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小ネタ 恋人はサンタクロース パチパチと瞬きする。なんで目を覚ましたのかわからない。暗闇にうっすらと浮かぶ常盤台の天井。「お姉さま~」と寝言をいう黒子。サンタの格好をしたアイツ。昨日手にいれたゲコ太の抱き枕。…………ん?「アンタなにやってムグッ!!」「なに大声だしてんのさ!! オレを白井に殺させる気かい!!?」殺人幇助で訴えるぞコラ!!と叫ぶ声は間違いなく上条当麻である。ん、んぅ……、と寝返りをうつ白井に、二人揃って人差し指を立て、しーっ、という上琴。「……恋人をクリスマスイブに放っといて、なにやってんのよ?」「ごめんってばよ。実は今日も例の不幸に巻き込まれちゃってね」「ふむふむ」「で、もうその事件は片付いたんです」「ほうほう」「助けた人がサンタだったんです」「……は?」「今からその人の代わりにプレゼント配りに行くんですよ」「マジで??」「うん、大マジで」確かに、ゾンビボーズスプリンターがいたのだ。紅鬚爺がトナカイにソリを引かせて空を飛んでも不思議はない。「で、ですね、美琴」「なによ?」「お前の願いがわたくしとの時間と聞きましてね?」「ぴゃっ!!!?」「悪いことしたなー、と思ったわけです」「ぁぅぁぅふにゃにゃ」そっと手をつかまれ、ベッドから引っ張り出される。開かれた窓からの冷気に震えた。「だから、よろしければ、今から夜空のデートなんかいかがかと思いまして」プレゼント配りながらですが、といい、星空を背景にニカッと笑うサンタに、不覚にも惚れ直してしまう。「……無理しないでいいわよ。キザッたらしい」「……上条さん泣いちゃう」素直になれない自分への嫌悪感を隠し、別に話題を振る。「ホントにソリが浮いてる……」「右手でさわれないのが厄介でしてね」よっと、と言って飛び乗ったサンタが、こちらに右手を差し出す。「ほらっ」まるで一年前のロシアと逆だな、と思いながら、美琴はその手をとった。 「ちょ、ちょっと!! 揺れすぎでしょ!!」「難しいんだぞ!! 左手しかつかえねーし!!」「ちょ!! もう、貸しなさい!! 私がやる!!」「ダメ。さっきからオレが右手でお前握ってないと、トナカイ君がビクビクしてたもん」(T^T)「あわわ」「あぶねぇ!! まったく、捕まっとけ!!」「か、肩っ!! 肩を、だ、抱い!! 抱いてっ!!」//////////「ちょ、美琴さん、オレは捕まっとけっていったけど、抱きついとけとは言っておりませんけども!!?」//////////「……いや、なの?」//////////「イヤではないけども……」/////////「その服どうしたの?」「渡されたんだよ」「に、似合ってるわよバカ」//////////(ツンデレって大変だな)「確かにホッとしたよ」「なにが?」「服を着替えろって言われたときには、オレもミニスカサンタになって、黒レースの下着までつけなきゃならんかと思いましてね?」「アァ?」「こっわ!! 何をお怒りで!!?」「例によって女の子なのは置いとくわよ。なんで下着まで知ってんの?」「あ……」「ねぇ」「ん?」「アンタがわたしに触れといて、わたしが操縦すればよくない?」「バレたか。ようやく慣れてきてな、楽しかったんです」「ずるい!!」「あと、いつも素直じゃない美琴さんが自分から抱き付いてきてくれて嬉しかったんです」「ず…ずるい」//////////「キスして」「は?」//////////「夢じゃない証明して」「ほっぺたでも引っ張ればいいじゃん!!」「……お願い」「ぐっ………………せ、積極的ですね。わかったよ、目を、つぶって、くれ……」雪がちらつくなか、重なったシルエット。知っているのは夜空に浮かぶ満月と星々のみ。
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「この道も久しぶりだなぁ……」 いつもより少しだけゆっくりと歩を進める。 小さなころから歩きなれた道――1番道路は、記憶と変わらない感触を返してくれた。 「この辺りは来たことないけど、思ったより田舎ねぇ」 サヤがあたりを見回しながらつぶやく。 「失敬な、自然が豊かだと言え」 「同じことじゃない」 言葉に反して、サヤの機嫌は上々だ。 タマムシのような都会で育ったサヤにしてみれば、ちょっとしたハイキング気分なのだろう。 視線を転じれば、ミルトとファルがルーメにこのあたりの草花を教えていた。 この辺りはタマムシ近辺では見られない草花も多いため、 ルーメは文字通り目を輝かせながら講義を受けていた。 その光景に思わず目を細めた、その時だ。 3人が覗き込んでいた草むらの奥から、何かがミルトめがけて飛びかかってきた。 「きゃっ!」 すんでのところで攻撃をかわすミルト。 標的を失った襲撃者は飛びかかった勢いのまま空へと上がり、 俺たちの周囲を旋回し始める。 「野生のもえもんか!?」 襲撃者の正体を見極めようとするが、速すぎる。 移動方向を予測することでかろうじてその姿を追うことができるが、細部まではわからない。 翼をもち、空を飛んでいることから鳥萌えもんだということがわかるくらいだ。 これで不規則な動きをされたら…… 「ファル、『ふくがん』でやつの動きは追えるな? 進路上に『しびれごな』だ!」 「まっかせて~」 ファルの羽ばたきに合わせ、羽からしびれごなが散布されていく。 散布速度はそれほど速くはないが、ファルには特性『ふくがん』がある。 『ふくがん』を利用した軌道予測をもとに、 しびれごなは確実に襲撃者の予想進路上へと散布されていき――― 「あ、あれ~?」 襲撃者の急速な軌道変更の前に、見事に空振りした。 「なにやってんのよ、もうっ!」 サヤの悪態の間にも、襲撃者の軌道は不規則になっていく。 もはや目で追うことすら不可能だ。 たまにその姿を認識することができるが、その時には攻撃が飛んできている。 左右からの連撃。左右に注意を払えば背後からの強襲。 この攻撃パターンは、まさか―― 「ミルト、『たつまき』だ。前方180度、薙ぎ払えっ!」 「はいっ!」 俺の指示に応え、たつまきが吹き荒れる。 たつまきが収まった後に見えたのは、少しだけ荒れた草むらだけで―― 「ここだっ!」 その景色を確認した瞬間、ミルトの背後の空間へと蹴りを放つ。 がつり、と鈍い音が響き、 「ずいぶんと手洗い歓迎だな?」 振りぬく直前で止められた脚、その先へと声をかける。 「……いつ、わかったのです?」 「ついさっきだ。動きが数段速くなってたが、攻撃のパターンが一緒だったからな」 「なるほど。だからあんな見え見えの罠を……」 「引っかかっておいて良く言うよ」 俺が蹴り足を引くのに合わせて、襲撃者もガードを解く。 「ええ。突破する自信がありましたから」 ガード――翼の向こうからのぞいたのは、 「相変わらず口の減らない……。ところで、他に言うことは?」 「ああ、そうでした。 ……お帰りなさい、トウマ。いろんな方々がマサラでお待ちですよ」 「ただいま、レーティ。それじゃ、マサラに急ごうか」 久しぶりに会う、仲間の笑顔だった。 -------------------------------------------------- 「私がいない間に、また厄介事に首を突っ込んでたんですか」 マサラへの道すがら、レーティに今まであったことを話すと、 開口一番そんなことを言われた。 「……トウマは相変わらずのようですね。安心しました」 「今の流れだと安心というより呆れられてる気がするんだが?」 「気のせいでは? それにしても、厄介事に関わるたびに仲間が増えますね」 「ああ、そういえばまだ紹介してなかったな。お~い、ガイ」 真下の地面、正確にはそこに存在する自分の影を足でノックする。 「なんだよ、うるせぇな……。昼間ぐらい寝かせろよ」 「その言葉は幽霊らしくて大いに結構だが、まだ紹介してない仲間がいるんだ。 ちょっと出てきてくれ」 「はいはいっと……」 ガイが俺の影からぬるりと出てくる。 「こいつがさっき話したガイだ。ガイ、こいつはレーティ。俺の手持ちの一人だ」 「レーティと申します。先日はトウマがお世話になったようで。 以後、よろしくお願いします」 「ああ、話には聞いてる。ま、よろしく頼むわ。 ……ふぁ~あ。よし、あいさつ終わりっと」 それだけ言うとガイは俺の影へと姿を消す。 「こら、ガイ! ……悪いな。見ての通り、口と態度に難のあるやつでな」 「いえ、中身は悪い人でもなさそうなので。 それより、ガイさんは本当に半分幽霊なのですか?」 「ああ、外見上は普通のゲンガーにしか見えないけどな」 「そんな人まで仲間にするなんて、 トウマは時々私の想像を超えたことをしますね」 「それはお互いさまだろう?」 誇らしげに笑うレーティに、同じ種類の笑みを返す。 「俺たちだって、少し会わない間にお前が進化してるなんて思いもしなかったぞ」 そう。少し会わない間に、レーティはピジョンへと進化していた。 それは俺たちと別れた後もレーティが研鑽を積んでいたということの証であり、 俺にはその努力が何よりも誇らしかった。 「そうですよ!」 ミルトが喜色満面で賛意を示す。 少し控え目なところがあるミルトにしては珍しい。 やはりレーティの努力が実ったのがうれし―― 「レーティさんってば、こんなに綺麗になって!」 ――いわけじゃないのかよ! 「背が伸びてていいな~」 って、ファル、お前もか。 「まあ、ずいぶん大人っぽくなったしな。無理もないか。なあ、サヤ?」 後ろを歩くサヤへと話を振る。 「…………」 「サヤ?」 返事が無いのを訝しみつつ振りかえると、サヤはやたら真剣な目でレーティを見ていた。 この様子だと、俺の声など届いていないだろう。 サヤはしばらくレーティを観察すると、次に自分の体を見下ろし、 「……よしっ」 なぜか小さくガッツポーズ。そして、 「……何がよしなんだ?」 「へ? あ、な、なんでもないわよ?」 ようやく俺が見ていることに気付いてくれた。 「なんでもないことはないだろう。睨むみたいにレーティを観察してたみたいだし」 「失礼ね。私なりにレーティの成長度合いを見てたのよ!」 「そうか? それにしては目つきが……」 「そ、う、な、の!」 サヤの剣幕に押されて一歩下がる。 同時にできた会話の隙間に、レーティが入り込んできた。 「トウマが気にすることではないですよ。 いえ、気にしないほうがトウマらしいです」 「おいおい、よけいに気になるだろ」 「ですから気にしないでください。大したことではありませんから。 ……私にはまだ伸びしろがありますからね」 「……は?」 「なっ」 「おや、もう着いてしまいましたね」 俺の疑問符と、サヤの絶句。 それらを涼しげな顔でスルーし、レーティが前を指差す。 そこにあるのは、懐かしい故郷の姿。 「では、おしゃべりはいったん中断して、楽しい報告会と参りましょうか」 「……こちらの報告は以上です」 言葉を結び、一息つく。 レポートそのものはセキチクを出発する前に送信したが、 それだけでは細かなニュアンスや状況が伝わらない。 それを補うためにこうして説明をしたのだが、 「……つまり、お前さんはいつも通りじゃったということかの?」 ……果たしてこれ、必要あったんだろうか? あまりにあっさりとしたまとめをされて、そんなことを思う。 「えっと……」 「そういうことに~」 「なるのかしらね」 ミルト、ファル、サヤが返事を分割する。 その顔に浮かぶのは苦笑。こいつら…… 「では、俺はこのへんで……」 「ああ、待て待て。ちと図鑑を預からせてくれんかの?」 憮然として席を立った俺を博士が呼び止める。 「わかりました。メンテナンスですか?」 「それもあるが、新しい機能を追加しようと思っての」 「新しい機能? どんなものですか?」 「それはできてのお楽しみじゃ」 若干怪しげな笑みを浮かべる博士に図鑑を手渡す。 「うむ。では、図鑑をいじるのはやっておくとして……」 博士が指を鳴らすと、部屋の外から研究員さん達がわらわらと入ってきた。 「え? ちょっと……?」 疑問符を浮かべる俺たちはあっという間に捕獲され、ずるずると引きずられていく。 そしてたどり着いた大部屋には 『おかえり&いらっしゃい! データ収集御苦労さまパーティー』 という横断幕と、大量の飲食物が用意されていた。 -------------------------------------------------- 頬をなでる風が火照った体を冷ましていく。 「やっぱりここはいいな……」 オーキド研究所の裏手はちょっとした丘になっている。 程よい日差しと風通しを両立した場所で、昼は子供たちの遊び場として、 日が落ちてからは天体観測所や夜の散歩コースとして利用されている。 今は時間の関係か周囲に人気はなく、月と星の明かりが淡く降り注いでいる。 「ここにいたんですか、マスター」 呼びかける声に振り向けば、蒼い色彩が目に入る。 「ミルトか」 「主賓が抜け出しちゃっていいんですか?」 「……ああなったら主賓とか関係ないだろ」 夕方から始まったパーティーは最初こそ主目的に沿ったものだったが、 こういうイベントの性か、夜になる頃にはカオス化してしまった。 隠し芸大会を始める者、部屋の隅でちびちび飲む者、しこたま飲んで酔い潰れるもの― 中でもサヤがひどかった。 絡み酒と泣き上戸の合わせ技で、近くにいた研究員を捕まえて泣きながら愚痴っていた。 あいつもストレス溜まってるのかなぁ……。 というか誰だ、あいつに酒を飲ませたのは。一応未成年だろうが。 俺はといえばカオスに巻き込まれないうちにこっそりと抜け出してきたのだが、 「よくここがわかったな?」 「マスターが行きそうな場所なんて、そうはありませんから」 夜風に揺れる髪を押えながら、ミルトが隣に腰を下ろす。 新たな風が生まれ、ふわりといいにおいがした。 「まあ、昔はよくここに来てたしな」 俺達も昔はよくここを遊び場にしていた。 鬼ごっこやかくれんぼ、木のぼり……ここにはたくさんの思い出がある。 初めて殴り合いのケンカをしたのもこの場所だった。 あの時はミルトを助けるつもりだったのにぼこぼこにされて、 半泣きになったミルトに逆に助けられたっけ。 そういえば、怒ったミルトを見たのはあの時が初めてだったな…… 脳裏に浮かぶのは、『暴走』状態になったミルトの姿。 同じ怒りの感情のはずなのに、その発露がずいぶん違う形になってしまっている。 なんとかしなければ―― 「どうしました? マスター? 私の顔に何かついてますか?」 「……いや、なんでもない」 いつの間にか見つめていた横顔から視線をはがし、空を見る。 明日には博士からラムの実の解析結果が聞ける。 そうすればきっと対策を見つけることもできるはず。 「……? 変なマスター」 ミルトが小さく笑う気配を感じながら、俺は内心の不安と焦りを押し殺していた。 -------------------------------------------------- あとがき お久しぶりです、白です。 なんだかもう存在すら忘れられてる気がするのですが、本編の続きをお送りします。 投稿感覚がものすごく空いてしまってすみません。 言い訳をさせていただくと、この春から生活環境が変わりまして、 以前のようには書けなくなってしまいました。 以前から執筆速度の遅さが問題になっていた白ですが、 今後はさらに皆さんをお待たせすることになりそうで、本当に申し訳ないです。 頑張って書きますので、どうか見捨てないでやってください。 さて、本編ですが、マサラに帰ってきました。 ここから終盤に向けて物語が展開していきます。 結局『暴走』はどうなるのか? そもそもどんなオチをつけるつもりなのか? そのあたりを楽しみにしていただければと思います。 今回も前後編になってしまいました。 一気に書けないヘタレですみません。もしかしたら中編も挟むかも……? では、次回のあとがきでお会いしましょう。
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生徒名簿 > 桑門碧 >[10年後のカレ]桑門碧(HR) [10年後のカレ]桑門碧(HR) 攻魅力 1923 守魅力 1706 攻M 6666 守M 5912 コスト 11 卒業祝い 10000メン [10年後のカレ]桑門碧+(HR) 攻魅力 2308 守魅力 2047 攻2M 9772 守2M 8666 コスト 11 卒業祝い 15000メン [10年間の君]桑門碧(SR) 攻魅力 2885 守魅力 2559 攻4M 14688 守4M 13024 攻3M 14358 守3M 12731 コスト 11 卒業祝い 30000メン アピール 心配しないで。大丈夫。行ってくるね。 └King Princeタイプの攻守魅力中DOWN ストーリー 10年後まで秘密 入手方法 10年後のカレクローバーキューピッド(2014/10/10 16 00〜2014/10/15 13 59) 台詞 ボイス +... ステップ1 おしゃべりタイム 10年後なんて思いつかないな。 おしゃべりタイム 君と一緒にいられるといいな。 おしゃべりタイム 君はきっと綺麗になってるよね。 デート電話コメント そろそろ君を誘いたいって思ってたんだ。ふたりとも同じ気持ちだったなんて、うれしいな。 カレ自慢アピール 心配しないで。大丈夫。行ってくるね。 ステップ2 おしゃべりタイム 10年後の君も描いてみたいな。 おしゃべりタイム 変わらないのも……あるよね。 おしゃべりタイム 君との夢はたくさんあるんだ。 デート電話コメント うれしいな。ちょうど君が食べたがってた季節限定のパフェ、始まったみたいだから行こうよ。 カレ自慢アピール 心配しないで。大丈夫。行ってくるね。 ステップ3〜8 好感度レベルMAX これから10年、君と一緒に見る景色をずっと心に刻んで……全部、俺の手で形にしたいな。それが今の俺の夢なんだ。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 10年後の君も描いてみたいな。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 変わらないものも……あるよね。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 君との夢はたくさんあるんだ。 おしゃべりタイム(ステップ5〜7) 10年後は夢が叶ってるかな? おしゃべりタイム(ステップ5〜7) 不安もあるけど、楽しみだね。 おしゃべりタイム(ステップ5〜7) 君と歩く未来は素敵だろうね。 おしゃべりタイム(ステップ8) 自分のアトリエを持ちたいんだ。 おしゃべりタイム(ステップ8) 俺の隣で笑う君を見ていたいな。 おしゃべりタイム(ステップ8) 君と作品を生み出していきたい。 デート電話コメント(ステップ2〜4) うれしいな。ちょうど君が食べたがってた季節限定のパフェ、始まったみたいだから行こうよ。 デート電話コメント(ステップ5〜7) もちろん、行くよ。君の存在が俺に力をくれるから、デートの後はいい作品が作れそうだな。 デート電話コメント(ステップ8) お誘い、ありがとう。電話越しに聞く君の声も、心地いいんだよね。小鳥のさえずりみたい。 デート電話コメント(ステップ8) 良かった。君といる時間はいつも気持ちがいいんだ。次に会ったら、その理由がわかるのかな。 デート電話コメント(ステップ8) うん。俺も、君の目を通して見る景色を愛しく感じるから、歓迎だよ。デート、いつ行こうか。 カレ自慢アピール 心配しないで。大丈夫。行ってくるね。 マイページ +... ステップ1 10年後の自分か……興味深いよね。 [名前]ちゃんは、未来を想像することある? [名前]ちゃんは、よく図書室を利用するの? ステップ2〜3 俺の作品の意図、君には伝わってるんだね。 俺はありのままの姿を表現してるだけだよ。 君はいつも、本心をくみ取ってくれるんだ。 ステップ4〜5 君の10年後……俺にくれない? 駄目? 君は、俺の欲しい言葉を知ってるんだね。 もっと話をしよう。君の声が聞きたいんだ。 ステップ6〜7 俺の本心を感じてくれるのは、君だけだよ。 君となら長い人生を歩んでいけるかも……。 10年後、君に見せたいものがあるんだ。 ステップ8 君と一緒にいる未来を想像しちゃった。 君は、俺の想いを受け止めてくれる? 自然だけが創作対象だったんだけどな……。 ずっと、ここにいてほしいな……俺の隣に。 ねえ、俺にもっといろんな表情を見せて? 登校 +... 朝 ステップ1 おはよう。毎日、君の声を聞くとホッとするんだ。 10年後も俺はきっと、絵を描いてるんだろうな。 [名前]ちゃん、おはよう。一緒に美術室に行かない? ステップ2〜4 いつか芸術家になれたとき、君が隣にいればいいのにな。 君が俺を理解してくれるなら、他には何もいらないよ。 君は俺の人生にとって何より大切な存在だって思うんだ。 ステップ5〜7 朝一番に君の顔が見たくて、逢いに来ちゃったんだ。 君がいれば、もっと芸術の技術を磨ける気がする。 君といると、俺の世界はどんどん変化するんだ。 ステップ8 君がアシスタントになってくれたら、楽しいだろうな。 君と同じものが見れたら、世界はもっと素敵だろうな。 君は不思議な存在だな……気づいたら俺の心にいるんだ。 もう行っちゃうの? 寂しいな……じゃあ、またあとで。 10年後、20年後……ずっと傍にいられたらいいよね。 放課後 ステップ1 ちょっと休憩してお昼にしようか。息抜きも大事だよ。 図書館に行くなら俺も行こうかな。図録を借りたいんだ。 未来は思うようにいかないから面白いんだよね。きっと。 ステップ2〜4 俺が想像する未来には、いつも隣に君がいるんだよ。 俺はいつだって、自分の素直な心を形にしてるだけだよ。 君と話してると、インスピレーションを得られるんだ。 ステップ5〜7 俺がいい作品を作れるとしたら……君のおかげだよ。 これからも、芸術と……君に、関わっていきたいんだ。 [名前]ちゃん、これからも俺の隣で笑っていてくれる? ステップ8 いつか、作品ごと俺の気持ちを受け取ってほしいな。 俺の心を気持ちにしたら、君でいっぱいになるだろうな。 俺の願いは、君がずっと傍にいてくれることだよ。 君がいれば、どんどん素敵な作品を生み出せるよ。 そろそろ作業に取りかかろうかな。未来のために、ね。 夜 ステップ1 自然は、昼と夜とで違った表情を見せてくれるよね。 まだ残ってたんだ。ちょうど良かった、一緒に帰ろう。 [名前]ちゃん、見て。月と星がすごく綺麗だね……。 ステップ2〜4 俺にとっては君も、自然と同じくらいに魅力的な存在だよ。 俺の未来は、君がいなければ成り立たないかもしれない。 君とふたりでアトリエを開けたら、幸せだろうな。 ステップ5〜7 君といると、たくさんの気持ちを得られる気がするよ。 君の顔を見てれば、いま何を考えてるのかわかるよ。 君の心を、俺の作品の虜にできたらいいのにな。 ステップ8 君とこのまま、ここで夜を明かすのもいいかもね。 ずっと伝えたかった気持ちがあるんだ。聞いてくれる? 夜の学校もいいものだよね。普段とは違う景色が見える。 10年後の俺に聞きたいな。隣に君はいる? って。 10年後の約束が欲しい。なんて……ずるい、かな。 デートの約束 +... ステップ1 良かった、俺も君に電話を……あ、君からかけてきてくれたんだし、君の用件を先に聞くね。 そろそろ君を誘いたいって思ってたんだ。ふたりとも同じ気持ちだったなんて、うれしいな。 うん、大丈夫。それじゃ、たまには美術館デートなんてどう? 君に見せたい作品があるんだ。 ステップ2〜4 今、窓から外を見てたんだ。自然って、その気になれば簡単に感じられるからいいよね。 うれしいな。ちょうど君が食べたがってた季節限定のパフェ、始まったみたいだから行こうよ。 部活もないし、大丈夫だよ。パフェを食べたあとはどうしようか。君の好きなところに行こう。 ステップ5〜7 君から電話をもらえるなんて、うれしいな。作品で悩んでたんだけど、気持ちが明るくなったよ。 もちろん、行くよ。君の存在が俺に力をくれるから、デートの後はいい作品が作れそうだな。 いい季節だし、よかったら軽くピクニックでもどう? 君が作ったお弁当も食べてみたいな。 ステップ8(1) 君こそ、『10年後の自分への手紙』の課題はできた? 今度、何を書いたか教えてくれる? お誘い、ありがとう。電話越しに聞く君の声も、心地いいんだよね。小鳥のさえずりみたい。 空いてるよ。というか……君と出掛けられるなら、ちょっと無理をしてでも空けちゃうかな。 ステップ8(2) 君の声が聞きたかったんだ。思うような作品が造れないときは、いつも君の顔を思い出すんだよ。 良かった。君といる時間はいつも気持ちがいいんだ。次に会ったら、その理由がわかるのかな。 うん、君の都合に合わせるよ。俺は毎日でもデートしたいんだけど、さすがにそれは無理かな。 ステップ8(3) 俺も君と電話したかった。もっと欲を言うと、君に逢って、顔を見て、声が聞きたい……。 うん。俺も、君の目を通して見る景色を愛しく感じるから、歓迎だよ。デート、いつ行こうか。 わかった。公園を散歩するのも魅力的だよね。君となら、なんだって楽しく感じられるから。 デートコメント +... 君とデートの約束をした日から、俺の世界が今まで以上に輝き出した。不思議だよね。 君には、それだけの力と魅力がある……きっと将来、俺の人生を変える人になるよ。 カレ自慢 +... 対決画面 ステップ1 君の課題の邪魔にならない? ステップ2〜4 すぐに終わらせるから待ってて。 ステップ5〜7 もちろん。俺が君を守るよ。 ステップ8 危険な目にはあわせないから。 勝利 ステップ1 うん、無事に勝てたし、この話はおしまいにしよう。せっかくふたりきりなんだから。 ステップ2〜3 大丈夫? 待ってる間、疲れたんじゃない? どこか、カフェでも入ろうか。 ステップ4〜5 俺は平気だよ。できれば10年後も20年後も、君を守りたいと思ってるから。 ステップ6〜7 あまり勝敗は気にしてないけど、君の笑顔が見られたからそれだけで充分だよ。 ステップ8 こうして君を守り続けて、気が付いたら10年後も一緒にいた……ってなるといいな。 ステップ8 普段はあまり勝負とかしないけど、君のことは別なんだ。絶対に守りたい人だから。 敗北 ステップ1 ごめんね、勝ち負けにあまりこだわらないせいか、集中力が途切れたみたいだ……。 ステップ2〜3 どうしてみんな、俺たちの邪魔をしてくるんだろうね? なんだか悲しくなるな……。 ステップ4〜5 ……ごめん、君の横顔に見惚れてたみたい。ごめんね、勝たなきゃいけないのに……。 ステップ6〜7 君を守れない自分が不甲斐ないよ。芸術ばかりじゃなくてもっと身体を鍛えなきゃね。 ステップ8 君には笑顔が似合うって、1番理解してるのは俺なのに……つらい思いをさせたね。 ステップ8 芸術家になって、君を守る力をつける……10年後までにたくさん課題ができたな。 アルバイト +... ステップ1 絵を描くバイトがあればいいのにな。似顔絵とか、風景画とか。彫刻もいいね。 ステップ2〜7 君と一緒だと、アルバイトも楽しく感じるよ。どんな仕事も、君となら面白そうだね。 ステップ8 10年後も、こうしてふたりで一緒に仕事ができればいいな。俺のアトリエで。 好感度MAX +... 10年後の君と俺はどうなっているのかな。考えると不安と希望がごちゃまぜになるよ。 ずっと傍にいて、なんていうのはわがままかな。でも……君を離したくはないんだ。 俺のアトリエに、君がアシスタントでいてくれたらいいな……なんて想像するよ。 これから10年、君と一緒に見る景色をずっと心に刻んで……全部、俺の手で形にしたいな。それが今の俺の夢なんだ。
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登録日:2010/08/07 Sat 22 10 55 更新日:2023/09/09 Sat 02 35 11NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 V おぅかわりだ! キャッチマイハァァァァト バベルガ・ベリーメロン ビクトリーポーズ ビクトリーム ブルァァァ! ←やかましい! ベリーメロン メロン モヒカン・エース 愛すべきバカ 愛すべきバカ←ただし攻撃力は鬼畜 我が体、撃沈! 石版魔物 紫式部 股間の紳士 腹筋破壊兵器 若本規夫 華麗なるビクトリーム様 金色のガッシュ!! 魔物 私の名前はビクトリーム!華麗なるビクトリーム様だ!! 金色のガッシュ!!の登場人物。 前回の魔界の王を決める戦いで石のゴーレンに敗れ、石板に封じられた千年前の魔物の一人。 子供だけどCV 若本規夫(*1) 現代でのパートナーはモヒカン・エース(CV 永野善一)。 端的にいえば、Vと メ ロ ンをこよなく愛するハイテンションでおバカな魔物。 とにかく大好きでメロンを見るなりかぶりつく。 原作では巻末のおまけ漫画でメロンを嗜む様子が描かれただけだったが、アニメ版ではそのシーンを戦闘開始前に挟む形でメロンを味わうことになった。これでガッシュたちと意気投合するかと思いきやそこは原作と異なる展開になってしまうので、結局のところ戦闘にはなってしまう。 頭と体がVの字形をしており、本人もV字の姿勢に並々ならぬ執着を持っている。 だが、ふざけた外見とは裏腹に術の破壊力は凄まじい。千年前における優勝候補と自称するだけあってその実力と戦闘力は確かであり、決して侮ることはできない。消耗していたとはいえガッシュ、ティオ、キャンチョメとそれぞれのパートナー(あとウマゴン)を相手に圧倒してみせた。 Vとメロンに思考を支配されているといっても過言ではないが、洞察力はそれなりにある。ガッシュ一行との戦闘の終盤では(結果的に読みは外れてしまったが)清磨の作戦をある程度見抜いて見せた。 「金色のガッシュ!!」では、このビクトリームを筆頭に、おバカなギャグキャラだがもの凄い戦闘力を持つ強敵が一種の名物となっている。 千年前における本来のパートナーはまさかの歴史的偉人である紫式部。つまりモヒカン・エースは紫式部の子孫ということになる(ただし彼はアイルランド人らしい。) 千年前からの友達であったレイラが言うには美人で話が面白いロマンチストな方だったらしい。 ちなみにレイラとは一緒にベリーメロンを踊る程に仲が良かったらしく、ガッシュとその仲間達の様な関係だった様子。 ゴーレンへ戦いを挑んだのも石にされた彼女の仇討ちの為でもあった。結構いいやつじゃねぇか。 原作では特に絡みはなかったが、アニメ版ではベルギム・E・Oとはライバル関係にあることが分かる(*2)。 【能力】 頭部と胴体が分離しており、頭部のみ宙に浮かせることができる。これはビクトリームが元々持っている能力で、呪文は必要ない。 また、この時に胴体はVの体勢で待機させるが、単なる本人のこだわりであって特に意味はない。 分離中も感覚は共有しており、胴体を攻撃されれば頭部にもダメージが通る。劇中の様子から察するに分離中は胴体を移動させられないのかもしれない。 【呪文】 マグルガ 「荘厳回転(グロリアスレヴォリューション)!! 3・6・O(スリー・シックス・オー)!!加速(アクセル)・加速・加速・加速・加速!!」 頭部からVの字型のビームを発射する呪文。 胴体と合体した状態でも撃てる他、分離能力を活かして頭部のみを浮遊させて空中から撃つことで上下左右の様々な場所を攻撃可能。 空中から頭部を縦横無尽に回転させながら放てば無差別かつ強力なMAP兵器と化す。 これこそが荘厳回転3・6・0である。 だが、本気で無差別なので待機中の胴体やパートナーにも命中する可能性がある。というか実際に直撃し、本人の胴体を撃沈した。強力な攻撃を放ったと思えば直後に勝手に自滅するというこの衝撃的なシーンには、大勢の読者・視聴者が爆笑したことだろう。 例その1 「部屋の壁、大破!!」 「テラス、粉砕!!」 「支柱、撃破!!」(*3) 「く…、もう…」「まずい、セウシルが破れる!」 「我が体、撃沈!!! ブルアァアアアア!!!」 例その2 「私の体をいじめるな―――!!!」「マグルガァ!!!」 「ハハハッ、逃げおったか!?」 「! しまったぁあああ!!!」 「我が体、撃沈!!! ブルァアアアアア!!!」 マグル・ヨーヨー 両腕をスパイク付きヨーヨーに変える呪文。ヨーヨーは自在に動かせる。 劇中ではチャーグル・イミスドンのチャージ中に突撃してきたガッシュを返り討ちにする際に使用。 某有名巨大ロボットの超電磁ヨーヨーに似てる。何の因果かベルギム・E・Oも類似した呪文を習得している。 近寄るんじゃねぇっ!! ワン・ツー!!ワン・ツー!! チャーグル 唱えるとビクトリームの体の球(右腕、右肩、股間、左肩、左腕)が1回につき1つずつ光っていく。発動中、他の呪文を使用しても光は消えない。 チャーグル・イミスドン(後述)の発動に必要な特殊な呪文。 チャーグル・イミスドン 「怒りのパワーを右腕に!!」 「我が強さを右肩に!!」 「我が美しさを股間の紳士に!!」 「誇り高き心を左肩に!!」 「Vの華麗な力を頂点に!!!」 Vの体勢から巨大なビームを放つ、ビクトリームの最大呪文。 威力がチャーグルを唱えた回数に左右され、3回チャージした場合は『\』のような形で発射。5回分フルチャージした場合は巨大なVとなって放たれる。 劇中では3回チャージの時点でガッシュの最大呪文『バオウ・ザケルガ』をあっさり打ち負かした。 バオウに対し「この術の半分の威力も無かった」と馬鹿にしている。この術のどの段階の威力と比較していたかは不明だが、少なく見積もってフルチャージ状態からの比較であっても、ファウード編の強豪魔物の多くのディオガ級の術と同等以上の威力を誇る事になる。 アニメ版では順番と回数に違いが見られ、原作には存在しない「憎しみのパワーを左腕に!!」の台詞が登場した。 一度目は右腕→左腕→右肩→左肩→股間の紳士の順に5回のチャーグルが行われ、二度目は右腕→右肩→左腕→左肩→股間の紳士に加え「Vの華麗な力を頂点に」6回のチャーグルが行われた。 なお、これはアニメ版特有の物で、ゲーム作品では原作準拠の順番・回数・台詞で発動される。 ガッシュ達を苦しめたが、彼らの残り少ない力を最大限に引き出すコンビネーションと心理トラップの数々に敗北、千年振りに魔界へ送還された。 消える際には、「Vの体勢で消えさせてくれーー!」と懇願している。 因みにアニメでは、ベリーメロンを歌いながら「おさらばだぁっ!!」とノリノリで帰っていった。 しかし敵ながら華麗なるビクトリーム様が読者に与えたインパクトは余りに大きく、退場後のオリジナル魔物の公募にはビクトリームの変形魔物が多数送られるほどだった。 そこで、単行本の巻末で作者が「復活希望の葉書が1000通以上で復活させる」と宣言しところ、すぐさま3000通以上の復活希望が届き、彼が主役を務める番外編が執筆された。 コミック完全版でもまさかのモブ同然であったモヒカンエースと共に6巻の表紙を飾っている。 作者曰く「ビクトリームとモヒカンエース」か「ゾフィスとココ」で、ものすごく迷ったらしく、ココゾフィスのカラーを描きたくて仕方なかったようだが、ファンはビクトリームの方が喜ぶだろうと採用されたらしい。 【パートナーとの関係】 パートナーであるモヒカン・エースは他の千年前の魔物のパートナー同様ゾフィスに洗脳されており、単なる『心の力の電池』も同然の存在でしかなく、ほとんど自分の意志で行動することができなかった。 それ故、通常の意志を持ったパートナー同士の関係性を構築できていればまず防げたであろう清麿の策(*4)にまんまとハマってパートナーを足蹴にしてしまい、清麿が指摘したようにそれが敗因となってしまっていた(*5)。 しかし、現代のパートナーを単なる『心の力の電池』と称して非常にぞんざいに扱う千年前の魔物が多い中、ビクトリームは幾度もモヒカン・エースを気遣う態度が見受けられた。 先述のように荘厳回転360で自爆した際に「しかし不幸中の幸い、モヒカン・エースは無事だった!!」と彼の無事に安堵したり、 ザケルガで弾かれた自身の頭部がモヒカン・エースに直撃した際には痛みのあまり叫ぶ彼に「耐えるんだ、モヒカン・エース!!」と激励したり、 他にも何かと事あるごとにモヒカン・エースの名を呼んでいたりと、珍しくパートナーを尊重している描写が見受けられる。 また、13巻の扉絵を見る限り、モヒカン・エースの髪型をモヒカンにして額と腹部に『1』の字を書いたのはビクトリームが勝手にやったことのようだが(*6)、モヒカン・エース自身もこのファッションが気に入ったらしく、ビクトリーム送還後かなり経ってから(*7)もこのファッションを続けている模様。 洗脳されていたパートナーは基本的に洗脳されていた間の事は覚えていないので、彼にとってすれば数ヶ月の記憶喪失の間になぜかモヒカンになって顔に落書きされていたという意味不明もいいところの状況でしかないのだが…… もしかしたら洗脳されることがなくともビクトリームと意気投合できていたかもしれない。 千年前の魔物とそのパートナーは月の光で体力を回復したり心の力を回復できるのだが、劇中での様子を見る限りだとモヒカン・エースは月の光に頼っている描写がない。 それでいてビクトリームが自滅するまでマグルガの発射を維持し続け、その後もチャーグル・イミスドンを2発連続で打てている辺り、実は結構強大な心の力を持っていると思われる。 以下ネタバレ注意 クリアにガッシュ&清麿とブラゴ&シェリーが共闘して臨む最終決戦。 絶体絶命となったガッシュと清麿の元に、王を決めるための戦いの中で友となった魔物たちが魔界から力を貸していく。 さらには千年前の魔物であるレイラ、パムーンも協力し、月と星のビットを発生させる。 続けて『アーンド・荘厳回転(グロリアスレヴォリューション)!!3・6・O(スリー・シックス・オー)!!』の声が辺りに響き、 『Vの体勢をとれ!!ガッシュ!!!』 何故か最後まで敵だったこいつまで登場。 少なく見積もって全国に3000人はいると思われるビクトリーム様のファンを歓喜させた。 ガッシュにVの体勢を取らせると、新呪文 シン・チャーグル・イミスドン を発動。 レイラとパムーンの術で生み出された無数の月と星を360°回転させながら発射し、クリアがばら撒いた角ミサイルを一掃した。 『ハッハッハッハッハ!!』 『ハッハッハッハッハッハッ』 『ハッハッハッハッハッハッハッ!!!』 ミサイルを落としつくすと「いいVだ、ガッシュ。」とその姿を称え、 魔界に帰る時はメロンの種を持ってくるようにガッシュに言い、やりたい放題のまま最終決戦のシリアスな空気をぶち壊して去っていった。 なお、レイラとパムーンの登場には涙を流していたガッシュであるが、ビクトリームに気付いた際は「何故お主がいるのだ!?」と言わんばかりの困惑顔であった。まあ2人と違って共闘するほど仲良くなってなかったしねえ。 しかしながらガッシュがクリアに対し説得を試みる際、ガッシュの背後に映った「魔界に還った仲間達」の中になぜかビクトリームが混ざっていたりするので、ガッシュの目線からしてもビクトリームは敵というよりライバル的な存在だったのかもしれない。 その後、最終回には幸せそうな顔でメロン畑を見つめるビクトリーム様の姿が…… ガッシュは約束を守ってくれたようだ。 作者によると、その後はそれに飽き足らず V字型のメロン を作れないかと奔走しているそうな…。 【余談】 キャラソン『ベリーメロン~私の心をつかんだ良いメロン~』も好評発売中。 ガッシュとティオがバックコーラスを務める通常バージョンのほか、清麿と恵がバックコーラスをやらされる務める別バージョン『ベリーメロン~パートナーにおかわりだ!バージョン~』もある。 パートナーバージョンではV様とパートナー2人のテンションの落差を楽しめて、こちらも腹筋崩壊必至。聴いた事が無い人は是非聴いてみてほしい。 そして令和のコトダマンコラボにて若本氏による新録『ベリーメロン♬コトダマンバージョン』がコトダマン公式にて公開された。令和になってもV様の人気は衰えを知らない。 ヴァリアブルアクションヒーローズより可動フィギュアも発売されているのでファンの方々には是非とも触れてもらいたい。 それに関連して先に魔界に還ったベルギム・E・Oに華麗なる歌を伝授するという名の中の人同士の掛け合いを収録した『Vのサインでおしおきよ!!』も発売中。特にベルギムは完全に中の人と化している。 体の色は漫画とアニメでは白だったが、「THE CARD BATTLE」では当初メロンのような黄緑色だった。後に漫画やアニメと合わせる形でか白に変更されている。 また、ビクトリームの魔物カードは何種類か登場したが、能力の名前が「バカだが強い!」となっているものがある。 荘厳回転3・6・0の名前の由来は、BUMP OF CHICKENの曲や松田聖子のアルバムも考えられるが、おそらく名誉革命(Glorious Revolution)だろう。フェルマーの最終定理といい、本作において雑学ネタはたびたび見られる。 千年前のパートナーが判明した後ではこっちと絡めたネタがネットでは出てきた。 実際に ・宝具とスキルでの魔性特効 ・スキルでの宝具封印、弱体無効 とゴーレンメタな性能から「ビクトリームを失った悔しさから聖杯戦争での力に目覚めた」と言われたりしている。 いいか…アニヲタ… 魔界に帰る時は追記修正をして帰るんだ… 「一つの編集は100万の項目を生む。」 これを忘れるんじゃないぞ… そして…メロンを…ブルァァァッ!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] いろんな意味で存在そのものが反則。360°マグルガも自爆するとはいえ効果そのものは冗談抜きで反則そのものだった…!!それにしても下位呪文(あるとしたら)マグルはどんなもんなんだろう? -- 名無しさん (2013-07-22 08 46 39) ガッシュ名物「滅茶苦茶強いギャグキャラ」の典型例。 作中では本気で絶望感を味あわせてくる敵だった。 -- 名無しさん (2013-07-22 10 44 47) ガッシュはアホキャラが反則的に強いよね。ベムギムとかキースとか後半のキャンチョメとか -- 名無しさん (2013-07-22 11 39 07) 360°は自分の本ぶち抜く可能性あるが大丈夫なんかね -- 名無しさん (2013-07-22 12 05 10) ↑モヒカンAの身の安全も考えてあげて -- 松永さん (2013-07-22 12 27 37) ↑サンビームさんが言ってたみたいに自分の技じゃ本燃えないんじゃない? -- タトバさん (2013-07-22 13 27 31) メロンパンは認めなさそう -- 名無しさん (2013-07-29 18 40 22) ↑シャナ「ああ?」 -- 名無しさん (2013-08-11 03 10 39) ↑お前は果汁入りを邪道といっとるだろうがwんでコイツは果汁入り以外のメロンパンは認めない感じかも -- 名無しさん (2013-09-09 13 34 15) モヒカンエースって多分ビクトリームに勝手にモヒカンにされたんだよな。かわいそうに。 -- 名無しさん (2013-10-30 16 17 14) ↑でも本人気に入ってたみたいだよ。 -- 名無しさん (2013-10-30 16 22 29) ×6 いやいやコルルが燃やせないって言ってるからw -- 名無しさん (2013-11-20 04 02 36) 魔物の「子」…なのに…渋い声しとるなぁ…。収録当時、共演者はお腹痛くならなかったかしらw -- 名無しさん (2013-11-20 13 50 46) キャラソンは素晴らしいけどアニメで最初に歌った時は音痴というか棒読みというか・・・ -- 名無しさん (2014-01-17 12 02 57) こいつ見てるともう若本御大が ヘテロクロミアな声に戻るのは無理だとわかるWW -- 名無しさん (2014-01-17 12 08 43) 仮面ライダー斬月とコラボしてほしい -- 名無しさん (2014-01-17 12 40 38) ↑2 まあ今の若本さんからロイエンタールやビシャスを想像するのは難しいよな。 -- 名無しさん (2014-01-17 12 44 05) 敵として登場した割には別にガッシュに恨みがあったわけではない…とはいえ、おかしいだろw -- 名無しさん (2014-01-28 22 30 04) 最初の印象はカッコいいだった。 -- 名無しさん (2014-01-28 23 14 48) 懐かしいなwww -- 名無しさん (2014-02-04 12 01 49) クリアは魔界を滅ぼす目的なんだから、別にガッシュの味方じゃなくてもクリア討伐に加勢してもおかしくはない けどロデュウとかキースを出すよりかはビクトリームが優先されるよなあ リーヤやロップス、モモンを省いてヨポポを出したのは連載開始当初から読んでいる読者からすれば嬉しかったが -- 名無しさん (2014-02-18 18 29 45) もうねぇ存在自体が腹筋崩壊させようとしている -- 名無しさん (2014-02-18 18 37 43) 原作の漫画ではメロンって単行本のオマケでしか触れられてないよね アニメやカードに興味なくて単行本も買わないって人はラストバトルでメロンって言われてもなんのこっちゃだな -- 名無しさん (2014-02-18 22 19 05) ↑でも、ビクトリーム番外編はサンデーに連載された訳だし、メロン設定知らない人はまずいなかったんじゃない? -- 名無しさん (2014-03-08 19 52 49) ゲームだと常にハイテンションでこっちの腹筋を狙い撃ちしてくる -- 名無しさん (2014-09-04 21 59 15) ガッシュの中で屈指のネタキャラ 強烈過ぎるわ -- 名無しさん (2014-09-06 12 50 40) ビクトリウムシュート! -- 名無しさん (2014-09-06 13 07 43) またメロン食べられると良いね -- 名無しさん (2014-09-25 13 20 06) 味方化したことは一切ないにもかかわらずガッシュにメロンの種を持ち帰るように約束させるあたり敵らしくないキャラ 他のギャグ敵はなんだかんだで敵としての矜持をまもってゲス化するんだがなあw -- 名無しさん (2014-09-28 17 03 46) ガッシュに味方したんじゃなくてメロンの種が目的だった説 -- 名無しさん (2014-12-31 10 52 02) 文庫版じゃメロンネタがわからないから残念 -- 名無しさん (2015-02-17 01 51 40) アニマックスでビクトリーム回をまた見たが…若本自重w -- 名無しさん (2015-03-14 00 38 24) ウルトラマンビクトリーム -- 名無しさん (2015-04-17 12 03 14) シン・チャーグル・イミスドンは本来どういう技だったんだろう・・・強化版にしても本体から放つはずだけど一緒に来た2名のビットから発射してたからVのビットが本来でてくるのか ヘッドパーツがふえるのか・・・w -- 名無しさん (2015-04-17 12 14 39) 敵じゃなくて敵キャラだった訳か、本人はガッシュに倒された事以外全くガッシュに思うこと無いわけだし -- 名無しさん (2015-07-04 02 21 44) ↑そうそう、というかあのシーンはガッシュに思うところなんて一つもないはず、むしろ恨んでそうなゾフィスとかも力は貸しているのだから。 -- 名無しさん (2015-09-23 14 02 15) 部屋の壁、大破! テラス、粉砕! 我が体、撃沈!! でこっちの腹筋が撃沈した思い出 -- 名無しさん (2015-11-28 00 29 09) モヒカンエースはV様の事を覚えていたのかね? -- 名無しさん (2015-12-04 03 38 46) モヒカンって確か本名ではないんだよな -- 名無しさん (2015-12-08 19 05 15) たかしめ!ダマしやがったなー!を若本さんの声で聴きたいw -- 名無しさん (2015-12-16 21 18 13) 松平のとっつぁん!? -- 名無しさん (2015-12-20 04 56 04) バベルガ・ベリーメロンはアニメでしか出てないっけ? -- 名無しさん (2016-04-08 20 14 16) 仮にも最後まで敵だったガッシュにメロンの種持って来いとおねだりして帰るとんでもねえお方 -- 名無しさん (2016-06-13 13 02 09) ↑2アニオリ回のみだな -- 名無しさん (2016-12-20 23 00 59) ガッシュ達と戦いはしたけど自発的な敵意があったわけじゃないからなあ。起こしてもらった恩義としてゾフィスの命令を聞いてはいるけど、本性は戦闘シーンで見せたとおり「自分の実力を頼みにしているノリのいい自由人」なイメージ。違う形で出会っていれば味方になるなり -- 名無しさん (2016-12-23 22 53 45) (上の続き)石版魔物としてではなく別の形で出会っていれば、ダニーやヨポポのように「ある魔物の日常」みたいな描かれ方があったかもしれない。 -- 名無しさん (2016-12-23 22 57 17) フィギュア化おめでとう -- 名無しさん (2017-02-23 11 50 44) 主役よりも先に可動フィギュアが出てしまうとはね…しかもオプション豊富だし台座に愛を感じる -- 名無しさん (2017-06-07 15 21 26) ↑15こいつの術自体は純粋に本体から放つ高威力ビームで、他の2名の術が発射台を作る術だった可能性。レイラもパムーンも、人間界にいたころは多数のビット含めてひとつの最大呪文を放ってたけど、二人の最大呪文は攻撃呪文じゃなくて展開したビットそれぞれから自分の呪文を打てるようになるとか。本来はそれでディオガ級20発とかぶっ放すのを、最終戦では単発でシン級の術を何十発もぶっぱできたと考えると、あの時ならではのロマン -- 名無しさん (2018-03-13 13 34 19) それまで悪くとも相殺にはできていたバオウを、不完全なイミスドンで正面から打ち破るという快挙。全体で見ればバオウに対抗できるのは少なくないが、主人公の必殺技を完全に破った印象はとても大きい -- 名無しさん (2018-06-09 04 03 27) ビクトリームの1000年前のパートナーは紫式部らしい。(完全版6巻より) -- 名無しさん (2018-09-04 00 56 41) ゴーレンにはポーズ決めようとした隙を突かれて敗れたんだろうなきっと -- 名無しさん (2019-04-03 05 25 39) ゴーレンに挑んだのも、レイラの敵討ちだったらしい。結果はお察し。 -- 名無しさん (2019-04-03 08 29 33) お前、ギャグキャラじゃなかったのかよ……Vの字が熱いぜ…! -- 名無しさん (2020-07-05 20 18 27) 漫画で描いてた時は若本さんのこと想像もして無かったろうにここまではまるとわ -- 名無しさん (2020-09-15 13 58 02) 最後の全員集合でめっちゃスペースをもらっていたビクトリーム様 -- 名無しさん (2021-02-04 14 27 24) なんでアニメだとチャーグルの順番変えたんだろうね -- 名無しさん (2021-02-04 19 47 48) 「私の身体をいじめるなー!」「マグルガ!」「(ガッシュ達逃げる)はっはっはー!逃げるかー!しまったぁー!」で体に攻撃して我が体撃沈したシーンで未だに笑う -- 名無しさん (2021-03-17 21 06 06) 戦闘開始前に5チャーグルしておけば初回イミスドンぶっぱで大体なんとかなりそうなもんだが、美しさへのこだわりと股間の紳士が許さないのだろう -- 名無しさん (2021-05-26 04 33 40) 清磨はウォンレイやキッドが助けに来てくれて感動で滝の涙を流した直後にどんな顔でシン・チャーグル・イミスドンを唱えたんだろう……? -- 名無しさん (2021-06-19 22 55 51) モヒカン・エースのほうもあれだけ術を乱射しておきながら最後まで月の光での回復も無しに心の力を維持できてるとんでもない奴なんだよな。36Oマグルガとかめちゃくちゃ浪費するだろうに。もしまともなパートナーだったら相当強力な使い手になっていたのでは -- 名無しさん (2021-06-25 09 45 13) 千年前はバカやってピンチになるのをレイラにフォローされたことがけっこうあったと思う -- 名無しさん (2021-07-03 13 18 35) 岐阜県ではVの字メロンを育ててるとか(お便りネタ) -- 名無しさん (2021-09-19 18 24 58) 四角いスイカができるならV字のメロンも不可能ではない…のか? -- 名無しさん (2021-09-19 19 04 36) ↑2 たかしめ、だましやがったなー!!! -- 名無しさん (2021-10-02 15 27 26) 千年前の日本人がパートナーなのに「V」にこだわりを持ってるけど、レイラと世界を回るなかで自分によく似た文字を見つけて感激したんだろうか? -- 名無しさん (2021-10-21 14 59 35) ガッシュ2でもいつ出るか楽しみだ -- 名無しさん (2022-03-25 20 52 31) ギルが魔界の王を決める戦いを説明する時にやたら目立つシルエットがあって笑った。お前前回大会に直接は関係ねぇだろ!! -- 名無しさん (2022-05-03 17 25 51) ゴーレンにもVの姿勢で石にして貰うように懇願したんだろうか… -- 名無しさん (2022-06-07 10 21 01) ↑2隣のモヒカンエースもまた目立つシルエットで笑えたなあ -- 名無しさん (2022-09-14 20 30 53) 魔界のメロン畑は無事であろうか -- 名無しさん (2022-10-15 11 31 28) 2での登場が待ち遠しいが、間違いなく他の全キャラの存在感を食っちゃうだろうから雷句も扱いが大変だろうな -- 名無しさん (2023-03-13 00 17 04) そういや、「イミスドン」って一体何なんだろう。イミテーション? -- 名無しさん (2023-09-09 02 35 11) 名前 コメント
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あぜんとする整備班の面々を歯牙にもかけず、 二人は白熱した問答を繰り広げている。 いつまでもシャワー室を占拠し続けるわけにもいかず、 というよりも口頭で説明するには複雑すぎるために、 手早く身支度を済ませて場所を変えたのだが、 もうすでに試験用の広場は使用許可時間を過ぎていたため、 仕方はなしとこうして整備班たちが集う休憩室に場所を移していた。 同席している整備員からすればたまったものではないが、 中には面白おかしく二人を観察しているものもいる。 時には彼らからも一言二言何かを述べたり、 あるいは合いの手を入れたり、説明に細やかな注釈をいれたりする。 そうこうするうちに誰かがホワイト・ボードを持ち出してきて、 たちまちのうちにそれは真っ黒になるまで書き込まれていく。 「まーつまり左手の操縦桿はとにかく軽いんですよ。 何せ三百六十度ありとあらゆる方向に動かせますしね。 で、これが機体中央にある最終制御用ユニットを軸に、 両脇にある運転用ユニットと連結した両脚パネルと連動して・・・・」 書き足されは消され、消されは書き足され、 それを繰り返すたびに少女の説明もスピードを増す。 のほほんと、とろそうな印象とは裏腹に、 ボードを走る両腕と舌の軽やかさはフル・スロットルだ。 今描かれているのはジェリスヘレムの基本外見構造と、 内部機関の大まかな所定位置。 ぎりぎりの、説明禁止事項に抵触しない程度で、 少女はできうる限り図面に引き起こして説明している。 ジェリスヘレムの基本構造は非常に端的なもので、 コクピットと動力・燃料を積んだ大型の球体ユニットを中心に、 土星の輪のような形をしたカメラ・センサーを走らせるための、 円形状のレールが縦に二本、斜めに交差するように二本囲っている。 高度あるいは深度に合わせてカメラ位置を移動させるためなのだろうか、 都合十七個のカメラが、その図に描かれている。 その多くは電子制御機能に任せるためのサブ・カメラだろうが、 パイロットが手動で動作させるターゲティング・カメラも存在するはず。 個別で可動するように特別細工してあるのだろうが、 他のカメラと接触しないためにどのような機構制御を施してあるかは、 にこりと小首をかしげてはぐらかしていた。 カメラの動作環境が説明不可なんて変わったものね。 そんなことをキティは思うが口にはしない。 したところで説明は期待できないのだし、 それならばもっと別のことを質問したほうが有意義だからだ。 黄金の少女はまだまだ絵を描き続けている。 今度は先ほどの球状機体に、ドラム缶のようなものを接続している。 その横には、エイのようなものを付けている機体も描いている。 拡張機能を取り付けた、正規ユニット・・・・ 『ヘレムナンバーズ』の大まかな外見なのだろう。 どう見ても球体に三角錐やエイやドラム缶やライフルが取りついている絵にしか見えないが、 これは簡略化された絵出会って実際は違うのだろう。 何せ直接手足の生えているあたりが笑いを誘う。 正直間抜けな絵面でしかない。 実物はもっと格好がいいドラム缶や、 スタイリッシュなビート板に違いない。 さすがにキティも苦笑いを隠し切れず、 それを見咎めた少女が指をさして非難する。 「あーっ!笑いましたね、今くすりと笑いましたねアナタッ! んもう、あたし画力ないのは知ってますけど笑わないで下さいよぅ」 口調の割にはおこった風でもなく、それでも幾分か丁寧に線を書き加える。 「ああ、別におかしくて笑ったわけではなくてよ? ただちょっと、そんな外見なのに、 画期的な新技術が使われているのが信じれないだけだわ」 「いやー画期的な新技術なんてものはありませんよ。 あるのはちょっとした興味と工夫とかかったお金の結果だけですから」 「・・・・どういう意味かしら?」 フォローをしたつもりだが、逆に諭されるような感触に、 キティは少年のように太い眉を形よく歪めて疑問を投げかける。 彼女からしてみればジェリスヘレムの機能は画期的なもので、 それこそ超科学の粋を尽くした技術力の結晶といった感だ。 しかし少女はそれを否定する。 『そんなものはどこにもない』。 『ありふれた技術しかない』。 「要は、ケーキみたいなもんなんですよ。 最初にお砂糖を作る技術とか、クリームを生成する方法なんかがあって、 それらを寄せ集めることでイチゴのショート・ケーキができちゃうわけなのです。 もちろんお砂糖とかの作り方っていうのも、別の何かから生まれた方法です。 で、イチゴのショート・ケーキだけじゃなくて、たまには他の味のものを食べたいな、 なんて考えた人が、いろいろと試行錯誤してチーズ・ケーキを作っちゃうわけです。 で、そのうちレシピが変わっていって、最初に作ったチーズ・ケーキとは全然違う、 味も作り方も変わった『作りやすくておいしいチーズ・ケーキ』になるんです。 そうすると最初のイチゴのショート・ケーキも進化します。 美味しくなったりボリュームが増えたり、イチゴたっぷりになったりとか! ついでに今まで作られてなかったチョコレート・ケーキやタルト、 あるいは全然違う全く新しいお菓子に挑戦する人だってでてきちゃうんです。 科学も技術もそれと一緒なんですよ。 ゼロから始まる超技術なんて生まれません。 理論か元となる技術かちょっとした手違いとか勘違い、 あるいは材料をちょっと変えただけとかで、 全く新しい『何か』が生まれるんです。 ジェリスヘレムもそれと一緒です。 『テラドライバー・システム』って呼ばれるあの技術も、 他の人が一生懸命考えたり頑張った結果生まれただけなんです。 たまたまそれが理解し難いだけで、何の特別もないんですよ。 もしかしたら今こうしてあたしたちが使ってるのは奇跡的なものなのかもしれません。 けど、それは結局のところ早いか遅いかの違いだけで、 それこそ量子学上の猫みたいなもんで、ひょっとしたらここではないどこか、 アメリカとかロシアとかで発見アーンド開発されたかも、程度の違いしかないんです。 だから、そんなごく普通のモノなんですから、ちゃんと覚えれば誰でも乗れます。 キティさんだって、今にあの機体を思う存分動かせるはずなんです!」 「おいおい嬢ちゃん、チタンやジェラルミンをスポンジと一緒にせんでくれよ。 俺らケーキ職人なんかじゃないんだぜ」 「あーそうだな、俺ら甘ったるいもん嫌いだし」 「え、自分甘いもん結構イケるんですけど」 長い長い熱弁に、ここぞとばかりに男たちが口をはさむが、 しかし誰一人として少女の言葉を否定しようとはしない。 そのことにキティは驚愕を覚えるも、同時に得心もいった。 「特別だと考えてしまうから特別にしか見えなくなる。 特別なもののテストに来たのだから、私も特別だと勘違いしてしまう。 ・・・・それじゃあ、私もダメな人間ね。納得したわ。 自分自身が選ばれた人間だと思ってしまったもの。 そんなことは考えず、流れに身を任せて、何も身構えず、 何も特別だと感じず、ありのままに動かせばいい・・・・ 難しいわね、なかなか。今の私では、到底アレを乗りこなせそうにないわ」 お手上げ、と言わんばかりにもろ手を挙げて嘆息する。 敗北を認めながらも表情はすがすがしく、 だけども自分の限界を認める。 こんなにも素直に自分の力量を推し量れるのは、 きっと少女の例えが上手だったこと、雰囲気が柔らかなこと、 そして何よりも自分がまた人を好きになれたからだろう。 だけどもキティはすべてをあきらめたわけでもなく、 ごく普通の、当たり前の事なんだと少女が語る以上は、 自分にも決して不可能な行為ではないはずだと闘志を燃やしている。 減らず口だと、あきらめが悪いと、だれかがそう言うかもしれない。 だけども、捨てきれない理由を持っている以上は、 少女の言う『当たり前』にすべてを賭けるつもりだった。 「もーそんなことゆー口はこれですか、えい、えい」 「ふぉ、ふぉっひょやへて・・・・」 「あ、いけない!」 「・・・・ふぅ、まったく・・・・で、どうかしたのかしら?」 伸ばされたホホをもみしだきながら、 キティは突然跳ねるように飛び上がった少女に疑問を向ける。 「その、ちょっとジョーシに今回のテストの結果をですね、 伝えに行かなきゃいけないわけでー・・・・そのー、えっと、ごめんなさい! 今から急いで行ってくるんで、続きは休んでる整備員さんとかに聞いてください!」 「あ、ちょっと・・・・」 OKの言葉も聞かずに、少女はくるりと身をひねり駆けだす。 その背は常に全力疾走。 まるで追いかけ鬼のように、黄金の輝きがともに流れる。 明るくて性格もよく、頭も冴えて才能もある。 おまけに小柄ながらに可愛く、素敵な笑顔を持っている。 そんな黄金の彩に包まれた少女を、 自分の汚らしい復讐のために関わらせてしまうことを、 灰色にくすんだ瞳をぐっと瞑りながら少なからず罪悪感を覚える。 だけどもこれは決めたことなのだ、そう自分に強く言い聞かせるように、 彼女はあっけにとられたままの男たちに言葉を発する。 利用できるものを駆使し、得られる情報を奪い尽くすため。 「まったく、あの子は元気そのものね・・・・。 申し訳ないけれどもあなた方の質問させてもらうわね。 テスト時に被弾した際左腕に力が入ってしまって、 機体がものすごくバランスが崩れてし現象について聞かせてもらうわ。 操縦桿の軽さやシステムのせいだとはあの子の説明で理解したのだけども、 正直こう・・・・どうやって耐えればいいかというか、踏ん張ればいいのかわからなくて・・・・」 少女にああまで頼まれたのだ、きっと男たちは自分の質問に答えてくれるはず。 そう確信をもって問いかけたのだが、 しかし望んだ言葉は返ってこない。 「いやー・・・・済まないんだが、操縦に関しては俺ら力になれねーわ」 「・・・・え・・・・?」 「俺らに説明できるのは機体の大まかなシステムとか機構周りで、理論どまり。 実践に関してはあの子以外だーれもなーんも教えてやれんよ、すまないね」 意外な言葉に戸惑いを隠せず、 キティは短い髪に深爪した指を食い込ませ掻き毟る。 その様子は、きれいすぎるほど整った英語の発音からは、 想像できないほどに荒々しい、文字通り『男のような』しぐさ。 「いやね、ココだけの話だけど、整備班でアレ動かせるのあの子だけなのよ。 つーか基地内全部見ても、マジモンの専属パイロット以外じゃあの子だけじゃないかなー」 「ちょ、ちょっと待ってくださらないかしら? じゃあつまり、正規パイロットじゃないのに動かせるあの子がおかしい、と?」 「おかしいっつったらなんかまるで非難してるみたいだけど、正直その通りだわ」 ぞっと、背筋に冷たいものが走る。 『理解し難いだけで、何の特別もないんですよ』/少女はそう言った。 『ちゃんと覚えれば誰でも乗れます』/少女は確かにそう言った。 『キティさんだって、今にあの機体を思う存分動かせるはずなんです』/そう言ってくれた。 だが現実として、それができる存在がここにはいない。 少なくとも、正規のパイロットの、 五人しか存在していないと男たちは言うのだ。 その事実に、キティは動揺を隠し切れない。 「だいたいあの子が乗り始めたのってたしか、 メンテナンス終わった後にパイロットにチェック頼んだら、 『めんでーくせーから明日やるわー』とか言いやがってお手上げ状態になっちまった時、 『あ、じゃーあたしやってみますねー』とか言い出したのが始まりだったよな」 「そーそー、で、主任が『ジャーやってお味噌』とか言い出してよぉ」 「完全面白半分だったよな」 「マー別に壊されてもも一回直すだけだし、仮に壊れてもだ、 こっちが頼んでんのにチェックサボったパイロットが悪いんだしな。 始末書書くのはあっちもいっしょだーってことで、主任がきれちまってな」 「なのにあのお嬢ちゃん、危なっかしながらもあっさり操っちまって」 「そーそーそーだよなー、それでうっかり俺ら惚れちまって」 「今じゃこっそりファンクラブなんて作っちまって・・・・ん、どした?」 愚痴と感想と賞賛に交じって、彼女がつぶやいた言葉を男たちは聞き逃していた。 もっとも、それが聞こえていたとしても、 ここにいた男たちは全員、その意味を知ることはなかっただろう。 その言葉は、彼女の母国語。 イタリア語。 『Piu vecchio fratello・・・・』。 意味は、・・・・『お兄ちゃん』。 きっと、万感を込めてつぶやいた言葉なのだろう。 だが悲しいかな、その悲痛な思いを込めてつぶやかれた言葉は、 誰にも理解されることなく、消えた。 戻る 続く
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「おはよーこなちゃん、お姉ちゃん!」 「おはようございます!お姉ちゃん、かがみ先輩!」 「やぁつかさ、ゆうちゃん、おはよ。ふぇ・・・はっくしゅんっ!」 はぁっと吐く息は白く空に消えていく。耳や頬は冬ならではの冷たさだ。 センターまで、あと1週間。なんだかソワソワする。けど、私はそれとは関係なくフワフワした感覚でいる。 「ホラ、こなたっ!マフラー忘れてるわよ。大事な時期なんだから、気を付けないと!」 全く、と悪態をつきながら私はこなたの首にマフラーをまく。あぅあぅ言いながら巻かれているこなた。 こいつは以外にしっかりしてると思えば、こういうところでだらしない。そこは3年目でも変わらないなぁ。 「ふふっ。かがみ先輩、奥さんみたいですね。」 「あぁ、確かにそうかも。お姉ちゃんとこなちゃん、段々恋人らしくなってきたね。」 ・・・妹よ。その純粋で天然な所は長所でもあり、短所でもあるのよ?自覚してくれ。 とかなんとか考えていても、鼓動は早くなる一方。頬も耳も冬なのにぽかぽかだよ。 「な、何朝っぱらから恥ずかしい事言ってんのよ!?ほらさっさと行くわよっ!」 「ぐぇ。か、かがみ・・・マフラーひっぱんないで・・・」 「つかさ先輩?」 「なぁに、ゆたかちゃん?」 「かがみ先輩って可愛いですね。」 「うんそうでしょう?かぁいいよね?」 「外野うるさいわよっ!」 何故朝からこんな恥ずかしい目にあっているのか。それはクリスマスが始まり。 あの日、私とこなたは、所謂恋人同士になった。その証はこなたの右の手首にある。 我ながらちょっと恥ずかしい。でも、幸せ。右手首の紫と青の螺旋を見るだけで胸が温かくなる。 きっとこれがフワフワした気持ちの正体。好きっていうトクベツな感情。 「ふふっ。」 「何?どうしたのかがみ?」 無意識のうちに笑みがこぼれてしまう。全くたるんでるなぁ、私。ちょっとらしくないかな? 「なんでもないわよ。」 冬の青空は眩しくて綺麗だ。肌に触れる空気も澄んでいる。私は一つ深呼吸。 「さ、行きましょ、こなた。」 「うん、かがみ。」 「あ、置いていかないでよお姉ちゃん!」 「待ってくださーい!」 今日も始まる、同居人兼恋人との大切な優しい日。 ☆☆☆☆ 「・・・ちゅうワケで、ってもう時間やな。ほな今日の授業はここでしまいや。お疲れさん。」 黒井先生の言葉と同時に響き渡るベル。ちなみに私の腹時計も、ぐーっとベルが鳴る。 「おっ、なんだー柊ぃ。腹鳴らしてさ。ま、私もめちゃくちゃ減ってるけど。」 「もし良かったら柊ちゃんも一緒に寄り道でもどう?」 「んー・・・んじゃお言葉に甘えます。ほら日下部も早くしなさいよ。」 八重歯が可愛らしく光る日下部と今日も菩薩のような笑顔の峰岸。 高校3年間、ずっと同じクラスだ。付き合いだけならこなた達よりも長い。 それだけに、この2人には気が許せるし、とても安らげる場所でもある。 「そういえば最近泉ちゃんとどう?」 「そーだそーだ!!付き合い始めてだいたい2週間ぐらいだろ?」 むぐっ、とむせてしまう私。最近こんなんばっかな気がする。なんなんだ。これが付き合い初めの洗礼なのか? 私達が付き合っている事を知っているのはごくわずかの人だけである。 やっぱりどこかで背徳感や知られたくないっていう気持ちがあるのかもしれない。 覚悟はしていた。幸せになる為なら大丈夫、なんでもやる。でもいざとなると、なんとなく切ない。 だからなんの気兼ねもいらずに話せる人達にはとても感謝している。無論、この2人も例外じゃない。 「まぁ、普通なんじゃない?来週センター試験だから遊びにはいけないけどさ。」 「ふーん。って普通じゃ面白くねーだろ。なんかないのかよ?こうさ・・・」 「べ、別に面白くなくてもいいでしょーが!」 「そうね。確かに普通って簡単に見えて難しい事よ、みさちゃん?私はいいと思うよ、普通って事。」 峰岸はふわりと笑っている。特別になっても、普通でいる。今の私にずしりと響く言葉。 特別になったのに。せっかく勝ち取った特別なのに。あまりに普通すぎる『特別な日々』。 「そんなもんかねー。ノロケの一つでも聞かせてくれてもいいのにさ。」 「・・・そのノロケがないから困ってるんじゃない・・・」 「え?」 「なに?」 ☆☆☆☆ 今までのような普通な毎日が嫌なワケじゃない。むしろ峰岸の言うように普通って大切な事。 それでも、やっぱり夢はみちゃう。手をつないだり、どこか遊びに行ったり、2人だけで過ごしたりしたい。 ワガママなのは分かってる。それでも私はさらなる幸せを求めてしまう。 「なるほどなー。でも別に悩みって程じゃないんじゃね?」 「柊ちゃん、その事泉ちゃんに話したの?」 「うーん・・・ここからが本題というか・・・」 「どいうことだよ?」 「・・・ホントにこなたは、私の事、好きでいてくれてるのかなって。」 「は!?」 「・・・」 「聞けないのよ、怖くて。拒絶されるんじゃないか、ホントは・・・同情で付き合ってるんじゃないかなって。」 こんなに私は弱かった。強くなったつもりだったのに、こなたと肩を並べてるつもりだったのに。 自分が嫌い。こなたを信じてあげられない自分、普通に満足できない自分、強くなれない自分。 「なら、もう一度泣き虫に戻る?柊ちゃん。」 「あ、あやの・・・」 「・・・泣き虫?」 「『前』の柊ちゃんは泣き虫でも、諦めなかった。追いかけて追いかけて、未来を掴んだ。」 泣き虫。追い掛ける。未来。諦めない。そういわれてズキッと痛む胸。 峰岸の目に、雫石が見えた。その姿が強くて、自分にないものを持っているようで。 「本当の強さ、そんなの言葉遊び。大切なのは意志じゃないかな? 犯した過ちを取り戻そうと堅い意志であがく。それが柊ちゃんの力。」 意志。足掻く。そうだ、そうだ。忘れてた。アホだ、私。やっぱりたるんでた。 「それを忘れないで、柊ちゃん。柊ちゃんの力は柊ちゃんにしかないものだから。」 「・・・私、行かなきゃ。こなたの所に、行かなきゃ・・・」 「・・・仕方ねーな。私達の事はいいから早く行けって!」 にかっと笑い、背中を叩かれる。ちょっと痛いけど、逆にそれが嬉しかった。 「ありがと、日下部。ありがとう、峰岸。危なく見失うトコだった。今度、何かおごるね。」 「いってらっしゃい、柊ちゃん。」 校舎から見える夕焼け。朝の眩しさとは違うもの。それを背に私は走る。大好きな、あいつの元へ。 「・・・行っちまったな。」 「大丈夫よ、きっと。『今』は大丈夫。柊ちゃんと、泉ちゃんなら。」 ☆☆☆☆ 夕暮れ。冬なので暗くなるのが早くなっている。それでも空は紅色に染まり、世界をも染めている。 校門を出たところである後ろ姿を見つけた。その後ろ姿は小さい。青い髪が紅と混じり、ゆらゆらゆれている。 「こなたっ!」 「あ、かがみ。さっきC組覗いたらみさきち達といたからてっきり・・・」 「あれ?つかさとみゆきは?」 「黒井先生に用事があるみたいで、先帰ってて、だってさ。」 「そっか・・・」 「なんか、久しぶりだね、かがみと2人で帰るの。」 ニヤニヤっと笑っているこなた。なんか心を読まれているようで悔しい。 色んな意味で、ドキドキしている私の胸。下手したらミサンガを渡した時よりも。 「そ、そうね。最近は皆で勉強して、その後帰ってたしね。」 「あと1週間でセンター試験か・・・早いね。てかもう卒業だよ!?」 「確かに。あんたと住み始めて3年、か。」 そうだ、あれが始まりだった。ドアを開けたら、こなたがいて。あの日からもう私は惹かれていたんだ。 「色々あったねー。風邪引いて看病して貰ったし。料理の腕も上達したね、かがみん?」 2人で過ごした毎日。笑いあって、ふざけあって。たまに喧嘩したり、怒ったり、泣いたりした。 何も変わらない。今の特別だと思ってる日も、前の日常も、同じ。 「それを言ったら、あんただって。最初は全然つれなかったのに、今じゃこんなんだしねー。」 「こんなんって!失礼なかがみん!」 私は分かってなかった。特別な事なんて何もない。私達はずっと私達。 こなたが、私をどう思ってるかなんて、分からない。でも、私はこなたが、好き。 「あはは、うそうそ。冗談よ。こなたは成長したわ。私が保証する。一番近くにいた私がよ?」 「むぅ。ちょっと照れるじゃないか。・・・ありがと、かがみん!」 こなたの思ってる事、どんな事も受け入れよう。受け入れて、悩んで、足掻いて私は進む。こなたと幸せになる為に。 後悔しないように、させないように、私は進み続けよう。歩き続けよう。これが、私の力。 「ねぇ、こなた?」 「なんだいかがみん?」 ☆☆☆☆ 「やー、買った買った。久しぶりのゲマズだったから奮発しちゃったよ。おかげでもう7時過ぎちゃったね。」 「ま、でもいいんじゃない?息抜きも必要だし。私もなんだんだで楽しかったし。」 町は夜の闇で覆われている。それでも月と星達が煌めいている。美しく、強く、この世界を照らす。 「ありがと、かがみ。誘ってくれて。」 「あ、いや・・・その・・・」 「実はさ、前々からどこかに行こう、一緒に2人で帰ろうって誘おうと思ってたんだ。」 「え?」 「んー、でもさ・・・なかなか言いだせなくて・・・」 頬っぺたを照れるようにかくこなた。こなたの頬が夜でも分かるぐらい紅潮してる。 「なんと言うか・・・んー、怖かったんだよね。本当に付き合ってるのか、かがみは私の事、本当に好きなのかなって。」 あれ?どこかで聞いたことがあるようなセリフだ。こなたは申し訳なさそうに苦笑いしている。 「でもさ、やっぱ違うよね。私達の関係が変わっても、かがみはかがみ。ずっと一緒にいたかがみ。」 それでも力強い瞳。そして凛とした表情。やっぱりこなたはこなただ。私の大好きなこなた。 「私の大好きなかがみ、だよね。だから私は受け入れられるよ。今までみたいに、ね。だから・・・」 あぁ、そういえば、まだ言ってなかったな。焦りすぎて、テンパっててあの時言えなかった言葉。 「好きだよ、こなた。」 「・・・え?何て?」 特別な日々が、日常へ。これが私達なんだ。2人で見失ってた普通。でも、もう大丈夫だよね。 「は、恥ずかしいんだから、あと1回しか言わないからねっ!」 「・・・うん、聞き逃さないよ、かがみん?」 うーん、余裕な表情がちょっと悔しい。やっぱりこんな感じが、私達にはお似合いなんだ。 「・・・大好き、だよ。」 「私もだよ、かがみ。」 大切で、かけがえのない、この普通。2人でなら守れる。ううん、守ってみせるよ。 満月の夜に、美しく映えるこなたの笑顔。ずっとずっと傍にいよう。毎日毎日、笑いあおう。 「さ、ほら。さっさと帰って勉強するわよ!」 「あー、待ってよかがみ。」 私達は歩き出す。どちらともなく握る手。温もりと、幸せを胸に私達は歩く。 長く、辛い道のりかもしれない。それでも、私達は止まらない。手をつないで歩いてゆく。 ゆっくり、ゆっくりと。 ☆☆☆☆ コメントフォーム 名前 コメント ほんとっ、こなかがって言うジャンルに出会えて良かった GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-01-04 23 52 51) こなかが最高! -- 名無しさん (2017-12-26 21 29 39) なんで私の顔、こんなニヤけてるのッ! -- ぷにゃねこ (2013-01-25 17 29 02) 最後の最後まで魅せてくれました! ありがとうございます! -- 名無しさん (2012-11-19 16 11 09) こなたかがみセンターガンバ! -- かがみんラブ (2012-09-17 06 19 57) あふぅ! かがみん萌えヽ(;*´ω`)ゞ -- かみのまにまに (2010-04-23 10 01 30) 888888 -- 名無しさん (2009-11-21 14 03 54) 感動しました!こんなステキな作品に出合えてよかったです これからも頑張ってください -- saori (2009-07-12 12 43 58) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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終末には次のことが起こるとされている。 終末の予兆 患難時代 死者の復活 携挙 イエスの再臨 最後の審判 終末に至るまでの過程については千年王国等を参照されたい。 終末の予兆 マルコ13 5-13 イエスは話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがそれだ』と言って、多くの人を惑わすだろう。戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞いても、慌ててはいけない。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に地震があり、飢饉が起こる。これらは産みの苦しみの始まりである。あなたがたは自分のことに気をつけていなさい。あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で打ちたたかれる。また、わたしのために総督や王の前に立たされて、証しをすることになる。しかし、まず、福音があらゆる民に宣べ伝えられねばならない。引き渡され、連れて行かれるとき、何を言おうかと取り越し苦労をしてはならない。そのときには、教えられることを話せばよい。実は、話すのはあなたがたではなく、聖霊なのだ。兄弟は兄弟を、父は子を死に追いやり、子は親に反抗して殺すだろう。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。」 マタイ24 4-14 イエスはお答えになった。「人に惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがメシアだ』と言って、多くの人を惑わすだろう。戦争の騒ぎや戦争のうわさを聞くだろうが、慌てないように気をつけなさい。そういうことは起こるに決まっているが、まだ世の終わりではない。民は民に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に飢饉や地震が起こる。しかし、これらはすべて産みの苦しみの始まりである。そのとき、あなたがたは苦しみを受け、殺される。また、わたしの名のために、あなたがたはあらゆる民に憎まれる。そのとき、多くの人がつまずき、互いに裏切り、憎み合うようになる。偽預言者も大勢現れ、多くの人を惑わす。不法がはびこるので、多くの人の愛が冷える。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。そして、御国のこの福音はあらゆる民への証しとして、全世界に宣べ伝えられる。それから、終わりが来る。」 ルカ21 8-19 イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『わたしがそれだ』とか、『時が近づいた』とか言うが、ついて行ってはならない。戦争とか暴動のことを聞いても、おびえてはならない。こういうことがまず起こるに決まっているが、世の終わりはすぐには来ないからである。」そして更に、言われた。「民は民に、国は国に敵対して立ち上がる。そして、大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい現象や著しい徴が天に現れる。しかし、これらのことがすべて起こる前に、人々はあなたがたに手を下して迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために王や総督の前に引っ張って行く。それはあなたがたにとって証しをする機会となる。だから、前もって弁明の準備をするまいと、心に決めなさい。どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授けるからである。あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる。中には殺される者もいる。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人に憎まれる。しかし、あなたがたの髪の毛の一本も決してなくならない。忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい。」 患難時代 マルコ13 14-23 「憎むべき破壊者が立ってはならない所に立つのを見たら――読者は悟れ――、そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。屋上にいる者は下に降りてはならない。家にある物を何か取り出そうとして中に入ってはならない。畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない。それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。このことが冬に起こらないように、祈りなさい。それらの日には、神が天地を造られた創造の初めから今までなく、今後も決してないほどの苦難が来るからである。主がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、主は御自分のものとして選んだ人たちのために、その期間を縮めてくださったのである。 そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『見よ、あそこだ』と言う者がいても、信じてはならない。偽メシアや偽預言者が現れて、しるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちを惑わそうとするからである。だから、あなたがたは気をつけていなさい。一切の事を前もって言っておく。」 マタイ24 15-28 「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら――読者は悟れ――、そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。屋上にいる者は、家にある物を取り出そうとして下に降りてはならない。畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない。それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。逃げるのが冬や安息日にならないように、祈りなさい。そのときには、世界の初めから今までなく、今後も決してないほどの大きな苦難が来るからである。神がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、神は選ばれた人たちのために、その期間を縮めてくださるであろう。 そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『いや、ここだ』と言う者がいても、信じてはならない。偽メシアや偽預言者が現れて、大きなしるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちをも惑わそうとするからである。あなたがたには前もって言っておく。だから、人が『見よ、メシアは荒れ野にいる』と言っても、行ってはならない。また、『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。稲妻が東から西へひらめき渡るように、人の子も来るからである。死体のある所には、はげ鷹が集まるものだ。」 死者の復活と携挙(空中再臨) Ⅰコリント15 20-22 しかし、実際、キリストは死者の中から復活し、眠りについた人たちの初穂となられました。死が一人の人によって来たのだから、死者の復活も一人の人によって来るのです。つまり、アダムによってすべての人が死ぬことになったように、キリストによってすべての人が生かされることになるのです。 Ⅰテサロニケ4 13-17 兄弟たち、既に眠りについた人たちについては、希望を持たないほかの人々のように嘆き悲しまないために、ぜひ次のことを知っておいてほしい。 イエスが死んで復活されたと、わたしたちは信じています。神は同じように、イエスを信じて眠りについた人たちをも、イエスと一緒に導き出してくださいます。主の言葉に基づいて次のことを伝えます。主が来られる日まで生き残るわたしたちが、眠りについた人たちより先になることは、決してありません。すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、それから、わたしたち生き残っている者が、空中で主と出会うために、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主と共にいることになります。 イエスの再臨 マルコ13 24-27 「それらの日には、このような苦難の後、 太陽は暗くなり、 月は光を放たず、 星は空から落ち、 天体は揺り動かされる。 そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。そのとき、人の子は天使たちを遣わし、地の果てから天の果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。」 マタイ24 29-31 「その苦難の日々の後、たちまち 太陽は暗くなり、 月は光を放たず、 星は空から落ち、 天体は揺り動かされる。 そのとき、人の子の徴が天に現れる。そして、そのとき、地上のすべての民族は悲しみ、人の子が大いなる力と栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見る。人の子は、大きなラッパの音を合図にその天使たちを遣わす。天使たちは、天の果てから果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める。」 ルカ21 25-28 「それから、太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、なすすべを知らず、不安に陥る。人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう。天体が揺り動かされるからである。そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ。」 なお、イスラム教のハディースでは次のように書かれている。 サヒーフ・ムスリム(日本ムスリム教会訳 1巻 P.114-116) アブー・フライラによると、アッラーのみ使いはこういわれた 「私の生命をその御手に握っておられる方に誓って。 マリヤの息子(イエス)はあなた方の処に正しい裁き人として間もなく天下って来るであろう。 そして、彼は十字架を打ち壊し、豚を殺し、ジズヤ(人頭税)を廃止するだろう。 また、富はあふれんばかり豊かとなり、誰もそれを受け取る者はいなくなるだろう」 ※ジズヤとは、イスラム教徒がその支配地域で、被保護民(ジンミー)であるキリスト教徒やユダヤ教徒から徴収する税金のことである。イエスの再臨の時、全てのキリスト教徒はイスラム教徒に改宗するとイスラム教では伝えられているため、ジズヤは廃止されるのである。 最後の審判 第二テサロニケ1章5-9節 これは、あなたがたを神の国にふさわしい者とする、神の判定が正しいという証拠です。あなたがたも、神の国のために苦しみを受けているのです。神は正しいことを行われます。あなたがたを苦しめている者には、苦しみをもって報い、また、苦しみを受けているあなたがたには、わたしたちと共に休息をもって報いてくださるのです。主イエスが力強い天使たちを率いて天から来られるとき、神はこの報いを実現なさいます。 主イエスは、燃え盛る火の中を来られます。そして神を認めない者や、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない者に、罰をお与えになります。彼らは、主の面前から退けられ、その栄光に輝く力から切り離されて、永遠の破滅という刑罰を受けるでしょう。 ヨハネの黙示録20章11-15節 わたしはまた、大きな白い玉座と、そこに座っておられる方とを見た。天も地も、その御前から逃げて行き、行方が分からなくなった。わたしはまた、死者たちが、大きな者も小さな者も、玉座の前に立っているのを見た。幾つかの書物が開かれたが、もう一つの書物も開かれた。それは命の書である。死者たちは、これらの書物に書かれていることに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた。海は、その中にいた死者を外に出した。死と陰府も、その中にいた死者を出し、彼らはそれぞれ自分の行いに応じて裁かれた。死も陰府も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。その名が命の書に記されていない者は、火の池に投げ込まれた。 世の終わりの時期 旧約聖書のダニエル書や、新約聖書のヨハネの黙示録が終末の時期について触れている。
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夜空の再会 ◆lbhhgwAtQE 「ふむ、これはどうしたことか……」 井尻又兵衛由俊は一人、市街地の路地裏で戸惑っていた。 それもそのはずで、彼がデイバッグの中身を確認しようとそれを開けると中から出てきたのはどれも見た事もないようなものだったのだから。 一つ。透明な素材に包まれた液体。 これは、どうやら上についていた白い円筒を回すことで中身を飲めるようになっている水筒のようなものであることを彼は十数分かけて理解した。 一つ。先端が赤く塗られた棒状の金属がくるくると回る物体。 これは、どうやら赤い部分が同じ方向を差すことから、一定の方角を示す役目を持っているということを彼は十数分かけて(ry。 一つ。筒状で先端部だけなにやら広がっている物体。 これは、どうやら突起を滑らすことで明かりをともす役目をもっているのだということを彼は(ry 他にも色々と用途の分からないものはいくつかあった。 だが、彼にとってもっとも用途が分からなかったのが…… 「このぱそこん……とかいう黒い箱は一体何なのだ? 指南書を読んでもさっぱり分からぬぞ」 彼の手元にあるのはまさしくノートパソコン。 これが存在する時代の又兵衛くらいの歳の男でさえ理解するのが難しいものなのだ、彼が理解するなど不可能に近かった。 「触らぬ神に祟りなし、とはよく言ったものだ。これはしまっておこうか」 と又兵衛は理解するのを諦め、ノートパソコンを他の基本一式と一緒にバッグへとしまう。 そして、残ったのは、ノートパソコンと一緒に配給された品――筒状の部分を持つ黒光りする金属製の何か。 説明書を読んだ又兵衛は、それが南蛮渡来の火縄銃の一種であることをそれとなしに理解したが…… 「このような物を渡すとは……あの男め……」 自分が鉄砲で撃たれた時に、しんのすけが見せた悲しい顔を思い出した又兵衛は、その悲しみを自分に作らせようとしているギガゾンビに強い怒りを覚えていた。 そして、だからこそ、このようなものは使うまいとバッグに収めたのであった。 「よし、では出るとしようか」 そして又兵衛は歩き出した。 「しかし、いきなり殺しあえなどとは……あのぎがぞんびとかいう男、一体何を考えているのだ……」 又兵衛は、市街地を歩きながらそのようなことをぼやいていた。 「しかも、女子供までもを巻き込むとは……あの者、男の風上にも置けぬ輩だな」 城にいる殿や姫、そして城下の領民を守るために戦い、そして散っていった戦国の心優しき武将、井尻又兵衛由俊。 そんな彼が、今回のバトルロワイアルを素直に受け入れられるはずがなかった。 「こうしている間にも、また誰かが戦いに巻き込まれているやもしれぬ。なんとかせねば……」 又兵衛がそんな想いを胸に歩みを進めていたその時だった。 「――む?」 又兵衛は戦場で培った感覚により、背後に迫る殺気に気づいた。 そして、その殺気の正体を見ようと後ろを振り返ったまさにその時―― ――ブウンッ!!! 目の前を何か硬いものが空振り、空を切る音が聞こえた。 「チィッ、外したかっ!!」 又兵衛は、その硬い何かを空振りした殺気の主の正体の声を聞いて驚いた。 「そ、その声は……ひろしか!?」 「……って、あんたは確か……」 殺気の正体――野原ひろしもようやく自分が今金属バットで殴りかかろうとした相手が誰かを認識する。 「あんた……生きてたのか」 「どうやらそのようであるな。……だが、今はそのようなことはどうでも良い。それよりも、そなたもこのような下らぬ戯れに乗せられたというのか!?」 「……あぁ、そうさ。俺は……俺はしんのすけを守らねぇといけないんだ。だから……だから悪いが他の奴らには死んでもらうことにしたんだよ!!」 「やめろ、ひろし!!」 又兵衛の制止も聞かずに、大きくバットを振りかぶるひろし。 だが。 「――な!?」 そんな大振りなひろしは言ってみれば隙だらけの状態。 戦い慣れている又兵衛がそんな隙を逃すはずもなく、彼はひろしの腕を掴むとそれをひねり上げ、バットを放棄させる。 そして更に―― 「――すまぬ」 手刀を首にあてると、彼を気絶させた。 「とうちゃん! と~ちゃ~ん!!」 暗い闇の中、しんのすけがいた。 そして、しんのすけは自分の事を呼んでいた。 「しんのすけぇ!!」 手を伸ばしてもそれはしんのすけには届かない。 いや、むしろしんのすけは闇の奥へとどんどん遠ざかっていた。 「しんのすけー!!」 「と~ちゃ~ん!!!」 そして、その姿は完全に闇の向こうへと消えてしまい…… 「しんのすけ!!!」 ひろしは起き上がった。薄暗いコンクリートの壁に向かって手を伸ばしながら。 「何だ、夢か……」 ようやくそれを理解し、完全に目が覚めた彼は周囲を見渡し、自分がどこかの建物の一室にいて、ソファのようなものに横になっていたことに気が付く。 先ほどまで外にいたはずなのに何故……。 そんな疑問を抱いていると、その部屋に誰かが入ってきた。 「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」 それは、ひろしも見知った人物――井尻又兵衛由俊だった。 手刀を使ってひろしを気絶させた後。 武器と荷物を奪い、更には殺すことも可能であったにもかかわらず、又兵衛は彼を近くにあったビルの一室へと運び込んだのだ。 そして建物の中を一通りめぐり戻ってきた彼は、目が覚めたひろしを見ることなり…… 「……ようやく目を覚ましたか、ひろし」 穏やかな顔でひろしを見る又兵衛。 だが、すぐにその顔は険しい表情へと変わる。 「起きて早々申し訳ないが、そなたにどうしても聞きたいことがある。いいか?」 「………………あぁ」 「そなたがいるということは、そなたの家族もいるのか?」 「……あぁ。ひまわりとシロはいなかったが、みさえとしんのすけは来てる。……いや、気づいたら来てたという方が正しいかな」 「そう、か」 「俺がこうしている間にもしんのすけが危険な目にあってるかもしれないんだ。だから、俺はしんのすけを生き残らせるために少しでも人数を減らそうとして――」 又兵衛はそこまで聞くと、ひろしの傍まで近づき、そして 「んがっ!!」 殴った。脳天を拳骨で。 「な、何しやがる!」 「先ほど死に掛けたお返しだ。……そして、そなたの愚かさへの制裁だ」 「お、俺が愚かだと!?」 「あぁ、愚かだ。そなたは先ほど、しんのすけを生き残らせるため、と言っていたが、それで本当にしんのすけが喜ぶと思っているのか?」 又兵衛のそんな問いにひろしは戸惑う。 「そ、それは……」 「それに、しんのすけを生かす為ならば、そなたは妻をも手に掛けるというのか? 妻を手に掛けた上で子を生かす……それで本当にいいのか?」 「みさえなら分かってくれるはずだ。あいつには……しんのすけには未来があるんだ。それをこんなところで潰すわけには……」 「しんのすけの未来の為に、他の子らの未来を潰すと言うのか。あの男の口車にまんまと乗せられて――」 「うるせぇ!! 子供のいない奴に何が分かるってんだ!!」 そんな激昂とともに、ひろしは立ち上がった。 「んなこと分かってるよ。俺が正しくないことをしていることはな。だがな、俺はもう戻れないんだよ! こうする他ないんだよ!」 「それでは、やはりこの鉄の棒についていた血は……」 「あぁ、そうさ! もう俺は一人殺しちまったんだよ!!」 ひろしは叫ぶと同時に又兵衛の手からバットを奪い、それと同時にバットを思い切り横へと振った。 するとそれは、綺麗に弧を描き、又兵衛の右上腕へと直撃して………… 「ぐぁぁああ!!」 バットによる直撃を受けた又兵衛は、右上腕を左手で押さえながらもだえ苦しむ。 ひろしが、そんな隙だらけの又兵衛を見逃すわけも無く、更に頭部めがけてバットを振りかぶる。 だがその瞬間、彼の脳裏には、かつて合戦の帰りに撃たれ息絶えた又兵衛とそれを見て涙した息子の姿がよぎった。 「くっ、うぁあああ!!!」 バットの軌道は逸れ、うずくまる又兵衛のすぐ横にそれは叩きつけられた。 「はぁ、はぁっ、はぁっ……」 「う、ぐ……ひろし?」 「……こ、今回は見逃してやる! あんたが死ぬとしんのすけが悲しむからな。……だが、いずれあんたも……」 そこまで言うとひろしは言葉を詰まらせ、又兵衛へと背を向けた。 「ま、待つんだ、ひろし……」 又兵衛は腕の痛みに耐えながら呼び止めるが、それでもひろしはそのまま部屋を飛び出ていってしまった。 「……くそっ! 殺さなきゃいけないのに俺は……俺は……!!」 ひろしは先ほどの自分の行為に無性に腹を立てながらビルを出ると、無意識のうちに西の方へと足を向けた。 そして、走りながら不意に先ほどの又兵衛の言葉を思い出してしまった。 ――しんのすけの未来の為に、他の子らの未来を潰すと言うのか。あの男の口車にまんまと乗せられて 「んなこたぁ、百も承知だよ。俺だって殺したかない。……だけどな……それでも、しんのすけはかけがいのない息子なんだ。しんのすけの為なら、俺は――」 ひろしが見上げた夜空は、どこか寂しげだった。 【D-4 大通りを西へ移動中 黎明】 【野原ひろし@クレヨンしんちゃん】 [状態]:健康 [装備]:金属バット [道具]:無し [思考]:しんのすけ以外の参加者を殺す しんのすけを優勝させる 一方、部屋に取り残された又兵衛はというと、痛みがひかない腕を押さえたまま呆然と立ち尽くしていた。 「ひろし……」 説得もむなしく、ひろしは再び人を殺すべく外へと出て行ってしまった。 又兵衛はそんな自分の不甲斐なさを呪った。 「俺は……俺は一体何をしていたんだ……。何でひろし殿を行かせてしまったんだ。くそっ!」 そして、彼はそんな悔しさを胸にしたまま、ふと窓の外を眺めた。 すると、そこには月と星が静かに輝く夜空が広がっていて…… 「こんなにも美しい月夜だというのに、何故我々はこのようなことをしているのであろうな……」 誰に言うでもなく、一人呟く又兵衛。 そして、空を見ているうちに彼の心は少しずつ洗われてゆき―― 「ふむ、悔やんでいても何も始まらないな」 又兵衛は立ち上がると、再度夜空を見る。 「……ひろし殿。そなたの行おうとしている事は、この俺が必ずや止めて見せよう」 彼が見ていた夜空は、ただただ美しかった……。 【D-4 雑居ビル 黎明】 【井尻又兵衛由俊@クレヨンしんちゃん】 [状態]:右上腕に打撲痕 強い決意 [装備]:素手 [道具]:支給品一式 ノートパソコン コルトガバメント(バッグの中なのですぐには取り出せない) [思考]:ひろしの暴走を止める 野原一家を探す 野原一家以外にも助けるべき人物は助ける ※ひろしの持っていた荷物(二人分)は、ビル内に放置 又兵衛は持っていくかどうかは、後の書き手さん次第で 時系列順で読む Back 見えない恐怖 female gorilla Next 経験過多、経験不足 投下順で読む Back 見えない恐怖 female gorilla Next しっぽの生えた薬師の少女 17 海より深い父の愛 野原ひろし 72 最悪の軌跡 井尻又兵衛由俊 72 最悪の軌跡
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登録日: 2019/04/30 Tue 21 55 00 更新日:2023/11/04 Sat 03 41 10NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 Euclid SCP SCP Foundation SCP-2686 SCiP Wogglebug うーん お月さまの魔法使い お月様 大魔術師ナイぺリウス 月 月光 月面 魔法使い SCP-2686はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト。 オブジェクトクラスはEuclid。 項目名は「Moon Wizard (お月さまの魔法使い)」。 概要 SCP-2686は意思を持つ人型実体である。故にEuclid。 見た目は75歳位の男性である。ウール地の青緑色のシングルローブと灰色のナイトキャップをまとい、樫の杖を持っている。つまり魔法使いのおじいさんである。 『大魔術師ナイペリウス』を名乗るこの老人は、財団に敵対的ではなく、インタビュー等も可能であるが、後述の理由で完全な封じ込めは不可能とされている。 宗教・神話・民俗学・哲学・歴史等の幅広い知識を持ち、自身の起源等についてはこれらの話題で煙に巻いてしまう。 そして、中世ウェールズ伝承由来の様々な魔術、例えば遥か遠くにテレポートしたり、エネルギー弾で敵を打ち据えたり、人を動物に変えたりといった様々な魔法を使える……と、自称している。 そう、自称。財団が観測している限りでこれらの能力を使ったことは一切ない。 何?これじゃただの妄言垂れ流すボケジジイじゃねえか?ところがどっこい、このオブジェクト、存在する場所からして明らかに異常なのだ。 その場所とは、月面である。 月暮らしのナイペリウス この先生、月面は雨の海に庭付き一軒家を建てて暮らしている。 財団は同じく雨の海にある月面基地から週イチで監視担当職員を送ると共に、地上における雨の海に関する観測データを改ざんしている。 (……うん、財団は月面基地を持っている。地上からワープで行ける奴を。) 家の周囲に半径45mのドーム状の領域SCP-2686-1があり、ここへ外部から侵入しようとしても、反対側にワープしてしまうため、内部への手出しはできない、 SCP-2686-1内は樫やトネリコといった草木が生い茂り、独特の建築様式で建てられた木造藁葺き屋根の、農村風の一軒家がある。先生曰く中は地球と同じ環境らしい。 定期的に猫の使い魔コモドール・バックルちゃん(ちなみに財団はこの子を観測できてない)により、生肉(監視担当曰く家畜、先生曰くトナカイやクジラやグリフォンのもの)やフルーツが届けられる。 インタビューログ さて、かのごとく月で悠々自適に隠遁生活を送るナイペリウス先生だが、 彼はなぜこのようなところで暮らしているのか、財団エージェントは押したり引いたりの巧みな話術を駆使しインタビューによりこれを突き止めた。 以下がそのインタビューの記録である。 記録開始 エージェント こんにちは、先生! ちょっとお名前を伺ってもよろしいですか? SCP-2686 (叫び) 我こそは大魔術師ナイペリウス、天に輝く月と星の支配者なり! エージェント なるほど。それでですね、どうやって月の上で暮らすようになったのか、教えていただいてもいいですかね? SCP-2686 (叫び)我に問おうというのか、死すべき定めの人間よ! エージェント 言いたくなけりゃ別に全然問題ないんです。さて、行… SCP-2686 (普通の声で)待て、待たんか。普通ここで諦めるか?古の知識について聞いてみようとか思わんの?星辰の秘密を探るとかじゃな、お前さんの(叫び)未来を知りたいとは思わんか! エージェント いえ、特に。物理的な情報に関してはだいたい分かりましたね、このあたりで。あとは生まれた場所と生年月日を教えていただければですね、私たちも… SCP-2686 (叫び)なんと無礼な!我こそが遍く魔術師の中で何者よりも偉大であるということを思い知らせてくれようぞ!高貴なる探求の助力を求め、幾千もの者が我が知恵と魔術を求めた!最も力強き者のみが、地上において最も高き山の頂にある我が魔術の聖域に至ることができたのだ。だが、それでもなお多くの者が押し寄せた。故に我が荘厳なる力によってこの遠き地に住まいを移したのだ、心の深奥から我が知恵を望む者のみが見出し得る地に! エージェント なるほど。で、一体いつ頃こちらに引越したんです? SCP-2686 (普通の声で) 300年近く住んでおるよ。日に日に力は増すばかりじゃ。 エージェント それで、その間どれだけの人がここを訪れたんです? おおよそで結構ですよ。 SCP-2686 えー、うむ、そうじゃな、その事なんじゃが。実を言うと一人も来とらんのじゃよ、弱ったもんじゃ。だが多分お前さんは探求の旅の助けを借りたいとか思っとるんじゃろ?ん? エージェント まあ、ご面倒でなければ、経歴について聞かせていただきたいとは思ってますが。 SCP-2686 そういうのは探求とは言わん。ただ真の英雄のみが儂の力に値する。 エージェント それじゃ、どうして元々住んでいた所に戻ろうとしないんです? あまり多くの人が訪ねてきたわけでもないんでしょう。本末転倒じゃないですか。 SCP-2686 問題なのはじゃな、儂が月の魔術師であるということなんじゃよ、実のところ。 エージェント ええ、それで? SCP-2686 それはつまり、天高きから降り注ぐ月の光が、儂の力の源ということじゃ。 エージェント そうですね。 SCP-2686 で、儂らは今、月に居るじゃろ? エージェント なるほど。 SCP-2686 月光は、かなり下の方から来とるんじゃよ。 エージェント うーん。 SCP-2686 うーん、なんじゃ。全くもってな。 記録終了 要するに、このすごい魔法使いの先生、訪問客の多さに閉口して月へ逃げ込んだら、魔力の源である「空高くから降り注ぐ月の光」が存在せず、帰れなくなったと。それから300年。 うーん。 財団は、一応この残念じいさんが絶対に月面から出ないように気をつけることにしたようだ。 類似するオブジェクト 自身の特性で残念なことになってしまったオブジェクト。なぜそこを選んだ。 SCP-005-JP - 4羽の鳥の彫刻 ペリカンに似た鳥の銅像4体。4羽目のみ魚の銅像を咥えている。 意思を持ち、周囲の知覚と日本語による対話が可能。自身を「帝により天から遣わされた『偉大なる四羽の鷹』」と主張している。 皇紀2660年(西暦2000年)5月1日に、突然都内の公園に出現した。破壊は不可能。 「信心を失ったこの帝国の行く先を軍事力を以て救済する」と言っており、像に傷一つつけられない財団の力では彼らの兵器に対抗できないとも。 さて、そんな彼らが何故Safeクラスオブジェクトとして収容されているのか? その答えを桑名博士によるインタビューログから抜粋する。 桑名博士 それでは……あなた方は動けないのに、どのようにして目的を達成するつもりなんですか? なお、「特務技官の口さえ自由なら」とも言っている。特務技官とは?お魚さん咥えてる4羽目である。 メモ インタビュー中、SCP-005-JP-4のもがっもがっという音が断続的に記録されていました。 SCP-800-JP-J - 虚竜 各部位が全て違う恐竜の部位で出来たキメラ恐竜。 あらゆる虚偽を食らう異常特性のおかげで財団のカバーストーリーを無意味にし、大規模収容違反を引き起こした。 しかも虚偽を食らうごとに、成長し範囲は拡大して食べる情報の規模は大きくなるという更に厄介な特性を持つ。 しかし、成長に成長を重ねた結果、財団世界が物語=フィクションであると理解、自身を食らって消失した。 その結果、自身の引き起こした事象全てが無かった事になり、記録が一切残ってない報告書しか残ってない事から、 財団上層部からジョークオブジェクトとして認定される事となった。 追記、修正は月明かりの下でお願いします。 SCP-2686 - Moon Wizard by Wogglebug http //www.scp-wiki.net/scp-2686 http //ja.scp-wiki.net/scp-2686 SCP-005-JP - 4羽の鳥の彫刻 by Kwana http //ja.scp-wiki.net/scp-005-jp SCP- 800-JP-J by ksk-accel http //ja.scp-wiki.net/scp-800-jp-j この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] まあ確かに、月光って日光を月面が反射してるわけだから、月に逃げたら月光はないわな… -- 名無しさん (2019-04-30 22 09 43) 土地を山にする異常性は持っていない -- 名無しさん (2019-04-30 22 42 34) う~ん、のコノとぼけた感じがw -- 名無しさん (2019-04-30 23 51 15) 類似するオブジェクトのインタビューの部分が長すぎるから端折るのはどうでしょうか。後他のオブジェクトも簡単に解説していいかも 似た奴だとカクタスマンとか模範的存在とか -- 名無しさん (2019-05-01 07 45 47) カクタスマンは異常性のせいで狂ったんじゃないぞ 本人の性格的問題だ -- 名無しさん (2019-05-01 07 49 57) うーん。電気文明に先駆けて月に引っ越せる凄い爺さんなんだけどなぁ。 あ、まるっとインタビュー載せちゃうと、ってのは同意。端的な事実を2~3行述べるだけでいいと思う。ペリカンの記事が作られるかは謎だけどね。 -- 名無しさん (2019-05-01 14 46 38) 継ぎ手?なんの異常もないぞ -- 名無しさん (2019-05-01 14 52 18) とりあえず005-JPの前半削ってみました -- 名無しさん (2019-05-01 15 18 18) ペリカンはSafeでいいのか・・・?現代文明に敵対的で厄介そうな特性持ちってだけでEuclid認定できそうな気もするけど -- 名無しさん (2019-05-02 12 15 56) ↑あの4体に関して言えば喋る以外に出来ることはないからなぁ。今のところSCP-1370の同類でしかない -- 名無しさん (2019-05-02 13 42 07) ある種月に幽閉されたマーリン的な感じか… しかしこいつが魔法以外の手段で帰還できるようになるかも、って理由で月面開発計画とか差し止められてそう -- 名無しさん (2019-06-02 11 30 40) う、うーん…としか言いようがない -- 名無しさん (2019-12-11 17 23 30) ナイペリウス先生が「頭上に巨大な鏡を設置する」というアイデアに至らないように注意する必要があるな。 -- 名無しさん (2020-05-22 16 45 02) 「コモドール・バックルよ、鏡持ってきて」「重いからイヤだニャ」 -- 名無しさん (2020-07-08 00 06 24) ↑ぬこかわいい -- 名無しさん (2022-01-05 20 20 39) 財団からすれば勝手に自己収容してくれて助かるだろうな。最も不思議空間の原理が未知で人間の知能がある以上Safeにはできないだろうけど -- 名無しさん (2022-09-21 22 13 57) 月に囚われた男(自己収容) -- 名無しさん (2022-09-21 22 24 38) 財団は一応警戒してるけど本人は月(の2686-1)を出る気がなさそうなんだよな -- 名無しさん (2022-09-29 04 46 35) 名前 コメント
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「雛苺、お皿テーブルの上に置いておいてやったですよぉ」 「もう、翠星石はじっとしててって言ったのよ」 「大丈夫ですよこれくらい」 雛苺はキッチンで昼食の準備をしながら、休んでおくように言っておいたのに勝手に動く翠星石に苦笑いを浮かべた。 翠星石が臨月に入り庭師の仕事を休むようになってからは、蒼星石が仕事でいない間に雛苺がよく家に来るようになった。 一人で居るときにもしもの事があっては大変と心配しているからだ。 翠星石はその事に心配性なんだからと口では言っているが、その実かなり感謝している。 やっぱこの時期に一人、しかも初の子供だから余計に不安になる。 それを素直に口に出せないのが翠星石なのだが。 それから数分もせずにオムライスが出来上がり、それをお皿に盛った。 「相変わらず、昔の雛苺からは想像出来ない出来栄えですねぇ」 「そりゃ何年も主婦やってるからなのよ。それじゃ、いただきますなの」 「いただくですぅ」 二人ともテーブルに着き、手を合わせてから二人とも食べ始めた。 「ん。なかなか良く出来たの。どう?」 「…まあ、良い味ですよぉ。ま、私が作ればもっと美味しいですけどね」 「もう、翠星石ったら…」 一言付け足して言う素直じゃない翠星石に雛苺はやれやれと苦笑いを浮かべる。 もっとも、昔からこういう性格なので特に気にしたりはしないのだが。 食べながらカレンダーに目を向けると、仕事や家の予定が書いてある中一つだけハートマークが多く書かれている日があった。 そこには「出産予定日」としっかり書かれていた。 「そう言えば予定日までもうすぐだけど、名前って決めたの?」 「…いえ、まだ決まってないですぅ。色々二人で考えたりするんですけど、どれも捨てがたくって…」 「例えばどんなの?」 「そうですね…碧星石とか紫星石とか…私達の子だから星と石はどうしても入れたいですねぇ」 「その気持ち分かるの…ヒナも雛銀燈の名前決めるのはかなり悩んだのよ。水銀燈と二人で夜遅くまで出し合ったりして…」 「一生背負うものですからね…まあ、予定日までまだ一週間以上あるから、それまでに考えるですぅ」 そこで話を区切り、二人ともテレビを見ながらオムライスを再び食べ始めた。 「ふう、ごちそうさまなの。…どうしたの、翠星石?」 雛苺が先に食べ終わり翠星石を見ると、三分の一程オムライスを残して手が止まっていた。 その顔からはさっきのお気楽そうな顔は消え、険しいものに変わっている。 「い、痛…」 「…あ、また『雛苺のご飯食べたらおなか痛くなったですぅ~』とか言うんでしょ? もう引っ掛からないのよ」 過去の冗談を思い出し、やれやれと肩を竦めお皿を片付けようと立ち上がった。 しかしそれでも翠星石の顔から険しさは消えず、むしろ強くなり脂汗まで浮かんできた。。 そして最後にはその手からスプーンが床に滑り落ち、そこで冗談じゃない事が雛苺にも分かった。 慌てて駆け寄って体を擦る。 「え…ほ、本当なの!? 本当に陣痛が始まったの!?」 「ちょ…ちょっと嘘でしょ…まだ一週間以上あるんですよ…!」 「た、大変なの! とにかく今タクシー呼ぶから! あと蒼星石にも…! ちょっと待つのよ!」 翠星石のおなかを摩りながら片手で携帯を使ってタクシー会社へと電話を入れる。 それはすぐに繋がり、タクシーもすぐに来れそうだ。 「よし、これでタクシーはOKなの。次は蒼星石に…」 ―※―※―※―※― 「参ったなぁ…この雨じゃ仕事になんないよ」 「でも大方終わってるんでしょう? なら別の日でも良いじゃなぁい」 「そうなんだけど、他の日に持ち越すのってあまり好きじゃないんだよね…予定通り仕上げないと失礼だし」 突然降り出した雨を、ビルの自販機コーナーの窓から見上げる蒼星石。 その蒼星石に水銀燈が自販機で買ってきた紙コップに入ったコーヒーを差し出す。 今日の蒼星石の仕事は水銀燈達が働いてるオフィスビルの中庭の手入れだった。 今はちょうど昼食時でみんなで食事を取っているところだ。 「蒼星石は相変わらず真面目ね」 「本当、蒼星石の爪の垢でも煎じて真紅に飲ませてやりたいわぁ」 「な、なんでよ。聞き捨てならないわ」 「仕事中にエロ小説書いておいて、何言ってるかしら」 「う…」 「そんな事してるの、真紅は…」 呆れたようにジト目で真紅を見る蒼星石。 「そうよぉ。この間なんて、私の家をモデルに書いてたんだからぁ…」 「うわぁ…それはさすがにドン引きだね…」 「ち、違うわ! あれはただの暇つぶしで、名前を借りてただけで…」 必死に釈明をする真紅に聞く耳を持たず距離を取っていく蒼星石。 「一回脳みそを診てもらったほうが良いわねぇ。めぐに今度お願いしようかしらぁ」 「賛成かしら」 「私もですわ」 「僕もそう思うよ」 水銀燈の台詞にみんなが同意して手を挙げていき、それを見て真紅は泣く様に声を上げる。 「ちょっと、そこまで言わなくてもいいじゃない!」 「はは、冗談だよ冗談。…っと、電話だ」 笑って水銀燈から貰ったコーヒーを一口飲んだところで、蒼星石の携帯が鳴り出した。 それを鞄から取り出しディスプレイを見ると雛苺の名前が映っていた。 普段掛かってこない雛苺からの電話に首を傾げ、通話ボタンを押し耳に携帯を当てる。 「雛苺? どうしたの?」 『もしもし、蒼星石なのね? …いい、落ち着いて聞くのよ。翠星石がもう産まれそうなのよ』 「な、何だって!?」 突然のことに思わず立ち上がり、みんなの視線が蒼星石に集まる。 『今、翠星石と病院に向かってるから…もしもし、もしもし?』 「あああどうしよう! 翠星石が、翠星石が産まれるって!!」 「何ですってぇ!?」 翠星石が産まれるということを知って、みんな騒然となった。 だが肝心の蒼星石は雛苺の注意を無視して完全に落ち着きを失い、取り乱して思わず水銀燈に縋りついた。 「ど、どうしよう!」 「大丈夫よぉ、雛苺が付いてるんでしょう?」 「で、でもまだ予定日まで一週間以上あるし…大丈夫なの!?」 「そんなの私が知るわけないでしょう! …ああもう、携帯貸しなさい! もしもし、雛苺?」 縋りつかれた水銀燈は蒼星石がダメだと判断し携帯を半ば強引に奪い取った。 『あれ、水銀燈なの? そっか、今日水銀燈の会社だったっけ…とにかく、翠星石が産まれそうだから一緒に病院に行くの』 「ええ。分かったわぁ」 『…それで、ヒナが付いてるから大丈夫って言おうとしたんだけど…さっきの取り乱しようだと…』 「…もう大丈夫じゃないわよぉ」 電話しながら呆れたように横目で見ると、今度は雪華綺晶に泣きついていた。 「ね、ねえ!! どうすれば良いの!? もしもの事があったら…!!」 「落ち着いてくださいませ蒼薔薇お姉さま! 苺お姉さまが付いていらっしゃるから大丈夫ですわ!」 「大体蒼星石が慌てても何にもならないかしら!」 「…聞こえてるぅ?」 『……大パニックみたいなのね…とにかく、そう伝えといてなの』 「分かった。あとで蒼星石もそっちに行かせるわぁ」 『お願いするの。…あと、雛銀燈のお迎え、頼んでも良い?』 「了解。こっちの事は心配しないで、翠星石を支えてあげてねぇ」 『うん。それじゃ、色々頼んだのよ』 そこで電話を切り、水銀燈は慌てている蒼星石の肩を叩いて自分の方を向かせた。 「な、何だって?」 「雛苺が付いてるから大丈夫よぉ。…それと、今すぐ病院に行きなさぁい。雨だし、まず今のあなたじゃ仕事にならないでしょう?」 「…いいの?」 「事情は説明しとくから。ほら、早く行ってあげなさぁい」 「分かった!! すぐに行くよ!!」 それだけ言い、慌ててドアの方へ駆け出して行った。 が。 「蒼星石! 危な…」 「へぶっ!!」 ろくに前を見なかった為に目測を思いっきり誤り、ドアではなく壁に直撃して後ろにぶっ倒れた。 それを見てみんな心底呆れた溜息を吐き、水銀燈が鼻を押さえている蒼星石の腕を掴んで立ち上がらせた。 「…私が送ってくわぁ。この状態じゃ100%事故起こすわよぉ」 「…それが懸命かしら」 「そうね…」 「すぐに戻ってくるからぁ。ほら、行くわよぉ!」 「お願い…あいったたた…」 痛む鼻を押さえる蒼星石を半ば強引に連れて自販機コーナーから出て行った。 そんな水銀燈を金糸雀達は心配そうに見送る。 「…大丈夫かしら…」 「大丈夫ですよ。苺お姉さまが付いていらっしゃいますし」 「いや、蒼星石が…」 「……」 ―※―※―※―※― それから蒼星石を車で病院まで送り雛苺に任せると、水銀燈は会社に戻ってきた。 「どうだった?」 自分の机に着くと隣の真紅が声を掛けてきた。 「翠星石は出産準備室に入ってるわぁ。夜頃に分娩室に入るみたいよぉ」 「そう。…で、蒼星石は?」 「…今にも泣きそうだったわぁ…」 「…あれでちゃんとした親になれるのかしら…不安だわ」 「うん…」 二人して溜息を吐くと、真紅が思い付いたようにみんなに目配せした。 それに気付き、金糸雀と雪華綺晶が真紅の方を向く。 「仕事終わったらみんなで様子見に行きましょう。蒼星石が心配だし、雛苺もきっと大変だと思うわ」 「それは素敵ですわね。うちのばらしーちゃんも呼びますわ」 「確かに雛苺だけに二人の面倒見せられないかしら。真紅もたまには良い事言うかしら!」 「…たまに、は余計よ」 二人とも笑顔で賛成したが、水銀燈は渋い表情を浮かべた。 「…私もそうしたいんだけど、家で雛銀燈の面倒見なきゃいけないし…」 「ああ、そうか…雛銀燈ちゃんがいたわね」 「雛苺からも頼まれてるからねぇ、ちょっと無理だわぁ。ちょっと顔は出すかも知れないけどぉ…」 「分かった。私達は病院に行くから、何かあったら連絡するわ」 「お願いねぇ」 そう決めてからは仕事を早めに終わらせ、定時にはみんな会社を後にした。 「じゃあ病院に行って来るわね」 「ええ。雛苺も翠星石も、蒼星石も頼んだわよぉ」 「任せて頂戴。みんな、行きましょう」 それから真紅達は病院へと向かい、水銀燈は車に乗って雛銀燈の幼稚園へとお迎えに向かう。 「…やっと小雨になってきたわねぇ…」 昼に降り出した雨は勢いが弱まってきているが、もう夕暮れという事もあって外は大分暗い。 この天気じゃ雛銀燈も心細いだろうと、水銀燈はアクセルへの力を少し強めた。 はやる気持ちとは裏腹に、帰宅ラッシュで道が混んでいた事もありお迎えに来れたのは六時近くだった。 残っている園児は雛銀燈しかおらず、慌てて教室へ向かう。 「あ! 銀ママだぁ!」 「雛銀燈ごめん、遅くなって…。すいませんのり先生、こんな時間まで見てもらっちゃってぇ…」 「いいえぇ。気にしないで下さい。私も雛銀燈ちゃんと遊んでると楽しいし」 謝る水銀燈に笑って答えるのり。その水銀燈のズボンの裾を雛銀燈が引っ張った。 「ねぇねぇ。雛ママはどうしたのぉ?」 「雛ママはねぇ、今病院よぉ」 「病院!?」 「え…どこか調子悪いんですか?」 「いえ、雛苺は大丈夫なんですけど、その友達が赤ちゃん産まれそうで付き添ってるのよぉ」 「そうだったんですか…」 「そういう訳で遅れてしまって…では、ありがとうございました。雛銀燈もバイバイしなさぁい」 「のりせんせぇ、ばいばーい」 「ええ。また月曜日にねぇ」 雛銀燈がのりに手を振りながら教室を出て、傘を差しながら駐車場へと向かう。 車に乗り込み雛銀燈をチャイルドシートに固定すると、エンジンを入れて雛銀燈に声を掛けた。 「よしっと…雛銀燈。今晩雛ママ帰ってこられないかもしれないけどぉ、大丈夫よねぇ?」 「うん。…そう言えば、誰が産まれるのぉ?」 「…ああ、そういえばまだ言ってなかったわねぇ。翠星石…翠お姉ちゃんよぉ。ほら、お腹大きかったでしょう?」 「翠お姉ちゃんなのぉ?」 ここで初めて翠星石が産まれる事を聞いて雛銀燈は驚きの声を上げた。 その事実を知って感嘆したように「へぇー…」と言って黙る。 「そう。翠お姉ちゃんに付いてるつもりらしいからぁ、家で待ってましょう」 「…わたしも行くのぉ!」 「え、行くのぉ!?」 いきなり行くと言いだした雛銀燈に思わず驚いてしまった。 「…雛ママと一緒が良いのぉ?」 「…それもあるけど、赤ちゃんが産まれるところ見たいのぉ!」 「でも、いつになるか分からないわよぉ」 「それでも行くのぉ! 翠お姉ちゃん応援したいのぉ!」 「っ…雛銀燈…」 真剣な眼差しで目を覗き込んできて、水銀燈は何も言えなくなった。 そうだ、よく考えれば雛銀燈も翠星石に昔からずっと仲良くしてもらっていた。 ある意味自分の姉として感じているのかもしれない。その姉が大変だからこそ傍にいたい…。 そう思うのは当然の事だろう。 「…あなた、子供だと思ってたけど結構しっかりしてるわねぇ…」 水銀燈もその思いを理解し、微笑んで雛銀燈の頭を撫でた。 「うゆぅ…」 「…明日は休みだし、それも良いわねぇ。よし、じゃあ翠お姉ちゃんの所に行くわよぉ」 「うん!」 予定を変更し、翠星石がいる病院へと向かってアクセルを踏み込む。 「…翠お姉ちゃん…頑張ってなのぉ…!」 雛銀燈の表情はいつに無く真剣で、手と手を合わせて必死に祈っていた。 その気持ちは、当然水銀燈も同じだ。 ―※―※―※―※― 一時間ほどして病院に着き、看護婦に案内された方へ行くと、薔薇水晶も加わったみんなが分娩室前のホールに集まっていた。 その内の金糸雀が水銀燈達に気が付き、それに釣られてみんなも気が付いた。 「あれ、水銀燈かしら! それに雛銀ちゃんも…」 「雛ママぁー」 雛苺を見つけると、雛銀燈は駆け寄っていって雛苺が抱き上げた。 「ああ、よしよしなの。水銀燈、あなたまで来たの?」 「ええ。雛銀燈が翠星石の傍にいたいってぇ」 「雛銀燈が?」 意外、と言った様子で雛苺が雛銀燈の顔を見る。 それに雛銀燈はうん、と大きく首を縦に振った。 「翠お姉ちゃんの応援に来たのぉ」 「…いい子だね…雛銀ちゃん…」 「雛銀燈…きっと喜んでくれるのよ。ありがとね」 「うん!」 雛銀燈をいい子いい子と頭を撫でる雛苺、それを見てみんなの緊張が少し和んだ気がした。 この緊張した空気の中で、雛銀燈の明るさはみんなの癒しになったかも知れない。 「それで、今どういう状況なのぉ?」 来たばっかで状況をまだ完全に把握し切れてない水銀燈が雛苺に尋ねた。 「ついさっき分娩室に入ったところなの。やっとお産が始まったところなのよ」 「そう。…で、蒼星石は?」 「…蒼星石は…」 翠星石の様子を知り、次は不安気味にそう尋ねる。 尋ねられた雛苺はやや呆れ気味に蒼星石がいる方へと目を向け、水銀燈もその方を見た。 「…ああ、どうしよう…翠星石…」 「大丈夫だからしっかりしてください…看護婦さんも大丈夫って仰ってたじゃないですか」 「でも、万が一の時には…!?」 「私達は医者じゃないんだから、万が一何かが起こってもどうしようもないわよ」 「そんな! それじゃ翠星石はどうなるんだ!」 「真紅もそんな不安にさせる事言うんじゃないかしら…」 「…ごめんなさい」 「蒼星石、きっと上手くやってくれるから大丈夫かしら」 みんなにたしなめられているものの、昼間とあまり変わっていない蒼星石がそこにいた。 「…全然変わってないわねぇ…」 「ここに来た時からああなのよ…もう落ち着いてと言うのもバカらしくなってきたの…」 「蒼お姉ちゃん、大丈夫なのぉ?」 「まったく…」 水銀燈はやれやれと肩を竦め、自販機でコーヒーを買ってそれを蒼星石に差し出した。 「あれ、水銀燈…いつ来たの?」 「ついさっきよぉ。ほら、これでも飲んで少し落ち着きなさぁい。雛銀燈も来てるわよぉ」 「雛銀燈ちゃんも?」 それで雛苺から降りて駆け寄ってきた雛銀燈に気が付いた。 「翠お姉ちゃんの応援にきたのぉ!」 「…ありがとうね。雛銀燈ちゃん」 震え気味の手でコーヒーを受け取り、雛銀燈に笑顔を作ってからコーヒーを飲み始めたが…。 「ブフッ!!」 焦って飲んだせいか、変な所にコーヒーが入って思いっきりむせて噴きだした。 その近くにいた真紅達にその飛沫が降りかかる。 「やだ、噴き出したのだわ!」 「ぎゃー! コーヒーが掛かったかしらー!」 「さ、さすがにこれは堪りません!」 「き…きったない…」 「…もう付き合ってらんないの…」 「ねえ蒼お姉ちゃん、大丈夫なのぉ?」 みんなが呆れる果てる中、雛銀燈だけが心配してむせ込んでいる蒼星石の背中を擦る。なんとも情けない光景だ。 それで何とか蒼星石のむせも収まり、涙目のまま雛銀燈の方を向く。 「ゲホッゲホッ…だ、大丈夫だよ…ゲホッ…」 「何が大丈夫よぉ…。はぁ…来なさい。話があるわぁ」 溜息を吐き、蒼星石の腕を掴むとそのままエレベーターの方へ向かって行く。 いきなり連れて行かれそうになり、蒼星石は訳が分からなくなる。 「ちょ、ちょっと! 翠星石の傍にいないと! どこに行くのさ!」 「今のあなたなら近くにいないほうがマシよぉ。五分だけちょっと付き合いなさぁい」 「いや、ちょっと…!」 半ば強引に蒼星石を連れ、そのままエレベーターに乗り込んで行ってしまった。 その様子をみんなは何もせず傍観していた。 「…どこに行ったのぉ?」 「大丈夫なの。水銀燈なら落ち着かせてくれるのよ」 ―※―※―※―※― そのまま連れられて出た場所は病院の屋上だった。 雨はもう止んでいるが暗い雲が空を覆っていて、光源は夜景の明かり以外無い。 「…何なの話って…」 相変わらず落ち着かない様子で蒼星石が尋ねた。 水銀燈は柵に身をもたれさせると、一つ息を吐いて口を開く。 「あなたを見てると思い出すわぁ。雛銀燈が産まれた日の事を」 「え…?」 「今でこそあなたに落ち着けとか言ってるけど、私もあの時はずっと落ち着かなくてオロオロしてたわねぇ」 その時を思い出して、水銀燈は照れくさそうに苦笑いを浮かべた。 「…あの時は私一人で雛苺に付いてたから余計心細かったわぁ。それに比べれば、今のあなたなんてかなり心強いじゃなぁい」 「うん…」 「で…その時に雛苺に言われたのよ。『水銀燈がそんなんじゃこの子も安心して産まれて来れないの』ってねぇ…」 照れくさそうな、それでいて懐かしそうな顔をして水銀燈は続ける。 「私ったら、相当情けない顔してたのねぇ。笑っちゃうでしょう?」 「水銀燈がねぇ…」 今では散々雛苺の尻に敷かれているのだが。 「…それを聞いて、私よりも雛苺の方がしっかりしてる気がしたわぁ。一人で気を張りすぎてたのねぇ」 そこまで言い切ると、蒼星石の肩を叩いてしっかりと目を覗き込んだ。 「…私だってあの時は不安だったから、あなたの気持ちはよく分かるわぁ。だからこそ、こうして言ってるのよぉ」 「…水銀燈…」 「赤ちゃんが安心して産まれてこれる様にもっと胸を張って堂々としてなさぁい。何が起こっても大丈夫ってぐらいにね」 それだけ話し終えると、水銀燈は優しく蒼星石に微笑みかけた。 それに蒼星石も微笑んで返す。 「…何だか落ち着いてきた。もう大丈夫だよ」 「…なら良かったわぁ。ごめんなさぁい、何だか説教臭いこと言っちゃってぇ…」 「ううん。ありがとう、話してくれて」 「やれやれ、やっと親になる人の顔になったわねぇ」 二人ともやっと安心して笑い合った。 そこで不意に辺りが明るくなり、空を見ると雲が晴れて満月が煌々と輝き、星空が華麗に瞬いていた。 その美しさに思わず二人とも見惚れてしまう。 「凄い…綺麗…」 「雨が空気中の塵を洗い流してくれたのねぇ。綺麗な月…そう言えば雛銀燈が産まれた日も満月だったわねぇ」 「そうなんだ…何だか、星空が歌ってるみたい…」 「そうねぇ…そろそろ戻りましょう。赤ちゃんの産声って言う最高の歌を聞き逃したら大変よぉ」 「そうだね。行こうか」 先に水銀燈がエレベーターに向かい、蒼星石が後から着いて戻って行った。 みんながいるホールに戻ると、一斉にこっちの方を向いた。 「あ、蒼星石。もう大丈夫かしら?」 「もう大丈夫。みっともない姿見せちゃったね…」 「まったく…初めからそうしてれば良かったのだわ」 「ごめん。心配掛けたね…」 「…まあ、蒼星石も元に戻ってよかったの。水銀燈、ありがとなの」 「さすが、一番最初に親になった事だけありますわね」 「…銀ちゃん、すごい…」 「大した事してないわぁ。…じゃあ蒼星石も戻った事だしみんなで翠星石の応援してましょう」 「うん! 頑張るのぉ!」 それからみんなソファに腰掛け、ひたすら翠星石の無事を祈り続けた。 一時間、二時間と過ぎ、静かな時間だけが過ぎていく。 「…ふあぁ…」 「雛銀燈、眠かったら膝枕してあげるから寝ても良いのよ」 「…大丈夫…なのぉ…」 やがて日付が変わって雛銀燈の眠気もピークになりウトウトと雛苺にもたれかかってきた。 その時。 ――…ギャ…ホギャー…―― 「っ!」 分娩室の中から聞こえて来た声に、蒼星石が一番に反応して立ち上がり他のみんなも立ち上がった。 「…雛銀燈、ほら」 「うゆぅ…?」 立ち尽くしていると、しばらくしてから中から看護婦が出てきて蒼星石に微笑みかけた。 蒼星石は看護婦に駆け寄り、その顔をじっと見つめる。 「翠星石は…?」 「予定日よりちょっと早かったですけど問題ありません。元気な女の子ですよ」 それを聞いて一瞬の静寂が流れたあと、歓声が一気に湧き上がった。 「やった、やったかしらー!!」 「ついに産まれたのー!」 「おめでとう蒼星石、翠星石! おめでとう!!」 「あなたも親になったのよぉ! おめでとう!」 「こんなに素敵なことは滅多にありませんわ!」 「おめでとう…!」 「ばんざーい、ばんざーい!!」 みんなが歓声を上げる中、肝心の蒼星石は未だに何の声も出さないで立ち尽くしたままだ。 それを不思議に思って真紅が覗き込むと…。 「ちょ、ちょっと泣いてるのだわ…」 「だ…だって…こんな嬉しいの初めてだから…! どう表現して良いのか…!!」 笑顔で大粒の涙を幾つも流して嗚咽を漏らし、その場に立ち尽くしていた。 涙も拭わずないでいる蒼星石を、水銀燈は笑顔で背中を押した。 「ほら、言ったでしょう? 赤ちゃんが安心できるようにしろって…ほら、涙を拭きなさぁい」 「うん…!」 ―※―※―※―※― しばらく経って、翠星石の病室前…。 「夜も遅いし、母親の方も大分疲れてるので面会は短めにしてくださいね」 「分かりました」 看護婦の注意を聞き、蒼星石を先頭に中に入っていく。 そして静かに翠星石のベッドを覗き込むと、ウトウトとしている翠星石とその隣に可愛らしい茶髪の赤ん坊が一緒にいた。 「…翠星石…」 「…蒼…星石…みんな…。雛銀燈ちゃんも来てくれたんですか…」 目を覚ましてみんなの姿を確認し、翠星石の顔に笑顔が浮かぶ。 蒼星石はベッドサイドにあったイスに腰掛け、翠星石の手をしっかりと握り締めた。 「頑張ったね…お疲れ様…」 「…私だけじゃねえですぅ…その子も頑張ったですよぉ…」 そう言って視線を隣で横になっている赤ん坊に向ける。 みんなの視線も赤ん坊に向き、蒼星石はその子の頭をそっと撫でた。 「…この子が僕達の…」 「うん…」 慈愛に満ちた目で赤ん坊を見つめる二人。 しばらく見つめていると、翠星石が雛苺の方を向き二人とも目が合った。 「…雛苺には世話になったですぅ…。…本当に、ありがとう…感謝してるですよ…」 「うふふ…良いのよ。こうして無事に産まれたんだから…」 普段こんな事を言わない翠星石に多少驚きつつも雛苺も微笑んだ。 それから翠星石と蒼星石を残し、水銀燈たちは病室を静かに後にした。 「私達はお邪魔みたいねぇ…行きましょう」 「そうするの」 それからみんな解散し、それぞれ家に帰っていった。 「赤ちゃん、可愛かったねぇー!」 水銀燈が運転する車の中、興奮冷め止まぬ様子で雛銀燈がそう言った。 二人ともそれに同じ思いで、優しく微笑み水銀燈がバックミラーで雛銀燈の顔を見ながら口を開いた。 「そうねぇ。…雛銀燈、憶えてないだろうけどあなたもああやって産まれたのよぉ」 「わたしも?」 「そうなの。あなただけじゃない、銀ママも雛ママも、蒼お姉ちゃんや翠お姉ちゃん…みんながああやって産まれたの」 「へぇー…」 感嘆の声をあげ、ワクワクした様子で隣にいる雛苺の顔を覗き込む。 「わたしね、あの子に絵本読んであげるのぉ」 「それは良いのね。きっと喜ぶのよ」 「それに一緒に遊んだり、面倒見てあげるのよぉ」 「素敵ねぇ。雛銀燈…あなた妹が出来たみたいで嬉しいんでしょう?」 「うん!!」 何も隠す事無く、輝く満面の笑みで頷いた。 これは興奮して夜は寝られそうにないなと、二人とも思った。 ―※―※―※―※― それから数日後の、翠星石の病室。 今日は赤ん坊の名前が決まったと言う事でみんなが集まっていた。 「みんな来てくれてありがとう。あの日、みんなに支えてもらったからみんなに真っ先に知らせたくて…」 「そんな気にしなくても良いのにぃ。…で、何て名前にしたのぉ?」 「そう急かすんじゃねえですぅ。まずは蒼星石の話を聞くですぅ」 急かすみんなを制して、蒼星石と翠星石が目配せしてから蒼星石が口を開く。 「あの日、水銀燈と屋上で話をした時に見えた月と星空が凄く素敵で今でも目に焼きついてる。 それであの月と星空のように素敵で、心が綺麗な人になって欲しいという思いで…この名前にしたんだ」 そう言うと翠星石がベッドの中から丸めた紙を取り出し、それを二人で持つと指を離して紙を広げさせた。 「…げっせいせき…月と僕らの名前の星石を合わせて『月星石』って名前にしたんだ」 「どうですぅ? 良い名前でしょう?」 照れくさそうに言う蒼星石と、自慢げに言う翠星石。 その命名に誰も文句を言う物などいなかった。二人が決めた名前なのだから。 「月と星と石…綺麗にまとまってるかしら」 「そうね、素敵な名前よ」 「素晴らしいですわ。ねえ、ばらしーちゃん」 「うん…凄く良いよ…」 「神秘的で良い名前なの」 「そうねぇ。文句無しよぉ」 みんなに褒められ、二人とも嬉しそうに笑った。 「当然ですぅ。二人で考えたんですから」 「月星石ちゃんっていうのねぇ!」 名前を知って、雛銀燈は嬉しそうに月星石がいるベビーベッドへと駆け寄った。 「よろしくね、月星石ちゃん!」 雛銀燈がそう言い、手を差し出すと嬉しそうに笑ってその指を握った。 「よろしくね、だって。雛銀燈ちゃん、仲良くしてあげてね」 「うん!」 まるで本当の姉妹みたいなその光景に、みんなの顔もほころんでいった。 これから先、長い付き合いになる事を予想して。そして、健やかに育ってくれる事を祈って。 終 タイトル、イメージ曲は平沢進の「オーロラ(http //jp.youtube.com/watch?v=DenjnV-6gqQ)」より。