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ここはゆっくりが集まる森。 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。 色んなゆっくりが平和に、仲良く暮らしていた。 ただ、ひとつの家族を除いて……。 「さっさとごはんをとりにいくんだぜ!!!」 親まりさがれいむに怒鳴りつける。 「でも、まいにちれいむばかりがかりにいってつかれるんだよ!たまにはやすませてね!!!」 れいむが抗議するのは当然である。 普通の家族は親が休んで子供を狩りに行かせるなんてことはないからだ。 「もっとおやをだいじにしないとだめでしょおおおおおおおお!!!」 そう言ってれいむを外に追い出す。 「ゆぅ…。まいにちかりにいくのはつかれるけど、みんなのためだよ…。」 「ゆ!れいむごはんをあつめてるの!とかいはなありすおねーさんにすこしわけてね!!」 「むきゅ!ちしきじんのぱちゅりーおねーさんにもすこしわけるのよ!!」 出てきたのはありすお姉さんとぱちゅりーお姉さん。 「もうすこしでかえるからそれまでまっててね!」 「けちはいなかものがすることよ!さっさとわけなさい!」 「むきゅ!れいむのくせにわがままいっちゃだめでしょ!」 お姉さん達に逆らえないれいむは、しぶしぶ集めていた食べ物を地面に置いた。 「それがとかいはのたいおうよ!ごほうびにぜんぶもらっていってあげるわ!!」 「どぼじでぞんなごどずるのおおおおおおおおおおおおお!?でいぶがいっじょうげんめいあづめだんだよおおおおおおおおお!!!!!?」 「またあつめればいいじゃない!これだからちしきじんじゃないこはいやなのよね!!!」 集めた食料を全て奪われて泣き叫ぶれいむ。 だが、そんなことは知らない顔をしてお姉さん達はどこかへ行った。 「ゆっ…これじゃまたおとうさんとおかあさんにおこられるよ…」 「どうしたんだぜ!そんなかなしいかおはれいむらしくないぜ!」 でてきたのはれいむの唯一の友達のまりさ。 「ちょっとごはんをおとしただけだよ!」 「それはこまったんだぜ!まりさもいっしょにごはんをあつめてやるんだぜ!」 お昼過ぎ。ようやく食料を集め終えてれいむは家に帰った。 「ゆっくりあつめてきたよ!おくれてごめんね!」 「おそすぎるんだぜ!もうとっくにみんなむ~しゃむ~しゃしたんだぜ!」 「そうだよ!わたしのかわいいおちびちゃんたちがあつめてくれたんだよ!」 親まりさと親れいむから事実を聞かされた。 ありすお姉さんとぱちゅりーお姉さんは、 れいむから奪った食料をさも自分が取ってきたかのように持ってきていたのだ。 「ゆゆ!そのごはんはさっきれいむがとってきたものだよ!」 「なにいってるの!れいむはずっとあそんでたんでしょ!おちびちゃんたちから聞いたよ!」 「うそをつくれいむはごはんをおいてそとにでるんだぜ!!!」 外に叩き出されるれいむ。 「ゆぅ…これじゃゆっくりできないよ…」 夜空の下で震えるれいむ。ご飯もろくに食べていないので余計に寂しさを感じる。 「ゆゆ?どうちたの?おしゃんぽちてりゅの?」 そこに子ありすが現れる。 「ゆぅ、そうだよ…。ありすはこんなところでなにをしているの?おかあさんは?」 「おかあさんはようじがあるからって!ありしゅはみゃみゃがきゃえってくりゅにょをみゃっていりゅんだよ!」 「それはおりこうさんだね!れいむおねえさんといっしょにあそんでゆっくりまとうね!」 「ゆっきゅりりきゃいしちゃよ!」 まるで妹が出来たかのように思い、少し幸せなれいむだった。 それと同時に、なぜこんな時間に子供を連れて、しかも一人にしているのかも疑問だったが、 餡子脳なのでそれほど気にはしなかった。 「おちびちゃんはなにをしてあそびたいのかな?」 「しゅっきりあしょびがちたいよ!」 「ゆぅ?それはどうやるの?」 「おねえしゃんはうちろをむいちぇにぇ!」 聞いたことのない遊びに少し戸惑いながらも言われたとおりに後ろを向く。 「おきゃあしゃんがね、こうすりゅとなかよくなりぇりゅって!!」 「やべでえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 予想通り(と言っても、れいむは予想していなかったが)子ありすにレイプされるれいむ。 まだ子供とはいえ、精力は他のゆっくりの5倍はあり、子ありすのそれは処ゆっくりのれいむにはきつすぎるものであった。 「きょわれりゅほ~ぢょあい~ちてみょ~、しゃんぶんのいち~もちゅた~わりゃにゃい~♪」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 どこから覚えてきたのか、懐かしい曲を歌う子ありす。 「おちびちゃん!ちゃんとままのとかいはのあいをみてくれなきゃだめでしょ!!」 子ありすの親のありすがやって来た。 「あら、さすがままのこね。おしえなくてもりっぱにとかいはなあいができてるわ!!」 「みゃみゃ!おねーしゃんとあしょんでちゃよ!たのちきゃっちゃよ!」 「それはよかったわね。さぁ、はやくおうちにかえりましょ」 子ありすを頭に乗せて帰って行く親ありす。 自分より年下の子に抵抗出来なく犯されてしまったれいむ。 次の日の朝。 「ゆぐぅ…。ゆっくりかえったよ…」 「ゆゆ!いままでなにしてたんだぜ!れいむがにんっしんしてこどもがうまれそうなんだよ!」 「ゆぎぎぎぎ…もうすぐでうまれるよ…はやくあーんしてあかちゃんをうけとめるじゅんびをしてね…!」 「きこえたんだぜ!?はやくくちをあけるんだぜ!」 親に命令されて、赤ちゃんのクッションにするために口を大きく開くれいむ。 「もうずぐでうばれぶよおおおおおおおお!!!!」 ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶり れいむの口は、親れいむから出た黒い物体で満たされた。 親れいむから出たのは、赤ちゃんではなくうんうんだった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!でいぶど、でいぶのあがぢゃんがあああああああああああ!!!」 親れいむのうんうんを全身で浴び、しかも口にまで入って酷く慌てるれいむ。 「しずかにするんだぜ!ゆっくりできないくそやろうはゆっくりしっかくなんだぜ!!!」 親まりさの頭突きを喰らい、壁に激突するれいむ。 その拍子にれいむの赤ちゃんが全て潰される。 「ゆわあああああああああ!!!でいぶのずでぎなあがぢゃんがあああああああ!!!!!!!」 「そんなことしらないんだぜ!かってにつくってくるれいむがわるいんだぜ!!あやまるんだぜ!!!」 「ゆふぅ…うまれるきがしたけどそんなことなかったみたいだよ!それときたないれいむはどっかいってね!!!」 その時、外かられいむにとって見慣れたゆっくりがやってきた。 「あそびにきたんだ…………。れいむ、いったいどうしたんだぜ!」 れいむの唯一の友達であるまりさだった。 「ばりざぁ…。だじげで…でいぶを…でいぶは…」 「れいむになにをしたんだぜ!こんなゆっくりできないかぞくはおいてどこかへいこうね!!!」 「むきゅ!それはけんめいなはんだんじゃないわよ!」 「んほぉ…ともだちをおもうまりさをみてたらすこしこうふんしてきたわぁ…」 ありすお姉さんとぱちゅりーお姉さんがまりさの前に立ちはだかる。 「れいむをみすてたほうがけんめいなはんだんよ!」 ぱちゅりーお姉さんの言葉を聞き、ありすを見て体を震わせるまりさ。 このままれいむの味方をしてしまったらありすにレイプされてしまう。 ならばどうすれば自分は助かるのか、まりさの本能は分かっていた。 分かっていたが、れいむはまりさにとっても唯一の友達だった。 そんなに簡単に切れる仲ではない。究極の選択を目の前にしてまりさは悩んでいた。 「いいことをおしえてあげるわぁ、あなたのだいすきなれいむは、きのういなかものとこどもをつくっていたのよぉ」 「あたまについてるのをみればちしきじんじゃなくてもわかるわね!!」 事実を聞かされたまりさは、今まで信頼していた友達に裏切られたと感じていた。 お互い一人しかいない友達同士。それはゆっくりにとっては恋人同然だ。 「れいむはくずだぜ!こんなにきれいなおねえさんのわるぐちばっかいってたぜ!きのうだってむりやりまりさにごはんをあつめさせたんだぜ!!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおお!!!どぼだぢでじょおおおおおおおおおおお!!!!!」 「こんなにきたないれいむはともだちじゃないんだぜ!かんちがいしてはずかしいね!くさいからしんでね!!!」 「ヴぁりずぁ…」 「もうおうちかえるぜ!」 そうまりさが言い残して帰ろうとしたが、お姉さん達はそうはさせなかった。 「せっかくここまできたんだからとかいはなおねえさんとすっきりしましょお~」 「やくそくがちがうぜ!まりさはおうちかえるんだぜ!!!」 「むきゅ!だれもれいむをみすてたらたすけるなんていってないわよ!」 「うぞづぎいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 れいむの目の前で唯一の友達だったまりさがありすお姉さんによって犯されている。 何度もれいむに助けを求めていたが、れいむはぱちゅりーお姉さんに掴まれて、助けることはできなかった。 しばらくして、ありすが満足した。 ありすの下にあるのは今にも死に絶えそうなまりさの姿。 「でいぶぅ…だ…じ…げ…」 「もうこのくずはいらないね!そとになげすてるぜ!」 そう親まりさは言い、まりさを掴んで外へ思いっきり投げつけた。 空中に舞うまりさとれいむは、ずっとお互いを見つめ合っていた。 そして、空中に舞っていたまりさは、木に激突してただの餡子になった。 嘘のような一時だった。 妹だと思っていた存在にレイプされてにんっしんして、うんうんを全身に浴び、唯一の友達に見捨てられた直後にその友達が犯され、目の前で殺された。 正に生き地獄だった。 れいむは、ただ呆然と宙を見つめていることしかできなかった。 そこに、聞き慣れない声がした。 「ゆっくりお菓子があるよ!食べたい人は集まってきてね!」 それは人間のお兄さんだった。 「ゆ!おかしだって!みんなでもらいにいくんだぜ!!!」 「きっととかいはなおかしがたくさんあるのよ!」 「むきゅ!だがしじゃなくておかしだからね!きっとこうきゅうよ!」 「ゆぅ…れいむはにんっしんしてるからうごけないよ…」 「あんしんするんだぜ!まりさがれいむの分までもらってくるよ!」 家族は、少し興奮気味にはしゃぐ。 「ちっ…集まったのは三匹だけか。ここらへんはゆっくりが少ないのかな」 「いいからあまあまをさっさとよこすんだぜ!」 「さいしんのりゅうこうのさいせんたんのとかいはなこうきゅうおかしをちょうだいね!」 「むきゅ!はやくよこすのがけんめいなはんだんよ!」 「まぁ、いいか。れみりゃの腹が膨れれば。」 「れみりゃ!!!そんなこと聞いてないよ!おうちかえるうううううううううううう!!!」 「とかいはなおかしはどぼじだのおおおおおおおおおお!!!!!?」 「このちしきじんなぱちゅりーさまをだまじだのねええええええええええ!!!」 「元気があっていいなぁ。れみりゃも満足するだろうな」 「「「いやあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!!!!」」」 叫ぶ三匹の足をナイフで切り付け、袋に入れてお兄さんは帰って行った。 「おなかがすいたよ!れいむはごはんをとりにいってきてね!!!」 親れいむがれいむに命令するが、れいむは何も言わない。 「きこえてないの!はやくごはんをとりにいってきてね!!!!」 うるさく叫ぶ親れいむに、れいむは近付く。 「やべでええええええええええええええ!!!!!」 「うっめ!うっめ!めっちゃうっめ!めがうっめ!まいうー!」 れいむが親れいむを食べる。 憎しみと空腹に任せ親れいむの全てを喰らい尽くす。 「しあわせー!」 親れいむの中にいた赤れいむごと食べ終えたれいむは、体を洗うために川へと向かった。 そこに、一人の老人がいた。 「おじいさんゆっくりしていってね!!!」 「あぁ、ゆっくりれいむか。ゆっくりしていってね」 「おじいさんこんなところで何してるの!?」 「いや、特に何も。ただの散歩じゃよ。ところで何で餡子塗れなんだい?」 「おかあさんにうんうんかけられたんだよ!れいむのあかちゃんをゆっくりできなくされたんだよ!おともだちを…」 「あぁ、それ以上言わなくて良いよ。どうだい、これから家に来ないかい?実はわしも一人で寂しいんじゃよ」 「いく!ゆっくりさせてね!!!」 「それじゃ、行こうか」 おわり 「むきゅ!いいおはなしだったわね!さいごにいいこがゆっくりできるのよ!」 飼い主のお兄さんの本棚から取り出した本を閉じて、子供の方へ振り向く親ぱちゅりー。 だが、子ぱちゅりー達にはその本は刺激が強すぎたのか、子ぱちゅりー達は泡を吹いて絶命していた。 「むきょああああああああ!!!おあっぢゅでぃーのずでぎなごどもだぢがあああああああああ!!!!」 親ぱちゅりーも、絶命するのは時間の問題だろう。 本当に終わり
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『ゆっくり教育』 16KB いじめ 飾り 家族崩壊 ゲス 虐待人間 よかったら読んでね 補足 いじめ(虐待というほどの描写はありませんが死ぬゆっくりはいます) 家庭崩壊(ゆっくりがゆっくりを殺す描写があります) ゲス(思考の推移が唐突で極端です) 『ゆっくり教育』 「あ~、暇だなぁ」 たまの休日、家でゴロゴロしてるのは不健全かと思い、近所の公園まで来てみたが何もすることがない。 そんなわけでベンチに座りながら缶ジュースでも飲んでいると、どこからともなくウザい声が聞こえてきた。 「ゆっきゃ!ゆっきゃ!」 「おちびちゃんたち!ゆっくりおかーさんのあとについてきてね!」 「ゆゆぅ~ん♪おきゃーしゃんとおしゃんぽなのじぇ~ん!」 ああ、やっぱりゆっくり共か。 親れいむ1、子れいむ1、子まりさ1。 典型的な組み合わせだな。 「ゆっ!おちびちゃんたち!ゆっくりきいてね!きょうはおちびちゃんたちがりっぱなおとなになれるよう、おかーさんがゆっくりするほうっほうをおしえてあげるよっ!」 どうやらゆっくり親子の教育現場に出くわしたようだ。 とりあえず暇だし、暫くゆっくりどもの授業参観としゃれこむか。 「ゆ!かりのしかたはおとーさんのまりさがくわしいけど・・・・・・れいむたちのおうちのまわりにもゆっくりできるごはんさんはたっくさんあるんだよ!すこしでもおとーさんのふたんをかるくするためにも、みんなでごはんさんをゆっくりさがそうね!」 「「ゆっくりりかいしちゃよ!」」 ほぅ、食料の調達を番のまりさにまかせっきりにしないとは・・・・・・あのれいむ、なかなかの良妻じゃないか。 れいむのでいぶ化が進む現代ゆっくり社会においては貴重な存在といえるな。 「ゆっ!おちびちゃんたち、このくささんはたべられるんだよ。みんなでとって、おうちまでもっていこうね!」 「ゆっくちわかったのじぇ!ぶーちぶーち!いっぴゃいとるのじぇ!」 「ゆゆっ!だめだよ、まりさのおちびちゃん。ここはみんなのゆっくりぷれいすだから、ごはんさんもひとりじめしないでむーしゃむーしゃするぶんだけもっていこうね!」 その他のゆっくりのために食料の乱獲はさけているのか。 いい心がけだ。 「ゆ!?あっちにおいしちょうなおはなしゃんがはえちぇるよ!れいみゅ、おはなしゃんむーちゃむーちゃしちゃい!」 「れいむのおちびちゃん、あのおはなさんはダメだよ!」 「ゆゆぅ~?どうちて?あんなにおいしちょうなのにぃ・・・・・・」 「あれはにんげんさんがつくった『かだん』さんだよ。あそこにあるものをかってにとると・・・・・・にんげんさんにガーミガーミされちゃうよ!『かだん』さんのなかにはいるのもだめだからね!」 人間の脅威も理解しているようだな。 まあ、厳しい野良生活をしているのなら当然の認識だとは思うが、それをできないゲスが多いのもまた事実。 当たり前のことが当たり前にできるというのは、ゆっくりにとっては賞賛されるべきことだな。 「このこうえんさんはゆっくりだけじゃなく、にんげんさんやとりさん、いぬさん、ねこさん、みんなのゆっくりぷれいすだよ!だからみんなにめいわくをかけないようにしないといけないんだよ!」 「「ゆっくりりかいしちゃよ!」」 どうやらあのゆっくり親子は善良ゆっくりだったようだ。 ここでゲスッ気の一つでも見せれば、ぶっ潰して遊んでやろうと思っていたが・・・・・・。 まあ、いいさ。俺はゆっくり全滅主義者じゃないしな。善良なら黙って見逃してやるか。 ベンチから腰を上げ、そろそろ帰ろうかと思った、その時であった。 「ゆべぇぇぇぁぁ!れーみゅの、れーみゅのおりぼん~!」 「まいちゃのおぼうちぎゃぁぁぁ!」 あれは、さっきの親子の子ゆっくりじゃないな。 別の子ゆっくりだ。れいむ、まりさの二匹だが、両方とも頭にあるはずの『お飾り』がない。 「ゆゆ?しらにゃいゆっくちがいりゅよ?だりぇなにょ?」 「ゆゆぅ~!ひじょいよぉぉ!れーみゅはれーみゅだよぉぉぉ!れいみゅのともだちのれーみゅだよぉぉ!ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!?」 子ゆっくりたちとは顔なじみだったようだな。 だが、飾りを紛失しているため判別ができなかったようだ。 無理もない、ゆっくりにとって飾りは個体認識標みたいなもんだからな。 「ゆゆっ!?れーみゅ?れーみゅなにょ?じゃあ、そっちのへんにゃゆっくちは・・・・・・」 「へんじゃないのじぇぇぇ!まいちゃはまいちゃなんだじぇぇぇ!ゆわぁぁぁん!かぜしゃんにおぼうちをとられちゃったんだじぇぇぇ!ゆぅ~んやぁぁぁ!」 どうやらあの子ゆっくり達は不慮の事故で飾りを紛失してしまったようだ。 まあ、野良にとってはよくあることだな。 「ゆぅぅ、おかざりをなくしちゃっちゃなんちぇかわいそうじゃにぇ・・・・・・どうちよう、まりちゃ?」 「ゆぅ、どうちよう・・・・・・。ゆっち!こういうときはおきゃーしゃんにきいちぇみるのじぇ!」 「そうだにぇ!おきゃーしゃんならこんにゃとき、どうしゅればいいのかわかるかもしれにゃいね!」 飾りを紛失したゆっくりを心配するとは、お飾り至上主義のゆっくりにしては珍しい行動だ。 この子ゆっくり達、思った以上に善良なのかもしれんな。 「おきゃーしゃん!おきゃーしゃん!まりちゃのおともだちがたいっへんなのじぇ!」 「どうしたの?おちびちゃんたち?ゆっくりおかーさんにおしえてね?・・・・・・ゆ!?そのゆっくりは・・・・・・」 子供達に呼ばれ、やってきた母親れいむも飾りの無い子ゆっくり達に気がついたようだ。 母親れいむは子供達の元へとたどり着くと同時にピョンっとジャンプをした。・・・・・・ん?ジャンプ? グシャ 「「「ゆ?」」」 あまりにもナチュラルな動作だった為、何が起こったのか子ゆっくり達は勿論、俺にも分らなかった。 だが、母親れいむの足元から黒い染みがじわじわと広がっていく様をみてようやく理解できた。 「ま、ま、まいちゃぁぁぁぁぁ!?」 姉妹を潰された飾りの無い子れいむが絶叫する。 ・・・・・・そう、あの飾りの無い子まりさは、母親れいむによって踏み潰されたのだ。 「お、おきゃー、しゃん?」 「ど、どう、ちて・・・・・・?」 子ゆっくり達も戸惑っている。 状況を理解しても、何故こんなことをしたのか理解できないのだろう。 「おちびちゃんたち、ゆっくりきいてね!」 母親れいむの声のトーンは先ほどまでとなんら変わらぬものだった。 「おかざりのないゆっくりはゆっくりしてないゆっくりなんだよ!だからゆっくりしてないゆっくりはしんでとうぜんなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 あくまでも淡々と。 母親ゆっくりは物騒なことを子供達に教えている。 「で、でも、おきゃーしゃん、ありぇは、れいみゅたちのおともだち――」 「おちびちゃんたち。ゆっくりおかーさんのはなしをきいてね?」 子れいむの発言を遮るように母親れいむは子れいむに詰め寄った。 その表情はあくまでも笑顔。だが俺にはその目は何か狂気のようなものが宿っているように見えた。 それほどまでに、母親れいむの物言いは不気味だった。 「よくみてね?あのおかざりのないゆっくりを。おちびちゃんたちは、あれがゆっくりしているようにみえる?」 ゆっくり親子達が飾りの無い子れいむを見る。 「ゆぅぅぅ!?どぼじでいもーちょが、まいちゃがこんなめにぃぃ!?ゆびぇぇぁぁ!?」 子れいむは涙と涎、ついでにしーしーを撒き散らしながら潰された姉妹の死を嘆き、喚き散らしている。 「ゆ、ゆぅぅん、ゆっくちしてないよ・・・・・・」 その見苦しい姿に思わず眉をひそめる子ゆっくり達。 確かに泣きわめくゆっくりはブサイクで気持ち悪いのは事実だが、肉親が殺されたのだから取り乱すのは無理もない。 しかし、ゆっくりにはそんな理屈は通用しないようだ。 「おちびちゃんたちだって、おかざりがなくなったらゆっくりできないよね?」 「ゆぅぅ、おぼうちしゃんがないのはゆっくちできないのじぇ・・・・・・」 「うるちゃぁぁぁい!まいちゃも、れーみゅも!すきでおかざりなくしたわけじゃ、ないんじゃよぉ!ふこうなじこなんじゃよ!そんなきゃわいそうにゃれーみゅたちは、やさしくしなきゃ、だめなんじゃよぉぉ!・・・・・・それにゃのに、そりぇなのにぃぃぃ!どぼちてこんにゃこちょすじゅぅのぉぉぉぉぉ!?」 母親れいむの仕打ちを非難する飾りの無い子れいむ。 そんな様子に子ゆっくり達の飾りの無い子れいむを見る目が変わっていく。 明らかに侮蔑の表情を浮かべ始めているのだ。 「ゆっくりにとっておかざりはいのちのつぎにたいっせつなものなんだよ。それをなくしちゃうゆっくりはゆっくりできなくてとうっぜんなんだよ。たとえどんなりゆうがあってもそんなのはいいわけだよ!ゆっくりとしてのぎむもはたせないゆっくりはなにされたってもんくはいえないんだよ!むしろそくしさせてあげたことにゆっくりかんしゃしてね!」 この母親れいむ、全く悪びれた様子はない。 それがゆっくりにとって常識である、といういとらしい。 ここまでくるといっそ清清しさすら感じる。 「ゆぎぎぎぎ!もうゆるちゃないよ!まいちゃをころしちゃげすゆっくちはしんじぇね!ぷくー!」 母親れいむのあまりにもあんまりな態度についにキレた飾りの無い子れいむ。 身体をプクーと膨らませる、お馴染みの威嚇のポーズだ。 だが、それは相手がゆっくりであっても子ゆっくりによる威嚇である。 成体ゆっくりである母親れいむにとっては何の脅威にもならなかった。 むしろ、その目は益々冷ややかな物となっていく。 「・・・・・・どう?わかったでしょ?おちびちゃんたち。おかざりのないゆっくりはあんなふうにゆっくりしてないんだよ」 「ゆー!おきゃーしゃんにぷくーしゅるなんて、ほんとにゆっきゅりしちぇにゃいね!」 「ゆきー!もうおんっこうにゃまりしゃもかんにんぶくりょのおがきれちゃのじぇ!」 完全に母親の思考に同調した子ゆっくり達。 なるほど、ゆっくりのゲス気質はこうやって親から子へと継承されていくのか。 酷い教育現場を見た気がする。 「「「ゆっくりしてないゆっくりはせいっさいだよ!!!」」」 そんなわけで、子ゆっくり達による飾りの無い子れいむへの『すーぱーせいっさいたいむ』が始まった。 最初は怒りに任せて体当たりをするだけだったのが、だんだん弱者を甚振ることに快感を見出したようだ。 今ではニタニタと笑みを浮かべながら飾りの無い子れいむを甚振っている。 「ゆんぎゃぁぁぁ!いちゃいぃぃぃ!?ぼうやべちぇぇぇぇ!れーみゅに、ひじょいこちょしにゃいじぇぇぇ!!」 「ゆぷぷぷ!いいきみなんだじぇ!もっちょゆっくちできないめにあわせてやるのじぇ!」 「おお、あわりぇあわりぇ!おかじゃりのにゃいゆっくちはゆっくちしにゃいでにぇ!!」 髪の毛を引き千切ったり、目玉を抉ったり、歯をへし折ったり、枝を突き刺したり・・・・・・etc いとも容易くに行われるえげつない行為の数々。 なんて見事なゲスっぷりだ。 最初の善良ぶりはどこに行ったんだろう。どうしてこうなった? 「ゆふふ・・・・・・。れいむのおちびちゃんたち、ゆっくりしてるね!れいむもとってもゆっくりできるよ!」 そんな子供たちの蛮勇を母親れいむはニコニコ顔で眺めている。 正直反吐がでる光景だ。下手なゲスよりも性質が悪いかもしれん。 「れーみゅだっちぇ、いきちぇるんじゃよ!おりぼんしゃんがなくでも!・・・・・・かけっがえのにゃい!いのちにゃんじゃよぉぉぉお!?」 「おかざりのないゆっくりなんていきてるかちなんてないんだよ!みぐるしいからもうしんでね!いますぐでいいよ!」 グシャリ! 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙・・・・・・もっじょ・・・・・・ゆっぐじ・・・・・・」 最後は母親れいむの一撃で潰された。 所詮はゆっくりってことか。 人間の常識をゆっくりに求めることが間違いってもんだ。 まあ、別にゆっくり同士の問題だし、人間に迷惑がかからなければどうでもいい話ではあるんだが・・・・・・。 「しんじゃ♪しんじゃ♪ゆっくちしんじゃ♪ゆっくちできにゃいゆっくちはゆっくちしにぇー♪」 「ゆきゃきゃきゃきゃ!しゅっきり~しちゃのじぇ!」 「おちびちゃんたち!とってもゆっくりしてたよ!さすがれいむのおちびちゃんたちだね!」 パキッ! くそっ!思わず持ってたジュースの缶、握り潰しちまった。 ・・・・・・さぁて、観察はこれぐらいにして俺もおちびちゃんの『教育』に協力してやろうかな! 俺が近づいてもゆっくり親子達は子れいむ制裁後の高揚感に浸っており気がつかないようだ。 その隙に母親れいむからリボンを取り上げる。 「ゆゆ!?れいむのおりぼんさん!?なにするの・・・・・・って、にんげんさん!?」 流石に気がついたようだな。 でもまあ、気付いた時にはもう遅いんだがね。 「ゆっくりにとってお飾りは命の次に大切な物なんだろ?だったら直ぐに取り戻さなきゃな。ほれほれどうした?」 「かえしてね!かえしてね!れいむのゆっくりとしたおりぼんさん、かえしてね!」 ピョンピョン跳ねてリボンを取り返そうとする母親ゆっくりだったが、当然届く訳が無い。 「なんだぁ、いらないのかぁ。それならもう捨てちまおうかな。ビーリビーリ」 俺は母親れいむの目の前でリボンを破り捨ててやった。 「ゆんぎゃぁぁぁぁ!?れいむのすてきなおりぼんさんがぁぁぁぁぁ!?」 破れたリボンをペロペロして必死に直そうとする母親れいむだったが、もう手遅れだ。 念入りに細かく切り裂いてやったからな。今やリボンの原型すら留めていない紙くずと化している。 「さてさて、おちびちゃん達。お母さんから教わったことを復習しようね。お飾りの無いゆっくりがいたらどうしたらいいのかな?」 「ゆ?」 「おかじゃりのにゃいゆっくちは・・・・・・」 「「せいっさいだよ!」」 「はい正解」 あっさり言い切りやがった。 さすがゆっくり、相手が親であろうと切り替えが早い。 「なにいってるのぉぉぉぉ!?れいむはおかーさんだよぉぉ!おかざりがなくてもゆっくりとしたおかーさんなんだよぉぉぉ!?」 ここで慌てて反論する母親ゆっくり。 「お飾りを無くしたゆっくりはゆっくりしてないゆっくり。だから何をされたって文句はいえないんだろ?だったらこのまま制裁されたって仕方がないよなぁ」 「ふざけないでねぇぇぇ!れいむのおかざりをビーリビーリしたのはにんげんさんでしょぉぉぉ!れいむはひがいしゃなんだよぉぉ!かわいそうなんだよぉぉ!そんなゆっくりには、やさしくしてあげないとだめでしょぉぉぉ!?」 おいおい、さっきの飾りの無い子れいむと同じこと言ってるぞ。 その子れいむがその後、どうなったのか・・・・・・知らない訳無いよな。 「お飾りを無くさないようにするのはゆっくりとしての義務なんだろ?例えどんな理由があったとしても、言い訳にしかならない。だよな?さっき自分で子供達に偉そうに言ってたこと、まさか忘れた訳じゃないだろうな」 「ゆ゙っ!?そ、それは・・・・・・!?」 やはりゆっくりには規律や義務なんてある訳ない。 もっともらしい理由をつけて、単に自分より弱い者を虐めて優越感に浸りたいだけなんだ。 「有言実行だ。さぁ、おちびちゃん達?お母さんの言いつけどおり、お飾りの無いゆっくりは制裁してやろうな」 「「ゆっくちりょーかいだよ!」」 流石に子ゆっくりだけじゃ成体ゆっくりを制裁するのは無理だからな。 俺が足で踏んづけて動きを封じておく。 「ゆぐぐぐ・・・・・・!や、やべで、ね、!つ、づ、づぶでどぅぅぅ!」 安心しろ、そう簡単には踏み潰さないさ。 少しずつ少しずつ圧力をかけて、ゆっくりと潰してやる。 「ゆっくちしちぇないゆっくちはしにぇ~!」 「くらうのじぇ!まりちゃのさいっきょうあたっくなのじぇ!」 その間、子ゆっくり達は母親ゆっくりに体当たりを喰らわしている。 「ど、どぼじでっ!?おじびじゃん!やべでぇぇえ!?どぼじでおがーざんをいじめるどぉぉぉぉ!!?」 体格の差からダメージは与えられないが、子供に攻撃されているという心理的ダメージは絶大だ。 むしろこっちの方がメインディッシュ。 やっぱりゆっくりは精神的に虐めるのが一番だな。 「や、やべでね!おかーさんがいなぐなっだら!おじびじゃんだじだっでゆっぐりでぎないでしょぉぉ!?」 「おとーしゃんにゆっくちさせてもらうからもんだいにゃいよ!」 「そりぇに、おかーしゃんからはゆっくちすりゅほうっほうをおそわったのじぇ。もうようずみなのじぇ!」 「ぞ、ぞんなぁぁぁぁ!」 やだ、この子達ビックリするほど超どゲス。 その切り捨てっぷり、実にクール(笑)だね。 面白い、それなら次のフェイズに移行するとしよう。 グシャ! 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙・・・・・・もっど、ゆっぐ・・・・・・」 そんなわけで最早用済みな母親れいむには退場してもらった。 「ゆふぅ~!すっきりしちゃのじぇ!」 「ゆっくちぃ~ん!」 ゆっくりしてないゆっくりをせいっさいしたことでゆっくりしている子ゆっくり達。 親を殺しておいてこの態度か。ホント、いい根性してるわ。 そんな子ゆっくり達には次の授業を受けてもらおうじゃないか。 「さて、お飾りを無くしたゆっくりがどんな目にあうのか。今度は自分達が身を持って体験してみようか」 「「ゆ?」」 子ゆっくり達のお飾りをすばやく取り上げる。 「ゆゆっ!?か、かえしちぇね!れいみゅのおりぼんしゃん!」 「ま、まりしゃのおぼうちぎゃぁぁぁ!ゆんやぁぁぁ!かえすのじぇぇぇ!」 自身の飾りを奪われたことで騒ぎ出す子ゆっくり達。 やはり教育というのは自身で体験することが一番覚えやすいからな。 「これも授業の一環なんだから我慢しろよ。なに、明日になったら返してやるから、それまでお飾りがない気分をゆっくり学んでいってね!それじゃあな!」 「まっちぇ!まっちぇよぉ!おりぼんしゃん、かえしちぇよぉぉ!」 「ゆんやぁぁぁぁ!ゆぅ~んやぁぁぁぁぁ!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!」 俺は泣き叫ぶ子ゆっくり達を残してこの場を立ち去ることにした。 さてさて、明日のこの時間まで、果たして生きていられるかな。 この公園、結構野良ゆっくりが多いからなぁ。逃げ出そうにも飾りの無いままだし。 ドラ○エで言うなら、黄金の爪を持ってピラミッドから脱出するようなもんだ。 しかもエンカウントする敵は自分の何倍ものレベルときたもんだ。これって完全に無理ゲーだよな。 「ゆんゆんゆ~ん♪きょうはたいっりょうだったのぜ!これなられいむやおちびちゃんたちもまんぞくできるのぜ!」 そんな折、食料の調達から帰える途中のまりさを見かけた。 ひょっとしてあいつ、さっきの子ゆっくり達の父親か? 「ゆんやぁぁぁ~!!」 「だれかたすけちぇぇぇぇ!おとーしゃぁぁぁん!」 「ゆゆ?おちびちゃんのこえ?でも、あれは・・・・・・なんだかゆっくりしてないゆっくりなのぜ。まりさのかわいいおちびちゃんとまちがえるなんて、まりさはどうかしてたのぜ!」 やはり父親まりさのようだ。 だが、父親であっても飾りの無い状態では判別はできなかったようだな。 「ゆっくりしてないくせにまりさをだますなんて、ぜったいにゆるさないのぜ!」 飾りを無くしたわが子たちの元へと向かっていく父親まりさ。 あーあ、これは早くも終わったな。ゆっくり合掌。 「ゆんやぁぁぁぁぁ!おとぉぉぉしゃぁぁぁん!たすけちぇ・・・・・・ゆ?ゆぅぅぅ!?やべちぇぇぇ!!?」 「しね!しね!ゆっくりしてないゆっくりは・・・・・・せいっさい!なんだぜぇぇぇ!!」 「れいみゅは!れいみゅだよぉぉぉ!?ゆぎゃぁぁぁぁ!!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!?」 <了> 前作:anko3512_百ゆ゙っ回目のプロポーズ
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『ぼーきゃくろくっおん』 21KB 虐待 制裁 家族崩壊 同族殺し 飼いゆ 現代 虐待人間 某アニメ映画のパロディではありません 注意: 某映画とは一切関係はありません(録音というか録画だし) ゆっくりが変なところで高スペックです(ネタってことで勘弁して下さい) 『ぼーきゃくろくっおん』 「ゆわああああぁぁぁぁぁぁ!?」 「どぼじでぇぇぇぇぇ!?」 とある住宅の一室にて突如響き渡るゆっくりの悲鳴。 その悲鳴を聞きつけた飼い主の青年が何事かと現場に駆け付けた。 「なんだなんだ?どうしたってんだ?まりさ、れいむ」 そこには二匹のゆっくりが大粒の涙を流しながら絶叫していた。 そして二匹の目の前には大量の餡子がぶちまけられている。 「お、おにーさぁぁぁん!れいむの・・・・・・れいむのおちびちゃんがぁぁぁ!」 「ん?ひょっとしてその餡子、お前らのチビか?」 よく見ると飛び散った餡子の中心には黒いとんがり帽子がちょこんと置いてあるのが確認できた。 この帽子が無ければ、飛び散った餡子が潰れた赤まりさのものであるとはわからなかっただろう。 「こいつは酷いな・・・・・・一体何があったんだ?事故ってレベルじゃねぇだろコレ」 この餡子のぶちまけられっぷりからして、躓いて転んだとか、どっかから落ちた程度では説明はつかない。 それほど酷い状態だった。 「わがらないんだぜぇぇ!まりざだちのしらないあいだに、おちびちゃんがいなくなって・・・・・・!」 「それで・・・・・・ゆぐっ・・・・・・どこにいったのか、さがしにいってもみつからないから、もどっでぎだら・・・・・・おちびちゃんが、おちびちゃんが・・・・・・えいっえんにゆっくりしてたんだよぉぉ!!」 ただ事ではないと判断した青年はただちに室内に異常が無いかを確認しはじめた。 そしてすぐに異常らしきものを発見する。窓の一つが開いているのだ。 「こりゃあ、別のゆっくりの仕業かもしれんなぁ・・・・・・」 家に侵入したゲスゆっくりか、捕食種ゆっくりなどの仕業ではないかと青年は判断した。 「ゆ、ゆるさないんだぜぇ・・・・・・!おちびちゃんをころしたゲスはただじゃおかないんだぜぇ!!」 まりさは歯をギリギリとさせ、怒りの表情を浮かべていた。 「ただじゃおかないって・・・・・・犯人を見つけたらどうするつもりなんだ?」 「きまってるのぜ!ふくっしゅうなのぜ!おちびちゃんがうけたいたみをはんっにんにもあじあわせてやるんだぜ!!」 まりさの穏やかではない発言に青年は思わず眉をしかめる。 「・・・・・・まりさよ、復讐なんて虚しいだけだぞ? チビが死んじまったのは悲しいことだが、いつまでも過去にこだわってたら明るい未来なんてやってこない。 これは悲しい事故だと諦めて、また新しい子供でも作ってゆっくりした方がお前らの為ってもんだろ?」 青年は死んだ子供のことは忘れろという。 一見、冷酷なことを言っているようにも聞こえるかもしれない。 だが相手はゆっくりである。ゆっくりは本人にとって都合の悪い記憶は忘却する性質を持つという。 子供を殺された怒りの感情も時が経ち、新しい子供でも作ればすぐに忘れてしまえるだろう。 だから、一時の感情に身を任せて復讐などというゆっくりできないことに時間を費やしたところでただの徒労にしかならない。 そう青年は思ったのだが・・・・・・ 「はぁぁぁぁぁぁぁ!!?なにいってるんだぜぇぇぇ!?」 「そんなことできるわけがないでしょぉぉぉ!?」 冷却期間が足りないのだろう。そんなことを容認できるゆっくり達ではなかった。 ゆっくりと言えども子供を失った悲しみはそう簡単には忘れられないのだろう。 「はんっにんをみつけて!かおのかたちがわからなくなるまでボッコボコにしてやるんだぜ!」 「それだけじゃすまさないよ!おめめだってくりぬいて、めのまえでむーしゃむーしゃしてあげるんだよ!」 「あんよさんだってズタズタにしてやるんだぜぇ!うごけなくしてゆっくりといたぶってやるんだぜ!」 「いくらごめんなさいしたって、ぜっったいゆるしてなんかあげないんだよ!ゆっくりしていってね!えいっえんでいいよ!ゆぎぎ!」 「えいっえんにゆっくりさせるなんてなまぬるいんだぜ! はんっごろしにしたあとオレンジジュースさんをかけてまたはんっごろしにしてやるのぜ! えいっえんのくるしみをあじあわせてやるんだぜー!ゆがー!」 怒りで頭(といっても頭しかないのだが)に血が上っているのだろう。 ゆっくりらしからぬ物騒な発言を繰り広げている。 そんな飼いゆ達の姿に青年は溜息をついた。今は何を言っても無駄だろう。 「はぁ・・・・・・わかった。そんなに言うなら犯人探しを手伝ってやろう」 「ゆゆ!?そんなことできるの!?」 「まあな。・・・・・・実はこの部屋にビデオカメラを設置しておいたんだ。 これを再生してやれば事の顛末がわかるはずだ」 元々はゆっくりの生態を観察するために青年が設置しておいたものだ。 まさかこんなことになるとは夢にも思わなかったに違いない。 「ゆ?びでおかめらさんって?」 「ああ、ビデオカメラってのはだな・・・・・・」 ゆっくり達にもわかるようビデオカメラが何なのかを説明した後、録画した内容を観るためにビデオをモニターにセットする。 「さて、これで準備はOKな訳だが・・・・・・最後にもう一度だけ確認する。 本当にいいんだな?やめるなら今しかないぞ」 これを見れば犯人はわかるだろう。 だが、それと同時に自分たちが可愛がっていたおちびちゃんの死に様を見せられるということでもあるのだ。 それは両親にとっては辛いことである。 「ゆぅ・・・・・・おにーさん。まりさたちは、もう、きめたんだぜ。 そうしなきゃ、みらいにむけてゆっくりなんてできないんだぜ」 「れいむたちはみらいをゆっくりするためにも、かこのせいっさんをしなくちゃならないんだよ!」 二匹のゆっくりはキリッとした表情で青年を見つめていた。 どうやら二匹の決意は固いようだ。 「そうか・・・・・・お前らがそう決めたんなら、もう止めはしないさ」 青年はビデオを再生させる。 「それじゃあ始めようか・・・・・・その嘆きを再生する」 『ゆぅ~ぴぃ・・・・・・ゆぅ~ぴぃ・・・・・・』 モニターにはついさっきまで寝床でゆっくりと眠っていた赤まりさの姿が映っていた。 「ゆぅぅ・・・・・・ほんとうに、おちびちゃんがうつてるよ!おちびちゃん!ゆっくりしていってね!」 「れいむ、さっきも説明したがこれは過去の映像だ。チビが生き返ったわけじゃない」 「ゆ、ゆぅ、わかってるよ・・・・・・」 それでも叫ばずにはいられなかった。それほどまでに我が子は大切な宝物だったのだ。 『ゆぅ~ぴぃ・・・・・・ゆぅ~ぴぃ・・・・・・』 『ゆゆ~ん、まりさはもうたべられないんだぜぇ。むにゃむにゃ・・・・・・』 『ゆう、ゆう、れいむ、かわいくってごめんね~・・・・・・ゆぅ、ゆぅ・・・・・・』 ぐっすりと眠っている赤まりさの後ろにはまりさとれいむも眠っていた。 幸せそうに眠る3匹の寝顔をみているとこれから恐ろしい惨劇が待ち構えているなど想像もつかないだろう。 だが、それは唐突にやってきた。 画面外から大きな「手」がぬっと現れたのだ。 そしてその「手」は赤まりさの帽子を摘みあげた。 「ゆゆっ!?なにするんだぜ!おちびちゃんのおぼうしをかえすんだぜ!」 映像を見ていたまりさが叫ぶがこれは過去の映像である。 何を言ったところで起こってしまった出来事は変えられない。 「こいつがおちびちゃんをころしたはんっにんなの?」 しかし、予想に反して「手」はこれ以上赤まりさには手を出さなかった。 「手」は赤まりさから取り上げた帽子を寝床の近くにあるピンポン玉の上に乗せたのだ。 このピンポン玉は赤まりさの玩具として青年が用意したもので、赤まりさにとっては大切な宝物になっていた。 その後「手」は眠っているれいむの頬を人差し指でツンツンと突き始めた。 『・・・・・・ゆぅ?なんなの?れいむまだねむいよ・・・・・・』 れいむが覚醒し始めると「手」はまりさを同様に起こし始めた。 『・・・・・・なんなのぜ?まりさはすーぱーすーやすーやたいむなのぜ・・・・・・』 まりさも覚醒したようだ。 二匹はまだ寝ぼけているようで自分たちを起こした「手」には気がついていないようだ。 そして「手」は何をするわけでもなく画面外へと引っこんでしまった。 おかしい。 この映像を見ていたまりさとれいむは自分の体から嫌な汗が流れていることに気がついた。 なぜだろう?わからない。 ただ、ここから先の映像は見てはいけない。 そんな漠然とした思いが二匹の頭の中で警鐘としてガンガンと鳴り響いていた。 それがなぜなのかは全くわからない二匹はこの状況に困惑していた。 と、その時である。 『ゆゆっ!?なんだかゆっくりしてないゆっくりがいるよ!!』 突如、映像内のれいむが叫び声を上げた。 『ゆっ!ほんとうなのぜ!しかもなまいきにもおちびちゃんのベッドさんをどくっせんしてるのぜ!』 ゆっくりしていないゆっくり。 ゆっくりの世界では見た目が汚いゆっくりなどはこのように呼ばれることがある。 特に飾りのないゆっくりがよく言われることが多い。 そう、この映像の両親が言っている「ゆっくりしていないゆっくり」とは、先ほど「手」によって帽子を取られた赤まりさのことだ。 ゆっくりは飾りによって個体の認識をしているという。 だから帽子が取られた赤まりさは両親に自分の子供であると認識されなかったのだ。 「ゆっ!?ゆっ!?な、なにいってるんだぜ!?そのゆっくりはおちびちゃんなのぜ!」 「そ、そうだよ、とってもゆっくりとしたれいむのおちびちゃんだよ!?」 だが、映像を見ている両親は帽子の無い赤まりさをちゃんと自分の子供であると認識していた。 映像内の両親はそれができていないのに、同一のゆっくりでこの認識の違いは何故なのか? それは帽子を取られるところを実際に目撃しているかいないかの違いが、認識の違いにつながったのである。 いくらゆっくりといえど、目の前で飾りをとる場面を見ていれば個体認識はできるのだ。 『おちびちゃんのベッドさんをうばうなんてとんでもないゲスだね!』 『おい!おきるのぜ!このゲス!』 まりさが赤まりさに体当たりを喰らわせる。 『ゆぴ!?・・・・・・ゆ、ゆぅ?』 気持ちよく眠っていたところを突然、突き飛ばされた赤まりさは一体何が起こったのか理解できていなかった。 『ここはれいむのかわいいおちびちゃんのベッドさんだよ! ゆっくりしてないゆっくりはゆっくりしないでゆっくりきえてね!』 『ゆぅ~?なにいっちぇるの?まりちゃはまりちゃだよ?』 『はぁぁぁぁぁぁ!!?なにいってるのぜ!?おちびちゃんはあそこにいるでしょぉぉ!?』 『そうだよ!おちびちゃんはベッドさんをとられてかなしんでるんだよ!ゆっくりしないであやまってね!』 どうやら二匹は帽子を乗せたピンポン玉を自分の子供として認識しているらしい。 これも飾りで個体認識をするゆっくりの特性だった。 『なにいっちぇるのぉぉぉ!?まりちゃがまりちゃだよ!おきゃーしゃん!』 『だれがおまえみたいなきたないゲスのおかあさんだぁぁ!』 『しかもおちびちゃんのなまえまでかたってるのぜ!』 『ゆぅぅぅ!?おちょーしゃんもなにいっちぇるのぉぉぉ!?』 あんなに優しかった両親から罵声を浴びせられ困惑し涙目の赤まりさ。 その時、赤まりさは自分の帽子が乗せられたピンポン玉を発見する。 『ゆゆ?どうちてまりちゃのおぼうちがこんなとこりょにあるにょ?ゆっくちかえしちぇね!』 赤まりさはピンポン玉に近づき帽子を取ろうとした、その瞬間。 ドン! まりさの体当たりを受け、赤まりさは思いっきり吹っ飛ばされた。 そして赤まりさは顔面を床に激しく打ちつけられた。 『ゆ、ゆぴぃ?・・・・・・きゃわいい、まりちゃのきゃおが・・・・・・い、いちゃい?』 赤まりさは突如受けた攻撃に何が起こったのか理解できていなかった。 だが、その攻撃を繰り出したまりさは怒り心頭で顔を醜く歪ませていた。 『こいつ・・・・・・おちびちゃんのおぼうしをうばおうとしたのぜ・・・・・・』 『ベッドさんだけでもずうずうしいのに・・・・・・おぼうしにまでてをだすなんて・・・・・・』 飾りはゆっくりにとって命の次に大事なものだ。 もし他ゆんがそれに手をだそうものならどうなるのか。 ピキピキピキィィィィィィィィィィィィ!!! 『とんっでもないゲスなのぜぇぇ!!!ぷくぅぅ!!』 『もうおんこうなれいむもかんにんぶくろのおがきれたよっ!!!ぷくぅぅ!!』 『ゆぴぃぃぃ!?お、おちょーしゃん!おきゃーしゃん!どうちておこっちぇるのぉぉぉ!?』 体をぷくーっと膨らませ、ゆっくり最大の威嚇行為を赤まりさに向けている。 もはや両親の怒りは有頂天に達していた。 『『ゆっくりできないゲスはせいっさいするよ!!!』』 『ゆ、ゆ、ゆ・・・・・っ!ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』 こうして、両親による恐ろしい制裁がはじまった。 「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」 「やめてねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 映像をみていた両親が叫び出す。 もはや変えられぬ過去の映像であるとしても叫ばずにはいられなかったのだ。 それほどまでに凄惨な制裁だったのである。 『ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁぁぁああああ!!』 二匹掛りで執拗に体当たりを喰らわせている。 『やべちぇぇぇぇ!!まりちゃのかぎゃやくおうぎょんのかみのきぇぎゃぁぁぁ!!』 れいむが髪をブチブチと引き抜いている。 『いじゃいぃぃぃぃ!!おべべ!まりちゃのおべべぇぇぇ!!』 まりさが右目をくり抜き、空いた右目の空洞を舌でグリグリと穿っている。 『ぼう、やべちぇ、いちゃい、いちゃいよぉぉ、ゆんやぁ・・・・・・』 これだけ痛めつけられていながら、赤まりさは死ななかった。 二匹が殺さないよう適度に手を抜いているのだ。 『ゆげら!ゆげら!どう?いたいのぜ?いたいのぜぇぇ?』 『ゆげげ!でもゆっくりなんてさせてあげないよ?もっともっとくるしんでね!』 ゆっくりはゆっくりしていないものを見下す事が多い。 それは他者を見下すことで自分がよりゆっくりした存在であると認識する為である。 そしてその嘲りの感情は、時として暴力となって対象に襲いかかる。 それが今の状況だ。これは、もはや制裁などではなかった。 「うわぁ、流石の俺でもこれは引くわぁ・・・・・・ん?どうしたおまえら?」 二匹のゆっくりはもう映像を見ていられなかった。 目をつぶり、プルプルと震えながらこの真実から目を避けていた。 「おいおい、お前ら。過去の清算するんだろ?あんなにキリッとした顔でいってたじゃないか。 だからちゃんと見てないとダメだろ。おっ!なんかまた出てきたぞ。みてみろ」 「ゆ、ゆぅ?」 恐ろしい虐待が行われている最中。 画面外から再びあの「手」が現れたのだ。 その「手」はピンポン玉の上の帽子を摘みあげると画面外へと消えていった。 しかし、映像内の両親はそれに気付いていない。 赤まりさをいたぶることに夢中になっていたからだ。 『れいむ、そろそろふぃにっしゅにするのぜ。アレをひさしぶりにやってみたいのぜ!』 『ゆぅ?アレなの?ゆふふ、そうだね、ひさしぶりにやってみようね!』 そう言うと、れいむは頭が低くなるよう体をへにゃりと縮ませた。 まりさは息絶え絶えの赤まりさを口に咥えるとれいむの頭に乗り上がった。 『いくよ?まりさ』 『じゅんびおーけーだぜ!れいむ』 『ゆ、ゆぴぃ・・・・・・な、なに、ちゅるにょ?やめちぇね、やめちぇね・・・・・・』 れいむはまりさを頭の上に乗せたまま勢いよく伸びあがった。 『のーびのーび!』 そしてその伸びが最大になった瞬間、まりさはれいむの頭を踏み台に、遥か上空へと飛びあがる。 「ゆ、ゆげぇぇぇぇ!あ、あのわざはー!?」 「知っているのかー?まりさー!ってお前の映像なんだから当たり前か」 まりさを打ち上げた後、れいむはその場で仰向けに倒れこみ、あんよをプリン!と持ち上げる。 一方、上空へ打ち上げられたまりさは口に咥えていた赤まりさを腹の上に乗せ、そのままクルリと回転し、赤まりさが下になる体制のまま一気に下降しはじめる。 まりさの真下にはあんよを持ち上げたれいむがニヤニヤとした笑みを浮かべて待ち構えている。 『ゆっくりしてないゲスは・・・・・・っ!ぷくぅぅぅ!』 『ゆっくりしねぇぇぇぇぇ!』 『ゆぴぃぃぃぃ!た、たしゅけちぇ・・・・・・っ!』 『『ゆっくりほうかいのふぃなーれ!!』』 グシャアアアアアア!!! ぷくぅっと膨れた状態で下降してきたまりさの腹とれいむの持ち上げていたあんよが勢いよく衝突する。 そしてその間に挟まれていた赤まりさは衝突のショックでグチャグチャに潰されてしまった。 『ぷしゅるるるぅぅ~、ゆへへ!きまったのぜ!』 口の中から息を吐きながられいむのあんよから飛び退くまりさ。 『やったね!まりさ!』 れいむもむくりと起き上がる。 その際、あんよの上に残っていた潰された赤まりさがべちゃりと地面に落ちた。 「ゆ、あ、あ、あ・・・・・・」 「ど、どぼじで・・・・・・こんな、ことに・・・・・・」 「すっげぇなぁ、お前ら。無駄にスペック高すぎ」 赤まりさが自分たちによって殺される映像を見せられ、二匹はただ涙を流して呆然とするしかなかった。 『ゆ!そうだぜ!おちびちゃん!ベッドさんをどくっせんしてたゲスはやっつけたんだぜ!』 ゲスの制裁に夢中になり忘れていた自分の子供のことを思い出したようだ。 『ゆゆ?おちびちゃん?』 だが、どこを見渡しても赤まりさの姿は見えなかった。 目の前で潰れているのだが、いまの二匹にはそれがわからない。 『ゆぅ・・・・・・どこいっちゃったのぜ、おちびちゃん』 『ひょっとして、ゲスがせいっさいされるところをみるのがこわくなっちゃったのかも。 それでどこかにかくれちゃったんだよ』 『ゆゆ!おちびちゃんにはすこししげきがつよすぎたのかもしれないのぜ』 『ゆもう!ゆっくりやりすぎだよ!まりさ!』 自分もノリノリで制裁していたのを棚に上げてぷんぷんと頬を膨らませてまりさに注意をするれいむ。 『ごめんごめんなのぜ。きっととなりのおへやにでもいるのぜ。いっしょにむかえにいってあげるのぜ!』 『そうだね、こわがってるおちびちゃんにすーりすーりしてあんしんさせてあげようね!』 そう言いながら二匹は部屋から出ていった。 その直後、画面外から三度「手」が現れ、先ほど奪っていった赤まりさの帽子を潰された餡子の上に乗せ、画面外に消えていった。 しばらくした後、 『ゆぅ、おちびちゃんいないね』 『まったく、どこへいったのぜ』 二匹が部屋に戻ってきた。 こうして話は冒頭へと繋がるのだった。 「さて。これで犯人はわかった訳だが・・・・・・。 お前ら、犯人が見つかったらどうしてやるんだっけ?なんか言ってたよなぁ」 「ゆ!ゆ!し、しらないのぜ。まりさ、なんにもいってないのぜ!」 「れいむもしらないよ!それにおちびちゃんがしんだのは!かなしいじこだったんだよ! だかられいむ、なんにもわるいことしてないよ!」 あそこまで悪意に満ちた言動で子供を殺しておいて、この言い分である。 青年は肩をすくめ、軽く溜息をついた。 「お前らが、数分前に言った自分の発言もすぐ忘れるような餡子脳だってのはわかった。 ・・・・・・だが、そんなこともあろうかとお前らの発言もきっちり収録しておいたのさ」 ビデオはその後のことも録画し続けていた。 つまり、二匹が犯人を見つけて復讐を誓う場面もしっかりと録画されていたのである。 「えぇ~と確かここらへんだったな。ピッピッピッと・・・・・・」 リモコンを操作し、映像を問題のシーンまで進める。 『はんっにんをみつけて!かおのかたちがわからなくなるまでボッコボコにしてやるんだぜ!』 「・・・・・・だ、そうだが」 「「ゆ!?ゆ!?」」 「しかし、言った本人達が犯人だったということは、制裁の執行人がいなくなってしまうなぁ」 「そ、そうだよ!だから・・・・・・!」 「わかった。そういうことなら、僭越ながらこの俺が代わりに制裁を実行してやろうじゃないか!」 「「ゆゆっ!?」」 青年はそう言うとまりさの顔面を思いっきり殴りつけた。 「ふん!」 ドゴっ! 「ゆべぇぇぇ!?い、いだいぃぃぃぃぃ!!!」 「な、なにするのぉぉぉ!?おにーさぁぁぁん!!」 「お前もだよ。そら!」 れいむも同様に顔面を殴りつける。 「いだぁぁぁぁぁぁあああ!!」 ドゴ!バゴ!ベシ!ガスガス! 「ゆ、ゆべ!や、やべっ!やべ・・・・・・でっ!」 「いだ、いだい!いだいよぉぉぉ!ゆんやぁぁ!!」 その後、青年はまりさが言ったように顔の形が変わるまで殴り続けた。 「さてさて、お次は何をするんだっけかな?」 『それだけじゃすまさないよ!おめめだってくりぬいて、めのまえでむーしゃむーしゃしてあげるんだよ!』 「りょーかい♪とりあえず片目をくり抜いてやんよ」 ドスっ! 「ゆぎゃあああああああ!ば、ばりざのほうせきのようなおめめがぁぁ!!」 スボっ! 「ゆんぎゃああああああ!でいぶのよぞらにかがやくこうせいのようなおめめがぁあああ!!」 二匹は赤まりさと同じように右目を抉りとられ、あまりの痛みに辺りをのたうち回った。 「もっちもっち!お前らの目玉、白玉団子みたいでうめぇな。 もう片方は後で食ってやるから、とりあえず次いってみよう」 『あんよさんだってズタズタにしてやるんだぜぇ!うごけなくしてゆっくりといたぶってやるんだぜ!』 「次は足か。よっしゃ、このよく切れるカッタ―でズッタズタにしてやろうじゃないか」 ザク! 「ゆぎぃぃぃぃ!ばりざのがもじかのようなあんよさんがぁぁぁあ!!」 「ザックザクに耕してやるよ!」 ザク!ザク!ザク! 「や、やべでっ!ご、ごべんだざい!ごべんだざいぃぃぃ!あやばりばずがらっ!ゆるじでぐだざぁぁぁ」 『いくらごめんなさいしたって、ぜっったいゆるしてなんかあげないんだよ!』 「だってさ。あきらメロン♪」 「ぁぁぁぁぁいぃ!?や、やべでねぇぇぇ!あんよさんっ!いだいいだいじないでぇぇぇぇ!!」 足をズタズタに切り裂かれた。これでもう逃げることもままならないだろう。 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙」 「も、もう、ごろじ、で・・・・・・」 「ふぅ。流石にもう限界か。充分いためつけたことだし。そろそろ楽にしてやろうか。ん?」 『えいっえんにゆっくりさせるなんてなまぬるいんだぜ! はんっごろしにしたあとオレンジジュースさんをかけてまたはんっごろしにしてやるのぜ! えいっえんのくるしみをあじあわせてやるんだぜー!』 「ああ、残念。まだまだ許されないようだ。ちょっとまってろ。オレンジジュース持ってくるから」 そう言いながら、青年は部屋から出ていった。 「ゆ、ゆぅぅ・・・・・・ど、どぼじで、ごんなごどにぃ・・・・・・」 「あんなに、ゆっくりしてたのに・・・・・・どぼじで・・・・・・」 この二匹は元々野良ゆっくりだった。 それを今の青年に拾われて飼いゆっくりになった。 それから二匹はとてもゆっくりとした日々を過ごしてきたのだ。 「ひょ、ひょっとして・・・・・・おにーさんは、ぎゃくったいおにーさんだったの、ぜ?」 「ゆゆ!?あんなにやさしかった、おにーさんが・・・・・・」 青年は毎日おいしいものを食べさせてくれた。 いっしょに遊んでくれた。 子供を作ることも笑顔で許してくれた。 それなのに、自分たちは騙されていたというのか。 「き、きっと・・・・・・おにーさんはまりさたちを、だましてたのぜっ!」 「ぞ、ぞんな・・・・・・!し、しどい!」 世の中にはゆっくりを虐めて楽しむ虐待鬼威惨と呼ばれる人間がいる。 まりさは野良時代、そうした人間に殺された仲間をみたことがある。 「ゆ、ゆぐぅぅ!ぐ、ぐやじいのぜ・・・・・・! このまりざのめをもっでじでも、あのくぞにんげんのほんっしつがみぬけなかったなんで・・・・・・」 まりさは涙した。 自分がもっと用心していれば、こんなことにはならなかったのだと。 「そんなことはないぞ、まりさ。俺は別にこんなことしたくてやってる訳じゃない」 青年がオレンジジュースを持って帰ってきた。 「な、なにいってるのぜ!よくもそんなことをぬけっぬけとぉ!」 「冷静になって考えてみろよ。今こうしてお前らを制裁してるのは元々お前らが言い出したことじゃないか」 「ゆゆ!?」 「俺は復讐なんてやめようって最初に言ったぞ? そもそも、お前らがチビを殺したりしなければこんなことにならなかったんだ」 「ゆ、あ、あああ・・・・・・!」 青年はバシャバシャとオレンジジュースを二匹にかけてやる。 二匹のゆっくりの体がある程度再生されていく。 「俺は有言実行をモットーとしていてね。だからこれはお前らが言ったことは忠実に実行しているだけに過ぎない。 つまり、今のこの状況はお前らの自業自得ってことだな。ゆっくり理解できたかな?」 「ゆぐぅぅぅぅ!!」 勿論、青年の言っていることは詭弁だった。 そもそも赤まりさが眠っている間に帽子を奪い、ゆっくり達が家庭崩壊するよう仕向けたのはこの青年である。 まりさの言うとおり青年が二匹のゆっくりを拾ったのは虐めることが目的だった。 可愛がる反面、日常のあちこちに死亡フラグをばらまき、何時自滅するのか観察するのがこの青年のやり方だったのだ。 例え、今日の事件がなかったとしてもいずれは自滅に至っていただろう。 だが、ゆっくり相手にはこの程度の詭弁でも充分論破できてしまう。 「ゆぐっゆぐっ!ま、まりざがばがだったのぜぇぇ!」 「ゆ、ゆぅぅぅぅ!ご、ごべんねぇぇ、おちびちゃん!おかぁさんがもっどじっがりじでいればぁぁ」 単純なやつらだと青年は苦笑した。 こんな馬鹿なやつらはゆっくりの中でも珍しいんじゃないのかとも思った。 「さ、そういうわけだ。続きを始めよう。なに、心配するな。殺しはしないさ。 お前らは犯人を殺すとは言わなかったからな。 ・・・・・・ただし、死んだ方がマシだとは思うかもしれんがな。ジョワ、ジョワジョワジョワ!」 「ゆわぁぁぁぁぁ!がんべんぢでぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「も、もうやだぁぁぁ!おうちかえるぅぅぅぅぅ!!」 こうして、まりさとれいむへの制裁はいつまでも続くのであった。 <了> 前作: anko2106_プラント
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No.185 / じくう 人形 ちびちゆり 基本データ 説明 ちょっと ことば づかいが へんなようじょ。パイプいすで たたかれるといたい。 タイプ みずでんき 特性 せいでんき タマゴグループ ひとがた 種族値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 合計 45 30 40 50 60 45 270 獲得努力値 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早さ 0 0 0 1 0 0 分布 場所 階層 Lv 備考 いてだきのどうくつ フロア1(滝の下奥) 15~16 いてだきのどうくつ フロア2(フロア1の下) 15~17 いてだきのどうくつ フロア3(カンナがいる場所) 17 その他の入手方法 なし 進化系統 ちびちゆり ┗Lv24でちゆり ┗Lv38でEちゆり 育成例 レベルアップ技 Lv 技名 001 はたく 008 でんきショック 012 みずでっぽう 016 よこどり 020 でんじは 024 じゅうでん 028 パイプイス 032 マジックコート 036 10まんボルト 040 ミラーコート 044 でんじほう 048 ハイドロカノン 技・秘伝マシン技 No 技マシン名 03 みずのはどう 04 マナチャージ 06 どくどく 10 よめしゅぎょう 12 ちょうはつ 13 れいとうビーム 15 LUNATIC 16 ひかりのかべ 17 まもる 18 あまごい 24 10まんボルト 25 かみなり 27 おんがえし 32 かげぶんしん 33 リフレクタ- 34 でんげきは 42 からげんき 44 ねむる 45 あさのひざし 49 よこどり No 秘伝マシン名 03 なみのり 05 フラッシュ タマゴ技 技名 ミラーコート いあつ プレゼント アンコール エアカッター ソニックブーム てだすけ 人から教えてもらえる技 場所 技名 未実装
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『ゆっくり一家の平凡な一コマ』 9KB 小ネタ 育児 自然界 どうという事も無い小話 『ゆっくり一家の平凡な一コマ』 D.O とある森の大きな大きな木の根元、根っこの隙間に掘られた穴は、 とあるゆっくり一家の、小さくもゆっくりしたおうちであった。 そのおうちの中からは、今日もゆっくり一家の楽しそうな声が聞こえている。 「ゆっへん!れいみゅ、ゆっくちしちぇるでしょ!」 「ゆっゆ~ん、れいむのおちびちゃんは、とってもゆっくりしてるよ~」 ぎゅんっ、と胸をそらして見事なのーびのーびをする赤れいむの姿を見て、 母れいむは嬉しそうに微笑みながら歓声を上げた。 「ゆんっ!まりしゃもゆっくちしちぇるよ!ゆんっ!ゆっくち!!」 「ゆわぁぁああ!おちびちゃん、すっごくゆっくりしたこーろこーろだね!」 赤れいむの妹である赤まりさも、姉に負けてなるものかと渾身の前転を披露する。 母れいむはそのゆっくりとしたこーろこーろに、感激の声を発した。 「(れいむのおちびちゃんたち…とってもゆっくりしてるよぉ)」 母れいむの瞳が嬉し涙でうるむ。 それほどまでに、2匹のおちびちゃん達は可愛く、元気で、とてもゆっくりと育っていた。 だから、母れいむはおちびちゃん達に向かって、自分かかけられる最大の賛辞を投げかけたのであった。 「おちびちゃんたちは、れいむにそっくりの、とってもゆっくりしたゆっくりになれるよ!」 「「………」」 「ゆ?」 おうちの中が静まり返った。 「ゆぅ…おきゃーしゃん…」 「ゆ?ゆゆっ?どうしたの、おちびちゃん?」 赤れいむと赤まりさは、申し訳なさそうに、母れいむからサッと目をそらす。 「おきゃーしゃん…ゆっくちしちぇにゃいよ」 「まりしゃ、おきゃーしゃんみたいになりちゃくにゃい…」 「ど、どうぢでそんなこというのぉぉおおおおお!?」 母れいむに衝撃が走った。 これまで、母れいむは自分こそこの世の全ゆっくり、全生物の中で最もゆっくりしたゆっくりだと思っていたのに、 よりによって、愛するおちびちゃん達からその事を全否定されたのである。 とはいえ、おちびちゃん達が自分に嘘をつくとも思えない母れいむは、 とりあえず理由を問いただすことにした。 「どうして…?れいむ、ゆっくりしてるよ・・・?」 それに対する答えは、れいむに新たな衝撃を与えたのであった。 「おきゃーしゃん、あんまり、あしょんでくれにゃいでしょ」 「ゆ?ゆゆっ、おしごとのあいだに、あそんであげてるよ・・・?」 「じぇんじぇんたりにゃいよ!まりしゃ、もっとあそびちゃいよ!」 「ゆ、ゆがーん!?」 母れいむは、おちびちゃん達と出来る限りのスキンシップを取ってきたつもりだった。 狩りの方は今日もそうだが、父まりさが行ってくれている。 だからこそ、貯蔵食糧の整理の合間にはおちびちゃんとすーりすーりしてあげられるし、 おうちのお掃除の合間には、おちびちゃんを頭に乗せてたかいたかいしてあげられる。 お外の天気がいい時は、お布団(の干草)を天日干しするついでに、家族みんなで日向ぼっこだ。 母れいむとしては、これほどおちびちゃんと遊んでくれる母ゆっくりなど、 この森には一匹もいないに違いないと思っていたほどだったのだ。 だが…おちびちゃん達にとっては違うらしい。 母れいむの自己満足でしかなかったのだろうか… おちびちゃん達の母れいむへの苦情は続く。 「おきゃーしゃん、おはだがよごれちぇ、きちゃにゃいよ!」 「うんうんのにおいがしゅるときもありゅよ!」 「ゆががーん!?」 おうちのお掃除には、おトイレ(用の穴)の掃除も含まれる。 家事をしっかりこなすゆっくりなら、なおさら体が汚れる時もあるだろう。 「おはだもあんよもがーさがーさだし、ゆっくちできにゃいよ!」 「おりぼんしゃんも、しわしわだよ!れいみゅ、そんなおりぼんしゃんになりたくにゃいよ!」 「ゆ、ゆぅぅぅううう!?」 お肌を磨く時間も、おリボンの手入れをする時間も惜しんで、 家事に子育てにと奔走してきた母れいむ。 だが、その努力はなんだったのだろうか。 泥まみれになって働く母れいむの姿は、 おちびちゃん達にとってはゆっくりできないモノでしかなかったのである。 「とにかく、れいみゅはおきゃーしゃんみちゃいに、ゆっくちできないゆっくちはいやだよ!」 「まりしゃも、もっとゆっくちしたゆっくちににゃるんだよ!」 「ゆ、ゆわぁぁあああああん!」 母れいむの慟哭は、森の奥の奥にまで響き渡ったのであった。 *************************** 「ゆっくりただいま~なのぜ」 その日の午後、父まりさがおうちに帰ると、 おうちの中はいつもと様子が異なっていた。 「ゆ、おうちがきたないのぜ…ゆぅ、れいむたちはだいじょうぶなのぜ…?」 いつもはキレイに片付けられているおうちの中が、微妙に薄汚れている。 父まりさは、おうちの異常に危険を感じ、とっさにお帽子から木の棒を取り出すと、 切っ先をおうちの奥に向けて構え、慎重に中に入っていき…そして見た。 「ゆっゆ~ん!これでおかーさんも、ゆっくりしたゆっくりになったでしょ!ゆっくりー!」 「「おきゃーしゃん、きりぇ~い!ゆっくちしちぇるよ~!」」 水浴びでもしてきたのか、全身にホコリ一つ付いていない、 おリボンもしわ一つなくのばされ、さらに髪にはお花を挿して飾り立てている、 若い頃に戻ったかのような美ゆっくりとなった、母れいむを。 「まりさ!れいむゆっくりしてるでしょ!」 「「おとーしゃん、おきゃーしゃんが、とってもゆっくちしちぇるよ!」」 そして、父まりさが帰ってきた事に気付いた母れいむとおちびちゃん達は、 とびっきりの笑顔とセクシーポーズで父まりさを出迎えたのであった。 「…で、どういうことなのぜ」 「れいむはかんちがいしてたんだよ!」 「……なんのことなのぜ?」 わけのわからない父まりさに、母れいむはくねくねとセクシーに体をくねらせつつ、 笑顔で言い放った。 「れいむは、つまであり、おかーさんであるまえに、ゆっくりなんだよ!」 「……それで、おそうじをさぼったのぜ?」 「れいむは、こそだてや、ひびのせいかつにおわれて、たいせつなことをわすれてたよ!」 「……」 「ゆっくりしてないゆっくりは、ゆっくりじゃないよ!れいむ、これからはゆっくりいきるよ!」 「……れいむ。れいむはそんなことより、もっとだいじなことをわすれてるのぜ」 「ゆゆっ!?これいじょうにだいじなことなんてないでしょ!」 「「おとーしゃん、ゆっくちりかいしちぇにぇ!!」」 *************************** それから3分後。 「ゆ…いじゃい、ばりざ、もうやべで…」 「ゆぴぅ、おとーしゃ…やべぢぇ」 「まりしゃの、ゆっくちしたあんよしゃんが…いちゃいぃぃ…」 母れいむは両目に木の枝を突き刺され悶絶していた。 おちびちゃん達は、父まりさのお下げであんよを叩かれ、あんよが倍以上にはれ上がっていた。 そして今は、親子そろってよだれやしーしーを垂れ流したまま地面に突っ伏している。 「『おかえりなさい』と『おつかれさま』がまだなのぜ」 「おきゃ…おきゃえりなしゃい…」 「おとーしゃ…おちゅかれ…」 父まりさは少しだけ満足した表情になり、その視線を母れいむに向けた。 「で、れいむからは、かんしゃとねぎらいのことばをまだきいてないのぜ」 「ゆ、ゆぴぃぃいいい!?まりざ、ゆっぐぢいづもありがどうごじゃいばず! まりざのおがげで、いづもれいぶだぢはゆっぐぢでぎまず!ゆっぐぢぢでいっでねぇぇぇえ!!」 母れいむが叫ぶと、それに合わせてお下げがぴこぴこと、上下左右に動く。 これは母れいむが自分の意志で動かしている訳ではない。 母れいむの両目を貫いた木の枝がそのままお下げの中まで突き通されているため、 まばたきするたびにお下げが、ぴこぴこざわざわと動いているのである。 これは父まりさが『ぴこぴこざわわの刑』などと呼んでいるものであり、 母れいむが愚行に走った時に行われるお仕置きの中では、比較的軽い部類にあたる。 どうやら今回は本気で怒っているわけではなく、 純粋におちびちゃん達への見せしめを兼ねた、教育的指導のようであった。 「おちびちゃんたち」 「「ゆっ!ゆっくち!?」」 「おとーさんは、ゆっくりしてないのぜ?」 「「ゆ、ゆっくちしてましゅ!!」」 父まりさは、少し意地悪い表情になり、おちびちゃん達に話しかける。 「おとーさんは、からだがよごれてどろんこなのぜ?」 「ゆ、ゆっくちがんばって、ごはんをとってくれてりゅから、ゆっくちできましゅ!」 「おとーさんは、あんまりあそんであげられないのぜ?」 「お、おとーしゃんは、まいにちいっしょうけんめいはたらいてましゅ!ゆっくちできましゅ!」 「ゆふん。りかいできたならいいのぜ」 「「ゆっくちりかいしちゃよ!!」」 「じゃあ、ばつとしてきょうは、ゆうごはんぬきなのぜ」 「「ゆっぴゃぁぁああああん!どうしちぇぇぇえええ!!」」 父まりさは、今日の収獲をお帽子の中から取り出し、 普段ならおちびちゃん達に優先して食べさせているイモムシやらお花やらをバクバクと口に運んでいった。 「ゆっくりしたおかーさんとゆっくりしてたんだから、ごはんなんかいらないのぜ?ゆふふふ」 「「おとーしゃん、いじわるしにゃいでぇぇええええ!!」」 さらに、 「それじゃ、ばつとしておちびちゃんたちのおかざりはもらっとくのぜ」 「「やめちぇぇぇえええ!」」 「おちびちゃんたちはゆっくりしてるから、おかざりなんていらないのぜ?」 「「おかざりしゃんがないと、ゆっくちできにゃいぃぃいいい!!」」 だが、必死ですがりつく赤れいむと赤まりさを無視して、 父まりさは2匹のお飾りを奪うと、お下げでぺしんと弾き飛ばし、 そのままこの日は、家族のだれとも二度と口を開こうとしなかったのであった。 *************************** この日、結局おちびちゃん達は夕ご飯抜きになった上、罰としてお飾りまで父まりさに捕られ、 身も心もゆっくりできなくなる羽目になった。 とはいえ父まりさが眠った後、おちびちゃん達が空腹に耐えかねて、 こっそり父まりさのお帽子の中に忍び込み、中に仕舞い込まれた苦い雑草を食べていた所、 その中から2匹のお飾りまで見つかり、無事お飾りに包まれながら、ゆっくりと眠ることはできたのだが。 そして翌日、おちびちゃん達の頭の上に乗っているお飾りを見ても、 父まりさは特に何も言わなかった。 「「おとーしゃ…」」 「………」 結局この日も口は聞いてくれなかったが、一応朝食はもらえたため、 許してもらえたのだろうとは2匹も理解した。 もちろん、二度と同じ内容で、父まりさを困らせるようなこともなかったのだった。 ちなみに、 母れいむは、この後数日の間、視力が落ちて自分のゆっくりとした美貌を見る事ができなくなった。 そして、視力が戻ってからもそんなことに興味を持つことは無くなったかのように、 真面目に働くようになったとのことである。 挿絵:トラップあき
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U.N.オーエンは彼女なのか?~可愛い時計 26KB 虐待-いじめ 観察 悲劇 差別・格差 家族崩壊 同族殺し 共食い 赤子・子供 ゲス 捕食種 希少種 自然界 人間なし anko737後編です。 後編です 副題とかにも挑戦してみました 今作群は挑戦の塊です 思春期によくお世話になり、あとで顔から火を吐かせてくれるポエムにも挑戦です ちなみに発条(ぜんまい)です ではどうぞ 可愛い時計、止まって泣いた 優しい発条、笑って巻いた 時計と発条、仲良しこよし 何時も一組、笑ってる 「ちびちゃん、あさだよ」 「あちゃだよ、おねーしゃん!おねぼーさんはゆっくりできないよ」 「ゆ…、おかあ、さん?」 目を開けるとそこにはお母さんと妹の姿があった 「あたりまえだよ!れいむはちびちゃんのおかあさんにきまってるよ ゆふ、まだねぼけてるんだね」 そういって自分の顔をぺーろぺーろしてくれる しかし、震えが止まらない 何故だろう? ああ、そうか… 「ゆゆ…にゃんだかゆっくりできないゆめをみてたきがしゅるの… みゃみゃもぴゃぴゃもれーみゅもみんなどっかにいっちゃうの…」 「ゆふふ、うん、それはたしかにゆめだよ おかあさんもおとうさんもちびちゃんもちゃんとここにいるよ…」 まだ震えている体を丹念にペーろぺーろしていく その懐かしくゆっくりとした感覚に徐々に震えが収まって行く 「ゆゆ、もうだいじょうぶだよ! ぜんぶゆめだったんだね! ままもれーむもぱぱもちゃんといるね!」 半ば自分に言い聞かせるように、半ば確かめるようにはっきりとした口調で言った 「そうだよ、じゃあ、あさごはんだよ!」 「いっちょにむーちゃむーちゃしようね!」 元気の無い姉を気遣ってか仔れいむも元気一杯に話しかける そんな何気ない日常 かけがえのない日常 「今日」も何事も無く始まって行く… みんなで朝ごはんをむーしゃむーしゃした後 しばらくみんなでゆっくりした 何とも無い風を装っているがどこか元気の無い仔まりさが気になったのだろう 仔まりさがゆっくりしたのを確認し、父まりさは狩りに出かけて行った 「きょうもいっぱい、おいしいごはんさんとってくるよ! たのしみにしててね! れいむ、ちびちゃんたちをおねがいね!」 「ゆっくりまかせてね!まりさもけがしないようきをつけてね!」 何時ものやり取りの後、母れいむは朝ごはんの片づけをし仔とゆっくりし始めた ゆっくりと言ってもゆっくりしているのは子供ばかり おかしなことをしているんじゃないかと、危ない目に遭っているんじゃないかと母れいむは目が離せない、気が抜けない 命よりも大切な仔だ、絶対ゆっくりさせる そんな気持ちが無ければとてもじゃないが親なんてやっていられない お歌を歌ってもらったり、一緒になって練習したり 日向ぼっこをしたり、追いかけっこをしたり、一日はあっという間に過ぎていく 「ゆ!いまかえったよ!ごはんさんいっぱいとれたよ!」 父まりさがご飯を手(帽子)に帰って来た 夕ご飯を食べてゆっくりとした一日もこのまま終わる そう思った時だった 「たいへんだよー!」 ひどくゆっくりとしてない叫び声が群れに響く なにか大変なことが起きたと思い、れいむと仔を巣に残し父まりさが様子を見に行った 「どうしたの?」 辺りを跳ねまわるちぇんを捕まえて事情を聞いた 「ゲスだよ!むれのはじっこにいたゆっくりのおうちがおそわれたんだよー! すごくたくさんなんだよー! ゆっくりしないでにげるんだよー!」 そう言うや否やすぐさま他の所へ告げに行く 「ゆう…まずいよ…」 父まりさの体に冷や汗が流れる この辺りは比較的安全な地域で今まで群れが襲撃を受けた事が無い だから此処には集団的な戦闘経験のあるゆっくりはいない 早くもパニックが起きているようだ 本来は戦闘要員をかき集める役目のちぇんがあの調子では仕方がない とにかく一度お家に戻ろう … 「というわけなんだよ、みんなはまりさがもどるまでぜったいにおうちのそとにでないでね!」 「ゆ、わかったよ。ちびちゃんはれいむにまかせてね!…けが、しないでね…」 巣に戻ると、家族に状況を知らせた そして総崩れの群れを立て直すべく、長の所に近所の成体を連れて行くと父まりさは言った それを聞いて仔まりさはひどくゆっくり出来なくなった お父さんがもう帰って来ない…そんな気がしてならなかった しかし、群れに生きる以上戦いは義務である それに大切な人を守るために戦う事の大事さを繰り返し教えられて育ってきたまりさには止められなかった 「おとーしゃん…」 「どうしたのちびちゃん、あかちゃんことばになってるよ!」 「はやく…かえってきてね」 「ゆ!もちろんだよ!おとうさんならげすなんてあっというまにやっつけちゃうよ!」 これしか言えなかった 手近のお家から順に覗いていく しかし、パニックが起きてから暫く経つ、近所に残っていたゆっくりは少なかった それでもいっぱい(具体的には8体)集められた 「ゆ、それじゃみんなおさのところにいくよ!」 「「「「「「「えい、えい、ゆー!!!!!!!」」」」」」」 互いに鼓舞しあい今や敵地となった群れを進んでいく 慎重に敵の姿を探りながら行くが今の所、ゲスらしき物は居ない 「まちがいだったのかな…」 次第にはそんな事を言い出す始末 なんとか宥めながらなんとか長の所まで導いた 警戒なんてあったもんじゃない 「おさ?まりさだよ!しつれいするよ!」 返事も待たずお家へ入って行く しかしそこに「あった」物は… 「「「「「「「「おざああああああああ!?」」」」」」」」 体を食いちぎられたうえ、れいぷされたのか全身から餡子を流し、茎を生やしている長だった物だった 如何に体格が大きいとはいえ、所詮はぱちゅりー、もみあげで二,三体を道連れにするので精一杯だったようだ 「おさがゆっくりさせられたよ!」 「もうだめだよ!さっさとにげるよ!」 「おさぁぁぁぁぁ」 元々無い戦意がさらに下がっていく 「ゆ、でもまだぱちゅりーがいるよ!」 まだ若いが長老一粒種、厳しく躾けられ、親の威光無しに見ても次期長確実とされている それを担ぎ上げ、群れに統制を取り戻そうと考えたのだ 「そうだね!まだぱちゅりーがいたね!」 「ぱちゅりーさえいれば、あと…でもたたかえる!」 僅かな希望に盛り上がる中一人のれいむが言った 「ぱちゅ、りー?」 「うんそうだよ!あのぱちゅりーならおさのかわりになれるよ!」 そう言いながられいむの視線の先を追う 「………」 人はあまりの衝撃を受けると話せなくなるという ゆっくりでも同様の様だ 長が庇うように立ちふさがる奥にそれはあった 二/三程が食われて無くなっている、次期長の骸が 「「「「「「ぱぢゅりぃぃぃぃぃいいいいい」」」」」」 もう駄目だ… 群れを掌握できる人材はもう居ないだろう 群れの中心に位置している長が屠られている以上、その周辺に居住していた長老達も無事ではないだろう こうなったら、ここを捨てるしかもう道は無い 「みんな、ゆっくりきいてね、もうむれはおしまいだよ!」 「ゆゆゆゆゆ?」 「どぼじでそんなこというのぉぉぉぉぉ!?」 「嘘だっ!」 「それでどうするの?」 なんか違うの混じっていたような気がするけど…まあ、いいや 「みんなでげすのこないところにおひっこしするよ!」 「でも、とちゅうでおそわれちゃうよ…」 「あかちゃんは?まだちいさくてとおくにはいけないよ?」 「ごはんは?おひっこしのじゅんびなんてしてないよ?」 問題は山積みだ でもやらなければ死を待つだけだ それに今の調子でばらばらに逃げるのではただ被害を増やすだけ、何とかして一定以上の規模で疎開したい 「じゃあ、みんなはここにのこってげすとたたかうの?」 「ゆう、そうはいわないけど…」 という物も居れば 「ゆ!おさのかたきうちだよ!げすにめにものみせてやるんだよ!」 等と盛り上がっている物も居る 会議は踊る、むしろ転がる 理性的な考えが苦手で、感情的なゆっくりがそんなにすぐに纏まる訳が無い まりさはこの後何かあっても長にはなりたくないなと痛感していた 「とりあえず、おそとにでよう!おはなしはそれからだよ!」 強引にでも話を進ませる そうしないと何時までも此処でゆっくりすることになるからだ 玄関を抜けるとそこには絶望があった 沢山のゲスがいた 予想通り、長老達のお飾りを持っている個体が散見される 皆やられてしまったのだろう 「ゆああああああああ」 景気のいい事を言っていた個体までも悲鳴を上げる 「みんなにげるよ!」 その場から逃げ出した 幸い、ゲス達は奪った食料を貪ったり、れいぷするのに忙しかったりして追いかけては来なかった 「みんな、いそいでね!」 皆を急かした後、お家へ入る 「みんな、ゆっくりしないできいてね!」 「まりさ、どうしたの?」 只事ではない、そう察した 「おひっこしするよ!みんなでげすのこないところでゆっくりするよ!」 「だからどうして?」 「おさも、おさのぱちゅりーも、ちょーろーもみんなゆっくりしちゃったんだよ! だからおひっこしするんだよ!」 よく分からないがこれ以上問いかけている時間は無さそうだ 「おちびちゃん、おひっこしするよ!みんなでごはんさんもっていこうね!」 「「わかった(ちゃ)よ!」」 片っ端からご飯を口へ詰め込み、家を出た もう帰る事の無い、お家…ゆっくり出来ない気分で眺め振り切った 「みんな、じゅんびはできたね!おやまにいくよ!おやまならかくれるところがたくさんあるからだいじょうぶだよ!」 そう言って導いていく父まりさ しかし 「いきのいい、ゆっくりがいたんだぜ!」 「でいぶはしんぐるまざーなんだよ!ゆっくりごはんさんになってね!」 「にげられないんだよー、でもにげまわってたのしませてほしーんだよー、むごたらしくしんでね!」 無数のげす達が追いかけてくる このままじゃ逃げきれない! 「みんな、かぞくをまもるよ!いっしょにたたかってね!」 足止めするべく立ち止まり、他の一家の父親に一緒に戦うよう求める 「いやなのぜ!まりさはにげるのぜ!」 「れいむもにげるよ!かてないたたかいをするのはゆっくりできないよ!」 「かちめのないたたかいはとかいはじゃないわ!」 皆まりさを置いて逃げ出してしまった 「ゆううう、まりさひとりでもくいとめるよ!れいむはちびちゃんをおねがいね!」 「まりさ、だめだよ、いっしょににげよう!」 「だいじょうぶ、まりさはふじみなのぜ、おぼうしさんをれいむにあずけるから、かならずあとからおいつくのぜ」 危機を前に男性性が強くなったのか、ぜ言葉が出るまりさ 愛しのれいむにお帽子を押し付け後は振り返らず、げす達へ突っ込んでいく 「まりさ!…いぐよおちびちゃん、いそいでれいむのおくちにはいってね!」 こうなったらご飯どころではない 口に入れていた食糧を吐き出し、ちびちゃんを入れて跳ねる … どれくらい経っただろう、山へ入りしばしの休憩をとった すると声が近付いてきた 「にげられないんだよー!あきらめてねー!」 ちぇん! 一番厄介な奴が追いついてきた… (ゆう、れいむのあんよじゃ逃げきれないよ…) こうなったら… ちびちゃんたちの布団代わりに使っているまりさのお帽子を見つめる (やるしかないよ!…ゆふふ、たしかにおいつくね、まりさ…) 「ちびちゃん、いや、まりさ」 「なに?おかーさん?」 「これからおかーさんは…おかーさんはちょっとおはなししてくるよ おなじゆっくりだもん、はなせばわかるよ!」 「おかーしゃん…」 「だからちょっとのあいだれいむをおねがいするよ… おねーさんなんだからいもーとをゆっくりさせてあげてね! れいむ、おねーちゃんにわがままいっちゃだめだよ!」 「わかったよ、わかったからすぐかえってきてね!まりさとやくそくだよ!」 「わがみゃみゃいわにゃいよ!じゃからすぎゅかえってきてにぇ!」 「やくそくしたよ、だからふたりともゆっくりしてね!」 まりさの形見を目深にかぶり、茂みを飛び出していく 「れいみゅ…いくよ!」 「うん…」 「ゆがあああ、ゆっくりできないげすはじねええええええ」 凄まじい形相でちぇんに迫るれいむ 此処だけ見るとどちらが悪役か分からない その後夜を徹し、茂みに隠れながら逃げ続けた 分散したことが幸いしたのか、追手も分散し発見を免れた その後も山奥を目指し進み続ける 数日間逃げ続け、やっと雨宿りできそうな木の根元に落ち着く 何とか逃げ伸びる事は出来たようだ しかし、まだ狩りもできない子ども 草を食べて飢えをしのごうとした しかしまだ赤ゆに近いれいむの体はそれを受け付けなかった 家を出るときは真ん丸で可愛らしい赤ゆだったれいむ、今は見る影もなく萎んでしまった 「おねぇーしゃん…ゆっくりできなくて…ごめんね…」 「れいみゅ、れいみゅ!しんじゃだめだよ!ゆっくりしてね!」 懸命に声をかけ励まそうとする 「ごめんね…ごめんね…」 うわ言の様に繰り返し、最後に微かに痙攣を残し、れいむの短い生涯は終わった 「れいみゅうううううううううううう」 その後、数日間仔まりさの泣き声が途切れることはなかった 「ごべんねえええ、ゆっぐりざぜられなぐっで、ごべんねえええええ」 …… … その後小規模な群れの被害が相次ぎ、ようやく事態を重く見たどすたちにより群連合が締結された 各群れから抽出された精鋭で討伐軍が編成され、ゲス集団は壊滅していった ゲスの集団が消滅した今もその組織は残り、この地域の群の防衛にあたっている 「ごべんねえぇぇぇえ」 「おねえしゃん?おねえしゃん、ゆっくりしてね?」 ゆさゆさと体が揺すられる 「おねえしゃんだいじょうびゅ?」 「れいむ?」 「ゆ?ふりゃんだよ?」 「…」 しばし中に視線を彷徨わせる 「ゆ…ゆ!ごめんね、おこしちゃったかな?」 漸く状況が飲みこめた 夢を見ていたようだ 魘されて寝言を言ったらしい 「ううん、ねみゅれなかっちゃの…」 「そう、よかった…おひるねしすぎちゃったのかな?」 そうではない事は分かっているがその事を敢えて言うほど無神経ではない 「いっしょにすーやすーやしようね…ゆ、おうたさんうたってあげるよ」 ♪~ 柔らかな音色が紡がれていく (このこはぜったいにゆっくりさせるよ!れいむみたいにはぜったいしないよ、だからみまもっててね…れーみゅ…) 今度こそ二人は安息の世界へと沈みこんでいく… まりさとふらんが出会ってからもう一月近くたった 毎日草むら周辺をうろついて親ふらんの迎えを待っているが、いまだ邂逅を果たせていない もう待つのは限界だ、冬支度を始めなければならない 特にふらんが好きな茸はかなり少なくなっていた 「ふらん、今日はおねーさんと一緒に茸さん狩りに行こう!」 「ゆう?きのこしゃん?いきゅー」 「ゆん、じゃあ、おねーさんのおぼうしさんにのってね!ちょっととおくにいくよ!」 「おぼうしさんにのりゅの?」 「そうだよー、ゆいしょっと」 お帽子の縁にふらんを載せる 「ゆわああ、たきゃいよぉ、ふりゃんおそりゃをとんでるみちゃい」 「ゆふふ、どう?おちびちゃんきもちいい?」 「うん、きもちいい…」 羽に風を受け、まるで飛ぶような仕草をする 「ゆふふ、それじゃあ、おちないようにしっかりつかまっててね!」 「う~♪」 跳ねる事によって増した風にうっとりとして、ご機嫌な声が出る (ゆふふ、ちびちゃんゆっくりしてるね!) 「さあ、ついたよ!」 何時も茸をとる辺りに着いた ちびちゃんがはしゃぐもんだからつい張り切って跳ねてしまった 帰りはゆっくり帰ろう… 「きょきょでとりゅの?」 「そうだよー、こうしてね、木さんのしたとかにね、よくあるんだよー」 瞬く間に次々と茸を見つけて行く ふらんの目には何もないように見えたのにあっという間に集まっていく 「しゅごいよ!おねえしゃんしゅごいよ!」 「ゆへん、でもなれればちびちゃんにもすぐにできるようになるよ!」 「う~、ふりゃん、がんばりゅ!」 お帽子の上からきょろきょろとあたりを見回す 「おねーしゃん、あっちにきれいなきのこしゃんがありゅよ!」 「ゆー、どれどれ、…ゆう、ちびちゃんこのきのこさんはたべられないよ」 「そうにゃの?」 「たべるとあんこさんはくのがとまらなくなってゆっくりできないんだよ! ちびちゃんもきをつけてね!おねーちゃんもいっかいたべてひどいめにあったよ!」 「ゆゆ!?きょわいよ…」 「たべなければだいじょうぶだよ、あんしんしてね」 震えるふらんをあやす様にお帽子を跳ねさせ、高い高いをする 「うー!ふりゃんおしょらをとんじぇるみちゃい!」 山の天気の様に目まぐるしく変化するふらんの表情 まりさにはそんなちびちゃんが可愛らしくてたまらなかった 遊んでるんだか狩りしてるんだか、兎に角茸を集めて行く そうしていると近くにゆっくりの気配を感じた 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅちちていってね!」 この辺は偶に他のゆっくりと会う 過去の記憶からゆっくり嫌いを患っているまりさだがちゃんと挨拶を交わす まねしてふらんもちぇんに声を投げかける まりさに仔が居るなどとは思いもよらなかったから驚き帽子の上に視線を向ける 「ゆぴ!?ふ、ふらん!?」 お帽子に載せたふらんを見るなりちぇんは顔を強張らせた 「そうだよー、まりさのおちびちゃんだよ!ゆっくりしてるでしょ?」 「う、うん…そ、それじゃ、ちぇんはようじがあるからさよならーだよー」 そう言うなり逃げ出すように跳ねて行く 「ゆう?にゃんだったの?」 「わからないよー、ゆっくりできないこだったんだろうねー」 「おねーしゃん…」 ちぇんの口癖を真似てみると不安げな顔をしていたふらんの顔に笑顔が戻る (なんだったんだろう) そう思いつつ狩りを続けた 間もなく冬だ、もっと沢山のご飯を集めないと! 暫く跳ねていると茸だけでなく、色々な木の実も沢山見つけられた お帽子の中に獲物を詰めているとふらんも真似してYUN帽に詰めようとする しかし、底が浅くて僅かな量しか入らない 「ゆう、おねーしゃんのおぼうししゃんすごいよ! ごはんしゃんたくさんはいるし、ふりゃんものれりゅよ! ふりゃんもおねーしゃんみたいなおぼうしさんほしいよ!」 などと駄々をこね始めた 「ちびちゅんのおぼうしさんもかわいくってとってもゆっくりしてるよ! もっとおおきくなったらいっぱいごはんさんつめられるよ!」 と宥める まりさ自身も昔、お父さんに同じような事をよく言ったものだ しかしちゃんと大きくなって詰められるようになった 形は違うけど多分ちゃんと出来る様になるだろう そんな実感の籠った言葉を聞き機嫌を直す 「ゆ!ふりゃんもはやくおおききゅなりゅよ!」 「ゆふふ、たのしみにしてるよ…」 そうなったら別れの日は近い その時を想像してまりさはちょっと泣きそうになる 「ゆ~!きのこしゃんもっとさがしゅよ!」 しんみりしていると先にふらんが行ってしまった 「まってね!」 「はやきゅ、おねーしゃん!」 追いかけると更に逃げ、追いかけっこへ発展していった 恵みの秋はまたたく間に過ぎ去り、 冬は次第に深さを増していく… 出会ってから半年以上が経ち、冬を越し春を迎えた 久しぶりに外に出るとはしゃいで飛び回った 冬の間にすっかり成長し、赤ゆから仔ゆっくりへと成長を果たしていた 羽をぐんと伸ばして伸びをすると何だか飛べそうな気がしてきた 「ゆ!ふらん、おそらをとんでるよ!」 気がするだけではない、実際に飛んでいた それを見たまりさは仰天する 「おちびちゃんがおそらをとんでる!!!!」 「みてみておねーちゃん!」 驚くまりさを見て調子に乗って輪を描いて飛び、そばへ下りた 「すごいよ、おちびちゃん!まりさおそらをとぶゆっくりなんてみたことがないよ!」 興奮して頬を擦りつける 「あつい、あついよおねえちゃん!」 あまりに気を入れてすーりすーりをしたものだから、頬が熱を持ったのだ 「ごめんね、おちびちゃん」 ちょっと赤くなった頬をペーろぺーろしてあげる 「ゆうううう♪~」 半ベソかいていたがすぐに機嫌を直す ころころと笑顔を浮かべるのを見て、ぺろぺろをやめて言った 「それじゃあ、おちびちゃん、おねーちゃんかりにいってくるよ!」 そろそろ一人でいても大丈夫だろう 連れて行きたいがまだ雪解けから間もない、 「うん、ふらんおるすばんしてるよ!」 「とおくにいっちゃだめだよ!かわさんはあぶないからちかづいちゃだめだよ!」 念を押してから狩り場へと出かけて行った しかし、駄目と言われればやりたくなるのが子供と言う物 ちょっとだけならと川へ行ってしまった 「ゆう、すごいよ!」 雪解けを集めて速し、どっかの川 一時程ではないがまだまだ流量は多い 河原へ下りて行くとじんわりと水っけがあんよへ伝わってくる 「ちゅべたいっ!」 あんよも冷たいし、おねーさんにも注意されているしもう帰ろうと思った時 ふらんの目にある物が映った 「ゆう?」 そっと摘みあげる 「ゆああ、きれいだよ!ふらんのたからものにするよ!」 狩りを終えて帰って来たまりさを何も無いかったかの様に出迎える 「おちびちゃん、とおくにいってたね!」 あんよについた泥を見咎められ、怒られた 「もう、とおくへいかないよ。ゆるじてぇ」 泣きながら謝り、その後二人でご飯を食べた 何事もない(今日はあったけど)平穏な日々、今日からまた続くと信じていた …… … だが、その日は唐突に訪れた 群との交流が無いまりさの巣に5体ものゆっくりが訪れたのだ どうしても話したい事がある、だから子供を連れてついて来て欲しいと彼らは言う 善良そうな顔をしていて、手土産のご飯も沢山渡され 何より、来なければどうなるか、と声に出さずに凄んでくる 1対5では勝ち目が無い 何とか穏便に済ませようと要求をのみ、ふらんを連れ巣を出た そして彼らは言った 「ふらんをわたせ」 何故自分のおちびちゃんを取り上げようとするのかと語尾を荒げると 「ふらんはゆっくりをたべるゆっくり、そんなあくまのようなゆっくりがちかくにいられるとこまる」 「れみりゃいじょうのかいりきをほこるばけもの、おとなになられたらてにおえない」 「ゆっくりにとってしにがみのようなものだ、あれのおやをころすにもただいなひがいがでた」 ちびちゃんのお母さんを殺したのはお前たちか! 怒りにわなわなと体が震える 「ははおやだけではない、ちちおやもだ」 一体が誇らしげに言う ふらんに勝ったのだ、誇らしくないはずが無い 「はねなしだからなんとかてにおえた」 「はねなしのゆっくりしてないこだからみすててもしかたがない」 「はねなしでかりもできないおやだった、だからそいつはほんとうはもうしんでいたはずだ」 「そうだったはずをそうにするだけ、きにやむことはない」 親ふらんを悪しざまに侮蔑しながら説得しようとして来る その顔にはゆっくりしてない親から生まれたゆっくりしてない子どもを何故わざわざ育てようとするのか、という拭い切れない差別意識があった まりさには羽無しの意味は分からなかったが、兎に角ふらんのお母さんを見下しているのは分かる 不完全な物を嫌うゆっくり、生まれつき羽が無い奇形は捕食種と言えど軽侮の対象らしい これ以上をちびちゃんに聞かせられない そう思い、少しの間離れているように言った だがそれだけではない まりさの心にふらんを見捨ててゆっくりしたい 元々見ず知らずの仔だ、命をかけて守る必要はない そんな気持ちが生まれ、そばに居られなくなったからだ 「それにしてもゆっくりをくらい、そらをかけるゆっくりがじべたをはいずり、きのこやらくさやらをすにはこんでいくのはあわれだったぜ」 茸…そうかなんでちびちゃんが茸が好きだったのか それは親の愛情そのものの味、ゆっくりできる記憶が刺激されたんだろう その後も散々罵り、子供を見捨てることの正当さをまくしたてたのち、最後にこう言った 「ゆ、まりさはまいごのちびちゃんをそだててあげる、とってもゆっくりしたゆっくりだよ! だからおとなしくふらんをわたせばまりさにはなにもしないよ!」 「まりさたちはむれをだいひょーするしこゆなんだよ!つよいんだよ!おとなしくゆうこときいてね!」 こいつらは善良だ 大人しく言う事を聞き、ふらんを渡せば間違いなく自分を見逃すだろう 死ぬのは怖い ゆっくりしたい しかし… 不意に虚空へ今は亡き家族の顔が投影される お父さんだ (まりさの弱虫さんを叱っているのかな…すごく怖い顔だよ…) お母さんだ (まりさの卑怯を悲しんでいるのかな…すごく悲しそうだよ…) れいむだ いや、これは… (まりさの顔だ、それも小さいときの… 泣いてるの?怒ってるの?どうしてそんな顔をしてるの?) ああ、これは…またやるの?たいせつなひとをまたしなせるの?…憤っているんだ 最後に…ふらんの顔が浮かんだ 寝ている時、食べている時、一緒に遊んだ時、他愛のない顔ばかり思い出す 死神…悪魔… れみりゃ以上の化け物…ゆっくりの天敵 (だけど、だけど、だけど!ふらんはまりさのこだよ!) そう思い定めた直後、虚空に浮かぶ顔は無数の笑顔に変わった それが正しいと言わんばかりに 「ふらんは…わたさないよ!まりさはふらんのおかあさんだよ、なにがあってもぜったいにまもるんだよ! ふらんをわたせばみのがす? ばかなの?しぬの? じぶんのおちびちゃんをみすてていきのびるゆっくりがどこにいるの? はじをしってよね!ゆっくりできないよ!」 言ってしまった それを聞いたふらんの目から涙が溢れる 「ちび、にげろおおお」 ふらんの涙に違うものが混じる この言葉は偶然だろうが親ふらんがふらんに掛けた最後の言葉と同じだったからだ 逃げるふらんを背中で見ながらゆっくりと正対する 捕食種とやらを狩るほどの手慣れだ まず助からないだろう しかし、後悔は微塵もない もし生まれ変わりとやらが実在したとしてもまた同じ選択をするだろう それほどまでにこれが正しい事だと信じた そして…ゆっくりの信じる気持ちは力となる…! 「ゆああああああああ!!!」 多勢に無勢しかし果敢に挑んでいく ばぐん! 「ゆっぎいいいいい、あでぃずのおべべがあああああ」 一番手近に居た「饅頭」の目を噛み千切る 力が籠り過ぎていたせいか、ありすの大きくなった眼窩には何本か砕けた歯が残る この瞬間まりさはゆっくりではない化け物となったのだろう 「ゆがああああああああああああ!!!!」 どこん! 「ゆべえ、あぁぁ、ごほぅ、わがらないよー」 自身の体にも亀裂が走るほどの体当たりをかます 開いた傷口から餡子が流れる だが、痛みなど最早感じない すると 「ゆぎいいぃい?」 「ゆっくりできないばけものはさっさとしんでね!」 「おねえちゃん?」 その悲鳴を聞き思わず立ち止まるふらん 「ぐるなあああ、いげええええええ」 怒鳴り、追い返す 背中に違和感を感じる… ああ、刺されたんだ… これが枝さんの感触、いや、死の感触 だが 「ゆうううああああああああああ!!!」 渾身の力でそれを払う 今はまだお前はお呼びじゃない! 「へ、へいふほおふひは…」 「があああああ」 「ゆべっ…」 やたら口のでかい「饅頭」を潰し、次の敵を探す まだだ、まだ二匹いるはず! 横合いから旋風の様にやや小ぶりな影が襲う 「よくもみんなをぉおぉ!!!」 みょんの振り下ろすけんがまりさの眼球を砕く 普通のゆっくりならこれで怯む、間違ってはいない しかし…死を悟ったゆっくりが眼球一つで怯むわけがない 死を覚悟したゆっくりと戦った事が無い、それが致命的だった 「おああああああああ!!」 もはやゆっくり特有のゆ付きの叫びですらなくなった咆哮を上げ、怯むみょんに体当たりをかける 「ゆああああ、おびょ」 恐怖のあまり躱す事を忘れ青眼に構えたまま固まっていた そこに体当たりを受けたのだから、そのまま咽喉の奥まで突き刺さる 無論まりさも唯では済まなかった あごの下から突きぬけ、貫通したけんは口内で僅かに残っていた歯列を歯肉ごと吹き飛ばした あと…あと一人… 「うぱあぁぁ」 側面から刺された みょんの様な怯ます剣筋ではない、殺意の塊の一撃 こいつは… 「まりざああああああ」 突き破れよ、とばかりに突き刺されたけんに向け力を込めた 自棄になった訳ではない その方角には… 「ゆべ!?」 地肌がむき出しな崖があった 崖に叩き付けられ、さしものまりさも口からけんを離す しかし今の自分の力ではもう潰せない でも あとちょっと あとちょっと力が加われば! 「ゆぐ、へへそんなたいあたりきかないのぜ?」 余裕を取り戻したまりさが挑発する 「ゆぐ、ぐふぁ…ならまりさがてほんをみせてみるといい「のぜ」?」 オウム返しというのは案外効くものだ、特に餡子脳なゆっくりならば 自分の語尾をからかわれていきり立ったまりさは襤褸雑巾になったまりさに体当たりする それが罠とも気が付かずに 「ゆべええええ」 攻撃が当たるなり、大量の餡子を噴き出す 口からだけでなく、全身の傷から流れる 「それだけあんこさんはけばもうおしまいなのぜ。もうあきらめるのぜ、まりさはよくたたかったのぜ…」 ニヤ 親まりさが正にゆっくりらしいニヤけ面を浮かべる 「そうそう、あきらめどきがかんじんなのz」 「ぐおおああああああああああ!!」 勝利を確信した憎たらしい面に齧り付く 「むだなのz…ゆ?なんのおと?」 ずずずと何かが滑る音が聞こえる まりさ!上から来るぞ! 「うえ?」 上をみると大きな岩(人間目線では石)が滑り落ちてくる 「はなぜええええええ」 渾身の力を込めて親まりさを引き離そうとする 「やだよ!そんなたのみは…きけないよ!」 「ゆがああああああああああはなぜえええええええええ」 執念勝ちかまりさが親まりさを剥がすのに成功した だが時すでに遅し 「やっt」 ずん! まりさの体に深々と石が突き刺さり、そして裂ける 勝った… しかしもう動けそうにない ちびちゃんは逃げ延びただろうか… 追手がこれだけならいいんだけど そしてゆっくりと視界が狭まり、全てが暗黒へ包まれようとした時 機能を停止しようとしていたまりさの目に小さな影が飛び込んできた 「ふ、らん…きちゃだめって…にげてっていったでしょ…」 「でも、でもおねえちゃんがしんぱいだったの」 「しかたないこだね…ほら…なかないで…ゆっくりできないこたちは…もういないよ…」 「おねえじゃん…」 ああ、泣かないで… でももうすーりすーりもペーろぺーろもできない… できないよ… どうしたら… … そうだ… 「ふらん…」 「にゃ…に゛?」 「まえ…ほしが…てた…まりさ…のいちば…んだいじ…なおぼうしさ…んあげる…よ…だから…なきやんでね…」 「おねええじゃんん」 これを受け取ってしまったら、すぐにまりさがゆっくりしてしまうのではないかと思えて受取れなかった 「ふら…おぼ…し…まりさ…おも…て…ゆ…くりして…ね…」 「やじゃ、やじゃよ、おねえじゃんとずっといっしょにいるううう おねえじゃんしんじゃやだあああああ」 「も…とゆっ…りさせたか…た…ごめんね…」 ゆっくりしたかったではない、ゆっくりさせたかった そう最後に残し、静かに痙攣して、やがて止まった まりさの命は燃え尽き、体はゆっくりと唯の餡子へと還って往く 徐々に失われていくゆっくりとしての存在を感じ、ふらんの体が弛緩する するとふらんのお帽子が脱げてしまい、転がる ゆっくりにとって命と同程度の価値を持つお飾り、しかし今はそれに気をかけることすらなかった そしてその中から或る物が顔を覗かせる… 「あ、あ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 それは…水晶 一緒に永遠にゆっくりしようと「えんげーじりんぐ」としてまりさに渡そうとしていたもの… もう渡せない もう一緒にゆっくりできない もう…まりさは居ない もう、もう、もう、もうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもうもう!!!!!! 幼い子供が親に向ける無垢な愛情 そう言うには彼女のそれは深すぎた… 可愛い時計、またまた泣いてる 優しい発条、ただただ見てる 時計と発条、離れ離れ 可愛い時計、もう動かない 作者です 最後までお読みいただき、ありがとうございます 何か前篇後篇と言いながら、明らかに分量が変ですね 一つに纏めるか、前中後に別けるべきでした 前作コメントより 愛ででもいける ありがとうございます 実はこの話、元々の題は「ふらまり」で ただまったりとした愛で話のつもりでネタづくりしていました しかし、ちょっと魔が差しちゃいましてこんな話になりました どうしてこうなった… ではまた二部でお会いしましょう 追記 あと、この連話を書き終えたら名前を持とうかと思ってます 現在は一作目の名から観察あきとなっています それがいい、もしくはこっちの名の方がいい! というご意見ありましたらよろしくお願いします ふたば系ゆっくりいじめ 468 ありす観察日誌 ふたば系ゆっくりいじめ 556 ゆっくりこしていってね! ふたば系ゆっくりいじめ 606 うんうん ふたば系ゆっくりいじめ 620 ゆうかを量産工場 ふたば系ゆっくりいじめ 626 U.N.オーエンは彼女なのか?前半 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 途中でひぐらしが鳴いたような気がするwww そして、「ゆっくりさせたかった 」って言ったゆっくりは初めて見たかも。 イイハナシダナー。 -- 2018-04-12 21 18 38 魔理沙(フランと暮らしていた)がくれた帽子をフランは被って魔理沙として生きるのか、 はたまた魔理沙の形見として、お墓を作るか、大事に保管するのか・・・ 気になって仕方が無い。後最後まで読んだ結果泣きそうになった。 -- 2017-08-05 22 37 28 >「やだよ!そんなたのみは…きけないよ!」 英国無双のペンウッド卿じゃないですか! -- 2012-12-31 16 37 08 メッチャおもしろかったー わがまま言うとゲスの群が壊滅するとこが見たかった -- 2011-08-12 07 20 11 かんどーですね -- 2011-07-09 01 15 16 めっちゃ面白かった!感動SSもいいもんだな -- 2011-03-08 11 38 35 このふらんはまりさとして生きるのかな -- 2010-11-01 15 08 15
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『全部漢字表記になった理由』 32KB 虐待 制裁 お願いします ゼミの友達から銀バッジれいむをもらった。 どうもいつも利用しているゆっくりペットショップでポイントが溜まり、 それでくじを引いたらあたったらしい。 かといってそいつはもうゆっくりを飼っているので、いらないかと言われたのが俺。 もともと興味はあったし、一人暮らしで話し相手が欲しかったのも確かだったので引き取ることにした。 「ゆっくりしてってね!」 「ああ、うん」 れいむと暮らして既に一ヶ月たつ。 れいむとの生活の感想は、まぁなんというか、微妙……だった。 れいむは銀バッジ、もちろん部屋を荒らすとか所謂ゲスな行為はしなかった。 性格もまぁ、たまに何かをねだってくるくらいで、それほどわがままというわけではない。 だから別に何かが気に入らないわけでも無いし、飼ったことを後悔しているわけではない。 「きょうはぽーかぽーかしてるね!」 「晴れてるからな」 ただつまらない。 どうも期待しすぎていたのかもしれないが、“こんなものか”感がいなめない。 だいたいれいむと話が出来るなんて言っても、人間相手ですら共通の話題が無いと会話が弾まないのだ。 ゆっくり相手との会話なんて、たかが知れている。 とはいえ別にこのれいむが悪いわけではない。 休みの日には趣味の散歩に一緒に連れてっているし、もちろん食事もしっかり与えている。 だからまぁ、このままなんとなくダラダラと飼い続けていくんだろうと思う。 「思ってたのになぁ……」 泥にまみれた部屋、何かを漁られた形跡はないが汚されている。 犯人は目の前にいる。 「おにいさん!しょうかいするね!れいむのだんなさまだよっ!」 「よろしくおねがいするのぜっ!!」 汚い身体のまりさ種がれいむの横にいる。 まぁそりゃ、そんな体で部屋歩かれたら汚れるよな。 「それにしてもゆっくりしすぎなのぜおにいさんっ! まりさはおぎょうぎよくまっててあげたけど、 もちろんそれなりのおわびはあるのぜ?」 「もう、まりさ!あんまりおにいさんをおどかさないであげてね!」 れいむは全く自分が悪いことをしたという自覚は無いみたいだ。 一応野良と関わるなっていつも言ってたんだけど。 「きいてるのぜ?ん?ん? ……いくらまりさがやさしいからって、あんまりかんちがいしないほうがいいのぜ?」 「も、もうまりさ!そんなにおこらないであげてね! おにーさんはいま、れいむたちのあかちゃんにむちゅうなんだよっ!」 れいむの頭からは茎が生えていて、実ゆっくりが数匹ぶら下がっている。 早いな、この異常な繁殖力は気持ち悪い。 もちろん勝手に子供作っちゃ駄目とは言っといたんだけど。 去勢しなかった俺が悪いのかな。 うーん、なんか腹が立つというよりは冷めた。 所詮こんなもんか。 うん――――捨てよう。 「いいかげんにへんじするのぜぇぇっ!!! おいっ!まりさはだんなさまなんだぜっ!?」 「ま、まりさぁ! ――――お、おにいさん?どうしたの? あいさつはちゃんとしようね?」 確かこの辺に――――あったあった。 換気のために窓を開ける。 買った時から一回も使って無いため、中身はタップリ入ってる。 でもこれゆっくり相手に効くのかな。 「ゆっがぁぁあっ!! これがさいごのけいこくっ!なのぜっ! これいじょうむしするならいたいめに――――」 「うっせぇ」 プシューと勢いよく殺虫剤がまりさに向かって噴出される。 バズーカノズルとか書いてあるだけあって、かなりの量が一気に飛び出る。 「ゆっがぁぎごぐるぎぃあがげげげげぶぶっべぇぇぐぐぐぐぃぃぃ!!」 「っ!!へぇ? ――――まりさあぁああああああああああっっ!!!!」 「おーおー、効いてる効いてる」 目をグルングルン回し、まりさが苦しんでいる。 なんだか気持ち悪い絶叫まで響かせて、髪の毛を振り乱しながらゴロゴロ転がる。 それにあわせて俺も殺虫剤を操作し、噴射し続ける。 まりさの動きがなんか面白い。 「ゆげげべえぎぃじだぐががががあっぁあ!だげぇぇぇ!!」 「しぶといなー、めんどくせぇ」 「あっ、あっ、へ、あっ!お、おにいさぁっぁあぁああんっ!! なにしてるのぉぉぉぉぉぉぉっ!?」 この期におよんで『何してるの?』は無いだろう。 しかし、コイツなかなか死なない。まぁいいや、全部使い切る感じでいこう。 転がるまりさの口にノズルを差し込む。 「ゆげげげっ、ごごっぉぉ!げへぇえ……あがぁ?」 「おにぃ……さん?やめて……くれたの? だったら、まりさにあやまってね……?」 まともな思考力があるのかどうかわからないが、涙でぐちゃぐちゃになった目で俺を見るまりさ。 自分の口につっこまれてるものが何か分かったのだろうか? それともただ苦しみから逃れたいと訴えてるのかな? まぁ、どうでもいいや。 「おら」 「ゆげぼぉぁああああああああああああ!!ぎぎぎぎぎぎぎぎい!!」 直接口から殺虫剤を体内に噴射されたことで、いままでで一番激しく悶えるまりさ。 とはいえ、饅頭の抵抗くらいさすがに抑えられる。 れいむが何か叫んでるけど、トリガーを離す気はない。 「ゆびびぃぎぃちぃ!ゆっびゅんぅ!びゅ!……びぃ!」 「ああああああああああっ!!あああああああああっ!! まりさがぁぁぁ!!!!ああああああああっっ!!!!!!」 やっとまりさがおとなしくなってきた。ビクンビクンと痙攣している。 絶叫しながら体当たりしてくるれいむがウザったいので取りあえずここまでにしよう。 ペットショップ育ちのれいむには刺激が強すぎたかな? 「なんでっ!なんでこんなことするのぉぉぉぉっ!!! れいむのだんなさまなんだよぉぉぉぉぉぉっ!?」 「いや、野良と関わるなって俺言ったよね?」 「ゆぐぅ! で、でもれいむはちゃんとおちびちゃんつくったでしょぉぉぉっ!?」 「はぁ?」 わが飼いゆっくりながら意味が分からない。 もしかしてあまりの状況に混乱してるのかな? 「いや、俺子供も作るなって何回も言い聞かせて、お前も理解したよ!っていってたじゃん」 「でもれいむのおちびちゃんはこんなにかわいいでしょぉぉぉぉっ!! ゆっくりできたでしょぉぉぉっ!!!それなのにまりさをぉぉぉっ!!」 ああ、そういことか。なるほどね。 自分の最高に可愛い子供を見せて癒してやったのに、夫に暴力をふるうとは何事だと。 そう言いたい訳ね。 で、子供は可愛いからお前とした約束なんて無効だと、そう主張するわけだ。 やっぱりゆっくりは訳がわからない。 「あーもういいよ、はいはい」 「いいわけないでしょぉぉぉぉぉっ!!! れいむはおにーさんのためをおもっておちびちゃんつくってあげたのにぃぃぃ!! おちびちゃんのかわいさをしらないおにーさんがかわいそうだからぁぁ!! それなのにぃぃ!!おんしらずぅ!おんしらずぅ!!」 恩知らずねぇ、よく言うよ。 大体俺のためって言うけど、自分が欲しかっただけだろうに。 よくここまで全てを自分に都合よく解釈できるな。 「俺のために子供を作ってくれたんだ?」 「そうだよぉっ!!ゆっくりさせてあげようとしたんだよっ!!! さっきもみとれてたくせにぃぃ!!!ばかぁぁぁぁっ!!!」 「ふぅん」 ちょっとだけイラっときた。 まぁそこまで言うのなら。ただ潰すのはやめよう。 その実ゆっくりでたっぷりゆっくりさせてもらおうじゃないか。 「じっとしてろよー」 「ゆっ、な、なにするのっ!? れいむにひどいことしないでねっ!!? おにーさん!?れいむあかちゃんいるんだよぉぉっ!?」 持ってきたガムテープで、れいむの下半分をグルグル巻きにする。 たしかこいつらあんよが動かないと移動できないんだよな。 『足焼き』なんて技術があるらしいが、俺には出来ないしメンドい。 「いだっ!いたいよおにいさんっ!!かわさんがひっぱられるよぉっ!! なんがねーばねーばしてるぅ!!やだよっ!!れいむはにげぇるよぉっ! いだいぃぃぃぃ!!あんよさんいだいぃぃ!!うごかすといだいぃぃ!!」 「あーあんまり動くと痛いからなー。だからじっとしてろって言ったろ? 俺の言うこと守らないからだぞー」 ゆっくりのやわらかい皮にガムテープなんか貼り付けたら、もう剥がせないだろう。 恐らく皮ごと毟りとることになるが、剥がすつもりはないので問題ない。 ちゃんと目的は達成できたらしい。 れいむがもがこうとする度に、痛みを訴えてくる。 念のため机にも固定しておくか。 「やめてねっ!やめてねぇっ!! ねーばねーばさんはもういらないよぉぉっ!!」 よし、これでもうれいむは身動き一つできないだろう。 下半身が茶色いガムテープで覆われたれいむ。 準備完了かな。 「じゃぁれいむちょっとまってろー」 「ゆえぇっ!!?まってぇぇ!まってぇぇええええええええ!!」 「ゆぐぅぅぅぅっ、ゆぇぇぇぇんっ!!」 どうしてこんなことになってしまったのか。 飼い主のおにーさんは待ってろといったが、動けない以上れいむには何も出来ない。 まりさと結婚して、たくさんすーりーすーりして、可愛いおちびちゃんが出来た。 今まで感じたこと無いくらいとっても幸せだったのに。 「あんよさんいたいよぉぉっ!!どうしてぇぇ……どうしてこんなことするのぉぉっ!」 おにーさんが『子供を作るな』とれいむに言ったのはちゃんと覚えている。 でもそんなこと言うのは、おにーさんがおちびちゃんを見たこと無いからなのだ。 可愛いおちびちゃんを一回でも見たら、そんなこと言えるはずがない。 だから、おちびちゃんを作っておにーさんに見せてあげたのに。 それなのにこの仕打ちは酷すぎるじゃないか。 「まりさぁぁぁ!まりさおきてよぉぉっ!!」 必死でまりさに呼びかけるもなんの反応も無い。 おにーさんの“ぷしゅーさん”をかけられて苦しんでいたまりさ。 その様子を思い出すと身体が恐怖で震える、まりさは死んでしまったのだろうか。 「ゆ、ゆぅ、おちびちゃんがゆっくりしてくれてるのだけがすくいだよぉぉ」 れいむから伸びる茎にぶらさがるおちびちゃんはみんなスヤスヤ眠っている。 よかった、まりさの悲鳴を聞いてゆっくり出来なくなってると思ったけど。 おちびちゃんに話しかけていたわけじゃないから、聞こえなかったみたいだ。 「ゆううぅぅぅ!!おにーさぁぁん!もうおしおきさんやめてよぉぉぉっ!! もうじゅうぶんでしょぉぉぉぉっ!!!」 れいむがこのまま動けないのでは、おちびちゃんたちを守ることが出来ない。 今の状態はおにーさんのお仕置きなんだろうが、やりすぎだ。 れいむは“にんぷさん”なのに。 ――――やっぱり抗議しよう。 おにーさんのためにも、自分が間違っていることを教えてあげないと。 心を鬼にしてちょっと厳しいことも言おう。 おにーさんならちゃんと反省してくれるはずだ。 「お持たせ」 「おにーさんっ!!おまたせじゃないよっ!! どういうつもりなのっ!?れいむは“にんぷさん”なのはわかってるんでしょ!? おちびちゃんがいるんだよ!?ねぇっ!きいて……」 戻るなりれいむがゆっくりにしては早口で説教してきた。 うん、ゼミの教授が行ってた通りだ。 こいつらかなり強烈な恐怖を覚えてもすぐ忘れちまうんだな。 まぁ別にれいむはもう捨てるし、反省させる必要ないから全然構わない。 それよりもさっそく実ゆっくりで遊ぼう。 「えーと、ここらへんでいいのかな」 「聞いてるのっっ!!!ねぇええっ!!おに――――。 何してるの……?おちびちゃんがかわいいからって触っちゃだめだよ……!? おいっ!ねぇぇっ!!やめろぉぉぉっ!!おちびちゃんにさわるなぁぁっっ!!」 そういやゆっくりって耳無いんだっけ。 仕方が無いので人間なら耳がある部分に、イヤホンのシリコン部分をねじ込んだ。 うお、顔歪めている。 口がまだ育ちきってないのかな、悲鳴は上げない。 かわりにれいむがデカい声だしてるけど。 「なにしてぇぇっ!!!なにしてるんだぁぁあああああああ!!! やめろやめろやめろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおっっ!!!!」 「いや、歌を聞かせてあげようと思って。 胎教にいいみたいな?まぁなんでもいいや」 「はぁぁぁぁっ!?」 実際こいつらなんかにはもったいない曲だけど。 手に持つ音楽プレイヤーをいじくる。 コイツは古いうえに安物なので、音量調整がかなりいい加減だ。 音量を最大にして流すと、マジで耳が壊れるんじゃないかって爆音が流れる。 まぁ、つまりそれを体験していただこうと思う。 「はやくそれをとれぇぇぇぇぇっ!!!きいてるのかぁぁぁぁっっ!!!」 「ではお聞きください、と」 再生ボタンを押す。 するとこの距離でも普通に聞こえるほどの大音量が、実ゆっくりの体内から響く。 『Ooh,baby,do you know what that s worth?』 「……!っ!っ!ぃ!」 「うるさぃぃぃぃぃっ!!なんだこのおうたはぁぁぁっ!! ゆゆううぅ!!おちびちゃあああああああああああんっっ!!」 「おお、すっげ、震えてる震えてる」 Belinda Carlisle『Heaven Is A Place On Earth』 俺のお気に入りの曲だ。 勝手に、生まれるゆっくりに語りかけていると思って聴くと、なかなかに皮肉だ。 まぁ“本ゆん”は曲を楽しむどころじゃなくて、爆音にあわせて体が不自然な振動を起こしている。 『Ooh,heaven is a place on earth』 「ぃ!!っ!!っ!!!」 「あああああああああああああああああああ!!! おちびちゃんおちびちゃんおちびちゃぁぁぁんっっ!! とめろぉぉぉおぉっ!!このおうたをとめろぉぉぉお!!!」 「うおっ、目から黒いの出てきた」 涙に体内の餡子が混ざったのだろうか。 ドロドロした黒い液体が目から流れている。 身体のほうも中で何かか爆発しているかのように、膨らんで元に戻るを繰り返している。 顔見るだけでここまで苦しみが伝わるってのもすごいな。 ヤバイ、ちょっと面白いかも。 『They say in heaven love comes first』 「――――っ!ぃぃぃぎぃぃぎぃい!!」 「おおっ!!!」 「おちびちゃぁぁぁんっ!おくちがぁぁ!ああああああああっっ!!」 暴力的な音の余りの振動におくちが耐えられなかったらしく、一気に裂けた。 そこから、未熟な声帯を通して気色の悪い悲鳴が出てくる。 おちびもそうだが、れいむの形相はもっとすごい。 目玉が飛び出すんじゃないかと思うくらい見開いて絶叫している。 『We ll make heaven a place on earth』 「ゆびちちちちちぃぃぃ!!ぎちぃぃぃぃ!!」 「あぁあああっっ!!おちびちゃあぁぁああん!! あんこさんはいちゃだめだよぉぉぉっっ!!!!」 「あっははっはっ!!」 違うよれいむ。 餡子を吐いてるわけじゃなくて、どんどん裂けていく口からこぼれていってるんだよ。 まぁたいした違いはないか、このままだと死んでしまうことはかわらない。 ここに来てやっと実ゆっくりが、お尻をブルンブルン振って抵抗し出した。 無駄だし遅すぎる。 この歌のようにほんとうに楽園があると信じ、愛で満たされていると思っていたのだろう。 残念、ツイてなかったね。 『Ooh,heaven is a place on earth』 「ぴゃっ!!!」 「ゆっ!!??――――どうしておちびちゃんがはれつしちゃうのぉぉぉぉっ!!」 「おおっ」 プシャンッ!と空気が抜けるような音がした。 体中の皮がひび割れ、おくちはどんどん裂けていった実ゆっくり。 最後は目玉が飛び出し、おくちは上下に分裂し、餡子を飛び散らせた。 身体がバラバラになってやっとイヤホンが外れる。 上半分は餡子の雨を降らせている。 「なかなか予想外でよかったわ」 「はぁああああああああああああ!? なにいってるんだぁぁぁっ!! ――――いぃ!? なんでおちびちゃんとっちゃうのぉおおぉぉっ!?」 とりあえず、次のヤツを色々するのに邪魔なんで毟り取る。 れいむうるさいなぁ、死んでるのは見ればわかるだろうに。 しかし、簡単に破裂したなぁ。 音だけじゃなくて、自分で暴れてたからさらに皮に負荷がかかって耐えられなくなったのかな。 まぁ楽しかったから何でもいいや。次行こう。 「ゆっくりごろしぃぃぃ!!げすぅぅ!! げすぅ!!!おんしらずのゆっくりしらずぅ!!!」 「つぎはれいむ種……か」 二番目のゆっくりは小さな身体に、これまた小さなおリボンがついてる。 こいつらって確か親が自分に話しかけている言葉は聞こえてるんだよな。 生まれる前から『可愛いゆっくりできる』と言われまくってるから、 調子に乗ったまま降りずに生まれてくる固体が多いと聞いたことがある。 ――――試してみますか。 「へんじしろげすぅぅ!!れいむはかいゆっくりだぞぉぉっ!! ぎんばっじなのしってるだろぉぉぉっ!!!!」 「ちっさっ!けっこう難しそうだな」 糸きりバサミを手に、実れいみゅのおリボンをそっと掴む。 もちろん、バラバラに切り刻むためだ。 「えいっ」 チョキンと、簡単にリボンは切ることができた。 後は現状を実ゆっくりに伝えるだけなんだけど――――。 「あああああああああああああっっ!!!??? れいむのかわいいおちびちゃんのりぼんさんがぁぁぁっ!! きれちゃったよぉぉぉおぉぉっ!! これじゃゆっくりできないぃぃぃぃぃ!!!!」 いいね、代役ご苦労。 れいむが『リボンが切れた』と言った瞬間、それまで安らかにスヤスヤしてた顔が、 一気に苦悶の表情に変わり、プルプルと震えだした。 どうやらちゃんと聞こえているようだ。 「おっとっと、あんまりあばれるとおちびちゃんまで切れちゃうぞ?」 実れいみゅの身体は傷つけないように、ちょっとずつお飾りとついでに髪の毛を細かく刻んでいく。 「やめろぉぉぉぉっ!!おちびちゃんのりぼんきるなぁぁぁぁっ!! ああああっ!!そんなにばらばらにしないでぇぇぇぇぇっ!!! ああああああああ!!ばらばらになっちゃったぁぁぁっ!!」 『バラバラになった』の所で実れいみゅがビクンと痙攣した。 なまじ目が見えていないせいで、余計に不安なのだろう。 顔がどんどん険しくなっていく。 「次ははもみあげかな」 「あっああああああっ!!!おちびちゃんのおかざりがぁぁぁっっ!! こわれちゃったよぉぉぉおおぉ!!!もどしてぇぇぇぇ!! もどしてぇぇぇぇぇぇえっっ!!!! これじゃおちびちゃんがゆっくりできないよぉぉぉぉっ!!!」 「ゆぃ……っ!きぃ!」 「おっ!」 不安が限界を超えたのか、実れいみゅの口がかすかに開いた。 親から『ゆっくり出来ない』なんて突然言われたら、そりゃ怖いだろう。 何かを懇願しようとしてるのかな?れいむがうるさくて聞こえない。 まぁいいや、もみあげだもみあげ。 「おいっ!おいおいおいおいぃぃっ!! おちびちゃんのもみあげをどうするの……? ねぇ……おいっ……やめっやめろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 「よっし、じゃぁ左も切るよー。はいジョキン」 「ああああああああああっっ!! なくなっちゃったぁぁぁぁ!!! おちびちゃんのもみあげがなくなっちゃったよぉぉぉっ!! もどしてえぇぇ!!ゆっくりしないでなおしてぇぇぇっ!!」」 お飾りと違って、痛みはないが切られている感触があるのだろう。 一応からだを振って弱弱しく抵抗していた。まぁ無駄なんだけど。 れいむの絶叫に合わせて、残ったもみあげも切り落とした瞬間だった。 「っぃい!」 「うおっ!!」 実れいみゅがいきなり両目をカッと見開いたので思わず驚いてしまった。 見るからに無理やりまぶたを開いたようで、少し千切れてしまっている。 そこまでするほど、不安になったのか。はっはっは。 涙でぐちゃぐちゃの目玉がギョロギョロと動いている。 「おちびちゃんぅぅ!! くそじじぃぃっ!! おかざりもとにもどせぇぇっ!! もみあげさんなおせぇぇぇっ!!」 実ゆっくりにしては結構激しくぶりゅんぶりゅんと身体をゆすっているれいみゅ。 折角目を開けてくれたんだから、自分のリボンともみあげだったモノを見せてあげようか。 「見えるかな?こんなんなっちゃったよ」 「ゆぴぃぃぃぃっ!」 「おー、鳴いた鳴いた」 おそらく実れいみゅにとっては精一杯の大口を上げて、悲鳴を上げる。 涙してるから泣き声だと思うけど、ひょっとしたら怒ってるのかな? 「おちびちゃぁぁぁん!なかないでぇぇ!! だいじょうぶだからぁぁぁっ!!! おかざりももみあげさんもなおるよぉぉぉっ!!!」 どうやら悲しんでいるらしい。 うーん、餡子を吐いて死ぬにはまだ至らないらしい。 もう少しだと思うんだけど。 「えー、お飾り治らないと何かマズイの?」 それを聴いた瞬間れいむが涎を撒き散らしながら、俺にキレた。 うん、ゆっくりごときとはいえ、思惑通りに動いてくれると気持ちいいね。 「なにいってんだげすじじぃぃっ!!あたりまえだろぉぉぉっ!!! おかざりがないとぜったいゆっくりできないんだよぉおぉぉっ!! みんなからばかにされちゃうでしょぉぉぉっ!!いじめられちゃうよぉぉっ!! せいさいされちゃうかもしれないんだよぉぉぉっ!!」 「……ゅっあっ!」 「そっか、お飾りが無いこのれいみゅは制裁されちゃうのか」 「おまえのせいだろぉぉぉぉぉっ!!!」 実れいみゅのほっぺたが、少し膨らんできている。 これは後一押しかな?なんだかワクワクしてきた。 「でもさぁ、もみあげは無くても大丈夫じゃないの? 何かにつかうの?」 「ゆぅがぁぁぁぁ!!ばかすぎるでしょぉぉぉおっ!! もみあげさんはっ!!おちびちゃんをなでてあげたりぃっ! “けっかい!”をつくるのにひつようなんだよぉぉぉぉっ!! もみあげさんがなきゃなんにもできないでしょぉぉぉっ!!」 プルプルと実れいみゅの身体が震えている。 自身の母親から絶望的な将来を丁寧に説明して貰うなんて体験、めったに出来るものじゃない。 赤ゆっくりじゃ耐えられないだろう。 「もみあげもおりぼんさんもないんじゃゆっくりできないよぉぉぉっ!! かわいそうなおちびちゃんぅぅぅ!!! ひどいよぉぉぉお!!!げすじじぃは―――――」 「ぶっ!べろろろろろろろろぉぉぉぉぉっ……」 「っしゃぁ!」 ついに母親からの責め苦に耐えられなくなったこの実ゆっくり。 おくち――というより餡子の圧力に耐え切れずあいた穴から、すごい勢いで餡子を吐き出した。 まるでダムを爆破したみたいだ。 思わずガッツポーズなんてしてしまった。 「あああああああああああああっ!!! おちびちゃんぅぅぅ!!!なんであんこさんはいちゃったのぉぉぉ!!」 実ゆっくりもストレスで死ぬのか。かなり面白かった。 自分でも驚くくらいテンションがあがっている。 なんかれいむ飼ってるときより全然楽しいわ。 「くそじじぃぃぃ!!ぜったいっ!!ぜったいゆるさないよぉぉおっ!! おまえはぁぁぁ!おまえぇぇはぁぁ!!!」 れいむが怒鳴ってくる、実れいみゅが死んだ原因の半分はお前なんだけどな。 まぁ別にれいむに関してはもうどうでもいい。 それより―――― 「ゆーじょ、ゆーじょ。ずーりずーりぃ……。 までぃざばゆっぐりにげるのぜぇ……。 しにだぐないのぜ……いまのうちなのぜ……」 満身創痍――というかほとんど死体みたいなまりさが這いずっている。 本当にしぶといなー。 「まりさ?どこに行くのかな?」 「――ゆひぃっっ!?」 「まりさっ!?まりさなの!? まりさぁぁぁぁ!!!たすけてぇぇぇぇ!!!」 テーブルの上に固定されてるれいむからじゃ、まりさの姿は見えない。 だからこそ、『助けてくれ』なんて見当違いなこといってるんだろうけど。 俺に声をかけられただけで、しーしーを漏らしながら怯えるまりさ。 汚いなぁ、砂糖水とはいえ床がベタベタになるじゃないか。 「ゆひぃぃぃぃぃぃぃ!!にんげんざぁんっ!! ごめんなざいぃぃ!!みのがじでぐだざいぃぃ!!」 「えー、どうしようかなぁ」 「ま、まりざは!そっちのれいむにだまざれたんですぅぅ!! ほんとうはいやだったのにぃ!むりやりぃ!!!」 「どうじでぞんなごどいうのぉぉおっ!!ばりざぁぁぁぁっ!!!」 バレバレの嘘をつくまりさ。 なんかこれが通用すると思っているのがすごい。 さっきはあんなに強気な態度だったのに。 「ふーん」 殺虫剤を手にとる。 別に俺にとってまりさの事情はどうでもいい。 さっきのが本当だとしてもまりさを殺して捨てるのは変わらない。 だが、殺虫剤のスプレー缶を見たまりさの反応はすごかった。 「まってくださぃぃぃ!!まっでぇぇぇっ!! まりざはぁぁ!まりざはいままでおいしいごはんさんをぉっ! だべたごとながったんですぅぅ!!」 「ほうほう」 いきなり身の上話をするまりさ。 俺の同情を引きたいのかな? そんな感情は全くわかないけど、ちょっと面白いから好きにさせてみよう。 「いっづもいっづもにがいくささんでぇぇっ!! ぜんぜんゆっぐりできないんですぅぅ!!! おそどはさむいさむいだしぃぃ!!!」 「あーはいはい」 なんかスゲーありがちな話だわ。 目新しさが無い。 「それでぇっぇっ!それでかいゆっくりはゆっくりしてるってきいたからぁぁ!!」 「だかられいむに近づいたのか」 「はいぃぃ!!おにーさんもとってもやさしいってれいむにきいたからぁぁ!」 「うん、よくわかったよ」 期待に満ちた目でまりさがこっちを見る。 その目に向かって、殺虫剤の、まりさにとっては命を奪う銃口を向ける。 「やめてやめてやめてぇぇぇぇぇっ!!! “ぷしゅーさん”はゆっぐりできないぃぃ!! なんでぇぇぇぇ!?まりざしょうじぎにはなじだのにぃぃ!!」 「だからちゃんと聞いて、終わるまで待ってあげたでしょ? もういいよね、死のうか」 「やだぁぁぁっっ!!!それくるしいんですぅぅ!! たくさんたくさんくるしいんですぅぅぅ!!!!」 アレだけのたうち回っているのを見せられれば分かるよ。 今も頭を何回も下げて必死だもんね。 ふふっ、ホント。これはクセになりそうだ。 「じゃぁ3数えたら発射するからね。いーち」 「ゅゆっ!?まっ、まっでまっでまっでっまっでぇぇ!!! どうじでぇぇ!!!ごんなにあやまっでるのにぃぃ!!」 キョロキョロと辺りを必死で見回している。 都合よく助けてくれる存在を探しているのかな? それとも逃げ道かな? 「にーぃ」 「あっぁっぁっ! ――――ま、まりしゃこーろこーろしゅりゅよっ!! こーりょこりょ!こりょりょんっ! の、のーびのーびもこんにゃにできりゅよっ!のーびのーびぃ!」 「ぶふぅっ!!」 いきなり赤ゆっくりみたいな言葉遣いするから吹いちゃったじゃないか。 恐怖の余りに幼児退行――――ってやつかな。 幸い可愛さアピールに必死のまりさには気づかれなかったみたいだけど。 「まりしゃおうたもじょうずなんだよっ! まっ、まーりーしゃはーゆっくりぃー。 とーってもゆーくりしてーるのぜぇー」 必死におうたまで歌い始めた。うんヘタだ。 「さーん」 「ゆっ!ゆぅぅ!ゆぅぅぇぇぇぇえっっ!! ま、まりしゃはぁぁっ、えっとぉぉ、えっとぉぉっ! まりしゃぁはぁ!!ゆっくちしたいんでしゅぅぅ!! もっともっとしあわせー!したいんでしゅぅ!!」 「いくよー」 「ああああぁぁぁぁあっ!! ――――ゆっくちさせてぇ……」 まりさの絶望で真っ黒になった瞳を見ながら、殺虫剤を噴射した。 「ゆげちゃぁぁがあぎぐゆぐゆぎぎぃぃぃ!!!」 悲鳴は一度噴きかけた時と変わらない。 だが、暴れ方は大人しい。 もうボロボロだったのだろう、そんな身体でよく命乞いが出来たものだ。 きっと本当に死にたくなかったんだろう。 顔がニヤけてくる。 「ゆぎっがぁぁっ!がぁっ!……ぐっ! ……っ!!……!……」 十秒ほどかけたところで悲鳴が止み、それから五秒ほどで痙攣が止まった。 今度こそ死んだかな? まぁいいや、死んでなかったらもう一回やるだけだ。 ――――死ねてるといいね、まりさ。 「ゆっふぇぇ……ゆぇぇぇ……」 静かだなと思っていたら、れいむは耳にあたる部分をもみあげで押さえながら震えて泣いていた。 どうやらまりさの絶叫に耐えられなくなったらしい。 まぁそりゃ夫があんなことされてたら怖いよな。 「れいむ」 「っっ!ひぃぃぃぃ!! お、おにいさぁぁぁあん!!ごめんなさいぃぃ!! れいむにはひどいことしないでくださいぃぃ!!!」 すっかりビビっちゃってるな。 まぁこっちのほうが都合がいいかな。 「うんわかった。じゃぁかわりに最後のおちびちゃんにヒドイことするね」 「ゆっ!?だ、だめですぅぅ!!さいごのおちびちゃんもだめですぅぅ!! ゆるしてくださいぃぃぃ!!!おねがいですぅぅ!!!」 「えー?だってれいむも俺の言うこときいてくれなかったじゃん。 勝手にまりさ家に入れるし、おちびちゃん作るし」 「そ、それはぁぁ!!ごめんなさいぃ!! でもでも、おにーさんがよろこぶとおもったんですぅぅ!!」 まぁなんでもいいけどね。 れいむを反省させるのが目的じゃないんだし。 「よっと」 「ああああああああああああっっ!!! くきさんとらないでぇぇぇぇぇっ!! もどしてぇぇ!!もどしてくださいぃぃぃ!!! おちびちゃんがしんじゃうよぉぉぉぉっ!!!」 最後の一匹となった実ゆっくりがついた茎をれいむから抜き取る。 抜いた瞬間、餡子の供給が絶たれたせいなのか、やはり顔が歪む。 うちの教授が言っていた。 茎を抜いても、すぐ別の固体に差し替えればちゃんと生まれてくると。 ――――それが死体でも平気なのかな? 「よいしょっと」 「ゆやあああああああああああっっ!! ゆっくりできないぃぃぃぃぃ!!!!」 まりさの死体をれいむが固定されているテーブルに置く。 それだけなのにれいむが騒ぎ出した。 ああそうか、死臭を感じ取れるのか。 「はいはい、ゆっくりしてってね」 「ゆっくりして――――どぼじでくきさんをまりさにさすのぉぉぉっ!!!」 それが目的ですから。 まりさの死体にしっかりと茎を刺して固定する。 苦しそうに歪んでいた実ゆっくりの顔が、なんとなく和らぐ。 死体でも大丈夫っぽいな。つまらない。 「おにぃさんぅ!おにぃさんおねが――――」 「このまま。 このままれいむが騒がなかったら、このおちびちゃんが生まれるまで俺は何もしない。 いいかれいむ、しゃべるな。そうすればおちびちゃんは無事生まれてくる」 「ゆぅ…………ゆっくりりかいしました」 とりあえず生まれてくるまでは待つつもりなので、その間れいむが騒ぐと面倒なので約束させる。 れいむにしても先の二匹のように潰されるよりはと、考えたんだろう。 「じゃぁれいむ、いまからしゃべるなよ?」 コクコクとれいむが頷くのを確認する。 「ふぅ……」 ――――ちょっと燃え尽きた感じかな。 あー、部屋片付けないとなぁ。 荒らされなかったとはいえ床にはところどころ泥がついてる。 高かったテンションの反動が一気に来る。 あの実ゆっくりが普通に生まれてきたらつまらない。 とはいえ、育たずにただ死ぬだけというのも面白みが無い。 まぁいいや。どうなるかは明日になれば分かる。 「ゆっぎやぁぁあああああああああ!!」 れいむの尋常ではない叫びに起こされた。 昨日は部屋をきれいにした後、そのまま寝てしまった。 とりあえず、れいむがいる部屋に行こう。 「ゆあぁああああああああああっ!!ああああっ!!」 「なんだ、生まれてるじゃん。 ――――ってああ、足りないゆっくりってやつか」 「ゆっ……あっ……ゆああぁ」 生まれたばかりの赤ゆっくりがいた。 目は半開きで、おくちといより、無数の小さな穴が顔に開いている感じ。 髪の毛も全然生えていないし、れいむ種みたいだけどお飾りも全然形になっていない。 まるで全身の皮が一度溶かされたような姿をしている。 足りないゆっくりっていうのは聞いたことはあるが、見たのはコレが初めてだ。 全部ここまで気持ちの悪い外見なのか。 「れいむのおちびちゃんがぁぁぁ!!」 「はいはいそうだね、足りない子で――――」 「どうしてしんじゃってるのにうごいてるのぉぉぉぉぉ!? こわいよぉぉぉっ!!ぞんびだよぉぉぉぉぉおっ!!!」 「は?」 死んでいる? いやいや、普通に動いてるけど。 赤ゆっくりを見ようとして、苗床のまりさの死骸が目に入った。 そうか――――死臭か。 「こっちくるなぁぁぁぁ!!おばけぇえぇぇ!!!!」 「なるほどね」 死臭たっぷりの餡子を栄養に育ったこのれいみゅは。 生きながら死臭がするようになったわけだ。 すごいな、まさかこんなことになるなんて。 「ゆっ……びぃ……あああ」 「ゆひぃぃぃ!!はなれろぉぉぉぞんびぃ!!くるなくるなくるなぁぁぁ!!!」 それにしてもゾンビとは。 確かに口を半開きで、うめき声を上げながらグズグズの皮でれいむに近づく様子はそのまんまだ。 やっぱり死体の餡子だと栄養が足りなかったのかな? 今度教授にでも聞いてみよう。 「やめろやめろやめろやめろぉぉっ!! どっかいけぇ!!ぷくーするぞぉぉぉっ!!」 「おいおいひどいぞれいむ。甘えているだけじゃないか」 赤ゆっくりが母親に甘えるのは当然だ。 目がまともに見えてるのかどうかは知らないが、とりあえずれいむが母親だと分かったんだろう。 のろのろと這いずりながられいむに近づいていく。 うん、確かに不気味だ。 「ゆあぁ……おが……ゆっぐ」 「おおっれいむ!おちびちゃんとの初すりすりだな」 「ゆひぃぃぃっ!!」 ついに死臭がするれいみゅが、母親のもとにたどり着いた。 そのヌメヌメした感じの肌をれいむにこすりつける。 「やめろぉぉぉ!!れいむにぃ!さわるなぁっ!!」 「ぴゅっ!!」 「あっ――あーあ、やりやがった」 やっとの思いで母親にたどりついたれいみゅを、自身のもみあげで殴り飛ばしたれいむ。 グジュンと不快な音とともに、れいみゅの身体は簡単に崩壊した。 「子殺しとか最低だな」 「こ、こんなのれいむのおちびちゃんじゃないよぉぉぉぉっ!! おちびちゃんのぞんびだよぉぉぉぉおっ!!! だかられいむはわるくないよぉぉぉおぉおっ!!」 「あーはいはい」 本当はもう少しあのれいみゅで遊びたかったけど仕方が無い。 終わりにするか。 「じゃ、れいむ。お前も捨てるから潰すな」 「ゆへ……?な、なんでぇぇぇぇ!!?? なんでれいむがつぶされちゃうのぉぉぉお!? れいむはかいゆっくりなんだよぉぉぉおっ!? ぎんばっじさんなんだよぉぉお!?」 まぁ納得するなんて思ってなかった。 「…………」 そうだな、一応一ヶ月間一緒に生活した義理もある。 少しくらい説明してやるか。 「れいむ、違うよ。 お前は飼いゆっくりでも銀バッジでもないよ」 「はっぁあぁぁ!?わけわから――――」 「俺の言いつけを守らなかった時点で、 飼いゆっくりでもバッジ付きでも無くなったんだよ」 「ゆ……え?」 れいむがこんなことしなければ、本当に俺はあのまま飼い続けるつもりだった。 「でもでもおちびちゃんはゆっくりできるんだよぉぉっ!? おにーさんだってぇ!!」 「俺は出来ないよ、だからダメって言ったの」 「ゆっぐぅ!そ、そんなのおにーさんがわるいでしょぉぉ!?」 「そうかもね、そうかもしれない。 他の人なら許してくれたかもね。でも俺は許さない。 だから俺に飼われている以上は、約束破ったらだめだったんだよ」 「ゆぐぅぅぅ、そんなのぉぉぉっ!そんなのぉぉ!」 れいむがギリギリと歯軋りの音を立てる。 「でもぉ、おにーさんはれいむといっしょにゆっくりしてたでしょぉ?」 「いやさぁ。 それなんだけど、そうでもないんだよなぁ。 こればっかりはれいむが悪いっていうか、考えなしに飼った俺が悪いんだけど」 「そ、そんなぁああああああああっ!! たくさんっ!おはなししたでしょぉぉ!?」 「いやー、全然会話覚えて無いわ。 確かに俺が夢中になるほどれいむが可愛かったら、少なくともれいむと子供は許してたかもね」 「そんなの、そんなのひどいよぉぉぉぉっ!!」 酷い……か。 まぁその通りだな。飼い主としては最低かもしれない。 だけど――――。 「悪いけど今の世の中のゆっくりの扱いなんてそんなもんだ。 同じ種類なのに、野良で死と隣り合わせの生活したり、 最初から人間に食べられるために生まれたり、飼われたりする。 全部人間の都合だよ」 「ううぅ……ゆえぇぇっ」 「だからまぁ、運が悪かったんだな。れいむは。 ツイてなかったんだよ」 「やだよぉぉぉ……れいむしにたくないよぉおお」 人間の都合で生死が決まるなんて話しても納得できないのは当然か。 「れいむいなくなったらおにーさんひとりになっちゃうよ……? そしたらゆっくりできないでしょぉ?」 「ん、じゃぁ新しいれいむをちゃんと買うよ。 次は金バッジのやつ」 「それはれいむじゃなくてれいむでしょぉぉぉぉっ!!!」 「はははっ、わけわかんねぇ」 まっ、所詮俺の自己満足か。 でも不思議なくらい罪悪感が沸かない。 むしろれいむがどんどん絶望していくのが、楽しい。 ゴミ袋の口を広げる。 「じゃあお別れだれいむ。 もちろん出来るだけ苦しまないようにしてやるから」 「やだぁっぁぁあ!!やだよぉぉぉぉっ!!!」 「あんまり動くと一回で死ねないかもよ?」 「ゆえぇぇぇ……」 とはいえガムテープで下半分を覆われているれいむ。 たいして身動きが取れるわけではない。 「ゆぅぅぅっっ……」 「まぁ、じゃあ来世は幸せになれるといいね」 満面の笑みが浮かんでいるであろう俺の顔を見て、れいむもやっと助からないのを悟ったらしい。 最後の悪あがきだった身体を揺することを止める。 「おにーさんはれいむがきらいだったの……?」 「いや?嫌いじゃなかったよ?好きでもなかったけどね」 「ゆえぇぇぇぇっ!!!」 また泣き出す。もう“おにーさん”じゃないんだけどね。 「じゃぁぁっ!!じゃぁぁ!!おにーさんにとってぇ! れいむはぁ!!れいむはなんだったのぉぉっ!? なんのいみがあったのっ!? れいむがおにーさんといっしょにゆっくりしたせいかつはぁっ!!? なんだったのぉぉっ!?」 最後の力を振り絞るようなれいむの叫び。 少し考えて、片足を振り上げる。 最後に妙なことを言うなぁ、れいむとすごした日々の意味か。 ――――ぶっちゃけどうとも思っていないんだけど。 今振り返ればそうだなぁ。 片足を思いっきりれいむに振り下ろす。 「タイトル参照」 最後までお読みいただきありがとうございました。 過去作 anko4095 『てーとまりしゃ』 anko4099 『てーとまりしゃとれいみゅのおとーさん』 anko4122 『てーとありしゅのおかーさん』 anko4126 『choice』 anko4203 4204 『てーと野良と長雨 前・後編』 ※オチについて 鬼意惨です
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みなさんはゆっくりがおそれるゆっくりをどこまで知っているだろうか ゆっくりれみりゃ?メジャーですね ゆっくりふらん?それもメジャーですね れてぃ?ゆゆこ?それも比較的有名ですね ですが、ゆっくりがれみりゃ以上におそれるゆっくりがいます。 そいつの名は・・・・ 恐るべきゆっくり 「ゆ~~、ゆ~、ゆ~~~~~~!!!」 「「「ゆ~~、ゆ~、ゆ~~~~~!!!」」」 れいむ親子の音痴な歌がれいむ親子のお家に響き渡る。 ここはドスが治めるゆっくりの群れである。れいむ親子はドスの群れに所属するどこにでもいる ゆっくり家族であった。 夫のまりさは今は狩りにいっており、妻のれいむは子供たちとゆっくりできるお歌 の練習をしている。 「ゆっゆっゆ~~~~~~」 「「「ゆっゆっゆ~~~~~~」」」 雑音がようやくフィナーレを終え、れいむは子供たちを褒め称えた 「ゆ~~ん、さすがれいむとまりさのおちびちゃんだよ!! とてもゆっくりできるおうたさんだったよ!!」 「ゆん!!とうぜんだよ!!れいむはぷろのあーてぃすとなんだよ!!」 「れいみゅおねえちゃん、とてもおうちゃがうまっきゃったよ!! れいむのあきょがれだよ!!」 「さすがまりさのいもうとだよ!!」 家族はにぎやかにとてもゆっくりできたよと誉めたたえあった。 特に長女れいむはゆっくりからしたらとても歌がうまく、皆の歌姫であった。 群れのゆっくりからは将来の歌姫だよ!!と期待を寄せられていた。 「ゆっくりただいまだよ!!」 家族がわいわくと談話していると一家の大黒柱である親まりさが帰ってきた。 口は大きく膨らんでいる。どうやら今日は大漁だったようだ。 「「「ゆわ~い、おとうさんおかえりなさい!!!」」」 子ゆっくり達は父親の姿を見るや否や親まりさへと駆けて行った。 親れいむも夫であるまりさに微笑みで返した。 「おかえりなさいまりさ!!かりはじょうじょう?」 「もちろんだよ!!まりさはもりいちばんのかりうどさんなんだよ!!」 そうまりさが返答すると、口を大きく開け今日の狩りの成果を広げた。 出てきたのは食べられる山菜やキノコなどなどゆっくりから見れば御馳走の山だった。 「「「ゆわ~~い、ごちそうがいっぱいだよ!!」」」 大はしゃぎする子ゆっくり達。三匹とも美味しそうな御馳走に我先と駆けだしたが 親れいむが子供達を止めた。 「だめだよおちびちゃんたち!!ちゃんとわけてからね!!」 そういうと親れいむは均等になるように御馳走の山を分けて行った。子ゆっくり達も納得し、 率先して母の手伝いを始めた。実に微笑ましい光景であった。 そうこうしているうちに配分が終わり、一家はきれいに整列した。 「それじゃあおちびちゃんたち!!きょうもがんばってかりをしてきてくれたおとうさんに ゆっくりおれいをしてからいただきますをしようね!!」 「「「ゆ!!ゆっくりわかったよ!!」」」 子ゆっくり達は親まりさの方を向いた。 「「「おとうさん!!きょうもおいしいごはんをありがとう!! ゆっくりいただきます!!!」」」 「「ゆっくりいただきます。」」 親ゆっくりのいただきますを皮切りに御馳走の時間が始まった。 美味しそうな木の実にキノコ、山菜、どれもゆっくりにとっては御馳走であった。 ただ一つ、長女れいむのごはんに白い木の実があった。 「ゆ?」 長女れいむは今まで見た事もない白くて大きな木の実に気が付き父に聞いた 「おとうさん!!このしろいしろいさんはなぁ~に?」 「ゆ?それはね、おとうさんがにんげんさんからもらったごはんだよ!! むかしにね、それとおなじようなごはんがあったんだけどねもうどくがあったんだよ!! でもね、このしろいしろいさんはおとうさんがどくみをしたからだいじょうぶだよ!!」 長女れいむはそれを聞いて安心し、おそるおそる口に含んだ 「む~しゃ、む~しゃ・・・・・し、しあわせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! ヘブンじょうたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 長女れいむはあまりのおいしさに飛び跳ねながら叫んでいた。 「おちびちゃん!!おしょくじちゅうにおぎょうぎわるいことしちゃだめでしょ!!」 親れいむは長女をたしなめようとしたが、聞く耳持たずだった。 あまりに革命的なまでにおいしかったのだろう。 「ゆぅ~~、おねえちゃんだけじゅるい!!れいみゅもたべちゃいぃぃぃ!!」 妹れいむが駄々をこね始めた。だが、あの白い木の実はすでに長女が平らげてしまっていた。 親れいむはどうにかしてなだめようとしたが、耳に入る様子もなかった。 「しょうがないね!!あしたおとうさんがにんげんさんからまたもらってくるから がまんしてね!!」 親まりさがそういうと妹れいむはピタっと泣きやみ大喜びで跳ね始めた。 「ゆぅ~~、まりさも!!まりさも!!」 長女まりさも欲しがっていたようだ 「しょうがないね!!みんなの分をもらってくるよ!!」 「「「ゆわ~~い!!おとうさんだいすき!!」」」 子ゆっくり達は皆大喜びであった。 かくして一波乱食事は終わり、辺りを片づけた後皆床に着くことにした。 「それじゃあ、ゆっくりおやすみ!!」 「「「「ゆっくりおやすみなさい!!!」」」」 家族はそれぞれのベッドに健やかな眠りにつき始めた。 ベッドといっても枯れ葉や落ち葉を敷き詰めたものなのだが。 「ゆぴー、すぴー」 「しろいしろいさん・・・・れいむにたべられ・・・・」 「まってねぇ~~・・・・」 子ゆっくり達は皆幸せそうに寝ていた。 一方そのころ、とある暗い所で新しい命が誕生した。 「・・・・・・・」 ソレは辺りを見回し始めた。黒くて生暖かいものが辺りに敷き詰められていた。 否、自分が埋まっていたのだ。 ソレは本能的に分かっていた。ご飯だ。 ソレは生まれたばかりの小さな口を小さくあけ、少しずつ食べ始めた。 本当にほんの少しの量を何度も回数を分けながら食べて行く。 少しずつ食べて行くと腹はさすがに満たされ、ソレは生まれた所から少しずつ移動を始めた。 「・・・・・・・」 目の前にあるご飯をかき分けながら進むと自分と同じ生き物がいた。 ソレは本能的に分かった。あれは自分の姉妹だ。 ソレは少しづつ姉妹に近づいて行った。姉妹の方も気づいたらしく、自分の方へと寄ってきた。 少しずつ、少しずつ。 そしてお互いが頬ずりが出来る位近くにたどり着いた。 ソレと姉妹はさっそく信頼の頬ずりを始めた。 あまり空間がないのにも関わらず、姉妹は器用に頬ずりをしていく。 そして本能が呼びかける。子孫を残せと 姉妹の方も本能の呼びかけに答えたらしく、ゆっくりと後ろを向いた。 どうやら「受け」をやってくれるようだ ソレは姉妹と交尾を始めた… 1時間後、姉妹の腹は非常に大きく膨らんでいた。 ソレは交尾の成功に満足したのか少し眠りについた。 さらに数時間後、ソレは目が覚めると姉妹のお腹はさらに膨れ上がっていた もうそろそろ頃間であると本能が語り始めた。 ソレは姉妹にそろそろだという事を伝えると姉妹は適当な空間に生殖器を向けた。 姉妹は体に力を入れ始めた。必死に力を入れているのが見て分かるぐらいに顔を歪めていた。 そして ぼん!!ぼん!!ぼん!! 姉妹は空間目掛けて何かを自分の生殖器から射出した。 それは非常に早く何か良く分からなかったが白い物体にであるように見えた。 ぼん!!ぼん!!ぼん!! 姉妹はまだ射出を止めない。腹の中にそれだけ大量の物が詰まっていたのだろう、今だに止む気配がない 結局、射出が止まったのは100個ほど飛ばしてからだった。 朝、ゆっくり一家はゆっくりと目を覚ました。 とある一匹は除いて 「ゆ~ん・・おかあさん・・ぽんぽんさんがいたいよぉ・・・」 昨日しろい木の実のような物を食べてヘブン状態になったあの長女れいむだった。 翌朝起きるとお腹が痛く、食事もほとんど取れない状態になった。 「おねえちゃん、いたいいたいさんはやくなおってね・・・」 「れいむぅ・・・」「おちびちゃん・・・」 親まりさは狩りをお休みして長女れいむの看病したり、腹痛に効くお薬を飲ませても一向に 良くならなかった。 それどころか、痛みが少しずつ増してきているようだった。 「おかあさぁぁぁぁぁん、ぽんぽんがゆっくりいたくなってきたよぉぉぉぉぉぉ!!!」 娘の状態が一向に良くならないどころかますます悪化してきたことに親達は、このままではまずい と考えぱちゅりーの診療所に長女を連れていくことにした。 長女れいむは大きな葉っぱの上に横になり、両親はその両端を咥えゆっくりと運び始めた。 姉妹の子ゆっくり達は横について長女れいむを励まし続けていた。 「おねえちゃん!!もうすぐびょういんだからね!!」 「ゆっくりだいじょうだからね!!」 だがそんな励ましの声も今の長女には届かなかったようだ。 長女の顔色はますます青白くなっていき、呼吸は少しづつ小さくなっていった。 「ゆぅ・・・・ゆぅ・・・・」 必死に痛みに耐える長女。だが、その緊張した空気は突然の悲鳴に打ち砕かれた 「ゆぴぃ!!ゆぷぅ!!」 長女の苦しみ方が変わった。今までは痛みに耐えるような様子が尋常ではない痛みに苦しむものに かわったのだ。 「ゆぷぅ!!うbひfふsぅvfvふぃおwぇjjjねいぁj」 突如として発せられる解読不能な言語。これには両親はただ事ではないと悟り 歩みが自然と速くなっていた。 「jkhbtkぶjひlすぇrbふlうぇr・・・fykhうぇjkbち・・・・ふ」 病院に近づくにつれ、長女の叫びは少しづつ小さくなっていった。 駆けること30分、一家はどうにか群れ唯一の診療所にたどり着いた。 長女はぐったりとしており、両親は心配そうに戸を叩いた 「ぱちゅりー!!おちびちゃんがたいへんなの!!たすけてあげてね!!」 2,3度叩いた辺りでぱちゅりーが出てきた 「むきゅ!!こんなあさはやくからどうしたの?」 「おちびちゃんがたいへんなの!!はやくたすけてね!!」 ぱちゅりーは群れの中でも歌姫として有名な子れいむの身になにかあった事を理解し すぐに家の中に家族を招きいれ、容態を見た 長女の体は青白くなり、呼吸は停止しており、瞳孔も開ききっていた… 「むきゅ……、もうえいえんにゆっくりしちゃっているわ…」 ぱちゅりーは少し悩んだが、素直にそう告げた。 家族はそんな馬鹿なという顔でポカンとしていた。 「ぱちゅりー…なにいってるの…ぽんぽんがいたいだけでしんじゃうなんてそんなこと ないでしょ…」 親まりさはそうか細い声で喋った。 だが、ぱちゅりーは辛い現実を続けた 「残念だけど…もうえいえんにゆっくりしちゃってるわ…さわってみなさい…もうこんなにつめたいわ…」 信じられないような顔をしながら両親は頬ずりをした。とても冷たかった。 昨日あんなにゆっくりしていたのに…たった一日で…たった一日で皆に愛されていたおちびちゃんが …おちびちゃんが!! 「おちびちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「どぼじでごんなごどにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 両親の叫びが残りの姉妹に全てを語っていた。 「しょんな…うしょだよね!!おねえちゃんがえいえんにゆっくちちちゃうわけないよね…」 「うそだぁぁぁぁ!!ばりざのいぼうどがじぬわげないんだぜ!!」 言葉ではそうはいっているものの、目には涙が溜まっていた。 姉妹はその場で耐えきれなくなり、両親と一緒に泣きだしてしまった。 「おねえぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「でいぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 家族はわんわんと泣きだしてしまった。 両親は頬ずりしながら泣き、姉妹はその場で両親以上に泣きだしてしまった。 あんになゆっくりしていたのに…死んだなんてうそだ… あんなに群れのみんなに愛されていたのに… あんなに(ゆっくり基準で)きれいなお歌を歌っていたのに… そんな思いが錯綜する中、あり得ないことが起こった。 むくっ… 死んだはずのれいむが体を起こしたのだ。 体を器用に動かし、何事もないように起き上がったのだ。 この光景にぱちゅりーは驚き、家族は喜んだ。 「ゆ?おぢびぢゃぁぁぁぁぁぁん!!いぎがえっだんだねぇぇぇぇぇ!!」 「よがっだよぉぉぉぉ!!よがっだよぉぉぉぉ!!」 「おねえぢゃんがいぎがえっだぁぁぁぁ!!」 「ゆぅゆぅ…ゆわ~~~ん!!」 家族は大喜びでれいむにすり寄り、さっそく頬ずりしはじめた。 だが、ぱちゅりーは見逃さなかった。 そう、れいむは間違いなく死んでいた。 瞳孔は完全に開いており、すでに死臭が漂い始めていた。 つまり、れいむは死んでいるはずなのになぜか起き上がったのだ。 家族はれいむが起き上がった=生き返ったとみなして大喜びのあまりその事実を完全に 見落としていた。 ぱちゅりーはあり得ない光景に目を丸くしてその様子を見守るしかなかった。 ぱちゅりーが見守っていると、一瞬ではあるがれいむの腹がふくらんだ。 「むきゅ!?な、なに!!」 れいむの腹から何かが出ようとしているように見えた。 れいむの腹は一瞬膨らんだらすぐしぼむを繰り返し、さすがの一家もただ事でないことに 気づいた。 「ゆうぅぅぅぅ!!どうしたのおちびちゃん!!」 「またぽんぽんいたいの?いたいの!?」 「おねえちゃん、ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「こわいことしないでねぇぇぇぇぇ!!」 家族は皆恐慌状態に陥った。 そして一拍おいてれいむの腹が裂け、中から何かが出てきた。 それは…… とりあえず前半はここまで あとがき ここ最近書いていなかったせいか腕が落ちた気がします。 ですので一旦ここでとめて数日後に後半を挙げます。 作者 アイアンゆっくり 過去作 まりさの馬鹿 ゆっくり地縛霊 れいむ親子の場合 ゆっくりおしえてね!! 1~2 世界で一番短い虐待 ゆっくり地縛霊 まりさ達の場合 鬼斬 1~ 怪奇現象 ゆっくり自縛霊 ありすの場合 このSSに感想を付ける
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『てーと猛暑日 午前』 45KB 愛で 虐待 独自設定 続きます 帝都あき ※ご注意を この話だけでは完結しません。『てーと猛暑日 午後』に続きます。 過去のてーシリーズを読んでいただかないと話が意味不明です。 anko4095 てーとまりしゃ anko4099 てーとまりしゃとれいみゅのおとーさん anko4122 てーありしゅのおかーさん anko4203 4204 てーと野良と長雨 前後編 anko4254 てーと野良と加工所と愛護団体 anko4308 てーとみなしごゆっくり 最後の最後まで愛でられる希少種がでてきます。優遇どころの話ではないです。 愛でられるゆっくりはほとんどオリキャラのようになっています。 飼いゆっくりを愛称で呼びます。 鬼意惨に恋人がいます。 これでも注意書きが足らないかもしれません。 「うぅあっつぅ…………」 カーテン越しに照りつける強烈な日差しに起こされ、饅殺男が目を開く。 身体にべっとりと張り付くシャツの不快な感触と、思わず顔が緩む饅殺男のシャツを握り締めながら眠る愛娘の存在。 「9時か……よっと。てー?起きようぜ、朝だぞー」 あまりの暑さに熱中症――――があるかどうかは別として、水分を取らせようと饅殺男がてーを起こす。 「んう…………あ、だでぃ、おはよー!」 前髪をくしくしとのけながら、てーが上半身を起こす てーの頭を撫で、髪の毛を再びくしゃくしゃにする饅殺男。 「おはよー、てー。朝飯にすんぞー」 「うん!だっこ!」 「ういうい」 抱き起こしながらてーの“肌”を触ってチェックする。 プニプニという擬音が聞こえてくるような、指を押し返してくる弾力。 ムニッと軽く横に伸ばす、胴無しのころからこうやって遊んでいた。 「ひゃめろぉーだでぃー」 「はっは、びよーん」 「もー!」 別段、何か問題があるようには思えない。 頬を引っ張っていた手を止める。 もともと丈夫な子だ。 実際、夏バテ気味な饅殺男と違って毎日しっかりとご飯を完食し、日々饅殺男によじ登りしがみつき、有り余る体力を発散させていた。 さらさらと器にコーンフレークを注ぎ、牛乳と大量に買った業務用の練乳を混ぜる。 「はい、こぼすなよー」 「うい!」 しゃがみ込んでコーンフレークが入った器をてーに手渡す。 タプタプと音を立たせながら、テーブルへと運んでいくてー。 頼むから転ばないでくれよと、見守りながら饅殺男も菓子パンの袋から一つ取り出す。 最近ほぼ毎朝食べている“ランチぱっきゅ”は、食べやすく少なめで済ます朝食には丁度良い。 四角いパン生地の中には通常種の中からランダムで一種類の赤ゆがつまっている。 外見からは判断できず、食べてみるまでわからない。 「ん、ぱちゅりーか。うおっ、あっま……」 「きょうびょういんだよね……あむ」 「そうそう、ん?嫌か?」 「んーん!いやじゃないよー。でもね、なんかふしぎなにおいする!」 「あー臭いか……」 饅殺男はあまりそういったものを感じてはいなかった、しいていうなら消毒液のにおいが微かにするくらいか。 自分もテーブルにコーヒーを置き、シャリシャリと咀嚼しているてーの器に、ポチャンと苺を入れてやる。 「こっくん……いちごすき!まみぃもくる?」 「おう、来るぜー。コンビニで待ち合わせだってさ」 「やったー!」 生クリームのしつこさに辟易し、これで悲鳴が聞こえればなんて考えながら残りを口に押し込む。 サッと食べ終えた饅殺男は立ち上がり、てーの着替えを用意するために洋服ケースを取り出す。 さてどれにしようか。 凶悪な太陽光を遮るために帽子は必須だ。 しかし、てーのお飾りをそのままつけさせていくと桃が傷みそうで怖い。 「んー、あ」 「ごちそうさまでした!」 「これでいいか。……あーお口拭けなー」 「うい!」 考えた末に手に取ったのは、ほとんど新品のまましまわれていたブーニーハット。 某ゲームに夢中になっていた際につい購入してしまったものだ。 一度身につけ鏡を見たその瞬間から、二度と着用して外を歩かないことが饅殺男の中で決定された。 やはり鍛えていない人間には似合わないのか。 「ふぅ、てーおいで。着替えるぞー」 「うい!」 帽子以外は虐子から昨日のうちにメールで指示されている。 待ち合わせ時間と場所が末尾にくる事には、少なからず思うところがあるが、毎度の事なので了承の旨だけを返信した。 自分とてーが脱いだ服をそのまま洗濯機に放りなげ、カバンの中身を確認する。 「おでかけー、おでかけー!おそとは~おそとぉー!」 「えーっと、応急パックとアクエリと…………」 今日は言葉にするのも嫌なくらい暑いので、飲み物は多めに持つ。 他に何がいるだろうかと考え、頭の中で必要なものを並べる。 とはいえ何かを忘れたにしても最低限、財布さえあれば何とかなるかとカバンを閉める。 腕時計で時刻を確認し、全メロディーがサビで構成されたオリジナルソングを歌うてーを抱き上げる。 手を繋いで歩かせてもいいのだが、自分の半分以下の身長の子とその体勢をキープし続けるのは辛い。 斜め下に重心を下げ続けながら歩くのは、この天気では避けたい。 玄関にたち覚悟を決めドアを開く。 「うっ…………これは……」 「あはっ!あついー!」 ドアを開けるとむわっとした大気の壁が外出を拒むかのように押し寄せてきた。 思わずキャンセルの連絡を入れようかと本気で考えてしまう饅殺男。 が、なぜか喜んでいるてーを見るとそうもいかない。 ため息をつきながら紙パックのジュースを取り出して、ストローを差し込む。 「てー、とりあえずコンビニまで頑張ろうか・・・」 「はーい!」 「あぐぅ…………へはぁっ、へはぁっ!」 路地の傍らの植え込みの陰。 ドーム状になっているわけでもなく、均等に生えた植木達。 ゆっくりですらおうちとは呼ばない。 何の手も加えられていない草木の隣で、れいむと子供たちは一晩中立ち尽くしていた。 「ぜへぇぇー、あざ……?あざなの……?」 昨晩――――――眠ることは出来なかった。 あまりの暑さに気を失うことはあったが、脳は全く休めていない。 夜になり確かに恐ろしい太陽は沈んだが、それでも蒸すような気温は彼女達を苦しめた。 動くたびに硬くなった体内餡が悲鳴をあげるので、体の向きを変えることにすら痛みを伴う。 それだけでも厳しいのに、風が全くと言っていいほど吹かなかった。 身体にまとわりつく、粘りつくような熱気から一瞬でも解放されることはなかった。 それは自然そのものに文句を言っても全く変わらなかった。 「がぁ、なんでぇぇ、なんでまたたいようざんがいるのぉぉぉ……」 もちろん成体であるれいむすら泣いて許しを請うほどの環境で、子供達が平気なはずはない。 水が飲みたい、暑い、ゆっくりしたい、と泣くおちび達。 れいむが二匹の欲求を叶えることが出来ない以上、それは体内の水分を無駄に消費する以外の意味はない。 我慢しようね!大丈夫だからね!とれいむは声をかけたが、自分ですら我慢できないほどの暑さと渇きを幼い子供達が耐えられるわけが無い。 それを普段のれいむなら理解できるはずだったが、昨日はあまりにも余裕がなかった。 だんだんと小さくなっていく二匹の声を無視し、すこしでも涼しくなるように自由の効かない身体で体勢を入れ替えるのに夢中だった。 「ぐぞぅ!だいようざんはかえっでねっ!ゆっぐりじないでがえれぇぇっ!!」 アスファルトの上でもがき続け、明け方にようやく気絶できたれいむ。 それなのに自己主張する太陽に見つかって照らし出されてしまった。 「げっほっ!ゆっぼぉぇぇぇぇ!」 まるで一年間水分を取らなかったかのような強烈な渇きを訴える身体。 舌が喉にへばりつき、声を出すにも鋭く痛みが走る状態。 また呼吸のたびに熱風が体内に入り込み、熱がこもるのにそれを排出する術がない。 「おでびぃぢっん!お、でびぃ!ぢぃん!」 それでも何とか体温を下げようと、一晩中体外へと伸ばされていた舌は茶色く変色し、発声を妨げていた。 そんな状態でもれいむが必死に大きな声を出している理由が、足元でクシャクシャに丸めて捨てられたチラシのように動かない子供達だ。 本来なら優しくペーろペーろで覚醒を促すところだが、不自由になった舌では難しい。 もっとも既にそんな気遣いの出来る余裕など無く、れいむはもみあげで子供二匹を揺さぶる。 「おぢべでゃん!おでっ!べっぢゃん!」 「ゆっ……あ………ぃ」 「ゆへ、やめ……で……」 「おでびぢゃんっ!」 かすかな、本当にわずかな反応が返ってきたことに喜ぶれいむ。 まだ死んではいなかったらしい。 れいむがなんとか舌を伸ばしてぺーろぺーろする。 「ゆあぁ……やぁ……」 「あぇ、へぁぁぁ……」 舐められているというより、擦られる感触にうめき声をあげる死に掛けの二匹。 お互いにザラザラとした不快感しかないく、か弱い拒絶が小さな口から聞こえてくる。 「お……み、おみじゅ……」 「から……かへっ!かへぇぇっ!!」 「ゆぐっ、ぞうだねっ。おみずざんざがじにいごうねっ……!!」 食事すら喉を通らないこの状況では、何よりも水を手に入れることが最優先だということは分かっている。 なのだが、何処に行けば水が手に入るのかが分からない。 慣れた野良は空き缶に雨水を貯めておくものだが、れいむの両親は教えてくれなかった。 れいむに出来ることと言えば、気温三十五℃を超えた街の中を水を求めてさ迷い歩くことだけだ。 ノロノロと舌を伸ばし、れいみゅ、まりしゃを頭の上に乗せる。 子供達に笑顔も歓声もなく、ただシューシューと浅く薄い呼吸音がまだ生きていることを教える。 「いぐよっ……!きっどすぐおみずざんみつがるがらねっ……!」 「はやぐぅ……もうまりじゃたくざんがまんじだのじぇぇ……」 「ゆぇぇ……でぃみゅ……ゆっぐりぃ……」 生き延びるためには水を手に入れるしかない、れいむが進む。 太陽の下、跳ねる体力など既に尽きたれいむの進みは遅い。 ずーりずーりで移動していることを差し引いても、通常の半分以下のペースだ。 頭上の子供達に気を使っているわけではない、そんな事考えられるわけがない。 とにかく熱いのだ、地面が。 「ゆっがっ、いだぃっ!!」 日陰から少しでもはみ出れば、あんよがそれを激痛をもって伝えてくる。 長時間太陽にあぶられたアスファルトはゆっくりにとって凶器そのものだ。 途端に這うのが怖くなり、いつもよりもさらに慎重な歩みになる。 「おみずざんっ……!はやくでてきてねっ!おみずざんっ!!」 「あっだ?おみじゅしゃんあったじぇ……?」 「れいみゅの……おみじゅ、れいみゅの……」 太陽から逃げるようにして、日陰へ、暗がりへと進んでいるれいむ。 日陰からは出ず、影に合わせて曲がり、壁を沿って直進し―――――― 彼女はグルグルと同じ場所を周っている事に気づいていない。 同じ道を何度も通り過ぎているのだが、下ばかりにキョロキョロと目を散らしていてそれが分からない。 「おねがいおみずざん……でてきて、でてきて」 「あぢゅいのじぇぇ……のどざんがいだいぃ……」 「まりしゃ……がんばっちぇにぇ!まりじゃはいつかむれのおさになるんでじょ……!」 れいむが水を飲んだ数少ない経験は、親から口移しで飲ませてもらった時と、雨上がりに水溜りから直接すすったのがほとんど。 一度だけ捨てられた容器に残っていた飲み残しを手に入れた幸運もあったが、やはりそれも地面に落ちていた。 れいむのゆん生経験上、水とは地面に落ちているものなのである。 「なんでないの……!どうしてないのっ!!おみずざんっ!!これだけざがじだのにぃ!」 「ないのじぇ……?まりしゃのおみずしゃんないのじぇ……?」 「かへぇぇ……こふっ!かふっ!!」 家周りループ四週目に差し掛かると、とうとうれいむのあんよが止まった。 体力の限界まで這い回ったのに一滴の水すら見つけられなかった事に憤慨しているようだが、 そもそもアスファルトをどれだけ凝視しても水は湧き出てこない。 「あづぃ……!あづぃよぉぉ……!もううごげないぃ!」 べったりとその場に崩れ倒れ、れいむが憎い太陽を仰ぐ。 一度止まってしまうと、もう一度あんよを動かすことは不可能のように思えた。 鉛のように重い、熱い、そしてなにより水分が欲しい―――――――― 「ゆ……あ、う……」 「ゆえ、あべぇっ」 ころんと頭上から、二匹が転がり落ちる。 悲鳴も抗議も無かった。倒れた姿勢そのままに、か細いうめきをあげる。 「おみじゅ、まりじゃにくだじゃ……い……おみゅじゅ……」 「けっほかっほっ!…………っけ!へげぇぇ……」 「ゆぐぅ、おでぃびぢゃん………………!」 もう動けない、限界だ。 確実に水があるならともかく、“きっと”とかそういう曖昧な希望であんよは動いてくれない。 一番の理由であった“おちびちゃんのために”はもう使い切った、からっぽだ。 かろうじて塀の日陰となっている道端で、三匹は立ち尽くした。 「おみゅじゅは……?おがーじゃ……おみゅじゅは……?」 待っているだけで、水が沸いてくることは無い。 それは小さな二匹も知っている。 それなのに母親はもう動こうとしない。 「ごめんね、おでぃびちゃん……!もうおがぁざんうごけないよ……」 「しょんなぁ……!おがーしゃんぅ!」 「やぢゃぁぁ!!まりじゃおみじゅのみだいぃぃぃ!!」 れいむは決して楽をしたくて嘘をついているわけではないが、理由はどうあれ動かなければ助からない。 自分達では何も出来ない子供達が泣いて母親にすがる。 必死なその視線から逃げるように顔を背けながら、れいむは石をこすり合わせるような声で言った。 「おでぃびちゃん!もう、にんげんざんにおねがいずるじがないよ……!」 「ゆっ……!にんげんしゃん……」 それは暗に諦めた、と言っているようなものだった。 幼い二匹はまだ世の中の事を知らないが、人間がゆっくりしていない事は知っている。 ただそれは恐怖というより侮蔑の意味が強い。 自分達ですら見つけられないものを、人間なんかが用意できるのか?と。 「おみじゅぐれるの……?にんげ……がほんどに……?」 「まりじゃ、にんげんはきらいなのじぇ……」 「だいじょうぶだよっ!だがらがんばっでおねがいじようねっ!」 そしてもちろんれいむは子供達とは比べものにならないほど正確に理解している。 人間が自分達を助けてくれるはずがないと。 だがもうそれくらいしか考え付かないし、餡子脳も煮立ってきた。 焦点の定まらない両目で、路上を眺めている。 「やさしーにんげんしゃん……きちぇにぇ……」 「…………」 ゆらゆらと歪む視界、れいむには熱さのあまりついに世界が溶かされていくように思えた。 車の音がぐわんぐわん三匹の頭を揺らす、だが歩いている人間の姿は見つからない。 動かない家族とゆっくり確実に進んでいく時間。 「あちゅいよぉ……」 「おみじゅ…………」 なぜここまで人間はゆっくりにとって都合の悪い存在なのか。 れいむは餡子の底から怒りが沸いてくるままに、表情を硬くする。 生ゴミを漁っているときや、拾ってきたダンボールで作ったおうちを手に入れた時。 最も見られたくない瞬間に、必ずといっていいほど人間はやって来る。 なのになぜ、必要な時に来ないのだ。 あれほど!腹が立つほど街中にいるというのに! 「はやぐこいぃ……!くそにんげんがぁ……!」 気づけばれいむは路上を睨んでいた。 考えてみれば自分達がゆっくり出来ないのは全て人間のせいだ。 まりさを殺したのも、おうちから追い出したのも、ごはんさんを独り占めしているのも。 みんなみんな、人間。 れいむの抑えてきた怒りと諦めていた理不尽への不満が、どんどん大きくなる。 皮肉なことにそれは、生きる気力となってれいむを生へ齧りつかせる。 「にんげんしゃん……こないにぇ……」 「……おみじゅしゃんもっちぇくるのじぇ……にんげん……」 「ゆっは、はぁ、はぁ」 それなのに人間が来ない。 見られたくないときは呼んでもいないのに必ず来るくせに、さっきから一人も通らない。 うるさいセミの鳴き声だけがガンガンと頭の中に響く。 人間の足音は聞こえない。 れいむには知る由もないが、この暑さの中それも休日に外を出歩く人間は少ない。 「おみじゅ……にんげんじゃん……おみじゅ」 「ゆっげっほ、えぇぇげぇ」 「うるじゃいのじぇ……ぜみじゃん、うるじゃいのじぇぇぇ……!!」 むせ返るれいむの口から、砂のようにパサパサした餡子が吐き出される。 いよいよ末期症状だ、おちび達はもっと酷い。 妙な表現だが、泣いているのに一滴の涙すら出てこないのだ。 こんなにも辛くて苦しくて痛くてそして何より暑いのに、しーしーも漏らさずに虚ろな目でぶつぶつと恨み言だけを呟いている。 水気の多いはずの赤ゆっくりがこれでは、もう長くない。 「ひゅー………」 「ぜぜぇー、ぜぜぜぇぇ」 何かが詰まっている管を無理に通っているような呼吸音は、子供たちの命が夜には尽きることをれいむに教える。 それでもれいむは何もしない、何も出来ない。 唾液すら干上がった身体では母親を演じるには力不足で、観客はいないのに舞台は熱気だけが立ち込めていた。 「はやぐ、ごい、にんげ!ん!はやぐっ……!」 「おみじゅ……まりじゃのごーくごーく……」 「ゆっぐち……ゆっくち……」 「うわーマジ有り得ねぇ……」 「だでぃべちゃべちゃー!あはは!」 家を出て五分ほど歩いたところで、饅殺男のシャツは汗を吸って大部分が変色していた。 それを面白がってペチペチと叩くてーをたしなめる気力も無い。 というより体温の低いてーがいなければとっくに倒れている、割と本気で。 今日家を出たことはやはり失敗だった。 「ふぅ……あーっと、こっちだな」 「きょうはきのみち?」 「そうそう木の道」 大通りをはずれ、わき道に入っていく。 民家に沿って生えている街路樹が適度な木陰を提供してくれる。 多少遠回りだが少しでも快適な――実際はそこまで変わらないだろうが――道を選ぶ。 ぬるくなった紙パックの中身をすする。 「まずぅ……」 「んー?」 首から下げた迷子札で光を反射させながら、不思議そうな顔でてーが饅殺男を見る。 何でもないよと、頭を撫でたところで――――――カクンと片足を引っ張られた。 「おっと、何だ?」 「どうしたのだでぃ?」 立ち止まり自身の足元に視線を落とすと、一目で野良と分かるれいむが饅殺男のジーンズに必死に喰らいついていた。 引きずられてもなおデニム生地に歯が欠ける事もいとわずに噛み付いている姿は、それなりの迫力がある。 それに気づいた饅殺男の目に鈍く暗い光が宿る、ダレていた顔に笑みが浮かぶ。 「っ!っ!ぃぐっ!」 「あー、うん。てー?ちょっと待ってね」 「うい!」 ぽんぽんと背中を撫でてやると気持ちよさそうに目を細めるてー。 この間テレビで見たラグドールとかいう猫みたいだなと思い出しながら、てーの帽子を深く下げる。 そしてなめくじのように引き倒された体勢のまま、かすれた声で何かを訴えているれいむ。 「まっ……くだざ……い、まっで……」 「何かな?大丈夫、ちゃんと待つよ」 「おねがいが、おねがいがあるんでず…………」 発声のたびに顔を歪めながら頭を上げ下げするれいむ。 察するに人間との力関係は分かっているようだ。 もっともわかっていない固体は、野良になりきる前にほとんど死んでしまうが。 そしてれいむの後ろには子供であろうれいみゅとまりしゃがいた。 「うわ、生きてるの?」 既に十分太陽に苦しめられたのだろう。 所々薄い線のような溝が出来た皮が、二匹の体内の水分が生命を維持できる量に達していないと叫んでいる。 「にんげん……おねが、でずっ!でいぶのはなじを……!」 「うん、だから聞くって」 と、饅殺男は返すが聞かなくたってわかる。水が欲しい、これだろう。 ゆっくりにとって水分とは、天敵でありそして餡子の次に欠かせないものである。 体内餡がスムーズに循環するためには、ある程度柔らかくなければならない。 そのために体内の水分が少なくなってくると動きが鈍る。 跳躍、おさげ及びもみあげの操作、さらには排泄器官すら機能しなくなる。 皮も硬くなり、ひどい時には表面がひび割れてしまう。 ――――よく誤解されがちだが、餡子自体は水に強い。相当量の水分を蓄えることが出来る。 ただ皮が弱い、致命的なほどに。みかんの皮ほどの強度を持つそれが、少量の水でトイレットペーパーのように溶けていく。 「ははっ」 「おねが、じまず……おねがいじまずぅ……!」 全く難儀な生き物だ、と苦笑する。 そのゆっくりの中にも胴付とはいえ、風呂にだって入れる子もいるというのに。 発見され続ける新種、つまり希少種はゆっくりの進化だという講義を思い出す。 人間との共存に生存の可能性を見たゆっくりが、ペットとしての生き方を受け入れ安い種を生み出し、それが新種として――――なんて内容だった。 推論が正しいと仮定するなら、人間の差別をゆっくりが受け入れたようにも考えられる。 「おねがいでず……ぞれを!ぞれをぐだざいっ!!」 「ん?コレ?」 れいむがもみ上げで指したのは、饅殺男が持っていた中身がほとんど入っていない紙パックだった。 最近てーに引っ張られて甘党の一員になったので、コーヒーではなくりんごジュースが入っている。 「ぞのなかのおみずさんをくだざいっ!おねがいでずっ!おでがいでずぅっ!」 そのまま一回転してしまいそうな勢いで、額を地面に打ち付けるれいむ。 良く見ると身体は小刻みに震え、怯えているのが分かる。 思ったとおり、人間に関わる事のリスクを承知の上での行動らしい。 「へぇ、コレが飲み物の容器だって知ってるみたいだね」 「はいぃぃ!だがらぞれをくだざいっ!!もうおちびちゃんだぢはぴょんぴょんもできないんでずっ!」 「そりゃぁねぇ……」 さっきからまるで動かない二匹は、生きているのかすらわからない。 跳ねるどころか、這う事だって出来るかどうか怪しいところだ。 「それにしてもよく話しかけてきたね。人間が怖いって知ってるんでしょ?」 「ゆっ、でもにんげんざんは、ゆっくりのおちびちゃんといっしょだから……」 飼いゆっくりを連れた人間はそうでない人よりも野良に絡まれやすい。 浅い野良達は、自分達にも理解を示してくれるとか、無条件にゆっくりに優しい人間だろうと思うらしい。 最もそういった固体は、数ヶ月と生きれまい。 「ふぅん、でも飼いゆっくりに話しかけちゃいけないってのも野良のルールじゃないの? しかも子供を二匹も連れてるのに、結構危ないことするんだね」 するとれいむは一瞬だけ躊躇した後、目を見開いて叫んだ。 「だって……だってっ!もうこのままじゃれいむだちしんじゃうんだよっ!! れいむだって!にんげんざんがっ!やさしくないっでしっでるよっ!!だぐざんじっでるよぉぉぉぉっ!!!!!」 「ふむふむ」 れいむの涙声にキョトンとしているてーの頬をむにむにと触りながら相槌をうつ。 「どうせしんじゃうなら!いっかいくらいにんげんざんにおねがいじだっていいでしょぉぉぉっ!? おこったならもうずっとゆっぐりざせてよぉぉぉっ!! いまなられいむだちうごけないがらっ……!ゆげっ!がっほっげっほっ!!」 血を吐くようなれいむの訴えは、幸か不幸か饅殺男の興味を引くことに成功した。 ニッコリと饅殺男が笑う。てーを抱えていなければ拍手をしていたかもしれない。 「なるほどね。確かにどうせ死ぬなら一か八か賭けてみるのも悪くないよね」 れいむの言うとおり、この家族は日向で三十分以内、日陰で数時間で全滅だろう。 「だから……おねがいです……それを……」 「いいよ」 「ゆえっ!?」 ガバッと顔を上げ、饅殺男を凝視するれいむ。 その反応から実際ほとんど諦めていたことが伺える。 「ほんどに……?ほんどにもらえるんですか……?」 「コレでしょ?あげるあげる」 「ゆ、ゆわぁぁっ!!!」 饅殺男が紙パックをれいむの目の前で揺らす。 「ち、ちょっどっ!ちょっどだけまっでくださいっ!いまっ!すぐおちびぢゃんだちつれできまずっ!!」 「おっけー」 「ほんどにすぐですっ!すぐにきますからそごにいてくだざいっ!!ちょっとですからっ!」 「大丈夫、待ってるから行っておいで」 消耗しすぎて跳ねる事が出来ないれいむが、それでも一生懸命に這って行く。 たった数メートルの移動すらおぼつかない。 「おちびちゃんたちっ!にんげんざんがおみずくれるってっ!!ゆっくりでぎるよっ!!」 「ほんちょ?ほんちょに……?」 「おみじゅ!まりしゃの……!」 そっと自分の頭に子供達を乗せ、またずーりずーりと時間を掛けて饅殺男のほうへ戻る。 日向のコンクリートに出るたびにうぎっと悲鳴を漏らすが、それでも何とか足元へたどり着いた。 「おまたせしました……おみずさんをください……!」 「おにいしゃん、ありがとうごじゃいましゅ……」 「ごじゃいましゅなのじぇ、おみじゅくだしゃいなのじぇ……!」 一応お礼を口にするちび二匹だが、まりしゃは今にでも催促しそうな雰囲気だ。 「はいはい、じゃぁコレ。少ないから大事にね。ここに口をつけて、傾けるんだよ?」 「はいっ!ああ……ありがとうございますぅ!!」 れいむの両のもみあげに、飲みやすいように口を大きく開けた紙パックを渡してやる饅殺男。 「余計な世話かもしれないけどさ、先にれいむが飲んだほうがいいと思うよ? 君が死んじゃったら子供たちだけじゃ生きていけないんだし」 「ありがとうございます!でもれいむはさいごでもがまんできまずっ! それにおちびぢゃんがかわいぞうだからっ、さきにのませてあげたいんでずっ!」 「そう?ならまぁ、頑張って」 れいむが警告の意味を全く理解していないことを確認し、薄く笑いながら饅殺男が少しだけ離れる。 「てー、ちょっと休憩な」 「はーい!…………じょりじょり」 手持ち無沙汰から剃り残しのある饅殺男のアゴを触っていたてーを膝に乗せ、日陰に座り込む。 れいむ達の正面なので、会話も良く聞こえる。 「はやきゅっ!はやくほしいのじぇぇぇっ!はやきゅぅぅ!」 「ゆっと……」 「れいみゅはちょっとがまんしゅるよ……いもーちょがさきにごーくごーくしちぇいいよ……」 「おねーしゃんありがちょうなのじぇぇぇぇっ!!!」 「さすがおねーちゃんだねっ!」 舌を出しながらハッハッハと犬のように鳴らすまりしゃ。 水が手に入ったという希望で、多少動けるようになったらしい。 ゆっくりのそういった思い込みの力だけは唯一尊敬できる、かは微妙なところだ。 それにしてもこの一家は比較的善良なようだ、賢いかどうかは別だが。 「おかーしゃぁぁん!ちょーじゃぃ!ちょぉぉじゃぃ!」 「ゆゆっ!そうだねっ!じゃぁここからおみずさんがでるからねっ!ぜったいこぼしちゃだめだよっ!!」 「はやきゅっ!はやきゅぅぅぅ!!」 れいむが紙パックを傾けまりしゃの口に押し当てる。 まりしゃが大きく口を開けてくわえ込んだのを確認し、中身をゆっくり流し込んでいく。 文字通り死ぬほど渇望していた水分がまりしゃ体内に入ってくる。 「ごーきゅ、ごーきゅ!もっちょ、ごきゅごーきゅ!」 「よかった……ほんとによかったよぉ……」 スポンジのようにジュースを吸収していくまりしゃを見て、安心感から目の端に涙を浮かべるれいむ。 そしてそれを見ながら顔をほころばす饅殺男。 もちろんいい事をした、なんて愛護団体のようなことを考えているわけではない。 距離が近いので、ゆっくり達に聞こえないようボソッと呟く。 「ははっ、親が先に飲めっていったのになぁ」 「んー……?ふぁ……だでぃ……?」 「何でもないよ、寝ちゃっていいんだよ?てー」 「ねないもん……」 あくびしながら眠る体勢に入ったてーの背中を撫でてやる。 この暑さをもろともせずに、マイペースなのが頼もしい。 するとれいむが、こちらをチラチラと見ながら半笑いを浮かべる。 饅殺男にとって見慣れた表情だ、野良にとって威嚇よりも作りなれた顔。 そうこれは――――――媚びている。 「に、にんげんさんありがとうね!れ、れいむおにいさんみたいにやさしいひとはじめてだよ!」 「そんなことないさ」 「だ、だからよかったらこのあとれいむたちをかいゆっくりに!……その、し、してくれたり!!」 まりしゃに与えているジュースをそのままに、器用に饅殺男の方を向いてあわよくば今後の安全を手に入れようとする。 だから気づかない。 半分も入っていなかった中身のジュースがどんどんまりしゃの中へ消えていっている事に。 そして勿論、饅殺男は気づいている。 「んー、残念だけど僕にはこの子がいるからねぇ」 「だ、だったられいむがそのおちびちゃんのおかーさんになってあげるよっ!! れいむはその、えっと、こ!こそだてがとくいなんだよっ!だから……!!!」 「はっはっは」 今の今まで子供たちを瀕死にさせていたというのに、子育てが得意とはよく口に出来たものだ。 れいむが今度は目を閉じているてーに気づく。 「ゆゆ!おちびちゃんがねむそーだねっ!れいむにはすぐわかるんだよ! よ、ようし!れいむがこもりうたをうたってあげるよ!にんげんさんもきいていてね!」 「いや、いいよ。喉痛いんだろ?無理しないで」 「だ、だいじょうぶだよっ!きっどにんげんざんも、そのえっとか、かわいいおちびちゃんもゆっぐりできるよ!」 そしてれいむが口を開き、不快な声が饅殺男の耳を刺激する。れいむは歌のつもりらしい。 今が夜ならなかなかにホラーな雰囲気を作り出し、涼しくなるかもしれないが今はただ不愉快なだけだ。 そして母親の交渉などは全く気にせず、生まれて初めての甘味に夢中になっているまりしゃ。 悪意は無いにしろ家族を気遣って自重することなど、赤ゆっくりに出来るはずが無い。 「ごーきゅっ!ごーきゅっ!ごーく……?ゆ?ゆゆ?ありぇ……? ゆ……?あっ……!…………も、もういいのじぇ!おかーしゃん! あ、あとはおねーしゃんとおかーしゃんにあげるのじぇ!」 「れいみゅも……はやきゅおみゅじゅしゃんほちぃよ……」 外から見れば明らかなまりしゃの動揺も、家族からは分からない。 恐らく中身が空になっているであろう紙パックをチラチラと見ながら、不安げに目を泳がせている。 どうやら少しは罪悪感があるらしい。いや、感じているのは責められることへの恐怖か。 「ゆっ!そうだね! に、にんげんさんがれいむたちをかいゆっくりにしてくれるっていうから、 ついむちゅうになっちゃったよ!ほら、おねーちゃんのばんだねっ!」 「うん……れいみゅもごーきゅごきゅ、やっちょできりゅんだにぇ……」 「ゆ……!あっと……ゆっとぉ……」 まりしゃは面白いくらい挙動不審で、身体をそむけながらも母と姉に視線は釘付けだ。 おさげが心境を代弁するかのようにくるくると動いている。 言い訳でも考えているのだろうか。 そして――――――れいみゅが気づいた。 「ゆ……?え……?にゃ、にゃんでぇ?どうしちぇ……?」 「ひっ!?」 「どうしたの?おちびちゃん?」 「おみじゅしゃんが……でてこないよ……、でてこにゃいよぉぉおおおおおおおお!!」 「――――え?」 「まっ、まりしゃじゃないよっ!!!」 母が状況を把握するのと同時にまりしゃが叫ぶが、それは最早自首だった。 饅殺男がブフッっと吹き出して笑う。 そしてようやく、渇きを未だに癒すことの出来ない母子は、紙パックを空にした犯人に気づいた。 「いもーちょが……ぜんぶ……のんじゃったの?れいみゅのぶんも……?」 「ち、ちがうのじぇっ!おみじゅさんがかってにいなくなっちゃったのじぇ! ま、まりしゃのせいじゃないのじぇぇぇぇっ!!」 「そんな……おみずさんがっ!!いもーとちゃん!どうしてえぇぇぇぇ!!」 「まりしゃわるくないのじぇぇぇぇぇっ!!ゆじぇぇええええええええ!!!」 補給したばかりの水分をさっそくしーしーとして活用し、まりしゃが身の潔白を訴える。 しかし母親はそんなまりしゃに構う余裕は無い。 水が、無くなったのだ。 「ない……の……?れいみゅのおみじゅしゃん……ない……の……そんにゃ……」 「おちびちゃんっ!?ああっ!ごろんしちゃだめだよぉっ!!おめめあけてぇぇっ!!」 コテンとれいみゅは真横に転がり、そして動かなくなった。 喉奥に砂利が常に張り付いているような痛み、発声すらままならない枯れた身体。 それをやっと癒せると気力で動かしていた体内餡は、“水が無い”その事実の前に打ち倒された。 精神が死んでしまっては体内餡は操れない。 かろじて命はあるようだが、もう起き上がることはないだろう。 「おねーしゃ――――」 「いもーとぢゃんっ!!どうじでっ!!なんでのんじゃったのっ!!ぜんぶっ!!」 「ゆ、ゆぇぇぇっ!?だ、だってまりしゃっ!!」 「あーあ、だかられいむが先に飲んだほうがいいって言ったのに」 いつの間にか近づいていた饅殺男が空になった紙パックを回収する。 「にんげん……さん」 「ま、まっちぇにぇ!まじゃおねーしゃんとおかーしゃんがごーくごーくしてないのじぇっ!!」 責任を逃れようと必死なまりしゃ。 そんなまりしゃに饅殺男はくすりと笑い、紙パックの両側を完全に開いて広げ、中身が空になっていることを確認させる。 「ひどいなぁ、まりしゃ。本当に一滴も残っていないじゃないか。独り占めはゆっくり出来ないんだよ?」 「ゆゆぅ!?ちがうのじぇぇっ!!ちがうのじぇぇぇっ!!」 「…………おちびちゃん」 水分と同時に糖分まで補給して回復した体をブンブンと振り回し、まりさが否定するが母親のフォローは無い。 まりしゃに対する怒りはあるのだが、幼いわが子が怯えていることも分かり、どうにも自分の感情をもてあましているれいむ。 「おみじゅしゃんがちょっとしかないのがいけないのじぇっ!!そうだじぇ!すぐになくなっちゃうのがわるいのじぇっ!! もっちょ、もっちょたくさんあればよかったのじぇぇぇぇっ!!」 「違うよまりしゃ。だって君はそもそもお姉ちゃんやお母さんの分を残す、分けてあげるとか考えてなかったろ?」 「ゆ、ゆじぇ、わけゆ……」 まりしゃだって独り占めするつもりはなかったが、ともかく自分の渇きを満たす事で餡子で構成された脳はいっぱいだった。 満足したらもちろん家族に譲っていただろう、その前に中身が無くなってしまった。 まりしゃにとっては完全に予想外の事で、だから自分には非が無いと本気で思っている。 「こんなふうにさ、てー?ちょっと貰うよー?」 「ん……、うん……いいよー……」 正確に聞こえていたのかどうか、半分寝ていたてーが目を擦りながら答える。 肩からかけられている小さな水筒のキャップを外してストローに口をつける。 足元のゆっくりたちにも聞こえるように、わざと音を立ててすする。 「ゆゆっ!?まだあったのじぇ?まりしゃにもちょーだいっ!!ちょーだいのじぇ!!」 「わけっこ……」 「そうそう、分けっこさ。 まりしゃがそうするか、それともれいむが交互に与えていればソコのお姉ちゃんは助かったのにね」 てーの持つ水筒が飲み物を入れる容器だと気づいたまりしゃが、目を輝かせて自身の分を要求してくる。 『家族に譲ってくれ』ではない所に見るに、反省はしていないようだ。 「だって、いもーとちゃんはおちびちゃんだから」 「あはは、僕の子もおちびちゃんだよ?」 てーの体重を上半身で支えながら饅殺男が笑う。 この暑さの中さらに汗でベトベトの饅殺男の腕の中、良く眠れるものだと思うが。 暑さ寒さに強いのはさすがてんこ種といったところだ。 「だってにんげんさんのおちびちゃんなんでしょっ!!かいゆっくりなんでじょっ!! だからぁ!わけっこできるんだよっ!!ゆっくりしながらっ!!」 「逆だね。言うことをちゃんと聞けて、わけっこも出来るから飼いゆっくりに成れるのさ」 「ゆぐぅ……!かほっ!げほっ!」 興奮して必要以上に力を入れて叫んだせいで、れいむが咳き込む。 かすっかすっ、と擦り切れた空気がれいむの口から飛び出す。 「まぁ、おちびちゃんは自制出来ないって話なら、やっぱりそんな子に最初に飲ませちゃだめだよね?」 「ゆぐっ!だってそれはっ!!おちびちゃんのためにぃ!」 「おちびちゃんのために?ああ、妹だけ助かればいいって考えなの?ならまぁ分からないでもないね」 「ちがっ!ゆぐぐっ!!」 歯を食いしばりながらうつむくれいむ、その顔は悔しさ一色に染まっていた。 そして顔を上げ、浮かべた悔しさをそのまま怒鳴り声に乗せて叩きつける。 「ちがうよぉぉぉっ!!れいむばっ!さぎにおちびぢゃんにのまぜであげたかったんだよっ!! だっでずっどごーくごーくじだいっていってたんだもんっ!!ずっとだよっ!? だからさいしょはおちびちゃんにあげたかったんだよぉぉぉぉぉっ!!!」 ゆぐんゆぐんと涙声でさけんでいるのに、寒天の目は決して滲まない。 それは長期間水が手に入らなかった事の何よりの証明になるが、残念ながら目の前の人間は野良に同情することは決してない。 「水が全く手にはらなかったのかー」 「ぞうだよっ!!だかられいむはおちびちゃんをゆうせんしたんだよっ!! ねぇ!?れいむはまちがってるのっ!?にんげんざんだっておちびちゃんがいるくせにっ!! れいむのきもちがわからないのっ!?ねぇっ!!!」 「んーそもそもさ」 片手はてーのおしりを支えたまま、指だけを交差させて起用にバツ印を作る。 「普通は水のアテが無いなら子供を作ったりしないんだよ」 「ゆえ……?」 「いやだってそうだろ? 最低でも食べ物、おうち、そして水、これくらいは確保しなきゃ。 赤ゆっくりなんてすぐ死んじゃうんだから」 「ぐ……が……!」 衣食住の安定、憲法25条1項が保障する健康的で文化的な――――全ては人間の決めた最低限。 それは野良がいつかは手に入れたいと願う生涯の夢であり、そして野良である以上叶うことのない幻である。 「そんなのっ!そんなのむりだってしっでるぐぜにぃいいいいい!!! れいむがどんなにがんばっでもだめだってしってるくせにぃいいいいいい!!」 「もちろん知ってるさ」 「じゃぁどうしてぞんなごというのぉおおおおおおっっ!?」 れいむは胸の中の激情を饅殺男に放った。 それは今まで我慢に我慢を重ねた理不尽への怒りが混ざったもので、一度発火すれば抑える事は到底不可能だった。 「別に用意できないことを責めてるんじゃないんだよ?れいむの努力だけじゃどうしようもないからね。 僕が言ってるのは用意できないのに、どうして子供作っちゃったの?ってこと。 子供産んだのはれいむの意思だよね?仕方なくとかじゃないよね?水は手に入らないのに。 おちびちゃん、喉が渇いたっていってたくさん泣いたんでしょ?」 「だからぁああああああ!!れいむはたくさんがんばってぇぇぇぇぇっ!!!」 「だから頑張っても手に入らないの知ってたんでしょ?ホント、どうする気だったの? おちびちゃんに水なんて与えなくてもいい、とか思ってたの?」 「ちがうよぉおおおおおおおおおお!!」 「じゃあ……どうしてかな?」 あくまで優しく、穏やかな微笑みを浮かべながられいむに答えるよう促す饅殺男。 ゆっくりに自分の話を真剣に聞かせようとするなら、表情はとても重要だ。 「ゆゆっ!ゆががっ」 「こんな風にさ、水が飲めなくておちびちゃんが死んじゃうのは分かってたって事でしょ?」 「ゆあぐぅ、だってっ!だっでぇっ!!」 野良は辛い、野良は苦しい、野良は――――ゆっくり出来ない。 生ける者はゆっくりを迫害するか数に入れず、自然の力は雨で溶かし、風で凍らせ、陽で焼く。 「それでも……れいむはっ!おちびちゃんどゆっぐりしたかったんだよぉぉっ!!」 「それでおちびちゃんはゆっくり出来たのかな?」 「ぐぅ、うるざいっ!!ほかのみんなだってそうやっでがんばってるんだよっ!!!れいむだけじゃなくで!みんな!」 「頑張っても無駄って知っているのに?」 「ゆがぁ、うぐ…………」 れいむは顔を下げ、『だって……』とか『野良は……』などと呟いている。 「まだ納得できないみたいだね。 じゃあさ、れいむが野良なのに産んだりしなければ、まりしゃは飼いゆっくりになれたかもしれない、って知ってたかな?」 「は……?え……?」 「ゆゆぅ!?まりしゃかいゆっくしになれるのじぇ!?」 母親であるれいむよりもさらに大きな反応を返したのはまりしゃ。 キラキラ目を光らせながら饅殺男のほうへ擦り寄っていく。 「どういうこと……?どうしてそんなひどいこというの……?」 「にんげんしゃん!かいゆっくしってゆっくりできるのじぇ!?」 「いや、だってそうでしょ?れいむだけじゃなくてさ。 野良がみんな子供作らなきゃさ、飼いゆっくりしか子供産まなくなるじゃないか。 だから産まれて来るおちびちゃんは、みんな飼いゆっくり。分かるよね?」 まりしゃには答えず、れいむに向かって優しく、まるでてーの子守唄を歌っているような口調で言う饅殺男。 それなのに、その言葉はれいむの心を削っていく。 「どういうこ、と?のらは、れいむたちはおちびちゃびちゃんだめだっていうの……?」 「ダメって言ってるわけじゃなくてさ。 よく君達野良は“おちびちゃんを飼いゆっくりにしてください!”なんて言ってるのにさ。 自分達で“野良のおちびちゃん”を増やしてるでしょ?君も含めて。何がしたいのかな?って思ってさ」 「それは……それ、は……」 野良のおちびちゃんを増やしている。 出産という神聖な行為を、そんなふうに考えたことなんて一度もなかった。 ゆっくりが新たなゆっくりという最高の生命を生む尊い、それこそ人間にだって不可能な奇跡。 それを、そんな、まるで悪行のように言われるなんて。 「ゆ、あ……が……あぐぅ」 言い返したいが確かに人間の言う通りで、れいむのおちびちゃんが野良として生きてきたのは事実だ。 まりさが生きているうちはまだ良かった。 夫が死んでしまってからは、食事すら満足に取れず、おちびちゃんの笑顔も激減した。 そしてとうとう、水が手にはいらないばかりにおちびちゃんが死んでしまった。 それもこれも、れいむが産んでしまったせいなの? 「れいむが、いけ、いけないの?れいむが、うんだから……おちびちゃんはゆっくりできなかったの……?」 「だからさっきから説明しているだろ? 野良が産んだら野良としておちびちゃんが産まれる、当たり前だよね? 自分で子供を野良にしたくせに“どうして飼いゆっくりにしてくれないの?”とか、虫がよすぎるんじゃないかな?」 「ぞんなぁ……ぞんなぁぁぁ!!」 「ゆじぇぇ?ゆぅぅ?」 野良にとって唯一にして最大の希望としあわせーであるおちびちゃん。 それを育てるどころか、産む事自体がおちびちゃんにとってゆっくり出来ない事だったなんて。 これほど残酷な話はないだろう、だってそれなられいむは、野良は何のために生きてきたというのか。 しかも―――――― 「かいゆっくりはおちびちゃんつくってもいいの……?かいゆっくりだけ?れいむたちはだめなのに…………?」 「飼いゆっくりが産んだ子は、飼いゆっくりが育てるから飼いゆっくり。当たり前だよね。 だから君の言う通りゆっくりさせてあげたいなら、飼いゆっくり以外は子供産んじゃいけないね。 勿論、おちびちゃんが苦しもうが死のうが関係ない、っていうなら好きに産めばいいさ」 「ゆがああああああ!!どうしてかいゆっくりだけぇぇぇっ!!」 野良から見たら全てを持っている飼いゆっくり。 そんな彼等のしあわせーに唯一勝っていると思えるのが、おちびちゃんだった。 理由は知らないが、彼等は一匹でいることのほうが多い。 その分人間からチヤホヤされているのも知っているが、飼いゆっくりの前でおちびちゃんの世話する時、なんとも言えない優越感を得ることが出来た。 「だってしょうがないだろ?君達じゃゆっくりさせれないんだから」 「ゆがぁあああああ!!うるざぃいいいいい!!おちびちゃんはゆっぐりできるんだぁぁぁっ!!」 「君達はそうかもね。ただ、おちびちゃんはゆっくり出来ない」 「くっ、が、ああああああああああ!!」」 それだけは認めたくない。 そんな話なんて聞きたくなかった。 饅殺男の声を遮断するために大声でわめくれいむ。 そんなれいむを黙らせたのは、まさに渦中のおちびちゃんだった。 「ゆじぇ!ゆじぇぇ!けっきょくまりしゃはかいゆっくちになれるのじぇ!? かわいしょーなまりしゃはかいゆっくちになりたいのじぇ!あにょね! そしたらにぇ!あまあまをたっくさんたべちぇ――――――――――」 「なれないよ」 簡素だが明確な饅殺男の否定は、まりしゃの笑顔と語る夢を砕いた。 「ゆ……じぇ……まりしゃ……」 「君のお母さんのせいでね」 「ゆ…………?じぇ?ど、どうしちぇええええええええええ!?」 「な、なにを!」 慌ててれいむが否定しようとするが、まりしゃがキッっと睨みつける。 その視線があまりにも鋭く、そして何より悲しくてれいむは口をつぐむ。 「今れいむに説明したばっかなんだけどさ。 まりしゃだってわかるだろ?こんなお水すらくれないお母さんじゃなくてさ。 あまあまも、広いお家も、何でも持ってるお母さんとお父さんのおちびちゃんに生まれたら。 どう?とっても“しあわせー!”だよね?」 「ゆゆ!?……ほんとうなのじぇぇぇぇ!!しゅごいのじぇ! あまあまたべほうだいで、まいにちがえぶりでいさんなのじぇぇぇぇっ!!」 短いおさげをくるくる回し、まりしゃが自身の想像した幸せな世界をはしゃぎまわる。 そこに、引き込んだ悪魔が囁く。 「でも君は、このれいむから産まれちゃった」 「ゆ、じぇ……?」 「れいむが産まなきゃ飼いゆっくりだったかもしれない。 れいむの子供に産まれなきゃもっとゆっくり出来たはずだったのに」 「やめて……にんげんさん、もうやめて……」 「れいむさえ邪魔しなきゃ飼いゆっくり、それは無理でももしかしたらここらの群れの長の子供だったかもしれない」 「むれの……おしゃ……?まりしゃ、おしゃになれたのじぇ……? おかーしゃんがうまにゃかったら?あ、あまあまもたくさんもらえたのじぇ……?」 「そうだよ。まったく、ヒドイお母さんだよね」 「ゆぅううううううううう!!ひどいのじぇえええええええ!!」 理解が追いついたまりしゃが、小さな体を精一杯広げて怒った。 その声は母親の体内餡を震わせる。 「どうしておかーしゃんがまりしゃをうんだのじぇぇぇっ!! まりしゃはおしゃになれたのにぃいいいいい!!」 「おちび……ちゃん」 これは辛い、これは耐えれない。 人間からの辛辣な言葉も暴力も、街の暑さもこの痛みと比べればたいしたこと無いとハッキリ言える。 少なくともれいむ自身は何よりも大事にしていたおちびちゃん、そんな子から“なぜお前が母親なんだ” れいむは生きていくために必要な力が、スッっと体内から消えていくのを自覚した。 「ははっ、あんまりれいむを責めたら可哀想だよ? たくさん頑張って、君をゆっくりさせてあげようとしたみたいだしね」 「じぇんじぇんゆっくちできなかったのじぇぇえぇっ!! ごはんしゃんはおいしくにゃいしっ!ごーきゅごーきゅもできなかったのじぇぇっ!!」 「ごめん……なさい……おちびちゃん……ごめんなざぃ」 「そうだよっ!もっちょまりしゃにふさわしいきれいなおかーしゃんからうまれるはずだったのじぇぇぇっ!! おまえなんかじゃなくてぇぇぇっ!!ゆゆっ!? そうだじぇぇ!このおねーしゃんみたいにきれいになれたはずなのじぇぇぇっ!!」 「ゆぐっ、ごめんね、おかーさんがうんじゃってごめんねぇぇ……」 てーを基準に妄想の自分を美化させ、それを盾にまりしゃがれいむを責める。 それは何よりも鋭い矛となり、れいむの生きる意志を穿つ。 「ごめんじゃすまないのじぇぇぇっ!!どうしてくれるのじぇぇぇ!! まりじゃのしあわしぇっ!ゆっくりをかえすのじぇぇぇっ!! はやきゅぅ!はやくかえしぇぇぇぇっ!!ゆじぇぇぇぇぇぇぇんっ!!」 ついに泣き出したまりしゃの目から、やっと手に入ったばかりの貴重な水分が流れていく。 そして干からびたはずのれいむの片目からも、ポトリとたった一滴の涙が零れた。 それはれいむの希望であり、愛であり、れいむを動かしていた最後の何かであり、残ったのは生への諦めだった。 「……おちびちゃん……ぴょんぴょんできるあいだに、おみずさんをさがしてね……」 「うるしゃいのじぇぇぇ!!おまえしゃえいなければぁぁぁ!!そうだじぇ! おまえがしねばいいのじぇぇぇえっ!!そうすればまりしゃはぁっ!」 「どうしても……だめだったら、こうえんさんに……みてね…………」 「しねっ!しぬのじぇぇっ!げしゅっ!げしゅぅぅ!!」 せめて最後まで親としてまりしゃが生き延びることを願うれいむの言葉は、口汚く母親を罵るまりしゃには届かない。 「ひとりぼっちになっちゃっても…………ゆっ……」 「うるしゃいっていってるのじぇぇぇぇっ!!」 ポコンと、しーしーで濡れた体でまりしゃがれいむを叩く。 もちろん痛みなどないが、それっきりれいむのおくち、そして全てが動くことは無かった。 「ゆっ!やっとしんだのじぇぇぇっ!!」 「大人のゆっくりを倒しちゃうなんてすごいねまりしゃ」 「ゆゆっ!?まりしゃすごい?」 片手でメールをうっていた饅殺男があくびをしながらまりしゃを褒める。 「おめでとうまりしゃ。これで自由の身だね」 「…………ゆじぇ?まりしゃはじゆうなの?」 「そうそう、これからは何をしたってまりしゃを叱るやつなんていないし、何処へ行ったって怒られない。 独り立ちしたまりしゃはもう一人前だね」 「いちにんまえ……じゆう……!やっちゃぁぁっ!!まりしゃはじゆうなのじぇぇぇぇっ!!」 おさげをブンブン振り回し、ちょこちょこ跳ね回って喜ぶまりしゃ。 「まりしゃはまいほーむをもつのがゆめだったのじぇ!! しょれから!まりしゃはじぶんのむれをつくりたいのじぇぇ!!」 その小さな身体には大きすぎる妄想が次々と飛び出してくる。 現実との巨大なズレを餡子の脳が理解していないのは、幼く、両親に全てを依存していた証だ。 「だからにんげんしゃん、まりしゃをいっしょにつれてってほしいのじぇ!」 「連れてく?悪いけど君を飼いゆっくりにするつもりはないよ?」 「あたりまえなのじぇ!まりしゃはにんげんがきらいなのじぇ!かいゆっくりになんかならないのじぇ!」 今度はぷくーと膨れて威嚇までしてくるまりしゃ。 赤ゆっくりのため身体全体が膨らむのではなく、頬の部分だけが風船のように丸くなる。 「はぁ、じゃあどういう事?」 「まりしゃにふさわしいおうちをつくるばしょをさがしにいくのじぇ! それに、まりしゃがおさになるむれもみつけなきゃいけないのじぇ! だからにんげんしゃんにいろんなところをつれてってほしいのじぇ!」 そんな事もわからないのかと言いたげな目でまりしゃが説明する。 おさげで頭を指差しくるくる回す。 相変わらずゆっくりの増長するスピードを目で捉えるのは難しい。 人間では理解が追いつかない。 「にんげんしゃんはにんげんにしては、おみじゅさんくれたりしてやさしかったのじぇ! まさかことわたりしないはずなのじぇー?」 ニタニタと笑いながらまりしゃが確認してくる。 普段から使用率の低い餡子脳で必死に考えたであろう案は、豆粒ほどの知性を感じさせなくもない。 「わかったよまりしゃ。今日は僕もこの子を連れてお散歩なんだ。 一日だけでいいなら、一緒につれていってあげるよ」 「ゆっふっ!はなしがわかるのじぇぇ!にんげんしゃん! にんげんはくずだけど、にんげんしゃんならまりしゃのむれにいれてあげてもいいのじぇ! それじゃあよろしくたのむのじぇ!」 のーびのーびの頂点でピシッっと姿勢を固定し、おさげでお帽子の傾けながらお礼をいうまりしゃ。 さながら気分は大富豪、リゾート地へと開発する自身の土地の下見にでも行くかのようだ。 ただ現実は彼女の中身ほど甘くはない。 「えっと、じゃぁどうしよ――――」 「はい、てーちゃん頂戴」 「うぉ!びっくりしたぁ」 いつの間にかメールで呼んだ虐子が隣に立っていたため、驚いた拍子にまりしゃを踏み潰しそうになった。 いや、わざとだ。 「ゆひぃっ!!」 「早えーな」 「呼んだのアンタでしょ? って、てーちゃん、この暑さでよく眠れるわね……。よいしょ」 てーを虐子に渡し、両手がフリーになった饅殺男がリュックから使い捨て手袋を取り出す。 さすがに野良と接する事に慣れているとはいえ、素手で触る気はない。 むしろ詳しいからこそ、野良が生ゴミを触り、ゴキブリなどをご馳走と呼んでいることを知っている。 しーしーを漏らしながら怯えているまりしゃを掴む。 「ゆゆっ!!まりしゃはおしょらを――――――」 「飛んでないよ」 お決まりの台詞を、しかし言い終わる前に饅殺男が強く遮った。 「ゆぇ!?」 「僕が持ち上げただけ、だいたい通常種のまりしゃが飛べるわけないだろ?」 「ゆ、ゆん、そうだったのじぇ……。 まりしゃはおそらをとぶのがゆめだったのじぇ、とりさんみたいにびゅーんって……。 おとーしゃんがすぐしんじゃって、たかいたかーいもしてもらったことが……」 「あっそ」 ごにょごにょと自分の不幸自慢を始めたまりしゃから意識を外し、立ち上がる。 長時間屈んだ姿勢だったために、両足にジーンとした痺れを感じる。 「てーちゃん冷やっこーい、すりすり~!」 「う……ん?あれ……まみぃ?」 「あっ、ごめん!起こしちゃったてーちゃん?おはよー、マミィだよー」 「まみぃ!おはよー!あのね!きょうね!あさね!こーんふれーくにいちごいれてたべたの!おいしかった!」 饅殺男は先行する“二人”の騒がしさに苦笑しながら、手の上で涙ぐみながら空への思いを語るまりしゃを見る。 野良生活が希望に満ち溢れているなんて勘違い、素晴らしいじゃないか。 ゆっくりしたマイホーム、ゆっくりした群れ。 今日もこれから野良の世界を生きるゆっくり達とたくさん出会えるだろう。 そこで自身の夢について尋ねてみるといい。 彼等はきっと、人間よりも正確で的確にまりしゃに答えてくれるはずだ。 「じゃぁ今日の夜はブドウ食べよっか!種ないやつねー」 「うん!……まみぃ、かわあるやつ?」 「うーん、皮はあるわね、でもマミィが全部剥いてあげるよー」 「やった!ありがとー!」 足の痺れが治まるまでに随分差がついてしまった。 饅殺男が歩き出す、その手に夢見るまりしゃを乗せて。 「さぁまりしゃ、お待たせ。出発しようか」 「ゆ、ゆん!そうだじぇ!まりしゃのさくせすすとーりーがここからはじまるのじぇ!」 まりしゃは満面の笑顔を見せている。 正午になり、太陽がその猛威を存分に振るう街で、その笑顔は果たして―――― 『てーと猛暑日 午後』に続きます。 ここまでお読みいただきありがとうございました。 帝都あき
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小さいときから勉強ばかりしていた舞波にとって、自分がアイドルになるなんて夢のまた夢だったらしい。 「僕がたまたまテレビをつけた時、自分よりもちょっとお姉さんたちが歌って踊っていたんだ。それをみて、自分もやってみたいなんて思ってしまってさ。最初は馬鹿げてるとわかっていたんだけど、女装してみたら案外いけるかもって。お母さんも初めはすごく驚いていたなぁ。結局、受かるわけないんだし、やってみようって言ってくれて受けてみたんだ。それで気づいたら、どんどんオーディションを進んでいって受かっちゃったってわけ」 オーディションからそんなに月日がたったわけでもないのに、舞波はとても懐かしそうに語ってくれた。 彼には何だか遠い日に夢をみていた頃が、幸せだったとでもいうように切ない表情をしている。 こういう時、私は話に聞き入って静かにしてしまうよりも大きいリアクションを取って反応をしたがる。 自分でも賑やかな方が私らしい気がするもん。 「そっか~舞波も千聖と同じってわけなんだ。あ、あのね、これは本当は皆には内緒なんだけど、千聖も男の子なんだって。だからね、舞波の話を聞いたときも他にもいたんだって意味で驚いたよ。うん、本当に」 千聖には内緒にしてね、って言われてはいたけど、舞波を信用してついしゃべってしまった。 言っておきますが別に私、嗣永桃子がおしゃべりな口の軽い女だからってわけじゃないんですからね。 「えぇと、千聖も男の子ってそれ本当?」 小学四年生の子供に似合わず、寂しそうな顔ばかりしていた舞波が、ここにきてようやく好奇心に満ちた表情をみせてくれた。 ぐいっと顔を近づけてきて、答えを聞くまでは決して帰さないとでも言いたげである。 こんな調子の舞波を見るのは初めてだったものだから、どう反応していいかわからず、首を縦に振るしか出来ない。 「そ、そっか~そうだったんだ。よかった~自分以外にも仲間がいたって嬉しいよ。桃子、ありがとう」 「ど、どういたしまして。本当はバラしちゃいけないんだろうけどさ、あははは」 「それくらい僕だって同じ立場だからわかるよ。平気、誰にも言わないよ。本人には確認してみるかもしれないけどさ」 これがきっかけかはわからないけど、舞波と千聖の仲は一気に縮まった。 千聖にとって、舞波は同じ夢をみた仲間であり、良い相談相手のお兄さんとなったみたいだ。 逆に舞波には、手をやかせるやんちゃで可愛い弟が出来たみたいなものだったらしい。 二人の仲良く遊んだり、勉強を教えてもらっている場面は本当の兄弟に見えて、微笑ましかった。 何かあるとすぐに舞波を見るのが当たり前になっていた私は、キャプテンに言われるまで自分がそこまでしていると気付けなかった。 「桃、ニヤニヤして何してるの?」 「う、うわぁぁ。え、や、やだなぁ~何でもないって。全然何もないからね。気にしないで」 「桃はダンス遅れてるんだから、ちゃんと練習するんだよ。」 キャプテンをうまく誤魔化しはしたものの、自分の中にある疑問が生まれてもいた。 あれ、私ってそんなにも舞波ばかり見ていたのだろうか?、と。 舞波をみて嬉しそうに観察している自分の顔が鏡に映し出される。 私ってば、舞波をこんな顔して観察してたんだ。 「バカバカ、そんな顔しないの。まるで舞波を好きみたいじゃん・・・好きみたいじゃなくて、好きなのかな?」 鏡に映る自分にそう問いかけても、答えはまるでなし。 自分と全く同じ動きをするもう一人の自分が映し出されるだけで、おとぎ話とはまるで違う。 可愛いって問いかけたわけじゃないんだから、答えてくれたっていいのに。 「桃、そんな顔してどうしたの? レッスンでついていけないところでもあったとか?」 「きゃ!! ま、舞波。お、驚かさないでよぉ。びっくりしたじゃん」 私はずっと背後から近づく舞波に気づかずに夢中で鏡と睨めっこをしていたようで、突然のことに驚いて悲鳴をあげた。 舞波も舞波で私が悲鳴をあげたものだから、つられて驚いている。 「ご、ごめん。驚かすつもりはなかったんだけどさ。鏡みて首傾げたりしてたから、どうしたのかなって」 「う、うん。いやぁ~鏡がたまには自分と別の動きしないかなって思ってさ。す、するわけないよね」 「うん。鏡はただ単に自分と同じ動きを映すだけだからね」 「だよね~」 もう自分でも笑うしかなかった。 まじまじと不思議なものをみる目を向けてくる舞波に、自分の気持ちを気づかれたくなかったから。 そう、私はこの時点で自分の気持ちに気づいてしまっていたんだと思う。 私は舞波を好きなんだってことを。 「千聖、さっきキスしたことは冗談として。舞美とのことは真剣なの?」 「い、いきなり何言うかな。真剣だよ」 千聖からおどけた調子が一気に抜けて、久々に真剣な顔がみられた。 真剣な顔になると、やっぱり男の子だけあって凛々しい。 こういうところでも全力投球できるなら、私と舞波のようにはならないかもしれない。 「何があっても好きでいられる?」 「な、何さ。何で桃ちゃん相手にそんなことを言わなきゃならないのさ」 「いいから、好きでいられるかどうか言いなさい。それによってはこっちも本気で応援するかどうか決められないじゃん」 「・・・わ、わかったよ。僕は何があっても舞美ちゃんを好きでいるよ」 私の真剣さが伝わったか、千聖も本音で話してくれた。 舞美を何があっても好きでいる、とは言葉にしてしまうとものすごく陳腐だ。 確かにカッコいいとは認めるのだけど、それも舞波とのことがなければの話だ。 私は既にこういう言葉が陳腐に聞こえてしまうような体験をし、そんなものに心躍るほど乙女でもない。 アイドルの仕事柄、そういった受け答えはする場合もあるにはある。 それはあくまでアイドル嗣永桃子であって、ホントのじぶんではない。 私だって女の子だから、千聖の言葉を信じてあげたい。 でも信じられないのは、自分たちは厳しい現実にぶつかって諦めた恋の先輩だからだ。 「本当に信じていいんだね?」 「うん」 「わかった。真剣なあんたに免じて、舞美に本気なのは信じてあげる」 「ありがとう、桃ちゃん」 「信じてあげる。ただし、あんたたちには今から話す二人にはなってほしくないの。私と舞波みたいには」 私は決心をしていた。 グループ内での恋愛をしてしまった舞美には、自分と同じ悲しい別れだけはしてほしくないから、全てを話そう。 千聖には舞美に悲しい思いをさせたくなんかなかったから。 ←前のページ 次のページ→