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デュアルブレードについて 漢字で書くと飛翔剣。 その名の通り空中戦に向いている武器で 火力も有り、回避性能もそこそこ。 野良ではインターバルエリア1で12個の武器を生贄に捧げ この武器を召喚すると叩かれるという話。 資材が足りないとか言うのが主な話だそうだが 8人固定PTで資材が足りなくなったことは一度もない。 コストに見合ってないという話も聞くが この武器の取得し一切交換せずにエリア5を超えた場合 対費用効果としては十分すぎるほどに高いと思う。 なお、筆者はイグニスを交換しない。 武器アクションについて ギアを消費しフォトンブレード(以下FB)を飛ばす、と言うもの。 方向キーを入れないとそのままの地点で静止して飛ばし 方向キーを入れるとその方向に飛びながらブレードを飛ばす。 高度は落ちない。(重要) また、移動しながらブレードを飛ばす行動を選択した場合 通常攻撃をすると高度が落ちるがPA行動なら高度が落ちない。(重要) FBについて チャレンジでギアを取得できるのはM5クリア以降。 FBの解禁である。 打撃やPAヒットによってゲージ上昇。時間減少はなし。 武器アクション入力によってゲージを消費し、FBを射出。 威力は打撃依存で一発あたり100%。武器の状態異常も乗る。 また、上記の移動FBだが FBの刺さる位置にブレが大幅に発生し、ほぼ確実に全段ヒットは不可。 その為移動FBはチェイントリガーの始動などには向かない。 FBがヒットするとFBがヒット箇所刺さり その箇所に攻撃するとPPとギアゲージの上昇スピードが増加する。 FB発生数は1ゲージで2本、2ゲージで4本、3ゲージで6本となる。 また、FBが刺さることでもギアの上昇判定は発生する。 また、微妙にかぶる話になるが ギアをためていればいるほどフォトンアーツの威力補正 場合によっては範囲まで広がるのは意外と知られていない事実。 PAの項目で詳しく説明する。 PAについて 現在チャレンジで出てくるものだけ説明する @ディストラクトウィング みんな大好き十字斬りもといX斬り。 取得時期はM5後のインターバルだが 最初のインターバルでグランドクロス/リヒトを取得することにより このアーツを扱うことはできる。 意外と知られていないことだが ギアを貯めることで威力が上がり範囲が広くなる。 地上時密着状態でパなすとすり抜けることがあるが 地味に空中ではすり抜ける可能性が大幅に減る。さすが飛翔剣。 移動用アーツとしても非常に優秀で 移動ブレード前→ディストラクトウィング→移動ブレード前→ディストラクトウィング と繰り返すことで非常に素早く地面に触れずに移動することが可能。 その為砂漠のショットガンはデュアルブレードの人がやる。というのが常識。 また、地上でも空中でも連打し過ぎるとすり抜けるが 空中では少し待つこと(通常攻撃を挟む) 地上では相手をロックした状態で 後ろにステップを踏みそのままステップアタック→ディストラクトウィングで すり抜けることなく効率よくダメージを稼げる。 また、一切高度が変化しない技のため対空性能のない 一部の中型エネミー、もしくは頭部弱点にエネミー対しては 高台からジャンプorブーツの2段ジャンプorヘブンリーカイト ↓ ディストラクトウィング、通常攻撃or定点ブレード→ディストラクトウィング ↓ 一部の対空攻撃モーション(ゴリラの腕等)が見えたらバック移動ブレード→ディストラクトウィング ↓ どうしようもない攻撃が来たらステップで中断、逃げ コレをしてるだけでほぼダメージを受けず完封することができる。 モーションが短く攻撃時間も短いのにダメージがちゃんと出る 高度を一切落とさないで攻撃ができる この2点はどこまで行っても強い。 総じて知らなければただのクソアーツだが 知識さえあれば最初から最後まで使うメインアーツ。 @ヘブンリーカイト 取得時期はM5入ってから。 ディストラクトウィングが横に強いアーツなら ヘブンリーカイトはとにかく縦に強い。 上に判定の強い回転斬りを自らも上に飛翔しながら行う。 こちらのアーツもモーションが短く攻撃時間も短いのにダメージがちゃんと出る 技ではあるがそれでも全体モーションの短さではディストラクトウィングには劣る。 一部のボスへの弱点攻撃に非常に有用。 ディストラクトウィングはどうしても 内部に入り込むタイプの弱点を比較的つきにくいという問題を抱え なおかつ激しく動き回る相手には後手になりやすく 操作ミス、もしくはスカりで着地してしまう…ということかおこりやすいものの ヘブンリーカイトはラグネの弱点にもしっかりヒットさせることができ 逃げられようと十分フォトンブレードと通重攻撃で位置調整を素早くでき 攻撃を仕掛け続けられるという利点がある。 ただし地上の敵、ザコクラスにはそう強くない。中ボス以上 もしくは高高度の高さが必要になるザコ(ドーモ、リリーパ=サン) で輝くアーツといえる。 このアーツさえあればイグニスがなくともファンジに捕まった後 ほぼ安全にラグネを素早く狩ることができる。 安全じゃなくもっと早く狩りたいのであれば 十字斬りのスキル熟練度を徹底的に上げるしか無いが ミスったら死ぬ上にファンジ破壊スピードもいまいち。 やはりカイトがほしいところ。 飛翔による高度の稼ぎやすさは全PA中トップ。 その為後半砂漠の隠しカプセルなどは回収役に回る事が多い。 @ディスパースシュライク イグニス/リヒト(M5の後のインターバルエリア)にくっついてる形のPA。 普通に修得することはできない。 ラフォイエ並みの判定を自分中心にまといつつ 複数ヒットで比較的ダメージも高い攻撃をゆっくりと移動しながら行う。 こう書くだけでやばそうだが実際ヤバイ。 弱点部位の攻撃のしやすさは言うに及ばず 瞬間的にはいえ大多数の敵を足止め、もしくは仕留めれる。 だけど悲しいことに武器の能力のほうが問題で攻撃力がグランドクロス/リヒトと 同じだけしか無い。 よってチャレンジだけに限定して言えば攻撃力不足だと言わざるをえない。 スーパーアーマーがついており連続コンボで即昇天もありうる。 ただ、ラフォイエ並みの判定を持った状態でというのは 下判定も含まれるため他のアーツではなかなか真似できないような 下の戦場地帯を全く気にせず高高度から一方的にはばたいて攻撃を仕掛けられる と言った戦い方が可能。場合によってはこの戦い方を極めればあるいは、と言った評価か。 現状ファンジラグネはカイトがあれば十分 その後のルートも中ボスクラスを選択し 上記2種のアーツで事足りる。 もしカイトが出ておらずファンジラグネに捕まる勇者がいない場合 初めて選択肢に上がるぐらいだろう。 正直カイトが出ておりなおかつイグニスを取得、そのあとファンジに捕まらない デュアルブレード使いは個人的に何をしたいのか解らない。 @ケストレルランページ 消費PPが高い、6Mレア箱から出る。 スーパーアーマー付き、1アーツとしてみればそこそこダメージが高い と強いんだか弱いんだかわからないアーツ。 少なくとも個人的に使うことはない。 かなりのリーチの短さで前の敵を切り裂きまくり 最後にフォトンブレードの雨を降らせて終了。 リーチが短いので初段から当てにくく モーション終了までが長いので事故が怖い。一応ステップでなくFBならキャンセルできるが… フォトンブレードの雨部分は比較的遠くまで飛び 割と高い位置にいる相手にも当たる。だがヘブンリーカイトでいい。 驚きの全体フレーム204F。(長すぎる) @ジャスティスクロウ フォトンブレードで星を形成し ロックしてる敵に向かって飛ばす。 飛んだ星は敵に当たると爆発し範囲攻撃になる。 と書くと割と強そうだが 威力が低い、モーションが長い、星の飛ぶスピートが遅すぎて当たらない 主観で水平に撃ってようやく使えるレベル。尚且つPP消費が割りと多く息切れしやすい。 素直に大砲使って、どうぞ。 普段なら使い道がないわけでもないが 大砲が持てる状況でこのアーツを使う必要性が一ミリたりとも感じられない。 遠距離したいなら大砲持てばいいし 近距離したいならら別アーツで殴ればいい。 サブ武器について 大砲がオススメ。そのためにもM4後のインターバルで クラスターパレットを忘れないこと。 盾、範囲、等に対応でき非常に少ないアーツで大きな仕事ができる。 とはいえ本当に局地でしかサブ武器を使用しないので PTメンバーに断って持たないのも有り。 ただ、M8のショットガンの後の着火、その後のゴキ地帯、 M9の盾地帯、M10の最後のザコ殲滅等 持っておいたほうががいいサブ武器ではある。 各ミッションについて m1 使用不可 m2 まだ出ない m3 ショットガン、一部のボスへの打点のクソ高さなど非常に大きな仕事ができる。 m4 光弱点のやつばっか、ダーカー優先に十字にさくべし。ゴリも仕事ができる、宵欲しいね…。 m5 カイトが手に入る。手に入ったらリリーパ殺すべし慈悲はない。 m6 ファンジには間違いなく入るべき。Tマシとの競合がありうるが安定性だけで言えばこちら。 m7 スモトリ=サン(右上)ザコラッシュ(右下)がオススメ。 m8 ダメージよりもギミック解除で活躍できる。ゴキ地帯は大砲もってクラスターorディバイン m9 どいつもこいつもカイトカイトカイト!というほどではないがボスラッシュ。デュアブレが光る。 m10 チェインは譲るかやるか迷うところ。アーツを使えば的確にヒット数を増やせるという意味では 間違いなく譲りだが特にくハマった時のチェイン打点がヤバイぐらいに高い。 実に迷うところ。
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アズラク フルネーム アズラク・バドル 種族 ヒューマン 性別 女 身長 154 所属 PSO2文藝部 誕生日 A.P.220/5/22 所属Ship SHIP03 クラスレベル ガンナー/44 IDネーム 名称未設定 Last Update 2012-10-27 22 35 13 (Sat) 備考・その他 今年スクールを卒業したばかりの18歳。両親はおらず保護施設の出身。 自分自身の有り様についてハイティーンならではのモラトリアムを抱えており、 ヘッドフォンを被って両耳に爆音を叩き込みながら自分の世界に浸っていることが多い。 人見知りの激しい性格も相まってか基本的に一人で居ようとする傾向が強く、 マイルームのベランダで以前住んでいた一般居住区を眺めながら音楽を聴いている時が一番落ち着くらしい。 スクール在籍時より適性判定を得たため卒業後の進路はアークスと決まっていた。 ただし殉職率の高さにも関わらず人気の高いアークスという職業については懐疑的であり、 人員不足と自身の素質による半強制的な抜擢である為、将来に対して非常に鬱々とした日々を過ごしていた。 そんな折、乗船していたアークスシップにダーカーの襲撃を受け、友人と逃亡のさなか交戦中のアークス達と出会う。 彼らの姿を見て以後『身近な人物を守るための能力の保有』という最低限の納得を得てアークスに就いた。 着任後もアークスに対する元々の嫌悪感が抜け切らないせいかその勤務態度はお世辞にも積極的とはいえず、 常にシニカルな態度でおどけて見せるその様は同僚の目に不真面目と映る事も少なくない。 自分の本音に踏み込まれるのを極端に嫌う部分があってか一定以上に他人を寄せ付けないが、 先のアークスシップ襲撃の折に出会ったクレア=レイソルとは着任当初に偶然の再会を果たしており、 何かにつけて構われるのを鬱陶しがりつつも最近ではある程度素顔で接する程には気を許すようになったようである。 部屋の家具を選んだりあれこれ洋服を見るのが好きだったりと歳相応の少女らしい一面も一応あるようで アイテムパックには常に10着以上の洋服を持ち歩いており、特に青い色の服を好む。 ― ADVERTISEMENT. ―
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鳥たちが朝のコーラスを奏で、柔らかな朝日が床の木目をなでる。 カーラインカフェはいつものように穏やかな朝を迎えていた。 夜は騒がしい冒険者も朝は静かなものである。その多くが寝室で二日酔いに苦しんでいるのであろう。 むしろ朝早くから靴音高らかに階段を下りてくるような冒険者は稀と言える。 イリュリオ・フォアニケーはそんな珍しい冒険者の一人であった。 彼は衣服のパリっとした着こなしから几帳面さが、淀みない歩きから生真面目さが伺えるエレゼンの青年である。 その引き結ばれた口と睨みつけるような鋭い双眸は神経質という印象すら与える。 そんな彼がカーラインカフェのスペースに立ち入り、その眉間のシワを増やした。 人間嫌いを絵に描いたような顔を向ける先には一人の少女。幸せを噛み締めるようにソーセージを頬張るミコッテ。 彼女の薄っすらと青く色付いた髪は朝日に照らされて自ら淡く輝いているかのようである。 肌も色白で新雪のような柔らかさを感じさせる。幻術士の青いローブではなくドレスでも着ればどこぞの箱入り娘に見えるかもしれない。 そんな少女が今まさに浮かべている顔は、まるで長年望み続けた夢を叶えたかのようで、恍惚と言って差し支えない。 およそ十人中十人が微笑ましいと表現するであろう少女を前に不機嫌を表明する者などまずいない。 イリュリオはそんな稀有な一人であった。 ミコッテの少女、サラマンドラ・ルゥは耳をピクリと動かすと、その綺麗な青い瞳をイリュリオに向けた。 彼女はもぐもぐと口を動かしながら、どこか誇らしげな笑みを浮かべながら片手を挙げる。 「あ、うぃるるんあ。おふぁおー」 「口に物を入れながら喋るな。あとイリュりゅんと呼ぶな」 イリュリオは全身を少女に向け、歩み寄った。そのまま彼女と向かい合うようにして席に着く。 淀みも無駄もないキビキビした動作だった。 サラマンドラはソーセージを丸ごと一つ平らげると、正面のエレゼンを見つめながら口を開く。 「あげないよ?」 「誰がお前の食事を寄越せと言った」 二人のやり取りに、近くにいた給仕の少女がクスクスと笑った。 次の瞬間、素早くこちらを振り向くエレゼンに思わず「ひっ」と声を漏らす女給。 「おい」 「ご、ごめんなさい!」 勢い良く頭を下げる女給にイリュリオの眉が僅かに歪む。 まるで不本意だと言わんばかりの表情である。 「こいつと同じモーニングセットを頼む」 「……はい?」 給仕の少女が頭を上げる。 エレゼンはもう彼女を見ていなかった。 「ソーセージと野菜スープのセットだ。茶葉は任せる。濃い目のミルクティーにしろ」 「あ、はい! ただいま!」 それが注文であるとようやく気付いたのか、給仕はエプロンを揺らして厨房へ走り去る。 テーブル席には何も目に入ってないようにただまっすぐに前を見る青年と、そんな彼を非難がましく目を細めて見つめる少女が残された。 「イリュりゅん、ウェイトレスさんいじめちゃダメだよー?」 「何がいじめだ。注文しただけだろう。あとイリュりゅんと呼ぶなと何度言わせる」 イリュリオは不当な非難には屈しないとばかりに険しい表情を見せる。 しかし対するサリィは何か思いついたのか、合点がいったかのように目を丸くして頷いた。そして次の瞬間、花がほころぶような笑顔を作る。 「そっか、お腹すいて気が立ってたんだね」 「……どうしてそうなる」 ニッコリ笑うサリィにイリュリオは渋い顔を返すのが精一杯である。 少女の顔はまるで弟に向けられるような慈しみと、いかにも構いたくて仕方ない相手に頼られたような喜びに輝いているのだ。 お堅いだけのエレゼンの青年に勝てる道理はない。 「もー、仕方ないなー。最後の一本だけど、イリュりゅんにあげるよ」 「……」 サリィがフォークに刺したソーセージを差し出す。 イリュリオはそれを最初は不思議そうに見つめ、やがて驚きに目を見開いた。彼女が何をしようとしていのか気付いたのだ。 「遠慮しなくて良いんだよ? 私はおねーさんなんだからね! はい、あーん」 青年の顔が一瞬にして朱に染まる。それは怒りか羞恥か、傍から見分けることはできない。 だがカーラインカフェに居合わせた他の客、そして厨房から顔を出していた女給は確かにその光景の目撃者となる。 何か言いかけようとしたエレゼンの口にソーセージを思いっきり突っ込むミコッテの少女は、窓から降り注ぐ朝日に照らされてやたら幻想的であったらしい。
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ここにあるものは、キャラを固めるたのめ試し書きや突発的に書いたものなど、本シリーズとは少し設定の違うものや、キャラクターがかぶっていても本シリーズとは直接話が繋がらなかったり、パラレルだったりする作品です。 前夜 ベルとシルファ ベルとグノーム 夢の続きを イリュりゅんとルールー
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タイトル:名も無き戦士 第三話:閃拳 体が動かない・・・・ 指一本も動かす事ができない・・・・ のろのろと見上げる。ニヤニヤ笑っている女の顔が見えた。 「なんだい、もう降参かい?」 「少し・・・・休ませてくれ・・・・」 「だらしないねぇ。アタシの若い頃はこの倍は練習したもんだよ」 本当かよ・・・・もし本当なら、なんて化け物だ。 「まあ、しょうがないか。無理な訓練は返って筋肉を痩せさせちゃうからね。今日はここまでにしよう」 言うなりリックの母さん・・・・ライラは右手で俺の首根っ子を掴むや、軽々と持ち上げて肩に担いだ。 あれだけ動いた後でもこのパワーかよ・・・・・確かに化け物だ。 キャンプの真ん中の焚き火の前に、無造作に俺を放り出した。 「いてて・・・・もう少し丁寧に扱ってくれ」 「何言ってんだい。文句があるなら自分で歩いて戻ってきな」 言うと自宅でもあるテントに潜り込み、何やらごそごそした後で。 一抱えもある、巨大なアンテロープの足を2本持って来た。 「昨日、たまたま手ごろなの見つけたんでね、仕留めて持って来たんだよ」 俺は目を丸く見開いてその巨大な肉塊を見つめた・・・・・ 足がこのサイズって事は、本体はかなりでかい。 ベテランの冒険者でさえ、容易には倒せないはずだ。 ライラは手早く下ごしらえをすると、これも大きな鉄串を通し、器用に焚き火の上でくるくると回しだした。 徐々に香ばしい香りが辺りに漂い、あちこちのテントから難民が顔を出す。 「ああ、みんなやっとくれ。でもこっち側のはうちらで平らげるから、そっちのだけね」 子供たちが喚声を上げて走り寄る。大人たちも久しぶりのご馳走に群がった。 「ああ、まだだめだよ、十分火が通ってからにしとくれ」 「ライラ、いつもすまないね」難民の老婆が丁寧に頭を下げた。 「いいっていいって、行くところのなかったうちら親子を受け入れてくれたんだ。その礼さ」 ライラに手渡されたナイフで肉を削っては頬張りながら、俺は、なるほど、リックたちも色々あったんだな・・・・と考えた。 たっぷり食べると、今度は睡魔が襲ってきた。 「鍛えて食って寝る、これで若いうちは体ができるもんさ。さ、とっとと帰ってぐっすり寝るんだよ」 半ば追い出されるように難民キャンプを出た俺は、難民キャンプに行っていたとは判りにくいようにあちこち寄り道をしてから闘技場にある部屋に向かった。 「今日はいつもより激しかったな・・・・いつもこんなんじゃさすがにもたな・・・・」 文句を言い終わる前に、深い眠りに落ちた・・・・・ 翌朝は軽い筋肉痛で目が覚めた。 あれだけ体を動かした割りには、痛みが軽い。 「いくらかは・・・・強くなってるのか?」 防具を引っ張り出すと、獣脂を持って外に出る。 日課になっている鎧磨きだ。 これをしっかり行わないと、革鎧はすぐガチガチに硬くなってひび割れをする。 硬く脆くなった革鎧はもう防具の用を成さない。 そうならないように、毎日の鎧磨きは欠かせない。 ふと、周りが妙に騒がしい事に気がついた。 通りかかった興奮気味の若い男を呼び止め、 「おい、何かあったのか?」 「ああ、また難民の盗人が捕まってね。闘技場で闘士と戦わされる事になったらしい」 「なんだって!」 俺は鎧を手早く片付けると、急いで闘技場に向かった。 「・・・・・ライラおばさん?」 闘技場の真ん中に、だぶだぶのローブを着て立っているのは、間違いなくライラだ。 「モールの肉を盗んだらしいぞ」 嘘だ・・・・・巨大なアンテロープさえ仕留める人が、モールの肉なんか盗むわけが無い。 恐らく・・・・ 「おばさん!」大きな声で呼びかける。 こっちを向かずに軽くウィンクする。ああ、やっぱりそうか・・・・ ライラの正面には・・・・・ 残忍な笑みを浮かべたゲールが立っていた。 「ヘヘヘ・・・・女を殺すのは久しぶりだぜ。できりゃもうちっと若い方が良かったがな」 「おやおや、こりゃ試合じゃないのかい?アタシは試合に勝てば放免してやるって聞いたんだけど」 ゲールがゲラゲラと笑い出す。 「ガハハハハハ!俺に勝てる気でいやがるとはな! いいことを教えてやろう。俺様のは魔法のかかった強力な剣だ。 お前に与えられたのは、今にも折れそうなガラクタだ。 どうやって勝つつもりだ?え?」 「その前に、ひとつ聞いていいかい?」 「はぁ?なんだよ?」 「あんた、難民の男の子を殺した事あるかい?」 「おお、そんなの何回もあるぜ。つい一ヶ月前にも一匹殺ったとこ・・・・・」 ゲールは絶句した。 目の前の難民の年増女が、急に凶悪極まりないドラゴンに見えたからだ。 「そーかい、そーかい、やっぱりあんたかい。 その子はね、アタシの一人息子だったのさ。 こりゃ、たっぷり念入りにお礼をしなきゃねぇ」 言うと同時に、着ていたローブをバリバリと一気に引き裂いた。 ローブの下からは、真紅のジャケットとホットパンツに包まれた、年齢を感じさせない引き締まった肉体が現れた。 「さ、かかってきな」 「おい・・・あれは・・・」 「ああ、間違いない・・・・生きていたのか」 客席がざわめく。年配の常連客が叫ぶ。 「閃拳のライラ!復帰戦か!」 「な、なんだ?」 客席の異様な雰囲気にゲールがたじろぐ。 「閃拳?」 俺は興奮気味の客の一人に問いかけた。 「なんだあんた知らないのか?20年くらい前のスターだよ。 素手の格闘術で、無敵の40連勝を成し遂げた闘士だ。 羅刹衝って技知ってるか?ライラの得意技だったんだが、彼女の羅刹衝はアレンジされててな。 手と両足に闘気を纏って撃つのさ。 羅刹衝は特殊な歩法で間合いを一気に詰め、そのスピードを乗せた一撃を相手に叩き込む技だが、彼女の場合は移動速度が通常の数倍、さらに闘気を拳に込めて撃つんだ。 一撃で巨大なゴーレムでも粉砕すると言われたものだ。 その技に、ついたあだ名が”閃拳”。 まさに、一瞬で相手を葬る、当時最強の格闘士と言われたもんだ」 「へえ・・・・・ライラおばさんが・・・・」 「あんた、誰かは知らないが有名人らしいな・・・・だがこのゲール様の敵じゃねえ」 剣と盾を構える。剣からはかなり強い魔力の波動が流れ出す。 「アタシもおしゃべりはあんまり得意じゃないんでね。とっとと終わらせるよ」 ライラの姿が消える。ゲールとて腐ってもベテラン闘士。盾を構えつつ右後方に飛び退る。 盾に激しい衝撃。反射的に突き出した剣は空を切り、今度は左足に激しい衝撃を受けて倒れた。 な、なんだこいつ、姿も動きもさっぱり見えねえ!なんでこんな化け物が難民の中にいるんだよ! ゲールは心の中で驚くとともに焦りを覚えた。 全く当らないのでは、せっかくの魔法の剣も意味が無い。 「ほら、待っててやるから、早く起きな」 「クソッ、馬鹿にしやがって」 毒づきながらも立ち上がり、剣を構える。 またもやライラの姿が消える。今度は裏をかくつもりで左後方に飛び退りながら左前面を剣で薙ぎ払う。 「はい、残念でした。こっちだよ」 背後から声がする。振り向くより早く即頭部に強烈な打撃。意識が頭からすっ飛んでいく。 かろうじて失神は免れたが、頭がクラクラして狙いがつけられない。 「弱いものいじめは趣味じゃないんだ。さて、派手に負けてもらおうか」 「言って・・・・やがれ・・・・俺だってここで終わらねぇぞ!」 叫ぶと同時に盾を投げ捨て、剣を両手で持って構える。 「なるほど、その剣は・・・・細身だったから気がつかなかったけど、両手剣に軽くなる魔法をかけて片手で扱っていたのね。 ふん。それを両手で持ったくらいでこのアタシに勝てると思ったかい?」 「目にもの見せてやるぜ・・・・」 ま、これでとどめだけどね・・・・と心の中でつぶやきながらライラは跳躍した。 いや、跳躍しようとした。 何か鋭いものが背中に刺さった感じがした。矢ではない。もっと小さなものだ。 なんだ?と思った瞬間に急に足から力が抜け、がっくりと膝をついた。 「?!?!??」 「ヘヘヘ・・・・馬鹿め、油断しやがったな」 「な・・・何を・・・・・・した・・・・」 舌がうまく回らない・・・・呂律がおかしい。 「俺様はな、こう見えても人気者なんだ。友達だってたくさんいるんだぜ? 中には、猛毒を仕込んだ刃を自在に操る暗殺者もいるんだ」 「毒・・・・・ひ、卑怯者め・・・・・」 何だ?何かが宙を切って飛んだように見えた。 そしてその瞬間、ライラががっくりと膝を突いた。 「ライラおばさん?」 俺は何があったのかよくわからなかったが、ライラがピンチになったのだけはわかった。 「ケッ、ゲールめ。いくら往年の名闘士とはいえ、年増ごときに負けるとは情けないヤツだ」 観客席の2階から急いで駆け下りてくるのは黒ずくめで目つきの鋭い男。 「処刑ショーを台無しにされちゃお歴々の不興を買うからな・・・・俺は俺の仕事をやったんだ、ゲール、てめぇもちゃんと自分の仕事しろよな」 「ほっほう、おぬしの仕事とはなんじゃ?」 はっ、と振り向く。いつのまにか小柄な老人が背後に立っていた。 「なんだジジィ。老いぼれにゃ用はないんだよ」 老人を無視して立ち去ろうとするが、老人がするりと前に立つ。 ふぇっふぇっふぇっと、人をからかうように笑う。 「てめぇ・・・・何もんだ」 だらりと両手を下げる。一見無防備に見えるが・・・・ 「ワシャ、ただのご隠居さんじゃよ。ほう・・・・おぬし暗殺者じゃったか」 「ジジィ、何者か知らねぇが、それ言ったらタダでは帰れなくなるのはわかってるな?」 「タダで帰れないのは、はてさて、どっちじゃろうの?」 「てめぇ!」 一気に仕掛けようとして、足が止まる。 目の前の老人が、急に巨大な竜に見えたのだ。 「さて、それではワシはワシの仕事をするかのう」 老人が軽く腰を落として構える。 男は逃げる事も、この老人を倒す事も不可能である事を悟った。 「毒・・・・・ひ、卑怯者め・・・・・」 「何言ってやがんだ。難民ごときの処刑ショーに、ルールなんざ必要ないんだよ」 投げ捨てた盾を拾いつつゲールが嘲笑する。 「にしてもなんて化け物ぶりだ・・・・巨大なドレイクさえ即死する毒なんだがな」 「ゆる・・・・さん・・・・・おまえ・・・・だけは・・・・・・」 「もう立ってるのが精一杯の難民風情が!」 「おまえ・・・・殺す・・・・これで・・・・十分・・・・」 今にも倒れて息を引き取りそうな様子のライラの全身から、いきなり大量の闘気が噴出した。 老人が、はっ!と闘技場を見る。 「いかん、ライラ・・・・・今それを使うのは・・・!」 「な・・・・何?」 狼狽するゲール。その目の前から再びライラの姿が消えた。 今度はまばゆい閃光とともに。 とっさに胸前に盾と剣を構える。歴戦の戦士の勘だ。 今までとは比べ物にならない衝撃。 盾がひしゃげた。 盾を構えていた左腕が砕けた。 左腕の下で構えていた魔法の剣が折れた。 鎧の胸当てが破裂した。 肋骨が数本砕けた。 ゲールの体が宙を舞い、闘技場の壁に激突してめり込んだ。ぴくりとも動かない。 「ち・・・・くしょう・・・・あさ・・・・かった・・・・」 ゲールが立っていた場所にライラが立っていた。大きく両足を踏ん張り、右拳を突き出した姿で。 そのまま、ゆっくりと前のめりに倒れた。 ああ・・・・リック・・・・・アタシの大事な子・・・・・リック・・・・・アタシのたからもの・・・・・ 闘技場の歴史に名を残せし閃拳のライラ。 その波乱に富んだ人生は、闘技場の土の上で静かに幕を下ろした。
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ベロニカ・バイヨン
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レックスの星空 後編 うっそうとした森の中、起伏がうねる大地と流れの速い渓流に足をとられながら、ルカさんは一生懸命走ります。 足は痛いし目も回って、おまけに服もボロボロです。 それでもルカさんは前を走っているひとを追いかけるように走り続けます。 そのひとは立ち止まり、ひときわ大きな大木の影に身を隠してルカさんを呼びました。 「どう、追ってきてる?」 「はぁはぁ、これだけ走りましたからね、きっと逃げ切ったでしょう・・・」 そう答えた瞬間、大木に矢が突き立ちました。 「くっ、ルカ、早く!」 「はい!」 雨の降るなかを二人は再び走り続けました。 薄暗い中全速力だったからでしょう。途中のくぼみに足を取られ、二人は人の背たけ程ある深さの穴に転げ落ちてしまいました。 しかし、それが幸いしてか、追っ手の目から一時的に逃れることができたようです。 「ルカ、大丈夫?」 「は・・・はい」 「参ったね、囲まれてるみたいだ」 ルカさんと走っていたのは、ミコッテという種族のひとです。いつも頼られているリーダーで、ルカさんも彼女が大好きです。 「でもクロエさん、なんでこんな所に帝国軍の兵士がいたのでしょう」 「さあ、偵察か、戦いで敗れた残党か・・・とにかく私たちのことを好きでは無いのだけは確かね」 穴の中は暗くて寒いのです。そして二人は依頼を受けて遠くのキャンプへ行った帰りで、食べ物もすでに底を尽きていました。 だいぶ長い時間じっとしていましたが周囲ではまだ人の歩く気配がして、穴から顔も出せません。 それに一生懸命逃げていたのでここがどこなのかも分からなくなってしまいました。 もうこのまま死んじゃうのかな・・・小さくため息をついた後、ルカさんは夜空を見上げました。 いつのまにか雨雲はどこかに去って、空にはきれいな星がたくさん輝いています。 ルカさんはひとすじこぼれた涙をぬぐいながらつぶやきます。「きれい・・・」 すると、ルカさんは夜空がいつもと少し違っていることに気がつきました。 西のほうに青白く光る星、ひときわ輝いていてとても大きくて美しい星。 「むこう・・・」 ルカさんは穴から身を乗り出してその星を見ています。 「ちょっと、ルカどうしたの?出たら危ないよ!」 ルカさんはリーダーのクロエさんが止めるのも聞かずに輝く星のほうへ向かってふらふらと歩き出しました。 何を言ってもルカさんは聞いてくれないので、しかたなくクロエさんも後を付いて行くことにしました。 すると不思議なことに二人の通り道だけは安全だったのです。 囲まれていたはずなのに、たまたまその辺りだけ帝国軍の兵士がいなかったのでしょうか。 二人は誰にも会うことなく、迷っていた森の出口を見つけることができました。 ルカさんとクロエさんにやっと笑顔が戻りました。二人は早歩きで先を急ぎます。 そして森をでてルカさんたちが見たもの それは、くるみの大木。 そう、ルカさんがレックスとお別れをした、あのくるみの木。 「レックス、ありがとう」ルカさんは思わずつぶやいていました。 「え、何か言った?」 「いえ、クロエさん、なんでもありません」 笑顔のルカさんの瞳から溢れる涙は星のように輝いていました。 二人はくるみを食べて飢えをしのぎ、ここで一晩休むことにしました。 静かな朝、透き通るような青空と汚れの無い朝日がルカさんたちを迎えてくれました。 目が覚めた二人がくるみの木がある丘から下を見下ろすと、沢山の鎧を着た人たちがいます。 「兵隊だ、帝国軍じゃないけど、危険ね」 慎重なクロエさんでしたが 「きっと大丈夫ですよ」 そう言ってルカさんは丘を降りていったのです。 すると、兵隊の中にいたひとりが声をかけてきました。 「あなた方は冒険者ですか、この辺は帝国軍兵が目撃されているので危険ですよ」 「私たちは追われてここまで来ました。あまり見かけない装備ですが貴女はどこの兵隊ですか」クロエさんがたずねます。 「これは失礼、私達は帝国軍と争ってきたアルシュタットという国から来ました。私はレイチェル・ランカスターと申します」 ルカさん達は、ちょうどレイチェルさんたちとすすむ方向が同じだったのでウルダハの近くまでおくって貰うことになりました。 ウルダハ近くのキャンプで別れをつげるころにはもう夜になっていました。 まもなく見えてきた城壁、ウルダハの街は目の前です。 ルカさんは歩きながら何度もありがとう、と繰り返していました。 ルカさんが立ち止まりました。 ちいさい鳴き声、普段なら聞き流しそうな僅かなその声は岩の陰から聞こえてきます。 覗き込むとそこにいるのは小さな子供のマーモット。 まあるくうずくまって、震えています。 ルカさんは優しく抱き上げこう言いました。 「ひとりぼっちなの?あなたのお名前は?」 たくさんの星のなか、西の空にひときわ輝く星が一つ。そんな夜の出来事でした。 おわり
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タイトル:名も無き戦士 第一話:少年 物心がつく頃は闘技場で鎧を磨いていた。 それしかする事がなかったし、それをするように命じられていたからだ。 次は武器の手入れ。 慣れないうちは刃で怪我もしたけれど、段々慣れて怪我もしなくなり、闘士の試合を見ているうちに何となく武器の使い方も覚えてきた。 鎧の着かただってわかる。 いつかは俺も、闘士として闘技場で戦うんだろうな、って漠然と思っていた。 暇な時はウルダハに近い難民キャンプに遊びに行っていた。 ウルダハの子供とは、どうも話が合わない。何となく見下されている気がする。 難民キャンプの子供も、みなどこか暗かったり荒んでいる子が多かったが、一人だけ、やけに陽気で前向きな子がいた。 リックと名乗るその子が、いつも俺の遊び友達だった。 棒切れで闘士ごっこをしたり、手製の弓矢でマーモット狩りをしたりして一日を過ごす。 うまくマーモットが狩れた時は、リックは大喜びで母親に見せに行ったものだ。 母親も大喜びで、その日はリックのテントでマーモット料理を振舞われた。 「お前、難民キャンプに行っているそうだな?もうあそこには近寄るな」 親方に注意され、おおっぴらにキャンプには行けなくなった。 ある日、いつものように鎧を磨いていると、闘技場の方がやけに騒がしくなった。 何だろう?事故でもあったのだろうか? 様子を見に行く。 闘技場の真ん中には一人の屈強な剣闘士と、横たわる痩せた少年の姿があった。 少年の体の下から、赤い血のシミがじわじわと広がってゆく・・・・ 闘技場で相手に重い怪我をさせると、罰則が与えられる。 相手を死なそうものなら、長期間の出場停止か、最悪は追放だ。 それでも稀に、うっかり相手を死なせてしまう事故が起きる。 まさに今がそうだった。 立っているのは、ゲール。顔を合わせるたびに、いつも意地悪をする嫌なヤツだ。 横たわっているのは・・・・・・ 「・・・・・・・リック?」 親方に言わせると「見せしめ」らしい。 最近、ウルダハ市内で盗難事件が頻発しており、犯人は大抵の場合は難民キャンプに逃げ込んで逃げおおせる。 たまに捕まる犯人も、難民である場合がほとんどだ。 難民キャンプを隠れ蓑にした盗賊団の噂もあるが、それを確かめた者がいない限り、犯人は全て難民という事になる。 リックはその時、取れたてのモールを手にしていた。 自分が弓で仕留めたと言い張ったらしいが、警備隊の兵には通用せず・・・・・ そんなに腕がいいのなら、闘技場に出ろと。そこで勝利すれば認めてやると。 ゲールは嫌なヤツだが、腕はいい。剣闘士ごっこでしか剣を振るった事のない少年が勝てる相手ではなかった・・・・・・ マーモットの皮で作った篭手を、じっと見つめた。 リックの母親が、いつか俺が剣闘士としてデビューする時のために、俺たちが仕留めたマーモットの皮で作ってくれたものだ。 「その頃にはもっと大きくなって、これじゃ小さくなってるかもね」と笑いながら俺に手渡してくれた。 「そんな事ないよ、おばさん・・・・・十分間に合った」 俺はその篭手をはめ、古びた鎧を手早く見に着け、木製の盾と粗末な剣を手に取ると闘技場へと向かった・・・・ 「闘技場に出るだと?お前がか?」 昨夜、親方に闘技場に出たいと申し出た。 「はい。これでもモールくらいなら仕留められるようになったので・・・」 「闘技場の戦士はモグラなんかとは比べもんにならんぞ。この前の難民のガキみたいになりたいのか?」 ギリッと奥歯を噛み締める。 「俺は・・・・死にません」 「馬鹿野郎。そりゃお前が決めるんじゃなくて相手とお前の腕の差が決めるんだ」 そう言いつつ、親方は話し相手の体をジロジロと眺める。 「ふうむ・・・・まあ、確かに剣術の稽古は真面目にやってるようだし、だいぶ肉もついてきているな・・・・。 いいだろう、やってみろ。だがヘボかったらすぐに鎧磨きに逆戻りだからな?」 「はい!」 相手は歴戦の闘士ではなかったが、何回かは闘技場に出た事のある駆け出しの冒険者だった。 斧術士見習いとかで、大きな戦斧を構えている。 こっちも武器も相手の武器も、もちろん刃が潰してあるので、滅多な事では致命傷にならない。 だが、あの重量の鉄の塊を叩きつけられたらタダでは済まない。 待てよ。刃がない?じゃああの時何故リックは・・・・・ と考えてる余裕などなかった。隙ありと見て相手が素早く間を詰めてきた。 戦斧は破壊力は抜群だが、大降りして空振りした後の隙が大きい。 そして重いが故に攻撃が直線的だ。 片手剣や短剣のように、切りつける途中で刃を返して変則的な攻撃を行う事などできない。 大降りの一撃をギリギリまで見極めてからひらりとかわし、相手の横腹に突きを入れる。浅い。 相手はよろめいたものの、うめき声をあげただけだ。すぐ立て直してもう一撃。 これもひらりとかわして、今度は背面に一撃。うお、こいつ斧術士なのに背中に盾をかついでいるぞ。 そうか、背面からの攻撃を警戒しているんだな。 今度はさすがに相手も慎重になった。斧を構えてじりじりと間合いを詰める。 この2撃でもっとダメージ与えておくべきだったか・・・・と後悔してももう遅い。すっかり警戒されてしまった。 こうなったら一か八か・・・盾を高めに構え、一気に踏み込む。 一瞬、相手がひるんだが、すぐにこちらの盾目掛けて斧を振り下ろす。俺が待っていたのはそれだった。 盾ごと粉砕するつもりだったのだろうが、こちらは盾で受け止める気などない。 盾に当たると同時に全身のバネを使って盾をハネ上げ、相手の打撃を弾き飛ばす。 衝撃で盾は砕け散ったが、相手も大きく上体を反らし、脇腹が無防備にさらけ出される。 そこに渾身の一撃を叩き込むだけで、勝負がついた。 「まったく・・・・お前いつの間にあんな戦い方を覚えたんだ?」 呆れつつも賞賛の眼差しで俺を見ながら、それでもどこか親方はがっかりしているようだ。 受付嬢は逆にほくほく顔で俺を見つめている。 なるほど。親方は対戦相手に賭けをして、受付嬢は俺に賭けてくれたんだな。 「やはりトードの子はトードって事か・・・・これでお前も一人前の剣闘士だな」 少し、引っかかった。そういえば・・・・ 「親方・・・・ひとつ聞きたい事がある」 「ん?何だ?」 「俺の親って、誰だ?親方じゃないよな?」 しばらく俺の顔をじっと見て、 「そうか・・・・そろそろ話しておくか。 お前の両親は、どちらも剣術使いの剣闘士だった。 お袋さんの方は、まあ女剣士って事で人気はあったが、腕前は平凡だった。 だが親父さんの方は、この闘技場でも常に上位に入る腕前の凄腕の剣士だった。 お前は文字通り、ここで生まれた子なのだ」 「親父とお袋はどこに・・・・」 「親父さんは、酒場でたらふく飲んで酔っ払って帰る途中、何者かに背後から刺されて・・・・発見されたのは翌朝だったよ。 同じ日、自宅でお袋さんが同じように背後から刺されて死んでいるのが発見された。 有名剣闘士2名が同じやり方で殺されたんだ、ウルダハ中が騒然となったが、いくら調べても犯人は見つからなかった。 お前はその時、たまたま俺が預かっていた。 お袋さんが知り合いと会う用があるんで、その間だけ預かってくれと頼んで来たのさ。 考えてみれば、その時の知り合いが2人を殺した犯人なのかもな」 「そんな事が・・・・」 「犯人を捜して仇を討ちたいだろうが、まあやめておけ。当時警備隊総出で調べても判らなかったものが、一介の剣闘士が調べたところで見つかるはずもないからな」 確かにな・・・・見た事もない両親の仇と言ってもピンと来ない。 それよりも・・・・ゲール。あいつは許せない。いつか・・・・ そして、リックを殺した剣だ。刃を潰した剣で、致命的な斬撃など与えられるものか? 釈然としないまま、俺はねぐらに足を向けた。