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【種別】 “ミステス” 【初出】 I巻 【解説】 物語のもう一人の主人公。16歳、御崎高校1年生の少年。“紅世の王”、“狩人”フリアグネ一派に存在を喰われて死亡した『本物の坂井悠二』のトーチ。 トーチとなった直後に宝具『零時迷子』が無作為転移してきて、『零時迷子』の“ミステス”となった。 “ミステス”としての核である『零時迷子』の性質により封絶の内部でも動くことができたために、フリアグネ配下の“燐子”の人喰いを目撃してしまい、自身も襲われそうになったところをフレイムヘイズの少女に助けられ、同時に自分が既に死んだ『本物の坂井悠二』の代替物であること、“徒”がこの世の人間を人知れず喰らっているなどの、「この世の本当のこと」を知らされた。 初日こそ自分がすでに死亡し、消滅するしかない存在である事に落ち込み悩んでいたが、後日には落ち着きを取り戻し、囮扱いながらもフレイムヘイズの少女に守られながらフリアグネと戦う内に徐々に自分の気持ちを整理し、『本物の坂井悠二の代替物』でしかない自分にできることを探して、自らが「シャナ」と名付けたフレイムヘイズの少女に協力するようになった。 自分の中に宿る宝具『零時迷子』の力により、自分は他のトーチのように時間経過で燃え尽きることは無いと知った後は、人間のように未来を広げられず、老化も成長もしないため共に暮らせず、消えれば全て「なかったこと」になってしまう自分が取れる唯一の道として、フレイムヘイズであるシャナと共に生きる道を考えるようになるが、同時に今までずっと共に生きてきた家族や友人、生まれ育った故郷である御崎市といった『人間としての生活』への未練も共に抱くようになり、悩みながらも心身共に成長していった。 双子の兄がいたが、出産直後に亡くなっていた。悠二の名は、生きることのできなかった兄が確かに存在した証として、更に、自分と兄の「二」人の人生を「悠」かに生きるようにと、父の貫太郎によって名付けられたものだった。 悠二本人は長くその事を知らなかったが、母の胎内に3人目の子供(坂井三悠)が宿った事を機に、父より教えられた。 【性格】 性格は基本的には大人しめである。しかし怒るべきところでは怒る、人並みの義憤心や我侭さや自尊心は持っている。 好物はチョコレートで、嫌いな物はマシュマロとセロリ(特にセロリは口にすると凄い顔になるらしい)。利き足は右。 日常では様々な人に「少し頼りない」「まだまだ未熟」と評されているが、真剣になればなるほど落ち着く思考形態のためか、危機の時にはフレイムヘイズにも一目置かれるほどの頭脳の切れを見せる。 また、“千変”シュドナイ相手に、シャナの時間稼ぎの為に“天目一個”の芝居を(内心で大いに緊張と恐怖を感じながらも)かますなど、土壇場での度胸も持ち合わせている。 自分がトーチであると知った初日こそ落ち込んでいたが、次の日にはある程度割り切っており、数日後にはフリアグネをおびき寄せるためにトーチを消費させる作戦を提案する(そのことに悲しみを感じながらも)など、合理的かつ冷静でドライな面もあり、中学からの友人である池速人からは「微妙に要領が良い」と評されていた。 このためか、クリスマスイブの日には「存在が喰われるという決定的な消失を避けるため」「封絶を張っているから修復可能」という免罪符があってこそだが、“徒”ザロービを討滅し、余波で人間を何人か一時的にせよ粉々にしていた。 但し恋愛に関してはかなり優柔不断であり、なおかつ微妙な女心に鈍い。 その理由は、坂井悠二の本質は『感情』の面には無い特殊な人格の持ち主(つまり平時には平時の、危機には危機の常時対処している)であるために、日常における感情で対処するべき恋愛などに大変に疎く、鈍感なのである。 幾度かの戦いを経て、訓練の賜物か、はたまた戦いの経験からか、貫禄が立派についてきた。 【能力】 “ミステス”としての核である『零時迷子』の力により、毎晩午前零時に一日に消耗した“存在の力”が、その一日の内に保持した最大の量まで回復するほか、封絶の内部で動けたり、“存在の力”に対して明敏な感覚を持ち、仕掛けを施されたトーチの鼓動、偽装された“燐子”ピニオンの違和感といった、フレイムヘイズや“徒”でも感知し得ない微細な動き・違和感を感じ取り、極限状態では離れた位置のシャナの鼓動さえ感じていた。 II巻でシャナが新たな能力を身に付けて以降、「『零時迷子』の能力を利用した無尽蔵のエネルギー・タンク」として彼女の鍛錬に付き合っていたが、その際に“存在の力”をシャナに受け渡す時の副次効果で、未熟ながら“存在の力”の流れを感じ操作できるようになった。 IV巻では『零時迷子』に仕掛けられていた『戒禁』がシュドナイの片腕をへし折り、VII巻でカムシンに対して感じた強い怒りを発露させようとした際にそれを取り込んで一体化、同時に“存在の力”への理解と感得を得た。 当初はごく平凡なトーチとしての“存在の力”を持っていただけだったが、これによって並みの“徒”を超える量の“存在の力”を保有するようになり、シャナ(XI巻以降はヴィルヘルミナ、さらには臨時でマージョリーも)を師に、自在法や身体強化といった“存在の力”を使った顕現のための技術を学ぶようになり、XI巻の頃には身体強化や、簡単な自在法・封絶を成功させていた。 この際、顕現させた炎の色は銀色であり、本来のトーチが顕現させる炎の色である、その人間を喰らった“徒”の炎の色(フリアグネ一派=薄い白)を薄めた色でも、『零時迷子』の前の持ち主であるヨーハンの琥珀色でもなかったため、『零時迷子』が悠二に転移する以前に“壊刃”サブラクに打ち込まれた謎の自在式の影響と見られていた。 XIII巻では、『零時迷子』から現れた『暴君』によってフィレスの力を吸収し、並の“王”すら上回る量の“存在の力”を手にする。 フリアグネ討滅後は、彼が所持していた火避けの指輪『アズュール』をペンダントにして所持し、その後ヴィルヘルミナとの戦いで使ったことをきっかけに『吸血鬼』も扱うようになった。 『戒禁』の変異、異常に鋭敏な感知能力は、ヨーハンが自身の復活のための布石として手を加えたものであることが、XXI巻エピローグで明かされた。 【作品内での流れ】 御崎市を出てシャナと共に生きることを望んだのは、人間でないトーチである自分にはそれしか道を選べないことに起因し、自分が弱く、いつか消えた時には忘れられてしまう存在という悩みから、吉田一美にも曖昧な態度で接していた。 しかし、シャナに対する想いの芽生えや自覚、吉田一美が“紅世”のことや自分がトーチであることを知っても「人間」として好きだと言ってくれたこと、そしてお弁当をきっかけにシャナが自分を好きであることを知ったことなどで、いつしか「シャナと共に生きる」ことは自分自身の明確な望みへ、トーチである自分からは失われたと諦めていた人間としての生活を、吉田一美が「人間」の側から自分の周りの物を感じさせてくれたことで、自分の周りの人たちや故郷が掛け替えの無い大切な「守りたい物」だと想うようになった。 身体強化や自在法で「人間を超える」ことも、最初は恐れもあったがいつか言われた言葉や、シャナを守り、共に生きるという願いから、自らの願望としてその道へと進むようになる。 自分に弟か妹が出来ると知った時、自分が消えてもその子供の名前に自分が居た証が残ることから旅立ちへの気持ちを固め、同時に旅立った先の戦いが「これから生まれ来る者」をも守ることに繋がると感じ、シャナと共に生きて戦い「いつか、守った未来で、この“徒”との戦いを終わらせる」という彼独自の願いを抱くに至った。 自分の存在への不安、身の回りの落ち着かなさ、自分の想いと打算の境目の不明瞭さから、二人が自分に対して好意を持ってくれていると分かった後も、シャナと吉田一美の好意に対して明確な「答え」が出せなかったが、クリスマス・イブの日に二人から選択を迫られた時、今の自分にとって大切な願いを明確にさせてくれ、自分を好きになってくれた二人に、誠実な形で答える決意と覚悟を固め、二人の内のシャナを選んだ。 その成長、彼ならではという望みを、『零時迷子』に『暴君』から送られていた人格鏡像の断片越しに意識を共有した“祭礼の蛇”が感じ取り、同調可能な思考と志向を持つ者として悠二を『大命の王道』を共に歩むただ一人の「人間」と定めた。 サブラクとの戦いの後、シャナを選んだ時、サブラクによりポケットに入れられていた『非常手段』が起動し、自らに内在していた黒い影(仮想意思総体)に導かれ『星黎殿』の『暴君II』へと転移し、『暴君I』と化していた『零時迷子』と『暴君II』が合一、[仮装舞踏会]の盟主にして“紅世”の創造神“祭礼の蛇”の代行体となった。 【“祭礼の蛇”との同調後】 “祭礼の蛇”の代行体となったことで、凱甲型宝具『莫夜凱』と竜尾を装備し、“ミステス”としての形を保ったまま、“紅世の徒”としての力も振るえるようになっており、その炎の色は“祭礼の蛇”と同じ黒となっていた。 [仮装舞踏会]の面々の前では盟主“祭礼の蛇”として振る舞っているが、「坂井悠二」としての自我や記憶もそのまま残っており、両者が併存(または融合)しているような状態となっていた。少なくとも、洗脳や支配を受けているのではなかった。 “祭礼の蛇”となったことで、トーチとしての坂井悠二が保っていた『絆』(周囲との関連性)は失われ、この世界から欠落した。 XVI巻では、“祭礼の蛇”坂井悠二として御崎市に帰郷し、シャナ、マージョリー、ヴィルヘルミナと対峙した。“銀”の正体を告げることでマージョリーを精神的に崩壊させ、ヴィルヘルミナは“銀”の群れで足留めし、その間にシャナを正面から撃破した。 その後、瀕死にしたシャナを拉致し、『玻璃壇』を回収して御崎市を後にした(この際、悠二は最初は何時もの髪型だが、戦闘時には“祭礼の蛇”スタイルになっていることから、髪型は自由に変化できる模様)。 『星黎殿』にて、ベルペオルの宝具『タルタロス』でシャナの異能の力を封じ(この時点でシャナ=平井ゆかりの存在が世界から欠落)、シャナを貴賓室に幽閉した後にラミーと再会した。 ヘカテーの導きで『星黎殿』を中国中南部に移動させ、その地で『久遠の陥穽』へと通じる『神門』を創造し、ヘカテーによるシャナ暗殺を未遂で防いだ後、『三柱臣』、教授(とドミノ)、サブラク、ロフォカレを伴って『久遠の陥穽』へと出立した。 “祭礼の蛇”の神体に通ずる『詣道』を、両界の狭間との隔離が不完全な場所に出現する最古のフレイムヘイズたちの成れの果てたる色付く影を撃退しながら、ヘカテーの先導によって『詣道』を突き進んだ。 そして『詣道』の最奥部である『祭殿』に至り、ベルペオルとヘカテーによって“祭礼の蛇”神体が覚醒・復活するのを歓喜の表情で見届けた。 “祭礼の蛇”神体と共に『詣道』を遡って行く途中で、追いついて来たシャナと遭遇し、シャナの姿と決意を見聞きしたことで衝撃を受ける。それでも“祭礼の蛇”坂井悠二の決意は変わらず、シャナと交戦を続けるが決着はつかず、シャナがヴィルヘルミナたちと合流した後に、色付く影たちの助力によってその場を離脱するのを見届けると、“祭礼の蛇”神体と共に『神門』を抜けてこの世に還幸した。 この世に戻ると、全世界に向けて大命を宣布し、『星黎殿』に攻め寄せるフレイムヘイズ兵団の敗北を決定的にし、二度目の宣布で士気を崩壊させた。これにより、フレイムヘイズ兵団は瓦解し、同地での戦闘は事実上勝敗が決定した。なお、“祭礼の蛇”坂井悠二自身が参戦しなかったのは、『詣道』の遡上で無理を重ねた神体の安定化率が五割にも達しなかったためであった。 神体の安定化などの準備がなされ次第、大命成就の地に選んだ御崎市に向かって出発した。『星黎殿』が日本に到着してすぐに単独で御崎市に向かい、『星黎殿』の到着に先立って坂井家の前で吉田一美たちと再会し、吉田一美を『星黎殿』に迎え入れた。 彼女の持つ御崎市のイメージを逆用して、ラミーが(調律の)逆転印章を起動させ、『無何有鏡』創造の一歩を踏み出した。 シャナとヴィルヘルミナが『真宰社』まで攻め込んできてからは、シュドナイとともに儀式の防衛にあたっていた。 その戦いの最中現れたフィレスにより、坂井悠二の身体からヨーハンが分離したため、異常なまでに鋭敏な感知能力は失われ、施されていた『戒禁』もほとんど機能しなくなった。 さらに、教授の討滅により『暴君』や竜尾も使用できなくなってしまったが、逆に戦いの中で、後に『グランマティカ』と名付けられる独自の自在法を感得した。 “祭礼の蛇”による新世界創造を終え、ベルペオルの『タルタロス』によって“祭礼の蛇”の仮装意思総体を自身から切り離された。切り離された後も炎の色は黒のままで、シュドナイと共にシャナやマージョリーと再戦を始めた。 そこで悠二が望んだことは、御崎市の再生だった。調律の逆転印章によって広がった御崎市の欠落、リャナンシーの遺失物を復元する自在式と吉田一美の存在、そして“徒”たちがこの世に置いていく膨大な“存在の力”。悠二がそれを始める間、シャナとマージョリーの攻撃をシュドナイが食い止めた。 悠二がシャナを拒む理由は、“祭礼の蛇”として戦乱を起こし数多のフレイムヘイズを殺したことによる自罰心ゆえだった。 シュドナイがマージョリーに討滅される中、全てを背負い込んでいた悠二は、かつてシャナに送った手紙を見せられ、互いの本心に気づいた。 そして、思いが通じ合った二人の口づけと共に『アズュール』に刻み込まれていた転生の自在式が発動し、悠二は確固とした独自の存在となって、シャナ(とアラストール)と共に『天梯』を通って新世界『無何有鏡』へ旅立った。 【新世界での活動】 悠二は、世界を説いて廻り、艱難の道を行く者――『廻世の行者』として、シャナと共に人と“徒”の共存を説いて回っている。 しかし、“徒”の願いを叶えた創造神の代行体であったにもかかわらず、“徒”の欲望を抑制する方針を出していることから、フレイムヘイズ・“徒”の双方から疑念を持たれているのが現状である。“紅世”関係者からの一般的な認識は、悪謀の智者。 街中では以前の少年の姿に、解析と再起動を行っている『竜尾』が変化した黒いマフラーを巻いている。 新世界へ渡り来た後、混沌期にシャナと二人で大活躍したようだ。また、習得した自在法『グランマティカ』の使用法を徐々に大規模化・発展させている。 新世界へ渡り来てから一年後の春、ピルソインの案内で日本のとある定食屋でリベザルと再会し、悠二が人と“徒”の共存という目的と手段を取り違えかけていることをリベザルに忠告された後、シャナと合流して作戦の変更を話し合った。 とある陸上競技場に誘き寄せた[マカベアの兄弟]の“兄弟”たちを生贄に扮して待ち伏せ、現れた“王子”であるダーインとカルンと遭遇。 大規模に展開した『グランマティカ』で競技場を封鎖し、悠二がカルンと、現れたシャナがダーインと交戦。二人を容易く討滅した後にシャナが『真紅』で天罰神の擬似神体を顕現させ、アラストールが天罰神の『神託』を告げた後、残った[マカベアの兄弟]の“兄弟”たちを解放した。 作戦終了後、シャナとアラストールに変更した作戦に対する率直な感想を聞いた後、二人に励まされた。 この行動により、[マカベアの兄弟]の中に[真なる神託]派が発生し、後に[マカベアの兄弟]が内紛に陥ることとなる。 新世界へ渡り来てから二年後、[轍]の策謀を感付いてシャナと共に西日本の伴添町へ赴き、調査の途中でギータを討滅した。シャナとは違って伴添高校には通わず、シャナを迎えに来た時には伴添高校のシャナのクラスメイトたちが「坂井シャナ」の彼氏だと騒いでいた。そして、[轍]のケレブスが発動した『ストマキオン』によって『神門』の粗悪な模造品が創り出されようとしているのを『グランマティカ』で感知すると、『グランマティカ』で構造を解析・分解し[轍]の策謀を阻止した。 遠い未来、“祭礼の蛇”の眠りが浅くなった時にも、二人にして三人の姿が垣間見られている。 【アニメ版坂井悠二】 当初はヘタレだったが少しずつ成長していった。また、平井ゆかりを救おうとするなど優しい面も目立つ。 物語後半からは覚悟を決め、優しさを残しつつも強かさも合わせもつようになった。 なお、アニメ版ではシュドナイの腕を吸収する代わりに、ヘカテーと『渾の聖廟』によって“存在の力”の量が“紅世の王”並みに増大していた。 アニメ第2期終盤では、“敖の立像”完成のためにヘカテーによって『零時迷子』を抜き取られて消滅の危機に陥るが、シャナと共に最深部に侵入して『零時迷子』を奪還した。 アニメ第3期では、原作通りだった。 【由来・元ネタ】 坂井とは「境」のこと。そして、坂井の井は井戸の井、つまり地下へ通じる穴。平井ゆかりと合わせて、黄泉「平坂」。 「悠二」の名の由来は、作中述べられた通りである。 御崎高校の生徒の中で、平井ゆかりとともに政治家を名前の由来としていない。 【コメント】 ☆方法は異なるが、何かコードギアスのルルーシュに通じるものを感じたな。 ☆世の平凡草食系男子に夢を与える存在だった。 ☆2011年2月10日発売の電撃文庫MAGAZINEでの作者といとうのいぢへのインタビューで、悠二がシャナと同様に理路整然とした理由と目的を明かしている事の裏に何か隠していると書いてあった。 ☆XXII巻にて、自身の自在法『グランマティカ』を体得した。 ☆本編終了から長い時間を生きるようだけど、その間にあだ名がついた。 ☆あの“天目一個”や『異形の戦輪使い』みたいに、新世界『無何有鏡』では『零時迷子』はほぼ無意味って言われてるから付くとしたら、“祭礼の蛇”関係か、シャナとの『約束の二人』みたいな扱いかと推測されていた。 ☆↑『異形の戦輪使い』のイメージだったけど、シャナとペアでっていうのも良かったな。ところで、炎の色は黒から琥珀や薄い白に戻らないのだろうか? ☆↑分離後も、透明な煉瓦の真ん中で黒い自在式が燃えているから、これからもずっと黒だった。炎の色が変わったのは、悠二が初めてじゃないしな。 ☆新世界で悠二の黒い炎を見て創造神かと勘違いしてビビったり、事情を知るものなら別の意味でビビったりするとか面白そうだ。 ☆転生した確固たる独自の存在とは何を指すのだろうか?人間か?“徒”か?フレイムヘイズか? そのどれでもない何かか? ☆“祭礼の蛇”のまどろみに出た際に、遠い未来でも姿形が変わってない点から人間ではないと思うが・・・・。 ☆つけられたあだ名は『廻世の行者』(かいせいのぎょうじゃ)であった。 ☆[宝石の一味]のコヨーテやフックスや[狂気の城]とも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆番外編『しんでれらのしゃな』では、ユウジ王子として登場している。 ☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、御門悠二として登場している。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、バルマス家の当主ユウジとして登場している。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、悠二・ルイ13世として登場している。
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楽曲草案 コータス:train ソルロックorウルガモス:おはようサンシャイン ムシャーナ:まなざし☆デイドリーム -- (ユリス) 2012-11-06 20 51 16
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牛乳買幽霊│和(石州)│鬼部│ http //www10.plala.or.jp/cotton-candy/momomi2/maki-3626.htm
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・色々と無茶ある展開がありますが仕様です。 ・俺設定あり。 ・ゲス制裁ものですのでゲスしか死にません。 天然あき 「まりさ、ごはんだよ」 男は傾いた犬小屋に向けて話し掛ける。 すると、 「ゆぅ…」 ずーりずーりと一匹のゆっくりまりさが明らかに不調そうな感じで出て来る。 「む~しゃ…む~しゃ…」 全然幸せそうにない感じでまりさは与えられた食事(人参山盛り)を食うまりさ。 その身体にはベルトが食い込まんばかりに巻かれており、更に鎖に繋がれていた。 「さて、それじゃあ散歩に行こうか」 「ゆ!!?」 生気を感じられない状態で食事していたまりさの身体がビクッ!と震える。 「や、やなんだぜ!! まりざはここでゆっぐりしてるからおざんぼはひどりでじでるんだぜ!!!」 まるでこれから拷問でもされるかのようにまりさは恐怖している。 しかし男は屈託のない笑みで、 「何言ってるんだい、行くよ」 男はリードを付け替え、iPodで音楽を聴きながらまりさを引っ張って外へと連れていった。 「やじゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 男には届かない、まりさの悲痛な叫びが響いていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 数日前…。 「むきゅうう…こわかったわ…」 成体のぱちゅりーが死ぬかと思ったみたいな口調で呟く…。 「あのありすたち…もうゆっくりできないでしょうね…いなかものとはいえちょっとかわいそうだわ…」 成体のありすが何かを心配するように呟く。 「そんなことよりおなかすいたね!ごはんにしようよ!!」 空気の読めない発言の成体のれいむ。 「でもにんげんはひどいんだぜ! あそこまでするひつようはないんだぜ!!」 意味のない義憤に駆られる成体まりさ。 「わかるよーあれはきっとぎゃくたいおにーさんなんだねー!!」 無駄に明るい声でいう成体のちぇん。 計五匹のゆっくりが野良にしては格段に広いおうちの中で話し合う。 この五匹は元は飼いゆっくりであったが若気の至りで家出をして帰れなくなってしまったのだ。 飼い主も少し待てば帰ってこれるだろうと犬と同じように判断して結局放っておいてしまったのだ。 ゆっくりに犬のような帰巣本能はないのだから戻れる訳はない。 こうして五匹は名実共に野良となってしまった。 捨てられたのではないから銀バッジを付けたままで野良生活を送る事になり、飼いゆっくりに手を出したらどうなるか知る小賢しいゲス飼いゆっくりから襲われる事もなく、 五匹という数も味方して野良のゆっくりから食事のおこぼれを貰ったり、奪ったりしていた。 気付けば身体も大きくなり、五匹は辺りから恐怖の対象となっていた。 去勢済みな為、無意味なすっきりをする事もなく、五匹はますます増長していった。 しかし五匹がいくら野良の中で力を持とうとそれは所詮野良の中での話。 五匹の心は未だに飼いゆっくりであり、その地位に戻る事を未だに考えていた。 まぁ簡単に言えばこいつ等は元飼いゆっくりのゲスで、飼いゆっくりになりたがっている。という事だ。 それは別に何処にでもある話だ。何の不思議でもない。 だが問題はそこではない。 問題はゆっくりではなく人間の方にある。 ただそこにいるだけでゲスを引き寄せ、結果的に死に至らしめる…そんな天命を担っているのではないかと思わせるような男がこの五匹の住む町にいるのだ。 ゲスである限り…例え飼いゆっくりであろうとも逃げられないゲスゆっくりにとっての悪魔が…この五匹のすぐ側まで迫っていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「さっさとそのあまあまをよこすんだぜええええ!!!」 「おちょうしゃんをはなぶぇ!!?」 「ゆ?なにかふんだきがするよ」 「きっとごみなんだねわかるよー」 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おちびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ふん、みにくいこえね。 そんないなかものにこのあまあまはふさわしくないわ!」 「むっきゅっきゅっきゅ♪ぶざまね!」 次の日、五匹はまりさとれいむの家族を襲い、集めた食糧を強奪していた。 先日この公園をのさばっていたゲスなまりさが人間に連れ去られて以来五匹の天下だった。 もはやこの五匹にしても逆らうゆっくり等おらず、好き放題していた。 「ゆるじでぐだばい!!ごれがないどおぢびじゃんがじんじゃうんでずう゛う゛う゛う゛!!!」 「うるさいんだぜ!!」 必死に懇願するまりさを五匹は体当たりで吹き飛ばす。 「ゆぎぃッ!!?」 「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ボロボロになったまりさとれいむ。 潰された子まりさと恐怖に震える子れいむ二匹。 「これはまりさたちがむ~しゃむ~しゃしてやるからかんしゃするんだぜ!!」 「いなかものにはもったいないあまあまね!!」 五匹はまりさ一家を嘲笑しながら菓子パンを貪る。 銀バッジになるまでに教育された礼儀作法はもはや記憶の片隅にも残っていない。 「ゆうぅ…」 「だいじょうぶ…れいむ?」 菓子パンを食べ終わって五匹が去った後、自分がボロボロにも関わらず、つがいのれいむにすりよるまりさ。 「おちょうしゃんきょわきゃっちゃよおおおお!!!」 子れいむが親に駆け寄る。 「ごべんね…おとうざんがじっがりじてないばっがでぃに…」 「そんにゃきょちゃはにゃいよ!おちょうしゃんきゃっきょよきゃっちゃよ!!」 慰め合うまりさ一家。 「大丈夫かい?」 すると騒がしく泣き叫ぶまりさ一家に話し掛ける誰か。 「ゆゆう!?にんげんしゃんだあ゛あ゛あ゛!!?」 「ごべんなざいおちびじゃんだけでもゆるじでぐだざい゛い゛!!!」 人間を見るなり即座に謝罪するまりさ。 「いや…とって食う訳じゃないからそうビビらないでいいよ…」 ゆっくりの反応に若干引き気味となる背広姿の男性。 「ところで君達どうしたの?野良にしてもぼろぼろじゃないか」 「ゆ、ゆうそれは…」 男に向けて怯えた目を向けるまりさ一家。 「大丈夫、俺は君達に危害は加えない。 ただどうしてそんな怪我なのか知りたいだけさ」 男は屈託のない笑顔を向ける。 邪気が無い事がゆっくりにもわかった。 まあ邪気がないのがこの男の厄介な点であるのだが…。 「ゆうぅ…実は…」 親まりさが事情を説明する。 「それは災難だったね…」 男はまりさ一家の境遇に深く同情する。 これが演技でもなく本気なのが男の異常な所だ…。 「そうだ、これをあげるよ」 男が自分の鞄から取り出したのは潰れたメロンパン。 後で食おうと思っていたのだが鞄に入れっぱなしだったので潰れてしまっていたものだ。 「ゆうう!?メロンパンさんだよおおお!!?」 途端に目が爛々と輝くまりさ一家。 とんでもない喜びように男も顔を綻ばせる。 基本的に善人でお人よしなのだ。 ただ思考が常人よりぶっ飛んでるだけで…。 「おにいざんありがどうございまず!!!」 顔面を地面に擦り付ける親まりさ。 「いやいいって。さ、早く食べなよ。 持って帰ると他の奴にとられちゃうかもしれないからここで食べた方がいいよ」 確かに人がいるすぐ側で奪うなんて愚を犯せばどうなるか野良のゆっくりならばわかって当然だろう。 「む~しゃむ~しゃし、しししあわせえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 耳がつんざく激烈な歓喜の絶叫を聞きながら男は笑みを崩さない。 基本的に細かい事は気にしないのだ。 悪い方向に…。 「ん?何だ餌付けか?」 すると男の目の前に背の高い男性が話し掛けてきた。 「あれ?研兄じゃん。久し振り」 どうやら男と背の高い男性は知り合いらしい。 「そうだな…直接会うのはお前が大学卒業して以来だな…。 近所なんだからたまには顔出せよな」 「それはお互い様。で、どうしたの?散歩?」 男はメロンパンをゆっくりと味わうまりさ一家を見ながら尋ねる。 研兄と言われた男性はそれに答える。 「いや、ちょっと野良れいむを探しててな…。出来れば家族じゃなくて独り身の…」 「それでわざわざ公園に探しに来たって訳ですか…」 「そうなるな…。やはり素材は自分で調達するのが一番信用出来る」 「ゆっくりごちそうさまでした!!!」 研兄が言い終わった直後、親まりさがメロンパンを食い終わった宣言をする。 「そういえばこいつ等…お前のペットか?」 研兄がまりさ一家に興味を抱き、男に尋ねる。 「いいや、他のゆっくりにボコられてたんでちょっと慈悲の御手を…」 「何だ、まぁたお前は野良に餌やってんのか…。 捨て犬猫とか何回も拾ってその度に親にどつかれてたもんな。お前ん家周りから動物園って言われてたよな」 「う…小学生の頃の話を持ち出さないでくれよ…。 それに拾った奴はちゃんと里親見つけたし、飼ってた奴もちゃんと天寿全うさせたっての…」 「まぁそれはいい…。 で、こいつ等どうすんだ?」 「どうすんだって…」 男はまりさ一家を見る。 「おにいさんどうもありがとうございました!!」 「おにいしゃんのおきゃげじぇとっちぇもゆっきゅちできちゃよ!!ありがちょうございましゅ!!」 満面の笑みを浮かべて男に感謝するまりさ一家。 「……………」 「…このままはいさよならって出来るタイプの人間じゃなかったよなお前は…」 男の顔がちょっと罪の意識に苛まれたのを見越して研兄が意地悪っぽく言う。 「けど…俺…ゆっくりの飼い方なんて知らないし…」 「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」 「ブリーダーの台詞とはとても思えないな…」 「ブリーダーはあくまで副業だ。 本業は研究者だ。ま、虐めるのはここまでにするか…さてと」 研兄はまりさ一家を見下ろす。 「ゆ…おにいさん…どうしたの?」 新たな人間がこちらに意識を向けた事で若干恐怖するまりさ一家。 「ふむ、このままじゃこいつ等、他の野良ゆっくりの嫉妬の八つ当たりで死ぬぞ」 「えええ!!?」 「ゆゆゆううう!!?」 男とまりさ一家は同時に驚く。 「人間から食い物貰っていい目みたんだ…逆恨みされてもおかしくない…」 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 「いくら何でもそんな…」 男は研兄の言った事が信じられないようだ。 「信じるも信じないも御自由に…けどま、こっちも見付けちまった以上見過ごすのは趣味じゃない…」 そう言いながら研兄はしゃがみ、目線を親まりさの高さに合わせる。 端から見れば随分面白い体勢だが当人は大真面目だ。 「ゆ、ゆぅ…?」 研兄の行動に戸惑う親まりさ。 今まで人間に見下ろされた事はあっても同じ目線に立たれた事は無かったからちょっと不安げだ。 「まりさ…一度しか言わないからよく聞け…お前俺の飼ってるれいむと友達になってみないか?」 「ゆ?」 親まりさはその言葉をよく理解出来なかった。 「言い方が悪かったな。 お前達、飼いゆっくりになりたくないか?」 「ゆ…ゆうううううううッ!!?」 それはまりさからすれば願ってもない事だ。 生ゴミを漁り、明日をも知らぬ日々から脱せられる…。 自分はそれでも構わない…けどおちびちゃんはゆっくりさせたかった親まりさか らすれはまさしく救いの手だ。 「ただし、お前の子供はお勉強して金バッジ…少なくとも銀バッジはとれるよう になってもらうぞ」 「ゆ、ゆううううう!!?」 喜びのあまり声にならない叫びを放つ親まりさ。 「返事は?」 「ゆ!?おねばいじばずおにい゛ざんんんッ!!!」 「れいむからもおねがいじまずううううッ!!!」 つがい揃って顔面を地面に擦り付ける。 頭を下げているイメージなのだろうがそうは見えない。 「いいのか研兄?」 男が尋ねた。 「別に構わないさ。シングルれいむを探すついでだ。弟分の不始末位はしといてやるよ」 研兄はそう言って笑う。 「全く…弟分っていつまでも小学生の頃の話持ち出さないでくれよ…」 「でもお前だって研兄って呼んでくれてるじゃんか」 「それはそれ、これはこれだよ」 「ま、いいさ。 こいつ等は俺が連れてくので構わないな?」 「ああ、でも出来れば変な実験に使ったりしないでくれよ」 「それはこいつ等次第だ。飯食わせるんだ、その分の基はとらせてもらうよ。ほら行くぞお前等」 「ゆ!わかったよ!おちびちゃん、おにいさんにゆっくりついてきてね!!」 「おにいしゃんありがちょうございましゅ!!」 「おにいしゃんのおきゃげでゆっきゅちできちゃよ!!」 「どう致しまして。お前等も見限られないようにしっかり勉強しろよ」 素直に感謝されてむず痒い感覚を感じながらも男は笑顔で答える。 「プ…勉強しろよって…お前が言うなよな…ククク…」 「うっさいなもう!!いいからさっさとれいむ探しにどっかいけえええ!!!」 笑い出す研兄に対して顔を真っ赤にして叫ぶ男。 「…ああわかったわかった。 ま、以後は気を付けろよ。 “情けは人の為ならず”って言うだろ。それじゃ行くぞ」 「ゆ!わかったよおにいさん!」 「しんじゃったおねえしゃんもいっしょだよ!」 「そうだね、おちびちゃんはまりさのおぼうしにおちびちゃんをはこんであげてね」 こうして、研兄はまりさ一家を引き連れて男から去って行った。 「研兄…情けは人の為ならずって情けが人の為にならないんじゃなくて、人にした情けが周り巡って自分に返ってくるって意味だぞ…」 マジボケなのかどうかわからず、ツッコミするタイミングを逸した男は一人呟いていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むっきゅううううん!!?どうぢであんなぐずどもががいゆっぐりになるのお゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「あんなのよりまりざのほうがゆっぐりじでるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 「わがだらないよおおおおおおッ!!?」 「あのめろんばんざんはでいぶのぼのなのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 どうやら一部始終を五匹のゲスゆっくり共は盗み見ていたようだ。 おそらく男が見ていなければまりさ一家からメロンパンを強奪していただろう。 「あのじじいたちはみるめがないわ!! こんなとかいはなありすがいるのにあんなきたないやつらをつれていくなんて!!」 ボロボロにしたのはお前等だろうが、とツッコミを入れる者はいない。 「むきゅ…でもこれはちゃんすかもしれないわ…」 「ゆ?どういうこと?」 冷静さを取り戻したぱちゅりーが呟く。 「あのじじいはあんなゆっくりできないやつにどうじょうしておいしそうなあまあまをあげるようなばかよ。 ぱちぇたちならよゆうでかいゆっくりにするわよ!」 どういう理論の飛躍でそうなるのかわからないが、そういう考えが意外と上手くいくのがこの男と相対するゆっくりの常だ。 それが決して幸福等ではないが…。 「でもあのいなかもののじじい…どこかでみたきがするわ…」 ありすが何となく不安げに呟く。 何かしら嫌な予感がするのだろう。 それは正しい。生き残りたくばその予感に従うのが正しかった…。 しかし、 「むきゅ、だいじょうぶよ!ぱちぇのずのうとまりさのぱわーならあんなじじいになんてまけないわ!! じじいのおうちをのっとってぱちぇたちのゆっくりプレイスにするのよ!!」 「そのとおりなんだぜ!!」 男を一度でも見た時点で生き延びる事等出来る訳もなかった…。 「ゆう!じじいはまりささまをかいゆっくりにするんだぜ!!」 すると突然男の目の前に五匹とは別のゆっくりまりさとれいむのつがいが姿を現した。 「ゆゆう!?さきをこされたんだぜええ!!?」 「はやくあのまりさたちをせいっさいしないとだねわかるよー!!」 「むきゅ、ちょっとまって!?ようすがへんよ!!」 先を越され、焦るまりさとちぇんをぱちゅりーは止める。 男に何か変化があったのだ。 それはつがいのれいむがある言葉を言った直後の事だった。 「かわいくってごめんねー!!」 「!!?」 突然男の身体が強張る。 そして…、 「…謝らなくって…いいんだよ…」 男は号泣しながらそう告げた。 その後はもうテンプレだった。 髪の毛を毟られ、男の価値観で「可愛くなくなった」れいむ。 そんなれいむを助けようとして返り討ちに遭って蹴り一発でボロボロにされるまりさ。 「ひ、ひどいんだぜ…」 その一部始終を見てた五匹も絶句している…。 まさかあんな甘ちょろいジジイがあんな事をするとは思ってなかったのだろう。 「むきゅう…これはすこしさくせんをねらないとだめね…」 だがメロンパンという甘い誘惑は五匹にとっては絶対に譲れないものだった。 あの光景を見ても意志を変えない辺りは流石ゆっくりと言うべきだ。 「それじゃ、頑張ってね」 男はれいむの成れの果てとボロボロになったまりさ…すなわちボロまりさに一瞥すると去って行った。 「ゆうううう!!?いっちゃったよぱちゅりー!!?」 「はやくあとをおうんだぜ!!」 急いで後を追おうとするまりさ。 「まってまりさ!!」 それをありすが止める。 「どうしてとめるんだぜありす!!」 「おもいだしたわ!あのにんげん!このまえまりさとありすをゆっくりできなくさせたやつだわ!!」 「ゆゆう!!?」 「むきゅう!!?」 ありすの言葉に残り四匹が驚愕する。 ありすの言うまりさとありすとは最近この公園で好き放題していた二匹のつがいの事だ。 「ゆっくりしていってね!!」の言葉や口に隠した石等を利用して公園の数多くの野良ゆっくりを血祭りに上げたこの公園に住むゆっくりからは恐怖の象徴であったゆっくりだ。 五匹も二度しか出会っていなかったがその数少ない遭遇の一度目で五匹の中で最も強いまりさはその恐怖の象徴まりさに敗北していた。 そして二度目の遭遇、と言うか覗き見した時にそのまりさとありす、そしてその子供達は一人の人間に敗北した。 恐怖の象徴まりさは家族を見捨てて逃亡し、ありすとその子供は今目の前にいるつがいのれいむのように「可愛く無くなって」いた。 その結果この公園のゆっくりの勢力図は変わり、この五匹が好き放題するようになった。 それは今はどうでもいい。 問題はあの男がゆっくり出来ない人間であるという事だ。 「ゆ、あのときまりさはゆだんしてたんだぜ!!いまはあんなゆっくりしてないまりさなんかすぐにころせるよ!! だからあのまりさみたいにあんなじじいにまりさがまけるわけないよ!!」 だが、無駄にプライドの高いゆっくりが自身の恥部を認める訳がなく、今なら大丈夫という根拠のない自信が男を忌避しようとする正しい判断に辿り着けない。 そこまでゆっくりからすれば男はカモに見えるのだ。 自分達がアンコウの持つ光に近付く哀れな小魚と同じだとも気付かないで…。 「むきゅ、おかしいわ。ゆっくりできないにんげんならあのまりさたちにあまあまなんてあげないわ」 ぱちゅりーが男の行動に違和感を感じて考え込む。 元飼いゆっくりだけあって疑い深いようだ。 「そうね、もしかしたらべつじんかもしれないわ」 「たとえおなじでもこんどあったらぎったんぎったんにしてやるんだぜ!!」 だが十か一しか区別出来ないゆっくりに人間の多面性が理解出来る訳もなかった。 なので、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛!!?」 「いぢゃいよおおおお!!?」 「さぁかくさないでさっさとはくんだぜ!!」 「かくしてもむだなんだねわかるよー」 当事者であるゆっくり達に聞く事にした。 「むきゅ、かたほうだけいきてればいいわ」 「わかったんだぜ!ゆっくりできないくずはさっさとじねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆぎゅぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 まりさは可愛くなくなった元れいむを踏み潰す。 「でいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 「うるさいんだよー!!」 「げぶる!!?」 騒ぐボロボロになったボロまりさをちぇんは体当たりして黙らせる。 「むきゅ、これからまりさにはぱちぇのしつもんにこたえてもらうわ」 「もしぱちぇのしつもんにうそをつくようないなかものならさっきのれいむみたいに…」 「せいっさいするよ!!!」 「わかったー?」 「ばい゛い゛い゛い゛わがりまじだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 踏んだり蹴ったりなボロまりさは泣き喚きながら答えた。 「むきゅ、それじゃきくわよ…」 ぱちゅりーはそう宣言して質問を始めたのだった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むきゅ、なるほどね…」 ぱちゅりーは大体の話を理解した。 結論からすれば「ごめんなさい」と謝ったから謝らずに済むようにしただけだという事だ。 つまり、 「むきゅ、あなたたちはばかだったことね!!」 ぱちゅりーが嘲笑しながらボロまりさに告げる。 「まりざはばがじゃないよおおおおおおお!!?」 「うるさいんだぜ!!」 「ゆべぇ!?」 反論するボロまりさをまりさは体当たりで黙らせる。 「むきゅ、ぱちぇはけんじゃなめいあんをおもいついたわ!! これであのじじいからゆっくりプレイスをとりもどせるわよ!!」 「ゆゆう!!?ほんとう!?」 「わかるよー!みんなでゆっくりできるんだねー!!」 「とってもとかいはよぱちゅりー!!」 めいあんの内容すら聞いていないのに勝手にもう男の家を奪い取れたかのように騒ぐゆっくり。 「ゆぐ…もぅ…おうぢがえぶぅ…」 一方ボロまりさは身体をず~りず~りと引きずりながら逃げようとする。 「どこへいくつもりなんだぜ?」 だがそうは問屋が卸さない。 まりさがボロまりさに立ち塞がりボロまりさの移動を邪魔する。 「ゆ、ゆぅ…まりざは…じづもんにぢゃんどごだべまじだ…だがら…ゆるじでぐだばい…」 ボロまりさは目に涙を浮かべて懇願する。 つがいのれいむは死に、自分も無事ではない怪我を負っている。 つがいのれいむの仇をとるなんて余裕もない。 生き残る事で精一杯だ。 つがいのれいむの仇に命乞いしてでも生き残りたかった。 だが、 「むきゅ、そいつはもうようなしよ。まりさ、さっさとせいっさいしてね」 だがぱちゅりーはどうでもよさそうにまりさにボロまりさを殺すように告げた。 「どぼぢでえ!!? じづもんにごだえだらだずげでぐれるんじゃながったのぉ!!?」 話が違うと叫ぶボロまりさ。 それに対して、 「むきゅ、クズのぶんざいでわめかないでね。ぱちぇのおみみがくさっちゃうわ」 お前等に耳なんかねえだろうが、とここに人間がいたらツッコミを入れていたが今は残念ながらゆっくりしかいない。 「それに、こたえたらせいっさいしないなんてだれもいってないわ。いなかものはこれだからやだわ」 確かに答えなかったら殺すと言ったが答えたら助けるとも言っていなかった。 だがそれはあまりに暴論だ。 強者が弱者に対しての力を振りかざしてのあまりの暴論だった。 「うるさいんだぜ!! くずはゆっくりしないでさっさどじねえ!!!」 「ゆびゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 ボロまりさはまりさに反論する間も与えずに踏み潰された。 「まったくゆっくりしてないまりさたちだったよ!れいむをみならってほしいよ!!」 「わかるよー、ちぇんたちにせいっさいされたほうがよのためだったんだねー!」 まさに目糞、鼻糞を笑うを地で行く光景だ。 それはさておきボロまりさから事情を聞いて得意気になっているぱちゅりーが皆に向けて発言する。 「むきゅ、これであのじじいからゆっくりプレイスをとりかえせるわ!!!」 「さすがぱちゅりーなんだぜ!!せかいいちのてんさいなんだぜ!!」 「むーきゅっきゅっきゅ!!それほどでもあるわあ!!」 「やったよ!これであまあまたべほうだいだよ!!」 「もうこんなとかいはじゃないところなんておさらばね!!」 「わかるよー!!もうかったもどうぜんなんだねー!!」 何もしていないのに勝ったと騒ぐ五匹。 肝心の男がまたここに来るかもわからないのにやかましい程に騒ぐ。 「むきゅ、それじゃあつぎにあのおとこがきたらさくせんけっこうよ!!」 「「「「ゆおおおおー!!!」」」」 男が来るかもわからないのに何時までもこの五匹は騒ぎ続けていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 翌日。 五匹にとって幸運か不幸なのかわからないが男は次の日も公園に立ち寄っていた。 会社からの帰り道に公園を突っ切った方が早いからだ。 「菓子パン買い過ぎる癖は直した方がいいな…」 男はまたもやパンを鞄に入れているようだ。まあそんなのはどうでもいい。 「むきゅ、それじゃあさくせんをかいしするわ!」 男を見つけた五匹はぱちゅりーの言葉に頷く。 「わかるよー!こんなさくせんをおもいつくぱちゅりーはてんさいなんだねー!!」 「こんなとかいはなともだちがもててありすもはながたかいわ!」 「これであまあまたくさんたべれるね!!」 「ぱちゅりーはせかいいちゆっくりしたゆっくりだぜ!!」 「むきゅ、それほどでもあるわ!」 どうやらぱちゅりーの“さくせん”とやらは余程のものらしく皆ぱちゅりーを褒め讃える。 「むきゅ、それじゃいきましょう!」 「「「「ゆおおおー!!!」」」」 五匹が声をあげて男へ向けて跳ねていき、 「ん?」 五匹に気付いた男に向けて、 「「「「「おにいさん、かいゆっくりじゃなくてごめんねー!!」」」」」 一斉に宣言した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ぱちゅりーの考えた名案であり作戦は簡潔だった。 「かわいくってごめんねー」と言ったら「かわいく」なくせられた。どうして男がそんな事をしたのかぱちゅりーにはわからなかったが、「かわいくって」と言ったら可愛くなくせられた。 なら、「かいゆっくりじゃなくてごめんねー!」と言えば飼いゆっくりにしてくれるかもしれない。 そう考えたのだ。 その結果は、 「さ、ここが俺の家だよ」 ほぼぱちゅりーの望み通りであった。 男は「謝らなくって…いいんだよ…」と言いながら号泣し、五匹を自宅へ連れて来た。 「さすがぱちゅりーのさくせんなんだぜ!!こんなうまくいくなんてすごいんだぜ!!」 「はやくあまあまもってきてね!!ぐずはきらいだよ!!」 「とってもとかいはなおうちだわ!ありすにぴったりね!」 「むっきゅっきゅっ!あとはこのじじいをせいっさいするだけね!」 まさに計算通り、といった笑みを浮かべるぱちゅりー。 この世の春といった感じで喜びを噛み締める五匹。 後はこの男を殺すだけ…ともう半ば望みが叶ったつもりでいた。 だが、 「それじゃ、今日からここが君達のお家だからね」 「「「「ゆ?」」」」 「むきゅ?」 男が案内したのは家の中ではなく、かつて四匹の赤ゆっくりが騒音によって苦しみ死んでいった犬小屋だった。 「なにいってるんだぜ!?まりさたちのおうちはあっちなんだぜ!!」 まりさは目線を男の自宅に向けながら叫んだ。 「え?室内で飼うの?ごめんね、それはちょっと準備してないから無理って事で我慢してね。野良だし大丈夫だよね」 「なにいっでるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?あっちがでいぶのおうぢだよ!!ばがなじじいはざっざとそっちにづれでげえ゛え゛え゛え゛!!!」 「いやあっちは俺の家だから…あっそうか一つじゃ狭いもんね」 男はそう言うと、物置よりも離れと言うべき場所から別々の犬小屋を二つ取り出した。 「これで大丈夫だよ。二つ足りないけど、それはちょっと我慢してね」 計三つの、成体ゆっくりが一匹ぎりぎりで通れる横幅の入口の犬小屋を並べた男は笑顔で告げた。 五匹はここでようやく理解した。 この男は本気で自分達を犬小屋で飼う気だと…。 「ふざっけるんじゃないんだぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」 まりさがぶちギレた。 「?」 男はまりさの怒りが理解出来ない。 何故なら男は徹頭徹尾大真面目だからだ。 男は五匹を飼うつもりだった。 だが男はゆっくりを飼った事もないし、飼い方も知らない。 だから昨日旧友に会った時の言葉を思い出した。 “「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」” 兄貴分兼親友の研兄はそう言っていた。 だから男はその言葉に乗っ取って飼う事にした。 大真面目に犬を飼うようにして…。 だから五匹に対しては怒らせるような事はやっていないと思っていた。 「も゛う゛がばんでぎないんだぜ!!ふざけたごどぬがぶじじいはまりざがぜいっざいじどやるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 今まで納得のいかない事は自分の力で捩伏せてきたまりさは我慢出来なかった。 「えーと…何で怒ってんの?」 男の疑問に対してまりさは体当たりで返す。 しかし、 「おっと」 男はその体当たりを難無くでかわす。 「ぶべぇ!!?」 回避されるとは想定もしていなかったまりさは顔面から草木生い茂る地面に突っ込む。 「まりさあああ!!?」 れいむが叫ぶ。 まさか無敵のまりさの攻撃を男が回避するとは信じられず、驚きを隠せない。 実際はこの男によって痛め付けられたまりさにも敗北しているので無敵でも何でもないのだがれいむはまりさの「ゆだんしていた」をマジに受け取っていたのでそう思い込んでいた。 「よくもまりざをおぉ!!!」 れいむが男に向かい体当たりをまりさの仇だとばかりに繰り出す。 「え、俺のせい?」 男からすれば勝手に突進してすッ転んだようにしか感じなかった男はいつの間にか自分のせいにされていた事に驚くが、それでもゆっくり程度の攻撃に当たる訳もなく、難無く回避する。 「ゆぶぁああ!!?」 まりさの二の舞となるれいむ。 「何で怒ってるんだろ?ま、いいや」 男は気にしない事にして作業に移る。 一旦家に戻り、 「ゆ!?なにするの!?はなしないこのいなかものおおおお!!!」 ありすを掴み、 「流石にこれじゃ無理か…仕方ない」 口と目の間の位置に男自身が使っていたベルトを巻き付けた。 「ゆぎゅい゛い゛い゛!!?」 外れないようにきつく締める。 その痛みにありすは奇声を上げるが男は全く取り合わない。 軽く食い込んだ所でようやく男はベルトを絞めるのを止める。 「ゆぎぃ…ゆふぃ…」 顔を締め付けられて軽く瓢箪みたいになったありす。 「あとはこれをっと…」 男はそんなありすを鎖に繋げ、しっかりと固定された杭に繋げた。 「む…きゅ…?」 あまりの訳のわからなさにぱちゅりーは呆けてしまう。 強かった筈のまりさは無様に地面に突っ伏し泣き喚いている。 ありすは「ゆい゛ぃ…ぎゅひ…」とか奇声を上げながら痛みに苦しんでいる。 れいむはどうでもいい。 無事なのはもはや自分とちぇんしかいない。 「わきゃらない゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 いや、そう考えている内にちぇんもありすと同じにされていく。 「猫っぽいけどゆっくりだから同じでいいよね」 何だか男が言っているが、ぱちゅりーには届かない。 僅かな時間で無事なゆっくりはぱちゅりーしかいなくなった。 「む、むきゅううううう!!?」 訳がわからなかった。 さっきまで何もかも上手くいっていた筈なのに…。 後はこの男を殺してお家を奪うだけだったのに…。 いや、それよりもまずは逃げなければならない。 使えない能無しなんてどうでもいい。 そう考えてぱちゅりーは逃げようとし、 「はい、次は君の番♪」 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 スタートするよりも早く捕まった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「いぢゃいよ゛ぉ…」 「むぎゅ…」 「わが…だ…ない…」 「あま…あま…」 「ぐひぃ…」 五匹全てが仲良くベルトで代用した首輪に繋がれている。 締め付けられる痛みで動く事も出来ない。 「ペット飼うのは久し振りだから上手くいくか不安だったけど…まぁ何とかなったね」 何処をどう見れば何とかなったのかわからないが男はとりあえず満足そうだ。 五匹の全てが男に対して殺意が篭った眼をしていながら男はそれに気付く様子もない。 「それじゃ、ご飯持ってくるから待っててね」 男は最後まで五匹の殺意に気付かず家へと戻っていった。 後に残るのは瓢箪みたいな形になった五匹。 特にありすが酷い。 「ぐぴ…こぺ…」 口からカスタードを漏らし始めている。 「どうじで…ごんなべに…」 まりさが呟く。 今頃はあの男を殺してゆっくりしている筈なのに…。 それが妄想でしかないと気付く事はない。 「む゛…ぎゅ…み゛ん…な゛…ごれを…どるの…よ…」 こんなベルトで締め付けられたままじゃ身動き一つする事も出来ない。 「はやぐ…どっでね…」 「むきゅ…ぱぢぇの…どりな゛ざい…」 「わがらないよ…どう…じで…ごないの…」 「ざっざど…まりざのを…どれ…」 「ぐぴ…ぃ…」 しかし痛いのを我慢して誰かの所まで動く事を自分最優先のゲス達がする訳がない。 結局誰も動かず事態も好転しないまま時間だけが過ぎていく。 「ときゃ…ぺひゃ…」 段々とありすの首輪から上がパンパンになっていく。 圧迫されている証拠だ。 ありすが危険な状態になっているのだが、他の四匹は自分の事ばかりで気付きもしない。 ありすは言い難い痛みと苦しみを味わっていた。 『いじゃいいじゃいいじゃい゛い゛い゛い゛い゛!!?ごんなのぜんぜんとがいばじゃばいわ!!? じじいはゆっぐりじないでざっざとありずをだぶげろぉ゛お゛お゛お゛お゛!!!』 「ぐひ…」 もはや喋る余裕すらないありすは心の中でのみ雄弁となっている。 しかしそれも段々と弱まっていく。 周りのゆっくりも、ありす自身も限界に近づいている事に気付いてはいない。 「ごはんもってきたよ」 すると男が五匹の食事を持って来た。 「あれ、何かさっきと違わないか?」 男が五匹の危機的状況に陥っているのに気付いた。 「ああ!ちょっときつく締めすぎちゃってたのか!!」 その原因が判明して男は慌てて、戒めを緩める。 「ゆうう…」 流石にすぐに男に襲い掛かれる程の余裕はなく、苦しげに呻くしか出来ない。 とりあえず命に別状は無いようだ。 ただ一匹を除いて…。 「ぷごべぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 最後にありすのベルトの拘束を解いた瞬間濁流のように中身のカスタードを目、口、あにゃるから噴き出し始めた。 今まで圧迫されていた部位が緩んだ事により中身が一気に動き、その勢いと圧迫されていた事による吐き気が上手い具合に作用してしまった。 そしてそのショックにありすの身体が耐え切れず、他の部位からカスタードが漏れだしていく。 様々な偶然が悪い方向に作用した結果がありすの中身が漏れ出すという結果になった。 「グヒ!!ケパァ…!!?」 「あ…りず…?」 あまりにも奇怪な現象に他の四匹は呆然としてしまう。 ありすから中身の流出は止まらない。 穴の開いた水風船は空になるまで水を出し続けるのだ。 「おお…すげえ…」 男はありすの自分の中身を使った命懸けの水芸に対してそう呟く。 まさかベルトをきつめに締めただけでこんな事になるなんて予想出来る訳がない。 「…あ…りず…」 「…むきゅ……」 「ぴゅぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 ありすはもはやまともに喋る事も出来ず、糸の切れた人形のように断末魔の叫びを上げた後動かなくなった。 カスタードまみれで顔は男達からはよくわからなかったが、その表情は幸せとは程遠いものだった。 「わきゃら…ないよぉ…」 「む…きゅ…」 「あ…りず…」 「もう…やば…」 物心ついた頃から共にいた形式上は仲間のあまりにも悲惨な末路は四匹を絶句させた。 「……死んじゃってる。一体なんで…?」 男はありすの死因が自分にあるとは気付いていない。 ゆっくりの脆さを理解出来ていなかったのだ。 「とりあえず埋めてあげないと……」 このままありすの残骸を放置しておくのもよくない。 ベルトが一つ無駄になったけど一々気にする事もなかった。 「よ゛ぐも…ありずを…」 まりさが男を睨み付ける。 まだ動けるまで回復していないのだ。 ありす程では無いにしろ四匹とて無傷ではない。 睨み付けるしか出来ない。 だが、ゆっくりの殺意で人が殺せるならとっくの昔に人間なんて滅んでいる。 男は気にせず再びまりさにベルトを巻き付ける。 「ゆひいいい!!?やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 ベルトを見るやいなやまりさは叫び声を上げて逃げようとするが逃げ切れる訳もなく、そのままあっさりと捕まってベルトを巻き付けられる。 しかし今度はキツすぎず、さりとて緩すぎもしない絶妙な案配で…。 というかそれが出来るなら最初からしろという話だ。 「ゆぐぁ……」 ベルトを再びされたショックでまりさは泡をふいて失神してしまう。 どうやらトラウマになってしまったようだ。 「むぎゅう゛う゛う゛!!?」 「わぎゃら゛ないよおおッ!!?」 「ゆんやあ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 その間に手際よくベルトを残りの三匹に巻き付ける。 どうやらコツを掴んだらしい。 「じねぇ…じじいはじねぇ…」 れいむが恨めしげに男に呪詛を呟き続ける。 当然ながら男はそれに気付かない。 気付いても気にしないが。 でも何やら五月蝿かったのでれいむだけは少し緩めにしてあげた。 「かわいそうに…何か病気だったんだな…。 気をつけないと…」 男はありすを庭に埋めながら呟く。 何が原因かわからないが自分がゆっくり出来ない何かをしたのだとは理解していたようだ。 「やっぱり研兄に相談した方がいいかな…」 まさか初日、しかも飼い始めて一時間もしないで反乱、一匹死亡という状態になるとは思わなかったのだろう…。 一応はゆっくりの使い方のプロである兄貴分に相談しようか考え混んでいた。 「わからないよ…どうしてありすがしななくちゃいけないのかわからないよ…」 一方ちぇんはどうしてこんな事になったのか理解出来なかった。 今までぱちゅりーとまりさがいれば大丈夫だった。 今回だってぱちゅりーの言う通りに上手くいっていた。 だけどその結果ありすは死んでしまい、今はお世辞にもゆっくり出来るとは言えない状況だ。 「わがらないよー…」 ちぇんはその言葉を言うしか出来ない。 今まで散々頼ってきた分面と向かって批判も出来ない。 ただ目の前にある山積みの人参を食うしか出来ない。 「ゆゆ!!なにかってにれいむのごはんたべてるの!!?」 「ゆぎゃ!!?」 すると突然れいむがちぇんに体当たりをする。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!ばかなちぇんにあげるぶんなんてないよ!!」 あまりにも横暴な物言い。 「むきゅ…だめよれいむ。いまこそみんなで…」 「うるさいよッ!!」 「むぎゅ!!?」 れいむの横暴を諌めようとしたぱちゅりーを体当たりで黙らせる。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!やくにたたないぱちゅりーはひっこんでてね!!!」 どうやら山積みにされた人参を独り占めするつもりのようだ。 「……………」 肝心のまりさはまだ失神したままだ。 他の三匹に比べて精神が弱いのかもしれない。 まりさがこの様では今のれいむの横暴を止めれるものはいない。 「む~しゃむ~しゃじあわぜぇえ~!!!」 瞬く間に人参を消費していくれいむ。 「むきゅ…どうじでごんなごどずるの…?」 いきなりのれいむの横暴にぱちゅりーは理由を問い掛ける。 「うるざいよッ!!!ぱちゅりーのぜいでごんなべになっだんだがらざっざとじんでね!!!」 「むぎゅあ゛!!?」 「なにがにんげんをごろじべおうぢをのっどるだよ!! きずひどづづげられながっだじゃないがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「むぎゅい!!?ぺぎぃ!!?」 「ぼうおばえだぢのいうごどなんでぎぐがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鬱憤晴らしと八つ当たりをぱちゅりーでするれいむ。 男自体は考え事していてそれに気付いていない。 実は寝てるんじゃないかと勘違いしそうな程だ。 「むぎゅ…」 「ゲラゲラゲラゲララゲラゲラゲラ!!!いいざまなんだね!!れいむをゆっくりさせないからそうなるんだよ!!!」 ボロボロになったぱちゅりーを嘲笑うれいむ。 「だいじょぶー?いたいんだねわかるよー」 ボロボロになったぱちゅりーをぺーろぺーろして慰めるちぇん。 「むぎゅう…」 どうやら死んではいないようだ。 「これはぜんぶれいむのものだよ!!ばかなちぇんとぱちゅりーはそこらへんのくさでもたべててね!!」 ゲラゲラ笑いながら五匹分の餌の人参を食っていく。 「やっぱり自分の力で頑張ってみよう!!」 れいむが一匹だけで五匹分の人参を食べ尽くした時点で男は考え事の目途がついたようで我に返る。 男はどうやらその場にいながら四匹の状態に気付いていなかったようだ。 無駄に高い集中力だ。 というかわざと無視しているとしか思えない。 だがマジなのが始末に負えない。 「ゆ!じじい!ぜんぜんたりないよ!!ゆっくりしないでさっさともってきてね!!」 体積が増えたれいむはおかわりの催促をする。 しかし、 「駄目だよ。食べ過ぎはよくないからね」 男はそれだけ言うと罵り続けるれいむを気にも留めず何故か裏口を使わないで玄関から家の中へ入っていった。 「までえ゛え゛!!!でいぶをむじずるなあ゛あ゛あ゛!!!」 男に体当たりしようとするれいむ。 しかし、鎖がれいむの進行を邪魔してベルトの部分が食い込む。 「ゆぎゅう゛う゛う゛!!?」 自分の跳ねた勢いが全て自分に返って来たれいむは地面に倒れ込む。 「ゆ゛ぅ゛…いぢゃいよ゛ぉ…」 基本痛みに弱いゆっくり種であるためれいむは簡単に痛みに喘ぐ。 「ゆ、ゆぅ…なにがあったんだぜ…」 ようやく目を覚ますまりさ。 だれもかれもゆっくり出来なくなっていた。 っして異変はその時起こった。 「うーうー♪」 「「「「ゆう゛う゛う゛う゛ッ!!!?」」」」 それは人間にとって無駄に陽気な腹立つ声。 しかし通常種にとっては何よりも恐ろしい声だった。 「れ、れ、れみりゃだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 れいむが餡子の髄に刻まれた恐るべき存在の名を叫ぶ。 そこに現れたのは胴有りれみりゃ。 街中ではあまり見ないれみりゃ種。 身体が肉の為犬や鴉に襲われて数が少ないのだが、近年れみりゃブームが来て嵐のように急速に去っていった為比較的数がいるのだ。 まあそれでもこうして姿を見るの珍しい事だが。 あの男に会ったゲスゆっくりには不幸しか訪れない。 四匹を狙っていたのだが男がいたので手を出せなかったのだ。 だがもう男はいない。 れみりゃは待ち望んでいた食事に喜び勇んで襲い掛かった。 「ゆうううう!!?」 「わがらないよーー!!?」 「むっきゅうううん!!?」 「はやくあのこやににげるんだぜえ゛え゛え゛!!!」 まずはまりさがいち早く逃げ、それに足(?)の速いちぇんが続き、ぱちゅりーがその後に続いた。 男に体当たりしようと離れた距離にいたれいむが逃げ遅れる羽目となった。 「うーあまあままつんだど~♪」 羽根をパタパタさせて追いかけるれみりゃ。 「ゆ、ゆうう…とりあえずこれでひとあんしんなんだぜ…」 「わ、わかるよー…たすかったんだね…」 「むきゅ…ゲホゲホ!」 何とか犬小屋の中に逃げ込めた三匹。 三つの犬小屋に綺麗に一匹ずつ逃げ込む。 「いれでね!でいぶもゆっぐりじないでいれでね!!!」 れいむもそれに続いて犬小屋に逃げ込もうとする。 が、 「ゆうううううう!!?はいれないよおおおおおおおおお!!?」 れいむは犬小屋に入る事が出来なかった。 五匹分の食糧である山積み人参を食べた事による体積の増加で横幅が犬小屋の入 る穴のスペースをオーバーしてしまったようだ。 男が親切心で軽く緩めていたせいでベルトが窮屈にならず、れいむもその事に気付かなかった。 「どうじではいれないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 切迫した表情で何度も犬小屋に体当たりするれいむ。 だが通る事は出来ない。 横暴のツケがあまりにも早く来たのだ。 「あまあまつかまえたんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 遂にれいむがれみりゃに捕まった。 「や、ややややややややめてね!!!れいむおいしくないよ!たべたかったらそこのぱちゅりーをたべてね!!!」 「むぎゅ!?」 れいむの命乞いで売られたぱちゅりーがビクッと反応する。 だが古今東西、ゆっくりが他のゆっくりを売った後に許してもらう事等まず無い。 れみりゃもれいむの命乞いに耳はかさず、 「いただきまずだど~♪」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 中身を吸われていくれいむ。 だが吸うスピードはゆっくりであり、存分に甘味が出るようにしていた。 そのせいでれいむは本来ならすぐに死ねる所をゆっくりと苦しむ羽目になった。 「おぜうさまはゆっくりごはんをたべるんだど~♪」 「ゆぎ…たずげろ…」 コトンとれいむを束縛していたベルトが落ちる。 だが今更自由になった所でもう遅い。 もうれいむはれみりゃのごはんになるしかないのだから…。 「ざっざどたずげろ……」 喰われていく中れいむは犬小屋の中にいる三匹に命令する。 れいむの中で、今まで共に過ごしていた四匹は都合のいい道具だった。 “ゆっくりしたれいむのためにどれいのじじいはくれたあたらしいどれい。 だからゆっくりしたれいむをゆっくりさせるのはとうぜんだ”、という事を無意識に思い込んでいたれいむは犬小屋に隠れて助けようともしない三匹は許しがたいものだった。 「はやぐだずげろお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!おばえらばいばばででいぶのおがげでゆっぐりじでぎだんだろうがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ざっざどたずげろおお゛お゛お゛お゛!!!」 火は燃え尽きる寸前に勢いよくなるようにれいむは最後の力を振り絞るように罵声を浴びせる。 ちなみにれいむははっきり言ってまりさとぱちゅりーの金魚の糞みたいなもので、我が儘放題し、周りはそれに辟易しており、三匹、いや今はもいないありすを含めて四匹は一度もれいむでゆっくり出来た事等無かった。 つまりはれいむの勝手な思い込みである。 「ごのうらぎりぼのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 先に裏切ったのはお前だろうが…。 だが三匹はそれについて文句を言う事もなく犬小屋の奥で次は我が身かと震えている。 「う~、うるさい!」 れいむの叫びのやかましさに少しいらついたれみりゃはれいむの顔面に拳をぶち込む。 「ぶぎゅう゛う゛!!?」 痛みで罵声を上げる余裕のなくなったれいむを見て満足そうに食事を再開する。 「やだ…おう゛ぢ…がえ…ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛…」 喋ることも出来ず痙攣しだすれいむ。 こうなってしまえばもう助からない。 あっという間に中身を失い、ぺらぺらとなってしまう。 「こんなものぽーいだどー♪」 ぞんざいに投げ捨てられるれいむの成れの果て。 ぺしゃりと地面に落下する。 「うーまだたりないんだどー♪」 それは犬小屋にいる他のゆっくりを襲う宣言も同意だった。 「う~はやくでてくるんだど~♪おぜうさまにたべられるんだど~♪」 れみりゃは犬小屋の入口手を伸ばして奥に潜むまりさを捕まえようとする。 「くくくくるんじゃないんだぜえ!!?まりさはおいしくないんだぜ!!」 「う~あまあま~!どうしてとどかないんだど~!?」 身体が入口に引っ掛かって手を伸ばしても届かない。 胴無しなら入れるだろうが犬小屋のような狭所では羽根が邪魔になってしまうので不利になるからあまり意味は無い。。 「むきゅうううううう!!? こっちこないでぇえええええ!!?」 「わがだないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 このままなられみりゃは諦めるだろうがその間のゆっくり達は生きた心地はしない。 「う~あまあま~!!!」 「ゆぴいいいいいい!!?」 人間に勝てると言っていたのが嘘のようにしーしーを漏らして恐怖するまりさ。 「う~!!あまあま~!!ざっざとおぜうざまにたべられるんだど~!!!」 まりさ達にとってはとても長い時間だった。 そしてそれの終わりはあっさり来た。 「う~そうだど~♪このへんなひもをひっぱればあまあまをとれるんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 まりさはそれに戦慄する。 それと同時に鎖が引っ張られる。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 まりさはれみりゃの引っ張りに死ぬ気で耐える。 舌を出して床にはいつくばり、摩擦を大きくしている。 「あまあまはやくでてくるんだど~!!れみりゃがおいしくたべてあげるんだからかんしゃするんだど~!!」 「やじゃあ゛あ゛あ゛…!!」 必死で引っ張りに耐えるまりさ。 だが手足のあるれみりゃに地力には勝てず、 「ゆんやあああああああ!!?」 まりさは犬小屋から引きずり出された。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛!!?」 恐怖に眼を閉ざすまりさ。 しかし、何時まで経ってもれみりゃに襲われる気配はない。 不審に思い眼を開けてみる。 すると、 「う~?」 れみりゃは何かに捕まり、無理矢理犬小屋から引きはがされていた。 「う~あまあまがにげていくど~!?」 自分が犬小屋から離されたとは思いもしないれみりゃは早く犬小屋を追おうとじたばたと手足をばたつかせるが意味はない。 「ねぇ…」 れみりゃの背後から声がする。 「う~?」 その声に反応してれみりゃは後ろを振り向く。 そこにいたのはまりさ達をあそこに縛り付けた張本人である男だった。 そりゃ庭先で騒いでりゃ来るのは当然といえば当然だ。 「にんげんがれみりゃになんのようだど~!?はやくぷっでぃんもってくるんだど~!!」 折角の狩りの邪魔をされてご立腹のようだ。 だが男はそんなれみりゃの様子を一切無視し、 「これ…君がやったのかな?」 れみりゃを掴んでいる手とは逆の手に持つれいむの成れの果てを見せた。 「う~それはいらないからぽ~いしたんだど♪いいからざっざどぷっでぃんもってくるんだど~!!」 「それは食べたと判断していいんだね」 「う~いいからさっさと…」 そこから先はれみりゃは言葉を紡ぐ事は出来なかった。 男の拳がれみりゃの顔面にぶち当たったからだ。 「ぶひゃ!!?」 歯が何本も折れて地面に落下するれみりゃ。 「どうしてこんな事するのかな?」 「ぶぐぅあ゛…いぢゃい゛ぃ…ど…」 「同じゆっくりだよね…?」 男は痛みに喘ぐれみりゃしゃがみながら見下ろし、尋ねた。 男は知らなかった。 捕食種というものを。 ゆっくりの特徴は本で調べたが種族全てを知っていた訳ではない。 れみりゃと通常種であるまりさ達をマルチーズとチワワ程度の差としか思わなかった。 だから本来の狩る狩られるの関係を知らず、れいむを食べたれみりゃを許せなかった。 れみりゃの行いを自然の摂理ではなくゆっくり殺しと判断した。 ゆっくり殺しは問答無用で制裁。 それと男は似たようなものだった。 「ぶぎぃ!?ぼべぇ!?」 男は無表情なまま何度もれみりゃを殴打する。 「わ、わわわ…」 「む…きゅ…」 「うそ…なんだぜ…」 それは三匹にとって信じられないものだった。 街ではれみりゃの姿はあまり見かけないにしても餡子の中の記憶の奥底に刻まれたれみりゃに対する恐怖は三匹にも深く根付いていた。 それが今無残に男に痛め付けられている。 それは自分達の価値観、勝手な思い込みでしかないのだが自分達が人間よりも強いという考えが本能に刻まれた勝てない恐怖の対象のれみりゃを一方的に蹂躙している。 「ごべ…なざ…ゆるじ…くばざい…」 五体満足だが顔は二倍近く腫れ上がり、足は変な方向へ曲がり、羽根はボロボロで飛べそうにない。 むしろここまでしたのなら殺した方が慈悲なような気がする。 「ああ…御免、少しやり過ぎちゃった…ここまでやるつもりなかったのに…」 男はれみりゃの様子を見てやっとこさ気付く。どうやら夢中になると止まれないタイプのようだ。 「これじゃ…生きていけそうにないな…」 「ざぐやぁ…ざぐやぁ…」 とりあえずそのままにしておく訳にはいかない。 だがれみりゃは飼うのが難しいと男は同僚から聞いていた。 その同僚はれみりゃ種とふらん種を飼っており、その可愛さをよく周りに言っていた。 周りはそれに辟易しているのだが基本的にお人よしな男は嫌な顔をしないで聞いてあげる事が多かった。 しかし大半がれみりゃとふらんの可愛らしさの溺愛っぷりを言っているだけでれみりゃの生態の事等一切説明しなかったから男に捕食種に対する知識は養われなかったのだ。 「そうだ、あいつに聞いてみよう」 男はその同僚に相談することに決め、 「それじゃ、悪いけど一緒に来てね」 「う…う゛?」 男は優しくれみりゃを抱える。 そしてそのまま、裏口へ向かう。 三匹は男があのれみりゃを家に連れていくつもりだと理解する。 「ま、まつんだぜ!!」 まりさが若干ビビりながらも男を呼び止める。 「ん?どうしたの?」 男はいつもと変わらない表情で三匹を見る。 しかし、先程のれみりゃへの暴行を見た三匹はむしろそれが言いようのない恐怖を感じさせた。 だがプライドの無駄に高いまりさはそれでも男に要求した。 「そ、そのれみりゃはれいむをころしたんだぜ!! そんなやつをおうちにいれないでまりさたちをおうちにいれるんだぜ!!」 「え?君達のお家はそれだよ。どうして入れるの?」 そう言いながら男は犬小屋を指差す。 「なにいってるんだぜ!!こんなのまりさのおうちにふさわしくないんだぜ!だからさっさとそのおうちをよこすんだぜ!!」 喉元過ぎれば熱さ忘れる。 男が手を出して来ないとわかると段々と調子に乗り出してくるまりさ。 しかし、 「駄目だよ。ここは俺のお家だからね。君達はそっちの方で我慢してね」 男はそうとだけ告げると後は取り合わずそのまま裏口から家の中に入っていった。 「ま、まつんだぜ!!そこはまりさのおう…」 バタンと扉が閉じられ、三匹だけが残される。 「むきゅう…」 「どうしてなんだぜ…そこはまりさのおうちなのに…」 「わからないよー…」 一日足らずで長年共にいた仲間を二匹も失った三匹は茫然とするしかなかった。 続きます。 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中
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発動時効果 装備中効果 発動はEnterキー(デフォルト)です! 発動時効果 効果名 発動時効果 太歳「捲土重来」(けんどちょうらい) 全ての撤退中の味方パーティを復活させる 撤退させることで本拠地のHPを削るゲームでそれを即復活で防げるというのは使いドコロが非常に多い。 効果名 発動時効果 大将軍「三宝荒神」(さんぽうこうじん) 全ての敵パーティに最大HPの20%のダメージを与える。 効果名 発動時効果 青龍「蒼帝」(そうてい) 20秒間全ての味方パーティの防御力を+90する。 効果名 発動時効果 玄武「玄帝」(げんてい) 20秒間全ての味方パーティの知力を+30する。 効果名 発動時効果 白虎「白帝」(はくてい) 15秒間全ての味方パーティの移動速度を+3する。 効果名 発動時効果 天空「険隘」(けんあい) 15秒間全ての敵パーティの移動速度を-4する。 効果名 発動時効果 匂陳「金城」(きんじょう) 本拠地のHPが最大値の15%回復する。 効果名 発動時効果 大裳「四時」(よじ) タイムカウントが40プラスされる。 効果名 発動時効果 貴人「恢癒」(かいゆ) 全ての味方パーティのHPを250回復する。 装備中効果 効果名 装備中効果 歳殺「勇武」(ぶゆう) 全ての味方パーティの攻撃力を+15する。 効果名 装備中効果 歳刑「堅牢」(けんろう) 全ての味方パーティの防御力を+15する。 効果名 装備中効果 太陰「叡智」(えいち) 全ての味方パーティの知力を+15する。 効果名 装備中効果 黄幡「機先」(きせん) 全ての味方パーティの射程を+2し、攻撃速度が上昇する。 効果名 装備中効果 豹尾「捷疾」(しょうしつ) 全ての味方パーティの移動速度を+1する。 効果名 装備中効果 歳破「撃滅」(げきめつ) 全ての味方拠点の攻撃力と防御力を強化する。 効果名 装備中効果 天后「康寧」(こうねい) 全ての味方パーティの復活時間を-3する。 効果名 装備中効果
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「ふたば系ゆっくりいじめ 631 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 下/コメントログ」 やはり、ちぇんが苦しむのは心が痛む… 他はスーパーざまあタイムだけど -- 2010-09-27 01 17 06 スーパーざまぁタイムですっきりー! げすが酷い目に合うのは良いね -- 2010-10-20 20 50 30 なんかお兄さんにむかつく話だった… -- 2011-02-14 19 31 56 この男には生き物を飼う資格が無い でもゆっくりはナマモノだから飼って良し! -- 2011-03-08 16 30 44 つーか、半池沼だろ -- 2011-07-07 19 01 54 このお兄さん大好きww -- 2011-07-26 09 08 20 ちぇんが苦しむのが愉快愉快 それにしてもこのお兄さんちょっと頭おかs -- 2011-08-17 07 01 11 ちぇんはちょこっとだけいい奴っぽかった このお兄さんは犬とゆっくりを同じく思ってたのか? 犬に謝罪だなww -- 2011-10-11 18 41 15 ちぇんがゲスなのが悲しい… -- 2011-10-15 02 37 50 ゆっくりなんてどうでもいいけど、この男は同じ人間として気持ち悪いっていうか頭の中にゴミでも詰まってるんじゃないか? -- 2011-11-04 21 43 22 ↓こまけぇこたぁいいんだよ! -- 2012-02-29 14 15 42 お兄さんの頭のネジぶっ飛んでると思う。 あと、ぱちゅりーザマアアアアアアアアア!!!!! -- 2012-03-28 21 17 00 天然虐待鬼威山… -- 2012-06-28 09 39 23 こんな人間が近くにいたら恐怖を感じるよ -- 2012-09-11 22 07 14 なんだろう、お兄さんの頭が可哀そすぎる。 -- 2012-09-17 15 23 45 この男あきらかに池沼だよね。 -- 2012-11-19 01 59 18 この男に飼われたのが初めの善良ゆっくりじゃなくて 無能なゲス共で本当に良かったw あとゲスなちぇんって珍しいな -- 2012-11-20 04 02 44 天然の域を越えてるだろこのお兄さん -- 2013-02-04 02 59 54 もう…マジキチあきor池沼あきで 良いんじゃないかな。この作者。 -- 2013-02-11 19 13 08 他の野生動物にとっては普通の飼い主だろ。人語を理解する+性格がゲス+体が弱いと言うゲスゆとこのお兄さんの相性が致命的に悪いだけ -- 2013-02-28 12 25 54
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{現役選手} <投手> ベル(デフォルト仕様・通算成績)※年棒・契約年数は反映されてますが、通算成績はありません 158キロ スタ83 コン153 カーブ3 スクリュー4 特殊能力 回復4 逃げ球 ドクターK 速球中心 ぜさの ららべ じちち そつし うべん まらぎ べびお ぞやひ たぼこ ぼふに ぬぎみ おるご ぬはえ へひえ つかじ かいゆ なおざ へぜろ むごば じきお おれり そてぎ ろもえ るなづ ずぐぞ みつの ぢごづ たひに つげく ろたご もたに なじく のほが さ ピービ(デフォルト仕様・通算成績) 157キロ スタ182 コン177 ツーシーム2 スライダー5 カットボール2 カーブ3 チェンジアップ4 Hシンカー5 特殊能力 キレ4 寸前× ドクターK 打球反応○ 人気者 のほぞ にゆね ぶあで りえち ろみな せごだ にたお とづめ づいず はざそ はごわ だやん にべば がちづ ぜなお ぼりゆ べゆざ へへち らごた ぢげぢ えぬつ んかぎ らうみ みへぜ おじめ じのげ おろげ のわぎ とえん びえが げぐべ がじる つむせ ぢまや ぐとな やくぞ ほべじ てがぎ に <野手> クーズマノフ(デフォルト仕様・通算成績) 弾道3 ミート7 パワー158 走7 肩10 守6 エラ4 特殊能力 対左5 フリースインガー グランドスラムヒッター エラー 人気者 わひお んおぎ ぐそが あまが おさね こへわ ざじお のぐて おえろ もしわ くめむ つづへ むいけ ごほぜ ぜねへ がだぶ わじほ なむめ せぶち えぞと ががや まざさ ふげあ れがか のまつ ろだつ やごさ たくべ ぐうそ ねみが おばに せづい おすろ ばもげ じかい ぐよゆ すほも ずぎわ でに {OB選手} <投手> <野手> T.グウィン(公認仕様) 弾道2 ミート15 パワー160 走12 肩12 守13 エラ13 特殊能力 クラッチ4 アベレージヒッター 広角打法 流し打ち 固め打ち 粘り打ち 内野安打○ 初球○ 威圧感 送球4 安定度4 走塁4 ゴールドグラバー 人気者 ミート多用 積極打法 積極走塁 積極守備 にぎぶ ぜづむ ずびみ さがし ぞぬち としげ べれき ぞやの やあす にのし だかて ほべへ にふや めざき まちむ よおめ はもべ ねぼし くじざ おるお けなぞ うろざ わけお みべず さぞま ぼあげ ぶそも れびぎ てさち こたふ ぶたり はじで みえで ぐぜの きくふ おざら ねいの もにあ づりに ほおぶ
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かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上 44KB 虐待-普通 制裁 愛護 パロディ 理不尽 自業自得 差別・格差 自滅 家出 同族殺し 飼いゆ 野良ゆ 捕食種 都会 現代 虐待人間 愛護人間 長いので二回に分けさせてもらいます。 ・色々と無茶ある展開がありますが仕様です。 ・俺設定あり。 ・ゲス制裁ものですのでゲスしか死にません。 天然あき 「まりさ、ごはんだよ」 男は傾いた犬小屋に向けて話し掛ける。 すると、 「ゆぅ…」 ずーりずーりと一匹のゆっくりまりさが明らかに不調そうな感じで出て来る。 「む~しゃ…む~しゃ…」 全然幸せそうにない感じでまりさは与えられた食事(人参山盛り)を食うまりさ。 その身体にはベルトが食い込まんばかりに巻かれており、更に鎖に繋がれていた。 「さて、それじゃあ散歩に行こうか」 「ゆ!!?」 生気を感じられない状態で食事していたまりさの身体がビクッ!と震える。 「や、やなんだぜ!! まりざはここでゆっぐりしてるからおざんぼはひどりでじでるんだぜ!!!」 まるでこれから拷問でもされるかのようにまりさは恐怖している。 しかし男は屈託のない笑みで、 「何言ってるんだい、行くよ」 男はリードを付け替え、iPodで音楽を聴きながらまりさを引っ張って外へと連れていった。 「やじゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 男には届かない、まりさの悲痛な叫びが響いていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 数日前…。 「むきゅうう…こわかったわ…」 成体のぱちゅりーが死ぬかと思ったみたいな口調で呟く…。 「あのありすたち…もうゆっくりできないでしょうね…いなかものとはいえちょっとかわいそうだわ…」 成体のありすが何かを心配するように呟く。 「そんなことよりおなかすいたね!ごはんにしようよ!!」 空気の読めない発言の成体のれいむ。 「でもにんげんはひどいんだぜ! あそこまでするひつようはないんだぜ!!」 意味のない義憤に駆られる成体まりさ。 「わかるよーあれはきっとぎゃくたいおにーさんなんだねー!!」 無駄に明るい声でいう成体のちぇん。 計五匹のゆっくりが野良にしては格段に広いおうちの中で話し合う。 この五匹は元は飼いゆっくりであったが若気の至りで家出をして帰れなくなってしまったのだ。 飼い主も少し待てば帰ってこれるだろうと犬と同じように判断して結局放っておいてしまったのだ。 ゆっくりに犬のような帰巣本能はないのだから戻れる訳はない。 こうして五匹は名実共に野良となってしまった。 捨てられたのではないから銀バッジを付けたままで野良生活を送る事になり、飼いゆっくりに手を出したらどうなるか知る小賢しいゲス飼いゆっくりから襲われる事もなく、 五匹という数も味方して野良のゆっくりから食事のおこぼれを貰ったり、奪ったりしていた。 気付けば身体も大きくなり、五匹は辺りから恐怖の対象となっていた。 去勢済みな為、無意味なすっきりをする事もなく、五匹はますます増長していった。 しかし五匹がいくら野良の中で力を持とうとそれは所詮野良の中での話。 五匹の心は未だに飼いゆっくりであり、その地位に戻る事を未だに考えていた。 まぁ簡単に言えばこいつ等は元飼いゆっくりのゲスで、飼いゆっくりになりたがっている。という事だ。 それは別に何処にでもある話だ。何の不思議でもない。 だが問題はそこではない。 問題はゆっくりではなく人間の方にある。 ただそこにいるだけでゲスを引き寄せ、結果的に死に至らしめる…そんな天命を担っているのではないかと思わせるような男がこの五匹の住む町にいるのだ。 ゲスである限り…例え飼いゆっくりであろうとも逃げられないゲスゆっくりにとっての悪魔が…この五匹のすぐ側まで迫っていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「さっさとそのあまあまをよこすんだぜええええ!!!」 「おちょうしゃんをはなぶぇ!!?」 「ゆ?なにかふんだきがするよ」 「きっとごみなんだねわかるよー」 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おちびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ふん、みにくいこえね。 そんないなかものにこのあまあまはふさわしくないわ!」 「むっきゅっきゅっきゅ♪ぶざまね!」 次の日、五匹はまりさとれいむの家族を襲い、集めた食糧を強奪していた。 先日この公園をのさばっていたゲスなまりさが人間に連れ去られて以来五匹の天下だった。 もはやこの五匹にしても逆らうゆっくり等おらず、好き放題していた。 「ゆるじでぐだばい!!ごれがないどおぢびじゃんがじんじゃうんでずう゛う゛う゛う゛!!!」 「うるさいんだぜ!!」 必死に懇願するまりさを五匹は体当たりで吹き飛ばす。 「ゆぎぃッ!!?」 「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ボロボロになったまりさとれいむ。 潰された子まりさと恐怖に震える子れいむ二匹。 「これはまりさたちがむ~しゃむ~しゃしてやるからかんしゃするんだぜ!!」 「いなかものにはもったいないあまあまね!!」 五匹はまりさ一家を嘲笑しながら菓子パンを貪る。 銀バッジになるまでに教育された礼儀作法はもはや記憶の片隅にも残っていない。 「ゆうぅ…」 「だいじょうぶ…れいむ?」 菓子パンを食べ終わって五匹が去った後、自分がボロボロにも関わらず、つがいのれいむにすりよるまりさ。 「おちょうしゃんきょわきゃっちゃよおおおお!!!」 子れいむが親に駆け寄る。 「ごべんね…おとうざんがじっがりじてないばっがでぃに…」 「そんにゃきょちゃはにゃいよ!おちょうしゃんきゃっきょよきゃっちゃよ!!」 慰め合うまりさ一家。 「大丈夫かい?」 すると騒がしく泣き叫ぶまりさ一家に話し掛ける誰か。 「ゆゆう!?にんげんしゃんだあ゛あ゛あ゛!!?」 「ごべんなざいおちびじゃんだけでもゆるじでぐだざい゛い゛!!!」 人間を見るなり即座に謝罪するまりさ。 「いや…とって食う訳じゃないからそうビビらないでいいよ…」 ゆっくりの反応に若干引き気味となる背広姿の男性。 「ところで君達どうしたの?野良にしてもぼろぼろじゃないか」 「ゆ、ゆうそれは…」 男に向けて怯えた目を向けるまりさ一家。 「大丈夫、俺は君達に危害は加えない。 ただどうしてそんな怪我なのか知りたいだけさ」 男は屈託のない笑顔を向ける。 邪気が無い事がゆっくりにもわかった。 まあ邪気がないのがこの男の厄介な点であるのだが…。 「ゆうぅ…実は…」 親まりさが事情を説明する。 「それは災難だったね…」 男はまりさ一家の境遇に深く同情する。 これが演技でもなく本気なのが男の異常な所だ…。 「そうだ、これをあげるよ」 男が自分の鞄から取り出したのは潰れたメロンパン。 後で食おうと思っていたのだが鞄に入れっぱなしだったので潰れてしまっていたものだ。 「ゆうう!?メロンパンさんだよおおお!!?」 途端に目が爛々と輝くまりさ一家。 とんでもない喜びように男も顔を綻ばせる。 基本的に善人でお人よしなのだ。 ただ思考が常人よりぶっ飛んでるだけで…。 「おにいざんありがどうございまず!!!」 顔面を地面に擦り付ける親まりさ。 「いやいいって。さ、早く食べなよ。 持って帰ると他の奴にとられちゃうかもしれないからここで食べた方がいいよ」 確かに人がいるすぐ側で奪うなんて愚を犯せばどうなるか野良のゆっくりならばわかって当然だろう。 「む~しゃむ~しゃし、しししあわせえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 耳がつんざく激烈な歓喜の絶叫を聞きながら男は笑みを崩さない。 基本的に細かい事は気にしないのだ。 悪い方向に…。 「ん?何だ餌付けか?」 すると男の目の前に背の高い男性が話し掛けてきた。 「あれ?研兄じゃん。久し振り」 どうやら男と背の高い男性は知り合いらしい。 「そうだな…直接会うのはお前が大学卒業して以来だな…。 近所なんだからたまには顔出せよな」 「それはお互い様。で、どうしたの?散歩?」 男はメロンパンをゆっくりと味わうまりさ一家を見ながら尋ねる。 研兄と言われた男性はそれに答える。 「いや、ちょっと野良れいむを探しててな…。出来れば家族じゃなくて独り身の…」 「それでわざわざ公園に探しに来たって訳ですか…」 「そうなるな…。やはり素材は自分で調達するのが一番信用出来る」 「ゆっくりごちそうさまでした!!!」 研兄が言い終わった直後、親まりさがメロンパンを食い終わった宣言をする。 「そういえばこいつ等…お前のペットか?」 研兄がまりさ一家に興味を抱き、男に尋ねる。 「いいや、他のゆっくりにボコられてたんでちょっと慈悲の御手を…」 「何だ、まぁたお前は野良に餌やってんのか…。 捨て犬猫とか何回も拾ってその度に親にどつかれてたもんな。お前ん家周りから動物園って言われてたよな」 「う…小学生の頃の話を持ち出さないでくれよ…。 それに拾った奴はちゃんと里親見つけたし、飼ってた奴もちゃんと天寿全うさせたっての…」 「まぁそれはいい…。 で、こいつ等どうすんだ?」 「どうすんだって…」 男はまりさ一家を見る。 「おにいさんどうもありがとうございました!!」 「おにいしゃんのおきゃげじぇとっちぇもゆっきゅちできちゃよ!!ありがちょうございましゅ!!」 満面の笑みを浮かべて男に感謝するまりさ一家。 「……………」 「…このままはいさよならって出来るタイプの人間じゃなかったよなお前は…」 男の顔がちょっと罪の意識に苛まれたのを見越して研兄が意地悪っぽく言う。 「けど…俺…ゆっくりの飼い方なんて知らないし…」 「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」 「ブリーダーの台詞とはとても思えないな…」 「ブリーダーはあくまで副業だ。 本業は研究者だ。ま、虐めるのはここまでにするか…さてと」 研兄はまりさ一家を見下ろす。 「ゆ…おにいさん…どうしたの?」 新たな人間がこちらに意識を向けた事で若干恐怖するまりさ一家。 「ふむ、このままじゃこいつ等、他の野良ゆっくりの嫉妬の八つ当たりで死ぬぞ」 「えええ!!?」 「ゆゆゆううう!!?」 男とまりさ一家は同時に驚く。 「人間から食い物貰っていい目みたんだ…逆恨みされてもおかしくない…」 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 「いくら何でもそんな…」 男は研兄の言った事が信じられないようだ。 「信じるも信じないも御自由に…けどま、こっちも見付けちまった以上見過ごすのは趣味じゃない…」 そう言いながら研兄はしゃがみ、目線を親まりさの高さに合わせる。 端から見れば随分面白い体勢だが当人は大真面目だ。 「ゆ、ゆぅ…?」 研兄の行動に戸惑う親まりさ。 今まで人間に見下ろされた事はあっても同じ目線に立たれた事は無かったからちょっと不安げだ。 「まりさ…一度しか言わないからよく聞け…お前俺の飼ってるれいむと友達になってみないか?」 「ゆ?」 親まりさはその言葉をよく理解出来なかった。 「言い方が悪かったな。 お前達、飼いゆっくりになりたくないか?」 「ゆ…ゆうううううううッ!!?」 それはまりさからすれば願ってもない事だ。 生ゴミを漁り、明日をも知らぬ日々から脱せられる…。 自分はそれでも構わない…けどおちびちゃんはゆっくりさせたかった親まりさか らすれはまさしく救いの手だ。 「ただし、お前の子供はお勉強して金バッジ…少なくとも銀バッジはとれるよう になってもらうぞ」 「ゆ、ゆううううう!!?」 喜びのあまり声にならない叫びを放つ親まりさ。 「返事は?」 「ゆ!?おねばいじばずおにい゛ざんんんッ!!!」 「れいむからもおねがいじまずううううッ!!!」 つがい揃って顔面を地面に擦り付ける。 頭を下げているイメージなのだろうがそうは見えない。 「いいのか研兄?」 男が尋ねた。 「別に構わないさ。シングルれいむを探すついでだ。弟分の不始末位はしといてやるよ」 研兄はそう言って笑う。 「全く…弟分っていつまでも小学生の頃の話持ち出さないでくれよ…」 「でもお前だって研兄って呼んでくれてるじゃんか」 「それはそれ、これはこれだよ」 「ま、いいさ。 こいつ等は俺が連れてくので構わないな?」 「ああ、でも出来れば変な実験に使ったりしないでくれよ」 「それはこいつ等次第だ。飯食わせるんだ、その分の基はとらせてもらうよ。ほら行くぞお前等」 「ゆ!わかったよ!おちびちゃん、おにいさんにゆっくりついてきてね!!」 「おにいしゃんありがちょうございましゅ!!」 「おにいしゃんのおきゃげでゆっきゅちできちゃよ!!」 「どう致しまして。お前等も見限られないようにしっかり勉強しろよ」 素直に感謝されてむず痒い感覚を感じながらも男は笑顔で答える。 「プ…勉強しろよって…お前が言うなよな…ククク…」 「うっさいなもう!!いいからさっさとれいむ探しにどっかいけえええ!!!」 笑い出す研兄に対して顔を真っ赤にして叫ぶ男。 「…ああわかったわかった。 ま、以後は気を付けろよ。 “情けは人の為ならず”って言うだろ。それじゃ行くぞ」 「ゆ!わかったよおにいさん!」 「しんじゃったおねえしゃんもいっしょだよ!」 「そうだね、おちびちゃんはまりさのおぼうしにおちびちゃんをはこんであげてね」 こうして、研兄はまりさ一家を引き連れて男から去って行った。 「研兄…情けは人の為ならずって情けが人の為にならないんじゃなくて、人にした情けが周り巡って自分に返ってくるって意味だぞ…」 マジボケなのかどうかわからず、ツッコミするタイミングを逸した男は一人呟いていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むっきゅううううん!!?どうぢであんなぐずどもががいゆっぐりになるのお゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「あんなのよりまりざのほうがゆっぐりじでるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 「わがだらないよおおおおおおッ!!?」 「あのめろんばんざんはでいぶのぼのなのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 どうやら一部始終を五匹のゲスゆっくり共は盗み見ていたようだ。 おそらく男が見ていなければまりさ一家からメロンパンを強奪していただろう。 「あのじじいたちはみるめがないわ!! こんなとかいはなありすがいるのにあんなきたないやつらをつれていくなんて!!」 ボロボロにしたのはお前等だろうが、とツッコミを入れる者はいない。 「むきゅ…でもこれはちゃんすかもしれないわ…」 「ゆ?どういうこと?」 冷静さを取り戻したぱちゅりーが呟く。 「あのじじいはあんなゆっくりできないやつにどうじょうしておいしそうなあまあまをあげるようなばかよ。 ぱちぇたちならよゆうでかいゆっくりにするわよ!」 どういう理論の飛躍でそうなるのかわからないが、そういう考えが意外と上手くいくのがこの男と相対するゆっくりの常だ。 それが決して幸福等ではないが…。 「でもあのいなかもののじじい…どこかでみたきがするわ…」 ありすが何となく不安げに呟く。 何かしら嫌な予感がするのだろう。 それは正しい。生き残りたくばその予感に従うのが正しかった…。 しかし、 「むきゅ、だいじょうぶよ!ぱちぇのずのうとまりさのぱわーならあんなじじいになんてまけないわ!! じじいのおうちをのっとってぱちぇたちのゆっくりプレイスにするのよ!!」 「そのとおりなんだぜ!!」 男を一度でも見た時点で生き延びる事等出来る訳もなかった…。 「ゆう!じじいはまりささまをかいゆっくりにするんだぜ!!」 すると突然男の目の前に五匹とは別のゆっくりまりさとれいむのつがいが姿を現した。 「ゆゆう!?さきをこされたんだぜええ!!?」 「はやくあのまりさたちをせいっさいしないとだねわかるよー!!」 「むきゅ、ちょっとまって!?ようすがへんよ!!」 先を越され、焦るまりさとちぇんをぱちゅりーは止める。 男に何か変化があったのだ。 それはつがいのれいむがある言葉を言った直後の事だった。 「かわいくってごめんねー!!」 「!!?」 突然男の身体が強張る。 そして…、 「…謝らなくって…いいんだよ…」 男は号泣しながらそう告げた。 その後はもうテンプレだった。 髪の毛を毟られ、男の価値観で「可愛くなくなった」れいむ。 そんなれいむを助けようとして返り討ちに遭って蹴り一発でボロボロにされるまりさ。 「ひ、ひどいんだぜ…」 その一部始終を見てた五匹も絶句している…。 まさかあんな甘ちょろいジジイがあんな事をするとは思ってなかったのだろう。 「むきゅう…これはすこしさくせんをねらないとだめね…」 だがメロンパンという甘い誘惑は五匹にとっては絶対に譲れないものだった。 あの光景を見ても意志を変えない辺りは流石ゆっくりと言うべきだ。 「それじゃ、頑張ってね」 男はれいむの成れの果てとボロボロになったまりさ…すなわちボロまりさに一瞥すると去って行った。 「ゆうううう!!?いっちゃったよぱちゅりー!!?」 「はやくあとをおうんだぜ!!」 急いで後を追おうとするまりさ。 「まってまりさ!!」 それをありすが止める。 「どうしてとめるんだぜありす!!」 「おもいだしたわ!あのにんげん!このまえまりさとありすをゆっくりできなくさせたやつだわ!!」 「ゆゆう!!?」 「むきゅう!!?」 ありすの言葉に残り四匹が驚愕する。 ありすの言うまりさとありすとは最近この公園で好き放題していた二匹のつがいの事だ。 「ゆっくりしていってね!!」の言葉や口に隠した石等を利用して公園の数多くの野良ゆっくりを血祭りに上げたこの公園に住むゆっくりからは恐怖の象徴であったゆっくりだ。 五匹も二度しか出会っていなかったがその数少ない遭遇の一度目で五匹の中で最も強いまりさはその恐怖の象徴まりさに敗北していた。 そして二度目の遭遇、と言うか覗き見した時にそのまりさとありす、そしてその子供達は一人の人間に敗北した。 恐怖の象徴まりさは家族を見捨てて逃亡し、ありすとその子供は今目の前にいるつがいのれいむのように「可愛く無くなって」いた。 その結果この公園のゆっくりの勢力図は変わり、この五匹が好き放題するようになった。 それは今はどうでもいい。 問題はあの男がゆっくり出来ない人間であるという事だ。 「ゆ、あのときまりさはゆだんしてたんだぜ!!いまはあんなゆっくりしてないまりさなんかすぐにころせるよ!! だからあのまりさみたいにあんなじじいにまりさがまけるわけないよ!!」 だが、無駄にプライドの高いゆっくりが自身の恥部を認める訳がなく、今なら大丈夫という根拠のない自信が男を忌避しようとする正しい判断に辿り着けない。 そこまでゆっくりからすれば男はカモに見えるのだ。 自分達がアンコウの持つ光に近付く哀れな小魚と同じだとも気付かないで…。 「むきゅ、おかしいわ。ゆっくりできないにんげんならあのまりさたちにあまあまなんてあげないわ」 ぱちゅりーが男の行動に違和感を感じて考え込む。 元飼いゆっくりだけあって疑い深いようだ。 「そうね、もしかしたらべつじんかもしれないわ」 「たとえおなじでもこんどあったらぎったんぎったんにしてやるんだぜ!!」 だが十か一しか区別出来ないゆっくりに人間の多面性が理解出来る訳もなかった。 なので、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛!!?」 「いぢゃいよおおおお!!?」 「さぁかくさないでさっさとはくんだぜ!!」 「かくしてもむだなんだねわかるよー」 当事者であるゆっくり達に聞く事にした。 「むきゅ、かたほうだけいきてればいいわ」 「わかったんだぜ!ゆっくりできないくずはさっさとじねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆぎゅぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 まりさは可愛くなくなった元れいむを踏み潰す。 「でいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 「うるさいんだよー!!」 「げぶる!!?」 騒ぐボロボロになったボロまりさをちぇんは体当たりして黙らせる。 「むきゅ、これからまりさにはぱちぇのしつもんにこたえてもらうわ」 「もしぱちぇのしつもんにうそをつくようないなかものならさっきのれいむみたいに…」 「せいっさいするよ!!!」 「わかったー?」 「ばい゛い゛い゛い゛わがりまじだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 踏んだり蹴ったりなボロまりさは泣き喚きながら答えた。 「むきゅ、それじゃきくわよ…」 ぱちゅりーはそう宣言して質問を始めたのだった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むきゅ、なるほどね…」 ぱちゅりーは大体の話を理解した。 結論からすれば「ごめんなさい」と謝ったから謝らずに済むようにしただけだという事だ。 つまり、 「むきゅ、あなたたちはばかだったことね!!」 ぱちゅりーが嘲笑しながらボロまりさに告げる。 「まりざはばがじゃないよおおおおおおお!!?」 「うるさいんだぜ!!」 「ゆべぇ!?」 反論するボロまりさをまりさは体当たりで黙らせる。 「むきゅ、ぱちぇはけんじゃなめいあんをおもいついたわ!! これであのじじいからゆっくりプレイスをとりもどせるわよ!!」 「ゆゆう!!?ほんとう!?」 「わかるよー!みんなでゆっくりできるんだねー!!」 「とってもとかいはよぱちゅりー!!」 めいあんの内容すら聞いていないのに勝手にもう男の家を奪い取れたかのように騒ぐゆっくり。 「ゆぐ…もぅ…おうぢがえぶぅ…」 一方ボロまりさは身体をず~りず~りと引きずりながら逃げようとする。 「どこへいくつもりなんだぜ?」 だがそうは問屋が卸さない。 まりさがボロまりさに立ち塞がりボロまりさの移動を邪魔する。 「ゆ、ゆぅ…まりざは…じづもんにぢゃんどごだべまじだ…だがら…ゆるじでぐだばい…」 ボロまりさは目に涙を浮かべて懇願する。 つがいのれいむは死に、自分も無事ではない怪我を負っている。 つがいのれいむの仇をとるなんて余裕もない。 生き残る事で精一杯だ。 つがいのれいむの仇に命乞いしてでも生き残りたかった。 だが、 「むきゅ、そいつはもうようなしよ。まりさ、さっさとせいっさいしてね」 だがぱちゅりーはどうでもよさそうにまりさにボロまりさを殺すように告げた。 「どぼぢでえ!!? じづもんにごだえだらだずげでぐれるんじゃながったのぉ!!?」 話が違うと叫ぶボロまりさ。 それに対して、 「むきゅ、クズのぶんざいでわめかないでね。ぱちぇのおみみがくさっちゃうわ」 お前等に耳なんかねえだろうが、とここに人間がいたらツッコミを入れていたが今は残念ながらゆっくりしかいない。 「それに、こたえたらせいっさいしないなんてだれもいってないわ。いなかものはこれだからやだわ」 確かに答えなかったら殺すと言ったが答えたら助けるとも言っていなかった。 だがそれはあまりに暴論だ。 強者が弱者に対しての力を振りかざしてのあまりの暴論だった。 「うるさいんだぜ!! くずはゆっくりしないでさっさどじねえ!!!」 「ゆびゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 ボロまりさはまりさに反論する間も与えずに踏み潰された。 「まったくゆっくりしてないまりさたちだったよ!れいむをみならってほしいよ!!」 「わかるよー、ちぇんたちにせいっさいされたほうがよのためだったんだねー!」 まさに目糞、鼻糞を笑うを地で行く光景だ。 それはさておきボロまりさから事情を聞いて得意気になっているぱちゅりーが皆に向けて発言する。 「むきゅ、これであのじじいからゆっくりプレイスをとりかえせるわ!!!」 「さすがぱちゅりーなんだぜ!!せかいいちのてんさいなんだぜ!!」 「むーきゅっきゅっきゅ!!それほどでもあるわあ!!」 「やったよ!これであまあまたべほうだいだよ!!」 「もうこんなとかいはじゃないところなんておさらばね!!」 「わかるよー!!もうかったもどうぜんなんだねー!!」 何もしていないのに勝ったと騒ぐ五匹。 肝心の男がまたここに来るかもわからないのにやかましい程に騒ぐ。 「むきゅ、それじゃあつぎにあのおとこがきたらさくせんけっこうよ!!」 「「「「ゆおおおおー!!!」」」」 男が来るかもわからないのに何時までもこの五匹は騒ぎ続けていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 翌日。 五匹にとって幸運か不幸なのかわからないが男は次の日も公園に立ち寄っていた。 会社からの帰り道に公園を突っ切った方が早いからだ。 「菓子パン買い過ぎる癖は直した方がいいな…」 男はまたもやパンを鞄に入れているようだ。まあそんなのはどうでもいい。 「むきゅ、それじゃあさくせんをかいしするわ!」 男を見つけた五匹はぱちゅりーの言葉に頷く。 「わかるよー!こんなさくせんをおもいつくぱちゅりーはてんさいなんだねー!!」 「こんなとかいはなともだちがもててありすもはながたかいわ!」 「これであまあまたくさんたべれるね!!」 「ぱちゅりーはせかいいちゆっくりしたゆっくりだぜ!!」 「むきゅ、それほどでもあるわ!」 どうやらぱちゅりーの“さくせん”とやらは余程のものらしく皆ぱちゅりーを褒め讃える。 「むきゅ、それじゃいきましょう!」 「「「「ゆおおおー!!!」」」」 五匹が声をあげて男へ向けて跳ねていき、 「ん?」 五匹に気付いた男に向けて、 「「「「「おにいさん、かいゆっくりじゃなくてごめんねー!!」」」」」 一斉に宣言した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ぱちゅりーの考えた名案であり作戦は簡潔だった。 「かわいくってごめんねー」と言ったら「かわいく」なくせられた。どうして男がそんな事をしたのかぱちゅりーにはわからなかったが、「かわいくって」と言ったら可愛くなくせられた。 なら、「かいゆっくりじゃなくてごめんねー!」と言えば飼いゆっくりにしてくれるかもしれない。 そう考えたのだ。 その結果は、 「さ、ここが俺の家だよ」 ほぼぱちゅりーの望み通りであった。 男は「謝らなくって…いいんだよ…」と言いながら号泣し、五匹を自宅へ連れて来た。 「さすがぱちゅりーのさくせんなんだぜ!!こんなうまくいくなんてすごいんだぜ!!」 「はやくあまあまもってきてね!!ぐずはきらいだよ!!」 「とってもとかいはなおうちだわ!ありすにぴったりね!」 「むっきゅっきゅっ!あとはこのじじいをせいっさいするだけね!」 まさに計算通り、といった笑みを浮かべるぱちゅりー。 この世の春といった感じで喜びを噛み締める五匹。 後はこの男を殺すだけ…ともう半ば望みが叶ったつもりでいた。 だが、 「それじゃ、今日からここが君達のお家だからね」 「「「「ゆ?」」」」 「むきゅ?」 男が案内したのは家の中ではなく、かつて四匹の赤ゆっくりが騒音によって苦しみ死んでいった犬小屋だった。 「なにいってるんだぜ!?まりさたちのおうちはあっちなんだぜ!!」 まりさは目線を男の自宅に向けながら叫んだ。 「え?室内で飼うの?ごめんね、それはちょっと準備してないから無理って事で我慢してね。野良だし大丈夫だよね」 「なにいっでるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?あっちがでいぶのおうぢだよ!!ばがなじじいはざっざとそっちにづれでげえ゛え゛え゛え゛!!!」 「いやあっちは俺の家だから…あっそうか一つじゃ狭いもんね」 男はそう言うと、物置よりも離れと言うべき場所から別々の犬小屋を二つ取り出した。 「これで大丈夫だよ。二つ足りないけど、それはちょっと我慢してね」 計三つの、成体ゆっくりが一匹ぎりぎりで通れる横幅の入口の犬小屋を並べた男は笑顔で告げた。 五匹はここでようやく理解した。 この男は本気で自分達を犬小屋で飼う気だと…。 「ふざっけるんじゃないんだぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」 まりさがぶちギレた。 「?」 男はまりさの怒りが理解出来ない。 何故なら男は徹頭徹尾大真面目だからだ。 男は五匹を飼うつもりだった。 だが男はゆっくりを飼った事もないし、飼い方も知らない。 だから昨日旧友に会った時の言葉を思い出した。 “「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」” 兄貴分兼親友の研兄はそう言っていた。 だから男はその言葉に乗っ取って飼う事にした。 大真面目に犬を飼うようにして…。 だから五匹に対しては怒らせるような事はやっていないと思っていた。 「も゛う゛がばんでぎないんだぜ!!ふざけたごどぬがぶじじいはまりざがぜいっざいじどやるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 今まで納得のいかない事は自分の力で捩伏せてきたまりさは我慢出来なかった。 「えーと…何で怒ってんの?」 男の疑問に対してまりさは体当たりで返す。 しかし、 「おっと」 男はその体当たりを難無くでかわす。 「ぶべぇ!!?」 回避されるとは想定もしていなかったまりさは顔面から草木生い茂る地面に突っ込む。 「まりさあああ!!?」 れいむが叫ぶ。 まさか無敵のまりさの攻撃を男が回避するとは信じられず、驚きを隠せない。 実際はこの男によって痛め付けられたまりさにも敗北しているので無敵でも何でもないのだがれいむはまりさの「ゆだんしていた」をマジに受け取っていたのでそう思い込んでいた。 「よくもまりざをおぉ!!!」 れいむが男に向かい体当たりをまりさの仇だとばかりに繰り出す。 「え、俺のせい?」 男からすれば勝手に突進してすッ転んだようにしか感じなかった男はいつの間にか自分のせいにされていた事に驚くが、それでもゆっくり程度の攻撃に当たる訳もなく、難無く回避する。 「ゆぶぁああ!!?」 まりさの二の舞となるれいむ。 「何で怒ってるんだろ?ま、いいや」 男は気にしない事にして作業に移る。 一旦家に戻り、 「ゆ!?なにするの!?はなしないこのいなかものおおおお!!!」 ありすを掴み、 「流石にこれじゃ無理か…仕方ない」 口と目の間の位置に男自身が使っていたベルトを巻き付けた。 「ゆぎゅい゛い゛い゛!!?」 外れないようにきつく締める。 その痛みにありすは奇声を上げるが男は全く取り合わない。 軽く食い込んだ所でようやく男はベルトを絞めるのを止める。 「ゆぎぃ…ゆふぃ…」 顔を締め付けられて軽く瓢箪みたいになったありす。 「あとはこれをっと…」 男はそんなありすを鎖に繋げ、しっかりと固定された杭に繋げた。 「む…きゅ…?」 あまりの訳のわからなさにぱちゅりーは呆けてしまう。 強かった筈のまりさは無様に地面に突っ伏し泣き喚いている。 ありすは「ゆい゛ぃ…ぎゅひ…」とか奇声を上げながら痛みに苦しんでいる。 れいむはどうでもいい。 無事なのはもはや自分とちぇんしかいない。 「わきゃらない゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 いや、そう考えている内にちぇんもありすと同じにされていく。 「猫っぽいけどゆっくりだから同じでいいよね」 何だか男が言っているが、ぱちゅりーには届かない。 僅かな時間で無事なゆっくりはぱちゅりーしかいなくなった。 「む、むきゅううううう!!?」 訳がわからなかった。 さっきまで何もかも上手くいっていた筈なのに…。 後はこの男を殺してお家を奪うだけだったのに…。 いや、それよりもまずは逃げなければならない。 使えない能無しなんてどうでもいい。 そう考えてぱちゅりーは逃げようとし、 「はい、次は君の番♪」 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 スタートするよりも早く捕まった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「いぢゃいよ゛ぉ…」 「むぎゅ…」 「わが…だ…ない…」 「あま…あま…」 「ぐひぃ…」 五匹全てが仲良くベルトで代用した首輪に繋がれている。 締め付けられる痛みで動く事も出来ない。 「ペット飼うのは久し振りだから上手くいくか不安だったけど…まぁ何とかなったね」 何処をどう見れば何とかなったのかわからないが男はとりあえず満足そうだ。 五匹の全てが男に対して殺意が篭った眼をしていながら男はそれに気付く様子もない。 「それじゃ、ご飯持ってくるから待っててね」 男は最後まで五匹の殺意に気付かず家へと戻っていった。 後に残るのは瓢箪みたいな形になった五匹。 特にありすが酷い。 「ぐぴ…こぺ…」 口からカスタードを漏らし始めている。 「どうじで…ごんなべに…」 まりさが呟く。 今頃はあの男を殺してゆっくりしている筈なのに…。 それが妄想でしかないと気付く事はない。 「む゛…ぎゅ…み゛ん…な゛…ごれを…どるの…よ…」 こんなベルトで締め付けられたままじゃ身動き一つする事も出来ない。 「はやぐ…どっでね…」 「むきゅ…ぱぢぇの…どりな゛ざい…」 「わがらないよ…どう…じで…ごないの…」 「ざっざど…まりざのを…どれ…」 「ぐぴ…ぃ…」 しかし痛いのを我慢して誰かの所まで動く事を自分最優先のゲス達がする訳がない。 結局誰も動かず事態も好転しないまま時間だけが過ぎていく。 「ときゃ…ぺひゃ…」 段々とありすの首輪から上がパンパンになっていく。 圧迫されている証拠だ。 ありすが危険な状態になっているのだが、他の四匹は自分の事ばかりで気付きもしない。 ありすは言い難い痛みと苦しみを味わっていた。 『いじゃいいじゃいいじゃい゛い゛い゛い゛い゛!!?ごんなのぜんぜんとがいばじゃばいわ!!? じじいはゆっぐりじないでざっざとありずをだぶげろぉ゛お゛お゛お゛お゛!!!』 「ぐひ…」 もはや喋る余裕すらないありすは心の中でのみ雄弁となっている。 しかしそれも段々と弱まっていく。 周りのゆっくりも、ありす自身も限界に近づいている事に気付いてはいない。 「ごはんもってきたよ」 すると男が五匹の食事を持って来た。 「あれ、何かさっきと違わないか?」 男が五匹の危機的状況に陥っているのに気付いた。 「ああ!ちょっときつく締めすぎちゃってたのか!!」 その原因が判明して男は慌てて、戒めを緩める。 「ゆうう…」 流石にすぐに男に襲い掛かれる程の余裕はなく、苦しげに呻くしか出来ない。 とりあえず命に別状は無いようだ。 ただ一匹を除いて…。 「ぷごべぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 最後にありすのベルトの拘束を解いた瞬間濁流のように中身のカスタードを目、口、あにゃるから噴き出し始めた。 今まで圧迫されていた部位が緩んだ事により中身が一気に動き、その勢いと圧迫されていた事による吐き気が上手い具合に作用してしまった。 そしてそのショックにありすの身体が耐え切れず、他の部位からカスタードが漏れだしていく。 様々な偶然が悪い方向に作用した結果がありすの中身が漏れ出すという結果になった。 「グヒ!!ケパァ…!!?」 「あ…りず…?」 あまりにも奇怪な現象に他の四匹は呆然としてしまう。 ありすから中身の流出は止まらない。 穴の開いた水風船は空になるまで水を出し続けるのだ。 「おお…すげえ…」 男はありすの自分の中身を使った命懸けの水芸に対してそう呟く。 まさかベルトをきつめに締めただけでこんな事になるなんて予想出来る訳がない。 「…あ…りず…」 「…むきゅ……」 「ぴゅぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 ありすはもはやまともに喋る事も出来ず、糸の切れた人形のように断末魔の叫びを上げた後動かなくなった。 カスタードまみれで顔は男達からはよくわからなかったが、その表情は幸せとは程遠いものだった。 「わきゃら…ないよぉ…」 「む…きゅ…」 「あ…りず…」 「もう…やば…」 物心ついた頃から共にいた形式上は仲間のあまりにも悲惨な末路は四匹を絶句させた。 「……死んじゃってる。一体なんで…?」 男はありすの死因が自分にあるとは気付いていない。 ゆっくりの脆さを理解出来ていなかったのだ。 「とりあえず埋めてあげないと……」 このままありすの残骸を放置しておくのもよくない。 ベルトが一つ無駄になったけど一々気にする事もなかった。 「よ゛ぐも…ありずを…」 まりさが男を睨み付ける。 まだ動けるまで回復していないのだ。 ありす程では無いにしろ四匹とて無傷ではない。 睨み付けるしか出来ない。 だが、ゆっくりの殺意で人が殺せるならとっくの昔に人間なんて滅んでいる。 男は気にせず再びまりさにベルトを巻き付ける。 「ゆひいいい!!?やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 ベルトを見るやいなやまりさは叫び声を上げて逃げようとするが逃げ切れる訳もなく、そのままあっさりと捕まってベルトを巻き付けられる。 しかし今度はキツすぎず、さりとて緩すぎもしない絶妙な案配で…。 というかそれが出来るなら最初からしろという話だ。 「ゆぐぁ……」 ベルトを再びされたショックでまりさは泡をふいて失神してしまう。 どうやらトラウマになってしまったようだ。 「むぎゅう゛う゛う゛!!?」 「わぎゃら゛ないよおおッ!!?」 「ゆんやあ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 その間に手際よくベルトを残りの三匹に巻き付ける。 どうやらコツを掴んだらしい。 「じねぇ…じじいはじねぇ…」 れいむが恨めしげに男に呪詛を呟き続ける。 当然ながら男はそれに気付かない。 気付いても気にしないが。 でも何やら五月蝿かったのでれいむだけは少し緩めにしてあげた。 「かわいそうに…何か病気だったんだな…。 気をつけないと…」 男はありすを庭に埋めながら呟く。 何が原因かわからないが自分がゆっくり出来ない何かをしたのだとは理解していたようだ。 「やっぱり研兄に相談した方がいいかな…」 まさか初日、しかも飼い始めて一時間もしないで反乱、一匹死亡という状態になるとは思わなかったのだろう…。 一応はゆっくりの使い方のプロである兄貴分に相談しようか考え混んでいた。 「わからないよ…どうしてありすがしななくちゃいけないのかわからないよ…」 一方ちぇんはどうしてこんな事になったのか理解出来なかった。 今までぱちゅりーとまりさがいれば大丈夫だった。 今回だってぱちゅりーの言う通りに上手くいっていた。 だけどその結果ありすは死んでしまい、今はお世辞にもゆっくり出来るとは言えない状況だ。 「わがらないよー…」 ちぇんはその言葉を言うしか出来ない。 今まで散々頼ってきた分面と向かって批判も出来ない。 ただ目の前にある山積みの人参を食うしか出来ない。 「ゆゆ!!なにかってにれいむのごはんたべてるの!!?」 「ゆぎゃ!!?」 すると突然れいむがちぇんに体当たりをする。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!ばかなちぇんにあげるぶんなんてないよ!!」 あまりにも横暴な物言い。 「むきゅ…だめよれいむ。いまこそみんなで…」 「うるさいよッ!!」 「むぎゅ!!?」 れいむの横暴を諌めようとしたぱちゅりーを体当たりで黙らせる。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!やくにたたないぱちゅりーはひっこんでてね!!!」 どうやら山積みにされた人参を独り占めするつもりのようだ。 「……………」 肝心のまりさはまだ失神したままだ。 他の三匹に比べて精神が弱いのかもしれない。 まりさがこの様では今のれいむの横暴を止めれるものはいない。 「む~しゃむ~しゃじあわぜぇえ~!!!」 瞬く間に人参を消費していくれいむ。 「むきゅ…どうじでごんなごどずるの…?」 いきなりのれいむの横暴にぱちゅりーは理由を問い掛ける。 「うるざいよッ!!!ぱちゅりーのぜいでごんなべになっだんだがらざっざとじんでね!!!」 「むぎゅあ゛!!?」 「なにがにんげんをごろじべおうぢをのっどるだよ!! きずひどづづげられながっだじゃないがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「むぎゅい!!?ぺぎぃ!!?」 「ぼうおばえだぢのいうごどなんでぎぐがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鬱憤晴らしと八つ当たりをぱちゅりーでするれいむ。 男自体は考え事していてそれに気付いていない。 実は寝てるんじゃないかと勘違いしそうな程だ。 「むぎゅ…」 「ゲラゲラゲラゲララゲラゲラゲラ!!!いいざまなんだね!!れいむをゆっくりさせないからそうなるんだよ!!!」 ボロボロになったぱちゅりーを嘲笑うれいむ。 「だいじょぶー?いたいんだねわかるよー」 ボロボロになったぱちゅりーをぺーろぺーろして慰めるちぇん。 「むぎゅう…」 どうやら死んではいないようだ。 「これはぜんぶれいむのものだよ!!ばかなちぇんとぱちゅりーはそこらへんのくさでもたべててね!!」 ゲラゲラ笑いながら五匹分の餌の人参を食っていく。 「やっぱり自分の力で頑張ってみよう!!」 れいむが一匹だけで五匹分の人参を食べ尽くした時点で男は考え事の目途がついたようで我に返る。 男はどうやらその場にいながら四匹の状態に気付いていなかったようだ。 無駄に高い集中力だ。 というかわざと無視しているとしか思えない。 だがマジなのが始末に負えない。 「ゆ!じじい!ぜんぜんたりないよ!!ゆっくりしないでさっさともってきてね!!」 体積が増えたれいむはおかわりの催促をする。 しかし、 「駄目だよ。食べ過ぎはよくないからね」 男はそれだけ言うと罵り続けるれいむを気にも留めず何故か裏口を使わないで玄関から家の中へ入っていった。 「までえ゛え゛!!!でいぶをむじずるなあ゛あ゛あ゛!!!」 男に体当たりしようとするれいむ。 しかし、鎖がれいむの進行を邪魔してベルトの部分が食い込む。 「ゆぎゅう゛う゛う゛!!?」 自分の跳ねた勢いが全て自分に返って来たれいむは地面に倒れ込む。 「ゆ゛ぅ゛…いぢゃいよ゛ぉ…」 基本痛みに弱いゆっくり種であるためれいむは簡単に痛みに喘ぐ。 「ゆ、ゆぅ…なにがあったんだぜ…」 ようやく目を覚ますまりさ。 だれもかれもゆっくり出来なくなっていた。 っして異変はその時起こった。 「うーうー♪」 「「「「ゆう゛う゛う゛う゛ッ!!!?」」」」 それは人間にとって無駄に陽気な腹立つ声。 しかし通常種にとっては何よりも恐ろしい声だった。 「れ、れ、れみりゃだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 れいむが餡子の髄に刻まれた恐るべき存在の名を叫ぶ。 そこに現れたのは胴有りれみりゃ。 街中ではあまり見ないれみりゃ種。 身体が肉の為犬や鴉に襲われて数が少ないのだが、近年れみりゃブームが来て嵐のように急速に去っていった為比較的数がいるのだ。 まあそれでもこうして姿を見るの珍しい事だが。 あの男に会ったゲスゆっくりには不幸しか訪れない。 四匹を狙っていたのだが男がいたので手を出せなかったのだ。 だがもう男はいない。 れみりゃは待ち望んでいた食事に喜び勇んで襲い掛かった。 「ゆうううう!!?」 「わがらないよーー!!?」 「むっきゅうううん!!?」 「はやくあのこやににげるんだぜえ゛え゛え゛!!!」 まずはまりさがいち早く逃げ、それに足(?)の速いちぇんが続き、ぱちゅりーがその後に続いた。 男に体当たりしようと離れた距離にいたれいむが逃げ遅れる羽目となった。 「うーあまあままつんだど~♪」 羽根をパタパタさせて追いかけるれみりゃ。 「ゆ、ゆうう…とりあえずこれでひとあんしんなんだぜ…」 「わ、わかるよー…たすかったんだね…」 「むきゅ…ゲホゲホ!」 何とか犬小屋の中に逃げ込めた三匹。 三つの犬小屋に綺麗に一匹ずつ逃げ込む。 「いれでね!でいぶもゆっぐりじないでいれでね!!!」 れいむもそれに続いて犬小屋に逃げ込もうとする。 が、 「ゆうううううう!!?はいれないよおおおおおおおおお!!?」 れいむは犬小屋に入る事が出来なかった。 五匹分の食糧である山積み人参を食べた事による体積の増加で横幅が犬小屋の入 る穴のスペースをオーバーしてしまったようだ。 男が親切心で軽く緩めていたせいでベルトが窮屈にならず、れいむもその事に気付かなかった。 「どうじではいれないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 切迫した表情で何度も犬小屋に体当たりするれいむ。 だが通る事は出来ない。 横暴のツケがあまりにも早く来たのだ。 「あまあまつかまえたんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 遂にれいむがれみりゃに捕まった。 「や、ややややややややめてね!!!れいむおいしくないよ!たべたかったらそこのぱちゅりーをたべてね!!!」 「むぎゅ!?」 れいむの命乞いで売られたぱちゅりーがビクッと反応する。 だが古今東西、ゆっくりが他のゆっくりを売った後に許してもらう事等まず無い。 れみりゃもれいむの命乞いに耳はかさず、 「いただきまずだど~♪」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 中身を吸われていくれいむ。 だが吸うスピードはゆっくりであり、存分に甘味が出るようにしていた。 そのせいでれいむは本来ならすぐに死ねる所をゆっくりと苦しむ羽目になった。 「おぜうさまはゆっくりごはんをたべるんだど~♪」 「ゆぎ…たずげろ…」 コトンとれいむを束縛していたベルトが落ちる。 だが今更自由になった所でもう遅い。 もうれいむはれみりゃのごはんになるしかないのだから…。 「ざっざどたずげろ……」 喰われていく中れいむは犬小屋の中にいる三匹に命令する。 れいむの中で、今まで共に過ごしていた四匹は都合のいい道具だった。 “ゆっくりしたれいむのためにどれいのじじいはくれたあたらしいどれい。 だからゆっくりしたれいむをゆっくりさせるのはとうぜんだ”、という事を無意識に思い込んでいたれいむは犬小屋に隠れて助けようともしない三匹は許しがたいものだった。 「はやぐだずげろお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!おばえらばいばばででいぶのおがげでゆっぐりじでぎだんだろうがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ざっざどたずげろおお゛お゛お゛お゛!!!」 火は燃え尽きる寸前に勢いよくなるようにれいむは最後の力を振り絞るように罵声を浴びせる。 ちなみにれいむははっきり言ってまりさとぱちゅりーの金魚の糞みたいなもので、我が儘放題し、周りはそれに辟易しており、三匹、いや今はもいないありすを含めて四匹は一度もれいむでゆっくり出来た事等無かった。 つまりはれいむの勝手な思い込みである。 「ごのうらぎりぼのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 先に裏切ったのはお前だろうが…。 だが三匹はそれについて文句を言う事もなく犬小屋の奥で次は我が身かと震えている。 「う~、うるさい!」 れいむの叫びのやかましさに少しいらついたれみりゃはれいむの顔面に拳をぶち込む。 「ぶぎゅう゛う゛!!?」 痛みで罵声を上げる余裕のなくなったれいむを見て満足そうに食事を再開する。 「やだ…おう゛ぢ…がえ…ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛…」 喋ることも出来ず痙攣しだすれいむ。 こうなってしまえばもう助からない。 あっという間に中身を失い、ぺらぺらとなってしまう。 「こんなものぽーいだどー♪」 ぞんざいに投げ捨てられるれいむの成れの果て。 ぺしゃりと地面に落下する。 「うーまだたりないんだどー♪」 それは犬小屋にいる他のゆっくりを襲う宣言も同意だった。 「う~はやくでてくるんだど~♪おぜうさまにたべられるんだど~♪」 れみりゃは犬小屋の入口手を伸ばして奥に潜むまりさを捕まえようとする。 「くくくくるんじゃないんだぜえ!!?まりさはおいしくないんだぜ!!」 「う~あまあま~!どうしてとどかないんだど~!?」 身体が入口に引っ掛かって手を伸ばしても届かない。 胴無しなら入れるだろうが犬小屋のような狭所では羽根が邪魔になってしまうので不利になるからあまり意味は無い。。 「むきゅうううううう!!? こっちこないでぇえええええ!!?」 「わがだないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 このままなられみりゃは諦めるだろうがその間のゆっくり達は生きた心地はしない。 「う~あまあま~!!!」 「ゆぴいいいいいい!!?」 人間に勝てると言っていたのが嘘のようにしーしーを漏らして恐怖するまりさ。 「う~!!あまあま~!!ざっざとおぜうざまにたべられるんだど~!!!」 まりさ達にとってはとても長い時間だった。 そしてそれの終わりはあっさり来た。 「う~そうだど~♪このへんなひもをひっぱればあまあまをとれるんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 まりさはそれに戦慄する。 それと同時に鎖が引っ張られる。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 まりさはれみりゃの引っ張りに死ぬ気で耐える。 舌を出して床にはいつくばり、摩擦を大きくしている。 「あまあまはやくでてくるんだど~!!れみりゃがおいしくたべてあげるんだからかんしゃするんだど~!!」 「やじゃあ゛あ゛あ゛…!!」 必死で引っ張りに耐えるまりさ。 だが手足のあるれみりゃに地力には勝てず、 「ゆんやあああああああ!!?」 まりさは犬小屋から引きずり出された。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛!!?」 恐怖に眼を閉ざすまりさ。 しかし、何時まで経ってもれみりゃに襲われる気配はない。 不審に思い眼を開けてみる。 すると、 「う~?」 れみりゃは何かに捕まり、無理矢理犬小屋から引きはがされていた。 「う~あまあまがにげていくど~!?」 自分が犬小屋から離されたとは思いもしないれみりゃは早く犬小屋を追おうとじたばたと手足をばたつかせるが意味はない。 「ねぇ…」 れみりゃの背後から声がする。 「う~?」 その声に反応してれみりゃは後ろを振り向く。 そこにいたのはまりさ達をあそこに縛り付けた張本人である男だった。 そりゃ庭先で騒いでりゃ来るのは当然といえば当然だ。 「にんげんがれみりゃになんのようだど~!?はやくぷっでぃんもってくるんだど~!!」 折角の狩りの邪魔をされてご立腹のようだ。 だが男はそんなれみりゃの様子を一切無視し、 「これ…君がやったのかな?」 れみりゃを掴んでいる手とは逆の手に持つれいむの成れの果てを見せた。 「う~それはいらないからぽ~いしたんだど♪いいからざっざどぷっでぃんもってくるんだど~!!」 「それは食べたと判断していいんだね」 「う~いいからさっさと…」 そこから先はれみりゃは言葉を紡ぐ事は出来なかった。 男の拳がれみりゃの顔面にぶち当たったからだ。 「ぶひゃ!!?」 歯が何本も折れて地面に落下するれみりゃ。 「どうしてこんな事するのかな?」 「ぶぐぅあ゛…いぢゃい゛ぃ…ど…」 「同じゆっくりだよね…?」 男は痛みに喘ぐれみりゃしゃがみながら見下ろし、尋ねた。 男は知らなかった。 捕食種というものを。 ゆっくりの特徴は本で調べたが種族全てを知っていた訳ではない。 れみりゃと通常種であるまりさ達をマルチーズとチワワ程度の差としか思わなかった。 だから本来の狩る狩られるの関係を知らず、れいむを食べたれみりゃを許せなかった。 れみりゃの行いを自然の摂理ではなくゆっくり殺しと判断した。 ゆっくり殺しは問答無用で制裁。 それと男は似たようなものだった。 「ぶぎぃ!?ぼべぇ!?」 男は無表情なまま何度もれみりゃを殴打する。 「わ、わわわ…」 「む…きゅ…」 「うそ…なんだぜ…」 それは三匹にとって信じられないものだった。 街ではれみりゃの姿はあまり見かけないにしても餡子の中の記憶の奥底に刻まれたれみりゃに対する恐怖は三匹にも深く根付いていた。 それが今無残に男に痛め付けられている。 それは自分達の価値観、勝手な思い込みでしかないのだが自分達が人間よりも強いという考えが本能に刻まれた勝てない恐怖の対象のれみりゃを一方的に蹂躙している。 「ごべ…なざ…ゆるじ…くばざい…」 五体満足だが顔は二倍近く腫れ上がり、足は変な方向へ曲がり、羽根はボロボロで飛べそうにない。 むしろここまでしたのなら殺した方が慈悲なような気がする。 「ああ…御免、少しやり過ぎちゃった…ここまでやるつもりなかったのに…」 男はれみりゃの様子を見てやっとこさ気付く。どうやら夢中になると止まれないタイプのようだ。 「これじゃ…生きていけそうにないな…」 「ざぐやぁ…ざぐやぁ…」 とりあえずそのままにしておく訳にはいかない。 だがれみりゃは飼うのが難しいと男は同僚から聞いていた。 その同僚はれみりゃ種とふらん種を飼っており、その可愛さをよく周りに言っていた。 周りはそれに辟易しているのだが基本的にお人よしな男は嫌な顔をしないで聞いてあげる事が多かった。 しかし大半がれみりゃとふらんの可愛らしさの溺愛っぷりを言っているだけでれみりゃの生態の事等一切説明しなかったから男に捕食種に対する知識は養われなかったのだ。 「そうだ、あいつに聞いてみよう」 男はその同僚に相談することに決め、 「それじゃ、悪いけど一緒に来てね」 「う…う゛?」 男は優しくれみりゃを抱える。 そしてそのまま、裏口へ向かう。 三匹は男があのれみりゃを家に連れていくつもりだと理解する。 「ま、まつんだぜ!!」 まりさが若干ビビりながらも男を呼び止める。 「ん?どうしたの?」 男はいつもと変わらない表情で三匹を見る。 しかし、先程のれみりゃへの暴行を見た三匹はむしろそれが言いようのない恐怖を感じさせた。 だがプライドの無駄に高いまりさはそれでも男に要求した。 「そ、そのれみりゃはれいむをころしたんだぜ!! そんなやつをおうちにいれないでまりさたちをおうちにいれるんだぜ!!」 「え?君達のお家はそれだよ。どうして入れるの?」 そう言いながら男は犬小屋を指差す。 「なにいってるんだぜ!!こんなのまりさのおうちにふさわしくないんだぜ!だからさっさとそのおうちをよこすんだぜ!!」 喉元過ぎれば熱さ忘れる。 男が手を出して来ないとわかると段々と調子に乗り出してくるまりさ。 しかし、 「駄目だよ。ここは俺のお家だからね。君達はそっちの方で我慢してね」 男はそうとだけ告げると後は取り合わずそのまま裏口から家の中に入っていった。 「ま、まつんだぜ!!そこはまりさのおう…」 バタンと扉が閉じられ、三匹だけが残される。 「むきゅう…」 「どうしてなんだぜ…そこはまりさのおうちなのに…」 「わからないよー…」 一日足らずで長年共にいた仲間を二匹も失った三匹は茫然とするしかなかった。 続きます。 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る
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・anko741『ふたば系ゆっくりいじめ 630 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上』の続きです。 ごらんの際はそちら方からお読みください。 その後電話での相談の結果、れみりゃは男の同僚に飼ってもらう事になった。 結構な数を飼っているらしく、男が渡したれみりゃを42番目だと言っていた。 とてつもない溺愛っぷりだったからきっと可愛がってくれるだろう。 それにしても40匹以上飼ってるなんて本当にれみりゃが好きなんだな、と男は思った。 とりあえずれみりゃに対してはこれで何とかなったので男は一安心する。 そして男は、 「さて、と…」 今日もまた仕事を終えて帰宅し、ジャージに着替えてストレッチを始める。 「ゆ…?」 「むきゅ?」 自分達の目の前で突然ストレッチし始める男に三匹は困惑した。 「わからないよー…」 何で男がこんな事するのか三匹は理解できない。 鎖という拘束を受けて徐々に疲労の色を見せ始めた三匹は疲れた眼で男を見る。 そうこうしてると男のストレッチが終わったらしく、まりさ達に近付いてくる。 そして…、 「それじゃ散歩に行こっか」 邪気のない笑みでそう告げた。 「ゆゆ!?」 「おさんぽ!?」 その言葉に三匹は反応する。 何故かゆっくりは散歩をゆっくり出来るものと考える傾向がある。 鎖で行動範囲を狭められた今、ゆっくりしたい欲求はとても大きいものだったのだろう。 鎖から開放されて自由に行動出来ると判断した三匹は喜びに湧く。 「ようやくじじいもまりさのつよさをりかいしたんだぜ!!」 「むきゅ、ぱちぇはそれよりもごほんをよみたいわ!!」 「わかるよ~おさんぽはゆっくりできるんだよー!!」 喜びに湧く三匹。 散歩はゆっくり出来るという点と、この鎖の戒めから脱せられるというのは願ってもない事だった。 「おお、元気だなぁ」 男はゆっくりの考え等気付きもせずに元気な様子に顔を綻ばせる。 「それじゃ準備をしようか」 「はやくつれてくんだぜ! ぐずはせいっさいするんだぜ!」 「むきゅ、ぶんぶりょうどうもわるくないわ!」 「わかるよーはやくじゆうにしてねー!」 騒ぐ三匹。 しかし内心は、 『じゆうになったらすぐにころしてやるんだぜじじい!!』 『むきゅ、ここにいたらいのちがいくつあってもたりないわ。 じゆうになったらばかなまりさやちぇんをおとりにしてにげるわ!あのばかなじじいならきっとひっかかるわ! ぱちぇにしかおもいつかないすばらしいさくせんね!!』 『おさんぽなんだねーたのしみだよー。でもじじいはしんでねーわかるよねー♪』 と好き放題男を罵っていた。 既に昨日のれみりゃの事は忘却の彼方で、男に対する評価も元に戻っていた。 男を制裁しようとするモノ、男から逃亡しようとするモノ、何も考えていないモノ、その全てが散歩の瞬間を待ち望んでいた。 「それじゃ、行くよ」 そしてその時は来た。男はゆっくり達から背を向けて歩き出す。 その右手に三本の引き綱であるリードを持って…。 「ちょっとまつんだ…ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「むっきゅうううううん!!?」 「わがらないよおおおおお!!?」 リードは三匹のベルトに繋がっており、男がそれを引っ張っていく。 いや、正確には引きずるが正しいが…。 「いじゃい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?まりざのあんよがあ゛ぢゅい゛んだぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 ザリザリと地面に擦りつけられる痛みに泣き叫ぶまりさ。 男はそれに気付かない。 何故ならiPodを耳にして音楽を聴いているからだ。 少し叫びが聞こえてもさっきの喜びようを見ていた為、疑問にも思わなかった。 「むっぎゅ!むげぶ!?」 まりさですら痛みに泣き叫ぶザマだというのだからぱちゅりーはもっと酷いもの だった…。 無理矢理リードで引っ張られて痛むベルトの接地部分にあからさまに引きずられる苦痛。 中身を吐き出す暇もなく引っ張られる。 地面だからまだ何とかなるがアスファルトの上にいけば擦りおろされてしまうだろう。 「わきゃら…ないよー!!」 身軽なちぇんは何とか男に着いて行けてたが、それでもギリギリだった。 「むっきゅ!げほッ!!ぴゅけッ!!」 男の歩幅とペースはゆっくりにとってはかなり速く、ついていくのが困難だった。 それに併せてリードがゆっくりの跳躍を妨げ、上手く跳ねさせない。 まさにゆっくり版市中引き回しの刑だ。 「ゆぎぃ!?じにだぶないんだぜぇ!!」 まりさは生きる事への執念で必死に男についていく。人間で言えば重りを身体に装着して、常に全力疾走な状態なのによく頑張れるものだ。 まぁ止まれば死ぬまでもみじおろしな末路は御免なんだろう。 「むっぎゅ!むっべ!?」 ぱちゅりーはもはや跳ねもしていない。 底部からアスファルトに擦りつけられ、痛みにのたうっていた。 「むっぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛んッ!!!?」 ザリザリとあんよを擦られていくぱちゅりー。 抗いがたい苦痛に涙をぼろぼろ流し、しーしーとうんうんを垂れ流す。 中身が生クリームなぱちゅりーはし~し~やうんうんが潤滑油のようになり傷つくのを抑えていたが、所詮は雀の涙だった。 「ま゛…り゛ざ…たぶべ…!?」 ぱちゅりーは必死に命乞いをする。 だがまりさに助ける余裕なんてある訳がない。 散々強いと豪語していても所詮こんなものである。 このまま皮が破れ、中身を垂れ流して死ぬだろう。 しかし、 「むきゅ?」 いきなり引きずりが止まったのだ。 「ぜひぃ…ぜひぃ…なにがおきたんだぜぇ…」 「わがら…ないよ…」 三匹はいきなり降って湧いた身体を休めるチャンスを疑問に思うヒマさえなかった。 「むきゅ…どうじで…こんなべにぃ…」 昨日から訳のわからない事ばかりだった。 ぱちゅりーは自身が考えた穴だらけの作戦。 しかし他の人間ならば無視するか駆除するかでしかないその作戦をあの男を標的にして行ったのは正解だった。 ある意味ゆっくり並に思い込みが激しく、常識等の価値基準が大幅にズレているあの男だからこそ成功した作戦だった。 唯一の失敗は男のズレている振り幅が遥かに大きく、思考の論理が斜め上に大気圏目指す位かっ飛んでいたという事だった…。 「あちゃー、ここ赤が長いんだよな…」 急に止まったのは単に信号に引っ掛かっただけのようだ。 結構待つ時間が長めで三匹もそれなりに回復してきた。 車通りが一切なく、イヤホンから軽く漏れる音とゆっくり三匹の声しか聞こえない。 「むきゅ…」 「だいじょうぶぱちゅりー…」 流石に元々身体能力の高くないぱちゅりーは休憩してもあまり変化はないようだ。 身体はボロボロ。このまま再び男が歩き出したら次こそ中身を撒き散らして死ぬだろう。 必死にちぇんがぺーろぺーろしているが気休めにもならない。 「ちぇん…もうやめたほうがいいんだぜ…」 まりさがぱちゅりーにぺーろぺーろし続けるちぇんにやめるよう促す。 「パチェリーはもう…だめなんだぜ……」 まりさもちぇんもわかっているのだろう。 ぱちゅりーがもう生き残るのは無理だと…。 「ごめんね…ぱちゅりー…」 ちぇんはぱちゅりーに向かって謝罪する。 だがぱちゅりーがそれで納得出来る訳がない。 むきゅ、どうしてぱちぇはなんにもわるいことしてないのにこんなめにあわなくちゃいけないの!?しぬならちぇんとまりさがしぬべきなのによのなかまちがってるわ!! むきゅ、そもそもこんなことになったのはまりさたちのせいなのになんでぱちぇだけいたいめみなきゃいけないの、ふこうへいだわ!!? とさっきまでちぇんにぺ~ろぺ~ろしてもらったにも関わらず見下していた。 それに付け足しておくがどちらかというとぱちゅりーは元凶の部類に入るので。 沸々とぱちゅりーの中でちぇんとまりさに対する憎悪が蓄積されている。 自分勝手極まりないが、自分の中で自分=正義の図式が成立しているぱちゅりーはそれに気付く事もない。 「お、青になった」 男が再び歩き出す。 それと同時に再び引っ張られる三匹。 「ゆゆううッ!!?」 「むきゅうう!!?」 「わきゃらないい!!?」 三匹は恐れていた瞬間が訪れた事に恐怖する。 特にぱちゅりーは戦慄する。 確実に自分が死ぬと告げられたようなものなのだから…。 そして死ぬとわかった時、ぱちゅりーは思いもよらない行動を起こした。 「むっきゅう゛う゛う゛う゛う゛ん!!!」 ぱちゅりーは終盤に差し掛かった自身のゆん生最大の跳躍をする。 「ゆゆうう!!?」 今までずっと共にいたぱちゅりーの普段からは考えられない跳躍に驚きを隠せないまりさ。 だが驚いてもいられない。 危機的状況なのはまりさも同じだからだ。 そうまりさは考え、自分の行動に専念する。 その結果、また仲間が死ぬ事になるとは思いもせずに。 「ぱちぇはまだじなないわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 雄叫びと共に着地するぱちゅりー。 但し、着地した場所はちぇんの上にだったが…。 「ゆ゛に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 ちぇんにのしかかるゆっくりぱちゅりー。 成体一匹分の重量を乗せる羽目となったちぇん。 当然そんな状態で跳ねられる訳もなく、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 アスファルトに底部を削られ始めるちぇん。 「むっきゅっきゅ!とってもらくちんだわ!」 勝ち誇ったような笑みを浮かべてちぇんの上で踏ん反り返るぱちゅりー。 「どいでね!!ぢぇんばゆっぐりでぎないよ゛!!! わがだないよ゛お゛お゛お゛お゛ぎぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 反論しようにも底部を削られる痛みで上手く言葉が紡げない。 そんなちぇんをぱちゅりーは嘲笑し、 「ぱちゅりーはずのうはなのよ!!こんなみにくいにくたいろうどうなんてするひつようはないわ!! うんうんのやくにもたたないちぇんはぱちぇのふみだいにしてあげるわ!!かんしゃしてね!!!」 と宣った。 「どうじでぞんなごどいぶの゛お゛お゛お゛お゛!!?」 それは一生懸命跳ねていたまりさなも届いており、ぱちゅりーの言葉に声を荒げるまりさ。 しかし元々ぱちゅりーはまりさ達を仲間だとは思っておらず、 「むきゅ、そもそもまりさたちのせいでこんなことになったんだからせきにんとるのはとうぜんよ!!!」 ぱちゅりーはさも当たり前のようにこんな目に遭った責任をまりさとちぇんになすりつける。 ぱちゅりー自身の作戦は完璧、という考えはぱちゅりーの中で絶対だった。 「むっきゅっきゅっきゅ!!!」 「わぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 上にぱちゅりーが乗っているせいで転がる事も出来ずザリザリとコンクリートで舗装された地面にす~りす~りするちぇん。 あまりの激痛に文句を言う事すら出来ず悲鳴を上げるしかない。 「むっきゅむっきゅらくちんらくちん♪」 「ぱぢゅでぃーやめるんだぜ!!ぢぇんがゆっぐぢでぎないんだぜ!!!」 跳ねながらもぱちゅりーにちぇんから降りるように言うまりさ。 どうやらゲスではあるが仲間思いではあるようだ。 しかし、 「むっきゅっきゅ♪ むのうなくずがさわがしいわね。 けんじゃのぱちぇさまにいけんなんてさんねんはやいわ!!」 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!?」 ちぇんの身体削られていく。 そして遂に、 「ちぇん!だめなんだぜ!!なかみがもれたらゆっくりできないんだぜ!!」 「わぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛…」 ちぇんのあんよが破けて中のチョコが漏れて茶色い道が出来ていくこうなればも う助からない。 「わきゃら゛…」 ちぇんは白目を向いて口を開いて二度と動かなくなった。 「むっきゅっきゅっきゅ♪いいざまね♪くずのくせにぱちぇをみすてようとするからそうなるのよ♪」 生まれてからずっと共にいた相手に対して信じられない言葉を放つぱちゅりー。 「よ゛ぐぼぢぇんを゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 一方ちぇんが死んだ事に怒り心頭なまりさ。 まだこちらはちぇんに対して仲間意識を持ち合わせていたようだ。 しかしまりさとて必死で男についていっている状態でぱちゅりーの相手をしてい るヒマはない。 「むっきゅっきゅっきゅ♪まけゆっくりのとおぼえはきもちがいいわ! むのうはなにやってもだめなのよ♪そんなのもわからないからこうなるのよ♪むっきゃっきゃっきゃっきゃ♪」 散々強者と吹聴してきたまりさがぱちゅりーに何も出来ないでいる。 それが自他共に認める体力のないぱちゅりーには言い知れぬ快感だった。 ある意味、ぱちゅりーの言った事は正しかった。 無能は何をやってもだめだと…。 それをぱちゅりーは身をもって教えてくれる事となった。。 いまや物言わぬ饅頭となったちぇんはチョコを撒き散らし終え、ペラペラの皮に成り始めていた。 「むきゅううううう!!なにやってるの!!もっとしっがりたえろこのくぶう゛う゛う゛う゛う゛!!!」 それに気付いたぱちゅりーはもはや生きてはいないちぇんを何度も何度も踏み付ける。 そんな事しても意味がなく、むしろちぇんの中身であるチョコを更に撒き散らす 要因となった。 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛へるなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 それがぱちゅりーの焦りを生み、更なる踏み付けを生む。 まさに悪循環。 全くの自業自得であるのが滑稽だ。 「むぎゅぶ!!?」 するとぱちゅりーのあんよに痛みが走る。 ぱちゅりーはそれが何なのか理解できない。 ぱちゅりーのあんよに突き刺さったもの、それはちぇんの銀バッジだ。 捨てられた訳ではなく勝手に迷子になって戻れなくなっただけなのでバッジが付いたままなのだ。 帽子につけていたそれをぱちゅりーが踏んでしまったのだ。 「むんぎゅううううう!!?」 下で苦しんだちぇんに比べたらささやかな痛み。しかしぱちゅりーにとっては耐え難いものだった。 思わずちぇんから落ちるぱちゅりー。 その拍子にちぇんの身体はベルトから落ち、何の変哲もないあまあまに成り果てる。 「むぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 ちぇんを利用して休息したとはいえぱちゅりーの身体も限界が来ていた。 そしてちぇんの銀バッジを踏んだ事により、あまりにもあっさりとぱちゅりーのあんよの皮は限界を迎えた。 「むぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!? ぱちぇのながみでるな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 穴は小さいが中身が漏れるというのは先程のちぇんを見て末路を想像してしまう。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? じにだぶない゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 半狂乱し、跳びはねるぱちゅりー。 ペース配分もへったくれもない。 元々そんな知能ありもしないが…。 しかもそういう時に限って悪い事は重なるものだ。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「むぎゅう゛う゛う゛う゛う゛!!?くだりざがよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 ぱちゅりーは悲鳴を上げる。 ほぼ球体に近いゆっくりのその身体には下り坂というものは思いの外恐ろしいものなのだ。 「さっきから何か軽くなった気がするな…」 男がちぇんがいなくなって軽くなった引っ張る重量が軽くなった事にようやく気付き、振り向く。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「むきゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 それと同時に勢いよく転がるぱちゅりーとまりさ。 しかし男はしっかりリードを握っている。 だから、 「む゛ぎゅ!!?」 「だぜぇ!!?」 ピーンとリードが張って無理矢理止められる。 傷口からうんうんのようにぱちゅりーの中身の生クリームが漏れる。 「あれ?一匹足りないな」 男はちぇんがいない事を理解する。 それを鈍いというなかれ。 小学校の頃はピレネー犬二頭を無理矢理引きずり回して散歩していた男からすればちぇん一匹なぞ重い内にも入らないのだ。 「ありゃ、逃げちゃったか…」 男はベルトに残った髪や皮、チョコに一切気付かずちぇんがいなくなった理由を勝手に推測する。 「ゆひぃ…ゆひぃ…」 「むきゅ…ぱちぇは…けんじゃなのにぃ…」 一方互いにボロボロの二匹は何をするでもなく地面にはいつくばっている。 動く余裕すらないのだろう。 「う~ん、仲良さそうだったけどまさか友達置いて逃げるなんて…そんなに嫌だったのか…飼われるのが…」 男は勘違いしたまま頭を掻いていた。 「むきゅう…ちゃんす…ね…」 一方ぱちゅりーは男が止まった事を千載一遇のチャンスだと判断した。 しかし、 「ま、過ぎた事は仕方ないか」 千載一遇程度ではゆっくりが脱出するのは無理な話だった。 「それじゃ散歩を再会しよっか」 男はもううんざりする位の邪気のない笑みを浮かべる。 まるで誕生日に犬を飼ってもらった子供のような笑みだ。 弟か友達が出来たような気分なんだろう。 だが弟だろうが友達だろうがゆっくりは男の想定より遥かに低い耐久性なのが問題だ。 男の基準では犬と同じように接しているがそもそもゆっくりは犬程頑丈でも強くもない。 パグからピレネー犬まで様々な犬、三毛猫からスフィンクスまでを飼った事のあ る男はそちらの方は知っていたがゆっくりはそれとは隔絶したものだと考えていなかった。 それプラス兄貴分でありゆっくりのプロである男の言葉を信頼していた。 故に本来なら飼う時はしっかり調べてから飼う男も兄貴分の研兄の言葉にしたがってゆっくりを飼うことにしたのだ。 まぁ何が言いたいかと言うと、ゲスゆっくり五匹がこのような目に遭ったのかは…もはや神の仕業としか言いようのない天文学的運とタイミングの悪さによるものだった…。 これならただ潰された方がマシかもしれない。 「む、むきゅ!?ま、まちなさいじじい!!」 散歩を再開しようとする男に対してそれを感じ取ったぱちゅりーは大声を上げて止めようとする。 しかし、男の耳にはイヤホン。しかも流れている曲は「絶望●リー」。 届く訳がない。 「ライト持って来なかったのは失敗だったか…」 子供の頃は明るい内に散歩していたからそのような準備は怠っていた。 あまり星も月も出ていない夜、男は上手くぱちゅりーの表情を読み取れなかった。 そして、傷にも気付かなかった。 素で頭についていた銀バッジにも気付かないような男だ、無理もない。 「むきゅ、ぱちぇのはなしをきくのよ!!いまぱちぇはおおけがをおっていたいいたいなのよ!!」 必死にぱちゅりーは今の状態を説明する。 しかし男は気付かない。 わざとやってんじゃねえかと思う位の鈍感っぷりだ。 結局、ぱちゅりーの必死の懇願虚しく散歩は再会された。 「ゆああああああああああああああああ!!?」 「むきゅうあああああああああああああ!!?」 しかしここは下り坂。 跳ねるよりも転がるという表記が正しい。 「おお、元気だな。そんなに走りたかったんだ」 まりさ達の転がりを男は興奮しているのと勘違いする。 「それじゃちょっと本気出すか」 男はそう呟くと同時に走り出す。 あっという間に先に転がっているぱちゅりーとまりさを追い抜き、今までとは比ではない引きずりがまりさ達に与えられる。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 浮いて、擦られ、浮くの繰り返し。 今まで何とか付いて来れていたまりさも傷を負っていく。 「むぎゅう゛う゛う゛う゛エ゛レエ゛レエ゛レ…」 遂にぱちゅりーが中身を吐き出す。 しかしそれがぱちゅりーに奇跡を呼んだ。 「むきゅううう!!?」 突然スポンとぱちゅりーの身体がベルトから外れたのだ。 「むぎゃんん!!?」 顔面から地面に着地するぱちゅりー。だがもう男の引きずりはやって来ない。 「む…むきゅ?」 不思議に思い、顔を上げると既に男とまりさの姿はなく、ただ一匹ぱちゅりーは取り残されていた。 「むきゅ…や、やったわ…ついにあのじじいからにげられたわ…ぱちぇのさく…せん…どおりね…」 ただの偶然だがそれをまるで自分の作戦のように呟くぱちゅりー。 「みなさい…なにがぱちぇはもうだめよ…おまえらなんかより…ぱちぇはずっとずっと…ゆっくりしてやるわ…」 傷だらけの身体でぱちゅりーは進む。ずーりずーりとはいつくばりながら。 そうしてようやく、といっても人間ならば十秒とかからない距離にある空き地にたどり着く。 「むきゅ…ここで…すこしきゅうけいしましょ…」 一息つくぱちゅりー。 ぱちゅりーが這っていた道筋には点々と生クリームの道が出来ていた。 傷は決して浅くない。 小さいが深い。 このまま何の対処もしなければゆっくりゆっくりと死んでいくだろう。 もっとも…、 「むきゅん!!?な、なんでありがこっぢぐぶのおおおおお!!?」 世界はそんな悠長にぱちゅりーが死ぬのを待ってはくれないようだ。 「むきゅ!あっちいきなさい!!ぱちゅりーはおまえらのあいてをしてるひまはないのよ!!!」 ぱちゅりーは近付いてくる蟻に対して叫ぶが何の意味もない。 ていのいい食糧を見つけた蟻達は次々と巣から出てぱちゅりーに群がっていく。 「むぎゅあ゛あ゛あ゛!!?」 蟻がぱちゅりーに噛み付き、ぱちゅりーが痛みに悲鳴を上げる。 「ぱちぇのちてきなはだにがみつぐなあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ぱちゅりーが激昂し、蟻の行列にのしかかる。 しかしその程度の攻撃何の意味もない。 むしろのしかかった部分から蟻がぱちゅりーに攻撃していく。 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 次々と蟻に噛み付かれた痛みから逃れるためにぱちゅりーは傷も省みず転がっていく。 帽子が落ちたことにすら気付いていない。 しかし弱ったぱちゅりーでは逃げ切れずどんどん体中を黒い蟻で覆われていく。 「むぎゃ!?やめなざい!?ぱちぇはけんじゃなのよ!! むぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 けんじゃだろうと蟻からすればぱちゅりーは単なる食事だ。 「むぎひぃッ!!? どうしてあんよがうごかないのお゛お゛お゛!!?」 ボロボロの身体が遂に限界を迎える。 「ひっひぎいぃ!!?」 口の中に何十匹と蟻が入って来る。 殺そうと噛んでも開いた時には新たに大量の蟻が再び侵入し、口内で生き残った蟻もぱちゅりーに噛み付く。 口の中を好き放題されていく不快感。瞼を閉じても隙間から潜り込んで来る。 「むぎょあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 逃げ場所を探そうと不用意に開いた目に蟻が殺到してくる。 瞼はあっという間に黒に塗られ、眼球を噛み付かれていく。 「ふぎゅゆう゛う゛う゛う゛う゛!!?」 もはや喋る事すら困難となってしまったぱちゅりー。 足掻いても好転せず、むしろどんどん悪い方向へ進んでいく。 『やじゃあ゛あ゛!!?ぱぢぇはけんじゃなのに゛い゛い゛い゛!!? ごんな゛ゆっぐびじべないありにぐわれるなんべい゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?』 目の隙間から更にぱちゅりーの体内の奥深くに侵入していく蟻。 それは痛みに耐性のないゆっくりには壮絶な痛みを与えた。 「ふぴゅぷへえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 生きたまま体内を荒らされるぱちゅりー。 目の隙間、口の中、傷口と様々な場所から蟻がぱちゅりーに侵入していく。 あまりの激痛に気が狂いそうになるが、単純な構造な分しぶといぱちゅりーは中 々死ぬ事すら出来ない。 「むぶふぅッ!!?」 蟻の攻撃に際限はない。黒い胡麻饅頭に成り果てた今なお死ねぬぱちゅりーに蟻は攻撃をし続ける。 「………!!?」 声を出せなくなってもまだ死ねない。 ある意味存分にゆっくりしているとも言えなくない。 『むぎゅ…だれば…たぶべで…』 もはや声も身動きも出来ず、ゆっくりの象徴たる飾りを失いただの黒胡麻饅頭になってもまだぱちゅりーは死ねず、何時までも蟻と戯れていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そして物語は冒頭へと戻る…。 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 まりさは引きずられていく。 今や生きているのはまりさのみ。 先程下り坂の途中にある空き地にぱちゅりーの帽子だけが捨てられてあったのをまりさは見た…。 ゆっくりにとって命と同価値の帽子をそう簡単に捨てられる訳がない。 ならば考えられるのはぱちゅりーが死んだという事だ。 まりさはそこまで考え至らなかったがぱちゅりーが死んだというのは本能的に理解した。 「ゆっくり…したいんだぜぇ…」 まりさは散歩という名の市中引き回しをされながら呟く。 生まれた頃から一緒だった仲間はもう誰も残っていない…。 殺す筈だった人間には手も足も出ない…。 まりさは考える…どうしてこんな事になったのか…。 飼いゆっくりとして何一つ不自由ない生活を送っていたのに…。 何であのおうちから出て行ったのか…。 「どうじで…ごんな…べに…」 “「まりしゃはこんにゃちいしゃいおうちなんきゃいらないんだじぇ!!!」” すると突然よぎる走馬灯。 “「むきゅ、そうにぇ!!ぱちぇたちにはもっちょふちゃわちいおうちぎゃありゅわ!!」” 住み慣れたお家を捨て、何の保証もないゆっくりしたここではない何処かのゆっくりプレイスを手に入れられると信じて疑わないまりさ。 それに何の根拠なく賛成するぱちゅりー。 五匹の中でも最も賢かったぱちゅりーが賛成してくれたからますますまりさは調子に乗った…。 『だめなんだぜ…そこをでたらもうにどとゆっくりできないんだぜ…』 過去の自分に対して心の声で止めようとする。 しかし過去は過去。 覆ることは有り得ない。 “「そうじゃね!れいみゅはもっちょおいしいあみゃあみゃがたべちゃいよ!!」” その日から一度も満足のいくあまあまを食べる事が出来なくなる事のも知らず外にある美味しいあまあまに思いを巡らすれいむ。 “「ありしゅはまえきゃらきょのいえはときゃいはじゃないとおみょっちぇちゃのよ!!」” とかいはなこーでぃねーとが出来ない事で鬱屈していたありすも賛成する。 “「わきゃっちゃよー」” 周りに迎合するしか出来ないちぇん。 それがこれからゆん生をろくでもない方向に向かわせるとも知らず…。 まりさは後悔する…。 どうしてあんなにゆっくり出来たゆっくりプレイスから出ていってしまったのか…。 あの時からあまあまもあったかいおふとんも全て無くなってしまった。 まりさが望むゆっくりプレイスなんて何処にもなく、ぱちゅりーが言った自分達に相応しいおうちなんて何処にもなく、れいむのいうおいしいあまあまなんて何処にもない。 ありすが言うとかいはなコーディネートだって出来なかった。 有りもしないものを欲しがって結局全てを失った。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛!!? まりざのおぼうじがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 そして今自分の帽子が外れてしまう。 「まづんだぜえ゛え゛!!! ゆっぐりじないでもどっでぐぶんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 男はそれに気付かずまりさを引きずる。 まりさはそれに全力で対抗する。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? はなぜぇえ゛え゛え゛え゛え゛!!! まりざのおぼうじどらぜろお゛お゛お゛お゛お゛!!!」 まりさの抵抗なぞ何もしていないに等しく、ただ強くあんよをこすりつけるだけだった。 「ゆああ、ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 仲間が死んだ時にすら見せなかった泣き顔をしながら、まりさは帽子のあった方角を食い入るように見つめていた…。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「おぼうじぃ…おぼうじぃぃ…」 まりさは未練がましく帽子のあった方向を見続ける。 といっても後ろとしか覚えてなかったので見ている方角は見当違いのものだったが…。 「もうやばぁ…おうぢがえぶぅ…」 まりさはかつて一番ゆっくり出来た頃の記憶を思い浮かべる。 じじいがもってきたあまあまを食べて、思う存分ゆっくりして、退屈になったら野良ゆっくりを駆除してすっきりする。 そんな夢のような日々を思い返す。 あの日々はもう帰って来ない。 「がえる゛う゛…おう゛ぢがえる゛ぅ…」 譫言のようにまりさは同じ言葉を繰り返す。 身体が擦れ、削られている時も何回も繰り返す。 まるで自分に言い聞かせるように…。 「ちょっと喉渇いたな」 「ゆびぃ…だぜぇ…」 男がふと立ち止まり自販機で飲み物を購入しようとする。 まりさにとっては滅多にない休憩の時間。 そしてそれはその時起こった。 「じゃお!じゃお!」 「はいはいそんなに急がなくても大丈夫だよ」 「ゆゆゆううううう!!?」 まりさの目が驚きに見開かれる。 まりさの視線の先には金バッジを付けためーりんと…かつてまりさを飼っていた飼い主がいたのだ…。 まりさからすれば何でも言う事の聞く奴隷。 その奴隷が今目の前にいるのだ。 「はやぐまりざをたぶべろぐぞどれい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 まりさは叫んだ。 このままでは自分は死んでしまう。 奴隷ならさっさと助けろ。 そう結論付けて元飼い主に命令する。 しかし、 「うわぁ…嫌なモノ見ちゃったよ…」 元飼い主はまりさ達を見るとあからさまに不快そうな顔になり、足早に去ろうとする。 言葉からゲスだと元飼い主は理解し、制裁されているのだと推測した。 元飼い主は愛でお兄さんだが流石に自分に暴言を吐いたゲスまで助ける気にはなれなかったようだ。 「めーりん、あっち行こうな」 「じゃおお…」 元飼い主はまりさがかつて逃げ出したペットであった事に微塵も気付いていないようだ。 これ以上係わり合いにならないように急ぎ足で去ろうとする。 まりさからすればそれは死刑宣告と同じだ。 それに奴隷が自分を見捨てようとしているのが許せなかった。 「まりざをむじずぶな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?まりざのいぶごどぎぶのがおばえのじごどだろがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 まりさは喧しく叫ぶ。 そこには命令しかなく懇願なんてものはない。 いきなりそんな事言われてホイホイ言う事聞く奴はまりさの隣でどれを買おうか悩んでいる男位だ。 「おしるこも捨て難い…」 男の方は男の方で全く気付いていない。 相変わらず無駄な集中力だ。 「さ、今日はめーりんの好きな麻婆豆腐だからね」 「じゃお!!」 元飼い主は優しくめーりんを抱き抱えて頭を撫でる。 そこでまりさは気付いた。 こいつは自分がいる場所を奪おうとしていると…。 実際は奪うも何も自分で捨てたのだが…。 「どげえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!ぞごはまりざのばじょだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 自分にとって一番ゆっくり出来た居場所をよりにもよってくずめーりんに奪われたというのはまりさにとっては屈辱以外の何物でもない。 「ぐずべーりんはざっざとじねえ゛え゛え゛え゛!!!まりあのばじょをどるな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」」 元飼い主の抱えるめーりんに向けて罵声を浴びせるまりさ。 「早く行こうなめーりん」 「じゃお…」 元飼い主は眉間にシワを寄せるが虐待お兄さん(と元飼い主は思っている)と係わり合いたくないという考えの方が強く、小走りで去っていく。 最後までかつて飼っていたペットだと元飼い主は気付かなかった。 元飼い主にとってあの五匹は過去のもの。むしろまりさ達が脱出の際に割ったガラスの修理代の方が記憶に残っている。 「までえ゛え゛え゛え゛え゛!!!お゛いでぐな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!がえぜえ゛え゛え゛え゛え゛!!!まりざのゆっぐびぶべいぶをがえぜえ゛え゛え゛!!!」 涙で顔をぐじゃぐじゃにして泣き叫ぶまりさ。 帽子も仲間も失い、帰る場所もなく、隣にいるのはゆっくりさせてくれない男のみ。 まりさにとって今はまさに最悪と言っても過言ではなかった。 「さてと、行くか…ってあれ?帽子どうしたんだ?」 男は水分補給を済ませ、再び散歩を再開しようとするが、そこでようやくまりさの帽子が無くなっている事に気付いた。 「いつの間に落としたんだ?」 ゆっくりの飾りの重要性を知っている男は一旦耳にしているイヤホンを外してまりさから聞こうとする。 「がえぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?ぞごはまりざのだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 狂乱して叫び続ける。 男が話し掛けても変化はしない。 「あちゃあ…よっぽどショックだったんだなぁ…」 まりさの醜態を帽子をなくしたショックと男は勘違いする。 そしてそれに気付かなかった自分に若干の罪悪感が芽生えていた。 「仕方ない。ごめんな気付けなくて。お詫びに見つかるまで一緒に探すからさ!」 男は笑顔でまりさの帽子捜索の協力を申し出た。 見つかるまで探そうという事は見付かるまで散歩という名の市中引き回しは続くという事だ。 つまり先程の男の言葉はまりさは今日死ぬと告げているようなものだった。 「よっしゃ!もう一回来た道を戻るよ!!」 男はそう言って善は急げとばかりにダッシュする。 「かえべえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 それに引っ張られていくまりさ。 そのままの勢いで宙を舞い、電柱に激突する。 「ぶごぉッ!!!?」 一撃で歯が全て叩き折られる。 だが男は気付かない。 「やっべ!楽しくなってきたぁッ!!!」 運動が嫌いではない男は久し振りのダッシュに興奮していた。 犬ならばその全力位余裕でついて行けただろう。 だが今男の持つリードに繋がられているのはゆっくりまりさ。 「ふひゅぴゅひえ゛え゛え゛え゛え!!!?」 地面に擦られ、壁に激突し、ガードレールぬしがみつこうとするが歯を失い噛み付けない。 夢中になると結界が発生して声が一切届かない男はまりさの惨状に気付かず走り抜けて行く…。 まりさがミンチになってベルトには餡子や皮の残骸だけとなり、命はおろか、姿形までこの世から消える事になるのはもうすぐの事だった…。 「ふひいいいいいいい!!?はへひゃふぉはふへふぇふぇふぇふぇえええええ!!?ふべぇッ!!!?」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「なーんか散歩行くと皆逃げちゃうよな…」 付けるもののいなくなったベルトとリードを持ちながら男はしょんぼりして自宅に帰ってきた。 「俺ってゆっくり飼うの向いてないのかな…」 三匹には逃げられ(と思っている)、一匹は野良れみりゃに食われ、一匹は原因不明で死んでしまった…。 一週間もしない内にこのザマだ。 「折角出したのに無駄になっちゃったか…」 物置にしまっておいた犬用の道具。 犬小屋もお役御免だ。 「何を間違えたのかな…?」 ゆっくりの生態はそれなりに知っていてもゆっくりの飼い方を知らない男には何を間違えたのかわからない。 五匹の為に物置から引っ張り出した犬のお下がりを再び物置にしまい終える。 「ま、過ぎた事を気にしても何だしな。 今度研兄に聞いてみるとして、今日はもうさっさと寝よっか!」 男は気持ちを切り替える。 「…ん?」 男は自宅に入ると何やら話し声がするのに気付いた。 遠くてよく聞こえないのだが、 「むきゅ!」と「わかるよー!」と言った声がする。 この家は男の一人暮らし。 つまり声は不審者以外有り得ない。 「強盗は勘弁してくれよ…」 男は金属バット片手に声のする方へ向かっていく。 この時点で既に五匹の事は記憶から消えてしまっていた。 騒がしい声がどんどん大きくなってくる。 「むきゅ!なかなかにちてきなおうちね!!」 「わかるよー!ちぇんのおうちにぴったりなんだねー!!」 「むきゅ、おきゃーしゃんおにゃきゃちゅいたわ!」 どうやら声は今は使っていない空き部屋からしているようだ。 無駄に甲高い声。 間違いなくゆっくりだが、男はそれに気付かない。 強盗かもしれないと考えている男は意を決して扉を開ける。 すると、中にいたちぇんとぱちゅりーらしき家族が男に向けて言い放った。 「ここはちぇんとぱちゅりーのおうちだよ!!じじいはさっさとあまあまおいてでていってね、わかるよねー!!」 こうして…またゆっくりが男によってゆっくり出来なくなるのだった…。 END あとがき anko649「元銀バッジまりさの末路 中」の感想の中にあったNo.1259141073さんの 「それはそうと善意鬼威三の前で 「飼いゆっくりじゃなくてごめんね」と言ったらどうなるんだろうか。飼いゆっくりにしてもらえるんだろうか。」 のコメントを見た瞬間、これだ!と思い「元銀バッジまりさの末路 下」と同時進行していたのですが何故かこちらの方が先に完成したので投稿させていただきます。 「元銀バッジまりさの末路 下」もちゃんと製作しているので勘弁してください。 というか「元銀バッジまりさの末路」が終わらないよ…上中下の合計が100KBを易々と越えてくよ…。誰か俺に構成能力をくれ…。 ちなみに今更ですが質問に対しての答えですが、 “飼ってはくれるけどロクな目に遭わない”です。 どんな策略を用いようとも予想を上回る思考の吹っ飛びっぷりで崩壊します。 ちなみに男がちゃんとゆっくりの飼い方を知っても何らかのとんでもない解釈の仕方で結局死にます。 それでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中 ふたば系ゆっくりいじめ 630 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上