約 817,410 件
https://w.atwiki.jp/japan_dorama/pages/2787.html
amazonで探す @楽天で #彼女の恋文 を探す! テレ朝 2006.03.17 Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索
https://w.atwiki.jp/coyote/pages/31.html
彼女の休日 ジャニアリーの場合 フェブラリーの場合 マーチの場合 エイプリルの場合 メイの場合 ジューンの場合 ジュライの場合 オーガストの場合 セプの場合 オクト・ノヴェ・ディッセの場合 オヤジ達の場合 12姉妹の場合 クリスマス編
https://w.atwiki.jp/tokimekicn/pages/1327.html
彼女のように~she s a sunny side~ 镜魅罗的Image Song之一。 此曲原版名为『彼女のように』, 之后,原曲之前加入了部分歌词后,演变为完全版的『彼女のように~she s a sunny side~』 歌曲信息 作詞:大内正徳 作曲:陰下真由子,大内正徳 編曲:古川もとあき Synthesizer, Guitar:古川もとあき Chorus:広谷順子,木戸やすひろ 演唱: 五十嵐麗 歌词 難しいテストはいつかは解けるけど とても簡単な愛し方 恋の方程式を知らない 通学電車には 一番大切な忘れ物をして 過去の駅にはもう二度と戻れないの 彼女のように優しい笑顔出来たら あなたは私をわかってくれるかな 彼女のように無邪気に甘えられたら あなたは私を避けたりしないかな something go right she s a sunny side (以上为~she s a sunny side~追加的歌词) 髪を切った時は 不機嫌な顔して 可愛くないのを 髪のせいにする癖はもうやめなくちゃネ 本当に誠実な 人はみんな孤独 女の子たちは 嘘を嘘と気付かずについてしまうの 彼女のようにうつむき涙流せば あなたは私をかばってくれるかな 彼女のように自然に名前呼べたら あなたは私を呼び捨ててくれるかな something go right she s a sunny side 別れの近い恋人達は 互いの口をふさぐ様に キスをかわして慰め合っている 彼女のように可愛い素振り出来たら あなたは私を包んでくれるかな 彼女のように素直にキスができたら あなたは私をさらってくれるかな something go right she s a sunny side 彼女のように「少女」を武器に出来たら あなたは私を愛してくれるかな 彼女のように一途に恋が出来たら 私はあなたを不幸にしないかな something go right she s a sunny side 收录CD 立体广播剧 更加!心跳回忆 JUN. featuring 镜魅罗 (1995/06/21) 心跳回忆 Vocal Best Collection2 (1996/08/21) 心跳回忆 Vocal Best Collection Encore Special (1999/12/23) 心跳回忆 Vocal Best Collection (1995/12/21) (~she s a sunny side~) 相关页面 音乐
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/291.html
第249話:彼女の希望 作:◆7Xmruv2jXQ 彼女にとって、その接触はまったくの予想外だった。 休もうと近づいた建物には先客がいて、危険を冒して移動しなければならなかった。 “親”に連れられて結局住宅街までやってきて。 適当な民家で体を休め、しばらくして誰かが近づいてきた。 その相手が彼だったのは、運命としかいいようがない。 相手は困惑し、憤っていたけれど。 朦朧とした意識を総動員して、最後になんとかメッセージを託した。 彼は気づいてくれたようだった。 本当に良かった。 これで希望が繋がった。 どうか、私がほんとうにいなくなってしまわないうちに。 お願い、私を―――― A.M.6 45。 甲斐氷太は自分のスタート地点、D-3エリアへ戻ろうとしていた。 早足に進んだせいか、緑の草原はすぐに姿を消し、薄汚れたコンクリートの群れが目立ち始める。 朝の陽光は街の雰囲気を一変させていた。 白く照らされた街並には廃墟然とした面影はない。 民家そのままの郵便局。 聞いたことのないコンビニ。 砂場と滑り台だけの公園。 夜には気づかなかったが、比較的緑も多く、のどかな田舎町といった雰囲気である。 甲斐は自身の逃走経路を出来るだけ正確に頭に描き、逆に辿って民家を目指した。 途中で煙草の自販機の前を通り、進むこと二分。 ウィザードらと別れた民家の裏手に到着する。 庭の草が荒れ果てている点は他の家と同じだが、明らかに踏みつけた跡がある。 甲斐が逃げる時に通った跡だ。 視線を上げれば開いたままの窓。 うろ覚えではあったが、どうやらちゃんと戻ってこれたらしい。 甲斐は土足のまま窓から家の中に忍び込んだ。 フローリングの床に着地すると、ブーツがカタリと音をたてる。 中の様子は甲斐がいた時と変わっていないようだった。 這いつくばって床を見ると、うっすらと足跡らしきものが見える。 足跡は二人分で、サイズは両方とも同じくらい。 ウィザードと連れの女のものと見ていいだろう。 足跡は玄関の方へと続いていた。 連れの女が銃を抜いた瞬間逃げてしまったので、甲斐は二人がどちらへ逃げたのかも知らなかったのだ。 最悪、二人分の死体が転がっていることも覚悟はしていたが、その心配は杞憂に終わったらしい。 「はっ。こんなとこであいつがくたばるわきゃねえか。とりあえず玄関まで見送るかね」 安堵しながらも甲斐の表情は芳しくない。 なんせ玄関から先は当てがないのだ。 この島内を無策に歩き回らなければならないというのは、考えるだけで憂鬱だった。 襲われる危険性も増すし、なによりめんどくさい。 ウィザードとの再戦のためなのだから我慢は出来るが、その作業量を想像すれば気が進まないのも仕方がなかった。 未来を憂いてため息をつくと、足跡に沿って歩き出そうとして、 「なんだ、こりゃあ……」 一瞬で甲斐の視線が鋭くなる。 ウィザードたちの足跡に重なるように存在する、別の足跡に気づいたのだ。 それも向きは逆向きだ。 数歩分重なってから、逆向きの足跡は横の階段へと分かれていた。 「二階に誰かがいるってことか。人数は……判別できねえな」 甲斐は小声で呟くと迷うことなく階段へ向かった。 この時、甲斐の頭にはなぜか逃げるという選択肢はなかった。 まるで鉄が磁石に引かれるように、ごく自然に階段を上っていった。 あるいは予感があったのかもしれない。 この先に見過ごせない何かが待っている――――そんな予感が。 すでにかなり音をたてている。 向こうも気づいている可能性は高いのだ、今更隠密行動もないだろう。 ズボンのポケットからカプセルを一錠取り出して口に含む。 飲み込まずに舌の上にカプセルを留めると、甲斐は一気に階段を駆け上がった。 外観から判断するに二回は一部屋だけだ。 相手はそこに潜んでいるはず。 「なんだ?」 二回にたどり着いた甲斐は奇妙なにおいを感じた。 ざらついた鉄の匂い……血の匂いだ。 負傷しているのか、それとも誰かの返り血か。 甲斐は口内のカプセルはそのままに、視線を一際鋭くした。 革ジャンを脱いで丸める。 相手がゲームに乗っていた場合、間違いなく待ち伏せされている。 即席のダミーだ。 甲斐は片膝を立てた姿勢でノブに手をかけた。 ひんやりとしたスチールの感触が全身を冷やしていく。 ……冷静になれ。 ……イメージ通りに動け。 二呼吸分おいてから、甲斐は扉を開けてダミーを放り込んだ。 一拍おいて自分も頭から中へ飛び込む。 カーペットの上で前転を一回。 ヒュオッと空気を裂いて、頭上を何かが横切ったのを感じる。 飛び込む形でなければ危なかった。目が闇に慣れているのか、ダミーを見破っている。 内心冷や汗をかきながらも甲斐の行動は迅速だった。 回転を終えるや否や横に飛んで距離を空けると、紙一重で第二撃も空を切る。 自己防衛のための行動というには狙いがあまりに正確だった。 相手は確実に殺すつもりで来ている。 (相手はゲームに乗った奴か) ならば遠慮はいらない。 全力で叩き潰すまでだ。 一挙動で立ち上がり、甲斐は前方を睨んだ。 部屋は闇に沈んでいた。 カーテンは閉め切られ、一筋の光さえ入ることはできない。 その空気は暗く、冷たく、重い。 カプセルを奥歯で挟みながら甲斐は全身を緊張させた。 全身が沸騰したように熱いのに、芯は氷のように冷えている。 夜のアンダーグランドで、幾度も味わった感覚だった。 命をコインに賭ける感覚。 エッジの上で踊る感覚。 それを思い出し、甲斐は歯をむき出しにして笑った。 甲斐の前方に、影が二つ。 一人は壁にもたれぐったりとしている。 もう一方は立ち上がっていて、右手に何かを持っていた。 先ほど頭の上を通過した凶器だろう。 鈍器か、刃物か。どちらにしろ当たるのは拙そうだ。 ようやく目が慣れてきた。 二つの影が、二人の少女へと溶けていく。 「お前らがどこの誰かは知らねえが、容赦しないぜ?」 甲斐が不敵に宣言する。 さあ、宴の始まりだ。 悪魔を喚べばウィザードは気配に気づくだろう。 カプセルを求めて近づいてくるか、逆に逃げるかは知らないが、絶対に追い詰めてみせる。 そして、もう一度……。 甲斐の目が強く力を放つ。 甲斐はカプセルを噛み潰そうと、奥歯に力を込めて―――― 「甲斐、さん?」 いきなり名前を呼ばれ、その動きを止めた。 おもわず口から零れたカプセルがカーペットの上に落ちる。 誰だあいつは? なんで俺の名前を知っている? いや、落ち着け。久しく聞いていなかったが、今の声は……。 甲斐は混乱を沈めようと声の主を見た。 凶器の剃刀を構えたまま、真剣な眼差しで甲斐を睨む女の後ろ。 壁に寄りかかっていた少女が、ゆっくりと起き上がる。 「お前……海野、か?」 甲斐の声には戸惑いの色が濃く現れていた。 それほどに、少女の容貌は変わっていた。 艶やかだった髪はくすみ、肌の色も青白い。 眼光はどこか妖しく、見るものを惹きこむような魔力があった。 なにより、その少女は襟元まで真っ赤に汚れていた。 なにをすればあそこまで汚れるのか、甲斐には思いつかないほどに。 認識が追いつかない。 名簿で名前を見たときから、この探偵少女は主催者と戦う道を選ぶと思っていた。 例え勝ち目がなかろうと誰かを殺すくらいならそうするだろう。 それが、“探偵”海野千絵のはずだ。 ――――狂ってる。 現実とイメージのギャップが埋められない。 「海野。お前、誰かを殺ったのか」 声が乾いているのを自覚する。 甲斐の問いに、少女は俯いたまま答えなかった。 甲斐が続けて問おうとした瞬間、頭で考えるより速く体が動いていた。 身を捻りながら足を跳ね上げる。 左肩に熱い痛み。 同時に爪先が柔らかいものを抉る感触。 (くそ、なにやってんだ俺は!? 敵を前にしながら隙をつくるなんてよ!) 甲斐は流れる血をそのままに、ポケットから再びカプセルを取り出す。 それより速く、もう一人の女――――佐藤聖が動いていた。 甲斐の蹴りがわき腹を抉ったのだろう。 つらそうに押さえながら部屋に備えつけられた机へと駆け寄る。 「ああああああああああああああああああああっっっ!!」 聖は大音声で叫ぶと、あろうことか机を頭の上に持ち上げた。 机は木製のしっかりしたもので、とても女の腕力で持ち上がるものではない。 聖は重さに顔を歪め、膝が砕けそうになりながらも、甲斐めがけて机をぶん投げた。 「んなっ!?」 巨大な質量が迫り、甲斐は大慌てで部屋から外へと飛び出す。 いかにタフだろうとあんなものを食らったら一発でお釈迦だ。 (なんなんだあの女は!?) 甲斐が部屋から脱出した直後、盛大な激突音が家そのものを揺さぶった。 耳を突き抜ける衝撃に耐えながらもカプセルを手に部屋へと戻る。 しかし、机が邪魔だった。 ドアは壊れていたが、投げられた机は原型を留め、入り口の下部を塞いでいた。 甲斐が机に足をかけた時にはすでに聖がカーテンを頭からかぶり、窓から飛び降りるところだった。 一瞬で視界から聖が消える。 千絵も同様にカーテンをかぶり、後へ続こうとする。 「待ちやがれ海野!」 甲斐の怒号に千絵が振り返った。 その表情に生気は薄く、かつてカプセル撲滅に邁進していた少女とは別人のようだ。 「どういことだてめえ! ゲームに乗ったのか!? あの女はなんだ!? お前の顔の汚れはなんだってんだ!」 「甲斐さん……ごめんなさい」 「わけわかんねえぞコラ! ちょっとそこで待ってろ!」 甲斐は勢いよく机を飛び越え、窓へと疾走する。 一方の千絵は軽く跳躍すると、容易く窓枠を乗り越えた。 彼女の運動能力では考えられない動きだった。 甲斐が手を伸ばすが間に合わない。千絵の姿が下へと消える。 その寸前。 甲斐は、千絵の口元が動くのを確かに見た。 少女の口は四つの音をつくって視界から消える。 甲斐が窓から下を見れば、カーテンをかぶった人間が二人、東へと走っていくところだった。 二階から飛び降りて無事なのもおかしいが、二人とも女の脚力にしてはやけに速い。 二人はあっという間に角を曲がって見えなくなる。 取り残された甲斐は、苛立たしげに頭をかいた。 本当に頭が痛い。 千絵の赤い汚れ。二人の異様な身体能力。肩の負傷。そして千絵が最後に呟いた言葉。 「こ、ろ、し、て……か。くそ、俺にどうしろってんだ」 めちゃくちゃになった部屋の中。 埃にまみれたジャケットを拾い上げ、甲斐は悪態をついた。 【残り90人】 【D-3/民家内/1日目・07 00】 【甲斐氷太】 [状態]:左肩に切り傷(深さは不明) [装備]:カプセル(ポケットに三錠) [道具]:煙草(残り14本)、カプセル(大量)、支給品一式(ヴォッドのもの) [思考]:ゲームに乗る、ウィザードと戦いたい、海野をどうするべきか 【D-3/路上/1日目・07 00】 『No Life Sisters(佐藤聖/海野千絵)』 【佐藤聖】 [状態]:吸血鬼化/身体能力等パワーアップ、左手首に切り傷(徐々に回復中) /わき腹に打撲 [装備]:剃刀 [道具]:支給品一式、カーテン(日よけ) [思考]:なんとか森に逃げ込む。 吸血、己の欲望に忠実に(リリアンの生徒を優先) 【海野千絵】 [状態]:吸血鬼化/身体能力等パワーアップ [装備]:なし [道具]:カーテン(日よけ) [思考]:聖についていく/殺してほしい←かなり希薄です 2005/05/05 改行調整、文章一部追加・改変 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第248話 第249話 第250話 第229話 時系列順 第254話 第169話 甲斐氷太 第287話 第145話 海野千絵 第250話 第145話 佐藤聖 第250話
https://w.atwiki.jp/cicwiki/pages/145.html
01-122 名前:彼女の結末 カード種類:EVENT 色:黒 使用コスト:黒1無2 テキスト: メイン/自分 全てのエキストラを休息状態にする。 フレーバーテキスト: 「体が・・・」 エキスパンション:第一弾 作品:xxxHOLiC レアリティ:N
https://w.atwiki.jp/magichappy/pages/1278.html
▼● Her Memories 世界中に散らばったリリゼットの記憶……。 それを拾い集めて、 リリゼットに再び会うことは叶うだろうか。 彼女の知人や友人たちの様子を見に行こう。 バタリア丘陵 / ロランベリー耕地 / ソロムグ原野 (Cavernous Mawを調べる) Cavernous Mawを覆う深緑の蔦が、大きく揺れた気がした。 [Your Name]はCavernous Mawに吸いこまれてしまった! Cait Sith ここよン……。 Cait Sith 失礼がないようにしてねン。 Cait Sith ……時の審判、アトモス! Cait Sith お願いよっ、 どうか、助けて……! Cait Sith このままでは、 未来は闇に堕ちてしまいますわ…… Cait Sith どうしても、未来を 渡すわけにはいかないのン…… アルタナ様の名にかけてッ……! Cavernous Maw ユォォォォォオオン…… Cavernous Maw 汝 ガ…… アルタナ ノ 片翼ヲ 持ツ 神兵 カ…… Cavernous Maw 哀レ ナリ…… 片翼デハ 空モ 飛ブコト 叶ウマイ…… Cait Sith 残りの片翼を…… Cait Sith リリゼットを…… リリゼットの記憶を、 アータは食べたはずよン。 Cait Sith 記憶を…… 時間を巻き戻して 彼女を……蘇らせたいの…… Cait Sith お願いッ! 彼女を……返してッ! Cavernous Maw 少女 ノ 記憶 ハ タシカニ 我ガ 喰ラフ タ…… Cait Sith どこにっ!? リリゼットはどこにいったの!? Cavernous Maw 全テノ 記憶 ハ ウォークオブエコーズ ニ 降リ 積モ ル…… Cait Sith こ、この中から、 探すのン……? Cait Sith いったい どれだけかかるのかしらン…… ??? 見つけたぜ。 Cait Sith 冥護四衆!! Cait Sith 危ないですわッ! Larzos チィッ! Cait Sith [Your Name]ッ! リリゼットの記憶を……! Cait Sith 彼女の記憶を、 探し出してちょうだい……! ………………………………………………………………………………………… Cavernous Maw 少女 ノ 記憶ハ…… 純白 ノ 羽根 ヲ 携エ 飛ビ 立ッテ シマッタ…… Cavernous Maw 世界 ヲ 回レ…… 人ノ子 ヨ…… Cavernous Maw 未来 ハ…… ドコニ デモ ツナガッテ イル…… Cavernous Maw 未来 ハ…… 誰ガ 決メル モノ デモ ナイ…… タトエ 神 デ アッテモ…… Cavernous Maw 行クガ ヨイ…… アルタナ ノ 神兵 ヨ…… Cavernous Maw 禍星 現ル トキ…… 暁ノ 神兵 降リ 立チテ…… Cavernous Maw 女神 ノ サズケシ 翼 モテ 常闇 照ラス 光ト ナラン…… Cavernous Maw ヨキ 神兵 ヲ 見ツケタ ナ……ケット・シー…… Cavernous Maw ユォォォォォオオン…… ▲ 記憶の最果て 彼女の想ひ出 彼女の想ひ出~不治の病 彼女の想ひ出~帰郷 彼女の想ひ出~キューピッド作戦 彼女の想ひ出~紅の足跡 彼女の想ひ出~蒼の足跡 彼女の想ひ出~翠の足跡 ■関連項目 アルタナミッション Copyright (C) 2002-2013 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
https://w.atwiki.jp/pawapuro12/pages/997.html
・CLANNADより #彼女の本気(智代のテーマ) 新KEY参入 ◆KEY5dKgTdw あああ はいあ ぐすあ ぶあな うてゆ ぞばあ やむほ ほみよ ちきゆ ろでぞ あぶか よらば ろひそ れいせ なせつ ぬぬる をきさ おりへ あたろ ちつり ろどぶ どしぐ よせぞ へでし ひいど べちを むぞた あほご ぶあか りくい ざわで てぬし そゆる れへや むらぶ ぼあゆ あほち ふける りまず ながで をぬげ のたげ そのせ さぜど ねねあ られだ てあつ け 鳴り物・掛け声有り
https://w.atwiki.jp/ova-v/pages/411.html
オーダーミッションNo.038【報酬不払ミグラント制裁】CASE1「彼女の事情」 難易度:B~F依頼主:OVA作戦領域:カストリカ北部工業地帯、他敵戦力:MT、他不明作戦目標:敵戦力の全滅長期間報酬を支払わないミグラント達を一斉排除します。どういった理由かは解りませんが、本来は依頼の達成を確認した時点で報酬は支払われるべきであり、それが依頼主と受諾した傭兵との信頼関係を築く最低限のマナーでもあると我々は考えます。守れないのであれば退場して頂く他ありません。敵はそこかしこに点在しており、どれだけの戦力を保有しているのかは不明です。こういった時はカストリカ・ガードに対応して頂くのが筋ですが、彼らの遣り方では事が大きくなりすぎる為、様々なリスクが考えられます。そこで、作戦に参加できるACは最大で2機までとします。敵の出方次第では連続して他の作戦にも参加して頂く事にもなるかもしれません。その場合は補給車両を用意しますので、活用して下さい。どうか、OVAの健全な営業の為にご協力願います。 ベッドの上に毛布に丸まっている。そりゃもう丸まっている。マジシャンが鳩を消すよりも厳重に一切の隙間が無く丸まっている。時々、もぞもぞと動くので、誰かが入っているのだろう。 部屋を見渡せば、大きなテレビジョンのディスプレイが絵画のように壁に飾ってあり、フカフカのソファ、シックだが品位のあるテーブル等が目に付く。テーブルの上には手帳が開かれたまま置かれ、刺々しい字が書き殴られていた。開かれたページの上にはやけに古い万年筆と銀縁のメガネが置かれている。さらに横にはシャンパンのボトルが置かれているが、まだ半分以上は残っていて、沿うように置かれたグラスにもまだ半分以上はシャンパンが残ったままだった。ほとんど飲まれていない。ボトルのラベルは、庶民なら目玉が飛び出すほどの品であることを示し、それを飲み残す事実は飛び出した目玉がロケット弾のように飛んでいくほどの驚きだろう。 ベッドの上、恐らく、シャンパンに対して暴挙を働いた暴君だろう。もぞもぞと動いた後にしばらく動きが止まり、雛が殻を突き破って生まれるように首だけを毛布から突き出した。 突き出された首には幼い顔をした女性の顔が付いていた。ついでに癖一つない金色の髪が生えている。女性は細目のままあたりをグルリと見て、再びシーツの上に顔面から突っ込んだ。結構な勢いであったが、柔らかなベッドは優しく彼女を受け止めた。 ホテル《ブルー・ローズ》の某一室にて今朝に起きた出来事である。 ▽ 人間は目立つものと地味なものとと十人十色である。町中を歩けば、十人中九人が振り返るような美人もいれば、喫茶店に入って座っていても、待てども暮らせども注文を聞かれない空気のような人もいる。 目立つことの理由としては、驚くほどの美人であるからだけが理由でもない。何を食べたらこうなるのかと不思議なほど大柄であったり、随分と小柄であったり、独特なファッションをしていたり、独創的な行動をしていたり。反して、目立たない人間とは、得てして自己主張に乏しいというのが理由の一つになるが、その場に馴染んでしまい、馴染みすぎて一体化してしまったケースもあるだろう。 さて、ランチ目当ての客も減り始めてきた喫茶店に入ってきた彼女は目立つ人間だった。入った瞬間から、何人かの客が盗み見て、そのうちの何人かが二度見、さらに何人かが盗み見した。彼女は慣れているのか気にする素振りも見せずに、迷うことなくカウンター席のど真ん中に座った。 何故目立つかと問われれば、派手であるからだ。太ももの大部分が見えるラバーのスカート、へそが見えるチューブトップ、これまた天然革製のハイヒールブーツ、毛皮で作られた帽子に、毛皮のロングコート。無粋な者が熱いのか寒いのかどっちなのかと問いそうではあるが、脱がれたコートは無造作に隣の椅子にかけられたので、店内では寒くはないのだろう。整った顔立ちではあるが、銀縁のメガネ越しには刃物のようにきつそうな両目が見える。美しく、さらさらとした金髪は重力だけに従ってまっすぐに伸ばされている。かわいいか、綺麗かで言えば、綺麗であるが、親しみやすいかそうでないかで言えばそうでない。モデルでもしていそうに思えるが、雑誌やポスターで見たという記憶があるものはいなかった。 綺麗であるが近寄りがたい。 それが、多くの人が持つ、彼女の第一印象だった。 彼女と言えば、カウンター越しに新聞を読んで暇そうにしている店員に声をかけることもなく、携帯型デバイスと手帳を取り出しかと思うと手帳を見ながらデバイスをずっとネイルアートされた指先でいじっているだけだった。 ボサボサ頭に無精髭、その上は右目に眼帯までついている店員。実は喫茶店のマスターである。彼もまた見た目で言えば、目立つ方であるが、一人で二席も占領し、注文もしない様子になんとなく天井を見て息を小さく吐いてから、新聞を折りたたみながら立ち上がった。 「やぁ、おねえさん。うちの店は、はじめてかな? うちの店の売りなんだが」 「紅茶」 「はい? 」 「何度言わせるの? 紅茶」 「あー、かしこまりました」 店主を見ることもなく、デバイスを操作し続ける。声は想像通りに冷たく鋭く愛想が無かった。 席を二つも占領しているのは、混雑時ではないから許そう。自分の見立てでは本物の毛皮を使っていて、高級車よりも高額なコートを地べたに置くわけにもいかない。マスターである自分を無視し続けたのも許そう。だが、紅茶を頼むとはどういうことか。この店の売りであり、自分の仕事はコーヒーだというのに。 が、ここはグッと我慢である。この程度で客を追い払って塩をまいていたら、接客業が成り立たない。 普段は機敏にコーヒーを入れるが、紅茶は遅かった。らしくないなと思いつつ、一応は、おいしい紅茶の入れ方基本編ともいえる手順で煎れた。煎れている最中に、電話をしているのか「はぁ? 何言っているの? 地獄の果てまで追い詰めてしまいなさいよ! 木偶の坊! 」だとか「無能が」と冷蔵コンテナの方がよっぽど暖かいと思えそうな冷たい罵声を電話越しにぶつけている。どうやら美人が入ってきてラッキーと思ったのは間違いだった。それなりにやんごとなき厄介さんらしい。 「おまちどう」 とカウンター越しに、手を伸ばして紅茶を置いた。テーブルの上に置かれた手帳に書き殴るように丸みの一切無い文字を書くというよりも刻みつけるように万年筆で書いていく。字には人となりが現れるのは本当だなと自分の汚い字も思い起こしていると、件の客が紅茶を口につけて。 「不味」 とギロチンみたいにバッサリと言い切った。小声ですらなかった。むしろ、普通よりも大きな声だった。様子をうかがっていた何人かの常連客が一同に、だからコーヒーを頼めば良かったのにと思ったが、一番そう思ったのは、目の前のバッサリと切られたマスターだった。おいしいのはコーヒーだと勧めようとして、人の話を聞かないからそうなるのだと言わんばかりであるが、煎れたのはあんたである。 「だからね? こいつで口直しといこうじゃないか」 と勝手に煎れたコーヒーを紅茶のカップの横に置く。こちらは一切無駄のなく機敏に煎れられている。 「さて、コーヒー占いってやつが得意なんだが、どんなコーヒーが好きだい? 」 不機嫌そうな客に、接客スマイルで挑むはマスターだった。カフェモカが好きだと言えば、きつくてわがままな性格が災いして男運のなくて金遣いが荒いために借金地獄だろとでも言って、さらに不機嫌にさせつつも、極上のコーヒーで極上の笑顔にしてやろうという企てである。 「嫌い」 「え? 」 「苦いの嫌い」 大人な女性の雰囲気を持つ割に、なんだか子供じみた答えだった。占えないじゃないか。 「いや、いや、あー、そう。そうね。そうなのか。へー、ふーん。そうかー。そう言う奴もいるよな。でも、もし、そうでもな、代用品の不味いコーヒーが文字通りに苦い思い出なら、俺のコーヒーを飲んだら変わると思うからね。コーヒーは苦いだけじゃないんだ。酸味と甘みとうまみと香りが備わっているんだ。そうそう、うん。騙されたと思って一口飲んでくれるかい? お代は構わない。サービスさ」 不機嫌そうで、訝しげにマスターとコーヒーを交互に見てからシュガーポットに手を伸ばす。ブラックが至高だと思うが、好みは人それぞれだ。自分だってミルクに浮気したくなるときもあるし、砂糖に甘えたくなる日だってある。 女性は、まずはスプーン一杯。次に一杯。さらに一杯。それから一杯。オマケに一杯。オマケに見えてさらに一杯。続いて一杯。 スプーンがコーヒーカップとシュガーポットを忙しそうにリレーしている様子を見て、マスターの顔が徐々にニヒルな笑顔のまま強ばっていく。 「ちょっと、まって。そこまで入れると太るからさ」 彼も男である故に、女性に体重だのカロリーだの話をぶしつけにするつもりは無いのだが、自慢の一杯が砂糖まみれにされることを防ぐための一言だった。 「私、いくら食べても太らないの」 「さいでっか」 着実に、コーヒーは砂糖が投入し続けて、いくらご自由にお入れくださいと宣っても限度がある。経営的にもコーヒーのアイディンティティ的にも。砂糖によって、カップから溢れそうになったところで、ようやく砂糖の投入を止める。スプーンでゆっくりと混ぜていくが、どう考えても溶けきっているわけがない。 再び、カップに口を付ける。 「不味」 それだけ砂糖を入れて、味の感想を言われたくはない。マスターが両手をカウンターに付けてがっくしとうなだれる。 ほんの少しだけ減ったカップを置いて、女性はさらにシュガーポットとカップの間のリレーを再開し始める。 「まだ入れるか!? 」 「苦いもの」 「それじゃあ、砂糖たっぷりのコーヒーじゃなくて、コーヒー味の砂糖じゃないか」 「コーヒー味がするのね。もっと入れないと駄目じゃないの」 「悪かった。俺が悪かった。だから、これ以上はコーヒーを虐めないでくれないか。既にカップの中の戦争は砂糖の圧倒的物量の降下作戦が成功し甘みに占領されている。コーヒーは風前の灯火だ」 「まだコーヒーが生きているじゃない。殺すわ」 「それだけはやめようか。紅茶のお代もいいからやめてくれ」 「ふーん」 と女性の目の前には、不味い上に冷え切った紅茶と砂糖まみれの無残なコーヒーが残る。 「はぁ」 マスターが何度目かのため息をついて、眼があったときには、先ほどと何か雰囲気が違っていた。外面は同じ。でも、何か、深く考えている様子が見え、女性も何か気がついたのようだが、負けじと目線を外そうとはしない。 「実は、良いコーヒー豆があるから買わないか? って奥の倉庫に誘うつもりだったんだが……今日は色々と予想外だ」 「そんな豆、要らないわ」 「是非、買い取って貰いたい豆だ。どうだい《シャイロック》」 「だから買わないって言っているでしょ。ミスター《ジェイナス・ジェヴォーダン・ランスキー》」 互いに名乗ったことなども無かったが、二人は驚きの様子もなく、負けじと視線を合わせ、すでににらみ合っていた。 「ユピテル。店頼む」 とマスターが慣れた様子で言い、件の客とマスターは店の奥へと入っていった。 ▽ 「お互い。初めましてか。シャイロックなんて名乗っているから男だとばかり思っていてさ。あんたの性別と名前を知ったのはつい今朝のことなんだ」 「どうでもいいわ。それに、買わないって言っているでしょ」 二人がソファに座り向かい合っていた。ジェイナスは足を開いて膝に肘を載せて座り、シャイロックは足と腕を組んでいて、高級そうなソファに気圧されている様子もない。こういった調度品には慣れた様子だった。 ジェイナスが彼女については、様々なコネクションを利用した範囲で知っている。シャイロックと名乗るミグラントが居る。ACを駆るミグラントの一人であるが、その本業は金融屋である。ミグラントを専門に融資をし、利子で儲けているミグラントだ。金融系ミグラントとでも言えばいいだろう。さらに言えば、その取り立ては熾烈であり、傭兵を雇ってパーツを奪いに来ることもあり、バンガードに大打撃を与えたレジスタンスが、取り立てによって壊滅したという噂もあるほどだ。その噂も本当だと言うことは確認済みである。ここまでなら、よっぽどの新人ミグラントか領域外から来たばかりではない限りは知られた話だ。ここから先の話は、正体が女性であったこと、ホテル『ブルーローズ』に長期滞在していることである。付け加えるならコーヒーが飲めないことだ。 「頼みたい仕事があって、探していたんだ。だから、豆だけでも見てくれないか? 」 「……判ったわ。買うかどうかは豆を見てからにするけど、一つ、言っておくわ」 諦めたのか、シャイロックはメガネ越しに睨むように見ながら口を開く。 「あとから『実は―』なんて枕詞で始まる台詞で後日談なんて嫌だから。そんな馬鹿馬鹿しいことで危機に瀕するなんて嫌よ。下手な隠し事はしないように。何かあったら肉を1ポンドを貰うから」 「おー怖いね。さすがは地獄の取り立て人だ。だからこそ、うっけつけだし、あんたなら買うさ」 ジェイナス・ジェヴォーダン・ランスキーの豆とは次のようなものだった。 OVAを介した依頼の中には、傭兵と雇用主の間でトラブルが起こることもある。例えば、意図的に情報を隠し、安く傭兵を雇おうとすること。仕事が済めば、傭兵を抹殺しようとするもの。真っ当な依頼に見せかけて、囮に使おうといったもの。これはまだ傭兵に危険が及ぶ可能性が高いのだが、小さなトラブルもある。撃破数に応じた出来高といいながら、難癖をつけて報酬を減らそうとする輩。作戦がうまくいっていないと言って、報酬を払わない輩。中には態度が悪いという理由で、違約金を求めてくるケースまである。彼の言う豆は、そういったケースでも報酬の不払いだった。カストリカ周辺に拠点を持つ新興の武装組織の幾つかが不払いになっているケースだ。初期は支払いの遅延や勝手な減額程度であったらしく、金額も小さかったらしい。OVA側も小さな金額であったために動くことはなく、傭兵と雇用者の直接的なトラブルとして関与を避けていたそうだ。だが、最近では傭兵からのクレームが相次ぎ、さらにはOVA側への報酬の支払いもストップした。最終手段としてミグラントを送り込んだらしいが、逆に撃破されてしまったとのことだった。 「OVAの依頼を受けて欲しいこともあるし、その債権も買って欲しいってことだ」 「? 依頼を出しておいて、債権を買うの? 取り立てればいいのに」 「実際に撃破して、金目の物を手に入れたとしても、思ったほどじゃないなら、放置したほうが安上がりってこともある。OVAはそう思っている。だからこそ、一斉排除しようとしている。だが、俺はそう思っていない。連中は金を持っている。だから、債権を買って、OVAには取り立ての依頼を出して貰った方が儲かるって寸法さ。それに、闇雲に排除するばかりじゃ、OVAも反感を買うだけだ。こっちとしては、助けてやるつもりさ」 シャイロックは真っ赤なルージュが引かれた唇を軽く噛んで、顎に手をやる。何か目利きするようにジェイナスを見て。 「助けてやるって押しつけがましいわね。頭がボサボサで髭もボサボサで眼帯までつけて胡散臭い上に紅茶も不味くて、気がつかないのか見せつけるのが趣味なのかは知らないけど、社会の窓全開のおっさんに言われても信用できないわ」 特に感慨の無さそうな調子で言い。ジェイナスが無言で立ち上がり、背を向けるとジーとチェックを閉める音が聞こえる。何事もなかったかのように振り返って脚を広げてソファに座る。 「頭がボサボサで髭もボサボサで眼帯までつけて胡散臭い上に紅茶どころかランチも不味いが、絶品のコーヒーを煎れる上に性格が良くて格好良くて頭が切れて妹分想いなおにいさんが言うなら信用できるかな? 」 「さぁ? それよりも、OVA側にそう判断させたんじゃないの? 」 「それはどうか……」 と言いかけて、ジェイナスは口を閉じる。そのジェイナスをシャイロックは睨み付けるように見ている。 「そうだな、言わなきゃ信用出来ないってことだよな。あんたが言っているのはそういうことだよな。ああ、思わせた。そうなるように思わせた。判断させた。判断させて、一旦は債務権を買い取った。買い取ってちょっとだけ高くして売りつけようとしている。金が回収できる内に取り立てのミッションを成功させたいと思っている。俺たちと買い取ったミグラントが得するさ。誰も損しないなんて思わない。OVAが損しているさ。だが、信用出来る依頼主かどうかを見極められなかったなら、良い薬だと思っている。だから、あんたが偶然か必然かは判らないが、カウンター席に座ったときはラッキーだと思ったさ」 必要なら、さらに詳細な出来事まで言っても構わないと思っていた。相変わらず、キツイ眼で見てくるが、信用出来るかどうかを試されている。金が一番大事で、金次第でなんでも動くと思っていた印象は既に捨てている。シャイロックは、商人らしく信用を求めている。それ無くして、この仕事は上手くいかない。単なる強さの問題はなく、ミグラントと交渉と場合によっては取り立てもできるという特異性に目をつけると、彼女にうっけつけのもうけ話だ、ケチなことをして逃がす手はない。 「そう。わかったわ。買うわ。だけど」 シャイロックは立ち上がり、ジェイナスを見下ろす。 「一つだけ、条件があるわ」 人差し指を立てて、彼女は言い放ち。 ジェイナスは、意外そうな顔をしてから、笑みを浮かべた。 ▽ そこはカストリカ北部にある工業地帯であり、巨大な工場群が並び続いているが、幾つかの区画はすでに工場としては閉鎖されている。その幾つかある工場跡はミグラントの根城になっていた。目標のミグラント達は工場にいて、念には念を入れて、情報屋のカレフからミグラントの動向などの情報も買って挑んでいる。 シャイロックは、慎重派だ。自身のACの操縦技術が高くないことをしっかりと把握しているし、本来ならば、彼女にとってACを使うこと自体は最終手段だ。どうしても払わないならACでもMTでも、パーツなどを強奪するのである。場合によっては丸ごと取り立てる。その後のことは知ったことではない。 そして、一件目が終わりそうになっていた。 くすんだ緑の中量二脚ACが横たわり、そのACのコアを踏みつけるACの姿があった。黒と赤に塗られ、金色が輝く重量二脚AC。右手にはレーザーブレードが握られ、左手にはシールドが装備されている。本来のスタイルとしては、現在はハンガーに掛けられているレーザーライフルとライフルとフラッシュロケットによって攪乱しながら削る戦法を基本としている。取り立ての場面となったシーンでは、右手のレーザーブレードによって仕留めた結果、哀れにも対象のACの両足は膝から先が切断され身動きがとれなくなっていた。ACと言えども、ジャンク品だらけで性能はさほど高くないだろう。操縦者の技術もさほど高いとは思えない。シャイロック自身も操縦技術が高くはないが、資金力はあるため、高性能なパーツを使用しているため、性能差だけでも歴然とした差があった。 シャイロックのAC《ブラウン・ベス》の右足があがり、勢いよくコアを踏みつける。通信からは怯える男の悲鳴が聞こえるが、シャイロックはそれを聞いて口元をにやつかせる。 「アハッ。どうしたの!? 身動きとれなくて怖いのかしら!? 」 全回線を開いた上に、外部スピーカーまで前回のフルボリュームでの発言だった。とある喫茶店にいたときよりも、愉快そうで心底楽しそうで、取り立てを楽しんでいる様である。 『は、ははいぃぃぃぃ! や、やめてくだ』 「金の払えない負け犬が人間様の言葉を使っているんじゃないわよ! 鳴きなさい」 『え、へ? 』 「ほら、鳴きなさい。負け犬が」 『わ、わ、ワン』 「そうそう。鳴きなさい」 『ワンワンワンワンワン! 』 ブラウン・ベスが再びコアを思い切り踏みつけ、重量と勢いの破壊力はコアをへこませた。 『わ、ワンワンワン! 』 「アハッ! 犬の言葉なんてわからないー。もっと踏んじゃえばいいのかしら!? 」 『や、やめて』 「負け犬が喋るんじゃないわよ! 」 再び、ガツンと踏みつけられる。圧倒的なプレッシャーである。 『おい。取り立てるんじゃないのか? 』 絶叫をBGMにコアをグリグリと踏みつけているなか、通信が入る。サブウィンドウにはシャイロックと同じく金髪の女性、髪は触覚のようなツインテールにしている。Aランク傭兵のマウと呼ばれるミグラントだ。 「現金を持ってないから、アームとヘッドと武器は全部貰うわ。コアは状態が元から悪そうだし、要らないから、中身が入ったまま海に捨てようかしら。ゴミの中にゴミがはいっているだけでしょ? 」 『お前、Eランクのくせに怖いぞ。この領域のランクはどうなっているんだ』 マウには、これまたオーダーメイドして耐G性能や循環剤による体温調整機能などなどの複数のオプション機能が付いた上に外側は天然のラバーで仕上げたパイロットスーツを身にまとっているシャイロックの姿が見えるが、非常に楽しそうに生き生きと仕事をしている姿を見て、若干、若干であるが、引いていた。純粋な傭兵のEランクであれば、これほど高額の機体をもっていないし、オーダーメイドの多機能パイロットスーツも着ない。色々とイレギュラーな傭兵だというのが、マウの印象だった。 「お金を払わない方が悪いのよ」 そう言いながら、気絶してしまったミグラントに飽きたのか、レーザーブレードを使って腑分けしていくシャイロックである。手早いが切り方はやや雑である。本人も判っているのか、コアを削るように他のパーツをはぎ取っていく。回収車両に乱雑に積み終えて……残ったのはジャンクからゴミへと変わったコアパーツと無残に着られた脚部と気絶した負け犬である。 「さて、次行くわよ」 『いっそのこと、殺してやればいいと思う』 物騒なのか、慈悲なのかはわからないAランク傭兵のありがたい言葉である。 「お金が手に入ればもう、用は無いわ。それに、殺したら、もう搾り取れないでしょ」 『再起できるのか? そいつ』 「知らないわよ。とにかく、次よ」 『最終的に放置プレイなのか』 どこか諦めた調子のマウを気にする様子もなく、金髪女傭兵二人の取り立てが続く。 二件目は数名のMTばかりで構成されたミグラントチームだった。最初は高圧的な態度だったが、シャイロックと知ってからは、メンバー全員が泣きながら土下座して、シャイロックに借金する形で支払いとなった。 「お前達、矜持はないのか? 矜持は? 」 全く訳のわからないあっさり風味展開に置いてけぼりになりながらも、マウが問いかけたが。 「あんたに不眠不休で一週間逃げた先に、借金取りが余裕そうに笑いながら待ち構えていた恐怖がわかるのか!? 小便どころか色々と流れて漏れて、脱水症状になったことがあるのか!? 」 と泣きながら何故かキレられた。 二件目は無事? に終了である。弾薬費が節約できてラッキーだったわと言いながらも、どこか物足りなそうなシャイロックに、戦慄を覚えかけた。 三件目は大所帯だった。大所帯だが、古めかしい大型の戦車ばかりでACどころかMTさえなかった。これは戦力になるのだろうかと思いながら、チームリーダーらしき男は大柄で立派な髭を蓄えて、政府軍の汚れた制服を着ていた。どうやら、政府軍の残党の戦力らしい。戦力差は圧倒的であるが、この数では取り逃がす可能性もあるし、リーダーが好戦的な人物に見えて、戦闘になるかとマウは思ったのだが。 「シャイロック様! 光栄であります! シャイロック様、バンザーイ! 」 とリーダーが率先して犬の服従のポーズをしての出迎えであったが、払えないと言い、シャイロックが責めると。 「は、払えません。お、お待ちを。でも、もっと罵ってください。払えません。ワンワンワンワンワン! 」 手遅れな人でした。結局、あるだけの現金を差し出して、足りない分はシャイロックに借金という形になった。 「だから、お前達、矜持はないのか? 政府軍にいたのだろ? 」 とりあえず、マウが問えば。 「軍人は犬であります。ですからご褒美には逆らえません」 「駄目だこいつら」 「なにしているの? 次、行くわよ? 」 盛大に見送る戦車部隊を背に、これは果たして本当に取り立てだろうかとマウが疑問に思うが、仕事は仕事である。 四件目は、戦闘車両だの作業用MTであるスタッドだのを所有している一団だった。だが、代表者らしき人物はツナギを着ていて、他にもツナギや白衣を着た構成員が目立つ一団だった。どうやら戦闘は専門外で、発掘や整備などを生業とするミグラントだった。戦闘の意志はないようで、シャイロックと交渉をしていたが、現物で支払うという形に決まったらしい。マウは念のためにACのコックピットに乗ったまま警戒に当たっていた。 「これ売れるんでしょうね? 」 遠くにあるコンテナを見ながらシャイロックが問いかける。 「サンプルだけでも結構な額になるはずですよ。アインベルターが研究のためにほしがっているって聞いてますし。でも、ここからアインベルターまで行く足のあてがなくて困っていて。待って欲しいとOVAに言っているんですが、敵対の意志があると思われて困っていて」 「OVAの頭が固いのは今に始まった話じゃないわ。最近は、上層部が変わったらしいけどね。アインベルターか。そういえば、その関係の依頼があったわね。中身を一応見せてよ」 「ええ。念のためにもっと離させるんで」 代表者とシャイロックから離れた場所にコンテナがあり、遠隔操作でコンテナが開けば……そこには六本の足と無機質な殻に覆われた生物兵器の姿があり、蒸発した。青白い爆風が巻き起こり、すぐさまに外にいた人々は体を伏せて爆風に耐えていた。 蒸発させたのは、マウのシストルムに装備されたレーザーキャノンによるものだ。チャージングなしの一撃だったが、生物兵器とコンテナを蒸発させるには十分な威力だった。 「あんた! 何しているのよ! 危ないじゃない! 」 埃まみれないなりながらも、凛々しい表情を崩さずにシャイロックがシストルムに叫ぶ。 「むりだ。ああいったのはまじでむりだ」 アクセントが一切存在しないアルトヴォイスが聞こえてくる。 「はぁ!? 」 「むりだむりだ。ついうってしまったがふかこうりょくだ。しかたない」 「はぁ!? あんたがあの虫の分を払いなさいよ!? 」 「おいばか。むしっていうな。おもいだすだろ」 「あんたね。喫茶店のマスターから紹介されたけど、本当に信用出来るんでしょうね」 シャイロックがジェイナスに出した条件というのは、信用出来る傭兵を一人紹介することだった。それがマウだった。腕は良いし、判断力もある、傭兵というのはこういう人材が良いと思っていたが、ただいまのレーザーキャノンの一発は信用も蒸発させている。 「まかせろ。きょうじをかける」 「全く。どうなってるのよ」 その後、色々と揉めつつも次に行く。 五件目と六件目は抵抗したので、マウが身動きをとれない程度に破壊し、シャイロックによる踏みつけ→罵倒→腑分けのコンボが炸裂して無事? に終わり。七件目である。 七件目だった。 ヴァリャーグ一味と呼ばれる武装集団だった。交渉する前からショットガンを撃ってきており、戦闘は回避できない状態となっていた。 「ったく、そんな糞安い負け犬仕様の機体で抵抗するわけ!? 」 『うるせぇ、いきがってるんじゃねぇよ! 機体の割に腕はいまいちじゃねーか? おらおら』 左右に廃工場が建ち並んだ道路を、フィッシュヘッドが後ろへ進みながら、単機で追いかけてくるブラウン・ベスへ再びショットガンを撃つ。撃たれた瞬間に、ブラウン・ベスはスピードを緩め、被弾はしたが堅牢な装甲には大きなダメージは与えられていない。それでも、距離はさらに離されていく。フィッシュヘッドの後方と左右には車両が並んで走り、頭領に続いてブラウン・ベスへ射撃を続けていく。 『へへっ。確かに、払っていない金はある。だが、悪党でも学はあるんだぜぇ? 』 『『『流石お頭!』』』 何故かシャイロックにまで、ヴァリャーグ一味の構成員の声が聞こえてくる。 「はぁ? 」 シャイロックは訝しげな声を上げながらも、ライフルとレーザーライフルを撃ち、車両に当たったが、撃破にまでは至らない。ヴァリャーグ一同は被弾を気にする様子もなくさらに距離を離していく。 『へへへ。確かに払う金だが、確か、あの契約書に支払期限は書いてなかった! 』 「馬鹿じゃないの? 契約書に支払い期限があるわよ」 『何!? 書いてなかったぞ! 』 「書いてあるわよ。常識で考えなさい」 すぐさまにヴァリャーグの機体にメールが送られ、添付されている画像には契約書の画像が写っており、わざわざ、支払期限の箇所には大きく丸印が付けられている。期限はとうの昔に過ぎ去っている。 『なんだと……』 『『『お頭、しっかりして。ただの見過ごしじゃないですか! 』』』 『うるせぇ。そんなもんねつ造だ』 「つーか、払え。契約書もろくに読めないクズの犬が抵抗するんじゃないわよ」 『『『お頭、この人怖い! 』』』 『俺も怖い! 』 緊迫感のない戦闘である。だが、それでも、着実にブラウン・ベスとヴァリャーグ一味の距離は離されていたのだが、丁字路にさしかかるところでブラウン・ベスの両肩の格納兵装のカバーが開き、数発のロケット弾が放たれる。ロケット弾は一味の真上を通り越していく。外した……かに見えたが、ちょうど丁字路の当たりに着弾し、ヴァリャーグ一味が閃光に包まれていく。 着弾した瞬間に閃光を放つフラッシュロケットだった。 が、さらなる閃光が一味を包み込んだ。 閃光が収まったときには、車両の半分程度が動きながらも黒こげになり、フィッシュヘッドの右手が引きちぎれ、ショットガンを持った右手が落ちていた。 引きちぎれた右腕を追いついてきたブラウン・ベスが踏みつける。 「抵抗するほど、失うものも多いわよ? 」 無慈悲な通信だった。 『いまこかんのあかいしみにねらいをつけているからな』 さらにヴァリャーグの耳には平坦なアルトヴォイスの声が聞こえる。曲がり角の彼方には、キャノン射撃体勢に入ってスナイパーキャノンを構える四脚型ACの姿が辛うじて見て、ようやくにして、彼は相手が二人組であると言うことを知ったのだった。とすると、キツイ調子の女性はどうやらこの場に揺動するために動いていたようであるが、彼には理解よりもどうやってこの場をしのぐかに思考は移っていた。 「あなた、いつまで口調があのままなのよ」 『なんだと? もういつもどおりだ』 「なってないわよ」 二方向から銃口を突きつけられた彼が口を開く。 『わかった。俺も男だ。今から言う場所に物資があるから、そいつをもっていってくれ』 こうして、彼女の長い一日は一先ずは終わったのだった。 ▽ 「結局、そいつの言う場所にあったのは食料だけだったのか? 足りないだろ? 」 「だから、あの手のクズは信用出来るわけ無いから、カレフから別の物資の場所をきいておいたのよ。マウに報酬の減額はしないから、そっちからも持ってきてもらったわ。それで、それなりに回収できたことになるの。できなくても、地獄の果てまで追い詰めるだけよ」 「はいはい」 相変わらずの高圧的で傲慢なシャイロックの態度を、慣れてきたのか受け流すように返事をし、ジェイナスはこれまたでかいステーキをシャイロックの目の前に差し出した。その様子はどこかわざとらしく仰々しいものがあったが、シャイロックは巨大な肉の塊を睨みつける。 「焼いてみましたよ。ワンポンドステーキ」 「そうね」 信用出来る傭兵を一人、紹介するという条件に対して、たった一つの差し押さえ物資の撃破というミスがあったための代償として、彼女が要求したのはワンポンドの肉だった。件の寓話にそって心臓の肉かなにかかと思えば、ステーキで構わないということだった。結果、本日のランチはステーキと付け合わせとなっている。 自分で傭兵を雇えばいいのに、わざわざ、傭兵の紹介を要求してきたのは、信用できるかどうかを試すためだろう。小娘の割に舐めた真似をしてくると思って、わざわざAランクの仕事のできる人間を選んだが、非常にイレギュラーな出来事によって不意になった。 シャイロックが、手慣れた調子で小さく分けたステーキを頬張り、10秒後。 「不味」 とばっさりと切り捨てた。 「手厳しいなおい、そりゃ、ブルーローズの飯に比べたら、食材も腕も段違いだとは思うがな。ただ、そういうでかい肉を焼くって難しくてな」 「こっちも普通に不味いぞ? 」 シャイロックの隣で、通常サイズのステーキランチを食べているマウが言った。 「……あんたが、失敗しなければな。こういうランチを作る羽目にならなくてな」 「失敗? なんのことだ? 私はパーフェクトにミッションコンプリートしたが? 」 シャイロックはマウの言葉を無視して、水の入ったグラスに口を付け、ジェイナスは小さくため息をつき、懐から小さな紙片を取り出してシャイロックの手間に置いた。 「ちょっとばかりのサービスだ。ミズ《ベアトリクス・ボールドウィン》。なんでも連絡の付かないお兄さんがいるときいてね」 「いらない」 シャイロックことベアトリクスは、本名を言い当たられたことに動揺の色を見せることもなく、紙片を手にとって中身を見ることもなく切り裂いて灰皿へと捨てた。 「あんな性格の破綻したサディストの兄に会う気はないし、あんなのは殺しても死なないわ。それに関する話だろうから、見る必要もないわ」 どこか不機嫌そうに、肉の塊を残したまま立ち上がる。ジェイナスは再びため息をついてキツイ眼をした彼女を眺めていた。 「なんだかな。サービスのつもりが空回りしちまってるな。格好付ける俺だな」 「格好をつけるからよ」 「格好をつけたいもんなんだよ。男の子はね」 「おっさんじゃない」 「男はいつまでも心は男の子ってね」 「馬鹿じゃないの? 」 にんまりと微笑むジェイナスをシャイロックはバッサリと切り捨てて、店のちょうど真ん中にまで足を進めて、再び店内を見渡す。 何人かの客が気がついて不思議そうにそれを眺める。 「聞きなさい。今日一日は、何をいくら頼もうが私が奢るわ。いくらでも苦いコーヒーと不味いステーキを食べると良いわ」 店内が沸く。本当か!? やるじゃないかねぇちゃん。マスター、コーヒーお代わり、もっと旨くステーキを焼けと客から次々に注文が飛び交う。 「何を言い出しているの? 結構な金額よ? 」 「今回は楽に稼ぎすぎたわ。泡銭は捨てろが父の教えなの。請求書はあとで送りなさい。何処に送ればいいのかぐらいは当然、知っているんでしょ」 「はいよ。毎度あり。またのお越しをっと」 派手な客は去り、マスターは飛び交う注文と格闘を始め、金髪を触覚のようなツインテールにしている客はマイペースに食事を続けていた。 こうして、一つの長い長いミッションは終わった。 ▽ 店からの帰り道、ベアトリクスは目立つ外見に刺さる視線を無視して、大股で早足に歩いていく。常に不機嫌そうな顔はいつもよりも険しかった。 彼女には血の繋がった兄が居る。その兄と言えば、血縁者全員がミグラントであるファミリーの中では異質な考えを持ち、平和を求めて政府軍に入ったきり音信不通である。会いたいかどうかでいえば、どうでもいい。好きか嫌いかで言えば、嫌いに入る。口を開けば涼しい顔をして罵詈雑言を繰り返し、話し合いよりも力尽くで叩きつぶしてしまえと言う野蛮人だ。生きているかどうかも知らないが、会ったとしても喧嘩どころか殺し合いに発展するだけだろう。自分は何かをためらってしまう気がするが、あの兄に関しては顔見知りであるとか血縁者であるという理屈は通用しない。 何故、あんなのが実の兄なのかという不合理な真実が機嫌を悪くしていた。マスターの要らぬサービスで思い出してしまったが、何かで洗い流してしまいたい。 シャワーが良いのか、アルコールが良いのか、冷たい雨でも降ってくれれば良いのか。 答えを出さないまま、彼女は歩いていった。 fin. 投稿者:ug 登録タグ:ug 小説 読み切り
https://w.atwiki.jp/chaos-tcg/pages/1988.html
彼女の願い 読み:かのじょのねがい カテゴリー:Event 作品:グリザイアの果実 【使用】〔自分の手札の OS:グリザイアの果実 のキャラカード1枚を控え室に置く〕 Main 目標のキャラ1体にセットされているセットカードすべてを控え室に置く。 何でも願いが叶うとしたら……ママとパパに会いたいかな illust: GR-071 R 収録:ブースターパック 「OS:グリザイアの果実 1.00」
https://w.atwiki.jp/talesrowa/pages/216.html
彼女の思索 ハロルドは立ち止まり、わずかに顔を上向けた。 聞こえてくるのは女性の声。 拡声器を用いたファラ・エルステッドの必死の呼びかけだった。 ハロルドのいた地点――G3の平原――はC3と直線距離にあり、その音量は内容を聞きとるには十分だった。 しかし内容を聞かないまでも、あの切羽詰った声。呼びかけの意図は想像するに難くない。 「……あちゃぁ」 思わずうめき、ハロルドはごそごそと地図をとりだした。 彼女が目指すF7の森林地帯は、地理的にシースリの村と真逆にあたる。 (今さら目的地を変えたって――) ハロルドはうなる。 事態はハロルドにとって思わしくない向きに進んでいるようだった。 マグニスたちへの復讐。それに関係しないことにはかかわらない。 そう決めているハロルドだが、このファラの呼びかけは大いに関係があったのだ。 (『ターゲット』がどこにいるかがモンダイなのよね…) 吐いて捨てるほど忌々しい脳みそ筋肉=マグニスと、陰湿な青ワカメ=バルバトスを思いおこす。 ジーニアスを死に至らしめた、殺しを楽しんでいるのが明白なあの二人。 計画性をもって行動しているかも疑わしい彼らが、あの後どちらの方角に向かったのか。 一応、「北上したのではないか」と目算はつけていたハロルドだったが、それも、絶対ではなかった。 なにしろ一時は気を失っていた上、崩落で分断された洞窟では満足な調査もできなかった。 だからこそ罠をしかけるに都合のいい場所に行き、その後、標的をおびき寄せようとしたのだが……。 (こんな呼びかけ、あいつらの絶好のエサじゃない!) ぎりっ、と奥歯をかみ締める。 だいたい拡声器で寄ってくるのは、血に飢えたハイエナか、さもなくばバカがつくほどのお人よしだ。 殺し合いに乗る気もなく、かつ思慮深い人間は近寄らない。 そしてバカを見るのは、バカがつくほどのお人よしの方だった。 そんなバカが死ぬさまを見たくないから、彼女はあの殺戮者どもを屠ることに決めたのだ。 芝居までしてスタンを追い払ったのも彼を巻き込まないがためである。 だというのに。 たとえ今からシースリ村に向かったとしても。 (間に合わない……?) ハロルドが絶望にとらわれかけたとき、北の空が白く瞬いた。 巨大なエネルギーを感じたハロルドはそちらを向いた。 イーツ城が消し飛んだこと。 そこに彼女の復讐対象が骸となって転がっていること。 どちらの事実も黒々とした森の影が覆い隠し、ハロルドが感知することはなかった。 だが、何の因果か。 とある天使の命を賭した閃光が、ハロルドに思い出させたのだ。 科学者としての自分を。新たな発見に至った瞬間の、脳髄に走る、閃光を。 そういえば。 ――天才ハロルドを出し抜くことはできない。たとえ、ミクトランであろうと―― そう宣言したのは彼女自身であった。 「ふふ……アハハ……!」 ハロルドは笑う。 まんまと出し抜かれているではないか。稀代の科学者ハロルド・ベルセリオスともあろうものが! うっかりミクトランのお膳立てに乗るところだった。 (私としたことが。復讐するにしたって、殺すぐらいじゃ生ぬるいってもんなのよ、実際) 凶悪な形相でハロルドは天を仰ぐ。 盗聴しているストーカー男が、ついに彼女が狂ったものとみなしてくれるなら好都合だった。 (――さて) 周囲を確認して近くの茂みに腰を落ち着けてから、ハロルドは地図を広げた。 基本方針は変わらない。 F7森林部に向かい、罠をしかける。しばらくはマーダー…つまり殺し合いに乗ったふりをして、単独行動をとる。 しかし、マグニスとバルバトスをすぐさま罠にかけて殺すような真似はしない。 罠の発動は、最後の最後。 生存者の安全を確保した上で、彼女の華麗な罠で共倒れになってもらう。 (おびきよせる方法も『声』のおかげで思いついたことだし) 『アレ』をうまく利用すればいい。 使い方によってはミクトランすら出し抜けるかもしれない。 首輪と同じだ。状況を監視せざるを得ない主催者、その裏を突くことができれば――。 唯一気がかりな点は、最悪の場合起こるであろうシースリの村での大量虐殺だった。 カイルやスタン、ミントの顔が思い浮かぶ。 お人よしの彼らはシースリの村に向かうだろうか? 知らず知らずハロルドの表情は沈む。そう簡単には死なないことを祈るしかなかった。 どちらにせよ状況を確認するため、いずれはハロルド自身もシースリの村に向かう必要があるだろう。 次に。 ハロルドは首筋をなでて、冷たい感触に顔をしかめた。 かねてからの優先事項だった首輪の調査。これも即急に進めたいところだった。 さすがに己の首輪で試すつもりはない。 だが、この首輪の能力を考えれば、他人――死者のものであろうが、簡単に「データ採取完了」できるとも思えない。 なにぶん盗聴されているおそれがあるのだから。 しかし、これについての対処法も考えがないわけではない。 演技するのだ。ミクトランまでもだますほど巧妙に。 ただ、役者ではないので、できるだけ御免こうむりたい方法ではあった。 (まったく…) ハロルドは暗く笑う。 マグニスにバルバトス。罠に、シースリの村に、首輪。 仲間も助手も下僕もいないのに、何故こうもやることが山積みなのだろう。 イクシフォスラーとはいかないまでも、もう少し便利な移動手段があればいいのに…。 もっとも、ないものねだりをしても仕方がない。 天才は天才であるがゆえに休む暇もないのだから。 (ま、ひとつひとつ消化していくかっ) 地図をしまいこむとハロルドは立ち上がり、東に向かって歩き始めた。 ――彼女はやがて、進行方向からもうもうと立ちのぼる漆黒の煙を目撃することになる。 【ハロルド 生存確認】 状態:全身に軽い火傷 擦り傷 冷徹な復讐心 所持品:短剣 実験サンプル(燃える草微量以外詳細不明) 釣り糸 現在位置:G3平原 基本行動方針:迂闊なことは言わない 単独行動(たとえ仲間に出会ってもマーダーの振りをして追い払う) 第一行動方針:F7の森林地帯に移動して状況を把握、その後罠を仕掛ける 第二行動方針:首輪のことを調べる 第三行動方針:C3地点の動向を探る 第四行動方針:マーダー(マグニスたち)の始末 前 次