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私のやんごとなき王子様 4日目 「着替えに洗顔、歯磨きに充電器それから~」 旅行鞄を開いて荷物の最終チェック。忘れ物があったら厄介だもの。 「うん、バッチリ!」 重たい旅行鞄を持ち上げると私は玄関へと向かった。 玄関ではママが私の出発を見送る為に立っていてくれた。 「気を付けてね。頑張るのよ」 「うん、有難う」 ママともしばしのお別れ。パパは早朝から仕事に出かけてしまったけど、昨晩はたっぷり話をした。高校生活最後の演劇祭、二人とも見に行くのが楽しみだって言ってくれて、それが素直に嬉しかった。 「それじゃ、行ってきます」 「行ってらっしゃい!」 ママに見送られて、私はさなぎと待ち合わせをしている駅へと向かった。 「ごめ~ん! 待った?」 「ううん、今来たとこだよー」 駅に着くと、さなぎの姿は既にあった。 「楽しみだね~!」 さなぎが本当に嬉しそうに言うから、私もますます楽しみになってくる。 合宿が行われるリゾート島へは、理事長がチャーターした大型客船で行く。船の用意された港に現地集合なのだが、私やさなぎのような庶民代表はそこまで電車で行くのだ。 亜里沙様や風名君なんかは高級車で横付けなんだろうな、なんて重たい荷物に早くも痺れかけてきた右腕が、そんな二人を羨ましく思ってしまうのに拍車をかけている。 「にしてもさぁ、ホントにリッチだよねぇ」 電車に揺られながらさなぎがこぼす。 「そうだねー。だって理事長が自ら船をチャーターだもん。私、あんな豪華な船に乗れるのって、多分これが最後だと思う」 「あはは! 言えてる~」 理事長は本当に素晴らしい方だと思う。とはいっても私達のような一般の生徒では中々会う事すら難しいので、よくは知らないのだけれど。それでも私達がこうして伸び伸びと過ごせるのは、全て理事長の教育方針の賜物だと思うのだ。 「それにさー、理事長ってちょーカッコイイよね~!」 「さなぎは利根君のファンなんじゃなかったの?」 「利根君は利根君、理事長は理事長! はぁ~、今回の合宿にも途中から様子を見に来て下さるらしいけど……あ~、是非ともお目通りしたい!」 まったくもう、ゲンキンなんだから! なんて思いつつも、さなぎの気持ちも十分すぎる程に分かる。 とんでもないお金持ちで、物腰が柔らかで、おまけに美形。理事長とは言ってもまだ若く、確か36歳だったかな? 十分すぎるほどの魅力を兼ね添えた大人の男性に憧れを抱かない女子の方が少ないだろう。 さなぎと一緒になって理事長の噂話なんかを、あれやこれやと話している内にあっという間に目的の駅に着いた。 電車を降りると、すぐに潮の匂いが鼻腔をくすぐった。なんだかいよいよ始まるぞー! っていう感じでワクワクしてしまう。 「さ、それじゃあ重い荷物と共に、我ら庶民団参りますか~!」 さなぎが元気よく改札口へと向かい、私もそれを追う。 駅を出ると港は目の前で、ここからでも私達の乗る大型客船が目に留まる。 そしてその前にはメルセデスやフェラーリ、ジャガーといった高級車がズラズラと並び、見送りの挨拶を受ける生徒達でごった返していた。 やっぱりこの学園において、私達みたいな庶民は本当に少数派なんだな――なんて少しだけ後ろめたさを感じる。なんだかこんな所にいるのが場違いにすら思えて来るのだ。 「行こっ、美羽」 そんな私の心を察したかのように、さなぎが私の手を引いた。 うん、そうだよね。私にはさなぎがいるし、それに―― 私を待っててくれる男の子もいる。 改札を抜けた先に見つけたその姿に、私の心は一気に軽やか弾みはじめた。 波江4日目・No.2へ 一つ戻る波江3日目・No.3 ブラウザを閉じてお戻りくださいv 私のやんごとなき王子様トップへ戻る
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《ルナ・ドーパント》 効果モンスター【T2】 星6/水属性/アンデット族/攻 2200/守 2000 このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に【T2】を持ったモンスターが存在する場合のみ特殊召喚する事ができる。 このカードはリリースできず、シンクロ召喚の素材にする事はできない。 「ルナ・ドーパント」はフィールドに1体しか表側表示で存在できない。 1ターンに1度、自分の墓地の「ドーパント」と名のついたモンスター1体をゲームから除外する事で、 自分フィールド上に「マスカレイドトークン」(戦士族・闇・星2・攻800/守600)を1体攻撃表示で特殊召喚する。 水属性・アンデット族の特殊召喚モンスター。 T2モンスターはそれぞれ異なる特殊召喚条件を持つが、このカードの条件は自分フィールドに他のT2モンスターが存在すること。 それ以外の条件には一切左右されないためフットワークが軽いようにも見えるが、他のT2モンスターが必須なため単独では確実に働けない。 ラッシュをかけるのに向いているが事故要因とも成り得る、ハイリスクハイリターンなモンスターである。 起動効果は、自分の墓地のドーパントを除外する事で《マスカレイドトークン》を呼び出せるというもの。 コストはT2に限定されていないため、通常のドーパントモンスターを合わせてデッキに投入する事でも発動可能。 生成されるトークンはこれといった特徴のない低級モンスターであり、また攻撃表示であるため何の必要もなく発動してもアドバンテージには繋がりにくい。 しかしこのカードの特殊召喚に成功した時点で既に少なくとも2体のモンスターが自分フィールドに存在している事は確実なため、さらに手数を増やす事で相手は処理に追われる事となるだろう。 追加火力として優秀な働きを見せるこのカード自身と合わせて、ダイレクトアタックで3000のライフを奪えるのは大きい。 原作において- 劇場版仮面ライダーW FOREVER AtoZ~運命のガイアメモリ~に登場。 「NEVER」幹部・泉京水がT2メモリ「ルナ」によって変身した超強力5大ドーパント。両腕を自在に伸縮させたり、分身としてマスカレイド・ドーパントを複数生成するといった特殊能力を多く持ち、これにより相手を幻惑する。 京水自身は鞭による戦闘を得意とする、つかみ所のないオカマ。傭兵部隊である「NEVER」には場違いとも言えるコミカルな性格の持ち主でメンバーのムードメーカーであるが、 同時にメンバー屈指の実力者でもあり克己に対する忠誠心は特に厚く彼を「克己ちゃん」と呼ぶ。常にダンスを踊るかのようなステップで移動し、美形の男を好むようである(さらに欲を言うと強くて美形の男が好み)。 演じたキャストは須藤元気。 いかつい外見でありながらのそのコミカルな言動による怪演は視聴者に強烈なインパクトを与え、彼の放った言葉一つひとつがネタとしてブームを巻き起こした。 (代表的な台詞に「誰このイケメン?誰このイケメン!?」 「イケメンで強いのね! 嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!」等々) 驚くべきは、これらの所作や台詞が全てキャスト本人によるアドリブであったという点だろう。 企画当初は関西弁を話す強面の男という設定であった泉京水であるが、《メタル・ドーパント》の剛三とキャラが被るという事から急遽設定が変更され、 その結果京水はオカマキャラとしてぶっつけ本番で演じられたという。この英断が正解であった事は、現在各所で猛威を振るっている京水の台詞ネタの数々が証明していると言える。 召喚時のメッセージは 「そろそろアタシも、行こうかしら!」 「ルナ!」 トークン生成時の起動効果は 京水「行ってらっしゃーい!」 ルナ・ドーパントがマスカレイドの分身を生み出す!場にマスカレイドトークンが現れた! イケメンを攻撃した場合のメッセージは「あら男前じゃなぁい!」 イケメンに攻撃された場合のメッセージは「イケメンで強いのね! 嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!」
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朝からドタバタした1日が始まるのは何もそう珍しいことではない。 この学校にいれば嫌でもドタバタには慣れてしまう。 今日も朝からくーら先生が伊吹副校長の車にバイクで突っ込むという、くーら先生と副校長らしい絡みがあったようだ。 だがそんなこと程度では騒ぎにならない。 そんないつもいつも起こる突発事にいちいち驚いているような人間はこの学園では希少だろう。 それに今朝に限っては転入生が来るという一大イベントがあるのだからなおさらだ。 とはいえ、同じクラスになる生徒以外ではまず先生、後はもし部活に入るならば部活が同じになった生徒あたりじゃないと今日はまず話も出来ないだろう。 おそらく転入生を歓迎して転入生と在校生の間で何戦かのデュエルが行われるからだ。 それを見る機会はあったとしても直接話もできるようなチャンスを掴めるものは多くはないだろう。 まぁ俺は初日から数学の授業で転校生のクラスを教えるから話をすることくらいは出来るだろう。 出来たらデッキのタイプも知りたい・・・いや、実際にデュエルするまで知りたくない気もする・・・だがもし、もし転校生も不死武士使いだったら・・・。 今日の授業は不死武士と確率の話から入るとするか。 もし不死武士使いなら何らかの喰いつきを見せてくるだろうし、デュエルにおける確率論事態も興味を引かない話ではないはずだ。 真面目に話を聞かないようであればその程度のデュエリストであるか、俺よりも相当強いデュエリストであるかのどちらかであろう。 「うん、今から授業するのが楽しみだ」 「なぁに、ぺぱにゃんまさかうちのけーちゃん狙ってんの?」 「あぁくーら先生どうでしたか、転校生はクラスに馴染めそう?」 「うちのけーちゃんだからねぇ・・・多分大丈夫だとは思うけど」 くーら先生にしては歯切れが悪い。この時期に転校してきたこともちょっと引っかかるし何か事情があるのだろうか。 それとけーちゃんってなんだろう。気にしてはいけない、相手はくーら先生なのだから。 「まぁデュエルしていくうちに馴染むでしょうね。伊吹副校長も体育の授業と言いながらデュエルでもするんじゃないですか?」 「ぶんめいならありえる、職権乱用!あーあ、私も英語の授業でけーちゃんとデュエルしよっかなぁ」 ぶんめいとは副校長のあだなの一つである。俺は詳しく知らないが一部生徒と先生の間では広まっているようだ。 「じゃあ俺も数学の授業でデュエルしちゃおうかな、どうせ週に5時間もあるんだし1時間くらいデュエルに使っても・・・」 その時俺は後ろから優しいながらも力強いデュエリストオーラを感じた。 「先生同士おしゃべりもいいけどそろそろ2時間目の授業の用意をしたほうがいいとおもうよ」 後ろにいたのは・・・アース校長だった。 「ああ、すいません、そうですねそろそろ移動したほうがいいですね。くーら先生、転校生の授業羽目を外さないように自重してくださいね」 まぁ、言うだけ無駄だろうけど。 「うん、だいちゃんぺぱにゃんまたね。あとぺぱにゃん、ぺぱにゃんじゃけーちゃんには勝てないと思うよ、ふふっふー」 俺じゃ勝てないって言葉は気になったがあえて反論もせず俺は次の授業の部屋へ向かうことにした。 実際この学校での俺の勝率はあまりよくない。 さっきのアース校長にはまだデュエルで勝てたためしがない。 そもそも校長はデュエル界においては知らない人はいないような存在で俺がそう簡単に勝てる相手ではないのだけれども。 アース校長と肩を並べるとしたらまずサーヴィだろう。 その2人が突出した実力を持っているが、残りの先生、生徒も並の強さではないデュエリストばかりである。 そんな学園で数学を教えている自分がたまに場違いな気がすることがあるが、デュエルに対する思いは負けていないつもりだ。 「おっと、後1分で授業が始まっちまうな、急ごう」 心は既に3時間目の数学の授業と・・・夜のつかっち先生宅での飲み会に向いていた。
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お初にお目に掛かる奴もそうで無い奴も、よろしゅうお見知りおきを。 3-C巽○郎丸云うモンじゃ。ちくと場所を借りるぜよ。 前期・前々期とそれなりの目線で生徒会の姿を見て居ったんじゃが、ホンマに『生徒会』ちゅう組織は必要なのかと思うた。 気ィ悪くしてしもうたら謝るけんが、如何にも『テイの良い雑用係』にしか見えんくてのォ。 こがいな考えを持っちょる俺が立候補するン言うのも可笑しな話じゃが、枯れ木も山の賑わい言うし、お邪魔する事を決めてん。 暇潰し程度に流し読みしてくれんかの。其処を歩くオマエさん。 ①名前および学年 3-C 巽○郎丸 ②公約ないし生徒会長としての意気込み 生徒会機能の凍結 文字通りだ。生徒会としての活動をしないことが公約になる。 前期生徒会が残した領収書やらは引き受けるが、それ以外はノータッチや。 金関係を俺一人で如何こう出来るか如何かは知らん!努力はするが期待するなよ! 閑話休題。 此処は何処だ? そう『戦国』学園じゃ。群雄割拠のドンチャン騒ぎが戦国時代と思うておる。 そン戦国に生徒会と言う名の傘は必要かの? 自己発言と行動に責任を持ち動く。それだけでエエんと違うか。ルールちゅうモンは。 どんな風に高校生活を送るもソイツの自由。人によって楽しい、幸せの程度も範囲も違うけんの。 生徒会が無くても学園生活に問題があるか無いかを確かめたいんじゃ、俺。 学園を巻き込んでのイベントごとを起こしたい場合は、直接学園長に掛け合ってくれ。資金管理とか学園長の方が手際が良いじゃろ。 こっちが手助け出来るんは、ポスター貼りの手伝いとかの程度に落ち着くと思う。何せ俺一人しか居らんよって。 金印は持ち歩くか……学園長に預けるか、そんな感じを予定しちょる。 【任期】 次期生徒会運営を希望する代表者が現れるまで。 我こそはと云う者が出んかったら、俺が卒業するまでずっとこのままじゃ。 そんな訳なんで【役員募集】は行わん。ボランティアは大歓迎やが、メリットは何も無いで。 せやなァ。生徒会室は随時オープンしよう思うてる。 ダベるのも試合するンもしけこむも好きにしちょくれ。但し、使った後は部屋を綺麗にするように。 中庭の自販機は、前期のまま『たまご自販機』だ。これが嫌なら他の奴に投票してくれよ。 【抗争】 生徒会面子は俺一人の予定なんで、代表者とのタイマンを考えておる。 この辺は当選したら詳細を詰めるよって、堪忍な。 【お願い】 前回投票を見て思ったんじゃが、『知る奴が居らんから無投票』な考えは少しでもエエけん、改めてくれんかのォ。 他の立候補者も述べおってん。『人気投票の場じゃ無い』 立候補者の顔や名前で投票を決めるのは、ちくと違う気ィがしてならんのや。 ソイツの『考えに賛同出来るか否か』で投票先を決めるのが選挙じゃないがか? せやから、全員のマニヘストを読んで(聞いて)、その上で「興味が無い、如何でもエエ、無投票」なら 『考えを知った末での結論』と見え成る程と思えるんじゃが 最初から何も見んと「如何でもエエ」ツラするんは、個人的に首を捻ってしもうての。 通ってるガッコに対して如何でもエエちゅう思考が俺にはよォ分からんき、こン場を借りて言わせて貰うたで。 これを機会に、ちくとでも戦国学園のことを考えてくれたらエエなァと思うちょる。あんじょう頼ンますわ。 【最後に】 生徒会長立候補としちゃあ異端過ぎて場違いだとは自覚しよるが、こんな考えを持つ奴も居るんやで、というアピールにはなったやろか。 一人でも多く生徒会、ひいては戦国学園について考えてくれたらエエと思うて名乗り出てみた次第だ。 何か言いたい事が発生したら、下記連絡先を自由に使ってくれ。 あて先間違えるなよ! 【tatsumi】
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54 名前: 僕はね、名無しさんなんだ 投稿日: 2007/09/06(木) 22 07 24 「―――ここですね…」 冬木市からは遥かに距離があるのだけれど、僅か4、5分で到着。眼前にはターゲットが住んでいるアパートがそびえ立っている。 ……果たして彼女は私の頼みを請け負ってくれるであろうか?人一倍ルールに厳しい彼女だが―――いや、当たって砕けろだ。無理は承知の上で頼み込んでみよう。それに今私の手にはとっておきの切り札があるのだから。 ―――まるで吸血鬼の住処に入る心持ちで、彼女の家のチャイムを押す。間抜けな機械音が鳴った直後、中からパタパタと足音が聞こえてきた。 ガチャリ 「はーい…――あっ」 「どうも。久方振りですね、シエル」 「……いらっしゃい、バゼット。あがってください、お茶くらい出しますよ」 ―――私とシエルは実は奇妙な縁で繋がっていたりする。ご存知、私達は協会と教会の異端児だ。たまたま任務で共同戦線を張ったことがあるのだが、そこから異端児同士ウマが合っちゃって、時々一緒にお茶を飲んでたりする。まぁ仲が良いのだ。 相も変わらずの質素な部屋に通され、湯飲みに茶を注がれる。いきなりだが本題を切り出そう―――。 「駄目です」 「まだ何も言ってないんですけど……」 「駄目ったら駄目ですっ!貴女のことだ。どうせ先日発表されたタッグプロレスの賞金をゲットして楽したいだけなんでしょう!?絶対駄目ですよ…。そもそも秘匿が信条の魔術協会に所属しているクセに、何てこと考えるんですか!」 「う…」 確かに魔術を大衆の眼前で使用するのはマズイ。あくまで魔術は神秘であるからこそ魔術でいられるのだ。それが世間に知れ渡ってしまえば、ただの技術、ただの化学反応でしかなくなるだろう。そんなこと、全魔術師が許さない。 ………でも、それなら魔術なんて使わずに格闘術のみで戦えばいいではないか。というかそれが目当てで体術も達者な彼女を誘おうというのに。それにいきなり図星をつかれたのはちょっと悔しい。 「駄目でしょうか…?別に魔術なんて使おうとは思っていませんよ。そもそもあくまでこれ、プロレスですし…」 「駄目ったら駄目ですっ!大体何で私なんですか!?言っときますけどね、私プロレスだなんてやったことありませんよ!そーいう人達なら他にも色々いるでしょうが!」 「色々、とは?」 「い、色々です。…とにかくっ!私はこの街を任されている代行者なんですから、あんまり目立つ行動はマズイんですよ…。それは貴女も同じでしょう?―――という訳でハイ、審議終了。解散!」 「そんな無茶苦茶な…」 あまりに独断すぎる審議に鬱憤が溜まってきた。…しかし、これには私の生活が懸かっているのだ。何が何でも引き下がる訳にはいかない。ふと、部屋に置かれた可愛い小物を見つめ――――そろそろ頃合いだな、と感じた。 「シエル、ここに提案があるのですが」 「物で釣ろうというのですか?…甘く見ないでほしいですね。これでも私は埋葬機関第七――――」 スーパーの袋から『ある物』を取り出し、威勢良くテーブルの上へと置いた。 ドンッ! 「1日1食限定。時計塔特製・魔術カレー、レトルト仕様です。数百種類のスパイスその他を絶妙な量で配合し、血管から直接食べることで……」 「乗った!」 「ありがとう、シエル」 ここに最強のタッグが誕生した。 1、セコンドがいないと話にならない 2、その頃、他の参加チームは… 投票結果 1 1 2 5 決定 カレン・オルテンシアをセコンドに、ギルガメッシュ・ランサー コンビ 七夜黄理、軋間紅摩の最強最悪チーム。 さっちん&シオンの路地裏同盟 秋葉様と藤乃ちゃんの最凶超能力コンビ ルヴィア&凛の時計塔お騒がせペア 乾・ななこ の場違いチーム 荒耶と言峰のラスボスチーム
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「……うぜー」 下敷きを、ぶんぶんと振る、夏の午後。字余りなし。 ギラリと鋭い日差しが、空調どころか風一つない教室の窓から矢のように刺さる。 外から響く蝉の声は、最早時雨というより豪雨だろうか。誰もアンコールなどしていないのにエンドレスで素敵なBGMを繰り返し、蒸し蒸しとうだる暑さに華を添える。 こういう時ばかりは、熱を保ちやすい長髪が本気で鬱陶しい。黒の熱吸収率がいいなんて決めたのは何処のどいつだ。 まあ男の時に比べると、スカートその他が涼しくて助かるのが救いではあるけれど。 チャイムが一つ、場違いに涼しげに鳴り響く。 下敷き片手の授業が終わり見れば、教室端の机の上で茹で上がるバカ一名。ピクリとも動かない塊が気になり、寄ってつついてみるが返事はない。ただの屍のようだ。 ……これを見ていると思わず合掌すると共に、自分の席が南の窓側でなかった事を心から感謝してしまう。南無三。 と、塊がぐるりとこちらを向いた。 「……まだ、ホトケでは、ないぞ……阿呆……」 「そりゃお釈迦様もビックリだ」 傍らで合掌する俺を見上げる視線は、ともすると修羅の如く。もっとも断末魔だが。 「っつーか人を睨む余裕があるなら移動すればいいじゃねーか。10分程度だってだいぶ変わるだろうに」 「……最早動くのすら面倒だ。俺は死に場所を見つけた……」 「やっすいなー、一山いくらだお前の命」 「…………どうしようもなく不服だが、言い返す気力もない……」 「ありゃま」 そこまで言うが早いか、日差しに晒されて随分とホカホカなエビアンを一飲みして、また机に崩れる落ちるバカ。 ダラダラと汗の伝う首筋を何気なく垂れた髪先でくすぐるが、反応なし。溜め息一つ無い。 ……これはまあ、本格的にダメらしい。まさにグダグダである。 ――仕方が無い、あまり気は進まないと言えば進まないが、まあ死なれたらこちとら少し夢見が悪い。 ちっとは元気づけてやらにゃ、まあ親友兼恋人の名も廃るだろう。いや別に励ますとかではない。自分の為だ。誰がコイツの為なんて、そんな事はスケカクが印籠出す前にフクロにされるよりも有り得ない。よし、言い訳オーケー。 ――ふぅ、と息をつく。 「……仕方ない、聞けバカ」 「……何だ阿呆」 「次の次は今日も元気に水泳だ」 「……それがどうした……ついでにそろそろ観念してスポーツタイプではなくスク水を着ろ親友……」 「あいよ」 ……………… みんみんみんと、一瞬の沈黙を繋ぐ蝉の声はマヌケだ。 「……スク水に種類があるのは理解しているな?」 「以前の、もとい男時代の会話の通りに。ただし今日もスポーツタイプも持って来てはいる」 「……条件はなんだ」 「とっとと起きろバカ、元気出せ。少しは扇いでやるから」 話が早くて助かる。こればかりはコイツの数少ない美徳の一つだろう。考えつつパタパタと扇ぐ。 ――にも関わらず、相変わらずバカは突っ伏したまま動かない。 「……いらないのならこっちは別にいいけどさ」 ……正直ちょっとショック……なんて事はない。ちょっと寂しげな声音になったのは俺の気のせいだ。まあ、流石にちっと調子に乗り過ぎたかな、とは思ったけれど。 「ま、待て、少し待て、後少しで構わん」 と、突然バカがいきなりそのままの体制でグルリと首をこちらへ回した。……何故か僅かに焦り顔で。 思わず首を傾げる。 「…………?」 「……いやまあつまりだな、今のやり取りにより益体もない思索が進み、結果として俺の身体、主に腰部を中心とした部位にちょっとした変化がな、それを由に上半身を起こすのが今は少し困難でな」 「………………まあ、つまり」 「勃った」 「うん、判らんでもないがやっぱり死ね」 ――シレッと答えるバカの首に、ゴッ、と手刀を叩き付けてみた。
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私のやんごとなき王子様 4日目 「着替えに洗顔、歯磨きに充電器それから~」 旅行鞄を開いて荷物の最終チェック。忘れ物があったら厄介だもの。 「うん、バッチリ!」 重たい旅行鞄を持ち上げると私は玄関へと向かった。 玄関ではママが私の出発を見送る為に立っていてくれた。 「気を付けてね。頑張るのよ」 「うん、有難う」 ママともしばしのお別れ。パパは早朝から仕事に出かけてしまったけど、昨晩はたっぷり話をした。高校生活最後の演劇祭、二人とも見に行くのが楽しみだって言ってくれて、それが素直に嬉しかった。 「それじゃ、行ってきます」 「行ってらっしゃい!」 ママに見送られて、私はさなぎと待ち合わせをしている駅へと向かった。 「ごめ~ん! 待った?」 「ううん、今来たとこだよー」 駅に着くと、さなぎの姿は既にあった。 「楽しみだね~!」 さなぎが本当に嬉しそうに言うから、私もますます楽しみになってくる。 合宿が行われるリゾート島へは、理事長がチャーターした大型客船で行く。船の用意された港に現地集合なのだが、私やさなぎのような庶民代表はそこまで電車で行くのだ。 亜里沙様や風名君なんかは高級車で横付けなんだろうな、なんて重たい荷物に早くも痺れかけてきた右腕が、そんな二人を羨ましく思ってしまうのに拍車をかけている。 「にしてもさぁ、ホントにリッチだよねぇ」 電車に揺られながらさなぎがこぼす。 「そうだねー。だって理事長が自ら船をチャーターだもん。私、あんな豪華な船に乗れるのって、多分これが最後だと思う」 「あはは! 言えてる~」 理事長は本当に素晴らしい方だと思う。とはいっても私達のような一般の生徒では中々会う事すら難しいので、よくは知らないのだけれど。それでも私達がこうして伸び伸びと過ごせるのは、全て理事長の教育方針の賜物だと思うのだ。 「それにさー、理事長ってちょーカッコイイよね~!」 「さなぎは利根君のファンなんじゃなかったの?」 「利根君は利根君、理事長は理事長! はぁ~、今回の合宿にも途中から様子を見に来て下さるらしいけど……あ~、是非ともお目通りしたい!」 まったくもう、ゲンキンなんだから! なんて思いつつも、さなぎの気持ちも十分すぎる程に分かる。 とんでもないお金持ちで、物腰が柔らかで、おまけに美形。理事長とは言ってもまだ若く、確か36歳だったかな? 十分すぎるほどの魅力を兼ね添えた大人の男性に憧れを抱かない女子の方が少ないだろう。 さなぎと一緒になって理事長の噂話なんかを、あれやこれやと話している内にあっという間に目的の駅に着いた。 電車を降りると、すぐに潮の匂いが鼻腔をくすぐった。なんだかいよいよ始まるぞー! っていう感じでワクワクしてしまう。 「さ、それじゃあ重い荷物と共に、我ら庶民団参りますか~!」 さなぎが元気よく改札口へと向かい、私もそれを追う。 駅を出ると港は目の前で、ここからでも私達の乗る大型客船が目に留まる。 そしてその前にはメルセデスやフェラーリ、ジャガーといった高級車がズラズラと並び、見送りの挨拶を受ける生徒達でごった返していた。 やっぱりこの学園において、私達みたいな庶民は本当に少数派なんだな――なんて少しだけ後ろめたさを感じる。なんだかこんな所にいるのが場違いにすら思えて来るのだ。 「行こっ、美羽」 そんな私の心を察したかのように、さなぎが私の手を引いた。 うん、そうだよね。私にはさなぎがいるし、それに―― 私を待っててくれる人もいる。 改札を抜けた先に見つけたその姿に、私の心は一気に軽やか弾みはじめた。 真壁4日目・No.2へ 一つ戻る真壁3日目・No.3 ブラウザを閉じてお戻りくださいv 私のやんごとなき王子様トップへ戻る
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【検索用 ひろいんいくせいけいかく 登録タグ 2019年 HoneyWorks NEUTRINO VOCALOID ひ わかざえもん ゴム チョリスP ニコニコ外公開曲 ピストンP ヤマコ 初音ミク 宇都圭輝 曲 曲は 東北きりたん 樋口幸佑】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:使徒・ゴム(HoneyWorks) 作曲:使徒(HoneyWorks) 編曲:HoneyWorks ギター:中西(Twitter) ベース:わかざえもん(Twitter) キーボード:宇都圭輝(Twitter) ドラム:樋口幸佑(ぐー)(Twitter) イラスト・動画:ヤマコ(Twitter) 唄:初音ミク(シングル版)、東北きりたん(AIきりたん版) 曲紹介 新たな歌声合成ソフト「NEUTRINO」を使ってみました… ほぼ人間だこれ… 曲名:『ヒロイン育成計画』(ヒロインいくせいけいかく) 音楽ユニット「HoneyWorks」による、告白実行委員会シリーズのキャラクターソング。 コミックマーケット96で頒布されたシングル「ヒロイン育成計画/恋人たちのハッピーバースデー」に収録された初音ミク版が初出。この初音ミク版は2021年3月27日、YouTubeアートトラックとして公開された。 その後2020年1月、涼海ひより(CV:水瀬いのり)歌唱版がニコニコとYouTubeに、さらに2020年2月28日には東北きりたん版がYouTubeにそれぞれ投稿された。東北きりたん版はHoneyWorks初の東北きりたん、かつNEUTRINO初使用曲である。 歌詞 (動画より書き起こし) きっとヒロインなら綺麗で 王子様にチヤホヤされるでしょ? 芋女の私もお姫様になれたらなんてね(イエイ) バイト探し 採用ないし やけになって飛び込む 場違いすぎる世界 パシリばかり 雑用係 最悪な奴らのマネージャー就任です バレたら最後 妬まれるの嫌だし 生きるためだし(`・ω・´)9 きっとヒロインなら綺麗で 王子様にチヤホヤされるでしょ? 芋女の私もお姫様になれたらなんてね 私をプロデュースして 髪も服も全部可愛くして いつか出会う王子様どこで何をしてるの?神様 待ってますから気長に(はぁ…) ある日出会う 運命の人 紳士な振る舞いにドキドキしちゃったんだ 名前なんて聞けるはずない また会いたいなんて願ってるだけでした 時間が止まる「また会えたね」と君 やっぱり恋だ きっと少女漫画じゃ両想い ベタでいいじゃん むしろベタがいいじゃん モブ女の私もヒロインなる気ありますなんてね すぐにくっついちゃえばいい 悲劇いらない いいね?シェイクスピア やっと会えた王子様 まずは名前を知ることだよね ヒロインらしく自然に バレちゃった最悪な奴らに 「これじゃあダメだ100振られる」って どうすればいいのー!? 気持ちなら負けないなんてみんな同じこと思ってて そこからの勇気と押しが大事なんです 聞いてる!? ヒロインなら綺麗で 王子様にチヤホヤされるでしょ? 芋女の私もお姫様になれるのなんてね 自信ちょっとついたよ 当たって砕けたらバカにして笑ってよ お願い 行ってきますね告白(よし) “ヒロインになれ”今日から コメント 好きすぎる…!!!! -- Sakura (2022-12-13 09 49 40) 何かノリが良くて好き -- ジンギスカン (2023-03-05 21 40 06) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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管理局史上最大の事件と呼ばれるJS事件は機動6課の活躍により終結した、かく言う私ティアナ・ランスターもその一人である…そして6課は解散、皆思い思いの道へと進んだ、私は執務官を目指し奮闘中、そして私に下された課題… 「第97管理外世界に魔力が検出、そこの調査、監視に向かって欲しい」 と というわけで私、ティアナ・ランスターは何故か元相方のスバル・ナカジマと共に、97管理外世界の三咲町にある高校に通う羽目になった。 フェイトさんの話によると最初私が派遣されるのはバチカンという国の調査とされていたが、そこにいる管理局がつけたコードネーム 「暗黒卿」と呼ばれるランクSSSの人やその他諸々やばいのが沢山いるので却下 (なんでもなのはさんが血相を変えて行動して変更したらしい) 「ティア~似合う~?」 高校の制服を着て、元いや現相方はおおはしゃぎだった、確かに高校に通ってない自分たちにとって 学校の制服は異世界であってもうれしいものであった。 そんなこんなで魔力要素が検出されたクラスにやってくる。 「うお、青髪だ!」 「隣の外人の子、綺麗だなぁ」 とクラスの人々から色々と声が上がる、 「ねぇねぇ、ティア~褒められているよ~」 「はいはい」 相方はすっかり舞い上がっていた…そして私は感じ取った、私達を睨みつけるように見つめているただ 一人明らかに別の学校のセーラー服を着ている黒い長髪の女子生徒から発せられる、何か不思議な力、 魔力に近い力…そんなことをつゆしらず相方はすっかりクラスに溶け込んでいる。 「ティアナの席は…そうだな、志貴の隣だな」 担任が言うと一斉に野次が飛ぶ、そして私は眼鏡をかけた男子生徒に挨拶をする、そしてその男子生徒は笑顔で 「ああ、よろしく」と言ったが…私は一つ疑問を浮かべる。 「その眼鏡は?そして・・・その眼は?」 その男子生徒から眼鏡から発せられる魔力は何かを封じ込めて…ロストロギアに近い雰囲気をただよわせていた、 眼を封じているのか?私は思った… 「これが今回の監視対象なのかな?」 私がそう思ったときである。 「志貴ぃ~~~~~~~~遊びにきたよ~~~」 とどこか場違いな声が聞こえると・・・窓をぶち破って何かがやって来た。 「は?」 それが私の口から漏れ出た言葉だった、窓をぶち破ってやってきた女性、金髪で紅い目でぶっちゃけ女の私でさえも唖然とされる 美しさとスタイルを持つ女性…それなら「ああ、そうか」と思う、思うけど… (な、なんなのよ、この桁違いの魔力量は!) そう、あの最終日の日に対峙した隊長や副隊長などを軽く凌駕する魔力を持っているのだ。 「志貴ぃ~今から遊びに行こうよ~」 金髪の女性はダダをこねるヴィヴィオのように言う、そして隣の男子、遠野志貴と言う男子は困惑しながらも 「学校に来るなといあれほど言ったのに!」 と叫んでいる、そして先ほど私を睨んでいた女子生徒がその金髪に食って掛かる突然魔力値をあげながら… 「あの」 私は近くの生徒に声をかける、これは何なのと、そうすると生徒は素っ気無く言う。 「いつものことだ、すぐに慣れるよ」 いつものこと?え?97管理外世界って確か魔法文明が全くないはずじゃ… そして荒れるクラスの中相方は笑顔で話し掛ける 「ねぇティア、高校って面白いんだね」 「あんたの頭の方が面白いわよ」 …正直言います…生きて帰れるかなぁ…というか、なのはさん、私に何か恨みあります? ナタもって襲い掛かったり、お持ち帰りした覚えはこれっぽっちも覚えてないのですが。 そして、その遠野志貴と言う男子生徒の監視に乗り出したのが運の尽き、機人級のメイドロボに追っかけ回されたり、 夜にシャッハ以上の暴力シスターに「ダーイ」と言われながら追っかけまわされたり、 自分と似たような武器を持っている人に操られたり、挙句に地下王国に叩き落とされたりと …ティアナとスバルの珍道中がはじまります。 その頃 「なのはちゃん、三咲町に自分の部下を送ったと…」 「にぱ~…え?忍さん、私何か不味い事したかな。」 「…葬式の準備始めた方がいいと思うわよ」 目次 次
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/317-330 「ねえ、あんたにお願いがあるんだけど」 あれから桐乃は『人生相談』を持ちかける事はなくなった 寂しい限りだな そう、俺が思っていると誤解している諸君 間違えてはいけない もともと人生相談なんて軽々しくするものじゃない だからこそ、去年、桐乃が俺に『人生相談』を持ちかけた時には真剣に切迫詰まっていたのだろう だが、おかげでようやく俺達兄妹は、目を背けてはいけない、どうしようもなく家族であることを知った 少なくとも俺はそうだと信じてる だから、桐乃の『人生相談』が『お願い』になったとしても、同じように受け入れてやろうと思ってた まあ、初っぱなから「彼氏になれ」とか無茶苦茶な『お願い』だったけどさ まあ、その結果は諸君の知っての通りだが べっ、別に泣いてなんかいないんだからね(涙) で、今度はどんなお願いなんだ? 「で、なんだ?その『お願い』ってのは。今日は気分がいいから、特別に聞いてやるぞ?」 「うっえ、気持ち悪っ!こないだからアンタなんか勘違いしてるんじゃないの?」 …相変わらず容赦ねーな オーケー、オーケー、これくらいどうってことはない いつもの桐乃だ 俺が目に涙を溜めてるように見えたとしたらそれは仕様だ 「別に大したことじゃ無いんだから、貸しだなんて思わないでよね」 「思わねーよ」 だいたい、お前の頼み事に一々そんなこと考えてたら身が持たん 「で、なんだ?言ってみ?」 「えっと、言いにくいんだけど…た、お誕生日のね、ケーキを買ってきて欲しいの!」 なんだ、普通じゃないか?それのどこが? 確かに今まで大っ嫌いだった兄貴に誕生日のケーキをねだると言うのは気恥ずかしいだろうが、 って、あれ? 「ちょっと待て、桐乃?お前の誕生日はとっくに…」 「はぁ?なに言ってんの? 綾花ちゃんの誕生日に決まってるでしょ? っていうかあたしが実の兄に誕生日を祝えっておねだりするとか思ってるわけ?…キモ」 綾花ちゃんというのは相変わらず桐乃がはまっているラブタッチというゲームのヒロインだ ゲームのキャラクターの誕生日を祝う方がよっぽどキモいと思うがここは言わない方が賢明だろう 「買い物ぐらい付き合ってやんよ。駅前のケーキ屋さんでいいか?」 「はあ?あんたバカ? 地味子ならともかく、綾花ちゃんにそんなもので許されると思ってるわけ? だからあんたはモテないのよ。」 「うっせーよ。毎度毎度心をえぐるようなことを言いやがって」 とはいえ確かに桐乃が言う通り、ゲームの中とはいえ恋人に贈るプレゼントは特別なものなのだ 桐乃なりに精一杯恋人の誕生日を祝いたいのだろう 「わかったよ、どこへでも行ってやるって。んで、何処まで行けばいいんだ?」 「…わかんない」 予想外の返答に俺は戸惑ったが、考えてみればたかがケーキを買いに行くだけで桐乃が俺に『お願い』をするはずがない 「いや、それだといくら俺でも買えないよね、ケーキ」 ごく当たり前の反応に、桐乃は軽く逆ギレ気味に答えた 「せ、正確に言うとね、だいたい目星はついてんの」 そう言って桐乃はノートパソコンのブックマークを開いて、数件のお洒落なケーキ屋を俺に紹介しながら話を続けた 「ラブタッチはリアルが売りのゲームだから、恋人の誕生日に下手なお店で買ってきたケーキでお祝い、なんてできるわけないじゃない? だから今回はね、メーカーとショップが特別にコラボして『綾花たん生誕祭』をやるの。 ただ、事前に大々的に公開しちゃうとすぐに売り切れになっちゃうでしょ? 転売ヤーとか意味わかんない連中も綾花ちゃんのケーキを買ってプレミアつけて売ったりするだろうし…」 俺にはお前も意味わかんないけど、大事な人のために贈ろうとしたものが横取りされたら悔しいもんな 「でね、ネットに公開されたケーキの画像から、何件か候補が上がってて、多分代官山のここはトラップで、あたしは青山のここだと思うんだけど、自由が丘のこのお店も捨てがたいのよね」 そう語る桐乃が開いている限定ケーキの写真の写ったホームページと、ケーキショップの画像を見比べた俺はマジでビビった ホームページに掲載されていた写真はこれがケーキだと言われなければ気づかないようなぼやけた写真だ そこからショップをほぼ特定してるのだ オタクっていうのはみんな特殊工作員か何かっすか!? すげえな 「ちょっとあんた聞いてるの?」 むすっとした桐乃がそんな俺を見とがめる 「あ、ああ、悪い悪い、で、俺はお前と青山に行けばいい訳か」 「それじゃあんたに頼む意味ないじゃん。 あたしが青山に行くからあんたは自由が丘。 もし予想が当たってれば等身大綾花ちゃんフィギュアとツーショット撮影できる限定イベントもあるんだから、万が一にも外せないの」 真剣な面持ちで語る桐乃には悪いが、俺はそんな恥ずかしい証拠写真を残したくないので、桐乃の指示通り自由が丘に行くことになった その『綾花たん生誕祭』当日の自由が丘の朝 お洒落で少し懐かしい街並みの中に、どう見ても場違いな行列が出来ていて、俺はその列の比較的後ろの方に並んでいた モンサンクレール 自由が丘のちょっと丘の上にある、まさかゲームのキャラクターの誕生日ケーキを売り出すとは誰もが思いもしない超有名店だ そこにオタクの列がぶわっとできているのだ 静まり返った朝の街 ここが本当に『綾花たん生誕祭』をやる、と、明確に示すものはなにもない しかし、ここに間違いはないと確信を持って並ぶ男女の列 携帯ゲーム機を持ち出して、恋人と毎朝の愛の言葉を交わす勇者もいる また、ラブタッチのヒロイン、綾花を全面にあしらった携帯ゲーム機をチラ見せしては鞄に仕舞っている少し年季の入ったオタクの人も居る そこに、これから出かけるとおぼしき人達がひそひそ話をしながら通りすぎていく さすがに気まずい そんな気まずい思いをしている俺に、 「京介さん?」 と、背後から誰何する女性の声が聞こえた マズい…非常に、まずい… こんな姿を知り合いに見られたら、まず終わりだ 正直赤城と「ホモゲ部」の深夜販売に並んでたと知られるよりダメージがでかい ホモゲ部は瀬菜の買い物だから一部の腐った皆様以外にはすぐに誤解とわかるだろう だが、ラブタッチは違う まず秘密を守ると約束した桐乃の買い物だし、こいつはそもそも恋愛シミュレーションゲームだ 桐乃の秘密を守ったとしても、俺が残念な人に思われることはまず間違いない ん、待てよ? …っていうか、そもそもこんなところに、俺の知り合いで、俺を京介さんと呼ぶような奴って居ないよね? 意を決して振り返るとそこには… …すっごい美人がいた 長身でグラマラスな彼女は初夏らしい清楚なワンピースに身を包み、はにかむ様に俺をまっすぐに見ている さらさらの髪が一瞬風に流れる ヤバい 胸がドキッとした …ていうか、誰? お互いに見つめあう数秒の空白の後、彼女はおもむろにバッグからぐるぐる眼鏡を取り出してそれをかけてこう言った 「これは失礼した、京介どの」 「俺のときめきを返せえええ!」 思わず叫んだ俺に周囲の注目が集まる 『なにこいつ』『場違いじゃね?』『つーかリア充氏ね』 そんななんとも言えない雰囲気が辺りに立ち込めるが、彼女は気にせず続ける 「ところで京介氏、本日は何ゆえにこんなところに?」 「…桐乃の買い物だ。なんでもあいつがハマってるラブタッチの『綾花たん生誕祭』とやらで、この小洒落たケーキ屋で限定ケーキを売り出すらしい。もっとも、ネットの噂位しか情報が無いんでな、桐乃の奴も青山のナントカっていうケーキ屋に並んでる」 「ほほう、では京介氏は等身大綾花たんとツーショット写真が撮りたいと」 「って、全然人の話を聞いてねえ!?」 「冗談でござるよ。ははあ、それではきりりん氏には残念でござるなあ」 「ん?どういうことだ?」 「拙者も今回の『綾花たん生誕祭』の限定ケーキを買うべく来たのでござる。このお店に間違いは無いのでござるが…いささか遅かったようでござる」 沙織と話をしている間に、行列の先頭に動きがあった 店員さんが行列の整理をはじめた 少し場違いな雰囲気の男性はメーカーの人だろうか 「紳士淑女の皆様、本日は『綾花たん生誕祭』の限定イベントにお集まりいただきありがとうございます。 本日販売のお誕生日ケーキにつきましては限定数100とさせていただきます。 ただいまより整理券を配布いたしますので、列を崩さないようにお願いいたします。 なお、整理券配布の際は、かならず『綾花たん』の提示が必要となっております、予め電源を入れてお待ちいただきます様お願いいたします!」 小さくどよめく行列 っていうか『綾花たん』の提示が必要って何? 戸惑っていたところに、携帯が鳴った 桐乃だ 「どうしよう、青山じゃなかった…あんたの居る自由が丘が正解だった。でも、ネットでは綾花たんを連れてこないと本物のプレイヤーじゃないから、整理券配って貰えないかも、って…あんた、連れてきてるわけないよね…どうしよう…綾花ちゃんにあわせる顔がないよ…」 めちゃくちゃ落ち込んだ桐乃の声 「大丈夫、俺がなんとかする」 咄嗟にそう言って、俺は携帯を切った さて、そうは言ったものの、『綾花たん』の入った携帯ゲーム機は青山に居る桐乃の手元にある 整理券の配布は既に始まっている 今から桐乃にここまで来させても到底間に合わないだろう 然りとて、携帯ゲーム機が無いと整理券は配布されない 事実、列の前の方の何人かが追い返されている 妹の買い物でと言ったところで、扱いは変わらないだろう …待てよ?沙織はなんでここに来ていたんだっけ? 回りに聞かれては困る 少し強引に沙織の手を引いて耳元に顔を近づけて話しかける 「沙織、頼みがある。『綾花たん』を貸して貰いたい。ここに並んでるって事は、もちろん持ってきてるよな」 何故か少し動揺して沙織が答えた 「た、たしかに連れてきてござるが…」 「代わりに何でもする。さすがに楽しみにしていた桐乃を落ち込ませるのは忍びない。今だけ貸してもらえないか」 「代わりに、何でも、でござるか?」 「ああ、なんでもだ」 「わかったでござる。他ならぬきりりん氏のためでござるし…」 そういうと、沙織はぐるぐる眼鏡を外して、ぎゅっと俺の腕を組んだ 「京介さんがなんでもして下さるということでしたら、お安い御用ですわ」 居心地悪りい… 抜群のプロポーションを誇る超絶美人と腕を組んでケーキ屋に並ぶ俺は、どこから見てもリア充にしか見えない さらに困った事にこの行列が恋愛シミュレーションのヒロインのお誕生日ケーキの購入者の列だということだ 周囲から発せられるどす黒いオーラを感じる ホントに居心地が悪い だが、沙織はといえば、口許をω(こんなふう)にして、楽しそうにしている 本当にこいつは何を考えているのだろう? 彼女の表情を伺い知ろうと、ほんの僅かに高い彼女の目に目線を向ける すると、沙織が、しなだれ掛かるようにする ヤバい だっておっぱいが当たるんだもん 回りに聞かれないように沙織に話しかける 「おい、あんまり引っ付くなよ、なんていうか…」 「んー、駄目ですよ、京介さん。ちゃんと彼氏と彼女らしくしてくださらないと」 「おまえはどういう頭の構造してんの!?」 「あら、なんでもする、って先程約束して下さいましたよね?」 「うぐ、確かにそうは言ったが…」 「では、約束は守ってくださいね、京介さん」 参ったな 整理券の配布が進むに従い、列に殺伐とした雰囲気が立ち込める 限定数を越えた行列ができており、全員に行き渡らない可能性があるようなのだ 整理券を持った店員さんが俺達のところまで来た 「すみませんが『綾花たん』の提示をお願いいたします」 おもむろに沙織が携帯ゲーム機を取り出す そこには沙織の綾花のキャラクターが映っている 「あの、誠に申し上げにくいのですが、原則として列にお並びになられた方のみ整理券を配布させていただいております。 お見受けしたところ、そちらの『綾花たん』はお嬢様の物かと思われますので誠に申し訳ございませんが…」 まあ、確かにそうだよな どれだけ俺達が桐乃のためにやったこととはいえ、卑怯と言われてしまえば返す言葉はない 桐乃には悪いが… 「京介さん」 次の瞬間、携帯ゲーム機から、俺を呼ぶ『綾花たん』の声がした 「あ、綾花たん!?」 思わずゲーム機の中のキャラクターに話しかけてしまう 「うふふ、会いたかった、京介さん(ハァト」 やたらと甘ったるい声でゲームのキャラクターが話しかけてくる ヒロインと会話ができるラブタッチモードが起動しているようだ 畳み掛けるように、沙織が言った 「ごめんなさいね、彼ったらこのゲームに夢中で、私の誕生日のお祝いも忘れて『綾花たん』のケーキを買う、と出掛けてしまったから、つい私が意地悪をして隠してしまったの。 でも今日は私の誕生日でもあるの。だから本当は私の分のケーキも買いに来たのでしょう?ね、京介さん」 そういって沙織は話を合わせるように目配せする 「あ、ああ、そうだ」 「だからね、みんなで食べられるくらい大きなケーキを買って欲しいわ」 いつになく甘い沙織の声に自分達は本当に恋人同士なのではないかと錯覚さえ覚えてしまう 「これは失礼いたしました。それでは整理券をお渡しいたします」 丁寧に詫びる店員さんに、こちらこそ、と頭をさげてしまう 満足そうな笑みを浮かべてまた俺にしなだれかかる沙織に、つい何も言えなくなってしまう 店員さんが列の残りの人に整理券を配りに行ったところで、漸く人心地が付いた俺は沙織の耳元に囁いた 「少し心が痛いけど桐乃のがっかりした姿を見なくて済んだよ。悪いな、彼女のふりまでさせて」 「あら、京介さん?約束忘れたの?ふり、では無くってよ」 え?どういうこと? 複雑な表情を作る俺に、一瞬微笑んだあと、彼女はまたいつものぐるぐる眼鏡を掛けて、こう言った 「さてと京介氏、きりりん氏のためのお買い物はまだ終わりませんぞ。ケーキを買ったら秋葉原に行って、それから…」 「いや、いいよ。沙織、お前、桐乃のためにここに来たんだろう?多分、ラブタッチも俺が持っていないことを予想して。わざわざ予め新しいセーブデータまで作って…」 「…バレてしまいましたか、京介氏」 ぐるぐる眼鏡の向こうの表情はわからない 「それから、ケーキを買おう。今日は本当にお前の誕生日だったりしない?」 一瞬、沙織はぐるぐる眼鏡の隙間から俺を見て、それから答えて言った 「あれはきりりん氏の分でござるよ。どこかの兄上が妹の誕生日も忘れて、と溢してた故」 「そっか、ありがとうな」 本当にこいつには頭が上がらないよ ふと、ぐるぐる眼鏡を外して沙織が言った 「でも、約束は忘れないでくださいね、京介さん」 そうして沙織はまた、ぐるぐる眼鏡を掛けた そうして、整理券をもらった俺と沙織は、そのあと桐乃と合流して『綾花たん生誕際』限定ケーキを買った。 沙織は予め桐乃に俺と並んでいることを伝えるメールを送っていたらしく、桐乃はちょっとだけ照れくさそうに、ありがとう、と、沙織に言った それから、黒猫も呼んで、うちでちょっとしたパーティーをしよう、という話になった それからちょっと反則気味ではあるけれども、俺の代わりにということで、桐乃も等身大『綾花たん』とのツーショット写メを取らせてもらうことができた 最初はメーカーのスタッフさんが広報に使いたいと申し出てくれたのだが、桐乃はモデル業に差し障ると困るということで、丁重にお断りをした まあ、その代わりに俺が「彼女に『綾花たん』を届けさせた男」として、ネットニュースの格好のネタになったわけだが さて 丁度今、沙織から「京介さんへ」と題したメールが届いているのだが、なんだか微妙にいやな予感がするのだが、気のせいだろうか