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ルビカンテは強きものとの正面からの戦いを生き甲斐としているだけあって実力は確かなものであった。 エッジがいくら力を増したとはいえ、正面から立ち向かっていってもその一撃の一つ一つをあっさりと 交わしていった。 無論回避するだけで手いっぱいというわけではなかった。エッジに向かって本気の一撃を下さないのも 戦いを長引かせ楽しんでいるのだろう。 しかし、だからと言って外野からの攻撃に対して無頓着なわけではない。回避行動を続けるルビカンテの隙を ついてローザが弓による援護射撃、リディアが冷気魔法での一撃を狙う。しかしルビカンテはみすみす攻撃を喰らっては くれない。 攻撃がくると察知すると、身にまとったマントで身体を包み。冷気魔法の直撃を受けとめる。 「効かない!?」 リディアが驚きの声を上げる。あのマントには炎をつかさどる四天王の弱点である、冷気魔法に耐えうる防御力があるのだろう。 「あれを貫くことは無理そうだ」 セシルはリディアを落胆させないように一人ごちた。 ルビカンテは防御だけにとどまらず、積極的に後方支援に徹するローザと、リディアに対し、炎魔法を打ちこんできた。 直撃させないように、二人を守るのはセシルの役目だ。 (これでいい…僕の役目はこれでいい。後はカインが首尾よくやってくれる) 勿論、相手にこちらの手の内を明かされるわけにはいかない。勘付かれないように自分が上手く立ち回らねば作戦が機能しない。 「どうした? お前たちの力はその程度なのか……」 失望からくるのか、それとも挑発なのか、ルビカンテから失意の声が届く。 「うるせぇ! まだまだこれからだぜ!」 後者と受け取ったエッジが斬撃をよりいっそう強く繰り出す。しかし、ルビカンテはひらりと攻撃をかわしていく。 「エッジ落ち着いて……!」 リディアが冷静さを促す。だが聞こえていないのか、聞く耳を持たないのか、エッジは攻撃を続けている。 「セシル……」 ローザも心配したようにセシルを見てくる。 誰の目から見ても今のエッジの攻撃は成果を上げているようには見えない。そうあくまで<エッジの攻撃>ではだ…… 「大丈夫」 静かに、短く、だがはっきりとセシルは自分の成功を確信した上での声を上げる。 (僕たちは一人ではない。他人同士だ。いくら通じ合ったところで完璧な意志疎通は出来はしない。だけど……それを上手く使えば) 「いい加減やられろってんだ!!」 疲れとも苛立ち交じりで願望を口にするエッジ。だがルビカンテに攻撃が当たることはない。 「ふっ……まだまだ青いな!? それでは私に勝つことは出来ぬ、決してな……」 いっそうエッジの気を紛らわすルビカンテ。いっそうエッジへと集中するルビカンテ。 だがその光景はセシルにとっては好都合だったのだ。 絆13
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とある学校の校庭。 この殺し合いが始まる前、クラスの覇権を目指した争いが繰り広げられようとしたこの場所で、新たな争いが始まらんとしていた。 片側にいるのは紅の戦士、ルビカンテ。 もう片側にいるのは、白のパラディン、セシル。 「行くぞ、セシル!!」 先に飛び出してきたのは、紅の戦士の方だった。 「話を聞いてくれ!ルビカンテ!!」 先手を許してしまったが、その攻撃に当たるまいと躱し続けるのが白の聖騎士。 「話を聞く余裕などない!!ファイガ!!」 ルビカンテが念じると、一対の火球がセシルに向けて襲い掛かる。 セシルが真珠色の大剣を振りかざすと、その炎は水蒸気に帰した。 「ふむ。氷の剣か。」 「ここで僕らが戦っていてもあいつらが喜ぶだけだ!!君ならわかるはずだ!!」 「然り。だが、私は脆弱な者共と協力する気などない。ただ、強者との戦いを望むだけだ!!」 続いて右手から炎の魔法を続けざまに打つ。 仲間であったエッジやリディアのように、遠距離攻撃を持たぬセシルにとって、この攻撃は厄介だった。 「どうした!?私がおまえに負けたのは、貴様の仲間や強い武具のおかげというわけなのか?」 「頼む!奴等を倒すために、僕と協力してくれ!!」 「ならん。この殺し合いを止めたいのなら、私を殺すがよい。」 自分の発言が矛盾していることなどお構いなしとばかりに、続けざまに炎の魔法を打ち続ける。 弾幕のように迫りくる炎を、吹雪の剣を振り回す。 だが、このままではらちが明かない。 (力を貸してくれ、ローザ、みんな!!) 炎の嵐の中をくぐり抜け、ルビカンテに斬りかかる。 その刃が深紅の衣に吸い込まれんとした時。 (!?) その一撃は、ルビカンテの左手により止められた。 「中々面白い武器を貰った。使わせてもらうぞ。」 「爪!?」 かつてのルビカンテは、炎の魔法やそれを応用した術など、徒手空拳の戦い方をしていたので、セシルも油断していた。 だが、炎の爪という支給品を承ったことにより、新たな戦法を編み出したのだ。 反撃を受けまいと、慌てて後退するセシル。 「この爪は、こういった使い方も出来るようでな。」 ルビカンテは左手を上空にかざす。 すると爪に火が集まった。 「食らうがよい!!」 さらにその炎を持ち前のファイガで増幅させる。 先ほどより強い炎球が、白騎士めがけて襲い掛かった。 「ぐあああ!!」 吹雪の剣を持ってもしのぎ切れず、熱風により吹き飛ばされる。 「どうした?まさかそれで終わりではあるまい。」 倒れたセシルを見下ろすルビカンテ。 「どうやら……本気で戦わなくちゃいけないようだね。」 「その通りだ。全力でかかってくるがいい!!」 予想通り、というわけだが、パラディンとして前面で戦い抜いた彼は、その程度では終わらなかった。 顔や体のあちこちに火傷を見せながらも、ケアルで回復していく。 回復術の制限によりその効果は著しく低いが、最低限の回復が終わると、すぐにルビカンテに斬りかかった。 「ほう……やはりやるではないか。」 先程までとは別人のような速さに僅かながら驚く。 炎の爪でも防御できず、マントの守りの無い腿に凍傷をつけられる。 その後もセシルは二撃、三撃と続けざまに斬撃を加えようとしていく。 だがルビカンテもさることながら、その攻撃を悉く凌いでいく。 そして、何度目かセシルの剣が空を切った時。 空から、正確には校舎から、何者かが飛んできた。 それは同じように赤い色をしていたので、一瞬ルビカンテと関係ある何かとセシルは戸惑ってしまったくらいだ。 しかし、それは着地する前に、身体を大きく回転させ、巨大なハンマーでルビカンテを大きく吹き飛ばした。 赤の巨体が、何度かバウンドして転がっていく様子は、セシルも見とれてしまっていた。 「誰だが分からないけど、助かった……っ!?」 赤い帽子の男は、無防備だったセシルの顔面に、ハンマーを打ち込んだ。 「な……なぜ!?」 視界がブラックアウトしたセシルの疑問に答える間も無く、暗い闇を宿した目を持つその男は、ハンマーを振りかざす。 完全に不意を突かれ、ルビカンテとの激闘もあったセシルが、この男に敗れるのも時間の問題だった。 「おのれ……おのれ!!よくも戦いに水を差してくれたな!!!!」 怒りに燃えるルビカンテが、赤帽子の男目掛けて切り札である技を出した。 「火焔流!!!」 真紅の竜巻が、深紅の衣装を身に纏った男を呑まんとする。 その一撃は、炎の爪により、かつてセシルが見た時よりも強大だった。 だが、彼はその場から一歩も動かず、ハンマーを構え、深く腰を落とす。 「何っ!?」 火焔流とは逆方向に激しく回転したハンマーは、その竜巻を一撃で打ち消した。 渾身の一撃を破壊した後、不気味に笑う。 「ぐうっ……!!」 ルビカンテに雷が落ちる。ただの雷ではなく、黒い色を纏った雷だ。 あんな色をした雷は、雷魔法やラムウを見てきたセシルも見たことがない。 分かったのは、帽子の男が相当な手練れであることだ。 「まだだ!!」 今度はセシルが立ち上がる。 ザックから何かを取り出し、帽子の男目掛けて投げた。 それを男は何の問題もないと体を反らして躱す。 「ぬ!?」 しかし投げた先にいたルビカンテにそれは当たった。 「うおおおお!!どういうことだ!!」 身体が浮かびあがる奇妙な感覚に、叫び声をあげる。 「ルビカンテ!!君だけは逃げろ!!そして、僕の仲間と共に……。」 全てのセリフを言い終わる前に、鈍器の一撃がセシルの顔面に迫りくる。 それを吹雪の剣で受け止めるセシル。 だが、相手の持ち味はハンマーや雷だけではない。 彼が今のような有様になる前からあった、ジャンプ能力だ。 剣の反動を逆利用してセシルの背後に回り込む。 「速い……。」 そのまま巨大なハンマーを、後頭部に叩きつける。 「ローザ……ごめん。」 最後にこぼしたのは、最愛の人への言葉。 それを聞いても、影に従った男の心には届かなかった。 【セシル・ハーヴィ@Final Fantasy IV 死亡】 【残り 49名】 (た、大変なものを見てしまった!!) 学校の外から、戦いの一部始終を見た者がいた。 (は、早くこのことを他の人やのび太君に伝えないと!!) 何のためらいもなく巨大なハンマーを振るうマリオを見て、彼は何も出来なかった。 その姿勢は、彼の主人が学校で宿題を忘れた時に廊下で取ることになった姿勢と似ていたのは、何かの皮肉だろうか。 男が校舎から出る前に、ドラえもんは急いで学校の外へと走り出した。 (ポケットもない今、ぼくだけでは絶対あいつに勝てない……早く誰かを集めないと……!!) 今はただ、これ以上被害が出ないことを望むだけだった。 【E-8 学校 校庭 深夜】 【ドラえもん@ドラえもん のび太の魔界大冒険】 [状態]:健康 恐怖 [装備]:なし [道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3 [思考・状況] 基本行動方針:マーダーから身を守る、赤帽子の男(マリオ)に警戒 1.のび太を探す 2.学校で起きたことを対主催勢力に話す ※魔界大冒険終了後です。 ※トランプ名簿は、のび太しか確認していません。 セシルを葬り、ルビカンテに重傷を負わせたかの男は、キノコ王国の姫を何度も救った、かつての英雄だった。 だが、そんな英雄でも、絶望に囚われる時が来る。 「お願いだ!!ボクは何でもするから、仲間だけは殺さないでくれ!!」 ――――なかなか、ききわけの、いいヤツじゃのう 1000年の扉から目覚めた魔物を目の前にして、マリオが目の当たりにしたのは、今までにない絶望だった。 助けるはずの姫が、魔物に乗り移られてしまった。 ただでさえ目の前の敵の恐ろしさをその身で感じているのに、その敵を倒しても姫まで取り戻せるか分からない。 最悪の場合、自分の手で大切な人を殺めてしまうことになる。 ――――……よかろう……。一生わらわにつかえるといい。これで、そちはわらわのものだ。 仲間の反対を振り切って、影の女王の軍門に下ることを選んだ。 そうすれば、少なくとも姫は怪物の物になっても、死ぬことはないと思ったから。 その後は、彼は魂を奪われて、邪悪な心を植え付けられた直後、この戦いに呼ばれた。 仕える相手となった女王はこの舞台にはいない。 だが、彼がやることは、怪物に魂を売った英雄として、参加者を殺し続けるだけだ。 【マリオ@ペーパーマリオRPG】 [状態]:健康 [装備]:大型スレッジハンマー@ジョジョの奇妙な冒険 [道具]:基本支給品×2 ランダム支給品0~3 ふぶきのつるぎ@ドラゴンクエストVII [思考・状況] 基本行動方針:殺す ※カゲの女王との選択で「しもべになる」を選んだ直後です ※カミナリなど、カゲの女王の技もいくつか使えるかもしれません。 「許せぬ!!許せぬ!!許せぬ!!」 飛ばされた先で、ルビカンテは叫び続けた。 それが最早負け犬の遠吠えでしかないと分かっていても。 戦いが終わり、負けが確定した時に飛ばされた先が、闘技場と言うのは何かの皮肉だろうか。 ――――ルビカンテ!!君だけは逃げろ!!そして、僕の仲間と共に……。 彼の脳裏にフラッシュバックするのは、彼が発した言葉。 あの時、逃げようと思えば自分があの羽のような道具を使えばいいのは分かっていた。 だが、それでいて自分に使った。 その身を挺してまで発した想いを、無下にするなど、彼の武人としての誇りが許さない。 だが、脆弱な者に協力することも、彼の性格が許さない。 彼の苦悩は、続く。 【A-8 黎明 闘技場】 【ルビカンテ@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/4 魔力消費(小) [装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1 [思考・状況] 基本行動方針:戦うか、協力するか 1.あの帽子の男(マリオ)は絶対に許さない ※少なくとも1度はセシルたちに敗れた後です。 支給品紹介 【ふぶきのつるぎ@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】 セシルに支給された、氷柱を模したような剣。 氷属性の剣で、斬った後追加で氷のダメージも与える。 【炎の爪@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】 ルビカンテに支給された爪。 暖色を中心としたデザインに違わず、攻撃した後追加で炎のダメージも与える。 また、道具として使うと、炎の球を出すことが出来る。 【大型スレッジハンマー ジョジョの奇妙な冒険】 マリオに支給されたハンマー。 そのままでも十分な破壊力を持つが、原作で波紋エネルギーを纏わせたように、何らかの力を纏わせることが出来るかもしれない。 【キメラの翼@ドラゴンクエストVII】 セシルに支給された道具。 本来なら投げると一度行った場所に移動するシステムだが、本ロワでは相手に投げることで、同じ会場内にランダムで移動できるシステムになっている。 【フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG】 ルビカンテに支給されたバッジ。 付けると、消費FP(フラワーポイント)が下がる。 本ロワでは、他の魔力の節約にも応用できる。 Back← 008 →Next 007 デマオンの表裏バトル・ロワイヤル 時系列順 009 ♢のフラッシュは揃うのか 投下順 NEW GAME セシル・ハーヴィ GAME OVER NEW GAME マリオ 032 薄っぺらな人形劇 NEW GAME ルビカンテ 036 リスタート NEW GAME ドラえもん 028 過去も未来も、巨悪も超えるから
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「機は熟した」 誰にも聞こえない声で一言。 しかし、それと同じ想いの者がこの場には一人…… (カイン) 今この場所でたった一人大空を主戦場とする天架ける騎士が動きだした―― ルビカンテは力だけでなく、知略や戦術にもたけていた。決して戦場の全てを把握せずに戦うなど無策な事はしない。 むしろ常に怖いくらいの冷静を兼ね揃えているといっていい。 だから冷静さゆえにエッジのような性格の相手を甘く見てしまうのだろう。加えて相手は一度勝利した人間だ。 完璧な勝利が揺るがない。そう思っているからこそ無駄に戦いを長引かせる、戦いを楽しんでしまったのだ。 それは一人の相手に夢中になる――つまりは全体を見渡せなくなっていたということだ。 「!」 ルビカンテはすぐにでも上空からの刺客に気づいたが、すでに回避しきれる間合いではなかった。 防御するが、眼前には絶えることのないエッジの猛攻が続いていた。 「ぐっ――」 回避する際でも微動だに姿勢を崩すことがなかった炎の魔人ががくりと腰を曲げる。 「今だ!」 セシルの声が終わらぬうちに一斉に攻撃が開始される。 リディアもローザもセシルの意図を感じ取ったようだ。 ルビカンテも冷静さを失わずに防御するが、直撃を避ける事は出来ない。 (が……ぐっ) 常に平静さ装っていたその声色に呻きが混じる。 (これで決める!) セシルも剣を抜き跳躍。ルビカンテへ距離を詰める。 既に機敏な回避ではなく、少しでも損害を減らそうと防御を主体とするルビカンテ。だが数で勝るこちらの攻撃を全て凌ぎきるのは 不可能である。戦法を切り替えた時点で勝負は決していた。 「セシル――」 誰もがルビカンテの敗北を、セシル達の勝利を確信した瞬間にエッジが一言。 「分かった」 とどめは自分で刺したいのだろう。拒否する事はない。 己の感情のまま戦ったエッジもこの戦いにおける功労者なのだ。 絆14
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堕ちた竜騎士 ◆FjuL6rOGS. 「殺し合いだって?冗談じゃないぜ」 気が付けば一方的に殺しあえと言われた挙句、さらに見知らぬ場所へと 飛ばされた花村陽介は自らが置かれた状況に当惑を隠せないでいたが、 つい先程この殺し合いへの参加者が集められたホールでの惨状を思い出す。 道化師のような男にローザと呼ばれた女性が見せしめとしてに殺された事を。 忌々しい事に人の命をたやすく奪った金属製の首輪は、陽介の首にもしっかりと はめられていた。無闇に主催者には逆らえない、だけど。 (こんなふざけた事だけは絶対に許せねえ!) その気持ちだけは確かだった。自分の気持ちを確認し、恐らく同じ気持ちを抱いていた であろう親友の事を思い出し辺りを見回してみる。しかしホールで一緒だった親友の姿は 見当たらずどうやら親友とはまったく別の場所に飛ばされたらしい。 念の為に参加者一覧を確認するとホールでは気が付かなかったが親友の少年の他に 里中千枝、天城雪子の二人、さらに稲葉署の刑事である足立透の名前も確認する事が出来た。 「よし、まずはみんなと合流しよう」 主催者に対抗するにしたって自分一人じゃあ心許ない。でも仲間達と協力すればあるいは、 そう考えを纏めると地図とコンパスを取り出し現在位置を確認する。 手にしたコンパスが示す東の方角にまるで天空の彼方まで届きそうな巨大な樹木が見える。 あれが地図に乗っている世界樹だとしたら、目測で現在地との距離を測ってみる。 恐らくは世界樹とタウロスタウンの中間辺りが現在位置だろうと目安を付ける。 (闇雲に仲間を探し回ってもラチが明かないだろうから、まずは町に行ってみるか) 陽介は手にしたデイパックを片手で漁りながらタウロスタウンへ向けて歩みだした。 しかしその直後、不意に背後から人の気配を感じ、陽介が慌てて振り返るのと 蒼い鎧に身を包んだ男、竜騎士カインが手にした槍で陽介を襲うのは全くの同時だった。 「ちょっ、うわっ」 咄嗟の事にカインの槍を辛うじてかわした陽介が悲鳴を上げる。 「あっ、あんたっ!この殺し合いに乗ったってのか!」 「ちっ」 カインは初撃をかわされた事に舌打ちをすると手にした槍を構え直し再び陽介に襲いかかる。 対する陽介は片手を突っ込んだままのデイパックから掴んだ物を咄嗟に取り出し防戦する。 だが出てきたものは一本のゴルフクラブ。クラブの先端が槍の一撃であっさりと 断ち切られ、後方に飛んでいく。どう考えてもハズレ支給品だった。 「ちょっ、待った!待った!」 「黙れ」 カインは陽介の静止の声に全く聞く耳を貸さず槍の二撃目を受けたゴルフクラブは先程より更に短くなっていく。 (冗談じゃないぞ!全身鎧を着込んだ上にあんな物騒な槍を振り回してくるとかマジかよ! ファンタジーのゲームか、映画からでも出てきたってのかこいつ!?) 「くそっ、こうなったらペルソナを使うしか」 だが、はたしてペルソナがマヨナカテレビの中でもないのに使えるのか? 陽介の脳裏を一抹の不安が掠めるが、どちらにしてもこのままでは槍の餌食。 (試してみるしかねぇ!!) 陽介は己の分身のであるペルソナ、ジライヤを呼び覚ますべく精神を集中する。 「ハアアァッ!!」 その陽介の眼前に再びに槍が迫る!! (やばい、試す以前に間に合わない) 陽介は手にしたゴルフクラブの残骸を無我夢中でカインに投げつける。 だが無常にもその一撃は槍の一蹴であっさりと弾かれる。 「死ねっ」 しかしカインの一撃が陽介を貫くに見えた瞬間、二人の間を割って入るように飛来した爆炎がカインを穿つ!! 「なっ、ぐぁ」 「おわっ、今度は何だ!?」 完全に不意を突かれた炎の一撃に体勢を崩したカインは後方へと大きく飛び退く。 「この炎は!!」 咄嗟の事に驚愕の表情を浮かべる陽介、カインの二人は炎の飛んできた方角を見やる。 そこには真赤な衣装と灼熱の炎に全身を包みこんだ男、ルビカンテが悠然と立っていた。 「そのような弱者をいたぶる戦いぶりをするとは。見損なったぞ、カイン」 「貴様っ、ルビカンテ」 カインとルビカンテはお互い睨み合い対峙する。 「くっ、貴様のような奴に言われる筋合いはない」 「ずいぶんな言われようだな。だが私の知るカインは武器を持たぬ輩を襲うような 卑劣漢ではなかったはずだ。あの道化師の言葉に乗せられたか?」 「黙れっ、俺は・・」 「まあ、貴様の事だ、おおよそローザの為だろうと大体の見当は付くが」 ルビカンテの言葉にカインは苦々しげに表情を歪める。 「ちょっと待ってくれ、あんた達知り合いなのか?」 顔見知りらしき二人の様子に話が見えない、とばかりに陽介が声を掛ける。 「誰がこんな奴と」 「それは私の台詞だ」 槍を構えるカイン。拳に先程と同じ爆炎を手にするルビカンテ。その様子に再び緊張が走る。 ただ一人武器を持たない陽介、しかしカインが陽介を狙えばルビカンテの炎がカインを狙う。 狙われているとなればカインも迂闊には動けない。 どういうつもりなのかルビカンテが陽介を狙う仕草は見えなかった。 「くそっ、この場は一旦引かせてもらう。だがルビカンテ、いずれ貴様は倒す!」 場が悪いとばかりにそう言い放つと、カインは森の中へ颯爽とその姿を隠す。 「助かった・・」 カインが去った事により多少は肩の力が抜け呟く陽介だったが未だ得体の知れない炎を 纏った男がこの場にいる事には変わりはなかったが窮地を救ってくれたであろう男、ルビカンテに声を掛ける。 「急に襲われて正直やばかった。ありがとう、って礼を言ってもいいのかな?」 「なぁに、私は弱者をいたぶるマネが好かん。ただ、それだけだ」 その答えに一旦は安堵した陽介だがもう一つ肝心な事を尋ねる。 「助けてもらって聞くのもどうかと思うけど。あんたは殺し合いのってないのか?」 「あの道化師の事は気にくわんが。さて、どうしたものか」 炎の男はニヤリと笑いどちらとも取れない答えを返す。 (おいおいどっちなんだよ・・) ルビカンテの言葉に冷汗を垂らす陽介は内心の動揺を抑えながら片手で汗を拭うとルビカンテに声をかける。 「とりあえず自己紹介しないか。俺は花村陽介」 「私の名はゴルベーザ様の四天王が一人、火のルビカンテだ」 【B-4森/一日目/深夜】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×2 [思考] 基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める 1:ペルソナ4主人公、里中千枝、天城雪子、足立透を探す為にタウロスタウンに行ってみる。 2:ルビカンテ、一体何者なんだ? 4:鎧の男(カイン)怖っ。 3:ペルソナが使えるか試したい。 ※カインの名前はルビカンテがカインと呼ぶのを聞いています。 ※ランダム支給品を一つ消費しました(ゴルフクラブ@ペルソナ4) が戦闘により破損しました。 ※作中からの登場時期に関しては真ルート突入前、ペルソナはジライヤ 足立に関しては頼りない刑事の印象です。 【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×3 基本方針:不明 1:カイン・・。 2:花村陽介か・・。 ※作中からの登場時期はカインと面識がある以降、時期不明としておきます。 ◆ ◆ 「はぁはぁ・・」 花村陽介とルビカンテの前から姿を消したカインは息を切らしながら森の中を駆け抜ける。 二人が居る場所からある程度の距離が離れた所でようやく足を止めると脳裏に先程のルビカンテの言葉が蘇ってきた。 『あの道化師の言葉に乗せられたか?』 『貴様の事だ、おおよそローザの為だろうと・・』 図星だった。ローザが殺された瞬間、ホールの片隅でカインは絶叫していた。 「俺は、俺は・・」 恐怖に引きつりながら鮮血を吹き上げ虚しく散っていったローザの顔を思い出す。 傍にいながら下手な命乞いしかできず、ローザを守ってやれなかったセシル。 セシルは何をしていたんだ!もし、傍に居たのがセシルではなく俺だったら? 命乞いなどせず、ローザを守れたんじゃないのか? それが理不尽な感情だとはわかっていた。それでも考えてしまう。 過去にローザに恋愛感情を抱きながらも相思相愛のセシルとローザの為に身を引いたカイン。 だがその行為は間違いだったのかもしれない。 なぜならば、セシルは愛するローザを守れなかったのだから。 だったら、今度は俺がローザを守る。俺がローザを救う。 「ローザを生き返らせる為だったら何だってやってやる」 そうだ、どんな汚い手を使ってでも、相手が無抵抗の女子供であろうとも たとえセシルと再び戦う事になったとしても、必ず優勝してやる・・。 瞳に暗い炎を宿しながら、覚悟を決めるカインだった。 【C-4森/一日目/深夜】 【カイン・ハイウィンド@ファイナルファンタジー4】 [状態]疲労(小) 腕に軽度の火傷 [装備]ナイトキラー@ファイアーエンブレム蒼炎の軌跡 [道具]支給品一式、ランダム支給品未確認×2 基本方針:優勝してローザを生き返らせる 1:殺し合いに勝ち残り優勝する 2:ルビカンテを倒す ※ランダム支給品×1消費(ナイトキラー@ファイアーエンブレム蒼炎の軌跡) ※作中からの参戦時期はルビカンテと面識がある以降、時期不明としておきます。 時系列順で読む Back 常識にとらわれなくなった結果がこれだよ!!! Next とある廃人の記録 投下順で読む Back 常識にとらわれなくなった結果がこれだよ!!! Next とある廃人の記録 Back GAME START 花村陽介 Next FIRE FIRE GAME START カイン・ハイウィンド Next 愛しさは、腐敗につき/友達を殺してまで。 GAME START ルビカンテ Next FIRE FIRE
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C.アルビカンス C. アルビカンス 学名 Candida albicansカンジダ・アルビカンス 属 Candida カンジダ属 酵母様真菌。 カンジダ属の中では一番の有名人。 その名の通りカンジダ症を引き起こす、日和見感染の原因菌でもある。 主にヒトの体表や消化管などに生息しています。 ※コミックスでは属名だけしか解らなかったため、アニメではこの菌種名が使われました。 参照:アニメサイトの菌名鑑(外部リンク) Charactor History コミックス未登場 Link WIKIPEDIA Candida albicans (外部リンク/英語) 山口県環境保健センター カンディダ アルビカンス (外部リンク)
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僕たちの行方 ◆.dRwchlXsY ★ 陽の光が燦々と差し込む草原、そこを歩くのは三つの影。 それぞれが同じ方向へと向けて歩を進めている。 学生服に身を包み先頭を歩く少年、花村陽介。 ところどころ擦り切れボロボロになった衣服を着て、引きずるようにして足を運ぶ少年、レッド。 そしてその中でも一際目を惹く、ゆうに二メートルは越えそうな程の巨躯を持つ男、ルビカンテ。 「いやー、しかしあれだ。レッド、さっきのあれは本当に誤解だからな。いやマジで。おいルビカンテも何とか言えよこの野郎」 「この私が何をしたというのだ。それに先程も男に色情沙汰などはないと言ったであろう」 「何度も言わなくてももう分かってるよ陽介。でも君たちに出会えて本当によかった。もし出会えなかったことを思うと……」 赤い服の少年、レッドがうつむいて答えた。 レッドは先刻、花村陽介とルビカンテの二人と偶然遭遇したばかり。 その後、紆余曲折を経て彼らと共に行動することになった。 「心配すんなって。俺とルビカンテで守ってやるからもう大丈夫だ」 「そうだ。私がいればどんな魑魅魍魎だろうと一瞬にして焼き尽くしてやろう」 彼らの行き先はタウロスタウン。 そこに他の参加者が身を潜めている可能性が高いと判断し、向かうことにした。 町には隠れる場所も役に立つ施設も多いだろ?案外、みんなそこにいるかもしれないぜ。それに病院に行けばレッドの怪我だって少しは治せるしな、と陽介は言う。 「其処に強者はいるのか?」 まだ見ぬ相手との戦闘を欲するのはルビカンテ。 正々堂々とした戦いを心情とする武人。 「どうかな?だけどその可能性はあると思うぜ。それにアンタ自身さっき知り合いがいるかもしれないって言ってただろ?」 最初の放送の時点で、ルビカンテと関係のある残りの参加者はセシル、カイン、ゴルベーザの三人。 セシルとカインとは殺し合いが始まる以前からも因縁のある相手。 特にカインとはこちらでも一悶着あったばかり。 それにゴルベーザはルビカンテの主に当たる人物。 一刻も早く合流するべきである。 勿論彼らがこの先にいるとは限らないのだが、可能性が零ではない以上行かないわけにはいかなかった。 「……そうだな。セシルとカインは元より、ゴルベーザ様とは一刻も早く合流しなければならない。主の命を受け、主を守り、主の為に尽くすのが部下の務め」 「そういうこった。それにレッドだって早くその怪我少しは良くしたいだろ?」 一人後ろを歩くレッドに、陽介は振り向いて答えた。 「そうだね……」 レッドに気遣い明るく話しかける陽介に対し、レッドも優しく笑みを浮かべ頷いた。 その本心は真逆の作り笑いの笑顔で。 レッドは花村陽介とルビカンテと遭遇した時、自分の目に飛び込んだ衝撃的な状況を前に、自分の選択を読み違えたかと焦りを生じたが、それは杞憂だったようだ。 花村陽介は明るく気さくな少年だ。 合流してからというもの、ほとんど笑みを絶やさずにいる。 年齢もレッドとそう違わないだろう。 怪我をしているレッドに、怪しむ様子など一切なく親切に接してきた。 こんな状況なのに疑いもせず、よくそんなに軽々しく近づけるものだとレッドも関心したぐらいだ。 そんな人物を利用しない手はない。 ルビカンテという男もそう心配する必要はないだろう。 初めて見たときはルビカンテの放つその雰囲気、佇まいに圧倒されたが、別に難しい人物ではないことが分かった。 そもそも人間なのか、この男は。 おそらく、それ相応のかなりの力を持っているに違いない。 参加者の大半は一掃できそうな気がするぐらいだ。 (花村陽介にルビカンテ、ここにきて最高の“仲間”を手に入れたよ。 この二人と共にいればしばらくは安泰。 その時がくるまで充分役に立ってもらおう。 唯一気になるのは、さっきも僕に干渉してきた『あいつ』だ。 何の目的かは知らないが、邪魔するなら容赦はしない。 そして最後は必ず僕が勝つ。 今までだってずっとそうだったんだ。 ポケモントレーナーとして連戦連勝、負けなし、チャンピオンになるのだって全然難しくなかったじゃないか。 僕の妨げになるものは全部やっつけてこれたんだ。 今回だって絶対に大丈夫さ。何も問題はない。何も……) 「そういえばその怪我……、たしかサカキって奴にやられたんだっけな?」 陽介がレッドに尋ねる。 三人は合流してから簡単な情報交換を行っていた。 互いの知る参加者や人間関係などについての簡単な情報交換を。 陽介は特別捜査隊のメンバーについてを。また自身のペルソナ能力についても少し説明した。ルビカンテはともかく、レッドは陽介のペルソナを見て少し驚いた様子を表した。 ルビカンテはセシルとカイン、そしてゴルベーザについて。 レッドはサカキについてはただ襲われたとしか話さなかったので、陽介に尋ねられて詳しく説明することにした。 「そうさ。奴にやられたんだ……。あの残虐非道な男に……」 「一体どんな奴なんだそいつは?」 「ロケット団っていう悪の組織のリーダーさ。罪のない善良な市民たちに対し悪行の限りを尽くす最低な男だよ」 「ロケット団……。聞いたことないな。ルビカンテはあるか?」 「いやないな」 「そんな大それたこと仕出かす奴らなら知らないほうがおかしい。変だな」 「テレビのニュースとかでも連日のようによく見るよ……」 「……だけど俺はそんなニュース見たことも聞いた事もない。てことは……」 顎に親指を当て、 少し間を置いて陽介は話した。 「……もしかしたらさっきの話も冗談じゃないのかもな」 「さっきの話?」 「ああ、レッドと出会う前、ルビカンテと少し話してたんだ。お互いの住む所とかの。そしたらこいつ月の民とか何とか言いだしてさ。さすがに俺もその時は信じられなかったんだけど、今になってよーく考えてみればあながち嘘じゃねーのかもって」 「どういうこと?」 「……もしかするとレッドも、てか俺たちはみんな違う世界に住んでるんじゃないかってこと」 「え、違う世界?」 「いわゆるパラレルワールドって奴?確証はないしちょっと話が突拍子すぎるとは思うんだけどさ」 「本当に?まさか?」 レッドは目を丸くして陽介に尋ねた。 「疑うのも無理ねーよな。俺だってまだ信じてない。でもルビカンテの言う月の民、レッドの言うロケット団。両方とも俺は今日初めて聞いた。それに二人が嘘を言っているようには思えない。だからもしかしたらそうなのかもって。 大体ルビカンテを見てみろよ。こんな変な格好した大男なんて見たことあるか?いやないね俺は。だろ?」 「変な格好とはなんだ。私からすればお前のほうがよっぽど奇抜な格好よ」 「どう見たって普通の学生服だっつーの!まあとにかくパラレルワールドだか何だか分からないけどその可能性もあるってことだ」 二人のやり取りをレッドは無言で見つめた。 陽介に対しレッドは平行世界の存在についてあたかも初めて耳にしたように答えたが、勿論そんなことは前から予測がついていた。 序盤に遭遇した博霊霊夢の人間離れした異能の力。 先程のサカキとの鉢合わせの時に生じた歴史の矛盾。 どう考えても何かがおかしい。 それに気づかないほどレッドも愚鈍ではなかった。 「なるほど……パラレルワールドか。だとしたらさっきの巫女もそうなのかも……」 「巫女?」 「うん。夜に彼女に襲われたんだ。不思議な力を使っていた。超能力って言えばいいのかな……。この腕も彼女にやられたんだ……」 レッドは、痛々しく折れ曲がった右腕に悲痛な表情で目を向ける。 陽介も同じ表情で見つめた。 「ひでぇなそいつは……。名前とか聞いてないのか?」 「さすがに名前までは……。ただサカキとその巫女は一緒に行動していたんだ。お互いに協力しているんだと思う。かなり危険な奴らだよ……」 「そうか……要注意人物だなそいつらは。まぁとにかく安心しろって。もしそいつらが来たら俺とルビカンテで守ってやるからさ。それにこの先の町には病院もある。その怪我だって少しは良くなるさ」 「ありがとう……陽介……」 落ち込む様子のレッドを励まそうと必死に言葉を紡ぐ陽介。 その真っすぐで裏表のない陽介にレッドは本当に感謝した。 (こんな僕を信じてくれて本当にありがとう。僕に寝首を掻かれるその時までちゃんと守ってくれるよね、陽介……) 真心こめた誠心誠意の感謝ではなく、うわべだけの虚礼虚文の感謝で。 ★ 彼らは歩く。 眼前に広がる無人の草原を。 「なあルビカンテのおっさん」 「なんだ?」 「あんた、一応俺の師匠なんだよな?だったら何か一つぐらい凄い技教えてくれよ。こんな状況だしさ、こう、すぐに覚えられるような技とかないのかい?」 「フ、戯けが。一朝一夕で身に付く技など無いわ。お前のそのペルソナもそうだろう?」 「そうだけどさ」 「そんなもの身につけても無意味。付け焼き刃の技などかえって重荷になるだけよ」 「なるほどね……。まあ確かにそうだな」 「だが――」 「だが?」 「だが、一つ私から教えられるとすれば、それは此処だ」 そう言ってルビカンテは自身の胸に手を当て、続けた。 「心。気持ち。信念。口に出すのは簡単だ。しかしそれがあると無いとでは全く違う。戦う理由だ。私も常にゴルベーザ様への一心で戦っている。勿論、強き者との戦いも理由の一つだ。 何の理由も無しに戦うのでは全力など出せん。心涼しきは無敵なり。陽介、お前にはあるか?戦う理由が?」 陽介は見知った仲間の顔を浮かべる。 稲羽市で共に過ごし、共に助け合い、共に戦った仲間たち。 彼らと共に過ごした時間は、決して忘れることのない最高の時間だ。 仲間がいたから今の自分がここにいる。 彼らの為なら何も迷いも恐れもない。 陽介は胸を張ってはっきりと答えた。 「ああ、あるぜ。ありがとよ“師匠”。これで気持ちの整理がついたぜ」 「フ。別にお前の為にではないわ」 「またツンデレかよ。ハハハ。あんたに出会えて――あんたの弟子になれて良かったよ。ありがとうな」 ルビカンテは無言のまま答えない。 ルビカンテの只でさえ赤かった顔が、また少しうっすらと濃くなったような気がした。 そして一言呟いた。 「ツンデレ……、悪くない。いい響きだ」 そんな二人の会話を後ろで静かに聞くレッド。 思わず胸に浮かべた――くだらない、と。 それから幾分程の時間が過ぎた。 朝の気配はすっかり何処かへ消え失せ、空からの清々しい光が辺りを照らす。 端から端まで見渡せそうな程の快晴。 目的地まではもうまもなくの所に来ていた。 視界の先に少しずつその町並みが見えてくる。 大小様々な建造物が凸凹のようにそびえていた。 タウロスタウンは四方を海で囲まれている。 町に行くためには二カ所の橋を渡る以外に方法はない。 三人はその内の一つ、西側の橋に向かっていた。 幸いここに辿り着くまでの間、他の凶悪な参加者に遭遇することはなかった。 参加者の数は今も刻々と減り続けている。 それに伴い、参加者の遭遇率も下がってきているのだ。 「ふう。この橋を渡ればようやくタウロスタウンだな」 「ゴルベーザ様はいるのだろうか」 「やっとここまでこれた。少し疲れたよ」 橋の前で歩を休める三人。 彼らの眼前には広々とした町がどっしりと構えている。 無言で佇むその町は少し不気味に見えた。 「でも、無事ここまでこれて良かったな」 「油断するな陽介。この先に何が待っているかは誰も分からないのだぞ」 「へいへい分かってますよ。とりあえずまずはレッドの治療をするため病院にいこうぜ。ええと、ケンコー病院?ふざけたネーミングだぜ全く」 「ありがとう陽介。僕のためにここまでしてくれて。君だって仲間が心配だろうに。何て礼を言ったらいいか……」 「いいんだって、そんな気を使わなくても。困った時はお互い様だろ?」 陽介はニッと笑みを浮かべる。 相変わらずの態度で接する陽介に、レッドは少し呆れたがとりあえず笑って答えた。 「さて、じゃあ行くか」 「ああ」 「うん」 町に向けて歩み出す三人。 親友や主君と再会したい者。 強敵と再戦したい者。 理由は違えどそれぞれが目的を持ってここにいる。 願いが叶うのかは分からない。 たどり着いた先に何があるのかも分からない。 それでも彼らは先へと進む。 三者三様の思いを抱き、彼らは橋を渡り始めた。 【B-4/1日目/午前】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]健康 [装備]熟練スパナ@ペルソナ4 [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1(武器にはならない)、スタンドマイク@星のカービィ [思考] 基本方針:殺し合いはしない。まず仲間達と合流、その後行動方針を決める 1:瀬多総司、里中千枝を探す為にタウロスタウンに行ってみる。 2:ルビカンテと行動を共にする 3:カイン、サカキ、巫女(博霊霊夢)、雷電、東風谷早苗を警戒。 4:まさかパラレルワールド?嘘だろ? ※カインの名前はルビカンテがカインと呼ぶのを聞いています。 ※作中からの登場時期に関しては真ルート突入前、ペルソナはジライヤ。足立に関しては頼りない刑事の印象です。 ※FF4世界の事を聞きましたが、信じてません ※ルビカンテからセシル、カイン、ゴルベーザについて簡単な説明を受けました。 【ルビカンテ@ファイナルファンタジー4】 [状態]ツンデレのルビカンテ [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品未確認×2 基本方針:ゴルべーザ様を探し、指示に従う。強者との戦いを望む。 1:花村陽介と行動を共にする。戦いを通じて自分の技を教える。 2:強者との戦いの為、町へ向かう 3:カイン、サカキ、巫女(博霊霊夢)、雷電、東風谷早苗を警戒。 ※作中からの登場時期はカインと面識がある以降。死亡後、または直前と判明。 ※花村陽介が自分の弟子になりたいと思っていると勘違いしています。また、ツンデレという言葉を敬意ある戦士に送る言葉だと思っています。 ※花村陽介から雷電と東風谷早苗の容姿を聞きました。 ※花村陽介から瀬多総司、里中千枝、天城雪子について簡単な説明を受けました。 【レッド@ポケットモンスター】 [状態]:右手首損傷、右肩脱臼(右腕は使い物にならないレベル)、精神疲労少、精神的安堵感および高揚感、痛覚麻痺、帽子無し。 [装備]:はがねの剣、コルトパイソン(5/6、服の下に隠している) [道具]:基本支給品一式、極細ワイヤー10m(残り5m)、はがねの剣@FE、コルトパイソン(5/6)@現実、クリスタル [思考] 基本方針:生きて帰り、少年と再戦する 1:陽介とルビカンテに守ってもらう。頃合が来たら裏切る 2:巫女(霊夢)とサカキの悪評を言い回す 3:カイン、サカキ、巫女(博霊霊夢)、雷電、東風谷早苗を警戒。 4:『彼』が鬱陶しい 5:ルビカンテを警戒(ホモかもしれないので) 6:クリスタルは誰にも渡さない。 ※サカキを『3年前のサカキ』と認識しました。 ※花村陽介から瀬多総司、里中千枝、天城雪子について簡単な説明を受けました。 ※ルビカンテからセシル、カイン、ゴルベーザについて簡単な説明を受けました。 時系列順で読む Back 心一つあるがまま Next Reach Out To The Truth(1) 投下順で読む Back 心一つあるがまま Next Reach Out To The Truth(1) Back アフターダーク 花村陽介 Next [[]] Back アフターダーク ルビカンテ Next [[]] Back アフターダーク レッド Next [[]]
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◆.dRwchlXsY 氏が手がけた作品 話数 タイトル 登場人物 033 GLAMOROUS レッド 035 さまよえる紅い弾丸 ルビカンテ 039 放送五分前 -始まりの終わり- アカギ 045 銀河に集う星たち(前編)銀河に集う星たち(後編) アカギ、雷電、東風谷早苗 049 僕たちの行方 花村陽介、ルビカンテ、レッド 登場させたキャラ 2回 アカギ、レッド、ルビカンテ 1回 雷電、東風谷早苗、花村陽介 作品に寄せられた感想 名前 コメント
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エッジ (R) 人獣No 004 名前 エッジ コスト 25 種族 人獣 HP 480 移動速度 4 ATK 70 DEF 30 攻撃対象 複数 攻撃属性 雷 弱点属性 火 スキル なし サポートスキル Wリジェネ 特殊技 らいじん 分類 攻撃 特殊技効果 範囲内の敵全てに雷属性のダメージをあたえる。さらに、自身が死滅するまでの間、使用するたびに威力が上がる。[時・早] 効果範囲 前方・円状 イラストレータ オグロ アキラ DATA 身長 1.75[meter] やっと会えたな、ルビカンテ!今日という日を待ってたぜ!なに・・・?忘れちまっただと!?ふざけるな・・・!!俺の名は、エッジ。エドワード・ジェラルダイン。エブラーナ王国の王子にして、最強の忍者の末裔だ。今こそ、人間の怒りってモンを・・・ 見せてやるぜ!! 体重 51[kg] 利き腕 両利き 出身地 エブラーナ 性格 破天荒 職業 忍者 考察 Lv制雷範囲ダメ(LV1、2、3、4:ATK110、130、160、200)溜りは20~25コスの間。 【ダメージ換算:非弱点(これに-DEF×0.5):84、96、113、136:弱点(これに-DEF×0.6):137、155、181、216】 このカードがなかったら赤ボタン修正後は海種一強になってたとすら言われるほどの海種メタ。 使い魔ランキング発表当初に人獣で3位だったのは伊達ではない。 しかし自身のDEFが低いため、少しでも気を抜くとあっという間に死滅してしまう。 人獣でこのカード以外は海メタ能力が非常に低いため、このカードを使うか、主雷かの2択だろう。 余談 FF4からのゲスト参戦。 原作では、同じく魔種にゲスト参戦している、ルビカンテに一族を皆殺しにされている。生き残ったのはエッジ一人であり、ルビカンテを一族の敵として敵視している。 そんな暗い過去を持つ割に、LoVではセリフがいちいちノリノリであるのは仲間に心配かけまいと明るく振る舞っているからだろうか?それともただのバ(ry 特殊使用時の「見せてやるぜぇ~」とはルビカンテ戦直前に言う 「そのにんげんの! いかりってモンを… みせてやるぜえ」 からきており直前のイベントと相まってプレイヤー共々熱い気持ちでルビカンテに挑むことになる。 まあ海種からしてみればその怒りは撃属性になってルビカンテにぶつけろよと言いたいが。
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「待て!」 離れている赤い影を引きとめたのはセシルであった。 「何だ?」 ルビカンテが振り返る。 「ルビカンテ。お前の目的は何だ? 何故ゴルベーザに味方する!?」 「無意味な質問だな……」 「どういう事だ!」 「私はただ強い者と戦いたいだけだ。それも正々堂々と」 「それで何故ゴルベーザに!!」 「奴が命令をしてきたからだ」 当然といったばかりに答えるルビカンテ。 「それだけだと! 命令されたから従っている! お前に善悪の判断はないのか!?」 「解せぬ質問だな。誰がその善悪を判別する。お主ら人間であろう!? それが我々に適応できるとでも言うのか?」 「それはお前ら四天王の共通認識なのか?」 今度はカインが口を挟む。 「さあな……それは知らぬ」 ルビカンテが少し考えたかのような間をおいて話し始める。 「我々四天王はお互いに顔は見知っていても、必ずしも協力しあうわけではないからな。スカルミリョーネ、カイナッツォ、バルバリシア。 いつも必ずしも協力しあうわけではない。時に協力しあい、時に敵対しあう。四天王という括り以外では全く無縁の存在同士だ」 「では他の奴らがどんな目的でゴルベーザに協力してるのも知らんというのか?」 「ああ勿論だとも。今回はたまたま利害の一致でお互い協力し合っているというだけだ」 「では他の奴らがやられた……それも俺達にだ。それに対して恨みはあるか?」 「何が言いたいのか全く分からぬな。どこに恨みを感じろというのか?」 「そうか分かった。もういい」 カインは質問を打ち切った。、 「それでは……私はここで失礼させてもらうよ」 「待てルビカンテ!」 今度はセシルが引きとめる。 「僕はお前をこのまま見過ごすわけにはいかない。善悪の判断もなくゴルベーザに味方をするお前は間違いなく今の僕の敵だ!!」 「それは私に対戦を申し込むというのか?」 「嫌か?」 何故自分でもこんな事をしているのか分からない。そもそも一対一で戦って勝てるのか? 確立は低いだろう。 だがこのままルビカンテを逃したくはなかった。 「面白い……試練に打ち勝ちしパラディンの力とやら一度味わってみたかったからな」 「パラディンはそんな力ではない!!」 「ではなんと?」 「己自身を受け入れた結果だ。決して何かに勝って手に入れた力ではない」 絆10
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「随分と馬鹿笑いをしているんだな。良い事でもあったのか?」 緑色の青年の冷たい言葉と鋭い視線が、佐々木ユウカの心臓を鷲掴みにした。 彼の威圧感は、先程気圧されたデマオンに比べれば全然マシな方だ。 だが、それとは別の強い感情が伝わって来た。 (何これ……怒ってるの?この人!?) その重圧に耐えきれず、ユウカが後ろに下がろうとする。 瞬間、相手の視線が一層鋭くなった。 相手は鞘に収められた剣を、今にも抜こうとしている。 目の前にいたのは、杜王駅で見かけた青年。 そして彼女が持っている死体の幼馴染。 (待って?まだリンクは、あたしがイリアの死体を持っていることを知ってる訳じゃないよね?) 彼はまだ自分を殺そうとしていない。あくまで疑いの範囲だけだ。 そう言い聞かせている間に、汗がたらりとうなじを伝ったのを感じた。 何が何でもこの男を説得しなければならない。 理屈ではなく、本能でそれが分かってしまった。 「待って!あたしは何もしてないわよ!だからその剣を抜くのをやめて!!」 「アンタが何をしたのかは分からないが、俺はそっちの奴に用があるんだ。それに」 彼がそう言うと、今度はバツガルフの方に顔を向けた。 刃先が影に覆われた世界でも輝く剣と、真珠色の盾を取り出す。 隣にいた赤い男も、真っ赤なかぎ爪をその手に付けた。 「殺し合いに乗っている奴と一緒にいることは、アンタもその片棒を担いだってことじゃないのか?」 (……コイツじゃなくてあの赤い女の人にしておけば……!!) リンクの疑いの目は、言われてみればユウカ本人からしても納得のいくことだった。 悪人と隣同士で歩いていたというのに、自分だけは悪人じゃ無いと弁解する方が難しいだろう。 しかも先程、自分の笑い声を相手に聞かれたのだ。 相当な話術が無ければ、ここから誤魔化すことも出来ないが、考えがまとまらない。 「片棒?どういうことよ!あたしとバツガルフが出会ったのはついさっきだけど、彼はあたしを助けてくれたのよ!!」 なので、全てを知らなかったことにした。 もしも目の前のどちらかが、柊ナナと関わっていればその時点でアウトだ。 しかしそうで無ければまだ逃げることが出来るかもしれない。 それならば悪いのはバツガルフであって、自分は何にも知らない哀れな少女でいられるから。 その賭けには勝った。 幸いなことに、リンクもルビカンテも、ユウカの関係者とは一人も出会っていない。 「そうか。ならばソイツから離れろ。」 「え?」 だが、賭けに勝ったことと、ツケを全部精算できることは別の話だ。 「助けてもらったか何だか知らないが、ソイツは1人参加者を殺している。 斬らなければならない相手だ。」 満を持して、刃をバツガルフに向けた。 まだ自分は疑われていない。そのはずなのに、身体を流れる汗の量が倍になったかのように感じた。 最悪、バツガルフを捨てて逃げるべきかもしれない。勿論犠牲者は増えているはずだから、新たな死体を調達すればいい。 だがここで逃げれば、最低でも一時的に貴重な手札が1枚減る。 バツガルフも罪は無いと主張するべきか、その罪を彼自身に負わせるか。 一瞬、されどユウカにとっては凄まじく感じるほどの長考の末、バツガルフを捨てて逃げようとした。 なにしろ、自分のザックの中には死体が眠っている。 持ち物チェックでもされれば、一巻の終わりだ。 「待て。」 今度は赤マントの男の低い声が響いた。 「お前の懐からは、死人の臭いがする。この男が探している死人使いとは、お前ではないのか?」 「え?」 まさか、嗅覚に優れた者がいるとは。 彼女はそんなことなど、全く念頭に置いていなかった。 だが、嗅覚が犬並みに優れている能力の持ち主など、いてもおかしくは無い。 そんな思い込みから、つい死体が入っているザックを凝視してしまった。 すなわち、口で話さなくても、自分が後ろ暗いことをしたと主張してしまったのだ。 目は口程に物を言うとは、良く言ったものである。 「つまらぬ罠に掛かった様だな。大方そこに自分が使う死体を入れているのであろう。」 「!!」 ユウカが背を向け、脱兎のごとく逃げ出した瞬間。 森の中に、雷鳴が響いた。 咄嗟に、二人は左右に散会。雷が落ちる場所から離れる。 リンクは一度、バツガルフと戦っていたことで、魔法の軌道は見切っている。 ルビカンテはバツガルフと対面こそしたことはないが、雷の魔法そのものはリンクよりも熟知している。 そもそも、2人は犠牲があったとはいえ、魔王を滅する力を持っているのだ。 この程度の魔法でやられると考える方がおかしいぐらいだ。 「行くぞ。」 「私に命令するな。」 リンクとルビカンテは、短い言葉を交わす。 すぐに聖剣と炎の爪が、バツガルフに襲い掛かる。 バツガルフもそれに対応するかのように魔法を詠唱。 杖が青く光ると、魔法生物のバツバリアンを呼び出す。 たとえ死んでいても、ユウカの能力によって、生前と変わりなくパフォーマンスを発揮できる。 確かに捉えたはずの剣と爪は、魔術師を殺めるには能わなかった。 2つの刃は、バツガルフの顔面に届く寸前、緑色の膜のようなもので止められる。 「結界?」 ルビカンテはバリアやマバリアのような、攻撃ダメージを抑える魔法のことを知っている。 だが、攻撃を完全に防がれたのは、今の一撃が初めてだった。 2つの手にビリビリと、硬い物でも叩いたかのような衝撃が走る。 「来るぞ!」 今度はこちらの番だとばかりに、バツガルフが炎魔法を放つ。 この物語を読む者ならば、ガスバーナーを彷彿とさせる蒼炎が、杖の先から散布される。 炎の波は、そのまま2人を飲み込もうとする。 だが、リンクは慌てず騒がずマスターソードを横一文字に一閃。 炎の波を目の前で斬り伏せる。 獲物を焼き尽くす炎は、一瞬で無害な水蒸気へと姿を変えた。 聖剣であろうと、魔法の炎を斬ることは出来ないはずだ。 精々が風圧で吹き飛ばすのが関の山だろう。 だが、その不可能を可能にしたのが、魔王の置き土産だ。 アイスナグーリのバッジで、マスターソードに氷の力を纏わせたのだ。 「ルビカンテ!そいつの周りを飛んでいる奴等を倒せ!!」 結界のタネがなんたるか分かっているリンクは、ルビカンテに攻略法を伝える。 正面から戦って倒せない敵なら、弱点を知っている者が仲間に伝えればいい。 いつもはミドナがやっていたことだが、今度はリンクがその役割を担った。 「命令するなと言ったはずだ!」 ルビカンテは怒りながらも、炎魔法を使い、バツバリアンを焼き払う。 飛んで火にいる夏の虫と言うが、殺虫剤に当てられたハエのように、炎に包まれて落ちていく。 その間にバツガルフは杖に魔力を流し込む。 炎使いの弱点は氷だとばかりに、アイスビームを撃つ。 水色の光線がリンクの横を通り過ぎ、彼の心臓を貫こうとした、 「なんだ、その哀れな術は。」 だが、ルビカンテが真紅のマントを振るうと、冷凍光線は一瞬で水蒸気に帰した。 彼の炎のマントは、氷最強魔法であるブリザガさえ受け付けない。 すかさず、リンクは敵の懐へ突進。 「たああああああ!!!!」 地面を蹴り、竜騎士のように跳躍。 剣を大きく振りかぶり、唐竹割りの一撃を、バツガルフの脳天に見舞う。 電子頭脳が見え隠れしているヘルメットが、高い音を立てて割れた。 膝を付いて崩れ落ちるバツガルフ。 だが、これで勝ったとは確信しない。 1度とどめを刺す寸前で、逃がしている以上は容赦をするつもりはない。 「てぇやああああああ!!!!」 剣を大きく振りかぶり続けざまに、回転斬りを打ち込む。 バツガルフは胴体を横薙ぎに裂かれ、後ろに吹き飛ばされた。 強力な一撃が2連続ヒット。 おまけに一発は敵の脳天をたたき割っている。 並の相手なら既に打ち倒していてもおかしくない。 だが、リンクの表情は引き攣ったままだった。 (妙だな……) 左手には、確かに強力な一撃を打ち込んだという感触は伝わった。 だというのに、倒せたような感触が全くない。 かつて砂漠の処刑場で、ハーラ・ジガントの胴体を倒した後のような、スッキリしない感覚だ。 おまけに、相手がハイラル駅で戦った時に比べて弱すぎる。 追い詰められる寸前で使って来た時間停止魔法も、回避魔法も使ってこなかった。 ルビカンテのアシストがあることを加味しても、簡単に行き過ぎている。 「油断するな。」 「分かっている。」 ルビカンテもリンクと同じことを考えていたようで、相手を警戒し続ける。 案の定と言うか、倒したはずのバツガルフが立ち上がり、魔法の詠唱を始めた。 「させるか…火焔流!!」 ルビカンテがマントを翻すと、敵を炎の竜巻が包み込む。 だがバツガルフは怯む様子が無く、彼目掛けて雷を落としてきた。 「ぐう……」 マントの力で防げない雷を浴びたことで、うめき声を零す。 「無事か?」 「心配などされる謂れはない。」 そうこうしている間に、バツガルフの周囲にバツバリアンが現れる。 リンクはマスターソードで、小型魔法生物を打ち落とすも、展望は見えない。 今のバツガルフは死んでおり、一度死んでいる以上は、これ以上死ぬことは無い。 (ならば……) 剣で殺せぬならばと、剣を鞘に仕舞う。 代わりにザックから水中爆弾を取り出す。 何度斬っても決して死ぬことが無かったスタルフォスも、爆弾の力で一撃で粉砕できた。 一度死んでいるため、殺すことが出来ないならば、その肉体を壊せばいい。 「うわ!」 しかし、バツガルフのファイヤーウェーブがリンクを襲う。 爆弾は武器としての威力は十分だが、使い方は剣よりも難しい。 投げるタイミングを間違えて自分を傷付けるケースは言わずもがな、身体に火が付いている際にうっかり出してしまい、自爆することもある。 「させん!」 爆弾に引火して誘爆という事故は、ルビカンテがリンクの前に立つことで止められた。 冷凍光線を受けた時と異なり、今度はマントを広げ、筋肉質な身体を露出している。 だが、炎の力を受けても彼は倒れなかった。 マントを付けている時は氷を、そうでなければ炎をはじき返す。 炎の力と氷の力、両方を目の当たりにしたルビカンテだからこそ出来る芸当だ。 しかも、その魔法を吸収出来るため、防御と回復を一度に行える。 「助かる。」 「いちいち礼など口にするな。」 邪魔な炎が無くなった瞬間、水中爆弾をバツガルフ目掛けて投げつける。 だが、爆発が彼を巻き込む瞬間、バツバリアンが彼を守った。 勿論一体の魔法生物を倒したことになるが、何の解決にもなっていない。 「これも駄目か……。」 成功したかと思った攻撃が、中途半端な結果に終わったことで苦い顔を浮かべる。 もう2,3個投げてやりたいところだが、迂闊に爆弾は連投すべきではない。 自分を巻き込む可能性だって上がるのは言わずもがな、肝心な時に個数を切らしてしまうことになる。 矢のように使用できる個数が決まっている道具は、乱用を控えるべきだ。 「仕方あるまい。お前はあの女を追いかけろ。この死骸は私が倒す。」 既にリンクもルビカンテも、確証は無いがあの少女が死霊使いであることに気付いていた。 同時にバツガルフは何らかの理由で既に死んでおり、ここにいるのはただの操り人形でしかないと。 「いいのか?」 その瞬間、黒雲が集まり、二人の立っていた場所に雷が落ちる。 リンクとルビカンテは、すかさずその場所から離れる。 「私はあの女に興味など無い。二度言わせるな。」 「分かった。」 リンクはバツガルフを横切り、回転アタックを繰り返してユウカを追いかける。 それをバツガルフのアイスビームが狙うが、ルビカンテのファイガの力で止められる。 火球と冷凍光線がぶつかり合い、誰にも傷を負わせることの無いまま水蒸気となった。 リンクは戦場から去り、ルビカンテのみが残ることになった。 「さぞかし強い力を持っていたのであろう。生前お前と戦えなかったのが残念だ。」 炎の爪を掲げ、そして右手でファイガを撃つ。 魔法の炎による焼却も、アンデッドやゾンビに有効な手段だ。 2重の炎攻撃が死骸を浄化させようとするも、反撃とばかりに撃たれたファイヤーウェーブがその攻撃を防ぐ。 赤と青の炎がぶつかり合いは、青の方が軍配を上げた。 「炎など効かぬと言ったはずだ。」 しかし、ルビカンテは言わずもがな炎の使い手であり、炎への耐性も持っている。 ガノンドロフとの戦いで増えた傷さえも癒すことが出来る。 青い炎の中を潜り抜け、今度は炎の爪で敵を切り裂こうとする。 五月蠅く飛び回るバツバリアンを切り裂き、爪はバツガルフの目と鼻の先もといアイセンサーのすぐ先。 炎の爪を相手に刺し込み、そのまま炎を体内に流し込むつもりだった。 だが、それの攻撃がバツガルフに刺さることは無かった。 「消えた?」 彼から見れば、敵が消えたかのように錯覚するかもしれない。 だがそれは神の視座より見れば、ルビカンテに流れる時間が止まった瞬間だった。 炎の爪が刺さる直前、彼が放ったタイムストップによるものだ。 (おのれ…魔法攻撃のみならず時間停止まで使えるとは……) 本来に比べて、止められる時間は短くなっている。 だが、確実にその瞬間はバツガルフの利になった。 すかさず雷撃が、ルビカンテを襲う。 「ぬうううううう!!!」 炎の熱さとは違う痺れと痛みが、ルビカンテの身体全身を駆け巡る。 だが、その程度で倒れることは無い。 まだ戦い足りない。 セシル達に敗れ、この世界でマリオに敗れ、のび太たちに敗れ。 敗北が彼を強くした。 この程度で、彼自身が膝を屈することなど、あってはならないのだ。 仕返しにと、炎の竜巻を撃つ。 まだバツガルフはバツバリアンを出し切っていない。 だが、たとえ敵の守りが不完全だったとしても、それで倒すには能わず。 死んでいる相手とは、殺せないという点において、生きている相手より厄介なものだ。 ただのアンデッドならば、炎でその肉体を焼き払ったり、爆弾や鉄球で砕けば倒せる。 だが、ルビカンテが対峙している敵は、ただの生きる屍に非ず。 痩せても枯れても世界征服の為の組織の総統だった男だ。 炎魔術しか使えぬルビカンテに比べて、使える魔法の幅は広く、死角から叩く技術にも長ける。 炎の竜巻が消えると、既にバツガルフはバツバリアンを呼び出している。 4体揃ったため、先程リンク達の攻撃を止めた緑色の結界が張られる。 彼の恐ろしさは、魔法攻撃よりも防御にある。 何しろ外的要因が無い限り、彼を破ることが出来たのはカゲの女王のみだったのだから。 (面白い。ならば私も一つ試してみるとしよう) 今度は新たにルビカンテが詠唱を始める。 再び炎の魔法を唱えるか?否。 「さあ、回復してやろう!」 彼が唱えられるのは、炎魔法のみに非ず。 ケアルラやレイズと言った回復魔法まで使える。 本来なら強者と認めた者に、万全の状態で戦えるために使っているのだが。 ルビカンテのかざした両手が光ったと思いきや、バツガルフの結界の中に、さらに淡いブルーの光が満ちる。 「グ……うああああ!!」 死者である以上、斬っても付いてもダメージを受けた様子が無かったバツガルフが、苦しみ始めた。 ゾンビや幽霊、アンデッドには白魔法をかければ、回復ではなくダメージを与えることが出来る。 ルビカンテのいる世界に伝わる常識だが、それはユウカが使うネクロマンシーにも同じことが言えた。 「フフ……効いたであろう。浄化の力は。」 そしてルビカンテの魔法がバツガルフの結界を通したのは、別の理由にある。 シェルやマジックバリア、そしてバツガルフの結界では、回復魔法は通さないのだ。 これもまた常識的な話であるが、如何なる結界も万物を通さぬわけではない。 なぜなら、全てを通さぬならば結界の中にいる者は酸欠に陥ってしまうからだ。 たとえバリアの使い手が、生命活動に酸素を必要としなくても、何かと不都合が生じるだろう。 結界の影響を受けない力の代表格が、「術者にプラスの効果をもたらす力」。すなわち回復のような白魔法だ。 これもまた、ルビカンテのいる世界では常識。 彼の強みは、炎のみではない。手持ちの技の種類が少ないのは事実だが、それゆえ使うべき場所を知り尽くしている。 「もう一度だ!ケアルラ!!」 続けざまに回復魔法を放つ。 主の身を案じてか、バツバリアンの大群がルビカンテへ襲い掛かる。 「ふん、操られた死骸の、そのまた操り人形にしてはやりおる。」 蛍を彷彿とさせる魔法生物を、ファイラで焼き払う。 その炎はバツガルフ本体を焼くことはないが、さほど問題は無い。 相手の防御を無視して、3発目のケアルラを放とうとした時だった。 バツガルフの身体が、音を立てて崩れ落ちた。 そして、もう動く気配は見せなかった。 死んだふりや一時的な休眠状態などではない、確かな死だった。 (リンクが奴を倒したか……それとも、奴が別の死体に手を付けたか……) 念のためにと、杖を奪ってから、炎で死体を焼き払っておく。 まだリンクが敵を倒した訳ではないため、すぐに彼の方へと走った。 仲間意識がある訳ではないが、それはさておき戦うことが出来ぬうちに死んでも困るからだ。 1発魔法を受けたとはいえ、それまでに炎と氷の力を吸収できたため、傷はガノンドロフを倒した後より浅い。 [C-3 森 午後] 【ルビカンテ@Final Fantasy IV】 [状態]:HP 1/5 魔力:大 疲労(大) [装備]:炎の爪@ドラゴンクエストVII フラワーセツヤク@ペーパーマリオRPG [道具]:基本支給品 えいゆうの杖@DQ7 [思考・状況] 基本行動方針:この殺し合いを終わらせて受けた屈辱を晴らし、生き延びた者と闘う 1.リンクと共に、殺し合いに乗っている者を倒す 2.リンクを追いかけ、とりあえず合流する →