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一枚目に入手するのは、全員共通で「第5番 第36楽章 嬉遊曲『静寂の願い』」 二枚目からはランダム。○○曲『○○の○○』の法則性は現在不明 法則性解明のため、集めやすい第99番のみリストアップしています。楽章番号順に追加していただけると探しやすいです。譜面構成は上段がFMS、下段がBMSです。 どの楽曲も4パートに分かれていますが、楽曲により分かれている箇所は異なり、同じ色が続いた場合2,3パートに見える場合があります。 どこで分かれているか判断できない場合は、そのまま2~3パートの色分けを記載お願いします。 番号 楽章 曲名 BOSS No.1 DROP ITEM BOSS No.2 DROP ITEM BOSS No.3 DROP ITEM 譜面構成 第5番 第36楽章 嬉遊曲『静寂の願い』 鉄巨人 黄のクリスタルの欠片 カイナッツォ 橙のクリスタルの欠片 ジャッジ 黄のクリスタルの欠片 サイトロの書 翠のクリスタルの欠片 藍のクリスタルの欠片 ひかりのカーテン ボムのかけら 銀のクリスタルの欠片 番号 楽章 曲名 BOSS No.1 DROP ITEM BOSS No.2 DROP ITEM BOSS No.3 DROP ITEM 譜面構成 第99番 第05楽章 舞楽曲『妖精の居城』 ルビカンテ ??? 鉄巨人 ??? カオス 黒のクリスタルの欠片 緑赤黄青 ??? ??? 中級いのりの書 黄赤緑黄 タンタルの野菜 ??? 盗賊の小手 第99番 第08楽章 輪廻曲『応竜が御名』 グリーンドラゴン ??? No.2 ??? No.3 ??? ??? ??? ??? シヴァの魔石 ??? ??? 第99番 第09楽章 儀礼曲『朱雀の資格』 ベヒーモス 英雄の薬 鉄巨人 ??? アルテマウェポン 虹のクリスタルの欠片 ゼウスのいかり ??? オーディンの魔石 きょじんのくすり リボン リボン 第99番 第09楽章 儀礼曲『天使は居城』 ベヒーモス 中級がまんの書 鉄巨人 バハムートの魔石 闇王 白のクリスタルの欠片 オーディンの魔石 ??? モグのお守り モルルのお守り ??? エルメスの靴 第99番 第11楽章 奏鳴曲『妖精の魔境』 ルビカンテ ??? ??? ??? まおうザンデ ??? ??? ??? EXP集中の書 フェニックスの尾 ??? ??? 第99番 第11楽章 舞踏曲『白虎が御名』 No.1 ??? グリーンドラゴン 上級いのりの書 オズマ 金のクリスタルの欠片 青赤黄黄 ??? ??? ??? 青黄青赤 ??? ??? シヴァの魔石 第99番 第27楽章 霊雲曲『精霊の秘法』 No.1 ??? No.2 ??? No.3 ??? ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第28楽章 流浪曲『英雄が邂逅』 ??? ??? ??? ??? カオス 黒のクリスタルの欠片 ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第29楽章 数奇曲『青龍の資格』 No.1 ??? No.2 ??? グリーンドラゴン ??? ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第29楽章 象徴曲『鬼神は御名』 ルビカンテ ??? ベヒーモス ??? オズマ ??? バハムートの魔石 ボムのかけら ボムのかけら エクスポーション ??? 盗賊の小手 第99番 第33楽章 奇想曲『鬼神と御名』 鉄巨人 バハムートの魔石 ギルガメッシュ ??? アルテマウェポン 紺のクリスタルの欠片 シルキスの野菜 ぬすむの書 ??? エクスポーション 盗賊の小手 エクスポーション 第99番 第39楽章 星運曲『応竜と秘宝』 グリーンドラゴン ??? ギルガメッシュ ぜになげの書 オメガ 虹のクリスタルの欠片 イフリートの魔石 バッカスのさけ エクスポーション エクスポーション なんきょくのかぜ ??? 第99番 第39楽章 星運曲『魔王の邂逅』 ベヒーモス バハムートの魔石 ルビカンテ ??? シーモア異体 紺のクリスタルの欠片 上級いのりの書 ギサールの野菜 ??? ケアルガの書 盗賊の小手 モグのお守り 第99番 第45楽章 幻想曲『英雄は御名』 ベヒーモス ??? ギルガメッシュ ??? カオス 黒のクリスタルの欠片 ??? ??? ??? なんきょくのかぜ オーディンの魔石 盗賊の小手 第99番 第55楽章 舞楽曲『妖精の挑戦』 ギルガメッシュ ??? ルビカンテ ??? アルテマウェポン 紺のクリスタルの欠片 赤赤黄 ??? ??? ??? 黄青緑緑 リボン ハイポーション ギサールの野菜 第99番 第68楽章 輪廻曲『玄武と挑戦』 ギルガメッシュ オーディンの魔石 ルビカンテ ゼウスのいかり 闇王 ??? バッカスのさけ シルキスの野菜 ??? ハイポーション ハイポーション ボムのかけら 第99番 第71楽章 舞踏曲『悪魔の居城』 グリーンドラゴン ??? ベヒーモス オーディンの魔石 闇王 灰のクリスタルの欠片 緑黄緑緑 ボムのかけら シルキスの野菜 ??? イフリートの魔石 リボン エルメスの靴 第99番 第73楽章 恋想曲『賢者の咆哮』 グリーンドラゴン モグのお守り ベヒーモス 上級いのりの書 シーモア異体 紺のクリスタルの欠片 黄緑赤黄 フェニックスの尾 ??? 中級がまんの書 イフリートの魔石 なんきょくのかぜ ??? 第99番 第73楽章 悲哀曲『霊亀の居城』 鉄巨人 サイトロの書 ルビカンテ オーディンの魔石 闇王 紺のクリスタルの欠片 青緑緑黄 ゼウスのいかり ??? モグのお守り 青青黄 ??? エクスポーション ギサールの野菜 第99番 第78楽章 恋想曲『白虎の魔境』 鉄巨人 エリクサー ベヒーモス エクスポーション オメガ ??? 赤青黄黄 イフリートの魔石 ギサールの野菜 おもいだすの書 ??? タンタルの野菜 リボン 第99番 第79楽章 恋想曲『妖精と秘宝』 ベヒーモス フェニックスの羽 ギルガメッシュ フェニックスの羽 カオス 黒のクリスタルの欠片 シルキスの野菜 モルルのお守り ??? ??? ふうましゅりけん エクスポーション 第99番 第87楽章 宴舞曲『覇王の生誕』 鉄巨人 ボムのかけら ベヒーモス 上級EXPアップの書 闇王 紺のクリスタルの欠片 青青緑青 ??? エリクサー フェニックスの羽 モルルのお守り ギサールの野菜 ??? 第99番 第88楽章 宴舞曲『天使の邂逅』 ??? ??? ベヒーモス ぬすむの書 ジャッジ ??? 赤赤青緑 ??? ??? エリクサー??? ??? リボン バッカスのさけ 第99番 第92楽章 創造曲『玄武と邂逅』 No.1 ??? No.2 ??? No.3 ??? ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第99楽章 星運曲『英雄は咆哮』 No.1 ??? 鉄巨人 ??? オメガ ??? ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第99楽章 星運曲『霊亀の資格』 No.1 ??? No.2 ??? No.3 ??? ??? ??? ??? ??? ??? ??? 第99番 第99楽章 数奇曲『霊亀の咆哮』 ルビカンテ ??? No.2 ??? 闇王 虹のクリスタルの欠片 モグのお守り ??? ??? エクスポーション ??? ???
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FIRE FIRE◆5WJyYTYBtI 結局、俺は一人になった。 槍を持って鎧まで装備した、まるでゲームから出てきたような男。 片や、炎を纏い操る真赤なマント男。 しかも、お互い知り合いときた。 「……聞きたいことは山ほどあるってのに」 炎男ことルビカンテは、自分の名を名乗ると「ゴルべーザ様を探さねば」などと言ってどこかへ消えてしまった。こんな森の中であんな炎男がぶらついてたら火事でもおきやしないか心配だ。 「でも、ルビカンテは悪い奴じゃあないのか……な。助けてくれたし」 今俺の手に握られているのは、一本のスパナ。かなり大きめで、工具としてだけでなく武器としても十分なサイズだ。 ルビカンテが去り際に渡してくれたものだ。本人は使わないから、らしい。確かに、漫画か何かからそのまま出てきたみたいな奴には不要な代物だろう。 一般ピープル・花村陽介にとっては、武器の存在は重要、ありがたく使わせてもらう。 元々は二本セットになっていたのだが、両手を塞ぐのはマズいと思ったのでもう一本はデイパックにしまうことにした。 「俺の残りの支給品で武器になりそうなものといえば、こんなのだったもんなあ……」 デイパックを開けると嫌でも目に入る、スタンドマイク。 カラオケ大会でもやれってか。殺し合いよりはマシだな、うん。でもここで歌うと殺されるよな、俺。 ……ってか、なんでこのサイズのデイパックにこんなスタンドマイクがそのまま収まってるんだ!? 「……四次元ポケット?」 ……あまり驚かない自分に驚いた。 テレビの事件で慣れたんだな、俺。 スパナをしまい、デイパックを閉じて立ち上がる。 コンパスと地図を確認する。目指すタウロスタウンは東。こんな森をうろつくより、町に出れば何かわかるだろ。 「よし、行くか!」 一人作戦会議終了。 さっきより少し慎重に足を踏み出し、歩き出した。 ◆ 「花村陽介、か……」 先程邂逅した少年、花村陽介。 見たところ、何の力も持たない、ただの人間。 しかし、私の心には何かひっかかるものがあった。 先程は助けに入ってしまったが、もし助けが入らなければ奴はどうしていたのだろうか? 花村は間違いなくただの人間、しかも戦いの心得もないような少年だった。 だが――私がカインを止めに入らなかったとしても、奴が槍に突き刺されて死ぬような気が、しなかった。 私はゴルべーザ様を信じているが、私自身の感覚も同様に信じている。 何か……見えない力が、花村陽介にはある。私の直感がそう言っている。 よって、私は一旦花村と別れる事にした。奴が本当に得体の知れぬ力を持っているのならば、私が味方せずともこの殺し合いとやらを生き延びる事は出来るだろう。 死んでしまうようならそれまで、だ。 花村と別れ、随分歩いた。木々はいっそう生い茂り、月の光もあまり届かぬ道を進んでいく。 目指すはあの巨大な木。地図では世界樹となっていたが……相当な大きさの木だ。ずっと見えているのに、これほど歩いてもまだその下にたどり着くことが出来ない。 木々をかきわけるように進む。進む。 その時だった。 巨大な世界樹に、一本の閃光が走る。 同時にその光は炎と変わり、木を侵食し始めた。 「なんだ、あれは!」 猛烈な炎が、世界樹を焼き尽くそうとしているのが、この離れた場所からでもよく見える。 おそらく、あの勢いだと世界樹が倒れるのも時間の問題だろう。 私は世界樹へ向けた足を早め、走り出した。 あれほどの巨大な木を燃やす程の力を持つ者は、そうそう居ない。 かなりの手練れ、しかもあれほどの力を放ったということは、それ相応の敵が居たという事。 炎を上げ、木々を焼きながら走り続ける。 一体誰が、あの世界樹の下に居るというのか! それを思うと、私はもう走る事をやめることができない。 もしかすると、ゴルべーザ様があそこにいらっしゃるのかもしれない。 そうでなくても――戦いが待っている。 高まる期待に応えるように、炎が燃え上がる。 戦士、ルビカンテは行く、強者を求めて。 【B-3 森/一日目/黎明】 【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×2 基本方針:ゴルべーザ様を探し、指示に従う。強者との戦いを望む。 1:世界樹へ向かう 2:花村陽介か・・。 ※作中からの登場時期はカインと面識がある以降、時期不明としておきます。 ◆ 「なんだよ、あれ!?」 森を抜け、ふと振り向くと、世界樹が燃え上がっていた。 ――まさか、ルビカンテか!? 炎を操っていたあいつなら、あんな事も簡単にできそうだ。なんだか「俺は強いぞ」オーラ出てたし。実際、槍男はビビって逃げたし。 別れて良かったのか、悪かったのか……とにかく、あの世界樹の下にはルビカンテかそれくらいヤバい奴が居るに違いない。 「向こうには行けねえな……」 少し急ぎ足で進む。街は……見えた!おそらくあれがタウロスタウンだ。 もう一度、燃える世界樹を振り向く。 ――あいつら、あそこに居ないだろうな…… 名簿には、俺の仲間……瀬多、里中、天城の名前があった。 あいつらが、さっきの槍男みたいなヤバい奴に出会ってたら…… 「……早く合流しねえとヤベーな」 心配より、信頼だ。あいつらならきっと大丈夫さ。 デイパックを背負いなおし、街へ向けて駆け出した。 【B-4 橋付近/一日目/深夜】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]健康 [装備]熟練スパナ@ペルソナ4 [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1(武器にはならない)、スタンドマイク@星のカービィ [思考] 基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める 1:瀬多総司、里中千枝、天城雪子を探す為にタウロスタウンに行ってみる。 2:世界樹の方へはしばらく行かない 3:カインを警戒。 4:ペルソナが使えるか試したい。 ※カインの名前はルビカンテがカインと呼ぶのを聞いています。 ※ランダム支給品を一つ消費しました(ゴルフクラブ@ペルソナ4) が戦闘により破損しました。 ※作中からの登場時期に関しては真ルート突入前、ペルソナはジライヤ 足立に関しては頼りない刑事の印象です。 【熟練スパナ@ペルソナ4】 大きなスパナ。二本セット。ゲーム中では花村陽介の使用武器。工具としても使える。 【スタンドマイク@星のカービィ】 何の変哲もないスタンドマイク。小型のスピーカーが付属していて、拡声器としての機能がある。 カービィがこれで歌を歌うと周りの敵を一掃することができる。 時系列順で読む Back 愛しさは、腐敗につき/友達を殺してまで。 Next [[]] 投下順で読む Back 愛しさは、腐敗につき/友達を殺してまで。 Next [[]] Back 堕ちた竜騎士 ルビカンテ Next [[]] Back 堕ちた竜騎士 花村陽介 Next [[]]
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セシル達はルビカンテに勝った。四天王最後の一人であり、最強の存在にだ。 だがそれは一つの戦いの終わりにしかすぎない。むしろゴルベーザとの戦いはこれからが本番なのだ。 それに、敵司令官でもあったルビカンテを倒したのだ。敵側もセシル達をただで返すわけがない。 「おいっ大丈夫か!?」 走るのを止めずにエッジは隣のカインに声をかける。 「勿論だ」 ただ単調な言葉一つ返すカイン。 「そうかよ……」 初対面から変わることのない無愛想な態度には相変わらず不満があった。 しかし、今は突っ掛かったり、喧嘩をしている場合ではないのはエッジも重々に承知していた。 一刻も早くこの場を脱出すること……それが最優先事項だ ――セシル達は戦いに勝利した。しかしルビカンテの敗北は同時に自分達の存在を相手に知らせたような ものであった。休む間もなく。敵のガードロボットや兵士が押し寄せてきた。 最初の内は迎え撃ったものの、此処バブイルは敵の本拠地であった。倒してもなおも敵の猛攻は止まること を知らない。 「撤退だ」 誰が言い始めたのか分からないがセシル達一同の思惑は一致した。 本音ではクリスタルの奪還をしたいという当初の目的を達成したかったが、無謀だと結論づけた。 そして撤退の最中の混戦の中、エッジは気づいたらセシル達とはぐれていたのだ。 否、決して一人になったわけではない。自分の横を歩く無口な竜騎士の男も一緒なのであるが―― 絆16
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太陽が完全に顔を出す直前、ルビカンテは準備を整えていた。 恐らく明るくなれば、これまで以上に激しい戦いが訪れる。 きっと次の戦いに負ければ、死ぬことになる。 これまでの2度の敗北で死ななかったのも、ただ運が良かったに過ぎない。 慢心や不意打ちなどを含めて、少しでも負ける要素を減らさねばならない。 そのためにも、支給品を今一度確認する。 確か、もう1つ残っていたはずだった。 あまり道具に頼る戦いは好まないが、敗者に贅沢など許されない。 この際どんな物でも、使えるならば使うしかない。 期待を込めてザックをひっくり返すと、出てきたのは4つ折りに畳まれた紙だった。 何か入っているのかと思い、広げてみる。 そこに写っていたのは、重厚な武装に身を包んだ猪だった。 戦馬、いや、戦猪と言うべきか。 結局ハズレの支給品かと思うも、その時紙の中から鳴き声がした。 「ブルルルルルルーーーーッ!!!」 「なっ!?」 全くもって予想外の登場の仕方に、ルビカンテも驚くしなかった。 まるで水面から顔を出すかのように猪の鼻面が立体的になる。 そのまま全身が出ると、鉄の鎧をまとった猛獣は、闘技場の扉を突き破り、そのまま走って行こうとする。 ルビカンテは慌てて背に乗り、猪の鎧に付いてあった手綱を握り、動きを抑える。 「ま、待て!!」 「ブフゥゥゥーーーー……。」 どうにか足を止めてくれて、安堵するルビカンテ。 彼自身、乗馬の経験はほとんどない。 世界征服を実行する際には、主であったゴルベーザがいち早くバロンの中枢を乗っ取ってくれたおかげで、バロン王国を管理していた飛行船を自由に乗り回すことが出来た。 だから馬、ましてや馬より扱いが難しそうな猪の騎乗は、骨が折れそうだと感じた。 しかし手綱から分かるように飼いならされた獣だからか、それとも主催の手によりそのようにされているのか、いざ乗ってみるとさほど暴れることなく動いてくれた。 「よし、よし、良いぞ。」 不慣れな手つきで手綱を動かす。 次第にコツがつかめてきたような気がしていた。 その思い上がりは、すぐに打ち砕かれることになった。 そこへ、島全体に放送が流れる。 『セシル・ハーヴィ』 助からなかったか、と改めて思う。 最期の瞬間を見ることなく、戦場から強制退場させられたため、彼が逃げて、生き延びているとほんの僅かながら期待していた。 生き延びていたらどうするかは分からないが、借りの1つでも返せるのではないかと言う期待はあった。 『キングブルブリン』 「ブッ!!」 人の言葉が分かるのか、はたまた動物にも伝わる仕組みになっているのか分からないが、その名を呼ばれた時に、天に向かって吠えた。 「うわ!落ち着け!!」 急に動揺した猪を宥めようとするも、時すでに遅し。 「ブルルルルルルーーーーッ!!!」 最初に紙から出てきた、威勢のいい鳴き声とは異なる、悲しみと怒りがないまぜになったような叫びと共に走り出す。 「うわああああああああ!!!」 手綱を引っ張るも、全く意味がなかった。 そのままルビカンテごと、思いっきり走って行く。 その速さは、この会場を走る列車を優に超えている。 途中で何本かの木や、岩が立ちはだかるが、全て砕いて進んでいった。 ▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽ 時は少し遡る。 バツガルフとの戦いが終わり、ピーチと別れた後でも、リンクはひたすらに走り続けた。 勿論、戦いで受けた傷がキリキリと痛む。 だが、そんなことを気にせず走り続けた。 あの時、自分のせいで死んだはずのイリアが生きている。 再び会えるという気持ちを胸に、ただ走った。 今度こそ彼女を守る。 そこへ島全体に行き渡る放送が流れた。 (死者……だって?) 走り続けながらも、その内容に耳を傾ける。 『モイ』 (そんな……アンタも死んだのか?) 同じ村で、何かあるとよく相談に乗ってくれて、剣術を教えてくれた男の名を耳にする 大分後でハイラルのレジスタンスの一員だと判明し、陰りの鏡を求めて時の神殿に向かう時は世話になった男でもある。 しかし、そんな彼の死を悲しむ間もなく、続けざまに知り合いの名前を呼ばれる 『キングブルブリン』 (死ぬのが思い浮かばないヤツなのにな……。) かつて何度も死闘を繰り広げた怪物の名を思い出す。 崖から落とされても、滅多切りにされてもなお、挑んでくる奴だった。 イリアを攫った怪物として敵対しながらも、最後には実力を認め、協力をしてくれた。 実はこの世界では協力できるのではないかなと淡い期待を抱いていた相手だった。 『ピーチ』 (なぜだ……?) その名前は、ある意味で前の2人以上にショックだった。 彼女との関わり合いは、ほんの数時間あるかないかだ。 それでも、彼女をバツガルフから守ることが、イリアを失った贖罪か何かのように感じた。 だからこそ戦いの後、彼女が生きていたのがこの上なく嬉しく感じた。 バツガルフが生きていたのか、それとも別の殺し合いに乗った者が近くにいて、ピーチは殺されてしまったのか。 イリアのことばかり夢中になりすぎて、またも誰かを失ってしまったことに後悔した。 でも、イリアの名前は呼ばれていなかった。 絶対に助けて見せる。 彼女を助けて―――――――― 視界が急にまぶしく、鮮明になる。 太陽に目を射られたのか、と思ってしまうが、やがて視界が色を失い、形を失っていく。 同時に、高い山を登った時の様な耳鳴りがして、聴力を失った。 しつこく付き纏っていたはずの痛みが、急に軽くなる。 それから足の力が抜けて行き、正宗とトルナードの盾を地面に落として、崩れ落ちる。 理由はただ単純、体力が尽きただけだ。 最初の6時間、2度も戦い、その後も休まずに幼馴染をたずねて全力疾走していたからだ。 牧畜仕事や剣術で鍛え、野山を1日中駆けまわることの出来る体力を持っているリンクでさえも、限界はいつかは来る。 最後にイリアを追いかけねばという想いと共に、意識を手放した。 草と泥のみが、彼を受け入れた。 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 「ウワアアアーーーーーーーッッ!!」 崖から落ちた時の様な悲鳴をリンクは上げた。 何しろ、目覚めた瞬間、視界に巨大な猪の鼻面がアップで映っていたのだから。 しかし、よく見てみると、その猪は初対面の獣では無かった。 「目が覚めたか。」 放送で呼ばれたばかりの宿敵が持っていた猪、キングブルボーの背中には、赤マントの男が座っていた。 (???) 記憶が混乱する。 ピーチからイリアの話を聞いて、そして彼女を追いかけた所から、イマイチ覚えていない。 「アンタが助けてくれたのか。」 目の前の男にそう質問する。 「助けたつもりなどない。ただこのケダモノが急に足を止めた先に、おまえが倒れていただけだ。」 「そうか……ありがとう。俺はリンク、この生き物の飼い主とは何というか……敵とも味方とも言い切れない関係だな。」 ルビカンテとキングブルボーに感謝を告げる。 しかもエポナのように長年共に過ごした生き物ならいざ知らず、獣の気持ちは分からなかったが、少なくとも踏みつぶさなかっただけ、お礼を言うことにした。 ついでにエポナにしてやったように、猪の頭をなでたが、キングブルボーはプイと顔を背けた。 素直じゃない所は、飼い主に似ているなと笑いが漏れた。 「聞かれてもいないことを話すな。それに礼など言われる筋合いはない。私はただこの殺し合いを壊したいだけだ。」 「それでも………痛ッ!!」 身を起こそうとした所で、再び体の節々に痛みが走った。 魔法による凍傷や火傷の痛みは、普通の切り傷や打撲よりも長く響く。 「弱者となれ合う気は無いが……回復してやろう。」 赤い衣を纏った男が両手を広げると、その痛みが格段に和らいだ。 「そうだ、そこまでしてくれたついでに、1つ教えてくれないか?」 「一応、聞いてやろう。」 「イリアという、金髪の少女を知らないか?」 逆方向から来たキングブルボー達なら、彼女を見たんじゃないのかと期待して聞いた。 「知らぬな。そもそもこやつに乗ってから会ったのは、おまえ1人だけだ。」 やっと起き上がれるようになってすぐに、他者のことを尋ねるリンクに対して、ルビカンテは呆れながら答えた。 「この少女のことだ。本当に知らないのか?」 カード名簿の束をバラバラにして、ルビカンテに見せようとする。 しかし、どうしてもあったはずのイリアのカードは見つから無かった。 「奴の放送を聞いていたのか?死んだ者の札は消えているはずだ。」 「そんなはずはない!!イリアは呼ばれなかった!!」 少し前なら、ルビカンテは死んだ「者」ではなく、死んだ「弱者」と答えていたはずだった。 だが、自分の命を身を挺して救ったセシルを、弱者呼ばわりすることは出来なかった。 「放送が間違っている訳でもないようだ。私がこの殺し合いで死んだと知っている者が呼ばれている。」 「俺は……一体何を……?」 イリアは確かに放送で呼ばれていなかった。 だからこの殺し合いで死んだのではなく、イリアのカードが混ざってないということは、あの時最初の場所で死んだということになる。 だがハイラル駅で五体満足だったはずのピーチが、イリアらしき少女がいると伝えた。 (……何がどうなっているんだ……!?) 訳が分からない状況に、リンクは頭が痛くなった。 ピーチが馬笛と言っていたことから、人違いをしたようにも思えないし、かといってウソを付いたようにも思えない。 ハイラル駅に戻り、ピーチに事の詳細を再度聞きたいが、彼女もまた放送で呼ばれてしまった。 「そうだ、もう1つ聞きたいことがある。」 「欲深いな。」 続けざまに質問をするリンクを、呆れながらもその内容を聞こうとする 「ピンクのツインテールの少女を見たことがあるか?」 「それもまた知らぬな。さっきからおまえの言っていることは意味不明だ。何があったのか最初から詳しく聞かせろ」 ルビカンテはリンクのことなど興味は無かったが、この殺し合いで未知の事柄を未知のままにしておくのは、死や敗北に直結すると知っていた。 現にこの戦いでも、マリオのことを知らぬがまま敗れ、眼鏡の少年の底力を知らない内にまたしても敗れた。 過去には情報収集のような頭脳労働は配下のルゲイエに任せていたが、ここには彼はいない以上、自分で有利になれそうな情報を集めるしかない。 イリアと言う少女が死んでいようと生きていようと、リンクがどうなろうと知ったことではないが、知らない情報のために自分が死んでしまっては困る。 「分かった。そうしよう。」 リンクとしてはルビカンテの言葉は意外なものだった。 見た目もあって人の話を聞かなさそうな風貌だったが、意外に話が分かる相手だと安堵した。 リンクは説明した。 イリアというのは最初の場所で、自分が殺した少女だということ。 ハイラル駅で、ピーチと言う参加者を襲っていたバツガルフと戦ったこと。 1度ピーチを駅の外に逃がしたが、その最中に駅に別の襲撃者がやって来たということ。 ピーチは無事だったが、彼女曰くイリアが襲撃者だという桃色の髪の少女を連れて、逃げて行ったということ。 そして、今に至る。 「愚かな男だ。せめてそのバツガルフという男を倒しておけば良かったものを……。」 「愚かなのは十分理解してるさ。」 リンクは自嘲気味に表情を歪める。 一方でルビカンテはしばらく何かを考えているような表情を浮かべていたが、突然口を開いた。 「死霊降臨術(ネクロマンシー)は知っているか?」 「知ってはいるが……どういうことだ?」 リンクもこれまでの冒険で、ゴーストや骸骨の魔物とは戦ったことがある。 だが、どうして急にその言葉が出てくるのかは分からなかった。 「知っているのなら簡単だ。この殺し合いの中で、死者を操る者がいたのかもしれぬ。」 ルビカンテとしては、同じゴルベーザ四天王にいたスカルミリョーネがゾンビを操っていたこともあり、彼自身は出来ないが知識としては知っている。 また彼の直属の部下であったルゲイエも、人間をゾンビの様な怪物に改造して、思うが儘に操る研究をしていた。 「イリアは……そいつに操られていたと?」 あの時のハイラル駅には、誰とは分からないが襲撃者がいたということは分かっている。 だが、それではまだ釈然としない部分がある。 「死霊降霊術の中でも、高度な物は配下の死者にも魔法を使わせたり、術者が思うが儘の言葉を話させたり出来る。」 「だが、それじゃあおかしい。あの時ピーチは『イリアが助けてくれた』と言ったんだ。 イリアに襲われたというのならともかく、助けてくれたというのはおかしいんじゃないか?」 「おまえはいつから操れるゾンビが、1体だけだと錯覚していた?」 「………そういうことか。」 「『ピンクのツインテールの少女』というのは、大方死霊使いが憎んでいる相手だろう」 まずはイリアを操ってピーチを殺す、あるいは死霊使いと共に殺して、そのままピーチを手駒に加える。 それからリンクを唆して、死霊使いの憎んでいる相手を襲わせる。 誰とも分からぬ死霊使いに完全に手の上で踊らされたことが今になって癪に障る。 「くそ……キングブルボーを貸せ!そいつを殺しに行く!!」 初めにイリアが殺された時は、ザントへの怒りと言うよりもむしろ、自分の弱さに対して怒りが向いた。 だが、幼馴染を死してなお弄んだ挙句、殺人をさせるようなことをした相手に対し、怒りを露わにせずにはいられなかった。 「慌てるな!!死霊使いが誰なのか分かりもせずに行くつもりか!!」 「うわっ!!」 ルビカンテが気持ちを早らせるリンクを一喝する。 そしてキングブルボーは体を揺らし、乗ろうとするリンクを突き飛ばした。 どうにもこの猪は、かつての主人の宿敵を乗せることを拒んでいるようだった。 「死霊が相手ならば、私の炎の術の格好の獲物だ。襲ってくるたびに焼き尽くし、死霊共が来た場所から奴を見つければいい。」 ルビカンテはキングブルボーに跨り、リンクが来た方向に向かおうとする。 「待ってくれ!俺も行く!!」 「おまえは別のことをすれば良い。私はこの殺し合いを破壊するつもりだが、なれ合うつもりはないと言ったはずだ。」 そのまま猪の蹄の音と共に、ルビカンテの姿は小さくなっていく。 おまえは別のことをすれば良い、と彼は言った。 別の方向を見ると、煙が上がっている建物があった。 リンクは1つ考えることになる。 例えイリアの命を弄んだことを除いたとしても、ミドナやゼルダを傀儡にされてしまう可能性は、一刻も早く取り除いておきたい。 しかし、キングブルボーは行ってしまった以上は、今さらハイラル駅付近に戻っても、遅れることは避けられない。 もしかすると延々と追いかける羽目になる可能性だってある。 本来なら、あの火事になっている場所に向かうべきだ。 火付けの下手人がいる可能性が高いし、今から走れば逃げ遅れた者を助けられるかもしれない。 だが、少しでも早く殺して、死してなお道具とされているイリアを救う事こそが、彼女への贖罪になると考える余地もある。 どちらにせよ、悠長に考えている時間は無いと感じ、リンクは地面を蹴り、走り出した。 その方向は、図書館のある南か、死霊使いがいるはずの南西か 【A-5/草原/一日目 朝】 【リンク@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】 [状態]:ハート1/2 服に裂け目 所々に火傷 疲労(小) 死霊使い(佐々木ユウカ)に対する怒り(大) [装備]:正宗@FF4 トルナードの盾@DQ7 [道具]:基本支給品 ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本行動方針:主催を倒す 1.イリアを操っているはずの死霊使いを殺すか?燃えている図書館に人を助けに行くか? 2.ピンクのツインテールの少女(彼女が殺し合いに乗っているかは半信半疑)から、可能ならば死霊使いの情報を聞く ※参戦時期は少なくともザントを倒した後です。 ※地図・名簿の確認は済みました。 ※奥義は全種類習得してます 【B-4/草原/一日目 朝】 【ルビカンテ@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/2 魔力消費(小) [装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG キングブルボー@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:この殺し合いを終わらせて受けた屈辱を晴らし、生き延びた者と闘う 1.南西へ向かい、死霊使いを倒す 2.あの帽子の男(マリオ)は絶対に許さない 3.弱者とは協力はしないが、殺し合いに乗っている者と闘う ※少なくとも1度はセシルたちに敗れた後です。 [支給品紹介] [キングブルボー@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス] ルビカンテに支給されていた意思持ち支給品。 ブルブリンのリーダー、キングブルブリンが愛用していた猪で、刺々しい鎧を纏っている。 頑丈だが、一度暴れると止めるのは難しい欠点がある。 Back← 058 →Next 057 月はなくともMOONはある 時系列順 059 死刑執行中脱獄進行中(前編) 投下順 049 七転八起 ルビカンテ 魔王決戦1 転がるように風を切って 038 憤懣焦燥(前編) リンク
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しま はじめ 年齢:17歳 弱点属性:なし 耐性:なし CV:佐伯 直人(戦闘ボイスのみ) 紹介 神代學園高等学校2年生。 両親が海外転勤に行っているため、妹の誄と二人暮し。 航とは幼馴染で、調子のいい航にいつも振り回されている。 武器 形状:拳 LV1:素手 LV2:ルビカンテ LV3:ファルファレッロ LV4:グラッフィアカーネ LV5:チリアット LV6:ドラギニャッツォ LV7:リビコッコ LV8:カニャッツォ LV9:カルカブリーナ LV10:アリキーノ LV11:スカルミリオーネ LV12:バルバリッチャ LV13:マラコーダ 初期装備 なし ネタバレ 手に出来た印のせいで腕を切り落とされ、腕の代わりに悪魔(ルビカンテ)を押し付けられ悪魔に乗っ取られそうになる。が、その悪魔は強くないので心配無用。また、スケールの大きな話になると偉そうな人(神?)が現れてナレーションで解決してくれる しかし実際のところ、作中で腕に悪魔が取り憑いていることを実感できるイベントシーンなどはなく、かろうじてパッケージイラストでのみ、主人公の腕に悪魔が取り憑いていることを確認することができる。戦闘シーンにおいても、主人公の使用武器を意識させる演出などはないため、プレイヤーがこの設定を意識することはほとんどない。というか、そもそもメインのシナリオにもあまり関わってこない設定である シナリオ「ポイントセブン」中に赤池を訪れ、ルビカンテの各妖魔と対戦することで何度か武器レベルを上げられるのだが、攻撃力が上がった実感もなく、スキルも増えない。何の意味が?
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狂信者としての運命しかないならば。 狂信者として重ねた罪を背負ってでも、重ねてでも、己が意志で生き続けよう。 どんな者にも、歩くのを止めなければ、新世界は平等に見えるのだから。 ☆ 倒れたと思ったクッパは、むくりと起き上がった。 「これでもまだ倒せぬか……」 メルビンは再び、グランドクロスを撃とうとする。 「おもいだした……思い出したぞ……ワガハイは……。」 気づいていた。 メルビンだけではない。リンクも、ルビカンテも、キョウヤも、ローザも。 この場にいた者全員が気付いていた。 彼の瞳から、淀みが消えていたことを。 「クッパ大魔王だー―――――――――――――――――っ!!!!!!!」 その迫力に、誰もが気圧される。 見た目は全く変わっていない。 だが、先程までの生ける屍のような有様から、別人のような変貌ぶりだった。 目覚めると早速、クッパはチェーンハンマーを捨てる。 こんな重たくて仕方がないものは不要だ。 敵が武器を失ったはずなのに、全く有利になったようには思えない。 むしろクッパという罪人の、鎖を外れたように見えた。 「速い!!」 重たい鉄球を捨てたことで、突進の速さが先程までとは別人のようだった。 「リンク殿!!」 咄嗟にメルビンが、リンクを守る。 彼は無事だった。だが、老兵は空中を吹き飛んで行く。 「おい、大丈夫か?」 キョウヤとローザが、メルビンを受け止める。 彼は致命傷を負っていない。だが、今までの中で一番の強敵だと分かった。 「ウヌ……ギリギリ避けたか……だが、この勝負、ワガハイが勝つぞ!!」 今のクッパがやることはただ一つ。 この場にいる者たち全員に勝利し、主催者の下へ行き、その力を奪う。 そして、ピーチを生き返らせる。 はっきり言って、難易度は途方もなく高いはずだ。 「正気に戻ったのか…?なら、もう戦わなくても良いはずだ。」 「戦わなくていい?オマエたちを倒し、この殺し合いを開いた奴等を倒し、ピーチを生き返らせる。間違った方法では無かろう?」 そんなことは、クッパが一番わかっている。 だが、彼のライバルであるマリオはそんな難関を何度も潜り抜けて来たのだ。 それに、スクィーラに操られたからと言って、襲った者達の仲間に入れてもらう図々しさなど、彼は持ち合わせていない。 「そうか、ならば斬るしかないな。」 「ガハハ。そうでなければ張り合いが無い。」 その瞬間、一筋の閃光が走った。 「はああああああああああ!!!!!」 「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」 リンクの雄たけびと、クッパの慟哭がぶつかり合う。 激突するのはボイスだけではない。リンクのマスターソードと、スクィーラがクッパに渡した入れた炎の爪のパーカッションも混ざる。 リンクが右へ、左へと剣を振るう。 それをクッパが、対応する手で打ち払う。 「教えてくれないか?オマエもこの世界で失った者がいたはずだ。なぜ壊れなかった?」 勝利する前に、クッパには聞いておきたかったことがあった。 なぜお前は違うんだと駄々をこねる訳ではない。 絶対に負けない強さではなく、失っても、敗れても、決して折れない強さ。 それこそが、自分がマリオに何度も敗れた原因だと、今になって分かったからだ。 「分からない。けれどそれは俺に力があった訳じゃ無く、きっと何かの偶然でしか無かったのは確かだ。」 なぜクッパがこの殺し合いの中で壊れ、リンクがそうならなかったのか。 それは誰にも分かりはしない。 分かるのは、リンクが善行を積んだから、彼が闇を寄せ付けぬほど努力をし続けた、そんな簡単な理由ではないことだ。 「そうか。」 リンクの返答に、短い言葉で納得した。 彼らの戦いに、それ以上の言葉はいらない。 新世界を見るために必要な目と、そこへ進むための足。そして邪魔者を退かす両腕だけだ。 「待て。」 ルビカンテが制止をする。 「回復してやろう。」 クッパの瞳を見ただけで、彼は分かった。 目の前にいる男こそ、ルビカンテが求めていた戦うべき相手なのだと。 かつて戦った、エブラーナのエッジと同じ、自分の炎より燃える闘志を感じる。 そんな相手には、彼は必ず万全の状態で戦えるよう、回復魔法を唱える。 さすがに回復魔法が制限されている中、ここまで負った傷全てを回復させることは叶わなかった。 それでも風前の灯火だった命の火に、油を注ぎ込んだ。 「感謝はせんぞ。オマエがしたことだからな。」 そんなルビカンテを、咎める者は誰もいない。 この場にいるのは、ただ己を貫き通そうとする者のみ。 ルビカンテがしたこともまた、その一環でしかない。 「行くぞ!!」 クッパに包まれた光が消えるとすぐに、リンクは斬りかかる。 メルビンが気絶し、キョウヤは直接の戦闘には参加出来ず、ローザは魔力が切れている。 よって今正面から戦えるのは、リンクとルビカンテしかいない。 高く跳躍し、唐竹の一撃をクッパの額に見舞おうとする。 だが、それをクッパの爪が止める。 そしてがら空きになったリンクの腹を、もう片方の手で引き裂こうとする。 「ファイガ!!」 「流石は赤色といった所か。 だが、リンクに生まれた隙をカバーするのが、ルビカンテの役目だ。 彼が放った火球が、迫り来るクッパを押し返す。 クッパの爪がリンクに入る距離から遠ざかった。 「ウガーーーーーーーッ!!」 だが、それでも油断は出来ない。 近付けば爪と噛みつき。そして遠ざかれば、ファイヤーブレスが襲い来る。 「てえやああああああ!!!!」 当たれば、リンクもルビカンテもただでは済まない。 リンクはぐるりと体を回転させ、白銀の円を象った斬撃を繰り出す。 アイスナグーリの力も相まって、氷の竜巻のように見えた。 氷の加護を受けた聖剣の力により、炎は瞬く間に水蒸気へと帰す。 それはただの氷に非ず。炎にも溶けず、炎をも打ち払う魔法の氷だ。 「ミドリのくせにやるではないか。」 目の前にいた二人を、かつて自分に何度も煮え湯を飲ませた赤と緑の兄弟に重ねる。 そして、クッパは再び突進してくる。 「火焔流!!」 炎の竜巻が、クッパを襲う。 だが、両手に付けた炎の爪が、炎の竜巻を切り裂いた。 「なんと!!私の炎を破るとは……」 今のクッパを縛る枷は無い。ただ悪の大王の矜持を貫き通すために、直進あるのみだ。 それをたかが竜巻ごときで止められるわけがない。 手始めに狙うのは、最前線に立っていたリンクだ。 だが、それこそがリンクの待っていた瞬間。 クッパの斬撃が彼を切り裂く瞬間、トルナードの盾を構える。 ――弐の奥義 盾アタック 風の精霊の力を込めた盾を押し出し、クッパのバランスを崩す。 守りに身を固めていない相手でも、盾アタックは敵の拳をタイミングよく受け流せば、バランスを崩せる。 ――肆の奥義、兜割り 続けざまに、高く跳躍してのジャンプ斬り。 だが、クッパは頭を傾け、その斬撃を角で弾き返す。 その合間を縫って、ルビカンテが火球を打ち込もうと、ローザが矢で射ろうとする。 だが、どちらもクッパの火球で吹き飛ばされてしまう。 「ならば……」 クッパが爪で攻撃してきた瞬間、リンクは身を低くする。 そのまま敵の懐に潜り込み、ゴロンと身を翻し、そして背後へと回り込む。 ー-参の奥義 背面斬り 狙いは敵の甲羅が守り切れぬ場所。すなわち尻尾とコウラの間。 先の戦いで、一度成功させた攻撃だ。 勿論その技だけで倒せるとは思わないが、とにかく一発技を入れ、それを反撃の糸口にしていくつもりだ。 「甘い!!所詮ミドリはミドリよ!!」 しかし、一度聞いた技がもう一度通用するほど、クッパは甘い相手ではない。 身をよじり、その反動で大きく振られたトゲトゲの尻尾が、リンクを弾き飛ばす。 「リンク!!」 ローザが彼のことを心配する。 今こそがチャンスだと、キョウヤがバズーカの照準を合わせて発砲する。 だが、クッパは咄嗟に殻に籠り、攻撃をシャットアウト。 一人で戦い抜くと決めたからには、時として防御をする判断力も供えている。 だが、すぐに戦線復帰したリンクが、クッパへと突きを見舞う。 心臓を貫かれれば流石に分が悪いと感じたクッパは、甲羅から出て、炎の爪で斬撃を止める。 そしてもう片方の手で、ルビカンテを殴り飛ばす。 炎の力を込めた爪と、氷の力を込めた剣がぶつかり合い、ドライアイスのような煙が火花と共に散る。 爪は人間の世界でも売られているありふれた武器なのに対し、剣は伝説の名を冠する逸品だ。 だが、クッパが持つ力は、その差を補って余りある。 「なんて力だ……!」 ガノンドロフ以上の力をその腕に感じる。 つばぜり合いの最中に、クッパの手にも氷が纏わりつくが、炎の爪の影響か、すぐに融解してしまう。 さらに、リンク達目掛けて炎が吐き散らされる。 つばぜり合いをキャンセルし、姿勢を低くして辛くも躱した。 今のクッパは、まさに大王の名を冠するにふさわしい存在だ。 生半可な攻撃では、どんな偶然が起ころうと倒せる相手ではない。 それが分かったリンクは、すぐさまアイスナグーリを捨てた。 確かに氷の力を付与するバッジがあれば、敵の炎攻撃からその身を守ることが出来る。 だが、リンクはそのバッジの欠点に気付いていた。 氷を込めた斬撃は、明らかに体力を消費することに。 魔力の限界などあってないようなものだったガノンドロフと異なり、リンクの体力は人間の域を出ない。 従って、このバッジは敵との戦いを有利に進められても、勝利に貢献することは無いと考えた。 そして、クッパを倒せるとしたらあの技しかないと。 ガノンドロフを結界ごと破り、その心の臓を鎧ごと斬り裂いたあの技だ。 この場に、あの時の戦友はいない。 だが、そんなことで尻込みするわけにはいかない。 目の前の敵は、覚悟を決めているということが言葉ではなく、心で分かる。 戦う前から失敗を恐れていては、勝ち負け以前に、目の前の敵に対し礼を欠く行為であろう。 「ルビカンテ。」 「あの技を使うつもりか。良いだろう。」 リンクは技を手の力を抜き、ゆっくりと肺に空気をため込んでいく。 最初は両脚の力を徐々に入れていき、一気に地面を蹴りだす。 防御を捨てて、攻撃のみに力を注ぐ捨て身の一撃。 おおよそ安全とは思えないやり方だが、クッパを倒せるとしたらこの技しかない。 リンクが走り出した瞬間、ルビカンテが魔法で、マスターソードに炎を纏わせようとする。 だが、その瞬間だった。 クッパが吐いた火球が、ルビカンテのファイガを弾き飛ばしたのだ。 「その技は使わせん!!」 「!?」 かつて似たような技を、リンクに似た服装の少年から受けたことがある。 剣に炎を纏わせ、自分を斬りつけようとすると踏んだクッパは、先にその出所を撃ち飛ばした。 連携を崩すと、すぐにクッパはリンク目掛けて突進する。 今度は彼を守る老兵は気絶している。トルナードの盾でのガードも、間に合わない。 「ぬうううううううう!!!」 しかし、前線に出たルビカンテが、クッパの突進を止めた。 2つの炎の爪がぶつかり合う。 だが、炎の術を中心とするルビカンテでは、腕力の差は歴戦。 すぐに守りは崩されそうになる。 「退けええええええ!!!!」 「そうはさせぬぞ。その緑帽子を倒すのは私の役目だ。それとも先に倒されるのはお前か?」 「温いわ!!」 鋭い爪が、ルビカンテの胸をマントごと切り裂く。 「ルビカンテ!!」 出血量から、深刻なダメージだとはリンクにも分かった。 そして、肉弾戦を止められても、クッパには炎がある。 口を大きく開け、ルビカンテとリンクを丸ごと焼こうとした。その瞬間、ルビカンテの身体が、真っ白な光に包まれた。 (これは……まさか?) 奇跡が起こったのは、クッパだけではない。 この場で現実に膝を屈し、思考も誇りも捨て、悪の傀儡になった苦い思い出があるのも、クッパだけではない。 試練の山でのパラディンになる試練は失敗に終わったが、初めて仲間を守ったことで、闇に墜ちた自身に打ち勝ったことで。 かつて黒魔導士だった彼は覚醒したのだ。 ――そのまさかだよ。きみも自分に勝ったようだね。 自分と戦ったパラディンの声が聞こえる。 彼の意志は、たとえ死しても消えることは無かった。 「うおおおおおおおおおおおおお!!!」 「何いいいいいいいいい!?」 急に増した敵の力に、クッパは押し返される。 肉弾戦のみでは勝てぬと判断したクッパは、激しく燃え盛る炎をルビカンテに吐きかける。 「吹雪よ来るがよい、ブリザガ!!」 激しい氷の嵐が、クッパの炎を消し飛ばす。 自分が壊れる原因になった、父親が得意としていた魔法だ。 だが、過去を乗り切った彼は、そんなしがらみなどで止められない。 その力は、かつて彼が憎んでいた氷使いの父親をも超えていた。 「雷鳴よ轟け響け、サンダガ!!」 「ガアアアアアアアアアア!!!」 続けざまに、激しい雷鳴がクッパを焼く。ルビカンテは出来なかったはずの技だ。 光がクッパを焼いた後、間の抜けたかのようなタイミングで、ゼウスのドラムが辺りに響いた。 ルビカンテは神など信じない。 信じるものは己より強き者だけだ。 けれどそれはまさに天恵。そしてクッパに下るは天罰の雷。 試練に打ち勝った彼は、新たな世界へと足を踏み入れることに成功した。 その名も聖魔導士(ホーリーメイジ)。 マントは赤いものから、白銀のものに。 今までの赤覆面が消え、精悍な顔付きを辺りに見せた。 彼のことを元の世界にいた時から知っていたローザは勿論のこと、他の仲間も驚きを隠せなかった。 「助かったよ。しかし、その姿は?何が起こったんだ?」 リンクは戦友の咄嗟の変貌に、少し慌てている様子だった。 朗報か悲報かと言われれば、間違いなく前者の方だが、試練の山のことなど知らぬ彼には、さっぱり分からぬ状況だった。 「おまえには知らなくても良い事だ。それよりもう一度、先の技を使うぞ。」 「姿が変わっても素直じゃないのは変わらないか…。」 まずはリンクが、クッパ目掛けて爆弾を投げる。 そんな物では到底相手を倒すのには至らない。 だが、ルビカンテが剣に炎を纏わせる時間を、確かに稼いだ。 「今のはさすがに驚いたぞ。だが、ワガハイの勝ちは変わらん!!」 それを迎え討とうとするクッパ。 最早遠い昔、リンクに似たような帽子の少年から受けた斬撃を思い出す。 だがあの時とは違い、彼の心に恐れはない。 逃げも隠れもせず、むしろ逃げ場を自分から捨てるかのように、どっしりと踏み込んだ。 「ヘイスト!!」 ルビカンテの魔法が、リンクを加速させる。 元々彼は白魔法にも長けていたが、聖魔導士になったことで、魔法の範囲がさらに増えた。 「受け取れ!!ファイガ!!」 炎を帯び、ルビーのごとき紅蓮の光を放つ剣が、クッパに迫る。 両手をクロスし、その剣が身に届く前に、敵を切り裂こうとするクッパ。 「ヌ!?」 だがその瞬間、キョウヤが発砲したバズーカが、クッパの隙を作った。 直撃はしなかったが、爆発が敵を怯ませる。 「行くぞ!!」 満を持して、リンクの魔法剣が目の前の壁を切り裂こうとする。 だが、クッパは彼の技の元になったギガスラッシュでさえ、耐え抜いたほどだ。 聖なる雷を受けているわけでもなく、その真似でしかない一撃では、クッパを倒すのは難しい。 だが、その壁を乗り越えるのが仲間の力だ。 ――大丈夫だよ。リンク。そのまま行って! (そうか、アンタもいるんだな。) 共に力の魔王を倒した時の戦友の声が、聞こえたような気がした。 アルスとセシル。 この殺し合いで命を失ったはずの2つの英雄の命が、今生きている者達の未来を拓く。 なぜ今友の声が聞こえたのかは分からない。それでも、足をさらに早め、腕の力をさらに入れる。 一人じゃないということはこんなにも安心出来る事なんだと、今さらながら実感できる。 リンクは敵目掛けて疾走。最低限の動きで、炎の爪の斬撃を躱す。 「てえやあああああああああああ!!!!」 満を持して、袈裟懸けの一撃を敵に見舞う。 炎を纏ったマスターソードが、クッパを斬りつけた瞬間。 その斬撃と対になっていたかのような、彼の古傷が光り出した。 忘れるなかれ。それはかつてクッパがアルスからもらい受けた、聖なる光の一撃の痕。 黄昏の勇者の一撃により、そのダメージが共鳴したのだ。 魔王を滅した奥義、ギガ・クロススラッシュが、今ここに再誕する。 影に覆われた世界を、勇者の光が照らす。 その十字の光は、先程メルビンが撃ったグランドクロス以上に、カゲの世界に美しく映えた。 「グアアアアアアアアアアアアア!!!」 全員の鼓膜をつんざくような悲鳴を上げ、クッパが吹っ飛んだ。 ドスンと、受け身も取らずに地面に墜ちる。 「やったか!?」 遠くからであったが、それでも聞こえるほどの強い光。凄まじい衝撃と、それよりも大きい慟哭。 小野寺キョウヤは、確かに勝利を確信した。 勝利を確信しても悪くは無い。 「ガハハハハハハ……今のは死ぬかと思ったぞ……。」 どくどくどくとその腹から大量の血が流れている。 背中の甲羅のトゲや牙は折れ、一歩進むごとに鱗の一部が剥がれ落ちる。 全身が炎に包まれ、おおよそ生きることを許されているようには思えなかった。 だというのに、この場でその様子を哀れと思うものは誰もいなかった。 なぜなら、鋭い瞳はリンク達を見据えていた。血で汚れている中でも、その瞳はギラギラと輝き続けていた。 「あのネズ公に感謝せねばな……操り人形にされた痛みが無ければ、今の一撃でワガハイは負けていたはずだ。」 さらに力を増したクッパが、突進してくる。 「ブリザ……。」 「遅いわ!!」 クッパの蹴りが、ルビカンテの腹に入る。 その一撃が、一分一秒が勝敗を分けるこの死闘で、確かに功を奏した。 「ヘイスト……くそ、魔法が出ん!!」 クッパのボディーアタックは、『コマンド封じ』の追加効果を持つ。 直撃してしまえば、特技か殴打か、はたまた呪文か道具か。何かが使えなくなるのだ。 今度はリンクが聖剣でクッパに斬りかかる。 しかし、クッパも負けじと拳で応戦。 彼の強肩から放たれるのは、シンプルな右ストレート。 だが、それを剛力の修羅が行うことで、破壊の一撃を生む。 慌ててリンクは身を護るも、盾を握る右手に鈍痛が走る。 今のクッパは、修羅を通り越して戦神。 戦いにおいて、あらゆる勇者や戦士を前に、戦い抜ける力を身に着けた。 リンクにも分かっていた。 先の一撃は、この怪物にはもう通用しない。 先程のギガ・クロススラッシュと同じくらいの技か、はたまたそれ以上の技でなければ、間違いなく倒せない。 手はある。 古の勇者から教わった、終の奥義、大回転斬り。 タートナックの強靭な鎧さえ破壊し、リザルナーグの鱗を粉砕する最強にして最後の一撃だ。 クッパでさえも当たれば倒すことが出来るはずだろう。 (けれど……使えない……!!使えるだけの体力がもう無い……!!) 大回転斬りは、体力・気力共に万全な状態でなければ撃てない技だ。 既に幽体だった古の勇者が使えなかったのも、それが原因である。 リンクの身体は、ユウカとの連戦で、既に悲鳴を上げていた。 戦えない訳ではないにしても、万全というには程遠い。 勝つ手段を失った。絶望と共にリンクは、一瞬思考停止に陥った。 その瞬間は、確かにクッパにとって板金にも勝る一瞬だった。 彼の鋭い爪が、リンクを貫こうとする瞬間。 ルビカンテが、その間に立ちはだかった。 「馬鹿者が!!殺し合いの最中に考えるな!!」 パラディンの仕事は、仲間を守ることだ。その守りは要塞のごとし。 炎の爪が、聖魔導士の身体に深々と刺さっている。 だが、クッパの太い腕をその状態で掴んだ。 「ガアアアアアアアアアアアア!!」 「やめろ!!」 リンクはルビカンテに対して制止を懇願する。 もう仲間は失いたくない。 そんな自分の弱さに付き合った結果、死んでしまう人が出るのはもう沢山だった。 そしてクッパは、炎の爪の力で、彼の体内から炎を流し込む。 「見事……ぐううううううあああああああ!!!!」 いくら炎の使い手と言え度、パラディンになることを許された身であれ度、身体の中から業火で焼かれれば命は無い。 どさりとルビカンテは地面に倒れる。 「手こずらせおる……ようやく1人か……。」 荒い呼吸をしながらも、クッパは倒れることを見せない。 彼もまた、失った者の為に、大切な人のために戦い続けている。 そこに裏も表もあったりはしない。 「ルビカンテ!!」 ――バカかよ、考えるのもアリだけどさ、思いっきりぶつかってみるのもいいかもしれないぜ。 影に墜ちたリンクに、影の世界の女王の言葉が聞こえる。 だが、その言葉に耳を傾ける間もなく、クッパの凶刃がリンクに襲い掛かる。 しかし、炎の爪は、またも別の者に弾かれた。 「メルビンさん!」 「お待たせしたでござる。」 先ほどは手ごわい相手だと思ったが、味方になると頼もしいことこの上ない相手だ。 だが、リンクの手は震えが止まらない。 先ほどは自分のせいで、戦友を死なせてしまった。 今まで勇気を奮って戦い抜いてきたが、その反動がここへ来てやってきた。 (俺は……どうすればいい?) 戦おうにも、この戦神を破る方法が見当たらない。 ちょっとやそっとの小細工で、どうにかなる相手でもない。 ――何ガタガタ震えてるんだよ。前見ろ、前。 どこか小憎らしい、けれど懐かしい声が耳元で響く。 そう言われて、仕方なしに目の前を向いた瞬間。 リンクの身体を、炎の竜が飲み込んだ。 ゴワッという爆炎の音を聞き、メルビンも驚く。 「リンク殿!!?」 そして、炎の竜は次第に小さくなり、聖なる剣の先に集まって行く。 それだけではない。リンクの全身を、力が駆け巡る。 死す寸前に遺した、聖魔導士の力だ。そして、この場にはいないミドナの力だ。 何故その力が黄昏の勇者に宿ったのかは分からない。 「分かったよ……怖くて怖くて仕方ないけど……思いっ切り前向いて、戦ってやろうじゃないか。」 今なら、あの技を確実に出せる。 その確信がリンクにあった。 「行くぞ!!!!」 リンクは走り出す。 メルビンは攻撃をしない。ただ若き勇者を守るため、防御魔法をかける。 その瞬間、ローザの矢と、キョウヤのバズーカがクッパの目をくらませる。 つまらない小細工をするなとクッパは腕を振るう。 「ガアアアアアアアアアアア!!!」 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 クッパが炎を吐く。 それがリンクを飲み込もうとする。 だが、彼が放った一撃は。 「大・火焔流・斬り!!!」 クッパの炎さえも呑み込む、全てを擲った一撃だった。 渦を巻く真紅の龍を彷彿とさせる一撃が、クッパを爪ごと切り裂いた。 「マリオよ、ピーチよ!!ミドリのヒゲ!!そして我がクッパ軍団よ!!」 凄まじい龍の一撃に切り裂かれながらも、大王は叫ぶ。 「ワガハイは、最後まで戦い抜いたぞ!!!!!!」 太陽と見紛うほどの炎が、クッパを包み込んだ。 今度こそ、今度こそ、クッパは倒れた。 黄昏の勇者は、聖なる剣くるくると回した後、鞘に収める。 先ほど聞こえた声は、確かにミドナだと分かった。 (ありがとう。ルビカンテ。そしてミドナ。君たちのおかげで勝てたよ。) だが、それでも。 奇跡には代償がある。 (それでも、もう一度、君に生きて会いたかった。) リンクの目に、涙は無かった。 あるのは、この殺し合いを開いた者を絶対に倒し、生きて帰るという意志だけだった。 オルゴ・デミーラが開いた殺し合いが始まって、ちょうど18時間。 この時点で生存者が10人となった。 メルビン 小野寺キョウヤ カイン・ハイウインド ローザ・ファレル ヌ・ミキタカゾ・ンシ 野比のび太 朝比奈覚 大魔王デマオン クリスチーヌ そしてリンク。 この10名の中で、殺し合いに乗ろうとする者は、もう残されていなかった。 [川尻早人@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 死亡] [スクィーラ@新世界より 死亡] [吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 死亡] [ルビカンテ@Final Fantasy IV 死亡] [クッパ@ペーパーマリオRPG 死亡] [残り 10人] 【D-5/一日目 夕方】 【リンク@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】 [状態]:ハート1/15服に裂け目 所々に火傷(大) 凍傷(治療済み) 疲労(特大) [装備]:マスターソード@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス トルナードの盾@DQ7 アイスナグーリ@ペーパーマリオRPG チェーンハンマー@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス [道具]:基本支給品 ランダム支給品0~2 水中爆弾×1@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス アルスのランダム支給品1~2 (武器ではない) 正宗@Final Fantasy IV 柊ナナのスマホ@無能なナナ 火縄銃@新世界より 美夜子の剣@ドラえもん POWブロック@ペーパーマリオRPG 基本支給品×2(ユウカ、ピーチ)、遺体収納用のエニグマの紙×2@ジョジョの奇妙な冒険 陶器の馬笛@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス、虹村家の写真@ジョジョの奇妙な冒険、ランダム支給品×1(佐々木ユウカでも使える類)、愛のフライパン@FF4 ディフェンダー@ FINAL FANTASY IV 魔法の盾@ドラゴンクエストVII まだら蜘蛛糸×2@ドラゴンクエストVII [思考・状況] 基本行動方針:主催を倒す 1.仲間と共に戦う。最後まで。 【メルビン@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】 [状態]:HP1/2 喪失感(中) [装備]:勇気と幸運の剣@ジョジョの奇妙な冒険 [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~5(一部ノコタロウの物) [思考・状況] 基本行動方針:魔王オルゴ・デミーラの打倒 ※職業はゴッドハンドの、少なくともランク4以上です。 ※ジョジョ、無能なナナ、FF4、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。 【小野寺キョウヤ@無能なナナ】 [状態]:健康 [装備]:モイのバズーカ@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス (残弾0/5) [道具]:基本支給品(切符消費)、替えの砲弾×5 ランダム支給品(×0~1 確認済) 鬼は外ビーンズ×8@ドラえもん のび太の魔界大冒険 セシルの首輪 首輪に関するメモを書いた本@現地調達 [思考・状況] 基本行動方針:主催者が何を考えてるのか。少なくとも乗る気はない。 1.首輪や主催に関する更なる情報を得る 2.あの扉は何だったんだ?脱出経路だといいが…。 ※参戦時期は少なくとも犬飼ミチルの死亡を知った時期より後です。 ※不老不死の再生速度が落ちています。少なくともすぐには治りません。 ※死亡した場合一度死ぬと暫くは復活できません。 ※別の世界の存在があると理解しました。 ※この殺し合いが強力なスタンド使いを作るため、と言う仮説を立ててます。 ※ジョジョ4部、DQ7、FF4、ペーパーマリオの情報を得ました。 【ローザ・ファレル@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/10 MP 0 決意 [装備]:勇者の弓@ゼルダの伝説+矢10本 トワイライトプリンセス ふしぎなぼうし@ドラゴンクエストVII [道具]:基本支給品、 カチカチこうら@ペーパーマリオRPG×2ランダム支給品0~1 偽クリスタル@現地調達、その他首輪の素材 [思考・状況] 基本行動方針:クリスチーヌと共に、リンク、およびマスターソードを探す。 1:どうして首輪の素材に、クリスタルのようなものがあるの? ※参戦時期は本編終了後です。 ※この殺し合いにゼムスが関わっていると考えています。 ※ジョジョ、無能なナナ、DQ7、ペーパーマリオの参戦者に関する情報を得ました。 地上での決着が終わった後のこと。 激しい戦いの衝撃により目覚めた朝比奈覚が、地下で見たのは幻覚だった。 「お前は……瞬!?」 記憶ごと消されていた旧友の顔が、はっきり映っていた。 東京でもその顔を見たと早季が言っていたが、こうして覚の前に現れるのは初めてだ。 「助けて……僕達の未来が、思い出が……消え……。」 ノイズのように、言葉が途切れ途切れになる。 一体何を彼が伝えたかったのか。主催者たちは何を思ってこの殺し合いを開いたのか。 それを聞く前に、少年の姿は消えてしまった。 「分かったよ。もう少し頑張ってやるしかないな。」 覚は立ち上がり、地上へと進んだ。 [D-5 地下 一日目 夕方 【朝比奈覚@新世界より】 [状態]:精神的疲労(大) [装備]:なし [道具]:基本支給品、北風のテーブルかけ(使用回数残り17/20)@ドラえもん のび太の魔界大冒険 ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本行動方針:仲間を探し、脱出する 1.瞬?お前、どうして? ※参戦時期は26歳編でスクィーラを捕獲し、神栖66町に帰る途中です。 Back← 097 →Next 096 赤くて痛くて脆い(前編) 時系列順 098 第三回放送 From Players 投下順 095 しかし、誰が4枚目のカードになるのか? 野比のび太 朝比奈覚 吉良吉影 GAME OVER デマオン 川尻早人 GAME OVER 096 赤くて痛くて脆い(前編) リンク 098 第三回放送 From Players ルビカンテ GAME OVER メルビン 098 第三回放送 From Players 小野寺キョウヤ 094 見え始めた光明 ローザ・ファレル クリスチーヌ 085 破滅の足音1 疑心 悪鬼を呼ぶ スクィーラ GAME OVER クッパ
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辺りは、つい先ほどまでの魔王との戦いが嘘であるかのように静まり返っていた。 アルスの遺体が荼毘に付されて、その火が消えてからも、ただリンクは空を見上げて座っていた。 ガノンドロフとの戦いは、全てを擲って、それでいてほんの紙一重の勝利だった。 今の勝者たちは、休憩を取らなければ満足に動くことさえ出来なかった。 「ルビカンテ、さっきの回復魔法は出来るか?」 同じように座っているルビカンテに、傷だけでも回復してもらおうとする。 「無茶を言うな。」 赤マントの男はにべもなく切り捨てた。 他にもマーダーはまだ生きているのは分かっているが、とても動けそうな状況では無かった。 (腹……減ったな……) 腹にもいくつか怪我を貰っているが、それでいて食欲は正直だった。 ザックを開け、パンと水を取り出す。 辺りには人が燃える臭気が漂い、お世辞にも食事に適した場所では無いが、腹に詰め込む。 本当はよく熟れたトアルカボチャを潰して、隠し味にトアル山羊のチーズを一欠けら入れたスープに、コッコの生みたて卵の目玉焼きを堪能したい所だったが、贅沢は言えない。 粗末な食事だったが、体力は幾分か回復した気がした。 次にやったのは、ガノンドロフが持っていた道具を回収することだった。 その身体は、立ったまま石になってしまったので、鎧を外すのは難しそうだった。 だが、それ以外のアイテムはありがたく頂戴することにした。 彼が持っていた魔法剣はザックに入れ、氷の力を持ったバッジは付けてみることにした。 そして魔王が持っていた鞄の中身を開けてみることにする。 何が入っているのか開けてみようとした時、放送が流れ始めた。 2度目の放送なので、何を知らされるかは嫌でも分かった。 感情の無い言葉が、島全土に広がる。 『ゼルダ』 さあっと顔から血の気が引いていくのを感じた。 自分はまたかけがえのない人を失ってしまったのだと、改めて分かった。 その時に胸をよぎったのは、『あの時火のついた図書館に向かっていれば』という後悔だった。 ゼルダは図書館で戦死したことはリンクは知らない。 けれど、そうした後悔は押し寄せてきた。 それでも放送は止まらず、先程まで共に戦った戦友アルスや、ゴロンの族長ダルボスなど、彼の仲間の名前が次々に告げられた。 魔王は倒した。けれど、その為に払った代償はあまりにも大きかった。 「彼女を、助けられなかったのか。」 まるで確認するかのように発したその言葉は酷く乾いていた。 そして、放送が途切れ、世界が変わる。 地面が大きく揺れたと思ったら、まるで雨でも降るかのように、空が暗くなる。 瞬く間に、空が影に包まれた。 これから一番明るくなる時刻なのに、太陽は遮られた。 まるで、2人の気分を表しているかのような、そんな空へと早変わりしてしまった。 「リンク。」 地震が止んだと思ったら、後ろで低い声が響いた。 振り向くと、ルビカンテが地図に禁止エリアをメモしていた。 「すまないな、少し考え事をしていた。アンタはどうなんだ?」 おおよそ人間らしい、少なくとも正義に与する者とは思えない姿をしたルビカンテだが、先の戦いでは彼の熱い心に助けられた。 そんな人間らしさを持った彼に、リンクは何か言葉をかけてやりたかった。 元々口数が多い方ではなかったし、こんな時に何を言えば良いのかよく分からなかったが。 「呼ばれた。私の主が。」 その声は先の言葉よりも、静かに聞こえた。 「……そうか。」 ルビカンテが知っているゴルベーザは、ゴルベーザではない。 彼と同様、ゼムスに操られた偽りのゴルベーザだ。 ましてや、この世界で彼が何をしたかなど、知る由もない。 それでも、彼にとって道しるべになってくれた人物ではある。 少なくとも自分より早く死ぬべきでは無いと思っていた。 また、彼の知っている者の中には、かつて自分を討ったエブラーナの忍者や、いずれ借りを返そうと思っていた赤帽子の男の名も含まれていた。 例え分かち合える相手で無いと分かっていても、雌雄を決することの出来ぬまま、その名が呼ばれていくのは気分の良いものではなかった。 「気を遣う必要などない。」 どう声をかけるべきか、口ごもっていたリンクに対し、ルビカンテはにべもなく返した。 そもそも彼は他者からの同情を好む性格ではない。 彼が火のルビカンテになり、闇の道を歩むことにした時点で、差し伸べられた手はすべて払ったようなものだから。 だから、主の喪失を同情してもらうつもりなど無いし、悲しまれる権利さえないと思っていた。 「私のことなど気にするくらいなら、他のことをすべきだ。 先の戦いで呼ばれた強者達の為にもな。」 ルビカンテの言う通り。 2人共、この殺し合いで死した誰かから託されている。 リンクはアルスという勇者から、ルビカンテはセシルというパラディンから。 だから、彼らは失っても、ここで終わることは無い。 まだ、使命を遂げていないから。 それにリンクが駅の構内で戦ったバツガルフはまだ生きている。 イリアの死体を弄んだ死霊使いだって、どうなったか分からない。 さっきの地震の影響で、ガノンドロフのザックの中身が、地面に散らばっていた。 そして、その中に一際リンクの目を引いた物があった。 カゲの中でもくすみの無い光を放っている一本の剣。 どんなことが起ころうと、汚れ1つ付かない白銀の刃。 鳥が翼を広げた形の青い柄。 かつてフィローネの森の最奥で見つけた、彼が良く知っている退魔の剣だった。 「その剣を知っているのか。」 既にリンクが持っていた聖剣、正宗とは違う輝きを放っていた。 マスターソードを見たことが無いルビカンテでさえも、それが武器屋で値札を付けられているような剣ではないと一目で分かった。 リンクは左手でその剣の柄を握り締めた。 その瞬間、彼の左手の甲の、三角形の痣が光る。 「ああ、コイツは俺の知っている、呪いの剣さ。」 「………。」 その剣は、呪いが込められたとは思えないほど、綺麗な輝きを放ち続けていた。 だが、彼が言ったことは紛れもない事実。 マスターソードは、リンクという人間を無理矢理勇者にした。 本当は光と影との戦いなどどうでもよかった。 光だけを見つめて、ずっと生きていたかった。 ジャガーの畑のカボチャを投げて遊んだり、グリーンギル釣りに熱中する毎日を送りたかった。 悩みなんて、ファドの家のハチの巣が鬱陶しいとか、中々山羊が小屋に戻ってくれないとか、そんなことで良かった。 村の外に出ることなく、牧童として子供たちと過ごし、やがては大人になって一生を終わらせたかった。 影の侵略は、そして何より自分は勇者だという事実は、そういった願望を一切合切奪って行った。 黄昏の黒雲の中で、自分だけ人魂として怯えながら助けを待つことを許されなかった。 最初の内は、たまたま貧乏くじを引いただけで、巡り巡ってミドナに振り回されているだけだと思っていた。 フィローネの精霊から緑の服を承った時も、自分が勇者だとは信じられなかった。いや、信じたくなかった。 けれど、森の奥で見つけた聖剣は、偶然ではなく必然だったという答えを容赦なく突き付けた。 自分を唯一無二の勇者と認める、こんな腐った剣がなければ。 仲間の喪失の罪を感じることも、恐怖と戦う必要も無かったのに。 勇者ではなく、1人の人間として村の子供たちと心を交わすことが出来たのに。 もしかすると、殺し合いに巻き込まれることだって無かったし、イリアやモイが死ぬことも無かったかもしれない。 「でも、呪われていようが何だろうか、切れ味だけは折り紙付きだ。 それこそ、影でも祓えるぐらいにはな。」 「そうか。ならば良かろう。剣など斬れれば問題あるまい。」 柄を握り締め、横に1振り、2振り。 クルクルと振り回して、鞘にしまい込む。 その顔から、一際覚悟が表れていた。 その後、灰になったアルスの遺体を埋葬し、墓碑代わりに折れた彼の剣を刺す。 キングブルボーとガノンドロフの遺体は大きすぎたし、後者に至っては石化していたため、埋葬は諦めることにした。 「行くぞ。リンクよ。」 「一緒に行ってくれるのか?」 「この殺し合いが終わるまでの間だけだ。いずれは私と刃を交えることを忘れるな。」 「そうか、なら、その間だけ期待してるぜ。」 リンクは退魔の剣を、そして自分が勇者であることを憎んでいたが、1つだけ感謝していたことがあった。 それは、光と影の戦いを通じて、そして今回の殺し合いで頼れる仲間に出会えたということだ。 だから、リンクは憎んでいる剣を振るい続ける。 今もどこかで戦っているはずの仲間(ミドナ)のために。 自分に未来を託した戦友(アルス)のために。 太陽が隠れた世界でも、彼の手の甲の勇気の証は光っていた。 ところで、少なくとも今はどうでもいい話だが。 黄昏の勇者が生まれ育った世界には、勇気、知恵、力を司るトライフォースがあった。 1つはリンクに宿っている。 しかし、残り2つ、知恵と力の持ち主はそれぞれこの戦いで命を落としている。 ゼルダもガノンドロフも亡き今、それらの黄金三角形は何処に向かうのだろうか。 【B-3と4の境目/草原/一日目 日中】 【リンク@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス】 [状態]:ハート1/6 肋骨一本損傷 服に裂け目 所々に火傷 凍傷(治療済み) 疲労(中) 死霊使い(佐々木ユウカ)に対する怒り(大) [装備]:マスターソード@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス トルナードの盾@DQ7 アイスナグーリ@ペーパーマリオRPG [道具]:基本支給品 ランダム支給品0~2 水中爆弾×5@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス アルスのランダム支給品1~2 (武器ではない) 正宗@Final Fantasy IV 柊ナナのスマホ@無能なナナ 火縄銃@新世界より 美夜子の剣@ドラえもん [思考・状況] 基本行動方針:主催を倒す 1.イリアを操っているはずの死霊使いを殺すか。 2.ピンクのツインテールの少女(彼女が殺し合いに乗っているかは半信半疑)から、可能ならば死霊使いの情報を聞く 3.アルスの想いを継いで、仲間を探し、デミーラを必ず倒す ※参戦時期は少なくともザントを倒した後です。 ※地図・名簿の確認は済みました。 ※奥義は全種類習得してます 【ルビカンテ@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/10 魔力:小 疲労(中) [装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:この殺し合いを終わらせて受けた屈辱を晴らし、生き延びた者と闘う 1.リンクと共に、殺し合いに乗っている者を倒す ※少なくとも1度はセシルたちに敗れた後です。 Back← 083 →Next 082 悪鬼 時系列順 084 炎と森のカーニバル 投下順 067 魔王決戦1 転がるように風を切って ルビカンテ 093:魔王の牙(前編) リンク
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勝負の結果は明白だった。 「まったく見ちゃおれんな……」 カインが激戦のプレリュードを打った戦場へと足を進める。 結論からいえば勝負に勝った者――ルビカンテは相手に情けをかけた。 エブラーナ忍者からしてみれば祖国に壊滅的被害を負わせた復讐を遂げる相手だ。 相手を打つために全身全霊の想いであったはずだ。死も覚悟するつもりであっただろう。 それを見逃されたのだ。 取り残されたエブラーナ忍者は未だに対戦場所で地に伏している。 生きてはいるだろうがその場所を動かない。 一命を奪われなかったとはいえ手負いの傷を負っているのか。情けをかけられた悔しみに 伏せているのか。 「確かに自信を持てるほどの強さだ……しかし この私には、まだ及ばぬ。 腕を磨いて来い! いつでも相手になるぞ!」 先ほどのルビカンテの言葉をカインが反照する。 その言葉にはセシルも同意であった。 偶然とはいえ戦いの一部始終を見守ったセシルから見てもエブラーナ忍者の動きには 隙が多すぎた。 それに、憎しみにとらわれているのか。まるで何かに生き急いでいるかのような動きだ。 それはかつての暗黒騎士の……そして今も悩める自分をみているかのようであった。 すぐに加勢してもよかったのだが、様々な感情が渦巻き助けに入ることはできなかった。 勿論、ルビカンテがエブラーナ忍者に止めを刺すようならば、それらの感情を放り捨ててでも 助けに入っただろうが。 そして一つだけ言えることは、あの者とはここで助けて終わりになる関係ではないだろう。 何かがセシルの中で確信めいていた。 エブラーナ9
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「受けて立とう」 「それでこそだ!」 王の脳裏には様々な者の面影が浮かんでは消えていた。親愛なる部下達、いつも――そして今も自分を後ろで 支えている最愛なる王妃。そして―― 「エッジ―」 何故、その名が出たのかは彼にも分からなかった。そしてその声は誰にも聞こえなかった。 「その手負いでは戦えまい。回復してやろう!」 言うとルビカンテは白魔法を唱える。先程負った傷の痛みが引いていく。 「では……」 間髪いれず、ルビカンテが言う。 王も黙って頷く。準備万全という意味だ。 「いくぞ」 戦いの火ぶたが切られた。 <あやつが王になるのも、そう遠くないのかもしれんな> そんな中、王はいつか言った自分の言葉と形容する事の出来ない息子の顔が頭に浮かんでいた。
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アフターダーク ◆S33wK..9RQ あの頃は必死に何かを追い求めていた。 ポケモンマスターになるのが僕の夢だった。しかし夢というもの、それは何とも儚い物で、叶えた瞬間消えうせるものだ。 達成感。そして数日間に及ぶ高揚感。しかし日にちを追う事にそれは消えうせていく。 気分転換にチャンピオンロードを回ったり、またジョウト地方やシンオウ地方への遠出。 それでもこの燃え尽き症候群(バーンアウト)をどうにかすることができなかった。 ふと、親友であり、嘗てライバルだったグリーンに相談をしてみた。なぜ『嘗て』だったという表現をつけたかは、彼では僕のライバルをもう務める事はできなくなったからだ。 彼はもう弱くなっていた。いや、僕が強くなりすぎたのかもしれない。 だけど彼は僕の事をよく思い、奇妙な信頼関係が生まれていた。だからこそトキワジムのジムリーダーになれたのかもしれない。 彼は『シロガネ山に行ってみたらどうだ?』と僕に言ってきた。 シロガネ山だって?冗談じゃない。あそこは人間が入ってはいけない場所だ。完全にポケモンしかおらず、尚、そのポケモンもとても強い。 だけど、グリーンの目を見ると……どうやら冗談ではないらしい。これをどうにかするにはそこに向かうしかないらしい。 自身は無いけれど……。 でも、僕の不安な気持ちはすぐになくなった。旅を続け、戦い続けた僕は、もはやシロガネ山のポケモンでさえ相手にならなくなった。 これで、僕の相手はいない。完全な無。シロガネ山の最深部で寝転がる。 ふと、昔の剣豪、宮本武蔵を思い出す。彼みたいにポケモンの五輪の書でも書こうか。 ……馬鹿馬鹿しい。僕はまだそんなに歳をとっていない。 僕は目を閉じる。 そんなシロガネ山を何日、何ヶ月、そして3年と少し。彼が、――――が僕の事を尋ねる数日前。 僕はなんだか懐かしい夢を見た。まだポケモンがいない世界、人間もいない世界。そんな世界を僕は歩く。そして目の前に、彼が現れた。 「……っ!」 僕はその痛みに溜まらず目を開けた。 ここは森のど真ん中。寝返りを右に向けて打ってしまったらしい。痛覚は鈍っているが、自分の右手に体重をかけてしまったのは間違いだったらしい。 サカキとの戦いで少し疲れていて、休息をとっていた所だ。……この様子を見ると自分はどうやら夢を見ていたらしい。それも昔の。 ああ、しかし昔のことなんて思い出すなんてなんとも奇妙なことだ。 シロガネ山の夢。今の自分には酷く皮肉なものだ。なぜこんな夢をみたのだろう。 ぐぅ~ 「……………。」 ……そういえば自分は食事を一度も取っていなかった。この状態で戦闘に巻き込まれたりしたら問題だろう。 もっとも万全の状態でも僕はかなり弱いから意味ないと思うけど。 デイパックから取り出したのはプラスチックの袋に入ったメロンパンみたいなパン。 テカテカと光沢している以前に、包装されたプラスチックに成分表も何もかかれていないのを見ると、ちょっと安心できない。 それでもお腹がすいているのにはかわらない。なので意を決してそのパンを一口噛んだ。 ――――なんだこれ。口の中、パッサパサじゃん。パッサパサだよマルク!お口の中、パッサパサだよ! しかも喉に詰まる。無駄に詰まる。仕様が無いのでペットボトルの水で流し込む。 というよりか、味が無い。この光沢の部分は砂糖が塗られているのかと思ったけど、そんなことはなかった。 サファリパークで間違えて食べたコイキング用の餌を思い出す。確かこんな味だった。うん。 だけどこんな味でも食料には変わりない。黙って口に押し込んでいく。完食。 正直酷い朝ごはんだった。デイパックを除くとまだパンが数個入っている。……食べたくない。 無言でデイパックを閉じ、立ち上がる。……が、やめた。 デイパックの中で光っているものが気になり、取り出す。クリスタル。その光が美しくて、抱きしめる。 これはいったいなんなのだろうか。なぜあの研究所に隠されていたのだろうか? 「……!」 正直、その考えが浮かんだ時にはもう遅かった。これを餌にして他の参加者との交渉ができるじゃないか。 なんでこんな簡単なことが思いつかなかったのだろうか。……いや、仕様が無いことだろう。これはそれを忘れさせるぐらい美しいのだから。 だが、問題点がある。このクリスタルの活用方法だ。 はい、今日、ご紹介する商品はクリスタルでーす。なんとこれ、鑑賞の他に鈍器に使えます!、とでも?酷くつまらない話じゃないか。 それに隠す必要があるというのはこれは重要なものなのではないのか? 今の自分には情報が少なすぎる。それ以前に出会った人物も少ない。タケシ、サカキ、そして巫女。 たった三人。しかも話が通じる相手でもなかった。他二名はこれをもっていなかった為に普通に襲撃して終わりになってしまった。 僕はもう少し他の参加者と接触しなければならない。それも自分を守ってももらえるような屈強な戦士がいい。 ポケモンの様に感情があるなら僕も楽だ。……もっとも人を利用することなんてこれが最初で最後なのかもしれないけど。 「……!」 その時だった。違和感が急に僕を襲った。……この感じは……彼だ。 ☆ ☆ ☆ 「なぁ、ルビカンテ、すっげぇ気になるんだけどさ、そのマントの下って、服着てるのか?もしかしてすっぽんぽん?」 「マントの中、見せてやろうか……?」 「……いや、遠慮しておきます。はい」 放送数分前。ルビカンテと陽介は歩きながら放送をいまかいまかと待ち構えていた。 だが、まだ放送は流れない。陽介は(まだかよ……凄い気まずいんだよこの空気……)とか思いながら少し前のルビカンテに視線を伸ばす。 ……やっぱりすっぽんぽんなのか?でもすっぽんぽんで、見せてくれたらただの変態じゃないか。俺も、こいつも。 「なぁ、お前、趣味は?」 「強者との正々堂々なる戦いだ」 ……会話が続かない。だが、奇妙で面白い。そして切ない。なんだこの某RPGみたいな……。まぁとりあえず自分はこうやって無駄な会話を続けていた。 情報交換もロクにせずに。情報交換よりルビカンテに質問しているほうが面白い、という理由でだ。 「……お前ってそんなんなんだ。好きなアーティストと女優とか居ないの?りせちーとかも知らない?」 「……アーティストか?若い頃はよく音楽をよく聞いていたな。私のオススメは『超絶美人静寂狂乱殺戮破壊性欲天…… 「まった!んだそのアーティスト!?」 会話が弾まない。否、会話が噛みあわない。このよくわからない話を楽しんでいたのだが。 「(……んー、まさかとは思うが……)」 情報交換をしていない理由は他にもあった。マヨナカテレビより面倒な事を増やしたくは無い、という理由からだ。 だが、それは聞かずにはいられない。 「……なぁ、ツンデレのルビカンテ」 「なんだツンデレ見習いの花村よ」 気がついたら自分はツンデレ見習いにされていた。まぁいいか。それより大事な事が聞きたかった。 「……もしかしてー、異世界出身だったりしますかー?」 ☆ ☆ ☆ 「………………いるんでしょ?」 そう、そこにいる何かに声をかける。だけど、返ってはこない。当然だろう。あのポケモンは人の目の前に現れる事は、まずない。 何年か前に一度だけお目にかかれたのを思い出す。それ以降、僕はそのポケモンに付きまとわれているが、僕の目の前に現れることは無かった。 近くにはいる、だけど、見えない。シロガネ山に篭ってた時はずっとそうだ。もしやここにも付いてきているとは予想もしていなかった。 「なんで僕の事を付きまとうの?」 返事はない。彼だからこそ。だからこうやって時間を戻すのも容易いのだろう。 だが、僕は彼を心底嫌っていた。僕は、ポケモンを道具扱いにしていた。なのに、このポケモンはずっと僕を見てきている。 まるで、ママの様に優しく。僕を見守っているのだ。少なくとも僕が殿堂入りしたあたりから。 「君にはこんなことをしてもメリットはない。でも君はずっと僕を見ている」 ―――悲しみが、僕を覆う。これは僕の感情ではない。僕を見ている彼の感情だ。 彼はテレパシーで僕に疎通を行う。だけど、正直にいうと彼は鬱陶しい。僕の事を嘲笑しているようにも感じ、ママのような優しさを匂わせる。 「…………僕にもう付きまとわないで」 僕はその場からデイパックを肩に掛け、走り出す。そのポケモンから逃げる様に。 ――――大丈夫。君は、きっと、思い出すよ。君はやさしいから。 ☆ ☆ ☆ 「……ふむ、十人も逝ったか。我が戦友、バルバリシアとリディアも。野蛮であったが、バルバリシアはとても強かった。リディアも優しい召喚士であり、彼女の召喚魔法には梃子摺らされた。彼女達は素晴らしい戦士だった。言うなれば、『ツンデレ』だ」 「……そうかい」 もはや『ツンデレ』に突っ込む理由はない。ツンデレとは敬意ある戦士に送る言葉、ということにしておけば面倒事は起きない。 だが、それはどうでもいい。 「……10人も死んだ」 「ああ、戦って死んだ者もいれば、造作なく死んでいった者もいるだろうな」 「過程なんてどうでもいい。俺は」 結果として10は死んだ。これはこの狂った遊戯に乗った人物が多いということだ。 「俺は、助けたい。死んじまった奴らに申し訳ない。だから……」 その言葉の意図が理解できたルビカンテはため息をつき、花村に言葉を突きつけた。 「私は、お前の様に勇気あるものが好きだ。……だが、そういった感情に振り回される人間が……残念だが強くはなれない」 「俺は!そこにあるものが守れれば別に強くなくたっていい!生きたいように生きて、それが弾みで死んじまっても、それが本望だ!」 ルビカンテが言うのを花村は遮り強く言う。 そうだ。俺は、そして皆は生きなければならない。そうしなければ今日を生きられなかった先輩にも申し訳ない。 俺は精一杯生きるんだ。 「……そうか」 だが、反応があっけないもの。えっなにこれ。反応それだけ?てか、よく考えると、この台詞臭くね? ……なんだか凄い恥ずかしくなってきた気がする。人は死なせたくないんだけど、なにこれ恥ずかしい。 「……なんか反応薄いんだけど」 「……すまんな。死ぬ前を思い出してた」 「ああ、そう。…………は?」 おい、なにそれ、いま言う事か。 「お前によく似た忍者を知っている。奴も強い戦士だ。彼もツンデ……」 「ちょっまて。なにそれ。……ごめん。俺が悪かったから……情報交換をしよう」 花村は思った。わけわかんねー、と。死ぬ前?忍者? ってか、まだ情報交換していなかったわけで。 ☆ ☆ ☆ 「……ん?」 「……どうしたのよ?」 モニターが何個も並ぶ部屋でイザナミが突拍子もなく声を上げる。いまマルクがこの部屋にはおらず休憩室でジュースでも飲んでいるのだろう。 入れ替わりにイザナミがやってきて永琳をため息をついた。 この部屋は殆どこの部屋ではあまり喋りたくないのが本音であり、イザナミがこの部屋にきても『ああ、そう』とか『へぇー』とかのあっけない返事を繰り返していて、結果としてイザナミも一言も喋らず、事務的な事をこなすだけになった。 イザナミはどうやら一番忙しいらしく色々は部屋を行き来している。まずはこのモニタールーム。なにを制御しているかわからないボイラー室。同じく用途不明の電源室。そして、……人質の部屋。 忙しい、忙しいと口に出すが、彼自身が望んだことだ。まぁ別に声をかけるきにもならなかった。 だが、今回のそれは先ほどの様子とは違った。驚嘆の意だった。 「ここ、見て」 イザナミが指を刺す。幾つもあるモニターの中で一番目を弾く、赤と青と黄のサイケデリックなモニター。 つまりサーモグラフィーを指差す。永琳は管轄外の仕事だ、と一言呟こうとしたが、イザナミと同様の反応を見せた。 「……この周辺にいる参加者は?」 「……えっと、まってね~かわいこちゃん~。……サカキ、博麗霊夢、東風谷早苗、雷電、アカギ、……『unknown』、レッド、ルビカンテ、花村陽介、だな。……ふーん、面白い反応だね」 「……『unknown』?」 永琳は歯軋りした。このタイミングで訳の分からない反応。機械の故障? 「……普通のカメラの映像は?」 「おいおい、これは俺の仕事さ。ただ単に気になっただけさ。君がそうやって反応をしてくれるのは嬉しいことだけど、この謎は俺が解明する」 それに、普通のカメラは設置していない、と付け加えるとは、自分を突っぱね、部屋を出て行った。モニターごと。代わりにマルクが戻ってきた。 「……あれ?イザナミが珍しく焦ってたのサ」 「私だって焦ってるわ。会場で参加者以外の人物がいるとしたら、ね。機械の故障だといいけど」 その一言を言うとマルクの顔はみるみる青くなっていく。自分もそれを見てさらに狼狽した。私達側と参加者以外が会場に降り立ってはいけない。 降り立ってしまったら私達も、参加者も最後だ。イザナミも最後の時を迎えるだろうが、自身の命なんてどうでもいいと思っている輩だ。 つまり実質的な被害を受けるのは、私達。ああ、困った。ここまで頑張ってこんな所で呆気無い最後というのは望んでは、いない…… 一方、イザナミ。自分専用の部屋に戻り、モニターを設置、そしてデータ解析。データ解析、という芸当は先ほどまでできなかったが、できるように学んだ。 データを照合し、そこになにがいるのかを調べる。なぜいるのか。まばたきをせずに、その二つ、レッドの点を見つめる。 「……あららら、これは凄いもん見つけた。面白くは無い展開だ。……でも放って置いても問題はないか」 自分の思いすぎだったみたいだ。なに、ただ全知全能の神様が趣味の悪いストーカーをしているだけ。 レッド以外は誰も気付かないだろう。 自分もたまたま気付けただけだ。結果として永琳も気付いたが、彼女の心配事を増やしただけだった。それもそれで問題はない。 「まぁ、俺ならこいつにぎりぎり勝てそうな感じだね。他の奴らにゃ無理だ。……お前、そんなにそいつが愛しいのかい」 レッドを示す点の近くに『unknown』と表示された点を見つめる。正直、こいつが自分達に干渉することはないだろう。 そして、参加者にも。否、干渉がほぼ不能だ。つまりこの画面に映るのは意識体だけであり、肉体は存在しない。 まぁ放っておいてもきっとこの催しに支障はないだろうし。 しかし、どこから彼は湧き出たのだろう。これは個人的に調べようかな。 ☆ ☆ ☆ 「……魔法?月の民?......わからん」 「落ち着け。陽介よ。冷静に考えてみろ。戦士なら考える力も必要だぞ」 「ありえねー!ぜってーありえねえって!。ってかなんでお前はペルソナ使いについてはツッコミなしかよっ!?」 陽介が叫ぶ。ルビカンテは頭をポリポリと掻き、陽介を諭す。だが意味は成さない。 だが、きっと陽介は自分でもわかっている。これはありえない内容だと。 「……陽介。私達にはいま目的がない。お前の言う襲った連中も見当たらなかった」 「じゃあどうするんだ?俺タウロスタウンに行きたいんだけど……」 「そうしよう。そこなら他の参加者がいるかもしれない」 陽介の言っていたペルソナ使いとも一戦できるかもしれない。(日本という世界は滑稽な話で信じられないがペルソナは信じられた) それに、今の自分はまだ戦闘という戦闘はしていなかった。カインの時も逃してしまった。 ……あの時は、カインに幻滅していたところである。次に会ったときは、倒す。……否、殺す。 「そうと決まれば、行くか!」 「よし、ゆくぞ陽介」 そして二人は立ち上がる。 が、立ち上がるときに、陽介はルビカンテのマントを踏んでしまい転ぶ。 「えっ」 「なっ」 そして、なぜか、ルビカンテは陽介に覆いかぶさる様に倒れる。 「ああ、すまぬ」 「いってーな!……まぁいいか。早くそこをどけ!なんだこの体勢!?」 マントだけ(見えるかぎり)で素足をチラチラさせる存在は異質であり、この体勢は危ない。 どこかの後輩を思い出すが……いや、あれはシャドウだったな。それを想像しないようにルビカンテにどいて貰おうと…… 「む?」 「早くどけよっ!なにが『む?』だよっ!………え?」 視線を感じた。そしてその視線の先にいたのは黒髪の少年。片方の腕はわけのわからない方向を向いていて、こちらをみて呆然を立っていた。 「……その怪我は大丈夫か?少年。一人じゃ寂しいだろう。我々に混ざらないか?」 ルビカンテは少年のその怪我を見て、身を案じた。この殺し合い、まさかこんな少年が巻き込まれているとは想像もできなかった。 こんな陰惨な殺し合いに巻き込まれて声も出せないぐらいに怯えているじゃないか。保護しなければならない。 「…………おい、ルビカンテ。考えて物を言えよテメエ!!!」 だが、陽介がかなり怒る。なぜだ。こんな少年を保護しないとは……幻滅だ。こんな奴を弟子にした覚えはないぞ。 弱者は救うのが当たり前だというのに……。 ルビカンテが軽蔑の視線を送られている陽介は思った。おい、この体勢でその台詞を言うのは不味いだろう。混ざるじゃなくて他にも言い回しがあっただろう…… いや本当に。なにこれ、ほら、少年が震えてるジャン…… 「…………ホモの変態カップルだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 「いやっ、違うんだよ少年Aよっ!!これはただ転んだだけであってっ!」 「む?どこにその変態がいるのだ?」 「おめえーだ馬鹿っ!おい、少年Aよ、俺達は無害……」 「ホモの変態カップルだあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 【レッド@ポケットモンスター】 [状態]:生足の変態のせいで 忘れちゃった [装備]:はがねの剣、コルトパイソン(5/6、服の下に隠している) [道具]:基本支給品一式、極細ワイヤー10m(残り5m)、はがねの剣@FE、コルトパイソン(5/6)@現実、クリスタル [思考] 基本方針:生きて帰り、少年と再戦する 0:へんたいだあああああああああああああああああああ!!! 1:変態を滅する 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]変態。ツンデレ見習い、ルビカンテとカップル [装備]熟練スパナ@ペルソナ4 [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1(武器にはならない)、スタンドマイク@星のカービィ [思考] 基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める 0:まてって!誤解なんだって!本当だって信じろって!しばいたろか少年Aよ! 1:おい、ルビカンテ、そこをどけ!いつまでそこにいるつもりなんだおめえーは!? 【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】 [状態]ツンデレのルビカンテ、変態のルビカンテ、生足のルビカンテ。そして彼は伝説になった…… [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×2 基本方針:ゴルべーザ様を探し、指示に従う。強者との戦いを望む。 0:変態はどこだ? 1:落ち着け陽介よ。少し下着が食い込んできて迂闊に体勢を崩せないのだ…… ☆ ☆ ☆ 「永琳。残念だが、機械の故障だった」 「残念なのは貴方でしょう」 そうイザナミに言うも、心臓の鼓動はずっと高鳴ったままだった。安心してしまい、大きくため息をつく。 それをイザナミに見られて、しまった、と思う。また何か面倒な言い回しで私達の精神状態を削り始めるのか。 だが、想像とは違ってイザナミは黙ってこちらの目を見てくる。 「俺も心底嬉しいよ。参加者とこちら側、そして意思を持った支給品、ポケモンとか人形とか以外がこの会場に降り立ってしまったらこの計画は全て水の泡だ」 「確かに大変だったわね」 確かに大変だった。が、自分が焦るなんて性にはあわない。 さあ、原因を伝える用事はすんだのだから早くこの部屋から出て行ってくれ。 「そういえば、支給品のポケモンってなんであんなに強いのサ?」 「殆どシロガネ山から連れてきたようなポケモンだからさ。あの山には『ひんし』なんて状態はないよ。人間は勿論、ポケモンも一撃で死ぬような強さだからね。コイキングでさえかなりのサイズだからアレが進化したらとんでもなくなるよ」 だが、マルクが素朴な疑問をイザナミにぶつける。それを予測していたかの様にイザナミはすぐに応答をする。 確かにそのことについては疑問に思っていたが、こいつに聞くのは癪だったので聞くことはしなかった、がマルクはそんなことは全然気にしないらしい。 「そして、そのポケモンがゴロゴロしている山で3年も過ごした少年がレッド。彼は強いよ~。頭も良いし、皆無だった戦闘センスはいま急激に上がってる。そしてポケモンの知識は半端ない量を持っている。きっとポケモンの世界で一番優れてる」 「あら、急に参加者の話になったわね。私以外はまったく興味がないと思ってたわ」 「ハハハ、違う違う、トトカルチョでもやらないかっていう話を……」 「断るわ」 「自分もいいのサ」 マルクはこのときばかりはしっかりと否定してくれた。ああ、やはりこの子は良い子だ。 それをみたイザナミはムスッとした表情で自分達に背を向けて歌を口ずさみながら出口に足を進める。 「ナイアイフェイスアウトホルダーウト~♪」 「んー?イザナミ、なんの曲なのサ?」 「……誰だったけな。お気に入りなのに忘れちゃったぞ。まぁいいか。じゃ、俺は戻るよ。……あっ!忘れてた。あとで上司的な方々と会議的な物をするから会議室的な部屋来てね~」 マルクにも後ろを向いたまま応答し、そして部屋からでていった。 「……会議。あの怖いお姉さんとかおじさんとかポケモンとかまた会うのは勘弁なのサ、ね、えーりん」 「(……この事はまだ話すべきじゃないわね)」 「……えーりん?」 そういえばレッドの話で思い出した。『彼』の事。 霧雨魔理沙の運よく拾われたモンスターボール。あれの中身は私以外だれも知らない。 あれは元々隠れボーナスアイテムであり海に漂うように設定されている。(他にも海に漂う隠しアイテムがある。主に参加者を催したフィギュア) しかし少し細工をしてあそこのエリアに現れるように設定をしたのだ。 気がつかずに拾われない可能性もあったが、彼女が注意力が高いこと知能が高いことで会場の鏡写しのループにも気付いてくれる大きな収穫もあった。 ……もっとも今は精神的にも肉体的にも危ない所を付け込まれ、足立透とかいう奴に騙されており、結果として今は完全に足立の操り人形と化していた。 それの重要性に気付いているのは瀬多総司だけだ。彼に早くそれが行き届くのを願いたい。 「えーりん?」 「ああ、ごめんなさい。ちょっと考え事」 「会議あるらしいのサ……」 「……そうね、首括りましょうか」 「永琳は死なないし、僕には首がないのサ」 ああ、そうだった。 しかし、ポケモンというのは不思議な生き物だ。人間に追従しながらも信頼関係を築く。このような関係をもつのは幻想郷じゃ先ず無い。 モンスターボールの中身とはどうなっているのだろうか。あんな狭い場所で息を潜めたくは無い。 ああ、その事を考えると彼に申し訳ない気持ちが浮かぶ。……まてよ。 「(……まさか、『unknown』は彼?……つまりイザナミにバレた?……いや、攻略本には載っているけど中身は私がすり替えたのだから気付いてない筈。彼はゲーム機のプログラム変えるのにで精一杯だったはずだ)」 ……大丈夫。彼の事はバレてはいない。攻略本に書いてある『マスターボール』の欄には 『海に漂う隠しアイテム!中身はファイアーで、全てを焼き尽くすポケモンだ!クリスタルを全て集めた御褒美に全ての参加者を焼き尽くせ!』 だとかの趣味の悪い記述がしてあるのだ。中身はファイアーではなく、彼が入っている。……もしや彼がこうやって意識だけを送りこんで会場内に現れる事をするのは予想外だったが。 やはり彼は万能なポケモンらしい。自分でも彼を味方につけることができてよかったと思う。 「(……ボールの中身を挿げ替えたのはバレてはないにせよ、彼の仕業だってことは勘付かれてる)」 …………大丈夫。確信は突かれてはいない。ならばこのまま突っ切るしかない。知らないふりをして。 「(…………それにしても、彼は本当にレッドがお気に入りみたいね)」 「えーりんー!会議室行く前に休憩室行くのサ」 あなたって休憩ばっかしてるじゃないの、と言おうと思ったがマルクの笑顔を見ているとどうでもよくなった。 ☆ ☆ ☆ 「……………………………」 「というわけなんだよ。信じてくれ!」 「むー、そうか、その発想があったか。大丈夫だ陽介よ。私は男に色情沙汰なんて…………」 「だー!お前は黙ってろっての!やっぱツンデレ剥奪すっぞ!」 なぜそこでツンデレという単語がでるのか不思議だったが、まぁどうでもいい。 彼らに取り入って守ってもらうことにしよう。 「………………………………………………僕が誤解してたみたい。僕の名前はレッド」 「……あー、よかった。やっと誤解が解けた。俺の名前は花村陽介。陽介って読んでくれ。別に『先輩』とかつけなくていいからな」 そこまで言う必要があるのか、こいつは馬鹿なんじゃないか。そう思うが口には出さない。 いつか足元を掬われるタイプだ。逆にこちらも掬われないように気をつけなければ。 「私の名前はルビカンテ。ツンデレのルビカンテと呼んでくれ」 こっちは馬鹿にしてるのか、という態度を取ってくる。マントから生足が出ているということはマント以外になにもつけていないのだろうか。 いや、それ以前にツンデレのルビカンテって………………やっぱり変態だ。しかもホモだ。こいつに襲われないように気をつけなければいけない。ああいう意味で。 「それで、レッド。その傷はどうしたんだ?」 「…………………………………………これは、サカキっていう男に襲われたんだ」 本来の目的はこいつらに守ってもらいながらサカキとあの巫女の悪評を回すことだ。 こいつらは頃合を見て裏切ればいい。クリスタルの事は……話すべきかどうか。クリスタルは、一撃必殺技の様なものだ。まだ話すべきではないかもしれない。 ――そんな事を考えていると、また彼が悲しい感情を僕に送り込んできた。 ………………なぜ彼は僕に付きまとうのだろう。鬱陶しくてしかたがなかった。 【朝/B-2/1日目】 【レッド@ポケットモンスター】 [状態]:右手首損傷、右肩脱臼(右腕は使い物にならないレベル)、精神疲労少、精神的安堵感および高揚感、痛覚麻痺、帽子無し。 [装備]:はがねの剣、コルトパイソン(5/6、服の下に隠している) [道具]:基本支給品一式、極細ワイヤー10m(残り5m)、はがねの剣@FE、コルトパイソン(5/6)@現実、クリスタル [思考] 基本方針:生きて帰り、少年と再戦する 1:陽介とルビカンテに守ってもらう。頃合が来たら裏切る 2:巫女(霊夢)とサカキの悪評を言い回す 3:『彼』が鬱陶しい 4:ルビカンテを警戒(ホモかもしれないので) 5:クリスタルは誰にも渡さない。 ※サカキを『3年前のサカキ』と認識しました。 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]健康 [装備]熟練スパナ@ペルソナ4 [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1(武器にはならない)、スタンドマイク@星のカービィ [思考] 基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める 0:よかったー、誤解解けた。 1:レッドとの情報交換 2:瀬多総司、里中千枝、天城雪子を探す為にタウロスタウンに行ってみる。 2:ルビカンテと行動を共にする 3:カインを警戒。 ※カインの名前はルビカンテがカインと呼ぶのを聞いています。 ※作中からの登場時期に関しては真ルート突入前、ペルソナはジライヤ 足立に関しては頼りない刑事の印象です。 ※雷電と早苗を危険人物と判断しました。 ※FF4世界の事を聞きましたが、信じてません 【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】 [状態]ツンデレのルビカンテ [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×2 基本方針:ゴルべーザ様を探し、指示に従う。強者との戦いを望む。 1:レッドとの情報交換 2:花村と行動を共にする。戦いを通じて自分の技を教える。 3:強者との戦いの為、町へ向かう ※作中からの登場時期はカインと面識がある以降。死亡後、または直前と判明。 ※花村が自分の弟子になりたいと思っていると勘違いしています。また、ツンデレという言葉を敬意ある戦士に送る言葉だと思っています。 ※花村から雷電と早苗の容姿を聞きました。 大丈夫、大丈夫。君は、僕らの事を一番よくわかってるから。 君が最後の時を迎える時まで、君を見守る。 僕がついてるから、安心して。 時系列順で読む Back 銀河に集う星たち(前編) Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ 投下順で読む Back 銀河に集う星たち(前編) Next 神と支配者(1) Back 勘違いの連鎖 ルビカンテ Next 僕たちの行方 Back 勘違いの連鎖 花村陽介 Next 僕たちの行方 Back I m Not Okay (I Promise) レッド Next 僕たちの行方 Back 艶かしき安息、躊躇いに微笑み イザナミ Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back 艶かしき安息、躊躇いに微笑み 八意永琳 Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─ Back 艶かしき安息、躊躇いに微笑み マルク Next 狂乱劇 第一幕 ─最強の妖怪─