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『ジグゾーパズル(前編)』 38KB 制裁 思いやり 愛情 自業自得 お家宣言 野良ゆ 赤ゆ ゲス 透明な箱 現代 虐待人間 以下:余白 『ジグゾーパズル(前編)』 序、 市街地から少し離れた郊外に一戸建ての家があった。 外壁は白塗りで昔ながらの瓦造りの屋根。敷地内にはお世辞にも庭とまでは呼べない広さの空間が広がっており、これまた高級感を全く感じさせない小砂利が敷いてある。 窓は全て開け放たれており、初夏の風が家の中を吹き抜けていた。そして、薄ぼんやりとした陽射しの差し込むテーブル。そこで少女がテーブルに突っ伏して眠っていた。 年の頃は十七、八くらいで綺麗な黒髪のセミロング。白を基調としたプリントティーシャツとジャージを穿いて、足は裸足だった。 テーブルの傍らには小さなラジオが置いており、アナウンサーが今後一週間の天気を独り言のように喋っている。 ラジオのすぐ横には砂時計が置いてあり、その中の砂がさらさらと下に落ちていた。この砂時計は十分間かけて砂が全部下に落ちる仕組みになっている。 それから少しの時間が経って、砂時計の上半分に溜まっていた砂は空になった。 しかし、少女はテーブルに置いた自分の腕に顔をうずめたまま動かない。 しばらくして、少女がいるリビングとは別の部屋から少年の声が聞こえた。 「姉ちゃーん!」 「…………」 「おーい!!」 「……――ハッ!? やば……っ、火ィかけっぱなし!!」 慌てて飛び起きた少女がテーブルの縁に腰を思い切りぶつけながら、台所へと飛び込む。 ガスコンロの上に鍋が載せられていた。見れば、白い泡が吹きこぼれる直前である。すぐに火を弱めて、吹き上がった泡が沈んで行くのを見て、少女が思わず溜め息をつく。 「……セーフ……。ごめーん! ありがとう!!」 「いいよ、気にしないで」 離れた場所にいる弟と大声で会話を交わす少女。 少女は鍋の中で煮込まれていたジャガイモやニンジン、豚肉などをお玉でくるくると掻き混ぜると、すぐに反転して冷蔵庫の中からカレールゥを取り出した。 それをパキポキと折って鍋の中に入れる。それから五分程度、中火でルゥを溶かして味見をしてから蓋をした。 今日二度目の溜め息をつく。 少女は一度手を洗い、冷蔵庫の中から麦茶とコップを二つ持ってフローリングの上をぺたぺたと歩き出した。 「入るよー?」 「どうぞ」 別に扉が閉まっているわけではないが、部屋の中にいる少年に伺いを立てる。 少女が部屋の中に足を踏み入れると、真正面に置かれたベッドの上で彼女の弟がベッド備え付けの机の上で何か作業をしていた。 少年は姉が部屋に入ってきたのに気づきながらも、そちらの方には目を向けず一心に手を動かしている。 「いやぁ、ごめんごめん。ついウトウトしちゃってさ……」 「目覚まし時計を使えばいいのに。どうして砂時計なんて使って時間を計ろうとするのさ」 少女の言葉に少年が振り向かずに答えて、また質問を返した。 「だって……私、砂時計マニアなんだもん」 少女がぎこちない笑みを浮かべて答える。少年は小さく笑うと、考え込むように机の上を見つめて動かなくなった。そこへ少女が近寄っていく。 「また、ジグゾーパズル?」 「うん。お母さんが今度は二千ピースのパズルを送ってきたから。せめてお盆休みまでには完成させて、見せてあげたいと思って」 「趣味半分……いや、四分の三くらいの癖に」 「バレバレか」 少女の言葉に少年が笑う。仲の良い姉弟だった。二、三交わした会話で一度集中することを終えたのか、少年がようやく少女へと向き直った。 短髪に端正な顔立ち。肌の色はどちらかと言えば白く多少痩せてはいるが、不健康そうに見えるほどではない。見た目からして中学三年生くらいか。 少年が向かっていた机に目を向けると、大きなパズルの枠と五、六個の空き箱が見える。既にパズルの四方は完成しており、いよいよ内側に着手するというところだ。 「飽きないわねぇ」 「面白いからね」 「私はやったことないから解らないけれど、パズルをやるってどういう感じなの?」 「……そうだなぁ……。パズルってさ、ピースを嵌めていくまでは真っ白なキャンパスみたいなものでしょう?」 「まぁ、そうね」 「それにピースを一つ一つ嵌めていくとさ、まるで絵を描いているような気になれるんだ。僕は絵心が無いからパズルに描かれてるような絵は描けないしね」 「写真とか見ながらでも描いてみたら楽しいかも知れないわよ?」 「いや……。写真は一度見てしまえば、それは完結した景色と同じだから。僕が、その景色を実際に見たわけじゃないからね」 静かに語る少年は、伏し目がちに箱の中に色分けされたピースを一つ一つ手に取って、似たような色合いの所に置いたり離したりしている。 少女はそんな弟を横目で見ながら、パズルのキャンパスに目を向けた。それから指を差して、 「ここ、そのピースじゃないの?」 「ん? ……あ、本当だ。ありがとう」 「どういたしまして」 「こうやって、ピースを一つずつ嵌めていくのが好きなんだ」 「まぁ、それがパズルの醍醐味でしょうしね」 「ピースにもさ、小さな線とか色とか全部描いてあるんだ」 「完成したら一枚の絵になるんだから当然よね」 「姉ちゃんは夢がないな。例えばさ、今、姉ちゃんが嵌めたこのピース。ここで線が途切れてるでしょう?」 少年が指さすピースを見て、少女がこくんと頷いた。 「この線が、どこへ延びるんだろう。この線は、何を表現しているんだろう。そう考えながらピースを嵌めていくとね、まるで僕自身がこのキャンパスに描かれる景色を自分の 足で見に行っているような気になれるんだ。森の中を抜けたら海が広がっていた……とか、トンネルを抜ければ一面の銀世界でした……とか。パズルにはそういう楽しさがある と思うんだ。それを考えれば、写真は誰かの目を通して見た景色でしかなくて、その景色を見るに至るまでの過程が分からない」 「……我が弟ながら、なんというか特殊な感情の持ち主だねぇ」 「あはは。結局、パズルをやる人間の目的なんてそれぞれだよ。僕はたまたまこういう考え方をしているっていうだけでさ」 「でも、パズルって箱に描かれた写真とか絵を参考にしながら完成させていくものでしょ? だったら、どんな風景なのかは分かるんじゃないの?」 「うん。だから、僕はお母さんに頼んで、枠とピースだけを送ってもらうようにしてるんだ」 「――え? もしかして、今までずっとそんな風にやってたの?」 「ここ二、三回くらいだから姉ちゃんは知らないと思うよ。これがなかなか難しくてさ」 当然だ。難しいなんてものではないはずである。完成形が分からないまま、わずか二センチ弱のピースを二千個も組み合わせていくのだ。 目を丸くしていた少女がやがて納得したように頷いた。 確かにこれなら自分がまだ見ぬ景色を求めて歩いているような気持ちになれるかも知れない。 少年は小さな頃から冒険家になりたいという夢を持っていた。しかし、現実は約十年間も続くベッドの上での生活。ベッドの横には車椅子が置いてあった。 少年は幼い頃に大病を患った。その時の後遺症からか、下半身が麻痺して動かなくなってしまったのである。 不幸は追い打ちをかけるように続き、姉弟の父親は出勤途中に交通事故で他界した。 以来、母は家庭を支えるためにほとんど出稼ぎに近い形で出張を繰り返し、激務をこなしていた。二ヶ月に一度帰ってくることがあるかどうか、である。 一方で少女は家事全般を任され、ほぼ弟と二人暮らしだ。 もう何年も前だが、少年は自殺を図ろうとした。自分が一家にとって重荷になっているのが耐えられなかったからである。 なんとか一命を取り留めた少年は、母と姉に頬を打たれた。「お願いだから生きて」と。「お母さんをこれ以上悲しませるな」と。 やがて少年は現実を受け入れた。それからは卓上旅行が趣味になった。 小説や世界の旅行ガイド等を読んで、まるで自分がその場所に行っているかのような錯覚を楽しむ。 しかし少年は、楽しみながら時々泣いていた。この石造りの道路を歩いてみたい。山の新鮮な空気を吸ってみたい。透き通るような水に触れてみたい。 いつからか、そんな事ばかりを考えるようになった。 それに気付いた母親は、ある時決して多くはない給料の中から五百ピースのジグゾーパズルを買ってきた。 それは水平線の向こうに夕日が沈む様子を描いたもので、少年はその絵をぼんやりと見ながら初めてのパズルに取り掛かったのである。 少年はすぐに夢中になっていた。ピースを嵌めていくことはパズル初心者にとって決して容易ではない。 あーでもない、こーでもないと思考を巡らせることで、感情を沈ませる時間が減っていった。一人だと全てを悪い方向に考えてしまいがちなのは、誰でも同じなのだ。 母親がそれを意図してパズルを送ったのかは定かではないが、とにかく少年はパズルを組み立てて行くことで彼の世界に安寧を得ることができた。 「麦茶、ここに置いとくね。お腹が空いたら教えて。もう、カレーはできてるから」 「ありがとう、お姉ちゃん」 少年はそう言いながら、コップに口をつけてまたすぐにパズルへと向き直る。 頭の中でこれから描かれるであろう風景を想像して、楽しんでいるのだろう。とても穏やかな表情でピースの入った箱に手を伸ばした。 一、 少年が二千ピースのパズルに着手してから一ヶ月半が過ぎた。 昨夜、母親から姉の携帯電話に連絡があり、来週末には帰宅できそうだとの報せがあった。 例のパズルは八割がた完成しており、後は中央にできた空白を外側から埋めて行くだけである。少年ほどの実力者なら、一週間もあれば十分に完成するだろう。 少年はパズル上級者と肩を並べても遜色ないほどの実力を持っていた。 二千ピースなら、まともにやっても完成させるのに半年以上かかる事だって珍しくない。中には完成できずに諦めてしまう者もいるほどだ。 完成間近のパズルを少女が覗き込む。 「へぇ……。でも、これはどこかしらね? 周りを見る限り、日本百景みたいなすごい風景には見えないんだけど」 「確かにそれは僕も思っていたよ。日本の名所とかは大体、本や写真で見たつもりだったけど、ここはどこかが解らないな」 「世界は広いって事かしら」 「そうだね。僕が見たことない絶景なんてまだまだたくさんあるだろうしね」 少年が遠くを見つめるような目で部屋の壁の向こう側に視線を送る。少女もつられてそちらに目を向けた。二人で小さく笑う。 リビングに掛けてあった時計の音が一度だけ鳴った。午後一時だ。今日は土曜日で少女も学校は休み。タイムサービスを狙って買い出しに行く予定だった。 少女は一度台所に戻り、冷蔵庫を開くとその中からシュークリームを取り出した。それを少年のベッド脇に置かれた小さな戸棚の上に置く。 「それじゃあ、行ってくるね。今日は肉じゃがを作るから。夕方までには戻るよ。シュークリームは食べ終わったら、お皿をそこに置いといてね」 「うん。行ってらっしゃい」 少女が慌ただしく家を出て行く。少年は少女のバタバタという足音を聞きながら、今度は一人で小さく笑った。 急に家の中が静かになった。少年は一人でパズル製作に集中していたし、そういう時に彼は音楽やラジオを聞いたりはしない。集中できなくなるという理由だ。 ただ、シーツの衣擦れの音と残り四百ほどのピースに手をかけたときの音だけが静まり返った部屋に響く。 理由は分からないが、ピースは次々と嵌めこまれていった。やたらと調子がいい。パズルをやっていれば、そういう事はたまにある。 少年はまるでピースの一つ一つに手招きされるように、箱の中の山から選んだピースを掴んでいった。 しばらくすると、パズルの中央に四足の靴が並んだ。 (……え?) 風景の写真だとばかり思い込んでいたこのパズルに、突如として人物が現れたことに驚きを隠せない。 それでも、心の奥底は澄んだ湖のように落ち着いていて、ピースはどんどんその周囲を埋めていった。まるで、パズルそのものが自身の完成を強く望んでいるかのように。 一人目の人物が完成したとき、少年は思わず手を止めてしまった。 (小さい頃の……僕だ) そこから無意識に組み込まれていくピースの一つ一つ。 少年は四つ並んだ靴の一番左側にいた。程なくして一番右側の人物が完成する。それは姉の姿だった。では、この中央の人物二人は……。 (お父さんと、お母さん……?) パズルのキャンバスの中にいる少年と少女の頭の上には、周りの景色とは明らかに違う線が引かれていた。そして、それが文字であることに遅れて気付く。 (何て書いてあるか……今の状態じゃ判らないな……) まるで時が止まってしまったかのような感覚。これはどう考えても市販のパズルではない。すぐに母親の顔が頭をよぎった。 色々な考えが心の中で混ざり、コーヒーとミルクのように溶け合う。 そんな時だった。 ガラス戸に何か当たったような音が聞こえた。カシャン、カチン……とまるでガラスに小石でもぶつかったかのような音だ。 少年が思考を巡らせるのをやめて、音のする方向へと顔を向けた。しかし、顔を向けては見たものの、その音を少年は大して気にしていなかった。 ガラス戸の上にある雨樋の一部には小鳥が巣を作っている。そのため、ガラス戸に小鳥がぶつかってしまうことがあるのだ。 少年は「いつものことさ」と心の中で笑いながら、再びパズルのキャンバスへと目を向けた。 そのとき。 「ゆふーっ! やっと、おうちのなかにはいれたのぜ!」 「ゆーん! さすがはまりさだねっ!! ほら、ちびちゃんたち、まりさおかあさんがあたらしいおうちのいりぐちをつくったよ!」 「ゆっくちぃぃ! さしゅがはまりしゃのおきゃーしゃんなのじぇ!!」 「ゆぴぃ! れーみゅも、れーみゅもぉぉ!! おうちにはいらせちぇにぇ!!」 甲高い四つの声が耳に届いた。 少年はすぐにそれがゆっくりの声だと理解して、手に持っていたピースを空き箱の中に戻す。 家の中に侵入してきたのは四匹の野良ゆっくりだった。親れいむ、親まりさ、赤れいむ、赤まりさ。言わずと知れたスタンダードな家族構成だ。 四匹は、広々としたリビングをぐるりと見渡して、嬉しそうに笑った。 「ゆーん。ここは、ひろくてゆっくりできるね!!」 「まりしゃおきゃーしゃんが、おうちにはいりゅばしょをみちゅけてくれちゃかりゃだにぇ!」 親れいむと赤れいむがはしゃぎながら互いの揉み上げをハイタッチでもするように、ぺちんと打ち当てる。 この野良一家は網戸を突き破って家の中に入ってきた。 既に七月中旬。窓を網戸にして風通しを良くしている家は多い。少年と少女は、少しでも冷房代の節約をするために、窓を開けて今日まで過ごしてきたのである。 それが仇となった。都会ではガラスを割ってでも人間の家に侵入してくる事もある野良ゆっくりだ。網戸を突き破るなど造作もないことだったであろう。 少年は部屋の壁に掛かった時計に目を移した。少女が家を出て行ってまだ三十分も経過していない。帰ってくるのはやはり三十分後かそれ以上の時間のはずだ。 「ゆわぁぁ! やわらかいんだじぇっ! ぴょんぴょんすりゅんだじぇっ!!」 「ゆっくちぃ! たのちぃにぇっ! れーみゅ、おしょらをとんでりゅみちゃいだよっ!」 親れいむと親まりさに乗せてもらったソファーの上でぴょんぴょんと飛び跳ねる赤ゆたち。ソファーのバネが自分の体を弾ませるのが楽しくて仕方がないらしい。 「それじゃあ、まりさはちょっと、ごはんさんをみつけてくるのぜ」 「ゆゆーん。そうだね。まずはれいむたちのおうちのなかにあるごはんさんのあるばしょをはあくしないといけないねっ!」 「「ごはんしゃんっ! ごはんしゃんっ! ゆっくち~~♪」」 ご飯という素晴らしい響きに二匹の赤ゆが調子っぱずれな節を取って歓喜の歌を歌った。その愛らしい歌声に口元を緩める親ゆっくりたち。 親まりさは野良生活で鍛えたあんよを使って、ぴょんぴょんリビングを跳ね回って、椅子を経由してテーブルの上に登ったり、ゴミ箱をひっくり返したりしていた。 だが。しばらくして親まりさが癇癪を起こした。 「ゆっぎぃぃぃぃ!!! なんなのぜぇ、このやくにたたないおうちは!! ごはんさんがどこにもみあたらないんだぜっ!!!」 「ま、まりさぁ。ゆっくり。ゆっくりぃ……。ごはんさんはゆっくりさがせばいいよ! まずはちびちゃんたちをすーやすーやさせてあげようよ」 「ゆ? それもそうなのぜ。ちびちゃんもあんよをうごかしっぱなしだったから、つかれてるはずなんだぜ」 「そうだよ。ちびちゃんがすーやすーやしたら……まりさ?」 艶っぽい表情を浮かべた親れいむが親まりさの傍に、つつっと寄ってそっと頬を摺り寄せる。親まりさはすぐに頬を染めて、「ゆふん」と息を荒くした。 新居を手に入れた記念に、新しい子供を作ろうと言うのだろう。この広さのおうちであればより多くの子供を育てることができる。より、ゆっくりすることができる。 ソファーの上でたむたむとバウンドし続ける赤れいむと赤まりさに対して親まりさが高らかに宣言した。 「ちびちゃんたち! そこはちびちゃんたちのおへやにするよっ!!!」 その言葉に二匹の赤ゆが目を輝かせた。それは姉妹にとって専用のゆっくりぷれいすが与えられたということだ。互いの顔を見合わせる二匹。 そして。 「ゆ、ゆわぁぁぁ。 れ、れーみゅ、ここでしゅーやしゅーやすりゅよっ!」 「ま、まりしゃ、ここをおといれしゃんにすりゅのじぇっ!! きゃわいいまりしゃがちーちーすりゅのじぇっ!! ちー……、ちー……。……しゅっきりーーー!」 幸せそうな顔をしてしーしー穴から砂糖水を飛ばす赤まりさ。ソファーは赤まりさのしーしーを吸ってシミになり、甘い香りがふわりと漂った。 それからソファーの中央あたりにずりずりと這い寄って、互いの頬をくっつける。それから二匹はにっこりと笑い合ってすぐに眠りについてしまった。 「やっぱりつかれてたんだね……」 「そうなんだぜ……」 「それじゃあ、まりさ……ちびちゃんたちに、かわいいいもうとたちをたーくさん、つくってあげないといけないね」 「れいむは、きがはやいのぜ……? ちゃんとおひさまさんがさよーならーしたら、あいてをしてあげるから、まずはいっしょにごはんさんをさがすんだぜ」 「ゆふふ……ゆっくりりかいしたよ」 親まりさは屹立したぺにぺにを隠そうと前のめりになるような姿勢でフローリングの上を這い始めた。 それを見て親れいむがもじもじしながら、あんよの辺りをぐねぐねと動かす。 (まりさのをみてたら……れいむのまむまむ、しっとりさんだよ……) 二匹が家探しを開始して十分。先ほどの親まりさ同様に親れいむも癇癪を起こした。 しっかり者の少女が整理整頓をしているこの部屋の中に、そうそう簡単に食べ物などが置いてあるはずがない。全て戸棚や冷蔵庫の中だ。 それでもなんとか食べ物を得ようと室内を漁るものだから、部屋の中はあっと言う間にゴミだらけになってしまった。 しかも、野良生活で泥や埃にまみれ、生ゴミを食い漁ってきた野良一家の顔やあんよは想像を絶するほどに汚い。 ソファーはもちろん、絨毯や床、壁にいたるまで全てが黒く染められていた。 腹いせに破り捨てた新聞紙や引っ張り出した雑誌やプリント類。コードにあんよを引っ掛けてしまったのかテーブルの上にあったラジオが床に落ちて壊れていた。 親れいむと親まりさは二匹揃って大粒の汗を流しながら、「ゆふぅ、ゆふぅ……」とお互いの努力を認め合っていいる。 「こんなにさがしてもみつからないなんて、おかしいのぜ……」 「ゆぎぃ……れいむ、もうつかれちゃったよ! おなかもぺーこぺーこだよ……」 「まりさもなんだぜ。しばらくやすんでから、もういちどだけがんばってさがしてみるのぜ」 「ゆっくりわかったよ……まりさ、どこにいくの?」 「ちょっと、うんうんしてくるのぜ」 そう言ってずりずりと移動を始める親まりさ。しばらくして親まりさがそのあんよを止めた。 目の前にまだ行ったことのない場所がある。親まりさはそこへ向かって無意識に進んでいた。そこは少年の部屋である。親まりさがそこにあんよを踏み入れた。 ベッドの上の少年と親まりさの視線が交錯する。親まりさはぽかんと口を開けていた。 そしてすぐに威嚇を始めた。 「ぷっくうぅぅぅ!! ここはまりさたちのゆっくりぷれいすなんだぜっ!! にんげんさんはさっさとでていくのぜ!!!」 間髪入れずにお決まりの台詞を吐く親まりさ。何事かと心配そうな顔をした親れいむがすぐに隣に現れた。そして、やはり同じように頬を膨らませる。 「ぷくーー!! れいむとまりさの、あいのすに、どうしてにんげんさんがいるのぉぉ?! はやくでていってね! すぐでいいよ!!」 二匹は威嚇行動を行ったまま、そこから動かない。とは言っても、少年もベッドの上から動くとはできない。 傍らに車椅子が置いてあるものの、これに乗るには少女か母親の助力が必要だ。 たとえ乗れたとしても、その体勢で親れいむと親まりさをどうこうするのは難しい。少年は「どうしたものか」と少女の帰りを待っていた。 不意に、親まりさがぴょんぴょんとベッドの傍へと跳ねてきた。そして、自慢の跳躍を活かして、ベッドの上に飛び乗る。 少年は親まりさの突然の行動に目を丸くして、対処が遅れてしまった。その親まりさがベッド備え付けの机の上に飛び乗った。 製作途中のパズルの上に着地した親まりさは、まるでガンを飛ばす街のチンピラのような目つきで少年を睨み付けた。 「ゆああぁん? なにをやってるのぜ? このくそにんげん……。まりさがでていけといったら、さっさとでていくのぜ?」 「れいむのだーいすきなまりさは、みんなのなかでけんかがいちばんつよいんだよっ! にんげんさん、わるいことはいわないからおとなしくいうことをきいたほうがいいよ!」 「ゆっへっへ。やめてあげるんだぜ、れいむ? このにんげんはまりささまがこわくて、すこしもうごけないみたいなんだんぜ?」 親まりさがパズルの上で向きを変えるたびに、薄汚れたあんよが造りかけの風景画を汚していく。 少年が慌てて親まりさを机の上から下ろそうとした。それに気付いた親まりさが素早く少年の伸ばした手を回避する。 その際に、残ったピースの山が箱ごと親まりさのお下げで吹き飛ばされてしまった。色分けして置いてあったピースがバラバラになって床にパラパラと落ちて行く。 少年が思わず目を見開いた。なおも親まりさはあんよの下にあるパズルを「じゃまなゆかなんだぜ!」と叫びながら壊していった。 「や、やめろよっ!!!」 温厚な少年が親まりさの左頬を右手で思い切り殴った。 「ゆ゛ぶる゛ッ!?」 少年の拳が親まりさの柔らかい頬を捉えた瞬間、その小憎たらしい笑みを浮かべる表情が一瞬で崩れ、ベッドの上から宙に投げ出される。 そして、床で額を強打した親まりさがその場でごろごろと転がりながら「ゆぎゃああぁぁ」と叫び声を上げた。 親れいむが泣きそうな顔で親まりさに這い寄ってくる。 「ゆわぁぁ!? まりさ、まりさぁ! ゆっくり、ゆっくりだよぅ!! ぺーろぺーろ……」 苦痛に打ち震える親まりさの左頬をぺろぺろと舐める親れいむ。それから顔を上げた親れいむは、親の仇を見るような目で少年を睨み上げた。 少年はと言うと、半分ほど崩されてしまったパズルのキャンバスを見て茫然とした表情を浮かべている。 親れいむは、自分たちの事など歯牙にもかけぬ少年の態度に対して大いに腹を立てた。 「このくそにんげんッ!! よくも、まりさをぉぉ!!」 ぴょんぴょんと飛び跳ねて、ベッドの上に飛び乗り、そのまま傍らに置いてあったシュークリームの皿が乗った戸棚に飛び移った。シュークリームの皿が床に落ちる。 そして、鬼のような形相の親れいむが少年の脇腹目がけて渾身の体当たりをぶちかました。その衝撃で跳ね返った親れいむが床に叩きつけられ、三回転ほどして止まった。 目にうっすらと涙を浮かべながら、親れいむが挑発的な口調で少年に向かって言葉を発する。 「どう!? おこったれいむはつよいんだよ!? ほんきになってごめんねっ!? いまならゆるしてあげるから、さっさとここを……」 「だから、くそにんげん~~~ッ!! まりささまたちをむしするんじゃないのぜぇぇぇぇ!??」 回復した親まりさが咆哮を上げた。 しかし、少年はそれどころではないと言った様子で床に落ちてしまったパズルのピースを集めようと手を必死に伸ばしていた。 親れいむと親まりさは少年のその必死な態度が余計に気に入らなかったのだろう。本来なら、その必死な態度は自分たちに向けられて然るべきだ。 親まりさは少年に気付かれないようにベッドの下に潜り込んでいった。 そして、少年の伸ばした手と、その先にあるパズルのピースに向かってしーしーを放った。 ご満悦な表情の親まりさのしーしー穴から噴出された薄汚い砂糖水が少年の手と残りのピースにびちゃびちゃとかかる。 少年は思わず、手を止めてしまった。 「ついでにうんうんもしてやるのぜっ! ゆぐ……ぐぐ……うんうんでるのぜっ!!!」 親まりさのあにゃるから三センチほどうんうんが顔を出したところで、少年がその薄汚れたお下げを思い切り掴んでそれを持ち上げた。 「う゛ぎゃあ゛あ゛ぁ゛?!! い゛だい゛んだぜぇ゛ぇ゛ッ!!?」 「う、うわぁぁ!! まりさ、まりさーーっ!!」 出かけていたうんうんがあにゃるの中に、きゅっと引っ込んだ。宙吊り状態の親まりさは今にも引き千切れそうなお下げの痛みに苦悶の表情を浮かべている。 少年はその親まりさを前方の壁に向けて思いっきり叩きつけた。 「ゆ゛ぼぉ゛ッ?!!」 頭頂部を壁に激しくぶつけた親まりさが床にぽてっと落ち、びくびくと痙攣を起こしていた。そのときに前歯を折ってしまったらしく、金平糖の歯が一つ床に転がっていた。 親れいむは大泣きしながらなかなか起き上がれないでいる親まりさに跳ね寄って、その周囲をぴょんぴょんと飛び跳ねた。 「まりさぁ!! しっかりしてよぉ!! どぼじでごんな゛びどいごどずる゛の゛ぉ゛!? れいむだぢだって、ごんなごどざれだら、いだい゛んだよぉぉ?!!」 少年は戸棚からタオルを取り出して、親まりさの垂れ流した汚水を丁寧に拭き取った。そして、砂糖水まみれになったパズルのピースを一つずつ拾っていく。 親まりさが汚いあんよで踏みつけたピースは所々が折れ曲がり、砂糖水と泥や埃が混ざって色がくすんでしまっていた。 それをなるだけ丁寧にタオルで拭き取っていく。 「くそっ……何でこんな……っ!!!」 ようやく完成間近になったパズル。これが単なる風景の写真ではないことがわかり、恐らくは母親からのメッセージであろう文字の存在に気付いた矢先にこれだ。 苦々しげに床に突っ伏する親まりさを睨み付ける。その時、少年が思わず口を開いてしまった。 親まりさがぷりんぷりんと動かす尻に、パズルのピースが一つへばり付いていた。何かの拍子で砂糖水を染み込んだピースが親まりさの尻にくっついたのだろう。 そして、少年が声を発する前に、親れいむがそのピースの存在に気付いた。それを外そうと親まりさの尻に舌を当てる。 「待て……っ!!」 思わず、ベッドから飛び起きようとした。 「うわ……ッ」 無意識だったせいか、少年はそのままベッドの下に転がり落ちてしまった。腕を打ってしまったらしく鈍い痛みが走る。 親れいむは親まりさからピースを外してそれを舌の上に乗せていた。そして不思議そうに「これはなんなの?」などと小首を傾げるような仕草をする。 しばらくしてから、親れいむの表情が変わった。 「これは……あまあまのあじがするよっ!!」 「――ッ?!」 親まりさのしーしーがかかっていることなど知らない親れいむにとって、舌の上のピースは砂糖水の染み込んだ“あまあま”と映った。 少年の顔から血の気が引く。手を伸ばす。しかし、届かない。足が動かないせいでその場から移動することができなかった。 「――むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!」 親れいむが涙目で歓喜の声を上げた。親れいむの舌の上に乗っていたピースは既にそこにない。あろうことか、親れいむの腹の中だ。 「ゆぐぐ……ゆ? れいむ、れいむなのぜ?」 「ゆっくり~~♪ まりさ、おめめがさめたんだねっ! よかったよぅ! よかったよぉ!」 「ゆぐぅ……おかおがいたいんだぜ……。それに、なんだかきぶんがわるいんだぜ……」 まだ意識が朦朧としているらしい親まりさが焦点の定まらぬ両の目を親れいむに向ける。 親れいむは親まりさの無事を確認した後は、ベッドから転げ落ちた少年に向き直った。親まりさもそれに倣う。それから、親まりさが目を丸くした。 「あのくそにんげん……。れいむがやっつけたのぜ?」 「ゆ? そうだよ。ほんきになったれいむには、あんなよわいにんげんさん、いちころだったんだよ!!!」 「おお、あわれあわれ。おまえみたいなくそにんげんは、むのうなごみなんだぜ!!」 少年の指がぴくりと動いた。無能なゴミ。たかだか野良ゆっくりの言葉と言え少年の心にそれが重くのしかかる。合わせて浮かぶ、姉と母の顔。 拳を握りしめて、唇を噛み締めた。それから動かない足を何度も何度も殴りつけた。 「ちくしょうっ!!! ちくしょうっ!!!!」 「ゆっへっへ。なんなのぜ、あのくずにんげんは? いきなり、じぶんにいたいいたいをはじめたのぜ? あたまがくるってるのぜ?」 「ゆぷぷ。れいむにやられちゃって、くやしいだけだよ、きっと。れいむ、つよすぎてごめんねっ!?」 少年は泣いていた。野良ゆっくりに罵倒されたからではない。 自分自身が不甲斐なくて悔しくて悔しくて堪らなかった。 母が用意してくれたパズルは壊され、ピースの一つは親れいむの腹の中。姉が置いていったシュークリームは床にぶちまけられ、侵入してきた野良ゆっくりすら撃退できない。 忘れかけていた……或いは忘れようとしていた昔の感情が沸々と沸き上げる。 (僕は……なんて、役に立たないヤツなんだ……) 親れいむと親まりさの勝ち誇った嗤い声が部屋の中に響いた。 しばらくして、親まりさの容体が再び悪くなってきた。今度は中身の餡子が尽きようとしているのだろう。 親れいむはすぐに床に散らばったパズルのピースに向かってあんよを進めた。それに少年が気付く。ピースが落ちているのは少年の位置からベッドを挟んで反対側。 「ゆっくり~。まりさ、まっててね。すぐにれいむが、おいしいあまあまさんをたべさせてあげ……――」 「――何が、あまあまさんだ……この糞饅頭」 「ゆ゛げぼぇ゛え゛ぇ゛あ゛ぁぁ゛ッ!!???」 二、 今日一番の悲鳴が少年の部屋に轟いた。 親れいむはベッド下付近で悶絶してごろごろと転げ回り、たまにびたーんびたーんと自身の後頭部を床に叩きつけていた。想像を絶する一撃が親れいむを襲ったのだろう。 少年が顔を上げると、そこにはデッキブラシを持った少女が仁王立ちしていた。先端のブラシが取り付けられた角材部分で親れいむの脳天にそれを叩き込んだのである。 「姉ちゃん……っ!!」 「まったく、ベッドから落ちるなんて無茶しすぎよ。どこも痛くない? あとでお姉ちゃんが診てあげるからね」 「この……くそばばあっ!! よくも、れいむをゆ゛ぶる゛ぇ゛ぇ゛……ッ!?? ば、ばでぃざ、づぶれる゛……い゛だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!」 少女は親まりさの左頬を僅かに中心を外して踏みつけていた。そのせいで親まりさの頬は変形し、少女の足の裏と床で強く挟み込まれるような形になっている。 潰さず、千切らず、しかし身動きは取らせず。絶妙な力加減で親まりさに苦痛を与えながら拘束する少女。 デッキブラシの先端を親まりさの顔の中心辺りに、気絶しない程度に何発も叩き込んでやった。 「ごぼッ?! や゛、や゛べで……ゆ゛ぎぃッ!?? あぎぃ……ひぐぅッ?!!」 「情けない声出さないでよ。さっきまでの威勢は、どうしたの……よっ!!!!」 足を離して今度はデッキブラシをゴルフクラブのように扱い、またも先端で親まりさの後頭部にそれを打ち込んだ。 「おぞらを……ゆ゛べしッ?!!」 一瞬、宙に浮いた親まりさがすぐに壁に叩きつけられた。本日二度目となる壁との濃厚なちゅっちゅである。 虫の息の親まりさの前まで悠然と歩いていく少女。手にしていたオレンジジュースの蓋を開けて、それをばちゃばちゃと親まりさの頭にかけた。 その様子を不思議そうに見つめている少年。 しばらくして、親まりさがびくびくと身を震わせながら起き上がった。しかし、すぐに痛みが襲ってきたのか、また「ゆぐぅ」とうずくまる姿勢を取る。 「姉……ちゃん……?」 「あー……えーと、お姉ちゃんが来たからにはもう大丈夫よ」 「ど、どういうこと?」 「今さら、隠しても仕方ないから言うけどね……」 ぐったりしている親まりさと親れいむの髪の毛を引っ掴んで乱暴に持ち上げる。泣きながら身を捩らせしーしーを垂れ流す二匹を宙吊りにして少女が恥ずかしそうに呟いた。 「――実は私ね、虐待お姉さん、なの」 「虐待お姉さん……、って、何?」 少年は、姉である少女に質問をした。 少女の親れいむと親まりさを掴んで悠然と立ち尽くすその姿は、まるで敵将を討ち取った一騎当千の戦国武将のようである。 少女は尚も恥ずかしそうに二匹を床に叩きつけて気絶させた。殺さない程度に気絶させ、中身すら吐かせないそれはとてつもなく熟練したテクニックだ。 それもそのはず。少女のゆっくり虐待歴はこの歳にして五年である。いくら大好きな母と弟の為とはいえ、青春を家事に追われてたくさんの我慢を強いられてきた少女だ。 相応のストレスが溜まっていたはずである。そして、そのストレスの矛先は野良ゆっくりへと向けられた。 初めて野良ゆっくりを潰したのは中学一年の夏。恐怖と狂気が入り混じったような、不思議な昂揚感と達成感を感じた。そして、心がすーっ、と晴れていくのも感じた。 もともと素養があったのだろう。少女はあっと言う間に虐待お姉さんの階段を上り始めた。 デッキブラシを杖代わりにして手を置き顎を乗せる。少女はその姿勢のまま、ぽすん、ぽすん、と親まりさの突っ伏した頭を蹴りながら言葉を繋いだ。 「……お母さんにも言ってないんだ。まぁ、あれだよ……。あんたやお母さんの前では“優しいお姉ちゃん”を演じていたかったんだろうね」 バツが悪そうな顔をして、少年の顔を見ないようにしながらそう言った。それから。 「幻滅したでしょ? 自分のお姉ちゃんがさ、ゆっくりを虐待して楽しんでるなんて知って」 少女はなおも親れいむの頭をぎゅむっ、と踏みつけながら俯いた。それからしばらくして顔を上げ、真っ直ぐに少年を見つめる。 「幻滅してもいい。でも、私の大好きな弟に手を出したこいつらは……私の手で殺させて。死んだ方がマシだ、っていうぐらいに苦しめてみせるから……っ!!」 「姉ちゃん……別に、僕は幻滅なんてしてないよ……。姉ちゃんが、これからこいつらに何をしようが全然構わない、って思ってる。ただ……」 「ただ……?」 少年の言葉に少女が不安そうに尋ねた。 「そこの、れいむ種のゆっくりが……作りかけのパズルのピースを一つ食べたんだ。それだけは、何としてでも取り返してほしい」 「そう。じゃあ、その後は私が好きにしていいのね? ああ、安心して。ちゃんとパズルのピースは取り戻すわ。……どんな手段を使っても」 「ありがとう、姉ちゃん」 「……お母さんには内緒にしてくれる?」 「もちろんだよ」 「ありがとう。さすが私の弟ね!」 にっこりと笑う少女。その笑顔の裏にはどんなどす黒い感情が渦巻いているのだろうか。 少女は自分の部屋に隠していた透明な箱を取り出すと、気を失っている親れいむと親まりさをその中に放り込んで鍵をかけた。 さて、これからどうしてやろうかと思っていると、ソファーの上で気持ちよさそうに眠っている二匹の赤ゆを発見した。 破られた網戸と、先ほど閉じ込めた二匹のミニチュア版であるこの赤ゆたちを見て、少女はこの二匹にも死んでもらうことにした。 二匹の赤ゆを起こさないようにそっと抱き上げ、親れいむと親まりさを閉じ込めた透明な箱とは別の透明な箱にそれを入れる。 少女は、少年にそのパズルを早く完成させるように命じた。素直にその言葉に従う少年。 来週末に帰ってくる予定である母親に完成したパズルを見せたい一身で、少年はそれを受け入れた。パズルに描かれた写真の全貌とメッセージも気になるところだ。 姉弟はそれぞれ適材適所に、これからの互いの役割を分担した。 パズル上級者の少年は、一刻も早いパズルの完成を。虐待お姉さんの少女は、薄汚い野良ゆっくりへの制裁を。 少年はすぐにパズルに取り掛かった。砂糖水まみれになったパズルのピースは乾かすために一ヶ所に纏められている。それ以外のピースを埋めて行く作業に入った。 一方で少女はすぐに包丁やピンセット、果物ナイフとまな板を取出し、親れいむが飲み込んだパズルのピースの摘出作業の準備を始める。 その下準備として気を失って微動だにしない親れいむの口に、高濃度ラムネ水を無理矢理飲ませた。 無言のまま苦痛に歪んでいた表情は少しの時間を置いて、安らかな寝顔に変わっていき、「ゆぅ、ゆぅ……」と寝息を立て始めるまでに至る。 少女はリビングに置いてあるテーブルの上に、親れいむを仰向けにしてまな板の上に乗せ、両方の揉み上げを釘で打ち付けて固定した。念を入れてリボンにも釘を打つ。 まな板の上に固定された親れいむはさながら磔の刑に処された罪人のようである。しかし、その表情は緩みきった寝顔だというアンバランス感。 少女は傍らに置いていた包丁を手に握ると、実にナチュラルな手さばきで親れいむの下腹部を引き裂いた。 瞬間的に親れいむが目を見開き、数秒の時間差を開けてとてつもない絶叫を上げた。 「ゆ゛っぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!!!!」 その断末魔にも等しい金切り声に親まりさ、赤れいむ、赤まりさがびくぅっ、と体全体を跳ね上げて飛び起きる。 「ゆ!? まりさのおさかなさん、いったいどこにいったのぜ?!」 「ゆぴぃ!?」 「い゛だい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!! でいぶのがわ゛い゛ぃ゛お゛がお゛がぅ゛わ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁあ゛!!!」 まな板の上でのたうち回ろうとしている親れいむ。しかし、複数個所を釘で固定された親れいむに足掻き苦しむ術はない。 ただただ、顎からあんよにかけて皮を切り開かれた激痛に耐えるべく、舌を伸ばし涎を垂らして、大粒の涙を流すのみ。 少女は残りの家族が入った透明な箱をあえて親れいむが置かれたまな板の周辺に配置していた。もちろん、少女の意図によるものである。 親まりさにとっては最愛のパートナーが。赤ゆ二匹にとっては大好きな母親ゆっくりが無様に悲鳴を上げて地獄の責め苦を味わわさせられる様を見せつけようという目的だ。 身を焦がすような鋭い痛みに目玉をぎょろぎょろと動かす親れいむ。その過程で親まりさの姿が一瞬、視界に入った。 「ばでぃざあ゛ぁ゛ぁ゛!!! だずげでぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!! い゛だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛お゛ぉ゛ッ!!!!!」 「やめるんだぜぇぇぇ!! このくそばばあぁぁぁぁッ!!!! まりさのだいすきなれいむになんてことしやがるのぜぇぇぇぇッ??!!!」 「ぷきゅー! やめちぇにぇ!! れーみゅたちのおきゃーしゃんにひどいこちょしにゃいでにぇっ! れーみゅ、おきょるときょわいんだよっ!?」 「おきゃーしゃんに、いじわりゅすりゅな、なのじぇっ!!」 ガタガタと箱を揺らして抗議する親まりさ。気持ちだけは親れいむの元に駆けつけているのだろうが、透明な箱の壁がそれを遮る。 赤ゆ二匹はその場でたむたむと跳ねて、頬を膨らませたり、箱の中を這って移動しているだけだ。精一杯に憤慨しているつもりなのだろう。 少女は素早くゴム手袋をつけると、滅茶苦茶に暴れ回ろうとしている親れいむの体内に手を突っ込んだ。 「ぴッ!? ぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ッ!!!????」 親れいむの口から餡子が噴水のように勢いよく飛び出す。少女は返り餡が袖や腕にかからないよう巧みに手の角度や位置を変えながら親れいむの中身をほじくり出していく。 「がぁっ!? あ゛、ぎ、ぎ、ぎ、……ぎゃあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!? じぬ゛ぅッ!! い゛だい゛!!! じみる゛ぅぅ゛!!!! だずげでぇ゛ッ!!!!!」 少女は親れいむの下腹部の正中線を正確に切り裂いていた。その為、しーしー穴があった付近の餡子から、まるで湧水のようにじんわりと砂糖水が染み出してきた。 このように発射口を先に破壊してしまうことで、しーしーを噴射されて床を汚されることがなくなるのだ。 少女は親れいむから抉り出した中身の餡子の量と、苦痛に歪む表情を見比べながら今度は少しずつ餡子を取り出していった。 ゴム手袋の指先が餡子に触れるたびに、体全体を跳ね上げるように痙攣を起こす親れいむ。 餡子色に充血した目玉は今にも飛び出さんばかりに周りの皮を押し広げ、極限まで開かれた口の端が少しだけ裂けてしまっている。 「おきゃ……しゃ……」 まるで化け物……いや、化け物そのものを瞼に焼き付けられた赤れいむと赤まりさがほとんど同時にぷしゃああぁ……とおそろしーしーを漏らした。 カタカタと震える二匹の一口饅頭は恐怖に駆られ、その場を一歩たりとも動くことができない。 ただ、目の前で母親ゆっくりの中身が抉り出されていくという凄惨な光景を餡子脳裏に刻みつけることしかできなかった。 一方で親まりさは泣きながら少女を罵倒していた。 「や゛べろ゛っでいっでる゛んだぜぇ゛ぇ゛!!! でいぶがお゛ばべにな゛に゛をじだんだぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!!」 「までぃ……ざ……ゆひっ、ゆひっ……た、す、け……て……。れいむ、じにだぐ……な゛、いよ……ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 「う、うわああぁぁ!!!! れいむぅぅぅぅぅぅ!!!!」 少女は親れいむが「ゆ゛」としか口を利けなくなったのを見て、一度作業を中断した。それから親れいむの口の中にばちゃばちゃとオレンジジュースを流し込む。 程なくして、親れいむは二度、三度と痙攣を起こして、また大泣きを始めた。 「い゛だぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛い゛ぃ゛ぃぃぃぃ!!! も゛う゛や゛だぁ゛!!! でいぶ、おうぢがえる゛ぅ゛ぅぅぅ!!!!」 「何言ってるのよ。どうせ、ここでおうち宣言でもしたんでしょ? だったらここがあなたのおうちじゃない。死ぬまで使って構わないよ?」 「ゆ゛あ゛ぁ゛ぁ゛?!!」 ――死ぬまで、という言葉が親れいむの不安感を強烈に煽ったらしい。蒼ざめた様子でぶるぶる震えながら少女の穏やかな笑顔を凝視していた。 少女は、取り出した餡子を親れいむの口の中に再び詰め込んだ。自分の中身を無理矢理喉の奥に押し込まれるという未知の体験に、目玉がぐるぐると引っくり返る。 「げぼぉッ! ごほ゛お゛っ!!!」 新たに吐き出されようとする餡子ごと体内に押し戻される感覚は想像を絶するものだろう。 やがて落ち着いたのか、親れいむは餌付きながら涎を垂らし、もはや言葉を発する気力すら無いほどに体力を消耗していた。 「やめるのぜ……れいむが、いやがってるのぜ……」 「やめちぇにぇ……やめちぇにぇ……」 滝のように涙を流しながら懇願する残りの家族たち。しかし、そんな戯言に耳を貸す少女ではない。伊達に独学で五年も虐待お姉さんをやってきたわけではないのだ。 ゆっくりたちが“言葉”を喋っているうちはまだまだ元気な証拠である。喋っているうちは叩こうが刺そうが焼こうが抉ろうが千切ろうが簡単には死なない。 だから先ほど少女は虐待の手を止めたのだ。もっとも、少女としては今の段階で虐待をしているつもりはなかった。 まずは親れいむの腹の中に収められたパズルのピースを取り戻さなければならない。ただ、それだけの事。 その証拠に少女は親れいむの中に手を突っ込んで餡子をかき混ぜながら中身を取り出しているだけだ。ピースさえ手に入れば中身は戻してやるつもりでいる。 「もう。まだ何もしてないじゃない。そんなに騒がないで。うるさいよ?」 「な、な、な゛んでぞんな゛ごどい゛う゛のぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!!???」 「――あった!!!」 親まりさの悲痛な叫びはまるで聞こえていないようで、少女はゴム手袋の先に掴んだピースを取り出して歓声を上げた。 すぐにべちょりとへばり付いた餡子を流水で落としていく。口の中に入れられてあまり時間が経過していなかったおかげか、何とか原型を留めていた。 「良かった……」 「がひっ、こひっ……どぼ、じで……ごんな゛ごど、ずる゛のぉ……」 親れいむが消え入るような声で言葉を紡ぐ。少女は掴んだ餡子の塊を切り開いた腹の中にねじ込みながら淡々と答えた。 「あなたが大事な物を食べてしまったから悪いのよ。だから、こんな余計に苦しむことになったんだわ。つまり、自業自得ね」 「い゛ぎぃ゛ッ!? ぐひぃッ!! ゆ゛びぎ……ッ!! ゆ゛ぐぇ゛ぁ゛!!!」 質問に対する少女の答えはまるで聞こえていないらしい。体内に中身を戻される激痛と嫌悪感に、ひたすら耳障りな声を上げ続けた。 やがて、取り出した中身の収容がすべて終わった親れいむはぐったりとした様子で横倒れになっていた。固定していた釘を引き抜いてやる。それでも動く気配はない。 少女はもう一度オレンジジュースを万遍なくかけてから、親れいむを透明な箱の中に戻した。 「それをとるためだけに……れいむをしぬようなめにあわせたんだぜ?」 「え? そうよ。それが何か?」 「ふざけるなぁぁぁぁ!!! そんな、ごみをひとつとるためだけに……あんなひどいことをしたのぜぇぇぇ!? しねっ!! ゆっくりできないくそばばあはしねっ!!!」 「……そんな、ゴミ……だって?」 少女の肩がぴくりと反応した。 「ごみにきまってるのぜ! そのごみはいたいおもいをしないのぜ?! でも、れいむはたくさんいたいおもいをしたんだぜ!? それがわからないのぜ!?」 少女が無表情のままに笑った。 「いやいやいや……人の家に不法侵入した挙句、人間を攻撃して、お母さんが必死に働いて買ってくれたパズルを壊してヘラヘラ笑ってるようなゴミが……」 「ゆひぃッ?!!」 親まりさが凍りついたような悲鳴を上げた。それは少女が放つ強烈なプレッシャーに強い恐怖を感じた故の衝動だ。 少女が親まりさを睨み付ける。 「分かったよ、まりさ」 「ゆ? ゆゆ?」 「お前に相応しい殺し方が分かったのよ」 「――――!?」 後編へ続く
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『トンボを捕まえたかっただけなのに・・・』 13KB 不運 自業自得 家族崩壊 野良ゆ 現代 十月だけど別にいいよね? ・公園を題材にしようと近くの公園に行ったら思いついたネタ ・九月の終わりごろの設定です トンボを捕まえたかっただけなのに・・・ 麦茶あき 九月末― まだ八月の猛暑が続いており、俺たち人類に地獄のような日照りが続いた頃、 俺は近くの公園で休んでいた。 「あちぃ~・・・・」 九月だというのに何だこの暑さは・・・俺たちを殺す気か太陽。 ただ今日は許してやろう、普段より少し涼しいし、俺は今、日陰にいるんだ。 木々の陰のおかげで俺の体の温度を冷やしてくれるありがたい植物たち。 ありがとう、おかげでゆっくりできる。 そんなゆっくりたちも公園内にチラホラ住み着いており、 ダンボールらしきものが置かれていた。 毎回思うのだがあのダンボールはどこから拾ってくるのだ?不思議に思う。 まぁ、いい。所詮はゆっくり。 考えるだけ無駄さ。 「ゆー」 「ん?」 噂をすればヒポポタマス・・・いや違う。 ゆっくりだ。 遠くに見えていたダンボールからゆっくりの家族が出てきた。 野良ゆっくりの風貌、小汚い肌、ボロボロのお飾り。 ああ、十人中、十人が野良だと言い切る姿だ。 家族構成はまりさ、れいむ、子れいむ、子まりさ、まだ小さいから赤まりさと赤れいむが出てきた。 典型的でよく人間にアホみたいに喧嘩売る家族構成ナンバーワンな奴らだ。 「おちびちゃんたち!きょうはたいようさんはそんなにあつくないからひなたぼっこしようね!」 「「ゆっくち~♪」」 「まりしゃぼーるしゃんであしょびちゃいじぇ!」 「れいみゅもー!」 「ゆふん、じゃあおとうさんがみてるからね」 どうやらゲスな家族ではない。 普通のゆっくり、善良といったところか? 出てきた小さいゆっくり共は母れいむと一緒に日向ぼっこしたり、 父まりさに見守られながらボール遊びをしていた。 なんという微笑ましい光景だ。 愛でてお兄さんの気持ちが少しはわかった気がする。 「まりしゃはいちびゃんしゃんなんだじぇ!」 「ゆえ~ん!まっちぇよまりしゃああ!!」 「ゆふふ・・・・・」 微笑ましすぎる、れいむの方は赤ゆっくりたちを日向ぼっこで寝かせながらまりさたちのほうを見ていた。 赤ゆっくりたちがボール遊びに参加しないのはまだ体が小さいからかもしれない。 まりさはれいむの視線に気づきニコリと笑顔で返した。 れいむも笑顔で返したがその時、まりさのお帽子に何かがついた。 遠くにいたれいむはその正体に気づいていた。 トンボである。 近頃この近くでよくトンボを見かけるようにもなり、この公園内でもよく飛んでいる姿が見られた。 そのトンボの一匹がまりさのお帽子の先端にピタリと止まったのだ。 トンボというものは棒の先端に止まる習性があり、よくトンボを捕まえる人はその方法でトンボを捕まえてるって聞いたことがある。 まりさのお帽子に止まったままトンボは動かない。 それを見たれいむは。 「まりさ!そこをうごかないでね!!」 「ゆ?」 れいむは大声を上げてまりさに動かないよう指示した。 いきなりそんなこと言われたまりさはわからないという顔をしている。 「どうしたのれいむ?」 「うごかないでねっていってるでしょおおおおおおおおお!!!」 「ゆっ!!?わ、わかったよ!!」 れいむの大声にビクッとなるまりさだがトンボは動こうとはしなかった。 随分肝があるトンボなのか、それとも警戒心がないだけなのか・・・ 恐らくれいむはあのトンボを捕まえようとしているのか、なんとなくそう思った。 まりさはその場を動かず、れいむはまりさの背後に行き慎重にトンボに近づいた。 「そろーりそろーり・・・・・」 距離はほんの数十センチ。 確実に捕まえるため慎重に近づくれいむ。 子ゆっくりたちはそんな行動をとっているれいむを不思議そうに見ていた。 「おきゃーしゃんにゃにしちぇるのじぇ?」 「れいみゅわきゃんにゃーい」 子ゆっくりたちにはトンボは見えていないらしい。 遠くから見ていた俺はその様子をじっと見ていた。 これから始まるであろう、野生(?)の瞬間。 もうトンボが飛んで行きそうなところまで近づいたれいむ。 息を整えリラックスする。 呼吸なんてしてないくせにわざわざそんなことする必要があるのかと突っ込みたくなった。 れいむは覚悟を決めトンボを睨みつけた。 それから数秒、無駄な時間が流れ、ゆっくりからすればまるで時が止まったかのような感覚だが、 遠くから見ていた俺には早くしろと言いたくなった。 そしてれいむはトンボに噛み付こうとする。 口を大きく開け歯をむき出しにしてトンボを噛み付く。 ゆっくりとは思えないスピード。 ブチッ!という音がした後、静寂が訪れた。 「ゆ?れいむなにしたの?」 後ろが見えないためまりさはれいむが何をしたのか見えなかった。 が、子ゆっくりたちにはしっかり見えていたらしい。 その顔はまるで捕食種に会ったかのような絶望的な顔をしているが。 「ゆ?おちびちゃんどうしたの?」 「お・・・お・・・」 「お?」 「おちょうちゃんのおびょうちがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「おぼうし?おとうさんのおぼうしがどうかしたの?」 まりさは子まりさの言葉が気になり、おさげを使ってお帽子がどうなっているか確認した。 自分で見えるところまで置くといつも自分が被っているものとなんか違った。 どこが違うのか考えたところ、さすがは餡子脳、理解するのに十分もかかった。 そう、まりさのお帽子の先のちょんまがった所から頭すれすれまで引きちぎられていた。 それを理解したまりさは絶叫した。 「ばりざのおぼうじがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」 変わり果てたお帽子。 何故こんなことになっていると喚きながらお帽子に泣きつくまりさ。 その犯人はもちろん・・・・ 「まりちゃはみちゃよおおお!!はんゆんはおきゃああしゃんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ??!」 「おきゃああしゃんがおちょうしゃんのおびょうしをちゃべちゃったんじゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「ゆゆ、おちびちゃんそんなばかなこといわないでね。れいむがそんなことするはず・・・・」 まりさは振り向き後ろにいたれいむを見た。 その目に映ったのはトンボを捕まえたかのように口をもごもごさせて、噛み千切ったまりさのお帽子の布を齧っているれいむ。 黒い布が自分のお帽子だと気づくのはそう遅くはなかった。 信じられないものを見たかのように固まるまりさ。 「れ、れいむ・・・・・?」 「ゆ~ん、とんぼさんにがしちゃったよ・・・ゆ?まりさどうかした・・・・・って、おぼうしどうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」 夫であるまりさのお帽子がとんでもないことになっていることに気づいたれいむ。 まりさに近づき驚愕の表情のまま固まっているまりさに擦り寄った。 「まりさ!おぼうしどうしたの??!だれにやられたの??!」 れいむが心配そうにまりさにすりよるが一瞬まりさがピクッと反応したのは気のせいか? 「ゆ!わかったよ!きっとあそこにいるにんげんさんのしわざだね!」 え?なんか俺のせいにされているんですけど。 俺なにもしてないよ?むしろれいむ、お前だよね引きちぎったの。 「ゆるさないよ!せいさいしてくるからまりさはまってて・・・・・」 「ふ・・・・・」 「ゆ?」 「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ゆべええええええ???!!」 まりさがれいむに体当たりをした。 思いっきりやられたため、れいむは思っていた以上に吹き飛ばされた。 「ば、ばりざああああ!!なにずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「でいぶうううう!!!じぶんがなにじたがもうわすれたのおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ?れいむなにかした??」 もう忘れている、いや覚えていないだけか。 「まりざのおぼうしをこんなふうにしたのはだれのせいだあああああああああああああああああああああ!!!!」 「あのにんげんさんでしょ!?」 「ちがううううううううううううううううううう!!!おまえだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「ゆええええええええええええ???!!どぼじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!??」 犯人が自分だということに驚いているれいむ。 まあ当たり前か、餡子脳だし自分がしたことなんて覚えていないんだろ。 ・・・いや違うな、まさかトンボの代わりに帽子を噛み千切ったなんて思ってないんだな。 どのみち噛み千切ったことに代わりはないが。 「ひどいよれいむ・・・!まりさの・・・まりさのおぼうしをこんな、こんなあああああああ!!!!」 「れいむのせいじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??!あのにんげんさんのせいでしょおおおおおおおおおおおおおお??!!」 お前のせいだって。 「うそいわないでね!あのにんげんさんはなにもしてないでしょ!!」 「しょうじゃよ!こにょうしょちゅき!」 「しょうじゃよ!あんにゃまにゅけがおちょうしゃんのおびょうちやぶけりゅわけないでちょ??!」 ビキィ!!おい、子れいむ・・・。 その言葉はいらないんじゃないかい? 「ゆぅ・・・おちょうしゃんのおびょうちが・・・・」 「・・・・・・・ごめんね、おちびちゃん・・・これじゃあおぼうしでみずのうえをわたることもできないよ・・・いっしょにおしえれなくなってごめんね・・・」 「で、でもおびょうしでたかい、たかいさんは・・・!」 「それもむりみたい・・・すぐはずれちゃいそうだよ・・・」 「「しょんなぁ・・・」」 たかい、たかいさんとはお帽子のつばに赤ゆや子ゆっくりの乗せて、 トランポリンのように自分の子供をジャンプさせるゆっくりの遊びの一種。 ゆっくりは高く持ち上げられたり飛ばされたりすると「おそらとんでるみたい!!」と言う。 その時のゆっくりの表情は無邪気な子供のような顔で本当にお空を飛んでる感覚になるという。 空を飛べないゆっくりにとってこの遊びはとても人気なのだ。 しかし、れいむによって噛み千切られたお帽子は重みを失くし、 ちょっとの衝撃でお帽子が外れてしまう状態になっている。 これではもう直さない限り遊ぶことはできない。 「やじゃあああああ!!!たきゃい、たきゃいちちゃいいいい!!!」 「れいみゅ!まりちゃがおおききゅなっちゃらやっちぇあげりゅじぇ!!」 待て子まりさ、それは無理だ。 その頃にはお前と子れいむは同じ大きさになっている。 そんな状態で高い、高いなんてしてみろ潰されるぞ。 「じぇんぶおきゃーしゃんのしぇいだよ!」 「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「しょうじゃよ!おちょうしゃんのおびょうちをたべちゃおきゃあしゃんにゃんかちね!!」 「ちね!!」 「「ゆっくちちないでちねぇ!!」」 「なんでそんなひどいこというのおおおおおおおおおおおおおおお???!!れいむなにもわるくないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「じゃあそのくわえているものはなんなの??!」 「ゆ?・・・・・・・・こ、これはあああああああ!!!??」 ようやくれいむが自分が咥えていたまりさのお帽子の噛み千切ったものに気がついた。 自分のしたことを理解して顔を青ざめるれいむ。 「しんじられないよ・・・・れいむ・・・こんなことするなんて」 「きっちょれいみゅたちもたべりゃれちゃうんだよ!」 「きょわいよおおお!!」 「ちがうよおおおお!!!とんぼさんをつかまえようと・・・」 「いいわけしないでね!!!とんぼさんなんてどこにもいないでしょ??!うそばっかりつかないでね!!」 「もういいよ、おちょうしゃん!こんにゃくじゅにゃんかほっちょいちぇゆっくちできりゅばしょにいきょうよ!」 「そうだね!れいむとはこれでりこんだよ!!」 「そ、そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」 「いもうちょたちもいきゅよ!」 「ゆ?」 「ゆ~・・・ゆっくち・・・」 寝ていた妹の赤ゆっくりたちを起こし別の場所に向かうまりさたち。 れいむは泣き崩れてその場にいたままだった。 「で、でいぶ・・・・!!なにもわるくないのに・・・・!!なんでこんなごどにぃ・・・・!!!?・・・・・・・・・ゆ?」 その時れいむの前にさっきまりさのお帽子に止まっていたトンボがれいむの目の前に飛んでいた。 泣いているれいむを笑うかのように現れて。 「もとはといえばとんぼさんのせいだよ!」 いや、トンボは悪くない。 絶対悪くない。 「とんぼさんはれいむにせいさいされてね!!!」 れいむは高く飛び上がり、トンボを潰そうとする。 しかしトンボはその身のこなしで簡単にれいむの攻撃をかわした。 「ゆぎいいいいいいい!!!よけるなあああああああああああああああああああ!!!」 何度も何度も踏み潰そうとするれいむだが、 トンボはそんな攻撃に物ともせず避ける。 避けるトンボを追いかけて公園の奥まで行くれいむ。 「ぜぇ・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・」 連続でジャンプし、踏み潰そうとしたためれいむの体力はもう無くなっていた。 が、れいむの中ではトンボを追い詰めたと思っているらしい。 飛んでいるトンボを睨みつけ攻撃宣言する。 「つ、ついにおいつめたよ!!!おとなしくれいむに・・・・・・・ せ い さ い さ れ て ね !!!」 ダンッ!!! 「あっ」 れいむは高く飛び、トンボを確実に潰すため力いっぱい飛んだ。 そしてその行き着く先は・・・・ 水が溜まっている噴水の中だ。 ドボンッ!!!! 「ゆがばがべばぎば????!!」 飛んだ先が噴水の中とは知らなかったれいむは何もできずに溺れていく。 もとい、ゆっくりが泳げるわけがない。 水を吸い、皮が徐々にふやけていき溶けていくだろう。 「どぼじでぇ!!?でぶぶごんばばっばめびいい!!!」 哀れいむ、トンボを捕りたいためにした行動がこんなことになるなど思っても見なかったろう。 まりさのお帽子を噛み千切り、子供には罵倒され、離婚し、トンボにはバカにされ、そして最後には噴水の中で誰にも助けられずに死んでいく。 俺が知っているゆっくりの哀れな死に方でもそれなりの上位にランクインしたな、おめでとう。 でも俺は最後にあのれいむに言っておきたい一言はある。 噴水に近づきれいむの様子を見る俺。 俺を見て助けに来てくれたのかと思い喜ぶれいむ。 んなわけないだろとにやけながら・・・ 「ざまーみろ、バーカ」 「がぼ・・?!」 え?助けると思ったの?ばかなの?死ぬの? さっき俺を犯人扱いしたのどこぞのゆっくりさんでしたっけ? そんな奴を俺が助けるわけ無いでしょ? どんだけ自分中心なんだよ糞饅頭。 「がぼ!ぼばばっば!!!」 助けて、許してくださいってところかな? まぁ助けないけどね。 俺は噴水から離れて家へと帰る。 やっぱり夏の暑さに勝てるのはエアコンの冷房くらいか、さっきから汗が止まらん。 ああ、不快だ、早くこの汗をどうにかしなければ。 帰る途中「やべでえええええええ!!ばりざのおちびちゃんがああああああああ!!!」という声がして、 見た先には虐待お兄さんらしき人があのまりさと子ゆっくり共を虐待していた。 その手に握られているのは俺を馬鹿にしたあの子れいむ。 それを見た俺は・・・・ 「ざまぁ」 と言って家に帰った。 あの親子がどうなったか俺は知らない。 さっきまで飛んでいたトンボは俺の目の前を横切り空へ飛んでいく。 あのゆっくり共、中々あほなことしてくれたよな。 なぁ、トンボ。お前もそう思うだろ? あとがき 公園に行ったらさ、トンボが飛んでてさ、一瞬で思いついたんだよ これはいけるってね。 改めて外に行くのっていいよね。 今まで書いた歪み 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ 追われるれいむ ゆなら HENTAIお姉さんとクイーンありす 消費期限切れのお菓子を与えてみた HENTAIたちの無双劇 HENTAIフルコース 小舟のお家 ぷでぃんの真実
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『トンボを捕まえたかっただけなのに・・・』 13KB 不運 自業自得 家族崩壊 野良ゆ 現代 十月だけど別にいいよね? ・公園を題材にしようと近くの公園に行ったら思いついたネタ ・九月の終わりごろの設定です トンボを捕まえたかっただけなのに・・・ 麦茶あき 九月末― まだ八月の猛暑が続いており、俺たち人類に地獄のような日照りが続いた頃、 俺は近くの公園で休んでいた。 「あちぃ~・・・・」 九月だというのに何だこの暑さは・・・俺たちを殺す気か太陽。 ただ今日は許してやろう、普段より少し涼しいし、俺は今、日陰にいるんだ。 木々の陰のおかげで俺の体の温度を冷やしてくれるありがたい植物たち。 ありがとう、おかげでゆっくりできる。 そんなゆっくりたちも公園内にチラホラ住み着いており、 ダンボールらしきものが置かれていた。 毎回思うのだがあのダンボールはどこから拾ってくるのだ?不思議に思う。 まぁ、いい。所詮はゆっくり。 考えるだけ無駄さ。 「ゆー」 「ん?」 噂をすればヒポポタマス・・・いや違う。 ゆっくりだ。 遠くに見えていたダンボールからゆっくりの家族が出てきた。 野良ゆっくりの風貌、小汚い肌、ボロボロのお飾り。 ああ、十人中、十人が野良だと言い切る姿だ。 家族構成はまりさ、れいむ、子れいむ、子まりさ、まだ小さいから赤まりさと赤れいむが出てきた。 典型的でよく人間にアホみたいに喧嘩売る家族構成ナンバーワンな奴らだ。 「おちびちゃんたち!きょうはたいようさんはそんなにあつくないからひなたぼっこしようね!」 「「ゆっくち~♪」」 「まりしゃぼーるしゃんであしょびちゃいじぇ!」 「れいみゅもー!」 「ゆふん、じゃあおとうさんがみてるからね」 どうやらゲスな家族ではない。 普通のゆっくり、善良といったところか? 出てきた小さいゆっくり共は母れいむと一緒に日向ぼっこしたり、 父まりさに見守られながらボール遊びをしていた。 なんという微笑ましい光景だ。 愛でてお兄さんの気持ちが少しはわかった気がする。 「まりしゃはいちびゃんしゃんなんだじぇ!」 「ゆえ~ん!まっちぇよまりしゃああ!!」 「ゆふふ・・・・・」 微笑ましすぎる、れいむの方は赤ゆっくりたちを日向ぼっこで寝かせながらまりさたちのほうを見ていた。 赤ゆっくりたちがボール遊びに参加しないのはまだ体が小さいからかもしれない。 まりさはれいむの視線に気づきニコリと笑顔で返した。 れいむも笑顔で返したがその時、まりさのお帽子に何かがついた。 遠くにいたれいむはその正体に気づいていた。 トンボである。 近頃この近くでよくトンボを見かけるようにもなり、この公園内でもよく飛んでいる姿が見られた。 そのトンボの一匹がまりさのお帽子の先端にピタリと止まったのだ。 トンボというものは棒の先端に止まる習性があり、よくトンボを捕まえる人はその方法でトンボを捕まえてるって聞いたことがある。 まりさのお帽子に止まったままトンボは動かない。 それを見たれいむは。 「まりさ!そこをうごかないでね!!」 「ゆ?」 れいむは大声を上げてまりさに動かないよう指示した。 いきなりそんなこと言われたまりさはわからないという顔をしている。 「どうしたのれいむ?」 「うごかないでねっていってるでしょおおおおおおおおお!!!」 「ゆっ!!?わ、わかったよ!!」 れいむの大声にビクッとなるまりさだがトンボは動こうとはしなかった。 随分肝があるトンボなのか、それとも警戒心がないだけなのか・・・ 恐らくれいむはあのトンボを捕まえようとしているのか、なんとなくそう思った。 まりさはその場を動かず、れいむはまりさの背後に行き慎重にトンボに近づいた。 「そろーりそろーり・・・・・」 距離はほんの数十センチ。 確実に捕まえるため慎重に近づくれいむ。 子ゆっくりたちはそんな行動をとっているれいむを不思議そうに見ていた。 「おきゃーしゃんにゃにしちぇるのじぇ?」 「れいみゅわきゃんにゃーい」 子ゆっくりたちにはトンボは見えていないらしい。 遠くから見ていた俺はその様子をじっと見ていた。 これから始まるであろう、野生(?)の瞬間。 もうトンボが飛んで行きそうなところまで近づいたれいむ。 息を整えリラックスする。 呼吸なんてしてないくせにわざわざそんなことする必要があるのかと突っ込みたくなった。 れいむは覚悟を決めトンボを睨みつけた。 それから数秒、無駄な時間が流れ、ゆっくりからすればまるで時が止まったかのような感覚だが、 遠くから見ていた俺には早くしろと言いたくなった。 そしてれいむはトンボに噛み付こうとする。 口を大きく開け歯をむき出しにしてトンボを噛み付く。 ゆっくりとは思えないスピード。 ブチッ!という音がした後、静寂が訪れた。 「ゆ?れいむなにしたの?」 後ろが見えないためまりさはれいむが何をしたのか見えなかった。 が、子ゆっくりたちにはしっかり見えていたらしい。 その顔はまるで捕食種に会ったかのような絶望的な顔をしているが。 「ゆ?おちびちゃんどうしたの?」 「お・・・お・・・」 「お?」 「おちょうちゃんのおびょうちがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「おぼうし?おとうさんのおぼうしがどうかしたの?」 まりさは子まりさの言葉が気になり、おさげを使ってお帽子がどうなっているか確認した。 自分で見えるところまで置くといつも自分が被っているものとなんか違った。 どこが違うのか考えたところ、さすがは餡子脳、理解するのに十分もかかった。 そう、まりさのお帽子の先のちょんまがった所から頭すれすれまで引きちぎられていた。 それを理解したまりさは絶叫した。 「ばりざのおぼうじがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」 変わり果てたお帽子。 何故こんなことになっていると喚きながらお帽子に泣きつくまりさ。 その犯人はもちろん・・・・ 「まりちゃはみちゃよおおお!!はんゆんはおきゃああしゃんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ??!」 「おきゃああしゃんがおちょうしゃんのおびょうしをちゃべちゃったんじゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「ゆゆ、おちびちゃんそんなばかなこといわないでね。れいむがそんなことするはず・・・・」 まりさは振り向き後ろにいたれいむを見た。 その目に映ったのはトンボを捕まえたかのように口をもごもごさせて、噛み千切ったまりさのお帽子の布を齧っているれいむ。 黒い布が自分のお帽子だと気づくのはそう遅くはなかった。 信じられないものを見たかのように固まるまりさ。 「れ、れいむ・・・・・?」 「ゆ~ん、とんぼさんにがしちゃったよ・・・ゆ?まりさどうかした・・・・・って、おぼうしどうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」 夫であるまりさのお帽子がとんでもないことになっていることに気づいたれいむ。 まりさに近づき驚愕の表情のまま固まっているまりさに擦り寄った。 「まりさ!おぼうしどうしたの??!だれにやられたの??!」 れいむが心配そうにまりさにすりよるが一瞬まりさがピクッと反応したのは気のせいか? 「ゆ!わかったよ!きっとあそこにいるにんげんさんのしわざだね!」 え?なんか俺のせいにされているんですけど。 俺なにもしてないよ?むしろれいむ、お前だよね引きちぎったの。 「ゆるさないよ!せいさいしてくるからまりさはまってて・・・・・」 「ふ・・・・・」 「ゆ?」 「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ゆべええええええ???!!」 まりさがれいむに体当たりをした。 思いっきりやられたため、れいむは思っていた以上に吹き飛ばされた。 「ば、ばりざああああ!!なにずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「でいぶうううう!!!じぶんがなにじたがもうわすれたのおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「ゆ?れいむなにかした??」 もう忘れている、いや覚えていないだけか。 「まりざのおぼうしをこんなふうにしたのはだれのせいだあああああああああああああああああああああ!!!!」 「あのにんげんさんでしょ!?」 「ちがううううううううううううううううううう!!!おまえだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「ゆええええええええええええ???!!どぼじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!??」 犯人が自分だということに驚いているれいむ。 まあ当たり前か、餡子脳だし自分がしたことなんて覚えていないんだろ。 ・・・いや違うな、まさかトンボの代わりに帽子を噛み千切ったなんて思ってないんだな。 どのみち噛み千切ったことに代わりはないが。 「ひどいよれいむ・・・!まりさの・・・まりさのおぼうしをこんな、こんなあああああああ!!!!」 「れいむのせいじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??!あのにんげんさんのせいでしょおおおおおおおおおおおおおお??!!」 お前のせいだって。 「うそいわないでね!あのにんげんさんはなにもしてないでしょ!!」 「しょうじゃよ!こにょうしょちゅき!」 「しょうじゃよ!あんにゃまにゅけがおちょうしゃんのおびょうちやぶけりゅわけないでちょ??!」 ビキィ!!おい、子れいむ・・・。 その言葉はいらないんじゃないかい? 「ゆぅ・・・おちょうしゃんのおびょうちが・・・・」 「・・・・・・・ごめんね、おちびちゃん・・・これじゃあおぼうしでみずのうえをわたることもできないよ・・・いっしょにおしえれなくなってごめんね・・・」 「で、でもおびょうしでたかい、たかいさんは・・・!」 「それもむりみたい・・・すぐはずれちゃいそうだよ・・・」 「「しょんなぁ・・・」」 たかい、たかいさんとはお帽子のつばに赤ゆや子ゆっくりの乗せて、 トランポリンのように自分の子供をジャンプさせるゆっくりの遊びの一種。 ゆっくりは高く持ち上げられたり飛ばされたりすると「おそらとんでるみたい!!」と言う。 その時のゆっくりの表情は無邪気な子供のような顔で本当にお空を飛んでる感覚になるという。 空を飛べないゆっくりにとってこの遊びはとても人気なのだ。 しかし、れいむによって噛み千切られたお帽子は重みを失くし、 ちょっとの衝撃でお帽子が外れてしまう状態になっている。 これではもう直さない限り遊ぶことはできない。 「やじゃあああああ!!!たきゃい、たきゃいちちゃいいいい!!!」 「れいみゅ!まりちゃがおおききゅなっちゃらやっちぇあげりゅじぇ!!」 待て子まりさ、それは無理だ。 その頃にはお前と子れいむは同じ大きさになっている。 そんな状態で高い、高いなんてしてみろ潰されるぞ。 「じぇんぶおきゃーしゃんのしぇいだよ!」 「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」 「しょうじゃよ!おちょうしゃんのおびょうちをたべちゃおきゃあしゃんにゃんかちね!!」 「ちね!!」 「「ゆっくちちないでちねぇ!!」」 「なんでそんなひどいこというのおおおおおおおおおおおおおおお???!!れいむなにもわるくないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「じゃあそのくわえているものはなんなの??!」 「ゆ?・・・・・・・・こ、これはあああああああ!!!??」 ようやくれいむが自分が咥えていたまりさのお帽子の噛み千切ったものに気がついた。 自分のしたことを理解して顔を青ざめるれいむ。 「しんじられないよ・・・・れいむ・・・こんなことするなんて」 「きっちょれいみゅたちもたべりゃれちゃうんだよ!」 「きょわいよおおお!!」 「ちがうよおおおお!!!とんぼさんをつかまえようと・・・」 「いいわけしないでね!!!とんぼさんなんてどこにもいないでしょ??!うそばっかりつかないでね!!」 「もういいよ、おちょうしゃん!こんにゃくじゅにゃんかほっちょいちぇゆっくちできりゅばしょにいきょうよ!」 「そうだね!れいむとはこれでりこんだよ!!」 「そ、そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」 「いもうちょたちもいきゅよ!」 「ゆ?」 「ゆ~・・・ゆっくち・・・」 寝ていた妹の赤ゆっくりたちを起こし別の場所に向かうまりさたち。 れいむは泣き崩れてその場にいたままだった。 「で、でいぶ・・・・!!なにもわるくないのに・・・・!!なんでこんなごどにぃ・・・・!!!?・・・・・・・・・ゆ?」 その時れいむの前にさっきまりさのお帽子に止まっていたトンボがれいむの目の前に飛んでいた。 泣いているれいむを笑うかのように現れて。 「もとはといえばとんぼさんのせいだよ!」 いや、トンボは悪くない。 絶対悪くない。 「とんぼさんはれいむにせいさいされてね!!!」 れいむは高く飛び上がり、トンボを潰そうとする。 しかしトンボはその身のこなしで簡単にれいむの攻撃をかわした。 「ゆぎいいいいいいい!!!よけるなあああああああああああああああああああ!!!」 何度も何度も踏み潰そうとするれいむだが、 トンボはそんな攻撃に物ともせず避ける。 避けるトンボを追いかけて公園の奥まで行くれいむ。 「ぜぇ・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・」 連続でジャンプし、踏み潰そうとしたためれいむの体力はもう無くなっていた。 が、れいむの中ではトンボを追い詰めたと思っているらしい。 飛んでいるトンボを睨みつけ攻撃宣言する。 「つ、ついにおいつめたよ!!!おとなしくれいむに・・・・・・・ せ い さ い さ れ て ね !!!」 ダンッ!!! 「あっ」 れいむは高く飛び、トンボを確実に潰すため力いっぱい飛んだ。 そしてその行き着く先は・・・・ 水が溜まっている噴水の中だ。 ドボンッ!!!! 「ゆがばがべばぎば????!!」 飛んだ先が噴水の中とは知らなかったれいむは何もできずに溺れていく。 もとい、ゆっくりが泳げるわけがない。 水を吸い、皮が徐々にふやけていき溶けていくだろう。 「どぼじでぇ!!?でぶぶごんばばっばめびいい!!!」 哀れいむ、トンボを捕りたいためにした行動がこんなことになるなど思っても見なかったろう。 まりさのお帽子を噛み千切り、子供には罵倒され、離婚し、トンボにはバカにされ、そして最後には噴水の中で誰にも助けられずに死んでいく。 俺が知っているゆっくりの哀れな死に方でもそれなりの上位にランクインしたな、おめでとう。 でも俺は最後にあのれいむに言っておきたい一言はある。 噴水に近づきれいむの様子を見る俺。 俺を見て助けに来てくれたのかと思い喜ぶれいむ。 んなわけないだろとにやけながら・・・ 「ざまーみろ、バーカ」 「がぼ・・?!」 え?助けると思ったの?ばかなの?死ぬの? さっき俺を犯人扱いしたのどこぞのゆっくりさんでしたっけ? そんな奴を俺が助けるわけ無いでしょ? どんだけ自分中心なんだよ糞饅頭。 「がぼ!ぼばばっば!!!」 助けて、許してくださいってところかな? まぁ助けないけどね。 俺は噴水から離れて家へと帰る。 やっぱり夏の暑さに勝てるのはエアコンの冷房くらいか、さっきから汗が止まらん。 ああ、不快だ、早くこの汗をどうにかしなければ。 帰る途中「やべでえええええええ!!ばりざのおちびちゃんがああああああああ!!!」という声がして、 見た先には虐待お兄さんらしき人があのまりさと子ゆっくり共を虐待していた。 その手に握られているのは俺を馬鹿にしたあの子れいむ。 それを見た俺は・・・・ 「ざまぁ」 と言って家に帰った。 あの親子がどうなったか俺は知らない。 さっきまで飛んでいたトンボは俺の目の前を横切り空へ飛んでいく。 あのゆっくり共、中々あほなことしてくれたよな。 なぁ、トンボ。お前もそう思うだろ? あとがき 公園に行ったらさ、トンボが飛んでてさ、一瞬で思いついたんだよ これはいけるってね。 改めて外に行くのっていいよね。 今まで書いた歪み 加工所本部 前編・後編 れいむその後 まりさその後 14番れいむのその後 れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編 あいつらの違い れいむはいい飼いゆっくりさ 折れた「ぐんぐにる」 ドスれいむ 追われるれいむ ゆなら HENTAIお姉さんとクイーンありす 消費期限切れのお菓子を与えてみた HENTAIたちの無双劇 HENTAIフルコース 小舟のお家 ぷでぃんの真実
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858 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 14 25 47.75 ID DVh79GMQo ~ロッジ~ 廃村アライさん6「なんなのだここは?アライさんの村じゃないのか?」 廃村アライさん1「村の回りは食べ物がなくなったのだ!だからここに移り住むのだ!」 山小屋アライさん「たくさん食べ物を集めたら、成績をつけるのだ。成績のいい奴は、鶏の卵を食わせてやるのだ」 廃村アライさん6「た、卵…!わかった、ここに住むのだ!」 副リーダーアライさん「だが、ここでは怠け者と泥棒、仲間割れする奴は要らないのだ」ザッ 副リーダーアライさん「怠けた奴はカースト底辺になり、食べ物の配当が少なくなるのだ」 副リーダーアライさん「そして、泥棒と仲間割れをやった奴は…死刑なのだ。…そのルールを守れれば、ここで暮らしていいのだ」 廃村アライさん1~6「楽勝なのだー!」 888 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 17 54 54.09 ID DVh79GMQo 廃村アライさん1「そうだ、アライさんのチビ達も連れてきていいのか?」 廃村アライさん2「アライさん村に可愛いチビを置いてきたのだ」 どうやらアライさん達は、自分たちが棲み家にしている村を『アライさん村』と名付けたようだ。 副リーダーアライさん「もちろんなのだ。ただし、他のアライさん村住人に、この場所を知られてはならないのだ。朝のうちに移動するのだ」 夜行性であるアライグマの平均睡眠時間は、朝4時~昼15時の、11時間であるという。 人の姿になったアライさんは、サンドスターの働きのためか、好きなときに眠れるようになっている。 実際のところ、アライさんの食糧探しは日中よりも深夜に行われることが多い。 ある程度全体的な傾向はあり、深夜2時に寝て、昼10時頃に起きる者が多いようだ。 つまり、早朝は皆寝ているのである。 廃村アライさん1「うーん、でも朝は寝ていたいのだ…」 副リーダーアライさん「掟に従えない奴はここに住ませられないのだ」 廃村アライさん2「わ、わかったのだ…」 …早朝… 廃村アライちゃん1「むにゃむにゃ…ありゃりゃしーおうちなのぁ…ふわぁ…」ヨチヨチヨチヨチ 廃村アライちゃん5「ねみゅい…のぁ…」ヨチヨチヨチヨチ 廃村アライちゃん6「おかーしゃ、おんぶして…なのぁ…」ヨチヨチヨチヨチ どうやら、引っ越しは完了したらしい。 889 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 18 03 21.45 ID DVh79GMQo …1週間後… 廃村アライさん1~5「ほどくのだーーーーーーーーーーーーーー!」ジタバタジタバタ 廃村アライちゃん1~8「ぴいいぃーーーっ!ありゃいしゃんわりゅくないのらああぁっ!」ビエエエエン 廃村から来たアライさんのうち、6匹中5匹が縛られていた。 その子供は実行犯ではないが、連帯責任で縛られていた。 廃村アライさん1「アライさん悪くないのだ!お前達が食べ物を取り上げるからお腹減ったのだーーー!」ギュウルルウルルル 廃村アライさん2「無理矢理にここに 連れてこられて!理不尽なルールに従わされたアライさん達が!可哀想なのだあああ!」ビエエエエン ロッジアライさん3「泥棒ふぜいが命乞いするななのだ!」 廃村アライさん3「ごめんなさいなのだー!次はもうしないから、許してほしいのだーー!殺さないでなのだぁ!」ジタバタ 山小屋アライさん「『次はもうしない』…?『次は見付からないように盗む』の間違いじゃないのか?お前みたいな奴は、一生反省も更正もできないのだ」 廃村アライさん6「まったく…駄目な奴らなのだ」フゥ 廃村アライさん6は、盗みをやっていないようだ。 副リーダーアライさん「…1匹残っただけで大したもんなのだ」 ロッジアライさん5「新入りの恒例行事なのだ」 895 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 18 21 39.93 ID DVh79GMQo 副リーダーアライさん「では…死刑執行ぉぉおーーーう!」 廃村アライさん6「泥棒には死を!」ブンッ ロッジアライさん1~20「たあ~!」ブンッ 一斉に、次々と石が投げられる。 廃村アライさん1「ぎびいぃぃ!」バキィ 廃村アライさん2「いだいのだああ!」ボギィ 廃村アライさん3「ぐびぃ!やめうのだああ!いだいぃ!じにだぐないいいぃ!」グシャ 廃村アライちゃん1「ぎゅっ!」ドグシャ 廃村アライちゃん2「ぴいぃぃっ!おがーしゃんのばがあああっっ!」ズドグシャア 廃村アライちゃん3「ぐげぇっ!ありゃいしゃんたち、がんばっておべんきょーやおしごとちてたのにいぃぃっ!」ベギィ 廃村アライちゃん4「ぴぎぃ!おきゃーしゃんのごみいぃっ!くずううぅぅっ!ぎびっ!」ドガグシャ 908 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 18 43 23.65 ID DVh79GMQo … 廃村アライさん1~5「」ビクッビクッ 廃村アライちゃん1~8「」ピクピク 泥棒たちの顔面は投石により崩壊していた。 血まみれの石が散乱していた。 廃村アライさん6「ぜぇ…はぁ…」ハァハァ 副リーダーアライさん「はじめての死刑執行、ご苦労様なのだ。そしてお前も盗みや仲間割れをやったらああなるのだ」 廃村アライさん6「はぁ…はぁ…」 山小屋アライさん「死体は解体して乾燥させ、鶏のエサとか、桑の実や野苺の肥料にするのだ。やり方を教えるからついてくるのだ」スタスタ 副リーダーアライさん「うっぷ…アライさんを解体するのか…。やりたくないけど、仕方ないのだ…」スタスタ 廃村アライさん6「それ、聞いたことあるのだ」 山小屋アライさん「のぁ?」 911 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2017/09/24(日) 18 48 50.69 ID DVh79GMQo 廃村アライさん6「…バッグアライさんも、侵入者をやっつけた後に同じ事をやってたのだ」 山小屋アライさん「……………もう死んでる奴か?」 廃村アライさん6「そうなのだ。みんなで処刑したのだ」 山小屋アライさん「………ハアアァァァ~~~…………」 廃村アライさん6「あんまり溜息つくと、幸せが逃げるのだ!」 山小屋アライさん「幸せが逃げたから、溜息ついたのだ…」 本来群れを作らないアライさん達が、ロッジで共同生活できている、もう一つの理由。 それは、共同生活の資質がない者が、来てすぐに間引きされるためである。 その割合は、半分以上が処刑されるという。 アラしゃぶと掃討作戦 パート5へ戻る
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散歩しているとゆっくりれいむの母子がお昼寝しているのを見かけた。 親は標準的な成体ゆっくり程度の大きさで、子どもは典型的な赤ちゃんサイズが2匹。 その姿がとても微笑ましかったのでちょっと悪戯をしてみた。 とりあえず親れいむの眼球を穿り出し、出来た空洞に赤れいむをねじ込んでみる。 その間なんと2.8秒。びっくりするほどの早業だ。 そして、痛みで目を覚ました母親に気づかれないよう、素早く、しかし慎重に近くの木の陰に身を隠した。 「ゆぎゃああああ! いだいいいいいいいい!」 眠っていたこともあってか(それにしても遅すぎるが)目玉をくり抜かれてから5秒後に親れいむは悲鳴を上げた。 一体何が痛いのか全く分からない。しかし、とにかくとてつもなく痛い。 「いだいいいいいいいいい!ぢんぢゃううううううう!ぞれにな゛にもみ゛えな゛い゛よおお゛お゛お゛お!?」 言葉にならずとも壮絶な痛みを言葉異常に雄弁に語る、そんな悲鳴を上げながら親れいむはようやく自分の異変を察知した。 そう、当然のことながら目玉をくり抜かれているのだから何も見えないのだ。 しかし、眠っている間に施された処置のことなど知る由もない彼女は痛みと理解不能の暗闇にただ怯えるばかり。 ぴーぴーぎゃーぎゃーと騒音を撒き散らしながら、右往左往している。 「ゆぅ・・・おかーしゃん、どうちたの?」 「しょんなにおおごえをだちたらゆっくちできにゃいよ?」 そんな彼女の悲鳴がよほど耳障りだったのだろう。彼女のまぶたの内側で眠っていた赤れいむが目を覚ました。 口々に何か言いながらやけに騒がしい母親の姿を探すが・・・どうやっても体を思うように動かせない。 まるで金縛りのようだ、人間ならそう思ってしまうであろう事態に直面してなお赤れいむはのん気に首をかしげている。 「ありぇ・・・うごきゃないよ?」 「ねおきでうみゃくうごけにゃいね!」 どうやら事態の深刻さがまだ理解できていないらしい。 きっと寝起きだからだろう・・・そう結論付けた2匹は平和そうな笑みを浮かべて・・・ 「「おかーしゃん、もっちょゆっくちちてねぇ~・・・」」 と、のん気なことを口走っていた。 しかし、幸か不幸かその言葉が親れいむに我が子の事を思い出させるきっかけになった。 ハッとした親れいむは痛みを堪えながら「でいぶのあがぢゃんどごなのー!?」と声を絞り出す。 「ここだよー」 「れーみゅはじゅっとゆっくちちてるよ?」 「ここじゃわからないよ!おかーさんにゆっくりす~りす~りしてね!?」 親れいむはそう言うが、困ったことに両者の間には事態の深刻さの認識に齟齬がある。 更に眠気もあってか子ども達は親れいむの言うことを聞こうとしない。 「「やだよぉ~・・・れーみゅねみゅいもん・・・」」 「ゆうううううううううううう! わがままいわな・・・!?」 が、親れいむにとってはそれだけで十分だった。 赤れいむはただ喋ったに過ぎず、普通なら目で居場所を確認しなければならない。 人間と同様に目が最も重要な知覚であるゆっくりにとってそれは当然のこと。 あくまで普通の状況ならば、の話である。 「どほ゛ぢででい゛ぶの゛あ゛がぢゃんがおめ゛め゛のながにい゛るの゛おお゛お゛お゛おお!?」 体内から、それもゆっくりにとっては数少ない固有名詞を持つ器官である目から声が聞こえて来る状況は普通ではない。 おかげで親れいむは我が子の居場所を確認することが出来た。 そして、その言葉のおかげで2匹の赤れいむも自分達が異常な状態にあることを認識した。 「ゆゆっ! しょーいえばおしょらをとんでりゅみちゃい!?」 「ゆゆっ! おきゃーしゃんおこえがへんにゃところからきこえりゅよ?!」 「ゆぎぃ! あがぢゃん、あばれないでね! おめめがいだいよ!?」 流石のゆっくりもこの事態には困惑せざる得ないらしい。 親れいむはさっきよりも一層激しく叫びながら右往左往し、子ども達も泣き叫んでいる。 しかし、しばらくすると狼狽していた親れいむが落ち着きを取り戻した。 そして・・・ 「ゆゆっ!? おめめがみえるようになったよ!」 そんなことを言ってのけた。 彼女の言葉を聞いた僕はその真偽を確かめるべく母子の前に姿を現す。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ? ゆっくりしていってね!」 「「ゆっきゅりちていっちぇね!」」 彼女達の後ろから立った状態で声をかけ、彼女らが振り返る前にしゃがんで目の高さを近づける。 振り返った彼女達は母れいむも含めて返事するときにはしゃがんだ後の僕の目を見て挨拶を返した。 なるほど、確かにちゃんと見えているようだ。 「おねーさんはゆっくりできるひと?」 「そうだよ。ゆっくり出来る人だよ」 適当に応答しながら赤れいむの視界を両手の人差し指と中指で遮ってみる。 一瞬、僕のとっぴな行動に怯んでみせたが、それ以上何をするつもりもないことを察知した彼女達は首をかしげる。 「ゆぅ? おねーさん、やめてね! ゆっくりなにもみえないよ!」 「「ゆっきゅりみえにゃいよ!」」 「ふぅん・・・じゃあ、これならどう?」 右目の赤れいむの視界を遮る人差し指だけをずらしてみる。 すると、予想通り・・・ 「ちょっとだけみえるよ!」 「ちょっとだけみえりゅよ!」 「じぇんじぇんみえにゃいよ!」 左目の赤れいむ以外は少しだけ見えると答えた。 癒着させると感覚を共有するとか、その応用でキメラが作れるとか・・・そんな話を聞いたことはある。 が、まさかただ目の中に放り込んだだけでこんなことになろうとは・・・。 「ねえ、れいむ?」 「なぁに、おねーさん?」 「多分だけど、赤ちゃんがれいむの目になっちゃってるよ?」 「ゆゆっ! どーいうことなの!?」 「「ゆっきゅりおちえてね!?」」 「だから、れいむの目の中にいる赤ちゃんの目で見ているものをれいむも見てるみたいだよ」 「な、ななな・・・なにぞれえええええええ!?」 僕の説明を聞いて驚愕するれいむ。そして、困惑する赤れいむ2匹。 僕だって驚いているんだからまあ、自然の反応だといえるかも知れない。 「おね゛ーざん! だずげでよおおおお!?」 「ごめん、ムリ・・・でも、あれだよ。赤ちゃんがどこかに行くことがなくて安全だよ!」 「「ゆゆっ! ゆっきゅりできりゅの?」」 「もしかしたら出来るかも?」 「なーんだ! ゆっくりできるんだね!」 流石ゆっくり。ゆっくりできるならそれでいいらしい。 いちいち水を差すのも野暮なので突っ込まないが、きっと彼女達が失念しているであろうことを尋ねてみた。 「でも、その状態でどうやって赤ちゃんにご飯あげるの?」 「ゆゆっ! う~ん・・・寝転がれば大丈夫だよ!」 「あと、赤ちゃんが大きくなったられいむが潰れちゃうんじゃない?主に中身とか」 僕の言葉を聞いた親れいむは再び驚愕し、ワナワナと身を震わせる。 「ゆ゛っ!? ・・・あがぢゃん、ごはんはゆっぎりがまんぢでね!」 「「ゆゆっ! れーみゅほはんたべちゃいよ!?」」 「だっで、でいぶぢんぢゃうんだよ! ゆっぐぢでぎなぐなるんだよ!?」 すると、今度は赤れいむが母の言葉に驚愕して泣きじゃくりながら身を震わせた。 「でも、食べさせてあげないと赤ちゃん死んじゃうし、目も見えなくなるよ?」 「ゆがーん!? どうずればいいのおおおおおおお!?」 答え。死なないが成長しない程度に餌を与え続ける。 もっとも、それだと喋る程度の体力は残るから、凄く喧しそうだけど。 赤れいむ達にとっても死ぬ寸前のところで生かされる格好になるのでとても辛いだろう。 「・・・まあ、そんなわけだから・・・ゆっくりがんばってね!」 原因は完全に僕にあるわけで・・・何となく気まずくなった僕はそそくさとその場を後にした。 後ろかられいむ達の「たすけてよー!」という叫び声や母子で喧嘩する声が聞こえてきたが振り返ることはしなかった。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ 文字通り一心同体なのに家庭崩壊とはこれ如何に 3匹で1匹のれいむだから、トリニティれいむ。巫女ベースだけどトリニティ 今回のネタは応用すれば「常時自分の中身を見せ付ける虐待」なんてのも出来るかも byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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ぬしゃーち [解説] とある地方で誰かが出かける時に掛けられる言葉。 「いってらぬしゃーち」 起源。全てはここから始まった。 派生 「おかえりぬしゃーち」 「ただいまぬしゃーち」 「おやすみぬしゃーち」 しゃーち 若者言葉
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『野良夫婦と金バッジ夫婦』 28KB 思いついたネタをそのまま叩きつけただけの代物です 野良夫婦と金バッジ夫婦 夕方、仕事から帰ってくると玄関前にボロボロのゆっくりの夫婦(まりさ・れいむ)が座り込んでいた こちらを見るやいきなり2匹は地面にガンガン顔を打ち付けて 『にんげんさんのゆっくりぷれいすにはいったのはあやまりまず!でぼれいぶがにんっしんしててもううごけないんでず!』 『おちびちゃんがうまれるまででいいのでここにおいてくだざい!』 「あぁれいむ。君はお腹に子供がいるんだからそんなことしちゃダメだって。生まれるまでなんて言わず自由に動けるようになるまで置いてあげるよ」 『あじがどうございまず!あじがどうございまず!』 『にんげんさんありがとう!』 庭に置いてやろうかと思ったけど家に入れてやろうかな 「どうせなら家の中に入りなよ。お腹の子供もきっとゆっくり出来るよ」 『おうちのなかにはいっていいの!?』 『やったよまりさ!おちびちゃんもあんっしんしてうまれることができるよ!』 2匹とも思わぬ幸運が舞い込んだ事で大はしゃぎだ。最も僕の方はちょっとした思惑があるんだけどね 「2匹ともちょっと待っててね。。まりさ!れいむ!出ておいで!今日から一緒に住む子達を紹介するよ!」 『どうしたのおにいさん?』 『そのれいむとまりさがいっしょにすむゆっくりなんだね!』 この2匹は僕が飼っている金バッジのれいむとまりさだ。赤ゆから育てた僕の自慢なんだけどどうにも面白みに欠けるんだよね 優等生すぎると言うか何というか。そこで生粋の野良と接触させればどんな変化が起こるか見てみようってわけだ 『そっちのれいむはおなかにおちびちゃんがいるの?』 『そうだよ!はじめてだからちゃんとできるかしんぱいだよ…』 『だいじょうぶなのぜ!まりさがついてるのぜ!』 『いいなぁ…れいむもおちびちゃんがほしいよ…』 ちなみに僕のれいむはこんな事を言っているが別に禁止した覚えはない 勝手にすっきりしてはいけない=おちびちゃんを作ってはいけないという認識になってるようだ 胎生妊娠での出産なら何時でも許可するのになぁ 普段滅多に話すことのない野良ゆ相手にうちのれいむとまりさは興味津々でいろんな話を聞いている れみりゃをやっつけただの 犬と戦って勝っただの 半分ホラ話だろうとは思うが野良の生活が危険で一杯という事を勉強できるから良いかな しかし…何かうちのれいむと野良まりさの様子が変だな…?気のせいか? チラチラと見つめ合ってる。そんな感じだけど… とりあえず野良夫婦を風呂で洗ってやり食事を振舞ってやった うちのゆっくりは舌が肥えないようにゆっくりフードそれなり味を食べさせている しかし野良夫婦はそれなり味ですらご馳走になるのか一心不乱に食べている 『おにいさん、すっごくおいしかったよ!ありがとう!』 『ありがとうなのぜ!おかげでおなかいっぱいなのぜ!』 「うんうん。喜んでくれて何よりだ。それじゃそろそろ寝ようか。もう時間も遅いしね。みんな御休み」 野良まりさは金れいむの虜になっていた 美しい黒髪 皺一つない綺麗なおかざり シミ一つない美しい肌 美ゆっくりの名に恥じない美しさだ それに比べて自分の番はどうだ? お飾りは所々解れていて汚い 肌はススや油が付着し薄汚れている なぜ自分はこんな薄汚いゆっくりを番に選んだ? 考え始めるだけでもう気分が悪くなる。何とかあのれいむにの気を引くことはできないか? 金れいむは野良まりさが気になって仕方がない 体からあふれる野性味 体の傷は勇敢なゆっくりであるという証明 程よく引き締まった体からは逞しさを感じさせる それに比べて自分の番のまりさはどうだ? 気弱でいつも飼い主の言いなり 見た目は美しいがあんな逞しさを感じさせない体でどうやって自分を守る気なのか? そもそもまりさと番になったのは自分達がショップでセット売りされていただけと言う理由で飼い主に結婚させられただけだ 出来ることならあのまりさの番になりたい。しかしあのまりさには既に身重の妻が居る せめておちびちゃんを産むことさえできればあのまりさと一緒に居ても苦にはならないのだが… 深夜。電気は消え闇が部屋を包み込んでいる。そんな中、金れいむが金まりさの元へと這いよっていった 『まりさ…まりさ…』 『ゆっ…?なにれいむ?どうしたの?』 『まりさ、れいむたちもおちびちゃんつくろうよ』 『なにいってるの!?かってにすっきりしちゃだめってばっじのしけんさんのときにべんきょうしたでしょ!』 『でもれいむもおちびちゃんほしいよ!』 『だめだよ!おちびちゃんはがまんしようね!』 れいむは諦めきれないといった表情でまりさを見つめている。そしてとうとう… 『それじゃおしえてね!まりさはれいむとおにいさんのどっちがだいじなの!!』 まりさは困惑した。番であるれいむは大事だ。しかし飼い主であるお兄さんはそれ以上に大事だ。まりさは… 『おにいさんだよ!おにいさんがいなきゃまりさたちはおそとでくらすことになっちゃうんだよ!?』 『まいにちたべてるごはんだっておにいさんがおしごとをしてかってきてくれてるんだよ!』 まりさの答えはどこまでも正論だ。しかし正論だけが正しいとは限らない。れいむはまりさの答えに激昂した 『もういいよ!まりさなんてしらないよ!!』 れいむはそう言うと自分の寝床へ戻っていってしまった それを野良まりさが見ていた… まりさの返答に怒りが収まらないれいむ。タイミングを見て野良まりさがれいむに声をかけた 『ならまりさがれいむのおねがいをかなえてあげるのぜ』 『ま、まりさ!?』 『れいむ、まりさとすっきりするのぜ!そうすればおちびができるのぜ!』 金れいむにしてみれば千載一遇のチャンスだった。しかし金まりさの言うとおり飼い主の逆鱗に触れればこの家を追い出されるだろう 今まで飼いゆっくりの生活を送ってきたれいむには野良の生活はあまりにも過酷すぎる 『でもおにいさんがなんていうか…かってにすっきりしたらおうちからおいだされちゃうよ…』 『だいじょうぶなのぜ!おにいさんだってかわいいおちびをみたらきっとゆるしてくれるのぜ!』 それは死亡フラグでしかない。もっとも飼い主のお兄さんはすっきり禁止など一言も言ってないので大丈夫だったりするのだが れいむは考え込んだあと… 『わかったよ!れいむはまりさとすっきりするよ!でもれいむははじめてだからやさしくしてね?』 『わかってるのぜ!それじゃさっそく…』 『『すっきりーーー!!』』 翌朝。金まりさと野良れいむは信じられない光景を目の当たりにした 金れいむの額に実ゆっくりが実っている。れいむの隣では野良まりさがニヤニヤと笑っている そんな状況の中お兄さんが朝ごはんの支度が出来たと彼らを呼びに来た 「皆おはよう!朝ごはんが出来たよ!みんなはやく……れいむ?ソレは何?」 『ゆゆっ?おちびちゃんだよ!このまりさとすっきりしたんだよ!』 『そうなのぜ!きょうからまりさがれいむのだーりんなのぜ!』 『までぃざあああああああああああああ!なんで!?どぼぢで!?でいぶはどうなるのおおおお!?』 『れいぶぅうううう!どういうことなの!?すっきりはあれほどだめっていったでしょ!!』 『れいむとはりこんするのぜ!かわりにこっちのきれいなれいむとけっこんするのぜ!』 『そんなのゆるせるわけないでしょおおおお!れいむはまりさのおくさんだよおおおお!!』 「あー…皆落ち着いて。れいむ(金)、君はそれでいいの?」 『いいよ!もうあのまりさにはうんざりだよ!』 「そっちのれいむ(野良)は良いの?」 『いいわけないでしょおおおおおお!までぃざはでいぶのだんなさまなんだよおおおおおおおおお!!』 「こう言ってるけどどうするのまりさ(野良)?」 『そんなきちゃないれいむなんてぽいなのぜ!こっちのれいむのほうがいちおくちょうまんばいかわいくてきれいなのぜ!』 うちのまりさはどうするんだろうなぁ。聞いてみるか 「まりさ(金)君の意見を聞きたいんだけどいいかな?」 『まりさはもうどうでもいいよ。れいむのすきにすればいいよ……』 「わかった。とりあえず皆ご飯を食べよう。その後でゆっくり話し合えばいいさ」 結局両者ともに意見を変えることはなかったのでとりあえずの処置としてそれぞれ別の部屋に住まわせることにした あのまま一緒の部屋においといたら絶対殺し合いになってるだろうしそれは僕の望むところではない 一時的な措置として金まりさは野良れいむと同じ部屋に入れておいた。あの状態なら手荒な真似はしないだろうと判断した上での事だ 金まりさ&野良れいむの部屋- れいむはずっと部屋の隅で泣いている。まりさに裏切られ一気に絶望へを叩き落とされた為暫くは立ち直れそうにない 金まりさからは表情が消えただ天井をボーっと見つめている。非常に危険な兆候だ 部屋を移されて3時間がたった頃れいむが急に苦しみ出した。どうやら陣痛が始まったようだ 『ゆぎぎぎぎぎ!うばでるぅううううう!!』 あまりの大声にまりさも正気に戻った 『れいむ!?どうしたの!だいじょうぶ!?』 『あがじゃんがうまでるぅううううう!』 『ゆわぁ!た、たいへんだ!ど、どうしよう…おにいさんはおしごとにいってるし……そうだ!きょうかしょさんにのってたやりかたで…!』 『ゆぎぃいいいいい!!!いだいぃいいいいいいいい!!』 激しい陣痛がれいむを襲う。金まりさがれいむに指示を出し始めた 『れいむ!まりさにつづいてね!「ゆっゆっふ~ゆっゆっふ~」このこきゅうをつづけてね!あかちゃんをうむときのだいじなこきゅうだよ!』 『わがっだよぉ!ゆ゛っゆ゛っう゛~~!ゆ゛っゆ゛っう゛~~!』 『そのちょうしだよ!ゆっくりつづけてね!』 こころなしかれいむの呼吸が落ち着いてきた。ゆマーズ法が功を奏したようだ 『ゆっ?れいむ!おちびちゃんのあんよがみえたよ!もうちょっとがんばってね!』 まむまむから赤ゆのあんよが出ている。人間なら逆子といってかなり危険な状態だがゆっくりならば何の問題もない 『あがじゃん!うっぐりうばれでねぇええええええええ!』 『もうちょっと!もうちょっとだよ!』 『んぎぃいいいいいいいいいい!』 『まりさのおぼうしでうけとめてあげるからはやくでてきてね!』 勢いよくまむまむから飛び出しついに一匹目が産声を上げる 『ゆっくちしちぇいっちぇね!』 『れいむ!れいむによくにたおちびちゃんだよ!』 『よがった…ゆぎぃ!?まだうばれるぅううううう!!』 『おきゃーしゃんがんばっちぇ!』 『ゆぎぃいいいいいいいいいい!』 2匹目も無事誕生した。元気なれいむだ 『れいむ!だいじょうぶ?』 『だ、だいじょうぶだよ…ゆぎっ!?まだうばれるのぉおおおおお!?』 どうやら3匹妊娠していたようだ 初産で3匹は体力が持つか心配だがお兄さんに振舞われたゆっくりフードの御陰で栄養状態は多少ではあるものの改善されていた為無事に産めるだろう 『おちびちゃんのあんよがみえるよ!がんばって!がんばってねれいむ!』 『おきゃーしゃんがんばっちぇ!』 『れいみゅのいもうとははやくうまれちぇね!おきゃーしゃんがいちゃいいちゃいだよ!』 『ゆぎぃいいい!がんばるよぉ!れいむはおかあさんだからねぇ!んぎぎぎぎぎぎぎ!』 3匹目も産まれた…が 『ゆっくちしていっちぇくださいね!』 産まれたのは取り替え子のさなえだった 『すごいよ!さなえがうまれたよ!』 『ゆっ?ほんとうだ!これがかみさまのいたずらってやつだね!』 計3匹の子宝に恵まれたれいむ。我が子の誕生にれいむは笑顔を取り戻した 『おきゃーしゃん。おとうしゃんはどこにいりゅの?』 そう言われて一瞬困惑したが直ぐに返事をした 『あそこのまりさがおとうさんだよ!』 突然の指名に金まりさは驚きを隠せない 『ゆっ!?い、いいの!?』 『いいよ。まりさはれいむとおちびちゃんたちのためにがんばってくれたんだから…ほらおちびちゃんたちにあいさつしてあげてね!』 『わかったよ!ま、まりさがおとうさんだよ!おちびちゃんたち、ゆっくりしていってね!』 『『『ゆっくちしちぇいっちぇねおとうしゃん!』』』 金まりさは思わぬ形で父親となった。その表情はどこまでも幸せそうな笑顔だった 野良まりさ&金れいむの部屋- れいむは幸せだ。強く逞しいまりさの子を授かり念願の母親となることが出来た 額の我が子を見つめるその表情はまさに幸せの絶頂と言った感じだ 『ゆぅ~んれいむのおちびちゃんゆっくりしてるよぉ~』 野良まりさはと言うと… 『れいむとすっきりできたのはいいけどおちびがじゃまなのぜ…まだまだまりさはすっきりしたいのに…』 ご覧の有様である。野良れいむと番になったのも好きな時に好きなだけすっきりするためのすっきり奴隷という認識でしか無かった 『まりさもおちびちゃんにはなしかけてあげてね!おちびちゃんもきっとよろこぶよ!』 『チッ わかったのぜ。まりさがおとうさんなのぜ…ゆっくりするのぜ』 (なんだかまりさのようすがおかしいよ…ぜんぜんゆっくりしてないよ…) 時刻は昼。昼食はお兄さんが置いて行ってくれたのでそれを食べることにするが… 『まりさ、ごはんにしようね。おにいさんがおいていってくれたフードさんがあるよ』 『まりさはおなかがぺーこぺこなのぜ!』 そう言うとまりさは餌皿に顔を突っ込み凄まじい勢いで食べ始めた 『うっめ!まじぱねぇ!これまじぱねぇ!!』 『なにやってるのぉおおおお!れいむのぶんまでたべないでぇええええええ!』 『うるさいのぜ!まりささまのすーぱーむーしゃむしゃたいむをじゃまするのはゆるさないのぜ!!』 結局全部平らげてしまった。れいむは心なしか顔色が悪い。それもそのはず、常に茎に餡子を吸われているため食事を抜くのは死に直結する 無論まりさはそれを承知している。れいむに茎を抜くように仕向けているのだ 『まりさ…おなかがすいてしにそうだよ…』 『だったらくきをぬいてしまえばいいのぜ。そうすればあんこさんをとられなくなるのぜ』 『そんなことはできないよ!おちびちゃんがしんじゃうよ!』 『そうしないとれいむがしぬのぜ?まりさはれいむにしんでほしくないのぜ?しぬかくきをぬくかはれいむのすきにすればいいのぜ』 『いやだよ!れいむはぜったいにおちびちゃんをうむよ!』 『チッ すきにすればいいのぜ。それよりももういっかいすっきりするのぜ!』 『だ、だめだよ!れいむはいまにんっしんしてるんだよ!すっきりしたらしんじゃうよ!』 『そんなのしらないのぜ!』 『だめ!やめてぇ!』 『『すっきりー!!』』 れいむの額に2本目の茎が生える。1本でもかなりの負担なのに2本ともなれば… 『はやくくきをぬかないとしぬのぜ?』 『れいむは…おちびちゃんをまもるよ……ぜったい…みすてない……から…』 このれいむの母性はぼせい(笑)では無いようだ。しかしゲスの前では無力だ 『さぁて…もういっかいせんいくのぜ!まだまだげんきなのぜ!ぜつっりんでごめんねー☆』 『やめでぇ!もうしんじゃうよぉ!』 『あんっしんするのぜ!まりささまのてくにっくでゆんごくへいかせてあげるのぜ!』 『『すっきりー!!』』 れいむの下腹が膨れ上がりれいむはさらに餡子を吸われる事となってしまった 『どうするのぜ?はやくくきをおってぽんぽんのおちびをつぶさないとしぬのぜ?』 『い…や……だ………』 『チッ かってにするのぜ。それじゃまりさはすっきりしてつかれたからすーぱーおひるねたいむなのぜ!』 『おぢびちゃん…おかあさんが……ぜったい…うんであげるからね……』 みるみる顔が青さめていく。お兄さんが帰ってくるのは早くとも夕方だ。それまで持つかどうかは分からない… 「ただいまみんな。良い子にしてたかい?」 『おにいさんおかえりなさい!みて!おちびちゃんがうまれたよ!』 まりさが嬉しそうに僕に報告してくれる。どうやら金れいむのことは吹っ切れたようで何よりだ 『おとうしゃん、あのおにいさんはだれ?』 『おにいさんはまりさたちのかいぬしさんだよ。おちびちゃんたちがたべたごはんさんをかってくれたりおうちをかってくれたとってもやさしいゆっくりできるおにいさんだよ!』 「へぇ、れいむにさなえかぁ…ってお父さん?」 『おちびちゃんにはおとうさんがひつようだからまりさにおとうさんになってもらったんだよ。だめだった…?』 不安げに尋ねてくるが僕は笑顔で答えてやる。そうなることは何となく分かってたしね 「いいやそんな事はないよ。まりさ、お父さんとして色々やらなきゃいけない事が多いけど頑張るんだぞ?」 『わかったよおにいさん!まりさはおとうさんだからね!』 本当は金れいむとの子供のお父さんになってもらいたかったがこの野良れいむも中々悪くない。将来はバッジ試験を受けさせてもいいかもしれないな そう言えば…いつもは迎えに出てくれる筈の金れいむが居ない。いつもなら出迎えてくれる筈なのだが 「まりさ、れいむ(金)を見てないかい?」 『そういえばみてないよ…おへやからもでてこないし…』 「心配だな。ちょっと待ってて見てくるから」 お兄さんが金れいむの部屋に行くとそこには… 『うっめ!まじぱねぇ!これまじぱねぇ!』 まりさが一心不乱に何かを貪り食っている。昼食の残りでも食べているのか?いや違うあれは―――― 「まりさ、何を食べている?」 震える声でお兄さんがまりさに聞く。まりさは何事も無かったのように 『ごはんをたべてるんだぜ!なかなかおいしいのぜ!』 まりさが言うご飯とは金れいむだった 2本の茎を生やしまりさに食い破られたであろう下腹の当たりには未熟ゆの死体が転がっている 「オイ、ソレはれいむじゃないのか!?」 『ゆゆっ?ちがうのぜ!おまんじゅうなのぜ!あのやくたたずならしんだからおまんじゅうとしてたべてあげてるのぜ!』 「死んだ?どういう事だ!!」 お兄さんの大声に驚く野良まりさ。しかし相変わらずへらへら笑いながらこう答える 『あのばかれいむはくきをおればたすかるのに『おちびちゃんはころせないよぉ!』とかばかなことをいってしんだのぜ!ばかにはおにあいのさいごだったのぜ!』 「そうか。わかった」 そう言うとお兄さんは部屋から出て行った 『おいじじい!でざーとさんをもってくるんだぜ!』 知るか。この報いは受けてもらうぞ 外で待っていた野良れいむと金まりさ夫妻が心配そうにお兄さんを見つめる。お兄さんの大声は廊下まで響いていたためだ 『おにいさん、れいむになにかあったの?』 「皆、ちょっとの間2階で待っててくれるかな?ご飯は用意してあげるからね」 『しんだってきこえてきたけどまさか…』 「そのまさかだよ。れいむ(金)がまりさ(野良)に殺された。茎が2本生えてたし多分無理矢理すっきりさせられての衰弱死だね」 『まりさ…なんでそんなことを…』 野良れいむが青ざめながら呟く。離婚したとは言え元番の凶行に驚きを隠しきれないようだ 「僕が何とかするからまりさ達は2階に居るといいよ」 『わかったよ。おにいさん、まりさをせいっさいするの?』 「君達ゆっくりのルールじゃゆっくり殺しは制裁なんだろ?安心して。そこまで酷い事はしないから。ちょっとお仕置きするだけだよ。ちょっと…ね」 お兄さんはそう言うと子供たちを抱えて2階へと上がって行く。金まりさ夫妻もそれに続いて2階へと上がって行った 『なぁああああにやってるのぜあのくそどれいは!はやくでざーとさんをもってくるのぜ!』 好き勝手に喚いてくれている。まぁそれもここまでだ 「まりさ、悪いがこの家から出て行ってもらうぞ」 『はぁ?なにいってるのぜ!ここにはまりさのれいむがいるからでていかないのぜ!でていくのはあのうすのろのまりさのほうなのぜ!!』 うすのろのまりさと言うのは金まりさの事だろう。よくもまぁ好き勝手に言ってくれる 「悪いがお前の元番のれいむならうちのまりさの嫁になったから諦めてくれ。そもそもお前はあのれいむを捨てたんだろう?」 『なにいってるのぜ?あのれいむはまりさのおくさん。じじいのかってたれいむはすっきりふれんどなのぜ!かんちがいするのはよくないのぜ!』 あぁコイツに少しでもまともな返答を期待した僕がバカだった。さっさとヤってしまおう 「君達ゆっくりの間じゃゆっくり殺しは制裁の対象なんだってね?この近くに公園があるからそこのゆっくりに制裁してもらおうじゃないか」 『なぁあああああにいってるのぜ!まりさはなにもわるいことはしてないのぜ!』 僕は無言でまりさの顔面に蹴りを入れる 『ゆぎぃ!?までぃざのぷりちーふぇいすがぁあああああ!?』 「公園のゆっくりに制裁してもらいやすいようちょっと身だしなみを整えようか。髪の毛を剃るよ」 『やめどぉおおおおおおおお!までぃざのかみのけにてをだすなぁああああああああ!』 このまま剃るのでは長すぎるのでハサミで適当な長さに切る 『あぁあああああああああああ!!!までぃざのたいようのようにきらめくおうごんのかみのけがぁああああああああああ!!』 「こんなもんかな。それじゃ剃るよ。動くと危ないからじっとしててね」 シェービングクリームなんて上等なものは使わない。剃刀も処分しようと思ってた使い古しのT字剃刀で十分だ 「そーりそーり ザクッ じょーりじょーり ザクッ 」 『いだいぃいいいいいいいいいい!!やめどぉおおおおおおおおおお!!!』 皮を削ってしまっているが知ったこっちゃ無い 30分後見事なハゲ饅頭が完成した。所々皮がめくれて餡子が露出しているが気にしない お下げは止めてくれとしーしーを漏らしながら懇願したのでそれは許してやった。どうせ明日には死ぬんだしね 「それじゃ明日までこの箱の中に入っててね。明日公園のゆっくりに君を引き渡すから」 『いやだぁああああ!じにだぐないぃいいいいいい!』 「れいむだってそう言った筈だよ?自業自得って奴だ理解してくれ」 『まぢがっでないぃいいいい!までぃざはまぢがっでないぃいいいいいい!』 「はいはいゆっくりゆっくり」 ゆんやーゆんやー喚くハゲ饅頭を透明な箱に入れ蓋をした。中で何か喚いているがまったく聞こえない。加工所の謎技術で作られた透明な箱は凄いなぁ 翌朝涙であんよを塗らしたハゲ饅頭入りの透明な箱を抱えて近所の公園へと足を伸ばした。金まりさ親子には朝ごはんを置いてたので安心して出かけられる 公園を見渡すと丁度朝の清掃作業を行っている公園ゆっくりの集団を発見したのでさっそく声をかける 「ゆっくりしていってね!ここの群れの長は誰かな?ちょっと話があるんだけど」 『ゆっくりしていってね!ぱちぇがここのおさです。なにかごようですかおにいさん?』 随分口の利き方がしっかりしてるな。相当優秀なんだろう 「実はこのまりさを制裁して欲しくてね。僕の家に子供が生まれるまで置いてくれって上がりこんで自分の番を裏切った挙句僕の飼いゆだったれいむを殺したんだ」 長にハゲ饅頭を見せた。流石に帽子が無いとまりさだと分からないだろうから帽子は残しておいた 箱に入ったハゲ饅頭まりさの顔を見るなり長の顔が青ざめる。ぱちゅりーは元々他のゆっくりと比べても顔色は悪いんだけど… 『まりさ…!そんな……』 「知ってるのかい?」 『このこはむかしここからでていったぱちぇのこどものまりさです。まさかこんなことになるなんて…』 「そうか…それは残念だったね。それじゃこいつの制裁を任せてもいいかな?」 『はい、こどものやったことのせきにんはおやがとるべきですので…』 「よし、それじゃ君達の制裁を見せてもらおうかな」 『はい。すこしまっていただいてもよろしいでしょうか?まだあさのおそうじがすんでませんので…』 「いいよ。仕事を優先してくれればいいから」 僕は家から持ってきた朝食のサンドイッチを食べながら公園ゆっくりの掃除をぼんやりと眺めることにした 30分後、掃除が終わり長と野良にしては体格が立派なちぇんとみょんがやって来た 『おまたせしました。この2ゆんがせいっさいをおこないますので…』 「よしわかった。それじゃ箱から出すね」 箱から禿げ饅頭を出すなりいきなり大声でわめき始めるハゲまりさ。どこにこんな元気が… 『ごのくそおやぁああああああああ!おやがこどもをころしていいとおもってんのかぁああああああああ!』 『よくもそんなことがいえるわね。おさななじみのありすをすっきりのしすぎでころしてせいっさいからにげだしたゲスのぶんざいで!』 「おいおい、そんな事までしてたのかコイツ」 『うるざいぃいいいいいいい!までぃざのゆうっしゅうないでんしをむだにしたゲスなんてしるかあああああああああ!!』 こりゃ重症だ。こいつ生粋のゲスじゃないか 『ちぇん、みょん。このゲスをせいっさいしなさい!』 『わかったよー』『ぺにす!』 2匹のゆっくりは枝と言うよりは鈍器に近い木の棒をまりさに振り下ろし始めた 『いだい!ゆっぐりできないいいいいいい!!』 『じぶんがなにをしたかわかれよー!』『たんしょう!そうろう!』 『までぃざはわるぐない!わるいのはあのでいぶとあじすだぁああああ!』 『すこしでもはんせいのことばがでるかとおもったら…ほんとうになさけないわ。あなたのおとうさんはとてもゆうっしゅうなゆっくりだったのに』 『うるさいぃいいいいいい!あんなまでぃざをゆっぐりさせながったくそおやなんかしるかぁああああああああ!』 「どういう事?」 『あのこのちちおやはとてもゆうっしゅうなゆっくりであのこをきびしくきょういくしてたんです』 『あるひあのことかりにいってあのこだけがかえってきたんです。あのこがいうにはにんげんさんのすぃーにつぶされたとのことなんですが』 このまりさの性格を考えれば言ってることは100%嘘だな。そうなると… 「ひょっとしてさ、まりさに殺されたんじゃないの?子供の体当たりっていっても大人を道路に突き飛ばすくらいは出来るだろうしさ」 『むきゅ!?まさかそんな…!いくらなんでもそれはないとおもいます!』 「分からないよ?こいつは生粋のゲスだし十分有り得る。ちょっと聞いてみるね」 そう言うと僕はちぇんとみょんに制裁を止めてもらいハゲ饅頭に聞いてみることにした 「まりさ。君のお父さんを殺したのは君だね?」 『な、なにいってるのぜ!?』 「本当の事を言えば助けてあげるよ?ゆっクリニックに行けば君の髪の毛も治してもらえるんだけどなぁ~」 無論嘘だ。助ける気など無い。だがこの馬鹿は簡単に引っかかるだろう。自分の保身しか考えてなさそうだし 『まりさがやったのぜ!あのくそおやはまいにちまりさにあれをやってはダメ。にんげんさんにめいわくをかけるなってうるさいからつきとばしてやったのぜ!』 「嘘じゃないね?嘘だったら助けてあげないよ?」 『うそじゃないのぜ!だからはやくたすけてね!あとばいっしょうのあまあまもちょうだいね!』 本当に言うとはなぁ。それじゃ制裁の続きを…と 「ちぇん・みょん。ヤっちゃっていいよ。このバカは死ななきゃ治らない」 まりさの告白に長ぱちゅりーはエレエレとクリームを吐き出している。ちょっと悪いことしたな 『なにやっでる!はやぐだずげろぉおおおおおおおおお!』 「嫌だ」 『まりさ…すこしでもあなたをしんじたぱちぇがバカだったわ…ちぇん!みょん!てっていてきにやりなさい!』 『わかるよー!』『まらあああああああああ!!』 う~ん。何か面白みに欠けるな。このまま叩き潰させるのも芸が無いし…よし、すっきりが好きなら好きなだけさせてあげようじゃないか! 「長、ちょっと待っててくれるかな?まりさには死よりも重い罰を与えようと思うんだけど」 『おにいさんがそういうなら…ちぇん!みょん!いったんきゅうっけいしなさい!』 「よし、それじゃちょっと準備するから勝手に殺さないでね」 さて、それじゃ一旦家に戻って準備をしようかな 1時間後。罰を与える為の準備を終わらせ公園に戻った。ハゲ饅頭は相変わらず自分の罪を認めずゆんやーゆんやー騒いでいる 「お待たせ。ちょっと遅くなっちゃったよ。最期の捜し物がなかなか見つからなくてね」 『おかえりなさいおにいさn…なんでれいぱーが!?』 そりゃ驚くよなぁ。街に住むゆっくりにとってれみりゃ以上の天敵だし 「大丈夫だよ。そのありすは僕との約束があるから君たちを襲ったりはしない」 『んほぉおおお…おにいさんはやくぅ…はやくすっきりしたいのぉぉぉぉ…』 「はいはい、ちょっと待っててね。すぐに終わらせるから」 僕はだいぶ前に会社のビンゴゲームで貰った携帯型足焼きホットプレートを取り出すと電源を入れ熱が回るのを待った 『むきゅ…?おにいさんこれはなんですか?』 「これは悪いゆっくりに御仕置きするための道具だよ。これの上に悪いゆっくりを載せてあんよを焼いちゃうんだ」 『それはむっきゅりできなくなりますね…にんげんさんはすごいことをかんがえますね』 長と話す間に熱が十分回ったのを確認し早速ハゲ饅頭を載せる! 『ゆぎゃぁあああああああああ!あづいぃいいいいいいいいいいいい!までぃざのあんよがああああああああああ!!』 「えーっと…成体ゆっくりの場合は5分でいいのか。全然使わないから勝手が分からないなぁ」 解説書とにらめっこをしながらあんよを焼く。虐待お兄さんならライターの火だけで見事に焼き上げてしまうらしい。羨ましいとは思わないけど 5分が経過しあんよはこんがりと焼きあがっている。これで跳ね回ることは出来ないはずだ 『やめでぐだざい!すっきりどれいのれいむをころしたことはあやまります!だからゆるじでぐだざい!』 「いや、れいむを奴隷呼ばわりしてる時点で反省してないでしょ君?だから止めないよ」 「さてお待たせしちゃって悪いねありす。それじゃ好きなだけすっきりするといいよ」 『こんなはげまんじゅうとすっきり…?たまにはげてものもいいわぁ!』 雄叫びと共にぺにぺにをいきり立たせ猛然とハゲ饅頭に突進し、一気にぺにぺにをまむまむに突き入れた 『あああああああああ!までぃざのばーじんさんがぁあああああ!』 『んほ?はじめてだったのねぇええええ!やさしくしてあげるわぁあああああ!』 あーあ、初めてなんて言うから余計ハッスルしちゃったよ 『そろそろいくわよ!ありすのあいをうけとってねぇえええええええ!』 『いやだぁああああ!にんっしんしたくないぃいいいいいいいいいい!』 『『すっきりー!!』』 ハゲ饅頭の下腹が膨れ上がっていく。どうやら胎生妊娠らしい 『ありすはまだまだすっきりしたいわぁあああ…おにいさんいいでしょぉ?』 「いいよ。好きなだけすっきりしていってね!」 『それじゃありすのてくにっくをみせてあげるわ!おうぎ!すっきりましんがん!!』 奥義?どこで覚えたんだそんな言葉。まぁどんなのか見せてもらおうかな 『すっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりすっきりぃいいいいいいいいいいいいいい!!』 何だこれ…腰?を振りながら射精しているのは良いとしてどんどん自分の体が萎んでるのに気づいてないのかありすは? 1分後全てを出し切ったありすは満ち足りた表情で死んでしまった。無茶しやがって… 『いやだ…すっきりこわい…すっきりこわいよぉ……』 一方ハゲ饅頭は無数の茎を生やして死にかけている。簡単に死なれちゃ面白くない 茎をハサミで切り取り口の中に突っ込み無理やり咀嚼させる。吐き出そうとしたので口を塞いで強引に飲み込ませ持ってきたオレンジジュースを体にぶっかけ蘇生させた 「それじゃこのハゲ饅頭は置いていくね。どうせ君ら野良ゆはすっきり規制してるだろうしこいつで好きなだけすっきりするといいよ」 『それはありがたいですおにいさん、どうすればしなせずにすむのでしょうか?』 「う~ん…僕はこういうのはあまり詳しくないけど君らと同じようにご飯を食べさせるだけでいいんじゃないかな。まぁたまに様子を見に来てあげるよ」 『わかりました。おにいさんのせいっさいはべんきょうになりました。ありがとうございます』 「気にしなくていいよ」 『ゆっぐりでぎないぃぃぃ…ころせぇ…までぃざをころぜぇぇぇぇぇ……』 ハゲ饅頭はその後1年に渡り多くの公園ゆっくりのすっきりの相手を務めストレス解消に尽力し衰弱死した。好きなだけすっきり出来たんだ本望だろう 金まりさと野良れいむ親子はというと れいむは子供たちと一緒に銀バッジ試験に向けてまりさを教師に勉強中だ。物覚えが非常に良くこの分なら余裕で合格できるだろう まりさは不器用ながらも父親をこなし子供たちから好かれるいいお父さんになった 子供達が一人前の金バッジゆっくりになったられいむとの間に子供を作りたいと言っているので許可するつもりだ 金れいむはあの後庭に小さな墓を立ててやり弔ってやった。残念だけど仕方がない これからはあの子達にゆっくりさせてもらおう。僕にはもったいないくらいのいい子達だしね 後書きの様なもの こんにちは&こんばんは。早いもので今回で11作目となりました 飼いゆに野良ゆを近づけるとこうなるんじゃないのだろうかと思い書いてみた次第です 書き手の感性でまた違った展開になりそうなネタだと書きながら思いました 自分で書いといてアレですがお兄さん準備良すぎでしょう? 書いてから読み直してみると金まりさが良い子すぎる気がしますね 金まりさが野良れいむに対して『おまえたちがこなきゃれいむはまりさのおよめさんだったんだよ!ゆっくりしてないでしね!!』な展開でも良かったような気がしないでもないです 過去作 anko4214 処刑ゆん anko4218 餌付け anko4230 少女の目覚め anko4239 おかあさんのけっかい anko4250 本当にいいのか? anko4275 素直すぎるが故に anko4279 のうかりんとまりさ anko4289 放し飼い anko4301 俺とれいむとお袋 anko4321 傷だらけのまりさ
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☆きゃんきゃん パイロットデータ きゃんきゃん(GZアイランド) きゃんきゃん, 女性, アリスモンスター, AAAA, 120 特殊能力なし 122, 113, 134, 138, 145, 148, 普通 SP, 50, 魅惑, 1, 信頼, 3, ひらめき, 10, 隠れ身, 21, 脱力, 27, 愛, 38 GALZOO_KyanKyan.bmp, ALM_GirlMonster.mid ユニットデータ きゃんきゃん(GZアイランド) きゃんきゃん, (アリスモンスター(きゃんきゃん(GZアイランド)専用)), 1, 4 陸, 3, S, 2200, 120 特殊能力 性別=女性 耐性=火光 2000, 60, 400, 70 DBCB, GALZOO_KyanKyanU.bmp 遊んで, 0, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +30, 突痺 もっと遊んで, 0, 1, 1, +20, -, 20, -, AAAA, +50, 突痺 === 応援, 回復Lv1, 1, -, 5, -, - 防御付与, 防御力UP, 2, 5, -, -, - きゃんきゃん(子供)(GZアイランド) きゃんきゃん, (アリスモンスター(きゃんきゃん(GZアイランド)専用)), 1, 4 陸, 3, S, 1200, 120 特殊能力 性別=女性 耐性=火光 パイロット画像=GALZOO_KyanKyan(C).bmp 1000, 30, 200, 50 DBCB, GALZOO_KyanKyanU(C).bmp 遊んで, 0, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +30, 突痺 もっと遊んで, 0, 1, 1, +20, -, 20, -, AAAA, +50, 突痺 === 応援, 回復Lv1, 1, -, 5, -, - 防御付与, 防御力UP, 2, 3, -, -, - 戦闘アニメ メッセ きゃんきゃん(GZアイランド) 回避, 遊んでくれる? 回避, きゃんきゃんのしっぽ、つかまえて、つかまえて 回避, ばいばーい 回避, へへーん、あたらないよー 回避, はっずれー 回避, きゃははっ♪ 回避(きゃんきゃん(子供)(GZアイランド)), わーい ぱぁぱ、なでなでしてー♪ ダメージ小, あんまり痛くしないでね? ダメージ小, いじめちゃいやぁ ダメージ小, 何して遊ぶー? ダメージ中, あーん いじめちゃいやぁ ダメージ中, あうっ ダメージ中, ふにゃあ ダメージ大, あーん いじめちゃいやぁ ダメージ大, うわああん、いじめられたぁ ダメージ大, ふみーん、いじめちゃヤなのぉ 破壊, あーん 負けちゃったあ 脱出, あーん 負けちゃったあ 射程外, 遊んでくれないの? 攻撃, 遊んでくれる? 攻撃, 遊んで遊んで 攻撃, 遊んで遊んで♪ 攻撃, 戦いは嫌いだけど、レオさんの為にがんばるぅ 攻撃, あははー、うれしいな 攻撃(もっと遊んで), あはは、もっと遊んでー 攻撃(もっと遊んで), うふふ もっとー 攻撃(対レオパルド(GZアイランド)), あは、レオさんてなんだかかっこいー 攻撃(対オクトマン), いじわるな人 きらいきらい 攻撃(対俺は鉄壁), 小鳥さん、かわいいなー 攻撃(対フリーダム), 羽根羽根、いいなー きゃんきゃんも欲しいの 攻撃(対バウ), おじちゃん、お手手長いねー 攻撃(対百年バウ), おじちゃん、お手手長いねー 攻撃(対大王イカマン), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対金とり), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対戦う樹), きゃんきゃんのお友達、いじめないでね 攻撃(対王墓の守護者), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対テンタクルス), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対拷問戦士), えー……遊ぶ? 攻撃(対イカ男爵), イカ男爵さん、なんだかかわいそうなの 攻撃(対巨大イカ男爵), わーいわーい、でっかーい 攻撃(対赤い運命), なんか……あなたとは遊びたくないの 攻撃(対赤い運命), んー……レオさんと遊んじゃいや、きゃんきゃんと遊ぼ 攻撃(対スケッチ), あはは、お絵かき楽しそー 攻撃(対カメ子), あっ、カメさんなの! きゃんきゃんはね、うさぎさんなの! 攻撃(対ちゃぷちゃぷ), 遊ぼう、遊ぼう? 楽しいよー 攻撃(対言霊), きゃんきゃんも、お歌うたう! ぼえー♪ 攻撃(対はずれ女), ええー、なに、なに? 攻撃(きゃんきゃん(子供)(GZアイランド)), いっぱい頑張って.いっぱいぱぁぱに遊んでもらうのー サポートアタック, ね、ね、一緒に遊ぼうよ サポートアタック, あはは、わーいわーい サポートアタック(レオパルド(GZアイランド)), レオさんといっしょに、あそぼ、あそぼ サポートアタック(レオパルド(GZアイランド)), きゃんきゃん、レオさんを幸せにするの サポートガード, ね、ね、一緒に遊ぼうよ サポートガード, あはは、わーいわーい サポートガード(レオパルド(GZアイランド)), レオさんといっしょに、あそぼ、あそぼ サポートガード(レオパルド(GZアイランド)), きゃんきゃん、レオさんを幸せにするの 防御付与, はい、あげる 防御付与, これでちょっと痛くないよ 防御付与, はい、ぷれぜんと♪ 防御付与, これもこれも、はーい 発進, きゃはは♪ わーい♪
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『イベント前の加工所』 28KB 考証 実験 加工場 現代 独自設定 11作目 「こっちも……200単位だ!」 「こっちも、育成からも来てるんだぞ!」 小さな一室で数人の人間が頭を抱えている、電子化が進んでいる昨今にしては珍しく嫌そうに机にばら撒いているのは紙の書類。 ここは加工所の食用ゆっくり生産管理室の一部署である。彼ら職員が困っているのは各部署から回ってきた注文書である。 新年の休みが明けて出社し、緩やかな業務体制を始めていた彼らを突然の大量注文が襲ったのだ。 この部署は正確には食用餡生物生産管理室ちぇん種部門である。ちぇん種は中身がチョコレートのゆっくりで通常から食用としては高い人気を誇るゆっくりであり、その生産量はれいむ、まりさのスタンダード種についで多い。 しかし今この部署に襲い掛かってきたのは、通常の生産量の3倍にもなる注文であった。 彼らがいきなり追い込まれたのには、この時期ととある事情があった。 鋭い人ならもう分かっているだろう、もう一月もすれば大きなイベントがやってくるのだ、その名を「バレンタインデー」と言う。 このイベントは愛の守護聖人の日だとかお菓子会社の陰謀だとか、色々と言われているが要はチョコレートを贈り物とする日であり、とにかく日本全国チョコレートが売れる日である。 このイベントに合わせて大量のちぇんの注文が舞い込んできたのだ。イベントは毎年なんだからもっと前から分かって居なかったのかと思うかもしれないが、違う今年急に増えたのである。 いつの頃からか現れ現代社会に溶け込んだゆっくりであるが、彼らが生きる饅頭であり、中身が食べられる事は有名な話だ。 よってその食品加工から始まった加工所であるが、その名前に反して利益に占める食品部門の割合は決して高くない。 ゆっくりの中身は餡子、カスタードクリーム、生クリーム、チョコクリームなど多岐に渡るがそれらは他の手段でも生産する事ができ、普通に考えればそれらをあの不思議饅頭から手に入れる必要など無いのである。 確かにゆっくりからなら安価にそれらを手に入れることが出来るが、そのための設備投資などにかかる費用は膨大であり、食品の売り上げでペイできる物では無い。 基本的に加工所はゆっくり対策がメインの企業であり。それに付随してゆっくりの研究、そのフィードバックにあたるペット部門、そしてもろもろで、もろもろの一部が食品部門である。 ゆっくり駆除などの過程で手に入ったゆっくりの使用法として生まれた食品化だが、現在食品にするゆっくりは全て加工所内での生産で利益は低く、ほとんど加工所の宣伝としてやっているのだ。 長くなったが、要はゆっくりから作られる菓子類は基本的に安価なものであり。一部非常に手間をかけて作られる物を除けばあとは大量生産の原料として作られる物が多いのだ。 こういうイベントで使われるチョコレートの多くは、それとは別の高級品――カカオの生産地をうたうようなやつである。 この事からこの時期にちぇんの大量注文が入る事は無かったのだ。もちろん増加はするがせいぜい5割り増しである。 それに対する準備はしてきたのだが、予想に反して3倍の注文が来ているのだ、本来の予想量の倍である、こんなものどうしろと言うのだ。 「で、真面目にどうするんですか、主任?」 「……えーと、ほらぱちゅりー部門が使った予備ライン!あれもう使わないよな、あれを借りよう!」 「いえ、予備ラインの使用はもともと予定してました、それでも最大で2倍程度までしかいけません……」 彼らが話している予備ライン、もちろん急な注文の増加やこういうイベント時に使うためのラインは存在する。 毎年12月には全国的にぱちゅりーの注文が増える為にそれに対応したり。 何かのブームが起きたときのためのラインがあるのだ、しかしちぇん――チョコクリームは元々生産量が多いのである。 予備ラインを使っても対応しきれないのだ。 「う、ぐぐぐぐ……他の支部に頼み込むってのは?」 「無理っすよ。うちがこの有様なんですから。他だってこうでしょう!」 「そうだ!育成だ、育成に分けてもらえば!」 「無理です。育成もバレンタインデーに合わせてちぇんを売り出すそうです!」 こんな事になった原因はとあるTV番組であった。 前述のようにこのイベントで使われるチョコレートの多くはゆっくり産ではなかった、昨年までは。 とあるテレビ番組で若い女性に人気の占い師がちぇんを使ったチョコレートに関して話してから静かにブームが始まり。 様々な雑誌でも特集され、一大ブームを作り出したのだ。 「大特集、猫と恋のカンケイ!」彼らの机に開かれた週刊誌にそんな記事が踊っている。 それを憎憎しげに睨むが、別にそれを睨んだからといって何か変化が起きるわけではない。 こんな事情があって、巷ではバレンタインデーのチョコレートはちぇんで……という空気が広まり。 それを見越して加工所に大量の注文が入っているのである。 「まったく、馬鹿馬鹿しい。ちぇん喰ってモテるんなら俺はモテモテですね!」 一人が週刊誌を乱暴に放り投げる。週刊誌が地面を叩く音に部屋の視線が集まるが誰も注意しようとはしない。 「ちょっと考えてくるわ!」 「あ、主任逃げないでください、ちょっとまって!」 私は部屋を出ると大きく溜息をついた。無性にコーヒーが飲みたい、いやこれは逃避なのだろう。 頭ではそれが分かっても私の足は正確に自動販売機のある場所へ向う。 「よぉ、そっちも大変なんだって!」 自販機の奥、喫煙所でタバコを挟んだ片手をこっちに上げてくるのは育成部門の一人だ。 私も缶コーヒーを購入し、喫煙所に入る。タバコの煙が私の顔を襲った、それを手で振り払い話しかける。 「まったく、3倍ですよ3倍。いきなりそんなこと言われてもどうすれば良いのか」 「はは、大変だな、こっちもそうだよ、いきなり金バッジちぇんの割り当てを増やしてくれって所が沢山」 「ありゃきっと個人のブリーダーに頼んで断られたんだな、加工所に言ってくださいってね!」 「まったく、加工所だってキャパってもんがあるのに!」 私は缶コーヒーを飲み込みながら愚痴る。 「まぁ、こっちは銀バッジを増やすってことで話は付いたけどさ……」 羨ましい、こっちは代替が無いのだ、必要なのは大量のチョコクリームである。 他の支部……無理、育成……無理、駆除部門、そうだ駆除部門で集められてやつを使えば、ダメだ食品偽装に厳しい昨今、そんなことばれたら私の首が飛んでしまう。 「まあ、生産部門を見てみればもしかしたら工夫で増やせるかもよ、じゃあな」 黙り込んでしまった私に、彼は慰めの言葉を残し喫煙所から出て行く。 生産部門か……うちの生産管理部はそこを管理するのが基本だが、だからといって今作れる量を工夫で倍にできるものだろうか、とりあえず見にいってみよう。 私は空き缶をゴミ箱に叩き込み、生産部を目指した。 生産部の扉を開く、私の歩いている場所からは生産ラインが下に見える。 「やぁ、どうしました?」 食品生産部の人間だろうか、全身白ずくめの男がこちらへやってくる。 「いや、ちょっといろいろ考えたくてね。一通り見てきてもいいかい?」 「はあ、そうですねその服装でしたら、見学通路を使ってください」 衛生上の問題もあり、やはり見学用の通路しか行けない様だ。まぁそれでいい。 「ん、じゃあ一回りしてくるわ」 そう言って見学用の通路に入る、ガラス張りの奥ではゆっくりが食品加工されているのだ。まぁ一通り見てくることにしよう。 今回必要なのはちぇんの生産量を上げる方法だ、とりあえずちぇんに絞って見ることにしよう。 「ゆわぁぁ、わからないよおおお!」 「むほぉ、いくわよおおお!」 目の前には固定され頭にチューブの刺さったちぇんと、その背後から腰をうちつけるありすがずらりと並んでいる。 ありすが達するとちぇんの額からはひゅるりと茎が伸び次々と赤ゆっくりが実り始める。 「わきゃるよー……」 「ちょ、ちょかいひゃ……」 「ゆうぅ、お、おちびちゃん!」 ぐったりとしているちぇんも、茎に実り目の前に下りてきた赤ゆっくり達に笑みを浮かべる。 赤ゆっくりたちはまるでカメラの早回しのように大きくなり、次々に茎から落ちていく。 チューブからは体力回復用の糖液が常に流し込まれており、高栄養下の赤ゆっくりが高速で成長したのだ。 「「「ゆっきゅりしちぇいってにゃ!」」」 「「「ゆっきゅりしちぇいってね!」」」 「ゆぅ、おちびちゃーん、ゆっくりしていってねぇ!」 挨拶を返すちぇん、しかしその顔には諦めにも似た悲しみが漂っている。 「むほぉ、きたわぁちぇぇんまたいくわよおお!」 背後のありすが再び動き出す、ちぇんの赤ゆっくりが落下したのを受けて床が振動したのだ。 「おきゃーしゃん、ゆっく、うゆ?」 「おきゃーしゃーんどうしちぇそっちいっちゃうにょ?」 「お、おちびちゃーん、ゆゆゆゆゆ……わからないよーちぇんのおちびちゃ、おちびちゃんをかえしてねー!」 母親の方を向いた赤ゆっくり達は母親が自分達の下から離れていくのを疑問に思った。 しかしそれは逆である、赤ゆっくりが母親の元から離れているのだ。 赤ゆっくり達の落下した場所は衝撃に備えてスポンジになっているが、勾配があり赤ゆっくりはそこからは下ろされる。 下りた先はベルトコンベアになっており、赤ゆっくりが運ばれていく寸法だ。 「おきゃーしゃん、いまそっち!ゆぴぃ、いちゃい!わ、わきゃらないよー!」 母親の下に跳ねて行こうとした赤ちぇんが泣き声を上げる、他の赤ゆっくりも同じような目に遭う。 このコンベアは紙やすりの様に細かい棘が生えており、上に乗っている赤ゆっくりが勝手に移動出来なくなっているのだ。 母親を呼ぶ赤ゆっくり達の泣き声、母親のちぇんはその声に答えようとするが背後ありすによって遮られる。 機械的に引き離される親子、固定されているちぇんの額から茎が落とされ、伸びてきたアームに回収されている。 少し先に進んで見てみる。 先ほどコンベアで運ばれていた赤ゆっくり達は、母親を求めて泣き叫んでいるところで選別を受ける事になる。 コンベアがとある箇所で上下に分岐しており、その上に設置していあるアームが赤ありすだけを下のコンベアへのコースに移動させる。 「ゆぴぃ、いちゃいわ、にゃににゃんでこっちに!?」 「わきゃらないよーおにぇーちゃん、ちぇんをひちょりにしにゃいでー!」 「ゆぴぃぃ、ちぇんにょいみょーちょがぁ!」 「ありちゅのときゃいはないもうちょを、ちゅれていきゃないでね、ゆぴぃ!」 足元の棘にこすり付けられる痛みに泣き叫ぶ赤ありす、姉妹との別れに泣くも痛みを無視して移動する事は出来無い。 赤ちぇんはこのまま加工工程に進み、赤ありすは各ラインから集められるありす用の加工ラインにまわされる事になる。 ちなみにありすの専用の生産ラインは無く、各ラインから集められる物を使用している。 おっともう次の赤ゆっくりが来たようだ。先に生まれた姉妹と同じような反応をしている、僅か数分の差の別のすっきりーで生まれているが間違いなく姉妹である。 目の前では赤ゆっくりの流れるラインが並び、ひたすらに赤ちぇんが流されている。 今見たとおりに、速度としてはこれ以上を求める事は出来ないだろう。 次に向ったのは食品加工の工程である。 いくつかのベルトコンベアで流されてきた赤ちぇんが合流して細いコンベアに入り、一列に並ばされる。 「ゆぅ、おにぇえちゃんやっちょあえちゃね、しゅーりしゅーり!」 初めて姉妹と肌を接する事が出来た赤ちぇんが感動のすーりすーりをしている。 生まれて直ぐに母親と引き離され、訳も分からないままここまで運ばれ不安だったのだろう。 姉妹達はその絆を確かめるように体を擦りつけあっている、皆笑顔だ。 しかし、その笑顔も直ぐに引きつる事になる。 コンベアの先まで行った赤ちぇんはその先に穴があり、入ると目の前に赤ゆっくり1匹程度の細いトンネルを目にする事になる。 その中には上下左右にローラーが敷き詰められている。 「ゆ、きょろきょろしゃん?」 それに疑問を抱く赤ちぇんだが後ろから押されトンネルに入る事になる。 「ゆゆゆゆゆ……きょろきょろしゃんは……ゆっ!」 ローラー滑り台の中に居るように転がり落ちる赤ちぇんは、少し進んだ先で赤く熱を持ったローラーに歓迎された。 「ゆっ、あぎゅいぃぃぃ!」 赤熱したローラーが全身をこんがりと加熱する、お帽子は外れ、髪は焦げ、耳と尻尾は黒く焦げて取れる。 「ゆぐぅ!……ゆ、ゆ、ゆ……」 ローラーから落ちてきたのはこんがりと狐色になった饅頭と黒くこげた残骸であった。 口もしっかりと炙られいるが僅かに喋る事は出来るようだ、髪はほとんど無くなり僅かに数本がチリチリに焦げて残っている。 落ちた先は再びのコンベアだが通路の左右にすのこの様に隙間が空いておりそこから残骸が落とされていく。 焼き饅頭達は目から涙を流し呻きながらコンベアを進む上空に待ち構えていたロボットアームがそれを迎えた。 「ゆ、ゆ、ゆ……ぐぅ!」 焼き饅頭の上部に大きな針が刺される、何かを吸い取る音が響き、その場に残ったのはしわしわの饅頭皮だけになった。 コンベアが進み饅頭皮を落す、その下にあるのは青いポリバケツ、苦悶の表情を浮かべた饅頭皮はそこで姉妹と再会する事になる。 ここも工夫できるところは無いだろう、あの皮からこれ以上絞る事出来ないし、加工方法を変えたからといって生産量に変化は無い。 ちなみにゆっくりは赤ゆっくりで無いと味が落ちるため、この加工所では成体は使っていない。 駆除で捕まった成体などは、食用では無くゆっくりフードの原材料として別の部署が使用している。 加熱によって苦痛を与える方法は加熱時間で甘みが調整でき便利である、後ろの赤ゆっくりが前の者を見て恐怖を感じる事も無いため甘さの均一化が図れると言う利点もある。 しかし他の加工所では、前のゆっくりの加工の様子を後ろの者に見せて、その恐怖で甘みを調整するところがあるらしく、当加工所は見学の虐待お兄さんには不評である。 この先は完全に食品として扱う工程だ、大半は食材のチョコレートとしてパッケージ化されることだろう。 工夫の余地は無い。ここまで一通り見てきてしまったがやはり工夫で何とかするとすれば、赤ちぇんの生産部分だろう。 母体用のちぇんと種馬用のありすを交尾させ、植物性妊娠で生まれた赤ゆっくりを高栄養状態で早期に出産させそれを回収する。 ここに工夫する事は昔から考えられている事である、しかしどれも結果は芳しく無いのである。 速度をこれ以上上げるのは難しい。ゆっくりの妊娠出産速度は最高の栄養を与えてもあの速度が限度だし、薬品を使えばそれ以上が可能だが食品として人の口に入る以上薬品の使用は好ましくない。さらに母体の使用限界が短くなってしまうのだ。 一番の問題はちぇんの生産ラインなのに生まれる赤ゆっくりにありすが混ざる事であるが、これも変更が難しい問題であった。 ゆっくりは何故か同種間で番を作りづらい傾向があり、ちぇんとちぇんの掛けあわせでは何故か生まれる赤ゆっくりの数が減るのである。 ちぇんにちぇん種の精子餡(チョコ)を使う方法も難しい、この方法でもちぇんのみが生まれるが、何故か足りない子ゆ率が跳ね上がり、やはり母体の寿命が短くなってしまう。 結局性欲が強く、すっきりーのコントロールがしやすいありすを使って回数で稼ぐのが一番効率が良いことになってしまうのだ。 一時的にちぇんとちぇんの組み合わせで数を稼ぐ……無理だ問題が解決できていない。 この辺りは難しく、未だに分かっていない事の多いゆっくりの生態と合わせて謎の部分である。 謎……そうだ研究開発部のやつに聞けばいいんだ。普段は何をやっているのか分からない変人達だが、やつらなら何か良い智恵を持っているかもしれない。 私は藁にも縋るつもりで、研究棟を目指した。 加工所の研究開発部は食品加工部とは別の棟にあり、そこの研究室では日夜様々なゆっくりの研究が行われている。 私は食品利用関連の研究室を訪ねたが、どこの返答も芳しくないものだった。 そもそも食品系の研究はゆっくりの中身の利用や変化、新種の利用に偏っており、同種の掛け合わせ問題や出産数の増加などは別らしい。 困ってその方面――ゆっくりの生態――関連の研究室を目指す私は階段で怪しい男に声をかけられた。 「やぁ、食品部の……困ってるんだって?」 にこやかに声をかけて来たのは白衣に金髪、サングラスといったいでたちの見るからに怪しい男だった。 「あぁ、まってまって!」 無言で立ち去ろうとした私を引き止める。 「聞いたよ、バレンタインデーのせいで大変なんだって、ちぇん部門は……」 驚いた。どうやらこの男は私の事も、私が何に困っているのかも知ってるらしい。 「ちょっと話し聞かせてよ……ほら、こっちこっち!」 そう言って手招きをしてくる、私はこの男に興味を持ち糸にも縋るつもりでその男の研究室の扉を潜った。 「お茶は……無いんだよね。コーヒーで良いでしょ?」 そう言ってこちらに何も聞かずコーヒーを作り出す。それを差し出された私は今直面している問題を語った、半分は愚痴である。 「ふーんなるほどねぇ」 そう言ってニヤニヤと私の話を聞いている、少しイラついた。 「ん……そのさ、同種の掛け合わせ問題だけど……説はあるんだよね」 途端に真面目な顔になって話し始める。 「ゆっくりってさ、ゆっくりする事が基本なんだよ。だから何となく気持ち悪い――ゆっくりしていないでも赤ゆっくりが生まれにくくなるんだよ」 「何で同種でダメなのかは分からないけど。雌雄同体っていうか、無性に見えて男役と女役の生まれる生き物だから、気持ち悪いんだと思う。人間で言うところの同性愛みたいなもんだね……いや別にそれに何か文句が有る訳じゃ無いよ!」 「精子餡を使うのも一緒、確かに精子餡が入れば生き物としては妊娠するんだけど。それだとすっきりー……つまり交尾してないだろ?」 「どうも交尾してゆっくりで妊娠してゆっくり、出産して子供でゆっくりっていうサイクルらしくて、これのどれかを省くと問題が出るみたいなんだよ」 「ありすを使ってレイプさせる方法は望まない妊娠とは言っても、ゆっくりとしては普通の方法での妊娠だろ?」 「どうもゆっくりの中に諦めっていうか、れいぱーにやられてもすっきりーって意識が有るみたいなんだよね」 いきなり話し始めた内容に私は驚かされた。あんな変な格好をしていて話し方もいい加減だったのに、やはり研究者だからだろうか。 「まぁレイプされても感じてるってことかな、体は正直だぜってやつ!」 途端にニヤケ顔に戻ってそんな事を言い出す。 見直しかけた私が馬鹿であった。 「まぁ冗談は置いておくとして、だから何らかの方法で赤ちぇんを沢山作ろうと思ったら、それはゆっくりちぇんが望む方法じゃ無いと難しいね」 「望む方法って……自然飼育のやつみたいにか……あれは生産性がめちゃくちゃ低いんだぞ」 私の言葉も相手に釣られて身内用の物になってしまった。 今言った自然飼育法とは、ゆっくりを加工所管理の森に放って飼育する方法で、野生のゆっくりと同じ生活をさせその赤ゆっくりが生まれたところで回収する方法である。 この方法で生まれた赤ゆっくりは高級食材として扱われるのだが、その生産数は低くこの加工所では行っていない。 「ん~それもあるけど、ゆっくりが望んでいれば良いんだから、極端な話クスリでハイにしても良いんじゃない?」 「いや、一応食品として使うんだから薬関係はまずいんだよ」 そうだ、そこを見誤っては赤ちぇんが大量に生まれても意味が無い。 「小麦粉とかハピ粉でもいけるんだけどね。まぁせっかくちぇんだし、この機会しか無いよね」 妙な事を言い出す。 その後彼が語ったのは彼の研究に絡む話であった。 「実はさ、僕はゆっくりに対する粉物……さっき言った小麦粉とかだね、の研究をしているんだけど」 「あ、時間があったら研究成果も見てよ!れいむに抹茶かけたり、まりさにインスタントコーヒー使ったり。まぁいろいろとやってるんだけどさ!」 「実はちぇんに関して面白い結果が出たやつがあるんだよね」 そう言って自分のカップをテーブルに置くと部屋の隅の棚に向った。 棚には一面に透明な箱が並べられており、中には一匹ずつゆっくりが納められている。 それに目をやると皆様子がおかしい、うつろな目をしたれいむ、防音なので分からないがなにやら必死に話しているまりさ、青い色をしたちぇん、笑顔を貼り付けたありす、気になるがそれについて聞くのは躊躇われた。 男はその棚の一番下にある他の物より数回り大きな箱からちぇんを掴み出すと普通の透明な箱に入れる。 それを二つ作ってこちらに運んできた。 「はい、準備完了!」 「あのさ、この2匹、どっちも普通のちぇんだけど、ゆすって発情させたらすっきりーすると思う?」 防音の箱なのか中では、ちぇんたちが暢気な顔をしてこちらを見つめている。 「そりゃ……するんじゃないか?ゆっくりだし」 「うん、そうだね。じゃあその場合赤ゆっくりはどれ位生まれる?あぁ、植物性妊娠でだよ!」 どうだろう、通常の加工所のゆっくりの植物性妊娠で生まれる赤ゆっくりは4~8匹と言った所だ。 先ほどのれいぱーを使う食品製造工程での平均は7匹だったはずだ。 今までの経験から同種ですっきりーさせた場合は半分以下になっている、1~2匹だろうか? 「ん~1、2匹ってところじゃないかな?」 「まぁ、だいたいだけど、そんなもんだと思うよ?」 「じゃぁこのうちの一匹をれいぱーありすに犯させたら、赤ゆっくりはどれ位生まれる?」 「平均は7匹だな……」 今度はすんなりと答える事が出来た。 「うん流石!食品部の人。で、その中の赤ちぇんは何匹?」 「3~4匹だろう……」 これも分かる。いぱーを使っても、大体赤ゆっくりは半々に成るのだ。 れいぱーありすが襲った場合赤ゆっくりの大半はありす種になると言う話も有るのだが、これが何故かは分からない。 「そうそう、で、さ、つまりそれが問題なんでしょ?」 「ちぇんの赤ゆっくりが沢山作れないのが……」 「ちぇん同士でやると2匹くらい、れいぱーを使えば7~8匹生まれるけど赤ちぇんは半分、4匹って所かな?」 「それでさ、本題だけど赤ちぇんを8匹産ませる方法が有るって言ったら、どうする?」 「本当ですか!?」 思わず丁寧語になってしまった。そうなのだ、それが出来れば問題は全て解決する。 今の2倍の出産数が維持できれば生産量は2倍になる、予備用のラインが確保できれば注文に間に合う。 っとそこで冷静になった。 「いや精子餡を使うんじゃダメなんですよ。足りない子ゆ率が上がって母体の寿命が短くなっちゃいますし」 前にも言ったがちぇん種の精子餡(チョコ)を使えば赤ちぇんが7~8匹生まれる。 しかしこの方法では短い時間で母体が足りない赤ゆっくりを生むようになる――つまり母体の寿命が短くなるのだ。 「使わないよ、精子餡なんて!」 「えっ!?」 「まぁまぁちゃんと聞いてよ、ヒントはねぇちぇん種でしか出来ないって事かな?」 驚いた私は2度目の失望を味合わされていた、何だ簡単な事じゃないか。 男の言いたい事が分かったのである、たしかにちぇん種だけの特徴、それを使えば確かに赤ちぇんを沢山産ませる事が出来る。 ゆっくりらんだ。この希少種とちぇん種の間には何故か分からないが強い絆があり、野生でも番に成って居る事が多い。 しかし希少種と呼ばれるらん種の出生率は高くなく、確かにらんと掛け合わせれば赤ちぇんが1回に8匹は生まれるだろう。 しかし目の前の男は分かって居ない。食品加工部のラインは膨大な数があるのだ、希少種と呼ばれるらんは高級なゆっくりであり、加工所でも量産には成功しておらずペットとしての人気は高い。 そんならん種を食品部門で大量に使えるわけが無いのだ、やはり研究者だからそこら辺に鈍いのだろう。 「いや、言っておきますけど、らんなんてウチでは使えませんよ」 「使わないよらん種も、大体あれはペット部門が手放さないじゃないか。研究開発にだって少量しか回って来ないんだよ、後は駆除で捕まったときとか……」 「まぁ、あんまりひっぱってもあれなんで、説明するよ。」 「さっきも言ったんだけど、僕は色々な物のゆっくり対する影響をメインに研究している」 「その中でちぇんが面白い反応を示す物があったんだよ。うん、実際にやって見よう!」 そう言って透明な箱を蓋を開けると一匹のちぇんを取り出し、ポケットから出したオレンジ色の袋から白い粉を取り出してまぶし始めた。 「おそらをとんでいるみたいだよー、わ、わからないよーちぇんのからださんこねないでね、やめてね!」 私の目の前でちぇんがムニムニと揉まれている、体にあの白い粉を刷り込んでいるようだ。 「ゆぅ、やめてね!ゆ、な、なんだかーゆっくりしてきたよー!」 ちぇんの顔がだらしなく緩み始める、あれはやはり小麦粉だったのだろうか? しかし暫くするとそのちぇんは透明な箱に戻された、もう一匹が取り出され同じようにされる。 「あの、いったい何を?」 「まぁ少し待ってよ、直ぐに面白いものが見れるから!」 そう言って手に持ったちぇんをゆすり始める。 「ゆっくゆゆゆゆゆ!」 ちぇんが発情を初め、息が荒くなっていく。 「こいつをさっきのちぇんとおんなじ透明な箱に入れると……」 まぁ、普通にすっきりーするだろう。片方のちぇんは発情していないため逃げるかも知れないがこの小さな透明な箱の中では逃げ場は無い。 「らんしゃまぁぁぁ、ちぇんとすっきりーしよおねぇ!」 ほら発情したちぇんが走っていって……今何と言った? 「ゆわぁ、らんしゃまぁぁぁ!」 え?……もう一方のちぇんも何を言っているのだ? 私の混乱を他所に目を輝かせた2匹は体を擦りつけあっている。 「ゆううぅ、らんしゃまのおはだすーべすーべだよぉ!」 「らんしゃまぁ、ちぇんきもちよくなっちゃたよお!」 お互いに相手には「らんしゃま」と呼びかけ、自分の事は「ちぇん」と呼んでいる。 その異常さも気にしないのか2匹の回りが砂糖水で溢れる。 「ゆっぐゆっぐ、す、すっきりー!」 「ゆっきりー!」 2匹が達したようだ、最初に発情させられなかった方のちぇんの額から茎が伸びる。その後頭部に男の差し出した注射器が刺しこまれた。 「わかるよーらんしゃまとちぇんのうぎぃ!」 「らんしゃまのおちびちゃん、ゆぅ!らんしゃまになにするの?」 男はもう一方のちぇんを器用に片手で持ち上げ、もう一つの透明な箱に投げ込んだ。 手が濡れたのか白衣の裾で拭いながらもう一方の手に持った注射器でオレンジジュースと思われるものを注射している。 「ゆぐ、わ、わからないんだよーいたいんだよー!」 痛みで動けないのか、針が邪魔をしているのかその場に縫い付けられた様に動かないちぇんの額に実った実ゆっくりが成長し大きくなる。 お飾りや体の造作が分かるようになる。1、2、3……10匹、全て赤ちぇんだ。 「こ、これはいったい?」 「ふふふふ、面白いでしょ。この粉を使うとちぇんがその相手をらん種と誤解するんだよね」 「だからお互いの体にこれをつけてすっきりーさせれば赤ちぇんだけが沢山生まれるって訳」 「当然だよね、当ゆんは相手がらんしゃまだと思ってるんだけど、実際はちぇんなんだから」 私に先ほどのオレンジ色の袋が渡される。うーんこんな物で……。 「その、問題とかは起きてないんですか?子供とか母体の寿命とか……?」 「う~ん実験した限り母体の寿命が短くなる事は無かったな。まぁ実際にやるとすれば試験する必要はあるけどさ」 「特に子供に変化――中身の成分が変わるとかも無かったよ。親の体内に入れてる訳じゃ無いし、元々食品だしね!」 「小麦粉でも思うんだけど元々食品なら加工段階で母体に摂取させても大丈夫だと思うけどね?」 透明な箱の中では母となったちぇんが赤ゆっくりが生まれてくるのを心待ちにしている。 オレンジジュースの量を調節したのか、生まれるにはもう少し時間がかかるようだ。隣の透明な箱の壁に張り付くようにしてもう一匹のちぇんがそちらを見ている。 それを見つめながら思う、しかしこの赤ゆっくりが生まれ親に向って「らんしゃまぁぁぁ!」と呼びかけたら親ちぇん達はどうするのだろうか。 「まぁ、よかったら使ってみてよ。困ってるんでしょちぇんの確保に」 その言葉に送り出されるように私は自分の職場に戻った。 どこに行っていたのか責める部下達に、この方法を試験するように伝え私は思った、もうこの方法しか無いかもしれない。 結果から言うとこの方法は成功した。この粉を使い相手をらんだと思うちぇん同士で赤ゆっくりを作る方法では一度に平均9匹の赤ちぇんが生まれ、母体の寿命にも影響が無い事がわかった。 一番気になった子供の中身、チョコレートへの影響だがこれも綿密に調べても見つからず、この結果を聞いた上層部のゴーサインを受けてこの方法でのちぇんの生産が行われる事となった。 その結果予備ラインをも使い最大通常の4倍の生産量を確保する事ができ、あの後も増え続けた注文に何とか答える事ができたのだ。 「いやぁしかし、こんな物でそんな変化が起きるとは」 私の前に居る部下がそう言ってオレンジ色の袋を机に放る、いくつかサンプルとしてこの部屋に置いてあるのだ。 「確かにな……まぁ今回はゆっくりの出鱈目さに感謝すべきだろうね」 私はお茶を飲み干し答える、今回は本当に胃に悪かった。この方法が見つからなければどうなっていたか。 あの研究員にはお礼としてこの部署からチョコレートを贈らせてもらおう。 「それより、アレ、どうするんですか?」 彼の目が部屋の角に置かれた大き目の透明な箱に向けられる。その中では黄金色の物が蠢いていた。 「うっ、それは……考え中だ」 この部署の危機を救ってくれたこの工夫だが、何も問題が起きなかった訳では無い、それがあの箱である。 「まったく、どうするんですかあいつら?」 私は机に置いた小型の透明な箱からそれをつまみ出す、対処を考える為に一匹だけここに入れておいたのだ。 つまみ出されたのは子ゆっくりである。金髪に九本の尻尾、もう分かっただろう、ゆっくりらんの子ゆっくりである。 実はあの方法でちぇん同士を交尾させると、1000分の1位の確率で赤らんが生まれるのだ。 チェンジリングとも異なり、同じ位の確立で生まれているため工夫の弊害だと思われる赤らん、それが今職員達の頭を悩ませていた。 希少種が量産できるのだから得なのでは無いか?違うのだ。 「わかるよー、らんはきしょうしゅなんだよー!」 生まれたのはらんの外見にちぇんの頭を持った赤ゆっくりであった。確率としては高くは無いが大量に生産する中でである。 この偽らんとでも言うべき赤ゆっくりが大量に生まれ、この処分をどうするかが今の問題であった。 「一応希少種だし、ペット化の方向で行けないのかな?」 「ダメみたいです、頭は食品用のちぇんなんで銀バッジも怪しいって育成の連中が言ってました」 「一応虐待向けに安めのらんとして商品化出来ないか、検討してくれてるみたいなんですけど」 「食品部門では使い道が無いしな~」 ゆっくりらんは生きたいなり寿司であり、その中身は寿司飯だ。 チョコレート以上にそんなものこんな不思議生物から取る必要は無い。 「無理ですかね、バレンタインにちぇんと一緒にらんを贈ろうとか?」 「チョコレートといなり寿司……合わないな」 「じゃあホワイトデーにらんを贈るで!」 「分かった分かった……じゃあ企画書を書いておいてね」 冗談はともかく育成の返答待ちか……結局この心配は意味の無いものに成った。 偽らんに対する加工所上層部の決定は「処分」であった。 食品部門では使い道が無いし、ペットとして商品化を考えたところも有るようだが、この偽らんのペット化によって本物のらんの価値の低下や、この偽らんが捨てられる事による野良や野生への影響を考慮し、偽らん自体が存在しない事になったのだ。 かくして生まれた偽らん達は、十数匹の研究用のものを残し焼却処分される事になる。 これは駆除で捕まった野良ゆっくり達がされるゆっくりフード化とも異なる、カビや特殊な病気などを持っている可能性のあるゆっくりと同じ処分である。 カートに乗せられる偽らん達、研究用として選ばれたは既に別の箱に入れている。 「わからないよー、らんもみんなといっしょにいかせてねー!」 いきなり他の仲間と引き離された者達が不満の声を上げている。これから彼女達がどうなるか、知ればそんな事は言えないだろう、いやあっちの方が幸せなのかもしれない、私は部下がカートを運んでいこうとするのを手で押さえると、透明な箱の中にラムネスプレーを噴霧した。 目で合図をする。 「分かりました。じゃあ連れて行きます」 ガラガラとカートが去っていった。 気が付くと足元にあのオレンジ色の袋が落ちている。先ほどの彼が落としたのだろう。 私はそれを拾い上げると机の上に放る、パッケージには赤く「すしのこ」の文字が躍っていた。 こうしてうちの部署の忙しいイベント前は過ぎ去って行った。 当日が近くなるに連れて育成部門や営業部門は忙しかった用だが、うちには再びゆったりとした空気が戻ってきた。 「いやぁ本当に良かったですねぇ、何とか成って!」 「確かにな、実のところ今回は胃が痛かったよ……」 「もうイベントは懲り懲りですよ!」 「まぁ、しばらくイベントなんて無いし。次のホワイトデーはクッキーにマシュマロ、あとはキャンディだからゆっくりとは関係ないしね……」 それが終われば、しばらくはイベントとはおさらばである。まぁ細々としたものは有るのだが、この部署が混乱するほどのものは来ない。 今回の騒動ではあの大量注文に答える工夫を考えるのが一番大変だったが、それを考えた後も何時もの4倍もの生産を管理する為に書類仕事が大量にあったのだ。 通常の生産量に戻ったらしばらくは楽をさせてもらおう。 「あの……主任!」 「ん、どうしたの?」 「実は最近ホワイトデーにチョコレートを返すってのが流行ってる見たいなんですけど……」 公民あき 後書き ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 季節物のバレンタインデーネタになります。作中の赤ゆの数の話は、全てこの話内のみの設定となっております。 それと前作で10作に到達していたのですが、名乗るのを完全に忘れて居ました。 悩んだのですが、これからは公民あきと名乗ろうかと思います。 基本的に拙文なのですが、お引き回しのほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます 過去作品 anko2700 そして新記録 anko2703 ゆっくり公民 ~奴隷制~ anko2720 ゆっくり公民 ~カースト制~(前編) anko2721 ゆっくり公民 ~カースト制~(中編) anko2722 ゆっくり公民 ~カースト制~(後編) anko2764 ゆっくり公民 ~農奴制~(春) anko2765 ゆっくり公民 ~農奴制~(夏) anko2766 ゆっくり公民 ~農奴制~(秋) anko2767 ゆっくり公民 ~農奴制~(冬) anko2802 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(前編) anko2803 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(中編) anko2804 ゆっくり公民 ~奴隷解放~(後編) anko2814 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