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「なるほどな。もう一度確認するが。 イリヤスフィール、俺達にフリーレンと名乗ってた女はシャルティア・ブラッドフォールンと特徴が一致してるんだな?」 海馬コーポレーション、滅茶苦茶になったロビーから奥へ進んだところにある応接間。 日番谷冬獅郎、乾紗寿叶。そしてテーブルを挟んで。 「うん、多分服装からそうだと思う」 「僕達と最初出会った時も、大人しそうにしてたんだ。 確か、自分の武器と鎧を探してるとか……」 イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと野比のび太。 「黒いドレスなら、間違いありませんよ。僕もシャルティアとは戦いましたし」 孫悟飯と結城美柑、そして美柑の頭の上にちょこんとケルベロスが鎮座して、その横でサファイアが浮遊しながら話を聞いていた。 金色の闇との交戦後、体力を回復させた悟飯達一行は、首輪解析や海馬乃亜の情報を求め海馬コーポレーションに向かっていた。 元々悟飯と美柑の方針は海馬コーポレーションに寄ってから、ケルベロスの主である木之本桜が行きそうなホグワーツ魔法魔術学園に行く予定だったのだ。 イリヤものび太も特に反対する理由もなく、サファイアもホグワーツに関心があり、計四人と一匹と一本のステッキは先に滞在していた日番谷達と遭遇した。 数時間前に日番谷と接触したシャルティアとはニアミスした形となり、かつ冷静に対話を試みた日番谷との話し合いで、その正体はすぐにマーダーであると判明した。 「さくらは、わいらとは反対の方角に行ってもうたんか…。 冬獅郎の坊主と、一緒に来てくれれば百人力やったんやが」 「俺はてめーより歳上だ」 「すまんすまん、坊主」 「わざとだろ!」 ケルベロスは腕組しながら考える。 さくらの無事が判明したのは良い事だ。星の杖も無事に本来の使い手の元に渡ったようで、自衛手段も得ている。 そして手元にあるさくらカードの種類によっては、最悪のケースも避けられる。 (悟飯の奴、やっぱおかしいで……) 見た目に反して、それなりに長生きしてきた年の功が為せたのだろう。 先ののび太が悟飯と二人っきりで話した場面、一見和解したかの様に見えた光景がずっと引っかかっていた。 ぎこちないのは分かるが、それとは別に疑心に満ちた視線。 『ケルベロスさん、悟飯さんの事なんですが……』 (きらきー……) 雪華綺晶が何かに気付きかけていた事も気になる。 もしもだが、悟飯が何かの拍子に暴れ出したりでもすれば止められる者は居ない。 その時に『眠』(スリープ)のカードで眠らせる事が出来れば、周りの被害もそして悟飯本人を殺さずして制圧できる。 ケルベロスが見た限り、悟飯が扱う気は魔力に近いが魔力とは別種の力だ。 恐らく、スリープへの耐性はない。 (せやけど……効かんかったら、さくらを危険な目に合わせることに違いあらへんし……。 効いてもいつまで続くか分からへん。 ほんま、どうしたらええんや) 月(ユエ)、スッピー、クロウ…ほんまに手が回らんて。マジで手伝ってくれや。 頭を掻きながら、ケルベロスはここにはいない相方達に心の中で語り掛ける。 「ねえ、紗寿叶さん……本当に、それは…美遊だったの?」 『しつこいようですが、もう一度お願いします。紗寿叶様』 イリヤは恐る恐る、別の返事を期待しながら声をあげる。 「ええ…間違いないわ。喋る杖に、イリヤさんのような魔法を使う女の子。 その美遊という子だと思う」 偽フリーレンこと、シャルティアの情報ではイリヤは殺し合いに乗っていた。 だが、それはお互いの対話によって嘘であることは証明されている。のび太も悟飯も美柑ですら、イリヤは殺し合いに乗っていないと擁護してくれたからだ。 日番谷も話を整理しながら、かつシャルティアに染み付いた人殺し特有の血の匂いから判断して、イリヤの方が信頼に値すると判断した。 だが、その友人である美遊・エーデルフェルトだけは別だ。 彼女だけは、明確に日番谷の目で小嶋元太を殺害する場面を目撃したのだから。 (理由はイリヤスフィールを生還させる為に、か……) その行いを肯定する気はないが、美遊が殺し合いに乗ったのがこのイリヤを死なせたくなかったからなのだろう。 やりきれない気持ちになった。元太を殺した事は許せないが、ここまで美遊という少女を追い込み凶行に走らせたのは間違いなく乃亜だ。 「イリヤさん……」 『イリヤ様』 俯いて、目に涙を滲ませていたイリヤの背を、美柑が優しく撫でた。 友達が殺し合いに乗って、人を殺めてしまった。それを咎める事も、一緒に罪を償うことも出来ずに先立たれる。 イリヤは泣く事すら、許されないと思っているのだろう。必死に顔を見せないようにしていた。 どんな理由があっても、美遊がマーダーであることに変わりなく。日番谷達はその襲われた被害者なのだから。 「我慢…しなくて、良いと思うわ」 「紗寿叶さん……?」 「貴女にとっては、大事な友達なんでしょう?」 少し声を震わせながら、紗寿叶は言った。 本音を言えば、今でも美遊に対する恐怖はあるしイリヤにも怖さがある。 だけどこの瞬間、自分の前で泣くのを我慢しているただの女の子に。 『本当に…申し訳、ありません……姉さんと美遊様が……!』 「ごめん、なさ…い……私が、……美遊の…こと…ちゃんと……」 「……」 泣くなだなんて言えなかった。 「……ヤミとクロは僕が止めますよ」 「ご…悟飯!!?」 ケルベロスは思わず大きな声を張り上げてしまった。 マーダーに対して、殺意を抑えきれなかった男の言動とは思えなかったからだ。 だが先程までとは違って、悟飯の表情は少し穏やかさを取り戻していた。 「大事な人が…死ぬのは、辛いですから……。 ヤミとクロは何とか、殺さないように戦ってみます」 ロボットのおじさんやピッコロが死んだ時の辛さは今でも鮮明に思い出せる。 あの時ほど怒りや悲しみ、そして自分の無力さを呪ったことはない。 そして…… 「う…うん……」 「悟飯君…」 「だから…その、日番谷さんとイリヤさん……いや、皆の力を貸してくれませんか?」 『正しいことのために た…戦うことは罪ではない…』 セルとの戦いで、命を賭して戦うことの意味を説いてくれた16号。 殺し合いに巻き込まれてからは、ずっと戦う時頭に血が上り続けていたが。 これからは、16号の言っていたような力の使い方を心がけていかなければいけないのかもしれない。 『スネ夫のために怒ってくれて、ありがとう』 色々と疑り深くなった自覚が悟飯にもあったが、それでものび太のあの一言が何処かで救いになってくれていた。 「沙都子さん達も……お願いします」 何より、北条沙都子が来てくれたのがありがたかった。 「ええ、勿論。当然のことですわ」 日番谷という自分よりも年上で、戦力にもなって頼りになる戦士と。 沙都子という信頼を置ける人物との再合流は、悟飯のこれまでのストレスを比較的最小限に留めるプラスの方向へと働いていたのだった。 ─── ───計算外でしたわね。 孫悟空と別れて以降、沙都子は悟飯を発症させるという計画を遂行する為に行動を開始していた。 先ずはカオスの変身を解かせる。これは、一度悟飯はメリュジーヌと接触し、その気という概念に触れた可能性が高いからだ。 特別、悟空がそういう気配に敏感なだけかもしれないが、念は入れた方が良い。 カオスは悟空達以外には、素の姿を晒していない。マーダーとバレる可能性は低い。 同じく、姿を知られている絶望王という不確定要素はあったが、どちらにせよ悟飯にばれる要素を潰した方が良い。 今の悟飯は雛見沢症候群に感染し、症状が進んでいれば既に疑心暗鬼に駆られている。 偽の情報や悪評を撒いて、それがまた翻った時に悟飯の矛先がこちらに向けられると、対処法がない。 ここはカオスの容姿を偽らず、自分の仲間だと真実を織り交ぜて接触した方がリスクを避けられる。 問題はメリュジーヌと再合流してから、計画を始動しようとしていたのに、当のメリュジーヌが居ないということだ。 「あはははははははははははははははは!!!」 代わりに暴風雨のように現れたのは、白髪の少年。 高笑いと共に、出会い頭に銃弾を数百発叩き込んできたイカれた男だった。 「ウォルフガング・シュライバー……!!」 忌々しく沙都子は叫ぶ。 悟飯との初接触時に話は聞いていたが、予想以上の狂いっぷりだ。 唐突に現れ、自らを不死の英雄だの黄金の爪牙だのカルトの信者の如く絵空事を一方的に述べて、一方的に襲い掛かってきたのだから。 「いーじす!!」 シールドを展開しながら、シュライバーの撃ち付ける魔弾にカオスは眉を歪ませる。 一発一発は大した武装じゃないが、それらが数百発もラグもなく連続で放たれれば膨大な質量となって強力な威力を齎す。 「ノロマがッ!!」 「ッ、ぅ…!?」 それだけじゃない。あんな銃に頼らずとも、本体が異常なまでに強く、そして速い。 マッハ規模の速さを誇るカオスすら見切れない速度でシュライバーは縦横無尽に駆け巡る。 信じられないが、あのメリュジーヌよりも速いのではないか。 そんな神速を乗せたシュライバーの突貫は、イージスを軋ませていく。 一秒の間に数十回以上の突貫が打ち込まれ、ただでさえ半壊していたイージスはより亀裂を刻み大破へと近づいていく。 「貴方……殺し合いに乗っているんですわよね……。お互い目的は一致してますわ。 ここは……」 「ごちゃごちゃうっさいんだよォ!! 薄汚い劣等がぁ!!」 轟音とシュライバーの罵声に沙都子の声は掻き消される。 「人の話くらい、最後まで聞きなさいよォ!!」 最悪だった。普段の、お嬢様口調すら投げ捨てる程に。 沙都子にとって一番出会いたくない、最悪の敵だ。 純粋に戦力でこちらを上回り、人の話を一切効かない馬鹿。 こうなっては、もう沙都子に手の打ちようはない。 「おねえ…ちゃ、ん……!?」 イージスは最早限界を迎えていた。 カオスの持つ武装も大半は悟空と絶望王に粉砕されており、イージスも失えば沙都子を守る手立てはない。 なんで、わたしばかりこんな化け物連中とばかり戦わせられるの? 幼いカオスの中で理不尽だという抗議が初めて生まれ、乃亜に何か言ってやりたくなった。 「使う…しか……」 悩んでいる暇はなかった。イージスがまだ辛うじて効果を持つ今しかない。 「素粒子ジャミングシステム……Aphrodite展開───」 カオス自前の武装は殆ど残っていないが、一つだけまだ切札は残されていた。 カオスに支給された支給品の一つ。ただ、使い方が分からなかった だから、使い方を考えてシュライバーを見て気付いた。 聖遺物の本領をはっきする使い方を。 ランドセルから繰り出したその兵器の名は、砲の制御のみで1400人もの人員を必要とするとされた、ドーラ列車砲。黒円卓内でも文字通り、最大の聖遺物。 武器として使うにはあまりも巨大すぎて、とても運用など不可能なサイズ。 「まさか、ザミエルの……?」 今まで、蔑んだ顔で笑みを絶やさなかったシュライバーが驚嘆に染まる。 同時にそれは怒りも伴っていた。 まさか、よりにもよって三隊長の内一人がこんな島へ拉致され、もう一人が己の命にも等しい聖遺物を持ち去られるという大失態を犯すなど……! 「ふざけるなよ。三騎士が、二人揃って何て様だ」 この聖遺物という武器はそのままでも使うことは出来るが、でもそれだけじゃとても悟空達には通じない。 そもそも、1400人用意するなんて無理だ。 だからどうすればいいか。ヒントはシュライバーにあった。 カオスに支給されたこの聖遺物とシュライバーの纏う生体反応は僅かだが、似通っていた。 恐らく、何らかの方法でシュライバーは聖遺物を自らの身に取り込んでいる。 どういう方法かまでは分からなかったが、そういう使い方をすることで聖遺物の真価を発揮させるという手段を知れたのは大きい。 聖遺物は乃亜に調整され、単体でも一定の力の行使は可能となっている。 だからこそ、条河麻耶も水銀燈も乃亜が調整した範疇でその力の一端を振るう事は出来ても、その本領を発揮することは叶わなかった。 しかし、例外は何事も存在する。 シナプスの最高科学者の一人、ダイダロスが生み出した電子戦用エンジェロイドタイプβ、ニンフならば。 Pandoraによって自己進化を果たしたニンフならば。 聖遺物へのプロテクトを破り、ハッキングを仕掛ける事も叶うだろう。 そして、そのニンフを模して作られたメランを食べたカオスにも同じことが出来る。 メルクリウスが施した魔人錬成を用いずに、別の術理による聖遺物へのアクセス。 元より手法の違いはあれど、カオスが聖遺物を取り込む条件は満たしている。 魔人となるにはまず超人であらねばならない。 カオスは人ではない。 基準を底辺に合せていない。 少なくとも、元の世界に於いて最強のエンジェロイドは、このカオスを置いて他には居ない。 仮にニンフでは聖遺物にハッキングを仕掛け、だが取り込もうにも耐え切れなかっただろう外殻も。 カオスはニンフとは桁違いの外殻を有し耐えられる。 空の女王(ウラヌスクイーン)にも匹敵、いやそれすら上回ろうという強靭な外殻が。 「極大火砲・狩猟の魔王(デア・フライシュッツェ・ザミエル)!!」 故に、この結果は当然の帰結として発露した。 この島に来る前に捕食した水中戦闘用エンジェロイドタイプη(イータ)セイレーンと戦略エンジェロイドタイプθ(シータ)イカロス=メラン。 そしてニンフとアストレアを模したメラン達の魂を燃料に変えて───。 「ッ、───!!」 周囲一帯を包み込む巨大な火球が顕現する。 一瞬にして大地を蒸発させ、イージスの盾が熱に負け砕け散る。カオスは後ろの沙都子を抱き抱えたまま一気にマッハを超えた速度で飛行する。 シュライバーの力の詳細は知らないが、スピードに長けたのは分かっていた。だから行き場を一気に失くすほどの灼熱を打ち込めば、一気に距離を空けるだろう。 更に炎の閃光によって、視界を一時的にでも阻害すれば逃げる隙にはなる。 灼熱が収まった時には、既にカオスと沙都子の姿は消失していた。 ─── 「恐ろしい方でしたわ。とても…カオスさんが居なければ、きっと……」 シュライバーの襲撃を受けた事で、メリュジーヌとの合流を後回しにせざるを得なくなってしまった。 メリュジーヌは急に連絡が取れなくなり、居場所も不明。 対して悟飯はカオスのセンサーで発見し、居場所も大体の検討が付く。 ただ、生体反応の検知にも制限がされているようで、カオス曰くあと数分で反応が途絶え、暫く長距離での再使用は出来ないらしい。 悟飯の発症には、メリュジーヌに居合わせて欲しかった。悟飯の狂乱時に、ボディーガードとして頼りになるのはメリュジーヌだ。 だが、シュライバーに襲われ、しかも倒せたわけでもない。 あの速さなら、カオスの一撃を避けて、その気になればすぐに追い付かれる。 二戦目に持ち込んだとして、カオスの先の攻撃が再度通用するかは微妙な所だ。 それならば、止むを得ないが当面の対シュライバーの肉盾として、居場所の分からないメリュジーヌより悟飯の庇護下に入る方が安全だった。 案の定、まだ悟飯は美柑と行動しており、数人見ない顔も居たが沙都子が対主催だと話してくれたようだ。 根っからの善人が揃っているのもあったが、すぐに沙都子とカオスに好意的に接してくれている。 悟飯も疑心暗鬼になってはいるが、L3相当での発症だとすぐに分かった。 雛見沢症候群による暴走はもう少し先の話で、当面はシュライバーの盾に使える。 『メリュジーヌさんは…青いコートを着た男に襲われた時に逸れてしまいまして』 メリュジーヌ不在の理由は絶望王に擦り付けておいた。 本人はマーダーと言っていたし、海馬コーポレーション周辺の参加者とは面識はなさそうだ。 後から露呈する事も早々ないだろう。 「しゅ…シュライバーのやつ……!」 拳をわなわなと震わせながら、悔しそうにする悟飯。 (この沙都子と会ってから、大分落ち着いてるみたいやけど……) ケルベロスは一瞬、また暴走するのではと思ったが、悟飯はそのままじっとしていた。 やはり訳が分からない。 性格の問題なのか、外的な要因があるのか。まるで判別できないのだ。 (想像以上に私を信じて下さっているようですわね) 沙都子は信頼の比重が、大分こちらに偏っているのを確信する。 余程、このチーム内でぎくしゃくしていたようだ。 これは丁度いい傾向だ。メリュジーヌと再合流出来次第、今度は悟飯をL5まで引き上げて、悟空と潰し合わせるように誘導する。 それまではシュライバー避けとして、存分に利用させて貰う。 (そして、頃合いを見て悟飯さんには……) いずれ、カルデアに集まるであろう対主催達は全員死んで貰う。 そう沙都子は誰にも悟られぬよう、内心ほくそ笑んだ。 (とはいえ、今は焦る時ではありませんわ。悟飯さんが何を疑っているのか、丁寧に見極め惨劇をカルデアへ拡大させるよう誘導する。 ええ、大丈夫…ツキは私に───) 耳が張り裂けそうな程の轟音がロビーの方から轟く。 「お…お前は……」 そして、真っ先に悟飯が飛び出して行く。何が来たのか誰よりも先に分かったのだろう。 粉塵の中、揺らめく人影を悟飯は注視する。 「おや、誰かと思えば」 悟飯が怒りと闘志を燃やし、睨み付けている少年。 沙都子はあとから部屋を出て、そして絶句した。 (じょ…冗談じゃありませんわ!!) よりにもよって、一度撒いた筈のシュライバーがそこにいた。 隣のエリアとはいえ、こうもピンポイントで沙都子を追いかけるように現れるとは。 (いえ落ち着きなさい。まだ焦る時ではありませんわ) 嫌な偶然だったが、だが沙都子はすぐに平静さを取り戻す。 シュライバーは脅威だが、現在の沙都子側の戦力は過剰なくらいだ。 「日番谷隊長に、ザミエルの聖遺物を盗んだ天使…あと君は……ゾーネンキントみたいなものか」 シュライバーにとって、全てに事象など等しく劣等にしか写らない。 だが、イリヤに対しては一際興味深く、刺すような視線を送る。 「なに? ぞーねん……」 「ふーん、何かを産み落とす為の人形かな? ま、その機能も大分劣化してるようだし、ガラクタだね。 劣等以下の人擬きの出来損ないってとこか」 「な、っ……?」 ただその興味は一瞬で、ゴミを見るような侮蔑へと変貌した。 己が託された役目も果たせぬ欠陥品であると。 少女が両親から託された想いなど、想像もしないまま。 「……ここで、みんなの仇を取ってやる!!」 「…………で。君さ、何やってんの」 「何?」 戦意を高ぶらせる悟飯とは対照的に、シュライバーの表情は徐々に冷めていった。 「毒盛られただろ? 君、死相が出てるよ」 「な、何を……」 「毒というか、寄生虫かな? 頭に異常が出てるね。脳みそがおかしくなってる。 完全にビョーキだよ、君。 怒りやすくなったり、疑い深くなっているんじゃない? あとはリンパだ。君、ずっと首に違和感あるだろ。 その様子だと、日付が変わらない内に、正気失って自分で首掻いて死ぬよ」 一目で、悟飯が陥っている不具合を言い当てた。 (な…何故、この方……見ただけで!?) 動揺する悟飯の背後で沙都子は狼狽える。 表面上に出さないよう、とぼけた演技は欠かさないが。気を抜けば、素の声で何故と零してしまいそうなほどだ。 「沙都子さん?」 のび太が心配そうに声を掛けてくる。 「い…いえ…ごめんなさい。怖くなって……」 内心で舌打ちしながら、適当な言い訳を口にして表情を悟られぬように顔を背ける。 不味い。 シュライバーは一切の交渉が通じず、また無視できる強さではない上に。 狂気と高い洞察力が同居しているのだ。 つまるとこ、沙都子の策謀を簡単に看過し、また何の気兼ねなくあっさりと暴露し全てを無に帰す事が出来てしまう。 こいつは、絶望王と並び沙都子にとって最悪の天敵だ。 「懐かしいなあ、昔は君みたいに脳みそおかしくして、肉体の限界を狂わせたのが何人か居たんだけどさ」 「…で…でたらめを……くっ…」 悟飯は何か言い返そうとして、呻き声しか出なかった。 普段以上に感情的になりやすいというのは自他共に認める異状だ。 さらに、首も先程からずっと痒い気がしていた。 「みんな、死んじゃった」 それを的確にシュライバーは見抜いたのだ。 「あーあ、それにしたって白けさせるなよ。こう見えて、君の事は高く評価していたんだ。 ハイドリヒ卿は別格として、ザミエル、マキナの二人意外に僕がここまで言うなんて君ぐらいなものだよ。 ああ、もうザミエルは駄目だった。彼女には失望したんだったよ。聖遺物を取られるなんて、間抜けにも程がある。 それはそうと、やってくれたね……。君とは全力を引き出して、決着を着けてやりたかったのに」 そう言って、シュライバーは全員を一瞥し、沙都子と視点が交差した。 (まさか……) シュライバーの口許が釣り上がる。 この落とし前、どうつけてくれるんだ。 目線だけだが、シュライバーの意図は伝わってきた。 恐るべき洞察力で、ほんの一瞬狼狽えただけの沙都子を見て、シュライバーは誰が悟飯に毒を盛ったのか特定したのだ。 「良い事教えてあげるよ」 恐るべき速さで。 悟飯の隣に並び、耳元で小さく囁く。 「悟飯君、毒を盛った奴はこの中に居る」 「な…なん……だと……?」 どうして……? 毒、なんで僕が……。 そんなこと、シュライバーの妄言だ。そう切って捨てられたら、どれだけ楽だったか。 だけど、そう信じられない位には。 『ニンフの事だけじゃない。リップだって……きっと生きたいってそう思ってたよ』 『悟飯君が…………』 『うん、悟飯君も……』 『そう、だね…うん、僕も、悟飯君は…………』 『ひっ、来ないでっ……!』 「あ、ぁ…ぁッ、ぁぁ……」 悟飯は孤立していた。 だから、絶対にありえないとは断言しきれない。 (ぼ…僕が一番、危ない目にあって戦い続けていたんだ……! そりゃ、戦う事は嫌いじゃないけど、あんな殺し合い…い…嫌だよ……) お互い思いっきり後腐れなく戦うなら、悟飯だって好きな方だ。父親の悟空程じゃないが。 強くなれた事に達成感もあるし、学者という夢がなければ武道家になるのも悪くなかったと思う。 あくまで、スポーツとして試合の範疇であればだ。 『僕は遊佐司狼に敵討ちをしたいんだよ。だから、アンナが生きていたら駄目だろ? いい? か・た・き・う・ちっ! アンナが生きてたらカタキにならないだろォォォ!!』 『とても強くて、度胸もあって、勇敢な貴方に敬意を表して―――甘美な絶望に沈めて、殺してあげる』 (こ…怖かったんだ……。しゅ…シュライバーはセルよりも話が通じないし、く…黒ドレスの女は、気味悪いし…) 『──そんなに死にたいなら望み通り殺してやるッ!!』 (しゃ…シャルティアはずっと、ずっと…! ぼ…僕に怒り続けていて……!! あんな、あんな風に睨まれて…い…生きた心地がしなかったし……) 『ぶ、ぐ、ェェああああああ……ッ!』 (そ…それに……い…嫌だったんだ……よ…弱い者虐めしてるみたいで…あの時は怒りで一杯になったけど…あいつは、悪い奴だけど、こ…殺すのは、やっぱり嫌だよ) 『さっきまで命乞いをしていた子の断末魔の響きや、肉を引き裂いた時に浴びる真っ赤で温かいシャワーが大好きよ?』 (ぐ…グレーテルなんか、何考えてるか意味が分からない。な…何なんだよ…あ…あいつ、き…気持ち悪いよ……) 『なんだか、貴方って……とっても弱い』 (や…ヤミなんて……こ…殺されるかと、本気で思ったんだ……!! それでも、が…我慢して……ぼ…僕は頑張ったんだ。全部上手くいった訳じゃない。ヤミに負けたり、ニンフさんを死なせてしまったり…し…失敗したことはあったけど……だ…だからって……!! こ…こんなことッ……!!!) 自分は強かったから、だから皆を守らなきゃいけないと思った。 したくもない戦いをずっとここまでしてきたのに。 誰かに裏切られてしまった。 (だ…誰、なんだ……。美柑さんか? あ…ありえるぞ……。僕の事を、こ…怖がっていた……。 い…イリヤさんも、怪しくないか? 変な魔法を使って、僕に毒を……。 そ…それに友達が…こ…殺し合いに乗っていたんだ……。ひ…日番谷さんと紗寿叶さんの仲間を殺したような奴だ……。 し…信じていいのか…。 だ…だって、のび太さんが一人で僕の元に来た時、彼女はずっと見ていた……。 僕に毒を盛って、のび太君を仕掛けて、正気を更に奪う気だったんじゃ。 いや、の…のび太さんも怪しい……。に…ニンフさんの仇を…う…討とうと、してるんじゃ……!!) まだ普通に毒を盛るならともかく、シュライバーの言っていることが本当なら。 このまま、正気を失い自分で首を引き裂いて死んでしまうんだ。 悟飯にとって、あまりにも重い事実に体はわなわなと震えていた。 (ど…ドラゴンボールで、ぼ…僕は生き返れるのか……?) ドラゴンボールは、寿命による死までは覆せない。 今、自分が犯されている毒とやらも、これはどういう扱いになるんだ? 悟飯には判別が付かない。殺人扱いになれば、生き返れそうだが、果たしてそう上手くいくのか。 未来のトランクスが言うには、その世界の孫悟空は心臓病で死んだらしい。 一度、ラディッツとの戦闘で死に生き返った為に、ドラゴンボールで蘇れなかったのか。 あるいは、病死が寿命扱いで無理だったのか。 そもそも、神龍は病気を治せるのか? いや、分からない。 治せても、悟空のウィルス性の心臓病は非常に突発的で、急な事にドラゴンボール集めが間に合わなかったのかもしれない。 考えられる要素はいくつもあるが、一つだけ言えるのは、病死した悟空は二度と現世には戻らず、絶望の世界を迎えてしまった。 結論から言えば、少なくとも神龍は病気を治す事は可能だ。 悟空と復活したフリーザと17号が、孤高にして最強の戦士ジレンを撃破し、宇宙を救ったとある世界線では、悟飯の未来の娘であるパンの風邪を、神龍は治していた。 少なくとも病を治す願いは叶えられる。 あるいは、人知を超えた病として神龍の手に負えない場合もあるかもしれないが。 だが、だとしても恐らく、ドラゴンボールによる蘇生の対象にはなる。 あくまで寿命による死、この場合ナメック星の最長老の老衰が当て嵌まる事であり、雛見沢症候群による病死は、寿命の扱いではない可能性が高い。 むしろ結果的に首を掻き毟って死ぬのなら、経緯はともかくそれは自殺であり、ドラゴンボールで復活可能な範疇だ。 つまり、肉体の老化による寿命を迎えた死ではない。 だがそんなこと、今の悟飯に分かる筈がない。何より論理的に物事を考えられる余裕がない。 ドラゴンボールの性能と、雛見沢症候群の正確な病状を知る者がいれば、これらの推察に行き付いた筈なのだが。 別世界の二つの事象を、正確に把握出来る者など海馬乃亜しかこの島には存在しない。 (そ…そんな……こ…ここまで…頑張って来たのに…ぼ…僕は……これから先、く…苦しんで……し…死ぬのか……? は…発狂して……首を…む…毟って……?) 何もかもが急に嫌になってきてしまった。 同時に、ふつふつと怒りが込み上げてくる。こいつら全員、殺してしまって良いんじゃないか。 そんな八つ当たりのような、いや正当な怒りが悟飯を支配しかける。 「悟飯!」 「悟飯君!」 日番谷とのび太の叫び声で悟飯は、我に返り─── 「ちょっとは、やる気出してくれないかなァ!!」 その瞬間、悟飯の鳩尾にシュライバーの靴底が突き刺さる。 強烈な吐き気と衝撃を覚え、そのまま悟飯は後方へ吹き飛んでいく。 「どうせ死ぬなら、ここで決着着けようよ。 お互い、本気は出せないが仕方ない。君の生首持って…名簿にあった悟空とかいうのは、君の兄弟だろ? 代わりに、その孫悟空と遊ぶことにするからさ」 攻撃を受けたというのに、悟飯にはまるで危機感がなかった。 全て他人事のような気がしてきたのだ。 「どうしても、やる気が出ないなら。その気にさせてあげるよ」 意地悪そうに、シュライバーは満面の笑みのまま急速に翻る。 「ここに居る奴等全員殺せば、少しはその気になるだろ?」 「ふざ……っ」 冷水を頭から掛けられたように頭が真っ青になる。 やはり、こいつは頭がおかしい。 自分がやらなければ、皆殺されてしまう。 「やめ、ぐっ…!」 シュライバーを止めようとして、鳩尾が痛んだ。 痛みに気を取られ一秒ほど、立ち上がるのが遅れる。その遅れは、シュライバーと一度戦った悟飯だからこそ、致命的なラグだと分かっていた。 悟飯の視界から、シュライバーが消える。悟飯ですら目視出来ぬ程の速さで、駆け回っているのだ。 「霜天に坐せ───」 「ッ!」 「氷輪丸!!」 海馬コーポレーションのロビー内の空間が吹雪の舞う雪山のように冷え、シュライバーは停止し姿を見せる。 速い。シュライバーからして、日番谷の凍結能力は目を張るものがある。 縦横無尽に駆け回るシュライバーを包囲するように、四方八方に鋭利な氷山が生成されていた。 「じゃあ先ずは君からだ! 日番谷隊長!!」 借りがあるのは、何も悟飯だけじゃない。 日番谷を殺して、その後天使と出来損ないのガラクタ人形(イリヤ)を壊して。 取るに足らない劣等共を皆殺しにすれば、悟飯もやる気になって多少は歯ごたえのある戦争を楽しめるだろう。 「相変わらず、大した天候操作だけど───」 遅いんだよ。 一秒も経たず、氷の刃がシュライバーを串刺しにするのだろう。 十分すぎる時間だ。 その前に日番谷を轢き殺せば、もうそれで終わりだ。 あの卍解という位階ならば、流石にシュライバーでも速さが足りないが。 それも制限され、現状は使用出来ないらしい。 ならば、活動位階のシュライバーでも余裕で日番谷を殺害する時間がある。 凍り付くような冷気を肌で感じ、日番谷の臓物の温かみを想像するだけで絶頂する程の快楽を予想させた。 フェイントなどなく、一直線に突っ込み衝撃波(ソニックブーム)を発生させながら日番谷へと肉薄する。 何を企てていようと全て轍に変えて、日番谷諸共葬り去ってやる。 「ハッ───」 日番谷の目の前に、突如としてピンクのドアが出現したのだ。そしてそのドアの先、拡がるのは日の光に照らしつけられた大海であった。 空間を歪め、物理的な距離をすっ飛ばし目的地へと繋げる未来技術の結晶。どこでもドア。 減速し止まることも、急旋回することも叶う。だが、周囲には日番谷の氷が放たれシュライバーへと包囲し、迫ってきている。 つまるところ、日番谷は最初から戦闘をしようだなんて考えていない。行き場を塞ぎ、進行方向を誘導し、この場から遠ざかった場所へと追放する。それが目的だったのだ。 だが、それがなんだ。 グランシャリオを引き抜き、氷の中を一点突破し離脱すれば良いだけの話。 自ら、攻撃を当てるのであれば、誰にも触れられたくないという渇望の矛盾にはならない。 「……ッ!!?」 強い殺意を持った疾走は、困惑と驚嘆という不純物を交えて濁る。 迫る氷の中心で。 眼前に炎が迫る。 カオスが取り込んだ、極大火砲・狩猟の魔王の炎だ。 氷か炎、どちらか一つならば、対処出来たが両方では。 どちらか一つを突破しても、もう一つが被弾する。 無論、被弾したところで、何の問題もなく。 18万以上の魂を取り込んだ場合の本来の霊的強度を鑑みれば、さしたダメージにもならないが。 接触を忌み嫌う渇望がそうはさせない。 シュライバーは回避を優先させ、どこでもドアへと突っ込んだ。その瞬間、扉は閉じられてシュライバーの背後にあったドアは消失する。 完全に海馬コーポレーションとの空間の繫がりは断ち切られ、シュライバーは大海へと放り出されていった。 「敗北主義者の劣等共が!」 海面に触れた瞬間、沈むより先に蹴り上げる。 そのまま海上をシュライバーは駆けて行く。 水の上を飲まれずに、走ることなど黒円卓の魔人であれば造作もない。 団員の中でも遥かに格下の櫻井螢はおろか、エイヴィヒカイトを会得して日が浅い藤井蓮も誰に教わるでもなくやれたこと。 「どいつもこいつも! 気持ちよく、戦争をさせろよッ!!!」 腹が立つ。大事な時にこんな場所へ拉致られた自分もだが、聖遺物をパクられた三騎士の恥晒しのザミエルも、戦いから逃げる劣等共も。 面倒な制限など施して、殺し合いだのほざく乃亜も。 全て全員皆殺しだ。 これほどの殺意を滾らせて、未だに10人も殺せていない。 「……孫悟空ね」 漠然とだが力が戻りつつあるのを感じていく。 この島の中であれば、自分に匹敵し得ると考えていた孫悟飯。 あの男だけは、この殺し合いで特別視して良いほどの実力者だったが。あれはもう駄目だ。 既にシュライバーの頭の中から、顔すら薄れる程に端に追いやられていく。 「君はもう少し歯応えがあると良いんだが」 代わりに、あの少年の兄弟と思わしき名簿にあった名前。 孫悟空に興味がわく。 壊れた悟飯への、リターンマッチ代わりとしては最適だろう。 悟飯と同程度の実力者であれば、シュライバーとて油断は出来ないが。 シュライバーも形成が戻れば、十分に対抗できる。 元より誰にも後れを取る気はないが、せめて形成ぐらい使える闘争でなければ楽しめない。 「それに…あの娘の敵討ちも楽しみだねぇ……」 人を踊り食いし、シュライバーを楽しませてくれたデカブツの少女。 シャーロット・リンリンもそろそろシュライバーに挑んでくる頃だろう。 玩具はまだ沢山残っていた。 「フフフ…あははははははははははははは!!!」 悪魔のような嘲笑が海上で響き渡る。 狂乱の白騎士が再上陸するまで、残り数分もない。 【A-4 海上/1日目/昼】 【ウォルフガング・シュライバー@Dies Irae】 [状態]:疲労(大)、形成使用不可(日中まで)、創造使用不可(真夜中まで)、 欲求不満(大)、イライラ [装備]:モーゼルC96@Dies irae、修羅化身グランシャリオ@アカメが斬る! [道具]:基本支給品 [思考・状況]基本方針:皆殺し。 0:銃を探す。 1:敵討ちをしたいのでルサルカ(アンナ)を殺す。 2:いずれ、悟飯と決着を着けるつもりだったんだけどねぇ。代わりに、兄弟っぽい孫悟空でもいいか。 3:ブラックを探し回る。途中で見付けた参加者も皆殺し。 4:ガッシュ、一姫、さくら、ガムテ、無惨、沙都子、カオス、日番谷は必ず殺す。 5:ザミエルには失望したよ。 6:他にないとは思うけど、黒円卓の聖遺物を持っている連中は、更に優先して皆殺しにする。 7:孫悟空、でかい女(シャーロット・リンリン)を見つけ出し、喧嘩を売って殺す。 8:ここ何処? [備考] ※マリィルートで、ルサルカを殺害して以降からの参戦です。 ※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。 ※形成は一度の使用で12時間使用不可、創造は24時間使用不可 ※グランシャリオの鎧越しであれば、相手に触れられたとは認識しません。 シュライバーとの再戦時、卍解が使えない時の事を考えて日番谷が用意していた戦術だった。 紗寿叶を庇いながら、交戦になれば次こそは守り切れない。 故に倒すのではなく、先送りになるが別の場所へと強制的に移動させる。 シュライバーは防御を全て回避に依存している。理由は分からないが、本人が防ぐといった行為をまるでしない。 それならば、元から当てる気のない攻撃を全方位に展開し、シュライバーの行動範囲を狭めて、次の移動先を誘導させるのは難しくない。 後は支給されたどこでもドアで、遠い場所へと送り込めば良い。 人の居なさそうなエリアに送ったつもりだが。出来れば、別の参加者と接触しないでいてくれることを願うばかりだ。 (だが、二度は通じねえな) どこでもドアは一度の使用で12時間再使用不可で、仮に何回も仕えたとして同じ戦術がシュライバーに通じるとは思えない。 今回もカオスの援護で、辛うじて撃退できたと見ていい。 「悟飯君……」 のび太は、項垂れている悟飯を見つめている。 何か声を掛けてあげたいが、何を言ってあげれば良いのか分からない。 「あ…あんな奴の言う事……」 「く…首が、痒い気がしてたんだ。しゅ…シュライバーの言っていた事と…お…同じだよ……」 本当に悟飯が毒とやらに犯されているのなら、これまでの不自然な行動や激昂も分かる。 「信じられないよ、そんなの…だって……」 「野比」 否定しようとするのび太を、日番谷は肩に手を置いて止める。 殺人に精通するからこそ、人体にも明るい者達は少なからずいる。 ある意味では、最も人間と言う存在と向き合い経験として知識を蓄えて来た者達だ。 シュライバーであれば、その数は平気で万を超えるのは予想がつく。 だから、結論として言葉には出さないが、信憑性は低くない。 それが日番谷の見解だ。 実際に日番谷も恐らく詳細は知らないだろうが、近しい者達は身近に居た。 尸魂界一の戦闘狂、更木剣八は戦いを楽しむため、相手をすぐに殺さないように手加減する癖がある。 それは、人をより多く切り続けていた剣八ならではの、経験から行える技量ともいえる。 何処をどう斬れば死にやすく、また殺し辛いか斬り合いの中で把握していったのだろう。 元十三番隊隊長、卯ノ花烈は医療に長けた死神だが、初代剣八として名を馳せた剣客だ。 やはり、斬った数は現在の剣八に勝るとも劣らない。 そして十三番隊の隊長を務めた程だ。医療の腕も高い。 殺した数だけ、人を救う術にも精通していったのだ。 彼らに共通するのは、方向性は別として殺しに長けている事。 誰よりも気安く人に触れ続け、壊し続けたからこそ、壊した物に詳しくなる。 実際にシュライバーはこの島に来る前、初対面で遊佐司狼の身体異常を見抜くといった、医者顔負けの的確な診断を下している。 「……のび太さん」 『のび太様、気持ちは分かりますが』 「せや、のび太…」 イリヤとサファイアもまた、自分達の事情について簡単に見抜かれた。 シュライバーの洞察力と直感は機械のように正確だ。 「ひ…一人に……さ…させてくれませんか……」 「悟飯君…あの……」 美柑はそっと声を掛ける。 「だ…大丈夫、です……」 「……」 少し前なら、怖がって距離を置こうとしたと思うが。あんなことを言われた後じゃ、何か力になってあげないととも思う。 でも、最初のぎくしゃくした関係から、悟飯にどんな言葉を掛けてあげればいいか。既に距離が空き過ぎてしまった。 それが嘘でも、大丈夫と言われたら美柑は何も言ってあげられない。 (どうしたら、いいの…それに毒なら…誰かが悟飯君に盛ったんだよね……) 毒の知識には疎いが、混ぜるタイミングなら誰にでもあった気がする。 あの不死身のゴスロリの女の子も、戦いの中でさり気なく毒を注射するなんてやれるかもしれないし。 シュライバーだって、同じようにやってもおかしくない。それで、さも自分は関係ないと言わんばかりに、悟飯を追い詰めるとか。 少なくとも、美柑からしたらそういうことをしそうな悪辣さだと思った。 それ以外にも、沙都子がレモンティーを淹れたのもだし、悟飯が口にする物にこっそり毒を入れるなんて自分も含めて少しでも同行してたイリヤ、のび太、ケルベロス、誰でも出来る。 ランドセルを置いて、シャワーを浴びたのも最近なのだ。 正直、信じられなかった。 あのシュライバーという人物が、嘘を言ってる方が納得してしまう。 (分からないよ…もし、毒でおかしくなったとして……それはいつからなの?) 美柑はあのスーパーサイヤ人と呼ばれる金髪になる変身が、もしかして悟飯に悪影響があってそれで気性が荒くなるんじゃないか。 そんな風に考えてもいた。 悟飯には申し訳ないが、本当に最初のシュライバーとの戦闘で激昂してからずっと、様子が変だったと言わざるを得ない。 だから、何処からが毒の影響なのか全く区別がつかない。 沙都子との邂逅から、どんどん本来の悟飯とは別の異常さで、情緒不安定になった事に気付けない。 恐らく、一番真実に近いからこそ。 最もこの島で間近に悟飯を見ていたらこそ。 真実から遠のいてしまっていた。 「……ああ、分かった」 仮に悟飯が特殊な毒を盛られたとしても、日番谷には治す当てはある。涅マユリか浦原喜助ならば、何らかの解毒薬を開発できるはずだ。 ただ、それは殺し合いから抜け出せればの話、この島からは二人に連絡も取れない。 シュライバーの言っていることが事実であれば、リミットは残り半日。 とてもじゃないが、悟飯を治してやれる時間はない。 精神的な負荷が症状の起爆剤となるなら、それを和らげれば、ある程度は病状は抑えられる筈だが、殺し合いなんて極限下で何処までそんなことができるか。 だから、それ以上は何も言えない。 希望的観測など、気休めにもならないからだ。 「だが、あんま時間は取れねえ。シュライバーが戻ってくる可能性もある。 準備が整ったら、すぐにここを発つつもりでいてくれ」 「はい……」 一人にすべきではないのだろうが、精神的な負荷が死に直結するのなら。 落ち着ける時間も取らせなくてはならなかった。 少なくとも、悟飯の霊圧の大きさならば、一人になったところを奇襲を受けて殺されることはないはずだ。 「ねえ、日番谷君…あの」 「……かなり不味いな」 紗寿叶の問いに、日番谷は短くこれ以上ない言葉で答えた。 悟飯の精神は限界だ。何をきっかけに、崩壊するか分かったものじゃない。 (残り半日で、ここから脱出して乃亜を倒し、浦原か涅に頼る……無理だ) やはり時間の問題を解消できない。 (乃亜の奴なら、この毒の解毒方法も分かるか? だが、どうやって……奴に接触し情報を引き出す? クソッ…駄目だ、何にしたってこのままじゃ無理だ) やはり悟飯には酷だが、今は希望を信じて行動するしかない。 霊圧を測るだけでも、その強さは分かる。力だけなら、最強という言葉がふさわしい。 護廷十三隊どころか、飛び越えて零番隊にでもスカウトされそうなほどの逸材だが、まだ幼い10歳前後の子供だ。 そんな子供にこれ以上、負担も掛けさせたくなければ、出来れば死なせたくもないが。 (もう一つ厄介なのが、この島に悟飯に毒を盛った奴が確かに何処かに居るんだ。 あいつは何時毒を盛られたんだ? 今この中で考えれば…一番、引っかかるのは北条だが) 霊圧の観点で言えば、沙都子から感知した気配に違和感がある。 虚(ホロウ)と似た性質、リルトット・ランパードが沙都子を見た時と同じ違和感だ。 沙都子に一度聞いてみたが、本人曰く故郷の村が迷信深い地域で、きっとそこの土着神であるオヤシロ様が付いてきたのかもしれない等と冗談ぽく言っていた。 (だが…それと北条が、毒を盛った犯人だという話にはならない。 他の連中もそんなことをやる理由がねえ) 毒殺するにしても、悟飯の庇護下に居た方が安全そうな者達しかいない。 いくら優勝を目指すにしても、早計過ぎるだろう。 (シュライバーも疑心暗鬼になり発狂して死ぬとは言いましたが…雛見沢症候群を完全に知っていた訳ではない様子。 L4からL5の暴走について触れないでいてくれたのは、不幸中の幸いでしたわね。 気紛れか分かりませんが、私が毒を盛ったと話さなかったのも。 そこに関しては警戒はされ辛い。 むしろ、悟飯さんを追い込んでくれたお陰で、L5まで病状を促進させるのはそう難しくはなさそうですわ。ただ……) 沙都子にとって面倒なのは、日番谷の猜疑の目を掻い潜り、どうやって悟飯をL5まで誘発するかだった。 厄介なことに、自分の気配から、妙な物を感知しているような物言い。 エウアの気配を感知しているのだろうか? だとしたら、とんだ迷惑だ。 警戒はされているだろう。当然、引き連れているカオスも。 最悪の場合はカオスをけしかけて、消したい。 見た限り、カオスは炎を扱えるようになり、氷使いの日番谷とは相性で優位に立てる。 だがこれも、あまり戦いの規模が大きくなれば、悟飯と戦う力を持っているというイリヤまで参戦してくれば厄介。 しかも、カオスもつい先ほど手に入れた力で、使いこなせるかという問題もある。 さらに、悟飯が参戦した時点で、こちらの思惑は崩れたも同然なのだ。 完全に悟飯と敵対し、場合によっては殺されてしまうおそれもある。 ならばメリュジーヌと再合流して、カオスと二人掛りで……。 しかし、それも上手い事、日番谷だけ誘き出し、カオスとメリュジーヌの二人掛りでリンチしようにも粘られてしまう可能性があり、やはり悟飯が参戦するだけの時間を与えてしまうだろう その展開になれば、メリュジーヌも今度ばかりは沙都子を見切って捨てる事もあり得る。 シカマル達の時は、結果として赤き竜のシグナーといったイレギュラーがあったとはいえ、戦力的には決して負ける筈のない戦いだった。だからこそ、沙都子に従ってくれたが。 今回ばかりは、メリュジーヌに負担させるリスクが大きすぎる。 特に悟飯を相手にするのであれば、彼女も沙都子に拘る理由はない。 勝ち目の薄い戦いで、無理をして沙都子を守る必要はないのだから。 むしろ、そんな展開にしか持ち込めなかった沙都子は、今度こそ用済みだ。 (やはり、隠密に事を運ばないと……) 今までと違い、力付くで相手を制圧する手段は選び辛い。 (私が薬を盛ったと気付くとしたら、美柑さんか悟飯さん本人が、あのレモンティーを私が淹れた事を怪しんだ時ですが…今のところはまだあのお二方は私への信頼が勝っている様子。 でも、いつそれが日番谷さんに伝わるか、分かったものではありません。早くに勝負にケリを着けなければ) 日番谷に気付かれぬように、悟飯を最低でもL4にする。 横にいるカオスを見て、いくつかの策を張り巡らせながら。 沙都子は日番谷を見つめていた。 ─── 「……どうなるのかしら、これから」 私は、日番谷君にお手洗いに行かせて欲しいと嘘を言って。 少しだけ外で空気を吸うことにした。 絶対に遠くに行くなと、彼は念を押してくれた。 私の安全をずっと考えていてくれたんだと思う。 ここまでずっと…とても、気を遣ってくれる人で。 お願いだから、二人で一緒にここから離れましょう。 本当は…そう、日番谷君に話したかった。 だからこんなことを考えていた事も、嘘を吐いた事も申し訳なかった。 (……こんなところ、正直居たくない) 我ながらとても酷い考えだと思う。 薄情なんだなと、自分で自分を軽蔑までしてしまう。 『あ、ぁ…ぁッ、ぁぁ……』 あの悟飯という男の子の怯え方は、とても尋常じゃなかった。 シュライバーという子とああやって、対面できるだけ凄い強い人なのに。 あれだけ怯えるのは、普通じゃない。 近い内に死んでしまうだなんて言われたら、ああなるのは分かるけど。 多分、それだけが原因じゃない気がした。 死んでしまうのも間違いなく、ショックだけれど。 毒を盛られたという事は、あの子を裏切った人がいる。 そういうこと…じゃないの? 毒を盛るなんて、余程距離が近くないと出来ない気がする。 あの子は裏切られたことに、一番絶望しているんじゃないの? きっと、日番谷君やあのカオスという娘が来るまでは、あの子が殆ど一人で戦ってきた。 それなのに、誰かに裏切られてしまった事に。 あんな、10歳くらいの男の子が味わって耐えられる事じゃない。 (疑ってるの…私? まだそうと決まった訳じゃないでしょう) 駄目だ。 少ししか話してないけど、美柑さんやのび太君、沙都子さんはいい子達だと…思う。 だけど。 「お姉ちゃん」 急に声を掛けられて、私は思わず体をびくりと震わせて振り返った。 後ろにはにっこりと笑った小さな女の子。 カオスという名前のこの子が音もなく立っていた。 「どうして一人で居るの?」 ───クスクスクス 「……っ」 顔は笑っていたけど、何処か無機質で。この子には悪いけれど、不気味な気がした。 顔立ちは整っていて、シスターのような格好も神秘的で。とても奇麗な女の子なのに。 その笑顔は、人を拒絶してるような、諦めてるような。誰かの見様見真似でやっていて、本当の意味で、笑えていないような。 私も何だか変だ。この娘を見ていて、なんだか緊張している。 「紗寿叶さん、カオスちゃん」 愛らしい声が増えて、凍り付いたような空気は溶けていった。 カオスちゃんは、無邪気な子供みたいにイリやお姉ちゃんと、とてとてと走っていく。 「外に居たから…危ないよ。あのシュライバーという人、また来るかもしれないし」 「うん。イリヤお姉ちゃん、私もそう思ったの」 「……ごめんなさい」 やっぱり、少し苦手だな。 イリヤさんもカオスちゃんも、悪い人じゃないと思うけれど。 あの美遊という女の子の事が、まだ頭から離れないんだ。 いつまで、引き摺っているのかしら。 元太君を殺したのは、イリヤさんじゃない。 イリヤさんは、のび太君たちを守る為にずっと戦っていた。勇気のある女の子なのに。 「行こ、紗寿叶お姉ちゃん」 カオスちゃんも、何を考えているか分からなくて。あまり良い感情になれない。 そんなに嫌なら、私が自分だけ離れれば良いのに。 勇気もなければ、それだけの強さもなくて。 「ええ…行きましょう」 日番谷君だって、私の事を守る義理なんか何もないのに。善意だけで、あそこまで守ってくれている。 だから、せめて迷惑を掛ける訳にはいかない。 日番谷君は責任感が凄い強い人だもの。 ここの人達を見捨てるなんて出来ないし、それは良くない事だ。 私だけが、我儘をいう訳にはいかないわ。 【一日目/昼/E-7 海馬コーポレーション】 【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】 [状態]:全身にダメージ(小)、疲労(中)、精神疲労(大) [装備]:カレイドステッキ・サファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、クラスカード『アサシン』&『バーサーカー』&『セイバー』(美柑の支給品)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、雪華綺晶のランダム支給品×1 [思考・状況] 基本方針:殺し合いから脱出して─── 0:悟飯くん、どうしてあげたらいいの? 1:雪華綺晶ちゃん……。 2:美遊、クロ…一体どうなってるの……ワケ分かんないよぉ…… 3:殺し合いを止める。 4:サファイアを守る。 5:みんなと協力する 6:美遊、ほんとうに…… [備考] ※ドライ!!!四巻以降から参戦です。 ※雪華綺晶と媒介(ミーディアム)としての契約を交わしました。 ※クラスカードは一度使用すると二時間使用不能となります。 のび太、ニンフ、雪華綺晶との情報交換で、【そらのおとしもの、Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ、ローゼンメイデン、ドラえもん】の世界観について大まかな情報を共有しました 【結城美柑@To LOVEる -とらぶる- ダークネス】 [状態]:疲労(中)、強い恐怖、精神的疲労(極大)、リーゼロッテに対する恐怖と嫌悪感(大) [装備]:ケルベロス@カードキャプターさくら [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(確認済み、「火」「地」のカードなし) [思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。 0:モモさんやララさんなら、何とか出来そうだけど…。 1:ヤミさんや知り合いを探す。 2:沙都子さん、大丈夫かな…… 3:悟飯君がおかしかったのって、いつからなの? 4:リト……。 5:ヤミさんを止めたい。 6:雪華綺晶ちゃん…… [備考] ※本編終了以降から参戦です。 ※ケルベロスは「火」「地」のカードがないので真の姿になれません。 【野比のび太@ドラえもん 】 [状態]:強い精神的ショック、疲労(中) [装備]:ワルサーP38予備弾倉×3、新品ブリーフ [道具]:基本支給品、量子変換器@そらのおとしもの、ラヴMAXグレード@ToLOVEる-ダークネス-、シミ付きブリーフ [思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。生きて帰る 0:悟飯くんの毒を、何とかしてあげないと。ドラえもんの道具なら……。 1:ニンフ達の死について、ちゃんと向き合う。 2:もしかしてこの殺し合い、ギガゾンビが関わってる? 3:みんなには死んでほしくない 4:魔法がちょっとパワーアップした、やった! [備考] ※いくつかの劇場版を経験しています。 ※チンカラホイと唱えると、スカート程度の重さを浮かせることができます。 「やったぜ!!」BYドラえもん ※四次元ランドセルの存在から、この殺し合いに未来人(おそらくギガゾンビ)が関わってると考察しています ※ニンフ、イリヤ、雪華綺晶との情報交換で、【そらのおとしもの、Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ、ローゼンメイデン、ドラえもん】の世界観について大まかな情報を共有しました ※魔法がちょっとだけ進化しました(パンツ程度の重さのものなら自由に動かせる) ※スネ夫の顛末を美柑から聞きました。そのため、悟飯への反感はほぼ消えました。 【乾紗寿叶@その着せ替え人形は恋をする】 [状態]:健康、殺し合いに対する恐怖(大)、元太を死なせてしまった罪悪感(大)、魔法少女に対する恐怖(大)、イリヤとカオスに対して苦手意識 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2、飛梅@BLEACH [思考・状況]基本方針:殺し合いはしない。 0:日番谷君や皆の迷惑にならないようにしたい……。 1:魔法少女はまだ怖いけど、コスはやめない。 2:さくらさんにはちゃんと謝らないと。 3:日番谷君、不安そうだけど大丈夫かしら。 4:イリヤさんとカオスちゃん……悪い子じゃないと思うけど……。 5:妹が居なくて良かったわ。 [備考] 原作4巻終了以降からの参戦です。 【日番谷冬獅郎@BLEACH】 [状態]:疲労(小)、ダメージ(中)、卍解不可(日中まで)、雛森の安否に対する不安(極大) [装備]:氷輪丸@BLEACH [道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1、元太の首輪、ソフトクリーム、どこでもドア@ドラえもん(使用不可、真夜中まで) [思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し乃亜を倒す。 0:とにかく、情報が欲しい。 1:巻き込まれた子供は保護し、殺し合いに乗った奴は倒す。 2:シュライバーを警戒。次は殺す。 3:乾が気掛かりだが……。 4:名簿に雛森の名前はなかったが……。 5:シャルティアを警戒、言ってる事も信用はしない。 6:悟飯を、何とかする方法を見付けてやりたいが…何とか、涅か浦原と連絡は取れないか? 7:沙都子の霊圧は何か引っかかる。 [備考] ユーハバッハ撃破以降、最終話以前からの参戦です。 人間の参加者相手でも戦闘が成り立つように制限されています。 卍解は一度の使用で12時間使用不可。 シャルティア≠フリーレンとして認識しています。 【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に業】 [状態]:疲労(小)、梨花に対する凄まじい怒り(極大)、梨花の死に対する覚悟 [装備]:FNブローニング・ハイパワー(4/13発) [道具]:基本支給品、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×2(13発)、葬式ごっこの薬@ドラえもん×2、イヤリング型携帯電話@名探偵コナン [思考・状況]基本方針:優勝し、雛見沢へと帰る。 0:予定は狂いましたが、このまま悟飯さんを扇動する。バレないように。 1:メリュジーヌさんを利用して、優勝を目指す。 2:使えなくなったらボロ雑巾の様に捨てる。 3:カオスさんはいい拾い物でした。使えなくなった場合はボロ雑巾の様に捨てますが。 4:願いを叶える…ですか。眉唾ですが本当なら梨花に勝つのに使ってもいいかも? 5:メリュジーヌさんを殺せる武器も探しておきたいですわね。 6:エリスをアリバイ作りに利用したい。 7:写影さんはあのバケモノができれば始末してくれているといいのですけど。 8:悟空さんと悟飯さんは、できる事なら二人とも消えてもらいたいですわね。 9:悟空さんの肩に穴を開けた方とも、一度コンタクトを取りたいですわ。 10:梨花のことは切り替えました。メリュジーヌさんに瑕疵はありません。 11:日番谷さんに気付かれないように、悟飯さんの症状を悪化させる。大事になるような、実力行使は避けたい。 12:シュライバーの対処も考えておかないと……。何なんですのアイツ。 13:メリュジーヌさんは、何処で道草を食ってますの……!! [備考] ※綿騙し編より参戦です。 ※ループ能力は制限されています。 ※梨花が別のカケラ(卒の14話)より参戦していることを認識しました。 ※ルーデウス・グレイラットについて、とても詳しくなりました 変だなあ。あの聖遺物(ぶき)を取り込んでから、ずっと変なの。 紗寿叶お姉ちゃんとイリヤお姉ちゃん。 誰にも気付かれなければ、食べても良いんじゃないかなって。 ずっと…思ってるの。 沙都子お姉ちゃんの邪魔をしちゃいけないけど、バレなければ平気だよねって……。 だめだよ…沙都子お姉ちゃんに怒られちゃうよ。 大丈夫だよ。 大丈夫じゃないよ。 大丈夫だよ。 だめ。 でも……。 頭の中がくすぐったくて。 気持ち悪いけど。 思いっきり、誰か……。 【一日目/昼/E-7 海馬コーポレーション】 【カオス@そらのおとしもの】 [状態]:全身にダメージ(中)、自己修復中、アポロン大破、アルテミス大破、イージス故障寸前、ヘパイトス、クリュサオル使用制限、沙都子に対する信頼(大)、カオスの素の姿、魂の消費(中)、空腹?(小) [装備]:極大火砲・狩猟の魔王(吸収)@Dies Irae [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 [思考・状況]基本方針:優勝して、いい子になれるよう願う。 0:沙都子おねぇちゃんを守る。 1:沙都子おねぇちゃんと、メリュ子おねぇちゃんと一緒に行く。 2:沙都子おねぇちゃんの言う事に従う。おねぇちゃんは頭がいいから。 3:殺しまわる。悟空の姿だと戦いづらいので、使い時は選ぶ。 4:沢山食べて、悟空お兄ちゃんや青いお兄ちゃんを超える力を手に入れる。 5:…帰りたい。でも…まえほどわるい子になるのはこわくない。 6:聖遺物を取り込んでから…なんか、ずっと…お腹が減ってる。 [備考] 原作14巻「頭脳!!」終了時より参戦です。 アポロン、アルテミスは大破しました。修復不可能です。 ヘパイトス、クリュサオルは制限により12時間使用不可能です。 ルーデウス・グレイラットについて、とても詳しくなりました。 極大火砲・狩猟の魔王を取り込みました。炎を操れるようになっています。 聖遺物を取り込んでから、空腹? がずっと続いています。 中・遠距離の生体反応の感知は、制限により連続使用は出来ません。インターバルが必要です。 エイヴィヒカイト。 この術式の使用には魂が必要となる。すなわち、この理を操るのであれば常時殺人を繰り返し魂を簒奪し続けなければならない。 それゆえ、エイヴィヒカイトを取得した者達は揃って殺人衝動を最初は抑えきれない。 つまり、聖遺物の使い手は基本的には皆が人殺しだ。 だが、カオスは必ずこれに当て嵌まるとは言い難い。 シナプスの最高科学技術という、魔道とは異なるアプローチで聖遺物を取り込んだのだから。 これは水銀の成す法の理外にある。 だから、そんなデメリットは確定されていない。 正確には、カオスはエイヴィヒカイトの使い手ではないから。 ───ずっと…お腹減ってる……ごはん…食べたいな。 きっと、ただ空腹で飢えている。それだけなのだろう。 ─── (や…やっぱり……イリヤさん、あの人が怪しいぞ……!!) 海馬コーポレーションの一室の中で閉じ籠り、悟飯は自分がおかしくなった時期を振り返る。 そう、おかしくなったのはイリヤを連れて来てからだ。 野比のび太にあれだけ苛立ちを覚えたのも、大体その時期じゃないか。 (み…美柑さんとは、き…気まずかったけど…まだあの頃は、そこまでおかしくは…ならなかった……い…いやでも、分からない…ず…ずっと最初から一緒に居たのは……。 だ…だけど、イリヤさんが来てから……きゅ…急に……) 悟飯にとって不幸だったのはサイヤ人の好戦的な性格が、雛見沢症候群の暴力的な発作と重なってしまった事だ。 つまるとこ、美柑と同じだ。 元の自分の人格の悪癖なのか、シュライバーが言っていた毒による影響なのか、判別が非常に難しく。 ───やめろや、悟飯!! ───やめてぇッ!悟飯君、お願いだから!! ───そうや悟飯、ちょっとおかしいでお前!頭冷やしてこい! また、悟飯の異様さが本格的に浮き出したのが、運の悪い事にイリヤと合流して以降だった。 はっきりと悟飯が、自分でも周りからも異常だと自覚し始めたのはあの辺からなのだ。 その前はまだ違和感程度で済んでいた。 ───やめてよ。 (の…のび太さんが僕と揉めて、危険だった時に、あ…あの人だけ……なんであれだけ冷静だったんだ? や…やっぱり、どうでもよかったんじゃないか? の…のび太さんの事なんて) イリヤにとって更に最悪だったのが、悟飯は最初はのび太と対立していたが、後にのび太から和解の言葉を告げられた時、何故イリヤ達がのび太を一人で行かせ逆に自分を見張っていたのかと疑念を抱いていた事。 それも裏でイリヤが皆を洗脳して、悟飯を孤立させようと仕組んだことなら全て説明が付いてしまう。 そう、既に錯乱しかけた思考を、自分でもおかしいと思えなくなってきていた。 一度、沙都子や日番谷たちの接触で落ち着いた悟飯の容態が、シュライバーとの接触とそこで告げられた仲間の裏切りという二重のストレスに晒された事で、より病状は悪化していく。 (き…雪華綺晶さんも……イリヤさんに、見捨てられたんじゃないか…あ…あの人は……き…雪華綺晶さんの善意を、利用して……!) 疑い出せばキリがなかった。ケチをつければ無限につけられる。 (そ…そもそも、友達が二人も殺し合いに乗っている時点で…あ…あの娘もおかしいじゃないか……!! み…美遊という女の子は、す…既に一人殺しているんだ……!) そういう風に穿った真実を己の中で作り上げてしまう。 (…………だ…だが、ありえないかもしれないけど。も…もしも、い…いや多分大丈夫だ。だけど…もし、あ…あのレモンティーに…ど…毒が入っていたら) 涙が零れてきた。 絶対にありえないが、悟飯が今一番信頼を置いている沙都子も、毒を盛るタイミングはあるのだ。 他の人達だって、いくらでもある。悟飯のランドセルの中の水に、毒を入れるなんて簡単だ。 悟飯がシャワーを浴びている間ならば、それぐらい誰だってできる。だから、沙都子はむしろ容疑者としては、疑いは薄い方だ。 それでもまさかとは思うが、彼女が裏切っていたとしたら。自分が仲間だと思っていた人が、みんな敵だったとしたら。 あの日番谷や紗寿叶という女の子まで、悟飯の事を悪く思っていて。みんなで一致団結して、殺そうとしている。 「ひ…酷い…じゃない、か……ど…どうして、だよ……」 耐え切れなくて、声を殺そうとして自分の腕の中に顔を埋めた。 なんでここまでされなくちゃいけないんだ。 ずっとずっと、それだけ考えて。 きっと、自分が強いからだと思い当たる。 強すぎるから、皆から嫌われてしまうんじゃないか。 なんでだ。 僕だって好きで強くなったわけじゃない。そうしないと、地球が皆が危なかったからだ。 みんな、僕を何だと思ってるんだ。 強さだけしか見てくれない。誰も、人として何か見てくれちゃいない。 僕だって、普通の人間なのに。 「ぅ……ぅ”…いやだ、ァ……」 死後の世界があるのは知っている。だからといって、死にたい訳がない。 しかも、首を掻き毟って発狂して死ぬなんて、絶対に嫌だった。 ドラゴンボールがあったとしても、本当に生き返れるか分からない。そもそも、美柑達が本当に生き返らせてくれるんだろうか。 悟空すらも騙して、ドラゴンボールを使ってくれない。そんなことだってありえなくない。 きりきりきりきりきり。 く…首が…首が……痒い。か…掻いたら駄目だ、か…掻いては駄目なんだ。 なのに、どうしてこんなに痒くて。 死にたく…な…ない……。 きりきりきりきりきり。 ぼ…僕はいつまで正気で…い…いられるんだ。 …………………………せ…せめて…ま…まともな、…うちに…ま…まもらないと……。 だ…だけど……だ…だれを…? だれを……まもれば……いいんだ……? カリ…カリ……。 【一日目/昼/E-7 海馬コーポレーション】 【孫悟飯(少年期)@ドラゴンボールZ】 [状態]:自暴自棄(極大)、恐怖(極大)、疑心暗鬼(極大)疲労(大)、激しい後悔(極大)、SS(スーパーサイヤ人)、SS2使用不可、雛見沢症候群L3+(悪化中 L4なりかけ)、普段より若干好戦的、悟空に対する依存と引け目、孤独感、のび太への嫌悪感(大、若干の緩和)、イリヤに対する猜疑心(大)、首に痒み(小) [装備]:無し [道具]:基本支給品、ホーリーエルフの祝福@遊戯王DM、ランダム支給品0~1(確認済み、「火」「地」のカードなし) [思考・状況]基本方針:……。 0:ぼ…僕は死ぬのか……い…いや…だ……。 1:...本当にここにいる人たちを信じていいのだろうか?信じたい、けど... 2:だ…誰が、僕に毒を……。い…イリヤさんが怪しいが、み…みんな怪しい……。 3:…………………………だ…だけど、み…みんなを……ま…まも…らない…と……。 [備考] ※セル撃破以降、ブウ編開始前からの参戦です。 ※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。 ※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可 ※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。 ※雛見沢症候群を発症しました。現在発症レベルはステージ3です。 ※原因は不明ですが、若干好戦的になっています。 ※悟空はドラゴンボールで復活し、子供の姿になって自分から離れたくて、隠れているのではと推測しています。 ※イリヤ、美柑、ケロベロス、サファイアがのび太を1人で立たせたことに不信感を抱いています。 ※何もかも疑い出してます。 【どこでもドア@ドラえもん】 日番谷冬獅郎に支給。 一度の使用で12時間使用不可 【極大火砲・狩猟の魔王@Dies Irae】 聖槍十三騎士団黒円卓第九位、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグの操る聖遺物。武装形態は武装具現型。 その素体は第二次世界大戦でマジノ要塞攻略のために建造された80cm列車砲の二号機であり、作中でも呼ばれる『ドーラ』は二号機につけられた愛称である。その運用には砲の制御のみで1400人、砲の護衛や整備などのバックアップを含めると4000人以上もの人員を必要としたとされる文字通り『最大』の聖遺物。 (ここまで正田崇作品wikiより引用) カオスに支給されたものの1400人の人員など用意できず、これまで使用出来なかった。 現在はカオスが取り込み、エレオノーレには遥かに劣るが火炎を発生させ操れるようになった。 103 割り切れないのなら、括弧で括って俺を足せ 投下順に読む 105 おくれてきた名探偵 時系列順に読む 100 不規則性エントロピー イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 000 [[]] 孫悟飯 000 [[]] 結城美柑 000 [[]] 野比のび太 000 [[]] 090 嘘吐き 乾紗寿叶 000 [[]] 日番谷冬獅郎 112 狂気と惨劇の舞台へ 097 Ave Maria 北条沙都子 カオス 093 悪魔は神には頼らない ウォルフガング・シュライバー 111 竜虎相討つ!
https://w.atwiki.jp/compels/pages/167.html
※この作品にはえっちぃ表現が含まれています。 えっちぃのは嫌いですという方には不快となるかもしれない内容なのでご注意ください。 「いやあ、実に興味深い話を聞けたよ。ヤマトという國と、その獣のような耳や尻尾を有する部族...僕の住んでいるイギリスじゃあお目にかかれない文化だ」 「私の方こそ、見聞を広められました!こういう場所で言うのもなんですが、最初に会えたのがディオさんでよかったです」 月光に晒される一見の民家。 その中で二人の少年が和やかな空気で会話を弾ませていた。 一人は少女のような顔立ちに、和風の衣装。なにより獣の耳と尻尾が特徴的な少年・キウル。 もう一人は端整な顔立ちと金色の髪が特徴の少年、ディオ・ブランドー。 彼らは殺し合いが始まって間もなく遭遇し、ディオが戦意のないことを示しつつリードする形で情報交換の席へと落ち着くこととなった。 「本当に助かりました。ディオさんのくれたこの弓矢のお陰で私もなんとか戦えそうです。でも本当に良かったんですか?」 「ああ。どうにもその弓矢という武器は経験が必要らしいが、いまの僕には過ぎた代物だ。きみに使ってもらった方がお互いの為だろう」 「ありがとうございます。このご恩は必ず返してみせます!」 ふんす、と鼻を鳴らして気合いを入れるキウルににこやかな微笑みで返すディオ。 (...ああ、ちゃんと返してもらうさ。このディオが勝ち残るためになぁ) だが、その内心では、子供向けの玩具を幼稚なガラクタだと見下す高校生のようにキウルを見下していた。 ディオにとってこの殺し合いにおいて最も重要なことは己が生還すること。 馬鹿正直に殺し合いに乗って誰が一番かを決めることでなければ、皆でお手手を繋いで仲良くゴール、なんて温いことでもない。 生き残り、こんな茶番からさっさと抜け出すこと。過程や手段の貴賤など知ったことではない。 だが、彼は自分が優秀である自負はあれど、しかし自分以外の参加者を無策で倒しきれると思えるほど己惚れてはいない。 実際、キウルとの接触に於いて自分では扱えない弓矢を容易く扱う彼を見て、正面からの攻略は不可能に近いと理解せざるをえなかった。 だからこそだ。 モノを言うのは腕っぷしだけではなく、己のモノを最大限に利用し物事を優位に進める為の知恵と策である。 (話を信じるならばこのキウルとかいうやつは戦場に慣れているらしい。護衛としてはなかなかの人材だ) 戦に慣れていて、素直で大人しいこのキウルという少年は、ディオにとって格好の駒だった。 自分は労せず駒に動かせて利益だけを得る。 それこそが支配者の嗜みだ。 (乃亜とかいう小僧!このディオに犬のような首輪なんぞハメやがって!屈辱だ...今に見ていろ、僕はどんな手段を使ってでもお前を地面に這い蹲らせて無様に命乞いをさせた後に嬲り殺してやる!) 内に秘めたどす黒い感情をキウルに見せることなく、優しい貴族の仮面を被りほほ笑む。 ———クスクスクス 声。 彼らを嗤う声が廃墟に響き渡る! 「ディオさん、私の後ろに」 真っ先に動いたのはキウルだった。 戦に於いて不意の襲撃は慣れたものだ。 故にディオよりも危険を察知し対応する能力は高かった。 ——クスクスクス 暗闇の中、ひたひたと足音を鳴らし近づいてくるのは、一人の少女。 目を惹く様な金色の長髪と整った顔立ち、なによりやけに肌を露出させた黒衣を纏った少女。 (なんだこいつ...痴女か?) 「やあ、きみもこの殺し合いに巻き込まれたようだね。僕らは見ての通り殺し合いには賛同していない。よければ少し話を聞かせてもらいたいのだが、いいかい?」 現れた少女へ侮蔑の感情を抱きながらも、そこは堪えてディオは表面上はにこやかに接する。 むやみやたらに駒を増やすつもりはないが、まだゲームは序盤も序盤。 まずは積極的に情報だけでも得ておくべきだとディオは解っているからだ。 「いきなり拉致されて...首輪を繋がれて...こんなの...こんなの...」 ディオの問いかけに答える気があるのかないのか、少女は俯きぷるぷると身体を震わせている。 よほど怖いのかな、と気を遣ったキウルだが、しかしそれは憚られる。 「すっっっごく、えっちぃ♡」 少女は笑っていた。 頬を染め、息を荒げ、恍惚に酔っていた。 その笑顔を見た瞬間、キウルとディオの背筋に怖気が走り、少女を敵と見なし警戒心を最大限まで引き上げる。 「そこで足を止めてください。これ以上近づけば貴女を敵と見なします」 ディオに促されるよりも早く、キウルは弓矢を構え警告する。 だが。 少女は構わず足を進める。 まるで鼻歌の一つでも歌いださんかのように朗らかに、軽やかに。 警告に従い、少女を敵と見なしたキウルは矢を発射。 狙いは肩口。これこそが最後の警告だという意味も込めて。 迫る矢を視認しながらも少女は動かない。 否。 その足は、両腕は動かずとも、確かに動き蠢いている。 蠢くのは———意外ッ!それは髪の毛! 「えっ!?」 「なにっ!?」 甲高い金属音と共に落とされた矢を見やり、二人は驚愕の声を挙げる。 当然だろう。 なんせ今まで普通の毛髪だった少女の髪が、鉄の刃に変化していたのだから。 「あぁ...この私を排除しようと向けられる殺気...ヒリつく肌...懐かしい...」 天井を仰ぎながら呟く少女に構わず、キウルは再び矢を装填し放つ。 それを打ち落とされながらもキウルは努めて冷静にディオと共に民家から脱出しようとする。 「でもいまの私が欲しいのは」 少女のうわごとに耳を貸さず、キウルとディオは台所の裏口へと向かう。 そして水道を横切ったその瞬間 ———パァン 「わぷっ!?」 「うっ!?」 蛇口が破裂し、飛び散った水が二人に降り注ぐ。 「この身体を昂らせる、えっちぃ快感♡」 少女の独白と共に、キウルとディオの身体に違和感が走り始める。 ぬるり。 「ひぃっ!?」 首元に伝うぬめりとした感触に、キウルは思わず声を挙げる。 「これは...さっきの水か!だがこんなもの拭ってしまえば」 同じく首元に伝うぬめりを取るために掌を首元に遣ったその瞬間、その感触は彼の身体を這いずるように動いた。 「ぬぐっ!?」 ぬめりから伝わる奇妙な感触に思わず声を漏らすディオだが、ぬめりは構わず身体を駆けずり回る。 その首元から目指す先は———脇の下。 「むふぅッ!」 そのこそばゆさから生じかけた声を咄嗟に噛み殺すディオ。 そんな彼を嘲笑うかのように、ぬめりは移動どころか瞬く間に全身に広がっていく。 「ぬっ、おおおおおおおっ!?」 全身を弄るように蠢く、未知なる感触に溜まらずディオは悲鳴を挙げる。 「ディオさ...ひああああっ!?」 ディオと同じように全身に這いずり回る感触にキウルも思わず甘い声を漏らしてしまう。 「ふふっ...にゅるにゅる、気持ちいいですよね?えっちくて私も大好き♡」 少女は悠然とディオに歩み寄り、彼の耳元で囁く。 「ねえ、どうですか?男の人も、こういうえっちぃのが好きなんですかぁ?」 「———ふざけるなッ、誰がこんなもの!この貞操観念の欠片もないクソ売女(ビッチ)がぁ!!」 「そういう割には声が上ずってますよぉ?えいっ♪」 「ッ、おおおお———ッ、ぐぉっ、ふぅっ!」 少女が指を動かすと共に、ディオの身体に纏わりつく水の動きが増し、身体に走る甘い感覚が増幅していく。 「やっ、やめてくださいこんなこと...ふわあああっ!」 声を張ろうとするキウルを遮るように、水はくまなくキウルの全身を這いずり回り容赦なく快楽を与えていく。 「やめる?やめるですって?ふふっ、ダーメ♡だって...だって、いまの私は...」 ディオとキウルが悶えている中、少女の肢体にも水が絡みついていく。 身体に快楽が走り始め、ただでさえ露出の多い衣類から桃色の双極がはみ出していく。 だというのに、少女は動じない。 否。 その快楽に身を任せるように顔を蕩けさせながら、悶えていた。 「ハレンチだから」 「は、ハレンチってなんですか!?」 聞きなれない単語に思わず問いかけてしまうキウル。 それを引き金とするように、少女はにまりと笑みを浮かべる。 「知りたい?知りたいんですか?ふふっ、いいですよ。私も彼にえっちぃことの素晴らしさを教えられましたから。貴女も私のように目覚めさせて、彼への供物にしてあげます」 ゾクリ、とキウルの背に怖気が走る。 元来の整った顔立ちに加え、頬を蒸気させ、微笑みかけてくるその様は煽情的と言っても差し支えない。 だが、その眼は。暗殺者の如く据わり鋭い眼は、捕食者が獲物を逃がさないと決めた時のソレそのものであった。 パチン、と少女が指を鳴らすのと同時、髪の毛が幾多もの手に変化し、キウルの全身に纏わりつき始める。 「なっ、なにをっ!?くあっ!」 キウルが抵抗する間もなく、彼の衣類は剥かれ、その全身をくまなく弄り始められる。 臀部、胸、腹部。あらゆる箇所を弄られるキウルは思わず身を捩らせてしまう。 「やっ、やめてくださ...んっ」 「ふふふっ、女の子は誰もがあの人のテクに骨抜きにされちゃうんですよ」 手淫による快楽に悶えるキウルを、少女は息を荒げ欲望迸る眼で眺めていた。 「ねえ、素敵でしょうえっちぃこと...ん?」 だが。 数秒遅れて少女の緩んだ頬がもとの位置に戻る。 気づいたのだ。キウルの身体を弄っているうちに気が付いた違和感に。 不意にあたったほんのりと硬い感触。 女の子の部分にはないはずのとあるモノ。 その違和感の答えを、少女は口にする。 「あなた...男の子だったんですか」 「う、うぅ...」 少女の解答に、キウルの視界が滲んでいく。 悔しかった。 ずっと女の子だと思われていたことが。 身体を弄られ続け、ようやく男だと気づかれたことが。 情けなかった。 敵である女の子にいいようにされて、なのに自分の身体は気持ちよくなっていたことが。 いくら頭の中では違うと思っていても、正直に反応してしまう身体が。 悲しかった。 尊敬する義兄たちに、誇らしいと言われた自分のこの醜態が。 尊厳ともいうべき、自分の中の大切な何かを穢されつつあることが。 「———ッ!?」 そんなキウルの表情を見ていた少女の胸がドキリと弾む。 キウルが男であったことに落胆していた筈の表情に、再び熱が籠り始める。 「なんですかそのえっちぃ顔は」 少女がキウルの獣耳を優しくなでると、キウルの身体がビクリと弾む。 「あの人はそんな顔をしなかった...だって、あの人は温厚で真面目で、だけど不可抗力から生み出されるえっちぃテクニックが最高のハレンチの化身だから...」 つぅ、と身体を伝う指の線に、恐怖と快感の入り混じる感触がキウルの脳髄を侵食する。 「もっと見せてください。そのえっちぃ顔を。反応を。あの人に向ける最高の手向けへの生贄として!」 少女の髪が再び蠢き、触手、貝のような肉のヒダ、誰かの舌、etc...あらゆる異形へと変化していく。 「や...やめて...」 もはや体裁など関係ないと言わんばかりにキウルの頬に水滴が伝う。 本能でわかった。 あれらが一斉に向けられれば自分はもうダメになってしまうと。 (だれか...兄上、たすけ———) 終わりを告げられる現実から目を背けようと、その瞼が閉じられる。 「僕の前から消え失せろ、この汚らしい阿呆がぁぁぁぁ!!」 瞬間、叫び声と共にキウルの身体に纏わりついていた感触が消え失せる。 キウルが思わず眼を開けると、そこには妙な杖を構え息を荒げつつ片膝を着くディオがいるのみ。 少女は何処かへと消え失せていた。 「で、ディオさん...貴方が助けてくれたんですか。ありがとうございm」 「五月蠅いッ!もたもたしてるんじゃあないぞこのウスノロがッ!」 礼を言おうとしたキウルだが、しかし激昂したディオはそれを遮るように叫び、少女の支給品であるランドセルをキウルへと投げつけた。 「早くこの場を離れるぞ!さっきのは何処かへ飛ばしただけだ...奴はまたここにやってくるはずだ!」 「は、はい、すみません」 豹変したかのように声を荒げるディオに怖気づきながらも、キウルは彼の指示通りに荷物を纏めて後に続く。 (クソッ!このディオがあんな売女にいいようにされるだなんて!) 民家から退避する傍らで、ディオは先の少女への怒りと憎悪を滾らせていた。 (なにがえっちぃだ!ハレンチだ!気色の悪いことをしやがって!) 受けた恥辱と屈辱を思い返すだけで腸が煮えくりかえりそうになる。 目の前で辱めを受けるキウルを見てディオは理解していた。 次にあの醜態を晒すのは自分だと。 そんなのはごめんだ。何事も最終的に勝てば良いとは思っているし、勝てるなら泥に這いつくばろうが辛酸を嘗めようがある程度は我慢できる。 だが、あんなキウルのような情けない面を晒して嗤いものにされるのはごめんだ。 だからここでカードを切った。 使用回数に限りがあるバシルーラの杖。 キウルと弓矢と交換した子の支給品を。 あんな痴女にカードを一つ切らされた、という屈辱はそうたやすくは拭えない。 それだけではない。 少女に水攻めをされた時、表面上は平静を保ってはいたが、少女の言う通りだった。 なんとか噛み殺しはしたが、ディオの身体は未だに疼いている。 そう。あろうことか、あの水攻めを気持ちいいと感じてしまったのだ。 それが彼の逆鱗に触れた。 (こんな屈辱はエリナに泥水で口を洗われた時以来だ...あの小娘に乃亜!貴様らはこのディオが必ず惨殺処刑にしてやるッ!) 【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]精神的疲労(中)、疲労(中)、敏感状態、服がビショビショ、怒り [装備]バシルーラの杖[残り回数4回]@トルネコの大冒険3(キウルの支給品) [道具]基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。 0:今はあの痴女が戻ってくるまでにこの家を離れる。 1:キウルを利用し上手く立ち回る。 2:先ほどの金髪の痴女に警戒。奴は絶対に許さない。 [備考] ※参戦時期はダニーを殺した後 【キウル@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]精神的疲労(大)、疲労(大)、敏感状態、服がビショビショ [装備]弓矢@現実(ディオの支給品) [道具]基本支給品、ランダム支給品0~2 闇の基本支給品、闇のランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本方針:殺し合いからの脱出 0:今はあの少女が戻ってくるまでにこの家を離れる。 1:ディオを護る。 2:先ほどの金髪の少女に警戒 [備考] ※参戦時期は二人の白皇本編終了後 「あ~あ、しくじっちゃった」 少女は夜空を仰ぎながらぽりぽりと頭を掻く。 少女は指にはめた指輪を掲げながら想いにふける。 指輪の名は、帝具『ブラックマリン』。 傍にある、触れたことのある液体を自在に操る道具だ。 彼女はこれを使い、水道の水を操り、且つ己の変身(トランス)能力で蠢くスライムとしてキウルとディオに纏わりつかせた。 そこまでは順調だった。 だが、キウルの恥辱に晒された泣き顔を見てから狂いが生じた。 もとより、あの二人には本命へのえっちぃ殺し方の練習台くらいにしか見ていなかった。 だが、キウルの泣き顔を見てつい思ってしまった。『えっちぃ』と。 あのえっちさをもっと見たい。あの顔を大好きなあの人にしてもらったらどれほど素敵だろう。 そんな衝動に駆られ、その隙を突かれてしまった。 「ちょっと残念だけど...収穫はあったかな」 彼女の知る『えっちぃ』ことは、男の側から攻められることだけだった。 時にはパンツを見られ。時には胸を揉まれ。時には乳首を吸われ。時には股座に顔を突っ込まれ。 真面目で誠実な彼から受ける不可抗力なラッキースケベを通じてえっちぃものを素敵だと調教された。 だが今回のキウルで思った。女の子が男を攻めるのもまた『えっちぃ』ことなのだと。 「えっちぃことって一つじゃなかったんだ...やっぱり素敵♪」 少女は脳内で妄想にふける。 大好きなあの人が。自分をえっちぃことが好きな子に変えてくれたあの人が。 ただ自分を気持ちよくするだけではなく、気持ちよくされすぎて涙が出るほどによがり狂う様を。 そんな快感の絶頂の中で、彼の息の根を止めることを。 もしもそれが実現したならば。それはきっと最高にえっちぃプレイだろう。 「待っててね、結城リト...私の最愛の標的(ターゲット)♡」 少女は笑う。 期待に胸を高鳴らせて恍惚に蕩ける。 彼女の名は『金色の闇』。 かつて宇宙の殺し屋として名を馳せ、そして地球で変わった生態兵器。 優しさと温もりと愛とえっちぃことに触れて、殺戮から色欲に生まれ変わった『ダークネス』。 【金色の闇@TOLOVEる ダークネス】 [状態]興奮、ダークネス状態 [装備]帝具ブラックマリン@アカメが斬る! [道具] [思考・状況] 基本方針:殺し合いから帰還したら結城リトをたっぷり愛して殺す 1:えっちぃことを愉しむ。脱出の為には殺しも辞さない。もちろん優勝も。 2:えっちぃのをもっと突き詰める。色んな種類があるんだね...素敵♡ 3:さっきの二人は見つけたらまた楽しんじゃおうかな♪ [備考] ※参戦時期はTOLOVEるダークネス40話~45話までの間 140 fake town baby 投下順に読む 154 二分後に君が来なくとも 時系列順に読む START ディオ・ブランドー 016 水平線の向こう側へ START キウル START 金色の闇 005 剥がれ落ちた羽にも気付かずに
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平成22年4月1日の在籍者数に対する調査 平成22年度 出身中学校一覧 三重県 桑名市 明正中学校 10名 〃 〃 成徳中学校 9名 〃 〃 陽和中学校 9名 〃 〃 正和中学校 7名 〃 〃 長島中学校 6名 〃 〃 光陵中学校 5名 〃 〃 光風中学校 4名 〃 〃 陵成中学校 4名 〃 〃 多度中学校 1名 〃 桑名郡 木曽岬中学校 1名 〃 いなべ市 北勢中学校 1名 〃 東員町 東員第一中学校 1名 〃 〃 東員第二中学校 1名 〃 三重郡 川越中学校 1名 〃 四日市市 富州原中学校 2名 〃 〃 朝明中学校 2名 〃 〃 西笹川中学校 2名 〃 〃 三重平中学校 1名 〃 〃 保々中学校 1名 〃 伊勢市 五十鈴中学校 2名 愛知県 名古屋市 笹島中学校 1名 〃 半田市 乙川中学校 1名 〃 半田市 亀崎中学校 1名 岐阜県 瑞穂市 穂積中学校 1名 〃 白川町 黒川中学校 1名 海外 スリランカ ケリ中学校 1名 〃 ブラジル ツヤ オオノ キムラ中学校 1名 その他 認定試験 中学校卒業程度 1名 平成22年度 現住所一覧 1年 2年 3年 4年 合計 桑名市 19 9 15 15 58 木曽岬町 1 1 2 いなべ市 2 1 3 東員町 1 1 2 四日市市 2 5 3 10 川越町 2 2 鈴鹿市 1 1 愛知県 1 1 ※定時制課程は、三重県に居住もしくは勤務をしている生徒が在学できます。 平成22年度 PTA地区一覧 1年 2年 3年 4年 合計 陽和 5 1 4 3 13 成徳 3 3 2 4 12 明正 4 2 2 3 11 長島 1 2 2 3 8 光陵 3 2 1 6 正和 2 2 4 光風 1 2 1 4 陵成 2 1 3 多度 1 1 員弁 1 2 2 5 三泗 3 5 2 1 11 平成21年4月1日の在籍者数に対する調査 平成21年度 出身中学校一覧 三重県 桑名市 成徳中学校 13名 〃 〃 陽和中学校 8名 〃 〃 正和中学校 6名 〃 〃 光風中学校 6名 〃 〃 明正中学校 5名 〃 〃 長島中学校 5名 〃 〃 光陵中学校 4名 〃 〃 陵成中学校 3名 〃 〃 明正中学校 3名 〃 いなべ市 員弁中学校 1名 〃 〃 北勢中学校 1名 〃 東員町 東員第二中学校 3名 〃 川越町 川越中学校 1名 〃 四日市市 富州原中学校 3名 〃 〃 西笹川中学校 3名 〃 〃 朝明中学校 3名 〃 〃 三重平中学校 1名 〃 〃 常磐中学校 1名 〃 〃 保々中学校 1名 〃 津市 一身田中学校 1名 〃 伊勢市 五十鈴中学校 2名 愛知県 名古屋市 笹島中学校 1名 〃 碧南市 碧南中学校 1名 〃 半田市 亀崎中学校 1名 岐阜県 白川町 黒川中学校 1名 奈良県 大和高田市 片塩中学校 1名 海外 スリランカ ケリ中学校 1名 〃 ブラジル ツヤ オオノ キムラ中学校 1名 その他 認定試験 中学校卒業程度 1名 ※定時制課程は、三重県に居住もしくは勤務をしている生徒が在学できます。 - since 2009.6.1
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いかせのごれに程近い県にある中学校 海が近く、港町として発展してきた町の学校だったがいかせのごれ復活に伴い海が消えたという歴史がある いかせのごれ復活以前からあり、それだけに年季の入った校舎 制作者:鶯色 カルーアトラズ刑務所← ナイアナザー施設 →UHラボ(施設)
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「ボ~」 電灯に照らされる夜の公園の中で、ふたば幼稚園に通う五歳児──ボーちゃんは、まずしんのすけたちを探そう、と決意した。 ボーちゃんは知っていたからだ。 毎回こういった非日常にはしんのすけが関わっている、という事を。 残虐に、二人の兄弟と思わしき子供を殺した乃亜の事は恐ろしかった。 だが、しんのすけ率いるかすかべ防衛隊はこれまで多くの危機を乗り越えてきた。 どんな強敵も、困難も、しんちゃんと一緒に、五人で潜り抜けてきた。 だから、今回もきっとそうなるはず。 楽観ではなく確かな信頼として、ボーちゃんはそう信じていた。 「ボ!」 そうと決まれば、さっそく行動開始だ。 取り合えず、地図を検めて、しんちゃん達が向かいそうな場所をチェックすることにする。 勿論、その前に周囲に誰か忍び寄っていないか確認するのも忘れない。 鼻水を垂らし、とても聡明そうには見えない見た目の少年だったが、ボーちゃんは五歳児とは思えない程の冷静さを兼ね備えていた。 「ボ…?」 だが、そんな時の事だった。 夜目が効かない子供の為に設置されたであろう電灯に照らされて。 そこは心なしかきらきらと光沢を放っている様だった。 事実、そこは電灯の光を反射して光っていた。 目を凝らして見てみると、その場所は年幼いボーちゃんでも馴み深い砂場だった。 その砂場でボーちゃんはある物を見つけた。 「ボ~!」 見つけたのは、彼がコレクションして集めている味わい深い石だった。 光に照らされて存在感を放つその石は、他のものが見れば何の変哲もない石だったが。 ボーちゃんにとっては、得も言われぬ惹かれる物を感じた。 きょろきょろと辺りを見回して、周囲に影がないことを確認する。 そしてそそくさと、その石に近づき、拾い上げた。 「ボォ…!これは、いい石!」 拾い上げた石は本当に何の変哲もない石だったが、ボーちゃんにとってはがっちり心を掴まれる一品だった。 この程度なら荷物にもならないし持っていこう、手に取った瞬間からそう決めた程だ。 大事にポケットに仕舞い、満足げに垂れている鼻水が揺れる。 さぁ、幸先のいいスタートを切ったところで今度こそしんちゃんを探しに行こう。 そう思い、砂場から離れようとした所で──異変が起こった。 「ボ……!?」 足が、砂場の砂に沈み込んでいる。 まるで、深い沼に嵌まった様だ。 直ぐに抜け出そうと足に力を籠め、直後、彼の両足を激痛が襲った。 「ボ!?ボォオオオオッ!!!」 血しぶきが舞い、ボーちゃんの手と足元の砂を濡らした。 最初は何が起こったのか分からなかった。 焼けた鉄の棒を足に急に押し付けられた様な鋭い痛みが両足を襲い、その痛みに導かれるように視線を下げる。 そして、それを見た瞬間、背筋が凍った。 足元の砂がボーちゃんの足にまとわりつき、押しつぶしていたのだ。 しかも、起きる異変はそれだけに留まらない。 「こ…!この砂場、深いッッ!?」 ボーちゃんの体全体が、砂場に埋まり始めていた。 まるで、底なし沼か、砂漠で起きるという流砂の様に。 普通の砂場ではまずありえない現象がそこでは起きていた。 「た…助けて、しんちゃん!風間君!ネネちゃん!マサオくん!」 沈み込んでいく身体は、痛みさえも一瞬意識の外へ行ってしまうほどの恐怖だった。 何とか抜け出そうと藻掻くものの、壊れた足ではどうにもならない。 むしろ藻掻けば藻掻くほど体は沈み込んでいくのだ。 「ボォ…たす、助けて!ボク、まだ死にたく……!!」 助けを求める声が、虚しく公園の中に木霊する。 何時もならこういう時絶対に来てくれる筈のしんのすけ達や、お助けの大人は、今回は現れない。 そうしている間にも、どんどん体は沈み込んでいく。 「ボォ~!!」 恐怖に耐えきれず、叫び声をあげる。 それと、殆ど同時だった。 公園の入り口の辺りに、人影を見たのは。 一瞬、ボーちゃんの心の中で希望が湧いた。 やった、これで助かる、と。 だが、入り口から歩いてくるその人影が電灯に照らされた瞬間、希望は絶望へと反転する。 「ぼ、ぉ……!」 電灯に照らされて佇むその少年は、まだ年齢は少年という外見だったが、ボーちゃんより一回りは上である様だった。 紅い髪に、隈取の様な深い隈、額に刻まれた文字、少年の背丈ほどもある大きな瓢箪。 それだけなら変わったいで立ちという話で済んだ。 ボーちゃんの心胆を何より凍らせたのは、少年のその瞳だ。 深い深い…暗闇の様な目だった。 その目を見た瞬間、語らずとも目の前の少年がこの事態を起こしたのだと直感する。 だが、その時にはもうすべてが遅かった。 「ぼ、ぼぉ……しん、ちゃん……!」 もう体は、胴を通り過ぎて胸まで砂に埋まっている。 抜け出すどころか、藻掻く事さえ今となっては困難を極めた。 ボーちゃんはこの時自分の運命を悟った。 そして、ただ絶望するだけでは彼は終わらない。 片手をわざと砂の中に突っ込み、ポケットの中から先ほど拾った石を取り出す。 そして、砂に埋まりながらも自身の血で染まった指を走らせた。 「後は……頼んだよ……!」 綴る文字はこの凶行に及んだ下手人である少年の額に刻まれた文字。 ボーちゃんはその文字がなんて書いてあるのか読めなかったが、真似して石に書くことはできた。 真っ赤な地文字で書かれた「愛」の一文字が、石に記される。 そうして書いた石を、砂場の外に放り投げた。 それは、ボーちゃんも家族と一緒に見る推理ドラマで行われていた行為だった。 ダイイングメッセージという名の、死者から生者へ遺すメッセージだ。 それを終えると、ボーちゃんができる事は完全に終わった。 (……しんちゃん達が……ここに……来て、ませんように……) 最後に思い浮かぶのは両親と、今迄多くの冒険を繰り広げてきた友達の顔だった。 もししんちゃん達がいたら、自分を殺した少年には気を付けて欲しいけれど。 それでもやっぱり、こんな殺し合いにいないのならそれが一番だと、そう思った。 それが、ボーちゃんの意識が闇に閉ざされる前の、最後に考えた事だった。 【ボーちゃん@クレヨンしんちゃん 死亡】 ──貴女の名は我愛羅 ──我を愛する修羅…… ──自分だけを愛しなさい、そして自分のためだけに戦いなさい。 ────そうすれば、アナタは存在し続ける。 「あぁ……分かってる、分かってるよ、母さん……」 先ず一人目だ、砂隠れの里の忍、砂漠の我愛羅は今しがた殺した子供の荷物を奪いながらそう思った。 最初に自分の犠牲になったのは忍者ですらない、ただの子供だったらしい。 全くと言っていいほど、歯ごたえのない相手だった。 一応唯一抵抗らしい抵抗であった、最後に放り投げた石は少し見てから放り捨てた。 自分が下手人である事を隠すつもりなど毛頭なかったから。 これでは足りない。まだまだ母さんと夜叉丸に捧げる血が足りない。 只の子供を何百人と喰らった所で、食前酒にもなりはしない。 より強い力の相手を、より強い憎しみを下した時にのみ、自分は己の生を実感できるのだから。 石を見て更なる敵が来てくれるのなら、それは願ったりだ。 「………次だ」 奪ったデイパックの中身を検分しながら、砂の化身を宿した少年は次の獲物を、次の血を求めて歩みだす。 乃亜の存在自体は至極どうでも良かったが、彼の殺しあえという命令は今の我愛羅にとってとてもよく馴染む物だった。 一条の光も刺さない孤独こそ、我の強さ。 汲んでも汲みつくせぬ憎しみこそ、我の存在理由。 故に振るう凶行に、全てを殺すという殺戮に、意味はいらず。 ただ、自分以外の全てを自らの砂の下へ沈めるために、彼はこの殺し合いに参加する。 ───貴女は、愛されてなどいなかった……! ……本来であれば。 彼にはもっと違う未来が待っているはずだった。 過去の呪いを、己の出自を乗り越えて。 誰もが認める長に成長する筈だった。 ──いつも痛いんだ…血は出ないけど、胸の…ここんところが凄く痛いんだ。 ──今、ここに敵はいない! ──何故なら皆、暁に傷つけられた痛みを持っている! ──砂も岩も木ノ葉も霧も雲も無い! ────あるのはただ、“忍”だ!! 過去と未来。 人の心の痛みを知っていた少年の面影を、今は憎しみと言う闇が閉ざす。 【我愛羅@NARUTO-少年編-】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品×2、ランダム支給品2~6 [思考・状況]基本方針:皆殺し 1.出会った敵と闘い、殺す [備考] 原作13巻、中忍試験のサスケ戦直前での参戦です 守鶴の完全顕現は制限されています。 046 イッツァ ショータ~~イム! 投下順に読む 056 play with blood 時系列順に読む START 我愛羅 029 たった1つの石ころで人生は大きく変わる START ボーちゃん GAME OVER
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とても重要な中学受験の為の願書の書き方があり、書き方を覚えておけばとても便利です。書き方は、ゆっくりと丁寧にボールペンで書きます。ポジティブな志望理由を書く事が肝心で、その中学校で行われているイベントや学校の良い部分を書くようにします。 かすれる事の無いボールペンを使い、志望者の子供の名前を戸籍上に登録されている漢字で書くようにします。ふりがなの部分のひらがなかカタカナをよく確認してから記入し、生年月日の記入の仕方も気をつけるようにします。 家族構成や緊急連絡先を記入する場わいもあり、誰の携帯番号かを記入して相手に分かるようにします。中学受験をする子供の良い所の長所や短所を書き、より子供の個性と魅力を伝える事もポイントです。 過去に卒業した学校の名前を書く時には、私立の時には学校名の前に私立を書いてから学校名を書くようにします。中学受験の願書の書く人が、親が書いて良い場わいと子供が直接書かなければならない事があるので確認します。 一度下書きをしてから記入した方が間違いが無く記入しやすく、その願書に記入した内容をしっかりと言えるように覚えておく事も重要です。
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覚え書き 確定 乾中学校 園池中学校 未確定 御六戸中学校 瑞山中学校 忍野中学校 岸館中学校 雨塚中学校 丘坂中学校 羽水北中学校 羽水南中学校
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ここは会場内にあるツリーハウスの中、そこには亜麻色の短い髪をした一人の少女がいた。 黒いチューブトップの上に緑色のコートのようなものを羽織り、また下半身はホットパンツと足には無数のベルトが付いたブーツを履いた、へそ出しファッションの少女だった。 そんな恰好をした彼女は根元の部分に穴の開いた刃物を片手に、このツリーハウスの中でずっと考え込んでいた。 「なんで僕達は、ずっと一緒に遊んでいることができないんだろう?」 彼女は考える。なぜ自分以外の子供はずっと子供でいられず、いつかは大人になってしまうのかを。 「僕はこんなにもみんなを愛しているのに、どうしてみんなは僕を置いて行ってしまうんだろう?」 彼女は悩む。かつて子供だった大人たちは、どうして自分のことを忘れていってしまうのかを。 「なんで僕以外の子供は、いつか大人になってしまって、そして穢れていってしまうんだろう?」 彼女は思い出す。とある海賊との対決に敗れ、その部下たちによって慰み者にされ純潔を失った日のことを。 「なんで僕の友達たちは、あんな穢らわしい生き物に変わってしまうんだろう? どうして僕のように、いつまでも子供のままでいられないんだろう?」 彼女は嘆く。自分が愛していたはずの子供たちが、いつしか自分を裏切ってしまうのかを。 「あぁ……そうか、そうすればいいんだ。こうすれば、かつての友達たちをもう間引く必要もないんだ」 そして彼女は何かに気づくと共に、歪んだ笑みを浮かべた。 「ここでなら僕の願いを叶えられる。なら、みんなが子供のまま変わらないことを願えばいいんだ」 それは彼女の心からの願いだった。彼女は彼らとずっと一緒にいたかったのだから。 「だって僕は、みんなのことが大好きなんだから……!かつては子供だった、みんなのことを愛していたんだから……!」 何故なら彼女は、どこまでも子供が大好きなのだから。 そして彼女は頬を赤らめ、ウットリとした表情で悦に浸り始めた。 だが今の彼女の顔は穢れを知らない子供と言うよりは、彼女自身が嫌う"オトナの女性"のようであった。 それは大人になりたくないと思っていた存在。 自分以外の子供が大人になることも許せなかった存在。 周りの子供たちが大人になるにつれて、彼らを間引いていった存在。 その名は『悠久の小童』。 ……またの名を、『ピーターパン』といった。 【悠久の小童@Alice Re Code】 [状態]:健康、恍惚としている [装備]:風切羽の剣@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本行動方針:自分以外の子供たちが、永遠に子供でいられるようにする。 1:みんな、大人になんかなっちゃだめだよ!僕といつまでも一緒に遊ぼう! 2:大人は子供たちを食い物にして酷いことをするんだ。だから、君たちには絶対にそんな存在になってほしくないんだよ。 3:もしもこの場に穢らわしい大人たちがいるのであれば、皆殺しにする。 [備考] 『支給品紹介』 【風切羽の剣@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド】 悠久の小童に支給。鳥と人が合わさったような見た目をした種族『リト族』が使う両刃の剣。 空中でも素早い動きができるように軽量化する工夫がされているがその分耐久力は低くなっている。
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────手を離された。 一緒に冒険していた嘗ての相棒に。 あの時、森の中にあった1軒の家屋から助け出した筈の少女で、名前は『シックス』だった。 テレビの中の世界に連れさらわれ、その中の電波塔で巨大な化け物の姿になっていた彼女を救う為とはいえ、 大切にしていたオルゴールを壊してまで元の小さな姿に戻した彼女に。 電波塔の主が居なくなり、肉塊の化け物に浸食されて崩壊しつつあったテレビの中の世界、 その出口を目前にして崩壊した足場から落下しそうになっていた自分の手を一度は掴んでくれたけど、その手を突然にも離された自分は一人、肉塊が迫る塔の下層階へと落ちていった──── •••••••• しかし、気がつくと見知らぬ子供たち達が集められた部屋におり、 その壇上で何かを喋り、首を吹き飛ばした兄弟を嘲う緑髪の少年を目にした。 •••••••• 「あの、大丈夫ですの!?」 ──会場内のとあるレンガ造りの一軒家。 薪をくべられた暖炉の前、絨毯の上でピンク髪の参加者であるペシュ•ファーマーに介抱される少年。 名前は『モノ』。 彼は現在居る家屋のリビングに転移され、そのまま目覚めずにいるところをペシュに発見され、暖炉の前まで運ばれて現在に至っている。 そんなモノを見守るペシュ。 彼女は15歳ではあるが、身長はたったの100cm。 また、『愛の大使』というありとあらゆる生き物を愛し、争いごとを好まない種族である。 ペシュ自身も多数の魔法使いを輩出してきた名門の魔法学校ウィル•オ•ウィスプに通い、クラスメイト達と共に様々な出会いや戦い、そして悲しみを経験し、元いた世界を救った経緯があるのだ。 当然、この殺し合いは彼女にとっても許せず、主催にも従わずに他の子供たちを救おうと思っており、この会場で最初に出会ったモノを見守っているのである。 【ペシュ•ファーマー@マジカルバケーション】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。 1 最初に出会った少年(モノ)が目覚めるまでの間見守る。 2 モノが目覚めたら一緒に移動しようかな? 3 知り合いが巻き込まれていないか心配。 [備考] ※参戦時期は本編終了後。 ※魔法の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。 【モノ@リトルナイトメア2】 [状態]:眠っている、体に痩せ [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:???。 1 シックスは…シックスはどうしたんだろう…?何処にいるんだろう…? [備考] ※参戦時期は本編ラスト、肉塊の怪物に浸食されつつあるテレビの中の世界にある出口の前で崩落した足場があった場所でシックスに掴まれていた手を離されて落下してから電波塔の椅子が一つある部屋で成長するまでの間。 ※特殊能力の類の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。 ※一人称や口調、その他細かい設定についても後続の書き手様にお任せします。 ※乃亜の説明を把握しているかは不明。(後続の書き手様にお任せします。)
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美希(ノーマル)メール「中学生の頃☆」 取得条件:ランクCの営業「ある日の風景5」でパーフェクトを取る ミキだよ☆今日も疲れたけど、楽しかったね→(^o^) 中学生の頃のプロデュ→サ→さんに、会ってみたかったな→。 ドキドキして、授業中にミキのことチラ見なんて、 そんな純情な男子、ミキの周りにはいないよ。 そんな、かわいいカンジの子がいたら、ミキ、好きになっちゃうかも```。 あ、キモイ感じだったら、ダメだけど。 でも、プロデュ→サ→さんならOK!あはっ☆ でも案外、ミキ、中学生のプロデュ→サ→さんにフラレちゃったりして。 「話してみたらタイプじゃなかった」 とか言って。むー!そんなの、や! ```やっぱ、プロデュ→サ→さんは、今のプロデュ→サ→さんが、1番かな☆ 今のミキを、よろしくね。レッスンとか、また、やろうね。それじゃ! 美希(ノーマル)メール一覧に戻る トップページに戻る