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ウルトラマンネクサスの変身後データ 【ウルトラマンネクサス】 【ウルトラマンノア】 【ダークファウスト】 【ダークメフィスト】 【ダークザギ】 ウルトラマンネクサス 本編での主な変身者は姫矢准、千樹憐、(西条凪)、孤門一輝。 作中では、ネクサスの光はデュナミストと呼ばれる適能者に受け継がれるようになっている。ネクサスそのものはウルトラマンノアの不完全な形態であり、あくまで変身者はノアと一体化しているに過ぎない。 年齢は35万歳以上(生物かどうかも不明)。 デュナミストは「アンファンス」と呼ばれる基本形態のほか、「ジュネッス」と呼ばれる形態に進化する。ジュネッス形態はデュナミストにより異なり、姫矢は赤、憐は青のジュネッスに変身する。孤門は、二人の声援を受けた事で両形態に変身した。ネクサスをデザインした丸山浩は、Twitter上で凪が変身したジュネッスルージュの絵をupした事がある(現在は削除)。 各形態の共通装備として、両腕に「アームドネクサス」と呼ばれる手甲を装備しており、ここから必殺光線を繰り出すことができる。 胸部にはエナジーコアという、エネルギー表示限界を示すY字型の赤い光がある。これはエネルギーが限界域に入るとエナジーコア全体が点滅する。他のウルトラマンで言うカラータイマーだが、ネクサスには特に変身制限時間はない。 アンファンス ネクサスの基本形態で、デュナミストの共通形態。全身の殆どが銀色。 身長は49メートル。体重は4万トン。ただし、等身大やミクロ化も可能、場所によって大きさは変わり、体重も変わる。 側面のエルボーカッターで敵を切り裂き、片手または両手を交差して敵の攻撃を受け止めることが可能。 アンファンスパンチ ネクサスアンファンスのパンチ。エネルギーを込めてパンチをする。 アンファンスチョップ 高くジャンプしてチョップする一撃。 アンファンスキック ネクサスアンファンスのキック。ビーストを貫く威力を持つ。 アンファンスパワー 強力なパワーで敵の動きを止めたり、敵の口をこじ開けたりする。 アンファンスホイップ 敵の体を持ち上げて投げ飛ばす技。 パーティクル・フェザー 腕を振り、光粒子エネルギーの刃を敵に向かって放つ技。威力は低い。 クロスレイ・シュトローム 両手を十字に組んで放つ光線。ジュネッスの時も使用可能。しかし、ジュネッスの時よりは威力が低い。 サークルシールド 水面に生まれる波紋のような、青色に輝く円形状のバリアを作り出す。 セービングビュート 敵に絡ませたり、人々を助けることに使う光の帯。怪獣を縛って放り投げる事ができるほか、人間に使う時は優しく使う事ができる。 マッハムーブ 体を光らせて高速移動する技。 オーラミラージュ 全身から光を発して敵の動きを止める技。 スピニングクラッシュキック 右足を発光させてドリルのように回転しながら放つ急降下キック。回転に伴い炎の竜巻が形成される。 コアファイナル エナジーコアが点滅するのではなく光り輝く現象。アンファンスの隠された能力が解き放たれる。 エナジーコアから発せられる光で自らを取り込もうとした暗黒の蔦を弾き飛ばしたり、バンピーラの糸を焼き切ったり、忘却の海・レーテに蓄積された闇を吹き飛ばしたり…といった感じで、ノアとしての真の力の一部が使えるようになる。 ジュネッス ウルトラマンノア 本編での主な変身者は孤門一輝。 ダークファウスト 本編での主な変身者は斎田リコ。 ダークメフィスト 本編での主な変身者は溝呂木眞也、三沢広之(ツヴァイ)。 ダークザギ 本編での主な変身者は石堀光彦。
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フレッシュプリキュア!の変身後データ 【キュアピーチ】 【キュアベリー】 【キュアパイン】 【キュアパッション】 【ノーザ】 本作におけるプリキュアは妖精の国・スウィーツ王国に伝わる伝説の戦士。 スウィーツ王国には『世界に危機が迫りしとき、プリキュアの森で祈りささげば、伝説の戦士よみがえるけり』という伝説が残されていた。 ティラミス長老の祈りによって四つのピックルンが復活して、ピックルンが選んだ少女がプリキュアに覚醒する。 基本的にプリキュアの正体は秘密とされているが、ラビリンスとの戦いにより世間に広まってメディアで取り上げられるくらいに有名となっている。(「そういう決まり」で秘密にしているとタルトは言った) 四つ葉町の人達はプリキュアを応援していて、TV局の警備員も「ご苦労様です!」と敬礼しながら入館を許可した。 ラビリンスとの最終決戦に赴く前、桃園ラブ達は街の人達に正体を明かして、そしてラビリンスとの戦いに向かった。 プリキュアに変身すると凄まじい身体能力を得られるだけでなく、浄化の技も使えるようになる。 その技を受けた怪物は元の姿に戻るが、破壊された街が自動的に再生される事はない。(これまでのシリーズでは再生されていたのに対して) 基本的には変身をする際、決めポーズや名乗りを挙げるが、それらが省略される話もたまにある。 キュアピーチ 本編での主な変身者は桃園ラブ。 四人の中で一番最初に覚醒したプリキュアで、ピルンによって「愛」の力を与えられている。尊敬するダンスユニット・トリニティのリーダーである知念ミユキをナケワメーケから守ろうと決意したことをきっかけに、変身するようになった。 「チェンジ・プリキュア! ビートアップ!」という宣言と共に変身して、「ピンクのハートは愛あるしるし! もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!」と名乗る。 戦闘の際は最初に飛び出していくことが多く、他の三人を引っ張っている。データによるとパンチ力が高い。 プリキュア・ラブサンシャイン 「悪いの悪いのとんでいけ!」という掛け声と共に、手をハートの形に組むことで発射する桃色の光線。 これを受ければ、大半のナケワメーケは浄化される。 プリキュア・ラブサンシャイン・フレッシュ 第8話でシフォンとの絆を深めたことで手に入れたキュアスティック・ピーチロッドから放たれる必殺の光線。 桃色のハート型の光が包みこんだ敵を浄化する。その威力はプリキュア・ラブサンシャインよりも高い。 キュアエンジェル (エンジェルピーチ) キュアエンジェルとは「伝説にも存在しない奇跡のプリキュア」で、人々の想いの光を受け取ったことで変身することができる。 劇場版では「子ども達のおもちゃを愛する心」で、TV本編ではメビウスの支配から解放されたラビリンスの国民達の想いが力になった。 プリキュアオールスターズDX2&DX3でも世界中の人々がミラクルライトを使ったことで、パワーアップをしている。 コスチュームも全体的に白さを増して、背中からも天使のような巨大な白い翼が生えたので空高く飛ぶことも可能。 プリキュア・ラビング・トゥルーハート 「思いよ、届け」という言葉と共に空中で巨大なハート型の空間を発生させて、癒しの光を放つ。 子ども達への憎しみに囚われていたトイマジンやおもちゃ達を浄化したり、ノーザクラインを元の球根やトカゲに戻すこともした。 合体技 プリキュア・キック 高くジャンプしたプリキュアが放つキック技。 二人ならダブル・プリキュア・キック。三人ならトリプル・プリキュア・キック。四人ならプリキュア・クアドラプル・キック。と、名前が変わる。 また、四人でタイミングをずらしながらキックを放つプリキュア・コンビネーション・キックという技もある。 プリキュア・トリプル・フレッシュ キュアピーチ・キュアベリー・キュアパインの三人が同時に光線を放つ技。 本編では第7話と第8話。プリキュアオールスターズDXではフュージョンを倒す際に使用した。 ラッキークローバー・グランドフィナーレ 第37話より使われるようになった合体技。 キュアパッションがハピネスリーフを、キュアパインがプレアーリーフを、キュアベリーがエスポワールリーフを、キュアピーチがラブリーリーフを、四つ葉のクローバーとなるように合わせる。 四人で力を合わせて、クローバーから出てくるクリスタルに閉じ込めた敵を浄化する。ソレワターセを浄化する程の威力だ。 プリキュア・ラビング・トゥルーハート・フレッシュ メビウスとの最終決戦時に四人のキュアエンジェルが、ウエスター・サウラー・タルト・アズキーナ・ホホエミーナと気持ちを一つにして放った最後の技。 これを放ったことでインフィニティとなったシフォンを解放して、全世界に平和を取り戻した。 キュアベリー 本編での主な変身者は蒼乃美希。 四人の中で二番目に覚醒したプリキュアで、ブルンによって「希望」の力を与えられている。弟の和希を守ったことがきっかけで、変身するようになった。 「チェンジ・プリキュア! ビートアップ!」という宣言と共に変身して、「ブルーのハートは希望のしるし! つみたてフレッシュ、キュアベリー!」と名乗る。 戦闘時はかなり機転が利いていて、相手の裏をかくことが多い。データによるとキック力に優れている。 プリキュア・エスポワールシャワー 「悪いの悪いのとんでいけ!」という掛け声と共に、手をハートの形に組むことで発射する青色の光線。 これを受ければ、大半のナケワメーケは浄化される。 プリキュア・エスポワールシャワー・フレッシュ 第17話でシフォンとの絆を深めたことで手に入れたキュアスティック・ベリーソードから放たれる必殺の光線。 青色のハート型の光が包みこんだ敵を浄化する。その威力はプリキュア・エスポワールシャワーよりも高い。 キュアエンジェル (エンジェルベリー) TV本編及びプリキュアオールスターズDX2&DX3で、人々の想いの光を受け取ったことで変身を果たした。ピーチのように劇場版では変身していない。 コスチュームはボリュームを増して、背中からはロボットのように鋭くなった白い羽が生えたので空も飛べる。 プリキュア・ラビング・トゥルーハート 「思いよ、届け」という言葉と共に空中で巨大なハート型の空間を発生させて、癒しの光を放つ。 基本的にはエンジェルピーチのものと変わらない。第49話でノーザクラインを浄化する際に、四人で力を合わせて放った。 キュアパイン 本編での主な変身者は山吹祈里。 四人の中で三番目に覚醒したプリキュアで、キルンによって「祈り」の力を与えられている。ナケワメーケにされた犬のラッキーを救おうとしたことがきっかけで、変身するようになった。 「チェンジ・プリキュア! ビートアップ!」という宣言と共に変身して、「イエローハートは祈りのしるし! とれたてフレッシュ、キュアパイン!」と名乗る。 他の三人と連携を組んで攻撃をすることが多い。また、終盤では一度だけ単独でソレワターセを浄化したこともあった。データによると持久力に優れている。 プリキュア・ヒーリングプレアー 「悪いの悪いのとんでいけ!」という掛け声と共に、手をハートの形に組むことで発射する山吹色の光線。 これを受ければ、大半のナケワメーケは浄化される。 プリキュア・エスポワールシャワー・フレッシュ 第13話でシフォンとの絆を深めたことで手に入れたキュアスティック・パインフルートから放たれる必殺の光線。 山吹色のハート型の光が包みこんだ敵を浄化する。その威力はプリキュア・エスポワールシャワーよりも高い。 キュアエンジェル (エンジェルパイン) TV本編及びプリキュアオールスターズDX2&DX3で、人々の想いの光を受け取ったことで変身を果たした。ピーチのように劇場版では変身していない。 コスチュームとリボンはボリュームを増して、背中からは生えたので黄色い羽を使うことで空も飛べる。 キュアパッション 本編での主な変身者は東せつな。 四人の中で最後に覚醒したプリキュアで、アカルンによって「幸せ」の力を与えられている。一度、寿命が尽きてしまったイースの元にアカルンが駆けつけたことがきっかけで、変身するようになった。 「チェンジ・プリキュア! ビートアップ!」という宣言と共に変身して、「真っ赤なハートは幸せの証! うれたてフレッシュ、キュアパッション!」と名乗る。 アカルンを使うことで瞬間移動が可能となり、劇場版ではそれを活かした戦法を取った。データによると瞬発力に優れている。 プリキュア・ハピネス・ハリケーン 「歌え! 幸せのラプソディ、パッションハープ!」という掛け声と共にパッションハーブを呼び出して、音楽を奏でてから放つ必殺技。 全身を回転させながら、ハーブから赤いハート型の光と羽を大量に放ち、敵を浄化する。また、第42話ではラビリンスの占い館を覆っていた次元の壁を破ったこともある。 キュアエンジェル (エンジェルパッション) TV本編及びプリキュアオールスターズDX2&DX3で、人々の想いの光を受け取ったことで変身を果たした。ピーチのように劇場版では変身していない。 コスチュームやリボンは長くなったが、背中から生えた白い羽は他の三人に比べてやや小さい。 ノーザ 本編での主な変身者は北那由他。 人間界では北 那由他という姿で化けているノーザが「スイッチ・オーバー!」という掛け声と共に姿を変える。 戦闘力は高く、腕から植物の蔦を出して攻撃をする。また、何もない場所に巨大な穴を開けて違う場所に移動することも可能だ。 また、彼女があるいた場所に生えた植物は枯れてしまう。 超獣化 第48話でプリキュアとの戦いに追い込まれたノーザが、ソレワターセの実を飲み込んだことで変身した姿。 そのサイズは巨大で、怪人体の時と同じように植物の蔦を使って攻撃をする。また、この蔦は浄化されてもすぐに再生してしまう。 DX2ではボトムに復活させられた影響なのか、自分の力だけでこの姿になることができる。 ノーザクライン 第49話でプリキュア四人の同時光線でダメージを負ったノーザが、ドラゴン・クラインと合体したことで生まれた怪人。 その戦闘力は凄まじく、レーザー攻撃でプリキュア達を圧倒して、ラッキークローバー・グランドフィナーレを弾き返したりもした。 しかし、最後はラビリンスの国民達の祈りによってキュアエンジェルとなったプリキュア達によって浄化されて、元の球根とトカゲに戻ってしまう。
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仮面ライダークウガの変身後データ 【仮面ライダークウガ】 【仮面ライダークウガ(プロトタイプ)】 【ズ・ゴオマ・グ】 【ゴ・ガドル・バ】 【ン・ダグバ・ゼバ】 仮面ライダークウガ 本編での主な変身者は五代雄介。「S.I.C HERO SAGA」ではリクという人物が変身し、「仮面ライダーディケイド」では小野寺ユウスケが変身する。「小説 仮面ライダークウガ」では別のアークルを使って夏目実加が変身した。 変身時の掛け声は「変身!」。 超古代の戦士「クウガ」が身に着けていた霊石「アマダム」が埋め込まれたアークルというベルトを装着して変身した戦士。 グローイングフォーム 身長190cm。体重90kg。 パンチ力1.5t。キック力5t。ジャンプ力ひと跳び7.5m。100mを10.4秒で走る。 白のクウガ。戦う覚悟のない人間、または、極度のダメージを受けたクウガがこの姿に変身する。 能力は通常の人間より強い程度で、グロンギの怪人とも互角に渡り合うことはできない。 この状態で変身が解除されると、2時間は次の変身ができなくなる。 マイティフォーム 身長200cm。体重99kg。 パンチ力3t。キック力10t。ジャンプ力ひと跳び15m。100mを5.2秒で走る。 赤のクウガ。普通の人間が変身するとグローイングフォームになるが、戦う覚悟を持った者が変身するとこの姿になる。 マイティキック 30tの破壊力を持つライダーキック。グロンギの怪人に封印エネルギーを送り込む。ズ・ザイン・ダとの戦闘以降は、助走をつけて飛び上がり空中回転をしてキック…という形式で使用し、威力も上がった。 マイティパンチ 怪人の頭部めがけて放たれる3tのパンチ。 マイティバスター 怪人の腕をつかんでか突き上げ、柔道の一本背負いのように投げ飛ばす。 ドラゴンフォーム 身長200cm。体重90kg。 パンチ力1t。キック力3t。ジャンプ力ひと跳び30m。100mを2秒で走る。 青のクウガ。瞬発力、スピード、ジャンプ力はマイティフォームより上だが、力や耐久力は低下する。 棒状のものを握ると、その武器をドラゴンロッドへと変身させる。 スプラッシュドラゴン ドラゴンロッドの先に封印エネルギーを集中させ、グロンギ怪人の体を突いて爆発させる必殺技。 ペガサスフォーム 身長200cm。体重99kg。 パンチ力1t。キック力3t。ジャンプ力ひと跳び30m。100mを2秒で走る。 緑のクウガ。視覚、聴覚、嗅覚などが急激に上がり、遠くの音も聞こえるようになるが、雄介は最初、何もかもが聞こえすぎるせいで混乱して戦闘不能になった。感覚を研ぎ澄ますことさえできれば、遠くの敵や飛行する敵を倒すのに便利。 しかし、体力の消耗は激しいため、50秒程度しか変身していられない。 銃を握ると、その武器をペガサスボウガンへと変身させる。古代クウガは弓矢を使っていた模様。 ブラストペガサス 封印エネルギーを秘めた空気弾をペガサスボウガンによって撃ち込み、敵を爆死させる技。連射はできない。 タイタンフォーム 身長200cm。体重111kg。 パンチ力7t。キック力10t。ジャンプ力ひと跳び10m。100mを7.2秒で走る。 紫のクウガ。上半身が非常に強固な生体鎧で覆われており、頑丈になっているほか、全身の運動能力が強化されている。 ただし、かなり重量があるため、動きが制限され、敵の攻撃を避けることができない。 棒状のものや剣を握ると、その武器をタイタンソードへと変身させる。二刀流も可能と思われる。 カラミティタイタン タイタンソードを敵に突き刺し、封印エネルギーを送り込んで爆死させる技。 ライジングマイティフォーム 身長200cm。体重104kg。 パンチ力5t。キック力17t。ジャンプ力ひと跳び17m。100mを3.1秒で走る。 電撃によって強化されたクウガのマイティフォーム。全身の筋肉や身体能力が発達しているが、エネルギー消費が激しく、30秒しか変身していられない。 ライジングマイティッキック 50tの破壊力を秘めた必殺技で、周囲半径3kmを爆破させる(マジでヤバい)。 ライジングビートゴウラムアタック ビートゴウラムにライジングパワーを伝え、高速で体当たりする技。 ライジングドラゴンフォーム 身長200cm。体重92kg。 パンチ力2t。キック力5t。ジャンプ力ひと跳び50m。100mを1秒で走る。 電撃によって強化されたクウガのドラゴンフォーム。瞬発力やスピード、ジャンプ力が発達しているが、エネルギー消費が激しく、30秒しか変身していられない。 専用武器のドラゴンロッドはライジングドラゴンロッドへと変化した。 ライジングスプラッシュドラゴン 高く飛び上がり、急降下してライジングドラゴンロッドを敵に突き立て封印エネルギーを注入する技。 そのまま敵を放り投げたこともある。 ライジングペガサスフォーム 身長200cm。体重99.9kg。 パンチ力2t。キック力5t。ジャンプ力ひと跳び25m。100mを3.1秒で走る。 電撃によって強化されたクウガのペガサスフォーム。超感覚、判断力、洞察力が発達しているが、エネルギー消費が激しく、30秒しか変身していられない。 専用武器のペガサスボウガンはライジングペガサスボウガンへと変化した。 ライジングブラストペガサス ライジングペガガスボウガンで封印エネルギーを込めた空気弾を打ち込み、グロンギ怪人を爆死させる技。ライジングマイティキック同様、破壊力が凄まじく、周囲に被害を及ぼす可能性もある。ビートゴウラムの上から行ったこともあった。 ライジングタイタンフォーム 身長200cm。体重122kg。 パンチ力12t。キック力17t。ジャンプ力ひと跳び17m。100mを4.3秒で走る。 電撃によって強化されたクウガのタイタンフォーム。筋力と防御力が発達しているが、エネルギー消費が激しく、30秒しか変身していられない。 専用武器のタイタンソードはライジングタイタンソードへと変化した。これも二刀流可能。 あとは、馬乗りになってジャラジを惨殺したトラウマシーンで有名。 ライジングカラミティタイタン ライジングタイタンソードで刀身を突き刺して封印エネルギーを送り込み爆死させる技。 アメイジングマイティフォーム 身長200cm。体重125kg。 パンチ力7.5t。キック力25t。ジャンプ力ひと跳び37.5m。100mを2秒で走る。 ゴ・ガドル・バ電撃体に敗れた五代雄介がさらなる電気ショックを受けて手に入れた新たな力。 ボディカラーが黒く変色しており、時間制限もなくなった。 アマイジングマイティキック 75tもの破壊力を秘めた必殺技で、ゴ・ガドル・バの必殺技「ゼンゲビ・ビブブ」を超える。これも周囲一帯を焼野原にしてしまう。 アルティメットフォーム 身長202cm。体重150kg。 パンチ力80t。キック力100t。ジャンプ力ひと跳び90m。100mを1秒で走る。 「凄まじき戦士」の異名を持ち、桁違いの能力を持つが、究極の闇をもたらす「グロンギと同じ存在」になる可能性も重ね持っている。 憎しみの心に囚われると黒い目の「戦うための生物兵器」になってしまうが、優しい心を失うことなく変身すると赤い目のアルティメットフォームとなる。 「仮面ライダーディケイド」にはこれよりさらに強い「ライジングアルティメットフォーム」も登場する。 超自然発火能力 周囲の物質の原子・分子を操作することで標的をプラズマ化し、炎上させることができる。 アルティメットキック 劇中未登場だが、設定では415tの必殺キックがある。 ライジング武器の使用 劇中未登場だが、設定では黒く染まったライジングドラゴンロッド、ライジングペガサスボウガン、ライジングタイタンソードが使用できる。 仮面ライダークウガ(プロトタイプ) 本編での主な変身者は夏目実加。 小説版に登場し、本編のクウガとは別の遺跡で発掘されたアークルを使って変身した。 外見上は、殆どクウガと同じだが、角が少し短いらしい。 白のクウガ グローイングフォームにあたる形態。 ただし、この形態でもザルボ、ゲラグ(いずれも階級不明)といったグロンギ怪人を倒している。 黒の二号 アルティメットフォームにあたる形態。 アルティメットフォーム同様、暴走して自我を失う危険性があり、小説版では自我を失った。 ただし、能力はホンモノで、ゴ・ライオ・ダを撃退している。 怒りの塔 東京タワーが物質変換能力で巨大な蕾となり、花を開かせて灼熱の光を放ち始める必殺技。周囲一体を巻き込んでしまうエネルギーを持っているが、本編では未遂。 ズ・ゴオマ・グ 本編での主な変身者はズ・ゴオマ・グ。 身長206cm。体重167kg。 コウモリ種の怪人らしく、時速120kmでの飛行が可能できる羽を持つ。ただし、飛行中は頭部から特殊な超音波を発するため、警察の超音波感知装置に捉えられる。 天井や木の枝などにさかさまにぶら下がることもできるほか、胴体は銃弾を通さないほど柔軟で頑丈。 牙を使って一晩で成人男性5人の血を吸った。強い光が苦手。 キック 飛行能力を応用した空中からのキック技を得意とする。 強化体 身長208cm。体重198kg。 ダグバのベルトの破片を使い、全身が強化されたゴオマの姿。体は黒く変色し、頭部にはまるでダグバのような毛髪が生えている。 飛行能力や身体能力はさらに向上し、太陽光も平気になった。「ゴ」集団に匹敵する能力を持つ。 究極体 身長211cm。体重227kg。 ダグバのベルトの破片を取り込み、さらなる強化を果たした究極のゴオマ。 遂にクウガのライジングフォームの攻撃さえ跳ね返すほどの強化を果たし、おそらく「ゴ」集団以上のパワーを持つ。 ゴ・ガドル・バ 本編での主な変身者はゴ・ガドル・バ。 カブトムシ種怪人であり、「ゴ」集団で最強の能力を持ち、クウガのようにフォームチェンジを駆使して戦う。 神経断裂弾を受けても立ち上がり、クウガの必殺技を跳ね返す皮膚を持つ。 更には、ゴオマ強化体の攻撃をやすやすと受け止め、逆にパンチ1発で吹き飛ばすパンチ力も持つ。 格闘体 身長209cm。体重238kg。 クウガでいう、マイティフォームにあたるが、それ以上の能力を持つ。 俊敏体 身長209cm。体重229kg。 目が青くなる。クウガでいう、ドラゴンフォームにあたるが、それ以上の能力を持つ。 棒状のものや、胸の装飾品を手にすると、それをガドルロッドに変身させる。 射撃体 身長209cm。体重238kg。 目が緑になる。クウガでいう、ペガサスフォームにあたるが、それ以上の能力を持つ。 銃や、胸の装飾品を手にすると、それをガドルボウガンに変身させる。 剛力体 身長209cm。体重247kg。 目が紫になる。クウガでいう、タイタンフォームにあたるが、それ以上の能力を持つ。 剣や、胸の装飾品を手にすると、それをガドルソードに変身させる。 電撃体 身長209cm。体重252kg。 電気エネルギーを吸収したガドル。クウガでいう、ライジングフォームにあたる。 ガドルソードがかなりゴツい感じに変化しているところをみると、ライジングタイタンなどにあたるフォームとライジングマイティにあたるフォームを使ったと思われる。 ゼンゲビ・ビブブ 高く飛び上がり、全身を高速回転させ、電撃を帯びたまま両足でキックする。 ライジングマイティキックのようなもの。日本語に訳すと「電撃キック」。 ン・ダグバ・ゼバ 本編での主な変身者はン・ダグバ・ゼバ。 身長と体重は不明。パンチ力は80t、キック力は100t(アルティメットクウガと互角のため)。 おそらく、ほとんどのスペックはアルティメットクウガと同様である。 あまりにも強大な力のせいで、能力を発揮するだけで強風や雷雨が巻き起こって首都圏に異常気象を起こした。 超自然発火能力 周囲の物質の原子・分子を操作することで標的をプラズマ化し、炎上させることができる。 瞬間移動能力 設定上持ってるらしい。 中間体 もじゃもじゃな髪の毛がある不完全なダグバ。 それでも力を発揮するときは巨大な雷が発生し、ゴオマ究極体を一瞬で殺害するほどの戦力を持つ。 つまり、この時点でライジングクウガよりも強い。 外見は一般に知られるダグバのものとは大きく違い、一瞬しかその姿を見ることができない。
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変身超人大戦・最後の乱入者 ◆LuuKRM2PEg ◆ 「行かないと……!」 ディバイン・バスターの余波によって地面に叩きつけられ、その痛みとこれまでのダメージで全身に痛みが走るが、キュアサンシャインはそれに耐えて立ち上がった。 池波流ノ介が犠牲になって悲しいはずなのに、仮面ライダー一号はそれを表に出さずにノーザやスバルと戦っている。だから自分だけがここで倒れたりすることは絶対に許されなかった。 ふと、キュアサンシャインは気を失って倒れているアインハルトとアスティオンに目を向ける。アスティオンの意思を蔑ろにするのは嫌だったが、このままでは一号が危なかった。 心の中で彼女達にごめんと謝ったキュアサンシャインは前を向こうとするが、その途端に足音が聞こえてくる。 「おや、何処に行かれようと言うのですかな? キュアサンシャイン」 そして声が聞こえてきたので、キュアサンシャインはそちらに振り向く。 すると彼女は、ここから数メートルほど離れた場所より筋殻アクマロがゆっくりと近づいてくるのを見た。 「あなたは……アクマロ!」 「まだ我がいるのを忘れるとは、実に無礼ですな」 その手に握る剣が朝日に照らされて輝く中、アクマロは嘲笑の言葉を漏らす。予期せぬ三人目の敵が再び現れたことによって、キュアサンシャインは反射的に構えた。 しかしアクマロはそれをまるで気にしないかのように、前を踏み出してくる。 「これより、あんたさんがたには選ばせて差し上げましょう」 そして饒舌に語りながら、アクマロは更に一歩進んだ。 「あの小娘どものように全身をバラバラにされて血溜まりを生むか」 剣を見せつけるかのように構えながら、また一歩進む。 「全ての皮膚をゆっくり切り刻まれながら長らく地獄の時を楽しむか」 もう一歩進んだことで、アクマロの声から感じられる喜悦が更に強くなった。 「それとも、心臓を貫かれて苦しむ暇もなく一瞬で三途の川に落ちるか」 そう言いながらアクマロは剣の先端をキュアサンシャインに向けて、より一歩進んでくる。 「さあ、どれにいたしましょうか?」 もしもそれが人の顔だったら、ノーザのように悪意に満ちた笑みで染まっているはずだった。それくらいまでアクマロから放たれる雰囲気はあまりにも不気味で、昔話に出てくる物の怪よりもずっと恐ろしい。 あまりのプレッシャーを前にキュアサンシャインは額から汗を滲ませるが、それでも押し潰されたりはしなかった。アクマロの目的は自分達を倒して、一号をもっと悲しませて追い詰めること。 相手は体力を消耗していたとはいえ、一号とシンケンブルーを同時に相手にしても有利に戦えるほどに強い。一人でそんな奴と戦っても勝てる可能性は低すぎたが、逃げることはできなかった。 「私が望むのは……」 「望むのは?」 「あなた達から、みんなを守ることよ!」 地を蹴って走り出しながらアクマロとの距離を詰めながら右足を軸にして回転し、キュアサンシャインは鋭い回し蹴りを放つ。アクマロは右手の剣を振るうが、白いロングブーツはそれを瞬時に払いのけた。 武器同士が激突したような鋭い金属音が響き、衝突の影響で火花すらも飛び散っている。 煌びやかなリボンが飾られたことで華やかさを演出させるブーツだが、その外見からは想像できないくらいの強度を誇っていた。故に、アクマロの武器だけで斬れることは決してなく、それに守られたしなやかな足も守られている。 しかし鉄をも超えるブーツの耐久力だけで勝利に繋がるわけがなく、アクマロが後退した隙を突いて反対側の足でキックを放つが、直後に一閃された剣と衝突した。またしても鳴り響く衝突音と共に二人は背後に飛んで、数歩分の距離を取る。 視線がぶつかり合う中、キュアサンシャインの呼吸は荒くなっていた。それに対してアクマロはあまり戦っていないせいか、体調は万全に見える。 もっとも、これは当然の結果だった。キュアサンシャインはスバルとの戦いで体力を消耗したのに対して、アクマロはこれまで自身が不利になるような条件で一度も戦っていない。 「クックックック……カッカッカッカッカッカッカッ……!」 そして体調面での有利を悟ったのか、アクマロの喉から奇妙で乾いた笑い声が響いてくる。 「さぞかし辛いでしょう……さぞかし苦しいでしょう……我はそんなあんたさんの苦しみから解放させて差し上げようと思っているのに、何故そこまで拒みます?」 「例えどれだけ辛くて苦しくても、私はそれに逃げている場合じゃないの!」 「ほう、この催しに優勝してその褒美で皆を三途から蘇らせると……」 「違うわ!」 アクマロに反抗するかのように首を大きく振りながら、キュアサンシャインは腹の底から叫びながら再び疾走した。 「私はこの世界を照らす太陽となってみんなを助けなければいかないから、絶対に諦めたりはしない!」 目前にまで近づいたことでアクマロの剣が振り下ろされるが体制を少し右にずらすことで避けて、握り締めた拳を撃ち出す。だがアクマロは横に飛んでその一撃を軽く回避した。 その姿は視界から消えるが、別にいなくなったわけではない。瞬時に振り向きながら回し蹴りを繰り出して、アクマロの持つ剣を弾き飛ばす。 空中で数回転した後に音を立てて突き刺さるそれに目を向けず、素早く拳を叩き込もうとしたが、直後にアクマロの左手がキュアサンシャインの首を掴んだ。 「太陽風情が我ら外道を照らすなどとは、何と愚か極まりない思い上がり! 片腹痛いにも程がある!」 そのまま締め付けられると思ったが、アクマロの瞳からより強い殺意が放たれる。予想外の状況に目を見開いた矢先、キュアサンシャインの全身に稲妻が襲いかかった。 「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 シンケンブルーを苦しめた技によって、今度はキュアサンシャインが凄まじい絶叫をあげる。 激痛によって視界がはっきりせず、意識が飛びそうになるが必死に耐えた。しかしそれが精一杯で、まともに抵抗することができない。 苦悶の表情を浮かべた後、その身体は投げ飛ばされて数秒ほど地面を転がる。それでも彼女は顔を上げて、アクマロを睨み付けた。 「実にいい、実に良いですね……輝きに満ちたその面持ち。それでこそ、踏みにじり甲斐があります」 しかし返ってくるのは舐め回すような吐き気を催す視線と、地の底から響くような冷たい声だけ。 「決めました。あんたさん達の希望とやらを我がじっくりと崩してあげましょう。このまま地獄に落とすのも悪くないですが、それでは些か趣に欠けます……どうか、長く保ってくださいね?」 ◆ 何度殴られても立ち上がり、何度蹴られても起きあがる。その度に反撃しようとするが、どれもまともに通らなかった。 アインハルトの奥義を受け止めるほどの力を持つノーザがいる上に、ディバイン・バスターの反動で動きにキレが欠けていてもまだ戦えるスバルも加わっていた。特にスバルは時間の経過と共に体力が元に戻っていくようにも見える。 一号は装甲に守られた胴体を蹴られて後退した途端、スバルの手から放たれた黒い魔力の球が胸部に激突した。 「があっ!」 仮面の下から漏れる悲鳴は爆発音に飲み込まれ、スーツに守られた肉体から大量の血が流れていく。いくらショッカーの技術を結集して生まれた改造人間とはいえ、この戦いで負ったダメージがあまりにも深すぎた。加えて、ノーザもスバルもアクマロも皆、並のBADANの怪人を凌駕する実力者だから、自然に追い込まれていくのは当然の結果。 それでも一号の闘志は微塵も揺らぐことはなく、痛む身体に鞭を打って蹌踉めきながらも立ち上がる。しかしいつ崩れてもおかしくない。 「一号……大丈夫ですか?」 そしてそんな彼の肩を支えたのは、キュアサンシャインだった。 彼女も一号と同じでボロボロになっていて、表情からは酷く疲れ果てた雰囲気が感じられる。多分、変身を維持するのがやっとでとても戦えない身体かもしれないがそれにも関わらずして、僅かに涙を滲ませる瞳からは未だに太陽のような輝きを放っていた。 「ああ、大丈夫だ……!」 だから一号も彼女に負けないように立ち上がる。 キュアサンシャインも本当は仲間を立て続けに失ったことで辛いはずなのに、それを表に出そうとしない。恐らく、自分やアインハルトを守るという願いがその身体を動かしているのだ。そんな彼女の思いに答えたいが、その為の方法がまるで思い浮かばない。 もう、自分達は負けていた。認めるのは絶対に嫌だったが、もう誰がどう見てもそう判断せざるを得ない状況だった。 「お遊びはもう終わりよ」 そして残酷な現実を突き付けるかのようにノーザは笑いながら近づいてくる。その左に立つアクマロの顔は全く動かないが嘲弄しているのは確実で、ノーザの右に立つスバルは無表情を貫いたまま。 「これ以上いたぶったところで、どうやら変わることはないようですな……まあ、余興にはなりましたな」 「余興だと……!?」 「ええ、あんたさんに残された役割は大人しく地獄に堕ちる……下手に悪あがきをせぬ方が、苦しみませぬぞ?」 殺された者達の死を嘲笑うアクマロに一号が怒りを覚えるが、憤怒の視線を向けるしかできない。それしかできずに何も変えられない自分自身が情けなかった。 ここで二人を守るために戦ってもすぐに負けて三人とも殺されるだけだし、逃げだそうにも逃げられるわけがない。今の自分は仮面ライダーなどではなく、ただ殺されるのを待つしかない弱者。 「例えどれだけ追い込まれようとも、俺達はキサマらのような悪には絶対に屈したりしない!」 しかしだからといって、一号が悪に屈する理由にはならなかった。 例えどれだけ絶望的な状況でも、それをしては散っていった者達に報いることはできないし、まだどこかにいるはずの仮面ライダーに合わせる顔がない。 だからこそ、一号は反逆の意志を言葉にして突き付けた。 「そうよ……私だって、例えどんなことがあろうとも絶望したりしない! 最後まで、戦ってみせる……! 仮面ライダーもプリキュアも、それは変わらないわ……!」 そしてキュアサンシャインもまた、息も絶え絶えになりながらも言葉を紡いでいる。ダメージによって揺れる身体を支え、必死に睨んでいた。 そんな力強い姿を見て、まさに世界全てを照らす太陽のようだと一号は思う。だからこそ彼女のような希望を潰さないためにも、最後まで戦わなければならなかった。 一号とキュアサンシャインは同時に構えるが、ノーザ達は特に何も答えずに足を進めている。まるで、お前達にはもう何の興味もないとでも言うかのように。 両者の間で距離が縮む中、一号はひたすら睨み続けている時だった。 突如、どこからともなくバイクのエンジン音が響いてくる。それは力強さと同時に、まるで強い風が吹きつけるかのような鋭さも感じられた。 そして一号はそのエンジン音をよく知っていた。 「何……?」 幻聴かと疑ったが、時間の経過と共にエンジン音はどんどん強くなっていく。ノーザ達もそれに気付いたのか、後ろを振り向いた。 一方で何者かが接近していると察した一号は改造人間の優れた視力で音源である西を凝視すると、一瞬で見つける。 ここから数キロメートルほど離れた先から、白とワインレッドの二色に彩られたバイクが近づいていた。それは一文字隼人を助けるためにショッカーのアジトへ乗り込んだ際に見つけたバイク、サイクロン号。そしてそのマシンに乗っているのは一号もよく知る仮面ライダーの一人だった。 スズメバチのような仮面は銀色に輝き、瞳とマフラーは炎のように赤く燃え上がっている。人類が生きる未来のために誕生した惑星開発用改造人間の力を、ドグマ王国を打倒するために使った男が変身する仮面ライダーが近づいていた。 「沖……いや、仮面ライダースーパー1かっ!?」 一号の疑問に答えるのはサイクロン号のエンジン音だけ。 今、誰も予想しなかった史上最大のイレギュラーにして、最後の乱入者がこの戦場に現れた。 その男の名は沖一也。またの名を、仮面ライダースーパー1。 ◆ 仮面ライダースーパー1に変身した沖一也はハンドルを握り締めると、機械仕掛けの竜巻は凄まじい唸り声をあげる。秘密結社ショッカーが生み出したエンジン音は、自然に発生するどんな風よりも凄まじくて、どんな頑丈な建築物でも吹き飛ばしかねなかった。 あの加頭順が何故、仮面ライダー一号が利用していたマシンをわざわざ自分達の近くに配置したのかが気になるが、今はそれを気にしている場合ではない。例え何らかの罠だとしても、恐れていては何も始まらなかった。 一文字隼人と別れてからホテルを目指して走っていたら、目的地の近くでいきなり巨大な闇が生じる。これには流石のスーパー1も驚いたが、それからすぐに一号が二人の少女を守りながら戦っているのを見つけた。 敵は三人。敵は魔女が着るようなローブを纏った大柄の女。ドグマやドーパントのような剣を構える怪人。全身より植物の根っこのような触手が生えて、瞳が金色に染まっている青髪の少女。 皆、只者ではない雰囲気を放っていたが、それを真っ向から受けたスーパー1は怯むどころか闘志を漲らせていた。 「スーパー1……ですと? 今更一人増えたところで、何が変わるというのですかな!?」 怪人はこちらを侮蔑するような声と共に左手を突き出して、そこから大量の稲妻を発する。しかしスーパー1はサイクロン号のハンドルをより強く捻ってマシンを加速させながら、横に曲がって回避した。 それだけで終わらず雷は次々と襲いかかるが、彼は決して焦っていない。サイクロン号の凄まじいスペックとそれを巧みに操るスーパー1の運転技術さえあれば、例え自然現象が相手でも回避は充分に可能だった。 「チェ――ンジ! 冷熱ハンド! 超高温火炎!」 そしてハンドルを操る両腕に力を込めながら叫ぶ。すると、二本の腕が音を立てながら緑色に変わっていった。標準装備のスーパーハンドから、冷熱ハンドへと。 そのまま右腕の熱ハンドを怪人に向けると、轟音と共に灼熱が発せられた。冷たい空気を焼きながら怪人の肉体を飲み込んで、ほんの一瞬で火達磨にする。 「グアアアアアアアアアァァァァァァァァッ!?」 怪人の絶叫が耳を劈くのをお構いなしに火炎は徐々に広がるが、後の二人には避けられてしまった。しかしスーパー1にとっては丁度いい。 超高温火炎を振り払おうと足掻く怪人を余所にサイクロン号を走らせて、一号達の目前で止まる。そのままマシンから降りて、一号の元に駆け寄った。 「大丈夫ですか、先輩!?」 「沖……来てくれたのか」 隼人に続いてまた一人先輩と巡り会えたが、あの時と違ってとても喜ぶことはできない。一号の装甲は所々が砕け散っていて、スーツの下から血が滲み出ている。声からも疲労の色が濃く感じられて、満身創痍なのは明らかだった。 加えて、エリアの大半を吹き飛ばす程の暗闇が発せられたからには、この場で凄まじい惨劇があったのかもしれない。サイクロン号に乗りながら間に合わなかったのが、スーパー1は悔しかった。 「……申し訳ありません、俺が遅れたせいで」 「いや、お前が現れただけでも心強い。助かったぞ」 それでも一号はこちらを責めず、それどころか励ましてくれている。その優しさが重く感じるが、今はそれを受け止めなければならなかった。 「沖、状況を簡単に説明する。スバル・ナカジマというあの青い髪の少女は今、ノーザという女とアクマロという怪人によって洗脳されている」 「洗脳ですって!?」 「ああ……本当は心優しい少女だったはずだが、奴らはその思いを踏みにじった。彼女だけは絶対に傷つけるな」 「わかりました」 一号に頷いたスーパー1は、そのまま金髪のツインテールが特徴的の少女に振り向く。その衣服はやけに派手な上に露出が多く、今時の女の子はこんなのも着るのかと思ってしまった。 しかしこんな状況で一号の隣に立っているし、その見た目からは想像できないほどに凄みも感じられる。恐らく、自分と同じで何らかの武術を嗜んでいるかもしれない。 自分が遅れたせいで名も知らぬ少女を傷つけることになってしまったのが、悔しかった。 「後は俺に任せて、君は先輩達と一緒に少しでもここから離れてくれないか」 「仮面ライダースーパー1……一人で戦うなんて危険すぎます!」 「ありがとう、その気持ちだけでも俺は嬉しいよ」 だからこれ以上、彼女が持つ太陽のような優しさと勇気を決して潰してはならない。その決意を胸にスーパー1は前を向いた。 怪人、アクマロに浴びせた超高温火炎は既に消えているが、その巨体に確かな焼け跡が残っている。一方でノーザはそれをまるで構いもせずに、憤怒の目線をこちらに向けていた。 「仮面ライダースーパー1……どこの誰かは知らないけど、勝手なことをしてくれるじゃない」 その口ぶりからは苦しんでいるアクマロを気遣う様子は微塵も感じられない。アクマロは同情の余地など欠片もない相手だが、それでもノーザにとっては仲間のはず。しかし実際はただの捨て駒にしか思ってないかもしれない。 やはりノーザはドグマ達と同じで、ここで倒さなければならない奴だった。 (優しい人間を操って、人殺しの片棒を担がせるだと……ふざけるな!) そしてスーパー1の仮面を通じてスバル・ナカジマという少女を見て、怒りが更に燃え上がる。彼女がどんな人物なのかは知らないが、一号達は必死に助け出そうとしていた。 だからこそ、自分が彼らの思いを受け取って戦わなければならない。その決意を胸に固めたスーパー1は拳を握り締め、勢いよく走り出した。 「全ては……ノーザ様の為にっ!」 そしてスバルの背中から大量の触手が飛び出してきて、音を立ててしなりながらスーパー1に襲い掛かる。その数は十を軽く超えていて、まともに避けようとしても出来ることではない。 だからこそ迫りくる触手に、スーパー1は左腕を真っ直ぐに向けた。 「冷凍ガス!」 暗黒騎士キバの動きを止めた超低温の白いガスが勢いよく噴出される。しかしスーパー1は流れを上手く調整させて、触手と両足のブーツを凍らせて動きを止めるだけに留めた。 本当なら善人にこんなことをするなんて言語道断だが、これ以上誰かを傷つけさせたくもない。後で責められる覚悟ならもうできている。 金色の瞳が驚愕に染まらせるスバルは足掻くが、その程度で解放される代物ではない。そんな彼女を見て後ろめたさを感じてしまい、心の中でごめんと謝る。 それからノーザの方に振り向くと、冷酷な表情が更に怒りで歪んでいるのを見た。相当頭にきているのだろうが、それはスーパー1も同じ。 「おのれ……!」 「次はお前達だ」 スーパー1は静かだが、それでいて烈火のように怒りを滾らせていた。徐々に感情が抑えられなくなっているノーザとは対照的に。 恐らく、ノーザを叩きさえすればスバルも元に戻るかもしれない。そう考えたスーパー1は両腕をスーパーハンドに戻した頃、アクマロがゆっくりと進んでくるのを見た。 「スーパー1……我々を虚仮にするとはいい度胸ですな。その報い、受けていただきますよ!」 アクマロは声を震わせながらその手に持つ剣を振りかざして斬り掛かるが、スーパー1は左腕で刃を受け止める。乾いた金属音が響くのと同時に、黒く焦げた胸部を勢いよく蹴りつけた。衝撃によって嗚咽を漏らしながらアクマロが仰け反った隙を突いて、スーパー1は連続で拳を叩きつける。 アクマロが吹き飛ぶ姿を見届けることもせずに、スーパー1はノーザがいる横に振り向いた。彼女はアクマロと戦っている隙を突いて攻撃しようと考えていたのか、その細い腕を掲げている。 振り下ろされるそれを避けながら、スーパー1は腕に力を集中させて叫んだ。 「チェンジ! パワーハンド!」 彼の言葉に答えるかのようにスーパーハンドは銀から真紅へ染まり、パワーハンドに変化した。 そのまま腰を深く落としながら拳を握り締め、こちらに再度振り向いたノーザの胴体を仮面の下から凝視する。そしてスーパー1は渾身の力を振り絞り、赤い拳に込められた1万メガトンもの破壊力をノーザに叩きこんだ。 「メガトンパンチッ!」 ゴキリ、と何かが砕け散るような鈍い音がノーザの肉体より響く。 スーパー1の拳を受けたノーザは声にもならない絶叫をあげて、衝撃のあまりに両目を見開きながら吹き飛んだ。 多彩な能力を持つファイブハンドの中でも最大級の破壊力を誇るパワーハンドによるメガトンパンチを持ってしても、ノーザの肉体は貫けない。その事実にスーパー1は若干の戦慄を感じるが、それでも確実なダメージを与えられた。 後はこの手でトドメを刺すだけ。これ以上戦いを長引かせても、ノーザ達は何か善からぬことをするかもしれない。その可能性を危惧したスーパー1は前を踏み出そうとした、その直後だった。 「ガアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!」 背後から突然、獰猛な恐竜のように凄まじい叫び声が鼓膜を刺激する。 スーパー1は思わず背後を振り向くと、先程冷凍ガスで動きを拘束させたはずのスバルの肉体からどす黒いオーラが発せられて、殺意の波動が更に強くなっていく。 そして両足と触手を凍らせていたはずのガスは溶けてなくなって、咆吼するスバルは突貫してきた。 「何ッ!?」 予想外の出来事にスーパー1は思わず両腕を交差させてスバルの拳を受け止めるが、その衝撃によって後退ってしまう。その僅かな隙を付いて複数の触手が飛び出してきて、そのままスーパー1に襲いかかった。 しかしスーパー1は決して焦らず、両腕をスーパーハンドに戻しながら両手で構えを取る。まるで、全てを優しく包み込む梅の花のように。 「赤心少林拳……梅花の型!」 かつてドグマの怪人ギョトスマに敗れた際に玄海老師から修行を受け、会得した拳法でスーパー1は触手を弾く。荒々しい闘いの中にあってなおも花の可憐さを愛おしむ心を持って、全ての攻撃を確実に防いでいた。 しかしそれでも両腕に痛みが走っていて、このままではいつ打ち破られてもおかしくない。触手の一本一本の重さが、あまりにも凄まじかった。 だがスーパー1はひたすら梅花の型を構えて触手を弾くが、そうしている間にもスバルはどんどん迫ってきていて、スーパー1の脇腹を殴りつける。 「うぐっ!」 触手の群れを弾くのに精一杯だったスーパー1は鋼の拳を避けることができずに、呻き声と共によろめいてしまった。そして梅花の型も崩れたところに触手が銀色の肉体を叩いてくる。 立て続けに痛みが走るものの、スーパー1は必死に耐えた。ここで少しでも崩れたりしたら、その瞬間にノーザ達の思い通りになってしまう。 スーパー1は攻撃の嵐を避けるために、一旦距離を取った。 (まずいな……まさかここまでの相手だったとは) 黄金色の視線を真っ向から受けながらスーパー1は考える。 簡単に止められるとは思っていなかったが、想像を遥かに超えていた。可能なら傷つけたくなかったが、本気を出して戦わなければ逆にこちらがやられてしまう。どちらを取っても、最悪の結果に繋がるだけだった。 しかし悩んでいる暇はない。今は一号達が逃げる時間を少しでも稼ぐためにも戦わなければならないと、スーパー1は悩みを振り払って拳を握り締めた時だった。 「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 視界の外からこれまで全く予想していなかった、一号の叫び声が発せられてくる。それに気づいたスーパー1が振り向く暇もなく、後ろから現れた一号は迫り来るスバルにしがみついた。 「本郷さん、何を――!?」 「ここは俺に任せて、沖は一刻も早く二人を連れてここから離れろ!」 スーパー1に振り向きながら叫んだ一号を、スバルはすぐに振り払って勢いよく殴りつける。一号の仮面から吐血したような濁った音が聞こえるが、当の本人はそれに構わず握り拳を振るった。 だがスバルはそれを呆気なく避けた後に、亀裂の走った装甲を蹴って砕いた。 すぐに助けなければと思いながらスーパー1は前を進もうとするが、その途端に一号は振り向きながら立ち上がった。 「沖、早くここから逃げろと言っているだろう! モタモタするな!」 「何を言ってるんですか!? あなたを見捨てるなんて……!」 「このまま戦いを長引かせては、お前が守ろうとした彼女達が殺されてしまう!」 「待ってください、一号!」 一号の怒鳴り声にスーパー1は反論しようとしたが、次に聞こえてきたのは後ろにいる金髪の少女の声だった。 「私はまだ戦えます……だからあなた一人で無茶をしないで!」 「いや、ここで君がこれ以上無理をしたら永遠にスバルを助けられなくなる! だからここは逃げるんだ!」 「でも……!」 「沖、今言ったようにあの二人はスバルを救う重要な鍵になる! だから、決して死なせるな!」 少女の言葉を無視しながら、一号はスバルの攻撃を必死に避け続けている。口元に血が溜まっているのか、その声は普段より酷く濁って聞こえた。 「早く行け、沖一也……これ以上、この殺し合いの犠牲者を増やすな! 俺達の、全ての命を守るという仮面ライダーの願いを叶えるためにも……お前は行ってくれ! 仮面ライダースーパー1!」 「……わかりました!」 苦しげな叫びに対する悲痛に満ちたスーパー1の答えは、それ以外に何もない。 彼はすぐさま後ろに振り向いて、瞬時に少女達の元に辿り着いた。一号の悲鳴やノーザやアクマロの怒声、更に殴打音が次々と聞こえてくるが、スーパー1は決して振り向かない。 「スーパー1、私よりも早く一号を……!」 「俺にしっかり掴まってくれ!」 金髪の少女がその続きを言う前に、その華奢な身体を腕で抱える。そのまま走りながら、横たわるもう一人の少女とトラのぬいぐるみ、更に彼女達の物と思われる二つのデイバッグもしっかりと持った。 サイクロン号を確保する暇はないので、両足に全力を込めて少しでもエリアから離れようと駆ける。途中、アクマロの雷が鳴り響くような音が聞こえるが、スーパー1はその脚力ですぐに範囲から離れた。 一号を見殺しにした。その事実はスーパー1に重く圧し掛かるが、彼はそれに決して潰れなかった。 ここで少しでも後悔して逃げるのが遅れては、一号の思いを侮辱することになる。彼から全てを託されたからには、この二人を命に代えても守らなければならなかった。それこそが仮面ライダーの存在意義で、一号が言うように戦いを長引かせては全滅する可能性もあったから、この選択は正しいのかもしれない。 だが、それが逃げ出していい理由にはならない。本当なら一号も助けなければならないのに、自分が無力だったせいで彼を切り捨てることになってしまった。 それでも、折れることは決して許されない。罪のない人々を救うための戦士である仮面ライダーが悩んだりしては、誰がこの殺し合いを打ち破るのか。 その為にもスーパー1は走る。これ以上、守れたはずの誰かが守れないなんてあってはならなかった。 ◆ 仮面ライダー一号はひたすらスバルの攻撃を捌き続けているが、傷ついた肉体では限界がある。もうまともに動くことすらできなかった。 傷口を抉るように叩き込まれた拳によって装甲が砕け散り、血の混ざった破片が地面に散らばっていく。そのまま、一号は力なく地面に倒れていった。 「行って、くれたか……」 それでも、彼は決して絶望していない。 キュアサンシャインとアインハルト、それにアスティオンを連れたスーパー1がこの場から見えなくなっていたので、仮面の下で本郷猛は思わず安堵の言葉を漏らす。 沖一也には辛い決断を強いてしまったと、今更ながら後悔の思いが生まれる。もしも自分が一也の立場だったらと思うと、胸の奥が痛んだ。 しかしこの状況で未来ある少女達を救うためにはこれ以外に方法がない。重症を負った自分が生贄となって、優れた能力をたくさん持つ頼れる後輩に全てを託せば可能性があった。 それに一也が生きてさえいれば、悪意に囚われた目前の少女を救う希望も死なない。彼ならばこの狂った戦いを止めることもできるはずだった。 「よくも、好き放題やってくれたわね」 最後に希望を残せたことで心が軽くなった途端、ノーザが胴体を押さえながらよろよろと歩いてくる。 本当ならこの場でノーザを倒したかったが、それをやるだけの力すら残っていなかった。 「仮面ライダー一号……もうあんたはここで終わりよ。あんたの希望も、今ここで闇に変えてあげるわ」 「残念だが、それは不可能だ……」 「何ですって……?」 おぞましい雰囲気を放つ魔女の顔が怒りで歪むが、一号はそれに構わずに言葉を続ける。 「例え俺が死んでも、俺の理想を継ぐ彼らが生きている限り……時代はお前達のような悪を決して許しはしない。お前達や、加頭達の陰謀は何一つ成し遂げられん……それにスバルも、いつかきっと闇から抜け出せる。俺達が一人でもいる限り、この世界が絶望に染まることは決してありえない……!」 時代が望む限り、仮面ライダーは必ず蘇る。 この肉体がいくら滅びようとも、この意思を継ぐものが一人でもいる限り魂は不滅だった。BADANや加頭順、それにノーザ達のような悪魔が笑う時代など永遠に来ない。 全ての世界から正義の意思が消えることは決してなかった。 「どこまでも目障りな……ノーザさん、この男の始末は我が付けて宜しいでしょうか? 腸が煮えくり返って、仕方がありませんので」 「……好きにしなさい」 「お心遣い、感謝いたします……!」 そして筋殻アクマロがその手に持つ刀を構えながら進んでくるのを見て、一号は自分の最後を確信する。 しかしそれでも恐怖はなかった。代わりに心残りやまどか達を助けられなかった悔いは残っているものの、罵りはあの世で受ければいい。尤も、自分なんかが彼らと同じ場所に逝けるかどうかは疑問だが。 (一文字、結城……お前達は生きて、この殺し合いを打ち破ってみんなを助けてくれ。そして村雨、どうか復讐に身を任せずに生きるんだ……) 一号は……否、猛は相棒と後輩達の無事を願う。そして村雨良が仮面ライダーとして生きて、この殺し合いを打破する者達の力になってくれると信じた。 良は復讐に身を任せていたが、心の奥底には優しさがある。だからこそ、BADANの怪人達から人々を守ったのだ。 アクマロの剣が頭上に掲げられるが、猛はそれに構わずに全てを託した九番目の後輩に激励を送った。 (すまない、沖一也……そして後は頼んだぞ、仮面ライダースーパー1。お前はこの殺し合いを打ち破る鍵を握っている男だからな……) その男は絶体絶命の状況を打ち破ってくれた最後の希望。 彼が来てくれたからこそ、いつきとアインハルトを救うことができた。だから、多くの悲劇を生むこんな地獄を絶対に破壊してくれるはず。 そう考えただけでも、本郷猛は安心してこの世を去ることができた。 やがて砕け散った装甲に削身断頭笏が突き刺さり、男の肉体を簡単に貫く。 一瞬だけ全身に激痛を感じるが、それでも気が楽になれた。全ての人々を救うという消えない思いだけは、この世界に残せている。 それが男にとって唯一にして最後の救い。ショッカーによって仮面ライダー一号にされてから数え切れない地獄を見せられて、数多の嘆きと絶望を味わってしまった本郷猛の希望は、決して消えなかった。 時系列順で読む Back 変身超人大戦・イナクナリナサイNext 変身超人大戦・そして―――― 投下順で読む Back 変身超人大戦・イナクナリナサイNext 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 本郷猛 Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 沖一也 Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 明堂院いつき Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ ノーザ Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 高町なのは Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ スバル・ナカジマ Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ アインハルト・ストラトス Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 鹿目まどか Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ ズ・ゴオマ・グ Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 池波流ノ介 Next 変身超人大戦・そして―――― Back 変身超人大戦・イナクナリナサイ 筋殻アクマロ Next 変身超人大戦・そして――――
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変身─ファイナルミッション─(8) ◆gry038wOvE ──……ここは? ──ここは、どこだ……? ──俺は……俺は、一体、どこにいるんだ……? ──そうか……ここは…… ──ここは、……宇宙か…… ──この俺が、かつて守ろうとした宇宙…… ──いや……違うか…… ──俺が、滅ぼそうとした宇宙だ…… ──だが、俺は……何故、ここに、こうして…… ◆ 「──くっ……こんな所まで飛ばしやがって……」 ウルトラマンノアとシャイニングウルトラマンゼロの二人の戦士の光線を同時に受けたベリアルは、最後まで自らの光線のエネルギーを緩めなかった。 結果、カイザーベリアルは、あの島を──そして、星を離れ、空から星を見下ろす宇宙まで飛ばされていたのだ。 一面が真っ暗な闇で、そこはあまりにも孤独に満ち溢れていた。 あの星以外には、どこにも生命などない……。 そして、ただ一つ生命があるあの星の命もまた、カイザーベリアルは滅ぼそうとしているのだ。 ──だが、それで良い。 ベリアルより才に満ち溢れ、幸せに恵まれたケンやゼロ──邪魔な物は全て消え去り、ベリアルはこの全宇宙で最強の存在となる。 「フフフフフフ……フッハッハッハッハッハッハ!!!!!!!」 宇宙から見下ろせば、あの星に浮かぶ小さな島など豆粒同然である。これまでの長い殺し合いも、最早、全宇宙の中のちっぽけな死に過ぎない。 その上にいるシャイニングウルトラマンゼロとウルトラマンノアの輝きだけが、どこか美しく地上にあった。 宇宙から地上を見下ろして「星」が輝いているというのは、なかなか面白い逆転現象であった。 ……それは、ベリアルの視力だからこそ、辛うじて見える物でったが。 ベリアルは、満月を背にしながら、それを、笑いながら見下ろしていた。 ──俺様の勝ちだ。 ベリアルは、この時、そう思っていた。 確かに、二人のウルトラマンの光線はあまりに強く、地上から吹き飛ばされ、こんな所まで来てしまった。その意味では、地上でのせめぎ合いは敗北と言って良く、今のままベリアルが戦っても勝ち目はなかっただろう。 しかし、エネルギー合戦での敗北──それは、却って幸いだったのだ。 「だが……ノア、ゼロ……俺様をここまで飛ばしてくれてありがとよ……!!」 この宇宙には、確かに生命はない。 だが、──死んだ者の魂がある「怪獣墓場」が存在する事もあり、斃された邪悪の魂が行きつく先は常に宇宙であった。 怪獣として宇宙を漂う、敗者。 この場において、その邪悪なる魂がひときわ強く、そして、何より、そんな怪獣たちと同じ世界で生きてきた戦士の邪悪な霊が居るとすれば──そう。 そこには、彼の邪心が残っていた──! 「────ダークザギッ!! ここで敗れたお前の力、借りるぜ!!」 ここは、ダークザギの魂が浮遊している場所だったのである──! 宇宙の果て、こんな場所にダークザギの怨念が残っているとは、ベリアルにとっても嬉しい誤算、そして最高の奇跡である。 かつて、ペリュドラとして怪獣たちの怨念と同化したベリアルにとっては、怪獣との同化が齎すパワーアップも充分に心得られている。 ゼロとノア──たとえ、あの二人のウルトラマンであっても、ダークザギとカイザーベリアルが融合した戦士には敵うまい。 カイザーベリアルは、その身にダークザギの怨念を取り込もうとする。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!!」 叫びあげ、全身にダークザギの怨念を取り込んでいったベリアル。 その身体は少しずつ変質し、ベリアルらしい形を失っていった──しかし。 実際の所、試みは、ほぼ成功と言えた。 ダークザギの怨念は、ダークファウストやダークメフィスト、それから、この殺し合い以前に信じ行くに出現したビースト・ザ・ワンの力さえも加えて、カイザーベリアルの鎧へと変じ、変わった。 エネルギーをかなり消耗したはずだったカイザーベリアルの身体は、再びエネルギーをその身に宿し、自らの名を高らかに叫んだ。 「──そう、これが……」 最後の変身を遂げたカイザーベリアルが叫ぶ、その名は── 「──ダークルシフェルだ!!!!」 ダークルシフェル。 それは、未だドキュメントにない幻の怪物の名であった。 禍々しい黒の怪物に、浮きでた血管のような赤いラインが迸った、伝説のスペースビースト──それがルシフェル。だが、その能力は元々、ダークザギよりも遥かに高いと言われていた。 その両肩から巨大な羽根を生やすと、再び、あの星へとダークルシフェル──カイザーベリアルは降り立とうとする。 その速度は、ベリアルのこれまでの物から格段に挙がっている。 「ゼロ……それに、ガイアセイバーズ……!! 今度こそ貴様らの最後の時だ!!」 ◆ 「ダークルシフェル……だと!?」 ウルトラマンゼロが、空を見上げながら驚愕した。 これまで、あらゆる宇宙でまだその名前こそ確認されていたものの、絶対に姿を現さなかった怪物──それが、ダークルシフェル。 既にこの世界にはルシフェルは存在しえないとさえ思われていた。 だが、最強のウルティメイト・ダークザギと最強のダークウルトラマン・カイザーベリアルが融合する事によって、ルシフェルが再臨しようとしているのである。 それはまさしく、悪夢の出来事であった。 「──大丈夫だ」 だが、ふと、ノアの中で、誰かが声にして言った。 「敵がどんなに強くても、決して僕達は諦めない!!」 それは、孤門一輝である。 彼は、島に降り立とうとする怪物を強固な瞳でにらみつけ、迎え打とうとしている。 それは決して、敵の強さを甘く見ているからではない。 「ああ、やってやる──アイツがどこまで強くなろうと、最後に俺達が笑ってやる!!」 響良牙も。 「むしろ、相手が強いなら、こっちも強くなるだけだから!!」 高町ヴィヴィオも。 「アイツを倒して、俺も絶対決め台詞を言ってやるぜ!!」 涼村暁も。 「最後まで人間を守り抜くのが、俺たちの使命だ!!」 涼邑零も。 「世界に新しい記憶を刻んでいく僕達を、誰も止める事なんてできない!!」 フィリップも。 「そう、希望が私たちにある限り、私たちは負けない!!」 蒼乃美希も。 「私たちはこの戦いを変えるんです!!」 花咲つぼみも。 「私たちが正しいと思う未来の為に……!!」 レイジングハート・エクセリオンも。 「人間の、全ての生き物たちの、自由と平和の為に……俺たちはお前を倒す!!」 左翔太郎も。 「──見てな、最高に変わってるだろ……あたしたち!!」 佐倉杏子も。 ここにいる誰もが、これから戦うべき相手に、恐れもせず、怯みもしない。 ウルトラマンゼロは、そんな人々の姿をじっと眺めていた。 彼自身の決意もまた、ダークルシフェルを前に怯む事はなかったが、それでも──そんな人々の姿を、ゼロはいつまでも見たいと思った。 そして、彼は決意する。 「──ああ、そう来なくっちゃな!! 俺も最後まで、お前たちと一緒に戦うぜ!!」 そう、彼らと共に戦う事をだ。 ウルトラマンゼロが、小さな光の球となり、ガイアセイバーズ・ノアのエナジーコアへと場所を移した。 ウルトラマン同士が融合する──その経験は、かつて一度、ハイパーゼットンとの戦いでも試みた事であった。 「──よっしゃ、いくぜ!!」 しかし、ノアの姿は全く、変わらない。 それだけのノアの力が絶大であるという事でもあり、それは既にガイアセイバーズという戦士の総体としての姿であるという事でもあった。 ゼロもそれを受け入れた。 シャイニングウルトラマンゼロを取りこんだノアは、更にその力を増す──これまでに見た事のない未知の力の戦士へと、“変わる”。 ◆ ダークルシフェルは、その羽根を広げながら、地上に降り立った。 それは、さながら堕天使が空から降りてくるようだった。 それと同時に、空は深い闇に包まれ、先ほどまでの白夜の空は、まるで消え去ってしまったかのようだった。 「キシャァァァァァァァァァァァァァァウーーーーーーッ」 ホラーのような怪物にも似ていた。 しかし、その中からカイザーベリアルの意識が消えているというわけではない。 確実にカイザーベリアルの意思を持ちながら、絶大な力が自らの中にある確信を持って、ガイアセイバーズ・ノアと戦おうとする怪物だった。 羽根を地上で大きく広げる──その姿を見て、ノアも構える。 「──みんな……僕たちも、変身するんだ!!」 フィリップが叫んだ。 全員が、フィリップの声に納得して、無言で頷き、ダークルシフェルとの戦いを始めようとしていた。 「──ハアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」 再び、グリッダー化した時のように、ノアの身体は金色の光を放っていく。 これ以上光り輝く事などないはずのノアは、それでも尚、自らの姿を進化させようと──いや。 その全身を丸ごと包んだ金色の光の中で、ノアは──想いを通じて別の戦士へと“変身”しようとしていた。 そして、その光が次の瞬間、脱皮するようにして一瞬で解き放たれていく。 「ハァッ!! ──」 ──そこにあった姿は。 「仮面ライダー──!!」 仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム! かつて、風都タワーにて、世界中の人間を全て死者兵士ネクロオーバーへと変えようとした仮面ライダーエターナルとの決戦の際、初めて仮面ライダーダブルが変身した金色の姿であった。 ノアはここで戦う全てのデュナミストたちの想いを全て受け入れ、その姿に変身を果たしたのである。 ノアイージスは、風車のような六つの羽根へと姿を変え、ノアの中にいる左翔太郎とフィリップがその指先をカイザールシフェルへと向ける。 「仮面ライダー……だと!?」 巨大な一筋の風が吹き、ノアを攻撃しようと歩み出たルシフェルの身体を止めた。 「悪の化身、カイザーベリアル、いや……ダークルシフェル!!」 「僕達は、最後までお前と戦う……!!」 ────さあ、お前の罪を数えろ!!!!!!!!!!! ダークルシフェルとさえも並ぶ巨体でそう叫んだノア・ダブル。 巨体でウルトラマンのように構え、ルシフェルとの戦闘を続けようとするノア・ダブルの姿に、ルシフェルもまた驚きを隠せずにいた。 高い声で鳴くような雄叫びを上げた。 ウルトラマンノアの能力や奇跡は幾つも聞いているが、しかし、まさかその姿を仮面ライダーに変える事まで出来るとは──。 しかし、そんな事でルシフェルの戦意は微塵も削がれない。 「──フンッ、戦いの勝者には、罪なんてねえんだよッッッ!!!」 ルシフェルは、その両翼で風を払い、敢然とノア・ダブルに向かっていった。 地面が揺れ、怪獣と化したベリアルが襲い掛かって来る。 その拳が固く握られている──。 「なら来いよっ! 罪を罪と思わない奴らは、俺たちが罰を与える!」 ノア・ダブルもまた、真っ向から攻撃を仕掛けてくるルシフェルに向かって身体を揺らして駆け出し、その右拳を固く握った。 共に、敵を打擲しようと、立ち向かうノア・ダブルとルシフェル。 その距離がゼロに縮まった時──ノア・ダブルの右拳が、ルシフェルの拳よりも先に、敵の胸元へと叩きつけられた。 「グアッ……!!」 クロスカウンターとなりかけたルシフェルの右拳がノア・ダブルへと届く前に、ノア・ダブルの右拳の膨大なエネルギーがルシフェルを数百メートル吹き飛ばす。 空を泳いだルシフェルの身体は、そのまま地面に叩きつけられる。 「何ッッ……!!」 一瞬の攻防であった。 ダークルシフェルは地面を泳ぐようにして再び身体を立て直すが、そんなダークルシフェルの前には、既にノアが距離を縮めている。 ──ノアは、既にダブルから別の姿へと変身していた。 「ハァァァァッ!!」 『五代、一条──……力を借りる! みんなの笑顔を守る為に──!!』 それは、仮面ライダークウガ ライジングアルティメットフォームである。 記録上では五代雄介が一度も変身していないが──しかし、アマダムが再現できる仮面ライダークウガの限界の姿。 かつて、ン・ダグバ・ゼバとの決戦で涙を流した五代のように──この暴力に涙を流したのは誰だっただろうか。 優勢であれ、誰かは心の中で涙を流しながら、ダークルシフェルに一撃を叩きつけた。 「おおりゃあああああああッッッ!!!!」 ルシフェルは耐える。 今度は先ほどのように、こちらが強い勢いを出していない為、ガードをすれば吹き飛ばされる事はなかった。 しかし、ルシフェルの中には重たい電撃の一撃と、先ほどの攻撃の残留ダメージが合わさり、かなりの負荷がかかっていた。 「……ッ!! ハァァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」 ダークルシフェルの咥内から、膨大な空気の嵐がノア・クウガに向けて吐き出された。 彼の吐き出す空気は邪気に塗れ、小さな爆弾を散りばめたように空中で爆ぜた。 「くっ……──」 ノア・クウガも少し怯み、右腕で身体を隠すように仰け反りながら、後方へと倒れかける。 しかし、バランスを取り戻し、ルシフェルの放った邪悪な風を、そのまま胸部のアマダムで吸収していった。 アマダムが徐々に回転し、だんだんとその姿を、最初の仮面ライダーが使っていたタイフーンへと変えて行った。 『ライダーの真骨頂は、クウガとダブルだけじゃない!!』 「──トォォォォォッ!!!」 仮面ライダー新1号。 飛蝗の改造人間にして、人間の自由と平和を守り続けた伝説の仮面ライダーの姿が、ここに顕現する。 マフラーをなびかせ、仮面ライダーはダークルシフェルの肩にチョップを叩きこみ、更に胸部に向けてパンチを叩きこむ。 元祖にして、最強の仮面ライダーの一撃は、ダークルシフェルの身体を、更に後方にまで吹き飛ばしていく。 「ぐっ……!!」 ダークルシフェルが転がった所に向けて、巨大なノア・仮面ライダーは身体を揺らしながら、駆けだしていった。 ダークルシフェルの瞳に見えたのは、一人の仮面ライダーが向かい来る姿ではなかった。彼と並び、合流しようとするように、その両脇から現れる二人の仮面ライダーの影。 それは、先ほど自らに一撃ずつ与えた、仮面ライダークウガと仮面ライダーダブルの姿に他ならなかった。 仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーエクストリーム。 仮面ライダークウガ ライジングアルティメットフォーム。 仮面ライダー新1号。 三つの仮面ライダーの姿が重なり、飛び上がる。 ──そして。 「──ライダァァァァァァァァキィィィィィィィィィィィック!!!!!」 ライダーキック。 数々の敵を葬って来た、仮面ライダー最強の必殺技が、ダークルシフェルに向けて降り立って来ようとしていたのである。 それは、さながら流星を描くようにして、ダークルシフェルの頭部に激突する。 電流を頭に受けたような強い衝撃が、ダークルシフェルを襲った。 「ぐっ……ぐあああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!」 全身に電流の光を浮かばせたまま、ダークルシフェルは雄叫びをあげる。 ダークルシフェルへと進化したというのに、能力はむしろ──低まっているという実感が、カイザーベリアルとしての彼の中には在った。 彼の周囲は、ライダーキックのエネルギーを受けて燃え上がり、ダークルシフェルが生きているのはむしろ奇跡とも言えるシチュエーションを作り上げている。 「──なっ……一体、何故が……どうなってやがるッ!!?」 ルシフェルは蠢きながら、考えた。──確かにノアは強いが、それだけではない。 今の自分の出せる実力は、先ほどまでよりもむしろ劣化しているという実感が、ベリアルの中には湧いている。 しかし、その疑問の答えが返って来るより前に、ノアは更なる変身を遂げる。 『──Dボゥイ!! 相羽タカヤ、力を貸してくれ……!!』 「──ブラスターテッカマン!!」 ブラスターテッカマンブレード。 自分の記憶さえも引き換えにして、ラダムたちと──己の家族たちと戦い続ける道を選び続けた宇宙の騎士の姿を、借りる。 彼ら……相羽一家やモロトフの力を借りて、ブラスター化を許された巨大なノアは、そのエネルギーを充填する。 「──ブラスター・ボルテッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」 ブラスターボルテッカの灼熱が一斉にダークルシフェルへと押し寄せた。 それは、雪崩のようにルシフェルの身体を一斉に包み隠してしまう。 それでも、ルシフェルはまだ、その尋常ならざる耐久性と能力によって、まだ立ち上がっていた。 『あたしたちの絆……!! 力を貸してくれ、黄金の風を起こす為に……!!』 「魔法少女──!!」 ──来たる絶望のワルプルギスの夜に、宇宙の因果さえも捻じ曲げる願いを叶えた少女の姿を、象った。 『鋼牙……!! 俺は、お前が伝えた使命を忘れない……陰我を断ち切る!!』 「黄金騎士──!!」 ──ホラーの始祖メシアを倒す為に、守りし者と英霊の想いを受けて姿を変えた翼の牙狼の姿を、象った。 『ラブ、ブッキー、せつな……!! あなたたちの遺した想い、私が受け取る……!!』 「スーパープリキュア──!!」 ──たくさんの人々の希望をミラクルライトで受けたプリキュアがブラックホールを浄化する姿を、象った。 「全侍合体──!!」 ──人々の想いが込められた折神たちが全て集った、最強の侍巨人の姿を、象った。 全てのノアは、次々にダークルシフェルを押していく。 ノアはルシフェルから一撃も受けず、また、ルシフェルがそれらの攻撃で倒れる事も遂に無かった。 そのあまりの優勢に、人々は大きな希望を取り戻していく。 そして、それによってルシフェルは更に弱くなり、ノアは更に強くなっていく。そんな悪循環の中でルシフェルは、萎れながらも戦い続けていた。 彼の内の野望は、簡単に消える物ではない。 しかし、最早、その戦闘力の格差と、これから起きる結果は、歴然であった──。 「──シュッ!!」 ノアは、まだ無傷で構え続けていた。 まだいくらでも変身が出来る──変わり続ける事が出来る。 そして、戦える。 ダークルシフェルと化したカイザーベリアルの反撃にも、どこまでも持ちこたえる事が出来る──と。 「何故だ……何故、ルシフェルになった俺様をこんなにも簡単に超えやがるッ……!!」 しかし、ベリアルにはそれが決して納得できなかった。 何故、ノアやゼロに自らが勝てないのか──と。 「……まさか」 だが、戦士たちの最強の必殺技を身に受け、体から煙をあげて、尚立ち上がろうとするベリアルは、この長時間の戦闘によってか、内心の疑問が少しずつ氷解していくのを感じてもいた。 慣れ始めた戦闘でこそ、ようやく、「ダークルシフェル」という力そのものの弱点を強く理解し始めたようであった。 なるほど──ベリアルは、悟る。 「──……そうか、貴様かァァァァァァ!!!」 一体、何が今のベリアルを邪魔しているのか──その事に、ベリアルは、ようやく、気が付いたのだった。 先ほどまでの自分と大きく違う性質を持つ力、それは一つだ。 ダークルシフェルになる前には無かった物が邪魔しているという回答が殆ど正しいと言えるだろう。 だとすれば、それは── 「──ダークザギィィィッ……!! 貴様が俺様の邪魔をォォォォォォ!!」 そう──宇宙で新たに得たダークザギの邪念と魂に違いなかった。 それが、カイザーベリアルを拒絶し、今、カイザーベリアルの肉体を弱体化させようと、パワーをセーブしていたのだ。 ノア・ダブルとの戦闘時、クロスカウンターにさえならなかったのもまた、他ならぬザギの邪魔立てのせいであり、ダークルシフェルとして知らず知らずの内にカイザーベリアルの身体を乗っ取っていたザギの意志である。 その名前を大声で叫んだベリアルに、ノアも微かに動揺した。 「シュ……!?」 『ダークザギ……だって!?』 孤門一輝は、その名を口にした。 彼にとって、ダークザギとは、つまり、石堀光彦の名前にも直結する。 共に戦ったナイトレイダーの隊員であり、その正体は、ずっと仲間を欺きながらスペースビーストによる暗躍を企てて来た男。 だが、やはり──長い間の仲間意識があったのも、事実であった。 心の内は、彼に対しても少し複雑な感情を寄せざるを得ない。ダークザギを葬ったのは、他ならぬ孤門隊員であったが。 『奴がいるのか、ザギが……!?』 『石堀さん──』 涼村暁と、花咲つぼみがそれぞれ、憮然としながら口を開いた。 他の全員は、唖然とした表情で、ここでダークザギの名前が出て来た事が、わけがわからないという様子であった。 かつての強敵ダークザギが復活しようとしている、という事なのかと。 些か戦慄しながら、僅かな時間は過ぎ去った。 ──そして、やがて、口を閉ざしていたはずの死者・ザギが答えた。 『ようやくわかったか……ベリアル!』 ……ダークルシフェルの中から聞こえた声は、石堀光彦の声に他ならない。 やはり、その口調はダークザギとしての歪んだ、人の物とは思えない声質を伴っていた。 不死の存在であり、情報因子から再生──憑依する事が出来るダークザギにとっては、あの一度の死など大きな物ではない。 むしろ、怨念という立派な情報因子を取りこんだというのが大きなミスであった。 ──ダークルシフェルとして融合した時に、ダークザギの情報が修復されてもおかしな話ではないのである。 「貴様……何故、俺様の邪魔をするッ!! 絶望の勝利って奴が見たくねえのかッ!」 ダークルシフェルの、まるで一人芝居のような怒り。 その場にいる全員は勿論、外の世界にまで響き渡っている、ベリアルとザギとの対話である。しかし、傍目には、ダークルシフェルは自分自身、ただ一人で喋り続けているようにしか見えなかっただろう。 ダークルシフェルの中にも、ノアと同じように複数の戦士が融合しており、お互いに分裂を興そうとしているのだった。 『──俺は何者にも利用されない……!! 貴様に利用されるくらいならば、ダークルシフェルなど、消し去ってくれる……!!』 彼の中の「ダークザギ」が、再びベリアルに答えた。 それが本心からの言葉であるのかは、結局のところ、誰にもわからない事だった。 ダークザギの情報因子は、ダークルシフェルとして、ベリアルの身体を逆に乗っ取り、その自由を奪っていく。 「そうか……やはり貴様が──貴様が俺様の力をおおおッッ!!」 『──俺は全てを無に返す存在……! 貴様の力も無に返していくだけだ!!』 そして、怒りに燃え、ダークルシフェルの姿は、アメーバが分裂するように動いた。 それは、不自然に形を変えていった。 ベリアルは、今、必死に形を変えて、ダークザギの妨害から逃れ、独立しようとしているのである。 『俺を取り込もうとしたのが、運の尽きだ、ベリアル……!!』 ダークルシフェルとしてザギと融合した時点で、カイザーベリアルにはむしろ大きなハンデを敵に与えてしまったのと同義だ。 もし、ダークザギの意識がこのまま、完全にカイザーベリアルを乗っ取ってノアと戦う道を選んだならば、またノアとの間に生じるパワーバランスは変動したかもしれないが、ベリアルの意識が強く反映されたルシフェルには、これが限界であった。 ザギもベリアルを完全には乗っ取れず、ベリアルもまたザギを従える事が出来ず、中途半端な力しか発揮できない──それが、ダークルシフェル。 「奴は、相棒に……仲間に、恵まれてなかった、ってわけか……」 左翔太郎が呟いた。ダークルシフェルのそれは、仮面ライダーダブルと比べ、あまりに杜撰なコンビネーションだったと言えよう。 「……仲間っていうのは、利用するものじゃない……」 「支え合い、助け合うもの……」 最後に頼れるのは、信じられる仲間──それは、ここにいる全員がよく知っている。 自壊を始めようとするルシフェルをただ見送ろうとしたノアであったが、そんな時──ルシフェルから、声が発された。 『──そうだ……やれ、暁……!! そして、孤門……!!』 ふと見れば、それは石堀の声であり──変質するルシフェルの形状は、石堀光彦の顔を象っている。 「……!?」 彼は、わざわざ二人の男を名指しした。 その事実に驚きながらも、涼村暁と孤門一輝は、どこか納得したように彼の瞳を見つめた。 その表情は苦渋に満ちながらも、驚く暁と孤門に向けて頷いているように見えた。 「──石堀!?」 「石堀さん……!!」 二人は、それをダークザギ、とは呼ばなかった。 彼らにとって、ザギとして対峙した時間より遥か長く相手にしていた、石堀光彦という男の表情をわざわざ象った理由──それはわからない。 しかし、その理由を何となく想像した二人は、ザギと呼ぶ事が出来なかった。 『俺が動きを封じている隙に、コイツを消せ──!!』 彼の指示は、それだけだった。 ただ、動かずに、ダークルシフェルの行く末を見守ろうとしていたノアに向けて、せかすようにしてそう言う。 自分が抑え込める時間が僅かであると、そう悟ったのだろう。 「──……わかったぜ、石堀!」 暁が、言った。 なんだかんだで、石堀光彦といた時間は暁にとっても楽しかった……と言えなくもない。 とんでもない奴で、大事な仲間を殺した仇でもあった。ちょっと感じてた友情みたいなものを裏切った奴でもあった。 だが、最後の指示くらいは──聞いてやる。 『早くしろ!! こいつを、早く、無に返せッ! 時間がない……躊躇うな……俺を誰だと思っている!! ────そして、貴様らは、一体、何者だ!!』 押さえつけられる時間が僅かであるのか、彼はそう言った。 ダークザギの持つ力を、カイザーベリアルが上回ろうとしているのである。 急がなければ、 「──石堀隊員……こちら孤門。────了解!!」 目の前にいるのは、ナイトレイダー兼ガイアセイバーズの石堀隊員。 ここにいるのは、ナイトレイダー兼ガイアセイバーズの孤門隊員。 孤門一輝は、この時──そう思っていた。 『──』 故に、それはナイトレイダー式の敬礼で。 それが、ダークザギを──石堀光彦を、少し驚かせ、彼の目を見開かせた。 しかし、孤門一輝がしようとしている事を──石堀は理解した。 『──……行け、負けるな……孤門隊長──ガイアセイバーズ!!』 カイザーベリアルの身体を押さえつけながら、石堀は微かに微笑む。 そして、その時であった。 宿敵ウルトラマンノアだったものが、覚悟を決めて、再び黄金の光に身を包み、その姿を歴戦の勇士の一人の姿に、──“変身”したのであった。 「────宇宙に咲く、大輪の花!!」 巨大な悪の浄化さえも可能とする、ハートキャッチプリキュアの最強の姿──かつて、デューンとの最終決戦で変身した、最大の浄化力を持つ最強のプリキュア・無限シルエットであった。 まだ、ここにいる花咲つぼみにとっては、記憶の中に変身した覚えがあっても、その実感がない姿──。 そして、彼らが望み続けている「助け合い」への変身を実現するものが、この無限シルエットという戦士──。 「無限の力と無限の愛を持つ星の瞳のプリキュア……!! ハートキャッチプリキュア────無限シルエット!!!!!!」 ダークザギとカイザーベリアルをも──悪の化身をも包み込む、絶世の女神は、その拳を振り上げ、ダークルシフェルの顔面に叩きつけた。 白いベールが揺れ、不思議と痛みのないパンチが、ダークルシフェルの闇を消し去って行く……。 本来なら、この惑星よりも遥かに大きいはずのこの無限シルエットであるが、その心の内だけは、やはり、宇宙よりも広い愛を納めていた。 「憎しみは自分を傷つけるだけ……くらえこの愛、プリキュア──拳パンチ!!!!!!」 それをその身に受けながら────ベリアルとザギは、浄化されていく。 それはノアのエネルギーの全てを使い果たし、次の瞬間には全員の変身を解除させた。 彼らの中にあった変身エネルギーの殆どが枯れ果て、中には、変身の為の道具を手に取っても変身できなくなる体質に変わってしまった者もいた。 ──変身が解除されれば消える事になっていたフィリップもまた、この時、どこかに消えてしまった。 戦士たちが、それぞれ、地面に転げ落ちて行く。 『石堀……お前の最後、ちょっとだけ俺たちの仲間っぽかったりしたぜ……──』 ──ひとまず、ノアとルシフェルの戦いは、ここで終わりを告げた。 ◆ ──かつて、生み出された生命があった。 星を救った英雄ウルトラマンノアの模造品。 何故、生まれたのかもわからないまま──悪の道に堕ちたウルティノイド。 『────……ああ、……そうか……これが、俺の、本当の使命、だった、か……』 かつて、無として消えた彼は、この時、無限シルエットの浄化力を受け、少しだけ心に満ち足りた物を感じながら、再び消滅した。 ◆ 「ウガァァァァァ……!!!」 地上で、弱ったカイザーベリアルが吼える。 いや、それはカイザーベリアルではなかった。 かつてウルトラ戦士として戦った、赤と銀のアーリースタイルにまで、姿が巻き戻ったウルトラマンベリアルの姿である。 「ウウウウウウウッッ……」 巨体を揺らし、自らにあったウルトラ戦士としての善意と、カイザーベリアルとしての悪意のせめぎ合いの中で、微かにだが、悪意が押し返そうとしているのが、今のベリアルの姿であった。 ノア・無限シルエットの拳パンチの直撃は、ダークザギを盾にするようにして回避したが、それでもその慈愛の塊は、ベリアルに確かな葛藤を与えている。 「くっ……まだ……まだ戦うつもりなのか……あいつも……」 変身が解除された戦士たちは、朝日が昇り始めた空をバックにしながら蠢くウルトラマンベリアルを、ぼろぼろの身体で倒れながら、見上げていた。 これがかつてのベリアル──と、少し思いながら。 「おのれ……ダークザギィィィッ!!!!! ガイアセイバーズゥゥゥゥゥッッッ!!!!!!!!! ゼロォォォォォォ……!!!!! グアアアアアアアッ……!!!!!」 あらゆる戦士への怨念を抱きながら、まだ力を余らせているベリアル。 たとえ、姿が戻っても、ベリアルの中に降り積もった怨念はそのままだった。ベリアルはやはり、急激に善意が湧きあがってくる反動で、微かな悪意が肥大化しようと反抗しているに過ぎないのだが──それでも、ガイアセイバーズを殺すという意志が残っている。 ベリアルがどれだけ弱っているとしても、変身できない彼らには、もはや成す術は無かった。 「……まだ憎しみに囚われ続けるのか──ベリアル!」 カラータイマーが鳴り響き、自らも膝をつく中で、ゼロがそう叫んだ。 やはり彼ももう戦闘能力は残っておらず、ベリアルの怨念を振り払う事や倒す事は叶わないだろう。 そして、何より、ここで倒してしまう事は、ベリアルに与えられた一撃──慈愛を否定してしまう事に他ならなかった。 かつて出会ったウルトラマン、慈愛の戦士コスモスと同じ理想を、ベリアルにまで掲げようとして、そして、ここまでベリアルを葛藤させているプリキュアという戦士たちの想いを……。 「……ガイアセイバーズ、そしてゼロ……! こうなったら、貴様らも道連れだ……最後の力で貴様らもろともこの世界を潰してやるッッ!!!!」 「──!?」 ──だが、ベリアルは無情であった。 残っている僅かな力を右腕に充填する。そこから放った闇弾で、この地上にいる小さな人間たちを一斉に消し去ろうとしたのだ。 勿論、これを受ければ、人間たちは一たまりもないに違いない。 その場が戦慄した──そして、ベリアルに仇なす者の叫びがあがった。 「……くそ、なんでだよ……ベリアル!! お前だって、ウルトラマンだろォがァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーッ!!」 ゼロが、残り僅かな体力を振り絞り、小さな人間たちの前に立ったのである。 それは、ウルトラ戦士として刻み込まれた、地球人を守る本能と使命の齎した結果と言っていい。──気づけばそうしてしまうのが彼らの性だった。 それに抗う戦士は、ただ一人。──ここにいる、「ベリアル」という名のウルトラマンだけであった。 「くっ……!!」 地球人を庇ったゼロの身体に、ベリアルの一撃が直撃する。 ゼロの身体は大きく吹き飛ばされ、地面に落下した。 「ぐあああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!」 「ゼロ!!!!!」 ゼロの巨体が大きく倒れ、大地が揺れる。シフォンを抱く美希が、ゼロに向けて絶叫する。 しかし、今の一撃で、ベリアルも大きく体力を消耗したらしく、最充填には時間がかかりそうだ。 「グゥッ……まだだ……次こそ貴様らを葬ってやる……!!」 とはいえ、やはり──対抗策が無い今、次にベリアルがまた自分たちを攻撃して来れば、全員、それと同時に死ぬ事になる。 ほとんどのメンバーの体力が尽きかけていた。 「……くっ……あと一歩だったのに……!!」 ヴィヴィオが言って、ベリアルを見上げた。 全員、変身が解除され、闘う術は残っていない。ヴィヴィオもクリスの力を借りられるほどの魔力が残っていない。 変身。それが、それぞれの力を最大限に高め続けていたが、それが出来ない今となっては──と、誰もが、少し挫けかけた。 「いや」 ────しかし。 最後の最後で──ある一人の男が、口を開いた。 「……みんな、待ってくれ」 そこにいたのは、響良牙である。 全員がぼろぼろの身体と着衣で倒れこんでいる中、良牙だけは、よろよろになりながらも一人、立っていた。 「俺は……まだ何とかなる……」 そう、彼だけは、変身をしなくても戦える。 元々、彼にとっての変身は、むしろ戦闘能力を格段に低くする、“小豚”などへの変身である。今やそれも克服し、一人の人間として戦えるのだ。 「……だから、やってやるよ……俺が、最後に……一撃……」 それだけではない。 彼は、むしろ──“変身”などという物を、煩わしいとさえ思っていたのかもしれない。 彼がこれから行う変身は、ただ一つでいい。 たとえ、これからここにいる誰もが、一生、仮面ライダーやウルトラマンやプリキュアに変身できないとしても、 「────俺たちの、とっておきでな!」 良牙の背を見ながら、それぞれが少し押し黙った。 そんな時に、翔太郎が、彼の背に向けて言った。 「……今度は、信じていいんだな? 良牙……」 先ほどの巨大化の事も忘れてはいないが、今度の良牙は先ほどよりもずっと本気に見えた。──その後ろ姿が、男の後ろ姿に見えたからだ。 それは信頼できる男だけに許された男の背中だった。 「ああ……。元の世界のダチに教わった技が……まだ残ってるんだ──!!」 良牙は、敵ではなく──味方の方に向き直って言った。 それもまた、男の顔であった。友との約束を果たす為に、今、巨大な敵に立ち向かおうと言う、まさにそんな男の強い意志が作り上げている精悍な顔である。 翔太郎は、自分が女だったら惚れちまうだろうな、などと思いながらも、笑いはせずに、彼の言葉を聞きいれた。 誰もが──彼の言葉を耳に入れていた。 ウルトラマンベリアルの手に、闇の波動が溜まっていった。 「俺も、こいつを必ず奴にぶつけるって約束した……まさかここでこんなチャンスが巡って来るなんて思わなかったぜ……」 それから、良牙は、ゆっくりと、一人の少女のもとまで歩いて行った。 そして、そこで、立ち止まり──少女の手を強く握った。 「──……なあ、つぼみ。最後に、俺の手に、つぼみの力を分けてくれ」 花咲つぼみ。 これまで、長い間、響良牙とともに行動してきたプリキュアの少女。 あらゆる戦いを共に乗り越え、共に泣いた──ここに来てから良牙が出会った中で、最も親しかった相手だ。 今、良牙には彼女の力が必要だった。 ムースに技を受けた時から、花咲つぼみという少女が持ち続けている感情が必要になると思っていたのだ。 そして、それは、今や確信だったのである。 「私、ですか……?」 「きみの力が必要なんだ……。 奴を最後に倒すのは──いや、救うのは、つぼみ……きみの力なんだ!!」 普段の良牙は、こう言い直したりはしなかった。 いつも、敵を倒す事ばかりを考えていた──それは、格闘家として戦い続けた男であるが故、仕方のない事かもしれない。 だが、今、彼は、あの強敵を「救う」と言ったのだ。──つぼみと同じに。 「……」 つぼみは、悩むというより、少し戸惑うように、良牙の目を見つめた。 その瞳を見ていると、どこかつぼみも切ない気持ちになるが、それでも逸らす事は無かった。 そして──つぼみは決意する。 何が、良牙の力になるのかは、つぼみにはわからなかったが、それでも良い。 良牙の力になれるのなら。 「どういう事かはわからないけど……わかりました」 「ありがとう、つぼみ」 礼を言うと、良牙はつぼみの手を握ったまま、少しの間目を瞑った。 その間、つぼみは何も考えなかった。 ただ、二人の時間が止まり──良牙とつぼみの、これまでの戦いと日常の軌跡が、次々と頭の中に浮かんでくるだけだった。 (──) 五代雄介の死地で墓を見舞った事。 一条薫とつぼみと良牙の三人で行動していた間の事。 仮面ライダーエターナルと戦い、二人のライダーの最後を見届けた時の事。 冴島鋼牙という男の事。 ダークプリキュアが仲間になった時の事。 美樹さやかを救いに行こうとした時の事。 天道あかねと戦う事になり、そしてその死を見送った時の事。 共に戦い、共に笑い、共に泣き、成長した。 大事な友達をなくしていく悲しみに耐えられたのは──お互いに支え合う事が出来たからに違いない。 長い時間が過ぎ去ったような実感があった……しかし。 「ガイアセイバーズぅ……!!」 空から、声が聞こえ、その時間は終わりを告げた。 ウルトラマンベリアルが、次の一撃を放とうとしているのだ。──あの手が振り下ろされれば、巨大な闇が彼らを包み込むと同時に、ベリアルも、ガイアセイバーズも、誰も彼もが最後を迎える事になるだろう。 「あっ……」 良牙の手は、戦いの為に、つぼみの手を離れた。 その手が離れた時、不思議と、良牙とはもう会えないような……そんな気持ちがした。 手に残ったぬくもりが冷めていく前に、良牙が叫んだ。 「──よし……見てろ、ベリアル!!」 良牙の高らかな叫びと共に、つぼみは今の時間に引き戻される。 この時に、こんな悪い予感がしているのは──おそらくつぼみだけだっただろう。 誰もが良牙を信じている。 つぼみも、良牙を信じている。──だが。 「もう上ッ面だけの変身なんざ必要ねえ……!! 俺は、このまま戦う……!!」 ベリアルが、闇の弾丸を地上に向けて放った。 しかし、良牙はその前に立ったまま、まるでその闇弾に向かっていくように、地面を蹴とばして、思い切り飛び上がる──。 その拳が、ベリアルの放った攻撃にぶつかった。 生身の人間の身体ならば、ベリアルの攻撃を前に一瞬で蒸発しても何らおかしい事ではない。 しかし、良牙のエネルギーは、その闇に打ち勝とうと前に押し進んでいる。 「これが、全宇宙を支配した男さえも超える、変わらない人間の力────!!!」 そう──この拳には、つぼみから受け継いだ力があるのだから。 彼女が──いや、乱馬も、ムースも、あかねも、良牙も。 誰もが持っていた、想いが込められているのだから。 「俺が、乱馬や、ムースや、あかねさんや、つぼみから……仲間たちから受け継いだ、最強の必殺────!!!!!!!!!!!」 ◆ ──元の世界に帰った良牙に、静岡の山中でムースが教えた技があった。 その時のことを、もう一度振り返ろう。 ……このままでは、たとえあの世でも、シャンプーを乱馬に取られてしまうのではないか。 それどころか、乱馬がいなくなっても、今度は良牙がムースの前に立ちはだかってしまうのではないか。 「くっ……!」 かつて見た、強く、何度挑んでも負けない男の姿。──目の前の良牙が、かつて、乱馬に対してムースが抱いた執着と重なってくる。 そうなると、ムースは、どうしても、その男を殴らざるを得ない衝動にかられた。 シャンプーは渡さん──と、何故か、良牙にさえ思う。 「それにあかねさんの事で辛いのは俺だけじゃない……。あの人たちも、俺なんかよりずっと辛いのに……それでもまだ戦おうとしてるんだ! 俺は、あの人たちにも負けるわけにはいかない……今すぐにでも行ってやるっ!」 そして──遂に、その拳が、怒りに触れ、良牙の頬を殴った。 「この、たわけがっ! ────っ!!」 ただのパンチではない。 それは、この一週間、コロンとともに、ムースが鍛えて編み出した新たな気が込められたパンチである。 暗器ではなく、修行によって得た“拳”の一撃は、的確に良牙の左の頬に叩きこまれ、彼を土産物の山の中に吹き飛ばした。 「……!?」 頑丈な良牙が今、気づけば土産物の台や床を突き破り、地面に半分埋もれている──。 良牙には、一体、何が起こったのか、さっぱりわからなかった。 コロンは頷き、シャンプーの父は呆然とそれを見た。──『土産物の台を突き破ったり、床を叩き潰したりしないでください』と書いてある注意書きの紙が、あまりの衝撃に剥がれた。 良牙は、ムースを見つめ、呆然としていた。 目を見開き、何かに興味を示した幼児のように、今のムースの攻撃を振り返る彼は、痛みなど忘れていた。 ──気は、「気が重く」なれば、重い気の獅子咆哮弾を発する。 ──気は、「強気」になれば、強い気の猛虎高飛車になる。 つまり、気とは、使い手の感情の持ちようで形を変えていく概念である。 さて、それでは、ムースが身に着けた気の技とは、何だったのだろうか。 ヒントは二つ。 あの時、ムースは、自らが愛するシャンプーの事を考えていた。 そして、良牙は最後、強い愛情をその身に宿しているつぼみの力を借りた。 そう──最も簡単な物だった。 ────やっぱり、最後は、『愛』が勝つ、という事。 ◆ 「喰らえええええええッッッ!!!! この『愛』……ッッッッッ!!!!!!!」 その拳に『愛』を込め、ベリアルに向かっていく良牙。 空に飛び上がった良牙の拳は、ベリアルの放った闇を押し返しながら空へと進み、彼の胸部に向けて肉薄した。 勢いはとどまる事を知らない。 ベリアルの放った光線すらも押し返そうとしている人の意志──。 「良牙さん──!!!」 そして。 「────ガッ……!!!」 次の瞬間、その一撃は、ベリアルの胸部のカラータイマーを砕いた。 (おい、ムース……シャンプー……右京……乱馬……あかねさん……見てくれたか?) 「何だ……この力は……涙が……溢れる……ッ!!」 (見ろよ……おれは、乱馬を越えた……あいつよりも、ずっと強いんだぜ……!?) 「そうか……ケン……ゼロ……」 (……でも、これで俺の命は終わりだな……。 五代、一条、大道、良……俺も最後は、ライダーらしく、笑顔で逝ってやるよ……!!) 「──……これが、貴様らの……守りし者の力……!!」 (……ごめん……あかりちゃん……こんな形で、約束破ってしまって────) 「──ぐああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!」 (ありがとう……つぼみ……ここに来てからの俺の、一番の、友達……!!) ────直後、カイザーベリアルの身体は、周囲一帯、全てを巻き込んで、大爆発を起こした。 「良牙さああああああああああああああああああああああああああああああああああああんッッッッ!!!!!!!!!」 「良牙ああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!!!!!」 そして、そんな叫びとともに、支配と、殺し合いは全て、────終わった。 【カイザーベリアル@ウルトラシリーズ 死亡】 【GAME OVER】 【響良牙@らんま1/2 ────ETERNAL】 【残り9人】 ◆ 時系列順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(7)Next 変身─ファイナルミッション─(9) 投下順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(7)Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 左翔太郎 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 花咲つぼみ Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 佐倉杏子 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 高町ヴィヴィオ Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) レイジングハート Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 涼村暁 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 響良牙 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 涼邑零 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 蒼乃美希 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) ウルトラマンゼロ Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 孤門一輝 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 血祭ドウコク Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 外道シンケンレッド Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) 加頭順 Next 変身─ファイナルミッション─(9) Back 変身─ファイナルミッション─(7) カイザーベリアル Next 変身─ファイナルミッション─(9)
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変身─ファイナルミッション─(6) ◆gry038wOvE ──不可解な静寂。 ガイアセイバーズを見下ろすカイザーベリアルは、自ら口を開く事はなかった。 そして、ガイアセイバーズと呼ばれた男たちも、その姿をただ、見上げて、一概に「敵を睨んでいる」とも言い切れない瞳で見つめるだけだった。 これは、「緊張」と呼んでいいのか、わからない。 もはや、それは奇妙な時間のマジックだった。何時間となく、無言の睨み合いが続いていたような気さえした。 それは、余裕を心に内在しているベリアルの側も同じ事だった。 自分がこうして出向く事になる事など、殆ど無いと思いつつ、心のどこかではそれを期待していた……そんな感情もあったのだろう。 ベリアルにとっては、まるで現実味のない夢が叶ったようでもあり、厄介な邪魔者に夢を邪魔されているようでもあった。この強敵でさえ、そんな微妙な感慨に没していた。 だが──誰かが、その、何人も口を開く事ができなかった静寂を、ふと打ち破った。 「────みんな……奴を倒し、全てを終わらせるぞ……!!」 それは──シャンゼリオン、涼村暁だった。 誰もが一斉に、彼の方を見た。──彼がその言葉を告げた事を、誰もが心から意外に思ったようだった。 目の前の敵が倒されれば死ぬ──そんな宿命を背負っているのは、実のところ、この元一般人の青年に他ならない。 そして、何より彼には──涼村暁には、そんな宿命と戦うヒーローの自覚は全くない。 今日の今日に至るまで、ただ、なりゆきでそれらしい事をしているが、普通の人間だ。いや、むしろ……およそ、ヒーローの資質とは無縁な性格の男だと言える。 そんな彼が……真っ先に……。 真っ先に──この静寂を打ち破り、こうして誰かの心を熱くさせたのだ。 ぐっと、全員が顔を顰めた。 「──ガイアセイバーズ。 遂に加頭まで倒しやがったか……俺様の前に現れるとは、予想外だった」 まるで暁に釣られるように、ベリアルの方が言った。 静寂が打ち破られ、雲が次第に晴れるようにしてベリアルの目が光る。 誰もが、初めて、ベリアルの声を聞いた。それぞれが全く別の声に聞きとったのだが──いずれにせよ、それは巨悪らしい低い声だった。 こんなに近くで──全ての世界を崩壊させようとする元凶が自分たちに語りかけているのだ。この最大の怪物が……。 彼一人が、宇宙を支配し、そして崩壊させようとしている。 そして、彼がいれば、これから数日と宇宙を保たせる事はできない。 「まさかお前らとこうして会う事になるとは思わなかった……褒めてやるぜ!」 そして。 そんなベリアルの声色は、心なしか、どこか嬉しそうだった。 それが何故なのかは、すぐには誰にもわからなかった。 世界にただ一人いるのが、いかに退屈なのだろうか……。 きっと、内心ではそうなのだろう。 それを、表には出さずともどこかでわかっていたのかもしれない。 ……世界の支配者には、「敵」が必要だった。 世界の一番上に立った支配者にあったのは、満足感や充足感だけではなく、渇きだったのだ。元から持ち合わせていた隙間が、圧制によって埋められる事はない。 だが、今、こうして彼らが乗り越えて来た事で、ガイアセイバーズという絶対の敵が生まれたのだ──。 おそらく、ウルトラマンノアの再誕を妨害しながらもその姿が現れると歓喜にも似た感情を抱いたダークザギも、同じ心情だったに違いない。 ガイアセイバーズの中にも、ベリアルを前に、何か胸騒ぎがする者がいた。 それは、恐れではない。 むしろ、奇妙な共感とさえ言える。──生か、死かの戦いという気がしない。 何故か、むしろ、最大の敵を前に、安らかで、精神的には抜群のコンディションでさえあった。それは、ずっと追い求め、憎み続けた相手が目の前にいるのだと、その想いがあるからかもしれない。 これまでと相反する感情が内心に溢れたせいか、こうして目の前に強敵がいる事にも、不思議と現実感が消えていった。 しかし、そんな頭を切り替える。 「来い……! 俺は、小細工はしない……! お前らに勝つ自信があるからな……!!」 そんなベリアルの言葉に、ごくり、と唾を飲み込む。 だが、どう取りかかればいいのか、各々が少し悩みあぐねた。 相手の身体は50m近くもあり、簡単には倒す事ができない相手なのを実感させる。 あのフィリップですら、ベリアルの対策は検索しても浮かばないほどだ。 しかし。 そんな状況下でも、秘策を持つ男が、この場にただ一人だけ、いた──。 「……」 ──そして、その男は、ゆっくりと前に出て歩きだした。 「……──」 通用するかはわからない、と思いながら。 ただ、目の前の敵にぶつける為に、少しは修行したのだ。 その男の背中を、誰もが目で追った。 どこか誇らし気に、ベリアルの前に出て行く男──。 「──仕方ねえ……! あのサイズの敵を倒すにはあれっきゃねえな……!!」 それは、仮面ライダーエターナル──響良牙であった。 ばっ、とマントを靡かせる彼の姿は、何らかの秘策を持っている状態のようだ。期待を持っている者もいれば、期待の薄い者もいた。そう簡単に倒せる相手ではないのは誰もが理解している。 だが、どうやら、良牙には、巨大な敵と戦える術があるらしい。 エターナルに向けて、ブロッサムが声をかける。 「良牙さん……? 何か秘策が……!?」 「──ああ。実は、俺は、闘気を使えばあれくらい巨大になれるんだ」 そんな一言に、誰もが少しの間固まった。 体を巨大にして戦うという事が出来るならば、数日前のダークザギ戦において、何故彼はそれを使わなかったのか……と誰もが思ったのである。 それは、自然と口から出てしまう疑問だった。──ブロッサムが、誰しもが抱いた疑問を自らが代表して彼に突っ込んでしまう。 「──なんで今までやらなかったんですか!?」 「今ほど力が溢れてる時がなかったんだよ!!」 だが、エターナルにかなりの剣幕でそう返されて、ブロッサムは今度は少し小さくなった。 確かに──いくら良牙でも、それほどまでに強大な力があって、ダークザギ戦の時に使わぬわけがない。 そして、あの時は、今のように黄金の力が自分たちを助けてくれる事もなかった。力でいえば今よりずっと低く、資質もないのだ。加えて、良牙はこの数日で、闘気の使い方をかつて以上によく学んだ。 そう。彼は「今」だからこそ……彼の力が及ばぬ、歴戦の達人の技を使おうとしていたに違いない──。 「いくぜ!!」 エターナルが叫ぶ。 そして、同時に──八宝斎や早乙女玄馬がかつて行った、“闘気による巨大化”を始めたのである。 全員、半ば半信半疑であったが、そんな怪訝の色は、エターナルの頭が階段を上るように高くなっていくにつれて失われていく。 「──!!」 歴戦の勇士であった者でさえも、この妖術めいた格闘の曲技には目を凝らし、そして、自分の経験すらも疑っただろう。 だが、現実に起きている事であるのは言うまでもないので、自らの経験の浅さを一笑して区切りをつけた。 それと同時に、感嘆もしてしまった。──下手をすると、ベリアルでさえもそうした存在の一人であったかもしれない。 「おおっ……!」 かつて八宝斎及び早乙女玄馬の二名によって行われたその激闘の様子は、さながら妖怪大戦争のようだったが──今、この場においては、唯一の希望であり、無敵のヒーローとなる存在の誕生の瞬間だ。 直後──仮面ライダーエターナルは、確かにオーラを纏って、少しずつ大きくなった。 味方の誰もが、その姿に大口を開ける。まさか、この男──こんな異様な力までも持ち合わせていたとは。 「すげえ……!!」 そして、気づけばウルトラマンのように、ベリアルのサイズへと変身しているのだった。 これが仮面ライダーエターナルの「秘策」だったらしい。 確かに、これならば、カイザーベリアルも恐れるに足らない。エターナルの実力は誰もが知っているし、カイザーベリアルとの体格差が埋まった以上、分があるのは自らの方であった。 良牙の闘気が解放され──そして、高らかに宣言し、いつも以上に遥かに大きな声で名乗りをあげた。 「見ろ、ベリアル……これが、お前を倒す────超エターナルだッッッッ!!!」 両者は同じ高さの目で、少し睨み合う。ベリアルが、そんなエターナルを前にも、気圧される事はなかった。 エターナルの目と、カイザーベリアルの目が合う。──両者の間に、緊張が走る。 だが、ベリアルは、嫌に淡々としていた。 「──巨大化、か。人間のくせに……」 「ああ……! これでお前と同じ土俵で戦える!!」 そう言いつつ、これから、この敵と戦わなければならないのか……と、エターナルは内心で独り言ちていた。 こうして同じ目線で前を見ている者こそが、これがこれまでずっと追い求めていた強敵。 そう、誰よりも強い敵だ。 こうして、自分一人で戦って勝てる相手とは限らない。 だが──エターナルは、一息飲んでから、戦う覚悟を決めるように、左掌を右拳で叩いた。 風が吹く。 「……」 「……」 ──────そして、その直後、巨大な仮面ライダーエターナルの姿は消え、エターナルは再び等身大に戻った。 「……」 あまりの事に、誰もが言葉を忘れ、冷やかな瞳でエターナルを見た。その瞳は、興味のないものを見つめる猫の瞳にも近かった。 何故か元のサイズに戻ってしまったエターナルは膝をつき、がくっと肩を落としている。 そして、言った。 「……くそ。今の俺じゃ三秒が限界か」 ……良牙の力、及ばず。 良牙はまだ若く、ちょっとやそっとの修行を積んだ所で、巨大化したまま戦う事など出来ようはずもない。 これは、年長の達人である八宝斎や玄馬ですら、数秒しか保たなかった技なのだから。 それ故、良牙がこれだけしか巨大化できないのも仕方のない話であったが、実戦の上で全く意味のない時間が過ぎ去り、多くの期待が泡と消えた事は言うまでもない。 「──何の為に大きくなったんですか!!」 今度のキュアブロッサムのツッコミは、全く、その通りであった。 少し良牙に期待した者は、過去の自分を呪った事だろう。 頭を抱える者も出た。幸先が不安である。──よりにもよって、カイザーベリアルとの初戦がこれとは。 ベリアルも、一瞬唖然としたが、余裕を込めて笑った。 「クックックッ……おもしれえ。随分と余裕があるじゃねえか……!」 「余裕なんじゃないやい! 本当にこれしか出来なかったんだい!」 負け犬の遠吠えのように、ベリアルを見上げて叫ぶエターナル。 しかし、誰もがそんな彼を白けた目で見つめている。 当の良牙が、全く本気であるのが輪をかけて救いようがない話で、彼は背後の者たちの視線にさえ気づかなかった。 「──ボケてる場合じゃありません。……どうしましょう」 レイジングハートもまた、呆れかえっていたが、それを中断して仲間の方を見た。 彼女自身、ほとんど無意識の事だが、まさに言葉の通り、両手で頭を抱えている状態であった。決戦を前に、こうして頭を抱えたのは初めてである。 ダミーメモリの力をもってしても、巨大化は不可能に違いない。 どうして、ベリアルと同じ土俵に立つ事が出来ようか。 「フィリップ。巨大化する術は……?」 『残念ながら、ない』 「……って事は、やっぱりこのまま戦うしかねえって事か。仕方ねえな……」 と、ダブルがダークザギ戦のように等身大のままダークベリアルと戦う覚悟を決めようとした時である。 ──誰かの声が、また、響いた。 「──いや、違うぞ!!」 誰だろうか。 そんな、聞くだけでも希望が湧くような言葉を発したのは。 またくだらないボケか、と心が諦めるよりも前に、誰もが反射的にそんな希望の一声を頼ってしまう。 「──」 ダブルが振り向くと、それは佐倉杏子であった。 ──全員が、ほぼ同時に杏子の方に目をやっていた。 一体、フィリップにさえ何も浮かばないのに、どんな秘策があるのかと思った。 そして、ダブルは、彼女が今、手に持っている物体に視線を落としたのだった。 「杏子……それは……」 ──見れば、杏子の手では、「何か」が強い輝きを放っているのである。 今度の希望は、決して良牙のようなくだらないボケではなさそうだ。 彼女は、良牙と違う。場を白けさせるボケはしない。 真っ赤な光を輝かせるその物体から、誰しもの耳へと「音」が運ばれて来た。 「そうだ……まだ手がある……!!」 どっくん……。どっくん……。 普段から、どこに行っても鳴り響いているはずの音──。 そう──“鼓動”。 杏子の手にあったのは、まるで心臓のような血の鼓動だった。だが、心臓を持っているのではなく、鼓動を手に持っている。 それを見て、各々の頭に浮かぶのは、あの忘却の海レーテで見たウルトラマンのエナジーコアに酷似した物体である。 そして、杏子自身は、あの時──彼女自身がデュナミストであった時に感じたエボルトラスターの鼓動を重ねていた。 あの時に、自分がデュナミストをやっていたから──だから、それが自分の切り札だとわかったのだ。 杏子の手に握られているのは── 「あたしのソウルジェムだ……!! こいつが……光ってる!!」 ──そう、魔法少女のソウルジェムであった。 今は使えないはずのこれが、久しく、彼女に反応したのである。……そして、その理由が、彼女にはすぐわかった。 杏子は、かつて、ドブライという一人の男が教えてくれた事を思い出す。 彼もまた、ある世界で出会った、杏子の友達の一人である。──そして、彼が最期の時、杏子に、何を告げようと……何を託そうとしたのか。 その言葉が、再び杏子の胸に聞こえた。 ──……杏子よ。君のソウルジェムが……光が……きっとまた、輝く時が来る……その光で、ベリアルを、きっと倒してくれ……── それから、今度は、自分のソウルジェムが石堀によってレーテに放り投げられ、無限の絶望の海を彷徨った時の事を思い出した。 巴マミの尽力によって、絶望の海から再びこの世界へと還ったソウルジェムだが、その時には、強い光が彼女を包んでいたのだ──。 その光とは、一体何か──。 「そうか……杏子のソウルジェムは、レーテに入った時に、ウルトラマンの光を少しだけ受け継いでいたんだ……!」 翔太郎も気づいたようだ。 杏子のソウルジェムは、確かに闇の力に染まって、魔法少女へと変身させる機能を捨てた。だが、決して闇の力だけを吸収して動かなくなったわけではない。 もう一つの力──ウルトラマンの、光の力がそこに宿り、二つの力が葛藤したから機能を停止したのだ。 ウルトラマンノアの力は今、二つに分かたれている。 その内の片方が、あの時からずっと杏子のソウルジェムに宿っていたのだという事。 そして── 「ああ、それが今、呼び合ってるんだ……!!」 それは、キュアムーンライトのプリキュアの種と、ダークプリキュアが持つプリキュアの種が強く反応し合うように──元々一つだった者の欠片と欠片が呼び合う仕組みになっていた。 未来を予知できたノアが、スパークドールズとなった時の為に残した予防線に違いない。 ノアは、杏子と美希の絆を信じたのだ。 「……みんな」 何故──ノアが今になって呼び合おうとしているのか。 その理由も、彼女にはわかる。 「美希が……あいつが、ウルトラマンを見つけてくれたんだよ……!!」 杏子は、ソウルジェムを高く掲げ、叫んだ。 ガイアセイバーズの視線は、そのソウルジェムに視線を注いだ。 「──来てくれ、ウルトラマン!! あたしたちはここにいる!!」 ◆ ────祈りとともに、空が光った。 銀色の翼の戦士、ウルトラマンノア──。 彼は、自らの力を注ぎ込んだ杏子のソウルジェムに反応し、彼らの居場所を即座に探知したのである。自らが復活した時、彼女たちの居場所を探る為に残した力だ。 「シャァッ──!」 感応している。 そして、自分を呼んでいる──。 ノアは、すぐにそれに気が付いた。 「ついて来いってのかよ……! 速すぎるぜ……!!」 ゼロも、ノアから授かったノアイージスを使って、銀色の流星の軌跡を追った。 しかし、測定不能レベルの速度で飛行するウルトラマンノアは、ゼロが容易に追いつける相手ではなかった。 彼の後に残った光の後だけを、彼らは辿っている。 ノアとは、実体がない存在なのではないか、とさえ思う。ウルトラマンノアは、本当に生物なのだろうか。 それでも──彼が味方で、自分たちが、敵の場所に近づいているのがよくわかった。 ────その時、ノアと同化する孤門一輝の意思が、彼らの耳に届いた。 『美希ちゃん、ゼロ……君たちは、向こうへ……!』 それは、声だけだったが、どうやらリアルタイムで届いているテレパシーのような意思だと気づいた。 確かに、温和な孤門の声だ。 だが、何故、この時になって別の場所に向かわせようとするのか、美希にはすぐに理解する事ができなかった。 確かに、リーダーである彼の指示に従うのが道理だが。 『え……!? 何故ですか……!?』 『君には、もう一人、救うべき相手が残っているはずだ……!』 と──孤門にそう言われた時、美希は、思わず自分が忘れかけていた大事な事に気づく。 自分が助けなければならない仲間は、ベリアルと共にはいないのだ。 『シフォン……!』 ベリアルが貯蓄したFUKOの力と共にあるはずだ──。 ラブと、祈里と、せつなと……みんなで育てた、あの子。 円らな瞳の赤ん坊、シフォン。 インフィニティのメモリと呼ばれている、美希のもう一人の仲間。 彼女を、支配の力ではなく、再び、ただの一人の子供として、自由を与えたい。 それが、プリキュアとしての彼女の使命だ──。 美希は、ゆっくりと頷く。 『わかりました!』 「──よし、さっさと助けて、加勢してやるぜ!」 ……目の前には、地球を模した青い星があった。 その星こそが、ノアが辿り着いた場所。 銀色の流星が、消えていった場所。 そして、ついこの間まで、自分たちが戦っていた場所。 やっとたどり着いた……。 この星に──。 ◆ ────震!!!!!! 「シャアッ……!!」 杏子たちのもとに、ウルトラマンノアが土埃をあげて舞い降りたのは、その直後の事であった。 ──大地が打ち震え、一瞬だけ、強風が吹いた。 しかし、誰もがそれを浴びて、ただノアの姿を見上げていた。 その姿を見上げながら、どこか安心してそれぞれが頷き、杏子が言った。 「来た……──ウルトラマン!!」 銀色の羽を持つ、光の戦士。 カイザーベリアルでさえも恐れた、伝説のウルトラマンが、今、杏子たちの前に再び現れている。 そして、そのウルトラマンの正体は、彼らの仲間であり、リーダーである孤門一輝に違いなかった。 『────みんな……遅くなって、ごめん!』 孤門の声が、それを見上げる者たちの脳裏に響いた。 それは、ウルトラマンノアというよりも、孤門一輝という一人の男にも見えた。 カイザーベリアルも、目の前に再び現れたウルトラマンノアの姿に、僅かながら息を飲んだようだ。 彼の力でさえも及ぶかわからない強敵──それが、ノア。 しかし、やはり……こんな敵を、ベリアルは待っていたような気がする。 「まったく……遅いぜ、本当に! ヒヤヒヤさせんな!」 絶狼が茶化すように言う。 しかし、カイザーベリアルを眼前にした彼が、とにかくこの男の到着を待っていたのもまた事実だ。 それに──今のところ、死傷者は出ていない。 孤門が遅れたせいで死んだ仲間は一人としておらず、むしろ、彼が来たのは丁度良いタイミングであったと言えよう。 「……ここにいる私たちは、みんな無事です!! 孤門さん!!」 そこにヴィヴィオの姿があった事に、孤門は少し目を丸くした。 レイジングハートが既にいるので、ダミーメモリによって体だけ形作っているのでない事はすぐにわかった。 悪戯としては少々悪質であるから──おそらく、そこにいるのはヴィヴィオ本人だ。 『生きていたんだ……ヴィヴィオちゃん……!』 ノアは、そんなヴィヴィオに向けて頷いた。 それから、すぐに、カイザーベリアルの方を向いた。 「……──」 彼は、確かに待っていた。 自分と同じ土俵で戦う、別の敵を──。 しかし──ノアは、些かカイザーベリアルよりも実力が上回る存在でもある。 どちらが勝つのか──それは、カイザーベリアルにもわからない。 スパークドールズ化ではなく、もう一つの秘策も持ち合わせていたが、それよりも……まずは、自分だけの力で小手調べをしようとした。 『────ああ……!! みんな、一緒に戦おう!!』 ウルトラマンノアが──孤門が、地上の仲間たちに呼びかける。 見上げる彼らは、きょとんとした顔だった。 「俺たちが……」 「一緒に……?」 一緒に戦う……と。 しかし、今の自分たちには、カイザーベリアルと戦えるだけの力があるだろうか。この大きさでいる限り──。 そんな彼らの内心の疑問に答えるように、意識を飛ばす。 『共に肩を並べて困難に打ち勝てる絆……それを持つ者みんなが、「光」なんだ。 僕達の間に絆がある限り……みんな、最後まで一緒に戦える──!!』 地上にいた者たちは、皆、呆然とした。 全員でウルトラマンと同化するという事なのだろうか。 それが可能だというのか──。 「──そうだ……! あたしたちなら出来る!! みんな……あたしのソウルジェムに手を──!!」 しかし、杏子が、いち早く孤門の言葉を理解し、そこにいる全員に呼びかけた。 それと同時に、戸惑っていた誰しもが彼女の言っている事を、納得したようだ。 このソウルジェムには、ウルトラマンの光が注ぎ込まれている──このソウルジェムに向けて力を発すれば、全員がウルトラマンになれる。 人間はみな、自分自身の力で光になれる──。 かつて、世界中の人々の力を借りて、邪神ガタノゾーアと決戦したウルトラマンがいた。 それと同じに……決して、ウルトラマンは一人だけが変身する物ではないのだ。 「……ああ! わかった!」 仮面ライダーダブルが。 高町ヴィヴィオが。 レイジングハート・エクセリオンが。 超光戦士シャンゼリオンが。 キュアブロッサムが。 仮面ライダーエターナルが。 銀牙騎士絶狼が。 「────いくぞ、みんな!!」 杏子のソウルジェムに、手を重ねた。 八人が、それを強く握りしめると、八人の体は、次の瞬間、一つの光となり、ソウルジェムの光の中に吸い込まれていく──。 本当に……本当に、彼らの間に芽生えた絆は、今、光となったのだ。 「絆……」 ここにいる者たち……それぞれの出自は違う。 しかし、こうして出会い、互いが絆を結び、育んできた。 ウルトラマンネクサスや、ウルトラマンノアと共に戦う時も、誰か一人だけの力で戦うわけではない……。 「──ネクサス!!」 そして、ソウルジェムは、空へと飛来し、ウルトラマンノアの胸のエナジーコアへと帰っていった。 ノアの全身に、ソウルジェムに注いだ力が再び灯る。 それは、更なるエネルギーの上昇を意味していた。 「────勝負だ!! カイザーベリアル!!」 「────勝負だ!! ウルトラマンノア!!」 ノアとベリアルは向き合った。 お互いに、同じ意識を飛ばし合う──。 戦いがあった島の上で、二つの巨体は、最後の戦いを始めようとしていた。 ◆ 時系列順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(5)Next 変身─ファイナルミッション─(7) 投下順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(5)Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 左翔太郎 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 花咲つぼみ Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 佐倉杏子 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 高町ヴィヴィオ Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) レイジングハート Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 涼村暁 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 響良牙 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 涼邑零 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 蒼乃美希 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) ウルトラマンゼロ Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 孤門一輝 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 血祭ドウコク Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 外道シンケンレッド Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) 加頭順 Next 変身─ファイナルミッション─(7) Back 変身─ファイナルミッション─(5) カイザーベリアル Next 変身─ファイナルミッション─(7)
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変身─ファイナルミッション─(1) ◆gry038wOvE 「ねえ、おばあちゃん……昔の話、教えてくれますか?」 ◆ ──────────また、誰かが突然ドアを叩く。 しかし、その低調なノックの音に応じる者はその一室の中にはいなかった。 このドアは、何年、何十年も前のこの風都において、横行するガイアメモリ犯罪に巻き込まれた人間が警察を頼れずに最後に縋る駆け込み寺となっていた探偵事務所のドアだ。今日まで何人の悩める人間がこのドアを潜った事だろう。 とはいえ、既にそれから幾許かの歳月が過ぎ去っている。今ではその手口の犯罪もすっかりなくなり、この事務所は、より多種多様な事件の依頼を受けるようになった。 それこそ、そこらの萎びた探偵事務所と全く変わらない。 浮気調査、人探し、犬探し、猫探し、亀探し……。 この日も、また、本当にそんな、ちょっとした事情を持つ者が来たようだった。 依頼人は、しばらくドアの前に立ってノックを繰り返し、返事を待った。 しかし、返事はない。 やはり、どうやら事務所の一室には誰もいないらしいと気づき、やがて諦めて、背中を向ける。 その人の後ろ姿は、ドアからゆっくりと遠ざかっていった……。 もしかすれば、この帰路でばったりとこの事務所の主に会う事を期待しているかもしれないし、その依頼を果たせる他の宛てを探しに行くのかもしれない。 その人は再び来るかもしれないし、既に常連であるかもしれないし、二度とこない一見かもしれない。それはわからない。 とにかく、まるで、その部屋そのものがその人間に見捨てられたかのように、一人の人間に置き去られた。 ──この、がらんと空いている部屋。 あの「鳴海探偵事務所」のロビー。 誰もこのドアを開けてはくれなかった。 ……事務所の内側は、すっかり無人であった。 奥に進めば、古い探偵小説や、寂しいほど整ったデスクがあるのだが、これらも蜘蛛たちが巣を張る為の優良物件となりつつあるようだ。 クラシックな品質で出来上がった家具や壁のレイアウトも、いくつもの帽子のかけられた壁も、少し前まではそこに誰かがいたかのような気品を漂わせるが、この時には誰もいなかった……。 何日か、あるいは、何週間か。──それがここから誰かがいなくなってから経過した時間はそれくらいだ。ただ、依頼人が来るところを見ると、何年という単位ではないだろう。 人の匂いのしない渇いた空気がその場に流れる。床板の匂いだろうか。少しだけ黴臭く、それでもどこか懐かしい物が鼻孔を擽る。下町の匂い。 隅のデスクには、ある意味では過去の重大事件の調査報告書とも取れる一冊の本と、それに関する記録(メモリー)と呼ぶべき数葉の写真があった。 ……これは、もう既に人々が忘れ去るほどに遠い過去のものだ。誰がここにこの本と写真の束を置いていたのだろう。 だが、それだけが、ここに誰か人の通った形跡を示す手がかりだった。 写真はもう、すっかり色褪せて、そこに映る人々の笑い顔さえも、どこか古めかしく見えるほどだった。そもそも、こうして写真を紙媒体に印刷する文化自体が、この時代からすると古めかしい物であるかもしれない。黴の臭いがする。 中には、幼い少女も映っているが、この人ももう、本当の大人だろう。 この、帽子を被っている気の良さそうな男は、生きていれば、もう老人かもしれないし、もしかしたらとうの昔に亡くなっているかもしれない。 ──帽子? これは、よく見ると壁に飾ってあるのと同じブランドの帽子だ。 ──年代ものだ。 時代は、大きく変わっていった。 街並みも変わり、この事務所で働く人々も変わっていく。 仮面ライダーとドーパントが戦う時代はとうに終わったくらいだ。 ……だが、それでも。この街に吹く風だけは変わらない。 いつまでも懐かしく、善と悪とが混ざり合い、そして、何より、良い風だった。 きっと、かつてこの街で暮らした人々が愛した物が、この時代の人たちにも吹き続けているのだろう。 ──窓の外の隙間風が、ぱらぱらと本のページをめくり、写真を床に散らばらせた。 この本のページを巻き戻す者はいない。 写真を拾う者は誰もいない。 そこに映っている人たちも、もうおそらく……。 世界の歴史の一つの記録を記した、その本の題名が大きく開かれる。 【変身ロワイアル】 ──広大なる宇宙。 本来、この限りなく広い宇宙というのは、それこそ数えきれないほどの人々が寄り添い合って暮らす場所であり、全ての命の故郷であるはずだった。少なくとも、ゼロが旅した幾つもの宇宙は全てがそうだった。だからこそ彼は宇宙を愛したのだ。 しかし、この青い戦士──ウルトラマンゼロが今、辿り着いた宇宙は、そんな宇宙たちとは全く違うと一目でわかった。 今、目に見えている星は全て模造品で、そこに芽吹く温かい生命までは再現されていない。 緑の息吹や文明のある惑星は恐ろしいほどに少なく、隕石の欠片のような星ばかりが無数に浮いている。そんな、おそろしいほどに音と空気のない深淵だった。 どこを何度見渡しても、やはり、生命の反応は……ない。強いてそこにある物を挙げるならば、「永遠の孤独」とでも呼ぶべき虚無感だけだ。 まるでブラックホールにでも飲み込まれたかのように見渡す限りの全てが無音で、それこそ、ゼロには、直感的にその空気に恐怖感を覚えざるを得ないほどの場所である。 『どうしたの? ゼロ』 「……ああ、いや、なんでもない」 ゼロは自分と同化している少女──蒼乃美希の言葉に、思わずそう空の返事をしてしまった。 辛うじて、ゼロが平静を保って居られるのは、いわばこの「美希」のお陰でもある。もし、彼女がいなければ、ゼロはすぐにでもその宇宙の齎す永遠の孤独に敏感に反応し、正気を失ったかもしれない。 自分と共にそこに誰かがいてくれる事が、ゼロの心を安堵させた。この不気味な宇宙の孤独からゼロを守れるのは彼女の存在だけだ。 ふと思う。 孤門は──この感覚を数日、その身で味わっているのだろうか。 ベリアルは──こんな感覚に身を震わせながら、全世界を手玉に取って満足なのだろうか。 一刻も早く、この宇宙の中でただ一人彷徨う「ウルトラマンノア」のスパークドールズを探さなければならないし、彼の時間を取り戻し、ベリアルも倒さなければならない。 しかし、やはり、この視界に広がる無限を前に、ゼロですら一瞬心が挫けそうになる気がした。 これから行う作業は、言ってみるなら──地球中から、一粒の塩を探し出すよりも困難な事であるという実感が湧いてきたのだ。 (まずいな……この世界に来てから、俺の力も弱まっちまった……) この世界に飛び込むのが初めてだったゼロは、更なる問題として、このエネルギーの枯渇も挙げられた。体に何トンかの鉛の分銅でも装着されたかのようにゼロの身体が重くなり、これまでのようなパワーも発揮できない状態が続いている。 この分だと、モードチェンジも出来ないどころか、先ほどまでのようにノアイージスを発現して別世界を渡る事さえできない。 たとえば、今すぐにゼロの力で引き返す事などは絶対に不可能な状態である。 (帰る方法は後で考えるか……それより──) もとより、ゼロに後退の意志はない。勿論、元の世界に帰らなければならないのも一つだが、それに関しては比較的楽観的に考えている部分もあった。この世界にいれば耐性が出来るだろうし、それならば地球時間で一週間ほどでも充分だ。 それはこれまでの美希たちの事を考えれば自ずとわかる事で、ベリアルを倒した後ならば一週間ここにいるというのも一つの手段である。 ……だが、問題はその事ではない。 (──これじゃあ、ベリアルと戦う力が無さすぎるぜ……っ!) そう、パワーの低下による、戦闘力への影響だ。 ベリアルの実力は、元々ゼロと殆ど互角だと言っていい。 どちらかが強い力を得てもう一方を圧倒し、そうなれば今度は負けた方が強くなりもう一方を倒す……という繰り返しが、これまでのゼロとベリアルとの間に生じていた力関係だった。 いわば、それが二人の終生のライバルたる因縁を作り上げていたのだ。 その能力がほとんどリセットされたこの世界では、圧倒的にベリアルの方に分がある。 まず、一対一の決闘でゼロがベリアルを相手に戦うのは不可能と言っていいだろう。 いかにして対策すべきか考え、宇宙空間の一点にとどまっていた時、美希の声がゼロの脳裏に反響した。 『──なんでもないのね。じゃあ、早く孤門さんを探して、ベリアルを倒しましょう!』 「お、おう……!」 ふと、美希の言葉が聞こえたので、ゼロもベリアル以外の事に意識を向ける事ができた。……そう、今は、彼女がここにいるのだ。 蒼乃美希。……あの殺し合いの生還者が。 まあ、確かに──今の孤門は、かつてゼロに力を与えたウルトラマンノアと同化しているのだから、彼がいれば現在の形勢は大きく逆転する事になる。しかし、そのノアを探し出すのにも、これだけ広い宇宙が広がっているようでは心が折れそうなのも事実だ。 美希もそれは、ここに来た瞬間に察しただろう。地平線すらもない無限の黒には、余程目が悪くない限りは恐怖を覚えるに違いない。──ましてや、彼女のように宇宙に行く機会の少ない地球人の少女となれば尚更だ。 だが、そんな美希が、ゼロに向けて──あるいは、これからの旅路を遠く見据えている自分自身に対して、ある意識を飛ばした。 『──諦めるな! ──』 美希の胸にあるのは、その言葉だけだった。 たとえ挫けそうになった時も、それを食い止めるのは、その単純な激励である。その言葉が持つ意味を噛みしめる。 長い講釈や説教と違い、言葉そのものが奇妙な力を発するのだった。 強い語調でもなく、かといってそっと支える風でもなく、その声がそもそも他人から向けられているような気がしない──そんな一言。 「──」 そして、それは、ゼロにとっても、最も好きな地球人の台詞だった。 孤門が何度となく使っていた口癖のような呪文。そして、ゼロもかつて、ある宇宙で──今思えば孤門に少し似た面影を持った──少年に言われ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンコスモスと共に胸に刻んだはずの言葉である。 確かに、こんな若い地球人の少女にこれを言われては、ゼロも立つ瀬がない。 「よしっ」 本来の彼らしい調子を、本格的に取り戻すには充分だった。こうして、無謀に近い状況に立たせられてこそ燃えるのが本当の自分ではないか、と。 ゼロは、その一言で奮い立つ。 「じゃあ、いくぜ、美希!」 『うん!』 ゼロは、スピードを上げて宇宙の果てに飛び立っていった。 願わくは、追い風が彼らに届くように……。 彼が飛び去った後には、青い残像が光っていた。 ◆ ──別の宇宙。 時空移動船アースラの壁は、だんだんと消滅を始め、ガイアセイバーズの視界に広大なブラックホールの姿を映していた。 目の前にある深い闇が、これから自分たちの身体と意思とを飲み込む事になる「宇宙」だという。 アースラは、無力にも、その直前で消えかかろうともしていた。──だが、これが、正しい歴史におけるアースラのあるべき姿なのだ。とうに消えているはずものが、奇跡的に駆動し、そして志半ばに消えかかっている。 しかし、最後の任務を終えたアースラを、今、ベリアルの野望が生み出した死者の力で再生し、今、無に帰る為に最後の力を振り絞ろうとしている姿でもあるのだ。 もしかしたら、それだけでは足りないかもしれない。 あとほんの少し、風が吹けば──この艦を動かしてくれた者の想いも、この艦を守ってくれた死者たちの想いも、この艦の為に命を亡くした者の想いも、全てが無にならなくなる。 インキュベーターの言った通りに、「出動」ができる。 きっと、風は、──届く。 ──そう、あと、もう少しで。 あの変身ロワイアルの世界へ──。 (届け……届け……!!) 彼らは、祈った。 人が祈れば風が吹くわけでもないが、かつて、左翔太郎はそんな経験をした事がある。人々の祈りは時として黄金の風を巻き起こす事もある。 せめてこの先にある世界に自分たちを届けてほしいと。 (届け……届け!!) そう思いながら── 八人は、ただ祈った。 彼らと同化している魂や、共に戦ったデバイスたちも祈り続けた。 このままでは、数々の人々が、数々の死者が、美国織莉子が、吉良沢優が、インキュベーターが、動かしてくれたこの船が沈んでしまう。 運命は、彼らだけの力では不足だというのか。 このまま辿り着かなければ、その全てが無駄になり、同時に、全てが終わる。 ここにいる者たちが最期を迎えた時、遂に世界の希望は潰えてしまう──。 (──届け!!!!!!) ──そして、その時である。 『──』 『──!』 『──!!』 彼らの耳に、幾つもの────「声」が聞こえた。 この時空の狭間には、無数の世界や宇宙──あるいは時空に繋がる扉が存在している。 それらの扉から、無数の声と、そして力が一陣の黄金の風となり、彼らのもとへと寄り集まっていったのである。 彼らに力を貸す意図もなく──ただ、混ざり合って風となって。 『──蒸着!』 なにものか、の声。 『赤射!』 『ムーン・プリズムパワー・メイク・アーーーップ!!』 ……それは、無数の時空に存在する彼ら以外の変身者の声に違いなかった。 遠き日、その変身者たちの姿を見守った子供たちならば、その声を聞き分け、それが誰の言葉であるかも、きっと思い出す事も出来るだろう。 『焼結!』 『デュアル・オーロラ・ウェーーーブ!!』 その変身者たちが発した魔法、科学、超能力など……あらゆる形で発現された変身エネルギーの塊。ベリアルさえも利用の方法を模索し、首輪という媒体を使わなければ得る事が出来なかった膨大な力たち──。 それが、彼らの船を包み、巨大な追い風へと変わっていったのである。 「!?」 ──この戦いの為に利用された、「変身エネルギー」たちである。 「これは……」 それは時に正義の力となり、時に悪の力となる。 それを使うのは使い手次第。 ガイアメモリが仮面ライダーにも、犯罪者にも使われたように。 光の巨人を模したウルティノイドがダークザギとなったように。 改造人間やテッカマンとなった者が時に本能に従順になり、時に理性で打ち勝ったように。 同じ遺伝子から生まれた少女が光と闇に分かたれたように。──そして、それがある時入れ替わったように。 使い手の心は、力の形さえも捻じ曲げる。 善にも悪にも。光にも闇にも。 ────そして、その力には決して罪はない。 『重甲!』『邪甲!』 『怒る!』 『風よ、光よ、忍法獅子変化!』『ゴースンタイガー!』 『チェインジ!スイッチオン!ワン、ツー、スリー!』 『大・変・身!』『アポロチェンジ!』 『ガイアーーー!』『アグルーーー!』 『『『『『クロスチェンジャー!』』』』』 『『『『『トッキュウチェンジ!』』』』』 『『『『『シュリケン変化!』』』』』 『瞬着!』 『凱気装!』 『ハニーフラッシュ!』 『ピピルマピピルマプリリンパ、パパレポパパレホドリミンパ!』 『パンプルピンプルパムポップン!』 変身者たちの風の中には、時に冷徹な悪の戦士の声や、戦いを行わないただの魔法少女の声までも混じった。そんな混沌の理由を察する事は誰にも出来なかった。 あらゆる時空から吹き荒れた「変身」の力には、意思という物はない。 だが、強いて言うならば、変身者たちの意識のほとんどがベリアルを倒す方に傾き、善悪問わず──あの外道衆たちさえも含め──彼らに味方しようとしている想いが、こんな奇跡を起こしているのかもしれない。 誰もが他者による支配を望まない。 故に、それらは一斉に彼らに向けられて力を発していたのだ。 『まさか……』 その果てにあるのがどんな目的であろうと、それは同じ「変身エネルギー」には違わず、そして、意思の伴わない力が偶然船に向けて放たれただけである。 アースラに乗っていた者たちは、全員、目を丸くした。 「何だよ、これ……」 『絶えず吹き荒れる、善と悪の風だ……!』 そう……かつて、翔太郎たちに力を貸した祈りの風は、決して正しい者たちだけが齎した物ではないのだ。 はした金の為に争い合った者も、園咲家も、風都の仲間も……あらゆる人間の想いが寄り添い合う場所が「街」であり、「風」なのである。 善と悪──人間が持つ二つの性質が混ざり合い、だからこそ巨大な風になりえた物だった。そして、それは今もそうだった。 そう、世界には、絶えず善と悪の風が吹き続ける……。 「英霊たちの力……ってやつだな」 『ああ、俺がこれまで、色んな時空で共に戦った黄金騎士たちの力も少しだが感じるぜ』 零とザルバもまた、冷静に力の正体を見極めていた。 歴代の黄金騎士たちが、過去も、未来も、時空さえも超えて、文字通りの「力」を届けている。──それをザルバは感じ取っていた。 その称号を受け継ぎ続ける彼らだからこその直感であろう。 「──変身という“力”そのものが……何かを変えようとする“力”が、私たちを、導いてくれているんですね……!」 それを起こしたのが誰であろうと関係はない。 彼らに力を貸す事が出来るのは、この時、個々人の思想ではなく、共通の「エネルギー」だったのだ。 それが最後のパーツとなって、エンジンは動いて行く。 徐々にプロペラが回っていくように、アースラも再び飛び上がっていった。 『みんな、遂に辿り着けるんだ……! 世界中の人の祈りを背負って……僕達は!!』 そして──そんなフィリップの声を聞いた後、彼らの意識はだんだんと曖昧になっていった。 次に目覚めた時、彼らにとって、無数のヒーローの声が真実であったのか、夢であったのか、既にわからないほど、遠い記憶のような出来事に思えていた。 変身エネルギーの概念を詳しく知らない彼らには些か、その原理がわかりかねる物であっただろう。 だが、結局のところ、どちらであれ──彼らは、世界の節々で繰り広げられていた自分たちと同じ境遇の者たちの力を感じて、再び殺し合いの世界に突入する事になった事実は変わらない。 ────そう、彼らの行き着いた先は、かつて殺し合いの舞台となった場所だった。 そして、彼らがそれを変えようとする場所だ。 ◆ ──変身ロワイアルの世界。 加頭順が城の上から眺めていた空には、アースラの半身が浮かび始めていた。 頭上に出来あがったブラックホールにその先端を突っ込もうとしている巨大な戦艦を眼に焼き付ける。 粒子に消えながらこの世界に突入するアースラの最期は、今まで見たどんな満月や流星群よりも美しい光景だと、加頭は思った。 いや、この言い方は妙か。……初めて「美しい」と思った光景だと言っていい。景色や世界の色使いに感動する気持ちが少しわかった気がする。 散華の美、とでも言おうか。 ──どうやら、彼らを妨害する事は出来なかったらしい。 ……となれば、結局、やはり、直接、戦闘によって勝ち得るしかないわけだ。 この手で敵と渡り合う。 どの道、あのアースラは消えてなくなるのだ。今更、労力を割いてまで撃墜する必要はない。 加頭はここで、彼らとの最後の戦いを待つだけだった。 降り立った彼らを真正面から向かい打ち、そして勝てるだけの実力が今の自分にはある。卑怯な手は使わない。使う必要はどこにもないからだ。 昨日までとは違う。新しい力が己に味方した以上、手負いの彼らくらいはきっと越えられる。──そんな自信があった。 己の手に固く握ったユートピアのメモリを一瞥し、加頭は微笑んだ。 「……来い。貴様らの最後を見届けてやる」 ああ、そして、彼らに──ガイアセイバーズに風が吹くのは、加頭にもわかっていた。 そう、今は彼らに追い風が吹いている。外からの力がこちらへと戦士を誘ったのだと。 しかし、この世界に立ち入ったからには、その風は突如、反対に吹いてもおかしくはないという事である。 冴子と暮らす為のこの世界を守るのが、加頭の最後の役目だ。 その役目の為にも、今度は逆風に変わってもらわなければ困る。 いや、自分自身のこの手で変えるのだ。──それこそが、加頭順として証明する冴子への最大の愛であり、最も価値のある婚約指輪になるだろう。 加頭は強く拳を握った。 「この世界から……排除する! ガイアセイバーズ!」 ガイアドライバーに周囲の「闇」が吸収されていく。 貯蓄された闇は更に加頭の感情を刺激し、彼の身体を強化し、NEVERに要される酵素に近い生命の延長を計った。 ベリアルが彼に与えた力が覚醒し、新たな力が「起動」し始める。 ◆ ──仮面ライダーの世界。 ──プリキュアの世界。 ──魔法少女の世界。 ──テッカマンの世界。 ──らんま1/2の世界。 ──魔戒騎士の世界。 ──ウルトラマンの世界。 ──スーパー戦隊の世界。 あらゆる者が、戦いの終わりを見守った。 たとえ、ベリアルほどの実力を持つ者たれども、今この時ばかりは、彼らに戦いの行く末を任せるしかない。 大人たちもまた、子供のような心を胸に、勇士が立ち上がり、関門に辿り着く姿を見守り──その勝利を祈った。 「──やっとたどり着いたか。てめえらも」 この世界に住む血祭ドウコクは、少しばかりその中では異端だった。 六門船の揺れる船の上で、三途の川面に浮かんだ映像を、骨のシタリと共に眺めて、彼らが辿り着いた事実をさも当然のように受け入れ、そして、そこにガイアセイバーズがいるかのように、彼は呟いた。 シタリは、彼の方をちらりと見る。 「見せてみろよ……。──貴様らが勝つ姿を」 血祭ドウコクの言葉を聞き、その横顔を眺めた後で、シタリは再び、何も言わずに三途の川の方に視線を落とした。 彼が今、こんな事を言う友人を見て何を想ったかはわからない。 ただ、シタリもこんなご時世、ドウコクと同じ物を観たがっているという事だけは同じだった。 ◆ 時系列順で読む Back BRIGHT STREAM(5)Next 変身─ファイナルミッション─(2) 投下順で読む Back BRIGHT STREAM(5)Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 左翔太郎 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 花咲つぼみ Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 佐倉杏子 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 高町ヴィヴィオ Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) レイジングハート Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 涼村暁 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 響良牙 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back BRIGHT STREAM(5) 涼邑零 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back 永遠のともだち 蒼乃美希 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back 永遠のともだち ウルトラマンゼロ Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back 崩壊─ゲームオーバー─(12) 孤門一輝 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back 帰ってきた外道衆 特別幕 血祭ドウコク Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back 帰ってきた外道衆 特別幕 外道シンケンレッド Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back インターミッション 加頭順 Next 変身─ファイナルミッション─(2) Back インターミッション カイザーベリアル Next 変身─ファイナルミッション─(2)
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ハートキャッチプリキュア!の変身後データ 【キュアブロッサム】 【キュアマリン】 【キュアサンシャイン】 【キュアムーンライト】 ハートキャッチプリキュア! に登場するプリキュアは、人々の心に宿る『こころの花』とその源である『こころの大樹』を守る為に戦う伝説の戦士。 こころの大樹を枯らそうとするさばくの使徒は遥か昔から人の心を狙い、それを阻止する為にプリキュアが戦った。 大樹から生まれた妖精に選ばれた少女がプリキュアに変身して、凄まじい力でさばくの使徒やデザトリアンから人の心を守っている。 さばくの使徒は基本的に無差別に暴れるので、プリキュアとの戦いは一般人に知られている。ただし『フレッシュプリキュア!』とは違い、最後まで正体を明かさないまま戦い抜いた。 妖精の方も普段はぬいぐるみのふりをしているが、たまに他人と会話をしているケースもある。 変身に必要なこころの種をココロパフューム(キュアサンシャインの場合はシャイニーパフューム、キュアムーンライトの場合はココロポット)にセットして、「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」という掛け声と共に変身する。 暴れているデザトリアンをプリキュアが浄化する度に、プリキュアのパートナーである妖精は『こころの種』を生んで、その度に大樹が元気になっていく。 また、妖精はマントに変身することができて、それを装着したプリキュアは空が飛べるようになる。 キュアブロッサム 本編での主な変身者は花咲つぼみ。 キュアマリン 本編での主な変身者は来海えりか。 キュアサンシャイン 本編での主な変身者は明堂院いつき。 キュアムーンライト 本編での主な変身者は月影ゆり。
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仮面ライダーWの変身後データ 【仮面ライダーダブル】 【仮面ライダーアクセル】 【仮面ライダーエターナル】 【仮面ライダースカル】 【仮面ライダージョーカー】 【仮面ライダーサイクロン】 本作の仮面ライダーは、作中でのキーアイテムとなる純正型のガイアメモリを専用のドライバーと呼ばれるベルトに装填して変身する。 加頭のドライバーを使って克己が変身している事から、多くのドライバーは他人でも使用可能な模様。ただし、ダブルドライバーなど、特殊なものも存在する。 基本的に、変身時の掛け声は「変身!!」。 マキシマムドライブ 必殺技は使用しているメモリの力を最大限に増幅させた「マキシマムドライブ」を発動する事で行い、その際「(発動するメモリ名)・Maximum Drive」の電子音声が発声される。使用すると身体に大きな負担がかかる。 ツインマキシマム ベルトのマキシマムスロットと武器のスロットにメモリを装填する事で発動できる、更に強いマキシマムドライブ。 身体への負担が非常に大きく、ダブルが通常形態で使用すると重症になるほどのエネルギーがある。 エクストリームやアクセルの場合、通常形態のダブルほど大きな負担はかからない。 仮面ライダーダブル 本編での主な変身者は左翔太郎とフィリップ。「S.I.C. HERO SAGA KAMEN RIDER W -Playback-」にて、石ノ森章太郎とフィリップで変身した事がある。 二つのメモリの力を使って戦闘する。メタルシャフトやトリガーマグナムのスロット、またはベルトのマキシマムスロットに装填する事でマキシマムドライブを発動する。 マキシマムドライブの発動の際、翔太郎とフィリップは息を合わせるために必殺技の名前を叫ぶ。 メタルシャフト サイクロンメタル、ヒートメタル、ルナメタルで使用可能な棒術武器。 メタルボディの特徴である頑丈なボディと同じ強度を持ち、高い攻撃力を持つ。 トリガーマグナム サイクトントリガー、ヒートトリガー、ルナトリガーで使用可能なエネルギー銃。 通常時は「ノーマルモード」、メモリブレイク時は「マキシマムモード」へ変化する。 サイクロンジョーカー 身長195cm。体重85kg。 パンチ力2.5t。キック力6t。ジャンプ力ひと跳び60m。100mを5.2秒で走る。 仮面ライダーダブルの基本形態。ダブルドライバーにサイクロンメモリとジョーカーメモリを挿しこむことで変身できる。 全フォームの中で最も格闘能力に優れており、攻撃の威力を高める風を操ることができる。 ジョーカーエクストリーム マキシマムドライブ。緑色の竜巻を発生させ、その力で宙に浮き上がった後、体を真ん中から半分に分割して時間差で両足蹴りを叩き込む。破壊力12t。 連続蹴り 『MOVIE大戦アルティメイタム ディレクターズカット版』で使用。緑の風を纏いながら体を回転させ、そのまま連続蹴りを叩き込む。 ジョーカーエクストリーム・ダブル(仮面ライダーアクセル バイクフォームとの合体技) アクセルの後輪を利用して空中高くジャンプしてジョーカーエクストリームを放つ。 サイクロンメタル 身長195cm。体重100kg。 パンチ力3.5t。キック力7t。ジャンプ力ひと跳び37m。100mを9.5秒で走る。 9つの基本形態で最も相性が悪いが、最も防御に優れたフォームであり、敵の飛び道具を弾く際使われる事が多い。 メタルツイスター メタルシャフトの先端に緑色の旋風を纏い、緑色の竜巻を発生させる様に回転しながら敵をシャフトで連打する。破壊力は30t。 メタルスタッグブレイカー スタッグフォンを合体させたメタルシャフトの先端にクワガタムシの顎の様な風のエネルギーを発生させ、敵を挟み込んで粉砕する。破壊力は30t。 サイクロントリガー 身長195cm。体重91kg。 パンチ力1.7t。キック力3t。ジャンプ力ひと跳び46m。100mを7.2秒で走る。 弾丸がサイクロンの能力を帯びたことにより、高い連射能力を持つ。反面、一発の威力は低く、命中精度が落ちるため精密射撃にも向いていない。 トリガーエアロバスター トリガーマグナムから緑色の小型竜巻を連続発射し、敵を吹き飛ばす。破壊力は20t。 トリガーバットシューティング バットショットが変形したスコープで照準を絞り、トリガーマグナムから射出した高威力の風の弾丸で敵の急所の正確な位置を一点集中で撃ち抜く。破壊力は20t。 ヒートジョーカー 身長195cm。体重98kg。 パンチ力5t。キック力5.5t。ジャンプ力ひと跳び49m。100mを6.5秒で走る。 闘争本能を高めるヒートメモリと近接格闘に優れるジョーカーメモリの組み合わせなので相性は良いが、その分やや制御が難しい。 ジョーカーグレネイド ヒートサイドの拳に赤・ジョーカーサイドの拳に紫の炎を纏い、ジャンプと共にその熱を推進力として上昇し、空中で分割され、両サイドから敵に連続パンチを叩き込む。破壊力は10t。 ヒートメタル 身長195cm。体重105kg。 パンチ力6t。キック力9t。ジャンプ力ひと跳び25m。100mを11秒で走る。 メタルメモリのパワーをヒートメモリが高める形となるフォームであり、高熱のメタルシャフトによる力強い棒術を得意とする。 鈍重だが、極めて高いパワーを誇る。 メタルブランディング メタルシャフトの先端(片方あるいは両方)に高熱を纏い、噴射した熱による推進力を乗せて敵にシャフトを叩き込む。破壊力は30t。 ヒートトリガー 身長195cm。体重95kg。 パンチ力3t。キック力4t。ジャンプ力ひと跳び45m。100mを8.0秒で走る。 ヒートとトリガーという攻撃的なメモリ同士の組み合わせである為、初期の9つのフォームの中では最大の火力を誇るが、その反面、最も不安定で危険なフォームでもある(ナスカ・ドーパントとの戦闘では、弾丸の強い爆発によってフィリップが意識を失ってしまい、変身を維持できなくなってしまっている)。 トリガーエクスプロージョン トリガーマグナムから超高温の火炎放射を放つ。破壊力は35t。 ツインマキシマムの場合は全身が超高温になり、その熱エネルギーを圧縮した強力な火炎弾を放つ。 ルナジョーカー 身長195cm。体重75kg。 パンチ力2t。キック力4.5t。ジャンプ力ひと跳び50m。100mを4.0秒で走る。 ルナ側の右半身が伸縮性を持った状態となり、変幻自在に遠距離からのパンチやキックを放つ。 逃げようとする敵をつかんで引き戻したり、伸ばした手足をしならせる事で敵の攻撃を弾いたりする事もできるが、パワーは弱い。 ジョーカーストレンジ 正中から分割され、さらにルナサイドが分身した後同時に腕を伸ばして連続攻撃を当て、最後にジョーカーサイドによるパンチを叩き込む。破壊力は13t。 ルナメタル 身長195cm。体重90kg。 パンチ力4t。キック力5t。ジャンプ力ひと跳び40m。100mを7.6秒で走る。 メタルシャフトがムチのように伸縮し、変幻自在の攻撃を繰り出す。敵を捕縛したり、命綱のように使ってぶら下がるといった事も可能。 メタルイリュージョン 鞭状に変化したメタルシャフトを円を描く様に振り回して黄色の円盤状のエネルギーを複数生成し、自在に弾き飛ばして敵を攻撃し、全ての光輪を全方位からぶつける。破壊力は30t。 ルナトリガー 身長195cm。体重80kg。 パンチ力3.5t。キック力4.5t。ジャンプ力ひと跳び45m。100mを8.5秒。 変幻自在に軌道を変えるエネルギー弾を発射する事が可能で、動き回る敵を確実に銃撃するのに有効なフォーム。かなり便利。 トリガーフルバースト トリガーマグナムから変幻自在に軌道を変える黄色・青のエネルギー弾を無数に撃ち出す。破壊力は20t。 トリガースタッグバースト スタッグフォンを合体させたトリガーマグナムから左右2方向に分断して発射した光線が、クワガタムシの顎の様に弧を描き敵を挟み込み命中する。破壊力は20t。 ファングジョーカー 身長195cm。体重82kg。 パンチ力8t。キック力13t。ジャンプ力ひと跳び30m。100mを3.2秒で走る。 ダブルの形態の中で、唯一フィリップが変身し、翔太郎がソウルサイドになる。変身にはファングメモリとジョーカーメモリが必要。 他のフォームを凌ぐ高い格闘能力を持ち、闘争心を剥き出しにした野獣のような戦い方をする。ただし、ファングメモリはフィリップを守るためなら手段を選ばず敵を排除するようプログラムされているため、暴走する危険性がある。 鼻先の角・タクティカルホーンを弾く回数によって異なる箇所に刃を出現させる。1回で「Arm Fang」の電子音声と共に腕から伸びる刃アームセイバーと、2回で「Shoulder Fang」の電子音声と共に肩から出現しブーメランや手持ち武器として扱える刃ショルダーセイバーが武器になる。 ファングストライザー タクティカルホーンを3回弾いて右脚にマキシマムセイバーを出現させ、蹴りで敵を切り裂く。その際、恐竜の頭部の様なオーラと共に、メモリに描かれている「F」の文字が浮かび上がる。破壊力は45t。 サイクロンジョーカーエクストリーム 身長195cm。体重82kg。 パンチ力5t。キック力10t。ジャンプ力ひと跳び60m。100mを4秒で走る。 サイクロンジョーカーの状態でフィリップの肉体を取り込んだエクストリームメモリを使用して変身する、2人の精神・肉体が一体化したサイクロンジョーカーの強化形態にしてWの最強形態。 触角・手足のリングはX字型、ショルダーはW型のフォーススタビライザーに変化し、カラーリングはサイクロンジョーカーの緑・黒に加えて、身体の中央にセントラルパーテーションが変化したクリスタル状の超越的身体・クリスタルサーバーが出現し、3色に分かれる。 クリスタルサーバーは地球という巨大なデータベースと直結しており、その場の戦闘に必要な情報をリアルタイムで検索・ダウンロードする役割を果たす。これにより、入手した情報からその都度置かれた状況に合わせて最も有効な戦術・戦略を導き出す事で常に敵の動きを察知した上で一手先を行く戦法をとる事が可能で、クリスタルサーバーと連携した格闘戦、専用武器・プリズムビッカーを使用する剣術戦を得意とする。クリスタルサーバー・プリズムビッカーを連携する事で敵のガイアメモリの能力を無効化する事も可能であり、ハーフチェンジ・ファングジョーカーでは不可能だったツインマキシマム・プリズムビッカーを使用した4本同時マキシマムドライブも問題無く発動可能。 プリズムビッカー クリスタルサーバーから生成される武器。別名光の矛と盾。プリズムメモリを装填する事で、プリズムソード、ビッカーシールドに分離可能。クリスタルサーバーと連携する事でドーパントの能力を検索・解析し、そのデータを利用して敵のガイアメモリの能力を無効化できる。 プリズムソード プリズムビッカーから分離される両刃剣。プリズムメモリと併用する事で複数のメモリの力を集束させる能力を持ち、強力な斬撃を繰り出す事が可能。 ビッカーシールド 手用の円形盾。X字型に配された4つのマキシマムスロットがあり、従来では不可能だった4本同時マキシマムドライブの発動が可能。 ダブルエクストリーム マキシマムドライブ。エクスタイフーンから発生した緑・黒の2色の竜巻に包まれながら上昇し、両足にエクストリームのエネルギーを纏って両足蹴りを叩き込む。破壊力は80t。 ダブルプリズムエクストリーム エクストリーム・プリズムメモリのツインマキシマム。両足にエクストリーム・プリズムのエネルギーを纏って両足蹴りを叩き込んだ後に連続蹴りで追撃するダブルエクストリームの強化版。ユートピアにもっとも有効。破壊力は160t。 プリズムブレイク プリズムソードのマキシマムスターターを押してマキシマムドライブを発動し、斬り付けた敵のメモリの能力を断つ。エネルギー刃を飛ばすパターンもある。破壊力は50t。 ビッカーファイナリュージョン サイクロン・ヒート・ルナorトリガー・ジョーカーorメタルのいずれか4本をブリズムビッカーに装填してマキシマムドライブを発動し、ジョーカーの場合は七色の光線を放ち、メタルの場合は強力なバリア状のエネルギーを展開する。破壊力は120t。 ビッカーチャージブレイク サイクロン・ヒート・ルナ・ジョーカーの4本をブリズムビッカーに装填してマキシマムドライブを発動し、メモリのエネルギーをプリズムメモリの力でプリズムソードに集束して敵を一刀両断する。破壊力は120t。 名称不明(ルナマキシマムドライブ) 右腕のリングを伸ばして敵を絡め取る。 ダブルライダースラッシュ(オーズとの合体技) 『MOVIE大戦CORE』で使用。ビッカーチャージブレイクとオーズ(タトバコンボ)のオーズバッシュの同時攻撃。 トリプルライダーキック(キバ、ディケイドとの合体技) 『仮面ライダーウィザード』最終話で使用。ダブルエクストリーム、キバ(エンペラフォーム)のエンペラームーンブレイク、ディケイド(コンプリートフォーム)の強化ディメンションキックの三位一体攻撃。破壊力は290t。 サイクロンジョーカーゴールドエクストリーム 身長195cm。体重82kg。その他のスペック不明。 『AtoZ 運命のガイアメモリ』にて、風都の人々の祈りを乗せた風を受けて変身したダブルの超最強形態。 『MOVIE大戦CORE』では、オーズがタジャドルコンボにコンボチェンジした際に発生したエネルギーを吸収して変身した。 クリスタルサーバーの色が黄金に変色し、街のシンボルである風都タワーの風車の羽を模したマフラーの様な3対の翼で自由自在に空中を飛翔可能。 ゴールデンエクストリーム 黄金のエネルギーを纏い、背中の翼で飛翔しながら強力な両足蹴りを叩き込むキック。26本のガイアメモリを全て破壊するほどのエネルギーを持つ。少なくとも80t以上の威力が推定される。 ダブルライダーキック(オーズとの合体技) 『MOVIE大戦CORE』で使用。ゴールデンエクストリーム、オーズのプロミネンスドロップ(タジャドルコンボ)の同時攻撃。破壊力は320t。 サイクロンアクセルエクストリーム 照井竜のアクセルメモリとフィリップのサイクロンメモリで変身したダブル。 シュラウドがテラー・ドーパントとの決戦に向けて当初想定していた形態。複眼の色は青。 テラーを倒すための最大の難関・精神干渉波に対抗可能な姿とされている。本編ではイメージでしか登場していないが、後に玩具が発売され、ゲーム『仮面ライダークライマックスヒーローズ オーズ』に登場。 このゲームでは、アクセルとサイクロンジョーカーエクストリームの必殺技を仕様可能となっている。 仮面ライダーアクセル 本編での主な変身者は照井竜。 身長197cm。体重93kg。 パンチ力10t。キック力12t。ジャンプ力ひと跳び47m。100mを3秒で走る。 フルフェイス・ヘルメットを模したマスク・モトシェルメット、頭部に見られる鋭利な形状となった「A」を模した角・エースフィーラー、背部・脚部に装着された車輪・ランドホイールが特徴。青のモトシールドの奥に隠された円状の複眼・フェイスフラッシャーは変身直後・マキシマムドライブ発動時に発光する。 アクセルメモリ単体での力・特質を極限まで活かした仕様となっているため、サイクロンやヒートの力を圧倒するスピード・放熱を誇り、戦闘能力も非常に高い。 アクセルドライバーの右グリップ部・パワースロットルを捻る事で、メモリのパワーを伝達して力を高める事が可能で、エンジンブレードを使用する豪快な剣技・専用技を駆使した剣術戦を得意とする。全身からヒートメモリ以上の高熱を放つ事もできる。 アクセルグランツァー アクセルメモリのマキシマムドライブ。全身に高熱を纏い、後ろ跳び回し蹴りを叩き込む。破壊力は35t。 エースラッシャー エンジンメモリのマキシマムドライブ。エンジンブレードからA字型のエネルギー刃を射出する。 ダイナミックエース エンジンメモリのマキシマムドライブ。エンジンブレードで敵や周囲をA字型に切り裂く。 バイクフォーム 全長2.65m。全幅0.82m。全高0.98m。重量98kg。最高速度は920km/h。 アクセルに変身した状態でグリップを握ってドライバーを取り外す事で変身可能なバイク形態。 如何なるオフロード・悪路も縦横無尽に疾走可能で、氷の上でもスリップしない。それどころか、垂直の壁を駆け上がる事までできる。足裏のマフラー・エクゾーストマズルから熱風を放出して攻撃する。 無人でも走行できるが、ダブルやなでしこを乗せて戦う事もある。 突撃攻撃 エンジンメモリをアクセルドライバーに装填してマキシマムドライブを発動し、全身に炎を纏って敵に突撃するマキシマムドライブ。 アクセルガンナー 全長4m。全幅1.52m。全高1.22m。重量238kg。最高速度は1070km/h。最高出力1340kw(馬力換算で約1000馬力)。 バイクフォームのアクセルがシュラウドから与えられたサポートドロイド・ガンナーAと合体した姿。 走行・砲撃は全てスロットル操作で行い、セーフティが解除されたガイアキャノン・バイクフォームの後輪に仕込まれた副砲・ガトリングホイールを武器とする。 ガンナーフルブレイク ガイアキャノンからマキシマムドライブのエネルギーを集束した砲撃を放つ必殺技。 アクセルタービュラー バイクフォームがWのタービュラーユニットと合体したアクセルの空中戦闘形態。自在に空中を飛行可能で、前輪を使用しないユニットのため、上半身を人型に戻す事でエンジンブレードが使用できる。タービュラーユニットから噴射する青い炎(バックファイア)で攻撃可能。 突撃攻撃 アクセルメモリのマキシマムドライブ。巨大なAの文字を模した炎を纏って、エンジンブレードで突撃する。 トライアル 身長197cm。体重82kg。 パンチ力2.5t。キック力3t。ジャンプ力ひと跳び90m。100mを0.27秒で走る。 トライアルメモリを使用した最強形態。最低限必要な部分を除いた装甲などの重量物を徹底排除、大きな軽量化が施された事で、運動性能の飛躍的な向上、音速にも耐えうる超高速移動を実現している。ただし、その軽量化により、防御力・耐久力・一撃分の攻撃力(最大威力でも1/4)が著しく低下しており、特に攻撃力は1/8にまで低下してしまう。しかし重い一撃を叩き込むのではなく、一度に連続攻撃を重ねてダメージを蓄積し、機動力を活かして敵の攻撃を回避可能なため、そのデメリットをフォローするだけの戦闘能力を発揮可能であり、エンジンブレードも使用可能。使用者がどれだけのスピードを発揮できるのかにもよる。 マキシマムドライブ発動中はシステムに多大な負担が掛かる事から10秒間のタイムリミットが設けられており、制限時間内にメモリのカウンターを手動で停止させなければ変身が強制解除され、変身者も相応のダメージを負ってしまう。このリスクがあるため、照井は予め訓練をしたうえでなければ使いこなせなかった。 マシンガンスパイク トライアルメモリのマキシマムドライブ。トライアルメモリの秒読み開始と同時に最大加速を行い、「T」の字を描く様に連続で蹴りを叩き込む。キックの数によって威力は大きく異なる。 マシンガンスラッシャー トライアルメモリのマキシマムドライブ。トライアルメモリの秒読み開始と同時に最大加速を行い、「T」の字を描く様にエンジンブレードで連続で切り刻む。これも切り刻んだ数で大きく威力は異なる。 ブースター 身長197cm。体重80kg。 パンチ力5t。キック力10t。ジャンプ力ひと跳び1500m(ブースター使用時)。100mを5秒で走る。 バイクフォームへ変身するための車輪が失われた代わりに飛行用のブースターが全身に設けられている。 ブースターの加速力で自在に飛行可能なだけでなく、攻撃力やスピードも通常時のアクセルより高く、その機動性を活かした三次元的な空中戦闘を得意とする。エンジンブレードも使用可能。 ブーストスラッシャー 低空飛行を行い、黄色のエネルギー刃を纏ったエンジンブレードで横一文字に切り裂く、アクセルメモリのマキシマムドライブ。 仮面ライダーエターナル 本編での主な変身者は大道克己、加頭順。 レッドフレア 加頭順が変身したエターナルの基本形態。通常はこの形態だが、エターナルメモリの適合率が高い大道克己はコレをすっ飛ばしてブルーフレアになる。 コンバットベルトやエターナルローブがなく、エターナルメモリの真価を発揮できていない状態。作中ではろくに戦闘していない。 ブルーフレア 身長205cm。体重92kg。 パンチ力7t。キック力12t。ジャンプ力ひと跳び150m。100mを3秒で走る。 克己とエターナルメモリとの高い適合率によって、メモリの力を最大限に引き出した究極の姿。 胸・右腕・左腿・背中には合計25のマキシマムスロットが設けられたベルト・コンバットベルトが装着されており、エターナル以外のマキシマムドライブも発動できる。あらゆる攻撃を無効化する黒いマント・エターナルローブを纏っている。 エターナルエッジ エターナルの専用武器のナイフ。マキシマムスロット付き。蒼いエネルギー刃を飛ばす事もできる。 エターナルレクイエム T2以前の全てのガイアメモリを永久停止させる技。エネルギーを足先に集中させ、Eの字を描いた跳び回し蹴りを叩き込み、メモリブレイクする事もできる。 コークスクリューパンチ T2ユニコーンメモリのマキシマムドライブ。右拳に螺旋状のオーラを纏ったパンチ。 転送能力 T2ゾーンメモリのマキシマムドライブ。全てのT2ガイアメモリを手元の転送させ、マキシマムスロットにはめ込ませた。遠くにあるメモリや知覚していないメモリは集められない模様。 ブルーフレア最強形態 T2ゾーンメモリの力でマキシマムスロットにAtoZのガイアメモリを装填した姿。 緑色のオーラ・エターナルウェーブを纏い、複眼が常に黄色く発光している。 エクスビッカーで増幅されたエターナルウェーブを全て吸収し、自らの体を触媒としたエターナルウェーブを散布するネクロオーバーの製造マシンとなる。 ブラッディヘルブレイド AtoZの全T2ガイアメモリを使ったマキシマムドライブ。エターナルウェーブをエターナルエッジの刀身に集束して敵を一刀両断する。 ネバーエンディングヘル AtoZの全T2ガイアメモリを使ったマキシマムドライブ。エターナルウェーブを集束して巨大な緑色の破壊光球として放ち、敵を粉砕する。 仮面ライダースカル 本編での主な変身者は鳴海壮吉、ソウキチ。 身長205cm。体重110kg。 パンチ力2t。キック力6.5t。ジャンプ力ひと跳び45m。100mを6.3秒で走る。 クリスタル 戦う決意を固められず、心に迷いが生じている時のスカルの形態。真の力が発揮できず、頭部にSマークの亀裂が入っていない。 スカルマグナムはこの時から装備されているが、能力はドーパントにも劣る。 仮面ライダージョーカー 本編での主な変身者は左翔太郎。 身長195cm。体重85kg。 パンチ力1.25t。キック力3t。ジャンプ力ひと跳び30m。100mを6.2秒で走る。 仮面ライダーサイクロン 本編での主な変身者は左翔太郎?。 ロストドライバーとサイクロンメモリで変身する事が出来る。 高速での格闘戦が得意。サイクロンメモリの真の力を発揮する事ができるため、風を吸収しエネルギーに変える能力は、サイクロンジョーカー等の各フォームよりも強い。 戦闘時にパワーダウンを起こしても風を吸収する事で回復する事ができるほか、風を操る事で空中で姿勢制御する事ができる。 小説『Zを継ぐ者』と『超クライマックスヒーローズ』に登場。 手刀 マキシマムドライブ。右手に風のエネルギーを溜めて敵に叩き付ける。
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変身─ファイナルミッション─(7) ◆gry038wOvE ゼロの目の前には、巨大な支配力の塔がそびえたっていた。塔は円筒状であり、見る限り横幅はウルトラマンの何倍もある。だが、その左右の端が視えるだけマシであった。 その塔の上には、「果て」という物がない。勿論、厳密にはどこか途切れる場所があるはずなのだが、やはり宇宙に続く軌道エレベーターのように伸びており、ウルトラマンの視力が見つめてもその高さを計る事は出来ないのである。 かつて支配者メビウスが貯蓄したエネルギーの比ではないほどの力が溜められたタンクは、カイザーベリアルがこの殺し合いで積み重ねた物の結晶だ。 「すげえな……こいつは」 ゼロもそれを見て息を飲んだ。 彼らの前にあるのは、その塔の「根」であった。ウルトラマンが数十人集って輪を作ってようやく収まるほどの外周だが、それでもこの果てなき塔を支えるには小さい塔……。 だが、それが脆さでもある。根元から崩すのは難しくはなさそうだ。 そして、この巨大なシステムを司る「核」が、妖精シフォンだった。ウルトラマンゼロの視力は、根のあたりに埋め込まれているシフォンの全容を捉える事には成功している。 何せ、その周囲が完全なる荒野で、見えている物といえば、永久に水かさを増し続けるそのFUKOのタワーだけなのである。 ゼロは、飛行をやめ、滞空した。 その塔の数千メートル手前で、塔の根元にいる小さなパンダの赤ん坊のような生物を見て、自分の中の「美希」にその情報を伝達した。 意識を送られた美希は、それを見て、再三の確認のように頷いた。 「シフォン……!」 今、自分たちが見つけるべき対象こと、シフォンは目の前に居るのだ。 シフォンは今、悲しんでいる。──世界を支配する為に、自らの存在が道具として利用されている事に……。 その想いが、今、遠くで、シフォンの隈のような両目から流れ出ているような気がした。かつても、こうしてメビウスによって利用された彼女を……再び、誰かが利用している。 彼女にシフォンの姿をしっかりと見せ、安心させた所で、ゼロは、シフォンを助けるべく、素早く空を駆けた。今からは四の五の言うよりも、やはり体を動かし、一刻も早くシフォンを救うべきだと判ずるのは当然だ。 だが。 「ん……?」 彼らが飛翔していると、遥か前方で砂の中が不気味に蠢いた。やはり、一面の砂漠の中、FUKOのエネルギーが野ざらしという訳でもなかったのだろう。 砂漠がむくむくと山を作り出していく。どうやら、砂の中二何かが潜り込んでいるらしい。 まるで蟻地獄の正反対で、空が砂に削られていくようだった。 そこから何が現れるのは、ゼロは微かに動揺した。 「──!?」 次の瞬間──その中から全身を晒したのは、あの仮面ライダー1号や2号と同じように、飛蝗の顔をした「仮面ライダー」の姿である。 だが、よく見れば、やはり1号や2号などの旧式仮面ライダーとは決定的に違う外形であった。 「──仮面ライダー……じゃない……!?」 「強い憎しみに溢れた姿……これは一体……!」 そう、その全身は真っ赤な業火に包まれており、仮面ライダーたちと……いや、このウルトラマンゼロと比しても巨大な姿をしているのだ。──それが何者なのかは、ゼロにも美希にもわからない。 直後に、それは、数百メートルまで肉薄したゼロに向けて、自ら、野太い声で名乗りを上げたのだった。 『フン。現れたか、ウルトラマンゼロ。──……我が名は仮面ライダーコア』 仮面ライダーコア。 それが、彼の名前であった。ある時空においては、仮面ライダーダブルと仮面ライダーオーズの二人のライダーによって倒された、「仮面ライダーの悲しみ」の結晶こそ、この怪物の正体である。 だが、今回の彼は、ただそれだけの存在ではなかったらしい。 『仮面ライダーやウルトラマン、プリキュア……あらゆる変身者たちの悲しみから生まれた究極の戦士にして、このタワーの番人──』 つまり──この殺し合いや、外世界における、あらゆる戦士の悲しみを吸収し、500m以上の巨大な仮面ライダーとなった彼の姿なのである。コアは、戦士の悲しみが深いほどに強くなっていく仮面ライダーだ。 それゆえ、ほとんど大きさはゼロの十倍であり、この巨大なタワーを任される番人としてはうってつけの存在であった。もしかすれば、その出自から考えるに、彼もまたFUKOのエネルギーを借りて作られた存在なのかもしれない。 だが、コアを前にもゼロは臆する事がなく進み続けた。 「そうか──……わかったから、そこを退け! お前に構ってる暇はない!!」 ゼロは、全くスピードを変える事も止める事もなく、ウルトラマンノアより受けた鎧「ウルティメイトイージス」を、右腕に装着する弓として展開する。 この世界でも、やはりウルトラマンノアはゼロに力を貸し、そして、今、ゼロに再び力を与えているのである。ノアとゼロとの出会いもまた、運命的であるとも言えた。 『フン……無駄だ。全ての戦士の絶望を最大限に吸収した我が身に勝てる力など──』 ゼロが滑空しながら、ウルティメイトイージスにエネルギーを充填する。 これから射出するのは、イージスそのものだ。イージスを高速回転させて相手にぶつける技──ファイナルウルティメイトゼロである。 そして、仮面ライダーコアの服部に向けて勢いよく発射するのだった。 「そういうのが……──しゃらくせえんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーッッ!!!!!!」 そんな叫び声の大きさは、イージスの発射音にも勝った。 イージスは、高速で回転しながらコアに向けて飛んでいく。それは、コアの目に追いきれないスピードで肥大化し、コアのベルトの部分に勢いよく叩きつけられた。 ──彼の体に、巨大な風穴が開く。 コアがダメージを感じるよりも早く、まるで手慣れた猛獣の火の輪潜りのように、ゼロが飛び去って行った。 『がっ……』 それは、一瞬の出来事だった。 自らの体の内を通過された後で、コアは痛みを覚え──そして、自らが一瞬で敗北した事実を知った。 『何だとォォォ……!!』 ゼロの体に、ウルティメイトイージスが鎧として装着されている。彼は、自らが発した武具と、いつの間にか再同化したのであった。 しかし、その矛先が向けられたのは、仮面ライダーコアの方ではなかった。 何故なら──次の瞬間には、仮面ライダーコアは、大きく音を立てて前のめりに倒れ込んでいったからだ。大地は大きく揺れた事であろうが、その大陸は、見渡す限り無人の荒野でしかなかった。 『バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………』 ただ虚しく、倒れた音が響くのみだ。 最強の敵もまた、それを超える存在には無力である。 「──よし、美希! すぐにシフォンを助けるぞ!」 「オッケー!」 ゼロと美希の頭からは、既に敵の事など消え去っている。彼らが行うべきは、目の前の物体の破壊と、そして、シフォンの救出だ。 ゼロの手からは、次の瞬間、白銀の長剣ウルティメイトゼロソードが出現し、伸縮自在の光が真っ直ぐ、目の前の塔に向けられた。 それは、黒く濁った目の前のタンクの真横で数百メートルまで伸びていく。 これが次の瞬間には左方向に向けて振るわれ、塔を破壊するのは明白だった。 「うおおおりゃあああああああッッ!!!!」 まさしく、その通りに──ゼロは、ウルティメイトゼロソードを凪いだ。光が物体をすり抜けるように、ウルティメイトゼロソードは塔を抉り取る。 塔の切断面は、まるで自らが切断した事実に気づかなかったように止まった。崩れるより先に液体が零れ、それからまたそれに引きつけられるようにしてゆっくりと塔が傾いた。 上と下に、真っ二つに分かれた塔は、更に、二度、三度と×印を描くようにウルティメイトソードの刃を受ける事になる。 「もういっちょっ!!」 そして、切断面で、怪獣の爆発のように何かが爆ぜたかと思うと、次の瞬間には、真横に雪崩れ込むようにして欠片が落ちた。 何もなかった荒野を洪水が包んでいく。 宇宙の果てまで届いていたはずの巨大な塔は、そのまま、この星の半分に影──即ち、夜を作り上げる。 『何故だ……この私が──』 膨大なFUKOの海の中に没しながら、コアはまだ自らの一瞬での敗北を信じられないように言った。 しかし、ゼロのあまりの破天荒で派手なやり方に、コアはむしろ諦観したように、一瞬の夜を見上げるばかりだった。 半身が波に飲まれ、顔だけが水の上に浮わついていたコアの目の前で、ゼロが滞空する。 「──聞いとけ、なんとかコア。悲しみや、絶望如きが俺たちの希望に勝とうなんざ、二万年早えぜ!!」 「って言っても、二万年後に挑んでも無駄だけどね!」 ゼロは、次の瞬間、青い光となって、その波の向こうにいるはずのシフォンを探して、飛び込んだ。コアの視界からは、一瞬で消えてしまった。 コアは、そんな彼らの言葉を耳にしながら、最早何の感慨も抱く事なく、FUKOの渦に沈んでいく。彼らの返答が、コアにとって敗北の理由として納得のいくものであったのかはわからない。 ただ、ゆっくりとコアはもはや希望に敗退し、消えゆく定めでしかなかった。 希望の弱点が絶望であり、絶望の弱点もまた希望であるという矛盾した事実に苛まれながら……。 「そうだ! そんな事より……」 その真横で、ゼロたちはより早く、深くへと荒波の向こうへと進んでいた。 「──シフォン!!」 塔の底部のシステムと融合しているシフォンが波に流される事はなかった。 システムの崩壊によって、インフィニティメモリとしての機能が失われたシフォンは、正気を取り戻し、円らな瞳で、ウルトラマンゼロの巨体を真っ直ぐ見つめる。 彼女は自らの持つ特異な能力で身体の周囲にだけ結界を張り、まるで空に浮くシャボン玉に包まれるようにして身を守っていた。 ゼロが邪心のある存在でない事や、ゼロの中にある美希の姿もまた、シフォンはその能力で感じ取ったようである。 「ぷいきゃー!!」 まだ拙い赤子の言葉で、シフォンはそう感嘆する。 彼女がどの程度事情を理解しているかはわからないが、ひとまずゼロは黙って彼女に向かって頷いた。それは、どこか神秘的なノアにも少し近く、ゼロ生来の若さと裏腹な落ち着きさえ感じさせた事だろう。 一方、ゼロの中の美希が、シフォンに向けて、クールな普段とはこれまた裏腹な喜びと安心を叫び出した。本来なら我が子のように抱きしめたいところであったが、事実、ゼロと同化状態にある美希にはそれが出来ない。 「シフォン!!」 「みきー♪」 「良かった……!!」 しかし、まるでその時、美希はゼロの身体の中から心だけ抜け出して、シフォンの身体を包む事に成功したような気分であった。 シフォンもまた、誰かのぬくもりを全身に感じたような気がした。──ずっと待っていた助けが来た安心感が、シフォンの心を灯したのだろう。 その一瞬は、長かった。 「──」 ……気づけば、ゼロの銀色の掌の上に、小さなシフォンが乗っている。ゼロと同化しているはずの美希が、その事にまったく気づかなかったのだ。シフォンと再会できた喜びに我を忘れていた証であるとも言えた。 ゼロは、優しくその掌を包み、再び空に向けて飛び上がった。水の抵抗を強く受けながらも、空に向けて抜け出そうと這い上がっていく。その手の中では、シフォンは、突然地上に出る水圧を一切受けなかった。 「ふぅ!」 空へと戻る。 まるでプールで遊びきった子供のように、ゼロは空の上でそう言うが、真下は凄惨たる有様だ。──当然である。 空の上まで高く聳えていた塔が殆ど根元から崩れたのだ。それは、先端や大気圏外の物はほとんど根元の崩壊を知って、それそのものが壊死するように自壊して消えていったようだが、空気に晒されている物は残骸として落ち、FUKOは液体として荒波を立てている。 「……で、美希。どうすんだ、これ」 「私に訊かないでよ!!」 このままでは、この星そのものが崩壊だというレベルだ。 後先考えない破壊行為が、やはり後先になって響くのは当然であった。 殺し合いが行われた星とはいえ、しかし、ここにはまだ戦っている仲間がいるのである。このまま崩壊させてしまうわけにはいかない。 「みき!」 「ん? シフォン、何?」 「きゅあー」 さて、そんな時、困り果てて空の上に立ちすくむゼロたちに向けて、救いの声が上がった。 ゼロと美希の様子を察したシフォンが、自らの能力を使ったのだ。 「きゅあきゅあぷりっぷー!!」 すると、ゼロの前で、ウルトラマンでさえ持ちえない神秘の力が発動した。──美希にとってみれば、これもそう珍しい物ではない。 だが、ゼロにとっては、それはかなり新鮮な光景である。 ──シフォンの超能力により、なんと、そのFUKOの洪水は、一斉に空へと飛び上がっていったのだ。それは重力を一切無視して宇宙に向けて放たれ、まるで自ら意思を持つようにして、水のない荒野の星に向けて旅立って行く。 そうして、この地球に残った支配の残骸たちが、こうして一瞬にして片づいてしまったのである。 周囲をシフォンのバリアに包まれたゼロは、自らの手の届く場所全体で、FUKOが空へと逆流していく光景を見ることになった。 「マジかよ……こいつ、何でもありじゃねえか!」 流石のゼロでさえも唖然とする。 ……だが、考えてみればそれは、人知を超える超能力を持つ「怪獣」たちにも似ているのだ。地球にもかつて、こうした怪獣の赤ん坊や子供が何体か確認されており、宇宙にはウルトラマンでさえ持ちえない超能力を使う怪獣が数えきれないほど生息している。 そして、これまでゼロたちの宇宙で知られていなかったとはいえ、シフォンもまた「怪獣」に分類する事が出来る生物の一体なのではないかと、ゼロは少し思った。 勿論、それは、心優しい怪獣たちの一人としてだが──。 「──……まあいっか。一件落着だ、そしたら、さっさと行くぞ、美希!」 「ええ!!」 「ぷいぷー!!」 自分たちの仕事が一区切りついたとはいえ、これで終わりではない。 そう、まだ諸悪の根源カイザーベリアルと、美希の仲間との戦いは続いているのだ。 ゼロは再び、空へと旅立つのだった。 ◆ ドン──!! これは、塔が崩れ堕ちる音ではなかった。──星一つを挟んだ反対側で行われている、巨人と巨人の戦いが齎した音である。 これは、まだ巨塔が崩れるより少し前の時間の戦いなのだから。 「シュッ!!」 ウルトラマンノアの鋭いパンチが、カイザーベリアルの腹の上に叩きこまれる。 超重力波動を炸裂させながら、ノア・パンチがカイザーベリアルの腹部を抉る。 それを受けたカイザーベリアルの体は、ダメージを受けたというよりも、まるでバランスを崩したように後方に大きくよろめいた。 少し腹を抑える。──が、次の瞬間には攻撃体勢へと移っていた。 「おぉら──ッ!!!」 ベリアルも負けてはいない。 後ろにバランスを崩しながらも、右脚を大きく上げて、ノアの腹部に、同じように豪快なキックを叩きこんだ。彼自身の身体も大きく揺れる。 どこかスローモーションにも見えるが、だからこそ、その脚には重さが籠っていた。彼の体重や体格が、鈍く重い一撃を敵に与える力に代わっているのである。 ノアたれども、打撃を受けて無事には済まない。 「クッ……!!」 痛みは、その中にある戦士たちにも伝った。 それに加えて、更に──味を占めたように、ベリアルはその腕を振るいあげる。 「フッハッハッ……!!!」 巨大な爪がノアの頭上に叩きつけられる。実に鋭利なその爪が叩きつけられるという事は、出刃包丁で殴りつける攻撃とほとんど同義である。 彼らの耐久性を人間の硬度でたとえれば、それは致命傷にもなりうると言えるだろう。 ノアも当然ながら、脳が揺れるような痛みを覚え、身体を休めるように数歩後退する。しかし、代打はいない。休んでいてもベリアルは続けて攻撃するに違いない。 『──くそっ! やっぱり強え!!』 左翔太郎の意識が、ノアの中で苦渋を舐めた。 ノアも──その中にいる彼らも、攻撃の手ごたえを殆ど感じていない。 これまでに蓄積された人々の絶望を全て貪るようにして強くなったベリアルは、既にダークザギさえも上回る実力を獲得しているのだ。 「フン、こいつがゼロと戦う為に強くなった俺様の力さ……ッッ!! そして、俺はこの力で全てのウルトラ戦士を倒し、神さえも超えるのだ──ッッ!!!!」 そう、かつて、カイザーベリアルは、ウルトラマンゼロに敗北し、肉体を失った亡霊と化した。そして、怨念の鎧カイザーダークネスを纏う事でゼロを圧倒し、彼の仲間を次々と葬り去ったのである。 だが、結局はまたゼロに敗れた。 幸いにも、ゼロが巻き戻した時間の中でこうして肉体を取り戻し、全宇宙の支配を実行していたのだが──よもや、ウルトラマンノアなどという強敵と戦う事になるとは、彼も思わなかっただろう。 しかしながら、その伝説の戦士さえも圧倒する程に己が力が高まっているという事実を実感し、ベリアルは内心歓喜もしていた。 ゼロと再び戦えるというだけでなく、神とさえ崇められるノアと戦わせてもらえるとは──。 『何故だ、ベリアル……! お前はウルトラマンなんじゃないのか……!!』 零の意識が、ノアを通してベリアルへと語る。 かつて見た、暗黒の魔戒騎士とも、自らとも、そして鋼牙とさえも重なる「暗黒に落ちた戦士」を前に、そう問わずにはいられなかったのかもしれない。 ベリアルは、零の言葉に全く耳を貸す事もなく、両手を十字に組み、そこから赤黒いエネルギーを発射した。 「──フンッ、俺にそんな言葉は無駄だァッ!!」 デスシウム光線──! ウルトラ戦士たちが発射するスペシウム光線や、それに似た攻撃を、邪に染まったデスシムの力で発射する一撃である。 デスシウム光線は、真っ直ぐな光としてウルトラマンノアに向けて放たれた。 ベリアルもまた、元々はウルトラマンである──こんな芸当が出来るのは当然として、もう一つ、ウルトラ戦士らしい「的」を選択するまでも早かった。 ウルトラマンノアの胸に輝くエナジーコアを狙い撃つ。 『ぐああああああーーーーっっ!!』 見事に、エナジーコアに向けてデスシウム光線が命中し、彼が放った光線の最後尾まで余す事なくウルトラマンノアの胸にダメージを与える。 全ての力の源にして、ウルトラマンの最大の急所である。 ノアの身体は大きく揺れ、周囲を巨大な土埃が包み込んだ。 カイザーベリアルは、砂埃に包まれたノアにまで悪戯に追い打ちをかけるつもりはないらしい。 『──くっ、強すぎます!』 『ノアの力でも敵わないなんて……! 予想外だ……!!』 ノアのエナジーコアはデスシウムの膨大な熱量を受けて煙をあげる。 オーバーヒートだ。この場所への直撃は手痛い。 だが、それでもノアの中にいる彼らは、立ち上がろうとする。 「その程度か……? 失望したぜ、ウルトラマンノア!!」 カイザーベリアルは、ニタリと笑い、爪を光らせながら言った。 確かに、互角以上の力がある筈だというのに、今、ノアはカイザーベリアルに押され気味の状態だった。 何故、ここまでの劣勢がいきなりノアを襲ったのか──その答えを、孤門一輝が悟り、同化する他の全員に向けて伝えた。 『いや……僕達には、まだ、力が足りないんだ。 あと一人──美希ちゃんの力が……!』 あらゆる参加者の想いを結集させた黄金の光を纏っているとはいえ、生きている蒼乃美希だけがこのノアには足りなかった。 ピースが埋まっていないパズルのように、中途半端なまま戦っているのだ。 全員が揃ってこそ、絆は真の絆となる。誰かが欠けてはならない。──それならば、美希を抜かしたまま、「絆」を語らう事は、偽りに過ぎないのだ。 彼は今、ウルトラマンゼロと融合して、こちらに向かっている。 そう、ゼロと美希──二人がいてこそ、ノアは本当の力を発揮出来るようになる、筈なのだ。 ◆ 『──ゼロ! 急いで!』 ゼロが空を飛んでいる最中、美希はまるで鞭を打つように言った。 当のウルトラマンゼロは、これでも十二分に急いでいるつもりであったが、美希が急にそんな事を言い出したのは些か不思議に思った。 空を飛びながら、ゼロは問うた。 「どうした、美希?」 『なんだかわからないけど、みんなに呼ばれている気がするの……』 虫の報せという程でもないが、今、仲間たちの声を聞いた気がする。 おそらく──仲間たちが助けを求める声が。 それは只の不安から来る物ではなく、もっと超常的な思念が、美希の意識のもとへと確かに届いてきたような物であるように感じた。 今、仲間たちが何をしているのかが薄々わかる。 彼らは、今、ウルトラマンノアと一つになって、カイザーベリアルと戦っているに違いないのだ。 「そうは言っても、これでも全力で飛ばしてるんだぜ!」 『それでも急いで!』 美希がそうしてゼロの中で焦燥感を募らせてのを、どうやら、シフォンが悟ったようだった。美希が何やら困っているらしい事には少し眉を顰めたが、それを置いて、すぐに呪文の言葉を唱えた。 先ほどと、同じ呪文を。 「んー……きゅあきゅあぷりっぷー!!」 それは、シフォンの持つ魔法を発動する一言だった。 「ん……?」 と、その呪文の声と共に、ゼロは自らの中で何かが抜け落ち、変わったような感覚に陥った。──そう、一瞬だけは「違和感」だった。 「なんか、こう……身体が軽くなったような……って、あーっ!!」 しかし、それが次の瞬間に、何が消えてなくなったのかを知らせる「確信」へと変わったのだった。 ゼロは一度、空中で立ち止まり、自らの掌の中にいる小さな赤ん坊を見下ろした。 「──こら、おまえっ!! 美希だけ先に送りやがったな!!」 「きゅあー!」 そう言って、嬉しそうに両手を挙げて喜ぶシフォン。 シフォンは、つまるところ、ゼロの中の美希を、遥か彼方で戦うノアの下に「テレポート」させたのである。 やはり、こうして止まっても、心の中から美希の文句は聞こえないので、ゼロのご明察という所だろう。 どうせなら、ゼロも纏めてベリアルのもとに飛ばしてくれれば良かったものだが、シフォンに力が足りなかったのか、それとも、美希にだけ懐いていたからなのか、とにかくゼロとシフォンだけがこの場に置いていかれてしまったらしい。 しかし、このシフォンという赤ん坊も大した物である。 まさか、ウルトラマンと同化している人間を、別の場所にテレポートさせてしまうなどとは──。 「ったく……しゃあねえなあ! でも、抜け駆けはさせねえぜ! 俺もすぐにそっちに行ってやる──待ってな、ベリアル!!」 とはいえ、ゼロも飲み込みは早い方であった。 すぐさま、再飛行を始め、青い風へと変わっていく。掌の中で感嘆するシフォンを時に見下ろしながら──彼は、ベリアルとの戦いへと赴いた。 ◆ ウルトラマンノアとして戦う彼らの中に、一筋の光が転送された。 仮にもし、ウルトラマンの中が侍巨人シンケンオーのように複数の座席を持つコクピットだったならば、空いている一席に、誰かが現れたような物だろう。 「──おまたせっ!」 そして、それは、まぎれもない美希だった。 ウルトラマンノアと同化する孤門たちは、その瞬間、確かにノアの中に美希が入ったのを感じた。まるで隣にいて戦っているかのような安心感が湧きあがってくる。 声がノアの中に聞こえた時、真っ先に、佐倉杏子がそれを確認する。 「美希!?」 全員、唖然としていた。 こうしてウルトラマンノアとしての意識の中に、何の前触れもなく突然に美希が現れたのだ。──強いて言えば、孤門が呼んだからであろうか。 しかし、そんな事で至極あっさりとウルトラマンに同化できるものではない。 何故に彼女が現れたのか、それぞれ少し頭の中で疑問を沸かせたが、やはりすぐに、細かい事を気にかけるのはやめた。 「遅くなったわね……えーっと、これまでは」 美希は、ここまでの事情を順序よく説明しようとする。殺し合いが終わってからの数日間、他の仲間は一緒にいたと考えられるが、美希だけは別行動を取る形になっていた。 ましてや、こうしてそれぞれが集合しているからには、別行動を取っていて遅くなったのは自分と孤門だけだと思っても仕方が無い。やや言い訳っぽくもなってしまうが、遅れた理由を説明しようとしていた。 しかし、それを話せば当然長くなる。 今置かれている状況を忘れつつあるのは、敵よりも味方の事をまず真っ先に考えてしまったからであると言えるだろう。 そんな美希の話を、杏子が横から中断させる。 「──まったく。そんなもん説明しなくたっていいよ。ウルトラマンといたんだろ?」 「え、ええ」 「話は帰ったら聞く。──そんな事より、今は、目の前の敵と戦うんだよ!」 美希が目の前を見ると、そこには、黒い身体と赤いマントの、およそウルトラマンとは言い難い怪物が立っていた。 M78星雲・光の国で、ウルトラ兄弟や他のウルトラ族を見た美希の眼にも、それはウルトラマンと呼ばれる星人達には見えなかった。 真っ先に思い出したのは、殺し合いの最終日に見た巨大な怪物──美希自身が生み出してしまったといえる、あのダークザギ。 美希は眉を顰める。 「あれが……ベリアル!」 「ああ、やるぞ、美希。あいつを倒して、世界を救う」 「わかってるわ。そう──」 「──完璧に、な!」 ウルトラマンノアのパワーは、その時、無限大のエネルギーを伴って、最大レベルまで上昇した。同化している人間たちの絆と希望が最大限にまで達した時、ウルトラマンノアのエネルギーもまた最大限に引き上げられるのだ。 ここに美希が現れ、共に手と手を繋いだ生還者たちが一つとなり──そして、「ガイアセイバーズ」となった変わり者たちの絆は、ウルトラマンノアを最強の戦士へと変える。 孤門一輝が、二人の様子を見ながら、ノアに新たなる戦士の称号を与えた。 「これが本当の絆──ウルトラマン……いや、仮面ライダー、プリキュア、魔法少女、テッカマン、魔戒騎士、超光戦士、スーパー戦隊……みんなの、ガイアセイバーズ・ノア!!」 ◆ 『がんばれ……ウルトラマン!!』 『行けぇっ!! 仮面ライダー!!』 『がんばれぇっ、プリキュア!!』 絆だけではない。世界中から集ってくる声援の力が、ノアのパワーを強くしている。 支配の力は、塔を崩す前にも既に衰えを見せており──そして、遂にその最後の一歩すらも消え去ったのである。 それは、時空を超えた声援や希望をそのまま力に変えるノアにとっては、ベリアルを前に圧倒的優位に戦える状況を作り出していた。 世界中の誰もが声援を送る。 「そうだ、地上のみんな、ミラクルライトをもっと振るんだ!」 インキュベーターが配布したミラクルライトもまた、地上を照らしていく。 ピンチだった「ウルトラマンノア」の中にいるキュアブロッサムや佐倉杏子を応援する為であったが──いやはや、この応援の心そのものが、彼らにエネルギーを与えているのである。 そこには、もはやプリキュアであるか否かなど関係ない。 かつて、ウルトラマンや仮面ライダーに救われた者たち。 かつて、どこかで彼らの与えた夢を貰った子供たち。 かつて、その夢を拾い上げて、新たなるヒーローとなっていった者たち。 その四十年、五十年……そして、これから百年以上にも渡るであろう歴史が、世界中の人間の絶望を溶かし、希望へと変えて行く。 「さあ、血祭ドウコク! 君も、もっと元気よく振って!」 ……と、インキュベーターの現在地を伝え忘れていたが、ここは六門船の中である。 生還者であるものの、戦いには行かなかったドウコクに向けて、ミラクルライトを渡したインキュベーターは、彼にも応援をさせようとしていたのだ。 しかし、流石に業を煮やしたドウコクは、インキュベーターから預かったミラクルライトを三途の川へと、叩きつけるように放り投げた。 「──振れるかっ!」 ◆ 「ハァァァァァァァァァ……」 ウルトラマンの姿を模していたノアは、美希が融合した次の瞬間、エナジーコアへと最大までエネルギーを充填する。 全宇宙から、時間、空間、善悪の垣根さえも超えてノアに向けられていくエネルギーは、もはやノアという超人の持つ常識さえも覆すカタチを作り上げていた。 ガイアセイバーズ・ノアは、その身体を金色に光らせる。 その全身さえも包み込むほどの猛烈な光が、ノアの銀色の光を塗り替えていった──そして。 「────シュアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」 溢れんばかりのエネルギーを、叫びとともに吸収した時、その身体は、金色の暖かい光に包まれたグリッターノアへと変身していた。 かつて、ある地球を救ったウルトラマンティガや、別の地球で超ウルトラ8兄弟の身体を輝かせた、人々の想いの金。 あるいは、死者たちの想いとロストロギアを身に着けた彼らもまた、先ほどまで金色の戦士へと変貌していたのである。 それを一身に受けた戦士は、これまでよりも巨大な絆の戦士となっていた。 「金色……だとッ!?」 そう──その色を見た時、ベリアルも微かにだけ、狼狽えた。 かつて、ウルトラマンゼロがシャイニングウルトラマンゼロへと変身した時と同じ光の色は、敵の強化を確かに感じさせたからだ。だとすると、この「金色の光」は、ベリアルへの警告であり、挑戦なのかもしれない。 カイザーベリアルは、その背に装着した赤いマントを自ら脱ぎ捨てる。 「──面白い……それでこそ、楽しみ甲斐がある!!」 ベリアルの周囲で、彼のエネルギーを感じ取った地面が何か所も爆発する。 土が吹きあがり、再びさらさらと地面に叩きつけられていく。 そして、彼は、喉の底から吼えた。 「──ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!」 その雄叫びは、遠い空の向こうまで響くほどである。 カイザーベリアルのエネルギーは、一瞬ながら、グリッターノアを怯ませようとした。 しかし、ノアと同化している者たちの強い意志が、そんな恐れを乗り越える勇気となる。 『──諦めるな!』 孤門一輝の掲げた強い意志が、それぞれの表情を硬くする。 ここにいる者たちは頷きあい、カイザーベリアルとの本当の最後の決戦の中で──自らが勝つという確信を抱いた。 グリッターノアは、強く右の拳を握りしめた。 「おおおおおおらァァァァァァァァッッッ!!!!!!!!」 カイザーベリアルは、その爪を光らせて駆けだす。 グリッターノアは、その場で悠然と──まるでベリアルの攻撃を待つように──立ち構えていた。 「ハァッ!!」 ベリアルはグリッターノアへと肉薄し、寸前で走行の勢いを落とすと、その巨大な爪をノアの横顔に叩きつけようとした。 しかし、ノアはゆっくりと頭を下げて、それを避ける。 「オラッ!!」 前から、ベリアルの足がノアの腹を蹴り飛ばそうとした。 しかし、ノアは後方に向けて宙返りして、それをまたも避けてしまう。 「──喰らえッッ!!!」 距離が遠のいたならば、と、デスシウム光線が発射される。 ノアは両手をエナジーコアの前で組んで、両腕でデスシウム光線を受ける。 前方から押し出してくるエネルギーに、ノアも少しは踏ん張るが、すぐに、両腕を思い切り開いて、デスシウムを霧散させる。 そして、右腕を前に突き出し、左腕を顔の後ろで曲げ、構えた。 「ハァッ!!!!」 カイザーベリアルのあらゆる攻撃は、全てグリッターノアには効かない、と。 そんな自信に満ちたポーズ。 人々が信じるに値する、無敵の超人の姿であった。 ──ドシンッ!! と。 そんな時、更にそこに金色のウルトラマンが空から振りかかって来る。 それは、まさしく青きウルトラマン──ウルトラマンゼロだった。 グリッターノアとウルトラマンゼロが隣に並び合い、お互いの目を見合って、頷く。 カイザーベリアルも、そこにゼロが現れた事に驚きを隠せなかったようだ。 「貴様は……ゼロッ!!」 「悪いな、ノア、それにベリアル……遅くなった!!」 ゼロは、丁寧にも、敵であるベリアルにもまた詫びるように言った。 しかし、それは挑発的でもあり、あるいは扇動的な言葉でもあるかもしれない。 自らの最大の敵が、おそらく自分を待っていたという事を見越したのだろう。 「──さあ、行こうぜ、ノア!!」 「……シュッ!!」 ゼロの呼びかけに、ノアが頷いた。 そして。 「きゅあきゅあぷりっぷー!!」 次の瞬間──シフォンの祈りと共に、ゼロのもとにも人々の祈りの力が注がれていく。 ベリアルの長年の宿敵であったウルトラマン、ゼロ。 彼にもまた、何度でもベリアルとの決着をつけさせるべく、大量のエネルギーが力を貸す。 そこに現れたのは──金と銀の二つの輝きを持つ戦士、シャイニングウルトラマンゼロだった。 そう、かつて一度、ベリアルを葬った事もある姿だった。 しかし、ベリアルは肉体を取り戻してあの時よりも強くなっている──故に、もはや、彼らより強くなった事を証明する為に、構えるのみだった。 ──ベリアルは両掌を、それぞれの戦士に向けた。 「ふん……二人に増えようが無駄な事だ、デスシウム光線──!!」 なんと、デスシウム光線を両手から放つという荒業を使おうとしているのである。 ゼロを倒し、全宇宙を手に入れる為に使用できるようになった技だ。 結果的に、ゼロを前に使う事は出来ないだろうと踏んでいたが、まさか使う機会に恵まれるとは──と、ベリアルは少し思っていた。 「──シャイニングエメリウムスラッシュ!!!!」 『──ライトニング・ノア!!!!』 対して、負けじと二人のウルトラマンが、それぞれの最強の光線を、向かい来るデスシウム光線へと放った。 光線のエネルギーは殆ど拮抗し、二つの光線がそれぞれ、ギリギリのところでぶつかり合う激戦を演出していた。 ◆ 時系列順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(6)Next 変身─ファイナルミッション─(8) 投下順で読む Back 変身─ファイナルミッション─(6)Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 左翔太郎 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 花咲つぼみ Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 佐倉杏子 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 高町ヴィヴィオ Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) レイジングハート Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 涼村暁 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 響良牙 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 涼邑零 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 蒼乃美希 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) ウルトラマンゼロ Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 孤門一輝 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 血祭ドウコク Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 外道シンケンレッド Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) 加頭順 Next 変身─ファイナルミッション─(8) Back 変身─ファイナルミッション─(6) カイザーベリアル Next 変身─ファイナルミッション─(8)