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「ゆっ!」ピョコッ どうも梅雨の時期ってのはゴロゴロすんのも限界があるねぇ…あぁ布団干してー… 「ゆっ!……ゆっ!」ピョコッ…ピョコッ 古本屋で買ってきた漫画もあらかた読んじまったし… 掃除もどきでも…「ゆっ!…おにーしゃん!」ピョコッ ん、なんだ? 「ゆっ!…れぃむゆっきゅりぎゃちょみゃりゃにゃきゅちぇ…ゆっ! …きゅりゅしいよ…ゆっ!」ピョコッ なんだその、ロマンティックが止まらない的な症状は。 「ゆっ!…たしゅきぇちぇにぇ……ゆっ!」ピョコッ ふむ…ゆっくりが止まらない、ねぇ… 「ゆっ!…おにーしゃ ゆっ!…」ピョコッ ん?『ゆっくり』……あ、ああ!そういう事か。 待ってろ、水持ってきてやる ・ ・ 「こーきゅこーきゅ…」 … 「……………」 さて、どうだ? 「…ゆー!ゆっきゅりぎゃちょまっちゃよ!ありぎゃちょう、おにーしゃん!」 つーか、しゃっくりもすんのか。ほんとどうなってんだお前ら 「ゆぅ?ゆっきゅりわきゃりゃにゃいよ?」 まぁ、そりゃそうだろうな… ひゃっく… ん? ひゃくっ…! 「ゆゆっ?!おにーしゃんぎゃゆっきゅりでちゃっちゃ!」 しゃっくり程度、別に大じょ ひゃくっ… だ 「おにーしゃぁぁん!しんじゃやぢゃよぉぉぉぉ!!」 しゃっくりで死にゃせんわ ひゃくっ… 「ゆっきゅりにゃおっちぇにぇぇぇぇ!」 ―俺はそれからしゃっくりが止まるまで、「今夜が峠」とばかりにれいむに心配された。 おしまい。 by『とりあえずパフェ』 なんと過保護なれいむだ…………! うらやましい、くれ -- 名無しさん (2009-10-06 20 44 22) 名前 コメント
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森でまもなく子供が生まれるゆっくりれいむとそれを見守るゆっくりまりさをみつけた。 「どうしたんだい?」 「ゆっ!?まりさ、にんげんだよ!」 「おにーさんどうしたの!ゆっくりしていってね!」 俺の声かけに気づいたゆっくりまりさがれいむを守るように俺の前に立ちはだかる。 すこし膨れているのでだいぶ警戒しているのだろう。 れいむはまりさに隠れながら自分の頭の上の実を気にしている。 その後ろは土が崩れている用に見える。 「もしかしてここに巣があったのかな?」 「ゆぅ・・・おにーさんにはかんけいないよ!はやくかえってね!」 「そうだよ!れいむはふたりでゆっくりしたいよ!」 「まぁまぁ。この様子だと巣を掘りなおすにはしばらく掛かるんだろう?」 「ゆぅ・・・」 「その間うちに来ないかい?」 俺の質問にまりさとれいむは俺を気にしながら相談を始める。 ゆっくりにとって人間は捕食者の一つである。 昔は人間を気にせず人の畑や家に入り込んで食料を漁っていたが、人間によってゆっくりが殺されだすとゆっくりは森の奥に逃げ出した。 森の中で人間にあってもすぐに逃げるようになったので一部を除く人間は無視するようになった。 これにより人間とゆっくりは上手く生活できるようになった。 しかし、一部の人間がゆっくりを捕まえに森に入っていたので、このように人間を警戒するのである。 「おにーさんのていあんはうれしいけどまりさたちはもりでくらすよ!」 「でも近くに身を隠せる場所は無さそうだけど。」 「でもにんげんはしんようできないよ!」 「子供達がどうなってもいいのかい?」 「ゆゆゆゆ・・・」 人間は怖い。しかし、このまま森でいるとやがて夜になり、捕食者が目を光らす時間になる。 まりさは何とかなるかもしれないが、実を生やしたれいむは明日にはいなくなるだろう。 まりさは決断を迫られた。 「ゆっ!おにーさんすこしゆっくりさせてね!」 「まりさ!?」 「だいじょうぶだよれいむはまりさがまもるよ!」 「じゃあ俺の後についてきてね。」 まりさは子供とれいむを見捨てれなかった。心配するれいむをなだめるまりさの目にはれいむを護るという決意の火が見えた。 もうすぐ日が暮れる。このままでは俺も危ないので崩した巣穴を離れた。 俺は後ろからついてくるまりさとれいむを気にしながらゆっくりと家に帰った。 帰る間俺は一度もれいむに近づけなかった。 近づこうとするたびにまりさが間に入るのだ。これなら夜も過ごせたかもしれない。 家につくと庭の一角にある小さな小屋に連れて行く。 「ゆゆっ!これはほかのゆっくりのすだよ!」 「そうだよ!かえってきたらゆっくりできないよ!」 「あぁ前にも使ってたゆっくりがいるだけだよ。」 「ゆぅ?」 「ここは巣をなくしたゆっくりに使わせるために作ったんだ。 今までに何匹ものゆっくりがここで巣が見つかるまで暮らしてたんだよ。」 「じゃあいまはいないの?」 「そうだよ。今は誰も使ってないからそこでゆっくりしていってね。」 「ゆっくりしていくね!」 「おにーさんありがとう!」 ちゃんと俺にお礼を言うゆっくり。 家に来るまではだいぶ警戒していたが、先ほどの話とこの巣に残っていたのだろうゆっくりの気配から俺を少しは信用したようだ。 しかしまだ完全に信じきってはいないようで巣箱の入り口は俺の手が入らないように枝や木の葉で隠せるようにしていた。 「ずいぶん厳重だね。」 「しらないばしょだからね!なにがくるかわからないもん!」 「まりさ!ごはんはどうしよう?」 「ゆぅ・・・」 「こんな時間だしね。何か食べれるものを持ってこよう。」 「ゆ!おにいさんいわるいよ!」 「まりさ!ここはおにーさんにたすけてもらおうよ!れいむはおなかがぺこぺこだよ!」 「ゆゆゆゆ・・・」 「料理に使わなかった野菜屑だから平気だよ。俺は捨てるものがなくなってうれしい。君達は食べれるものがもらえてうれしい。」 「ゆっ、じゃあへいきだね!おにーさんごはんください!」 「じゃあこっちにきて一緒に食べようか。」 そういってまりさとれいむを家の中に招待する。 れいむは縁側を登るのに苦労しそうだったので俺が持ち上げることにした。 まりさはいやがってたがお腹がすいたれいむはすぐに持ち上げてと言って来た。 まりさも言葉では嫌がっているがよだれがすこし見える。 朝早くに巣を壊したのでほとんど一日何も食べてないのだからしょうがないのかも知れない。 「うっめぇ、これめっちゃうめぇ!」 「むーしゃむーしゃしあわせー!」 野菜屑を一心不乱に食べるゆっくり達。それを見て俺も夕食を食べだした。 夕食を食べ終わるとこれからのことを話し合う。 「ゆっ!あさになったらでていくよ!」 「おにーさんありがと!」 「でも巣の当てはあるのかい?」 「ゆっ・・・でもなんとかするよ!」 「まぁまぁもうすぐ雨が良く降るのは知ってるだろう?」 「うん!もうすぐゆっくりできなくなるよ!」 「巣ができる前に雨が降っちゃうと溶けちゃうよ?それでもいいのかい?」 「ゆぅぅぅぅぅ・・・」 「だからさ、巣が出来るまであそこを使ってほしいんだ。餌は俺がやっても良いし自分でとってきてもいい。」 「おにーさんいいの?」 「ああ、もちろんその代わり話し相手になってくれないかな?ひとりだと退屈でね。」 「いいよ!ゆっくりしていってね!」 餌は雨の日以外は自分でとって来るそうだ。俺としては毎日上げてもよかったがまりさが嫌がった。 「かりのしかたわすれちゃうとだめだからね!」 「まりさはとってもじょうずだもんね!」 「れいむもすごいじょうずなんだよ!」 「はいはい。」 次の日からまりさとれいむの新しい生活が始まった。 朝のうちからまりさは巣のあった場所に出かけて穴を掘りに、れいむは新しい巣で子供達が落ちないようにじっとしている。 俺はまりさについていき一緒に森で食べ物を集めた。 森のことはゆっくりの方が詳しいのだ。まりさに連れられてかごをいっぱいにして家に帰る。 まりさは帰るとすぐに巣にいきれいむにご飯をあげる。そして次の日までれいむやおれとゆっくりして過ごす。 物覚えもよく、人の畑の餌をとらないなど俺が教えたことはすぐに覚えた。 どうやらゆっくりしているときに教えてもらったことはちゃんと覚えるらしい。 昔はゆっくりに厳しく教えていたそうだから逆効果だったのだ。 そんな生活も1週間続くと終わりが見える。 れいむの実がだいぶ育ち、赤ちゃんゆっくりの形が分かるようになった。 ゆっくりれいむが6匹、ゆっくりまりさが同じく6匹。 まりさの巣ももうすぐ完成だという。 「おにーさんいままでありがとう!」 「れいむたちはあしたにはでていくよ!」 「急だね。赤ちゃんが生まれてからでもいいんじゃないか?」 「にんげんになれちゃうよだめだからね!」 赤ちゃんが俺になれてしまうと、親ゆっくりがいない間に人里に近づくことを心配しているのだ。 「うーん、明日は止めた方がいいかな。」 「ゆ?」 「明日の天気予報は雨なんだ。」 「だいじょうぶだよ!あさはふらないよ!」 「しかし、もうすぐ赤ちゃんが生まれるれいむが昼までに巣までいけるのかな?」 「ゆぐぅ・・・」 俺はまりさたちがここに一日留まるように雨のことをはなす。 実際に雨が降るのでまりさも困っているのだろう。 「まりさ!まりさ!」 「れいむどうしたの!」 「あかちゃんみてみて!もううごいてるでしょ!」 「ほんとだもうすぐゆっくりだね!」 「うん!あしたにはうまれるよ!」 「ゆゆっ!?じゃああしたはここでゆっくりしようね!」 「うん!あそこならゆっくりうめるよ!」 実を宿したれいむが言うのだから本当なのだろう。明日には赤ん坊が生まれるのだ。 「じゃああとすこしだけここにいさせてね!」 「分かったよ。そのかわり後で赤ちゃんを見に行っていいかな?」 「ゆっ!うまれたあとならいいよ!」 「あといえにはあげれないよ!」 「うん。本当はおいしいものをあげたいんだけどそれもだめだよね?」 「だめだよ!もりでくらせなくなるよ!」 「じゃあ明日はすこし多く野菜屑をあげよう。れいむはゆっくりがんばってね。」 「ゆっくりがんばるよ!」 胸?をはるゆっくりれいむ。赤ちゃんが生まれる姿を見れないのは残念だがしょうがない。 俺はゆっくりをおいて部屋の奥で作業を始めた。 その夜、ゆっくり達が寝静まったのを確認してゆっくりの巣箱に向かう。 餌に睡眠薬を入れていたので朝までぐっすりだろう。始めのうちは警戒していたが今は無警戒だったので楽だった。 巣箱につくと屋根の上の鍵を外して屋根を持ち上げる。 巣の入り口は枝や石で入れないようになっていたが、そんなものは意味がない。 屋根を外すとゆっくり寝ているまりさとれいむが見えた。 朝まで時間がない。急ごう。 俺はれいむを持ち上げ外にだす。 次に実の大きさを測り、2番目に大きいれいむを手に取る。 そして用意していたライターで赤ちゃんゆっくりの底部を焼く。 焼きすぎると動けなくなるので、跳ねれない程度にライターであぶる。 これまで何度もやってきたので感覚でライターをうごかす。 一番大きいれいむ以外を焼くと、まりさのほうも同じように焼く。 これで、一番大きい赤ちゃんまりさとれいむ以外は生まれて来ても跳ねることができないだろう。 焼けた後が見えないように小麦粉で隠し、れいむを元の場所にもどして屋根を置く。 明日が楽しみだ。 赤ちゃんが生まれる日。妙にげんきなまりさとれいむに赤ちゃんが生まれたら教えてほしいと言い、家の中で待つ。 しばらくすると、巣が騒がしい。どうやら全部生まれたようだ。 まりさはまだやってきてないが俺は巣箱に近づく。 巣箱の前まで行くと外にまりさとれいむのこれが漏れていた。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」」」 親ゆっくりの声に元気に答える赤ちゃん達。 俺はまりさに呼びかける。 「あかちゃん、生まれたみたいだね。出て来て見せてほしいな。」 「ゆっ!!ちょっとまってね!」 「ん?どうしたんだい?」 「なんでもないよ!ゆっくりまっててね!」 どうやら子供達のことで焦っているようだ。 俺はゆっくり出てこいとまりさを説得する。やがてあきらめたのか、れいむとまりさが出てきた。 「みんなでてきてね!」 「ゆっ!ゆっ!」 れいむのこえに赤ちゃんまりさが一匹と赤ちゃんれいむが一匹巣から出てきた。 元気に親まりさのまわりを跳ねる。 しかし、親まりさとれいむはうかない顔だ。 その原因が巣から出てきた。 「ゆっ!ゆっ!」 小さいまりさと小さいれいむが五匹ずつ、巣から這いずって出てきた。 「おかーしゃんまっちぇ~!」 「ゆっ!ゆっくりはねてね!」 「ゆうううう!できないいいいい!」 5匹は上手く焼けたのかずるずるすべるしかできないようだった。 親まりさとれいむは必死に飛び跳ねさせようと口に咥えて目の位置ぐらいから落とす。 元気な赤ちゃんれいむとまりさはぽよんと地面で跳ね返った。 しかし残りの十匹はべちょっと地面に引っ付く。 「どうしてええええええ!」 「これはいったい!?」 「まりさにもわからないよおおおおおお!」 我慢していたのだろう。泣き出すまりさとれいむ。 この赤ちゃん達は外敵から逃げることも餌を取ることも出来ない。 親ゆっくりもそんな赤ちゃんを養い続けれないので赤ちゃんゆっくりはやがて餓死する。 そんな未来を思い描いてないているのだろう。 「ゆぅ・・・おにーさんありがと。まりさたちはここをでていくね・・・」 「子供達はどうするんだい?」 「がんばってそだてるよ!できるだけがんばるよ・・・」 最後まで元気が続かないれいむ。まりさも子供達を捨てることを考えているのがうかない顔だ。 そこで俺が提案する。 「もしよければ、その10匹預からせてくれないかな?」 「ゆ!でもこの子達は・・・」 「俺なら十分な量の食事を与えれるから。だめかな?」 「ゆぅぅぅぅ・・・」 捨てることを考えてた親ゆっくりにとっては願ってもないことだろう。 ゆっくり理解するのを待ってると 「まりさ、おにーさんにおねがいしようよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんならだいじょうぶだね!」 信用してくれて何より。 ところで今までの話を子ゆっくりも聞いていたんだけど大丈夫なのだろうか。 「「「おかーちゃんおなかしゅいた~」」」 ・・・どうやら自分のことを話していたとは考えてないようだった。 元気な子ゆっくりはともかく、飛べないゆっくりはもう少し危機感を持つべきだろうに。 まぁその方が話が楽だ。飛べないゆっくりを手にとって手元に集める。 「じゃあ確かに預かったよ。」 「おにーさんまりさとれいむのあかちゃんをおねがいします!」 「あぁ、ちゃんと育てるよ!」 親ゆっくりは安心したのか子供達に餌をやり始める。元気なゆっくりにはもちろん、飛べないゆっくりにも餌を渡そうとする。 「おにーちゃんはやさしいからね!げんきにそだってね!」 「とべるようになったらもどってきてね!」 親ゆっくりはまだ子供達が跳ねれるようになると思ってるのだろう。 もう無理なんだけどね。 まぁ最後になるだろう子ゆっくりとの時間を潰すのはかわいそうなのでそのままにしてあげることにした。 次の日の朝親ゆっくりと元気な子ゆっくりは親ゆっくりの作った巣へと旅立っていった。 俺は残った赤ちゃんゆっくりを用意してあった箱に落とす。 「ゆべっ!」 「ゆぐっ!」 べちゃべちゃと床に引っ付く赤ちゃんゆっくり。 始めはこちらに文句を言ってきたが、しばらく無視しているとこちらを気にせず集まってゆっくりをしだす。 全部がゆっくりしだしたところで話を切り出した。 「それじゃこれから君達を鍛えるよ。最後までついてきたら親ゆっくりの元に帰れるかもね。」 「ゆっ!ゆっくちがんばりゅよ!」 元気よく返事した赤ちゃんゆっくりを確認すると赤ちゃんゆっくりから離れた場所に旗を立てた。 「じゃあ今からこの砂時計が終わるまでにあそこについてね。たどりつけたらおいしいご飯をあげるよ。」 「ごはんごはん!」 「おなかしゅいたー!」 「ご飯はたどり着いてからだよ。それじゃスタート。」 スタートと同時に砂時計をひっくり返す。赤ちゃんゆっくりも同時に旗を目指して動き出した。 跳ねると楽に間に合う距離だったが跳ねれない赤ちゃんゆっくりには遠い距離だ。 必死に這っていく赤ちゃんゆっくり。俺はそれを横から眺める。 「ゆ~!砂しゃんゆっくちちてね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 砂にお願いするもの、無言で這う物、声をあげながらがんばってるもの。 赤ちゃんゆっくりはそれぞれ思いつく方法で旗を目指す。 やがて一匹、二匹と旗にたどり着く。差が出るのは途中で休む休まないの違いだ。 今回は最後まで見るためにかなり距離を短くしていたので全匹たどり着くことが出来た。 それでも予想していた時間よりはだいぶ掛かっていたが。 「つかれちゃ~」 「ゆっくちきゅうけいだよ!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 さて約束どおりおいしいものを上げよう。 「よくがんばったね!じゃあおいしいものをあげよう。」 「やっちゃね!」 「これれゆっくちできるよ!」 「はやくちてね!」 うれしそうな赤ちゃんゆっくりの下にお菓子を置いていく。 「さぁお食べ。」 「むーしゃ!むーしゃ!・・・しあわちぇええええええ!」 「うっめ!これめっちゃうめ!」 「ゆっくちたべるよ!」 さっきまでの疲れはどこへやら、夢中にお菓子を食べるゆっくり。 やがて食べ終わった赤ちゃんゆっくりは思い思いにゆっくりしだす。 と、言っても跳ねれないので壁に寄り添ってたり、赤ちゃん同士で話すぐらいなのだが。 ゆっくりしだしたのでもう一つルールを教えることにする。 「さてじゃあ次からは食事にも砂時計を使うよ。」 「ゆゆ?」 「この砂時計の砂が落ちる間だけご飯の時間だからね。」 「それじゃゆっくちできないよおおおおー!」 「ご飯を取り上げるだけだからゆっくりはできるよ。それに砂時計ゆっくりしてたでしょ?」 「ゆっくちちてたよ!ごはんだけならゆっくちできるね!」 「でも次の旗も同時に置くからね余りゆっくりしてるとたどり着けなくなるから気をつけてね。」 「わかっちゃよ!」 「じゃあ次を始めるよ!」 そういって今度は先ほどよりすこし遠い距離になるよう旗を置く。 今回は最初と違って赤ちゃんゆっくりは二つに別れた。 旗に向かうものとゆっくりしてるものだ。 先ほどは旗についてからもだいぶ時間があったからゆっくりしてるのだろう。 しかし砂時計はそんな赤ちゃんゆっくりを待たずに砂を落とす。 やがて全部の赤ちゃんゆっくりが旗を目指すが、砂が全部落ちたとき辿りつけていたのは半分だった。 たどりつけてなのはまりさ種の方が多い。這うだけでも身体能力の高さが出るようだ。 それに加えて最初にゆっくりしてたのはれいむ種が多かったのもあるだろう。 「今回は半分になったね。じゃあご飯の時間だよ。」 そういってたどり着いた方には前と同じようにお菓子を、たどり着けなかったほうには野菜屑や近くで取った虫を与える。 「「「むーしゃ!むーしゃ!しあわせ~!」」」 おいしそうにお菓子を貪る赤ちゃんゆっくり。対照的に、 「むーしゃ・・・むーしゃ・・・」 「ゆゆっ!むししゃんうごかないでね!」 「れいみゅもおかしがいいよ!」 こちらは野菜屑や虫の赤ちゃんゆっくり。 親ゆっくりが取ったのを食べたことがあるので食べないことはないが、食べやすいように口渡しだったので動く虫は食べずらそうだ。野菜屑も食べやすい大きさに切ってないのでうまく食べれない。 お菓子を食べてるゆっくりの方に向かおうとしたが透明な壁によって旨そうに食べる赤ちゃんゆっくりを見て涎をたらすしか出来なかった。 そうして食べている頃に砂時計の砂が落ちる。 「はい、時間切れー。次の旗はあそこだよ。」 「ゆ~!まだたべおわっちぇないよ!」 「もっとゆっくちちゃちぇてね!」 「だめだめ。砂はもう全部落ちたよ十分ゆっくりできたよ。」 「おにーしゃん!れいむちゃちにもおかしちょうだい!」 「旗まで辿りつけたらね。辿り着けなかったらさっきみたいな野菜屑と虫だよ!」 「「「ゆ゙ゔううううううううううう!!!」」」 砂時計は砂の量を少なくしていたので短いと感じるのは当然だったが、赤ちゃんゆっくりには砂の量の違いは分からない。 野菜屑はもう嫌なのか先ほど辿り着けなかったゆっくりは我先にと旗へと向かう。 お菓子だった赤ちゃんゆっくりも野菜屑を食べないように旗に向かうが野菜屑だったゆっくりよりはゆっくりしていた。 「ゆっくち!ゆっくち!」 今回の旗はさっきよりはかなり遠くにおいているからしばらく掛かるだろう。 砂の量は増やしたので全匹辿り着けないことはないはず。砂が落ちる頃に見にこよう。 赤ちゃんゆっくりの必死な声を聞きながら俺は部屋を後にした。 「じゃあご飯の時間だよ!」 「むしゃむしゃむしゃ・・・」 旗に向かうってご飯と言うことを3日間繰り返した赤ちゃんゆっくりはもはや喋ることもせずに黙々とご飯を食べる。 一口でも口に含もうと必死なのだ。それは野菜屑と虫の方も変わらない。 この三日間で野菜屑にならなかった赤ちゃんゆっくりはいなくなった。 まだ野菜屑と虫を食べにくそうにしている赤ちゃんゆっくりもいるが、慣れて普通に食べる赤ちゃんゆっくりも出始める。 「はい時間切れ~。次はあそこだよ。」 「ゆ・・・ゆっくちがんばりゅよ・・・」 次の場所を教えると赤ちゃんゆっくりはゆっくりせずに旗に向かう。 お菓子のほうはだいぶ食べられているが野菜屑はまだ残っている。 タイムアップと同時にご飯の時間が始まり、食べる場所は旗の近くなので遅れたゆっくりは食べ始める時間もそれだけ短いのだ。 この3日間で距離と時間はだいぶ延びた。 今では俺と同じ時間に食事をするように砂時計と距離を合わせている。 赤ちゃんゆっくりは朝昼夜と制限時間内に旗に辿り着けるように一度もゆっくりせずに旗を目指し。 夜と朝の長い時間の間にだけ眠ることが出来た。 それもゆっくりしすぎると旗までたどりつけないのでゆっくり眠れない。 野菜屑をあげるのは朝の時間が多く、昼夜は余り野菜屑が必要なくなっていたが、野菜屑なんてそんなに多くでないので好都合だった。 お菓子を食べてる間は幸せそうに思えるだろうが、忙しなく食べていてはおいしさも分からないだろう。 現に今は小麦粉をこねてお菓子に見せたものなのだ。 遅れてご飯を食べれずに衰弱していく赤ちゃんゆっくりも出始めるが、寝ている間に果実の汁をかけてやれば元気になる。 死んでゆっくりさせないようにゆっくりの体調管理には気をつけねば。 赤ちゃんゆっくりを鍛えるようになって1週間、うれしい誤算があった。 赤ちゃんゆっくりが心配になった親ゆっくりが現れて、旗に向かって懸命に這う赤ちゃんゆっくりをみてマツタケを置いていったのだ。 どうやら、ちゃんと育ててくれていると勘違いしたようだ。 もっとも勘違いするように音は届かないようにしているし、近づくと気が散るからと言って遠くから見せたから当然だが。 赤ちゃんゆっくりも必死なので周りに目がいかず、親ゆっくりが来ても気づかなかった。 「どうだい。がんばってるだろう?」 「ゆっ!あかちゃんたちがんばってるよ!」 「そうだろう。みんな君たちに会うためにがんばってるんだ。」 「あかちゃんたちにももってきたものたべさせたいよ!」 「あとで俺がちゃんと食べさせるよ。」 「ゆ~、まりさがちょくせつわたしたいよ!」 「それはだめだね。今は君達に会うためにがんばってるから今あっちゃうと今までの苦労が無駄になっちゃうんだ。」 「ゆゆゆ・・・」 「まだ野生に耐えれないから我慢してね。」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「よし、じゃあこの野菜屑をやろう。こんなものしかないがよければもっていってくれ。」 「おにーさんありがとう!」 それからも親ゆっくりは俺にいろいろなものを持ってきた。 どれも山で取れる珍しいもので、赤ちゃんゆっくりのためにがんばって取ってきたのだろう。 ありがたく全部いただくとする。 赤ちゃんゆっくりは一度もゆっくりさせずに這い回っている。 今は平地だけじゃなく、砂利道や坂など様々な障害を加えている。 今は綱渡りだ。 旗は立方体の箱の上にある。跳ねれればいいのだが跳ねれないゆっくりは崖で止まってしまう。 そこで坂がついた箱を用意し、そこから旗の箱まで綱を引いてやるのだ。 旗に辿り着くには綱を渡らなければならず、綱から落ちたら最初からだ。 これだと辿り着けない赤ちゃんゆっくりは一度も食事を出来ずに衰弱してしまい、果実汁に頼りっぱなしになるが、 親ゆっくりが持ってきているものの中に果物が含まれているので余り負担は増えなかった。 それに赤ちゃんはまったく育ってない。 実は親ゆっくりに遠くから見せていたのは育っていない赤ちゃんを気づかせないためでもあった。 こいつらはゆっくり出来ないと成長も出来ないらしい。 おかげで餌代も増えず、場所もずっと同じでいいので楽だ。ご都合設定バンザイ。 「もっとゆっくちちたいよおおおお!」 「ゆぅ、れいみゅがんばっちぇね!」 「ゆっくちがんばりゅよ!まりしゃもがんびゃろうね!」 相変わらず食事中は声もなく急いで食べるが、ほとんど旗に辿り着けるようになって赤ちゃん達はお互いに助け合うようになった。 協力しないと辿り着けないようなギミックを増やしたせいもあるだろう。 これはどんどん無口になっていく赤ちゃんゆっくり対策だ。 綱を渡るゆっくりをもう渡りきったゆっくりが応援する様子を見ながら、 まだまだ退屈させない赤ちゃんゆっくりのために次はどんなギミックにしようか考えるのはもう日課になっていた。 「おにーさんまりさたちはしばらくこれないよ!」 「ん、そうかもう冬篭りか。」 「そうだよ!あしたにはあなをふさぐんだよ!だからはるまであえないけどあかちゃんをよろしくね!」 「それなら餌が必要だろう。よければもってけ。」 「ゆゆっ!おにーさんありがとう!」 そうかもう冬篭りか、ゆっくりが言うのだからそろそろ雪が降るだろう。 ゆっくりは天候に敏感だ。身の危険と直結してるから当然だろう。 そろそろ虐待の手段に欠いてきたのでここらで赤ちゃんゆっくりをかえしてやるか。 最後の旗とりをさせた次の日、俺は赤ちゃんゆっくりを外に出してやる。 「ゆー!おしょとだー!」 「しゃ、しゃぶいよおおおお!」 「ゆっくちできないいいいいい!」 「あぁ悪い悪い、これを着ればゆっくりできるよ。」 そういってゆっくりを綿で包んで外れないように止めてやる。 「どうだ?まだ寒いか?」 「ゆゆ~!あっちゃかぃ~」 「これなりゃゆっくちできるよ!」 「よし、じゃあゆっくり親の元へお帰り。これまでがんばってきたから野生でもゆっくりできるよ。」 「おにーしゃんありがちょー!」 「巣の場所は教えたとおりだからね。がんばって帰るんだよ。春にはまたおいで。」 「おにーしゃんまちゃね~!」 そういって綿に包まれた赤ちゃんゆっくりは森に入っていった。 今日巣を閉じると言っていたから間に合うだろう。 今までの訓練から野生でゆっくりと生きる赤ちゃんゆっくりを想像しながら俺は雪の降る道を帰っていった。 「おかしいな。あいつらがゆっくりしてる姿が想像できないぜ。」 続く このSSに感想を付ける
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戦い終わって日が暮れて、疲れを癒して夜が明けた。 始まりはれいむとの出会い。旅の一日目はれいむとの信頼。 これかられいむと共に歩んでいく道を僕は不安に思いつつも、楽しみである想いが心の中で溢れていた。 昨日みたいな辛いことだってあるだろう。命にかかわるバトルをまたさせてしまうかもしれない。 でも、れいむ自身がこの僕に『ゆっくりしていってね!!!』と言い続ける限り旅はずっと続く。どうしようもなく続いていくのだ。 それが昨日僕が思い、感じたこと。れいむもそう思ってるかな、と僕は少しほくそ笑んだ。 次の町は倫敦の如く霧が陰る町『コウマシティ』。そこに僕らが目指すゆっくリーグの第一歩である『ジムリーダー』がいる。 バンダナを外し、ガーゼを取り替え僕はメディカルセンターを朝一に出発した。 朝風が髪を吹きつけてとても気持ちがいい、昨日の疲れが風に吹き飛ばされていくようだった。 「さて、行くか!!」 「…………………」 僕はそう意気込んでれいむを見たが、れいむは何かプラカードみたいなものをもみ上げで持って無言でこちらを見つめている。 そのさわやかとは程遠い妙な状態に僕は疑問を持ち、れいむの持っているものを覗き込んだ。 『労働条件改善求ム!!ゆっくりノ人権ヲ守レ!!!』 と、拙い文字でどでかく書かれていた。これ父さんが持ってるの見たことある。 「………………あの」 「メーデー!メーデー!」 ゆっくりに人権があるのかとか、たった二日でこんなことほざくのかとか、色々言いたいことがあるけれど。とりあえず言葉よりもまずため息が出た。 こんなれいむで本当にやっていけるのかなぁ……… ゆっくりもんすたあ 第三話 『新たな出会いと新たな仲間!』 「がんばれがんばれ~」 カザハナタウンとトキハシティをつなぐ道、れいむの気の抜けた応援を聞きながら僕は草むらをかき分けていた。 色々思考錯誤した結果れいむのわがままを聞き入れるには新しいゆっくりを捕まえることが一番だと考えたからだ。労力を分散すれば一人ひとりの負担は軽減できる。 幸いボールは昨日子供たちからお礼として三つほどもらってある。準備の方は問題ない。後は捕まえるだけだ。 「ゆっくりがんばってね!!!」 「お前も頑張れよ………」 ただれいむはというとどっかのニートのように働きたくないらしく今は僕の腕に収まっている。 正直意外とこれが重くて辛い。頭の上に乗ってくれたらまだ楽なものの僕の髪がちくちくすると嫌みのように常時文句を言ってくるから仕方なく腕に抱えてるのだ。 傷もあるからバンダナを付けるわけもいかない。せっかくの朝のさわやかな気分が台無しだ。 「さて、どんなゆっくりが出てくるかな」 とりあえず気持ちを切り替えて僕は昨日の朝孫子に教えてもらったことを何回も反芻する。 ゆっくりの体力を削り、ゆっくりボールを当てる。そうするとゆっくりがゆっくりボールの中に入るがしばらくはゆっくりボールが動き続ける。 ゆっくりボールの動きが止まったら捕獲成功。中からゆっくりが出てしまったら捕獲失敗。 うろ覚えだがそれでよかったはずだ。何回も確認しながら僕は右手にゆっくりボール、左手にれいむを携えて草木をかき分けていく。 そして、人間の生首のような一頭身が視界に入った。 「見つけたァ!!」 「ちーん!見つかったァ!」 やせいのゆっくりみすちーがあらわれた! またみすちーか、とつい僕は舌打ちしてしまう。この辺はみすちーの生息地なんだろうか? とはいえ選り好みなんてしてられない。まず始めにやることはゆっくりの体力を削ること! 「よしっいけっ!れいむ!」 「…………………………んあ?」 「……いけっ!」 「…………」 あれ?なんで反応してくれないの。 「あ~わかってるよ、やっぱりしゅんおにーさんにはれいむが必要なんだね、今の見ておもったよ」 「そうだよ、だから今だけでもいいからあのみすちーを追い詰めてほしいんだ」 「…………れいむは愛されてるね、信頼されることがこんな気持ちいいなんて思わなかったよ 分かった、おにーさんの気持ちが言葉でなく心でりかいできたよ」 「れいむ……………」 先ほどとは打って変わったような反応だけど、信頼してくれて気持ちいいという言葉を聞いて僕は少し嬉しくなった。 れいむも、やっぱり僕と一緒にいたいのかな。 「でも断る」 「はあ!?」 「そうはいかないよ!!!このれいむをダマそうっつうんだなァァアーーーーーッッ!! れいむは頭がいいからまた働かせようとしてるのがわかっちゃうんだよォォ!!ボケッ!!」 「お、お前……………」 昨日の戦いで頭を打ってどこかイカレちまったのか!? とにかくこれじゃあ戦闘ができない。戦闘ができなきゃゆっくりも捕まえられないし悪質な循環にのめり込んでしまう。 「とにかくめんどくさいから代わりが来るまでれいむはなあんにもしないよ!とっととボール投げて捕まえちゃってね!」 「え、ええと。大丈夫かな……」 「ピッチャービビってるぅ!?ちんちんちーん!」 とりあえず不安なまま僕はゆっくりみすちーにボールを投げつける。 みすちーはやけに素直にボールに当たってくれてそのまま光となってボールの中へ入っていった。 「よ、よしっ!一応入ったぞ」 一応第一段階は成功だ、そして動きが止まるまで、止まるまで……… 「ちんちーん!!」 だがそんな聞きなれた卑猥な言葉がボールから上がり、みすちーはボールから出てしまった。 やっぱり、ゆっくりをちゃんと捕まえるためには体力を削らないといけないのか。 なられいむを捕まえたときのように僕自身の手で体力を削ってやろうと思ったがゆっくりみすちーはそのまま発声練習した後リズムを取り始めた。 「や、やばっ!歌は聞いちゃいけない!」 なぜだか知らないけど歌を聴くと眠くなるんだ。僕はとっさにれいむを抱えるのを忘れて耳を塞いだ。 「あぎゃん!」 その際れいむが地面に落ちたが気にしてられるかぁ!イカレちまったれいむなんてもう知ったこっちゃねえ! 「あ、1,2,1,2,3,4!もう戻れない~この真宵の細道に~蠢く~うずめく~忍び迫りよる夜雀の音~♪」 「ううう~」 持ち歌の『もう歌しか聞こえない』をベースにしてゆっくりみすちーは陽気に歌いだす。 ダメだ、聞いちゃいけないということはわかってるけど、何気にいい声してて聞かずにはいられない! 「く、くぅ!こ、こんな、こんな………」 「ゆぅぅ…………」 れいむも苦痛の表情を浮かべながら僕と同じように耳(?)をもみ上げで塞いでいる。 人間の僕でさえこんなにも影響があるんだ。なら同じゆっくりであるれいむはどれほど苦しいことか! 「ゆ、ゆ、こんな2ボスの曲なんかで……少女綺想曲のほうが……いい曲だね!」 「ちんっ!?」 れいむの言葉を聞いた途端みすちーの歌声が止み僕はようやく耳から手を離すことができた。 貶されてショックを受けたから歌を止めたのだろうか、個人的にはミスティアの曲の方が好きだけどな。 「ゆぅ、こんな腋巫女にばかにされちゃったよぉ!」 「やーいへたっぴへたっぴ!すずめはおとなしく鰻でも焼いてろ!」 「ちんちーん!!!バンドけっせいしてやるぅーーー」 れいむの罵倒に耐えかねてみすちーはこの場からとっとと逃げ去ってしまった。 一応ピンチは脱出できたことになるけれど……肝心の目的は達せないままだった。 「次からはがんばれ!」 「応援は嬉しいよ、手伝ってくれればなおも嬉しい」 手持ちのボールだって限りがある。さっきのみすちーを捕まえかけたボールも開閉部分がバカになってもう使えそうもない。 所詮量産品か。でも一回限りなんてひどすぎるやい。 やせいのゆっくりナズーリンがあらわれた!! 「よし!いくぞ!」 「ゆっくりがんばってね!!」 色々歩き回ってようやく二回目の挑戦、れいむの応援を背に受け僕は腕を大きく開き捕獲の態勢に入る。 大丈夫、僕のゴッドハンドを信じるんだ。 「え、ええと………そちらのゆっくりはたたかわないので…………?」 ナズーリンはれいむでなく僕が前に出てきたことに困惑してるようだ。 こういうのってやっぱゆっくりから見ても変なのかな? 「今日は僕が相手するので、よろしくお願いします、ぺこり」 「やなこった!!」 と、ゆっくりなずーりんは僕が一礼している隙に踵を返して逃げ去ってしまった。 ジロウとの戦いでナズーリン種は足が速いということを知っている。それを裏付けするかのようにナズーリンの姿もすっかり遠く、小さくなってしまった。 「人間とたたかうなんてそんなリスクの高いことはしないよ!さいならさいなら」 「あ、こら!」 僕はれいむを連れていくのを忘れて逃げているナズーリンを追っていく。 いくら足が速いといっても名前の通り『ゆっくり』を信条にしているゆっくりだ。 離されこそはしなかったが、如何せんタイムラグが大きく距離を縮めることができなかった。 「くうう!待ちやがれ!」 「まつかいな!」 このまま走り続けていたらいつか草むらに足をからめとられて転んでしまう。そして足があるのは僕だけだ! でもこう走り続けていたらあいつの体力も浪費していくだろう。ある種、今が最大のチャンスだ。 「よしっ!」 僕はすかさずバッグの中から二個目のゆっくりボールを取り出す。 こんな状況のためかあまり近づいて投げることができないけれど、逆にいえば互いの距離があまり変わっていないということだ。 近づけなくても十分狙いが定められる。 「うおりゃああああ!!」 「ちゅーーーーーーーーー!!!」 逃げるナズーリンに向けて僕は足をしきりに動かしながらも構えて大きく振りかぶった。 だがその瞬間突然視界が地面の方向に移行し始め、顔面に衝撃が走った。 「あぎゃぶうううう!!!」 額がこすれる!!傷がひらいちゃうううううらめえええええ!!!あ、血ぃ出た。 「いでええええ!!こけたぁぁ!!」 ガーゼを抑えながら顔をあげて前を見るがナズーリンの姿はすでになく、僕は肩を落として重々しく立ち上がる。 その時右足に妙な違和感を覚えた。 「げえっ!草結び!逃げながらやってたのか!?」 完全にしてやられた。ナズーリン達のホームであるこの森で追いかけっこなんてするべきじゃなかったんだ。 とりあえずこの足に絡みつく草をほどこうと両手を動かし、そこで右手に納めていたゆっくりボールが壊れていることに気がついた。 転んだ時の衝撃で壊れちゃったのか………この量産品めェェェッッ!! 「このっ!このっ!なんてもろいものくれやがるんだよ!!」 僕は怒りにまかせて壊れたゆっくりボールをとにかく踏みつけまくる。 壊れたゆっくりボールがボロボロのぐちゃぐちゃの破片へと変貌していく。ざまぁみやがあればーかばーか!! 「いや、流石ににげられた腹いせでものにあたるのはどうかと」 「やかましいわい!」 いつの間にか追いついてきたれいむを一喝し僕はようやく怒りが収まる。 これで残りのゆっくりボールは一個を残すのみ。もう引くことができない。 「というわけだ」 「なにがさ……どうせれいむにちゃんとたたかってほしい、ってわけでしょ」 れいむはふてぶてしい笑顔をふてぶてしい呆れ顔に変えてため息をつく。 理解してくれるのは嬉しいけど、やっぱり戦ってくれないんだろうなぁと僕もため息をついた。 「わかる、わかってるよ。おにーさんだって苦労してること…… 昨日だってみんなのためにふんこつさいしんがんばってくれたもんね」 「それは……お前が……」 「れいむはおにーさんの手持ちゆっくり、おにーさんのためなら頑張るよ」 「じゃ、じゃあ次こそは僕のために………?」 れいむは目を閉じ、大きく息を吸って、口を開いた。 「だがこと…うぷぷっ!!!」 「そうかぁ!!僕のために戦ってくれるというんだな!!ありがとうれいむ!ありがとう僕のゆっくり!」 「ゆぐぅーー!!ゆぐぅーーー!!」 断るなんて言わせるものか!!! この血塗られた手、れいむを捉える事が出来ずボールも投げられなかった手だけれどこうしてれいむの口を塞ぐことだって出来るんだぞぉ!! 「あっはっはっは、頼もしいなぁれいむは!ほんとほんと頼もしい頼もしい!流石というべきだね!」 「ゆがぁーーー!ゆがぁーー!」 れいむも手伝ってくれるようだし!次こそはがんばるぞぉ!あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!はぁ。 「あ~あの少年もいっちゃったわね……」 「きっともうもどってこないわよ、だから姉さん秋らめてこのもりでふたりなかよく暮らしましょう?」 「あまい、あまいわ!みのりこ!もしかしたら忘れものイベントとかお使いイベントで戻ってくる可能性があるわよ!」 「………姉さんのそのチャレンジ精神は秋れるほどたくましいわね……でもあの子が次行くとしたらジムのあるコウマシティよ……姉さん、じしんある?」 「なによ!一面中ボスだからってなめないでちょうだい!私のメイプルストーム(狂いの落葉)さえあればどんな新参だろうが古参だろうがちょちょいのちょいよ!」 「……さきほどおっきいゆっくりを目の前にして木の上でぶるぶるふるえてたのは?」 「あんなの現れたらだれだって……ぐすん」 「………ね、姉さん」 「そうよ、所詮私は一面中ボスよ。その上弱点の多い草タイプよ…………こんなわたしをいったい誰がつかまえてくれるっていうのよ!」 「…………姉さんのバカァッ!!」 「アボォォッッ!」 「他人から秋られても、1面中ボスだからって秋れられても、草タイプだからって秋らめられても!チャレンジ精神をなくさないのが姉さんのはずよ!」 「みのりこ…………」 「草タイプなら水や地面タイプをあいてにすればいい!一面中ボスなら番外編にでればいい!種族値が低かったらきたえればいいだけの話じゃない!」 「…………そうよね、秋らめないからこそのあきしずは。みのりこ!いまからわたし適当にきたえてくるから!あの少年が来たらすぐよびなさい!」 「あ、ね、ねえさん………」 「こらぁそこのみすちー覚悟しなさい!」 「ちんちん!こっちは歌をけなされてきがたってるんだよ!あっちいけあっちいけ!」 「きゃーー!つつかないでぇ、飛行タイプの技はにがてなのよぉ」 「姉さん……………………あ、いっちゃった…………」 結局しずははみすちーに追われて森の奥に行き、みのりこは陽気が照りつける森の中ぽつんと残されてしまった。 というのが今僕が木の陰からこっそりと覗いた様子である。 「初めて見るゆっくりだなぁ……調べるか」 僕はゆっくり図鑑を開き、その頭にブドウを乗せたゆっくりについて調べてみた。 _ __ ,.. -――C○ィ )  ̄ ̄\ // ̄ヽ ゝ○o _ ヽ Y //\ / \`L_ ', .,' / ゝ、__,..-、\  ̄`i う) i | / i イ ,ヘ ヽ \ ` し' | ゝ、| 斗jナ ル ヽ、ナ‐- ',ヽ、 ハ ! \ T{∧{ (ヒ_] ヒ_ン ) i} リ `T ‐ヽ _ノ ム!"" ,___, ""/ !_」 ゝ._ノ人 ヽ _ン ∠ノ | `ー‐ >, 、 _,. <_Z_ /ノ/ / ̄_ヽ`ー-一'イ==≠二 ゆっくりNO、105 みのりこ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ふうじんろく いちめんにでてくる あきしまいのいもうとのほうあねを さしおいて いちめんのおおぼすなものだから なかがわるいとおもいきや いがいとそうでもなかったりちかづけば やきいものいいにおいが するけれど あねにまけず こっちもじこしゅちょうするから きをつけよう 「やきいもかぁ……」 三年生の秋、お母さんと一緒に食べたことが今でも思い出す。なんとなくだがあの匂いをもう一回だけちょっと嗅ぎたくなった。 「よしっ!いくぞれいむ!」 「………分かったよ………これで失敗したらみかぎってやる」 れいむも戦ってくれるようで準備は万全。やっぱりゆっくりにはゆっくりだと僕は改めてその言葉を胸に刻みつける。 一度深呼吸して僕は木の陰から飛び出しそのゆっくりの前に勢いよく立ちふさがった。 「神妙にお縄につけぇ!」 「せりふちがうって!」 「え!あ!えええと!?」 ゆっくりみのりこは僕たちの突然の登場に困惑している。いわゆる先制攻撃のチャンスだ! 「れいむ!たいあたり!」 「ゆぅーーーーーー!!」 「ゆぅきゃああん!」 れいむの体当たりによってみのりこは大きく吹き飛んでいく。 そのまま逃げられても困るので僕はすぐさまれいむを抱えみのりこのすぐ近くへと持っていった。 「続けてオウレイフウカノン!」 「……あ、えっとわかったよ!」 起き上がる隙さえ与えずれいむのリボンから送られる風がみのりこの体を再び吹き飛ばした。 「きゃううううん!」 なんか一方的な気もするがそんな日もたまにはあるだろう。 みのりこは仰向けになっていて、何故かは知らないが気だるそうにぼんやり空を見上げていた。 逃げるだけの体力はもう残ってないのか。今がチャンスだ!! 唐突に現れ攻撃された時は焦ったけど、よくよく見てみるとこれは姉が言っていた少年ではないのだろうか、とみのりこは横になったまま思う。 とげとげした赤髪、子供にしては長身、そしてゆっくりれいむ。 さまざまな特徴からみのりこはその目の前の子どもが噂の少年だと確信する。 それならば早く姉を呼ばなければとみのりこは思ったがそれと同時に邪悪な思いが芽生えた。 今この少年はおそらく私を捕まえようとしているのならば、何故ゆっくりトレーナーの手持ちとなることで人気者になる機会を姉に譲らなくてはならないのか。と。 表にこそ出さないけれど、私だって人気者になりたい、オリキャラと呼ばれたくない! 「さあ!お投げなさい」 気が付いたらそんなことを口走っていた。姉への裏切りとも取れるその言葉を。 「言われなくても、投げてやる!うおりゃあああああああああああああ!!!」 シュンは最後のゆっくりボールを右手に持ち、大リーグさながらに足を上げ投げる体勢に入った。 (ああ、姉さん。わたしが、わたしは勝者となったのよ!) 「そりゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」 最後の一個だからか、これで失敗したら見限ると言われたからか自然と緊張していたのだろう。ボールを掴む力も強くなっていく。 そのせいで掌が熱くなった、そのせいで汗をかいた、そのせいでボールと指の間の摩擦が減っていった。 そのせいで、そのせいで、ボールは離す前に指から滑り抜け、 狙いを定められず勢いだけついたボールはみのりこを狙うはずもなく、みのりこの後ろ側にあった木に大きな音を立ててぶつかった。 「……………………………」 「……………………」 「…………………………」 僕もれいむもみのりこさえもこの状況に声を出すことができない。 えっと、何?最後の最後で、ミスった?ウソだろ?ウソだろ?ウソだろ?ウソだろ!!! 「れ、れいむ。その、ぼくをみすてないで、おねがい、おねがい」 「ぐだぐだいってないでもう一回やれぇぇ!」 「はいぃぃぃ!」 れいむの一喝によって僕は少し正気を取り戻し、僕は地面に落ちたゆっくりボールを取りに行く。 だがあまりにも力を込めて投げたためか、最後のゆっくりボールは全体に亀裂が入っていて使えるような状態ではなかった。 三回目だとこの量産品め、と怒る気にもなれない。それに今回は僕に非がある。 「…………は!あ、ええと、つぎのやつなげてもいいのよ!」 ようやく正気に戻ったのかそんなことを言うみのりこ。 なんだろうか、もしかしたら僕たちの仲間になりたかったのかな。 すっごく楽しみにしている顔してるけど事実を伝えたらどう思うのだろうか………。 「………ごめん、もうボールないの」 「ゆがーん!」 帽子を吹き飛ばすほどみのりこは驚き、数秒の無言の後僕に背中を向けて物寂しそうに空を見上げた。 春真っ盛りだというのに、その後頭部には秋の憂愁が漂っている。 「ああ、やっぱり姉さんを裏切ることなんてできないのね……しょせんおりきゃらはおりきゃら……」 気の毒な事をしたと思う。せめて一番最初にこのみのりこと会っていれば捕まえてあげることができたかもしれないのに。 今の僕はその寂しい背中をじっと見つめることしかできなかった。 「それでは………りんごやぶどう、くりとかすききらいしないでちゃんとたべてね……」 そう言い残しみのりこはとぼとぼと森の奥へと去っていった。 「……おにーさん」 ぽつんとれいむが呟き僕は身を震わせる。きっと愛想を尽かしたんだ。もうチャンスはないんだ。 「その………こんな僕だけど……‥…行かないでくれぇ…」 「なにいってんの?べつにれいむはおにーさんと別れるつもりはないよ!」 「!!!」 「いっしょにいるだけだけどね」 お前ってやつは、こんなへぼくて情けない僕に優しい言葉をかけてくれるのか。 こんな、こんなお前のわがままのために新しいゆっくりを捕まえようとして失敗した僕に。 「でもチョークスリーパーX!」 「グェーーーーッ!!」 「最初からお前が働けばこんな苦労はなかったんだよ!こんにゃろっ!」 「やめろっ!ないくびをしめないでぇ!」 やっぱ働きたくないからって甘やかすもんじゃないや。 そもそもれいむが傍にいなくたってちゃんと僕は生きていける、れいむは僕の中でそれほど大きな存在でもない。 でも技を掛けられてもなおノリノリなれいむを見てると、どこか楽しそうで僕もつい笑ってしまった。 「…………………ああ、ふゆがおわったのに、切ない」 と、木の陰からさっきのみのりこがそんなこと呟いたものだから驚いた。 もうどこか行っちゃったのかと思った。なんか楽しそうなところ見せちゃって申し訳ないなぁ。 「……わかった、あきになるまでひっこめばいいんでしょ……」 「あ、いや、その……いつでも待ってるからね」 みのりこは哀愁漂う背中を見せて再び森の奥へと向かっていった。 あの背中を見ていると大好きだった秋が終わって冬が訪れたときのことを思い出してどこか切なくなる。 どうにかならないものか……… 「…………使えるかな………?」 僕は手に持っていた壊れたゆっくりボールを見てそう思った。 一応亀裂が入ってるだけだから、本質的な部分は壊れていないのかもしれない。 僕はその希望を信じてゆっくりボールを狙いを定めてみのりこに投げつけた! 「アギャッッ!」 ……………下手な妄想は希望とは言わない。 投げられたゆっくりボールはみのりこの頭に直撃し、みのりこを吸い込むことなく地面に落ちて完全に壊れた。 その上狙いを付けて勢いまで付けてぶつけたためみのりこが昏倒してしまうありさまだ。 「……………」 「…………」 本当に、済まない事をしたと思う。 だがその瞬間みのりこの体が光になって、みのりこのいた場所にボールらしきものが残された。 「!?え、え、え」 突拍子のない事態に僕とれいむは戸惑う。 今のみのりこの反応はゆっくりがちゃんとしたゆっくりボールをぶつけられたときのと同じ反応だ。 ということは、えっと、どういうことだろう。 「あのボールがなおったのかも、きっとおにーさんの思いが奇跡をおこしたんだよ!」 「そ、そうか!くぅ~~~~!!」 僕は感激のあまりに身を震わせ、その微かな奇跡に全力で感謝した。 これで、あの子の思いも、れいむのわがままもすべて叶えることが出来るんだ。 そこらのトレーナーと同じことをやっただけだけど、僕はやっぱりなんか嬉しかった。 「され、みのりこげっと……あれ」 嬉々として取りに行こうとボールに近づいた僕だけど、よく見ると地面には二つのゆっくりボールが転がっていた。 一つはみのりこを捕まえたゆっくりボール、そして草陰に隠れて見えなかったもう一つは全体に亀裂の入ったボールだった。 何だろう。もうひとつの奴どっかで見たことあるぞぉ。 「うにゃーーーーーーーーーーーー!!!」 そんなこんなで現実逃避していううちに叫び声とともに側頭部に激しい衝撃が走った。 なんで昨日今日とでこんな頭部にダメージが来るんだろう。なんて分析してる場合じゃない、痛い。 「うぎゃあああああああああああああああ!!!」 「ひとのゆっくりをとったらどろぼうだよ!めっ!」 側頭部を抱えて転げ回る僕にそんな十代女性特有の高い声が上から聞こえてきた。 とりあえず昨日の額ほど痛くはなかったからすぐに立ち上がることが出来た。そしてその声の主をこの目で確認する。 「うにゃあ」 「えっと君は………」 濃い蒼色の髪が肩のあたりまで伸びていて顔立ちは全体的に整っていて小柄、僕の目から見ても可愛い女の子だ。 服装は蒼色全身タイツの上に膝の上の裾を切ったジーンズ、前の部分を大きく開き胸を強調した半袖のジャケットと目立つが意外とそれを着こなしていた。 身長は僕より数センチほど小さいくらい。孫子とそう変わらないだろう。 「あたし?あたしの名前は氷蛹 深月(ひさなぎ みづき)、めんどいときはミヅキって呼んでいいよ。あなたは?」 「えっと僕は相次 瞬……っていきなり人の頭に飛び蹴りすんな!」 「ツッコミおそっ」 いつの間にかれいむも近づいてきていたみたいで足元で冷たい目をしながら僕を見上げていた。 僕はその視線からかわすためにれいむを持ち上げあえてミヅキさんの前に突き出してみる。 「あ、れいむだぁ。でもふっつーのれいむだね」 「いやふつうとかって言われても………」 「かわいいなぁ、にゃあん」 ぷにぷにとミヅキさんはれいむのほほをつついたりなでたり、でも荒々しくなくゆっくりとの付き合い方をちゃんと理解しているようにも見えた。 最初は嫌がっていたれいむもいつしかゆ~ゆ~と嬉しそうな顔になっていった。ちょっとパルパル。 「んにゃ、でもまったくシュン君ったら人のゆっくりを取ろうだなんてはなはだしいね」 「ちょ、ちょっと待ってよ、僕がいつ人のゆっくりを取ろうとした?」 そんな悪辣非道なこと僕はした覚えがない。むしろそういうのは許せないタチだ。 と思っていたら美月さんは先ほどみのりこを捕まえたゆっくりボールを拾い上げて僕に見せつけるように突き付けた。 「これ、あたしのボールなんだけど。シュン君取ろうとしたよね」 「ごめんなさい」 最初っからこのボールは僕のじゃないって分かってたんだ。つい魔がさしたんだ。 さっきまでの自分は本当の自分じゃないんだ! 「邪気眼のつもり?」 「ごめんなさい」 こんな可愛いのに精神を攻めてこないでよ。こっちだって我儘なゆっくりのせいでいろいろ大変なんだから。 「ちょっとまってごらぁ!」 と、僕が限界まで収縮しているとその我儘な僕のゆっくりがいきなりミヅキさんに向かって怒鳴り声をあげた。 「その……あきなんとかはこのれいむがよわらせたんだよ!それを横取りなんてひとのこといえないね!」 ……………確かにその通りだ。お前いいこと言った! まぁだからって僕が悪くなくなるわけじゃないけど。 「…………横取り?」 「そうだよ!つかまえる権利はこのシュンおにーさんにあるんだよ!それをよこから」 「ボールなくなっちゃったみたいだけど」 「………………」 そうなんだよな、いくらあのままバトルを続けてもボールが無い以上捕まえることは出来なかったんだ。 捕まえる権利なんて無意味に近い。後は倒すか逃がすか、どっちにしたって今と変わりなくミヅキさんがみのりこを捕まえていただろう。 「でも!こっちが捕まえられないからって……ええと、その……」 れいむも反論できる要素が見当たらなくなっていたのであろう、だんだんしどろもどろになっていく。 困った顔が少し可愛いが流石にゆっくりに任せては人間として顔が立たない。こっからは僕の仕事だ。 「確かに、僕はあの時点では捕まえられませんでした。しかし横取りみたいな行動はやっぱ悪いとおも」 「壊れたボールぶつけられてるの見ちゃったら……ねえ、かわいそうだから早く助けてあげなきゃって思わない?」 「ごめんなさい、捕まえられるかなと思ったんです、決して悪気はないんです」 もう駄目。僕らに100%非がある以上もう何を言ってもこっちの心が痛くなるだけだ。 僕はため息交じりにれいむを抱えあげてそのままミヅキさんに一礼した。 「そのみのりこ……捕まりたがってたから大事にしてください」 「うん、見てたから知ってる。言われなくても当然にゃうん」 その時のミヅキさんの姿は、どこか見知った顔と重なった。 あっちが気の強いイメージに対しこちらは軽快なイメージであるが、ゆっくりに対する思いは同じなのかも。 僕は一瞬の光景だけでそんなことを思ってしまった。 「それじゃ、また」 「にゃおーん」 そんなこんなで別れのあいさつをして、僕はゆっくりとトキハシティに向かう道へと足を進めていった。 結局最初の目的を果たせないまま、いや最初の目的さえも忘れたまま。 「はたらきたくねーーー!!」 トキハシティに戻ってそこらの飲食店で昼ご飯を取った後、れいむのその叫びで僕はようやく最初の目的を思い出した。 そうだそうだ、れいむが働きたくないから新しいゆっくりを捕まえようと思ったんだっけ。 「でもゆっくりボールがないんじゃどうしようもないじゃないか」 「……この町とおにーさんの町、違うのはなーんだ?」 え、えっとトキハシティとカザハナタウンの違い? 僕は精いっぱいカザハナタウンのことを思い出しそれと窓の外の風景と比較してみる。 まずカザハナタウンはあまりビルのようなものがほとんどなかったけどこのトキハシティだと名物のようにビルが二、三軒建っている。 それとここは結構新しい。カザハナタウンは全体的に古ぼけた店が多かった。 けれどそれらの差異がいいこと悪いこと、なんて僕にはわからない。住めば都、蓼食う虫も好き好き、人によって評価は変わる。 「いや、完璧悪いところあるじゃん」 「……なんだっけ」 「しょっぷだよしょっぷ!」 そういえばカザハナタウンにはフレンドリィショップが無かった。 その施設の不備のおかげでゆっくりボールが買えず僕は素手でれいむを捕まえる羽目になったんだ。 「あ、そうだな。ここのショップで買えばいいんだ」 「わかれ!」 元々れいむのわがままが原因だからいつの間にかモチベーションがダダ下がりしちゃったんだよなぁ…… 先ほどのこともそれに拍車をかけている。正直今は気乗りしない。 「ほら!さっさと行かないとれいむもどっかいっちゃうよ!」 「………………働きたくないならそんな急かさなくてもいいのに」 とりあえず会計を済ませ、僕はのんびりとフレンドリィショップへと向かった。場所はメディカルセンターのすぐ近く、走ったから、覚えてる。 名前 コメント
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これは投棄場の ゆっくりの歴史 森のゆっくり編 の続きです。 歴史と言いながら俺設定、パロディが満載です。 そして投棄してるからには虐待が皆無です。 それが気に入らない人はお戻りください。 ちなみに今回は大概のSSで死んだゆっくりの帽子をかぶると 「おまえとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!」 とほざき始めるので、その理由の脳内保管を文章化した感じです。 さて、続きだ。「水辺のゆっくり」と銘を打たれていたが、川のゆっくりと言ったほうが正確か。 幻想郷に海はない。紅魔館のほとりにいれば某知恵足らずの妖精やカリスマならぬカリデカな館の主に駆逐されてしまうだろう。 ゆっくりも学習能力はある。 { 水辺に棲むゆっくりのもっとも恐怖したもの、それは辻斬りだった。 事実、辻斬りは毎年現れ、ゆっくりが駆逐されるまで続いた。 初めに辻斬りを始めたのはみょん種だった。 「ゆっくりしていってね!!!」と大声で叫んで近くのゆっくりを足止めし(地上のゆっくりには「ゆっくりしていってね!!!」というと本能的に挨拶を返す習性がある)ゆっくりとは思えない速さで真っ二つに切り裂く。人間のいう辻斬りそのものであった。 彼(もともと人間に家族を殺された父親役のゆっくりであったそうだ)は自分に勲章として死臭のついた髪飾りをはぎ取り、カチューシャにしていたようだ。 川辺のゆっくり達は死臭を感じると出来る限りの避難をした。 しかし無駄だった。本能に従い叫んで殺された。 辻斬りのみょんは天寿を全うした。その年の11月のことだった。} へえ、祖父が言ってた「死臭がするゆっくりは殺される」というのはここから来てるのか。 しかし毎年ってことは模倣犯がいたのか。 {その後は模倣犯が大量に現れた。 共通するのは「群れではゆっくりできなかったゆっくり」というところである。 最初に模倣したのは「おれまりさ」というまりさ種の変種であった。 一人称が「俺」であるがために偽物扱いされて爪弾きを受けていた。 (後述するが、最初に地上に降りたまりさの一人称は「俺」である。普通の地上まりさが偽物) 私怨が強かったらしく、周辺のまりさ、れいむをすべて虐殺した。 その際命と引き換えに放った「ゆっくり奥義 ますたーすぱーく」はおれまりさを怒らせるとこうなるということで現場にいたゆっくりに畏怖の念を感じさせた。 その後、おれまりさは仲良くなる…と思いきやありす種の提案で殲滅された。 不憫である。 後にふらん種、れみりゃ種、ありす種が毎年川辺で辻斬りの模倣をしては殺された。 そしてこれが地上のゆっくりが言っていた「死臭のするゆっくりはゆっくりできなくなるから殺す」という本能に従っての行動に繋がったのだろう。 (ちなみに私の先代は地上のゆっくりの解剖本を出していたのだが、その51Pにこんな記述があった。 「地上のゆっくりに死んだゆっくりの飾りの臭いを嗅がせると、餡幹部(人間でいう脳幹のようなもの)が沸騰する」 沸騰を続けると餡幹が融けて死ぬ=ゆっくりできなくなるということだろうか。 先代の本ではそこは解明されていなかった。) さて、次章は私たち山の上のゆっくりの歴史を紹介する前に、私たちと地上のゆっくり、及び人間との戦いを紹介しようと思う。} なるほど。地上のゆっくりは自己中心的だから殺してしまうのか。 ぱちゅりーさんたちは大丈夫なのだろうか。 それにしても水辺のありすは許せない。 全部川に落ちて死ねばいいのに。 それと・・・ゆっくりとゆっくりの戦い?聞いたこともないが。 そう思ってページを進める俺であった。 あとがき---------- 今回短くてすいません。 水辺のゆっくりはほとんど人間に屠殺された先行があるから 事件一つしか書けなかった。 このシリーズはあと上のゆっくりや人間との戦い、山のゆっくりの歴史、あと何かもう一ネタとエピローグの 1~3回で締めくくられると思います。 あ~家族のPCだからリビングにあるから 頭の中にあるゆっくり大虐殺の文が 書き表せない。 書いたら確実にパソ禁食らう。
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※スレの絵とコメントを見て書いてみた 『新ゆっくり製品販売!あらゆる家具がゆっくりに!?』 そんな広告を見た俺は、どんなものか気になったので見に行くことにした。 加工場が経営している販売所へ向かう。あまりに早く着いたおかげで、まだ開店準備の真っ最中だ。 たまたま店の準備をしていた店員に出会うと、少し早めに見物させてもらえると言う。 そんなわけで中に入ってみた。 が、中にあったのは箪笥やちゃぶ台、本棚といった家具。 ……さて、これのどこがゆっくり製品なんだろう? とか思っていた時だった。 「ゆっくりしていってね!」 突然、俺の近くからゆっくりの声がした。 が、声をしたほうを向いてみると、『木れいむサンプル』とかかれた札。 そして、そこらへんに立っているような木にゆっくりの顔を貼り付けた変なもの。 サンプルの立て札に、ちょっとした紹介と特徴も書いてあった。 要約すると、ゆっくりが出産の際蔓を生やすなら、ゆっくりが花を咲かせられるのではないか? と考えた研究者が実験の末に生み出した新種らしい。 結果としては花が咲くことはなかったが、その代わりがこの木れいむだそうな。 たまたまれいむ種で研究していたそうだが、他の種で可能なのかは現在研究中だとか。 いくつか貼ってある写真には、他のゆっくり研究者達。協賛には永遠亭の名前もあった。 特徴として分かっているのは僅かで 一見普通のゆっくりだが、妊娠して蔓を伸ばしだすと母体のゆっくりも木に変異する。 ある程度木として成長すると、普通のゆっくり同様蔓出産をする。 生まれた子ゆっくりは、一定の成長をしないで潰されると親同様の木として成長する。 くらいらしい。 説明をしばらく読んでいると 「でいぶのからだがあ゛あ゛あ゛!?」 なにやら騒がしい。後ろを振り返ってみた。 「もとにもどじでえ゛え゛え゛!!」 「なんでごんな゛ごどにい゛い゛い゛い゛い!!」 ここでやっと俺は理解した。 つまりこいつらは、この木れいむでできた家具というわけか。 今まで静かだったのは、ただ眠っていただけのようだ。 せっかくなので、製品も観察してみる。 最初に目についた箪笥を見てみた。 五段の引き出しがあり、真ん中の三段目にゆっくりの顔がついている。 展示品は汚さなければ少々いじってもいい、とのことだったので、遠慮なくいじってみた。 「おにいさん……れいむをもどして…………」 そんな懇願を気にせず、一発殴ってみる。 「ゆ゛うっ!!いたいよおにいさん、なにするの!!」 変形しても痛覚は残るらしい。なら引き出しを引っ張ったときはどうなるのだろう。 顔の部分の引き出しを引っ張ってみた。 「ゆ!!おそらをとんでるみたい!!」 ……あれ?てっきり痛がると思ったんだが。 そう思いながら木れいむの顔を観察してみた。 顔は飾りではなく、感覚器官として動いていた。触った感じもこのあたりだけ少し柔らかい。 動けるころの名残かゆっくりが食べられるものも一応食べるらしい。 ふと、ある考えが頭をよぎった。 さっそく実験をしながら、しばらくれいむをなでたりして遊ぶ。 しばらくは俺に気を取られていたれいむだったが、少し落ち着かない様子で 「おにいさん!れいむをもとにもどしてね!!こんなかたちはゆっくりできないよ!!」と言ってきた。 さすがに木れいむの状態に戻すことは俺でもできないため、引き出しを押し込めた。 ……さっきからずっと蹴りをいれた箪笥に。 「ゆぐううううううう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?!?」 やっぱりだ。こいつは顔のある部分だけ感覚がある。 つまり、顔と他の木の部分を切り離すと、顔は木に受けたダメージを感じない。 だが顔を木に戻すと感覚が繋がってダメージが顔にも伝わるという訳だ。 「いだいよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 痛いのはこっちだ。感触がまんま木なので蹴ったりすれば俺も痛い。 虐待お兄さんなら話は別かもしれないが。 その日、俺は木れいむ製の小さなテーブルを買うことにした。 ここまでさせておいてもらって何も買わないってのは、ちょっと気が引けたからな。 「むーしゃ、むーしゃ……」 使ってみるとこれがなかなか便利だ。 基本的に放置していても平気だそうだが、テーブルにこぼした水や食べカスなんかは口に持っていけば処分してくれる。 虐待したい時には適当に物をぶつけたりすればいつでもゆっくりの悲鳴が聞ける。餡子の始末が面倒という人には、気軽に虐待ができると評判だ。 廃棄するときには、砕いて薪にでもすればいい。 『ゆっくり家具第二弾!!ご要望の多かった小さな家具も実現!!』 そんなチラシをテーブルに伏せると、俺は出かける準備を始める。 その中身を理解したテーブルれいむは、使われだしてから久しく涙を流した。 終 レスを見てすぐに書き出したのにすでに先を越されてた……ゆっくりしないで書いた結果でもこれかよ! このSSに感想を付ける
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少し大きめの人形が背負っていた籠をひっくり返すと、中から小ぶりなゆっくりまりさがぼとぼとと落ちてきた。 生まれたばかりの個体であるため、まだ全体の半分ほどがゆっくりゆっくり夢の中。 そんなゆっくり達を覚醒させたのは、ぱんぱんという軽快な音。 優しそうな女の人の声が、最後まで眠りこけていたゆっくりを引き上げる。 「ゆー?」 「ゆゆ!」 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 目覚めたばかりだというのに、元気のいい大合唱。 女の人はにこにこしながら、赤ちゃんゆっくり達の数を数えていた。 「さあみんな、おはよう。生まれたばかりでお腹も空いているでしょう」 「ゆ!おなかすいたよおねえさん!」 百匹を越えるゆっくりたちの訴えに、女の人は笑顔で応えた。 「ほら、あそこを見て」 「ゆ!ごはん!ごはん!ゆっくりたべたい!」 女の人が指差した先には、おいしそうな食べ物がおいてあった。 さっそく走り出そうとしたゆっくりたちは、透明な壁に阻まれてそれ以上進む事ができない。 「焦らないの。そうね、ちょっとその前にゲームをしましょう?」 「げーむ?」 「そう。五匹ずつ、かけっこ。一番についた子はごはんをいっぱい食べさせてあげる」 「ゆゆ!たのしそう!やりたいやりたい!」 「そう?じゃあまずは、あなたと、あなたと、あなたたちね」 「ゆ!ゆっくりはしるよ!」 「ゆっくりいちばんとるよ!」 選ばれなかったゆっくり達からは不平不満が出たが、女の人は気にするそぶりもなく五匹を壁の向こう側へつれていった。 「じゃあ、よーい、ドン!」 ぴょんぴょんぴょん、いの一番にゴールしたゆっくりが嬉しそうに真っ赤なリンゴにかぶりつく。 負けじと駆けつけた二番のゆっくりも、いい匂いのする桃をぺろり。 少し遅れて三番のゆっくり。よく焼けたクッキーをばりばりと食べた。 四番目のゆっくりは、ちょっと硬いにんじんをほおばった。 「ゆ!ごはんがないよ!おねえさんゆっくりもってきてね!」 もたもたしていた五番目のゆっくりがゴールするころには、もともとそんなに多くなかった食べ物は四匹の腹に収められてしまっていた。 五番目のゆっくりが不満げに振り返ると、 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!」 目の前まで迫っていた人形の槍で、大きく開けた口をずぶり。 「な゛に゛ずる゛の゛お゛お゛おぉぉお!!!」 「ゆ゛っ゛ぐり゛や゛べでぇぇぇ!」 泣き喚くゆっくり達に、女の人は思い出したように、 「そうそう、一番足の遅い子には罰ゲームね」 楽しそうに言い放った。 「大丈夫よ。ドベにさえならなければいいんだから。簡単じゃない」 しばらく時間が経って、20体分の餡子を踏みつけながら女の人が言った。 「ふう、みんな終わったかな?おつかれさま。家の中にあなたたちのお部屋を用意してあるから、 そこでしばらくゆっくりするといいわ」 死に物狂いで走り抜けたゆっくりたちは、荒い息を隠そうともせずにずるずると人形に案内されていった。 涙と鼻水でべしゃべしゃになった顔を洗うことも許されず、80匹のゆっくりが四メートル四方の部屋に押し込まれる。 窓のないその部屋で、ゆっくり達は三日を過ごすことになる。 食事は一日一度、人形が溶けかけた野菜の切れ端や干からびて黒ずんだ肉を持ってくるだけ。 水も一日に二回、バケツに汲んだ水をぶっかけられるだけ。 ゆっくり達は何故自分たちがこんな仕打ちを受けなければならないのかわからなかった。 生まれて四日目、女の人がドアを開けた時には、力尽きたもの、喧嘩で押しつぶされたものがいくつかいた。 60匹に減ったゆっくりたちは、のそのそと人形に追い立てられるまま部屋の外へ。 「みんなおつかれさま。さあ、今日も楽しいゲームをしましょうね」 その言葉を聞いて「や゛だあ゛あ゛あ゛ぁぁ!」泣き叫ぶものと、ほぼ無反応なもの。 そして、ごく少数、澱んだ目を細めるものもいた。 「今日は、障害物競走で遊びましょう。ほら、ゴールにはおいしいごはんがあるから、がんばりましょう!」 女の人が指差した先には、とてもとてもおいしそうな果物や、野菜がおいてあった。 しかし、そこに至るまでのコースにはどうひいき目に見ても致命的なトラップが三つ、ゆっくりたちを待ち構えていた。 一匹のゆっくりは最初の平均台で足を滑らせ、煮え立つ油の中に落ちた。 また、狭い足場を踏み外して竹やりに串刺しにされたゆっくりもいた。 十分に体を平べったく出来ず、回転するノコギリに額を削られた。 それらを突破して、最後の直線にまでたどり着いて、ほっとした笑顔のまま落とし穴に落ちた。 何とか落とし穴を回避してゴールしても、グループの中で最下位だったため罰ゲーム。 中には小ずるいやつもいて、先をゆく仲間を踏み台にしてトラップを突破するものもいた。 人形を傍らに控えさせた女の人は、ゆっくりたちの悲鳴を聞きながら紅茶を楽しんでいた。 最後のグループは三匹のゆっくりがゴールした。 顔を歪ませながら落とし穴を抜けた四番目のゆっくりまりさは、仲間がうまそうに餌をむさぼっているのを見ながら人形の槍に貫かれた。 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛ぅううう!!!」 先にゴールした20匹のゆっくりは、もはや興味がないとばかりに餌にがっついていた。 ゆっくりが刺さったままの槍を高々と掲げた人形は、冷たい表情のまま槍を振ってまだ痙攣しているゆっくりを捨てた。 ぱち、ぱち。女の人がにこにこ笑いながら、嬉しそうに拍手をしている。 20匹のうち16匹はなんの反応も示さなかったが、4匹のゆっくりは歪んだ笑顔で、楽しそうに 「ゆっくりしていってね!!!」 ぴょんと一度跳ねた。 それからまた一週間、ゆっくりたちはもといた部屋に閉じ込められた。 80匹ではかなり苦しかった室内も、20匹なら何とか生活スペースは確保できる。 それでも、力のないものや比較的体の小さいものは隅に追いやられていった。 弱いゆっくり達は一日に一度の腐りかけた食事さえ満足に口にできず、日に日に弱っていく。 ある日、空腹で死に掛けていたぼろぼろのゆっくりまりさに、別のゆっくりまりさが噛み付いた。 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅぅ!!」 「ハァハァ……うめえ!めっちゃうんめえ!」 これまでの縄張り争いからくる攻撃ではなかった。血走った目で、同種をがつがつと貪り始めた。 狂気はあっという間に伝染し、部屋中を悲鳴と咀嚼音が満たした。 女の人がドアを開けたとき、生き残っていたのは5匹だった。 そのうち1匹は体中かじられて虫の息だったので、人形の槍で針鼠にされた。悲鳴はあがらなかった。 「さあ、最後のゲームをしましょう」 十分な餌を食わせた後、女の人が口を開いた。 四匹のゆっくりは、へらへらと笑っているものが二匹、濁った目で虚空を見つめるものが二匹。 「ゆっくりしていってねぇ」 媚びるような口調で、へらへら笑っているゆっくりまりさがいった。他の三匹も視線だけは女の人へ向ける。 「最後は簡単、鬼ごっこよ。今からあなたたちを森の中へ放します。逃げ切れたら、あなたたちの勝ち。 捕まったら罰ゲーム。今のあなたたちなら簡単よね?」 ゆっくりと食休みの時間をとり、四匹のゆっくりたちは柵が開かれるのを待った。 「じゃあ、よーい……」 へらへら笑う一匹が、無表情なまりさの前に体を寄せた。 「どん!」 人形が柵を開くと、四匹のゆっくりが弾かれたように走り出した。ついさっきまで無表情だったゆっくりも、生存本能は誰にも負けていない。 死に物狂いで走る無表情まりさ。しかし、5メートルほど走ったところで、前を走るへらへらまりさが急に反転した。 「ゆっくりしんでいってね!!!」 不意の衝撃。視界が揺れ、森の切れ目から青い空がみえた。 一度バウンドし、慌てて起き上がると、へらへらまりさが森の奥へ消えてゆくのが見えた。 ほぼ同時に、 「ゆ゛ぐっ!!!」 焼けた鉄を打ち込まれるような痛みが立て続けに走り、その意識はかき消えた。 四匹のゆっくりまりさが走り出して一時間が経った。 女の人、アリスは森の中を捜索する人形を呼び戻す。 「二匹、か」 人形の槍にぶら下がる二つの塊を見下ろして呟いた。 アリスは一度満足げに頷くと、人形を連れて家に帰っていった。 アリスが森の中へ逃げた二匹のゆっくりを見ることは、それきりなかった。 それから一ヶ月ほど経った。 朝起きたアリスは烏天狗の新聞の一面を見て、嬉しそうに目を細めた。 『ゆっくり、里の倉庫を集団で襲撃!』 『群れを統括する、ずる賢く逃げ足の速いゆっくりの存在!』 『ゆっくり愛護会、脱退者続出で存続の危機!』 「がんばっているようね、あの子たち」 ぽつりと呟いて、新聞を丸めた。 今日は「鬼ごっこ」の日だ。さて、今回は何匹の悪意にまみれたゆっくりが逃げ切るだろうか。 アリスは吊りあがる唇を一度なでて、ゆっくりの餌を作るため台所へと向かった。
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『ゆっくりオーラとゆっくり』 9KB 考証 自業自得 駆除 群れ ドスまりさ 現代 もっと簡潔な文章を書けるようになりたいです 独自設定あり。 説明文が多いです。 ある山の中、駆除業者による野生ゆっくりの駆除が行われていた。 「ゆんやああああ!!たすけてええええええええ!!ゆげっ!!」 「しにたくない!!しにたくなああああああゆぎゃ!!」 ゆっくりたちが次々と駆除されていく中、 片手に黒い機械を持った男が近くの茂みを指差した。 「おい、そこの茂みに1匹隠れてるぞ」 別の男が茂みの中を調べる。 すると茂みの中に1匹のゆっくりまりさが隠れていた。 「おっ!本当だ。危ね、見逃すところだった」 「どうしてわかったのおおおおおお!!「おりゃ!」ゆげぇ!!」 「いやー、『ゆっくり探知機』さまさまだな」 『ゆっくり探知機』 それは加工所が開発した機械で、その名の通りゆっくりの居場所を探知することができ、 ゆっくりから放出される『ゆっくりオーラ』を感知することで居場所を見つける。 『ゆっくりオーラ』 一部のドスまりさが放出する不思議なエネルギーのことで、ゆっくりや人間の気力を削ぐ効果がある。 今までは一部のドスまりさしか出せないと思われていたが、 最近の研究で、普通のゆっくりからも微量ながらに放出されていることが判明した。 それを利用して作られたのがゆっくり探知機である。 これまでゆっくりを見つける方法と言えば、 ゆっくりの、『ゆっくりしていってね!!!』という言葉に反応する習性を利用して探すのが主流であった。 しかし最近、反応しない個体が現れたためこの方法は確実性に欠け始めていた。 なので探知機の登場は駆除業者にとって渡りに船であった。 「さあ、どんどん駆除してこうぜ」 「ああ、さっさと終わらせちまおう」 「「「「ゆんやああああああああああああああ!!」」」」 こうしてゆっくり駆除は以前より楽になった。 さらに、ゆっくりオーラへの研究が進むと、ゆっくりオーラは2種類あることがわかった。 それはある日、加工所が数百匹のゆっくりを対象にゆっくりオーラの波形を測定してみたところ、 善良なゆっくりからは波形が安定したゆっくりオーラ(以下『ゆっくりしたゆっくりオーラ』と表記)が、 ゲスなゆっくりからは波形が不安定なゆっくりオーラ(以下『ゆっくりしていないゆっくりオーラ』と表記)が、 それぞれ放出されていたのだ。 この2種類のゆっくりオーラが『あるゆっくり』に強い影響を与えていた。 その『あるゆっくり』とは何かというと、 「そこまでなんだぜ!!」 「あっ?」 「ドスううううううう!!」 おっと、先ほどの駆除業者2人の前にドスまりさが現れたようだ。 そう『あるゆっくり』とはドスまりさのことなのだ。 ドスまりさとゆっくりオーラには3つの関係がある。 まず1つ目は、まりさ種には周囲のゆっくりが放出したゆっくりオーラを吸収する性質があり、 一定以上吸収するとドスに変異するということ。 そのために必要なゆっくりオーラの量には個体差がある。 「むれのみんなをいじめるゆっくりしてないくそにんげんどもは、ドスがせいっさいしてやるんだぜ! そうしてこてんぱんのぎっんぎったんにして、むれのみんなのおといれさんいしてやるんだぜ!! それがいやならドスにひざまずいていのちごいするんだぜ! そしたら、はんっごろしですましてやるんんだぜ! さあ!さっさとひざまずくんだぜ!ぐずはきらいなんだぜ!!」 「うっせー、バーカ。死ね」 「ゆっがあああああああああああ!!!くそにんげんがちょーしにのるなああああああああ!!」 ドスは帽子の中からキノコを取り出すと、それを口の中にに放り込んだ。 2つ目は、ドスになった後もゆっくりオーラを吸収する性質は残り、 吸収したオーラが一定量を超えると、ドススパークのもととなるキノコになるということ。 「むーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃ。ドススパアアアアアアアク!!」 ドスの口がピカッと光った。 しかし、ただそれだけだった。 とく誰かが怪我をしたり、ましてや死んだりなんてことはなかった。 「ゆっ?」 「「・・・・・・・・」」 「どうしてくそにんげんがしんでないのおおおおおおおお!!?」 「あんなカメラのフラッシュ以下の光で死ぬわけないだろ」 「その前に発射までに時間かかりすぎ、簡単に避けれたぞ。まあ、避けなくても良かったみたいだったけど」 「う、うそだああああああああああ!!なにかのまちがえなんだぜえええええええ!!」 「そう思いたけりゃ、そう思ってれば」 「それはそうと今度はこっちの番だよな」 そう言って男たちは手に持っていた棒でドスを殴りつけた。 「ゆぎゃあああああああああああああ!!」 大きな悲鳴を上げるドス 「いだっ!!いだいいいいいいいい!!いっで!!まじいっで!!まじぱねえ!!」 「うっせーよ」 「ゆびゃあああああああああああああああ!!」 3つ目は、ドスが普通のまりさだったときに、『ゆっくりしたゆっくりオーラ』を多く吸収していると、 知能や身体能力の高いドスになり、逆に『ゆっくりしていないゆっくりオーラ』を多く吸収していると、 知能や身体能力が低いドスとなるということ。 これはドススパークにも当てはまる。 ゆっくりしたゆっくりオーラを多く吸収したキノコほどドススパークは強く、 逆に、ゆっくりしていないゆっくりオーラを多く吸収したキノコほどドススパークは弱くなる。 「ごべ、ごべんなざい!!ドスがわるがっだです!!まじぢょうしにのっでまじだ!!だからゆるずんだぜ!!」 「許すわけないだろ」 「反省してないじゃん」 「どうじでえええええええ!!?ドスがわざわざごめんなざいっであやまっでやってんだよおおおお!! ゆるざないどだめでしょおおおおおお!!ばかなの!!?しぬのおおおお!!?」 「・・・お前もうしねよ」 「だれかあああああああさっさとドスをだずけろおおおおおおおおおお!!」 ドスは群れのゆっくりたちに助けを求めた。 「うるさあああああい!!だすけでほじいのはこっちのほうだあああああああああ!!」 「たんしょー!!ほーけい!!」 「さっさとたすけろこのぐずうううううううううう!!」 「なにやってんだああああああああああ!!」 「やくたたずううううううううう!!」 「いなかものおおおおおおおおお!!」 「ふにゃちん!!たまなし!!」 「どおおおおじでぞんなごというのおおおおおおおおお!!」 しかし、ドスがぼこられている間に、群れのゆっくりたちは他の駆除業者たちによって捕まっていた。 「なあ、こいつドスにしちゃあ弱すぎないか?」 「ああ、それに体が小さすぎる」 「もしかして、これが噂の『ドスもどき』って奴じゃないのか?」 『ドスもどき』 正式名称、ドスもどきまりさ。 ここ最近になって現れたまりさ種の亜種である。 普通のドスまりさが2.5mほどの大きさなのに対し、ドスもどきは1.5mほど。 運動能力や知能もドスまりさより低く、普通のゆっくりまりさ以上ドスまりさ未満の性能。 一応、ドススパークは使えるがゆっくりオーラやステルスは使えない。 その唯一使えるドススパークも、本物と比べて威力がとても弱い。 はっきり言ってドスの劣化だ。 それもそのはず、ドスもどきは、普通のゆっくりまりさが 『ゆっくりしていないゆっくりオーラ』を過剰に吸収して変異したものなのだ。 つまりドスもどきとは、『ドスまりさの成り損ない』なのだ。 「ドス、もどき?なにそれ?」 「わかりやすく言うとドスの偽物ってことだ」 「にせ、もの・・・、ち、ちがうんだぜ!!ドスはドスなんだぜ!!にせものじゃないんだぜ!!」 「でも俺ら今まで何回かドスを駆除したことがあるんだけど、みんなお前より体がでかかったぜ」 「ああ、それにこんな棒じゃ倒せないくらいには強かったな」 「ちがああああああう!!ドスはドスだああああああああ!!」 「じゃああのドススパークはなんだよ。本物のドススパークはあんなしょぼいやつじゃなかったぜ。 それこそまともに当たったら死んじまうくらい強力だったぜ。それなのになんだお前のは? あんなのじゃ死ぬどころか傷一つ付かねえよ」 「やっぱり偽物だな」 「ちがあ「よくもだましたなああああああああ!!」ゆっ!?みんな?」 見ると群れのゆっくりたちが怒りの形相で、ドス改めドスもどきをにらんでいた。 「このにせものおおおおおおおおおお!!」 「にせものはさっさとしねええええええええ!!」 「このいなかものおおおおおおおおお!!」 「よくもいままでこきつかったなあああああああ!!」 「わかるよー!!ぜったいにゆるさないんだねー!!」 「ぱいぷかっとおおおおおおおおお!!」 ゆっくりたちがドスもどきを罵倒する。 「だまれええええええええええええ!!ドスはドスだあああああああ!!にせものじゃなああああああい!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「ゆぎぇ!!ゆびぇ!!」 男がドスもどきを殴る。 「まあそれは置いといて・・・お前そろそろくたばろうや」 そう言って男は棒をドスもどきの眉間に深く突き刺した。 「ゆぎぇ!!!」 短い悲鳴を上げるドスもどき。 どうやら棒が中枢餡に刺さったようだ。 「ド、スは、にせ・・も・・じゃ、な・・い・・」 ドスもどきは息絶えた。 「ゆぷぷ♪にせものがしんだよ」 「ざまーみろなんだぜ」 「ぱちぇたちをだましたむくいよ」 「じごーじとくなんだねー。わかるよー」 「まったくとんだいなかものだったわ」 「そーろー。ほそちん」 「「「「「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ♪」」」」」 「ちーん、ぽっぽっぽっ♪」 「んじゃ、次はお前らの番な」 「「「「「ゆ?」」」」」 「ちんぽ?」 「『ゆ?』じゃねえよ。お前らも潰すにきまってんだろ、駆除なんだから」 「「「「「そんなあああああああああああ!!」」」」」 「ちんぽおおおおおおおおおおお!!」 最近、このようなドスもどきや知能や身体能力の低いドスが増えている。 原因は、普通のゆっくりたちから『ゆっくりしてゆっくりオーラ』よりも 『ゆっくりしていないゆっくりオーラ』が多く放出されいるためだ。 その結果、まりさ種が『ゆっくりしていないゆっくりオーラ』の方を多く吸収してしまうのだ。 それはつまり、昔より『善良なゆっくり』が減って『ゲスなゆっくり』が増えたということである。 ここでいう『善良なゆっくり』とは、『人間視点』で善良なゆっくりではなく、 『ゆっくり視点』で善良なゆっくりのことである。 要するに『ゆっくり視点で善良なゆっくり』が減り、『同族に対してゲス行為を働くゆっくり』が増えたのが原因である。 ドスまりさはゆっくりの守護者ではない。 正確に言うと『善良なゆっくり(ゆっくり視点で)』、 ゆっくり的に言えば『ゆっくりしたゆっくり』の守護者であり、 守られる側の『ゆっくり』に見合った者しか現れない。 「というわけで、ゆっくりして逝ってね」 「「「「「ゆんやあああああああああああああ!!」」」」」 「ちんぽおおおおおおおおおおお!!」 完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 八手あき 以前書いたもの anko1354 捨てゆを拾ってみた anko1358 焼き芋を買ってみた anko1366 ゆ虐戦隊!!ヒャハレンジャー!!! anko1377 みんなのうた 大きなドスまりさ anko1386 ごめんなさい anko1398 カスタードキムチ鍋 anko1405 ぜんこーしてみた anko1417 みんなのうた むらむら anko1440 やまめに出会った。 anko1455 虐隊見参!! anko1499 壊れるまで anko1591 けーねとちょっとSなお姉さん anko1655 まりさをゆっくりさせてあげた anko2286 赤ゆを虐殺してみた anko2358 帰ってみたらなずーりんが anko2564 れいむをゆっくりさせてあげた anko2651 赤バッジ青バッジ anko2799 畑さんでゆっくりしようね anko2800 我が家のゆっくりたちをいじめてみた anko3353 たーみれいぱー anko3636 未熟ゆ遊び anko3637 えいきをちょっといじめてみた
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たまには普通に虐めてみる。 「ゆ~ゆゆ~♪」 森を歩いているとゆっくりれいむを見かけた。どうやらえさを集めているようだ 花やらバッタやらを口の中に収めている。 「ゆう!こんなところだね!ゆっくりかえろうね!!」 そんなことをいいながらぴょんぴょん跳ねて移動するれいむ。 独り言の多いやつだなぁ。 そんなことを考えながら俺はれいむの後をこっそりつけていった ああ、ちなみに俺は虐待お兄さん。鬼ってほどじゃないけど虐待は大好きさ。 たまにゆっくりを蹴っていじめるとすっきりするよね。 「ゆ!!ただいまだよ!!」 そんなことをいいながら巣の中に入っていくれいむ。きちんと入り口を木片や草で隠すのも忘れない。 巣は少し膨らんだ地形の地面を掘って作られていた。おそらく自分で掘ったのだろう。 雑草で少々分かりにくいように出来ており、なかなかよい巣であった。 ゆっくりは木の根元に作ることが多いのだが、このゆっくり一家はそういうわけではないようだ。 俺は位置を確認するといったん家へと帰っていった。 しばらくしてスコップを持って、また巣のところに戻ってくる。 こっそり入り口を少し開けて声を聞く。 「ゆっ、ゆゆっ」 「ゆぎぃ!」 「はんてい、れいむのかち!!」 「ゆ~、おねえちゃんつよい~」 どたばたとする音と騒ぐ声。どうやら相撲をやってるようだ。 全員いるようだが…ゆっくりという名前なのにゆっくりしてねえな、こいつら。 俺は近くの土を掘り、それをまず入り口にかけて固める。 完全に固まったのを確認すると巣の屋根に当たると思われる部分を軽く掘ってスコップで叩いた。 「ゆ、なんだかおかしいよ!!」 「なんだかやねがくずれてくるよ!!」 「やねさんゆっくりしてね!!」 「みんな!!きけんだからだっしゅつするよ!!おかあさんについてきてね!!」 下から声がする。俺が土を叩いているので崩れだしたようだ。しかしこいつら声でけえな。 声を確認しながら大体の巣の形を把握。騒ぎながら移動するので結構楽である。 どんどん 「ゆゆ!!いりぐちがあかないよ!!」 「どうじでー!!」 「このままじゃゆっくりできないよ!!」 入り口辺りで騒ぎ出すゆっくり達。そしてその上を掘ってさらに恐怖をあおる俺。 そろそろかな 俺は入り口辺りの屋根の部分と思しき所を思いっきり踏みつけた。 「ぶぎぃ」 「ゆ」 一気に崩れる土。声的に親れいむ辺りがつぶれた音か。他にも一匹つぶれたようだ。 「おがーざんがあああぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」 「おねーぢゃーーーーん!!!!!!!!!!!!」 その光景を見たのか叫ぶ子ゆっくり。よしよしいい感じだ。 「ここじゃあぶないよ!!さっきのへやにもどるーー!!」 「れいむももどるー!!」 「ゆっくりしたいよーー!!」 一気に崩れた光景をみたためか移動していく声。どうやら入り口から奥の部屋に戻ったようだ 普通なら掘り進んでも入り口にいるのが正しいのに…さすが餡子脳。 声が移動するのにあわせて地面を叩いて崩落させる俺。それほど厚くないので思ったより簡単だった。 「やめでーーーーー!!!!」 「やねさんゆっぐりじでね!!!!」 「ゆっぐりでぎないよ!!」 あるていど入り口を埋めた辺りでストップ。さすがに疲れた。 「ゆううう、やっとおさまったよ」 「やっとゆっくりできるよ」 「ゆっくりしようね」 どうやらゆっくりし始めた子ゆっくり達 さっき親が死んだのにもう忘れたのか しばらく休憩してからまた軽く屋根の部分を掘る。今度はゆっくりしてるからか子ゆっくりはきづいてないようだった。 だいぶ掘り進んだしこんなとこかな。 「せー…の!!」 ぼすんっ!! 『ゆびぃ!!』 思いっきり踏みつけると部屋の部分の屋根に当たるところが一気に大崩落を起こす その影響で全ての子ゆっくりが巻き込まれた。 「こりゃすげぇな」 崩壊した巣から這い出しながらそんな感想をもらす。 苦労して掘った巣がこうやって一気に壊されるとはゆっくりも思わなかっただろう。 「あー、でも結構重労働だったわりにはあんまり苦しめられなかったか…」 疲労感から近くの地面にねっころがる。 さすがに二度とやる気は起きそうになかった。 ~~~~~~ 思いついて一気に書き上げた作品です。 人間に従うゆっくりの群れネタを書いてたら、スレで協定話が盛り上がってたらしく それ関係のネタがたくさん出てきて結構かぶってしまうという状態に もう少し早く書き上げればよかった ゆっくりした結果がこれだよ!! 過去作品 巨大(ry 餌やり ゆっくり対策 巨大まりさ襲来 このSSに感想を付ける
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ゆっくり伝 その男の姿は、奇妙に森に溶け込んでいた。 着ているものや肌の色を木々に紛れるようにしている、というわけではない。 身に纏う空気といおうか、そのようなものが森と調和しているようであった。 風雨に打たれて育った樫のような、荒々しくもどこか落ち着いた雰囲気の男であった。 そのような男であったから、この生物も無警戒に近寄っていったのかもしれなかった。 体高30cm。 自慢げな表情を浮かべている。 髪形や身に付けているものは何処となく博霊の巫女に似ている。 ゆっくり霊夢であった。 「ゆっくりしていってね!」 男の前にその不思議な生物はたたずんでいた。 豊かな山林である。 人に出会うことは少ないが、動物ならば珍しくもない。 時として妖怪が出るらしいと、そう噂されているのを聞いたこともある。 しかし今現れたこれは、動物とも妖怪とも言い切れない、なにやら不思議な雰囲気を漂わせていた。 男が、ぎろりとゆっくりを見た。 ――なんだ、こいつは。 そう言いたげであった。 「おにいさん、ゆっくりしていってね!」 ゆっくりがもう一度言った。 その表情は天真爛漫であった。 自分に危害を加えるものがあるなどとは考えたことがないかのようであった。 むずりと、男が左手でゆっくりを掴んだ。 軽々と顔の高さにまで持ち上げる。 「ゆゆっ!たかい!たかいよ!ゆっくりおろしてね!」 ゆっくりが少し慌てたような声を上げた。 その純真そうな瞳を見ていると、男の肉の裡に、凶暴なものが膨れ上がってきた。 きりきりと、男の唇が獰猛な形に吊り上がる。 たまらなかった。 ゆっくりというものには、妙に嗜虐心をそそるところがある。 外見は可愛らしく、人間に危害を加えるようなこともない。 それでいて、何故か虐めずにはいられないのであった。 「口を、大きく開けてくれないか――」 男がかすれた声を吐き出した。 「あーーん」 ゆっくりが、言われた通りに大きく口を開いた。 その瞬間であった。 「じゃっ」 男が鋭い呼気を吐いた。 男のごつい右手がゆっくりの口に深々と埋まっていた。 ゆっくりの口の中に、無造作に右手を突き入れたのである。 「ゆあっ!?」 ゆっくりが驚愕の叫び声を上げた。 口の中でうごめいていた男の右手が、ゆっくりの舌を掴んだ。 びくりと、ゆっくりの肉体が震えた。 「これから、俺がどうすると思う」 刃物をなで上げるように、男が囁いた。 「ゆぁ!ゆっ、ゆあぁぁあぁぁ!」 ゆっくりが叫び声で答えた。 目が恐怖に見開かれている。 男は、楽しくてたまらないといった表情を浮かべた。 「このよく動く舌をひきちぎってやるよ」 ゆっくりの顔が一気に青ざめた。 「ゆゆっ!?やえへ、ゆっふりやえへえ!!」 男の唇が喜悦の表情を浮かべた。 両腕に力がこもる。 「ふんっ」 ぶちり、 と、いう嫌な音が小さく響いた。 舌のちぎれる音であった。 男が、右手でゆっくりの舌を、根元から引き抜いたのである。 「ゆ~~~~~~っ!」 一拍おいて、ゆっくりの口から悲鳴が上がった。 耐え難い苦痛に、小さな身体が激しくのたうつ。 男が、右手を引き抜いた。 ちぎられた舌と、舌のかつてあった場所から、餡子が吹き出していた。 男が右手を開くと、分厚い舌がぼとりと地面に落ちた。 まだ痙攣しているそれに向かって、無造作に踵を打ち下ろした。 柔らかいものを踏み潰した感触と共に、靴の下から餡子が勢いよく迸り出た。 ぞくり、と男の背筋を震えが疾り抜けた。 嗜虐者の悦びであった。 拷問官の悦びであった。 ゆっくりの悲鳴は、途切れることなく続いていた。 苦痛の涙を湛えた瞳が、男に向けられた。 救いを求めているような瞳であった。 ぞくり、と先程よりも一層太い震えが男を貫いた。 黒い感情が、肉体を押し破って吹き出しそうになる。 男は震えをこらえて、左手の親指をゆっくりの下顎に、右手の親指を上顎にかけた。 何をされるか悟ったのか、ゆっくりが男の手の中で抵抗するように動いた。 男の唇がめくれ上がり、噛み締めた歯が覗いた。 「むんっ」 男が指に力を込めた。 ゆっくりも口に力を込めたが、男の力に適うわけもない。 大きな口が、たちまち限界まで上下に開かれた。 「ああぁぁぁぁぁ!」 ゆっくりが狂ったように声を上げる。 何とかして男の手から逃れようと、必死に身を捩ろうとする。 構わずに男は力を強めた。 鍛え抜かれた腕に、太い筋肉が浮かび上がった。 みちっ。 みちっ。 音がした。 ゆっくりの頬が、力任せに引き裂かれていく音だ。 無惨に開いた頬から、凄まじい悲鳴が漏れ出してくる。 男は笑みを浮かべた。 鬼の笑みであった。 ことさらゆっくりと、頬の裂ける感触を楽しむように、口を押し開いた。 「あいぃぃぃぃぃぃ!」 ゆっくりは獣のような声を上げていた。 やがて口が頭の半周程度まで裂けてしまうと、あれだけ大きかった悲鳴が小さくなってきた。 ゆっくりの瞳は既に虚ろになっている。 男の表情から、喜びの色が退いていった。 「おうっ」 男が両の親指にありったけの力を込めた。 ぶつり、と不気味な音がした。 ゆっくりが上下に真っ二つになっていた。 大きな瞳が、怨むようにこちらを見据えている。 ふと、男はその頭を齧ってみた。 思わず眉をしかめた。 たまらぬ甘さであった。 決して不味いわけではないが、とても全て食べようという気にはならない。 巨大な饅頭――どうやらこれはそのようなものらしかった。 男は二つの欠片を宙に放り投げた。 それを追うように、ふわりと男の右脚が浮き上がった。 「けえっ」 欠片が空中で重なった瞬間、回し蹴り気味の軌道を描いた脛が、そこに吸い込まれていった。 スピード、タイミング、パワー、どれをとっても申し分のない、会心の一撃であった。 小気味よい音と感触を残して、ゆっくりだったものは木々の間へと消えていった。 男は自分に言い聞かせるように呟いた。 「すっきり――」 いつの間にか、男の口元には再び笑みが浮かんでいた。 沈丁花の香る、春の夕暮れであった。 あとがき 遂にゆっくりの話を書いてしまった。 もしこの作品を読んで、中々やるじゃねえか、と思っていただけたとしたら、 これはもう獏文体好きの冥利に尽きるというものである。 あと一本か二本か、それはわからないが、とにかくネタが尽きるまではこいつを書いてゆくつもりである。 どうか、しばらくお付き合いのほどを。 平成二十年九月二十二日 小田原にて ゆっくり枕獏 このSSに感想を付ける
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ゆっくりもかめし ゆっくりもかめし 中身は「グミ」 口癖 「ゆっへっへ!ゆっくり~よわいね!!」 「ゆっくりだまってね!!」 「これはゆっくりかぞくかいぎだね!」 ふたば 神戸オフメンバーのゆっくりの中では比較的強い捕食種。 全てのゆっくりを苛めるが、特にゆっくりみつおを好んで苛める。 しかし、いじめたい気持ちとは反していじめ返されることも多々ある。 体を触られるとめっぽう弱くなるため、 同じ捕食種同士の場合苛めるか苛められるかは先手でボティタッチした方に軍配が上がる。 希少種であるが、胴付きゆっくりもかめしも確認情報がある。 虐待スレ版 捕食種であるためほとんどゆっくり同士の場合は虐待されない。 変わりにその傲慢な性格から人間などの強い相手に喧嘩を売って返り討ちに合うことがある。