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うっわぁ。 それがその光景を見た崇永成汰の率直な感想だった。なんというかもうこれ以上言い様がないというくらいに、素直な感想だ。語彙力がないのも申し訳ないが、心の底からそう思ったのだ。 成汰は講義を終えて、食べ損ねていた昼食を買いに行こうとしていた。普段は弁当を自作して持ってきているのだが、今日は放課後にいろいろと用事があり、鞄の中に弁当箱を入れるのが邪魔だったので珍しく外食することにしたのだ。成汰の場合、コンビニ弁当でも気分的には外食扱いになる。 教育学部の校舎を出て、ふと周囲に視線を動かすと、見覚えのある人がいた。 ベンチに腰かけるグレイのジャケット姿の男、久賀だ。八千代さんという黒のラブラドールレトリバーを常に連れた職業不明の男で、よく大学キャンパス内を二人で散歩している。成汰はちょっとしたきっかけで会えば軽い会話を交わすくらいの仲なのだが、友人を表現するにはちょっと気が引けてしまう感じの人だ。もう少し仲良くなりたいなぁと思ったりもしているのだが。 久賀は学生とおぼしき成汰と同い年くらいの男と話していた。ぎょろっとした目が蛙のようである。一度見かければ忘れられなそうな顔だったが、見覚えはなかった。 声をかけるべきか迷った瞬間、矢継ぎ早に言葉を連ねる久賀の声が聞こえてきたのだ。 成汰は一瞬耳を疑った。 それは舌鋒と言うに相応しい、相手の心を完膚なきまでにへし折りそうな言葉攻めであった。 問いかけという形式をとりながら、相手に一切回答の機会を与えない言葉の羅列。会話の隙がないというだけではない、言葉を発するのを躊躇わせる威圧感のようなものがその時の久賀にはあった。フラットに抑えられた声音で重ねられる問いには恐怖すら感じられた。 うっわぁ。 そして、成汰の感想に至るわけである。 八千代さんの制止ではっとした久賀は言葉を収め、気まずそうに謝罪していた。相手へのフォローもそぞろに八千代さんの連れて立ち去る久賀に、あの人も人間だったんだなぁといささか場違いに感心した。 一方、一人取り残された学生のほうは蒼白な顔で突っ立ったまま、地面を見つめて口元を震わせている。 成汰が聞く前にどんな会話が繰り広げられていたのかは知らないが、久賀は悪意を持って誰かを傷つけることはまずない男だ。そもそも他人に対する悪意や害意がないのではないかと思う。 勿論怒りや不快さを感じることはあるだろうし(わかりやすく言うと八千代さん関連の話だとか)、どうやら何かにつけて同意を求めるタイプの人間は苦手らしい。おそらくあの学生は何かしら久賀の逆鱗に触れたのだろう。 それにしても、なんだが気の毒な立ち姿である。今にも崩れ落ちそうな悲惨な顔に思わず同情してしまった。知り合いでもなんでもない相手だが、だからこそ盗み聞きのように立ち聞いてしまった申し訳なさが強かった。 「……あのさ、顔色悪いけど大丈夫?」 なるべく何気ない風を装って成汰は学生に声をかけた。 別に久賀のフォローというわけではないが、このまま放置するのも気が引けたのだ。 「気分悪いの? それとも貧血か? ひどい顔してるぜ」 「……あんた……」 反応がないので少し大きめに声を出すと、ようやく学生は成汰に気がついた。顔は蒼白のままだったが、目の焦点は合っている。 「なんか飲み物も買ってこようか? あ、それか、なんか食う?」 結構強引な話題の転換だったが、この場所にいるのはよくないだろう、いろいろと思い出して。ちょうど昼食に行くところだったわけだし、少しでも気が紛れればいい。 「もし大丈夫なら、飯でも食いに行かねぇ? ちょうどこれから――」 すると学生の顔が少し上がった。これなら一緒に飯でも食えば大丈夫そうかな、と成汰が安心しかけたその時だった。 「あ、ナリリン!」 この状況下ではかなり場違いなハイトーンの声が、絶対に振り返りたくない呼称が成汰を呼んだ。しかし、どれほど振り返りたくないと思っても、すでに反射的に反応してしまうほど呼ばれ慣れてしまった呼称でもあった。 しぶしぶ振り返れば案の定、毎日顔を突き合わせる学科の奴らが六人全員揃って、先程成汰が出てきた学部の校舎から出てきたところだった。ちなみに全員女子。今日も、お前ら寒い寒い言うならもうちょっと長いスカートはくとか、ジーパンにするとかしろよと言いたくなる格好だ。実際に言うと「ナリリンはわかってない!」「何がわかっていないかというと」「乙女の気持ちが!」とかいう鬱陶しい流れになるのでもう言わない。 さっきまで受けていたのは必修の授業ではなく、成汰一人が受講しているもので、学科の連中は空きコマだったはずだ。どこかの教室か休憩室でまたどこぞの誰かの噂話に花を咲かせていたのだろう。 どうしてこういうタイミングで来るかな、こいつら。 思わず盛大に溜め息を吐いていると、あっという間に囲まれた。 「授業終わったのー?」 「確か選択だよね? ナリリンってば真面目っ子!」 「真面目っ子ー!」 「うるせぇよお前ら」成汰から言わせればこいつらのほうが不真面目すぎる。 「ねぇ、ナリ君、この後って空いてる? みんなでケーキ食べに行かないかって話してたんだけど」 「私のアパートの近くに最近できたやつだよ」 「ナリリン気になるって言ってたでしょ? 行かない?」 「あぁ、あれか……」確かに気になる店だった。小さくカフェスペースもあって、入ってみたいなぁと頭の隅にはあったのが、毎度のことながらああいった店に一人で入った瞬間の店員のなんともいえない視線が嫌になる。その点、こいつらと一緒なら気兼ねなく入っていけるし、長々とショーケースを眺めていても、同じく長々とケーキ選びに迷うこいつらに紛れて変な目で見られることはない。 「……もう授業はないし、行くかな」 と、思わず行く気になって呟いてから思い出した。慌てて振り返る。 しばしの間ではあるが、成汰の脳内から完全に消去されていた男子学生は特徴的な蛙のような目を見開いて、唖然としていた。そりゃあ、いきなり姦しい女子学生が六人もやって来て、わらわらと囲まれたら驚くだろう。 飯に誘おうとしていたのに放置してしまった。慌てて謝る。 「あ、悪い。こいつら学科の連中で――」 が、いきなり背中に衝撃をくらってバランスを崩した。膝に手をついて堪えるが、何故か背中への荷重が消えない。「って、おい、押すな寄りかかんな誰だ海藤かっ?」矢継ぎ早に叫ぶが、姦し娘たち(なんか表現が古いな。六人だし)は聞く耳なんて持たない。 「これ誰? ナリリンの友達?」 「教育の人じゃないよね。ナリリンサークル入ってないし、何繋がり?」 「授業とかじゃない? ナリリン真面目っ子だから」 「だから、うるっせってのっ。そのネタ引っ張んな。てか、さっさと退けっ」重くはないが、激しく邪魔だ。 「何? その人もケーキ屋行くの?」 「いや、そういう話じゃないでしょう? いきなりそれって悪いじゃない」 「というか、早く行かないとケーキなくなっちゃうよ。ナリリン、新しいお店は全メニューチェックしたいんでしょ?」 「できればな、って、そういう話じゃねぇんだよ今は」 完全スルーから妙な絡みなんて、初対面なのに失礼すぎる。体を起して背中の重さを無理矢理落とし、改めて学生に向き直るが、 「…………けんなよ……」 歯軋りが聞こえてきそうな低い声で学生が呟く。 久賀に容赦なく言葉を並べたてられ紅潮から蒼白へと変わっていた顔色は、悄然から呆然とした様子に変わり、最終的には怒りか羞恥に染まった赤色に戻っていた。 「ふっざけんなよっ! 馬鹿野郎っ!」 何かの堰を切ったように金切り声で言い捨てて、学生は走り去った。足をもつれさせながら遠ざかる背中を成汰は唖然として見ていた。久しぶりに怒鳴られたな、最近キャーキャーって感じのこいつらの声ばっかり聞いてたから、なんか新鮮だな。 成汰は驚きのあまりちょっとずれたことを考えていたが、状況的に何もわかっていない学科の連中はいきなりの直情的な罵声に驚きつつもご立腹だった。 「何アレ!? いきなり馬鹿野郎とかなくない?」 「や、なんで怒ったのかすら意味わかんない」 「私たちがうるさかったのかもしれないけど、ナリ君は悪くないのに」 「ほんと、わけわかんないよね」 「もういいじゃん、あんなの。早くケーキ屋行こうよ」 「そうだよ、本題忘れることだった。ナリリン、行けるんだよね」 一瞬非難が集中したが、それもすぐさま流されて、なかったことにされる。この恐ろしく素早い意識の転換に時折、すげぇなこいつら、と感心する。絡まれて流されたあの学生は大変可哀想だが。 「いや、行けるけどよ」 学生が走り去った方向を見つめていた成汰だったが、追いかけるわけにもいかないし、追いかけてもしょうがないような気もして、結局諦めた。心の中で深く謝罪し、ついでに久賀の分も謝罪しておいた。 悪い。悪気はないんだ。ほんと、悪い。 成汰も、恐らくは久賀も、本当に悪気はないのだ。 「ささっ、ケーキ屋へゴー!」 「何食べよっかなぁ。迷うー」 「今月ちょっとお財布ピンチなんだよね」 「いや、むしろ別の何かがピンチだよ」 「だよねー。晩ご飯抜こっかな」 「ほら、早く行こうよ、ナリリン」 「お前らなぁ」 あの状況の元凶はお前らじゃないかと思いつつ、後ろ髪引かれながらも成汰は姦しいというか喧しい少女たちの後を追った。 あ、そうだ。 「悪い、途中で金下ろしに行っていいか?」 一度に全メニュー制覇は無理だが、ある程度は押さえたい。 いくらあれば足りっかな。 あとがき 傍から見ると、成汰は大勢の女の子をはべらせている野郎だという話(そこなのか)。 成汰は別に小川のことは嫌いじゃないよ。 悪気はない。 どちらかというと、ケーキのほうが大事だけど。 何故か久賀の話よりえぐい気がする。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1273071103/317-330 「ねえ、あんたにお願いがあるんだけど」 あれから桐乃は『人生相談』を持ちかける事はなくなった 寂しい限りだな そう、俺が思っていると誤解している諸君 間違えてはいけない もともと人生相談なんて軽々しくするものじゃない だからこそ、去年、桐乃が俺に『人生相談』を持ちかけた時には真剣に切迫詰まっていたのだろう だが、おかげでようやく俺達兄妹は、目を背けてはいけない、どうしようもなく家族であることを知った 少なくとも俺はそうだと信じてる だから、桐乃の『人生相談』が『お願い』になったとしても、同じように受け入れてやろうと思ってた まあ、初っぱなから「彼氏になれ」とか無茶苦茶な『お願い』だったけどさ まあ、その結果は諸君の知っての通りだが べっ、別に泣いてなんかいないんだからね(涙) で、今度はどんなお願いなんだ? 「で、なんだ?その『お願い』ってのは。今日は気分がいいから、特別に聞いてやるぞ?」 「うっえ、気持ち悪っ!こないだからアンタなんか勘違いしてるんじゃないの?」 …相変わらず容赦ねーな オーケー、オーケー、これくらいどうってことはない いつもの桐乃だ 俺が目に涙を溜めてるように見えたとしたらそれは仕様だ 「別に大したことじゃ無いんだから、貸しだなんて思わないでよね」 「思わねーよ」 だいたい、お前の頼み事に一々そんなこと考えてたら身が持たん 「で、なんだ?言ってみ?」 「えっと、言いにくいんだけど…た、お誕生日のね、ケーキを買ってきて欲しいの!」 なんだ、普通じゃないか?それのどこが? 確かに今まで大っ嫌いだった兄貴に誕生日のケーキをねだると言うのは気恥ずかしいだろうが、 って、あれ? 「ちょっと待て、桐乃?お前の誕生日はとっくに…」 「はぁ?なに言ってんの? 綾花ちゃんの誕生日に決まってるでしょ? っていうかあたしが実の兄に誕生日を祝えっておねだりするとか思ってるわけ?…キモ」 綾花ちゃんというのは相変わらず桐乃がはまっているラブタッチというゲームのヒロインだ ゲームのキャラクターの誕生日を祝う方がよっぽどキモいと思うがここは言わない方が賢明だろう 「買い物ぐらい付き合ってやんよ。駅前のケーキ屋さんでいいか?」 「はあ?あんたバカ? 地味子ならともかく、綾花ちゃんにそんなもので許されると思ってるわけ? だからあんたはモテないのよ。」 「うっせーよ。毎度毎度心をえぐるようなことを言いやがって」 とはいえ確かに桐乃が言う通り、ゲームの中とはいえ恋人に贈るプレゼントは特別なものなのだ 桐乃なりに精一杯恋人の誕生日を祝いたいのだろう 「わかったよ、どこへでも行ってやるって。んで、何処まで行けばいいんだ?」 「…わかんない」 予想外の返答に俺は戸惑ったが、考えてみればたかがケーキを買いに行くだけで桐乃が俺に『お願い』をするはずがない 「いや、それだといくら俺でも買えないよね、ケーキ」 ごく当たり前の反応に、桐乃は軽く逆ギレ気味に答えた 「せ、正確に言うとね、だいたい目星はついてんの」 そう言って桐乃はノートパソコンのブックマークを開いて、数件のお洒落なケーキ屋を俺に紹介しながら話を続けた 「ラブタッチはリアルが売りのゲームだから、恋人の誕生日に下手なお店で買ってきたケーキでお祝い、なんてできるわけないじゃない? だから今回はね、メーカーとショップが特別にコラボして『綾花たん生誕祭』をやるの。 ただ、事前に大々的に公開しちゃうとすぐに売り切れになっちゃうでしょ? 転売ヤーとか意味わかんない連中も綾花ちゃんのケーキを買ってプレミアつけて売ったりするだろうし…」 俺にはお前も意味わかんないけど、大事な人のために贈ろうとしたものが横取りされたら悔しいもんな 「でね、ネットに公開されたケーキの画像から、何件か候補が上がってて、多分代官山のここはトラップで、あたしは青山のここだと思うんだけど、自由が丘のこのお店も捨てがたいのよね」 そう語る桐乃が開いている限定ケーキの写真の写ったホームページと、ケーキショップの画像を見比べた俺はマジでビビった ホームページに掲載されていた写真はこれがケーキだと言われなければ気づかないようなぼやけた写真だ そこからショップをほぼ特定してるのだ オタクっていうのはみんな特殊工作員か何かっすか!? すげえな 「ちょっとあんた聞いてるの?」 むすっとした桐乃がそんな俺を見とがめる 「あ、ああ、悪い悪い、で、俺はお前と青山に行けばいい訳か」 「それじゃあんたに頼む意味ないじゃん。 あたしが青山に行くからあんたは自由が丘。 もし予想が当たってれば等身大綾花ちゃんフィギュアとツーショット撮影できる限定イベントもあるんだから、万が一にも外せないの」 真剣な面持ちで語る桐乃には悪いが、俺はそんな恥ずかしい証拠写真を残したくないので、桐乃の指示通り自由が丘に行くことになった その『綾花たん生誕祭』当日の自由が丘の朝 お洒落で少し懐かしい街並みの中に、どう見ても場違いな行列が出来ていて、俺はその列の比較的後ろの方に並んでいた モンサンクレール 自由が丘のちょっと丘の上にある、まさかゲームのキャラクターの誕生日ケーキを売り出すとは誰もが思いもしない超有名店だ そこにオタクの列がぶわっとできているのだ 静まり返った朝の街 ここが本当に『綾花たん生誕祭』をやる、と、明確に示すものはなにもない しかし、ここに間違いはないと確信を持って並ぶ男女の列 携帯ゲーム機を持ち出して、恋人と毎朝の愛の言葉を交わす勇者もいる また、ラブタッチのヒロイン、綾花を全面にあしらった携帯ゲーム機をチラ見せしては鞄に仕舞っている少し年季の入ったオタクの人も居る そこに、これから出かけるとおぼしき人達がひそひそ話をしながら通りすぎていく さすがに気まずい そんな気まずい思いをしている俺に、 「京介さん?」 と、背後から誰何する女性の声が聞こえた マズい…非常に、まずい… こんな姿を知り合いに見られたら、まず終わりだ 正直赤城と「ホモゲ部」の深夜販売に並んでたと知られるよりダメージがでかい ホモゲ部は瀬菜の買い物だから一部の腐った皆様以外にはすぐに誤解とわかるだろう だが、ラブタッチは違う まず秘密を守ると約束した桐乃の買い物だし、こいつはそもそも恋愛シミュレーションゲームだ 桐乃の秘密を守ったとしても、俺が残念な人に思われることはまず間違いない ん、待てよ? …っていうか、そもそもこんなところに、俺の知り合いで、俺を京介さんと呼ぶような奴って居ないよね? 意を決して振り返るとそこには… …すっごい美人がいた 長身でグラマラスな彼女は初夏らしい清楚なワンピースに身を包み、はにかむ様に俺をまっすぐに見ている さらさらの髪が一瞬風に流れる ヤバい 胸がドキッとした …ていうか、誰? お互いに見つめあう数秒の空白の後、彼女はおもむろにバッグからぐるぐる眼鏡を取り出してそれをかけてこう言った 「これは失礼した、京介どの」 「俺のときめきを返せえええ!」 思わず叫んだ俺に周囲の注目が集まる 『なにこいつ』『場違いじゃね?』『つーかリア充氏ね』 そんななんとも言えない雰囲気が辺りに立ち込めるが、彼女は気にせず続ける 「ところで京介氏、本日は何ゆえにこんなところに?」 「…桐乃の買い物だ。なんでもあいつがハマってるラブタッチの『綾花たん生誕祭』とやらで、この小洒落たケーキ屋で限定ケーキを売り出すらしい。もっとも、ネットの噂位しか情報が無いんでな、桐乃の奴も青山のナントカっていうケーキ屋に並んでる」 「ほほう、では京介氏は等身大綾花たんとツーショット写真が撮りたいと」 「って、全然人の話を聞いてねえ!?」 「冗談でござるよ。ははあ、それではきりりん氏には残念でござるなあ」 「ん?どういうことだ?」 「拙者も今回の『綾花たん生誕祭』の限定ケーキを買うべく来たのでござる。このお店に間違いは無いのでござるが…いささか遅かったようでござる」 沙織と話をしている間に、行列の先頭に動きがあった 店員さんが行列の整理をはじめた 少し場違いな雰囲気の男性はメーカーの人だろうか 「紳士淑女の皆様、本日は『綾花たん生誕祭』の限定イベントにお集まりいただきありがとうございます。 本日販売のお誕生日ケーキにつきましては限定数100とさせていただきます。 ただいまより整理券を配布いたしますので、列を崩さないようにお願いいたします。 なお、整理券配布の際は、かならず『綾花たん』の提示が必要となっております、予め電源を入れてお待ちいただきます様お願いいたします!」 小さくどよめく行列 っていうか『綾花たん』の提示が必要って何? 戸惑っていたところに、携帯が鳴った 桐乃だ 「どうしよう、青山じゃなかった…あんたの居る自由が丘が正解だった。でも、ネットでは綾花たんを連れてこないと本物のプレイヤーじゃないから、整理券配って貰えないかも、って…あんた、連れてきてるわけないよね…どうしよう…綾花ちゃんにあわせる顔がないよ…」 めちゃくちゃ落ち込んだ桐乃の声 「大丈夫、俺がなんとかする」 咄嗟にそう言って、俺は携帯を切った さて、そうは言ったものの、『綾花たん』の入った携帯ゲーム機は青山に居る桐乃の手元にある 整理券の配布は既に始まっている 今から桐乃にここまで来させても到底間に合わないだろう 然りとて、携帯ゲーム機が無いと整理券は配布されない 事実、列の前の方の何人かが追い返されている 妹の買い物でと言ったところで、扱いは変わらないだろう …待てよ?沙織はなんでここに来ていたんだっけ? 回りに聞かれては困る 少し強引に沙織の手を引いて耳元に顔を近づけて話しかける 「沙織、頼みがある。『綾花たん』を貸して貰いたい。ここに並んでるって事は、もちろん持ってきてるよな」 何故か少し動揺して沙織が答えた 「た、たしかに連れてきてござるが…」 「代わりに何でもする。さすがに楽しみにしていた桐乃を落ち込ませるのは忍びない。今だけ貸してもらえないか」 「代わりに、何でも、でござるか?」 「ああ、なんでもだ」 「わかったでござる。他ならぬきりりん氏のためでござるし…」 そういうと、沙織はぐるぐる眼鏡を外して、ぎゅっと俺の腕を組んだ 「京介さんがなんでもして下さるということでしたら、お安い御用ですわ」 居心地悪りい… 抜群のプロポーションを誇る超絶美人と腕を組んでケーキ屋に並ぶ俺は、どこから見てもリア充にしか見えない さらに困った事にこの行列が恋愛シミュレーションのヒロインのお誕生日ケーキの購入者の列だということだ 周囲から発せられるどす黒いオーラを感じる ホントに居心地が悪い だが、沙織はといえば、口許をω(こんなふう)にして、楽しそうにしている 本当にこいつは何を考えているのだろう? 彼女の表情を伺い知ろうと、ほんの僅かに高い彼女の目に目線を向ける すると、沙織が、しなだれ掛かるようにする ヤバい だっておっぱいが当たるんだもん 回りに聞かれないように沙織に話しかける 「おい、あんまり引っ付くなよ、なんていうか…」 「んー、駄目ですよ、京介さん。ちゃんと彼氏と彼女らしくしてくださらないと」 「おまえはどういう頭の構造してんの!?」 「あら、なんでもする、って先程約束して下さいましたよね?」 「うぐ、確かにそうは言ったが…」 「では、約束は守ってくださいね、京介さん」 参ったな 整理券の配布が進むに従い、列に殺伐とした雰囲気が立ち込める 限定数を越えた行列ができており、全員に行き渡らない可能性があるようなのだ 整理券を持った店員さんが俺達のところまで来た 「すみませんが『綾花たん』の提示をお願いいたします」 おもむろに沙織が携帯ゲーム機を取り出す そこには沙織の綾花のキャラクターが映っている 「あの、誠に申し上げにくいのですが、原則として列にお並びになられた方のみ整理券を配布させていただいております。 お見受けしたところ、そちらの『綾花たん』はお嬢様の物かと思われますので誠に申し訳ございませんが…」 まあ、確かにそうだよな どれだけ俺達が桐乃のためにやったこととはいえ、卑怯と言われてしまえば返す言葉はない 桐乃には悪いが… 「京介さん」 次の瞬間、携帯ゲーム機から、俺を呼ぶ『綾花たん』の声がした 「あ、綾花たん!?」 思わずゲーム機の中のキャラクターに話しかけてしまう 「うふふ、会いたかった、京介さん(ハァト」 やたらと甘ったるい声でゲームのキャラクターが話しかけてくる ヒロインと会話ができるラブタッチモードが起動しているようだ 畳み掛けるように、沙織が言った 「ごめんなさいね、彼ったらこのゲームに夢中で、私の誕生日のお祝いも忘れて『綾花たん』のケーキを買う、と出掛けてしまったから、つい私が意地悪をして隠してしまったの。 でも今日は私の誕生日でもあるの。だから本当は私の分のケーキも買いに来たのでしょう?ね、京介さん」 そういって沙織は話を合わせるように目配せする 「あ、ああ、そうだ」 「だからね、みんなで食べられるくらい大きなケーキを買って欲しいわ」 いつになく甘い沙織の声に自分達は本当に恋人同士なのではないかと錯覚さえ覚えてしまう 「これは失礼いたしました。それでは整理券をお渡しいたします」 丁寧に詫びる店員さんに、こちらこそ、と頭をさげてしまう 満足そうな笑みを浮かべてまた俺にしなだれかかる沙織に、つい何も言えなくなってしまう 店員さんが列の残りの人に整理券を配りに行ったところで、漸く人心地が付いた俺は沙織の耳元に囁いた 「少し心が痛いけど桐乃のがっかりした姿を見なくて済んだよ。悪いな、彼女のふりまでさせて」 「あら、京介さん?約束忘れたの?ふり、では無くってよ」 え?どういうこと? 複雑な表情を作る俺に、一瞬微笑んだあと、彼女はまたいつものぐるぐる眼鏡を掛けて、こう言った 「さてと京介氏、きりりん氏のためのお買い物はまだ終わりませんぞ。ケーキを買ったら秋葉原に行って、それから…」 「いや、いいよ。沙織、お前、桐乃のためにここに来たんだろう?多分、ラブタッチも俺が持っていないことを予想して。わざわざ予め新しいセーブデータまで作って…」 「…バレてしまいましたか、京介氏」 ぐるぐる眼鏡の向こうの表情はわからない 「それから、ケーキを買おう。今日は本当にお前の誕生日だったりしない?」 一瞬、沙織はぐるぐる眼鏡の隙間から俺を見て、それから答えて言った 「あれはきりりん氏の分でござるよ。どこかの兄上が妹の誕生日も忘れて、と溢してた故」 「そっか、ありがとうな」 本当にこいつには頭が上がらないよ ふと、ぐるぐる眼鏡を外して沙織が言った 「でも、約束は忘れないでくださいね、京介さん」 そうして沙織はまた、ぐるぐる眼鏡を掛けた そうして、整理券をもらった俺と沙織は、そのあと桐乃と合流して『綾花たん生誕際』限定ケーキを買った。 沙織は予め桐乃に俺と並んでいることを伝えるメールを送っていたらしく、桐乃はちょっとだけ照れくさそうに、ありがとう、と、沙織に言った それから、黒猫も呼んで、うちでちょっとしたパーティーをしよう、という話になった それからちょっと反則気味ではあるけれども、俺の代わりにということで、桐乃も等身大『綾花たん』とのツーショット写メを取らせてもらうことができた 最初はメーカーのスタッフさんが広報に使いたいと申し出てくれたのだが、桐乃はモデル業に差し障ると困るということで、丁重にお断りをした まあ、その代わりに俺が「彼女に『綾花たん』を届けさせた男」として、ネットニュースの格好のネタになったわけだが さて 丁度今、沙織から「京介さんへ」と題したメールが届いているのだが、なんだか微妙にいやな予感がするのだが、気のせいだろうか
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参加者一覧 No. HN 地域 キャラ デバイス PC コメント 1 Egg 愛媛 繭(4P) PS2+USB なし Bランクなんて聞いてないよ!Cやない? 2 骨髄 福島 瑞佳(1P) サターンパッド(DPP/USB) ノート1台(64FPS) 課金したので勝てると思います 3 lovkikyou 神奈川 あゆ(6P) PS2+USB変換機 なし 小田原住民になった、また遠くなったなぁ。 4 カスタード 千葉 真琴(1P) サターンパッド(USB) なし リリカルなのはinnocentがんばりましょうモバマスでもいいです 5 煌姫 都の東道の真ん中 あゆ(1P) アーケードスティック(多分SS) スティック重いので勘弁して下さい… バー↑リヤー↓wwwヘイキダモーンwww 6 海星 東京都青梅市 名雪(1P) サターンパッド(DPP/USB) なし Bランクの自分の場違い感。 7 黒瀬 千葉県 栞(4P) サターンパッド&USB変換機 ノート2台(64FPS) 多々買わなければ、生き残れない! 8 ルトア 神奈川 秋子(1P) USBキーボード なし ジャム仕込中・・・ 9 ねここ 千葉 香里(6P) サターンパッド(USB) なし 青コン少しだけ覚えました 10 ひゅな 千葉 舞(1P) PS2+USB変換 なし RF縮地を咎めるのはやめてください… 11 めーふ ちば あゆ(5P) USBキーボード なし ひとでまんファンクラブ設立マダー?(・∀・)っ/凵チンチン 12 祐樹 東村山 みさき(5P) PS+変換機 なしです ?????出ない?? 13 えーや 東京 澪(4P) PS2+変換機 × 目指せリーグ内2勝 14 覚醒天使ピュアカズト 魔界 美凪(3P) サターンパッド(USB) 不可 なんでこんな名前にしたんだ日本一ライブあるので途中で帰ります 15 Sin (しんだっしゅ) 大阪府 繭(1P) サターンパッド(USB) なし 記念パピコ 16 ヤグンンバ 東京都 美坂栞(1P) サターンパッド(USB) ノートPC1台予定 前回は参加できなかったので今回はよろしくお願いします。 17 入葉 "ほっと"なまちあげお 真琴(2P) PS2+変換機 なし 骨髄さんの進撃を止めてください!ランバトもモバマスも 18 ぱんだ 千葉もしくは仙台 みさき(4P) サターンパッド(USB) ノートPC数台 骨髄さんを倒しに来ました。 19 7KI 世田谷 佐祐理(6P) サターンパッド+変換機 なし ボタンを押すことを諦めないこと、それが大事!! 20 keizin 東京都 舞(6P) サターンパッド+変換機 なし たいささんと対戦したいんで参加します。 21 フィオ 千葉県 起名雪(4P) PS2用サターンパッド+USB変換器 ノートPC1台(64FPS) モチベ上昇中~ 22 六腑 埼玉で1.2を争う暑い町越谷。1位=全国一位でもある 繭(2P) サターンパッド(USB) 足りなさそうなら持ってく 雨の中ブラウン管運んで主催涙目wwwにならないことを祈るわマジで 23 mls 東京 あゆ(6P) サターンパッド(USB) ノート1台(64FPS) 先にダウンしてください 24 と~か 東京 里村茜(5P) サターンパッド(USB) なしで モバマス引退したので勝てると思います、さよなら俺の加蓮ちゃん。 25 緋閃 神奈川県 佳乃(4P) USBキーボード なし 二回目も頑張ります~ 26 サッサ 東京都 七瀬(?P) サターンパッド(USB) × 身内以外で対戦するの初めてなんで凄く楽しみ 27 アマネ 東京 佐佑理(?P) キーボード なし 当日よろしくお願いします。 28 たいさ 東京 真琴余りカラーで サターンパッド(USB) 無し keizinさんがいるなら参加します 29 ひろむ 闘京 みさき(3P) PS2コントローラー+コンバータ 無し 新規雑談勢 30 あのん 聖地ニーガタ 舞(5P) USBサタパ 無 ニーガタ国王のお墨付き 31 32 33 34 35 キャラクター別登録者数 キャラ 人数 キャラ 人数 キャラ 人数 長森 1 七瀬 1 茜 1 みさき 3 繭 3 澪 1 あゆ 4 名雪 1 真琴 3 栞 2 舞 3 佐祐理 2 観鈴 佳乃 1 美凪 1 郁未 D七瀬 みずか 起名雪 1 美汐 香里 1+1 秋子 1 見学 / / スタッフ No. HN 地域 キャラ デバイス PC コメント 1 なぎさ 宮代 香里(1P) サターンパッド(SS/PS/USB) デスク*4(64FPS)ノート*4(64FPS)CRT*9 真夏の開催となりますので、熱中症に十分ご注意下さい。第二回より同一ランクのプレイヤー同士で予選が行われます。ランバト形式の本当の面白さはこれからですよ! 2 3 .
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oath sign 最悪の気分だ。苦虫を噛み潰したような表情で、青年は溜息を零した。 ピタリと首に装着されている首輪からは、無機質特有の冷たさしか感じられない。辟易して取り外そうにも、ルールブックに書いてある言葉を信じるなら、この首輪は一定の衝撃で作動する。 もし作動してしまえば、解除方法は無し。ポン、と。あの会場で犠牲となった少女と同じく、彼の首は間抜けな音を立てて飛ぶに違いない。 それは、如何なる身であろうとも敵わない現実。 「……どうしたものかねぇ」 溜息と共に率直な感想を吐きだす。 そんじょそこらの出来事にうろたえるほど、彼の精神は柔ではない。が、これは流石に別次元だ。 自分ひとりだけならば、まだどうにかなった。どうにでもなった。 だが、手にした参加者名簿が持ち前のポジティブな思考を押しとどめる。 「我が愛しき妹に、相棒。白ちゃんに期待の新人、それにあの子……」 むぅ、と。 端正な顔を不機嫌そうに歪めると、彼は手にした参加者名簿をくしゃくしゃに丸めた。 不愉快極まりない。 あの首謀者の嗜好など知りたくもないが、その悪辣さは十分に感じ取れる。舌打ちと共に紙を投げ捨てると、自身の首輪を人差し指で軽くノックした。 「アンタは殺す」 この首輪が、ただ爆発の為だけの首輪とは思えない。おそらくは、参加者の状態を知る何かが埋め込まれているはず。 一言。思い浮かべるはあの神父。言葉を刃に、殺気を滲ませ、目を本来の色へと変えて宣言する。 「絶対に殺す」 主催者への反逆の意志と宣告。 だがそれは、聞く者が聞けば失笑に、あるいは嘲笑に付すであろう言葉。この現実が見えていない阿呆の言葉。 戦場で生き残るのは、強者か臆病者と相場が決まっている。弱者は元より、場違いな勇者も生き残るには値しない。 命のかかったこの現状では、命を握られている現状では、青年の行動は明らかに致命的。 ――――だが、果たしてそれは正しいのか? 闇夜に映える金色の髪の毛をかき上げ、夜空に浮かぶ満月を見上げる。 闇夜に煌めく血のように紅い瞳を眇め、夜空に浮かぶ満月を見上げる。 「絶対に、殺す」 僅かに足を浮かせ、一息の後に踏み下ろす。音を立てて、舗装されていた道路にヒビが走る。 歯を剥き出しに。唸るように言葉を紡ぎ、絶対の誓いを此処に残す。 これが、貴様らの未来と言わんばかりに。 これが、貴様らの末路と言わんばかりに。 そうして青年――――千堂伊織はその場を後にした。 ■ 普段通りの彼ならば、此処まで感情を剥き出しにすることは無かっただろう。 このような理不尽な世界に身を置いても、例え意志表明を宣言するにしても、もう少しスマートに事を進めたはずだ。 それをしなかった、或いは出来なかったのには理由がある。 一つは、先ほどまで手にしていた参加者名簿。ひいては、それに記されていた五人の名前。 コレに関しては、特に説明が必要なわけでもあるまい。 おそらくは、この悪趣味なゲームに参加させられた殆どの参加者が大なり小なり通る事項なのだから。 「……ふん」 忌々しげに鼻を鳴らして、伊織は頬についた跡を擦った。 既に乾いてこびり付いてしまったが、それが何であったかが分からぬ伊織ではない。 先ほど目の前で起きた出来事を、妹を庇った際に浴びたソレを、骸を抱いて慟哭する女性を。 瞼の裏に今尚こびり付いた光景を振り払い、伊織は歩き続ける。 別に、義憤に燃えているわけではない。 別に、特段正義感が強いわけではない。 別に、彼の二人に同情しているわけではない。 別に、彼の二人に共感しているわけではない。 別に、安っぽい下らない感情を抱いているわけではない。 そう、別に……ただ、そういう気分なだけなのだ。 【一日目/0時30分/B-2】 【千堂伊織@FORTUNE ARTERIAL】 [状態] 健康 [装備] [所持品]基本支給品、ランダムアイテム [思考・行動] 基本:ゲームの破壊 1:ゲームに乗るつもりはない 2:知り合いと合流 【備考】 体育祭後より参戦 No.008 剣と天使 投下順 No.010 bad end No.008 剣と天使 時系列順 No.012 いざ、行かん! GAME START 千堂伊織
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プロローグSS(熱海真夏) ――ザザ、とノイズが走り、画面に屈強な若い兵士が映る。 あれは、二年前。町内の前線で哨戒をしていた時のことだ。ジャングルの空気は湿って蒸し暑く、俺たちはじっとりと汗をかきながら忙しなく辺りを警戒していた。 それから、そう、なんだったか……ジョンのやつがつまらないジョークを飛ばしたんだ。忍び笑いをする奴もいたが、俺はイラついてこう言った。 「おい、ジョン。いい加減にしねえとお前のその……」 その瞬間だった。 がさ、と茂みをかき分ける音がした。俺たちは瞬時に銃を構えた……。そのつもりだった。現れた、戦場には場違いな人間の姿を見た時、訓練を受けたはずの俺たちの銃口は、軽くぶれた。 そこに立っていたのは、麦わら帽子を被り、袖のない白いワンピースを爽やかに纏った、黒髪の少女だった。ワンピース? 妙な虫も多いこのジャングルで? 俺は訝しんだ。ボブの奴が、民間人だと踏んだのだろう。恐る恐る声を掛けた。 「君、ここは危険区域だ。すぐに立ち去っ……」 「あははっ!」 少女は笑った。無邪気で、とても楽しそうな笑顔だった。 「ねーっ、君も来てみなよ! 波が気持ちいいよー!」 波だと? 俺は再度訝った、その時。俺たちの小隊で一番若いエディが呟いた。 「海だ」 「何?」 「海が見える。空は真っ青で、カモメが飛んでて……あの子がいる」 エディはふらふらと、俺たちの塹壕から歩み出た。俺は、止めようとしたんだ。だが、遅すぎた。 「きゃっ、やだ、もう!」 少女は跳躍した。そして。 「サンダルが濡れちゃった!」 エディの側頭部を、凄まじい勢いの回転蹴りが仕留めた。奴は何かに憧れるような目をしたまま、湿った地面に倒れ伏し、痙攣した。それきりだ。 「ファック!」 敵だ。小隊の心はひとつになった。MP7が一度に火を噴く。だが、その時の俺のゾッとする気持ちを何と言えばいいのか。銃弾の雨の中、少女は手をかざして、困ったように笑っていたのだ。 「あはっ、冷たい!」 今度はボブがよろめくように前に進み出た。 「やったなー、もう、お返し! えいっ!」 「やめろ、下がれ、ボブ!!」 どういう奇跡か、銃弾は少女にかすりもしていなかったらしい。そして、ボブの眼窩に無慈悲な目潰しが叩き込まれた。 「あーあ、濡れちゃった。ま、でもすぐ乾くか」 「ジョーン!」 「もうちょっとだけ歩こう? 今日は調子いいの」 「テリー!」 「もうちょっとだけ……うん、平気。平気、だから」 「ジョージ!」 俺は必死でマガジンを交換すると、次から次へと各個撃破された戦友たちの倒れ伏す様を呆然と眺めた。こんなことがあっていいはずがない。相手は、たかがティーンの女子ひとりだぞ!? 「……来年、私、ここに来れるのかなあ?」 少し咳込んだ少女が、切なげに俺を見て微笑んだ。その瞬間、俺は、奴らが見たと思しき幻を目の当たりにしていた。 真っ白い砂浜。寄せては返す波。海の水はどこまでも透き通って、空の色を映して青く。 「約束。ね。きっと一緒に……」 少女が細い小指を立てた。俺は吸い込まれるかのように、その指に自分の小指を重ね――。 気がついた時には地面に叩きつけられ、空を……町内の熱帯の木に隠されてほとんど見えやしねえクソッタレな空を眺めてたってわけさ。 いいか、気をつけろよアンタも。奴は突然現れる。そうして、ひとりずつ順番に始末する。狩るんだ。何人いても同じさ。あいつの『夏』にはどんな兵士でも形無しになっちまう。俺はあいつを……。 ――ザザ。興奮した様子の兵士が周囲に取り押さえられたところで、映像は終わっている。 熱海真夏。町内のきのこたけのこ戦争をたった独りで終焉に導いた、伝説の傭兵。これは、彼女の活動のほんの一端を示す記録である。 彼女は、動き出した。最強の7月14日生まれを決める、この機会を狙って。折しも季節は夏、彼女の能力『夏への扉(サマータイムアゲイン);』が最も威を発揮する時。 熱海真夏の夏が始まる。
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「俺は南ハルカに汗をふいてもらうんだ」 「南ハルカの言葉は絶対に正しいのだ」 「って保坂もおもしろい奴になったよね」 「速水先輩…笑い事ではないと」 「マキ、人が人を愛する事は必然な事なのよ、温かく見守らなきゃ」 「絶対楽しんでますよね?」 普段通りの先輩と後輩の会話、話題は保坂の事だ。 「ハルカがもし気持ち悪い魔の手にかかったらと思うと私は」 「安心しなよ、見栄っぱりで小心者の保坂には無理だろうから」 「でも…」 「大体アイツ女の子と付き合った事があるのかも怪しいわよ、…そうだ調べてみよう!」 「…速水先輩、何を調べるんですか?」 「保坂の女性経験よ、いきなり抱きついたりしたら解るかも」 その発言にマキは驚く 「ちょっ速水先輩!いきなり抱きついたりしたら襲われますよ!」 「大丈夫、保坂なんかヘタレだからそんな勇気ないわよ」 「大体女性経験を調べるのに何故抱きつくんですか?」 「対応で何となく解るでしょ?」 「それはどうかと…。」 今一つ納得できないマキであるが想像をふくらませ速水は楽しそうに保坂を捜し教室に戻って行く 「速水先輩!…もぅ!」 しょうがなく速水の後をマキはついて行った。 やはり南ハルカの為に栄養を重視した料理を」 教室では窓際で朱く染まった空を眺め何かを考える保坂が一人呟いていた 「うわっ、独り言キモい!」 「あの空が保坂にあってるわ」 個々の意見を発しながら廊下で保坂を観察する 「速水先輩、止めといた方が…」 「マキ、見てなさい」 「いや話しを…」 マキの意見を聞かず速水は教室に入って行く そして後ろから気配を感じ保坂は速水の方に顔を向けた 「保坂…」 「速水か、どうした?」 「私…、私…」 「なんだ?体調が悪…」 その言葉を継ぐかのようにいきなり抱きついた 「…速水、何のマネだ?」 抱きつかれた保坂は驚きもなく速水を見つめる 素で対応する保坂は想定外であり速水はパニックに陥る 「…好きなの!」 驚いた速水は考えも無しにその言葉を呟いた。 廊下でその状況を見つめるマキは驚きを隠せずに慌てだす 「あら、マキどうしたの?」 「???、!!!」 マキは声に振り向きまた驚いた。そして速水もその声に気付いた 「速水…、お前も知ってる通り俺は好きな人がいる」 「そうね、悪ふざけもここまでね。保坂、廊下を見なさい!男を試す時よ!」 そう言ってマキの方を指をさした 何事かと指した方に足を向け見てみるとマキと共にハルカがこちらを見ている 「男として羽ばたきなさい」 小声で保坂に呟く (速水…、俺の為に、手本を見せる為に) 何かに納得したように二人に近づいた マキとハルカは近づく保坂を見つめた そして保坂は二人の前に立ち、息を吸い顔を上に向け叫んだ 「好きだ!好きです!付き合ってくれ!」 その言葉が重い静寂を作る マキはハルカに視線を向け、保坂もハルカを見つめ答えを待つ ハルカは顔を真っ赤にしてマキを見つめる 「魅せたじゃない保坂」 速水は満足顔でうなずいた 重い空気の中、ハルカは口を開く。保坂は聞き逃さないよう唇を見つめ耳を澄ます 「…えっと、マキごめんね私邪魔だね」 「っはい?」 「この人前もマキに告白してたじゃない、早く答えてあげなよ。私は帰るから、バイバイ!」 そう言って足速に去って行った 取り残された三人は 「速水先輩…」 「面白かったねマキ。保坂…諦めたらそこで終わりよ!はい上がりなさい!魅せる男になりなさい」 「ああ、よく解らない状況だが振られた訳ではないからな!」 マキだけが場違いかのように困り顔で二人は満面の笑みで語り合った 削ったエロ、中途終了 「保坂…」 「速水…」 二人の唇がそっと触れ、少しの空白の後愛おしく離れる 「保坂、ハルカちゃんはいいの?」 「…相変わらず速水は意地悪だな。今の俺にはお前しか見えない」 「それキモいよ」 「これ以外の言葉では表せないんだからしょうがないだろ」 「でも案外嬉しいかも…あぅ!」 速水が言葉を続けると保坂の手は腹部からスカートの中へこそばゆくそっと動いて行く 「いきなり?普通胸を先に攻めるんじゃない?」 「悪い…よく解らないんだ」 「ふふっ」 そう言って速水はまた保坂の唇を求める
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前ページ次ページ創世の使い魔 創世の使い魔 第0章 ―とある酒場にて― ――『彼』の話を聞きたいって? 珍しい事もあったものだ。『彼』の話を聞きに来たのは君が初めてだ。 おっと、気を悪くしたかな。いつもは船に関係することばかり話してるものでね。 ああ、『彼』の事はよく知ってるよ。『彼』の事を調べるのはとても興味深いからね、まぁ私の数少ない趣味さ。 『彼の伝説』の伝説は至る所に存在する。 例えばフランスの昔からあるおとぎ話で、杖を携えた少年が暴君を倒すというお話は、とても有名だ。絵本にもなっているね。 実のところ、かの王を殺したのは『彼』ではないのだけれど、少なくとも関係者であるという資料は残されている。 そも『彼』の伝承を遡ると、実は文明発祥の時代まで遡ることができる。 いや正確には、それ以上遡るための資料がないと言ったほうがいいかもしれない。 アフリカにその頃に描かれた壁画が残されているんだけど、『彼』の特徴と一致する人物の絵が複数箇所で発見されている。 他にもチベット仏教の経典には、『輪廻の外に在る者』『未来の導手』『昼と夜の間に立つ人』という称号とともに『彼』の名が残されていて、 その扱いは最高指導者であるダライ・ラマと同等であるともされているんだ。ただ、ラマたちと異なっているのは『彼』は 輪廻する事無く――つまり死ぬこと無く、今もどこかで生きているとされている点だね。 他にも『飛行機』を発明できたのは『彼』のおかげだという話もあるし……そうそう、ファーストフードの代名詞であるハンバーガーの考案に 協力した、なんていうのもあるね。 冗談みたいだろう?同一と思われる人物が世界各地の異なった時代に――しかも20世紀まで、その痕跡を残してるなんて。 一度だけ、考古学の分野で彼の事が取り上げられた事があるんだけど、そのときは一笑に伏されてしまったらしい。 まったく、悲しいことだね。 旧約聖書の創世神話はあれだけ人々に信じられているのに、たった一人の英雄が人類文明を『復活』させた、というのは 彼らにとってみれば陳腐な妄想にすぎないようだ。 あぁそうそう。時に君は、『オーパーツ』という言葉を知っているかい? 場違いな工芸品――Out Of Place Artifacts、略してOOPARTS。 考古学上、当時の文明では加工する事や製造することが困難な出土品の事を指す言葉だ。 さて、いま私が首から下げているネックレスだがここにはまっている宝石がなにか、君は知っているかい? ラピスラズリ? アイオライト? ターコイズ? 残念、どれも違う。 この石はね、『プライムブルー(原初の蒼)』というんだよ。 素敵な名前だろう。 うん? 何の関係があるって? いやいや、それが大有りなんだよキミ。 この『プライムブルー』こそが、そのオーパーツと呼ばれるべき宝石なんだよ。 それは何故か。それはね、この宝石の元素と分子構造は特殊でね。地球上にはまず存在しない物質なんだそうだ。 これは、学者先生のお墨付きだよ。 落下した隕石に含まれたんじゃないかって? それはまた夢のない話だ。人を納得させる説得力としては、まぁ十分だけどね。 で、これがなぜオーパーツと呼べる物なのか。 ちょっと、見てくれ。きれいな形をしてるだろう?まるでカットしたかのようだ。 この宝石は『このままの状態』で発掘されたんだ。おおよそ、六千年前の遺跡からね。 どうだい、夢のある話じゃないか。 他にも………。 ………。 ………。 ――いや、そうか。失礼した。 ここにいる時点で気づくべきだったね。 君はわざわざ、この『私』に『彼』の話を聞きに来たのだから。 その理由なんて、たった一つしかありはしない。 いいだろう。『私』までたどり着いた事に敬意を評して、話そうじゃないか。 この私――クリストファー・コロンブスが見聞きし、調べ上げた本当の物語を。 光と闇の使者、『アーク』によって創りだされた『天地創造』の神話を……。 前ページ次ページ創世の使い魔
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無自覚イェイ 龍馬に吉原に連れてこられ、なんだかんだ言いくるめられて座敷まで上がってしまった仁だったが、これから最高の花魁を呼ぶのだと聞いたときには、さすがに席を立とうとしていた。 「冗談じゃありません、俺は帰ります」 「ちょ、待て待て先生、まあ座りやっちゅーに!」 「いや、俺は遠慮しときます。咲さんに夕食を頼んでいますし・・・!」 冗談じゃない吉原だなんて、そんないかにも場慣れしていそうな龍馬さんならともかく俺なんて場違いだし大体なにをどうすればいいのかも分からないし吉原から朝帰りなんてした暁には栄さんや咲さんにどんな顔して会えっていうんだ気まずいこと山の如しじゃねーか!! そんな仁の内なる葛藤も知らず、袖をつかまれたまま座敷を出ようと暴れる仁にしびれを切らした龍馬は、 「ええい、いいから座っとれってちや、先生!」 と、仁を後ろから抱きかかえ、軽く足払いをかけて畳に押し倒し、身動きとれないように両腕をがっちりと畳に縫いとめた。 「・・・ってき(全く)、なにも取って喰われるわけがやないんやき、ちょびっとは腹ぁ括って大人しくしとらんかい」 急に大人しくなった仁を訝しんで見て、龍馬はまもなく硬直した。 近い。 仁の睫毛の一本一本さえもつぶさに見てとれるほど近くに、仁の顔がある。 近くで見てより際立つ仁の整った顔立ちに、龍馬は状況も忘れて舌を巻いた。 一般的な日本の男より彫りが深いので、鼻が高く、眼も大きい。密で長い睫毛に縁取られた瞳は黒く、部屋の灯りが写りこんで光っていた。 「龍馬さん・・・ちょっ、洒落になりませんよこれ、なにぼうっとしてるんですか、逃げませんから、どいて下さい」 「お、おう・・・すまんな先生、つい見とれてしもうて」 我に返って慌てて仁を離した龍馬を、仁は緩んだ着物の前を正しながら、不思議そうに見やった。 「見とれた?なににです?」 「そりゃあ、先生に決まっちょるじゃろう」 「・・・はあっ!?」 声を裏返して自分を見る仁に、龍馬は晴れやかに笑いかけた。 「いやぁ、以前から思ってはいたけんど、やっぱし先生はそこらの花魁にも引けを取らんばあ(取らないくらい)、きれーな顔をしちょるなあ!」 「い、意味が分かりませんから!!俺が、き、きれいって、なにを言ってるんですか!?いやそもそも俺だっていい歳した立派な男なんですから、そんなこと言われてもちっとも嬉しくないですよ!」 「そうかえ?わいは前からずうっと、先生はきれーだって思っとたがじゃけんどなあ」 なんのてらいもなく正直に、むしろどこがおかしいんだ、とでもいうような龍馬の言葉に、仁は計らずも顔に血が昇るのを抑えきれなかった。意味も分からず鼓動が速くなる。 「・・・先生どうしたがだ?顔が真っ赤になっちょるぜよ」 「・・・なんでもありません」 「そうか?わいが無理に連れて来たんがやっぱり悪かったがかえ、熱でもあるがやないのか」 そう言って、仁の額に手を伸ばそうとする龍馬からずざざっと離れて、仁はあたふたと両手を振った。 「い、いやっ、熱なんかじゃありません、大丈夫です!!」 「熱なんかじゃなかったら何なんじゃ」 「い、いや・・・」 まさか、あなたのその言葉のせいだとは、死んでも言えまい。・・・あれ?龍馬さんの言葉のせいなのか?それってどういう意味だ?照れてるってことなのか?・・いや待て、なんでだ。なんで男の俺がきれいだって言われて照れなきゃいけないんだ、おかしいだろ絶対。あれ?じゃあ、「龍馬さん」に言われたから照れたってことか?・・いやいやいやそれこそ変だろ、おかしいだろ!なんだこれ、どういうことなんだ一体!?・・俺はどうしちまったんだ!!? 頭を抱えて悶え始めた仁を見て、またいつもの頭痛なんだろうかと思いながら、龍馬は心配そうに呟いた。 「・・・先生、やっぱり熱があるがやき違おらんぜよ」 終わり
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武将名 よしむらかんいちろう 吉村貫一郎 統一名称:吉村貫一郎 生没年:不明「妻も子も、拙者の帰りを 待っているにちげえねえ」新選組隊士、盛岡藩士で、江戸出向中に脱藩し、新選組の隊士応募に応じた。監察方として活躍し幕府の命で新選組が長州詰問使の護衛を任されると、近藤勇らと共に広島へ随行した。のちに鳥羽・伏見の戦いで戦死したとされる。 勢力 碧 時代 江戸・幕末 レアリティ R コスト 2.0 兵種 剣豪 武力 7 知力 5 特技 復活 先陣 計略 覚悟の脱藩(かくごのだっぱん) 武力が上がり、斬撃ができるまでの時間が短くなる。ただし城に戻ると兵力が減少する 必要士気 4 効果時間 知力時間 Illust. ニシカワエイト 声優 中村悠一 計略内容 カテゴリ 士気 武力 知力 速度 兵力 効果時間 備考 剣豪強化 4 +4 - - -70% 25.0c(知力依存0.4c) 斬撃準備時間-3秒(3秒で再斬撃可能)自城に戻るたびに兵力減少 (最新Ver.1.6.0F) 調整履歴 修正Ver. 変更点 内容 備考 Ver.1.6.0F 効果時間 20c→25c ↑ - 所感 数値こそ平凡だが、先陣と復活の2つの特技を併せ持ち、総合的なスペックは悪くない。 とはいえ際立って優れているわけでもないので、計略も意識しての採用となるだろう。 計略は士気4の自己強化計略。 士気相応の武力上昇値に加えて斬撃間隔短縮効果もあり、さらに効果時間も長めとかなり優秀な効果となっている。 ただしそれらの代償として、効果中に帰城すると大ダメージを受ける。 ある程度戦闘を行なった後に帰城すると、ほとんどの場合帰城時のダメージで撤退してしまう。 当然転進計略や家宝は即死に繋がりかねないため、相性はかなり悪い。 兵力の減りやすい前衛兵種であることも相まって、せっかくの長時間計略でありながら一度帰城してもう一度再出撃という動きが取りづらいのがネック。 かといって帰城しても撤退しない兵力を維持しようとすると、今度は戦果があまり得られない。 癖のある計略ではあるが、各種兵種回復と組み合わせて戦場に居座ったり、いっそ効果時間の長い自爆計略と割り切って使い潰すのも良いだろう。 幸い復活持ちなので、使い潰してもある程度リカバリーは効く。 解説 新選組の撃剣師範を務めた、元盛岡藩士。 子母澤寛による創作によって知られるようになり、特に子母澤による吉村像を下敷きとした浅田次郎の小説「壬生義士伝」はドラマ並びに映画にもなった。 台詞を見る限り、英傑大戦での吉村も子母澤や浅田による影響を強く受けている様子。 また、贈り物台詞の「おもさげね」とは南部弁で「申し訳無い」の意味で、 壬生義士伝でも印象的な台詞の一つとなっている。 台詞 \ 台詞 開幕 死にたくねから、斬るしかねえ 計略 拙者は死ねねえのす! └絆武将 死にたくねから、拙者は負けねぇ!! 兵種アクション ぜやあ! 撤退 血が、止まんねえ! 復活 もうひと戦やるべか 伏兵 こうなりゃ、刃を交えるしかねえのす 攻城 拙者には、負けらんね理由があるのす 落城 妻も子も、拙者の帰りを待っているにちげえねえ 贈り物① おもさげね、これは妻と子にあげてもいいべか……? 贈り物② 拙者の生き様を笑わねえのはお前さんだけじゃ。 贈り物(お正月) 切ねえ正月だ……妻と子も拙者の帰りを待っているにちげえねえ。 贈り物(バレンタインデー) これはたまげた。こったら豪華なもんを拙者に……おもさげねぇ。 贈り物(ホワイトデー) 拙者は何もしてやれねえ。お前さんには感謝しかねえのす。 贈り物(ハロウィン) 明らかに場違いだけども開き直って楽しくやるべか。 友好度上昇 もうひと戦やるべか 寵臣 拙者、吉村貫一郎にござんす。お役に立ってみせます。 贈り物の特殊演出 会話武将 台詞 情報提供・誤った点に気付いた等、何かありましたら気楽にコメントしてください。 名前 贈り物(新年の挨拶)「切ねえ正月だ……妻と子も拙者の帰りを待ってるにちげえねえ。」 - 白牡丹 (2024-01-06 02 11 30) 「〜でがんす」なら分かるんだけど、「〜のす」って今一ピンと来ない方言やね - 名無しさん (2023-07-03 02 38 24)
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※注意・BGM、SE、背景はすべて「仮」です。 それっぽいもの想定しただけで、曲名、SE名、背景名は私の完全な想像です。 #シーン『開会式』 登場キャラ『全員、(田中学園長)』 BGM『緊迫感のある曲』 背景『黒一色→グラウンド→見上げた空』 (背景→黒一色。BGM→緊迫感のある曲) 時は七月一四日土曜日、午前十時一五分。 ○○市郊外。私立ヴァナ・ディール学園。 人々は彼の学園の祭りをこう呼んだ。 『血湧き肉踊る体育祭』 と。 (暗転。背景→グラウンド) ――一年応援席。 久々津「マ、マトンくん……うち、緊張しすぎて今にも蒸発してしまいそうや……」 マトンくん「だっらしないで舞はん! うちの無限ケアルがあるやないか!」 青島「そのバグは想定外。修正すべきです」 霞「へへ。あたしの不意だまダンスがうなるよぉ……」 弓削「だ、だめです! 勝手にひとをだまし討ちするのは校則違反ですよ!」 コルセール「Ohh Msリカ。ソレは違いマース。ルールというのは破るためにアルよ。なんでもヤったモン勝ちデース……ククク」 (暗転。背景→黒一色) 一年に一度行われるその祭りの最後を締めくくる爆発的な最強イベント。 (暗転。背景→グラウンド) ――三年応援席。 しのぶ「みんなー、熱くなりすぎちゃだめよー? 死人が出るからねー」 黒井「あら。そうは言いますが、甲賀さんこそ怪しげな触媒が体操着からはみ出ていますわよ? ふふふ」 音羽「み、みなさん落ち着いてください! 大丈夫ですから、私精一杯がんばりますから!」 村崎「音羽。まずはあなたから落ち着いた方がいい」 武僧「しょーぶやー!」 (背景→黒一色) 誰もが、それをわかっていた。 もはや「あの競技」は体育祭とは別のフィールドにもうけられた一般規格外の「戦争」なのだということを。 (暗転。背景→グラウンド) ――二年応援席。 遊佐「ついに来たな」 中島「ああ……いよいよだ」 早乙女「父上、どうか先立つ不幸をお許し下さい……」 毛森「不二子ちゃんどっかいっちゃうのー? ふ~じこちゃ~んま~ってくれ~」 晶子「操ちゃん、別にそういうわけじゃないよ……」 聖「ましろ。安心しろ。お前は必ずこの私が護ると誓う。この宝剣、セイブザクイーンにかけて」 ましろ「う、うん。ありがとう聖ちゃん」 杏「……ふん。結局口だけで誰も護れないのよ」 井草「準備はいい? 各員役割の再確認を行うこと。自信がない人は、ボクについて来るんだよ!」 茜「……」(なぜかニヤリと笑っている……) (暗転。背景→見上げた青空) ポシュン。 嵐の前の静けさを破る間の抜けた音。 それは一発の打ち上げ花火。 あの花火玉がはじけた時、俺たちは学生という守られるべき立場を剥奪され、血で血を争う一匹の野獣となることを強制される。 打ち上げられた花火玉から出る煙は、空に向かって一直線に伸びていった。 きっと、あの煙は境界線なんだ。 そう。世界には様々な線がある。 俺の中の「体育祭」は、あの煙の境界線の向こうに消えた。 ラジオ体操も、玉入れも、借り物競争も、応援合戦もクラス対抗百メートルリレーさえも! すべてあの境界線の向こうで終わった! さぁ、時は満ちた。 冒険者たちよ、運命に抗え! ――――ドオオオォォォン! (SE→ピカーンッ!orどかーんッ!系) 田中学園長「バリスタの開幕だあぁぁぁ――!」 (暗転。BGM→なし) (背景→グラウンド。BGM→高揚感のある曲) 灼熱の光がグラウンドを支配していた。 暑い。くっそ、七月だってのにまるで真夏だ。 田中学園長「選手たちは敬礼を!!」 それぞれ、学年色に合わせた敬礼をする生徒たち。 井草「さぁ、みんな。絶対勝つよッ!」 武僧「いっくでー! 身の程知らずの若造どもに上級生をなめたらあかんってこと、思い知らせてやるんや!!」 霞「ふふん。なめられたもんだねー。身の程知らずは先輩たちだってこと、あたしたち一年生が身をもって教えてあげるよ!」 今年のバリスタは通常のバリスタとは異なるらしい。 何でも特別ルールが採用され、一年から三年まで同時に試合をするとのこと。 三チームが同時にぶつかり合う、一試合限りの真剣勝負だ。 生徒たち『オオオォォ――!!』 キャプテンの怒号に、生徒たちが各々の武器を振り上げて応えた。 (暗転。SE→トイレを流す音) (あー……緊張してきた……) さっきの開会式といい、みんな気合の入りようが違うよなぁ…… うう、俺みたいなか弱い一般人には場違いなんじゃないか?