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門番ゆっくりに登場した、帽子に傷があるめーりんを題材としたお話です。 門番ゆっくりを見てからでないと、分かりづらい部分もあるかと思います。 言い訳:ゆっくりがゆっくりらしからぬ会話をしているように見えますが、人間向けの意訳と考えて下さい。 門番ゆっくり めーりんの場合 木に囲まれた広場で子ゆっくりが眠っている。 柔らかな草が生えた広場で昼寝をするのが、その子ゆっくり―ゆっくりめーりんの習慣になっていた。 子めーりんには夢があった。 門番ゆっくりになる。 門番ゆっくりになれば、いつでもこの広場でゆっくりできるから。 子めーりんの周りでは、広くて、暖かくて、気持ちのいい広場で、跳ね回ったり、花の手入れをしたり、子めーりんのように昼寝をしたりと、群れのゆっくりがゆっくりと過ごしている。 広場には群れのゆっくりが、少しづつ交代で来ることになっていた。 森の中の巣の周りでも、同じようなことはできるが、広場は巣の周りよりもゆっくりできると人気が高かったのだ。 この群れは希少種で構成されており、人間と取引しているなど、普通の群れとは異なる点が多かったが、生活は他の野生のゆっくりと余り変わらない。 赤ゆっくり、子ゆっくりは親と共に巣に篭り、成ゆっくりは餌集めや取引の為の茸集めに忙しい。 気持ちのいい、ゆっくりできる広場には、皆たまにしか出られない。 群れを守る為に前に立つ、門番ゆっくりを除いて。 門番ゆっくりになりたいゆっくりは多かった。 あくせくと餌を集める必要も無い。 周りにも尊敬の眼差しで見られ、番にも事欠かない。 だが、門番ゆっくりになるには、過酷な訓練を受けなければならなかった。 門番ゆっくりにはめーりん種だけしかなれない、というわけではなく、門番ゆっくりになっためーりん種以外のゆっくりもいる。 だが、頑丈さゆえか、何かを守ることを好む気性ゆえか、訓練を潜り抜けたゆっくりはめーりん種が多かった。 時を経て、子ゆっくりから成ゆっくりに成長した若めーりんは、門番ゆっくりに志願した。 辛く苦しい訓練の中、こんなことをしなくても、と他のゆっくりが教官ゆっくりのゆっくりゆうかに聞いたことがある。 ゆうかは、それはずいぶん昔に、他のゆっくりが長に聞いたことだ。いいだろう、そのときのことを話してやる、と若めーりん達の前で話し始めた。 「おさ、なんでもっとゆっくりしないの?」 集めている茸は人間には価値があるものだ。別に餌集めなどしなくても、人間に頼めば餌を持ってきてくれる筈、いやあまあまだって食べられる筈だ。 もっといえば、人間に飼われてもいい。餌も、家も、他のゆっくりに虐められることも心配しないでいい。 とてもゆっくりできる筈なのに、今は遊びに来る人間に餌を貰うことも出来ない、と群れのゆっくり達は長に疑問をぶつける。 「ここは、ゆっくりできる」 確かに手に入れることは出来るだろう。だが、与えられるゆっくりは容易に奪われるゆっくりでもある。何も出来ず人の都合に左右されるゆっくり、私はそれをゆっくりとは呼ばない。 家は見つからず、餌は集まらず、ゆっくりには虐められ、人の都合で左右される、ここだからこそ出来ることがある、と長は返す。 「にんげんさんはゆっくりできるよ」 そんな人間はいなかった。管理人も遊びに来る人もとてもゆっくりしているではないか、と群れのゆっくり達は反発する。 「おとーさんやおかーさんをおぼえてる?」 何も出来ない赤ゆっくりが親に全幅の信頼を寄せるように、飼ゆっくりは飼い主に完全に依存しなければ生きていけない。 通常種から生まれた希少種に親は何をしたか。潰すようなことこそしなかったが、他の姉妹達とは露骨に差別したのではないか?自分達とは違うという理由で。 人間もそうだ。今はゆっくりさせてくれるかもしれない。だがそれが何時までも続くかは分からない。事情が変われば何も出来ずにゆっくり出来なくなってしまう、と長は説得した。 希少種は同種同士で番や群れを作る。希少種は繁殖力が弱く、数が少ない。容姿の違い、行動の違い、数の少なさから通常種に迫害の対象にされる。 無論、すべての希少種がそうだというわけではない。ゆっくりらんなどはゆっくりちぇんと番を作ることが多く、迫害の対象にもならない。虐められない希少種の個体や、希少種を受け入れる通常種の群れも存在する。 だが、多くの希少種が虐められているのもまた事実。それは特にめーりん種で顕著だ。 通常種から生まれた希少種が生まれることがある。人間で言う隔世遺伝ゆえとも、ゆっくり特有の不条理ゆえとも言われている。 長に談判しにきたゆっくり達にはそうやって生まれたゆっくりが含まれていた。 「ゆっくりりかいしたよ」 赤ゆっくりの時に味わった無力感、絶望感を思い出したゆっくり達、そしてそれを聞いたゆっくり達は長の行いを理解した。 ゆうかは話し終えた後、我々は弱い、出来ることには限界がある。だからといって何もしないでいいというわけでもない。出来ることをやれ、限界まで出来るようになれ、それが我々をゆっくりさせてくれる、と締めた。 何匹ものゆっくりが脱落していく中、若めーりんは訓練をやり遂げた。 念願の門番ゆっくりになったのだ。 子供の頃に思い浮かべたように、若めーりんは広場でゆっくりしようとした。 だが、古株の門番ゆっくりである老めーりんが、新人の門番ゆっくりにはやることがあると、なかなかゆっくりさせてくれなかった。 老めーりんを不満に思いながら日々をすごす中、若めーりんは初めての実戦を迎えた。 初めての実戦は若めーりんにとり、幸運と不幸が相半ばなものであった。 不幸は、偶然、複数の群れが時間差で襲ってきた為に、門番ゆっくりに大きな被害が出たこと。 幸運は、そんな混乱した状況で生き残ることができたこと。 状況は混乱している。 組んでいた隊列はいつの間にか崩れ、多方から襲いかかるゆっくりに若めーりんは消耗していた。 「「ゆっくりしねっ!」」 枝をくわえたゆっくりようむ、ゆっくりまりさが若めーりんめがけて突っ込んでくる。 若めーりんは消耗して動けない。 「…じゃお」 ここまでか、と若めーりんは弱音を漏らした。 その時、若めーりんをゆっくりさせてくれなかったあの老めーりんが、若めーりんの前に飛び出した。 戦いの終わった後、死屍累々と横たわるゆっくりの片付けが始まる中、倒れた老めーりんを前に若めーりんが立ちつくしている。 若めーりんを助けてくれた老めーりんは、もう助からないであろう深い傷を負っていた。 若めーりんは何も言えないでいる。 何故自分を助けたのか?自分のことを嫌っていたのではないか?様々な思いが餡子の中を駆け巡り、喋ることが出来ないのだ。 老めーりんがぽつりと喋る。 「じゃお?」 嬢ちゃん、帽子はどうした? 若めーりんの帽子は、乱戦の中で失われていた。 「じゃおー…」 無くした、と若めーりん。 「じゃおーん」 破れてて悪いが私のをやるよ、と老めーりんがかぶっていた帽子を差し出す。 帽子を受け取った若めーりんが何か言い出そうとする。しかし、 「じゃお、じゃお」 早いところゆっくりさせてくれ、と老めーりんは言い残し目を閉じた。 樹の根元に掘られた穴に、永遠にゆっくりした老めーりんが納められる。 傷付いた帽子をかぶり、老めーりんが埋められた樹の前で、若めーりんは泣いていた。 それから幾度もの戦いを潜りを抜けた若めーりんは、皆に信頼される真の門番ゆっくりにへと成長していった。 門番めーりんは考える。 門番ゆっくりになったのは自分がゆっくりする為だった。 だけどそうじゃない、門番ゆっくりは群れがゆっくりする為にこそあるのだ。 今なら分かる。 暖かな日差しのある日の昼過ぎ、広場でゆっくりるーみあやゆっくりさなえが人と戯れている。 池の周りではゆっくりちるのが跳ね回り、ゆっくりすわこが水浴びをしている。花壇ではゆっくりゆうかが花や果樹の手入れをしていた。 門番めーりんはそれらを横目にゆっくりと昼寝をしていた。 警報が鳴るのを聞いた途端に跳ね起きる。別の群れのゆっくりがここを奪いに来たのだ。 人や他のゆっくりが避難したのを確かめた後、他の門番ゆっくりと共に隊列を組み、取引所と呼ばれる建物の前に陣取る。 奪いに来たゆっくりが見える。 ドスもいる、久し振りに大規模な襲撃だ。 ゆっくり達が罵声を浴びせてくる。 「ぐずのめーりんがいるよ」「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすにするよ」「ぐずのめーりんはどっかいってね」「ぐじゅーぐじゅー」 ぐずのめーりん、その通りだ。自分がぐずじゃなければあの老めーりんは死ななかった、と門番めーりんは自嘲する。 同時に一匹たりともここを通さないと覚悟を固めた。 門番ゆっくりは罵倒を聞いても声を上げない、歯を噛み締め前を睨む。 何故か? 一部のゆっくりを除き、ゆっくりはめーりん種の言葉を理解できない。聞けば馬鹿にする、しかし喋らなければ激昂して突っかかってくる。 作戦にはこの上なく好都合だった。注意を容易にひきつけられ、相手のゆっくりは他に目が行かなくなる。包囲しかけているふらんに気がつかない。 誘引後、包囲殲滅。この作戦で門番ゆっくり達はここを守ってきた。 「「「ぐずのめーりんはゆっくりしねっ!」」」 突っ込んできたゆっくりを身を固めて弾き返す。 続いてやってきたゆっくりも隊列を維持して耐える。 耐え続けているとドスが前に出てきた。ドススパークを放とうとしている。 門番ゆっくり達は積み重なり、ドスの前に立ちはだかる。それは必死を意味する行為だ。 門を守るは巣を守る為、人を守るは門を守る為、門番ゆっくりが傷つくは群れのゆっくりを守らんが為、門番ゆっくり達はドススパークの前にその身を晒す。 ドススパークが門番ゆっくりの壁に突き刺さる。 門番ゆっくりが傷つき倒れ、ドスの周りのゆっくり達がはしゃぐ。 門番めーりんも即死こそしなかったものの、大きな傷を負った。 もう自分は動けない。自分は群れを、皆のゆっくりを守れたのか?自分の役目を果たせたのか?あの老めーりんに顔を向けることが出来るのか?門番めーりんは動かぬ体でひたすらに自問する。 「ふ、ふ、ふ、ふらんだーーーっ!!!」 ゆっくりの悲鳴が聞こえる。手筈通り、ふらん達が襲ってきたゆっくりを包囲したようだ。 もう大丈夫だ、自分は役目を果たせた。自分の働きの結果に安堵しためーりんは、ゆっくりとした笑みを浮かべた。 そして、めーりんは笑みを浮かべたまま、静かに目を閉じた。 (みんな、ゆっくりしていってね…) 書いたもの ふたば系ゆっくりいじめ 732 門番ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 741 ゆっくりマンション
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ゆっくりは自分以外のゆっくりを迫害する事を容赦しない。 それが奇形なら尚更で、跳ねれない・歯がないという理由で親が子を殺す事もあるのだ。 そして、ここに二種類のゆっくりがいる。 一匹はゆっくりめーりん 皮が厚くて丈夫なのだが、喋れないという欠点を持つ。 もう一匹はゆっくりこうりん 高い知能を持つが、目が見えないという欠点を持つ。 この欠点のせいで、他のゆっくりから二匹は虐められていた。 何かをしたわけでもない。ただ、目が見えない・喋れないという理由だけでだ… ゆっくりこうりんは辟易していた。理由は、先程からずっと後ろをつけてくる他のゆっくりの存在である。 こうりんの目が見えない事を知っているから、他のゆっくりはこうりんの失態をずっと待っているのだ。 言葉では頭の良いこうりんに勝つことはできない為、転んだりしたら思い切り馬鹿にしたいのである。 しかし、先程からこうりんはそんな失態を見せることは無かった。 それどころか、まるで目が見えているかの如くスイスイ道を進んでいく。 石があれば飛び越え、穴があったら横にそれる。 小賢しいありすやぱちゅりーは先回りして石を置いたり穴を掘ったりしたのだが、それでもこうりんは引っ掛からない。 やがてつまらないとぶつぶつ文句を言いながら、ゆっくり達はどこかへ行ってしまった。 ゆっくりめーりんは耐えていた。いつも受けるいじめという理不尽な暴力に。 手に掛けているのは先程こうりんの後をつけていたゆっくり達である。 それぞれが石を投げたり体当たりをかまして、めーりん独特の鳴き声を聞こうとするのだがめーりんは鳴かない。 最近はずっとそうである。いつもならすぐ聞けるあの無様な鳴き声が聞けないため、ゆっくり達は気に食わなかった。 最後はまりさが木の枝で突き刺したが、結局めーりんは鳴き出さなかった。 抜かれた枝の穴から中身が出ても、めーりんは痛みを堪える為に目を瞑り歯を食い縛っている。 拍子抜けしたとばかりに、めーりんを放ってゆっくり達は帰っていった。 どれくらいの時間がたっただろうか。日は沈み、辺りが薄暗くなり始めた頃放置されていためーりんに近づくゆっくりがいた。 ゆっくりこうりんである。 こうりんはめーりんが刺された傷に葉っぱを当て、めーりんを背負って静かに移動する。 目的地は自分の住みかである洞のある木、あそこなられみりゃに見つかる事はないからだ。 そんなこうりん達を見ている影が一つあるとも知らず… 「きょうもさんざんだったぜ」 そう言いながら、リーダーのまりさが息を吐いた。 ここはあるゆっくり達の集落の一つ。その中の洞窟に、この森のゆっくりが集まっていた。 正確には、先程こうりんとめーりんに手を出していたゆっくりである。 「さいきんあのゴミクズがなかないからほんとうにつまらないんだぜ」 「めなしはめなしでなんにもはんのうしないからつまらないのよ!」 「ぱちゅのいうとおりだわ。ありすがわざわざおいたいしにもひっかからないし」 「ほんとうにくうきのよめないやつらなんだぜ」 「むぎゅ!クズはばかなんだからきたいするはんのうくらいすればいいのに、ほんとうにクズね」 「あのめなしはめなしでいなかものなんだからとかいはのありすたちのおもいどおりにならないからいやになるわ」 好き勝手に文句を言うゆっくり達。ちなみに目無しとはゆっくりこうりんを指す言葉である。 「みんな~ おもしろいものをみてきたよ!!」 そこに一匹のれいむが帰ってきた 「おもしろいものってなんなんだぜ?」 「まぁ、れいむのみつけたことだからどうせたいしたことはないとおもうわ」 「ぱちゅにどういね」 「むぅ~ ぱちゅもありすひどいよ!!」 そういいながられいむは頬を膨らませた。 「ぱちゅもありすもいまはれいむのはなしをきかなきゃだめなんだぜ」 「むぎゅ…」 「わ、わかったわよ」 「で、おもしろいはなしをきかせてほしいんだぜれいむ」 「うん! まりさのためにゆっくりしないではなすよ!」 れいむが話した内容はこうりんがめーりんを治療してどこかへ連れて行ったと極めて簡潔なことだった。 「はぁ、それがどうしたのよ」 「む、ひどいよありす!」 「だってそうでしょう。めなしとクズがただいっしょにかえったってだけじゃない」 「ぱ、ぱちゅりーまでひどいよ!! まりさはそうおもわないよね!!」 縋る思いでまりさを見つめるれいむ。視線の先には何か思いついたのか、にやついてるまりさがいた。 「れいむはおもしろいじょうほうをもってきてくれたんだぜ!! さっそくいくぜ!!」 「お、おもいついたっていったいなにをよ!!」 「そうよ!せつめいしなさい!!」 「いきながらせつめいするからみんなついてくるんだぜ!!」 そう言いながら、洞窟の外へまりさは駆け出した。残りの三匹も後を追う。 めーりんが目を覚ますと、体の節々に痛みがあるのを感じた。昨日受けた暴力の名残である。 特に枝に刺された部分は、葉っぱが当てられてはいるものの傷は完全には塞がっていなかった。 とりあえず治療してくれたゆっくりにお礼を言おうと洞の中を見渡すが、誰の姿も無い。 ただ、この場所が誰の住処なのかは分かっていた。 初めて会った時に、そのゆっくりと約束した場所だからだ。 とりあえず傷は痛むものの、めーりんは探すために外へ出て周囲を探し始めた。 自分の中身を出さないよう、静かにゆっくりと跳ねるめーりん。 探し始めてすぐに相手を見つけることはできた… まりさに踏まれているこうりんをだ… 「まりさ! クズめーりんがきたよ!!」 「みればわかるんだぜれいむ。まりさはめなしじゃないんだからな!」 「ゆ、ごめん…」 「ありすとぱちゅはやれ!」 「むきゅ!」 「まっかせて!」 まりさの合図によって現れた二匹はめいりんを二本の枝で貫き地面に釘付ける。 その内の一本は、昨日貫いた場所を刺していた。 「~~~~~!!」 思わず悲鳴をあげそうになるが、めいりんは必死に歯を食い縛る。 「めーりんはすごいね、そんないたいめにあってもなかないんだから」 「そうね、わたしみたいにからだがじょうぶじゃないてんさいならいまのでしんでるわ」 「いなかものはじょうぶってことね」 暢気に喋る三匹だが、まりさだけは気に食わなかった。 めーりんのあの無様な鳴き声を聞いてこそ、自分は初めてすっきりできるのだ。 それなのに鳴かない。だから余計に気に食わない。 踏んづけているこうりんをれいむに交代してもらい、まりさはめーりんに飛び乗る。 「~~~~~!!」 まりさの方が二回りほど大きい上でのプレスだ。いくら軽めに跳んでも、かかる重圧は半端でない。 まりさはめーりんの目を見る。その目は怯えず、しっかりと何か意思を持った瞳であった。 「きにくわないんだぜ!!」 まりさは何度もめーりんをプレスする。貫かれている所からめーりんの中身が噴出すが容赦しない。 何度も何度も、鳴かせる為だけにプレスを続ける 「ねえまりさ、それがなかないのってこのめなしがいるからじゃないかしら?」 まりさがめーりんを踏みつけていると、ありすがいきなり話しかけてきた。 「どういう意味なんだぜ?」 「だからね、そのクズがなかないのは、このめなしがいるからなのよ!」 こうりんを踏みつけまりさにいうありす。 「ありすのかわりにわかりやすくせつめいしてあげるわ。そのクズはね、このめなしにぶざまなところをみせたくないのよ」 「クズめーりんがか?」 「そうよ。クズのなきごえはとてもみにくいでしょう? だからきかれたくないのよ!!」 ぱちゅの言ってることがわかり、納得するまりさ。 つまり、好いた相手に嫌われたくないから鳴かない。そんな理由で、このゴミクズは自分の思い通りにならなかったのか… そして、それがわかったまりさはめーりんに腹が立ち、手加減無しの踏みつけ行った。 踏みつけを終えたまりさはそのままめーりんから降りる。 もう、めーりんの命の灯火は消えかけているとわかったからだ。 めーりんの周りは傷口から吹き出た中身で赤く染まり、確実に致死量以上の中身が出ていた。 「つまらないやつだったぜ」 「まりさ、だいじょうぶ?」 「ほんとうになまいきなやつだったわね」 「あのゴミはどうするの?」 れいむとぱちゅは近づき、ありすが顎で指し示したのは、もうほとんど死にかけているめーりんだ。 放っておけば確実に死ぬし、何かをしたとしても助かることはないだろう… 「もうつかれたからやすむんだぜ。あのクズはぱちゅとありすですきにしていいんだぜ!」 しかし、このまりさは容赦しなかった。 自分の機嫌を損ねためーりんを、許すことなどしなかった。 好きにしていいと言われたぱちゅりーとありすはめいりんに刺さっている木の枝を抜き、再び刺す。 「クズはクズらしくぶざまになきなさいよ!!」 「そのきもちわるいこえをきかせなさい!!」 ひたすら 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 何度も繰り返すことによって、めーりんのいた場所は緑色の帽子と赤いめーりんの中身、皮の残骸だけが残った。 「君達は、本当に愚かだよ…」 めーりんが死んだのを見て、今までずっと黙っていたゆっくりこうりんが口を開いた。 「ゆ?」 「めなしのくせになまいきだぜ。いままでずっとなにもしなかったよわむしのくせに」 まりさがすぐ挑発をする。色々消化不良だから、今度はこーりんですっきりしようと考えたのであろう。 「弱虫か… 僕はね、今君達に殺された子との約束を守っていただけなんだよ」 「やくそく? あのクズめーりんと?」 「しゃべれないあのゴミクズとどうやってやくそくできたのかおしえてもらいたいわ!」 「ま、ゴミクズとめなしのいなかものコンビにならできるかもしれないわね!」 ありすの言葉に笑う四匹。しかしこうりんだけは静かに佇んでいた。 「ゴミクズね、僕に言わせれば君達の方が十分ゴミクズだよ」 「ゆっ!!」 「むぎゅ!! 「なまいきよあなた!!」 「あんなゴミクズとまりさたちをいっしょにするなんてゆるせないんだぜ!! やっちまえれいむ!!」 「まかせて!!」 まりさの言葉にれいむが返事をし、近くにいるこうりんを潰すために跳躍する。 「ゆっくりつぶれてね!!」 踏み潰す為の攻撃がれいむが繰り出す。喰らえばこうりんは助からなかったろう。喰らえばだが… こうりんは踏み潰される前に前転し、れいむのプレスを避ける。 「ゆ!?」 これに驚いたのはれいむだ。相手は目が視えない筈なのに、自分の攻撃を避けたのだから。 そして、れいむは二度と目に光が入ることはなかった… れいむのプレスを避けたこうりんは人間の武器――苦無――を口から出して銜え、れいむに振り返って目の部分を切りつけたのだ。 いきなりの事で動けない三匹… 何が起きたのかわからなかったのだ。 「まりざぁぁぁぁ!!めがあぢゅいよぉぉぉぉ!!ぐらいよぉぉぉぉぉ!!ごわいよぉぉぉぉ!!」 れいむの叫び声で我を取り戻し、ありすとぱちゅは銜えている枝でこうりんに突撃する。 しかし、こうりんは突き出された枝を跳躍で飛び越え、そのまま懐に入って二匹の目をれいむのように刈取った。 「どぼじでぇぇぇぇぇ!!」 「なんでわがるのぉぉぉぉ!!」 同じように騒ぎ出す二匹。これで残っているのはまりさだけになった。 「ま、まってほしいんだぜ!!」 恐怖を感じたまりさは逃げるチャンスを探す。あの三匹のように目無しにはなりたくなかったからだ。 「なんでおまえはいままでなにもしなかったのにいきなりおそってきたのかおしえてほしいんだぜ!!」 そして、一つの疑問があった。今まで何もしてこなかったこの目無し――こうりん――が、何でいきなり襲ってきたのかを知りたかったのだ。 「言ったろ? 僕は君達にゴミクズゴミクズ言われていたあのめーりんとの約束を守っていただけだって」 「そ、それはきいたからわかるぜ!! そのやくそくがなんなのかをおしえてもらいたいんだぜ!!」 そう言いながら、まりさは周囲を伺う。相手が目が視えないのだから、立ち向わずに逃げ出せば追ってこれないと考えたのだ。 「君はあのめーりんが何で鳴かなかったかわかっているのかい?」 「ゆ? ありすがいってたんだぜ! めーりんはおまえがすきだからみにくいあのなきごえをきかせたくなかったって!!」 「それがもう間違えているんだよ。僕がこの森に着いた時あの子に言ったんだ。『君を虐める奴らを殺そうか?』ってね。 でも、あのめーりんはそれを断ったんだ。今まで転々としてきた森で出会っためーりん達のようにね」 「な、なんでそんなおそろしいことをめーりんなんかにいったんだぜ!!」 「僕は言ってみただけさ。僕が目無しと呼ばれ迫害されるように、めーりんは喋れないというだけで暴力を受ける。君達のようなクズからね」 「まりさはクズなんかじゃないぜ!!」 「それに、話は聞いてもらいたいね。あの子は『ちゃんと』断ったんだ。いくら虐められても自分は大丈夫だってね。 そこで僕はある約束をした。『君が虐められても大丈夫というのなら、一度も鳴くな』ってね。 めーりんは頑張って守ろうとしたよ。自分を虐める奴らを僕から守る為に、必死で鳴かないよう頑張ったんだ」 こうりんが話しに夢中になっているのを感じ、少しずつまりさは距離をあけていく。 「結局、めーりんは僕から守ろうとしたゆっくり達の手で殺されてしまったけどね… 今にも逃げ出そうとしてるクズの手で!!」 その言葉を聞くと同時にまりさは走り出した。 自分の考えが読まれていると感じて、すぐにでも逃げ出さねばれいむ達と同じ目にあってしまうと思ったのだ。 幸い足には他の三匹と比べても自身があった。 あんな目無しに自分が追いつかれるわけがない… 必死にまりさは走り出す。 「ひゅぎゅ!!」 しかし、途中で転んでしまった。 転んだ理由は… 帽子と中身が散らばっためーりんを踏んで滑ってしまったのだ。 急いで立ち上がろうとするが、それはできなかった。自分の体に刺さった木の枝のせいで… 「ゆぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!ぬいでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 あまりの痛みにまりさは刺した相手、こうりんに懇願する。早く抜いてもらわねば死んでしまうと思ったのだろう。 「おいおい、これから君は目を刈取られるんだよ? この程度の痛みなんてかすり傷みたいなもんさ」 「いいがらぬいでぇぇぇぇ!!!!じんじゃうぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 「大丈夫だよ。めーりんは君に刺されても生きてたろ? 問題ないさ」 「あんなのどいっじょにじないでよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!まりざじんじゃうよぉぉぉぉぉ!!!!」 「ふぅ、騒がしい奴だ。君は反省しているのか?」 「じでまずぅぅぅぅぅぅ!!!! だがらぬいでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「本当かい? 僕は嘘吐きは許さないよ?」 「はぃぃぃぃぃぃぃだがらぬいでぇぇぇぇぇ!!!!」 「…わかったよ、抜いてやる」 「ありがどうございまずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」 口ではこんな風に言っているまりさだが、頭の中ではどうやってこうりんに復讐するかを考えていた。 自分をこんな痛い目にあわせた目無しをぶっ殺してやると。 「じゃあ、抜くから目を瞑ってね」 「はぃぃぃぃぃ!!」 まりさは心の中で笑っていた。これで自分の勝ちだ。 これを抜いたら目無しを潰して、奴隷にすると決めていた。 そんな夢を見ていたら、右目の瞼に冷たいものが触れてそのまま目がくりぬかれた。 「いあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! まりざのめがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「大丈夫だよ、もう一個も抜いてあげるから」 「やめでぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ まりざがなにじたのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「君は嘘吐きだからね、目玉をくりぬいたんだよ。言ったろ? 嘘吐きは許さないって」 「まりざはうぞづいでなあいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! だずげてぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「君は騙せたつもりかもしれない。だけど、僕は他のゆっくりが考える事がわかるんだよ。口に出さなくても、ね。 だから僕は喋れないめーりんと意思疎通もできるんだ」 「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁやべでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぬがないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「君みたいなのがいるとね、僕はゆっくりできないんだよ」 じゃあねと言いながら、こうりんはまりさの左目も取り出した。 ある一匹のゆっくりこうりんがいた。 目が見えない・喋れないという理由で迫害される自分とゆっくりめーりんに疑問をもったゆっくりこうりんだ。 そして、そのゆっくりこうりんは考えたのだ。 自分達と同じように他のゆっくりの目を取り出して目を視えなくする。 そして、目が視えない・喋れないゆっくりだけになれば誰も迫害されなくなると。 こうりんはこの森のゆっくり全てから目を取り出して、また別の集落を求めて歩き出す。 この森のゆっくりを守ろうとした、ゆっくりめーりんのお墓に花を添えて…… これで書いた作品が小ネタを含めると5つになりました~読んでくださった方、本当にありがとうございます。 今回は、これらにインスパイアされて書いてみようと思った作品です。 fuku1439.txt fuku1441.jpg fuku1496.jpg の作者様、本当にありがとうございました。 ちなみに自分の中でゆっくりこうりんはうしおととらのさとりのイメージ 最後に、御目汚し失礼!! このSSに感想を付ける
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ゆっくりは自分以外のゆっくりを迫害する事を容赦しない。 それが奇形なら尚更で、跳ねれない・歯がないという理由で親が子を殺す事もあるのだ。 そして、ここに二種類のゆっくりがいる。 一匹はゆっくりめーりん 皮が厚くて丈夫なのだが、喋れないという欠点を持つ。 もう一匹はゆっくりこうりん 高い知能を持つが、目が見えないという欠点を持つ。 この欠点のせいで、他のゆっくりから二匹は虐められていた。 何かをしたわけでもない。ただ、目が見えない・喋れないという理由だけでだ… ゆっくりこうりんは辟易していた。理由は、先程からずっと後ろをつけてくる他のゆっくりの存在である。 こうりんの目が見えない事を知っているから、他のゆっくりはこうりんの失態をずっと待っているのだ。 言葉では頭の良いこうりんに勝つことはできない為、転んだりしたら思い切り馬鹿にしたいのである。 しかし、先程からこうりんはそんな失態を見せることは無かった。 それどころか、まるで目が見えているかの如くスイスイ道を進んでいく。 石があれば飛び越え、穴があったら横にそれる。 小賢しいありすやぱちゅりーは先回りして石を置いたり穴を掘ったりしたのだが、それでもこうりんは引っ掛からない。 やがてつまらないとぶつぶつ文句を言いながら、ゆっくり達はどこかへ行ってしまった。 ゆっくりめーりんは耐えていた。いつも受けるいじめという理不尽な暴力に。 手に掛けているのは先程こうりんの後をつけていたゆっくり達である。 それぞれが石を投げたり体当たりをかまして、めーりん独特の鳴き声を聞こうとするのだがめーりんは鳴かない。 最近はずっとそうである。いつもならすぐ聞けるあの無様な鳴き声が聞けないため、ゆっくり達は気に食わなかった。 最後はまりさが木の枝で突き刺したが、結局めーりんは鳴き出さなかった。 抜かれた枝の穴から中身が出ても、めーりんは痛みを堪える為に目を瞑り歯を食い縛っている。 拍子抜けしたとばかりに、めーりんを放ってゆっくり達は帰っていった。 どれくらいの時間がたっただろうか。日は沈み、辺りが薄暗くなり始めた頃放置されていためーりんに近づくゆっくりがいた。 ゆっくりこうりんである。 こうりんはめーりんが刺された傷に葉っぱを当て、めーりんを背負って静かに移動する。 目的地は自分の住みかである洞のある木、あそこなられみりゃに見つかる事はないからだ。 そんなこうりん達を見ている影が一つあるとも知らず… 「きょうもさんざんだったぜ」 そう言いながら、リーダーのまりさが息を吐いた。 ここはあるゆっくり達の集落の一つ。その中の洞窟に、この森のゆっくりが集まっていた。 正確には、先程こうりんとめーりんに手を出していたゆっくりである。 「さいきんあのゴミクズがなかないからほんとうにつまらないんだぜ」 「めなしはめなしでなんにもはんのうしないからつまらないのよ!」 「ぱちゅのいうとおりだわ。ありすがわざわざおいたいしにもひっかからないし」 「ほんとうにくうきのよめないやつらなんだぜ」 「むぎゅ!クズはばかなんだからきたいするはんのうくらいすればいいのに、ほんとうにクズね」 「あのめなしはめなしでいなかものなんだからとかいはのありすたちのおもいどおりにならないからいやになるわ」 好き勝手に文句を言うゆっくり達。ちなみに目無しとはゆっくりこうりんを指す言葉である。 「みんな~ おもしろいものをみてきたよ!!」 そこに一匹のれいむが帰ってきた 「おもしろいものってなんなんだぜ?」 「まぁ、れいむのみつけたことだからどうせたいしたことはないとおもうわ」 「ぱちゅにどういね」 「むぅ~ ぱちゅもありすひどいよ!!」 そういいながられいむは頬を膨らませた。 「ぱちゅもありすもいまはれいむのはなしをきかなきゃだめなんだぜ」 「むぎゅ…」 「わ、わかったわよ」 「で、おもしろいはなしをきかせてほしいんだぜれいむ」 「うん! まりさのためにゆっくりしないではなすよ!」 れいむが話した内容はこうりんがめーりんを治療してどこかへ連れて行ったと極めて簡潔なことだった。 「はぁ、それがどうしたのよ」 「む、ひどいよありす!」 「だってそうでしょう。めなしとクズがただいっしょにかえったってだけじゃない」 「ぱ、ぱちゅりーまでひどいよ!! まりさはそうおもわないよね!!」 縋る思いでまりさを見つめるれいむ。視線の先には何か思いついたのか、にやついてるまりさがいた。 「れいむはおもしろいじょうほうをもってきてくれたんだぜ!! さっそくいくぜ!!」 「お、おもいついたっていったいなにをよ!!」 「そうよ!せつめいしなさい!!」 「いきながらせつめいするからみんなついてくるんだぜ!!」 そう言いながら、洞窟の外へまりさは駆け出した。残りの三匹も後を追う。 めーりんが目を覚ますと、体の節々に痛みがあるのを感じた。昨日受けた暴力の名残である。 特に枝に刺された部分は、葉っぱが当てられてはいるものの傷は完全には塞がっていなかった。 とりあえず治療してくれたゆっくりにお礼を言おうと洞の中を見渡すが、誰の姿も無い。 ただ、この場所が誰の住処なのかは分かっていた。 初めて会った時に、そのゆっくりと約束した場所だからだ。 とりあえず傷は痛むものの、めーりんは探すために外へ出て周囲を探し始めた。 自分の中身を出さないよう、静かにゆっくりと跳ねるめーりん。 探し始めてすぐに相手を見つけることはできた… まりさに踏まれているこうりんをだ… 「まりさ! クズめーりんがきたよ!!」 「みればわかるんだぜれいむ。まりさはめなしじゃないんだからな!」 「ゆ、ごめん…」 「ありすとぱちゅはやれ!」 「むきゅ!」 「まっかせて!」 まりさの合図によって現れた二匹はめいりんを二本の枝で貫き地面に釘付ける。 その内の一本は、昨日貫いた場所を刺していた。 「~~~~~!!」 思わず悲鳴をあげそうになるが、めいりんは必死に歯を食い縛る。 「めーりんはすごいね、そんないたいめにあってもなかないんだから」 「そうね、わたしみたいにからだがじょうぶじゃないてんさいならいまのでしんでるわ」 「いなかものはじょうぶってことね」 暢気に喋る三匹だが、まりさだけは気に食わなかった。 めーりんのあの無様な鳴き声を聞いてこそ、自分は初めてすっきりできるのだ。 それなのに鳴かない。だから余計に気に食わない。 踏んづけているこうりんをれいむに交代してもらい、まりさはめーりんに飛び乗る。 「~~~~~!!」 まりさの方が二回りほど大きい上でのプレスだ。いくら軽めに跳んでも、かかる重圧は半端でない。 まりさはめーりんの目を見る。その目は怯えず、しっかりと何か意思を持った瞳であった。 「きにくわないんだぜ!!」 まりさは何度もめーりんをプレスする。貫かれている所からめーりんの中身が噴出すが容赦しない。 何度も何度も、鳴かせる為だけにプレスを続ける 「ねえまりさ、それがなかないのってこのめなしがいるからじゃないかしら?」 まりさがめーりんを踏みつけていると、ありすがいきなり話しかけてきた。 「どういう意味なんだぜ?」 「だからね、そのクズがなかないのは、このめなしがいるからなのよ!」 こうりんを踏みつけまりさにいうありす。 「ありすのかわりにわかりやすくせつめいしてあげるわ。そのクズはね、このめなしにぶざまなところをみせたくないのよ」 「クズめーりんがか?」 「そうよ。クズのなきごえはとてもみにくいでしょう? だからきかれたくないのよ!!」 ぱちゅの言ってることがわかり、納得するまりさ。 つまり、好いた相手に嫌われたくないから鳴かない。そんな理由で、このゴミクズは自分の思い通りにならなかったのか… そして、それがわかったまりさはめーりんに腹が立ち、手加減無しの踏みつけ行った。 踏みつけを終えたまりさはそのままめーりんから降りる。 もう、めーりんの命の灯火は消えかけているとわかったからだ。 めーりんの周りは傷口から吹き出た中身で赤く染まり、確実に致死量以上の中身が出ていた。 「つまらないやつだったぜ」 「まりさ、だいじょうぶ?」 「ほんとうになまいきなやつだったわね」 「あのゴミはどうするの?」 れいむとぱちゅは近づき、ありすが顎で指し示したのは、もうほとんど死にかけているめーりんだ。 放っておけば確実に死ぬし、何かをしたとしても助かることはないだろう… 「もうつかれたからやすむんだぜ。あのクズはぱちゅとありすですきにしていいんだぜ!」 しかし、このまりさは容赦しなかった。 自分の機嫌を損ねためーりんを、許すことなどしなかった。 好きにしていいと言われたぱちゅりーとありすはめいりんに刺さっている木の枝を抜き、再び刺す。 「クズはクズらしくぶざまになきなさいよ!!」 「そのきもちわるいこえをきかせなさい!!」 ひたすら 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 抜いて 刺す 何度も繰り返すことによって、めーりんのいた場所は緑色の帽子と赤いめーりんの中身、皮の残骸だけが残った。 「君達は、本当に愚かだよ…」 めーりんが死んだのを見て、今までずっと黙っていたゆっくりこうりんが口を開いた。 「ゆ?」 「めなしのくせになまいきだぜ。いままでずっとなにもしなかったよわむしのくせに」 まりさがすぐ挑発をする。色々消化不良だから、今度はこーりんですっきりしようと考えたのであろう。 「弱虫か… 僕はね、今君達に殺された子との約束を守っていただけなんだよ」 「やくそく? あのクズめーりんと?」 「しゃべれないあのゴミクズとどうやってやくそくできたのかおしえてもらいたいわ!」 「ま、ゴミクズとめなしのいなかものコンビにならできるかもしれないわね!」 ありすの言葉に笑う四匹。しかしこうりんだけは静かに佇んでいた。 「ゴミクズね、僕に言わせれば君達の方が十分ゴミクズだよ」 「ゆっ!!」 「むぎゅ!! 「なまいきよあなた!!」 「あんなゴミクズとまりさたちをいっしょにするなんてゆるせないんだぜ!! やっちまえれいむ!!」 「まかせて!!」 まりさの言葉にれいむが返事をし、近くにいるこうりんを潰すために跳躍する。 「ゆっくりつぶれてね!!」 踏み潰す為の攻撃がれいむが繰り出す。喰らえばこうりんは助からなかったろう。喰らえばだが… こうりんは踏み潰される前に前転し、れいむのプレスを避ける。 「ゆ!?」 これに驚いたのはれいむだ。相手は目が視えない筈なのに、自分の攻撃を避けたのだから。 そして、れいむは二度と目に光が入ることはなかった… れいむのプレスを避けたこうりんは人間の武器――苦無――を口から出して銜え、れいむに振り返って目の部分を切りつけたのだ。 いきなりの事で動けない三匹… 何が起きたのかわからなかったのだ。 「まりざぁぁぁぁ!!めがあぢゅいよぉぉぉぉ!!ぐらいよぉぉぉぉぉ!!ごわいよぉぉぉぉ!!」 れいむの叫び声で我を取り戻し、ありすとぱちゅは銜えている枝でこうりんに突撃する。 しかし、こうりんは突き出された枝を跳躍で飛び越え、そのまま懐に入って二匹の目をれいむのように刈取った。 「どぼじでぇぇぇぇぇ!!」 「なんでわがるのぉぉぉぉ!!」 同じように騒ぎ出す二匹。これで残っているのはまりさだけになった。 「ま、まってほしいんだぜ!!」 恐怖を感じたまりさは逃げるチャンスを探す。あの三匹のように目無しにはなりたくなかったからだ。 「なんでおまえはいままでなにもしなかったのにいきなりおそってきたのかおしえてほしいんだぜ!!」 そして、一つの疑問があった。今まで何もしてこなかったこの目無し――こうりん――が、何でいきなり襲ってきたのかを知りたかったのだ。 「言ったろ? 僕は君達にゴミクズゴミクズ言われていたあのめーりんとの約束を守っていただけだって」 「そ、それはきいたからわかるぜ!! そのやくそくがなんなのかをおしえてもらいたいんだぜ!!」 そう言いながら、まりさは周囲を伺う。相手が目が視えないのだから、立ち向わずに逃げ出せば追ってこれないと考えたのだ。 「君はあのめーりんが何で鳴かなかったかわかっているのかい?」 「ゆ? ありすがいってたんだぜ! めーりんはおまえがすきだからみにくいあのなきごえをきかせたくなかったって!!」 「それがもう間違えているんだよ。僕がこの森に着いた時あの子に言ったんだ。『君を虐める奴らを殺そうか?』ってね。 でも、あのめーりんはそれを断ったんだ。今まで転々としてきた森で出会っためーりん達のようにね」 「な、なんでそんなおそろしいことをめーりんなんかにいったんだぜ!!」 「僕は言ってみただけさ。僕が目無しと呼ばれ迫害されるように、めーりんは喋れないというだけで暴力を受ける。君達のようなクズからね」 「まりさはクズなんかじゃないぜ!!」 「それに、話は聞いてもらいたいね。あの子は『ちゃんと』断ったんだ。いくら虐められても自分は大丈夫だってね。 そこで僕はある約束をした。『君が虐められても大丈夫というのなら、一度も鳴くな』ってね。 めーりんは頑張って守ろうとしたよ。自分を虐める奴らを僕から守る為に、必死で鳴かないよう頑張ったんだ」 こうりんが話しに夢中になっているのを感じ、少しずつまりさは距離をあけていく。 「結局、めーりんは僕から守ろうとしたゆっくり達の手で殺されてしまったけどね… 今にも逃げ出そうとしてるクズの手で!!」 その言葉を聞くと同時にまりさは走り出した。 自分の考えが読まれていると感じて、すぐにでも逃げ出さねばれいむ達と同じ目にあってしまうと思ったのだ。 幸い足には他の三匹と比べても自身があった。 あんな目無しに自分が追いつかれるわけがない… 必死にまりさは走り出す。 「ひゅぎゅ!!」 しかし、途中で転んでしまった。 転んだ理由は… 帽子と中身が散らばっためーりんを踏んで滑ってしまったのだ。 急いで立ち上がろうとするが、それはできなかった。自分の体に刺さった木の枝のせいで… 「ゆぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!ぬいでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 あまりの痛みにまりさは刺した相手、こうりんに懇願する。早く抜いてもらわねば死んでしまうと思ったのだろう。 「おいおい、これから君は目を刈取られるんだよ? この程度の痛みなんてかすり傷みたいなもんさ」 「いいがらぬいでぇぇぇぇ!!!!じんじゃうぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 「大丈夫だよ。めーりんは君に刺されても生きてたろ? 問題ないさ」 「あんなのどいっじょにじないでよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!まりざじんじゃうよぉぉぉぉぉ!!!!」 「ふぅ、騒がしい奴だ。君は反省しているのか?」 「じでまずぅぅぅぅぅぅ!!!! だがらぬいでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「本当かい? 僕は嘘吐きは許さないよ?」 「はぃぃぃぃぃぃぃだがらぬいでぇぇぇぇぇ!!!!」 「…わかったよ、抜いてやる」 「ありがどうございまずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」 口ではこんな風に言っているまりさだが、頭の中ではどうやってこうりんに復讐するかを考えていた。 自分をこんな痛い目にあわせた目無しをぶっ殺してやると。 「じゃあ、抜くから目を瞑ってね」 「はぃぃぃぃぃ!!」 まりさは心の中で笑っていた。これで自分の勝ちだ。 これを抜いたら目無しを潰して、奴隷にすると決めていた。 そんな夢を見ていたら、右目の瞼に冷たいものが触れてそのまま目がくりぬかれた。 「いあぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! まりざのめがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「大丈夫だよ、もう一個も抜いてあげるから」 「やめでぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ まりざがなにじたのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「君は嘘吐きだからね、目玉をくりぬいたんだよ。言ったろ? 嘘吐きは許さないって」 「まりざはうぞづいでなあいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! だずげてぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「君は騙せたつもりかもしれない。だけど、僕は他のゆっくりが考える事がわかるんだよ。口に出さなくても、ね。 だから僕は喋れないめーりんと意思疎通もできるんだ」 「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁやべでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぬがないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「君みたいなのがいるとね、僕はゆっくりできないんだよ」 じゃあねと言いながら、こうりんはまりさの左目も取り出した。 ある一匹のゆっくりこうりんがいた。 目が見えない・喋れないという理由で迫害される自分とゆっくりめーりんに疑問をもったゆっくりこうりんだ。 そして、そのゆっくりこうりんは考えたのだ。 自分達と同じように他のゆっくりの目を取り出して目を視えなくする。 そして、目が視えない・喋れないゆっくりだけになれば誰も迫害されなくなると。 こうりんはこの森のゆっくり全てから目を取り出して、また別の集落を求めて歩き出す。 この森のゆっくりを守ろうとした、ゆっくりめーりんのお墓に花を添えて…… これで書いた作品が小ネタを含めると5つになりました~読んでくださった方、本当にありがとうございます。 今回は、これらにインスパイアされて書いてみようと思った作品です。 fuku1439.txt? fuku1441.jpg fuku1496.jpg の作者様、本当にありがとうございました。 ちなみに自分の中でゆっくりこうりんはうしおととらのさとりのイメージ 最後に、御目汚し失礼!! このSSに感想を付ける
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オレ設定、というかダレ設定が含まれます。ご注意を 「………おおおぅぅぅぅん…」 「何だ!?」「畑の方だ!」 「むぎゅうううううう!!」 「もうじないがらゆるじでえええぇぇぇ」 「もう二度とくるんじゃねえぞ!!」 数匹のゆっくりが罵声を浴びせかけられながら畑から叩き出された。 全身泥まみれで這って逃げていく。 「奴ら当分来ないだろうな。」 「でもあの餡子脳だ。そのうちやられたことも忘れてやってきくるだろう。」 そう言いながら見下ろした先 そこには一匹のゆっくりがいる。 「おう!やったなめ-りん!!」 「よくやったぞ!!」 「!!!!」 男たちの言葉に高く跳ねることで答えたこのゆっくり その名はゆっくりめーりん その特徴は先天的に喋ることができないこと 代わりに高い知能をもっていること ゆっくりとしては皮が厚い丈夫な体をもつこと そんなゆっくりめーりんであるが「喋ることができない」ために ゆっくりの中ではいじめらることが多いという。 このめーりんも例外ではなく他のゆっくりにいじめられていた。 そこを助けたのがこの男たちである。 以来めーりんは恩返しをすべく人間の手伝いをするようになった。 特にめーりんは畑番を好んだ。 野菜につく虫を食べたり、果物を啄ばもうとする鳥 そして盗みに入るゆっくりを追い払う仕事である。 俗に「いいゆっくり」とも称されるゆっくりめーりんは 「何かを守る」本能の元にその仕事をこなした。 その最中にめーりんが出くわしたゆっくり達 それはかつて森の中でめーりんをいじめていたゆっくり達で会った。 「ゆゆ!めーりんだよ!!」 「あのいなかものまだいたのね。またいじめてあげるわ」 だが人間たちの中で畑番の任務をこなし自信をつけためーりんは かつてのめーりんの比ではなかった。 ゆっくりの悲鳴を聞いて駆け付けた人間たちの助けを借りながらも かつてのいじっめっこ達を撃退したのである。 「よーし今日は飲むぞ!!」 「はは、飲みすぎるなよ。」 めーりんの勝利を我が事のように喜ぶ男たち その日は遅くまで笑い声が絶えなかった。 次の日 朝焼けの中に人間とゆっくりがいた。 「もう行くんだなめーりん」 「がんばるんだぞ。おまえなら大丈夫だ。」 初めからわかっていたことである。 いじめっこか達を撃退した以上もうめーりんが森を恐れる理由はない。 それでもなお名残り惜しそうに振り返り、振り返りながら ゆっくりめーりんは森に消えていった。 「いいゆっくりだったな。」 「ああ、あんなゆっくりならずっとだって暮したいさ。」 森に入っためーりんは一気に加速する。 勢いよく跳ねて奥を目指す。 人間はめったに近寄らない森の奥深くに来たとき ゆっくりめーりんは木の根元にある穴に向かって 叫んだ。 「じゃおん!おまえたち!!でてくるお!!!」 「わかったわよ…」 そういって穴の中から出てきたのは二匹のゆっくり まりさとありす 両方共に昼間畑を襲撃し、撃退されたゆっくりの一団にいたゆっくりである。 「ほかのやつらはどうしだお!!」 「ぱちゅりーはあのあとしんじゃったんだぜ」 「ちぇんとみょんはけががひどいの。れいむがかんびょうしているわ」 「じゃおうぅん…まったくおまえたちはつかえないお!! きょうだってにんげんどもがくるのはもっとおそいはずだったお!! ほんとうならどさくさにまぎれてくだもののひとつもかっぱれてたお!! 「だってそれはめーりんが…」 「じゃおう!?」 昼の襲撃の際に人間を呼び寄せた「ゆっくりの悲鳴」 人間たちは襲撃側のものと考えたがそれは違う。 「しえすた」中の突然の襲撃に驚いためーりんの絶叫だったのである。 ゆっくりめーりんは喋れない、と思っている人間にわかるはずもないことではあるが。 ともかく人間を呼び寄せたのはめーりん自身である。 普段「しえすた」中はこのゆっくり達に見張りや虫取りをさせていた。 計画では起きているはずであったのだがつい普段の癖が出たのだ。 「じゃぅるさいお!おまえらがこのめーりんにさからうのはゆるされないんだお!! つかえないおまえらはくびだお!!もういらないお!!」 「!!!いくらなんでもひどいよ!!」 「あやま その時点で彼らの言葉はとめられた。 めーりんによってではない。茂みから投げかけられた網によってである。 「ゆゆ!!」 「なにこれ!!」 「よーし、うまくいったぞ。」 「いつもどおりの方法だ。当然さ。」 茂みから出てきたのは数人の人間達 「いつもいつもありがとうございますねぇ。めーりんさん。」 「どうってことないお!!きもんげにもよろしくたのむお!!」 「えーっとありすにまりさに…穴のなかにれいむとちぇんとみょんでしたっけ? みんな成体ですからけっこうな額になりそうですよ。」 彼らは人里の大商人きもんげの配下のゆっくりハンター達 本来ならばすべてのゆっくりに恐れられているはずの男達である。 にも関わらずなぜめーりんは平然としているのか? それはゆっくりめーりんの生態に理由がある。 人はゆっくりめーりんを「弱いゆっくり」と考えている。 体は強いがおとなしすぎる、だからいじめられる、と。 だがそれは重大な誤解なのだ。 ゆっくりめーりんは丈夫な肉体と高い知能を持つ。 そのようなゆっくりがいじめられるはずがない。 なにより…これは人間にも知られていないことであるが ゆっくりめーりんは純然たる「捕食種」なのだ。 たいていの捕食種はゆっくりのなかでも低知能であったりする。 だがゆっくりめーりんは違う。 ゆっくりの中でも高等な部類に属する知能を持っている。 自らの力を自覚しためーりんを押しとどめるものはなにもない。 ゆっくりめーりんはある意味もっとも暴力的手段を好むゆっくりなのだ。 純粋な捕食行動以外にも示威やめーりん同士の諍いの解決手段として ゆっくりめーりんは暴力的手段を取る。 そしてそれは他種に対しても変わらない。 幼いころから一族と共に他種からの略奪を行い鍛えられるめーりん達は 低知能なれみりゃ種、社会性のないゆゆこ種を押さえゆっくりの覇者とも言える存在となる。 他のゆっくりが様々な種と交わるのに対し ゆっくりめーりんはゆっくりめーりんとのみ交わる。 純血主義とも言える婚姻統制が敷かれる理由は 全てはゆっくりの覇者たるゆっくりめーりんの結束を守るため。 一日の大半を寝て過ごすゆっくりっぷりにも関わらず覇者となったのは その知能ゆえではない。その結束ゆえ、「何かを守る」という本能が めーりん種を守れと命ずるゆえである。 結束によって他のゆっくりから種を守る事に成功したゆっくりめーりんが 人間の脅威を知った時、種を守るためにとった行動 それは他のゆっくりを犠牲にすることであった。 ゆっくりめーりん達が 「ゆっくりをゆっくりさせない」ことを好む奇矯なゆっくり、きめぇ丸の仲介によって 人里の商人きもんげと接触したのはゆっくり加工所がいまだ軌道に乗る以前の事 ゆっくりの有用性に着目し、ゆっくり加工所へ多額の出資をしていたきもんげは ゆっくりの安定供給と引き換えに種の保護を求めためーりん達の提案に飛びついた。 その後きもんげの元に届けられたゆっくり達は 『きもんげ配下のゆっくりハンターの獲物』として加工所に納入された。 めーりん種との密約を加工所に内密にしたのは利益の独占と発言権の増大のためである。 当時ゆっくりの商品化には成功していた加工所であったがゆっくりの養殖にはいまだ成功しておらず 材料となるゆっくりはすべて捕獲する必要が有った。 その状況下で大量のゆっくりを安定して納入したことは きもんげの発言力を高め、きもんげは実質的な経営者の1人となった。 その後の養殖の成功によって商品に占める天然物の割合こそ減ったものの 天然には一定の価値が認められている。 きもんげとゆっくりめーりんの密約は続いているのだ。 「やめて!やめてえええぇぇぇ!!」 「せめてどうくつのこどもたちにあわせてね!!」 「うるさいお!!きさまらはおとなしくまんじゅうになるお!!」 網にとらわれながらも 籠に放り込まれまいとふんばるゆっくり達を踏みつけ蹴落とす。 めーりんの一撃によってゆっくり達は次々に籠に落ちていった。 こうしてゆっくり達は捕獲され加工所に送られた。 ゆっくりハンター達を見送っためーりんはその場を離れ森のさらに奥へと進んでゆく。 目的地はありすたちが言っていた「どうくつ」である。 木々に囲まれたそこは実際は洞窟ではない。 正しくは廃坑である。 広い空間が存在するそこはめーりん種の拠点の一つである。 幻想郷中に散らばるゆっくりめーりんの拠点は種族間の連絡所であると同時に もう一つの顔を持つ。 「じゃおん!!おかえりだお!!ゆっくりしていくお!!」 「じゃおん!!ただいまだお!!まったくつかれたお!!」 帰還しためーりんが仲間達と戯れるそこは 当然のごとく「しえすた」(あるいは計画的休息)をとる 門番めーりん達に守られた廃坑の入り口からすぐの小空間。 そこはかつての鉱夫達の休憩所であり そのさらに奥にはいくつもの横穴が開けられた坑道が続く。 「ゆっくりちていってね!!」 「ゆっくりちているよ!!」 「ゆっゆっゆ!!」「ゆ~!」 「れいむのうえからどいてね!!」 「まりさのゆっくりプレイスはうごかないでほしいんだぜ!!」 横穴にはすべてに鉄格子がはめ込まれ 内部はゆっくりの牢獄となっていた。 入れられているゆっくりの殆どは赤子か子供であり 大人はごく少数 先ほどのゆっくり達の子供たちもこの中のどこかにいるだろう。 このゆっくり達はすべて人質として赤子のうちに親から奪われたゆっくりである。 種としての繋がりは薄くとも家族の関係は濃い。 この牢獄の存在が少数のめーりんが多数のゆっくりを従える鎖となる。 牢の入り口に嵌められた鉄格子は人の手によって作られたものであり めーりん種と人間の繋がりが見て取れる。 「おまえたち!!えさのじかんだお!!」 めーりん達の声と共に穴の中に大量の菓子類が放り込まれる。 内部のゆっくりたちが貪るそれはきもんげの下にある食料品店、菓子店から買い上げられた処分品 本来なら廃棄処分になるそれを買い上げる事を店主たちは不思議がったが まさかこのように使われているとは夢にも思わないだろう。 「ゆ!!ごはんだよ!!」 「めーりんありがとう!!」「ありがとうね!!」 「む~しゃ!!む~しゃ!!しあわせ~!!」 「うめぇ!!めっちゃうめぇ!!」 赤子の頃よりこの牢獄で育ったゆっくり達は この異様な環境に毛ほどの疑いも抱いていない。 毎日食事をくれるめーりん達を無邪気に信じている。 「えーと、そこのおまえたち!!でるお!!」 「ありすのこと!?」「ついにすだちがきたのね!!」「とかいにいくんだね!!」 牢から出されたのは十匹程のありす 彼らの中ではここから出る事は巣立って都会に行くという事になっているらしい。 「とかいにいったらおめかししようね!!」「しょっぴんぐをしてえすてにいって」 「すてきなまりさとであうのよ!!」 前後を看守役のめーりんに挟まれてありす達は楽しげだ。 やがて彼らが来た事がない場所へとたどり着く。 「ゆゆ!!めーりんがいっぱい!!」 めーりん達が常駐する小空間、そこにはこの拠点に詰める二十数匹のめーりんが集っている。 「なんなの!!なにがはじまるの!!」 「ゆ!とかいはのありすはわかるよ!!」 一匹のありすが進み出て叫ぶ 「ありすたちのふぁっしょんしょーね!!」 その叫びにほかのありす達がざわめく。 「ゆゆゆ!!ほんと!?」「やだまだおめかししてないよ!!」 「あー…ちょっとちがうけどだいたいあってるお」 めーりん達はありす達を取り囲み 一斉に跳ねた。 「「「「ゆ?!」」」」 なにが起きたか認識する事はできなかっただろう。 ゆっくりめーりんの猛烈な体当たりが一撃でありす達の命を奪ったのだから。 ありす達はまるで一枚のカスタードパイの如くくっ付きあい混ざり合っていた。 あふれ出したカスタードクリームをじゅるじゅると吸い、めーりん達は空腹を満たした。 牢獄の中のゆっくりはその大半が加工所への納入品となるかめーりん達の餌となる。 そうならなかったごく一部のゆっくりも親元に帰れるわけではない。 かれらもまためーりん種の犠牲となる運命である。 ある日、一匹のめーりんが廃坑からあるゆっくりを連れ出した。 「じゃ、おまえたちはきょうからじぶんたちのすでくらすお!!」 めーりんにそう告げられたのは まだ若いれいむとまりさの夫婦に 何匹かの子ども達 「ゆ!れいむたちはすだちをするんだね」 「ついにいっこくいちじょうのあるじなんだぜ」 「おかーさん、やったね!!」 「みんあでゆっくりちようね!!」 彼らは今まで巣立ちを拒んでいたわけではない。 幼い頃から育ててくれためーりんの「おまえたちはまだはやいお!!」という言葉に従ったのみ 子どもを作ったのも「いざというときはかずはおおいほうがいいお!!」とのめーりんの言葉による。 「じゃ、ついてくるお!!」 そういってめーりんは一家を廃坑の外へと連れ出した。 そしてそのまま森の外へと進んでいく。 森を抜けるとそこにあるのは人間達の土地、人里 ずっと廃坑で育った一家には見た事が無いものだった。 「ゆゆ!おっきなものがいっぱいだよ!!」 「きょうからおまえたちもあれにすむんだお!!」 「ちょーなの!!」「ゆっくりできそうだね!!」 人里の外縁部を進んだ一行は一軒の家で立ち止まった。 それなりの大きさの家であり住人の暮らしぶりも悪くなさそうである。 「きょうからここがおまえたちのすだお!!」 「おっきないえだよ!!」 「いいいえなんだぜ!!」 「じゃ、はいるお」 そういってめーりんは近くに落ちていた石を咥えると 顔面から雨戸に体当たりする。 「ゆゆ!!めーりん!!」 「だいじょうぶなのかだぜ!!」 「これくらいどうってことないお!!」 石を咥えて木の板をぶち破る。 分厚い皮を持つゆっくりめーりんのみにできる芸当である。 少々の切り傷はどうということもないのだ。 中に入ったゆっくり達は家の中をきゃいきゃいと騒ぎながら駆け回る。 「ゆ!ここにおいしそうな食べ物があるよ!!」 「きれいなお花があるよ!!」 「このしきものはゆっくりできそうだぜ!!」 「じゃーおまえたち。ちょっとあつまるお」 めーりんの言葉に集まるゆっくり達 卓袱台の上にのっためーりんはゆっくり一家にこう言った。 「じゃ!ここをもっとゆっくりできるようにするお!!」 それからは一家の共同作業 めーりんの指示に従い、鉢植えをひっくり返して土を撒き 仏壇を倒して中の物を放り出し、中に枯れ草や落ち葉を運び込む。 まりさが気に入った敷物には戸棚の中にあった蜂蜜を塗りたくり 戸棚の中の食器類を叩き割ったり床の間のけ軸に絵を描く作業を 子ども達は嬉々としてこなした。 見つけた食料品にも迷わずに手をつける。 野生のゆっくりならば見た事がない既成品や菓子類等は避け、野菜類を選ぶだろう。 だがこのゆっくりたちは廃坑の中で人と同じものを餌として与えられていた。 なんであるかはすぐわかる。 「じゃ、これでゆっくりできるようになったお」 「ゆっくりできるね!!」 「あとすこししたらおにいさんというにんげんがくるお えさはそいつにもってこさせるお!!」 これまで一家は人間を見た事がない。 めーりん達の話でゆっくりの言う事はなんでも聞く ゆっくりの命令に従うのが大好き、と聞いたくらいだ。 今まで餌はめーりんが持ってきてくれた。 これからは人間が持ってくるのだろう。 「わかったよめーりん!!」 「これからはここでゆっくりするんだぜ!!」 「じゃ、げんきでくらすお!!ゆっくりするんだお!!」 めーりんが立ち去ってからしばらくした後 帰宅したこの家の主人が見たのはゆっくりによって荒らされた我が家 部屋中に土がばら撒かれ仏壇は引き倒されている。 小さなゆっくりが乗って遊んでいるのはどう見ても位牌であり 亡父が遺した掛け軸は煤で汚され、一緒に酒を酌み交わした杯は粉々に砕けかれていた。 ゆっくり達は彼を見るなりこう言った。 「おにいさん!!ここはれいむたちのおうちだよ!!」 「はやくたべものをもってくるんだぜ!!」 「どりゃやき!!」「きんちゅば!!」「だいふゅく!!」 その日の夕刻 ゆっくり加工所にゆっくりであった塊を持ち込む主人の姿があった。 ゆっくりたちに畑荒らし、家荒らしをさせるのもめーりん種を守る策の一つだった。 他のゆっくりが暴れるほど「いいゆっくり」たるゆっくりめーりんの評判は良くなる。 本来ゆっくりの生息域は人間のそれとはほとんど重ならない。 大抵のゆっくりは人間の存在すら知らぬままにその一生を終える。 ゆっくりが急速に増加した頃、一部のゆっくりが人里に接した事もある。 だがそれも「にんげんはこわい」との情報がゆっくり社会にもたらされると共に引いていった。 現在の被害の殆どはゆっくりめーりん達の工作によるものであるを 人里の人々が知る由もない。 「ゆっくりの被害」に喜ぶのはめーりん達のみではない。 きもんげも、である。 「ゆっくりの被害」を喧伝しゆっくりは害獣であるというイメージを 人々に植え付ける、ことでゆっくりへの抵抗感を減らす事が出来る。 人語を解するゆっくりを食用にする事に抵抗感を覚える人間は少なくないのだ。 きもんげはめーりん種の保護という約定を忠実に履行した。 かつて部下が見つけた新種のゆっくりとしてゆっくりめーりんを持ち込み 「こいつはほかのゆっくりにいじめれとった気の毒なゆっくりや こいつくらいは何もせんといてやろうと思うんや。」 と言ったのは他の誰でもないきもんげである。 その後も商品開発部門からはゆっくりめーりんを使用した新製品が何度か提案されている。 辛味のある餡を利用した調味料や分厚い皮を加工しての効率的な饅頭生産法などだ。 とくに後者は餡子は作れても皮は作れぬゆっくりの弱点を補う案として注目されたが 全てきもんげによって潰されている。 職員の間では「あのきもんげさんにも情けの概念があるのか」などと噂されているが その実は利益の為なのだ。 加工所以外にも 幻想郷に存在するその他いくつかの研究機関に対しても きもんげが『資金援助』を行いゆっくりめーりんの真実が漏れる事を防いでいる。 きもんげはその他にも様々な策を講じていた。 とある野原の真ん中で一匹のゆっくりめーりんが「しえすた」を行なっている。 「ZZzzz…ZZZzzz…」 そこにやってきた人間の子供たち 人懐っこい事で知られるゆっくりめーりんを見つけて声を掛けた。 「めーりん!一緒に遊ぼう!!」 「じゃおん!?」 声を掛けられためーりんはバネ仕掛けのおもちゃのように跳ね起きる。 そして 「じゃお!めーりんはぎょうむちゅうだお!!おきゅーりょーよこすお!!」 寝ぼけているのだろうか。 ぴょんぴょんと跳ねて子供たちにまとわりつく。 「めーりんが喋った!!」 ぎょっとしたように固まる子供たち 「じゃお!ぷろれたりあーとにちんぎんをよこすお!!このぶるじょあのいぬめ!!」 「こいつ可笑しいぞ」 「めーりんは喋らないよな?」 「あ、こいつみすずなんじゃないか?」 「きっとそーだよみすずだよ!!」 子供たちが言う「みすず」とはゆっくりめーりんに偽装するという「ゆっくりみすず」の事である。 加工所出版部門によって刊行される「ゆっくり図鑑」によれば その主な特徴は「よく喋る」「ゆっくりめーりんを騙る」「他のゆっくりに襲い掛かる」こと。 捕食種であるとも書かれている。 このゆっくり、つまるところはゆっくりめーりんである。 種族間の結束が強いゆっくりめーりんにも時折はぐれはいる。 そのはぐれによって、あるいはなんらかのアクシデントによって 「喋る事が出来ない」「心やさしい」「他のゆっくりにいじめられる」 ゆっくりめーりんのイメージが壊される事を防ぐための処置だ。 「じゃ!みすずじゃないお!めーりんだお!!」 「うわ、でたよめーりん騙り」 「喋る時点でバレバレだろ。」 ゆっくりめーりんはいいゆっくり なればそれを騙るのはわるいゆっくり 「ゆっくりってのは恥ってのを知らないのかな。」 「知ってればこんな事しないだろ。」 「害獣は駆除しないとな。」 めーりんを取り囲んだ子供たちは鞠を蹴る様にめーりんを蹴り上げ始めた。 「!!!やめ 「それ!」じゃぉ!」 「よっと!」じゃぅ!」 「はっ!」じゃ…ぉぉぅ」 ぽんぽんと蹴り回されるゆっくりめーりん いくら分厚い皮をを持っていても蹴り上げ続けられれば身が持たない。 徐々に削れ中身のピザまんが露出し始めた頃 ゆっくりめーりんに一匹のゆっくりが飛び込んできた。 それは同族のゆっくりめーりん まったくの初対面であるがこの状況で同族は救いの神に見える。 「じゃおぅ!めぃりぃん!めぃりぃん!たすけふめぃり…」 同族への必死の懇願 守る事を好むその身体で今こそ自分を守ってくれという願い 吐き出される息に混ぜられたサイン それが叶うことは無かった。 蹴り殺される同族を目にしながら ゆっくりめーりんは微動だにしなかった。 「じゃおおぅぅぅ…」 限界を迎えたのだろう。 茶色い中身をぼろぼろと落としながら ゆっくりめーりんは動かなくなった。 「あー、死んじゃったじゃ。」 「行こうぜ」 「お、めーりんだ」 「見ろよめーりん。みすずをやっつけたんだ。」 子供たちとともに歩むゆっくりめーりんの顔には一片の翳りもなかった。 なぜなら今蹴り殺されたのは「ゆっくりみすず」だから。 守る事を知るめーりんは全力を持って無視という防衛行動をとった。 守るべきはゆっくりめーりんという種であるからである。 なお加工所出版部発行「ゆっくり図鑑」であるが 全種総天然色イラスト入り、ポケットサイズの図鑑には 様々なゆっくりの生態が書かれている。 人々が噂する 「れいむ種は強いものに媚びる」「まりさ種はすぐ裏切る」「ありす種は性欲の権化」などの 話の大本は大抵この図鑑である。 他のゆっくりのイメージを下げる効果を期しての記述だ。 この図鑑の信憑性は上の下といったところ。 各所に織り込まれた「意図」はこの図鑑の学術的価値と引き換えに 大いなる利益を加工所にもたらしている。 加工所出版部門は「ゆっくり虐待専門誌」も刊行している。 人里にゆっくり虐待ブームを仕掛ける策は見事に成功している。 子供を中心に据えた計画であったが成人や妖怪の中にも愛好者が増えているとか。 虐待グッズの売り上げも向上し、金が金を産む理想的な状況に近づきつつある。 このままめーりん以外のゆっくりを食品、娯楽品以上に見る人間がいなくなってくれれば、というのが 現在のきもんげの願いだ。 自分達以外の全てを犠牲にし繁栄する最強の弱者ゆっくりめーりん 全ての犠牲を吸い取り膨れ上がるきもんげ 両者の関係はこれからも続くだろう。 その関係に終わりが来るのか否か、それは誰にもわからない。 このSSに感想を付ける
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オレ設定、というかダレ設定が含まれます。ご注意を 「………おおおぅぅぅぅん…」 「何だ!?」「畑の方だ!」 「むぎゅうううううう!!」 「もうじないがらゆるじでえええぇぇぇ」 「もう二度とくるんじゃねえぞ!!」 数匹のゆっくりが罵声を浴びせかけられながら畑から叩き出された。 全身泥まみれで這って逃げていく。 「奴ら当分来ないだろうな。」 「でもあの餡子脳だ。そのうちやられたことも忘れてやってきくるだろう。」 そう言いながら見下ろした先 そこには一匹のゆっくりがいる。 「おう!やったなめ-りん!!」 「よくやったぞ!!」 「!!!!」 男たちの言葉に高く跳ねることで答えたこのゆっくり その名はゆっくりめーりん その特徴は先天的に喋ることができないこと 代わりに高い知能をもっていること ゆっくりとしては皮が厚い丈夫な体をもつこと そんなゆっくりめーりんであるが「喋ることができない」ために ゆっくりの中ではいじめらることが多いという。 このめーりんも例外ではなく他のゆっくりにいじめられていた。 そこを助けたのがこの男たちである。 以来めーりんは恩返しをすべく人間の手伝いをするようになった。 特にめーりんは畑番を好んだ。 野菜につく虫を食べたり、果物を啄ばもうとする鳥 そして盗みに入るゆっくりを追い払う仕事である。 俗に「いいゆっくり」とも称されるゆっくりめーりんは 「何かを守る」本能の元にその仕事をこなした。 その最中にめーりんが出くわしたゆっくり達 それはかつて森の中でめーりんをいじめていたゆっくり達で会った。 「ゆゆ!めーりんだよ!!」 「あのいなかものまだいたのね。またいじめてあげるわ」 だが人間たちの中で畑番の任務をこなし自信をつけためーりんは かつてのめーりんの比ではなかった。 ゆっくりの悲鳴を聞いて駆け付けた人間たちの助けを借りながらも かつてのいじっめっこ達を撃退したのである。 「よーし今日は飲むぞ!!」 「はは、飲みすぎるなよ。」 めーりんの勝利を我が事のように喜ぶ男たち その日は遅くまで笑い声が絶えなかった。 次の日 朝焼けの中に人間とゆっくりがいた。 「もう行くんだなめーりん」 「がんばるんだぞ。おまえなら大丈夫だ。」 初めからわかっていたことである。 いじめっこか達を撃退した以上もうめーりんが森を恐れる理由はない。 それでもなお名残り惜しそうに振り返り、振り返りながら ゆっくりめーりんは森に消えていった。 「いいゆっくりだったな。」 「ああ、あんなゆっくりならずっとだって暮したいさ。」 森に入っためーりんは一気に加速する。 勢いよく跳ねて奥を目指す。 人間はめったに近寄らない森の奥深くに来たとき ゆっくりめーりんは木の根元にある穴に向かって 叫んだ。 「じゃおん!おまえたち!!でてくるお!!!」 「わかったわよ…」 そういって穴の中から出てきたのは二匹のゆっくり まりさとありす 両方共に昼間畑を襲撃し、撃退されたゆっくりの一団にいたゆっくりである。 「ほかのやつらはどうしだお!!」 「ぱちゅりーはあのあとしんじゃったんだぜ」 「ちぇんとみょんはけががひどいの。れいむがかんびょうしているわ」 「じゃおうぅん…まったくおまえたちはつかえないお!! きょうだってにんげんどもがくるのはもっとおそいはずだったお!! ほんとうならどさくさにまぎれてくだもののひとつもかっぱれてたお!! 「だってそれはめーりんが…」 「じゃおう!?」 昼の襲撃の際に人間を呼び寄せた「ゆっくりの悲鳴」 人間たちは襲撃側のものと考えたがそれは違う。 「しえすた」中の突然の襲撃に驚いためーりんの絶叫だったのである。 ゆっくりめーりんは喋れない、と思っている人間にわかるはずもないことではあるが。 ともかく人間を呼び寄せたのはめーりん自身である。 普段「しえすた」中はこのゆっくり達に見張りや虫取りをさせていた。 計画では起きているはずであったのだがつい普段の癖が出たのだ。 「じゃぅるさいお!おまえらがこのめーりんにさからうのはゆるされないんだお!! つかえないおまえらはくびだお!!もういらないお!!」 「!!!いくらなんでもひどいよ!!」 「あやま その時点で彼らの言葉はとめられた。 めーりんによってではない。茂みから投げかけられた網によってである。 「ゆゆ!!」 「なにこれ!!」 「よーし、うまくいったぞ。」 「いつもどおりの方法だ。当然さ。」 茂みから出てきたのは数人の人間達 「いつもいつもありがとうございますねぇ。めーりんさん。」 「どうってことないお!!きもんげにもよろしくたのむお!!」 「えーっとありすにまりさに…穴のなかにれいむとちぇんとみょんでしたっけ? みんな成体ですからけっこうな額になりそうですよ。」 彼らは人里の大商人きもんげの配下のゆっくりハンター達 本来ならばすべてのゆっくりに恐れられているはずの男達である。 にも関わらずなぜめーりんは平然としているのか? それはゆっくりめーりんの生態に理由がある。 人はゆっくりめーりんを「弱いゆっくり」と考えている。 体は強いがおとなしすぎる、だからいじめられる、と。 だがそれは重大な誤解なのだ。 ゆっくりめーりんは丈夫な肉体と高い知能を持つ。 そのようなゆっくりがいじめられるはずがない。 なにより…これは人間にも知られていないことであるが ゆっくりめーりんは純然たる「捕食種」なのだ。 たいていの捕食種はゆっくりのなかでも低知能であったりする。 だがゆっくりめーりんは違う。 ゆっくりの中でも高等な部類に属する知能を持っている。 自らの力を自覚しためーりんを押しとどめるものはなにもない。 ゆっくりめーりんはある意味もっとも暴力的手段を好むゆっくりなのだ。 純粋な捕食行動以外にも示威やめーりん同士の諍いの解決手段として ゆっくりめーりんは暴力的手段を取る。 そしてそれは他種に対しても変わらない。 幼いころから一族と共に他種からの略奪を行い鍛えられるめーりん達は 低知能なれみりゃ種、社会性のないゆゆこ種を押さえゆっくりの覇者とも言える存在となる。 他のゆっくりが様々な種と交わるのに対し ゆっくりめーりんはゆっくりめーりんとのみ交わる。 純血主義とも言える婚姻統制が敷かれる理由は 全てはゆっくりの覇者たるゆっくりめーりんの結束を守るため。 一日の大半を寝て過ごすゆっくりっぷりにも関わらず覇者となったのは その知能ゆえではない。その結束ゆえ、「何かを守る」という本能が めーりん種を守れと命ずるゆえである。 結束によって他のゆっくりから種を守る事に成功したゆっくりめーりんが 人間の脅威を知った時、種を守るためにとった行動 それは他のゆっくりを犠牲にすることであった。 ゆっくりめーりん達が 「ゆっくりをゆっくりさせない」ことを好む奇矯なゆっくり、きめぇ丸の仲介によって 人里の商人きもんげと接触したのはゆっくり加工所がいまだ軌道に乗る以前の事 ゆっくりの有用性に着目し、ゆっくり加工所へ多額の出資をしていたきもんげは ゆっくりの安定供給と引き換えに種の保護を求めためーりん達の提案に飛びついた。 その後きもんげの元に届けられたゆっくり達は 『きもんげ配下のゆっくりハンターの獲物』として加工所に納入された。 めーりん種との密約を加工所に内密にしたのは利益の独占と発言権の増大のためである。 当時ゆっくりの商品化には成功していた加工所であったがゆっくりの養殖にはいまだ成功しておらず 材料となるゆっくりはすべて捕獲する必要が有った。 その状況下で大量のゆっくりを安定して納入したことは きもんげの発言力を高め、きもんげは実質的な経営者の1人となった。 その後の養殖の成功によって商品に占める天然物の割合こそ減ったものの 天然には一定の価値が認められている。 きもんげとゆっくりめーりんの密約は続いているのだ。 「やめて!やめてえええぇぇぇ!!」 「せめてどうくつのこどもたちにあわせてね!!」 「うるさいお!!きさまらはおとなしくまんじゅうになるお!!」 網にとらわれながらも 籠に放り込まれまいとふんばるゆっくり達を踏みつけ蹴落とす。 めーりんの一撃によってゆっくり達は次々に籠に落ちていった。 こうしてゆっくり達は捕獲され加工所に送られた。 ゆっくりハンター達を見送っためーりんはその場を離れ森のさらに奥へと進んでゆく。 目的地はありすたちが言っていた「どうくつ」である。 木々に囲まれたそこは実際は洞窟ではない。 正しくは廃坑である。 広い空間が存在するそこはめーりん種の拠点の一つである。 幻想郷中に散らばるゆっくりめーりんの拠点は種族間の連絡所であると同時に もう一つの顔を持つ。 「じゃおん!!おかえりだお!!ゆっくりしていくお!!」 「じゃおん!!ただいまだお!!まったくつかれたお!!」 帰還しためーりんが仲間達と戯れるそこは 当然のごとく「しえすた」(あるいは計画的休息)をとる 門番めーりん達に守られた廃坑の入り口からすぐの小空間。 そこはかつての鉱夫達の休憩所であり そのさらに奥にはいくつもの横穴が開けられた坑道が続く。 「ゆっくりちていってね!!」 「ゆっくりちているよ!!」 「ゆっゆっゆ!!」「ゆ~!」 「れいむのうえからどいてね!!」 「まりさのゆっくりプレイスはうごかないでほしいんだぜ!!」 横穴にはすべてに鉄格子がはめ込まれ 内部はゆっくりの牢獄となっていた。 入れられているゆっくりの殆どは赤子か子供であり 大人はごく少数 先ほどのゆっくり達の子供たちもこの中のどこかにいるだろう。 このゆっくり達はすべて人質として赤子のうちに親から奪われたゆっくりである。 種としての繋がりは薄くとも家族の関係は濃い。 この牢獄の存在が少数のめーりんが多数のゆっくりを従える鎖となる。 牢の入り口に嵌められた鉄格子は人の手によって作られたものであり めーりん種と人間の繋がりが見て取れる。 「おまえたち!!えさのじかんだお!!」 めーりん達の声と共に穴の中に大量の菓子類が放り込まれる。 内部のゆっくりたちが貪るそれはきもんげの下にある食料品店、菓子店から買い上げられた処分品 本来なら廃棄処分になるそれを買い上げる事を店主たちは不思議がったが まさかこのように使われているとは夢にも思わないだろう。 「ゆ!!ごはんだよ!!」 「めーりんありがとう!!」「ありがとうね!!」 「む~しゃ!!む~しゃ!!しあわせ~!!」 「うめぇ!!めっちゃうめぇ!!」 赤子の頃よりこの牢獄で育ったゆっくり達は この異様な環境に毛ほどの疑いも抱いていない。 毎日食事をくれるめーりん達を無邪気に信じている。 「えーと、そこのおまえたち!!でるお!!」 「ありすのこと!?」「ついにすだちがきたのね!!」「とかいにいくんだね!!」 牢から出されたのは十匹程のありす 彼らの中ではここから出る事は巣立って都会に行くという事になっているらしい。 「とかいにいったらおめかししようね!!」「しょっぴんぐをしてえすてにいって」 「すてきなまりさとであうのよ!!」 前後を看守役のめーりんに挟まれてありす達は楽しげだ。 やがて彼らが来た事がない場所へとたどり着く。 「ゆゆ!!めーりんがいっぱい!!」 めーりん達が常駐する小空間、そこにはこの拠点に詰める二十数匹のめーりんが集っている。 「なんなの!!なにがはじまるの!!」 「ゆ!とかいはのありすはわかるよ!!」 一匹のありすが進み出て叫ぶ 「ありすたちのふぁっしょんしょーね!!」 その叫びにほかのありす達がざわめく。 「ゆゆゆ!!ほんと!?」「やだまだおめかししてないよ!!」 「あー…ちょっとちがうけどだいたいあってるお」 めーりん達はありす達を取り囲み 一斉に跳ねた。 「「「「ゆ?!」」」」 なにが起きたか認識する事はできなかっただろう。 ゆっくりめーりんの猛烈な体当たりが一撃でありす達の命を奪ったのだから。 ありす達はまるで一枚のカスタードパイの如くくっ付きあい混ざり合っていた。 あふれ出したカスタードクリームをじゅるじゅると吸い、めーりん達は空腹を満たした。 牢獄の中のゆっくりはその大半が加工所への納入品となるかめーりん達の餌となる。 そうならなかったごく一部のゆっくりも親元に帰れるわけではない。 かれらもまためーりん種の犠牲となる運命である。 ある日、一匹のめーりんが廃坑からあるゆっくりを連れ出した。 「じゃ、おまえたちはきょうからじぶんたちのすでくらすお!!」 めーりんにそう告げられたのは まだ若いれいむとまりさの夫婦に 何匹かの子ども達 「ゆ!れいむたちはすだちをするんだね」 「ついにいっこくいちじょうのあるじなんだぜ」 「おかーさん、やったね!!」 「みんあでゆっくりちようね!!」 彼らは今まで巣立ちを拒んでいたわけではない。 幼い頃から育ててくれためーりんの「おまえたちはまだはやいお!!」という言葉に従ったのみ 子どもを作ったのも「いざというときはかずはおおいほうがいいお!!」とのめーりんの言葉による。 「じゃ、ついてくるお!!」 そういってめーりんは一家を廃坑の外へと連れ出した。 そしてそのまま森の外へと進んでいく。 森を抜けるとそこにあるのは人間達の土地、人里 ずっと廃坑で育った一家には見た事が無いものだった。 「ゆゆ!おっきなものがいっぱいだよ!!」 「きょうからおまえたちもあれにすむんだお!!」 「ちょーなの!!」「ゆっくりできそうだね!!」 人里の外縁部を進んだ一行は一軒の家で立ち止まった。 それなりの大きさの家であり住人の暮らしぶりも悪くなさそうである。 「きょうからここがおまえたちのすだお!!」 「おっきないえだよ!!」 「いいいえなんだぜ!!」 「じゃ、はいるお」 そういってめーりんは近くに落ちていた石を咥えると 顔面から雨戸に体当たりする。 「ゆゆ!!めーりん!!」 「だいじょうぶなのかだぜ!!」 「これくらいどうってことないお!!」 石を咥えて木の板をぶち破る。 分厚い皮を持つゆっくりめーりんのみにできる芸当である。 少々の切り傷はどうということもないのだ。 中に入ったゆっくり達は家の中をきゃいきゃいと騒ぎながら駆け回る。 「ゆ!ここにおいしそうな食べ物があるよ!!」 「きれいなお花があるよ!!」 「このしきものはゆっくりできそうだぜ!!」 「じゃーおまえたち。ちょっとあつまるお」 めーりんの言葉に集まるゆっくり達 卓袱台の上にのっためーりんはゆっくり一家にこう言った。 「じゃ!ここをもっとゆっくりできるようにするお!!」 それからは一家の共同作業 めーりんの指示に従い、鉢植えをひっくり返して土を撒き 仏壇を倒して中の物を放り出し、中に枯れ草や落ち葉を運び込む。 まりさが気に入った敷物には戸棚の中にあった蜂蜜を塗りたくり 戸棚の中の食器類を叩き割ったり床の間のけ軸に絵を描く作業を 子ども達は嬉々としてこなした。 見つけた食料品にも迷わずに手をつける。 野生のゆっくりならば見た事がない既成品や菓子類等は避け、野菜類を選ぶだろう。 だがこのゆっくりたちは廃坑の中で人と同じものを餌として与えられていた。 なんであるかはすぐわかる。 「じゃ、これでゆっくりできるようになったお」 「ゆっくりできるね!!」 「あとすこししたらおにいさんというにんげんがくるお えさはそいつにもってこさせるお!!」 これまで一家は人間を見た事がない。 めーりん達の話でゆっくりの言う事はなんでも聞く ゆっくりの命令に従うのが大好き、と聞いたくらいだ。 今まで餌はめーりんが持ってきてくれた。 これからは人間が持ってくるのだろう。 「わかったよめーりん!!」 「これからはここでゆっくりするんだぜ!!」 「じゃ、げんきでくらすお!!ゆっくりするんだお!!」 めーりんが立ち去ってからしばらくした後 帰宅したこの家の主人が見たのはゆっくりによって荒らされた我が家 部屋中に土がばら撒かれ仏壇は引き倒されている。 小さなゆっくりが乗って遊んでいるのはどう見ても位牌であり 亡父が遺した掛け軸は煤で汚され、一緒に酒を酌み交わした杯は粉々に砕けかれていた。 ゆっくり達は彼を見るなりこう言った。 「おにいさん!!ここはれいむたちのおうちだよ!!」 「はやくたべものをもってくるんだぜ!!」 「どりゃやき!!」「きんちゅば!!」「だいふゅく!!」 その日の夕刻 ゆっくり加工所にゆっくりであった塊を持ち込む主人の姿があった。 ゆっくりたちに畑荒らし、家荒らしをさせるのもめーりん種を守る策の一つだった。 他のゆっくりが暴れるほど「いいゆっくり」たるゆっくりめーりんの評判は良くなる。 本来ゆっくりの生息域は人間のそれとはほとんど重ならない。 大抵のゆっくりは人間の存在すら知らぬままにその一生を終える。 ゆっくりが急速に増加した頃、一部のゆっくりが人里に接した事もある。 だがそれも「にんげんはこわい」との情報がゆっくり社会にもたらされると共に引いていった。 現在の被害の殆どはゆっくりめーりん達の工作によるものであるを 人里の人々が知る由もない。 「ゆっくりの被害」に喜ぶのはめーりん達のみではない。 きもんげも、である。 「ゆっくりの被害」を喧伝しゆっくりは害獣であるというイメージを 人々に植え付ける、ことでゆっくりへの抵抗感を減らす事が出来る。 人語を解するゆっくりを食用にする事に抵抗感を覚える人間は少なくないのだ。 きもんげはめーりん種の保護という約定を忠実に履行した。 かつて部下が見つけた新種のゆっくりとしてゆっくりめーりんを持ち込み 「こいつはほかのゆっくりにいじめれとった気の毒なゆっくりや こいつくらいは何もせんといてやろうと思うんや。」 と言ったのは他の誰でもないきもんげである。 その後も商品開発部門からはゆっくりめーりんを使用した新製品が何度か提案されている。 辛味のある餡を利用した調味料や分厚い皮を加工しての効率的な饅頭生産法などだ。 とくに後者は餡子は作れても皮は作れぬゆっくりの弱点を補う案として注目されたが 全てきもんげによって潰されている。 職員の間では「あのきもんげさんにも情けの概念があるのか」などと噂されているが その実は利益の為なのだ。 加工所以外にも 幻想郷に存在するその他いくつかの研究機関に対しても きもんげが『資金援助』を行いゆっくりめーりんの真実が漏れる事を防いでいる。 きもんげはその他にも様々な策を講じていた。 とある野原の真ん中で一匹のゆっくりめーりんが「しえすた」を行なっている。 「ZZzzz…ZZZzzz…」 そこにやってきた人間の子供たち 人懐っこい事で知られるゆっくりめーりんを見つけて声を掛けた。 「めーりん!一緒に遊ぼう!!」 「じゃおん!?」 声を掛けられためーりんはバネ仕掛けのおもちゃのように跳ね起きる。 そして 「じゃお!めーりんはぎょうむちゅうだお!!おきゅーりょーよこすお!!」 寝ぼけているのだろうか。 ぴょんぴょんと跳ねて子供たちにまとわりつく。 「めーりんが喋った!!」 ぎょっとしたように固まる子供たち 「じゃお!ぷろれたりあーとにちんぎんをよこすお!!このぶるじょあのいぬめ!!」 「こいつ可笑しいぞ」 「めーりんは喋らないよな?」 「あ、こいつみすずなんじゃないか?」 「きっとそーだよみすずだよ!!」 子供たちが言う「みすず」とはゆっくりめーりんに偽装するという「ゆっくりみすず」の事である。 加工所出版部門によって刊行される「ゆっくり図鑑」によれば その主な特徴は「よく喋る」「ゆっくりめーりんを騙る」「他のゆっくりに襲い掛かる」こと。 捕食種であるとも書かれている。 このゆっくり、つまるところはゆっくりめーりんである。 種族間の結束が強いゆっくりめーりんにも時折はぐれはいる。 そのはぐれによって、あるいはなんらかのアクシデントによって 「喋る事が出来ない」「心やさしい」「他のゆっくりにいじめられる」 ゆっくりめーりんのイメージが壊される事を防ぐための処置だ。 「じゃ!みすずじゃないお!めーりんだお!!」 「うわ、でたよめーりん騙り」 「喋る時点でバレバレだろ。」 ゆっくりめーりんはいいゆっくり なればそれを騙るのはわるいゆっくり 「ゆっくりってのは恥ってのを知らないのかな。」 「知ってればこんな事しないだろ。」 「害獣は駆除しないとな。」 めーりんを取り囲んだ子供たちは鞠を蹴る様にめーりんを蹴り上げ始めた。 「!!!やめ 「それ!」じゃぉ!」 「よっと!」じゃぅ!」 「はっ!」じゃ…ぉぉぅ」 ぽんぽんと蹴り回されるゆっくりめーりん いくら分厚い皮をを持っていても蹴り上げ続けられれば身が持たない。 徐々に削れ中身のピザまんが露出し始めた頃 ゆっくりめーりんに一匹のゆっくりが飛び込んできた。 それは同族のゆっくりめーりん まったくの初対面であるがこの状況で同族は救いの神に見える。 「じゃおぅ!めぃりぃん!めぃりぃん!たすけふめぃり…」 同族への必死の懇願 守る事を好むその身体で今こそ自分を守ってくれという願い 吐き出される息に混ぜられたサイン それが叶うことは無かった。 蹴り殺される同族を目にしながら ゆっくりめーりんは微動だにしなかった。 「じゃおおぅぅぅ…」 限界を迎えたのだろう。 茶色い中身をぼろぼろと落としながら ゆっくりめーりんは動かなくなった。 「あー、死んじゃったじゃ。」 「行こうぜ」 「お、めーりんだ」 「見ろよめーりん。みすずをやっつけたんだ。」 子供たちとともに歩むゆっくりめーりんの顔には一片の翳りもなかった。 なぜなら今蹴り殺されたのは「ゆっくりみすず」だから。 守る事を知るめーりんは全力を持って無視という防衛行動をとった。 守るべきはゆっくりめーりんという種であるからである。 なお加工所出版部発行「ゆっくり図鑑」であるが 全種総天然色イラスト入り、ポケットサイズの図鑑には 様々なゆっくりの生態が書かれている。 人々が噂する 「れいむ種は強いものに媚びる」「まりさ種はすぐ裏切る」「ありす種は性欲の権化」などの 話の大本は大抵この図鑑である。 他のゆっくりのイメージを下げる効果を期しての記述だ。 この図鑑の信憑性は上の下といったところ。 各所に織り込まれた「意図」はこの図鑑の学術的価値と引き換えに 大いなる利益を加工所にもたらしている。 加工所出版部門は「ゆっくり虐待専門誌」も刊行している。 人里にゆっくり虐待ブームを仕掛ける策は見事に成功している。 子供を中心に据えた計画であったが成人や妖怪の中にも愛好者が増えているとか。 虐待グッズの売り上げも向上し、金が金を産む理想的な状況に近づきつつある。 このままめーりん以外のゆっくりを食品、娯楽品以上に見る人間がいなくなってくれれば、というのが 現在のきもんげの願いだ。 自分達以外の全てを犠牲にし繁栄する最強の弱者ゆっくりめーりん 全ての犠牲を吸い取り膨れ上がるきもんげ 両者の関係はこれからも続くだろう。 その関係に終わりが来るのか否か、それは誰にもわからない。 このSSに感想を付ける
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※めーりん好きは見ない方がいいです。 後、ちーちー注意です とある森にあるゆっくりの巣。100匹程度からなるその群れは実にゆったりとした日々を過ごしていた。 そんなある日。 「ドス~たいへんだよ!」 「ゆー? どうしたのまりさ?」 群れのリーダーであるドスの所にまりさがやってきた。何やら慌てている様子である。 「このさきのむれですぃーにのっためーりんたちをみたんだぜ! となりのむれにひどいことをしてたんだぜ!」 「ゆゆ! それはゆっくりできないね! いますぐみんなをあつめてね! あとはちかくのむれのおさたちもよんできてね!」 こうして群れのゆっくりと近くの群れの長達はドスのの元へ集まった。そして何やらゴソゴソと準備を始める。 それから二日後。森へ一つのゆっくりできない集団がやってきた。騎馬めーりんの一団である。 めーりんから進化した彼らの本能には"ゆっくり"する事は完全に消え去っており。崇拝する女神と戦いの為に常に移動を続ける 好戦的な集団であった。 スィーを巧みに操るめーりん達。その数は40匹といったところか。 集団の真ん中に居るのは、他のゆっくり達の飾りで作ったパッチワークの帽子を被るめーりん。 この群れのリーダーである。百戦錬磨の彼女は今日もゆっくり達を襲撃しようと森へやってきた。 それぞれの巣を襲撃するために、いくつかの集団に別れためーりん達は各々の目的地へと向かった。 森に入ってしばらくすると、めーりんの集団は急に止まりだした。後100mも走れば巣と思われる洞窟にたどり着くという所でだ。 そして集団から何匹かのスィーにのったゆっくりが先頭に押し出された。それはまだ幼いめーりん種以外の子ゆっくり達だった。 「ゆゆ・・・ゆっぐりざぜでぐだざい・・・」 「ありちゅたちをゆっきゅちちゃちてね!」 そんな彼らを無視して、めーりんは前に進むように目を前方へ向ける。 「ゆゆゆ・・・ゆっくりはしればいいんだね。ゆっくりはしるよ。」 逆らっても意味のない事を知っている子どもたちは大人しく従った。 まだたどたどしい動きでスィーを進める。すると 「ゆぐぐぐぐぐ!!! どうじでじべんがゆれでるのおおお!!! ゆっぐじでぎにゃぎゃ!」 急にガタガタと揺れ出したスィー。それによりバランスを取れなくなった子ゆっくり達はそのまま落下してしまった。 理由は簡単だ。そこには大量の小石が敷き詰められていたからだ。平地での移動には最適なスィーだが、こういった悪路での走行は危険だ。 むしろ歩いた方が効率がいい時もある。 「いぎゃいよ! ゆゆゆ・・・ゆっくりたすけてねめーりん! おねがいだからね!」 「とかいはのあんよがらあんこがでてるの! おねがいだからたすけてね!」 そんな話など最初から聞いていなかった。めーりんたちはリーダーを中心に何か話している。 「JAOOO! JAO!JAON!」 「J、JAJAJAO!」 「JAOOOOOOON!!!」 リーダーのめーりんにしてみればこの程度の罠は予想の範疇だった。だからわざわざ奴隷の一部を連れ出して こうして当て馬として利用したのだ。 めーりん達は話し合いの結果、二手に別れて左右から挟み撃ちにする事にした。 このような罠を仕掛ける相手である。逃げられる可能性もあるからだ。 リーダーが率いる側が右、残りが左から攻める事にした。そうして二手に別れるめーりん達。 「ゆ! まってね! どうしてれいむたちをおいていくの! ゆっくりたすけてね! おねがいだからだづげでええええええ!!!!」 さて、左の部隊。この部隊を指揮するのはまだ若いめーりんだった。 実力あるがどうにも経験不足なこのめーりんの為に、リーダーが気を利かしてくれたのだ。 わざわざ自分を選んでくれたリーダーへの感謝と、これから始まる戦い、そして一方的な蹂躙に胸躍るめーりんであった。 めーりんと言うだけで迫害されてきた子ども時代。親を失くし後、この一団に拾われなかったら野たれ死んでいただろう。 ゆっくりするなど愚かだ。戦いに生き、戦いの中で死ぬのが本当の生物だ。 ギラギラと目を輝かせながら、めーりんは静かに巣へと近づいていく。 その時だった。 「JAO!」 突然、目の前にいためーりん達が視界から消えた。慌てて進行をストップさせためーりんは、消えた場所を確認する。 そこには落とし穴に落ちためーりん達が居た。しかもただの落とし穴ではない。 下には小石や木の枝などが大量に落ちていた。しかも石はわざわざ縦に埋めてあるのだ。石に刺さっためーりん達は苦しそうに上を見上げていた。 「JA・・・JAO! JAO!」 「JAOOOOOOON!!!!!!」 生き残った部隊はそのまま走り去っていった。めーりん達の傷はもう治せるレベルのものではない。 そしてめーりん達は戦えなくなっていったものは躊躇なく捨ていく。何故なら彼女らにとって戦えないのは恥だからだ。 それを知っているために落ちためーりん達も何も言わない。ただ己の未熟さを恥じて死を待つだけだった。 森を抜けて群れの住処の前でリーダー達と合流した。右の部隊もだいたい同じ様な状況であったらしい。 各々の被害を報告した彼らは、ふと目の前の地面の異変に気づいた。 周りの草木とは明らかに違う草が敷き詰められているその地面の一角。どうみても落とし穴だった。 まさかこんなものに引っかかると思っているのだろうか。半ば呆れながらリーダーと共に目の前の洞窟へ進んでいった。 周りにゆっくりが居ない以上、ここへ逃げ込んだのだろう。洞窟の入口の近くには石が積み上げてあったが、 別に洞窟を守っている訳でもなかった。せめてバリケードにでもすればいいのだろうに。 ゴツゴツとした洞窟も、めーりん達にしてみれば大した事のない所である。文字通りスィーっと洞窟の奥へ進むめーりん達。 そしてそのまま行き止まりまで来てしまったではないか。 「JAO? JAON! JAON!」 「JAOOOON!」 群れのめーりん達も流石にわからなかった。とりあえず洞窟から出ようという事になり、入口へと向かう。 そして入口が見えたところでそれは起こった。 「JAO!」 先頭を走っていためーりんがスィーから落下したのだ。しかもそのめーりんの頭には石が刺さっている。 そして目の前を見て若きめーりんは気づいた。入口にある石の壁と、その上からこちらを覗いているゆっくり達が。 「ゆっくりできないめーりんはゆっくりしんでね!」 そういうやいなや、口に石を含んだゆっくり達は思いっきり石を吐き出す。 やたら数が多いために、それはまるで散弾銃のようにめーりん達に襲いかかってくる。 「JAON!」 「JAOOOON!!!!!!!!!」 「JA!・・・」 次々と襲いかかる石の雨。しかしこれが通常の地形なら避けれただろう。しかしここは洞窟。 横幅も狭く悪路な場所。その上めーりんたちは大軍なのだ。回避行動は難しかった。 「ゆっくりこうたいしてね!」 「ゆ! わかったよ!」 ゆっくり達は一度石を吐き終えると、すぐさま次のゆっくりと交代する。 このとき実は石のバリケードの上から攻撃できるように、まりさやみょんなどの比較的頑丈な種類のゆっくりが踏み台になる。 そうして他のゆっくりが攻撃している間に石を補充する。 これにより断続的な攻撃が可能になった。 また、運よくバリケードまで近づくめーりんも居るが、それでもこのバリケードを突破する事はできなかった。 このめーりん。負傷覚悟でバリケードに突撃しようとしたのだが、それも失敗に終わった。 なにせ相手は石の壁。しかも裏では複数のゆっくりが壁を押さえつけているのだ。スィー体当たりでも突破する事はかなわなかった。 そうしてドンドンとスィーからめーりん達を落とすゆっくり達。打ちどころがよくて生きてる者も結構いたのだが、 そのたびに止めの一撃をお見舞いしてやった。 若いめーりんはこの状況が理解できなかった。何故自分たちが愚鈍なゆっくりに後れを取っているのか。 すかさずリーダーの命令を仰ごうと、リーダーの元へ移動しようとした瞬間、リーダーの帽子が飛んだ。 「JAOOOON!!!!!!!!! JAN! JAOOON!!!!!!!!!」 他のゆっくりが自分の指示を仰ごうとした。とりあえず無傷のめーりん達を連れて一旦下がろう。 洞窟の奥ならば奴らの砲撃も来ないだろう。しかしそれは最も愚かな手だった。 なにせ食糧も何もない状態で持久戦を挑んだのだ。その結果がどうなるかなど、あえて言う必要もないだろう。 2日後、そこには衰弱しためーりん達が居た。もう自分たちが戦えないことがわかっているめーりん達は 自決しようと決意した。若いめーりん以外のめーりんはスィーから降りると、若いめーりんの前に並んだ。 このまま轢いて貰うためだ。そして若いめーりんはその後、あのゆっくり達へ突っ込むつもりだ。 例え勝てぬ戦いでも引くわけにはいかない。逃走は誇りが断じて許されない。 「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!!!!!!」 そうして一人のめーりんを残し全員が死んでいった。 後は自分が突撃するだけだ。敬愛する女神に祈っためーりんは全速力で入口へ向かう。 せめて一糸報いようと。その願いが叶わぬ事を知らずに。 めーりんが気がつくと、周りには愚鈍なゆっくり達が居た。そして自分が半分ほど地面に埋まっている事に気づいた。 かろうじて眼だけは埋まっていなかった。しかし振り向く事もできずにただただ、前を見るだけしかできなかった。 「あのめーりんがうわさのきばめーりんたちだね! おお、ぶざまぶざま!」 「ゆっくりしないめーりんはゆっくりしんでね! いますぐしんでね!」 「めーりんのぼうしなんていらないね! まりさがゆっくりすててくるよ!」 「むきゅん! さすがはわたしのこどもね!」 どうやら複数の仲間が同じ様な状態らしい。しかしこの光景・・・忘れる訳もない。 あの子供の頃と同じ光景だ。 「いまからどすがしゃべるわ! とかいはなみんなはゆっくりしずかにしてね!」 その声と共に、ドスの後ろ姿が急に現れた。 「ゆゆ! みんな! おつかれさま! むれをこえてのきょうりょくのおかげで、ゆっくりできないくずめーりんどもを ゆっくりさせることができたよ! みんなありがとう!」 「ゆーーーーー!!!」などと言う喧しい声が聞こえる。 「このめーりんたちはおろかなめーりんとして、ここにうめることにしたよ! みんなでゆっくりのなんたるかをおしえてあげてね! それからこんどおにーさんたちがきたら、みんなでおれいをしようね!」 「むきゅん! それではかいさんするわ! みんなゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まず最初に行われたのは、言葉による攻撃だった。 「すぃーにのったからってどすにかてるとおもったの? ばかなの? しぬの?」 「なにもまもれないんだねー。わかるよー。」 「れいむたちをおそうなんてばかなめーりんだね! ゆっくりしないなんでゆっくりのかざかみにもおけないよ!」 「おびゃきゃなめーりんはゆっくちちね! ゆっくちちね!」 子ゆっくりがポヨンポヨンよめーりんの頭に体当たりをしてくる。 「ゆゆ! だめだよおちびちゃん! めーりんにさわったらゆっくりできなくなるよ!」 今すぐ死にたかった。こんな饅頭どもに上から目線で何かを言われるなど、自ら死んだ方が何億倍ましな事か。 しかし動くこともできない自分にそれは無理だった。 ある程度ゆっくり達が消えると今度は残ったゆっくり達が攻撃を仕掛けてきた。わざわざみんなが居なくなるまで待っていた 連中である。やり口は口だけで済む訳がなかった。 「ゆゆ! じね! じね! ゆっくじじね!」 「ゆっへへ・・・めーりんごときがまりささまにさからうなんておろかなんだぜ!」 抵抗できないめーりんへの攻撃。噛み付きや目潰しが何度も何度も行われた。 ただただ殴られ続けるめーりん。そして 「ゆぅ・・・・・すっきりー!」 残ったゆっくり達はめーりんに向って"ちーちー"をすると、すっきりした顔で帰って行った。 もうめーりんの頭の中は狂い始めていた。ただただ相手を呪い殺すような目で睨み続ける。 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す「とかいはなありすがゆっくりのごくいをおしえてあげるわあああああ!!!」 思考の中に変な声が混じった。前には誰もいない。居るとしたら後ろだ。 「とかいはのありすはすっきりしたいのよね・・・・しょうがいないからめーりんですっきりしてあげるわ」 そういうやいなや、気持ち悪い舌の感触がめーりんを襲った。 「ベロベロしてあげるわあああああああああ!!!!! めーりんったらいがいときもちいいのねえええええええええ!!!!」 激しい嫌悪感が湧きあがる。しかしありすは止まらない。 「すりすりしてあげるわああああああああ!!!!!! ありずのごをうんでねええええええええええええ!!!!!!」 湧きあがる何か。めーりんは認めたくなかったし、認めるつもりもなかった。 こんな相手にすっきりなど。しかし体はどうしようもなかった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!! すっきりいいいいいいいいいいいい!!!!」 ありすと同時にすっきりしためーりん。その頭からはすぐに蔦が生えてきた。 「ゆゆ~♪ すっきりできたわー! でもめーりんとのこどもなんてとかいはじゃないから、いらないわね~♪」 そういってどこかへいってしまった。あれがゆっくりなのだ。自分の快楽さえ達成できれば、子供ですら見捨てる。 こんな物たちと同じ種族である自分を呪った。死にたかった。誰か殺してほしい。 早く早く! 早く! 早く早く早く早く早く!!!!! 誰か殺してくれ! 誰か! 誰か! ゆっくりなどしたくない! 名誉ある死を! 誰か! 加工所勤めの男が一人、国が所有する森へ入っていった。加工所は公的機関が運営している そのためいくつか国の所有地を使えるのだ。この森もその一つ。ゆっくりの知能を調べるための森だ。 ここに住んでいるのは知能を大幅に上げたゆっくり達だ。野生とは比較になるまい。 しばらく森を歩くと、ドスに出会った。どうやら狩りの帰りらしい。帽子の中にはたくさんのキノコや葉っぱが入っていた。 「どうだいめーりんたちは? だいじょうぶだったかい?」 「あんなめーりんたちなんてよゆうだったよ! でもどすがいないむれは、おにーさんのさくせんがなかったらあぶなかったよ! ありがとうおにーさん!」 「ありがとうおにーさん!」 「照れるなあ~。そんな大した事はしてないのに。」 ドスの群れへ来た。みながこちらに向かってくる。お礼をいったり、すりすりしたりと様々だ。 辺りを見回すと、一部色の違う地面があった。アレはゆっくり達の隠れ家である。 あれほどわざとらしく隠しておけば、めーりん達は落とし穴か何かだと思って通り過ぎるだろうと思ってたが どうやら成功したらしい。これが普通のゆっくりならば意気揚々と隠れ家へと近づいただろう。なまじ強いばっかりに 裏をかかれたのだ。 「ゆゆ? おにーさん! それはびでおだね! なにかうつってるの?」 ドスが持っていたビデオカメラに興味を示した。 「見てみるかい? めーりんたちがうつっているよ。」 そこに映っているのは、何周も何周も同じコースを走らされているめーりんの姿だった。体力やスィーの耐久力を調べていた時の映像だ。 このあと、疲れ果てためーりんは運転を誤り事故死した。 「ゆゆ! このめーりんはほんとうにゆっくりできないね! こっちのめーりんはゆっくりできてるのにね!」 ドスが得意げに指した方向を見た。埋まっている6体のめーりん。その頭には蔦が生えている。妊娠したのだろう。 しかし母体はもうすでに死んでいるようだ。蔦の子供も黒ずんでいる。 「一体貰っていいかな?」 「ゆ? もちろんだよ! すきなだけもらっていってね!」 「ゆゆ・・・でもまりさがちーちーしちゃったんだぜ。たべるのはおすすめしないんだぜ。」 別に食べるつもりはない。そして食べる訳でもないのに動物のちーちーを気にするなら生物を扱う仕事などやっていない。 俺は一体のめーりんを掘り出した。その顔は恨みだけで出来ていた。 見る物全てを呪い殺すような眼だった。 しかしつまらない。 こんな眼は今まで何度も何度も、それこそ飽きるほど見てきた。種類に関係なく、周りを恨みながら死んでいったゆっくりは皆このような眼をしていた。 進化した新種ならもしやと思ったが、これもゆっくりだったという事だ。 まあこの状況で恨むなと言う方が無理な話だが。 そこいらにめーりんを捨てて俺は戻ることにした。 これでめーりん撃退のテンプレは完成した。洞窟を持たない群れもいるが、まあ落とし穴と投石を応用すればどうにでもなる。 あのめーりん達は暴れ過ぎた。ゆっくりの数を極端に減らすほどだ。バランスは常に一定に保たれるべきなのだ。 この対処法を野生のゆっくり達の間で布教すれば、被害は減るだろう。意外とゆっくり間でのコミュニケーションの輪は広い。 でなければ、まだ数か所にしか加工所がなかった時代に、全国各地で加工所が恐れられることはないだろう。 そのあたりは割と謎なのだが。まあ今は関係ない。 まあ頭の悪い個体は死ぬかもしれないが人が駆除に出るよりはよっぽど安上がりだ。 それに飼いゆっくりにまで手を出したのは愚行と言うほかなかった。人間と友好的に付き合うならその辺りも考えるべきである。 そうしてトボトボと加工所へと戻った。これからまた実験だ。もっと難易度を落としたマニュアルを作成できないか考えよう。 俺は帰宅して居間でゆっくりしようとすると、目の前にコーヒーを飲んでいるまりさがいた。 「きょうはゆっくりのごくいをおにーさんにおしえてあげるね! ゆっくりきいてね!」 れいむはというと、先日買ってやったスィーに乗っていた。 「すいすいうごくよ! すごくゆっくりしたのりものだよ!」 どっちだよ。まあいいや。とりあえずまりさのぼうしをとって、中にコーヒーを注ぎ込む。 そしてそのまままりさに被せた。 「ゆびぎゃあ!!!! おべべがあづくでばえがびえない! おにーざんだづけでええええええ!!!!」 俺は移動中のれいむの前に足を出しながら、テレビのスイッチを付けた。 「ゆぎゃあ!」っとれいむは吹っ飛び、そのまま置いてあった猫の手に刺さった。ほっぺが痛そうだ。 「いぎゃいよおにーざん! とびだしなんてしないでね! ゆっくじあやばっでね!」 このれいむは意外と我慢強い。まりさは逆に泣き虫だ。そこが二人とも可愛い。 「おお、今日のニュースは・・・何ぃ! 早苗ちゃんが引退宣言! なんで!? アルバム出したばっかじゃん!」 大好きなアイドルの引退にショックを隠せないまま俺は寝ることにした。また明日も三人で グダグダな毎日を過ごすのだろう。 【あとがき】 作中で名前の出ている人物は、どこぞの風祝と一切関係ありません。 by バスケの人 このSSに感想を付ける
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※めーりん好きは見ない方がいいです。 後、ちーちー注意です とある森にあるゆっくりの巣。100匹程度からなるその群れは実にゆったりとした日々を過ごしていた。 そんなある日。 「ドス~たいへんだよ!」 「ゆー? どうしたのまりさ?」 群れのリーダーであるドスの所にまりさがやってきた。何やら慌てている様子である。 「このさきのむれですぃーにのっためーりんたちをみたんだぜ! となりのむれにひどいことをしてたんだぜ!」 「ゆゆ! それはゆっくりできないね! いますぐみんなをあつめてね! あとはちかくのむれのおさたちもよんできてね!」 こうして群れのゆっくりと近くの群れの長達はドスのの元へ集まった。そして何やらゴソゴソと準備を始める。 それから二日後。森へ一つのゆっくりできない集団がやってきた。騎馬めーりんの一団である。 めーりんから進化した彼らの本能には"ゆっくり"する事は完全に消え去っており。崇拝する女神と戦いの為に常に移動を続ける 好戦的な集団であった。 スィーを巧みに操るめーりん達。その数は40匹といったところか。 集団の真ん中に居るのは、他のゆっくり達の飾りで作ったパッチワークの帽子を被るめーりん。 この群れのリーダーである。百戦錬磨の彼女は今日もゆっくり達を襲撃しようと森へやってきた。 それぞれの巣を襲撃するために、いくつかの集団に別れためーりん達は各々の目的地へと向かった。 森に入ってしばらくすると、めーりんの集団は急に止まりだした。後100mも走れば巣と思われる洞窟にたどり着くという所でだ。 そして集団から何匹かのスィーにのったゆっくりが先頭に押し出された。それはまだ幼いめーりん種以外の子ゆっくり達だった。 「ゆゆ・・・ゆっぐりざぜでぐだざい・・・」 「ありちゅたちをゆっきゅちちゃちてね!」 そんな彼らを無視して、めーりんは前に進むように目を前方へ向ける。 「ゆゆゆ・・・ゆっくりはしればいいんだね。ゆっくりはしるよ。」 逆らっても意味のない事を知っている子どもたちは大人しく従った。 まだたどたどしい動きでスィーを進める。すると 「ゆぐぐぐぐぐ!!! どうじでじべんがゆれでるのおおお!!! ゆっぐじでぎにゃぎゃ!」 急にガタガタと揺れ出したスィー。それによりバランスを取れなくなった子ゆっくり達はそのまま落下してしまった。 理由は簡単だ。そこには大量の小石が敷き詰められていたからだ。平地での移動には最適なスィーだが、こういった悪路での走行は危険だ。 むしろ歩いた方が効率がいい時もある。 「いぎゃいよ! ゆゆゆ・・・ゆっくりたすけてねめーりん! おねがいだからね!」 「とかいはのあんよがらあんこがでてるの! おねがいだからたすけてね!」 そんな話など最初から聞いていなかった。めーりんたちはリーダーを中心に何か話している。 「JAOOO! JAO!JAON!」 「J、JAJAJAO!」 「JAOOOOOOON!!!」 リーダーのめーりんにしてみればこの程度の罠は予想の範疇だった。だからわざわざ奴隷の一部を連れ出して こうして当て馬として利用したのだ。 めーりん達は話し合いの結果、二手に別れて左右から挟み撃ちにする事にした。 このような罠を仕掛ける相手である。逃げられる可能性もあるからだ。 リーダーが率いる側が右、残りが左から攻める事にした。そうして二手に別れるめーりん達。 「ゆ! まってね! どうしてれいむたちをおいていくの! ゆっくりたすけてね! おねがいだからだづげでええええええ!!!!」 さて、左の部隊。この部隊を指揮するのはまだ若いめーりんだった。 実力あるがどうにも経験不足なこのめーりんの為に、リーダーが気を利かしてくれたのだ。 わざわざ自分を選んでくれたリーダーへの感謝と、これから始まる戦い、そして一方的な蹂躙に胸躍るめーりんであった。 めーりんと言うだけで迫害されてきた子ども時代。親を失くし後、この一団に拾われなかったら野たれ死んでいただろう。 ゆっくりするなど愚かだ。戦いに生き、戦いの中で死ぬのが本当の生物だ。 ギラギラと目を輝かせながら、めーりんは静かに巣へと近づいていく。 その時だった。 「JAO!」 突然、目の前にいためーりん達が視界から消えた。慌てて進行をストップさせためーりんは、消えた場所を確認する。 そこには落とし穴に落ちためーりん達が居た。しかもただの落とし穴ではない。 下には小石や木の枝などが大量に落ちていた。しかも石はわざわざ縦に埋めてあるのだ。石に刺さっためーりん達は苦しそうに上を見上げていた。 「JA・・・JAO! JAO!」 「JAOOOOOOON!!!!!!」 生き残った部隊はそのまま走り去っていった。めーりん達の傷はもう治せるレベルのものではない。 そしてめーりん達は戦えなくなっていったものは躊躇なく捨ていく。何故なら彼女らにとって戦えないのは恥だからだ。 それを知っているために落ちためーりん達も何も言わない。ただ己の未熟さを恥じて死を待つだけだった。 森を抜けて群れの住処の前でリーダー達と合流した。右の部隊もだいたい同じ様な状況であったらしい。 各々の被害を報告した彼らは、ふと目の前の地面の異変に気づいた。 周りの草木とは明らかに違う草が敷き詰められているその地面の一角。どうみても落とし穴だった。 まさかこんなものに引っかかると思っているのだろうか。半ば呆れながらリーダーと共に目の前の洞窟へ進んでいった。 周りにゆっくりが居ない以上、ここへ逃げ込んだのだろう。洞窟の入口の近くには石が積み上げてあったが、 別に洞窟を守っている訳でもなかった。せめてバリケードにでもすればいいのだろうに。 ゴツゴツとした洞窟も、めーりん達にしてみれば大した事のない所である。文字通りスィーっと洞窟の奥へ進むめーりん達。 そしてそのまま行き止まりまで来てしまったではないか。 「JAO? JAON! JAON!」 「JAOOOON!」 群れのめーりん達も流石にわからなかった。とりあえず洞窟から出ようという事になり、入口へと向かう。 そして入口が見えたところでそれは起こった。 「JAO!」 先頭を走っていためーりんがスィーから落下したのだ。しかもそのめーりんの頭には石が刺さっている。 そして目の前を見て若きめーりんは気づいた。入口にある石の壁と、その上からこちらを覗いているゆっくり達が。 「ゆっくりできないめーりんはゆっくりしんでね!」 そういうやいなや、口に石を含んだゆっくり達は思いっきり石を吐き出す。 やたら数が多いために、それはまるで散弾銃のようにめーりん達に襲いかかってくる。 「JAON!」 「JAOOOON!!!!!!!!!」 「JA!・・・」 次々と襲いかかる石の雨。しかしこれが通常の地形なら避けれただろう。しかしここは洞窟。 横幅も狭く悪路な場所。その上めーりんたちは大軍なのだ。回避行動は難しかった。 「ゆっくりこうたいしてね!」 「ゆ! わかったよ!」 ゆっくり達は一度石を吐き終えると、すぐさま次のゆっくりと交代する。 このとき実は石のバリケードの上から攻撃できるように、まりさやみょんなどの比較的頑丈な種類のゆっくりが踏み台になる。 そうして他のゆっくりが攻撃している間に石を補充する。 これにより断続的な攻撃が可能になった。 また、運よくバリケードまで近づくめーりんも居るが、それでもこのバリケードを突破する事はできなかった。 このめーりん。負傷覚悟でバリケードに突撃しようとしたのだが、それも失敗に終わった。 なにせ相手は石の壁。しかも裏では複数のゆっくりが壁を押さえつけているのだ。スィー体当たりでも突破する事はかなわなかった。 そうしてドンドンとスィーからめーりん達を落とすゆっくり達。打ちどころがよくて生きてる者も結構いたのだが、 そのたびに止めの一撃をお見舞いしてやった。 若いめーりんはこの状況が理解できなかった。何故自分たちが愚鈍なゆっくりに後れを取っているのか。 すかさずリーダーの命令を仰ごうと、リーダーの元へ移動しようとした瞬間、リーダーの帽子が飛んだ。 「JAOOOON!!!!!!!!! JAN! JAOOON!!!!!!!!!」 他のゆっくりが自分の指示を仰ごうとした。とりあえず無傷のめーりん達を連れて一旦下がろう。 洞窟の奥ならば奴らの砲撃も来ないだろう。しかしそれは最も愚かな手だった。 なにせ食糧も何もない状態で持久戦を挑んだのだ。その結果がどうなるかなど、あえて言う必要もないだろう。 2日後、そこには衰弱しためーりん達が居た。もう自分たちが戦えないことがわかっているめーりん達は 自決しようと決意した。若いめーりん以外のめーりんはスィーから降りると、若いめーりんの前に並んだ。 このまま轢いて貰うためだ。そして若いめーりんはその後、あのゆっくり達へ突っ込むつもりだ。 例え勝てぬ戦いでも引くわけにはいかない。逃走は誇りが断じて許されない。 「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!!!!!!」 そうして一人のめーりんを残し全員が死んでいった。 後は自分が突撃するだけだ。敬愛する女神に祈っためーりんは全速力で入口へ向かう。 せめて一糸報いようと。その願いが叶わぬ事を知らずに。 めーりんが気がつくと、周りには愚鈍なゆっくり達が居た。そして自分が半分ほど地面に埋まっている事に気づいた。 かろうじて眼だけは埋まっていなかった。しかし振り向く事もできずにただただ、前を見るだけしかできなかった。 「あのめーりんがうわさのきばめーりんたちだね! おお、ぶざまぶざま!」 「ゆっくりしないめーりんはゆっくりしんでね! いますぐしんでね!」 「めーりんのぼうしなんていらないね! まりさがゆっくりすててくるよ!」 「むきゅん! さすがはわたしのこどもね!」 どうやら複数の仲間が同じ様な状態らしい。しかしこの光景・・・忘れる訳もない。 あの子供の頃と同じ光景だ。 「いまからどすがしゃべるわ! とかいはなみんなはゆっくりしずかにしてね!」 その声と共に、ドスの後ろ姿が急に現れた。 「ゆゆ! みんな! おつかれさま! むれをこえてのきょうりょくのおかげで、ゆっくりできないくずめーりんどもを ゆっくりさせることができたよ! みんなありがとう!」 「ゆーーーーー!!!」などと言う喧しい声が聞こえる。 「このめーりんたちはおろかなめーりんとして、ここにうめることにしたよ! みんなでゆっくりのなんたるかをおしえてあげてね! それからこんどおにーさんたちがきたら、みんなでおれいをしようね!」 「むきゅん! それではかいさんするわ! みんなゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まず最初に行われたのは、言葉による攻撃だった。 「すぃーにのったからってどすにかてるとおもったの? ばかなの? しぬの?」 「なにもまもれないんだねー。わかるよー。」 「れいむたちをおそうなんてばかなめーりんだね! ゆっくりしないなんでゆっくりのかざかみにもおけないよ!」 「おびゃきゃなめーりんはゆっくちちね! ゆっくちちね!」 子ゆっくりがポヨンポヨンよめーりんの頭に体当たりをしてくる。 「ゆゆ! だめだよおちびちゃん! めーりんにさわったらゆっくりできなくなるよ!」 今すぐ死にたかった。こんな饅頭どもに上から目線で何かを言われるなど、自ら死んだ方が何億倍ましな事か。 しかし動くこともできない自分にそれは無理だった。 ある程度ゆっくり達が消えると今度は残ったゆっくり達が攻撃を仕掛けてきた。わざわざみんなが居なくなるまで待っていた 連中である。やり口は口だけで済む訳がなかった。 「ゆゆ! じね! じね! ゆっくじじね!」 「ゆっへへ・・・めーりんごときがまりささまにさからうなんておろかなんだぜ!」 抵抗できないめーりんへの攻撃。噛み付きや目潰しが何度も何度も行われた。 ただただ殴られ続けるめーりん。そして 「ゆぅ・・・・・すっきりー!」 残ったゆっくり達はめーりんに向って"ちーちー"をすると、すっきりした顔で帰って行った。 もうめーりんの頭の中は狂い始めていた。ただただ相手を呪い殺すような目で睨み続ける。 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す「とかいはなありすがゆっくりのごくいをおしえてあげるわあああああ!!!」 思考の中に変な声が混じった。前には誰もいない。居るとしたら後ろだ。 「とかいはのありすはすっきりしたいのよね・・・・しょうがいないからめーりんですっきりしてあげるわ」 そういうやいなや、気持ち悪い舌の感触がめーりんを襲った。 「ベロベロしてあげるわあああああああああ!!!!! めーりんったらいがいときもちいいのねえええええええええ!!!!」 激しい嫌悪感が湧きあがる。しかしありすは止まらない。 「すりすりしてあげるわああああああああ!!!!!! ありずのごをうんでねええええええええええええ!!!!!!」 湧きあがる何か。めーりんは認めたくなかったし、認めるつもりもなかった。 こんな相手にすっきりなど。しかし体はどうしようもなかった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!! すっきりいいいいいいいいいいいい!!!!」 ありすと同時にすっきりしためーりん。その頭からはすぐに蔦が生えてきた。 「ゆゆ~♪ すっきりできたわー! でもめーりんとのこどもなんてとかいはじゃないから、いらないわね~♪」 そういってどこかへいってしまった。あれがゆっくりなのだ。自分の快楽さえ達成できれば、子供ですら見捨てる。 こんな物たちと同じ種族である自分を呪った。死にたかった。誰か殺してほしい。 早く早く! 早く! 早く早く早く早く早く!!!!! 誰か殺してくれ! 誰か! 誰か! ゆっくりなどしたくない! 名誉ある死を! 誰か! 加工所勤めの男が一人、国が所有する森へ入っていった。加工所は公的機関が運営している そのためいくつか国の所有地を使えるのだ。この森もその一つ。ゆっくりの知能を調べるための森だ。 ここに住んでいるのは知能を大幅に上げたゆっくり達だ。野生とは比較になるまい。 しばらく森を歩くと、ドスに出会った。どうやら狩りの帰りらしい。帽子の中にはたくさんのキノコや葉っぱが入っていた。 「どうだいめーりんたちは? だいじょうぶだったかい?」 「あんなめーりんたちなんてよゆうだったよ! でもどすがいないむれは、おにーさんのさくせんがなかったらあぶなかったよ! ありがとうおにーさん!」 「ありがとうおにーさん!」 「照れるなあ~。そんな大した事はしてないのに。」 ドスの群れへ来た。みながこちらに向かってくる。お礼をいったり、すりすりしたりと様々だ。 辺りを見回すと、一部色の違う地面があった。アレはゆっくり達の隠れ家である。 あれほどわざとらしく隠しておけば、めーりん達は落とし穴か何かだと思って通り過ぎるだろうと思ってたが どうやら成功したらしい。これが普通のゆっくりならば意気揚々と隠れ家へと近づいただろう。なまじ強いばっかりに 裏をかかれたのだ。 「ゆゆ? おにーさん! それはびでおだね! なにかうつってるの?」 ドスが持っていたビデオカメラに興味を示した。 「見てみるかい? めーりんたちがうつっているよ。」 そこに映っているのは、何周も何周も同じコースを走らされているめーりんの姿だった。体力やスィーの耐久力を調べていた時の映像だ。 このあと、疲れ果てためーりんは運転を誤り事故死した。 「ゆゆ! このめーりんはほんとうにゆっくりできないね! こっちのめーりんはゆっくりできてるのにね!」 ドスが得意げに指した方向を見た。埋まっている6体のめーりん。その頭には蔦が生えている。妊娠したのだろう。 しかし母体はもうすでに死んでいるようだ。蔦の子供も黒ずんでいる。 「一体貰っていいかな?」 「ゆ? もちろんだよ! すきなだけもらっていってね!」 「ゆゆ・・・でもまりさがちーちーしちゃったんだぜ。たべるのはおすすめしないんだぜ。」 別に食べるつもりはない。そして食べる訳でもないのに動物のちーちーを気にするなら生物を扱う仕事などやっていない。 俺は一体のめーりんを掘り出した。その顔は恨みだけで出来ていた。 見る物全てを呪い殺すような眼だった。 しかしつまらない。 こんな眼は今まで何度も何度も、それこそ飽きるほど見てきた。種類に関係なく、周りを恨みながら死んでいったゆっくりは皆このような眼をしていた。 進化した新種ならもしやと思ったが、これもゆっくりだったという事だ。 まあこの状況で恨むなと言う方が無理な話だが。 そこいらにめーりんを捨てて俺は戻ることにした。 これでめーりん撃退のテンプレは完成した。洞窟を持たない群れもいるが、まあ落とし穴と投石を応用すればどうにでもなる。 あのめーりん達は暴れ過ぎた。ゆっくりの数を極端に減らすほどだ。バランスは常に一定に保たれるべきなのだ。 この対処法を野生のゆっくり達の間で布教すれば、被害は減るだろう。意外とゆっくり間でのコミュニケーションの輪は広い。 でなければ、まだ数か所にしか加工所がなかった時代に、全国各地で加工所が恐れられることはないだろう。 そのあたりは割と謎なのだが。まあ今は関係ない。 まあ頭の悪い個体は死ぬかもしれないが人が駆除に出るよりはよっぽど安上がりだ。 それに飼いゆっくりにまで手を出したのは愚行と言うほかなかった。人間と友好的に付き合うならその辺りも考えるべきである。 そうしてトボトボと加工所へと戻った。これからまた実験だ。もっと難易度を落としたマニュアルを作成できないか考えよう。 俺は帰宅して居間でゆっくりしようとすると、目の前にコーヒーを飲んでいるまりさがいた。 「きょうはゆっくりのごくいをおにーさんにおしえてあげるね! ゆっくりきいてね!」 れいむはというと、先日買ってやったスィーに乗っていた。 「すいすいうごくよ! すごくゆっくりしたのりものだよ!」 どっちだよ。まあいいや。とりあえずまりさのぼうしをとって、中にコーヒーを注ぎ込む。 そしてそのまままりさに被せた。 「ゆびぎゃあ!!!! おべべがあづくでばえがびえない! おにーざんだづけでええええええ!!!!」 俺は移動中のれいむの前に足を出しながら、テレビのスイッチを付けた。 「ゆぎゃあ!」っとれいむは吹っ飛び、そのまま置いてあった猫の手に刺さった。ほっぺが痛そうだ。 「いぎゃいよおにーざん! とびだしなんてしないでね! ゆっくじあやばっでね!」 このれいむは意外と我慢強い。まりさは逆に泣き虫だ。そこが二人とも可愛い。 「おお、今日のニュースは・・・何ぃ! 早苗ちゃんが引退宣言! なんで!? アルバム出したばっかじゃん!」 大好きなアイドルの引退にショックを隠せないまま俺は寝ることにした。また明日も三人で グダグダな毎日を過ごすのだろう。 【あとがき】 作中で名前の出ている人物は、どこぞの風祝と一切関係ありません。 by バスケの人 このSSに感想を付ける
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めーりん公園花 6KB 虐待-普通 愛で ゲス 希少種 ※愛で注意報! めーりんはいつもゆっくり暮らしていました。 日のあたりのいい場所でぽかぽかお昼寝したり、木陰に入ってはプカプカ寝ていました。 めーりんは飼いゆっくりではありませんでしたが、気のいいお兄さんがご飯の面倒をみてあげていました。 めーりんはお花が大好きでした。 春は桜の花びらが舞い散る様子に見惚れてじゃおっと泣いたり、 夏は向日葵に囲まれながら幸せそうにじゃおじゃお、お昼寝したり、 秋はコスモスをウットリ眺めてはじゃおっと、ため息をついたり、 冬はフリージアをぼんやりと見つめながらじゃおんと、春が来るのをのんびり待ち望んだりしていました。 めーりんはいつも幸せそうに暮らしているのに、ゆっくり出来ないと言う者達がいました。 「めーりんはゆっくりしてないくせにニコニコしててきもちわるいのぜ!」 「おうたもうたえないめーりんはゆっくりできないよ!」 「いつもねてばかりいるめーりんはとかいはじゃないわ」 「むきゅ!おはなしもできないめーりんはゆっくりできないわ!」 そんな風にめーりんを馬鹿にしたり、苛めたりするゆっくりが居るので、 めーりんは他のゆっくりたちの前では笑わないように気をつけていました。 それでも風に乗って漂う花の香りに、思わずニコニコしてしまいそうになります。 ですから、他のゆっくりが居る時はじゃおじゃおっと鳴いて誤魔化すのでした。 そんなめーりんには気になるゆっくりが居ました。 お兄さんの庭でお花を育てている、ゆうかと言うゆっくりでした。 ゆうかはめーりんのことを馬鹿にしたりしませんでした。 めーりんが幸せそうにお花を眺めているのを嬉しそうに見ていました。 めーりんとゆうかはお友達になりました。 いつもお花に囲まれて、幸せな一時を過ごしていました。 ある時めーりんがお兄さんにお願いをしました。 めーりんの言葉はお兄さんには解りませんでしたが、ゆうかが替わって話してくれました。 「おにいさん、めーりんはじぶんのかだんがほしいっていってるわ、でもね、めーりん、 おはなをそだてるのはたいへんなのよ、めーりんはいつもおひるねばかりするでしょ? のんびりねていたら、おはなさんはそだたないわよ?」 ゆうかにそう言われ、めーりんは決まりが悪そうにモジモジ下を向いてしまいました。 そんなめーりんをお兄さんがじっと見つめて言いました。 「めーりんのための花壇を用意するよ、めーりんが初めて僕にしてきた御願いだからね。 隣の畑を自由に使っていいよ。でも、ちゃんとお花の世話をしないとだめだよ?」 「いいの、おにいさん?めーりんはわるさはしない、いいこだけど、のらのこよ?」 「これだけ面倒をみているんだから、僕の飼いゆっくりと同じ事だよ」 めーりんは大喜びで跳ね回りました。そしてお兄さんにお礼のつもりでじゃおじゃおっと言いました。 翌日からめーりんとゆうかとお兄さんで、隣の荒れ果てた畑を耕し花の種をまいていきました。 それを見ていた他のゆっくりはめーりん達を笑っていました。 「くずめーりんはバカなことをしているのぜ!あんなゴミをつちにうめてなんのいみがあるのぜ?」 「あのにんげんさんはゆっくりしてないね!くずのめーりんをかわいがるなんて、あたまがかわいそうだよ!」 「ばかなめーりんはゆうかといっしょにつちにまみれてきたないわ!とんでもないいなかものね!」 「むきゅきゅ!おはなさんをそだてているんですって?そんなことしなくても、おはなさんはかってにはえてくるのよ!」 それでもめーりんはお花の面倒をみました。大好きなお昼寝をする時間も惜しんでお花を世話しました。 お兄さんはそんなめーりんの為に桜の木の苗を買って来てくれました。 お兄さんは桜の苗を10本ほど植えてくれました。めーりんは嬉しくなり、春が来るのを待ち焦がれました。 やがてめーりんの花壇は段々と立派になっていきました。 お兄さんもゆうかも、暇があればめーりんの花壇の手入れを手伝ってくれました。 いつの間にか、めーりんの花壇にはいろんなゆっくりがやって来るようになりました。 訪れるゆっくり達はめーりん達が育てた花をみて楽しそうにしていました。 めーりんはそんな様子を楽しそうに眺めていました。 「ちーんぽ♪おしゃれこんどーむ♪」 「ここのさくらさんはとってもきれいですね、ね♪かなこさま♪すわこさま♪」 「ほんとうにきれいだね、ここのかだんをていれしているめーりんは、とってもゆっくりしているね」 「あーうー♪」 「おお!きれいきれい♪」 めーりんの周りには何時しか沢山のゆっくりが集まるようになっていました。 めーりんは季節の花を愛でて幸せに暮らしていました。 ところが、ある朝の事です。 めーりんが何時ものように花壇に水を撒きに来ると、花壇のお花がすっかり荒らされていました。 花壇の中には以前めーりんを苛めたゆっくり達がいました。 「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなのぜ!くずのめーりんはさっさとでていくのぜ!」 「めーりんはゆっくりできないくせになまいきだよ!こんなさくらのきも、さっさとかれてしまえばいいんだよ!」 「ありすたちよりゆっくりしようとするなんて、めーりんはとんだげすゆっくりね!」 「むきゅ!おはなさんはたべられるためにはえてくるのよ!だからぱちゅたちがたべてあげるのよ!」 めーりんはじゃおっと怒りました。ですが意地悪なゆっくり達はめーりんに向かって体当たりをしてきました。 「くずめーりんはせいさいしてやるのぜ!」 「くずのめーりんはさっさとしんでね!」 「いなかものはいなかものらしく、みじめにしんでね!」 「むきゅきゅ!くずなめーりんはみじめにしぬのがおにあいよ!」 めーりんはしばらく耐えていました、ですが何度も何度も体当たりをされました。 まりさに棒で叩かれ、 れいむに噛み付かれ、 ありすに枝で突付かれ、 ぱちゅリーに石を投げられ、 やがてめーりんは倒れてしまいました。 周りの景色がぐるぐる回ってそのまま動けなくなってしまいました。 けっきょくめーりんはそのまま死んでしまいました。 お兄さんとゆうかが駆けつけた時にはもう手遅れでした。 めーりんは大好きだった桜の木の下に埋めてもらいました。 めーりんはもう誰も邪魔されず、意地悪もされる事無く、 大好きなお花の中で、桜の木下でお昼寝し続けます。 お兄さんもゆうかも、めーりんの花壇に集まって来ていたゆっくり達も、めーりんが死んだ事を悲しみました。 その後めーりんを苛め殺したゆっくり達は、花壇に集まるゆっくり達に捕まり花壇の肥料にされました。 お兄さんとゆうかとお花の好きなゆっくり達は、めーりんの残した花壇をずっと大切にしていきました。 それから何年も経ちました。 お兄さんはすっかり老けてしまい、ゆうかも死んでしまいました。 死んだゆうかはめーりんが眠っている桜の木の下で、仲良くいっしょに眠っています。 お花好きなゆっくり達は花壇に住み着きお花の世話をして暮らしていました。 めーりんの花壇には、何時しか小規模ではありますが群れが出来ていました。 ゆっくり達が幸せに暮らしてるこのめーりんの花壇を、とある愛護団体が目をつけました。 お兄さんにこの土地を譲れと迫りましたが、お兄さんは絶対に譲りませんでした。 めーりんの残した大切な花壇だったからです。めーりんとゆうかとの思い出の花壇だったからです。 そんな様子がある有名な学者さんの目に留まりました。 学者さんはこの花壇を公園として保護すればいいと愛護団体を追い払いました。 お兄さんはこの公園の名前を「めーりん公園」と名付けました。 めーりん公園では今でも、花を愛で、花を育てて、幸せそうに暮らすゆっくり達が住んでいます。 めーりん公園はいつも綺麗なお花が咲いています。 完 勢いで書いた愛でです。めーりんは愛でが似合いますね。 元ネタは宮沢賢治の「虔十公園林」ですね。 なんとなく「めーりん公園林」なんてタイトルが思い浮かんだので… 徒然あき 挿絵 by全裸あき 徒然あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る めーりん!!!!!!(涙)(T-T) -- 2017-01-15 23 25 34 学者様神! ゲスは問答無用でダストシュート -- 2016-10-20 11 15 05 後の白玉楼である -- 2016-02-19 07 49 46 ゲス エクスプロージョン(爆発しろ) -- 2015-11-22 17 44 41 「ゆぎゃぁぁぁぁ!ぎれいなばりざをがだんざんのびりょうにじないでぇぇぇ!」 「うるせぇ!おまえは助けを求めるめーりんを殺したんだろぉがぁ!」 「そんなゲスには死んでもらうよ!」 -- 2015-10-10 18 42 26 -- 2015-08-05 08 37 35 めーりんを殺したゲスは死ね -- 2014-06-27 16 53 05 じゃおおおおぉ(涙) -- 2014-01-02 16 09 31 あれ、おかしいな目から汗が -- 2013-09-25 23 28 59 おしゃれこんどーむwww -- 2013-08-01 02 30 35 なんか俺にはこの学者が光って見えるんだが俺だけか? -- 2013-07-08 01 15 57 いい話でした しかし希少種多いな -- 2013-06-19 02 49 15 かなこさまとすわこさまが認めたなんて;w;いい・・・花壇だったんだなぁ:w: -- 2013-02-27 21 35 17 ゲスなんか爆発すればいいのに -- 2013-02-19 18 24 13 いいはなしで感動しました -- 2012-12-28 16 06 24 お兄さんは人間の鑑、ハッキリ分かんだね。 -- 2012-12-15 13 53 57 愛誤団体(笑) -- 2012-10-10 22 39 30 愛護団体って「破防法」で禁止できないのかね? 現実社会でもw -- 2012-09-14 11 26 29 すばらしい作品をありがとう -- 2012-07-21 14 33 02 すばらしい!!!エクセレント!まーべらす!!!! -- 2012-03-26 19 12 24
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※めーりん好きは見ない方がいいです。 後、ちーちー注意です とある森にあるゆっくりの巣。100匹程度からなるその群れは実にゆったりとした日々を過ごしていた。 そんなある日。 「ドス~たいへんだよ!」 「ゆー? どうしたのまりさ?」 群れのリーダーであるドスの所にまりさがやってきた。何やら慌てている様子である。 「このさきのむれですぃーにのっためーりんたちをみたんだぜ! となりのむれにひどいことをしてたんだぜ!」 「ゆゆ! それはゆっくりできないね! いますぐみんなをあつめてね! あとはちかくのむれのおさたちもよんできてね!」 こうして群れのゆっくりと近くの群れの長達はドスのの元へ集まった。そして何やらゴソゴソと準備を始める。 それから二日後。森へ一つのゆっくりできない集団がやってきた。騎馬めーりんの一団である。 めーりんから進化した彼らの本能には"ゆっくり"する事は完全に消え去っており。崇拝する女神と戦いの為に常に移動を続ける 好戦的な集団であった。 スィーを巧みに操るめーりん達。その数は40匹といったところか。 集団の真ん中に居るのは、他のゆっくり達の飾りで作ったパッチワークの帽子を被るめーりん。 この群れのリーダーである。百戦錬磨の彼女は今日もゆっくり達を襲撃しようと森へやってきた。 それぞれの巣を襲撃するために、いくつかの集団に別れためーりん達は各々の目的地へと向かった。 森に入ってしばらくすると、めーりんの集団は急に止まりだした。後100mも走れば巣と思われる洞窟にたどり着くという所でだ。 そして集団から何匹かのスィーにのったゆっくりが先頭に押し出された。それはまだ幼いめーりん種以外の子ゆっくり達だった。 「ゆゆ・・・ゆっぐりざぜでぐだざい・・・」 「ありちゅたちをゆっきゅちちゃちてね!」 そんな彼らを無視して、めーりんは前に進むように目を前方へ向ける。 「ゆゆゆ・・・ゆっくりはしればいいんだね。ゆっくりはしるよ。」 逆らっても意味のない事を知っている子どもたちは大人しく従った。 まだたどたどしい動きでスィーを進める。すると 「ゆぐぐぐぐぐ!!! どうじでじべんがゆれでるのおおお!!! ゆっぐじでぎにゃぎゃ!」 急にガタガタと揺れ出したスィー。それによりバランスを取れなくなった子ゆっくり達はそのまま落下してしまった。 理由は簡単だ。そこには大量の小石が敷き詰められていたからだ。平地での移動には最適なスィーだが、こういった悪路での走行は危険だ。 むしろ歩いた方が効率がいい時もある。 「いぎゃいよ! ゆゆゆ・・・ゆっくりたすけてねめーりん! おねがいだからね!」 「とかいはのあんよがらあんこがでてるの! おねがいだからたすけてね!」 そんな話など最初から聞いていなかった。めーりんたちはリーダーを中心に何か話している。 「JAOOO! JAO!JAON!」 「J、JAJAJAO!」 「JAOOOOOOON!!!」 リーダーのめーりんにしてみればこの程度の罠は予想の範疇だった。だからわざわざ奴隷の一部を連れ出して こうして当て馬として利用したのだ。 めーりん達は話し合いの結果、二手に別れて左右から挟み撃ちにする事にした。 このような罠を仕掛ける相手である。逃げられる可能性もあるからだ。 リーダーが率いる側が右、残りが左から攻める事にした。そうして二手に別れるめーりん達。 「ゆ! まってね! どうしてれいむたちをおいていくの! ゆっくりたすけてね! おねがいだからだづげでええええええ!!!!」 さて、左の部隊。この部隊を指揮するのはまだ若いめーりんだった。 実力あるがどうにも経験不足なこのめーりんの為に、リーダーが気を利かしてくれたのだ。 わざわざ自分を選んでくれたリーダーへの感謝と、これから始まる戦い、そして一方的な蹂躙に胸躍るめーりんであった。 めーりんと言うだけで迫害されてきた子ども時代。親を失くし後、この一団に拾われなかったら野たれ死んでいただろう。 ゆっくりするなど愚かだ。戦いに生き、戦いの中で死ぬのが本当の生物だ。 ギラギラと目を輝かせながら、めーりんは静かに巣へと近づいていく。 その時だった。 「JAO!」 突然、目の前にいためーりん達が視界から消えた。慌てて進行をストップさせためーりんは、消えた場所を確認する。 そこには落とし穴に落ちためーりん達が居た。しかもただの落とし穴ではない。 下には小石や木の枝などが大量に落ちていた。しかも石はわざわざ縦に埋めてあるのだ。石に刺さっためーりん達は苦しそうに上を見上げていた。 「JA・・・JAO! JAO!」 「JAOOOOOOON!!!!!!」 生き残った部隊はそのまま走り去っていった。めーりん達の傷はもう治せるレベルのものではない。 そしてめーりん達は戦えなくなっていったものは躊躇なく捨ていく。何故なら彼女らにとって戦えないのは恥だからだ。 それを知っているために落ちためーりん達も何も言わない。ただ己の未熟さを恥じて死を待つだけだった。 森を抜けて群れの住処の前でリーダー達と合流した。右の部隊もだいたい同じ様な状況であったらしい。 各々の被害を報告した彼らは、ふと目の前の地面の異変に気づいた。 周りの草木とは明らかに違う草が敷き詰められているその地面の一角。どうみても落とし穴だった。 まさかこんなものに引っかかると思っているのだろうか。半ば呆れながらリーダーと共に目の前の洞窟へ進んでいった。 周りにゆっくりが居ない以上、ここへ逃げ込んだのだろう。洞窟の入口の近くには石が積み上げてあったが、 別に洞窟を守っている訳でもなかった。せめてバリケードにでもすればいいのだろうに。 ゴツゴツとした洞窟も、めーりん達にしてみれば大した事のない所である。文字通りスィーっと洞窟の奥へ進むめーりん達。 そしてそのまま行き止まりまで来てしまったではないか。 「JAO? JAON! JAON!」 「JAOOOON!」 群れのめーりん達も流石にわからなかった。とりあえず洞窟から出ようという事になり、入口へと向かう。 そして入口が見えたところでそれは起こった。 「JAO!」 先頭を走っていためーりんがスィーから落下したのだ。しかもそのめーりんの頭には石が刺さっている。 そして目の前を見て若きめーりんは気づいた。入口にある石の壁と、その上からこちらを覗いているゆっくり達が。 「ゆっくりできないめーりんはゆっくりしんでね!」 そういうやいなや、口に石を含んだゆっくり達は思いっきり石を吐き出す。 やたら数が多いために、それはまるで散弾銃のようにめーりん達に襲いかかってくる。 「JAON!」 「JAOOOON!!!!!!!!!」 「JA!・・・」 次々と襲いかかる石の雨。しかしこれが通常の地形なら避けれただろう。しかしここは洞窟。 横幅も狭く悪路な場所。その上めーりんたちは大軍なのだ。回避行動は難しかった。 「ゆっくりこうたいしてね!」 「ゆ! わかったよ!」 ゆっくり達は一度石を吐き終えると、すぐさま次のゆっくりと交代する。 このとき実は石のバリケードの上から攻撃できるように、まりさやみょんなどの比較的頑丈な種類のゆっくりが踏み台になる。 そうして他のゆっくりが攻撃している間に石を補充する。 これにより断続的な攻撃が可能になった。 また、運よくバリケードまで近づくめーりんも居るが、それでもこのバリケードを突破する事はできなかった。 このめーりん。負傷覚悟でバリケードに突撃しようとしたのだが、それも失敗に終わった。 なにせ相手は石の壁。しかも裏では複数のゆっくりが壁を押さえつけているのだ。スィー体当たりでも突破する事はかなわなかった。 そうしてドンドンとスィーからめーりん達を落とすゆっくり達。打ちどころがよくて生きてる者も結構いたのだが、 そのたびに止めの一撃をお見舞いしてやった。 若いめーりんはこの状況が理解できなかった。何故自分たちが愚鈍なゆっくりに後れを取っているのか。 すかさずリーダーの命令を仰ごうと、リーダーの元へ移動しようとした瞬間、リーダーの帽子が飛んだ。 「JAOOOON!!!!!!!!! JAN! JAOOON!!!!!!!!!」 他のゆっくりが自分の指示を仰ごうとした。とりあえず無傷のめーりん達を連れて一旦下がろう。 洞窟の奥ならば奴らの砲撃も来ないだろう。しかしそれは最も愚かな手だった。 なにせ食糧も何もない状態で持久戦を挑んだのだ。その結果がどうなるかなど、あえて言う必要もないだろう。 2日後、そこには衰弱しためーりん達が居た。もう自分たちが戦えないことがわかっているめーりん達は 自決しようと決意した。若いめーりん以外のめーりんはスィーから降りると、若いめーりんの前に並んだ。 このまま轢いて貰うためだ。そして若いめーりんはその後、あのゆっくり達へ突っ込むつもりだ。 例え勝てぬ戦いでも引くわけにはいかない。逃走は誇りが断じて許されない。 「JAOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!!!!!!!!」 そうして一人のめーりんを残し全員が死んでいった。 後は自分が突撃するだけだ。敬愛する女神に祈っためーりんは全速力で入口へ向かう。 せめて一糸報いようと。その願いが叶わぬ事を知らずに。 めーりんが気がつくと、周りには愚鈍なゆっくり達が居た。そして自分が半分ほど地面に埋まっている事に気づいた。 かろうじて眼だけは埋まっていなかった。しかし振り向く事もできずにただただ、前を見るだけしかできなかった。 「あのめーりんがうわさのきばめーりんたちだね! おお、ぶざまぶざま!」 「ゆっくりしないめーりんはゆっくりしんでね! いますぐしんでね!」 「めーりんのぼうしなんていらないね! まりさがゆっくりすててくるよ!」 「むきゅん! さすがはわたしのこどもね!」 どうやら複数の仲間が同じ様な状態らしい。しかしこの光景・・・忘れる訳もない。 あの子供の頃と同じ光景だ。 「いまからどすがしゃべるわ! とかいはなみんなはゆっくりしずかにしてね!」 その声と共に、ドスの後ろ姿が急に現れた。 「ゆゆ! みんな! おつかれさま! むれをこえてのきょうりょくのおかげで、ゆっくりできないくずめーりんどもを ゆっくりさせることができたよ! みんなありがとう!」 「ゆーーーーー!!!」などと言う喧しい声が聞こえる。 「このめーりんたちはおろかなめーりんとして、ここにうめることにしたよ! みんなでゆっくりのなんたるかをおしえてあげてね! それからこんどおにーさんたちがきたら、みんなでおれいをしようね!」 「むきゅん! それではかいさんするわ! みんなゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 まず最初に行われたのは、言葉による攻撃だった。 「すぃーにのったからってどすにかてるとおもったの? ばかなの? しぬの?」 「なにもまもれないんだねー。わかるよー。」 「れいむたちをおそうなんてばかなめーりんだね! ゆっくりしないなんでゆっくりのかざかみにもおけないよ!」 「おびゃきゃなめーりんはゆっくちちね! ゆっくちちね!」 子ゆっくりがポヨンポヨンよめーりんの頭に体当たりをしてくる。 「ゆゆ! だめだよおちびちゃん! めーりんにさわったらゆっくりできなくなるよ!」 今すぐ死にたかった。こんな饅頭どもに上から目線で何かを言われるなど、自ら死んだ方が何億倍ましな事か。 しかし動くこともできない自分にそれは無理だった。 ある程度ゆっくり達が消えると今度は残ったゆっくり達が攻撃を仕掛けてきた。わざわざみんなが居なくなるまで待っていた 連中である。やり口は口だけで済む訳がなかった。 「ゆゆ! じね! じね! ゆっくじじね!」 「ゆっへへ・・・めーりんごときがまりささまにさからうなんておろかなんだぜ!」 抵抗できないめーりんへの攻撃。噛み付きや目潰しが何度も何度も行われた。 ただただ殴られ続けるめーりん。そして 「ゆぅ・・・・・すっきりー!」 残ったゆっくり達はめーりんに向って"ちーちー"をすると、すっきりした顔で帰って行った。 もうめーりんの頭の中は狂い始めていた。ただただ相手を呪い殺すような目で睨み続ける。 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す「とかいはなありすがゆっくりのごくいをおしえてあげるわあああああ!!!」 思考の中に変な声が混じった。前には誰もいない。居るとしたら後ろだ。 「とかいはのありすはすっきりしたいのよね・・・・しょうがいないからめーりんですっきりしてあげるわ」 そういうやいなや、気持ち悪い舌の感触がめーりんを襲った。 「ベロベロしてあげるわあああああああああ!!!!! めーりんったらいがいときもちいいのねえええええええええ!!!!」 激しい嫌悪感が湧きあがる。しかしありすは止まらない。 「すりすりしてあげるわああああああああ!!!!!! ありずのごをうんでねええええええええええええ!!!!!!」 湧きあがる何か。めーりんは認めたくなかったし、認めるつもりもなかった。 こんな相手にすっきりなど。しかし体はどうしようもなかった。 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!! すっきりいいいいいいいいいいいい!!!!」 ありすと同時にすっきりしためーりん。その頭からはすぐに蔦が生えてきた。 「ゆゆ~♪ すっきりできたわー! でもめーりんとのこどもなんてとかいはじゃないから、いらないわね~♪」 そういってどこかへいってしまった。あれがゆっくりなのだ。自分の快楽さえ達成できれば、子供ですら見捨てる。 こんな物たちと同じ種族である自分を呪った。死にたかった。誰か殺してほしい。 早く早く! 早く! 早く早く早く早く早く!!!!! 誰か殺してくれ! 誰か! 誰か! ゆっくりなどしたくない! 名誉ある死を! 誰か! 加工所勤めの男が一人、国が所有する森へ入っていった。加工所は公的機関が運営している そのためいくつか国の所有地を使えるのだ。この森もその一つ。ゆっくりの知能を調べるための森だ。 ここに住んでいるのは知能を大幅に上げたゆっくり達だ。野生とは比較になるまい。 しばらく森を歩くと、ドスに出会った。どうやら狩りの帰りらしい。帽子の中にはたくさんのキノコや葉っぱが入っていた。 「どうだいめーりんたちは? だいじょうぶだったかい?」 「あんなめーりんたちなんてよゆうだったよ! でもどすがいないむれは、おにーさんのさくせんがなかったらあぶなかったよ! ありがとうおにーさん!」 「ありがとうおにーさん!」 「照れるなあ~。そんな大した事はしてないのに。」 ドスの群れへ来た。みながこちらに向かってくる。お礼をいったり、すりすりしたりと様々だ。 辺りを見回すと、一部色の違う地面があった。アレはゆっくり達の隠れ家である。 あれほどわざとらしく隠しておけば、めーりん達は落とし穴か何かだと思って通り過ぎるだろうと思ってたが どうやら成功したらしい。これが普通のゆっくりならば意気揚々と隠れ家へと近づいただろう。なまじ強いばっかりに 裏をかかれたのだ。 「ゆゆ? おにーさん! それはびでおだね! なにかうつってるの?」 ドスが持っていたビデオカメラに興味を示した。 「見てみるかい? めーりんたちがうつっているよ。」 そこに映っているのは、何周も何周も同じコースを走らされているめーりんの姿だった。体力やスィーの耐久力を調べていた時の映像だ。 このあと、疲れ果てためーりんは運転を誤り事故死した。 「ゆゆ! このめーりんはほんとうにゆっくりできないね! こっちのめーりんはゆっくりできてるのにね!」 ドスが得意げに指した方向を見た。埋まっている6体のめーりん。その頭には蔦が生えている。妊娠したのだろう。 しかし母体はもうすでに死んでいるようだ。蔦の子供も黒ずんでいる。 「一体貰っていいかな?」 「ゆ? もちろんだよ! すきなだけもらっていってね!」 「ゆゆ・・・でもまりさがちーちーしちゃったんだぜ。たべるのはおすすめしないんだぜ。」 別に食べるつもりはない。そして食べる訳でもないのに動物のちーちーを気にするなら生物を扱う仕事などやっていない。 俺は一体のめーりんを掘り出した。その顔は恨みだけで出来ていた。 見る物全てを呪い殺すような眼だった。 しかしつまらない。 こんな眼は今まで何度も何度も、それこそ飽きるほど見てきた。種類に関係なく、周りを恨みながら死んでいったゆっくりは皆このような眼をしていた。 進化した新種ならもしやと思ったが、これもゆっくりだったという事だ。 まあこの状況で恨むなと言う方が無理な話だが。 そこいらにめーりんを捨てて俺は戻ることにした。 これでめーりん撃退のテンプレは完成した。洞窟を持たない群れもいるが、まあ落とし穴と投石を応用すればどうにでもなる。 あのめーりん達は暴れ過ぎた。ゆっくりの数を極端に減らすほどだ。バランスは常に一定に保たれるべきなのだ。 この対処法を野生のゆっくり達の間で布教すれば、被害は減るだろう。意外とゆっくり間でのコミュニケーションの輪は広い。 でなければ、まだ数か所にしか加工所がなかった時代に、全国各地で加工所が恐れられることはないだろう。 そのあたりは割と謎なのだが。まあ今は関係ない。 まあ頭の悪い個体は死ぬかもしれないが人が駆除に出るよりはよっぽど安上がりだ。 それに飼いゆっくりにまで手を出したのは愚行と言うほかなかった。人間と友好的に付き合うならその辺りも考えるべきである。 そうしてトボトボと加工所へと戻った。これからまた実験だ。もっと難易度を落としたマニュアルを作成できないか考えよう。 俺は帰宅して居間でゆっくりしようとすると、目の前にコーヒーを飲んでいるまりさがいた。 「きょうはゆっくりのごくいをおにーさんにおしえてあげるね! ゆっくりきいてね!」 れいむはというと、先日買ってやったスィーに乗っていた。 「すいすいうごくよ! すごくゆっくりしたのりものだよ!」 どっちだよ。まあいいや。とりあえずまりさのぼうしをとって、中にコーヒーを注ぎ込む。 そしてそのまままりさに被せた。 「ゆびぎゃあ!!!! おべべがあづくでばえがびえない! おにーざんだづけでええええええ!!!!」 俺は移動中のれいむの前に足を出しながら、テレビのスイッチを付けた。 「ゆぎゃあ!」っとれいむは吹っ飛び、そのまま置いてあった猫の手に刺さった。ほっぺが痛そうだ。 「いぎゃいよおにーざん! とびだしなんてしないでね! ゆっくじあやばっでね!」 このれいむは意外と我慢強い。まりさは逆に泣き虫だ。そこが二人とも可愛い。 「おお、今日のニュースは・・・何ぃ! 早苗ちゃんが引退宣言! なんで!? アルバム出したばっかじゃん!」 大好きなアイドルの引退にショックを隠せないまま俺は寝ることにした。また明日も三人で グダグダな毎日を過ごすのだろう。 【あとがき】 作中で名前の出ている人物は、どこぞの風祝と一切関係ありません。 by バスケの人 このSSに感想を付ける
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※美鈴によるゆっくり虐め……かなぁ、一応。虐待描写は温め。 ※ハッピーエンドです。書いた者を、この偽善者と罵りたくなるような感じの。 ※性的描写を今回は、本当に極々僅かしか含んでおりません。 ※ゆっくりの設定は今回ほとんど俺設定入れてませんが、イメージと違う場合もございま すので、ご注意ください。 「めーりんと美鈴」 春も終わりが近付き、新緑が目立ちはじめる頃──。 紅魔館の門番を勤める紅美鈴は、本日も大過なく勤務を終えようとしていた。 門前で腕を組み、美鈴は珍しく真剣な目で夕焼け空を睨んでいる。 「交代の時間です。美鈴さん」 後方から声を掛けられた。 「ご苦労様」 振り向き、整列した妖精メイド守備隊に視線を送る。 「ここ最近、侵入者──ゆっくりの被害が増大しています。夜勤の皆さんも巡回の強化よ ろしくお願いします」 約一個小隊の妖精メイドに向かって短い訓辞を行い、美鈴は勤務を夜勤者たちに引き継 いだ。 そこへ、門の内側から通用門を通って、一人の妖精メイドが駆けつけてくる。 「美鈴さん! 侵入者です! ゆっくりです! 薬草園と菜園が荒らされてるです!」 「なんですって! ……下番昼勤者のみんな、悪いけど残業ね。私に続きなさい! 上番 夜勤者は勤務開始しちゃって」 まるで瀟洒なメイド長のように、美鈴は速やかに妖精メイドたちへ指示を下す。 「了解! 夜勤者メイドA勤務開始します!」 「了解! 昼勤者メイドB撃退に向かいます!」 「了解! 夜勤者メイドC外周定時巡回開始します!」 「了解! 夜勤者メイドE勤務開始します!」 「了解! 昼勤者メイドD残業なんかしません!」 「了解! 夜勤者メイドG勤務開始します!」 「了解! 夜勤者メイドI勤務開始します!」 「了解! 昼勤者メイドF残業いやだから本館戻ります!」 「了解! 夜勤者メイドK眠いんで勤務開始せず仮眠入ります!」 「了解! 昼勤者メイドH残業? ざけんな、本館に帰ります!」 「了解! 昼勤者メイドJさぼって本館に戻ります!」 「了解! 夜勤者メイドM勤務開始します!」 「了解! 夜勤者メイドO定時巡回さぼって湖へ遊びに行きます!」 「了解! 昼勤者メイドLお腹減ったので食事に向かいます!」 「了解! 昼勤者メイドN撃退に向かいます!」 以下、アルファベット一文字では足りなくなり、メイドABだとかメイドAXなどと言 う名称となった、昼勤と夜勤合わせて60名近くの行動申告が続く。 アルファベット順に発言せず、思い思いのタイミングで申告するので、非常に聞き取り づらい。 どさくさに紛れて何人かは妙な申告を行っているが、大陸的おおらかさで美鈴は聞き流 し、素早く現場へと向かった。 指示に従ったメイドは、美鈴を除いた下番昼勤者24名のうち7名だった。 あとの17名は残業を厭い、そのままとっとと本館に帰り、速やかにオフの時間へと突入 したのである。 「ちょっと、なんでこんだけしか居ないのよ?」 門内に入ったところで、付き従ったメイドを確認し、美鈴は呆れたように呟いた。 「はっ! 美鈴さんのカリスマでは、残業強制が困難だったと愚考いたします」 メイドBが言わなくても良さそうな、むしろ言わない方が相手への思いやりな事を、わ ざわざ美鈴に言った。 「……くそっ……まぁ、いいわ! 三手に別れます! メイドBは他4名連れて薬草園、 メイドNとメイドVは本館のメイド長と館内警備隊に報告の上、向こうの指示に従って動 きなさい。菜園は私一人で充分だから……以上!」 忌々しげに眉根を寄せてから、美鈴は素早く指揮官の顔に戻り、勤務意欲充分な精鋭メ イドたちに下知をくだす。 「はっ!」 「了解!」 「イエス・マム!」 お辞儀、挙手の礼、合掌、拱手など、各員多様なゼスチャーとともに、メイドたちは美 鈴の命に従い散って行った。 それと同時に、美鈴も自らに割り当てた現場──菜園へと歩を進める。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせー♪」 「まりさぁ、それはれいむがたべようとしてた、おやさいさんだよ~」 「むきゅ~、どろくさくのろまなしなじんがつくったにしては、まずまずのおあじだわ」 「ゆっへっへっへ! はやいものがちだぜ! うまいぜ!」 「ゆ~♪ おやさいさん、おいしー♪」 「むしゃむしゃ……ふんっ、と、とかいはのありすのこえたしたは……んぐっ、こ、この ていどのおやさいじゃ……がつがつ」 美鈴が菜園に着くと、そこはゆっくりたちによって荒らされていた。 丹精込めた菜園を襲ったのは、れいむ種が6匹、まりさ種が4匹、ゆっちゅりーが2匹、 ありすが2匹の計14匹のゆっくりたちである。 畝を崩し、葉物野菜にかぶりつき、根菜を土中よりほじくり出し食い荒らし、排泄餡子 をひり散らし、交尾を行うなど、見るにたえない狼藉を働いている。 「こらっ! あんたら、なにやってるのよっ!」 黙って近付き奇襲を行おうと考えていた美鈴だったが、自分が愛を注ぎ育てた可愛い野 菜たちが凌辱されているのを見て、つい怒鳴り声を上げてしまった。 「ゆっ! みてのとおり、まりさたちはおしょくじちゅうだぜ!」 まりさは鼻で笑って、小馬鹿にしたように言った。 「あんっ、ぱちゅりぃ……いいわぁっ、ぱちゅりーのびょうじゃくぺにぺにが、ありすの とかいはまむまむのなかだと、こっ、こんなげんきにぃっ!」 ゆっちゅりーと交尾中のありすは、美鈴には見向きもせず、ひたすら快感に喘いでいる。 食欲を満たした後は性欲を満たし、子孫繁栄に努めるのが都会派だと考えているようだ。 「ゆっへっへっへ! まりさがみつけたおやさい、たべてるんだぜ! うまいんだぜ!」 悪びれもせず、まりさは菜園の野菜を汚らしく貪り、食べ滓をあたりに散らす。 「ここはれいむたちがみつけた、ゆっくりファームだよっ! ゆっくりできないひとはで てってね!」 見つけた以上は自分たちのものだと、れいむは美鈴を威嚇しながら主張した。 「むっきゅ~っ……あっ、ありすぅっ……ありすのまむまむ、きもちよくてぇっ、ぱちぇ、 しっ、しんじゃいそうっ!」 本当に死にそうな顔で、ゆっちゅりーはありすと交尾をしている。おそらく、すっきり すると同時に息絶えるであろう。 しかし、仮令命を失ったとしても、ありすの中に新しい生命を宿し、残すことが出来る のならば、ゆっちゅりーにとっては本望である。 「おねえさん、おやさいわけてほしいんなら、なんかもってきてよ!」 れいむは無邪気な顔で、貰うのが当然とばかりに言い放った。 「べっ、べつにおいしそうからたべたんじゃないわよ! こんな、いなかくさいおやさい なんか、とかいはのくちにあわないのよ! ……むしゃむしゃ」 口に合わないと言う割りには、喋る間も惜しむほどに、がつがつとありすは大根をかじ っている。 「ゆっ! みてわかんないの? ばかなの? ゆっくりしぬの?」 蔑んだような目で、れいむは美鈴を見た。 「むきゅっ! しなじんのうどは、だまってぱちぇにおやさいをじょうのうしてればいい わっ!」 犬と支那人は芝生に入るべからずと言う英国人の如く、ゆっちゅりーは傲慢な態度を取 る。 「おねえさん! ぱんつはかないの? すそからみえてるよ! ろしゅつきょう?」 乱れた旗袍の裾から、美鈴のデリケートな部位が覗いているのに気付いたれいむが、変 質者を見る目で聞いてきた。 「ゆっ! ここはれいむたちのおうちにするから、おろかなにんげんはきえてね!」 この頭数でも食べても、まだまだ沢山食べ物があるのが気に入ったのか、れいむは菜園 を自宅にする気でいる。 「ひとにものをきくたいどじゃないぜ! ゆっくりしね! はんせいのまえにしね!」 美鈴の言い方が気に触ったらしく、まりさは怒りの形相を浮かべた。 「ゆっ! おねえさん! れいむ、いまうんうんしてるんだから、はなしかけないでよ!」 ぶりぶりと排泄餡子を垂れながら、れいむは口を尖らせて美鈴に抗議する。 「ちゅうごくのくせに、まりささまたちにおおきなたいどだぜ! かかってくるかだぜ?」 格下の者を挑発するような風情で、まりさは頬を膨らませた。大勢なので気が大きくな っているようだ。 ──美鈴の怒りが爆発した。 「……あちゃー……やりすぎちゃった……うぅっ……」 肩を落とし、沈鬱な表情で美鈴は俯向いた。 菜園は無惨な荒れ地と化している。 怒りのあまり、前方に気弾を溜めて発射する大技、極光「華厳明星」を放ってしまった のであった。 白黒の魔法使いが何かと言えば、ほいほいぶっ放す恋符「マスタースパーク」や、ここ の図書館に住む引きこもりが時々使う日符「ロイヤルフレア」に比べれば、その威力は同 情を禁じ得ないようなレベルだが、ゆっくりに対しては充分すぎるオーバーキルだ。 ゆっくりたちは餡子のひとかけらも残さず消滅し、また美鈴が守るべきだった菜園も壊 滅したのである。 「あぁ……ごめん、ごめんなさい……私の可愛い青梗菜、大根、人参、オクラ、ジャガ芋、 トマト、春菊、小松菜、ラディッシュ、キュウリ、茄子、きゃべつ、タマネギ、長ネギ、 モロヘイヤ、にら、アスパラガス……」 食されることなく失われた野菜たちに、美鈴は心の底から詫びた。 彼女の目からは悔悟の涙が、とめどもなく溢れている。 がっくりと大地に膝を突き、美鈴はうなだれた。 そして、人目をはばかることなく大声で泣き始める。 まるで親兄弟の葬式で哭泣するかの如く、わんわんおんおん泣く。 「……今は、そっとしといてあげましょう……」 騒ぎを聞きつけて集まったメイドたちを、いつの間にか現れたメイド長が解散させる。 しばらく見守っていた彼女だったが、このまま泣き死にそうな勢いで号泣する美鈴に掛 ける言葉が思い浮かばず、やがて静かに立ち去った。 あとには、菜園の跡地とその前で泣く美鈴だけが残された。 「それで被害状況は?」 紅魔館の主であるレミリア・スカーレットは、起きて早々「ゆっくりに館を荒らされた」 と言う不快な報告を聞く羽目となった。 「はい、菜園が壊滅いたしました。また、薬草園の方は僅かな被害はあったものの、ゆっ くりは問題無く駆除。他に、館内へ侵入したゆっくりにより花瓶が割られるなどの被害が 出ておりますが、それらも全て対処済みです」 淡々とメイド長である十六夜咲夜は報告した。 「そう……って、菜園が壊滅!? ゆっくりが壊滅させたの?」 予想外の壊滅という報告に、レミリアは驚いた。 レミリア自身は、まだゆっくりと言う生物を見た事はないが、話しを聞いて知る限り、 そんな被害を及ぼせるほど強大な力は持っていないはずである。 「いいえ、菜園を壊滅させたのは美鈴です。撃退の際、おそらく力加減を間違えてしまっ たと思われます」 本当は力加減を間違えたわけではなく、激高して大技を炸裂させてしまったのだが、美 鈴から真相を未だ聞いていないので、咲夜は予測で答えた。 「へー……力加減間違えたぐらいで、壊滅するのかしら……まぁ、それはいいわ。で、美 鈴はどうしてるの?」 レミリアは原因の詳細よりも、責任者の現状の方が気になった。 その壊滅させた本人が、誰よりも強い思い入れを持って、毎日世話をしていたはずだか ら。 「自分の為してしまった事にショックを受け、菜園跡地で泣いております」 「なるほど……まぁ、そうでしょうね。とりあえず、菜園はどうせ美鈴が一人で管理して たんだから、今回の件は勇み足ってことで不問とするわ。壊しちゃったんなら、もう一度 作らせればいいだけだし」 そう言って、レミリアは今回の件を片付けた。 実際のところ、さほど好きではない野菜が食卓に並ぶ頻度が下がるのだから、菜園が壊 滅したならしたで別に構わないと思っている。 「寛大なご処置、美鈴に代わってお礼申し上げます……時に、お嬢様」 「なに、咲夜?」 この忠実な従者が次に何を言うか、レミリアには薄々想像がついている。 「美味しく召し上がっていただけるよう、野菜料理もさらに工夫いたしますので、今後は もっとお野菜を召し上がってください」 「……善処するわ……でも、咲夜のお料理が悪いんじゃないわよ。私って小食だから、お 野菜食べると他があんまり食べられなくなるから……」 カリスマの欠片も感じさせない言い訳をレミリアは始めた。 「いいえ。お嬢様の場合は単なる偏食です。お野菜もきちんとお召し上がり下さい」 「えっ……んー……だ、だってぇ……確かに、咲夜のお料理だったらお野菜も美味しいわ よ。でも、やっぱり……その、ねぇ、ほら……」 最早、主人と従者の会話では無かった。 時間の経過とともに、号泣はやがて嗚咽へと変わり、現在の美鈴はしくしくと普通に泣 いていた。 「うぐっ……ぐすっ……ごめん、ごめんね……青梗菜さん、あなたの……みずみずしい青 い身体を塵に変えて、ごめんなさい……ぐしゅっ、モロヘイヤさん、あなたの……」 自らの技で葬り去ってしまった、愛しく可愛い野菜様たちへの詫びの言葉が口から溢れ る。 額を地に着け、のばした手で土を掴みながら、ぐしゅぐしゅすんすんと声を詰まらせな がら、美鈴は泣き、詫び、許しを乞う。 そんな美鈴の前に、一匹のゆっくりが近寄って来た。 どこからか入ってきた──おそらくは夜勤者が巡回をさぼったため、見咎められずに侵 入を果たしたであろう、ゆっくりめーりんである。 直径およそ30センチぐらいのめーりんは、美鈴の悲しみや後悔、罪悪感はよくわかると 言いたげな、悲しそうな顔をしている。 ゆっくりと美鈴に近付くと、慰めるようにめーりんは彼女の手に身を擦り寄せた。 「大根さ……ん!? ……だ、誰……?」 涙と鼻水と涎と泥で汚れても、可愛らしく美しい顔を、美鈴は上げた。 心中密かに、レミリアか咲夜が慰めに来てくれたのかも……でも、会わせる顔がない、 と葛藤しつつ。 そこには自分のデフォルメされた似顔絵があった。 平面ではなく立体なので、正確には似顔絵ではなく頭像であろうか。 目が合うと、それ──めーりんは、悲しげな微笑を浮かべて見せた。 「ふ、ふざけるなっ! ゆっくりごときに、私の悲しみが、自責が、後悔が、行き場のな い怒りが、わかるもんですかっ!」 地に伏した姿勢のまま、美鈴はめーりんを平手で叩いた。 声も上げずに、それは叩き飛ばされるように、地面を転がる。 「く、くそっ……! な、舐めないでよっ! 同情なんか……ゆ、ゆっくりに同情される ほど、私は可哀想な子じゃないわよっ!」 立ち上がり、転がるめーりんを美鈴は追いかけた。 荒々しく乱暴に抱え上げると、片手で頬を握り掴み、もう片方の手を振り上げる。 「あ、あんたなんかにっ! な、なにがっ、わかるっていうのよっ! ちくしょうっ!」 振り上げた拳を、めーりんの頬めがけて振り下ろす。 人を殴った時に感じるそれよりも、柔らかい感触が、とても気にくわない。 殴っても効いてないんじゃないかと思えて、ますます腹立たしくなってきた。 「なんなのよっ! へらへらと締まりのない顔してっ! 私がそんな顔だって言いたいの? バカにしてるのっ!?」 喚き、怒鳴りながら美鈴は、めーりんの頬を殴り続ける。 殴られるのが痛くて悲しいのであろう、めーりんは涙を流しているが、顔自体の構造が 笑顔系なためか、バカにされてるような気分になり、どんどん怒りが高まってゆく。 「私はっ! そんな顔してないわよ! くそっ! ちくしょうっ! こいつめっ!」 美鈴もまた泣いている。 涙を流しつつも、めーりんの顔を殴る作業を休めようとはしない。 きつく握り掴んだ片頬には爪を立て、もう片方の頬は拳の打撃で痛めつける。 モデルとした人物と同様に、愛らしく可愛いめーりんの顔は、次第に痛ましく変形させ られてゆく。 「あははっ、いい顔になってきたじゃないっ! ほら、こうしてやると、もっと、もぉぉ っといい顔になるわよっ! あははははっ!」 殴るのを止めた美鈴は、泣きながら笑いつつ、両手でめーりんの頬をつねり掴んで引っ 張りはじめた。 ぎちぎちと皮肌を指先でねじりながら、左右に力を込めて引き延ばす。 めーりんの皮肌は、他種に比べると弾性が強く強靱にできているとは言え、美鈴の力で 引っ張られたら耐えられるはずもない。 うにょーんとのばされた皮肌は、やがて限界を迎えて、ぶちんとちぎれた。 支えを失い落下しためーりんは、引き千切られた頬の傷から中身を漏らし、激痛で地面 の上をのたうち回る。 手に残る引き千切った頬を適当に投げ捨ててから、 「あははっ、痛いの? 痛いわよね? でも、私の心はもっと痛いのよっ!」 美鈴は潰さない程度の力で、めーりんを踏みつけた。 靴の下に感じる柔らかい感触が、まるで人の身体を踏みつけているようで心地良い。 傷口が大地に擦られるように、美鈴はぐりぐりと足を動かす。 中身と土が混ざり、それが身体の中にも入り込む苦痛に、めーりんは身を震わせる。 「ふんっ、泣きわめかないと、いまいちすっとしないわね……ほら、こっち向きなさいよ!」 爪先を傷口に突っ込み、足を使って顔をこちらに向けさせる。 「あはははははっ! いい顔になったじゃないっ! 泥と涙と、ぶちまけられた中身で、 とってもぶさ可愛くお化粧されてるわよっ!」 相変わらず涙を流し続けたまま、美鈴は楽しそうに笑い、めーりんの口元目がけてつば を吐いた。 「あはははっ! ほら、舐めなさいよ! 疲れたでしょうから、水分くれてやったのよ!」 傷口に突っ込んだ爪先で中身をかき混ぜながら、美鈴は言った。 めーりんは言われた通り、ゆっくりと舌をのばして、美鈴に吐きかけられたつばきを舐 め取った。 その顔は、とても悲しげに見える。 今までもずっと悲しそうな顔をしていたが、まるで美鈴のそんな姿を見るのが最も辛く 悲しいと、目で言っているかのような表情だ。 「……なによ……なんで、そんな目で、見るのよ!」 理不尽な暴力を振るわれているのに、責めるでもなく、哀れむでもなく、言うなれば美 鈴の苦悩を我が事のように悲しむ目が、心をちりちりと焦がす。 そうだ、この目が気にくわないんだ──美鈴は、そう思った。 それは違うと、心の中で別の自分が言っているような気がするが、一度そうだと思って しまった以上は、どうにかして処理したい。 「その目、貰うわよ……」 美鈴はめーりんの前にかがみ込み、ゆっくりと見せつけるように、まず右目に手を伸ば す。 めーりんの目は、それでも変わらなかった。 じっと美鈴の顔に視線を合わせている。 「……ねぇ、あんた……怖くないの?」 眼球に触れる直前で、美鈴は手を止めて聞いた。 微かに、めーりんは頷いた。 「…………萎えたわ」 そう言うと美鈴は、のばした手を自分の目元に運び、涙を拭った。 もう涙は止まっている。 「ふふっ、ありがとう……あんたのおかげで、落ち着いたわ」 普段通りの穏和な表情を取り戻し、美鈴はめーりんに微笑みかける。 めーりんも涙を流すのを止め、痛みに苦しみながらも、懸命に微笑んで見せた。 「ゆっくりはモデルに似る、か……ふふっ、良く見るとあんた可愛いわよね」 周辺を見回し、投げ捨てためーりんの頬を探す。 ぞんざいに投げ捨てたためか、それほど遠くない、数歩先の距離にそれは落ちていた。 「あはっ、可愛い顔が台無しになっちゃってるわね……まぁ、私がやったんだけど」 じっとしてて、と言い置いてから見つけた頬を拾ってくる。 「治してあげるわ……」 引き千切った上に、踏みつけ地面に擦り付けたため、傷口は酷い有様であるが、くっつ けて気を送れば問題無いだろう。 美鈴の言葉に、めーりんは痛みも忘れて嬉しそうに笑った。 「あらあら、そんなことするから……中身がどんどん漏れてくじゃない。ほら、じっとし てなさいよ」 結構な量の中身を失っているはずだが、元から生命力が飛び抜けて強い種であるめーり んは、重傷を負って辛そうではあるが、瀕死と言うほどでは無さそうである。 ゆっくりれみりゃのような規格外の再生力こそ無いが、回復力も高いめーりんは、傷を 塞ぎ気を送り込むと、あっさりとすぐ元気になった。 「ふふっ、本当に私に似てるわね……頑丈で、元気で、可愛くて、健気で……」 抱きかかえ、めーりんの頭を優しく撫でる。 あんなに痛い目に遭わされたのに、めーりんは美鈴の胸に顔を押し付け甘えてくる。 「人懐っこいわね……だめよ、私のゆっくりなら、優しいだけじゃだめ。時には強く、厳 しく、敵と戦わなきゃ……あっ、そうだ!」 美鈴は名案を思いついた。 それから一週間後──。 門番業務をこなしつつ、美鈴は菜園の復興に勤しみ、今ではもう立派に復旧していた。 育苗中でまだ植えていない作物もあるが、ゆっくりの侵入を防ぐ柵を作り、土壌を整え、 用水を整備し、畝を立て、直播きのものは播種を済ませている。 あとは播いた種の生育を待ちつつ、日々の手入れを行い、育苗を終えた苗を植えれば、 かつての姿を完璧に取り戻すであろう。 「こう言う仕事は、見事にこなすわね」 ちゃんと作り直された菜園を眺めながら、咲夜は美鈴に語りかけた。 「こう言う仕事って……咲夜さん、まるで私が他の仕事は、ロクにこなせてないみたいじ ゃないですか……」 不本意そうに肩をすくめつつも、美鈴はどことなく嬉しそうな顔をしている。 「うーん……一応、最大限に褒めたつもりよ。と言うか、あなたは本来の業務中の居眠り が……ちょっとねぇ」 咎める風ではなく、からかうように言って、咲夜は微笑んだ。 「うぅっ、そ……それは、その……が、頑張ってますよ!」 「はいはい。私がナイフを刺さなくても済むように頑張ってね……そう言えば、今度は柵 も作ったのね?」 ぐだぐだと守られもしない約束や言い訳を聞き、それにいちいち対応するのは、あまり 瀟洒ではないので、軽く美鈴の言葉を流しつつ皮肉を言い、咲夜は話題を変えた。 「あ、はい! しっかりと門を見張って、巡回を強化しても、連中はどこからともなく入 ってきますからね……やっぱり柵ぐらいは必要だと思いまして」 さりげなく、ちゃんと仕事をしている事もアピールしながら、美鈴は答えた。 「そうね。柵があると無いとじゃ、だいぶ違うでしょうね。それに加えて、さらに見張り も置いた、ってわけね」 柵の切れ目、菜園の出入り口に居る一匹のゆっくりに視線を向ける。 「はい、そうです。あの子は私に似て可愛くて真面目ですから、きっと悪辣なゆっくりを 排除してくれますよ!」 ある意味で存在自体が咲夜への皮肉とも思える豊かな胸を張り、美鈴は力強く言い切っ た。 「ふーん……確かに、そっくりね。ぐっすり寝てるところなんか、もう生き写しね」 「……え!?」 咲夜の言葉を聞き、美鈴は慌てて菜園の入り口を見た。 そこには、ゆっくりと寝ているめーりんの姿があった。 「…………だ、大丈夫です……し、侵入者が現れたら、ちゃんと撃退するはず……です」 激しく動揺し内心で非常に大きな不安を感じながらも、美鈴は太鼓判を押した。 「飼い主が飼い主だし、モデルがモデルだから、あまり期待はしないでおくわ」 そう言い残して、咲夜は菜園に背を向けて立ち去った。 あとには、これから豊かになるであろう菜園と、困り顔で頭を抱える美鈴、対照的に幸 せそうな顔で眠るめーりんが残された。 ■END■ あとがき ご笑覧いただきありがとうございます。A.Hでございます。 書いてるうちに、生ぬるいハッピーエンドになりやがりました。どう言うことだ。 本格的なめーりん虐めは、そのうち再挑戦しようかと……ってか、めーりんに他のゆっ くり退治させる方が書きやすそうだな……。 いつもご感想いただきありがとうございます。 本籍地が18禁エロ系なためか、すぐにそっち系へ走りやすく、それっぽい描写が増える 傾向にあり、色々となんかすみません。 このSSに感想を付ける