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名誉の殿堂 操作方法 ヒーローのカードを置く場所までドラッグか、カードをクリックして置く場所をクリック ウォーロード・ヒーロー・マスをクリックで説明表示 スキルは召喚時のみ発動するものと、「○○時:」に複数回発動するものがある 別のタブを開くと停止する 複数の宝箱を開けるとき連打すると固まる 設定 設定でスピードアップ×2・降参ができる オートバトルの「オン/オフ」ボタンの状態は、各ゲームモードで独立して、バトル終了時に保存される オートにしてすぐにキャンセルすると操作できなくなる→ターンをスキップ ファイトでPvPバトルができる 報酬は名声と宝箱 負けると名声が減る ブーストや短期イベントで強化中に挑戦する リーグが上がると宝箱の報酬とフレンド数が増加し、リーグヒーロー他がアンロックされる 中央の盾をクリックするとアンロックされる内容が表示される リーグ アンロック 28 クエスト、新パーティスロット 27 乱闘、ソウルリクエスト、レア宝箱 26 評価?、ソウルバインド、新パーティスロット 25 ギルド、新ウォーロード(熊) 24 新ウォーロード(サキュバス) 23 ブースト 22 イベント、物語(短期イベント?)、新パーティスロット 20 試練のダンジョン、ギルドボーナス、新ウォーロード(ボイド)、スーパーレア宝箱 18 ゴッドアリーナ 10 レジェンド宝箱 宝箱 待ち時間 ビクトリー 8h 木 3- min ノーマル 1h レア 3h 巨大レア 6h スーパーレア 24h レジェンド
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名誉のために クエスト受付場所 概要 内容 追加されるマップ ※敵ステータスはプレイヤーにレベルを合わせるみたいなので省略 敵キャラ 所持スキル 所持装備品 攻略手順 報酬 ゴールド 経験値 どんなクエスト? 「招待状」クリア後出現 メンバーにサンスピアがいないとこのクエストを受けられない 関連項目 サブクエスト攻略
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食事を終えて教室に移動する 生徒達は各々横に自分の使い魔を置いて授業の準備をしている ルイズも机に座り準備を始めた シュヴルーズは生徒達にお復習のつもりで淡々と魔法の四元素説明していく そしてそれぞれの元素をマスターする事によってドットからライン、トライアングル、スクウェアとランクを上げていく事も、魔法が無い世界の住人であるロムも理解することが出来た 「ではこの魔法を実際に・・・・、ミス・ヴァリエール、貴方にやってもらいましょう」 「ふぇ?私ですか?」 ルイズが指名された途端、教室がざわめき始める。 (なんだ?急に部屋の空気が・・・・) ロムが疑問に思う頃にはルイズが席から立ち上がり教壇に向かおうとする 「ルイズやめて、お願い」 キュルケが青い顔をしてルイズに言う 「成功させれば文句無いでしょ」 「でも貴女はゼロ・・・・」 「皆さん冷やかしはお止めなさい、ではミス・ヴァリエール宜しくお願いします」 この会話を聞いていたロムは閃いた (ふむ、どうやらゼロという理由がこれでわかるらしいな) 教壇に立ち、呪文を唱え触媒に杖を向けるルイズ。 その時、触媒が爆発し周りのものがぶっ飛んだ。 煙が明けるとシュヴリーズは気絶しており、ルイズはは真っ黒になりながらも平然と立っていた 「ちょっと・・・・、失敗しちゃった見たいね」 ルイズがそう言うと周りからブーイングが起こる 「何をやっているんだよー!」 「だからゼロのルイズにやらせたくなかったんだ・・・・」 「魔法の成功率ゼロのルイズ!これどうするんだよら!!」 (ケホッケホッ、成る程・・・、だからゼロなのか) ロムは納得した 「マスター、これで終わりだ」 授業の後、二人は罰として教室の片付けを命じられた ロムが言われるがままにテキパキと仕事をこなしたので思ったより早く終わった「あ~も~どうしていつも失敗しちゃうのよ!」 「マスターそんなに癇癪を起こすな。次は失敗しないようすればいいじゃないか」 「それが出来れば苦労してないわよ!」 どうやらそれなりに自覚はしているようである 「は~あ~、こんな事じゃ何時までゼロって呼ばれるわ・・・・、私これからどうなるんだろ・・・・」 そういってもう一つ深いため息をつく そんなルイズを見てロムが下を向いて語り始めた 「どんな夜にも必ず終わりが来る。」 突然雰囲気の変わったロムに驚くルイズ 「闇が溶け、朝が世界に満ちるもの・・・・、人、それを黎明と言う」 「な・・・、何言っているのあんた」 「つまりそういうことだ。今は後先が見えぬ状況でも、必ずそれを打破するきっかけが見つかるものだ。 今日の失敗を乗り越え、明日の成功の為に努力する。 それは魔法使いにでも言える事じゃないのか?」 「・・・・・・・・」 顔を上げて微笑むロム、確かにそうだ 今日失敗した事を明日の成功の為に反省すればよい。 確かにそうだ、確かにそうだが・・・・ 「あんた・・・・」 「ん?」 「ご主人に何説教しているのよー!!!」 「なっ・・・・!」 ルイズが突然の怒鳴り声に驚くロム、確かにロムの言っていた事は筋が通っている しかし自分は貴族。 ロムは平民でしかも自分の使い魔。 使い魔に説教される貴族なんて末代まで言えぬ恥である。 ロムは無意識にルイズのプライドを傷つけたのであった。 「あんた、今日一日ご飯抜きよ!でも雑用はしっかりやってもらうからね!」 そういうとルイズは真っ赤な顔で教室から出ていき、ロムだけが残された。 (う~む、前の戦いから取り入れたエネルギーは今日の朝のみ、その量も多いとは言えない。 流石に今日一日はキツいな) そんな事を考えながら食堂の前を通り掛かると 「あの~」 「ん?」 「今お一人でしょうか?」 後ろを向くとメイド服を着た少女、シエスタが立っていて自分に語りかけた 「ああ、一人だ」 「じゃあ厨房に来てくれませんか?料理長が呼んでいますので」 (料理長?何故俺に用があるんだ?) 不思議に思いながらもシエスタに連れられ厨房に付いたロム 「マルトーさーん!連れてきましたよー!!」 「おおー来たかー!そこのテーブルに座らせてやってくれ!!」 「はーい!では、ちょっと待っててくださいね」 言われるままに待っているとシエスタは焼き立てのパンと湯気のたったスープを持ってきた 「これ、食べてもいいのか?」 「はい、私達の賄い食の余りですがどうぞ」 ロムの質問に微笑みながら答えるシエスタ、この世界に来て初めて人の心の暖かさに触れた気がする 「有難い!では、いただくとする」 そういうと綺麗に食べて行くロム、うん、これこそ究極のパンだと心の中で頷く 「いやーいい食いっぷりだね兄ちゃん!全く俺はあんた見たいな人に飯を作りたいよ!!」 奥から男が現れる 「俺は料理長のマルトーって言うんだ!宜しくな!!」 「俺はロム・ストール、貴方がこの料理を?」 「ああそうだ!」 「感謝する」 ロムが礼を言うとマルトーは笑う 「わっはっは!いいって事よ!同じ平民じゃねえか!」 「平民?じゃあここにいる人達は皆?」 するとシエスタが答える 「はい、皆貴族様にご奉仕する為にここで働いているのです。 でも昨日平民が貴族様の使い魔になったって噂になったから皆心配だったんですよ」 「案の定シエスタがあんたが貴族どもの横で床下に座りながらパンにかじりついていたのを見ていてよ、それを聞いた俺は頭にきていたんだ!」 ロムはそのパンを作った人間が誰かを聞こうとしたがやっぱりやめた 「いや~それにしてもあんた立派な鎧を着ているな!」 「どこかの騎士だったのですか?」 「いや・・・・まあ、そんな感じだ」 異世界から来たなんて信じられないようなので言わないでおく 「それより、食事の礼をしたいのだが」 「そんなのいらんいらん!」 「いや頼む、一応の礼儀は突き通したいのだ」 「じゃあお皿を並べてもらいましょう。もうすぐお食事の時間ですし」 厨房から出ると授業を終えた生徒達が食堂へと入ってきて、その中で長いテーブルの上に黙々と皿を並べていくロム そこへ金髪の少年がバラをくわえながら複数の取り巻きと共に入ってくる 「なあギーシュ、結局君の彼女は一体誰なんだ?」 「ふっ、僕の心の中には特別な女性なんかいないよ。それぞれが僕の花なんだ」 ギーシュがギザっぽく取り巻きの一人の質問に答える するとギーシュのマントから紫色の小瓶が落ちる 皿並べを終えてシエスタと共に厨房に戻る途中のロムがそれに気付き拾う 「君これを落としたぞ」 ロムが声をかけられギーシュが振り向く、 (あ!この男昨日の!昨日はよくも・・・・ん・・・・?) ロムの持つ小瓶に気付くと顔に焦りが表れ始める 「君、それは僕のでは無いよ、勘違いしていないかい?」 「いや、確かに君が落としたものだ」 (ちぃぃぃぃ!平民を本気で殴りたいと思ったのは始めてだ!) 「あっ!その紫色の香水はモンモランシーが特別に調合したものじゃないか!」 「っということは本命はモンモランシーか!」 ギクっ!と焦りが更に顔に表れる そして横を見ると可愛らしい栗毛の女の子が涙を目に溜めてギーシュを見つめていた 「ギーシュ様、やはり貴方はあの人と・・・・」 「ち、違うんだよケティ。僕の心には何時も君が・・・・」 ばちん、と音がしてギーシュが頬を赤く腫らした後「さようなら」っと言って少女が走り去って行く 「まっ待ってケティ話を・・・・」 ギーシュが追おうとすると・・・・ 「待てぃ!!!」 「!!!???」 ギーシュと取り巻き、それにロムとシエスタが声の出場所に向くと強烈な光がありそこに誰かが立っていた 「一つの恋を通さず、平気で別の恋をする不純な気力。 人、それを『浮気』という・・・・」 「誰だ!?」 「貴様に名乗る名前は無い!!」 光が消えるとそこに立っていたのは腕を組んで鬼の様な形相をしたカールが目立つ少女であった・・・・ 「げぇ!モンモランシー!ちっ違うんだよこれは・・・・」 「あんたやっぱり他の女の子と会ったのね!喰らえ!乙女の怒り!彗星脚!!」 「がふう!」 モンモランシーの踵落としが炸裂する、ギーシュは無惨にも床に叩きつけられた そして少女は去っていく 「す、凄かったですね・・・・」 「・・・・・・・・何なんだ一体」 あまりの気迫にロムとシエスタは固まっていた、特にロムは色んな意味で固まっていた・・・・ 「とっとにかく厨房に戻ろう」 「待ちたまえ!」 一声出して立ち上がるギーシュ、凸は真っ赤になっている 「君のおかげで二人の女性の名誉が傷ついてしまった・・・・、どう責任とっつくれるのかい?」 どう考えてもお前が傷ついている 「それは君が浮気をしていたから悪いのだろう」 あっさりしたロムの反論に周りが肯定する 「ふっ・・・・、平民がこの僕に・・・・、よし、決闘だ!」「何・・・・?」 周りが突然ざわつき始める 「お待ち下さい貴族様!貴族同士の決闘は禁止されています!!」 シエスタがなだめるが 「これは貴族の決闘ではない。貴族と平民の決闘だよ。互いの名誉を賭けたね さあどうする?」 「・・・・・・・・」 果たしてロムは決闘を受けるのか!? (それにしてもモンモランシー、いつあんな魔法を覚えたんだ?)
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第二部 ルイズの夢の中の話から始まる ここはラ・ヴァリエールの領地、ルイズの故郷 中庭には迷宮のような植え込み その陰に小さな幼いルイズ 彼女は自分を叱る声に怯えていた 「ルイズ、ルイズ!どこへ行ったの?まだお説教は終わっていませんよ!」 声の主はルイズの母親である 幼いルイズは自分よりデキのいい姉たちを持っており、自分はと言うと物覚えが悪いとよく叱られていた 叱られる度に彼女は植え込みの中に隠れ、その下から聞こえる何も知らない召使い達の噂話に歯噛みしていた 召使い達は自分を見つける為に植え込みを探り始めた その度に彼女は逃げた 『秘密の場所』と呼んでいる中庭の池に ・・・・ここなら誰も来ない、私の唯一、安心のできる場所、私の場所 ・・・・何よお母様、いつも私を姉様達と比べて、私がどんな思いをして聞いているのかわかっているの? いいえ、わかっていないわ!本当の母親なら実の娘にあんな怒りかたしないもの! 厳しい母親から怯えながらも怒りを覚えて、ルイズは隠れ場所にしている池に浮かぶ小舟に逃げ込む そして用意してあった毛布に潜り込んでほとぼりが冷めるのを待つのであった ・・・・そして中庭の島にかかる霧の中から一人のマントを着た立派な出で立ちの貴族が出てきた 彼は小舟の中の小さなルイズにこう尋ねた 「泣いてばかりいるのかい?ルイズ」 子爵さま、いらっしゃったの? 「今日は君のお父上によばれたのさ、あのお話のことでね」 まあ!いけない人ですわ子爵さま・・・・ 「僕の小さなルイズ・・・・君は僕の事が嫌いかい?」 いえ、そんなことありませんわ。 でも・・・・わたしまだ小さいからよくわからない・・・・ 「ふふふ・・・・、ミ・レディ、手を貸して上げるよ。ほらつかまって」 でも・・・・ 「また怒られたんだね・・・・、大丈夫、僕からお父上に取り直しておこう」 子爵さま・・・・ 「ふふふ・・・・ルイズ・・・・、ふふふ・・・・」 あら、子爵さま、帽子が・・・・ 「フハハハハハハハハ!!」 !? 「地上に悪が満つる時・・・・!愛する心あるならば悪しき魂悪を断つであろう 人、それを『真実』と呼ぶ!」 な、なんであんたが子爵さまなのよ! 「それが真実だからさ。さあルイズおいで。」 おいでじゃないわよ! 「強がる必要は無いさマィレィディ、俺のルイズ」 誰があんたのルイズよ!誰が!何時!何処で決めたのよそんな事! 「剣狼の導きだ」 何を言っているのよあんたは! うわ何よこのマーク!?こすっても取れないじゃない!何なのよこれはーーー! 部屋中に響くの謎の音を聞いて壁に背をつけて寝ていたルイズの使い魔、ロムはふと目を覚ました この音は何かとキョロキョロ見回した所、音の出所はベッドの上に眠っているルイズであった事を確認する 「どうしたんだ?何か悪い夢でも見ているのか?」 ベッドの上でう~んう~んと唸るルイズに向かって声を出すロム そんな様子を心配してかロムは立ち上がり、足音を立てないようにベッドに近づいていった 「眠れないのか?相棒」 壁に立て掛けていたデルフリンガーが語りかけてきた 「マスターが心配になっただけさ」 「そんな事言っちまって、襲うつもりなんだろご主人様を」 「馬鹿をいうな、確認するだけだ」 それでもデルフリンガーの言葉に少し動揺したロム そしてまた一歩近づいた所で、突然ルイズは上半身を起こし目を開けてこちらを向いた それに驚いて歩みを止めると 「調子に乗ってないで早く掃除でもしなさい!この愚図!愚図!!ろくでなし!!!」 「・・・・・・・・・・・・!!」 突然のルイズ怒鳴り声に硬直、しかしルイズはそのまま目を瞑り、再びベッドで横になった そう呟くとロムは自分の眠っていた所に静かに戻っていった そこでふう、と一息だすと再びデルフリンガーが語りかけてきた 「なあ、相棒」 「どうした?」 「どうして相棒はよぅ、あんな生意気な貴族の娘っ子相手に面倒見がいいんだ?」 ロムはデルフリンガーの質問を聞いて不思議そうな顔をした 「どうしてそんな事を聞くんだ?」 「だってよ、普通腹が立ってこねぇか?洗濯させられたり掃除させられたり、そんでもって愚図とか言われたりしてよぉ」 ロムは少し考えるとこう答えた 「放っておけないんだ」 「放っておけない?」 「ああ、俺にもマスターぐらいの年頃の妹がいてな。マスターを見ているとお転婆な妹と重なってしまうんだ」 「相棒に妹がいるなんて初めて聞いたな」 「ああ、今日はもう遅いからその話はまた今度聞かせてやるよ」 そう言うとロムはまた眠りについた ルイズはと言うと顔を赤くしてスースーと眠っていた 所変わって学院から遠くはなれた城下町 その一角にはチェルノボーグと呼ばれる罪人を収容する監獄がある そこでは『巨人の剣』の一件でロム達に捕まった土くれのフーケがベッドに寝転んで壁を見つめていた 彼女は散々貴族のお宝を荒らしまくった怪盗だったので魔法衛士隊に引き渡されるなりすぐに厳重なこの監獄にぶちこまれた 「まったく、かよわい女一人閉じ込めるのにこの物々しさはどうなのかしらね?」 苦々しげに呟くとあの自分を捕まえた学生達とあの男の事を思い出していた あの男は人外の強さで自分のゴーレムと闘い、『巨人の剣』を使いこなす しかも学院の宝であるはずのそれを自分しか使えないと言いきった いったい、あの男はなんだったのだろう? しかし、今となってはもう関係ないことであった (寝てしまおう・・・・) そう思って目をつむったが、すぐにぱちりと開いた 階段から誰かが降りてくる足音がする かつ、こつという音の中にガシャガシャと拍車の音が混じっている こんな時間に誰が?フーケは取り敢えずベッドから身を起こし、鉄格子の向こう側を見た すると長身の黒マントをまとい、白い仮面を被っている 長い杖を持っている所から恐らくメイジなのだろう フーケは鼻を鳴らしながら言った 「おや!この時間にお客様とは珍しいわね」 フーケは思った、恐らくこの男は何処かの貴族が送り出した刺客なのだろう 今まで散々貴族をコケにしてきたのだ 自分を深く恨んでいる人間もあろう そういった人間が裁判なんて待てずに自分を始末する気に違いない 「おあいにくここには客人を持てなすような気の利いた物はありませんが?」 フーケは身構えた むざむざとやられるつもりはない、相手を上手く油断させてなんとか中に引き込もうと考えた 「『土くれ』だな?」 男が声を出した、年若く力強い声だった 「誰がつけたか知らないけど確かにそう呼ばれているわ」 「話をしにきた」 「話?弁護でもやってくれるのかい?」 フーケが鼻で笑う、が 「なんなら弁護をやってやろうじゃないか、マチルダ・オブ・サウスゴータ」 男が出した名前を聞いて顔が蒼白となった マチルダとはかつて貴族だった頃の名前、フーケと名乗るようになってから捨てた名前だ もうこの世には無い名前をなぜこの男が 「あんた、何者?」 フーケの声は震えていた、しかし男は答えずに笑って言った 「再びアルビオンに付く気はないか?マチルダ」 「まさか!父を殺し、家名を奪った王家に仕える気なんかさらさらないわ!」 「勘違いするな、王家に仕えろとは言っているわけではない。アルビオンの王家は倒れる。近い内にね」 「どういうこと?」 「革命さ、無能な王家は滅び国境を越えた貴族達の連盟により新しい政治が始まる」 男は淡々と言い続けた 「そしてハルケギニアは我々の手で一つとなり、始祖ブリミルが光臨せし『聖地』をエルフの手から取り戻すのだ」 「バカいっちゃいけないわ」 フーケは薄ら笑いを浮かべた 「その国境を越えた貴族の連盟がこそ泥に何の用?」「力を貸して欲しい。我々には優秀なメイジが必要だ」 「そんなの寝てから言うものよ」 フーケは手をふった ハルケギニアを一つにする?『聖地』をあの強力なエルフ達から取り戻す? 全てが夢の中の話にしか聞こえなかった 「私は貴族が嫌いだしエルフ達だってあそこにいたいと言うんなら、好きにさせればいいじゃない」 男は杖を手にかけた 「『土くれ』よ、お前は選択することができる」 男はフーケに杖を向けた 「言ってごらん」 「我々の同士になるか」 「ここで死ぬかでしょ?」 「そのとおりだ。我々の事を知ったからには生かしてはおけんからな」 「・・・・貴族って奴は本当に困った連中ね」 フーケが笑うと男も笑った 「では我々と一緒に来てもらう、組織の名前は『レコン・キスタ』だ」 男が鉄格子に付いた錠前に鍵を差し込んで言った 「たいそうな名前ね・・・・、っで私はどうすればいいんだい?」 「それはまた後で伝える。今は私に従うのだ」 カチンっと音がすると錠前は地に落ち、鉄格子が開く「やれやれ、短い間だったけどお世話になりました・・・・」 皮肉のつもりでフーケはそう言って牢屋から出る すると階段からガシャガシャと足音が聞こえてきた 「ふむ、どうやら来たようだな・・・・ふふふ・・・・」 「何なの、仲間がいたの?」 男が不気味な笑い声をだすとフーケは奇妙に思った 階段の闇から出てきたのは 「外の奴らはちゃんと片付けておいたで」 異形な姿をしたゴーレムであった 人から程遠い姿に銀色の体、しかも人語を発している 「そうか。こっちも仕事を終えた所だ。 紹介しよう。我等の新しい同志、フーケだ」 「ほうほう、これはまたえらい別嬪さんやな」 ゴーレムがフーケの顔をみて頷く フーケは戦慄した、土のトライアングルメイジの自分でもこのような得体の知れないゴーレムを見たことがなかった 「な・・・・なんなのこいつ・・・・」 「心配するな、こいつは私の部下だ。そして君はこいつに命令を下すことが出来る地位を与える」 「旦那から話はよ~聞いておりますわ。あとワイと同じ奴らが後5人おります これからよろしう頼みますわ・・・・ヘッヘッヘッ」 ゴーレムから発する不気味な笑い声が地下に響く そして男が階段に足を掛ける 「では行くぞ、目指すのはハルケギニアの統一だ」
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (9)罪の自覚 暫く前、それはほんの暫く前の物語。 ナインタイタンズ。 ウルザ、テイザー、ダリア、フレイアリーズ、クリスティナ、ウィンドグレイス卿、ガフ提督、ボウ・リヴァー、テヴェシュ・ザットからなる九人のプレインズウォーカーの連合軍。 彼らの目的こそは、暗黒次元ファイレクシア、その九つのスフィアに精神爆弾を設置し破壊することである。 そうなればファイレクシアの次元は壊滅し、ドミナリアを侵略しようとするヨーグモスの野望は阻止される。 勇敢で偉大なるプレインズウォーカー達、しかし、彼らの中にも裏切り者がいたのだ。 邪悪なる黒きドラゴンの王テヴェシュ・ザットが彼らを裏切り、クリスティナとダリアを殺害した。 その裏切りを察知したウルザは、速やかなる反応でテヴェシュ・ザットを粛清する。 「ウルザ!あなたはザットが裏切ることを知っていた!なぜだ!?なぜ放置した!」 あまりに冷静に受け止めるウルザへ、仲間達の追及。 「ザットが我々を裏切るのを知ってたか?」 ウルザはさも面白そうに聞いた。 「それを当てにしていたのだよ」 そう、ウルザの目的はザットを粛清し、その魂を精神爆弾の燃料にすることにあった。 その為にクリスティナとダリアを犠牲にしたのだ。 「自分を正当化するな、ウルザ。お前は男が女を愛しているように、ファイレクシアを愛している。 この世界のラインを、機械達を、完成された設計を愛している。 お前はこの世界を破壊したくないと、自分の物としたいと思っている!」 テイザー、ウルザの仕掛けた罠により命を落とした、最も古き力あるプレインズウォーカーの語る真実。 ファイレクシア、第八階層。 そこでウルザを待っていたのは、ヨーグモスの誘惑であった。 アーティファクト使いとして、理想の世界ファイレクシア。 心の何処かで、それを求めていなかったといえば嘘となる。 いや、真実、ウルザはこの邪悪な誘惑に屈してしまう。 そしてヨーグモスのテスト。 ヨーグモスにつれて来られたそこで、ウルザは奇妙なものを発見する。 皮を剥がれ石にはりつけにされ、暗黒卿によって永遠の拷問を与え続けられている何者か。 「………ミシュラ?」 そこにあったのは実の弟、ミシュラの姿であった。 今はウルザの瞳に納まっている二つのパワーストーン。 それを互いに奪い合い争い、最後はファイレクシアに唆され、兄弟戦争を引き起こしたミシュラ。 彼の憎しみの原点である弟の哀れな姿であった。 『兄さん、助けてくれ………お願いだ、助けてくれよ兄さん』 夢か現か、哀れにも苦痛に呻き、助けを求めるミシュラ。 「………」 ウルザは己自身の罪を自覚した。 止まれない、止まることなど出来ないのだ。 『兄さん、お願いだ、お願いだよ…』 助けを求めるミシュラを無視し、進み始めるウルザ。 アルゴスの地を吹き飛ばし、弟ミシュラを殺した。 自らを匿った聖なるセラの次元を崩壊に導いた。 トレイリアの時間移動実験では多数の若者の命を奪った 親友であったバリンさえ、最後には利用し、死なせてしまった。 人造生命体メタスランの創造、キャパシェンの血統実験。 既に己の手は罪で血塗られている。 数々の罪、それらの声がウルザを苛む、けれどその歩み止めさせはしない。 後悔はない。 けれど本当に?後悔はしていない?もしもやり直せるとしても? 「宝箱でね」 ここはニューカッスルの城、その城内にあるウェールズの居室である。 空賊の黒船に偽装された『イーグル』号はニューカッスルの秘密の港に入港し、無事城へと辿り着くことができた。 そして今、ルイズはウェールズに連れられて彼の私室へと招かれているのであった。 ウェールズが取り出した小箱、彼はそれを開き、中から一通の手紙を取り出す。 まるで壊れ物であるように、丁寧に、そして愛おしそうに口付けたあと、開いてゆっくりと読む。 何度も読まれたのであろう、ボロボロになった手紙。 それを大切に閉じて、封筒に入れると、ルイズに手渡した。 「これが、姫から頂いた手紙だ。この通り、確かに返却したよ」 「ありがとうございます」 ルイズは深々と頭を下げると、アンリエッタの心であるその手紙を受け取った。 「明日の正午、この城に向けて反乱軍の大攻勢が行われる。我が軍は三百、対する敵軍は五万。 我々は全滅する。しかし、王家の誇りにかけて、勇敢に戦って死ぬつもりだ。 それに先立ち明朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号が、ここを出港する。 君はそれに乗って、トリステインにお帰りなさい」 ルイズは受け取った手紙をじっと見つめていたが、決心したように口を開いた。 「殿下…。失礼をお許しください。恐れながら、申し上げたきことがございます」 ウェールズの居室へ通されたのはルイズだけである。 ならばお付きであるところのウルザ・ワルドが何をしているかと言えば、居室の扉の前で衛兵のように左右に棒立ちしているのであった。 不動、まるで石のごとく揺らがない二人。 熟達の兵士であっても、平時にこの緊張感は無いだろう。 そんな中、ふいにワルドが口を開いた。 「私は明日、ルイズとここで結婚式を挙げるつもりだ」 「そうかね」 お互い前方を見据えたままの会話。 「この城は、明日墜ちる。その前に脱出するつもりだが、船には一人で乗ってもらいたい、ウルザ殿」 「分かった、ミス・ルイズがそのように言うなら私は一足先に船で出発しよう」 「ルイズは、僕が幸せにする。使い魔殿、あなたは、不要だ」 その後、部屋からウェールズと、何かを必死に堪えているルイズが出てきたことでこの話題は打ち切りとなった。 夜、城では華やかなパーティーが催された。 王党派の貴族達はきらびやかに着飾り、テーブルにはこの日のためにとって置かれた、さまざまなご馳走が並べられている。 全ては明日、終わりを迎える日のために。 貴族達は笑い、歌い、酒を飲み、明日のことなどどうということは無いかのように陽気を振りまく。 死を前に、明るく振舞うその姿はただ悲しさだけをルイズに突きつける。 愛する者を残して死ぬ人の気持ちが分からない、分かりたくない。 帰りたい、トリステインに帰りたい。 この国は嫌い、イヤな人達と、お馬鹿さんが一杯。 誰も彼もが自分のことしか考えていない、残された人のことなんて考えていない。 心の何処かでは分かってる、でも分かりたくない。 誰かに泣きつきたい、泣きついて、全てをぶちまけてしまいたい。 誰に?ウルザに?ワルドに? 違うと思った。 どちらにも、泣きついてはいけないと思った。 泣き付いたら、きっと立ち上がれなくなるから。 その日、ルイズは一人、部屋で眠りについた。 彼は狂人だが、機械ではない。そこに不幸がある。 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ 3章 (54)虚空の大穴 全てを呑み込む穴の驚異は、ウルザを吸い込むだけに止まらなかった。 「うわああああああああ!!」 戦場に悲鳴が、こだまする。 ウェザーライト号のブリッジでは、アラートが騒がしくがなり立てていた。 それもそうだろう。今、ウェザーライトの船体は四五度近くの傾きをもって、船首を上にして斜めに傾いでいるのである。 ただ事ではない。 しかし、そのような窮状であるにも関わらず、周囲にウェザーライトを救おうというフネはない。 なぜなら、他のフネも大なり小なり似たような状況であるからだ。 艦隊は上空からの襲いかかる強力な吸引力に、必死に逆らっていた。 浮力を調整し、自重と重力で対抗する。 だが、重量級のフネなどはそれでいいが、船体の軽い船などは徐々にコントロールを失い、上空へと引き込まれて始めている。 フネは元来このような事態に対処できるようには作られてはいないのだ。 唯一幸いだったのは、このような状況の為に、両軍の戦闘行動が一時中断していることだろうか。 謎の力の影響を受けているのは、何も連合艦隊だけではない。アルビオン側のフネも同様である。 その証拠に、ベキベキという音を立てながら、一隻のアルビオン巡洋艦が、甲板を引きはがされて、破片をばらまきながら空中分解した。 両軍とも、現状を維持するだけで手一杯で戦闘どころでは無いのだ。 混乱の原因、それはプレインズウォーカー同士の戦いの余波に他ならない。 奇しくもそれは、象と蟻の例えを現実のものとしたのである。 ワルドが穿った奈落の大穴。 それはプレインズウォーカーであろうとも引き込んで捕らえる、恐るべきものであった。 だが、それだけの力が、周囲に影響を及ぼさないはずがない。 今のワルドにとってはささやかな余波でしかないそれが、戦場にある全てのものを大穴へと向かって引き込もうとしている力の正体だった。 「モンモランシー! ギーシュ!」 そんな混乱の中で、ウェザーライトのルイズは声を上げた。 ブリッジ内が強烈な風になぶられている。 ドラゴンに破壊されたブリッジの亀裂から、猛烈な勢いで空気が吸い出されているのだ。 吸い上げられる空気は濁流となって、周囲に激しい気流を発生させている。 外を見れば、フネ、人、飛竜、様々なものが上空へと巻き上げられているのが見て取れる。 そのような状況で、ギーシュは右手で必死にブリッジの縁に掴まり、自分とモンモランシー、二人分の体重を支えていた。 既にギーシュの体は浮き上がってしまっており、その手を離せば二人は直ぐにでも外へ放り出されてしまうだろう。 「モンモランシー! しっかりっ!」 「ギ、ギーシュ……」 そう、今や二人の命運は、ギーシュ一人の手にかかっているのである。 「ギーシュッ! 馬鹿なことは止めて手を放して! あなただけなら助かるわ!」 「馬鹿言っちゃいけないよモンモランシー! か弱い女性を見捨てて、自分だけがのうのうと生き残るなんて、そんなのはトリステイン貴族のやることじゃない!」 「でも、このままじゃ二人とも!」 「それこそ望むところだよ! 僕は君を守ってみせる、その為にここにいるんだっ!」 ギーシュ・ド・グラモンはこの戦場に、物見遊山で来ているわけではない。 彼は彼なりの決意を抱いて、この戦場に立っているのだ。 モンモランシーが最初、戦場へ出発するウェザーライトに忍び込むという計画を彼に打ち明けたとき、ギーシュは当然ながら猛反対した。 戦場の恐ろしさや死ぬかも知れないというということを、切々と訴えて説得しようとした。 だが、モンモランシーの決意は固く、彼女はその考えを曲げようとはしなかった。 これにはギーシュもほとほと困り果てた。 何が彼女をそこまで駆り立てるのか、モンモランシーは話してくれなかったが、ルイズが関係しているのだろうということは薄々察することができた。 だからといって彼女がこのまま危険に飛び込んでいくのを見過ごすことなどできはしない。けれど彼女は言って聞いてくれるような雰囲気でもない。 いっそ可哀想だが縄で縛ってでも阻止するべきだろうか、そんなふうに悩んでいるギーシュに、彼女はこう言ったのだ。 『それに、いざとなったらあなたが助けてくれるんでしょ? ギーシュ』 明らかに狙って言ったのは確実であろうに、その言葉はギーシュの頭にガーンときた。 モンモランシーが上目遣いに放った言葉に、ギーシュの頭とハートは一辺に打ち抜かれた。 考えてもみてほしい。 愛しい彼女が、危険な場所に行くのだという。 そしてそこでの頼りになるのは自分だけだと言うのだ。 自分だけを頼りにして、彼女は危険に飛び込むのだという。 自分はそれだけ彼女に信頼されているのだ。 迫る悪漢! モンモランシーのピンチ! そこに颯爽と現れる美しいナイト! ギーシュ・ド・グラモン! ぱぱっと華麗に悪漢を打ち倒し、震える彼女を抱き上げる! 『大丈夫かい? モンモランシー、君は僕が守ってあげるよ』 そう格好良くキメると彼女は 『ギーシュ最高! 素敵! 全部あげちゃう! 抱いて!』 と言ってくるのだ。 (悪くない、悪くないぞ、ギーシュ・ド・グラモン!) 正に英雄譚ではないか。 沸騰した頭で、そんなことを思う。 最初からギーシュに選択権は無かった。 結局ギーシュはモンモランシーの企てに力を貸し、今こうして彼女と一緒にいるのだ。 そんな彼が、掴んだモンモランシーの手を放すわけにはいかない。 だが、心の決意とは裏腹に、肉体は徐々に限界を迎えつつある。 先ほどから縁を掴んでいる右手に、感覚が無くなっている。一点で体重を支えていることで、しびれ始めてきているのだ。 まだしばらくは持つが、長々と耐えられる保証はない。 だからといって、掴んだモンモランシーの手を離すなどは論外だ。 「ギーシュ! 早く手を放して! 私は『フライ』で飛ぶから!」 「馬鹿言っちゃいけない……。『フライ』で飛んだって、こんな状況じゃ焼け石に水さ。どのみちすぐに巻き上げられる」 「でも……」 「ぐうぅ……」 苦しそうにギーシュが呻く。 その声で、モンモランシーにもギーシュに余裕が無いのが伝わってきた。 だと言うのに、この馬鹿な幼なじみは自分の手を掴んで離そうとしない。 元はと言えば、自分が無理矢理連れてきたようなものなのに…… そんな彼の姿を見るモンモランシーの目尻から、光るものが流れていった。 「ギーシュ……」 「モンモランシー……」 しかし、そんなやりとりは、二人以上に焦りを含んだ声に遮られた。 「待ってて二人とも! 今すぐ防御のための『膜』をそっちにまで広げるから!」 ルイズである。 ルイズの周囲には、ウルザが施した強力な防御機構が働いている。 今の彼女は、ウルザが望まない限り、外界からの影響を殆ど受けることがない。 例えギーシュ達が吸い出されるほどの吸引力であっても、ルイズの周囲だけはそよ風が吹いた程度にしか感じないのである。 その防御のための不可視の力場を拡大し、ギーシュ達のところまで広げようというのがルイズの考えた、二人の危機を救う方法であった。 だが、その計画には大きな落とし穴がある。 ルイズの計画を実行するためにはウルザの施した術式に手を加え、自らの手で操作しなくてはならない。 それはただの人間であるルイズが、プレインズウォーカーに立ち向かうという意味であった。 人間とプレインズウォーカーとの間に横たわる溝は深く大きい。普通なら永久に埋められない程の差だ。 しかし、ルイズの手にはそれを狭めることを可能とする道具があった。 ルイズはまず右手に嵌めた、水のルビーに集中した。 そうして、自身とルビーとの『接続』を試みる。 生身のままでパワーストーンを操作しようなど、尋常ならざる技であるが、それがパワーストーンへの高すぎる順応性持ち、すでにその毒に犯されている彼女の武器だった。 ルイズはまずイメージした。 自分自身の境界線を朧気にしていくイメージ。そうして指先にある巨大な力と少しずつ自分を重ねていくことを想像する。 すると一秒ほどで、指先にピリッという電流が流れるような感覚が来た。 これで『接続』は完了である。 『接続』は、呆気ないほど簡単に済んだ。 これでルイズのマナの許容量は拡大され、パワーストーンの莫大な魔力を自身の精神力の延長として行使できるようになった訳である。 勿論、パワーストーンの力を行使すること自体はウルザからは堅く禁止されていることがらだったが、今はそんなことには構っていられない。 そうして水のルビーとの契約を済ませると、続いて風のルビーとも同様の接続を済ませる。 一連の準備を終えると、ルイズは自分の席の前に据えられた平面映像が浮かんでいる磨かれた大理石の上に手を乗せた。 そうして粗くなった呼吸を少しの間整えて、そこに自分の魔力を流し込んだ。 ウルザが操作しているのを見たことはあったが、自分で操作するのは初めてである。そもそも『魔力を流し込む』ということ自体、彼女にとって初めての経験だ。 正直、すぐにうまくいくとは思っていなかった。 だが、意外なことにルイズはウェザーライトと繋がってから数秒で、その操作方法を理解が理解できてしまった。 一つ操作を行えば二つを、二つ操作を行えば四つを。 倍の倍で、操作を行えば行うほどどうやってこのフネを操作すればいいかがフィードバックされてくるのだ。 ウェザーライトの操作というのは、要は『自分の腕』と『魔法』との間のような存在だ。 マナ=精神力に命令を乗せて、それを端末から流し込めば思った通りに動かすことができる。 何も難しいことはない。メイジなら誰しもがやっていることだ。 ルイズはそれをルビーのバックアップを受けながらこなしていく。 一分ほどで表層的な操作について一通り試し終えたルイズは、顔を上げてギーシュ達を見た。 ギーシュは何とかまだ破損したブリッジ外壁近くの柵に掴まっていた。 だが、ルイズの霞む視界ではギーシュ達が今どのような状態にあるのかまでは判別できない。 あとどれだけそんな状況で耐えられるだろうか。 一分、二分? それとも三十秒? 兎も角、急がねばならなかった。 ルイズは再び目の前のコンソールに向き直る。 次はもっと高度な操作を行うつもりだった。 ウェザーライトの操作はある意味潜水に似ている。自分自身であるマナ/精神力を、深く沈ませていく、その深さによって捜査できる範囲が変わってくる。 高度な操作になるほど、より深い深度へと精神を潜り込ませるため、多くのマナを消費する。 だが、幸いにも今のルイズはマナ/精神力に関してなら無尽蔵と言っても良い。 余談であるが、ルイズ自身の精神力は、ロマリアで思い出すのもおぞましい『アレ』と対峙した晩以来、枯渇した状態が続いていた。 普通なら精神力は一晩ぐっすりと寝れば回復してしまうものなのだが、どういう訳か虚無の魔法を行使するための精神力はなかなか回復しなかったのである。 原理はよく分からないのだが、虚無に関する魔法を使用するための精神力の充足には特殊な条件が必要らしく、それが何なのか分からない彼女には回復する術が無かったのだ。 だが、パワーストーンの支援さえあれば、魔力は使い放題である。 無論、代償は必要ではあるが……。 正規の手続きを無視して、強引にウェザーライトの操作系統へと深く潜っていく。 途中、二つほどルイズを拒もうとする障害があったが、そんなものは強引に焼き切ってやった。 そうやってどんどんと潜り込んで、ルイズの脳裏に閃く直感。 あと一層で、自分の周囲を固めている防御の力に手が届く。 そう思い、逸る心のままに新たなマナを注ぎ込んだとき、異変は起こった。 「かっ、はっ!?」 頭の中が爆発したような強烈な頭痛、そして焼け付くような右目の痛み。 「――――――っ!?」 ルイズは声にならない悲鳴を上げて、その手で右目を押さえた。 途端に、 世界の半分がブラックアウトした。 (な、に……?) ルイズは脳裏に疑問を浮かべる。 ひどい頭痛は治まっていない。だが、それすらも凌駕して、ルイズは放心した。 突然世界の右半分から光が消滅したのだ。 いいや、そんなことではない。 ルイズにも本当は分かっている。 これは支払うべき代価だ。 驚くようなことではない。 右目が光を失った。 ただ、それだけのことだった。 そう、最初から分かっていてやったことだ。 「何よ……たかだか右目じゃない、何を驚いているのよ、私は。はん、ばっかみたい、ただそれだけじゃないの」 言って、ルイズは震える手をきつく握りしめると、それをそのままそれを、コンソールへと叩き付けた。 「少し、不便になっただけよ……!」 きつく結んだ唇が切れて、そこから血が一筋流れた。 ルイズは直ぐさま作業を再開する。 最後の門を破り、最深部一歩手前の領域のコントロールを掌握する。 それで十分。ルイズの目的を果たすには、それで必要十分なレベルだった。 (……艦内非常用保安機構。これね) ブリッジ内の様子がルイズの頭にイメージとして伝わってくる。 半径一メイル程度の円が自分を取り囲んでいるのが分かる。ルイズはそこに魔力の触覚を伸ばし、力場を発生させている術式に拡大の式を刻み込む。 すると、ルイズの耳にキーンという耳鳴りのような音が聞こえた。 続いて、ごうごうと鳴っていた風音が止み、バタンと何かが落ちる音がする。 ルイズが慌ててそちらを見ると、重なるように床に倒れているギーシュとモンモランシーがいた。 「た、助かった、のか、僕たちは……」 「どうやらそうみたいね……って、きゃあ! ギーシュッ! どこ触ってるのよっ!?」 「おお、モンモランシー。そうは言っても君が上に乗っているのだから僕からはどうしようもないよ……もっふもっふ」 「いやあ! 顔を動かさないでぇ!」 そんな声を聞いて、ルイズは徐々に緊張を解いていった。 思えば一人ウェザーライトに乗り込んで以来、これが初めて気の抜けた瞬間だった。 気を許せる友人、それがどれだけ大切なものか、初めて分かった気がした。 だが、次に聞こえてきた音が、ルイズに再び緊張を強いた。 「……っ!? 何この音っ、警告音が……変わった?」 再び艦内に鳴り響くアラート。 先ほどまでものとは全く別種の耳障りな音。 そして続いて響いた声に、ルイズは驚愕した。 『コアに対する第三深度の不正な侵入を確認しました。緊急時非常マニュアルに基づき、これよりウェザーライトⅡは精霊による自立航行モードに移行します』 無機質な、声。 この船には闖入者であるモンモランシーを除けば、ルイズの他に乗組員はいない。 つまり、今の声はウェザーライトⅡから流れたこととなる。 ルイズはウェザーライトⅡが喋ることなど、このとき初めて知った。 だが、次に発せられた声は、最初の衝撃を遙かに上回るものだった。 『ただちに不正な設定を破棄。艦内非常用保安に関する設定を復元します』 それはとてつもなく、冷徹な声のようにルイズには感じられた。 「待っ……」 ルイズが言い切る前に、弦を弾いたようなピンッという音が響いた。 それを契機に、拡大したはずの防御の力場が消滅した。 防御が消失したことで、ブリッジ内を再び強風が襲った。 猛烈な勢いで、再び空気が吸い出される。 「う、わっ、わ……」 「え、何? ちょっと……」。 抵抗する力も残されていないモンモランシー達の体が浮き上る。 そして、今度こそ何にも掴まることができず、二人の体は、外へ。 ルイズは呆気にとられながら、二人が外へと放り出されていくのを見ているだけしかできなかった。 そんな彼女に去来するのは (何で?) という疑問。 「モンモランシーッ! ギーシュッ!」 ただ、そう叫んで手を伸ばす。 二人は遠い。 腕は虚空にあって、何も掴まない。 その手に意味なんて無い。それで何かが変わるわけでもない。 二人の姿はすでに見えない。 そう彼女は失敗したのだ。 (何で、何でよ?) 悔しさと怒りで、涙がにじむ。 力を手に入れたはずだった。 それはみんなを救える力だったはずだ。 彼女が思う、立派な貴族が持つべき力。 何事にも背を向けず、誰かの為に戦い抜く力。 決して負けず、誰かの笑顔を守る力。 気高く、誇り高い、そんな力。 魔法が使えなかった彼女が夢見た、理想の力。 ルイズはそれを手に入れたはずだった。 けれどその力は、友達を助けることもできないものだった。 命を削ってまで手に入れたものは、理想とはかけ離れた、ちっぽけなものだった。 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールはここに現実を思い知らされた。 自分の望んだものは、神様にでもならなければ手に入らないと、思い知らされた。 「ぅ……ああっ、うわあああああっ!」 頬を冷たいものが伝うのを感じながら、ブリッジに開いた穴に手を伸ばす。 友達が消えてしまったその場所に、手を伸ばす。 後悔と未練が入り交じった感情を持て余して、嗚咽する。 結局何もできなかった。 そうルイズの心が絶望に塗りつぶされそうになったそのとき、彼女の半分しかない視界に、一瞬だけ影が差した。 ただ一瞬の交錯。 もうはっきりとした焦点を結べないルイズの瞳。彼女にはそれがなんだったのか分からない。 けれど彼女はその影に、希望を感じた。 だから彼女は、直感だけでその名を叫んだ。 「タバサ!」 空がどんなものかだって? そりゃあ怖いところだよ。 誰だって落ちれば分かる。 ――ギーシュ 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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強烈な閃光。それが私が見た最後の光景だった。 この日、ハルケギニアの地図上からトリステイン魔法学院は文字どうり消滅した。 ゼロの大統領ー完 「ってそんなのあるかー!」 と、ベッドから飛び起きそのまま転がり落ちるルイズ。 「きゃんッッいたた・・・あれ?」 辺りをキョロキョロ見回すルイズ。 「やっぱり夢?そうよね!夢よね!夢かーって何の夢だっけ?まあいいわ それより明日は大事な使い魔召喚の日だから早く寝なくっちゃ!」 そう言って再びベッドに潜り込みすやすやと寝息を立て始めるルイズ。 だが彼女は、夢は夢でも正夢だったと分かるのはそれから数時間後の事だった。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 何度も失敗し周囲の黒煙が風に流された後、そこに居たのは一体のゴーレムだった。 「ゼロのルイズがゴーレムを召喚しただと!」 「あのルイズが?」 周りの驚く声など聞こえず、ルイズは自分が召喚したゴーレムをじっと見る。 「あれ?これって・・・・・」 彼女の脳裏に忘れたはずの夢の記憶が映し出される。 『オゥケェェイ、レッッツパァリィィィー!!!』 「ヒッ!」 夢の記憶を思い出したルイズは小さく悲鳴を上げるが、彼女の夢とは違いゴーレムは指一本動かさなかった。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」 その後、コルベールの指示に従い嫌々ながら契約を済ませるルイズだが 「いったーって何で私にルーンが浮かび上がるのよ!」 彼女の左手には使い魔のルーンが浮かび上がっていた。 それを見ていた周りは一部を除いて大爆笑。ルイズとゴーレムを残し皆学院へ帰っていったあと、ルイズは泣いた。 始めはゴーレムに八つ当たりし、喚き散らし、最後にはシクシクと泣いた。 どの位そうしていたか、ルイズはヨロヨロと立ち上がりゴーレムに手を着いた時、彼女は理解した。 今までの彼女なら決して理解できなかった、しなかったであろうことも。 ガンダールヴのルーンの力でこのゴーレム“メタルウルフ”の持ち主の熱き“大統領魂”を。 平和だったハルケギニアの地に戦乱の嵐が吹き荒れる。だが、我々には最後の希望が残されている。 熱き大統領魂を受け継ぐ“メタルウルフ”の使い手。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだ。 これから派手なパーティーが始まるんですね。私もこんな派手なパーティーは初めてです・・・・・ミス・ヴァリエール? 平民の名誉を守るため決闘を受けるルイズ。 「平民を守るのは大統ryげふんげふん・・・貴族の勤めよ」 ヴェストリの広場にギーシュと“メタルウルフ”を着けたルイズが対峙する。 「いけ!ワルキューレ」 『淑女なのは17時までよ!』 ギーシュはワルキューレを一体造りルイズに向かわせるのに対し、ルイズは黒い筒をワルキューレに構える。 『オーケー!レッツパーティー!』 ドカン! 『ビンゴー!』 一撃で破壊されるワルキューレ。その威力に驚くギーシュだが 「それは銃か?威力は凄いがそれで終わりだろう!」 そう言って六体のワルキューレを造りルイズを攻撃するギーシュ。だが、それに対してルイズは 『大歓迎ね、お返しに穴あきチーズにしてやるわ!」 ドガガガガガガガ!!! 武器を持ち替えたルイズが発砲。ワルキューレは粉々になり、穴あきチーズになったのは学院の一部と宝物庫だった。 その様子を遠くから見ていたメイドは、ぽつりと呟いた。 「前々からこんなに壮観なトリステイン魔法学院を壊したら、どんなに綺麗かと気になっていたんですよね」 宝物庫損壊の隙をつき、破壊の杖を盗み出す土くれのフーケ。 それを追うルイズたち、破壊の杖を取り戻すもその直後襲い掛かる巨大ゴーレム。 巨大ゴーレムの攻撃に対し、それを正面から受け止めるルイズ。 『見なさい!これがヴァリエール魂よ!』 そう言って巨大ゴーレムをぶんぶん振り回しぶん投げるルイズ。 ありえない光景にあんぐりと口を開けるキュルケとタバサとシルフィードとフーケ。 「私を捕まえないのかい?」 『私たちが受けたのは破壊の杖を取り戻すことよ。それにあんたは根っから の悪人には見えないし』 破壊の杖を取り戻して数日後、アンリエッタ姫殿下の密命を受け婚約者のワルド子爵、途中からキュルケ、タバサ、そして なぜかいるギーシュたちと共にアルビオンへ向かうルイズ。 だが、そこで待っていたのは婚約者の裏切りだった。 「んふはははははは。ルイーズ!」 「ワールドー!」 密命の為“メタルウルフ”の無いルイズは、ウェールズの命を懸けた行動により逃がされ、キュルケたちと合流し アルビオンを去ることしか出来なかった。 アレから数日後、不可侵条約を破り侵攻するアルビオンの艦隊。 『親愛なるトリステインの皆さん、私はレコン・キスタの一市民としてこのような状況は非常に残念です トリステインの女王にそそのかされた人々よ、思い出して欲しい“正義の心”を、ハルケギニアを思う心を 今投降すればまだ罪は軽いはずだ。貴方たちに“正義の心”が残っているならばその女を捨てて 17:00までに投降しなさい。これは最後通告です。合言葉は“ウィー・ラブ・クロムウェル”』 そのような言葉になど従わず攻撃を開始するが、圧倒的な火力の差によりほぼ壊滅状態のトリステイン艦隊。 「いくらあなたでもムチャよルイズ!」 『ムチャではないわ!なぜなら私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだからよ!』 「ちょっと、まちなさいルイズ!」 『キュルケ、ちょっとタルブまで行って来る』 戦火の火が迫るタルブの村では、シエスタがある決意をしていた。 「招待したわけでもないのにずうずうしいですね・・・・・お爺ちゃん、これ使わせてもらいます」 そう言って伝説の竜の骸、灰色の“メタルウルフ”に乗り込むシエスタ。 『ンフハハハハ!レッツパーリィー!』 アルビオンの艦隊旗艦レキシントン号に突撃するルイズ。 『ナイスランディング』 次々に現れ取り囲む敵兵に対して、ルイズは不敵につぶやく。 『ようこそ、トリステインへ。ハローボーイズ、そしてそのままおやすみボーイズよ』 ドガガガガガガガ!!! 待ち構えていたワルドと最後の戦いを繰り広げるルイズ。 アルビオンの艦隊はシエスタの“メタルウルフ”に落とされ、旗艦レキシントン号はルイズとワルドの戦闘により 落ちていくが、その際暴走した風石によりはるか高くへ飛ばされてしまう。 『これがハルケギニア・・・綺麗・・・』 「美しい・・・だがその下では醜い争いが起こっている、いまの我々のようにね さあ、これが最後の戦いだ!」 決着はルイズの勝利に終わる。風の魔法を使って息をするのがやっとの状態では、大気圏突入の摩擦熱までは防げなかった。 ワルドがこのまま燃え尽きるのかと覚悟した時、ルイズが救いの手を差し伸べる。 「ルイズ・・・・・なぜ」 『貴方がハルケギニアを思う気持ちは本物だった。けど、貴方は方法を間違ったのよ』 だが、ワルドはルイズの手を突き飛ばし、最後の力を振り絞り風をルイズの周りに張り巡らせる。 「さよならだ・・・・・僕の小さなルイズ」 『ワルドー!』 そのままルイズはハルケギニアの地に落ちてゆく。 『ルイズさん、ルイズさん、答えてくださいルイズさん!』 シエスタの応答にルイズが答えることは無かった。だが、ルイズを知る者は誰も彼女が死んだとは思わなかった。 あのルイズがこんなことで死ぬはずがないと。 「人間が!この包囲から抜けられると思うなよ!」 『ノープロブレム。熱々のローストチキンにしてやるわ!』 ゼロの大統領ルイズ変 メタルウルフルイズー完
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ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの人生とは、 這い寄る闇からの逃走劇も同然だった。 魔法が使えないこと、身体が幼いこと、他人に認められないこと――。 それら闇から逃れるため、ありとあらゆる努力を重ね、研磨し、足掻いた。 ――それでも、何も変わらなかった。 いくら呪文を知っていても、魔法は使えない。 いくら健康になっても、身体は育たない。 いくら貴族として立ち振る舞っても、誰も認めない。 逃げても逃げても追ってくる闇――だが、幸か不幸か、今までそれに捕らわれる事は無かった。 魔法が使えなくても、学園が自分を放り出すことは無かったし、 身体が幼くても、どうしても気を引きたい相手などはいないし、 他人が認めなくても、自分はれっきとした貴族だって分かっている。 けれど、もうここまでだ。 この学園では、2年生への進級するための儀式として、『使い魔の召喚』がある。 今までに一度たりとも魔法を成功させたことの無い自分に、できるはずもない。 案の定、呪文を唱える度に、地面を爆発させた。 他の生徒たちの嘲笑が聞こえる。文句が聞こえる。罵倒が聞こえる。 ――本当は、分かっていたのだ。 魔法が使えなくては、進級できない。 身体が幼くては、婚約者は去るかもしれない。 他人が認めなくては、貴族にはなれない。 それでも、足掻きたかった。 ちっぽけな希望を抱き、この闇を打ち破り、この広い世界に歩みだしたかった。 闇はすぐ後ろにいる。 未来までも黒で覆い、光を奪おうとしている。 お前は、何者にもなれないと、絶望を突きつけようと―― ――そうして、その使い魔は現れた。 ルイズは、その使い魔を召喚したときのことを、一生忘れないだろう。 その姿を目にした瞬間、自らを覆おうとしていた闇は、一瞬で消し飛んだ。 灰色の世界に光が射し込み、自分を、世界を、輝かせる。 ――もう、何も怖くない! 魔法が使えなくても、この使い魔がいれば何でも出来る! 身体が幼くても、この使い魔がいれば何も言わせない! 他人に認められなくても、この使い魔がいれば何も要らない! ショボイ魔法などどうでもよくなり、 チンケなコンプレックスは消え去り、 周囲の視線は、畏怖と羨望の視線となった! 吊り上っていた眼は、絶対なる意志を持ち、 追い立てられるような歩きは、王者の余裕を持ち、 張り詰めていた雰囲気は、覇王のようなカリスマあるものへと変わった! 使い魔が自らと在る限り、 自分に出来ないことなど無いのだと、 自分は何処へでも行けると、ルイズは確信した! ――そう、ルイズは、果てしなく続く戦いの道(ロード)へ歩み始めたのだ!! 喧嘩売って来た色ボケメイジを、ぶっ飛ばしてやった。 悪名高い盗賊を、その僕の巨大なゴーレムごと吹き飛ばしてやった。 国と自分を裏切った婚約者を、そのお仲間諸共消し飛ばしてやった! ルイズは止まらない。 何者にもルイズは止められない! ――そして今! 眼下には、卑劣にも条約を破り、攻め込んできたアルビオン軍が展開している。 「こないだ、アルビオンで躾けてやったというのに……まだ足りないらしいわね」 虫けらを見るような目で――事実、そう思っているのだろう――白の国のゴミクズどもを眺める。 「ならば教えてやるわ……この、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのいる、 そして、我が最強のしもべのいる、このトリステイン王国に攻め込んできた、その愚かさを――!!」 ルイズは緩やかに右手を上げる。 それは、ルイズがしもべに敵の殲滅を指示する、号令なのだ――! ルイズは高らかに謳い上げる――破壊を告げる言葉を! 「滅 び の ッ ! バ ァ ァ ァ ス ト ス ト リ ィ ィ ィ ィ ィ ム ッ ッ ! !」 その瞬間――。 青き眼の、白き最強龍は、口内から光を放つ――! それは、あらゆるものを滅ぼす、破壊の光――!! 「強 靭 ッ ! 無 敵 ッ ! 最 強 ォ ―― !!」 光は全てを飲み込んでいく! 戦艦を蹴散らし、ブチ壊し、滅茶苦茶にしていく! 竜騎兵など蝿も同然! 地べたを這いずるメイジや兵士どもなど、塵芥に等しい! 「粉 砕 ッ ! 玉 砕 ッ ! 大 ・ 喝 ・ 采 ―― !!」 何が来ようと、何も恐れることは無い。 我がしもべ、『青眼の白龍』の前には、全てが平伏すのだ――! 「ワハハハハハハハハハハ―――――!!」 その後、ルイズは『滅び』の二つ名と、 ありとあらゆる名誉を手にいれ、トリステイン最強の力として、君臨した。 ルイズは最期まで魔法を使えなかった。 ルイズは最期まで体系はお子様だった。 ルイズは最期までメイジとは認められなかった。 だが―― ルイズは『力』を使えた。 ルイズはあらゆる名家の男たちから誘いがあった。 ルイズは至上最強の竜騎兵として認められた。 そして、友も得た。 ルイズは未来を切り裂き、幸せを手に入れた。 そして、これからも、ルイズは止まらない! ルイズの踏み出した道――それが未来となるのだから――! 「ずっと私のターン!!」 『滅びのルイズ』…… 完 -「遊戯王」より青眼の白龍を召喚
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《軍神-名誉の戦死》 永続魔法 魔法・罠・効果モンスターの効果でモンスターが墓地に墓地に送られた時に、 相手フィールドに存在するモンスター1体を指定する。 墓地に送られたモンスターは、指定したモンスターとの戦闘で破壊されたもの として処理してよい。 part21-592 コメント 名前 コメント
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ルイズの抱える『爆弾』が暴発しかねない勢いらしい。 最近、あまり構っていなかったのが原因の様だ。 マルコリヌからもたらされた情報によって、そのことを知ったぼくは、ルイズの心をケアする為に奔走した。 しかし、意外なところから差し延べられた手によって、ぼくはその責務から開放されることになる。 ルイズの婚約者を名乗るワルドという男が現れたのだ。 ぼくは心の中で年上のワルドさんに向かって両手を合わせた。 なんだか、最近のぼくは怖いくらいについている。今なら始祖ブリミルの御威光を感じられそうな気がした。 おまけにワルドさんはかなりの実力者で、王国内でそれなりの地位に就いているようだった。 この人ならルイズを幸せにしてくれるだろう。 そんなことをぼんやりと考える平和な日々は、トリステイン王国が姫殿下アンリエッタの密命によって、あっさりと瓦解した。 ぼくとルイズは政情不安定なアルビオン王国に赴き、一通の手紙を譲り受けなければならないらしい。よくわからないけど、いつの間にかそういうことになっていた。 ルイズは一国の姫殿下から密命を賜ったことに、素直に喜んでいた。 こうして、フーケ事件の面子にワルドさんを加えた一行はアルビオンに向かった。 しかし、困ったことに、アルビオンは政情不安定どころか内戦が勃発している有様だった。ここぞとばかりに活動を活発化させている山賊や空賊に襲撃されること計三回。世の中、なかなか思うようにはいかない。 人生の常だ。 結局、目的地のアルビオン王国が王都ニューカッスルに到着した時には、みんな、疲弊しきっていた。 まあ、命があっただけでめっけものだ。 それもこれも、全てはワルドさんのおかげだ。彼は襲来する賊を相手に、常に最前列で戦いつつ、おまけに仲間への気遣いも忘れない。男の度量というものを見せ付けられたぼくは、ワルドさんへ羨望の眼差しを向けた。 ルイズは恋する乙女になっていた。 最高の婚約者をもつルイズに、心からの拍手を送りたい。そんな、馬鹿げたことを考えた。 「恰好いいな、ワルド子爵殿は……」 ぼんやりと呟く男ギーシュに軽い嫉妬心を覚えたぼくは、やっぱり、小物だ。 アルビオン王国皇太子から目的の手紙を受け取ったルイズは、それでも浮かない顔をしている。 それも当然だ。明日、死ぬ人を前にして、大喜びできるやつなんていないだろう。 どうやら、アルビオンで起きている動乱は、内戦と呼ぶにはあまりにも一方的だった。 最後の砦である王都ニューカッスル城に控えるは王党派軍三百、対する貴族派反乱軍はその数およそ五万。 明朝、反乱軍による総攻撃が行われるらしい。間違いなく、ニューカッスル城は陥落するであろう。 戦争のことなんて、全く知らないぼくでもそれくらいは分かった。 しかし、彼等王党派の中に逃亡、亡命という選択肢を選ぶ人は誰一人としていなかった。 彼等は王家の誇りと名誉の為に死ぬつもりなのだ。 ぼくにはその気持ちを全く理解できないい。ただ、胸を打たれたのは確かだった。 決戦前夜、ささやかな祝宴が行われ、ぼくとワルドさんも参加することになった。 ギーシュを含む少女陣は与えられた寝室に閉じこもっている。なんとなくだけど、そうしたい気持ちも理解できた。 ぼくは、ウェールズ皇太子に尋ねた。 「あの、失礼ですけど……、その、怖くないんですか?」 「怖い?」 ウェールズ皇太子はきょとんとした顔をして、ぼくを見つめた。 「死ぬのが、怖くないんですか?」 「そりゃあ、怖いさ。当然だろう」 「では、どうして?」 「守るべきものがあるからだ。守るべきものの大きさが、死の恐怖を忘れさせてくれるのだ」 「何を守るんですか?名誉ですか?それとも誇りですか?」 ウェールズ皇太子は、遠くを見るような目で語り始めた。 「我々の敵である貴族派『レコン・キスタ』は、ハルケギニアを統一しようとしている。『聖地奪還』を旗印にな。 理想を掲げるのはよい。しかし、あやつらはそのために流されるであろう民草の血のことを考えぬ。興廃するであろう、国土のことを考えぬ。 民の未来こそが私の守るものだよ。私は彼等の明日の為に死ぬ」 ぼくはしんみりとした。他に何か方法はないのだろうか。もちろん、いくら考えても名案は浮かばなかった。 「アンリエッタに伝えてくれ。ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと」 ぼくは頷いた。 「最後に一つだけ聞いてもいいですか?」 「なんなりと」 「あの手紙の内容は……」 ウェールズ皇太子はどこか寂しげに微笑んだ。 「それは秘密だよ」 ウェールズ皇太子は誠実で優しくて勇敢な青年で、だからこそ、彼が卑劣な裏切りによって殺害された事実は、ぼくを激昂させた。 「ワルド!お前だけは許さない!」 朝の光りに照らされたウェールズ皇太子の遺体を踏み付ける裏切り者に向かってぼくは吠えた。 ワルドの杖からは、ウェールズ皇太子の鮮血が滴っている。 ルイズ、タバサ、ギーシュ、キュルケがそれぞれ杖を握った。 しかし、ルイズだけは豹変したワルドに畏怖し、その顔は蒼白しきっていた。 王党派の貴族達は、城下に迫り来る軍勢に最後の抵抗をしている。 ワルドが残忍な笑みを浮かべた。 「許さない?冗談は止したまえ。君達五人でぼくを倒せるとでも言うのか?」 ぼくはデルフリンガーを引き抜いて、ワルドに切り掛かった。ワルドは剣戟をかわしながら、呪文を唱える。 ワルドの素早さは人外のものだった。 【サイバーファング】と【世界征服ロボ】を駆使したとはいえ、銀河系最強の知的生命体を退けたぼくと互角の戦いを繰り広げられる存在がいるなんて、にわかには信じられなかった。 だけど、これは現実だ。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 呪文が完成すると、ワルドの体から四つの影が滲み出た。 「分身…?」 「私は風系統のメイジだ。そして、彼等はただの分身ではない。風のユビキタス(遍在)……。風の吹くところいずことなくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」 四人のワルドがルイズ達に襲い掛かる。 次の瞬間、虚を付かれたギーシュはワルドが放ったウィンド・ブレイクの衝撃波をもろにくらい宙を舞った。彼女の身体は窓ガラスを突き破って、今まさに苛烈な戦いが繰り広げられている戦場へと転落する。 「ニーシュ!!」 知らず知らずうちにぼくは彼女の真の名を叫んでいた。だけど、そんなことを気にしている暇はない。 ぼくは窓に駆け寄ろうとしたが、ワルドがその間に立ちはだかった。 「他人を気にしてるような場合じゃないだろう……?」 「邪魔だ、どけ!」 「ならば、ぼくを倒すがいい」 ワルドの右手から杖が突き出される。半身を退けて、それをかわしたぼくは渾身の後ろ回し蹴りをワルドの腹部に叩きつけた。 ワルドの体が石造りの壁まで吹き飛び、派手な音をたてながらその場に倒れ込んだ。 ぼくはデルフリンガーを鞘に納め、かわりに三本の筆を取り出した。 チャンスは今しかない。 「ワルド、確かに風は遍在する。だけど、同様に光も遍在する!」 「……なに?」 ワルドが怪訝そうな顔をした。 ぼくは心を落ち着かせ、穏やかに詠唱を始める。 心休まる声でないと、光の精霊が応えてくれない為だ。 「……我が名は小波。御元に仕えし、汚れなき心」 三本の筆に変化が起こる。 「……闇、包みしところに我は無し」 一本の筆が赤く輝く。 「……光、照らすところに我は在る」 一本の筆が青く輝く。 「……存在の証明を担いし偉大なる光の聖霊よ」 一本の筆が緑に輝く。 「……今、ここに集いて、悠久の時より紡がれし汝が御力を示されん」 三色が螺旋状に絡まりあい、白くまばゆい光を生成した。 「いでよ、聖霊の三原色!」 ぼくの筆から解き放たれた光がワルドごと分身を包み込み、一瞬にして、その姿を全て掻き消した。 色素を破壊された者は光の精霊の加護から弾き出され、存在そのものが消滅させられる。 ぼくの部活動奥義、精霊の三原色が色素破壊だ。 「……ワルド、風以外に遍在する存在を知らなかったあなたの負けだよ」 ぼくは、先程までワルドが存在した場所に向かって、小さく呟いた。