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※fuku2455.txtの続きです。 「そこの穴の中のまりさ5匹と親まりさ、どっちが死ぬか選べ」 赤ちゃんゲスまりさが潰された後も恐怖の二択地獄は続いていました。 今度天秤にかけられたのは赤ちゃん5匹の命と親まりさ1匹の命。数で言えば当然赤ちゃんまりさ5匹のほうが大事なのですが・・・ 「ま、まりさをつぶしてね!」 そう判断したまりさは一歩踏み出し、自らの命を差し出そうとします。 けれど、れいむはそれに反対しました。 「ゆゆっ、だめだよまりさ!そんなことしたらあかちゃんたちがゆっくりできないよ!」 そう、それでなくても子どもの数が多いのに冬真っ盛りに巣を失った家族が片親まで失ってしまうと下手をすれば赤ちゃんを全滅させてしまう恐れがあるのです。 それに、片親を失った状態で5匹のまりさが助かったとしても、れいむ一匹で育てられるはずもありません。 「・・・ゆぅ。わかってるよ!でもまりさはあかちゃんをたすけたいんだよ!」 「ゆゆっ!たすけてもしんじゃったらいみないよ!」 さっきの赤ちゃんゲスまりさのようにどうでもいい選択やどっちでも大差ないような選択なら即決も出来ますが、今回ばかりはそうも行きません。 「・・・れいむ」 一向に譲ろうとしないれいむのそばへ歩み寄ったまりさはおもむろにれいむにちゅっちゅをし、それからこう続けました。 「まりさはれいむをしんじてるよ!だからあかちゃんをたすけたいんだよ!」 信じようが信じまいが無理なものは無理なのですが、そういわれてしまってはれいむは何も言い返せませんでした。 「ゆぅ・・・わかったよ!」 自分が犠牲になる決断を下したまりさは、男性の足元に歩み寄り、目を瞑ります。 そして、その姿を見た男性は相変わらず無感動なままにこう言い放ちました。 「俺に潰されてどこかに捨てられるか、家族に食われるか選べ」 「ゆゆっ!?」 彼の言葉を聞いたまりさは驚いて目を見開き、彼の顔を覗き込みます。 しかし、冗談を言っているような様子は一切なく、相変わらずの無表情でした。 「お、おにーざん、なにいっでるの!?」 「れ、れいぶまりさをだべるごどなんででぎないよ!」 「なら、俺に潰されるんだな?」 男性の言葉に困惑するまりさとれいむを尻目に男性は淡々と話を続けます。 「ゆゆっ!ちがうよ!まりさはれいむにたべられたいよっ!」 「ま、まりぢゃ!なにいっでるのおおおお!?」 まりさの判断はきっと間違っていません。冬の間の食料が雪に閉ざされた巣の中にある以上、どうせ死ぬのなら家族に食べてもらいたいのです。 けれど、れいむの判断も間違っていません。やはり家族を食べるのは気持ち悪いものですし、何より甘くて美味しい同族は麻薬のようなものなのです。 そんなものを自制心の無い赤ちゃんのうちに食べさせてしまったらどうなるか・・・。 「れいむ、おねがいだよ!まりさのいうことをきいてね!」 「でいぶ、ばりしゃをだべだぐないよおおおお!」 感情が高ぶりすぎたれいむはついに泣き出してしまいました。 まりさはそんなれいむの隣に寄り添って舌で涙を拭いてあげています。 「早くしないなら俺が決める」 そして、男性は空気を読む気が全くありません。 結局、家族はまりさを食べることにしました。 「ゅぎぎぎぎ・・・・!」 きつく口を縛って悲鳴を上げないように耐えるまりさ。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 「しゅごきゅゆっくちできりゅね!」 「おいちいよ!」 「おきゃーしゃんもおいちいよね?」 赤ちゃん達は最初はまりさを食べることに強烈な嫌悪感を示していましたが、一口食べた瞬間にその味の虜になってしまいました。 我先にと夢中になって親であるまりさの皮を食い破って吐き捨て、餡子をなめる4匹の赤ちゃんれいむ。 どうやら、餡子の甘さを知ってしまったこの子達にとって皮は邪魔なもの以外の何者でもないようです。 あまつさえ「これまじゅいよ!いらにゃい!」とか「こんにゃのたべしゃせないでね!」などと文句を言っています。 ちなみに赤ちゃんまりさ達は相変わらず穴の中にいるのでまりさのおこぼれに預かることは出来ません。 「ゆぅ・・・おきゃーしゃん、ごめんにぇ!」 「おきゃーしゃん、ありがちょね!」 一方でさっきの4匹からすこし離れた場所で、感謝の言葉を告げながらまりさを食べる2匹の赤ちゃんれいむがいます。 その子達は皮も残さず食べ、餡子の美味しさ以上に親のやさしさに涙を流して、一口一口噛み締めるようにまりさの食べていきます。 「「む~ちゃ、む~ちゃ・・・ちあわちぇ~!」」 そして4匹の赤ちゃんれいむ達を複雑な表情で見守る親れいむもまた、まりさにお礼を言いながらゆっくりとまりさを食べていました。 「まりさ、れいむをしあわせにしてくれてありがとう・・・」 「むーしゃ、むーしゃ・・・しあわせ~!」 けれど、口を開けば悲鳴を上げてしまいそうなまりさが返事をすることはありません。 気がつけば、まりさの体の5割が家族のぽんぽんに収まっていて、苦悶の表情を浮かべたまりさの口からは痛みを必死に堪えるうめき声も聞こえなくなっていました。 「これでいんんでぢょ!?」 双眸からぼろぼろと涙を零しているれいむはもはや帽子だけになってしまったまりさを指しながら、男性にそう告げます。 そして、その言葉を受けた男性は即座に次の二択を迫りました。 「どっちを殺すか選べ」 彼の両手にはさっきまりさが自らの命を捨てて守った赤ちゃんまりさが1匹ずつ。 右手には自己犠牲の精神を持ち合わせた立派な子が、左手には見捨てられたときにまりさやれいむを罵倒していた子が収まっています。 「ゆっ!どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!」 流石のれいむも、いや優秀なこのれいむだからこそこの二択は絶望的でした。 当然でしょう。れいむにしてみれば最愛のパートナーの悲壮な決意を踏みにじられたも同然なのですから。 「どっちを殺すか選べ!」 しかし、男性は何の感動もなくただルーチンワークをこなすかのようにそう問うてきます。 「でいぶもおおごっだよ!」 我慢の限界に達したれいむは男性に体当たりを仕掛けます。しかし、どんなに頑張っても人間には全く歯が立ちません。 「なら、俺が決める」 そう呟いた男性は右手にすこしずつ力を加えていきました。 「いちゃいよおおお!やめちぇええええええええええ!」 ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、か弱い力で男の手から抜け出そうとする赤ちゃんまりさ。 徐々に餡子が圧迫され、顔は真っ青でありながらも真っ赤という不思議な状態になり、今にも餡子を噴き出してしまいそうです。 一方、左手の赤ちゃんまりさは安堵のため息をつくと、右手のまりさに向かって「まりしゃのためにゆっきゅちちんでね!」と満面の笑みで吐き捨てました。 「おきゃーぢゃん、たしゅけてえええええええ!」 ぷちっ!というかわいらしい破裂音が聞こえたかと思うと、男性の右手から少量の餡子が漏れ出してきます。 「やべろおおおおおお!でいぶのあがぢゃあああああああん!」 れいむは我が子の助けに応じて必死に男性に体当たりを続けていますが、男性はぶつかっていることに気づいていないんじゃないかと思うほど平然としています。 「ゆぅぅうううう・・・もっちょ、ゆっくちちたかっちゃよ・・・」 やがて、そんな断末魔を残して健気な赤ちゃんまりさは親まりさの元へと旅立っていきました。 「ゆうううううう!でいぶのあがぢゃんがああああああああああああ!」 男性の手から落ちてきた赤ちゃんまりさだったものの前で泣き崩れるれいむ。 そんな親の周りに赤ちゃんれいむ達も集まってきます。そして「まりしゃ・・・てんごきゅでゆっきゅちちてね!」や「まりしゃのぶんもゆっきゅちするよ!」と元気良く言いました。 ただし、それはさっき餡子の味におぼれなかった2匹の話。ほかの4匹はまたしても我先にと赤ちゃんまりさの餡子を貪り食っていました。 「ゆゆ゛っ!?ゆっぐぢやべでね!!」 れいむはそんな風に赤ちゃんまりさの餡子を食い漁る赤ちゃんれいむ達を弾き飛ばしました。 けれど、赤ちゃんれいむ達はどうして怒られているのか理解できず、母親に抗議します。 「どほぢでこんにゃこちゅしゅるにょおおおおおお!」 「おきゃーしゃんのばきゃあああああああああ!」 「れいみゅあまあまたべちゃいよ~」 「れいみゅたちをゆっきゅちしゃ・・・ゆっ?」 最後に文句を言おうとした赤ちゃんれいむの言葉は突然伸びてきた男性の手によってさえぎられ、それと同時に一家の注意が男性のほうに戻りました。 「右手の子ども(赤れいむ)と左手の子ども(赤まりさ)、どっちを潰すか選べ」 淡々と告げる男性。 「ゆーっ!れいみゅちにたくにゃいよおおおおおおお!」 「まりしゃだってちにたくないよおおおおおお!」 手の中で泣き叫ぶ赤ちゃんたち。 そして、二択を迫られたれいむは・・・ 「みぎてのこをつぶしてね!」 あっさりと右手の赤ちゃんれいむを切り捨てた。 「どほぢでしょんなこちょいうにょおおおおおおおお!!」 「しまいをたべるようなこはゆっくりしないでしんでね!」 切り捨てられた赤ちゃんれいむは当然抗議しますが、れいむはそれをたった一言で一蹴してしまいます。 そしてその言葉通り、赤はんれいむはあっという間に潰されました。 潰れた赤ちゃんれいむの亡骸を適当に放り捨てた男性は穴の中から健気なまりさを取り出すとさっきと同じように右手でしっかり掴み、二択を迫ります。 「どっちのまりさを潰すか選べ」 「ひだりのこをつぶしてね!」 れいむはすぐに結論を出しました。どんなに必死になって抵抗しても人間には勝てない。 やはり最初にまりさと相談したときに出した結論どおり、この人間が飽きるのを待つしか道は無いのだ。 それなら、少しでも素直でゆっくりできるいい子を生き延びさせよう、と。 それがれいむに出来るたった一つのことなのです。 「おがあしゃああああああああん!どほぢでえええええええ!」 「れいむにわるぐちいうゆっくりできないこはしんでね!」 当然のように抗議する赤ちゃんまりさにれいむは容赦ない言葉を浴びせます。 若干自分の勝手が混じっていたような気もしますが、より良い子を生かすためのれいむは非情な決断を下すしかありません。 「このれいむとまりさどっちを潰すか選べ」 またしても二択。 右手にはさっき赤ちゃんまりさの死体に飛びついた赤ちゃんれいむが、左手には健気な赤ちゃんまりさが握られています。 「れいむをつぶしてね!」 「どほぢで「しまいをたべるこはゆっくりしないでしんでね!」 今度は最後まで言い切らせる暇もなく、死刑宣告をしました。 そしてその言葉通り、赤ちゃんれいむはすぐに潰されてしまいました。 「れいみゅ~・・・どほぢよおおおおお!」 「れいみゅもまりしゃをたべぢゃっだよおおおお!」 そう、躊躇うことなく自分の赤ちゃんを切り捨てていく母親が何を基準にして選別しているか気づいてしまったのです。 「右のまりさと左のまりさどちらを潰すか選べ」 「みぎのまりさをつぶしてね!」 「ゆぎゅううううううううううう!ゆぎゃっ!!?」 今度潰されたのも先ほど親れいむに暴言を吐いたまりさでした。 今や残っているのは暴言を吐いたまりさが1匹と健気なまりさが1匹、死体を食べたれいむが2匹と健気なれいむが2匹。 健気な赤ちゃん達は親れいむの周りや男性の手の中で「おやーしゃん、やめちぇえええ!」とか「まりしゃをつびゅしてええええ!」と叫んでいますが、その子達はきっと無事でしょう。 もうすぐ自分達が潰される。そう思うと震えが止まりませんでした。 「ねえ、れいみゅ!あのこたちのりぼんをれいみゅたちのものにちようよ!」 「ゆっ!だみぇだよ!そんなことちたらゆっくちできないよ!」 「どうせいまのままでもゆっくちできにゃいよ!」 そう吐き捨てた赤ちゃんれいむは一人、親の周りで泣いている赤ちゃんれいむの背後へ忍び寄っていきました。 そして、その子のリボンを奪い取ろうとした瞬間・・・男性の手につかまってしまいました。 「このれいむとまりさどっちを潰すか選べ」 「おきゃーしゃん、れいみゅをたしゅけてね!」 「おやーしゃん、まりしゃをつぶちてね!」 「れいむをつぶしてね!」 「どほぢで「しまいをたべるようなことはゆっぐぢでぎないよ!」 このやり取りも妙にリズミカルになってきました。親れいむもなんだかノリノリです。 ぷちっ、と言う軽快な音ともに赤ちゃんれいむは一瞬で物言わぬ饅頭になってしまいました。 そうして、親れいむに見捨てられる条件を兼ね備えているゆっくりは気がつけばれいむ1匹になっていました。 「れいむとまりさどっちを潰すか選べ」 「おきゃーしゃん、まりしゃをつぶちてね!」 「おきゃーしゃん!れいみゅを・・・れいみゅをつぶちてね!」 「ゆゆっ!?」 それは赤ちゃんれいむの賭けでした。健気な子が生かされるのなら自分も健気に振舞えば助かるのではないか、そう考えた末の言葉でした。 「それじゃあ、まりさ・・・」 「ゆゆっ!れいみゅたしゅかったよ!まりしゃはゆっくちちんでね!」 「・・・じゃなくてれいむをつぶしてね!」 「「ゆゆっ!?どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!!」」 赤ちゃんれいむと赤ちゃんまりさは全く同時にその言葉を口にしましたが、その意図が全く異なります。 「れいみゅいいこなのにぃぃぃぃぃ!!」 その叫びを断末魔に赤ちゃんれいむはどこか遠くへ旅立っていきました。 その後、男性は親れいむと赤ちゃんれいむ2匹、赤ちゃんまりさ1匹を残して立ち去りました。 残された4匹は何とか力を合わせて簡素な巣を作り、親れいむが犠牲になることで食料の問題を解決しました。 春になると生き残った3匹の子ども達が元気に野山を駆け回りました。 両親の知り合いに助けられながら、虫を取り、草花を食み、すくすくと大きくなっていきました。 やがて夏になり、独り立ちして各々別の集落の一員となった子ども達は生来の仲間思いのおかげで集落に上手く溶け込むことが出来ました。 そして、2度目の冬。 巣にたくさんの食料を集めたまりさはパートナーのれいむと7匹の子どもに囲まれてとてもゆっくりしていました。 そこに、どこかで聞いたことのある言葉が響き渡りました。 「巣の中に大量の雪を放り込まれるのと、巣から出てくるのとどっちがいいか選べ」 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 男の目的はゲスだけを間引くことじゃないかと思う byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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※俺設定の塊です。 ※虐待はほぼ皆無です。 それでよければゆっくりみていってね! んー。どうすればいいかなこいつら。 「みえないかべがまりさをとじこめるんだぜえええええ!!!」 「おにーしゃんはやくここからだしちぇにぇ!!ゆっくちできにゃいよ!!」 「おきゃーしゃん暗いよー!!こわいよー!!」 「たちゅけちぇー!!」 「ゆっくちできにゃいぃいいいいい!!!」 喚いているのは最近異常な増殖をみせるゆっくり、いわゆる饅頭だ。饅頭の分際で人間様の家にはいってくるとは とりあえず煩いので成体れいむ、まりさを大きめの透明な箱にいれて、その他はダンボールにつめこんだ。 数は成体れいむとまりさが1匹ずつ、赤れいむが4匹、赤まりさが2匹の合計8匹 朝おきたら部屋のなかにいたんだ。おかげで絨毯は泥塗れ、部屋も散らかったままだ。 これはきっちりとおしおk・・・じゃなくて愛でてあげないといけないな。とりあえずこいつらは外に出して部屋を片付けよう。 意外と時間がかかって昼飯を食い損ねた。クソッ。 ああ、ちょうどいい、庭に放置しておいたゆっくりで飯を済ませるか。 「こんにちわ~ゆっくりしてるかな!?」 ダンボールから赤れいむを2匹取り出し、透明な箱から成体まりさを取り出す。れいむは・・・ゆっくりしていってね! 「しねえええ!!!ゆっくりしないでさっさとしねえええええ!!!」 「おきゃーしゃーんこわいよー!」 「ゆっくちできにゃいよおお!!!」 ヒャッハァ!!今からお前らが死ぬんだよォ!!! と、その前に、野生のゆっくりは不味いときいているから少しぎゃくt・・じゃなくて愛でて味に深みを出すか。 「あはは、ごめんごめん。おかしをあげるから許してくれないかな?」 「ゆっ!?おかし!?ゆっくりしないではやくよこすんだぜ!」 「れいみゅにもちょーらいにぇ!!」 「れいみゅがさきだよ!」」 「順番だよ!お菓子上げるから一緒に中に入ってきてね。」 「「「ゆっくりー!!」」」 とりあえずさっき取り出した2匹とまりさをもって台所へ。 クッキングターイムッ☆ 「おかしなんてどこにあるんだz・・・ッゆぎゃああああああああああ!!!!!!!」 醜いまりさに包丁を刺した。おれはリアルにまりさ種が嫌いだ。ストレスがマッハ。 「「おとーしゃぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」」 うるさいな、れいむ種はあまり嫌いじゃないが黙らせるために弱火で加熱してるフライパンの上へ放り込んでふたをする。 「あぢゅいいいいい!!おとーしゃあああん!!!」 死なれては困るので火は切っておく、余熱で苦しめ。 「ゆっ・・・ゆっ・・・まりさのあんこさん・・・・」 一方で苦しんでるまりさから包丁を抜いて傷口から内部へと指を挿入・・・あぁん・・この感覚・・じゃねえよ。かきまわすッ!!!おらァッ!! 「ゆぎぎいいいいいいい!!!!ゆがあgv・あ・・vあ;・あgじゃ」 エレエレエレエレ・・・ 何いってるかわかんねぇよ。ってか餡子吐き出しやがった。もったいねえ。傷口へループっ!! 「ゆ"っ・・ゆ"っ・・」 あれ。ゆっくりってこんなに軟弱だったか・・・?まあいいや。 赤れいむをいれてあったフライパンにトゥギャザーさせてあげるぜェ!!ッヒャァ!!! と、その前に餡子がもれないように傷口補正。もちろん水×小麦粉でね! ふたをあけると赤れいむがいい具合に焼けている。いうならば狐色。 「れいみゅのあんよがぁ・・・」 「あちゅいよ・・・はやくだしちぇにぇ・・・・」 などとほざいているがこいつらはもう食えそうだな。 弱火で再度フライパンを加熱。まりさを入れてふたをして放置。あいつはもう長くないだろう。 「焼き饅頭うっめ!まじうっめ!!はふっはふっ!!」 これは俺のセリフだ。その後まりさも喰らった。 まりさは先に餡子をかき混ぜただけあって甘かった。うん、うまい。ご馳走様。 庭に戻ってダンボールから赤ゆっくりを解放しまりさがいた透明な箱にぶちこむ。 「おにいさんまりさは・・・?おなかへったよ・・・れいむたちにもあまあまちょうだいね・・・」 「おきゃーしゃん・・おとーしゃんは・・?れいみゅは・・?」 「まりしゃおなかすいたんだぜ・・・・ゅーん・・・」 「ゆっくちできにゃいよ・・・」 など、いろいろほざいてるが。準備は整った。 うん、俺も鬼じゃない。ゆっくりどもにご飯をやろう。 親れいむの箱に染みチョコをぶちまける。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ~♪」などと涙を流して喜んでる。 赤れいむには庭の雑草を抜いて箱に放り込んだ。 「おきゃーしゃんのとはちがうにょ・・?」 「むーしゃ、むーしゃ、それなり~・・・」 「あまあまさんをちょうらいにぇ・・・」 「まりしゃもあまあまがほしいんだじぇ・・・」 普段食べているものだろうが、親があんなに涙を流して食べているものを目の前にすると不味くなるのか? 親れいむの箱から染みチョコを4つ取り出して赤ゆっくりにも与える。 「ゆゆっ!?おにいさんれいむのおかしをとらないでね!!」 「お前の子供にあげるんだよ、馬鹿か。それとも独り占めか?さいっていな親だな、おお、おろかおろか。」 「ゆーん・・・・」 赤ゆっくりに1匹ずつ1個与える。どいつも「むーちゃ、むーちゃ、しあわちぇ~♪」と涙を流していた。 最後の一匹は・・・・ヒャッハァ!!虐殺だァ!! 「ゆ~!おしょらをとんでりゅみちゃいだじぇ!」などとほざいているが俺のスルースキルはルナティック。 用意しておいたチャリのペダルをあいているほうの手でまわすッ・・・!!クゥゥ!!!! 「ゆっ?」 異変に気づいたのか?なかなかのスピードで回転する後輪。それに赤まりさを押し付けるまで3秒。 チチチッ ズリュズリュズリュ と赤まりさがグレイズゥ!!ヒャッホゥ!! 「ゆびいいいいいいいいいぃぃいぃいいい・・・・・・・・・・・」 あぁーっ。思ったよりなんだ。つまらないな。一瞬でものいわぬ餡子と化した。 ゆっくりどもはキョトンとしていたが親は事態をすぐさま理解した。 「れいむのおちびちゃんがああああああああああああ!!どぼじでぞんなごどずるのおおおおおおお!!!」 飾りで識別するゆっくりにとって顔面がぐちゃぐちゃになっても理解できるんだな 人間でいう顔がわからなくてもきていた服で理解するようなものなのか? 「どうしてって。お仕置きだろ?」 「なにいってるのおおお!!!でいぶだちなにもじでないでしょおおおおおお!!!」 「馬鹿か、朝っぱらから家を汚しにきたのはてめぇらだろうが」 「わけのわがらないごどいわないでねええええええええ!!!!!」 餡子脳うっぜぇ。さぁ、もう一匹制裁だッ!! 今度は押し付けないでリアルグレイズをさせるか。1匹目で力加減を理解した俺に隙はなかった。 「ゆびゃあああああ!!おきゃーしゃあああん!!いぢゃいよおおおおおおお!!」 そして離すッ!!うわぁ・・・顔面がボヨンボヨンだよ・・・きめえ。 親の箱に放り込んでおくか。 「ゆヴぇっ・・・おきゃーしゃん・・・れいみゅのおかおがぁ・・・・」 「おちびちゃんしなないでね!!ぺーろぺーろ・・・」 「ゅーん・・・」 同じことをほかの2匹にもしてみた。 「ゆびゃあああああ!!!!まりしゃのおかおがあぁぁ!!!!!いぢゃいあいちあいうぃああ!!!!」 など発狂していたが、まあ、顔の皮が破れてところどころ餡子がにじみでてたらそらゆっくりできないよな。 「おちびちゃんたちげんきだしてね・・・ぺーろぺーろ・・・あっめ!うっめ!」 「ゆわあああああ!!まりしゃのあんこさんたべないでにぇええ!!!」 「ゆー!!ごべんねえええ!!!」 親れいむにも少しお仕置きをしなければ。 「ゆっ!?れいむのおりぼんとらないでね!!」 ヒャッホゥ!!グレイズゥ!!!! チチチチチ・・・ 「なにじでるのおおおおお!!!!やべでね!!やべでね!!」 おりぼん(笑)が見事に変形した。削れてる。 「ほら、かえすぜ、もう群れに戻っていいよ。」 「なにいっでるのおおお!!ごんなおりぼんでむれにもどれるわけないでしょおおおお!!!!!」 「おきゃあしゃあああああああん!!」 あー、煩いな。しかももう日が暮れそうだ。 「おい、はやくもどらないと暗くなるとれみりゃがでるぞ?」 「「「「れみりゃいやああああああ!!!」」」」 「ゆっ・・・でもれいむのおうちはここだよ!!おにいさんがでていってね!!」 は?なにこいつまだいってんの、ド饅頭め。最後までお兄さんが手を加えるとはッ・・・!! カカカカッと済ませてやる 「おいチビども、おかあさんの口の中にはいったらあまあまあげるよ。」 「ゆっ・・?ゆ、ゆっくちりかいしちゃよ!!」 不思議そうな顔をしている親れいむをつかんで・・ 投げたァァァ!! 「ゆーーー!?!?」 うん、われながら結構とんだ。あのままおちたら死ぬだろうな。 まw生きててもはぶられるかwおお、あわれあわれww さーて。風呂はいって晩飯食うか!! 庭の後片付けをして家に戻るぜ。 「一仕事終えた後の風呂は格別だr「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 記念すべき処女作!! 話がぜんぜんすすまないんだぜええええ あと語彙力もちんt・・じゃなくてカスすぎた。 チチチチはグレイズの音。鉄を削って火花がちっている状況をイメージしたらわかりやすいとおもわれるがそんなたいそうな・・・ 最後までよんでくれてありがとうございました。
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「おねえさんおはよう!ゆっくりしていってね!」 「ああ、おはよう。ゆっくりはしてらんないけどね」 私は毎日、通勤途中にゆっくりと出くわす。この会話も、いつから始まったか忘れてしまうほど長く続けている。もはや習慣のようなものだ。 しかし最近になって、少し変化が訪れた。 「おにぇーしゃんおはよう!ゆっくちちていってにぇ!」 少し離れたところからぽてぽてと、小さいゆっくりが跳ねてくる。最初に挨拶を交わしたゆっくりの子供らしいのだが…。 「おちびちゃん、決して焦らず急いで跳ねてきて、そしてゆっくりしていってね!」 「わかったよ、おきゃーしゃん!」 「…ねえ、ちょっといい?」 私は前々から、どうにも引っかかる事があった。 「ゆっ?なーに?」 「あのさ…これは私の勝手な、我侭って言ってもいいくらいの個人的なことなんだけどさ…その子のこと『おちびちゃん』って言うの、やめてくんない?」 「…」 「どうもその呼び方ってなんかちょっと…失礼を承知で言うけど、イラっとするのよ。いや、もちろんそれは私が勝手にそう感じてるだけだし、嫌なら別に…」 「いいよ!」 そのゆっくりは、にぱっと笑ってそう答えた。 「呼び方一つでおねえさんがゆっくりできるなら安いもんだよ!」 「ありがとう…君のほうも、それでいいの?」 「おきゃーしゃんとおにゃじきもちだよ!ゆっきゅりちていっちぇね!」 「ごめんね、私の勝手なお願い聞いてもらっちゃって…」 「それよりおねえさん、会社はいいの?」 「あ、いけない!じゃあ私、急ぐから!」 「「またねー」」 そして翌日。 「おねえさんおはよう!ゆっくりしていってね!」 「ああ、おはよう。ゆっくりはしてらんないけどね」 挨拶を交わした後、少し視線を逸らすと、昨日と同じようにゆっくりの子供がぽてぽてと跳ねてくる。 「おにぇーしゃんおはよう!ゆっくちちていってにぇ!」 昨日はちょっと失礼な事言っちゃったなぁ、と思い出すと同時に、ある疑問が湧いた。 私は『呼び方を変えてほしい』と言い、了承しては貰ったが、どういう呼び方をするかまでは確認していなかった。 しかしまぁ、そんな事は些細な話…というか、疑問を抱くだけ無駄である。何故ならば。 「無理しないでゆっくり来てね!」 この後1秒もせずに答えは出るのだから。 「おちくびちゃん!」 「いやらしい!」 イラっとはしないけどムラっとはするねw -- 名無しさん (2012-12-14 14 43 59) 名前 コメント
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※スレの以下のレスに触発されて書きました キリライターの電子レンジれいむのように 「もうぷくーしちゃくにゃいのにぃぃ!」 みたいなネタ増えないかな? ※独自設定垂れ流し 「れーみゅもうおこっちゃよ! ぷきゅううう!」 俺の目の前で、まだ幼いゆっくりれいむが頬に空気を吸い込み膨らんだ。 ゆっくり特有の威嚇動作、「ぷくー」だ。 野生生物で身体を大きく見せるという威嚇は珍しくない。エリマキトカゲのエリなどが代 表的だ。青虫の表皮に描かれた、目玉に見える模様などもそうだろう。 それ自体は別にいい。ゆっくりの生態だ、仕方ない。 人間である俺に通用すると勘違いしているのも別に構わない。ゆっくりの愚かさだ、仕方 ない。 だが、俺は。 「ふざけるなああああっ!」 「ゆびゃあっ!?」 「ぷくー」する赤れいむにデコピンを見舞った。 赤れいむを許せなかった。別にゆっくりの威嚇ごときにむかついたわけではない。 「ぷくー」が限界にはほど遠かったからだ。まったくもって普通の威嚇だったからだ。 この赤れいむはもっと怒らねばいけないはずなのだ。 何しろこの赤れいむはたった今、目の前で親れいむを踏みつぶされたのだから。 ゆっくりぷくーしていってね! よく聞く、ゆっくりのおうち宣言。 間抜けな話だと思っていた。戸締まりをしていればゆっくりの侵入を許すはずはない。お うち宣言されるなんてよっぽど警戒心の薄いやつか、あるいはおうち宣言なんて本当はな くて、都市伝説みたいなものなんじゃないかとすら考えていた。 だがもう、俺は笑えなくなってしまった。 縁側でひなたぼっこしていたところに、鳴り出した電話。かかってきたのは旧友で、つい つい小一時間ほど話し込んでしまった。 その隙に開けっぱなしになっていた縁側の戸からゆっくりが侵入、おうち宣言をされてし まったというわけだ。 ちょっと電話した隙に都合良く現れるとは、こいつら人間の隙をつく能力でもあるのだろ うか。あるいは、類は友を呼ぶのことわざのように、隙だらけのゆっくりは自然と隙のあ る場所に寄って来るのかも知れない。 とにかく、赤ゆっくり一匹を連れてきた親れいむは、「しんぐるまざー」の不幸と赤れい むのかわいさを主張し、俺の家の占拠宣言、あまあま要求へと移った。 まったくもってテンプレ通り。実に見事な様式美。 だから俺もその流れにのって虐待でもしようかと思ったのだが、親れいむの口上があまり にもうざく、ついカッとなって踏みつぶしてしまった。 思った以上にゆっくりは脆く、簡単に「永遠にゆっくり」してしまった。 いらだちは収まらず、さて赤れいむに何をしようかというところで気の抜けた「ぷくー」 をされたのだ。 許せなくなるのも当然というものだろう。 「いぢゃぃぃ! どぼじでかわいいれーみゅにこんにゃことしゅりゅにょぉぉぉ!?」 「しょぼい『ぷくー』だからだ」 「ぷ、ぷくーっ!」 またしても赤れいむは身体を膨らます。 確かにさっきより一回り大きくはなった。もみあげもわさわさと広げて揺らし、怒りを全 力で表現している。 先ほどより気合いも伺える。 だが、 「全然ダメだっ!」 「ぷぎゃあああ!?」 再び赤れいむにデコピンを見舞う。赤れいむは丸まっていたことに加え、口から空気を吹 き出して勢いに乗り、実によく転がりタンスにぶつかってようやく止まった。 「ゆんやああああ! いぢゃいよぉぉぉ!! どぼぢでごんなひどいごどずるのぉ!?」 「どうしてだと!? 決まっている、お前に足りないからだ!」 ダン、と赤れいむのすぐ隣に足を踏み下ろす。 その音と衝撃に赤れいむは黙り、泣きやんだ。 「足りない足りない! 全然、足りない! 目の前で親が殺されたんだぞ!? そんな理 不尽な状況で、その程度の『ぷくー』があるかっ!? 愛も怒りも憎しみも、悲しみさえ も全然足りないっ!」 赤れいむは涙をボロボロこぼし、だらしなくしーしーを漏らし始めた。 いかん、怖がらせすぎたようだ。これでは「ぷくー」もままならないだろう。 「……仕方ない。手本を見せてやる」 俺は風船を用意した。マジックで目と鼻を適当に書き込み、親れいむの亡骸からリボンを 拾い上げ、テープでこれまた適当にくっつける。 そんな俺の工作を赤れいむは呆然と眺めていた。 「さあ、できた」 赤れいむの前に風船を置いてやる。 「ゆ、ゆうう……?」 赤れいむは不思議そうに風船を見ている。 腹這いになり、赤れいむに目線の高さを合わせる。 そして、 「ゆくぞ! これが『真ぷくー』だっ!」 一気に風船へと空気を送り込む。 ぺっちゃんこだった風船はあっという間に丸々と膨らんだ。 「ゆ、ゆううっ!?」 一息で赤れいむの大きさを越えた。何度か頑張るとバスケットボール大の大きさになった。 「お、おきゃーしゃん!?」 赤れいむの瞳が輝いた。 「おきゃーしゃん、ちゅぶれちゃったとおもっちゃけど、げんきになっちぇよかっちゃね!」 ゆっくりは飾りで個体認識するという。だが、リボンとラクガキの目や口だけで認識する というのはどうだろう。 まあいい。 「ぷくうううううう!」 叫びながら空気を吹き込む。 さらに一回り大きくなる。 「ゆううっ!? おきゃーしゃん、どーちてぷきゅうしゅりゅのぉぉぉ!?」 息を吹き込む。風船は更に膨らむ。 「ご、ごめんなしゃいぃぃぃ! もうわがままいったりちないきゃらゆるしちぇええ!!」 息を吹き込む。風船は更に膨らむ。 「ねぼけておかーさんのかみのけむーしゃむしゃしてごめんなしゃいぃぃl!」 息を吹き込む。風船は更に膨らむ。 「おきゃーしゃんのあたまのうえではこんでもらったとき、うれしーしーしちゃってごめ んにゃしゃいい! きぢゅかれてないとおもってまちたあああ!」 息を吹き込む。風船は更に膨らむ。 「ゆああああん! おきょらにゃいでぇぇぇ! れーみゅ、もうおかーしゃんがおひるね しちぇるときに、おくちのなきゃにうんうんしちゃりしないきゃらあああ!」 こいつとんでもないことやってるな……そう思ったときだった。 軽快な炸裂音が響いた。 ついに風船は膨張の限界を超え、破裂して飛び散った。 「ゆびゃああああああっ!?」 赤れいむは飛び上がって驚いた。しーしーも凄い勢いで漏らしている。むしろしーしーの 勢いで飛び上がったように見えるほどだった。 「はあ、はあ、はあ……どうだ、これが『真ぷくー』だ。お前もこれくらいの『ぷくー』 をだな……」 荒い息を整えながら講釈してやっていると、赤れいむどうやら聞いてないらしいことに気 がついた。 横倒しになり、全身を振るわせて白目を向いている。先ほど大量に漏らしていたから、し ーしーまみれになっていて実に汚い。まったくもって人の話を聞く態度とは言えなかった。 「まあ、ゆっくりには言葉で教えるより実技指導だよな……」 もうひとつ風船を用意すると、赤れいむの口の奥まで押し込んだ。 目を覚まし、えづきそうになるところへ、 「ぷくーっ!」 息を吹き込んだ。 「ゆ、ゆうううううっ!?」 赤れいむは吐き出そうとしているようだが、所詮赤れいむの小さな身体。一息で既に口い っぱいに大きくなった風船は、もう吐き出すのは不可能だ。 風船に内側から押され、赤れいむの大きさは既に先ほどの自力での「ぷくー」より大きく なっている。 風船の口を指で押さえて空気の流出を防ぎ、口を離す。 「どうだ? これぐらい『ぷくー』しないとな」 「やぢゃああああ! いぢゃいよぉぉぉ!」 口の中に風船が詰まっているのだ。声など出せないと思ったが、赤れいむは叫んだ。やや くぐもってはいるものの、内容を聞き取れる程度にはクリアな音声。まるで風船がスピー カーになっているみたいだった。ゆっくりの発声器官ってどうなってるんだろう。 そして、ふと疑問が湧いた。 こいつ、どのくらい膨らんだら喋れなくなるだろうか。 ちょっと息を吹き込んでみる。 「やべちぇぇぇぇ! もうおくちいっぱいだよぉぉぉ!」 ばたばたとモミアゲをぴこぴこと上下に振り、苦しげに震える。 なんかまだ余裕がありそうだ。 更に吹き込んでみる。 「やぢゃ、やぢゃ、やぢゃああ! れーみゅ、もうぷきゅうしちゃくにゃいいいい! 更に吹き込むと、赤れいむはうんうんを漏らしだした。皮は限界まで拡がっているようだ から、身体が餡子を減らして負担を減らそうと言うのだろう。 そんな適応ができるくらいならまだ大丈夫だな。 更に吹き込む。 「ぷきゅう、ぷきゅうう! ぷきゅうもうやぢゃああああ……ぷきゅらべっぽっ!?」 ぽん、と。間抜けな音を立てて、赤れいむの目玉が飛び出した。尾を引くように餡子も吹 き出る。 なかなか愉快な眺めだった。 「ぷぎゅう、ぷぎゅう、ぷぎゅうやぢゃあああ! もうぢだぐないぃぃ!」 かなり膨らんでいるというのに、まだまだ叫ぶ。死ぬまで喋り続けるんだろうか、こいつ。 それにしても随分と耐えるものだ。もう既に赤ゆっくりは本来の三倍近くの大きさに膨ら んでいる。赤ゆっくりの肌はやわらかく柔軟性があると言うが、伸縮性も大したものだ。 「ぷっぎゅう! ぷっぎゅう! ぷぎゅげぇやべぢぇぇぇぇ!」 ふと。 赤ゆっくりの口の中の風船へ息を吹き込むこの状況。端から見たら赤ゆっくりとちゅっち ゅしているように見えるんではないだろうか。 そんな間抜けなことを思いついたときだった。 「もっぢょゆっくぢ……ぷぎぇらぶばあああああああ!?」 そして、遂に。 赤れいむは破裂した。 風船の方はまだまだ余裕があったが、赤れいむの皮の方は限界を超えてしまったようだ。 赤れいむは飛び散った。それはもう豪快に。 お飾りもモミアゲもリボンも、どこがどこだかわからないくらいバラバラに飛び散った。 床に落ちた破片も親れいむの亡骸と混ざって区別がつかない。 「すっきりー……」 余韻に浸る。溜めたモノが弾けるというのは生理的に気持ちがいいものだ。 それがゆっくりを永遠にゆっくりするのならなおさらというものだ。 晴れやかな気分で伸びをし、 「さーて、どうしよう……」 沈んだ気分で餡子に汚しつくされた部屋を見回した。 床はもとより、壁にも家具にも餡子がこびりついている。 これを掃除するのは大変そうだ。 ゆっくりの侵入など許さないよう、縁側でひなたぼっこするときも網戸なりなんなり対策 をしよう。ゆっくりのおうち宣言は、実在する。できればもう二度と聞きたくないものだ。 でも、赤ゆっくりの強制ぷくーはなかなか楽しかった。次からは掃除が楽な風呂場ででも やろう。 とりとめもなくそんなことを考えながら、俺は掃除に取りかかるのだった。 了 by触発あき 挿絵:嘆きあき
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いままで書いたもの とかいはコーディネイター 植物型ゆっくり 魔理沙とゆっくり~邂逅篇~ 「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」 「「ゆゆっ?!」」 両親は、生まれてきたゆっくりありすを見て大いに戸惑った。そのよ うなモノは生まれるはずがないからだ。 何故なら、このありすの両親は、ゆっくりれいむとゆっくりまりさの つがいだからだ。 ゆっくりは、一部の希少種を除き親と同じ種類の子しか生まれる事は 無い。この場合、生まれてくるのはれいむかまりさのはずなのだ。 それなのに、このありすはこの両親から生まれ、ありすは両親を両親 と認識し、両親も戸惑いながらもこのありすを子供だと感じている。 本来生まれるはずのない種の子が生まれる。これが、ゆっくりの取替 え子というものだ。 この現象の原因は遺伝子異常とも、突然変異とも、隔世遺伝とも言わ れるが、症例が少なく、また、ゆっくりの研究事態がそれほど進んで いないためにまだその真実は判明していない。更には、取替え子には 幸運を招く力がある事が判明し、その不可解さから妖精に取り替えら れた等という馬鹿げた話が出回り、未だ原因もわかっていないその現 象を世間は妖精の取替え子『チェンジリング』と呼ぶようになった。 「ゆぅ、よくわからないけどおちびちゃんはおちびちゃんだよ!」 「ゆっくりしたこにそだてようね!」 「ゆっくちちちぇにぇ!」 両親はありすを育てる事を決断し、親愛のすりすりを交わした。 しかし。 もしも本当にこのありすが取替え子だというならば。 ありすと取り替えられた子供は、一体どうなったのだろうか? これは、妖精に取り替えられてしまったれいむの、 もう誰も語る事のない、 一人の物語。 取替えられた子 薄く広がり、漠然としていた意識が集い、細く鋭さを持ってれいむの 意識を覚醒させた。れいむの中にある餡が急速に熱を持って稼動し始 め、れいむに外部の状況を送りつける。 肌を覆う生ぬるい風。 瞼越しに瞳を灼くぼんやりとした光の群れ。 足から感じる自らの重さ。 エトセトラ、エトセトラ。 次々と送り込まれる情報が、れいむに『生まれた』と次げる。 瞳を開く。初めて使う瞳は、強い光を受けてぼんやりとした景色をれ いむに与えた。れいむはぎゅっと目を瞑り、そしてもう一度開く。 そしてくっきりと世界が映る。 青々と木々が茂り、幻想的な蒼い光が宙を舞う。風が葉を揺らし水が 飛沫を立てて流れていく。 それはなんて美しい、夢のような世界。 れいむは、思わずそれに見とれそうになる。 しかし、まだれいむはやっていない。生まれたからには絶対に最初に やらなくてはならない事を。 口を開けて大きく息を吸い込む。そして、勢い良く振り向いて、自分 ができる限りの、最高の笑顔を浮かべて大きく声を上げた。 「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」 生まれたゆっくりの子供がやらなくてはならない事。それは、最愛の 両親への『ゆっくりしていってね』だ。 やった。できた。うまくやれた。 れいむは自信を持って、親からのお返しの『ゆっくりしていってね』 を待つ。 しかし、待っていても返事が帰ってこない。 どうしたのだろう。不思議に思ったれいむは、力みすぎて閉じてしま っていた瞳を開いて、前を見た。 「……ゆ?」 そこには、誰もいなかった。 「ゆ、ゆ?」 慌ててその場で半回転し、後ろに振り返る。両親の姿はない。 れいむはその場を何回も何回も、ぐるぐると回りながら親の姿を探し た。 いない。 いない。 いない。 いない。 いない。 何処にもいない。 「お、おちょーしゃん! おきゃーしゃん!」 不安。それに押し潰されそうになり、たまらず声を上げた。 返事が無くても何度も何度も。返事が来るまで声を上げ続ける。 「おちょーしゃん!」 返事が無い。きっと声が小さいからだ。 「おきゃーしゃん!」 返事が無い。きっと偶然聞き逃したんだ。 「おちょーしゃぁん!」 返事が無い。きっともっと大きい音が鳴ってて気付かなかったんだ。 「おきゃーしゃぁん!」 返事が無い。きっと、何か理由があって気付かなかったんだ。 「おちょーしゃん!! おきゃーしゃん!!」 返事が無い。 悲痛な声を上げる度に、頭の中をネガティブな言葉がぐるぐる巡る。 きっと、でも、もしかして、ひょっとしたら。 幾つも幾つも理由が浮かんでは消えていき、それでも何度も何度も、 何度でも声を上げ続ける。『親がいない』なんて、信じたくないから。 「お゛ちょーじゃん! お゛がーぢゃん! おにぇがいだきゃらおへ んじぢでね! おべんぢぢぢぇ! ぢぢぇよー!」 一際大きい声を上げて、れいむはぜぇぜぇと息を吐きながら両親の返 事を待つ。 『 』 と、そこへ何か、声のような物が響いた。 「おちょーしゃん! おきゃーしゃん! ゆっく、ゆっくち! ゆっ くちちちぇいっちぇにぇ! ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」 れいむが虚空を見上げながら狂ったように叫びを上げて声の主を探す。 そんなれいむの前に、先程から宙を漂ってきた蒼い光が降りてきた。 なんだろうと思いそれを見ていると、その蒼い光はいくつにも分裂し れいむを取り囲んだ。 『僕は君の親じゃないよ』 「ゆっ?!」 驚いているれいむに声が掛けられ、れいむは再度驚愕する。 『僕も』 『僕もだ』 『僕らみんな違うよ』 『残念だね』 『あぁ残念だ』 「ゆ、ゆっ? ゆっ? だれにゃにょ?」 更に続けられるその何かの声に、れいむは激しく驚き戸惑う。 蒼い光はれいむの周りをふよふよと漂いながら、一つずつ自己紹介を 始めた。 『僕は妖精』 『あぁ、僕も妖精だ』 『奇遇だね、僕もさ』 『奇遇もなにも皆妖精だよ』 『あぁ、そっか』 『忘れてた』 『うっかりしてたね』 『というわけで僕らは妖精』 「ゆっ、しょーなんだ。りぇーみゅはりぇーみゅだよ」 蒼い光……妖精達に続いて、少しだけ孤独が和らいだれいむが元気に 声を上げる。妖精は何か楽しいのか声を上げながらせわしなくれいむ の周りを飛びまわる。 『れいむ、れいむね』 『奇遇だね、僕もれいむさ』 『君は妖精でしょ』 『妖精は君だろ』 『そういう君も妖精じゃないか』 『もうれいむも妖精でいいんじゃない?』 『いやれいむはれいむだよ』 『だよね』 『そういうのはちゃんとしなきゃね』 れいむの前で妖精達の意味のわからない会話が延々と続いていく。 親がいない不安はまだあるものの、世界に一人ぼっちという孤独感は もう無くなっていた。 「よーしぇーしゃん、りぇーみゅのおちょーしゃんとおきゃーしゃん がどこにいるかちりゃにゃい?」 そして、そのおかげで出来た余裕から、親の不在という現実を受け入 れ言葉にして表す事ができた。 妖精はれいむの周りをくるくると回りながら語りだす。 『れいむのお父さんとお母さんね』 『知ってる?』 『人に聞く前にまず自分から言いなよ』 『それもそうだね』 『あぁそうだ』 『親しき中にも礼儀ありってね』 『で、結局知ってるの?』 『知ってるよ』 『あぁ知ってる』 『まりさお父さんとれいむお母さん』 『皆知ってる』 『誰でも知ってる』 『知らない方がマイノリティ?』 『知ってる方がマジョリティ』 相変わらずほとんどが意味の無い会話で子供のれいむには難しかった が、それでも自分の父がまりさで、母がれいむだという事は理解でき た。 れいむは続けて質問する。 「じゃあよーしぇーしゃんはおちょーしゃんたちがどきょにいるかし ってりゅ?」 『勿論さ』 『え、君知ってるの?』 『凄いなぁ、僕知らないや』 『僕は知ってるよ』 『僕も知ってる』 『僕知らなーい』 『割れたね』 『見事にね』 『偶数だと多数決に不便だね』 『多数決?』 『数の暴力だね』 『民主主義ともいうよ』 「……ゆっ! しってりゅにょ?! じゃあどきょにいりゅかおちえ ちぇにぇ!」 『いいよ』 『君の両親は東の山にいるよ』 『仲良く暮らしてる』 『あれ、君さっき知らないって言わなかった?』 『そうだっけ?』 『どうだっけ?』 『知らない』 『僕も知らない』 『そう言われると僕が間違ってたような気になってくるから不思議』 『とにかくれいむの親は東の山にいるよ』 『ちなみに東ってあっちね』 東の山、そこに大好きな両親がいる。 嬉しさの余り、ぴょいんぴょいんと跳ね上がって喜びの声を上げる。 妖精もわかっているのかいないのか、れいむの周りを陽気に飛びまわ った。 そして、問題のいくつかが片付いて心に余裕ができたからか、れいむ はふと思った。そして、その思ったことを口に出した。 「よーしぇーしゃん、どうちちぇりぇーみゅはここにいりゅにょ?」 その、当然といえば当然といえる疑問。 あらゆる質問に答えてくれた妖精さんなら、きっとこの答えも知って るだろう。そう思っての事だった。 事実、妖精は知っていた。 妖精達は一斉に集まり、一つの大きい蒼輝球となって声を合わせてこ う告げた。 『『『『『『僕が持ってきた』』』』』』 「……ゆ?」 帰ってきた答えに、れいむが首を傾げる。 「……よーしぇーしゃんがりぇーみゅはちゅれてきちゃにょ?」 それが何を意味するのか、理解したいような、したくないような。そ んな思いを掛けながられいむは再び問いかけた。 妖精はまたいくつもの光球に分裂すると、口々に騒ぎ立てた。 『持ってきた? 連れてきた?』 『どっちでもいいよ』 『そうだね、どっちでもいいよ』 『むしろどっちでもなくてもいいね』 『その発想は無かったね』 『無かったよ』 『じゃあ連れてきたってことで』 『異議なし』 『というわけで僕らが連れてきたよ』 『親のところからここまでね』 『代わりに他の子置いてきたから親は悲しんでないよ』 『しかも運がよくなるおまじない付き』 『それは安心だね』 『客商売はアフターケアが大事』 『試験でも及第点くらいなら貰えるね』 先程までなら理解できなかった、意味のわからない会話。それが不思 議なほどすらすらと頭の中に入ってくる。 連れてこられた。 親から引き離されて。 代わりに他の子を残して。 親はその子を可愛がって。 その子は親に可愛がられて。 みんなみんな幸せで。 れいむだけが、ここに一人ぼっちで。 「ど、どうちちぇしょんなこちょちちゃにょー?!」 たまらず、怒鳴りつけるような声で叫んだ。今までれいむの周りをふ よふよと不規則に飛んでいた妖精達は、急に列を成してれいむの頭上 に綺麗な円を描き始めた。 『どうして連れてきた?』 『どうして?』 『どうしてだろうね』 『楽しいから?』 『楽しいから』 『楽しいからだ』 『そうそう、楽しいからだった』 『アハハハァ』 光の粒の塊が一つ降りてきて、れいむの前で嘲るような笑いを上げる。 「りぇーみゅはじぇんじぇんたのちくにゃいりょ! おにぇがいじゃ からおちょーしゃんたちのところにかえちちぇにぇ!」 れいむは憤り、その光の粒に向かって思い切り飛びかかった。 が、光はするりとれいむの体をすり抜け再び頭上の隊列に戻り、れい むは無様に地面を舐めた。 『返す?』 『返すの?』 『せっかく持ってきたのに?』 『やだな』 『もったいないよ』 『面倒だ』 『せっかく連れてきたのに返すのはやだ』 『それに面倒だし』 「どうちちぇしょんなこちょいうにょー?! りぇーみゅはおちょー しゃんとおきゃーしゃんのとこりょにかえりちゃいにょにー?!」 くすくす、うふふ、あははと様々な笑いを上げる妖精の下で、怒りと 哀しみをごちゃ混ぜにした言いようの無い激情を抱えながらじたばた と体全体で地団駄を踏む。 「もういい! りぇーみゅひとりでかえりゅ!」 暴れ疲れ、破れかぶれにそう叫んだ。 瞬間、妖精達の笑いが消えた。 空気が変わったのを察して、れいむが不安げに頭上を見上げる。 『帰る……?』 『帰るだってさ』 『無理無理』 『この森からは出られないもの』 『今までみんな出ようとしてたけど』 『今までみんな出られなかったもの』 『それにずっと遠くが君の家』 『たとえ出られても辿り付けはしない』 妖精達の言葉に嘲る色は無い。そこにあるのは、ただただ呆れ返った 者の声。何もわかっていない者に対する、途方も無い呆れ。 今までとは違う、まるで宥めすかすような声を妖精は口にする。 『だからここで過ごそう』 『何も終わる事の無い永遠を』 「え、えいえんっちぇにゃに?」 不可解な単語を聞き、れいむが妖精に問いかける。 妖精は、そのれいむの問いの返答に、恐ろしく感情の篭らない声を上 げた。 『ずっとずっと続くって事』 『終わらないって事』 『年を取らないって事』 『死なないって事』 『何も変わらないって事』 『ずっとずっと続けられてしまう事』 『終われない事』 『年を取れないって事』 『死ねないって事』 『何も変われないって事』 『シアワセでも』 『フシアワセでも』 『『『『『『ずっとずっとずっと、この森の中って事』』』』』』 巨大な蒼輝球が宣告する。れいむは、その言葉の意味異常にただその 彼らの異様さに怯え、声を失う。どうあってもれいむには理解し得な い、その感情の動きに。 『たとえ帰る事ができたとしても』 『親は可愛いありすを育ててるもの』 『可愛いありすが本当の子供だと思ってるもの』 『君は君の親の子供じゃない』 『君の事なんか誰も知らない』 『君はもうここにしかいない』 『君ももうここでしか必要とされない』 余りにも残酷な事を、歌うように妖精は告げて、踊るように、妖精は 飛ぶ。一見愉快そうなその動きに、どうして哀れみと憤りと、ある種 自虐的なイメージを感じるのか。れいむには何もわからない。 『それなのに君は』 『傷を一つ残して』 『灯火一つ抱いて』 妖精は、緩やかに集う。 そして作られた形は蒼輝球ではなく、途方も無く巨大で不気味は唇だ った。 『『『『『『君は、何処へ行く?』』』』』』 蒼い唇が、れいむに問いかける。 れいむは答えない。答えられない。 れいむは答えを持っていない。 何も答えられずにいるれいむを前にして、噤まれていた蒼い唇が、ぐ にゃりと歪み、歪な三日月を模った。 そこにあったのは、ぞくりとするほどおぞましい狂った喜び。 『『『『『『君も、何処にも行けやしない』』』』』』 三日月がぼろぼろと崩れ、黒いものが溢れ出した。その黒は逃げよう ともしないれいむの体に纏わり付き、ずるずるとその体を引きずりこ んでゆく。 嫌悪感が無いとは言えない。だが不思議と恐ろしさは無かった。 『君もこの森に消えていく』 『この闇の中へ消えていく』 れいむは黒に飲まれながらも、宙に浮かぶ崩れ掛けの三日月を見上げ る。壊れた三日月は最後に。言葉を発さずに告げていた。 ―これでお前も同じだ―と。 れいむは森の中を飛んでいた ふよふよと、目的も無くただ飛んでいた ふと、前からぴかぴか光る物が飛んできた あれはまりさだ れいむはすぃーっとまりさの前に躍り出て声を掛ける 元気かい、君 君こそ元気かい 人に聞く前にまず自分から言うべきだよ それはこっちの台詞? そういえばそっちの台詞だね まぁどうでもいいけどね 他愛も無い話をしてまりさと別れようとすると 今度は一番の古株のぱちゅりーがやってきた 遠目からでもきらきら光る体に何かを抱えているのが見える 金色の髪が見えたから、たぶんあればありすだと思う あらあら取り替えられちゃったんだね 災難だね 災難かな? 違うかもね あの子次第かな あの子次第だね でもきっと災難だろうね 災難じゃなかったら逆にびっくり じゃあ行こうか うん行こう まりさと一緒にぱちゅりーの後を追う ふとあの子の事を考えてみた あの子は一体どうするだろう 怒るだろうか 悲しむだろうか 恨むだろうか 傷つくだろうか 何を感じ、何を思うのだろうか そんな事を考えたが、すぐに意味が無い事を理解してやめた どんな決断をしたとしてもあの子の結末は決まっているのだから そう 誰も彼もこの森に消えていく この闇の中へ消えていく そして 何も終わる事のない永遠を知る ここから先は、妖精に取り替えられてしまったありすの、 もう誰も語らない、 一人の物語。 おわろう このSSに感想をつける
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fuku6541:赤ちゃんのゆっくり返しの勝手にその後です。 「このままじゃずっとゆっくりしちゃうよ…」 危機感を募らせたれいむは最後の賭けにでた。 思いっきり息を吸い込むと… 「ゆうううううううううううううううううううう!」 「おきゃーしゃん?」 「ゆうううううううううううううううううううう!」 「ゆ!?おきゃーしゃん!ゆううううはやめちぇね!」 「ゆうううううううううううううううううううう!」 「ゆぴっ!れ、れーみゅのあんこしゃんがぁぁぁぁ!!」 ゆっくりはそれほど高等な体の構造をしていない。 胎児のいる空間は子宮であり肺であり脳であり、そして胃でもある。 「ゆうううううううううううううううううううう!」 「ど、どげりゅ……れーみゅが……きゃわいい……れーみゅがぁぁぁぁ……」 れいむは体内に力を入れる事により、胎児を消化したのであった。 「ゆぅ…けっきょくおちびちゃんはぜんぶいなくなっちゃったよ……」 洞窟にて一人途方にくれるれいむ。 「でもれいむはあたらしいであいをもとめるよ!あんなげすまりさなんてこっちからねがいさげだよ!」 数ヵ月後、れいむは何とか一命を取りとめ、再度群で新しい出会いを探した。 しかし 「ゆぅん、とてもきれいなありすだね、れいむといっしょに……」 「ゆ゛!?いなかもののれいむはあっちにいってね!」 「ゆ!?」 別の場所でも 「もりのけんじゃであるぱちゅりーといっしょになれればれいむはしあわせだよぉー」 「むぎゅうううう、げすれいむなんてこっちからおことわりだわ!」 「ゆゆゆ!?」 温和なちぇんでさえ 「ちぇー……」 「わがらないよぉおおおおおおお!」 おかしい、行く先行く先でみんなに避けられている。 不思議に思ったれいむだったが、ある時その原因と遭遇した。 それは狩りに行った時に茂みの向こうから聞こえてくる声だった。 「れいむはごみくずだよ!あかちゃんができるとまりさを『かるきかい』あつかいするんだよ」 「それはとかいはじゃないわね…」 「もうまりさはどれいどうぜんのあつかいだったんだよ!」 「むきゅう……あいのないはなしだわ」 「おつかれさまのひとこともないんだよ!」 「わからないよーらんしゃまはちぇんをいつもほめてくれるよー」 声の主は別れたまりさだった。 れいむはまりさに対する怒りも当然の事ながら、まりさの狩る機械発言にさらに怒りを覚えた。 「そのまりさはゆっくりごろしのげすだよ!」 「「「「「ゆゆゆっ!?」」」」」 「れいむがいっしょうけんめいうんだあかちゃんを……」 「れいむ、おなかのなかにいたってあかちゃんはどうしたの?」 「ゆっ!?」 辺りに流れる静寂…… 「そ、それはなかなかでてこないから、おなかのなかでゆっくりしちゃっ」 「ゆっくりごろしだぁぁぁぁああああああ!!」 「ゆ゛ん゛!?」 まりさが大声で叫んだ瞬間、我に返ったゆっくりたちはすぐさま攻撃を始める。 「だんなをあいさないいなかものはゆっくりしねっ!」 「ゆびッ!」 「ゆっくりごろしはしょけいするのよ!」 「ゆぐッ!」 「げすはしょけいだねーわかるよー!」 「ゆひぃいいいいいい!」 処刑が始まって数時間。 まさに虫の息状態のれいむの前にはまりさがいた。 「ゆ、ゆぐっ……ご、ごのげずゆっぐり……」 「ゆふぅ、まりさをどれいあつかいしてまでうんだあかちゃんをころすなんて、ほんとうにゆっくりしていないくずれいむだったね」 「ゆぎぃいいいい、くずはおばえだぁぁぁぁ」 「こんなのといっしょになったのがまりささいだいのおてんだよ」 「おばえにいわれだぐないいいいいいい」 「くずはゆっくり……しねっ!」 咥えていた棒がれいむの中枢を直撃する。 「ゆひぃ!!」 こうしてよくわからないれいむの処刑は終わった。 彼女はただ一言、表面上だけでもいいので「まりさ、まいにちありがとうね」とだけ言えばよかった。 それだけで家族は円満に営まれるのである。 *********************** 勢いで書いたらこんな結果に… fuku6541の作者さん、ごめんなんだぜ
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「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」 もはや幻想郷の名物と化したその言葉を聞いた刹那、俺は目の前に居た“それら”のうち小さい奴を一つだけ乱暴に掴み、 力任せに玄関の戸を開けると、勢いよく外へと飛び出してとっぷりと日も暮れて闇の色に染まってゆく秋の空を仰いだ。 「いちゃいよ!やめちぇ!ゆっきゅりやめちぇね!?」 「ゆーっ!おにーさん、れいむのかわいいあかちゃんになにするの!?」 「やめるんだぜ!あかちゃんがいたがってるんだぜ!」 「「「「ゆっきゅりやめちぇね!」」」」 俺の手の中で喚いているのは先ほど掴んだもの・・・俗に“ゆっくり”と呼ばれる生首型餡子生命体の赤ちゃんだ。 そして、俺を追いかけて外に飛び出してきたその赤ちゃんの親や姉妹もまた空気を口内に溜めてぷくぅっと膨らんだ姿で足元で喚き散らしている。 が、俺はそいつらの言葉に耳を貸すことなくおもむろに振りかぶると、手の中の赤れいむを家の屋根めがけて放り投げた。 「そぉい!!」 「わーい、おしょらをとんでりゅみちゃーい!」 放物線を描く軌道で放り投げられた赤れいむは満面の笑みを浮かべて浮遊感を楽しんでいる。 その表情からは落下時のことを考えているとは到底思えず、ただ今現在の浮遊感と疾走感に酔いしれるばかり。 しかも本人どころか足元の両親でさえも「れいむも!れいむもおそらをゆっくりとばせてね!」などと言っている。 どうやらこいつらには屋根に激突した赤れいむが「ゆぇーん!ゆえーん!」と泣いているのは全く聞こえていないらしい。 「よし、じゃあ・・・まずは赤ちゃん達からだ」 「わぁい!おにーしゃん、れいみゅからなげちぇね!」 「ゆゆっ!まりちゃがしゃきだよ!」 「じゅるいよ!れいみゅもはやきゅおしょらをとびちゃいよ!」 俺の言葉をきっかけに赤ゆっくり達は我先にと元気いっぱいに自己主張し、やがて順番をめぐって喧嘩を始めてしまった。 喧嘩から真っ先に脱落したのはれいむ種の2匹で、勝ち残ったまりさ種の2匹は一番最初にお空を飛ぶ権利をめぐってまだ争っている。 が、いちいち順番が決まるのを待つのも億劫なので、俺はさっさと喧嘩の疲れを癒すために頬を寄せ合っている赤れいむの片割れを掴むと、 さっきと同じように振りかぶり、きっちりと屋根に乗るように加減して赤れいむを放り投げた。 「れいみゅおしょらをとんでりゅよ~!」 「「ゆゆっ!れいみゅ、じゅるいよ!」」 「ちゅぎはれいみゅだよ!」 さっき投げた赤れいむが屋根に着地する前に、足元に居たもう一匹の赤れいむを掴むと再び勢い良く放り投げる。 すると、後に放り投げられた赤れいむは不運にも前の赤れいむが着地する際に顔面から落下して痛い目に遭うのを空中で目の当たりにしてしまった。 「ゆえーん!いぢゃいよおおおお!」 「ゆゆっ!いちゃいのはやだよ!?」 しかし、れみりゃのように空を飛べるわけでもない赤れいむが空中で方向転換することなんて当然ながら不可能。 先に飛んだ2匹の赤れいむが「ゆっぐ・・・ゆぐぅ・・・」などと泣きじゃくるのを見ながら、自分の身に起きることを想像して恐怖におののくことしか出来ない。 僅かな時間だが赤れいむ自身にとっては永遠とも思えるような長い時間引きつった表情のまま宙を舞った後、地球の物理法則に従って眼下に広がる屋根へと落下し、 目玉や餡子がはじけ飛びそうなほどの衝撃がありもしない鼻から後頭部へと突き抜け、じんじんと餡子内に響くような痛みを残していった。 「ゆぎゅん!!?」 想像を絶する痛みに赤れいむはしばし動くことはおろか、呻くことも出来ずにぴくぴくと小さな体を痙攣させる。 その傍らでは先に飛んだ赤れいむ2匹が痙攣している彼女を気遣う素振りも見せず、ただ口々に自分自身がどれだけ痛い目に遭ったのかを泣き声によって語っていた。 一方、最初の赤ゆっくりと違ってこちらから見える場所に落ちたためにそんなものを見せ付けられ、あるいは聞かされてしまってはたまったものじゃないのはまだ下にいる両親と2匹の赤まりさ。 特にさっきの喧嘩に勝って先に飛ぶことになってしまった赤まりさは既に俺の手の中にいて、何とか抜け出そうと必死にもがきながら何やら叫んでいる。 うざいので足元で我が子を助けるべき必死に体当たりを敢行している親ともども、その叫びを無視してさっさと放り投げる。 「ゆきゃああああああ!?おきゃーしゃん、たしゅけでええええええええ!!」 「でいぶのあがぢゃんがあああああああ!?」 「まりさああああああああ!?」 赤まりさは近所迷惑な助けを求める叫び声を撒き散らしながら弧を描いて屋根へと飛んでいくが、両親にそれを止める手立てはない。 それでも両親は天高く舞う我がからぽかん子を目で追いかけているが、そんなものは気休めにさえならないわけで。 やがて、べちゃ!っという若干汚らしい音を立てて赤まりさも屋根に激突した。 さっきの赤れいむ同様にしばらくは静かだったがやがて泣き始め、先に屋根に放り投げられた3匹と一緒に泣き声の四重奏を奏で始めた。 「あかぢゃんだちがあああああ!まりぢゃあああ!どほぢよ・・・・・・どほぢでにげるのおおおおおお!?」 「そろーり・・・そろーり・・・ゆっ!?」 「しょろーり・・・しょろーり・・・ゆゆっ!?」 どうやら人間相手に何も出来ないことを悟った親まりさと赤まりさは尻尾を巻いて逃げるつもりだったらしい。 その事実を目の当たりにした親れいむは「どうしてそんなことするのっ!」だの、「れいむのあかちゃんかわいくないのっ!」などと憤りを露わにしているが、 自力で助けることは不可能な上に、家屋侵入したゆっくりは愛でお兄さんも修繕費などを請求されたくないため助けてくれないので実際のところはまりさの判断が正しい。 とは言え、俺は人間であり、ゆっくりが生き延びるための手助けをする理由もないので・・・ 「そうか、まりさはゲスまりさなんだな。仲間を平気で見捨てるゲスはこの村では加工所に提供することになっているんだが、どうしようか?」 「ゆゆっ!かこうじょいやだよっ!!」 「まりちゃゆっくちちちゃいよ!!」 「だったらあかちゃんをゆっくりたすけてね!!」 う~ん、自分は何もせずにつがいに赤ちゃんを助けろと要求するれいむの方がよっぽどゲスのような気がする。 もっとも、そんなことを懇切丁寧に指摘する必要も義理も無いので、俺はさっさと親まりさを両手で掴むと、屋根めがけて放り投げた。 まりさは俺の手の中で「おにーさん、やめてね!ゆっくりやめてね!」と涙ながらに懇願し、赤まりさは「やめちぇね!おきゃーしゃんをなげにゃいでね!」と泣いていたが、 その傍らでれいむは「おにーさん、ゆっくりしないでさっさとなげてね!」とどこか嫌らしい笑みを浮かべながらふんぞり返っていた。 「ゆぎゅううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 「おお、ぶさいくぶさいく・・・・・・ゆぅ?」 もちろん、言われるまでもなく放り投げてやると親まりさは赤ゆっくり達以上に必死の形相を作って絶叫しながら宙を舞う。 その様子をのん気に眺める間もなく俺は親れいむを両手で掴むと、続けざまにまりさと同じ投法で屋根めがけて思いっきり放り投げた。 どうやら自分は大丈夫だと思っていたらしい親れいむはぽかんと口を開いたどこか間抜けな表情を浮かべて首をかしげていたが、宙を舞う瞬間には親まりさと同じ表情になっていた。 「ゆうううううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 その間にも親まりさは屋根へと落下し、そして激突すると体を(ゆっくりなりに)ピンっと伸ばしたような妙な姿勢で硬直し、その状態から身じろき一つしない。 気を失っているらしく、後頭部からは少量ながらも餡子が漏れ出している。彼女が意識を取り戻して「ゆぎぃいいい!いぢゃいいい!」などと泣き出したのは親れいむが屋根に激突した直後。 その上、健気にも自分が投げられたときには笑っていた親れいむをつがいとして気遣い、傍に寄り添って頬ずりをしながら「で、でいぶ・・・だいじょうぶ?」などと言っている。 見てみればそうやって寄り添う夫婦の周りに屋根に放り投げられた赤ゆっくり達が集まってその比較的大きな体に顔をうずめて泣いていた。 「ゆえーん、ゆえーん・・・」 ゆっくり一家の様子を眺めていた俺が足元を見るとその泣き声の主のまだ一匹だけ放り投げていないゆっくりまりさの赤ちゃんが、逃げようともせずに泣きじゃくっていた。 どこか哀れみを誘う光景ではあるが、ここは無慈悲に徹してさっさと赤まりさを掴むと、屋根の上のゆっくり家族の傍へと放り投げた。 宙を舞いながら「ゆきゃあああああああああ!」などと叫びつつ恐怖に満ちた表情を浮かべる赤まりさは、やがて親れいむの隣に落下した。 こうして、屋根の上のゆっくり一家のゆっくり出来ない日々が始まった。 1日目 「「「「おきゃーしゃん、おなかしゅいたよ!」」」」 昨日、男性の手によって屋根の上に放り投げられてから15時間以上が経過しており、この台詞も既に4回は口にしていた。 当然のことながら何度その言葉を口にしたところで食べ物は出てこないどころか、両親は食べ物を取りに行こうとする気配すら見せない。 「ゆっ!まりさ、れいむもおなかすいたよ!ゆっくりたべものをとってきてね!」 「ゆゆっ!?そんなのできないよ!」 親れいむも食べ物を取りに行こうとしない親まりさに抗議するが、彼女は一向に動こうとはしなかった。 「「「「ゆえーん、おなきゃしゅいたよおおおお!!」」」」 「あかちゃんたちがおなかすかせてるんだよ!どうしてたべものをとりにいかないの!?」 「こんなたかいとこからおちたらしんじゃうよ!」 今度は赤ちゃんを引き合いに出して親まりさに詰め寄る親れいむは目を少し吊り上げ、ぷくぅっと頬を膨らませている。 だが、どんな風に詰め寄られようと、どんなに泣きつかれようとゆうに4m以上の高さのある屋根の上から飛び降りればただではすまないし、 よしんば着地できても屋根の上に戻ることが出来ないため、結局何をどうやっても八方塞りにしかならないのだ。 しかし、お腹の空いた赤ちゃん達にはそんな事は理解出来ず、またパートナーのれいむは母性の強いれいむ種ゆえに泣きじゃくる我が子を前に冷静さを失っている。 そんな訳で傾斜のせいで非常に危険な屋根の上の、数少なく、なおかつ狭い平らな場所で親まりさは四面楚歌の状況にただひたすら耐えていた。 「「「「おかーしゃん、おにゃかしゅいたよー!」」」」 「ごめんね、あかちゃんたち。まりさがのろまなせいでたべものがないんだよ!」 「「ゆええええん、おにゃかしゅいたよおおおおお!」」 「「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」」 「ゆゆっ!そんなにいうなられいむがとりにいけばいいでしょ!なんでまりさだけのせいなの!?」 「れいむはあかちゃんといっしょにいなくちゃいけないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 まりさの抗議に母れいむは悪びれる様子もなくそう言い返すと、赤ちゃん達に頬ずりをし始める。 「あかちゃんのせわならまりさもできるよ!」と反論するが、赤ちゃん達に一斉に「ゆっくちさしぇてくれにゃいおかーしゃんなんてきりゃいだよ!」と罵られ、 更に親れいむが「ほらね!まりさはごはんをあつめるしかできないんだよ!」と何か非常に不愉快な笑みを浮かべつつ赤ちゃんの言葉に便乗した。 もっとも、まりさが「ゆっくりさせてくれないもの」と認識されているのはれいむが上手いこと餌集めの役目を全てまりさに押し付けたからなのだが。 「どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!?」 「いわれたくなかったらごはんをもってきてね!」 「だがらだがぐでむりなんだよおおおおおお!?」 「「「「おきゃーしゃんのばきゃあああああああああ!」」」」 もう何度目になるかもわからない集中砲火を前に、親まりさは涙目になるがどうしようもないのでさっきと同じように怒りが収まるまでただ耐え続ける。 が、さっきまでと違って赤ちゃんの空腹が限界近くに達していたらしく、容赦ない言葉の集中砲火は一向に止む気配を見せない。 「おきゃーしゃんのばきゃ!」 「きゅじゅ!」 「にょろま!」 「やきゅたたじょ!」 「ゆっくちできにゃいおきゃーしゃんにゃんてだいきりゃいだよ!」 「はやきゅおはんしゃがしにいっちぇね!」 「おはんをしゃがしゃないおきゃーしゃんなんておきゃーしゃんじゃないよ!」 「ゆっくちできにゃいよ!」 「「「「ゆっくちちたいよー!!」」」」 本来、赤ちゃんゆっくりにこんな語彙はないのだが、若干ゲス資質の高い母れいむが散々まりさを罵り倒した結果、こんな言葉を吐くようになってしまったのだ。 当の親れいむは体力の消耗を抑えるためにまりさを罵るのを赤ちゃん達に任せているらしく、「そうだよ!もっといってね!」などと言葉少なに赤ちゃん達をあおり続けている。 赤ちゃん達が疲れても、どれだけ涙ながらに「やめてい!」と言っても止むことのない罵詈雑言がどうしようもないほどに親まりさを傷つける。 やがて、その家族からの無慈悲な仕打ちに耐えかねた親まりさは・・・ 「もうやだ!おうちかえる!・・・・・・・・・ゆぎゅううううううう、ゆげえ!!?」 泣き叫びながら屋根の傾斜を滑り落ちるように飛び跳ね、4m以上も下にある地面へと落ちていった。 2日目 「「「「おきゃーしゃん・・・おにゃかしゅいたよおー・・・」」」」 泣きじゃくる体力もなくなった赤ちゃん達はそう呟き、親れいむにご飯を催促するが、屋根の上にいる以上餌を探しに行くことは不可能。 今まで屋根から落ちたっきり、恐らく潰れてしまったであろうまりさを悪役に仕立て上げて赤ちゃん達の気を紛らわせていたがそれももはや限界に来ていた。 何度か道を通りかかる人間に「れいむたちをゆっくりたすけてね!」と言ってみたものの、信じられないことに人間はこんなに可愛いれいむを平気で見捨てて行く。 そんな調子で何の打開策も見出せないまま、赤ちゃん達の体力はもはや相当危険なところまで来ていた。 「ゆゆっ!ゆっくりだまってね!れいむもおなかすてるんだよ!」 「ゆぅ~・・・おこらないでね、ゆっくちできにゃいよ・・・」 「ゆっくちちたいよ~・・・」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしゃせてよ・・・」 「ゆぅ・・・もうひちょりにおきゃーしゃんのほうがゆっくちできちゃよ・・・」 口々に文句をたれる赤ゆっくり達の最後の一言で怒りが頂天に達したれいむはその場でどんどんと跳躍を繰り返す。 心の中は自分よりずっとグズで、のろまで、せっかく自分が見つけてきたおうちを人間に乗っ取られたあのまりさ以下と言われたことで煮えくり返っていた。 実際にはこのおうちは本来人間のものだし、れいむだって人間に敵わなかったのだがそんなことを冷静に内省するつもりは微塵もなく、その怒りを我が子にぶつけた。 「ごちゃごちゃうるさいよ!なにもかもまりさがわるいんだよ!」 「「「「ゆ、ゆっ!?」」」」 「なんなの!どうしてもんくばっかりいうの!?ここはたかいんだよ!おちたらしぬんだよ!ゆっくりできないんだよ!」 「おきゃーしゃん、きょうわいよ・・・」 「ゆっくちちてよ~・・・」 「ゆっくりできるわけないでしょ!おまえたちがいなければおおきなおうちをさがさなくてもよかったんだよ!」 「ゆぅ~・・・」 「おまえたちがうまれたからおおきなおうちをさがさなくちゃならなくなったんだよ!おまえたちのせいなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ~・・・」 「あたりまえでしょ!あんなのろまのこどもにゆっくりするしかくなんてないよ!」 「どほぢでそんなこというのぉー!」 「おまえたちがぐずでのろまでゆっくりできないからだよ!」 「「「「ゆえーん・・・ゆえーん・・・」」」」 「なくのはやめてね!れいむがゆっくりできないよ!!」 怒りに我を忘れた母親に罵り倒らせ、悲しみのあまりに力なく泣く赤ゆっくり達。 しかし、今の親れいむには「あかちゃん、なかないでね!す~りす~り」などとやるような精神的余裕はない。 それどころか、何も出来ないくせに自分勝手なことを喚き散らす赤ゆっくり達が自分のゆっくりを妨げる害悪のようにさえ思える。 そして、親れいむは昨日はまりさに散々子どもを云々と言っていたことも忘れて、近くにいた赤まりさを踏み潰した。 「ゆきゅう!?・・・もっと、ゆっくちちちゃかっちゃよ・・・」 蚊の泣くような踏み潰された赤まりさの断末魔。 しかし、愛する母親に目の前で姉妹をつぶされた他の赤ちゃん達には耳元でダイナマイトを発破されたかのような轟音にも等しく、 あっという間に踏み潰された赤まりさの恐怖と絶望が他の赤ちゃん達にも伝染した。 「おきゃーしゃん、なにしてりゅるのおおおおお!!」 「れいみゅのいもうちょがあああああああああああ!!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」 赤ちゃん達は目の前の死の脅威に空腹も忘れて泣きじゃくるが、親れいむはそんな彼女たちをぎろりと睨みつけ、こう一喝した。 「うるさいよ!ゆっくりできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「きょわいよおおおおおおお!?」 「ま、まりしゃ、あぶにゃ・・・!?」 「まりしゃあああああああああ!!」 母親への恐怖が我慢の限界に達したのは目の前で同じ姿の姉妹を潰された赤まりさ。 ただ、目の前のゆっくり出来ないものから逃げ出したい一心で彼女は平坦場所から飛び出し、躓いて転倒すると、 饅頭ゆえの丸い体で屋根の傾斜をごろんごろんとゆっくり転げ落ちていき、昨日親まりさが消えていった屋根の下へと落ちていった。 「ゆゆっ?!ま、まりさがおちちゃったよ!?」 どうやらその光景を目の当たりにしたことと、赤ちゃん達が文句をたれるのを止めたおかげで我に返った親れいむは何故か飛び降りた我が子の安否を気遣う。 勿論、自分が赤まりさを潰したから恐怖に駆られたという発想は無いらしく、そもそも赤まりさを潰したことを覚えているかどうかさえ怪しい。 そんな親れいむはふと足元を見て、潰れた我が子を視界に収めると・・・ 「あかちゃんたち、きょうがこれをたべるよ!」 と、全く悪びれる様子も、同族食いへの嫌悪感を示すことも無く、いけしゃあしゃあとそんなことを言ってのけた。 確かに死んだ同族を食べることは割とよくある事なのだが、自分で殺した我が子を平然と食べようと提案するのはやはり異常としか言いようが無かった。 3日目 「「おきゃーしゃん、おなきゃがしゅいたよ!」」 昨日の一件でまりさ種の赤ちゃんは全滅しているので、昨日食べた姉妹の亡骸から得た栄養を使って元気良くその言葉を口にするのは赤れいむ2匹。 とは言え、先日の母親の恐ろしい姿をしっかり記憶しているので、あの時のようにあまりしつこく催促したり、無意味に罵倒したりはせず、 どうしても我慢できないほどの空腹感が襲ってきたときだけ、ただ本能に従ってその言葉を口にしていた。 もっとも、親れいむにだって屋根の上に放置されたこの状況を打開するすべはないのだから、回数が減ったところで不愉快なことに変わりは無いのだが。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・これじゃゆっくりできないよ!」 それに、何よりも一番空腹を感じているのは体格が3匹の中ではずば抜けて大きく、その分だけ大食いな親れいむ自身だ。 今までずっと我慢してきたがいい加減我慢の限界も近づいてきていて、あと少しでゆっくり出来なくなりそうな状態。 そういうわけで彼女は頭の中で自分がゆっくりするために我が子を食べることを画策していた。 「おなかがすいたんならゆっくりねむってね!」 「ゆぅ・・・ゆっくちりかいちたよ・・・」 「おきゃーしゃん、こもりうちゃうちゃって!」 「そんなのつかれるだけだよ!ゆっくりおねんねしてね!」 そんな親れいむの腹のうちを知る由も無い赤れいむ達は親れいむに促されるがままに空腹を紛らわせるために眠りにつく。 一方、親れいむは我が子がちゃんと眠りにつくまでじっくりとその様子を観察し続け、ゆっくりとチャンスの到来を伺っている。 そうして機を伺うこと27分、赤れいむが2匹ともゆぅゆぅという寝息が、千載一遇のチャンスの到来をれいむに告げた。 「そろーり・・・そろーり・・・」 何の必要も無い擬音をわざわざ口にしながらおもむろに子ども達に近づく親れいむ。 昨日食べた赤まりさのとろけるように繊細で柔らかい皮の舌触りと、やや控えめな甘さの餡子の風味を思い出すその表情は緩みきっていて、 ゆひひ・・・と品の無い笑みを浮かべる口元からはぽたぽたと涎が滴り落ちている。 そうして、1匹の赤れいむに皮と皮が触れそうな距離まで近づき、正面から食べるのは気が引けたのか背後に回りこんだところで・・・ 「ゆっくりいただきま~す!」 と、またしても何の必要も無いのに元気良く叫ぶと、思いきり良く赤れいむの後頭部を食いちぎった。 「ゆきぃいいいいいいいいいいいいい!?」 「む~しゃ、む~しゃ・・・しあわせ~!」 「ゆぅ・・・?ゆっ!おきゃーしゃん、なにちてりゅの!?」 突然の出来事に目を覚ました赤れいむは後頭部をかじられたことには気づかないものの、餡子を駆け巡る強烈な痛みと喪失感で金切り声を上げ、 つられて目を覚ましてしまったもう一匹の赤れいむは自分と同じ姿の親れいむが、自分と同じ姿をした姉妹を捕食する凄惨な光景を目の当たりにして泣き叫ぶ。 しかし、親れいむは2匹の様子などお構い無しに、昨日の姉妹を食べる光景を見せ付けられた恐怖と、その怖いものとずっと一緒にいる恐怖からか、 赤れいむの赤まりさより濃厚な甘みを堪能し、空腹が満たされる喜びと、今まで食べたことの無い美味しさに感動して涙を流していた。 「む~しゃむ~しゃ、すごくゆっくりできたよ!」 「ゆきゅぅ・・・お、おにぇーちゃんが・・・」 「ゆふぅ・・・すごくゆっくりできるよ!」 「れ、れいみゅ、おきゃーしゃんとはゆっくちできにゃいよ!!」 まりさが食べられて、れいむも食べられて、最後に残ったのは自分だけになった赤れいむは「次は自分だ」と言うことを本能的に理解し、屋根の上で唯一平らな場所から飛び出した。 そして、親まりさや子れいむと同じようにゆっくりにとっては奈落の底にも等しい遥か(と言っても4m程度)下の地面へと真っ逆さまに落ちていった。 「ゆゆっ!?れいむのあかちゃ~~~~~~~~~ん!!!」 その自殺行為にも等しい我が子の常軌を逸した突然の行動を眺めながら叫ぶ親れいむ。 こうして、最後の一匹になってしまった親れいむはほぼ全て自分の責任であることにも気づかずに、ただ静かにすすり泣いて夜を明かした。 4日目 「ゆぅ~・・・でいぶのあがぢゃん・・・どほぢであんなごど・・・」 親れいむは昨日の最後のゆっくり出来ない生活に耐えられなかった(と言う理由にれいむの中ではなっている)我が子の自殺の後からずっと悲しんでいた。 一体、どうしてこんなゆっくり出来ない状況になってしまったんだろうか? ほんの3日、4日前までは凄くゆっくり出来ていたはずなのに・・・気がつけば餌もない場所で孤独に耐える生活を強いられている。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ!」 一体、誰のせいでこんなにゆっくり出来ない生活をする羽目になったのだろうか? そうだ、あの人間のせいだ。れいむのおうちに勝手に上がりこんできてこんなところにれいむ達を放り投げた人間が悪いんだ。 それから、まりさのせいだ。れいむがおうちを見つけてあげたのに人間にも勝てないで、あまつさえれいむを見捨てようとしたあの愚図が悪いんだ。 ああ、美味しいご飯が食べたい。 「ゆうぅ・・・さぶいよ!ここじゃゆっくりできないよ!」 それだけじゃない、赤ちゃん達のせいでもある。どうして自分を置いてあんな自殺行為に走ったんだろうか。 ゆっくり出来なくて辛いのはわかるけれど、こんなにゆっくり出来るお母さんがいるのに・・・あまりにも堪え性がなさ過ぎる。 それに、そもそも赤ちゃん達が生まれなければ人里に下りてくる必要も無かったんだ。 ぽんぽんがペコペコだよ! 「ゆぅ・・・どほぢででいぶがゆっぐぢでぎないのぉおおおおお・・・・!」 どうして何も悪いことをしていない自分がこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなに可愛いれいむがこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなにお腹が空いているのに美味しいものを食べてゆっくり出来ないのだろうか? 気がつけばれいむの悲しみは我が子を失ったことから自分が理不尽な仕打ちを受けていることにすり変わっていた。 5日目 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・」 もう台詞の最後に「!」をつける余裕も無いれいむは虚ろな眼差しで曇り空を見上げ、きょろきょろと何かを探していた。 彼女の探しているもの、それはうーぱっくと呼ばれるゆっくりに対して好意的な飛行能力を有するゆっくりれみりゃの亜種だ。 そいつの力さえ借りることが出来れば何とかここから脱出して森に帰ることが出来るはず。 「ゆぅ・・・うーぱっくさん、ゆっくりしすぎだよ・・・」 どうしてこんなに可愛い自分がずっとゆっくりれいむのところに来てねとお願いしているのに平気で待たせられるのだろうか? 本当に皆してゆっくりし過ぎだよ。可愛いれいむはこんなにもゆっくり出来ない思いをしているのに。 自分のあまりの不遇を考えると思わず涙がこぼれる。 「・・・どほぢでみんなれいぶをいじべるのぉ・・・・」 美味しいご飯をゆっくり食べたい。 暖かい藁や葉っぱの上でゆっくり眠りたい。 風も雨もしのげるおうちの中でゆっくりしたい。 森の中でゆっくりかくれんぼがしたい。 広い原っぱでゆっくりかけっこがしたい。 ああ、何でもいいからゆっくりしたい。 「ゆっくりしたいよ・・・」 酷い空腹感のせいか、昨日のように誰かに不満をぶつけることも無い。 仕方なく眠りにつこうとするが、お腹が空きすぎて全く眠ることができなかった。 「ゆえーん・・・だれがぁ、たしゅげでよぉ・・・」 6日目 「ゆぎぃいいいいいいい!?あめさんなんでふってくるのおおおおおおお!?」 不運にも普段なら日が昇りはじめる頃にゆっくりにとって最も恐ろしいものの一つと言える雨が降って来た。 ゆっくり達が雨を苦手とする理由・・・それは小麦粉で出来た皮が一定量以上の水分を吸うとふやけて、やがては溶けてしまうから。 だから、ゆっくりは雨の日には基本的に外に出ずに巣の中ですごすのだが、屋根の上には雨から体を守るものがどこにもない。 まさに“詰んだ”に等しいほどの窮地に陥っていると言っても過言ではないのだ。 「ゆぅぅぅうう・・・あめさん、ゆっくりやんでね!おねがいだからゆっくりやんでね!」 そう言いながら必死にぴょこぴょこと跳ねるが雨は一向に止む気配を見せない。 それどころか、徐々に雨足が強くなっていき、ポタポタとまばらに降っていた雨がやがて地面や屋根を激しく打ち付ける大雨になってゆく。 れいむが何度「おねがいだよ、ゆっくりやんでね!」とか「あめさん、いじわるしないでよ!」と言ったところで何の意味も無い。 気がついたときにはザァーザァーという雨音が家屋の中にいても聞こえてくるほどの大雨になっていた。 「どほぢであべさんいぢわるずるのおおおおおお!?」 徐々に溶けてゆく皮と雨水のせいで良く見えないが、何処にも逃げ道の無いれいむはぼろぼろと大粒の涙を零しながら天に向かってほえる。 しかし、何を叫んでも返事が返ってくることなどありえず、その声は雨音にかき消されて誰の耳にも届かなかった。 しばらくそうやっていると、自分の体がかなり不自由になってしまっていることに気づく。 足元に出来た水溜りには黒い何かがにじんでいて、れいむにはそれが自分の中に詰まっていたものだとすぐに理解できた。 「ゆうううううう!れいむのあんこさん、でていかないでね!」 雨に流されて屋根から滑り落ちていく黒いそれを拾うために、れいむはぬれて普段よりずっと滑りやすくなっている屋根の傾斜へ思いっきり良く跳躍し、 足を滑らせるとそのまま今まで地面へ落ちて行ったゆっくり達と同様にごろんごろんと屋根を転がり、やがて4m以上も下の地面へと叩きつけられた。 雨でふやけた体で地に落ちたれいむは、それでもなお雨宿りできる場所を求めて、本当なら自分のものだったはずの人間の家の軒下へと這いずっていく。 しかし、彼女の歩みは唐突に止まった。体力が尽きたわけではなく視線の先に、人間の家の中にあったものを見て衝撃を受けたからだ。 「れいみゅ!おにーしゃんがおもちゃをくれちゃよ!」 「ゆゆっ!まりしゃいいな~!れいみゅもおもちゃほちいよ!」 「ふたりとも、なかよくいっしょにゆっくりあそぶんだよ!」 「「ゆっくちりかいちたよ!」」 視線の先にあったもの・・・それは地面に落ちて死んだはずの2匹の赤ちゃんがタンバリンを取り合い、それを人間の膝の上でまりさが見守っている光景だった。 人間の、あの日、自分達を屋根の上に放り投げた男の膝の上に座っているまりさの足に当たる部分には包帯が巻かれているがそれ以外は健康そのものだ。 満面の笑みを浮かべて男性に話しかけてはテーブルの上のクッキーを食べさせてもらい、向かいの人間の女性の膝の上にいるゆっくりありすと楽しそうに談笑していた。 「ど、どういうことなのおおおおおお・・・!?」 訳がわからない。本当に訳がわからない。 どうしてまりさが生きているの? どうして赤ちゃん達が生きているの? どうしてその人間と一緒にいるの? どうしてそんなありすと楽しそうにしているの? どうして美味しそうなお菓子を食べているの? どうして人間からおもちゃを貰っているの? どうして・・・・・・・・・ どうして・・・・・・ どうして・・・ ・・・どうしてれいむはそこにいないの? まりさはれいむが屋根の上でお腹を空かせている時に美味しそうなものをたくさん食べていたの? まりさはれいむが屋根の上で寒い思いをしている時にあったかいおうちの中でゆっくりしていたの? まりさはれいむが赤ちゃんを食べていた時に赤ちゃんと一緒に人間のご飯を食べていたの? まりさはれいむがひとりで寂しい思いをしている時にそこにいるありすとすっきりしていたの? まりさはれいむが雨に打たれて死にそうな時にどうしてそんなにゆっくりしているの? そこまで考えたところでれいむの意識は唐突に現実へと引き戻された。 相変わらず降りしきる雨。その雨足はあいかわらず激しく、強くれいむの皮を容赦なく打ち付けていた。 しばらく一人で変な問答をしている間に大分雨にやられてしまったれいむはもはや動くこともままならない。 ただじっと、近くて遠い家の中のゆっくりした光景を眺めながら、体から餡子が漏れ出す感触に怯えながら、れいむは立った一言・・・ 「もっと、ゆっくり・・・したかったよ・・・」 と雨音にかき消されて誰の耳にも届かないような小さな声で呟いた。 ‐‐‐後書きというか能書き‐‐‐ 殺したりせず虐待の労力を最小限度に済ませる方法を考えていた最中に浮かんだネタです。 「ゆっくりプレイス」宣言すらさせずに制裁へと移行するお兄さんマジ外道? ゲス 嫌われがちだけど、こいつらも必要あって存在してるんじゃないかと思う。 考えてみれば、人間に群れが襲われたときゲスがいなければ群れはほぼ100%壊滅するけど、ゲスがいればゲスが生き残る分で98%くらいになるかもしれないわけで。 作中でのれいむの子どもを食ってでもうーぱっくが来るまで生き延びるって判断は屋根の上だけの状況を見ればわりと真っ当な判断じゃないかと。 まりさと赤ちゃん達 作中の男性は虐待お兄さんではありあせん。したがって彼がれいむ達を屋根に放り投げたのは制裁のため。 何の被害も無ければ山に捨て置くだけなのですが、家の中でれいむ達を見かけた時点で窓を破られたと判断し制裁。 しかし、後で家の中を見てみると特に荒らされた形跡も無く、玄関から入ったことが判明したので「やりすぎたな」と後悔。 その後、庭で屋根から落ちて大怪我をして、気を失っていたまりさを発見し、保護する。 彼女の治療をお願いした近くのゆっくり愛好家の女性が美人だったので、下心むんむんにまりさを飼うことに。 さらに、まりさが目を覚ます前に赤まりさが落ちて(体重の軽さのおかげで軽傷)きて母れいむの凶行を知らされる。 近所の大工にでも一家を助けてもらおうかと考えていたが、更に赤れいむが落ちてきて母れいむが子どもを全滅させたことを知る。 そして、同族殺しを犯した以上れいむを助けるわけには行かないというまりさの主張を採用して放置決定。 そんな経緯で最後の場面に至ったんじゃないかと思います。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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初めて書くゆっくり虐待SS。 おかしい所もあり矛盾な所もありますが、どうか温かい目で見て下さい。 オリジナルキャラが幻想郷へIN。 東方キャラは登場します。 オリキャラ、善良のゆっくり、人間等は「」。ゲスゆっくりは『』です。 オレ設定だが善良なゆっくりは頭が良いにしている。 では、どうぞー -1764年、外の世界の外国では100人以上もの人間が殺されたという事件が起きた。 犯人は狼だが、狼と呼べるかどうかという物だった。 やがては退治されて、それ以降、あの狼の集団は見る事は無くなり人々から忘れ去られてしまった・・・- 寝ている獣は狼の様だが普通の狼とは全然違う。 大きさが子牛ほどで、直立した耳、鋭い鉤爪と口から覗かせる鋭い牙、 尾は蛇の様なもので長い 黒い獣は目が覚めてクァーと欠伸をかく、自分がいた森とは全然違った。 それに辺りを見渡しても・・・仲間がいない。 獣は思い出してみる。 ―あの時は人間たちが俺たちの仲間の一人が撃ち殺された。 ―人間を今まで甘く過ぎた。この教訓を生かして二度と人間に関わらず、静かに暮らそうと仲間たちと共に森へ帰ったはずだ。 大丈夫だ頭はおかしくなってはいない。 しかし、ここは一体どこだ? この場に留まっても仕方ない歩いてみるか・・・ 狼は歩くのだった。 やがて歩くと匂いする。それも野生では嗅いだ事が無い。 向こうの茂みが揺れている。 いつでも、戦闘がとれるように構える。 しかし、現れた者は奇妙な者だった。 「ゆっくりしていってね!!」 ・・・・ゆっくりしていってね? 俺は面を食らった。 明らかに人間の様な肌色だが、顔だけで動いている。 髪の色は黒で両のもみあげがあり、大きなリボンがついている チョンチョンの類かと思ったが、その種族は耳の部分は翼となって空を飛んで虫を食うが、地面を歩いている(?)。 それに奴らの活動は夜、今の時間帯は日が昇り始めているから違う。 魑魅魍魎の類か?いやっ、俺も人の事は言えんがな・・・・。 すると、後ろの茂みからもあの得体の知れない者の小さいのが3匹も現れた。 「おきゃーしゃん!!ゆっくりはやしゅぎるよ!!」 「ゆゆっ!!ごめんね。おちびちゃんたち!!」 「ゆっ?おきゃーしゃん。あのきゅろいのにゃに?」 「ゆっ?・・・・い、いぬさんだーーーー!!!?」 大きな奴は俺の姿を見た途端、いぬと言ってまるでこの世の終わりを見たという顔だ。 というか、確認するが遅すぎる。 野生だと一撃で死ぬぞ。 後、俺は犬ではないがな・・・・ 「ゆゆっ?いぬしゃんってなに?ゆっくりできりゅもの?」 「ちがうよ!!いぬさんはれいむたちをたべるおそろしいんだよ!!永遠にゆっくりされちゃうんだよ!!」 「ゆゆっ!!しょんにゃー!!」 「だいじょうぶだよ!!おちびちゃんはれいむがまもるよ!!」 そう言うとあのれいむと言うやつが顔(頭と言うべきか?)が睨んで膨らむ。 なんの真似だろうか?ひょっとしてあれは威嚇のつもりなのか? 少し脅かしてやるか。 「ガウッ!!ガウッ!!」 「ゆゆっ!!こ、こわいよー!!」 「まって、おきゃーしゃん!!」 「れいみゅをおいてかないでー!!」 「ゆえーーん!!」 吠えただけで逃げ出すとは根性無しな奴らだ。 しかし、あんな得体の知れない物だが臆病な奴らだ。 歩いて行こうとした時、あの親子がいった方向に悲鳴が聞こえた。 水のにおいがする、おそらく湖か川だな。 悲鳴が聞こえた方へ向かうと、小さい奴らが三匹いる。 あの大きいのは、湖におぼれていた。 「「「おきゃーしゃん!!」」」 「ゆゆっー!!だれがだずげでーーー!!」 おそらく必死に逃げていた時、あやまって落ちたのか。 泳げないのか・・・まぁ、あんないい加減な体だから当たり前か。 仕方ないが助けてやるか。 木の棒を口に咥えてあの大きい奴の方へ向かせる 溺れていたれいむは口に噛みついたの感じて上にあげて地面にゆっくりと下ろす。 「ゆゆー・・・・助かったよ。」 「「「おきゃーしゃん!!」」」 「ゆゆっ!?もしかして・・・あの犬さんが助けてくれたの!?」 流石に犬、犬と言われると腹が立つ。 俺はあいつらに向けて【言う】のだった 「俺は犬じゃない、狼だ。」 「「「「・・・・ゆわーーー!!!犬さんがしゃべったー!!!」」」」 だから、犬言うなって!! ・ ・ ・ ・ 「・・・・落ち着いたか?」 「ゆゆっー、ゆっくりおちついたよ。れいむをたすけてくれてありがとね!!」 「気まぐれで助けただけだ。」 「ゆゆー、おきゃーしゃん。このいぬしゃん。れいむたちをたべるんじゃ・・・」 「お前らの様な得体の知れん奴を食わん。寧ろ、腹を壊す。」 「ゆゆっ!!れいむたちはえたいのしれないもじゃないよ!!れいむはれいむっていうんだよ、プンプン!!」 「・・・ところでここは一体何なのか、知らんのか?」 「ゆゆっ?ここは幻想郷という場所だよ。」 「幻想郷・・・?うーむ、全く知らない。じゃあ、二つ目の質問だがおまえらはなんという種族?」 「ゆゆっ、れいむは【ゆっくり】というんだよ!!ゆっくり理解してね!!」 とりあえず、このれいむと話して今の状況が解った。 一つ目、ここは幻想教と呼ばれる異界らしい。 二つ目、こいつらはゆっくりでなんと東洋のマンジュウだという。甘い匂いがしたのはそれが原因か。それに善良な物もいるが悪い奴もいる(ゲスと呼ばれている)。 三つ目、この世界でも人間がいるのだが、妖怪もいるという。 「ところで、お前らはこんな所で住んでいるのか?狩りをする物はいないのか?」 「ゆー・・・まりさは永遠にゆっくりしちゃんたんだよ・・・」 どういうことなのか更に詳しく聞くと。 このれいむは夫のゆっくりまりさがいたのだが、ゲスゆっくりに追われて、 自分と子供を守るため、ゲスゆっくりを食い止めたが殺されてしまったという。 それでこの湖の近くに巣を作って静かに暮らしている。 子供たちも狩りを覚えるため一緒に探索して俺に出会った。 野生で生きていた俺は当然の考えというべきだろう。 強い者は弱い者に食われるか支配される。・・・つまり弱肉強食の世界。 「ところで、狼さんのお名前は?」 俺はそれを答えようとした時、下賤な声が聞こえた。 『ゆっへっへっへっー!!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすにするんだぜ!!ここでゆっくりしたければあまあまを差し出すんだぜ!!』 黒い帽子に金髪の髪をしたゆっくりが一つ、れいむが一つ。 後はあの二匹を小型にしたものが4ついる。 「ゆゆっ!!あれはまりさをゆっくりできなくしたゲスゆっくり!!」 「「「ゆゆっ、きょわいよー!!」」」 三匹の赤れいむは母の後ろに隠れる。 『おい、そこのれいむとくそ犬!!ここはまりささまがゆっくりぷれいすするんだぜ!!』 『そうだよ!!くそ犬はゆっくりとどこかに消えてね!!』 (ビシッ)・・・・くそ犬ぅ? この善良なれいむ一家はまだ許せるが・・・こいつらは見るやいなや暴言を吐きまくる。 しかも、この一家は嫌な臭いがしやがる。 流石にこれは怒る。問答無用でぶち殺す!! 「おい、れいむ。お前は逃げていろ。こいつらを丁重に追い返す。」 「ゆっ!!ゆー・・・でも。」 「大丈夫だ。丁重に追い返すから危ないから離れていろ。」 「ゆーっ・・・ゆっくり解ったよ!!おちびちゃんたち、れいむの口の中に避難してね!!」 れいむは口を開けると赤ゆっくりたちは口の中に避難する。 れいむはポヨンッポヨンッと跳ねる。 『さっさと、何処か行かないと痛い目見るんだぜ!!』 「・・・・ごたくは良いからさっさとこい。」 『生意気なんだぜ!!』 ゲスまりさは俺に向かって体当たりを仕掛けてきたが・・・スロウリィだな。 目を瞑っても余裕でかわせる。 するとゲスまりさは驚いていた。 『ゆゆっ!!なんで当たって無いんだぜ?今のはまぐれだぜ!!』 「おまえ・・・バカだろ。」 『ゆゆっ!!まりささまはバカじゃないぜー!!』 また、体当たりを仕掛けたが今度は避けずに受けたが痛くは無い。 所詮はマンジュウだから痛くも痒くもない。 しかし、調子に乗ってきたのか何度も何度も体当たりする。 正直、ウザいので噛みついた。 『ゆぎゃああああああ!!!いだいのだぜーーー!!!』 『ま゛、ま゛りざぁ゛ぁ゛ぁ゛!!』 『『『おとーしゃーん!!』』』 ゲス一家どもは当然、あり得ないことだ。 あのまりさが噛みつかれている。 しかし、悲しいかなゲスゆっくりの頭では到底、理解できない事だろう。 俺は遠心力をつけて放り投げた。 『ゆ゛ゆ゛ー!!おぞらをとんでーーーー(ゴーン!!)ゆべしっ!!』 木に直撃してゲスまりさはズルズルと地面に降りて口からあんこを吐いていた。 『ばりざぁぁぁぁぁ!!!じっがりじでぇぇぇ!!!』 ゲスれいむは夫であるゲスまりさに方へ駆け寄る というか、誰だよ。ばりざって・・・・ すると、足元からポスンッとする。あの二匹の赤ゆっくりたちが体当たりをしていた。 しかし、痛くも痒くもない。 『おとーしゃんのかたきー!!』 『ゆっくり、しんでね!!』 『ゆゆっ、これでもか!!』 『こにょ!!こにょ!!』 親が親なら子も子か、確か・・・蛙の子は蛙というんだっけ? 流石にウザいので・・・・フーッと息を吐いて赤ゆっくりを転がす。 『『『『ゆゆーっ、こりょこりょするよー!!』』』』 面白いらしい。 まぁ、楽しみの後は、苦しめますがな 帽子の奴を小さい奴を前足で踏みつぶす。 『ゆぴぃ』 どけると、中身がでており目玉が飛び出してペラペラの皮になって絶命していた。 『『『ゆぎゃあああああああ!!!い゛も゛うどがあああああ!!!』』』 というか、これは妹だったのか。 次はリボンの奴を爪で引っ掻くと面白いように縦スライスした。 『ゆぎゃあ゛あ゛あ゛ー!!ま゛りじゃのいもうどがーーーー!!』 『おねぇーちゃんがあああああ!!!』 「さて・・・・どっちを殺そうかな?」 ニィタァと笑みを浮かべる。 『れいみゅはどうなってもいいから、ま、まりしゃをたすけでね!!』 『どぼじで、しょんなことをいうにょぉぉぉぉぉ!!?』 醜い争いが始まった。 ゲスは自分が大事みたいで例え兄弟でも差し出すようだ。 とことん、腐ってやがるナ。 「面倒だから・・・両方!!」 『『ゆびゅぅぅぅぅぅ!!!』』 両前足で二匹を踏み殺した。 『ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れ゛いむ゛のおちびぢゃん゛だぢがぁぁぁぁぁ!!!』 うるせー、騒音被害で訴えるぞ。 れいむは鬼の形相(俺から見れば不細工面だが)してこっちに向かう 『おちびちゃんだぢをごろじだ、くそ犬はゆっぐりじね゛ぇぇぇぇぇぇ!!!!』 「だから・・・・犬じゃなくて狼だ!!」 口を大きくあける。 「オレサマ、オマエ。マルカジリ!!!」 ゲスれいむがスッポリと口に入るのと同時に噛み千切った。 中枢餡は免れたが死ぬのは時間の問題だろう。 れいむは痙攣していた 『ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ』 『れ、れ゛い゛む゛ぅぅぅぅぅ!!!』 れいむの叫びに気付いたのかようやく起きるまりさ。しかし、時既に遅すぎたのだ。 一方のれいむを噛み千切った狼は味わっている。 「おおっ、上手い!!野生ではこんなの食べたこと無いな。」 どうやら甘い食べ物を覚えたうえ、ゲスの匂いを覚えたのだった。 残っていた物を食べようとする 『も゛っど・・・ゆ゛、ゆ゛っぐ・・・ゆぎゃ!!』 遺言も聞くことも無くあっという間のに食した。 まりさは切れた。 自分の大事な伴侶を永遠にゆっくりさせた奴を殺してやる。 『ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!ごろ゛じでや゛る゛ぅぅぅぅぅ!!!!』 こいつを痛めつけて膝まつかせて死ぬまで奴隷にしてやる!! 謝ったって絶対に許さない!! れいむとおちびちゃん達の仇を取ってやる!! しかし、まりさは大きな過ちを犯していたそれは・・・ 「・・・・お前も、あのゆっくりと同じ場所へ逝かせてやる。」 相手はただの獣では無くあらゆる生き物を殺した悪魔だから。 睨まれた瞬間まりさは動けなくなった。 まるで何者かに押さえつけられていたのである。 狼がじっくりと近づく。まるで自分を地獄から迎えに来た者。 まりさはなさけなくしーしーを漏らすのであった 『ぐ、ぐる゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!』 どんなに泣いても喚いても動けないし狼はやめない。 「お前の餡子、食ってやろうかぁ?」 大きな口を開けてまりさは食われゆん生が終わった・・・・・ 「本当にどうもありがとう、狼さん!!」 「「「ありがちょう!!」」」 「・・・こいつをやる。」 口に咥えていた葉っぱの風呂敷を置くのだった 「ゆゆっ?これは一体何なの?」 「・・・・それは俺が集めて置いた花と蟲だ。一週間は困らん。」 「本当!?どうもありがとう!!そうだ、狼さんも一緒にれいむたちと一緒に行こうよ」 「俺は一人で行く。縛られるのは嫌いだ。あー・・・一人で旅した方がいいんだ。」 「ゆゆっ・・・残念だよ。狼さん、ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 「・・・・ああっ。」 俺は森の方へと走る。 振り返るとあの一家が最後まで見送っていた。 良い奴もいれば悪い奴もいる。俺はゲスを狩ってやるとしよう。 ―文々。新聞― 今日の正午、私は湖の近くを通りかかった時、ゲスのゆっくりの一家が謎の狼に襲われていた。 狼にしては体格はでかいし、何よりも他の猛獣よりも鋭い牙に爪だった。 しかも人語で話をしていたのが凄い驚きだった。 まりさは何故か逃げなかった。あの狼の恐怖したのか最後には食われた。 すると、れいむの一家らしきもの達に葉っぱで包んだ風呂敷を差し出してそのまま森の方へと向かった。 今後、調査をしようと思う。 この新聞は幻想郷の書く場所に配われた。 神社の紅白巫女は特に珍しくも無い。 紅魔館の吸血鬼や永遠亭の月の賢者は捕獲しようと考えていた。 白玉楼の主はフーンとしていり遊びに来ていた神隠しの主犯は「面白い者が紛れ込んだわね」と言っていた。 山の神社の奇跡を起こす巫女はというと・・・ 「うーん?この狼って何処かで見たようなものですね?確か・・・・」 本棚を調べると外の世界にあった「未確認生物百科」あるページを開く。 本の絵と新聞の写真を見比べると驚いたのだった。 未確認生物百科が開かれていたページはこう書かれていた。 「100人もの人間を惨殺した恐怖のUMA 【ジェヴォーダン】」、と チャプター1はこれで終了です。 思ったより物凄く書いてびっくりしました。 虐殺描写が少ないと思いますが・・・そこはご勘弁を。(^^; 次回は虐殺殺戮をやる予定ですので応援よろしくお願いします。
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「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」 もはや幻想郷の名物と化したその言葉を聞いた刹那、俺は目の前に居た“それら”のうち小さい奴を一つだけ乱暴に掴み、 力任せに玄関の戸を開けると、勢いよく外へと飛び出してとっぷりと日も暮れて闇の色に染まってゆく秋の空を仰いだ。 「いちゃいよ!やめちぇ!ゆっきゅりやめちぇね!?」 「ゆーっ!おにーさん、れいむのかわいいあかちゃんになにするの!?」 「やめるんだぜ!あかちゃんがいたがってるんだぜ!」 「「「「ゆっきゅりやめちぇね!」」」」 俺の手の中で喚いているのは先ほど掴んだもの・・・俗に“ゆっくり”と呼ばれる生首型餡子生命体の赤ちゃんだ。 そして、俺を追いかけて外に飛び出してきたその赤ちゃんの親や姉妹もまた空気を口内に溜めてぷくぅっと膨らんだ姿で足元で喚き散らしている。 が、俺はそいつらの言葉に耳を貸すことなくおもむろに振りかぶると、手の中の赤れいむを家の屋根めがけて放り投げた。 「そぉい!!」 「わーい、おしょらをとんでりゅみちゃーい!」 放物線を描く軌道で放り投げられた赤れいむは満面の笑みを浮かべて浮遊感を楽しんでいる。 その表情からは落下時のことを考えているとは到底思えず、ただ今現在の浮遊感と疾走感に酔いしれるばかり。 しかも本人どころか足元の両親でさえも「れいむも!れいむもおそらをゆっくりとばせてね!」などと言っている。 どうやらこいつらには屋根に激突した赤れいむが「ゆぇーん!ゆえーん!」と泣いているのは全く聞こえていないらしい。 「よし、じゃあ・・・まずは赤ちゃん達からだ」 「わぁい!おにーしゃん、れいみゅからなげちぇね!」 「ゆゆっ!まりちゃがしゃきだよ!」 「じゅるいよ!れいみゅもはやきゅおしょらをとびちゃいよ!」 俺の言葉をきっかけに赤ゆっくり達は我先にと元気いっぱいに自己主張し、やがて順番をめぐって喧嘩を始めてしまった。 喧嘩から真っ先に脱落したのはれいむ種の2匹で、勝ち残ったまりさ種の2匹は一番最初にお空を飛ぶ権利をめぐってまだ争っている。 が、いちいち順番が決まるのを待つのも億劫なので、俺はさっさと喧嘩の疲れを癒すために頬を寄せ合っている赤れいむの片割れを掴むと、 さっきと同じように振りかぶり、きっちりと屋根に乗るように加減して赤れいむを放り投げた。 「れいみゅおしょらをとんでりゅよ~!」 「「ゆゆっ!れいみゅ、じゅるいよ!」」 「ちゅぎはれいみゅだよ!」 さっき投げた赤れいむが屋根に着地する前に、足元に居たもう一匹の赤れいむを掴むと再び勢い良く放り投げる。 すると、後に放り投げられた赤れいむは不運にも前の赤れいむが着地する際に顔面から落下して痛い目に遭うのを空中で目の当たりにしてしまった。 「ゆえーん!いぢゃいよおおおお!」 「ゆゆっ!いちゃいのはやだよ!?」 しかし、れみりゃのように空を飛べるわけでもない赤れいむが空中で方向転換することなんて当然ながら不可能。 先に飛んだ2匹の赤れいむが「ゆっぐ・・・ゆぐぅ・・・」などと泣きじゃくるのを見ながら、自分の身に起きることを想像して恐怖におののくことしか出来ない。 僅かな時間だが赤れいむ自身にとっては永遠とも思えるような長い時間引きつった表情のまま宙を舞った後、地球の物理法則に従って眼下に広がる屋根へと落下し、 目玉や餡子がはじけ飛びそうなほどの衝撃がありもしない鼻から後頭部へと突き抜け、じんじんと餡子内に響くような痛みを残していった。 「ゆぎゅん!!?」 想像を絶する痛みに赤れいむはしばし動くことはおろか、呻くことも出来ずにぴくぴくと小さな体を痙攣させる。 その傍らでは先に飛んだ赤れいむ2匹が痙攣している彼女を気遣う素振りも見せず、ただ口々に自分自身がどれだけ痛い目に遭ったのかを泣き声によって語っていた。 一方、最初の赤ゆっくりと違ってこちらから見える場所に落ちたためにそんなものを見せ付けられ、あるいは聞かされてしまってはたまったものじゃないのはまだ下にいる両親と2匹の赤まりさ。 特にさっきの喧嘩に勝って先に飛ぶことになってしまった赤まりさは既に俺の手の中にいて、何とか抜け出そうと必死にもがきながら何やら叫んでいる。 うざいので足元で我が子を助けるべき必死に体当たりを敢行している親ともども、その叫びを無視してさっさと放り投げる。 「ゆきゃああああああ!?おきゃーしゃん、たしゅけでええええええええ!!」 「でいぶのあがぢゃんがあああああああ!?」 「まりさああああああああ!?」 赤まりさは近所迷惑な助けを求める叫び声を撒き散らしながら弧を描いて屋根へと飛んでいくが、両親にそれを止める手立てはない。 それでも両親は天高く舞う我がからぽかん子を目で追いかけているが、そんなものは気休めにさえならないわけで。 やがて、べちゃ!っという若干汚らしい音を立てて赤まりさも屋根に激突した。 さっきの赤れいむ同様にしばらくは静かだったがやがて泣き始め、先に屋根に放り投げられた3匹と一緒に泣き声の四重奏を奏で始めた。 「あかぢゃんだちがあああああ!まりぢゃあああ!どほぢよ・・・・・・どほぢでにげるのおおおおおお!?」 「そろーり・・・そろーり・・・ゆっ!?」 「しょろーり・・・しょろーり・・・ゆゆっ!?」 どうやら人間相手に何も出来ないことを悟った親まりさと赤まりさは尻尾を巻いて逃げるつもりだったらしい。 その事実を目の当たりにした親れいむは「どうしてそんなことするのっ!」だの、「れいむのあかちゃんかわいくないのっ!」などと憤りを露わにしているが、 自力で助けることは不可能な上に、家屋侵入したゆっくりは愛でお兄さんも修繕費などを請求されたくないため助けてくれないので実際のところはまりさの判断が正しい。 とは言え、俺は人間であり、ゆっくりが生き延びるための手助けをする理由もないので・・・ 「そうか、まりさはゲスまりさなんだな。仲間を平気で見捨てるゲスはこの村では加工所に提供することになっているんだが、どうしようか?」 「ゆゆっ!かこうじょいやだよっ!!」 「まりちゃゆっくちちちゃいよ!!」 「だったらあかちゃんをゆっくりたすけてね!!」 う~ん、自分は何もせずにつがいに赤ちゃんを助けろと要求するれいむの方がよっぽどゲスのような気がする。 もっとも、そんなことを懇切丁寧に指摘する必要も義理も無いので、俺はさっさと親まりさを両手で掴むと、屋根めがけて放り投げた。 まりさは俺の手の中で「おにーさん、やめてね!ゆっくりやめてね!」と涙ながらに懇願し、赤まりさは「やめちぇね!おきゃーしゃんをなげにゃいでね!」と泣いていたが、 その傍らでれいむは「おにーさん、ゆっくりしないでさっさとなげてね!」とどこか嫌らしい笑みを浮かべながらふんぞり返っていた。 「ゆぎゅううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 「おお、ぶさいくぶさいく・・・・・・ゆぅ?」 もちろん、言われるまでもなく放り投げてやると親まりさは赤ゆっくり達以上に必死の形相を作って絶叫しながら宙を舞う。 その様子をのん気に眺める間もなく俺は親れいむを両手で掴むと、続けざまにまりさと同じ投法で屋根めがけて思いっきり放り投げた。 どうやら自分は大丈夫だと思っていたらしい親れいむはぽかんと口を開いたどこか間抜けな表情を浮かべて首をかしげていたが、宙を舞う瞬間には親まりさと同じ表情になっていた。 「ゆうううううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 その間にも親まりさは屋根へと落下し、そして激突すると体を(ゆっくりなりに)ピンっと伸ばしたような妙な姿勢で硬直し、その状態から身じろき一つしない。 気を失っているらしく、後頭部からは少量ながらも餡子が漏れ出している。彼女が意識を取り戻して「ゆぎぃいいい!いぢゃいいい!」などと泣き出したのは親れいむが屋根に激突した直後。 その上、健気にも自分が投げられたときには笑っていた親れいむをつがいとして気遣い、傍に寄り添って頬ずりをしながら「で、でいぶ・・・だいじょうぶ?」などと言っている。 見てみればそうやって寄り添う夫婦の周りに屋根に放り投げられた赤ゆっくり達が集まってその比較的大きな体に顔をうずめて泣いていた。 「ゆえーん、ゆえーん・・・」 ゆっくり一家の様子を眺めていた俺が足元を見るとその泣き声の主のまだ一匹だけ放り投げていないゆっくりまりさの赤ちゃんが、逃げようともせずに泣きじゃくっていた。 どこか哀れみを誘う光景ではあるが、ここは無慈悲に徹してさっさと赤まりさを掴むと、屋根の上のゆっくり家族の傍へと放り投げた。 宙を舞いながら「ゆきゃあああああああああ!」などと叫びつつ恐怖に満ちた表情を浮かべる赤まりさは、やがて親れいむの隣に落下した。 こうして、屋根の上のゆっくり一家のゆっくり出来ない日々が始まった。 1日目 「「「「おきゃーしゃん、おなかしゅいたよ!」」」」 昨日、男性の手によって屋根の上に放り投げられてから15時間以上が経過しており、この台詞も既に4回は口にしていた。 当然のことながら何度その言葉を口にしたところで食べ物は出てこないどころか、両親は食べ物を取りに行こうとする気配すら見せない。 「ゆっ!まりさ、れいむもおなかすいたよ!ゆっくりたべものをとってきてね!」 「ゆゆっ!?そんなのできないよ!」 親れいむも食べ物を取りに行こうとしない親まりさに抗議するが、彼女は一向に動こうとはしなかった。 「「「「ゆえーん、おなきゃしゅいたよおおおお!!」」」」 「あかちゃんたちがおなかすかせてるんだよ!どうしてたべものをとりにいかないの!?」 「こんなたかいとこからおちたらしんじゃうよ!」 今度は赤ちゃんを引き合いに出して親まりさに詰め寄る親れいむは目を少し吊り上げ、ぷくぅっと頬を膨らませている。 だが、どんな風に詰め寄られようと、どんなに泣きつかれようとゆうに4m以上の高さのある屋根の上から飛び降りればただではすまないし、 よしんば着地できても屋根の上に戻ることが出来ないため、結局何をどうやっても八方塞りにしかならないのだ。 しかし、お腹の空いた赤ちゃん達にはそんな事は理解出来ず、またパートナーのれいむは母性の強いれいむ種ゆえに泣きじゃくる我が子を前に冷静さを失っている。 そんな訳で傾斜のせいで非常に危険な屋根の上の、数少なく、なおかつ狭い平らな場所で親まりさは四面楚歌の状況にただひたすら耐えていた。 「「「「おかーしゃん、おにゃかしゅいたよー!」」」」 「ごめんね、あかちゃんたち。まりさがのろまなせいでたべものがないんだよ!」 「「ゆええええん、おにゃかしゅいたよおおおおお!」」 「「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」」 「ゆゆっ!そんなにいうなられいむがとりにいけばいいでしょ!なんでまりさだけのせいなの!?」 「れいむはあかちゃんといっしょにいなくちゃいけないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 まりさの抗議に母れいむは悪びれる様子もなくそう言い返すと、赤ちゃん達に頬ずりをし始める。 「あかちゃんのせわならまりさもできるよ!」と反論するが、赤ちゃん達に一斉に「ゆっくちさしぇてくれにゃいおかーしゃんなんてきりゃいだよ!」と罵られ、 更に親れいむが「ほらね!まりさはごはんをあつめるしかできないんだよ!」と何か非常に不愉快な笑みを浮かべつつ赤ちゃんの言葉に便乗した。 もっとも、まりさが「ゆっくりさせてくれないもの」と認識されているのはれいむが上手いこと餌集めの役目を全てまりさに押し付けたからなのだが。 「どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!?」 「いわれたくなかったらごはんをもってきてね!」 「だがらだがぐでむりなんだよおおおおおお!?」 「「「「おきゃーしゃんのばきゃあああああああああ!」」」」 もう何度目になるかもわからない集中砲火を前に、親まりさは涙目になるがどうしようもないのでさっきと同じように怒りが収まるまでただ耐え続ける。 が、さっきまでと違って赤ちゃんの空腹が限界近くに達していたらしく、容赦ない言葉の集中砲火は一向に止む気配を見せない。 「おきゃーしゃんのばきゃ!」 「きゅじゅ!」 「にょろま!」 「やきゅたたじょ!」 「ゆっくちできにゃいおきゃーしゃんにゃんてだいきりゃいだよ!」 「はやきゅおはんしゃがしにいっちぇね!」 「おはんをしゃがしゃないおきゃーしゃんなんておきゃーしゃんじゃないよ!」 「ゆっくちできにゃいよ!」 「「「「ゆっくちちたいよー!!」」」」 本来、赤ちゃんゆっくりにこんな語彙はないのだが、若干ゲス資質の高い母れいむが散々まりさを罵り倒した結果、こんな言葉を吐くようになってしまったのだ。 当の親れいむは体力の消耗を抑えるためにまりさを罵るのを赤ちゃん達に任せているらしく、「そうだよ!もっといってね!」などと言葉少なに赤ちゃん達をあおり続けている。 赤ちゃん達が疲れても、どれだけ涙ながらに「やめてい!」と言っても止むことのない罵詈雑言がどうしようもないほどに親まりさを傷つける。 やがて、その家族からの無慈悲な仕打ちに耐えかねた親まりさは・・・ 「もうやだ!おうちかえる!・・・・・・・・・ゆぎゅううううううう、ゆげえ!!?」 泣き叫びながら屋根の傾斜を滑り落ちるように飛び跳ね、4m以上も下にある地面へと落ちていった。 2日目 「「「「おきゃーしゃん・・・おにゃかしゅいたよおー・・・」」」」 泣きじゃくる体力もなくなった赤ちゃん達はそう呟き、親れいむにご飯を催促するが、屋根の上にいる以上餌を探しに行くことは不可能。 今まで屋根から落ちたっきり、恐らく潰れてしまったであろうまりさを悪役に仕立て上げて赤ちゃん達の気を紛らわせていたがそれももはや限界に来ていた。 何度か道を通りかかる人間に「れいむたちをゆっくりたすけてね!」と言ってみたものの、信じられないことに人間はこんなに可愛いれいむを平気で見捨てて行く。 そんな調子で何の打開策も見出せないまま、赤ちゃん達の体力はもはや相当危険なところまで来ていた。 「ゆゆっ!ゆっくりだまってね!れいむもおなかすてるんだよ!」 「ゆぅ~・・・おこらないでね、ゆっくちできにゃいよ・・・」 「ゆっくちちたいよ~・・・」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしゃせてよ・・・」 「ゆぅ・・・もうひちょりにおきゃーしゃんのほうがゆっくちできちゃよ・・・」 口々に文句をたれる赤ゆっくり達の最後の一言で怒りが頂天に達したれいむはその場でどんどんと跳躍を繰り返す。 心の中は自分よりずっとグズで、のろまで、せっかく自分が見つけてきたおうちを人間に乗っ取られたあのまりさ以下と言われたことで煮えくり返っていた。 実際にはこのおうちは本来人間のものだし、れいむだって人間に敵わなかったのだがそんなことを冷静に内省するつもりは微塵もなく、その怒りを我が子にぶつけた。 「ごちゃごちゃうるさいよ!なにもかもまりさがわるいんだよ!」 「「「「ゆ、ゆっ!?」」」」 「なんなの!どうしてもんくばっかりいうの!?ここはたかいんだよ!おちたらしぬんだよ!ゆっくりできないんだよ!」 「おきゃーしゃん、きょうわいよ・・・」 「ゆっくちちてよ~・・・」 「ゆっくりできるわけないでしょ!おまえたちがいなければおおきなおうちをさがさなくてもよかったんだよ!」 「ゆぅ~・・・」 「おまえたちがうまれたからおおきなおうちをさがさなくちゃならなくなったんだよ!おまえたちのせいなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ~・・・」 「あたりまえでしょ!あんなのろまのこどもにゆっくりするしかくなんてないよ!」 「どほぢでそんなこというのぉー!」 「おまえたちがぐずでのろまでゆっくりできないからだよ!」 「「「「ゆえーん・・・ゆえーん・・・」」」」 「なくのはやめてね!れいむがゆっくりできないよ!!」 怒りに我を忘れた母親に罵り倒らせ、悲しみのあまりに力なく泣く赤ゆっくり達。 しかし、今の親れいむには「あかちゃん、なかないでね!す~りす~り」などとやるような精神的余裕はない。 それどころか、何も出来ないくせに自分勝手なことを喚き散らす赤ゆっくり達が自分のゆっくりを妨げる害悪のようにさえ思える。 そして、親れいむは昨日はまりさに散々子どもを云々と言っていたことも忘れて、近くにいた赤まりさを踏み潰した。 「ゆきゅう!?・・・もっと、ゆっくちちちゃかっちゃよ・・・」 蚊の泣くような踏み潰された赤まりさの断末魔。 しかし、愛する母親に目の前で姉妹をつぶされた他の赤ちゃん達には耳元でダイナマイトを発破されたかのような轟音にも等しく、 あっという間に踏み潰された赤まりさの恐怖と絶望が他の赤ちゃん達にも伝染した。 「おきゃーしゃん、なにしてりゅるのおおおおお!!」 「れいみゅのいもうちょがあああああああああああ!!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」 赤ちゃん達は目の前の死の脅威に空腹も忘れて泣きじゃくるが、親れいむはそんな彼女たちをぎろりと睨みつけ、こう一喝した。 「うるさいよ!ゆっくりできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「きょわいよおおおおおおお!?」 「ま、まりしゃ、あぶにゃ・・・!?」 「まりしゃあああああああああ!!」 母親への恐怖が我慢の限界に達したのは目の前で同じ姿の姉妹を潰された赤まりさ。 ただ、目の前のゆっくり出来ないものから逃げ出したい一心で彼女は平坦場所から飛び出し、躓いて転倒すると、 饅頭ゆえの丸い体で屋根の傾斜をごろんごろんとゆっくり転げ落ちていき、昨日親まりさが消えていった屋根の下へと落ちていった。 「ゆゆっ?!ま、まりさがおちちゃったよ!?」 どうやらその光景を目の当たりにしたことと、赤ちゃん達が文句をたれるのを止めたおかげで我に返った親れいむは何故か飛び降りた我が子の安否を気遣う。 勿論、自分が赤まりさを潰したから恐怖に駆られたという発想は無いらしく、そもそも赤まりさを潰したことを覚えているかどうかさえ怪しい。 そんな親れいむはふと足元を見て、潰れた我が子を視界に収めると・・・ 「あかちゃんたち、きょうがこれをたべるよ!」 と、全く悪びれる様子も、同族食いへの嫌悪感を示すことも無く、いけしゃあしゃあとそんなことを言ってのけた。 確かに死んだ同族を食べることは割とよくある事なのだが、自分で殺した我が子を平然と食べようと提案するのはやはり異常としか言いようが無かった。 3日目 「「おきゃーしゃん、おなきゃがしゅいたよ!」」 昨日の一件でまりさ種の赤ちゃんは全滅しているので、昨日食べた姉妹の亡骸から得た栄養を使って元気良くその言葉を口にするのは赤れいむ2匹。 とは言え、先日の母親の恐ろしい姿をしっかり記憶しているので、あの時のようにあまりしつこく催促したり、無意味に罵倒したりはせず、 どうしても我慢できないほどの空腹感が襲ってきたときだけ、ただ本能に従ってその言葉を口にしていた。 もっとも、親れいむにだって屋根の上に放置されたこの状況を打開するすべはないのだから、回数が減ったところで不愉快なことに変わりは無いのだが。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・これじゃゆっくりできないよ!」 それに、何よりも一番空腹を感じているのは体格が3匹の中ではずば抜けて大きく、その分だけ大食いな親れいむ自身だ。 今までずっと我慢してきたがいい加減我慢の限界も近づいてきていて、あと少しでゆっくり出来なくなりそうな状態。 そういうわけで彼女は頭の中で自分がゆっくりするために我が子を食べることを画策していた。 「おなかがすいたんならゆっくりねむってね!」 「ゆぅ・・・ゆっくちりかいちたよ・・・」 「おきゃーしゃん、こもりうちゃうちゃって!」 「そんなのつかれるだけだよ!ゆっくりおねんねしてね!」 そんな親れいむの腹のうちを知る由も無い赤れいむ達は親れいむに促されるがままに空腹を紛らわせるために眠りにつく。 一方、親れいむは我が子がちゃんと眠りにつくまでじっくりとその様子を観察し続け、ゆっくりとチャンスの到来を伺っている。 そうして機を伺うこと27分、赤れいむが2匹ともゆぅゆぅという寝息が、千載一遇のチャンスの到来をれいむに告げた。 「そろーり・・・そろーり・・・」 何の必要も無い擬音をわざわざ口にしながらおもむろに子ども達に近づく親れいむ。 昨日食べた赤まりさのとろけるように繊細で柔らかい皮の舌触りと、やや控えめな甘さの餡子の風味を思い出すその表情は緩みきっていて、 ゆひひ・・・と品の無い笑みを浮かべる口元からはぽたぽたと涎が滴り落ちている。 そうして、1匹の赤れいむに皮と皮が触れそうな距離まで近づき、正面から食べるのは気が引けたのか背後に回りこんだところで・・・ 「ゆっくりいただきま~す!」 と、またしても何の必要も無いのに元気良く叫ぶと、思いきり良く赤れいむの後頭部を食いちぎった。 「ゆきぃいいいいいいいいいいいいい!?」 「む~しゃ、む~しゃ・・・しあわせ~!」 「ゆぅ・・・?ゆっ!おきゃーしゃん、なにちてりゅの!?」 突然の出来事に目を覚ました赤れいむは後頭部をかじられたことには気づかないものの、餡子を駆け巡る強烈な痛みと喪失感で金切り声を上げ、 つられて目を覚ましてしまったもう一匹の赤れいむは自分と同じ姿の親れいむが、自分と同じ姿をした姉妹を捕食する凄惨な光景を目の当たりにして泣き叫ぶ。 しかし、親れいむは2匹の様子などお構い無しに、昨日の姉妹を食べる光景を見せ付けられた恐怖と、その怖いものとずっと一緒にいる恐怖からか、 赤れいむの赤まりさより濃厚な甘みを堪能し、空腹が満たされる喜びと、今まで食べたことの無い美味しさに感動して涙を流していた。 「む~しゃむ~しゃ、すごくゆっくりできたよ!」 「ゆきゅぅ・・・お、おにぇーちゃんが・・・」 「ゆふぅ・・・すごくゆっくりできるよ!」 「れ、れいみゅ、おきゃーしゃんとはゆっくちできにゃいよ!!」 まりさが食べられて、れいむも食べられて、最後に残ったのは自分だけになった赤れいむは「次は自分だ」と言うことを本能的に理解し、屋根の上で唯一平らな場所から飛び出した。 そして、親まりさや子れいむと同じようにゆっくりにとっては奈落の底にも等しい遥か(と言っても4m程度)下の地面へと真っ逆さまに落ちていった。 「ゆゆっ!?れいむのあかちゃ~~~~~~~~~ん!!!」 その自殺行為にも等しい我が子の常軌を逸した突然の行動を眺めながら叫ぶ親れいむ。 こうして、最後の一匹になってしまった親れいむはほぼ全て自分の責任であることにも気づかずに、ただ静かにすすり泣いて夜を明かした。 4日目 「ゆぅ~・・・でいぶのあがぢゃん・・・どほぢであんなごど・・・」 親れいむは昨日の最後のゆっくり出来ない生活に耐えられなかった(と言う理由にれいむの中ではなっている)我が子の自殺の後からずっと悲しんでいた。 一体、どうしてこんなゆっくり出来ない状況になってしまったんだろうか? ほんの3日、4日前までは凄くゆっくり出来ていたはずなのに・・・気がつけば餌もない場所で孤独に耐える生活を強いられている。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ!」 一体、誰のせいでこんなにゆっくり出来ない生活をする羽目になったのだろうか? そうだ、あの人間のせいだ。れいむのおうちに勝手に上がりこんできてこんなところにれいむ達を放り投げた人間が悪いんだ。 それから、まりさのせいだ。れいむがおうちを見つけてあげたのに人間にも勝てないで、あまつさえれいむを見捨てようとしたあの愚図が悪いんだ。 ああ、美味しいご飯が食べたい。 「ゆうぅ・・・さぶいよ!ここじゃゆっくりできないよ!」 それだけじゃない、赤ちゃん達のせいでもある。どうして自分を置いてあんな自殺行為に走ったんだろうか。 ゆっくり出来なくて辛いのはわかるけれど、こんなにゆっくり出来るお母さんがいるのに・・・あまりにも堪え性がなさ過ぎる。 それに、そもそも赤ちゃん達が生まれなければ人里に下りてくる必要も無かったんだ。 ぽんぽんがペコペコだよ! 「ゆぅ・・・どほぢででいぶがゆっぐぢでぎないのぉおおおおお・・・・!」 どうして何も悪いことをしていない自分がこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなに可愛いれいむがこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなにお腹が空いているのに美味しいものを食べてゆっくり出来ないのだろうか? 気がつけばれいむの悲しみは我が子を失ったことから自分が理不尽な仕打ちを受けていることにすり変わっていた。 5日目 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・」 もう台詞の最後に「!」をつける余裕も無いれいむは虚ろな眼差しで曇り空を見上げ、きょろきょろと何かを探していた。 彼女の探しているもの、それはうーぱっくと呼ばれるゆっくりに対して好意的な飛行能力を有するゆっくりれみりゃの亜種だ。 そいつの力さえ借りることが出来れば何とかここから脱出して森に帰ることが出来るはず。 「ゆぅ・・・うーぱっくさん、ゆっくりしすぎだよ・・・」 どうしてこんなに可愛い自分がずっとゆっくりれいむのところに来てねとお願いしているのに平気で待たせられるのだろうか? 本当に皆してゆっくりし過ぎだよ。可愛いれいむはこんなにもゆっくり出来ない思いをしているのに。 自分のあまりの不遇を考えると思わず涙がこぼれる。 「・・・どほぢでみんなれいぶをいじべるのぉ・・・・」 美味しいご飯をゆっくり食べたい。 暖かい藁や葉っぱの上でゆっくり眠りたい。 風も雨もしのげるおうちの中でゆっくりしたい。 森の中でゆっくりかくれんぼがしたい。 広い原っぱでゆっくりかけっこがしたい。 ああ、何でもいいからゆっくりしたい。 「ゆっくりしたいよ・・・」 酷い空腹感のせいか、昨日のように誰かに不満をぶつけることも無い。 仕方なく眠りにつこうとするが、お腹が空きすぎて全く眠ることができなかった。 「ゆえーん・・・だれがぁ、たしゅげでよぉ・・・」 6日目 「ゆぎぃいいいいいいい!?あめさんなんでふってくるのおおおおおおお!?」 不運にも普段なら日が昇りはじめる頃にゆっくりにとって最も恐ろしいものの一つと言える雨が降って来た。 ゆっくり達が雨を苦手とする理由・・・それは小麦粉で出来た皮が一定量以上の水分を吸うとふやけて、やがては溶けてしまうから。 だから、ゆっくりは雨の日には基本的に外に出ずに巣の中ですごすのだが、屋根の上には雨から体を守るものがどこにもない。 まさに“詰んだ”に等しいほどの窮地に陥っていると言っても過言ではないのだ。 「ゆぅぅぅうう・・・あめさん、ゆっくりやんでね!おねがいだからゆっくりやんでね!」 そう言いながら必死にぴょこぴょこと跳ねるが雨は一向に止む気配を見せない。 それどころか、徐々に雨足が強くなっていき、ポタポタとまばらに降っていた雨がやがて地面や屋根を激しく打ち付ける大雨になってゆく。 れいむが何度「おねがいだよ、ゆっくりやんでね!」とか「あめさん、いじわるしないでよ!」と言ったところで何の意味も無い。 気がついたときにはザァーザァーという雨音が家屋の中にいても聞こえてくるほどの大雨になっていた。 「どほぢであべさんいぢわるずるのおおおおおお!?」 徐々に溶けてゆく皮と雨水のせいで良く見えないが、何処にも逃げ道の無いれいむはぼろぼろと大粒の涙を零しながら天に向かってほえる。 しかし、何を叫んでも返事が返ってくることなどありえず、その声は雨音にかき消されて誰の耳にも届かなかった。 しばらくそうやっていると、自分の体がかなり不自由になってしまっていることに気づく。 足元に出来た水溜りには黒い何かがにじんでいて、れいむにはそれが自分の中に詰まっていたものだとすぐに理解できた。 「ゆうううううう!れいむのあんこさん、でていかないでね!」 雨に流されて屋根から滑り落ちていく黒いそれを拾うために、れいむはぬれて普段よりずっと滑りやすくなっている屋根の傾斜へ思いっきり良く跳躍し、 足を滑らせるとそのまま今まで地面へ落ちて行ったゆっくり達と同様にごろんごろんと屋根を転がり、やがて4m以上も下の地面へと叩きつけられた。 雨でふやけた体で地に落ちたれいむは、それでもなお雨宿りできる場所を求めて、本当なら自分のものだったはずの人間の家の軒下へと這いずっていく。 しかし、彼女の歩みは唐突に止まった。体力が尽きたわけではなく視線の先に、人間の家の中にあったものを見て衝撃を受けたからだ。 「れいみゅ!おにーしゃんがおもちゃをくれちゃよ!」 「ゆゆっ!まりしゃいいな~!れいみゅもおもちゃほちいよ!」 「ふたりとも、なかよくいっしょにゆっくりあそぶんだよ!」 「「ゆっくちりかいちたよ!」」 視線の先にあったもの・・・それは地面に落ちて死んだはずの2匹の赤ちゃんがタンバリンを取り合い、それを人間の膝の上でまりさが見守っている光景だった。 人間の、あの日、自分達を屋根の上に放り投げた男の膝の上に座っているまりさの足に当たる部分には包帯が巻かれているがそれ以外は健康そのものだ。 満面の笑みを浮かべて男性に話しかけてはテーブルの上のクッキーを食べさせてもらい、向かいの人間の女性の膝の上にいるゆっくりありすと楽しそうに談笑していた。 「ど、どういうことなのおおおおおお・・・!?」 訳がわからない。本当に訳がわからない。 どうしてまりさが生きているの? どうして赤ちゃん達が生きているの? どうしてその人間と一緒にいるの? どうしてそんなありすと楽しそうにしているの? どうして美味しそうなお菓子を食べているの? どうして人間からおもちゃを貰っているの? どうして・・・・・・・・・ どうして・・・・・・ どうして・・・ ・・・どうしてれいむはそこにいないの? まりさはれいむが屋根の上でお腹を空かせている時に美味しそうなものをたくさん食べていたの? まりさはれいむが屋根の上で寒い思いをしている時にあったかいおうちの中でゆっくりしていたの? まりさはれいむが赤ちゃんを食べていた時に赤ちゃんと一緒に人間のご飯を食べていたの? まりさはれいむがひとりで寂しい思いをしている時にそこにいるありすとすっきりしていたの? まりさはれいむが雨に打たれて死にそうな時にどうしてそんなにゆっくりしているの? そこまで考えたところでれいむの意識は唐突に現実へと引き戻された。 相変わらず降りしきる雨。その雨足はあいかわらず激しく、強くれいむの皮を容赦なく打ち付けていた。 しばらく一人で変な問答をしている間に大分雨にやられてしまったれいむはもはや動くこともままならない。 ただじっと、近くて遠い家の中のゆっくりした光景を眺めながら、体から餡子が漏れ出す感触に怯えながら、れいむは立った一言・・・ 「もっと、ゆっくり・・・したかったよ・・・」 と雨音にかき消されて誰の耳にも届かないような小さな声で呟いた。 ‐‐‐後書きというか能書き‐‐‐ 殺したりせず虐待の労力を最小限度に済ませる方法を考えていた最中に浮かんだネタです。 「ゆっくりプレイス」宣言すらさせずに制裁へと移行するお兄さんマジ外道? ゲス 嫌われがちだけど、こいつらも必要あって存在してるんじゃないかと思う。 考えてみれば、人間に群れが襲われたときゲスがいなければ群れはほぼ100%壊滅するけど、ゲスがいればゲスが生き残る分で98%くらいになるかもしれないわけで。 作中でのれいむの子どもを食ってでもうーぱっくが来るまで生き延びるって判断は屋根の上だけの状況を見ればわりと真っ当な判断じゃないかと。 まりさと赤ちゃん達 作中の男性は虐待お兄さんではありあせん。したがって彼がれいむ達を屋根に放り投げたのは制裁のため。 何の被害も無ければ山に捨て置くだけなのですが、家の中でれいむ達を見かけた時点で窓を破られたと判断し制裁。 しかし、後で家の中を見てみると特に荒らされた形跡も無く、玄関から入ったことが判明したので「やりすぎたな」と後悔。 その後、庭で屋根から落ちて大怪我をして、気を失っていたまりさを発見し、保護する。 彼女の治療をお願いした近くのゆっくり愛好家の女性が美人だったので、下心むんむんにまりさを飼うことに。 さらに、まりさが目を覚ます前に赤まりさが落ちて(体重の軽さのおかげで軽傷)きて母れいむの凶行を知らされる。 近所の大工にでも一家を助けてもらおうかと考えていたが、更に赤れいむが落ちてきて母れいむが子どもを全滅させたことを知る。 そして、同族殺しを犯した以上れいむを助けるわけには行かないというまりさの主張を採用して放置決定。 そんな経緯で最後の場面に至ったんじゃないかと思います。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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「「ゆっくりしていってね!」」 「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」 もはや幻想郷の名物と化したその言葉を聞いた刹那、俺は目の前に居た“それら”のうち小さい奴を一つだけ乱暴に掴み、 力任せに玄関の戸を開けると、勢いよく外へと飛び出してとっぷりと日も暮れて闇の色に染まってゆく秋の空を仰いだ。 「いちゃいよ!やめちぇ!ゆっきゅりやめちぇね!?」 「ゆーっ!おにーさん、れいむのかわいいあかちゃんになにするの!?」 「やめるんだぜ!あかちゃんがいたがってるんだぜ!」 「「「「ゆっきゅりやめちぇね!」」」」 俺の手の中で喚いているのは先ほど掴んだもの・・・俗に“ゆっくり”と呼ばれる生首型餡子生命体の赤ちゃんだ。 そして、俺を追いかけて外に飛び出してきたその赤ちゃんの親や姉妹もまた空気を口内に溜めてぷくぅっと膨らんだ姿で足元で喚き散らしている。 が、俺はそいつらの言葉に耳を貸すことなくおもむろに振りかぶると、手の中の赤れいむを家の屋根めがけて放り投げた。 「そぉい!!」 「わーい、おしょらをとんでりゅみちゃーい!」 放物線を描く軌道で放り投げられた赤れいむは満面の笑みを浮かべて浮遊感を楽しんでいる。 その表情からは落下時のことを考えているとは到底思えず、ただ今現在の浮遊感と疾走感に酔いしれるばかり。 しかも本人どころか足元の両親でさえも「れいむも!れいむもおそらをゆっくりとばせてね!」などと言っている。 どうやらこいつらには屋根に激突した赤れいむが「ゆぇーん!ゆえーん!」と泣いているのは全く聞こえていないらしい。 「よし、じゃあ・・・まずは赤ちゃん達からだ」 「わぁい!おにーしゃん、れいみゅからなげちぇね!」 「ゆゆっ!まりちゃがしゃきだよ!」 「じゅるいよ!れいみゅもはやきゅおしょらをとびちゃいよ!」 俺の言葉をきっかけに赤ゆっくり達は我先にと元気いっぱいに自己主張し、やがて順番をめぐって喧嘩を始めてしまった。 喧嘩から真っ先に脱落したのはれいむ種の2匹で、勝ち残ったまりさ種の2匹は一番最初にお空を飛ぶ権利をめぐってまだ争っている。 が、いちいち順番が決まるのを待つのも億劫なので、俺はさっさと喧嘩の疲れを癒すために頬を寄せ合っている赤れいむの片割れを掴むと、 さっきと同じように振りかぶり、きっちりと屋根に乗るように加減して赤れいむを放り投げた。 「れいみゅおしょらをとんでりゅよ~!」 「「ゆゆっ!れいみゅ、じゅるいよ!」」 「ちゅぎはれいみゅだよ!」 さっき投げた赤れいむが屋根に着地する前に、足元に居たもう一匹の赤れいむを掴むと再び勢い良く放り投げる。 すると、後に放り投げられた赤れいむは不運にも前の赤れいむが着地する際に顔面から落下して痛い目に遭うのを空中で目の当たりにしてしまった。 「ゆえーん!いぢゃいよおおおお!」 「ゆゆっ!いちゃいのはやだよ!?」 しかし、れみりゃのように空を飛べるわけでもない赤れいむが空中で方向転換することなんて当然ながら不可能。 先に飛んだ2匹の赤れいむが「ゆっぐ・・・ゆぐぅ・・・」などと泣きじゃくるのを見ながら、自分の身に起きることを想像して恐怖におののくことしか出来ない。 僅かな時間だが赤れいむ自身にとっては永遠とも思えるような長い時間引きつった表情のまま宙を舞った後、地球の物理法則に従って眼下に広がる屋根へと落下し、 目玉や餡子がはじけ飛びそうなほどの衝撃がありもしない鼻から後頭部へと突き抜け、じんじんと餡子内に響くような痛みを残していった。 「ゆぎゅん!!?」 想像を絶する痛みに赤れいむはしばし動くことはおろか、呻くことも出来ずにぴくぴくと小さな体を痙攣させる。 その傍らでは先に飛んだ赤れいむ2匹が痙攣している彼女を気遣う素振りも見せず、ただ口々に自分自身がどれだけ痛い目に遭ったのかを泣き声によって語っていた。 一方、最初の赤ゆっくりと違ってこちらから見える場所に落ちたためにそんなものを見せ付けられ、あるいは聞かされてしまってはたまったものじゃないのはまだ下にいる両親と2匹の赤まりさ。 特にさっきの喧嘩に勝って先に飛ぶことになってしまった赤まりさは既に俺の手の中にいて、何とか抜け出そうと必死にもがきながら何やら叫んでいる。 うざいので足元で我が子を助けるべき必死に体当たりを敢行している親ともども、その叫びを無視してさっさと放り投げる。 「ゆきゃああああああ!?おきゃーしゃん、たしゅけでええええええええ!!」 「でいぶのあがぢゃんがあああああああ!?」 「まりさああああああああ!?」 赤まりさは近所迷惑な助けを求める叫び声を撒き散らしながら弧を描いて屋根へと飛んでいくが、両親にそれを止める手立てはない。 それでも両親は天高く舞う我がからぽかん子を目で追いかけているが、そんなものは気休めにさえならないわけで。 やがて、べちゃ!っという若干汚らしい音を立てて赤まりさも屋根に激突した。 さっきの赤れいむ同様にしばらくは静かだったがやがて泣き始め、先に屋根に放り投げられた3匹と一緒に泣き声の四重奏を奏で始めた。 「あかぢゃんだちがあああああ!まりぢゃあああ!どほぢよ・・・・・・どほぢでにげるのおおおおおお!?」 「そろーり・・・そろーり・・・ゆっ!?」 「しょろーり・・・しょろーり・・・ゆゆっ!?」 どうやら人間相手に何も出来ないことを悟った親まりさと赤まりさは尻尾を巻いて逃げるつもりだったらしい。 その事実を目の当たりにした親れいむは「どうしてそんなことするのっ!」だの、「れいむのあかちゃんかわいくないのっ!」などと憤りを露わにしているが、 自力で助けることは不可能な上に、家屋侵入したゆっくりは愛でお兄さんも修繕費などを請求されたくないため助けてくれないので実際のところはまりさの判断が正しい。 とは言え、俺は人間であり、ゆっくりが生き延びるための手助けをする理由もないので・・・ 「そうか、まりさはゲスまりさなんだな。仲間を平気で見捨てるゲスはこの村では加工所に提供することになっているんだが、どうしようか?」 「ゆゆっ!かこうじょいやだよっ!!」 「まりちゃゆっくちちちゃいよ!!」 「だったらあかちゃんをゆっくりたすけてね!!」 う~ん、自分は何もせずにつがいに赤ちゃんを助けろと要求するれいむの方がよっぽどゲスのような気がする。 もっとも、そんなことを懇切丁寧に指摘する必要も義理も無いので、俺はさっさと親まりさを両手で掴むと、屋根めがけて放り投げた。 まりさは俺の手の中で「おにーさん、やめてね!ゆっくりやめてね!」と涙ながらに懇願し、赤まりさは「やめちぇね!おきゃーしゃんをなげにゃいでね!」と泣いていたが、 その傍らでれいむは「おにーさん、ゆっくりしないでさっさとなげてね!」とどこか嫌らしい笑みを浮かべながらふんぞり返っていた。 「ゆぎゅううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 「おお、ぶさいくぶさいく・・・・・・ゆぅ?」 もちろん、言われるまでもなく放り投げてやると親まりさは赤ゆっくり達以上に必死の形相を作って絶叫しながら宙を舞う。 その様子をのん気に眺める間もなく俺は親れいむを両手で掴むと、続けざまにまりさと同じ投法で屋根めがけて思いっきり放り投げた。 どうやら自分は大丈夫だと思っていたらしい親れいむはぽかんと口を開いたどこか間抜けな表情を浮かべて首をかしげていたが、宙を舞う瞬間には親まりさと同じ表情になっていた。 「ゆうううううううううううう!?」 「おきゃああああしゃああああん!?」 その間にも親まりさは屋根へと落下し、そして激突すると体を(ゆっくりなりに)ピンっと伸ばしたような妙な姿勢で硬直し、その状態から身じろき一つしない。 気を失っているらしく、後頭部からは少量ながらも餡子が漏れ出している。彼女が意識を取り戻して「ゆぎぃいいい!いぢゃいいい!」などと泣き出したのは親れいむが屋根に激突した直後。 その上、健気にも自分が投げられたときには笑っていた親れいむをつがいとして気遣い、傍に寄り添って頬ずりをしながら「で、でいぶ・・・だいじょうぶ?」などと言っている。 見てみればそうやって寄り添う夫婦の周りに屋根に放り投げられた赤ゆっくり達が集まってその比較的大きな体に顔をうずめて泣いていた。 「ゆえーん、ゆえーん・・・」 ゆっくり一家の様子を眺めていた俺が足元を見るとその泣き声の主のまだ一匹だけ放り投げていないゆっくりまりさの赤ちゃんが、逃げようともせずに泣きじゃくっていた。 どこか哀れみを誘う光景ではあるが、ここは無慈悲に徹してさっさと赤まりさを掴むと、屋根の上のゆっくり家族の傍へと放り投げた。 宙を舞いながら「ゆきゃあああああああああ!」などと叫びつつ恐怖に満ちた表情を浮かべる赤まりさは、やがて親れいむの隣に落下した。 こうして、屋根の上のゆっくり一家のゆっくり出来ない日々が始まった。 1日目 「「「「おきゃーしゃん、おなかしゅいたよ!」」」」 昨日、男性の手によって屋根の上に放り投げられてから15時間以上が経過しており、この台詞も既に4回は口にしていた。 当然のことながら何度その言葉を口にしたところで食べ物は出てこないどころか、両親は食べ物を取りに行こうとする気配すら見せない。 「ゆっ!まりさ、れいむもおなかすいたよ!ゆっくりたべものをとってきてね!」 「ゆゆっ!?そんなのできないよ!」 親れいむも食べ物を取りに行こうとしない親まりさに抗議するが、彼女は一向に動こうとはしなかった。 「「「「ゆえーん、おなきゃしゅいたよおおおお!!」」」」 「あかちゃんたちがおなかすかせてるんだよ!どうしてたべものをとりにいかないの!?」 「こんなたかいとこからおちたらしんじゃうよ!」 今度は赤ちゃんを引き合いに出して親まりさに詰め寄る親れいむは目を少し吊り上げ、ぷくぅっと頬を膨らませている。 だが、どんな風に詰め寄られようと、どんなに泣きつかれようとゆうに4m以上の高さのある屋根の上から飛び降りればただではすまないし、 よしんば着地できても屋根の上に戻ることが出来ないため、結局何をどうやっても八方塞りにしかならないのだ。 しかし、お腹の空いた赤ちゃん達にはそんな事は理解出来ず、またパートナーのれいむは母性の強いれいむ種ゆえに泣きじゃくる我が子を前に冷静さを失っている。 そんな訳で傾斜のせいで非常に危険な屋根の上の、数少なく、なおかつ狭い平らな場所で親まりさは四面楚歌の状況にただひたすら耐えていた。 「「「「おかーしゃん、おにゃかしゅいたよー!」」」」 「ごめんね、あかちゃんたち。まりさがのろまなせいでたべものがないんだよ!」 「「ゆええええん、おにゃかしゅいたよおおおおお!」」 「「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」」 「ゆゆっ!そんなにいうなられいむがとりにいけばいいでしょ!なんでまりさだけのせいなの!?」 「れいむはあかちゃんといっしょにいなくちゃいけないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 まりさの抗議に母れいむは悪びれる様子もなくそう言い返すと、赤ちゃん達に頬ずりをし始める。 「あかちゃんのせわならまりさもできるよ!」と反論するが、赤ちゃん達に一斉に「ゆっくちさしぇてくれにゃいおかーしゃんなんてきりゃいだよ!」と罵られ、 更に親れいむが「ほらね!まりさはごはんをあつめるしかできないんだよ!」と何か非常に不愉快な笑みを浮かべつつ赤ちゃんの言葉に便乗した。 もっとも、まりさが「ゆっくりさせてくれないもの」と認識されているのはれいむが上手いこと餌集めの役目を全てまりさに押し付けたからなのだが。 「どほぢでそんなごどいうのおおおおおお!?」 「いわれたくなかったらごはんをもってきてね!」 「だがらだがぐでむりなんだよおおおおおお!?」 「「「「おきゃーしゃんのばきゃあああああああああ!」」」」 もう何度目になるかもわからない集中砲火を前に、親まりさは涙目になるがどうしようもないのでさっきと同じように怒りが収まるまでただ耐え続ける。 が、さっきまでと違って赤ちゃんの空腹が限界近くに達していたらしく、容赦ない言葉の集中砲火は一向に止む気配を見せない。 「おきゃーしゃんのばきゃ!」 「きゅじゅ!」 「にょろま!」 「やきゅたたじょ!」 「ゆっくちできにゃいおきゃーしゃんにゃんてだいきりゃいだよ!」 「はやきゅおはんしゃがしにいっちぇね!」 「おはんをしゃがしゃないおきゃーしゃんなんておきゃーしゃんじゃないよ!」 「ゆっくちできにゃいよ!」 「「「「ゆっくちちたいよー!!」」」」 本来、赤ちゃんゆっくりにこんな語彙はないのだが、若干ゲス資質の高い母れいむが散々まりさを罵り倒した結果、こんな言葉を吐くようになってしまったのだ。 当の親れいむは体力の消耗を抑えるためにまりさを罵るのを赤ちゃん達に任せているらしく、「そうだよ!もっといってね!」などと言葉少なに赤ちゃん達をあおり続けている。 赤ちゃん達が疲れても、どれだけ涙ながらに「やめてい!」と言っても止むことのない罵詈雑言がどうしようもないほどに親まりさを傷つける。 やがて、その家族からの無慈悲な仕打ちに耐えかねた親まりさは・・・ 「もうやだ!おうちかえる!・・・・・・・・・ゆぎゅううううううう、ゆげえ!!?」 泣き叫びながら屋根の傾斜を滑り落ちるように飛び跳ね、4m以上も下にある地面へと落ちていった。 2日目 「「「「おきゃーしゃん・・・おにゃかしゅいたよおー・・・」」」」 泣きじゃくる体力もなくなった赤ちゃん達はそう呟き、親れいむにご飯を催促するが、屋根の上にいる以上餌を探しに行くことは不可能。 今まで屋根から落ちたっきり、恐らく潰れてしまったであろうまりさを悪役に仕立て上げて赤ちゃん達の気を紛らわせていたがそれももはや限界に来ていた。 何度か道を通りかかる人間に「れいむたちをゆっくりたすけてね!」と言ってみたものの、信じられないことに人間はこんなに可愛いれいむを平気で見捨てて行く。 そんな調子で何の打開策も見出せないまま、赤ちゃん達の体力はもはや相当危険なところまで来ていた。 「ゆゆっ!ゆっくりだまってね!れいむもおなかすてるんだよ!」 「ゆぅ~・・・おこらないでね、ゆっくちできにゃいよ・・・」 「ゆっくちちたいよ~・・・」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしゃせてよ・・・」 「ゆぅ・・・もうひちょりにおきゃーしゃんのほうがゆっくちできちゃよ・・・」 口々に文句をたれる赤ゆっくり達の最後の一言で怒りが頂天に達したれいむはその場でどんどんと跳躍を繰り返す。 心の中は自分よりずっとグズで、のろまで、せっかく自分が見つけてきたおうちを人間に乗っ取られたあのまりさ以下と言われたことで煮えくり返っていた。 実際にはこのおうちは本来人間のものだし、れいむだって人間に敵わなかったのだがそんなことを冷静に内省するつもりは微塵もなく、その怒りを我が子にぶつけた。 「ごちゃごちゃうるさいよ!なにもかもまりさがわるいんだよ!」 「「「「ゆ、ゆっ!?」」」」 「なんなの!どうしてもんくばっかりいうの!?ここはたかいんだよ!おちたらしぬんだよ!ゆっくりできないんだよ!」 「おきゃーしゃん、きょうわいよ・・・」 「ゆっくちちてよ~・・・」 「ゆっくりできるわけないでしょ!おまえたちがいなければおおきなおうちをさがさなくてもよかったんだよ!」 「ゆぅ~・・・」 「おまえたちがうまれたからおおきなおうちをさがさなくちゃならなくなったんだよ!おまえたちのせいなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ~・・・」 「あたりまえでしょ!あんなのろまのこどもにゆっくりするしかくなんてないよ!」 「どほぢでそんなこというのぉー!」 「おまえたちがぐずでのろまでゆっくりできないからだよ!」 「「「「ゆえーん・・・ゆえーん・・・」」」」 「なくのはやめてね!れいむがゆっくりできないよ!!」 怒りに我を忘れた母親に罵り倒らせ、悲しみのあまりに力なく泣く赤ゆっくり達。 しかし、今の親れいむには「あかちゃん、なかないでね!す~りす~り」などとやるような精神的余裕はない。 それどころか、何も出来ないくせに自分勝手なことを喚き散らす赤ゆっくり達が自分のゆっくりを妨げる害悪のようにさえ思える。 そして、親れいむは昨日はまりさに散々子どもを云々と言っていたことも忘れて、近くにいた赤まりさを踏み潰した。 「ゆきゅう!?・・・もっと、ゆっくちちちゃかっちゃよ・・・」 蚊の泣くような踏み潰された赤まりさの断末魔。 しかし、愛する母親に目の前で姉妹をつぶされた他の赤ちゃん達には耳元でダイナマイトを発破されたかのような轟音にも等しく、 あっという間に踏み潰された赤まりさの恐怖と絶望が他の赤ちゃん達にも伝染した。 「おきゃーしゃん、なにしてりゅるのおおおおお!!」 「れいみゅのいもうちょがあああああああああああ!!」 「ゆっくちできにゃいよおおおおおお!」 赤ちゃん達は目の前の死の脅威に空腹も忘れて泣きじゃくるが、親れいむはそんな彼女たちをぎろりと睨みつけ、こう一喝した。 「うるさいよ!ゆっくりできないあかちゃんはゆっくりしんでね!」 「きょわいよおおおおおおお!?」 「ま、まりしゃ、あぶにゃ・・・!?」 「まりしゃあああああああああ!!」 母親への恐怖が我慢の限界に達したのは目の前で同じ姿の姉妹を潰された赤まりさ。 ただ、目の前のゆっくり出来ないものから逃げ出したい一心で彼女は平坦場所から飛び出し、躓いて転倒すると、 饅頭ゆえの丸い体で屋根の傾斜をごろんごろんとゆっくり転げ落ちていき、昨日親まりさが消えていった屋根の下へと落ちていった。 「ゆゆっ?!ま、まりさがおちちゃったよ!?」 どうやらその光景を目の当たりにしたことと、赤ちゃん達が文句をたれるのを止めたおかげで我に返った親れいむは何故か飛び降りた我が子の安否を気遣う。 勿論、自分が赤まりさを潰したから恐怖に駆られたという発想は無いらしく、そもそも赤まりさを潰したことを覚えているかどうかさえ怪しい。 そんな親れいむはふと足元を見て、潰れた我が子を視界に収めると・・・ 「あかちゃんたち、きょうがこれをたべるよ!」 と、全く悪びれる様子も、同族食いへの嫌悪感を示すことも無く、いけしゃあしゃあとそんなことを言ってのけた。 確かに死んだ同族を食べることは割とよくある事なのだが、自分で殺した我が子を平然と食べようと提案するのはやはり異常としか言いようが無かった。 3日目 「「おきゃーしゃん、おなきゃがしゅいたよ!」」 昨日の一件でまりさ種の赤ちゃんは全滅しているので、昨日食べた姉妹の亡骸から得た栄養を使って元気良くその言葉を口にするのは赤れいむ2匹。 とは言え、先日の母親の恐ろしい姿をしっかり記憶しているので、あの時のようにあまりしつこく催促したり、無意味に罵倒したりはせず、 どうしても我慢できないほどの空腹感が襲ってきたときだけ、ただ本能に従ってその言葉を口にしていた。 もっとも、親れいむにだって屋根の上に放置されたこの状況を打開するすべはないのだから、回数が減ったところで不愉快なことに変わりは無いのだが。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・これじゃゆっくりできないよ!」 それに、何よりも一番空腹を感じているのは体格が3匹の中ではずば抜けて大きく、その分だけ大食いな親れいむ自身だ。 今までずっと我慢してきたがいい加減我慢の限界も近づいてきていて、あと少しでゆっくり出来なくなりそうな状態。 そういうわけで彼女は頭の中で自分がゆっくりするために我が子を食べることを画策していた。 「おなかがすいたんならゆっくりねむってね!」 「ゆぅ・・・ゆっくちりかいちたよ・・・」 「おきゃーしゃん、こもりうちゃうちゃって!」 「そんなのつかれるだけだよ!ゆっくりおねんねしてね!」 そんな親れいむの腹のうちを知る由も無い赤れいむ達は親れいむに促されるがままに空腹を紛らわせるために眠りにつく。 一方、親れいむは我が子がちゃんと眠りにつくまでじっくりとその様子を観察し続け、ゆっくりとチャンスの到来を伺っている。 そうして機を伺うこと27分、赤れいむが2匹ともゆぅゆぅという寝息が、千載一遇のチャンスの到来をれいむに告げた。 「そろーり・・・そろーり・・・」 何の必要も無い擬音をわざわざ口にしながらおもむろに子ども達に近づく親れいむ。 昨日食べた赤まりさのとろけるように繊細で柔らかい皮の舌触りと、やや控えめな甘さの餡子の風味を思い出すその表情は緩みきっていて、 ゆひひ・・・と品の無い笑みを浮かべる口元からはぽたぽたと涎が滴り落ちている。 そうして、1匹の赤れいむに皮と皮が触れそうな距離まで近づき、正面から食べるのは気が引けたのか背後に回りこんだところで・・・ 「ゆっくりいただきま~す!」 と、またしても何の必要も無いのに元気良く叫ぶと、思いきり良く赤れいむの後頭部を食いちぎった。 「ゆきぃいいいいいいいいいいいいい!?」 「む~しゃ、む~しゃ・・・しあわせ~!」 「ゆぅ・・・?ゆっ!おきゃーしゃん、なにちてりゅの!?」 突然の出来事に目を覚ました赤れいむは後頭部をかじられたことには気づかないものの、餡子を駆け巡る強烈な痛みと喪失感で金切り声を上げ、 つられて目を覚ましてしまったもう一匹の赤れいむは自分と同じ姿の親れいむが、自分と同じ姿をした姉妹を捕食する凄惨な光景を目の当たりにして泣き叫ぶ。 しかし、親れいむは2匹の様子などお構い無しに、昨日の姉妹を食べる光景を見せ付けられた恐怖と、その怖いものとずっと一緒にいる恐怖からか、 赤れいむの赤まりさより濃厚な甘みを堪能し、空腹が満たされる喜びと、今まで食べたことの無い美味しさに感動して涙を流していた。 「む~しゃむ~しゃ、すごくゆっくりできたよ!」 「ゆきゅぅ・・・お、おにぇーちゃんが・・・」 「ゆふぅ・・・すごくゆっくりできるよ!」 「れ、れいみゅ、おきゃーしゃんとはゆっくちできにゃいよ!!」 まりさが食べられて、れいむも食べられて、最後に残ったのは自分だけになった赤れいむは「次は自分だ」と言うことを本能的に理解し、屋根の上で唯一平らな場所から飛び出した。 そして、親まりさや子れいむと同じようにゆっくりにとっては奈落の底にも等しい遥か(と言っても4m程度)下の地面へと真っ逆さまに落ちていった。 「ゆゆっ!?れいむのあかちゃ~~~~~~~~~ん!!!」 その自殺行為にも等しい我が子の常軌を逸した突然の行動を眺めながら叫ぶ親れいむ。 こうして、最後の一匹になってしまった親れいむはほぼ全て自分の責任であることにも気づかずに、ただ静かにすすり泣いて夜を明かした。 4日目 「ゆぅ~・・・でいぶのあがぢゃん・・・どほぢであんなごど・・・」 親れいむは昨日の最後のゆっくり出来ない生活に耐えられなかった(と言う理由にれいむの中ではなっている)我が子の自殺の後からずっと悲しんでいた。 一体、どうしてこんなゆっくり出来ない状況になってしまったんだろうか? ほんの3日、4日前までは凄くゆっくり出来ていたはずなのに・・・気がつけば餌もない場所で孤独に耐える生活を強いられている。 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ!」 一体、誰のせいでこんなにゆっくり出来ない生活をする羽目になったのだろうか? そうだ、あの人間のせいだ。れいむのおうちに勝手に上がりこんできてこんなところにれいむ達を放り投げた人間が悪いんだ。 それから、まりさのせいだ。れいむがおうちを見つけてあげたのに人間にも勝てないで、あまつさえれいむを見捨てようとしたあの愚図が悪いんだ。 ああ、美味しいご飯が食べたい。 「ゆうぅ・・・さぶいよ!ここじゃゆっくりできないよ!」 それだけじゃない、赤ちゃん達のせいでもある。どうして自分を置いてあんな自殺行為に走ったんだろうか。 ゆっくり出来なくて辛いのはわかるけれど、こんなにゆっくり出来るお母さんがいるのに・・・あまりにも堪え性がなさ過ぎる。 それに、そもそも赤ちゃん達が生まれなければ人里に下りてくる必要も無かったんだ。 ぽんぽんがペコペコだよ! 「ゆぅ・・・どほぢででいぶがゆっぐぢでぎないのぉおおおおお・・・・!」 どうして何も悪いことをしていない自分がこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなに可愛いれいむがこんな酷い目に遭うんだろうか? どうしてこんなにお腹が空いているのに美味しいものを食べてゆっくり出来ないのだろうか? 気がつけばれいむの悲しみは我が子を失ったことから自分が理不尽な仕打ちを受けていることにすり変わっていた。 5日目 「ゆぅ・・・おなかがすいたよ・・・」 もう台詞の最後に「!」をつける余裕も無いれいむは虚ろな眼差しで曇り空を見上げ、きょろきょろと何かを探していた。 彼女の探しているもの、それはうーぱっくと呼ばれるゆっくりに対して好意的な飛行能力を有するゆっくりれみりゃの亜種だ。 そいつの力さえ借りることが出来れば何とかここから脱出して森に帰ることが出来るはず。 「ゆぅ・・・うーぱっくさん、ゆっくりしすぎだよ・・・」 どうしてこんなに可愛い自分がずっとゆっくりれいむのところに来てねとお願いしているのに平気で待たせられるのだろうか? 本当に皆してゆっくりし過ぎだよ。可愛いれいむはこんなにもゆっくり出来ない思いをしているのに。 自分のあまりの不遇を考えると思わず涙がこぼれる。 「・・・どほぢでみんなれいぶをいじべるのぉ・・・・」 美味しいご飯をゆっくり食べたい。 暖かい藁や葉っぱの上でゆっくり眠りたい。 風も雨もしのげるおうちの中でゆっくりしたい。 森の中でゆっくりかくれんぼがしたい。 広い原っぱでゆっくりかけっこがしたい。 ああ、何でもいいからゆっくりしたい。 「ゆっくりしたいよ・・・」 酷い空腹感のせいか、昨日のように誰かに不満をぶつけることも無い。 仕方なく眠りにつこうとするが、お腹が空きすぎて全く眠ることができなかった。 「ゆえーん・・・だれがぁ、たしゅげでよぉ・・・」 6日目 「ゆぎぃいいいいいいい!?あめさんなんでふってくるのおおおおおおお!?」 不運にも普段なら日が昇りはじめる頃にゆっくりにとって最も恐ろしいものの一つと言える雨が降って来た。 ゆっくり達が雨を苦手とする理由・・・それは小麦粉で出来た皮が一定量以上の水分を吸うとふやけて、やがては溶けてしまうから。 だから、ゆっくりは雨の日には基本的に外に出ずに巣の中ですごすのだが、屋根の上には雨から体を守るものがどこにもない。 まさに“詰んだ”に等しいほどの窮地に陥っていると言っても過言ではないのだ。 「ゆぅぅぅうう・・・あめさん、ゆっくりやんでね!おねがいだからゆっくりやんでね!」 そう言いながら必死にぴょこぴょこと跳ねるが雨は一向に止む気配を見せない。 それどころか、徐々に雨足が強くなっていき、ポタポタとまばらに降っていた雨がやがて地面や屋根を激しく打ち付ける大雨になってゆく。 れいむが何度「おねがいだよ、ゆっくりやんでね!」とか「あめさん、いじわるしないでよ!」と言ったところで何の意味も無い。 気がついたときにはザァーザァーという雨音が家屋の中にいても聞こえてくるほどの大雨になっていた。 「どほぢであべさんいぢわるずるのおおおおおお!?」 徐々に溶けてゆく皮と雨水のせいで良く見えないが、何処にも逃げ道の無いれいむはぼろぼろと大粒の涙を零しながら天に向かってほえる。 しかし、何を叫んでも返事が返ってくることなどありえず、その声は雨音にかき消されて誰の耳にも届かなかった。 しばらくそうやっていると、自分の体がかなり不自由になってしまっていることに気づく。 足元に出来た水溜りには黒い何かがにじんでいて、れいむにはそれが自分の中に詰まっていたものだとすぐに理解できた。 「ゆうううううう!れいむのあんこさん、でていかないでね!」 雨に流されて屋根から滑り落ちていく黒いそれを拾うために、れいむはぬれて普段よりずっと滑りやすくなっている屋根の傾斜へ思いっきり良く跳躍し、 足を滑らせるとそのまま今まで地面へ落ちて行ったゆっくり達と同様にごろんごろんと屋根を転がり、やがて4m以上も下の地面へと叩きつけられた。 雨でふやけた体で地に落ちたれいむは、それでもなお雨宿りできる場所を求めて、本当なら自分のものだったはずの人間の家の軒下へと這いずっていく。 しかし、彼女の歩みは唐突に止まった。体力が尽きたわけではなく視線の先に、人間の家の中にあったものを見て衝撃を受けたからだ。 「れいみゅ!おにーしゃんがおもちゃをくれちゃよ!」 「ゆゆっ!まりしゃいいな~!れいみゅもおもちゃほちいよ!」 「ふたりとも、なかよくいっしょにゆっくりあそぶんだよ!」 「「ゆっくちりかいちたよ!」」 視線の先にあったもの・・・それは地面に落ちて死んだはずの2匹の赤ちゃんがタンバリンを取り合い、それを人間の膝の上でまりさが見守っている光景だった。 人間の、あの日、自分達を屋根の上に放り投げた男の膝の上に座っているまりさの足に当たる部分には包帯が巻かれているがそれ以外は健康そのものだ。 満面の笑みを浮かべて男性に話しかけてはテーブルの上のクッキーを食べさせてもらい、向かいの人間の女性の膝の上にいるゆっくりありすと楽しそうに談笑していた。 「ど、どういうことなのおおおおおお・・・!?」 訳がわからない。本当に訳がわからない。 どうしてまりさが生きているの? どうして赤ちゃん達が生きているの? どうしてその人間と一緒にいるの? どうしてそんなありすと楽しそうにしているの? どうして美味しそうなお菓子を食べているの? どうして人間からおもちゃを貰っているの? どうして・・・・・・・・・ どうして・・・・・・ どうして・・・ ・・・どうしてれいむはそこにいないの? まりさはれいむが屋根の上でお腹を空かせている時に美味しそうなものをたくさん食べていたの? まりさはれいむが屋根の上で寒い思いをしている時にあったかいおうちの中でゆっくりしていたの? まりさはれいむが赤ちゃんを食べていた時に赤ちゃんと一緒に人間のご飯を食べていたの? まりさはれいむがひとりで寂しい思いをしている時にそこにいるありすとすっきりしていたの? まりさはれいむが雨に打たれて死にそうな時にどうしてそんなにゆっくりしているの? そこまで考えたところでれいむの意識は唐突に現実へと引き戻された。 相変わらず降りしきる雨。その雨足はあいかわらず激しく、強くれいむの皮を容赦なく打ち付けていた。 しばらく一人で変な問答をしている間に大分雨にやられてしまったれいむはもはや動くこともままならない。 ただじっと、近くて遠い家の中のゆっくりした光景を眺めながら、体から餡子が漏れ出す感触に怯えながら、れいむは立った一言・・・ 「もっと、ゆっくり・・・したかったよ・・・」 と雨音にかき消されて誰の耳にも届かないような小さな声で呟いた。 ‐‐‐後書きというか能書き‐‐‐ 殺したりせず虐待の労力を最小限度に済ませる方法を考えていた最中に浮かんだネタです。 「ゆっくりプレイス」宣言すらさせずに制裁へと移行するお兄さんマジ外道? ゲス 嫌われがちだけど、こいつらも必要あって存在してるんじゃないかと思う。 考えてみれば、人間に群れが襲われたときゲスがいなければ群れはほぼ100%壊滅するけど、ゲスがいればゲスが生き残る分で98%くらいになるかもしれないわけで。 作中でのれいむの子どもを食ってでもうーぱっくが来るまで生き延びるって判断は屋根の上だけの状況を見ればわりと真っ当な判断じゃないかと。 まりさと赤ちゃん達 作中の男性は虐待お兄さんではありあせん。したがって彼がれいむ達を屋根に放り投げたのは制裁のため。 何の被害も無ければ山に捨て置くだけなのですが、家の中でれいむ達を見かけた時点で窓を破られたと判断し制裁。 しかし、後で家の中を見てみると特に荒らされた形跡も無く、玄関から入ったことが判明したので「やりすぎたな」と後悔。 その後、庭で屋根から落ちて大怪我をして、気を失っていたまりさを発見し、保護する。 彼女の治療をお願いした近くのゆっくり愛好家の女性が美人だったので、下心むんむんにまりさを飼うことに。 さらに、まりさが目を覚ます前に赤まりさが落ちて(体重の軽さのおかげで軽傷)きて母れいむの凶行を知らされる。 近所の大工にでも一家を助けてもらおうかと考えていたが、更に赤れいむが落ちてきて母れいむが子どもを全滅させたことを知る。 そして、同族殺しを犯した以上れいむを助けるわけには行かないというまりさの主張を採用して放置決定。 そんな経緯で最後の場面に至ったんじゃないかと思います。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける