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~ゆっくり一家の生涯『博麗神社編』(前編)』~ ここは幻想郷の東の端の端、外の世界との境界に位置する博麗神社である。 この神社の床下(縁の下)にはゆっくり霊夢の家族が住んでいた。 お母さんゆっくり霊夢(以後お母さん霊夢)1匹に赤ちゃんゆっくり霊夢(以後プチ霊夢)10匹の幻想郷で最もよ く見かけるゆっくり一家だ。 「「む~しゃ♪む~しゃ♪」」 「ゆっくりたべてね!」 お母さん霊夢が巣の外で頬袋にためこんだ食べ物をプチ霊夢達に与えている。 住み始めてからゆっくり一家はある意味とてもゆっくりすることができていた。 神社は幻想郷でも辺境に存在するため天敵であるゆっくり種とも遭遇することはまずなく、民家に無断で侵入し人間 に虐殺されるなんてこともなかった。 また、他のゆっくり種との小競り合いもなかった。神社までたどり着くことができるゆっくりがほとんどいないのだ。 (ここで補足しておくと、神社へ人間の里から行くには、見通しが悪く妖怪に襲われる危険もある獣道を通らなればな らない。神社に通ずる獣道は危険度が高いため、ゆっくりが生き延びて神社にたどり着くことはまずないのだ。) ではなぜこのゆっくり一家が神社の床下に住んでいるかと言うと話は約1ヶ月前まで遡る。 「よぉ霊夢、遊びに来てやったぜ!」 「なによ魔理沙、またお茶とお菓子をたかりにきたの?」 「そう言うなよ、今日はお茶請けの菓子を持ってきたんだぜ?」 魔理沙は手に持っている風呂敷包みを掲げて見せた。 「そう言うことは先に言いなさい、さぁ上がって上がって。」 「それじゃ、遠慮なく上がらせてもらうぜ。」 魔理沙が卓袱台(ちゃぶだい)の前に座ってくつろいでいると霊夢がお茶を運んできた。 「で、お茶請けのお菓子って言うのはなんなの?」 「これだぜ。」 魔理沙は卓袱台の上に風呂敷包みを置き、結びを解いた。そして霊夢はかたまった。 「・・・・・何これ?」 「何って見ればわかるだろ?私の家に忍び込もうとした不届き者を捕まえて持ってきたんだ。」 風呂敷包みの中から現れたのはスヤスヤと眠っているお母さん霊夢1匹とプチ霊夢6匹だった。 「ゆっくりだと言うのは見ればわかるわよ、こんなの食べられるわけな・・・。」 「食べられるぜ?しかもお茶請けにはぴったりだ。」 「え!?」 驚く霊夢を見て魔理沙も驚いた。 「ひょっとしておまえ、ゆっくりが食べられるって知らなかったのか?」 「・・・私を騙してるわけじゃないでしょうね?」 「騙してなんかないって。」 魔理沙は1匹の眠っているプチ霊夢をつかみ、体の半分ほどに一気にかぶりついた。 「ゆ゛う゛ーー!」 あまりの痛みに悲鳴を上げ一瞬で目を覚ますがすぐに絶命するプチ霊夢。 「今悲鳴を上げたわよ!?」 「そりゃあネムリダケから作った薬で眠らせてあるだけだからな、人里じゃ眠っていないゆっくりでもそのまま食べる らしいぞ?ちなみにこのゆっくりはちゃんと洗ってから持ってきたからきれいだぞ。」 とてもおいしそうにプチ霊夢を食べる魔理沙の様子から窺(うかが)うに、まずいということはなさそうだった。 「絶対おいしいって、騙されたと思って食べてみろよ。」 魔理沙の強い推しに負けてプチ霊夢を手に取る霊夢。 霊夢の手の上のプチ霊夢はこれから自分に起こる事など知る由もなく、ただスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。 そして霊夢は目を瞑(つむ)り一気にプチ霊夢にかぶりついた。 「ゆ゛う゛ーー!」 先程と同じように悲鳴を上げ絶命するプチ霊夢。 霊夢の口の中には甘すぎず、そして濃厚な餡子の旨味が広がっていた。 「おいしい!」 「だろ?私も初めは食べれるって事に半信半疑だったがアリスの家に遊びに行ったとき食べさせてもらったんだ。それ 以来、森でキノコを探すついでにゆっくりも捕獲してるんだぜ。」 「へぇ~いいわね、神社周辺じゃゆっくりなんて見かけないわ。」 「森と違って妖怪やら幽霊が神社の周りには多いからな。」 その後、霊夢と魔理沙は何気ない雑談をしながらプチ霊夢達をたいらげた。 「そういえばこのでっかいのも食べられるの?」 子供が目の前ですべて食べられたのに気が付かず、スヤスヤと眠っているお母さん霊夢を突っつきながら霊夢は魔理 沙に尋ねた。 「食べられるには食べられるんだが餡子はパサパサしててまずいらしい。そいつは別の目的で連れてきたんだ。」 「別の目的?」 「毎回ゆっくりを運ぶのも面倒なんでここで繁殖させようと思ってな。そうすれば饅頭食い放題だぜ。」 「な!バカな事言ってるんじゃないわよ。エサ代がバカにならないわ!」 霊夢は立ち上がり卓袱台をドン!と叩き魔理沙に猛抗議した。 「いやいや、お前がわざわざエサをやる必要なんてない。神社の床下にでも住まわせて自分でエサを取らせばいい。」 霊夢は魔理沙の言葉を聞くと再び卓袱台の横に座り魔理沙の説明の続きを聞いた。 「私も家の近くの木の洞にゆっくりの家族を住まわせてるんだ。食べたいときに眠らせてプチゆっくりを捕まるんだ。」 「そんな頻繁に子供が減るんじゃゆっくりもすぐ逃げ出すんじゃないの?」 「それがな、ゆっくりは頭が悪いから少し子供が減ったくらいじゃ気が付かないんだぜ。」 「・・・・・どこまで⑨なの?こいつ。」 まだスヤスヤと眠っているお母さん霊夢の頬を抓(つね)りながら呆れる霊夢であった。 「で、ゆっくりはどうやったら増えるの?」 「もう一匹ゆっくりを用意して発情させて暗い場所に放置すればいいらしい。だがその方法だと時間がかかって面倒な んだ。そこでこの秘密兵器を使うんだ。」 「秘密兵器?」 魔理沙は風呂敷とは別に持ってきた入れ物を開け、中から霧吹きのようなものを取り出した。 「私の目の錯覚かしら?ただの霧吹きにしか見えないのだけれど。」 魔理沙は人差し指を立てチッチッチと言いながら指を振って説明を始めた。 「これは確かに普通の霧吹きだが中に入っている液体が重要なんだ。森で採れる幻覚作用を持つキノコから作った魔法薬 が入っててな、これをゆっくりに吹きかけると興奮しだして勝手に子供を生むんだぜ。」 「また妙なもの作ったわね、いったい何のために作ったのよ?ゆっくりに使うためじゃ無かったんだしょ?」 「いやぁ~アリスに使ったらどんな反応をするか見てみたくてな、試しに実験台としてゆっくりを使ったんだ。そしたら いきなり興奮しだして子供を産んでな、さすがにびっくりしたぜ。」 霊夢は呆れていたが結果的に饅頭の数を増やすことができるようになったのだからとこれ以上突っ込むのはやめた。 「それじゃそろそろはじめようぜ。」 魔理沙はお母さん霊夢を持ち上げると霊夢を誘い庭へ出た。 「子供を生ませる前にやっておかないといけないことがあるんだ。さすがのゆっくりブレインでも目を覚ませば森とは別 の場所にいるのには気が付くからな。初めが肝心なんだ、途中話かけるから適当に返事をしてくれ。」 「えぇわかったわ。」 魔理沙は抱えているお母さん霊夢を離した。当然お母さん霊夢は自由落下を始めドスっと音を立てて地面にぶつかる。 さすがに衝撃が大きかったのかお母さん霊夢は目を覚ました。 「ゆ?ここはどこ?おうちがないよ!れいむのこどももいないよ!」」 混乱してキョロキョロ周囲を見回すお母さん霊夢に後ろから魔理沙は話しかけた。 「お、やっと起きたか。体は大丈夫か?」 お母さん霊夢は振り向いたが少し警戒しているようだった。 「おねえさんだれ?ここはどこなの?れいむのこどもはどこなの?」 警戒するお母さん霊夢の前にかがみこむと魔理沙は話し出した。 「実はなお前達の一家はゆっくりれみりゃの集団に襲われたんだ。たまたま通りかかった私がゆっくりれみりゃを追い払 ったんだが・・・残念ながら子供はすべて食べられてしまったんだ。」 突然の魔理沙の説明に呆然とするお母さん霊夢だったが次第にぶるぶる体を震わせ始めた。 「・・・・・ゆ゛う゛う゛う゛う゛う!!!」 そして次第に目から涙が流れ出し、 「どおじでぇ゛ぇ゛ぇ゛!? どおじでぇ゛ぇ゛ぇ゛!? そんなのれいむはおぼえてないよおぉぉぉ!」 「落ち着くんだ、あまりのショックに覚えてないだけなんだ。」 必死(演技)に魔理沙はお母さん霊夢をなだめようとするが一向に泣き止まない。 「れいむのがわいい、がわ゛い゛いごどもがみんなしんじゃっだなんでうぞだあぁぁぁ!」 「うそじゃないんだ、これを見るんだ。」 魔理沙はスカートのポケットから先ほどお茶請けにおいしくいただいたプチ霊夢達のリボンを取り出して見せた。 「あ゛!あ゛あ゛あ゛!でいぶのがわいいこどもが!こどもがあ゛ぁぁぁ!」 お母さん霊夢は子供達がゆっくりれみりゃに食べられたと信じたようだ。 10分ほど放っておくとお母さん霊夢は次第に泣くのをやめだした。 「どうだ?落ち着いたか?」 「うん、おねえさん、れいむをたすけてくれてありがとう。」 自分の子供を食べた張本人だとは思いもしないお母さん霊夢は魔理沙にお礼を言った。 「あそこにいる巫女にも礼を言った方がいいぞ。お前の怪我を治療してくれたんだ。」 お母さん霊夢は跳ねて進み霊夢の足元で止まり上を見上げた。 「あかいおねえさん、れいむのけがをなおしてくれてありがとう。」 「えぇいいのよ。」 霊夢は適当に返事をした。 泣き止みはしたが、まだショックから立ち直れずに呆然としているお母さん霊夢に魔理沙が話しかける。 「よかったら友達になってくれそうなゆっくりでも紹介してやろうか?」 「ともだち?」 友達という単語に反応しお母さん霊夢は顔を上げた。 「あぁ一緒にゆっくりできる友達だ。」 ゆっくりという単語にお母さん霊夢はさらに反応した。 「ゆっくりともだちをしょうかいしてね!」 すかさず先ほどの魔法薬の入った霧吹きを吹きかける。 「ゆ?」 頭の上に?マークを浮かべるお母さん霊夢であったが、次第に口はだらしなく開かれ、顔は赤みが濃い色彩を帯 び、目はとろんとしだした。 「ま、まりさぁ、れいむもまりさのことがだいすきだよ!」 一匹しかいないのに何かに擦り寄る動作をするお母さん霊夢。しばらくすると興奮しながら体をうねらせる。 「ゆゆゆゆゆ!んほおおおおお!」 大声を上げ口を大きく開けたまま硬直するお母さん霊夢。 しばらくするとお母さん霊夢の頭から緑の芽が顔を出し、ぐんぐんと成長していった。 「な、なに!?私の饅頭生産機に何が起こったの?」 霊夢はお母さん霊夢の状態を見て心配になったのか魔理沙に質問した。 「心配するな、ゆっくりの子供は母親ゆっくりの頭から伸びた蔓に実るんだ。ちなみに成熟していないゆっくりが 子供を生むと黒くなって朽ちてしまうんだ。これくらいでっぷり成長したゆっくりなら大丈夫だがな。」 しばらくすると伸びた茎の先にゆっくり霊夢の赤ちゃんが実りだした。お母さん霊夢の意識はまだ戻っていない が朽ち果ててはいなかった。その様子をまじまじと見ていた霊夢は不思議そうな顔をしていた。 「それにしてもゆっくりっていったいなんなのかしらね?動物のようだけど中身は餡子だけ、子供は植物のように 増える、さらには幻覚を見せたくらいで勝手に興奮して子供を産むだなんてまったくもって理解不能な生物だわ。 生物かどうかも怪しいわね。」 「確かにわけのわからない生物だな、まぁ私からすれば簡単に饅頭が手に入るようになったという事実があれば十 分だがな。」 30分程経つと蔓の先に実ったプチ霊夢達は先ほどおいしくいただいた物と同じくらいのサイズに成長していた。 1匹のプチ霊夢が蔓の先から音も無く切り離され地面に落ち、それに続くかのように他のプチ霊夢も続々と地面 に落ちていった。そして1番初めに地面に落ちたプチ霊夢がむくっと顔を上げた。 「ゆっくりちていってね!」 それが合図であるかのように他のプチ霊夢たちも目を覚まし次々と産声(ゆっくりちていってね!)を上げた。 最後のプチ霊夢が産声を上げるとお母さん霊夢の意識が戻り、蔓も抜け落ちた。 「・・・ゆ!まりさはどこ?」 幻覚を見ている最中の交尾相手であるゆっくり魔理沙を探しているようだった。 「よぉ気が付いたか。ゆっくり魔理沙ならお前が子供とゆっくりできるように去って行ったぜ。」 「ゆ!そうだったの!さすがれいむのおともだちのまりさだね!ともだちおもいだね!」 さすがゆっくりブレイン簡単に信じ込んだようだ。 周りにいる総勢15匹のプチ霊夢はお母さん霊夢に擦り寄ってきた。 「「おかあさん、おかあさん」」 「みんなれいむのたいせつなこどもだよ!こんどはぜったいまもるよ!」 ちなみにお母さん霊夢が魔理沙に捕まったのはお母さん霊夢自身が魔理沙の家に忍び込もうと提案したのが原因 である。自業自得だ。 初めは親子で頬ずりし合っていたが、しばらくするとお母さん霊夢は周囲をキョロキョロ見回しだした。 「いまからゆっくりできるばしょをさがしにいくよ。」 それを聞くと待ってましたとばかりに魔理沙が前に出る。 「それならオススメのゆっくりできる場所があるぜ。」 お母さんれいむの目の色が変わる。 「ゆ!おねえさん、れいむたちをそこにゆっくりあんないして!」 魔理沙は神社の縁側までゆっくり一家を案内した。 「ここだ、ここから建物の床下に入れるんだ、広さは十分なはずだぜ。」 お母さん霊夢はプチ霊夢達をその場へ待機させ巣の下見のため1匹で床下へもぐっていった。 3分ほどすると入っていった場所からお母さん霊夢がにょきっと顔をだした。 「きにいったよ!きょうからここがれいむたちのおうちだよ。」 「「おうち♪おうち♪」」 図々しくも早速自分の家宣言をするゆっくり一家。 一家そろって大喜びだ。そこにすかさず魔理沙が釘をさす。(言葉で釘をさすって意味だからね) 「そうそう、この建物の中には絶対に入っちゃだめだぞ。ゆっくりにとって危険な物がたくさんあるんだ。もし入 ったら二度とゆっくりできなくなるからな。たとえ中からおいしそうな匂いがしたとしてもだ。わかったか?」 「ゆ!ゆっくりできなくなるのはいやだよ!ぜったいなかにははいらないよ!」 お母さん霊夢は魔理沙の言葉を信じたようだ。ゆっくりブレイン+優しいお姉さんの言葉というのが効いたのだ ろう。 「子供達にも言い聞かせるんだぞ、わかったか?お前達が巣にする床下は安全だからゆっくりすればいい。」 お母さん霊夢は頭だけの体でお辞儀をするとプチ霊夢達を連れて床下へもぐっていった。 「意外に聞き分けが良かったわね、あの饅頭生産機。」 ゆっくり一家が床下へ消えると霊夢は話し出した。 「成長したゆっくりは言い聞かせればある程度約束は守るんだ。もし霊夢の居住スペースに入り込んできたら眠ら せて子供をすべて食べるなり料理してしまえばいい。その後母親を別のところへ移してさっき私が見せたような 演技をして恐怖を植えつければいいのさ。」 「わかったわ。それにしてもよくあんな演技ができるわね、ある意味感心するわ。」 「饅頭のためだぜ!」 一通りの作業が終わる頃には日が傾きかけおり、魔理沙は睡眠液と幻覚液の入った霧吹きをそれぞれ霊夢に渡 すとほうきにまたがり家へ戻っていった。 霊夢は念のため饅頭達が進入できないように居住スペースに結界を張った。 次の日、お母さん霊夢は目覚めるとまず初めに子供達の確認をした。 「ひー、ふー、みー。ちゃんとみんないるね!」 成長したゆっくりとは言え所詮ゆっくりブレイン。数は3までしか数えることが出来ない。 現在お母さん霊夢の横で眠っているプチ霊夢の数は14匹。昨夜霊夢が1匹こっそりとさらいおいしくいただい たのだ。もちろんお母さん霊夢は気が付いていない。 「みんな~ゆっくりめをさましてね。」 プチ霊夢達がすべて目を覚ますと巣から出ないように注意した後、エサの調達に出かける。 神社の周囲には昨夜霊夢によって結界が張られていた。お母さんゆっくりが遠くまで行って人間や妖怪に捕まら ないようにするためだ。 もちろんエサがある程度確保できるように神社の境内から少し距離を置いたところに結界は張ってある。 お母さん霊夢はいずれ霊夢たちにおいしく食べられてしまうプチ霊夢達を育てるためにせっせとエサを集めをす るのだった。 こうしてこのゆっくり一家は子供が頻繁に減るものの、その事に気が付かないためある意味とてもゆっくりと過 ごすことが出来たのである。 End(前編) 作成者:ロウ 後編へつづく
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~ゆっくり一家の生涯『博麗神社編』(後編)』~ ここは幻想郷の東の端の端、外の世界との境界に位置する博麗神社。 神社の床下にはゆっくり霊夢の一家が住んでおり、今日もお母さん霊夢は可愛いプチ霊夢達のためにエサをせっ せと運んでいた。現在お母さん霊夢が育てているプチ霊夢は8匹、霊夢や魔理沙によって食べられ、増やされた りでこの数に至る。 「「おかあさん、おなかちゅいたよ~。」」 「すぐにごはんをとってくるからゆっくりまっててね。」 子供達がいつまで経っても大きくならないことにまったく気が付かないお母さん霊夢は、毎日毎日終わることの 無い子育てを続けていた。 ある日霊夢は外の騒がしさで目を覚ました。 「なんなのよ、こんな朝っぱらから。」 賽銭箱の辺りが騒がしいことに気が付くと、眠気は吹っ飛んだ。 巫女服に着替えるとすぐさま賽銭箱へ向かう。 賽銭箱はゆっくり一家に囲まれ体当たりされていた。 「あんたたち何やってんの!」 「「ゆ!」」 お母さん霊夢とプチ霊夢は怒鳴り声でびくっとする。 「私の大切な賽銭箱に何してるの!事と場合によってはただじゃおかないわよ!」 鬼の形相でゆっくり達に迫る霊夢であったが、お母さん霊夢は必死に説明しようとする。 「ち、ちがうの!れいむたちはわるいことしてないよ!」 「「ちがうの、ちがうの。」」 必死に弁明しようとするゆっくり一家だったが、霊夢はさらに言い寄る。 霊夢の迫力に押され、プチ霊夢たちは涙を流して震えていた。 「何が違うって言・・・」 「くら゛いよ゛おぉぉぉ!おがあさんだずげでえぇぇぇ。」 突然賽銭箱の中から泣き声が聞こえた。そして霊夢はすべてを理解し穏やかな顔に戻った。 「ふぅ、何事かと思ったら子供が賽銭箱の中に落ちちゃったのね?」 「うん、れいむのかわいいこどもがこのはこのなかにおちちゃったの。あかいおねえさんおねがいたすけて。」 「「たちゅけて」」 (まったく、饅頭の分際で迷惑かけるんじゃないわよ。) 「わかったわ、すぐに助けてあげるから賽銭箱から離れて。」 ゆっくり達を賽銭箱から離すお賽銭の取り出し口の鍵を開けた。 「な!?」 賽銭箱中の光景を見て霊夢は凍りついた。プチ霊夢が紙切れをムシャムシャと食べていた。 その紙切れには0が4つ描かれていた。万札である。 お札のお賽銭など年に1度入っていれば良い方で、入っていたとしても0が3つのお札くらいだった。 0が4つのお札など未だかつて賽銭箱の中に入っていたことは無かった。しかしその初めての高価なお賽銭は目 の前でプチ霊夢に食べられていた。 賽銭箱の中のプチ霊夢は出口が開かれると食べていた万札を銜(くわ)えたままお母さん霊夢に飛びつく。 「おがあざあぁん、こわかったよおぉぉぉ。」 「もうだいじょうぶだよ!おかあさんとゆっくりしようね!」 お母さん霊夢は我が子にやさしく頬ずりをしてなぐさめてやった。 しばらくするとお母さん霊夢は閉じ込められていた子供が加えている紙切れに気が付いた。 「ゆ?そのくちにくわえているものはなあに?」 「おなかがちゅいてめのまえにあったものをたべたの。ぜんぜんおいちくないよ!」 プチ霊夢は銜えていた万札をペッっと吐き出した。 ブチ! 霊夢は切れた。 「・・・ねぇあなた達、お菓子欲しくない?」 霊夢の言葉を聞くとゆっくり達は先ほどのことを忘れたかのように騒ぎ出した。 「おかしほしい!」 「おかち♪おかち♪」 「・・・そこで待ってなさい。」 ゆっくり達ををその場へ待機させ、あるものを取りに行った。 戻ってきた霊夢をゆっくり一家はキラキラした目で見つめていた。 「・・・万札の恨みははらさせてもらうわ。ゆっくりとね!」 ゆっくり一家に魔理沙からもらった睡眠液を吹きかけた。 「ゆ?ゆうぅぅぅ・・・zzzzz」 「ゆ?」 お母さん霊夢は透明な箱の中で目を覚ました。 すぐ傍ではプチ霊夢達がスヤスヤと眠っていた。箱の広さはお母さん霊夢3匹分ほど、周囲は透明な壁で覆われ、 上部は筒抜けであったがゆっくりの跳躍力では届かない高さだった。 霊夢はお母さん霊夢が目を覚ましたのに気が付くと箱を蹴った。 「さっさと起きなさい。」 箱が大きくゆれるとプチ霊夢達も目を覚ます。 「おかちは?おかちは?」 お菓子をあげると言ったことは憶えていたらしい。 「あかいおねえさん、ここはどこなの?おかしはどこなの?」 「お菓子をあげるためにここまで運んであげたのよ。」 赤黒くどろっとした液体が盛られた皿をゆっくり達の入っている箱の中へ置いた。 「お汁粉というあま~いお菓子よ、食べなさい。」 目の前に置かれた液体からおいしそうなあま~い匂いが漂ってくるとお母さん霊夢と7匹のプチ霊夢は一気に飛 びついた。 「うっめ!これめっちゃうま!」 「「あまあま♪おいちい♪」」 あっという間にゆっくり達はお汁粉をたいらげた。お母さん霊夢はお皿をきれいに舐め回し、子供についている お汁粉も舐めていた。子供たちはお母さんが体を綺麗にしてくれているのだと喜んでいたがもちろん今のお母さ ん霊夢の頭の中にあるのはお汁粉を少しでもたくさん食べたいという欲求だった。 「あかいおねえさん、もっとたべたいよ!」 「おちるこ♪もっともっと♪」 ゆっくり一家は物足りない顔をして御代わりを要求してきた。 「すぐに作るから少し待ってなさい。よかったら作るところを見てみない?」 ゆっくりというのは基本好奇心旺盛で後先考えず行動するという習性をもっている。 ゆっくり達がおいしかったお菓子の作られる工程に興味を持たない筈が無かった。 「ゆっくりみたいよ!」 「「みたいみたい。」」 予想通りゆっくり一家は提案にくいついてきた。 そしてお母さん霊夢を持ち上げ、透明な箱に入れ蓋をして封印の札を貼った。 この箱は以前アリスが神社へ遊びに来たときにもらったものだった。 (「いずれあなたにもこれが必要になる時が来るはずよ。」) あの時のアリスの言葉が脳裏に浮かぶ。いくつか箱をもらったが邪魔だったので倉庫に放り込んでおいたのだ。 「まさか本当に使う時が来るとは思ってもみなかったわ。アリスはこうなることがわかっていたのかしら?」 アリスとのやり取りを思い出していると、お母さん霊夢の不満気な声が聞こえてきた。 「あかいおねえさんここせまいよ!ゆっくりできないよ!」 適当な事を言ってもうしばらくの間は信頼させておくことにした。 「あらごめんなさい、お汁粉はね作るのに火を使うからとても危険なの。怪我をするのはいやでしょ?だから安全 な箱に入ってもらったの。」 さすがに嘘だとわかりそうなものだが、さすがゆっくりブレインだという反応が返ってきた。 「ゆ、そうだったの?うたがってごめんね!あかいおねえさん。」 (呆れる程⑨ね、なんでこいつら絶滅しないのかしら?) お母さん霊夢の入った箱を持ち上げると先に台所へ運んだ。 台所の戸棚を開けると安い煎餅を取り出し二つに割った。 それぞれの煎餅に慎重に小さな穴を開け糸を通し、プチ霊夢達の入った箱へ飛んでもぎりぎり届かない高さに垂 らす。 「このお菓子に初めに飛びつけた2匹には特別なことをしてあげるわ。」 お菓子と特別の二つの単語に反応しプチ霊夢達は我先にと煎餅に飛びつくが、もちろん届かない。 「「おかち、おかち、とどかないよおぉぉぉ。」」 あるプチ霊夢は他のプチ霊夢を踏み台ににしてお菓子にかぶりつき、すかさず霊夢は釣り上げる。 それを見ていたプチ霊夢達も真似をしてお菓子へ飛びつこうとする。 1匹の不幸なプチ霊夢は複数のプチ霊夢に同時に踏み台にされたためぺちゃんこになり命を落とした。 そして残り1個の煎餅へプチ霊夢がかぶりつくと同じように釣り上げた。 「じゅるいよおぉぉぉ。」 箱に残されたプチ霊夢達は一斉に不満を漏らした。 不満を言うプチ霊夢達を無視して釣り上げた2匹を他のプチ霊夢達に気が付かれない様に鍋の中に入れて蓋をす る。 「特別なことをしてあげるからそこでゆっくり待ってなさい。」 これから自分達に起こる事など知らない2匹はワクワクしながら霊夢の言う通りゆっくりと待っていた。 霊夢は鍋に入れた2匹のプチ霊夢を残し、4匹のプチ霊夢(透明な箱ごと)を台所へ移動させた。 4匹のプチ霊夢が入った透明な箱をお母さん霊夢の入った箱の横に置く。 お母さん霊夢は子供達が近くに戻ってきてホッとした表情をしていた。しかし子供達の入っている箱の中でぺちゃ んこになり中身の餡子を撒き散らして死んでいる我が子を見つけて顔を硬直させ、そして次第に震え始めた。 「あ゛!あ゛!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!どうじで!?どうじでれいむのこどもがじんでるのおぉぉぉ!」 お母さん霊夢の悲痛の叫びを聞きプチ霊夢達は動揺しだす。 「ゆ!わ、わるいのはこのちんだれいむだよ。」 「わたちたちがおかちをとろうとちたのをじゃまちたの。」 「れ、れいむたちはわるくないよ。」 追求するお母さん霊夢と責任を死んだプチ霊夢に押し付ける子供達の間で口論となった。 10分ほどその様子を眺めていたがいつまで経っても終わりそうになかったので次の行動に移す事にした。 先ほどの部屋へ置いておいたプチ霊夢2匹を鍋ごと台所へ持ってくる。 「さあ今からお汁粉を作るわよ。」 お汁粉という単語を聞くとゆっくり一家は口論を止め霊夢の方へ注目する。 今のゆっくり一家の頭の中は(お汁粉≫死んだプチ霊夢)となっていた。なんとも現金なゆっくり一家だ。 無言で鍋を火にかける。 「あかいおねえさん、そのなかになにがはいってるの?」 「「なになに?」」 お母さん霊夢や4匹のプチ霊夢達は鍋の中身を知らない。 鍋の中にいる2匹のプチ霊夢はどんなことが起きるのかと楽しみにしている。 しかし次第に鍋の中に熱気がこもり始めると鍋の中の2匹の様子は豹変する。 「あちゅいよ!あちゅいよ!ここからだちて!」 飛び跳ねて鍋から脱出しようとするが蓋は霊夢によって押さえつけられていてびくともしない。 鍋の中の様子の変化にすぐ気が付いたのはお母さん霊夢だった。 「ゆ!そのなかにれいむのこどもがはいってるよ!はやくたすけてあげてね!」 子供達は何が起こっているか理解できていないのか楽しそうにしている。 お母さん霊夢の言葉を無視してひたすら鍋の蓋を押さえつける霊夢。 鍋の中の2匹は顔を真っ赤にして汗をだらだら流しながら必死に脱出しようと悲鳴を上げながら飛び跳ねている。 しばらくすると悲鳴は続いていたが鍋への振動がおさまった。 「そろそろね。」 鍋の蓋を開けると2匹のプチ霊夢の体は熱で鍋の底に張り付いてしまっていた。 すぐに2匹のプチ霊夢の体の半分ほどの高さへ水を注ぐ。 「きもちいい~♪おねえちゃんありがとぉ♪」 その光景を見てお母さん霊夢はホッとし、4匹のプチ霊夢達はうらやましそうにしていた。 「あかいねえさん、れいむのこどもをたすけてくれてありがとう!」 「「みじゅあちょび!いいないいな!」」 しかし鍋の水が沸騰しだすとゆっくり一家の様子は一変する。 「あちゅいよ!あちゅいよ!はやくだちて!」 2匹のプチ霊夢が悲鳴を上げるが体が鍋の底に張り付いているため身動きが取れない。 2匹の悲鳴を無視して蓋をして弱火にする。 「はやくれいむのこどもをたすけてあげてね!はやくしてね!」 「「はやくはやく」」 ゆっくり一家の言葉を無視して鍋の様子を窺う。 「「ゆっぐりちたけっががこれぇだよおぉぉぉ!」」 鍋の中から今までで一番大きな絶叫が聞こえ、静かになった。 「さぁ待ちに待ったお汁粉の出来上がりよ。」 鍋の蓋を開けてゆっくり一家に見えるところまで鍋を持っていく。 ゆっくり一家の見たものは・・・。 「あ゛!あ゛!あ゛!いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「「いやあぁぁぁぁぁ」」 ゆっくり一家の目の前には赤黒くどろ~んとした液体に2匹のプチ霊夢の絶叫した顔の皮がデロデロになって浮 かんでいた。 「ひどいよおぉぉぉぉぉ!れいむの、でいぶのかわいいこどもがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 「「ぴぎゃあぁぁぁ!」」 お母さん霊夢とプチゆっくり達は涙を流しながら絶叫した。 「あら、どうしたの?さっきはおいしそうに食べていたじゃない。まったく同じように作ったのよ?」 先ほど食べたお汁粉は賽銭箱に閉じ込められていたプチ霊夢で作ったものだった。 「さ、ざっきのっで!あ゛!あ゛!ごめんねえぇぇぇぇぇ!」 お母さん霊夢は先ほどのお汁粉が自分の子供だと気が付くと泣いて謝りだした。 お汁粉を皿に盛り、お母さん霊夢を箱から取り出し皿の前に置いた。 そしてそっと耳元で囁(ささや)いた。 「おいしそうに笑顔で声を出してお汁粉を食べなさい。逆らったらあなたのかわいい子供がどうなるかわかるわね?」 お母さん霊夢はお汁粉に口をつけようとした。 「「おかあさんやめて!おねえちゃん(いもうと)をたべないでえぇぇぇ!」」 子供達の制止を振り切ってお母さん霊夢は笑顔でお汁粉を食べ始める、子供達を守るために。 「うっめ、これめっちゃうっめ!」 笑顔でひたすらお汁粉を食べるお母さん霊夢を見てプチ霊夢達は悲鳴を上げる。 「「どうちて!どうちて!そんなひどいごどするのおぉぉぉ!おかあさあぁぁぁん!」」 お母さん霊夢は笑顔のまま涙を流しお汁粉をたいらげた。 再びお母さん霊夢の耳元で囁く。 「あら、誰が涙を流していいって言った?約束を破ったのだから更に2匹を調理させてもらうわ。次に約束を破っ たらあなたの子供は0匹になるわね。」 霊夢の言葉を聞くと再び箱の中に戻されたお母さん霊夢は体を震わせて無理やり笑顔を作り泣き止んだ。 少し大きめの鍋に油をたっぷり入れて火にかけた。 残った4匹のプチ霊夢達は箱の隅で固まり涙を流し震えていた。そして箱の中から適当に2匹をつかみ取り出す。 「「おがあざぁんだずげでえぇぇ!」」 つかまれた2匹はお母さん霊夢の方を見て泣き叫ぶが、お母さん霊夢はひたすらニコニコと笑っている。 「「どうぢで!?おがあざぁんわらっでないでだずげでえぇぇぇ!」」 悲鳴を上げる2匹に小麦粉を薄くまぶし溶き卵をつける。穴あきお玉に2匹をのせて高温の油の上で静止させる。 「その液体の中に落ちちゃったらまず助からないわね、1匹だけなら助けてあげるわ。助かりたかったら相手を下 に落としなさい。」 霊夢の言葉を聞くと2匹は押し合い始めた。狭いお玉の上では飛び跳ねることは出来ないので、必死に押して相 手を下に落とそうとする。 「ゆ、ゆ!わたちがここでゆっくりするの!」 「いやだよ、さっさとそっちがおちてね!」 勝負はすぐについた。霊夢は穴あきお玉を少し傾けておいたのだ。 「あぢゅいよぉぉぉぉぉ!だずげでおがあさあぁぁぁん!」 遠のく意識の中、お母さん霊夢に助けを求めるがただニコニコと笑っているだけだった。 「あかいおねえちゃん、はやくみんなのところへもどちて!」 勝ち残ったプチ霊夢は穴あきお玉の上でうれしそうにしていた。 「わかったわみんなのところへ行かせてあげるわ、先に死んだみんなのね。」 穴あきお玉を更に傾けるとプチ霊夢は転がって高温の油の中へ落ちていった。 「どうぢで!?どうぢでえぇぇぇ!あぢゅいよぉぉぉぉぉ!」 目の前には先ほど自分が落とした大きく口を開け絶望に歪んだ表情の揚げ饅頭がプカプカと浮かんでいた。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」 こうして揚げ饅頭が2個出来上がった。 先程と同じようにお母さん霊夢の前に2個の揚げ饅頭を置き、笑顔でおいしそうに食べるように耳元で囁く。 「うっめ!めっちゃうっめ!さいこうだよ!」 お母さん霊夢は涙を必死にこらえながら笑顔で揚げ饅頭を食べつくした。 残った2匹のプチ霊夢は恐ろしさのあまり声もでないようで、ただ箱の隅で固まり涙を流し震えていた。 「約束よ残った2匹は助けてあげるわ。」 お母さん霊夢の入った箱を開け、持ち上げると2匹のプチ霊夢の入った箱の中へ入れた。 大切なわが子との再開を喜び、お母さん霊夢は擦り寄ろうとする。 「「こ、こっちにこないでね!ちかよらないでね!」」 予想外の言葉にお母さん霊夢は動揺する。 「ど、どうしてそんなこというの?おかあさんだよ!」 「こどもをおいしそうにたべちゃうおかあさんとはゆっくりできないよ!」 「あんなことするおかあさんはだいっきらいだよ!」 我が子から発せられた言葉が信じられないのかお母さん霊夢は体をブルブル震わせている。 「ち、ちがうんだよ!あれはあなたたちをまもるため・・・。」 「うそいわないでね!れいむたちはみてたよ!」 「おねえちゃんやいもうとをおいしそうにたべてるのをみてたよ!」 口論は続きお母さん霊夢は次第に顔を赤くし膨れて怒り出す。 「そんなひどいこというのはれいむのこどもじゃないよ!そんなこどもはいらないよ!」 お母さん霊夢はプチ霊夢にかぶりついた。 「やめでえ゛ぇぇぇぇぇ!おがあざあぁぁぁん!」 「おかあさんじゃないよ、あなたたちはれいむのこどもじゃないよ!」 あっという間にプチ霊夢1匹をたいらげる。そしてもう1匹のプチ霊夢に照準を合わせる。 お母さん霊夢の行動を見ていたプチ霊夢は箱の隅で震えていた。 「れ、れいむはおいしくないよ!こっちにこないでえぇぇぇ!」 パク 一口でプチ霊夢を口に入れるお母さん霊夢。口の中からは噛まれる度に絶叫が聞こえてくる。 「いだいよおぉぉぉ!いだいよおぉぉぉ!やめでえ゛ぇぇぇぇぇ!」 「うっめ♪めっちゃうっめ♪」 こうしてゆっくり一家はお母さん霊夢を残してすべていなくなってしまった。 「はやくここからだしてね!」 プチ霊夢を食べ終えたお母さん霊夢は事の一部始終を見物していた霊夢に話しかける。 霊夢は無言でお母さん霊夢を持ち上げる。 「こんなところじゃゆっくりできないよ!はやくおそとにだしてね!」 しかしお母さん霊夢は先ほどまで入っていた体がちょうど入る大きさの透明な箱に入れられた。 「ゆ!どうして!?たすけてくれるっていったよ!」 「何勘違いしてるの?私が助けると言ったのは子供達よ?あなたを助けるなんて一言も言ってないわ。」 「ひどいよ!さっさとだして!ここじゃゆっくりできないよ!おうちにかえるよ!」 「あなたのおうちは一生その箱の中。これからは私がお饅頭を食べたい時だけ外に出て子供を生み、また箱の中に 戻るのよ。あなた達ゆっくりに寿命があるのかは知らないけど死ぬまで私の饅頭生産機として生きるのよ。」 霊夢の話を聞くとお母さん霊夢は涙を流し叫びだす。 「いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!もっとゆっぐりざぜでえぇぇぇぇぇ!」 「うるさいわね、あなたは私が必要とする時以外は結界の中にいてもらうわ、もちろんその箱ごとね。外界から何 の干渉もないとってもゆっくり出来る場所よ。」 「ごごがらだじ・・・」 お母さん霊夢は箱ごと結界の中へ封印された。 「はぁ、せっかく神社の床下を提供してやってたのに恩を仇で返すなんて許せないわ。」 霊夢はプチ霊夢に食べられた万札の切れ端を手に取り落ち込んでいた。 「あら?これは・・・」 万札の切れ端の裏に書いてある文字に霊夢は気が付いた。 『子供銀行券』 ここは魔法の森にある霧雨魔理沙の家。 今日も魔理沙は博麗神社へ遊びに行く準備をしていた。 「今日あたりが賽銭を集める日かな。霊夢のやつおもちゃの万札を見てどんな反応するんだろうな、楽しみだぜ。」 神社へ遊びに行った魔理沙は全治一ヶ月の重傷を負った。 こうして魔理沙のちょっとした悪戯が原因でプチ霊夢達はその生涯を終え、お母さん霊夢はその生涯を饅頭生産 機として生きることになったのであった。 End 作成者:ロウ 長い文章を最後まで読んでくださった方々にまずはお礼を申し上げます。 ゆっくり達の生涯シリーズ第5弾『ゆっくり一家の生涯「博麗神社編」』はいかがでしたでしょうか? 物語冒頭の博麗神社の設定はwikipediaの幻想郷の項目を参考にしました。 前半はソフトに後半はハードに書かせていただきました。 今回私が書いたゆっくりの繁殖方法は物語の都合上考えた苦肉の策のようなものなので、お気に召さない方はゆ っくりアリスなどに脳内変換していただくと良いかと思います。 最近は新しいゆっくりの繁殖の方法や漫画職人の方々の投稿によりかなり楽しませていただいております。 霊夢の使う結界は工夫の仕方によっては様々ないじめに使えるので面白いですね。 もちろん結界に関しては幻想郷一の老婆ことスキマ妖怪の加齢臭バ(スキマ・・・・ぴちゅーん×10) 失礼、幻想郷一の美少女にして妖怪の賢者八雲紫氏には遠く及びませんが。 現在SSは冒頭部部だけですが3つほど頭の中に浮かんでいます。 ・紅魔館を舞台にしたゆっくり一家のSS ・ゆっくりえーき(体はついてないよ)のSS(加工場が絡んできます) ・私の第1作で最後に部屋に残されたゆっくり魔理沙の末路(たぶん短いSSになると思います) 現在リアルで忙しいためSSを書くのに時間がかかってしまいます。気長にゆっくりとお待ち下さい。 おまけ(と言う名のチラシの裏) 私の中でのゆっくり達の中身 霊夢・・・・・・粒餡 魔理沙・・・・・粒餡 アリス・・・・・カスタードクリーム パチュリー・・・生クリーム ゆゆこ・・・・・桜餡 れみりゃ・・・・肉まん フラン・・・・・あんまん れみりゃ希少種・手足や体も肉まん(成長して手足が生える、れみりゃ全体の1割にも満たない生息数) フラン希少種・・手足や体もあんまん(成長して手足が生える、フラン全体の1割にも満たない生息数) ゆかりん・・・・味噌餡(実際に味噌饅頭というものはあるよ) えーき・・・・・鶯餡(髪が緑だから) ちぇんとみょんは中身が粒餡では面白くないので現在考え中。 その他のゆっくりは私の中ではまだ発見されておりません。 おまけEnd
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「滑車に吊るして落としてグサッ」 いろいろあって、部屋にゆっくり一家がいます。 「じゃあ、まりさが殺されるのと、この赤ちゃんを食べるのと、どっちがいい?」 「ゆっ!?おとーしゃん!ゆっくりしようね!いっしょにゆっくりしようね!」 「まりさがあかちゃんをたべるわけがないでしょ!おにーさんはバカだね!」 「じゃあまりさは死ぬの?ねえ死ぬの?」 「まりさはしなないよ!もうよるだからおうちにかえるよ!」 (いや、部屋は暗いけど、まだ昼ですよ・・・。ちなみに平日です。) 「帰るのか。ばいばーい(^^)ノ~~」 まりさはドアへと跳ねていったが、もちろん閉まっている。 それに気づいたまりさは、ぴょこぴょこと跳ねながら言った。 「かえるんだよ!はやくあけてね! あ、それから しゃざい と ばいしょう をようきゅうするよ!」 お前中身キムチだろwww ということでスカッと割ってみたが、普通の餡子だった。 考えてみたらキムチゆっくりなんているのかな?今度書いてみよう。 一瞬の出来事に凍る家族たち。そこでまりさの餡子を丸めて投げつけてみた。 「あまあましゃーん!ゆっくりたべるよー!」 おお、元気になった。やっぱり家族は笑顔でなくちゃ。ちなみに親れいむは、 まりさをスカッとやったあたりからフリーズしてる。 とっとと食べておかわりを求めに来た赤ちゃんが親まりさを見て騒ぎ出したのを皮切りに、 つかの間の団らんが音を立てて崩れる。 「おとーしゃんんんんんんん!」「ままーこわいよー」「ゆっぐりじでよぉおお!!」 騒がしいのを無視して一匹の赤ちゃんれいむを紐で吊るす。天井には滑車があり、 そこに紐をかけて、他端は手で持つ。下には害獣対策用の針つきマットが敷いてある。 ゆっくりなら落ちて刺さっても、即死はしないで泣きながら死ぬ。 「わーい!おそらとんでるよー!」 紐を引っ張ると赤ちゃんは喜びだした。吊るされてぶらぶらしてるだけなのに。 「おにーさん!まりしゃにもやってね!まりしゃもおそらとびたいよー」 「はいはい。後でみんなにもやってあげるから。絶対に。」 フリーズしていた親れいむを起こす。親まりさを見て再び卒倒するといけないので、 とりあえずまりさはトイレに流しておいた。 「ゆっ?まりさ?あれ?……おにーさん、まりさはどこ?」 (忘れてやがる。まぁ好都合だけど。) 「え、あぁ、先に帰ったよ。それよりこれこれ、これ見てよ。」 そう言って、紐に吊るした赤ちゃんの事、手を離したらどうなるかなどを説明した。 ちなみに理解させるまでに赤ちゃんが2匹、串刺しになった。 「そんなことより、れいむさん、お口をあけてください。」 「あぁーん」 泣いてる親れいむに紐の反対側を噛ませる。3匹目の赤ちゃんの命綱だ。 「わかってると思うけどもし口を開けたら、この赤ちゃんが死んじゃうからね。」 親れいむは、「しまった!」とでも言わんばかりに目を剥いた。 吊るされた赤ちゃんれいむも体を揺らしながら騒ぐ。 「あかーさん、はなさないでね!」 「ん・・・うぅぅんんんん!」 親れいむは喋れない。さあ、虐待開始。 「え?何て言ってるの? あ、わかった! ゆっくりしていってね! でしょ?」 この言葉に赤ちゃんたちの本能も応える。隠れてる赤ちゃんも、吊るされてる赤ちゃんも。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「赤ちゃんたち元気がいいねぇ。じゃあもっと大きな声で。ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆ っ く り し て い っ て ね !」」」 そしてとうとう親れいむは耐え切れなくなり、ゆっくりコールを返してしまった。 「ゆっくりしていっ・・・・あがぢゃぁあああああんん!!!!」 「ゆぎゃぁぁああ!……………ゆぐっ…ゆぐっ…ゆぐっ…」 親れいむは青ざめた顔で助けに行きたそうにしながらも、近づけない。そうしている間に、 部屋の角へ逃げていた他の赤ちゃんれいむを結わく。 「おにーしゃん、やめてね!まりしゃはままといっしょにかえるよ!」 「その前にちょっと飛んでいけよ、な?姉妹と同じようにね」 そういって下を見せたら餡を垂らして気絶してしまった。 「おかあさん、お口をあけてください。」 今度は頑として開けようとしなかった。 ちなみに3匹の串刺し赤ちゃんはまだピクピク動いている。 赤ちゃんと紐を交互に見ながらも口をへの字に曲げているので、 鼻の下に餡子を塗ってみる。鼻なんて描かれてないけど。 親れいむの目がゆっくりと鼻(だから描かれてないけど)のあたりに動く。 そして餡子を舐めようと口を開けた瞬間、丸めて結わいて玉にした紐を押し込む。 さて、俺のターン。 親れいむの顔に紙を丸めて作ったメガホンを押し当てて叫ぶ。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!!!」 しかしれいむは涙を浮かべてこっちを見ているだけだ。 まあ、同じ手に引っかかられてもつまらないのだけど。 ということで、はさみの先をライターであぶってみる。 野生のゆっくりはそもそも、火や、危険な熱さなどを知らないだろう。 自然にはそんなものないし。 十分にあぶった所で、熱いはさみを頬に押し当てる。 ゆっくりの頬はいろいろな意味で敏感だ。 「!!!!!!!!!!!!!!!!!」 うなるだけで口を開けることはなかった。まあそうこなくちゃ。 はさみを離すと、頬がこげていた。はさみの形に黒く焦げて、パリパリしている。 反対側もはさみの形に焦がしてみたが、目をカッと見開いて唸るだけであまり反応がない。 ということで爪楊枝を刺してみようか。 これもやはり頬に。プスッと音を立てて刺さった瞬間、ものすごい勢いでれいむが飛び跳ねた。 「ゆぎゃぁあああぁあああ!!!」 口も開けちゃってるし。 そうして落ちた赤ちゃんは、吊るされた段階で気絶していたので、まあ不幸中の幸いか。 こっちとしては全くつまらないけど。例によって針を体に貫通させて餡子を漏らしている。 ラスト1匹、ゆっくり済ませよう。あれ、最後の1匹はどこへ行った? 「赤ちゃん、出ておいで! ゆ っ く り し て い っ て ね !」 しかし親れいむが妨害する。 「このにんげんは、ゆっくりできないひとだよ!あかちゃんはゆっくりかくれてね!」 (いや、ドアは閉まってるから外へは逃げられませんけどね。というか邪魔すんな。) 「よし、じゃあ、もう帰っていいよ。それとお土産に、このあまあまさんをどうぞ。」 すると棚の下から赤ちゃんれいむが、ゆっくり出てきた。 「ほん…ちょに…?」 「いいえ、嘘です。」 (なんか子どもでも引っかからないような嘘で釣るのって恥ずかしいな。) 赤れいむを吊るす。問題はどうやって咥えさせるかだけど。 無理に口を開かせるのはちょっと怖い。大きな亀とかと違って、 指を食いちぎられるような事は無いだろうけど、痛いには痛いだろう。 ということでこれまた低レベルな作戦に出る。 紐の端の玉に、落ちた赤ちゃんの餡子をたっぷりと塗り、親れいむの目の前にぶら下げる。 またも食いついてくれた。食べる事とゆっくりする事しか頭に無いんだよね、ゆっくりって。 「れいむのあまあまさーん!」 「れいむさん、それ、紐がついてますよ。口開けたら赤ちゃん落ちちゃいますよ。」 親れいむはそのとき初めて紐に気づいて、目で紐を辿っていき、 赤れいむと目を合わせた。どっちも泣いている。 「おきゃあしゃんたしゅけてー!!」 赤れいむは顔をグチャグチャにして泣きながらもぶらぶら暴れていて、 親れいむは謝るかのような、それでいて少し笑っているような顔をしている。 なんかもう幕を下ろしてもてもよさそうな雰囲気になってるけど、そうは問屋が卸さない。 この日のために用意したA4のコピー用紙を2枚重ねて持つ。何をされるか分からないれいむは、ものすごく怯えている。 紙を目の下辺りに近づけて・・・・・ さらー(紙を顔にさらーってやる効果音) (おっと、切れてなーい。二発目) さらーーー 今度は切れた。浅いけど長く切れた。 口を開けられない親れいむはビクッとして、顔をプルプルとさせ、涙を浮かべて耐える。 さらー × 50 頬を切りつくし、唇やおでこにもやった。 涙で顔がふやけているが、それでも口を開けようとしない。 仕方なく、自分でもあまりやりたくない手段に出ることにした。 さらーーーー 目にやった。見てるだけでも痛い。でもそれ以上に気持ちいい。 片手で目を強引に開き、片手でさらーっとやる。そして紙の角で目を突っつく。 切れた部分はよく見えないけど、白目の部分から液状の餡子がにじみ出てきた。 「ゆびゃぁぁああああああぁぁああ!!!!!!!!!!!おめめさんやべてぇえええええ!」 もちろん、その直後に赤ちゃんれいむは落ちたが、そんなこと、 親れいむにとっても俺にとってもどうでもよくなってしまった。 親れいむは痛みで頭が真っ白になってしまったし、俺は飽きてしまった。 今、その親れいむは、記念に天井から吊るしてある。主に灰皿として。 また侵入してこないかなぁ。 # 改行適当でごめんね。あと、俺はホントは、引き裂くような虐待が好き。 このSSに感想をつける
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『ゆっくり一年』 7KB 観察 差別・格差 日常模様 書く事は楽しいけれど、それが読み手に伝わる自信は… ※観察系です ※後半に超愛でタイムがはっじまるよー ※食べたかどうかは皆さんの想像にお任せします。 今までに書いた作品 anko3828 れみりゃ会議 他ちょこちょこ ゆっくり一年 春 「春さんゆっくりしていってね!」 巣穴から元気な声を上げる一匹のゆっくり。 彼女はゆっくりの中でも最もゆっくりしていると言われる、ゆっくりれいむ。 どうやら越冬に成功したようです。 「かぜさんもとってもゆっくりしてるね!ことしもゆっくりがんばるよ!」 越冬後、初の抱負を述べるとともに元気に跳ねるれいむ。 そんなれいむの前を一匹の蛙が横断します。 「ゆゆっ!?かえるさんもこんにちはなんだね、でもれいむおなかがぺこぺこだから、ゆっくりたべられてね!」 越冬に成功したと言っても後半は断食に近い状態だったため、空腹はとっくに限界突破していました。 そんな中で餌の中でも上等の部類に入る生物、それも肉の詰まった蛙とあれば飛びつかないわけにはいきません。 「いっただきまーすっ!むーしゃむーしゃ、ゆゆゆっ!?しあわっせーっ!!!!」 久しぶりの食事にして最高級の蛙肉。 数ヶ月振りの、味に至っては半年以上も食べていない極上の味に幸せを感じないわけにはいきません。 「むーしゃーむーしゃー、ゆーゆゆゆー♪とってもおいしーよ、むーしゃむーしゃ……ゆゆっ!?」 おや?幸せの表情から一転。 れいむは脂汗を流しながら歯を食いしばり、苦悶の表情を浮かべるようになりました。 「ゆぎぎぎぎ、な、なにごれどぐがはいっでる!!!」 ゆっくりにとって毒とは辛味・苦味が大半です。 そもそも虫は苦くないのかとの意見がありますが、ゆっくり視点では苦くないのでしょう。 となると蛙も別に苦いわけでも辛いわけでもないと思われるのですが…… 「ゆげぇぇぇぇぇぇぇ、れいむのあんござんでないでぇぇぇぇ、でもどぐざんはででっでぇぇぇぇ、ゆげぇぇぇぇぇぇ!」 一所懸命に毒と思っている部分のみを吐き出そうとしているようです。 しかし残念な事にゆっくりにそんな器用な能力はなく、れいむは体内の餡子をどんどんと吐き出す結果となってしまいました。 「もっど……ゆっぐり……ゆぎぎぎぎぎ」 餡子の吐きすぎかと思われましたが、どうやら毒が回ってしまったようです。 巣穴から飛び出した時とは真逆の、この世のものとは思えない苦悶の表情になりながら、哀れれいむは餡子の塊となってしまいました。 しかしあの蛙の一体何が彼女にとっての毒となってしまったのでしょうか。 れいむの食べた蛙をよくよく見てみると……ああ、これヤドクガエルですね。 夏 「あめさんゆっくりやんでね!!」 巣穴から懇願の声を上げる一匹のゆっくり。 彼女はゆっくりの中でも最も元気だと言われる、ゆっくりまりさ。 どうやらおうちで雨宿りのようです。 「ゆぅ……こんなにあめさんがつづいたら、ゆっくりできないよ」 基本構造が饅頭のそれに酷似しているゆっくりにとって雨や湿気は大敵です。 本来はカビたりする事のないゆっくりもこの時ばかりはその可能性をぬぐえません。 「……おなかがすいたよぉ」 雨季は狩りに行く事ができず、免疫力が低下してしまいます。 その上でこの湿気。 ゆっくりの免疫力はとても重要で、カビはもちろんの事、外傷からの修復や、餡子の腐敗、耐水性等の維持に必要です。 「……ゴホッ、ケホッ!!」 このまりさはもう4日も食事をしていません。 燃費の悪いゆっくりにとって、4日はかなり致命的な日数です。 「……ゴホッゴホッ、ガハッ!!……もっと……ゆっくり……」 ですがまりさの死因は餓死ではありませんでした。 連続する大雨の結果、体内の餡子が腐敗していたのです。 「……おねーしゃん……まりさ……いいこに……」 特に大きなドラマもなく、まるでドキュメンタリーの如く、まりさは一人巣穴にてひっそりとそのゆん生を終えました。 しかしこの様な運命を迎えるゆっくりはまりさだけではありません。 群れ中で同じ状況のゆっくりが多数存在し、その多くがまりさと同じ運命を辿ります。 こうして森の生態バランスは調節されていくのでした。 自然は大きなホスピタル。 秋 「ゆっくりがいたんだどぉ!!」 まだ心地よい涼しさの残る秋山に、とても元気に響き渡る声。 彼女はゆっくりの中でも超越した待遇を受ける事のできる可能性を持っているはずなのに、昨今の扱いが微妙な胴付れみりゃです。 「これはなかなか高いエンカウント率なんだどぉー」 「さぁもりもり倒してれみりゃの強さを全世界に知らしめるんだDo!」 ……どこかで見かけたご一行。 「ゆゆっ!?れ、れみりゃだぁぁぁべぼっ!!」 地獄とも思える冬を乗り越え。 ゆっくりにとって唯一と言える幸せな春を越え。 生涯を誓い合ったまりさと出会い。 激動とも言える雨季を乗り越え。 到来した秋の恵みに囲まれて、頼れる夫と可愛い子供を手に入れたれいむ。 まさに順風満帆、今までの経験を活かせばゆっくりにしては稀と言える寿命を迎える可能性を秘めていたれいむ。 狩りに秀でた夫は群れの食糧事情を安定させ、冬と夏をそつなくこなしたれいむはその知識から次期長とも呼ばれていた。 子供達は夫の身体能力とれいむの知識を併せ持つハイブリッドゆっくり。 ifストーリーが許されるならこの群れは間違いなく繁栄し、下界の人間とも良好な関係を結び、 後々ゆっくりにも人間にも伝説のぱーふぇくと群れと称賛される事は間違いのないであろう群れの長になれるはずのれいむ。 「れみりゃのでんこーせっかなんだどぉ!」 「おお、最速最速」 「さすがだDo!、れみりゃの遅いイメージを上手く払拭できてるんだDo!」 そんな伝説のれいむも、たった一振りの蹴りによってそのゆん生を終えました。 「地位向上のためとは言えチマチマと涙ぐましい営業活動にこのふらんも感動を禁じえない、さすがおねーさま、じゃあそろそろ滅びタイム」 「「「ふ、ふらんだどぉおおおおおお!?」」」 ゆっくりはよく運が悪いと言われます。 善良に暮らしていたのに、ふとした事で命を落としてしまう。 今回の件も運が悪かったと言えます。 ただしれみりゃの広報活動に見つかった事ではなく“簡単に命を握られる価値”に生まれた事が。 冬 「わかるよーおねーさんの手作りタンドリーチキンさんはとってもゆっくりできるんだねー!」 「むきゅ!お姉さん、本当にこんないいものを貰っていいのかしら?」 「ええ、いつもちぇんとぱちゅりーが良い子にしているから、今日はお姉さんからのご褒美よ」 この氷はとても冷たく、ゆっくりには割る事はできません。 何故か溶ける事はなく、冷たいはずの氷の向こう側は室温的にも、そして心にもとても温かい空間が広がっています。 まりさ達と何が違うのか? れいむ達ならもっとゆっくりさせる事ができる。 彼女達はそんな思いを抱きながら、氷の向こうのちぇんとぱちゅりーを凝視します。 確かにこのれいむは人間をゆっくりさせる事ができるかも知れません。 しかし重要なのは、人間をゆっくりさせる事ではなく、人間をゆっくりさせる事のできる立場である事。 例えこのちぇんが善良だろうとゲスであろうと、氷の向こう側にいれば勝組。 まりさとれいむが希少種を超越するほどの善良だとしても、氷のこちら側にいれば負組。 たった一枚の氷を隔てて、ゆっくりのしあわせは天と地ほどの差が生まれるのです。 街のゆっくりに中間はありません。 地獄の様な毎日か、浄土の様な日々か、そのどちらかなのです。 今夜もまりさとれいむはガラスの向こうのちぇんを眺め続けるのでしょう。 それが地獄の様な毎日に折れそうな心に、大きな拍車をかけているとも知らずに。 あとがき SSは書きたいのだけど、自分の書きたい事を上手く文章にできない悔しい。 おまけーね 朝目覚めると、ベッドの前にちぇんとぱちゅりーがいた。 私が「どうしたの?」と声をかけると、二匹はもじもじとしながら皿を前に出した。 その皿には昨日のタンドリーチキンが食べさしの状態で乗っていた。 この二匹は食欲旺盛だ、そんな二匹が残すほどだからよほど美味しくなかったのだろうか。 私は動揺を隠し切れずにその皿を手に取る。 その時、二匹はいつも良く見る目をしていた。 ゆっくりフードを食べながら私の食事風景を見つめるあの目。 お風呂あがりに裸体で雪見大福を食べている私を見つめるあの目。 ケーキのカタログを眺めるあの目。 「おねーさんのタンドリーチキンさんはとっても美味しかったんだねーわかるよー!」 「むきゅ、ぱちゅりー達だけで食べるのは申し訳ないから、お姉さんの分も残しておいたの!」 私はクスクスと笑った、そして凄く嬉しかった。 この二匹は私のために残しておいてくれたのだ。 自分達がとても美味しいと言ってくれたタンドリーチキンを。 「……ありがとう、とても嬉しいわ」 私はゆっくりと一緒に暮らして良かったと、今でも胸を張って言える。
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※まえがきのようなもの※ 皆既日食に関する知識はテレビと国立天文台のHPを見た程度なので、ぶっちゃけ適当です。 CSのゆっくり専門チャンネルでこんな番組をやっていた。 ○月○日は、46年ぶりに皆既日食が日本でも観察できます。 本日は、ご家庭のゆっくりと一緒に皆既日食を見る時に気をつけなければならない事をお伝えします。 それは、肉眼で太陽を見ないようにする事です。 太陽は非常に強い光を発していますので、正しい方法で観察しないと最悪の場合失明に至る事もあります。 直接見てしまった場合にどうなるかを再現致しましたので、こちらのVTRをご覧ください。 ここにいるのは、れいむとまりさ、そして子供のごく一般的なゆっくり一家です。 人工的に皆既日食の状態を作り出しています。 「ゆっくりおはよう!」 「れいむ、おちびちゃん、おはよう!」 「んみゅー……おとーしゃん、おかーしゃん、ゆっくいおはよう……」 朝。仲良し一家の一日は元気な挨拶から始まります。 「「「ゆっくり(い)していってね!!!」」」 「それじゃあまりさは、あさごはんをとってくるよ!」 「ゆっくりいってらっしゃい!」 「おとーしゃん、まいちゃいいこにちてまっちぇるからね!」 まりさがお父さんのようです。これからいつものように、朝ごはんを集めに行きます。 「ゆゆーん♪ きょうもいいてんきだね! たいようさん、きょうもゆっくりしていっ……てね? ゆっ?」 おや? 上を向いてお日様に挨拶しようとしたまりさの様子がおかしいですね。 「ま、まりさのおめめがおかしいよ……?」 まりさは辺りをキョロキョロ見回しています。 「ど、どぼじでおべべがびえないのおおおおお!!??」 まりさはどうして太陽を見ただけで目が見えなくなってしまったのか分かりません。とうとう泣き出してしまいました。 まりさの悲鳴を聞いたれいむと赤ちゃんまりさが、まりさの様子を見に巣から出て来ます。 「まりさ、おおきいこえだしてどうしたの?」 「おとーしゃん、ゆっくいちてね?」 「ゆぐっ、ばりざの、ばりざのおべべがびえなぐなっぢゃっだのお……」 「ゆゆっ? どうして?」 「ばりざにもわがらないよ……。いづもどおり、だいようざんにあいざづじだらびえなぐぢゃっだの……」 「ゆぅー? どちてかな?」 赤ちゃんまりさが空を見上げました。すると…… 「ゆ? ゆう?? おかーしゃんどこいるの? おとーしゃん?」 「ど、どうしたのおちびちゃん? おかあさんはここだよ?」 「どごおおおお!!?? なんにぼびえなぐなっぢゃっだああああ!!! ゆえええええん!!!!」 「ゆ、ゆうううううう!!?? おちびちゃんどおしたのおおおお!!??」 あらあら。赤ちゃんまりさも目が見えなくなってしまいました。 お母さんれいむには原因が分からず、オロオロするばかりです。 「ゆう……まりさはたいようさんをみたら、っていってたけど……。 ゆ! きっとたいようさんのせいだね! ぷんぷん! たいようさん! まりさとおちびちゃんにゆっくりごめんなさいしてね!」 怒ったれいむが太陽の方を向きました。すると。 「ゆ!? ゆゆ!?? おめめがみえなくなっちゃったよ……?」 「でいぶもなのおおおおおお!!??」 「ばりざあああ!!! どおじよおおおお!!! べいむもびえなぐなっぢゃっだあああああ!!!」 「おどーぢゃんおぎゃーぢゃんどごなのおおおお!!??」 ああ、何という事でしょう。仲良し一家は皆既日食を直接見たために、みんな目が見えなくなってしまいました。 このように、皆既日食中に太陽を直接見ると、最悪の場合失明してしまいます。 でもうちのゆっくりと皆既日食を見たい! という方は、次から述べる方法で見るようにしてください。 この後は、市販のゆっくり用「日食グラス」や、地面に映った太陽を見るのが良いという情報が流れていた。 サングラスや下敷きを使って見るのは良くないのだとか。 一応録画しておいたので、後で飼っているちぇんと一緒に見た。 ちぇんは「めがねさんをかけるんだねー、わかるよー」と言ったが、うちにそんなもん無いよと言ったら 「じゃあ、じめんさんをみるよー」と納得してくれた。ちょっとションボリしてた気もする。 そして皆既日食の時間。 「「どぼじでぐもっでるのおおおお!!??」」 空が曇ってて見られませんでしたとさ。 おしまい あとがきのようなもの 久々。調べたら半年ぶりです。 日本で皆既日食が見られるのは46年ぶりなのだとか。 見てみたいですが、天気がどうなるか心配です。 SSの最後のようにはなりたくないですが……さてさてどうなるか。 今までに書いたもの お星様になってね! すぃーチキンレース ゆっくりてんぷら 作 天麩羅蕎麦
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ゆっくり一家と俺の冬 幻想郷にも、長い冬の季節がやってきた。 冬は食料を調達することが適わなくなるため、里の住民は全部、秋のうちに倉などに食料を溜め込んでいた。 里にある全ての家が、冬篭りの準備を終えた頃、ちらほらと雪が舞いだす。 やがて年の暮れ時になると、雪が降り積もる中、憂鬱を吹き飛ばそうとするかのようにあちこちの家から宴会の喧騒が聞こえてくるのだが、 あいにく俺は独り者で友人も少なく、今年の冬も一人で過ごすこととなった。 しかし俺は本来、宴会などであまり騒ぐのは性に合わない、と自覚していた。であるから、今年の冬も一人で酒を片手に厳かに過ごそうか、 そう考えていたのだった。 しかし、そんな俺のささやかな願いは、あの生き物達に無惨にも打ち砕かれてしまったのだ。 ある雪の日、倉に入った俺は、目の前の光景に呆然としていた。 冬篭りに向けて蓄えを貯蓄していた倉の中で、食い散らかされた食料がそこら中に転がっていたからだ。 米俵は破られ、野菜はほとんどの青野菜を齧られていた。 ――やられた!鼠だ! この惨状を目の当たりにしたとき、俺は真っ先にそう考えた。冬に向けてのこの時期、飢えた鼠が倉庫の食料を 狙ってくるのは毎年のことで、俺も食料を荒らされないように対策を練っていた。だが周到に準備した罠が、まるで用を なさなかったとは…!! この憤りをすぐにでも鼠共にぶつけてやりたかったが、そんなことをしても失われた食料が戻ってくるわけでもない。 とりあえず、わずかな望みをかけて、被害を受けてない食料を探すことにした。多少でも食料が残っていれば、切り詰めれば 冬の間は持ちこたえられるかもしれない。なるべく、食料が全滅していたときのことは考えないようにしたかった。 しかし、探し始めてからしばらくして、奇妙なことに気がついた。被害を受けているのは下に置いてあった食料だけで、 棚の上の方の食料は、全くといっていいほど無傷なのだ。鼠であれば棚の上であれなんであれ、食えるものは全て食い荒らす筈だ。 本当に鼠の仕業なのかどうか、疑問に思いながら倉庫の奥に足を踏み入れたその時。 倉庫の片隅に、何やら見慣れないものがあることに気づいた。丸い、コロコロとした物体。近づいてみると、それは人の 顔を模していた。最初は生首かと驚いたが、どうやら生きているらしい。この奇妙な物体を見ているうちに、俺はこいつの 正体に思い当たった。 そうか、これがあの『ゆっくり』なのか―― 里の人間から噂は多少聞いていたが、実物を目にするのはこれが初めてだった。饅頭のような手も足も無い体つきに、人の顔を模した顔。生物のようだが、中身には餡子が詰まっていて食べられるらしい。なぜ生きているのかもわかっていない。 そして驚くことに、「ゆっくりしていってね」などと言葉まで話すという、妖怪じみた生き物。それが、目の前で眠りこけている。 俺は密かに、倉荒らしの犯人はコイツだと確信していた。下の食べ物ばかりが狙われた理由も、手足を持たないこいつらは 高いところに登る方法を持たないからと考えれば合点がいく。周りを見渡すと、床の近くにある窓が開いていた。大方、ここから侵入したのだろう。 黒い帽子を被ったそのゆっくりは、どうやら種類でいうと「ゆっくりまりさ」種のようだった。ゆぅ、ゆぅ、と奇妙な寝息を立て、 ふてぶてしく眠っている。まるでこの倉庫が自分のものといわんばかりの態度だ。 静かな怒りが湧き上がってくる。しかし、ここで自分が迂闊に飛び出してまんまと逃げられたりでもしたら、俺の腹の虫は抑まらない。 俺は自分を抑えながら、もう少しこのゆっくりを観察することにした。 すると、ゆっくりまりさの影に何やら小さいものが蠢くのが見えた。よく見ると、どうやらちいさいゆっくりまりさのようだ。 驚くべきことに、このゆっくりまりさは親子連れであった。しかも、子供の数は結構多く、およそ10匹ほどの仔ゆっくりが親ゆっくりの傍に寄り添っていた。 仔ゆっくり達は、寒い倉庫の中で少しでも暖を取ろうと体を寄せ合っていた。そんな中、とりわけ元気そうな二匹が騒ぎ始めた。 「ここはいいね!ゆっくりできるね!!」 「そうだね!たくさんたべられるよ!!」 そして二匹は体を屈ませ、同時に体を跳ませながら合唱した。 「ゆっくりしようね!!!」 その光景を見ていた俺は、内心で毒づいた。 冗談ではない…。この食料は俺が苦労して溜め込んだものだ。勝手に上がりこんできたお前らなどには米一粒だってやるものか。 外に追い出すなんて生ぬるいこともしない。然るべき報いを与えてやる…。 俺は、音を立てずに立ち上がると、ゆっくり達に気づかれないように開いた窓に近づき、つっかえ棒をかけてしっかりと閉じた。 そして、他に出入り口がないのを確認すると、俺はゆっくり達の前に姿を現した。 「ゆっ!」「おじさん、だれ!?」「ゆ、ゆっくりしていってね!」 俺に気づいた仔ゆっくりが口々に騒ぎ出す。耳障りな声に、足で仔ゆっくりを踏み潰したくなるが、ぐっと堪える。まだここで殺すのは早い。 こいつらは、もっと自分達の犯した罪の大きさを実感しながらゆっくりと朽ち果てていくべきだ。 そう考えて、足に込めていた力を抜いた。 すると、仔ゆっくりの声で親ゆっくりが目を覚ました。親ゆっくりは、俺を見るなり急いで子供を自分の影に隠す。 そして、空気を吸い込むと俺に向かって体を大きく膨らまし始めた。 どうやら、威嚇しているつもりらしい。野性の動物は、敵対する相手より体を大きく見せようとして毛を逆立てたりするのだが、 これは何と言うか……苦笑を禁じえない。 こいつらは、自分達の対峙する相手の力量がわかっていない。それなのに、逃げもせずに威嚇して身を守ろうとする姿は、 とても珍妙で、滑稽だった。 俺は一息つくと、内心を悟られないように声の調子を落として語りかけた。里の人間によれば、簡単な会話は通じるらしいので、上手く説得して丸め込んでしまおうと考えたのだ。 「お前達…腹が減ってここに入ってきたのか…?」 「………」 親ゆっくりは答えない。まだ体を膨らませたままだ。俺は、子供を諭すように言葉を続けた。 「必死だったのはわかるが…それでもせっかく溜めた食料なんだ、勝手に食い散らかすのは止めてくれないか…。言ってくれれば、 少しだが分けてあげられるくらいの量はあるんだ…。」 「……!」 わずかだが、ゆっくりの警戒が弱まる。あまり俺が自分に対して攻撃的になっていないことを感じたのであろう。もう一息だ。 「俺も独りで寂しかったところだ、どうだ、せっかくだから一緒にゆっくりしないか…?」 「ゆ…!」 『ゆっくり』のひとことが決め手になったのだろうか、親ゆっくりは体から空気を吐き出し、完全に警戒を解いた。 目の前の人間に害はないと判断したのだろう。単純なものだ。 「おじさんごめんなさい!もうかってにたべたりしないよ!!」 そう言ってゆっくりは締りの無い笑顔を見せた。だが、その顔には反省の色が見られない、むしろ媚びるような表情をしていた。 あれだけのことをしておきながら、謝れば済むとでも思っているのか。ツラの皮の分厚い奴だ。 すると、仔ゆっくり達も親の後ろからおずおずと出てきて、口々に喋る。 「ごめんなさい!」「ゆるしてね!」「いっしょにゆっくりしようね!!」「ゆっくり!!!」 仔ゆっくりの態度も親ゆっくりとはまるで変わらなかった。子は親に似るとはよく言ったものだ。 俺は出来る限り優しそうに見える笑顔を顔に貼りつけ、入り口を指した。 「ここは寒い。家のほうがずっと暖かいから、そこでゆっくりしようか。」 すると、それを聞いたゆっくり達の表情がパッと輝く。 「おじさんいいの!?」「ありがとうね!!」「ゆっくりできるよ!!」 俺はゆっくり達の薄い感謝の言葉を聞きながら、どうやってこいつら懲らしめてやろうかと考えをめぐらせていた。 ここでは何もしないでおこう…。今の内にせいぜいいい思いをしておく事だ…。 俺が密かに浮かべた黒い笑みは、浮かれたゆっくり達には見えるはずも無かった。 外はもうすっかり日が暮れ、辺りでは休み無く雪が降り積もる中、俺とゆっくり達は家の中で暖を取っていた。 あの後、家の裏手にある倉からこの家まで、俺はゆっくり達を連れてきた。嬉しそうな顔を浮かべ、逃げもせず俺についてくる ゆっくり達を見て、これなら上手く事が進みそうだ、と俺は内心ほくそ笑んだ。 ゆっくり達が囲炉裏の近くで寄り添っているのを見た後、俺は台所に行って酒と煮物を持ってきた。夕食に食べようかと思って作っておいたものだ。煮物は二皿に取り分けてある。親の分と、子の分だ。 それをゆっくり達の前に置くと、ゆっくり達は目を輝かせながら俺を見た。 「おじさん!これほんとうにたべていいの!!」 「あぁ、熱くないように冷ましてあるから、ゆっくり食べるといい。」 「わぁい、ゆっくりいただきます!!」 「うっめ!メッチャうっめこれ!!」 仔ゆっくり達は我先にと煮物にむしゃぶりついた。兄弟に潰されようが、帽子が汚れようが構わずに、一心不乱に煮物を頬張っている。 全く、なんてあさましい食べ方だ。まるで犬…いや、それ以下だな…。 親ゆっくりはというと、仔ゆっくりに負けずとも劣らない勢いで皿に顔を突っ込んでいる。子供の様子には無関心だ。 俺はその光景を横目で見ながら、一人で酌を始めた。 いつもであれば、一緒に飲み交わす友人もいない俺は、こんなとき少しだけ孤独を感じていた。何だかんだいっても、 やはり一人はさびしかったのだ。 だが、今の俺はこれからこいつらにする仕打ちのことを考え、復讐の気持ちに昂ぶっていた。 俺が企んでいることをこいつらが知ったときの顔を是非見てみたいものだ。そう思いながら、盃に残った酒を飲み干す。 しばらくして、俺が半分ほど酒瓶を空けたとき、ゆっくり達も煮物を食べ終わった。 仔ゆっくり達はほとんど全身を煮汁で汚していた。まるで行儀がなっていない、まったく、どうしようもない奴らだ。 煮物が美味しかったのだろうか、ゆっくり達は嬉しそうな顔をして小さなげっぷを出していたが、さすがに10匹で分けると量が足りないらしく、 俺に催促してきた。 「おいしかったよ!」「もっとないの!?」「まだたべたいよ!!」 図々しい奴らだ。人の夕飯を横取った上に、まだよこせとのたまうとは…。しかもこいつらは俺の倉庫でたらふく食料を 食べたばっかりのはずだ。どれほど食べるというのだ。 「わかった、まだあるからそれを持ってくるよ。」 内心憤りながら俺は立ち上がり、台所へ向かった。そろそろ始めるとするか。 棚に置いてある残りの夕食には目もくれず、台所の奥からお目当てのものを引っ張り出す。俺はそれを持って引き返した。 奴らのところに戻ると、親ゆっくりが仔ゆっくりの体を舐め回していた。毛繕いをしているように見えるが、本当は 仔ゆっくりについた煮汁を舌で舐め取っているのだろう。俺は一瞬だけ軽蔑の眼差しを送ると、すぐに笑顔を繕って奴らの傍に座った。 目ざとく俺を見つけた仔ゆっくり達が、嬉しそうな顔で寄ってくる。どうやら、また夕食を持ってきたものと思っているらしい。 だが、俺の手に握られているものを見て、ゆっくり達は不思議そうに俺にたずねた。 「おじさん、これたべられるの?」 そう言ってゆっくり達がじっと見つめているものは、何の変哲もない、ただの鉄の鍋。大きさは通常の鍋より幾分小さめだ。 だが、別に不都合を感じたことは無い。この家では俺一人しか料理をしないため、普通の大きさの鍋は必要ないからだ。 俺は鍋を囲炉裏の傍に置くと再び台所に戻り、鍋つかみと小さな包丁を持ってきた。ゆっくりは興味深そうに俺を見ていたが、腹が減っていることを思い出したのか、再び騒ぎ出した。 「おじさんどうしたの?おなかすいたよ!!もっとたべさせてよ!!」 俺はそんな言葉に見向きもせず、囲炉裏の傍に腰掛けた。そして火箸で灰の中を漁ると、手頃の大きさの炭を二、三個取り出した。 よし、大きさはこのぐらいでいいだろう…。それに、そろそろ頃合のようだしな…。 そう思いながら、俺は親ゆっくりの方に向き直った。そこには、顔は真っ赤になり、体をしきりに左右に揺らしている親ゆっくりの姿があった。 ゆっくりは最初、自分の体に何が起こったのかわかっていなかったらしい。視線が定まっておらず、口はだらしなく半開きのままだ。懸命に体を動かそうとするが、這いずることしかできない。 俺は親ゆっくりを抱えると、囲炉裏の近くまで運んできた。親ゆっくりは体が思うように動かせないらしく、俺のなすがままにされていた。 「どうだ?酔っ払った気分は?」 俺は親ゆっくりに問いかける。顔には、嘲笑が滲み出ているのが自分でもわかった。もう隠す必要も無い。 「…ゆ…?」 親ゆっくりは、唯一自由な目だけを動かして俺を見る。その目には、微かに俺に対しての怯えがあった。 夕食の煮物を取りに行った時、俺は煮物に酒を混ぜていたのだ。どのぐらいの分量でゆっくりが酔うのかわからなかったが、 適当に入れた分量でどうにか酔っ払ってくれたようだ。これで、必要以上に暴れられる心配も無い。 「お前達…よくも俺の大切な食料を荒らしてくれたな…。あれがなければ冬の間に餓死してしまう。わかっていたのか…?」 俺は手を伸ばし、近くにいた仔ゆっくりを一匹捕まえた。 「ゆ゛ーーーーーっ!!」 仔ゆっくりは激しく抵抗しようとするが、圧倒的な体格の差のため、俺の手から仔ゆっくりが逃げることは不可能だった。 暴れないように指で押さえながら、親ゆっくりに向き直る。 「これから何をすると思う…?お前らの犯した罪の重さをじっくりと教え込んでやるのさ…!」 俺はそう言うと、もう片方の手に包丁を持ち、親ゆっくりの背中に走らせた。 「ゆ゛っっ!!!!」 親ゆっくりが苦痛に顔を歪める。だが、背中の傷はそれほど深く付けてはいない。小さく皮に切り込みを入れる程度のものだ。 俺は包丁を置くと、鉄鍋を手に持った。そして、仔ゆっくりを親ゆっくりの傷の上に乗せると、逃げられないように素早く鍋を被せる。 丁度、親ゆっくりの背中に鉄鍋を被せた形になった。 「ゆゆっ!?!?」 突然鉄鍋に閉じ込められた仔ゆっくりは、最初はびっくりして声も出せずにいたようだが、やがて状況が飲み込めたのか 心細そうに声を上げた。 「くらいよ!ここからだして!こわいよ!!」 俺は身動きできないように親ゆっくりを押さえつけると、囲炉裏の炭を火箸に挟んだ。そして、裏返しになっている鉄鍋の上に数個置いた。 そのまま、何もせずじっと待つ。親ゆっくりは一体何をされているのがわからないらしく、不安げな表情をしている。 仔ゆっくりたちもただ俺達の様子を呆然と見ているだけだ。 ふふ…心配しなくとも、順番は直に来るさ…。 仔ゆっくり達を横目で見ながらそんなことを思っていると、鍋から聞こえてくるゆっくりの声に変化があった。 「ゆ!?ゆっくりあつくなってきたよ!?はやくだしてね!!」 鍋の上に置かれた炭の熱で、鍋全体が加熱されているのである。当然中の空気も熱くなる。おそらく鍋の中では、 凄まじい熱で蒸し焼きにされかけているのだろう。 「あ゛づい!!あ゛づいよぉぉぉぉ!!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ぃぃぃぃぃ!!!」 だんだんと、仔ゆっくりの悲鳴が絶叫に変わってくる。 「はやくだしてあげてよ!!」 「ゆっくりさせてあげて!!」 「おかあさんだいじょうぶ!?」 次第に熱を帯びていく鉄鍋に苦悶の表情を浮かべる親ゆっくりと、鍋に入っている仔ゆっくりの様子を、外にいたゆっくり達が心配し始めた。 俺はそれを聞いて、鍋を取ってやる代わりにもう一つ炭を鍋に乗せてやった。 「ゆ゛っぐり゛ぃぃぃぃぃ!!い゛だい゛ぃぃぃ!!!」 鍋に炭が乗せられて、しばらく経った頃だろうか。突然親ゆっくりが絶叫しながらながら体を震わせ始めた。 仔ゆっくりの声はいつの間にか聞こえなくなっていた。 ――始まったか。 俺は暴れるゆっくりを体重をかけながら押さえ込み、顔の傍で囁いてやった。 「今、自分の体に何が起こっているのか、その足りない頭で考えてみるといい…。」 そういって鍋の上から炭を下ろす。さっきまで鍋の中にいたはずの仔ゆっくりは、親の背中からいなくなっていた。 俺はそれに満足しながら、心配して近づいてきていた仔ゆっくりを今度は二匹ほど掴むと、同じように鍋で覆い、炭を乗せる。 そうしてしばらくすると、また親ゆっくりが悶え、苦しみだす。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ゆ゛っぐりや゛め゛でぇぇぇ!!」 俺は親ゆっくりの絶叫を聞きながら、こみ上げてきた喜悦を抑え切れなかった。同時に、この仕置きの仕組みを思いついたことを自画自賛せずにはいられなかった。 親ゆっくりがのたうちまわっている原因は確かに背中の傷にあった。だが、それだけでこれほど激痛を与えているのではない。 もう一つの原因は、先ほど鍋に閉じ込めた仔ゆっくりだった。 親ゆっくりの上に仔ゆっくりを乗せ、逃げられないように鍋で閉じ込めた後、序々に鍋を熱していく。 鍋の中の仔ゆっくりは猛烈な熱に襲われるも、鍋の中からは脱出できない。四方と上が塞がれ、追い詰められた仔ゆっくりは残された最後の道に飛び込む。そう、親ゆっくりの体内である。 先ほど俺が入れたあのわずかな切り込みから、仔ゆっくりが熱から逃げるため必死に親の体内に潜りこんだのだ。 「ひぎぃぃぃぃぃ!!!や゛め゛でぇぇぇぇ!!!!!」 狭い傷口を無理矢理広げられ、しかも体内をかき回される痛みは相当のものだろう。しかも俺に押さえつけられているため、 親ゆっくりはただひたすらその拷問に耐えるしかないのだ。痛みと涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら。 俺は、自分の中の黒い感情が満たされていくのを感じた。 しばらくして、ようやく絶叫が聞こえなくなったときには、もうすでに親ゆっくりは息絶え絶えといった有様だった。白目を剥き、 ひゅうひゅうと苦しそうに呼吸をしていた。しかし、体内の仔ゆっくり達が少し大人しくなったのだろうか。先ほどよりも苦しむ様子は見せない。 「自分の身を犠牲にしてまで子供を助けるとは、全く大した親子愛だよ、涙が出るね。」 表情を変えずに心にも無いことを呟くと、親ゆっくりの背後に回る。そして、仔ゆっくりにこじ開けられて歪に広がった穴を塞ぎ始めた。 これでゆっくり達が脱出することはできない。折角の仕置きを、ここで終わらせるつもりではなかった。いや、むしろ始まったばかりなのだから。 to be continued... 選択肢 投票 しあわせー! (25) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (3) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ゆっくり一家と俺の冬 後編 次の日の朝、俺は台所で朝食の用意をしていた。俺一人、食べるだけの分を。台所の窓から差し込む光に、眩しそうに 目を細める。他人が見たら、今の俺はとても清々しい顔をしているように見えただろう。昨日の夜、あのような惨劇を楽しげに 見ていた奴などと思うまい。 あのあと、俺はゆっくり達を丁度いい大きさの籠に閉じ込めると、残りの夕食を一人で食べ、布団を敷いてさっさと寝てしまった。 次の仕置きまでには時間をおくことが必要だったからだ。寝ている最中、時々親ゆっくりの呻き声が聞こえてはいたが、 それでもすぐに寝付けたのは、鬱憤を多少なりとも晴らしたからだろう。おかげで、久しぶりに目覚めのいい朝を迎えることが出来た。 起きた後、倉の中へ食料を取りに行くと、相変わらず、食い荒らされた様子が目に入った。見ていると、昨日の怒りがまた湧き上がってくる。 俺は忌々しげに鼻を鳴らすと、散らかった食べ残しを拾い集めると、いくつか食材を抱えて家に戻り、朝食の準備に取り掛かった。 台所でにいる俺を見て、ゆっくり達がこちらを怯えた様子で見つめてきた。昨日あんな目に合わせたのだから、まぁ無理も無いか。 親のゆっくりまりさの方は相変わらず調子が悪そうだ。まぁ、子供が3匹も体内に入っているのだから仕方ないか。 仔のちびゆっくり達はそんな親を気遣うように、ぴったりと親ゆっくりに体を寄せていた。 忌々しい奴ら。じきに、ゆっくりしていられないようにしてやろう。 俺は包丁を握ると、まな板の上に載った野菜に勢いよく突き立てた。 朝食を作り終え、居間に戻ると、ゆっくり達が期待を込めた目で俺を見つめていた。どうやら、飯を与えてもらえるなどという 甘い期待を抱いているらしい。俺は自分の分の朝食を床に置くと、ゆっくり達に近づく。すると、怯えた様子をみせながらも、 仔ゆっくりは俺に喋りかけてきた。 「ゆっ…おなかへったよ…」「なにかたべさせてね…。」 精一杯の媚びた表情で俺に愛想を振りまく仔ゆっくり。俺は籠を開けると、仔ゆっくり達の目の前に持っていたものを放り投げてやった。 倉の中にあった、ゆっくり達が食い散らかしたゴミだ。 「自分達で食い散らかしたものは、自分達で片付けな。」 仔ゆっくりはそれを見て悲しそうな顔をすると、口々に文句を言い始めた。俺は返事の代わりに地面を勢いよく踏みつけてゆっくり達を黙らせると、朝食を食べようと振り向いた。 だが、その時俺の視界に入ったのは、なんと一匹の仔ゆっくりが俺の朝食に向かってにじり寄って行く光景だった。 こいつっ!! 俺は素早くその仔ゆっくりを捕まえると、怒りのままに手の中で強めに圧迫してやった。握りつぶす一歩手前だ。 「ゆ゛ぶっ、ゆ゛ぶう゛う゛う゛う゛う゛…!!!」 握られたゆっくりは顔が大きくひしゃげる。その目は大きく見開かれ、口から餡子をわずかに吹き出し始めている。 その様子を見た仔ゆっくり達と親が悲しげな絶叫を上げた。 「や゛め゛でえ゛ぇぇ!!」「ばな゛じであ゛げでぇぇ!!!」 俺は手の中に仔ゆっくりを握ったまま、親ゆっくりの元へ荒々しく近づいていき、手の中のゆっくりを突きつけた。 「人の物を勝手に横取りするということはどういう事か!まだ判っていない奴がいるようだな!!」 既に親も仔も、完全にガタガタと震え、涙を流して怯えきっていた。俺はゆっくり達に手の中がよく見えるようにし、言い放った。 「よく見ていろよ…!!」 そしてそのまま、手の中にいる仔ゆっくりに勢いよく齧りついてやった。 「びゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 齧られた仔ゆっくりが凄まじい断末魔の叫びを上げた。まだ生まれて間もない仔ゆっくりの餡はかなり甘く、しっとりとしていた。これは旨い。普通の饅頭とは比べ物にならない味だ。里の連中はよくゆっくりを捕まえて食べているらしいが、わかる気がする。 久々の甘味に植えていた俺は、手の中で白目を剥いている仔ゆっくりを貪り食った。 「や゛め゛でえ゛ぇ!!どうじで、どうじでぞん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛ぉぉ!!!」 親ゆっくりはこれ以上ないというくらいに体を怒りに震わせ、涙ながらに俺に突進してきた。俺が親ゆっくりの前に足を差し出してやると、 勢いづいた親は自分から俺の足に突っ込み、もんどりうった。苦痛の表情を浮かべる親ゆっくりの目の前に、俺は既に帽子と一部の皮だけになってしまった仔ゆっくりの残骸を置いてやった。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ……」 最早見る影も無くなってしまったわが子に、親ゆっくりはただ俯いて涙を流していた。俺はそんな親ゆっくりを見て満足すると、ゆっくり達に背を向けて囲炉裏の傍に戻った。そして少し冷めてしまった朝食を口に運んだ。 昼時になり、また俺は食べかけのゴミをゆっくり達に差し出した。また同じ食事を出された仔ゆっくり達はひどく落ち込んだようだが、先ほどの見せしめが効いたのか、文句一つ言わずにゆっくり食べ始めた。親ゆっくりは身動き一つせず、ただ仔ゆっくり達がゴミを食べ漁るのを呆然と見つめているだけだった。時折、短く「ゆっ、ゆっ」と呻いていた。 もしこの場に他の誰かがいたら、親ゆっくりは目の前でわが子を食べられてしまったショックで、おかしくなってしまったと思い込んだだろう。 だが、そんなことより遥かに異常な事態が親ゆっくりの体に起きていることを俺は知っていた。 「ゆ゛!ゆ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!」 丁度俺が、自分の昼飯を半分程食べた頃だろうか。突然親ゆっくりが跳ね起き、半開きの口から涎を垂らしながら体を痙攣させ始めた。 「ゆ、ゆっくり!?」「だいじょうぶおかあさん!?」「ゆ、ゆっくりして!!」 親の奇妙な行動に驚いた仔ゆっくりは、成す術なくおろおろするばかりだった。その間にも親ゆっくりはのたうち回り、口から泡と餡子を撒き散らす。よく見ると、親ゆっくりの顔の中で、何かが蠢いている。そしてその度に、親ゆっくりがもがき苦しんでいた。 異物の正体は、昨日親ゆっくりの体内に閉じ込めた仔ゆっくりだった。身を焦がす熱から何とか逃れたものの、昨日の夜から今日の昼まで、 当然何も食べていなかった。いつこの狭い空間から出られるかもわからない。空腹と絶望にあえぐ仔ゆっくりの目の前にあるのは、 親ゆっくりの体内の餡子だった。 生き延びるために、必死で餡を貪る仔ゆっくり達。そしてそれが親ゆっくりに、体内からじわじわと食われていく激痛として伝わっているのだ。 「ひぎい゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 「お゛があ゛ざん゛ん゛ん゛!!」 俺は手に持っていた茶碗を床に置くと、親ゆっくりに近づいていった。そして、暴れないように押さえつけると、親ゆっくりに一つ選択をさせてやった。 「このままだとお前は死ぬぞ?子供か自分か…どちらか残しておきたいほうを選びな。」 その言葉を聞いて、しばらく親ゆっくりは悶えるのを止め、大人しくなった。目からは大量の涙が溢れ、 口はこみ上げてくる悲鳴を押し殺すかのように堅く閉じられていた。だが、しばらく時間が経つにつれ、体が震えだし、口の端から泡が漏れ出す。 子供を潰したりして殺すまいと必死に耐えているのだろうが、いつまで続くものか、見物だな。 俺は昼食の残りを頬張りながら、その様子を見守っていた。 しかし、幕切れは意外に呆気ないものだった。数分もしないうちに、親ゆっくりが何かに弾かれたように飛び上がり、奇声を上げながら物に、床に、壁に体を叩きつけ始めた。 「ぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 顔が潰れて歪もうが、口から餡子が漏れ出そうが、親ゆっくりは止まらなかった。仔ゆっくり達は暴れる親に押しつぶされないように、部屋の隅で固まって泣いていた。 ようやく親ゆっくりの暴走が収まる頃には、部屋の中は散々な状態になっていた。そこら中に餡子が飛び散り、物は倒れ、囲炉裏の灰は撒き散らされていた。壊れ易い壷のようなものが無かったのが幸いだ。 部屋の中央では親ゆっくりが憔悴しきった様子で動かなくなっていた。その体はあちこちが凹み、破れ、襤褸雑巾のようになっていた。かろうじて体を上下させているところを見ると、死んではいないようだ。 子供より自分をとったか。まだ犬や猫の方がましだな。 部屋の中の惨状を、笑いを浮かべながら見回していると、餡子に混じっていたあるものが目に入った。 それは最早原型を留めぬまでにひき潰された仔ゆっくりの死骸だった。一匹分しかないところを見ると、残りは体内で死んでいるのだろう。 俺はその残骸を親ゆっくりに投げつけて、一言言ってやった。 「生還おめでとう。」 親ゆっくりからは、何の反応も返ってはこなかった。 俺はそれからというもの、ゆっくり達に一切食事を与えなくなった。ゆっくり達は、何日かの間、食べ残したわずかな野菜の切れ端、 肉の破片などを家族同士で分け合い、必死に飢えを凌いでいた。 親ゆっくりは、何とか気力で生きているという有様だった。弾力のあった皮膚がひびわれ、顔からは生気を失っている。 ほとんど動くことをせず、仔ゆっくりが食べかけを持っていったものを弱弱しく食べるだけであった。 ゆっくり達は、確実に衰弱していった。 そんなある時、一匹の仔ゆっくりが空腹に耐え切れず、食べ残しを全て食べてしまうことがあった。 「ゆっ…ず、ずるい!!」「はやく吐き出してね!!」 他のゆっくり達が、一匹の仔ゆっくりを責め始める。 だが、口の中に入れた食べ物をなかなか吐き出さない一匹に、仔ゆっくり達の怒りと疲労がついに限界に達した。 「ゆっくりできないやつは、ゆっくりしね!!」 仔ゆっくりの一匹が体当たりをしかけたのを皮切りに、他のゆっくり達が一匹を取り囲んで攻撃し始めた。 「ゆ゛ぎゃっ!!ゆ゛っぐり、ゆ゛っぐりやべでぇぇ!!」 攻撃されている一匹が涙を流しながら必死に助けを乞うが、他のゆっくり達は攻撃を止めない。 「ゆ゛ぶぇっ!!!」 そしてついに、体の大きめの仔ゆっくりが上から踏みつけた時、下敷きにされた仔ゆっくりは口から餡子を吹き出して動かなくなった。 動かなくなった一匹を見て他の仔ゆっくり達は、逃げるようにその場から離れていった。潰れた一匹は、飛び出た餡子もそのままに放置された。 憐れだな、と俺は思った。こいつらは自分の身が危なくなると、あっさりと仲間を捨てる。それが家族という絆でつながれていても、だ。 所詮こいつらにとって家族というものは、その程度のものなのだろう。 部屋の隅に打ち捨てられた自分達の仲間だったものに、最早目を向ける奴もいなくなった。 やがて夜になり、仔ゆっくり達は体を動かしたことの疲れからかすぐに眠ってしまった。 もっとも、その体力は仲間の命を奪うために消費されたものであったが。 俺も布団を敷いて、眠ろうと目を閉じる。 すると、部屋の中を何かが這いずる音が微かに俺の耳に聞こえてきた。薄目を開けて辺りを伺うと、親ゆっくりが憔悴しきった体を引きずって動いているのがみえた。親ゆっくりはそのまま、昼間死んだ仔ゆっくりの元へと向かう。そして、辿り着いたと同時に親ゆっくりは仔ゆっくりに顔を近づけた。 俺は笑みを浮かべながら再び目を閉じ、眠りについた。暗闇の中、仔ゆっくりの寝息と何かを咀嚼するような音だけが聞こえていた。 そして次の日の朝。目を覚ますと、昨日潰れゆっくりが放置されていた場所には何も無かった。 いよいよ仕置きも大詰めだな…。 俺はいつものように朝食を作り、居間で食べ始めた。勿論、ゆっくり達には与えない。一人で黙々と箸を進めていると、数匹の仔ゆっくり達が朝食をじっと見つめていることに気がついた。俺はそれを無視し、ゆっくり達から食器を遠ざける。泣きそうな顔をする仔ゆっくり達。 そのとき、親ゆっくりが一匹の仔ゆっくりの後ろに近づいた。その姿は、異様な雰囲気を放っている。 仔ゆっくりが何事かと振り向く間も無く、 そのまま親ゆっくりは仔ゆっくりの頭を喰いちぎった。 「ぴぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 一拍遅れて響く凄まじい悲鳴。頭の半分を喰いちぎられた仔ゆっくりは、白目を剥いて激しく痙攣し始めた。 親ゆっくりは、そんな様子を意に介さず、仔ゆっくりの餡子を味わって食べていた。 「ハァハァ…めっちゃうめぇ…めっちゃうめぇコレ…」 残っていた仔ゆっくり達は、何が起こったのか理解できていなかったらしい。皆それぞれ目を見開き、絶句している。 しばらくして、親ゆっくりが仔ゆっくりを食べ終えたようだ。その目は、妖しく狂気の光を宿していた。 自分達の方を振り向いた親ゆっくりを見て、緊張の糸が切れたかのように仔ゆっくり達が逃げ惑い始める。 「いやあああああああ!!!」「お゛があざん゛だべな゛い゛でぇぇ!!」「ゆ゛っぐりぃぃぃぃ!!」 蜘蛛の子を散らすように仔ゆっくり達が逃げる。しかし、空腹のあまり長い距離を跳ねることができないのか、仔ゆっくりの逃げる速度は遅い。親ゆっくりはゆっくり這いずりながらも、確実に仔ゆっくりを追い詰めていった。 仔ゆっくりはそれでも、少しでも親から逃げようと姉妹同士で押し合って逃げる。そのとき、一匹の仔ゆっくりが他のゆっくりに潰され、その場に取り残された。 「ゆ゛、ゆ゛っぐり゛じでぇぇ………!」 どうやら、潰されたにも拘らずまだ息があるようだ。しかし、もう跳ねて逃げる気力も残っていないらしい。 壁際に追い詰められた仔ゆっくりが涙を流しながら必死に助けを嘆願するも、その声は飢えで理性のタガが外れた親ゆっくりにはもはや届いていないようだ。 そのままじりじりと隅に追いやられ、成す術なく親ゆっくりの餌食となる。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 仔ゆっくりの餡子が、皮が、悲鳴が、親ゆっくりの口の中へと飲み込まれていく。残りの仔ゆっくり達は、その一部始終を見ていた。 力尽きた者から、食べられる。 それを悟った仔ゆっくり達は、ついに仲間内で争いを始めた。自分の代わりに、誰かを犠牲にして生き延びようと考えたのだ。 地獄絵図が、始まった。 仔ゆっくり達はお互いを攻撃しあい、弱った個体から集団で袋叩きにしていく。親ゆっくりは弱った子供から容赦なく喰らい、 また仔ゆっくり達を追う。 固く結ばれた家族の絆は、跡形も無くなってしまった。そこにあるのは、絶望と憎悪と恐怖。 仲睦まじい親子の光景は、もう見られない。見ることが出来るのは、自分だけが生き残ろうとする者達の、醜い争い。 一つ、また一つと、悲鳴とともに仔ゆっくりの命が消えていく。たくさんいた兄弟は、もう既に親ゆっくりに食べられてしまい、 残っているのは二匹だけになっていた。 二匹は、最後の生き残りになろうとくんずほぐれつ争っていたが、親ゆっくりが静かに近づいてきたことに気づくと互いに正反対の方向に逃げ出した。 親ゆっくりは、二手に分かれた子供のうち、そのうち一匹に狙いを付けて追い詰めていく。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!ごな゛い゛でぇぇ!!!」 必死に逃げる仔ゆっくりは、近づいてくるそれを最早親ではなく、敵としか見ていなかった。それは親ゆっくりも同じことで、 目の前で逃げる仔ゆっくりは、親にとって単なる餌でしかなくなっていたのだ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 絶叫とともに仔ゆっくりが親ゆっくりに食べられ、ついに立った一匹の仔ゆっくりだけが残された。仲間を蹴落とし、 家族の絆を捨てて、ようやく自分一人が生き残ったのだ。 緊張の糸が切れたのか、その場でぺったりと床に伏せて脱力する仔ゆっくり。 しかし、親ゆっくりは止まらない。最後に残った仔ゆっくりを狙って、じわじわと距離を詰めていく。 「ゆゆゆゆっ!?」 自分に危機が迫っていることを感じ取った仔ゆっくりは、迫り来る親から少しでも遠ざかろうと、懸命に跳ねようとしていた。 だが、極度の空腹と疲労で這うことしかできない。後を追う親ゆっくりも這うことしか出来ないが、いかんせん体格が違いすぎる。 小柄で移動できる距離も小さい仔ゆっくりは、どんどん差を縮められていく。 そしてついに、親ゆっくりが仔ゆっくりに追いついた。背後から近づく巨大な気配を感じ、顔を絶望に歪め泣き出す仔ゆっくり。 「い゛や゛あ゛……」 もう仔ゆっくりの体は親ゆっくりの届くところにある。ちょっと本気を出して跳躍すれば、仔ゆっくりの命が散らされるのは明白だった。 だが親ゆっくりが、仔ゆっくりに飛び掛ることは無かった。苦しそうな顔をしてげっぷを一つ吐くと、そのままゆっくりし始めたのだ。 そりゃあ一度に5,6匹も仔ゆっくりを食べたんだ、体も重くなるだろうな…。 ここまでずっと囲炉裏の傍で見守っていたが、最後の仕上げをするため、俺はゆっくり達に近づいていった。 仔ゆっくりは、親ゆっくりが動かなくなったことをいいことに、少し離れた場所で親ゆっくりを罵倒していた。 「ずっとそこでゆっくりしていってね!そのままゆっくりしね!!」 さっきまで命の危機に晒されていたというのに、もう顔には余裕の色を見せている。大した度胸の持ち主か、そうでなければ命知らずの莫迦である。 俺は手を伸ばすと、暢気に背後を見せている莫迦を苦も無く捕らえた。 「ゆっ!ゆっくりはなしてね!!」 俺の手の中で必死にもがく仔ゆっくりだったが、親ゆっくりの元に連れて行かれていることに気づくと、再び恐怖に身を震わせ始めた。 「は゛な゛じでえ゛え゛!!だべら゛れ゛だぐな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!」 親ゆっくりは満腹のためか、しばらく苦しそうな顔でゆっくりしていたが、仔ゆっくりを連れた俺が近づくと再び獲物を狙う狩人の目をみせる。 「ほおら、感動の親子ご対面だ。」 そういって、俺は手の中の仔ゆっくりを、親ゆっくりに向かって放り投げた。 「や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 絶叫と共に綺麗な放物線を描いて飛んだ仔ゆっくりは、そのまま着地点となる親ゆっくりの口の中に吸い込まれ、消えていった。 最後の仔ゆっくりを食べ終えると、親ゆっくりは俯いて体を奮わせ始めた。 子供を食べてしまった事を後悔して、泣いているのか…? そう思って近づいてみるが、親ゆっくりの顔には濡れた後すら無く、 「うふ、うふふ…うふふふふ……」 ただ生気の無くなった虚ろな目をして、笑い続けていただけだった。 親ゆっくりは、完全に壊れてしまった。もう自分の子供と餌を区別することすらできないほどに。 さて、そろそろ仕上げだ。 俺は台所に向かうと、まな板の上に乗せてあった包丁を手に取って戻る。そしてゆっくりの背後に静かに立った。 「どうだ?旨かったか?自分の子供の味は?」 親ゆっくりは答えない。 「味わったか?餓死一歩手前の絶望と恐怖の味を?」 親ゆっくりは答えない。 「ゆっくりした結果が、これだ…。」 俺は、吐き捨てるように言った。そのまま、親ゆっくりに近づく。手には包丁を構えて。 「今度生まれてくるときには、もう少しゆっくりすることの意味を考えてみるといい…。もしかしたら、もうちょっとマシな生き方ができるかもしれないな…。」 そして、俺は狙いを定め、包丁を高々と振り上げる。その時親ゆっくりが振り向いたが、その目にはもう恐怖の色は浮かんでいない。 自分の目の前に存在している死を前に、ただうっすらと壊れた笑みを浮かべた。 俺はその表情を見届けると、まっすぐに包丁を振り下ろした。 「ゆっくりしね」 それが、親ゆっくりが聞く最後の言葉になった。 あれから、既に一ヶ月が経った。心配していた食料も、何とかもっている。今回、倉を荒らされた俺が餓死せずに生き延びていられるのは、二つの幸運があったからだ。 一つは、倉を荒らしたのがゆっくりだった事。ゆっくりだったおかげで、上の食料が無事だった上に、栄養価の高い饅頭で食いつなぐことが出来た。 もし鼠に食料をやられていたら、今頃俺は冷え切った家の中で冷たい骸になっていただろう。 もう一つの幸運は、ゆっくりが親子連れだったこと。体が大きく食べる部分も沢山ある親ゆっくりに、生まれて間もなく、皮も中身も新鮮な仔ゆっくり。 もし通常のゆっくりだったら、一ヶ月近くももたせることができたかどうか。 とにかく、今年の冬は、災難もあったが思わぬ収穫も手に入った。ゆっくり達はかなり優秀な食料になることがわかったし、捕まえる方法も簡単だ。 来年は、二体を捕まえて仔作りさせて、新鮮な仔ゆっくりを腹いっぱい食べるのも悪くは無いな。 そんなことを考えながら、俺は額から上を切り取られた親ゆっくりから、もう大分湿気てしまった餡子を掻き出して口に運ぶのだった。 END 選択肢 投票 しあわせー! (16) それなりー (6) つぎにきたいするよ! (3) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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夏の日差しも強くなってきたある日、俺の家の縁の下に2匹のゆっくりが住み着いた。 ゆっくり。 低い知能と生首のような体が特徴の生きる饅頭。 畑荒らしから騒音被害まで、幅広く手がける害獣だ。 そんなゆっくりであるが、住み着いたゆっくりは他に比べて知能があるようで、俺のテリトリーを犯すことはなかった。 「おにいさん!れいむ達をゆっくりさせてね!」 「おにいさんのおうちをちょっとだけ貸してね!!めいわくはかけないよ!!」 初日には、玄関の前で待っていたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が丁寧に挨拶をしにきた。 エサは自分で取るから、子供を産むまでの間すこしだけ家を貸して欲しいという。 猛暑が続く中、この若いカップルは手ごろな巣を見つけられなかったのだという。 「うるさくしないなら、縁の下でゆっくりしてていいよ」 その答えに納得し、2匹のゆっくりは生活を始めた。 約束を守っているのだろう、普段から何も騒音は聞こえてこなかった。 朝日が昇ったときの「ゆっくりしていってね!!!」という一言、ニワトリのような習性が気になったくらいだ。 また、交尾はうるさいだろうと覚悟してはいたが全く問題は無かった。 後で聞いた話だが、2匹は近所の森で交尾をしていたらしい。 ゆっくりプレイスである縁の下を離れ、いつ外敵に襲われるのかもわからないところで青姦とは、健気なゆっくり達である。 そんな生活も1週間が経った今日、ゆっくり霊夢は妊娠をした。 縁の下をたまたま覗くと、そこには頭に茎を生やしたゆっくり霊夢が昼寝をしていたのだ。 昨日までは2匹でエサを取りに行ったり、外を遊んだりしていたので、昨日のうちに受精(受粉?)したのだろう。 「お、れいむ。赤ちゃんができたんだね」 声を掛けるとぴくっと反応し、目を覚ました。 すぐさま身を引き、警戒態勢を見せる。 「ゆっ・・・!おにいさん、れいむたちは静かにしてるよ!」 そういいつつ周囲を見渡す。 身軽なゆっくり魔理沙はエサでも集めに行っているのだろう、そこにはゆっくり霊夢しかいない。 「安心してよ。おにいさんはれいむをいじめないよ」 そう、俺はゆっくりを虐待などしない。 生き物を暴行したり、ましてや殺害するなど俺の趣味ではない。 「ゆ、おにいさん。れいむは赤ちゃんがいるからあまり動きたくないよ」 ヘタに動くと茎が上部にぶつかって折れてしまうかもしれない。 それに赤ちゃんが実った大事な時期だ。力の強い人間にはあまり関わりたくないこともあるだろう。 「そうだね。そこでゆっくりしててね。それと、赤ちゃんが生まれても少しの間ならゆっくりしててもいいから安心してね」 「ゆっ!」 「騒がないなら、ずっとゆっくりしててもいいからね」 「ゆゆ!おにいさんありがとう!」 「どういたしまして」 「でも、森におうちを作ったから、もうすぐしたら出て行くね。赤ちゃんは元気にゆっくりさせてあげたいよ!」 エサ集めだけでなく、ちゃんと巣も作っていたようだ。 目先のことだけでなく、後のこともしっかり考えているあたり知能の高さが伺える。 「そうか。じゃあお兄さんは家に戻るよ。もし敵が来たら騒いで教えてね。お兄さんが助けてあげるよ」 「ありがとうおにいさん!おにいさんのおかげでゆっくりした赤ちゃんになりそうだよ!」 茎に気をつけながら顔を地面に近づけるゆっくり霊夢。 一瞬、何をしているのかと思ったが、お辞儀をしているのだと理解した。 もともとは飼いゆっくりだったのかもな、と思ったがどうでもよいことだった。 夕方、エサ取りから戻ってきたゆっくり魔理沙が丁寧にお礼を言いに来た。 感謝の気持ちということでエサのムカデを置いていこうとしたが、俺はそんなものを食べないので遠慮しておいた。 そんな賢いゆっくりに感動し、俺はお菓子を恵んであげた。 「れいむとゆっくり食べるよ!」 ゆっくり魔理沙は喜んで持ち帰ってくれた。 瞬く間に1週間が経った。 ゆっくり霊夢の茎に実った赤ちゃんれいむはプチトマトほどのサイズになり、いまにも生れ落ちそうである。 「ゆ~♪ゆっくり~♪」 「ゆっくりした赤ちゃん~♪ゆ♪ゆ♪ゆ♪ゆっくりした子になってね~♪」 庭に出た2匹が燃えるような炎天下の中、楽しそうに歌を歌っていた。 一晩で実り落ちることもあると話には聞いていたのに、1週間もかかるとは。 歌詞の通り、ゆっくりした赤ちゃんだ。 目もまだ開いていないが、親ゆっくり達の声が聞こえるのか、にこやかな笑顔をしている。 「ゆっ!!!?」 突然、歌うのをやめるゆっくり霊夢。 それと同時に2匹は茎の上の赤ちゃんを見上げる。 ゆらゆらと動き始める赤ちゃんゆっくり。それは霊夢種であった。 ついに出産(?)の時が来たようだ。 俺は縁側でその様子をのんびりと眺める。 ゆらゆらと動いていた赤ちゃんれいむは、どんどんとゆれを強くし、ついに地面にぽとりと落下した。 ぴっちりと閉ざされていた目がゆっくりと開いていく。 親ゆっくり達は赤れいむに真剣な顔をにじり寄せ、一言も喋らない。 赤れいむは親の姿をゆっくりと確認すると 「ゆっくちちていってね!!!」 と第一声をあげた。 ぱあっと笑顔になる2匹の親れいむ。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 お決まりの文句を返しながら、赤れいむと頬と頬をすり合わせる。 幸せそうな光景だ。 「ゆっくりしようね!!!ずっとゆっくりしようね!!!」 「れいむに似てすごくゆっくりした赤ちゃんだね!!!」 ぽろぽろと涙を流す親れいむに顔を摺り寄せる親まりさ。 1匹が生れ落ちると、その後は早かった。 次々に生れ落ち始め、10分もすると茎には赤ちゃんがほとんど無くなった。 そして今、ついに最後の一匹が揺れ動いている。 ゆっくり魔理沙だ。 「最後までゆっくりした赤ちゃんが落ちそうだよ!まりさ!」 「ゆっくりうまれていいんだよ!」 親まりさの言うことなどお構い無しに、早く生まれたいという欲求を感じる揺れ動き方であった。 すぐに生れ落ち、他の姉妹のようにお決まりのフレーズの第一声をあげた。 「ゆゆうう!!!れいむの可愛い赤ちゃん、すごくゆっくりしてるよ!!」 「こっちの子はまりさにそっくりでとってもゆっくりした子だよ!」 互いに子供をパートナーに似て可愛いと言うあたり、人間の出産後のようだ。 生まれたのは計10匹。赤れいむが6匹と赤まりさが4匹。 「ゆっくち!おかあさんおなかすいたよ!ゆっくちしたいよ!」 「まりさもゆっくち!」 「ゆっくちさせて!」 お腹を空かせた赤ゆっくりに気がついた親れいむ。 縁の下のエサでも取りに行くのかと思ったら、いきなり親まりさが親れいむの頭に乗りかかった。 もう交尾をするのかと思っていると、親まりさは親れいむの茎を根本から噛み切った。 ばさりと音を立てて倒れる茎に困惑する赤ゆっくり。 「それが最初のごはんだよ!!みんなでゆっくり食べようね!!」 親れいむの茎はどうなるのかと思ったが、ちゃんと再利用されるようだ。 案外おいしいようで、赤ゆっくり達は必死で貪り始める。 「ゆ!おいちいよ!!」 「ゆっくちできるう!」 そんな様子を眺めていると、親まりさが俺の方に跳ねてきた。 「おにいさん、お話があるんだよ!」 「ん、なんだい?」 「まだ赤ちゃん達が小さいから、もう少し大きくなるまでここでゆっくりさせてほしいよ!」 詳しく話しを聞くと、森の中の巣はかなり奥のほうにあるらしく、そこまで赤ゆっくりを連れて行くのは大変だと判断したとのこと。 「すこしうるさくなっちゃうかもしれないけど、ゆっくりさせてほしいよ!」 「れいむもおねがいするよ!!できる限り静かにさせるよ!!」 いつの間にか親まりさに寄ってきていた親れいむまで懇願する。 そして2匹が顔を地面に近づけた。これは土下座の意味かもしれない。 「うるさくしないんだったらいいよ。でも早いうちに出て行ってね」 赤ゆっくりは相当うるさいので、きっとムリだろう。 だが俺は赤ゆっくりを可愛がりたいとも思っていたので丁度よかった。 「ゆ!できるかぎりがんばるよ!!!おにいさんありがとう!!」 「お兄さんはゆっくりできるいい人だね!!ありがとう!!」 親ゆっくりが喜んでいることに、赤ゆっくり達も意味は分からないが嬉しいようだ。 きゃっきゃとはしゃいで俺に寄ってきた。 夕方、玄関のところでフラフラしている親まりさに会った。 なんでも、出産の後、体力回復のために親れいむに全ての備蓄を食べさせてあげたとかでエサがないという。 今からエサを取りにいっては、生後、茎しか食べていない赤ゆっくりには酷であろう。 俺は出産祝いということで、お菓子を親まりさに譲ってあげた。 その日の夜。 なにやら騒がしいので外に出ると、縁の下をゆっくりレミリアが襲撃していた。 「ゆ!おにいさん助けて!まりさが死んじゃうよ!!」 跳ね寄ってきたのは親れいむと赤ゆっくり10匹。 どうやら親まりさが囮になって、俺に助けを求めにきたようだ。 急いで縁の下を覗くと、半分くらいになった親まりさが俺を見つめていた。 胴体つきのゆっくりレミリアは縁の下に入りにくいようで、中々食べられないでいる。 「こら、人の家で何をしているんだ」 ゆっくりレミリアの足を掴み、思い切り地面に叩き付けた。 「うあ!!ぶびっ!!!」 顔面から突撃したゆっくりレミリアが妙な声を上げ、気絶した。 ゆっくり霊夢達にとっては凶悪な捕食者であっても、人間から見ればゆっくり霊夢と対して変わらない。 「ま゛りざあああ!!!」 ゆっくりレミリアが気絶しているのを確認すると、親れいむが物凄い勢いで縁の下に飛び込んだ。 しかしそこにいたのは半分に千切れた親まりさ。 「まりざああ!!!ゆっくりしようよ!!!!赤ちゃんとずっとゆっくりするんだよ!!!」 親れいむが引きずり出してきた親まりさを見ると、息も絶え絶えでいつ死んでもおかしくない様子だった。 「れいむ・・・まりさはもうだめだよ・・・ぶぴっ!」 ごぽりと餡子を吐き出す親まりさ。 その姿にぷるぷると震える赤ゆっくり。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!ゆ゛っぐりして、ま゛りさ!!!まりさが死んじゃゆっくりできないよ!!!」 「ゆっ・・・れいむには赤ちゃんがいっぱいいるよ・・・ゆっくりできるよ・・」 「やだよ!!まりさがいないとゆっくりできない!!まりざああああ!!!」 必死で頬をすり合わせるが、反応を示さない親まりさ。 もう死が間近に迫っているのだろう。 「れいむと一緒でまりさはゆっくりできたよ・・・ありがとうれいむ・・・」 「ゆっ!!!??やだよ!!もっとゆっくりしたいよ!!!!」 親れいむが傷口を舐めても、もはや餡子は止まらない。 「あかちゃんと、まりさのぶんも・・ゆっくりしていってねぇ・・・」 そういうとまぶたをゆっくりと閉じ、もう親まりさは目を覚ますことはなかった。 「ゆうううううう!!!!!」 生まれたばかりの赤ゆっくり達も、親れいむの様子から何かを察したのだろう。 ぽろぽろと涙を流している。 空気が重かった。 俺はゆっくりレミリアを縄で厳重に縛ると部屋に戻った。 次の日、玄関で待っていたのは目を真っ赤にした親れいむであった。 「おにいさん、まりさがいなくなったけど、れいむは頑張るよ。きのうは助けてくれてありがとう」 いつものような元気が無かったが、赤ちゃんのために頑張らなければならない。 そんな気迫を感じた。 それにあの赤ゆっくりは親まりさが遺した唯一のものだ。 なんとしても育てなければならないのだろう。 「またレミリアが襲ってきたら、すぐに助けを求めてきていいんだからな」 「ゆっくり理解したよ。れいむは今からご飯を取りにいくから、もし何かあったら助けてね」 熱い日差しの中、燃えるような地面を親れいむは跳ねていった。 ゆっくりの巣の前にくると、縄とゆっくりレミリアの服が落ちていた。 特に気にもせずに、赤ゆっくりを呼ぶ。 「ゆっくち!?」 「おにさんはゆっくちできる!?」 ぞろぞろと縁の下から湧いて出てくる赤ゆっくり。 昨日、ゆっくりレミリアを撃退したのを見ていたからだろう、まるで警戒などしていない。 親が食われたというのに、昨日よりぷっくりとしている。 縁の下を見ると、アイスの棒が突き刺さったお墓が見えた。 親れいむが作ったお墓だろう。小さなたんぽぽが供えられ、綺麗なつくりをしている。 「おにいさん!まりさおなかすいたよ!!」 「まりさ!そんなこといっちゃだめだよ!!」 まだ赤ちゃんだというのに、妙に行儀が良い。 親の教育が良いからだろうか。 きっともう、この家の主が俺だと教えたのだろう。 「れいむは頭がいいね、ご褒美にお兄さんがおいしいものをあげるね!」 俺は用意していたホールのショートケーキを赤れいむ達の前に置いた。 「ゆ!?いいにおいだよ!!」 「ゆっくちできそう!!」 「おにいさん、ほんとうにたべてもいいの!?」 すぐに飛びつくかと思ったら、全然飛びつかない。 何度も俺に食べていいか確認してくる。 「いんだよ。これはまりさやれいむ達のために用意したんだよ」 もしかしたら、親れいむに人間からエサを貰うことを禁止されているのかもしれない。 里の人間の中には、ゆっくり虐待が趣味の人間が多数存在する。 彼らは大抵、おいしいお菓子や、ゆっくりプレイスの提供でゆっくりを連れて行き虐待する。 あの賢い親れいむはそれを知っていて、人間は恐ろしいものだと教えたのかもしれない。 「お母さんれいむには内緒にしておいてあげるよ!だからみんなも秘密にしようね!!」 内緒ならいいだろう。 赤ちゃんゆっくりはお菓子が大好きなのは知っている。 俺はいじめたりなんかしないし、親れいむの教育はしっかりしているから大丈夫なはずだ。 ただ、親れいむが怒るかもしれないので釘は刺しておく。 「みんな、絶対にお母さんれいむには内緒だよ!それと、他の人間から食べ物を貰っちゃダメだよ! それが分かったら、ゆっくり食べてね!!」 そう言ってもしばらくそわそわとしていたが、赤まりさがかぶりついたのをきっかけに、一斉にケーキを食べ始めた。 「ゆっくち!!!おいちい!!!」 「うっめ!!めっちゃうめ!!!」 「ハムッ!!ハフハフ!!ハフッ!!」 「ゆっくちぃー!!!」 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 赤ゆっくりの食欲は恐ろしいもので、あっというまに巨大なケーキを食べつくしてしまった。 俺は近所でお菓子を買ってきて、お腹がいっぱいになるまで食べさせてあげた。 「みんな、約束は覚えてるかい?」 満腹でゆっくりしていた赤ゆっくりに質問する 「ゆっ!おかあさんにはないしょだよ!!」 「ぜったいにいわないよ!!」 「だからおにいさん、もっとゆっくりしようね!!!」 「いわないよー!!!」 さすが、あの親れいむと親まりさの子供だ。 ちゃんと覚えていた。 俺はその答えに満足すると、部屋へと戻った。 もう日も暮れ始めている。 そろそろ親れいむも戻ってくるはずだろう。 親れいむはエサを確保し、帰路についていた。 昨晩はゆっくりレミリアに最愛のパートナーを食べられてしまい、気分はどん底であった。 しかし、自分には最愛の赤ちゃん達が残っていた。 それだけが親れいむの希望だった。 その赤ちゃん達のためなら、どんな気分でもエサを取りにいける。 口には大量のご馳走が入っている。 これを見た赤ちゃん達の喜ぶ声が楽しみだ。 歌いだしたいのをこらえ、里の真ん中を通って帰る。 家を出るときに、あの優しい人間がリボンにバッヂをつけてくれた。 飼いゆっくりにつけられるバッヂで、これがあれば人間はイジワルをしてこない。 安心してエサを取ってきなさい、人間は優しく撫でてくれた。 外敵の心配のない人の作った道を堂々と通れることは、親れいむにとって幸せなことだった。 片親であの大所帯を養えるか不安であったが、しばらくは何とかなりそうだ。 「ゆっくり帰ったよ!!ゆっくりしてた!?」 「ゆ!おかあさんだ!!」 「ゆっくちおかえりなさい!!」 縁の下に入ると、帰りを待ちわびていた赤ゆっくり達が寄ってきた。 嬉しくて涙が出そうになるのを必死でこらえる。 子育ては初めてだが、あの賢いパートナーとの子なのだ。 自分の知識を全て教え、賢くゆっくりできる子にしてみせる。 昨晩は、「人間は危険だから絶対に油断してはならない」ということだけを教えてあげた。 ゆっくりレミリアを一撃でしとめたあの人間を見て、人間の強さはすぐに理解してくれた。 「みんな!おいしいご飯だよ!ゆっくり食べようね!!!」 「ゆっ!ごはん♪ごはん♪」 「ゆっくちたべたい!」 寄ってきた赤ゆっくりの前に、口の中からエサを吐き出した。 ムカデ、ダンゴムシ、たんぽぽの葉にモンシロチョウ。 ご馳走の山だ。 「ゆっ・・・!?」 「ゆ!なにこれ!?」 「ゆっくち!?」 そのご馳走を見た赤ゆっくり達が、困った顔をしてこちらを見ている。 ゆっくり種が日ごろ食べるものを食べるのは、今日が始めてなのだ。 これまでの食事は、茎と、親まりさが持ってきたお菓子だ。 親まりさは特に何も言わなかったが、あれはきっとあの優しい人間が分けてくれたのだろう。 それに昨晩は、おいしい肉まんもあった。 「これがれいむ達のいつものご飯だよ!おいしく食べていってね!!」 食べそうにない赤ゆっくり達に食事を促す。 そして、一匹の赤まりさがダンゴムシに口をつけた。が、 「ゆ!おいちくない!こんなの食べられないよ!!」 ぺっ、とダンゴムシを吐き出す赤まりさ。 他の赤ゆっくりも違うものに手を出すが、結果は同じであった。 「まじゅい!!ゆっくちできない!!」 「こんなのいらないよ!!!」 「ぜんぜんごちそうじゃないよ!!」 次々にご馳走を吐き出す赤ゆっくり達。 「そんなことないよ!!!おいしいよ!!ゆっくり食べてね!!」 お手本を見せようと、ムカデを食べてみせる。 「ゆ!そんなきもちわるいのいらない!」 「おかあさんだけたべていってね!!」 ぷいっと奥に行ってしまう赤ゆっくり。 「ゆ!ちょっと待ってね!!ご飯を食べないとゆっくりできないよ!!」 そんな声も無視され、ぽつんと1匹、親れいむは取り残された。 孤独感が襲ってくる。 「ゆっ・・・。せっかくご馳走を用意したのに・・・」 ダンゴムシはこんなにおいしいのに。ムカデはあまり手に入らない御馳走なのに。 たんぽぽの葉は自己流の調理をした自信作なのに。 目の前に刺さったアイスの棒を前に、ひっそりと親れいむは涙をこぼした。 次の日、俺が縁の下を覗くと赤ゆっくり達が跳ねて来た。 「ゆ!おにいさん!まってたよ!!」 「おにいさんれいむおなかすいたよ!!」 「きのうのをまたたべたいよ!!」 親れいむはエサでも取りに行っているのだろう。出てくる気配はなかった。 「みんな、お母さんれいむには内緒にしてくれたかな?」 「ゆ!ちゃんとれいむないしょにしたよ!!」 「まりさちゃんとだまってたよ!ゆっくちできるよ!」 ちゃんと約束を守っている。やはり親に似ているんだな。 「よーし、お兄さんは今日はもっとおいしいものを用意してあげるよ!」 ゆー!と歓声が上がった。 俺は用意していた完熟マンゴーを取りに部屋へと戻った。 夕方、傷だらけの親れいむはエサ取りを終え、家に向かっていた。 昨日はいきなり虫や草を用意してしまったからビックリしたのだろう。 今日はちゃんと食べられるよう、危険を冒しながらも木苺を取りにいった。 なんとか木苺を取ったものの、帰る途中に野良犬に襲われあと一歩で食べられてしまうところだった。 生き残れたのは子供を守らなければという強い母性があったからだ。 遠出をしても大丈夫なよう、おうちには昨日のムカデやダンゴムシを置いてきた。 空腹に我慢できなくなったら食べてくれるはずだ。 口内の木苺を飲み込まないよう注意して跳ねながら、喜ぶ赤ちゃんの顔を思い浮かべた。 「すっぱい!こんなのいらないよ!」 そう言ったのは赤れいむであった。 それを皮切りに、他の赤ゆっくりも続ける。 「こんなの食べられない!もっと甘いのを用意してね!!」 「おかあさんもっとゆっくちさせてね!!」 次々に木苺を吐き出す。 あまりのショックに、傷だらけの体が痛んだ。 「どうじでぞんなごと言うのおお!!おがあざんががんばっでどっでぎだんだよ!!!」 自分のしつけが悪いのだろうか。 地面に吐き出された木苺を見ていると、胸が締め付けられる想いだ。 「いっしょうけんめいとってきてもおいちくないよ!!」 「そうだよ!ゆっくちできない!」 心まで傷つけられる親れいむ。 自分は何のために頑張って木苺を取ってきたのだろう。 ふと、昨日のご飯を置いた場所を見ると、何もなくなっていた。 「ゆ!みんな、昨日のご飯を食べたんだね!だからお腹いっぱいなんだよね!!」 そうであって欲しい。 切なる願いだった。 しかし、そんなことを知らない赤ゆっくりはこともなげに答える。 「ゆ?あんなきもちわるいのすてちゃったよ!!」 「あんなのがここにあるとゆっくちできないよ!!」 「おかあさんはゆっくちできない!!!」 あれほど必死になって集めた御馳走が捨てられた。 無意識に涙がこぼれた。 パートナーをなくしてから、いったい自分はどれだけ涙を流せばいいのだろう。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛・・・・」 それに、あの優しい人間との約束だ。大きな声で泣くこともできない。 そんな親れいむの姿を疎ましく思ったのか、赤ゆっくり達は奥へと姿を消した。 また1匹になった親れいむは、丁寧に木苺を集めて昨日と同じ場所に置いておいた。 もし自分がいないときにお腹を空かせては、ゆっくりした親まりさに申し訳が立たない。 アイスの棒の前で今日も一人、親れいむは眠りについた。 それから1週間、赤ゆっくり達は親れいむのエサに一切手をつけることはなかった。 それなのに日々、どんどんと成長し、今ではソフトボールほどになり子ゆっくりといえるほどになった。 なぜお腹が空かないのかと尋ねたが、 「ゆっくちできないおかあさんにはおしえない!」 と一蹴された。 しかし、どんな形であれ子供が大きくなることは嬉しいこと。 親まりさもきっと喜んでくれるはずだ。 毎日、きっと今日こそはご飯を食べてくれる、と信じてエサを取り、全て捨てられた。 最近では見ただけで口もつけてくれなくなったが、それでも親れいむは懸命にエサを運び続けた。 今日のエサはハチミツとハチノコだ。 全身を毒針で刺されながら確保した。 甘いハチミツならきっと口をつけてくれる。そう信じたから頑張ることができた。 しかし、夕方に散々、メイプルシロップたっぷりのホットケーキを食べた子ゆっくり達はハチミツだけで我慢ができるワケがなかった。 ハチノコを地面に吐き捨てながら、言う。 「ハチミツしかおいしくないよ!!!」 「もっとハチミツをとってきてね!」 ぴくぴくと動くハチノコを見ながら、親れいむはまた胸が締め付けられる。 ハチノコにハチミツをかけたものは、親まりさの大好物だった。 いままでに2回しか食べたことがない。 飼いゆっくりであった親れいむと、同じく飼いゆっくりであった親まりさが出会ったのは、蜂の巣を狩ろうと木の下で作戦を練っていたときだ。 2匹で協力して蜂に刺されまくりながらもなんとか確保したとき、親愛の情が芽生えた。 子供を作ろうと誓い合ったあの日も、蜂の巣を狩り、2匹で祝いあった。 いわば、これは親ゆっくりの絆の食べ物なのだ。 それなのに、子ゆっくりは食べてくれない。 「ゆ!おかあさんのもってくるものは、ぜんぜんゆっくりできない!」 「しんじゃったおかあさんのほうが、おいしいものもってきてくれた!」 出産後、初めてエサとして食べたものは親まりさが持ってきた、人間から貰ったであろうお菓子。 子ゆっくりの中では親まりさは狩りの達人という位置づけになっていた。 「おかあさんがたべられればよかったのに!!!」 「ゆっくちできないおかあさんより、しんじゃったおかあさんのほうが、まりさたちはゆっくりできたよ!!」 ぼろぼろとこぼれる涙。 どうして自分はここまで嫌われてしまったのだろう。 一生懸命エサを運んだのに。 ただ、子供達を喜ばせたかっただけなのに。 「まりさ・・・」 もういないパートナーを呼ぶ。 しかしそれに答える声はない。 また始まったよ、とばかりに子ゆっくり達は離れていった。 それからさらに1週間が過ぎた。 さすがにゆっくりも大きくなり、うるさくなってきたので親れいむを呼んだ。 「なあ、れいむ。もうそろそろ森の巣に移動してくれないか?子供達も大きくなったろう」 しばらく見ない内に、妙に親れいむはやつれていた。 「ゆ・・・、分かったよ。すぐに移動するね」 そういうと、縁の下に跳ねていった。 「みんな、ここからお引越しをするよ!」 縁の下から親れいむの気丈な声が聞こえる。 そして子ゆっくり達のブーイングも聞こえた。 「やだよ!」 「ここはれいむたちのゆっくりプレイスだよ!おにいさんはやさしいからここにおいてくれるんだよ!」 「おにいさんとはなれたくないよ!!」 もはや、親れいむよりも人間に懐いてしまっている。 「引越し先はここよりもゆっくりできるよ!」 「うそだよ!おかあさんはいままでいっかいもゆっくりさせてくれなかったよ!」 「しんじないよ!」 「ここがゆっくりできるよ!!」 随分しつけがなっていないようだ。 俺と遊んでいるときはちゃんとしているのに。 なめられっぱなしだ。 「みんなお母さんの言うことはちゃんと聞こうね!森の巣は死んじゃった魔理沙が作った巣だよ!ゆっくりできるよ!」 俺は助け舟を出した。 少し、親れいむが可哀想すぎる。 しつけはできているのに、なぜなめられているのだろう。立派な親ゆっくりだというのに。 「ゆ!?しんじゃったおかあさんがつくったの!?」 「それならゆっくりできるね!」 「ゆっくりできそうだね!」 子ゆっくりの中では、親まりさは狩りの達人だ。 そんな達人が作った巣ならここよりもゆっくりできるのではないか、単純な考えであった。 それに前に子ゆっくりは聞いたことがある。 この場所は親れいむが最初に見つけたのだと。 子ゆっくりは思う。 無能な親が見つけた巣と、有能な親が作った巣。どちらがゆっくりできるかといえば後者だろう。 「みんな、早く引越しの準備をしてね!」 苦い顔をする親れいむを尻目に、そそくさと引越しの準備を始める子ゆっくり達。 もともと持っていくものなどたかが知れている。10分もしないうちに引越しの準備は終わった。 「じゃあみんな、お兄さんにさよならの挨拶をしてね!」 「ゆ!おにいさんいままでありがとう!!」 「またゆっくりしにきてもいい?」 「おにいさんだいすきだよ!」 「おにいさんはゆっくりできるひとだったよ!」 決して自分には向けられない笑顔を見て、親れいむの胸が苦しくなる。 しかし、この人間は優しい。 それを一番知っているのはきっと自分だろうと親れいむは思う。 「お兄さん、いままでありがとう。これからは森でゆっくりするね」 「おう、また何かあったらいつでも来てくれてかまわないからな」 そして、親れいむと子ゆっくり達は森の中へと消えていった。 森を進むのは困難を極めた。 ゆっくりと平和に育った子ゆっくり達は足場の悪い森の道に、不満を爆発させた。 それを必死でなだめ、ゆっくりできるから、と道なき道を進んだ。 移動途中、どんなにエサを持っていっても決して食べてはくれなかった。 長い道のりだから体力が必要だというのに。 子ゆっくり達は思っていた。 親まりさの巣には、いままで以上の御馳走が用意されていると。 だから、こんな親れいむが取ってくるような虫などとても食えたものではない、と。 親まりさが作った巣についたのはそれから2日も経ってからであった。 苔がこびりついた洞窟を見た瞬間、子ゆっくり達はかつてないほどの不満を爆発させた。 「ゆ!なにこのきたないところは!?ゆっくりできないよ!!」 「ぜんぜんゆっくりプレイスじゃないよ!!!」 「おかあさんのうそつき!!!」 最愛のパートナーが作った愛の巣。 ボロボロになりながらも、ようやく他のゆっくりが住んでいない洞窟を見つけ、2匹で頑張って綺麗にした。 やわらかい苔を泥だらけにながら集め、子供達のベッドを作った。 当然、人間の家と比べれば汚いし、みすぼらしい。 しかし、言葉では言い表せないほどの思い出がつまった巣だ。 それをゴミのように罵倒する子ゆっくり達に、親れいむは我慢がならない。 「ゆ!なにこのきたないの!!すてちゃえ!!!」 先に洞窟に入った子れいむが、小さい木のカケラを投げ捨てた。 「ゆっ・・・!」 それは親れいむと親まりさが生涯を誓い合ったとき、記念に作った木の人形であった。 不恰好だが、2匹にとっては愛の証拠であったのだ。 それがメチャメチャに破壊され、子れいむに捨てられた。 「ゆゆっ!なにこれ!こんなのいらないからおいしいごはんをよういしてね!」 「きたないごみだね!はやくすてようね!」 その瞬間、親れいむの母性は、怒りに押しつぶされた。 どうして、なぜ、自分はここまでゆっくりできなくなったのか。 全てこいつらのせいではないのか。 まりさがいてくれれば幸せだったのだ。 今にして思えば、こいつらが騒いだからゆっくりレミリアが声をききつけて襲ってきたのかもしれない。 許せない。 もう許す必要なんてない。 こんなゆっくりできない子は自分の子供ではない。 「ゆ?なにをしてるの?はやくごはんをよういしてね!」 「ごはんがあるなら、きたないとこでもがまんしてあげるよ!」 怒りを爆発させ、信じられないほどの跳躍をみせる親れいむ。 落下すると、ぶちゅりと餡子をはじける子まりさがいた。 「お゛ね゛え゛ぢゃん゛があああああ!!!」 「ゆ・・・!?なにをするの!?ゆっくりあやまってね!」 「ゆ゛っくり死ね!もうれいむの子供じゃないよ゛!!!死ね゛え゛え゛え゛!!」 かつて、誕生を喜んだ子供達に襲い掛かる親れいむ。 その目に浮かんだ涙は、誰のためのものなのか。 最愛のパートナーとの繋がりは、親れいむにとって許せないものへと成長してしまった。 許せないのは子供達なのか、満足に育てることができなかった自分なのか。 そんな問いを全て押しつぶし、子供を次々と押しつぶす。 つらい思い出を全て押しつぶしたい、親れいむは止まらない。 「ゆ!おねえちゃん!にげるよ!!」 「わかったよ!みんなまりさについてきてね!!!」 必死で逃げ始める子ゆっくり達。 この森で満足に虫も食べられないゆっくりがどう生きていくのか。 ふふふ、とゆっくりらしからぬ笑い声を上げる親れいむ。 もう追いかける気もしない。 死んでしまえ。 自分達の愚かさを呪いながらゆっくりと死ね。 静寂な森に、いつまでも親れいむの笑い声が響いた。 逃げ切った子ゆっくりは5匹であった。 子れいむ2匹と子まりさ3匹。10匹姉妹は半分になってしまったが、希望はまだ捨てていない。 「あんなバカなおやは、ゆっくりしねばいいのにね!」 「そうだよ!ゆっくりしね!」 見えなくなった親れいむへの怒りをあらわにする子ゆっくり達。 「はやくおにいさんのところにもどってゆっくりしようね!」 「そうだね!だいすきなおにいさんにはやくあいたいね!」 「おなかすいたよ!はやくあいにいこうね!」 子ゆっくりだけで抜け出せるほど、自然の森は易しくない。 同じところをぐるぐると回っていることに気がつくものは、1匹もいなかった。 雨が降っていた。 どんどん、と何かを叩く音が聞こえ、俺は扉を開けた。 そこにいたのは1匹のゆっくり霊夢であった。 「ん?お前、こないだのれいむか?」 ゆっくり一家が出て行ってから、1ヶ月が過ぎていた。 目の前にいるのはあの時の親れいむだろうか。酷くやつれて、皮は傷だらけだ。 雨に濡れたせいか、全体的にぶよぶよとしている。 「大丈夫か?いまご飯を食べさせてあげるから、ゆっくりあげれ!」 何も返事をしないゆっくり霊夢を部屋にあげ、あまいお菓子を用意した。 「どうしたんだ?子供たちは?」 ふるふると体を左右に揺らす。それ以上は答えない。 きっと外敵にでも襲われて逃げてきたのだろう、俺はそう結論付けた。 そっと頭を撫でてやると、ぶわっと涙を出した。 「つらかったな。ゆっくりしていっていいんだよ」 「ゆ゛う゛う゛う゛!!!れいむ、もういやだよお゛お゛お゛!!!ま゛りざあ゛あ゛あ゛!!!!」 泣き出したゆっくり霊夢を抱きしめ、傷口に水で溶かした小麦粉を塗る。 餡子もあまり漏れていないし、しばらくすれば元気になるはずだ。 「れいむ、お前さえよければここでずっとゆっくりしていっていんだよ。まりさもここに眠ってる」 子供達を失った悲しさを少しでも和らげてあげたい。俺は純粋にそう思った。 「ゆっ・・・ゆっ・・・」 顔を俺に向ける。 その顔は涙が溢れているものの、明るい笑顔だ。 「お前の笑顔、なんだか久しぶりだなあ」 そういえば、出産の時以来久しく見なかった。 なぜだろう。 あんなに可愛い赤ちゃんゆっくりがいたのに。 まあ、きっと晩御飯のときや寝るときは親子仲良くゆっくりしていたのだろうから、偶然だろうな。 「ゆっくりしていくね!!」 雨が屋根を叩く中、ゆっくり霊夢の声が部屋に響いた。 作:アルコールランプ? このSSに感想を付ける
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ゆっくり蒸し 俺はゆっくりの家族を探していた。 目的は、虐待である。 ゆっくりを入れる巨大な籠、ゆっくりを騙すテクニック 準備はばっちりである。 俺がゆっくりを探しながら歩いていると、 正面から、ゆっくりの家族がこっちに向かってくるではないか!! 「お、いた!!」 男は、見つけたゆっくり一家にばれないように ボソっと、小声で呟いた。 ゆっくり一家の構成は、 親れいむ・親まりさ、 子供れいむ5匹、子供まりさ5匹、 赤ちゃんれいむ・まりさ、2匹、 合計、14匹である。 俺はゆっくり一家を捕まえるべく、 とびっきりの作り笑顔で 先頭を歩いていた親ゆっくりれいむに話しかけた。 「こんにちは!!」 「ゆゆっ!?おじさんはゆっくりできる人?!」 「うん。ゆっくりさせてね」 「「「「「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」」」」」」」」」 俺が、ゆっくりさせてくれ、と言うと ゆっくり一家全員の、ゆっくりしていってね、の大合唱が。 俺は、計画どおりに事が進んでいて作り笑顔ではなく 本当の笑顔が顔にできていた。 「ゆゆ!!おじさん、どうしたの!!??」 れいむは、俺の笑顔の変化が分かったのか 質問を問いかけてきた。 答える必要はない。 俺はその発言を無視してゆっくり一家に提案をした。 「おじさん、もっとゆっくりできる場所を知ってるよ。 来ない?」 「いく!ゆっくりつれてってね!!」 親れいむが、俺の嘘にだまされた。 ふはははははは、これで貴様は一生ゆっくりできない。 「れーむもいきゅ!」「いきたいんだぜ!!」 子ゆっくり達も行きたいコール。 「ゆっくりつれてくんだぜ!!」 これまで黙ってた親まりさも。 「わかった。じゃあ、ちょっと待ってね」 俺は、素早く背負っていた籠にゆっくり一家を入れる。 「ゆ”ゆ”!ぜま”い”よ”、お”じさん”」 「ゆ”っぐり”でぎな”い”ん”だぜ・・・!!」 ゆっくり一家は、自分たちがいる場所の狭さについて 俺に文句を言ってきた。 もう籠に入れてしまえばこっちの物だ!! 「うるせえ!!」 俺はそう叫ぶと、ガツガツとわざと籠を揺らすように走った。 「ゆ”!」 「ぶ!」 ゆっくり達のつぶれる声が聞こえる。 潰れる、と言っても死ぬほどでもない。 家まで、籠を揺らしながら走った。 家に着くと、すぐさま籠を開けてゆっくり達を開放する。 親ゆっくり達のブーイングの嵐が始まる。 「おじさんどういうこと!!赤ちゃん達になにかあったらどうしてくれるの!!」 「オレシラネ」 「ゆっくりあやまるんだぜ!あやまったらゆっくりここからでていくんだぜ!!」 「これからここはれいむたちのゆっくりプレイスにするよ!!」 「「ゆっくりあやまってね!!」」 「オレシラネ」 俺は、さっさと作戦を実行するべく、巨大な薬缶を取り出した。 「おじさん、なにそれ?」 「ゆっくりせつめいするんだぜ!!」 子れいむや、子まりさ達が、興味津津に話しかけてくる。 「これはね、ゆっくりできる部屋なんだ。 ちょっと小さいけど、とってもゆっくりできるんだ。 かぞくみんなで入ってね。」 「ゆゆ!だまされちゃだめだよ!!」 親れいむは、俺の事を警戒しているらしい。 そりゃそうだ。揺らされて、所々怪我をしたし 赤ちゃんも、もしかしたら死んでいたかもしれない。 「ごめんね、れいむ。 これをあげるから、許してくれ。」 そう言って、う●まい棒(袋に入ってる)を渡した。 「ゆゆ!おじさんありがとう!!ゆっくりゆるしてあげるね!!」 親れいむは、幸せそうにう●まい棒を見つめて言った。 親まりさも、今さっきまでの警戒心は無くしたらしく 幸せそうにう●まい棒を見つめていた。 ゆっくり達には、手足が無い為、 う●まい棒の袋を誰かに開けてもらうまでは食べられない。 その為か、ゆっくり両親達は涎を垂らしながら、う●まい棒を見つめていた。 子ゆっくり、赤ちゃんゆっくりも涎を垂らして見つめていた。 俺は、この隙に、と思い、 薬缶の中へゆっくり一家を詰め込んだ。 「ゆゆ”!ぜま”い”よ”!!」 親れいむの苦しみの声が聞こえる。 子れいむ達の声もだ。 俺は、携帯用のコンロを出した。 火をつけて、ゆっくり達の入っている薬缶を置いた。 「・・・任務完了♪」 まだ火に当てたばかりだから熱は伝わってこないだろう。 数分後 「おじさん!!あづいよ!! ゆっくりだしてね!!」 蓋をする部分のちょうど真下にいた子れいむが言った。 「ヤダ」 「ゆ”う”う”う”う”う”!!あ”づい”よ”ぉぉぉぉぉぉ!!」 薬缶の一番下・・・、コンロの火がジャストヒットしている 子れいむが叫んでいた。 数十分後 「ゆ”う”!!あ”づ”い”よ”お”お”お”お”お”お”!!」 親れいむの声が聞こえる。 泣きながら叫んでいるのだろうか、とても痛々しい声で叫んでいた。 今さっきまで聞こえていた、薬缶の最下層の子れいむの声が聞こえなくなった。 もう虫の息なのだろう。 「はやくだすんだぜ!!」 親まりさが叫んだ。 俺は不思議に思った。 数十分も火に当てられてなぜそこまで平気に叫ぶことができる? 俺は、薬缶の中を覗いてみた。 なんと、親まりさは子まりさを自分の周りにおいて 暑さを防いでいたのだ。 親まりさは、子供などを平気に裏切ると聞いたが 本当だったとは・・・。 「チッ」 俺は舌打ちをした。 苦しんでいないとは、俺の努力はなんなんだ。 怒りを込めて、親まりさへ目つぶしをした。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」 ざまみろ そして、数分後 今さっきまでの叫ぶ声はなくなり、 呻き声などが聞こえ始めた。 「お”み”ずち”ょ”う”だ”い”い”い”い”」 来た!来た来た来た! ついに最後の〆の時が来た。 俺は興奮して、ゆっくり一家に喋り掛けた。 「水がほしいのか!! いまあげるぞ!!」 「ゆゆ・・・ありがとうおじさん・・・」 「ゆ”う”・・・」 もう死にかけである。 俺は、バケツにいっぱい水を汲んで来た。 「今やるぞ!!」 手で水をすくい、三回、水を入れてやった。 「ゆぅー」 「このくそじじい!!れいむをゆっくりしないでだしてね!!」 「じじいはさっさとしね!!!」 俺に文句を言い始めた。 そろそろ、とどめをさすか。 そう思い、水をすくって薬缶の中に入れてやった。 大量の水だ。 そして、蓋をした。 「ゆ”ゆ”!!く”ら”い”よ”!! あ”づい”よ”!!!」 「あのくそじじい!ま”り”さ”の”め”を”つ”ぶし”た”ん”だぜ!しね!!」 今さっき目を潰された親まりさは、恨みを込めて一家全員へと喋っていた。 暑さ防ぎにされている子ゆっくり達は、聴いていない。 俺は、コンロの火を強火にした。 「ゆ"!む”じあ”づい”よ”!!」 「れ”い”む”の”がら"だが!!!」 「あ”づい”ん”だぜ!!」 そう、今さっき俺が入れた水でゆっくり達は蒸されているのだ。 皮はブヨブヨになり、中の気温も上昇し、 ゆっくり達にとっては地獄だ。 さすがに親まりさも、熱い熱いと言い始めた。 数分後 俺は、ゆっくり達の声が聞こえなくなったので薬缶を開けてみることにした。 すごかった。 中のゆっくり達は、どろどろに溶けて原形をとどめてない。 髪飾りのリボンや、帽子が、どろどろに溶けた餡子に入っていた。 俺は、お餅を入れてお汁粉にすることにした。 「いただき・・・もす・・・!!」 灼熱という地獄を味わったゆっくり達の味は格別だった。 甘い。とにかく甘い。 俺はぺろり、と食べきってしまった。 「次は・・・、アリスのクリームでクリームパンでも作るかな」 俺はニヤニヤと笑みを浮かべた。
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※タイトルと作中一部で使われている元ネタについてはスルーの方向でお願いします ※一行だけですがうんうんやしーしーネタが出てしまいます。ごめんなさい ※少々汚いです ある所にちょっとしたゆっくり一家をペットとして飼っている青年がいた。 親子合わせて五匹程の、平均のゆっくり一家よりはやや少ないがこれといった特徴のない一家だった。 れいむとまりさ種の五匹家族は飼いゆっくりのため、もちろん野生よりは良い生活を送っているのだが、納得いってない事があった。 それは青年がゆっくりの他に飼っているペットの猫だ。青年はゆっくり一家よりも遥かにこの猫を溺愛している。 夏場の涼風や冬場の暖房など、いわゆるゆっくり達の言う〝ゆっくりプレイス〟を青年は優先的に猫に与えている。 粗相をした時などは猫の場合は軽く叱るだけで丁寧に後始末をするというのに、ゆっくり一家がうんうんやしーしーの粗相をすれば死ぬ程殴られる。 それになによりも食事の格が違う。 ゆっくり一家が与えられているのは料理の際に出た野菜クズや残飯。その上自分で採って来いと軒下や庭に放り出される事もある。 それに比べて猫が与えられているのはニキロ三千六百円もするキャットフード。 月にニ、三は高級の猫缶までついてくる。 ゆっくり達に円の相場は分からなかったが、自分達のそれに比べて遥かに高級で美味しいということは理解できた。 同じ家に住んでいながらこの差は何だ。 親れいむと親まりさは憤怒し、子供たちもそれに倣う。 「ぷんぷん! まりさたちにおいしいごはんくれないで、ねこさんばっかりゆっくりさせるなんて!」 「れいむたちもゆっくりしたいよ!」 「「「ぴゅんぴゅん!!」」」 ゆっくり一家の怒りももっともだが、青年が猫の方を圧倒的に可愛がるのも無理もない事ではある。 その猫はもう十数年は生きている老猫であり、青年が子供の頃より一緒に暮らしてきたのである。 人生の半分以上を共に過ごして来た家族と、短命の新参饅頭を比べれば当然猫の方に情が傾くというものである。 ゆっくり一家が生まれる何年も前は元気に走り回っていた猫も、今や日がな一日寝ては食っての生活。 後はもう余生をゆっくりまったりと暮らすのみである。ゆっくりよりもこの猫の方が遥かにゆっくりしている。 青年としても、残り少ない余生を親愛なる家族に幸せに暮らしてもらいたいと思っている。当然の事だ。 だが、そんな事は知らないゆっくり一家の怒りが爆発するのも、時間の問題だった。 ある日の事。ゆっくり一家と老猫は同じ部屋でゆっくりしていた。 南側に面するその部屋には窓から陽気な日差しが降り注いでいる。猫はその陽を浴びながらゆっくりと寝ていた。 ゆっくり一家も日差しを直接浴びてはいないものの、ぽかぽかと暖かい部屋でソファでゆったりとくつろいでいた。 現在この部屋に青年はいない。つまり、止める者は誰もいない。 今こそ絶好のチャンスだと親れいむと親まりさは思い立った。 「ゆゆっ、れいむ、ねこさんゆっくりしてるよ」 「ゆっくりしてるね」 猫に聞こえないように小声で(本人達が思っているだけでちゃんと猫の耳には届いている)話し合う二匹。 子ゆっくり達も親達のたくらみに気付いたのか息を潜めて気配を殺そうと努めている。 ゆっくり一家の不満は募りに募っていた。 同じ家で暮らしている家族でありながら自分だけ美味しい物を食べてゆっくりしている。 野菜クズをほおばる自分たちに見せ付けるかのように美味しそうにご飯を食べる老猫。 本来その怒りは飼い主の青年に向けるべきであろうが、そんな考えはゆっくり一家にはなく、ただ自分達を差し置いてゆっくりしている猫が許せないという思いが先立っていた。 そうしてゆっくり一家は反乱を企てた。いや、ただの八つ当たりか。 「そろ~り、そろ~り」 ゆっくり一家は声をそろえて猫が寝ているところまで息を殺して這い始める。 もちろんバレバレだ。全然気配を殺せていない。 猫まで二十センチというところで、それまでゆっくり一家を無視していた猫が顔を起こしてゆっくり一家へとけだるそうな視線を向けた。 「ゆゆっ! きづかれちゃったよ!」 「いまさらきづいてもおそいよ!」 れいむは焦ったがまりさは怯まなかった。 猫が顔を起こしたのを確認するやいなや、猫に向かって一気に跳ねて体当たりを食らわせた。 ボヨン、とまりさの体が猫にぶつかる。 猫は慌てて跳ね起きた。ダメージこそないものの、バレーボール大の大きさの物がぶつかって来たらそりゃ驚く。 だが猫にとってそんな当たり前の行動も、ゆっくり一家にとっては親まりさの攻撃に恐れおののいたと思えた。 「ゆゆ~っ、まりさすご~い!」 「「「まりしゃおきゃぁしゃん、しゅごぉぉぉぉい!!」 「ゆゆ~、てれるよ~」 頬を若干赤く染めてくねくねと身を捩るまりさ。 一家の賞賛とそれに照れるまりさという茶番を尻目に、猫は少し離れて再び寝に入ろうとしていた。 だがそれを親まりさは許さなかった。 「ゆゆっ! ゆっくりしないでね、ねこさん!」 ボスン、と再び体当たり。猫は再び跳ね起きて後退する。今度は無視せず、親まりさの方へとその鋭い眼を向ける。 「ゆゆ~、に、にらんでもだめだよ! まりさたちよりゆっくりしているねこさんは、ゆっくりしないでね!」 親まりさは年季を感じさせる猫の眼光に一瞬怯むも、すぐに強気に出た。再び体当たりを敢行しようとする。 だが、それにクロスカウンターを決めるかのように猫も飛び掛った。 両前足でまりさの体を挟み込むと、その牙を親まりさに突き立てたのである。 「ゆ゛っ!? ゆびぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! いぢゃいよ゛ぉぉ!!」 「まりざっ!?」 「おきゃあしゃん!?」 普段のんびり寝ている姿しか知らないゆっくり一家にとってこの猫の反撃は予想外だった。 実はゆっくり一家の知らない所ではあるが、この猫は若い頃近所の猫と毎日喧嘩に明け暮れる毎日を送っていた歴戦のつわものであった。 「ゆびびびびっ! ばりざをだべないでね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 両前足で動きを封じられ猫に牙をつきたてられた親まりさは、先ほどの威勢もどこへやら涙で顔をグシャグシャにしている。 ちなみに噛んでいるだけで食べている訳ではない。 「ゆ゛っぅぅぅ!!! まりしゃおきゃーしゃんをだべないでね゛っ!」 「ねござん、やべちぇね゛っ!」 「ゆわ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ゆゆっ! まりさ、いまたすけるよ!」 親のピンチに涙を撒き散らして泣く子を尻目に、親れいむは駆け出した。親まりさを助けるために。 正面から行ってもパワーもスピードも上回る猫からまりさは救い出せない。ならば弱点を突くのみ。 親れいむは親まりさを夢中で前足で弄んだり噛んだりしている猫の後ろ側に回り込むと、その尻尾に全力で噛み付いた。 「ぶにゃっ!?」 さしもの猫もこれには怯んだ。親まりさを解放するとすかさずその場から離脱しようとする。 だが、猫の尻尾に全力で噛み付いている親れいむがそれを許さない。 猫は自分の尻尾に噛み付いている親れいむに猫パンチを繰り出すが、親れいむは必死に踏ん張って離そうとしない。 親れいむはかつて、青年が猫の尻尾を踏む場面を見ており、猫の弱点が尻尾であると知ったのだった。 「ゆゆっ! れいむゆっくりありがとう! いまたすけるよ!」 必死に涙目で猫パンチを耐えている親れいむの加勢をするべく自由の身になった親まりさが体当たりをしかける。 子ゆっくり達はそんな親達の勇姿に声援を送る。 数の力だろうか。今やゆっくり一家は既に勝った気でいたのだった。 「ゆゆっ! ねこさんゆっくりしたかったら、まりさたちをゆっくりさせてね!」 まりさがそう大声で言って猫に噛み付くのと、青年がその部屋に入ってきたのは同時だった。 「ゆび……ごべっ、ごべんなざい……」 「ゆっぐぢざぜでぐだぢゃい゛ぃぃぃぃ……」 「ゆえ゛ぇぇぇぇぇぇん……」 あれからゆっくり一家の生活は激変した。もちろん、悪い方向に。 まず餌が与えられなくなった。一日の朝、親まりさを軒下か庭に放り出して自力で餌を集めさせる。 もちろん、庭の花を抜いたら死んだ方がましと思える折檻だ。 親れいむはというとゴミ箱になった。 大口を開けさせて器具で固定。もはや生ゴミ等の食べ物ですらない、ちり紙や木屑などが強引に口に入れられる有様だ。 「…………ゅぐっ、ぇっぐ……」 まだその生活を始めて三日ではあるが、既にれいむは枯れんばかりに泣いており、自分の行いを死ぬ程後悔した。 子まりさは雑巾になった。主に親れいむが零した涙や猫の粗相を拭く際に使われる。 「いぢゃい゛っ、いぢゃいよ゛っ! ゆっぐじやべでね゛っ! まりしゃはじょうきんじゃにゃ──ゆぶべっ!」 帽子や髪、底部を強引にこすり付けて痛みと共に役立たせるのだ。もちろん、最後は普通の雑巾で拭き取るが。 子れいむは固形の猫の粗相の処理を命じられた。 嫌がる子れいむの口に強引に黒いそれをねじりこませるのだ。 「ゆっぐりやべちぇね! くちゃいよっ! ゆっぐぢでぎな────ゆぶぼっ!」 そして無理矢理咀嚼させて餡子に変換させる。 ちなみに子ゆっくり二匹が働かない時は、透明の箱に監禁させそこにムカデを放り込む。 片時もゆっくりせずに立ち向かえば食べられない程度の大きさのムカデだ。 そして残りの子ゆっくりは見せしめになった。 最初は生きたまま土に埋めようかと思った青年だったが、あまりの青年の怖さに失禁した瞬間、見せしめに使うことにした。 ゆっくり一家の目の前で竹串で体を貫かせ、ゆっくりと火あぶりにして殺した。 次粗相をしたらこうなるとゆっくり一家に知らしめたのだ。 その生活も二ヶ月もすれば段々と改善されて行き、やがて以前と同じぐらいの生活になった。 その頃には既に家族は三匹にまで減っていたが。 もちろん家族にはもう逆らおうと、生活の改善を要求しようなどという気概はない。 だが、家族が減ったため親れいむと親まりさが新しく産んだ子ゆっくり二匹はそうではなかった。 目の前で自分達よりゆっくりしている猫を見ては日に日に不満を募らせていって、 「ねこしゃんゆっくりしたかったられいみゅたちをゆっくりさせてね!」 二度目のゆっくりの反乱、ゆっくりべりおんが起こった。 おわり ────────── あとがきのようなもの 最近ネタが出てこないです と、いうか以前ほどゆっくり虐待衝動が湧き上がってこないんです……冬だからか ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 まりさの浮気物! byキノコ馬 このSSに感想を付ける