全くお目にかかることのない文字が勢ぞろいで、私の目に飛び込んできた。 薄暗かった路地に月明かりが差し込む。 劇場の舞台にスポットライトが当てられたように、彼らに光が当てられる。 うつ伏せに倒れた少女と、そこに馬乗りになって少女に抱きついているように見える男。 月明かりの美しさ。それによりさらに極まるその行為から垣間見える異常さ。 よく見れば少女の首筋から血が流れており男はおぞましくもその血を音を立てながら啜り飲んでいた。 「キヒ……キヒヒヒャハ……」 ユラリとよろめきながら立ち上がる男。 淡い青色の月光と、病的なまでに白い肌と、口元にべったりと付いた赤朱色のコントラストはどこか芸術的な絵画のような。そんな印象を思わず抱いてしまうほど、月明かりは美しかった。 「ヒヒヒヒャハハハハハハハ……ヒヒハハハハハハハハ!!」 ケタケタとニヤニヤ笑いながら上に、空に向け、高笑う男。 一度膝を曲げたかと思うと普通では考えられない跳躍で跳び上がると、そのままこの場を風のように去っていった。 男の高笑いは、いつまでもその場にこだまし続けていた。 この倒れている少女が起き上がるのは実にそれから数分後のことである。 しかし一方で、こことは違う場所に話は移る。 「んで、着いた訳なんだよな。相棒?」 「……相棒というのは止して頂けませんか。一応、指揮権は僕にあるので」 そこには、二人の人間がいた。 ただいるだけならばそこまで気にすることはない。問題は彼らの見た目である。 まず一人は、長身で赤色の髪、銀色に輝くそれは見事な鎧を装着し、腰には長めの剣と思わしきものまで差している。 もう一人は、低身長気味で水色の髪、鎧とまではいかないが丈夫そうな革服と胸当てや肘当てといったものを装備し、腰には先ほどの剣よりぐっと短く、おそらくレイピアのようなものを差していた。 二人が並ぶとその身長差はよりはっきりと目立ち、もう一人の方はまるで子供のように思えて仕方がない。 「まあなあ、そりゃこんな見た目じゃどっちが上かなんて人目見ただけじゃ見抜くのは一苦ろ」 「それ以上僕の容姿について言及するということは覚悟ができていると思っていいんですよね?」 ジロリと睨むその蒼眼に思わずたじろいでしまう長身の人。流石にこれはまずいと咄嗟に言い繕う。 「あっははははは……冗談っすよ冗談……ったくちょっと触れただけですぐコレだからな……」 「何か、言いましたか?」 ボソッと呟いた筈の文句がなぜ耳に届いたのか、相手には見えぬよう苦々しい顔をしながら返事を返す長身の人。 「いえいえほんとになんでもありませんよほんとうに」 「……どうやら、任務より先に上の者への口の聞き方を教育しなければならないようですね?」 長身の人、それを聞くと今度は深々と頭を垂れ、実に丁重な雰囲気で言葉を述べ始める。 「……先ほどからのご無礼お許しください。どうやら自分は初任務に舞い上がり多少冷静な判断に欠けていたようで……」 低身長の人、一つため息を吐くと、怒る気力がなくなったような、それでいて重々しく。 「あなたの言葉に付き合っても無意味なので、この件はなかったことにします。ですが」 「もちろんこのことは今後一切口には出しません。誓ってでも」 「よろしい。それじゃ早速行動を開始します」 そういうと、彼らはその場を後にした。 後に残ったのは、ただ静けさばかりだった。 私は、テレビの画面に釘付けになっていた。 そのとき流れていた映像は全てどこかに吹き飛び、映るのは文字だけだった。 "今日午後10時ごろ、浦歩市内で血まみれの死体を見たという人が相次ぎ警察が調査をしたが死体は見つからず 見間違いだと思われていたが一人の警官が死体を発見したと通信機で同僚に報告したがその警官は行方不明に 現在その警官を捜索するとともに今回の騒動の真相を探っている" 「血まみれ……」 そう、私にも覚えがある。あのとき、路地で倒れていたとき。私は少しではあったけれど血が流れていた。 もしかして、何か関係があるのだろうか。そのときの記憶はあいまいなんだけど……できるなら思い出したくない。 なぜかはわからないんだけど、怖い。思い出そうとすると、黒い影がチラチラと頭を横切る。怖くって仕方ない。 「こらっ!」 「ひゃあ! テレビ勝手に見ててごめんなさいごめんなさいごめん」 「バーカ、わたしだよわ・た・し」 後ろから突然怒鳴られた私は思わず自分でもマヌケなほどに飛び上がってしまった。 見てみればお母さんじゃなくてお姉ちゃんだし。 「もう……脅かさないでよ」 「あっはははごめんごめん。あんまり真剣になってテレビ見てるからつい」 「つい、じゃないよもう。ほんとに心臓止まるかと思った」 「悪かったって、ごめん。んで、何か面白そうな番組でもあったの?」 連続殺人事件があったんだってー、なんて、言えるわけない。勉強に集中したいだろうし。それに今私が言わなくたって明日のニュースとかで見るだろうし、今言うべきことじゃないと思った。 「え、あ、ううん……別になかったよ」 「え~? 本当かな~? あんなにまじまじ見てる早百合珍しいと思ったけどね~?」 「ほ、本当だよ! そ、それよりお姉ちゃんは何しに来たのさ!」 なんか私ってごまかすのが下手な気がする……けど、お姉ちゃんはそのことを気にした様子もなく答えた。 「私? いやちょっとのどが渇いたからさ。ジュースでも飲みにきたってわけ」 「そっか。ところでなに飲むの?」 「もちろん母様特製スペシャルジュースに決まってるでしょ! あれ美味しいんだよねー」 スペシャルジュースというのはお母さんがお姉ちゃんの健康を気にして作り出したある意味お姉ちゃんのためのジュースだ。そのせいかお姉ちゃんもそれを一番のお気に入りにしているみたい。 「やっぱりそうだと思った。あーあ私ものど渇いちゃったなぁ」 「じゃあ飲めばいいんじゃない?」 「だって入れるのめんどくさいし……あ、そうだお姉ちゃんついでに私のも入れてよ」 「やーだよめんどくさい自分でやりな」 「むー、けちー」 「それに私の分はすでにやっちゃったからね」 気づくとお姉ちゃんはすでにコップを持っていてその中にはオレンジ色の液体が入っている。いつのまに。 仕方がないのでぶつぶつ文句を言いながらも私はキッチンの冷蔵庫に向かう。すぐそばでお姉ちゃんが飲んでいるのはどう見ても私に対するあてつけだ。全く私の分くらい入れてくれたっていいのに。 とりあえず何を飲むか選ぼう。えーと、うーむ、そうだ。トマトジュースにしよう。お風呂上りにも飲んだけど。 「お、トマトジュースなんて珍しいね。もしや、ダイエット中?」 私が冷蔵庫からトマトジュースの入ったボトルを取り出しているとそんなことを言ってきた。 「違うよ! なんていうか気分?」 「ふーん。あっそ」 それだけいうとさっさとまたジュースを飲み始めた。私も気にしないでさっさと飲むことにした。 不思議と飲み終わるのに大して時間はかからなかった。大きいコップを使ったはずなんだけどな。 隣を見るとお姉ちゃんがまだ飲んでる。 そういえばお姉ちゃんって結構スタイルいいんだよね。でもモテるなんて話し聞いたことないなぁ。 細い。お姉ちゃんの体って。よくこんな体で生きていられるよね。 ほんと、この首なんて、力を入れると折れてしまいそうで。 「ん? どうしたの?」 「っ!?」 急に振り返ったお姉ちゃんに気づいて慌てて私は手を引っ込んだ。 今私なに考えてたの? どうしてお姉ちゃんの首を触ろうとしたの? 「あ、う……」 「さ、早百合? どうしたの、顔色悪いよ?」 「ご、ごめんなんでもない……ちょっと外の空気、吸ってくるね」 「あっ、早百合!」 一分一秒も早くこの場から逃げ出したかった。何もかもが恐ろしくてたまらなかった。何より、私自身に。 私……いったいどうなっちゃったの? 「ったくキリがねぇぜこりゃあよ!」 「確かにこのままでは埒が明きませんね」 人通りの少ない少々寂れた商店街。そこに普段より多くのニンゲンがいた。 いや、正確にはニンゲンの形をしたモノ。とでもいえばいいのだろうか。 なぜなら彼らの動きは明らかに人という枠を超えたまさしく人外と呼ぶに相応しいものでまたそれに対峙している二人も人智を超えた目を疑うような光景を繰り広げていた。 剣を持つ二人の人間に対して老若男女の七体の化け物。しかしそのうちの三体はどういうわけか氷漬けにされている。 残りの四体はバラバラの動きで二人を仕留めようと彼らに襲い掛かる。あるモノは上から、あるモノは回り込んで後ろから、またあるモノは正面からとそれぞれの動きはバラバラながらもそのどれもが強力なパワーで攻めてくる。 それを主に捌いているのが長い剣を持った男。ときどき捌ききれないのがきたらもう一人と見事な連携で立ち回っていた。 「そこまで冷静に言うかフツーよォォ! アイツらはまだ7体もいるんだぞ!?」 「……ちょっと時間を稼いでください。まず僕が奴らの足止めをします……十数秒ほどですが」 「それで! どんくらい! 持たせりゃ! いいんだ!」 そういっているうちにも相手は休むこともなく攻め続けてくる。それを切り払ったり押し返したりしながら長身の男は聞いた。 「そうですね……20……いや15秒持たせてください。何とかしてみせます」 「何でもいいから早いとこ足止めって奴を! こっちは持ちそうにねぇんだぞ!」 「わかりました!」 そういうと手に持っていたレイピアに形状の似た剣を何かの絵を描くかのように振り回し始めた。 そしてさらに何かを唱えている。 水の神よその偉大なる業を我の前に示し給えいかなる時であろうとも我と共に在れ―――― イル・オン・ディヌ・ミカノズミ―――― 「フリージス・ミストッ!!」 その言葉を唱えると、化け物たちの周りを薄い霧のようなものが包み込み始める。 それを意に介せず再び攻撃を仕掛けようとする化け物だが、不思議なことにその体は全く動こうとしない。いや、動こうにも動かすことができないのだ。なぜなら、その体は瞬く間に凍りついているからだ。 そして、数秒もしないうちに七個の少々気味の悪いオブジェが出来上がっていた。 「ふぃー。助かったぜぇ……」 「僕は今のうちに次の呪文に取り掛かります。ですから……」 「んなことはわかってんだよォ!!」 そう言うと再び剣を構えなおし七個のオブジェどもへと向かって駆け出した。 しかし、普通ならば凍っている物を斬るというのは簡単なことではない。が、長身の男はそれを気にしている様子はない。 「見せてやるよ。俺のフレイム・エンチャントの力を!」 突如、彼の持っている剣を包み込むように淡い火が出たかと思うと、瞬く間に紅蓮に揺らめく炎へと変わった。それは一見、その剣自体が燃えているようにもとれるがそうではない。あくまでも剣の周りに炎が現れたに過ぎないのだ。 「アンタには悪いがよ、跡形もなく消えてもらうぜ? 後始末が面倒なんでな!」 一番近くにいた化け物へ、紅蓮の剣を頭部へと、振り下ろす。 その炎は、氷を、髪を、皮膚を、肉を、骨を、脳を、何もかもを、焼き尽くした。 剣が完璧に振り下ろされたそのときには、そこにオブジェはなく、ただ少量の水と炭が下に落ちていた。 「か~、やっぱり俺もまだまだって奴か……なんて、無駄口言っている場合じゃねぇな!」 そして彼は突撃する。残りの化け物どもを殲滅するために。 と同時に彼は気づいていた。化け物どもを封じ込めている氷がすでに融け始めていることに。 それでも彼は走る。自身の任務を遂行するために。何より、彼と共にきた相棒を死なせないために。 「オラオラオラァァァッ!!」 横に、縦に、斜めにと剣を振る。化け物は一体、また一体と焼失していく。だが、よく見ると彼の剣を包んでいたはずの炎が化け物を斬るたびにだんだんと弱まってしまっている。それに伴って彼自身も、たった数回剣を振っただけなのにも関わらずまるで全力疾走で400mを走ってきたように呼吸が荒くなってしまっていた。 パキィンといった、何か薄いものが割れるようなそんな音が響いた。 見ると化け物どもは自分を覆ってしまっているその氷を、強引に力業で破り、体の自由を取り戻していた。 そして、長身の男を獲物として確認すると、三体の化け物が、彼に向かって襲い掛かる。 それに対する彼は疲労困憊してしまっているのか剣を構えることもなくだらりとした様子でうつむいていた。 「後は任せても、いいんだよな?」 「ええ、もちろんです」 化け物どもの頭上。そこには、コンクリートなどで固められた巨大な塊ができあがっていた。 よく見れば周囲にある建物の一部の壁などが大きく削れていたり剥がれていたりしている。 重力の影響を受けてそれが落下すると、下にいた化け物どもはその塊に押し潰されてしまった。 「……俺たちの完全勝利……ってところ、だな」 「どうも危なかったようにも見えたのは気のせいですか?」 「あ、あれはほら、演出だ! 演出!」 「その割には本当に疲労していたように見えましたけど……まぁそれはそれとして」 と、ちらりと巨大な塊を見やると困ったような顔をする。 「これ、放置しておくにも行かないので後片付けお願いしますね」 「ちょちょ、おい! さっきの戦いで疲れてるんだぞ! できるわけないだろ!」 「あれ? それは演出じゃなかったんですか?」 「ぐ……わかったよやるよやればいいんだろ! クソ!」 「口の利き方」 「りょ、了解しました……」 「あの塊は僕の方で解除しておきますのでそれの片付けと下敷きになってる体とかも焼いてください」 「……人使い荒くないか」 「それじゃがんばってくださいね」 そこまで言うと言いたい事は全て言ったとでもいうようにその場を離れ商店街の出口の方向へ歩いていく。 「あ、おいちょっと待て……畜生、後で覚えてやがれよ……」 振り返ってその巨大な塊を見て、しばらくそれを眺めているだけだったが、一言だけボソッと呟いた。 「あぁ……帰りてぇ」 「あぁ……帰りたいよもぅ……」 あのとき、お姉ちゃんから逃げ出した私は家から飛び出して当てもなく一人町を彷徨っていた。 流石にパジャマで出たわけじゃないけどそれでも薄着で寒い。玄関にかけてあったコートを着て出たけどそれでも寒くて仕方ない。 「でも、あんなことがあった後で帰れるわけないじゃん……」 自分で自分が、いやになる。ていうか、本当に私はどうしちゃったんだろう。さっきから変なことを考えてる。 家に帰る前も、家に帰ったときも、お風呂のときも、お姉ちゃんのときも。 「ほんとなんでなのかなぁ」 そう口に出してみたけど、本当は違う。心の奥深くで、誰かが叫んでる。今はまだ小さくて聞こえないけど薄々気づいてる。 ただそれに耳を傾けたくないだけなんだ。だって、それを聞いてしまったらもう。 今の私に戻れないような気がして。 「……あ、ここ……」 考え込んでて気づかなかったけど、私はここを知っている。 錆付いてしまったアーチ上の看板と、両端にたくさんのお店が並んでいて。 小さいとき、それも保育園とか小学生のときにお母さんに連れられ一緒に買い物に来た商店街。このころはまだお姉ちゃんとも一緒だったっけ。 「まだあったんだこの商店街……看板が錆びちゃってて何ていう名前なのか結局今もわかんないけど」 子供の頃の足だとなんだか遠く感じていたこの場所も、今となっては数分で着いてしまう。そのことを思うとなんだか感慨深いような気がした。 懐かしさに誘われるままに私は商店街の通りへと歩みを進めていた。右に肉屋さん、左に八百屋さんとそれこそテレビや漫画で出てきそうなそんなお店が立ち並んでいる。他にも居酒屋さんとかあるけどそのどれもが古臭さを感じさせるほどに壁がひび割れていたりシミができていたり。 しばらく歩いていると少し奇妙な物を見つけた。大小と様々な大きさの瓦礫が道路に散らばっているのだ。周囲を見回してみると付近の建物の壁が所々壊れていておそらくそれが瓦礫となったのだろうと考えられるけど。 「でもなんで? 地震とかあったわけじゃないし、普通こういうのって誰かが片付けるもんじゃ……」 いくら考えても答えなんか出るわけもなく。ただむなしく時間が過ぎるだけ。 「というか寒っ……流石にちょっと薄着だったかなぁ」 いつまでも外をぶらぶら歩いてたって仕方ないよね。うん、いい加減帰らないとね。お姉ちゃんも心配してるよきっと。 そう思って今まで来た道を戻ろうと、振り返る。振り返った私の視線の先に誰かがいる。見た感じ男の人だ。でもなんだろう。私はこの人を知っている……というより、見たことがある……? アレコレ考えているうちに男の人はこちらの方向に近づいている。おぼつかない足取りというか少しふらつきながら。お酒でも飲んで酔っ払ってるのかな。なんて考えていた。 それは、あっという間の出来事。気が付いたそのときには男の姿が消えていて。 私が状況を把握しようとしたそのときには男の姿が目の前に現れていて。 「あ……あ……」 思い出しかけていた記憶が一気にフラッシュバックした。私は帰り道の途中に出会っていたんだ。あの化け物に。 そして、小さくもはっきりと聞こえてしまったんだ。 チヲ、アタタカイチヲノメ、って。 男の顔が月明かりに照らされる。あの時見たのと変わりのない青白い顔。でも、一つだけ違っていたものがあった。 それは、私がそれを見ても。 異質だとは感じなかったことだった。 「ちょっと横にズレてもらえるかいお嬢さんよ!」 大きく響き渡る男の人の声。でもそれは目の前の化け物から発せられたものじゃない。むしろ後ろから聞こえている。 咄嗟の判断で横に飛びのいた私は慣れないことをしたせいか転んでしまった。 「いったた……そ、それより、今のは一体何?」 化け物がいる方を見てみるとそこには変な格好をした人がいる。鎧とか剣とか着けて、髪も赤いし、まるでどこかのゲームから抜け出してきたんじゃないかと思うほどの格好。どんなコスプレでもここまで精巧にはできないんじゃないか。 茫然自失としているともう一人、私の方に近づいてくる。 「大丈夫、ですか」 小さめの身長で青い髪をした人が話しかけてきた。私と同い年、いやもしかしたら年下かも…… 「う、うん大丈夫……というかあの人助けなくてもいいの?」 「ええ、どうせ相手は一体、問題ないでしょう。それに、あの人元気が有り余ってるみたいですしね」 「?」 くすくすと笑ってるのはちょっと理由はわかんないけどとにかく問題ないらしい。 それにしても不思議だ。本当に私は現実を見ているんだろうか。人が剣を振り回して化け物と戦うなんて。とてもじゃないけど信じられない。 そもそもこの人たちは一体何者なんだろうか。 「あの、あなたたちは一体……」 「何者か、ですか。確かに気になることです。しかし言ってしまってもいいのか……」 「言っちゃってもいいんじゃねーの?」 いつの間にか、赤髪の人はすでに化け物を倒してしまったようだ。化け物の姿はもうどこにも見えない。何をしたのか見てればよかったかな。 「今回のことを含め、私たちの存在は知られてはならないと言われているのを忘れましたか?」 「だけどよ、もう完全に色々見られちまったし手遅れじゃないか?」 「忘却の術を使えればいいのですが生憎僕は使えませんしその術者はいるのは向こう側ですからね。事態を軽く見すぎていました」 なんだか、私を置いて話がどんどん進んじゃってるけど、どうもこの人たちとは関わってはいけなかったみたいで…… あれ? もしかして私大変なことに巻き込まれてるとか……? 「あと、もう一つ気がかりが残ってるんですよ。彼女について」 「え? わ、私?」 「ええ。そうです」 「おいおい。別にこの子は単なる一般市民ってやつだろ? 特に気になることなんてないんじゃあ?」 そう。私はどこかの秘密捜査官でもないしスーパーヒーローってわけでもない。これといって目をつけられることなんてないはずなんだけど。 ただ、今私が気になっている点を除けばの話だけど。 「なぜあなたは生きているんですか?」 いきなり何を聞いているんだろう。なぜ生きてるって言われても説明できないんだけど。 「なぜ生きてるって言われても……心臓が動いているから?」 「いえ、そうではなく、あの怪物を前にしてなぜ生き延びているかということです。何の力もないはずのあなたが、どうしてです?」 「そ、それは……」 言ってしまってもいいのだろうか? 私が抱いている一つの仮定。それはとても不確かなものだし誰かに言ったとしても信じてもらえそうにもないほどだ。 でもこの人たちなら? どこかのゲームや漫画から抜け出てきたような「まるでファンタジー世界」なこの人たちなら? いやでも待って。この人たちの目的はどうみてもあの化け物を退治すること。 もし、もしも私がその仮説を話しちゃったら…… 「ん? そりゃ単純に俺たちの発見が早かったからだろ? 何の問題も」 「1分40秒。私たちが彼女を発見してからそこに向かうまでの時間です」 「それがどうかしたのか? というかよく計れたな」 「効率的に考えるのは重要なことだと思っていますから。そんなことより問題はその時間です。考えてみてください。あの怪物たちは満たされることのない欲求を満たすために常に獲物を探し回っているんですよ。そこに格好の相手が現れたら。もうわかりますよね」 「……おい。そりゃ本気で言ってる、ってのかよ……」 「はい。本気も本気ですよ僕は」 そして、ゆっくりと私の方へ向き直る。ああ、とうとう言われてしまうんだ。でも不思議だ。そのことに対しての恐怖はないのだから。 きっと薄々自分でもわかっていたから。今まで悩んでいたのはそれを受け入れる勇気がなかったからなんだって。 これが私の出した結論の答えあわせだ。 「あなたは……恐らくあの怪物と同等の存在。つまり……」 ――吸血鬼、なんですよ。 覚悟はしていた。そうであろうとは思っていたし受け入れようとも思っていた。だけどやっぱり現実って言うのは思い通りになんて行くわけはなかったようで。はっきりと明確に告げられた解答を聞いた私は内心、というかすでに足まで震えて動揺しまくりだった。 「ちょっと待て! もし彼女がそうだとして、だとしたら今頃彼女も人を襲ってるんじゃないのか!?」 「恐らくと言ったのはそこが気になるからです。こればかりは彼女から聞き出さないといけないんですが……いいですか?」 その「いいですか」というのが自分にあてられたものだと気づいた私は慌てて返事を返す。 「は、はい。 といっても私自身も混乱してるから説明しにくいんだけど……」 私はこれまでのいきさつを彼らに話した。 帰り道の途中に化け物、彼らの言う吸血鬼に会ったこと。 家に帰ってから変な思考が浮かんでしまうこと。 お姉ちゃんを傷つけてしまいそうになったこと。 家を飛び出してあの吸血鬼と再び会ったこと。 全てを話し終わると彼ら二人はなにやら考え込んでいるようだった。 「なぁ、これってどういうことなんだ?」 「彼女の話から思うに吸血鬼に咬まれているのは間違いないでしょう。ですがどういうわけか彼女はこうして正気を保っている。といっても非常に足場の悪い状態ですが」 「吸血鬼化するのは個人差はあってもほとんどの人間が一時間以内でなることは確認されてるんだろ?」 「はい。しかしすでに数時間は経過してます。通常ならありえないことですが彼女に限っては例外のようです」 「それってこの子は吸血鬼にならないってことか?」 「それは違うでしょう。現に襲われてませんしそれにそれらしい症状のようなものも出てるようですしね」 「だったらいったい……」 「ただの仮説にしか過ぎませんが、もしかしたら彼女には"抵抗力"があるのかもしれません」 「"抵抗力"……?」 あれ、なんだろう。眠くなってきちゃった。ああそういえば今って深夜なんだっけ。とんでもないものを見たせいで忘れてた。 それにしても私が吸血鬼か。人の、もう今は人じゃないみたいだけど。人生っていうのはこうも簡単に変わっちゃうのか。 ごめんねお姉ちゃん、お母さん、お父さん。私もう会えなくなっちゃうかも。 特にお姉ちゃんには、一言謝りたいなぁ。 ごめんって。一言でいいから。 ああ、コレが実は夢で起きたらベッドの上。 ってならないよねうん。 さようなら。みんな。 「一種の抗体みたいなものがあると思っています。だからこそああしていられるのでしょうね」 「……んで、どうするんだい。この子をさ。気が付いたら名前も聞かないうちに眠っちまってるし」 「抗体があろうとなかろうと連れて行くのは決めていました。色々と見られてしまいましたし、それに……」 「それに……なんだ?」 「い、いえ何でもありません! き、気にしないでください!」 「その慌てっぷり……なかなかレアだな」 「そんなニヤニヤと僕のことを見ないでください! み、見ないでったら!」 「クックック……いやぁ今日はいい物を見られたな本当」 「い、いつか酷い目にあわせてやるんだから……!」 ――先日起こった奇妙な失踪事件についてのニュースです。新しく入った情報によりますと現時点で失踪者数は40名を超えており今回の調査で新たに、東野 輝美さん、岡島 正志さん、中山 治朗さん、下塚 早百合さん、吉山 晴海さんが今回の事件に関係していると―― 終
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登録日:2021/05/08 Sat 19 16 44 更新日:2023/05/23 Tue 13 02 35NEW! 所要時間:約 26 分で読めます ▽タグ一覧 DQN だいたいこいつらのせい アキラ100% アネモネ アバター アークの教典 アークライダー イナゴ イナゴ←むしろゴキブリ エゴイスト エス カルト宗教 カルト教団 クズ ゲス ショッカーライダー シンクネット ダークライダーズ チームワーク皆無 テロリスト ナノマシン ネタバレ項目 ネットイナゴ フィクションでは済まない問題 ブガ ブラックリスト ベル ムーア ライダー系悪の組織リンク ラスボス ルーゴ 一色理人 下種 下衆 人間のクズ 令和ライダー 仮面ライダー 仮面ライダーの名を穢す怪物 仮面ライダーアバドン 仮面ライダーエデン 仮面ライダーゼロワン 仮面ライダールシファー 伊藤英明 信者 俺ら 劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME 劇場版限定ライダー 匿名 台所のゴミ取り網 同情の余地なし 同時多発テロ 壊滅組織項目 宗教系テロ組織 小山悠 小悪党 小物 屑 後藤洋央紀 悪人 悪意 戦闘員 所詮アバターでしかイキれない烏合の衆 数の暴力 楽園ガーディア 滅びるべき悪 滅ぶべき存在 烏合の衆 畑芽育 破滅願望 福士誠治 純粋悪 絶対悪 自分勝手 自己中 自己中心的 蝗害 身勝手 退屈持て余して蔓延るネットイナゴ 道化 野立万亀男 量産型ライダー 闇サイト 風刺 【注意】この項目には『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』本編の重大なネタバレを含みます。 「この世界は苦しみに満ちている」 「我々は生まれながらにして、神から生きる試練を与えられた」 「しかし、もう悲しむ必要はない。もう苦しむ必要はない」 「もう理不尽な運命に耐える必要はないのだ!」 「私が全てを解放するのだから…」 「私は“エス”。楽園『ガーディア』の創造主にして、人類を導く存在だ」 「さあ、私に選ばれし信者達よ。変身せよ!立ち上がるのだ!!」「私に選ばれたお前達は、この戦いの後、楽園『ガーディア』へ導かれる!!」 シンクネットとは、『仮面ライダーゼロワン』の劇場映画作品『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』の敵対組織である。 英語表記は『Thinknet(*1)』。 ●目次 概要 その実態 信者達の離反、そして崩壊へ 構成員教祖 実行部隊長 その他 その他戦力・装備 所属ライダー仮面ライダーアバドン 仮面ライダールシファー 概要 謎の男・エスが立ち上げ、管理人を務める闇サイトで、「破滅願望」の持ち主が集っており、構成員数は全世界1億人以上にも上る。 闇サイトとはいえ、その実態は一種のカルト教団で、先述のように1億人以上の人員……もとい信者に加え、独自の兵器や装備までも有する大規模な集団である。 主婦や会社員、ゲーマーといったごくごく普通の一般人から、メンタルクリニックの医師のような社会的地位の高い人間まで存在している。 飛電或人と滅の最終決戦から3ヶ月後、エスに率いられる形で『楽園ガーディア』創造のためと称し、全世界で大規模テロ事件を引き起こした。 シンクネットには改造ZAIAスペックを用いてステータスを登録した上でサイトにアクセスする事により、ナノマシンで構築されたアバターを遠隔操作する機能がある。 劇中の描写からパソコンでアバターの行動方針をある程度決定するという仕様らしく、ナノマシンのAIによる自立行動が可能で、仮に倒されてもログアウト扱いとなり、勝手に自動で再ログインされる。 なのでアバターが攻撃されようが消されようが本体には全く影響はなく、何なら自殺まがいの方法で撤退するといった芸当も可能。 また、アバターは現実世界と同じ容姿に設定したり、或いは全く異なる容姿に設定する事も可能だが、全員顔に回路図のペイントを持ち、両目が赤く染まっている。 他にも各個人によって差異はあるが、ほぼ全員が共通して白い服装を身に纏っている。 更にアバターはそれぞれ「スラッシュアバドライザー」または「ショットアバドライザー」と「クラウディングホッパープログライズキー」を使って、仮面ライダーアバドンへ変身する事も出来る。 なお、信者全員がアバター持ちという訳ではないらしく、野立や儀式の間に集まった信者達のようにアバターを使わなかった、 或いはアバドンの力を与えられなかった信者も一定数存在すると思われる。 その実態 滅「お前達こそ、滅びるべき悪だ!」 天津垓「所詮はアバターでしかイキれない烏合の衆か…」 刃唯阿「エスの想いに比べれば、お前達に同情の余地はない!」 上記で「破滅願望」を持った連中と記述した通り、実は現実の本人は何かしらの問題(ネット難民、ネグレクト)を抱えた『悪意』の持ち主である。 そして彼らは悪意を持ちつつも、苦悩するといったような良心の呵責もない自分本位の人物ばかりであり、 罪のない一般人を平気で襲撃する 仲間の武器を奪い取り、更にはガードベント盾にもする 仲間がやられている様子を安全圏で見ながら助けずに「情けねぇ」と吐き捨てる ……といった下劣な行為を平然とやってのけている。 大半の信者は明確な目的を持たず、エスの事も「自分達の破滅願望を満たしてくれる都合の良い存在」程度にしか認識していない。 そのため、「絶対悪」として登場人物ほぼ全員から嫌われるという有様である。 エスがTV本編最終話で見ていたリストの内容だが、恐らくは彼らの素性を記したものだった可能性もある。 実のところ、エスは 自らの過去 の関係上、信者達を使い捨ての駒、敷いては憎悪の対象にしか見ていない。 エスの計画したテロ行為とは エスの婚約者である遠野朱音を1人にさせないために信者達をアバドンに変身させてナノマシンを混入した手榴弾をばら撒かせ、被害者を昏睡させた上でその生体データを電脳空間に転移させ『楽園』の住人となり、 それが完了次第、テロの実行者である信者達はエスの手でまとめて排除されるというもの。 つまり、シンクネットの信者達が昏睡させた善良な市民こそがエスの言う『選ばれし者』である一方、悪意を持った信者達の方がエスにより滅ぼされ、『楽園ガーディア』が完成する。 これが今回のテロ事件の真相であり、電脳世界で生きる朱音のため、そして「醜い『悪意』を垂れ流す」人間を滅ぼす目的で今回の事件を引き起こした。 なお、組織のシンボルマークはアネモネが元となっており、花言葉は「君を愛する」「あなたを信じて待つ」。 これはエスの朱音に対する気持ちを表したものだが、彼に集った信者達は醜い悪意を持った、性根の腐った人間ばかりという正反対なものとなっている。 エスが彼らを集めた真の目的から、「シンクネットという名称は“流し台(シンク)のゴミ受け網(ネット)”の意味を含んでいるのだろう」と評判になっているとかいないとか。 信者達の離反、そして崩壊へ 「最初から我々のような者を滅ぼす気でいたのか、エス!?」 しかし、エスはゼロワンを倒すためとはいえ、予定の60分よりも早い段階でヘルライズプログライズキーによる「サウザンドブレイク」を発動し、 儀式の間を建物やその場にいたシンクネットの信者諸共吹き飛ばした。 これを不審に思った行動隊長の一人であるベルは、エスを追跡して或人とイズとのやり取りを目撃する。 そして真相を知ったベルは信者から借りたショットアバドライザーでエスを銃撃し、 彼が落としたエデンドライバーとエデンゼツメライズキーを回収すると、それらを使用して仮面ライダールシファーに変身。 自らがエスに取って代わり、シンクネットを率いて楽園の創造主となる事を宣言した。 残りの行動隊長達もベルに呼応する形でエスから離反し、信者達を率いて『楽園ガーディア』のサーバーを目指すエスを妨害した。 実はこのサーバーは信者の操るアバターを構成するナノマシンの制御装置も兼ねており、サーバーが停止するとナノマシン由来の復活・再生能力も全て機能停止するのだ。 それを阻止するため、そして自分達を騙し利用してきたエスに復讐するために牙を向けるも、 事情を知ったライダー達の援護により、エスにサーバーが置かれている場所へと辿り着かれてしまった。 エスが自らを犠牲にサーバーを停止した事でアバターの復活・再生能力も全て機能停止し、自分達の最大の強みを失ってしまったアバドン軍団はライダー達に各個撃破され、 残ったルシファーも最後の悪足搔きとして「サウザンドブレイク」を発動しようとするが、すんでの所でゼロワンとゼロツーに阻止され、 2人の放った「リアライジングインパクト」と「ゼロツービッグバン」によるダブルライダーキックを食らって敗北した。 その後、ベルを始めとした4人の実行部隊の隊長の本体や野立らが逮捕された事でシンクネットは壊滅に追い込まれ、大規模テロ事件も終息へと向かっていったのだった。 構成員 教祖 エス/仮面ライダーエデン 「神が、6日で世界を創造したのなら……私は60分でそれを破壊し、楽園を創造する」 演:伊藤英明 TV本編最終話でもゲストで登場した、『楽園ガーディアの創造主』を名乗るシンクネットの教祖で、アズによって見出されたアークの後継者。 詳しくは項目を参照。 実行部隊長 ベル/仮面ライダーアバドン 「さあ、この世界を終わらせよう!『楽園ガーディア』創造のために」 「いいや、この世界を滅ぼして……我々(・・)の楽園に変えてやる!」 演:福士誠治 シンクネット幹部のリーダー格。 冷静ながらも冷酷な男であり、味方のアバドンがA.I.M.S.と交戦している隙に犠牲者を出すなど、狡猾さも持ち合わせる。 右肩が赤く塗装されたアバドンに変身し、スラッシュアバドライザーを使用する。 正体はメンタルクリニックの医師で、姿形が変わらないナノマシンアバターを使用している。 エスが祭壇を予定より早く信者を巻き込む形で壊滅させた事で、彼の目的が自分達信者の全滅だと知ると彼を裏切り、そして……。 ムーア/仮面ライダーアバドン 「選ばれた者…だよ♪」 演:畑芽育 シンクネットの女性幹部。 金髪ツインテールでゴスロリ服に身を包み、プログライズキーを構えたウサギのぬいぐるみを携えて棒付きキャンディを咥えているというてんこ盛り萌え要素を持つ。 しかし、その性格は自分本位でキレやすく、味方のショットアバドライザーを奪ったりした他、 バルキリーとの戦闘中に「オラオラオラオラ!!」「どけどけどけぇ!!」と叫ぶなど、口が悪い部分も。だがそれがいい…? 右肩が銀色に塗装されたアバドンに変身し、ショットアバドライザーを使用する。 その本体は太った主婦(演:山田梨奈)というもの。 しかもネグレクトを行う母親で、現実世界にも通ずる複数の問題が彼女により浮き彫りになっている。 観客の多くが「ネットの闇を見た」「子供の将来が心配」といった何らかの衝撃を受けただろう 幾度に渡ってバルキリーと女の戦い交戦するも、最終決戦で「ライトニングブラスト」を食らって敗北した。 ルーゴ/仮面ライダーアバドン 「お前達に!楽園への切符はないぞ!」 演:小山悠 シンクネットの男性幹部。 細身で眼鏡をかけており、性格は神経質でキレやすく、「バーン!バーン!」と引け腰で銃を撃つ。 右肩が紺色に塗装されたアバドンに変身し、ショットアバドライザーを使用する。 ナノマシンアバターだが、特に容姿を変えておらず、ネットカフェで活動するゲーマー。 ラストシーンの描写から学生の模様。 最終決戦にて仮面ライダーランペイジバルカンの「ランペイジパワーブラスト」を食らって敗北した。 ブガ/仮面ライダーアバドン 「気合い入れろ!」 演:後藤洋央紀 シンクネットの男性幹部。 レスラーのような筋肉質の男性で、豪快かつ乱暴で力任せな男。 右肩がオレンジに塗装されたアバドンに変身し、スラッシュアバドライザーを使用する。 ノールックでプログライズキーを装填する動作が手間取っているのは気にしないでおこう その正体は痩身のサラリーマンの男性(演:矢部太郎)で、トイレの個室からアクセスしていた。 身体にコンプレックスを抱いているあたり、ムーアとは別の形でネットの闇を感じる。 最終決戦にて滅と迅の「スティングディストピア」と「バーニングレインラッシュ」によるダブルライダーキックを食らって敗北した。 その他 一般信者/仮面ライダーアバドン 累計1億人程度の信者達。 集団で行動するが、幹部の手で倒されたり、武器を奪われたりと何かと不憫。 それぞれ現実での姿は異なるが、容姿そのままの者もいれば、好きに姿を改変している者もいるなど様々。もしかしたらアバターと現実で性別を変えている信者がいる可能性も……? 劇中では信者の一人がネットカフェからアクセスしていたところを唯阿、シェスタ、亡達に取り押さえられている。 野立万亀男 「無駄だ!お前らじゃ、エスは100%止められないよ!」 演:アキラ100% ZAIAエンタープライズジャパンの常務取締役で、金色のネクタイと「100%」が口癖の癖が強い人物。 今回のテロ以前にエスと接触してシンクネットの理念に賛同し、彼にZAIAの技術を横流しした。 テロには参加せずにガスマスク着用の上でエスの元に向かおうと試みるが、既に犯罪行為を見抜いていた天津に拘束される。 その際に「ボディチェック」と称して身ぐるみを剥がされた挙句要するにいつものアキラ100%、福添准が引き連れたヒューマギア軍団の尋問(*2)により音を上げ、シンクネットの存在を白状した。 テロ終結後はシンクネットの実働部隊幹部4人と同様に警察に逮捕された。 ちなみに名前をよく見ると、天津の関係者の例に漏れず、数字の単位が隠されている(*3)。 その他戦力・装備 戦闘機 ナノマシンで無人操作された戦闘機。 今回のテロで世界中の都市を攻撃し、そのうちの一機が迅がハッキングした際の罠として滅や不破に襲い掛かった。 バルカンは迅との共闘でその機体を仕留めるも、直後に3機が増援として現れ、またしても相手取る羽目になってしまった。「マジかよ…」 その後2人とも多少ダメージを負いながらも最終決戦に合流出来た所を見ると、逃走若しくは撃破に成功したと思われる。 また、ラストシーンにてエスがサーバーを停止した事で、戦闘機のナノマシンも機能停止して墜落したと見られる場面がある。 手榴弾 人間を意識不明にする、ガス状のナノマシンをばら撒く手榴弾。 所属ライダー 仮面ライダーアバドン 「さあ、この世界を終わらせよう!『楽園ガーディア』創造のために!」 「オーケー。エス様のたーめーに♪」 「世界最後の60分を…満喫しよう」 「『楽園ガーディア』……創造のために…!」 ヒット! オーソライズ! 「変身!」 シンクネットライズ! クラウディングホッパー! An attack method using various group tactics. 身長:199cm 体重:63.8kg/62.1kg パンチ力:12.6t/10.8t キック力:38.0t/32.5t ジャンプ力:44.7m(ひと跳び)/38.2m(ひと跳び) 走力:100mを3.6秒/100mを3.8秒 生物モチーフ:イナゴ ※スペックは実行部隊長/一般信者の順に記す。 シンクネットの信者達がスラッシュアバドライザーまたはショットアバドライザーとクラウディングホッパープログライズキーで変身する量産型仮面ライダーで、 その名前も新約聖書の『黙示録』に記された、蝗害を擬人化・神格化させた悪魔「アバドン」に由来する。 詳細は個別項目を参照。 仮面ライダールシファー 「約束の時間より早くキーを使って信者を滅ぼした理由が、まさか女のためだったとは…」 「お前らのような、醜い『悪意』を垂れ流すヤツらがアークを生み出し、朱音の命を奪った……」「お前らを、朱音の世界に行かせるわけにはいかない……!」 「いいや、この世界を滅ぼして―――」 エデンドライバー! 「―――我々(・・)の楽園に変えてやる!」 「……ここからは、私が楽園の創造主となる……!」 ルシファー! 「変身!」 プログライズ!アーク! The creator who charges forward believing in paradise. 「ハッハッハッハッ……」 OVER THE EDEN. 「あと10分でこの世界は滅びる……」 身長:191.2cm 体重:84kg パンチ力:46.3t キック力:98.9t ジャンプ力:57.3m(ひと跳び) 走力:1.1秒(100m) スーツアクター:中田裕士(エデンと兼任) エスの真意を知り、彼の下から離反したベルが強奪したエデンドライバーとエデンゼツメライズキーを用いて変身する仮面ライダー。 本作の実質的なラスボスであり、その存在は劇場公開まで巧妙に伏せられていた。 詳細は個別項目を参照。 「Wiki篭り!編集し続けろ!!」 「本項目が追記・修正される力を生み出すのは、他でもない……お前達(Wiki篭り)だ!!」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\シンクネットライズ!/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 黒の菩提樹の方がまだマシと思える悪 -- 名無しさん (2021-05-08 19 18 09) 3年A組の柊先生がファングジョーカーに変身して駆逐しそう -- 名無しさん (2021-05-08 19 21 06) 量産ライダーの中では、欠点がなく、一般人にも使いやすい -- 名無しさん (2021-05-08 19 46 24) 黒の菩提樹はそもそも基本騙されて洗脳された被害者達だしな -- 名無しさん (2021-05-08 19 51 18) こいつらのアバター技術…悪用さえされなければ、身体の不自由な人の第2の身体とか善意ある使い方できるなぁ…って -- 名無しさん (2021-05-08 19 58 05) 仮にアバドン達がG3、ゼクトルーパーと戦っても勝ち目なさそう -- 名無しさん (2021-05-08 20 33 20) 今後バトライドウォーみたいなのがあったら雑魚枠で出てくるかもしれない -- 名無しさん (2021-05-08 20 48 13) 仮面ライダールシファーの不遇ぶりにダン戦Wのシャドールシファーを重ねてしまった -- 名無しさん (2021-05-08 22 10 14) ↑3 ライダー側の能力面だと「ナノマシンの再生能力が無効化できない限り……」なのは変わらないけれど、変身者側は「警察官」「正規の訓練を受けた戦闘部隊員」と素人では勝ち目がなさそうな面々だからなあ -- 名無しさん (2021-05-08 22 21 05) ↑4結局使う側の問題なんだよな、まぁエスが敢えて「そう言う誰もが諸手を上げて歓迎するだろう使い方を思いつかない奴ら」をリストアップしたんだろうけど -- 名無しさん (2021-05-08 22 54 44) ゼロワン世界でナノマシンを人間に投与する研究が進んでいると聞くと用語や世界観が似ていて同じソウゴの夢からその存在が観測されることになったキカイの未来へ向かっている感じが出てきてしまった気がする -- 名無しさん (2021-05-08 23 24 09) ネグレクトおばさんの描写怖すぎる -- 名無しさん (2021-05-09 02 59 58) ネグレクトされたうえに、これから「テロリストの子供」として後ろ指刺されながら生きていかなきゃいけないかもしれない子供が可哀そうすぎる -- 名無しさん (2021-05-09 03 18 37) エス以外はまさにネットイナゴの具現化のような存在。自分達の悦楽の為なら何もかもを喰い荒らす -- 名無しさん (2021-05-09 10 27 10) 現実が嫌で楽園に行きたがるのは理解できるけど、エスがそう誘導したにしても、無関係の人間と世界を躊躇なく生け贄に出来る精神構造は理解不能。 -- 名無しさん (2021-05-09 15 52 56) ネグレクトされてた子供は、あのままあんな母の元にいるよりかはマシと考えるようにしてる。でなきゃやってらんない -- 名無しさん (2021-05-09 21 10 35) 「破滅願望」の持ち主が集っており、構成員数は全世界1億人以上にも上る。・・・ドン引きなんだが・・・ -- 名無しさん (2021-05-09 21 11 26) ↑自己中極まりない奴らを擁護する気は無いが、それだけ多くの人間にとって今の世の中が息苦しくて生き辛いってことなようだ… -- 名無しさん (2021-05-10 17 34 51) 間違って概要を繰り返してしまった所を修正してくださった方、ありがとうございます。 -- 名無しさん (2021-05-10 21 05 11) ルシファーのロストモデルはメカニックの質感やメカっぽさもなく、マジで餓者髑髏の巨人。エデンのロストモデルと比較するとより生々しく、生きた人間でありながら血肉もない醜悪さを体現している。 -- 名無しさん (2021-05-10 23 16 31) ↑6きっとシューティングゲーム感覚だったんだろうな…自分が戦場に居なくて理想のキャラを動かして戦わせたり、何度もコンティニューできたりする分余計に… -- 名無しさん (2021-05-11 19 57 43) ↑ある意味戦争やテロというものを端的に表してもいる様に見えるな。撃つ側はゲーム感覚だけど撃たれる側は必死ってのが特に -- 名無しさん (2021-05-11 20 07 56) 何気に希少な『母親ライダー』が登場している -- 名無しさん (2021-05-12 10 48 21) 名前の由来であるアバドンには飛びながらサソリの尾を刺すというイナゴでありながらハチにも似た伝承があるが、これを知っているとバルキリーと滅たちに倒されるシーンがより皮肉。 -- 名無しさん (2021-05-13 11 29 42) 報告にあった分も含めた荒らしコメントを削除。 -- 名無しさん (2021-05-14 20 20 57) ↑6「血も涙も無い悪意の塊」って事か -- 名無しさん (2021-05-14 22 11 28) ↑9 どっかの偉い科学者の名言に「こうも馬鹿ばかりだと世界が滅びるのも当然だな」ってのがあったのを思い出してしまった -- 名無しさん (2021-05-15 07 47 41) エデンが血が通った亡霊なら、ルシファーは生霊だろう。 -- 名無しさん (2021-05-15 10 21 53) 精神科医が破滅願望持つってのも割と闇が深い -- 名無しさん (2021-05-15 11 04 47) ↑ 患者がそんなのばっかりだと精神科医も病むっていうから、もともとこうだったってよりは、患者から伝染したのかもしれない -- 名無しさん (2021-05-15 13 12 10) 日本のはともかく、海外のアバドンは軍人やらギャングやらも混じってて手強くなりそう。 -- 名無しさん (2021-05-15 14 30 49) ↑2逆に患者を誘導して自殺に追い込むとかして悦に入ってたりする真正のサイコパスの可能性も… -- 名無しさん (2021-05-15 14 47 07) 事故で消えていたコメント欄を復旧しました。 -- 名無しさん (2021-06-27 15 42 01) アバドンのデザインとかはめっちゃ好きなんだよなー。量産型で組織的な動きが可能っていうのも軍用っぽくていい。プロの戦闘部隊やレスキュー隊が着用して他のライダーたちの戦いの補佐・事後処理をするとかなら有効利用できそうでもあるな……。 -- 名無しさん (2021-08-16 22 44 04) バトルレイダーvs仮面ライダーアバドンっていう量産型対決見たかったね、まぁアバドンがぼこぼこにされるんだろうけど -- 名無しさん (2021-09-20 16 05 14) pixiv百科事典にも書かれてるけど、続編で登場したソルドはシンクネットとは正反対な勢力だった。トップが悪意を持った人間で戦闘員が哀しき悪役だったし -- 名無しさん (2021-11-04 15 42 03) やっぱり我々猿共にネットワーク社会は不向きかもしれないな。 ネットワーク社会を受け持つとは何という身の程知らずってか? -- 名無しさん (2021-12-19 11 40 45) MOVIE大戦アルティメイタムのポワトリンはムーアとは別の意味で正体が衝撃的 -- 名無しさん (2021-12-23 09 27 40) 名前 コメント
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安価 ◆XTHUMPx1r6 カオスや多少のアニソンを垂れ流している。 離籍中にはランダムで何かが流れる模様。 最近は安価氏が垂れ流す時が多い。 メール欄で話しをすることも。安価氏の時はメール欄も注意。 2006/9/8に60時間連続垂れ流しという記録を樹立 2006/10/27現在、気まぐれキャラを確立し、コテも 気まぐれ垂れ牛 ◆XTHUMPx1r6 になっている こっから本人です。 主にポルノとカオスとアニソンを流してます。 ポルノの再生可能曲について シングルとアルバムは全部あります。 DVDはビタスイとむらっさきだけですが、74ersのジレンマは再生できたりします。 …他にやりたいことややらなきゃならないことがあってカオスの生成に時間がかかってます><
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《書 誌》 提供 TKC 【文献番号】 28055209 【文献種別】 判決/札幌高等裁判所(控訴審) 【裁判年月日】 平成12年 3月16日 【事件番号】 平成11年(う)第59号 【事件名】 傷害致死(変更後の訴因傷害致死幇助)被告事件 【審級関係】 第一審 28045242 釧路地方裁判所 平成9年(わ)第184号 平成11年 2月12日 判決 【事案の概要】 被告人は、親権者兼監護者としてD等に対するAのせっかんを制止してDらを保護すべき立場にあったところ、Aが、本件傷害致死を行った際、直ちにこれを制止する措置を採るべきであり、かつ、これを制止して容易にDを保護することができたのに、その措置を採ることなくことさら放置し、もってAの本件傷害致死を容易にしてこれを幇助した、として起訴されたが、無罪が言い渡されたため、検察官が控訴した事案において、被告人は、Aの暴行を実力により阻止することが著しく困難な状況にあったとはいえない等として、原判決を破棄し、懲役2年6月を言い渡した事例。 【判示事項】 〔高等裁判所刑事裁判速報集〕 内縁の夫の幼児虐待を制止しなかった被告人の行為が、傷害致死罪の不作為による幇助に該当するとして、これらを否定して無罪とした原判決を破棄し、懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した事例 〔判例タイムズ(判例タイムズ社)〕 被告人が親権者である3歳の子供を同棲中の男性が暴行によりせっかん死させた事案において、被告人は右暴行を制止する措置を採るべきであり、かつ、これを制止して容易に子供を保護できたのに、その措置を採ることなくことさら放置したとする傷害致死幇助罪の公訴事実について、被告人の不作為を作為による傷害致死幇助罪と同視することはできないなどとして無罪とした原判決を破棄した事例 【要旨】 〔高等裁判所刑事裁判速報集〕 被告人の行為は、同人の作為義務の程度が極めて強度であり、比較的容易なものを含む一定の作為により可能であったことにかんがみると、作為による幇助犯の場合と同視できるものというべきであって、不作為による幇助犯の成立要件に該当する。 【裁判結果】 破棄自判 【上訴等】 確定 【裁判官】 近江清勝 渡辺壮 嶋原文雄 【掲載文献】 判例時報1711号170頁 判例タイムズ1044号263頁 高等裁判所刑事裁判速報集(平12)号227頁 【参照法令】 刑事訴訟法397条 刑事訴訟法380条 刑事訴訟法382条 刑事訴訟法400条 刑法62条 刑法205条 【評釈等所在情報】 〔日本評論社〕 門田成人・法学セミナー550号 不作為による幇助の成立要件 中森喜彦・現代刑事法3巻9号 傷害致死行為に対する不作為による幇助の成立を認めた事例 橋本正博・ジュリスト臨時増刊1202号148頁 不作為による幇助――作為義務を肯定した事例 大矢武史・朝日大学大学院法学研究論集4号83頁 内縁の夫による自己の子供に対する虐待行為を阻止しなかった被告人に,無罪を言い渡した第一審判決を破棄して,傷害致死幇助罪の成立を認めた事例 大塚裕史・別冊ジュリスト189号172頁 〔刑法判例百選1 第6版〕不作為による幇助 齊藤彰子・別冊ジュリスト166号166頁 〔刑法判例百選1 第5版〕不作為による幇助 《全 文》【文献番号】28055209 傷害致死(変更後の訴因 傷害致死幇助)被告事件 札幌高裁平一一(う)五九号 平12・3・16刑事部判決 主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役二年六月に処する。 原審における未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入する この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。 理 由 本件控訴の趣意は、検察官佐藤孝明作成の控訴趣意書に、これに対する答弁は、弁護人古山忠作成の答弁書に、それぞれ記載されているとおりであるから、これらを引用する。 論旨は、要するに、「被告人は、平成九年六月ころ、先に協議離婚したAと同棲を再開するに際し、自己が親権者となっていたC及びD(当時三歳)を連れてAと内縁関係に入ったが、その後、AがDらにせっかんを繰り返すようになったのであるから、親権者兼監護者としてDらに対するAのせっかんを制止してDらを保護すべき立場にあったところ、Aが、同年一一月二〇日午後七時一五分ころ、釧路市鳥取南《番地略》所在の甲野マンション一号室(以下「甲野マンション」という。)において、Dに対し、顔面、頭部を平手及び手拳で多数回殴打し、転倒させるなどの暴行(以下「本件せっかん」という。)を加えて、Dに硬膜下出血、くも膜下出血等の傷害を負わせ、翌二一日午前一時五五分ころ、同市内の市立釧路総合病院において、Dを右傷害に伴う脳機能障害により死亡させた犯行(以下「本件傷害致死」という。)を行った際、同月二〇日午後七時一五分ころ、甲野マンションにおいて、Aが本件せっかんを開始しようとしたのを認識したのであるから、直ちにこれを制止する措置を採るべきであり、かつ、これを制止して容易にDを保護することができたのに、その措置を採ることなくことさら放置し、もってAの本件傷害致死を容易にしてこれを幇助した。」旨の訴因変更後の公訴事実に対し、原判決は、不作為による幇助犯の成立要件として「犯罪の実行をほぼ確実に阻止し得たにもかかわらずこれを放置したこと」を掲げ、被告人に具体的に要求される作為の内容として、Aの暴行を実力をもって阻止する行為のみを想定した上で、被告人が、AのDへの暴行を実力により阻止しようとした場合には、負傷していた相当の可能性があったほか、胎児の健康にまで影響の及んだ可能性もあった上、被告人としては実力による阻止が極めて困難な心理状態にあり、被告人がAの暴行を阻止することが著しく困難な状況にあったことにかんがみると、被告人の不作為を作為による傷害致死幇助罪と同視することはできないとして、被告人に無罪を言い渡したが、(一)関係証拠によれば、被告人は、Aへの強い愛情や肉体的執着から、Aに嫌われることを恐れ、Aの機嫌をうかがう余り、AがDらに暴力を振るっても、見て見ぬ振りをしていたことが認められ、Aの暴行を阻止することが著しく困難な状況にあったものとはいえない上、(二)不作為による幇助犯が成立するには、不作為によって正犯の実行行為を容易ならしめれば足り、その不作為が正犯の実行に不可欠であることや、作為に出ることにより確実に正犯の実行を阻止し得ることを要しないというべきであり,被告人に具体的に要求される作為は、Aの暴行を実力をもって阻止する行為に限られるものではないから、原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認及び法令適用の誤りがある、というのである。 そこで、記録を調査し、当審における事実取調べの結果を併せて検討する。 第一 本件において認められる事実について 原審で取り調べられた関係証拠によれば、本件においては、要旨次のような事実が認められる。 一 被告人とAが知り合った経緯等 1 被告人は、平成四年八月二七日、Bと婚姻し、Bとの間に、平成五年三月二七日、長男Cを、平成六年五月二八日、二男Dをもうけたが、その後、Bと不仲になり、平成七年九月ころからC及びDを連れて別居し、同年一二月一八日、Bと協議離婚し、C及びDの親権者となり、二人を引き取った。 2 被告人は、釧路市内のスナックで働いていた平成八年三月ころ、客として来店したAと親しくなり、同月二一日ころ、Aと朝まで飲み歩き、そのままドライブに出かけた後、自らAに同居を申し出、翌二二日ころから、Aが当時住んでいた同市昭和北三丁目のアパート(以下「昭和北のアパート」という。)で、C及びDを連れてAと同棲するようになり、勤めていたスナックも辞めた。 二 昭和北のアパートでの生活状況及びAと婚姻した経緯等 1 被告人は、同棲開始後間もない平成八年四月中旬ころ、帰宅が遅くなったことなどから、Aと口論になり、その際、反抗的な態度をとったことに激昂したAから、マイナスドライバーの先端を首筋に当てられ、赤い痕が残るほど力を込めて押し付けられるなどの暴行を受けた。 2 被告人は、同年八月ころ、Aと口論になった際、かみそりで手首を切って自殺しようとしたところ、それに気付いたAからかみそりを取上げられ、手拳や平手で顔面や肩を多数回殴打されるなどの暴行を受けた。 3 被告人は、昭和北のアパートに居住していた当時、このほかにもAから暴行を受けたことが何度かあったが、その都度、暴行を受けた数日後にAの留守を見計らって釧路市内の実母方に逃げ、しばらくすると、Aから、戻るように優しく言われ、子供を可愛がり、暴力は振るわないなどと約束されて、再びよりを戻すということを三、四回繰り返していた。 4 被告人は、その間の平成八年六月ころ、Aの子を妊娠したことを知り、同年七月二日、Aと婚姻し、また、Aは、同年一〇月三日、C及びDと養子縁組をし、被告人とAとの間には、平成九年一月二二日、長女F子が生まれた。 5 Aは、昭和北のアパートに居住していた当時、CやDの食事の行儀が悪いときなどに、しつけ程度に二人の頬を平手で殴打していたほか、立たせたり、正座させたりしていた。 6 Aは、被告人と同棲を始めたころ、鳶職人として働き、月収約二〇万円を得、生活も安定していたが、平成八年八月ころ鳶職を辞め、同年一〇月ころからは職を転々とするようになり、全く仕事をしないときもあって、生活が不安定になった。 三 Aと離婚した経緯及び星が浦のアパートでの生活状況等 1 被告人は、平成九年二月ころ、Aに暴力を振るわれたことから、Aの留守を見計らい、三人の子供を連れて実母方に逃げ、その後、実母から強く言われたこともあって離婚を決意し、Aもこれに応じたことから、同年三月六日、C及びDの親権者を被告人として協議離婚した。しかし、その数日後、Aから、前同様に優しく言われてよりを戻すこととなり、当時Aが昭和北のアパートを引き払って釧路市星が浦大通のアパート(以下「星が浦のアパート」という。)に住んでいたことから、同所で、三人の子供とともにAとの同棲生活を再開した。 2 被告人は、同年五月ころ、Aと口論となり、灯油を少量かぶって焼身自殺をする振りをしたところ、激昂したAから、両肩と両腿を手拳で殴打され、更に手や足を殴打するなどの暴行を執拗に加えられ、手足が腫れ上がって歩行も困難な状態となった。 3 Aは、星が浦のアパートに居住していた当時、CやDの食事の行儀が悪いときなどに、二人の頬を平手で殴打するなどしていた。 四 材木町のアパートでの生活状況等 1 被告人は、前記三の2の暴行を受けた数日後、今度こそAと別れようと決心し、Aの留守を見計らって実母方に逃げたところ、実母からAと別れるよう強く言われ、今度Aの所に戻れば親子の縁を切るとまで言われた。そして、子供達との独立した生活をするため、生活保護の受給手続を進めるとともに、釧路郡釧路町豊美にアパートを見付け、平成九年六月初めころ、同所に転居することとなった。 2 被告人は、右アパートヘの引っ越しの当日、突如現れたAから、前同様に優しく言われ、「やくざの卵売りの仕事だが、仕事も決まった。」などと言われて、またもAとやり直すことにし、翌日ころには二人で釧路市材木町のアパート(以下「材木町のアパート」という。)を新たに借り、同所で、三人の子供とともにAと同棲生活を再開した。なお、Aは、同年六月六日、C及びDと協議離縁している。 3 Aは、同月初めころから、暴力団の関与する川上郡弟子屈町硫黄山での蒸し卵売りの仕事を手伝うようになり、これをしている間、半月ごとに約一五万円の手当を得ており、被告人らは、安定した生活を送り、また、Aが被告人やC及びDに暴力を振るうこともなくなった。なお、被告人は、同年七月ころ、Aとの間の第二子を懐妊したことに気付き、Aにもその旨伝えた。 4 Aは、暴力団関係者との人間関係の悩みなどから、蒸し卵売りの仕事に嫌気がさし、同年一〇月一日、世話になっていた暴力団組長方に置き手紙をして仕事を辞めてしまい、材木町のアパートも引き払って、被告人及び三人の子供とともに北海道内各地を自動車で転々とした後、同月一〇日過ぎころから、川上郡標茶町のAの実家に身を寄せた。 5 Aは、実家に身を寄せるようになってから、CやDを長時間正座させたり、起立させ、平手や手拳で殴打したりするなどのせっかんを度々加えるようになったが、被告人は、これを見ても、制止することなく、「あんた達が悪いんだから怒られて当たり前だ。」などと言い放ち、また、自らも、Dが夜尿をしたときに一、二度頬や臀部を叩いたことがあった。 五 甲野マンションでの生活状況等 1 Aと被告人は、Aの両親から現金一〇万円の援助を受け、平成九年一〇月二五日ころ、甲野マンションを借り、三人の子供とともに同棲生活を始めたが、このころ、被告人は、妊娠約六か月の状態にあり、Aも、そのことを知っていた。 2 Aは、甲野マンションに移ってから、何度か被告人に対し、別れ話を持ち出しては子供を連れて出て行くように言い、同年一一月初めころ、「出て行け。」などと言って被告人の頬と肩を平手と手拳で七、八回殴打し、更に、その数日後、被告人を正座させた上、同様に言って手拳等で肩と両腿を五、六分ほど殴打し続けたが、いずれの際も、被告人は、「これまで何度も黙って出て行ったりして迷惑をかけていたから、もう出て行ったりしない。」などと言って、何ら抵抗することなくAの暴行を受け入れた。また、Aは、これらとは別の機会に、被告人に裸で甲野マンションから出て行くよう命じ、その際、被告人は、三人の子供とともに裸になり、子供達を連れて玄関まで行ったものの、Aに制止され、屋外に出ることはなかった。 3 Aは、甲野マンションに入居して以降、新たな仕事に就く当てもなく、生活費にも事欠くようになったことなどから、不満や苛立ちを募らせ、その鬱憤晴らしなどのため、ほとんど毎日のように、CやDを半袖シャツとパンツだけで過ごさせた上、長時間立たせたり、正座させたりするなどしたほか、平手や手拳で顔面や頭部を殴打するなどの激しいせっかんを繰り返すようになった。なお、Aは、CやDを注意したときには、一〇回に八回程度は、右のような暴行に及んでいた。 4 他方、被告人も、同年一一月一三日ころには、さしたる理由もないのに、Aのせっかん等によってかなり衰弱しているC及びDを並ばせ、「お前達なんか死んじゃえばいいのに。」などと言いながら、二人の顔面や頭部等を殴打し、腰部等を足蹴にして、二人をその場に転倒させるせっかんを加え、同月一五日ころにも、Dに対し、平手で顔面を殴打し、その場に転倒させるせっかんを加えていた。 5 被告人は、AがCやDに激しいせっかんを加えていたのを見ても、CやDを助けるための行動には出ず、CやDが助けを求める視線を向けても、無関心な態度を示していた。 6 被告人一家は、甲野マンションに入居して以降、一日一、二回の食事しかとれず、その食事も満足にできない状態であったため、Dは、星が浦のアパート時代には一五・五キログラムあった体重が、死亡当時には一一・七キログラムにまで減っており、同年齢の児童の平均体重より三・二キログラムも劣る極度のるい痩状態にあった。 六 平成九年一一月二〇日の状況等 1 Aと被告人は、平成九年一一月二〇日午後二時ころ、F子を連れてAの友人であるG方へ向かったが、その際、Aは、CとDに留守番をさせ、半袖シャツとパンツだけの姿のDに壁に向かって立っているよう命じ、CにはDを見張っているよう命じて外出した。 2 Aと被告人は、同日午後三時四〇分ころからG方で過ごし、ビールを飲むなどして歓談し、同日午後六時四五分ころG方を辞去したが、Aは、帰途、機嫌が良かったこともあって、G方を訪ねる前に被告人が食べたいと言っていたドーナツを買ってやることにし、スーパーマーケットに寄ってドーナツ等を買った。 3 Aと被告人は、F子とともに、同日午後七時一五分ころ甲野マンションに戻ったが、Aは、子供部屋のおもちゃが少し移動していたため、Cに誰が散らかしたのかと尋ねたところ、Cが「Dちゃん。」と答えたことから、Dが言い付けを守らずおもちゃで遊んでいたと思い込んで立腹し、隣の寝室で立っていたDの方に向かった。 4 被告人は、右のAとCのやりとりを聞き、AがDにいつものようなせっかんを加えるかも知れないと思ったが、これに対しては何もせず、数メートル離れた台所の流し台で夕食用の米をとぎ始め、Aの行動に対しては無関心を装っていた。 5 Aは、Dを自分の方に向き直らせ、「おもちゃ散らかしたのはお前か。」などと強い口調で尋ねたものの、Dが何も答えなかったため、更に大きな声で同じことを尋ねたが、Dがそれにも答えず、Aを睨み付けるような目つきをしたため、これに腹立ちを募らせ、「横目で睨むのはやめろ。」などと怒鳴り、Dの左頬を右の平手で一回殴打し、続いて「お前がやったのか。」などと怒鳴ったが、Dが同様の態度をとったため、Dの左頬から左耳にかけての部位を右の平手で一回殴打したところ、Dがよろけて右膝と右手を床についたので、Dの左腕を掴んで引き起こした上、また同様に怒鳴ったが、なおもDが同様の態度をとり続けたことから、腹立ちが収まらず、Dの左頬を右の平手で一回殴打した上、更に「お前がやったのか。」などと怒鳴りながら、一発ずつ間隔を置いてDの頭部右側を手拳あるいは裏拳で五回にわたり殴打した。すると、Dは、突然短い悲鳴を上げ、身体の左から倒れて仰向けになり、意識を失った。 6 被告人は、Aが寝室でDを大きな声で問い詰めるのを聞くとともに、頬を叩くようなぱしっという音を二、三回聞いて、やはりいつものせっかんが始まったと思ったものの、これに対しても何もせず、依然として米をとぎ続け、Aの行動に無関心を装っていたが、これまでにないDの悲鳴を聞き、慌てて寝室に行ったところ、既にDはAに抱えられ、身動きしない状態になっていた。 7 Aと被告人は、その後、Aの運転する自動車にDを乗せて病院に向かい、同日午後八時一〇分ころ、市立釧路総合病院に到着したが、Dは、直ちに開頭手術を受けたものの、翌二一日午前一時五五分ころ、Aの暴行による硬膜下出血、くも膜下出血等の傷害に伴う脳機能障害により死亡した。 8 被告人は、右病院で、担当医師から、Dの命が助からない旨の説明を受け、これを聞いてAの身代わり犯人となることを決意し、待合室にいたAに対し、「私がやったことにするから、あなたは昼から出かけたことにしておいて。」などと言ってAの身代わりになることを申し出た上、医師の通報により右病院に臨場した警察官に対し、自分の犯行である旨虚偽の申告をし、同月二一日午前三時一〇分、傷害致死罪により緊急逮捕され、捜査段階では終始一貫して自分の犯行である旨虚偽の供述をし、同年一二月一一日、同罪により起訴され、同月二四日に至り、初めて同房者にAの犯行である旨を告白した。 以上のような事実が認められる。 第二 原判決の事実認定及び法令の適用について 一 原判決は、前記第一とほぼ同旨の事実を認定しながら、被告人の内心の意思や動機等について、被告人の原審公判供述及び各検察官調書謄本(原審乙18ないし20)(以下「被告人の供述」と総称する。)に依拠して、被告人は、(1)甲野マンションでAから強度の暴行を受けるようになって以降、Aに愛情は抱いておらず、子供達を連れてAの下から逃げ出したいと考えていた、(2)しかし、Aが働くこともなく家にいて留守になることがなかったことから、逃げ出そうとしてAに見付かり、酷い暴行を受けることを恐れ、逃げ出せずにいた、(3)甲野マンションに入居した後、Aからは出て行けと何回か言われていたけれども、Aの言葉は本心ではなく、被告人を試すために言っているものと思っていた、(4)Aから激しい暴行を受けたときの恐怖心や、AがCやDに暴力を振るっているのを側で見ていて、Aから「何見てんのよ。」などと怒鳴られたことがあったことなどから、Aに逆らえば、酷い暴行を受けるのではないかと恐ろしかった上、Aが逆上してCやDに更に酷いせっかんを加えるのではないかと思い、CやDを助けることができなかった、(5)身代わり犯人になったのは、Dを見殺しにしてしまったという自責の念から自分自身が罰を受けたかったためであり、Aをかばうつもりはなかった、との事実を認定している。 二 そして、右事実認定を前提に、(一)不作為による幇助犯が成立するためには、他人による犯罪の実行を阻止すべき作為義務を有する者が、犯罪の実行をほぼ確実に阻止し得たにもかかわらず、これを放置しており、要求される作為義務の程度及び要求される行為を行うことの容易性等の観点からみて、その不作為を作為による幇助と同視し得ることが必要と解すべきであるとした上、(二)被告人には、AがDに対して暴行に及ぶことを阻止すべき作為義務があったと認めながら、(三)その作為義務の程度は極めて強度とまではいえないとし、(四)被告人に具体的に要求される作為の内容としては、Aの暴行をほぼ確実に阻止し得た行為、すなわちAの暴行を実力をもって阻止する行為を想定するのが相当であり、AとDの側に寄ってAがDに暴行を加えないように監視する行為、あるいは、Aの暴行を言葉で制止する行為を想定することは相当でないとした上で、(五)被告人が身を挺して制止すれば、Aの暴行をほぼ確実に阻止し得たはずであるから、被告人がAの暴行を実力をもって阻止することは、不可能ではなかったが、そうしようとした場合には、かえって、Aの反感を買い、被告人がAから激しい暴行を受けて負傷していた相当の可能性のあったことを否定し難く、場合によっては胎児の健康にまで影響の及んだ可能性もある上、被告人は、Aの暴行を実力により阻止することが極めて困難な心理状態にあったのであるから、被告人がAの暴行を実力により阻止することは著しく困難な状況にあったとし、(六)右状況にかんがみると、被告人の不作為を作為による傷害致死幇助罪と同視することはできない旨判示している。 第三 原判決の事実誤認について 一 しかし、Aの当審公判供述を含む関係証拠及びこれによって認められる諸事実に照らすと、前記第二の一の被告人の供述(1)ないし(5)は、いずれもたやすく信用することができない。すなわち、 1 被告人がAから強度の暴行を受けるようになったのは、前記第一の二のとおり、Aと同棲を始めた直後の昭和北のアパート時代からのことで、同棲開始後間もない平成八年四月中旬ころには、Aからマイナスドライバーの先端を首筋に押し付けられて赤い痕が残るほどの暴行を受け、同年八月ころには、手首を切って自殺を図り、平手や手拳で顔面等を多数回殴打され、平成九年五月ころには、灯油を少量かぶって焼身自殺をする振りをし、手拳等で手足を殴打されて歩行もできない状況になるなど、強度の暴行を何回も受け、その度にAの留守を見計らっては実母方に逃げていたのに、被告人は、ほどなくAに戻るよう優しい言葉をかけられてはよりを戻すということを幾度も繰り返し、とりわけ同年五月ころ、星が浦のアパートから実母方に逃げた際には、実母から、今度Aの所に戻れば親子の縁を切るとまで言われ、生活保護の受給手続まで進めながら、数日後にはAとよりを戻して材木町のアパートで同棲するようになっていることなどに加え、原審公判廷においても、「母親としてじゃなく、女として、あの人のことが好きだというんで戻っていた。」などと供述していることに照らすと、被告人が、甲野マンション入居後、それまでと比べてさほど強度とはいえない暴行を二度ほど受けたからといって、にわかにAに愛情を抱かなくなり、Aの下から逃げ出したいと考えるようになったとは思われず、被告人の供述(1)はたやすく信用できない。 2 Aが家にいて留守になることがなくても、被告人は、Aから常時監視されたり、監禁、拘束されたりしていたわけではなく、原判決も指摘するように、Aが寝ているときもあったのであるから、常識的に考えれば、被告人が甲野マンションを出る機会や方法はいくらでもあった上、現に被告人は、これまで家出をする際には、子供達を残して単身実母方に逃げ帰り、後から子供達を迎えに行ったり、所持金のないまま子供達を連れてタクシーで実母方に逃げ帰り、実母に料金を払ってもらったりするなど、臨機の方法でAの下を逃れていたのであるから、Aが家にいて留守になることがなかったとしても、被告人が逃げ出せずにいたとは考え難く、また、被告人がこれまで家を出ようとしてAに見付かり、そのために暴行を受けた事実はなかったことに照らすと、そのようなことを恐れて逃げ出せずにいたとも考え難いので、被告人の供述(2)はたやすく信用できない。 3 標茶町の実家に身を寄せたとき以降、被告人に嫌気がさし、別れたいと思い、被告人にも繰り返しその旨話していた旨のAの原審公判供述や、甲野マンションに入居後、週に三、四回被告人から性交を誘われたが、本件までの約四週間に一、二度応じたのみである旨のAの当審公判供述に加え、職も蓄えもないAが、自分の子であるF子のみならず、被告人やその連れ子で自分とは既に離縁しているC及びDまで扶養しなければならない状況に置かれていたことや、これまで別れ話を持ち出したことのなかったAが、甲野マンションに入居後は、被告人に何回も出て行けと言い、C及びDに対し、ほとんど毎日のように激しいせっかんを繰り返すようになったことなどに照らすと、Aの出て行けとの言葉は本心であり、被告人もこれを察知していたものと認めるのが相当であるから、被告人の供述(3)はたやすく信用できない。 4 被告人が、これまでに、Aのせっかんを制止しようとしたために、Aから自己や胎児に危険が及ぶような激しいせっかんを受け、あるいは、C及びDに対するせっかんが更に激しくなったという事実はなく、被告人は、本件に至るまで、Aのせっかんを制止しようとしたことすらないほか、標茶町時代及び甲野マンション入居後、AがC及びDに激しいせっかんをしているのを見ても、「あんた達が悪いんだから怒られて当たり前だ。」などと言い放ち、Aのせっかんに加担するような態度をとっていた上、自らも、本件直前の平成九年一一月一三日ころには、さしたる理由もないのに、Aのせっかん等によってかなり衰弱しているC及びDを並ばせ、「お前達なんか死んじゃえばいいのに。」などと言いながら、二人の顔面や頭部等を殴打し、腰部等を足蹴にして、二人をその場に転倒させるせっかんを加え、同月一五日ころにも、Dに対し、平手で顔面を殴打し、その場に転倒させるせっかんを加えていたことなどに照らすと、被告人がDらを助けなかった理由が、Aに逆らえば、酷い暴行を受けるのではないかと恐ろしかった上、Aが逆上してDらに更に酷いせっかんを加えるのではないかと思ったことにあるとは考えられず、被告人の供述(4)はたやすく信用できない。 5 被告人は、現にAの身代わり犯人になっているのであるから、常識的には、Aをかばおうとする意思があったものと考えられるほか、本件当夜、意識を失ったDを病院に搬送した後、医師からその原因を尋ねられても、自己やAが殴打したとは答えず、「転んだ。」などと嘘を言い、Dが助かる見込みがないことを医師から知らされた後、警察官から任意の取調べを受けた際にも、自分がせっかんを加えていたと述べる一方で、当初は「今日は殴っていない。」と述べるなど、Dを見殺しにしてしまったという自責の念のみでは説明の付かない言動をしていた上、緊急逮捕後警察官から本格的な取調べを受けた際には、Aを愛している旨を繰り返し述べる一方で、Aの自己に対する暴力についてはほとんど述べず、「Aが、CとDを殴ったことは一度もない。」などと、あえて虚偽の事実を述べるなど、Aをかばおうとする意思がなければ説明の付かない言動をしていたことに照らすと、被告人の供述(5)はたやすく信用できない。 二 以上によれば、被告人の供述(1)ないし(5)に沿う事実はいずれもこれを認めることができず、前記第一の事実、とりわけ、被告人が自ら申し出てAとの同棲を開始し、Aから何回も暴力を振るわれながら、Aとの内縁ないし婚姻関係を継続していたこと、本件の五か月余り前からは、Aの暴力の有無にかかわらず、実母方に逃げることもなかったこと、甲野マンション入居後は、Aから別れ話を持ち出され、子供を連れて出て行くように言われ、暴力まで振るわれたのに、最後まで出て行かなかったこと、標茶町時代以降、AがDらに激しいせっかんをしているのを見ても、これを制止せず、かえってAのせっかんに加担するような態度をとり、本件直前ころには、自らもCやDに相当強度のせっかんを加えていたこと、本件直後Dの命が助からない旨を聞かされるや、躊躇なくAの身代わり犯人となることを決意し、自ら申し出て身代わり犯人になり、一か月余り虚偽の供述を維持していたことなどに照らすと、被告人が本件せっかんの際、Aの暴行を制止しなかったのは、当時なおAに愛情を抱いており、Aへの肉体的執着もあり、かつ、Aとの間の第二子を懐妊していることもあって、Dらの母親であるという立場よりもAとの内縁関係を優先させ、AのDに対する暴行に目をつぶっていたものと認めるのが相当であるから,被告人がAの暴行を制止しなかった理由として、被告人の供述(4)に沿う事実を認定した原判決には、事実の誤認があるといわざるを得ない。 三 そうすると、被告人は、Aの暴行を実力により阻止することが著しく困難な状況にあったとはいえず、前記第二の二の原判決の判示を前提としても、被告人の不作為を作為による傷害致死幇助罪と同視することができないとはいえないから、右事実誤認は、判決に影響を及ぼすことが明らかというべきである。 第四 原判決の法令適用の誤りについて 一 後述する不作為による幇助犯の成立要件に徴すると、原判決が掲げる「犯罪の実行をほぼ確実に阻止し得たにもかかわらず、これを放置した」という要件は、不作為による幇助犯の成立には不必要というべきであるから、実質的に、作為義務がある者の不作為のうちでも結果阻止との因果性の認められるもののみを幇助行為に限定した上、被告人に具体的に要求される作為の内容としてAの暴行を実力をもって阻止する行為のみを想定し、AとDの側に寄ってAがDに暴行を加えないように監視する行為、あるいは、Aの暴行を言葉で制止する行為を想定することは相当でないとした原判決には、罪刑法定主義の見地から不真正不作為犯自体の拡がりに絞りを掛ける必要があり、不真正不作為犯を更に拡張する幇助犯の成立には特に慎重な絞りが必要であることを考慮に入れても、なお法令の適用に誤りがあるといわざるを得ない。 二 そこで、被告人に具体的に要求される作為の内容とこれによるAの犯罪の防止可能性を、その容易性を含めて検討する。 1 まず、AとDの側に寄ってAがDに暴行を加えないように監視する行為は、数メートル離れた台所の流し台からAとDのいる寝室に移動するだけでなし得る最も容易な行為であるところ、関係証拠によれば、Aは、以前、被告人がAのせっかんの様子を見ているとせっかんがやりにくいとの態度を露わにしていた上、本件せっかんの途中でも、後ろを振り返り、被告人がいないかどうかを確かめていることが認められ、このようなAの態度にかんがみると、被告人がAの側に寄って監視するだけでも、Aにとっては、Dへの暴行に対する心理的抑制になったものと考えられるから、右作為によってAの暴行を阻止することは可能であったというべきである。 2 次に、Aの暴行を言葉で制止する行為は、Aを制止し、あるいは、宥める言葉にある程度の工夫を要するものの、必ずしも寝室への移動を要しない点においては、監視行為よりも容易になし得る面もあるところ、関係証拠によれば、Aは、Dに対する暴行を開始した後も、D及び被告人の反応をうかがいながら、一発ずつ間隔を置いて殴打し、右暴行をやめる機会を模索していたものと認められ、このようなAの態度にかんがみると、被告人がAに対し、「やめて。」などと言って制止し、あるいは、Dのために弁解したり、Dに代わって謝罪したりするなどの言葉による制止行為をすれば、Aにとっては、右暴行をやめる契機になったと考えられるから、右作為によってAの暴行を阻止することも相当程度可能であったというべきである(被告人自身も、原審公判廷において、本件せっかんの直前、言葉で制止すれば、その場が収まったと思う旨供述している。)。 3 最後に、Aの暴行を実力をもって阻止する行為についてみると、原判決も判示するとおり、被告人が身を挺して制止すれば、Aの暴行をほぼ確実に阻止し得たことは明らかであるところ、右作為に出た場合には、Aの反感を買い、自らが暴行を受けて負傷していた可能性は否定し難いものの、Aが、被告人が妊娠中のときは、胎児への影響を慮って、腹部以外の部位に暴行を加えていたことなどに照らすと、胎児の健康にまで影響の及んだ可能性は低く、前記第三の三のとおり、被告人がAの暴行を実力により阻止することが著しく困難な状況にあったとはいえないことを併せ考えると、右作為は、Aの犯罪を防止するための最後の手段として、なお被告人に具体的に要求される作為に含まれるとみて差し支えない。 4 そうすると、被告人が、本件の具体的状況に応じ、以上の監視ないし制止行為を比較的容易なものから段階的に行い、あるいは、複合して行うなどしてAのDに対する暴行を阻止することは可能であったというべきであるから、右1及び2の作為による本件せっかんの防止可能性を検討しなかった原判決の法令適用の誤りは、判決に影響を及ぼすことが明らかというべきである。 第五 破棄自判 以上によれば、論旨はいずれも理由があるから、刑訴法三九七条一項、三八〇条、三八二条により原判決を破棄し、同法四〇〇条但書を適用して、当審において更に次のとおり判決をする。 (罪となるべき事実) 被告人は、平成九年六月ころ、先に協議離婚したAと再び同棲を開始するに際し、当時自己が親権者となっていた、元夫Bとの間にもうけた長男C及び二男D(当時三歳)を連れてAと内縁関係に入ったが、その後、AがDらにせっかんを繰り返すようになったのであるから、その親権者兼監護者としてDらに対するAのせっかんを阻止してDらを保護すべき立場にあったところ、Aが、平成九年一一月二〇日午後七時一五分ころ、釧路市鳥取南《番地略》甲野マンション一号室において、Dに対し、その顔面、頭部を平手及び手拳で多数回にわたり殴打し、転倒させるなどの暴行を加え、よって、Dに硬膜下出血、くも膜下出血等の傷害を負わせ、翌二一日午前一時五五分ころ、同市春湖台一番一二号市立釧路総合病院において、Dを右傷害に伴う脳機能障害により死亡させた犯行を行った際、同月二〇日午後七時一五分ころ、右甲野マンション一号室において、Aが前記暴行を開始しようとしたのを認識したのであるから、直ちに右暴行を阻止する措置を採るべきであり、かつ、これを阻止してDを保護することができたのに、何らの措置を採ることなく放置し、もってAの前記犯行を容易にしてこれを幇助したものである。 (証拠の標目)《略》 (補足説明) 1 不作為による幇助犯は、正犯者の犯罪を防止しなければならない作為義務のある者が、一定の作為によって正犯者の犯罪を防止することが可能であるのに、そのことを認識しながら、右一定の作為をせず、これによって正犯者の犯罪の実行を容易にした場合に成立し、以上が作為による幇助犯の場合と同視できることが必要と解される。 2 被告人は、平成八年三月下旬以降、約一年八か月にわたり、Aとの内縁ないし婚姻関係を継続し、Aの短気な性格や暴力的な行動傾向を熟知しながら、Aとの同棲期間中常にDらを連れ、Aの下に置いていたことに加え、被告人は、わずか三歳六か月のDの唯一の親権者であったこと、Dは栄養状態が悪く、極度のるい痩状態にあったこと、Aが、甲野マンションに入居して以降、CやDに対して毎日のように激しいせっかんを繰り返し、被告人もこれを知っていたこと、被告人は、本件せっかんの直前、Aが、Cにおもちゃを散らかしたのは誰かと尋ね、Cが、Dが散らかした旨答えたのを聞き、更にAが寝室でDを大きな声で問い詰めるのを聞いて、AがDにせっかんを加えようとしているのを認識したこと、Aが本件せっかんに及ぼうとした際、室内には、AとDのほかには、四歳八か月のC、生後一〇か月のF子及び被告人しかおらず、DがAから暴行を受けることを阻止し得る者は被告人以外存在しなかったことにかんがみると、Dの生命・身体の安全の確保は、被告人のみに依存していた状態にあり、かつ、被告人は、Dの生命・身体の安全が害される危険な状況を認識していたというべきであるから、被告人には、AがDに対して暴行に及ぶことを阻止しなければならない作為義務があったというべきである。 ところで、原判決は、被告人は、甲野マンションで、Aから強度の暴行を受けるようになって以降、子供達を連れてAの下から逃げ出したいと考えていたものの、逃げ出そうとしてAに見付かり、酷い暴行を受けることを恐れ、逃げ出せずにいたことを考えると、その作為義務の程度は極めて強度とまではいえない旨判示しているが、原判決が依拠する前記第二の一の被告人の供述(1)及び(2)は、前記第三の一の1及び2で検討したとおり、いずれもたやすく信用することができないから、右判示はその前提を欠き、被告人の作為義務を基礎付ける前記諸事実にかんがみると、右作為義務の程度は極めて強度であったというべきである。 3 前記第四の二のとおり、被告人には、一定の作為によってAのDに対する暴行を阻止することが可能であったところ、関係証拠に照らすと、被告人は、本件せっかんの直前、AとCとのやりとりを聞き、更にAが寝室でDを大きな声で問い詰めるのを聞いて、AがDにせっかんを加えようとしているのを認識していた上、自分がAを監視したり制止したりすれば、Aの暴行を阻止することができたことを認識しながら、前記第四の二のいずれの作為にも出なかったものと認められるから、被告人は、右可能性を認識しながら、前記一定の作為をしなかったものというべきである。 4 関係証拠に照らすと、被告人の右不作為の結果、被告人の制止ないし監視行為があった場合に比べて、AのDに対する暴行が容易になったことは疑いがないところ、被告人は、そのことを認識しつつ、当時なおAに愛情を抱いており、Aへの肉体的執着もあり、かつ、Aとの間の第二子を懐妊していることもあって、Dらの母親であるという立場よりもAとの内縁関係を優先させ、AのDに対する暴行に目をつぶり、あえてそのことを認容していたものと認められるから、被告人は、右不作為によってAの暴行を容易にしたものというべきである。 5 以上によれば、被告人の行為は、不作為による幇助犯の成立要件に該当し、被告人の作為義務の程度が極めて強度であり、比較的容易なものを含む前記一定の作為によってAのDに対する暴行を阻止することが可能であったことにかんがみると、被告人の行為は、作為による幇助犯の場合と同視できるものというべきである。 (法令の適用) 被告人の判示行為は、刑法六二条一項、二〇五条に該当するところ、右は従犯であるから、同法六三条、六八条三号により法律上の減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年六月に処し、同法二一条を適用して原審における未決勾留日数中一〇〇日を右刑に算入し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予することとし、原審及び当審における訴訟費用については、刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととする。 (量刑の理由) 本件は、当時三歳の男児Dの親権者兼監護者であった被告人が、内縁の夫AによるDに対する激しいせっかんを阻止せず、AによるDの傷害致死を容易にしてこれを幇助したという事案である。 被告人は、甲野マンションに入居して以降とりわけ激しくなったAのDらに対する恒常的なせっかんを放置し続けていたもので、本件は起こるべくして起きた事案といってよい。被告人は、本件せっかんの当日、A及びF子とともに五時間余り外出し、その間、電灯もストーブも点いていない暗く寒い室内で、半袖シャツとパンツだけの姿で起立させられていたDを思い遣ることなく、Aが帰宅するなり、おもちゃを散らかしたといえる状況もないDを問い詰め、暴行に及ぼうとしたのを認識しながら、Dの母親であるという立場よりもAとの内縁関係を優先させ、AのDに対する暴行に目をつぶり、AやDの姿が見通せない台所の流しで夕食用の米をとぐなどしていたもので、動機に酌量すべきものはほとんどない。被告人は、AがDに対して暴行に及ぶことを阻止しなければならない極めて強度の作為義務を負っており、かつ、比較的容易なものを含む一定の作為によってこれを阻止することが可能であったのに、何らの作為にも出ず、母親として果たさなければならない義務を放棄していたもので、被告人が当時妊娠約六か月の状態であったことを考慮しても、犯行態様は決して芳しいものではない。Dは、Aの暴行及びこれを阻止しなかった被告人の不作為により、硬膜下出血等の傷害を負い、直ちに病院に搬送されて手術を受けたものの、既に手遅れの状態となっており、受傷から七時間足らずで死亡したもので、その結果は誠に重大であり、Aから連日のように無慈悲かつ理不尽なせっかんを加え続けられた挙げ句、おもちゃを散らかしたとの濡れ衣を着せられて、いわれのない激しいせっかんを受け、全身に新旧多数の打撲傷や痣、皮膚の変色を残したまま、僅か三歳六か月の幼い命を奪われたDの無念さは察するに余りあり、実父であるBが、Aに対する厳罰を望んでいるほか、Dを助けなかった被告人も許せない旨警察官に供述しているのも、誠に無理からぬところである。加えて、被告人は、本件犯行後自ら進んでAの身代わり犯人となり、緊急逮捕後は一貫して自分がDを殴って死亡させたのであり、Aは無関係である旨の虚偽の供述を繰り返し、逮捕後一か月余りを経た起訴勾留中に、ようやく真犯人がAである旨を同房者に打ち明けたもので、犯行後の行状も甚だ芳しくない。以上のようにみてくると、被告人の刑事責任は誠に重い。 しかしながら、本件傷害致死の正犯者はあくまでAであり、被告人の幇助の態様は不作為という消極的なものであったこと、被告人自身もAからしばしば相当強度の暴力を振るわれており、前記妊娠の点をも併せ考慮すると、被告人が期待された作為に出なかったことについては、一概に厳しい非難を浴びせ難い面もあること、被告人自身、本件により自らが腹を痛めたDを亡くしており、自責の念を抱いていること、被告人は、累犯前科を有するAと異なり、これまで前科なく生活しており、原審係属中の平成一〇年五月二七日勾留取消決定により釈放された後は、飲食店従業員として稼働していること、被告人にはDのほかに三児があり、現在C及びF子は施設に入所しているものの、いずれは同児らを引取り、自ら養育していくべき責任があること、被告人には釧路市内に住む実母がいて、将来も折あるごとに被告人の相談に乗り、被告人を監督していくものと期待されることなどの諸事情も認められ、これらを前記諸事情と併せ考えると、この際、被告人に対しては、直ちに実刑をもって臨むよりも、Dの冥福を祈らせつつ、社会内で更生の道を歩ませるのが相当と考えられる。 (原審における求刑 懲役三年) よって、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 近江清勝 裁判官 渡邊壯 嶋原文雄)
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登録日:2018/04/07 (土) 12 58 45 更新日:2024/03/18 Mon 17 42 26NEW! 所要時間:約18分で読めます ▽タグ一覧 DS METAL_SAGA クレアテック ゲーム サクセス タッチペンオンリー ニンテンドーDS メタルサーガ メタルマックス モバイル ゲームスタジオ 戦車 鋼の季節 『METAL SAGA~鋼の季節~』は2006年6月15日にサクセスから発売されたニンテンドーDS用ソフト。ジャンルはRPG。 メタルサーガシリーズの二作目だが、開発がクレアテックでありスタッフもメタルマックスと共通する人物が多い。 しかもストーリーは初代メタルマックスの直接の続編。否が応でも期待は高まったのだが…… ☆ストーリー 町外れの農場で、姉と父の親友の三人暮らしをしている主人公。彼らの元へ「疾風のジェシィ」というハンターが訪れる。 ジェシィの持つ「ノアシード」、それは主人公の父レバンナがかつて破壊した「ノア」のバックアップであり、これを破壊せねばノアの脅威は除かれることはないという。 挙句こいつは破壊不能、しかもノアの手先たる機械群が奪還のために追ってくる。現に農場も襲撃され、父の親友クリフが命を落としてしまった。 そして主人公は父の遺産「ハンビー」を駆り、ノアシード破壊の旅に出るのであった。 竜退治はもう飽きた!とぶち上げた作品の続編のわりにファンタジー物の続編っぽい気が ☆難点 本作の評価は芳しくない、というか『黒歴史』『クソゲー』扱いが大方だろう。 大きな原因は3つ。 まず一つはフルタッチペンオペレーションであること。ボタンはクラクションを鳴らすために使用する。 単に操作性が悪いばかりでなく、ダンジョンの難度上昇やハマリの原因でありストレスフル。 次いで不具合の多さ。戦車改造でフリーズ、特定操作後クイックセーブでフリーズ、 想定範囲外でボスを倒すとフリーズ、バグでラスダン侵入してフリーズorハマリ、などなど。 そもそも特定条件下でなく唐突にフリーズすることもあり、そちらは再現性が低くこまめなセーブ以外での対処ができない。 そしてラストダンジョンそのもの。これに関しては後述する。 ☆システム だが、本作はメタルマックス3へつながる過渡期の作品であり、後々まで続くシステムの根幹はここで作られたものも多い。 ツリー式戦車改造 シャシーの穴を開ける改造からタイプそのものを変化させる方式になった。シャシー特性も初登場。 元に戻すことはできない上、道具欄を増やすにはこのシャシー改造しかないのが厄介。 固定装備も登場したが、一切改造できないのが問題。 戦車道具の重量 本作から戦車道具に重量が設定された。 戦車の複数人乗り 本作の仕様上、劇的な効果は無い。また、ポチを乗せることはできない。 属性/耐性の整理 キャラクターのステータスで耐性を一覧表示するようになり、その内容もわかりやすく%表記。 防御力は属性攻撃には無効のためかなり重要。 ハンターズアイの登場により敵の耐性も把握できるようになった。 人間武器の複数装備 三つまで装備し、戦闘中に使い分けることが可能になった。 属性/耐性が大きく作用するようになったため重要。 人間道具欄 カテゴリごとにタブ分けされ一括所持する形式に変更。 本作ではステータス項目も同列に並んでいるため便利が良いのだが、細かいボタンが密着していて使いづらい。 回数制特技 特技には使用回数が設定され、宿に一泊orレベルアップで回復する形式になった。 習得もレベルアップ、正確にはクラス特有のレベルによる。 武器の攻撃範囲/回数 扇形、帯状など、範囲を攻撃する武器が登場。 攻撃回数が2連射や2体というものも登場、後のシーハンターである。 今週のターゲット 指定のモンスターを指定数倒す、依頼方式に変更。 キャンセルができない上、出現しないモンスターが指定されている場合があるので要注意。 付け替え式称号 称号は条件を満たすとリストに追加され、好きなものを選択して主人公につけることができる。 埋蔵アイテム 例外はあるが探知機の反応なしでは掘り出せなくなった。 また、特殊砲弾のほとんどが埋蔵品/ドロップ品になっている。(*1) 専用センサーを使用してのアイテム集め みんな大嫌いなテスラ・セル集めの源流は本作にあり、『グラビタイト』を含むさまざまなアイテムを探すことになる。 ただし本作では全10個で、かつ9個で切り上げることができる。 更に、エネルギー充填のようなもう一手間もなく準備完了するので、これは3で悪化しているわずかな点。(*2) 2R以降は完全な寄り道としてデザインされ、問題なくなった。たぶん。 システムではないが、ミュート族とハイテク海女の登場も本作から。 『お尋ね者との戦い』が『WANTED!』と名を変えた正式な曲名が判明したのも本作から。 ☆引き継がれなかった仕様 フルタッチペンオペレーション 言うまでもない。 特に本作は溺死街や第二フリーザといった移動しにくい場所が目立ち、辛い。 3のパッケージにタッチペンを使用しない旨が表記され、また 斜め移動が出来ない 原因。(*3) ワールドマップ フィールドを自由に移動するのではなく、拠点やダンジョンの情報を得た後にそこまでの経路上を移動する。 中盤までほぼ一本道で、寄り道スポットも多くはなく、世界を歩き回ることに関しては不自由。 コンピュータ操作 『下画面のキーボードとマウス』を操作して『上画面の入力枠とカーソル』を操作する。 キーボードが小さい上にエンターキーが存在しないのがめんどくさい。 パーティ 人間2+犬。戦車は1台+牽引1。 また、戦車に二人とも乗った際は同じ武器を二人で使用することができない。 パーツ耐久力制 装甲タイルが廃され、戦車パーツごとに耐久力を持つ形式に変更された。 そのため本作では攻撃能力を一切持たない武器パーツがあり、ダメージを請け負わせることが可能。 戦車用回復アイテムはタイルパックでなく『修復スプレー』になっている。(*4) 探知機のショートカットボタン 当然下画面に配置される。便利なのだが、ボタンが小さくミスタッチで移動しかねないのが難。 まだキラキラや装備のレアリティ、サブジョブなどは登場しておらず、経験値・金ともに渋めの設定でバランスは悪くない。 存在に気付いた時点でバランス崩壊しそうなブツもあるにはあるが。特技と弾薬の補給はできないから大丈夫 ☆キャラクター 主人公 当然固定メンバー。1の主人公の息子。 ハンターだが特技や装備に恵まれ、降車しての戦闘も得意。専用装備も(完成すれば)強力。 表情豊かな立ち絵が存在し、また、セリフになっている選択肢が登場しているため何とも子供っぽい。 しかしぐんぐんと成長し、女を口説くまでになる……ってソッチ方向かよ。 ジェシィ 冒険開始時点で参入するハンター。主人公を師として導く大人の男。(*5) ただ、操作不能で主砲をバンバンぶっ放す、賞金のピンハネ、とどめはクルマの持ち逃げとやらかしている。 序盤で離脱し、その後はパーティに再参入することはない。 + ネタバレと小ネタ クルマの件は事故なのでそれ自体に非はない。しかし何故名前を付け替えた。名前変更屋無いのに 生きて再会は出来るのだが、賞金首との戦いで目を負傷しリタイア。裏はあれど、町を救うための名誉の負傷である。 その後は農場で姉ちゃんと暮らし、エンディングではいい雰囲気に。 なお、賞金のピンハネは謀殺してから受け取れば防げる。 ポチ ドッグ。モンスターに襲われていたところを救われ仲間になる。前足の包帯がチャームポイント。 他のドッグたちとの交渉を取り持ってくれるなど、なかなかの活躍ぶり。 戦闘中の操作はできないが賢く、参入以降ほぼ常時パーティにいるため重要戦力。(*6) + バグ わんわんグルメで毛づやを相当上げてやるとそれ以降爆発的に成長しバランスを完全に破壊する。 ポチタンクが存在していなかったのでまだマシと思いたいが、代替品が存在するので大差ない。 レオーニ 新職業「料理人」。人情家の巨漢。定期船の船長のためにダンジョンへ向かい、そこでのトラブルをきっかけに仲間入り。 「ネタ」を調理する技能を持ち、人々の心を癒したり主人公たちの力を増したりと活躍する。 彼個人の戦闘能力は対バイオ系に特化したソルジャーといった感じ。 メグ 眼鏡っ娘メカニック。あるダンジョン探索のために手を組み、仲間になる。 ドジだがかなり肝は据わっており、戦闘中に修理を行う場面もある。 あちこちに存在する壊れた機械を修理できるので割と重要。 能力的には後のメカニックたちとあまり変わらない感じ。お色気キックはなかなか強烈。 マリオン 女ソルジャー。踊り子を辞める際のひと悶着に主人公が噛み、その後モンスター討伐のために共闘そして参入。 順当にすごく強いのだが、空前絶後の珍特技『人間戦車』が異彩を放つ。 戦車の機銃を生身で使えるよ! だからどうした。という隠し芸的な何か。 サージ ノアに挑んだ伝説のハッカーを探していたところ既に故人であることが判明し、孫の彼が参戦。 こまっしゃくれた子供だが、腕は本物。ストーリー後半の鍵である。 小柄な主人公よりさらに小さく、二人して女装して敵地潜入するイベントから始まる辺り何というか……攻めてるなぁ。 敵メカから特技を吸い出して習得する特性を持つが、パラメータが貧弱で参入も遅いため戦力化するのに難儀する。 以上がパーティメンバー。以下NPC。 レバンナ 主人公の父親。既に故人で、農場の片隅に墓があるのみ。 かつてノアを倒したハンター。無汚染野菜の開発をしていたが、病に倒れ亡くなったと語られる。 クリフ レバンナの相棒、メカニック。(*7)主人公姉弟の保護者。 冒頭で敵を撃退するも死亡。強い男になれ、と遺言を残す。 かなり老け込んでおり、1からの年月とその苦労がうかがえる。 + ネタバレ 彼と敵キャラ以外、ほぼ死者は出ない。モブが死にまくる3以降とのギャップが凄まじい。 イングリッド レバンナたちの仲間、ソルジャー。(*8)クリフと同年代だと思われるが、だいぶ若々しい。 彼女を探すことが初期の目標であり、中盤で(ジェシィともども)合流できたのだが、襲撃の対処で海に転落。 しばらくして農場に帰ってくるのだが、何やら様子が……? + ネタバレ 農場に現れたのはモンスターが化けた偽物。ドロップは粘れ 本人とは後々再開できるのだが、記憶を失い穏やかな暮らしをしていた。 かくまっていた人々の意向を受けて、主人公は彼女を島に残して立ち去る。 カレン 主人公の姉。いざとなればショットガンも持ち出す肝っ玉姉ちゃん。 例によって無料で寝泊まりさせてくれる。 キキ 主人公に懐いている女の子。彼女のために『こんやくゆびわ』(正体は指貫)を探すのが最初のイベント。 残念ながら結婚エンドはない。実家に引き取って一緒に暮らす結末くらいあっても良かったのにね。 マダム・ザザ 二番目の町『溺死街』の顔役。「人探しならザザに訊け」と言われるほどの情報通。 ジェシィに妖怪ババアなどと言われるが、自分でも称してしまうほどの大物婆さん。 彼女が主人公たちを気に入ってくれたお陰か、中盤以降彼女の店に仲間が集合する。 後のヌッカの店の源流、とも言えそうなのだが、溺死街の奥まった位置なので不便。 タニア 四番目の町「フラミンゴ・ヴィル」の顔役の娘。街中でたそがれているが、ただのハンターでは相手にされない。 親交を深めていくと最終的には結婚エンドを迎え、彼女の父親を追い落とす展開になる。 ファング ソルジャー。メグの元カレ。鉄道建設工事のバイトをしている。 パーティに参入することは無いが、彼専用装備が存在する。(*9) ツナデ 溺死街のハイテク海女。賞金首『電磁海月』を倒すため、身体を張って協力してくれる。 ピンチの状況を妙に詳しく説明する、冷静なんだか何なんだかよくわからない子。 Dr.ミンチ 毎度おなじみ電撃蘇生術の研究家。いつもの二人もいっしょ。 序盤で主人公に救助された後は特に出番はない。もちろんゲーム的には死者蘇生でお世話になるが。 Dr.レジェンド 通称Dr.L。あれこれ作ってくれる、ヤミクモ博士やバトー博士に相当する人物。でんでんででんでん。 作品の一つ『オデン砲』はパーツが全ては揃わず、バグもあって扱いづらい。 エバ・グレイ ノアシード破壊の手段を得る手掛かりとなる人物。『2』の同名人物とは違い、まだ若い。 そのためには賞金首「マリリン・グレイ」を倒す必要があるというのだが…… とにかく、その後『グラビタイト』を探して各地を飛び回ることになる。 ☆戦車 ハンビー HMMWVっぽい。レバンナの形見。デフォルト名『レバンナ号』。 初期で装備が一通り揃っているが、ジェシィが主砲を無駄撃ちした挙句、彼が乗ったままはぐれる。 再会時に正規入手となるが、その際にはデフォルト名が『ジェシィ号』に…… 装甲車 装輪タイプ。メグと共に賞金首と追っかけっこをしながら入手する。 炎上ダメージを無効化する仕様のため、別の賞金首との対決にも持って来い。 対空戦車 ゲパルトっぽい。変なギミックのダンジョン『ピラミッドヒルズ』に安置されている。 ただ、本作では対空攻撃はそこまで重要でなかったり…… キャデラック ピンクのオープンカー。三番目の町で売られているクルマ。 こんなイカすクルマなら女の子のハートだってブチ抜けるってもんさ。 突撃砲 ヤークトパンターっぽい。街中の倉庫に保管されているが、入り口は並の電子ロックではない。 そんなところからクルマ盗んで大丈夫かって? 後で街ごと乗っ取ってうやむやにするんだよ。 エイブラムス M1エイブラムスっぽい。あるダンジョンに大量に埋蔵されている。 一両入手すると残りは警報音と共に一斉に姿を消すのだが、何があった。 レッドウルフ 毎度おなじみ、メルカバモチーフの真っ赤な戦車。ある町の中で氷に埋もれている。 なお、ウルフとRウルフが同系統の車種となったのは本作(前者は伝説戦車のみだが)。 戦闘機 飛べない戦闘機。あるフィールドでの発掘品。 牽引して持ち出すと元の位置に戻るバグを抱えていて、その場で一度乗る必要がある。 スターリン 撃破した賞金首「グラマースターリン」。 固定装備や重量のせいで扱いづらく(*10)、フリーズバグの温床でもある不遇の存在。 伝説戦車 Dr.Lに作ってもらえる戦車。専用シャシーを含むさまざまなタイプ。 「スタイル」「大きさ」「方向性」「雰囲気」を指定するアバウトな設計。 専用のタイプや派生形態があるので色々遊んでみるのも一興。 ☆賞金首 ドロップアイテムを複数設定されている賞金首はいない。星の変動もないためこの点はマシ。 ヌマンバ 沼地に棲む巨大ワニ。Dr.ミンチ一行を襲撃し、主人公は苦労して誘導した末に賞金をピンハネされる。 ドロップアイテム『ヌマンバファング』はソルジャー専用。期待させる数値だがマリオンとの合流時には凡庸になっている悲しさ。 零九式安全神話 旧世代の施設に残された防衛システム。二本の柱の間に吊るされた目玉、という感じの姿。 ジェシィとはぐれた後に賞金を受け取るのがコツ。 デアボラ一家 「デ・ア・ボ・リ・カ、じゃ! ボケナスが~!」 自称は『クラン・デアボリカ』。 トカゲ風の女デアボラ、マッチョ獣人デウード、細身の狼デジャンの三人(?)組。全員ミュート族らしい。 三回遭遇し二回戦う因縁の相手。ジェシィ(&ハンビー)とはぐれたのはこいつらの襲撃が原因。 スナザメキング 2のスナザメとほとんど同じ姿。当然砂漠に住む。 生息地で立ち往生している人物がいて、手助けするイベントが存在する。 今回の鉄のフカヒレは実用品。戦車用防具『フタ』という微妙なカテゴリだが。 ブラスバンシー 『リターンズ』初出のラッパ烏賊。生態系を破壊する食欲という凶悪な設定が追加された。 レオーニ加入直後に交戦できる。生息地が面倒なダンジョンなのでそのまま撃破したいところ。そう巧く行くかどうかは別だが。 スレイプニル 六本脚の馬のようなマシン。ロケット墓場というダンジョンでメグとともに追いかけられる。 素直に考えると逃げ回って装甲車を入手し逆転、なのだが先に戦車を仕入れて入り口で撃破できるのもメタルらしさ。 二回倒せるバグあり。 バーナータイガー 虎縞の戦闘車両。火炎属性攻撃が得意。 ドロップアイテム:タイガーバーン。これがいいたかっただけだろ。 超タナカ シリーズ定番、追いかけっこマッチョ。 タンクトップ姿のバーコード禿メガネでエンジンを背負ったサイボーグ。 コイツがプロレス技を使ったことが後のレスラーに繋がっ……考えすぎか。 1000-イヴ 女王アリ型マシン。アリ塚に籠り、手下のアリ(こいつらは生)にサブワイという街を襲撃させた。 マリオン合流・ジェシィ再会&リタイアとストーリーに絡んでくるのだが、放置出来てしまう辺りが何ともはや。 パワード・アープ 多脚マシン。サージがノア・シードを調査した際に出た信号に応じて農場を襲撃した。 囮としてコイツと交戦したイングリッドは海に転落、行方不明になる。 最後はサージのハッキングで異常をきたし、撃破される。 マリリン・グレイ 白いミニのワンピースと長い金髪の女サイボーグ。 エバ・グレイ博士の依頼で撃破する。深い関わりがあるようだが多くは語られない。突っ込んで聞ける様子でもない。 ドロップアイテムが『ブロンドヘルム』……頭部を丸ごとかぶるのだろうか。 U-シャーク 初出は『2』。姿も変わっていない。 本作では定期船を襲撃するまでに凶暴化しており、殺された用心棒の仇討ちを挑むことになる。 賞金以外にも報酬がもらえるのだが、なんと『エンジェルリング』。金の指輪じゃないのかよ 電磁海月 溺死街に現れたモンスター。アンドンクラゲ(*11)に近い姿。 海中にいるため、ハイテク海女の協力がなければ戦うことはできない。 キラーキッチン 流し台、電子レンジ、冷蔵庫がセットで暴走したモンスター。 出現域はある程度特定できるが正確な場所が分からない、というかランダムなのが面倒。 キューバ 立方体型のモンスター。ワールドマップ上に居座る。 後の『てきよけスプレー』を無限に使用できるアイテムを落とす。 カミカゼの騎士 おなじみのカミカゼ、今回はホバーカーのようなものに乗って登場。ワールドマップを徘徊する。 冗談のような高防御力を持ち、割と普通に攻撃してくるので強敵。バグあり。 グラマースターリン 定番の超巨大戦車。そして初の倒して入手する戦車。これでもかと生えている大砲がイカス。 ジョニーDバッド ロックンローラースタイルのミュート・サイボーグ。リーゼントがミサイルランチャー。 かなりの強敵な上に、妙に哲学的なセリフを遺す男。あの"目"と対話していたのであろうか。 ヤマトサウルス 2の軍艦サウルスとあまり変わらない見た目だが、構図がよりダイナミックになっている。ダイナミックというより松本零士 オーバーロード ノア勢力の空中要塞。普段からワールドマップ上空をゆったり飛び回っている。終盤に一度交戦するが、本番はラスト直前。 戦闘は三段階に分かれ、HP総計は20万を超える最強の賞金首。空を落としたその先には…… ☆ラストダンジョン + ネタバレ。長い。 本作のラストダンジョンは賞金首でもある飛行要塞「オーバーロード」。本作の集大成である。 終盤に交戦し撃破・墜落させるのだが、変な位置で墜とすとフリーズしてしまう。 墜落後侵入できるこのダンジョンは全員の力が必要となる。 戦力としてポチとマリオンが。 壊れて開かない入り口をメグが修理。 進路を妨害するロボットに対しレオーニの料理を提供。(*12) 閉ざされたゲートを開放するためサージがハッキング。 ……そのハッキングが問題で。 仮想世界にダイブして操作する必要があるってことで、主人公・サージ・ポチのパーティで固定。 もちろん戦車は使えず、ラストダンジョンらしく超電導Xが電気攻撃を乱発。 迷路の壁に接触すると特定地点に戻されるギミックまで搭載。 誰が呼んだか電流イライラ棒。 しかもこの区間が一番長い。全体の6~7割くらいサージのパート。メグとレオーニなんてピンポイントで済むのにさ 難所を乗り越えてゲートを開放すると、戦車を最深部に持ち込みいざ最終決戦 とはならない。 待ち構えているのは、中ボスと……車止め。 前代未聞空前絶後の 徒歩限定 の最終決戦である。 最終ボスは当然ノア。 ノアシードをオーバーロード内で再起動させることで破壊する隙が出来るのだ!やっぱファンタジーの続編ぽいな 第一形態『ベビーノア』は主人公専用武器『ノアシード破壊砲』以外一切通用しない。 これを撃破すると第二形態『ゴーストノア』に変化。こちらは通常の攻撃が通じる。 以前と同じセリフを吐くノアを破壊すると、晴れてエンディング。きれいに大団円を迎える。 その後はきちんと「ラスボス撃破後」の状態になる、シリーズでも少し珍しい展開。 ◆その他細かいネタ ワールドマップはメキシコの西部に似ている。そのためか登場する『ピラミッド』も中米風。 恒例のミニゲームはいつもの『戦車でバンバン』と、スロットマシン。 後者は『役を揃えてモンスターにダメージを与えて倒す』という形式。登場するモンスターは1に登場する賞金首。 本作と同様のシステムの携帯電話用ゲーム『メタルサーガ ~旋律の連鎖~』も存在する。こちらは『2』のスピンオフ。 そして先述した通り、メタルマックス3・2R・4へと受け継がれ洗練されていくことになる。 追記・修正をお願いします。特にスナザメキングと立ち往生する女性のくだり。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 操作性の悪さと各所に点在するバグにさえ目をつぶれば割と面白い -- 名無しさん (2018-04-24 22 06 03) ストーリーは良いのに操作性がタッチペン限定で悪いし、バグは多いし・・・・・・なんだかなぁ。 -- 名無しさん (2018-09-07 12 48 24) バグはまあ長所で相殺されてるしと目をつぶれんではないが、用語のしようがない最悪最低の操作系の大減点がほんとに痛すぎる。MM系で1周しかしなかったナンバーはコイツとゼノだけだった…… -- 名無しさん (2022-10-28 23 04 27) 名前 コメント
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現行スレ更新 ここに書いて投稿するとトップページに反映されます。 最新5件まで表示させています。 垂れ主さんやリスナーさんのこまめな更新待ってます。 名前は入力しなくても大丈夫です。 投稿フォーム 名前 コメント すべてのコメントを見る 【氷河期】ポルノ垂れ【真っ最中】http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1169104748 -- (名無しさん) 2007-01-18 17 01 14 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1168187309/ -- (【保守しないと】ポルノ垂れ流し【ダメなんだから】) 2007-01-08 11 07 03 【保守は】ポルノ垂れ流し【必要】 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1168057525/l50 -- (名無しさん) 2007-01-06 13 35 21 【このスレで】ポルノ垂れ流し【年越し】http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1167483864/l50 -- (名無しさん) 2006-12-30 22 20 52 【今年も】ポルノ垂れ流し【もうお終い】 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1167319474/l50 -- (名無しさん) 2006-12-29 01 40 23
https://w.atwiki.jp/orikyara3rd/pages/464.html
この学校には、動物としか会話しないと噂される女の子がいる。人を寄せ付けないその女の子は、周りからはあんまり良く思われていないみたいで、それが更に皆との距離を作ってしまう。 …だけど、私はその子と仲良くなりたい。 それは私の大事な友達のアリスちゃんも同じ考えだったみたいで、お昼休みになったら二人で話し掛けに行ってみようってことになった。 そうしてお昼休みの時間になり、私はアリスちゃんのクラスに向かう。 「アリスちゃーん!」 「紅ちゃん!遅かったね、どうしたの?」 「ごめんね!クラスの友達がなかなか放してくれなくて…」 「ああー…あの紅ちゃんラブな子?」 「ら、ラブって…まあうん、多分アリスちゃんが思い浮かべてる子だと思うよ」 「でも嬉しいんだよね?」 「…うん。困っちゃう時もあるけど、大事な友達だもん」 アリスちゃんと合流して、次の目的地は校舎裏。この学校は広いけれど、アリスちゃんと他愛もないお喋りをしていたからか、あっという間に着いてしまった。 ―――校舎裏――― 「…あれ?いつもここにいるって聞いたのに…」 「いないね…」 「ん?あっ…あそこにいる子!あの子じゃない?」 校舎裏に来てみても、その子の姿は見当たらない。二人でキョロキョロと探していると、アリスちゃんが雑木林の方向を指差した。 視力には自信がある私は目を凝らさなくても分かった。たしかに黒髪の女の子が雑木林の中にいる。 作者 まふらー
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当サイトについて 当サイトでは、 WEBカメラ実況 関連の解説をしています。特徴は以下のとおりです。 初心者だけを対象としています。 わかりやすさと見やすさを重視しています。 豊富な情報を提供していま・・・せん。 以前のwikiが消えたため新設されました。 現在放送中の番組 番組表 サイトマップ 実況配信 したいという方→配信準備へ 視聴したいという方→番組表へ WEBカメラ実況とは WEBカメラ実況とはリアルタイムで配信されているWEBカメラの動画に対して視聴者がレスを付けることをいいます。 WEBカメラ実況は、なんでも実況V(略称「なん実」)で行われていました。現在はツイキャスが活動拠点となっております。 2008年2月13日に創立者であり配信者である浜んにより最初のスレが立つ。 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPが実況します[] 投稿日:2008/02/13(水) 14 10 32.52 ID 3zTpXumc0 Webカメラを使って遊びましょう スレを読むのもよし、音楽を垂れ流すのもよし、ただただ生活を垂れ流すのもよし 同時配信大歓迎 こういうスレがあってもいいはずだ どんなスレ Webカメラで遊んじゃおうというスレです レス読み、音楽垂れ流し、生活垂れ流し、なんでもおk 顔は晒しても晒さなくても自由だよ! ※アダルト配信NG ※過度な下ネタはお控えください 放送開始する時のテンプレ 【主名】(決まってないときは、『名前募集中』としたり安価などを付けておきましょう) 【URL 】(一度自分で繋いでみて間違えが無いか確認しましょう) 【備考】(適当になにかを書いてね。得意なトークやジャンルなど) 詳しいテンプレはこちら 過去スレ(仮) 2chスレ保管庫 ttp //wannabe.fam.cx/service/search.cgi?root_dir=2ch_315 str=%C0%B8%B3%E8%BF%E2%A4%EC%CE%AE%A4%B7
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とある学生寮。 その夜は蒸し暑く、少女は中々寝付けずに布団から這い出した。 パジャマ代わりに着ていた白いシャツが、汗で肌に張り付いている。 時計の針は午前一時を指していた。 「こんな時間まで起きてるなんて珍しいな……」 少女は冷蔵庫から冷たい麦茶を出して、コップに注いだ。 ベタベタのシャツを着替えようか考えて、面倒だと思い、コップの中身を飲み干す。 もう一度布団に戻ろうとしたが、窓から入る風の音を聞き―――― 「外は涼しそうだな……」 そんな風に思った。 コップを流し台に置き、玄関に向かう。 チェーンを外して扉を開けた。 「わっ!?」 少女は驚きの声を上げた。 部屋の前に、髪の真っ白な女の子がしゃがみ込んでいたのだ。 「あの? 気分でも悪いんですか?」 恐る恐る、少女が女の子の肩に触れる。 すると―――― コロン…… と、女の子の頭が転がり落ちて、肉の無い、むき出しのドクロがこちらを向いて笑った。 首の断面からは、青い血が噴出して、少女の白いシャツを汚した。 「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??」 【第九話・悪夢! 雨の夜の再会!!】 美琴「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!??」 黒子「うひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」 とある病院の一室。 すっかり日の落ちるのも早くなり、夕暮れの赤い日が、白いカーテンの隙間から差し込んでいる。 その部屋に、二人の少女の悲鳴が木霊した。 一人は友人の話のオチに驚き、もう一人は隣から飛んできた電撃に驚いた。 佐天「あははははは!! いい! いいリアクションですよ御坂さん!!」 私、佐天涙子は腹を抱えてその様子を眺めていた。 美琴「ひ、ひどいわよ佐天さん!? 最近の外の様子はどうだって聞いたのに! それ怪談じゃない!?」 佐天「ええ。ですから、最近外で流行ってる話です。『青い血の女の子』の話」 黒子「もう夏も終わりだというのに、今更怪談話も無いものですの……」 あれから、さらに一週間が過ぎた。 御坂さんと白井さんの傷は随分回復して、御坂さんは今日退院する。 白井さんは、流石に内臓へのダメージが大きいため、もうしばらく様子を見るらしい。 佐天「あはは。でもまぁ。御坂さんたちの怪我も大丈夫みたいですし、心配事が一つ減りました」 美琴「ええ。ごめんね? 毎日お見舞いに来てもらって」 佐天「いいですよ。好きで来てるんですから」 佐天「さて……それじゃあ、私はこの辺で」 荷物を持って、丸イスから立ち上がる。 美琴「え? でも、私ももう出るけど……?」 佐天「いえ。ちょっと急いでるんで」 私は慌しく立ち上がり、病室の扉に手をかける。 そこで立ち止まり、振り返らずに、二人に声をかけた。 佐天「……御坂さん。白井さん」 美琴「何?」 佐天「私、二人に会えてよかったです」 突然の言葉に、二人は呆気にとられているらしい。 一瞬静まり返って、御坂さんが困ったように返事した。 美琴「あはは……何よ佐天さんったら! 突然そんなこと言って!」 黒子「本当ですの! それじゃあ私たちが死んでしまうみたいじゃありませんの!」 佐天「はは! なんでもないです! それじゃ!!」 そして、そのまま部屋を後にした。 閉じた扉の向こうから電話の着信音が聞こえた。 私は、足早にその場を離れた。 美琴「どうしたのかしら……佐天さんったら」 黒子「きっと心配してくれていたのですわ。お姉さまの元気なお姿に感動したのでは?」 美琴「ふ~ん……佐天さんってそんなにロマンチストだっけ?」 美琴は自分の荷物を鞄に詰め込みながら、佐天から感じた違和感について考えていた。 黒子は、「私たちが死んでしまうみたいじゃありませんの」と言った。 けど、あれはどちらかというと…… そのとき、美琴の携帯電話から着信音が響いた。 黒子「お姉さま。病院では携帯の電源は……」 美琴「わ、分かってるわよ! さっき久しぶりに電源つけて忘れてたのよ!」 黒子の突っ込みに反論しながら電話に出た。 電話の相手は―― 美琴「もしもし? 初春さん?」 花飾りの少女。初春飾利。 美琴「ごめんね初春さん。今まだ病院だからさ。あとでかけ直すから――――」 初春『御坂さん……』 美琴「……? 初春さん?」 初春の声が震えている。 何かあったのだろうか? 美琴「どうしたの? 何かあった?」 初春『……さんが……』 美琴「え?」 初春『佐天さんが……行方不明で……』 その言葉の意味がわからなかった。 だから、きっと続きがあるのだろうと、初春の言葉を待った。 だが―――― 初春『佐天さんが……夕べから連絡取れなくて……』 美琴「佐天さん……が?」 初春『学校にも、来なかったし……今も、携帯も通じなくて……』 それは、きっと病院に居たから電源を…… 美琴「ちょ、ちょっとまって初春さん! それって、勘違いってことない?」 初春『そんなはずありません!! だって、実際連絡が――――!!!』 美琴「だ、だって! 佐天さんなら今、ここに居たもの!!」 初春『――――え?』 きっと、初春にとってその言葉は予想外だったのだろう。 先ほどの美琴のように、初春は黙り込んでしまった。 美琴「だから、ね? たまたま連絡が取れなかっただけじゃ……」 初春『そんなはず……ないです……』 美琴「どうして?」 初春『だって……佐天さん、部屋の鍵も開けっ放しで、他の誰にも連絡が無くて……』 美琴「たまたまよ……大丈夫。佐天さん急いでるって言ってたから、きっとそれでじゃない?」 初春『……』 初春は納得がいかなそうではあったが、とりあえずは落ち着きを取り戻し、電話を切った。 美琴「ふぅ……どういうことかしら?」 黒子「なんだか嫌な感じがしますの……」 美琴「また、ろくでもないことが起こってるんじゃないでしょうね……!」 美琴は、手に持った携帯電話をギュッと握り締めた。 体調は万全とはいかないまでも、絶対安静というワケではない。 黒子「無茶は――――止めても無駄ですわね」 美琴「よく分かってるじゃない」 呆れて溜息をつく黒子を尻目に、美琴は荷物の詰まった鞄を提げて、病室の扉に向かった。 美琴「佐天さんは、私の親友は私が守るわ……」 美琴の脳裏に過ぎるのは、今まで戦ってきた敵。 ブラッククロスの怪人。四天王。そして、学園都市の裏側で暗躍する科学者や能力者の影…… 佐天『私、二人に会えてよかったです』 美琴「そう思ってるのは、私たちだって同じなんだから……!」 風紀委員第一七七支部。 初春飾利は、美琴への電話を切ってからも落ち着かない気分で居た。 初春「佐天さんが病院に……?」 なら。今からでも向かえば会えるかも…… いや、もし何事もないのなら、ワザワザそんなことをしても意味は無い。 そして、何かあったのだとしたら、きっと彼女は自分と鉢合わせしない方法を考えているだろう。 だから、やはり意味は無い。 初春「……心配かけて……もう!!」 嫌な想像を断ち切ろうと、大きな声を出してみた。 しかし、胸のモヤモヤが晴れることはなかった。 不安に駆られたまま、初春はその日の業務を片付けるためPCに向かった。 御坂美琴は常盤台中学の学生寮に帰ってきた。 途中、どこかに佐天の姿がないか注意を払っていたが、どこにもその影はなかった。 美琴「とにかく。一旦荷物を部屋に置いて、それから寮監に挨拶して……」 これからやることを頭の中で整理する。 一つ。退院の報告を各所に済ませる。 二つ。寄って来るであろう後輩たちにも挨拶。それからついでに情報収集。 三つ。結局それでは何も得られないだろうから、自分の足で学園都市中を探して回る。 美琴「よし。まずは二週間ぶりの我が家に――――って、きゃっ!?」 玄関を開けて中に入ろうとした途端、前から同じようにやってきた少女とぶつかってしまった。 少女は後ろに倒れて、尻餅をついている。 美琴「ご、ごめん! 大丈――――」 少女を引っ張りあげようと右手を出しかけて、美琴は固まってしまった。 思わず悲鳴を上げそうになって、差し出そうとした右手を口にあて、無理やり何とかそれを押さえ込んだ。 ぶつかった相手は常盤台の制服を着ている。 どうやらこの寮に住んでいる生徒のようだ。 ただ―――― 「すみません…………あの? どうかしましたか?」 少女の髪も肌も、色が抜け落ちたように真っ白だった。 おいおい……今はまだ日が落ちたばかりだし、別に寝苦しくもないわよ? 少女は、鈴科百合子と名乗った。 何かの縁だからと、荷物の片づけを手伝ってくれるという。 しかし……こんな子がこの寮にいただろうか? こんなに目立つ外見なのだから、学校にいたって気付きそうなものなのに…… 鈴科「この髪、目立つでしょう? 生まれつきなんです……」 美琴「へぇ……アルビノ……っていうんだっけ?」 鈴科「ええ。肌が白いのはいいんですけど、髪はちょっと変ですよね……」 「第一位みたいに、能力の弊害とかならカッコいいんですけどね」と、彼女は漏らした。 学園都市の第一位・一方通行『アクセラレータ』。 今まであまり興味も無く、詳しく調べたりもしなかったのだが、彼女によると第一位の能力者もまた、 白い髪と白い肌、そして赤い目を持つらしい。「能力の弊害」と、彼女は言った。 美琴「ねぇ? 鈴科さんってさ。前から常盤台に居たっけ?」 鈴科「いいえ。先週転入して来たんです。レベルが上がって……」 ああ、なるほど。 自分が入院している間のことだったのか。 まったく心臓に悪いなぁ……とは思ったが絶対に口には出さない。 流石に失礼すぎる。 美琴「そっか。じゃあ、これからよろしくね鈴科さん」 鈴科「ええ! よろしくおねがいしますね、御坂さん!」 美琴は差し出された鈴科の手を握ろうとした。 そして気付く―――― 美琴「……あれ?」 たしか、アルビノっていうのは、髪や肌なんかのメラニン色素が欠乏してる人のことで…… ということは、別に血の色に変化は無いはずよね? 美琴「ねぇ、鈴科さん……指、さっき倒れたときに切ったんじゃない?」 差し出された掌。 その人差し指の小さな傷から、「青い」血が滲んでいた。 鈴科の顔を見る。 青い目がギョロリとこちらを見つめていた。 幽霊なんかではない。怪談なんてものは何かの見間違いか思い込みか、でなければ作り話。 もしくは、実際に存在する『何か』が、人の口を渡り渡って変化したもの。 美琴「貴女まさか――――!?」 鈴科『ナイトメア』 室内が冷たい空気に包まれる。 この世ならざるモノの気配。 美琴「………………馬?」 鈴科の背後から、突然馬が現れて、嘶いた。 そしてその光景を最後に、美琴の意識は途切れた―――― 同時刻。 まだ、佐天との連絡は付かない。 今、初春飾利は、佐天涙子の部屋にいる。 いつ帰ってきても良いように。 初春「まったくもう! 部屋の鍵を開けっ放しにするなんて無用心なんですから!」 携帯電話が放置されていた。 近所に出かけるのなら、そういうこともあるだろう。 だけど帰ってこない。 何となく、このまま待っていても一生帰ってこないのだろうと思った。 時計の針が、カチカチとうるさい。 初春「……どうしたっていうんですか?」 携帯電話に着信は無い。 時計がうるさい。 初春「何で……何も言ってくれなかったんですか?」 その音に急かされて、初春は部屋を飛び出した。 待っていても会えない。 嫌な、確信めいたものがあった。 初春「……っ! 佐天さん……お願い! 無事でいて!!」 心の叫びが口に出る。 気付けば、初春は一七七支部に進入していた。 ここのPCからなら、学園都市のセキュリティーにだってハッキングできる。 PCが立ち上がるまでの僅かな時間さえもどかしく、初春は落ち着き無く指を動かした。 初春「佐天さんの行きそうなところはどこ……?」 頭脳をフル回転させる。 初春は、決して感の良い人間ではない。 ただ、世界で一番の親友だと信じている彼女のことなら、誰よりも分かるつもりだった。 初春「夕べから連絡が取れない……なのに今日御坂さんと会っていた?」 ということは、誘拐ではない。自分の意思で姿を隠したのだ。 なら、人気のないところを通って移動しているはず。 まずは人通りの多いエリアを無視して、監視カメラの映像をハッキングする。 ブラッククロスの出現以降その数は減っているものの、それでも夜遊びを控えない者も多い。 スキルアウト達の溜まり場にも佐天は寄り付かないはず。 治安の悪いエリアもカット。 あとは―――― 初春「お願い……ここに居て……!!」 願いを込めて、エンターキーを叩いた。 雨が降っていた。 ここは、地盤沈下や建物の老朽化で危険区域とされている廃墟群の真ん中。 私は雨宿りしようと、古くなった、今にも崩れ落ちそうなビルの軒先にしゃがみ込んだ。 こう天気が悪いと、ただでさえ憂鬱な気分が余計に滅入る。 御坂さんは思ったよりも元気そうだった。 流石は、私の憧れの人。 白井さんも同じく。 でも、無茶をさせてしまったのは事実だ。 二人には感謝してもしきれないな…… そして、初春…… 「結局、お別れは言えなかったな……」 アルカールさんからのアドバイスだった。 会えば別れが辛くなる。 だから、初春にだけは絶対に会えなかった。 連絡も、誰よりも早く切った。 携帯を持つ手が震えた。 そして着信拒否にしたあとで気付いた。 「もう、携帯なんか持たないんだから関係ないじゃん」 最後の最後まで、なんか抜けちゃってるんだよなぁ…… 考え事をしていると、バチャバチャという誰かの足音が聞こえてきた。 こんな時間に、雨の中こんな所を……? すぐに動けるように身構えた。 腰に隠した拳銃に手を添える…… 足音が近づいてきた…… 「…………」 すぐそこの角まで近づいている。 ……来る――――!! 「止まれぇ!!」 飛び出して銃を突きつけた。 初めて持つ殺人の道具の重みに、手が震えている。 このまま撃っても当たらないだろう。 いや―――― 「……え?」 撃つ必要は無かったのだから、どうでもいい。 初春「……佐天さん」 佐天「……初……春……?」 どうして――――? 佐天「うわっ!?」 初春が飛びついてきた。 暴発しないよう、慌てて銃から手を離す。 銃は、カラカラと乾いた音を立てて地面を滑った。 初春「佐天さん……良かった……また、会えた……!」 私の腕の中で、初春が泣いている。 いや、雨の所為で、どれが涙なのかは分からないのだが。 全身ずぶ濡れなのは、きっと傘もささずにここまで走ってきたから。 佐天「初春……どうして?」 初春「それはこっちのセリフです!! 何なんですかその拳銃は!? どうしてそんな物を……!?」 佐天「……」 初春「何を……隠してるんですか……?」 佐天「それは――――」 それは、言えない。 いや。別に言ってしまっても構わないのだ。 本来なら、説明してしまったほうが手間が省けるというものだ。 何故なら、そうすれば記憶を消去されて、この関係も忘れることができるのだから。 この胸の痛みさえ、消し去ってくれるというのだから…… そのとき―――― 「感動の再会だな」 闇の中から声が聞こえた。 二度と聞きたくないと思っていた、地の底から響いてくるような、悪魔のようなその声。 私を殺した男の声だ。 佐天「……シュウザー!!」 深い闇の中から、鉛色の両腕をぎらつかせ、二メートルを超える巨体が現れた。 銀の髪を逆立たせた厳つい大男は、歪で醜悪な笑みを浮かべている。 ブラッククロス四天王。最後の一人。 不死身の男。 シュウザー。 シュウザー「くくく……!! まさか本当に、あのときの小娘がなぁ……!!」 よくもまぁ……ここまで対照的な再会があるものだ……! 初春「ブ、ブラッククロス……!?」 佐天「下がってて初春!!」 私は初春を庇うように一歩前に出た。 前とは違う。 もう、むざむざ殺されたりはしない!! シュウザー「麗しき友情というわけだな。だが……いかんせんその気持ちは友人には伝わらなかったらしい」 シュウザーの目が初春に向けられる。 止めろ……そんな邪な目で初春を見るな……! 初春「さ、佐天さん……? こ、これって……!?」 佐天「――――逃げて初春……! 早く!!」 シュウザー「逃がすものかよ……!!」 シュウザーが右腕を振りかぶり駆け出した。 こっちに突っ込んでくる。 このままでは、初春もろともあの爪で刻み殺される……!? 背中の熱を思い出す。 鼻血を噴出して倒れる友の姿を思い出す。 させるわけにはいかない―――― どうやら、先延ばしもここまでのようだ。 あの時と同じだ。 戦う手段ならある。 けど怖かった。 怖いけど……けど―――― 『一般人に正体を知られた場合は、全ての記憶を消去される』 でも、『記憶』と、『親友』ならどちらが大切か。 考えるまでもない。 世界がスローモーションに見える。 心臓が燃えているようだ。 体中を、何か熱いものが駆け巡る。 握る拳は炎になる。 踏み出す足は光になる。 吹き荒ぶ風を額で切り裂き、蒼いマントをなびかせる。 身を包む紅い鎧は、手探りの闇の中でも鮮烈に輝いていた――! 佐天「変身! アルカイザー!!」 佐天『ブライトナックルッ!!』 光の拳が、シュウザーの斬撃を迎え撃つ。 以前アルカールによって放たれたブライトナックルは、この男の豪腕に対して互角に渡り合った。 そして―――― 佐天「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 アルカイザー、佐天涙子のブライトナックルは、その一撃を遥かに凌駕する……! シュウザー「ぬぅおおッ!!?」 振り下ろされた鋼の爪は木っ端微塵に吹き飛び、鉛色の豪腕をも巻き込んで炸裂した。 シュウザー「ふ……ふはは!! たしかに……! 報告の通りの強さだ!!」 自身の腕が破壊されたというのに、シュウザーはその事実に驚喜している。 シュウザー「くくく……これだ……これこそが……!」 佐天「……っ!?」 不気味さを感じ、それ以上の追撃を躊躇ってしまう。 初春「――――」 初春飾利は信じられない光景に言葉を失っていた。 ようやく、居なくなった親友に会えたと思ったら、突然銃を突きつけられた。 そのことを問い詰めようと思ったら、今度はブラッククロスの怪人が現れた。 だから、逃げないといけないと思った。 けど足が動かず、逃げそこなった。 怪人が迫ってくる。死ぬと思った。 そうしたら、目の前の親友が、紅いヒーローに変身していた。 これは『夢』? それとも、『悪い夢』? 佐天「シュウザー……! 私の友達には、指一本触れさせない!!」 シュウザー「……くっ、くくくかかかかかか!!! そうだ! それでいいのだアルカイザーよ!!」 嫌らしい笑みを浮かべ、シュウザーはビルの上へ飛び上がった。 シュウザー「追って来い!! 決着をつけよう!!」 逃がさない……! アイツだけは放ってはおけない! 絶対に!! 初春「佐天さん!!」 ふいに、背後から声をかけられた。 この姿のときに本名を呼ばれて、頭が冷えていく感覚を覚える。 佐天「ごめんね……初春。今まで黙ってて……」 初春「行かないで……」 佐天「もう、行かないと」 初春「何で、佐天さんが……?」 佐天「……」 初春「行かないで……佐天さん……」 残念だけど。 その願いは聞けない。 もう終わったから。 佐天涙子は。 佐天「初春」 初春「……」 今日。 死んだ。 佐天「バイバイ、初春。貴女に会えて、本当に、本当に良かった……」 落ちこぼれのヒーローは、日常を捨てた。 【次回予告】 雨の夜! 再びまみえる佐天とシュウザー!! 青い血の少女・鈴科百合子は一体何者なのか? 暗躍するブラッククロスの黒い影! そして、佐天を襲う新たな絶望とは!? 次回! 第十話!! 【再来! ブラッククロス四天王!!】 ご期待ください!! 【補足】 ・鈴科百合子について。 一方通行では無いです。名前だけ貰いました。 ちなみに、実際には人間はアルビノでもウサギのように目が赤くはならないそうです。 なので血が青かろうが目が青くなることはないのですが、演出でそうしています。
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//更新してくださってありがとうございます。そろそろトップのAA変えたいお(^ω^ ) \\ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ // \\ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '` // \\ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ '`ァ // \\ 岡野!岡野!岡野!岡野!岡野!岡野!岡野!岡野!岡野!// ∩. ∩. ∩. ∩. ∩. ∩. (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡 ∩. ∩. ∩. ∩. ∩. ∩. ∩. (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 (*´Д`)彡 ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. ( ⊂彡. | | | | | | | | | | | | | | し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J. し ⌒J このサイトは2chのなんでも実況VIP板(http //live22x.2ch.net/livevenus/) で活躍する愉快な仲間達のためのサイトです。 足りない所などがとても多いのでどんどん追加・修正お願いします。 管理人はwiki管◆a2zZi/WiKIです。 ちなみに垂れ流しスレはほぼ毎日なんでも実況VIPに立っています。録音は自粛すること。 下の垂れ主の名前をクリックすると詳細が見れます。 垂れ流しをしたい人は総合スレのテンプレで勉強しましょう。 どこかのギターを置いて岡野さんが結婚するようです。 岡野さんに続いて新藤さんも結婚が決まったようです。おめでとうございます 331 :以下、名無しにかわりましてVIPが実況します:2008/03/10(月) 00 37 33.14 ID dCpUNUKs0 ここはポルノグラフィティの曲を垂れ流す場であって 自分の持ってる音源を自慢するところじゃ無い これから垂れを始めようと思ってる人は肝に銘じておくように それでも自分の成果をひけらかしたいなら別の場所でやってください hydeの身長が156cmなのでまったり進行しましょう。 Total: - とーるーるーるーるー(ry 垂れ主・神様 安価 ◆XTHUMPx1r6 ◆Tsun.uKDs2 (´・ω・`) ◆7cRCLPWV1g (゚∀。) ◆VVQPu1etk2 (1 ◆VVQPu1etk2) 22 ◆Tama0I7102 ◆ssR7zzDDVI 以下、名無しにかわりましてPIPEがお送りします ひよこ ◆DVD.inA6EI 現行スレ 【鍋】ポルノグラフィティ垂れ流し【神】 http //live24.2ch.net/test/read.cgi/livevenus/1246112453/ 避難所 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/34346/1199714102/ テンプレ 邦楽アーティスト、ポルノグラフィティの垂れ流しスレです。 虹や三次画像・動画といったものはその手のスレでお願いします。 録音っぽいのは容赦なく蹴ります。 垂れ流してるURLが分からないときは、聞く前に 1を確認してね。 他アーやアニソンをリクするときは皆に迷惑かからない程度に。 ※音源うpは自粛すること※ ポルノグラフィティ垂れ流しinVIP@wiki(まとめサイト) http //www4.atwiki.jp/vipvipvip/ 避難所 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/34346/1199714102/ 以下「垂れ流し総合スレ」より転載 これからラジオを始めたい方はこの辺を参考に。 http //tare.usamimi.info/ http //spill.jp/ http //vipstream.jf.land.to/ (日本語化パッチやリクエスタのテンプレ有) http //smilemark.com/radio/shoutcast.html (情報古め?) ポート開放について http //www.geocities.jp/seidy_seidy/bb/port.html http //lostred.client.jp/ 現在リスナー数 ↓ Stream is up at 24 kbps with 18 of 25 listeners (18 unique) ↑ 定員 ※垂れ主は現在進行形で募集中です※ ※リストは必要そうだったら率先してやって下さいです※ スレ立て時の注意 次スレを立てる場合は 1に垂れ流してるURLを貼る スレが立ってないときは立てれば誰かが垂れ流してくれるかも