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この広い世界には様々な不思議がある。 森林の奥に秘められた遺跡、宇宙から飛来する謎の物質、星から流れるメロディー……………… そして人々の身の回り、そこには人間の首のような不思議なナマモノ『ゆっくりしていってね!!!』略してゆっくりが数多く存在していた。 人々は古来からそのゆっくり達と手を取り合い、時には争いつつも共存し続けてきた。 そして現在、ゆっくりと少年の旅が、今ここから始まる!!! ~ゆっくりもんすたあ~ スカーレットレッド 第一話「ゆっくりれいむ!ゲットだぜ!!」 暦も三月を迎え春も訪れる頃となった今日この頃。 このカザハナタウンではすっかり桜が咲き誇り、学校を旅立ちゆく卒業生達を送るように優雅に舞い散っている。 その桜吹雪の中、生首だけのゆっくり達、この近くに生息しているゆっくりみすちーやゆっくりなずーりん達は各々気ままに遊んでいた。 「………………羨ましい」 桜が舞い散る小道で一人僕は卒業証書を握りしめながらそんな事をつい呟いてしまった。 こんなではいけないと想い僕は嫉妬心を振り払うために思いっきり首を振った。いくら今の自分の心に余裕がないからってゆっくりに憧れてちゃどうしようもない。 そう、心に余裕がないのだ。 僕は手に握りしめていた卒業証書を見て再び憂鬱な気分になる。 この卒業証書は僕が第一風華小学校を卒業したことを証明する紙。しかしそれと同時に義務教育を果たし、社会に進出しろと行っているような命令書のような物でもある。 僕には自信がない。この世界を一人で乗り切っていくだけの自信が。 今まで学んできた物、知ってきた物が一体どのように役に立つとかどのように役に立たせるかと悩んでばかりだ。 世間巷では『ゆっくりトレーナー』とか言うゆっくりを戦わせて『ゆっくリーグ』へ挑戦するという職業?みたいな物があるらしいが、 僕は一回もゆっくりをゲットしたことはなく、接し方も戦い方も一つたりとも分からない。それに僕はそんな風天のような生き方は少々抵抗があった。 「ゆっゆっゆ、ゆ?」 ゆっくり達は今もなお黄昏れている僕に気付いたようで警戒しつつものろのろと僕に近づいてきた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「……………………………はぁ、ゆっくりしたい」 このカザハナタウンは殆ど田舎と言って良いほど産業が発達しておらず、僕みたいな何の特技もない平々凡々な少年が就職するには難しい土地柄だ。 もちろん小学校ではそのための職業訓練とか行われていたけれど、僕は一体何を思っていたのか職業訓練に力を入れず、 普通の勉強とか何故か紅い服、紅いバンダナ、紅い稲妻の髪飾りとかを着飾ってヒーローごっこしていた記憶がある。 一応勉強の方は出来るがそのアドバンテージを生かすには他の町へ行かねばならず、他の町へ行くには野生のゆっくりとの対策が必要だ。 とどのつまり、今の僕が希望を見いだすためにはゆっくりとの交流が不可欠なのだ。 「ようし、ゆっくり、ゆっくりしてろよ~~」 「ちんち~ん?」 僕はちょうど近くにいたゆっくりみすちーを捕まえようと、声を殺し、気配を殺し、腕を構えてジリジリと歩み寄る。 本来ゆっくりを捕まえるためにはゆっくりボールとか言う道具が必要だが、ゆっくりくらいなら僕は手で捕まえられるくらいの自信はある。 「ち~ん~~~ちっちっ~」 「よし今だ!!」 みすちーが呑気に歌い始めた隙を見逃さずに狙い、僕はみすちーに向かって飛びかかっていった。 今、僕の体の軸はゆっくりみすちーの直線上にあるッ!このまま掴み損なうことさえなければこのみすちーを確実に腕の中に抱くことが出来るはずだ!! 「ち~~んちん、ち~んちん、ち~~~~んち~ん~~~~~♪」 「もらったぁ!!」 だが、ゆっくりみすちーを手の中に入れようとしたその瞬間、昼間にもかかわらず猛烈な睡魔が僕に襲いかかってきた! 「な、なっ!!!う、うううう」 みすちーのうたう! シュンはねむってしまった!! 「…………………………Zzz」 僕の腕は目の前のみすちーを掴むことを忘れ空を切り、僕はその体勢のまま地面を滑っていった。 「ゆっくりねむっていってね!!!」 意識が落ちた僕の耳にその言葉は届くことなく、ゆっくりみすちーは僕を足蹴にして空に飛んでいく。 このように人間ではゆっくりの不思議な力には太刀打ちできないことが多くある。 けれどゆっくりにはゆっくり、ゆっくりさせられるのならこっちが相手をゆっくりさせてしまえばいい。 だからこそゆっくりを捕まえて、育てることがとても重要。それを見事に失敗した僕はとりあえず今は眠っておこう。 「ゆっくり起きてね!ゆっくり起きてね!!」 パソコンで出力したような、または幼い少女のような、もしくは中○○衣さんによく似た声が僕の耳元でそう叫び続けている。 その言葉通りに僕は目を覚まし、それと同時にほろ苦い土の味を味わってしまった。 「う、うつぶせのまま寝てたから………」 「ゆっくり起きたね!」 体を起こして顔や体に付いていた泥を落とし、僕は寝ぼけ眼で辺りを見回す。 先ほどから僕の耳元で『起きてね』と呟いている美少女は一体何処のどなただろうか。 「起きたら起きたでゆっくりしゃっきりと!!」 「………………………………うおりゃ!!!」 「残念、それは残像だ」 近くにいたゆっくりれいむを目にした瞬間、僕の身体は反射的に動いていたがゆっくりれいむはゆっくりしてない速度で回避し、僕の腕は再び空を切った。 「ゆふ、このれいむをすででつかまえようだなんてじゅうねんはやいね」 「どこがゆっくりなんだよ………………」 一世一代のど根性捨て身タックルを二回もしてしまったから卒業式用のスーツが信じられないほど汚れてしまった。 落とせども落とせどもこびり付いた汚れは全く持って落ちることはなく、僕はこれから訪れるであろう親からの叱責に心を暗くした。 「で、なんだよ。一体僕に何の用だ」 「ゆっくりこれをうけとりなッ」 そう言ってれいむはいつの間にか口に咥えていた一枚の紙を僕に手渡し、すぐさま何処かへと去ってしまった。 いつの間にか他のゆっくり達も姿を消し、僕は桜が舞い散る中一人残された。 「……………………なんだよなんだよ!みんなして僕の事が嫌いかッッ!」 好きなことに一生懸命で何が悪い、目的に向かってがむしゃらに突っ走るのが何が悪いんだ。 みんなはその僕のがむしゃらな行動に醜さを感じ取り、ただそれだけで避けていく。子供も大人もゆっくりも。 頑張れば頑張るほど僕の周りから人がいなくなって、どうしようもなく立ち尽くすしかない。 「…………………まぁ、一応この手紙読むか…………」 一人癇癪を起こしても聞いてくれるような人は誰もおらず、次第に虚しくなってきて僕は手紙のことをふと思い出す。 ただゆっくりが手紙を書くとは思えない。だとしたら誰かに手渡された物なのだろうか。 「ええと、なになに『今日伝えたいことがあるので小学校の裏山にある夕香林樹の下に来て下さいBy森陰孫子』」 とりあえずこの町に小学校は第一風華小学校しかない(第一で唯一)。だからそこで待っていることは間違いない。 そして僕はその差出人の名前を良く知っていた。 「森陰というと、あの子か」 もりかげまごこ、見栄えのよいオレンジ色の短髪でいつも教室の盛り上げ役となってきた元気のよい女の子。 時々教室で今のように孤立しかけていた僕に話しかけてきたのも彼女。そのおかげで僕は大分救われ、今まで心を壊さずに生きてこられた。 その女の子が僕を待っている、これは期待が出来そうだ その上裏山の幽香林所と言えば絶好の告白スポット、この木の下で告白すると必ず成功するといういかにもでありがちな伝説まである。 「……………………………アリジャネ?」 いやいや、と僕は甘い考えを振り切って深く考えてみる。 もしかしたら彼女はその伝説を知らないかもしれないし、ただ僕に用事を押しつけようとしてるだけかもしれない。 でもそれならそれで良い。確かに僕は彼女に好意を抱いているがこぞって付き合いたいと思う程度の好意ではないのだから。 彼女は小さい頃からゆっくりと一緒にいるというのを聞いた事があるし、そこでゆっくりの捕まえ方をレクチャーして貰うのもいいはず。 それに、仮定の話だがもし僕が本当に心の底から彼女のことを好きであるのなら、こちらから告白してもいい。 「とは言っても、今はそんな大好きってわけじゃないしな」 そう思っているもののつい頬が緩んで、僕はつい手紙を握りつぶしてしまった。 気持ちも晴れたしそれでは向かおう、伝説のあの場所へ。 元々いたのが学校近くの小道だったので裏山に行くのにはそう時間は掛からず、日が落ちる前までには夕香林樹の所まで来ることが出来た。 「お、いたいた」 木の下の橙色の髪が遠目からでもはっきりと見えて、容易に彼女、森陰孫子だと特定できた。 待っている間手持ちぶたさだったのだろう。森陰さんは何か金髪のゆっくりらしき物と一緒に戯れている。 「もういるんだな…………」 僕の手の中に入らないゆっくりがあんなにも彼女の近くで楽しそうしているのを見て僕は非情に羨ましくなる。 その楽しそうな表情を見るたび僕は激しい敗北感に襲われ、一度は帰ってしまいたいとも思い始めた。 「……………………………うう」 「ん?あ、来た来た、おーい、相次瞬~~~こっちこっち」 彼女は僕の名前を呼び捨てにして、楽しそうに手を振っている。 これでどんなイヤに思っても逃げるなんて選択肢は消されてしまった。 「ゆっくり来るんだぜ、出来ればいそいで!」 どっちだよ、と言ってもその矛盾点ッぷりが尽きないのがゆっくりだ。口調からするとどうやらゆっくりまりさのようである。 二人の眩しい笑顔が余計に僕の心を窮地に押し入っていく。お前等はキン肉星の王子かっての。そして僕は悪行超人か。 「あ、そのなんかそこらへんのゆっくりれいむから手紙貰ったから来たんだけど………」 そう言って僕は手紙を取り出すが握りつぶしていたのを忘れていて、ぐしゃぐしゃな手紙を見て彼女はほんの少し悲しそうな表情になる。 「なによ、そんなに私の事が嫌い?」 「さいてーだね」 「ゴメン、その場の勢いに任せて握っちゃった……いや別に嫌いじゃないよ!むしろ…」 と言いかけて僕は唐突に口を紡ぐ。 あぶねえ、危うくこちらから告白しそうだった。 下手をしたら『嫌いじゃない』と言う言葉も告白に当たりそうだったが、彼女は未だ顰めっ面で僕を見つめている。 「それで用ってのは一体?こんな所呼び出したんだからそんなつまらない用じゃないと思うけど……」 「うーん、確かにつまらない用じゃないわね、何てったってあんたの一生に変化与えちゃうほどだもん……ね」 フラグか。 伝説の木の下で人生を左右するほどの出来事と言えばあれしかない。 あれ、そうあれ!あのあれとかメタルあれではなく、所謂告白!!! 「で、でも心の準備が」 「ここまで来ておいてそれはないでしょ、変なところで気弱なんだから!」 「…………………それでは、どうぞ」 ここまで押し切られたらもう僕は何も言えない。彼女は改まって一つ咳をして僕と向かい合う。 「瞬!あんた旅に出る気はない!?」 「…………………………………旅?」 とりあえず告白ではなかったようで僕はほんの少し安心したが、その単語の意味を僕はいまいち掴めなかった。 「旅って、どういうこと?」 「う~ん、ここで話すと長くなるから、後で家に来て!私の家分かる?劇場の近くの研究所だから!」 そう言ってここから去ろうとする森陰さんだがその前に一つ聞いてみたいことがあって僕は彼女を呼び止めた。 「その、この木にまつわる話って………知ってる?」 「???誰かが首吊ったとかそんな話?」 あ、知らないんだ。ここの呼び寄せる事の意味を。 はっきり言ってこの伝説自体に効力は全くないと僕は考えてる。場所なんかで恋心が変わるかと言ったらプラス面では絶対働かないと思う。 重要なのはここに呼び寄せること。それ自体が告白行為となって、婉曲的であっても相手に好意を伝える。 知らないなら知らないでしょうがないや。そう家に帰っていく彼女を見ながら自分で納得させるも何処か虚しい物があった。 じゃあ何でここに呼び出したんだよ。 学校をから約十分、僕の家からは十五分程度歩いたところにカザハナタウン唯一の劇場があって、 その向かいの家のすぐ隣に森陰家、というかオレンジTIE研究所があった。 オレンジTIE研究所は名前からはわかりにくいが生物、主にゆっくりの研究を行っている場所だ。 ゆっくりと人間の歴史はそう浅くはないのだが何故か未だゆっくりの生態についての研究は全くと言って良いほど進んでいないらしい。 それ故に各地の研究所が我こそはと互いに激しく敵対して研究を進めているほどだと聞いている。 「確か彼女の母親が………ここの主任だったっけ」 会うのは初めてだなぁと思って僕は初々しい気持ちで研究所に正面から入っていく。 いや別に結婚とかお付き合いのことを言いに行く訳じゃないからそう固くならなくてもいいのだけど、どうも先ほどのことが尾を引いているようだ。 「しつれいしまーす。相次瞬という者ですがぁ」 「ゆっくりしていってね!!!」 「おーきたきた。こっちこっち」 奥の扉から森陰さんとまりさが手招きをしている。とりあえず導かれるままに歩を進める僕であったが研究所に入ってから何処かみょんな臭いが鼻についていた。 生物研究所だからホルマリンとか薬品の臭いくらいはすると思うのだがこの臭いは薬品とは違った嫌悪感がある。 「それじゃ、お邪魔しまぁす」 「おーお前が孫子の言っていた相次かぁ、初めまして、あたしがこの研究所の主任兼孫子の母親森陰橙子だ」 扉の奥には白衣を着たオレンジ髪の女性が口に十本以上の煙草を咥えてそう僕に挨拶した。 ナルホド、この臭いは煙草か。よく見ると森陰さん(孫子)のゆっくりまりさはいつの間にかMS-06の様なガスマスクを付けていた。 容姿は親子だからか森陰さん(孫子)とよく似ているがスタイルの良さと髪の長さ、そして眉毛の太さだけは孫子さんよりもグレードが高かった。 「あーゴメン、うちの母さんもはやスモークゾンビだから………」「(シュコーシュコー)」 「とりあえず問題無いけど…所で用というのは」 「ああ、それは母さんに聞いて」 母さんに聞いて、ということは研究所がらみの話だろうか。まさか隣町まで荷物を取りに行けなんてそんな話では……… 「あー早速だけど相次、全国廻ってゆっくり捕まえてこい」 「……………………え?」 「いやこの町にいるだけじゃ全然研究捗らないし、サンプルというか資料が欲しいんだよ。 まごまごしてたらライバルの玖我シアリーズ研究所に遅れを取っちまう。それだけは我慢ならん!! だからお前と孫子の二人で全国廻っていろんな種類のゆっくり集めてきてね、旅費は出すから!」 「その、一つ聞きたいんですが何故僕に?」 クラスにゆっくりと付き合っていた子はそんな少なくなかったはずで、ゆっくりとの付き合いがない僕が頼まれると言うのも変な話だろう。 そう弱々しく僕が反論すると橙子さんは太々しくこう言った。 「だって、お前将来決めてないらしいじゃん」 ………………………人が気にしていることを。と言うか何でそんな事貴方が知っているんだ。 「いや将来と言っても社会に出て働く気はありますよ?でも隣町とか行くのも辛いしこの町で雇ってくれるかどうか………」 「じゃあゆっくりが必要だな、それならついでに私の提案を聞いても悪くないだろう。だから行け」 「全国廻れって、ついでのレベルじゃないでしょう!!」 間違いなく人生棒に振りかける行為だ。と言うかもうお願いから命令になってるし!! 「………………ね、母さん。私ゆっくリーグに挑戦しても良い?」 「ん?ああ、その代わり私の頼み疎かにすんなよぉ」 「へへ………」 橙子さんに頭を撫でられて嬉しそうにする孫子さん。 見ていて心和み、羨ましくもなる光景だが僕にとってはそう言う問題じゃない。 「えーと、僕いやですよ。そんな旅に出て根無し草の生活だなんて。ましてや、ゆっくりトレーナーなんて………」 「近頃のガキはませた考えしてるなぁ………夢がないよ…………ん?でも…………………」 ふと何か思い立ったかのように橙子さんはそこらの棚から一冊の本を取り出す。 何処かで見たことあるような本だが何故か思い出せない。学校で見た事あるような……………… 橙子さんはパラパラとページを捲り、とあるページで指を止めて僕の方を何故か見た。 「なんですかその本…………」 「えー、こほん『ぼくのしょうらいのゆめ』」 ………………………………………………………え? 「『ぼくはおとなになったらじんるいさいきょうのうけおいにんになってあいかわさんみたいにさつじんきとかころしやとかをばったばったとたおしてみたいです。 ふたつなは”すかーれっとふぉとん”とか”らくえんのしんくなうけおいにん”とかがいいで』」 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 なぜ!なぜそれをおおおおお!!!!!!!!!!!!僕の忌まわしき過去がアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! 「これ一年前の文集だけど………この一年で一体君にどういう心情の変化があったのかしら?」 「私は知らないよ」 「……………………………………!」 畜生、よくもやってくれやがったな。一年前の僕はそりゃあブイブイ言わせてたけど今ではしっかりと常識人だ。 もう絶対に協力何かしてやるもんか!!この太眉オレンジババァめ!! 「もし断ったらこれを町中に配布する!」 「このくそばばああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 「それって既に学校中に廻ってると思うけど、聞こえてないねこりゃ」 なんて事を!ここまで露骨に脅迫して来るだなんて!!!! 「やだよぉ………………風天の生き方だなんて」 「……………………………いいじゃん風天でも」 床で三角座りして屈辱を噛み締めている僕に対して孫子さんは優しく僕の肩を叩く。 「何か目的を持って突き進むことは社会で生きていくのと同じくらい誇れることだと思う。だからさ、良いじゃないゆっくりトレーナー」 「………………………………目的なんて」 「じゃあ、競争しましょ!!どっちがゆっくリーグチャンピオンになれるか!!今から私たちはライバル!今から始め!!」 「……………………………ゆっくリーグか、」 夢を捨てて僕は常識人になったつもりでいたが、結局それは無意味でしかなかったのに今気付いた。 僕の夢は強くなって誰かの役に立ち、誰かのために戦えるヒーローになること。正義とかじゃない、誰かのために立ち上がれる戦士に。 ゆっくりトレーナーは誰かの役に立てるだろうか、誰かのために戦えるだろうか。 目指す価値は、あるはずだ。 「分かった、それじゃあ僕と孫子は今からライバル。競い合おう」 「よしっ!それじゃ今からスタート!いやっほおおお!!」 「ゆっほおおおおおおお!!!」 「ちょっと待ちなさい!孫子!」 この煙まみれの空間から逃げ出すように孫子さんとゆっくりまりさは外へ行こうとするがその直前、橙子さんは急いで孫子さんを呼び止めた。 「リーグも良いけど私の頼みを疎かにしないって言ったでしょ!ほら、図鑑!」 橙子さんは机の上から二つのデバイスを取り、それらを僕と孫子さんの二人に手渡した。 赤い小型の電子辞書みたいな形状で表面には大きく『ゆ』と描かれている。 「これはゆっくり図鑑!ゆっくりを捕まえていくごとにデータが私の方に送られてくるから大事に保管しておきなさいよ!」 「う、うん、分かった。それじゃ!いってきまーす!!」「いってくるんだぜ!(シュコー)」 そうして扉は大きく開かれ孫子は一目散にこの部屋から逃げていった、いや飛び出していった。 僕は手の中にあるゆっくり図鑑を見て自分の夢、目的を思う。 これからゆっくりと旅して、育て、戦い、突き進むのだ。 だから……………………………………………………………………………あれ? 「あの、おかーさん?」 「あんたにおかーさんって呼ばれる筋合いはないっ!呼んで良いのはパパだけよッッ!」 「いや、旅立つためのゆっくりを~なんて」 「……………………無い」 「………」 「いないのよ、そんなの。とりあえずれいむとかさなえとかさくやとか用意したけど…………いつの間に逃げられた」 そりゃあこんなたばこ臭いところにいたらゆっくりだって逃げ出す。 とりあえずその煙草どうにかしろ。いつか肺ガンで確実に死ぬぞ。 「それじゃ、ゆっくりボールとか………」 「注文したけど全然来ない、KONOZAMAよ!!!」 「………………………じゃあ、どうやってゆっくりを捕まえろと…………」 「……………ゴッドハンドで頑張れ」 先ほどはそれをやって失敗したんだが。 しだいに橙子さんの頬から冷や汗が流れ始め、目が泳ぎ始めている。もう僕の姿さえも積極的に見ようとしない。 「………………………………せ、製品版ではれいむ、まりさ、さなえの三つが選べるわよ」 「このばばあああああああああああああああああああああ!!!!もうしらねえよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 どうしようもない居たたまれなさと煙の不快感で僕は脱兎の如く勢いよくこの部屋から飛び出した。 どいつもこいつも!!そんなに僕の事が嫌いかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 帰宅後、服を汚したことで一番始めに母さんの怒鳴り声が聞くのだろうかと思っていたが、母さんはまず最初に僕の卒業を祝ってくれて、 その次に服の汚れを心配し、その後服にこびり付いた煙草のにおいであらぬ疑いをかけられた。 「瞬、いくら卒業したからって煙草は…………二十歳になってからよ」 「吸ってないよ、ちょっと森陰さんちで」 「ああ、あのスモークゾンビ博士の…………なら仕方ないわね」 一応それであっさり疑いは晴れたがあの博士ってとんでもないイメージで広まってるんだな、と妙な納得をした。 その後、父と母と僕三人揃った夕食となり、当然のように進路の話となり僕は今日のことを逐一話した。 これからの自分に不安があること、ゆっくりがいなければ隣町に行けないこと、そしてゆっくりトレーナーとして旅に出ること。 旅に出ることに関して両親は反対することはなかったが、やはり不安なのだろうか二人とも会話中とても心配そうな表情を浮かべていた。 「う~ん、僕の母さんはゆっくりを連れて旅してたって言うけど、瞬。お前ゆっくり捕まえられるのか?」 「この辺でゆっくりボール買える所なんてないし、一つくらいゆっくり匿った方がよかったかしら?」 「………大丈夫だから、僕なら出来る。それなりに、うん」 反対することがなかったのは僕の祖母も同じ事をやっていたからだそうだ。今も老体の身で二人のゆっくりを連れて世界中を旅しているという。 僕はそんな二人の気遣いを受け、旅の準備のために自室に向かった。 これから一生を左右する旅に出ることとなる。そのためにも今までの自分をきちんと整理しなければいけないと僕は考えたのだ。 修学旅行のとき使った大きなバック、遠足のとき使った大きな水筒。どれもこれも懐かしく、思い出深い品物がざくざくと出てくる。 そしてその中に、一枚の紅いバンダナがあった。 「……………………………………………」 側面に二つ紅い稲妻の飾りが付いた紅いバンダナ。それは僕が本気で正義の味方になろうと思っていた時自力で造ったバンダナだ。 正直昨日までの自分だったら黒歴史の一つとして無下に捨てていたかもしれない。 しかしこれは僕が本気で夢を目指していた証の一つ。形からでも正義の味方になろうとしていた自分がいた事を思い出させた。 「……なぁんで、正義の味方になること諦めちゃったんだろうなぁ」 正義の味方になろうと頑張れば頑張るほど、人は僕から離れていき、そこに虚しさを感じた僕はその夢を簡単に手放してしまった。 そう考えると、僕は今も昔も、全然何も変わっていないではないか。何が常識人だ。 「………………頑張るか」 僕は意気込んでそのバンダナを頭に被り、自分の姿を手鏡でまじまじと見た。 似合うかどうかは別として、このバンダナはぼくに夢に向かう勇気を与えてくれる。今も昔も変わっていないのなら夢に向かう力もまだ残っているはずだ。 そして決意する。明日、あの場所でアイツと決着を付けることを! 「しかしやっぱ似合ってるなぁ、特に紅い髪に紅と言うのが」 木陰から朝日が差し込みその光は僕の眠気を徐々に徐々に覚ましていく。 紅いバンダナを被り、大きなバックを持って僕は再びあの学校近くの桜舞い散る小道に訪れていた。 「出てこい!れいむ!昨日の続きだ!!!」 「おにーさんもしつこいね」 僕の呼びかけにまるで待っていたかのように木の影から現れた昨日のゆっくりれいむ。 れいむはそこからゆっくりとゆっくりと僕に近づいていく。 「で、おにーさんは準備とかできたの?ちゃんとゆっく」 「おらぁ!!!!!!!!!!」 先手必勝、僕はバックをその場に置き、セリフの途中でれいむに掴みかかった。 しかしれいむは機敏な動きで僕のタックルを簡単にかわしていった 「ゆっ!?昨日れいむにまけたこと覚えてないの!?ばかだね!」 「『負けた』?いや、その言い方はおかしいな、お前を素手で捕まえようとしたのはこれで二回目だ!」 「二回も三回も、何回やっても同じだよ!らくえんのすてきなまんじゅうは素手じゃやられるほどおちぶれちゃいないね!!」 「捕まえてみせるさ!俺はその楽園の素敵な幻想を………ぶち壊す!」 自分で格好いいと思うセリフを吐いて僕は再びれいむに向かって突進し、れいむはそれを再び躱す。 そのやりとりは不毛ながらも何回も続けられ、両方の体力をとことん削っていった。 「………………みぐるしいよ!どうしてそんないっしょうけんめいになるの!?」 この戦いが始まったのは朝であったが、いつの間にか太陽が頭の上から照りつけている。 二人の呼吸音がこの世界全ての音のように感じる。それほど二人は長く戦い続けてきた。 「見苦しいだと、こいつ!!!絶対に捕まえてやるッッッッ!!」 なぜこうも僕の努力は、他人から蔑まれることしかないんだろう。 れいむの言葉を聞いて僕は激昂し、足のバネを全力で縮ませて一気に飛び出す。 だがそれもまたれいむに躱され、僕は近くにあった木に頭からぶつかってしまった。 「うわぁ…………………流石にあきらめてね!!」 「……………………諦める…………だとぉ…………このゆっくりがぁ!僕をなめんなッッ!」 ぶつけた額を抑えながら僕は再びれいむに照準を合わせる。 何か顔中ぬるぬるした感触に襲われたり、視界が赤く染まったりもするが、そんな事は今は関係ない!! 「おらあああ!!相次スカーレットバスターッッ!!」 「なんかばかなこといってるけどまじでこわいぃぃぃ!!!!」 右腕と左腕を後ろで伸ばして組み、あえてれいむを飛び越す程度にジャンプをしてれいむの頭上で腕を一気に元に戻す!!! 例え前や後ろに逃げようがれいむの後ろに回ったときに捕捉出来るし、右や左に逃げてもこの両腕で大きく振りかぶりれいむの体を掴めるはずだ。 しかし腕を元に戻した瞬間、目眩がし視界がぼやけ、腕が空振り僕はそのまま頭から地面に激突した。 「がッ…………………………ご、ごの」 「わけがわからないよ…………………しょうじきいっておにーさんは変だね!!!」 「うるぜえええええええええええ!!!!おまえらも僕の事をバカにずんノが!!!」 僕は怒りにまかせて再びタックルしようとしたが、何故か足が動かず、何も見えなくなってきた。 頭がぼーっとする、思考が廻らない、額が軋む、顔が動かない、首が回らない、目が開けられない、息をする度に唇が痛む。 一体僕はどうしたのだ?いやそんな事は関係ない、今考えるべきは目の前のれいむを捕まえることだけ…………………… 「……………?はは、頑張るよ、僕は頑張るから……………行かないでよ」 「…………………い、いくら涙目になってもれいむにはゆっくりとしてのプライドがあるよ!ゆっくりボールなら避けないことを考えてやらんこともない!」 「………ははっ………そんなのないから、僕は素手で頑張るしかないんだよ………」 「頑張る頑張るって限度があるよ!!」 「うるせええええええええ!!!努力に限度なんてあるか!!!何でみんな僕を否定しようとすんだよ!!! 認めてくれよ!!!こんなに………こんなに頑張ってるんだから…………みんな………僕を嫌いにならないで…………」 頑張っても、頑張っても、結果に辿り着く前に周りの人は僕を止めようとして、結果の是非にもかかわらず誰からも評価されない。 残るのは嘲笑、苦笑い、後悔。だから僕は夢を追うことを止めた。 「でも…………………今は全力で頑張らせろ!!!頑張れば……………絶対何か出来るから………」 「でもそんな怪我でどうやってがんばるの?」 「…………怪我…………?怪我してる…………のか?」 そうか、先ほどの不調の原因は怪我のせいか。でも、僕は今立ち止まることは…………出来ないから………………… 「………前々から思ってたけど、瞬は一人で頑張りすぎ」 ふと聞き覚えのある女の子の声を聞いて振り向くと、そこには昨日旅だったはずの孫子さんとまりさの姿があった。 「何だよ、お、おまえまで、ぼ、ぼくを……………ばかに」 「そうじゃない、瞬はいつも『一人』で頑張ってるのよ、誰からの手助けも必要としないで…… もうちょっと……人を頼ってよ」 「…………………それなら、そうと言えよ…………………」 見栄を張りたい12歳な僕。他人の手を借りることが恥ずかしいこと、自分一人ですることが格好いいことだと思い続けてきた。 だから困ったときは誰かを頼るという考えは思いつかず、僕はいつも一人で何とか極地を脱しようとがむしゃらに頑張ってきた。 他人の力を借りれば、避けられることも無かったかもしれないのに。 ゆっくりボールくらいこの町の誰かが持ってるだろう。その人から貰うなり借りるなり出来たはずだ。 「…………………………でもこれは…………僕一人の事情だから」 「はぁぁぁ!?うぜぇぇぇ!!」 孫子は僕の頭を掴み無理矢理僕と視線が合うように手を捻る。首が痛いがその真摯な表情に声を出すことが出来なかった。 「あんたとあたしはもうライバル同士よ。だからあんたがそんなんじゃ張り合い無いじゃない!!」 「……でも」 人に借りを作るのは苦手、ましてやいつ返せるかも分からない借りはあまりしたくなかった。 僕がそんな遠慮がちな態度を取っていると孫子は痺れをきらしたようで地団駄を踏み僕に叫び散らした。 「あんたは変なとこで気弱なのよ!ほらこれ、あたしのゆっくりボール!しっかりと使いなさいよ!」 孫子から小さいボールを無理矢理渡されて背中を押された僕は再びれいむと向かい合う。 手渡されたボールは何故か暖かさを感じた。仕方ない、こうなりゃ孫子の好意を有り難く受け取ろうではないか。 「こっからが本番だぞ」 「ゆふふ、そんな事分かってるよ。さあこれがラストステージ。一発限りの真剣勝負だね」 僕はゆっくりボールを構えてジリジリと射程距離を縮めていく。 狙いを定めて投げつければそれで終わりだが、生憎視界と意識が朦朧として上手く狙いを定められない。 手元にあるボールは一つ。他人から手を借りるのはこれで最初で最後。 だからありとあらゆる手を使ってでも確実に相手にボールを当てるようにしなければならなかった。 「………………………………………」 「………………………………………」 固唾を呑み、僕とれいむは互いに無言のまま互いの動きを探り合う。 そして、僕の朦朧とした視界の中で、れいむはほんの少し動きを見せた。 「今だッッッッッッッッ!!!」 「ゆっっっっっっっっ!!!」 れいむが跳ねると同時に、僕は大きく振りかぶってゆっくりボールを投げつける。 だがほんのちょっとタイムラグが生じてしまいその投射方向にれいむの姿はもう無かった。 「躱されたッ!?」 「いいやっっ!!!」 何者にも当たらず、地面にぶつかったゆっくりボールは地面で回転を始め、そのままれいむに向かって跳ね返っていく。 空中で身動きの取れないれいむはその弾道を躱しきれず、ボールにぶつかりそのままゆっくりボールの中に吸い込まれていった。 「……………………………つ、捕まえたか?」 「いや、体力が余ってると外に出られることがあるから…………………」 それなら大丈夫だ。体力なら、もう既に削りきってある!! れいむを吸い込んでから地面で大きく揺れていたゆっくりボールは次第に動きが収まり、最終的には動かなくなった。 「たぶん、いやきっと成功よ」 「……ふ、ふ、ふ、ふ、いやっほおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 僕はその嬉しさのあまりあまり動かせない足を無理矢理動かして、ゆっくりボールを手に取り高く掲げた。 「ゆっくりれいむ!!!ゲットだぜ!!!」 一度入ってみたかったセリフだ。後悔はない。 余韻を十分堪能した後僕はゆっくりボールを目の前でまじまじと見つめ、捕まえたれいむの顔を見てみたいと思いボールをいじくり回す。 触っているうちにボールの真ん中にあるボタンを押してしまい、中かられいむが飛び出してきた。 「ぷーーーっ!やってらんないよ!」 「ふふ、ふふふふふふふ」 「な、なに!今度はにやけ顔とおにーさんさっきから気持ち悪いよ!」 「いやさ、さっきまでの反抗的だったお前がこうして僕の手中に入ることが」 「………………十二分にきもちわるい理由だったよ、やっぱすなおににげとけばよかったかなぁ」 そうやって嬉しく思っているとポケットに入れていたゆっくり図鑑が光を発していることに気付き、僕はゆっくり図鑑を取り出した。 __ _____ ______ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 ,'==─- -─==', i i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .|| !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i | L.',. ヽ _ン L」 ノ| .| | ||ヽ、 ,イ| ||イ| / レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ ゆっくり図鑑 NO.002 ゆっくりれいむ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~らくえんの すてきな まんじゅう。 その あいくるしいすがたで がいたの みんなを とりこにした。わきを みせびらかしている みこは にせものだ! がいたとかにせものとかがよく分からないがこれでゆっくり図鑑が一つ埋まり、旅の目標に一歩近づいたこととなった。 とりあえず頬ずりもしておきたいところだったが、れいむは果てしなくイヤ~~~~な顔をしているのでとりあえずボールに戻しておくとしよう。 「ええと、戻し方は」 「また同じボタン押して、出てきた光をゆっくりに当てるのよ」 「そうか、それじゃれいむ!戻れ!」 孫子に言われたとおりにボタンを押して僕はれいむをボールに戻そうとしたが、れいむはボールから出てきた光をさっと躱した。 「…………………………………」 「…………………………………」 狙いが悪かったのかなと僕は再びボタンを押すがれいむは側転をしてその光を躱す。完全な回避行動だ、コレ。 「戻れよ」 「そんなタバコ臭いところはもうゴメンだね!」 「タバコ臭い!?」 れいむの言葉を受けて僕はそのボールの臭いを嗅いでみると確かに煙草の臭いがむんむんと発せられている。 「そういえばうちに置きっぱなしのボールだったから……………」 「ぜっ~~~~~たいにもどりたくないよぉぉぉ!!!」 あの太々しい表情を絶やすことの無かったれいむが大声を上げて泣いている。 そういえば、橙子さんが『れいむとかさなえとかさくやとか用意したけど…………いつの間に逃げられた』と言っていたな。 もしかしたらこのれいむはその逃げ出したゆっくりの一つなのかもしれない。 「けど、どうしよう。ボールに戻せないんじゃ……」 「いや?別に問題無いわよ?私だってまりさをいつも外に出してるもん」 「そうだぜ!」 戻さなくてもいいんなら戻さなくてもいいだろう。いくら辛酸を舐めさせられたといっても無理矢理嫌なところに行かせるのは正直気が引ける。 それに僕だってあの煙草の臭いをかぎ続けるのは流石にイヤだ。 「ゆ~ゆっくりありがとね!おにーさん!イヤ礼を言うほどでもないかも」 「はは、僕の名前は相次瞬って言うんだ。お前は?」 「れいむはゆっくりれいむだよ!しゅんおにーさん、ゆっくりしていってね!!!」 れいむは僕の頭に載ってふんぞり返るが、今の僕にはそれが心地よい。 これが僕のパートナー、初めてのゆっくり。 「それじゃ、これで私たちはようやくスタートラインに立ち並んだと言う訳ね」 「孫子…………さん」 「ライバルだから孫子でいいんじゃない?せっかくだからバトルしたいけど、その様子じゃね」 れいむは疲労困憊、僕は満身創痍でバトルなんか出来る状況ではない。 そもそも僕はバトルの仕方さえも分からない。まだまだヒナになってもいない初心者だ。 「そんじゃ、私は先に行くから!また何処かであったらバトルしましょうね!!」 そう言って孫子は手を振ってまりさと共に路地を駆けていく。 そのまま見送るのもよかったが、僕は彼女に言いたいことがあって追いかけて呼び止めた。 「?」 「…………あの、その、ありがと」 ゆっくりボールを貸してくれなかったら僕はスタートラインに立つことが出来なかったかもしれない。 それに人を頼ることを、彼女は教えてくれた。 「ふふ、それじゃ最後に一つ忠告!ゆっくりバトルはゆっくりを信じ、ゆっくりに的確な指示を与えることが大事! 一人だけで頑張ってたって、何の意味もないからね!!それじゃ!!」 「ゆっくりバッハハーイ!だぜ」 そうして別れの言葉を言って、孫子の背中はどんどん小さくなっていった。 桜散るこの世界で、今はれいむと二人ぼっち。 目の前には道、廻りには頼るべきゆっくりがいる。 「さて、僕達も行くぞ!」 「ゆっくり頑張るね!!ちゃんとフォローもおねがいするよ!」 ここから始める大冒険、不思議なナマモノゆっくりと少年の旅はまだ始まったばかりだ!! 第一話 終わり 書いたかもしれない人 躁みょん(カリカリ)の人 卒業文集の将来なりたいものってやつ見返してみると黒歴史。あるあるw しかもなんでこんなのになりたかったのかと疑問に思うものばっかり -- 名無しさん (2012-06-30 18 44 39) 名前 コメント
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『ゆっくりならば』 9KB 親子喧嘩 野良ゆ ゲス 現代 ちょっとした息抜きに ・はじめに 胴付き ちゅっちゅ したい では、ゆっくりしていってね!!! 小五ロリあき 「おいくそにんげん!まりさたちにあまあまをよこすのぜ!!」 「ついでにじじいがすんでるおっきなおうちももらってあげるよ!ごうていでいいからね!!」 「しょしちゃりゃにんげんはどこかにいっちぇかっちぇにちぬんだじぇ!いいじゃまなんだじぇ!ゆっゆっゆ!!」 「・・・・・・ゆっくりしていってね」 「ゆあ~ん?なにいってるのぜ?おまえなんかにいわれるまでもないんだぜ!! いいからさっさとおいしいものよこすんだぜ!!ぜんしんぜんれいでまりささまたちをゆっくりさせるんだぜ!!」 「それともおはなしができないほどにおばかなの?ちえおくれなの?しぬの?」 「しょんなばきゃにはきゃわいいきゃわいいまりちゃのうんうんでもちゃべしゃしぇちぇやりゅよ!ちゅっきりー!」 「・・・なあ」 「ゆん?」 「お前等、誰?」 「ゆゆっ?やっぱりじじいはばかなのぜ!!まりさはまりさにきまってるのぜ!」 「れいむはれいむだよ!このまっかできゅーとなおりぼんがめにはいらないの?」 「まりちゃはまりちゃなんだじぇ!きゃわいいきゃわいいおちびちゃんなのじぇ!!」 「・・・違うよ。お前達はまりさでも、れいむでも、ましてやゆっくりでもないよ」 「ゆっ・・・ふざけるんじゃないぜ!へんなこというんじゃないのぜ!!」 「れいむたちほどりっぱなゆっくりはそういないよ!どうどうとしててごめんね!!」 「だって、まずゆっくりしてるまともなゆっくりは何かを欲しがるような事はしない。 今の自分達に満足してるんだから家なんて欲しがらないし、美味しいごはんだって必要無いはずだ」 「なにいってるのぜ?おうちやごはんがないとゆっくりできないんだぜ?ゆっくりしないでりかいするのぜ!」 「・・・ゆっくりできない?じゃあ、それを欲しがってる今のお前たちはゆっくりしてないって事になるよな。 ゆっくりしてないゆっくりはゆっくりっていえるのか?ゆっくりしてないくせに自分をゆっくりって言うの、おかしくないか? もしもそうなら、お前等は嘘吐きのロクデナシって事になるよな。嘘吐きってのは居るだけではゆっくりできないよな?」 「ゆゆっ!?じゃ、じゃあそういうおまえらはどうなのぜ!にんげんはぜんぜんゆっくりしてないのぜ!!」 「人間全部がどうかは知らないけど、少なくとも俺は今ゆっくりしてるよ。欲しいものも特にないし。 第一さ、ゆっくりしてるかどうかなんてお前等が勝手に見て決めてるだけだろ? 多分この国の大多数の人はお前達よりゆっくりしてると思うけど。人に家や食料たかるなんて事しないし」 「ゆぐぐぐぐ・・・じゃあれいむたちだってゆっくりしてるよ!おまえがわかってないだけだよ!!」 「じゃあってなんだよ。第一それならお前らがよこせって言ってきた物、全部必要ないだろ。 欲しくもないもの何で欲しいなんて言ったの?ゆっくりはゆっくりしてりゃ他に何にも要らないんじゃなかったのか? 要りもしない物手に入れて何の意味があるんだ?お前ら馬鹿なのか?嘘吐きの上にどうしようもない能無しなのか?」 「いいきゃりゃっしゃっしゃちょゆっくちしゃしぇりょ!きょのぐじゅ!!!」 「ほら、それも違う。そもそもゆっくりはそんな汚い言葉は使わない。 ゆっくりしてて心に余裕がある本当のゆっくりなら、もっと愛嬌のある話し方をするはずだ。 チビでなくたって普通なら他人を見下すような態度も失礼な言葉遣いもしないだろうしな。 そんな不快な話し方で誰かをゆっくりさせないような事はしない。やっぱりお前たちゆっくりじゃないだろ?」 「ゆがぁぁぁ!!おちびちゃんもまりささまたちもきたなくなんかないのぜ!! とってもかわいくてかっこよくてだれよりもゆっくりしてるのぜ!!」 「なら、そのかわいいかわいいおちびちゃんとやらの言葉がお前に向いたとしたらどうする? 『はやくあまあまよこせ!このぐずおや!!やくたたず!!』 『かわいいかわいいおちびちゃんのまりさをゆっくりさせることもできないなんていきてるかちないね。しんでいいよ!』ってな。 さあ、想像してみろ」 「・・・・・・」 「どうだ?」 「ゆゆっ?にゃにきょちじろじろみちぇりゅんだじぇ? ぐじゅぐじゅしちぇりゅひまがあっちゃりゃはやきゅしょこのじじいをやっちゅけりゅんだじぇ! まっちゃくのりょまにゃおやをもちゅとくりょうしゅりゅにぇ!はやくちろ!きょにょばきゃおや!!」 「・・・!!」 「ほら、どうした。お前らのかわいいおちびちゃんはゆっくりしてるんだろ? そんなに青筋立てずに、ちょっと生意気な発言なんか軽く笑い飛ばせよ。顔が引き攣ってるぞ。 言っておくけど、そこのチビはお前らの話し方やら性格やら生き様を真似してそう育ったんだ。 そいつを怒るってことは自分たちがゆっくりしてないって認めるようなもんだからな」 「ゆっ、ゆぐぐぐぐ・・・!」 「にゃにしちぇりゅんだじぇ!はやきゅちろぼけにゃしゅ!! あにょじじいをしぇいっしゃいっしゅればいいだけにゃんだじぇ!かんちゃんにゃのじぇ! しょんにゃこちょもできにゃいにゃらいっしょちんだほうがまちなんだじぇ、こにょにょうにゃしども!」 「「・・・っ!!」」 「おまえみたいになんにもしないがきにいわれたくないんだぜ!!このちびげすぅぅぅ!!」 「おやをうやまうきもちもないくせにいっぱしのくちきかないでね!ぶちころすよこのおんしらず!!」 「「・・・はっ!!?」」 「あーあ、言っちゃった。」 「ゆんぎぃぃぃぃ!!にゃんでまりしゃしゃまにたてちゅくんだじぇぇぇぇ!!? まりしゃはにゃんにもおかちいこちょいっちぇにゃいのじぇ!ふじゃけりゅにゃぁぁぁ!!」 「ち、ちがうのぜ!いまのは」 「いやいや、言うに事欠いてチビゲスとはな。元はといえば誰がそんな風に教育したのやら」 「れいむたちのこそだてはかんっぺきだったよ!へんなこと」 「その完璧な子育ての結果が『ぶちころす』か。 俺が知らない間に随分とゆっくりの子育てって奴は無茶苦茶になったんだな。 あ、違うか。ゆっくりの子育ては普通なんだ。単に、お前達がゆっくりもどきのゲスだってだけで」 「な、な、なにを!」 「第一さあ。ゆっくりは、ゆっくりって名乗るからには誰からみてもゆっくりしてなきゃいけないんじゃないのか? なら少なくとも、こうやって自分の子供に煽られて明らかにキレかけてる奴なんか絶対ゆっくりじゃないよな。 ・・・なあ、もう一回聞かせてもらうな。 『まともにゆっくりとして当たり前の挨拶をする余裕もない』お前等は、誰だ?」 「・・・で、でいぶたちは・・・でいぶたちは・・・でいぶだぢはぁ・・・・・・」 「あーやっぱもう言わなくていい言わなくていい。 俺はゆっくりじゃないゲスの事なんて何も知らないから、お前らの事には一切口出さないし。 まあこれからどう生きてくかも好きにしてくれ。そのぶち殺したい程憎いチビを本当に潰すも良し。潰さないも良し。 それぞれ別れて生きるのも、今までどおり仲良く暮らしてくのも自由だ。ま、どうしたってお前らがゆっくりじゃないのには変わりないけどな」 「・・・ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ!」 「れいむはげすじゃない・・・こそだてがうまくて、おうたもじょうずで、きれいでかわいい・・・ゆっくりぃ・・・」 「じゃあ、俺はこれで。 あ、そうそう。俺はゆっくりしたいし、ゆっくりの欠片もないゲスには関わりたくないからおうち云々は諦めてくれ。じゃあな」 ・ ・ ・ 『ゆゆっ!?くしょじじいがにげりゅよ! にゃにぼしゃっちょしちぇりゅのじぇ!はやきゅおいかけりゅのじぇ!のりょまども!! まりちゃちゃまにいわれにゃいちょにゃんにもできにゃいにょじぇ?くじゅはくじゅらちく『くずはおばえだぁぁぁぁ!!』ぎゅびぇ!?』 『・・・にゃ・・・にゃにしゅりゅのじぇぇぇぇ!!? こんにゃこちょまりしゃしゃまにしちぇただでしゅむちょおもっちぇりゅのじぇ、このげしゅ『だばれ!!』ぎゅぅ゛っ!!』 『おまえがっ!』 『ゆぎぃ!』 『そんなげすの!』 『いぢゃっ、い゛ぎぃ!!』 『のうなしの!』 『やっ、やべぢぇっ!』 『やくたたずのせいで!』 『ご、ごべっ!ごべぢゃぃ゛ぃ゛っ!』 『でいぶは・・・』 『あやばりまぢゅがらゆり゛ゅい゛っぢゃぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』 『でいぶは・・・』 『ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ・・・』 『でいぶはゆっぐりもどぎでもげずでもないんだよぉぉぉぉ!! ゆっぐりなんだよぉぉぉぉ!!ゆっぐりじでるんだよぉぉぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!』 『い゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!ぼっぢょゆっぐりぃ゛ぃ゛っ!!・・・・・・』 『ぜぇっ、はぁっ、ぜぇっ・・・ぜぇ・・・・・・』 『・・・・・・れいむぅ・・・』 『・・・ゆぐっ・・・ゆっぐ・・・』 『れいむはわるくないんだぜ。 あのおちびがただのできそこないだっただけだったんだぜ。だから・・・』 『・・・ゆひっ』 『れ・・・いむ・・・・・・?』 『ゆひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!』 『ゆゆっ!!?』 『そうだよぉ?れいむはとぉってもうつくしいんだよぉ~? それにかんっぺきっでゆっくりしたゆっくりのなかのゆっくりなんだよぉ~!!』 『れいむ・・・』 『だからこそだてだってかんっぺきっにこなせるんだよぉ~。 きちゃないことばでおはなしするちびなんていないんだよぉ~!』 『れ゛いむ・・・!』 『わかったらにんげんどもはれいむをゆっくりさせてねぇ? のらゆっくりもかいゆっくりもみ~んなれいむのしもべになってねぇ? だぁってれいむはゆっくりのなかのゆっくりなんだもの。それくらいはあたりまえでしょぉ~?ゆけけけけ!!』 『でい゛ぶぅ・・・!!』 『ゆけっ!おちびちゃんは!でいぶの、ゆけっ!かちこいおちびちゃんはぁ! でぇ~いぶはおが~ぢゃんでゆぅ~っぐりなぁんだよぉ~~!!! ゆげっ!ゆげげげげげっ!ゆげギャギャげぎゅぎょぎゃげげっぎゃげぎゃばばばばばばばbbbbbb』 『ゆっぐりずるんだぜぇ・・・。おねがいだがらゆっぐりずるんだぜぇ・・・。でいぶぅ・・・・・・』 ・ ・ ・ 「やれやれ・・・ちょっと煽っただけであのザマか。 あーアホらし。やっぱ時間の無駄だったわ。 ・・・にしても、ほんと名前負けしてるよなあ」 『ゆげげげ○※☆×;^#¥⊿?%&~!!!』 『どぼじでぇ・・・!どぼじでごん゛な゛ごどにぃ・・・!!』 「ゆっくりってんなら何言われても気にせずゆっくりしてりゃいいのに。 そりゃ、あれじゃどうやってもゆっくりできんわ」 ・あとがき はいはい、テンプレテンプレ。 と、言う事で地の文無しにチャレンジして見ました。セリフだけで誰が誰だかわかるかな? 所詮はネタが思い浮かばない時の苦し紛れなので、気楽に見てもらえるとありがたいです。 では、最後までご覧いただき、ありがとうございました!!
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二匹のゆっくりが、だいぶ山奥の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを云いながら、あるいておりました。 「このやまはゆっくりできないね。ちょうちょもありさんも、ぜんぜんいないね。」 「はやくつかまえてゆっくりしたいね。ゆっくりしようね。」 それはだいぶの山奥でした。案内してきた専門の鴉天狗も、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの山奥でした。 「ゆっくり寒くなってきたね。」 「ゆぅ、ゆっくりもどろうね。」 ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。 風がどうと吹いてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。 「お゙な゙がずい゙だよ゙ぉぉ。な゙に゙がだべだい゙よ゙ぉ。」 「れいむ、やまを下りたらお花をいっぱい食べようね。」 「あ゙る゙ぎだぐな゙い゙よ゙。何がだべだい゙よ゙ぉ。」 「ゆぅ、まりさも何か食べたいんだよ」 二匹のゆっくりは、ざわざわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。 その時ふとうしろを見ますと、立派な一軒の西洋造りの家がありました。 そして玄関には RESTAURANT 西洋料理店 SLOWLY HOUSE 低速亭 という札がでていました。 「れいむ、おうちだよ」 「れいむたちが見つけたんだかられいむたちのおうちだよ」 「ゆ!いいにおいがするよ」 「たべもののにおいだよ、ゆっくりしようね!!!」 二匹は玄関に立ちました。玄関は白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。 そして硝子の開き戸がたって、そこに金文字でこう書いてありました。 「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」 二匹は字が読めないので中に入りました。 「あたたかいね、ゆっくりできるよ」 「うん、あたたかいね。もっと奥があるよ」 「いってみよう」 そこには扉が一つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には長い柄のついたブラシが置いてあったのです。 扉には赤い字で、 「お客さまがた、ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください。」 と書いてありました。 「ゆ、れいむがむこうにもいるよ」 「それはカガミっていうんだよ。とかいはのゆっくりアリスがもってたよ」 二匹は字が読めないので、そのまま扉をがたんと開けて、次の室へ入って行きました。 早く何か暖いものでもたべて、元気をつけて置かないと、ゆっくりできなくなってしまうと、二匹とも思ったのでした。 扉の内側に、また変なことが書いてありました。 「鉄砲と弾丸をここへ置いてください。」 見るとすぐ横に黒い台がありました。 「ゆ、また扉があるよ」 「ゆっくり開けてね」 二匹は字が読めないので中に入ると、また黒い扉がありました。 「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい。」 しかし二匹は字が読めないので気にせず中に入りました。 扉の裏側には、 「ネクタイピン、カフスボタン、眼鏡、財布、その他金物類、 ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」 と書いてあり。扉のすぐ横には黒塗りの立派な金庫も、ちゃんと口を開けて置いてありました。鍵まで添えてあったのです。が。 二匹は気づかずにそのまま飛び跳ねていきました。 「おっきなおうちだね」 「これだけおっきいといっぱいゆっくりできるね」 すこし行きますとまた扉があって、その前に硝子の壺(つぼ)が一つありました。扉にはこう書いてありました。 「壺のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」 みるとたしかに壺のなかのものは牛乳のクリームでした。 「うっめ、これめっちゃうっめ」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 それから大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、 「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」 と書いてあって、ちいさなクリームの壺がここにも置いてありました。 「ゆー、おいしくてゆっくりできるね!!!」 「きっと、おくにはもっとゆっくりできるものがあるよ!!!」 するとすぐその前に次の戸がありました。 「料理はもうすぐできます。 十五分とお待たせはいたしません。 すぐたべられます。 早くあなたの頭に瓶の中の香水をよく振りかけてください。」 そして戸の前には金ピカの香水の瓶が置いてありました。 二人はその香水を、頭へぱちゃぱちゃ振りかけました。 ところがその香水は、どうも酢のような匂いがするのでした。 「すっぺ、これめっちゃすっぺ」 「すっぱいけどおいしい!!ふしぎ!!」 二人は扉をあけて中にはいりました。 扉の裏側には、大きな字で斯う書いてありました。 「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。 もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさん よくもみ込んでください。」 なるほど立派な青い瀬戸の塩壺は置いてありましたが。 「おしおはたべれないね」 「のどがかわいてゆっくりできなくなるね」 奥の方にはまだ一枚扉があって、大きなかぎ穴が二つつき、銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、 「いや、わざわざご苦労です。大へん結構にできました。さあさあおなかにおはいりください。」 と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉がこっちをのぞいています。 二人は扉をあけて中にはいりました。 ばたん ゆっくりたちの入ってきた扉が勢いよく閉まり、ゆっくりたちが何をしても開きません。 ゆっくりたちの目の前に、胸の平らなメイド服の女の人が立っていました。 「おねえさん、ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ゆっくりできないならでていってね!!!」 女の人はゆっくりたちを掴むと、さらに奥の部屋へと進んでいきました 「「いたいよ!!やめてよ!!ゆっくり放してね!!!」」 女の人は部屋の中にゆっくりを投げ入れると、外から鍵を閉めました。 「いたいよ!!ゆっくりやめてね!!」 「まりさ、ここはゆっくりできそうだよ!!」 部屋にはふかふかなベッドを始め、高級そうな調度品が並んでいました。 二匹はベッドに飛び乗り、ポンポン飛び跳ねます。 「ゆっくりできるね♪おねえさんはゆっくりおいしいものをもってきてね♪」 「ここがまりさたちの新しいおうちだよ♪ゆっくりしていってね♪」 「うっう~♪」 _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_-''" `> !!!!!!!!!!!!! <ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ :__ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、:_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7´ .. .、ン、: rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/≧- -─==', i :r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! Σiヾ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | :!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' i (◯), 、(◯) | .|、i .|| :`! !/レi' (◯), 、(◯)Σ'i !て ,rェェェ、 ". 「 !ノ i | :,' ノ !'" ,rェェェ、 "' i .レ',.く |,r-r-| . L」 ノ| | : ( ,ハ |,r-r-| 人! :||ヽ、 `ニニ´ . ,イ| ||イ| / :,.ヘ,)、 )>,、_`ニニ´_,.イΣハ ル` ー--─ ´ルレ レ´: このSSに感想を付ける
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注意書き 虐待お兄さんが行方不明になります ゆっくりが普通のゆっくりとは違います 以上 日が沈みかけ、薄暗くなってきた山の中にゆっくり達の悲鳴が木霊していた。 「もうやだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!だずげでえええええええええええええええええええええ!!!!」 「おねがいだがらもうやべでくだざいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 叫び声をあげるゆっくり達の中には一人の男が居た。 麓の村に住んでいた男だが、男は己のことを『虐待お兄さん』と名乗っていた。 趣味はゆっくりを虐待し、殺すこと。 だから男は今この上ない幸福を感じていた。 何故なら、ゆっくりを己の手で痛めつけて殺しているからだ。 無様に喚き、悲鳴を上げ、何もできずに死んでいくゆっくりが男は好きだった。 正確には、ゆっくりを殺す事が男は好きだった。 右腕で殴り、左腕で投げ、右足で踏み、左足で蹴る。 己の四肢を振るうだけでゆっくりは死んでいく。そんなにもゆっくりは脆かった。 中にはもちろん抵抗するゆっくりも居たが、人間に敵うわけがなく男に殺されていった。 「おちびちゃんたちはいそいで逃げてね!! まりさが囮になるからね!!」 「まりさごめんね…… 急いで口の中に入ってね!! ゆっくりしないで逃げるよ!!」 「みゃみゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 家族を逃すため囮になろうとしたまりさは掴まれ、逃げようとしたれいむにぶつけられた。 口の中に居た子ゆっくりは潰れ、親のまりさとれいむももう動かなかった。 「人間なんかれいむ達の敵じゃないよ!!!! ゆっくり死んでね!!!!!」 「「「「「「「ゆっくりしんでね!!!!」」」」」」」 仲間と一緒に体当たりを仕掛けてきたゆっくりは、一匹残らず殺された。 ただ潰されたゆっくりは幸せだっただろう。数匹のゆっくりは底面の皮を破くだけで男は済ました。 動けば中身がこぼれて死ぬ。動かなくても徐々に中身がこぼれていって死んでしまう。 迫り来る死という恐怖に泣き叫ぶゆっくりの姿は相変わらず滑稽で、男の顔は笑っていた。 普通の人間であるならば、これだけの悲鳴を聞いていれば発狂するだろう。 しかし、男は『虐待お兄さん』である。今この場で感じているのは愉悦だけだ。 逃げるゆっくりも立ち向かうゆっくりも、どんどん男に殺されていく。 そして、最後に残った一匹のゆっくり。成体のゆっくりれいむが震えていた。 逃げようとしても、立ち向かっても男に殺されるのはもう分かりきっているのだろう。 どんな風に虐待しようか『虐待お兄さん』の男が考えていると、ある事を思いついた。 やわらかいゆっくりの体を持ち上げて、両手でゆっくりの頭頂部を男は掴む。 「な、なにするの!! ゆっくり離してね!!」 喚くゆっくりを無視して男は手に力を込め、真っ二つに引き千切ろうとした。 「おにいざんやべでね!! 痛いからはなじでね!!」 男がゆっくりの願いなど叶えてやるわけがなく、弾力のある皮はどんどん伸びていく。 「やだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! じにだぐないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 そんな風に叫びながら、れいむは千切られた。 男の手にはちょうど半分に分かれたれいむがあり、片方は投げ捨てもう一つは持ち帰る事にした。家へ帰ってから食べるつもりである。 周囲を見渡してもゆっくりはもういないようなので、男は山を降りる事にした。 ゆっくりを追いかけてどんどん奥まできてしまい、帰るのが面倒だと男は思った。 男が去ってから少し経つと、一匹のゆっくりの残骸が震え始めた。 いや、一匹だけではない。見ればどのゆっくりの残骸も震えていた。 やがて一匹のまりさの残骸から腕が生え出して、徐々に元の丸い形に戻り始めた。 何秒も待たずにまりさは元の姿に戻り、辺りを見回してから息を吐いた。 「さて、今日もお疲れ様なんだぜ」 「お疲れ〜」 「一人だけだったね」 「でもこんなことよくやるよ」 「他の人間さんは忙しそうなのにねぇ」 まりさの声に反応して元の姿に戻ったゆっくり達は好き勝手に話を始めたが、男に残骸を撒き散らされてしまったゆっくりはまだ戻れていなかった。 「じゃ、いつもみたく先に元の姿に戻れたやつはまだ戻れてない奴の手助けをしてほしいんだぜ。戻れてない奴はどんどん助けを近くの奴に求めるんだぜ」 手を叩きながらまりさは指示を飛ばす。どのゆっくりも文句の一つも言わず指示通り動き始めた。 「あと数合わせで分裂した奴もちゃんと元に戻すんだぜ」 「しょうだよ!! もどらなかったらみんなこんな風に自我をもっちゃうよ!!」 まりさの言葉に続くように一匹の小さなれいむがまりさの隣でふよふよ浮きながら言った。 「お前さんも手伝ってくるんだぜ」 「みゅ〜… 面倒だよぉ…」 「そんな事は通用しないんだぜ」 「わかってりゅよ!!」 小さなれいむはふよふよと飛んでいく。その姿を見送ってからまりさもふよふよ浮き始める。 元の姿に戻ろうとしている仲間の残骸を集める作業に入るのだ。 残骸を集めるのは実に大変である。 ある程度の距離ならば勝手に残骸と残骸が勝手にくっ付いて元の姿に戻ろうとするのだが、撒き散らされてしまってはくっ付くことはできない。 放っておいても一番多く集まった残骸が中途半端に復元され、時間を置けば徐々に修復される。 しかし、この群れはもうあの『虐待お兄さん』に潰されてしまった群れなのだ。 それなのにこの場に留まっていてしまっては、流石に人間にだって怪しまれてしまう。 ゆっくりはあくまで『愚鈍で馬鹿で意地汚い動く饅頭』でなければならない。この秘密を人間に知られない為にも、今は一刻も早くこの山から離れなければならないのだ。 「困りました……」 まりさが仲間の残骸を集めていると、半分だけのれいむが俯いて浮いていた。 『虐待お兄さん』に最後真っ二つにされ、片方を持っていかれてしまったれいむだ。 「まあ、お前さんは仕方ないんだぜ。どうせ少ししたら元に戻れんだから人間に見られないように移動するしかないんだぜ」 食べられたりすれば適当に復活できるゆっくりではあるが、流石に中途半端に食べられてはそれも無理である。 このれいむは自然に修復されるまで待つしかないのだろう。 だが、れいむの返事は違った。 「いえ、別に元の姿に戻れないの事で困ってるんじゃないんです」 「? どういうことなんだぜ?」 「実は……」 山を順調に下っていた男は一つの違和感に気づいた。 最初は気のせいだと思っていたのだが、どうやら気のせいではないらしい。 右手に持っていたゆっくりれいむの半身がもぞもぞ動き出していたのだ。 不思議に思いながらゆっくりを顔の前まで持ってくると、断面から餡子がこぼれなくなっていた。 断面の方を見てみると餡子がこぼれない理由が分かった。餡子が消えていたのだ。 ゆっくりの中身である筈の餡子は見事に無くなり、断面には何もない空間が広がっていた。。 最初は餡子がこぼれて皮だけになったと思ったのだが、どうやら違うようである。 男が手を突っ込んでみると、男の腕はそのまま入ってしまったからだ。 いくら成体のゆっくりとは半分に切り取ったゆっくりの体はそこまで大きくない。 恐る恐る男は己の顔をゆっくりの断面に入れてみる。すると、男はゆっくりの中に吸い込まれていくのが分かった。 慌てて顔を皮から出そうにも既に手遅れで、男は顔から下も全て吸いこまれてしまった。 後には何も残らず、残ったゆっくりの皮はふよふよ浮いて男が下っていた山道を再び登り始めた。 「つまり、引き千切られた半分の方も復活してしまいどうやらあの男を飲み込んでしまったみたいなんです……」 「はぁ……」 れいむの説明を聞いていたまりさは溜息を吐いた。 今の話はおそらく本当の事で、間違いなく先ほどの『虐待お兄さん』は吸い込まれてしまったのだろう。 「全く、運の悪い人間さんだぜ……」 そう言いながらまりさは頭の裏を掻く。 人がいなくなったと分かれば人間は間違いなく山狩りをするだろう、そう考えてまりさは再び指示を出す。。 「れいむの半身がこっちに来たら出発するんだぜ。その前に各自修復するんだぜ!!」 ゆっくり達は再び作業を再開する。 今優先することは急いでこの場を離れ移動することだ。下手したら人間に見つかってまた潰されるかもしれないからだ。 流石に二日連続で潰されるのは嫌だからか、修復速度もどんどん上がってきている。 まりさも仲間の残骸を集め始めてから、再び溜息を吐いた。 「人間さんがゆっくりって名付けた癖に、ゆっくりがゆっくりできる日は来るのかだぜ……」 ま、ここじゃ無理かとまりさは思った。 終 by大貫さん ↓は後書きと感想フォームへの返事です。読みたくない方はこのまま戻ってください こんな駄文を最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!! 本当は膿と膿以降人間を酷い目にあわす話は書くつもりはありませんでした。 ただ、あるれいむのAAを見て (これ、誰か吸い込まれたら面白そうだなぁ…)って思ったので書いてみました。 感想フォームに感想下さった方、本当にありがとうございます。 (名無しさん) 2008-11-10 15 16 03 後書きに対してのご忠告、本当にありがとうございます。 自分が作者様をおちょくるつもりはありませんでした。ただ、一言断っておいた方がいいかも…… と思っただけなのです。 本当にすいませんでした。 (名無しさん) 2008-11-19 13 43 03 読んで下さりありがとうございます。 タイトルを見れば分かるように、ゆっくりの中の膿と人間の中の膿を比較するために書いた作品です。 ですが、この作中に出てきた虐待お兄さんも他の人が書かれれば立派殺される事もなかったと思います。 (名無しさん) 2008-12-05 17 30 26 確かに原作の靈夢と魔理沙ならばふぅ〜んとかへぇ〜で済ましそうですね…… 反省です。 本当は最初は霖之助の視点で書くつもりだったんですが、霖之助というキャラは本当に扱い難いキャラだったので諦めさせてもらいました。申し訳ありません。 あと、最後に色々書いてくださいと言ってくださり本当にありがとうございます。 虐待スレという場で、ぬるいじめでも良いと言ってくださり本当に嬉しかったです。ありがとうございます。 最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。お目汚し失礼!! 書いた作品一覧 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち ゆっくりいじめ系611 どこで何が狂い出したのか… ゆっくりいじめ系628 鳩と餌と糞 ゆっくりいじめ系793 誰かがやらねばいけないこと ゆっくりいじめ系823 保護場 ゆっくりいじめ系843 ゆっくり飼ってます2 ゆっくりいじめ系900 膿と膿 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 森近霖之助×ゆっくり系1 代価 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス ゆっくりいじめ小ネタ146 生まれ変わり ゆっくりいじめ小ネタ251 飼われているゆっくり 野良のゆっくり
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「逃がすなー!追えー!」 「どうせ死なんのだから多少傷つけても構わん、必ず捕まえろ!」 「ゆ、ゆっくりにげるよ!」 真夜中の竹林を走る三人の男が追う先で必死に跳ねているのは白い髪に赤いリボンをつけたゆっくりだ。 ゆっくりの名はゆっくりもこたん、竹林でのみ稀に姿を見かけるといわれる幻のゆっくりだ。 非常に死にづらく食べると寿命が3年延びるといわれているがその存在が確認されたことは未だなかった。 「希少な新種を捕まえれば俺たちもうだつのあがらないゆっくり捕獲班からもおさらばだぜ!」 「気を散らすな!囲みこむぞ!」 「了解です班長」 班長と呼ばれた男が一気に飛び出してゆっくりもこたんを抜かすと同時に残った二人が左右に分かれ 足の遅いゆっくりは一瞬にして逃げ場をふさがれた。 「ゆ!?ゆっくりどいてね!」 「今だ確保――」 三方向から男がゆっくりに掴み掛かっろうとしたその時 竹と竹の合間から飛んできた数十枚の御札がゆっくりを囲むように地面に突き刺さり火を噴いた。 「ゲェー!?なんだこれはー!?」 「熱っ!熱ぅ!?」 「くっ!?」 「あついよー!ゆっくりできないよー!」 炎に驚き、男達は慌てて後ろに飛びのいた。 「かわいい小動物を二人掛かりとかタッグとか二人組で襲い掛かるのは感心しないね」 背景に月を背負って竹林の間から白髪の少女が姿を現した。 「いや、俺達三人…」 「くっ、この御札を投げたのはお前か!?一体何のつもりで…」 「ちょっとそこの丸っこいのに用があってね」 「ゆ、ゆっくりあついよ!ゆっくりあついよ!」 そういって少女は炎に囲まれてあたふたしているゆっくりもこたんを指差した。 「て、てめぇ横取りする気か!」 「ま、そんなとこさ」 その一言で男達の顔が強張る。 「…どうしてもそいつを渡さない気なら少し荒っぽい手段でそいつをいただくとしようか」 「男三人相手にちょっと術が仕えるくらいで女子供が勝てると」 「試してみる?」 少女がパチン、と指を鳴らすとその背中から炎が、まるで不死鳥の羽のように噴出した。 「ゲェー!炎の羽だとー!?」 「まさかこいつ…最近人里で噂になっている妖怪退治をしてるっていう…」 『かわいいかわいいもこたん!?(寺小屋の先生談)』 「もこたん言うな!」 少女が声を張り上げるのに呼応して背中の炎も一気に燃え上がり周りの竹に飛び火して引火し辺りは真昼のように明るくなった。 「くっ、撤収だ」 「糞っ、覚えてやがれ!」 「あーわかったわかった、何か困ったことがあったら連絡するよ」 少女に背を向けて男達は口惜しそうにその場を後にした。 「さてと、それじゃこっちの用を済ませようか」 また少女がパチンと指を鳴らすと御札が崩れ落ち、そこから出ていた炎はろうそくの火を吹き消すかのように消えた。 炎に照らされていた竹林は再び月明かりにうっすらと照らされると 慌しかった竹林に再び静寂が戻った。 「たすけてくれてありがとうおねえさん!いっしょにゆっくりしようね!」 ゆっくりもこたんの甲高い声がその静寂を台無しにした。 「言われなくても蓬莱人ってのはゆっくりしているもんだよ 先は長いんだから焦ったって仕方ないからね」 「ほーらい?おねえさんゆっくりできるひとなんだね! いっぱいゆっくりしようね!」 「あ゛づい゛い゛い゛!だずげでよ゛お゛お゛お゛お!!」 「おー効いてる効いてる、そーれりざれくしょーん」 火をつけられて体中を爛れさせながらもがいているゆっくりに少女は里で仕入れた甘酒をかけた。 「ぱぴぃーぱぴぃーぱぴぃー…ど、どうしてこんなことずるのおおおおおおおおおお!!!」 甘酒をかけられると瞬く間にゆっくりの傷は治っていき、すぐに喋れる様になった。 「いやー、最近輝夜に負けっぱなしでさ だから死なない奴にはどういうのが一番効くのか調べようと思って それで、油の中泳がされてから火を付けられるのと竹槍敷き詰めたところ歩かされてるところに上から踏みつけられるのどっちがキツかった?」 「どっぢも゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 「もー、それじゃあ色々やった意味がないだろ じゃあこれから火をつけるか竹槍で刺されるのとどっちが嫌かだけ教えてよ」 「!?…あ、あづい゛のは゛い゛や゛あ゛あ゛ああ゛ああ゛あ!ゆ゛っぐりでぎな゛い゛い゛いいい゛!!!」 熱いのが嫌というゆっくりの言葉を聞いて少女はニヤリとした。 「やっぱりなー死ななくたって熱いのは嫌だよなー 『最近輝夜が火とか蓬莱人に効く訳無いわよ、もっと別の戦い方覚えたら?』 とか言うからさ、ちょっと自信なくしてたんだよね でも全然効いてるじゃない、やっぱりあいつヤセ我慢してたのね この前フェニックス無しで戦ってみたのが馬鹿みたいだよ これからは前にもまして炎使いまくって骨も残らないぐらい火責めにしてやる!」 「ゆ、ゆっくりよかったね!それじゃあもこたんはひとりでゆっくりしてくるね!」 よくわからないながらも物騒な話を聞かされながらも少女がある程度の成果を得たらしいことを察してそのままその場を立ち去ろうとした。 「あー駄目駄目、これから目玉に指突っ込んでそのまま眼底突き抜けて脳みそ抉られるのと頭のてっぺん砕いて脳みそかじられるのどっちがキツいか試してみるんだから」 そういって少女はゆっくりの頭をむんずと掴んだ。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!ゆ゛っぐりざぜで!!ゆ゛っぐりざぜでよ゛お゛お゛お゛!!!」 それから半日ほど経って、日が完全に昇りきったころ。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ…」 「あーあー、完全に何も喋れなくなっちゃった」 地獄のような拷問はあれから半日の間ずっと続いた。 ゆっくりもこたんが完全な不死ではないことをなんとなく悟った少女は、絶妙の手加減でゆっくりもこたんが完全に死ぬギリギリ手前で痛めつけ続けたのだ。 その結果、ゆっくりもこたんは完全に精神を崩壊させてしまっていた。 「そうだ、この前の三人組に聞いたらこれの直し方がわかるかも 増やし方とかもわかるかな、そしたらもっと色々試せるんだけど 今度あの三人のこと慧音に聞いてみるかな」 あんな仕打ちをしておいてケロッとして手を借りようとするこの手のひらの返しっぷり。 しかし彼女は決してちょっと前に武力行使で彼らを追い払ったことを忘れてしまったわけでは無い。 蓬莱人というのは元来過去のことは気にしない、膨大すぎて気にしていられないものなのだ。 少女はゆっくりもこたんを抱えると人里の方へと歩みを進めていった。
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ほとんどコピペです すいません 魔理沙、友達思いで行動力のあるリーダー、仲間のために自分が犠牲になることも。 魔理沙、ずる賢く自分が助かるためならどんな事でもする汚い性格。 霊夢、純真無垢で人を疑うことを知らない優しい子。 霊夢、群れて調子に乗る上に我が儘ですぐぐずるウザいまんじゅう。 お母さん霊夢、子供達を心の底から愛し、最後まで子供を守る優しいお母さん。 お母さん霊夢、自分が飢えると子供を食ってしまう般若に変身するお母さん。 アリス、とかいはを自称しプライドが高いが、ツンデレで面倒見もいい。 アリス、一考えてることの逆を言う習性があるようだ。 アリス、とかいはとかいはと無駄にプライドが高く、自分を他より特別な存在と思い込んでいる。 アリス、発情すると子供はおろか死体にまで性交を試みる色欲の塊。 パチュリー、病弱だが知識は他のゆっくりより高く、群れのブレーンを勤める。 パチュリー、病弱な振りをし同情を誘おうとする汚い性格。 パチュリー、チラシの類でも本と認識するらしい パチュリー、識字能力は他のゆっくりと大差は無い パチュリー、部屋に文字のある物があると、その部屋を自分のとしょかんと言い張って読みたがる。(体つきに主にみられる特徴) みょん、ちーんぽっ! ちぇん、わかるわかるよー ちぇん、虐待厨は死ね!に始まる罵詈雑言を浴びせかけてくる。 レミリア、うーうーとしか言えないおしゃまなお嬢様。希少種だが紅魔館付近には多く生息する。 レミリア、ぷでぃんぷでぃん煩く、困ると咲夜に助けを求める。自身を紅魔館の主と思い込んでいる。 フラン、残虐非道なハンター、獲物をなぶり殺す事を最大の快楽とする。 レティ、巨大で鈍重なハンター、素早く動く舌で器用に獲物を捕る。頬に獲物を溜める性質も。 幽々子、巨大だが俊敏なハンター、恐るべき速度で移動しながらゆっくりをむさぼり食う。 幽々子、俺の胃袋は、宇宙なんだよ… 幽々子、こぼねー ゆうか、綺麗な花が咲く所によく見られる。 のうかりん、田舎に住んでいる幽香の母親。時々収穫物を幽香に送る。 のうかりん、スレ住民にらっきょうを育てる方法を教えてくれる。 天子、ブロント様。 天子、ドM。 きめぇ丸、強いものには逆らわない、ゆっくり種が大嫌い。 きめぇ丸、突如首を高速で振動させるという奇癖を持っている。 美鈴、何かを守る習性を持つ他のゆっくりを思いやる優しいゆっくり。「じゃおおおん!」と鳴く。 美鈴、ずっと寝てばかりいる癖に報酬は要求する怠け者。 チルノ、お馬鹿だけど優しく花も育てたりするゆっくり。息は冷たく、ゆっくり程度なら凍らせられる。 チルノ、後先考えずに行動するから他の生き物に迷惑をかけるゆっくり。 神奈子、背中にオンバシラという飴を背負い、それを飛ばして攻撃する。 神奈子、しめ縄っぽいのはドーナッツ。うめぇ、めっちゃうめぇ! 諏訪湖、ゆっくりを食う帽子を被り、ゆっくりを食べさせたり自分が食べられたりしている。
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畑がうるさいので見に行くと畑に来る小動物用に仕掛けていた罠に子ゆっくりが4匹捕まっていた。 れいむ種とまりさ種だ。この二種類は里に近いところに住んでいるのでよく見かける。 子ゆっくりはどうやら畑の作物を食べようとしていたらしい。 「ゆゆっ!でぐちがどこにもないよ!」 「さっきまではあったのに!」 「ここじゃそのうちゆっくりできなくなるよ!」 「だれかたちゅけちぇね!」 先ほどの騒ぎ声は罠に嵌り出れなくなった子ゆっくりのものだったようだ。 一匹は赤ちゃんか、赤ちゃんに良いとこ見せようとしたんだな。 罠をがたがたと揺らして逃げようとする姿をじっと見るのもいいがそうもいかない。 「ゆゆっ!だれかきちゃよ!」 「おじちゃんたすけてね!」 「れいむちがうよ!けがふさふさだからおにーさんだよ!」 「ゆっ!そうだね!おにーさんたすけてね!」 誰が仕掛けたと思ってるんだ。無視して罠を交換する。 出してもらえると思った子ゆっくりは早く出してねと俺を急かしている。 どうやら運が良かったようだ。 「ゆゆっ?おにーさんどうしたの?はやくしてね!」 「たかいところはこわいよ!はやくおろしてね!」 「入ってるのがゆっくりだけで良かったな。」 前に仕掛けていた罠はゆっくりといのししが一緒に入っていた。 そのため俺が気づいたときにはいのししが食い散らかしていた。 今回は掃除しなくてすみそうである。 「おにーさん早くだしt・・・ゆべべべべ!」 「ゆっぐぢでぎないいいいいいいいい!」 「おね゙ええええぢゃあああああああん!」 「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙!」 うるさいので箱を揺する。箱の中で跳ね回る子ゆっくり達。 面白いので縁側まで揺すってしまった。 死んでは無いだろうが餡子を吐かれては困る。 家につく前に飛んでいたうーぱっくを呼び寄せ、この子達の親を呼んできてもらう。 その後、近くに置いていた新聞を手早く広げ、そこにゆっくりを慎重に出していく。 「ゆ~、みんなぐりゅぐりゅ~」 「れいむにげないでね!」 「まりさこそにげないでね!」 「きもちわりゅいいいいい!」 まだ、餡子を吐くほどではなかったか。 それでも目を回した状態のゆっくりは跳ねようとして転がったり見当違いの場所に進んだりしている。 一匹吐きそうだったので口を押さえて背中を撫でてやる。 「口から出さずに飲み込め。」 「ゆぐぐぐggggゴックン」 どうせ餡子を吐くんだから飲んでも問題ないだろうと思ったのだが、苦しいのは苦しいらしい。 飲み込んでる間に立ち直った他のゆっくりが苦しんでる子ゆっくりに近づいてくる。 それを待ってからゆっくりに話しかけた。 「何で捕まってたか分かるか?」 「わからないよ!ゆっくりおしえてね!」 「それは君達が取ろうとしてたのは俺が育ててた野菜だからだ。」 「ゆぅ・・・でもれいむたちおなかすいてたんだよ!」 「ちゃんと柵作ってたんだけど小さいからすり抜けれたんだな。」 「いもーとだっておなかすいてたんだよ!」 「ひとのものをとっちゃだめって言われなかったかい?」 思い当たる節があるのか口を噤むれいむ達。 それでも一匹のれいむは納得できないようで、 「ゆぅうう・・・まりさ!このおにーさんはゆっくりできないよ!」 「でもおかーさんはひとのものとっちゃだめっていってたよ!」 「そんなのわすれちゃったよ!まりさはゆっくりしたくないの!」 「ゆゆっ!ゆっくりしたいよ!」 「じゃあおにーさんをたおせばいいんだよ!」 「そうだね!みんなねきょうりょくすればかてるね!」 ある程度は予想していたがこうも簡単に説得されるとは。 子供だから自分達の力を過信してるんだろうね。 ここで説得できずに反省して変えられても困ったので素直に用意してた小石を手に掴む。 「ゆゆっ!おにーさんまりさたちとやるきだね!」 「けがしてもしらないよ!」 「おねーしゃんがんばっちぇね!」 臨戦態勢に入った子ゆっくりが膨らんで威嚇してくる。 そのまま体当たりをしてくるのを避けて赤ちゃんれいむの頭上に腕を動かす。 「ゆゆ!?あかちゃんはやめてね!」 「かわりにまりさたちとしょうぶしてね!」 「あかちゃんはやくこっちにきてね!」 だがもう遅い。俺は掴んでいた小石を赤ちゃんの上に落とす。 「ゆ゙べべべっ・・・」 悲鳴を言っていた赤ちゃんも小石に埋まって見えなくなってしまった。 「ぎゃあああれいむのいもうとがあああああ!」 「ゆ!まだたすかるよ!ゆっくりこいしをどけてね!」 赤ちゃんゆっくりに落とした小石は頭上すれすれからだったので餡子を出していない。 それに気づいたまりさはれいむ達に声をかけ小石を取り除き始める。 れいむたちも小石を取り除き始めたので静かになった。 俺はと言うと小石を回収している。まだ使うからな。 とうとう赤ちゃんゆっくりの顔が見えた。 光が来たときうれしそうだった顔はたちまち涙を溜め始める。 「ゆうううごわがっだよおおおおおお!」 「もうだいじょうぶだからね!」 「あかちゃんはそこでゆっくりしててね!」 そういって周りの石も取り除き始める子ゆっくり。 それからしばらくして全部の小石を取り去った。 「おにーさんあかちゃんにらんぼうしないでね!」 「そうだよ!あかちゃんがかわいそうだよ!」 「先に仕掛けたのはお前達じゃないか。」 「ゆぅぅぅぅ・・・やるならまりさたちでね!」 「そうだよ!あかちゃんをねらうなんてひきょうだよ!」 「じゃあまりさにやろう。」 「ゆっ?」 そう言って今度は小石をまりさに落とした。 量を増やしたので赤ちゃんのように全部埋まる。 今度はまりさを助ける版だ。文句もそこそこにまりさを掘り出していく。 「おー赤ちゃんもがんばってるね。」 「うるさいよ!おにーさんはやくまりさをたすけてね!」 「君達は俺より強いんだろ?それなのに俺に頼っちゃだめじゃないか。」 「ゆうううう!じゃあ静かにしててね!」 そんなやり取りを繰り返しながらまりさを掘り出す。 まりさを掘り出したら同じようにれいむも埋めてやった。 「ゆぅ・・・おもがっだあああああ!」 「おに゙いさんも゙うやめ゙でえええええ!」 これ以上やると餡子が漏れそうだから止めてやる。 動かない俺を見て、安心したのか赤ちゃんを護るように集まる子ゆっくり。 「おにーさんはそこでゆっくりしていってね!」 小石で汚れた体を新聞に体を擦り付けたり、舐めあったりして汚れを取る。 しかし、全員分やるのを待つと昼になってしまう。 「おい、これで体綺麗にしろよ。」 「ゆゆっ?」 子ゆっくりの前に置いてやったのはお湯の入った皿だ。 ゆっくりは体の性質上、水を嫌うように見えるが汚れを取るためむしろよく水に入る。 泳げないゆっくりは沈んで水を飲みすぎて溶けるが、外皮は水に濡れても大丈夫である。 もちろん子ゆっくりも水浴びは好きなので仲良く一緒に飛び込んだ。 「ゆっくりし・・・あづいいいいいいい!」 「ここじゃゆっくりでぎないいいいい!」 「ゆぅうういちゃいよおおおおお!」 「だいじょうぶだよ!しばらくしたらなおるからね!」 はいってゆっくりするつもりだった子ゆっくりは余りの熱さにゆっくり出来なかったようだ。 赤ちゃんゆっくりはそこが赤くはれて涙目だ。火傷ではないがしばらく痛いだろう。 子まりさがそこを舐めてあやしている。子れいむは痛がりながら皿の水を眺める。 「ゆゆ?どーしいてあついのおおおお!」 「まえはいったときにはつめたかったよ!」 「おしおき中にゆっくりできると思ってたのかい?」 「ゆぅぅ・・・おにーさんのせいだね!」 「その通り。どうだすごいだろう?」 「ゆゆゆゆ・・・」 自分達がよく入る水がゆっくり出来ないものに変えられたのを知った子ゆっくりは眉間を寄せながら俺を睨む。 しかし、どうやって水が熱くなったのか分からない子ゆっくりは俺の力だと思ってさっきまでの用に歯向かう気はないようだ。 なべに入れて火で熱しただけなんだけどね。 怯えを含みだした子ゆっくりにどうしてお仕置きされているのかをもう一度教える。 「どうだ?人のものをとっちゃダメって理解できたか?」 「わかったけどそれじゃゆっくりできないよ!」 「そーだよ!それにうめられてこわかったよ!」 「おみずもあつかったよ!あかちゃんがけがしちゃった!」 「ゆっくちしたいよ!」 どうやら理解はしたが納得できないようだ。 すこしやりすぎたか。まぁもう少しで親が来るだろう。 それまでもう少し遊んでやることにした。 「じゃじゃーん。」 「ゆ?」 取り出したのは孫の手。背中を掻くときに重宝する棒だ。 「へんなかたちー!」 「おにーさんのてみたいだね!」 「そんなのこわくないよ!」 「ゆっゆっ!」 見たこともない棒を持った俺の周りを跳ねて思ったことを口にする子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりはまだ底が痛いのかすこし這ったりしている。 まずは赤ちゃんゆっくりからだな。 俺は孫の手を赤ちゃんを潰さないように圧し付けた。 「ゆびゅ!」 「れいむのあかぢゃんがああああああ!」 赤ちゃんの叫び声に気づいたれいむが一番に赤ちゃんに近づく。遅れて他のれいむとまりさもれいむを追う。 「ゆぎゅぅ・・・」 「もうだいじょうぶだよ!すぐにとってあげるからね!」 「ゆぐぐぐ・・・おもいいいい!」 「あかちゃんのためにゆっくりがんばってね!」 赤ちゃんの上から孫の手をどけようと咥えたり押したりとがんばる子ゆっくり。 だが子ゆっくりぐらいの力ならなんとか耐えれる。 孫の手をすこし動かしてやると「ゆぎゅ!」とか「ゆびゅ!」とか音が出るので面白い。 「おにーさんもうやてね!このままじゃあかちゃんがしんじゃうよ!」 「いじわるしないでね!やめてあげてね!」 「じゃあ次はおまえな。」 「でじゃびゅ!」 小石のときのように別のゆっくりも押さえつけていく。 今度はこっちに向かって体当たりしてくるのでデコピンで打ち落とす。 そんなやりとりを繰り返してるとうーぱっくが帰ってきた。 「うー!うー!」 「ありがとう。これはお代だ。」 「うー☆」 連れてきてくれたお礼に野菜をいくつか入れてやる。 飛び立ったうーぱっくのあとに残ったのは親と思われるゆっくりまりさだ。 子ゆっくりに向かう親まりさ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「おどおおおちゃあああん!」 「ゆっぐりでぎながっだよおおおお!」 「ゆぅううううううう!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 いきなり現れた親ゆっくりに向かって跳ねていく子ゆっくり。 さんざん遊んであげたからみんな涙目で喜んでいる。 そして、感動の対面のように親ゆっくりに飛び込む子ゆっくりを親ゆっくりはよけた。 「ゆびゅ!」 親が受け止めてくれると信じてた子ゆっくりはそろって地面に顔を打ち付ける。 「どおしてにんげんのさとにいったの!」 「ゆゆゆ!だっておいしいものが・・・」 「ひとのものをとっちゃだめっていってるでしょ!おぼえてなかったの!」 「ゆゆっ!ちゃんとおぼえてたよ!」 「じゃあやっちゃだめでしょ!あかちゃんがまねしちゃったじゃない!」 「ゆぅ・・・」 おー、怒られてる怒られてる。 説教はしばらく続きそうだな。今のうちに昼ごはんを食べることにするか。 親ゆっくりの後ろで昼用に作ったおにぎりをほおばる。 子ゆっくりも気づいたのか、こちらを見て涎をだしてる。 親ゆっくりの説教もどこ吹く風だ。 「ゆっ!ちゃんときいてるの!」 「ゆゆ!ちゃんときいてるよ!」 親ゆっくりにあわてて反応してるのが面白い。 傍目からも聞いていないのが分かるぐらいにおにぎりを見つめている子ゆっくり達。 遊びつかれてお腹が空いているのだろう。 そんなことは知らない親ゆっくりは怒りゲージが上がりまくりだ。 俺が最後のおにぎりを食べ終わる頃には、 「どお゙じでぎがな゙い゙の゜おおおおおおお!」 「おがあしゃんごめんなさいいいいいい!」 と、泣きながら子ゆっくりに体当たりしだした。 子供よりも大きい親ゆっくりの体当たりは強烈だ。 子供達は吹き飛ばされながら必死に許しを請う。 泣きながら説教を始めた親ゆっくりの話を今度はちゃんと聞いているのだろう。 子ゆっくりは涙を目に浮かべながら顔を俯けていた。 お茶を飲み一服していると説教が親ゆっくりがやってきた。 「おにーさんまりさのこどもがわるさをしました。ごめんなさい!」 「こっちはすっきりできたからもういいよ。」 「ううん。だめだよ!ちゃんととったぶんはたらくよ!」 「そうか、じゃあ一緒に畑仕事をしてもらおうか!」 「ゆっくりがんばるよ!」 昼からはゆっくり家族ともに畑仕事だ。 といってもゆっくりではやることが限られるので、とりあえず雑草を抜いてもらった。 俺の説明を聞いた親ゆっくりの指導のもの雑草を食べていく子ゆっくり達。 さっきまで何も食べていなかったのでむしゃむしゃと雑草を食べていく。 たまに野菜に手を出そうとする子ゆっくりもいたが、すぐに親ゆっくりの体当たりを受けて雑草に戻っていった。 雑草をあらかた取ると次は水遣りだ。 井戸水を俺がくみ上げてやりゆっくりが水を口に含みたぷんたぷんと野菜まで運ぶ。 野菜の根元に水をかけてまた戻ってくるの繰り返し。 途中で子れいむ同士がどれだけ水を含めるか競争しだして片方が崩れかけたので日にたっぷり照らされた石の上に置いて乾かしてやる。 じゅううううとおいしいそうな音を立てながら乾くゆっくりを放置して次の野菜の収穫に向かう。 一通り見回り取れそうな野菜を確認すると鋏を入れていく。 取れた野菜はゆっくりが乗せている箱の中に。 虫食いなどを確認しながら手際よく進める。 しばらくすると、 「おにいさんおも゙ぃ・・・」 「ゆぎゅうう・・・」 箱にいっぱいになる前にゆっくりがつぶれてしまいそうになっていた。 重くなると畑の外にある箱に移すようにと言って作業を続ける。 井戸近くで「あづいいいいいいい!」と言う叫び声が聞こえたが無視だ。 しばらくすると転げまわったのか泥だらけになった子れいむ戻ってきた。 もう動いても大丈夫なようだ。 そんなこんなで畑作業を夕暮れまで続けた。 途中で虫を追いかけた赤ちゃんゆっくりが穴にはまったり、用水路で帽子を洗っていたまりさが帽子を流されたりしたので途中から手伝いとはいえなくなっていたがそれでもいないよりははかどった。 井戸水で体を洗っているゆっくり家族のうち親ゆっくりだけを呼び出す。 「今日は良くがんばったな。」 「ゆっくりがんばったよ!これでまりさのこどもたちゆるしてくれるよね!」 「あぁ。ついでにこれもやろう。」 「ゆゆっ!おにーさんいいの!?」 「あぁお前は何もしてないからな。その分のお礼だ。これで今から餌取りに行かなくていいだろう。」 「おにーさんありがとう!」 俺が渡したのは収穫のときに虫食いがあったりで売れないものだ。 人は食べないだろうがゆっくりなら食べる。 巣にもどってから見せるようにと帽子の中に隠してやる。 洗い終わった子ゆっくりがやってきて、 「おにーさんやさいとってごめんなさい!」 「もうしません!」 「つぎからはきをつけるね!」 「ちがうところでゆっくちするよ!」 そうやって俺に謝って帰っていった。 これでもう野菜はとらないだろう。今回のことは十分記憶に残ったはずだ。 こうやって人里に入った子ゆっくりに人の強さを覚えこませてきた結果ゆっくりは人里で物を取ることはなくなった。 かといってゆっくりが人里に下りてこないわけではなく、先ほどのように人を手伝ったりして食べ物を貰ったりしている。 人とゆっくりは今ではそれなりにゆっくりと生活している。 このSSに感想を付ける
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希少種 自分設定 「うにゅ」 これはゆっくりでも珍しい、うつほ種である。 地底から間欠泉に乗ってやって来たとか核融合で生まれたとか色々な逸話がある。 うにゅ、という鳴き声が特徴的だがそれ以外にも色々な特徴がある。それは後々… では、野生のゆっくりうつほの生態を見ていこう。 ここはゆっくり研究所内。ゆっくりうつほ研究用のブースだ。 なるべく外の世界での生活に近づけるように、巣となる穴のあいた箱を用意してある。中の様子はカメラで確認できる。 「うにゅ!ゆっくりもどってきたよっ!」 「ゆゆっ!おかえり!!」 中にいるのはゆっくりれいむ。このうつほのパートナーとしてあてがっている。 基本的にゆっくりうつほは喋り方や行動、知能がれいむやまりさに近いものがあるので、近くに置いておくだけですぐに仲良くなる。 「ゆっ!ごはんはどこなの?」 「にゅ…おぼえてないねー」 「なんどいったらわかるの!!」 「うにゅ~♪ゆっくりとってくるよっ!」 訂正しよう。ゆっくりうつほの知能、特に記憶力は他のゆっくりに比べても格段に低い。三歩歩けば忘れる、とはよく言ったものだ。 このうつほも例外ではなく、この光景を今朝から3回ほど繰り返している。 外のスペースには木や草が広がり、虫もいる。しっかりと管理されているので、通常ゆっくり達が食べ物に困ることはない。 しかし、うつほは能天気に外を跳ねまわっているようなので、監視室からスピーカーを通して呼びかける。 「うつほ、何を探しているんだい?」 「うにゅほ…わすれちゃった!」 こんな様子では2匹揃って餓死してしまうので、とりあえず餌を持たせてやることにする。 空からばらばらと降ってくる草や木の実。 それを口に含み、喜びながら巣へと帰っていくうつほ。先が思いやられる。 「むーしゃ…むーしゃ…しあわせー!!」 「ごはんおいしーよね!!」 食事が終わったようだ。 このタイミング見計らって、箱に取り付けた振動器で箱をガタガタと揺らす。 一見適当に揺れているように見えるが、ご存じのゆっくり達を発情させる振動である。 「ゆっゆっゆっ…」 「にゅっ…にゅっ…にゅっ…」 2匹の顔が赤らんで、徐々に目がトロンとしてくる。 「すっきりしよぉぉおぉ!!!」 「ふゅーじょんしましょっ!!」 お互いに発する台詞は別々だが、ゆっくり同士にはちゃんと伝わるらしい。 ゆっくりみょんの「ちーんぽ」を聞くだけでゆっくりならばそこから意味を見いだせるのと同じなのだろう。 うつほとれいむが肌をこすり合わせ、お互いの体をまさぐり合っている。 お互いの喘ぎ声が高まってくるにつれて、2匹の接点から粘液が分泌され始める。徐々にその粘液の分泌は全身に広がり… 「すっきりー!!」 「あづい!!あづい゛よ!ずっきりー!!!」 れいむがかなり熱がっている傍で、うつほは至福の表情を浮かべている。 れいむ頭からにょきにょきと茎が伸びてきた。にんっしんっ!したのだ。 うつほが幸せそうに茎を見上げる。 茎には赤ゆっくりとなる蕾ができはじめていた。 それから順調に赤ゆっくりは育っていった。 うつほには珍しく、お得意の物忘れがあまり発生しなくなっていた。 きっとやればできる子なのだろう。赤ちゃんを産むれいむのために頑張って餌集めをしていた。 日に日に大きくなる赤ちゃんへの期待もあったのだろう。 巣に戻ると茎になった赤ゆっくりを眺めて過ごすのがうつほの日課になっていた。 しかし、ある日うつほが巣に帰るとれいむが涙を流していた。 「にゅ?どーしたのれいむ?」 「あがぢゃんが!あがぢゃんがぁぁ!!」 茎に生った赤ゆっくりは、目こそ開いていなかったが姿かたちは分かる程度にまで成長していた。 しかし、その表面はただれたように赤くなり、見るからに皮がぶよぶよになってしまっている。 「にゅ~…あかちゃん、ゆっくりしていってね」 うつほがぺーろぺーろした瞬間にその異形の物体はポトリと地面に落ちて潰れた。 その他の赤ゆっくりも異常な様相を呈していた。 肌の表面が腫れぼったくなっており、目が開いているのかどうかすら分からない。 「ユ…ユ…ユ゛ッ!」 ぽとりと産まれおちた赤れいむは苦しそうにもがき、沈黙してしまった。 どうやらゆっくりうつほにはゆっくりを被曝させる能力を持っているらしい。 つまりは放射能駄々漏れ。実に危険である。 人間にも危害を与える可能性があるゆっくりうつほ。 もし上手くいけばゆっくり駆除ゆっくりとして活躍していただろう。 もちろん、彼女としてもそれは不幸な未来だったかもしれないが。 「れいむのおがおが…」 数日後、お相手のれいむの顔もただれてきた。 ぺろぺろを繰り返すうつほ。 それが一層症状を悪化させる。 「ゆ゛っ…もっとゆっくり…したかったよ」 「れいむぅぅぅぅぅ!!」 うつほは実験ブースにただ一匹取り残されてしまった。 人間にもゆっくりにも害になるゆっくり。 実験者はサラサラと何かを紙に書き留めた。そして部下に指示を出す。 ブース内に水が撒かれ始める。 「あめさんはゆっくりできないねっ…」 うつほは人からもゆっくりからも忌み嫌われる存在として、本当の孤独の中でそのゆん生の幕を閉じた。 このSSに感想をつける
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森から山から大量のゆっくり達をトラックに積める。 「おじさん!!どこにいくの!?」 「ここはくらいよ!!あくるくしてよ!!」 「まりさたちをゆっくりだしてね!!!」 トラックからはゆっくりたちの声が耐えない。 本当、近所迷惑この上無い。 俺はゆっくりを無視しトラックを走らせた。 「お、来たか」 暫くしてゆっくりを乗せたトラックは馬鹿でかい、しかし人通りは無いホテルに到着した。 「随分と早かったじゃないか。3時間も前だぞ?」 その男は随分と驚いていたようだ。 「ええ、準備の時間等を考えるとこのくらいが良いかと・・・悪いことをしたでしょうか・・・」 「いやむしろ好都合だよ。礼としてとっておきたまえ」 俺は封筒を渡される。中には随分と入っているようだ。 「あの・・・申し訳ありませんが、これはお返しします」 「何?」 「その代わり、私もこのイベント、ご一緒してもいいでしょうか?」 男はくすりと笑い、 「構わんよ。しかしその服装ではなんだ、ちゃんとした服を用意してあげるから来なさい、ゆっくり達は部下に運ばせよう」 「あ・・・ありがとうございます!」 俺はトラックから自分の荷物を下ろすと男についていった。 「遅くなりました、着慣れない服だったので・・・」 「ん、大丈夫だ、まだ開催まで時間はある。ゆっくりしていくといい」 見ると舞台の準備は既に終わっているようだ。周りの席にはいかにも富豪な御方がワイン片手に悠々としている。 「しかし・・・いいんですか。俺みたいなのが特等席だなんて・・・」 男はふふっと笑い、 「いや、君みたいなのだからこそ、だ。君はこの方々とはきっと話が合わないだろう、私なりの配慮だ」 「はぁ・・・ありがとうございます」 男なりの配慮。 確かに富豪の人と俺の生活はかけ離れているだろうし、会話の内容もかみ合わないに決まってる。 俺は素直に男の配慮が嬉しかった。 「よし、ではそろそろ始めようか・・・」 そう言うと男は立ち上がり、マイクを手に取る。 「えー皆様、本日は貴重な時間を割いて本会場へ御来場いただき、誠にありがとうございます。」 周りの人々は軽く会釈する。どうやらこの男、相当上の立場の人間のようだ。その後も暫く男の挨拶は続く。 「では、これよりゆっくり競馬を始めます」 その宣言を合図に俺の下の階、1階ホールの上に設けられた大きい台の上にゆっくりが投下されていく。 「ゆゆ!!?やっとあかるくなったよ!!!」 「ゆ!!!?おじさん、おばさんたちだぁれ?ゆっくりできる?」 「ここひろーい!!ここをれいむたちのおうちにしようよ!!」 「そうするー!ここならゆっくりできるね!!」 一気に会場が騒がしくなる。俺は顔をしかめるが、他の人は平然としている。前々から行っているためもう平気なのだろうか。 「えー、まずは聞けゆっくり達。お前達には今から少しお遊びをしてもらう。」 男がそう言うとゆっくり達は更にさわがしくなる。 「ゆ!?いまからあそぶの?」 「ゆっくりあそぼうね!!」 男は騒々しいゆっくりたちの声を軽く流して説明に入った。 「いいかよく聞けゆっくり達よ。今からお前達に向こうの台まで渡ってもらう。奥のゴールまで辿り着けば美味しいお菓子をやろう」 ゆっくり達の前には板があった。板といってもそれなりの強度はあるようだが。 「ゆゆぅ!!?おかし!まりさおかしたべたい!」 「れいむたちもたべたい!おじさんゆっくりたべさせてね!」 「ゅー♪」 ゆっくり達はお菓子という単語を聞いた途端全員が満面の笑みでこちらを見てきた。 目の前にある恐怖を知りもせずに。 「ほう、元気なゆっくり達だな。この板は1匹ずつしか渡れないくらいしか幅が無い。慎重にいくことだな。」 「「おかしおかしー♪」」 中の二匹は威勢よく橋を渡っていく。 「ゆ!?ずるいよ!おかしをひとりじめしようとしてもだめだからね!!」 それに伴い4,5匹も橋を渡る。 更にそれに伴って全てのゆっくりが橋をわたりそうだが、その前に事は起こった。 「ゅ”っ!!?」 先頭のゆっくりまりさが板から転落する。 「ゆぅっ!!?まりさ・・・!?」 その板から下までは20m。人間が落ちても打ち所が悪ければ重傷を負う可能性もある高さだ。 当然、饅頭であるゆっくりが落ちた先に待っている運命は――― ベチョッ 「まりざぁああぁああ!!!」 潰れるしかない。人間のように「打ち所が良ければ助かる」なんてことはない。ゆっくりは全てが急所なのだ。 そして潰れたまりさを見て他のゆっくりも泣き喚く。 「まりざあぁぁああ”あ”あ”!!!しんぢゃいやあぁあああ!!」 「なんでおぢだのぉおおぉおおぉぉぉ!!!!」 しかしその中の一匹が違う言葉で泣き喚いた。 「あんな”ふう”になりだぐない!!ここからもどるよ!!!!」 板に乗ってしまっていたゆっくりだった。一度渡った板からさっきまでいた所に戻ると言い出したのだ。 「ゆゆっ!!そうだね!おちなきゃいいんだもんね!!!!」 他の板を渡ったゆっくりも賛同して引き返そうとする。 しかし、ゆっくりは人間のように二本足があるわけではない。 ゆっくりの方向転換は最低でも自分の体のもう一つ分くらいのスペースが横に無いと成し得ない。 それを考えずに方向転換しようとしたゆっくりは、 「ゅっ!!!」 落下。 1匹を残して板を渡った他のゆっくりは、全て落下してしまった。 「どおじでもどれn」 「どおじでおぢd」 悲鳴は途中でかき消される。全て言う前に落ちて潰れてしまった。 「うひゃー、すごいですねこれ。やっぱりゆっくりって馬鹿ですね」 俺はこれほど愉快なことは無かった。 前々からゆっくりは気に入らない所があったし。 「なぁに、こんなのは序の口。これから更に面白くなるさ。」 板に残ったのは1匹だけ。その1匹は地に着いたまま方向転換するのではなく、一回飛んで半回転するという技を成し得た。 「ゆ!!これでゆっくりもどれるね!!」 なかなか頭がいいのかもしれん。このゆっくり。 そしてそのゆっくりはゆっくりと元いた場所へと戻った。 「おじさん!!!そんなところでみてないでさっさとたすけてね!」」 「そーだそーだ!おうちかえる!!」 「はやくおかしちょうだいね!!!」 台に残ったゆっくりたちはさまざまな文句を浴びせてくる。 しかし男は笑っている。嘲笑という笑いを。 「おいおい・・・、何故渡らない?後ろの恐怖に気が付かないのか・・・?」 「ゆっ・・・?」 「おい、カーテンを開けろ」 男がそう言うと係員の黒服がゆっくりたちの後ろにあるカーテンを開く。 そこには柵で遮られたゆっくりゃの大群が涎を垂らして待っていた。 「うー♪たーべちゃーうぞー♪」 「うびゃあぁあぁあああぁぁあ!!!おがああぁああざぁあああん!!!」 「その柵が開くのは今から25分後!あちら側に辿り着けばお前らをゆっくりゃから隔離してやる。渡り着いた者はお菓子を食べられる。渡らない者はゆっくりゃに食べられる。」 そして最後に男は力強く言い放つ。 「放たれよっ・・・・・・・・・!勇ましいゆっくりたちの道・・・・・・・・・!Brave men roadへ・・・・!」 男の一言はほとんど届かなかった。 ほとんどのゆっくりは泣き喚いていて話を聞くどころではなかった。 一部「ざわ・・・ざわ・・・」などと意味の分からない言葉を放つゆっくりもいたが。 「いやぁあああ!!わたりたくない!!でもたべられだぐないぃいいいぃいい!!!!」 「それは無理だ。お前らに残された運命は渡って食べるか、渡って落ちるか、渡らず食べられるか、この3択しかない。」 「ならわだるぅ!!だべられだぐなぃいいぃい!!」 「いや"あ”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!!!」 ほとんどのゆっくりは泣く泣く板を渡っていく。 勿論そこからこぼれて落ちてしまったりバランスを崩して落ちてしまうゆっくりが少しずつ出てきた。 俺達側の人間はそれを肴にしワインを飲んでいた。 しかし、台の上に4匹ゆっくりが残っていた。 「おじさん」 その中の一匹が男に冷静な口調で話しかけてきた。 「・・・なんだ」 「このおあそび・・・そこのいたをのぼれとはいってないよね」 その発言に他の3匹も頷く。 何を言い出すんだ、このゆっくりたちは。 「・・・ああ。向こうの台まで辿り着きさえすればOKだ。問題ない」 ああっ・・・!!! なるほど、確かにそうだ・・・!!! さっきの説明でも男は『そこにある板を渡れ』とは言っていない・・・っ!!! そのゆっくりに負けた感じがして俺は猛烈に腹が立った。 しかし、周りに向こうまでたどり着けるような足場は無いように思えた。 しかし、その4匹はとんでもない足場を渡っていった・・・!!! ざわ・・・ざわざわ・・・ざわぁ・・・ざわ・・・ざわ・・・ 次回、『襲撃』・・・・・・・・・っ!!! _____________________________________________________ あとがき なんかもう色々とごめん お詫びのワンシーン 「おじさんたちとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!!!」 「おお、こわいこわい。しかし人間様に逆らうゆっくりには仕置きが必要だ・・・」 「ゆっ!!?なにするの!?ゆっくりはなしてね!」 「ふふふ・・・ゆっくりよ、これを見るがいい」 「これなぁに!!?とってもあつそうだよ!!さっさとれいむをはなしてね!!!」 「はなしてやるとも、そぉい」 「ゆ”っ!!?あついあつい!!ごごぢがうよ”ぉおぉおぉお!!!」 「さぁそこに顔をつけろ!!!そしてごめんなさいと10回言え!!!そうすれば助けてやる!!」 「ぎゅうぅううぅううぅぅぅうう!!!・・・!!!???--っ!!っー!!!!」 「まぁつけたらつけたで顔が焼け付いちゃって何も言えなくなるけどね」 さーせん このSSに感想を付ける
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あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける