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リトとしては妹のためを思って精一杯頑張っただけの事だし、 彼がそうせざるを得なかったのは一重に父親が多忙なためであり、 また母親が海外にいて殆ど日本に帰って来なかったためでもある。 だから例の一件が露呈した時、結城才培もその妻林檎も、 リトを責める事など出来ず、むしろ親としての不出来を詫びるばかりだった。 「ごめんなさいね先生。私達がもっと美柑の傍にいてやれば」 「すまねぇ新田先生! 先に入ってた予定を自分(と書いてテメェと読む) の仕事の都合でドタキャンしちまった俺が悪いんだ!」 「い、いえいえそんな。 お二人ともお仕事がお忙しいのは重々承知しております。 私はむしろ息子様の美柑ちゃんを思いやる気持ちと 彼なりにご両親のフォローを買って出ようと言う気概に敬服致しますわ」 しょげかえるリトと、何が悪いんだかよくわかってないララと、 あぁ、まぁいつかはバレるだろうな、と予測していた美柑の三人を尻目に 保護者二人と新田晴子は、互いに頭を下げ続けていた。 かつて結城才培が、美柑の家庭訪問の日に締切が重なり、 どうしても原稿から離れられず、家庭訪問の予定を延期した日の一件だ。 才培はあんな性格だからしばらく忘れていたようだが、 ある日ふと「延期した筈の家庭訪問はどうなったんだ?」と気付いたわけだ。 たまの休みに学校に連絡を取ると授業時間中だったらしく、 電話で応対した者が代わりに晴子の勤怠表と予定表を確認し、 結城家への家庭訪問が既に終了している事を伝えた。 そこから少しずつ真実が判明していった。 当初は勝手に家庭訪問をしたリトとララを責めかけた才培も、 やがてその原因がどう考えても自分にある事を深く自覚した。 その日の夕方になって再び晴子が結城邸を訪れた際に 偶然帰国していた結城林檎も交えて、担任への謝罪が徹底された。 とりあえずリトとララと美柑に事情の仔細を聞き出した後は 子ども達は下がらせ、大人三人でまた一頻り会話が続いた。 晴子としては早く学校に帰って残りの仕事を片付けたかったのだが、 家庭訪問も大事な仕事の一つだ。 本物の保護者に一度も会わずに放っておくわけにもいかなかった。 だがその内に、林檎の悪いくせが出てきた。 「うーん、あなたも中々良いボディラインをしてらっしゃるのねぇ」 「ひわぁっ!? お、お母さん?」 林檎は晴子の胸、腰、尻を服の上から撫でまわし始めた。 あろう事か才培の目の前で。 「おいおい、先生が困ってんだろうが。仕事病は控えな」 そう言う才培の目に色は無く、晴子に欲情している様子は無い。 単純に晴子を気遣っているだけなのだが、その事が晴子に劣等感を抱かせる。 彼としては自分の妻以外に脇目を振らないだけだ。 しかし才培のファンとしての晴子は、 才培が自分に興味が無さそうなのは悔しい。 そうこうしている内に、林檎はどんどん晴子の服を脱がせていった。 「そう言えばあなた、この人の漫画のファンなんだっけ」 「む、そう言えばそんな嬉しい事を言ってくれていたな。 気が付かず申し訳ねぇ。不肖ながらサインの一つでも……」 下着姿を曝け出されて大人しくなったものの、 しかしモジモジしている晴子の様子を見て、林檎は彼女の気持ちを察知した。 一人の読者としての作家への尊敬と思慕に、折角だから応えてやろうと考えた。 「あなた。彼女にはサインよりも、もっと良いプレゼントがあると思うわよ」 顔立ちは若いが、これでも二児の母。しかも息子は高校生だ。 かなり若く見積もっても林檎の年齢は三十代前半。熟女に分類しても良い年齢だ。 その手練手管たるや、いくら大人とは言ってもまだ小娘に近い晴子では、 抵抗する事など不可能だった。 「お、お母さぁん……こんなの、いつ美柑ちゃん達が降りてくるか……」 「ウフフ。そうやって恥ずかしがるカオ、可愛いわよ」 「先生なかなか色っぺぇな。林檎も夜にゃそういう顔してくれるが、 ここ数年はとんと御無沙汰だったな、そう言えば」 才培の攻めはパワフル、林檎の攻めはデリケートだった。 晴子は両の乳房を左右それぞれ違う人間からの違う感触で責められた。 才培はまるで食べるように大きく口を開けて貪る。 林檎は愛でるように舌先でペロペロと豆粒を舐める。 硬く勃起した乳首は好きなように弄ばれ、晴子はその都度に体を痙攣させた。 「羨ましいわ、若さが満ち溢れてる。 ま、私もまだまだ若いつもりだけどねぇ」 「そんな……お母さんは凄くお若いですわ。 こんなお若いお母さんがいる美柑ちゃんが私には羨ましいで……ひぃあ!?」 無駄口を叩いている暇があったら行為に没頭しようとでも言わんばかりに、 才培は晴子の下半身への責めを開始した。 上は林檎、下は才培で分担する形になる。 林檎は晴子に深く唇と舌を重ね絡ませ、雛鳥がじゃれあうように戯れた。 「んむ……先生の唇……じゅぷ……柔らかいのね」 「お母さんだって……ちゅぱっ、んむ……この分だと、美柑ちゃんも……んん」 才培は滲んでくる愛液を飲む程の勢いで、晴子の秘部を舐め回す。 まるで晴子は、獣の餌にされたような気分だった。だがそれは心地良かった。 「じゅずっ、じゅぶふっ、じゅーっ!」 もうグチョグチョになっているそこからは止め処なくラブジュースが流れる。 才培は尽きる事なくそれを味わう事が出来た。 「ねぇ教えてあげましょうか。 この人の手マン、すっごく野獣的で激しいのよ」 林檎はそう言うと晴子の横に寝そべった。 栽培は「久しぶりだから腕が鈍っているかもしれないな」と言いつつ 自分の指と手に自信たっぷりといった面持ちだった。 ドキドキする心臓を抑えるように両手を胸の前で重ねる晴子と、 久しぶりの夫からの愛に期待も性欲も高まる林檎。 それぞれの股間に、才培の手が片手ずつあてがわれた。 「オラァいくぞテメェらぁっ! 三本の連載を同時にこなす俺様のゴッドハンズが巧みなのは ペン捌きだけじゃねぇって事を教えてやるぜぇっ!」 その瞬間、超高速の手マンが開始された。 そのスピードはあまりにも早過ぎて、地球人の肉眼では捉えきれない。 この惑星で今この動きが見切れるのは、ヤミとザスティンとララぐらいのものだ。 「あぁっソコォッ! ソコ良いわぁ! あなたぁん!」 「アァン! 声聞こえちゃうぅんっ! 美柑ひゃんやリト君に聞こえひゃうぅん!」 あまりの摩擦に、入口が火傷してしまいそうに錯覚する。 先程よりも更に勢いを増して噴出する愛液は、 そこを癒すために噴き出ているように晴子には思えた。 摩擦で徐々に汁が白くなり、泡立ってきた。 決壊したダムのように音を立てて溢れ続け、居間の畳の上に染みを作る。 これがフローリングなら床には染みない代わりに、水溜りとなる事だろう。 晴子は絶頂寸前まで意識が飛ばされかけた。 だが手マンだけで終わっても、完全燃焼したとは言えない。 特に男性である才培にとっては不満足だろう。 彼だけがまだ何もしてもらっていない状態なのだ。 「そろそろ良いだろう、林檎。先生」 さすがは才培。これ程の手マンを繰り出しても、汗一つかいていない。 逆に晴子と林檎は汗でぐっしょりと体全体が濡れている。 既に息は荒く、間断無い。 それでもこれで終わりたくないという欲求は二人にもあった。 「今日は特別サービスよ。久しぶりに若いコを抱かせてあげるわ」 「おう良いのか? そいじゃお言葉に甘えさせてもらうぜ」 「先生のを入れて貰えるなんて、ファンとして感激ですぅ……」 トロけた瞳を潤ませながら、晴子は足を開いて彼を受け入れる準備を整えた。 彼女の腰を持ち上げて、才培はやはり獰猛に、いきなり奥まで貫いていった。 「ひわぁっ! い、いきなりぃ……」 そうは言うが、しかし晴子はもう随分仕上がっている。 徐々に慣らすような入れ方でなくても、十分にスムーズに奥まで届いた。 「さて、と。それじゃ私も」 林檎は正常位で貫かれている晴子の眼鏡を取りあげると、 その上に顔面騎上位でまたがった。 「んむっ! お、むぉ」 「おいおいお前、先生が困ってらっしゃるだろうが」 「そぉ? 私には悦んでるように思えるけどねぇ」 晴子は愉悦と息苦しさの入り混じった感情で満たされていた。 ピストン運動が開始されると同時に、林檎も腰を前後に振る。 そうして人妻の熟れた肉から染み出す果汁が晴子の顔面を濡らし、口中に侵入する。 他方、才培の荒々しい腰使いによって、激しい肉の音が部屋に響いた。 パン、パン、パンという淫らな音。上の子供部屋にまで聞こえそうだ。 晴子はあまりの快感に大声さえ上げそうになったが、 口を林檎の股間で塞がれていたため、それは出来なかった。 もっとも上に子供達がいる状況では、その方が良かったに違いない。 林檎と晴子のナイスバディが揺れ、乳房はドプン、ドプンと単調な音を奏でる。 林檎の短い髪も、晴子の括って纏められた髪も、それぞれに千々に乱れた。 才培もここにきてようやく汗を迸らせ始めた。 彼の男くさい汗が晴子の腹、胸、太股に飛び散り、滴る。 「フン! フン! フン!」 鼻息も荒く腰を打ちつける栽培の動きは、 連射性はバルカン砲、威力はミサイルのようだった。 たった一回の交わりだけで、晴子は自分の腰が変調をきたしそうな気さえした。 終わった後で果たして立てるのだろうかと心配もするが、 そんなつまらない計算よりも、本能が求める快楽の方が大きい。 絶え間なく流れる林檎の愛液が鼻の穴にまで入り込んできて、 息が苦しかったが、晴子はまるで気にしなかった。 鼻の代わりに酸素を取りこむために口を開け、空気と共に愛液も吸い込む。 心地よい味わいにウットリとする。 林檎は真下に見える晴子の乳首をつねると、そのまま上へ引っ張った。 そのままラジカセのボリュームを捻るように、乳首をクリクリと回す。 こうサービスされては晴子も黙って甘んじているわけにはいかない。 林檎の股間の中に手を滑り込ませ、指先でその肉を左右に広げる。 「ふわぁあ……拡げないれぇ……」 とても三十路とは思えない可愛くて若い、軽やかな喘ぎ声。 大人の女とはかくありたいものだと晴子に思わせるに十分だ。 この遺伝子をひいている美柑が羨ましくてしょうがない。 中に舌を突っ込むと、その柔らかさは林檎というより、桃の果肉のようだった。 「あぁ先生ぇ……あなたぁん……わたひ、もぉ……」 「んむぅ……んんむはっ……栽培せんせぇ……」 「オルァッ! 俺ももうイっちまうぜぇっ! テメェらぁあっ!」 完全にもう上の子供達に聞こえている。 最後の瞬間、三人は運命のようにタイミングを重ねて、最高潮に達した。 妻子持ちの精液と人妻の愛液を注がれて、晴子はぐったりと満足感に浸った。 「それじゃお父さん、お母さん。 今度はいつになるか分かりませんが、次にお会い出来る日を楽しみにしています」 「おうよ先生! 妻は海外にいる事が多いから中々会えないが、 俺は日本にいるから、家庭訪問があったら可能な限り都合をつけるぜ」 「私だって事前に教えてもらえたら、文字通り飛んで帰ってくるわよ?」 三人とも喜色満面で、玄関先で別れた。 一応見送りに降りてきたリトと美柑は、一階で何が起こっていたのか 音で大体予想は出来ていたので気まずかったが、 親達が満足気なので、口を挟めなかった。 「あ、そうそう」 立ち去り際、晴子が振り向く。 「家庭訪問は本来、児童のご自宅の位置の把握と、 家庭環境のある程度の把握、それと保護者の方々との意見交換、 児童の未来性についての話し合いが目的なんだけど」 何か小学生にはまだ分かりかねる、難しい話を晴子はし始めた。 「つまり何が言いたいかと言うとね。主役は美柑ちゃんって事なの」 「はぁ、それで……?」 美柑は嫌な予感がしていた。 「次の機会には、美柑ちゃんも……ね?」 美柑は背筋を寒いものが走り抜けていく感触を覚えた。 助け舟を求めて母を見上げるが、林檎はさも妙案とばかりに笑って頷いている。 父などは、いちいち口に出して 「オウそれぁ良いな! 先生なら大事な愛娘を任せられるぜ!」 などと言いだす始末。 リトだけは何とか妹をフォローしてやろうと慌てふためくが、 大人三人に高校生が勝てるわけはない。 トントン拍子で話しは進んでいった。 「それじゃ、また学校でね。美柑ちゃん」 「ちょっ、先生!」 続かない。 晴子は俺の嫁。つーか専用機。俺専用新田。
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あいつとララバイをお気に入りに追加 情報1課 <あいつとララバイ> #bf 外部リンク課 <あいつとララバイ> ウィキペディア(Wikipedia) - あいつとララバイ Amazon.co.jp ウィジェット 保存課 <あいつとララバイ> 使い方 サイト名 URL 情報2課 <あいつとララバイ> #blogsearch2 成分解析課 <あいつとララバイ> あいつとララバイの33%は大阪のおいしい水で出来ています。あいつとララバイの27%はお菓子で出来ています。あいつとララバイの19%は知恵で出来ています。あいつとララバイの8%は保存料で出来ています。あいつとララバイの7%は純金で出来ています。あいつとララバイの5%は大人の都合で出来ています。あいつとララバイの1%は歌で出来ています。 報道課 <あいつとララバイ> 1000万円を超える絶版バイクも! まさに青天井の価格高騰にオーナー「泣き笑い」その深刻な理由(Auto Messe Web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 乗り出すきっかけ1位はバイク漫画だった?バイク女子目線で選んだ人気の6作品をご紹介! | inside DOPPELGANGER - inside DOPPELGANGER 漫画の世界もスピードからゆったりツーリング志向へ?バイクコミック『終末ツーリング』1巻が4月26日発売 - モーサイ 脇役だけど印象的なマシンたち(1)/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第23回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 楠みちはる〈僕のバイク道・漫画道〉第17回「Z2なんて誰も興味ナシ」/『あいつとララバイ』完結30周年記念企画(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 沢井のスズキ「GS750」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第20回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! エミとマコのヤマハ「SR400」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第16回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 皆川るみ子のドゥカティ「900SS」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第11回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! マキオ・モトギのカワサキ「Z750FX」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第7回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 早川まりなのヤマハ「FZ400R」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第6回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 大門恭介のドゥカティ「900MHR」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第2回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 研二のカワサキ「Z2」/『あいつとララバイ』のオートバイを解説!【第1回】(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 楠みちはる〈僕のバイク道・漫画道〉第18回「もう一度、Z2に乗ろう」/『あいつとララバイ』完結30周年記念企画(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 『あいつとララバイ』完結30周年記念、楠みちはる〈僕のバイク道・漫画道〉第2回「Z2とマッハナナハン」(webオートバイ) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview! - carview! 2018新型Z900RSララバイ仕様が発売に!! - WEBヤングマシン いっけぇー!俺のゼッツー!「あいつとララバイ」一気読み(全39巻) - https //lrnc.cc/ 【コラム】一生乗り続ける人生の相棒:KAWASAKI 750RS(ZII) - https //lrnc.cc/ 永遠のバイク少年 菱木研二の愛車に対する接し方に惚れる。ー『あいつとララバイ』 - https //lrnc.cc/ 情報3課 <あいつとララバイ> #technorati マンガとは マンガの33%は厳しさで出来ています。マンガの30%はカルシウムで出来ています。マンガの25%は元気玉で出来ています。マンガの9%は毒物で出来ています。マンガの1%は月の光で出来ています。マンガの1%は毒電波で出来ています。マンガの1%は魂の炎で出来ています。 28589.jpg?_ex=300x300 s=2 r=1 ヨスガノソラ 春日野 穹 -すくみず 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 ページ先頭へ あいつとララバイ このサイトについて 当サイトは漫画のタイトル毎にインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ページをブックマークしておけば、ほぼ毎日その漫画のタイトルに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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「それじゃあ、風邪など引かないよう気をつけてください」 骨川先生の言葉でホームルームが終了する。 「リトー、かえろー!!」 効果音をつけるなら間違いなくピョーンだ、 といった感じでララが飛び跳ねながらやってきた。 その瞬間、自分が声を掛けられた訳ではないのに唯の体がビクッと震える。 そう、この後には一大イベント(?)が控えている。 リトとの勉強会が。 しかし勉強会といっても決まっているのは日時が今日で、場所が図書室ということだけ。 となると、ここでのリトの反応は唯にとってとても気になることなのだ。 5時間目も6時間目も唯は放課後のことで頭がいっぱいで、 先生に指された際も周囲から多数の視線を向けられて初めて気づく有様だった。 だから唯は、リトに背を向けて教科書やノートを机から鞄の中へと移す作業をしながらも、 しっかりと耳に意識を集中させていた。 リトはというと、少し困ったような笑顔を浮かべてララに返答する。 「わり、今日はちょっと残ってくから。先に帰ってくれ」 リトの言葉を聞いて、唯の両手が無意識にキュッと握り締められた。 一方ララはキョトンとした表情だ。 リトが放課後学校に残るなんて滅多にあることではないから、当然といえば当然の反応である。 「えっ、何でー?」 リトは目線を合わせず、頬をポリポリとかきながら言葉を返す。 「ちょっと勉強していこうかと思ってな」 「リトが勉強ー??」 ララはもともと大きな瞳をさらに見開き、心底驚いたという表情をする。 「そこまで驚かんでも・・・」 リトは苦笑する。 (だいたい俺がますます勉強しなくなったのはララが現れてからなんだがな・・・) リトがそんなことを考えているとは知らないララ。 「でも、勉強だったら家に帰ってからでもできるじゃない」 「うっ」 痛いところを突かれた。 そもそもリトが図書室を指定したのは、静かに勉強ができそうだという理由からである。 家に帰ればララがパタパタと動き回って騒ぎに巻き込まれ、 それを美柑にからかわれることになる可能性が非常に高い。 何せ結城家の「トラブル率」は半端ではないのだ。 が、本人を前にしてそんなことは言えないので言葉に詰まってしまう。 「それに、勉強だったらわたしが教えてあげるよ♪」 とララは明るく言って、満開の花のような笑顔を見せる。 そんな二人のやりとりに、嬉しさで握り締められたはずの唯の両手はワナワナと震え始めていた。 (結城君ったら、自分から頼んできたくせに!結局ララさんの方がいいの?) 確かに勉強を教えてくれと頼んだのはリトだが、 元をただせば唯が何でもしてほしいことを言えと言ったからこうなったのだ。 しかし今の唯には順序だててそんなことを考えることはできない。 (どうして好きな人にそんなに自然な笑顔を見せられるの?) (結城君は困ってるはずなのに、どうして少し嬉しそうなの?) 唯の胸の中には焼け付くような感情が渦巻いているから。 初めて感じる、いや、初めてしっかりと自覚する、強烈な嫉妬心―――。 唯の感情は今にも爆発しそうだった。 一刻も早くこの場を去りたい。 鞄に手を伸ばそうとしたとき、リトの言葉が聞こえた。 「実は一緒に勉強しようって友達と約束してるんだよ」 伸ばしかけた手がピタリと止まり、ハッとした表情でリトのほうを振り向いてしまう。 リトは目を泳がせていたが、その意識はララではなく、そして唯でもない別の誰かを探していた。 (西蓮寺さん・・・か) 唯の表情が曇る。 胸を小さい針で断続的に刺されているような感覚。 リトとララの会話は続く。 「友達って?」 興味津々、というよりもやや訝しげにララは聞いてくる。 リトの男友達に勉強熱心な者などいない。 春菜の姿はすでに教室にはなかった。 いつの間にかリトの表情がややホッとしたものになっていることに、唯は気づいていた。 「と、友達は友達だよ。それより早く帰らないと、お気に入りのアニメはじまっちまうぞ?」 苦し紛れな言い訳だったが、ララには効果覿面だった。 「あっ、そうだったーー!!じゃあ今日は先に帰るね」 言うやいなやあっという間に遠ざかっていくララの背中を、 リトは安堵と苦笑の混ざったため息とともに見送った。 (ふう、何とかなったな) いつの間にか教室にいる人はまばらになっている。 っていうか皆、掃除はどうしたよ・・・ ま、いいや、勉強勉強。リトは気合を入れてから、唯へと声を掛ける。 「古手川、行こうぜ」 「・・・・・・」 反応が返ってこない。 「古手川?」 唯は無言のまま教室を出て行ってしまう。 ポツン、と取り残されるリト。 (俺、また何かやらかしたのか?) フリーズするリト。 もはや呆れるのを通り越すほどの鈍さだ。 こと恋愛において、リトに対して遠まわしな表現は無意味といえるだろう。 しばらくすると、教室を出て行った唯がドアのところからこっちを睨んでいる。 (早くしろってことなのか?) リトが慌てて教室を出ると、唯は後ろ手に鞄を持ちスタスタと先を歩いていく。 二人の距離は1メートルほどだ。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 全く会話のないまま図書室へと到着してしまう。 しかしリトは内心ホッとしていた。 (このまま帰っちゃうのかと思ったけど、勉強見てもらえるみたいだ) 二人は図書室へと入っていく。 図書室内にはほとんど生徒の姿はなかった。 リトは普段図書室に全くといっていいほど来ないためいつもより多いのか少ないのかよく分からないが、 テスト前の図書室は想像していたよりもずっと閑散としていた。 リトがキョロキョロしている間に、唯は司書さんと一言二言言葉を交わすと、 なにかを受け取って戻ってきた。 その表情はまだ不機嫌なままだ。 リトにはその原因がさっぱり分からない。 「・・・行くわよ」 「行くって、どこに?」 問いには答えず、唯はまた先を歩き出す。 無視されているにもかかわらず、リトは律儀に唯と1メートルの距離を保って後を追う。 二人は図書室の中を真っ直ぐに最奥まで進むと右に曲がる。 その先にはパッと見ではサウナのような、木でできた扉つきの小部屋が合った。 ちょうど目線の高さに「学習室」の文字。 唯が先程司書と話していたのは、この部屋を借りる手続きについてのことだったのだろう。 唯が開錠してドアを開け、二人はリト、唯の順に部屋に入る。 部屋の広さは3畳ほどだろうか。 中央に大きめのテーブルがあり、 4人分の椅子が2脚ずつ向かい合わせで置かれている他には何もない。 「こんなところがあったんだ・・・」 リトはもちろん、この部屋に来るのは初めてだ。 部屋を見回した後、入り口から一番近い椅子に座る。 唯はリトの反対側へと回ると、リトの正面の椅子を引いた後何かを思い出したかのように それを元に戻し、不機嫌さを見せ付けるようにしてその隣の椅子に陣取った。 (わたしは今、怒ってるの!だから簡単に甘い態度なんてとらないんだから!) 二人は対角に位置した状態である。 「あの・・・、古手川・・・?」 「・・・なに?」 唯はリトの方を見ようともしないが、とりあえず反応はしてくれた。 「なんで斜めに座るの?」 「・・・関係ないでしょ。結城君には」 「・・・怒ってる?」 ここで久しぶりに唯はリトに視線を向ける。 若干頬を膨らませている様子が可愛らしいが、そんなことを言ったら本当に帰ってしまいかねない。 「・・・何によ?///」 「いや、俺が聞いてるんだけど・・・」 再び訪れる沈黙の時間。 リトとしては唯がなぜ怒っているのか皆目見当がつかない。 (ララと話して待たせたからか?でも時間なんて約束してなかったしなぁ) 唯は確かに怒ってはいたが、、何に対して怒っているのかよく分からなくなっていた。 原因は、嫉妬。 もしリトがララと勉強すると言い出していたら、 その怒りを胸いっぱいに抱えたまま、唯は教室を飛び出していただろう。 でも、リトは唯と勉強することを選んでくれた。 それも、ララを家に帰して、二人っきりでだ。 唯にはそれが、ものすごく嬉しかった。 それこそ、その直前までの怒りなど全て吹き飛んでしまうほどに。 もしリトが、ララか自分かどちらかを選ばざるをえない状況になったら、 自分を選んでくれるなどとは考えたこともなかった。 自分にはないものをたくさん持っているララ。 明るくて素直で可愛くて、プロポーションもよくって。 何よりリトへの「好き」という気持ちが滲み出ている。 自分はあんなふうに甘えたり、抱きついたりはできない。 口先では嫌がっていても、結城君だって嬉しいんだろうな。 ララさんのこと、好きなんだろうな。 そんな気持ちがあったから。 今まで誰にも、自分自身にさえ知られることのなかった、唯の心の中のフィルタ。 大きな「意地っ張り」を包んだフィルタ。 それに、小さいが確かに穴が開くほどに、リトが自分を選んでくれて嬉しかった。 それなのに、唯はやっぱり素直になれない。 あの時、ララ以上にリトが意識していたのは、きっと春菜。 春菜を見るリトの表情は、他の誰かを見るときとどこか違っているような気がしていた。 自分とも、ララとも。 春菜には、なぜか自分と同じものを感じていた。 リトへの気持ちを自覚した今なら、それがはっきりとわかる。 必死になってリトへの気持ちを抑えているような、 それでいてどこかで諦めきれずにいるような、そんな態度。 ララと春菜の存在が、唯の前の大きく立ちはだかっていた。 そして唯には、もう一つ引っかかっていることがあった。 (友達って言った・・・) リトは自分を友達だと、そう言った。 とっさに出た言葉かもしれない。 そもそも、唯とリトは付き合っているわけではないし、 数ヶ月前までの唯ならリトから友達といわれたら怒って否定していたかもしれない。 この1ヶ月で二人の仲はグッと縮まったが、決して妖しい雰囲気にならないようにセーブしてきたのは唯の方だ。 それなのに今は、友達といわれたことを180度違う意味で怒っている自分がいる。 自覚してしまった、強烈な嫉妬心。 笑顔を見るたびに、言葉を交わすたびに、飛び跳ねる心臓。 一方的に無視され、理不尽な扱いを受けてきた今でさえも、 唯を心配そうに見つめている、どこまでも優しいリト。 (わたしは、結城君が、好き・・・) もはや自分がリトに恋をしていることを認めないわけにはいかなかった。 だから・・・。 (わたしが怒っているのは、身勝手なわたし) 今まで必死になってリトへの想いを否定してきたのに、好きだと認めざるを得なくなったとたん、 自分を好きになってほしいと思う、自分だけを見てほしいと思ってしまう、身勝手なわたし。 結城君は何も悪くないのに、今この瞬間も結城君を困らせ、心配させている、意地っ張りなわたし。 時計すらないので、秒針の音すらしない学習室。 沈黙が耐え難いという思いは、時間の経過とともに少しずつ和らいでいってはいたが、 リトはやや沈痛な面持ちでぼんやりと唯の鞄を眺めていた。 「でも、しょうがないじゃない・・・」 (そんな簡単に、素直になんかなれないわよ・・・) 「えっ!?」 唐突に発せられた唯の言葉にリトはビックリしてしまう。 落としていた視線を唯に向け、リトは唯の言葉を待つ。 二人の静かな吐息だけが部屋を満たしていった。 その沈黙は1分だけだったような気もするし、5分はたっていたような気もする。 唯は何かを決意するかのように数秒瞳を閉じた後、その小さな唇で言葉を紡いだ。 「結城君は、こんなわたしでも・・・、ホントにいいの・・・?///」 瞳を潤ませ、顔は15度ほどうつむき加減で、上目遣いで。 いつもの強気な唯からは想像もできないようなか弱い表情で、 唯はじっと、リトを見つめてきく。 「な、なな、何言ってんだよ/// 古手川頭いいし、面倒見いいし、字もキレイだし、 えっと、その・・・とにかく、絶対教えるのうまいよ、う、うん///」 (か、かわいい///何だかわけわかんないけど、めちゃくちゃかわいい・・・///) リトは照れと戸惑いとで顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。 その様子を見て唯はクスッと笑みを漏らすと、顔を上げた。 いつものように凛とした表情。 だけど少しだけそれは柔らかい。 「結城君、第一問は不正解ね」 「へ?」 リトは何が何だか分からない。 「不正解ってどういうことだよ?」 「質問に適切に答えられてないんだから、不正解に決まってるでしょ♪」 さっきまでの不機嫌さが嘘のように消え、唯はどこか楽しそうだ。 「さ、始めましょ。まずはテスト初日の国語からでいいわよね」 あっけにとられているリトをよそに、唯はテキパキと準備を進める。 まだ完全に吹っ切れたわけではない。 家に帰れば、切ない気持ちに悩まされることになるだろう。 でも。 唯の、二人の「勉強会」は、これから始まるのだ。 (ホントの答え、いつか聞かせてね・・・結城君・・・) 唯はリトに聞こえないように、そっと呟いた。
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雨の中、外の異変に気づいたリトはいきなり唯に抱き付いた 「古手川!!」 「キャ!? ちょっ、ダ…ダメよ結城くんっ、い…いきなりそんな……」 「しっ静かに!!」 リトは顔を寄せると、口に指を当てながら唯の声を封じた 間近に迫るリトに唯の心拍数が跳ね上がる (そ、そんな事言われたって…こ…心の準備が…) 気持ちは迷い、心はゆらゆらと揺れ動く ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、 と、胸の高鳴りは止まらない (私……やっぱりこの人を…) リトと二人きりの状況に、唯はリトへの想いに改めて触れる 宙を彷徨っていた手は自然とリトの背中に回された (結城……くん) リトの息遣いが聞こえる リトの匂いで胸がいっぱいになる リトのぬくもりが伝わってくる あったかい、一緒にいるだけでホッとなる様なやさしい居心地を与えてくれる リトとこうしているだけでどんどん満たされていく (結城くん…私は…) 心の中で想いを反芻させていると、ふいにリトの体が離れていった 嫌────…… 触れ合っていた部分からリトのぬくもりが消えていく 結城くんが────…… まだまだリトとの距離はずっと近い それでも嫌だと思った 離れたくない。離れていってほしくない ギュッと、制服のシャツを掴む手に力がこもる 「ふぅ…、何とかやり過ごしたな。いや~っ今の古手川を校長に見られたらどうなる事かとヒヤ……ヒ…ヤ…」 いつの間にか自分の事をじっと見つめていた唯にリトの声が序々に消えていく 「古手川?」 「…ゃ……」 「え?」 「…嫌ぁ、離れちゃ嫌」 リトは目を丸くした 小さい、か細い声。それでもはっきりとその声はリトに届いた 雨で濡れた制服の下に見える白い下着に、熱っぽく濡れている黒くてキレイな瞳に ゴクリ────と、リトはつばを呑み込んだ 「結城くん…」 「な…何だよ?」 唯の一言一言に、唯の仕草一つに、リトはどんどん引き込まれていく (古手川ってこんな…) そう意識した瞬間、リトの胸はドクンと音を立てた 「古手…川」 「ん?」 その黒い瞳に魅力される様にゆっくりとリトは顔を近づけていく 「キス…したい……古手川と」 「……」 唯の瞳がゆらゆらと揺れる まるで自らの気持ちを表すかの様に 「…ダ…ダメ、まだ…」 それでもリトの動きは止まらない 鼻先が触れそうな距離で二人はじっと見つめ合う 衣ずれ一つしない静寂 互いの甘い吐息がかかる度に高鳴る胸の鼓動だけがはっきりと耳に聞こえた 「古手川」 「んッ」 唯の頬に赤みが増す 緊張と恥ずかしで小さく震えるその肩にリトの手がそっと触れた 「…あ……」 あったかくてやさしいぬくもりに唯の目がとろんとなる 「キス…してもいいか?」 「ダメに決まって…」 言葉とは裏腹に、背中に回した腕はリトを掴んで離さない そればかりか、抱き寄せるようにしてゆっくりと動かされていく 肩に置いたリトの手にも力が入る (私…私は……結城くん…と……) 視界いっぱいに映るリトの顔を確認すると、唯はすっと目を瞑った やわらかい感触が唇に触れると、唯は体を硬くさせた 「ん…ン」 一秒…二秒 あるいは一秒以下だったのかもしれない 永遠とも感じる短い時間の後、リトの唇がゆっくりと離れていった 「はぁ…」 小さく吐息をこぼしながら目を開けると、目の前にはバツが悪そうに頬を掻いているリトの姿があって 何も言ってこない唯にリトはぼそぼそと声と出した 「ごめん。オレ…」 「…謝らないでよ……初めてだったのに…」 その言葉にリトの顔からさっと血の気が引く 「わわ、ホントにごめん! オレお前の初めてのキスいきなり奪って…どーしたら…」 あたふたと支離滅裂な事を言い始めるリトに、だんだんと唯の頬が膨れていく 「別にいいわよ」 「へ!?」 怒られると思っていたリトは予想外の言葉に顔をキョトンとさせた 「それよりも、もっとちゃんとしなさいよね! 今の結城くんカッコわるすぎよ」 「へ…あ…ああ」 それでもまだ戸惑った様なリトに、唯の頬は膨らむばかり 「わ、わかってるって! ちゃ…ちゃんとするから! だから…」 「だから?」 リトの手が赤く膨れた唯の頬を包んでいく 「だ……だから…だからもう一回! こ、今度はちゃんとするよ」 「……」 じっとリトの目を覗き込んだ後、唯はぼそっと口を開いた 「…今度はちゃんとしなきゃダメだからね! 次も同じようなだと許さないんだから」 リトは困ったような、戸惑ったような笑みを浮かべると、唯の顎を少しだけ持ち上げ、その小さな唇にそっと自分の唇を重ねた さっきとは違う 今度はその感触がはっきりとわかる やわらかくて、少しあったかくて、緊張で震えているリトの口 目を開けなくたってわかる。真っ赤になっている顔 「ん…は…ぁ」 リトが離れると、止まっていた息がふっと吐き出される (これがキス……私、結城くんと……) それは今まで感じた事のない気持ちだった リトを初めて意識した時とも違う 好きだと気付いた時とも 唯はぽぉっと熱くなっている胸に手を当てると、制服をギュッと握りしめた (また結城くんとキスしたいな…) そして、その想いはリトも同じだった 頬から手を離すと、両肩にポンと手を置いて真正面から唯を見つめる 「オレ…もっと古手川とキスしたい…もっと」 熱を帯びたその声に誘われる様に唯はゆっくりと頷く 「…ン…ぁ」 水音を含んだキスは二人を次のステップへと導く ざらついた舌が自分の歯をなぞる感触に、戸惑いながらも唯は小さな舌を出した すぐに熱くて大きな舌にぶつかってしまい、慌てて奥へと引っ込んでしまう唯 自分を探す様に口内を這いまわるリトに唯は眉を寄せた (私…結城くんとこんなハレンチなキスして……) 戸惑いはやがて唯の体に余計な力を与えてしまう カチっ! っと、歯と歯が当たってしまい、リトは慌てて唯から口を離した 「ご、ごめん! って、平気か? 口。どっか切れてるとかないか?」 謝ったり心配したりと忙しいリトに唯はふっと笑みを浮かべる 「大丈夫よ。あなたこそ平気なの?」 「オ、オレは別になんとも…」 「そっか。よかった」 微かだけれど、やわらかい唯の笑顔にリトの胸は張り裂けんばかりに高まる (古手川ってやっぱかわいい) けれど、次の唯の言葉はそんなリトの想いを粉々に打ち砕くものだった 「でも、何か意外だわ」 「意外ってなにが?」 「結城くんってもっとその……こういうのうまいと思ってたから」 「…………は?」 あまりにも突拍子もない唯の発言に、リトはつい素っ頓狂な声をあげてしまう 唯はふいっとリトから目をそらした 「…だって結城くんってその……ララさんと何回か…その…」 ゴニョゴニョと口ごもる唯にリトは慌てて腰を浮かすとずいっと詰め寄った 「ちょ…ちょっと待ってくれ! 何言ってんだ!?」 「え?」 「オレとララはそんなんじゃねーって!!」 目を丸くさせている唯に言い聞かせる様にリトの弁明は続く 「一緒に暮らしてるけどそんな感じじゃなくて! そ、そりゃ裸とかは見たこと…… あ、ああ、も、もちろん不可抗力っつーか、いっつもララのヤツが裸でうろついてるからって意味で だ、だからオレとララは付き合うとかそんなじゃなくて…その…」 的を得ない説明にも、目をぱちぱちさせながらも聞いてくれている唯に、リトは最後にはっきりと告げた 「だ…だからオレはお前とするキスが初めてなんだって!」 「……初…めて? 私とするのが?」 「そうだよ」 どこかまだ釈然としない唯 リトは浮かしていた腰を下ろすと、そのまま項垂れる様にガックリと肩を落とした (つーか……古手川の中のオレって…) 印象が悪いとは思っていたけれど、まさかここまでとは リトは軽く泣きたい気持ちにかられた そんなリトにトンっと唯の体が重ねられる 「え…ちょ…古手川!?」 突然の唯の行動にリトはただ唖然となる 唯は背中に回した腕に力を込めると、ギュッと強く強くリトを抱きしめた (古手……川) 雨に混じって唯の髪の匂いがほのかに香った 唯は何も言わず、ただ、リトの胸に顔をうずめている うれしかった 初めてのキスが自分とだなんて 気が付くと見つめていた いつも仲良さそうな二人の姿を いつも笑顔で交わし合う時間を その度に胸がチクリと痛んだ あまりにもうれしすぎて言葉にならなかった あまりにもびっくりしすぎて声を出すこともできなかった 言葉じゃなく、声を出すでもなく、溢れる気持ちだけでリトに体を寄せた唯 「結城くん…」 胸の中から聞こえるそのくぐもった声に、リトはそっと唯の背中に腕を回した 「あ…」 ギュッと体に感じるリトの腕の力に、唯の口から吐息がこぼれた 長い長い抱擁 二人の想いが初めて重なり、そして、一つに溶け合っていく どちらかともなく体を離すと、至近距離で見つめ合う 「キス…ほしい……」 「ああ、オレも古手川としたい」 リトの返事にうれしさで唯の頬がみるみる赤くなっていく そして、勇気をもってもう一つお願いもしてみる 「あ…あと、もう一度抱きしめて」 不安そうにゆらゆらと揺れる唯の目にいつもの面影はない リトはクスッと笑うと、腕に力を込めて唯の体を抱き寄せる 「オレは古手川ともっとこーしていたい。こうやって一緒にいるだけですげー幸せだって感じるんだ」 「……ぁ…う、うん…うん、私も…」 このままとけてしまうのではないかと思えるほど赤くなりながらも、唯は何度も首をコクコク振った 体がどんどんと熱くなる 身も心も全てリトに委ねたいと思ってしまう 恋をすると、誰かを好きになると、大変なんだ、と心のどこかでそんな声がした 唯はリトの腕に誘われる様に、再び唇を重ねた ふんわりとやさしく包んでくれるリトの腕の中は自分だけの特等席 その笑顔も、その優しさも、ずっと自分だけの特別なものにして欲しいから 重ねられた唇を割って、舌が侵入してくる 「ん…ん、ん」 今度は唯は逃げなかった 必死にリトを求めては、絡ませようとがんばる 不器用で下手なキスはすぐに二人の口元を涎でいっぱいにさせた 「ぷ…はぁ…は…ぁ…」 それでもいいと思う こうして好きな人と一緒にいられるならば 口と口とを唾液の糸で結びながら、リトはゆっくりと唯を地面に寝かせた 雨で冷えた地面が火照った体にひんやりと心地よさを与える わずかに捲れたスカートから伸びる魅力的な脚をそっと曲げると、リトは脚と脚の間に体を入れる スカートの影に隠れる様に見える白いフリルのついたかわいいショーツ リトは唯の上に覆いかぶさりながら、ショーツに手を這わせていった 「古手川の気持ちいいトコってどこ?」 「し…知らないわよそんな事っ!!」 真っ赤になりながら口を尖らせる唯に苦笑しながら、リトの指がショーツの上から割れ目をなぞる 「ここ?」 「ん…ぁ…だから…」 クチュっと水音がなりショーツに染みをつくる 「ここかな?」 「…ゃ…あ…ふぅ」 ピクピクと腰を浮き上がらせる度に奥から溢れた蜜がリトの指をべったりと濡らしていく 「すご…こんな熱いんだ」 その感触を堪能する様にリトの指がクチュクチュと入口を刺激する 「あ…ふ…ン…ンン」 我慢していた口から次第に甘い声がこぼれ、体が小刻みに震えだす 初めて味わう感覚が唯から理性を奪っていった 「古手川、オレもう我慢できねーよ」 カチャカチャとベルトの留め具を外しながらリトは唯の顔を覗き込む 「古手川?」 「……」 何も言ってくれない唯にリトの中で次第に不安感が大きくなっていく 「あ…そ、そーだよな。先走ってお前の気持ちとか聞いてないのにこんな事……ごめんな古手川」 ベルトから手を離しながらゆっくりと体を起こすリトに、唯は小さく呟いた 「…嫌」 「へ?」 「嫌」 「え…えっと、わ、わかってるって! 後でお説教でも何でも…」 「そうじゃないの…」 唯は体をもじもじさせながら頬を染めた 「へ? そーじゃないって?」 「……な、名前で呼んでくれたって……いいじゃない」 どこか穴でもあったら入りたいのでは? と、思うほどに唯の顔は真っ赤だ 「な、名前って…古手川じゃダメって事?」 「そ、そんな事聞かないでよ…」 「あ…ああ。じゃ、じゃあ、何て呼べばいい?」 「もう! 結城くんが決めなさいよね」 リトは少し眉間に皺を寄せると、唯の顔を真上から覗き込んだ 「な、何よ?」 「……唯」 「え!?」 キュンと唯の中の大事なものが音を奏でる 「唯」 「ぁ…あ…」 「唯」 「う…ぅぅ」 リトが一言一言名前を呟く度に、唯の胸はどうしようもないほどに高鳴ってしまう 「唯」 「……うぅ…も、もう! いい加減にしなさい!! そんな唯唯よばないでっ」 悪戯っ子の様に屈託なく笑うリトに唯の頬がむぅっと膨らむ 「結城くん!? いい加減にしないと…」 「わ、わりぃ、わりぃ。ごめんな唯」 慌てて謝るリトに知らないとそっぽを向ける唯 その頬にリトの手が触れた 「ホントごめん。なんかうれしくてさ」 「え…」 「お前の名前呼べることが」 さっきとは違う自分の大好きな笑顔を浮かべるリト きっと私はこの笑顔に勝てないんだな、と、心のどこかでそう思ってしまう自分がいる 「続き……してもいい?」 コクンと小さく首を動かす唯 リトはショーツの股の部分をずらすと、ズボンから取り出した肉棒をゆっくりと割れ目へと近づけていった 「み、見ちゃダメだからね!」 見ないでどーしろと? と、心の中でぼやきながら、リトの先端が割れ目に触れた 「ン…」 肉と肉の熱い口付けにも似た感触に、唯の形のいい眉が歪む 「こ…ここ?」 「違…もう少し下ぁ」 唯の言葉通りに指で竿を操るリト 触れる度にクチュクチュと音が鳴り、唯の口から吐息がもれる 「下って……この辺か?」 「あ…ん違う…もうちょっと……あ、そ、そこぉ」 入口を見つけたリトはそのままゆっくりと腰を押し付けていく 「ん…ン…ンン」 「す…げぇ、これが女のコの…」 まだ半分も入れていないというのにその独特な肉感にリトは息を呑んだ 次第に膣壁がざわざわと蠢きリトを包み込んでいく 「ちょ…もうちょっと力抜いて…」 「そ、そんな事言われても……これ以上私…」 どちらも互いを想いながらも自分の事で精一杯 それでもゆっくりと入っていく肉棒は、やがて唯の膜に当たる その感触にどちらともなく目を合わせるリトと唯 「ホ、ホントにオレなんかでいいのか? お前の大切なモノなんだぞ?」 「バカ……こういう時はもっとカッコいいセリフとか言いなさいよね! 私、今日からあなたのものになるんだから」 自分のものに──── リトの脳裏にこれまでの唯との出来事が浮かんでは消えていく 真面目で、口うるさくて、堅くって、融通が利かなくて、厳しくて、キツくて だけど、それでも、たった一人の大事な人だから 「オレ、お前のことが好きだ! すげー好き」 頬を真っ赤に染めながら、自分への想いを言ってくれたリトの顔を声を、唯は胸に刻もうと思った どんな事があっても決して色あせないほどに強く、強く 唯は腕をリトの首筋に回すと、その体をギュッと抱きしめた 「お願い……きて」 その想いに応える様に、リトはいっきに貫く 「ん…んんん…」 細い腕に力がこもり、リトを痛いほど締め付ける 「ごめん。もうちょっとだけ我慢してくれ」 端整な顔を歪ませながらも唯はリトを離さなかった 痛みも、苦しみも、みんなこぼさず受け入れようと思った たった一度きりの大事な大切な「痛み」だから 結合部からつーっと純潔だった証が流れ落ちていく 「う、動いて平気よ……大…丈夫だから」 痛みで引きつっている顔に、震える声 その痛々しい姿にリトは情けないほどに顔を歪ませた 代われるものなら代わってやりたいと強く思う 唯にこんな思いをさせたのは自分なのだから 「な、何言ってんだよ? どー見たってムリじゃねーか」 「結城くんこそ、無理しないでよね……。さっきから結城くんが私の中でビクビクさせてるの知ってるんだから」 リトは声に詰まった 情けないがこんな時ですら、本能とも呼ぶべき男の悲しい性が鎌首をもたげていたのだ 「唯…」 「平気よ……動いて結城くん。あなたの事もっと感じさせて」 ────強いな、と思った 触れれば壊れそうなほどの繊細な強さ、だけれど、だからこそリトは惹かれた 守ってあげたいと、一緒にいたいと思った リトの腰がゆっくりと打ち付けられていく 「あ…ふ…」 耳元で聞こえる熱い吐息を聞きながらリトはギュッと目を瞑った 今の自分に唯を満足させるだけの技量なんてない 出来るのは、少しでも早く痛みが和らぐ様に気持ちよさを与えていくだけ 腰の動きが激しさを増していく 「…ん…あぁ…んくぅ」 「唯…唯…唯…」 耳元で何度も名前を呼んでくれるリトに唯は顔ほころばせた こんなにも想ってくれて、優しくて 手を伸ばせばこんなにもすぐ近くにいたのに私は何をして──── 想いが波に変わり唯の下腹部を覆っていく 「唯…オレもう…」 「うん、い…いいわよ、私ももう少しで…」 強烈な締め付けが竿全体を包み、リトを逃がさない様に奥へ奥へ誘う 「何か…大きいのがのぼってくる…」 「もう……出…っ!」 リトの腰が一際大きく震えたかと思うと、そのまま勢いよく欲望を膣内に吐き出した 「あ…ああぁあ…」 子宮に熱い奔流を感じながら、唯は大きく果てた その余韻に浸る様に二人は抱き合ったまま動かない 互いの息遣いを耳にしながら、ぬくもりを感じながら、しばらく離れたくはないと思った このままずっとこうして繋がっていられれば──── やがてリトはゆっくりと体を起こした 少し恍惚な表情を浮かべている唯にクスっと笑いかける 「何よ?」 「ん? 唯かわいかったなァって思い返してた」 「バカな事言わないのっ」 少し頬を膨らませながら体を起こした唯の秘所から、ゴポリと白濁した欲望が溢れ出す 「ゴ、ゴ、ゴメン! オレ中に出して…」 「……謝るぐらいなら最初からしないで」 「だよな……。で、でもちゃんと責任は取るから安心しろって!」 ギコチない笑みを浮かべるリトを一瞥すると、唯はふいっと目をそらした 「責任とかいいわよ」 「へ? でも…」 「責任とかで一緒にいてほしくないの! もっと一緒にいたい理由……あるんでしょ?」 チラチラとこちらを窺いながら話す唯は何かを期待している様だ リトは自分のバカな発言に小さく苦笑すると、唯の手をそっと握りしめた 「そうだな。オレがお前と一緒にいたのは責任とかじゃないよな」 「わ、わかればいいのよ」 顔を赤くさせる唯に、笑みを浮かべるリト そんな二人を遊具の隙間から射しこんだ日の光がやさしく包み込む 「あ…雨上がったんだ」 リトはひょいっと外に顔を出して様子を確認すると、唯に手を差し出す 「帰ろっか」 「うん」 その手を握り返しながら唯はゆっくりと立ち上がった 外は、さきほどの雨が嘘の様に日の光が射している まぶしさで目を細めるリトの横にピッタリと寄り添う唯 その手は繋がったまま、握りしめたまま 想いを込めて、想いを伝えたくて 迷ったり、悩んだりもすると思う だけど、今、胸にあるこの想いだけは確かだから 積み上げてきた結城くんへの想いは、誰にも譲れないし、誰にも負けから 「結城くん大好き」 「へ? なんか言った?」 「べ、別に何も言ってなんか…」 まだまだ面と向かって想いは告げられない それでもいいと思った 焦らないで進んでいけばいい 二人で 二人にとって初めての夏がもうじき始まる
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長い長い夏休みの間中、結城家では、相変わらずの騒動が毎日の様に繰り広げられていた そんな慌ただしくも賑やかで楽しい夏休みも残すところ今日だけ リトやララ達は、それぞれ思い思いの最後の日を満喫している そんな中、広い家の一室から少女の艶かし声が聞こえてくる 「ん…んっく…」 ベッドの上で自らの下腹部に指を這わせる美柑 スカートは捲れ上がり、下着が膝まで下がっている姿は、普段の美柑からは想像もできない光景だった すでに割れ目から溢れた愛液で指は、淫らな光を帯びている シーツにも小さな染みが出来ていた 美柑の指が割れ目からクリトリスへと伸び、先端を軽く摘まむ 「あぁあ…ぁ」 声はさらに高くなり、美柑は体を丸めると肩で息をし始める 夏の暑さもあるが、美柑の体は、これまでの行為でたっぷり汗を掻いていた 「…何やってんだろ、私…。洗濯物とか、夕飯の仕度とかあるのにな…」 言葉とは裏腹に、美柑の指は再び動き始める クリトリスを指で転がしながら、反対の手で乳首を摘まむ 「んッ…く…ンン」 美柑の下半身がまたガクガク、と震え出す 震える指先がクリトリスの先端をキュッと摘まんだ瞬間、美柑の背中に波が走った 「んっああぁあッ―――ッ!!」 丸めた体が二度三度、ビクンビクン、と痙攣したかの様に跳ねる 美柑は大きく息を吐いた そして壁に背中を預ける 「はっ…は…ぁ、はぁ…はぁ…っ…」 肩をはずませながら乱れた息を整える美柑 少しすると、薄ピンクのキャミソールの紐がズリ下がり、美柑の膨らみかけの胸が露わになった 「今日、夕飯どーしよ…」 露わになった胸を直そうともせず、美柑の口はうわ言を呟く 「その前に買い物に行かなきゃな…」 どこかボーっとした目をしたまま、美柑の手が秘所へと伸びる クチュリ、と水音が鳴り、美柑の綺麗な眉が歪む 美柑は壁にもたれながら、再び自慰を再開させた 「あっ、ああ、ん…ンっ」 額に浮き出た汗の珠が頬を伝い、顎を通り、胸へと落ちていく 爪がピンク色の乳首の先端を擦ると、美柑の背中がのけ反った 「あぁあ、ンン…っ」 感度がどんどん増していく体に正比例する様に美柑の声も大きくなっていく もしかしたら自分の声が廊下に漏れているかもしれない、一瞬そんな事を考えてしまうが、 すでに体も思考も止まらない領域に入っていた そして、その吐息の様な幼い喘ぎ声の中に呟き声が混じり始める 「…っト…、ああ、ふぁ、っんっん…リ…ぉ」 美柑の頭の中にリトの顔が浮かぶ 優しい声をかけてくれて、温かい手で触れてくれて、そして笑顔を見せてくれて 「…と…リト…リトぉ…リト…」 美柑の鼻がかすかにリトの匂いを捕える 例えそれが幻であったとしても、美柑にとっては十分だった 頭の中のリトの存在は、さっきよりも、より鮮明に大きくなる 「リト…、んっンン…リトぉ」 すでに美柑の声は、危惧した通り廊下にも届くほどに大きくなっていた それがわかっていても今の美柑は気にならない 頭のどこかで"そんなコト、どーでもいいよ"と声がする そう、今は頭の中でリトと絡み合う事の方が最優先 膣内は愛液が泡立つほどに掻き回され、溢れ出た愛液が美柑の指を伝いシーツの染みを広げる 「リトぉ…あふっ、リぃ…―――ッッ!!!?」 爪先がクリトリスを擦った瞬間、これまでで一番大きな震えが美柑を襲った 「はっ…はふ…ンン…ンくっ」 ビクンビクン、と脈動する身体 シーツはすでにオネショした痕の様になっていた 美柑はその上に荒い息を吐きながらゴロン、と横になった お腹や胸が上下に激しく動いて、息を整えようする 窓から吹き込んだ午後の暑い風が美柑の汗ばんだ髪を乱す 「リト…」 夏休み最後の日の午後、美柑の想いは人知れず、募っていく 夕食の後、美柑は一人、後片付けに追われていた リビングにあるお皿をトレイに乗せキッチンまで運んでくる途中、何気なくお皿に目を落とす 「今日もみんな残さず食べてくれたな」 お皿をそっとシンクの中に入れながら、美柑は呟いた お皿はもちろん、炊飯器の中身まで空っぽだ 毎日の事とは言え、やっぱりうれしくなる 「おいしい」と言ってくれるみんなの顔や、「お代り」と言ってくれる声も 何度見ても、何度聞いてもうれしくなる ハンバーグのソースがついたお皿をスポンジで洗っている時、ふいにリトの顔が頭に浮かんだ 初めて「おいしい」って言ってくれたのも、「お代り」してくれたのも みんなリトだ いつもの声で いつもの笑顔で 「そう言えば、初めてお弁当作った時――――」 中学になったリトのお弁当を毎日、作ったのはもちろん美柑 けれど入学したての頃は、「オレならパンでいいって」と、リトはずっと遠慮していた それでも美柑は、「リトのお弁当は、わたしがつくる!」と言って、一歩も引き下がらなかった 結局、リトが折れて、美柑は毎日お弁当を作る事になったのだが…… そのせいで毎朝、うんと早起きになった 夕飯の他にお弁当の献立も考えないといけなくなったし 一回の買い物の量も増えてしまった もちろん出費もだ 当り前の事とは言え、当時、小学生になったばかりの美柑にとっては、とてつもない重労働 しかし美柑は、ちっとも苦だとは思わなかった 毎日、空っぽのお弁当箱を見るだけで、うれしくなってしまう おまけにリトが「クラスのヤツらが、オレの弁当うらやましがってさ。昼休み、大変なん だぜ」なんて言うものだから、うれしさに拍車がかかって仕方がない 今でも思い出すだけで、顔が綻んでしまう その中でも初めてお弁当を作った日の夜の事は、今でも鮮明に思い出せる 空っぽのお弁当箱を美柑に手渡すとリトは、「すげーうまかったよ。明日も頼むな」と、頭 をクシャっと撫でてくれたのだ その時、リトが浮かべた笑顔に思わず頬が熱くなってしまった 胸の中に生まれたまだ理解できない感触にこそばゆくなってしまって まともに顔が見られなくなってしまって それから、もじもじしてしまって それから、それから―――― 「……っ」 お皿をキレイに洗い終えた美柑は、自分の恥ずかしい思い出に蓋をする様に、水道の蛇口を閉じた 「何考えてんだろ…私」 濡れた手をタオルで拭きながら、おかしな方向に脱線しそうになっている自分に溜め息をつく美柑 ふと壁にかかったカレンダーが目に入る 目は日付を追っていき、翌月の頭を捉える 「ああ、そっか。明後日からまたお弁当いるんだ。じゃあ、明日の買い物の時、その分も買って…」 頭の中のメモ用紙に次々と、新しい食材を書き足していく美柑 一通り書き足しが終わると、美柑は口のあたりに指を当てて考え込む 「ん~…、でも何作ろ…? ハンバーグは今日作ったし、カラアゲは明日だし…」 可愛い眉を寄せて新学期最初のお弁当の献立に頭を巡らせる美柑だったが、中々、考えがまとまらない 美柑の足は悩みながら歩き始める 愛用のスリッパを鳴らして、向かった先は、リビングだ カチャっとドアノブを回すと、ドアの向こうから賑やかな声がキッチンに入ってくる 「リト。お弁当なんだけど、何か食べたいモノ…で…も―――ッ!?」 ドアノブを握ったまま、美柑は固まった リビングのソファの上でモモがリトに迫っていたのだ というか、もう密着していると言っていいかもしれない 美柑の見ている前で、二人の体がさらにくっつく 思わず目が険しくなる美柑だったが、一番に気に障るのがリトの態度だった 「リトさん」 「ちょっ…モモ!?」 一応、顔を赤くして慌てているのだけれど、だからと言って、別にモモを押しのけるわけでもなく むしろ、モモのされるがままになっている 「むぅ…」 美柑のほっぺが膨らむ モモの態度もそうだが、リトの情けない態度に何だかムカムカしてくる 美柑はリビングに背を向けると、ドアを閉めた 「もぅ! モモさんもモモさんだけど、リトもリトだよ! なにデレデレしてるのよ! もう当分お弁当は、ピーマンいっぱいにするからね!」 と、一人息を荒くする美柑の怒りはしばらく治まる事はなく、その後のお風呂まで続いた 「はぁ~」 湯船に浸かりながら美柑は、この日、何度目かになる溜め息をついた 溜め息の原因は、さっきあった騒動 リトの入浴中にモモが入って来たのだ さすがにこれには美柑も我慢の限界だったようで、モモを捕まえると注意をしたのだが…… 気持ちは晴れるどころか、ますます曇っていく ちゃぷ…、と下唇のあたりまで湯船に浸かると、美柑は体操座りをした なんとなく体を小さく、丸くしたくなった 「……そう言えば、小さい頃、私もリトとおフロに入ってたっけ」 背中を洗いっこしたり 頭を洗ってもらったり お風呂のおもちゃで遊んだり 「…私、シャンプーする時、なにも見えなくなるのが怖くて、頭洗うのがずっとイヤだったな…」 でもそんな時は、きまって―――― 「心配するなって! にいちゃんがついてる!」 「ほ…ホントぉ…?」 「ああ。こうやって美柑の手を握っててやるからな!」 「でも、お手てつないでたら、頭あらえないよ?」 「そ、そうだった!? ああ、えっと…じゃ、じゃあしりとりでもするか!」 「しりとり?」 「にいちゃんの声が近くで聞こえてたら安心するだろ?」 「うん。する」 「じゃあ、最初はにいちゃんからな。えっと…」 美柑は幼い頃のおぼろげな記憶を集める様に、両手でお湯を掬い上げた リトと入るお風呂タイムは、小さい頃の美柑にとって、一日の内で二番目にうれしい時間だった ちなみに一番目は、一緒のお布団で一緒に寝る事 今は大きくなって一緒にお風呂に入る事も一緒に寝る事もなくなってしまった それは当然の事なのだけれども 「はぁ…」 小さな溜め息が手の中のお湯を揺らし、お湯に映る美柑の瞳がゆらゆらと揺れ動く 小さい頃は、二人で入っても、すっごく大きく感じたお風呂場 けれど今でも大きく、広く感じてしまう 一人で入るお風呂は、なんだか寂しくて、楽しくなくて―――― 手の中のお湯に映る自分の顔がひどく寂しげな事に気づいた美柑は、慌ててお湯を湯船の中に戻した 「……バカじゃないの。私…!」 そう呟くと、美柑は鼻の下まで湯船に浸かり、ブクブクと泡を立てた 翌日のお昼頃 今日は始業式だけだったため早めに帰宅する事が出来た美柑は、学校帰りに昨日計画した 買い物をしに商店街へと向かった 人数が増えたため一回の買い物の量もぐんと増えてしまい、重い買い物袋を両手にいっぱい 下げていると、同じく始業式帰りのリトとララに出会い、二人に手伝ってもらった 「ありがと。リト、ララさん」 「いいって。いいって」 「つかこんな量多いんだったら、オレに言えばいいのに」 「私一人でもいけると思ったんだけどね」 玄関で靴を脱ぎ終えると、美柑は苦笑を浮かべた 「リト、リト。ゲームしよーよ」 「ああ。服着替えたらな」 なんて二人の会話を背中で聞きながら美柑はキッチンの方へ歩いていく 重い買い物袋をテーブルの上に置くと、美柑はふーっと汗を拭った 「今日も暑いな…」 冷蔵庫からお気に入りのアイスを一本取りだし、早速口に含む美柑 冷たくて甘い味が口の中に広がり、買い物の疲労を癒してくれる 「あ、そーいえば、夜から雨とか言ってたような…」 ふと思い出したのは、昨日の夜の天気予報 夜からの降水確率90%という嫌な予測に美柑の顔が少し曇る 窓から空を見上げると、雨雲一つない澄み切った青空が一面に広がっている 「まだだいじょうぶみたいだね。じゃあ、今のうちに」 買い物袋から食材を取り出し、それを冷蔵庫に入れていきながら、美柑の頭は、この後の 予定を高速で組み立てていく 雨が降った場合と降らなかった場合、夜からじゃなくて夕方から降りだした場合など それはもう小学生と言うより、一人前の主婦の様だった 冷蔵庫に詰め終わると、美柑は愛用のエプロンを手に取る 今日の夕飯の献立は、リトの好物の唐揚げがメイン 「リト、喜ぶかな」 なんてつい独り言を言ってしまう美柑 「そうだ。リトに何個食べるか聞いとこ」 リビングに向かう足取りもなんだか軽やかだ しかしその足取りはドアの手前でピタッと止まってしまう 「ってなに私、一人で楽しそうにやってんだろ…。シャキっとしろ!」 キッチンで一人そんな事をしていると、リビングから何やら楽しそうな声が聞こえてくる 「リトさんってお上手なんですね」 「そんな事ねーよ。これぐらい誰にだって出来るって」 「そうですか? とってもテクニシャンだと思いますよ?」 と、妖しい微笑みと共にモモの手がするするとリトの腕を伝い、携帯ゲーム機を持つ手に重ねられる 「っと、悪いけど、今イイとこなんだ」 「フフフ。すみません」 手を口に当ててモモは笑顔で謝った 「……」 一連の光景に、少しだけ開けたドアの隙間から様子を眺めていた美柑の目が鋭いものに変わっていく ここ最近、さらにエスカレートしているモモのアピールが目に余るのはもちろんだが それ以上に美柑の心をざわつかせていたのは、リトだ (……なにやってんの? リト…) 今やモモは、リトの首に両腕を回し、頬に顔を寄せている その事にリトは、特に何か注意をしているわけでもなく、ゲームに没頭したまま 夢中になっているからモモの事が気にならなくなっているのかもしれない なんて都合の良い解釈は、残念ながら美柑は持ち合わせていなかった ざわざわとざわつく心は、次第にイライラへと変わっていく 「……はぁ」 深く、短い溜め息をつく美柑 (…何だろコレ…。すっごくイライラしてくる) その先を考えるよりも、足が動く方が速かった 美柑はスリッパを必要以上にパタパタと鳴らすと、密着する二人を横目に通り過ぎ、そし てリビングのドアを開けた 「美柑?」 「……」 リトの呼びかけに美柑は応えない そのままエプロンを玄関脇に脱ぎ捨てると、靴を履いてしまう さすがに気になったのか。モモを押しのけて玄関に向かってくるリトの足音が聞こえるが、無視 トントン、と靴を踏み馴らしているとようやくリトが玄関に顔を覗かせた 「どっか行くのか?」 「……別に。散歩」 横顔しか見えないため、美柑の表情がリトにはいまいちわからない ただいつもとなんだか様子が違う事だけは、わかる 「な…なァ、もしかしてなんか怒ってる、とか?」 「……」 「美柑?」 「放っておいて」 「お、おい」 リトの声を背に、美柑は玄関を飛び出してしまった 空は天気予報の予測とは違い、すでにどんよりとした雨雲が立ち込め、今にも雨が降り出 しそうな気配になっていた 息を切らせながらやって来たのは、彩南町にあるいつもの商店街 勢いで来たとは言え、人が少ないところよりも人が多いところに来たのは、やはり人恋し さがあるからだろうか 彩南商店街は、お昼前に買い物に来た時以上に行き交う人で溢れている 気をつけないとすぐにぶつかってしまいそうなほどに 前方からやってくる家族連れとぶつかりそうになってしまうのを、美柑はひょいっとかわした するとある光景が美柑の目に飛び込んでくる アイスクリーム屋の前にあるベンチに座る幼い兄と妹の二人 おいしそうにアイスを頬張る妹の口をハンカチで拭いてあげる兄の姿に、美柑の足は完全 に止まってしまった 「うまいか?」 「うん。冷たくて、甘くて、とってもおいしーよ」 なんて会話が耳に聞こえてくる 「……」 食い入る様に兄妹を見つめる美柑の脳裏に、幼い日の思い出が甦る 美柑とリトがずっとずっと小さかった、夏の日差しが照りつけるある日の午後 「わぁ~。おいしそー」 アイスクリーム屋のウィンドウに頭をくっつけてアイスを見つめる美柑 目の前でコーンに乗せられる色取り取りのアイスたちに、幼い美柑の瞳がキラキラ輝く 「ん、アイス食べたいのか?」 「え!? べ、べつにいいよ!」 隣にいるリトに美柑は慌てて両手を振って「はやく帰ろ」とアピールを繰り返す 二人は林檎に頼まれて、お使いの真っ最中なのだ 後ろ髪を引かれる思いでアイスクリーム屋の前から立ち去ろうとする美柑に、リトはクス っと笑うと、美柑の頭をポンポンと撫でた そしてポケットからお金を取り出して、ショップの店員さんに指であれこれと注文をし始めた キョトン、とする自分にリトは、ニッと笑いながらアイスを差し出してくれた 「いいの? おにーちゃん。だって、お菓子たべられなくなっちゃうよ?」 「いいって。気にすんな。それに一人で食べるお菓子より、こーやって美柑と食べるアイ スの方がずっとウマイからな」 「う、うん!」 戸惑い続けていた美柑の顔に、初めてアイスを食べられるうれしさがいっぱいに溢れる 美柑はリトの隣に並ぶと、その手をギュッと握りしめた 「おいしーね、アイス」 「ああ。また食べにこよーな」 「うん」 その時、食べたアイスの味は、今でも覚えている リトは覚えているかな? それ以来、私がアイスを好きになった事も 兄妹の微笑ましい光景につい感傷的になっている美柑の耳に、不吉な音が聞こえ始めた ゴロゴロ、ゴロゴロ 美柑の背中がビクンと震える 家で見た時は晴れ渡っていた空は、いつの間にか雨雲で真っ黒に染まっていた 時折、ピカっと光ったかと思えば、遠くの方で音が鳴る 「か…帰ろ」 家の方向に足を向けた時、美柑の足が止まる あんな出て行き方をした手前、どんな顔をして帰ればいいのかわからない なんて言えばいいのか リトの顔だって見られないかもしれない 「……どうしよ…」 立ち止り、悩む美柑の頬にポツリと雨粒が落ちてきた 空を見上げると、雨粒は次第に数を増やし、すぐに雨音へと変わっていく 「サイアクだ…」 美柑は駈け出した 向かう先は、家―――ではなく。雨宿りができる場所だった 雨足が強くなるにつれ、美柑の足も速くなっていく アスファルトの上に広がる水溜りをパシャパシャ、と踏みながら、美柑は持っていたバッグで頭を覆った そしてついに空に稲光がピカっと走る 「キャっ!?」 美柑は誰もないバス停に逃げ込んだ 木造の見るからに古い造りのバス停は、屋根はあるけれど、ベンチどころか小さな椅子すらない 「濡れないだけマシか…」 バッグを開き、中からミニタオルを取り出すとさっと顔を拭いていく 続いて雨粒が滴り落ちる髪を拭こうとした時、二回目の雷が空を引き裂いた 「わ―――ッッ!?」 思わず両腕で顔を隠し、目を閉じて、その場に蹲ってしまう美柑 ゴロゴロ、と雷が遠くの方に過ぎ去っても立てない 立つ事ができなかった 「うぅ…。カンベンしてほしいよぉ…」 美柑の白い肩がカタカタと震える どんなに耳と目を覆っても雷の恐怖からは、逃れる事が出来ないでいた 小さな体がさらに小さくなる しかし神様は、そんなに美柑にますますイタズラがしたくなったのか さきほどよりもさらに大きな雷を落としてしまう ピカッと雷光が辺りを包み込み、次の瞬間、まるで目の前で爆発でもあったかのかと思う ほどの大音量が響き渡る 「ひゃ―――!!?」 美柑は目尻に涙を浮かべながら、体を小さく小さくさせる 手でしっかりと耳を覆い、目はギュッと瞑り、しかし今度は、まったく利き目がなかった 目尻に浮かぶ涙の量が増えていく 「…っ…く…ひっ…ぐ…」 腕の隙間から漏れたか細い声は、次第に大きくなっていき、やがて嗚咽へと変わる 雨が降りしきる誰もない薄暗いバス停の中、美柑は、一人声を押し殺して泣いた そんな状況でも雷は、容赦しない 雷が落ちる度に美柑の体は、ビクンと震え、泣き声が後に続く 涙で滲む世界に映るのは、リトの顔だった 「美柑」といつもの声で、優しく笑いかけてくれる 「……ぉ…ト…リト……助けて、リト…」 必死の叫びは、しかし強い雨音にかき消されてしまう それでも美柑はリトの名前を呼び続けた 「…リト…リト…助けて」 「おにーちゃん。カミナリこわいよぉ」 「だいじょうぶだ。にーちゃんがついてる」 ギュッと抱きしめてくれて、涙が止まるまで頭を撫でてくれて 大丈夫になるまで優しい言葉をかけ続けてくれて 幼い日の思い出と共に、リトを呼ぶ声が強くなっていく 「リト…。助けてっ!」 稲光が世界を包み、美柑の影を木造の壁に浮かび上がらせる 美柑の体はまた小さく、震えは大きくなる 「う…ううっ…」 目尻から溢れた涙は、髪から滴る雨粒と一緒になり、美柑の顔をさらに濡らす その時、背後で足音が聞こえた 誰もいなかったとはいえ、ここはバス停 バスに乗りに誰か来たのだろうか、と美柑は、両腕で抱えていた頭をほんの少し上げた 人影はこちらへと近づいて来て、美柑の前で立ち止まった 「…なに…?」 涙で滲む視界にぼんやりと浮かぶシルエット 次第に形を成していき、やがて、はっきりと目に浮かぶ様になった それは美柑がとても見慣れた顔であり、今一番、会いたいと願う顔だった 「美柑っ!!」 「…り…リト…!?」 肩で息をするリトの服は、ぐっしょりと濡れていた 美柑を探すために全力で駆け回るリトに、傘は何の役にも立たなかった すぐに泣き腫らした美柑に気づいたリトは、美柑に駆け寄り膝を屈めた 「こんなトコで何やってんだよ!? 探したんだぞ!」 「さが…し…?」 「とりあえずコレ着ろって」 リトは上着を脱ぐと、美柑の背中にかぶせた 背中にほわっと広がる温かさと匂い 美柑は上着の裾をキュッと握りしめる (――――リトの匂いだ…) リトが来てくれた それも自分を探して 雨の中、びしょ濡れになりながら 美柑の目からまた大粒の涙がこぼれ落ちそうになる その涙がそっと拭い取られた 「ん…」 横に視線を向けると、リトがハンカチを持っていた そのハンカチは、美柑が「マナーだよ。ちゃんと持っているよーに」と事あるごとに釘を 刺して持たせている物だ リトは美柑のくしゃくしゃになった顔をハンカチで拭いてやると、美柑の頭を撫でた 何度も、何度も 「だいじょうぶか?」 「……子供じゃないんだけど?」 安心した事で今度は気恥ずかしさが湧き上がってしまい、美柑はリトから目をそむけた けれども、代わりに黙ってリトの手を握りしめた 離れない様に力いっぱい、ギュッと 美柑と手を繋いだのは久しぶりの事だとはいえ、手の中の美柑の手は、ひどく冷たくて 小さくて―――― リトは何も言わず、美柑の濡れた体を胸に抱き寄せた 「りっ、リト!?」 「心配すんな。オレがついてる」 「……ッ」 小さい時、なかなか泣き止まない自分をいつもこんな風に抱き締めて、「大丈夫。心配 するな」って言ってたな…―――― 美柑の鼻腔をリトの匂いがいっぱいにしていく 美柑の体をリトの温もりが優しく包み込む それらは美柑の胸の中にこれまで溜め込んでいた想いを一気に解放させていく 美柑は両腕でリトにギュ~っとしがみ付いた 胸に顔をうずめ、そして怖かった時の感情を全部吐き出した リトは美柑の言葉にならない声を全て受け止めながら、美柑の頭を撫で続けた いつの間にか雨は止んでいて、雨雲の隙間から日の光が地上に差していた 「雨、止んだね」 「そーみたいだな」 美柑はリトと手を繋いだまま、まだ薄暗い空を見上げた 二羽の小鳥がチュンチュンと仲良さそうに飛んでいる光景を美柑は、目で追った そんな美柑の横顔にリトは笑みを浮かべる 「もう、大丈夫みたいだな」 「…まーね」 繋いだままの美柑の手は、震えこそ治まったものの、まだ冷たい 温もりを求める様に美柑の手がリトの手を強く握りしめる 「その…ありがと。リト」 「ん。気にすんなって」 「……ッ!?」 赤く染まる美柑に、リトはニッと笑いかける リトの笑顔は、一つとして同じモノはないけれど そのどれもが胸の中を温かくしてくれて、キュン、と締め付ける 美柑はリトからぷぃっと目を逸らす (…そんな顔するからみんなリトの事スキになっちゃうんだよ。……私、だって…) 急にもじもじとしだす美柑にリトは眉を寄せた 「どした?」 「なっ、なんでもないよ! 気にしないで!」 「ふ~ん。じゃあ、そろそろ帰るか? このままだとカゼ引いちまいそーだしな」 「そ、そだね」 まともに返事を返せない おかしな緊張で口の中が渇く 目なんて絶対に合わせられない それなのに当のリトは、「おー。向こうに虹が見えるぞ」なんて言っている 美柑は、晴れ間が覗く空にかかる虹を見ながら「ホントだ」と返しつつ、小声でボソッと呟いた 「…リトの鈍感」 家に着いた頃には、夏場だというのにすっかり体は冷え切ってしまっていた ブルブルと震える手で玄関の扉を開けると、家の中は、出かける前の喧騒が嘘みたいに しーん、と静まり返っていた 「あれ…? 誰もいない…?」 「ああ。みんな美柑の事を探しに行ったんだよ」 「え…!?」 「雨降ってきたしな。一応、みんなには、美柑が見つかったって連絡いれといたけど、誰 も帰ってないって事はどっか寄ってんのかな?」 「そう…なんだ」 脱衣所のドアの手前に置いてある、大急ぎで取り入れた様子がありありとわかる洗濯物を 見ながら、美柑の脳裏にララやモモやナナの顔が浮かぶ 「みんな…」 「あとでみんなに礼言っとけよ?」 「うん…」 反省とうれしさが混じる美柑の頭をリトは、クシャっと撫でると、脱衣所から大きなタオルを一枚持って来た 「ほら。これで頭拭けよ」 「ありがと」 「じゃあフロ沸かしてくれるから、ちょっと待っててくれな」 「そんなの私がやるよ」 「いいから。美柑はちゃんと体拭いてろって」 リトはそう言うと、タオル越しに美柑の頭をポンと撫でた 頭から垂れ下がるタオルの隙間から見えるリトの背中を美柑は、ジッと見つめ続けた 濡れた体にタオルの柔らかい生地の感触が心地いい けれども、リトの優しさの方がずっと心地よくて、そして温かい 「…やさしいな、リト…」 リトは優しい とっても優しい匂いがする リトの優しさを小さい頃からずっと見てきた美柑は、それが誰よりもわかる 今日だって、ついさっきだって 大きな優しさから、何気ない優しさまで いつも笑顔と一緒に届けてくれる 美柑にとってそれは、昔からちっとも変わらないリトの大好きなところの一つだ 「―――だけどもう、私だけのリトってわけじゃなくなったんだよね…」 美柑の寂しげな声が誰もいない玄関に落ちていく 美柑は頭のタオルを握りしめると、お風呂に向かった 風呂場では、リトがタワシを手に浴槽の掃除をしていた 袖を捲り、ゴシゴシ、と床を磨き終えると、ふ~っと溜め息 「…にしても美柑のヤツ、これを毎日やってんだもんなぁ。ホントすげえぜ」 関心しているばかりじゃなく、もっと美柑の負担を軽くしてやろう、なんて考えながら、 リトはシャワーの蛇口に手を伸ばした その時、背後に物音がした 気配はリトが振り向くよりも速く、リトの腰に両腕を回した 「え…!? ちょ…」 誰が抱き付いてきたのか、リトにはすぐにわかった けれどもあまりの事態に、体が思う様に反応しない 「み、美柑…?」 「……」 美柑は無言のまま、リトの背中に顔をうずめた そしてさらに体を寄せる 濡れた服の下にある、まだ膨らみかけの小さな胸の感触が、Tシャツを通してリトに伝わる リトは思わず息をするのも忘れそうになってしまった 「……っ!? ちょ…な、何やって…!!」 「リト…」 美柑のか細い腕がさらに締まり、美柑はリトの背中に向かって消え入りそうな声で呟く 「リト…。どこにも行っちゃイヤだよ…」 「美柑? 今日はもうどこにも行かねーよ。それよりも、服代えないとカゼ引くぞ?」 バクバクと自分の心臓が高鳴っていると知りながら、リトは努めて平常を装い続けた 美柑はリトの反応に不満そうに顔を曇らせる しかし美柑は、背中に額を当てたまま何も言おうとはしなかった 無反応な美柑にリトは頬をポリポリと掻く 「どーしたんだよ? らしくないんじゃねーか?」 (…人の気持ちも知らないで、ホントに鈍いな。リトは…) むぅ…、とジト目で背中を睨みつける美柑の様子が背中越しでもわかるのか、リトの口に 苦笑が浮かぶ 「もしかして…」 「へ?」 リトは美柑の両腕を解くと、クルっと体の向きを変え、そして美柑の前髪を上げると、 自分の額を美柑の額にくっつけた 「えっ…ぁ…!?」 突然の急接近に美柑の心拍数がいっきに急上昇を始める 顔もカァっと赤くなっていく 「ん~…熱はないよなぁ。とりあえずもう少しでフロ入れるから、体温かくして待っててくれな」 美柑はリトの言葉なんて聞いていなかった 自分の心臓の音がうるさくて、それどころではなかった その間も美柑のホッペは、ますます熱くなっていく 「って美柑? お~い」 (もうどこまで鈍いんだよ! こ、こーなったら…) 美柑は自分を落ち着かせるために小さく深呼吸を数回行った そして少しだけ前に踏み出した 「その……リトにさっきのお礼がしたいって思って」 「お礼? だからそんなのいいって。オレよりもララ達に言ってやれよ」 「リトじゃなきゃダメなの! リトがいい!」 「美柑…?」 声を大きくする美柑にリトは目を瞬かせた 美柑はさらに踏み出す この鈍感すぎる兄に気持ちを伝えるには、自分から動かないとダメなのだ 美柑とリトの距離は、さっき額を合わせた距離よりも近い 驚きながらも顔を赤くするリトが目にいっぱいに映る そして美柑は、最後の一歩を踏み出した リトの顔を見つめたまま、腕を首に回し、ギュッと抱き寄せる 「え? ちょ…!?」 「ん…」 リトと美柑の唇が重なる 「―――!?」 「……っ」 驚いて目を見開くリトとは違い、美柑はドキドキとうるさい自分の鼓動を聞きながらも キスの感触をちゃんと味わっていた キスの時間は、一秒、二秒、三秒と続き (み、美柑―――!?) 「んん…っ…ぷはっ」 きっかり十秒後にキスを終え、美柑は顔を離した 後に残ったのは、唇にまだあるキスの感触 そして、この後、どうしたらいいのかまったくわからない空気だった 顔を真っ赤にさせ、目を合わそうとはしない美柑 何が起こったのか今だ理解できず、目をパチクリと何度も瞬かせるリト その間もドキン、ドキン、とキスをしている時以上の胸の鼓動が二人の中で鳴り響く 水道の蛇口から落ちた水滴が浴槽の中にポチャンと落ちるのがきっかけとなってリトは、 ようやく腰を浮かした
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「―――じゃあ、ホントにいいんだよな?」 「ええ…。いいわ」 唯の白い喉がコクンと音を立てた 白い頬は見つめられる時間の長さだけ、ぽぉっと熱くなっていく いつにもまして真剣なリトの目に吸い込まれそうになるのを唯は、グッと踏みとどまりながら、リトの視線を真正面から受け止める (私…私…) 胸がトクン、トクン、と心地いいリズムを奏でる そっと手で触れると、よりはっきりと手の平から胸の音が伝わる 唯の瞳の表情が、夢見るようなとろんとしたモノになっていく 「…古手川」 「結城…くん」 「古手川」 「結…城っ…くん…」 名前を一つ呼ばれる度に体から力が抜けていく 長い睫毛が揺れ、黒い瞳が濡れる (私…私…今から結城くんと…) 華奢な両肩に置かれたリトの両手にわずかな力がこもり、唯は小さく息を呑む 「へーきか?」 「え、ええ…」 「ムリならさ…」 「やッ」 唯は反射的にリトの制服を握りしめた 「ちゃ…ちゃんと最後までしてくれないとイヤッ」 その声の強さとは裏腹に、瞳は不安でいっぱいに揺れている 制服を握りしめる手もかすかに震えている リトは唯の肩から手を離すと、震える手にそっと自分の手を重ね、キュッと握りしめた そして、いつもの笑顔を浮かべると、少しだけ顔を寄せた 「……ッ」 唯の胸の音がまた一つ大きくなる リトの手のぬくもりを感じながら。真っ直ぐな視線を浴びながら 顔がどんどん熱くなっていくのを感じながら、ゆっくりとリトと同じ距離だけ顔を寄せた ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ―――― 二人の顔の距離はお互いの睫毛の先が触れ合うほど 鼻先を吐息でくすぐられながら、唯はジッとリトの顔を見つめ返す すぐ目の前にある大好きな顔 赤くなった頬に、いつもより少し、ほんの少しだけカッコいい顔を浮かべながら 自分と同じ気持ちで、同じ想いの強さで、同じ様に見つめ返してくれるリト ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ―――― もう手で触れなくてもはっきり聞こえる、胸の音 (結城くんの音も聞こえる…) リトと唯の胸の音が重なり、溶け合っていく いつの間にか、腰に回されていたリトの腕にわずかな力が入る 唯はその力に導かれる様にして、半歩リトに体を寄せた 「あ…」 吐息の様な声が一度こぼれ 唯の唇がリトの唇に触れ…―――― 「やんっ…」 と、素っ頓狂な声を上げながら、唯はガバッとベッドの上で跳ね起きた 「はぁ…は…ぁ…はぁっ…」 汗の珠が頬から首筋を伝い、胸元へと落ちていく ぐっしょりと濡れたパジャマに、なぜかドキドキとうるさい胸の音 「何…なの…」 胸に手を当てて息を整える間、唯は部屋を見回した まだ真っ暗な部屋には、自分の乱れた息遣いと、時計の針の音だけ 枕元にあるネコの目覚まし時計の針は、深夜の三時過ぎを差している 少しずつ唯の頭の中がクリアになっていく そして思い出す。さっきまで見ていた夢の内容を 「わ…私ったら何てハレンチな夢をッ!?」 思わず両手で押さえたほっぺがヤケドしそうなほど熱くなる わなわなと震える肩同様、パクパクと震える口でなんとか言葉を紡いでいく 「わた…私…結城くんとき…き…きき…キスしようと…ッ!?」 言葉はもう続かない。それ以上、唯には言えなかった だから代わりにいつものあの言葉を叫ぶ 「は、ハレンチなーーッ!!!」 深夜の古手川家に唯の声が響き、そして、唯の物語が始まる 翌日。彩南高校。放課後の夕暮れの教室内 「―――っと、コレで最後だよな?」 「ええ。そうよ」 本日、日直に当たってしまった唯とリトの二人は、放課後残って、教室の掃除をしていた 一か所に集めたゴミを箒と塵取りで集め、ゴミ袋に入れ、あとはそのいっぱいになったゴミ袋を焼却炉まで持って行かなくてはならないのだが―――― 「よし…っと! じゃー早く下に持って行こうぜ」 「あなたは日直ノートをお願い。コレは私が下に持っていくわ」 「え? いいってオレが持っていくって! 古手川がノート書いてくれよ」 「いいわよこれぐらい。お構いなく…。貸して」 「え、あ、ちょ…」 ゴミ箱をリトの手から奪うと、唯はゴミ袋の端をキツくキツく結んでいく 「一年の時は、私がずっとしてた事だし。それに…」 「それに?」 「……」 唯は言葉を切ると黙ってゴミ袋の結び目をさらにキツく結ぶ 本当は力仕事なんて苦手だし、こういう時は、素直にリトに頼るのが一番なのだと、心の中でそう言っている自分がいるのだが (だからって…) 唯はチラッとリトに視線を送る ほっぺを掻きながら一人納得いかなさそうなリトの視線に、人知れず顔が熱くなっていくのを唯は感じた 昨日の夜、見た夢の内容が頭の中を駆け巡る (うぅっ…) リトを好きになってからというもの、リトを意識しない日なんてない そればかりか、日に日に強くなっていくリトへの気持ち 「手伝って」「一緒に持っていきましょ?」「結城くん、お願いするわ」 こんな簡単な言葉すらかける事にも躊躇ってしまう 甘えたり、優しくしてもらうなんてもっての他なのだ 唯は黙々とゴミ袋の端を結んでいく (そ、そうよ! だいたい、これぐらい私ひとりでも十分なんだから) 結び目と同じぐらい、自分の気持ちを固く結ぶと、唯はゴミ箱からゴミ袋を引っ張り上げる 「ん~~…! よい…しょっとっ!」 「お、おい。ホントにへーきなのかよ!?」 「へ…平気だって言ってるでしょ! 結城くんは、言われたとおりにノートを書いてて! これは私が…」 と、言いながらいっぱいに詰まったゴミ袋を持ち上げようとした時、ふいに唯の足がもつれ、バランスを崩してしまう 「キャ―――!?」 「あぶねッ!!」 床を踏み出した音と、リトの声を聞きながら、唯の視界が暗転していく 「…んっ…!」 ドン、と硬くて少しやわらかい感触が背中に当たり 唯は思わず瞑ってしまった目をゆっくりと開いていく 薄く目を開けると、まず飛び込んできたのが、床に投げだされたゴミ袋。そして―――― 「へーきか? 古手川…」 「え…?」 唯は目をパチパチさせた 自分の腰に回った意外なほど力強い腕と、背中に当たる温かくて少し固い感触 「えっ…」 夕日が射す教室の真ん中 リトに後ろから抱き締められながら、唯の顔が夕日色に染まっていく (こ…これってもしかして…) 時が止まったかの様に硬直する唯に、リトは怪訝な顔を浮かべると、肩越しに声をかける 「古手川? ホントにだいじょーぶなのかよ? ……古手川? おいって!」 リトの息が唯の髪を微かに揺らし、耳元に吹きつける 「!!?」 思わずおかしな声がでそうになるのを、唯は喉の奥に無理やり呑み込んだ そして、再び目をギュッと瞑る (こ…こ…こんなっ…こんなのって…) 顔の温度が沸騰寸前まで上がり、肩が小さく震え始めた頃、唯は奥歯を噛み締めた そして、腕に少しずつ力を込めていく 「……いつまで…」 「え?」 「いつまで抱きついてんのよ!? ハレンチなッ!」 「うわっ!?」 唯はリトの腕を振りほどくと、そのままリトを突き飛ばした 「な、何だよ?」 「何だよじゃないわよ!? 散々、人の胸さわっておいてよく言えるわね? 結城くん…!」 「ムネ…? え、ぁ…そーいや…」 そう言いながら何気なく触れた腕には、ムニュっとした柔らかい感触と、唯のぬくもりがまだ残ったまま リトの顔がみるみる赤くなっていく 「ち、違っ…! あ、あれはワザとじゃねーって!! そんなつもりで…」 「……ッ」 身振り手振りあわあわと大慌てで言い訳を始めるリトを、唯はジト目で睨みつける しばらく情けない言い訳を聞いている内、唯は小さな溜め息を吐いた そして胸のあたりで腕を組むと、ツンと明後日の方に顔を向ける 「―――…も、もういいわよ」 「へっ?」 「もういいって言ってるのよ! その…さっきは一応……助けてくれたみたいだしね。だからその……あ…ありがと…!」 「古手川…?」 「……っ」 相変わらず顔はぷいっと逸らしたままだし。口調だって珍しく歯切れが悪い それでも、風で揺れる長い髪の間から見える少し赤くなっている横顔に、リトはふっと堅くなっていた表情を崩した 「オレの方こそ悪かったよ。気づかなくってさ」 「……」 「…ゴミ捨て、やっぱオレがやるよ! 古手川は残ってノート書いてくれ」 「―――ええ。わかったわ」 ポソっと呟くと、唯は早歩きでリトの横を通り過ぎていく その時、ふいに二人の目が合う 「ん?」 「…ぅッッ!?」 さっきよりも強烈な勢いでツンと顔を逸らすと、唯はそそくさと机に向かった 「何だ?」 机に座るなり、黙々とノートに向かうその後ろ姿にリトは首を捻る しばらくボケっとしているリトに唯の鋭い声があがる 「早く行きなさいよ! 何してるのっ!? 下校時間、過ぎちゃうじゃない!」 「わっ! ゴメンッ!」 慌てて教室を飛び出す物音を背中越しに聞きながら唯は、小さく溜め息を吐いた 窓から吹き込む風がパラパラとノートを捲っていく 唯は真っ赤に染まる窓の外を眺めながらぽつりと呟いた 「―――…バカ」 それは誰に向けての言葉なのか? すっかり静かになった教室に、唯の溜め息がまたこぼれた 「―――それじゃ、戸締りは大丈夫よね?」 「ああ、バッチリだぜ」 唯は教室に鍵をかけると、日直ノートを手に歩きだす 隣にはリト 放課後の夕暮れの廊下を、夕日の赤と、伸びた影の黒のコントラストが、いつもの風景を少し不気味に見せる 「うっ…」 小さく呻いた唯の体が自然とリトに寄ってしまう 何気なく隣を見ると、少し頼り気ない横顔が唯を出迎える 『オレ…オレ、好きだ! 古手川のことが』 あの日、雨上がりの帰り道でリトはそう告白した まだまだあどけない少年の顔を、少しだけ男の子の顔に変えて 言葉に詰まりながら、だけど一生懸命に、カッコわるく、想いを伝えてくれた その時の声も言葉も、仕草も表情も、みんなみんな覚えている 雨上がりの匂いと一緒に そんなほんの少し前のことを思い出しながら、唯はまた少しだけリトに体を寄せた 今度は怖いからではなくて、自分の女の子心に少しだけ耳を傾けてみた 会話はなく。廊下には二人の足音と影だけが生まれる 歩くたびにゆらゆらと揺れる影は、まるで手を繋いでいるかの様で そんな影達に唯の胸が小さく音を立てた 「あのさ、古手川」 「えっ」 急に話しをふられた事に唯は、叫びそうになる自分をなんとか押しとどめる 少し間を置く様にして、一拍後、上ずった唯の声が応える 「…な、何よ?」 「ああ。あのさ、今日ウチに…」 「お~~い!」 リトの言葉を遮る様に、廊下に明るい声が響き渡る 二人は互いの顔を見合わせると、声のした方向に視線を向けた 廊下の真ん中、階段の踊り場 そこにはいつものよく知った顔が元気に手を振りながら、こちらへと駆け寄って来るところだった 「リト~。唯~」 「ララさん!?」 ララは二人の前に急停止すると、息一つ乱していない顔で、ニッコリと天使のような笑顔を浮かべた 「よかった! やっと見つけた!」 「よかったってお前、帰ったんじゃなかったのかよ?」 「うん。実はまだおつかいの途中なんだ。美柑がね、リトがまだ帰ってないってゆーからひょっとして…とか思ったんだよ」 よくよく見ると。ララは制服ではなく普段着だし、手には買い物袋を提げている 「だからってあなたね、今何時だと思ってるの? 用もないのに学校に入るのは禁止されてるのよ! だいたい制服も着ずにいったい何考えてるの?」 早速、指をビシッと突き付けながらお説教を始める唯に、ララは舌をチロっと見せながら笑った 「エヘヘ、ごめんね唯」 「まったく! いい? 今後同じ様なマネをした場合…」 「あ~…えっと、古手川」 「何よ?」 話を無理やり中断させられたことに、唯の鋭い視線はララではなくリトに向けられる 突き刺すような視線に顔を青くさせながら、リトはなんとか話の矛先を変えようと、必死に言葉を探した 「そ、その…ほら、このままだとオレたちまで下校時間破っちまいそーだしさ。そろそろ帰ったほうがいいんじゃ…」 「むっ」 「え…」 なぜかいつもよりキツイ感じのする唯の視線に、リトは内心、冷や汗でぐっしょりとなり、ララはその横で一人キョトンとなる 「お…オレ、何か気にさわるような事言った?」 「……」 「古手川?」 その目に何か言いたげな気持ちをたっぷりと込めたまま、唯はぷいっとそっぽを向いた そして腰に手を当て軽く溜め息を吐く 「…別に何でもないわよ! ま、ララさんのことは、今回は大目に見てあげるわ! なんだかうまく乗せられたような気がするけどね…!」 「ははっ…」 やっと唯のジト目から解放されたリトは、思わず安堵の顔を浮かべてしまう そんなリトの横顔に、また、唯の何か言いたげな視線が突き刺さる いつもよりジト分が多いジト目に、唯のほっぺも少し膨らんでいる もごもごと口の中で何やら話す唯の傍らを通り抜け、ララが二人の間に飛び込んでくる 「じゃあ、じゃあ、唯、今からウチにおいでよ!」 「え?」 「今日は、美柑がすっごくおいしいゴハンを作ってくれるみたいなんだ♪ リトの大好物みたいだよ」 「へー!」 大好物の部分にリトの顔が輝く ララは唯の腕に抱きつくと、ニッコリ笑いながら顔を寄せる 「ね、ね、唯もおいでよ、ね!」 「ど、どうして私まで行かなきゃいけないのよ!」 「どうしてって……む~…リトも何とか言ってよ!」 「オレッ!?」 自分の顔を指さしながら、リトは唯とララ、二人の顔を見比べる またオレかよ…、と苦い顔になるリトに、唯とララはそろって顔を近づけた 「リト! お願い!」 「結城くん、わかってるわよね? 女子を家に誘うとかそんな不純な事、許されるはずがないんだからねっ?」 「いや…その…」 二人の圧力に中々、思うような言葉が出てこない リトは思いつくままに声を上げた 「え…えと…こ、古手川。ウチに来いよ! その、美柑のヤツもきっと喜ぶと思うしさ」 「リト!」 「ちょっ…もぅ! 何考えてるのよ結城くん!」 「ははは…」 ララの腕を振り解きながら厳しい目付きで詰め寄ってくる唯に、リトの頬に冷や汗が流れる 「はははじゃないわよ! いったい何を考えてるのってきいてるのよッ!?」 「うっ…」 ムッと睨んでくる唯の迫力に、リトの顔から血の気が引いていく (や…ヤバッ! 古手川のヤツ、本気で怒ってる!?) 「結城くん!」 「ほ、ほら、せっかくララも誘ってるしさ! 古手川が来てくれたら、ララのヤツ喜ぶし。も、もちろん、古手川が何も用事がなかったらだけど…」 「何よそれは…」 「や、やっぱダメ…?」 「…ふん」 唯はリトからツンと顔を背けると、ぼそっと消え入るような声で呟いた 「…ララさんばっかりじゃない」 「え?」 窓から吹き込んだ風が唯の声もリトの声も消し去ってしまう 風で揺れる髪を押さえながら窓の外を睨みつける事、数秒 唯は胸のあたりで腕を組むと、チラチラとリトの横顔に視線を送る 「古手…川?」 「仕方ないわね…」 「え…」 「…もう、何度も言わせないでよね」 唯の頬に夕日とは違う、別の赤が射す 「い、行ってあげてもいいかなって思ったの…。その…結城くんの家に…」 リトは目を瞬かせながら、頭の中で唯の言葉を反芻させる 「…………え? …マジで?」 言いながら、やっと唯の言った事が理解できたのか、ほころび始めるリトの顔から唯は、ツンと顔を遠ざける 「へ…変なカンちがいしないでよね! 言っとくけど、家にいくっていっても、あなたのためじゃなくて、ララさんの誘いなんだからっ! だからその…」 夕日よりも赤くなった顔でぼそぼそと話す唯の背後から、明るい声と共に、ララが抱き付く 「唯~!」 「えっ…何…!?」 ガバっと後ろから唯に抱き付いたララは、本当にうれしそうで、その誰よりも明るい笑顔を唯のほっぺにすりすりさせる 「ちょ、ちょっと!?」 「唯、ありがと! やっぱり唯は優しいんだね!」 「や…やさっ…な、何言ってるのよ!? 私はねっ…」 背後から抱き付くララに文句の嵐を言い続ける唯 そんな二人の光景にリトは、ホッと溜め息を吐くと、小さく笑みを浮かべる 「ま、とりあえず一安心かな」 安堵とうれしさが混じった溜め息をもう一回 家で一人待つ美柑と、美柑の作る夕飯を思い浮かべ そして、今日はそこに、とっておきのうれしさが加わる事に、リトの笑顔は、今度こそうれしさでいっぱいになった ガチャっと開いた玄関の音に、キッチンの奥からウサギのスリッパがパタパタと駆け寄る 「おかえりーって…あれ? 古手川さん!?」 すっかり遅くなったリトたちを玄関で出迎えたエプロン姿の美柑は、その大きな目をさらに大きくさせて素直に驚きを表わした 「…どうも。おじゃまします」 丁寧に挨拶を済ます唯に美柑も慌てて挨拶を返す (古手川さんが…へ~めずらしい。リトのヤツ、やるじゃん!) と、心の中で兄へ称賛を贈りつつ、美柑はさっそく意味深な視線をリトに送る 「ん?」 一人楽しそうな美柑の顔にリトは眉を寄せる 「何だよ?」 「さぁ~?」 「は?」 ワケがわからず怪訝な顔をするリトを放って、美柑はエプロンをくるっと翻しながら、フライ返しを掲げた 「じゃーララさん。頼んでたのお願い。こっちはもうちょっとで出来るから」 「うん。わかった」 買い物袋を手に美柑とキッチンに戻っていくララの後ろから、唯は慌てて声を上げる 「待って! 私も何かお手伝いを…」 「いいから。いいから。古手川さんはゆっくりしててよ」 「でも…」 美柑はクスっと笑いながら、唯の声をシャットダウンした そして、ララと何やら打ち合わせを始めたのだった 着替えを終えてリビングに戻って来たリトをソファーに座りながら、淹れたての紅茶をふ~ふ~と口にしていた唯が出迎える 「あれ? ララは?」 「妹さんのお手伝いをしてるみたいよ」 「ふ~ん」 と、気のない返事を返しながらリトは唯の隣に腰を下ろした トン――――と、座った拍子にリトの手が唯の手に重なる 「え」 「あっ」 唯は逃げる様にリトから手を引っ込めた 「ご、ゴメン!」 「い、いいわよ! 気にしないで…」 唯は触れられた手を反対の手で握りしめた リトの指先が触れたところだけが、やけに熱くなっている 「……ッ」 手を引っ込めた二人の間には微妙な距離と、そして何とも言えない雰囲気が生まれてしまう (こ、こーゆー時って何話せばいいんだ?) テレビのチャンネルを意味もなく変えながらリトは頭をフル回転させた 頭の引き出しから話題を見つけてきては、アレでもない、コレでもない、と繰り返す そうこうしている内、ついにチャンネルを変えるボタンが尽きてしまう チラッと横を意識すると、唯も同じ様にさっきからそわそわしっぱなしの状態 「―――…ッ」 カップをテーブルに戻して手持無沙汰になってしまった両手をもじもじ 口はキュッと結んだまま。膝の上に落とした視線は、まったく落ち着かない (結城くんの家で二人きりとか……なんの冗談よ…!) 慣れないシチュエーションに顔が熱くなってしかたがない 唯もリトと同じ様にすぐそばにいる想い人へと意識を高める けれど、すれ違いを繰り返すばかり 互いを想う気持ちだけがどこまでも伸びたまま、絡むことも触れることもできない (なんか…) (何話せばいいのよ…) リビングに流れるむずがゆい雰囲気 二人の間にぽっかりと空いた隙間のように、中々、なおらない 「……」 「……」 会話のないリビングに、時計の針の音だけが鳴っている 結城家のリビングにあってとても珍しい静寂 もじもじと合わさる手の平に、ゴクリと唾を呑み込む音すら気を遣ってしまいそうになる (何か話さねーと…何か…) リトが頭を高速回転させて話題を探していると、ふいにすぐそばでソファーがギシっと音を立てた 「…あの、ね」 「え…」 反射的に隣を見ると、いつの間にか唯がこちらを見ていた 少しだけ頬を染めながら、リトと目が合うと、唯はふっと目を逸らす 「古手川? な、何?」 「…え、ええ。今日、帰る前、廊下で何か言おうとしてたでしょ? あれって何言おうとしてのかなって…」 「廊下?」 「そ、そうよ。あなた言ったじゃない。『今日ウチに』って。あれって何言おうとしたのか気になるというか…。って別に深い意味はないのよ! 普通に純粋に…べ、別に結城くんの言った言葉だからって特別ってわけなくて…。ああ、もう! 私、さっきから何言ってるのよ!?」 支離滅裂な言葉を繰り返す唯にキョトンとなるも、少しすると、リトは躊躇いがちにぼそっと口を開いた 「あれはその……なんつーか…今日…ウチに来ないか? って言おうとしたんだ…」 「え…」 リビングに流れている時間が止まる その中にあって、唯のほっぺだけがどんどん赤くなっていく 「家に…結城くん…の?」 「ああ。夕飯でも一緒にどーかなーって思ってさ。美柑の作る料理うまいから。ってララに先に言われちまったんだけどな。はは」 「…なっ…」 顔を赤くしながらバツが悪そうに話すリトに、唯の肩がわなわなと震えだす 「な…何よそれ…」 「古手川? どーしたんだ? 何かオレ…」 唯は俯いていた顔を上げると、リトをキッと睨みつけた 「何で結城くんが言ってくれなかったのよッ!?」 「え…?」 「どうしてあなたが誘ってくれなかったわけッ!」 「ちょっ、待っ」 「結城くんが…結城くんがちゃんと誘ってくれたら私は…」 「こ、古手川?」 「そうよ! 結城くんが言ってくれたら私、喜んで家に行ってあげ―――ッ!?」 唯は両手を握りしめたままハッとなった (わ…私、今、何言って…!?) 勢いのまま話したせいか、リトとの距離はとっても近くなっている お互いの顔がいっぱいに映るほどに 「……えっと…」 「…ぁっ…」 目をパチパチさせるリトに遅れること、数秒後 唯は大慌てでリトから離れた (こ…これじゃあまるで私が誘って欲しかったって言ってるみたいじゃない…! ハレンチなッ!) 頭を掻きながらジッとこっちを見てくるリトの視線が横顔にグサグサと突き刺さる 唯は沸騰する頭で必死に言葉を探した 「だ、だからね…だから…」 膝の上においた両手をギュッと握りしめて、そして―――― 「こ、今度からはちゃんと結城くんが言いなさいよね! 私だってこう見えて忙しんだから! せっかく誘ってもらったのに予定とかあると来れないじゃない!」 ツンとそっぽを向きながら少し早口で話す唯の横顔をリトは、ポカンとしたま見つめ続ける 「うぅ…ってもう! 何とか言いなさいよ! 何とかっ!」 「え!? …あ、ああ。そーだな。えっと…今度からは気をつけるよ。今日はごめんな」 「わ、わかってくれればいいのよ…わかってくれれば…!」 相変わらずツンと顔を逸らしたままの唯の横顔にリトは、小さな笑みを浮かべる そんなリトの反応に唯は、一瞬苦い顔になるも、気持ちが少し楽になった分、少しすると、リトと同じ様に口元に小さな小さな笑みを浮かべた ギスギスしていたリビングに、ほんの少しだけ、やわらかい雰囲気が戻ってきた頃 まるでタイミングを計ったかの様に、二人を呼びにきた美柑が、リビングのドアを開けた 「おお~! うまそー!!」 「すごい…」 キッチンに入ってきた二人をテーブルの上に並んだ美柑の手料理が盛大に出迎える 「スゲーじゃん! 今日はどーしたんだよ?」 「今日は久しぶりにアンタの好きなモノでも作ってあげよーかなってね」 おたまを持ちながら美柑が得意げな顔で応える 「へ~、サンキュ美柑!」 「それにしても、古手川さんが来るなんて知らなかったから慌てたよ! もっと早く教えてくれたら古手川さんの好きなモノに変えれたのにさ」 「私は大丈夫だから。お構いなく…」 さりげなくリトにフォローを入れながら、唯はテーブルに並んだメニューに目を向けた (それにしても、結城くんの好きなモノって…) テーブルの上には、食べやすい大きさのカラアゲに熱々のハンバーグ、そしてシーザーサラダ等々 (そっか…! 結城くんってカラアゲとハンバーグが好きなんだ!) と、胸の中のメモ帳にこっそりメモっていると、すでに椅子に座って待ち切れない様子のララが泣きそうな声を上げた 「もー! みんな早く早く! ゴハンが冷めちゃうよ!」 「うん。そだね。冷めちゃわないうちに古手川さんも座って」 「え、ええ…」 と、少し戸惑い気味に唯はリトの隣に座った そして、四人のにぎやかな夕食が始まる 「おいし…!」 「でしょ? 作ってる人の腕がいいからね」 ハンバーグの味に顔をほころばせる唯に美柑は得意げに頷いた 「美柑、しじみのスープおかわり!」 「あ、オレも頼むよ」 「ちょっと待ってね」 テキパキと刻み終えたネギを熱々の湯気がのぼるお椀の中に入れる結城家の小さな料理人を唯は、ジッと目で追い続ける (すごい…。私よりずっと小さいのにあんな…) お箸を口に咥えながらそんな事を考えていると、美柑と目が合う 「ん? もしかして古手川さんもお味噌汁のおかわり?」 「え…!? あっ、そ、そうじゃなくて…」 「じゃあサラダとか? まだまだいっぱいあるからどんどん食べてね!」 「え…ええ。ありがと。でも私、もうお腹いっぱいだから…」 ええっ!? と驚きの声を上げるララに唯は言い難そうに小さく呟く 「悪かったわね…。小食なのよ」 「む~…」 「そーいや、古手川の弁当箱っていつも小さいもんな」 「ええ…って結城くん」 短い相づちを返す唯の目が少しだけ険しくなる 「え…」 ご飯を口に入れながらリトはキョトンとした顔を唯に向けた 唯は自分の口に指を当てながら、少し目を細める 「口元」 「口?」 「お弁当がついてるわよ」 「えっ」 慌てて口元に手をやるも、どこだかうまく探せないでいるリトに唯は、「まったく…」と溜め息を吐くと、リトの口元にすっと手を伸ばした 「ちょっ…待っ…!?」 「ジッとしなさいっ!」 「ううっ…」 顔を赤くさせて固まるリトの口元からご飯粒を取ると、唯はそのご飯粒をパクっと口にした 「もぅ、もっとしっかりしなさいよね! 妹さんの前なんだから」 「古手川さんのゆーとおりだよ。ちょっとダサすぎるって、リト」 「うっせー!」 などと辛辣な言葉を浴びせる美柑の目はしっかりと笑っていた ニヤニヤと意味深な笑みを浮かべる美柑にリトは居心地が悪くなったのか、赤くなった顔を誤魔化すように、ご飯をかきこんだ 慌ててご飯を口の中にいれたせいで咳き込むリトに、唯は湯呑みをさっと差し出す そんな二人の光景に美柑は、さっきとは違う笑みを浮かべた (ふ~ん…) 妹の目に二人は、唯は、どう映ったのか。その審査結果を心の中で言う前に、キッチンに唯の高い声が上がる 「ちょっとララさん!? それ、私のサクランボじゃない!」 「え? 唯、ずっと残してたからもういらないと思っちゃった」 「思っちゃったって…もう、何勝手に食べるのよっ!? あぁ…最後まで取っておいたのに…」 「じゃー私のあげるよ。交換、交換♪」 「あなたね…」 「美柑ー。ご飯おかわり」 いつも以上に喧騒に包まれた、けれど、楽しい食卓に美柑は、もう一度笑みを浮かべた それから少しだけ時間は経ち―――― さっきまでの賑やかさがウソのように静まり返ったキッチン その中で美柑は一人、夕飯の後片付けに追われていた 「さて…じゃーさっさと片付けちゃおっかな」 と、シンクの中で山積みになったお皿の前で腕まくり 水道の蛇口レバーを押してお湯を出すのと同時に、キッチンのドアがガチャっと開いた 「美柑…ちゃん?」 「ん? 古手川さん、どーしたの?」 少し遠慮気味に入って来た唯に、美柑は可愛い笑顔を見せる 「もしかしてリトのヤツが何か欲しいとか言ってきたの?」 「ん…、そうじゃなくて…」 「え?」 唯は美柑の前まで来ると、少し顔を赤くしながらもごもごと口を開いた 「その…今日はごちそうさま。すごくおいしかったわ!」 「ホント!? そー言ってもらえるとガンバったかいあったよ」 「でも…ほとんど食べられなくてごめんなさい…。せっかく作ってくれたのに…」 結局、半分以上、食べられなかった唯は、リトとララにかなり助けてもらい そのことに、内心、胸を痛めていた 「―――そんな事別に気にしなくてもいいって! 私のほうこそ、ちゃんと言ってなかったしさ」 お皿についた泡を落としながら美柑は、ごめんなさい、と小さく笑った リトと少し似たその笑顔に、胸の中がくすぐられた様な感覚を唯は覚える 「それより古手川さん」 「何?」 「古手川さんじゃなくて“唯さん”って呼んでもいい?」 「え?」 美柑はお湯を止めると、タオルで手を拭きながら、唯に意味深な眼差しを向ける 「うん。もしかしたら私の”おねえさん”になるかもしれないしね」 「…ッ!?」 その言葉の意味もだが、小学生にあるまじき美柑の目つきに、唯の胸が大きな音を奏でる 「な、な、何言ってるのよっ! 私は別にっ…」 「アイツのことよろしくね! 唯さん」 「だ、だから…」 一人慌てる唯に美柑はニッコリと笑った そして、真っ白なタオルでお皿やコップを一つ一つキレイに拭いていく 「リトってさ、普段はボーっとしてるし、頼りないし、女のコのキモチとか全然わからない鈍いヤツだけど…。けど、やる時はやるヤツなんだよね」 「美柑ちゃん…?」 「た、たぶんね! たぶん。ははっ…」 美柑はぷぃっと唯から視線を逸らすと、顔を赤くしながら、ギュッと絞った雑巾でシンク周りの水汚れを拭いていく 「だ…だからさ、唯さんにリトのヤツをグイグイ引っぱっていってほしいんだよね! いろいろ迷惑かけると思うけど」 「そっ…そんな…」 “―――…迷惑とかあるわけないわ!” 心の中でそう言い返すも、唯はソレを口にはできなかった 今までリトに助けてもらったり、守ってもらったのは、一度や二度ではない その度にときめいた心 やさしさに触れるたびにキュンと音を立てる胸 名前を聞くたびに、話すたびに、顔がどうしようもなく熱くなって、抑えきれなくなって キモチが溢れて、止まらなくて、どうしようもなくて 唯はぷいっと美柑から視線を逸らした (…なんか…もぅ…何のよコレはっ…!?) 自分の気持ちなのに思うようにならない “その気持ち”に気づいていながら、ちゃんと正面から見ることができない リトのことを話す美柑の顔すらも 「―――アイツ奥手だからさ、中々、言いたい事とか、したい事とか言えないと思うんだ! 一緒にいるとよくわかると思うけどね」 「……ッ」 美柑の言葉は、まるで自分に対する事の様な気がした 唯は顔を俯かせると、下唇を軽く噛み締める ピカピカになったシンクに「うん」と満足そうに頷く美柑 ふと隣を見ると俯いたままの唯の姿に、雑巾を濯ぐ手を止める 「…あれ?」 「……」 「唯さん?」 「えっ!?」 「どーしたの?」 「な、何でもないわよ! 何でも…!」 両手を目の前で振りながら慌てて話す唯に、美柑は可愛い眉を少しひそませる (ん~…うすうす感じてたけど、もしかして……唯さんもリトと同じタイプとか…?) 顎に指を当てながら考えること少し 何かを思いついたように美柑は、再び唯に向き直る 「ねェ、唯さん。今日、これからどーするの?」 「どう…って…それは…」 唯はキョロキョロと視線を彷徨わせる その目が、リトがいるであろうリビングにチラチラと向けられている事に美柑は、ニンマリと笑みを浮かべた 「よかったら今日、ウチに泊まっていかない?」 「え…?」 思いがけない美柑の言葉に唯の思考は一瞬止まってしまう その隙を美柑は逃さない 「うん。それがいいよ! アイツも喜ぶと思うしね!」 「ちょ…ちょっと待っ…」 「ん~…じゃあ、先にお風呂入っちゃう? もうお湯もたまってると思うし」 「だからっ…」 なんとか声を挟もうとした時、ふいに後ろから現れたララが唯に抱き付いた 「唯!」 「キャ―――って…ララさんッ!?」 「唯、今日、ウチにお泊りするの?」 「違う! 誰もそんなこと…」 「じゃあ、私とおフロはいろ? いいよね? 唯」 「だから、あなた達、私の話を…」 「決まり! 洗いっことかしようね、唯」 「あのね…」 と、ララの腕の中でそんなやり取りをしながら、唯はララに引きずられる様にしてお風呂場へと向かっていく (…ちょっと、ムリヤリすぎたかな…) 心の中で唯に「ゴメンなさい」と謝ると、残りの片づけを終えに、美柑はエプロンを翻した 「ハァ…」 湯船に浸かりながら溜め息をこぼす唯の目の前では、ララが鏡を前に頭をゴシゴシと洗っている 「♪♪」 何が楽しいのか。さっきから弾ける笑顔全開のララに、唯はまた溜め息をこぼす (何でこうなるのよ…) 今日はリトの家にお邪魔するだけのつもりだった それが、豪勢な夕飯をご馳走になり、なぜだか泊まることにもなり (ってまだ泊まると決めたわけじゃ…) 心の中でどうにも不甲斐ない自分に怒ると、唯はチャプンと肩まで湯船に浸かった お風呂の広さも、備え付けてあるシャンプーやボディソープも、どこまでも普通なモノだ けれど―――― (ココで毎日、結城くん、おフロに入ってるのね) そう想うと、お湯の熱さとは違う火照りが頬を赤く染める 唯はさらに身体を深く、湯船の中に沈めた (私ったらちょっと舞上がりすぎてるわ! ハレンチなッ!) 天井から落ちてきた水滴がチャプンと唯の近くで跳ねる (…でも、結城くんの家に来れたってことは、ちょっとは進んだってことでいいのよ……ね?) 中々、進まない二人の関係 変わった事と言えば、よく話すようになったこと 一緒にいるようになったこと (前より少しだけ…ね) だけどそれ以上、進まない。進めない その事にほんの少しだけでも不満や不安がないと言えばウソになる 唯だって女の子。“いろんな”事に期待を寄せたり、してみたいと思ったりもする (だからって…) 顎のあたりまで湯船に浸かりながら唯は、自分の中でぐるぐると廻り続けるモノに小さく呻いた いろんなところに行ってみたい おいしいケーキとかも食べたい カワイイ小物を見て回ったり お気に入りの服なんかを見てもらったり 手なんか繋いだりして… 一緒に写真とか撮って… それから…それから…―――― 唯の妄想は止まらない。茹でタコのように顔を真っ赤にさせながら、目の辺りまで身体を沈めた (きょ…今日だって本当は……本当は…ちょっと…ほんのちょっとだけど期待なんかもして…) ブクブクとお湯の中で妄想を繰り広げていると、ふいに風呂場に明るい声が弾ける 「唯ッ」 「ひゃっ!?」 と、素っ頓狂な声を出しながら唯は湯船から顔を上げた 「どーしたの?」 「ど、どうしたのってあなたこそ急に何よッ!?」 不自然なほどに赤くなっている唯に不思議そうな顔をするも、すぐにララはいつもの明るい顔に戻る 「うん。あのね。唯にききたい事があるんだ」 「ききたい事…? …何よ?」 いつも突拍子もない事を言ったりするララだけに、唯もつい身構えてしまう ララは頭についているシャンプーの泡をシャワーで洗い流すと、鏡の中を見つめた 「リトとどーなのかなァ…って」 「え…」 ララの声は珍しくいつもより小さかった けれど、風呂場の反響のせいで、唯にはいつもと変わりないように聞こえてしまう ララはスポンジにボディソープをつけながら、いつもと同じ声に“意識して”戻す 「えっとね、好きな人とお出かけすることを“でーと”って言うんでしょ? リトね、唯のこと好きなクセに、ちっとも“でーと”とかしないから」 「…そっ…それは…」 「ん~…何でかなーって思ったの。だって、好きな人と一緒にいると、それだけでココがドキドキしたり、ウキウキするもんね! 一緒にいたいと思うもんね!」 ララは自分の胸に手を当てながら、照れくさそうに笑った そして、鏡の中の自分から、唯に目を向ける 「唯もそうだよね?」 「!? わ、私はそんなっ…」 「ん?」 ララの視線から唯は逃げる様に顔を背けた 横顔に突き刺さるララの不思議そうな視線がやけに痛く感じる 「やっぱり好きな人といると、それだけでうれしくなっちゃうと思うの! だからね、唯ももっとリトと“でーと”とか…」 「ば、バカ言わないのッ!!」 「え…?」 自分の声をかき消してしまうほどの大声に、ララは腕をゴシゴシ洗う手を止め、思わず唯の顔をキョトンと見つめてしまう 「唯?」 「な、何おかしな事言ってんのよッ!? 二人っきりでどこかに行くなんて何考えてるのよ! ハンレチなッ!! だ、だいたい、高校生は本来、勉強が基本でしょ? それを放ってまで…そんな不純異性交遊、私は認めないわッ!!」 「ふじゅん…いせーこーゆー? 何ソレ?」 「うっ…ぅ」 ララの的外れな質問に勢いを殺されたのか。唯はララから目を逸らすと、呟くようにぼそぼそと続きを話す 「と…とにかく…私は…」 「ねェ、唯」 「うう…」 相変わらずララの生み出す独特の“間”に慣れない唯 そんな唯にララは浴槽の淵に両手を乗せると、身を乗り出すようにして顔を近づける 「…何よ?」 「洗いっこしようよ!」 「え?」 「洗いっこだよ! ね、しよ?」 「え…え? ちょっ…ちょっと!?」 などと言っている内に、湯船から無理やり出された唯は、鏡の前に座らされてしまう 「あのねっ…」 「じゃあ、最初は私が唯を洗う番ね?」 「……もう、好きにしなさいよ…」 半ば諦め状態の唯に顔をほころばせながら、ララはスポンジにボディソープをつけていく 「まずは腕からだよ」 「はいはい」 溜め息を吐きつつも唯は素直にすっと腕を伸ばした (まったく! どうしてこうなるわけ?) 鏡の中のムスッとした自分の顔を見ていると、あることに気づく (それにしても…本当にスタイルいいわよね…ララさんって) 自分の身体とララの身体を見比べている内、ふとリトの事が頭に浮かぶ もしかして結城くんもあんなムネが大きい方がいいのかしら… やっぱり男のコだし…いろいろ… 鏡に映るララの大きな胸に難しい顔を浮かべる唯 そんな鏡の中の自分とふと目が合い、ハッとなる (ってどうして結城くんがっ!? ハレンチなッ!!) 頭をブンブンふってリトを追い出すと、唯はほぅっと小さく溜め息を吐いた そして鏡の中のララに何気なく視線を送る 鼻歌を歌いながら腕をゴシゴシと磨いてくれるララ 鏡越しとはいえ、やっぱりララの美しさは際立つモノがある それは宇宙人だとか、王女様だとか、生まれつきだとか、そんなモノじゃ言い表せないモノだと唯は、思った ララはいつでも楽しそうで、明るくて、素直で、元気いっぱいで みんなに好かれる、クラスどころか学校中の人気もの 唯は鏡越しにララを見つめながら、また溜め息を吐く 「ん、どーしたの? 唯。さっきからヘンだよ?」 「…別に何でもないわよ」 「じゃー今度は背中だからね」 ララは意気揚々と唯の背中をゴシゴシと洗っていく ララさんにあって自分にはないモノ… 結城くん…私は―――… 小さな溜め息が口からこぼれた時、ふいに唯の両肩がビクンと跳ねる 「わぁ!? 唯のおっぱいってやわらかいんだね~♪」 「な…ななっ…」 おかしな声が出そうになるのをグッと我慢しながら、唯は後ろを振り返る その間も泡だらけのララの両手が唯の胸をムニュムニュと弄っていく 「ちょっ…とっ…ララさん!?」 「お~♪ すごいプニュプニュしてる」 「いい加減に…ッ…やめっ…んっ…」 泡のぬるぬる感と、ララの妙に卑猥な手つきに、唯は唇を噛み締めたまま肩を震わせ耐える けれど、その我慢もすぐに限界になってしまう 「…くっ…ぁ…」 「あれ? なんか先っぽのほうが堅くなってる?」 「ッッ!?」 「ん~…何で?」 「あ、あのね…」 小首を傾げるララに、不思議と喉の奥まで込み上げてきていた怒りがほんの少し和らぐ 唯はララの手を振り払うと胸を押さえながら、そっぽを向いた 「あっ」 「もうやめなさい! 何考えてるのよ! ハレンチなッ!」 口調をキツクさせる唯に、ほっぺに泡をつけたままララは「ゴメンね」と小さく笑った 「まったく…!」 「えへへ」 本気で怒りたくても、ララの生み出す独特の雰囲気と明るい笑顔に、肩透かしをくらってしまう いつもこうだ。ララのそのマイペースぶりにいつも振り回されてしまう けれど、いつも許してしまう。最後は溜め息を吐きながらもクスっと笑ってしまう そんなララにしか出せない魅力が、眩しくて、うらやましくて (―――…なんだかんだで私…ララさんと一緒にいるのよね…) リトと同じぐらい一緒に過ごした、ララとの時間 イライラしたり、溜め息が出たり、時には衝突する時もあるけれど いつの間にか、ソレが自分の中でずっと大きくなっている事に唯は初めて気づく 鼻についた泡にくすぐったそうにしている目の前のララに、自然と口に小さな笑みが浮かぶ 「ありがと…」 「え? 何が?」 「…さっきいろいろ言ってくれたでしょ」 「さっき…? ん~…」 ララは鼻の頭についた泡を指で取りながら、唯の言った言葉の意味を考える そして、ぱっと顔を輝かせる 「そんなの当然だよ!」 「え?」 「だって私、リトが大好きだもん」 「……」 「でね、唯も大好きなんだ!」 唯はララが言おうとしている意味がわからず、整った眉を寄せた 「美柑も大好き!! 大好きな人がいっぱいで困っちゃうよ」 「何よそれは…」 エヘヘ、と子供のような無邪気な笑顔を浮かべるララに、唯の堅くなっていた顔も思わずほころぶ リトとは違う、ララの笑顔 いつも誰かを笑顔に巻き込むララのとっておきの“魔法” その“魔法”を持たない唯にとって、やっぱりララは眩しくて、羨ましくて、そして―――― 「……あなたってやっぱりよくわからないわ」 「ん?」 「…何でもない」 ぷいっと赤くなった顔を背けてしまう大事な友達に、ララはさっきの数倍も輝く笑顔を向けた 「唯ッ!」 「え? 何…ッッ!?」 「唯、大好き!」 「わ、わか…わかったからっ! だから、もう! くっ付かないで―――ッ!!」 と、お風呂場で唯とララが騒いでいる頃―――― 「遅くなってごめんなセリーヌ」 「ギーギー」 リトがジョーロに入った水をかけてやると、シュン…、となっていたセリーヌが一変 蔦をシュルシュルと伸ばしてリトのほっぺをくすぐる 「やめろって…くすぐったいだろ」 「ギー!」 セリーヌのうれしさの表れなのか。子どもの様に蔦で頬ずりをするセリーヌに、リトの顔もほころぶ 「…にしても…」 なんとなく顔を向けた方向は、外まで聞こえる騒がしいお風呂場の窓 「ホント―――」 「―――何やってんだろ? 二人とも…」 リビングのソファーに座りながら美柑は可愛い眉を寄せた テレビから流れてくる音に混じって、唯の悲鳴にも似た声や、ララの楽しそうな声がお風呂場の外まで聞こえてくる アイスを舐める手を止めると、美柑はひょいっとソファーから身を乗り出し、ドアの向こうを覗き見た 脱衣所の方からは、相変わらず唯のガミガミ声と、ララの笑い声が聞こえる 次第にその声は近づき、ガチャっとドアを開けてリビングの中にまで入ってきた 「―――まったく! どうして普通におフロに入れないなのよ、あなたはッ! 本当にあきれるわ!」 「でもでもすっごく楽しかったよ?」 「あなたね…」 腕を組みながらジロっと睨みつける唯に、ララはニコニコ顔で応える 唯は溜め息を吐くと、ソファーに座ってアイスを口に咥えている美柑に、表情を改めニコッと笑みを浮かべた 「おフロありがとう」 「いえ。お湯加減とかどーでした?」 「ええ。とっても気持ち良かったわ」 お風呂に入る前と後で、どこか表情が柔らかくなっている唯に、美柑は少し眉を寄せた (何か…あった?) と、疑問を挟む前に、いつの間にかキッチンから戻ったララが明るい声を弾けさせる 手には冷たく冷えたハーゲンダッツのアイスクリーム 「唯、アイスだよ。どっち食べる?」 「え、いいの? 貰っても」 「いいっていいって! いっぱいあるからどんどん食べていってよ」 スティックアイスを口の中でシャリシャリ言わせながら、美柑はララからクリスピーサンドを貰う 「じゃ…じゃあ一つ貰うわね」 美柑に遠慮しながら、唯はララの手からミニカップのビターキャラメル味を選んだ スプーンで掬って一口パクっと口の中に入れると、苦さと甘さが口の中で広がる 「おいし…」 「ね!」 ソファーの上の美柑と唯は顔を合わせて、笑い合う (唯さんって笑うとこんな可愛いんだ…) 初めて見る唯の笑顔に美柑がそんな感想を抱いていると、クッキー&クリームをすでに食べ終わったララが、おかわりのホワイトピーチの蓋を幸せそうな顔をしながら開けた 「ねェ、唯」 「何?」 「唯って今日、どこで寝るの?」 「え…」 唯はスプーンを口に入れたまま、ララの顔を見つめたまま、固まってしまう 「ど、どこってそんな事言われても…」 「リトの部屋でいいんじゃない?」 「ゆ、結城くんの!? ちょ、ちょっと待って! そんな結城くんと一緒だなんてっ」 「リトならココか、空いてる部屋で寝ると思うから、心配しなくてもいいよ」 最後の一欠片を口に入れながら、美柑はシレっとそう言った そして、スティックをキレイに舐め終えると、イタズラ心満載の視線を唯に向ける 「それともリトと一緒に寝たい? いいよ別に。私からもそー言って…」 「い、いらないわよ! そんな事しなくても結構よッ!! まったく…」 顔を真っ赤にしながら早口で捲し立てる唯に、美柑は心の中で小さく笑った (ホント、唯さんってわかりやすいよね) カスタードプティングのクリスピーサンドの袋を破くと、ひんやりとした冷気が甘い匂いと一緒になって美柑の鼻をくすぐる 「あ! そーいえばリトにおフロって言ってなかった!」 リトの話題が出たこともあるのだが 今更ながらリトの存在を思い出した美柑は声を上げた 「悪いんだけど唯さん、リトのヤツ、呼びにいってあげて。たぶん、部屋にいると思うから」 「ええ。わかったわ」 甘いモノは別腹といった具合に、キレイにアイスを食べ終わった唯は、美柑に言われたまま、そのまま二階へと上がっていった
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Last up date 2009-11-20 12 21 52 (Fri) ペットとライディング やさしい友達、大切なパートナー ライム・オデッセイの世界で生きるあなたは小さな卵を手に入れるかもしれません。 ある時はモンスターから、ある時は街のNPCから得られる卵は、あなたが愛情を持って暖めてあげると孵化し、 すくすく育ってあなたの小さくて可愛い友達になってくれるはずです。 そして完全に育つと、あなたを乗せてあなたの足となり、一緒にオルタ大陸を走るパートナーになってくれます。 名前
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ロロロ 最大HP 最大MP 攻撃力 防御力 精神力 敏捷性 500 60 40 40 10 10 ラララ 最大HP 最大MP 攻撃力 防御力 精神力 敏捷性 450 60 30 30 10 30 合計経験値 合計資金 アイテム 300 600 カッター(100%) 技のスターロッドを所有しコンビで襲い掛かってくる。 HPが減るまでは通常攻撃しかしてこないがHPが20%(残り80以下)を切るとロロロはダメージの高いファイターを、ラララはHP吸収効果のある吸い込みを使い始める。 同じようにダメージを与えるよりは各個撃破の方が効率がいいので攻撃は片方に集中しよう。
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「ねェリト、エッチしよ」 その言葉にリトは危うく飲んでいたジュースを噴き出しそうになってしまう 「お、おま…ちょっと待てなに言ってんだよ!?」 顔を真っ赤にしながらもリトは慌てて自分にくっ付こうといているララを引き離す 「え~だって、好きな人同士みんなエッチしてるってリサ達が言ってたよ?」 「そ…そりゃそうかもしれないけど……」 なおも体を密着させてくるララから距離を取りながら リトは心の中でリサ達に悪態をつく (あいつらララにいったいなに教えたんだよ!) 「ねェ~リト~」 再び距離をつめてくるララを手で制止ながらリトは声を大きくする 「ちょ、ちょっと待ておまえ!エッチとかそんなこと人前でいうなっ! だ…だいたいオレとおまえはそんな仲じゃ…」 「ん?だって私リトが好きだもん!だからリトなら 私の初めてをあげてもいいかなって□□□□」 「は…初めてって……□□□□」 言葉を最後まで理解することなくリトの頭の中は沸騰してしまう そんなクラクラとする頭をなんとか元に戻すとリトは改めてララに向き直る 「あのなララ、そんなこと簡単に言うんじゃねえよ!だって一生モノのことなんだぞ? わかってんのかおまえ?」 「うんわかってる…わかってるつもりだよ!私だっていつまでも子供じゃないもん!」 リトはララを怪訝な顔で見つめる 確かにデビルーク王が来てからララは以前と違って少しずつではあるが変化を見せていた あの時屋上で見せたララの誓いともとれる本気の思いがウソなんかじゃないってことは リトにもわかっていた わかっているのだが、ララは相変わらず裸で人のベッドに潜り込むし、風呂上がりに バスタオル一枚で平気で抱きついてくるしで その辺の行動はあまり以前とかわりなく、むしろより積極性を増している節すらあった だからリトは今回のララにも一定の距離を守っていた ララの気持ちが心の内がわからないでいたから それにリト自身にも大事な思いがあった。中学の時から思いを寄せていた相手 (春菜ちゃん…) 「ねェリト、どうするの?私はしたいなリトと」 正直こんなカワイイ子に詰め寄られて、好きだのエッチしようだの言われて断ってしまう 自分はどうかしてるんじゃないかと思いはしたが それでもリトは理性を保っていた 「どうするもこうするもそんなコトできるわけないだろっ!いいからおまえはさっさと 制服から着替えろよ!」 ララに背中を向けたリトは着替えの邪魔にならないようにと部屋から出ようとする 「私……本気なんだよ!リトのことが好きで大好きで……だから…」 それはいつもの明るい声とは違う、落ち着いていてそして熱のこもった声 「だ、だからって……オレはおまえのこと別に…それにオレ達付き合ってるわけでも なんでもないのにそんなコトできるわけないだろ?おまえ言ったじゃんエッチは好きな人 同士がって!それに…それにオレには好きな人が他に……」 リトは背中を向けたままでララに告げる 「……うん知ってるよ!リトが私以外の誰かを好きだってこと」 「え……?」 リトはララに顔を向ける。ララは笑っていた、けれどその目には今にもこぼれ落ちそうな ほどの涙が溢れていた 「知ってる…知ってるよみんな!だけど…だけど私、私はそれでもリトが好きだから! ずっとずっと大好きだから!リトがその人とくっついても私はずっとリトが好き」 ララの目からすーっと涙がこぼれる。そこにはララ自身の思いが詰まってるかの様で 後から後から溢れてきては止まらない 「だってリトが好きだもん!大好きだもん!離れたくない…… ずっとずっとそばにいたい!そばにいさせてお願い…リト……」 「ララ…おまえ……」 「ご、ごめんねリト!こ、こんな泣くつもりなんかなかったんだよだけど…だ…けど……」 らしくなくオロオロとしているララのそばまで寄るとリトはそっとララの頭を自分の胸に当てる 「リ…ト…?」 「……いいから!大丈夫になるまでオレがそばにいてやるから」 「…う…ん」 その言葉にララはリトの胸を掴むと顔をうずめて声に出して泣いた それはリトが初めて見るララの姿だった ララの涙が胸に染みを作っていく。それはゆっくりと少しずつ広がっていった まるでリト自身の心に染み込んでいくかの様に リトは泣きじゃくるララの髪をそっと撫でる いつも体を密着させる時に感じるシャンプーの匂いとは違う、ララ自身の匂い やさしくてあったかくて、そしてリトが好きな匂い いつも誰よりもそばにいてくれたララ 楽しい時も、辛い時もいつもそばにあったララのやさしい匂い いつのまにか当たり前だと思っていたそれにリトはようやく気づく (そっか…オレの隣にいつもいてくれたのはララなんだ。だからオレこの匂いが……) ずっと髪を撫でているリトにララは上目遣いで見つめる 涙で赤くなっている目を人差し指で軽く拭いてやると、リトはそのままキスをした 思いがけないリトの行動にララは慌てて口を離す 「リ、リト!?」 びっくりしているのか目をぱちぱちさせているララにリトは笑いかける 「なんだよオレのキス嫌か?」 ララは全力で首を振って否定する ――――やっぱりリトは誰よりもやさしい ララはそう思った。怒ったりもするけれど最後はいつもやさしく笑ってくれる そんなリトの笑顔が好きだったから、大好きだから ――――甘えてもいいのかな?リトのやさしさに…… 思いが体を突き動かす。胸に熱い思いが込み上げてくる 「リト…私……」 涙で濡れた瞳で見つめながらララはリトの首に腕を回す 「私リトが好き!大好きだから……」 ――――だから今だけこの瞬間だけは私だけのリトに ララは思いの全てを込めるとリトの唇に自分のを重ねる それは数秒にも満たない一瞬の触れ合いだったが、今の二人にはそれだけで十分だった お互いのやわらかくて甘い唇の感触に触れたくて、もっと感じたくて 二人はどちらからともなく再び唇に吸い付く 今度は長く、さっきとは違って舌を絡めながら 稚拙な動きで舌を動かすララにリトは一生懸命リードしていく 中々外に出てこないララの舌に自分のを絡めて唾液を送り込む 慣れない感触に戸惑いながらもそれでもララはリトの唾液を一滴残らず喉の奥に入れた 初めてのキスは不器用でいて、それでいて愛情たっぷりのモノだった 「……ぷはぁ…はァ、はあリトの口すごくおいしい…」 口元から唾液の糸を引かせながらララは屈託なく笑う そんなララの頬を撫でるとリトはベッドへとララを誘う ベッドに寝かされたララはこれから始まるコトに複雑な思いを抱いていた 好きな人に抱かれる喜びと、初めての経験が生む不安 ララからいつもの明るさが消え、体はそれに少し震えだす そしてそれはリトも同じだった ララのおかげで以前と比べて多少の免疫が付いたとはいえ、まだまだ女の子が苦手なリト しかもこれから初めてのエッチをしようというのだ いろいろと不安が大きくなる なにをしてどうするのか、頭の中に思い描く妄想と現実がうまく噛み合わない けれどララの前で、ましてララの泣き顔を見た後ではそんなことも言ってられない リトは唾を飲み込むとララの制服に手をかける いつも見慣れている制服が今日はやけに新鮮に映った ボタンを一つ一つ外す度に心臓は高鳴り、指が震える 「リト?」 心配げなララにリトは無理やりつくった笑みを返すと、ブレザーを脱がしていく ブラウス一枚になったララの胸は呼吸にあわせ小さく上下に動き、ブラウスの下にある ブラジャーが薄く透けて見えた (こ、この下にララの……) 逸る自分を落ちかせるように深呼吸すると、リトはブラウスのボタンを外していく ララの少し火照った白い肢体に顔が熱くなる ボタンを全て外す頃にはリトは顔といわず体中真っ赤になっていた それでも目はララの体から離れることはない。リトは自分が別の意味で 興奮していることに気づいた ララはそんなリトに気づいているのかいないのか、リトにされるがままになっていた ハダカも下着姿も何度もリトに見せてきたはずなのに、見られても恥ずかしくも なんともないのに今は不思議と顔が赤くなっていた トクン、トクンと服を脱がされていく度に体が熱くなる リトの熱を帯びた視線に恥ずかしさと照れで体を小さくよじる (カワイイ) そんなララをリトは素直にカワイイと感じた 普段見せることのないララの恥じらいがリトの興奮を煽る 「これ取ってもいいよな?」 ブラを指差すリトにララはこくんと首を縦に振る ホックが外れるとララの胸が現れる。白いやわらかそうな肉感が ララの動きに合わせぷるぷると振るえ、ピンク色の先端がそれに小さく動く リトはそれに吸い付くように手を這わせると、感情に任せて手を動かす 「…ッあ、ん」 ピクンと反応するララの顔を見ながら、リトは胸を揉みしだいていく 今までの抱きつかれたりララの暴走によるハプニングで 触れてきた感触とはあきらに違った やわらかいララの胸にどんどん虜になっていく 「あ、ッんん…リトおっぱいばかりじゃいやだよ…」 ララはリトが胸を愛撫している最中太ももを擦り合わせていた 「ここもリトにして欲しいの」