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前ページ次ページゼロの使い魔クロス トリステイン魔法学院 ヴェストリの広場 シンが決闘の場所に指定されたそこに到着したときには、ギーシュを取り囲むかのように学生達の壁が出来ていた。 集まった理由はたったの一つ「馬鹿な平民が貴族に決闘をうった」と言う情報を聞いて、暇つぶしにということである。 「逃げずに良く来たね、その事だけは褒めてあげよう!! だが、逃げた方がよかったとすぐに思う事になるよ」 シンの姿を認めたギーシュは、芝居がかった態度を取りながらその手に持った薔薇の形をした杖をシンへと向ける。 「これで最後だ、シエスタに謝れ、そうすれば俺も謝ってやる」 しかし、シンはそんな事は意に介さぬ様子でギーシュに向かってもう一度そう通達する。 「…フフフ、どうやら、本気で一度死んで見なければわからない様だね、ミス・タバサには申し訳ないが、躾けが出来ていなかったと言う事で チャラにして貰おうか!!」 シンの言葉に余計に激怒したギーシュはその杖を振るい、青銅でできた戦乙女のゴーレム―ワルキューレ―を召喚する。 「僕は青銅のギーシュという二つ名を持つメイジだ、だからこのワルキューレで君の相手をさせてもらう、否とは言わないだろうね?」 「別にいいさ、俺だって武器を使うからな」 そんなギーシュの言葉に呼応するかのようにシンもナイフを抜刀して戦闘態勢にはいる。 「鉄のナイフか… 確かに鉄は青銅よりは上だ、だが、平民風情が持てる鉄で僕のワルキューレに勝てると思うな!!」 シンのナイフを見て一瞬目を細めたギーシュだったが、そう叫びながら素手のワルキューレを動かしシンに攻撃を仕掛ける。 ガキィィーーーン!! 「クッ…!!」 シンはその一撃をナイフを盾にするようにして防ぎ、その勢いを利用してワルキューレとの距離をとる。 「耐えたか、少しは出来るようだね」 そう言うとギーシュはまたワルキューレを動かし、ギーシュの指示通りにワルキューレはその拳を振るいシンへと襲い掛かる。 しかし、シンも伊達にエースの証である赤服を着ていたわけではない、ワルキューレの攻撃をギリギリのラインで見切り、回避する。 そしてワルキューレもそんなシンに次々と追撃を仕掛け、反撃の隙を与えないようにと襲い掛かり続ける。 だが、シンは慌てず冷静にワルキューレの攻撃の間合いを読み、その一撃の速度を肌で覚え始め、段々と回避行動にも余裕が出来始めていた。 「えぇい、早くしとめるんだ、ワルキューレ!!」 その事をギーシュも理解したのか、段々とワルキューレを操る動きに焦りの色が見え始め、其れを反映するかのように攻撃だ段々と大振りになってくる。 「貰った!!」 当然、実戦慣れしているシンがその大振りの攻撃によって生じる決定的な隙を見逃すはずは無く。 正面からナイフを深くワルキューレの足の関節に突き入れるとそのまま半円を描くように背後へと抜け、行き掛けの駄賃と言わんばかりにその足に蹴りをいれて離れる。 「フッ、残念だったね、その程度のキックで倒れるほど僕のワルキューレはもろく…」 ズッドォォォン!! 勝ち誇ったようなギーシュの言葉は、皮肉にもワルキューレが地面へと倒れ、自重によって崩壊する音で遮られた。 そう、ナイフによって間接を大きく切り開かれ、そこを蹴られる事で大きく体重を傾けさせられ、其れを支えきれず崩壊したワルキューレの音で。 もしも、ギーシュの言うとおりにシンのナイフが唯の鉄製なら如何に青銅とはいえワルキューレを切り裂くことは出来なかっただろう。 だが、シンの持つサバイバルナイフは唯の鉄ではない、プラントが誇るレアメタルによって作られた特注品のサバイバルナイフだったのだ。 これはシンが特別に持っている訳ではない、アカデミー卒業時に赤服だった学生達に与えられたエースの証という意味での逸品である。 赤服はプラントの誇りをあらわす鎧、レアメタルのナイフはプラントを守り、敵をなぎ払う剣をイメージして渡されるという事である。 そして、そのレアメタルで作られたナイフは並みの硬度と切れ味ではない、MSサイズの刀を用意すれば戦艦さえも切り裂ける程の逸品である。 だからこそ、本来切り裂く事に特化していない筈のナイフですら、鋼鉄ならまだしも、青銅や鉄位ならば十分に切り裂く事が出来るのであった。 そして、ワルキューレがナイフ一本で倒されたという現実を受け入れきれないのか、ギーシュも、周りの貴族たちも呆然と立ち尽くしていたのだが。 「まだ、やるのか?」 シンのそんな言葉により我を取り戻すと、ギーシュは憎悪の、他の貴族たちは畏怖の目でシンへと視線を戻す。 「…フウッ、確かに、ワルキューレが倒された事は認めよう、いささか遊びすぎたようだね、ここからは本気でいかせて貰おうか」 ギーシュはそういうと杖を六度振るい、其れに反応するかのようにワルキューレが六体、新しくシンの目の前に召喚される。 そして、そのワルキューレたちは先ほどのように素手ではなく、接近戦を警戒しているのか全員が槍の様な武器を持っていた。 「僕は最高七体のワルキューレを召喚できる、先ほど君に一体倒されたから残り六体が限界、そして素手では君に無礼だろうから武器も持たせ た…」 ギーシュはそこまで言うと薔薇の杖を顔の真ん前まで持ち上げ、一度その匂い嗅ぐ素振りを見せると、シンへと向かって突き出すように振るう。 「……本気なんだな?」 そのワルキューレ達が持っている武器を見て、シンは冷めた瞳でギーシュをにらみつける。 「勿論さ、使い魔君、勝負再会といこうか!!」 だが、ギーシュはその瞳が表す言葉の意味に気付けないまま、シンに対してそう返した。 そして、その言葉とともにワルキューレ達は各々が持つ槍でシンへと攻撃を開始し、シンも流石に多勢に無勢という様子で必死に回避行動を開始し始めた。 「ふふふ、流石にこの数相手では勝ち目は無いようだね、今なら、土下座して謝れば許してあげても良いよ?」 そう言いながらもギーシュはワルキューレを操り、段々とシンの逃げ場をつぶすようにして包囲し始めていく。 だが、ギーシュは気付くべきであった、ほぼ包囲し終わったというのに、シンが不敵な笑みを浮かべていたという事実に。 それに気付けないままギーシュはシンを包囲し、それでも降伏しようとしないシンに向かって一斉に攻撃を仕掛けたその時だった。 シンは姿勢を低くするとほぼ同時に自分の正面に居るワルキューレの足元へと逃げ込んだのだ。 最初のワルキューレを切り裂いたナイフの切れ味を恐れたギーシュは、必死にシンを倒そうとワルキューレ達を動かす。 足元にもぐりこまれたワルキューレがシンを蹴りだそうと、そして残るワルキューレが槍でシンを攻撃しようとするのだが。 其れこそがシンの狙いだった、即座にシンは自分を蹴りだそうとするワルキューレの背後に回り、槍の攻撃の盾にする。 そして槍もワルキューレも同じ青銅である、その結果攻撃の盾にされたワルキューレと、それに攻撃した青銅の槍全てが破壊される。 その結果ワルキューレの残りは五体、そして槍は破壊されたワルキューレが持っていた一本だけになってしまったのであった。 「ば、馬鹿な… 僕のワルキューレが、同士討ちをするなんて……」 ギーシュは自分のワルキューレが命令をしたわけでもないのに同士討ちしたという事実を認識しきれずに愕然としていた。 何故同士討ちしたのかという説明するならば、其れはたった一言で終わる、ワルキューレがセミオート操縦だったからという事だ。 セミオートは目標を指示してどんな行動をするという命令は出来るが、その後の行動自体はワルキューレ自体の判断で行われる。 そしてセミオートの最大の欠点は、急に出現した障害物等に柔軟に対応しきれないという事と急停止がほぼ不可能であるという事。 その結果「シン」を「槍で攻撃する」という命令を受けたワルキューレは、突然現れた「盾にされた」ワルキューレに反応しきれず攻撃してしまった、という事である。 「之で終わりか? なら、シエスタに謝れ」 淡々とした、だが鋭い視線でギーシュを睨み付けながらのシンの台詞に、ギーシュは完全に恐怖を覚えた。 謝ってしまおうと、元々悪いのは二股をしていた自分だったのだからと恐怖に怯えるギーシュの理性が再び訴えかける。 だが、其れを受け入れる事は出来なかった、ギーシュには、その訴えが正しいものだと理解しながらも、受け入れる事は許されなかった。 「馬鹿に、馬鹿にするな…!! 平民風情が、使い魔風情がこの貴族である僕を馬鹿にするな!!」 そう、彼の歪んだ―ハルケギニアではある意味当然の―貴族としてのプライドが、平民に謝る事など許さなかったのだ。 だが、冷静さを欠いた指揮で倒せるほどシンは易しい相手ではない、じわじわと削り取られるように一体、また一体とワルキューレが撃破されていく。 しかし、シンとて生身の人間である、いくらコーディネイターとはいえ戦闘のための特別な調整を受けていたわけではない。 勢いよく動き回れば息切れもするし疲労もたまる、そしていくら強く握り締めていても掌に汗もかけば衝撃で麻痺だってする。 幾らワルキューレを斬れるとはいえしょせんはナイフ、一度に切り裂ける限界などたかが知れているため何度も何度もきりつける必要がでる。 まして、ギーシュとて馬鹿ではない、最初のワルキューレの撃破された原因をよく理解し足の関節部分をしっかりと守っている。 その結果、一体のワルキューレを倒す為の時間が長くなり、それに比例するようにシンの疲労はどんどんと溜まっていく。 その疲労が極地に達したその時、六体目のワルキューレの間接を切り落とし、戦闘不能にしたのとほぼ同時に足を縺れさせ、その手に握り締めていたナイフを落としてしまう。 シンは急ぎ体勢を立て直してナイフを拾おうとするが、既に限界に近い肉体は言う事を素直には聞いてくれない、そしてその油断を見逃してくれるはずもなく… ドスゥン!! ベキッ、ゴキリィッッッ……!! 「ウッ…クアァアアアアアアアアッッ!!」 「ふぅ… まったく、手間を取らせてくれるね、本当に」 ナイフを掴もうとした左手をワルキューレに強く踏み込まれ、シンの左手の骨は激しい悲鳴をあげる、恐らくは骨が折れ砕けたのだろう。 だが、ギーシュはそんなことは意に介さぬ様子で、憎悪の炎を宿した瞳でシンをにらみつけている。 「平民風情が、この誇り高きトリステイン王家の元帥を父に持つこのギーシュ=ド=グラモンをここまで梃子摺らせるとはね、いっそ賞賛に値す るよ」 ギーシュはそういいながらもワルキューレの足をシンの左手から動かす様子はなく、寧ろその手に持たせた槍をシンの頭に向けようとしている。 だが、シンにはそんなことはどうでもよかった、それ以上に聞き逃せない言葉があったのだ…… 「お前、今、なんて言った… お前の父親が、何だって……?」 「やれやれ、平民は学がないとは思っていたがつい先ほどの言葉まで忘れているのかい?僕の父親は王家に仕える元帥だ、それがどうかしたか い?」 その言葉を聴き、その意味を正確に理解したその時、シンの脳裏で、今までの様な赤い種子ではなく、闇の様な真っ黒な種子が弾けた。 そしてギーシュはシンが「恐怖」を感じていると思い、勝ち誇った顔をしながらそう呟く、だからこそ気づいていなかった、気づく事ができなかった。 急激にシンの瞳から光が失われ、まるで漆黒の虚無の様な色に染まっていく様子を、そして、右手がすばやく動き、ハンドガンを手にしていたという事実を。 パンッッ!! 「う、うわぁああああああああああ!?ぼ、僕の左手が、じ、銃!?」 乾いた音が一度、シンの持つハンドガンから響き、発射された弾丸がギーシュの左手を正確に撃ち抜いた。 「軍人の息子が奪うのかよ、罪もない人達から、力ない人達から…… 全てを奪うのかよ!!!」 動揺しているギーシュを射殺さんばかりに睨み付けながらシンは右手一本でワルキューレを押し返し、その足元から自分の左手を抜き、ギーシュに向かって歩み始める。 「ヒイィッッ!? わ、ワルキューレ!!」 完全に動転したギーシュはワルキューレを操り恐怖を排除しようとし、そしてその主の意を汲んだワルキューレが槍をシンの脇腹に突き刺す。 しかし、脇腹を突き刺されたというのにシンは致命傷以外には興味がないとでもいいたげにその傷を一瞥し、鬱陶しげに槍を引き抜くと再び銃を構え。 自分がワルキューレに刺された所とまったく同じ場所を、ギーシュの脇腹に狙いを定めると引き金を引き、撃ち抜いた事を確認するとゆっくりと歩き始める。 「痛いか?痛いよな、でもな、シエスタにした事に比べたら、お前達が「平民」に与えてきた痛みと比べたらそれくらいなんて事ないだろ?」 まるで周囲全ての貴族に言い聞かせるかのようにシンはそう呟くと痛みで蹲っていたギーシュの頭を傷ついた左手で掴み、右手でハンドガンを突きつける。 「俺はさ、子供のころ戦争に、「強い力」に大切な人達を全部奪われて、それが悲しくて、それが悔しくて軍人になったんだ。 自分みたいな人間をもう作りたくなかったから、一人でも多くの、「罪も無い、力も無い」人達を守りたくて…… だから、だから俺はお前を、軍人の、力ない人を守るべき人間の息子なのに、逆に力ない人を虐げて、全てを奪おうとしているお前のことが許 せない!!」 シンがそう叫び、ハンドガンの引き金を引こうとしたその瞬間、周囲で見ていた貴族達が惨劇を覚悟したその瞬間、唯一動いていた少女がいた。 「空気の鎚よ、彼の者を強く打ち据えよ、エアハンマー!!」 少女のその呪文が響くとほぼ同時にシンは空気の鎚によって激しく殴りつけられ、勢いよく地面へと叩きつけられる。 「タバサ…… あんたも、こいつらとおなじ、かよ……」 シンはその魔法を詠唱した少女を、使い魔であるシンの主人のタバサに向かって憎悪を宿した瞳で睨みつけていたのだが。 「…あなたは、命の重みを知っているはず、だから止めた……それだけ」 シンから一切視線をそらさず、真摯な音色を含んだそのタバサの声を聞くと何故か嬉しそうな顔をし。 「そっか… 俺、また繰り返す所だったのか……… サンキュー、タバサ」 そう呟くと、そのまま倒れたシンの体に襲い掛かってくる疲労の誘いに乗るように、ゆっくりと意識を手放していった。 タバサはそんなシンの横まで歩いていくと、シンを起こさないように左手と脇腹の怪我を癒すために治癒魔法を唱え始める。 「ギーシュ!!」 多くの貴族がタバサとシンが織り成す空気に呑まれ、ただ魅入っていたのだが、金髪ロールの少女がただ一人ギーシュへと走りよった。 「あぁ、モンモランシー」 ギーシュにモンモランシーと呼ばれた少女は即座に自分の持つ秘薬を使いギーシュの傷を癒すと、タバサをキッと睨みつける。 「ミスタバサ!!その使い魔を早く処分して頂戴!!」 「……何故?」 「ギーシュにあれだけのことをした使い魔なんて危険すぎるわ!! 今回はまだよかったものの何時また貴族に牙を向くかわかったものじゃないわ!!」 「大丈夫、彼は獣じゃない」 怒髪天を突く勢いのモンモランシーとそれを流水のように受け流しているタバサ、そして当然そんなやりとりでモンモランシーが納得するはずはなく。 「いいえ、獣以下よ!! 貴族に暴言どころか殺そうとするなんて… いいわ、貴方が処分しないというなら私が処分するわよ!!」 そう宣言すると同時にシンにトドメをささんとその手の杖をシンへと向けたのだが…… 「やめるんだモンモランシー!! これは僕が挑んだ決闘で、僕は負けたんだ、これ以上僕の誇りを、そして彼の誇りを辱めないでくれないか?」 「ギーシュ……」 治療を受け終わったギーシュがそれを静止し、ゆっくりとタバサの方へと歩み寄っていく。 「ミスタバサ、彼のことでひとつだけ聞きたいことがあるんだが…」 「……私にわかることなら」 タバサはギーシュの言葉に反応こそしているが顔はシンに向けたままで、治癒魔法を発動し続けている状態で対応する。 モンモランシーがそんなタバサの態度に激昂しかけるがギーシュは手でそれを制して言葉をつむぎ始める。 「銃を使い、メイジを相手にする場合は治癒が間に合わない心臓か頭を狙うのが基本、そうでなければ魔法で回復されるだけで意味は無い… そして彼のあの腕なら一撃で僕の頭を撃ちぬくこともできたはずだ、だからこそ気になるんだ、なぜ彼は態々僕が攻撃した場所だけを狙って狙撃したのか」 ギーシュの言葉に少し考えるそぶりを見せたタバサだったが、「これは私の意見でしかない」と呟いた後にギーシュの顔を見ながらこう答えた。 「彼は、奪われる痛みを知っている、そして人が一方的に虐げられるのを極度に嫌っている、むしろ虐げる人物を憎んでいる。 だからその痛みを知らない貴方に教えようとした、そして貴方が軍人の息子と知り、憎しみを抑えきれなくなって貴方を殺そうとしていた。」 普段無口な少女にしては珍しいほどの長文の言葉に彼女の親友であるキュルケという少女が激しく驚いていたがそれは今回は特に関係は無く。 その言葉を聴き、シンに投げ掛けられた言葉を吟味していたギーシュだったが、ゆっくりとタバサに向かって言葉をつむぎ始める。 「ミスタバサ、彼が起きたら伝えていただきたい、ギーシュと言う名の男が君に強く謝罪したいと思っていると言うことを」 「わかった… でも、それは貴方がするべきことをしてから」 「あぁ、わかっているよ、シエスタと言うんだったかな? あの少女にしっかり謝罪しないといけないね……」 ギーシュはタバサの言葉に頷きながらそう答えると、ゆっくりと貴族達が集まっている方向へと歩き出した。 自らの敗北と、これから先、シンに使い魔だから、平民だからと言う理由で手を出すことは自分が許さないと言う宣言を行うために…… それから三日後、シンは完全復活し食堂へと戻り「我等が勇者」として料理長マルトー率いる食堂従業員一同に大歓迎を受けることとなる。 シンはそういう特別扱いを嫌って今までどおりでいいと言っていたのだが、逆にそこがいいとマルトーに気に入られてしまった。 そしてそんな光景を見て段々とシンに対する敵意を募らせている少年、サイトの姿があったのだが、それには誰も気づく事ができなかった。 そしてその事が後に大きな引き金となるのだが、そのことを知る人物は今はどこにもいなかった……… おまけのおはなし 実は、シンの傷は一日で完治しており、三日も病床に臥している必要性は無かったのだが…… シン「ん……ここ、は、俺は……」 シエスタ「シンさん!! おきたんですか?もう大丈夫なんですか!!」 意識が覚醒したのかゆっくりと目を開き、顔を上げようとするシンに凄い勢いで駆け寄っていくシエスタ。 しかしシンはシエスタの接近に気づくことは無く、手で目を押さえながら頭を上げていき…… ポ ヨ ン ♪ シン「………ん?」 ムニュウゥッ♪ 突然頭にぶつかった柔らかい感触を疑問に思いながら、一体何なのかとそれを思わず触ってしまったシン。 その脳裏にはシルフィードにヨウカンと呼ばれた少年の「このラッキースケベ」と言う言葉がエンドレスに響いていた。 そう、その言葉が意味するシンの頭にぶつかり、思わず手で触ってしまったものとは……!! シエスタ「そ、その、私、シンさんなら寧ろ望んで御相手しますけど、まだ日も高いですし、い、いえ、いやと言うわけではないんですけど…」 オーバーヒートして暴走寸前のシエスタのたわわに実った胸を鷲づかみのように触っているシンという光景がそこには広がっていた。 100人中99人が見れば絶対に誤解するこの光景を見たとある少女が、当然その例外である一人に入るはずは無く…… タバサ「………シン」 その冷たい氷のような声を聞いたシンはその少女、タバサの方を振り向くと、そこには杖を構えて呪文を詠唱し始めているタバサの姿が……!! タバサ「…病床だから、絶対安静」 そう呟くとタバサはスリープクラウドの魔法を唱え―流石に病人相手に攻撃魔法は控えたらしい― シンの意識を深い眠りへと誘ったのであった。 そして再び眠りだしたシンの姿を見て、シエスタがとても残念そうな顔をしていたのが実に印象的であった。 之だけならまだよかったのだが、実はタバサが唱えたスリープクラウドの威力が本人の想像以上に強かったらしく昏睡状態になってしまったのだ。 その結果、シンの世話を自分がすると狂信的な勢いで迫るシエスタに、それを解除魔法を探すための本を読みながらも即効却下するタバサ。 そして暇なのかシンを時々甘噛みしようとしたり、そのまま飛行しようとするシルフィードと言うとんでもない状態になっていたのだが。 空気が読めなかったギーシュが「自分がシンの世話をする、せめてもの侘びの一つだから」とシンの世話役を買って出てそれをタバサが承認したのだった。 その事でギーシュはシエスタに酷く恨まれたが、目覚めた後、その事実を聞いたシンには泣きながら感謝され、親友と言えるほどに仲良くなったと言う。 前ページ次ページゼロの使い魔クロス
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前ページ次ページ~週間! レディオ女難デスティニー!~ ◇c5XWR95t9U氏の作品 シン「と言うわけで、始まりました女難ラジオ、メインパーソナリティのシン・アスカです」 ことり「アシスタントパーソナリティの白河ことりっす、よろしくね~。」 シン「ところでことり、このラジオって具体的にどんなことをするんだ?」 ことり「えっと、このラジオでは普段酷い目にあっているシン君の救済として普段シン君と仲のいい男性キャラや 穏健派と呼ばれるヒロインの方々をゲストとしてお招きしてまったりと過ごすらしいですよ。」 シン「……この世界は楽園なのか……?あ、でもあの人たちなら壁とか普通に破ってきそうな……」 ことり「大丈夫、この空間は対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドの御参方の情報統制下によって隔離されているので 例えアバン先生がアバカム使っても絶対に開かないようになっているそうっす。」 シン「……楽園って本当にあったんだな……」 ことり「シン君よかったですね~、私もシン君と一緒にお仕事ができて嬉しいっすよ。」 シン「ことり……俺はいま、猛烈に感動している!」 ことり「フフフ、すこし大げさですよシン君。」 シン「そ、それもそうだな、ところで、記念すべき第一回ということなんだけど一体誰がゲストなんだ?」 ことり「それがですね、今回突発的な企画だったせいかプロデューサーがゲストを誰にするか考えてなくって、今日は紹介だけみたいっす。」 シン「……ずさんな仕事だな。」 ことり「そうですね~、プロデューサーには少し喝が必要ですね。」 シン「まぁ、他にすることもないし、とりあえず今日のラジオはここまでってことで。」 ことり「次回のラジオも皆さん楽しみにしてくださいね~、それでは~。」 っとこんな感じかね、女難がまったく持ってないけど、これがダメなら打ち切りだなうん ことりの台詞に違和感感じた人がいたらごめんなさい、D,Cやったのかなり前だから口調がうろ覚え…… でもこのスレでもことりを活躍させてみたかったんだ 総てはここから始まった・・・ ――Pi Pi Pi Po-n……―― 「女難なんて……俺が薙ぎ払ってやる!! 全て!!!!」 「シン・アスカの」 『女難、ラジオ~!!』 「皆さんこんばんわ! 一度くらい冒頭の台詞を実行したいけどどう考えても死亡フラグな メインパーソナリティ、シン・アスカです!!」 「アシスタントのレイ・ザ・バレルだ」 「……で、いきなり台本渡されてこんなとこに拉致られたんだけど……何なんだ? これ」 「気にするな、俺は気にしない」 「少しは気にしろよ! ったく……」 ――カンペ「いいから進めて」―― 「進めろったって……どうすりゃいいんだよ」 「台本を読み進めればいいんだろう」 「えーっと……この番組は俺ことシン・アスカが日ごろ遭遇してる女難を話のネタに 面白おかしくトークする番組です」 「視聴者……いや、この場合は読者か。読者からの『こんな話が聞きたい』といったリクエストや たまに来るゲストを交えていろいろするみたいだな」 「……って言うかレイ。お前なんでタメ口なんだ? 一応ラジオなんだろ? これ」 「気にするな、俺は気にしない」 「またそれかよ!!」 ――カンペ「CM入ります」―― ~この番組は、シン総合女難!?スレ住人有志一同の提供でお送りします~ 「さて改めましてこんばんわ、このスレの主役であり幸・不幸両方背負わされたメインパーソナリティ、シン・アスカです」 「シンの友人でありこの番組のアシスタントでもあるレイ・ザ・バレルだ」 「えーっと……正直に言うと、俺も今日いきなり教えられたから……何話せばいいか分からないんだよな」 「……一応初回だからそれらの指示はあるみたいだが」 「何々……?」 ――このスレでの待遇についてどう思っているか―― 「……また答え難い話題だな」 「俺は特に不満は無い」 「って早いな!? ……まぁいいや。で、何で不満が無いんだ?」 「寿命の問題もクリアされた。世界的な争いも無い。 気の置けない友人がいる。 それ以上望むことはない」 「レイ……」 ――カンペ「良い話だね」―― 「……もっとも、お前の周りは争いばかりだがな」 「う……」 ――カンペ「そこのところ詳しく!」―― 「という指示が来てるぞ、シン」 「……答えなきゃダメなのか?」 「そうしなければ番組が成り立たないだろう」 「ったく…………まぁ、何でか知らないけど……俺の周りでいつも女の人が騒動を起こします」 「主な原因はお前だがな」 「そんな事!! ……無い、はず……」 「ほう?」 「うっ……な、何だよ」 「3日前。倉庫でデスティニーの整備が終わったあと、倉庫から出る際にティアナ・ランスターと衝突。 その後お前はどうした?」 「そ、それは……ティアナが倒れそうだったから、咄嗟に手を伸ばして……」 「腕を掴んだが逆に引っ張られてお前も倒れて胸を鷲掴みしていた、と」 「じ、事故だろ!?」 「……2日前。食堂に行く途中の通路の曲がり角でフェイト・T・ハラオウンと衝突。 その後支えようとしたときに後ろから腰を抱いて引き寄せたまではいいが、体が密着」 「……それのどこが問題なんだよ」 「俺は別に気にならないが、他の女性陣がどう思うか……」 「……?」 「……ふぅ」 「な、何だよ!?」 「……いや、何でもない。そして昨日」 「あー! もういい分かりました! 俺が悪いんだろ!?」 「開き直るな。何故自分が原因なのか分かっているのか?」 「それは……誰だって胸触られたら怒るだろうし……」 「それなら本人だけで済むはずだ。しかし、実際は周りの女性陣ほぼ全員だ」 「……それは……」 「……まぁいい。そのことはお前自身が考えねばならないことだ」 「……何だよ、それ」 ――カンペ「ちょっと話がずれてきてるよ」―― 「……それで? お前は現状をどう思っている?」 「うーん……流石に、こう毎回毎回魔法とかで吹っ飛ばされるのは辛い……」 「だろうな」 「けど」 「どうした?」 「嫌いじゃ、ないんだよな。そりゃ、たまにはゆっくりしたいとか思うけど……。 皆のおかげで、俺は今こうしていられるんだし……」 「…………」 「……感謝、してるんだよな」 「……そうか」 ――カンペ「良い雰囲気になったところで、そろそろ終了の時間ですよ」―― 「っと、長々と話してたらもう終了時間らしいです」 「あっという間だったな」 「だな。えっと、今回は俺達二人のトークのみでしたが、リクエストなどがあればどんどん受け付けます」 「シンに聞きたいこと、シンと話させたいゲストなどもリクエストがあれば送ってくれ」 「……って、何で俺ばっかりなんだよ?」 「台本に書いてあるだろう」 「……うわ、ホントだ」 「……そろそろ終了コールだ」 「分かってる。それでは、この時間のお相手はシン・アスカと!」 「レイ・ザ・バレルでお送りさせてもらった」 『では、また次回!』 「それと、アシスタントは俺以外にも複数いる。まぁ、男性陣ばかりだが」 「そうじゃなきゃ俺が苦労すると思うんだけど……」 「気にするな、俺は気にしない」 「最後までそれを引っ張るのかよ!」 ~この番組は、シン総合女難!?スレ住人有志一同の提供でお送りしました~ 前ページ次ページ~週間! レディオ女難デスティニー!~
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前ページ次ページなのはクロスの作品集 シン 「デス子、はやてのリンカーコアが完全に浸食されるまであとどれ位だ?」 デス子「ざっと、30分。誤差十五分といったところでしょうか」 シン 「ようやく、ここまできたんだ。終わらせるぞ!」 デス子「よし、やりますよ、マスター!」 シン・デス子 「「 ユニゾン イン!! 」」 『消えない現実とたどり着けない理想』 デス子とユニゾンすることで、シンの体をデスティニーを基に構成されたバリアジャケットが包み込んでいく。 力を持つものの称号であるザフトの赤服を基調とし、両手にデスティニーの腕部分を籠手(こて)やグローブのように装着される。 折りたたまれた長距離ビーム砲とアロンダイトが背部に装着され、デスティニー象徴ともいえる赤い翼が光を放ちながら展開する。 最後に、両肩ではなく腕のパーツにフラッシュエッジが精製された。 魔力を持たないシンには、当然魔法は使えない。 それは、デス子とユニゾンした後でも大して変わっていない。 魔力を得ても、彼ができるのは魔力を圧縮し魔力弾や魔力刃を形成する基礎中の基礎ぐらいである。 理由はごく単純で、他人の魔力を流用しているため魔力変換効率が極めて低いのだ。 そのせいで、シンはどうしても魔法構成が複雑な補助魔法や多種多様な攻撃魔法が使用できなかった。 戦闘において単一の攻撃方法しか持たないのは圧倒的に不利。 ならば、攻撃方法を増やすことによって戦術の幅を広めようというのが、シンの行き着いた結論だった。 デス子『バリアジャケット展開確認 魔法兵装、カートリッジシステム共に問題なし。ユニゾン成功です』 シン 「先手必勝、行くぞ!」 シンは、両手と背中のアロンダイトに三基搭載されているカートリッジシステムの中で、 左手にある大口径カートリッジをロードすると、背中にマウントされた長距離ビーム砲を構えて、 闇の書の闇に向けて躊躇無く撃ち込んだ。 複合四層式バリアを張る前だったのか、そのまま魔力弾は闇の書の闇を直撃しその肉片を空間にばら撒いていく。 シン「やっぱり、この武装じゃ奴を貫くのは無理みたいだな」 かなりの魔力をこめただけに、その威力も絶大だったはずだが、 シンが次弾をチャージする頃にはすっかり再生されて傷跡すら残っていなかった。 デス子『では、計画通りにレリックで葬るとしましょう、マスター!』 シン「ああ、様子見なんてしてられない。一気に突っ込むぞ!」 それはまさに圧倒的だった。 弱者が強者をなぶるなどという甘いものではない。 砂場で遊ぶ子供が蟻を戯れで埋めてみる。 目の前のハエが邪魔だったから新聞を丸めて叩き潰す。 相手を殺すという認識さえ起こらないような無造作に命を刈り取る動作。 力の差が在る無いの問題ではない。 生物としてのランクそのものが全く異なるのだ。 奴に近付きレリックを爆破すれば全ては終わる。最初はそう考えていた。 だが・・・ デス子『威力:AA 発射速度:AA+ 誘導性能:D 弾速:S 完全回避はほぼ不可能。フルゴールを使用してください』 現実は甘くなかった。 シン「デアボリック・エミッション! また広域空間攻撃かよ!」 シンの目の前が闇の書の闇の作り出した暗黒の球体で埋め尽くされていく。 腕についたソリドゥス・フルゴール(盾の役割を果たすシールド型の防御デバイス)を急いで展開しようとするが、 背中に走った鋭い衝撃がそれを中断させた。 シン「・・・いぐぁっ!!」 デス子『後方からのプラズマランサーが三発命中。自動防壁の展開を確認。空間攻撃、来ます!』 無謀だと分かっていた。 作戦の成功率も僅かだった。 それでも、どこか楽観視していたかもしれない。 勝てるかもしれないと・・・。 シンとデスティニーならもしかしたらと・・・。 前と同じく奇跡が起こるかもしれないと・・・。 シン「この程度で・・・舐めるなぁっ!!!」 背部からの衝撃に体勢を崩しながらも、シンは迫り来る空間攻撃に対して必死にシールドを張る。 デアボリック・エミッションに呑まれながらも必死で持ちこたえようと粘るシン。 だが、受け流した一撃は次なる一撃への布石にすぎない。 なのはのAAA+の魔力でも闇の書は20ページ足らずしか埋まらなかった。 そう考えると防衛プログラムの想定魔力は幼少時のなのはのおよそ33倍。 前の戦いで半分は削られたとしても、未だに相手は、なのはの16倍もの膨大な魔力をもっているのだ。 デス子『バリアジャケットの構成魔力が残り81%に減少。敵はフォトンランサーのジェノサイドシフトの詠唱に入りました。 威力:AAA 発射速度:S 誘導性能:C 弾速:AA+ 合計弾数:12600発 回避は不可能です。 フルゴールを起動してください』 リンカーコアを一度蒐集されているなのはとフェイト。 元々闇の書の一部だったヴォルケンリッター。 そして、長い歴史の中で蒐集されてきた幾多の魔法が、シンに絶え間なく襲い掛かってくる。 シン「・・ぐぅう・・こっちはまだ・・・・デアボリック・エミッションを喰らってる最中なんだぞ!」 立て続けに迫る広域攻撃に焦りを募らせるシン。 このまま、攻撃を喰らい続ければいつかはシールドが破られ落とされてしまう。 だからといって、飛びながら撃つことしかできないシンには広域攻撃を防ぐ手立てはない。 デス子『フォトンランサージェノサイドシフト来ます! 続いて敵はスターライトブレイカーの詠唱にはいった模様。 威力:S+ 射程:B 発動速度:C 魔法ランク:S直撃すればガードの上からでも一撃で落とされます。 マスター、何とか回避を!』 シン 「ちくしょう、次から次へと。少しくらいは反撃させろ、灰色ザリガニ!」 シンの叫びもフォトンランサーの轟音の前に掻き消えた。 敵の戦闘力、攻撃方法の情報、自身との戦力差。 全ての予測が甘かった。 管制人格であるリインフォースですら、なのはとフェイトを二人まとめて圧倒するだけの能力を備えていたのだ。 まして、彼女たちが防衛プログラム(闇の書の闇)を倒せたのは、 本稼動していなかった防衛プログラムに対し、十名の精鋭の一斉攻撃とアルカンシェルがあったからに他ならない。 しかし、今のシンにはその全てが足りない。 シン「デス子、確率の計算はもういい! 敵の行動予測とバリアジャケットの被害だけ報告しろ!」 デス子『了解。敵はスターライトブレイカーexを5秒後に発射。 その後、本体は先程と同じように魔力補給のため40秒の休眠状態にはいると思われます』 シン「何とかこの隙に近づければ・・・・」 デス子『マスター、周りの触手が援護砲撃を開始します! 触手の数は65、威力:A 発射速度:S- 誘導性能:C 弾速:A+』 シン「どけえええええ!」 魔法で簡単になぎ払えるはずの闇の書の闇の周りに生えている触手。 それすら、尋常ならぬ高速再生能力によって増殖し続け、殲滅しきる手段がない。 シン「撃っても撃ってもきりがない! これじゃ近づきようがないじゃないぞ!」 デス子『このままではジリ貧です。マスター、一度後退を!』 シン 「ここまで来て、退けっていうのか!?」 デス子『しかし、この弾幕の中でどうやってレリックを奴の近くまで運ぶんですか!』 シン「駄目だ! ここで奴に背を見せれば狙い撃ちされる!」 完全にその力を取り戻しつつある防衛プログラム。 無尽蔵に近い魔力で空間攻撃魔法を連発し、隙を突き死角に回り込もうとしても、同じく無限に生えてくる触手が絶えず魔力弾を放ち続ける。 遠距離からの砲撃は交互に魔力と物理の複合四層式バリアには通用しない。 いや、例え撃ち抜けたとしてもコアを破壊しない限り防衛プログラムは無限に再生するのだから、全くの無意味である。 焦るシンを尻目に、絶望はさらに濃くなっていく。 デス子『あれはまさか・・・! マスター、ブラストカラミティの魔力反応です!!』 シン 「そんな、あれは合体魔法のはずだろ。一体どうやって!?」 ブラストカラミティとは、シンが述べている通りなのはとフェイトの中距離殲滅コンビネーションによる合体空間攻撃だ。 シンも過去に何度か喰らったことがある。 十年後にS+ランクとなったなのは達ですら、この魔法のチャージに相当な時間と手間を費やしていた。 それが目の前で意図も簡単に、出せるのが当然のように魔方陣が展開していく。 デス子『フェイト隊長を取り込んだときに、魔法の運用方法まで吸収していた? でも・・・そんなことが・・・・』 殺傷設定であれを喰らえば、どれだけガードを固めても骨まで瞬時に消滅する。 防衛プログラムの『力』の前に、勝機が全く見えないシン。 彼は今、フリーダムに対峙したとき以上の『死の恐怖』を感じていた。 デス子『この距離では回避が間に合いません。早くシールドを!!』 シン「こんなことで・・・こんなことで俺は!!」 空間内の全てがなのはのディバインバスターとフェイトのスマッシャーでを満たされていく。 一呼吸置いた後、闇の書の闇はその全てをシンに向けて発射した。 膨大な数の魔砲がシンのシールドに突き刺さり、直後に巨大な爆炎が彼を包み込む。 闇の書の闇「・・・・・・・?」 煙が晴れたときには、シンの姿は跡形もなく消えていた。 前ページ次ページなのはクロスの作品集
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前ページ次ページ涼宮ハルヒクロスの作品集 1 喜緑「スレの復活おめでとうございます。お陰様で、 私とアスカ君の時空を越えた愛をまたご紹介出来ま……」 朝倉「喜緑さん、 嘘はいけないと思うわ」 シン「それに何時から俺が、 喜緑さんと時空越えた愛の話になったんですか?」 yagami「せやで、 江美里ちゃん、 嘘はいかんよ?私とシンの愛しあう話を皆に見て貰うんやからな。」 蘭星「流石は自演女ですね。このスレは、 ティアナさんとシンのツンデレ話を見てもら……」 冥王「皆、 嘘はいけないと思うの。高町教導官とシンの愛の合同訓練を皆に見せるスレなんだから。」 シン「どれも違いますよ……。」 便乗「そうだよ、 そうだよ☆このスレは、 皆が言い争いをしている間にシンに便乗して、私とシンの仲良くなる話をするスレ なんだよ?」 空気「違うよ~! って、 また名前が空気になってる~!」 あゆ「それが仕様だから諦めるさ。それより私らの出番が無さ過ぎじゃボケが!そろそろあたしらメインの話を書くさ!」 まゆ「先輩の言う通りでございまする~!私も出番が欲し……」 空気姉「それは妹より出番が少ない私への挑戦ですか?でしたら何時でも受けますよ?」 スバル「確かに ギン姉の出番少ないもんね~。」 水銀燈「私なんて、 この作品での初登場は、 つり目のお馬鹿さんをミーディアムにする話なのよ?早くシンと 契約させなさ~い!」 朝倉「久しぶりだから皆、 一気に来たわね。」 デス子「そうですね。少し遅れて助かりました。(パクパク)」 ティニー「そうですよね、 デス姉様。おい朝倉、 スレが復活したから主の部屋と代われ!」 朝倉「うん、 それ無理。だって私が一応メインヒロインですもの。それに貴方と代わったら、 話が変わってしまうもの。」 シン「……俺の願いは、 ただ平穏な暮らしをする事だけだ~~! 朝倉「……それは多分無理よね。(苦笑)これからも色々な話が出て来るのでしょうけど皆、 良かったら見てあげてね。それじゃ 皆、 じゃあね」 2 [朝早くの一コマ] 今日はお休み。私は、 彼を誘って誰も居ない街や公園を歩いている。 彼は、「バイクがあるからそれに乗って行かないか?」と誘ってくれたけど、 私は「今日は、 歩いて散歩に行きたいの。」と彼に頼み一緒に 街や公園を歩いている。 そして…… 朝倉「……ねえシン君、 空が少しずつ明るくなって綺麗ね……。」 私は素直な気持ちを彼に伝えてみた。 シン「……ああ、 綺麗だな……。」 俺は、 そう言いながら涼子の隣を歩く。 すると涼子が突然隣から一歩二歩と前に進み、 丁度俺の前に後ろ姿が来る処で話を始めた。 朝倉「シン君、 私はね、 今日こうして二人で散歩にこれて良かったって思うの。……だって、 こんなに綺麗な空を、 誰も居ない道を、 私達二人だけで歩いているんですもの。こんなに贅沢な事、 他には無いと思うのね。」 私は心からそう思い、 それを彼に伝え、 それに対する彼の言葉を私は、 振り返る事無く待った。 シン「………(後ろ姿に見惚れている)今日の涼子、 まるで詩人みたいだな。何時も冷静な涼子しか知らないから、余計にそう感じる」 何時も一緒に居て何の気持ちも湧かなかったのに……何故かその後ろ姿に見惚れている自分に苦笑した。 俺の言葉が終わると、 涼子は、 後ろを振り返り笑顔で一言、 朝倉「たまには、 ね。」 とだけ言い、 涼子は空を見た。それにつられて俺も空を見る。 空は先程より、紫色になってそろそろ日の出の時間になりそうだ……。 そして、 それから私達は散歩を終えて、 部屋へ戻って来たの。 暫く良い雰囲気(インターフェイスの私がドキドキする程よ?)だったけど、ティニーちゃん達が部屋に来る事で、 また何時もの毎日が始まる…… ……でもね、 少しだけ、 ほんの少しだけ、 勿体無いと思ったの。これはエラーなのかしら? ……もう会う事が無いだろう、 もう一人の姉(ちなみに喜緑さんでは無いわ)は、 この気持ちを知る事で最終的にあの事件(消失参照) を起こしたのかしら? ……私には良く判らない。 ただ、 この答えが解る事を願う私が居る事だけが今判る事なのね。何時か私にも解る日が来る事を信じて今日はおしまい。 じゃあね。 朝倉「少し間が空いたから今回は簡単な話をやるわね。」 シン「なあ涼子、 簡単な話って何をやるんだ?」 朝倉「そうね……シン君に、 これから質問を出すからそれに答えてくれないかしら?」 シン「……え? そんな事をやるだけで良いのか?勿論やる!」(こう言う楽な事を増やして欲しい……。) 朝倉「そう? そう言ってくれて嬉しいわ。」(計画通りね……。) シン「さあ、 早く質問してくれ。早く終わって部屋でゆっくりしたいんだ。」 朝倉「それじゃ、 いくわよ?」 [貴方は、 妻にするなら 1 知的なふりをして貴方を振り回すワカメ髪の危ない思想もっている女か、 2 皆から常に好評価で、 髪さらさらなロングヘアー、 常に貴方の側で仕事や戦いのサポートをしたりする出来た女性 どっちかしら?]ちなみに[どっちも]何て言ったら……貴方を消す、 かもしれないわね☆」 シン「(数分前の俺、 何であっさりと質問に答える何て言ったんだ~。)はっ、 はは……。(少し壊れてる)」 朝倉「後、 もうすぐ1の女性がこっちに来るわ。来たら質問の答えを私達二人に言ってね。」 喜緑「お待たせしました。勝負服を選ぶのに時間がかかってしまいました。それではアスカ君、 答え、 聞かせて下さいね。」 シン「そっ、 それは……(??・??「「その質問、 待った(です)!」」)……ってデス子にティニー!」 デス子「マスター、 助けに来ました。(バリボリ)貴方達にマスターは渡しません!(パクパク)何故ならマスターは、 私と ティニーちゃんの物だからです!(モグモグ)そうですよね、 ティニーちゃん。」 ティニー「はい、 デス姉様!主、 少しだけ待って居て下さい。あの人達を[掃除]したらデス姉様と主と私の三人で 遊園地にデートにいきましょう。きっと楽しい筈です。」 朝倉「うん、 それ無理。だって貴方達はこれから私と喜緑さんに片付けられるんですもの。」 喜緑「そうですよ? 貴女方が幾ら束になられても私と朝倉さんが手を組んだら負けません。」 ティニー「言いましたね?それでは……、」 朝倉・喜緑・デス子・ティニー「「「「勝負よ(してあげます)(です)!(ゴクゴク)」」」」 ……結局俺は、 彼女達が戦っている間に逃げた。 それから暫くの間、 常に視線を感じるが気にすると何かが起きそうなので関わらないでおく。 おわり 3 朝倉「皆さんお久しぶり。皆に忘れられる前に投下をしに来たわ。ところでシン君は最近調子はどうかしら?」 シン「最近は、 あまり酷い目にあわないから助かってるよ。」 ギンガ「……シン君は良いです。(いじけてる)私は、 この間に病原菌[銀河病]扱いされてしまいましたから……。」 シア「ギンガさんは良いよね~、 名前が出てて。私なんて最近は、 出番が無くて悲しかったよ~。(涙)」 朝倉「あら、 空気義姉妹にも貧富の差が出て来たわね。」 ギンガ「貴方は病原菌扱いでも良いんですか?」 シア「それでも名前がついてるから良いじゃない!私なんて、 空気キャラの次に出て来る単語は「シア? そんな奴って居たっ け?」なんだよ?それにギンガ菌って感染したら空気になる変わりにギンガさん見たくボインになるんでしょ?私なん て………」 ギンガ「そうでしたね………貴方の身体は……ふふっ(笑み)」 シア「今、 私の胸見て笑った~!(涙)」 ギンガ「いえ、 ただ……小さいな、 と思っただけです。(笑)」 シン「なあ、 二人共、 落ち着いてくれ。たかが胸の話でなんで二人が喧嘩になるんだ?あんなの脂肪の固まりだろ?涼子を見ろ よ、 見た目ギンガさんより胸は、 貧弱だけど太ももならギンガさん以上なんだし。それが朝倉なんだ。つまり、シアに言 いたいのは、 朝倉を見習って前を向いて頑張れって言いたいんだ。(自覚無し)」 彼は自分で[良い事言った]と思っている。故に後ろに流れる冷たい空気を感じていないのだ。 シア「……シン君、 私シン君の言葉、 良く判ったから今すぐ前見て走ってみると良いと思うな~(冷や汗)」 ギンガ「そうですね、 今すぐ走って行くべきと思います。 ……死にたくなければですが。」 シン「どう言う意味(後ろを見る)だっ………!」 其処には、 「ふふ、 私久しぶりに人を傷つけたくなったわ……。」 朝倉涼子と言う怒れる乙女(笑)がいた。 朝倉「シン君、 何か言う事、 あるかしら?」 シン「なあ涼子、 何で怒っているか判らないけど、 許してくれないか?」 朝倉「うんそれ無理。だって私は、 本当に貴方に死んで欲しいんですもの。」 シン「仕方ない!逃げる……って足が!」 朝倉「無・駄・な・の!今この空間は私の管制下にあるもの。」 シン「くっそ~……」 朝倉「そろそろ、 終らせないとね。……じゃ、 死んで!」 ………その後、 何とか涼子を説得して命は助かった。その変わり、 暫くの間涼子には頭があがらなかったが……。 後、 ネタ終了後某スタジオにて、 ナレーションが何者かによって某超危険ホテルへ連れて行かれる。 朝倉「まぁ、 そんな酷い事するなんて何処の美少女なのかしら?(笑顔)それじゃ、 皆、 じゃあね。(手を振る) 前ページ次ページ涼宮ハルヒクロスの作品集
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前ページ次ページサモンナイトクロス 異世界で初めての野宿は、お世辞にも快適とは言えなかった。 それはそうだ――シンは、自らの格好を思い出しながら納得する。彼は、パイロットスーツのままだった。 パイロットスーツは宇宙空間での活動も考慮して作られている。だから気密性は万全だったし、耐久性も高い。また運動性も損なうことがないために戦闘用としては高性能と言えるだろう。 反面、日常生活をこれで過ごすには着心地が悪すぎる。重力圏となれば尚更だった。 とはいえ着替えがあるわけでもないので、仕方ないと言えば仕方ないのだが。 とん、と軽い足取りで林の中を歩いて行く。明らかに人の手が入っていない林は決して楽な道ではなかったが、シンはそれほど苦労せずに足を進めていた。 アカデミーでのサバイバル訓練が異世界で初めて役に立つ。それに皮肉を感じて、胸中で苦笑した。 「さて、と……」 シンは呟いて、木々の間に視線を巡らせた。 こうして彼がひとり林に囲まれていることには意味がある。アティやベルフラウが朝食を調達している間の斥候であった。運が良ければ誰かに会えるかもしれない。 (誰か、か) これだけ大きな島ならば港があっても不思議ではない。最悪、船さえあれば帝国領に戻れる―― アティに聞かされた内容を思い出し、シンは嘆息した。 帝国というのがどんな国かは知らないが、例え港があろうが船があろうがシンは元の世界には戻れないのだ。それを思うと、自分のやっていることが空しくなってくる。 (ルナやレイ、ミネルバの皆は……大丈夫かな……) 多少の自惚れを差し引いても、シンがあの艦における主力だったのは間違いない。最大の不確定要因であった〝アークエンジェル〟と〝フリーダム〟を討ったとはいえ、まだ〝ロゴス〟の問題が片付いたわけではないのだ。 彼らの安否が気になる。今すぐにでも駆け戻りたい。共に幾多の死地を乗り越えてきたクルーには、他人を越えた共有感があった。 だが、実際にはこんなことをするくらいしかできることがない…… 舌打ちして、無力感を噛み潰す。 大丈夫だ。戻れる方法はある。その為に今、こうしている。そうとでも思わなければ焦りを抑えられそうにない。 考え事をしながらも歩き続けていると、足に硬い感触がぶつかった。 「うん?」 視線を落とす。落ちていたのは拳銃だった。 シンは土に塗れたそれを拾い上げて眺める。拳銃と言っても、シンが使っていたようなものではない――もっと単純で、稚拙なものだった。 シングルアクションのリボルバーだ。以前に聞きかじった知識を意識の底から拾い上げて、見当を付ける。 振り出し式の弾倉を外に出して確かめるが、弾は空だった。 (まあ、持っていても損はないかな) 弾がない銃など剣のない鞘と同然であるが、素手よりはマシだろう。 ふと気付いて、シンは呟いた。 「……ん? ならここ、誰かが通ったのか?」 拳銃は人工物である。波に乗ってこんな林の中まで届くはずもない。つまり、そういうことだ。 そうシンが冷静に結論付けた時、 「あーもう! ここって化け物の島なのー!?」 甲高い声が鼓膜を――比喩ではなく実際に――揺すった。 ほとんど反射的に、シンは声のする方向に駆け出した。不安定な足元を軽く飛び越えて、一直線に走る。 やがて、木々の密度が極端に低い場所に出た。林の中で、ここだけが広場のようになっている。 それに疑問を感じる前に、シンの目はその広場を見渡していた。見渡して――目を疑う。 状況は知れた。ひとりの人間が、数体の人型と戦っている。シンが驚いたのは、その人型の姿である。 確かに、全体的には人の形をしている……のだが。 顔は魚。体には鱗。 いわゆる半魚人というやつだった。正直、見ていてあまり気持ちのいい姿ではない。 人間の方は、少年に見えた。西部劇風の衣装に身を包み、迫る半魚人に対してナイフを投じている。 戦況は明らかに不利だ。少年のナイフは半魚人の身に突きたってはいるが、鱗が固いのか皮膚が厚いのか、半魚人達は堪えた様子もない。 飛び出したのは、意識しての行動ではなかった。 背後から、半魚人の一体を拾った銃のグリップで殴り倒す。不意を突かれた半魚人は、成すすべもなく転倒した。そのまま、膝を踏み砕く。奇怪な呻き声を上げる半魚人は無視して、シンは少年の方へと走り寄った。 「大丈夫か?」 「あ、ありがと……」 近くで見れば、少年は愛らしい容姿をしていた。ショートカットにした金髪と大きな碧眼が、活発な雰囲気を醸し出している。 少年はシンに軽く礼を言ってから、彼の持っていた拳銃に目を向けた。途端、 「あああっ! それ、あたしの銃!」 「え?」 喚くと、ひったくるようにシンの手から拳銃を奪い取る。それからすりすりと頬を寄せ、 「良かったぁ……無くしたかと思ったよぉ……」 「……良かったな」 他にかけるべき言葉も見付からず、シンはとりあえずそう告げた。うんうんと頷く少年から目を離し、 (……あたし?) 不意に浮かんだ疑念に眉根を寄せる。が、その疑念に対する答えが出る前に残りの半魚人が動いていた。一匹の半魚人が駆け込んでくるや、シンに向けて拳を振り降ろす。 「ちっ!」 舌打ちして、シンはガードを固めた両腕でそれを受けとめたようとして――止めた。半魚人の腕は通常の人間の太さではない。下手に受け止めれば骨が折れかねない威力を持っていそうである。 代わりに踵で半魚人の膝を打ち抜く。へし折るまではいかなかったが、打撃の土台である下半身のバランスを崩された半魚人の拳はシンを逸れた。近づいてきた醜悪な顔に、渾身の肘を打ち込んでやる。 骨を砕く感触が返ってくるが、シンはそのまま半魚人の身体を横に蹴った。重い音を立てて、半魚人の身体が沈む。 残りの半魚人は二体。左右に目を走らせて、シンは判断する。 「はぁ……強いんだね」 「こう見えて軍人だからな」 呑気にも聞こえる口調で言ってくる少年に、視線は向けずに返す。 じりじりと、二体の半魚人が歩幅を合わせて迫ってくる。いくらシンがコーディネーターの身体能力を持っているとはいえ、相手は化け物だ。それを二体同時に相手にすれば、素手で何とかなるとも思えなかった。 だが、シンが構えるよりも先に―― 鋭い風切り音。同時に、半魚人二体の眼球にそれぞれ一本のナイフが突き立っていた。 瞬時に、半魚人の顔面が鮮血に染まる。シンは振り返って少年を見た。少年はナイフを投擲し終えた格好のままで、 「あんな動きなら止まった的みたいなもんだからね。簡単に当てられるよ」 少年の言葉が終わる前に、二体の半魚人は逃げ出していた。残った二体を回収しなかったことから見て、それほど仲間意識があるわけではないらしい。 何の気なしに、シンは残った二体を見やる。一体は気絶しているのか、うつ伏せになったまま動いていないが…… 咄嗟に、シンは少年の身体を抱えて跳んでいた。一瞬前までシンがいた場所を、高圧の水流が薙ぐ。 最初に倒された半魚人が、こちらを見ていた。それに気づいたらしい少年が、ナイフを半魚人に投じる。狙い違わずナイフが脳天に突き刺さり、今度こそ半魚人は動かなくなった。 「ふう……危なかったな」 シンは少年の身体を後ろから抱えた状態のまま、片手で顎の下を拭おうとして……少年の身体から感じる感触に、違和感を覚えた。 柔らかい。まあシンよりも年下であろうから、ある程度の柔らかさは納得できる。しかし、どうにも柔らかすぎはしないだろうか? 違和感の正体を確かめようとして、シンは両手を軽く動かした。掌に、確かな柔らかさが伝わってくる。 そう、まるで女性の胸のような…… シンは、少年の顔を見た。最初は紅顔の美少年かと思ったが、改めて見れば女性的に過ぎる。 何を言うべきか。シンは分からなかったが、とりあえず理解できることがあった。 「女……の……子?」 次の瞬間、振り上げられた肘にシンの意識は見事に刈り取られたのだった。 「痛っ……」 肘がクリーンヒットした側頭部の痛みに顔を顰めつつ、シンは再び林の中を歩いていた。 「あはは……ごめん、つい……」 後ろを付いてくる少年――もとい少女が、手を合わせてシンに謝ってくる。「つい」で昏倒させられた身としては軽い謝罪にも思えたのだが、自身にも非があると判断してシンは口を噤んだ。代わりに、別のことを尋ねる。 「ところであんた、何であんなところにいたんだ? この島の住人なのか?」 「ううん。あたしはこの島に流されたクチだけど。そっちは?」 「……まあ、同じようなもん」 説明する気にもなれず、言葉を濁す。 幸いにも、林の中にはシンの足跡が残っていたので帰る道には困らなかった。仏頂面で歩くシンを怒っていると勘違いしたのか、少女は言葉を続けてきた。 「あ、あたしはソノラ。こう見えて海賊カイル一家の砲撃手なんだよ?」 「……海賊?」 即座にシンが思い浮かべたのはチープな髑髏模様だったが、あながち間違いでもないかもしれない。 そのシンの口調に何か感じたのか、慌ててソノラが付け足してくる。 「海賊って言っても別に無法者の集団って訳じゃないよ。そりゃ、そういう海賊もいるけど……ウチは必要以上の非道はしない、っていうのがモットーなんだから」 つまりは分別の問題だろう。確かにシンがいた世界でも、地球連合のやることは常軌を逸していた。倫理感が欠如すれば暴走する。軍人でも海賊でも、それは同じに違いない。 「で、そっちは?」 「シン。シン・アスカ」 ソノラの質問に素気なく返す。彼女はぱたぱたと走ってシンの横に並ぶと、 「さっき軍人って言ってたよね? ってことは、帝国軍人? それにしては変な格好してるけど……」 (ほっといてくれ) ソノラの馴れ馴れしい態度に合わせる気にもなれず、シンは内心でぼやいた。 (……待てよ?) はっと気付いて、シンはソノラに向き直る。彼女の肩を掴んで、顔を近付ける。 「ソノラ。さっき海賊って言ってたよな?」 「う、うん」 シンがいきなり顔を近付けたことに驚いたのか、頬を紅潮させてソノラが頷く。 「海賊って言うからには、海賊船に乗ってるんだよな?」 「そりゃ、そうだけど」 「ひょっとして……海賊船ごと、この島に流れ着いてきたのか?」 一瞬――あるいは数秒の間があった。少なくともシンにはそう思えた。が、それは錯覚なのだろう。ソノラはあっさりと頷いて、 「うん。まあ岩にぶつかったお陰でマストは折れるわ帆は破けるわ。おまけに船底まで壊れちゃったんだけど」 「そうか……」 頷いて、シンは手を離した。当初の〝船を探す〟という目的は至極簡単に達成できてしまったわけだ。眩暈を覚えて、こめかみを押さえる。 「だ、大丈夫? まだ痛む?」 ソノラは打撃によるダメージだと勘違いしたらしい。気遣うように近付いてくる。 「ああ、うん。大丈夫だ」 シンは手で制して、いつの間にか止まっていた足を再び動かす。ソノラが横に並ぶのを確認して、質問を続ける。 「船はどこにあるんだ?」 「ちょうど向かってる方向の反対側。あたしは他に人がいないか探しにきたんだけど」 「それで、あの半魚人達に襲われたわけか」 「うん――あ、そうだ」 何かを思い出したように、ソノラはシンの前に出る。それから軽く頭を下げて、 「さっきはありがとうね。シンがいなかったら、きっと今頃あたし死んでただろうし」 「別にいいよ。礼を言われたくてやったわけじゃない」 「そうだけどさ……っとと!」 急に、ソノラがバランスを崩した。後ろ向きに歩いていたせいで、木の幹に足を取られたのだろう。 危うく転びそうになった彼女を受けとめる。自然、シンがソノラを抱きとめる格好になった。 その時、 「見付けた! まったくもう、手間をかけさせて――」 声が響いた。よく通る少女の声であり、シンが昨日出会った少女の声でもある。声の調子は良いように思えた。なんというのか……弱点を見つけて、その一点を延々と突くような調子である。そんな声が―― 「もう既に朝食は食べ終えてしまいましたわよ! 当然あなたの分は残っていませんけど、文句は……」 ――急激に、しぼんだ。 シンの視界に、ベルフラウが映る。彼女はその青い瞳を見開いてシンを注視していた。正確には、シンが抱きとめているソノラの姿を。 沈黙が降りた。誰も、一言も発さない。シンはソノラを抱きとめた格好のまま、なぜか動けずにいた。 空気が固まって、彼の動きを阻害しているのかもしれない――冗談でもなく、そう考える。 ソノラは頬を紅潮させて、シンの胸の内にいた。彼女も、なぜか動かない。 ベルフラウは、目だけでなく口も半開きにしたまま動かない。 やがて…… 「……あれ? 皆さん固まってどうしたんですか?」 ベルフラウに次いでやってきたアティが口を開くまで、その沈黙は続いた。 前ページ次ページサモンナイトクロス
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前ページ次ページみつめてナイトクロス なんなんだよ、この場所は? 俺、シン・アスカはすでに何度と無く繰り返した言葉を胸中で反芻する。 辺りを見渡せばそこはいわゆる別世界。中近世風ヨーロッパとでも言えばいいのだろうか。 ところどころには煉瓦を用いた建築物があり、レトロな雰囲気の町並みだ。 それだけじゃない。街にはまばらだが剣を腰にさし、鎧を身にまとっている人間もいる。 街を勢いよく疾走しているのはいわゆる馬車って奴か? まるで映画の世界に紛れ込んだような錯覚を覚える世界。そんな所に俺はいる。 あの裏切り者を追いかけている途中だったというのに、突如雷に打たれて気がついたらこの世界に 飛ばされていた。不条理にも程があるとは思うけど現実は非情だ。 「主様~。」 頭の上から声が聞こえてくる。 「なんだよ、運命。」 俺は顔を上げ、ややげんなりとしながら答える。そこにいるのは俺がこの世界において感じた 不条理の最たるものだ。俺の頭上では手のひらサイズの美少女妖精が赤い羽根を生やして浮遊している。 これがなんと俺の愛機デスティニーのこの世界での姿だという。 「あんまり周りをきょろきょろしながら歩くと変な人に思われてしまいますよ。」 「しょうがないだろ。まだこの世界に慣れないんだから。」 「でも慣れて行きませんと。明日は皆に来るんですから!」 ビシっと一指し指を天にかざしていう運命。やたらと前向きな元MSだと思う。 ちなみに運命の姿は俺以外には見えない。周囲に不審者と思われない為にも会話には細心の注意を 必要とする。最初それを知らずに周囲から冷たい視線を受け取ったのは苦い思い出だ。 「主様はこの世界ではこの国、ドルファンの傭兵なんですから。衣食住はとりあえず保障されてますし。」 「俺もこんな格好をする事になるとは思わなかったよ。」 改めて俺は自分の格好を見直す。着ているのはパイロットスーツではなく、ザフトの赤服でもない。 青の上着と黒のズボン。この国の軍の制服としては標準的なものだ。 「こんな世界に来ても戦争か。正直やってられないな。」 俺がそう呟いて建物の角を曲がったとき 「きゃっ!」 短い悲鳴と共に俺の身体に衝撃が走り、軽く何かが地面に着く音がする。 前を見ると少女が座り込んでいる。どうやら俺とぶつかってしまったらしい。 「ご、ごめん。大丈夫か?あんた。」 俺は慌てて駆け寄る。 黒髪を三つ編みにし、いわゆるセーラー服を身にまとった少女。学生か。 顔はまだ伏せられている。大丈夫か? 「ごめんなさい。周囲に気をとられていて……。」 少女が静かな声で謝罪する。 「立てるか?」 俺は少女に手を差し伸べる。 少女の顔が上げられる。人形のように端正な顔立ち、何かを見通したような静かな眼差し。 場違いながら俺は一瞬見とれていた。すると少女の眼が不意に厳しくなる。 「あなた……傭兵?」 「あ、ああ。一応そうだけど。」 少女の問いに俺は多少どもりながら答える。胸がわずかに早く鼓動を刻んでいる。 「私はライズ・ハイマー。よければあなたの名前を教えて欲しいわ。」 「俺はシン、シン・アスカだ。」 答えた俺が差し伸べていた手を彼女はとる。赤い手袋に包まれた手で。 「そう。シン、っていうの。」 ここに二つの運命が交錯した。 前ページ次ページみつめてナイトクロス
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前ページ次ページなのはクロスの作品集 『決意と絆と覚悟と思い 前編』 シン 「・・・痛っ! 」 デス子『だ、大丈夫ですか、マスター!』 シン 「右手のフルゴールは完全に逝ったか。けど、骨は折れてない。まだやれる!」 先の場面、シンは攻撃が届くか届かないかのぎりぎりのタイミングで、長距離ビーム砲をパージし盾として使用していた。 中に蓄えていた高密度の魔力が爆破、拡散したことで、魔力素同士が干渉し合い ブラストカラミティの威力を大幅に減衰させたのだ。 だが、酷使のし過ぎでボロボロになったソリドゥス・フルゴールには、 驚異的な威力を誇る合体魔法を相殺するだけの余力は残されていなかった。 他の武装もいくつか損傷し、防ぎきれなかったダメージは確実にシンの体に蓄積している。 そのまま身を隠さず二回戦に突入していたら、確実にそこらを漂う残骸の一つになっていたに違いない。 この一帯には戦闘で生じた闇の書の闇の肉片の一部がスペースデブリのように漂っている。 それらは全てシンの最初の一撃で生じたものでありシンの魔力を帯びていた。 これなら、シンの発する魔力も中に紛れて見つかることはないだろう。 シン(残った防御手段は、左手のフルゴールと対ビームシールドだけ。 おまけに衝撃で手甲にまでひびが入っている。右手のパルマフィオキーナも使用不能だろうな。 長距離ビーム砲も・・・俺の魔力精製技術じゃ再構築は無理か) 残された攻撃手段は、フラッシュエッジが二本と腰にマウントしたビームライフル、背中のアロンダイト一本だけ。 議長の前では言えなかったけど、もう少しデスティニーには武装を積んどいて欲しかったな、と シンはぼそっと呟いた。 シン「デス子、俺はいいからヴォワチュール・リュミエールの損傷を教えてくれ。 ここで飛べなくなったらシャレにならないからな」 この空間は、空中は無重力でも地面に降りればしっかり重力がある。 ただでさえ遮蔽物が少ないというのに、この上重力の網に捕まれば格好の餌食だ。 (力場の形としては円筒形コロニーが一番近い) デス子『大丈夫です。被弾はしていますが機能に問題ありません。きっと、体が合体攻撃のタイミングを覚えていたからですね』 デス子は魔法を喰らい慣れてることが逆に幸いしましたね、と笑っているが、 実際に地獄を見てきたシンは苦笑いを返すことしかできなかった。 シン「・・・素直に感謝できないぞ、それ。・・・・現在の状況は?」 デス子『残骸にのこった魔力がチャフの役目をはたしますし、私たちの魔力反応は ミラージュコロイドを散布して拡散させてますから、視認されない限りはまず見つからないと思います。 けど、これも後何分持つか・・・』 淡々と会話しているが、デス子は内心でシンの成長ぶりに驚いていた。 昔なら考えなしに突っ込んでいたはずなのに、今ではあらかじめこの事態を想定して逃げ道を作っておく周到さまで獲得している。 何も遮蔽物のない空間で広域攻撃型の相手を相手にするのは自殺行為である。 ならば、電光石火の一撃でこの空間に奴の肉片をばら撒き、身を隠す場所を作り出せばいい。 バリアが完全に展開される前に、シンが長距離ビーム砲で闇の書の闇の胴体を吹き飛ばしたのは、 小手先のダメージではなくこれを狙ったものだった。 デス子(CEにいた頃とはまるで別人のように冷静に・・・。 あのマスターがここまで調教されるなんてどんな訓練をされたんでしょうか?) まぁ、毎日毎日生と死の境目を彷徨っていれば勝負度胸も付こうというものだろう。 機動六課の地獄の訓練によって、シンの戦闘スタイルは昔とは真逆といっていいほど大きく変化している。 それもこれも、訓練の際に彼を鍛える担当になったシグナムがシンが数々の強敵を破ってきた大元である『激情の力』を、 彼の最大の長所であると同時に最大の弱点でもあると見抜いたからだ。 敵をすばやく倒すことが大勢の人間を救うことに繋がる。 そのためなら(自分も含めた)多少の犠牲には目をつぶるべきではないのか。 そう主張するシンに対して、シグナムは否定も肯定もせずただ静かな口調で答えた。 敵を殺すだけなら、怒りや狂気に身を任せてもいい。 しかし管理局では犯罪者はあくまで生きたまま捕縛することが原則だ。 殺すことが目的の軍隊とは違う。 第一闇雲に突っ込むだけでは、味方を混乱させ被害を増やすのが関の山だ。 『それでは何も守れない』 シグナムの言葉が親友のいった言葉と重なって聞こえ、シンは何も反論できなかった。 シンの『それ』はシグナムの言うとおり『守るための戦い方』ではなく『殺すための戦い方』。 激情に任せただただ目の前の敵を狩り続ける。そんな『強さ』で誰を守れるというのか? そう、実際に守れなかったのだ。なにもかも。 ――――――その事実が他の何よりも深くシンの胸に突き刺さった。 結局、そのことが原因でシンは戦闘の基礎中の基礎から徹底的に叩き直されるはめになったと言うわけだ。 (他にも短気や単純など弱点がぽんぽん露呈していくたび散々矯正されたのだが、それはまた別の話) 例:シグナムの教え どんな状況下でも『冷静さを失わない』こと 相手をよく観察し『動きの癖と弱点を分析する』こと 戦いは常に読み合いである。必ず『二手、三手先を読んで行動する』こと 『地形をうまく利用、征すること』『周りの状況を把握し続けること』etc・・ シンが戦闘中に自分を見失うことなく、冷静に状況を判断できるようになったのも、 シグナムに散々しごかれたおかげである。 デス子『でも、その程度の強さじゃ闇の書の闇にはとうてい及ばない。・・・・引き際はわきまえるべき・・・だよね』 シン「・・・・デス子?」 デス子『あ、はい! 何ですかマスター!』 シン 「戦闘中にぼーっとするなよ。フィールドの分析は終わったのか?」 デス子『え~と、それならもう済ませてあります。魔力反応を分析した結果、物理と魔法が交互に合わさった 複合四層式バリアと判明しました。十年後の情報どおりですね』 シン「なら、計算上『こいつ』で奴をコアごと破壊できるはずだな」 シンは懐にしまった『厳重封印されたレリック』をじっと見つめた。 不気味に赤い光を放つ『それ』は、下手に弄れば奴もろともこの空間をまるご と破壊できる威力を持っている・・・らしい。 (シンはその威力を資料でしか知らない) この戦い、この切り札をどう使うかが鍵になるはずだ。 シン「さて、真っ向勝負じゃ勝ち目がないって身をもって知ったことだし・・・」 シンは残骸の陰からそっと闇の書の闇の様子を窺ってみた。 ――――――いる。デス子の言うとおり、闇の書の闇はこちらを見失ったらしく 周りから生えた触手と共にしきりに辺りを探っている。 こちらを死んだと確認するまで、まず引っ込むことはないだろう。 (もっとも、こちらもこのまま引っ込ませるつもりなどなかったが) シン「あの様子なら、あと数分は時間が稼げそうだな。さてと、これからどうしようか とりあえず魔力はまだ残ってるから・・・」 デス子「・・・・まだやるんですか、マスター?」 シン「当たり前だろ。デス子も何かないか考えてくれ」 シンはこれまでの戦いから対処法を考ようと頭をめぐらせる。 奴の魔力量はほぼ無尽蔵だから魔力エンプティは期待できそうに無いとして・・・。 広域攻撃魔法をまとめて撃った後はしばらくチャージが必要みたいだから、その隙を突けば接近できそうだな。 問題はどうやってあの弾幕をくぐり抜け、奴に近づくかだ。 シン(いや、ダメージを気にしないなら行けるかもしれない。闇の書の強大な魔力が生み出す破壊力は確かに強大だ。 でも、幾ら魔力量があったって収縮して撃てないなら勝機はある) 幸いにも、闇の書の闇のスタイルは広域攻撃型。 より多くの敵を一度に倒すために、圧縮不可能なほどの魔力を一撃に込め、わざと攻撃を 拡散させ敵全体を一掃するスタイルをとっている。 シン(そして『俺』なら・・・。いや、俺だからこそ突破できるはずだ) これまで多くの強力な魔法をその身に受けて、魔法に対し圧倒的な耐性を 持っているシンなら下手な魔導師よりもはるかに頑丈だ。 現に直撃が無いとはいえ、あれほどの攻撃を浴びてもシンはまだ生きている。 シン(武装も魔力も心許無いけど・・・。ここまで来れたんだ、やってみせるさ!) 何とか闇の書の闇を倒そうと躍起になるシン。しかし、それを見るデス子の目は非常に冷ややかだった。 デス子(・・・・マスター、やっぱりあなたは前と同じ轍を踏むつもりなんですか・・・? あなたがもしそうするなら・・・私は・・・。) そして、デス子は最後まで戦おうとするシンと全く逆の選択肢を選んでいた。 ――――――リインフォースを見捨てるという、避けては通れない選択肢を。 前ページ次ページなのはクロスの作品集
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前ページ次ページ涼宮ハルヒクロスの作品集 誰も居ない部屋に彼女が居る。 彼女の名前は朝倉涼子 今はこの部屋でこの部屋の主シン・アスカとシンの元愛機にして現相棒のデス子と一緒に暮らしている少女だ。 見た目普通の人間だが、彼女はただの人間では無い。 情報統合思念体が造り出した【対有機生命体コンタクト用ヒューマロイドインターフェース】 それが彼女の正体だ。 今日はその彼女の話を聞いてみよう。 朝倉「(その時間の挨拶)今日は私から見たシン君の話の裏側を話すわね。でもここで皆に注意してほしい事が一つだけあるの。 これから話す事はあくまで私の居るこの平行世界のお話しだって事を理解してくれると嬉しいな。だって、理解してくれないと 私は貴方に死んでもらわないといけなくなるから注意してね。」 そう笑顔で言い終わると何やら準備を始める彼女。 数分後、部屋には大きなスクリーンと映写機が用意された。 朝倉「それじゃあ、シン君にとっては【地獄のような天国】の真実のお話を始めるわね。」 すると彼女はある映像を流し出した。 最初に出てきた映像は朝の寝静まっている時間からだ。 その時間に動く人影、何やら荷物をまとめているようだ。 その場面を見ながら彼女が説明をし始めた。 朝倉「朝の五時頃に私は起きて作業を始めるのよ。 理由は情報統合思念体に私の製作したシン君の観察書を送る為。 シンにはこの事をぼかして教えているの、真実は言えないからね。」 ここまで言い終えると彼女は、何やら言いにくそうにしているようだが、少し深呼吸をし終えると彼女はゆっくりと語り始める。 朝倉「だって、その報告書にはシン君の交友関係に訓練に食事のメニューにある情報が書かれている書類、それにその日一週間の会話を 収めたテープにが入っているから。」 この事を言い終えた彼女はこちらの方にゆっくりと向きを変えて、また喋り始めた。 朝倉「これだけ聞いたら私の事をストーカーって言われても仕方ないわね。けど、これにはちゃんと理由が有るの。」 そう言い終えると同時に映像が変わる。 その映像には書類の中身が映し出されている。 朝倉「実は、報告書に入れる書類の中には管理局の上層部と管理局が追跡している時空犯罪者達の動きを書いた書類が入っているの。 何故上層部と犯罪者達の動きを調べているのかって言うと、それにはシン君の能力【時空跳躍】の事が関わってくるのね。」 そう言うと彼女はまた写し変わった映像に指を差して説明を始めた。 朝倉「【時空跳躍】って言うのはね、簡単に言えば色々な次元に何の制約も無く瞬時に跳べる能力の事なの。普通なら時間がかかる時空移動が 瞬時に行える、これだけ言えば大体判るわよね?」 説明を終えた彼女はこちらを見て真剣な表情で喋る。 朝倉「そう、もし犯罪者達にシン君が捕まった場合、この能力の事を彼等は研究するわ。 そしてその研究で彼等がこの能力を手に入れて、しかも自由自在に使えるようになったら全時空は大変な事になる。」 と、言ってきた。 ひと呼吸置いて、続きを話す彼女。 朝倉「幾ら管理局が急いでも彼等はすぐに別世界に逃げる手段があるんだからね。」 そうなれば、時空は彼等時空犯罪者達の思うがままだろう。 でも、と彼女は語り出す。 朝倉「逆に管理局がこの能力を手に入れた場合、今までより速く現場に駆けつける事が出来る。 そうなれば、管理局も今までよりも活動をしやすくなるでしょうね。」 ただし、と彼女は先程まで見せていた表情を曇らせて喋りだした。 朝倉「今はどの組織もその結論(シンを調べて時空跳躍を手に入れる)までは達していないのがまだ救いね。 何故って、その能力を手に入れる為に人体実験を行うには、間違いなくシン君の生死に関わる事になるから。 この能力は自由にコントロールが出来ないから彼自身を使って実験するしか方法が無いの。」 そこまで言って彼女は少し部屋から離れていく。 前ページ次ページ涼宮ハルヒクロスの作品集
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前ページみつめてナイトクロス 「ここが教会か。」 ドルファン首都城塞における神の家を前にして俺、シン・アスカは呟いた。 白い壁、茶色の屋根を基調とする教会。周囲をよく手入れされた植木や植花 で規則的に囲まれたその建物は俗世から一つ壁を隔てた穏やかさを感じさせる。 南部を海に面した国であるドルファンの首都、通称ドルファン首都城塞は国土の南端に 属しており、その南端はこれまた海に面している。 その海に面した地帯を通称「シーエアー地区」と呼び、この教会もそれに属する一角にある。 「綺麗な教会ですね、主様。」 俺の肩の上を浮遊する妖精少女もどきの運命がいう。弾んだ声と落ち着きのない浮遊、そして 付近の植木や植花を見つめる興味深げな眼差し。これはまさか……。 「遊びたくても駄目だぞ、運命。」 「え!? な、何を言っているんですか、主様!」 半眼で釘をさした俺の言葉に動揺する運命。どうやら図星だったらしい。 「これから俺達はバイトに行くんだからな。寄り道してる時間はないんだよ。」 俺の言葉に運命は困った顔をしてむー、と呻く。……本当にこいつ元MSか? 「で、でもこの教会すごいんですよ! なんでも女の子の不満を減らしたり できるらしいんですよ! 見ておいて損はありませんよ!」 拳を握り締めて力説する運命。いきなり何を言い出すかと思えば……。 「何を言っているんだよ。そんな事があるわけないだろ? そんなものにすがりたくなる なんていろいろ終わってる状況に決まってるさ。ほら、さっさと行くぞ。」 はっきり言い捨てて早足で教会から遠ざかる俺に悄然としながら付いてくる運命。 今度機会があったら寄ってみるのもいいかも知れない。 そう思いつつ俺はバイト先に向かって歩き出した。 海に面したシーエアー地区。その一角にある漁港。そこが俺の今日のバイト場所だ。 漁獲された魚を運搬するアルバイトで体力は使うが収入は非常にいい。 これでも軍にいた俺は体力には自信がある。 「よっこいしょ、と。」 「頑張れ、頑張れ主様~!」 運命のお気楽な応援を受けながら黒の作業着を身に纏った俺は魚を運搬する。 くそ、こいつら動くな……。一抱えほどある大きな魚、それもまだ生きているのを 運搬するのは中々大変だ。 「きゃっ……やだ……そ、そんなに暴れないで。」 不意に向かい側で声がした。なんか高い声だな。 俺が声のしたほうを向くとそこには俺と同じように魚を抱えている奴がいる。 俺と同様に黒の作業着を見に纏い魚を抱えている。背は俺より低く体つきも華奢。 おそらくはこの作業用に栗毛の髪を黄色い頭巾でまとめているが、 本来は長いであろう事は肩にまで達しているもみ上げからうかがえる。 よくも悪くもパランスの取れた顔立ちに善良そうな輝きを宿した瞳。 大人しそうではあるが健気な印象を受ける。えーっと……こいつは……。 「君、ひょっとして女の子なのか?」 「え、ええ。そうです。」 俺の問いに多少戸惑いながら答える彼女。 「お、おかしいですか?女の子がここで働いているのが。」 「おかしいに決まってるだろ。」 多少戸惑いながらも勇気を出して反問してきた彼女の言葉に俺は即答する。 あ、なんか顔を俯かせてる。 「ここはお給料がいいんです……。」 彼女が搾り出すようにして呟く。 「私、お金が必要なんです。家族の為にも!」 声を張り上げ彼女は俺に訴える。魚を抱えたままというのが いろいろぶち壊しにしてるけど。 悪いことを聞いちゃったな。 「それ持ってやるよ。」 「え?」 俺の申し入れに彼女は驚いた声をあげる。 「俺は今ちょうど手が空いてるから……。」 背中がくすぐったい。ついついぶっきらぼうな言い草になってしまう。 「あ、ありがとうございます。」 そういって小さく彼女は笑みをこぼした。なんだか心が温かくなるような笑顔だった。 「君の名前は?俺はシン。シン・アスカ。」 「私はソフィアです。ソフィア・ロベリンゲです。よろしくお願いします、シンさん。」 互いの自己紹介を済ませた後で俺は彼女の魚を受け取ろうと歩み寄る。ん? 不意に足元がぐらつき、彼女の顔が近づく。しまった! 転んだか。 「う、うわ!」 「きゃっ!」 衝撃が走り視界が流転する。痛てて……。 倒れた体勢からなんとか首を持ち上げる。下についた手の先に柔らかな感触。なんだ? 「あ、あの……。」 下から聞こえるソフィアの声。ちょうど俺が押し倒した格好になっている。 そして俺の手はちょうど彼女の胸の辺りに置かれていた。 「ご、ごめん!」 ソフィアに謝罪して慌てて身を起こそうとする俺。今の体勢は危なすぎる。 もし誰かに見られでもしたら……。 「あら、シン。何をしているの?」 静かな声が俺の後方から聞こえる。振り返るとそこには黒髪の三つ編み、 黒の長袖の上着に赤と白を基調としたスカートを身に纏い頭には赤い丸形の帽子を被った、 人形のように端正な顔立ちと静かな眼差しをした少女が立っている。 「ラ、ライズ!」 「あ、ハイマーさん。」 彼女の名前を呼ぶ俺とソフィア。ん?なんでソフィアまで? 「ソフィアは知り合いなのか?ライズと。」 「ええ、ハイマーさんとは同じ学校なんです。」 あ、そういえばそうか。納得する俺。 「そういう事よ。それでここで何をしていたの?」 静かに無表情でたずねてくるライズ。 「い、いや別に何も……。」 「そ、そうです。私達はただバイトをしていただけで……。」 口々に弁解じみた事を言う俺とソフィア。 それに対し彼女はふうん、と相槌を打った後 「まあいいわ。ソフィア、これは差し入れよ。」 といってソフィアに包みを渡した。 「あ、ありがとうございます。」 「いいのよ。頑張ってね。それじゃあ私はこれで。」 そういって淡白に去っていくライズ。 彼女は少し行った先で何かを思い出したように立ち止まり、こちらを振り向く。 「ああ、それからシン。」 「え?」 不意に俺に言葉が向けられる。なんだ? 「今度からは場所を選んだほうがいいわよ。」 その言葉と共に鉄槌のような衝撃が俺の心を打ちのめす。 そして彼女が立ち去った後では呆然とした俺とソフィア、そして闇よりも深い沈黙が残った。 「………………。」 時刻は夕方。バイトを終えた俺は教会の礼拝堂の一席で無言の祈りをささげている。 「あら、あのお方は随分と熱心にお祈りをされているのですね?神父様。」 「弱者は己に頼らず天に頼るしかないということですよ。はっはっは。」 若い女シスターの感心した声や長身で長髪眼鏡の神父様のやたらと楽しげな口調も 気にしない。 「あの、主様。日中に来た時はこんな所で祈るなんて いろいろ終わっているっていっていませんでしたか?」 俺をいろんな意味で気遣っているような運命の声も気にしない。 「……何を言っているんだよ、運命。お祈りの邪魔をするなよ……。」 重い口調で運命に答えながら俺は神に祈り続ける。 彼女の誤解が解けますようにと 前ページみつめてナイトクロス
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前ページ次ページなのはクロスの作品集 シン編 第2話『切り札』 十年前 時空管理局本局次元航行部隊 アースラ艦内 クロノの私室 海鳴大学病院を出たシンはその足ですぐさまアースラへと向かった。 前々からクロノに頼んでいた品を受け取りに行くためだ。おそらく簡単にいかないだろう事はシンも予想していた。 なにせ頼んでいた『物』は、十年に第一級捜索指定ロストロギアになる代物だ。クロノの性格を考えると、それがどんなものか既に調べているだろう。 もしかすると、持ち出せないかもしれない。 シンは自身の警戒を悟られないように、クロノの私室へ向かった。 シン 「クロノ、例のあれは見つかったのか」 クロノ「ああ、『レリック』だったね? すでにアースラの内部に保管してあるよ。しかし、なぜ、ロストロギアがあそこにあるとわかったん だ?それにこれは極めて危険で重要度の高い代物だぞ」 シン「う、裏時空管理局にいたとき発見したものなんだ。そのときは任務優先で無視したんだけどな」 シンがクロノに依頼していたのは『レリック』と呼ばれる超高エネルギー結晶体の回収だ。 実際の歴史では、新暦71年4月ある遺跡で発見され、なのは、フェイト、はやての三人が初の対ガジェットドローンとの戦闘を繰り広げたあと、無事に回収されている。 シン「それで相談なんだが、はやてを助けるのに『レリック』が必要なんだ。少しの間だけ貸してくれないか?」 下手に言い訳すると疑われると考えたシンは、思い切って本音を打ち明けることにした。 クロノ「かまわないよ。ただし、準備に時間がかかるから、適当に待っていてくれ」 当然クロノは渋い顔をすると思っていたが、意外にもあっさり許可をしてくれた。 アースラの保管庫から転送されたレリックは、厳重に包装されてシンに手渡された。 これだけ厳重に封印すれば、めったなことがない限り暴走しないだろう。 シン 「じゃあさっき言ったとおりこれは借りていくぞ」 クロノ「もちろん貸し出しは許可しよう。だが、君の自由までは許可できない」 突然地面に現れた魔方陣が輝き、幾多の鎖がシンの体を拘束した。 クロノの使う捕縛魔法の一つ、ディレイドバインドだ。 普段ならば、起動六課でバインドに慣れているシンがこんな手に引っかかることはない。 しかし、闇の書に関する焦りと、親しかったクロノへの油断がシンから警戒心を奪い取っていた。 シン 「くっどういうことだ!今は時間がないんだぞ!」 クロノ「本当のことを話してくれれば、すぐに開放するよ」 シン 「何を言ってるんだ?俺は裏時空管理局の・・・」 クロノ「本気で誤魔化せると思っていたのか?あんな嘘に騙されるのは、よほどの天然か、お人よしくらいだ。残念だが僕はどちらでもない」 言葉に詰まったシンをほっといて、クロノは言葉を続けた。 クロノ「君にかかっているのは、ロストロギアを狙った時空犯罪者の容疑だ。」 シン 「ふざけるな!何で俺が!」 クロノ「証拠ならいくらでもある。裏時空管理局なんて存在しないのに、なぜか君はレリックのある場所を知っていた。そして、それがどんな代 物かもだ。 おまけにあの場所は時空管理局も手をつけていない未開世界だ。たとえ裏時空管理局があったとしても、君達の説明は矛盾 が多すぎる。さて、まだ続けようか?」 シン 「・・・・」 クロノ「今回の君の狙いは『闇の書』とそのレリックみたいだな。時空管理局を利用してロストロギアを回収しようなんて豪胆な奴だ。うまく入 り込んだようけど、それもここまでだね。」 シン「・・・・」 こんなことになるならデス子を連れてくるんだったと、シンは今更ながら後悔した。 このまま真相を話すわけにはいかない。だからと言ってディレイドバインドを引き千切っても、 転移魔法が使えないんじゃ地球には戻れない。 シン 「・・・・・・(くそっどうする?こうしている間にもはやては)」 なんとか脱出しようともがいていると、何故かクロノが耳元で話しかけてきた。 クロノ「・・・信用し・・いい・・か?」 シン 「何?」 クロノ「君にレリックを渡せば、はやてもリインフォースも助かるのか?」 シン 「・・・? ああ、絶対に助けて見せる!」 クロノ「・・・・・・わかった」 シンが困惑していると、何を考えたのかクロノは突然ディレイドバインドを解いた。 そしてそのまま、何もない壁に向かって氷結の杖デュランダルを構えると、躊躇無くブレイズキャノンを叩き込む。 威力はセーブしてあったようだが、それでも掛けてあったカレンダーが粉々に吹っ飛んでいた。 シン 「な、な、な????」 クロノ「こう見えても人を見る目はあるつもりだ。君は犯罪を犯す人間には見えない」 シン 「は? だってさっきは・・・」 クロノ「真相はこれだよ」 クロノは先程までカレンダーがあった場所に近付くと、燃えカスを一つ拾い上げる。 クロノ「小型の盗聴器だよ。この部屋の会話は、時空管理局の上層部に筒抜けだったのさ」 シン 「上層部って、なんでそんな奴らが俺を?」 クロノ「僕は当然だと思うけどな。闇の書に近付いた上、ロストロギアまで見つけたんだ。いやでも上の連中の目に入るさ」 クロノが言っていたように、この時代に来たシンはかなり目立っていた。 あれか? リーゼ達にツインパルマをかましたからか? それとも、デス子が本局の食料庫を荒らしたからか? いや、伝説の三提督の一人であるミゼッタさんにパルマをかました時もだいぶやばかった! そういえば、地上本部にいったときに、偶然レジアスと会ったとたん、 デス子がいきなり「テレビで見た通りホントに六角形ですよ、マスター」と言ったのが致命的だったかもしれない。 今考えてみると目をつけられる心当たりなど、数えてみればきりがなかった。 シン 「でも、本当によかったのか? もちろん俺は助かったけど、執務官の立場上まずいだろ」 クロノ「上の連中には散々暴れたあと、転移魔方陣で逃げたって言っておくよ。それに僕はもう見たくないんだ。親しい人が『こんなはずじゃな い人生』を歩むのはね」 シン(そうか、確かクロノの父親は・・・) クロノの父親であるクライド・ハラオウンは11年前、「闇の書」の輸送中に、「闇の書」に彼が指揮していたアースラ同型艦「エスティア」の制御を奪われた。そのときやむなく乗艦と共に沈められ死亡している。 クロノ「時間が無い。すぐに海鳴市に転送しよう」 デュランダルを一振りすると、すぐさま転移魔法陣が出来上がった。あいかわらず、驚異的な詠唱スピードだ。 クロノ「はやてとリインフォースは託したよ、シン・アスカ」 シン 「了解しました! 帰ったら酒でも奢りますよ、クロノ提督」 魔法陣の上に立つと、一瞬でシンの体は海鳴市に転送された。 クロノ「提督? それに僕はまだ15歳なんだが・・・」 闇の書の自動防衛プログラム再生まであと『11時間27分』 クロノ「さて、単独で犯人を追い詰めたものの逃亡を許し、レリックまで奪われた。母さんはともかく、上層部にはどう言い訳するかな?」 だが、予想に反して、エイミィは何も言わなかったし(なぜか楽しそうだった) リンディ提督はにこにこしながら上層部を丸め込んだそうだ。 (もちろん、クロノは始末書を書く羽目になったが) その際、上層部の何人かは希望退職(名目上)したそうだが、関係があるかどうかは定かではない。 シン編 第3話 『御神の剣士』 十年前 海鳴臨海公園前 大通り アースラから海鳴市へ無事に転移したシンは、そのまま真っ直ぐ海鳴市藤見町64-5に走っていた。 いきなりお邪魔するのも迷惑なので、道中リンディ提督にもらった仕事用の携帯で連絡を入れる。 幸いにも、帰宅していた恭也が電話に出てくれた。 恭也「はい、もしもし」 シン「あ、恭也さんですか?俺です、シンです」 恭也「シンか!はやてが倒れたそうだが、大丈夫なのか?」 シン「そのことも含めて、お話したいことがあります。今からそっちにいきますから・・・」 恭也「なに?一体どういうこ・・・(ピッ)」 今は説明している時間が惜しい。どうせ向こうに行ったら話すことになるんだ。 その前に、状況を確認するためにデス子に連絡しなくては・・・。走りながらだったため、二、三度番号を間違えたが四度目でようやく繋がった。 シン「デス子、俺だ。リインフォースは見つかったか?」 デス子「海鳴市の周辺から調査してるんですが、まだ見つかりません。そっちの用事は済みましたか?」 シン 「あと一つ残ってる。今度のはたぶんギリギリまでかかると思う。それまでにはリインフォースを見つけておいてくれ」 デス子「任せてください!マスターこそ、遅れたら駄目ですよ!」 数十分後、御神流剣士の正装をしたシンが、高町家の道場で静かに時を待っていた。 しばらくして、恭也が道場に入ってくる。彼もまた御神流剣士の正装を着ていた。 恭也「すまない、遅くなったな。」 シン「いえ、理由も話せないのに、無理を言ったのは俺ですから」 二人とも普段とは纏っている雰囲気が違った。荒々しいが殺気とは違う。しいて言えば闘気が一番近いだろうか。 恭也「先に言っておくが、俺だけじゃなく父さんや美由希も反対だ。君は御神流攻撃の法も『斬』と『徹』しか会得してないし、『飛針』や『鋼 糸』にいたっては触ったことすら無い」 御神流攻撃の法は三つある。 通常の斬撃ではなく、引きながら切り裂くように切る『斬(ざん)』 御神流で使われる撃ち型で、表面から衝撃を伝え内面を破壊する技『徹(とおし)』 そして、相手の防御や回避のパターンを見切り、その隙を付いて攻撃を与える『貫(ぬき)』 【他には目を使わず、音と気配によって相手の居場所を知る『心(しん)』があるが、これは暗殺などをこなしていた不破家の技なのであえて除外】 小太刀だけでなく、『飛針(とばり)』と言われる相手へ向けて投げる小型の刃物、 『鋼糸(こうし)』と呼ばれるドイツの繊維メーカー・ゲインベルグ社製の鋼鉄の糸なども御神の剣士は武器として使用している。 シンがこの二つの武器を使えないのは、ナイフを扱っていた経験を生かして、小太刀の鍛錬を優先してやっていたからだ。 恭也「どこで体を鍛えたかはあえて聞かない。だが、逆に考えれば、基礎が出来上がっていたとは言え、たった三週間で『斬』と『徹』を会得で きたとも言える。君の剣士の資質は十分だ。」 シン「・・・・ありがとうございます」 恭也「だからこそ君の頼みは聞けない。君を俺の二の舞にはしたくないからな」 恭也は静かに語りだした。ずいぶん昔、まだ恭也と士郎が高町ではなく、不破と名乗っていた頃の話、テロ事件で士郎さんが大怪我をしたこと、小学生だった自分は家族を支えようと無理を繰り返していたこと、そのせいで交通事故に遭い大怪我をしたこと、現在は完治したが、当時は歩行すら困難だったこと、そしてその原因が『御神流奥義』の習得するための無茶な鍛錬あったことも・・・。 恭也「俺も六つある『御神流奥義』の内、四つ会得するのに17年掛かった。父さんですら、まだ全て会得できてるわけじゃない。先に断言してお くが、諦めたほうがいい。八時間では不可能だ。」 シン「・・・それでも、例え不可能だとしても、俺は諦める訳にはいかない!俺にも守りたい人たちがいる。そしてそのためには、あと十時間以内 に少しでも強くならないといけないんです!」 恭也(・・・・・・ふぅ、父さん、悪いが俺に説得は無理だ) この道場に来たとき、恭也には『御神流奥義』を教えるつもりなど毛頭無かった。 三週間しか御神流を習ったことがない人間が、たった八時間で会得ほど御神流の名は軽くはない。 元々才能はあるようだし、基礎もできている。 焦らずじっくり鍛えれば、数年で美由希と戦えるぐらいにはなるはずだ。 今日は何とか説得して、すぐに帰らせるつもりだった。 だが、実際に会ってみて気が変わった。 この闘気、この決意、いまだに剣は未熟だが、その思いだけは本物の御神の剣士だ。 恭也「・・・最初に父さんが言った、御神の剣士の心得を覚えているか?」 シン「今でもしっかり覚えています。士郎さんは始めてあったとき『御神の剣士は力無き人々の牙となり、大切な人々を守るための盾だ。君も大 切な人がいるなら、その人を守るために強くなりなさい』そういって、小太刀を渡してくれました。」 恭也「・・・八時間しかないなら、多少無理をすることになるぞ」 シン「危険は承知の上です! 恭也さん、俺に『御神流奥義』を教えてください。お願いします!!」 恭也は黙って、壁にある木刀ではなく自分が持ってきた二つの小太刀をシンに投げ渡した。 見たくなってしまったのだ。わずか三週間で御神の剣士の心得を体現した男が、このわずかな時間でどれほど高みに上がれるのかを・・・。 恭也「(俺もまだまだ甘いな)来い、シン・アスカ!永久不動八門一派・御神真刀流・小太刀二刀術。その全てを自分の体で受け止めろ!」 シン「は、はい! 全力でいきます!!」 貰った小太刀を裏十字に構え、シンはもてる技術全てを使い恭也に戦いを挑んだ。 【裏十字】 背中側の腰に二刀の刀を十字に交差するようにする刀の差し方で、柄をかなり腰の前まで持ってきている。 そのため、抜刀、納刀を繰り返すのには効果的。 そんな二人の様子を、この人達は道場の扉の隙間からジッと覗いていた。 美由希「あちゃ~、気になって身に来て見ればやっぱり始めちゃってる・・・。お父さん、止めなくていいの?」 士郎 「二人とも止めて聞くような男じゃないからね。しかしいつもクールな恭也をその気にさせるとは、さすが私が見込んだ男だけはある な!」 美由希「うん、でもシン君が怪我しないか心配だよ。いつもどこか危なっかしいから・・・」 士郎 「・・・・・・・・・・ヨクカンサツシテイルネ」 美由希「あ、そういうんじゃないんだって、無愛想だけどホントは優しいんだ///、とかいつも真っ直ぐでちょっといいかも///、とか、全然思ってないし、むしろ守ってあげたいみたいな//////。弟! そう弟みたいなものだよ!!!」 どれだけ言い訳をしても、顔を真っ赤にしてはまったくの逆効果だ。 特にこの男には、弱効果どころか致命的だったらしい。 《士郎の頭の中》 なのは→シンが大好き=好意 桃子→シンはお気に入り=好意 美由希→シンが気になる+同じ御神の剣士として切磋琢磨=恋愛!=結婚!=孫!!! まて、落ち着け士郎。まだそうと決まったわけでは・・・。 それに、親の気持ちより美由希の幸せが第一だ。シン君ならあと五年もたてば娘を任せられるほどになるかもしれん。 それに考えてみると、彼にははやてちゃん達がいるんだし、早々うちの子に手を出すはずがない。彼は子供にも人気があるからな。なのはも懐いてるし・・・。 ん、まさかそれって シン+美由希+なのは=三角関係!!=家庭崩壊!!! もしくは シン÷美由希+八神家+リンディ家=浮気!=美由希との破局!!=家庭崩壊!!! どの状況になっても、美由希やなのはが幸せになれる未来が浮かばないとは・・・。 なんにしろ確かなのは、あの男を生かしておけば御神流(高町家)にとって最大の脅威となる!!!!! 美由希「お、お父さん???」 シン・アスカ、あの時オーブから助けた恩を仇で返すとは・・・。(錯乱中) 再び不破家の姓を名乗るときが来たようだな。 美由希「あ、ちょっと、今入ったらまずいってば!」 士郎は殺気を振りまきながら、道場へと入っていく。 恭也「むっ、この殺気は・・・。いかん! 逃げろシン!!」 シン「なんですか、恭也さん?あ、士郎さん見てたん・・・(なんだ、息苦しい?)」 士郎「・・・うかつだったぜ。俺としたことが・・・こんな危険分子を育てていたとはな」 シン(なんだ、この威圧感《プレッシャー》は・・・。士郎さんの周りの空気がゆがんで見える!) 恭也「早く逃げろ!父さんはすでに少し錯乱している!!」 すさまじいほどの殺気だ。これが、御神の剣士の真の姿なのだろうか?さすが、二代目冥王を生み出した血筋だけはある。 シンにとっても、恐怖で体がすくむなど初めての経験だった。 士郎「シン君、君は『御神流奥義』を覚えたいそうだが?」 シン「え、はい、大切な人達を守りたいですから!」 士郎「なるほど、それなら見せてあげよう。『奥義之極み』以外の奥義を一から六まで順に打ち込んだ後、次はランダムで打ち込む。手加減する から体で仕組みを覚えたまえ」 相変わらず無駄に殺気を振りまきながら、士郎は壁の木刀を手に取った。 ちなみにその木刀は鉄心(中に鉄)が入っている為殺傷力は十分なのだが、本人以外は誰も知らない。 シン「し、士郎さん!? (恭也さん、助け・・・いないし!!!)」 突然の命の危機に、シンは一生懸命恭也の姿を探した。 が、すでに恭也は桃子さんを呼びに、美由希と共に店に走ったあとだった。 美由希「恭ちゃん、シン君は置いてっちゃったけどよかったのかな」 恭也 「あの隙のない構えだ。もはや俺達には手が出せない!シン、俺達が戻るまで死ぬんじゃないぞ!」 はい、無理です。 士郎「では、始めるとしようか」 シン「俺は終わりそうな気がします」 士郎「いくぞ! まずは奥義之壱『虎切』(こせつ)!!」 一瞬で士郎さんの姿が掻き消えると同時に、俺の中に『あの感覚』が発動した。 どうやら今度ばかりは俺もやばいみたいだな。だが、おかげで見える! 奥義之歩法『神速』が目で追える! 後で知った話だが、奥義之壱『虎切』とは超距離からの抜刀術で、鞘走りを使用し、高速で放つ御神流でも一、ニの速度と射程距離を持つ技だそうだ。 すさまじい剣速だ。間に合うか! 鈍い音とともに、小太刀を持っている手にすさまじい衝撃が走った。 シン「・・・・・・っぐうう(なんとか防ぎきったか?)」 士郎「ほう、これを防ぐか。なら次だ!奥義之弐『虎乱』(こらん)」 勢いそのままに突撃した士郎は、密着した体勢のまま奥義之弐『虎乱』を放つ。 虎切の発展型奥義だけあって、連撃を食らったシンは一気に壁際まで吹き飛ばされた。 シン「う、がはっ(速すぎる! 反応できても体が追いつかない!)」 士郎(体を捻って、急所への打撃を避けた!まさかこれほどとは・・・) 何とか体勢を整えようとするシンだったが、士郎が連続で放つ『斬』のせいでうまく動けない。 シン(受け流すだけで精一杯だ! こんなに実力差があるなんて・・・) 士郎「埒が明かないな。ならば、これで終わらせよう!! 奥義之参『射抜』(いぬき)」 『射抜』とは御神流奥義の中で最長の射程距離を誇る超高速の連続突きだ。 そのうえ突きの発動後、薙ぎへと変化させることができる。 案の定、三撃目を受け流したと思ったシンは、徹の発展型の奥義である奥義之肆『雷徹』(らいてつ)をモロにわき腹に受ける。 シン「ごほぉっ(しまった!い、息が・・・)」 そしてそれは決定的な隙となった。 士郎「(ここまでだな)止めだ! 奥義之伍『花菱』(はなびし)」 シンはすさまじい斬撃によって、反対側の道場の壁に叩き付けられる。 それでも小太刀を離さず立ち上がれたのは、このまま終わって堪るかと言う彼の意地と根性だ。 シン「・・・・まだ・・終わってませんよ。士郎さん!」 士郎「よく立った。だがこれが最後だ! 奥義之六『薙旋』(なぎつむじ)」 相手へと突進しながら、抜刀術からの四連続の斬りを打ち込む、抜刀術の剣速に突進術の威力も含めた、高度な技だ。 もちろんフラフラのシンが避けられる筈も無く、四つの斬撃全てを喰らい、壁を突き破って道場の外まで吹き飛ばされた。 士郎「・・・・・・少々やりすぎたか?」 思いっきり奥義を放って気が済んだのか、彼はいつもの高町士郎に戻っていた。 士郎(これしきのことで冷静さを失うとは、私もまだまだ修行が足らん。というかシン君死んでないだろうな!!) さすがに心配になったのか、士郎は道場の外にシンを迎えに行った。 しかし、心配ご無用。シンは吹き飛ばされながらもしっかりと着地を決めていたのだ。 ・・・・・・桃子さんの上に。 シン「げほっげほっ、いって~、マジで死ぬかと思った。・・・・ん、なんかやわらかい?(このもみ心地はなかなか)って、桃子さん! 大丈夫で すか!」 桃子「・・・きゅう(気絶中)」 そう言いつつも、桃子さんの胸から手を離さないのがシンのパルマクオリティー。 幸い気絶しているだけのようだし、怪我もない。一度、木に弾かれてから落ちたせいで落下の衝撃が弱まったのだろう。 恭也「・・・・・ここまでピンポイントで落下するとは、相変わらず見事だな」 美由希「シン君! いい加減にお母さんの胸から手を離しなさい!!!!!」 さあ、ここで問題です。この状況を士郎さんが発見したら、どうなるでしょうか? 士郎「シン君、さっきは済まなかった。娘のこととなるとつい・・・・・・・・・」 シン「はっ! ま、待ってください! これは不可抗力で・・・」 A.どう見てもシンが腹いせに桃子さんを襲っているように見えます。 士郎「・・・・・・続きといこう。さっきも言ったように、次はランダムで打ち込む。今度は手加減なしだ」 士郎さんの氷のように冷たい目が俺を睨んでいる。殺気も数倍に跳ね上がり、シンの体は金縛りにあったように動かない。否、動けない。 シン(士郎さんの声が聞こえない。心臓を鷲?みにされたような感覚・・・これが殺されるという本能的な感覚か・・・) 彼はこのときほど、自分の女難を後悔したときはなかった。 士郎「さよならだ、シン君。あの世で桃子に詫びたまえ! オラァ『薙旋』『花菱』『射抜』『虎切』『射抜』『花菱』『虎乱』『雷徹』『花 菱』 『射抜』『虎乱』『雷徹』『雷徹』『虎乱』『雷徹』『花菱』『虎乱』『虎切』『花菱』『虎乱』『虎乱』『雷徹』『花菱』『虎 乱』『虎切』 『虎切』『虎乱』『花菱』『虎乱』『雷徹』『花菱』『虎乱』『虎切』『花菱』『虎乱』『花菱』『虎乱』『雷徹』『虎 乱』『雷徹』『虎乱』 『虎乱』『射抜』『薙旋』『雷徹』『射抜』『花菱』『虎乱』『花菱』『射抜』『虎乱』『雷徹』!!!」 シン「ぐぼぁぁああーーー」 シン・アスカ、現世からリタイア。 あの世 あれ、ここは・・・。そうかまたここへ来たのか。 この何もない殺風景な景色も、目の前にいるひげもじゃの大男の顔もさすがに見飽きたな。 夜摩「お主も懲りずによく来るな。三日に1度は来ているのではないか?」 余計なお世話です。そういえばあいはどうしたんですか? 今日は川にはいないみたいですけど・・・。 夜摩「今日は非番だ。三藁どもと少し出かけるらしい。おかげでわざわざ、ワシが相手をする羽目になった」 ・・・ご苦労様です。 夜摩「まったく、最近は死人が増えて忙しいというのに・・・。もっと気をつけて生きられんのか?毎回送り返す我々の身にもなってみろ」 わかってるんなら、俺の女難を何とかしてください! 好きでこんな目に遭ってるんじゃない! 夜摩「おっと、だいぶ時間が経ってしまった。そろそろ送り返さんとな。」 話をそらすな! それでも地獄を仕切ってんのか、あんた! 夜摩「余計なお世話だ。では、始めるぞ」 現世 光に包まれて、肉体の感覚が戻ってくる。 あれだけ痛めつけられたのに、今は体のどこにも痛みが無かった。 シン 「う、なんだ。もう帰ってきたのか?」 シャマル「シン君、大丈夫ですか?」 シン 「あれ、シャマル? どうしてここに?それに士郎さんは?」 シャマル「私は恭也さんから、シン君が死に掛けてるって聞いて来たんです。間に合ってホントによかった」 恭也 「父さんなら、母さんが連れて行った。そのあとは・・・・聞かないほうがいい」 なるほど、どうやら俺は桃子さんのおかげで、命拾いしたらしい。 俺あんな事しちゃったのに・・・あとで全力全開で誠心誠意謝っておこう。 シン 「って、俺は何時間寝てた! 時計は・・・よかった。まだ三十分しかたってない。恭也さん、続きをお願いします!」 恭也 「もう少し休んだほうがいいんじゃないか?」 シン 「いえ、時間がありませんから! シャマル、はやてとリインフォースを頼むぞ!」 シャマル「あの、他の守護騎士が何をしてるかは聞かないんですか?」 シン 「あれだけいわれて黙ってる奴は、ヴォルケンリッターにはいないだろ」 それだけ言い残すと、シンと恭也は再び道場で鍛錬を始めた。 シャマル「・・・お見通しってわけ、なんか悔しいな」 シャマルが病院に戻ろうとしたときだった。 シャマル「・・・え、クラールヴィントに魔力反応? これはリインフォース!」 町中に張り巡らされたようやく魔力センサーにようやく反応があったのだ。しかも、その場所は・・・ シャマル「海鳴大学病院! いけない、私達も急がないと! ヴィータ、ザフィーラ、デス子ちゃん聴こえますか?」 闇の書の自動防衛プログラム再生まであと『9時間11分』 おまけ 道場内 恭也「シン、あとで美由希にもお礼を言っておいてくれ」 シン「へ? 何でまた?」 恭也「覚えていないかもしれないが、シャマルさんを呼びにいっている間にお前を介抱してくれたのはあいつだ。」 シン「そうだったんですか。じゃあ念入りにお礼言っとかないと・・・」 恭也「それとだな。言い難い事なんだが、お前は心配停止状態でかなり危険だったそうだ。それで、美由希が・・・」 シン「ああ、わかってますよ。士郎さんの事は恨んでません。俺は気にしてませんから、って伝えておいてください」 恭也「・・・・・わかった(集中できなくなるかもしれないし、今は伝えないほうがいいか)」 美由希「人工呼吸はキスじゃない///人工呼吸はキスじゃない////人工呼吸はキスじゃない/////」 桃子 「あらあら、美由希ったら・・・(顔を真っ赤にして、かわいい?)」 十年後 なのは「(ピキ―ン!)今近親者の中から裏切り者が出た上に、とんでもないイベントが起きたせいで、ダントツで先に進まれたような気がしたんだけど・・・・」 はやて「(キュピーン!)奇遇やな。私もこれまでに無いほどの強力なライバルが現われた気がしたんよ」 フェイト「(パキーン!)便乗、便乗?」 アティ「何をやっているんでしょう、あの三人は?」 水銀燈「さぁ? また妄想じゃないのぉ?」 朝倉 「よく似た情報は前にも観測したわ。確かニュータ○プだったかしら」 リインⅡ(あの人たちの場合は唯の電波だと思いますけど) 前ページ次ページなのはクロスの作品集