約 586,328 件
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/337.html
Chapter57「フレイ倒れる5:未知なる呪い」 持ち寄った材料を受け取ると、吟味するようにそれを眺めてイアトロは満足そうに言った。 「うん。質、量ともに申し分なし。これならいい解呪薬ができそうだね。パパッと調合しちゃうから適当にくつろいでて。コーヒーでも淹れよっか?」 「いらないから早く調合して欲しいっす! フレイ様が待ってるっすから!」 「君ってせっかちだよね。ま、どうでもいいけど」 キュアル草と風竜の鱗をすり潰して粉末状にし、それをメーの体液に落として撹拌する。そしてなにやら呪文を唱えながら混ぜ続けていくと、濁っていた液体の色が透き通った緑へと変わる。 「調合完了。解呪薬のできあがり~ってね」 イアトロはそれをビンに入れてくれた。 たっぷり材料を集めてくれたので代金はいらないという。 「これが解呪の薬……。やったね、セッテ。これでフレイは助かるんだね」 受け取ったビンの中身を覗き込みながら、ゲルダは安堵の息をもらした。 「安心するのはまだ早いっす。喜ぶのはフレイ様が治ってからっすよ」 「そうだった。フレイのところへ急がなくっちゃ」 「もちろんっす! でも不思議っすねぇ。薬を飲むだけで呪いが治るなんて」 一方で材料集めに協力してくれたサーモスも、ゲルダとは別でビンを受け取っていた。彼女もまた、自らにかけられた呪いを解きたいと願っていたからだ。 「すみません。無理言ってワタシの分までいただいてしまって」 「いいよいいよ、大量にできたからね。聞くところによると、君も呪いをかけられているそうじゃないの。じゃあさっそく飲んでみてよ。薬の効果で剥離した呪いを回収して研究させてもらうから。それがお代の代わりってところかな」 「わかりました。ではさっそく……」 イアトロに促されて、サーモスはビンの中身を一気に飲み干した。 本当に薬を飲むだけで呪いが解けるのだろうかと、その様子をおれはゲルダとともに息を呑んで見守った。 するとサーモスの身体が光に包まれて……というようなことは全くなく。 呪いが黒い霧のようになって彼女の身体から抜けていく……こともなく。 蛇の鱗が剥がれ落ちて人間の姿に戻ったサーモスが……現れたりはせず。 率直に言うと、解呪の薬を飲んでも何も起こることはなく、サーモスは相変わらずローブを被った蛇っぽいお姉さんのままだった。 「ええー? ちょっとこれ、失敗したんじゃないの? なんかフレイに飲ませるのが心配になってきたんだけど。まさかヘンな副作用とか出たりしないよね?」 「そんなまさか! 私の調合に間違いはない。ちょっと調べさせて」 イアトロは怪訝そうな顔をしながら、困惑するサーモスにはお構いなしで、その身体を触ったり眼の奥を覗いたりしている。 「ひゃ! や、やめて。尻尾はやめて。人間のときには無かった部分だから触られ慣れてなくて、し、刺激が強……」 「ちょっと黙ってて。うーん、呪いの侵蝕が深すぎるのか、それとも……。根本的に術式が違う? 状態を固定する変性魔法的な作用ではなく、もっとこう本質的な部分を変えてしまうような呪い……。例えば魂に影響して変質させるような……」 しばらくサーモスの身体を撫で回してからイアトロは深いため息をついた。 「ひゃあー。だめ、お手上げ。誰にかけられた呪いか知らないけど、こんな特殊な呪いは見たことないよ。これはかけた本人にしか解けそうにないね」 「そ、そんな……。それじゃあワタシはもう一生このままなんですか。呪いは今でも進行しているんです。どうすることもできずに、やがてただの蛇に変わってしまうのを受け入れるしかないって言うんですか……」 蛇の目から涙は流れない。涙を流すことはできない。 泣くことすらもできず、ただ何もできずに呪いに蝕まれるしかない。 それが彼女の運命なのだろうか。だとしたら、なんて辛すぎる運命。 「あの、なんとかできないんすか? 例えば別の呪いで上書きして蛇の呪いを消してしまうとか……」 以前、プラッシュがセッちゃんの石化を治してくれたことがあった。 あの後、気になって聞いてみると、プラッシュのぬいぐるみ化の魔法はむしろ呪いに近い術式で、石化の呪いをぬいぐるみ化の呪いで上書きしてからぬいぐるみ化を解いたために結果として石化が消えた、言わば荒療治だと説明された。 その方法を使えばサーモスの呪いも消せないだろうか。 「なるほど、面白い発想をするね。だけど、この呪いは相当強いものみたい。別の呪いで上書きするなら、さらに強い呪いをかけなければいけない。それだと身体への負担が大きすぎるし、そもそもそんな呪いをかけられるほどの魔力の持ち主なんてそうそういないんじゃないかなぁ」 「トロウよりも強い魔力の持ち主……。あ、アルバス様は? 神竜の」 「神竜様は呪いはお使いにならないよ。呪いというのは闇の魔法だからね。光の精霊でもあられる神竜様とは完全に対極に位置するものだし……」 「光の精霊? 精霊って精霊魔法の……。精霊って実在するんすか!?」 「そりゃそうでしょ。精霊がいなきゃ精霊魔法は使えないんだから。それはともかく、申し訳ないけどサーモスの呪いは私の手には負えないと思う。悪いけどね」 「そっすか……」 その呪いはトロウにしか解くことができない。そう告げられて絶望するサーモスにかける言葉が思いつかない。 こういうときは下手に励ますよりはそうっとしておいたほうがいい。しかし、放っておいて解決するような問題でもない。呪いはまだ進行しているのだから。 (トロウを倒せば、サーモスの呪いを解ける者がいなくなってしまう。だけどトロウを倒さなければニョルズ王様もユミル国も取り返せない。それにトロウを放っておいたら、もっとサーモスみたいな被害を受けるひとが出るかも……。うう、おれは一体どうすればいいっすか……) 「ワタシのことは気にしないでください」 頭を抱えていると、サーモスに声をかけられた。 「今回の方法はたまたまうまくいかなかっただけです。どんな特殊な術式だろうと確かにそれは存在する術式なんですから。そうである以上、呪いを解く手順は必ず存在します。特殊だろうとなんだろうと、その呪いの正体さえ突き止めれば必ず方法はあります。だからワタシは諦めません」 そうは言っているが、きっと強がっているだけに違いない。 どうやって組まれたかもわからない呪いの術式を見つけ出して、さらにそこから解呪方法を見つけ出すなんて、ほとんどイチから新しい魔法を作り出すようなものだ。しかも正解はたったひとつに限られている。 例えるなら絵柄のない真っ白なジグソーパズルを完成させるようなものだ。しかもピース数は膨大で、その中には関係のない不要なピースが大量に混ざっている。 「そ、そんな気が遠くなりそうなこと、できるんすか?」 「できるかどうかじゃない。やるしかないんです、ワタシは……。いいえ、大丈夫です。諦めない限りは、どんなに低かったとしても可能性はゼロじゃありません」 「諦めなければ……ゼロじゃない……っすか」 いいや、強がりなんかじゃない。本当に強いひとなんだ。そう思った。 サーモスはまだ諦めていない。諦めていないからこそ、彼女は強いのだ。 「ワタシには効果がなかった。でもまだ諦めるのは早い。そうでしょう? まだその薬を待っているひとがいます。だから早く行ってあげましょう」 そうだった。おれまで落ち込んでいる場合じゃない。 フレイ様はこうしている今もまだ苦しんでいるに違いないんだ。 だからすぐにでも解呪の薬を届けてあげなければならない。 おれは、そのためにここへ来たのだから。 「セッテ、急ごう!」 同じくサーモスの言葉を聞いてはっとしたのだろう。ゲルダは薬のビンを片手に今にもイアトロの家を飛び出しそうな勢いで、雲の扉から顔を覗かせている。 「すまねっす。ちょっと考え込んじまった。フレイ様が待ってるんすよね。だったら一刻も早く薬を届けてあげないと。船まで走るっすよ!」 「もちろん!」 言って先に飛び出していったゲルダに続いて、おれも雲の扉をくぐる。 同様にフレイ様を心配していたサーモスもその後から着いて来ていた。 空を見上げると、もう夜が明けかけている。思ったより時間をかけてしまった。 フレイ様は無事だろうか、薬はちゃんと効くだろうか、と心配しながらおれたちは全速力でグリンブルスティへと向かった。 船へと戻るとフィンブルが寝ずにフレイ様を看病してくれていた。 一方フレイ様はというと、静かに眠っているようではあったが、やはり顔色はあまり良くないようで、ずいぶんと汗をかいている様子だった。 「あ、おかえりなさい。あのフレイさんのことなんですけど……」 「フィンブル、ありがとっす! 遅くなったけど、薬を手に入れてきたっすよ」 「お薬ですか? あの、そのことなんですがさっき……」 「大丈夫っす! これで治るはずっす! だからあとは任せるっすよ!」 ベッドに横になっているフレイの上体を起こし、薬を持っているゲルダに合図する。ビンの蓋を開けて飲ませやすいようにコップに移しかえると、ゲルダがフレイ様に声をかける。 「さ、飲んで。これできっと良くなるから」 何度かむせ返しながらも、なんとかフレイ様は解呪薬を飲み干した。 そして、これできっと良くなるはず。そう期待しながら様子を見守る。 しかし待てど暮らせど、やはりサーモスのときと同様に何も起こることはなく、再びフレイ様は横になって寝息を立て始めただけだった。 相変わらず顔色は良くなく、大量の汗をかいていることにも変わりはない。 「全然だめじゃないっすか! この薬、本当に信用できるんすか!?」 「ど、どうしよう……。このままフレイが目を覚まさなかったらわたし……」 「はっ、もしかしてこれも未知の呪いなんじゃ!? ああ、もうおしまいっす!」 「うわーん! フレイが死んだらわたしもあとを追う! だって約束したから。わたしはフレイと一緒ならどこへでも行く。たとえそれがあの世だって……」 トロウに呪いをかけられたのなら、やはりこれもサーモスと同様に特殊な呪いだったということに違いない。解呪薬が効果がないのはきっとそのせいだ。 もうどうしたらいいのかおれにはわからない。こうなったらイアトロのところにある解呪薬を全部飲ませるしかないんじゃないか。本気でそう思っていた。 頭の中が真っ白になり、おれはただ焦るばかり。 一方ゲルダは眠るフレイ様にすがって泣き喚くばかり。 そんな様子をフィンブルがおろおろしながら見つめている。 そしてサーモスは、フレイ様の顔を見ながら何か考え込んでいる。 「セッテ。ふと思ったんですが、フレイ王子のこれ。もしかしたら……」 「やっぱそうっすよね、サモ先輩……。くッそぉ! おれの責任っす! おれがフレイ様に無理言って連れ出してしまったからこんなことに……!」 「いえ、この症状はむしろ……」 そのときフレイ様を寝かせているこの部屋の扉が開かれた。 ゲルダが飛び出していったのかと思ったが、どうやらそうではない。 扉の先にあったのは、両手いっぱいに黄色い木の実を抱えた少女の姿だった。 「なんじゃお主ら、やっと戻ってきおったか」 「クルス!!」 持ってきた木の実をテーブルの上にどさどさと乗せると、そのうちのひとつをフィンブルに渡して皮を剥いてやれとクルスは指示をした。 「戻ってたんすね! じゃあもう知ってると思うっすけど、フレイ様が大変なんすよ! だからおれたち、アルヴの錬金術の先生に薬をもらいに行ってて……」 「ほう。それで薬は手に入ったのか?」 「それが……ついさっき薬は飲ませたんすけど、全然効果が現れなくって」 「それはそうじゃろう。そんな飲んだすぐに効果が出るわけがあるまい」 「でもそれじゃ困るんすよ! フレイ様には早く元気になってもらわないと!」 「まあ、お主の気持ちもわからんでもないがな。ユミルを発ってから色々とあったから、おそらく疲れが出たんじゃろう。たまにはゆっくりと休ませてやれ」 「何をそんなに落ち着いてるんすか! 早くなんとかしないとフレイ様、死んじゃうんすよ!! クルスにはわからないんすか!?」 「…………なんじゃと? フレイが、死ぬって?」 唖然とした表情でおれとフレイ様の顔を交互に見たあと、なんと突然クルスは大声で笑い始めた。 「何がおかしいんすか!! 不謹慎にも程があるっす!!」 「あのなぁ、セッテ。ならば聞くが、フレイは風邪をひいた程度で死んでしまうほど虚弱体質だとでもいうのか?」 「…………へ? 風邪?」 「まさか風邪を知らんわけじゃなかろう。アルヴ育ちの竜人じゃあるまいに」 「え……っと…………」 言葉に詰まってしまった。 なんだって。クルスは何て言ったって。えっ、風邪? 「ねぇ、セッテ。カゼって何? それも呪いの一種なの?」 ゲルダが心配そうな顔で見上げてくる。 「いや、えーっとその。だ、だって急に倒れるから……ね、ねぇ。サモ先輩?」 「ねぇと言われましても。この症状はワタシも風邪だと思いますけど」 「だ、だったらフィンブルは? 風邪だって知ってたんすか?」 「はい。さっき私も言いかけたんですけど……。セッテさんとゲルダさんが出かけていったあと、少ししてからクルスさんが帰ってきて……」 様子を見たクルスはすぐに理解し、風邪に効く薬を自分で材料から調合して、すでにフレイ様に飲ませていたのだという。錬金術までできるなんて聞いてない。 そして落ち着いたフレイ様が寝入ったのを確認すると、また何かを取りに出かけて行ったそうだ。ちょうどその間におれたちが戻ってきたことになる。 「それにしても呪いとはな。くっくっく。お主、なかなか面白い発想をするのう」 「それはその……だ、誰っすかぁ? 最初に呪いだなんて言い出したのは~」 視線を泳がせていると、ふとゲルダと目が合った。 いや、目が合ったというかこれはむしろ、凝視されている。 えっ、何? おれの顔に何かついてる? ……じゃないよなぁ、やっぱり。 「わたし、セッテが呪いだって言うからてっきり……」 「そうでしたおれでしたすんませんでしたぁーッ!!」 眠っているフレイ様以外のその場にいる全員の視線がおれに集まる。 「ほほう? セッテ、顔が赤いぞ。なんならお主も食べるといい。風邪をひいたときにはこの木の実が良いと人間の書物に書いてあったからのう」 あああああっ! なんだか頭が痛くなってきた。顔も熱くなってきたぁーっ! おれも風邪をひいたのかもしれない。そうだ、そうに違いない!! その後、ほとんど夜は明けかけていたが、おれは少し眠った。 夢の中ではゲルダたちに延々と責められた。なぜか兄貴まで夢に出てきて説教の輪に加わった。まるで呪われたような気分だった。 そして翌朝、げっそりしたおれとは対照的にフレイ様はすっかり元気になった。 Chapter57 END 魔法戦争58
https://w.atwiki.jp/projecter/pages/1235.html
番号 FJ11097 名前 侍女の一日 読み じじょのいちにち Lv 6 スター 種別 ストラテジー 【食事、持ってきてやったぜ】○自分の山札を見てカード名に「ミレル」か「メリッサ」か「ジーニ」を含むユニットか★1つ以下の「メイド」のユニットを1枚まで選んで相手に見せ、手札に加える。その山札をシャッフルする。○夢(プランゾーンからプレイできる) ブロック 富士見書房 作品 魔法戦士リウイ レアリティ C
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/7979.html
DQⅨ 黄金で作られた気品あふれるサークレット。装備すると守備力と攻撃魔力が11、回復魔力が9上がる。 装備できるのは僧侶、魔法使い、旅芸人、魔法戦士、賢者、スーパースター。 入手方法はサークレット+きんのゆびわ+きんのブレスレットの錬金のみ。 また、【ちりょくのかぶと】、【ほしのサークレット】、【おうごんのティアラ】の錬金素材にもなっている。 これらの作成した装備もまた他の錬金素材になるので、作る機会もそれなりにあるだろう。
https://w.atwiki.jp/vahren_ency/pages/501.html
火の賢者でありアルナス汗国の軍師。宿老クルトーム、魔法戦士カリンと共にナルディアを支える忠臣。 アルナス平定後、先代の悲願だったブレア侵攻に大きく貢献したがスネアの反乱からナルディアを守るため力尽きた。 修正。しかしページ名が変えられないため名前が直せない…。 -- 投稿者 (2010-02-13 18 04 07) フォルゴットだよ? -- mititdoll (2023-10-03 08 58 50) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/341.html
Chapter61「フリード遠征7:王女の初体験。っていうと誤解されそうか」 ちょっと確認させてくれ。 俺は蒼き勇者フリードだよな? そうだったはずだ。 だが今の俺には翼があり、視界のすぐ先に見える鼻先には白鱗が見えていて、しかも自らの力で空を飛んでいる。ついでに言うならこの身体は雌竜である。 これが本当に俺か? ちょっぴり自信がなくなってきちまったじゃないか。 姿が変わって自身がなくなってきてるって? 冗談を言ってる場合じゃない。 なぜなら、これから俺たちは敵の本拠地に乗り込もうとしているのだから。 アルヴを飛び立ってしばらく空を行くと、前方に大樹が見えてきた。 ユミル国の王城バルハラをその頂上に擁するこの空で最も目立つシンボル、大樹ユグドラシル。 そのバルハラ城は今や漆黒の魔道士トロウの支配下だ。 (そろそろ到着するわね) 脳内にフレイヤの声が響く。 彼女の精神が今、俺に憑依している状態だ。だからフレイヤとは言葉を交わすことなく会話ができる。 そういえば、トロウとは会ったことがないんだよなぁ。 そう頭に思い浮かべるとそれはフレイヤに伝わり、続けてそれに対する返事が再び脳内に響いてくる。 (忠告しておくけど、絶対に気を許さないようにしなさい。とにかくトロウはただ者じゃないわ。油断しているとすぐに足元をすくわれるわよ) へぇ。そんなにすごい奴なのかね、そのトロウっていうのは。 (あいつの魔力は明らかに普通じゃない。まさに異常よ。こんなに離れていても、その禍々しい厭な感じが伝わってくる……。まさかあなたにはわからないの?) 魔力を感じる、か。 どうやら他のみんなは全員できるらしいが、やはり俺にはその「魔力を感じる」という概念がさっぱりわからない。俺はあまり魔法に馴染みがないからだ。 そんなことを考えていると、言葉には表れない俺の記憶の一部とでもいうべきイメージがフレイヤに伝わったのだろうか。 フレイヤは不思議そうな様子で問いかけてきた。 (フリード、あなたって一体どこから来たの? 今伝わってきた感覚は……ぼんやりとしてたけどあなたの過去なの? 私の知っている世界観とはまるで違うような感じがして……少なくともこの大樹の空域出身ではないようだけど) なるほど、精神が同居している状態というのはなかなか厄介だ。 頭に思い浮かべた言葉以外にも、無意識のうちに心に思い浮かんだことまでフレイヤに伝わってしまうのだ。たしかにこれは気を許せる状態ではないらしい。 今はまだ話すようなことじゃない。そう判断した俺は次のように返答した。 勇者には秘密が付きものさ。だって、そのほうが陰があってかっこいいだろ? するとフレイヤからは(なにそれ)と呆れたような反応が返ってきた。 まあ、俺のことなんてどうでもいいじゃないか。 それよりも、もうすぐバルハラ城に到着する。だから無駄話もここまでだ。 フレイヤの言うように、ここからは油断するわけにはいかない。 大樹がぐんぐんと近づいてくる。 眼下にバルハラの城下街を見下ろしながら、フレイヤの指示で俺はバルハラ城門前へと降り立った。 直接中へはいかないのかと思っていると、フレイヤが理由を説明してくれた。 (今のあなたは魔法で私に変身した上でさらに竜に変身している状態よ。二重に魔法を維持している状態だから、このままではいざというときに私はまともに魔法を使うことができないの) ふーん、そういうものなのか。 例えるなら、補助魔法を使いすぎていざボス戦でMPが足りない、とかそんな感じだろうか。 魔法が使えない俺にはそもそも魔力というものがよくわからないんだが、MPを回復するような道具とかは存在しないんだろうか。それとも魔力というのはスタミナのようなもので、休憩すれば回復するような概念なんだろうか。 そんなことを考える俺をよそに、フレイヤは俺の脳内で呪文の詠唱を始めた。 すると眩しい光に身体が包まれたかと思うと、次の瞬間には俺は元の姿に戻っていた。 ……いや違うか。フレイヤ王女に変えられたフリードの姿に戻った、が正しい。 「戻るときは一瞬なんだな」 そうつぶやく声は高い。ああ、やっぱりこれ違和感あるな。 (さあ、ここからはちゃんとフレイヤ王女として振る舞ってもらうわよ。もうすぐ後に続いて出発したヒルデたちも到着するはず。全員そろったらいよいよトロウとの対面になる。覚悟はできてるわよね?) 今までトロウがヤバいと何度も耳にしてきたが、会ったことがない俺にはいまいちピンと来ていなかった。 覚悟ならできているさ。どれほどヤバい奴なのか、この目で直接確かめてやる。 やがてヴァルキュリアの三人も到着し、俺たちは城門を潜って中へと進んだ。 門の先に続く庭園をフレイヤ王女(つまり俺)が先頭を歩き、ヒルデたちは天馬の手綱を引きながら後ろに続いて歩く。 ……ううむ。しかしどうにも落ち着かないな、これ。 というのは、今は俺はフレイヤ王女に変身している状態だ。もちろん裸で歩いているわけがないので、王女のドレスを身にまとっているのだが……。 どうにも足元がスースーして落ち着かん! ドレスは足先まですっぽりと覆うロングスカート状になっているのだが、この薄い布切れの内側はもう生足なのだ。身体を覆うものとしては下着一枚しかない。 なんだ、この不安定な感じ! そして極めて無防備だ! 女っていうのは、こんなに危なげな状態でスカートを着こなしているのか。 さらに腹部はコルセットできつく締め上げられているのだが、これがまた非常にキツい。締め付けもきついのだが、精神的にキツい。 こんなに締め上げられたら、胃の中身が戻ってきてしまうじゃないか。それにこんな状態では一歩足を前に出すだけでも苦痛だ。 ついでに言うなら背中の部分が空いていて寒い。こんなところを露出させてなんの意味があるんだ。 いや、たしかにな。見る分にはうなじから背中にかけてのラインが見えていると色っぽいと思うぜ。 だが着る分にはこんなの全然実用的じゃない。というか寒い。 (まったく、あなたは全然わかってないのね。女性というのは、自分をより美しくみせるためなら、あらゆるものを犠牲にするものなのよ。それが王女としての最低限の礼儀であり義務。はしたない姿を民たちに晒すわけにはいかないでしょう) だからと言って、それで身体を壊しちゃ意味がないだろうと思うのは俺だけだろうか。 これじゃあ風邪を引いてしまう。というわけで、足早に庭園を抜けてバルハラの城内へと進んだ。 中へ入るとホールは広く、大理石の床が広がり、ところどころに大樹の枝が飛び出している。 ヒルデたちはそのまま天馬を引き連れてきたので、どうやら城内に天馬を連れ込むことには問題はないらしい。この国のマナーはよくわからんな。 城内では何人かの人とすれ違った。身なりを見るに、おそらくはこの城に仕える使用人や兵士といったところだろうか。 トロウに支配されているわりには、拘束されたりせずに普通に生活しているようにも見える。あるいは、あいつらも洗脳されているのか? すれ違う使用人たちはこちらに対して頭を下げたり、中には挨拶のために一声かけてくる者もいた。 ちゃんとフレイヤも王女なんだなと思う一方で、誰かとすれ違うたびに俺の心臓は高鳴る一方だった。 実はフレイヤ王女じゃないというのがバレないかひやひやする、というのももちろんある。だが何よりも問題なのはそう……この服装だ。 いやね。別に今の俺はフレイヤ王女の顔をして、フレイヤ王女の姿で歩いているんだから、外から見た感じは何もおかしくない普通のフレイヤ王女だぜ。 だがな。俺からすれば、今俺は王女様のドレスを着て人前を歩いてるってことになっちまうんだぜ。いくらフレイヤ王女の姿をしているからって、精神的には俺は俺のままだ。 つまり俺は精神的には女装して人前を歩かされているような気分になっている。 ……これは地獄だ。 すれ違う人すべてが俺のことをじろじろ見ているような気がする。 おまえの正体はわかっているぞ。男のくせに女の格好をしてこの変態め。 そう言われてるような気がしてならない。 ぐあああああっ! 違う、違うんだ! 俺は、俺はそんなつもりじゃ……。 誰もが俺を視姦しているように感じられて、気が変になりそうだ。 あまりにも見られすぎて、心なしか気分が高揚して少し濡れて――――おっと、フレイヤからの殺気を感じたので、これ以上言うのはよそう。 とにかく怪しまれないようできるだけ平静を装っているつもりではあるが、油断すれば今にも顔から火が出そうだ。 くそぅ、なんか涙が出てきた。涙に濡れてきた。 ああ、早くこの任務終わらねえかなぁ……。 そんなふうに思いながら歩いていると、また使用人らしき初老の男が声をかけてきたではないか。 このやろう余計なことをしやがって。さっさと通り過ぎていきやがれ。 会話の受け答えに関しては脳内でフレイヤが助言してくれるので、間違ったことを言う心配こそはないのだが……。 「これはこれはフレイヤ王女様、ご機嫌麗しゅう。近頃はお姿がお見えになりませんでしたな。何か遠出のご用事でもございましたかな?」 使用人の言葉を受けて、すぐにフレイヤが俺の台詞を用意してくれる。 (復唱して。ごきげんよう、セバール。少しヴァルキュリアとしての任務で遠方まで出向いておりましたの。心配をかけてしまったかしら) 「ごきげんよう、セバール。少しヴァルキュリアとしての任務で遠方まで出向いており……ましたの……。ええと、心配をかけちま……かけてしまった、かしら」 するとセバールと呼ばれた男は首を傾げながらこう続けた。 「はて。王女様、いかがなさいました? 私の勘違いであれば大変申し訳ないのですが、なにやら話し方が少しぎこちないように感じられますな」 「そ、そんなことはない……いや、そんなことはありません……わよ!」 「ふむ。それならば良いのですが……。もしや王女様も風邪ですかな? 最近流行っているようでしてな。王女様もお体にはくれぐれもお気をつけ下さい」 「ありがとう。そちらこそ体には気をつけて。それでは俺……ゲフンゲフン! その、ええと、わ、私はこれで失礼します」 「おや、咳ですか。風邪はひき始めが肝心ですからな。どうぞお大事に」 そしてようやく会話を終えてセバールは去っていった。 ふぅ……ひやひやしたぜ。 (ひやひやしたのはこっちよ! 何度言わせるつもり? もう少し王女らしく、そして堂々と話しなさい。クセに注意して。あといちいち照れない! あれじゃあ明らかに挙動不審じゃないの) やれやれ、お姫さんがまた文句を言っている。 そうは言われても、急に王女らしく話せなんて言われてできるわけがない。 そりゃ頭の中でイメージする王女っぽい喋り方とかそういうのはあるぜ。 だけど、それを実際に声に出して言うっていうのは、それとはまた違うもんだ。 ぶっちゃけ言うとな。……無理だ。俺には女言葉は、なんかその、無理だ。 (……はぁ。先が思いやられるわ。しょうがないわね。だったら敬語で台詞を考えるようにするわ。兵士や使用人相手に敬語で話す王女っていうのも違和感はあるけれど、ぎこちない話し方をされて怪しまれるよりはずっとマシね) 面目ないぜ。 それにしても王女様というのも大変なものだ。 そこにいるだけで嫌でも目立つせいか、誰も彼もがこちらを注目してくる。 ちょっとフレイヤのふりをして、ちょっとトロウに会って、さっと帰ってくるぐらいの認識でいたが、これでは全然先へ進めない。 少し進んでは声をかけられ、また少し進んではどうでもいい世間話。 王女様っていうのはめんどくさい。 そういえばクエリアもニヴルの第二王女だったなと、ふと頭に浮かんだが……。 いや、あれは違うな。たぶんそういうアレじゃない。 そもそもあいつは世間話とかできそうにないし。 (あっ、フリード。大臣の息子のオスマンが近づいてきたわよ。あいつ、私に気があるのか、いつもしつこく言い寄ってくるのよね。適当にあしらって) 適当にって、ここにきて丸投げかよ! 「おやおやぁ。フレイヤ王女ではありませんか! はっはっは、奇遇だなぁ。こんなところでお会いするとは」 黙れ。俺はフレイヤ王女じゃないし、おまえにも興味はない。 そんな気持ちを代弁してくれるかのように、後ろを歩いていたヒルデが間に入ってこの男を遮ろうとしたのだが、その努力の甲斐も虚しく……。 「ちょっと待て! 気安くフレイヤ様に近寄るんじゃない。我々には貴様のようなやつと遊んでいる暇などないぞ」 「ほぉ~。いいのかなぁ、そんなこと言っちゃって。僕の父上が誰かわかっているよなぁ? その気になればたかが従者の一人や二人、どうにでもできるってことを忘れてもらっちゃあ困るねぇ」 「ぐ……ッ。こ、この親の七光りめが……」 その後オスマンは中身が俺であるとも知らず、ねっとり濃厚に愛について語り始めるのだった。 うう、勘弁してくれ。俺は男になんて興味はないんだ。 いくら口説いても絶対に無駄だから、さっさと消えてくれ。 おい、やめろ。なぜ顔を近づけてくるんだ。なんだその表情。 うそだろ? まじかよ。いや絶対無理だからな。まじでありえんからな! やめろ! 俺に近づくなあああああっ!! そして俺はこの世の地獄というものをここに見た。 Chapter61 END 魔法戦争62
https://w.atwiki.jp/shiftup_rpg/pages/57.html
パーティーのメンバー。 塔のカギ入手後、神殿の町で会話をすることで仲間にできる。(東の塔クリア後ではない) 初期職業:僧侶 転職可能職業:戦士,魔法使い,僧侶,弓使い,格闘家,魔法戦士,パラディン,賢者,スナイパー,バトルマスター,ゴッドハンド,マジカルスター 初期レベル:1 初期装備:ぬののふく 属性:闇 北西の町ではブロントの家の左側にいる。 帝国にて仲間にする前のクロウと話すと、会話になる。 初期職が僧侶なので、初めのうちはヒーラーとして動かすことになるだろう。 魔法を揃えるという意味でも、Lv20になったら早々に魔法使いに転職すると良い。
https://w.atwiki.jp/projecter/pages/1233.html
番号 FJ11095 名前 シャザーラ 読み しゃざーら Lv 5 スター ★★ 種別 ストラテジー 【出でよ、シャザーラ!】○このカードが山札からエネルギーゾーンに置かれた時、このカードを手札に戻す。○エリアを1つ選び、そのエリアにいる敵全員をエネルギーゾーンにリリースして置く。○あなたの捨札にある「シャザーラ」が2枚以上なら、あなたに7000ダメージ! ブロック 富士見書房 作品 魔法戦士リウイ レアリティ U
https://w.atwiki.jp/vana/pages/39.html
ドラゴンテイマー クラスチェンジ条件 アラインメント…L・N・C、HP…10000以上、STR…B以上 補正…攻+1 防-2 避-2 命+2 ドラゴンブレス性能変化 竜使いの意。ヴァルキリーと同様に肉弾・魔法の2種類の攻撃をこなす魔法戦士である。 補正変わってたので修正 3/20 補正変更 旧補正 クラスチェンジ条件 アラインメント…L・N・C、HP…10000以上、STR…B以上 補正…攻+1 防-2 避-1 命+2 ドラゴンブレス性能変化 (08/05/08)
https://w.atwiki.jp/asdfa/pages/745.html
#contents *メグのブーツ [#a5e4b597] | |CENTER オシャレ装備詳細 | |装備名|メグのブーツ| |制限|不明| |タイプ|足| |購入/売却|--/--| |入手方法|| | |CENTER ref(アイテム/noimage.jpg,nolink);| **オシャレ装備の効果 [#l55f32ff] **オシャレ装備の説明 [#ec604d80] 魔法戦士風。 *コメント [#od62e25e] #comment
https://w.atwiki.jp/may3dcustom/pages/302.html
主にIDとmay板に出現するmod職人 髪の毛と衣装がメインらしい 最近の代表作は戦国ランスの和装装備セットシリーズ Δ魔法戦士シリーズ・シルクサテンセットも氏の作品である。 PC・ツールにも詳しく、スレにtipsを貼ってくれたり 相談等に乗ってくれることもある有り難い人 tips ポリ欠け・面裏返りが起こる原因 tips ポーズ付きmqoの作成方法 名前 コメント うーみゅちゃん 主なスレ住人