約 542 件
https://w.atwiki.jp/sainaki2/pages/23.html
ステータス一覧 戦闘限定案テンプレ 戦闘魔法案テンプレ ステータスの補正表 確定の一覧表 ステータス一覧 (18スレ6935時点(3月後期の成長前時点)) ⌒/ / / | ― { {ニ} } / ヽ / .. ./ / | | { (二)乂__,ノ イ / / _,/ /. /. . .| | /| | ― \,_ / ィ / / \ ヽ ⌒/ | _,| 斗―-| | Λ | | |\___/⌒. (l ./ / i ヽ \ | | || |/| |-- | | . ./ ⌒ |\ | | \ ヽ、 .i / /N/ lヾ /\. V '., | /| |人 x笊|ミx,_|八 /{ r‐ | | .. | 八 _,> i ,' ./ { マム ヽ V }\} _,/ | | 《 Vうシ 乍テミk ノ/ / | l i i {. '.,. マム /V .} i. 八 | | ;;; 、 └うツ 》 ./ | ノ i l ',. ', i }\ ',. V ヽ / .V } l. ∨| ノ / | ;;/ / | イ ,' ', ', }≧= = - }ト ヾィチ斧 V! / / / ノ{ i´ , / / / | 人 . l ', ヽ /芹爺芸ヾ、リ 乂ツ ! .} { { { 人 .,,. ノ {/ / | . i ヽ \ \. 乂ツ .l N / / ̄ ̄ ̄\ \ .ィ/ / { ノ . l \} >=- ヽ ハ/ i/ | /厂\ |>| >--=≦/ト ノ{ { /  ̄| ! .} } マj u / ! \ _ ┴| { .| ̄ i i i i} { i i i i i\/ / ̄~^'' .、 i \ K >o。 ⊂= っ./ i ヽ {二二|. . .\ | i / ̄ `''<i i|____/ ⌒\ . !. \ V l V `"'' ''" } ! { 二 Λ \{ \ / > i i i i\ } / \ V ム \ / / l } ∨ /二\ \ \ /  ̄ ̄ ̄} i i ノニ∨ / / / } .} ム /´`\ / / / /【名前】ユカリ/メアリー・タイドムーン【作戦/魔力/装備/限定】4(+0or1or2~7)/5(+4~6/-2)/5(+1)/6(+10~11)【限定】絵画を照らす薔薇の月表裏一体の卑しき皇帝└羨望破滅喰らいの星屑竜└黄金喰らいの厄呪竜根源防御lv2└根源変質敗者の烙印 たった一つの善と何百もの罪 誰が為に薔薇は狂い咲くや?悪魔のアルカナ(逆) 憂鬱 強欲ラインの黄金 アイテム界のハグリット 金と厄産みのボーナスドラゴンモドキクレイジーユカリー 壊れた慈愛 ピンチの時こそふてぶてしく笑え 半殺しのハーフフィクションゲルテナの描いた少女 月のアルカナ(逆) 羨望 憎悪と嫉妬の果て 保身精神lv2内部展開ゲルテナ研究室友誼lv3└放て、再誕のドラゴンブレス 我が従者の才を見よ 比翼連理の人質要求 交わる宝物のコレクター魂 二人の時間 私のラビアンは最強なんです! 火刑肥料の人身御供 二丁ガンマンの睡眠休暇 絆を照らす心の灯 運命の再履修 愛(歪/ラビアン)lv3 愛(歪/イア)lv3 愛(歪/コレクション)lv2 愛(歪/オネ)lv1 愛(ユキ)lv1 留める暴走の手綱【称号・適正】コレクター 語られぬ英雄譚 伝説アイテム長者異界よりの生還者 時間旅行者 邪道踏破 億万長者人類失格 悪竜現象 世界から弾かれし者 歴史の簒奪者 唯一魔導師 世界を侵す者 呪物の母運命の敗北者 無力なれど無価値に非ず呪救のカリスマ 幸福な王女 隠せぬポンコツ メシマズ めんどくせぇ女キラー格上殺しlv2 格下殺しlv1策士スレイヤーlv1 厄スレイヤーlv1 ユカリスレイヤーlv1 ラビアンスレイヤーlv2血脈の迷走 悪運 数奇なる巡り合わせ 出来損ないのマイナーチェンジ人生大暴投【一般スキル】竜種 半竜半呪 単一種族 魔神の加護(ラビアン) 熱砂龍の加護 黄金龍の加護 魔神lv1財宝化の魔眼(真/制限) 比翼連理の魔術(ラビアン) 環境適応(バッドイベント)lv5命中lv4 回避lv3 高速詠唱lv3 魔導習熟lv3アイテム術lv3 水泳lv1 応急手当 限界突破 飛んで火に入る自己犠牲└肉を斬らせて骨をチェーンソー高速思考lv2 盲打ちlv1└解へと至る道魔獣理解lv1 調査分析lv2 読書lv2 研究lv2社交lv3 挑発lv2└人間観察話術lv3└染み入る共感の激痛よ威圧lv2└凶星のオーラ詐術lv2└偽りの仮面 伽藍洞の虚言誘惑lv2└買収実践衰退探索lv1 隠密lv1 感知lv2 隠蔽lv1 逃走術lv1 └直感芸術審美 珍品・迷品集め製作(音楽)lv1 製作(絵画)lv2 音楽業lv2 植物学lv1【魔導】疾風の魔法lv2土石の魔法lv2流水の魔法lv1治癒の魔法lv1バリアの魔法lv1魔神送還の魔術lv1魔神召喚の魔術lv2└魔神調伏の魔術魔神契約の魔術召喚術式『デコイの魔神』lv2召喚術式『夜更かしの魔神/半自由契約』lv1身体強化の魔法懐中電灯の魔法 水道の魔法 点火の魔法水中適応の魔法厄招きの魔術 厄喰らいの魔術 呪言の魔術lv1羨望の魔術 憂鬱の魔術黄金と厄のブレス(不完全)薔薇のブレス(不完全)魔力放出(地)lv3魔力放出(炎)lv3強欲の魔術竜源術式『ドラゴンクロー』lv1竜源術式『スケイルショット』lv1竜源術式『ドラゴニックビート』lv1竜源術式『ドラゴンダイブ』lv1竜源術式『ドラゴンエナジー』lv2竜源術式『ドラゴニックオーラ』lv1陰性埋め合わせの魔術(不完全)浸食流出結界『大嘘憑きの血雨恋歌』(不完全)魔力暴走(不完全)魂殺強化の魔術【アイテム】無鉄砲を許さないタンブルウィード魔神纏いのガンベルト└自動拳銃クトゥグア&回転式拳銃イタクァ(不完全)厄纏いの紫薔薇ラビアンのロザリオ└呪装「焔の呪火十字」(不完全)厄呪竜の宝物庫時空再起の懐中時計 ☆★究極魔導銃(不完全) ☆└魔導サイレンサ金毛九尾の化けの皮(不完全)遠く叶わぬ理想郷(不完全)うさ耳付きローブ(不完全)虹色の片鱗呪厄竜の血厄液シュルシャガナの骨刃弾 + スキル割引表 ※1年実家帰省時の成長画面時(18スレ4742時点) 【成長可能表】所持経験値:137 基礎成長係数:2.0 限定成長係数:1.0 一部倍率+0.5 魔導・召喚術系統・熱砂系係数:-0.1 ラビアンとの連携:-1.0 誘惑・カリスマ等:-0.3 一部行動にラビアン妨害停止が発生する可能性あり ステータス 作戦+1:100⇒460(230%) 魔力+1:100⇒133(70%) 装備+1:100⇒840(420%) 限定+1:100⇒980(490%) スキル 命中lv4:25⇒30(60%) 誤射上等射撃:75⇒480(320%) 回避lv3:25⇒45(90%) 貧乳回避:50⇒280(280%/回避lv5以上) アイテム暴走術(真?):50⇒35(70%/才能無視/デメリットあり) 速射:50⇒470(470%) 狙撃lv1:75⇒210(140%) ガン=カタ:50⇒300(300%/アイテム術lv2以上) 野戦築城lv1:25⇒40(80%) 魂源抽出lv1:50⇒25(20%/ラビアン税あり) 弾幕展開lv1:25⇒95(190%) 根性カウンターlv1:25⇒50(100%) 執念のラストアタック:75⇒390(260%) 必滅のクロスカウンター:75⇒141(70%/ラビアン税あり) ターバンのガキ:75⇒315(210%/デメリットあり) 七転び八殴られ:75⇒135(90%) 飛んで火に入る自己犠牲:75⇒38(20%、ラビアン税あり) フライトマニューバ:50⇒320(320%) カバーリング:50⇒250(250%) 魔導習熟lv3:50⇒120(120%) 楽しき敗北:25⇒70(140%) 環境適応(天の河)lv1 :25⇒45(90%) バッドイベントの住人:50⇒130(130%/デメリットあり) 魔神(竜?形態)lv2:50⇒220(220%) 財宝化の魔眼(オン/オフ):50⇒190(190%) 高速思考lv3:75⇒398(265%) ファストシンキング:75⇒383(255%/高速思考lv3以上) 臨機応変:75⇒225(150%) 並列処理:75⇒140(140%) 多層思考:50⇒210(210%) パターン対応:50⇒280(280%) 感情鎮静:50⇒120(120%) 輝け、渾身の迷推理:50⇒95(95%) 戦術指揮lv1:50⇒50(50%) 首狩り戦術:75⇒750(500%) 軍略lv1:50⇒280(280%/被教導必須) 行動委任:25⇒100(200%/戦術指揮lv1以上) 盲打ちlv2:50⇒180(180%) 事件の裏にやっぱりお前:75⇒210(140%&強制修得の可能性あり/盲打ちlv1以上) 魔獣理解lv2:50⇒95(95%) 種族判別:75⇒143(95%) 魔神読解:75⇒233(155%) 調査分析lv3:50⇒145(145%) 才能看破:50⇒300(300%) アルカナ看破:50⇒280(280%) 初級魔導薬学:100⇒150(75%) 薬草鑑定:75⇒255(170%) アイアムルーザー!:25⇒35(70%/固有変異) 社交:成長限界 同胞への嗅覚:50⇒20(20%) 井戸端会議の聞き上手:50⇒260(260%) 好意の反対は嫌悪である:50⇒313(250%/ラビアン税あり) 応援術:75⇒285(190%) 傅かせるは愛の奴隷:50⇒204(240%) 致命的な一言:50⇒180(180%) 肥大化する恐怖:50⇒250(250%/威圧lv1以上) 話術:成長限界 望まぬ答え:50⇒300(300%) 思考誘導:50⇒290(290%) 精神分析:50⇒200(200%) 精神切開:50⇒80(80%) ユーモアセンス:50⇒300(300%) 詐術lv3:50⇒130(130%) 兵は詭道なり50⇒300(300%/戦術指揮lv1以上) 絢爛たる上の空:50⇒205(205%) 脳ある鷹は猫を被る:50⇒255(255%) 最悪の選択肢:50⇒300(300%) 教導lv1:25⇒38(75%) 修行心得:50⇒125(125%) 勤勉なる学習者:50⇒140(140%) 教えの中で見つける学び:50⇒150(150%/教導lv1以上) 生徒が本当に教えてほしかったもの:25⇒50(100%/教導lv1以上/デメリットあり) 扇動lv1:25⇒65(130%) 上級国民:50⇒100(100%) 地を這う毒蟲:50⇒280(280%) いつでもヘラヘラ不気味な笑顔:75⇒30(20%/威圧lv1以上/才能無視、ラビアン税あり) 直観:100⇒420(210%) 追跡lv1:25⇒100(200%) 逃走術lv2:25⇒100(200%) 偽装退却:50⇒300(300%/被教導必須) 隠密lv2:25⇒58(105%) 探索lv2:75⇒240(160%) サバイバルlv2:75⇒75(50% 探索変異) 果てなき旅路:50⇒180(180%) 音楽業lv3:50⇒500(500%) 撮影業lv1:25⇒50(100%) 製作(音楽)lv2:25⇒50(100%) 経済学lv1:50⇒50(50%) 事務lv1:25⇒45(90%) 窃盗lv1:25⇒75(150%) 植物学lv2:50⇒145(145%) 使役術lv1:50⇒240(240%) サメスレイヤーlv1:25⇒18(35%) 霊魂スレイヤーlv1:25⇒95(190%) 人間スレイヤーlv1:25⇒90(180%) ドラゴンスレイヤーlv1:25⇒78(155%) 策士スレイヤーlv1:25⇒10(20%) ユカリスレイヤーlv2:25⇒35(70%) 厄スレイヤーlv1:25⇒10(20%) 逆境無頼:100⇒480(240%) 探偵の悪癖:50⇒190(190%/デメリットあり?/ラビアン税あり) 魔王の系譜:100⇒560(280%/デメリットあり) 被害担当官lv1:50⇒40(40%/デメリットあり?) 運命を泳ぐ回遊魚:100⇒800(400%) 啓示(変異)lv1:50⇒80(80%) 急先鋒lv1:25⇒50(100%/デメリットあり?) 波乱万丈:50⇒20(20%/強制習得の可能性あり) 限定枠消費スキル(現状空き枠0、ただし大罪含むデメリットありのスキルは枠を無視可能) サディストlv1:50⇒90(180%) 不屈の闘志lv1:50⇒40(80%) 咆哮する矜持:50⇒50(100%) 朗らかな諦観:50⇒30(60%) 手のかかる子ほど可愛い:50⇒10(20%) 背水領域:50⇒150(200%) 束の間の一服:50⇒180(360%) 自己嫌悪(通常):50⇒×(Locked/限定-1が内臓されるため2枠消費、ラビアン税あり) 自己嫌悪(マキと同族):50⇒68(90%/ラビアン税あり) むなしい勝利:50⇒225(300%、ラビアン税あり) ねじ曲がった心:50⇒45(60%、ラビアン税あり) 愛(歪/イア)lv3:25⇒10(40%) 愛(歪/オネ)lv2:25⇒50(200%) 愛(歪/ラビアン)lv4:50⇒100(200%) 愛(歪/コレクション)lv2:25⇒7(25%) 愛(無鉄砲を許さないタンブルウィード)lv2:25⇒25(100%) 愛(歪/弱者)lv1:25⇒5(20%/強制修得の可能性あり) 愛(歪/家族)lv1:25⇒15(60%) 友誼:成長限界 ラビアンとの連携(汗)スキル:75⇒36(470% 才能無視 ロザリオ割引 誘導なし) イアとの連携スキル:50⇒140(140% 才能適用) イア?との連携スキル:100⇒300(300%/才能適用) マーキュリーとの連携スキル:50⇒80(80% 才能適用) キャルとの連携スキル:50⇒100(100% 才能適用) アカリとの連携スキル:50⇒7(60% 才能適用) アカリとの連携(マイナス)スキル:50⇒10(20% 才能無視 強制修得可能性あり) アカリとの連携(保護)スキル:0(250%/才能無視/あちら側のスキルなので0%になると自動でアカリが修得) 自動拳銃クトゥグアとの連携スキル:100⇒560(280%/才能適用) 回転式イタクァとの連携スキル:25⇒400(200%/才能適用) シャナとの連携スキル:50⇒200(200%/才能適用) メアリーとの連携スキル:50⇒280(280%/才能適用) 厄呪竜の宝物庫、冤罪人殺しの黄金銃との連携スキル:50⇒500(500%/才能適用) アムドゥスキアスとの連携スキル:50⇒180(180%/才能適用) トヨネとの連携スキル:50⇒140(140%/才能適用) オウカとの連携スキル:50⇒490(490%/才能適用) ユキ(兎)との連携?スキル:50⇒490(490%/才能適用) ユキ(兎)との連携スキル:25⇒55(110%/才能適用) マキとの連携(笑)スキル:25⇒20(40%/才能適用) 伝説のタロットとの連携スキル:25⇒50(100%/才能適用) 無鉄砲を許さないタンブルウィード&腐海の園との連携スキル:100⇒600(300%/才能適用) 根源防御lv3:75⇒435(290%/才能適用) 虚飾:100⇒(80%/成長デバフなし/大罪/修得時変異) 傲慢:100⇒300(300%/成長デバフなし/大罪/修得時変異) 貪食:100⇒420(420%/成長デバフなし/大罪/修得時に変異) 数多の罪を背負いし者:100⇒430(430%/成長デバフなし/枠消費なし) ここに弱厄の肯定を:100⇒20(20%/固有スキル/不完全版/ラビアンデバフなし) 敗者の烙印枠拡張:50⇒85(170%/デメリットあり) 貫く一射ここにあり:50⇒240(480%/作戦5以上) 真っ赤で不出来な鍍金の個性:75⇒15(20%/固有スキル/虚飾・伝説のタロット/枠不要) 冥府魔道のハングドマン:100⇒210(210%/悪魔・隠者・刑死者のアルカナ統合変統合変異/枠不要/実践衰退でのみ修得可能) 誰が為に薔薇は狂い咲くや?⇒管轄をメアリーに移譲:50⇒45(90%) 咲き誇れ、黒く輝く黄金よ:100⇒75(75%/誰が為に薔薇は狂い咲くや?を移譲後のみ修得可能/魔王の系譜を修得後のみ修得可能/デメリットあり) 魔導 ヨグソトースの拳の魔術:258(50%) 火炎の魔法lv1:25⇒10(20%) 疾風の魔法lv3:25⇒90(180%) 流水の魔法lv1:25⇒18(35%) 血厄液の魔術:75⇒345(230%) 煌光の魔法lv1:25⇒28(55%) 迅雷の魔法lv1:25⇒28(55%) 冷氷の魔法lv1:25⇒28(55%) 宵闇の魔法lv1:25⇒28(55%) 治癒の魔法lv2:25⇒33(65%) 自己再生の魔法lv1:50⇒245(245%/治癒の魔法lv2以上) 飛行の魔法:75⇒368(345%) ○○適応の魔法:25⇒20(40%/○○ごとに別取得、取得時に何を取るかを選ぶ、割引率共通) 風属性バリアの魔法lv1:25⇒70(140%/バリアの魔法lv1前提) 加速補助の魔法lv1:75⇒180(120%) 不確定召喚の魔術:50⇒20(20%/ラビアン税あり) 魔神召喚の魔術lv3:50⇒455(455%) 魔神送還の魔術lv2:25⇒78(155%) 召喚術式『夜更かしの魔神/半自由契約』lv2:50⇒45(45%) 召喚術式『デコイの魔神』lv3:50⇒76(80%) アルカナの魔法lv1:75⇒143(95%) ペルソナの魔術:100⇒780(390%/被教導必須) 魔力放出(薔薇/不完全)lv3:25⇒125(250%) 魔力放出(風)lv3:25⇒93(185%) 陣地作成(タンブルウィード)lv1:50⇒220(220%) 呪怪生誕の魔術:100⇒200(100%) 竜源術式『ドラゴンクロー』lv1:25⇒10(20%) 竜源術式『スケイルショット』lv1:25⇒10(20%) 竜源術式『ドラゴニックビート』lv1:25⇒10(20%) 竜源術式『ドラゴンダイブ』lv2:25⇒30(60%) 竜源術式『ドラゴニックオーラ』lv2:25⇒30(60%) 竜源術式『ドラゴンエナジー』lv2:25⇒30(60%) 星のブレス:50⇒120(120%) 過負荷暴走の魔術:50⇒195(195%) 大魔術式『血染めの薔薇園』(不完全):100⇒180(90%) 疑似固有結界『宝物庫カーニバル』:100⇒600(300%) 戦闘限定案テンプレ 限定6(+9) ユカリさん単独戦闘 限定6(+9):薔薇月、星屑竜(厄呪怪内包)、卑しき皇帝(羨望内包)、根源防御(変質内包)(枠なし)、烙印(黄金、強欲枠なし)、憂鬱、友誼(愛(オネ)、火刑、睡眠休暇内包)、ユカリー、ハグリット、ふてぶてしく笑え、狂気の上に花は咲くor愛(歪/コレクション)or愛(ユキ)or悪魔(逆)or慈愛orボーナス竜or善罪or狂い咲or運命の再履修orフォーマルハウト・インパクト!!から三つ 解説:限定への補正が多いためユカリさんの単独戦闘スキルのみならおおよそ使用可能。ただし狂い咲はいらない説がある。狂気の上に花が咲くの効果によりブレスやフォーマルハウトを草ごと使用してもクレイジーの発動によりデメリットを無視して場に残る可能性が生まれたので記載する ユカリさん単独戦闘(怪物化使用) 限定6(+9):薔薇月、星屑竜(厄呪怪内包)、卑しき皇帝(羨望内包)、根源防御(変質内包)(枠なし)、烙印(黄金、強欲枠なし)、憂鬱、第三瞳、友誼(愛(オネ)、火刑、睡眠休暇内包)、ユカリー、ハグリット、狂気花、フォーマルハウト、ふてぶてしく笑え 解説:第三瞳が絶対に入るのに加え、狂気花とフォーマルハウトの組み合わせが強力なためほぼ固定となる。入れ替えるならふてぶてしく笑えが入れ替え候補 ラビアン同行戦闘(怪物化未使用) 限定6(+9):薔薇月、星屑竜(厄呪怪内包)、卑しき皇帝(羨望内包)、根源防御(変質内包)(枠なし)、烙印(黄金、強欲枠なし)、憂鬱、友誼(愛(ラビアン)(再誕、従者、人質、最強同枠)、火刑、睡眠休暇内包)、ユカリー、ハグリット、ふてぶてしく笑え、狂気の上に花は咲くor愛(歪/コレクション)or悪魔(逆)or慈愛orボーナス竜or善罪or狂い咲or愛(オネ)or運命の再履修orフォーマルハウト・インパクト!!から二つ 解説:基本的に使うやつ。ラビアンも銃で戦闘できるため草君大活躍 ラビアン同行戦闘(怪物化使用) 限定6(+9):薔薇月、星屑竜(厄呪怪内包)、卑しき皇帝(羨望内包)、根源防御(変質内包)(枠なし)、烙印(黄金、強欲枠なし)、憂鬱、第三瞳、友誼(愛(ラビアン)(再誕、従者、人質、最強同枠)、火刑、睡眠休暇内包)、ユカリー、ハグリット、狂気花、フォーマルハウト、ふてぶてしく笑え 解説:単独時同様ほぼ固定。入れ替え候補はふてぶてしく笑え ※憎悪と嫉妬の果ては1年終了時に消えるようなのでメアリー案は一先ず消している ゲルテナの描いた少女について:魂や精神に攻撃をされた時に使用したいスキルだが直接確定を稼げるわけではないため基本は使用しない 相手がそういうスキルを使ってきそうな時には使わなそうなスキルと交換すれば問題ない。皇帝(正)とクレイジーユカリーにより作戦案が3倍になるためユカリさんの作戦でも高数値を出すことが可能になっているため注意 貪食について:スキルは炎や魔法攻撃のようなものしか食べられず、変なものを食べたらお腹を壊す模様。(雑談所発言)つまり、薔薇を吸収できたのは運がよかったかユカリさんに寄生して相性がよくなってたからなので基本は使用しないように 病みドラゴンが消滅し普通の強欲になったためラビアン以外との連携は枠を使うようになったため注意 卑しき皇帝の羨望内包は強制の為、羨望の魔術も固定枠となる ユキさんが復調したら愛(ユキさん)が召喚時に先制確定×1を出すので必須枠だと判断 ※ユキさんの復調は1.7年計算だが召喚による期間短縮もあるとのことなので、愛ユキは記載を続けておく(17スレ8448) 運命金石の第三瞳(怪物時、自動で枠を埋める) 作戦案で竜化を前提にするなら強制使用 烙印の邪眼は内包(枠無視の習得と使用)基準が上がったので、使用可能な限定を記載する 適応先:大罪系、二人出てる時の絵画を照らす薔薇の月、ラインの黄金、アイテム界のハグリット、半殺しのハーフフィクション、運命金石の第三瞳、フォーマルハウト・インパクト!!、壊れた慈愛、烙印の邪眼 戦闘魔法案テンプレ 魔力5(+5~9)(-2)(召喚術+ネクロノミコン使用時+1)(薔薇園発動時+3) ユカリさん単独(メアリーなし) 魔力5(+5~8or9)(-2):厄喰らい(半竜半呪で枠なし)、強欲の魔術、羨望の魔術、憂鬱の魔術、デコイ召喚、ドラゴンエナジー(ドラゴニックオーラ、ドラゴニックビート内包)、大魔術式『血染めの薔薇園』(不完全)、魔力暴走、○○適応の魔法orドラゴンダイブor治癒の魔法orバリアの魔法or身体強化or魔力放出or善罪枠or混沌回天のバーストブレス(決戦以外は使用不推奨)から3つ ユカリさん単独(メアリーあり) 魔力5(+5~8or9)(-2):厄喰らい(半竜半呪で枠なし)、強欲の魔術、羨望の魔術、憂鬱の魔術、デコイ召喚、ドラゴンエナジー(ドラゴニックオーラ、ドラゴニックビート内包)、薔薇ブレス(又は混沌回天のバーストブレス)、大魔術式『血染めの薔薇園』(不完全)、○○適応の魔法orドラゴンダイブor治癒の魔法orバリアの魔法or身体強化or魔力放出or善罪枠から3つ ラビアン同行(メアリーなし) 魔力5(+6~9)(-2):厄喰らい(半竜半呪で枠なし)、強欲の魔術、羨望の魔術、憂鬱の魔術、デコイ召喚、ドラゴンエナジー(ドラゴニックオーラ、ドラゴニックビート内包)、大魔術式『血染めの薔薇園』(不完全)、魔力暴走、○○適応の魔法orドラゴンダイブor治癒の魔法orバリアの魔法or身体強化or魔力放出or善罪枠or混沌回天のバーストブレス(決戦以外は使用不推奨)から3つ ラビアン同行(メアリーあり) 魔力5(+6~9)(-2):厄喰らい(半竜半呪で枠なし)、強欲の魔術、羨望の魔術、憂鬱の魔術、デコイ召喚、ドラゴンエナジー(ドラゴニックオーラ、ドラゴニックビート内包)、薔薇ブレス(又は混沌回天のバーストブレス)、大魔術式『血染めの薔薇園』(不完全)、○○適応の魔法orドラゴンダイブor治癒の魔法orバリアの魔法or身体強化or魔力放出or善罪枠から三つ ※別になくても勝てるという場合はブレスを抜き、魔力放出、治癒の魔法、バリアの魔法 辺りを入れて割り引きを狙おう。 ※身体強化の魔法はラビアンがいる場合は優先度が高いが、いない場合はほぼ誤差の範囲 ※強欲の魔術は敗北確定が付与されるのでラビアン同行時以外は不使用の方がいい可能性あり ※善罪はその大罪の割引が発生するため強制取得したくなければ非使用推奨 ※強欲の魔術と羨望の魔術、憂鬱の魔術は固定枠 ※ドラゴンダイブの先制確定は発動しないか相殺ルールの無効化が多くユカリさんは大体殴られるので割引狙いのオーラを追記した ※ブレスはどちらか片方しか使用不可。追記:黄金ブレスがイベント脱落の大技になった為、決戦以外は外す ※現在ユキさん召喚を使用すると自己嫌悪が貯まりテンションが下がるため不使用推奨。ただし使用すればするほど血に慣れるためシリアスな場面では使用可 ※現在、魔力暴走はメアリーが出ていない時、常時枠。厄招きと組み合わせる場合バッドエンドの可能性が普通に存在する。そのため、下手に使用すると大きいデメリットを抱えつつ生き残ってしまう状態にもなりうるため注意 ※魔力に対する補正は薔薇(+3)、悪竜現象(+1)、魔導の開拓者(+1)、血脈の迷走(-1)ゲルテナ研究室(-1)の+3が基本であり、ここに薔薇園(+3)と外套(+1)、ラビアンのロザリオ(+1)(ラビアン同行時のみ)ネクロノミコン(+1)(召喚使用時のみ)で最大で+9となる 単独でも薔薇園使用時、魔力補正は+5の上限までいくが、ユカリさんの制御力では味方の空間効果を塗り替えかねない可能性もあり、血の泉を生み出すため普通に危険なのを心にとめておこう ステータスの補正表 ■スキルによるステータス補正表 保持者 スキル名 作戦 魔力 装備 限定 条件 ユカリ 金産みのボーナス竜 0 0 0 1 竜形態時のみ使用可 メアリー 留める暴走の手綱 1 0 0 0 ハグリット率減少 メアリー ゲルテナ研究室 0 -1 0 0 期、初めに選択時 コレクター 0 0 1 0 語られぬ英雄譚 1 1 1 1 世界や大勢の人々を救う時 隠せぬポンコツ 0 0 0 2 時間旅行者 0 0 0 1 人類失格 0 0 0 1 悪竜現象 0 1 0 0 血脈の迷走 0 -1 0 1 半竜半呪 0 0 0 1 単一種族 0 0 0 1 ピンチの時こそふてぶてしく笑え 0〜5 0 0 0 伝説アイテム長者 0 0 0 1 伝説級アイテム(呪い有無は問わない)を10個装備している時、 黄金竜の加護 0 0 1 0 伝説級アイテム7個装備している時 魔神lv1 0 0 0 1 魔導の開拓者 0 1 0 0 (↓は横に長くなるので別表) 保持者 スキル名 作戦 条件 表裏一体の卑しき皇帝 作戦案の効果を1.5倍 メアリー 月のアルカナ(逆) イベント時、上昇 準備や対策に時間を費やすほど 注意:語られぬ英雄譚は条件が厳しい為か、基本ステータスに加算されていない。 これにアイテムのステータス補正が入る。 ■アイテムによるステータス補正表 アイテム名 作戦 魔力 装備 限定 条件 伝説のタロット 0 0 0 1 厄纏いの紫薔薇 0 3 0 0 ラビアンのロザリオ 0 1 0 0 もう片方の持ち主がいる、または自身のことを把握している時、 ゲルテナの描いた金髪の少女の絵 0 1 0 1 メアリーが装備している時 青色蛇紋石の玉猪竜 0 1 0 0 サンムーン・トワイライトの空間術写本 0 1 0 0 空間魔導で勝利確定または他者への敗北確定を得られる時 十徳デバイス 0 -1 0 0 血濡れの透明外套 0 1 0 0 非透明化時魔力+1、透明化時、回避確定×1、隠密確定×1 ネクロノミコン(不完全) 0 11 0 0 召喚術を使用する時、魔力+1死霊術を使用する時、魔力+1 注意:伝説のタロットも基本外さず、厄纏いの紫薔薇とラビアンのロザリオは外せないので、 ステータスに加算されているのが基本。 確定の一覧表 確定の一覧表 勝利確定、敗北確定、生存確定のみ(自分が得るもののみ) 保持者 スキル名 勝利確定 敗北確定 生存確定 条件付き ユカリ メアリー 黄金喰らいの厄呪竜 10×2 0 0 戦闘終了後瀕死になるリスクを負うことで勝利確定×10人類失格の効果で2倍になっている ユカリ 敗者の烙印 0 3 0 ユカリ 憂鬱 0 1または限定/10 0 メアリー 保身精神lv2 0 0 2 隠せぬポンコツ 0 1 0 異界よりの生還者 0 0 1or3 異界内において生存確定×1、自身の実力よりも高い異界ならばさらに生存確定×2 歴史の簒奪者 5 0 0 歴史の修正力、ボス補正、主人公補正に対して 運命の敗北者 0 1(-5) 0 自身に対するこのスキル以外の敗北確定を5つまで相殺する。 無力なれど無価値に非ず 0 1 0 血脈の迷走 1 0 0 悪運 0 0 0~10 窮地の具合に応じて生存確定×0~10 竜種 1 0 0 悪竜現象 1 0 0 竜種以外に対して 単一種族 自身の限定-相手の限定最低0 0 0 魔神の加護(ラビアン) 1 0 1 自身が他に勝利確定を保有するなら勝利確定×1、生存確定×1 比翼連理の魔術(ラビアン) 0 0 1 熱砂龍の加護 1 0 0 黄金竜の加護 1 0 0 ピンチの時こそふてぶてしく笑え 0〜5 0 0 世界から弾かれし者 0 0 1 魔導の開拓者 1 0 0 参照:今のステータス(1年生3月後期時点) 作戦 魔力 装備 限定 詳細 4(+0or1or2~7) 5(+5~6/-2) 5(+1~2) 6(+9~10) 実質(人形態時) 4 8~9 7 12 実質(竜形態時) 4 8~9 6 12 また、アイテムでも勝利確定が生み出せるようになった。 ■アイテムによる確定一覧表①~③ アイテムによる確定一覧表① 勝利、敗北、生存、死亡のみ。 アイテム名 勝利確定 敗北確定 生存確定 死亡確定 注釈 時空再起の懐中時計 0 0 限定 0 究極魔導銃(不完全) 1 0 0 0 無鉄砲を許さないタンブルウィード 0 装備/10攻撃者に 0 0 シュルシャガナの骨刃弾 0 1 0 0~3 自動拳銃クトゥグア 2もしくは威力ダイス 0 0 0 回転式拳銃イタクァ 2 0 0 0 呪物と化したアウラウネ 0 0 0 2出した時ブレス使用時 レッツ薔薇マシンガン 魔力/10×敵人数(最大10) 0 0 0 血酒産みの革水筒 0 0 1 0 高確率で呪われる 厄纏いの紫薔薇 魔力/10媒体に魔術敵が草を起動 0 0 0 腐海の園(不完全?) 0 自陣や敵陣に0~×魔力/4ハグリット時0~魔力 0 0 冤罪人殺しの黄金銃 0 0 0 1 ラビアンのロザリオ 2ラビアンが居ない時 0 0 0 独占欲の喪服 1ラビアンが近くにいる 0 4対ラビアン以外 4対ラビアン時 遠く叶わぬ理想郷(不完全) 0 魔力/4相殺 装備/4 0 金毛九尾の化けの皮(拘束具仕様) 0 0 1 0 アイテムによる確定一覧表② 通常確定6種。 (撃破、耐久、先制、回避、命中、遅緩)(確定表記は省略) アイテム名 撃破 耐久 先制 回避 命中 遅緩 注釈 究極魔導銃(不完全) 5 0 0 0 0 0 無鉄砲を許さないタンブルウィード 0 1被攻撃者に 0 0 0 0 シュルシャガナの骨刃弾 0~10 0 0 0 0 0 大型マジカルチェーンソー 1lv3時 0 0 0 0 0 回転式拳銃イタクァ 0 0 2水泳時飛行時 2水泳時飛行時 0 0 血濡れの透明外套 0 0 0 1 0 0 透明化時 レッツ薔薇マシンガン 0 0 0 0 敵人数(最大10) 0 血薔薇と回転草の赤ドレス 0 装備/4 0 0 0 0 独占欲の喪服 0 5 0 0 0 0 虹色大回転式巨大メビウスの輪(不完全) 0 0 0 0 0 3 遠く叶わぬ理想郷(不完全) 0 装備/2 0 0 0 0 金毛九尾の化けの皮(拘束具仕様) 0 3 0 0 0 0 蠢く血管の怪力グローブ 1 0 0 0 0 0 焼け焦げたブラッドサークル 1 0 0 1 0 0 炎属性変換魔導または呪術で攻撃 紫薔薇の血朝露 0 0 0 1 0 0 呪うことがある 呪装「焔の呪火十字」 1~ラビアンの魔力 0 0 0 0 0 アイテムによる確定一覧表③ 特殊確定3種。 (逃走確定、隠密確定、封印確定)(確定表記は省略) アイテム名 逃走 隠密 封印 注釈 血濡れの透明外套 0 1 0 透明化時 蛇の道の龍のブレスレット 1 1 0 所有者に 金毛九尾の化けの皮(拘束具仕様) 0 0 1
https://w.atwiki.jp/sainaki2/pages/16.html
戦闘技術系スキル 戦闘技術系スキル(魔導系) 肉体系スキル 頭脳系スキル 対人系スキル 非戦闘系 従者系スキル 成長系スキル 分類不明系スキル 戦闘技術系スキル 武術 チェーンソー術lv1 チェーンソーを扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル1では付け焼刃であり大したものではない。勝利要素×1 銃術lv1 銃を扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル1では付け焼刃であり大したものではない。勝利要素×1 銃術lv3 銃を扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル3になれば流派や自分の特色が出始める。命中確定×1、勝利要素×5 筆術lv1 詳細不明 蔦術lv5 勝利確定×1 アイテム術lv1 アイテムを扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル1では付け焼刃であり大したものではない。勝利要素×1筆術lv1 チェーンソー術lv1 銃術lv1⇒統合⇒アイテム術lv1 アイテム術lv2 アイテムを扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル2ではようやく見習いというところ。とはいえ素人相手には十分善戦できるだろう。勝利要素×5 アイテム術lv3 アイテムを扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル3になれば武器による特色が出始める。先制確定×1、勝利要素×5 体術lv4 身体を扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル4なら真剣にその武術に打ち込んでおり体術家の端くれを名乗ることができるレベル。耐久確定×1、命中確定×1、勝利要素×10 体術(真) 体を扱い戦う武術。一握りの天才や熟練者が辿り着く領域の達人の技。歴史に名を遺すほどの武道家であることを示すスキル。勝利確定×1、耐久確定×1、命中確定×1、このスキルは無効化されない。 剣術lv2 剣を扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル2ではようやく見習いというところ。とはいえ素人相手には十分善戦できるだろう。勝利要素×5 剣術lv3 剣を扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル3になれば武器による特色が出始める。撃破確定×1、勝利要素×5 剣術(真) 剣を扱い戦う武術。一握りの天才や熟練者が辿り着く領域の達人の技。歴史に名を遺すほどの武道家であることを示すスキル。 勝利確定×1、撃破確定×1、先制確定×1。このスキルは無効化されない。 ガトリング術lv4 ガトリングを扱い戦う武術。魔導とは異なる術理を扱うためのスキル。レベル4なら真剣にその武術に打ち込んでおり、ガトリング斎の端くれを名乗ることができるレベル。先制確定×1、命中確定×1、勝利要素×10 ガン=カタ 命中 命中lv1 相手に攻撃を当てる基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル1では必要最低限、というレベル。勝利要素×1 命中lv2 相手に攻撃を当てる基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル2ではまだ心許ない。勝利要素×3 命中lv3 相手に攻撃を当てる基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル3であれば十分実戦で通用するだろう。勝利要素×5 命中lv4 相手に攻撃を当てる基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル4ともなれば十分当てることが得意だと言って良い。勝利要素×7 命中lv5 詳細不明勝利要素×10 命中(真) 相手に攻撃を当てる基礎的な技術、それを純粋に高めたもの。達人同士の戦闘であっても通用する高い基礎力命中確定×1、勝利要素×10 命中(極) 詳細不明命中確定×3、このスキルによる命中確定は勝利確定と相殺される。 叩き落とし 相手の攻撃を自身の攻撃を持って叩き落とし、相殺する技法。命中力を利用した回避の技。自身の命中確定が残っている場合、回避確定×1 誤射上等射撃 斜線上に立った味方を気にせずに攻撃をぶっ放す諸共精神。味方を巻き込んだり誤射上等で放つ攻撃時、命中確定×1を得る。 狙撃lv1 狙い撃ち 一瞬のために研ぎ澄まし致命的な一撃をお見舞いする技術。高い集中力とここぞという場面を見極める洞察力。作戦案で指定した自身のとっておきの一撃を命中確定×1して命中させる。 婉曲射撃lv5 湾曲する軌跡を描く射撃を行う技法。直線とは異なる軌道は相手を翻弄し、目的の対象へと攻撃を着弾させる。自身の行う射撃攻撃に複雑な軌道をつけることが可能になる。命中確定×1、勝利要素×10 ピンポイントショット 損傷のある場所に銃弾を撃ち込み更に大きな損傷を与える技術。それだけでは役立たないものの発生している傷へと着弾する魔弾/魔矢。自陣が撃破確定を産み出しているのなら撃破確定×1敵陣が敗北確定を保有しているのなら勝利確定×1 回避 回避lv1 相手の攻撃を避ける基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル1では必要最低限、というレベル。勝利要素×1 回避lv2 相手の攻撃を避ける基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル2ではまだ心許ない。勝利要素×3 回避lv3 詳細不明勝利要素×5 回避lv4 詳細不明勝利要素×7 回避lv5 相手の攻撃を避ける基礎的な技術。如何なる攻撃だろうと当たらなければ意味をなさない。レベル5まで至ればそれは十分あなたの武器となるだろう。勝利要素×10 回避(真) 相手の攻撃を避ける基礎的な技術、それを純粋に高めたもの。達人同士の戦闘であっても通用する高い基礎力。回避確定×1、勝利要素×10 回避(極) 相手の攻撃を避ける基礎的な技術、その極点。相手の攻撃を完全に回避する極めて高い基礎力。回避確定×3、このスキルによる回避確定は勝利確定と相殺される。 貧乳回避 詳細不明 受け流し 近接戦闘で行われる回避術。相手の攻撃を往なし期を伺う戦士の技。近接戦闘時、回避確定×1自身の武術が真以上なら代わりに回避確定×3 戦闘技法 基礎を固めし戦闘巧者 相手より早く動き、相手に確実に攻撃を当て、相手の攻撃に当たらない。純粋に高水準な戦闘技術の集大成。単純に高い戦闘力に対処するのは至難の業だ。勝利確定×1命中(真) 回避(真) 高速詠唱(真)⇒接着⇒基礎を固めし戦闘巧者 王道に勝る奇道なし 純粋に戦闘における基礎技術を磨き続けたことを示すスキル。ただただ単純にどんな場合でも強い、それは敵対者にとって何よりも絶望的だ。勝利確定×3、このスキルは無効化されない。└命中(極) 回避(極) 高速詠唱(極) アクロバット 常人には行いがたい身軽な身体運動や熟練の身体運動を示すスキル。軽業や曲芸とも言うバランス、機敏さ、コーディネートの高度な技を要する全身運動。ランダムに先制確定、回避確定、命中確定の中から2つを得る。 アクロバット(真) 常人には行いがたい身軽な身体運動や熟練の身体運動を示すスキル、その発展形。軽業や曲芸とも言うバランス、機敏さ、コーディネートの高度な技を要する全身運動。発展形になったことにより状況に応じて適切な行動を取ることができるようになった。先制確定、回避確定、命中確定の中から好きなもの2つを得る。 舞踏戦闘術 舞踏を用いた戦闘術。踊りながら行われる特殊な戦い方。それを捉えるのは並大抵のことではない。回避確定×1 箒式戦闘術 自身が乗っている箒を武器として転用する技術。自身の騎乗を同レベルの武術として使用できる。自身が勝利確定を生み出す場合、1ランク上の物として扱う。(レベル5の場合は真として扱う。) フライトマニューバ 航空戦闘術のスキル。三次元戦闘ということだけでなく、速度の維持や方向転換攻撃の設置など空中戦闘は地上で行うものとは大きな違いがある。航空戦闘中、先制確定、回避確定、命中確定の中から1つを得る。飛行系に対する無効化耐性を1つ得る。 フライトマニューバ(真) 航空戦闘術のスキル、その発展形。自由自在に大空を翔る一流の航空魔導師である証。航空戦闘中、勝利確定×1飛行系に対する無効化耐性を1つ得る。 弾幕展開lv2 自身の魔導を拡散させ、弾幕として発射する技法。広範囲を襲うマップ攻撃。勝利要素×3×(相手人数-2、最大10) 弾幕展開lv3 自身の魔導を拡散させ、弾幕として発射する技法。広範囲を襲うマップ攻撃。勝利要素×5×相手人数(最大10) 流星弾幕 流星雨の如く、視界を埋め尽くすほどの弾幕を展開する技法。広範囲を襲うマップ攻撃はもはや絶望でしかない。勝利確定×(相手人数-2、最低1最大5)敵陣の回避確定を1人につき1つずつ相殺する。 執念のラストアタック 敗北するその間際に放つ、決死の一撃。敗者になれど、ただでは勝たせない執念と技量。敗北時、状況に応じたダメージを発生させる。また戦闘による相手の疲労や損耗を増大させる。 必滅のクロスカウンター 詳細不明 心眼 経験や戦闘勘によって養われた高度な戦術論理のスキル。突発的な被害を減らし、着実な結果を齎す。自身への敗北確定を1つ相殺し、戦闘技術系に対する無効化耐性を1つ得る。 心眼(真) 経験や戦闘勘によって養われた高度な戦術論理のスキル、その発展形。高い安定性を有する熟練の戦士。作戦+1、自身への敗北確定を3つ相殺する。戦闘技術系に対する無効化耐性を1つ得る。 燕返し 振るった刀の切っ先を、急に反転させて相手を斬る刀法。空飛ぶ燕さえも避けれぬ必殺技法。命中確定×1、自身の剣術がレベル4以上なら代わりに命中確定×3自身の剣術が真以上ならば代わりに勝利確定×1 三段突き 素早く相手の急所を穿つ三連撃。踏み込みの足音が一度しか鳴らないのに、その間に三発の突きを繰り出す妙技。撃破確定×1、自身の武術がレベル4以上なら代わりに撃破確定×3 仁王立ち 相手の攻撃を避けずにただ己の肉体だけで迎え撃つ漢らしい戦闘術。相手の攻撃を耐え忍び、反撃の糸口を掴むのだ。耐久確定×1 仁王立ち(真) 相手の攻撃を避けずにただ己の肉体だけで迎え撃つ漢らしい戦闘術、その発展形。生半可な攻撃ではびくともしない耐久力。耐久確定×2、敵陣が近接攻撃によって勝利確定を産み出す場合勝利確定×1 仁王立ち(極) 相手の攻撃を避けずにただ己の肉体だけで迎え撃つ漢らしい戦闘術、その究極系。硬く雄々しく逞しいその姿は一種の芸術である。勝利確定×1、耐久確定×3 後の先(真) 敵手より初動が遅くとも敵手より早く攻撃を届かせる技術、その発展形。相手の動きを見て適切な対処を行う熟練技巧。敵陣が自陣よりも多くの先制確定を有している時、先制確定×5相手が先制確定を得る効果で得た勝利確定を2つ相殺する。 超至近強襲 超至近距離での戦闘術。息も吐かせぬ怒涛のラッシュ。魔導の展開よりも早く相手に迫り為す術なく相手を打倒する。勝利確定×(魔力+装備)/3(最大5、端数切り上げ)、先制確定×1 浸透発勁 相手の体内に直接ダメージを叩き込む格闘術。相手の耐久確定を1つ相殺する。自身の体術がレベル4以上なら代わりに3つ相殺する。自身の体術が真以上ならばさらに敗北確定×1を付与する。 急所狙いlv2 相手の急所を狙って鋭い攻撃を仕掛けるスキル。柔らかいところを穿つ致命の一撃。自身の命中確定を任意の数(最大2つ)まで減らし減らした数だけ撃破確定を得る。 急所狙いlv5 相手の急所を狙って鋭い攻撃を仕掛けるスキル。柔らかいところを穿つ致命の一撃。自身の命中確定を任意の数(最大5)まで減らし減らした数だけ撃破確定を得る。 限界突破 リミッターを外すことで本来の力よりも大きな力を扱えるようになるスキル。脳の制御を解き放ち、自らを顧みない強引な行動を可能にする自身に敗北確定×1を付与することで任意の通常確定を3つまで自由に得る。 限界突破(真) リミッターを外すことで本来の力よりも大きな力を扱えるようになるスキル、その発展形。単純に脳の制御を外すだけではなく、魔力的な制限すら解除する。自身に敗北確定×1を付与することで任意の通常確定を3つまで自由に得て魔力+1する。 限界突破(極) リミッターを外すことで本来の力よりも大きな力を扱えるようになるスキル、その究極系。自らの脳や魔力、魂の枷を外して行われる超駆動。自身に敗北確定×1~3を付与することで任意の通常確定を3~9つまで自由に得る。この効果を使用している時、自身の魔力+1、覚醒判定が発生することがある。 フルパワーインパクト 渾身の力を込めて放たれる強烈な一撃、その発展形。魔力を圧縮して放つチャージショット。魔法未満の単純な力押しだが、相手を倒せるのなら十分である。撃破確定×1、勝利要素×3魔力、遅緩確定×1自身の魔力が5以上ならさらに撃破確定×2 縮地 膝をぬく事で「重力」を利用した移動を行う歩法。地面自体を縮めたかのようにすら思える高速機動先制確定×1 縮地(真) 膝をぬく事で「重力」を利用した移動を行う歩法。地面自体を縮めたかのようにすら思える高速機動、その発展形。一瞬のうちに接近し勝負を決める達人の妙技。先制確定×2、自身が近接攻撃によって勝利確定を産み出す場合勝利確定×1 フェイント 相手を惑わせるために行う動作。攻撃が来ると思わせて相手の行動を誘発し、その隙を突く敵陣が回避確定を保有しているとき、命中確定×1 距離詰め 相手の攻撃を躱しながらその隙を付く技術。遠距離ならば近距離に、近距離ならばそのまま攻撃を加える。自身の回避確定が残っている場合、命中確定×1 刹那の窃盗 戦闘中という咄嗟の状況においてでさえ行うことができるスリの技術。相手と交差する一瞬の間に相手の懐から物を抜き取る神業のスリ。 判定を行い、成功すると相手のアイテム1つを奪い取ることができる。 盗んだアイテムを活用するには別途装備枠を必要とする。 無刀取り 盗む、という行為を以て切り結ぶ窃盗と武術の複合スキル。相手の武器を奪い取る強力な武術。判定を行い成功すると、相手の武器を奪い取ることができる。それがアイテムならばそれを無効化して自身が装備することも可能。盗んだアイテムを活用するには別途装備枠を必要とする。)またこれによって武術系効果の無効化が発生する。 ガ突 ガトリングを水平にして行う突き攻撃。全身をバネとして利用し、至近距離へガトリングによる突きを行い相手の肉体にめり込んだ状態で行われる一斉至近射撃。自身のガトリング術による効果をもう一度得ることができる。 ガトリング=カタ ガトリングを利用した奇妙極まる近接戦闘術。ガトリングで相手を殴打し、距離を取ってガトリングを打ち込むのだ。自身のガトリング術を近接技能としても使用できる。自身のガトリング術が真以上ならさらに命中確定×1を得る。 首狩り戦術 詳細不明 ターバンのガキ 詳細不明 七転び八殴られ 詳細不明 飛んで火に入る自己犠牲 望んで火刑に処されるが如き自己犠牲。それを尊いと見るか狂人の立ち振る舞いと見るかは人それぞれだがしかし無茶な行いであるがゆえに救えるものもまた存在するのだ。何等かの重大なマイナス効果を誰かの代わりに引き受けるかまたは自身に多大なマイナスを齎すことで相殺することができる。 イタクァ強化 詳細不明 無我の境地 意識と肉体を切り離し無意識に任せる戦闘術。思考よりも速く鋭く行われる極まった武術の粋。勝利確定×3、自身の武術系スキルが無効化されなくなる。 肉を斬らせて骨をチェーンソー 相手の攻撃をわざと受け入れ、そこに対して殺意を込めたチェーンソーをぶち込む技。必要なのは技術ではなく殺意と根性、あと生存確定である。相手の自身に対する攻撃を受け入れ、死亡確定×1を得ることで相手に死亡確定×1を付与する 力こそがパワー! ゴリ押しにゴリ押しを重ねた力による勝利への活路。圧倒的なパワーが全てを打ち砕く自身の撃破確定3つを勝利確定と相殺できるようになる。 武芸百般 様々な武芸に通じたことを示すスキル。あるいは自身の武術を応用させる高度な複合術。自身の武術を1レベルまたは1段階低下させ別の武術として適用できる。(効果そのものは1回しか機能しない。) 長銃棒術 長銃を利用した棒術。銃身が曲がらないように気を付けながら行う近接戦闘術。自身の銃術を近接技能としても使用できる。自身の銃術が真以上ならさらに命中確定×1を得る。 変幻自在 自らの戦法さえも容易く変える器用さあるいは不安定さによるスキル。膨れ上がった思考回路は精神あるいは魂にさえ作用する。自身は限定枠の上限を無視してスキルを修得できる。ただし戦闘案ごとにどのスキルを使用するかを決定すること。また一部のスキルはこの時使用しないことを選ぶことができない。 応急手当 応急手当 怪我をましな状態にしたり死にかけの奴を延命するスキル。使えるやつが一人はいると便利かもしれない。自陣が受ける敗北要素/確定のうち1つの効果を半減する。 戦闘技術系スキル(魔導系) 魔導習熟 魔導習熟lv1 魔導の基礎となる魔力運用のスキル。とはいえ習熟難易度が高めで昨今においては魔法の術式の簡便化によりこれがなくとも魔法を簡単に行使できるようになっており、修得しない者もいる。勝利要素×魔力 魔導習熟lv2 魔導の基礎となる魔力運用のスキル。とはいえ習熟難易度が高めで昨今においては魔法の術式の簡便化によりこれがなくとも魔法を簡単に行使できるようになっており、修得しない者もいる。勝利要素×魔力、魔術の修得が可能になる。 魔導習熟lv3 魔導の基礎となる魔力運用のスキル。レベル3以上であれば突発的な事態でも問題なく魔導の術式を展開できる。魔導師を名乗るのならばこの程度はなければならない、と言う魔導師も多い。勝利要素×魔力、魔術の修得が可能になる。自身の魔導がスキルによって無効化されなくなる。このスキルは無効化されない。 魔導習熟lv4 詳細不明 魔導習熟lv5 魔導の基礎となる魔力運用のスキル。それを純粋に高めることで熟練の域に達したもの。この段階にまで到達すれば誰憚ることのない一流の魔導師である。勝利確定×1、魔術の修得が可能になる。自身の魔導がスキルによって無効化されなくなる。自身の魔力+1、このスキルは無効化されない。 魔導体得 魔導の基礎となる魔力運用のスキルを極めたもの一流を越え、歴史に名を残す面々と争うようになった魔導師。勝利確定×魔力/2、魔術の修得が可能になる。自身の魔導がスキルによって無効化されなくなる。自身の魔力+1、このスキルは無効化されない 高速詠唱 高速詠唱lv1 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術。詠唱、とは言うもの実際に呪文を唱える必要はなく魔法や魔術の術式を如何に素早く適切に行えるかを示す。レベル1では必要最低限、というレベル。勝利要素×1 高速詠唱lv2 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術。詠唱、とは言うもの実際に呪文を唱える必要はなく魔法や魔術の術式を如何に素早く適切に行えるかを示す。レベル2ではまだ心許ない。勝利要素×3 高速詠唱lv3 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術。詠唱、とは言うもの実際に呪文を唱える必要はなく魔法や魔術の術式を如何に素早く適切に行えるかを示す。レベル3であれば十分実戦で通用する……はずだった。勝利要素×5 高速詠唱lv4 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術。詠唱、とは言うもの実際に呪文を唱える必要はなく魔法や魔術の術式を如何に素早く適切に行えるかを示す。レベル4ともなれば十分魔導の高速展開が得意だと言って良い。勝利要素×7 高速詠唱lv5 詳細不明 高速詠唱(真) 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術、それを純粋に高めたもの。 達人同師の戦闘であっても通用する高い基礎力。 先制確定×1、勝利要素×10 高速詠唱(極) 魔法や魔術を素早く展開する基礎的な技術、その極点。相手よりも確実早く起動させる極めて高い基礎力。先制確定×3このスキルによる先制確定は勝利確定と相殺できる。 魔導技法 無詠唱 己が内部のみに術式を展開し、気付かれることなく魔導を行使するスキル。妨害されにくく、高い隠密性を保有する魔導の行使術。自身の魔導に関する行動が成功しやすくなる。魔導に対する無効化耐性 多重詠唱 複数の複雑な術式を展開する魔導行使のスキル。これにより遅い術式の展開を行いながら別の魔導を展開するといった複雑な挙動を行うことができる。自身の作戦が6以上の時、魔力+1 完全詠唱 如何なることがあろうと妨げられぬ完璧な詠唱術。朗々と紡がれる至極の術式。このスキルは無効化されない。魔導の詠唱に際して発生するマイナス効果を無効化し、魔導の発動が阻害されなくなる。 コンセントレイト 魔力を一点に収束し、威力を底上げする魔導技法。ある一つの魔導を極めんとする試みの一つ。高い集中力こそが魔導の力を引き上げる。遅緩確定×1、作戦時に自身の魔導1つを選ぶ。その魔導の効果を2倍にする。ただし攻撃ではない魔導には使用できない。 コンセントレイト(サイレントエラッタ) 魔力を一点に収束し、威力を底上げする魔導技法。ある一つの魔導を極めんとする試みの一つ。高い集中力こそが魔導の力を引き上げる。遅緩確定×3、作戦時に自身の魔導1つを選ぶ。その魔導に撃破確定×魔力を付与する。もしその魔導が大魔術式なら代わりに勝利確定×魔力を付与する。ただし攻撃ではない魔導には使用できない。 過剰収束(真) 魔導に本来込めれる以上の魔力を詰めることで高い破壊力を実現する技法。自身の魔導の火力を突き詰める高等技術、その発展形。収束された高濃度の魔力は自身の魔導を必殺技へと変える。撃破確定×1または魔力枠を1つ使用し、撃破確定×魔力 魂源抽出lv1 詳細不明 魂源抽出lv3 自らの魂から魔力を絞り出す技術。早い話が寿命の前借であり、極めて負担の大きい技法。敗北確定×1~3を得ることで自身の魔力を1~3上昇させる。このスキルを使用した場合、寿命が減少したり体力を大きく消費する。そのコストは使用者の魂に関する魔導力に依存する。 術式介入 他人が自身の修得している魔導を使用した時に使用する魔力運用の応用術。他者の魔導の制御権を奪い取り、己が支配下に置く。性質上、大きな才能の差や熟練度の差等が無ければ成立しない。相手が使用した魔導の効果が状況に応じて変更になる。この魔導は複数回使用することができる 圧縮言語lv4 言語を意味が繋がるように圧縮し、単一の魔導を連続展開する魔導技法。ある一つの魔導を極めんとする試みの一つ。重ね合わせることでより魔導はより大きな力を発動する。任意の魔導1つを4回まで追加で魔力枠に入れることができる。ただし一部魔導や大魔術式には適用できない。 魔力観測 相手の魔力の動きを観測することで相手がどのような魔導を使用しようとしているかを判別する高等魔導技能。相手の動きを事前に知ることは魔導師戦において高い効果を生み出す。作戦+1、相手の魔力枠の使用先がいくらか分かることがある。 魔導戦術『マジックサークル』(三首式) 複数人で行使する大規模魔導、その陣形。魔導を複数人で行使するのは簡単なことではなくそれが部隊規模となればほんの少しのズレでも大惨事に繋がりかねないが 三つの首を上手く利用することで疑似的にそれを行っている。複数の首で共同して行使する魔導の効果を行使した首の数倍にするただしこの魔導の行使に失敗した場合、敗北確定×首の数を得る。魔導戦術のスキルは味方内で1つしか効果を発揮しない 魔力暴走(不完全) 魔力をコントロールしきれずに暴発させてしまう技法というより失敗。基本的には術式が発動しなくなるはずなのだが大量の魔力を流すことで暴発として発動する。自身が使用した魔導の効果をX倍(最大絶対値2.5)にすることがある。この魔導はメアリーが表に出ていない時常時魔力枠を使用する。 魔力暴走 魔力をコントロールしきれずに暴発させてしまう失敗を技法へと昇華したもの。基本的には術式が発動しなくなるはずなのだが大量の魔力を流すことで暴発として発動する。自身が使用した魔導の効果をX倍(最大絶対値2.5)にすることがある。自身の魔力が6以上ならこの魔導技法は魔力枠を使用しない。 肉体系スキル 身体能力 恵体lv3 運動性能に優れた恵まれた身体。それだけでどうという訳ではないが、最終的な結果を分けるのは己が肉体である。勝利要素×5 恵体lv4 運動性能に優れた恵まれた身体。それだけでどうという訳ではないが、最終的な結果を分けるのは己が肉体である。勝利要素×7 恵体lv5 運動性能に優れた恵まれた身体。それだけでどうという訳ではないが、最終的な結果を分けるのは己が肉体である。勝利要素×10 黄金律(身体) 身体の黄金比率を表すスキル。常に健康であり、大きな力を発揮できる恵まれた身体。自身に対して肉体系に対する無効化耐性を3つ得る。勝利確定×1 怪力 人ならざる者の血か天賦の素質かこのキャラクターは他者を遥かに凌駕する力を持って生まれた。撃破確定×1 鋼の肉体 鋼のように硬い肉体には生半可な攻撃では傷をつけることは出来はしない。マッスルイズパワー。耐久確定×1 俊足 鍛え上げられた俊足。ただ走ることにおいてなら他の追随を許さない。先制確定×1 疾風迅雷 風や雷の如く駆け抜ける速さ。魔導さえも追いつけない敏捷な躰。勝利確定×1、先制確定×1 怪力乱神 神の如き腕力の冴え。魔導さえも紙切れのように破り捨てる強き躰。勝利確定×1、撃破確定×1 金剛力士 鍛えに鍛えた師玉の肉体。魔導さえも跳ね返す強靭な躰。勝利確定×1、耐久確定×1 財宝化の魔眼(真/制限) 睨んだ者を金銀財宝へと変える恐るべき石化の魔眼の亜種。視界に修めるだけで他者を変質させる生体に備わった魔導。抵抗しようがある程度動きを鈍らせることができる優秀な魔眼。見つめた対象に財宝化確定×0~3を付与する。財宝化に抵抗した対象に遅延確定×2と敗北要素を×25を付与し、その回避確定を1つ相殺する。このスキルは自身が竜形態でなければ使用できない。※肉体系スキル 肉体改造lv5 自身の身体に何らかの改造が施されている。けれどそれはその分だけ純正の人間からかけ離れるということであり肉体に負荷が掛かるということである。敗北確定×3、このスキルのレベルだけ改造系アイテムを内包する。寿命が低下する(大) 種族 単一種族 生物種として行ってはいけない特異点となり果てた者。突然変異ですらなく、同種として数えられないハズレ値。種族系参照効果を受けなくなり、肉体・限定系効果を取得しやすくなる。限定+1、勝利確定×(自身の限定-相手の限定 最低0)元同種からの好感度にマイナス補正。 半人半呪 人の身でありながら一種の呪物と化した存在。もはや災厄の一種と言っても過言ではなく、古の時代ならば間違いなく討伐対象である。限定+1、呪術一種を魔力枠を消費せずに使用できる自身が勝利確定を生み出すのなら自身以外のキャラクター全てに敗北確定×1を付与できる。 半竜半呪 竜の身でありながら一種の呪物と化した存在。もはや災厄の一種と言っても過言ではなく、古の時代ならば間違いなく討伐対象である。限定+1、呪術一種を魔力枠を消費せずに使用できる。自身が勝利確定を生み出すのなら自身以外のキャラクター全てに敗北確定×1を付与できる。自身に対する竜属性特攻の効果を半減する。 人狼 人に紛れ、襲撃を行う魔獣の血を引き継いだ人類種。人としての知性と魔獣としての力を行使できる恐るべき怪物。狼、とは言うものの実際にはその中身は千差万別。限定+1、勝利要素×10このスキルを使用した時、カテゴリが魔獣となる。 闇に吠える者 魔獣の血を引き継いだ人類種にして魔獣の力を使いこなす者。人間社会に溶け込み人間として行動しながら魔獣側の行為を行うのに躊躇が不要な怪物であり人類の天敵。限定+1、勝利確定×1、人類系スキルを1つ無効化する。このスキルを使用した時、カテゴリが魔獣となる 悪霊 死してなお未練のために現世を離れることができない哀れな存在。けれども彼らに情を抱いてはならない。それは黄泉へと続く奈落なのだから。通常とは異なる耐性と弱点を保有する。相手の精神系スキル1つを無効化する。 黄泉へ至らず祀ろわぬ者 死してなお未練のために現世を離れることができない哀れな存在。周囲へ祟りを齎す、神とさえ表せられる者。通常とは異なる耐性と弱点を保有する。相手の精神系スキルを1つずつ無効化する。敵対者全員に敗北確定×1を付与する。 魔獣lv3 魔力を持ちそれを本能で以て行使する野獣たち。世界に存在する魔導生物の大半を占める恐るべき存在。けれどこの世界に生きるのならば彼らとの付き合いを避けることなどできはしない。勝利要素×15、独自の耐性と弱点を保有する。また一部魔術を修得できる。 魔獣lv4 魔力を持ちそれを本能で以て行使する野獣たち。世界に存在する魔導生物の大半を占める恐るべき存在。けれどこの世界に生きるのならば彼らとの付き合いを避けることなどできはしない。勝利要素×21、独自の耐性と弱点を保有する。また一部魔術を修得できる。 怪獣 極大の暴虐を身に纏う破壊者たる魔獣の上位存在。全てを打ち滅ぼす暴威の象徴。生半可な存在では相対することさえ許されない大いなる力。勝利確定×1、このスキルは無効化されない。敵陣のキャラクターの無効化耐性を1つ相殺する。 屍鬼 無理やり生き返らせられ仮初の生を与えられた屍。知性はなくただ命令や本能、かつての思考の残滓によって動く怪物。仮初の生だからこそ逆に殺しきることが難しい。自身の作戦が1になる(下限無視)、耐久確定×0~4(元の肉体に依存する) 魔神lv1 異界より現れる高次魔導生物たる魔神。それぞれが特異な権能と恐ろしき力量を保有する怪物。力量が上がれば上がるほど、この世界への現界が難しくなる。とはいえこのレベルであればまだ抵抗が可能な範囲。勝利要素×10、限定+1 魔神lv5 異界より現れる高次魔導生物たる魔神。それぞれが特異な権能と恐ろしき力量を保有する怪物。力量が上がれば上がるほど、この世界への現界が難しくなる。決して呼び出してはいけない最上級の怪物。このレベルの存在を呼び出す者がいるとすれば、それは恐らく世界の破滅を願う者だろう。勝利確定×5、限定+1、魔力+1このスキルは無効化されず、レベルは低いものとして扱われない。このスキルは魔神調伏の魔術の効果を受けない。 ドラゴンルーラー 魔竜物差しと呼ばれる竜の属性を持つ魔獣。その力は真なる竜には及ばないものの凡百の魔獣とは一線を画す。勝利要素×10、自身が勝利確定を保有する時代わりに勝利確定×1自身に対する無効化耐性を1つ得る。 竜種 極大の神秘を身に纏う産まれながらの上位存在。空を飛び、焔を放つ暴威の象徴。生半可な存在では相対することさえ許されない大いなる力。勝利確定×1、このスキルは無効化されない。無効化耐性を1つ得る。 大いなる龍 極大の神秘を身に纏う純正のドラゴン、その頂き。固有の名を冠す最強の存在。英雄譚でしか見ないような暴威の究極。勝利確定×5、このスキルは無効化されない。無効化耐性を3つ得る。 環境適応(肉体系スキルとして適応) 環境適応(バッドイベント)lv1 一つの環境に適応した存在であることを示すスキル。それ以外の環境では力を発揮しきれないものの自身の得意領域でなら無類の強さを発揮する。該当場所によるマイナス効果を無効化することがある。該当の場所での勝利要素×3、それ以外の場所での敗北要素×1 環境適応(バッドイベント)lv4 一つの環境に適応した存在であることを示すスキル。それ以外の環境では力を発揮しきれないものの自身の得意領域でなら無類の強さを発揮する。該当場所によるマイナス効果を無効化または半減する。該当の場所での勝利要素×21、それ以外の場所での敗北要素×10 環境適応(バッドイベント)lv5 一つの環境に適応した存在であることを示すスキル。それ以外の環境では力を発揮しきれないものの自身の得意領域でなら無類の強さを発揮する。該当場所によるマイナス効果を無効化または半減する。該当の場所での勝利要素×30、それ以外の場所での敗北要素×10 環境適応(旧文明の森)lv3 一つの環境に適応した存在であることを示すスキル。それ以外の環境では力を発揮しきれないものの自身の得意領域でなら無類の強さを発揮する。該当場所によるマイナス効果を無効化する。該当の場所での勝利要素×15、それ以外の場所での敗北要素×5 環境適応(トロピカル)lv3 一つの環境に適応した存在であることを示すスキル。それ以外の環境では力を発揮しきれないものの自身の得意領域でなら無類の強さを発揮する。該当場所によるマイナス効果を無効化する。該当の場所での勝利要素×15、それ以外の場所での敗北要素×5 リング上の住人 リング上という環境に特化した適応能力。自身のフィールドにおいて勝てるものなどそうはいない。該当場所での勝利確定×3、作戦+1該当場所によるマイナス効果を無効化または半減する。該当場所以外で、自身が勝利確定を有する時、敗北確定×1 加護 精霊の加護(地)lv3 精霊と呼ばれる特殊な魔法生物から受けた加護。対応する属性への変換がやりやすくなり耐性を獲得するが加護に適応するほど肉体が精霊のそれへと近づいていく。レベル3とも成れば肉体の半分が精霊とも言うべき存在になっている。勝利要素×5、地属性の魔導やアイテムを使用した時、勝利要素×5通常とは異なる耐性と弱点を保有する、思考回路が精霊種のものに近づく。 魔神の加護(ラビアン) 異界より現れる高次魔導生物たる魔神。その狂気に満ちた名を告げられ、加護を受けし存在であるということ。その音階は呪いであり祝福である。勝利要素×10、自身が他に勝利確定を保有するなら代わりに勝利確定×1イベントでの成長率が鈍化(小)し、生存確定×1とラビアンと同等の精神・魂に対する防御力を得る。ラビアンへの愛を叫ぶことで短時間の通信を行うことも可能。(インターバルあり) 熱砂龍の加護 大いなる龍からの加護を受けた存在。龍とは人の身では抗うことすらできない災害であり世界の覇者となるだけの強大な力である。それに認められ力の一端を与えられるということはそれだけで偉業なのだ。勝利確定×1、ドラゴン属性を得る。熱や乾燥の環境によるデメリットを受けなくなり、それらの攻撃に耐性を得る。また熱砂系の成長率が上昇する(小)。 黄金龍の加護 大いなる龍からの加護を受けた存在。龍とは人の身では抗うことすらできない災害であり世界の覇者となるだけの強大な力である。それに認められ力の一端を与えられるということはそれだけで偉業なのだ。勝利確定×1、ドラゴン属性を得る。伝説のアイテムの入手率が上昇する。伝説のアイテムを7つ以上装備している時、装備+1新システムにおいてガチャチケットを得られる時、その倍率を1.5倍にする。 呪血の加護(ユカリ) 大いなる存在の血を受けたことにより呪われたことを示すスキル。単に血を受けるだけでなく存在から対象への強い思念を必要とする。敗北要素×10、自身が他に勝利確定を保有するなら代わりに敗北確定×1このキャラクターへのユカリ・タイドムーンからの精神への浸食を無効化する。このキャラクターへのユカリ・タイドムーンからの魂への自動的な浸食を無効化する。このキャラクターに対する干渉をユカリ・タイドムーンが肩代わりする可能性がある。非戦闘時、このキャラクターに発生する痛みをユカリ・タイドムーンが肩代わりする。このキャラクターへの呪厄竜の血厄液によるバッドイベント発生率上昇と不運を相殺し代わりにユカリ・タイドムーンのバッドイベント発生率を上昇させる。このスキルはユカリ・タイドムーンが健在な限り無効化されない。 頭脳系スキル 高速思考 高速思考lv1 素早く思考を巡らせるスキル。相手よりも速く物事を考えられるということは他者よりも深く物事を考えられるということでもある。勝利要素×3、自身が勝利確定を有するのなら先制確定×1 高速思考lv2 素早く思考を巡らせるスキル。相手よりも速く物事を考えられるということは他者よりも深く物事を考えられるということでもある。勝利要素×9、自身が勝利確定を有するのなら先制確定×2 高速思考lv3 素早く思考を巡らせるスキル。相手よりも速く物事を考えられるということは他者よりも深く物事を考えられるということでもある。作戦+1、勝利要素×15、自身が勝利確定を有するのなら先制確定×3 高速思考lv4 詳細不明 高速思考lv5 詳細不明 並列処理 複数の物事を頭の中で同時に処理するスキル。マルチタスクとも呼ばれる難易度の高いスキル作戦+1、作戦案の行数に+高速思考レベル/2(端数切り上げ)する。 臨機応変 器用に立ち回り最適解を探すスキル。高い応用力と手札の多さに裏打ちされた臨機応変さ。自身の魔力枠を高速思考のレベル個まで入れ替えることができる。 ファストシンキング 思考の瞬発力によって行われる戦闘における手札の切り合いを習熟していることを示すスキル。自身が他者の協力を必要としない自身への確定勝利、敵陣への無効化、敵陣への敗北確定のいずれかを(8-自身の高速思考のレベル)回生み出すたびに勝利確定×1を得る。 解へと至る道 自らの思考の淵へと深く沈み込む高速思考と分析の複合スキル。極限状況で行われる正解へたどり着くための高速分析。イベント中、一定の情報が集まった際、その答えへとたどり着く判定が発生する。 多層思考 詳細不明 パターン対応 いくつかのパターンを想定しておくことで素早く行動を行うスキル経験や想定による高い対応力。先制確定×1、高速思考のレベルが3以上ならさらに回避確定×1、命中確定×1 感情鎮静 詳細不明 輝け、渾身の迷推理 詳細不明 戦術指揮 戦術指揮lv2 味方を指揮して適切に行動させるスキル。作戦を考え、味方の能力を把握して行うことができる修得難易度の高いスキル。チーム内に指揮を行える者がいるかどうかは大きな違いを産む。自身以外の味方の作戦をレベル分増加させる。(最大自身の作戦) 戦術指揮lv3 味方を指揮して適切に行動させるスキル。作戦を考え、味方の能力を把握して行うことができる修得難易度の高いスキル。チーム内に指揮を行える者がいるかどうかは大きな違いを産む。自身以外の味方の作戦を3増加させる。(最大自身の作戦)戦術系効果に対する無効化耐性を1つ得る。 行動委任 詳細不明 兵は詭道なり 詳細不明 戦術看破 相手の戦術を見抜き、それを封殺する戦術を組み立てる戦術巧者。敵陣の技術・戦術系によるスキルを自身の戦術指揮のレベルの数だけ無効化する。ただし自身よりも作戦が高いキャラクターのスキルは無効化できない。 戦術予報 相手の行動を予測する調査分析と戦術指揮の複合スキル。的確な情報とそれによる予測は戦闘を優位に進める。敵陣のキャラクター1名の行動案を事前に知ることができる。ただし自身より作戦が低いキャラクターしか選ぶことができない。 包囲戦術 相手を囲んで追いつめる戦術。上手く機能させるためには事前の準備や味方同士がお互いに誤射をしないような配置が必要でそれをどうにかするのが指揮官の腕の見せ所。自陣が包囲している戦闘時、命中確定×味方人数(最大10)を得る。自身の戦術指揮がレベル4以上なら代わりに勝利確定×味方人数(最大10)を得る。ただし敵陣の人数が自陣以上ならこれで得られる勝利確定は半減(端数切り捨て)する。 火力支援 戦術・作戦行動を支援するために行われる火力投射。魔導師同士の戦闘においても火力の集中という概念は効果を発揮する味方陣営の撃破確定4つにつき勝利確定1つに変換できる。味方陣営がこのスキル以外で勝利確定を生み出すなら代わりに撃破確定3つで変換できる。 軍略 軍略lv3 味方の配置や作戦などを練り適切行動させて勝利へ導くスキル。その場その場における戦術ではなく軍全体の戦術や戦略に関するスキル。自身の戦略下にある味方陣営に勝利要素×その戦闘の味方人数×5を付与する。味方が勝利確定を有するのなら代わりに勝利確定×その戦闘の味方人数×0.5を付与する。味方に対する無効化耐性を1つ得る。追記:(軍略⇒自身の軍略下にあるキャラクターに頭脳系の無効化耐性を1つずつ与えるに変更)とのこと 特殊戦術 被害誘導lv2 配置や立ち回りによって相手の攻撃の的をずらすスキル。戦術的理解だけでなくそれを活かす能力も必要な高度なスキル。このレベルでは自身から被害を逸らす程度。自身を対象にした効果1つを別の対象に移し替える。失敗する場合もある。 被害誘導lv3 配置や立ち回りによって相手の攻撃の的をずらすスキル。戦術的理解だけでなくそれを活かす能力も必要な高度なスキル。レベル3以上なら対象を選ばずに誘導することができるようになる。誰かを対象にした効果1つを別の対象に移し替える。失敗する場合もある。 一撃離脱lv2 有効射程と索敵能力の許す限り遠くから攻撃を仕掛け、即座に撤退する戦術。攻撃の命中も去ることながらそれ以上に上手く撤退を行うことが必要な特殊戦術。勝利要素×自身の作戦×レベル 一撃離脱lv3 有効射程と索敵能力の許す限り遠くから攻撃を仕掛け、即座に撤退する戦術。攻撃の命中も去ることながらそれ以上に上手く撤退を行うことが必要な特殊戦術。勝利要素×自身の作戦×レベルこのスキルの使用に関わる作戦によるボーナスを2倍にする。 一撃離脱lv5 有効射程と索敵能力の許す限り遠くから攻撃を仕掛け、即座に撤退する戦術。攻撃の命中も去ることながらそれ以上に上手く撤退を行うことが必要な特殊戦術。勝利要素×自身の作戦×レベルこのスキルの使用に関わる作戦によるボーナスを2倍にする。回避確定×1 初撃決殺lv1 初手で攻撃を叩きつけ、戦闘を終わらせる戦術。自身が先制確定、命中確定、撃破確定のうち二つを得ている時、足りないものを1個まで追加する。 先手必勝 先手を取って強い攻撃を当ててしまえば勝利できるという火力主義の完成系。自身が先制確定、命中確定、撃破確定のうち二つを得ている時足りないものを足りるようになるまで追加する。 根性カウンターlv5 相手の攻撃に耐えることで機をを伺い確実に相手に攻撃を命中させるタフネスを利用した攻撃戦術。自身の耐久確定を任意の数(最大レベル分)まで減らし減らした数だけ命中確定を得る。 拠点構築、陣地作成 拠点防衛 陣地の防御に専念し、拠点を護るための防衛術。きちんと防御された拠点を突破するのは並大抵のことではない。陣地の防衛を行っている場合、耐久確定×2 野戦築城lv3 屋外等において素早く拠点を作成するスキル。ちょっとした塹壕程度であろうとあるとないとでは大違いだ。勝利要素×レベル×作戦作成した拠点において自身の作戦+1 調査分析 調査分析lv1 相手に関することや隠蔽された痕跡や目撃情報などを解明するスキル。通常の人間が気付かないような手がかりから真実を導き出す。基本成功率20%で分析することができる。 調査分析lv2 相手に関することや隠蔽された痕跡や目撃情報などを解明するスキル。通常の人間が気付かないような手がかりから真実を導き出す。基本成功率40%で分析することができる。 調査分析lv3 詳細不明 調査分析lv4 詳細不明 調査分析lv5 詳細不明 プロファイリング 詳細不明 偽証看破 詳細不明 盲打ちlv1 盲打ちlv2 誰にも予測できない敵も味方も混乱させる常軌を逸した戦術。それは自身さえ例外ではない頭のおかしい打ち手。けれどそれゆえに他者の思考にノイズを放り込む。敵味方問わず頭脳系のスキルのレベルをこのスキルのレベル分だけ低下させる。自身の行動を予測するような作戦案の成功率を著しく低下させることがある。 盲打ちlv3 誰にも予測できない敵も味方も混乱させる常軌を逸した戦術。それは自身さえ例外ではない頭のおかしい打ち手。けれどそれゆえに他者の思考にノイズを放り込む。敵味方問わず頭脳系のスキルのレベルをこのスキルのレベル分だけ低下させる。自身の行動を予測するような作戦案の成功率を著しく低下させることがある。自身は盲打ちやそれに類する効果を受けなくなる 魔獣理解 魔獣理解lv1 ダンジョンから現れる魔導生物、魔獣と呼ばれる彼らの生態を理解していることを示すスキル。人類の天敵であり、同時に良き隣人でもある彼らを知ることは彼らに対抗すべき魔導師には重要な事柄である。魔獣との遭遇時、基礎成功率レベル×20%で魔獣の存在について知ることができる。 魔獣理解lv2 詳細不明 魔獣理解lv3 ダンジョンから現れる魔導生物、魔獣と呼ばれる彼らの生態を理解していることを示すスキル。人類の天敵であり、同時に良き隣人でもある彼らを知ることは彼らに対抗すべき魔導師には重要な事柄である。魔獣との遭遇時、基礎成功率レベル×60%で魔獣の存在について知ることができる。 魔獣理解lv4 詳細不明 魔獣理解lv5 詳細不明 種族判別 相手の特徴からその存在がどういう種族、性質を持つかを当てるためのスキル。魔獣だけでなく多くの分類の魔導生物を頭の中に入れ分類訳を行うようになった者。その成功率は魔獣理解のレベルに依存する。 読書 読書lv1 書を読むためのスキル。書を速く読み込むこと、書を深く読み込むことそれらは簡単なようで重要なスキルなのだ。1行動で読める本の数に+1本を読む行動を行うたび1の経験値を得る。 読書lv2 書を読むためのスキル。書を速く読み込むこと、書を深く読み込むことそれらは簡単なようで重要なスキルなのだ。1行動で読める本の数に+2本を読む行動を行うたび2の経験値を得る。 学問 経済学 詳細不明 初級魔導薬学 詳細不明 薬草鑑定 詳細不明 植物学lv1 植物に関する学問。その知識を修め、その分野に精通していることを示すスキル。レベル1では少し齧った、程度。 対人系スキル 社交 社交lv2 他者と交友関係を築くスキル。単なるコミュニケーション能力だけではなくマナーや状況に合わせた立ち振る舞いなども含む高度なスキル。レベル2であれば社交界で恥をかくことはないだろう。 社交lv3 他者と交友関係を築くスキル。単なるコミュニケーション能力だけではなくマナーや状況に合わせた立ち振る舞いなども含む高度なスキルレベル3となれば社交の場において能動的な行動を行える有力者の域。 人間観察 ちょっとしたコミュニケーションや対象の仕草から相手の性格等を見抜く対人能力。社交や交渉等の対人スキルとコミュニケーションの深さに依存して発揮される分析と社交の複合スキル。観察量に応じて相手の行動を予測できるようになる。 黒子式社交術 詳細不明 井戸端会議の聞き上手 詳細不明 好意の反対は嫌悪である 詳細不明 誘惑 誘惑lv1 他者を惑わし、魅了し、己の意のままに操ろうというスキル。魅力的な人物の願いには人は容易く転んでしまう。性質上容姿がよいほど伸ばしやすいが、醜くても愛嬌がある人物なども得意であることがある。レベル1では二人組を作るのに失敗しない程度。 誘惑lv2 他者を惑わし、魅了し、己の意のままに操ろうというスキル。魅力的な人物の願いには人は容易く転んでしまう。性質上容姿がよいほど伸ばしやすいが、醜くても愛嬌がある人物なども得意であることがある。レベル2であれば玉の輿にのったりヒモになったりする程度は問題なく行える。 買収 お金で相手を誘惑するスキル。当然お金持ちには効きづらく、自らに財力が無いと無意味。金で買えない物はあるが、それでも買える物は沢山あるのだ。自身と相手の財力差に応じて誘惑の効果を上昇させる。 挑発 挑発lv1 詳細不明 挑発lv2 他者を挑発し、冷静でなくさせるスキル。人という生き物は平静でなければその力を100%を発揮しきれない。だが戦いの場で相手を怒りに染めるのは技術が必要だ。挑発したキャラクター1名の作戦を0~2低下させる。 挑発lv3 他者を挑発し、冷静でなくさせるスキル。人という生き物は平静でなければその力を100%を発揮しきれない。だが戦いの場で相手を怒りに染めるのは技術が必要だ。挑発したキャラクター1名の作戦を0~3⇒4分低下させる。複数名にこの効果を適用させることができる。 愚者の嘲笑 危険性も相手の力量も分からずにあるいは意図的に無視をして行われる命知らずな挑発行為。危険を顧みないからこそ相手の地雷を踏みつけることができる。敗北確定×1、自身の挑発の効果を+1する。 精神切開 他人の精神の傷を切り開き精神にダメージを与える技術。人の心を抉り、奈落へと突き落とす話術と挑発の複合スキル。一種の精神的医療ではあるものの大半はトラウマをより深くする攻撃でしかない。 条件を満たしたとき、他人の精神を切り開くことができる 致命的な一言 詳細不明 話術 話術lv1 どれだけ言葉を巧み操り会話を行えるかを示すスキル。このスキルがなければ会話ができないわけでも心に響くことが言えないわけでもないが話を相手に届かせる技術というものは確かに存在する。レベル1ではクラスの人気者になれるかもしれない程度。 話術lv2 どれだけ言葉を巧み操り会話を行えるかを示すスキル。このスキルがなければ会話ができないわけでも心に響くことが言えないわけでもないが話を相手に届かせる技術というものは確かに存在する。レベル2ならば十分言葉を操るのに長けていると言える。 話術lv3 どれだけ言葉を巧み操り会話を行えるかを示すスキル。このスキルがなければ会話ができないわけでも心に響くことが言えないわけでもないが話を相手に届かせる技術というものは確かに存在する。レベル3であれば言葉を扱う仕事についても苦労はしない。 染み入る共感の激痛よ 他者の精神的な痛みや欠点に対する共感術。他者の心の宿痾を看破し、深く理解することができるが反面その傷を自分のものであるかのように受け取ってしまう。 思考誘導 他者の思考を知らず知らずのうちに誘導する技能。そうと悟られることがなく相手の思考を望む方向へと誘導するためのスキル。施した対象の行動傾向を誘導することができる。どの程度誘導できるかは話術のレベルに依存する。 絢爛たる上の空 詳細不明 望まぬ答え 話し合いを誘導し誰もが望まないような着地へと運んでしまうスキル。話をややこしくし、時に平行線に、時に妥協させあいながら求めるべきものを少しずつずらし、間違った着地点へと導く。このスキルを使用することで誰も望まないような答えへと話し合いを導くことができる。 チョイスブロッキング 他者の選択肢を制限する話術スキル。他者の思考を自らの話術で誘導することで自分にとって不都合な行動を行わせない。会話をしたキャラクターの選択肢を制限することができる。 詐術 詐術lv1 他者を欺くためのスキル。言動や容姿、思い込みの利用など用いる手段は様々だがこのスキルが高いということは誠実さからは程遠いことは間違いがない。レベル1ではちょっと対人ゲームが強い、程度。 詐術lv2 他者を欺くためのスキル。言動や容姿、思い込みの利用など用いる手段は様々だがこのスキルが高いということは誠実さからは程遠いことは間違いがない。レベル2であれば他人から嘘吐きと言われても仕方がない。 偽りの仮面 外面に貼り付けた仮面。本来の性格とはかけ離れた外面を作り上げていることを示すスキル。精神系干渉に対して耐性を得る。自身の内面を他者に認識されづらくなる。 情報工作 詳細不明 脳ある鷹は猫を被る 自身の力を隠し弱くみせる嘘吐きのスキル。自身の詐術を見抜けないキャラクターは自身の実力を誤認し続けることになる。意図的に自身の力を下げたり、スキルのレベルを引き下げることができる。 燻製ニシンの虚偽 詳細不明 情報工作 詳細不明 伽藍洞の虚言 自身の言葉を軽薄な嘘で塗り固めるスキル。良い悪いに関わらず、その言葉には何一つ正しいものが乗っていない。自身に対する分析系の効果を大きく低下させる。 威圧 威圧lv1 他者に圧力を掛け、委縮させるスキル。殺意や敵意といった負の感情を叩きつけ動きを止める技。性質上格下に強く同格以上には効きが悪い。敵全員に敗北要素×3または敗北確定×0.1を付与する。(付与する相手の力量や自身の力量による。) 威圧lv2 他者に圧力を掛け、委縮させるスキル。殺意や敵意といった負の感情を叩きつけ動きを止める技。性質上格下に強く同格以上には効きが悪い。敵全員に敗北要素×9または敗北確定×0.3を付与する。(付与する相手の力量や自身の力量による。) 威圧lv3 他者に圧力を掛け、委縮させるスキル。殺意や敵意といった負の感情を叩きつけ動きを止める技。性質上格下に強く同格以上には効きが悪い。敵全員に敗北要素×15または敗北確定×0.5を付与する。(付与する相手の力量や自身の力量による。)さらに気絶判定を発生させる。 威圧lv5 他者に圧力を掛け、委縮させるスキル。殺意や敵意といった負の感情を叩きつけ動きを止める技。性質上格下に強く同格以上には効きが悪い。敵全員に敗北要素×30または敗北確定×1を付与する。付与する相手の力量や自身の力量による。)さらに気絶判定を発生させる。さらに遅緩確定×3を付与する。 空気揺るがす怒号 大声で怒鳴り散らすことで威圧するスキル。声の大きさは生物にとって恐ろしいものだ。自身の威圧によるものと同量の勝利要素または勝利確定を得る。 狂気感染 狂気を付与し同類を増やす特殊な威圧。別名強制SANチェック。自身の威圧に発狂効果が付与される。 恐るべき巨体 身体の大きさによって敵の戦意を失わせるスキル。大きさだけでなく、それを上手く活用する使い方も含まれる。自身の威圧を受けているキャラクターに対する無効化耐性を1つ得る。自身の威圧を受けているキャラクターが自身を攻撃する場合、耐久確定×1 悪魔の眼光 悪魔の如き鋭い眼光。その眼(まなこ)に睨まれるだけで人は十全なパフォーマンスを行えなくなってしまう。敵陣の自身の威圧を受けているキャラクターの作戦-1 上級国民 高級品や伝統のアイテムでマウントを取り威圧するスキル。いないところではどれだけ陰口を叩こうがいざ目の前にすると人は委縮してしまうものなのだ。敵陣の自身の威圧を受けているキャラクターの装備-1 いつでもヘラヘラ不気味な笑顔 弱さを受け入れる歪んだ笑顔で相手の精神を揺さぶるスキル。自らの醜さや不甲斐なさを笑って受け入れられる鬱屈した精神への恐怖。耐久確定×威圧レベル、周囲のキャラクターからの好感度が下がりやすくなる。相手が自身に対して強力な攻撃を行うたび、敗北要素または敗北確定×0.1×威圧レベルを付与する。(どちらになるかは対象に依存する。) 肥大化する恐怖 詳細不明 負のオーラ マイナス属性や不吉そうなオーラを身に纏うスキル。思わず距離を取りたくなるどこまでもマイナスな雰囲気。自身に対する好感度が上がりにくくなる。相手の精神系スキルを一人に付き一つずつ無効化する。 凶星のオーラ マイナス属性や不吉そうなオーラを身に纏うスキルが類まれなる不運と星の力によって変質したもの。思わず逃げ出したくなるどこまでもマイナスで危機感を煽る雰囲気と赤い星々。不運とテンション、運命力をトリガーに発動するマップ兵器。一定以上のバッドイベントまたは不運時、自らの頭上に死兆星を出現させテンションに応じて威圧の効果が上昇し、周囲のキャラクターの恐怖心を増大させる。相手の幸運を一人に付き一回ずつ無効化し、バッドイベント判定を行う。 教導 教導lv3 教え導く事を体系化し、十全に行えることを示すスキル。他者に物事を教えるということ、それは容易なことではない自身が他者に物事を教える際、その基本割引上昇量を15%にする。行動枠を消費することで状況に合わせたスキルや魔導を修得させることができる。 教導lv4 教え導く事を体系化し、十全に行えることを示すスキル。他者に物事を教えるということ、それは容易なことではない自身が他者に物事を教える際、その基本割引上昇量を20%にする。また行動枠を消費することで状況に合わせたスキルや魔導を修得させることができる。 実践教導 戦いや何等かの実践行為の中で行う教導術。一種のスパルタ教育であり、体験を通じて対象の成長を促すスキル。対象教導を行う場面でなくとも教導スキルを使用することができる。 個別指導 少人数のキャラクターに対して行う集中的な教導術。教える対象が少ないがゆえにその個人個人に合わせた教導を行うことができる。少人数に対する教導時、教導の効果を2倍にする。 煽り教導 煽ることによって行う特殊な教導術。挑発と教導の複合スキル。他者の心へずかずかと踏み入り触れられたくない部分を刺激することで相手の力を引き出し、向上させるろくでなしの教導術。挑発を行いながら相手に特殊な教導を行うことができる。 これで安心テスト対策 何等かのテストを行う対象に使用する教導術。テストの傾向を調べ上げ、相手がそれに合格できるように足りない部分を詰め込み埋め合わせる塾講師などが行うスキル。テストに関する教導時、基礎点を自身の教導レベル×5点上昇する。 修行心得 詳細不明 勤勉なる学習者 詳細不明 隠蔽 隠蔽lv1 起きた出来事やその場の状態、あるいは情報などを隠すスキル。真実を歴史の闇に葬るスキルと言っても過言ではないがあったことをなかったことにするのはとても難しくもある。基本成功率20%で隠蔽をすることができる。 非戦闘系 感知 感知lvN 周囲の違和感や気配、罠などを感知することができるスキル。平時ではなく危機的状況でこそ真価を発揮するスキル。基本成功率レベル×20%で感知を行うことができる。 直感 感覚的に自身の身の危険を察知することができる感知スキル。単に攻撃を回避するだけでなく、自分にとってまずい選択肢を嗅ぎ取ることもできる。回避確定×感知レベル(最大5)、感知が真以上なら感知確定×1選択肢において自身にとって危険なものや選ばない方がよいものが分かるようになる。 逃走 逃走術lv1 誰かから上手く逃げるためのスキル。移動力だけでなくルート選択や追跡者との心理戦など多くの要素を含むスキル。遭遇時だけでなく戦闘での敗北時にも使用できる。逃走の基本成功率は20%となる。 逃走術lv4 誰かから上手く逃げるためのスキル。移動力だけでなくルート選択や追跡者との心理戦など多くの要素を含むスキル。 遭遇時だけでなく戦闘での敗北時にも使用できる。逃走の基本成功率は80%となる。 逃走術lv5 誰かから上手く逃げるためのスキル。移動力だけでなくルート選択や追跡者との心理戦など多くの要素を含むスキル。遭遇時だけでなく戦闘での敗北時にも使用できる。逃走の基本成功率は100%となる。 逃走術(真) 誰かから上手く逃げるためのスキル、その発展形。移動力だけでなくルート選択や追跡者との心理戦など多くの要素を含むスキル。戦闘敗北時だろうと確実に逃走を行える高い逃走力。逃走確定×1 三十六計逃げるに如かず あれこれ考えるよりも逃げた方がよい場面もあるということ。あらゆる策を越える逃走術。逃走判定に+自身の作戦×5%、自身が逃走確定を生み出すなら代わりに逃走確定×1逃走に対する敵側によるマイナスを半減する逃走系に対する無効化耐性を1つ得る 無様なる生への逃走 体力を振り絞り一目散。これ以上ないほどの必死で無様な逃走。生存確定×1、逃走確定×1 追跡lv1 詳細不明 隠密 隠密lvN 物陰や闇に潜むスキル。他者に見つからずに行動するためのスキルであり、様々な場面に活用できる。基本成功率レベル×20%で隠密を行うことができる。 隠密(真 物陰や闇に潜むスキル、その発展形。他者に見つからずに行動するためのスキルであり、様々な場面に活用できる。その気になれば誰にも見つからない高度な隠密力。隠密確定×1 探索 探索lv1 場をくまなく探し、何か見つけ出すためのスキル。効率的な移動や危険への対処などが含まれる複合スキル。世界に広がり現れるダンジョンを踏破することは冒険者としての誉れである。レベル1ではまだ基礎の基礎という段階。しかしそれでも何もないよりは雲泥の差である。 サバイバルlv2 探索変異。詳細不明 壁壊し 邪道の探索術。壁を破壊し、ギミックの土台から台無しにして行う探索術。探索時、壁や部屋を破壊できることがある 水泳 水泳lv1 水の中を泳ぐためのスキル。簡単なように見えて意外と難しい特殊技能。レベル1であれば綺麗なフォームで25mプールを泳ぎきれる程度。たったそれだけのことでも割と難しい。 水泳lv3 水の中を泳ぐためのスキル。簡単なように見えて意外と難しい特殊技能。レベル3であれば鎧などを着て泳ぐことすら可能。特殊な鎧などを着ていない場合、勝利要素×5を得る。服装が水着等の泳ぎやすいものであればさらに勝利要素×5を得る。 異所水泳 空中や無重力空間、マグマなど水中以外で泳ぐ技術。とはいえあくまで水泳としての動作を適用させるだけでこれのみでどこでも泳げるようになるわけではない。水中以外で水泳スキルを発動させることができる。 芸術関連 芸術審美 全体的な芸術に関する知識とセンス。何がよいものかであるかなどをを把握する美的感覚。それを作れずとも良し悪しがきちんと分かることを示すスキル。基本成功率75%で審美判定を行うことができる。 珍品・迷品集め 迷走した結果産まれてしまったような品々を集めるコレクターのスキル。欠陥品だの亡国面だのと揶揄されるものの中には光るものがある……と彼等は信じている。珍品・迷品に該当するアイテムを入手しやすくなる。 音楽関連 製作(音楽)lv1 音楽を製作するためのスキル。物を作るということは一日そこらで習熟できることではない。レベルが高ければ高いほどより高度なものを作成できる。レベル1では少し齧った程度。 音楽業lv1 営みの一つ。音楽を扱う業種、およびそれを行うための技能。レベル1では少し齧った、程度。 音楽業lv2 営みの一つ。音楽を扱う業種、およびそれを行うための技能。レベル2であれば特技や趣味として十分自慢できる領域。 絵画関連 製作(絵画)lv1 絵画を製作するためのスキル。物を作るということは一日そこらで習熟できることではない。レベルが高ければ高いほどより高度なものを作成できる。レベル1では少し齧った程度。 事務 詳細不明 窃盗 詳細不明 従者系スキル 従者 従者lv4 詳細不明 従者は完璧を以て良しとする 完璧な従者とは主を支えるためのあらゆる行動を一切の淀みなく行えそして言われずとも自発的に主の求めに答える存在だ。勝利確定×1、従者確定×1、自身に対する従者系の無効化耐性を1つ得る。 従者の献身 攻撃を庇い、己が主を護る従者スキル。忠誠心溢れる従者を突破して主に攻撃を届かせるのは簡単なことではない。主を対象にした効果を自身に移し替えることができる。自身の従者のレベルが3以上の時、耐久確定×1 従者の操縦術 主に対する心理的な操縦術。主の欠点が発揮されないよう時に宥め時に褒めることで行われる主のコントロールスキル。主の作戦に+1、主が持つデメリット効果を1つ相殺する。 身辺警護 常に主の近くで備え、その身を護るボディガードのスキル。主を護るために警戒を続けるボディガードを突破するのは並大抵のことではない。感知確定×1、耐久確定×1 例え火の中水の中 例え火の中水の中 いつでもどこでも主の元へ素早く駆けつける従者の嗜み。例え距離が開いていようと何かをしていようと主人の求めに素早く駆けつけるのだ。主と共に行動していない時、合流判定が発生することがある。 静音動作 主の会話や思考を邪魔しないように、静かに見苦しくなく茶器やカートの音を立てぬように動く従者と隠密の複合スキル。静かで快適な環境は主の成長をも促すのだ。半月ごとの主の経験値に+従者レベル バトルメイド 戦いに身を投じるメイド/執事のスキル。――メイドだから戦えないとでも思っていたのか?自身の従者スキルを同レベルの武術として使用できる。自身が確定勝利を生み出す場合、その武術のレベルを+1する。(レベル5の場合は武術(真)として扱う。) カバーリング 相手の攻撃を防ぎ、味方を護るための防衛術。位置取りや相殺による護衛戦法。味方がいる場合、回避確定×1、耐久確定×1 カバーリング(真) 相手の攻撃を防ぎ、味方を護るための防衛術、その発展形。位置取りや相殺による護衛戦法であり、味方の奥の手を確実に決めさせるための時間稼ぎ。味方がいる場合、回避確定×1、耐久確定×1味方が勝利確定を有しているのなら勝利確定×1 成長系スキル 成長系 実践成長 実践する中で僅かな経験を糧とする一種の才覚によるスキル。行動の中で経験を積み、それを瞬時に活かすのだ。行動中に経験値を獲得したり成長を行うことができる。また成長判定が発生する可能性がある。 実践衰退 実践成長の反転とも言うべきスキル。行動の中で負の経験を積み、更なる袋小路へと入っていく。だがそれは己が欠点を以て武器とする者にとっては成長でもある。行動中に経験値を獲得したりデメリットのある成長を行うことができる。また負の成長判定が発生する可能性がある。 見取り稽古 見ることによって行う稽古。他者の行動を見るだけでも十分な経験を積むことができるノウハウあるいは才覚。見る、という行為が学びには重要なのだ。他者の行動を見ることで経験値を獲得したり、割引を受けとることができる。また一定以上の才覚がある場合覚醒判定が発生する可能性がある。 分類不明系スキル 集団 数が多いことを示すスキル。烏合の衆であろうとも数の力はいつの世であっても偉大である。勝利要素×1~50、または勝利確定×1(集団の数や質による)このスキルは効果で無効化されない。人数カウントにおいて自身を2~5人分として扱う。 欲深い金の三首よ 成長により三つに別れた龍の首。物理的な並列思考を可能にし、さらにそれぞれの首からブレスを放つことができる。多くの龍が首を増やすのはそれが強いからに他ならないのだ。作戦+2、ブレスを3つまで使用できる。この時同じブレスを使用してもよい。
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1049.html
*こちらのバージョン前提でルビとか振ってあります ガラクタの山を猫車――工事現場で土砂運搬に使う一輪のアレだ――に乗せて戻ってきた会 長の姿を見て、工克巳《たくみかつみ》は肩をすくめた。 「蛇蝎《だかつ》さん、どうするんですか」 「修復しろ。さすがに今回のは大きすぎた、予測ができても対応できないのでは意味がない」 「いや、そうじゃなくて、セイバーギアじたい……」 元からジャンクつぎはぎの急造品だった上、派手にやられてバラバラになった〈ヘビィース コルピオン〉の惨状を前に、克巳はため息をつく。 裏|醒徒《せいと》会の長である蛇蝎|兇次郎《きようじろう》が、チビっ子たちに大人気 の対戦型遊具〈セイバーギア〉に、年甲斐もなくのめり込むようになってから、そろそろ二週 間になろうとしていた。 拾い物でできているので、大して元手はかかっていないとはいえ、毎度のように破壊されて いては修理費も目に見える額となってくる。 「ホントに、ガキのお遊びにつき合ってどうするの?」 今回は珍しく、裏醒徒会の初等部担当兼マスコットである、相島《あいじま》陸《りく》も 克巳の意見に賛同するようだった。兇次郎のギアである〈ヘビィースコルピオン〉は規格外の 巨大セイバーであり、その運搬用として、いわば魔法のポケットである陸の異能〈カットアン ドペースト〉はフル活用されていた。拘束時間が長いために、遊びまわれないのが不満なのだ。 陸を見る兇次郎の目は、意外なほどまじめだった。 「相島、そもそもこの任務に適しているのはきさまなのだぞ。セイバーギアの主な対象年齢は 小学生児童だ」 「でもさ蛇蝎おにいちゃん、ぼくがいきなりセイバーギアはじめたって、まわりのみんなに、 なにかたくらんでるって思われるだけだよ」 陸の反論に、さしもの兇次郎も答えに詰まった。弱冠十一歳でありながら「きれいなおねえ ちゃんが大好き」な陸は早熟の色男であり、女性との接点につながらないことにはろくに興味 を抱かない。携帯ゲーム機は持っているが、ささっているソフトの内容は、「お友達とアドレ ス交換をして仲良しポイントを貯めよう!」という感じの、リアルで会うことを前提としてい るものだ。もちろん陸の持っているアドレスは、大学部や若手の女性教職員、学園近隣の「お ねえちゃん」たちのものばかり。 「……それは認めざるをえん。だから運ぶのくらいは黙って手伝ってもよかろう」 兇次郎は陸の見解を半分は首肯した。白々しい顔をした陸にギアバトルをやらせるより、自 ら〈魔王〉を名乗って大仰な芝居をしていたほうがまだマシであろう。金銭をかけることので きないポンコツマシンで、どうやって戦うかを考えるのが意外と楽しい、ということは黙って おくことにした。 だが。 「来週の日曜日、区大会予選のある日は無理だからね。ずっと前から約束があるんだから」 と、陸の返事はつれないものだった。しかも兇次郎にとっては、意外な情報も含まれている。 「大会の日程をなぜ知っているのだ?」 「清廉《せいれん》おねえちゃんに教えてもらった。島内には中継するんだって」 「なるほどな。あながち執行部もアホばかりではないようだ。初等部の発掘には余念がないな。 やはり、やつらにだけ青田刈りをさせてはいられん」 妙に気合の入っている兇次郎の様子に、陸と克巳は顔を見合わせた。欠食児童に食事をさせ るなど、初等部の児童を懐柔して裏醒徒会シンパに仕立てていくのは、兇次郎にとって最も重 要な戦略であるのだが、陸や克巳にはまだそこまでの長期的な視点はない。おそらく、裏醒徒 会ナンバー2である笑乃坂《えみのさか》や、影の協力者である清廉も、兇次郎が十年の時を 費やしてでもこの島の支配権を得ようと、本気で考えているとまでは、気づいていないだろう。 蛇蝎兇次郎は遠大な男であった。 そして兇次郎の見たところ、子供たちの間で流行っている〈セイバーギア〉は、金の卵を見 つけ出すのに最適な計器だった。双葉区内で売られているセイバーギアは一般流通しているも のとはすこし違う。異能の力に感応するのだ。 子供たちにとっては遊びながら異能を磨くことのできる格好の教材であり、大人たちから見 れば開花しつつある才能をすぐに見出すことのできる便利な鈴だった。年端もいかぬ幼い子が 異能を暴走させ、周囲を傷つけ、自らも深いトラウマを負ってしまうようなことは、遠からず なくなるだろう。 そしてそれは、異能者を完全に管理する社会の到来をも意味するのかもしれない。兇次郎が 自らを悪と規定し、体制に与しないアンチテーゼたろうとしている理由は、そうした流れに対 して、彼の灰色の脳細胞が警鐘を鳴らしているからなのだろうか。 しかし、兇次郎は己の考えていることを軽々と明かしはしない。克巳に〈ネオ・ヘビィース コルピオン〉の仕様を指示し、必要なパーツを調達するため、兇次郎は裏醒徒会のアジトであ る野鳥研究会室をあとにした。実際には〈ネオ・ヘビィースコルピオン・リターン・マーク7〉 くらいなのだが、細かいことを気にしていては大物にはなれないというものだ。 セイバーギアは民生用技術としては最先端といって差し支えのないハイテクの塊であり、け っこう高価な玩具だった。小学生では、誕生日やクリスマスにコアパーツをプレゼントしても らうほかには、毎月のお小遣いでカスタムパーツをひとつずつそろえていくのでやっとだろう。 双葉区特別仕様の〈異能反応〉型は、その改造費の分は政府からの補助金でカバーされている ので一般流通品と同程度の価格に抑えられているものの、苦学生である兇次郎にとってはなお お高い買物だ。 結果として、兇次郎は中古パーツを置いてある店をまわることになる。場所に余裕のある店 では、セイバーギアの対戦リングを置いてあることも多い。 一軒めは空振りで、二軒めの店に入ったところで兇次郎は足を止めた。ちょうど野試合がは じまるところに出会したのだ。どちらも初等部の三年生か四年生で、異能の資質を秘めている ようだった。見物していくことにして、兇次郎は長椅子に腰を下ろす。 線が細く青白い、インドア派であることがあきらかな子と、健康そうに陽焼けしている子が 対決するようだ。もっとも、ギアバトルにおいて体格の違いは影響を与えない。事前のセッテ ィングの妙と、臨機応変な判断力、そして精神力がものをいう。異能反応型のセイバーは、気 持ちを込めて応援すれば本当に強くなるのだ。 精神戦の中には、もちろん場外での舌戦も含まれる。先に口火を切ったのは、陽焼けしてい る子のほうだった。 「おまえ、転校してきたばっかのくせに、チョーシづきすぎてるんじゃねえのか?」 「きみがなにをいいたいのか、よくわからないな」 「その態度がチョーシこいてるっつってんだよ!」 「いいから、早くギアバトルしようよ。決着をつけようっていったのはそっちでしょ」 冷めた調子で、白細い子が自分のセイバーを手に取った。鳥型セイバー〈フォトンレイブン〉 に若干のカスタマイズを施した機体のようだ。素早いが脆い、扱いの難しいセイバーである。 一度舌打ちして、陽焼けしている子もセイバーを構えた。カメ型セイバー〈マッドトータス〉 に見えるが、こいつは甲羅の下になにを隠しているのかわからない。格闘用クローが出るか、 射撃用のキャノン砲が出るか、意表をついて宙を飛ぶやつまでいる。 ギャラリーは、兇次郎のほかに六人。店番のおばちゃんがカウンターからそれとなく目を配 っており、残りの五人は陽焼け坊やの取り巻きのようだ。 対峙するふたりが、腕を振り上げる。スターターシグナルにあわせて、ファイティングコー ルを唱和する。 『レディ――ゴーーーーー・セイッ!!』 開始の合図とともに、バトルフィールドの中に、両者のセイバーが投じられた。当然のごと く、フォトンレイブンが素早い動きで先手を取った。レイブンがくちばしを開くと、青白い波 形が迸り出て、マッドトータスを襲う。トータスは甲羅の中に頭と四肢を引っ込め、防御態勢 をとった。レイブンの吐いた青白い波は、トータスをたたくだけではなくフィールドの盛り土 を円錐形にえぐりとっていく。 「この坊主――音波遣いか」 兇次郎がつぶやく間にも、レイブンは距離をつめてトータスへ蹴りを入れる。続いて鋭いく ちばしを甲羅へ打ち込んだ。二度、三度、四度――だが防御形態のトータスはびくともしない。 効果の薄い攻撃を中断すると、レイブンは二脚でジャンプし、店舗の天井近くまで舞いあが った。さすがのセイバーギアといえど、自由自在に飛び回れるほどではない。ジャンプしたり、 滑空したりする程度だ。 トータスの真上につけたレイブンが、翼をたたんで急降下に移る。 「いけ、スパイラル・ダイブ!」 白細い子の声に応え、レイブンがドリルのように回転しながらトータスへと迫った。さらに くちばしの先が青白く光る。ダイブ+ドリル+ソニックアンカー――よほど守備に特化した異 能でない限り、マッドトータス自体の防御力でこの攻撃に耐えることは不可能、それが、蛇蝎 のはじき出した結論だった。 そこで、トータスが動いた。後脚としっぽだけを支えに、立ちあがる。飛び込んでくるレイ ブンに向け、トータスの甲羅から、前脚の代わりに二門の大砲が突き出された。 「意外な速攻勝負になったな」 と兇次郎が口にするのとほぼ同時に、陽焼けしている子が、叫ぶ。 「コラテラル・バースト!!」 トータスの大砲が、火を噴いた。どうやら、陽焼けしている子の異能は、火器の威力を増幅 させるものらしい。 ゼロ距離射撃と同時にレイブンの超音波を食らい、トータスは地面にひっくり返った。一方、 レイブンはリング外にまで吹き飛ばされ、右羽根を失った無惨な姿をさらしていた。しばらく すると、トータスが甲羅に脚を引っ込め、反動をつけて起きあがる。ダブルKOというわけで もなかったようだ。マッドトータスの、陽焼けしている少年の完勝であった。 五人組から大歓声があがる。 「っしゃー!!」 「さすがだぜヨシ!」 「やっぱり正義が勝ったぜ!」 陽焼けしている少年が、得意げに取り巻きたちのほうへ振り向いた。 「当然、こんな新入りなんかに負けるかよ」 盛りあがる勝者の側に対し、敗れた白細い子は茫然としていた。床に転がっている愛機を拾 いあげることも忘れ、ただ立ちつくす。 「いいか、おれたちが勝ったんだからな。明日からは逆らうんじゃねえぞ。お代わりはおれた ちが優先なんだよ。ジャンケンで決めるなんて、そんなナンセンスなことはねえの。それがE 組のオキテなんだ、わかったな」 と、陽焼けしている子――ヨシは敗者へいい渡すと、意気揚々と仲間を引き連れて店を出て 行った。争いの原因を察して、兇次郎は苦笑を漏らす。給食のお代わりが公平に分配されない のはおかしいと主張した転入生の正論は、通らなかったわけだ。 だが、ルールに則って定められた力関係になら、正当性はある。覆したければ、再戦を挑ん で勝てばいい、いや、勝つしかない。 白細い子がのろのろと動き、床からレイブンを拾いあげた。高々と頭上に掲げられたその腕 を、兇次郎は無言でつかむ。 びくりと、白細い子が兇次郎の顔を見た。この子ほどではないが兇次郎も血色は良くない。 頬がこけ、眼光鋭い裏醒徒会長の容貌は、小学生から見ればかなりの威圧感がある。現にこれ までも、初見でなついてくれた児童はほとんどいなかった。 「な、なんだよあんた!?」 案の定、その声は震えていた。兇次郎は、いきなり叱責する。 「物を粗末にするな、愚か者め。だからきさまは負けたのだ」 「ちがう! ぼくは勝ってた、この、こいつがちゃんと動いてれば――」 「そんなことではあと百回やっても百回負けるぞ」 兇次郎は凍るような口調を浴びせた。それから、わずかばかり調子を緩めて、訊ねる。 「小坊主、この島に越してきたのはいつだ?」 「一ヶ月前……です」 「ここにくる前もセイバーギアをプレイしていたのか?」 「うん……いえ、はい、やってました」 「では、ここの島のセイバーギアが特別なことはわかっているな?」 「異能の力がセイバーにでるんでしょう」 「それだけではない。異能の力とは精神の、魂の力だ。きさまの心をセイバーに通わせること で、はじめて本当の力を発揮する。あの小坊主……ヨシといっていたか」 「あいつは筒井《つつい》由典《よしのり》っていう名前です」 「由典はあのセイバーでもう何ヶ月もギアバトルを戦ってきているだろう。この島にやってき て一ヶ月程度、しかもあまりセイバーを大事に思っていなかったきさまでは、まだまだ敵わな い相手なのだ」 白細い子は口をへの字にしてしばらくレイブンへ目を落とし、それから顔をあげた。 「強くなりたい」 兇次郎はひとつ口の端に笑みを浮かべてから、きびすを返した。白細い子には背を向けたま まで、いう。 「その言葉に偽りがないのなら、ついてこい」 そしてそのまま歩きはじめた。この小坊主はものになる――そんな予感がしたので。 ちなみにパーツ屋のおばちゃんは、「物を粗末にするな」と子供を諭す青年にすっかり感心 していたので、小学生男児連れ去り容疑で兇次郎がお縄になる危機はどうにか回避されること になった。 意外な邂逅は、野鳥研究会室で果たされた。陸はとっくに帰ってしまっていたが、克巳はま だ残っていて、〈ヘビィースコルピオン〉の残骸から使えるパーツを選り分けていた。 兇次郎がつれてきた白細い子と克巳の目が合い、しばらくお互いに硬直する。 「……に、兄ちゃん!?」 「克次《かつじ》? おまえどうしてこんなところに」 「兄弟……だと?」 蛇蝎兇次郎ともあろう者が、この展開はまったく予想していなかった。あらためて見てみて も、そんなには似ていない。 兇次郎の驚愕をよそに、ひさしぶりの再開となった工兄弟は互いの近況を確認し合っていた。 「おまえも異能が発現したのか?」 「うん。|音波の錐《サラウンドコーン》っていうんだって。将来有望っていわれたけど、い まはどんだけがんばっても、ちょっと先のガラスを割るくらいしかできないや」 「なんで島にきたのに連絡くれなかったんだよ」 「お父さんが『克巳は勘当中だからいまは家族じゃない』……っていうんだ。不良をやってる ようだから、おまえも引き込まれるかもしれないから近づくなって」 「もう足抜けしたよ。蛇蝎さんのおかげでな」 誇らしげな口調とともに、克巳は兇次郎へ憧憬の念のこもった視線を送った。克次もそちら を見る。 「だかつ……さん?」 克次の声を受け、蛇蝎はひとつ忘れていたことに気づいた。 「そういえば名乗っていなかったな。我輩の名は蛇蝎兇次郎、裏醒徒会の長だ」 「工克次です。兄がお世話になってます。……うらせいとかいってなんです?」 ぺこりとおじぎしてから、克次は首をかしげた。 「野党の党首みたいなもんだ。醒徒会は知ってるだろう? 影の醒徒会ってわけだ」 「へえ、すごい人なんだね」 克巳の説明は適当きわまりなかったが、克次は素直に感心した。兇次郎のほうへ向き直って、 克巳は訊ねる。 「ところで蛇蝎さん、どうしてこいつを連れてきたんですか。べつにおれの弟だからというわ けじゃないみたいですけど」 「うむ。こいつを区大会の予選に出してみようかと思ってな」 「大会って、セイバーギアのですか?」 「そうだ。会場の外で魔王を名乗って野試合をするのでは、せいぜいふた組かその程度の実力 しか測ることができん。かといって横で見ているだけでは確かなことがわからないのが、セイ バーギアの奥深いところだ。工、きさまならセイバーに計器を仕込むことができるだろう。そ れを持たせて弟に大会を戦わせれば、多くの詳細なデータが手に入るというわけだ」 「なるほど」 兇次郎の説明に克巳はうなずいた。克次のほうは目を輝かせている。 「強いセイバー使いになれるかな、ぼく」 会長の指示となれば、克巳の動きは速い。 「とりあえず、こっから適当なパーツとって、そいつを修理しろ」 選り分け途中のパーツが入った箱を弟に渡すと、克巳は野鳥研究会室の中央を占拠する大き なテーブルの上をかたづけはじめた。 今度は兇次郎が怪訝な表情をする番だった。 「なにをする気だ?」 「ちょっとこいつの腕がどんなものか確かめます」 「きさま、セイバーを持っていたのか……?」 「思いっきりパチモノですけどね。サイズ規格しか合わせてないんで大会には出られません」 一度テーブルの上をきれいにしてから適当に障害物を設置し直して、克巳が簡易リングを整 えるのに五分ほどかかった。その間に、克次は〈フォトンレイブン〉を修理し終えていた。右 の羽根だけ色が違うパーツになってしまったが、機能的には問題なさそうだ。 「公式リングじゃないんで外周にセンサーがありません。蛇蝎さん、ラインアウトの判定お願 いします」 といって、克巳はロッカーからパチモノセイバーを取り出す。 「工、そいつは――」 「お察しのとおりです。〈鋼鉄《スチール》の《・》毒蛇《ヴアイパー》〉のあまりパーツで 作りました。〈小白蛇《タイニィパイソン》〉」 蛇蝎へ説明してから、白いヘビ型のセイバーモドキを手に、克巳は弟へ声をかけた。 「準備はいいか?」 「うん」 フォトンレイブンを掲げて、克次が応じる。スターターシグナルもないので、兇次郎が右手 をあげた。 「レディ――」 『ゴーーーーー・セイッ!!』 兄弟のそれぞれの手からセイバーが放たれる。タイニィパイソンとフォトンレイブンは同時 にフィールド上に接地したが、レイブンが二歩進んだときには、すでにパイソンがその側面を 捉えていた。 「はやい……!?」 克次の驚愕をよそに、パイソンが長大なしっぽを振るってレイブンを打ちすえる。向き直っ てレイブンはくちばしを繰り出すものの、パイソンは身を捻って躱し、敵の足元へ滑り込んだ。 脚に絡みつかれかかって、レイブンは両翼を羽ばたかせて逃げる。 「相手の動きをよく見ろ。一瞬ごとに判断を変えるんだ」 兄の声が聞こえるが、克次にその内容は理解できない。人の話の意味を聞き取っている場合 ではなかった。 パイソンは常にレイブンに張りつくように動いてくる。くちばしや蹴爪で攻撃しようとして も、ヘビの長い身体はすべてが武器だ。どこを攻めても、しっぽか牙によってかならず反撃さ れてしまう。痛み分けを続けていては、耐久力の低いレイブンに勝ち目はなかった。 削り合いでは負けてしまうと悟って、克次はレイブンを一気に飛び退がらせ、ついに必殺の サラウンドコーンを放った。だが、障害物として置かれていた、五〇〇ミリペットボトルをひ しゃげさせて吹き飛ばすのが関の山だった。 サラウンドコーンを身を縮ませて回避したパイソンは、身体下半分をバネとして跳ねあがり、 そのまま身体上半分を螺旋状にしたままレイブンの首に飛びかかった。一気にレイブンの首に 巻きつき、締めあげる。 勝負はついた。 有効打の一発すらなし。克次にとっては、〈マッドトータス〉戦よりはるかにひどい、いい とこなしの完封負けだった。 「そ、そんな……」 床に崩れる弟へ近寄って、克巳はその肩をたたいた。 「この白蛇《パイソン》を倒せるようになったら、ほとんどの小学生が使うセイバーに勝てる ようになるさ。こいつはインチキセイバーなんだ、チートだよ」 「いんちきって、どういうこと……」 「こういうことだ」 といって、克巳は制服のブレザーを脱いだ。兄の胴に巻かれた、鈍色の金属光沢が、克次の 目を奪う。 「これがおれの異能の真髄、〈鋼鉄《スチール》の《・》毒蛇《ヴアイパー》〉だ。そんじょ そこらの怪物《ラルヴア》には負けない真物の武器だよ。白蛇《パイソン》はこいつのミニチ ュアなんだ。セイバーギアはあくまでもオモチャ、実戦用の武器じゃない。――まあ、トップ ランカーには、こっちの毒蛇《ヴアイパー》本体にもセイバーで勝っちゃえそうなバケモノが そろってるけどな」 克次の知っている兄は、こんなに恰好よくなかった。わかれて数ヶ月でこんなにもまぶしい 存在になっているとは。きっとそれは、兄が異能のパワーを正しく使っているからなのだ―― と、幼い克次は素直に感動した。 「兄ちゃん……ぼく、強くなるよ。兄ちゃんと一緒に怪物《ラルヴア》退治に行けるように、 セイバーギアでトレーニングするよ」 「よし、やるか。ちなみにこの白蛇は完全自動型だから、手加減するモードはついてない。覚 悟はいいな」 「ぼくがんばるよ、兄ちゃん!」 そんな、「兄弟よ大志を抱け」の図式と化している克巳と克次の様子を、兇次郎は生温かい 笑みで見守るのだった。 翌週の日曜日――商店街の大型ホビーショップにて、セイバーギア双葉区大会の予選Bブロ ックが開催されようとしていた。 双葉区大会で優勝しても、都大会、地区大会、全国大会への扉は開かれることはない。異能 感応式のセイバーギアは双葉区内限定モデルなので、仕方のないことではある。純粋にセイバ ーギアを極めたいなら、非異能型の一般品を持って、区外の大会に出なければならなかった。 そして基本的には、初等部児童のための大会だった。異能育成のためのマシンなのだから、 当然の措置ではある。魂源力《アツイルト》を数値的に測定するだけではわからない、疑似実 戦の中で磨かれた、将来のエース異能者候補を発掘するのが体制側の目的なのだ。 フリークラスへの出場を希望する児童であっても、まずは初等部の階級で優秀な成績を収め なければならない。 出場者よりもギャラリーのほうが何倍も多く、会場は大盛況だった。メモやモバイル、ファ イルを手に、真剣な面持ちをした大人が何人も混ざっている。中には、白衣を着たままの人も いた。島内の異能関係の研究者なのだろう。優秀な異能者の卵を探しているのだ。 気合充分で予選に挑んだ克次は、抽選の結果、初戦で因縁の相手とぶつかることになった。 クラスメートの筒井由典――克次にとっては、またとないリターンマッチの好機である。 克次の姿を目にして、由典は余裕の表情だ。 「ふん、またおまえか。何度やってもおれの〈マッドトータス〉には勝てやしないぜ」 「きみの技は前回の戦いで見せてもらった。換装命の〈マッドトータス〉なのに、実質一択。 仮にぼくに勝ったとして、二回戦どうするの?」 「……そのナメた口を二度とたたけないようにしてやろう。リングアウトなんてヌルいことは なしだ。岩に押しつけてコナゴナになるまでコラテラル・バーストをくれてやる」 ただ勝つだけでは収まらなくなった由典は、マッドトータスを克次へ突きつけた。対して、 克次はおもむろにセイバーを取り出す。 由典が嘲笑を浮かべた。 「新しいセイバーか。ホイホイ乗り換えるようなやつがビッグになった試しはないぜ」 「姿を変えただけさ。これがぼくの〈有翼虹蛇《コアトル》〉セイバーだ」 有翼虹蛇《コアトル》は、コアパーツをフォトンレイブンから受け継いでいる。頭を取り替 え、胴をシェイプアップし、しっぽを伸ばして、脚をオミットした。パーツは〈ヘビィースコ ルピオン〉の残骸から拝借した、ジャンクではあるがすべて正規規格の品だ。 改造したのは、もちろん克巳である。 「両者、構えて」 セイバーギアの公式戦にはジャッジがつく。陸なら喜びそうな感じのお姉さんの指示に従っ て、克次と由典はセイバーを掲げた。 「レディ――」 『ゴーーーーー・セイッ!!』 有翼虹蛇《コアトル》とマッドトータスは、同時にバトルフィールドへ降り立った。が、ト ータスは由典の手から離れた瞬間から砲身を展開し、着地するなり弾丸を撃ち放つ。ルール上 は違反ではない。 たちまち連鎖する爆発が有翼虹蛇《コアトル》の姿を覆い隠す。 無駄弾を撃つことはなく、由典は油断なくフィールドを見渡した。このバトルのステージデ ザインは「岩の荒野」だ。そこそこ障害物があるものの、プレイヤーの視界を遮る極端なサイ ズの構造物はない。天へ向けて細長く伸びる岩山の影になっている部分は、プレイヤー自身が 動けば視線を通す位置までいける。しかし有翼虹蛇《コアトル》は見えなかった。 「なんだ、待ちでどうにかなるとでも思ってるのか。マッドトータスのビッグキャノンは岩山 のオブジェくらいぶっ壊せるぞ。時間切れまで、かすられもせずに逃げていられたとしても、 ドローにしかならないぜ」 由典が煽ってくるが、克次は黙って腕を組んでいた。そう長く待つ必要はない。爆煙が晴れ ――そこに有翼虹蛇《コアトル》の姿は影も形もなかった。 「なに……?」 障害物の裏に隠れているのかと、由典は右へ左へと動く。それでも有翼虹蛇《コアトル》は 見つからない。由典の動きに合わせて岩陰をまわり込む、ということはできないはずだった。 マッドトータスは自動照準でも砲撃できるからである。トータスと由典、その両方の視界から 同時に姿を隠すことは不可能だ。 フィールドの地上部分では。 「……まさか!?」 由典が気づいたときには、トータスのすぐ脇に屹立している岩山の頂上から、有翼虹蛇《コ アトル》が音もなく滑り降りてきていた。トータスが向き直るよりも早く、しっぽの先端で右 後脚を絡めとり、ひっくり返す。 背中側に比べれば、亀の甲羅の腹側はずいぶんと薄い。有翼虹蛇《コアトル》の牙が突き刺 さり、さらにサラウンドコーンがたたき込まれた。衝撃が浸透し、トータスの巨体が震える。 有翼虹蛇《コアトル》が鎌首を逸らせ、もう一撃くれてやろうというところで、トータスの 後脚が甲羅の中に引っ込んだ。開いた穴からジェット噴射をして、背中を地面にこすりつけつ つもトータスは有翼虹蛇《コアトル》の間合から逃れる。 したたか被った損害に、由典は歯噛みした。 「くそ、どうやって岩山を登った。いや、岩山の頂上から頂上に飛び移るのに、おれが気づか なかったはずはない」 「登るのは簡単だったよ。最初の砲撃にまぎれればいいだけなんだから。そして、煙が晴れた とき、きみは存在しない有翼虹蛇《コアトル》を探すために意識を集中しすぎたんだ。岩山の 間を飛び越えるのには二秒もかからない。それにここの会場は応援でうるさいからね。実際に 気づかなかったでしょ?」 と、克次はこともなげに答えた。カメレオン能力を使ったわけでもなく、ただ隙をつかれた だけだというのは由典にとって信じ難いことだった。しかし、今日の試合は公式戦、一度リン グの外へ抜け出して大まわりをするというようなインチキはできない。 ほんの数日でなにが変わったというのか。本人が腕を上げたのか、セイバーの性能か。 ――セイバーの性能だ。現に変わっているじゃないか。 由典は自分のセイバーのことを思い出した。マッドトータス――鋼の守りと岩の体力を誇る、 信頼できる相棒。そうだ、あんな新入りに負けるものか。 由典は拳を固め、叫ぶ。 「いけマッドトータス、おまえの本当の力を見せてやるんだ!!」 トータスも吼えた。カメとは思えない速度で、有翼虹蛇《コアトル》へと突き進む。 サラウンドコーンの一発や二発は根性で受けるつもりだったが、有翼虹蛇《コアトル》は真 っ向から迎え討ってきた。 激突する。 接近戦でなら有翼虹蛇《コアトル》はトータスの敵ではない。脚払いで転ばされてもそんな のはダメージのうちに入らないし、接触距離でのサラウンドコーン以外に有翼虹蛇《コアトル》 側にはまともな攻撃手段がない。それに対し、トータスの爪や牙は、鈍重なので躱されやすい ものの、一発でもあたれば有効打だ。 ――と由典は踏んでいたのだが、有翼虹蛇《コアトル》は真っ正面からぶつかってきたとみ せて狡猾だった。身を捻ってトータスの牙を躱し、滑空を補助する役にしか立たないと思って いた翼で爪攻撃を受け流す。一方で有翼虹蛇《コアトル》の牙はトータスの四肢にチクチクと 噛みつき、わずかずつだが体力を奪っていく。 「くっそ……」 思いもよらない展開に、由典の背中をいやな汗が流れ落ちた。甲羅にこもるのは問題外だ。 このまま戦っても、タイムアップまでトータスの体力は保つのである。もちろん待っているの は判定負けという結果だが。 トータスの攻撃が二発あたればイーブンにまで戻る。しかし由典はセイバー使いとしていっ ぱしのレベルには達していた。その戦士の勘が告げるのだ。これでは勝てないと。 由典は、ただひとつの逆転の可能性に賭けることにした。変幻自在の有翼虹蛇《コアトル》 の攻撃に耐えながら、トータスに一歩ずつカニ歩きをさせる。じりじりと右へ。 克次も相手がなにか企んでいることには気づいていた。が、下手に離脱すればトータスのビ ッグキャノンが火を噴く。あたる確率はほとんどない攻撃ではあるが、仮にもらってしまった ら近接打撃より痛い。逆転を許してしまう。 ついにトータスは賭けに出るポイントへ到達した。由典は迷いなく必殺技を宣言する。 「いけぇ! コラテラル・バーストッ!!」 トータスの前脚が引っ込み、ビッグキャノンが展開された。もちろん、こんな至近距離で砲 身をのんびりと伸ばしたところで、その動きは克次にとっても有翼虹蛇《コアトル》にとって もスローモーションに等しい。 あたるわけはないが、だからこそ由典がなぜこんな行動をとるのか、それが克次には引っか かっていた。まだ時間はある。最後っ屁には早い。有翼虹蛇《コアトル》をトータスの右サイ ドへまわり込ませようとし――砲門が追尾してこなかったことで、克次はようやく相手の狙い に気づいた。 「させるかっ!」 有翼虹蛇《コアトル》のしっぽの先で、トータスの右後脚を払う。バランスを崩しながらも、 トータスのビッグキャノンは由典の異能によって限界以上の火力を絞り出されていた。 撃ち出されたコラテラル・バーストはわずかに狙いがそれ、有翼虹蛇《コアトル》の背後に そびえていた岩山の根元部分を七割ほど吹き飛ばす。 岩山が崩れはじめた。その方向は、由典の狙いとは一五度ばかりずれていた。そして岩山の 上部が落ちかかってくる地点には、バランスを崩してひっくり返っているトータスがいた。 克次は有翼虹蛇《コアトル》に指示を下す。その動きを見て、由典が叫んだ。 「なんのつもりだ!?」 「トータスが潰れちゃうだろ!」 まだ逆さまのままのトータスの前に、有翼虹蛇《コアトル》が進み出る。そこへ、巨大な岩 の塊が降りかかってきた。真物とは違う、ぎっしり詰まった岩盤ではないといっても、セイバ ーギアを単なる燃えないゴミに変えてしまう程度の重量はある。縦横は二〇センチ、高さはそ の二倍ほど―― 「サラウンド・バスタァーーーッ!!」 克次の必殺コールに応えて、有翼虹蛇《コアトル》が音波の槍を撃ち放った。振動波が、迫 りくる岩を分割し、四散させる。 エネルギーのほとんどを使い切り、有翼虹蛇《コアトル》が動きを止めたところで、マッド トータスがちょうど起き上がった。だが、由典は自らバトルフィールド内へ身を乗り出し、腕 を伸ばして愛機を拾いあげた。ドロップアウトだ。 「試合放棄とみなします。勝者、工克次くん!」 ジャッジのお姉さんがフラッグをあげて試合終了を宣告した。これで、克次は異能感応型の セイバーギア公式戦において、記念すべき初勝利を挙げたことになる。 「攻撃すればそっちの勝ちだったのに、どうして?」 と、克次は由典へ訊ねた。マッドトータスを両手で抱えて、由典がぼそりと答える。 「……おまえはこいつを助けてくれたじゃないか」 「それと試合はべつだよ。勝手にエネルギー使ったのはこっちなんだから」 「そんなんじゃおれが勝ったことにはならない!」 「もしかして、余計な真似だったかな」 「そうじゃない。おまえがトータスを助けてくれて、すごくホッとしたんだ。なのに、おれは 先におまえのセイバーを岩で潰そうとしてたんだ……」 ばつの悪そうな表情の由典に対し、克次は、にぃ、と笑ってみせる。 「もう、ぼくたちは友達《ライバル》だろ、筒井」 「ありがとう……。いままでごめんな、工」 「べつにいいよ。ぼくのほうが、余裕がなくて弱いやつだったんだ」 「なんか、ホントに強くなったなあおまえ」 「まだまだだよ。やっと自分が弱いんだってことに気がついただけ。それより、今度一緒にう ちの兄ちゃんのところに遊びにいこうよ。兄ちゃん、すっごいセイバーギア強いんだ」 「まじで! じゃあ、ユキチとトシヤもだな……」 結局克次は三回戦で敗退し、裏醒徒会による「青田刈り計画」は初回相応の、参考以上収穫 未満の結果に終わった。 蛇蝎兇次郎の新セイバー〈ネオ・ヘビィースコルピオン〉は、以前のものよりはずいぶん小 型に仕上がった。とはいえ拡張スロットは潤沢に準備されているので、今後〈魔王〉蛇蝎がど のようなセイバーギアを駆って暗躍するのかは本人のみぞ知るところである。 そして、野鳥研究会室がセイバーギア同好会室になりかけてしまい、半月ほど裏醒徒会の一 部メンバーの頭を悩ませることになったという。 おしまい トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1382.html
【Romantic Quixote】 2年Q組、その派手な人材を欠いたクラス編成から無能組、普通科連隊などと呼ばれるクラスである。だが、俺、牧野徹(まきのとおる)はそんな地味な自分のクラスが気に入っていた。 地味ではあるが、それゆえにのんびりとした空気、今のところ特に対立のない人間関係、そして何よりも大切な親友である根本宗太郎(ねもとそうたろう)の存在、不満を覚えることはなかった。俺にとってはさしずめ滋味のあるクラスといった感じなのだ。 6月8日 双葉学園 2-Q教室 その日、俺は部活がなかったにも関わらず、放課後もクラスに残っていた。明日までになんとかしなければならない、英語の宿題があったのだ。 メンバーは俺と根本、そして最近、一緒に行動することが多くなった佐竹義冬(さたけよしふゆ)の3人である。佐竹は「この世と共にあるこの世ならざる世を見る目」という異能を持ち、簡単に言えば幽霊や神様の類を見ることの出来る異能者であった。疲れた目とその下のひどいクマは、その異能故のものと言われている。時折、妖怪や幽霊が眠っていている佐竹を覗き込んできたり、話しかけてきたりするため、安眠とは程遠い夜を過ごしているらしかった。 宿題は放課後すぐに始めたのだが、根本は途中で所用があるからと抜け出し、依然帰ってきていなかった。 「なあ、佐竹、問3のとこだけどよ、これって? I were you, I would resin from the company.でいいの?」 問3は指定された単語のうち、いくつかを組み合わせて「もし、僕が君ならば、会社をやめるな」という文章にせよ、というものであった。幸いなことに、このメンツの中では佐竹が一番成績がいいので、根本が欠けても宿題の進行には影響はなかった。 「あー、それはifを使わない仮定法ですよ。あと、resinじゃなくてresignです。」 「おれの答えで何か問題あるのか?」 俺は少しイラッとした。間違えているのなら、もったいぶらずにさっさと教えて欲しかった。 「……そうにらまないでください、牧野さん。そのぱっちりおめめで睨まれたら、思わず財布出しそうですよ」 佐竹がため息をつく。そこまで言わなくても……と俺は思った。俺を見ただけで小中学生が逃げ出したことなんて、半月に1回あるかないかだ。 「If I were you, I would...なら正解ですが、この場合、ifが省略される仮定法なので、疑問文と同じ語順にしてください。つまり、Were I you, I would resign from the company.になります」 佐竹が自分の答案を見せながら説明する。俺がそれを覗き込もうとすると、リーゼントの先端が机の脇に置かれた佐竹の文房具を叩き落していった。一時期、皮膚炎の治療のため(蜃討伐のために、阿呆みたいな量のポマードとヘアスプレーを使用したことが原因だった)、短髪にしていたのだが、治療後、リーゼントは往事の栄光を回復しつつあった。 「お? その下の問4は俺と同じ答えじゃん、佐竹やるじゃーん!」 せっかくなので、唯一、独力で説いた問題のところだけ自慢してみせた。全くの無能と思われるのは(誰もそんなこと言っていないにしろ)面白くない。 「……そーですか……」 「ちっ、んだよ、その反応!」 俺は佐竹が嫌いなわけではなかったが、会話のキャッチボールは、やはり根本が一番であった。佐竹では、何気ない会話もどこか滑らかさを欠いてしまうのである。 「ねも、何やってんだか……もう宿題終わっちまいそーだぜ?」 どこからか迷い込んでいたトンボがリーゼントにとまる。とりあえず集まること=だべる、と考えている俺にとっては、マブダチを欠いた会合、それも勉強会というのは退屈なものであった。 「よおっ! 悪ぃー悪ぃー、遅くなっちまった!」 根本が上機嫌でQ組の教室に入ってきたのは、ちょうどそのときであった。 「おう、もう終わっちまうぞこっちは。ねも、お前どこ行ってたんだよ?」 何気ない問いかけに返ってきた答えは意外なものであった。 「ん、ああ~、ちょっと女の子とお茶会やってた。」 「なにぃっ!!」 佐竹は答案に目をやりながらも、その耳がぴくりと動いたように見えた。 俺は根本の腕を引っつかみ、椅子へと無理矢理座らせた。逃げられないように背中をしっかりと押さえつける。 「そいつぁ、素敵だ……詳しい話を聞こうじゃないか!」 「どなたとお茶をされていたのですか?」 いつになく、佐竹も積極的だった。根本はあっという間に包囲される形となった。宿題のことは誰の意識にも残っていなかった。 「ちょ、おい、バンブー、なんでお前までそんなマジなんだよ!?」 「そのあだ名、認めた覚えはありませんよ。で、そんなことよりも、ゲロってください。」 目をいつになく見開いて根本をガン見する佐竹は、そのひどいクマと相まっていつになく迫力があった。根本がその迫力に負けたのか、あっさりと口を割る。 「べ、別に変なことしてたわけじゃないんだぜ? 千ヶ崎とお茶飲んでたんだよ、ちょっと趣味があってさ……」 千ヶ崎とは、千ヶ崎寛子(ちがさきひろこ)、Q組の男子に憧れの女子は誰か(クラス内限定)、と聞けば高確率で名前が挙がるであろう女子の一人であった。やや丸みを帯びた顔に、セミロングの綺麗な髪をした、美人というよりは、表情が可愛いと言った方が似合うタイプである。性格やクラス内でのポジションはいわゆる優等生タイプのそれであり、誰にでも笑顔で接する親しみやすい女子であった。 根本は、千ヶ崎に、彼女の好きなビジュアル系音楽バンドである「兀突骨(ごつとつこつ)」のファーストアルバム「南蛮炎上~Burning Barbarian」を貸す約束をしたとのことだった。「兀突骨」は最近3作目となるアルバム「臥龍飛翔~The Trap of Kongming」で成功を収めたバンドであり、そのファースト、セカンドアルバムは発売数が少なく、新規ファンの間では高値で取引されているとも言われていた。 根本はまだ中学生の頃、中古屋でそれを250円で入手しており、たまたま千ヶ崎がそのCDを探していることを聞き、貸してあげることにしたらしい。要するにちゃっかりポイントを稼いだつもりなのだ。 「で、CD渡すのに生物教室行ったんだ。千ヶ崎さん、生物部だからさ。そしたらお茶ご馳走してくれて、いや、ほんと、美味しいお茶だったんだ! いろいろ喋ってたらこんな時間になっちまったってわけよ。悪いな」 普段、うまい棒とか安くて濃い味の菓子ばかり食っているこいつは、お茶の味とか分かるような舌をしていただろうか? 「で、どんなことを話したんですか? 詳しく」 佐竹が胸ポケットからすかさずICレコーダーを取り出した。だが、ICレコーダーはあえなく、根本に取り上げられた。 「お、お前! なんでこんなもん持ってんだよ! 別に大したこと話してねーよ!」 「根本さんは千ヶ崎さんのことが好きなんですか?」 佐竹の目がキラリと光った。顔に似合わず、こういう話は大好きなクチらしい。 「ちょ、いや、お前らちょっと待てよ! 別に俺は好きとは言ってないだろ。ただ、いろいろ話してると、結構楽しいな、って感じがしてよ……」 「せつなさが炸裂したんですね?」 佐竹は食い下がった。濃いクマの底の目は爛々と輝いている。 「お、お前様子おかしいぞ、このバンブー! ちげーって、そういうのとはちげーって言ってんだろ!」 「そんなあだ名を認めた覚えはないですよ!」 しつこい佐竹に対して、いささかむっとしたらしい根本はムキになって反論した。要するにどっぷり片思い中らしい。 「何、ムキになってんだよ、ねも。お前らしくねーぜ」 俺は根本の肩に手を回した。 「俺とお前の仲じゃねーか、お前が恋したいって言うなら、いくらでも手伝ってやるからよ。そう、カリカリすんなって!」 根本が意外そうというか、びっくりしたような顔を向ける。 「どうした、ねも?」 根本は元々ハンサムというほどの顔は持っていないが(鼻がしっかり筋通っていればハンサムだった……かも、と評されたことはある)、ひねたところのない、いい顔をしているやつだった。きっと幸せな家庭で育ったからだろう、早くに壊れちまった家庭で育った俺にはしたくてもできない顔だった。 「いや、ちょっと意外に思っただけだ。お前のことだから、あーそうかいって頑張れよって感じで関心示さんと思ってたわ」 「ふん、何言ってんだよ。俺は正直言って、普段のらりくらりとしてばかりいるお前が、恋愛とかに夢中になっている姿、見てみたいぜ。マジならよ、頑張ってみろよ」 「そうか、ああ、うん、ありがとう」 どうやらマジなようだ。応援すると言っておいてなんだが、意外だった。ここまでストレートに感情を出している根本は久しぶりに見た気がした。 「やっぱり、根本さんは、彼女のことを、愛して……」 「うるせーよ、バンブー!」 ちゃかそうとする佐竹に根本がクロスチョップをお見舞いする。恋愛は結構だが、俺には気になることもあった。 「ねも、お前、洋モノ愛好家じゃなかったっけ? 千ヶ崎、可愛いとは思うが、思いっきり日本人って感じの顔だぜ、あれ?」 俺の記憶が正しければ、根本は元々、東欧あたりの美少女に並々ならぬ関心を持っていたはずだった。なお、俺の趣味はお姉ちゃん、佐竹は京美人であり、3人でどれが一番素晴らしいかについて朝4時まで激論を交わしたものだった。 「ち、しゅ、趣味と現実はまた別だよ馬鹿野郎、うちのクラスに異国のお姫様みたいなのが何人もいたら、話は別だったかもしれねーけどな……おい、頼むから千ヶ崎さんの耳に入りそうなところで余計なこと言わないでくれよ!」 「余計とは、一体どんなことでしょうか? 具体的かつ大きな声でお願いできますかね?」 また、佐竹が余計な口をはさむ。コイツは他人の恋路をからかうのが大好きなのだろうか? 俺は佐竹にデコピンをくらわせた。 「あたっ!?」 「やめろ佐竹、ねも、マジなんだぜ? マジなやつのことをからかうもんじゃないぜ?」 佐竹が、調子が狂う、とでも言いたそうな顔を見せた。普段、俺のちゃらちゃらしている姿ばっかり見ているので、少々意外な発言として受け止められたのかもしれない。 だが、せっかく、享楽的、というよりは適当に人生を過ごす、それ自体をモットーみたいにしていた根本がやる気を出したのだ。マブダチとして、応援してやるのが筋、というものだろう。 「で、具体的にこれからどーすんだよ? デートにでも誘うんか?」 「ん~、千ヶ崎さんとは音楽の趣味が似てるとこあっから、まずはここで話してお近づきになってくさ。その後は……まあ選択肢が出るまで様子見ながらやってくよ」 そこで佐竹がまた、要らぬ口を挟んだ。 「高度に柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応することになるんですね?」 「あああ~っ! うるせーよ、お前、このバンブー! そのセリフなんか良くないフラグの臭いがするぞ!」 そう言って大騒ぎする根本の顔は、いつになく楽しそうだった。そして、根本の宿題が真っ白なことなど、もはや誰も気にしていなかった。 6月15日 双葉学園 カフェテリア それからというもの、根本はチャンスを見つけては、せっせと千ヶ崎と話し込んでいるようだった。 あまり女性の扱いに慣れた男ではなかったはずだが、千ヶ崎の周囲にもそれなりに顔を利かせ、うまいことやっているらしい。思っていたよりもずっと積極的な男なのかもしれないが、少々浮ついているようにも見えた。 その日、俺と根本、佐竹の3人で駅前のカラオケに行く約束をしていた。部活をうまいこと早めに切り上げて、カフェテリアで佐竹と落ち合った。コーラを買って、席につく。 「どーも、お待ちしていましたよ、牧野さん。」 待っている間、得意の甘いもの中毒を発揮しながら読書に興じていたらしく、佐竹の前には一杯のコーヒーと、見てるこちらが気持ち悪くなりそうなくらいの甘味があった。 「ねもは?」 「? 10分前に、牧野さんとわたし宛てに同時送信でメールが来たはずですよ? 所用ができて少し遅れると言ってました。多分、千ヶ崎さん関係でしょう」 俺は携帯を求めてポケットを探った。 「あれ? そういや、俺、携帯どこやった!?」 即座に鞄の中も探したが見つからない。いつもなら必ずズボン右のポケットに入れているはずなのだが。 「……牧野さん、鳥の巣にいますよ、携帯……」 「なに!?」 鞄を覗き込む姿勢から、急に佐竹の方を向いたため、リーゼント先端が卓上を滑り、佐竹の前にあったシュークリームを跳ね飛ばしてしまった。一瞬、佐竹が本当に悲しそうな顔を見せる。 「鳥の巣ってなんだよ?……」 そこまで言ってふと気がついた。これからの季節、ズボンのポケットの財布や携帯を突っ込むと汗まみれになって不快な思いをする。そこで、それを避けるために頑丈なリーゼントに埋め込むようにしまいこんでいたのだ。 俺はリーゼントを手探りで撫で回すようにし、そこから携帯を取り出した。 「いやー、最近の携帯は薄くてわかんねーわ……なくしちまいそうであぶねーな!」 携帯はバイブレーションONにしてあったものの、歩いているときなどは気がつかないものなのだ。 「……で、根本さんのことですが、大丈夫ですかね? 浮ついているというか、のめり込んでいるというか、なんだか危なっかしく感じます」 佐竹がリーゼントによって吹っ飛ばされたシュークリームをふーふー吹きながらつぶやいた。 「そうだな~……」 根本が千ヶ崎に夢中になっているのは、佐竹に言われなくても感づいていた。一部では噂にもなっているらしい。 そして、根本が千ヶ崎に夢中になるのと反比例するかのように、俺らとの交流の時間は削られていった。 よく恋人ができると友人との付き合いが疎かになるというが、根本もそうなるのだろうか? あまり考えたくないことだった。 「根本さんは、佐久間先生のところへも良く行っているようですよ」 「でこ子爵んとこ? なんで?」 でこ子爵とは、生物教師にして2-Qの担任、佐久間盛寛(さくまもりひろ)のあだ名である。その名はナイスおでこ、高価そうなスーツとそれに釣り合わない微妙な貧相さから来ていた。 「佐久間先生、紅茶が好きじゃないですか? で、千ヶ崎さんも紅茶、お好きですね、いろいろ教えてもらってるようですよ、品種というか銘柄というか、そういうのを。」 佐竹の前に密集陣形で配置されていたはずの各種甘味はいつの間にかなくなっていた。 「それに、佐久間先生は千ヶ崎さんの部活、生物部の顧問です。そこまで根本さんが気を回しているかどうかは分かりませんが、顔を効かせようとしているおつもりかもしれませんね」 「一生懸命じゃぁん……」 俺は少々呆れ返ってしまった。ついでに反り返るようにして、背もたれに体重を預ける。好きな女と知己を得たからと言って、普通、そこまでするだろうか? 「恋は盲目、ですかね」 そう言って、佐竹は鞄からぼろぼろの手帳を取り出し、それを開いた。 「ところで、その千ヶ崎さんですが、気になることもあります。千ヶ崎さん、実は中学生の頃から、八方美人と言われ、親しくなったと勘違いして猛烈アタック→めっちゃ冷たくされる、のコンボを食らった男子生徒は少なくないそうです。ただ、魔性の女なんて雰囲気のする方ではないので、それなりに親しくなることは簡単でも、そこから先には非常に難しい方かと」 俺は佐竹がこんなことみっちり調べている、という意外性に目を丸くした。 「あ? おい、それって当たり前なんじゃねーの? 誰だって友達と恋人には一線を引くだろーよ」 「千ヶ崎さんの場合、最初のうちは非常に親しく接してくるので、ついそのペースでイケルと勘違いしてしまう、これが危険かと。ある程度仲良くなると、釣った魚に餌はやらないとでも言いましょうか……意識的にやってるのかどうかは知りませんが、急に冷たくなる、扱いがぞんざいになる、と言う人もいました」 「……なんでお前そんなことまで知ってんの? ストーカー?」 「まさか!」 佐竹はクマのひどい目に細めてくっくと笑った。顔色の悪さと相まってけっこう不気味だ。 「私がそんなことしなくても、そこら辺の幽霊とか妖怪に頼み込めば、ちょっとやそっとの情報、集められますよ。目と耳は使うためにあるんですからね……私のことをフーシェと呼んでくれてもいいですよ」 「誰だよ、そいつ? そんなに幽霊だの妖怪だのが、お前の頼みを聞いてくれるんなら、いっそそいつら指揮して、敵対的なラルヴァ退治すりゃいいんじゃねーの?」 「当然考慮に入れています! 中には人間に忘れ去られていくことをひどく恐れている神さまや妖怪だっているんです、同盟の組みようはあると思います。数多の妖怪を指揮下に収め、戦う……いろいろ検討を重ねているのですが、そもそも、裏の世界の面々をこちら側に呼ぶためには……」 佐竹特有の得意気で長々とした説明(それも当初話題から方向性が反れた)が始まった頃、ようやく根本が顔を出した。 「うぃーっす! 遅くなって悪ぃーな!」 早速根本を羽交い絞めにして拿捕する。 「千ヶ崎に興味持ってから付き合い悪ぃーじゃん、お前の恋愛を邪魔する気がねーが、お兄さん寂しいぞ?」 「いでででで……やめろ、ギブギブ、誰がお兄さんだよ!」 俺の羽交い絞めから、根本が必死にもがいて脱出する。 「何してたんですか? まさかナニしてたんですか? うぶっ!?」 根本の渾身の右ストレートが佐竹の頬に決まる。 「ナイスパーンチ! で、ねも、そろそろ告白したか?」 「まさか! 俺はチキンだぜ!」 威風堂々とした態度で親指を立てる。根本の顔はいつになく活き活きとしていた。 「千ヶ崎さん、紅茶好きって言うから、この間見つけた良さ気な紅茶プレゼントしたんだよ。マリアージュフレールって言うフランス紅茶、そしたら気に入ってくれてさ」 「ん? それ高い紅茶じゃ?」 佐竹が尋ねる。 「1缶2500円したわ、おかげでエスコンの新作は次の仕送りくるまでお預け!」 「2500円!? 紅茶1つに!?」 俺は危うく、コーラを噴きそうになった。2500円と言えば、俺のリーゼント用のポマード+ヘアスプレー代1週間分に相当する。よくも紅茶1つにそこまで金を使う気になれるものだ。 「で、その後、一緒に紅茶ご馳走になってきたんだ。千ヶ崎さん、紅茶入れる手つき一つから違うんだよ。美味しくてさ。」 根本の目は、まるで少女漫画のキャラのように輝いていた。プレゼント攻勢は単純かつ効果的かもしれないが、報われなければ最も哀れなアプローチではないだろうか? 「紅茶、生物室でご馳走になったんだけど、こう、夕焼けが差し込む教室で、2人だけで紅茶飲みながら会話って、なんだかエロゲみたいで……良かったよ」 例えが糞だった。 それから、3人で、「告白しないの?」→「大丈夫かな?」→「やってみろよ!」といったお決まりのパターンの恋バナをしながらカラオケへと向かった。 (貢くんにだけはなるなよ……) 俺は千ヶ崎のことをよく知っているわけではないが、心の中でそう思った。それとも、例え、利用されるだけの貢くんでも好きな女の笑顔を見れればこいつは幸せなのだろうか? 6月16日 双葉学園 2-Q教室 「根本くん、どうしよう……」 千ヶ崎がそう言って、困った顔で根本のところにやって来たのは、昼休みも半ばを過ぎた頃だった。ちょうど、俺と根本は、教室内で、歯科助手の魅力について語り合っていたところだった。ちなみに佐竹は、先日買ったと言うハイテク耳かきにはまり過ぎて外耳炎を患い、学校を休んでいた。 「はいはい? どうしたの!?」 根本は慌てて、跳ね飛ぶように椅子の上で回転し、千ヶ崎の方に向き直る。 「これ、なんとかならないかな?」 そう言って、周りに隠すようにして千ヶ崎が見せた鞄の中には、植木鉢が1つ、そしてそこには息も絶え絶えの……いや、すっかり枯れ果てた「草」があった。 「……何これ?……」 根本が訪ねる。 「植物だよ?」 根本の問いかけに対する千ヶ崎の答えは無邪気なものだった。その口調が生来のものであるにしろ、作っているものであるにしろ、根本が聞きたいのはそんな高次の分類群、要するに大雑把な話ではないだろう。 「あのね、実はね……」 千ヶ崎の話によれば、これは生物部の3年生の先輩から預かっていた観葉植物「だった」ものらしい。現在、3年生はとある小さな学会にここ数年の活動の成果「双葉島におけるセミの種類と発生状況」を発表するため、九州に滞在しており、その間の世話を後輩らが請け負うことになった。しかし、一度に世話しなければならない動植物が増えたために手が回らず、この観葉植物を放置、枯らしてしまい、困っているとのことだった。 「なんとかって言われても……これ、水かけてもダメなのかな?」 根本がいつになく真剣な顔で眉をひそめる。 「もうすっかり枯れてると思う」 「う~ん……」 千ヶ崎よりも根本の方がすっかりまいってしまっている様だった。なんとか千ヶ崎の期待に答えたいのだろうが、手段が見つからないのだろう。俺も根本も異能持ちではあるが、根本は蜂のようなものの召喚、俺はリーゼントから魂源力をチャージして撃ち出すリーゼントキャノンと、まるで植物復活とは縁のない異能だった。 「……千ヶ崎くん、知り合いに植物育てる異能の人がいるって聞いたんだけど、聞き間違いかな?」 上目づかいに千ヶ崎が尋ねる。 「……?……ああ! 慶田花か! あの女か!」 根本は合点がいった、と言わんばかりに声をあげた。慶田花碧(けだはなみどり)は、以前、蜃をリーゼントキャノンで討伐した際、射軸の安定性を確保するため、リーゼントを伸ばすのに協力してもらった異能者だ。2-Oに在籍しており、その異能は生体の成長促進である。普段は園芸部でその異能を生かしているはずだった。 「知ってるの! お願い、何とかその人に頼んでもらえないかな?」 千ヶ崎はそのやや丸みを帯びた顔にすまなそうな笑顔を浮かべ、必死に頭を下げる。 「おーけー、千ヶ崎さんに頼まれたら断れないね! やってみるよ、任せて!」 「本当! ありがとう根本くん!」 なんだか見てられないやり取りだった。根本の言動や表情が初々しく、首筋が痒くなりそうだった。 「で? いつまでに?」 千ヶ崎がばつの悪そうな顔で根本を見つめる。 「明日の朝、先輩たち帰って来ちゃうんだ」 ちょうどチャイムが鳴り、昼休みが終わりを告げた。 根本は5時限目後、わずかな休み時間に慶田花を探したが、O組は移動教室だったらしく、慶田花を捕まえることはできなかった。 本来、俺が手伝うことはないのだが、千ヶ崎が見ている前以外ならば、ダチを放っておくという選択肢は持ち合わせていなかった。 結局、慶田花に事を相談することができたのは、放課後、部室を訪ねた時だった。 「おやおや、根本くんに牧野くん、ふん! どうしたんで~? ふんっ、あたしに用ですかね?」 外も内も植物の鉢植えに溢れ、ついでに肥料の独特の臭いにも溢れた園芸部の部室に行くと、慶田花が相変わらず、鼻をふん、ふん、と不快に鳴らしながら出迎えてくれた。作業のためかその長い髪はポニーテールのように束ねられ、その額には汗の粒が浮いている。園芸部だけあって、立ち込める肥料の臭いに思わず顔をしかめた。 「ふん、ひょっとして、 また伸ばすんですか~? ふっ、その頭の海苔巻き?」 相変わらず猫背の慶田花は、こちらの顔を下から覗き込むようにして、鼻を鳴らす。慶田花の場合、その視線は上目づかいというより、下から小馬鹿にした視線で相手を穿つ、と言った感じだった。そこには、昼休みに千ヶ崎が根本に対して見せた上目づかいの、可愛げのある、あるいはぶりっこな感じの雰囲気は存在しなかった。 俺がもう少し若かったら、とりあえず2、3発はぶち込んでいたかもしれない。鉄拳かリーゼントキャノンを。 だが、蜃討伐の一件で、少しだけ、この慶田花の扱いは分かった気がする。こいつの目つきの悪さは悪意あってのものではないのだ。悪気はないが、コミュニケーション能力もない、あるいはそれをまともに発揮する気がないだけなのだ。 「いや、違うんだ。実は他のことで頼みがあってな……こいつを復活させてもらえないかな?」 そう言って根本は、あの枯れ果てた植物を見せた。慶田花が眉をひそめる。 「……どうしたんです? これ? ポインセチアですね……はんっ、根本さんに植物を育てるような趣味はないはずでしょー?」 慶田花の声は何やら不機嫌そうだった。いつも小馬鹿にしたような光しか宿していないはずのその瞳には、いつになく力強い眼光が宿っている。 「ふん、誰かに頼まれたんですかね? ふ、旧友として言っておきますがね、これ、ひどいもんですよ。ふふん、こんなになるまで放置した人が今更慌てたところでまっとうにこの植物を世話するとは思えないんですけどね、ふふんっ」 その声は明らかに怒っていた。部室内にいる他の園芸部員がこちらをちらちらと見ている。ただのコミュニケーションスキル不足の変なやつ、ぐらいにしか思っていなかったが、家が花屋のせいなのか、植物には人一倍マジな人間らしい。 「すまん、慶田花、そこを何とか頼む、この通りだ!」 根本は頭を下げて頼み込んだ。他人から頼まれたことは慶田花に感づかれていたが、根本は、千ヶ崎のことを決して話そうとはしなかった。 「ふふんっ、いや別に根本さんを怒ってるわけじゃーないんですよねー、ふん。ただ、ここまで枯らした人に、ふん、異能でなんとかしてもらえば、植物は放っておいてもだいじょーぶーとか思われるのは、普通にむかつくんですよー、ふん」 「すまん、本当にすまん!」 根本は必死だった。心からか、点数稼ぎのためか、あるいは両者の混合か、いずれにせよ、千ヶ崎の期待に答えるため慶田花に必死に頼み込んでいた。 それは普段の厄介ごとをのらりくらりとかわしてばかりいる根本には似合わない姿であった。好きになった女、それも片思いの相手のために「自分のスタイル」を崩して平気なのだろうか? 俺は、そんな根本の必死さにある種の憐憫の情と痛々しさを感じてしまった。 「頼む、お願いだ! どうか助けて欲しい!」 「ふんっ! ……人生まったりがモットーの根本くんらしくないんじゃないですか? ……でも、まあ……ふん……」 慶田花はなにやら、考え込むようなポーズを取った。だが、それはすぐに終わった。 「分かりましたよ、ふん、そこまで言うなら、しょーがないっすねー。ふふんっ」 根負けしたのか、旧友のらしからぬ姿に感情を動かされたのか、慶田花は折れた。その目には、先ほどまでの力強い眼光は失せていた。 「おお! ありがと……」 「ただし!」 根本がお礼を言おうとしたとき、慶田花はその出鼻をくじいて交換条件を持ち出してきた。 「うちの実家、花屋ってことは知ってますよね? ふんっ、実は両親が、沖縄にいる親戚からオキナワチドリって植物を阿呆みたいに仕入れてきたんですが裁ききれずに困ってるんですよ。買い取ってください。1つじゃあれですから、3鉢ほどでいかがでしょう?」 「ぶっ!」 根本は文字通り噴いた。 「か、金取るのかよ!?」 そして抗議した。 「ふ、ふふふっ! 根本くんにも是非、植物を育てて欲しいと思ってたんすよねー? いやならいいですよ、あたしは困りませんがね? ふんっ!」 根本は小さく舌打ちした。 「畜生め! いくらだ?」 「1鉢1200円、全部で3600円……サービスは……ふんっ、しませんよ?」 根本はがっくりとうなだれた。 「それでいいぞ、鬼畜め! 支払いは今日じゃなくてもいいな?」 「おい、慶田花、本気で金取るのかよ!」 さすがに居たたまれなくなって、口を出してしまった。 「ふん、牧野くん、今、学校中の花壇の整備をしてましてね、ふふん、結構異能使う機会多いんですよねー。ふん、しかも、枯らしたからなんとかしてくれ、とか花屋としてあまり好きじゃないんですよー、ふふん。これでも旧友ということで譲歩してると思ってほしーですねー、ふん」 慶田花やれやれとでも言いたげに肩をすくめてみせた。 「ところで、お前の異能って、生体を成長させることだろう? それ、大丈夫なのか?」 根本は不安そうに、褐色の植物らしきものを見つめる。 慶田花はふふん、と笑った。 「ふ、ふふん、この植物はですね、一見枯れてるように見えても幹を切って戻せばまた復活するんでー、ふん、だいじょーぶですよー。ただし、ふん、本来は数ヶ月はかかるものを1日で成長させるんでー、結構無理しなきゃーいけないんですよー、ふん、そこんとこご理解よろしくですねー、ふふん」 「分かった、よろしく頼むわ」 根本は慶田花と、明朝の受け渡しの約束を取り交わすと、園芸部の肥料臭い部室を後にした。 「これでいいのか、ねも? あんまり女の心象良くするために金使うのは、いい感じじゃねーぜ?」 俺は思い切って根本に聞いてみた。TVや漫画ばかり見ているせいか、なんだか嫌な予感しかしないのだ。 「牧野……俺が惨めに見えるかい? 好きな女の歓心を得るために必死こいてるように見えてみっともないか?」 根本は、いつものほほんとしているその顔に、なんとも言えない微妙な……自虐的とも受け取れるような表情を浮かべていた。 「俺もそう思う。少なくともそう思う時があるよ。馬鹿じゃねーの?って顔面ひっぱたきたくなるくらい」 そう言って、根本は肩をすくめて見せる。 「最初は好きなのかもーってくらいの気持ちだったんだが、打ち解けてくると嫌われるのが、いや、その他大勢に含まれるのが怖くなるって感じでさー……分かってるつもりだけどよー、やっぱりみっともないかね?」 口ではあっけらかんといった感じで話しているつもりなのだろうが、その雰囲気は明らかに怯えていた。 俺は根本の肩をぽんと軽く叩いた。 「んー、なんだかなーって思ったことがないわけじゃねーがー……ま、いいんじゃねーのー? みんないろいろ悩むもんだって、うじうじするのも恋愛のうちだろーよ、まあ、あんま気にしすぎんな」 根本の表情を見て、俺の言葉は最初とは180度逆のものになってしまっていた。 「そうか……っまあ、そんなもんだよな」 翌朝、慶田花の異能によって、無事鮮やかな発色を取り戻したポンなんとかという植物が、千ヶ崎のもとに帰還した。 「わー、ほんとに元気になってる! すごーいっ! ありがとう、根本くん!」 半分安堵、半分大喜びの表情を浮かべる千ヶ崎に、根本も嬉しそうだった。 「いやあ、俺は頼んだだけだし……」 「あ、それもそっか」 千ヶ崎の冷たい一言に根本が一瞬ぽかんとした表情を浮かべる。 「……」 「くす、冗談だよっ! そんな顔しないでよ。じゃあ、私はこれ、部室に戻してくるね? 本当にありがとう!」 千ヶ崎は心からの感謝を述べると、HRが始まる前に部室へと、鉢植えを戻しに行った。その後姿を見送る根本の表情はこの上なく満足そうだった。 「ふ、へへへへ……」 ニヤニヤが止まらなかったのか、根本は思わず笑いが声に出てしまっている。 「ち、調子のいい笑顔してやがるな、この思春期ボーゥイ?」 あんまりにもいい表情だったので、とりあえず、一発どついておく。 「いでぇ! 羨ましければお前も恋の1つや1つどーだい? 鼻はそこそこ高いんだし、そのぎょろぎょろ怖い目つきなんとかすりゃ、惚れる女子も出てくるかもしんねーぜ!」 「言ってろ!」 根本はいつになく上機嫌で饒舌だった。だが、その「いい笑顔」は長続きしなかった。元々、性格にチキンなところがあるせいか、根本は小さなことに一喜一憂し、その感情はなかなか安定しなかった。 とある日には、千ヶ崎が他のクラスの男子生徒と親しげに話していたことに根本は不安を訴えた。 「……ひょっとして、つきあってんのかな~……」 「アホか、ねも? お前は千ヶ崎がお前以外と口聞かないとでも思ってんのかよ?」 「……それもそうか……そうだよな」 佐竹もせっせと情報を収集しては根本に伝えていた。 「根本さん、今日の千ヶ崎さんの下着の色に関する情報が入手できました、いかがで……」 「おいこら、バンブー!? なんで、んなことてめぇが知ってんだよおっ!? ああああっ!?」 「いでっ! いでっ! すいません! やめて! 通りすがりのカラス天狗に聞いただけなんです!」 「いいかバンブー! 千ヶ崎さんに余計なことしたらタダじゃおかねーからな!……で、何色なんだ?」 また別の日には、千ヶ崎の宿題を手伝った礼として、部室でのお茶会に誘われた。 「あ~牧野? 今日ゲーセン行こうって約束あったけど……その~、千ヶ崎さんにお茶に誘われてしまってだな……」 「やったじゃねーか、俺のことは気にすんなよ! 牧野徹はクールに去るぜ」 だが、お茶会の約束をすっぽかされたこともあった。 「どうしたねも、今日は千ヶ崎とお茶の約束だって張り切ってたんじゃねーのか?」 「ど忘れされてた……ああああ! やっぱり俺はどうでもいい人間なんだー!」 「落ち着け! そういう日もある。そうだ、今日の夕食は、ねもの好きな爽やかな漬物用意したぜ!」 「大根? キャベツ?」 「瓜ィィィィィィィィィッ!!」 後半に続く トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/907.html
できるだけラノで読んでください 作品をラノで前後編まとめて読む 4 ぼくは開かれた扉の中に足を伸ばす。足を踏み出すと、足の感触は土ではなくコンクリートか何かに変った。どうやら人工的な所みたいだ。しかし真っ暗だ、と思っていると、センサーか何かが反応したのかいきなり全ての電灯が点く。 眩しさにぼくは一瞬怯みながら、ゆっくりと目を開けると、そこは奇妙な光景が広がっていた。 そこはまるで研究所のようであった。 見たこともないような機材や標本が無造作に置かれ、何かの研究レポートのような紙があちこちに散らばっている。そこに書かれている言葉はほとんど理解できない。どうやら暗号化されているみたいだ。 もしかして、ここは父さんの研究室なのか。父さんが都心の研究施設にスカウトされる前から何かを研究していたとは聞いていたが、こんな地下研究所を父さんは持っていたのか。一体ここは何の研究をしていたんだろうか。まるで人の目を避けるようなこんなところで何を。 ぼくは不気味で無機質な空間を奥に進んでいく。しばらく歩くとすぐに行き止まりに行き着いた。研究所内は以外と狭く、機材だけがあって、特に怪しいものはないな、と思っていた矢先にぼくはそこにありえないものを見た。 ぼくは自分の目を疑り、目をこする。だがそれでもそれは消えない。 そこには一人の女の子が座っていた。 綺麗な顔をした女の子が、目を瞑って妙な装置のような機械のイスに腰を下ろしたままぴくりとも動かない。 ぼくは頭がおかしくなったかと思った。ありえない。こんなところに女の子がいるわけがない。もし父さんがいなくなってからずっとここにいるとしたらそれは死体だ。あるいは幽霊だろう。どっちも嫌だな。 ぼくは現実から目を逸らしたかったが、恐怖を殺し彼女に視線を送る。 その女の子はいくつくらいだろうか、ぼくより少し上くらいに見える。髪の毛はまるで色素の無いように真っ白で、肩まで伸びている。その髪の色にも驚いたが、何よりも奇妙なのはその服装だった。 恐怖を通り越してぼくは変な笑いがこみ上げてくる。 その女の子はまるで昔のSF小説に出てくるような、そう、陳腐な言い回しが許されるのなら宇宙人のようなと言うべきだろう、ぴったりと肌にはりついた白色のスーツを着ていた。身体のラインがはっきりとわかり、ぼくは少し照れてしまう。スタイルがよく、郁美のような幼児体系よりも魅力的でその顔の美しさも相まってとても綺麗に見えた。頭にはまるでウサギの耳のような妙な機械がついていて、余計に滑稽に見える。 「なんだよこれコスプレ……? 死体が? 冗談だろ」 しかし、もしこれが死体ならとっくに腐って白骨化していてもいいだろう。だがそうじゃない。もしかしたら特殊な防腐処理でもされているのだろうか。そう思いぼくは恐る恐るその女の子の頬に触れてみる。 氷のように冷たい。だが、とても柔らかい。そのままぼくは指をなぞり身体の方へ伸ばしていく。胸やお腹や腕や足に触れると、顔と同じで柔らかい部分もあるが、所々まるで鉄で出来ているような硬い感触を感じた。 「これは、人形?」 死体でも幽霊でもなく精密な人形なのだろうか。いや、機械で出来ているというのならこれはロボットかもしれない。父さんはこの研究所で女の子のロボットを造っていたのか。母さんを放ったらかしにして、こんな玩具を作っていたのか。 そう思うとぼくは一気に馬鹿馬鹿しくなり緊張が緩んでその場に座り込んでしまう。 「はははは。父さん。あんたバカかよ……。こんなもん息子に見せてどうしろっていうんだ」 父さんはぼくにここの鍵を渡して何をしたかったんだろう。このロボットを世間に晒せってことなのか。冗談じゃない。今平穏な生活をしているのに、そんなことをしたら慌しくなるだけだ。それに母さんだってこんなロボットの存在を知ったら気味悪がるだろう。このことはぼくの心にだけ仕舞っておくほうがいいかもしれない。この鍵も帰りに閉めたら海に捨ててしまおう。それがいい。それでいいんだ。 ぼくはこの馬鹿げた空間から逃げるようにそのまま出入り口へ向かって歩く。 その途中、ぼくは父さんの研究デスクに目が行った。乱雑にノート類が散らばっている上で、ぼくはあるものが置いてあるのを見た。 それは母さんの写真だった。 今よりずっと若い。きっとぼくたちを生む前の姿だろう。とても綺麗だ。 ぼくはそれを見てなんとも言えない気持ちになった。父さんは何を考えてここにいたんだろう。母さんを本当に愛していたのか、そうじゃないのか、それすらもわからなくなってくる。 そして、その写真の下に一枚の紙がおいてあるのに気づいた。こんなに乱雑にノートやコピー紙が散らばっているので、母さんの写真がなければぼくはそれに気づかなかっただろう。ぼくはその紙を手にとって読む。 『和葉、お前がこれを読んでいるということは恐らく私はお前たちの前から姿を消しているだろう。この部屋でこの手紙を読んでいるのならあの髪の白い少女をお前は見たはずだ。あれは対四次元ラルヴァ用虚無空間移動装置、通称“星視機《スターゲイザー》”。その零号機のアバターだ。彼女をお前に託す。お前が世界を護るんだ。お前は私の息子だ。出来ないことなど何も無い』 そう書かれていた。 ぼくはその手紙をくしゃくしゃに丸めて思い切り投げ捨てる。 ふざけるのもいい加減にしろ。ぼくは腹の底から怒りが湧いてくるのを感じた。意味がわからない。まるでこんなのは妄想の産物じゃないか。こんなのは子供の空想だ。世界を救う? あの女の子のロボットで? 馬鹿げている。大体書かれていることのほとんどが理解できない単語だ。父さんは頭がおかしかったのか。研究者というのは嘘で、ここに異常者として隔離されていたんじゃないか、そう思ったほうがどれだけましだろうか。 だが、ぼくはふと疑問を抱いた。 この研究所は恐らくぼくたちが生まれる前に父さんが使っていたものだ。 なのに、なぜだ。なぜぼくがここに来ることを前提にあの手紙はここにあったんだ。ぼくが生まれた頃にはもう父さんは都心の研究施設に移動していたはずだ。ならこの研究所に訪れる暇なんかなかったはずだ。それとも何度か帰郷したときに書いておいたのか。それでもおかしい。 まるで、まるでこれじゃあ未来を予知していたみたいじゃないか。 あの鍵といい、父さんは何者なんだ。一体何故ぼくがこの場所に訪れることを知っていた。まるでそれじゃあ神様だ。何かが狂っている。ぼくの知っている常識が崩れていく。 ぼくは考えるのをやめた。 全て見なかったことにする。ここにいたら頭がおかしくなる。父さんのことを理解しようとするほうが無謀なんだ。 ぼくは早歩きで扉を出て、鍵を閉め、穴から出る。そいて再び社の中に戻る。 相変わらず暗い、だがこのホコリだらけの空気が懐かしく感じるほどだった。ここが現実だ。あそこはきっと地獄への入り口だったんだろう。全部夢だ。忘れよう。 「ねーカズ兄! 本当に大丈夫なのう!?」 郁美が痺れを切らして社の扉から顔を覗かせていた。その顔はやはり心配そうに歪んでいた。ぼくはすぐに郁美のこと頃までいき、 「大丈夫だよ。何にも無い。何にも無かった」 そう言って郁美の頭を撫でてやる。すると郁美は少し涙目になりながらぼくの顔を見上げていた。 「もう、だって全然帰ってこないんだもん。カズ兄に何かあったら私……」 「悪かったよ郁美。そんな泣くなって。別にただ穴が開いてたから珍しくて見てただけさ」 そうだ。これがぼくの現実だ。 郁美がいて、母さんがいて。いやなクラスメイトたちがいて。無関心な島民たちがいて、それでぼくの世界は廻っている。 ここを抜け出したいと願っても、たとえ抜け出たとしても、その先にあるのが楽園と限らないのならぼくはこのままずっとここにいるべきなのだろうか。 深く考えるのは今はやめよう。 ぼくは郁美の頭を抱きながら、ここから見える景色に目を向ける。相変わらずここからは平穏な住民の暮らしがよく見える――はずだった。 「あれ……?」 ぼくはその目の前の光景に目を疑った。 止まっている。 何もかもが。 畑で働いているおじいさんはクワを途中で振り下ろしたままで止まっているし、車も自転車も走行していたはずなのに全て停止している。犬も猫も、空を飛んでいる鳥たちまでも静止している。 それどころか木々も風に揺らめいたまま止まり、舞っている葉も空中で停止している。 これは、これはまるでビデオの一時停止を見ているようだ。 「お、おい郁美! どうなって――」 ぼくに寄り添っている郁美を見ると、郁美もまたまるでマネキンのように身体を硬直させて止まっている。 なんだこれは、時が止まっているのか? ありえない。こんなのは夢だ。一体何が起きているんだ。異常だ。狂っている。 父さんだ。あの研究所から何かがおかしくなっているんだ。全部父さんのせいだ。くそ、こんなのはまるでデタラメだ。 そんな絶望と混乱の中にいるぼくを、さらなる絶望と混乱に導くものを空高くに発見した。発見したくなかったよこんな物。 こんなことを言ったら、ぼくの頭がおかしくなったと思われるだろう。 いや、ぼくの頭がおかしくなっているというのなら、そのほうが救いだ。こんなの、デタラメを通り越して漫画だ。乾いた笑いが出てくる。 そう、島の上空に超巨大なテトラポッドが浮いていたのだ。 5 テトラポッド。テトラポッドは商標登録されている名で、本来は消波ブロックという。海岸などの護岸が目的の構造物だ。四本の突起物で構成されているコンクリートの物質だ。元々テトラポッドはギリシャ語で『四本足』を意味するものらしい。ぼくたちのような海に馴染み深い島民などは言わなくても知っているだろう。とりあえずテトラポッドという名のほうが普及しているからぼくもそう呼ばせてもらうことにする。 こうしてぼくがどうでもいい薀蓄を垂れているのはそれだけ混乱しているということを理解して欲しい。こんなのを見たら誰だってそうなる。ぼくを責めるのはやめてくれ。 空中に浮いている、島の四分の一ほどの大きさのテトラポッド。それはテトラポッドのような、でもなく、テトラポッドっぽい、でもなく、灰色のテトラポッドそのものの造形をしていた。 「ははは、嘘だろ……」 巨大テトラポッドはゆっくり、くるくると横に回転している。まるで何かを探しているようにも見えた。見えただけだ、どこに目があるかすらわからないんだから。というかこれは何なんだ、生きているのか、それとも機械か。理解しようとするだけ無駄に思えるが、ぼくに出来ることは考えることだけだった。 それとも逃げるか。郁美を置いて? どこに? 出来るわけがない。 そもそもあれが害のあるものとは限らない。もしかしたら―― 「あっ」 ぼくがそんな能天気なことを考えていると、テトラポッドは動きをぴたりと止めた。なんだろうとぼんやり見上げていると、その四方の突起物の先端が光り始めた。その突起の先端に光の粒子が集まってエネルギーを収束させているように見えた。 そして、その光の粒子が凝固した瞬間、一斉に四つの突起から光のエネルギー体が放射された。 「うわあああ!」 ぼくはあまりの眩しさに腕で目を覆う。光の勢いが薄れた後、目を少し開けると、一瞬遅れて、島のいたるところが大きく爆発した。爆風がぼくのいる高台まで届き、ぼくは思い切り吹き飛んでしまう。ごろごろと地面を転がるが、それでも郁美などはその影響を受けていないようにぴくりとも動かない。 「あのテトラポッド――レーザービームを撃ったのか! 馬鹿げてる……!」 レーザービーム。なんて陳腐な響きだ。自分で言ってて恥ずかしくなってくる。だがそう称するのが一番的確だろう。そのテトラポッドが同時に放った四発のビームは島の大半を吹き飛ばしていたのだ。山は崩れ、町は瓦礫と化し、畑は根こそぎひっくり返っていた。 ぼくが呆然と膝を落とし、がっくりとうなだれていると、今度は耳をつんざくような轟音が辺り一帯になり響いた。 「な、なんの音だよ今度は!」 ぼくの叫びもかき消される。耳を両手で塞いでもそれでも塞ぎきれないほどの轟音。その音が段々近づいているようだった。 「うるさーい!」 そう思わず叫んで、上を見上げた瞬間、ぼくの真上をとあるものが超高速で通り過ぎるのを見た。 それは戦闘機だった。少なくとも見た目だけはそう呼べるものだろう。 その戦闘機はすぐにぼくから遠ざかり、凄まじいスピードで旋回しているため、ほとんど知覚できない。だけどあの流線形のフォルムは間違いなく映画などで見るような戦闘機のそれである。実物を見たことがあるわけがないので、自信は無いけど。 その黒い戦闘機はまるで流れ星のように軌跡を残して飛んでいく。 何かと戦うために戦闘機は存在する。ならあの戦闘機は何と戦う? 決まっている、きっとあのテトラポッドに違いない。しかしあの中に乗っているのは本当に人間だろうか。もしあの中に宇宙人が乗っていたとしても今さらぼくは驚かないが。 ぼくは必死にテトラポッドの周りを飛び回る戦闘機を目で追う。 戦闘機が一瞬チカッと光ったかと思うと、テトラポッドの表面が爆発を起した。だがそれでもテトラポッドは微塵も動じていないようだった。それでも戦闘機はチカッチカッと連続で光を放ち、テトラポッドに攻撃を仕掛けている。どうやらあの戦闘機もビーム兵器のようなものを持っているようだ。だが威力は対したこと無いのか、それともテトラポッドがそれだけ堅いのかわからないが、やはり攻撃はさほど効果的ではないみたいだ。 しかし日本の自衛隊にあんな戦闘機があるのだろうか。そもそもあのテトラポッドはなんなんだ。宇宙からの侵略者? 未知との遭遇がこの日本のこの島で? そんなバカな、だけどもうそんな風にバカに出来ないような気がする。戦闘機が現れたことで、非現実的だったこの光景が少しだけ現実味を増す。巨大テトラポッドと戦う戦闘機なんてシュール過ぎるけど。 「あ、あれは」 ぼくは思わずそう呟く。 テトラポッドは攻撃を仕掛ける戦闘機を認識したのか、またゆっくりと動きだし、不可解な変化をしていた。テトラポッドの表面がぼこぼこっと少しずつ崩れてきている。戦闘機の攻撃の成果かと思ったけど、どうも違うようで、ぼくはそれを凝視する。驚いたことにテトラポッドの表面から崩れた部分が、浮遊して戦闘機のほうへと飛んでいった。それは大量に発射され、まるでミサイルのように戦闘機をホーミングして追っていく。 あんな巨大なコンクリートの塊をぶつけられたらひとたまりもなさそうだ。戦闘機は距離を置くために逆方向へ飛んでいくが、コンクリートの塊はまだ追ってくる。だが戦闘機からも細長い光の線が大量に発射され、コンクリートを爆破していく。激しい轟音が鳴り響き、まるで花火のように綺麗な爆発の光が輝いている。 こんな近くでこんな非現実的な空中戦を見ることになるなんて思ってもいなかった。ぼくは少しだけ高揚していくのを感じる。 代わり映えのしない、平穏で、平和で、平坦なこの島がわけのわからない不条理な存在に吹き飛ばされていくのを、そしてその不条理と戦う空を翔る物を見て心が躍っていた。 ぼくは心の中でその戦闘機を応援していた。 「危ない!」 テトラポッドの撃ちだしたコンクリートミサイルを、全て撃ち落せなかったようで、戦闘機にそのコンクリートが掠った。その衝撃で機のバランスが崩れ、くるくると変な動きのままこちらへと向かって落ちてくる。 え……? こっちに落ちてくる? 「うわああああああああ!」 どんどん戦闘機が近づき、その影を大きくしていく。ぼくは慌てて逃げようとするが、足が震えて言うことをきかない。 まずい、潰される。 ぼくは思わず目をぎゅっと閉じる。激しい音と衝撃が走るが、ぼくの身体に何も害は無かった。ゆっくりと目を開けると、ぼくのほんの数メートル横に戦闘機は墜落していた。ぼくはほっと胸を撫で下ろす。だが不思議だ。炎上も破損もせずに地面にめり込んでいるだけでどこも故障はないようだ。 ぼくはじっくりとその戦闘機を見る。ここまで間近で見ることが出来るとは思えなかった。 空を飛んでいる時はその細かい形状はよく見えなかったが、よくよく見ると戦闘機というにはあまりに派手というか奇抜な形をしている。黒い色あいに全体的にシャープなデザインで、ゴテゴテとした機械が機体のあちこちに組み込まれている。なんとうか『宇宙戦闘機』といった呼び方が似合いそうな、未来的な造形だ。 両翼の下部に筒のようなものが装備されている。形から察するにこれがビーム兵器だろうな。なんとなく本来の戦闘機よりも幼稚で、玩具のような感じに見える。そう、こんなにも大きく空を飛んでいなかったらただの模型だ。 ぼくは恐る恐る近づき、そっと触れてみる。確かにリアルな鉄の冷たさが指に伝わってくる。すると、突然「プシュー」という音が響き、ぼくはびくりと身体を震わせる。 音の方へ目を向けると、コクピット部分が開いたようだった。 そこから人影が顔を出す。 出てきたのはタコのような触手を持つ火星人―― 「ちょっと、嘘やろ……。なんでこの空間で一般人が動いていられるんや!」 ――ではなく、昼前に出会った、あの関西弁の女子高生だった。その女の眼鏡越しの怖い目とぼくの目が合った。 6 「ちょっと少年。あんたあん時のガキんちょやな。あんたよくもうちを騙したなぁ。宿屋潰れてたやないか――って違う、今はそんなこと言うとる場合やない!」 などと自分で突っ込みを入れながらその女は怒っていた。頭をがしがしと掻いている。だがぼくは驚きのあまり声がでなかった。この女子高生がこの戦闘機を操縦していたのか? 冗談だろ。 だがその女は先ほどのブレーザーにミニスカ姿ではなく、ぴちぴちのパイロットスーツのようなものを着ていた。スタイルがいいため、身体のラインの凹凸が激しく悩ましい。スーツのあちこちからケーブルが伸びていて、コクピットに直接繋がっているようだった。しかしいかにもと言った感じで逆に胡散臭い。 「ったく、どうなっとんのや一体……クロちゃん、ちょっと戦闘モード解除して!」 『イエスマスター』 と、その女とは別の女性の声が聞こえた。 その瞬間機体は光り輝き、一瞬にしてその姿を縮ませていく。光が収まると、戦闘機は消え、そこには二人の人間がいた。 一人はさっきの関西弁の女子高生。パイロットスーツからまたブレーザーに戻っていた。そしてその隣にいるのは、まるで人形のように綺麗な顔をした女の子だった。長い黒髪に、宇宙人のような機械的スーツをぴっちりと着ている。頭には妙な細長い機械をつけていて、ウサギの耳のようにも見える。 それはどこかで見たことがあるような姿。そう、さっき父さんの研究所で見たあのロボット少女と似た雰囲気を持っていて、ほとんど色違いだけのように見える。 驚くことにその少女が現れた途端、あの戦闘機は影も形も消えてしまった。 「戦闘モード解除。アバターモードに移行成功しました」 その黒い女の子は澄んだ綺麗な声でそう言った。 「あいよ。ねえクロ、あんたこのチビっこどう思う?」 女子高生はぼくに不審な目を送ってそう言った。クロと呼ばれた女の子はぼくのほうをそのガラス球のような目でじっと見つめる。 「微かな魂源力《アツィルト》反応あり。恐らく異能者です。この“虚無空間”に踏み入れているということは、どうやらマスターと同じ超空間知覚能力者と思われます。発汗や鼓動から察するにおそらく彼に自覚はないでしょうが」 「ふむん。このチビっこがねえ~。面白いやないか。これも何かの運命や」 女子高生はにいっと八重歯をむき出しにしながら笑い、ぼくの手をとった。 「こんなところで突っ立ってたらいつあのテトラポッドの攻撃の被弾を食らうかわからへんで、うちと一緒に来るんや」 「え?」 ぼくはぽかんと口を開けたまま呆然とする。一緒に来るってどういうことだ。 「駄目ですマスター。こんな不純物が混ざったら機体との精神シンクロ率が低下します」 「大丈夫やでクロ。うちが負けるわけない。うちはエースパイロット様や、あんなわけのわからん石の塊に負けるかいな」 「……そう言ってさっき攻撃を受けて落ちたのを忘れたのですか?」 「あんなのはちーっとばかし油断しただけや。今度は負けへんで。うちは一度負けた敵には負けへん」 ふふん、と女子高生は胸を張っていた。 「……ふぅ。仕方ないですね。確かにこの少年が“素質”を持っているのなら保護するべきでしょう。わかりました、同乗を許可します」 クロは溜息をついて、やれやれと言った調子だった。 「さあ、チビっこ。いくで!」 「ちょ、ちょっとあんた……!」 「あんたやない、うちはアッ子や。呼び捨てでかまわへんで」 女子高生、いや、アッ子はそうにやりと笑った。 「ぼくは、和葉。深井和葉」 「オッケー和葉。あんたも気張りや――ほれ!」 アッ子はぼくの手をひっぱりクロの胸に手を運んだ。 「な、何を」 クロのふくよかな胸の感触が掌に伝わる。そのぼくの手にさらにアッ子が手を重ねた。 「さあ行くでクロ」 「イエスマスター。再び戦闘モードへ移行。“星視機《スターゲイザー》”弐号機、変形を開始します」 その瞬間またあの強烈な光がぼくらを包む。 白い光が視界を覆ったと思った瞬間、ぼくは戦闘機の中へ移動していた。 狭く、ゴテゴテとしているコクピット内。どこからも外を見ることが出来ない空間になっており、とてつもない閉塞感に襲われる。 「無事同乗できたな和葉。やっぱあんたも素質を持ってるんやな」 後ろからアッ子の声が聞こえた。振り返るとアッ子がまたパイロットスーツになり、頭に奇妙な機械をつけていた。あれはヘルメットだろうか。どうやらぼくはアッ子の膝に座っているという格好らしい。もともと一人用に二人乗っているからこういう風になるのも仕方ないのだろうが。アッ子の胸が背中に当たってドギマギしてしまう。アッ子は楕円形の妙な形の操縦棹を握っている。とても戦闘機の操縦棹とは思えないものだ。どうやって操縦するんだろうか。 「おい、さっきのクロって女の子はどこ行ったんだ?」 「何ゆーとんのや。この機体そのものがクロの本体なんやで」 「え、この戦闘機が……?」 「星視機《スターゲイザー》ちゅーんや。かっこええ名前やろ、覚えとき。クロ! 機体の損傷率はどうなっとるん?」 『十パーセントと言ったところです。少し後部翼を削られましたが戦闘に支障はありません。飛べます』 と、クロの声がコクピット内に響く。どうやらアッ子の言ったことは冗談ではないらしく、あのロボットのような少女がこの戦闘機に変身したということなんだろうか。もはやなんでもありだな、とぼくは苦笑する。 「オーライ。行くでクロ、発進!」 その掛け声と共に一瞬、胃の辺りに浮遊感を覚えてくすぐったかった。だが、あまり飛んでいるという感覚はない。本当に今この戦闘機は飛んでいるのだろうか。そういえば戦闘機などはとてつもない重力がパイロットに襲い掛かり、訓練したものじゃないととても乗れたものではないと聞いたことがある。それにあんなスピードで飛んでいるのだ、そのGも半端ではないだろう。なのにこの戦闘機からは何も感じない。どうなっているんだ。 「何不安そうな顔しとんのや。安心し、この戦闘機は赤ちゃんが乗っても大丈夫なんや。なんたって全部“嘘”やからね。この虚無空間では精神だけが離脱しているから肉体に何の影響も無いんや。ただ、あの化物の攻撃を食らったらやばいけどな」 「虚無空間? なんなんだそれ。この時が止まってる世界のことか?」 「詳しい話は後や。今はあのくそでかいテトラポッドを倒すことが先決や、敵の攻撃で揺れるかもしれへんから舌噛まへんよう気をつけとき!」 アッ子は操縦棹を握り締め、表情は真剣だ。 コクピットからは外の光景が見えないが、アッ子はヘルメットについているバイザーから外を見ることが出来ているようだった。 「クロ、和葉にも外の映像が見えるようにしたってや。今後の参考になるやろ」 『了解。視覚シンパサイザを挿入します』 そうクロの声が聞こえ、操縦棹のある部分の横から一本の細いコードが延びてきた。それはうねうねと蛇のように動き、ぼくの右目に近づいてくる。 「ちょ、ちょっと待ってくれ。何を――」 『大丈夫です。ちょっと先っぽだけ挿入《い》れるだけですから。痛くしませんから』 「ちょ、ま、ぎゃあああああ!」 そのコードが右目に刺さり、一瞬暗転したかと思うと、すぐに視界が切り替わった。確かに傷みは一切無い。そこからは青い空と島の全容が見ることができた。どうやら星視機《スターゲイザー》の視界とシンクロしているようで、まるで鳥になった気分でその風景を見ることができる。勿論視界にはあの巨大テトラポッドも映っている。こうして近くで見るとやはり異質だ。 「どうや、見えたか和葉」 ぼくは空いている左目でアッ子のほうを見る。どうやら視界は左右で切り替えることができるようだ。こんな技術絶対に日本にはない。いや、どこの国にもあるわけがない。 「うん、これでぼくも見えるよ」 ぼくは頷き、アッ子も了解したようだ。 「ほないくでええええ!」 アッ子は操縦棹をひっぱり、星視機《スターゲイザー》のスピードを上げてテトラポッドへ近づけていく。ビームを撃って牽制しながら、テトラポッドの周囲をぐるりと廻っていく。 「やっぱ堅いか。どこかに弱点があるはずなんやけどなあ。クロ、わかるか?」 『私も探していますがまだわかりません。恐らく見えないということは真下にある可能性が高いです。ですが相手の懐に入るのは危険です』 「でもやらなきゃ一生終わらへんでこの戦い。クロ! “第三主砲《サードバスター》”を解放、股間狙うで!」 『下品なことを言わないでください。……了解。第三主砲を解放します。エネルギーを消費が激しいのでこれは一度しか撃てません。気をつけてくださいねマスター』 「まかせときぃ」 ガゴンという音と共に、星視機《スターゲイザー》の背部から大きな砲台が出てきた。どうやらこれが第三主砲らしい。アッ子は機体を滑空させ、テトラポッドの真下を狙おうとする。しかし、テトラポッドは回転を始め、また四つの突起部分の先端にエネルギーを凝縮させ始めた。 『敵から高熱エネルギー反応。またあのレーザービームを撃つ気ですね』 「言われんでもわかっとるわ。避けるで!」 その瞬間テトラポッドは四箇所からレーザービームを放ち、そのまま回転して島の陸地を薙いでいく。あらゆるものがこのレーザー攻撃により吹き飛んでいく。アッ子はそのレーザーをギリギリでかわしていく。少しでもレーザーに触れれば機体は吹き飛んでしまうだろう。テトラポッドは回転しているため、なかなか下部へと追いつくことができない。だがアッ子はレーザーをひたすら潜り抜けていく。 だが、予想外なことに、レーザーを放出しているのに、テトラポッドはまた表面を崩させて、あのコンクリートミサイルを撃ってきた。追尾するその攻撃から逃げ切ろうとすると、レーザーの攻撃を避けることがおろそかになる。敵は二重攻撃を仕掛けてきたのだ。 「くそ、考えるやないかテトラポッドの癖に……やけど、超空間知覚戦士の能力を舐めてもらっては困るで!」 アッ子は何を思ったのか、レーザーの光柱に向かって思い切り突っ込むように加速した。ぼくは「危ない!」と叫んだが、アッ子はにやりと笑うだけだった。 アッ子は機体がレーザーに突っ込む直前に直角に上昇した。そんなことが可能なのか知らないがアッ子はそれを行い、後ろから追尾してきたコンクリートミサイルはその急な星視機《スターゲイザー》の進路変更についていけず、レーザーにぶち当たり粉々に消え去った。 「やった!」 「すごい……」 ぼくはその行動に素直に感激した。アッ子の汗が玉になり、コクピット内に飛んでいる。綺麗だ。 そのまま星視機《スターゲイザー》はテトラポッドの突起の無い部分、つまり平面状になっている下部へと向かう、そこにつけばレーザーの脅威も無い。そして、その平面状の部分にとあるものがあった。ぼくはそれを見て不気味さを感じずには入られない。 「なんだあれ……」 「あれが敵の、四次元ラルヴァ“主軸《アクシズ》”の弱点、いや本体《コア》って言ったほうがええやろね」 そこには小さい顔があった。人間の顔だ。小さいといってもテトラポッドと比べると、ということで、そのものの大きさは三メートルほどはある。ぼくらからすれば巨人の顔。だがまるで仮面のように無機質で白く、男の顔か女の顔かもわからず、無表情で目も瞑っている。不気味だ。 「さあ止めや、これでおしまい。ほなさいなら、なんつって」 アッ子は第三主砲の照準をその顔に合わせる。主砲にエネルギーが溜まっていき、アッ子は操縦棹のトリガーを引いた。 その瞬間びりびりとした衝撃が機内にも走り、その砲撃の凄まじさを伝わらせている。そしてぼくは見た、第三主砲の攻撃があの顔に当たる瞬間、その顔の目と口は開かれ、恐ろしい形相で叫んでいた。まるで死に対して恐怖を抱いているかのように。 その死の顔も、第三主砲のエネルギーレーザーによってかき消され、大きな爆発が起きた。どうやらあの顔は粉々に散ったみたいだ。 その後、本体を失ったテトラポッドはぼろぼろと崩れ去りながら地面に落ちていった。大きな音を立てて沈んでいく。 「か、勝ったのか……」 「勝ったで。さすがうちやね。天才や! うちはやっぱ最強のエースパイロットや!!」 アッ子は笑顔でそう言ってぼくをぎゅーっと抱きしめた。戦闘によりかなり高揚しているようだった。アッ子のいい匂いがぼくの鼻先を刺激し、なんだかとてもムズムズする。 『最後まで気を抜かないで下さいマスター。虚無空間の崩壊が始まります。現実世界への移動の準備をしてください』 その直後、視界が真っ暗になった。 「な、なんだ!」 「慌てるんやないの。男の子でしょ。虚無空間が消えるからブラックアウトしてるんや。それよりあれ見てみ」 ぼくはアッ子が指差した方に目を向ける。ほとんど真っ暗で何も見えない中、テトラポッドが落ちた下部分を見ると、綺麗で大きな光りの玉が浮いていた。 そしてその光りの玉は一気に上昇し、遥か遠く、上のほうでぱんっと弾ける。その弾けた光は小さな光の玉になり、まるで真っ暗な夜空に輝く星のようだった。 「どや、きっれーやろ」 「あれは……?」 『あれは主軸《アクシズ》に捕食された人間の魂です。私たちがアレを討伐したことで解放されました。きっと魂の持ち主の下へと還っていくでしょう』 クロはぼくにそう言った。人間の魂を捕食? 理解できないが、ぼくはその光の星を見て難しいことを考えるのは今はやめようと思った。 ぼくはこの戦闘機の名前を思い出す。 |星を視る人《スターゲイザー》。 なるほどこういう意味だったのか。 7 一瞬視界が黒から白に変り、ぼくは自分が地面に立っていることに気づく。 「え?」 ここはさっきの神社の境内。島を見渡すと、さきほどの戦闘が嘘のように静かで、どこも破壊されてなどいなかった。 平和そのものである。 「なんで……?」 「どうしたのカズ兄」 郁美の顔が突然目の前に現れてびっくりする。ちゃんと動いている。停止していない。 なんだなんだ、さっきのは夢だったのか。現実に疲れたぼくが見た幻覚? 「虚無空間で起きたことは現実世界に影響を及ぼさないのです」 澄んだ声が響く。それは聞きなれた声。 ぼくが後ろを振り返ると、そこにはあの宇宙人のような格好のクロと、ブレザー姿のアッ子が立っていた。夢じゃ、なかったのか。 「あれ、あなたさっきの。いつの間にここに?」 郁美がきょとんとして彼女達を見ている。アッ子はふっと不適に笑い、ぼくに手を伸ばしてこう言った。 「改めて自己紹介や和葉。うちは双葉学園高等部の和泉亜紀子《いずみあきこ》。今までどおりアッ子でええで。|これから《・・・・》よろしゅうな!」 アッ子はとびっきりの笑顔でぼくの手を握った。 眉間にシワを寄せている郁美をよそに、ぼくは不覚にも可愛いと思ってしまった。 STARGAZER RESET ほ し を み る ひ と 第一話(了) 第二話へ続く 前編へもどる トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/675.html
増築を重ねて段差のできた畳。恐らくタバコを吸うために取り付けられた換気扇。雅をとりまくこの世界はどれも灰色をしていて、色が付いていない。それはあたかもこの少女の心情をそのまま描写しているかのようだった。 雅はこの世界の片隅で引きこもっていた少女に、こう声をかける。 「僕は、遠藤雅といいます。立浪みくの友人です。あなたを救いにここまで来ました」 「みくちゃの・・・・・・友達・・・・・・?」 と、立浪みきはかすれた声で雅に言った。いったいこの部屋で、どれぐらい長いこと泣いていたのだろう。目元がとても赤く腫れていて、充血している。外に強く跳ねた後ろ髪と、みくとは違う、黄色と青のオッドアイが印象的であった。 「どうしてあなたがここに来れたの?」と、みきは雅にきいた。 「うーん・・・・・・。はっきりとした理由はよくわかってないけど」と、雅は答える。「君の話を聞いてあげたいと強く思ったら、あんな行動に出ていた。君にぴったりくっついて、君の声を聞きだそうとしたんだ。そうしたら・・・・・・この世界に来ていたというわけです」 「あなたには、私の声が聞えていたんですね」 「はい、聞えていました」 ほんの少しだけ彼女の強張っていた表情が緩み、ささやかな笑顔を見ることができた。みきは体育座りを崩し、両足を伸ばす。靴下がたたみにこすれる音が、薄暗い部屋に共鳴した。 「『嫌だ』『もう許して』って叫んでいるのが、聞えてきた。君はこんな場所で、誰にどんなことをされてきたんだい?」 みきの肩がぶるっと震える。かちかち歯を鳴らしながら、彼女はこんなことを言った。 「『あの子』が、私の見たくないものを見せつけてきたんです。現実の世界でみくちゃを痛めつけたりするところを、無理やり見せられました。みくちゃの泣き顔と、喚く声。私に向けたメッセージ。ちゃんと聞えていましたよ・・・・・・。 私がみくちゃを傷つける、それだけで死にたいぐらい嫌なことを、『あの子』は嬉々として見せ付けてきたの・・・・・・。もう嫌ぁ。こんなの嫌ぁ。いっそのこと、殺してほしいよう・・・・・・」 みきは頭を両手で抱えると、震えながら再び泣き出した。目を大きく開いたまま、ぼたぼたと畳の上に大粒の涙を流す。 相当に心身弱っていた彼女と対面し、雅は始めこそ面食らっていた。だが、気持ちをすぐに引き締める。何のために自分はこの世界に飛び込んできたのだ、と言い聞かせながら。 「さっきも言ったけど、僕は君のことを救いに来たんだ。これは僕の予想なんだけど、君がこの世界から脱却してもう一度生きる気になったら、君は表舞台に帰ってくることができるような気がするんだ。だから、僕と一緒に帰ろう」 「む、無理だよ・・・・・・!」と、みきは即答した。「それは、私が『あの子』に打ち勝たなければならないことを意味する。そんなの無理! できっこない! 私はこれからも、『血濡れ仔猫』としてみんなの憎しみや悲しみを集めていかなければならないの・・・・・・」 「な、何を言っているんだよ。このままあいつ屈するつもりなの?」 「あなたはそう簡単に言ってくれるけど、『あの子』と戦うなんて絶対無理! もう、あの子の顔なんて見たくもないのにい・・・・・・」 真下を向いてしまったみきを前にして、このときばかりは雅も途方にくれたのであった。 「無駄だよ、遠藤雅。その子はもう二度と表舞台に立つことはない」 「ひっ」と、みきがその姿を前にして口をぱくぱくさせる。雅は後ろを振り向いた。 黒のゴシックファッション。毒々しい瞳の赤。部屋に現れたのは、先ほどまでみくと戦っていた漆黒の異形そのものであった。 「こうやっておしゃべりするのは初めてだね、マサ。私が血塗れ仔猫だよ」 と、立浪みきとほとんど同じ顔をしているこの悪魔は言った。 「本来は私だって立浪みきなんだけどお・・・・・・。いつの間にか血塗れ仔猫と呼ばれるようになっていた。それはつまり、島のみんなの憎悪や怨嗟を一身に集めた証明。勲章。けっこう気にいってるよ」 「お前が、みきさんを乗っ取って七人の生徒を殺した黒幕か・・・・・・!」 「そんな言い方しないで欲しいなあ。私だって立浪みき。そこでわんわん泣いている弱虫と、同一人物なのに」 血濡れ仔猫がそう言ったとき、雅をとりまく世界がぐるりと一回転して変わった。廃屋の和室にいたのが、一瞬にして夜更ける児童公園に変わっていた。うっすらと闇夜に浮かぶ街灯。それに照らされて古いベンチが短い影を伸ばしている。 「やだ・・・・・・もうやだ・・・・・・。また、あれをやるの・・・・・・?」と、みきは突然怯えだした。 そんな彼女を横目に、血濡れ仔猫はにたにた笑いながらぱちんと指を鳴らした。 蛍のような、白く発光する小型の浮遊体が彼女の前に集まってくる。オーブはどんどん収束して、一つの形にまとまって・・・・・・。 やがてそれは青年の姿となる。青白い無表情と、中身のない視線を雅の腰の辺りに向けたまま、両膝を地面について動かない。それはまるで意志を持たないモノである、「人形」のようであった。 「ここは立浪みきの『アツィルト・ワールド』。平たく言えば異能者の精神世界。立浪みきのようなデリケートな心を持つ少年少女や、過去の良い思い出や栄光の幻想から抜け出せない、未熟な人間が創造すると言われている」 まず血塗れ仔猫はこの世界について雅に解説をした。つまりここは立浪みきの「心の中」であり、雅はその中に飛び込んできたことを意味する。 「まあ、こんな夢想幻想なんて創りあげちゃう異能者なんて一割いるかいないかだから、けっこうどうでもいい話。しかし、私のような悪の意識が『アツィルト・ワールド』を乗っ取り、完全掌握しちゃうと・・・・・・ああいう真夏の悲劇が生まれるというわけだね」 「その青年は誰なんだ・・・・・・!」と、雅は彼女の言うことよりもそちらのほうを気にしていた。 「ああ、こいつ? こいつは私のオモチャだよ」 「真面目に答えろ」 「そんなに怖い顔しないでよ、教えてあげるからあ。たしか、名前を関川泰利と言ったかなあ? 最初に落合瑠子という恋人を殺したあと、すごい形相して私に勝負を仕掛けてきたんだっけね。そうだったよね、立浪みき?」 「どうしてあんな、むごいことを・・・・・・」 みきは両目をぎゅっと瞑り、拳をぎりぎり握りながら血塗れ仔猫にそう言った。 「どうしてって、あれがあなたの『宿命』だったんだもの。深い理由なんて何もない。私には人間どもが抱くような憎悪や怨嗟なんて、何にもないの。私は人間を狩る『ラルヴァ』だから、こうやって少年少女の命をもぎ取ってしまうのが楽しくて楽しくて仕方ない。それだけ」 血濡れ仔猫は指先の爪で、泰利の薄い首の皮をざくっと斬った。泰利はびくんと体を震わせ、首元から宙へと鮮血を噴き上げる。・・・・・・幼い子供が喜んで近づいてくる、夏場の噴水のように。 「お、お前・・・・・・!」と、雅が絶句する。みきが地面に額を付けてわっと大声で泣いた。 「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさぁい・・・・・・!」と、血を抜き取られた青年に対して、ひたすら謝りながら。 「別にびっくりしなくてもいいのに。こいつはすでに死んでいるの。私は七人の少年少女を殺したさい、彼らの魂をすべてこの世界に閉じ込めてしまったんだ。このアツィルト・ワールドで好きなだけ呼び出して、こうやって何度も何度も殺すことができる。だから言ったでしょ? こいつは私の『オモチャ』なんだって」 また、光が集まって別の人形を作り出した。今度は白い素肌も美しい、双葉学園の少女だ。 「これが落合瑠子ね。なるほどこんな可愛い彼女を殺されちゃ、この男も気が狂うはずだよ」 血の海にうつ伏せになってぴくぴく痙攣している、泰利の体を見ながら言った。 「もうやだあ・・・・・・もうやだあ・・・・・・! 私の前でそんなことしないでよおおおおおお!」 と、狂乱したみきが血塗れ仔猫に掴みかかる。血塗れ仔猫はうっすらと笑みを浮かべたまま、何も言わずにみきの右手をつかむと・・・・・・それを瑠子の背中に突き刺した。 「あっ・・・・・・」 みきの頬に血の雫がかかる。背後から貫かれた瑠子はぱっと涙粒を飛ばして、声にならない悲鳴を上げた。暗闇の降りた住宅街で真正面から貫いたときも、こんな最期だった。 「・・・・・・感じるぅ? 自分の手の先で、鼓動していた心臓がしぼんでいくのを。ぶすっと穴の開いてしまった心臓が弱っていくのを。この女が死んでいくのを。一つの命が終わっていくのを」 「いや、いや・・・・・・」 「落合瑠子だってさ、あの晩こうやってあなたが殺したんじゃない。何を今更嫌がっているの? 素直に宿命を受けいれなよ。それとも、まだ私の『調教』が足りなかった? 私の言うことが理解できなかったら、何度でも何年かけてでも教えてあげるよ、立浪みき?」 血濡れ仔猫は瑠子の体を横に払い、うつぶせになっている泰利の上に積み重ねた。次に彼女が呼び出したのは、そんな彼らよりも一回り小さい、幼い子供であった。やはり泰利のようにぼんやりと視線を投げ出したまま、何もものを言わない。 「みく・・・・・・?」 と、ここで雅が言葉を失った。ずっと表の展望台で戦っていた立浪みくが、自分の後を追ってこの世界に迷い込んできたのかとさえ思ったぐらい、その子はみくにそっくりであったのだ。 「大島美玖っていうんだっけ。私も最初は驚いたぐらい、あの子とそっくりな少女だよ。でも、こんな可愛い子供に対しても、立浪みきは何をしたんだっけえ?」 やめろ、と雅が汗を垂らしながら呟いた。彼が一歩、前へ踏み出したそのとき。 彼は、美玖の小さな頭が後ろから飛んできた鞭によって、粉々に吹き飛んだのを見る。 真上に真っ直ぐ、勢いよく鮮血が飛んでいく。雅が美玖のもとにやってきて、前に倒れていくのを受け止めたとき。雅の身体にこの子供の温かな血液が、びたびたと降り注いだのであった。 「いやああああああああああ!」 と、みきが絶叫を上げる。「みくちゃ、みくちゃあ・・・・・・!」と妹の名を呼びながら、ぐったりと両腕を垂らして腰を下ろす。血塗れ仔猫は哄笑を高らかに響かせると、口角をひどく吊り上げながらこう言った。 「あなたがいつまで経っても理解することができないおばかさんだから、私はここで何度もあなたの目の前で彼らを殺してきたんだよ? あなたが『宿命』を受け入れてすべてを諦めるまで、この調教はいつまでもどれだけでも続くからねえ・・・・・・?」 「もう・・・・・・やだ・・・・・・許して・・・・・・」 「あなたの宿命はこのまま私に乗っ取られ、『破滅』を迎えること。大切な人を奪われた人間たちの、呪いに満ちた視線や罵声を浴びながら、あなたは絞首台に上るの。あなたはたくさんの異能者を敵に回した。醒徒会までも敵に回してしまった。あなたは人間に危害を与えるラルヴァとして、敵を作りすぎた」 「・・・・・・なんでも言うことを聞きますから・・・・・・もう・・・・・・やめてください・・・・・・・・・」 「そう。それでいいの。あなたは殺戮を楽しむ『ラルヴァ』なんだから、全部私に任せて、もっと多くの人間どもを恐怖のどん底に落としちゃいましょう? 『破滅』を迎えるまで私と一緒に遊びましょう・・・・・・?」 もう、立浪みきは何も答えることができなかった。黄と青のオッドアイは完全に光沢を失って、くすんだ薄い色をしていた。 「冗談じゃない・・・・・・!」 血濡れ仔猫は「うーん?」と不気味な笑みをたたえつつ、その男のほうを向く。 雅は首を無くした少女を抱きしめたまま、わなわなと震えている。そしてこう言ったのであった。 「七人の命が奪われたのも、多くの血や涙が流されたのも、みきさんがもたらしたものじゃない。お前だ、血濡れ仔猫! お前がもたらしたものなんだ!」 その瞬間、雅の抱きしめている少女の体が光る。血塗れ仔猫は打ち砕いたはずの美玖の頭部が復活しているのを目撃し、赤い目を大きく開いた。雅は彼女に辱められた彼女の魂を、「治癒」させてみせたのだ。 魂を血塗れ仔猫に束縛され、安らかな眠りに付くことも許されない不幸な少女。青紫の唇を見ると、ますます雅は怒りに燃え上がった。 「みきさんが戦おうとしないのなら・・・・・・僕が戦う。僕が血塗れ仔猫を倒してやる!」 雅は腰にぶら下げてあった武器を取り出した。みきはその緑色の短剣を目にしたとたん、驚いてこう言う。「それは、姉さんのグラディウス・・・・・・」 「うふ、うふふふ。戦闘員でも何でもないただのヒーラーが、私を倒すですって? 泰利とか亜由美とか、ここにいる異能者の魂よりもずっと弱いあなたが、随分と高く出たねえ!」 血濡れ仔猫は黒い鞭を具現させ、その手に握る。彼女がばしんと地面を叩いたとき、場面が変わった。 そこは、双葉学園・高等部のグラウンドであった。三年前、血塗れ仔猫が誕生した場所だ。彼女によって支配されているこの世界は色彩が一切なく、校舎も、グラウンドも、青であるはずの空も、すべてが灰色に侵されていた。島特有の潮風も、まったく感じられない。 「返り討ちにしてやる。あなたもこの世界に閉じ込めてやる。さあ、かかっておいで? 遠藤雅!」 鞭を両手でぴんと張り、血塗れ仔猫はその赤い瞳を紅に輝かせた。 心のうちに湧いた悪しき存在は、自分で打ち破るしかない。 立浪みきが表舞台に復帰するには、自分で黒の分身である血濡れ仔猫を倒すことが条件となる。しかし、彼女は度重なる「調教」によって弱り果ててしまい、まったく立ち向かう気力というものがなかった。はちきれんばかりの悲しみや苦しみが現実世界の本体に表れることはあっても、こうして戦う意志がないのでは彼女は永遠に黒装束のままである。 「遅い!」 「ぐあっ・・・・・・」 血濡れ仔猫に正面から向かっていった雅は、鞭で頬を打たれて横に倒れた。追い討ちの一発が、背中に叩きつけられ、痛々しい悲鳴が上がった。 「どうせ勝てっこない・・・・・・。私はどうせ『ラルヴァ』なのだから、あの子の言う宿命に飲み込まれてそのむなしい一生を終えるはずなのに・・・・・・」 と、みきは憔悴しきった表情でぼんやりと雅を眺めている。黒い自分にいたぶられている雅を眺めている。 黒い鞭の先っぽが彼の背中目掛けて降り注いだとき、みきはたまらず両手で目を覆った。 ごすっと鈍い音がして、雅は血反吐を飛ばす。それを見た血濡れ仔猫が楽しそうにこう言った。 「あなた、とっても体が頑丈なのね。一般人だったら背中に穴が開いてたところだよ。まあ、無力だからといって治癒能力者が簡単に死んじゃったらつまらないし、ねえ?」 「お前の攻撃なんて、全然痛くもかゆくもない。まだ、子どものころ親父に折檻されてたときのほうが、痛くて辛くて苦しくて明日への希望が見えなくて、死んじゃいそうだった」 「打たれ強いってのは、ある意味悲劇的なものなんだよ? 別に私はいいんだよ? あなたが動けなくなるまで、永遠に遊びに付き合ってあげても!」 雅の背中に、もう一度重い塊が叩きつけられた。血塗れ仔猫は右手を存分に上下に振り、けたたましい笑い声を上げながら雅の背中を何度も鞭で叩いて虐めぬいた。 「こう? こう? お父さんにやられた折檻って! やだこれ、とっても楽しい! いい歳した男の人が可愛い悲鳴あげてるのって! 何回でも叩きたくなっちゃう! 虐めたくなっちゃう! あはは、両目に涙なんか溜めちゃってえ! 本当は痛いんでしょ? ねえねえ!」 「全然、わかってねーな。本当の痛みっていうのは体だけじゃないんだ。もっともっと繊細で、大切なところにも、拭えない傷が走るっていくってことなんだよ・・・・・・うっ・・・・・・」 衣服がところどころ千切れて、擦り傷の滲んでいる雅の体を鞭が拾い上げた。精神世界に配置された双葉学園の校舎に向かって、彼女はそのまま彼の体を乱暴に投げつけた。 雅は頭からコンクリートの壁に激突し、そのまま廊下に突っ込んでしまう。血塗れ仔猫は鮮血を連想させる赤い瞳を校舎に向けると、雅に向けてこんなことを語り始めた。 「立浪みかとの戦いを思い出すなあ。なんであんなことになったんだっけ。・・・・・・そうだ、与田光一だ。あの男が余計なことをして、そこにいる弱虫の情緒が著しく不安定になり、私の登場を許してしまったんだっけね」 がらがらとコンクリートの山が崩れ、うっすらと砂埃が舞い上がる。雅は肩で息をしながらも辛うじて立ち上がり、グラウンドに帰ってくる。亡き長女の使っていたグラディウスを握り直した。 「人間ってバカだよねえ。特に与田の行為は誰が得するのって話だよ。普段ラルヴァに恨みを持ってる生徒だってね、ほっとけば恐らく余計な行動に出ることはなかったんだよ? 彼らの負の感情を煽り立ててマイクを殺害させて、『ラルヴァは全て殲滅すべき』と理論を飛躍させたあの子のほうが、私なんかよりもよっぽど有害なんじゃなくて? ラルヴァはそのほとんどが己の役割に忠実なだけ。特に私なんかは人間を虐めて殺して、惨たらしく真っ赤に染め上げるのが楽しくて仕方ないから、夏の夜に現れただけの話。人間たちがどうのとかこうのとか、まったくどうでもいいことなの。 それなのに、人間は異能者とラルヴァと線引きをして、白か黒か決めたがる。殲滅だの共存だの主張する。とっても意味の無い行動だよ。どっちも見当違いの正義感だよ。呆れるぐらい無駄な茶番劇だったよ、三年前のアレは」 彼女の話にまったく耳を傾けず、短剣を向けて走ってきた雅を鞭で横に張り倒した。転倒してしばらく動けない彼に、血塗れ仔猫はなおも話を続ける。 「バカなのはあなたも同じだよ、遠藤雅。私を倒すのはあの子しかできないのに、あなたは何をやっているの? 何がしたいの? ふふふ、自分から進んで私に虐められたいというのなら、納得がいくんだけどね!」 両手を地面について、立ち上がろうとしていた雅の後頭部に、容赦なく鞭が叩き込まれる。雅は顔面からグラウンドに激突して、辺りに大きな砂煙が立ち込めた。 「戦闘能力を持たないあなたがこの血濡れ仔猫を倒そうだなんて、笑止千万、無理な話。だいいち、あなたがそうして必死になって血だらけになっても、ああして立浪みきはがくがく私に怯えて、立ち向かってこないんだよ? 本当、骨折り損ってこういうことなんだよねえー!」 グラディウスを握っている右腕に鞭が巻かれる。血塗れ仔猫の瞳が瞬いて魂源力が開放されると、締め上げられた右肘がぼきっと乾いた音を立てて折れてしまった。 アツィルト・ワールドに響き渡った絶叫を、みきは涙ぐみながら聞いていた。あの人はこんな弱虫な自分のために、あんなに戦ってくれている。・・・・・・違う。弱虫な自分が戦おうとしないから、あの人はどうしても戦わざるを得ないのだ。自分なんかを救い出すために。 「あなたの考える正義って何? 『治癒』って何? こうして立浪みきの心の中にまでしゃしゃり出てきて、私にいたぶられること? それがあなたの生来的な役割なの? 馬鹿馬鹿しい! どうせ立浪みきはこれから醒徒会によって始末されてしまう『ラルヴァ』なのに、今更救い出せるわけがないんだよ!」 左手に短剣を握りなおしたとき。雅はくるくると黒い鞭に絡みつかれて、また遠くへと投げ飛ばされてしまった。大きく放られた彼は放物線を描き、へたりこんで動けないみきのところへと落下する。 グラディウスが手から離れる。みきの前にからからと転がる。タフな体を持つ雅でも、そろそろ体力の限界を迎えつつあった。 「双葉学園生は子供らしく、自分の異能で遊んでいればいいの。無駄な大声立てずに、おとなしく適当に青春して、適当に有害ラルヴァを倒して過ごしていることだね」 満足いくまで語り倒した血塗れ仔猫はけたけたと不気味な笑い声を、地に突っ伏す雅に浴びせつけたのであった。 「マサさん。もうやめてください・・・・・・」と、みきが泣きながら言う。「私があの子の言うとおりにしていればいいんです。何もマサさんまで犠牲になることはないんです。今ならまだ機嫌がいいようですから、間に合います。この世界から逃げてください。・・・・・・あなたとみくちゃと醒徒会に倒されるのなら、私は本望です」 雅はきっと彼女をにらみつけた。みきはびくっと震えて、彼から目を逸らす。 「本当に、みくがそんなことを望んでいるというのか・・・・・・?」 「・・・・・・あうう」 「みくはな、君や死んだ姉さんのぶんも活躍しようと今日まで頑張り続けてきたんだ。一人ぼっちで食事を取って、一人ぼっちで眠って、一人ぼっちで戦ってきたんだ。確かにあいつは君と戦って、君を止める決心をつけていた」 雅は片膝をついた。まだ戦うつもりなのだ。みきが「ダメ、死んじゃう。やめて」と制止する。 「だけど僕にはわかる。そんなのはみくの本音じゃない。あの子の本当の願いは、君がみくのところへ帰ってくることなんだ。本当は君に帰ってきてほしい気持ちでいっぱいなんだよ! 行方不明になった君と再会するために、みくは今日まで一人で強くなってきたんだ。そんな妹の気持ちを君がわかってやれなくてどうするんだよ!」 「あうう・・・・・・無理だよ・・・・・・私はもうみくちゃに会う顔がないんだよ・・・・・・。私はあの子に操られていたとはいえ、七人の命を奪ってしまった。私はもう有害な『ラルヴァ』なのだからその存在は許されない。表には出られない。学園に帰ることも、家に帰ることもかなわない。もうどうしようもないんだよ・・・・・・」 と、みきは乾いたグラウンドの砂地にいくつも涙を零しながら言った。雅の顔を見上げてから、覇気なくこう言った。 「島のみんな・・・・・・ごめんなさい。学校のみんな・・・・・・ごめんなさい。姉さん、みくちゃ、ごめんなさい・・・・・・。そして、私が殺めてしまった善良な七人のみんな・・・・・・。本当に、本当にごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・・・・! 私は有害なラルヴァなのだから、これからどんな罰でも受けます。そうすることしか私が罪を償う方法は無いんです・・・・・・」 「もう喋るんじゃねえ、この泣き虫があ!」 頭に来た雅は、左手の甲でみきを張り倒してしまった。みきは地面に顔をうずめて、わあっと大きな泣き声をこの寂しい世界に響かせた。 「君はどうしてあんなのに自分を乗っ取られた? 学園で大きな事件を起こした? そして七人の学生を殺してしまった? すべて君が弱いからじゃないか! どうして自分の中の悪い存在に打ち勝とうとしなかった! 君の事を助けてくれる仲間も姉さんもいたのに、何で今もこうしてあいつなんかに屈してるんだよ! 君がそんなんだから、あいつに付け入られるんだってことが、どうしてわからないんだよ!」 雅は忍耐と努力の人間である。愛する母親と生き別れ、生きた心地のしなかった実家暮らしを、音を上げることなく耐え抜いた。また、一人ぼっちの夏休みを全部修行や訓練につぎ込み、もう二度と悲しい思いをすることがないよう、強くなることを目指してきた。 そんな彼がみきに対し、体を張ってでも伝えなければいけないこと。それは「どんなに辛くても戦っていくこと」であった。 泣いてばかりのみきの顔を、左手で強引に自分に向ける。潤んだオッドアイはまともに雅を直視できず、ぶるぶると揺れ動いている。 「戦え。本当は辛いんだろう? こんなのイヤなんだろう? なら、戦うんだ! あんな極悪非道な存在を君が倒してこそ、この事件は終わりを迎えることができるんだ。君はそうすることで罪を償うことが、正解なんだ!」 「私は表舞台に帰ることができるんでしょうか。こうなってしまった後もみんなのいる学校へ、帰ることはできるのでしょうか。みくちゃのもとへ帰ることはできるのでしょうか。とても自信がないです。三年前のことを思うと、なおさらみんなのところに帰ることに抵抗があります・・・・・・」 「大丈夫」と、雅は言う。「今の君にはみくがいるし、僕もいる。それにあの子は星空にこんな願い事をしていたから、それはきっと叶うはず・・・・・・!」 雅はズボンのポケットに左手を入れてまさぐった。そして出てきたオレンジ色の長い紙を、みきに手渡す。 「ねえ、みきさん。みくのお姉さん。この子の気持ちを考えてあげて。ずっと君の帰りを待って一人で頑張ってきた、みくの寂しい気持ち・・・・・・うわあっ・・・・・・」 雅の首元に、背後から黒いロープがくるくる巻かれる。後ろに引っ張り上げられた雅は、空中で首をぎりぎり締め上げられた。とっさに左手で握っていないと危なかった。 「何を言っても無駄なんだよ、遠藤雅。この子の精神的な弱さや不安定さは、筋金入りだから。そんなんだから、立浪みかが起こさなかった血の暴走――つまりは私の発生を許しちゃうんだよ」 「ぐ・・・・・・ぐぐっ・・・・・・!」 「ほんと、立浪みきほど弱っちい子は他にはいないよ。だって、せっかく一度は元にもどったのに、あの子なんて言ったと思う? 『宿命が怖いから殺してください』だよ? 姉も仲間もいるっていうのに、元に戻っちゃえば私の言う宿命なんてどうとでもなったかもしれないのに、とんでもない弱虫だよ! みかはさぞかしショックだっただろうねえ?」 みきは黒い自分にひどく馬鹿にされ、うつむいてしまう。唇を噛んで下を向いた。 それから、雅から受け取ったオレンジの紙を見たとき。彼女の目がはっと開いたのである。 『行方不明のお姉ちゃんと、また一緒に暮らせますように。 そして、大好きなマサと一緒にいつまでも戦っていけますように!』 みきは思い出す。みかとみくと初夏の山に入って、色のいい笹を選んでいたあの日々を。三人で七夕を楽しんできたあの日々を。自分たちが表舞台から姿を消した後、あの子は一人で、どんな七夕を迎えていたことだろう? マサというのはあの人のことだろう。こうしてめそめそ泣いている自分に代わり、利き腕を折られても戦い続けているとても強い人。自分なんかと違って逆境にとても強い人。・・・・・・なるほど、そうか。みくちゃはあの人をパートナーに選んだんだ。 「残念だったねえ、遠藤雅。こんな世界まで来ていただいて、何も達成できるものがないなんて。でも安心して? 私はあなたのことが気に入ったから、この世界に閉じ込めてあげるよ。つまり私の八人目の人形になるってわけ。光栄でしょ? これから私のオモチャになって、体に穴を空けられたり、四肢をちぎられたり、頭の中をかき混ぜて脳髄とかぶちまけられたりするんだから! 現実世界でそのことをあの立浪みくに教えてあげたら、あの子どうなっちゃうんだろうね! 気が狂って、私みたいに真っ黒になっちゃうのかな? あは、あはははははははははははははは!」 みくは小さい頃、毎日のように家で泣いていた。気の強い末っ子はいつもみかに叱られて、半ば怒りながら泣いていた。三年前だってそうだ。それは、みかとみきが連日与田の研究に付き合って、一人ぼっちにして寂しがらせていたから。 そして、現在。一人前の猫の戦士となったみくは自分を救うために、覚悟を決めて戦いに出ている。本当にあの子は強くなった。それに比べて、この世界でずっと泣いて過ごしている自分の、何という弱さ・・・・・・! 「みくちゃ・・・・・・ごめんね・・・・・・」 立浪みきはゆっくり立ち上がる。右腕を真っ直ぐ横に伸ばすと、閉じている目から涙が一粒、零れ落ちた。 血濡れ仔猫は異変に気づいた。無音・無風の世界で不意に訪れた、爽やかな横風。涙粒は真横に流れていき、みきの指先からぱらっと弾けとんだ。 その瞬間、みきの右手からコバルトに輝くロープが現れた。そよ風に乗ってゆらゆら揺れる青い鞭を目にした血濡れ仔猫は、雅をぱっと放してそちらのほうを向く。 「・・・・・・どういうつもりなのかなあ? 私と一緒にこの世界で暮らしていくんじゃなかったのかなあ? それともまだ、調教が足りなかったあ?」 「もう・・・・・・終わりにする。こんな悲しい物語を、世界を、全部終わりにする。そのためにもあなたの存在は許されない。私があなたを止めてあげる」 「ここに来て私に歯向かうわけだね・・・・・・? 無駄なことを! 悪いけど、私は弱虫なあんたなんかには負けないよ? あんたみたいな死にたがりの――」 そのとき、みきの鞭がズドンと校庭を叩き、大きな穴を開けた。驚いた血塗れ仔猫の顔を、みきが毅然と睨み上げる。もう涙は流れ出ない。色彩を失っていた世界に明かりが差す。澄み渡った青空と真っ白な校舎が浮き上がり、オッドアイが美しい輝きを取り戻す。 「私はみくちゃのところに帰る。もうおしまいだよ、黒い私。私はやっぱり『ラルヴァ』じゃなくて『異能者』でありたい。たとえ与田や他の人に何を言われても、本当の私はそうでありたいの。だから、決着をつけましょう。――私はあなたなんかに、負けないから」 白い猫耳が、白い尻尾が露になる。たくさんの人たちを魅了した猫耳の戦士が、今この場において復活を遂げたのであった。 雅は初めて、血塗れ仔猫の不愉快そうな顔を見た。彼女は舌打ちを一つすると鞭を握りなおし、みきと対峙した。 白と黒の同一人物が鞭を交える。立浪みきは自分を乗り越えるため、ついに戦う決心をつけたのであった。 みきは血塗れ仔猫に向かって鞭を飛ばす。黒ずくめのみきは、それを見てから不敵に微笑むと、軽々と黒い鞭を操ってそれを打ち落としてしまった。 「何、そのひょろひょろとした鞭。そんなんじゃ私に勝つのは難しいと思うよ?」 今度は彼女がみきに向かって、鞭の先端を射出する。みきは少し遅れて後ろに飛び、その一撃を回避する。みきのいたところが血塗れ仔猫の攻撃によって陥没し、砂埃が空高く舞い上がった。 みきが着地したとき、壁となった砂埃を貫通して再び黒い鞭が飛んできた。みきは横に飛んでそれを避けると、横に転がりながら血塗れ仔猫に向かって鞭を飛ばす。 「うっ?」 青い鞭が血塗れ仔猫の足を払った。顔面から転倒した彼女は無言で、頬に砂利がついたのを手にとって確かめると、ぎりっと牙をむき出しにして般若の形相を見せた。 「よくもやったなあああああああああ!」 血濡れ仔猫は直進して距離を詰め、みきのロープを避けながら彼女の胸倉をつかみ、頬を打った。何度も何度も打ちのめした。 たまらずみきは遠くに青い鞭を飛ばす。先端部分が地面に埋め込まれたのを確認すると、鞭を一気に縮めて後ろに飛び上がり、血塗れ仔猫から大きく距離をとった。 二人の間に距離ができた瞬間――みきと血塗れ仔猫が、鞭を手にとって前に飛ばしたのは――同時のタイミングであった。 先端部分が正面衝突し、ばちんとものすごい音が上がる。互いの鞭ははじけ飛び、空中でたわんだ。二人の鞭使いは鞭を縮めて手元に戻すと、即座にもう一度相手目掛けて鞭を射出する。 ほぼ互角の遠距離戦。しかし、だんだんとみきの反応が遅れて血塗れ仔猫に押されていくのを、雅は眺めていた。 「あははっ。衰えたねえ、立浪みき。猫は反射神経が生命線なのに、まるで人間並みの遅さじゃない。ま、当然だよね。あなたはこんな世界で私と一緒に、ずっと惰眠をむさぼってきたんだからねえ!」 飛んできたみきの青い鞭を、なんと血塗れ仔猫は片手でキャッチしてみせた。それを見たみきは愕然としてしまう。 そのまま血塗れ仔猫は鞭を振った。彼女はみきの胸元を、袈裟懸けにするようにして鞭でえぐってしまう。みきは血液をばっと噴き上げると片方の膝を着き、青い鞭も消失してしまった。 「残念だったね。これが現実なんだよ」 と血塗れ仔猫が目を細め、悪質な笑顔を見せつけながらみきに近づいていく。 しかし、みきは片目を瞑って苦しそうにしながら、血塗れ仔猫を見上げてこう言ってみせた。 「私は負けないよ」と、傷を押さえながらみきは立った。「私が弱っちくて何度も何度もあなたに屈してきたから、今の悲劇はある。私が現実から目を背け続けていたせいで、三年前の事件も、この夏の殺人事件も起こってしまった。だから、絶対に、絶対にあなたなんかに負けたくない!」 「一度元に戻っても死のうとしたくせに、何を強がってんだか。悪いけど、私はあなたみたいな弱い性格の自分には負けないよ。あんたみたいな繊細な女の子に負けるような血濡れ仔猫じゃないの。ふふふ」 血濡れ仔猫は黒い鞭を手繰り寄せ、構えを見せた。負傷したみきに本気の一発を叩き込むつもりだ。みきはオッドアイを瞬かせて青い鞭を手に持ったが、傷の痛みが強すぎるあまりなかなか集中することができない。次の攻撃をしっかり防御できるかどうかは、非常に心もとなかった。 「無駄、無駄。あなたは立浪みき。三年前に暴走を起こして学園を恐怖に陥れた猫のバケモノ。この夏、島中を恐怖に陥れた恐怖の血塗れ仔猫。無駄な抵抗はもうやめて、大人しく私と一緒に宿命を受け入れなさい? その方があなたのためなんだよ? ふふ、ふふふふふ、あははははっ!」 そのとき、血塗れ仔猫の邪悪な笑顔が何者かの拳によってひしゃげた。 トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/917.html
ラノで読む 完全版をラノで読む A.D.2019.7.11 13 10 東京都 双葉学園 第八封鎖地区 特別矯正施設「地獄門」 束司文乃は走っていた。 否、逃げていた。 風紀委員たるもの、学園の風紀を乱す敵を前にして逃げるなど言語道断である。 だがそれも――時と場合による。 だから今は走らねばならない。 逃げて、そして伝えなければ全てが手遅れになる。 誰でもいい。とにかく伝えなければならない。 掴んだ秘密。 知ってしまった真実。 時逆零次の目的―― 現在も過去も未来も、全て纏めて―― この二十年間を抹消する。 この事実を、なんとしてでも伝えなければならない。 「……っ」 走りながら後ろを振り返る。 追っ手の数は……数えるのをやめた。何十人規模だ。 どいつもこいつも画一的な個性のない姿で追ってきている。 まるで、玩具の兵隊だ、と文乃は思う。双葉学園の風紀委員会はもっと個性に溢れている。それゆえに色々と大変ではあるが。 「……?」 ふと、文乃は違和感を感じる。 敵は統制がとれている。とれすぎている。いやこれはこの際どうでもいい。 先ほどからの攻撃が、鎮圧用のゴム弾丸なのも理解できる。風紀委員は警察でも軍隊でもない、殺傷を目的としていないからだ。 だが、異能の攻撃が一度たりとも飛んでこない。 異能者ではない? ……それも確かにありうる。双葉学園ですら、風紀委員は異能者のみで構成された組織ではない。 風紀を守る、というのは単純な力のみで行われるものではない。逆をいえば、異能の力がなくとも風紀委員に相応しいものは沢山いる。それを考えれば、彼らに普通の人間がいてもおかしくない。 だが、それでも……文乃は思い出す。あれは正しくは風紀委員ではない。時逆零次の息のかかった、私設組織だ。 現に見たのだ。三人の部隊長。 アリギエーリ。 抑制能力者。相手の能力を縛り、限定する。 その力で永劫機メフィストフェレスの時間停止以外の全てを封じ込めた。 ベアトリーチェ。 観測能力者。 その力で別次元のメフィストフェレスの座標すら特定した。 ウェルギリウス。 転移能力者。 その力でメフィストフェレスを強制転移させ無力化した。 その力、その連携は恐ろしいものだった。まるで機械のように無駄がなく淀みなく、時坂祥吾を……永劫機メフィストフェレスを打倒した。 そんな彼らが、異能者の部隊を擁していないはずがない。 あるいは、たった一人の邪魔者程度に異能者を出す必要がないと思われている? もしそうならばそれは好機である。その油断、いや傲慢に付け込んで逃走を完遂すればいいだけの事だ。 そして文乃は走る。 「!」 道を曲がったその時、眼前に白い制服、D.A.N.T.E.のメンバー達が四人待ち構えていた。 先回りされていた! 彼らは銃を構えている。それはいい。だが、その銃を見て、文乃は凍りつく。 あれは、鎮圧用のゴム銃などではない――ただの、ただのガトリングガンだ。 殺傷のみを目的とした、銃器としてどうしょうもなく正しい姿! 「っ――!」 身の危険を感じ、メモ帳を取り出す。 文章具現化の異能を発現させ、身を守る。 だが一瞬遅い。 銃口から弾丸が解き放たれる。 間に合わない。 それを悟り、身体が硬直する。 だが、次の瞬間……幾つもの光が奔る。 否、それは光ではない。光を反射する幾つもの線――糸だ。 飛んでくる弾丸よりもなお速い糸が、次々と弾丸を寸断する。 その斬糸により、弾丸は文乃に届くことなく地面に、あるいは壁に叩きつけられた。 「この糸……まさか」 文乃は思い当たる。 同じ風紀委員に、確か糸を使うものがいた。正確には糸ではなく、糸を使って人形を…… そして糸はさらに閃き、四人のD.A.N.T.E.のメンバーを拘束する。 「どうやら、間に合ったようですね」 「リーリエさん……!」 その糸の主が姿を現す。 長身の男性……に抱えられた人形だ。 「あと、篠崎さん」 「ついでらしいわね、総司。まあついでだけど」 自分の人形からもついで呼ばわりされる篠崎総司だった。 「……」 文乃には、いまだにその人形が、単なる腹話術の人形なのか、それとも意思を持って動くリビングドールなのか判別がつかないでいた。 ただの人形愛好癖の変態なのか、それとも…… だがまあ、今この場でそれはまさにどうでもいいことであった。 そんな常日頃の疑問を晴らす前に 「リーリエさん、篠崎さん、状況は――」 だが、その文乃の言葉をリーリエは止める。 「来ます」 「!」 D.A.N.T.E.のメンバーがさらに追ってくる。 リーリエは言う。 「ここは任せてください。貴女は貴女の仕事を。貴女が知っていることがあり、伝えなければならないことがあるなら―― 私達の仕事はそれをサポートすることです」 「……はい」 頷き、そして文乃は走り出す。 振り返りはしない。使命に殉ずる覚悟を文乃はとっくに決めている、それと同じく……彼女達もまたそうなのだ。 風紀委員の腕章を腕に通した、その時から、 「さて――」 リーリエが笑う。 「どれだけ、持ちこたえられるでしょうね、私達」 リーリエの前に、何十人ものD.A.N.T.E.メンバーが、まるで波のように現れる。 そして―― 「く……っ、こちらにも……!」 リーリエは実によくやってくれているだろう。 文乃は、彼女達の働きを、実力を正しく理解している。 だからこれは、仕方のないことだった。 別の方向から現れたD.A.N.T.E.のメンバー達、かれらの出現はリーリエとは関係ない。 だから、彼女が行ったように、自分が自分の力で、自分の責務でここを潜り抜けねばならない。 あと一歩だ。 あと一歩で……! 文乃は単語帳を開く。そしてそのページを、そこの文章を具現化する。 「“落とし穴が開く”!」 落ちる。だが―― 「!?」 落ちていくメンバーを踏み台にして飛んでくる。 その一糸乱れぬ、機械の様な動きに、文乃は恐れを懐く。 心が折れる。 勝てない。アレらには勝てない。 そして、心が折れれば体も折れる。 駄目だ、それでも諦めるわけにはいかない、と、彼女の使命感は叫ぶ。 風紀委員としての矜持。 心折れ、体折れてもなお、それだけが彼女を支える。 そう、負けるわけにはいかない。例え勝てなくても、それでも負けられないのだ。 膝が折れる。 だめだ、体が言うことを利かない。 体勢を崩した今、敵の一斉攻撃が来るだろう。 文乃は目をとじ、歯を食いしばりその攻撃に耐えようとする。 目を閉ざすのは逃避ではない。 耐え、そして次に繋ぐためだ。 そして―― 衝撃はこなかった。 体も地面に倒れない。 抱き止められている。そんな感覚があった。 「――?」 文乃は目を開ける。 攻撃は来ない、苦痛も無い。では自分は死んだのだろうか? 否。生きている。 ――そこには、凄惨な光景があった。 串刺しにされている。 地面から伸びた、闇に沈んだ黄金の枝が、国際風紀委員達を串刺しにしている。 それは、モズのはやにえ――あるいは、ワラキアの串刺し公か。 その凄惨な光景にもかかわらず現実感が薄いのは…… 彼らから、血が一滴も出ていないことだった。 それもそのはず。 彼らを串刺した傷口に見えるのは、肉ではなく鋼。血ではなくオイル。 機械のようだと評したが、あれらはまさしく――機械仕掛けの人間(チクタクマン)だった。 「大丈夫か」 惨劇の主が、言う。 少年だった。 「え……」 左半身は普通の少年だ。だが、右半身は違っていた。 金の髪に金の瞳。頬や肌に刻まれた、葉脈のように脈打つ黒い痣。 そして、右腕を覆う装甲。一見すると木製の鎧のようにも見える。 その右手に掴まれた長剣が、地面に突き立てられ……そこから根が伸び、D.A.N.T.E.メンバー達を貫いていた。 全員ではない。まだ生き残って――否、その表現は正しくないのだが。彼らは最初から生きてはいないのだから――いる者たちも多い。 それらを前にして、少年は言う。 「あの人形愛好癖野郎から一応聞いてる。助けろ、ってな。 だから此処は俺が引き受ける。あんたは先に進め」 「……」 人形愛好癖、とは篠崎の事か。つまりは、信用していいのだろうか? いや、信用するしかないのだ。 「あなたは……」 文乃は聞く。何者だ、と。 それに対して少年は、剣を抜き、そして構えながら言った。 「――寓話騎士。戒堂絆那」 時計仕掛けのメフィストフェレス THE MOVIE LOST TWENTY ――La Divina Commedia―― パライソ 最終回【天国篇】 A.D.2019.7.11 13 10 東京都 双葉学園 貧民街 野鳥研究会秘密基地三号 時坂祥吾は、目を覚ます。 ――まず想ったのは、天井が汚いということだった。 染みとかが、ひどい。いかにもなあばら家、貧乏屋敷といった風情の板張りの天井だった。 「……」 体が、重い。 疲労がかなり溜まっているのがわかる。 体を動かそうとして……断念する。 「ここ、は……」 記憶があやふやだ。 頭が痛い。 自分は、確か…… 「ふむ、起きたか? 病み上がりで急に動こうとするなよ」 そう声がして、ドアが軋んだ音をたてて開く。 そこからでてきたのは…… 「あんたは……」 祥吾は、その姿を見たことがあった。 蛇蝎兇次郎。 ただし……割烹着姿だった。 ギラついた野心に満ちた瞳に長身痩躯。なのに異様に似合っていた。しっくり来ていた。 「えーと……」 その姿に、度肝を抜かれたというか、拍子抜けしたというか。 「貴様とは、一度確か会っていたな?」 ぐつぐつと煮えたぎる小さめの土鍋を、猫の刺繍がされた鍋つかみで掴み、足でドアをおしのけながら、蛇蝎は言う。 「確か、そう……銀行だ」 「覚えているのか」 祥吾は正直驚いた。 あの時は、祥吾はほとんど、というか完璧に何もしなかった。ただの脇役、書割も同然だったのだが。 「ああ、覚えているぞ。邪魔をしてしまったようだが、な。あの時は」 「……」 それは違う。あの時、祥吾は動けなかった。 「まあ、これも奇縁という奴だ、と」 蛇蝎は祥吾の寝ている簡素なベッドまで歩き、テーブルに土鍋を置く。 「それは」 「粥だ」 問う祥吾に、不遜に答える蛇蝎。 「正しくは雑炊で、我輩らの昼食の余りモノだがな? 怪我人にはそっちのほうがよかろう。 ほれ、あーんしろあーん」 「いや待てちょっと待て! 何このシチュ!」 蛇蝎兇次郎が、雑炊をレンゲにいれて差し出してきている。 「……なんだ、まさか貴様、我輩にふーふーしろとでも言うつもりか……?」 「言いません! 断じて!」 全力で首を横に振る祥吾。 想像しただけでおぞましい絵ヅラだった。 「……そうか」 心なしか残念そうに見えたのは、気のせいだと心から思いたい。 「なら食えるな? ちゃんと食っておけ。 生憎と貴様一人にかかずらっていられるほど我輩は暇を持余してはおらんからな」 「あ、ああ……いや、それよりも」 祥吾が食い下がろうとするが、 「今は黙ってメシを食え。それが怪我人の仕事だ」 と、蛇蝎は有無を言わせぬ強い言葉で釘を刺す。その迫力に、祥吾は黙るしかない。 蛇蝎はそれを満足そうに見下ろした後、ドアから出て行った。 そして、壁の向こうで盛大にこけた音がした。 「!?」 祥吾がその音に驚いていると、 「こらぁお子様どもが! 罠を廊下にしかけるなとあれほど言っただろうがぁ!」 「わーい引っかかった逃げろぉーぃ!」 そう蛇蝎の叫び声と、子供たちの笑い声が聞こえた。 後に、食器を取りに来た工克巳から聞かされたことであるが、ここは貧民街にある孤児院との事だった。 蛇蝎とその一派が根城にしている……といえば聞こえはいいが、傍目にはむしろ蛇蝎たちが孤児院の手伝いをしている、というふうにしか見えなかった。 そしてつくづく、蛇蝎兇次郎は割烹着姿が不自然に似合っていた。 閑話休題。 一時間もすれば、祥吾の身体は快復していた。元々、たいした傷を負っていたわけでなく、疲労が溜まっていただけのようだった。 肉体的にも、そして……精神的にも。 胃袋に食べ物を入れて落ち着けば、物事を考える余裕も出てくる。 そして思い出す。 あの一連の出来事を、反芻する。 背負った罪と、喪った物を。 「なぜ、俺は……」 生きている。何故だ……そう祥吾は自問する。 「なんだ、あのまま野垂れ死にしたほうがよかったのか?」 「蛇蝎……先輩」 いつの間にか、蛇蝎が立っていた。 にやにやと、倣岸な物言いで見下ろしてくる。だが、その態度も何故か不愉快にならない。 似合っているのだ、割烹着姿と同じく。 彼には自信がある。確固たる自我がある。 自らを信じ、揺ぎ無い強い意志で押し通す。我を通して後など振り向かない、そんな強さが滲み出ている。だから、どんな態度も、見るものに不快感を与えることは無い……しいて言えば、王者の貫禄、というべきか。 まあ、それだけではなく、普段――先ほどの割烹着姿であたふたする三枚目姿など――があるから、そのギャップで傲慢な印象が薄れる、というのも多分にあるのだうが。 「……どうでしょうね。正直、どっちかわからない」 「ふむ?」 「……俺は、」 「どうでもいい」 祥吾の台詞を、蛇蝎は止める。 「どうでもいいわ、貴様の事情など。それとも何か、同情が欲しかったのか?」 「そうじゃ……ないけど」 同情してもらった所で、確かに意味は無い。 「なら結構。結構だ。ふん、そこまで落ちぶれたという訳ではないようだな? ああ、貴様の事情など我輩は知ったことではない。貴様が何と戦い、何に挫折したかなど何の興味も無い。 我輩が興味があるのは、そうだな……それでもまだ貴様が戦うつもりかどうか、だ」 「戦う……?」 それは、 何とだろうか。 何と戦えというのか。 何のために戦えというのか。 時坂祥吾は世界を滅ぼす。 未来の時坂祥吾(じぶん)を名乗るあの男、時逆零次はそれを防ぐ為に動いている。 そして零次の言葉は正しい。全くもって正しすぎる。 滅びる世界の運命を覆す、これ以上の正義が何処にある。 世界の全てを滅ぼす、これ以上の悪が何処にある。 そう、時坂祥吾は悪だ。そしてそれは――改めて言われなくても気づいていたのではないか。 やむをえない理由、事故、正当防衛――そう繕ったところで、どうしょうもなく事実は変えられない。 人を、殺したという事実。 他にやりようはなかったのか、吾妻を殺さず、妹達も救う、誰もが幸せになれるたったひとつの冴えたやり方があったのではないか? それに目をつぶり、のうのうと生きてきた。 時坂祥吾は――悪だ。 そして、世界の敵だ。 その事実を前に、何と戦えというのだろうか。 「――ふん、まあ昨日の今日だ。整理はつかんか」 そんな祥吾を見下ろして、蛇蝎はため息をひとつつき、苦笑する。 「なあ貴様。ここをどう思う?」 「ここ? ここって――」 「この貧民街(まち)だよ。双葉学園の外れ、スラム街。異能学園都市の栄光と繁栄からはじき出された除け者の街だ」 蛇蝎は顎をしゃくり、街を指す。 都市計画から外れた街。途中で放棄された建設途中のビル。トタンで作られたあばら屋。貧乏人、孤児たちの住む所。 話には聞いていた。不良達や、外から入り込んだ柄の悪い連中が巣食っているとも。 風紀委員と揉めに揉め、醒徒会の頭痛の種にもなっているとも。 だけど…… 「意外と、イメージと……違ったかな」 「ほう。どんなイメージを持っていたのだ?」 「……ごみため」 その言葉に、蛇蝎は笑う。 「はっ! 貴様案外と正直だな。で、実際には違った、と」 「うん。あの子供たちとか、活気あったし」 「あれはありすぎだ」 蛇蝎が露骨に顔をゆがめる。 「だが、ちゃんと生きている。ああ、別にここ以外が死んでいる、と言いたいわけではないがな? だが……何処も同じだ。みんな一生懸命生きている」 「……」 「今の貴様に足りぬのは、我輩の見立てでは、それだ。 何があったか知らぬし興味も無いが、貴様は生きる事を諦めている。だがさりとて死を選ぶというわけでもない。 中途半端で、何でもない。我輩はそんな者に興味はもてん。人は、一生懸命に生きるからこそ素晴らしいのだ。 ああ、だが今我輩が何を言ったところで、貴様に届かぬということも承知している。それはそうだ、持てるものが持たざるものに無責任に投げかける説教ほど心を打たぬ言葉もないわ。 だがそれでもあえて貴様に言うならば、そうだな、散歩でもしてじっくりと考えることだ、自分の足で、自分の頭でな」 「……」 そして、蛇蝎は踵を返す。 「時間はたっぷりと……あるかどうかは知らん。だが答えを出す暇ぐらいはあろう。 ああそうだ、受け取れ」 そして蛇蝎は小さな袋を投げよこした。 「これは?」 「三時のおやつだ。ああ、我輩が作ったんじゃないぞ、ここのお子様どもだ。 つらいときはあまいものをたべるといいよ、とな? ふん、馬鹿を言うな。この我輩のより美味いものはまだあのお子様どもには作れんわ」 笑いながら、蛇蝎は去る。祥吾がみた限り、その笑い顔には、いつもの倣岸さは見えなかった。 「……」 祥吾は包みを開く。 そこには、クッキーが入っていた。 「……ああ、それで」 蛇蝎が、嬉しさを噛み殺せないようなキモいニヤニヤ顔を隠せていなかった理由がわかった。 クッキーは、蛇蝎の顔だった。 「……なんか、思い出すな」 昔、妹と二人で両親にクッキーを作ったことがあった。 どうみても似てない両親をかたどったクッキー。 なぜかマントと剣をつけて、父親の困った顔が印象的だった。 きっとここの孤児院の子供たちにとって、蛇蝎は親か兄みたいな位置づけなのだろう。 「……行くか」 このままここでウジウジとしててもあまり意味は無い。 祥吾は、重い腰をあげ、孤児院から出た。 A.D.2019.7.11 14 30 東京都 双葉学園 貧民街 貧民街……と言うほどそこは酷くはなかった。 寂れた町ではある。いかにもな不良もいる。 だが、それでもどこにでもあるような街だった。 貧乏そうな子供たちが、汚いサッカーボールで遊んでいる。 無職の青年が、辛気臭い顔で川を眺めている。 そんなどこにでもある風景。 祥吾は、そこをただ歩く。 だが、ただ歩くだけだ。特に目的地も無い。蛇蝎に散歩しろと言われたからするだけだ。 確かに、ただ蹲っているよりはよほど健康的だろう。 だが、だからといって何になるというのか、という思いもある。 「答え、か……」 そんなもの、決まっている。 自分は悪で、世界の敵で。 だから……だからどうなる。 何も出来ない。してはいけない。自分が世界を滅ぼすなら、どうすればいい。 答えなんてない。最初から。 ならば…… 「逃げる、のもいい……か?」 そうだ。 逃げてしまえばいいんじゃないか? どうせ自分には何も変えられない。 このままでは世界を滅ぼす。 だが、それを回避しようと動く未来の自分がいる。 なら……今の自分にやるべきことなど何も無い。 仲間たちにも、もう会えない。自分がなにをやってきたか知られてしまった。彼らはもう、仲間と呼んではくれないだろう。 意味も理由も何も無い。なら、逃げてしまえばいいのではないか。 誰も知らない所へ。 誰もいない所へ。 そうしたところで――問題なんて、ない。 殺人者が逃亡者に落ち果てるだけ、どこにでもある、ただそれだけの話だ。 逃げてしまえばいい。 「いや、キミは――逃げられない」 祥吾の思考に、笑うような声が滑り込んできた。 「……!?」 祥吾は顔をあげる。 だが、誰もいない。 そう――誰もいない。 歩き続けているうちに、人気の無い場所に入り込んだのか、あるいは……人々が排除されたのか。 廃墟の町に、誰もいない。 だが、何かはいた。 「藤森……先輩?」 眼前に、陽炎のように、蜃気楼のように立つ、現実感の欠けた存在があった。 それは、一言で言えば道化師だった。 道化の衣装。 道化のマント。 道化の化粧。 道化の笑い。 どうしょうもなく滑稽で――そしてそれゆえに恐怖すら覚える、ピエロの姿。 その道化の顔は、知っていた。つい先日会った、上級生の顔。 だが、イメージがひどく違う。それはメイクや服のせいだけではない。 存在が、何かズレている――そんなイメージがある。 「やあ――」 道化が、澄んだ声で笑う。 仰々しくお辞儀をする。慇懃に、そして滑稽に。 「ボクはジョーカー。怪人ジョーカーと呼ばれている……」 「ジョー……カー?」 聞いたことがある。 それは双葉学園の一部で囁かれている都市伝説だ。 妹が話していたのを、祥吾は聞いていた。 現れて、人を殺す怪人の噂を。 悩み、葛藤、恋、憎悪、夢、友情、嘆き、悲しみ、欲求、不満。 それらを抱える双葉学園の少年少女たち。彼らが世界の終わりを望む時、怪人ジョーカーは現れる―― そんな、荒唐無稽な噂話を。 道化(ジョーカー)が、口を開く。 「ボクは、ボクの“敵”を倒しに来た」 「敵……?」 「そうだ。キミはこの世界を滅ぼす存在だ。ボクは世界の破壊者を倒すためにここにいる」 「――」 それは、つい先日、言われたばかりの言葉。 また、だ。 また言われた。お前は世界の敵だ、と。 その事実を。 「世界の……破壊者、だと……」 「そうだ。キミの力は、キミの運命は世界を滅ぼす。 たとえキミにその意思が無いとしても――運命が、因果律が、それを決定付けてしまっている。 それを回避するには――キミを、キミのその忌むべき“力”を殺すしかない」 そう言って、ジョーカーはナイフを取り出す。 禍々しくも美しい輝き。 太陽の光を照らし返す、銀色のナイフ。 ジョーカーの姿がかき消える。 一瞬で懐に。祥吾の懐に入る。 「っ――!」 一閃。 白刃が煌き、銀の軌跡を走らせる。 祥吾は上体を反らして、それを避ける。 体勢を崩し、倒れる祥吾。だが体を転がして、距離をとって起き上がる。 地面に転がっていた鉄パイプを拾い上げながら。 「っ、なにをいきなり――!」 「いきなりじゃないさ。キミも知っている、判っているはずだ」 「だからって!」 「だから、キミを排除する――それだけだ!」 駆けるジョーカー。 祥吾は鉄パイプでそれを受け止めようとする。 だが―― 「!?」 鉄パイプを、そのナイフはすり抜けた。 そして祥吾の胸に、刃が迫る。 「っ!」 だがその瞬間、祥吾は足を滑らせ、倒れる。 その上を白刃が通り過ぎ、祥吾の髪の毛が数本、宙に舞う。 「っ、とっ……!」 再び転がりながら、祥吾は距離をとる。危なかった。 (実体じゃ……ない) ナイフを凝視する。 あれはただの刃物ではない。 魂源力によって作られた、実体のない刃物だろう。 だから、鉄パイプをすり抜けた。 なら――武器での打ち合いはだめだ。 打つなら、相手の腕。それであのナイフを落とす事などはないだろうが、それでも防御にはなる。 そう考えて、祥吾は気づく。 自分は何をしようとしている。何故戦おうとしている? 必死にもがく。だが何故だ。 何故生きようとする? 醜い。見苦しい。 そうだ、この怪人の言うとおりだ。 ソレに何より、自分は昨日知ってしまったはずではないのか。 自分の罪深さを。 存在そのものが、罪であるということを。 そして――ついさっきまで自分は。 罪から逃げようとしていた。 ジョーカーが再び走る。 ナイフを振るう。 祥吾はただ反射的に。それを避け、あるいは受け止める。 だが、そのたびに自問する。 もう一度問う。 自分は何をしようとしている。何故戦おうとしている? 必死にもがく。だが何故だ。 何故生きようとする? なぜ、自分はこんなにも生き汚いのか。 それとも、まだやらなければならない何かがあるとでもいうつもりか。 そんなものはない。あるはずがない! 咎人(じぶん)にそのようなものは、あってはならない! ナイフが閃く。 祥吾の頬を掠める。 殺意が煌く。 祥吾の脇腹を掠める。 このままでは――確実に、その凶器はいずれ、祥吾の心臓を抉るだろう。 ああ、それもいいかもしれない。 だって、時坂祥吾は罪人であり―― その罪からも逃げ出そうとした、最も唾棄すべき罪悪ではないのか。 そして眼前のジョーカーは、断罪の刃である。 世界の破壊者に対し、排除すると宣言した。 つまり、殺すと。 その罪を、命で購えと。 それは絶対の正義で。 断罪者で。 懲罰者で。 執行者で。 世界を代弁する、復讐者だった。 そうか。 ならば、それもいい。 そして―― 祥吾の胸を、銀のナイフが、 貫いた。 血は出ない。 痛みも無い。 そのはずだ。 貫いたのは――胸ポケットにいれていた、クッキーの袋。 小麦色の欠片が飛び散る。 小さな音を立てて、地面に落ちる。 「――、」 それを見て。 祥吾は再び思い出す。 妹と一緒に、親のために作ったクッキー。 そう、妹だ。 ……祥吾の、生きる目的。 ずっと傍にいてくれた存在。 そして、連鎖するかのように浮かんでいく面影。 傍に。 傍にいた……誰か。 それは…… “貴方が望むなら、伴侶のように、召使のように、奴隷のように仕えましょう――” その言葉を、思い出す。 ああ、なぜ忘れていたのだろうか。何故今まで思い出さなかった? ――答えは簡単だ。 思い出せばつらいから、思い出せば苦しいから、だから逃げていた、ただそれだけだ。 そんな醜い我侭だ。 だけど。 思い出してしまった。 思い出させられて、しまった。 「――っ」 ジョーカーは、一歩後ろに下がり、憎憎しげに吐く。 「生き汚いね、流石だよ」 その言葉に、祥吾は地面に落ちた、砂にまみれたクッキーを拾い上げ、口に入れながら……言った。 「不味い……ああ、砂だらけだからな。本当は美味かったんだろうに……」 「……?」 「そうだな、まさに今の俺だ。一敗地にまみれ、泥だらけの砂だらけで、無様でどうしょうもない…… でも、このクッキー、食べられる。食べられるんだ、意味は失われてない。 ああ……だったら、俺だって……駄目だよな、自分の意味を、忘れちゃあ」 そして、立ち上がる。 立ち上がって、ジョーカーを見据える。 「ここで……やられるわけにはいかない。 そうなんだ……ああ、そうなんだろう。 それに……」 忘れていた事が、もうひとつある。 そうだ。 俺自身がどうであろうと、そんなことはどうでもいい。 託された思いがある。 そして――置き去りにしてきた、約束がある。 それは、もう自分には遠い約束。でも…… だからといって。 彼女まで、そうである必要は無い。 稲蔵神無。 山奥で出会った少女。村の巫女。狙われる娘。 ――永劫機アバドンロード。 だから何だ? 彼女は打ち上げと歓迎会を楽しみにしていた。 みんなと此処で過ごすことを楽しんでいた。 だったら……こっちに引き戻さないといけない。 人間だとか永劫機(ラルヴァ)とか、そんなのはどうだっていいことだ。 たとえ、世界を滅びから救うためだとしても。 あんなふうに――まるで道具のように操っていいはずが無い! 「やるべき事がある、という顔だね。 ならあれかい? それが終われば喜んでこの刃に身を捧げる?」 「誰が」 まっぴらごめんだ。 「本当かどうか、確証はない、だけど……」 「だけど?」 「俺がやられたら、妹が俺の代わりになる。それだけは……絶対に駄目だ」 この生き地獄を。 妹が、一観が味わう? 冗談じゃない。冗談ですらない。そんな事は絶対にあってはいけない。 「なら簡単だ。その妹クンも排除すればいいだけの話だ。 ああ、殺そう。その世界の敵の力を抹殺しよう。 殺して、殺して、殺し続けていけば……」 「なん、だと……」 その言葉に、祥吾の総身が粟立つ。 そして祥吾は手を振り、叫ぶ。 「ふざけるな! 殺すなんて簡単に口にするんじゃない!! つらいんだよ、苦しんだよ、殺してしまうってのは、本当に……!」 忘れたことなど無かった。 悔やまない日など無かった。 重くて、重すぎて。 それでも…… それでも、忘れてはいけなくて、前に進まなくてはいけなくて。 だから。 「そんな簡単に……!」 鉄パイプを投げ捨てる。 拳を握る。 走る。 目の前の、笑う道化に向って、走る。 「殺すとか! 口にするんじゃねぇっ!!」 ジョーカーもまた、ナイフを振るう。 腕と腕、拳と刃が交差する。 クロスカウンター。 「――」 「――」 ナイフは祥吾の脇をかすめ、そして祥吾の拳は―― ジョーカーの顔に届いていた。 だが、届いただけ。 撃ち貫くことは出来なかった。体が動かない。まだ疲労は回復していないのに、無茶に動きすぎた。 膝が笑う。 ジョーカーが、ほんの少し。腕を動かせば――それで決着が付く。 だがそれでも、祥吾は不屈をその瞳で訴える。 殺されようとも、殺されたりしない、と。 絶対の意志を、叩きつけていた。 「――わかった、ボクの負けだ」 ジョーカーが腕を引く。 その手からは、ナイフは消えていた。 「……」 ジョーカーは、マントをばさりと翻す。 「だがボクは諦めない。キミを殺すのが無理なら――キミの未来の姿を殺す、それだけだ。世界を救うために」 「お前、何を、何処まで知っているんだ」 祥吾は問い掛ける。 「何も知らないよ、ボクはね。ただ事実を把握しているだけさ。 ボクはそういうふうに出来ている、そういうモノなんだ。 時坂祥吾が世界を殺す――それを知っている。だがキミはそれに抗おうとしている、それも知った。 ただそれだけさ」 「意味がわからないんだけど……」 「わからなくてもいい。それでもキミが何を成すべきか……それはキミ自身がもう、答えを出しているだろう? なら、それで終わりだ。もうボクとキミの物語は交わらない。ボクもキミも、ただ己の成すべきことを成すだけさ。 ああ。あと……さっきからどうも誤解を受けているようだから訂正しておこう。 ボクが殺すのは命じゃない、力さ。世界の敵としての異能を殺す。 ……まあ、キミが言うように物騒なことには変わりは無いんだけど」 「お前……何なんだ? 藤森先輩じゃないのか?」 「ボクはジョーカー。世界の敵を滅ぼすものさ」 そして、怪人ジョーカーは時坂祥吾の前から、永遠に姿を消した。 その光景を。 廃ビルの上から見下ろしていた者達がいる。 「やれやれ、機を見てたらとうとう出番なかったですね」 「下手に出てピエロにならぬだけよかったではないか」 「そりゃそうですが……」 道化と道化が入り混じれるなど、三文芝居にもほどがある。 「情勢は大体把握した。我らには我らの戦いがある、ということだ」 そして、蛇蝎と克己は、ビルの上から姿を消す。 A.D.2019.7.11 14 45 東京都 双葉学園 貧民街 野鳥研究会秘密基地三号 時坂祥吾は、孤児院へと戻ってきた。 それを、蛇蝎は出迎える。 「答えは出たようだな」 「……はい。おかげさまで」 「フン、我輩たちは何もしておらん。貴様が勝手に立ち直り、答えを見つけただけだ。違うか?」 その言葉に、祥吾はまっすぐに答える。 「違う。違いますよ、蛇蝎先輩。俺だけじゃ何も出来ない。そう、何も出来ないんだ。簡単なことだったけど……やっと気づいた」 答えは最初からあったのだ。 ただ、見えなかっただけ。忘れていただけなのだ。 「一人じゃ何も出来ない。だけど、ずっと一緒にいてくれた妹がいた。傍にいてくれた、悪魔がいた。 それだけじゃない。他にも……みんな、たくさん」 なかなか家に帰ってこないが、それでも愛情を注いでくれている両親。 同級生。友達。バカやって笑いあう連中。 教師。先輩。後輩。学校のみんな、学園都市のみんな。 みんながいて、俺がいる。 だから……消しちゃいけない、否定してはいけないんだ。 今までを。 この……自分が生まれる前から続いてきた、繋がってきた、そして紡いでいかなければいけない、この歴史を。 この――時間を。 「で? その何も出来ない貴様は、これからどうする?」 「戦う」 「力も無いのに?」 「ああ」 「たった一人なのに?」 「ああ」 「何のために?」 「決まってます」 祥吾は言う。 「正義を語るつもりは無い。悪を背負う覚悟もない。 そんなのは、どこかの英雄にでも任せておけばいい。 俺は――どこにでもいる、ごくありふれた理由でしか戦えない」 「それはなんだ?」 「友達を、助ける」 そのために、時逆零次を止める。 そのために、世界の崩壊も食い止めてみせる。 「――はっ。なんだ貴様は。覚悟を決めてきたようなツラをしておきながら、正義の味方だとか、世界のためだとか大言壮語は吐けんのか?」 蛇蝎が呆れ顔で言う。祥吾は苦笑して言った。 「俺、そんな器じゃないですから。自分が世界をどうこうする器だ、なんて夢想……寝る前の布団の中で充分だ」 「一応しているわけか」 「だから、俺は行きます」 突っ込みをスルーして続ける。下手に突付くと薮蛇になりそうなので。 「力が無くたって、それは……戦うことを諦める理由にはならないから」 「ふん、なるほどな。愚かだ。だが悪くない。 正義という大義名分の威を借る狐よりはよほど信頼できる。悪を背負う覚悟がない、というのは少々いただけんが……まあ貴様にそこまで期待するのも酷というものか? 英雄になりたがる奴ほど手に負えん奸物はないからな。己が矮小さを自覚し、自らを弁えてなお、困難に挑む不屈の愚物こそを我輩は好む。 ……克己」 「はい」 克己は、自分の腕につけていた腕時計を取り外し、祥吾に投げてよこす。 それを受け取る。 プラスチック製の、よくあるデジタル式腕時計に見えた。 「これは?」 「永劫機の紛い物……かな?プロトタイプのテストタイプ。そしておまけに欠陥品」 克己が自嘲するようにため息をつく。 「君の永劫機を目の当たりにして、超科学系の異能者(なかま)何人かと一緒に頑張って造ってはみたもののどうにも、ね。自分の才の無さを恥じ入る」 「……」 才の無さ、っておい。と祥吾は突っ込みたくなった。 永劫機はかつての双葉学園の科学者や錬金術師がその知識と超科学、遺失技術の粋を凝らして作り上げたものではなかったのか。 量産型の素体をインチキまがいに持ち込めるような零次と違い、見ただけで一から造り上げたというのか……? うわー、ありえねー。何人かでやったとは言え、いるんだなあこういう連中って。 「生憎と我らには無用の長物よ。だがお前ならそれを扱える。お前になら託せると我輩は踏んだ」 「それは、お得意の未来予測で?」 あの銀行で見せた能力、超演算での未来予測。 それならば、祥吾がそれを使えるという未来を予測できてもなんら不思議は無い。蛇蝎のその自信に満ちた言葉は、それに裏付けられたものか。 だが…… 「いいや」 蛇蝎はその考えを否定し、ニヤリと笑う。そして当然のように、言い放った。 「ただの勘だ」 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1028.html
『承』ラノで読む 『承』その2にもどる ◇ ◇ ◇ オレはそれを見て不審に思った。 喫茶店のテーブルに昴《すばる》さんとクソ凛人と牧村と、そして亜麻色の髪の奇妙な女が座っているが、その奇妙な女以外、みんな無表情で目が虚ろだった。 そう、それはまるで最近島内で流行っている天使病と呼ばれる症状によく似ている。 昴さんたちがそうなったのはその奇妙な女が彼女らの手に触れてからすぐだった。あの女は昴さんたちに何をしたんだ。 その女は立ちあがり、表情のない昴さんたちを置いて喫茶店から出ていこうとしていた。 「お、おいちょっと待てよ!」 思わずオレはその女を引きとめようと自分も席を立ち、その女の手を引っ張った。 すると、その女はあの歪んだ笑みをオレに向けている。全身に鳥肌が立つのをオレは感じた。こいつはまともじゃない。オレを見るその眼は深い暗黒で、深淵を映しているかのように黒々としている。 「お、お前。昴さんたちに何をしたんだ……?」 オレがそう問いかけると、さらにその口をにやりと歪ませ、 「私は“救い”を与えているの。心に傷を持つこの世の総ての人たちに」 そう言ってオレの頬にその手を伸ばした。その手とその顔があまりに綺麗で、オレは深くにどきりとしてしまう。昴さんには及ばないとはいえ、女に慣れていないオレには刺激が強い。 「あなたも心に傷を持っているのね。さあ、私を受け入れなさい」 女はそう言って、頬に触れる手に力を入れ、オレの目を見つめる。オレはその目から自分の目をそらすことができなかった。 暗転。 オレは砂漠にいた。 「な、なんだここはあああああ!」 意味がわからずオレは絶叫してしまう。それは仕方がないだろう。何せオレの目の前には砂漠が無限に広がっているのだから。空は青く澄んでいる。だが鳥は一匹も飛んでいない。辺りを見回しても人はいない。 どこなんだここは。 今、ほんの一瞬前までオレは喫茶店にいて、|誰かと《・・・》話していたはずだ。なのになぜこんな砂漠にいるんだ。 今は冬のはずなのに、真上にある太陽がじりじりと熱を帯び、オレの身体はもう汗まみれになってしまっていた。 砂漠の砂に足をとられながらもオレは茫然と少しずつ歩く。 オレはそこにある奇妙なものを見つけた。最初岩か何かと思ったのだが、それは学校の机だった。学校の机が砂に半分埋まり、砂漠中に点々と落ちている。 オレはその机を見つめ、手でなぞる。 その机に書かれている多くの落書きを見て、暑いはずなのにオレは震えが止まらなくなった。 それはオレの机だった。この学園に入学するまでに、外の学校でオレが使っていた机ばかりだった。 なぜ自分の机だとわかるのかだって? わかるさ、その机の落書きは、忘れようにも忘れられない。オレのことをバカにしていた連中が書き殴っていったものだからだ。「死ね」だとか「ガリ勉野郎」だとか「学校に来るなキモイ」という中傷が机いっぱいに書かれている。 思い出したくもない悪夢。 この学園に来てオレはようやく平穏を取り戻したのに、なぜこんなことを思い出せるようなことを―― オレはがちがちと自分の奥歯が鳴っていることに気付いた。ああ、発作だ。オレは目の前がぐるぐると回転し、凄まじい吐き気を覚えた。 『井上が吐いたぞ』『きたねえ寄るな』『おい、お前クラスに迷惑かけるくらいなら学校に来るなよ』 そんな昔の学校の奴らの声が頭に響く。 「うるさい! うるさい! オレは勉強して偉くなるんだ! いつかお前らを見下してやるんだ!」 ああ、だけどいつかっていつなんだろう。 オレは本当に高い城にいけるんだろうか。 もし、オレの努力が総て無駄になったのなら、オレはオレは―― 「もう頑張ることをやめていいのよ。あなたはもう競争しなくていいの」 だが、そんな絶望の淵にいるオレの目の前に、凛として綺麗な声の天使が舞い降りた。 オレが顔を上げると、そこには綺麗な白い羽根を生やした女の子がいた。亜麻色の髪の毛でとても美しい。それは天使に間違いないだろう。 オレはその優しい胸に抱かれ、総ての苦しみから解放されていくような気もちになっていた。 「さあ、私を受け入れなさい。溶けて、みんな一緒になるのよ。総てが平等の、悲しみも苦しみもない世界へ」 そうだ。それこそが救いだ。 オレはまるで母に抱かれているような気持で、うっとりととろけていく。 もういいんだ。戦わなくていいんだ。努力しなくていいんだ。ああ、天使様、天使様―― 「…………………気をしっかり持ちなさい井上さん。彼女は天使なんかじゃありませんよ」 心が沈んでいく瞬間に、そんなのんびりとしている声、しかし芯の通った声がオレを堕落の海から引きあげてくれた。 オレは天使に抱かれながらその声の方を振り返る。 その砂漠の山に、天使よりも美しく、神々しい、世界の王のような堂々たるゆっくりとした歩調で歩いてくる少女の人影があった。ふんわりとした栗色の髪の毛。行儀よく背筋の伸びた肢体。それこそがオレの本当に求める天使の姿。 「…………あなたがオメガサークルの失敗作ですね。ようやく見つけました」 気丈な声で天使を睨みつける昴さんがそこにいた。 ◇ ◇ ◇ アタシが“ノイズ”と呼ばれた少女を見たのはオメガサークルの研究施設内であった。 研究員に肩を抱かれ、虚ろな表情で白い廊下を歩いているのを少しだけ見ただけだが、アタシの視線に気づいたノイズはこっちに視線を向け、歪んだ微笑みを見せたのだった。アタシはそれに恐怖を感じ、きっと彼女は悪魔に違いないと思えた。 アタシを含むオメガサークルの改造人間たちは記憶を奪われ、投薬により命を握られている。だから誰も逆らうことなんてできない。 だがノイズは違った。 彼女の“異能《ちから》”は誰よりも強力で、記憶を奪うこともできず、薬も効かず、異能を制御する拘束具《リミッター》すらなんの役にも立たなかったらしい。彼女の能力はオメガサークルを遥かに凌ぐものだったのだ。 それ故にノイズは商品にも兵器にもならない失敗作と認定され、失敗作につけられる汚名、“雑音《ノイズ》”のコードネームを与えられた。 ノイズが施設を壊滅状態に追い込み、脱走したと聞いたのはアタシが双葉学園にスパイとして派遣されてから数年経ったころだった。 そして今、ノイズが双葉学園に潜入しているという情報を掴み、アタシがノイズを見つけ出し始末するという任務を課せられたのだ。 だがそんな強大な敵を相手に、アタシがどうにかできるのだろうか。たった一人で聖痕《スティグマ》の殺し屋も相手にできるのだろうか。 そう悩むアタシの脳裏に、ノイズの不気味な笑みが張り付いている。 「おい、大丈夫かあんた」 その声と共にアタシは眼を覚ました。目に入ってきたのは葉の枯れた木々だった。背中には冷たい感触。どうやらアタシはベンチの上で寝かされているようである。 ここは一体どこなんだ。そう思い立ち上がろうとした瞬間、激しい頭痛が再びアタシを襲った。薬を飲まなければ。だが苦痛に顔をゆがめるアタシを、ふっと誰かが覗きこむ。 「なんで倒れてたか知らねーけど、無理に動かないほうがいいんじゃないか」 その人物は大きなスポーツバッグを肩にかけ、ギラギラとした鋭い目でアタシの顔を見つめてそう言った。 こいつは誰だ。そうだ、アタシが倒れる直前にアタシを抱きとめた男。聖痕の刺客? いや、そんなわけないか。ならば学園の生徒だろうか。 アタシはふと、気を失う直前に聞いた彼の名前を思い出す。 「ゼンザ……?」 「前座じゃねえ! 茜燦《せんざ》だ。西院《さい》茜燦だ! まったくどいつもこいつも間違えやがって……」 彼は頭をがしがしと掻きながらそう怒っていた。なるほど、ややこしい名前のせいで彼はよく名前を間違われるのだろう。 アタシはその名前に聞き覚えがある。彼は学園でも少し名の知れた人物だった。四つの属性を持つ魔術刀、“四宝剣”。そして超科学で造られたモンスターバイク“|戦女神の梟《パラス・グラウクス》”を操るオールラウンダーな戦士だと聞いている。オメガサークルも彼の持つ秘められた可能性に関心を持っていた。 それに西院家は退魔の家系としても優秀だったらしい。それを思い出しアタシは先ほど戦った空蝉《うつせみ》一族のことも思い出す。そうだ。アタシは奴との戦いで倒れたんだった。さっと腕時計を見るとそんなに時間は経っていない。アタシが倒れていたのはほんの数分のようである。 「それで……ゼンザくん。ここはどこなんだ」 「……もういいや。ここは商店街の隣の双葉公園だよ。あんたが倒れたからすぐに運んできたんだ。大丈夫なのか、ほれ、これ額にでも当てろよ」 そう言ってゼンザはアタシに濡れたハンカチをよこした。どうやら公園の水で冷やしてきたらしい。 「……すまないな」 そのハンカチを受け取りアタシは辺りを見回す。確かにここは公園のようで、目の前に大きな池があり、もう日暮れが近いせいか公園に人気は無かった。茜色に染まる公園はなんだか不気味で、まるで異世界のように見える。 アタシはポーチから薬を取り出し、ようやくそれを飲み頭痛が消えていく。一先ずこれで落ち着きを取り戻すことができた。 「なああんた。名前は? 俺だって名乗ったんだ、そっちの名前くらい教えてくれないと不便だろ」 その問いに答えるか少し迷ったが、学園で使っている名前ならば何も問題ないだろう。 「アタシは三年Y組の秋山《あきやま》梓《あずさ》だ。世話になったようだ、礼を言う」 「おっと先輩だったのか。タメ口でずっと話してたよ。すんません秋山さん」 「いや、アタシはそんなこと気にしない。今まで通りでいい。名前も梓って呼び捨てで呼んでくれ。かたっ苦しいのは苦手なんだ」 「そうかい。そりゃ俺もそっちのがいいさ。それで梓、風紀委員に絡まれてたようだけど、その腕の怪我に関係あるのか?」 ゼンザはぎらりとアタシの腕を見た。あのエセ侍、空蝉|刀哉《とうや》にやられた腕の怪我や、ボロボロになっているスカート、風紀委員でなくても不審に思うのは当然だろう。 「これは……別になんでもない。ただのかすり傷さ」 「言いたくないなら仕方ないが、俺も今調べてることがあってね。それと何か関係があるのなら見過ごすわけにはいかない」 ゼンザは少しだけ険しい表情になっていた。その顔からは怒りと、ほんの少しの哀しみが垣間見える。 「調べていること……。なんだそれは……?」 ゼンザは少し言い淀むが、ベンチから起き上がって座っているアタシの隣に腰を下ろし、ゆっくりと口を開いた。 「“天使病”って聞いたことがあるだろう?」 天使病。 アタシはそれをよく知っている。 最近学園で発生している謎の奇病だ。それは精神的な病気で、ある日何の前触れもなく廃人になってしまう生徒が大勢発生した。すでに患者は数十人に及ぶ。まるで心を失ったように虚ろな目で、起きながら夢をみているかのように誰の声も患者たちには届かないのだという。死んでもいなく、生きてもいない。そんな状態がずっと続くのだとか。 ただその患者たちに共通しているのは、うわ言のように『天使様、天使様』と呟くらしく、それゆえに便宜上“天使病”と呼ばれている。 それはノイズに攻撃を受けたオメガサークルの研究員たちとまったく同じ症状だった。 それ故にオメガサークルは双葉学園にノイズが紛れ込んで攻撃を仕掛けているのだと判断したのだ。 そう、この何万という生徒の中にノイズはいる。 ノイズは人の心の傷に入り込む。まるで知り合いのように振る舞うことも可能らしい。誰もあいつを敵だと思わない。誰もあいつを疑わない。世界を味方につけることがあいつには出来る。 何が天使だ。ノイズは悪魔だ。奴は世界を破滅に導く。 この学園に天使病を発生させているのはノイズに間違いない。 「ああ、アタシも天使病は知ってるよ。きみはそれを調べてるのか?」 「そうだ。俺は天使病の原因を突き止める。学園側も必死に研究しているようだけど、治療法はわからないらしい。なら俺は俺の出来ることをする」 「なぜだ。きみがそんなことをする理由があるのかい」 ノイズを探さなければならないのに、他の生徒に足を突っ込まれては面倒だ。一体なぜ彼が天使病について調べているのか見当がつかなかった。 アタシが彼の横顔を見つめると、苦しそうな顔で俯く。 「メイジーが……俺の妹分が泣いてるんだよ。友達が天使病になったって。俺にはそれが耐えられない。親しい人間が哀しむのを、俺はただ見ているだけなんてできない」 アタシは彼の顔を見て胸が痛むのを感じた。 身近な人がある日そんな風になってしまったら、とても悲しいだろう。それは改造人間のアタシでもわかる。 「学園側の調査じゃ、患者には魂源力による干渉が発見できたらしい。つまり天使病は誰かの異能による攻撃だ。天使病を引き起こしているのが人間なんだとしたら、俺はそいつを許さない」 「……それがたとえ世界を滅ぼすほどに強大な存在だとしても?」 アタシが思わずそう尋ねると、彼の眼はかっと見開かれ、そこには真っ直ぐに燃え上がる瞳があった。 「俺は、世界の危機なんてどうだっていいんだ。そんなのはやれるやつがやればいい。だけど、俺の大切な人を泣かす奴は絶対に倒す。それだけだ」 その眼には決意が込められている。 そんな彼を見てアタシは自分がとても恥ずかしくなってきていた。組織の言いなりになって、なんの理由もなく戦ってきた自分。逆らえば自分が殺される。ただそれだけのために。 だが彼は違う。彼は護るべきもののために戦っているのだ。 アタシはそんなゼンザに賭けてみたくなってきた。 「なあゼンザくん。アタシは天使病を引き起こしている張本人を知っている。アタシはそいつを探している。きみに協力してもらいたい」 それを聞くとゼンザは、がたりとベンチから立ち上がり驚いている。 「そ、それは本当なのか。だったら俺よりも誰か学園の――」 「ゼンザくん。これはきみだから言っているんだ。もしきみがこのことを学園側に知らせるのなら、アタシは犯人を教えない。これは契約だ。アタシの立場上学園側の力を借りることはできない。だが、アタシ一人では立ち向かうこともできない」 「そんな、あんたは一体何者なんだ……。どうして学園の力を借りようとしない」 「それは言えない。だがきみがアタシに協力してくれるのならばアタシもきみの力になろう。だが犯人の正体を知っているのはアタシだけだ。恐らくどれだけ学園側が勢力を尽くそうとも、あいつを見つけることはできないだろうね」 「くっ……」 それを聞くゼンザの顔は戸惑っていた。これは半ば脅しだ。協力すれば犯人を教える。学園に伝えるのならばアタシはその場から立ち去るだけ。 数十秒深く考えながら、ゼンザは再び口を開く。 「わかった……。その契約に乗るよ。それしか道が無いのなら、俺は修羅の道だろうが冥府魔道だろうが突き進むさ」 アタシはゼンザがそう言うと踏んでいた。彼はそういう人間なのだと、アタシはこの短いやり取りでよくわかったからだ。 「きみと出会えてよかったよゼンザくん」 「よく言うぜ。ほとんど脅迫じゃねーかよ」 ゼンザは呆れているようだったが、彼の決意に嘘はないだろう。アタシが手を差し出すと、ゼンザはそれに手を重ね握手をする。 ゼンザがアタシを信用しなくたっていい、アタシは彼を信じることにした。 「あ、お兄ちゃん!」 アタシたち二人が握手していると、そんな可愛らしい声が聞こえてきた。 声のした方に視線を向けると、中等部の制服を着た小柄な女の子がこちらに歩いて来る。 「メイジー」 ゼンザはその少女のことをそう呼ぶ。なるほど、どうやら彼女が彼の言っていた妹分のようだ。メイジーは英国人のような金髪に、琥珀のようなくりくりとして綺麗な金色の瞳をしている。ボサボサの髪のアタシは彼女のさらさらとした髪に憧れてしまう。彼女は名前の通り日本人ではないのだろう。“妹”ではなく“妹分”という呼び方からしてなんとなく二人の関係性がわかる。 「おいメイジー。危ないだろこんな夕暮れに一人で歩いてちゃ。それにもう身体は大丈夫なのか?」 「もう大丈夫だよお兄ちゃん。ごめんね、迷惑かけかって。それに私もう小さな子供じゃないんだよ」 子供扱いするゼンザに、少しだけ頬を膨らませるメイジーの姿はとても愛らしく、女のアタシでもなんだか頬が緩んでしまいそうになる。そんな彼女はアタシに気付いたらしく、ゼンザの背中に隠れながらこちらをじっと見ていた。その姿は小動物のようで微笑ましい。 「お兄ちゃん……この人は……?」 「ああ、先輩の秋山梓さんだ」 「あ、あの……中等部二年のメイシャルリント・ジーオレノです。長いのでメイジーと呼んでください……」 「三年の秋山梓だ。よろしく――えっと、メイジーちゃん」 そう名乗り合うが、なんだかアタシをみるその視線は刺を感じさせ、アタシとゼンザをちらちらと交互に見ていた。なるほど、どんなに可愛くて小さくても“女”というわけか。 「それでメイジー。こんな夕方までどこ行ってたんだ。今日はもう早く帰ったと思ってたぞ」 「病院……行ってたの……」 そう言うメイジーの顔は段々と暗くなっていく。そういえばこの子の友達が天使病になったと言っていた。 「うう……ひっく……。せっかく……こっちにきて友達もたくさんできたのに……もういやだよお別れは……」 メイジーはぼろぼろと涙を流し始めた。ゼンザと顔を合わせて張り詰めていた感情が解かれたのだろうか、ゼンザの胸に顔をよせて嗚咽交じりに泣いている。ゼンザはそんな彼女の頭を優しく撫で、黙って彼女が泣き止むのを待っている。 こんな風に感情をぶつけられる相手がいるということに、アタシは少しだけ嫉妬してしまっていた。 黄昏の日差しに照らされ、身を寄せ合う二人の光景はまるで絵画のように美しく、とても神聖なものに見えた。アタシのような日陰ものが踏み入れない、綺麗な世界。アタシは汚れた世界ばかり見てきたが、世界はそれだけではないのだと、闇があるように光があるのだと、思わずにはいられなかった。 だが、それでも世界に蔓延する悪意は誰にでも容赦なく襲いかかってくる。 「おーおー仲の睦まじいことで、己《おれ》はそういうの見るとぶっ壊したくなるぜ!……でござる」 突然どこからかそんな嘲笑う声が響いてきた。 アタシはブレザーの袖から鎖を取り出し、ゼンザもメイジーを抱き、辺りを警戒している。どこからかわからないが、とんでもない殺意の重圧《プレッシャー》がアタシたちを取り囲んでいた。 間違いない、この純粋な悪意と殺意。それは殺し屋のものだ。 「気をつけろゼンザくん。敵が近くにいる!」 「敵……? 敵って誰なんだ……!?」 「天使病を起こしている犯人、その手下だ……」 それを聞いたゼンザ、真剣な顔つきになりアタシの背中に背中を預けた。 「いいかメイジー。俺から離れるなよ」 「う、うん。わかったお兄ちゃん……」 その声は恐怖で震えているが、ゼンザを信頼しているのが伝わってくる。まったく、羨ましいことだ。 しかし敵はどこにいる。声だけは聞こえたが姿が見えない。周りを見回しても風に吹かれる朽ちた木々がざわついているだけだ。 どこだ。 どこだ。 どこだ。 「どこを見ている、ここだぜ!……でござる」 「――!」 アタシとゼンザは同時に上を向く、しかしそこにも誰もいない。夕日に染まる空だけが静かにそこにあるだけだ。 だがアタシの異能“|自動追尾鎖《オートロックチェーン》”は敵の攻撃を感知していた。じゃらりと鎖はアタシの腕を引っ張る。それは、アタシたちの真下だった。 アタシはぎょっと眼を疑った。アタシたちの足元からナイフの刃先が生えてきたのだった。そしてナイフの刀身が見え、次には手までも地面から生えてくる。いや、それどころか人間そのものが地面から出てきたのであった。 その人物がナイフをそのまま下からアタシの顔に向かって伸ばしてくるが、アタシはそれを鎖で受け止め、足でゼンザを蹴って突き離し、自分自身もその反動で後ろへと下がる。 アタシに蹴られ、ごろごろとゼンザは地面を転がり「な、何するんだよ!!」と叫ぶが、目の前の光景を見てその口を閉じた。アタシたちがさっきまで立っていた場所にそいつは突然現れたのだ。 地面から生えてきたその人物は「ちっ……でござる」と呟いてそこに佇んでいる。 そこの人物は先ほどの空蝉刀哉と負けず劣らずの珍妙な格好だった。 「己は空蝉|影丸《かげまる》。刀哉兄ちゃんが世話になったんだってね。だが己は刀哉兄ちゃんほど甘くねーぜ。容赦なんかしないぞ……でござる」 そんな声が顔につけられている狐のお面から聞こえてくる。お祭りに使われるような稲荷の面だ。影丸と名乗るそいつは、狐面に全身を覆う黒いコート姿で、それはまるで忍者を思わせる風態だった。だが得物はクナイではなく大きくごつい軍用のナイフで、異様過ぎるその格好と相まってもはや嫌な汗が出るだけで笑えない。 「お前も、空蝉一族の暗殺者か……」 「そうだ、己たち空蝉三兄弟はノイズ様のためならばなんでもするのさ。たとえ世界を敵に回そうが構うものか……でござる」 狐面のせいで表情もわからないが、その声からは冷徹な印象を受けた。 影丸の姿は夕日の逆光で出来た大きな木の影の上に立っていて、まるで狐のお面だけが闇に浮いているように見える。 いや違う。アタシは眼をこすり、影丸の姿を凝視する。 その姿は本当に闇に溶け込んでいた。そして再び地面に吸い込まれるように潜って消えてしまった。いや、地面の中に入ってるんじゃない。地面は抉れても膨らんでもいない。 「気をつけろゼンザくん。奴は地中を潜ってるんじゃない、“影”を移動してるんだ! 恐らく瞬間移動《テレポート》の一種だろう」 どうやら影丸は、影から影へと移動することができるようだ。 「ああ、言われなくてもわかってるさ。だけど影なんていくらでもあるぞ、一体どこか襲ってくるか予測がつかない」 確かにそうだ。だがアタシの異能なら―― ほんのわずかな沈黙。風が吹き、木が揺れる。 その刹那、アタシの鎖が「ちゃり」と音を発した。 「――――そこだ!」 アタシが伸ばした鎖はアタシの真後ろで、その鎖は地面に伸びていく。そしてそこから出現した影丸のナイフを絡め取る。 「今だゼンザくん!」 「よし、下がってろメイジー!」 ゼンザは影丸に向かって駆けだし、手に持っていたスポーツバッグを影丸に向かって振り下ろした。 「ちっ――でござる」 そう呟いた影丸はナイフを捨て、その手でゼンザのバッグを防御しようと手を十字に組むが、そのバッグが影丸に当たった時、凄まじい音がした。バッグの中に重いものが入っているのだろうか、凄まじい衝撃を受け影丸の小柄な身体は向こう側へと吹き飛んでいってしまった。 「おいゼンザくん……その中何が入ってるんだ? 隋分重そうだが……」 「ああ、これか?」 ゼンザはバッグを開き、その中のものを取り出した。 それはなんと形容すればいいだろうか。それは刀、四本の刀だった。だがその四つの鞘は連結しており、とても不思議な形状をしている。 「それは、四宝剣……」 「そうさ、これが西院に代々伝わる退魔の剣。俺の武器だ。だが、これはラルヴァを倒すための刀だ。人間相手に使いたくはない」 そう言うゼンザの顔には迷いが見えた。当然だろう。たとえ戦闘慣れしている双葉学園の生徒と言っても、“人間との戦い”は想定されていない。 「だがゼンザくん。やらなければこちらがやられる。相手はこちらの命を全力で奪ってくるつもりだ」 「わかってる。わかってるさ……」 アタシたちは地面に転がってぴくりとも動かない影丸を見つめる。これで決着がついたのだろうか。 「くくくく……でござる」 影丸は突然そう笑いだし、身体をゆっくりと起き上がらせていた。狐面からは表情は読み取れないが、そこからは余裕を感じ、まったくダメージを受けている様子はない。 「そうか、それが四宝剣か。ということは、貴様は西院の者か……でござる」 影丸はゼンザのほうを向き肩で笑っていた。そんな異様な影丸を見て、ゼンザは刀の柄に手を置き、いつでも抜刀できるように身構えている。 「お前、俺のことを知っているのか……?」 「ああ知ってるさ。昔は退魔士の家系だったらしいが今はもうその力はほとんど残っていないんだろう。大昔は己たち空蝉一族と肩を並べるほどだったらしいが、その末裔が双葉学園などという不抜けた組織に飼われているとはな。落ちたものよ……でござる」 バカにしたような、見下しているような言葉で影丸はゼンザを挑発していた。同じ退魔の家系である西院と空蝉。恐らく大昔には何らかの確執があったのかもしれない。だが今の時代にまでそんなものを引っ張るなんて馬鹿げている。ゼンザの顔を横目で見ると、眉間に皺を寄せ、怒りの色が見えた。 「おいゼンザくん。安い挑発に乗るんじゃないぞ」 「わかってるよ。家が退魔士だったのは大分昔の話さ。俺には関係ない」 そう強がっているが、自分の一族をバカにするようなその物言いを、黙って聞いていられるほど彼は冷たい人間ではないのだろう。自然と柄を握る手は強くなっていく。 「そんなことないもん。お兄ちゃんはあなたよりもずっとずっと強いもん!」 しかし、影丸に反論をしたのはゼンザではなくアタシたちの後ろにいたメイジーだった。涙を眼に浮かべながらも、目の前の殺し屋を毅然と睨みつけている。 「よせ、メイジー」 「だってだって……。お兄ちゃんをバカにするなんて私許せないもん……」 メイジーの肩や足は震えている。それはそうだ。殺し屋のプレッシャーをこんな小さな子が受けたら普通は恐怖で口も開けないだろう。 「ああ美しきかな兄妹愛ってか。己はそんな綺麗ごとを見るとぐちゃぐちゃのバラバラにしたくなるんだよね……でござる」 くくくとメイジーを見て嘲笑う影丸のその声は、冬の空気のように冷たく、悪意に満ちていた。駄目だ。こいつにこれ以上喋らせては駄目だ。 アタシは無言で影丸の方へと手を突き出し、鎖を全力で伸ばす。鎖は真っ直ぐと影丸の方へと向かっていくが、影丸はまたも木の影に潜りこみそれを避けた。 「しまった――!」 次はどこだ、どこから来る!? アタシとゼンザがばっと辺りを見回すが、どこにもいない。だが突然「きゃあ!」とメイジーの悲鳴が聞こえ、アタシとゼンザは顔を青くする。 後ろを振り向くと、メイジーの首筋にナイフを当てている影丸の姿があった。 「メイジー!!」 悲痛に叫び駆け寄ろうとしたゼンザを、影丸は手を前に突き出しそれを制止した。 「おっと、それ以上近寄るんじゃねえよ西院のガキ。この白い首に刃を突きたてられなくなければな……でござる」 「お兄ちゃん……」 「くそ……」 ゼンザは立ち止り、苦々しい表情でただ影丸を睨みつけるしかなかった。 「くくく、そうだ。大人しくしていろ。さすがの己でも四宝剣を持った異能者と、改造人間を二人同時にするのは分が悪い。おーおー怖い顔してるな。卑怯と罵るかい? それは己にとって最高の褒め言葉だ……でござる」 「な、何が望みだ……」 「さてな。どうしてやろうか。そうだ、その四宝剣を己に寄こせ。その刀はお前みたいなやつが持っていても宝の持ち腐れだ。己たち空蝉一族がしっかり使ってやるぜ……でござる」 「わかった……」 「駄目お兄ちゃん! それは大切なものなんでしょ!」 メイジーはそう叫ぶが、ゼンザは黙って四宝剣を影丸のもとへ投げる。メイジーの命と四宝剣、天秤に掛けるまでもないだろう。だが、これでゼンザは戦う術を失ってしまった。 「素直でよろしい……でござる」 「これでいいだろ。メイジーを早く離せ!」 「バカが。この己が約束を護ると思ったか? 女の血を浴びるなんて久しぶりだからな。思い切りいかせてもらうぜ……でござる」 そう言いながら影丸はその狐面をカクカクと揺らし嘲笑っていた。なんて奴だ。最初からそのつもりだったのか。 「やめろ! メイジーに手を出すな!」 「お兄ちゃん!」 二人の叫びを無視し、影丸はナイフをメイジーの首筋に近づけていく。 もう駄目だ。アタシは思わず目を瞑ってしまう。だがその瞬間、 「お止めなさい影丸」 という凛とした声が公園に響き、影丸はぴたりとその手を止めてしまった。アタシはその声の主を見て驚きを隠しきれなかった。 影丸を制止したのは一人の女。亜麻色の長い髪の毛を風に揺らし、堂々たる様子でこちらに歩いてきたのは、間違いなくアタシが探していた人物だった。 「ノイズ!!」 アタシが怒りを込めてあいつの名前を叫ぶと、むこうもアタシに気付いたようで、天使のような悪魔の微笑みを向けてきた。アタシはそれを見てぞくりと背筋を凍らせる。 まるでこの世の総ての絶望を煮詰めたような黒い瞳が射抜くようにこっちを見つめている。思わず足が震え、アタシは誤魔化しきれない恐怖を覚えていた。 「お、おい梓。あいつはなんだ……。何者なんだ……?」 ゼンザもノイズがただものではないと身体で感じているようで、どっと汗を噴き出していた。 「あいつはノイズ……。あいつが天使病の原因だ!」 「あの女が……!?」 アタシがそう言うと、ゼンザは驚いたようにノイズを見つめていた。当然だろう、見た目だけなら自分たちの年齢と変わらない普通の女の子だ。だが奴自身から発せられる異質な空気は尋常じゃない。 「お久しぶりねタブラチュア。あら、確か今は秋山梓だったかしら。私もここでは柏木蛍って名前があるのよ。どう? 可愛いでしょう。ふふ、どうでもいいわね。名前なんて些細なものよ」 ノイズはそう私に言った。何か言い返してやりたかったが、ノイズはふっと影丸のほうへと振り向いた。あの影丸が委縮しているように小さく震えている。 「影丸さん。女の子に傷をつけようなんてしちゃダメよ。私が許さないわよそんなことは」 「ご、ごめんなさいノイズ様。しかし、こいつらは己らの邪魔を――」 「だからって争いごとをしていては誰も救われないのよ。その子は私が“救済”してあげるわ」 そう言いながらノイズは、ゆっくりとその白い手をメイジーの頬に寄せていた。 「な、何……?」 「まて、メイジーに何をする気だ!」 ゼンザがそう叫んでも、ノイズは一切気にせずにこりと笑っている。 「だから“救済”よ。これでこの子も悲しみもない、誰も傷つかない世界にいけるのよ」 ノイズがそう言い終わると同時に、メイジーの瞳から光が消え、立つ力も失ったかのようにがくりと項垂れてしまった。 「メイジー!」 「ほら影丸。その子を離してあげなさい。もうそれは何の意味も持たない器だから」 「わかりましたノイズ様……でござる」 そう言って影丸はメイジーをどんと突き離し、ゼンザは駆け寄ってなんとか抱きとめる。 ゼンザがどれだけ呼びかけても、メイジーは心を失ったかのように口を開かなくなってしまっている。 「さあ帰りましょう影丸。私たちの城へ」 満足したような顔のノイズと共に、影丸は再び闇の中に溶け込んでいく。 「逃がすか!」 アタシが鎖を伸ばし二人を捕えようとするが、二人はもう影の中へと姿を消してしまい、鎖は空を切るだけだった。 まるで最初から誰もいなかったかのようにしんっと場が静まり帰る。そこに残されたのはアタシとゼンザと、そして天使に心を奪われたメイジーだけであった。 ゼンザは愕然と肩を落とし、その場に膝をついてしまう。 「畜生、畜生!」 ゼンザは自らの拳を何度も何度も地面へと叩きつけ、まるで自分を責めているようだ。皮が破れ、血が滲んでいる。 そんな痛々しいゼンザにアタシはかける言葉が見つからない。 ただ荒ぶる獅子のような彼の慟哭が、虚しく茜色の空に響くだけだった。 『転』へ続く トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/14312.html
多次元壊獣ラディアン(OCG) 怪粉壊獣ガダーラ(OCG) 壊星壊獣ジズキエル(OCG) 雷撃壊獣サンダー・ザ・キング(OCG) 対壊獣用決戦兵器スーパーメカドゴラン(OCG) KYOUTOUウォーターフロント(OCG) 妨げられた壊獣の眠り(OCG) 壊獣の出現記録(OCG) 壊獣捕獲大作戦(OCG) Kozmo-エナジーアーツ(OCG) 古代の機械猟犬(OCG) Kozmo-レイブレード(OCG) Kozmo-ダーク・エルファイバー(OCG) Kozmo-ダークプラネット(OCG) Kozmo-ランドウォーカー(OCG) 古代の機械熱核竜(OCG) 古代の機械合成竜(OCG) 古代の機械飛竜(OCG) 古代の機械射出機(OCG) 古代の機械要塞(OCG) 古代の歯車機械(OCG) サイバー・エンジェル-那沙帝弥-(OCG) 機械天使の絶対儀式(OCG) バージェストマ・オレノイデス(OCG) バージェストマ・ハルキゲニア(OCG) Kozmo-パーヴィッド(OCG) Kozmo-デルタシャトル(OCG) Kozmo-シーミウズ(OCG) Kozmo-フェルブラン(OCG) 幻想の見習い魔導師(OCG) サイバー・チュチュボン(OCG) 古代の機械混沌巨人(OCG) クリアウィング・ファスト・ドラゴン(OCG) 古代の機械魔神(OCG) 覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン(OCG) Kozmo-ダークシミター(OCG) Kozmo-ドッグファイター(OCG) Kozmo-フォルミート(OCG) 古代の機械蘇生(OCG) ファーニマル・オクト(OCG) Kozmo-グリンドル(OCG) バージェストマ・カナディア(OCG) バージェストマ・ピカイア(OCG) バージェストマ・エルドニア(OCG) バージェストマ・ディノミスクス(OCG) デストーイ・ハーケン・クラーケン(OCG) 捕食植物キメラフレシア(OCG) EMリターンタンタン(OCG) バージェストマ・マーレラ(OCG) バージェストマ・レアンコイリア(OCG) 捕食植物サンデウ・キンジー(OCG) バージェストマ・アノマロカリス(OCG) バージェストマ・オパビニア(OCG) ドラコニアの翼竜騎兵(OCG) レプティアの武者騎兵(OCG) プレデター・プランター(OCG) 重装甲列車アイアン・ヴォルフ(OCG) ディノンの鋼鉄騎兵(OCG) シュルブの魔導騎兵(OCG) 烏合無象(OCG) 絶滅の定め(OCG) 苦渋の黙札(OCG) 神の摂理(OCG) グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン(OCG) EMダグ・ダガーマン(OCG) EMラフメイカー(OCG) 捕食植物プテロペンテス(OCG) 十二獣モルモラット(OCG) 十二獣ラビーナ(OCG) 十二獣ヴァイパー(OCG) 十二獣サラブレード(OCG) 十二獣ラム(OCG) パラサイト・フュージョナー(OCG) WW-クリスタル・ベル(OCG) 花札衛-桜に幕-(OCG) 真竜皇リトスアジムD(OCG) 水晶機巧-リオン(OCG) 札再生(OCG) 水晶機巧-サルファフナー(OCG) 霊魂鳥-忍鴉(OCG) 霊魂鳥-巫鶴(OCG) 霊魂鳥-伝鳩(OCG) 混沌の使者(OCG) 精霊獣使い ウィンダ(OCG) 迷い風(OCG) 創星神 tierra(OCG) 幻創のミセラサウルス(OCG) 見習い魔笛使い(OCG) 河伯(OCG) 横綱犬(OCG) 百万喰らいのグラットン(OCG) ワイトプリンセス(OCG) SRパッシングライダー(OCG) メトロンノーム(OCG) 妖精伝姫-シンデレラ(OCG) 霊魂鳥神-姫孔雀(OCG) 霊魂鳥神-彦孔雀(OCG) 水晶機巧-グリオンガンド(OCG) 炎神-不知火(OCG) 調弦の魔術師(OCG) スピードリフト(OCG) 十二獣ブルホーン(OCG) 十二獣タイグリス(OCG) オスティナート(OCG) WW-グラス・ベル(OCG) 十二獣ドランシア(OCG) 十二獣ワイルドボウ(OCG) 滅びの呪文-デス・アルテマ(OCG) ハーピィの羽根吹雪(OCG) ゾディアックS(OCG) E・HERO オネスティ・ネオス(OCG) パワー・ウォール(OCG) 十二獣の会局(OCG) 霊魂の降神(OCG) 異形神の契約書(OCG) 捕食植物セラセニアント(OCG) 霊魂の拠所(OCG) 超戦士の萌芽(OCG) 超量必殺アルファンボール(OCG) 捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ(OCG) 霊獣の誓還(OCG) おろかな副葬(OCG) 捕食植物スピノ・ディオネア(OCG) 捕食接ぎ木(OCG) 捕食惑星(OCG) 隣の芝刈り(OCG) 端末世界NEXT(OCG) SRドミノバタフライ(OCG) 十二獣の方合(OCG) 霊魂の円環(OCG) 魔界劇団-ティンクル・リトルスター(OCG) RR-アーセナル・ファルコン(OCG) 魔玩具補綴(OCG) 天地開闢(OCG) 捕食植物ドラゴスタペリア(OCG) 不知火流 輪廻の陣(OCG) マジェスペクター・ガスト(OCG) 煉獄の狂宴(OCG) EMレビュー・ダンサー(OCG) 幻影騎士団ミストクロウズ(OCG) 月光彩雛(OCG) 魂源への影劫回帰(OCG) 影のデッキ破壊ウイルス(OCG) LL-リサイト・スターリング(OCG) 超重武者ダイ-8(OCG) スウィッチヒーロー(OCG) 肥大化(OCG) 召喚師アレイスター(OCG) 召喚獣カリギュラ(OCG) 妖仙獣の神颪(OCG) 花札衛-月花見-(OCG) 捕食植物オフリス・スコーピオ(OCG) 召喚獣ライディーン(OCG) 召喚獣コキュートス(OCG) 捕食植物コーディセップス(OCG) 召喚獣プルガトリオ(OCG) 召喚獣メガラニカ(OCG) LL-コバルト・スパロー(OCG) LL-サファイア・スワロー(OCG) デストーイ・リニッチ(OCG) LL-ターコイズ・ワーブラー(OCG) LL-アセンブリー・ナイチンゲール(OCG) 超越融合(OCG) 召喚獣メルカバー(OCG) 召喚獣エリュシオン(OCG) 暴走魔法陣(OCG) 捕食生成(OCG) R・R・R(OCG) ONiサンダー(OCG) 召喚魔術(OCG) 法の聖典(OCG) No.70 デッドリー・シン(OCG) ネクロイド・シンクロ(OCG) 天輪の双星道士(OCG) HEROの遺産(OCG) 魔法名-「大いなる獣」(OCG) 牛頭鬼(OCG) V・HERO ヴァイオン(OCG) 堕天使ユコバック(OCG) アストログラフ・マジシャン(OCG) クロノグラフ・マジシャン(OCG) EMスカイ・マジシャン(OCG) EMスカイ・ピューピル(OCG) 虹彩の魔術師(OCG) 黒牙の魔術師(OCG) 白翼の魔術師(OCG) 紫毒の魔術師(OCG) 星霜のペンデュラムグラフ(OCG) EMバラード(OCG) EMバラクーダ(OCG) デストーイ・デアデビル(OCG) 時空のペンデュラムグラフ(OCG) 星刻の魔術師(OCG) 破壊竜ガンドラ-ギガ・レイズ(OCG) DDゴースト(OCG) DDD盤石王ダリウス(OCG) 魔術師の右手(OCG) スカイスクレイパー・シュート(OCG) 暗黒の召喚神(OCG) ディアバウンド・カーネル(OCG) 魔術師の左手(OCG) 魔術師の再演(OCG) 常闇の契約書(OCG) EMガトリングール(OCG) 失楽園(OCG) 白のヴェール(OCG) ペンデュラム・フュージョン(OCG) 熱き決闘者たち(OCG) 真竜導士マジェスティM(OCG) 連鎖召喚(OCG) No.28 タイタニック・モス(OCG) 風来王 ワイルド・ワインド(OCG) 真竜戦士イグニスH(OCG) コズミック・ブレイザー・ドラゴン(OCG) シューティング・ソニック(OCG) シンクロコール(OCG) 堕天使降臨(OCG) ダブル・リゾネーター(OCG) ゴースト・ビーフ(OCG) マイルド・ターキー(OCG) 覇王門零(OCG) 覇王門無限(OCG) 覇王眷竜ダークヴルム(OCG) 輝神鳥ヴェーヌ(OCG) 原初の叫喚(OCG) 鬼くじ(OCG) 覇王龍ズァーク(OCG) RR-エトランゼ・ファルコン(OCG) 決別(OCG) 幻影騎士団ウロング・マグネリング(OCG) EM小判竜(OCG) ムーンバリア(OCG) 螺旋のストライクバースト(OCG) 真竜拳士ダイナマイトK(OCG) 真竜騎将ドライアスIII世(OCG) 真竜剣皇マスターP(OCG) 真竜機兵ダースメタトロン(OCG) 真竜凰マリアムネ(OCG) 電子光虫-LEDバグ(OCG) 幻煌龍 スパイラル(OCG) LL-インディペンデント・ナイチンゲール(OCG) エンタメデュエル(OCG) 影霊衣の巫女 エリアル(OCG) 真竜皇V.F.D.(OCG) バオバブーン(OCG) ドラゴニックD(OCG) EMユーゴーレム(OCG) SRビードロ・ドクロ(OCG) SRアクマグネ(OCG) ペンデュラムーチョ(OCG) 巨大戦艦 ビッグ・コアMk-III(OCG) 智天の神星龍(OCG) 古代の機械巨人-アルティメット・パウンド(OCG) 幻影騎士団カースド・ジャベリン(OCG) 十二獣クックル(OCG) 幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ(OCG) ファイヤークラッカー(OCG) 灰流うらら(OCG) クリア・エフェクター(OCG) ぶつかり合う魂(OCG) マスター・ピース(OCG) 憑依装着-ライナ(OCG) ドン・サウザンドの契約(OCG) FNo.0 未来皇ホープ-フューチャー・スラッシュ(OCG) 妖精伝姫-カグヤ(OCG) 十二獣ハマーコング(OCG) 十二獣ライカ(OCG) 真竜の継承(OCG) 真竜凰の使徒(OCG) 幻煌の都 パシフィス(OCG) 幻煌龍の螺旋突(OCG) 幻煌龍の螺旋絞(OCG) 幻煌龍の螺旋波(OCG) 光虫信号(OCG) セフィラの神意(OCG) 巨大要塞ゼロス(OCG) 盆回し(OCG) デュエリスト・アドベント(OCG) 真竜皇の復活(OCG) 真竜の黙示録(OCG) 十二獣の相剋(OCG) 幻煌龍の浸渦(OCG) 幻煌龍の戦渦(OCG) [[DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン(OCG) 幻煌龍の天渦(OCG) 破壊剣士の揺籃(OCG) ダイナミスト・ハウリング(OCG) セフィラの星戦(OCG) 幽麗なる幻滝(OCG) 醒めない悪夢(OCG) ダイヤモンドダストン(OCG) DDヴァイス・テュポーン(OCG) 生存境界(OCG) ロストワールド(OCG) DDD疾風大王エグゼクティブ・アレクサンダー(OCG) DDD怒涛大王エグゼクティブ・シーザー(OCG) ビットロン(OCG) メガロスマッシャーX(OCG) EMカード・ガードナー(OCG) 魂喰いオヴィラプター(OCG) 究極伝導恐獣(OCG) プチラノドン(OCG) エッジインプ・コットン・イーター(OCG) デコード・トーカー(OCG) RAMクラウダー(OCG) ドラコネット(OCG) リンクスレイヤー(OCG) サイバネット・ユニバース(OCG) リンク・スパイダー(OCG) ハニーボット(OCG) トワイライトロード・ジェネラル ジェイン(OCG) 戒めの龍(OCG) 星杯を戴く巫女(OCG) 星杯に選ばれし者(OCG) 覇王紫竜オッドアイズ・ヴェノム・ドラゴン(OCG) DDD超死偉王ダークネス・ヘル・アーマゲドン(OCG) 超重蒸鬼テツドウ-O(OCG) 魔界台本「魔界の宴咜女」(OCG) RR-ファイナル・フォートレス・ファルコン(OCG) 星杯に誘われし者(OCG) トワイライトロード・ソーサラー ライラ(OCG) 黄昏の忍者-ジョウゲン(OCG) アマゾネス女帝(OCG) 剣闘獣ノクシウス(OCG) D-HERO ドリームガイ(OCG) トワイライトロード・シャーマン ルミナス(OCG) レスキューフェレット(OCG) トワイライトロード・ファイター ライコウ(OCG) 覇王眷竜クリアウィング(OCG) DDD運命王ゼロ・ラプラス(OCG) 切れぎみ隊長(OCG) 影星軌道兵器ハイドランダー(OCG) サイバース・ウィザード(OCG) Re:EX(OCG) ランチャー・コマンダー(OCG) 星杯剣士アウラム(OCG) サルベージェント・ドライバー(OCG) トリックスター・キャンディナ(OCG) No.41 泥睡魔獣バグースカ(OCG) 剛鬼ツイストコブラ(OCG) 剛鬼スープレックス(OCG) ファイアウォール・ドラゴン(OCG) トリックスター・ホーリーエンジェル(OCG) 剛鬼ザ・グレート・オーガ(OCG) 剛鬼再戦(OCG) 時械神ラツィオン(OCG) 星杯の守護竜(OCG) トリックスター・リンカーネイション(OCG) スリーストライク・バリア(OCG) 星杯の妖精リース(OCG) 星遺物-『星杯』(OCG) スローライフ(OCG) スタック・リバイバー(OCG) バックアップ・セクレタリー(OCG) トレジャー・パンダー(OCG) ランカの蟲惑魔(OCG) ゾンビーナ(OCG) トリックスター・リリーベル(OCG) [[トリックスター・マンジュシカ(OCG) プロキシー・ドラゴン(OCG) 雷仙神(OCG) パーリィナイツ(OCG) 剛鬼ライジングスコーピオ(OCG) ハック・ワーム(OCG) ジャック・ワイバーン(OCG) 星杯竜イムドゥーク(OCG) 星杯神楽イヴ(OCG) 星杯戦士ニンギルス(OCG) 電影の騎士ガイアセイバー(OCG) ミセス・レディエント(OCG) クラッキング・ドラゴン(OCG) 覇王眷竜オッドアイズ(OCG) ドリトル・キメラ(OCG) 覇王眷竜ダーク・リベリオン(OCG) トポロジック・ボマー・ドラゴン(OCG) トリックスター・ライトステージ(OCG) エアークラック・ストーム(OCG) パルス・ボム(OCG) 覇王の逆鱗(OCG) スマイル・ユニバース(OCG) 星遺物との邂逅(OCG) 星遺物の加護(OCG) 闇の進軍(OCG) 黄昏の双龍(OCG) 緊急救急救命レスキュー(OCG) DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン(OCG) 覇王白竜オッドアイズ・ウィング・ドラゴン(OCG) ルドラの魔導書(OCG) 鈍重(OCG) ブーギートラップ(OCG) キャッスル・リンク(OCG) オッドアイズ・ランサー・ドラゴン(OCG) ディフェンスゾーン(OCG) 星遺物の導き(OCG) トワイライト・イレイザー(OCG) 黄昏の交衣(OCG) 暗黒界の洗脳(OCG) EM五虹の魔術師(OCG) DDD超死偉王ホワイテスト・ヘル・アーマゲドン(OCG) 白鱓(OCG) 白闘気海豚(OCG) 白闘気白鯨(OCG) 白闘気白鯨(OCG) 絶縁の落とし穴(OCG) 砂塵の大嵐(OCG) 戦線復帰(OCG) 無償交換(OCG) 無差別崩壊(OCG) 変則ギア(OCG) アマゾネスの斥候(OCG) V・HERO ウィッチ・レイド(OCG) ジャイアント・レックス(OCG) No.68 魔天牢サンダルフォン(OCG) No.71 リバリアン・シャーク(OCG) No.89 電脳獣ディアブロシス(OCG) 究極進化薬(OCG) 時空超越(OCG) ジュラシック・インパクト(OCG) 時械神ザフィオン(OCG) 時械神サディオン(OCG) ドットスケーパー(OCG) バランサーロード(OCG) 時械神カミオン(OCG) 時械巫女(OCG) デュアル・アセンブルム(OCG) トライゲート・ウィザード(OCG) バイナル・ソーサレス(OCG) ROMクラウディア(OCG) アマゾネスペット虎獅子(OCG) 真紅眼の幼竜(OCG) 真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード(OCG) 真紅眼の黒刃竜(OCG) 鎖付き真紅眼牙(OCG) アマゾネス王女(OCG) アマゾネスペット仔虎(OCG) アマゾネスの叫声(OCG) アマゾネスの急襲(OCG) No.29 マネキンキャット(OCG) EMオッドアイズ・ミノタウロス(OCG) EMオッドアイズ・ディゾルヴァー(OCG) EMオッドアイズ・シンクロン(OCG) 伝説のフィッシャーマン二世(OCG) 城塞クジラ(OCG) 超重武者オタス-K(OCG) 超重武者コブ-C(OCG) 魔界劇団カーテン・ライザー(OCG) 海竜神の怒り(OCG) 潜海奇襲(OCG) 鎧獄竜-サイバー・ダークネス・ドラゴン(OCG) RR-ラダー・ストリクス(OCG) 黄昏の忍者-カゲン(OCG) 剣闘獣アンダバタエ(OCG) スーパービークロイド-モビルベース(OCG) 剣闘獣総監エーディトル(OCG) リンク・ディサイプル(OCG) D-HERO ダスクユートピアガイ(OCG) ウォーター・ドラゴン-クラスター(OCG) 白棘鱏(OCG) サイバース・ビーコン(OCG) DDD超視王ゼロ・マクスウェル(OCG) サイバー・ダーク・カノン(OCG) サイバー・ダーク・クロー(OCG) デジトロン(OCG) クラインアント(OCG) バックリンカー(OCG) サイバーダーク・インフェルノ(OCG) ミキサーロイド(OCG) メガロイド都市(OCG) エンコード・トーカー(OCG) サイバネット・バックドア(OCG) ブート・スタッガード(OCG) デューテリオン(OCG) ボンディング-D2O(OCG) ボンディング-DHO(OCG) 剛鬼サンダー・オーガ(OCG) クイック・リボルブ(OCG) スクイブ・ドロー(OCG) ヴァレルロード・ドラゴン(OCG) メタファイズ・ラグナロク(OCG) メタファイズ・ダイダロス(OCG) マグナヴァレット・ドラゴン(OCG) オートヴァレット・ドラゴン(OCG) アネスヴァレット・ドラゴン(OCG) スニッフィング・ドラゴン(OCG) ゲートウェイ・ドラゴン(OCG) メタファイズ・ネフティス(OCG) メタファイズ・タイラント・ドラゴン(OCG) 剛鬼ヘッドバット(OCG) リコーデッド・アライブ(OCG) レッド・ロイド・コール(OCG) 水精鱗-ネレイアビス(OCG) 炎王獣 ガネーシャ(OCG) リンク・バンパー(OCG) トリックスター・スイートデビル(OCG) リンク・インフライヤー(OCG) トリックスター・ナルキッス(OCG) オルターガイスト・マリオネッター(OCG) -[[オルターガイスト・シルキタス(OCG) オルターガイスト・メリュシーク(OCG) V-LAN ヒドラ(OCG) 星遺物-『星鎧』(OCG) クローラー・デンドライト(OCG) オルターガイスト・クンティエリ(OCG) ツイン・トライアングル・ドラゴン(OCG) オルターガイスト・プライムバンシー(OCG) セキュリティ・ブロック(OCG) 影六武衆-ゲンバ(OCG) 影六武衆-ハツメ(OCG) 影六武衆-キザル(OCG) 影六武衆-リハン(OCG) 六武衆の影忍術(OCG) オルターガイスト・カモフラージュ(OCG) オルターガイスト・プロトコル(OCG) ダーク・エンジェル(OCG) ディフェクト・コンパイラー(OCG) 忍法 影縫いの術(OCG) パーソナル・スプーフィング(OCG) クローラー・スパイン(OCG) クローラー・アクソン(OCG) クローラー・レセプター(OCG) 幻獣機ライテン(OCG) トリックスター・ブラッディマリー(OCG) 忍の六武(OCG) 影六武衆-ドウジ(OCG) クローラー・グリア(OCG) クローラー・ランヴィエ(OCG) メタファイズ・エグゼキューター(OCG) 剛鬼デストロイ・オーガ(OCG) コンデンサー・デスストーカー(OCG) ザ・アキュムレーター(OCG) 兵隊竜(OCG) ダックドロッパー(OCG) 比翼レンリン(OCG) ドラゴノイド・ジェネレーター(OCG) アリジバク(OCG) 天岩戸(OCG) 影六武衆-フウマ(OCG) リンク・リスタート(OCG) 旋風機ストリボーグ(OCG) 亡龍の戦慄-デストルドー(OCG) 精霊神后 ドリアード(OCG) 素早いビーバー(OCG) 覚醒への飛躍(アニメ) 衛生兵マッスラー(OCG) エクスクローラー・シナプシス(OCG) エクスクローラー・ニューロゴス(OCG) エクスクローラー・クオリアーク(OCG) アカシック・マジシャン(OCG) マスター・ボーイ(OCG) 星遺物に差す影(OCG) 星遺物を巡る戦い(OCG) メタファイズ・ファクター(OCG) アシンメタファイズ(OCG) ライバル・アライバル(OCG) やりすぎた埋葬(OCG) リモート・リボーン(OCG) 心眼の祭殿(OCG) 補充部隊(OCG) 燃え竹光(OCG) 星遺物の傀儡(OCG) 星遺物に蠢く罠(OCG) おジャマデュオ(OCG) 直通断線(OCG) 導爆線(OCG) 拮抗勝負(OCG) メタバース(OCG) メタファイズ・ディメンション(OCG) 魔弾の射手 カスパール(OCG) 魔弾の射手 ドクトル(OCG) リンクリボー(OCG) インタラプト・レジスタンス(OCG) サイバース・コンバーター(OCG) 魔弾の射手 ザ・キッド(OCG) 魔弾の射手 スター(OCG) 魔弾の射手 カラミティ(OCG) 魔弾の悪魔 ザミエル(OCG) 魔弾-ネバー・エンドルフィン(OCG) 魔弾-デビルズ・ディール(OCG) 魔弾-デスペラード(OCG) 魔弾-クロス・ドミネーター(OCG) 魔弾の射手 ワイルド(OCG) 雪天気シエル(OCG) 雨天気ラズラ(OCG) 天空聖騎士アークパーシアス(OCG) パラレルポート・アーマー(OCG) 魔弾-ダンシング・ニードル(OCG) 雷天気ターメル(OCG) 虹天気アルシエル(OCG) 雨の天気模様(OCG) 曇りの天気模様(OCG) 雷の天気模様(OCG) オーロラの天気模様(OCG) サブテラーマリスの妖魔(OCG) サブテラーの戦士(OCG) 魔弾-デッドマンズ・バースト(OCG) 曇天気スレット(OCG) 晴天気ベンガーラ(OCG) 天空賢者ミネルヴァ(OCG) 力天使ヴァルキリア(OCG) 極天気ランブラ(OCG) 雪の天気模様(OCG) 晴れの天気模様(OCG) サブテラーマリス・リグリアード(OCG) サブテラーマリス・バレスアッシュ(OCG) イーバ(OCG) ビットルーパー(OCG) パーシアスの神域(OCG) 輪廻のパーシアス(OCG) 弾帯城壁龍(OCG) エクスコ一ド・ト一力一(OCG) サブテラーマリス・エルガウスト(OCG) 地中界シャンバラ(OCG) スリーバーストショット・ドラゴン(OCG) 天火の牢獄(OCG) 六武衆の真影(OCG) サブテラーの射手(OCG) サブテラーの決戦(OCG) SPYRAL-ザ・ダブルヘリックス(OCG) SPYRAL-ダンディ(OCG) SPYRAL-ジーニアス(OCG) ペンデュラム・スイッチ(OCG) 竜巻竜(OCG) 融合再生機構(OCG) サブテラーマリス・ジブラタール(OCG) テセウスの魔棲物(OCG) 調星のドラッグスター(OCG) 灼銀の機竜(OCG) 隠密忍法帖(OCG) マジックアブソーバー(OCG) F.A.ダウンフォース(OCG) F.A.サーキットGP(OCG) F.A.ハングオンマッハ(OCG) F.A.ソニックマイスター(OCG) ヴェンデット・リボーン(OCG) リヴェンデット・ボーン(OCG) ヴェンデット・レヴナント(OCG) リヴェンデット・スレイヤー(OCG) キキナガシ風鳥(OCG) 武力の軍奏(OCG) サブテラーマリスの潜伏(OCG) サブテラーの激闘(OCG) コード・トーカー(OCG) サブテラーマリス・ボルティニア(OCG) サブテラーマリス・グライオース(OCG) 堕ち武者(OCG) サブテラーの刀匠(OCG) サブテラーの妖魔(OCG) サブテラーマリス・アクエドリア(OCG) サブテラーマリス・アルラボーン(OCG) SPYRAL-グレース(OCG) ロックアウト・ガードナー(OCG) ティンダングル・エンジェル(OCG) ティンダングル・ベース・ガードナー(OCG) ティンダングル・ハウンド(OCG) サブテラーの導師(OCG) SPYRAL-タフネス(OCG) SPYRAL-ボルテックス(OCG) SPYGAL-ミスティ(OCG) 「RESORT」STAFF-チャーミング(OCG) SPYRAL GEAR-ドローン(OCG) SPYRAL GEAR-ラスト・リゾート(OCG) SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド(OCG) SPYRAL GEAR-エクストラアームズ(OCG) ティンダングル・アポストル(OCG) ティンダングル・イントルーダー(OCG) アンダークロックテイカー(OCG) SPYRAL GEAR-マルチワイヤー(OCG) SPYRAL RESORT(OCG) SPYRAL MISSION-強襲(OCG) ティンダングル・アキュート・ケルベロス(OCG) オルターガイスト・ヘクスティア(OCG) SPYRAL MISSION-奪還(OCG) SPYRAL MISSION-救出(OCG) ナーゲルの守護天(OCG) オイラーサーキット(OCG) シェルヴァレット・ドラゴン(OCG) ティンダングル・ドロネー(OCG) オルターガイスト・マテリアリゼーション(OCG) ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト(OCG) ミレニアム・アイズ・サクリファイス(OCG) リンケージ・ホール(OCG) サイバネット・リフレッシュ(OCG) サクリファイス・フュージョン(OCG) 寄生虫パラノイド(OCG) 究極変異態・インセクト女王(OCG) 超進化の繭(OCG) 白闘気双頭神龍(OCG) BM-4ボムスパイダー(OCG) デスペラード・リボルバー・ドラゴン(OCG) 銃砲撃(OCG) 古代の機械超巨人(OCG) 究極宝玉神 レインボー・オーバー・ドラゴン(OCG) 蒼穹の機界騎士(OCG) 翠嵐の機界騎士(OCG) 燈影の機界騎士(OCG) 黄華の機界騎士(OCG) 古代の機械融合(OCG) 虹の架け橋(OCG) 悪夢の拷問部屋(OCG) 紅蓮の機界騎士(OCG) 紺碧の機界騎士(OCG) 紫宵の機界騎士(OCG) リンクルベル(OCG) 超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン(OCG) ファイヤーオパールヘッド(OCG) 沼地のドロゴン(OCG) 究極宝玉陣(OCG) アームド・ドラゴン・カタパルトキャノン(OCG) 幻想魔術師・ノー・フェイス(OCG) 星遺物-『星盾』(OCG) 魔導獣 ジャッカル(OCG) 魔導獣 ガルーダ(OCG) ベクター・スケア・デーモン(OCG) 星痕の機界騎士(OCG) リカバリー・ソーサラー(OCG) 副話術士クララ&ルーシカ(OCG) セキュア・ガードナー(OCG) ストライピング・パートナー(OCG) フリック・クラウン(OCG) ゾンビーノ(OCG) メタルヴァレット・ドラゴン(OCG) 魔導獣 メデューサ(OCG) 魔導獣 バジリスク(OCG) セキュリティ・ドラゴン(OCG) 魔導獣 マスターケルベロス(OCG) 魔導獣 キングジャッカル(OCG) アーティファクト-ミョルニル(OCG) リボルブート・セクター(OCG) ヴァレル・レフリジェレーション(OCG) 屈強の釣り師(OCG) 雀姉妹(OCG) 異次元の探求者(OCG) 魅幽鳥(OCG) 古代の機械素体(OCG) おジャマッチング(OCG) おジャマ改造(OCG) デスマニア・デビル(OCG) 電送擬人エレキネシス(OCG) インスペクト・ボーダー(OCG) オーバーテクス・ゴアトルス(OCG) ドングルドングリ(OCG) パケットリンク(OCG) パワーコード・トーカー(OCG) 接触するG(OCG) 鎖龍蛇-スカルデット(OCG) 星遺物が刻む傷痕(OCG) 星遺物へ至る鍵(OCG) 魔導加速(OCG) 剣闘獣ドラガシス(OCG) 蝕みの鱗粉(OCG) ライトロード・ドミニオン キュリオス(OCG) 天球の聖刻印(OCG) クリフォート・ゲニウス(OCG) アロマセラフィ-ジャスミン(OCG) 彼岸の黒天使 ケルビーニ(OCG) 水晶機巧-ハリファイバー(OCG) 栄光の聖騎士団(OCG) ガーディアンの力(OCG) 剛鬼フェイスターン(OCG) パーペチュアルキングデーモン(OCG) ペンデュラム・パラドックス(OCG) 局所的ハリケーン(OCG) ダウンビート(OCG) アスポート(OCG) 身分転換(OCG) 星遺物の囁き(OCG) 星遺物に眠る深層(OCG) 魔導変換(OCG) ゴーストリック・リフォーム(OCG) デーモンの呼び声(OCG) 宝玉の絆(OCG) ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム(OCG) センサー万別(OCG) GUYダンス(OCG) 水精鱗-サラキアビス(OCG) 鋼鉄の襲撃者(OCG) 甲虫装機 ピコファレーナ(OCG) 魔導原典 クロウリー(OCG) シャドール・ネフィリム(OCG) 白の救済(OCG) 白の咆哮(OCG) ジェムナイト・ファントムルーツ(OCG) X・HERO ワンダー・ドライバー(OCG) 白闘気一角(OCG) トリックスター・ヒヨス(OCG) トリックスター・マンドレイク(OCG) 見切りの極意(OCG) 一撃離脱(OCG) 誤爆(OCG) サモン・ソーサレス(OCG) 剛鬼マンジロック(OCG) 剛鬼ハッグベア(OCG) トリックスター・ベラマドンナ(OCG) おジャマパーティ(OCG) 剛鬼ザ・マスター・オーガ(OCG) フレッシュマドルチェ・シスタルト(OCG) 暴走召喚師アレイスター(OCG) サイバーサル・サイクロン(OCG) インヴェルズ・オリジン(OCG) 聖騎士の追想 イゾルデ(OCG) セフィラ・メタトロン(OCG) 九尾の狐(OCG) トラフィックゴースト(OCG) LANフォリンクス(OCG) サイバネット・ストーム(OCG) セグメンタル・ドラゴン(OCG) ストームサイファー(OCG) レディ・デバッガー(OCG) フレイム・バッファロー(OCG) シーアーカイバー(OCG) ガベージコレクター(OCG) アンチエイリアン(OCG) もののけの巣くう祠(OCG) トリックスター・シャクナージュ(OCG) デフラドラグーン(OCG) バックグランド・ドラゴン(OCG) トポロジック・トゥリスバエナ(OCG) トリックスター・ブルム(OCG) オルターガイスト・キードゥルガー(OCG) トリックスター・ライトアリーナ(OCG) レッド・リブート(OCG) トリックスター・キャロベイン(OCG) D-カウンター(アニメ) アルカナ エクストラジョーカー(OCG) ジャンク・コネクター(OCG) No.5 亡朧竜 デス・キマイラ・ドラゴン(OCG) ペンデュラム・ホルト(OCG) アクションマジック-フルターン(OCG) アクションマジック-ダブル・バンキング(OCG) フォトン・アドバンサー(OCG) ライティ・ドライバー(OCG) レフティ・ドライバー(OCG) ダブルバイト・ドラゴン(OCG) フォーマッド・スキッパー(OCG) トリックスター・フォクシーウィッチ(OCG) トリックスター・マジカローラ(OCG) 剛鬼ジェット・オーガ(OCG) 剛鬼死闘(OCG) ブースター・ドラゴン(OCG) タクティカル・エクスチェンバー(OCG) バックアップ・オペレーター(OCG) 聖種の地霊(OCG) ジェルゴンヌの終焉(OCG) エレメントセイバー・アイナ(OCG) エレメントセイバー・マカニ(OCG) プロトロン(OCG) ティンダングル・トリニティ(OCG) エレメントセイバー・ナル(OCG) エレメントセイバー・マロー(OCG) エレメントセイバー・ラパウィラ(OCG) エレメントセイバー・モーレフ(OCG) エレメントセイバー・ウィラード(OCG) 光霊神フォスオラージュ(OCG) 太陽電池メン(OCG) 星遺物-『星槍』(OCG) 夢幻崩界イヴリース(OCG) 機界騎士アヴラム(OCG) プロンプトホーン(OCG) リンク・ストリーマー(OCG) デグレネード・バスター(OCG) 番猫-ウォッチキャット(OCG) トランスファミリア(OCG) オルターガイスト・マルチフェイカー(OCG) オルターガイスト・ピクシール(OCG) トリックスター・デビルフィニウム(OCG) ヤジロベーダー(OCG) 鉄騎龍ティアマトン(OCG) 屋敷わらし(OCG) 妖海のアウトロール(OCG) オルターガイスト・マルチフェイカー(OCG) オルターガイスト・ピクシール(OCG) トリックスター・デビルフィニウム(OCG) ヤジロベーダー(OCG) 鉄騎龍ティアマトン(OCG) 屋敷わらし(OCG) ボイコットン(OCG) トロイメア・マーメイド(OCG) トロイメア・ゴブリン(OCG) トリックスター・ブーケ(OCG) リミット・コード(OCG) オルターガイスト・エミュレルフ(OCG) トロイメア・ケルベロス(OCG) トロイメア・フェニックス(OCG) トロイメア・ユニコーン(OCG) 竜騎士ブラック・マジシャン(OCG) クインテット・マジシャン(OCG) 円融魔術(OCG) トロイメア・グリフォン(OCG) 発条補修ゼンマイコン(OCG) ヴァンパイア・サッカー(OCG) 小法師ヒダルマー(OCG) グレートフライ(OCG) 星遺物が導く果て(OCG) 星遺物を継ぐもの(OCG) 星遺物へ誘う悪夢(OCG) 霊神の聖殿(OCG) 再臨の帝王(OCG) 雪花の光(OCG) バウンドリンク(OCG) にらみ合い(OCG) 墓穴の指名者(OCG) 取捨蘇生(OCG) 星遺物からの目醒め(OCG) 星遺物への抵抗(OCG) 星遺物に響く残叫(OCG) 霊神統一(OCG) 神属の堕天使(OCG) キメラテック・メガフリート・ドラゴン(OCG) オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン(OCG) 電網の落とし穴(OCG) 無限泡影(OCG) 無情なはたき落とし(OCG) 豆まき(OCG) やぶ蛇(OCG) 空牙団の撃手 ドンパ(OCG) 空牙団の飛哨 リコン(OCG) 空牙団の舵手 ヘルマー(OCG) 空牙団の剣士 ビート(OCG) 空牙団の参謀 シール(OCG) 空牙団の闘士 ブラーヴォ(OCG) 空牙団の孤高 サジータ(OCG) 空牙団の豪傑 ダイナ(OCG) 空牙団の叡智 ウィズ(OCG) 空牙団の英雄 ラファール(OCG) 飛竜艇-ファンドラ(OCG) 空牙団の修練(OCG) 烈風の空牙団(OCG) 閃刀姫-カガリ(OCG) 閃刀姫-シズク(OCG) 閃刀姫-レイ(OCG) 閃刀起動-エンゲージ(OCG) 閃刀術式-アフターバーナー(OCG) 竜魔導の守護者(OCG) 閃刀術式-ジャミングウェーブ(OCG) 閃刀機-ホーネットビット(OCG) 閃刀機-ウィドウアンカー(OCG) 閃刀機-イーグルブースター(OCG) 閃刀機-シャークキャノン(OCG) 閃刀機構-ハーキュリーベース(OCG) 閃刀機関-マルチロール(OCG) 閃刀空域-エリアゼロ(OCG) EMクレイブレイカー(OCG) ファーニマル・エンジェル(OCG) ヴァンパイアの使い魔(OCG) ヴァンパイアの眷属(OCG) ヴァンパイア・フロイライン(OCG) ヴァンパイア・グリムゾン(OCG) ヴァンパイア・スカージレット(OCG) ヴァンパイア・レッドバロン(OCG) 交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン(OCG) ヴァンパイア・デザイア(OCG) ヴァンパイアの領域(OCG) ヴァンパイア・アウェイク(OCG) ヴァンパイアの支配(OCG) マズルフラッシュ・ドラゴン(OCG) 悪魔嬢リリス(OCG) 闇黒の魔王ディアボロス(OCG) 悪王アフリマ(OCG) 影王デュークシェード(OCG) 闇黒世界-シャドウ・ディストピア-(OCG) 悪のデッキ破壊ウイルス(OCG) シューティング・ライザー・ドラゴン(OCG) トランスコード・トーカー(OCG) ウィジェット・キッド(OCG) サイバース・ホワイトハット(OCG) サイバネット・リカバー(OCG) ペンテスタッグ(OCG) ゴッド・オーガス(OCG) ライドロン(OCG) 時械神サンダイオン(OCG) No.90 銀河眼の光子卿(OCG) トポロジック・ガンブラー・ドラゴン(OCG) テクスチェンジャー(OCG) ミラーフォース・ランチャー(OCG) サイバネット・リチューアル(OCG) レストレーション・ポイントガード(OCG) サイバース・ウィッチ(OCG) オッドアイズ・ファンタズマ・ドラゴン(OCG) サイバース・マジシャン(OCG) クラスター・コンジェスター(OCG) SIMMタブラス(OCG) 破滅の天使ルイン(OCG) 終焉の悪魔デミス(OCG) 破滅の美神ルイン(OCG) 終焉の覇王デミス(OCG) 嵐竜の聖騎士(OCG) シールド・ハンドラ(OCG) リビング・フォッシル(OCG) ドラグニティナイト-ハールーン(OCG) ドラグニティナイト-アスカロン(OCG) ヴァレルソード・ドラゴン(OCG) ショートヴァレル・ドラゴン(OCG) ヴァレル・リロード(OCG) リンク・デス・ターレット(OCG) 剛鬼ザ・ジャイアント・オーガ(OCG) 剛鬼ジャドウ・オーガ(OCG) マガジンドラムゴン(OCG) ゼロ・エクストラリンク(OCG) マギアス・パラディオン(OCG) レグレクス・パラディオン(OCG) アークロード・パラディオン(OCG)
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1119.html
ラノで読む 「ちょいと、まーくん。こんなところであなたは何をやってるのかしら?」 昼ごはんの忙しい時間帯も過ぎ、まったりとした時が流れる午後二時過ぎ。召屋正行《めしやまさゆき》は人気のない喫茶店のカウンターに座りながら、冷たい視線を思う存分に浴びていることにも気にせずに好物のスパゲティを貪っていた。 「いや…今日の……ちょっと遅い……昼…飯を…ね」 召屋はケチャップが制服にかかることも気にすることなく、全力でパスタを啜っている。 ウェイトレスが、召屋の食べている皿を取り上げる。 「な、何すんだよ?」 「そーいうことを聞いてるんじゃないの。健全な高校生が授業にも出ないでこんなところで暇を潰してちゃ駄目でしょ? せめて、バイクで外環道路を爆走するとか、可愛い女の子をナンパするとか、それが駄目ならストーキングするとか、ゲーセンでハメ技使って初心者にトラウマ植えつけるとか、スパ銭行って幼女との出会いに心弾ませるとか、いくらでもあるでしょ?」 「おい、所々犯罪臭いぞ」 「あら? だって、そういうの好きでしょ?」 「どういう人間に見えてるんだ?」 「じょーだんよぉ!!」 ケラケラと笑いながら、ウェイトレスはスパゲティが盛り付けられた皿をカウンターテーブルに置きなおす。 「――――でも幼女は好きよね?」 「だから、なんでそうなるんだ」 「だって、よーく有葉《あるは》ちゃんと一緒にウチにくるじゃない? あっ!? それとも何? あっちの趣味があったのっ!?」 マズイことを言ってしまったと思ったのか、口を手で押さえる。 「俺は人の道も男の道も踏み外してねえっ!! それにあいつのことは関係ないだろっ」 珍しく声を荒げると、ニヤニヤとしていたウェイトレスを無視し、召屋は黙々とパスタを食う作業に戻っていく。ただ、いつもとは僅かに違う反応にウェイトレスが気が付かないワケがない。 「あら?」 「……」 「あら、あら、あらぁ~? 有葉ちゃんと喧嘩でもしたのー?」 そう言いながら、召屋の顔を覗き込み、肘で脇をこんこんと小突く。だが召屋はそれも無視する。 「違う」 「あっそう。ならいいけどね……」 ウェイトレスはどこからか携帯を取り出すと、誰ともなしに電話をし始めた。しかし、暫くして繋がらなかったのか、携帯を畳みいずこかへと仕舞ってしまう。その手際は手品のようだった。おそらく、彼女の能力であるサイコキネシスを使っているのだろう。 「出ないわねえ。有葉ちゃん」 その言葉に召屋は豪快にパスタを吐き出してしまう。もろにかかる位置に座っていたマスターだったが、読んでいた競馬新聞で起用に防御すると、無言でそれを丸め、周囲をお絞りで掃除し始める。 「ちょ、あん、あな、あなななな、いや、ね、ねえさん。なんであいつの番号知ってんだよ?」 「それは乙女の秘密よ」 「そもそも乙女じゃねーし、乙女って歳でもね……」 その言葉を遮るように、召屋の前のカウンターにナイフやフォークが何本も突き刺さる。召屋は思わず唾を飲む。 「もしかして死にたいのかな?」 「いえいえ、とんでもない」 軽く冷や汗を流しながら、召屋は強張った笑顔で応えることにした。 「ならいいわ。それで、まーくんは、どうするの?」 ウェイトレスの指先の周りには、十本ほどのナイフとフォークが円を描くように空を漂っている。その動きは種のある空中浮遊のマジックのような重力を感じさせるものではなかった。まるで、個々が意思のあるように動き、踊るように人差し指の動きに合わせ周りを浮遊していた。彼女自身はそれを顔をしかめることも汗をかくこともなく平然としてやってのけている。これだけの数をコントロールするのはそれなりの集中力と十分な魂源力《アツイルト》が必要なはずなのに。 「どうするって?」 いつこちらに突き刺さるかもしれない食器を横目で見ながら、召屋は有葉のことについて、白を通そうと決意していた。 「決まってるでしょ、有葉ちゃんのことよ。なんかあったんでしょ?」 「なんにもない」 「うっっそだ~」 ウェイトレスは、そう言いながら召屋の瞳をじっと見つめる。召屋はその眼力に負け、思わず避逃げるように目を逸らしてしまう。 「ほーら、やっぱりね。だったら、こんなところで暇を潰してないで、すぐ行動に出なさいな」 召屋はカウンターに思い切りフォークを叩き付ける。 「言っている意味が分からないんだけどな」 「あらあらぁ? 分かってるから、そーんなに顔を真っ赤にしてるんでしょ? こっちは全部お見通しなのよ」 「何をだよ?」 更に顔を真っ赤にして、召屋はウェイトレスの言葉を否定しようとする。だが、それを察したのか、ウェイトレスは召屋鼻と鼻がくっつきそうなほどに近づく。召屋の鼻腔にウェイトレスの甘い香りが漂う。 「そろそろ素直になろーよ。そうじゃないと、軽く、コ☆ロ☆す☆よ☆?」 目は笑っているが、その言葉は一寸たりとも冗談でないことが召屋にも分かる。彼の首筋に金属特有の冷たい感触があることからも明らかだ。 「だいじょーぶよぉ。私は子供の喧嘩に口を出すほど馬鹿じゃないわ。それともあれ? 私を厄介ごとに巻き込みたくないと思ったの!? ヤダッ! カッワイイー!!」 そう言うと、ウェイトレスは両手を広げ、そのまま召屋抱きつく。召屋はストゥールに座っていたため、顔が彼女の豊満な胸に押さえつけられてしまう。 「し、死ぬっ、窒息する」 その心地よさを堪能するのもほどほどに召屋はウェイトレスの肩を叩き、タップする。 「何よ、そんな言い方しなくてもいいじゃない?」 召屋の言葉に冷めてしまったのか、彼女はハグをやめ、僅かに残念そうな顔をする。だが、すぐにいつもの営業スマイルに戻ると、さっさと出て行けという意味なのか、召屋に手を振っていた。 「別に巻き込みたくないとか、そんなんじゃない。これは俺がやらないといけないことなんだ」 長い眠りから覚めて以来、彼の頭脳は何故か冴え渡っていた。まるで、何かのリミッターが外れたかのように。そして、永遠と繰り返される夢の中の出来事、以前から欠落していた記憶の一部も戻っていた。 ただ、何故その記憶が欠落していたのかは彼にも分からないし、今更蘇った意味も不明だ。もちろん、あの事件は思い出したくも無い凄惨な出来事であり、彼自身が封印したという可能性もある。腑に落ちない点もいくつか残っている。 その一つがクロの存在だった。その一部は記憶に残っていたが、クロという名前ではない。何より、これまで召屋が召喚してきたあれは、凶悪な化物《ラルヴア》であり、クロではない。昨日までの召屋にとってのクロは幼い頃に飼っていたラブラドールレトリバーである。そのことを確認しようと妹に連絡してみたが、クロは飼い犬であると断言されてしまう。明らかに欠落ではなく改ざんされていた。 これが事実なら、彼の妹も記憶操作されているということになる。不可解だった。召屋が知る限り、彼女は能力者でもなんでもないからだ。 事件の情報が学園のデータファイルに残っていないのもおかしい。召屋は、ここに来る前に学園の図書館に設置されたパソコンで、自分に関するデータを検索していたが、どこを探してもあの事件に関する情報は記載されておらず、完全な空振りに終わっていた。 完全な手詰まり。 その一方で、化物《ラルヴア》の詳細なデータなどを読み解き、見えてきた部分もある。有葉の行方だ。状況証拠からして、研究所に監禁されていることに間違いなかった。彼自身が有葉にあの研究所に行くようにとメールしていたからだ。 そしてなにより、昨日深夜に読んだ化物《ラルヴア》の報告書の一文が決定打だった。 “制御装置の開発、もしくは能力者の適合調整が早急に望まれる” これを読んだ途端、召屋は深夜にも関わらず、迷うことなく松戸に電話していた。五回ほど掛け直した後、ようやく繋がった松戸は酷く機嫌が悪そうだった。せっかくの睡眠を台無しにされたのだから当たり前である。だが、そんなことも気にせずに一言だけ質問をした。『お前が春部に殴られるはめになった実験の依頼人は尾原凛ではないのか』と。 その名前が出てきたことに松戸は酷く驚いたようだった。そして、その意外な質問に眠気も覚めたのか、何事かと興味深そうに矢継ぎ早に質問してくる。 召屋は事の次第を説明し、出来るだけの情報が欲しいと伝える。松戸もそれに同意し、調べてみると応対する。 『いやー、これは楽しそうだねえ』 なんとも緊張感のない他人事な言葉だが、善悪の観念に疎い松戸にしてみれば、これも楽しいイベントや実験の一つにしか過ぎないのかもしれない。最後に、召屋はクラスメイトの誰にも口外しないようにとも付け加えてた。まあ、それが実際に効果があるのかどうかは、不安だったが。 「ちょいとまーくん?」 不思議な物を見るようにウェイトレスが召屋の顔を覗き込んでいた。 それに気づいた召屋は、皿に残ったパスタを一気にかきこみ、すっかり冷めてしまったコーヒーで一気に胃へと流し込む。そして、カウンターに代金を置くと、面倒くさそうに立ち上がり、隣のストゥールに置いてあったヘルメットとグローブを抱え、ウェイトレスに声を掛ける。 「さて、ちょっと行って来るわ。ところでねえさん?」 「なあに」 「ガムは持ってる?」 「まあ持ってるけど。クールミントでいい?」 ウェイトレスは胸のポケットから板ガムを一枚取り出すと、不思議そうな顔をして召屋に手渡す。 「後で返すよ」 「そんなもん、別に返さなくていいわよ」 そう言いながら、まるで魚を狙っている野良猫を追い払うような仕草をする。面倒な表情からも、それがグダグダしてねえでさっさと行けと言っていることに間違いはなかった。 召屋は思わず舌打ちをする。その反応、ではなく言葉にだった。 「分かってねえなあ」 そう言って、召屋は受け取ったガムを口に入れながら扉を押し開き、喫茶店を出て行った。暫くすると、単気筒《シングル》特有の鼓動感の強いエキゾーストノートが聞こえてくる。その音は、急ぐように喫茶店から離れていった。 「やっぱり青春っていいわねー。これよね、これ。こうでないといけないわ。でも、どうしよう? ちゃんとできるかしら……」 ウェイトレスは喫茶店の中を落ち着き無くうろうろしながら、時折外を覗き込む格好をし、時計を気にする。子供の喧嘩に口出ししないとは言ったものの、それなりに心配らしい。 「上戸《うえと》ちゃん」 カウンターの奥から声がする。声の主はマスターだった。ウェイトレスの落ち着きの無さを悟ってのことだろう。 「なあに? マスター」 そう言いながらもウェイトレスは外を見ることを、時計を確認することをやめない。 「さっき駄目にしちまった競馬新聞さ、また買ってきてくれねーか? 見ての通り、店は暇だからよ」 ウェイトレスがその言葉に破顔一笑する。 「じゃあ、いってきまーす!」 嬉しそうに店を駆け出て行くウェイトレスを見守ると、マスターは、カウンターの下にあった別の競馬新聞を取り出し、読み始める。 読みながら吹かすタバコの煙がいくつもの円を描いていた。 「そうか、やっぱり週末のG1はミスズビャッコオーで決まりか……」 耳に挟んでいた赤ペンを取り出すと、新聞に丸をつけ始める。今日もこの喫茶店は千客万来とは程遠い平和な空間だった。 小柄な身体とは不釣合いに大きく豪華な椅子に座る少女は、目の前にいる人物の言葉に苛立ちを覚えていた。そして、それは、その傍らに立つ女性も同じだった。 「もう一度最初から説明しないと駄目なのだろうか? 藤神門《ふじみかど》くん」 神経を逆なでするような、馬鹿にした口調で男は目の前に座る彼女に言葉を吐きかける。恐らく、これ以上の口論は無意味であり、その勝者は自分であるということを示したいのであろう。 「そうではない。何故我々が介入することを禁じるのか、その意味を知りたいのだ!」 少女は身体に似合わないほどの大きな声を張り上げ、目の前にいる教師から提出された書類を突き返そうとする。だがそれは実らない。 彼女の行為を否定しながら、男は言葉を続ける。 「意味なんて知る必要はない。そこにあるサインを見ただろ? 理事会も認証済みだ。もう一度言う。この件に関して、何が起ころうと醒徒会および……あの何かと首を突っ込みたがる風紀委員の介入はどんな手段であれ、一切禁止されている」 「だが……」 藤神門が俯きながら搾り出すように言葉を紡ぐ。そして、傍にいた女性が彼女の耳元で呟く。 「確かに本物です」 事実、藤神門御鈴《ふじみかどみすず》が突き返そうした書類は本物だった。彼が、事前から用意してあったものだ。事態を見越してのことなのだろう。 「だが……、だが、私たちは生徒を守る義務があるのだっ!」 「おい! ……これは失礼、生《・》徒《・》会《・》長《・》、それはお互い様だ。それとも私が生徒のことを考えていないとでも? 危険が及ぶことに指を咥えて見ているとでも? 全くもって短絡的過ぎる。こう見えても私はこの学園の教師でしてね。見くびって貰っては困るな。いやまあ、私はどうでもいいか……。それよりも、少なくとも私の生徒たちを見くびらないでくれまいか。確かに彼らは君たちほどの力は持っていないし、非力だろう。それでもこの学園の生徒で、何より私の誇る生徒なのだよ」 藤神門の言葉が彼の何かに触れたのであろう、男の語気が急に荒くなる。 「今の件は謝ります。でも、そうは言いますが、ことが大事になれば……」 そう口を挟んできたのは藤神門の傍に立つ女性、水分理緒《みくまりりお》だった。いつもは温和な表情を絶やさない彼女も不安からなのか、はたまた不満があるのか、僅かに顔をしかめていた。 「これは酷く私的なものでね。あなた方に出張ってこられては困るのだよ。これは私《・》た《・》ち《・》が解決すべき事柄であって、君たちが口を出すことではない。さて、これ以上の口論は時間の無駄だ。私はお暇《いとま》するよ。やることが沢山あるのでね」 そう言って、男は醒徒会室を出て行く。 「うぐぐぐぐっ……。りお、塩を撒け、塩! 伯方の塩がいいぞ、なんかスゴク利きそうだからな!!」 「うなー!!」 藤神門の感情に影響されたのか、膝に座っていた白虎が彼女の大声とともに大きな鳴き声を上げていた。 廊下を歩きながら、字元数正《あざもとかずまさ》は額に吹き出る汗を真四角に折られたハンカチで拭っていた。 (全く、相変わらず醒徒会は手に余るというか扱いづらいことだ) そんなことを思いながら、字元は教務室へと急ぎ歩いていく。これから起こるであろう事件には、他にも根回しが必要なのだ。 「ん!?」 何かに気が付いた様子で、胸の内ポケットからマナーモードになっている携帯を取り出す。液晶に表示されている名前を確認すると、僅かにうんざりとしながら、通話ボタンを嫌そうに押し、携帯を耳にあてがう。 「何だね? 忙しいのだが―――――。はあ? そんなの言えるわけないだろ。君は馬鹿なのか? いつだってそうだ。十年前のあの時だって、君はね……それとこれとは別だと? だぁからあ――――」 そのまま淡々と歩きながら、電話口での口論は教務室に入るまで続いていた。 松戸科学《まつどしながく》は召屋と約束した通り、商店街からもはずれ、人家も少なくなっている町外れの神社の階段に腰掛けていた。 お尻が冷たい。松戸はふとそう思う。 このあたりは人工島である双葉島でも異質な、森や林、丘、小川など自然溢れる区画だった。双葉島完成当初から計画的に植林、造成が行われ、更に昆虫や鳥、魚など害のないものが放たれ、現在では東京都区内としては有数の人工ビオトープとなっている。ただし、植生や生態系、水質など徹底的に管理されているため、純粋な意味での自然とは言えなかったが、それでも多くの双葉区民が自然を楽しんでていた。格別に享受している野生児もいるという噂もあるほどに、区民に愛されているエリアである。 そんな自然溢れる場所の一角に腰掛けながら、松戸はここが自分に不釣合いなところだとしみじみ感じていた。彼は小さい頃からオリエンテーションやキャンプといった類が大の苦手だったからだ。何でわざわざ不便な生活をするために不便な場所へと足を運ばねばならないのか? 電子レンジに冷凍食品を入れてボタンを押せば数分でホカホカのおかずが出来上がるし、ご飯だって同じだ。飯盒炊爨なんかもってのほかである。もし、身近にそういったことを企画する人間がいるならば、その時はちょっとしたいたずらを仕掛けてやろう。松戸はそんなことを思う。 遠くからバイクの排気音が聞こえてくる。松戸はバイクに一切興味はなく、見た目はもちろん、エキゾーストノートの僅かな違いなど到底区別も付かない。が、その音とともにどうでもいい薀蓄散々聞かされていたこともあり、彼はそれを召屋のものであると理解する。 バイクが松戸の前でピタリと停まる。 「やあ、召屋、遅かったねえ」 「ちょっと色々あってな」 召屋はシールドを上げて、面倒そうに答えると、ヘルメットを脱ぐ。相変わらず冴えない顔がそこにあった。 「なんだ?」 召屋は自分の顔を不思議そうにじっと見つめている松戸を不思議に思う。 「いやあ、なんでもないよ。それでね、実は委員長たちにバレてしまったよ」 「はぁ? 言うなって言ったじゃねーかっ!?」 「そうは言うけど、君はぼくの命を保障してくれるのかい? そうじゃないだろう。あれは不可抗力ってところだよ」 あいも変わらず、松戸はノラリクラリと会話を続ける。 「で、誰に話した?」 その召屋の質問に、松戸はその場にいた全員の名前を話す。つまりは、2年C組の六名とH組の二名のろくでもない名前である。 八名の名前を松戸が全て言い終わる頃には、召屋はバイクの前で頭を抱えていた。 「ぜっっっったい、面倒なことになる……」 「そうは言うけどね、彼女らは真剣に有葉さんを探そう、いや、助けようってのが正しいのかな? そうしようとしてるわけだ。多分、きみの力になると思うよ」 「必要ない」 「そうは言うけどね、召屋……」 「もう一度いう、関《・》係《・》な《・》い《・》」 あまりの能天気な応答に、思わず召屋の声が大きくなる。 「そうかい? それはすまなかったね。つまり、きみはきみ一人でやろうっていうのか? それはそれは、随分とまあ、素敵なヒーロー願望を持っているじゃないか?」 「そういうのとは違うな」 松戸は目の前にいる人物が言っている意味が良く分からず、腕を組み、首をかしげる。「うーん、協力すれば楽になると思うけど……。そうそう、メンテナンスが終わった特殊警棒とこっちは調べた資料だよ」 飯屋の目の前に書類の束と銀色の警防を手渡す。 「ああ、ありがとな」 受け取った警棒を後ろポケットに収めると、それと一緒に受け取った書類を眺めながら、数枚ほど捲った後、召屋は驚く。 「―――これって?」 「簡単なものだけどね。それがあれば大分楽になるだろ? まあ、あそこは警備員の数も質も相当だから、おいそれと侵入なんてできないだろうけどね」 松戸は彼に背を向けると、振り返ることなく手を振り、その場から立ち去っていく。 「とりあえず、ぼくにできることはもうないから生暖かく見守ることにするよ。それとオ《・》マ《・》ケ《・》も付けといたよ」 だた、その言葉は召屋には聞こえなかったようだ。書類を読みながら、神社の長い階段を登っていたからだ。 向かう先は、彼と彼女が始めてあの化物《ラルヴア》に出会った場所だった。 「ちょっと待て! これはこれっぽっちも戦略的じゃない! それ以前にただの馬鹿じゃねーか俺はよ!!」 街灯に火が灯り、様々な虫がその輝きに釣られ群れ集まる初夏の夜。拍手敬《かしわでたかし》はその街灯の下で愚痴っていた。というか叫んでいた。自らの尊厳を賭けて、男としてのプライドと矜持に誓って。 (どう考えても、いや、理論的にも法治国家的にもあらゆる部分でおかしい) だから、そんなことが許可されるはずもない。そのはずだ。 ところがそうはいかない。理由は簡単だ、拍手に“抗弁する権利がない”からだ。ただ、それだけだった。理不尽だが、そうなのだ。 なにより、目の前で腕組みをして偉そうに立っている人物の目がそう語っている。いや、この場にいるほぼ全員が『君には賛成こそすれど、反対する言葉を放つことさえ許されていないのだよ』と生暖かい視線を投げかけていた。 「でもさ、この作戦は頭が悪すぎるだろ?」 権利はなくとも、精一杯に否定する。無駄であっても言わないよりはましというものだ。 いや、それこそが弱者の権利であると拍手は思う。そして、きっと給食費を盗んでないのに濡れ衣を着せられた貧乏な小学生はこんな気持ちなのだろうと、見当違いのことをしみじみ思ったりもする。そんないわれのない迫害を受ける中、拍手はようやく自分がどういう状況になっているのか分かり始めていた。 (こんな時、召屋がいれば、全部あいつが引き受けるんだろうなあ……) 拍手は、本来ならすべての厄介ごとを引き受けてくれる稀有な星の元に生まれた友人がここにいないことを呪っていた。 「だから、馬鹿とか賢いとか関係ないのよ、拍手くん。貴方は今ここで、この脚本通りのことをやらないと駄目なのよ」 無駄に偉そうに、意味もなく高圧的に笹島《ささじま》が断言する。拍手の手にある台本を書いた張本人である。ちなみに表紙の端には“著 笹島輝亥羽《ささじまきいは》”としっかり記載されていた。 「でもな、これはどう見てもこれは茶番だろ?」 「煩いわね、ベタなネタが一番効果的なのよ。いい加減黙らないと殴るわよ」 「そうですよ、光の柱にしますよ」 問答無用に、拍手の言葉を否定する。その傍に立つ瑠杜賀《るとが》もそれに同意し、ワケの分からないことを口にする。 「瑠杜賀さん、言っている意味は分からないけど、なんか凄く怖いからやめてくれよ。でもさあ……」 「まったく、拍手様は、おっぱいの話以外で役立つことがないですね」 「おいっ!? 人をおっぱいだけに生きてるような変人みたいな言い方やめろよっ?」 「あら、違うの?」 星崎が嘲笑で歪む口元を鉄扇で隠しながら、さりげなく突っ込みを入れる。 「ねーねー、私だって恥ずかしいんだから、さっさとやろうよ」 緊張感をそぐような調子で美作が台本を丸め、ポコポコと拍手の頭を叩いていた。 「じゃあ、そこのポンコツメイド、さっさとB班に実行開始時刻を知らせてきなさい。それと、戦う時はくれぐれも人に向かって峰じゃない方を使うんじゃないわよ!?」 「まったくもって、人形使いが荒いですねえ、笹島様は……。あんまりカリカリしていると、小じわが増えて嫁の貰い手がなくなりますよ。それに、再放送の暴れん坊将軍でしっかり勉強しましたから、大丈夫でございます」 「……私がその首を捻じ切らないうちに、春部さんたちのところに行きなさい」 「はいはい、かしこまりました」 そうぼやくと、瑠杜賀は裏口で待つB班へと歩き始める。 「キリキリ走るっ!!」 笹島の怒号が響く。それでも、あいも変わらずマイペースにポンコツメイドが粛々と歩いていた。 そんな時。 「それよりー、お腹すいたー! 誰かパンとか持ってない?」 緊張感のない美作の声が静けさ漂う闇夜の中こだまする。 「カレーパンとかだと嬉しいんだけどさ」 「で、これが突入メンバー?」 あまりの微妙な編成に、春部里衣は軽い頭痛を覚えていた。 彼女、春部里衣とイワン・カストロビッチ、そして今しがた勇壮にゆっくり歩いてきた役に立ちそうもないポンコツメイド含め、総勢四名がそこにいた。 「そりゃ、お前、こっちは少数精鋭の隠密行動なんだから当たり前だろ?」 彼女的に唯一役に立ちそうな男、イワンがそう答えるも、どうにも釈然としない。 「それにしたって使えそうな人ぐらいはよこすってもんでしょ?」 「誰ですか?」 「えーと、誰だっけ? ほら、あいつよ、あいつ。鉄扇持ってるあいつ。あいつくらいはこっちに送ってもいいんじゃないの?」 「星崎さんね。お前、相変わらず物覚え悪いな」 「物覚えが悪いんじゃなくて、別に覚える必要がないからよ」 そう、そっけなく答える。彼女の思考は有葉千乃を中心に回っており、そのためクラスメイト以外の人物の名前を覚えることはまずない。 一方、ポンコツメイドこと瑠杜賀羽宇は、そんな言葉を否定するように凛として答える。 「春部様の仰った“あいつ”が誰なのかは私《・》には不明ですが、突入班の構成は完璧です。笹島様の言うことに間違いございません」 「ねえ、あんた、なんでそこまでアイツのことを信頼できるわけ?」 ありえないものを見るような表情をしながら、春部は瑠杜賀に問いただす。人差し指で胸を突付きながら。だが……。 「決まってます!」 瑠杜賀は毅然として断言する。 「だから、何がよ?」 春部は、彼女のあまりの自信たっぷりな物言いに、二人に強い絆かなにかがあるのかと勘ぐってしまう。 (命の恩人か何かなのかしら?) 現実とはいつの世もドラマチックではない。瑠杜賀は胸を張り、春部の質問に毅然として答える。 「笹島様はクラス委員長だからです!!」 『え…………』 瞬間、春部とイワンの思考が停止する。どうやら、論理的思考の構築にしばらくの時間がかかりそうだった。そして、ようやく我に返った春部が指先でオデコを抑えながら、三十秒ぶりに声をあげる。 「えーと……あんた、何言ってるの?」 「ですから、笹島様はクラス委員長なのですよ」 ミシミシという音と共に春部の堪忍袋の緒が切れかかる。 「いやいや……そうじゃなくて。私はなんで信頼してんだって聞いてんだけどさ?」 「は…? で・す・か・ら、笹島様はクラス委員長なんですよ。委員長の言うことは絶対ではないですか? それとも、春部様はそんな初等部でも分かることを説明しないといけないほどに頭がお弱いのですか? 学園において醒生徒会長が絶対でありますように、クラスにおいて委員長の命令は絶対ですよ。そう笹島様に私は教わりましたが?」 堪忍袋の緒が更に切れていく。 「ほぉぉぉ、なら、あんたはアイツが東京タワーから飛び降りろと言えば飛び降りるの?」 「ええ」 この人は何を言っているのだろう? 内なる言葉が駄メイドの表情からも滲み出ていた。間接的に馬鹿にされているようで、春部の神経を逆撫でする。 「……よ、よーし、分かったわ。じゃあ、今は私がリーダーだから、私の命令に従うってことでいいわね」 「それは無理です」 駄メイドは、間髪いれずに拒否する。 「はぁっ? なんでよっ。あんた、リーダーの命令は絶対と言ったでしょっ!?」 「そんなことは言ってませんよ。私は『委員長の命令は絶対』と言ったのです。それとも春部様は私のクラスの委員長でらっしゃいますか? そうではないでしょう。全く、そんなお子様で分かることも理解できないとは嘆かわしいですね。笹島様の爪の垢でも煎じて飲ませたいものです」 可哀想な子供を見る目で瑠杜賀は春部を見つめていた。 『ブチン』 伸びきったゴムが切れるような気持ちのよい音があたりに鳴り響く。 「そーか、そーか、あんたがこうなったのはあいつのせいか! よーし、あんたをスクラップにする前に、あの無駄にでかいオデコを今から殴りに行ってやる!!」 「まてっ、春部、落ち着けって。この戦力でなんとかしないといけないんだから落ち着けってーっ!!」 キョトンとした顔をする瑠杜賀を前に、顔を真っ赤にして走り出そうとしている春部を全力で後ろから羽交い絞めして抑えているイワン。実にカオスな光景だった。 (全くもって、突入班は突入班で大変ですねえ…) 目の前に広がる酷い光景を目の当たりにしながら、埒外にいる彼女はしみじみと後悔していた。そんなことを思いながら、彼女は腕時計を見る。そろそろ、A班と言うか、かく乱班に動きがある頃合いだった。 『い~や~、た~す~け~て~』 誰にでも分かる棒読みな悲鳴を上げながら、ショートカットと長い髪をひっつめた二人の女の子が、目標の研究所にある警備員の詰め所に女の子走りで駆け寄っていく。 警備員は突然の出来事に何をしたら良いのか分からないが、とりあえず、自分の詰め所に二人を導きいれようとしていた。 「くぅーそー、おまえらはにがさないぞー。ここでにがしたら、われわれすてぃぐまのなおれなのだー」 これまた微妙な棒読みの台詞を引っさげて、短髪の少年が大げさなリアクションで闇夜の中からタイミングよく現れる。 『きゃぁぁぁ~』 二人の女の子が気の抜けた悲鳴を上げる。 「どういう了見だ? この変質者め!」 明らかに怪しい男に反応してか、研究所の警備員は、彼なりの正義感で彼女達を庇おうと拍手と二人の間に立つ。手に持っているのはどこにでもあるステンレス製の警棒のみだ。 「え? いや、変質者じゃなくてね、あー………何んだっけ……うわっはははははっ。かのじょはわれわれのけんきゅうにひつようなそんざいなのだ~っ!!」 手のひらに書いたアンチョコを横目で見ながら、下らない台詞と共に仰々しい振り付けをし、拍手はさらに近づいていく。一方、警備員は自らの手に余ると判断したのか、応援を呼ぼうと胸からぶら下げている無線を掴み、研究所内にいるであろう他の警備関係者に連絡を取っているようだった。 (よし!) 被害者女性役という実に似つかわしくない笹島が、メガネとオデコを輝かせながら、周りに見えないように小さくガッツポーズをする。 彼女がこんな寸劇を画策したのは研究所に突入することではなく、純粋に事件を起こすことにあった。まずはこちら側に警備員たち意識を集中させる。そうすることで、突入班への人出も減り、速やかに侵入しやすくなるというものだ。第一の目的はそこにあった。 気が付けば、研究棟から警備員の青い制服とは異なる、黒スーツ姿の男たちがワラワラと集まってくる。恐らく、彼らもこの研究所の警備を担当しているのであろう、そのリーダーらしき男が警備員と彼女たちに声を掛ける。 「おいおい、大丈夫か? 聖痕《ステイグマ》が現れたとは、穏やかじゃねえなあ」 中庭に驚くほどの数の黒服姿の男たちが様々な獲物を手に集まり始めている。それだけ、ここで行われている研究は重要なのだろう。 だが、黒いスーツ姿にサングラスの男の内の一人が笹島の顔を見て怪訝な表情をする。 「おい……そこの女の一人って、この前、探偵社《ウチ》を襲撃した馬鹿じゃねえか?」 「ん!? どういうことだ?」 「いやだから、そこの女は悲鳴を上げて逃げるようなタマじゃねえんだって!」 「こいつ、また何か企んでるのか?」 口々に黒服の男たちは笹島を罵倒し始める。笹島の化けの皮が完全に剥がれてしまっていた。まあ、元々薄皮饅頭の皮程度の化けの皮だったので、いつ剥がれてもおかしくはなかったのだが。 「どこで何やってたんだよ委員長……」 あまりにも酷い展開を見ながら、完全に蚊帳の外となっている襲撃者役の拍手が頭を抱え一人ごちていた。 「ふっふっふっふっ! バレては仕方ない……」 開き直ったのか、はたまた新たな方向性でアドリブ芝居を続けようとしているのか、笹島は不敵な笑みを浮かべながら、ゆらりと立ち上がる。 「え? それって、完全に悪役だって……」 拍手がとりあえず突っ込む。 「星崎《ほしざき》さんっ!」 笹島が叫ぶと、それに呼応するように被害者女性役のもう一人、美作聖《みまさかひじり》の姿が彼女の横から消失する。星崎が能力を使ったのであろう。彼女とかなり離れたところに星崎真琴《ほしざきまこと》と美作の姿が確認できた。 「さあ、あんた達、有葉千乃《あるはちの》さんを今すぐ返しなさい!」 問答無用で居丈高に黒服の男たちに人差し指をビシリと突きつける。 『はぁ~?』 黒服の男たちが一斉に素っ頓狂な声をあげる。そのことからして、身に覚えがないのは明らかだった。 「しらばっくれても無駄よ。拉致した有葉さんを返しなさいっ!」 彼女は自信満々に断言する。そんな場違いな子を見て、可哀想と思ったのか、黒服の内の一人が優しく笹島に声を掛ける。 「だから、お嬢ちゃん。ここにそんな子はいねえよ。アンタは知らないかもしれないが、ここは真っ当な研究施設なんだ。拉致なんてするわけがねえだろ……って、あれ? このやり取り、前も言ってなかったか?」 だが、そんなことを聞くはずもない。というよりも、笹島としては、ここで引き下がるワケにはいかなかった。もう一つの目的があったからだ。 「なるほど、どこまでも白を切る気ね。なら、実力行使をするまでよっ! 拍手くん、戦《や》う《る》わよ!!」 「うええぇぇ!?」 そして、匙《さじ》は投げられた。 拍手は全てを悟り、解脱した表情でつぶやく。 「もう、どーにでもなーれ!」 トップに戻る 作品保管庫に戻る