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~前回までのあらすじ~ 『私は貧乏な国の貧乏なお姫様です!!わが国には資源や食糧!あと出番がありません!みのりこさえいれば焼き芋で皆を救えるのですが……』 『ゆ……私がいなきゃだめなようね。シュン、私抜きでも頑張れるよね……?』 『みのりこぉ!お前ってやつは……』 『残念だがこの国は滅びてもらう!いけっ!リなんとかズきゃなこん!』 『ここは私が食い止める!いや、この国が滅びるのは見てられない。今ここで倒す!!』 『みのりこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』 「てな感じならきっと人気もでるよ!!」 「ふざけんなよてめー」 嘘です嘘ウサ。というわけでゆっくりもんすたあ第五話始まります。 ゆっくりもんすたあ第五話 『激闘!コウマジム!!』 中ボス三人組との戦いから数時間が経っただろうか。 道の様子も次第に今までの現代的なものから西洋的なものに変わり、うっそうと霧まで漂ってくる。 『霧が陰る街』が近づいてきた証拠だ。まだ見ぬ地を目の前にして僕の心も一層高ぶり始めていった。 「れいむ達のつよさを見せつける時が来たよ!」 そう言ってれいむは僕の腕の中で暴れまくるが僕は少し不安を覚えている。 何しろ一つの町のリーダーと呼ばれる人と戦うことになるのだ。今まで戦ったトレーナー達とは一味も二味も違った強さを見せつけてくれるだろう。 「不安になってちゃ困るよ!ちゃんとゆっくり頑張ってね!!」 「……そうだな」 戦うのはゆっくり達だが僕達トレーナーもしっかりとゆっくり達をサポートしなければならない。 僕が頑張らなくちゃいけないんだとれいむの言葉にほんの少し勇気を授けられ僕は進んでいく。 そして見えた。赤き街を象徴する城門を。 「さて、行くぞ!」 「おっしゃー!」 全てを受け入れるように城門は扉がなく、街との境界を取り決めているだけ。 僕は勇気を持って城門を勢いよく駆け抜け、ようやく紅き街コウマシティへと入っていったのであった。 とはいっても、いきなり何の準備もなくジムリーダーに挑むのは愚策というもの。 とりあえず休憩と情報収集も兼ねて僕達はコウマのメディカルセンターにお邪魔したのであった。 「モダンだねぇ、とりあえず霧で髪の毛濡れちゃったから拭いてね~あとおなかすいた」 「全く……」 ふてぶてしいれいむの要求にうんざりするも僕も結構お腹がすいていたので、髪を拭いてあげたあとメディカルセンターの食堂スペースに連れて行ってあげた。 ゆっくりジムが存在するからかメディカルセンターもかなりの設備を備えている。この食堂などカザハナやトキハには無かった設備に僕は驚きを隠せなかった。 「よしっ出てこいみのりこ」 「秋らめたくない!」 食堂で席を確保して僕はゆっくりボールからみのりこを出した。 食券式の食堂だったので二人に何が食べたいか聞いて(れいむはカニ雑炊、みのりこはきのこパスタだそうだ、いっちょまえにいいものを……)僕は食券を買いにいった。 「おっ」 と、食券販売機に向かおうとしているところ僕は壁にかかっているゆっくリーグのポスターに目を奪われた。 『ゆっくリーグ、それはゆっくりトレーナー達が切磋琢磨し頂点へ目指す為の機関、および大会のこと。2年に一度オトハ島で開催される。 参加するためにはゆっくリーグ公認のジムからバッチを8つ手に入れることが必要。地方ごとに8つジムがあるが、諸事情とかで別の地方のジムに挑戦してもいいらしい。 ただしバッチには期限があり、リーグが開催されるとそれ以前に手に入れたバッチは全て無効となる。 つまり2年の内に各地を回って8つ集めなればならないということだ。 ゆっくリーグ大会はリーグ式で行われ、8つ集めたトレーナー達とリーグ公認のゆっくり四天王と頂点を目指して戦うことになる。 もちろん挑戦者たちが全部敗れ四天王が頂点を制すことだって十分にあり得るし挑戦者が0の時だってある。だから挑戦者たちには頑張ってもらいたい、普通にウケがいいから。』 そんな地味に願望が混ざった説明文の上には次の開催予定日と四天王らしき人々が描かれていたりした。 次の開催予定日は今から1年3ヶ月後、リーグを目指すには十分時間がありそうだ。 橙子に言われて始めたことだけど、いつしか乗り気になっている僕が今ここにいる。 むしろ今の僕の生きがいにもなっている。だからこの戦いは絶対に負けられないのだ。 そう決意して僕は歩を進めるが丁度その隣にあったポスターも目に入る。どうやらそれはこの町のジムに関するポスターのようだった。 丁度いい。あまりにも情報が少なかったから参考になるぞと思って見てみたが、ポスター一面に跨るどでかい文字が僕に強烈な印象を残していった。 「全国最強ジムリーダー……R・スカーレット……」 ……誇張じゃないよな。 まさか最初に訪れたジムが最強だなんてそれなんて負けイベント? 改めて見直してみるもその文字は変わらずにどでかく書いてあるし真横には(リーグ調べ)なんて文字さえも見えた。 絶望が僕の心を覆ったように思えた。ポスターのジムリーダーが僕を怪しく嘲笑っているようにも見えてしまう。 「嘘でしょお……」 衝撃の事実にかなり気が沈み、僕は肩を落として食券販売機まで足取り重く進んで行く。 希望が無くなったわけではない。ちゃんと他のジムリーダーと戦えばいいわけだし数に関しても他の地方に行けばいいのだ。 けれど橙子との約束はどうしよう。『コウマでバッチを手に入れたらバトる』なのだからここでバッチを手に入れなければならないはずだ。 まぁ橙子も勝てるかどうか分からないし見かけたら普通に戦えばいいだけの話である。 ただ問題なのは、もし橙子がそのジムリーダーに勝ってしまったとしたら。 「あ~~~~~~~~もうやだあああ」 「むーしゃむーしゃしあわせー!おにーさんどうしたの?食べないなられいむがたべちゃうよ!」 「さっきからなんか変よ?」 結局気分がブルーのまま僕は食事を買い、食欲も消え失せ先行き不安のまま机に蹲ってしまった。 『えー勝てなかったの?ちぇっ見込み違いか』とか言われてしまわないだろうか。ただでさえスカーハートな僕はその一言で完全に沈没してしまう!! 「なぁ、早めにこの街出て次のジムに行かないか?」 あまりにも不安なので僕はついそんなことを呟いてしまった。二人は当然のように見下すような眼でこちらを見てる。 「何言ってんの……?」 「私達がまだ弱いと……?」 「いや、忘れて!今の言葉忘れて!!」 そんな憐れむような眼で僕を見ないでくれ。 けれどれいむ達は水に流す気などさらさらなく、食べる手を置いて僕を叱責するかのように机をたたいた。 「あのねぇ、どんな臆病風に吹かれたのか分からないけどそう言うのが一番ウザい」 「もっと自信持ってくれなきゃ背中預けられないわよ!」 「……………ゴメン」 ゆっくり達の言うとおりだ。トレーナーとして酷いことを言ったと思う。 例え相手が強いと分かっていても逃げていては何も始まらない。一度決めた以上戦わなければいけないのだ。 負けてもいい、全力を出し切ること。それがゆっくり達に出来る最大の手向けだ。 僕は不安を振り払って、カバンから1枚の危なっかしい装飾が付いたバンダナを取り出し頭に巻きつけた。 傷がまだ治りきってないため痛い。けれどこれは二人を裏切りそうになった罰だと思え。 「よしっ!!よしっ!!よし!!」 気合を入れなおして僕は自分が注文したチャーハンを喰らい尽くし、一息つく。 今から行こう。そう思って僕は先に食べ終わった二人を抱えてメディカルセンターを発ったのであった。 「びっくりした……いきなり抱えられたもんだから心臓が……」 「って心臓あるんかーい」 「よし、準備はいいな二人とも!」 今僕は二人を抱えてコウマジムの目の前にいる。 この扉を開けばジムリーダーが待ち受けているはずだ。びっくりしているわけじゃないが僕の心臓は激しい音を立てて鼓動していた。 「ん~準備ねぇ、ま、れいむの実力にかかればお茶の子さいさい!」 「私はいつでも人気者……じゃなくて戦う準備はできてるわ!」 二人とも準備万端で僕は安心する。そして僕はれいむを頭の上に載せてドアノブに手をかけた。 「相手は全国最強のジムリーダー!!行くぞぉ!」 「……え?」 「全国最強って……きいてないわよ!!!」 なんか二人が急にグチグチ言い始めたけれど普通に無視し、僕は精いっぱいの勇気を持って扉を勢い良く開ける。 ジムの内装はまるで洋館のよう。整然と敷かれた紅いカーペットが挑戦者たちを招き入れているように見える。 だが入ろうとしたその瞬間頬の辺りに風が吹き、ガラスが割れるような甲高い破壊音が丁度僕の真後ろから聞こえてきたのだ。 「………」 ふと、頬に何か温かいものを感じたので恐る恐る触れてみると、ねちゃねちゃとした液体が頬から流れ出ているようであった。 後ろを振り向いてみれば扉についていたガラスが全てにコナゴナになって地面に散らばっている。 「このーーーーー!!!!セリエさん!いい加減にしてください!!」 「聞き分けのない人ですね、無理なものはなんだからしょうがないでしょう」 何が起きているのか理解できないまま僕はドアの前で硬直しきってしまった。 ジムの中ではメイドと思われる人物とバニーガールっぽい人が口論しながら地形を駆使して空中戦を繰り広げていたのだ。 メイドさんってTVとかで見たことあるけど実物は初めて見た、バニーさんも胸が揺れてえっちぃ。 「あ、ありのまま今起こっていることを……」 「トレーナーさん!!い、い、今は危険です!!」 思考が麻痺しきってしまいその光景を呆けながら見ていたけれど、他のメイドさんが呼びかけてくれたおかげで僕はなんとか正気を取り戻す。 一体何が起こってるのか聞こうかと思ったがメイドさんも相当パニック状態になっているようで尋ねる暇もなく僕はそのまま外へと連れ出されてしまった。 「はぁ……はぁ……今コウマジムは大変なことになっているので!一時間ほどは立入り禁止です!!二人ともやめてくださいぃ」 「クーゲルシュライバァァァー!!」 「東方流奥義!!四天方!!大車輪んんんんんん!!」 ジム内では今でもこの世のものとは思えないバトルが繰り広げられており、僕を連れだしたメイドさんはあたふたしながら中に入って扉を強固に閉じていった。 これが全国最強ジムの正体……か、一味も二味も違う。 先ほどの勇気もどこへやら、僕はまわれ右してどこへ行くわけでもなくそのままコウマの霧の中に潜っていった。 「さっきの提案だけど……やっぱその通りにする?」 「でもかっこ悪いよなぁ……」 数分後、ある程度霧で頭を冷やしていつも通りの思考を取り戻した僕らはコウマシティ入口の城門で色々話しあった。 あの光景は確かに奇天烈なものだったけれどあそこは一応ゆっくりジム、だからゆっくりの強さとは関係ないと僕達は割り切ることにしたのだ。 「とりあえず一時間ほどは入っちゃいけないって言ってたけどそれまでの間どうするか……」 「え?やっぱり戦うの?」 「いや確かに不安だけどさ、命取られるわけじゃないし」 折角出した決意と勇気を不意に捨てるのももったいないことだ。 れいむとみのりこは苦々しい顔をしているけれど僕の背中を押したのは二人。だから地獄まで付き合ってもらおうではないか。 「大丈夫大丈夫、強くなればいいんだから。あ、そうだこの一時間他のゆっくりバトルして鍛えようか」 「他人事みたいにいって……」 「どこが他人事だよ」 こんな空回りしかかっている僕とは裏腹に二人は未だ割りきれずにうだうだそこらを転がっていたりする。 これでは説得は難しい。なので僕は有無を言わさず二人を鷲掴みにしてそのまま城門を出ていった。 「「はなせ!」」 「はなさん!」 こうして再び僕達はコウマとトキハを繋ぐ森へと戻っていく。 霧に満ち落ち着いた感じの石畳の道だが、一度道を外れれば野生のあのやかましいゆっくり達と出会えることだろう。 僕は道脇にある草木を乗り越え森の中を散策する。だが数分ほど歩いてもゆっくり達は一向に姿を現さなかった。 「あれぇ?どうしてだろ、いつもは来るんじゃねぇと思っても来やがるのに」 「ゆふふ……これじゃあしょうがないね」 「いや、別に戦わなくなってジムリーダーのところには行くぞ」 「ゆがーん……」 一応気配だけはするのだが視線を向けるとその気配もどこか遠くに消えてしまう。 もしかして避けられているのだろうか。ただの偶然とは考えにくい。 「これは……」 「何か分かるのか?みのりこ」 「多分中ボス三人組に勝っちゃったからみんな私達のこと怖がってるんじゃない?」 あと被害の復興のために動員されているかも、と付け足してみのりこは再び腕の中でくつろぎ始める。 力を持ちすぎた人は尊敬と同時に畏怖を人々から受けると言うが、流石にそこまでのことを僕はしたとは思えなかった。 これは謙遜じゃない。僕達はまだジムリーダーとも戦ってない駆けだしということを忘れてはいけないのだ。 と、言ったところで本当にこれからどうしようか僕は頭を捻らせる。 腕の中でダレきってる二人にメリハリをつけさせるためにはやっぱり戦いが一番だと僕は思う。 でも野生のやつらは姿を現してくれない。それならば。 「トレーナー……か」 そうと決まれば僕は森の中を駆け巡って人影を探し回る。 ジムがあるコウマならばトレーナーの数はカザハナやトキハよりも多いため探すのは容易なはずだ。 そして僕達は霧の中でゆっくりトレーナーらしき人影を発見した。 「そこのトレーナーさん!突然ですが僕達と勝負してください!」 そう叫ぶと相手は僕達に気が付いてくれたようで霧の中から姿を現してくれた。 僕よりも背が高い大人の男性だった。何日もさ迷い歩いたかのように服が土と水で汚れていたがそれだけこの人が年季が入っているという印象を与える。 「子供……か?」 「そうです、でも侮らないでくださいよ」 「分かった。それにしても丁度いい、強くなった俺達の強さを見せるぞ!」 その人はすぐに腰のゆっくりボールを掴んで臨戦態勢を取る。 こちらも左手のみのりこを突き出し、こうしてゆっくりバトルが始まった。 ゆっくりトレーナーのケシキがしょうぶをしかけてきた! 「いくぞ!みのりこ!」 「……わ、わかったわよ!仕方ないわね」 みのりこは僕の左手から飛び降りて緩みきった体をきちんと元の球形に戻す。 前の戦いで無くなったブドウもしっかり再生して戦闘準備は万端である。さて、相手はどう出るか。 「行くぞっ!もこたん!」 「インしたお!」 相手の投げたボールからは炎の翼と長い白髪を持つゆっくりが現れた。 今まで僕達が見たことのないゆっくりだ、なので僕はすかさずゆっくり図鑑を開く。 r-r、 ,.-ァ、 | |`\ // | | ノ / \,ヘ、. / / \| | く 〈 // 、,べ  ̄ ̄`7/ /〉 |/ . ヽ/、__ _ゝ-、//__Y /」 // ^ヽ、二_,.ト-'、___!、_____/ |`ヽ / /-'、 / __ i i __ ヾ.. ', |ヽ! ィ7´/ ´/_ハ. ハ !_ ` ', i i ヽi /アー- .|_/ Lア-― .ヽ. ,ゝ ', | | _,ハ (ヒ_] ヒ_ン ) |ノレ、」、 i ノ'| ハ!"" ,___, "" / |ノ |〉<] ./、 !ノ .ハ、 ヽ _ン く/ ! i | [>_!く_/_」/>.、 ,.イ'`ヽ./ ハ | ヽ.. -`'yアr'<`二i´ヽト-r‐-'、 i /| / !/ / /ム | / |', `ヽ!'/ / .// |/ / |/ | | |〈 } ゆっくりNO、 もこたん~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~このこは かしこいこ なんだよ ただ けーね がもっとかしこいだけこのこは やさしいこ なんだよ ただ けーね がもっとやさしいだけこのこは さみしいこ なんだよ でも けーね がちゃんとそばにいる 「行け!火炎放射!!」 相手のもこたんはとんでもない早さでこちらが準備する間もなく先制攻撃を仕掛けてくる。 もこたんの口から吐き出された業炎はみのりこを的確に容赦なく火の海に包んでいった! 「うぎゃっ!」 「みのりこぉぉ!!」 マズいと僕は本能的に察知した。 みのりこは一般的に言う草タイプ、いくら周りが霧で炎の強さが軽減されていたとしても相性が悪ければひとたまりもないだろう。 炎の中にみのりこの影だけが写る。もしかしたらもう消し炭になっているかもしれないと僕は居た堪れなくなり両目を瞑った。 だが絶望的になりかけた僕の耳にとある声が聞こえた。 「しっているか……」 この声を僕は知っている。僕は恐る恐る片目を開いてみのりこが沈んだ炎を見つめた。 声は炎の中から聞こえてくるという事実が分かったことだけで僕の希望は再び息を吹き返した。 「不死鳥は………炎の中から……甦る!!」 その叫びと共に炎の中からみのりこが火中の栗のように飛び出し、空を飛んでいたもこたんに体当たりで吹き飛ばしていったのだ。 「な、なにぃ!?」 「秋神なめんなよ!」 そのまま地面に降り立ったみのりこはふてぶてしい笑顔で体に残っていた火を地面に擦りつけて消していった。 「みのりこ!大丈夫か!?」 いくら耐えられたとしても相当な重傷を負うはず、けれどもみのりこの体はほんの少しの火傷が残っているだけであった。 一体どういうことだろうかと悩んでいると僕はみのりこの体から甘い香りが漂っていることに気が付いた。 「そう、私は焼き芋よ!だから火なんてそれほど問題じゃないわ!」 「な、なるほど」 「ゆ、ゆぅ、おまえのどこが不死鳥だぁ……」 納得している間に吹き飛ばされたもこたんは負傷しながらもフィールドに戻ってくる。 相手トレーナーも不測の事態にかなり困惑しているようだった。攻めるなら今だ。 「みのりこ!攻撃!」 「いえっさ!!」 みのりこはすぐに攻撃を仕掛けるがもこたんはとっさにみのりこの攻撃が当たらないところまで飛翔していく。 卑怯だ、と言いたいがこういった陣取りも立派な戦法だ。 みのりこではこれに対処できないと思い僕はみのりこをゆっくりボールに戻そうとしたが、一歩遅く相手の指示が先に森に木霊した。 「もこたん!!J!フェニックス!!!」 「不死鳥はぁぁぁ!!!ここにあり!!!」 もこたんは体を炎で包み、そのままギリギリ目に捉えきれる程度の速度でみのりこに突進していく。 その姿はまるで不死鳥のよう、舞い散る火の粉が森を過剰なほどに照らす。 翼を広げているため真横に逃げることは不可能に近くみのりこはみすみすその攻撃の直撃を喰らってしまった!! 「ゆぅぅぅぅぅ!!!」 「みのりこ!!!!」 先ほどとはケタの違った攻撃には流石の焼き芋みのりこも耐えられなかった。 帽子が燃えたままみのりこは地面に伏して目を回す。目を覚ますまで待っていたら完全に焼き炭になると思って僕は苦々しくみのりこをボールに戻した。 「くぅ……れいむ!行け!!」 「わ、分かったよ!」 れいむのジャンプ力と機動力なら空のもこたんにも余裕に攻撃が出来る。 けれど僕がれいむを出した途端、相手のトレーナーはもこたんをボールに引っ込めたのだ。 「なにぃ!?」 「よし、やはり僕達は強くなっている。次行くぞ!!」 「……むっ」 その相手トレーナーの言葉に僕は少しカチンとくる。 さっきからこのトレーナーはなんか僕達を実験台として見ているような気がしてならないのだ。 もちろん単なる被害妄想である可能性だって否定できない。でもそう考えてもこの嫌な気分だけはどうしても晴れなかった。 だから僕は叫ぶ。れいむと息を合わせ出来るだけかっこいいセリフを。 「いいですよ!あなたがこの僕を軽い気持ちで蹴散らすというのなら!」 「まずはそのふざけた幻想をぶちころす!!」 「……そうか、それなら……本気で行くぜ」 なんか少し口調が変わったような気がするが、僕達は構わず臨戦態勢を取り続ける。 そして相手トレーナーは一度取り出したボールを腰に戻し、別のボールを掴んで投げた!!! __ _____ ______ 所詮、私の手のひらの上で踊っていたにすぎません ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ゆっくりゆっくりしておいきなさい 'r ´ ヽ、ン、 ,'==iゝ、イ人レ/_ル==', i i イi rr=-, r=;ァ ヽイ i | ゆっくりすれば極楽浄土への道がひらかれましょう レリイ"  ̄ / | " .| .|、i .|| !Y! 'ー=‐' 「 !ノ i | L.', 'ー=三=-' L」 ノ| .|l 仏も神も凌駕した存在…それこそがゆっくり | ||ヽ、 ,イ| ||イ| /! レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ ,.┴─、\ \/ヽ / \ ヽ / )/-/ヽ / | ノ┐/ ,.-/ ヽ ./ l ./ / l "|"/'ヽ | | ヽ .| ( / l .| '|, ノ ,,-,,.、-'" ̄` ィ.| ).l´ /| | / / / | /| | ,l、_ ___....,、┐,,,、 / / ノ |.,-─''"ノ | /,. ,.┴、.、'" _,-‐ニ/ι、 / | // / ‐'" ノ | | ' -─ 、,-つつ-''" | | _,................/ =-'" //'''''''"/'' ......-‐-'"''''ヽ ヽ '" `ヽ、 、 ノ / / | ヽ=─'''" \ ''‐- // /ヽ、 /"´ _ _ ,,-、 _.、-=`ヽ/,.-= ヽ \ | `ヽ 、 | ` ヽ 、 /`ヽ 、 / |// ||//´ |/ヽ \|| `ヽ\| | `ヽ 、ヽ| `ヽ、\// ……………………………………… 何かすっごいの出てきたんですけどー全長4メートルくらいあるんですけれどー これが本気ですかー下手なこと言わなきゃよかったー 「最初から全力で行くぞ!!さとれいむ!サイコキネシス!!!」 ,ァ''''冖-,、 ,,, ._、.,,,、 .|` ,゚'r, .,ll“'*r,、 ,,,#ll|e,~ly .,,, / _,,,゚'・x,,,, | 'q.lli、 ./''l゙ ,、 'll〟 ,,,,〃|_.,| ,ト|!゙i, ,,l|゙,,l' .pー“゛.゙゙'l; `.,ト │ ,i、 i、゙ド'┓ .゙l_|,,√.,ト、l, .lニrーッ!┨,| ,l|, 'l .,,lli,,,f゙゙,゙゙'y .゙l..・-,v-rl,,,ill ゚t, | │゙l, ゙l .゙l、 .゙!l,llill゙.,,ド,l″ ,l゙.,".,ト,l゙.l`] llle,,ll,l",, 】 '|, v,,,,,,,,,,."'《、 ゚r|,、ヽ.'l,ト ゙L .リ.゚'lダ!l° ,√.'・"'廴~’ 廴.,li,r゙゙_ill, ゚L.,,,,_ .,ァ.‐.゙レ,、 .゚゙[゚''゙'″__ ______ ____ | ..ll, .,,l”゚゙/゙!ll゙_,ll .'トミllll】-'.,r~}.゙ヘ,,,, ∥,´ _,, '-´ ̄ ̄ ̄`-、._ ` . | ゙lト ,,l″ .゙l ,ぃ,,,,,,,。∪'"./ .゙|'” 'r ´ q_、ハ | .,ll,,,rぐ .,,,ll゙ .゚k--ry .| .,iil,“ /,'== iゝ、イ人レ/_ル==キ ', / .,,rlll゙° ,l _,vー゚` 'l, .'l,,,゙N| i イ irr=-, r=;ァルヽイ | 》,,r・".,√ .,ll 「あまり私を怒らせない方がいい」 . lu--コ ゙k 'l,"゚゙l| レリイi"  ̄ / |  ̄ " iリルノハ √ ″ ..,ll .,,r'',,r| .,, ゙゚ti,゙゙|,人 | !Y!"" 'ー=‐' ""'!Y! | | .,√ .'ur“ .lyl廴 `. ( /| L.」 . 'ー=三=-' L」 | '、 ,,,l ._ .'!l,,l,,,,,_ Y | | ||.ヽ、 ノ|||. | ヽ/i*jlilllタw,,、 .,r-=-r'゙~`` ''ヽ,,,,√ .~゚', ノ ルレ ル`ー----‐イルリノ、. ヽ ,レ'″ .li、 .'《゙N,,,、 .゚'ll゙゙mr----  ̄ ̄ =`゙ニ-r/" ,r'° 'l゙l,、 l `'私 ゙゙゚''l*゙^ ,rl゙゙゙゙≒,,,,,,,,,,,wll' ゙゚'━'#'┷x,_ .゙私, l ,il_,yー'''''''ー_、 | ,l′ ゚リh,,,,|l, l゙ ,lll゙° ゙''llヽ-rf° ,,゙゙%、 ,l、 ,,ll!e,、 ._,,,r ``' i、__,,,,,广 '゙l,,,,、 ._,,,wllll|,llli,,,,,,,,,,, ._,,,llll″ .゚ラiぁwr='“` ` ̄ .゚l,、 ゙゚''*mii,,x'll゙″ ..ll" `゙lllii,l,illllケ″ .,lヽ,,、 ll|゙゙"゙゙'l,,,,,,,,lll,、 ,ll゙" 'l,,,,,,,,,,,,,illwrre,,,_,l°゙l、 ,!″ `゚''=x,, ゙ll,,|ト ゙|,、 `┓ 確 'll" . ll 'l,r` . l ,,l″ .___ ,,i´ ゙'l! .,,l゚ ` `゚X .゙|y .喜.l,,l′ .l] ,lr~ li、 .,r''゚゚゙'lザ ゚゚̄'リ .i、ll √゙,ll,、 ,,il!广,l゙'N,,_ .ll,トi,゙゙|__、 ._l,l,,__,,,l,,,,r ┃ ,r'° .゚|, .,l゙.,,l、゙l ゙',l“.,,ll・,,i、,,n″ .| ゙゙℡, ll ,,,゚ト ̄ ̄] ` ゙̄]゙` l',,it,、 l !!゚,i'l゛..》 .゙'''l,,,,とill″ ,,i´ ゚!illl| `゚゙l l゙ j|" .l゙゜ .゚゙l,, .2 ,}゙|rll ”|゙‐'ll'ニrr″ _,,,,,lll廴.i,],,,,,,,,,,,,,il_,,,,,rll、 |ト ゙゙l,,《゙レ.,li,,, 「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!」 「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!」 こうして僕達のモチベーション&ウォーミングアップのための戦いは、かつてない大敗北という結果に終わったのであった。 「なんだ君まだ駆け出しだったのか……大人気ないことしちゃったかな」 「いや、下手に挑発した僕が悪いんどすえ……」 あの後衝撃的な事態で目の前が真っ白になった僕達はそのまま卒倒してしまったようで、ケシキさんはそんな僕を城門の休憩所まで運んでくれたのだ。 あのよく分からない攻撃で僕の心は完璧に折れました、蹴散らすとかそういうレベルじゃありません。今でも視界が白くぼやけています。 「ホントお世話になりました。ごめんなさい生まれてきて」 「なぜそこまで謙遜を……」 「………ふぅ」 このままではいけないと思い大きく深呼吸して僕は一度気を持ち直す。 これが完全敗北か。それ自体はそれほど心に傷を負ってはいない、けれどこのありさまでジムリーダーと戦うと思うと少し心が重くなった。 「それにしても強いですね……どうすればそんなに強くなれるんですか」 「なぁに、何年も前からこいつ達と付き合ってるからね。いろんな奴と戦ったしジムリーダー達とも渡りあったもんさ」 そう言うとケシキさんは服をめくってその裏側についているリーグバッチを見せてくれた。 色んなデザインのバッチがなんと7個も付いている。あと1個手に入れればリーグへ行くことが出来るじゃないか。 「あとはコウマのバッチだけ、でもあのジムリーダーに負けちまってな。それで修行のために森にこもってたんだ」 「へぇ……」 あれだけの実力なのにコウマのジムリーダーに勝てなかったという事実に僕は驚きを隠しえない。 流石全国最強というキャッチフレーズを堂々と使うだけのことはあるものだ。 「で、君……シュン君って言ったっけ」 「あ、はい。相次 瞬です」 「トキハやカザハナの出身ってのは大変だなぁ、一番最初のジムがコウマだなんて。やっぱコウマを飛ばしてハルマチに行くのか?」 ケシキさんのその質問に僕は少し戸惑う。 確かにそうしたって別にズルしているわけじゃないし、誰も僕を咎めることは絶対にしないことだろう。 でも僕は出したのだ。背中を押されながら色々考え抜いた答えを。 「いや、一度このコウマジムに挑戦してみたいと思います」 「………」 この僕の答えが意外だったかのようにケシキさんはかなり面食らったような表情になった。 「いいのか?あいつはこの俺よりも強いんだぞ」 「そんなことは百の承知です。でもジムの雰囲気というのを一度この身で感じ取りたいんです」 「……そうか」 こんなことを言った僕を愚かだと思っているのか潔いと思ってるのか分からないが、ケシキさんは口をつぐんだまま神妙に頷いた。 「シュン君がいいならそれでいいが……」 と、口を開いてケシキさんは丁度僕の真横を指さす。 その指先には体中に絆創膏を貼りつけて先ほどから僕を睨みつけているとってもかわゆいゆっくりが二人いた。 「クソックソッ!まだれいむ達を痛めつけようというのかッ!」 「もっと力があれば……チカラチカラチカラチカラ……」 「まぁ言いだしっぺはこいつらですから」 「そうか、それなら問題無い」 いいのかよ!!と二人はケシキさんに突っ込みを入れるが、ケシキさんに見られただけで二人はフルフルと怯えていた。 先ほどの攻撃が相当トラウマになったのだろう。僕も少しトラウマ気味だ。 「さて、そろそろ俺もジムに行くか」 「あ、ちょっと待ってください。あのジム今入っちゃいけないらしいです。あと二十分くらい待たないと入れないと思いますよ」 「え?入れないだなんて珍しいな……」 一体何が起こったんだと呟きながらケシキさんは頭を捻らせる。 それほど珍しいことだったのだろうか、駆け出しの僕には分からない。 「……な、シュン君」 「な、なんですか?」 唐突に呼ばれたので僕は慌ててケシキさんの方を向いて畏まる。 何かいいこと思いついたかのような表情でケシキさんは僕にこんな提案をしてくれた。 「どうせどっちもジムに行くんだから一緒に行かないか?」 「へ?あ、そ、そうですね……いいんじゃないでしょうか」 決して悪い提案ではない。出会ってから一時間も立ってない仲だけれど、どうせとかついでとかのレベルにすぎないから特に問題でもないだろう。 それに上級者同士のゆっくりバトルというのをこの目で見てみたいのだ。 強くなりたい、これはそのための一歩だと思え。 「よし、それじゃ行くか」 これから大事な挑戦を受けるというのにケシキさんは気楽な様子でコウマへと向かっていく。 僕はというと緊張で体が固まっていたが勇気で無理やり一歩踏み出し、傷だらけの二人を掴んでケシキさんを追っていった。 次ページへ
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昨今の幻想郷では、ゆっくりが餡子の材料、ペット、ストレス解消など様々な利用方法をされている。 そして大工の場でもゆっくりが使われていた。 家を建てる際に草木を撤去し、凸凹とした土地を平らに均す必要がある。 その時にゆっくりを使うわけだ。 まず平らにしたい土地を柵で囲っい、れみりゃ除けに網をかけてその中にゆっくりを何匹か放り込む。 逃げられないようにするためと、無必要な部分まで整地されないようにするためである。 ちなみに中にいれるのはゆっくり霊夢、それも母ゆっくりだけだ。 まりさ種を入れると何かと理由をつけてさぼったり、それが原因でゆっくり同士喧嘩しだすのでNG。 ありす種を入れると他種のゆっくりが犯されて殺されるのでNG。 ちぇん種は仕事に対して集中できないうえ目を離すと遊びだすのでNG。 みょん種などは話が通じるか分かり辛いのでNG。 そんなわけで割と素直で真面目なれいむ種が使用されるわけである。 今日もまた新たなれいむ家族が箱に詰められて現場へと連れてこられた。 箱の中からはゆっくり家族達の声が聞こえる。 「ゆっくり出してね!」 「おかーしゃん、ゆっくりできないよ!」「くらいよ!」「せまいよ!」「こわいよー!」 「うるさいなぁ。ほら着いたぞ」 大工の一人が箱を開けて中を確認する。 母ゆっくり一匹。子ゆっくり二匹に赤ちゃんゆっくり二匹。 その中から母ゆっくりだけを取り出して柵の中へと置いた。 「ゆ! ひろいよ!」 柵の中は今まで閉じ込められていた箱に比べればずっと広い。 母ゆっくりは清々しい表情をする。 「わたちたちもゆっくりだちてね!」「だしてだして!!」 子供たちの声を聞いて子供たちを思い出したのか、母ゆっくりは大工へ向かって抗議する。 「れいむのこどもたちもゆっくり出してあげてね!!」 「だめだ。お前が仕事を終わるまでこいつらは預かっておく」 「ゆ"!? なんでそんなこというの!? ゆっくりだしてね!!」 「聞けよ。仕事が終わったら放してやるって言ってんだろ」 「おじさん、なにいってるの? なかなの?? はやくこどもをだしてね!!!」 「あー、めんどうな奴らだな」 こんなやり取りを今までに何度もしてきたので大工はうんざりだという顔をする。 「仕事の説明はあそこにいる他のやつらに聞け。仕事が全部終わったら子供に会わせてやる」 同じ柵の中、向こう側で寝ているゆっくりの群れを指で示してそれだけ言うと大工は背を向けて去って行った。 「ゆっくりまってね!! こどもたちをかえしてね!!」 しかし大工は聞かず、そのまま自分の小屋へと帰った。 今晩の食事はちょうど手に入った4つの饅頭だ。 そうして残された母ゆっくりはしばらくの間、すでにいない大工や子供たちに話しかけたり、 柵に向かって体当たりしていたがどれも適わなかった。 その音に目を覚ました他の母ゆっくり達四匹が集まってきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ゆ? ゆっくりしていってね!」 他の母ゆっくり達の挨拶に母ゆっくりも挨拶を返す。 「れいむもこどもたちをもってかれたの?」 「ゆ! そうだよ! ゆっくりしないでたすけなきゃ!!」 母ゆっくりは再び柵に向かって体当たりしようとする。 「ゆっくりもんだいないよ!」 「しごとがんばればかえしてもらえるよ!!」 と、他の母ゆっくり達は言う。 「それが本当かどうかわからないよ!!」 「だいじょうぶだよ! さいしょにいたゆっくりはこどもたちかえしてもらってたよ!!」 「ゅ! しあわせそうにおそとへいってたよ!!」 それは他のゆっくりに、がんばれば子供を返してもらえると示すための大工によるヤラセのようなものだ。 ちなみにその子供を返してもらったゆっくりは他の現場へと連れていかれたが、残るゆっくり達は知る由もない。 ただ、仕事を頑張れば子供と一緒にゆっくり出来ると信じていた。 「じゃあだいじょうぶだね! しごとってなにをするの!?」 他の母ゆっくり達の言葉に安心した母ゆっくりはようやく仕事する気になったようだ。 「ゆっくりせつめいするね!!」 「しごとはここのじめんをぺったんこにするだけだよ!! たべものはここにあるくさだよ!!」 「でもくさをいっぱいたべないでね! これいがいはないからね!!」 「ゆっくりわかったよ! みんなでゆっくりがんばろうね!!」 さすがは母ゆっくり、今の説明で理解できたようだ。 母ゆっくりの群れなので食事の量の管理も問題ないだろう。 それから母ゆっくり5匹のお仕事が始まった。 昼間は小石を柵の隅へと退かしたり、口や大きな体を使って地面を平らにしていく。 また、食事と整地も兼ねて草を食べていく。 疲れたらそれぞれ自由に休んでいた。 暗くなるとゆっくりタイムだ。 といってもこの辺りは明かりになる物もないのでみんなで擦り寄って眠るだけだが。 子供たちのことが心配ではあったが、仕事が終わればまた家族でゆっくり出来る。 それに共にがんばった他のゆっくり達の家族とも一緒に遊ぼう。 最初ここに連れてこられた時は不安でしょうがなかったが、甘い未来を想像するとゆっくり出来た。 それから一週間経ったころ、大工は様子を見にきた。 最初は凸凹で草木もたくさん生えていたこの土地はしっかり整地されていた。 草一本生えず平らになっていた。 「いい感じだな。よくやったなお前たち」 「ゆっくりがんばったよ!!」 「ゆうしゅうでごめんねー」 「ゆー♪ゆー♪」 自分たちのがんばった仕事を褒められてゆっくり達は嬉しそうだ。 仕事の最後の方は食べるものも少なくなって辛かったが、労いの言葉にゆっくり達の言葉は満たされた。 「がんばったのだからご褒美をあげないとな」 「ゆ! おぼえてるよ!! はやくこどもにあわせてね!!」 「あとおなかへったからごはんもってきてね!!」 「こどもたちはゆっくりしてる? ゆっくりあいたいよ!!」 「ごほうびごほうび!! こどもとたべものちょーだいね!!!」 「こどもたちといっぱいたべたいよ!!」 ご褒美と聞くと5匹の母ゆっくり達は口を揃えて望みを言う。 「じゃあ、そこまで連れていくからこの箱に入れ」 大工はそう言うと、持ってきた5つの木箱をゆっくり達のいる地面へ置く。 「はこ? はこはいやだよ!」 「せまいからゆっくりできないよ!!」 「お前たち疲れてるじゃないか。だから箱に入れて運んでやるんだよ」 「じゃあもっと広いはこにしてよね!!」 「まっててあげるからゆっくりよういしてね!!!」 「嫌だよ阿呆饅頭。とにかく箱に入らないなら食事無しで子供にも会わせないからな」 図々しいゆっくり達もさすがに食事と子供を盾にされると贅沢言わなくなり、自分から箱へと収まった。 「ゆっくりはこんでいってね!!!」 リヤカーにゆっくりの入った木箱を5つ積むと、大工はリヤカーを引いていく。 何も見えずにただ揺らされるゆっくり達は不平不満を垂らす。 「ゆっくりできないよ! いつつくの!?」 「おそとがみたいよ!」 「ゆれがはげしいよ! ゆっくりはこんでね!!」 しかし大工にとってそれは雑音にすぎない。 無視してリヤカーを引いていく。 そして数時間後、ゆっくり達入った木箱の蓋が外されて地面へと降ろされる。 「ゆっくりできるよ!」 「ひろいよ! くさがいっぱいあるよ!!」 「ゆ? こどもたちは? どこにいるの!?」 「ゆっくりしないで会わせてね!!」 「今度はここで仕事だ。前と同じだからがんばれよ」 「ゆ”! どういうこと!! やくそくがちがうよ!!」 「ゆっくり達のしごとはもうおわったんだよ!!」 「仕事はあそこだけなんて言ってないだろう?」 「い、いやだよ!! もうしごとしないよ!!」 「そうだよ!! はやくしょくじとこどもをもってきてね!!」 「そしたらしごとすることかんがえてもいいよ!!」 「食事ならそこにいっぱい生えてるじゃないか」 大工の指差した先には確かに草木が茂っていた。前の土地よりも多いかも知れない。 「あまいのがいいよ!」 「おかしもってきてね!」 「あとこどももね!!」 「こどもは仕事が全部終わったらって約束だろ? じゃあ後はがんばれよ」 ゆっくりとの無駄な問答に付き合ってられないと大工は去って行った。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"!! まっでえぇぇぇぇぇ!!!」 「せめて! ひとめだけでもみせてね!!」 「ゆっくりまたないとおしごとしないからね!!!」 最後のゆっくりの言葉に反応して大工は振り返る。 「一か月後に仕事ができなかったら子供は食べるからな? しっかり仕事しとけよ?」 今度こそ大工は去っていった。 後に残されたのは柵に囲まれた広大な土地と5匹のゆっくり達だけだった。 今度の仕事場は大豪邸でも建てるのか前に比べてずっと広い。 5匹のゆっくり達は誰も何も言わず呆然と佇んでいた。 一ヶ月後に見事に仕事をやり遂げた5匹のゆっくり達はご褒美をもらえた。 苦しむことの無いよう鉈で一刀両断。これがご褒美だ。 きっと子供たちに会えるはずだ。仕事を始めた日には死んでいた子供に。 きっとあの世でね。 終 by ゆっくりしたい人 主にゆっくりれいむ家族を虐めたいだけ。虐待というか人質とって強制労働というべきか。 ある種グッドエンドっぽいけどあの世で子供に会えるか決めるのはえーき様。 このSSに感想を付ける
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注意書き 虐待お兄さんが行方不明になります ゆっくりが普通のゆっくりとは違います 以上 日が沈みかけ、薄暗くなってきた山の中にゆっくり達の悲鳴が木霊していた。 「もうやだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!だずげでえええええええええええええええええええええ!!!!」 「おねがいだがらもうやべでくだざいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 叫び声をあげるゆっくり達の中には一人の男が居た。 麓の村に住んでいた男だが、男は己のことを『虐待お兄さん』と名乗っていた。 趣味はゆっくりを虐待し、殺すこと。 だから男は今この上ない幸福を感じていた。 何故なら、ゆっくりを己の手で痛めつけて殺しているからだ。 無様に喚き、悲鳴を上げ、何もできずに死んでいくゆっくりが男は好きだった。 正確には、ゆっくりを殺す事が男は好きだった。 右腕で殴り、左腕で投げ、右足で踏み、左足で蹴る。 己の四肢を振るうだけでゆっくりは死んでいく。そんなにもゆっくりは脆かった。 中にはもちろん抵抗するゆっくりも居たが、人間に敵うわけがなく男に殺されていった。 「おちびちゃんたちはいそいで逃げてね!! まりさが囮になるからね!!」 「まりさごめんね…… 急いで口の中に入ってね!! ゆっくりしないで逃げるよ!!」 「みゃみゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 家族を逃すため囮になろうとしたまりさは掴まれ、逃げようとしたれいむにぶつけられた。 口の中に居た子ゆっくりは潰れ、親のまりさとれいむももう動かなかった。 「人間なんかれいむ達の敵じゃないよ!!!! ゆっくり死んでね!!!!!」 「「「「「「「ゆっくりしんでね!!!!」」」」」」」 仲間と一緒に体当たりを仕掛けてきたゆっくりは、一匹残らず殺された。 ただ潰されたゆっくりは幸せだっただろう。数匹のゆっくりは底面の皮を破くだけで男は済ました。 動けば中身がこぼれて死ぬ。動かなくても徐々に中身がこぼれていって死んでしまう。 迫り来る死という恐怖に泣き叫ぶゆっくりの姿は相変わらず滑稽で、男の顔は笑っていた。 普通の人間であるならば、これだけの悲鳴を聞いていれば発狂するだろう。 しかし、男は『虐待お兄さん』である。今この場で感じているのは愉悦だけだ。 逃げるゆっくりも立ち向かうゆっくりも、どんどん男に殺されていく。 そして、最後に残った一匹のゆっくり。成体のゆっくりれいむが震えていた。 逃げようとしても、立ち向かっても男に殺されるのはもう分かりきっているのだろう。 どんな風に虐待しようか『虐待お兄さん』の男が考えていると、ある事を思いついた。 やわらかいゆっくりの体を持ち上げて、両手でゆっくりの頭頂部を男は掴む。 「な、なにするの!! ゆっくり離してね!!」 喚くゆっくりを無視して男は手に力を込め、真っ二つに引き千切ろうとした。 「おにいざんやべでね!! 痛いからはなじでね!!」 男がゆっくりの願いなど叶えてやるわけがなく、弾力のある皮はどんどん伸びていく。 「やだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! じにだぐないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 そんな風に叫びながら、れいむは千切られた。 男の手にはちょうど半分に分かれたれいむがあり、片方は投げ捨てもう一つは持ち帰る事にした。家へ帰ってから食べるつもりである。 周囲を見渡してもゆっくりはもういないようなので、男は山を降りる事にした。 ゆっくりを追いかけてどんどん奥まできてしまい、帰るのが面倒だと男は思った。 男が去ってから少し経つと、一匹のゆっくりの残骸が震え始めた。 いや、一匹だけではない。見ればどのゆっくりの残骸も震えていた。 やがて一匹のまりさの残骸から腕が生え出して、徐々に元の丸い形に戻り始めた。 何秒も待たずにまりさは元の姿に戻り、辺りを見回してから息を吐いた。 「さて、今日もお疲れ様なんだぜ」 「お疲れ〜」 「一人だけだったね」 「でもこんなことよくやるよ」 「他の人間さんは忙しそうなのにねぇ」 まりさの声に反応して元の姿に戻ったゆっくり達は好き勝手に話を始めたが、男に残骸を撒き散らされてしまったゆっくりはまだ戻れていなかった。 「じゃ、いつもみたく先に元の姿に戻れたやつはまだ戻れてない奴の手助けをしてほしいんだぜ。戻れてない奴はどんどん助けを近くの奴に求めるんだぜ」 手を叩きながらまりさは指示を飛ばす。どのゆっくりも文句の一つも言わず指示通り動き始めた。 「あと数合わせで分裂した奴もちゃんと元に戻すんだぜ」 「しょうだよ!! もどらなかったらみんなこんな風に自我をもっちゃうよ!!」 まりさの言葉に続くように一匹の小さなれいむがまりさの隣でふよふよ浮きながら言った。 「お前さんも手伝ってくるんだぜ」 「みゅ〜… 面倒だよぉ…」 「そんな事は通用しないんだぜ」 「わかってりゅよ!!」 小さなれいむはふよふよと飛んでいく。その姿を見送ってからまりさもふよふよ浮き始める。 元の姿に戻ろうとしている仲間の残骸を集める作業に入るのだ。 残骸を集めるのは実に大変である。 ある程度の距離ならば勝手に残骸と残骸が勝手にくっ付いて元の姿に戻ろうとするのだが、撒き散らされてしまってはくっ付くことはできない。 放っておいても一番多く集まった残骸が中途半端に復元され、時間を置けば徐々に修復される。 しかし、この群れはもうあの『虐待お兄さん』に潰されてしまった群れなのだ。 それなのにこの場に留まっていてしまっては、流石に人間にだって怪しまれてしまう。 ゆっくりはあくまで『愚鈍で馬鹿で意地汚い動く饅頭』でなければならない。この秘密を人間に知られない為にも、今は一刻も早くこの山から離れなければならないのだ。 「困りました……」 まりさが仲間の残骸を集めていると、半分だけのれいむが俯いて浮いていた。 『虐待お兄さん』に最後真っ二つにされ、片方を持っていかれてしまったれいむだ。 「まあ、お前さんは仕方ないんだぜ。どうせ少ししたら元に戻れんだから人間に見られないように移動するしかないんだぜ」 食べられたりすれば適当に復活できるゆっくりではあるが、流石に中途半端に食べられてはそれも無理である。 このれいむは自然に修復されるまで待つしかないのだろう。 だが、れいむの返事は違った。 「いえ、別に元の姿に戻れないの事で困ってるんじゃないんです」 「? どういうことなんだぜ?」 「実は……」 山を順調に下っていた男は一つの違和感に気づいた。 最初は気のせいだと思っていたのだが、どうやら気のせいではないらしい。 右手に持っていたゆっくりれいむの半身がもぞもぞ動き出していたのだ。 不思議に思いながらゆっくりを顔の前まで持ってくると、断面から餡子がこぼれなくなっていた。 断面の方を見てみると餡子がこぼれない理由が分かった。餡子が消えていたのだ。 ゆっくりの中身である筈の餡子は見事に無くなり、断面には何もない空間が広がっていた。。 最初は餡子がこぼれて皮だけになったと思ったのだが、どうやら違うようである。 男が手を突っ込んでみると、男の腕はそのまま入ってしまったからだ。 いくら成体のゆっくりとは半分に切り取ったゆっくりの体はそこまで大きくない。 恐る恐る男は己の顔をゆっくりの断面に入れてみる。すると、男はゆっくりの中に吸い込まれていくのが分かった。 慌てて顔を皮から出そうにも既に手遅れで、男は顔から下も全て吸いこまれてしまった。 後には何も残らず、残ったゆっくりの皮はふよふよ浮いて男が下っていた山道を再び登り始めた。 「つまり、引き千切られた半分の方も復活してしまいどうやらあの男を飲み込んでしまったみたいなんです……」 「はぁ……」 れいむの説明を聞いていたまりさは溜息を吐いた。 今の話はおそらく本当の事で、間違いなく先ほどの『虐待お兄さん』は吸い込まれてしまったのだろう。 「全く、運の悪い人間さんだぜ……」 そう言いながらまりさは頭の裏を掻く。 人がいなくなったと分かれば人間は間違いなく山狩りをするだろう、そう考えてまりさは再び指示を出す。。 「れいむの半身がこっちに来たら出発するんだぜ。その前に各自修復するんだぜ!!」 ゆっくり達は再び作業を再開する。 今優先することは急いでこの場を離れ移動することだ。下手したら人間に見つかってまた潰されるかもしれないからだ。 流石に二日連続で潰されるのは嫌だからか、修復速度もどんどん上がってきている。 まりさも仲間の残骸を集め始めてから、再び溜息を吐いた。 「人間さんがゆっくりって名付けた癖に、ゆっくりがゆっくりできる日は来るのかだぜ……」 ま、ここじゃ無理かとまりさは思った。 終 by大貫さん ↓は後書きと感想フォームへの返事です。読みたくない方はこのまま戻ってください こんな駄文を最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!! 本当は膿と膿以降人間を酷い目にあわす話は書くつもりはありませんでした。 ただ、あるれいむのAAを見て (これ、誰か吸い込まれたら面白そうだなぁ…)って思ったので書いてみました。 感想フォームに感想下さった方、本当にありがとうございます。 (名無しさん) 2008-11-10 15 16 03 後書きに対してのご忠告、本当にありがとうございます。 自分が作者様をおちょくるつもりはありませんでした。ただ、一言断っておいた方がいいかも…… と思っただけなのです。 本当にすいませんでした。 (名無しさん) 2008-11-19 13 43 03 読んで下さりありがとうございます。 タイトルを見れば分かるように、ゆっくりの中の膿と人間の中の膿を比較するために書いた作品です。 ですが、この作中に出てきた虐待お兄さんも他の人が書かれれば立派殺される事もなかったと思います。 (名無しさん) 2008-12-05 17 30 26 確かに原作の靈夢と魔理沙ならばふぅ〜んとかへぇ〜で済ましそうですね…… 反省です。 本当は最初は霖之助の視点で書くつもりだったんですが、霖之助というキャラは本当に扱い難いキャラだったので諦めさせてもらいました。申し訳ありません。 あと、最後に色々書いてくださいと言ってくださり本当にありがとうございます。 虐待スレという場で、ぬるいじめでも良いと言ってくださり本当に嬉しかったです。ありがとうございます。 最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。お目汚し失礼!! 書いた作品一覧 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち ゆっくりいじめ系611 どこで何が狂い出したのか… ゆっくりいじめ系628 鳩と餌と糞 ゆっくりいじめ系793 誰かがやらねばいけないこと ゆっくりいじめ系823 保護場 ゆっくりいじめ系843 ゆっくり飼ってます2 ゆっくりいじめ系900 膿と膿 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 森近霖之助×ゆっくり系1 代価 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス ゆっくりいじめ小ネタ146 生まれ変わり ゆっくりいじめ小ネタ251 飼われているゆっくり 野良のゆっくり
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現在売り出し中のゆっくりコロリというものを買ってみた。 ゆっくりの被害に困っている農家の人たちが主に使用するそうだ。 別にゆっくり種から被害を受けているわけではないが、試しに買ってみたのだ。 ちなみにゆっくりコロリは、一口サイズの丸い饅頭のようなものである。一セットで20個入り。 ゆっくり種が食うと、中の餡子に毒が回って死んでしまうそうだ。 とりあえず山の中に入るのは面倒だったので、村の中でゆっくりを見なかった聞き回ってみると、それほど時間もかからずに発見した。 「ゆ~、おやさいおいしかったよ!」 「でも、まだたりないね! もっとたべたいよ!」 「ゆっきゅりたべちゃいよ!」 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の親子連れだ。 これだ、と思い、親子連れの前方にゆっくりコロリを撒いておく。 少し待っていると、親子連れがそれを発見した。 「ゆっ? なにこれ?」 「たべものかな?」 親ゆっくりは食べ物かどうかも分からず、邪魔だなと言わんばかりに迂回しようとする。 失敗かな、と俺は内心で落胆していると、好奇心旺盛な子ゆっくりが気になったらしく、口の中に入れた。 「ゆっくりー! おいちいよ! これ、おいちいよ!」 一匹が食べて、食べ物だと分かると他のゆっくりもマネして食べ始めた。 「おいしいよ! ゆっくりたべたいね!」「ハフッハフッ! めっちゃうめぇ!」 全員が一つずつ食べ終えると、一匹が提案した。 「これはふゆのたべものにしようね!」「そうだね! おいしいものはとっておこうね!」 ゆっくりたちは毒とも知らず、ゆっくりコロリを持って行く。一匹が一つずつ。 ゆっくりの家は近くにあるらしく、持って行ったゆっくりたちはすぐに戻ってきた。 饅頭が饅頭を持っていく絵は見ていて面白い。 一匹が一匹ずつ、丁寧にせっせと毒の饅頭を運ぶ。 親子で、せっせと、せっせと、せっせと、せっせと。 それを見ている俺の意識にも少し変化があった。 ゆっくりって思っていたよりも働き者なのかもしれない。俺も頑張らなきゃと思う。 どこか爽やかな気分になっている自分にちょっと驚いた。 次の日、ゆっくりがいた場所付近に行ってみると、親子連れのゆっくりの姿がない。 ほんとにいない。家の具体的な場所が分からないため、昨日の辺りにもいない。探してもいない。 俺は落ち着かなくなった。急いで探す。頑張って探す。 そうしていると、夕暮れ時になってようやく親子連れゆっくりの家を見つけた。 思ったよりも近くにあって、俺は見当違いな場所を探していたようだ。 家の中を覗くと、そこにはゆっくりコロリの効果が発揮されたらしく、大量の餡子を吐き出して一家は死んでいた。 苦しかったのだろう。とても絶叫したままの表情が皮に張り付いているようだった。 ああ、良かった。 俺は心底すっきりした。これで明日も頑張れる。 だってそうだろう。タンスの裏に落ちたゴキブリが、死んでいるのどうかを確認できないのは誰だって嫌じゃないか?
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あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける
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「ついに、ついに完成したぞ!」 薄暗い部屋の中、にとりが声を上げる。 「河童の技術力に夢美とちゆりの科学力。 永琳の薬学に理香子の魔力。 更には里香の設計も加わったこの逸品!!!」 カッ、とスポットライトがテーブルに当てられる。 「その名も、メガゆっくり!!!」 そこには何の変哲も無いゆっくりまりさの姿があった。 「…で、これのどこがめがとかぎがとか大層な名前のゆっくりなのよ」 その光景を見てあきれ返るのはここを嗅ぎつけてきた博麗の巫女。 「それはもう大変だったのよ、いくつもの異なったものを統合するなんて本来無理だもの」 「動力の確保だって問題だったし」 「そこは素敵な力が色々な奇跡を起こすほどに素敵にまとまったのよ」 「どんな方向からでも解明できないゆっくりの餡子がもたらした結果なのかもしれないぜ」 「外側の感触はゆっくりのままに、内部は頑丈さと機能満載で作成したのです」 「更には博麗大結界をネットワークにした位置特定機能も防水機能も完備してるんだよ」 「…危ない連中が集まったからどんな異変かと思ったら単なる暴走だったのね、やってられないわ」 さっさとその場を後にした赤白を尻目に、6人の識者(?)達は早速テストプレイを始めるのだった・・・ ここは人里から少し離れた平地。 辺りには草木はあまり生えていないのだが、これは夢美が事前にる~ことに草むしりをさせていたためである。 土壌は豊かであり、何かを育てるにはもってこいの場所だ。 ここに花を愛するゆっくり達を集め、その中にメガゆっくりも加える。 こうしてしまうと位置を特定しない限りはただのゆっくりにしかみえない。 「さて、皆に集まってもらったのは、ここでみんなにお花を育てて欲しいのよ」 集めたゆっくり達に説明を始める6人。 かくしてゆっくりゆうかを筆頭に花を愛でるゆっくり達とめがゆっくりの花畑作りが始まった。 ゆっくりめーりん、ゆっくりちるの、ゆっくりれいむ・・・ 群となるには少ないが家族となるには多いその数で、種を蒔き、水をやり、雑草を取り除く。 時々近くに通りがかるゆっくりは何をしているか聞くが、説明すると 「ゆゆ?おはなさんはかってにはえてくるんだよ?そんなこともしらないの?ばかなの?」 とゲラゲラ笑ってろくに取り合わない。 それでも花を愛でるゆっくり達は一生懸命水をやったり悪い虫を食べたり雑草を抜いたりして花を育てた。 集団に仲間意識がしっかりと根付いたころ、ついに花が咲きそうことに喜んだ矢先の事だった。 次の朝、花を愛でるゆっくり達の花壇は荒らされていた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 とてもいい笑顔を浮かべて花を食べるのは前まで花を愛でるゆっくり達をゲラゲラ笑っていたゆっくり達である。 「おはなさんがこんなにたくさんはえててよかったね!」 「とってもおいしかったね!またつぎのときにはいっぱいはえてるね!」 折角一生懸命育てて、あと少しでゆっくりした花を咲かせられると信じていたゆっくり達は愕然とした。 しっかり説明したのに取り合わず、いざあと少しという所で全ての頑張りをかっさらっていったゆっくり達。 去っていったそのものたちに怒りを覚えたのは言うまでも無いだろう。 「あらら、これは酷いわね・・・」 そこに現れたのは皆をここに連れてきた6人―幻想郷の識者(?)達であった。 「後一歩だったのに・・・残念だったわね」 「素敵なお花が見られなくて残念だわ」 花を愛でるゆっくり達は自分達の悲しみを分かってくれるこの6人に涙した。 「また、次は荒らされないように育てればいいのよ」 理香子がそう言い、その場のゆっくり達はそうだね、とお互いに頷きあった。 ・・・メガゆっくりであるまりさを除いて。 「まりさはみんなのがんばりをむだにするゆっくりがゆるせないよ、おはなをたべるゆっくりをこらしめたいよ」 勿論それはこの場に残っている誰もが思っていること。 しかし花壇や畑などを襲うゆっくりは数が多く、今回ここで花を蹂躙した数のゆっくりでさえこの場にいるゆっくりでは太刀打ちできないだろう。 それでもメガゆっくりまりさは諦め切れない。 その中には既に優しい心と戦う勇気が灯っていたのである。 「・・・そうだね、まりさ。悪いゆっくりを懲らしめたい?貴方なら悪いゆっくりをきっと懲らしめる事が出来るよ」 「ほんと!?」 にとりが優しく声を掛けるとメガまりさは目を輝かせる。 既にやる気満々のようだ。 「みんな、これからまりさは悪いゆっくりを懲らしめるために頑張る事を決めたわ。あなたたちはまりさが戻ってきた時に立派な花が咲いているようにここを守りなさい」 永琳の呼びかけにそれぞれがしっかりと頷いた。 「私達も時々ここに来てお手伝いしてもいいですか?」 「もちろんだよ!おねーさんたちもいっしょにはなをさかせようね!」 里香の申し出に元気を出して答えるゆうか。 「まりさ、かえってきたときにゆっくりしたおはながさいているようにしてるからね」 「うん、まりさはぜったいかえってくるよ。だかられいむ、まっていてね」 一方ではメガゆっくりまりさの旅立ちに別れを惜しむれいむ。 こうして、メガゆっくりは悪いゆっくりを倒すために立ち上がったのだ。 翌日、メガゆっくりの封印していた各種機能を開放させた後に簡単なレクチャーを行う。 「いいか?これからまりさはスーパーファイティンブゆっくり、その名もメガゆっくりとして悪いゆっくりと戦うんだぜ」 「まりさはすーぱーふぁいてぃんぐゆっくりのめがゆっくりなまりさなんだぜ!」 名前は・・・多分夢美が決めたのだろう、棒読み調でちゆりが名前を教える。 「私たちは貴方をここから手助けするわ」 「でもまりさはここからとおくにはなれるぜ、てだすけできるの?」 「貴方が何処にいるか分かるようにしたのです!」 「ゆっ、それならだいじょうぶだぜ!ゆっくりりかいしたぜ!」 記憶管理機能には問題はないようである。 次は武装チェック。 「後、貴方にいくつか力をあげたわ。まずはあの的に向かって口を空けなさい」 「ゆっくりあけるぜ!」 「次は息を思いっきり吐くようなイメージをしてみて」 「ゆっ!」 バスンッ メガゆっくりが見ていた的に穴が開く。 「これが貴方の力、メガバスターよ」 よく弾幕に使われる動きの早い米弾をメガまりさの意識通りに撃ち出せる機構。 メガゆっくりを作る際、2番目に苦労したものである。 「これで悪いゆっくりを懲らしめられるぜ!」 強い力を得た(元々着けていた機能であるが本人はそう思っている)メガゆっくりは熱い心を胸に抱き出撃していった。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!!!」 早速一匹の野良れいむを見つけたメガまりさ。 「れいむにきくけど、れいむはおはなさんはすき?」 「もちろんすきだよ!!」 「おはなさんはゆっくりできるよね」 「ゆっ、おはなさんはとってもゆっくりできるよ!」 「とてもきれいで、みているとゆっくりできるよね!」 「ゆ、なにいってるの?おはなさんはたべものだよ?ばかなの?」 ―なんだ、おはながすきって、たべるほうがすきなんだ。 「れいむはわるいゆっくりだったんだね」 「ゆゆ?れいむはいいゆ―ゆぶっ!?」 メガバスターがれいむを直撃する。 そこには餡子の花が咲いた。 一瞬罪悪感のようなものが沸いたが― 「みんなをまもるためだぜ」 そう呟いて森の奥に進むのだった。 メガゆっくりが入った森のとある群は大騒ぎになった。 花を食べたゆっくりが爆発し、また花は食べ物だと答えたゆっくりもまた同じようになっていたからである。 「とてもつよいまりさがおそってくるよ!!!」 それが分かっただけで群は天地がひっくり返ったような状況に陥り、この群のリーダーである大れいむですら収集がつかなくなってしまった。 そして遂にその強いまりさ―メガゆっくりが、その姿を確認できるまでに迫っていたのである。 「ゆゆゆ、みんなでそのゆっくりにとつげきすればきっとつぶれるよ!!!」 「わ、わかったよ!!!」 「ゆけ、わがけんぞくたちー!!!」 真っ白になった頭でやっとこさ口に出せた命令を受け、群の面々が一塊のように突撃していった。 普通のゆっくりであれば押しつぶされて終わりである。 しかしメガゆっくりは連続してメガバスターを放ち、その塊の前方を怯ませる。 「ゆゆ、とつげきす―ゆぎゅ!?」 「ゆっくりおさないd―ゆぎゃん!?」 あれよあれよと押しつぶされ自滅する塊。 残ったゆっくりも打ち抜かれ、遂には大れいむのみが残った。 「よぐもみんなをごろじだなぁぁぁぁぁ!!!」 「・・・みんなはゆっくりできなかったんだぜ、だからしんだんだぜ」 「ぞんなごどないぃぃぃぃぃ!!!むでのびんなはゆっぐりじでだぁぁぁぁぁ!!!」 「はなをめでるこころもないくせにゆっくりできるとはおろかだぜ」 「おはなさんなんがどおでもいいぃぃぃぃぃ!!!おばえをごろずぅぅぅぅぅ!!!」 真っ直ぐ突進してくる大れいむ。 メガゆっくりはメガバスターを打ち出して当てるが、それでも大れいむの前進は止まらない。 「ずがまえだぁぁぁぁぁ!!!」 「ゆ!?ぐ!?」 がっちりとメガゆっくりを口に加えた大れいむ。 そのまま後ろに2回、ジャンプしてメガゆっくりを地面に叩きつける。 そして大きく跳躍すると― 「ぢねぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆがぁ!?」 そのまま地面に叩きつけられ、メガまりさは8方向に光の弾を散らしながら砕けた。 「みんな、ゆっくりできないまりさはたおしたよ・・・てんごくでゆっくりまっててね・・・」 傷だらけになりながらも勝利を噛み締めた大れいむ。 「いまのがれいむのわざだったんだね」 おかしい。 大れいむは自分が聞いた声を疑った。 なぜならそれは、さっきまで戦っていた、しかも自分が殺したはずのメガゆっくりの声だったからだ。 そして振り向いた時、今度は自分の目を疑った。 砕け散ったはずのメガゆっくりの姿があったのだからだ。 「まりさのざんきは108まであるぜ!!!」 そう言うや否や、メガゆっくりは大れいむの一部を食いちぎり、飲み込と。 「げっとだぜ!」 帽子の色が赤になる。 ラーニング、他のゆっくりの特技を自分のものにする力。 これは実現させるのに一番手間が掛かった機能である。 「でいぶのおべべがぁぁぁぁぁぁ!!!!」 さっきまで勝ったと思っていた、いや、間違いなく勝っていたのに。 ありえない。ありえない。 れいむの脳内がぐにゃぁ~となる中、メガゆっくりは口に大れいむを加える。 「おかえしだぜ!」 先ほど大れいむが自身に行ったように、二回叩きつけられ、大きく空中を舞う。 「ひぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」 恐怖に顔を引き攣らせる大れいむ。 そして。 「はいぱーぼっ!!!」 「ん゛ん゛ん゛ー!!!」 断末魔の声を上げ、大れいむは完全にその命を絶たれた。 これで分かった事がある。 「ゆっくりできない群とリーダーをたおさないと、みんなのために」 メガゆっくりの目はこれだけの返り餡を浴びてもなお、強く光り輝いていた。 戦いはまだ、始まったばかりだ。 かんぱーい!!! その頃、あの識者(?)6人は祝杯を挙げていた。 「バスターにラーニング、残機システムもちゃんと稼動したわね」 「一回ティウった時はどうなるかと思ったぜ」 システム班の夢美とちゆりは未成年のためジュースで乾杯しつつ。 「ゆっくりできる仲間と花を守る、という目標もしっかり覚えさせる事が出来たし」 「全部の性能がちゃんと発揮されていてよかったです!」 魔力班の理香子と設計班の里香は先に料理に手を付けながら。 「後は博士ポジションらしく素敵に指示を出せばいいんだね」 「私としては薬による色彩変化が不安だったけれどね、ちゃんと変わってよかったわ」 組立班のにとりと薬学班の永琳はお酒を片手に微笑みながら。 今回の成功を喜んでいた。 そう、これは数々の突飛した力を持つ暇な面々が起こした壮大なごっこあそびである。 最近ちょっとだけ幻想郷に入ったソフトをリアルに真似してみた、"MEGAMAN"ごっこというなの。 「しかし、メガゆっくりはどうやって復活したんだ?」 「内部が生きていれば周囲の餡子と皮を再利用して元の姿にもどるです」 「エコね」 「お花畑はどうする?」 「ちゃんとやることはやってあげましょ、花を愛でるゆっくりは貴重ですし」 「ま、何にせよこの素敵な出会いと実験の成功を祝いましょ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 所謂”岩男”のパロです。 まぁ、幻想郷の面々ならこれ位できるのではないかな、と。 当方の面々はどちらかというと悪巧みが好きそうで機械とかに秀でてそうな方々を選びました。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 このSSに感想を付ける
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人里から遠く離れた小さな山に、多くのゆっくりが暮らす森がある。 日当たりの良い広場があり、きれいな川が流れ、木の実を付ける広葉樹で構成されており、 小鳥は囀り、げっ歯類以上の大きさの哺乳類はおらず、妖怪も人間も足を踏み入れないというそこは、ゆっくり達の理想郷であった。 そんな美しい森に、とても生存本能の強いゆっくりぱちゅりーが居た。 他のゆっくりぱちゅりーは自らの運命…先天的に病弱で、長生きする事は叶わない自らの体質を受け入れている。 だが流石にこのゆっちゅりーは格が違った。自らの運命を自らの手で(ゆっくりなので手は無いが)変えようと強く思っていた。 ある日ゆちゅりーが短時間の散歩を楽しんでいると、木の洞に詰まって身動きが取れなくなっているゆっくりまりさがいた。 ふと、ゆちゅりーの拙い思考回路があるアイデアを生み出した。 まりさ種はゆっくり達の中でも殊に活動的だ。その点では、ゆちゅりーの理想と言ってもいい。 そのゆまりさの健康で活動的な肉体を得れば、自分もああなれるのではないか。 無論、肉体を手に入れると言っても脳を移植する訳ではない。元よりゆっくりにそのような知識は無い。 あるのは本能だけ。故に、他者の肉体を得る方法はただ一つ。―――食べる事だけだ。 ゆちゅりーは虚ろな表情で、ゆっくりとゆまりさににじり寄る。 「ゆっ!たすけてくれるの!!?ゆっくりひっぱってね!!!」 「…………」 ゆちゅりーは答えない。というか、聞こえていない。今のゆちゅりーにあるのは強烈なまでの食欲だけだ。 「ど、どうしたの!!?さっさとたすけてね!!!」 「…………」 偶然にも周囲にゆっくりの姿は無い。まるでゆっくりの神があるいは悪魔がセッティングしたかのような状況である。 もうゆまりさの体温すら感じられる程に肉薄している。耳障りな雑音も聞こえない。 ぶよぶよと震える皮は美味そうとしか考えられない。 普段は友愛を喚起させられる体臭も今では食欲をそそる香りだ。 肌身離さずかぶっている帽子や、美しい金色の髪に至るまでが御馳走に見える。 そして、 「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!や゛め゛で!!!や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 思い切り良く頬に食らいついた。その瞬間、口の中をかつて無いほどの至福が駆け抜けた。 ―――すごい。こんなにまりさがおいしいなんて。ゆめみたい。 全身が四散しそうな程衝撃的な味は、ゆちゅりーを虜にした。 一心不乱にゆまりさを喰らう。否、このゆちゅりーはゆまりさをただ食っているのではない。愛しているのだ。 今のゆちゅりーの最大限の愛情表現こそがこの共食いという最も恐るべき行為だった。 「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!どうじで!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 一口齧る毎に、一声絶叫される毎に、ゆちゅりーは心身共に活力に満ちて行くのを実感していた。 このような感覚は生まれて初めてだった。母の蔓に生まれ、目を覚ました時ですらここまでの爽快感は無かった。 「ぐがが……お゛ぼぉ゛……ゆ゛……ゆ゛ぐぐ……ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!!!」 それがこのゆまりさの最期の叫びだった。後はただゆまりさの残骸を余さず食う音だけが響いていた。 「むきゅぅーん……」 ゆちゅりーは涙した。一時の激欲に身を任せて友を食べてしまった自責の念で。 もう二度と自分の知らない場所にまで連れて行ってくれた相手と会えない悲しみで。 そして、身も心もかつてない程のゆっくりに満ち溢れている喜びで。 もっと。もっとこのエネルギーが欲しい。友を喪うのは悲しいけれど、それを遥かに上回る喜びが得られるのなら。 「だから……!(福山潤の声で)」 翌日の朝、ゆちゅりーは森の中を全速力で駆け回っていた。恐らくゆっくりまりさと同等の速度だろう。 ゆちゅりーは感動している。速く走れるとはこんなに素晴らしいことなのか。それもこれもまりさと一つになったお陰だ。 もっとだ。もっと食べれば、もっと生きていられる。もっとゆっくりできる。そう、食えば食う程―――強くなる。 ……新たな餌を、発見した。 数年後、そこにはかつての貧弱さなど微塵も感じさせない力強いゆっちゅりーが居た。 体躯は通常のゆっくりより一回りも二回りも大きく、その眼力に他のゆっくりはただ畏れるしかなかった。 今やゆっくりれみりゃさえもゆっちゅりーには近付かない。 ぱちゅりー種でありながら餌を横取りされたゆっくりれみりゃの群れ十匹を返り討ちにするような怪物に逆らう程、ゆっくりも馬鹿ではないのだ。 そう。今やこのゆっちゅりーはこの森に住まうゆっくり達の王なのである。 好きな時に好きなゆっくりと共にゆっくりし、好きな時に好きなゆっくりを食べる。それが王の在り方だった。 だが、王はこの生活にも飽きてきた。以前とは比較にならない位強大な生命力を得た王にとって、通常のゆっくりでは物足りないのだ。 もっと。もっと大きくて栄養のある餌が欲しい。際限無い欲望を持つという点では、人間の王とゆっくりの王は大差無かった。 決意するのに、そう時間はかからなかった。王はこの楽園を捨て、新天地へ向かう事を決意した。 大丈夫。今の自分は強い。ゆっくりれみりゃやゆっくりフランでさえ自分を恐れて近付かない程に。 どんな敵が現れようと打ち倒し、食べるだけだ。 そうして王は向かった。幻想郷の中心部にある人間の里へ。 森を出て三時間、里の外れの外れにある小さな集落を発見した。 地面にしゃがみ込み何かをしている人間が居る。第一村人発見である。王はこいつが記念すべき最初の人間だと決定した。 射程距離まで音を立てず慎重に移動する。まだだ。あと十ym(ゆっくりメートル)。あと八ym、六ym、よし今だ―――! その瞬間、人間がこちらに気付いた。だが構うものか。後は飛び掛り、組み伏せ、食い尽くすだけなのだから。だが…… 王は知らなかった。ゆっくりと人間など、同じような物だと慢心しきっていた。 世界で最も強かったのはゆっくりフランで、自分はそれ以上の生物なのだと勘違いしきっていたのだ。 そう、つまり―――ゆっくり内での序列がどうあれ、ゆっくりである限り人間の食料に過ぎない事をまるでワカっていなかった。 「ごらー!おらの畑で何しとるだァー!!」 食い物である筈の人間はそう叫ぶと、手に持った棒切れを振りかざし、王の頭に振り下ろした。 ぐしゃり。 決定的な音を、王は確かに聞いた。懐かしい感覚。自分の意識から立ち昇る死の匂い。 嫌だ。せっかく生きられるようになったんだ。こんな絶望から逃げる為に同胞まで食ったんだ。 助けて、助けて、助けてまりさ。れいむ。ありす。にとり。うどんげ。にいと。あやや。てんこ。ちぇん。さくぽ。れみりゃ。フラン。 助けろ!私は、私はお前らの王なんだぞ……!! と、ありえない光景を見た。森に居た多くの仲間達が自分を見ている。ああ、やっぱり助けに来てくれた……皆! 「たすけろ、だってさ」 「おお、いやだいやだ」 大勢の仲間が、嫌な笑顔でこちらを見ていた。 どうしてこんな顔を向けられるんだろう。 どうしてこんな事になってしまったんだろう。 わたしはただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おーい母ちゃん。こんなもんが畑を荒らしとったぞー」 「あんらーお前さんそりゃ『ゆっくり』だよぉ。それを里に持っていくと高く売れるんだわー」 「へぇそうかい。そいじゃちょっくら売ってくらぁ。おぅ、種蒔きは代わりにやっといてくれよ」 「そんな事言ってまた遊んでくるんじゃないんだろうね!いやだよこの間みたいに土産とか言ってエロ同人誌五十冊も買って来るのは」 「へっへっへ、もうあんな事はしねえよぉ。んじゃ行って来る」 「全く。気を付けて行って来てなあ!最近は妖怪が出るとか言うけんねー!」 「おおう!妖怪なんざ俺のコブラツイストでボッコボコにしちゃるけん!」 「調子いい事言うんだから。妖怪になんて勝てる訳……おや、何だいこりゃあ」 彼女の足元には文字が刻まれていた。そこはかつての王が息絶えた場所だ。そこにはこう書かれていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 DEAD END
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蟻地獄とゆっくり ズシャッ。 その柔らかい砂の感触は、なぜか、ぜんぜんゆっくりしていなかった。 「ゆ、ゆぅ?」 れいむは餡子を引き締めて、さらさらとした砂に身をまかせたい欲求を我慢する。 「ゆっくr……ちがうよ!これはゆっくりしちゃいけないすなさんだよ! れいむはかたいじめんさんのほうがゆっくりできるよ!」 このれいむの餡子は、幾百回もの世代交代を経て練りこまれた一級品だった。 欲求よりも、その餡子が「危険」と打ち鳴らす警鐘にれいむは従う。 「ゆっくりもどるよ!ゆー……しょ!」 土の上に戻るために跳躍しようと考える。 体を地面に押し付け…… ミシッ。 「ゆー!?」 伸び上がるために体を砂に押し付けると、そのたびに体は余計に砂へと沈んでいく。 「ゆゆ!やめてね!れいむはすなさんとはゆっくりしないよ!」 れいむは懸命に伸び上がろうとし、そのぶんだけ砂の中へと沈んでいく。 「どーじてやめてくれないのおおおお!?やだっていっでるでじょおおおお!!??」 死の恐怖がれいむを捕らえる。 「やだ……やだよ……」 れいむはつがいのまりさの事を考える。いつか育まれるであろう、二人の間のおちびちゃんの事を考える。 今までゆっくりしてきた沢山の仲間のことを考える。 「やだよぉぉぉぉぉぉ!!!れいむしにたくないよ! 、もっともっとみんなとゆっぐりしたいよぉぉぉぉぉ!!!!」 「すなさん……ゆっぐりとまっでね……かわいいでいぶをじめんさんにもどじてね……」 暴れるだけ余計に沈むと悟ったれいむは、少しずつ自分を土の底へと運ぶ砂に身を任せるほかはなかった。 砂はただ無情に、れいむを生の終端へと追いやっていく。 「ゆゆ!れいむ!れいむーーー!!」 「ゆへへ……とうとうまりさのこえがきこえてきたよ……これはきっとげんちょうだね…… さいごにまりさのこえをきかせてくれてかみさまありがとうね……ゆっくりしていってね……」 「れいむってばぁ!!」 はっ、と我にかえる。 その声は聞き間違えようもない、そして幻聴でもないほんものの愛しいまりさの声だ。 狩りから帰って来ないれいむを心配して出てきたのだろう。れいむはまりさのために警告の叫びを上げた。 「まりさ!!きちゃだめだよ!ゆっくりできなくなるよ!!」 「でいむぅぅぅぅぅぅ!?」 まりさは泣きながら、蟻地獄の底へと向かうれいむを見送ることしか出来ない。 「まりさ……れいむはまりさとであえてしあわせだったよ…… れいむがしんだら、まりさはべつのゆっくりしたゆっくりとゆっくりしていってね…」 「でぎないよぉ!!ぜっだいぜっだい、ぞんなごとでぎないよぉ!!」 砂が目に入り、れいむは目を閉じた。 「ゆ……」 暗闇の中に、からからと回る走馬灯が浮かびあがり、それは餡子に残った記憶を呼び覚ます。 おかあさんれいむの茎で目覚めた日のこと。 はじめてむしさんを捕まえた日のこと。 まりさと出会った日のこと。 まりさと、さまざまな場所でゆっくりしたこと―― 「!」 走馬灯の中に、一つの可能性があった。れいむはおぼろげな記憶を懸命にたどり、 その可能性を拾い上げる。 「ゆ!!れみりゃだ!れみりゃだよ!まりさ!あのれみりゃをつれてきてよ!」 以前、にんげんさんの罠にかかったれみりゃを助けてやったことがあった。 「うー!うー!だずげでぇぇぇぇ!!!ざぐやぁぁぁぁ!!!!!」 「れみりゃだよ!いまならにげられるから、そろーりそろーりにげようね!」 「……」 「れいむ?どうしたの?」 賢いれいむはもちろんれみりゃの脅威を熟知していた。 「いだいどぉぉぉぉぉーーーー!!おぜうざまのあんよがぁぁぁぁーーー!!!」 「れいむ?」 しかし、それでもれいむはれみりゃの前に飛び出した。 足を鉄の顎に噛み込まれたその姿がにあまりに可哀相で、助けずにはいられなかったのだ。 「でいぶぅぅぅぅぅ!!!まりざぁぁぁぁぁぁ!! とっでもとっでもかんしゃするどぉぉぉぉぉぉ!!!! このごおんはぜったいわすれないどーーー!!!」 そのれみりゃはそう言うと、友情のしるしにかり☆すま☆だんすを披露して、 「れみぃはあかちゃんやさくやとくらさなきゃならないからいっしょにはいられないどぅ… だけど、こまったときにはいつでもよんでほしーどぅ! れいむとまりさをこまらせるやつはれみぃがぽーい☆しちゃうどー♪」 そう請け合ってくれた。 「れいむはとってもばかだよ!でも……かっこよかったよ、れいむ……」 「ゆ、ゆゆぅー……」 れみりゃほども力があれば、蟻地獄からゆっくり一匹引っ張り上げるのはたやすいことだ。 しかも、その棲家も知っている。とても運のいいことにここからそう遠くはない。 まりさが必死で跳ねてくれれば、必ず間に合うはずだ。 「あのれみりゃなられいむをひっぱりあげてくれるよ!ゆっくりよんできてね!!」 「でいぶぅぅぅぅ!!!だずげてあげられなぐてごべ……いまなんでいっだの? あのれみりゃってどのれみりゃのこと?れみりゃはゆっくりできないよ?」 「なにいっでるのまりざ!?あのれみりゃはあのれみりゃだよ!はやぐじでよぉぉぉぉ!!!」 「ゆ……れいむ……」 「おでがい!!おでがい!!おでがいだがらおもいだじでよぉぉぉ!!!!! れみりゃよんでぎでぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 危機に瀕したれいむだからこそやっと思い出せたものを、そうでないまりさが思い出せるはずがない。 「れ、れいむ……?」 れいむの言葉を理解できないまりさは、れいむが苦しさのあまり狂ってしまったと思った。 「ごべんねぇぇぇぇぇぇ!!!だずげられないばりざをゆるじでねぇぇぇぇぇ!!!」 砂は少しずつ、少しずつ……泣き叫ぶれいむを蝕みながら流れる。 「おでがいだよぉぉぉぉ!!でいぶまっでるがら!!まっでるがられびりゃよんでぎでぇぇぇぇ!!!!」 れいむは力の限り叫び続けた。 「まりざ!!はやぐじでよ!!まにあわなぐなっぢゃうよ!!」 「まりざ!!おでがい!!ゆびぃ!もうれみりゃじゃなぐてもなんでもいいから、ゆぷっ!でいぶを……」 「まりざ!ぐるじいよ……まりざ……どごにいるの……」 「まりざ……?」 このSSに感想を付ける
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『向こう側』 17KB 制裁 差別・格差 改造 お家宣言 ゲス 現代 シンプルに 制裁 改造 不運なゆっくりが酷い目にあいます。 地の文のほとんどはゆっくりの思考です…が人間さんが読みやすいように漢字です。 地の文がゆっくりの思考のはずなのに、どこかゆっくりらしくないです。 【向こう側】 「ちゃんすだぜ!!ゆっくりてったいするのぜ!!ありすのぶんまでゆっくりいきていくんだぜ! まりさはつらいかこをせおったゆうしゃっなんだぜ!」 新しいゆっくりプレイスから飛び出し必死に跳ねる。 生きのこるために、家族の犠牲を無駄にしないために。 兎にも角にも跳ねた。頭がフラフラと揺れる。ジジイと死闘を繰り広げ疲れているからに違いない。 一旦休んで体調を整えなければ。 「せいっとうなおうちせんげんをりかいできないなんて、くそにんげんはばかだぜ! ほんっとうにゆっくりできないくずどもなんだぜ! いっぴきのこらずほろぶといいんだぜ!すぐでいいんだぜ!」 住みやすそうなところを見つけお家宣言し、番のありすと都会派なコーディネートをしてたところで人間に侵入され一家惨殺されたのだ。 ゆっくりできない糞人間は餡子さんの容量が足りないらしく、お家宣言を理解できないのだろう。 数メートル進んだところで足をとめてチラリと振り向く。 おちびたちの遺体の中、ジジイが立っている。追ってくる様子は無い。 あれだけ体当たりを重ねたのだ。どう考えても重傷だろう。 その証拠に、ただただこちらを見つめるのみ。 ニヤニヤしたやせ我慢の顔が気持ち悪い。次に見た時はその顔を踏みつぶしてやろうと誓う。 「ふん、まりさのおそろしさにきづいておってこれないのぜ。いつかきっとほうっふくしてやるのぜ」 そのまま茂みの中に飛び込んだ。 「まえのおうちにもどるんだぜ…せんりゃくてきてったい!だぜ」 以前のゆっくりプレイスへ向かいながらまりさは新しいゆっくりプレイスでの出来事を思い出す。 お家宣言した時、これからのゆん生の希望と期待に満ち溢れていた。 キラキラと輝く財宝が山ほどあり、ありすはとても喜んだっけ。 ありすは身重だというのに頑張って不思議な模様の石を割って都会派な宝物を作り その宝物の中でこーろこーろして、おちびたちはすごくゆっくりしていた。 茎にできたあかちゃんたちもゆっくりしていた。 そこにジジイがお家強盗に現れた。 一家で幸せに暮らしていたのに。 伝統に則ったお家宣言をしたというのに。 ジジイは全て無視してゆっくりしていない速さで襲いかかってきたのだ。 ゆっくりしてるまりさがゆっくりと光すらも置き去りにする速度で動くよりも、 ゆっくりしていないジジイの動きが速いなんてどう考えてもおかしい。 ジジイがありすにぶつかった瞬間、信じられないことにありすの体はあかちゃんごと木っ端微塵になってしまった。 まりさはゆっくりしていたのに、庇うのに間に合わなかった。おかしい。 ありすもとてもゆっくりしていたのに、永遠にゆっくりした。おかしい。 ゆっくりしたあかちゃんも、うまれおちることができなかった。おかしい。 ずっとおかしな事ばかりが起こる、ジジイが何か卑怯な手を使ったに違いない。 常識的に考えて、ゆっくりしていない糞人間たちがゆっくりしたゆっくりに【ある一点】を除いて勝てるはずが無いのだから。 【ある一点】とはズルのことだ。 あまあまや野菜、ゆっくりプレイス、伝説の秘薬オレンジジュースどれもこれも糞人間がズルして独り占めしている。 特に今まで生きてきて、秘薬オレンジジュースが沸く泉を見たことがない。 糞人間が持っているのだから、どこかにオレンジジュースが沸く泉があるはずなのに。 なぜ泉が見つからないか?簡単なことだ、人間が独り占めして隠しているのだ。 本来はゆっくりしたゆっくりがあまあまや野菜その他諸々を得て ゆっくりできない糞人間はゆっくりのうんうんを食べるべきなのだ。 それなのに、糞人間は卑怯なことばかりして、世界をあべこべに塗り替えている。 今回のお家強盗も、お得意の卑怯な手を使ったに違いない。 ありすは永遠にゆっくりしてしまった。 ありすの死に顔すら見ることはできなかった。 ありすの最後の言葉も聞けなかった。 何よりも尊い選ばれし命も生まれる事が出来なかった。 全銀河にとって取り返しの付かない大きな損失だ。 どれもこれもジジイがやった、どう考えても世界の敵だ。 世界の真理に逆らう糞人間は存在自体がゆっくりできない。 ゆっくりできないものは世界にとって不要だ。 閑話休題 ジジイはまりさとおちびたちを狭い所に閉じ込めると、おちびたちを1ゆんずつ踏みつけて永遠にゆっくりさせていった。 まりさはゆっくりしていればおちびたちを守れるはずなのでゆっくりしていたが、おちびたちがどんどん永遠にゆっくりさせられていく。 まりさとおちびで二重のゆっくりをしたというのに…なぜだ。 またジジイがズルをしたのか。 だが、ジジイが最後のおちびを潰しまりさだけが残った時、ジジイはゆっくりしたまりさに勝てないと悟ったのだろう。 詫びにあまあまをまりさに献上して…それから少しの間の記憶が無いが、気づいたら狭い所から脱出していた。 きっとまりさの秘められし千羅万象を制する程度の力や、世界意思が味方する程度の力が目覚めたのかもしれない。 ゆっくりしていたのだから、それぐらいはできてもおかしくない。 それからジジイと死闘を繰り広げ、甚大なダメージをジジイに与えてから、戦略的撤退。 そして今に至る。 そこまで思い出して、深い溜息をつく。 そして息を大きく吸い込むと、夏の終わりの空気だというのに、体の中を冷たい風が通りすぎていくような気がした。 頭の中は燃えたぎるような怒りで一杯で、ずっしりと重苦しさすら感じるのに、胸の奥は空虚感が支配している。 そんな奇妙な感覚に囚われていた。 大切なものを失った時、こんな気持ちになるのか…と、まりさは生まれて初めて、少しだけゆっくりできない気持ちを味わった。 この気持をジジイにも味あわせてやりたい。 あのジジイだけは絶対に許さない。 以前のゆっくりプレイスに潜り込むとひとまずゆっくりすることにした。 疲れていては何も始まらない。ゆっくりだ。ゆっくり。 新しいゆっくりプレイスに行く時に運びきれなかった保存食がそのまま残っていたので、全て口に掻き込んだ。 長い間食べていなかったからか、全く足りやしない。 しかたがないので、ゆっくりプレイスの中に少し生えていた草を食んだ。 全く腹が膨れない。狩りに行く気力もないので今日はもう寝よう。 ゆっくりしてりゃどうとでもなる。 「あのじじいだけはぜったいにゆるさないのぜ…ほうっふくしてやるのぜ。 …じじいのたいっせつなものをうばってからえいえんにゆっくりさせてやるんだぜ これはせいっせんなのぜ」 聖戦の決意を空虚な胸にはめ込むと、まりさは泥のように眠った。 目が覚めると、すでに太陽は高く登っていた。 のそりとゆっくりプレイスから出ると、コンディションを確認する。 頭がフラフラする、きっと昨日はご飯をあまり食べずに眠ったからだろう。それ以上にゆっくりできない気持ちを味わったせいに違いない。 何をするにしても、食料を探すとしよう。 それから昨日からついてまわる空虚感、これはジジイを倒せば治るだろう。それまでまりさに復讐のための力を与えてくれるに違いない。 脚はちゃんと動く。問題ない、いつものすらりとした美脚だ。 何も問題ない。プランを立てて活動することにしよう。 「きょうはみずばでかりをしてからじじいをていっさつするのぜ のらゆっくりをみつけたらおはなしをしてきょうりょくしてもらうのぜ」 戸締りをしようと振り向くと、ゆっくりプレイスの隅に全て食べたはずの保存食と草が落ちていた。 昨日はつかれていたので見落としがあったのだろう。 それにまりさがゆっくりしていたから、草も食べやすいように千切れてひとかたまりにはえていた。 まりさがゆっくりしていたから草も協力してくれていたのだろう。 草はほんのり甘く苦かった。 どうせ協力してくれるのなら、もっと甘く生えてくれたらいいのに。 今度こそ全て口に入れるが、腹は満たされなかったので結局水場に向かうことにする。 水場までの途中、眩いほどに美しいれいむを見つけた。 ゆんゆんと歌いながら踊っている。 ものすごくゆっくりしている。 音楽と舞踏と美の神々が総出で降臨したとでもいうのか。 つかの間見惚れたが、れいむのリボンについた金バッチを見つけると、その思いは霧散した。 バッチ付き。糞人間の奴隷に成り下がった、ゆっくりできないゆっくり。 金バッチ付きはその最たるもの。 そう思うと、歌は黙示録のラッパでも鳴り響いた方がまだマシで、踊りはウジがのたうつ光景以下の汚物だと思えてきた。 金バッチは人間に大切にされている。ゆっくりできないクズ同士通じ合うところがあるのだろう。 人間に大切にされるゆっくりということはあのジジイにとっても大切なモノであるはず。 ジジイの弱点を聞き出して、それからぐちゃぐちゃに潰してやろう。 ゆっくり殺しはゆっくりできない? 関係ない。あれは人間の奴隷に成り下がったゆっくりもどきなのだから。 ぐちゃぐちゃに潰れたゆっくりもどきを見たら、あのジジイはどういう反応をするだろう。 まりさと同じ気持を味わうだろうか。胸にぽっかり穴が空くだろうか?怒りで狂いそうになるのだろうか? そう考えるとつい口元を緩めてしまう。 さて、できる限り殺意を隠し、声をかけよう。 「ゆっく…れいむ!ゆっくりしていってね」 ついゆっくりもどきと言いそうになった。 ゆっくりもどきは振り向き、こちらを冷たい目で見つめる。 「…」 なんてゆっくりできない視線だ。 カビが全身に生えたような気がした。 そんな目でまりさを見るなんて許せない必ず死なす。 磨り潰して蟻のエサにしてやる。 風の噂で聞いたとおり、人間の奴隷に成り下がるような奴はあいさつすらできないゲスのようだ。 いわゆる蛮ゆ族というやつか。 丁寧に、教えるようにもう一度挨拶してやろう。挨拶は全ての基本なんだから。 下等な金バッチよ、挨拶ぐらいはちゃんと覚えるといい。 三途の川で船頭に挨拶するのに必要だろう? 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ…!!!!!???」 ゆっくりもどきの顔色が変わった。顔がひきつっている。 もしやこちらの殺意がバレたのだろうか? いや、そんなはずはない。 下等でゲスで蛮ゆ族で塵芥にも劣る金バッチのゆっくりもどきに、このまりさの企みが気づかれるはずがない。 ゲスには挨拶ですら難易度が高いのか。 船頭の不興を買い、三途の川を渡れずこの世を彷徨うなんて勘弁願う。 何度も潰すのは面倒臭い。 もう一度チャンスをやろう、ああまりさはなんて寛容なまりさなのだろう。 ゆっくりもどきに3度もチャンスをやるなんて。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ゛わああああああああ!!!!???ゆっぐりできないゆっぐりがいるううううううううう!!???」 「ゆ!?まずいんだぜ、まりさはさっさとにげるんだぜ」 不味い、まさかいきなり大声を上げるとは思いもしなかった。 きっと糞人間が聞きつけてやってくるだろう、急いでゆっくりその場を逃げだした。 腹ごしらえもしていないというのに、糞人間を潰すのは面倒臭い。 茂みに入る前にゆっくりもどきのおかざりをしっかり覚える。 金バッチのくせに、まりさをゆっくりできないゆっくり呼ばわりしたツケを後で必ず払わせてやる。 ようやく水場にたどり着いた。 先客が居たようだ。 「むきゅ、まりさじゃない。ゆっくりしていってね!」 そこに居たのは親友のぱちゅりーだった。 ありすとの関係が上手くいったのもこのぱちゅりーのおかげでもある。 ぱちゅりーに協力してもらえば全て上手くいくかもしれない。 「ゆっくりしていってね!ぱちぇ、じつはぱちぇのちえをかりたいんだぜ。 ありすとおちびたちがじじいにえいえんにゆっくりさせられたのぜ…」 「????????む????きゅ!?」 ぱちゅりーの顔色が変わる。混乱と驚愕に支配された表情だ。 確かに親友の訃報を聞けばゆっくりのなかのゆっくりでも驚くのも仕方がない。 「ぱちぇ、しょっくをうけるのもわかるのぜ…ぱちぇはありすとしんっゆう!だったのぜ…。 だからこそ、ふくっしゅう!のきょうりょくをしてほしいのぜ」 「?????????????む…きゅ??????わからないわー?????」 相変わらず目を見開き、顔がひきつったまま。 あまりのショックでちぇんっぽい口調になっている。 まずはゆっくり落ち着かせることにしよう。 まりさはぱちゅりーのすぐ近くまで跳ね寄りゆっくりと話しかける。 「ぱちぇ、きもちはわかるのぜ。まりさもくやしくてかなしくてたまらないのぜ、ずっとむねさんにあなさんがあいたきもちなのぜ…」 「!!むきゅ!!!!!!!!えれえれえれえれえれえれえれえれえれ…」 突然ぱちゅりーは生クリームを吐き出した。 まりさの顔にまで生クリームがかかる。 「ぱちぇええええ!なかみさんはいちゃだめなんだぜえええええ!」 結論から言うと、ぱちゅりーは永遠にゆっくりした。 「ぱちぇ…そんなにしょっくだったのぜ…?」 ぱちゅりーは文字通り永遠にゆっくりするほどありすのことを大切に思っていたのだろう、ありすはそこまで慕われるゆっくりしたゆっくりだったのか。 そう思うと、不謹慎ながらありすの夫になれたことを誇らしく思えた。 「ぱちぇをうめてあげなくちゃ…」 水場の脇の木の下にお墓を作ることにした。 ゆっくりはきちんと弔われることが極めて少なく、まりさもお墓を作るのも見るのも初めてだった。 墓前にぱちゅりーの大好きだったお花を供える。 「ぱちぇ…いつもぱちぇがむーしゃむーしゃしてたおはなさんだぜ…。 ありすがえいえんにゆっくりしたから、ぱちぇもえいえんにゆっくりしたのぜ…すべてじじいがわるいのぜ。 ぜったいにぜったいにじじいをたおすのぜ…! ありす!ぱちぇ!おちびたち!おそらのゆっくりぷれいすからみまもっていてほしいのぜ!」 罪のない多くのゆっくりが永遠にゆっくりした元凶であるジジイを倒す決意を新たにする。 が、それでも腹は減る。 「ゆぅ…とりあえずどろだらけになったし、おなかへったのぜ。みずあびしてからかりするのぜ」 ジジイを倒すにしても、物事は順序良くこなさなければならない。 腹が減っては戦はできないのだ。 湖を覗き込むと、そこには顔が泥だらけなまりさが写っていた。 水に顔をつけて泥をさっと洗い落とす。おさげも水につけて綺麗にする。 水面を鏡代わりに、顔の角度を右に、左に、身だしなみのチェック、いつも通りのミロのヴィーナスのように美しいゆっくりがそこに写っている。 イッーッと口角を上げ、歯並びと笑顔チェック、プラチナの歯と黄金の笑顔が水面を照らしている。 あまりの輝きに水面から目をそらす。 「ゆぉっ まぶしっ…これいじょうみられないのぜ…かがやきすぎて、へたしたらおめめがつぶれるのぜ… みだしなみはかんっぺきなのぜ。さて、かりをするのぜ」 ぐるりと見渡すと、カエルを見つける、大物だ。 ゆっくりに対する武器らしい武器を持たず。牙も角もない、毒がある種類もあるがそれは目立つので見分けやすいし、ボリュームがある。 かなり素早いが、捕まえる技量さえあれば、格好の獲物なのだ。 まりさは誇張無しの狩りの達人であり、カエルは大好物である。 「かえるさん、ゆっくりまりさにたべられるんだぜ…そろーりそろーり…ぱくっ!」 カエルを捕まえるコツは、歯やおさげで捕まえることではなく、口全体で広く捉えて丸呑みにすることだ。 そのまま持ち帰るとゆっくりプレイスにつく頃にはカエルは動かなくなっているので、吐き出して家族で食べるのだ。 家族と一緒にカエルを食べたことを思い出し、ほろりと涙が溢れる。 一匹目を丸呑みするが、まだまだ足りない。 背後からゲゴゲゴと鳴き声が聞こえたので、振り向き捕捉、またもぱっくり丸呑み。 相当お腹が減っていたようだ。全然足りない。 鳴き声を頼りに捕捉、捕食を繰り返す。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「おにいさん…あのまりさだよ…れいむこわいよ…」 『なん…だ?ありゃ』 先輩に 『実家が自然豊かで良いところだかられいむちゃんと一緒に遊びにこい』 と言われたので金バッチれいむと一緒に来たのだが、来て早々変なモノを見た。 敷地内の小さな池の前で、奇妙なまりさがカエルと戯れているのだが、そのまりさには【穴】が開いているんだ。 しーしー穴とかあにゃるとかそういう意味じゃなくて、喉の奥から背中にかけてぽっかりとトンネルが開通しているのだ。 よくみるとトンネルの断面には底の抜けた陶器のようなものがはまっており、それで餡子が流出しないのだろう。 口を開くたびに、向こう側の景色が見える。 背中からは常に黄ばんだ歯や歯茎、もしくはまりさの正面の景色が見える。 まりさがカエルを口に入れると、背中からぴょーんとカエルが飛び出すのだ。 まりさは振り向き、同じカエルを口に入れる、カエルは脱出する、振り向く、口に入れる、脱出… カオスすぎる。 『あー、やなもんみせたな。昨日お家宣言されてな。』 「おうちせんげんは ゆっくりできないよ…しちゃだめなんだよ」 『なるほど、制裁ですか…ってアレなんで生きてるんです?餡子足りなく無いですか?』 『ラムネで眠らせてから背中から餡子抜いて頭に盛ってやったんだ、ちょっとずつな。 アイツ帽子で見えないけど頭頂部ハゲででかいコブついてんだぜ。 ほら、よく見たら微妙にフラフラしてるだろ。バランスとれてないんだよ。 元の運動神経いいみたいで何とかしてるっぽいけど。』 『しかしちょっと可哀想じゃないですか?』 『駄目だ。家宝の壺を割るわ、ガラス細工割るわでめちゃくちゃ暴れやがって絶対許さなえ。 お家宣言の被害者じゃねえとわからんよこの気持は。ゆっくり嫌いになりそうだったし』 「ゆぅぅ…せんぱいさんはゆっくりきらいなの…?れいむいじめる?」 『ちがうよー、いいゆっくりは好きだよー。 だかられいむちゃん大好きだよー。おいで、すいかさん食べよっか』 「ゆゆーん!すいかさんはゆっくりできるよぉ!ひんやりーあまあまー」 『種さんぷぷぷーってしよっかーれいむちゃん」 「ぷぷぷーするー ゆっくりー」 『ちょっと、先輩、あんま行儀悪いこと教えないでくださいよ あと筋骨隆々のおっさんがれいむちゃーんとか種さんぷぷぷーとか気持ち悪いです。 れいむ、食べ過ぎたらお腹壊すよ、ちょっとだけな』 「ゆ!わかったよおにいさん、ぽんぽんいたいとゆっくりできないよ!」 『かわりに、あしたはお弁当もってピクニックにいこう。』 「ゆわぁ!おべんとうさんはとってもゆっくりできるよぉ!れいむかんげ…ゆわああああああ!! あのまりさこっちきたああああああああああ!?」 「ここであったがたくさんねんめなんだぜええ!じじい!ゆっくりもどき!あたらしいじじい!かくごするんだぜ!」 声の方を見るとまりさが覚悟を決めた表情で突っ込んでくるではないか! 表情よりも、口を開けるたびに向こう側の景色が見えるのが何よりも変な感じで気持ち悪い。 しかしこのまりさ速い! 平均的なまりさの1.3倍ぐらい速い! …所詮ゆっくりだけど。 「まずはそこのゆっくりもどきからだぜえええ!!!しんっわきゅうのぼうしのいちげきをくらうのぜ!」 まりさが前傾姿勢で突っ込んでくる!帽子の縁でれいむを攻撃する気か!?…しょぼっ! 「ゆっゆわああああ!!!!おにいさんたすけてええ!!!あのおぼうしすごくくろくておっきいよおぉぉ!!」 え、そこに驚くの? 「ゆっまりさおそらをっ【ガシャンッ】ゆぎゃあああああ!!おみみが!?きーんてなったああああ!? いだい!まりざのおながいだい!? あだまいだい!もっど…ゆっぐり…じだ…がっだ…」 まりさは重心が高くなっているのに前傾姿勢で跳ねたせいですっ転び、体内の陶器が割れて体中に内側から突き刺さり永遠にゆっくりした。 というか、お前に耳はないだろう。 『とりあえず、処分しとくから、先にスイカ食っててくれ』 『あ、はい、じゃあお言葉に甘えてさせてもらますね。れいむ、へんなはしゃぎ方したら、あんな風にゆっくりできなくなるぞ。』 「ゆぅ…ゆっくりできないゆっくりだったよぉ…」 『お淑やかにゆっくりしてれば大丈夫だよ』 「わかったよ!れいむおしとやかさんになるよ!」 あとがき トンネルネタを考えてたが、なんかゲス精神のがメインになっていた。 by トンネルあき 過去作品 anko3866 れいむの超母性 anko3875 灼熱ボックス anko3877 どくしんがいい!
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お兄さんに引き渡された子供は怯えていたただ2匹はまだ余裕かましていた「さて、では殺すね」 「ゆ?劣った種族の人間が何言ってるの?ばかなの?死ぬの?」 「そうだぜクソ人間なんてったって魔理沙には最終兵器があるんだよ?このエクスカリバーが」そう言ってそんなに尖っていない鉛筆を取り出してきた「うわー強そうだなーわかった奴隷になるよ(棒)」「ゆっへっへそうしないとこれでクソ人間ぐらいひと刺しだぜ」すっかり罰を受けにきたのを忘れたらしいまあ好都合だが俺はそうやって油断させておいたそしてすぐさま奪ったついでに帽子も「ゆゆっ?クソ人間何するんだぜ!早くお帽子さんとエクスカリバーを返すんだぜ!そうしないと殺すよ?」返事は帰って来ない そしてお兄さんは帽子びりびりに破いた「ゆわぁぁぁぁぁ!!まりしゃのお帽子さんがぁぁぁぁぁ!!」「·····」霊夢は黙って見ていた「おい!!クソ人間!!!!もう殺してやるぅぅぅぅぅ!!!!!」そう言って突進していったもちろん全然効かない「ゆゆっ何でぇぇぇぇぇ!?ゆわぁぁぁぁぁ!!なんでだぜ!?なんでだぜ!?」「黙れ」パーン!!お兄さんのビンタが炸裂した「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!いぢゃいいぢゃいいぢゃいよぉぉぉぉぉぉ!!霊夢!助けてくれだぜ!」魔理沙は霊夢と一緒に戦えばこんな人間すぐやっつけられ、群れに報復できて里を乗っ取れると思っていた だが霊夢は予想を裏切った ドーン!ポスっポスっポン「ゆ?霊夢?なんでだぜなんでだぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」「1人で勝てないゲスはしねえぇぇぇぇぇ!!」 「ふーん なら霊夢は勝てるかな?」「ゆ?当たり前でしょ?霊夢は最っ強なんだよばかなの?死ぬの?」また同じように突進してきたもちろん全然効かない「ゆぅぅぅ!!こんのっ!こんのっ!!こんのぉぉぉぉぉぉっ!!!」「ん?それで本気なの?俺に1人で勝てないならここの全員敵に回すことになるよ?」「ゆ?ゆ?ゆ!?ゆぅぅぅぅぅぅぅぅ!?!?」「ゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃぃぃぃ!!」どうやらプライドが崩れたのと全く効かないので狂ったらしいただ 数分後には息を切らしながら戻っていたそして数分後には死ぬだろうと言うものを食らわしてやった『ゆ?ゆ?何で?何で最強の霊夢が負けたの?何でこうなったの?そうだすべての原因は魔理沙だ魔理沙が勝てないから霊夢はやられたんだくそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!魔理沙めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』「魔理沙ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」霊夢は最後に魔理沙を恨みながら死んでいったさて次は子供だだけど子供は雑に潰していった3分後···さてこいつで最後か「ま 待ってだぜぇぇぇぇぇ魔理沙を殺すとおとーさんとおかーさんに殺されるよぉぉぉぉぉぉだからやめてねぇぇぇぇぇ!!」「おかーさんは死んでるけどね」「何でなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぶっ!?」さて後は魔理沙だけか ん,そうだこいつは山に捨てよう!「魔理沙安心しろお前だけは怪我させずに山に戻してあげる!」「ゆ?本当かぜ?」「ああ」魔理沙はその瞬間最高の喜びを感じた シュルッ 気づくとリボンがほどけていたこれで手として使うこともできない「ゆ?何でなのぉぉぉぉぉぉ!!お兄さん約束が違うんだぜなんでリボンさんほどくのぉ!」「約束は守ってるよだってまだ怪我はさせてないだろ?」その瞬間魔理沙は直感したどういう目的かをだが時既に遅しもう山の方に飛んでいた「お空をとんでるみたべっ! ゆ?ここはおやまさん!ついに生きて戻ってきたのぜ!また群れに入るのぜ!」まだ魔理沙は気づいていない帽子がないことに「ゆ?あそこに群れだぜ!おーい」パ「ん魔理沙?」ア「都会はな魔理沙の声だわぁぁぁぁぁん!!」「魔理沙どこなの?」「魔理沙どこぉぉ」「魔理沙ー」「ゆ?ここにお帽子のないゆっくりがいるよ?」「ほんとだわ帽子のないゆっくりだわ」「ゆ?」「魔理沙ーすっきりしましょうねぇぇぇぇぇ!!」「嫌だあぁぁぁぁぁすっきりーすっきりーすっきりー」数分後あとには茎のはえた黒ずんだだけだった 完