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遠くで虫が鳴いている、蒸し暑い夜だった。 赤信号の光に、僕がペダルを漕ぐ足を止めると、僕の右手にぶら下げられたコンビニエンスストアのビニールの袋が、カサカサと音を立てた。 時刻は二十三時。信号機の赤い光の玉のすぐ隣に、僅かに書けた丸い月が浮かんでいる。 信号が青に変わるのを待ち、横断歩道を渡る。交差点を右に曲がると、機関の寮の裏門に取り付けられた、オレンジ色の蛍光灯が光っているのが見えた。 やがて、蛍光灯の光の元に、僕はたどり着く。 自転車を止め、常温のスポーツドリンクが二本だけ入った袋を手に、急ぎ足で屋内へ向かう。 エレベーターで四階へ移動し、一番奥の部屋。表札には何も書かれていない。僕と森さんの暮らす部屋だ。 「森さん?」 玄関に入り、室内に向けて声をかける。返事は無いが、居間の電気がついていて、そこからうー、うーと唸る声が聞こえる。 ダイニングの食卓の上にスポーツドリンクを置き、居間を覗く。二人掛けのソファの上に、横になってうずくまる森さんの姿があった。 月に一度。おそらくこの世で唯一の、彼女が恐怖する痛みが、彼女の体を襲う期間。 今日はまさにその、佳境の日だった。 「森さん、スポーツドリンク買って来ましたよ。今飲みます?」 「……冷たくない?」 「はい、大丈夫です」 「薄くして」 いつもの彼女と比べて、極端に口数が少ない。 うずくまった体勢では、表情も見て取れないため、一瞬、長門さんあたりと会話をしているような気分になる。 僕は言われたとおり、ガラスのコップに半分ほど、スポーツドリンクを注ぎ、そこに常温のミネラルウォーターを注ぎ、彼女の元に届ける。 森さんは体を起し、ソファの背もたれに力なく体を預けて待っている。細い両手が、コップをしっかりと握ったのを確認し、手を離す。 彼女がスポーツドリンクを飲んでいる間に、僕は洗面所からタオルを持ってきて、蛇口の水でぬらし、固く絞ったあと、電子レンジへ放り込んだ。 「まだつらいですか?」 「……少しマシになった」 「何か食べます?」 「それはまだいい」 引き続き長門さんモードの森さんは、コップの中身にちびちびと口をつけながら、僕に掠れた声でそう返した。 クーラーの風が、僕の足元とフローリングの床を一度に冷やしている。 電子レンジが声を上げるのを待って、僕は彼女の元にタオルを届ける。 「頭に乗せます?」 「お腹がいい」 そういうと、彼女はコップを右手に持ち替え、左手でタンクトップのすそをたくし上げる。 白いお腹と、その中心にぽっかりと空いたくぼみに、一瞬僕の左胸が高鳴る。 何を今更。と、心の中で呟き、僕は彼女の穿いているホットパンツのホックを外し、チャックを下ろし、下腹部を露出させる。 黒い下着と白い肌の境目の辺りに、湯気を立てるタオルを乗せる。うー。と、森さんが唸る。 「入院中のほうが楽だったなー」 「退院していきなりこれですもんね」 「お前はいいなー古泉、コレが無くて。私もコレが無いなら、男に生まれたかった」 含み笑いをしながらそう言う口調は、最も過酷なときのそれと比べれば、随分と余裕を取り戻しているようだった。 彼女の言うとおり、僕には生理の経験はない。よって、そのつらさがどの程度のものなのかは分からない。 しかし、彼女のそれは同年代の女性たちが覚える症状と比べて、いささか重過ぎるものであるようなのは分かった。 と、言うよりも、彼女自身がそう言うから、そうなのだろう。という程度のことなのだが。 「この世にこの苦しみさえ無かったらなー」 「この世で唯一、森さんが怖がる痛みですもんね」 「ばか、他にも少しはあるよ。なあ、それよりもうちょっと味のあるもの飲みたい」 「いいですよ、何がいいですか?」 「レモネード。アメリカンなほう」 彼女の唇がにやりと半月形を描く。彼女が所望しているのは、レモネードとは名ばかりの、レモンと砂糖とシナモンを入れたホットワインだった。 「ワインがないんですよ、ザンネンながら」 「じゃあ透明なほうでいいや。てか、そっちのがいい」 そういって、森さんは再びソファに体を預けた。 僕の見る限りも、彼女の体が今、アルコールを求めているとは思えない。 冷蔵庫からレモンジュースの瓶を取り出し、きつめのレモネードを作る。 「閉鎖空間が出なくて良かった、一昨日から」 グラスにストローを添えたところで、彼女がぽつりと呟く。 「もったいないもん、こんなときに出たら」 僕はなんと返すべきか少し考えた後、それが彼女の独り言であるという事実に思い当たり、小さくため息をつく。 「サンキュー」 僕が無言でグラスを差し出す。彼女はストローに口をつけ、ふう。と息を吐く。 手持ち無沙汰になった僕は、彼女の右隣のスペースに腰を下ろし、左手で、汗によって彼女の額に張り付いた髪の毛を指先で取り払う。 上気した肌に触れていると、やがて彼女の上半身が、こつりとこちらへと倒れこんでくる。 濃く濃密な匂いを孕んだ彼女の頭が、僕の左胸の辺りにくる。 僕は心臓の音が彼女に聞こえてしまわないかと、下らない心配をする。 先週まで続いた治療で、彼女の体は幾分軽くなっているようだった。 強がってはいたものの、体中の傷を完治させるのに掛かった体力は、傷の重さ相応の、多くを要したようである。 つい先日まで包帯に包まれていた彼女の肩に、僕はそっと手を乗せる。 お互いの汗によって、濡れた肌同士がぺたりとはりつく。 「最近優しいなお前」 彼女が髪の毛の間から僕を見上げ、軽口をたたく。 何か言葉を返す代わりに、僕はため息をつく。 森さんの言うとおり、僕は近頃彼女に甘い。大概のわがままは聞き入れているし、自分で言うのもなんだが、日常生活では、彼女が女王様のようだった。 「やっぱりお前、私が好きなんだな」 その一言で、僕はあの日、彼女が入院した初日の病室でのやりとりを思い出す。 そして、そのときとまったく同じ思考を走らせる。 僕は森さんが好きなのだろうか? 彼女の体から立ち上るにおいを嗅ぎながら、考える。 やがて、前回と同じ答えに行き着き、僕は三つ目のため息をつく。 「ええ、好きですよ」 「あれ、素直になったな」 「この状況でそれを聴くのはズルです」 森さんが笑うと、彼女の体と僕のからだが触れたところを介して、彼女が揺れ動くのが伝わってくる。 それが一瞬、彼女が体を痙攣させているような気がして、僕はひやりとする。 「耳の後ろの傷、消えたな」 彼女の指先が、僕の髪の毛を掻き分け、敏感な部分に触れる。 ひと月前に彼女に噛まれたその箇所には、もう痛みはない。 「新しいの、つけてやろうか」 「元気になったらにしましょう」 「そうだな。明日だな」 そういって、彼女は再び体を僕に預ける。 僕は不意に、今、携帯電話が鳴らないものかと心配になる。 「あのさあ、さっき、私にも怖いものがあるって言っただろ」 「ええ」 「知りたくないか? 私の弱みだぞ」 「罠っぽいですね。まんじゅう怖いですか」 「あはは、そうかもな」 短く笑った後 「私さ、怖いよ。閉鎖空間が」 彼女は、言った。 窓の向こうで光る夜の街の光景が、一瞬、閉鎖空間を舞う狩り手たちのように見える。 窓を開けたら、涼しい風が入ってきそうだった。 「あそこにいるとさ、自分がどんどん取り返しが付かなくなってくのがわかるんだ」 森さんはぽつぽつと、空中に風船を浮かべるように語った。 「こないださ。あのイカみたいなのにやられたとき、武装を解いて落下したの。あれ、わざとだった」 僕の記憶の中に、ひと月ほど前。彼女と共に戦った、あの三体の神人たちの姿が蘇ってくる。 僕には東京タワーに見えたあの神人は、彼女にとってはイカの神人であったようだ。 「吹っ飛ばされながら、このまま落ちたら、どうなるんだろうって思ったの覚えてるんだ。そしたらもう、体が言うこと利かなかった」 「僕を助けてくださった、あの日、ですよね?」 「助けたのかな。どうなんだろう」 少しの沈黙の後 「私はただ、あそこから落ちたかっただけかもしれない。そう考えると、怖くて怖くて仕方ないんだ」 僕は黙っていた。 「最高だったよ。お前も狩り手なら、わかるだろ? ドキドキした、頭からどんどん血が抜けてくのが分かってさ。 全身がぞくぞくして、ドンドン体が軽くなって。ああ、こりゃイッたなって思ったよ、正直。 だって、あんな最高の気分が、人生の最後じゃなかったら、そのあとの人生、何を求めて生きたらいいんだってぐらい良かった」 僕は想像してみる。彼女の言う、自分が死へと駆け下りているときに生じるであろう快感を。 それは僕の想像でしかなく、おそらく、本来のそれとはまったく違うものだろう。 それでも、僕はその快感を想像することが出来る。 自分のからだが傷つく快感を知っているのだ。 「でも、私は生きてた。たったの三週間ですっかり元通りになっちゃった。 なあ古泉。私さ、あのときのアレが愛しくてしょうがないんだよ。 そのために、また同じことをやるかもしれない。 でも、それでもまた、私は生きてるかもしれない。 あと何回、こんなことが出来るんだろう? 入院してる間、ずっとそんなこと考えてた。お前が来てくれてるとき以外」 「森さん」 それは、僕が何度となく考えたのと、まったく同じことだった。 森さんが、どんどん閉鎖空間に捕らわれていく。 僕から見てもわかるそのことが、彼女自身に分からないはずがなかったのだ。 「おかしいよな。私はあの神人どもを倒して、神様ができるだけ閉鎖空間を作らないようにするためにいるのに。 なのになんで……私が、あの空間がないと生きていけないみたいになってるんだろうな。 ていうか、本気でさ。私、閉鎖空間が無くなったらどうなるんだろう?」 「それは……」 僕は黙り込んでしまう。 「生理のときがさ、一番まともだよ、私は。このときだけは、普通の人間と同じように、痛みにうーうー言ってる。 でも、明日の朝になったらそれもおわりだろうな。私は元気になって、またドマゾに戻ってる。 もうさ、なんか疲れたなって思ったんだ。さっき、お前がコンビニ言ってるとき。 このまま、生理で苦しんでるまともな女のままで死んだら――――」 森さんの言葉は、そこで遮られる。 僕が、彼女の体を抱き寄せたからだ。 「……古泉?」 「すいません」 僕らの周囲の湿度が、僅かに上がったような気がした。 彼女の体から漂う、月経のにおいで、頭がくらくらする。 僕は彼女の言葉を、最後まで聴かずに済んだことを安堵した。 「……お願いします。行ってしまわないでください」 自分の言葉が、どこか遠くの世界で鳴く、虫の鳴き声のように聞こえた。 「古泉」 「すみません、でも……僕は、たとえ閉鎖空間がなくなっても。 あなたがいなくなってしまったら……僕は、ダメなんです」 それが、怖いんです。 自分が何を口走っているのか、うまく整理が出来なかった。 ただ、遥か前から、彼女に告げたかったいくつもの言葉や気持ちが、火蓋を切られた流水のように、頭の中に押し寄せていた。 「あなたを失いたくないんです」 あふれ出す。 「僕はあなたのことが好きなんです」 ひとしきりの気持ちが流れ出してしまうと、僕の頭は熱暴走を起したように、まったく回らなくなってしまった。 クーラーの風がそよぐ部屋の中心で、僕は彼女を抱きしめたまま、しばらくの間放心していた。 どれくらいの時間が経ったのか、それは一瞬、数秒であったようにも思えたし、一時間も二時間もそうしていたようにも思えた。 「ふふ」 やがて、僕の腕の中で、彼女が小さく笑った。 それを合図に、僕の意識はゆっくりと動き出す。 僕は今まで何をしていたんだっけ? ああ、そうだった。たしか、森さんのためにコンビニへ行って…… 「ありがとうな、古泉」 ぽんぽん。と、彼女の手が、僕の頭をたたく。 生理の発熱と、僕の体温とで、赤く上気した森さんの頬に、一筋、涙が伝っていた。 絶頂のとき以外では見たことの無い、彼女の涙の意味が、僕にはしばらく分からなかった。 「なんで、私とお前みたいのが、同じところにいるんだろうな」 そう言いながら、彼女は僕の頭をなで続けた。 彼女の言葉の答えを考えようとしたけれど、早くなった心音に邪魔されて、うまく考えることは出来なかった。 ただ、今までで一番、僕から近い場所に、森さんがいる。その一つだけが理解できた。 ◆ 僕は閉鎖空間の夢を見ている。 どこかの街ではない、ただ、360度、地平線以外を見つけることが出来ない、空と地面だけの閉鎖空間だった。 僕の目の前に、一体の神人がいる。あの日に戦ったのと同じ、イカ、あるいは東京タワーの姿に酷似した神人だ。 僕の体は半ば自動的に、赤い波動を纏い、目の前の神人に攻撃を始める。 僕は空中を大きく迂回しながら、赤い波動球を四つ放ち、そのうちの三つが神人の体に触れ、爆ぜる。 神人の体が折れ曲がり、僕は更に攻撃をしようと、接近する。 ……そこで、気づく。 ああ。これはあの日と同じだ。 このままでは、僕は―――― 気が付いたときには、もう時は遅い。神人の肉体から、まっすぐに、僕に向けて、新たな触手が放たれる。 細い触手が、一瞬で僕の周囲を舞い、次の瞬間、首元につよい圧迫感を感じる。呼吸ができない。僕は、首を絞められている。 「う……」 触手は僕の首に強力に巻きついている。それを取り払おうと、両手で掴みかかるが、触手を引く力は強く、それはままならない。 やがて、僕の脳は、ぼんやりとした、温かい水のようなものに包まれる。 目の前が薄く曇っていき、今の今まで苦しみに満たされていた胸が、すっと軽くなる。 ――ああ、これが。 彼女の言っていたものなのだろうか。 頭の中から、余計なものが一切抜けていき、ただ、体が軽くなって行く。 上を向いているのか、下を向いているのかも分からない。喉の熱さと、頭を燃やすぼんやりとした快楽だけが、世界を包み込んでいた。 ◆ 「うっ……!!」 泥濘に包まれた意識の中で、首に撒きつくそれを引き剥がしたのは、僕と言う人間の最後の本能だった。 喉に張り付くやわらかいものを掴み、一心不乱にかきむしる。 やがて、強力な力で僕の呼吸を遮っていた何かが、木の実が枝から離れるような感触と共に取り除かれる。 求めていた酸素が、一気に僕の体に流れ込んでくる。それを上手く処理することが出来ず、僕は強く咳き込んだ。 「はあ、はあ……」 気が付くと、僕は仰向けに寝転がっていた。 ここは閉鎖空間ではない。僕と森さんの暮らす部屋の、今のソファの上だった。 酸素の供給と共に、ぼやけた視界がゆっくりと明確になってゆく。 窓から差し込む朝の光が見える。そして、それを背に、僕のからだの上に、何かが圧し掛かっている。 「……こいずみ」 頭の上から、声が降りそそぐ。森さんの声だ。 僕はたった今まで締め付けられていた首に両手を当て、もう三度、深く咳き込む。 「も、り……さん?」 やがて、僕の体の上に覆いかぶさっているその物体が、森さんの肉体であることに、僕は気づく。 逆光で暗く焼きついた森さんの表情は、笑顔。 どうして、森さんが、僕の上に乗っているのだろう。 「古泉、お前も来いよ」 森さんが何を言っているのか分からない。喉が痛い。もう一度咳をする。 森さんは、僕の前で、更に笑顔を綻ばせて やがて、右手を僕のほうへと差し出してきた。 何がなにやら分からずに、僕は差し出された手を見る。 指の外側に、爪の跡のような傷がある。まだ新しいものだ。 手のひらの中心に、何かが乗っている。 それは、白い錠剤のように見えた。 森さん? 「古泉、一緒になろう」 森さんが、笑う。 「私と一緒に」 END
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遠くで虫が鳴いている、蒸し暑い夜だった。 赤信号の光に、僕がペダルを漕ぐ足を止めると、僕の右手にぶら下げられたコンビニエンスストアのビニールの袋が、カサカサと音を立てた。 時刻は二十三時。信号機の赤い光の玉のすぐ隣に、僅かに書けた丸い月が浮かんでいる。 信号が青に変わるのを待ち、横断歩道を渡る。交差点を右に曲がると、機関の寮の裏門に取り付けられた、オレンジ色の蛍光灯が光っているのが見えた。 やがて、蛍光灯の光の元に、僕はたどり着く。 自転車を止め、常温のスポーツドリンクが二本だけ入った袋を手に、急ぎ足で屋内へ向かう。 エレベーターで四階へ移動し、一番奥の部屋。表札には何も書かれていない。僕と森さんの暮らす部屋だ。 「森さん?」 玄関に入り、室内に向けて声をかける。返事は無いが、居間の電気がついていて、そこからうー、うーと唸る声が聞こえる。 ダイニングの食卓の上にスポーツドリンクを置き、居間を覗く。二人掛けのソファの上に、横になってうずくまる森さんの姿があった。 月に一度。おそらくこの世で唯一の、彼女が恐怖する痛みが、彼女の体を襲う期間。 今日はまさにその、佳境の日だった。 「森さん、スポーツドリンク買って来ましたよ。今飲みます?」 「……冷たくない?」 「はい、大丈夫です」 「薄くして」 いつもの彼女と比べて、極端に口数が少ない。 うずくまった体勢では、表情も見て取れないため、一瞬、長門さんあたりと会話をしているような気分になる。 僕は言われたとおり、ガラスのコップに半分ほど、スポーツドリンクを注ぎ、そこに常温のミネラルウォーターを注ぎ、彼女の元に届ける。 森さんは体を起し、ソファの背もたれに力なく体を預けて待っている。細い両手が、コップをしっかりと握ったのを確認し、手を離す。 彼女がスポーツドリンクを飲んでいる間に、僕は洗面所からタオルを持ってきて、蛇口の水でぬらし、固く絞ったあと、電子レンジへ放り込んだ。 「まだつらいですか?」 「……少しマシになった」 「何か食べます?」 「それはまだいい」 引き続き長門さんモードの森さんは、コップの中身にちびちびと口をつけながら、僕に掠れた声でそう返した。 クーラーの風が、僕の足元とフローリングの床を一度に冷やしている。 電子レンジが声を上げるのを待って、僕は彼女の元にタオルを届ける。 「頭に乗せます?」 「お腹がいい」 そういうと、彼女はコップを右手に持ち替え、左手でタンクトップのすそをたくし上げる。 白いお腹と、その中心にぽっかりと空いたくぼみに、一瞬僕の左胸が高鳴る。 何を今更。と、心の中で呟き、僕は彼女の穿いているホットパンツのホックを外し、チャックを下ろし、下腹部を露出させる。 黒い下着と白い肌の境目の辺りに、湯気を立てるタオルを乗せる。うー。と、森さんが唸る。 「入院中のほうが楽だったなー」 「退院していきなりこれですもんね」 「お前はいいなー古泉、コレが無くて。私もコレが無いなら、男に生まれたかった」 含み笑いをしながらそう言う口調は、最も過酷なときのそれと比べれば、随分と余裕を取り戻しているようだった。 彼女の言うとおり、僕には生理の経験はない。よって、そのつらさがどの程度のものなのかは分からない。 しかし、彼女のそれは同年代の女性たちが覚える症状と比べて、いささか重過ぎるものであるようなのは分かった。 と、言うよりも、彼女自身がそう言うから、そうなのだろう。という程度のことなのだが。 「この世にこの苦しみさえ無かったらなー」 「この世で唯一、森さんが怖がる痛みですもんね」 「ばか、他にも少しはあるよ。なあ、それよりもうちょっと味のあるもの飲みたい」 「いいですよ、何がいいですか?」 「レモネード。アメリカンなほう」 彼女の唇がにやりと半月形を描く。彼女が所望しているのは、レモネードとは名ばかりの、レモンと砂糖とシナモンを入れたホットワインだった。 「ワインがないんですよ、ザンネンながら」 「じゃあ透明なほうでいいや。てか、そっちのがいい」 そういって、森さんは再びソファに体を預けた。 僕の見る限りも、彼女の体が今、アルコールを求めているとは思えない。 冷蔵庫からレモンジュースの瓶を取り出し、きつめのレモネードを作る。 「閉鎖空間が出なくて良かった、一昨日から」 グラスにストローを添えたところで、彼女がぽつりと呟く。 「もったいないもん、こんなときに出たら」 僕はなんと返すべきか少し考えた後、それが彼女の独り言であるという事実に思い当たり、小さくため息をつく。 「サンキュー」 僕が無言でグラスを差し出す。彼女はストローに口をつけ、ふう。と息を吐く。 手持ち無沙汰になった僕は、彼女の右隣のスペースに腰を下ろし、左手で、汗によって彼女の額に張り付いた髪の毛を指先で取り払う。 上気した肌に触れていると、やがて彼女の上半身が、こつりとこちらへと倒れこんでくる。 濃く濃密な匂いを孕んだ彼女の頭が、僕の左胸の辺りにくる。 僕は心臓の音が彼女に聞こえてしまわないかと、下らない心配をする。 先週まで続いた治療で、彼女の体は幾分軽くなっているようだった。 強がってはいたものの、体中の傷を完治させるのに掛かった体力は、傷の重さ相応の、多くを要したようである。 つい先日まで包帯に包まれていた彼女の肩に、僕はそっと手を乗せる。 お互いの汗によって、濡れた肌同士がぺたりとはりつく。 「最近優しいなお前」 彼女が髪の毛の間から僕を見上げ、軽口をたたく。 何か言葉を返す代わりに、僕はため息をつく。 森さんの言うとおり、僕は近頃彼女に甘い。大概のわがままは聞き入れているし、自分で言うのもなんだが、日常生活では、彼女が女王様のようだった。 「やっぱりお前、私が好きなんだな」 その一言で、僕はあの日、彼女が入院した初日の病室でのやりとりを思い出す。 そして、そのときとまったく同じ思考を走らせる。 僕は森さんが好きなのだろうか? 彼女の体から立ち上るにおいを嗅ぎながら、考える。 やがて、前回と同じ答えに行き着き、僕は三つ目のため息をつく。 「ええ、好きですよ」 「あれ、素直になったな」 「この状況でそれを聴くのはズルです」 森さんが笑うと、彼女の体と僕のからだが触れたところを介して、彼女が揺れ動くのが伝わってくる。 それが一瞬、彼女が体を痙攣させているような気がして、僕はひやりとする。 「耳の後ろの傷、消えたな」 彼女の指先が、僕の髪の毛を掻き分け、敏感な部分に触れる。 ひと月前に彼女に噛まれたその箇所には、もう痛みはない。 「新しいの、つけてやろうか」 「元気になったらにしましょう」 「そうだな。明日だな」 そういって、彼女は再び体を僕に預ける。 僕は不意に、今、携帯電話が鳴らないものかと心配になる。 「あのさあ、さっき、私にも怖いものがあるって言っただろ」 「ええ」 「知りたくないか? 私の弱みだぞ」 「罠っぽいですね。まんじゅう怖いですか」 「あはは、そうかもな」 短く笑った後 「私さ、怖いよ。閉鎖空間が」 彼女は、言った。 窓の向こうで光る夜の街の光景が、一瞬、閉鎖空間を舞う狩り手たちのように見える。 窓を開けたら、涼しい風が入ってきそうだった。 「あそこにいるとさ、自分がどんどん取り返しが付かなくなってくのがわかるんだ」 森さんはぽつぽつと、空中に風船を浮かべるように語った。 「こないださ。あのイカみたいなのにやられたとき、武装を解いて落下したの。あれ、わざとだった」 僕の記憶の中に、ひと月ほど前。彼女と共に戦った、あの三体の神人たちの姿が蘇ってくる。 僕には東京タワーに見えたあの神人は、彼女にとってはイカの神人であったようだ。 「吹っ飛ばされながら、このまま落ちたら、どうなるんだろうって思ったの覚えてるんだ。そしたらもう、体が言うこと利かなかった」 「僕を助けてくださった、あの日、ですよね?」 「助けたのかな。どうなんだろう」 少しの沈黙の後 「私はただ、あそこから落ちたかっただけかもしれない。そう考えると、怖くて怖くて仕方ないんだ」 僕は黙っていた。 「最高だったよ。お前も狩り手なら、わかるだろ? ドキドキした、頭からどんどん血が抜けてくのが分かってさ。 全身がぞくぞくして、ドンドン体が軽くなって。ああ、こりゃイッたなって思ったよ、正直。 だって、あんな最高の気分が、人生の最後じゃなかったら、そのあとの人生、何を求めて生きたらいいんだってぐらい良かった」 僕は想像してみる。彼女の言う、自分が死へと駆け下りているときに生じるであろう快感を。 それは僕の想像でしかなく、おそらく、本来のそれとはまったく違うものだろう。 それでも、僕はその快感を想像することが出来る。 自分のからだが傷つく快感を知っているのだ。 「でも、私は生きてた。たったの三週間ですっかり元通りになっちゃった。 なあ古泉。私さ、あのときのアレが愛しくてしょうがないんだよ。 そのために、また同じことをやるかもしれない。 でも、それでもまた、私は生きてるかもしれない。 あと何回、こんなことが出来るんだろう? 入院してる間、ずっとそんなこと考えてた。お前が来てくれてるとき以外」 「森さん」 それは、僕が何度となく考えたのと、まったく同じことだった。 森さんが、どんどん閉鎖空間に捕らわれていく。 僕から見てもわかるそのことが、彼女自身に分からないはずがなかったのだ。 「おかしいよな。私はあの神人どもを倒して、神様ができるだけ閉鎖空間を作らないようにするためにいるのに。 なのになんで……私が、あの空間がないと生きていけないみたいになってるんだろうな。 ていうか、本気でさ。私、閉鎖空間が無くなったらどうなるんだろう?」 「それは……」 僕は黙り込んでしまう。 「生理のときがさ、一番まともだよ、私は。このときだけは、普通の人間と同じように、痛みにうーうー言ってる。 でも、明日の朝になったらそれもおわりだろうな。私は元気になって、またドマゾに戻ってる。 もうさ、なんか疲れたなって思ったんだ。さっき、お前がコンビニ言ってるとき。 このまま、生理で苦しんでるまともな女のままで死んだら――――」 森さんの言葉は、そこで遮られる。 僕が、彼女の体を抱き寄せたからだ。 「……古泉?」 「すいません」 僕らの周囲の湿度が、僅かに上がったような気がした。 彼女の体から漂う、月経のにおいで、頭がくらくらする。 僕は彼女の言葉を、最後まで聴かずに済んだことを安堵した。 「……お願いします。行ってしまわないでください」 自分の言葉が、どこか遠くの世界で鳴く、虫の鳴き声のように聞こえた。 「古泉」 「すみません、でも……僕は、たとえ閉鎖空間がなくなっても。 あなたがいなくなってしまったら……僕は、ダメなんです」 それが、怖いんです。 自分が何を口走っているのか、うまく整理が出来なかった。 ただ、遥か前から、彼女に告げたかったいくつもの言葉や気持ちが、火蓋を切られた流水のように、頭の中に押し寄せていた。 「あなたを失いたくないんです」 あふれ出す。 「僕はあなたのことが好きなんです」 ひとしきりの気持ちが流れ出してしまうと、僕の頭は熱暴走を起したように、まったく回らなくなってしまった。 クーラーの風がそよぐ部屋の中心で、僕は彼女を抱きしめたまま、しばらくの間放心していた。 どれくらいの時間が経ったのか、それは一瞬、数秒であったようにも思えたし、一時間も二時間もそうしていたようにも思えた。 「ふふ」 やがて、僕の腕の中で、彼女が小さく笑った。 それを合図に、僕の意識はゆっくりと動き出す。 僕は今まで何をしていたんだっけ? ああ、そうだった。たしか、森さんのためにコンビニへ行って…… 「ありがとうな、古泉」 ぽんぽん。と、彼女の手が、僕の頭をたたく。 生理の発熱と、僕の体温とで、赤く上気した森さんの頬に、一筋、涙が伝っていた。 絶頂のとき以外では見たことの無い、彼女の涙の意味が、僕にはしばらく分からなかった。 「なんで、私とお前みたいのが、同じところにいるんだろうな」 そう言いながら、彼女は僕の頭をなで続けた。 彼女の言葉の答えを考えようとしたけれど、早くなった心音に邪魔されて、うまく考えることは出来なかった。 ただ、今までで一番、僕から近い場所に、森さんがいる。その一つだけが理解できた。 ◆ 僕は閉鎖空間の夢を見ている。 どこかの街ではない、ただ、360度、地平線以外を見つけることが出来ない、空と地面だけの閉鎖空間だった。 僕の目の前に、一体の神人がいる。あの日に戦ったのと同じ、イカ、あるいは東京タワーの姿に酷似した神人だ。 僕の体は半ば自動的に、赤い波動を纏い、目の前の神人に攻撃を始める。 僕は空中を大きく迂回しながら、赤い波動球を四つ放ち、そのうちの三つが神人の体に触れ、爆ぜる。 神人の体が折れ曲がり、僕は更に攻撃をしようと、接近する。 ……そこで、気づく。 ああ。これはあの日と同じだ。 このままでは、僕は―――― 気が付いたときには、もう時は遅い。神人の肉体から、まっすぐに、僕に向けて、新たな触手が放たれる。 細い触手が、一瞬で僕の周囲を舞い、次の瞬間、首元につよい圧迫感を感じる。呼吸ができない。僕は、首を絞められている。 「う……」 触手は僕の首に強力に巻きついている。それを取り払おうと、両手で掴みかかるが、触手を引く力は強く、それはままならない。 やがて、僕の脳は、ぼんやりとした、温かい水のようなものに包まれる。 目の前が薄く曇っていき、今の今まで苦しみに満たされていた胸が、すっと軽くなる。 ――ああ、これが。 彼女の言っていたものなのだろうか。 頭の中から、余計なものが一切抜けていき、ただ、体が軽くなって行く。 上を向いているのか、下を向いているのかも分からない。喉の熱さと、頭を燃やすぼんやりとした快楽だけが、世界を包み込んでいた。 ◆ 「うっ……!!」 泥濘に包まれた意識の中で、首に撒きつくそれを引き剥がしたのは、僕と言う人間の最後の本能だった。 喉に張り付くやわらかいものを掴み、一心不乱にかきむしる。 やがて、強力な力で僕の呼吸を遮っていた何かが、木の実が枝から離れるような感触と共に取り除かれる。 求めていた酸素が、一気に僕の体に流れ込んでくる。それを上手く処理することが出来ず、僕は強く咳き込んだ。 「はあ、はあ……」 気が付くと、僕は仰向けに寝転がっていた。 ここは閉鎖空間ではない。僕と森さんの暮らす部屋の、今のソファの上だった。 酸素の供給と共に、ぼやけた視界がゆっくりと明確になってゆく。 窓から差し込む朝の光が見える。そして、それを背に、僕のからだの上に、何かが圧し掛かっている。 「……こいずみ」 頭の上から、声が降りそそぐ。森さんの声だ。 僕はたった今まで締め付けられていた首に両手を当て、もう三度、深く咳き込む。 「も、り……さん?」 やがて、僕の体の上に覆いかぶさっているその物体が、森さんの肉体であることに、僕は気づく。 逆光で暗く焼きついた森さんの表情は、笑顔。 どうして、森さんが、僕の上に乗っているのだろう。 「古泉、お前も来いよ」 森さんが何を言っているのか分からない。喉が痛い。もう一度咳をする。 森さんは、僕の前で、更に笑顔を綻ばせて やがて、右手を僕のほうへと差し出してきた。 何がなにやら分からずに、僕は差し出された手を見る。 指の外側に、爪の跡のような傷がある。まだ新しいものだ。 手のひらの中心に、何かが乗っている。 それは、白い錠剤のように見えた。 森さん? 「古泉、一緒になろう」 森さんが、笑う。 「私と一緒に」 END
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↑ → 30 名前:鮪 :2007/01/04(木) 17 29 59.90 ID KfPbeC2N0 『蝶の恩返し』 大学からの帰り道、蜘蛛の巣にきれいな蝶がかかっていた。 今にも食べられそうだったので、放してやった。 男「そのうちかわいい女の子になって、恩返しに来たりして。」 その夜。 コンコン・・・ 男「ん? 誰だろう。」 ガチャ・・・ 男「どちらさま?」 女の子「アナタ、今日道端で蜘蛛の巣からちょうちょを放したわよね。」 男「あ、ああ・・・?」 女の子「なにすんのよ! せっかくつかまえた獲物だったのに! キィ~ッ!」 『蝶の恩返し 改め 蜘蛛のお礼参り』 35 名前:インフルエンザ :2007/01/04(木) 18 29 11.96 ID KfPbeC2N0 蜘蛛「まて~ かじってやる! 頭からバリバリと~!」 男「オイオイオイ、なんだお前は! 落ち着け!」 蜘蛛「問答むよー!」 男「?」 蜘蛛「ハムハム! むしゃむしゃ! モグモグ!」 男「・・・」 蜘蛛「ガツガツ! グビグビ! うっ・・・」 男「泣くほど腹へってたのか・・・?」 38 名前:鶴インフルエンザ :2007/01/04(木) 19 41 08.79 ID KfPbeC2N0 腹がいっぱいになったら眠くなったようだ。 蜘蛛「むにゃむにゃ・・・」 男「しかたないな・・・」 なんだか変な子供だが、明日になれば何か分かるかもしれない。今日は俺も寝ることにしよう。 次の日、朝になってもまだ寝ていたのでほっといて大学に行った。 帰ってみると、部屋が糸まみれになっていた。 男「うわっ!」 蜘蛛「おかえり~」 男「な、なんだこれは!」 蜘蛛「なにって、蜘蛛の巣だよ。あ~、おちつく・・・」 男「おちつくじゃねえ! 片付けなさい!」 蜘蛛「え~? やだ。」 男「か・た・づ・け・な・さ・い・!」 蜘蛛「・・・」 もぐもぐ ←トリビア:蜘蛛はいらなくなった糸を食べて処理する。 42 名前:鴎インフルエンザ :2007/01/04(木) 20 53 16.10 ID KfPbeC2N0 男「で、お前は何者だ?」 蜘蛛「アンタに巣ぶっこわされた蜘蛛よ! 今日からここにおいてもらうからね!」 男「な・・・ そんなこと言われても。」 蜘蛛「なによ! ダメだっていうの!?」 男「あ、あたりまえだろ・・・」 蜘蛛「あ、あたしにあんなひどいことしといて! 虫ケラのように捨てるっていうわけ!? オニ! うわぁぁぁぁん!」 男「お、おい! 誤解を招くようなこと大声で言うなよ!」 ヒソヒソ ヒソヒソ 男「くっ・・・ わかったよ!」 蜘蛛「・・・ニヤッ」
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脳内彼女(イマジン・ガール)とは、恋天使「愛欲の創造主」空理英太が使用する能力(参照 [[邪気眼まとめ避難所 http //www.wikihouse.com/jakigan/index.php?FrontPage]])。 [[フブキン]]はこの能力で脳内幼馴染を創造していると見られる。 中学校の頃、彼女が欲しかった。そんな思いが高じた俺は、彼女を「創った」。 俺の妄想の中で彼女ができた事になった。 初期。 雑談があるたびそれとなく、それとなく、恋愛の話題に変え、 それとなく、それとなく「そういえばxx君(俺)ってさ、彼女居る?」的な質問が出るよう 場の流れを掴む。そして、居る事をアピール。 居ると直接いうと問題だと判断し、「あ、い、いや居ないよ!?」と焦ってみた。 きっと「あ、こいつホントは居るな…」と思ってくれるんだろうと思って。(いや無理だろ) 今思えば、文書にまとめたわけでもなく、全て妄想&でまかせで良くもあそこまで完璧に 独りの人間を作ったもんだと感動するほど徹底した。 誕生日から過去、ふたりでした雑談に癖、仕草、趣味…。そして口癖や趣味は、 やはりカプールだと影響されあうだろうと、自分でも変えた。 中期。 次は物的証拠。、自分の誕生日には自分で自分宛に、彼女からのプレゼントを買った。 バレンタインデーは2つ隣の街のデパートに行き、目撃の無い事を確認しチョコを買いまわっ た。 修学旅行でお土産を買う際は、彼女の分も買った。これみよがしに女子に 「あのさ、女ってどういうおみやげ貰うと嬉しいかな。いや判らんくて…」とか 質問して選んでもらったりもした。金は飛んだ。 「彼女からの手紙」は学校の違う、昔からの知り合いの女子を巧く騙し(いや、ばれてたろうが) 書いてもらった。自身その字の癖を徹底的に研究し、2つの筆跡を使い分けられるようにまでなった。 もう「彼女からの手紙」を自作・量産できる。完璧だった。マジで。文体も筆跡も全然違うテキストを書きこなせた。 後期。 証言、物的証拠の次は経験や価値観だ。二人分の価値観・経験が混ざるべき時期似、 独り分しかなければやはりおかしい。女性向雑誌、少女漫画、ドラマ、芸能、文学、 あらゆるジャンルで、自分の中にもう一つの視点、もうひとつの価値観を創った。 ついでに、物的証拠をもう1段階生々しくすべく、上記の女友達を騙して(いやバレてたが) 例えば電話の会話っぽい物を録音、家の電話前でタイマー再生→電話を通した声を録音、 それを入れたウォークマンを隠し持ち、公衆電話の受話器を取る→音量最大で、イヤホンを 受話器近くに伸ばす→まるで彼女と電話しているような。 晩期。 凄いの。マジ凄いの。彼女が見えるようになった。 触れたし、会話できたし。俺の部屋に良く遊びに来てくれたんだわ。マジで。 俺、毎晩毎晩話してた。テスト勉強してても、問題ひとつ解いたら横を見て、 「この問題難しく無い? って解けてるし。お前は頭いいからなー…全然俺判らんし。 しかし悪いななんか。勉強教えてくれっていきなり読んだりして」 って話しかけたりね。毎日毎日。 救いと言えそうなのが、あらゆる点で協力してくれた件の学校違う女友達が、 バレた上でも協力してくれ、しかもバレた上でも今まで通り仲良くしてくれた事だ。今も仲良い。 …というのは一般的には不幸中の幸いに見えるだろうが、 バレたか!?と凄い動揺した時に 「いや判ってたから…っていうか誰だって判るよ…。あんま悪い事しないようにね」 と苦笑いされたあの時の俺の気分といったら…死のうと思ったね。縄と台用意したもん。マジで。 そして仲良いとは言うけど、今も会うたび、心の中ではあざ笑ってるのでは、いや笑ってなくても、 だめにきまってwjyhれいhじゃt「hy9えー「お9hgと その女友達に協力してもらって様々な会話を録音し、 細かく分けてMDに録音、リストを作成し壁に貼っておく。 クラスの友人が電話かけてきた時に、MDを、音量大きめにして、 トラック02→08→12で「ねえ」「ちょっと台所借りてていい?」「…あごめん電話中か…」。 こうする事によって、電話してる友人から「今後ろの声誰?」。 そして俺は「いや、誰でも無いって。ていうか声なんてあった?」と精一杯動揺して。 次の日にはクラスで、彼女に飯を創らせてたと噂が流れてるって寸法だ。 いやー、他にも色々やったやった。マジやった。 死にたい… 広告下げ用
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こよいまじょのやかたで【登録タグ black、D こ 初音ミク 曲】 作詞:black、D 作曲:black、D 編曲:black、D 唄:初音ミク 曲紹介 ゴシックでオルタナティブなハードロック。 black、D氏のアルバム『嘆かわし惑星』収録曲。 JOYSOUNDカラオケ配信がなされています 歌詞 (作者サイトより転載) ビリジアンの森で 髪と唇が影落とし 孤独な夜の五感を撫でる 階級支配の群れへ 館の主は魔女で 宝石とサテンで着飾り 「皆、君の友達さ。さあ、時計などはもう止めておしまい!」 Eljen!皆々踊れ!Eljen! 皆々微睡め! 馴れ初めの夜に ぎらつかせた魔女の道 宴に出かけるわよ デカダンの色は濃く 「君の後ろめたさで…魔力を高めるのよ!」 彼女の声が響く 陽の光は届かない 時の谷間で奇跡は続く オペラの様に歌う 刺々しい言葉の破片 「属性が生む悲しさに、全て注ぎ込んでおやりよ!」 Eljen!皆々悟れ! Eljen!皆々目覚めよ! 革命の夜に 研ぎ澄まされた感性 宴は続いていくわよ 次の素敵を待つ 「この世はお為ごかしで…君はとても綺麗よ」 彼女は囁きかける 美しさに変えていく この世の果てを示すハーモニー 時計は動かない 悲劇を恐れない Eljen!皆々踊れ!Eljen! 皆々微睡め! 馴れ初めの夜に ぎらつかせた魔女の道 宴に出かけるわよ デカダンの色は濃く 「君の後ろめたさで…魔力を高めるのよ!」 彼女の声が響く 陽の光は届かない 時の谷間で奇跡は続く コメント 追加おつ! -- 名無しさん (2013-05-09 19 09 33) °゚°。。ヾ( ~▽~)ツ ワーイ♪よろしく(^ー゚)ノ -- ぶらっくでぃ (2018-01-05 00 29 16) 名前 コメント
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魔法少女達の七夕祭 ~ 少女の人形 「そういえば今日は七夕ね」 新しい仲間を作る手を止め、アリスはぼんやりと窓を見ながら呟いた。 「世間では恋人がどうとか言ってるけど、私には関係無いわね。上海」 少し寂しそうな声音でアリスは私に同意を求めた。 勿論、私が言う言葉は一つである。 「シャンハーイ(そうだよね)」 「ふふ、ありがと上海。そう、私にはあなた達が居る、そうよ。私には沢山の人形が居るの。 娘で、友達で、時々お姉さんであるあなた達が」 アリスは一層寂しそうな震える声で私に…よりは、自分に言い聞かせる様に同じ言葉を繰り返した。 あなた達が居る… 「シャンハーイ?(寂しいの?)」 アリスは首を左右に大きく振って見せた。 私の様な人形には難しい動作だ。 「そんな訳無いじゃない。私の友達はあなた達、他に人間や妖怪の友達なんて要らないわ。 それに恋人?馬鹿らしい、恋なんて気がおかしくなった人の病気だわ、聡明な私には一生関係無いわね」 アリスの口調が厳しいものになるのは、動揺している証…現在稼動している人形の中では、最もアリスと長い時間接している私にはわかる。 和蘭人形、そう名付けられる仲間の服を作るため、赤い布を手に取ったアリスの手が震えている。 「そう、今日なんて特別な日でも何でも無いわ」 アリスがもう一度、感情を振り払う様に首を大きく振ると、風を受けて乱れる金糸の中に雨粒が見えた。 前にアリスが教えてくれた。 これは涙、心の雨だ。 生き物は悲しかったり、すごく嬉しかったりすると涙を流す。 涙を流す人形も居るらしいが、それは半分以上妖怪になっている物らしい。 今のアリスの涙、これはどう見ても悲しみの涙、冷たい雨だ。 私は、布を破かんばかりに強く握り、その所為で血の気が失せてしまい白くなったアリスの手に血の通っていない、小さな白い手を重ねた。 「上は…うっ!」 アリスの手から力が抜け、赤い布はアリスの青いスカートの上を滑り、床に落ちて行く。 それと同時にアリスの目から落とされた大粒の涙が彼女の手と青いスカートを濡らし、その色を紺に変えて行った。 私はとっさにその場から離れる。水に濡れてしまえば、動けなくなる危険がある。 今のアリスは悲しんでいる。その上で長い間一緒に過ごして来た私が壊れてしまえば、アリスの心までが壊れてしまうかもしれない。 だから、私は決して壊れてはいけない。 そうわかっていても、私はアリスの雨に打たれてあげる事が出来ない。 悲しみを共感してあげる事が出来ない。 人形の体は、あまりに私に不便だ。 どうして私は人形なのか、とても歯痒く思えた。 「うっ…くっ…」 アリスは手を顔に当て、本格的に泣き出してしまった。 私は生み出されてから、アリスの涙を三回見て来た。 初めて見たのはまりさ、どんな字を書くか忘れてしまったが、そんな名前の魔女と一緒に月の異変を直しに行って帰って来た後、彼女が自分の為に怪我をしてしまったのを知った時だ。 私にはその時、その事の意味をよく理解してなかったのだが、人間と言うのは一度怪我を負ってしまうと、しばらくは治らないらしい、人形の様に直す事は出来ないそうだ。 二回目は何時だったか、冬だったはずだ。 まりさからプレゼントをもらい、喜びの温かい涙を流した。 なんでもバレンタインデーと言う、特別な日だったらしく、もらったお菓子には何か意味があるらしかった。 そして三度目は今度だ。 このたなばたと言う日も、何か特別な日らしい。 やはりプレゼントをもらったりする日なのだろうか。 しかし、さっきアリスは恋だとか何だとか言っていた。 恋、どういう意味の言葉かは知らないが、とりあえずまりさとは関係しているかもしれない。 アリスが涙を流す時、それは全てまりさ絡みの時だ。 「シャンハーイ(蓬莱人形、ちょっとアリスに伝言頼める?私、ちょっと出掛けないといけなくなったの)」 今は炊事場で洗い物をしている仲間の人形に呼び掛ける。 「ホライ?(上海人形、お出掛け?どうしたの、伝言って)」 「シャンハーイ(今、アリスは泣いてるの。泣いている時は悲しい時、だからアリスがまた元気になった時にね、伝えて欲しいの。「すぐにまりさがやって来るよ」って)」 「ホライ(わかった、それじゃ伝えておくね)」 「シャンハーイ(うん、きっとよ。それじゃ、急いで行って来るから)」 まりさはよく、湖のほとりのお屋敷の図書館に居るとアリスが言っていた。 なら、始めに当たるのはそこだ。 私は窓からその紅い屋敷を目指して、飛び出した。 続く あとがき 上海は、本当にしっかりした子です 流石、アリスの最高傑作って所でしょうか だって、人形が自らの生について考えるなんて、普通は有り得ない Next 月明かりの人形 Top 魔法少女達の七夕祭 名前 コメント
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「もう、今日で…あ〜ちゃんと会うの、最後にする…」 「……」 「…ごめんなさい…」 …ああ、本当に終わっちゃうんだね。 過去の後悔も、引きずったままの想いも、断ち切らなきゃいけないんだ…。 滲む視界はゆらゆらと彼女の姿を認識出来ずに、それでも何となく、彼女も泣いているのだと感じる。 「……ばいばい、あ〜ちゃん…」 心の奥の気持ちが、今度こそ終わりを告げた。 「…もう、帰るんだね」 見送りに来たのは、意外にものっちだった。 「てっきりのっちは、あ〜ちゃんの顔も見たくないんじゃないかと思っとったよ」 「まさか」 「…それぐらい、憎まれても仕方ない事したのに」 「それでも、やっぱりあ〜ちゃんだからさ…のっちには、そんな事出来んかった」 のっちはそう言って、あの頃と何等変わりない八の字眉をした。 でも、あの頃より何倍も大人になって。 …何だか、淋しく思った。 「…のっちは、これからもゆかちゃんの傍にいるの…?」 「うん…まぁ、友達としてだけど…」 「そう…」 「あ、でもそれはあ〜ちゃんの事があっただけじゃなくて……のっちも、一歩を踏み出さなきゃなって思って、だから」 「…どういう事?」 途端に、蝉の声が辺り一面に広がった。 ゆらゆらと揺れる地面を、のっちは目を細めて見ている。 「過去の自分に、さよならする為だよ」 優しく微笑むのっちに、ゆかちゃんへの想いに対する臆病の影は、微塵も感じられなかった。 …きっと彼女も、後悔と想いの板挟みになっていたに違いない。 それでも、前を向いて行かなきゃいけないと悟ったんだ。 多分きっと、ゆかちゃんも…。 もう二度と、後悔しない為に。 「…電車、来たね」 「うん」 「また帰ってきてよ。のっち、待ってるから」 「それは……どうじゃろ…」 「……ゆかちゃんも、きっと待ってるよ」 「……。そうだと、いいけど…」 発車音が流れる。 …閉まる扉の向こうで、のっちが微笑んでいた。 「……ありがとう」 もう二人には届かないけど、ありったけの想いを込めて呟いた。 流れる景色の中、なんとも短くて濃い夏休みを思い返す。 でもそれは、決して後悔ではなくて。 「……」 それから思い出すのは、やっぱりゆかちゃんの事。 …あたしにとって彼女は、世界で一番大切な女の子でした。 終-
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今日 - 合計 - SIMPLE2000シリーズ Vol.71 THE ファンタジー恋愛アドベンチャー 彼女の伝説、僕の石版の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月11日 (木) 11時08分55秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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「やっぱり、よくありませんか……」 その大きな眼を蒼い不安の色で満たしつつ、部屋から出てきた学校の医師にリリアは問いかけた。 「うむ、体に異常はない。だがしかし、寝床から起き上がれない、というのは嘘ではない。顔を見れば、そのくらいわかる」 白衣を無造作に羽織った女医は、シャルロッテが眠る隣の部屋に視線をやった。 「となると、心の問題か。厄介だな……、特に古人は」 リリアも聞いたことがある。古人は男女両方の性のみならず、感情も両方持ち合わせる、と。良い方向に向かえばとてつもない力を出せるが、今のシャルロッテのように感情があふれ、体まで侵してしまうこともある。 「もう、一週間食事もろくに取られないのです。このままでは」 「とにかく、様子を見るしかあるまい。医者の発言としては失格だが、あの子のこころを満たせる何かを入れる、もしくは自力で一歩を踏み出さなければ問題は解決しないだろう。聞けば、陛下や皇女殿下と会うのを禁止されたそうじゃないか。頼るべきひとたちがいなくなって不安なのだろうが」 「そう、なのですか……」 違う、とリリアは思った。 シャルロッテさまは、わたしの仕えるべきひとはそんな弱い人じゃない。いまのシャルロッテさまは、駆け出そうとして轡を押さえられている馬みたいなものだ。自分たち郎党という枷にとらわれて。 「とにかく、また明日来る。ミルク粥か何か、消化のいいものを食べさせてやってくれ」 「かしこまりました」 一礼して、先生を見送るリリアの足元に子犬が寄り添った。リリアのこころを代弁するかのように、きゅうん、と鳴く。 「ロムルス、お前も……、不安なんだね」 しゃがみこみ、柔らかな毛皮を撫でる。鼻をすりつけ匂いを嗅ぐロムルスにリリアは話しかけた。 「わたしたちでは、いまのシャルロッテさまの力にはなれない。それが……、悔しいよ」 茶色い尻尾が、不安そうに揺れている。 夜。 かすかな星明りを通す窓の下に、一人の少女が寝ている。すぐそばの床にはシーツが敷かれ、茶色い毛皮の塊が丸まっていた。 ぴく、と毛皮の塊が動いた。耳がぴんと立つと、瞬時に起きあがる。歯をむき出し、低く唸りながら、黒い人影に向き直った。 飛びかかるため、体をばねのようにたわませていく。その緊張が限界に達しようとしたそのときだった。 す、とおぼろな光に、やや浅黒くなった手が延ばされた。それでも美しい手は、優しく子犬の頭を撫でていく。 「妹を守ってくれているんだね。ありがとう」 その涼やかな声に、子犬……ロムルスは戸惑いながら体の緊張を解いた。主に似た、それでいて違う香りをかぎ取ったことが、彼を混乱させる。 「少し、妹と話したいんだ。席を外してくれるかな?」 くぅん、とためらうようにロムルスは鳴き、人影を見上げる。そのとき、扉の後ろから声が聞こえた。 「ロムルス、来なさい」 聞きなれた声に、振りむきつつもロムルスは素直に彼女のもとに行く。扉をくぐるとすくいあげられ、そのまま強く抱きしめられたが、抗議もせずにただ、金髪の少女の姿を黒い瞳で見つめた。 「大丈夫、大丈夫だから……、きっとあのひとが、シャルロッテさまを治してくださるから……」 祈るようにつぶやくリリアの頬を伝う銀の雫を、濡れた舌がぺろりと舐めた。
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ここは会場のとある場所、そこには異様な風景が広がっていた。 「……もう、やめてぇ……お願いだからぁ……もう、出さ、な…でぇ…これ以上はぁ……おなかが……破裂しちゃうぅ……!」 そこには、角の生えた女性が男に陵辱されている姿があった。 しかし角が生えていたといってもその角はへし折られており、またその両手も不自然な方向に折れ、痛々しさを感じさせる姿になっていた。 更に言うと背中には何かしらの機械が取り付けられていたようだったが、それが完膚なきまでに破壊されていたのだ。 「何言ってやがんだ!いきなり人を殺そうとして、許すわけねえだろうが!おなかが破裂するだぁ?そのまま破裂しちまいな!!」 また、彼女を陵辱している男も異様な姿をしていた。 その男は赤と黒と銀色をした肌をしており、また赤くつりあがった両目と両肩にはリベット、そして尖った指先をした筋肉質な男だった。 そしてそれはまさに、特撮ヒーローを邪悪にしたような姿だった。 男の口ぶりからすると、女性の方が彼に襲い掛かった結果返り討ちにあい、結果このような状態となっているようだ。 「お、おおお!もうそろそろ、イクぞぉぉ――!しっかり受け止めろよ!!」 「イヤァァァ――!!もうナカに出さないで――!!」 そうしていると男が、そろそろ絶頂するという事を彼女に宣告しだした。 それに対し彼女が再び悲痛な声を上げるが、そんなことはお構いなしにと彼は自らの精を流し込んでいったのだった。 そうやって男がひとしきり彼女をレ〇プした後、彼は満足したらしく彼女のアソコから自らのペ〇スを引き抜いた。 それにより支えを失った彼女の身体は、力なくその場に倒れ伏したのだった。 「痛い……痛いよぉ……もう、これ以上私にヒドイ事しないでぇぇ……」 そうしてうわごとのように男に嘆願するのだったが、男はそれを何も言わず見降ろし続けていた。 「もう……こんなことはしないからぁ……どうか、許してえぇぇ……」 それを受けてなお、彼女は目の前の男に許しを乞うた。 もうこれ以上、苦しい思いはしたくない……彼女はその一心で必死に嘆願し続けた。 すると……。 「……しょうがねえ、どうやら改心したみたいだし……命は助けてやるよ」 何と目の前の男が折れて、彼女を許すことにしたのだ。 「あ……ありがとうござ…ます……!」 それを受けて彼女は、息も絶え絶えになりながらも感謝の言葉を述べていた。 そうして感謝の言葉を述べていると、突如として目の前の男が彼女の頭をなで始めたのだ。 『なぜ自分の頭をなで始めたのか?』そう彼女が疑問に思っていたが、その答えはすぐに判明した。 「あっはっは……気が変わった、やっぱ殺すわ♪」 そういうと男は彼女の頭を掴み、指先に力をこめ始めたのだ。 「え……どうして……痛い痛いイタイィィィ!!」 それに対し彼女は抗議の声を上げようとしたが、彼が全力で頭を締め上げたことに対し苦悶の声を上げた。 そして…… グシャリ、という音とともに彼女の頭は砕け散ったのだった……。 【累の母@鬼滅の刃(身体:港湾棲姫@艦隊これくしょん) 死亡】 そして彼女の頭を握りつぶした男は、興奮した様子で叫んでいた。 「ぐはは――!!弱気になったヤツにトドメさすってのが、一番気持ちイイぜ――!!」 そんな、どう見ても悪役にしか見えない彼の名はアーマージャック、(一応は)正義のヒーローである。 ……自分の手柄を横取りしたといって他のヒーローをリンチしたり、助けた見返りがしょぼかったという理由で民間人を殺害したり、 挙句の果てには自分をたたえる歌を歌わなかったチビッ子を真っ二つにしたりなど極悪非道な行いをするが、一応は正義のヒーローである。 「あ゛~、スッキリした!こうやってヒーローやってりゃあ大義名分のもと好き勝手やれるから、ヒーローさまさまだわ!!」 「それにさっきの奴はいきなり人に襲い掛かるようなキ〇ガイだから、ナニをしようが誰も文句は言わねえだろうし、万々歳だわ!」 ……こんなことを言っているが、彼は本当に正義のヒーローなのである。筆者も信じられないが、正義のヒーローなのである。 そうやって興奮のままにひとしきり叫びまくっていたところ、彼はいきなり冷静になった。何故ならば…… 「そういや確か、『優勝すればどんな願いでも叶える』って言ってたな。じゃあ、優勝して願いかなえてもらってから主催者ぶっ殺すか」 どうやら、自分が現在置かれている状況について思い出したようだ。 「そうと決まればさっそくほかの参加者見つけてぶっ殺すか。あと、いいオンナがいれば俺が満足するまでレ〇プしてからぶっ殺そう」 そうして彼は今後の目標を決めて、どこかへと歩きだした。 自分の下種な欲望のために、そしてすさまじいまでの殺人欲求を昇華するために。 そして、正義の名のもとに好き勝手やるヒーローが、今動き出すのだった……。 【アーマージャック@突撃!!アーマージャック】 [身体]:ウルトラマンオーブ・サンダーブレスター@ウルトラマンオーブ [状態]:健康、主催者に対するストレス(大) [装備]:馬のチンチン@魔界戦記ディスガイア [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本方針:主催者をぶっ殺す。そのために参加者を皆殺しにして優勝する。 1:みんなぶっ殺してやる。そのために会場内を探索する。 2:男はそのままぶっ殺す。女はレ〇プしてから殺す。 3:あ~、早くだれかぶっ殺してえ~。 [備考] 製作会社公認のパロディAV『悶絶!!アーマージャック』の要素も混ざっております。 【馬のチンチン@魔界戦記ディスガイア】 ゾンビたちのボスに使われていたパーツの一つで、魔王すら恐れをなしたものスゴイ代物。 装備すると攻撃力とスピード、命中率を上げることができ、また男女関係なく誰でも装備できる自慢の一品。 ……どこに、どうやって装備するかは深く考えないほうがいいかもしれない…。 26 クリームの力 投下順に読む 28 チョッパー×チョッパー GAME START アーマージャック 11 それぞれのジャスティス GAME START 累の母 GAME OVER