約 4,030 件
https://w.atwiki.jp/dream11/pages/518.html
番号 ★ 名前 番号 ★ 名前 番号 ★ 名前 番号 ★ 名前 1178 ★ シュナイダー 潤之介 1179 ★★★ 柳沢 将之 1180 ★ 柳沢 将之 1181 ★★★ 八角 剛史 1182 ★ 八角 剛史 1183 ★★★★ 高地 系治 1184 ★★ 高地 系治 1185 ★★ エデル 1186 ★ エデル 1187 ★★ 難波 宏明 1188 ★ 難波 宏明 1189 ★★★★ カイオ 1190 ★★ カイオ 1191 ★★★★★ 三浦 知良 1192 ★★★ 三浦 知良 1193 ★★ 野崎 陽介 1194 ★ 野崎 陽介 1195 ★ 武岡 優斗 1196 ★★ 飯尾 和也 1197 ★ 飯尾 和也
https://w.atwiki.jp/kwskp4/pages/104.html
察とネタ関係のページです。 とりあえずですが、書式として以下の項目を使用して下さい。 考 問い等。思考対象。 察 問いの答え。論拠等。 派生考察 関連考察。 意見 問いや答えに対する意見。 主人公 主人公の両親について 仲の浅い高校生男女が間接キスは無理があるのでは? 花村陽介 花村陽介は自転車に乗るのが下手なのか? 里中千枝 里中千枝が所属する部活は何か? 里中千枝、ダブり疑惑? 天城雪子 天城雪子は家では普段どこで勉強しているのか? 巽完二 巽完二のシャドウの傾向は白鐘直斗との出会いが主な原因? 久慈川りせ りせとおばあちゃんを見間違えるのは無理があるのではないか? 白鐘直斗 白鐘 直斗 という名前 クマ クマの頭はチャック式か?蓋式か? クマが現実世界に来れるようになったのは何故か? クマはどうして現実の様子をしっているのか キツネ 主人公とキツネの関係 諸岡金四郎 諸岡金四郎は何故、小西早紀の悪口を言ったのか? マヨナカテレビ テレビの中の世界では時間の流れはどうなっているのか? 花村陽介と里中千枝のダンジョンは存在するのか? 生田目にテレビに入れられた人間が全員同じ場所に落ちてこない理由はなぜか? 連続殺人事件 死体を電柱やアンテナに吊るしたのは誰か? 久保美津雄とモロキン 小西早紀の本音について その他 松永綾音はダブり? 呼称に関すること 「ペルソナ4」=「ペルソナ3」のIFの物語? OPの撮影動画 仲間の影の姿形について クニノサギリについて イザナミは何者だったのか? シャドウはなぜ本体に取って変わろうとしたのか
https://w.atwiki.jp/persona4_g/pages/102.html
チャート 2月 日 曜 天気 イベント 自由行動 1 水 雪 授業 白千枝と勉強可放課後 完二(皇帝)、直斗(運命)、あい(月)料理 しっかり包む→ほんわかホイル焼きガソリンスタンド 陽介夜:陽介(魔術師)、雪子(女教皇)、完二(皇帝)、直斗(運命)、運動部(剛毅)、あい(月)、菜々子(正義)、小夜子(悪魔) 放課後/夜 2 木 曇 りせと勉強可放課後 完二(皇帝)、尚紀(刑死者)ガソリンスタンド 直斗夜:千枝(戦車)、りせ(恋愛)、運動部(剛毅)、尚紀(刑死者)、堂島(法王)、小夜子(悪魔)、秀(塔) 放課後/夜 3 金 雪 1/2にマリーの捜索依頼をしている場合進捗状況の電話あり放課後:りせ(恋愛)、クマ(星)、尚紀(刑死者)、絵里(節制) 農作業姿の主婦(ジュネス):プチソウルトマト、開錠ムギ陽介、千枝、完二と勉強可ガソリンスタンド 雪子夜:陽介(魔術師)、りせ(恋愛)、あい(月)、文化部(太陽)、尚紀(刑死者)、小夜子(悪魔) 堂島に話しかけるとイベント発生 スナック紫路宮:客入り多め 放課後/夜 4 土 曇 雪子と勉強可ガソリンスタンド クマ放課後:りせ(恋愛)、直斗(運命)、絵里(節制) 農作業姿の主婦(ジュネス):カエレルダイコン、青パプリカ夜:菜々子の宿題を見ていた場合イベント発生 この日までにクエストをクリアしておかないと後がない(アイテム収集は前日までに) 放課後/夜 5 日 雪 時価ネットたなか:そに鳥の御衣+ダイエットフード真(79800円)、ホムンクルス×3+宝箱の鍵×5(19800円)昼:完二(皇帝)、ひさ乃(死神) 農作業姿の主婦:ミガワリナス、テトラコーン冷蔵庫:ビフテキ弁当ガソリンスタンド 直斗夜:千枝(戦車)、雪子(女教皇)、完二(皇帝) カプセル販売機(200円)、スナック紫路宮:客入り多め 昼/夜 6 月 雪 学年末テスト開始 ベータ、出勤簿 --- 7 火 曇 おとそ、アイスクリーム頭痛 --- 8 水 曇 兎、カブ --- 9 木 雪 白、サハラ砂漠 --- 10 金 雪 学年末テスト終了 --- 11 土 雪 スキー旅行自由行動なし --- 12 日 雪 スキー旅行2日目直斗を受け止める→直斗3UPりせを受け止める→りせ3UPまとめてかかってこい!→直斗、りせ2UP捜索願を出していた場合、選択した相手(女性キャラ1名、陽介たち)との遭難イベント --- 13 月 雪/晴 マリーの捜索をマーガレットに頼んだ場合、追加ダンジョン『虚ろの森』攻略開始番組表「日刊ペルアニランド」更新 夜セーブのみ 14 火 曇/晴 学年末試験結果 バレンタインイベント --- 15 水 晴 3月19日夜まで一気に飛ぶ --- 16 -- --- --- --- 17 -- --- --- --- 18 -- --- --- --- 19 -- --- --- --- 20 -- --- --- --- 21 -- --- --- --- 22 -- --- --- --- 23 -- --- --- --- 24 -- --- --- --- 25 -- --- --- --- 26 -- --- --- --- 27 -- --- --- --- 28 -- --- --- --- 29 -- --- --- 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
https://w.atwiki.jp/game_rowa/pages/161.html
← かつて、命の大樹から命のエネルギーを奪ったことで絶大な魔力を手に入れた魔王ウルノーガは、そのエネルギーを6つのオーブに注ぎ、『六軍王』と呼ばれる精鋭部隊に分配した。この殺し合いの各地に配置してあるオーブも、それと同じものである。 しかしかつてシルバーオーブを与えられた男ホメロスは異形へと変わったのに対し、クラウドをはじめとするこの世界でオーブを手にした者たちはそうならなかった。両者の差は、たったのふたつだ。 一つは、オーブとの融合を受け入れるかどうか。そしてもう一つは、体内に宿す命のエネルギーの量である。 ホメロスはウルノーガに与えられたオーブの力を受け入れ、自らの力とする意思があった。また、命の大樹崩壊時にウルノーガに同行し、闇のオーブを介して命のエネルギーを相応量吸収していた。この二つの要素を持っていたからこそ、ホメロスは魔物として勇者の前に立ち塞がった。 そして今、クラウドにもその両要素が与えられていた。 自らの死を望むシャドウを模した精神体のマナを拒絶し、クラウドはまだ終わらずに闘う道を選んだ。また、シルバーオーブ自体が共にザックに入れられていたもう一つの宝珠、『いのちのたま』と融合することで大量の命のエネルギーを吸収していた。 その結果生まれたのが――陽介の眼前に立ち塞がる、一体の魔物であった。全身に纏った禍々しいオーラが、先ほどまでのクラウドとは全く性質を異とするものであると、理解させられざるを得なかった。それに加えて、殺し合いの主催者ウルノーガまでもがこの場に存在している。今のクラウドと同じく、絶対的な敵対者。見ようによっては最終目標である主催者の一人を討つこの上ないチャンスなのかもしれないが、クラウドまでもを前にしてもそう言えるほど楽観的ではなかった。 「さあ、クラウド……否、『魔軍兵士クラウド』とでも呼ぶとしようか。どこぞの出来損ないに代わり、今からお前が我のジョーカーだ。さて、まずは手始めに……」 ジョーカー。この殺し合いにおけるその単語の意味は、すでにホメロスから聞いている。主催者の息がかかった刺客であり、殺し合いを円滑に進める役割を背負った参加者だ。つまり、ホメロスは切り捨てられたということ。ドラマとかだったら、そんな奴と、そしてそんな奴に手を貸していた奴の末路はもう分かっている。 「……奴らを殺せ。」 ウルノーガがたった一言、命ずる。そりゃそうなるか、と確定的な未来に納得すると共に、それに伴う死への絶望が襲ってきた。アメノサギリに身体を乗っ取られた足立とて、魔物そのものになったわけではなかった。クラウドはそれほどまでに陽介の常識を超えた存在であり、そんな存在を前にした陽介はもはやペルソナも出せないほど体力も精神力も消耗している。勝ち目なんてゼロに等しかった。 鋭い爪を備えたクラウドの腕が、陽介へと伸びる。 「――ペルソナッ!」 次の瞬間、掛け声と共にアルカナを割る音が響き渡った。 陽介の前に躍り出た黒い影が、クラウドの剛腕とぶつかり合い、そして弾き合う。黒い影は消滅して持ち主のアルカナへと帰り、クラウドはその身に生えた翼をはためかせて空中に留まった。 「何で……アンタが……」 それは、陽介が顕現させたペルソナではない。矢継ぎ早に起こり続けるハプニングに、もはや驚くことしかできなかった。 そしてそれは、見物していたウルノーガにとっても意外な出来事だったようで、珍しく不快感を顕にしながら口を開いた。 「何のつもりだ?ㅤ……足立。」 足立透。八十稲羽市で起きた連続殺人事件の真犯人であり、陽介にとってはかつての想い人の仇でもある人物。そんな奴があろうことか自分を庇うようにしてそこに立っていたのだ。 「あのさぁ、何のつもりってそれこっちの台詞。なに勝手に参加者の魔改造してくれちゃってるワケ?」 ウルノーガよりもさらにいっそう不機嫌そうに足立は返す。 「僕ね、フェアじゃないゲームが嫌いなんだよ。」 「フェアだとも。ジョーカーは参加者を殺さねばならぬ。代わりを任命し、この役立たずを退場させることこそが本来の形だ。」 両者の主張を、ただ眺めていることしかできなかった陽介。聞きたいことは幾つもある。しかし、そもそも参加者名簿に足立の名前は載っていなかった上、足立の首には参加者の証である首輪もない。そして現在交わされている、ウルノーガと付き合いがあるかのようなやり取り。 導き出される答えはもはやひとつしかなかった。 足立は、この殺し合いの主催者側にいるのだ。 ぽつぽつと怒りが湧き上がってくる。 コイツらのせいで、完二も天城も死んだのだ。 しかし満身創痍の陽介には怒りをぶつける手段はなく、そもそも足立に助けられたという事実もある。 結果的に冷静にならざるを得なかった。 「クラウド!ㅤ元凶はウルノーガじゃねえか!ㅤまんまと言いなりになって、お前はそれでいいのか!?」 よって会話の対象は変わる。互いの過去を見たクラウドは、陽介にとっては足立よりも相互理解が望める人間だからだ。 「どっちだっていい。」 しかし、少なからず、クラウドのことを理解しているからこそ。 「俺の願いを叶えてくれるのなら、俺は悪魔にさえ祈ってみせる。」 それが確かにクラウドの言葉であることに、納得できてしまう。姿かたちが変わったからといって、人格そのものが大きく変わったわけではないのだと理解する。 「……まあ良いだろう。本来なら整合のため首輪を爆破してやるところだが……今回は貴様がそれを助けたことは不問にしてやろう。」 そして、ウルノーガは妥協を見せる。マナにも底が読めない足立と敵対するのは後々面倒だと感じたか。 「しかし、だ。ホメロスは助からぬ。手駒の分際で我に逆らった愚か者はこのゲームから排除するのみだ。」 ――或いは、折衷案として譲れぬ主張を通すためか。 陽介はウルノーガの初めて見せた殺意に凍りつくような恐怖を覚え、恫喝など慣れたものとばかりに足立は深い溜め息で返した。 「……そもそもが君の人選ミスだろ。典型的なクソだな。」 「黙れ。貴様の"お気に入り"もこうなりたいか?」 強行とばかりにウルノーガが杖を掲げると、地に伏していたホメロスの身体がふわりと浮き上がり、ウルノーガの眼前へと移動していく。陽介は動けず、足立も動こうとしない。当然、クラウドも黙って見ているのみ。ホメロスに明確に死が迫っているというのに、何も出来ない。 (ちくしょう……) 「死ぬがいい。」 ウルノーガはゆっくりと、手にした杖を振り上げた。 ■ (俺は……死んだのか……?) 気が付けばホメロスは、不思議な空間にいた。しかし当人の予測に反し、死んではいない。陽介のディアラマで死を回避して、現実の意識は戻らずとも夢の中で思考している状態。強いて名付けるのなら、精神世界とでも言うべきか。そしてそこには、あの男の姿があった。薄紫の長髪をなびかせ、黒色の鎧をその身に纏った男、グレイグ。ずっとホメロスが劣等感を覚え続けて止まなかった彼との関係は、死の間際にして遂に、ひとつの決着を迎えたはずだった。グレイグはずっと自分を認めていたのだと実感し、心の闇は晴れたはずだった。 それなのに精神世界のグレイグはこちらを見ようともせず、ホメロスの眼には背格好しか映らない。まるで、ホメロスのことは眼中に無いと言わんばかりに。 「グレイグッ!」 声を荒らげて叫ぶ。何度も、何度も。それでもグレイグは振り返らず、ホメロスの声にならない声が精神世界に木霊するばかりだった。 そして同時、理解する。結局、何年もかけて蓄積した鬱屈は、死ぬ直前にグレイグにかけられたたった一つの言葉だけでは完全には晴れなかったのだと。グレイグが前を行き、自分はその背中に羨望の眼差しを向け続ける、その関係に終わりはないのだと。 何故こうなったのか、答えはもう出ている。デルカダール王の立場を利用したウルノーガの手駒を得るための策によって劣等感を植え付けられたからだ。 もしも運命の乱数が僅かにズレていたならば、コインの裏と表のように、始まりが違えばグレイグがウルノーガの配下に成り下がる未来だってあったかもしれない。 この雪辱は、在るべくしてあったものでは無い。 ただ理不尽に与えられ、押し付けられたものなのだ。 そして、だからこそ自分は復讐の道を選んだのだ。グレイグへの消えない劣等感の行き場を、全ての始まりである奴にぶつけることにしか生きがいを見出せなかったのだ。 憎い。ウルノーガが、憎い。 その感情を認めたその時、ホメロスは直感する。現実の、まさに眼前に、復讐の対象であるウルノーガがいることに。 憎しみに焦がれたホメロスの意識が、現実へと戻っていく。 ■ 「ウルノーガアアアッ!!」 鬼気迫る叫びと共に、ホメロスは意識を取り戻した。 真っ先に視界に飛び込んできたのは、杖を振り上げたウルノーガが驚き戸惑っている姿。 ホメロスの一手分、隙が生まれていた。 ホメロスの腰には『虹』が納まっている。それはかの勇者の剣にも劣らぬであろう名刀だ。 仮にも相手は魔王。その一閃のみで殺すことは出来ないだろう。しかし、されど一太刀。無傷でいられるはずはなく、最期に大きい傷跡を残してやることくらいは出来る。元より無謀な復讐劇には充分過ぎる結果だろう。 居合い抜きの一撃に己の力の全てを込めるため、虹の柄を握り込む。 そしてウルノーガの身体に狙いを澄まし―― 「…………ッ!」 ――ホメロスはその手を止めた。 実際に復讐の対象であるウルノーガを前にして気付いた。自分の中の憎しみは、ウルノーガに対してさほど向いていないと。 湧かない。湧かないのだ。 仮にウルノーガが配下に選んでいたのがグレイグであったとしても。アイツが自分を超えるために追いかけて来るイメージが全く湧かない。 グレイグの目は常に民の方を向いていた。彼らを守るべく戦っていた。仮にどのような環境に置かれたとしても、それが民のためであるならば道を外すことはなかっただろう。自分が選ばれ、グレイグが選ばれなかったのはただそれだけのことだったのだ。 本当は分かっていた。本当に憎いのが誰なのか。どれほどウルノーガの策略が進行していようと。それがウルノーガに植え付けられた劣等感であろうと。最終的にウルノーガの囁きに耳を貸し、その身体を闇に堕としたのはホメロス自身なのだ。 その責任を、原因に過ぎないウルノーガに擦り付け、復讐に走る。それは何て滑稽なのだろう。グレイグを見る目も変わるわけがない。自己嫌悪に陥る自分の本心からも目を逸らしていたのだから。ああ、それならばまさに道化だ。本当に殺したかった相手は最初からここに居たというのに。 ウルノーガへの復讐という目的が失われ、この世への未練なるものが完全に無くなったと思えたその時。しかしホメロスは、気が付いた。もう一つ、たった一つだけ、守りたいものはあったのだと。 一度闇に堕ちた自分が、光の道を進めたのは何故だったか。考えるまでもなく、その闇を受け入れてくれた者がいたからだ。自分の築き上げてきた屍ではなく、自分という人間を、真っ直ぐに見てくれた者がいたからだ。何もかもを失い、遂に自尊心までもを失ったホメロスに、唯一残っていたのがその心。そしてそれこそが、グレイグにあって、自分になかったものだというのか。 (まさかこの俺に……) もはや必要の無い虹から手を離す。その重みから解放されたホメロスはもう一度、ウルノーガの眼を真っ直ぐに見据えた。許された行動は一手のみ。その一手の猶予を利用し、或る"呪文"の術式を組み立てる。 ("これ"を使う日が来ようとはな。) ホメロスの身体に激しく輝く光が現れる。それは怒りや憎しみとはほど遠く、優しく温かい光だった。 『――メガザル』 ホメロスが身に纏った光がバラバラに砕け散る。光の粒子が満身創痍の陽介と、瀕死のジャローダを包み込み、そして消えていく。何事か不思議に思う暇もなく、両者の負っていた傷は消え去っていた。 しかしその代償として、ウルノーガが手を下すまでもなくホメロスの命は失われた。結果だけを見れば、まさしくウルノーガの選定通りのホメロスの死。そしてウルノーガに見下されながら崩れ落ちていくその様は、まるで過ぎ去りし時を求めた後の彼の末路のようで――しかし一つだけ、決定的に異なる箇所があった。 ウルノーガの配下ではなく、一人の聖騎士として散れたこと。それはホメロスの本望であり、同時に自己嫌悪を晴らせる唯一の終わり方だった。なればこそ、最後を飾る言葉は憎しみなどではなく、守りたい誰かの盾となる聖騎士の心を思い出させてくれたことへの、率直な想いを込めた一言で締めよう。消えゆく意識の中、ホメロスは誰にも聴こえないほど小さく、呟いた。 (……■■■■■。) それを口にした瞬間、ずっと背中しか見えなかったはずの男が、心なしか振り返ったような気がした。 【ホメロス@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 死亡】 【残り52名】 「……つまらぬ。」 ウルノーガが吐き捨てる。自身の手で刑を執行することも叶わず、己の手駒であったことをも否定するような大往生に、ウルノーガの鬱憤が晴れるはずもなかった。 「もうよい。行くぞ、足立。」 「……はいはい。ってことだからさ、陽介くん。せいぜい頑張ってよ。」 「待てッ!ㅤまだ話は――」 まだ聞きたいことはたくさんある。ここで帰してはならないと、陽介は手を伸ばす。しかし足立が掲げたカエレールは陽介も知る通りに効果を発揮する。 「……真実を知りたければ、生き残ってみせなよ。」 最後にそう言い残して、足立はここではない何処かへ行ってしまった。ウルノーガの方も、陽介の知らない呪文で飛んで行ったようだ。 「くっそ……。」 足立を捕まえられなかったことに悔しがり地団駄を踏むも、その暇も無いことを思い出す。まだ何も終わっていない。それどころか、これまでに無い強敵が、まさに目の前に迫っている。 「クラウド……お前……心まで魔物になったわけじゃないんだよな……?」 見るに堪えない異形と化してもなお理性があるように見える目の前の敵に、対話を試みる。 「そうかもしれないし、違うかもしれない。」 クラウドは返す。 「俺は元々、心に魔物を飼っていた。それだけはハッキリしている。」 クラウドの意識からは、深層心理で否定したそとによって殺しへの罪悪感というものが消えていた。 そしてその罪悪感を担っていたのは、かつて取り戻した本来のクラウドとしての心だった。 「言ったよな。俺、お前が羨ましかったんだって。」 そして本来のクラウドというものを、陽介は知っている。星を救ったクラウドの周りには、たくさんの人がいて、その中心でクラウドは笑っていて。夢の中、そんなクラウドを陽介は、羨ましく思っていた。 「今のお前を、俺は羨ましいとは思わねえ。」 そして今。その感情は"リバース"した。ただただ冷淡に、先ほどにも増して人間味の欠片も見えなくなったクラウド。あの本来のクラウドの人格を失っていることは、本来の自分というものにずっと向き合ってきた陽介だからこそ分かった。 「俺は本当のお前に会ってきたんだ。今のお前は本当のお前じゃない。」 「……だったら全てを終わらせた後でもう一度俺を取り戻せばいい。」 クラウドはその場に落ちている『虹』を拾い上げる。リカームドラのような呪文を使って死んだホメロスが遺した武器。まさかクラウドに使われることになるとは思っていなかった。 「今の俺には、その力があるんだ。」 何度も命を救ってくれたホメロスの支給品、シーカーストーンの入ったザックもホメロスの遺体と一緒にクラウドの傍に置いてある。でもジャローダはモンスターボールから出てこっち側にいる。それならば、一緒に戦ってくれるはず―― ――などということはなく。 ジャローダはその場から、トラフーリばりのスピードで一目散に逃走を始めた。 「えっ……えええええっ!?」 その変わり身の早さに唖然とする陽介。ホメロスと共に行動していたことで自分にも何かしらの協調が生まれたような気がしており、肩透かしをくらったような気分だった。 しかしジャローダが逃げたのには、明確な理由があった。ジャローダの所有者であったホメロスが死んだ今、ジャローダの所有者は居ない状態――つまり、野生のポケモンである。しかしホメロスの身体が先ほどまでウルノーガの居た場所に引き寄せられたことで、ホメロスの支給品もクラウドのすぐ近くに落ちている。クラウドがそれを手にした瞬間に自分を捕まえていたモンスターボールは持ち主の譲渡が成立し、クラウドが所有者となってしまう。 先ほどの闘いで自分の奇襲を読んでいたクラウドは、少なくともモンスターボールの仕組みを最低限以上理解しているようだった。それがどこまでかは分からないが、もしホメロスのザックの中のモンスターボールをその手に取られれば、今度は自分が陽介に牙をむくこととなる。クラウドのような強者に着いていく方がトウヤへの復讐は果たしやすいのかもしれないけれど、それでもホメロスの仲間だった陽介だけは傷付けたくないから。 だからこそ、逃げ出した。所有者が変わる前に、モンスターボールの効力のある範囲から離れられるように。頑張って、と。ジャローダは陽介に伝わらない言葉を発した。 ジャローダが離脱した今、今度こそ陽介とクラウドは一騎打ちだ。クラウドの能力が強化されていることも、ホメロスやジャローダの支援が期待できないことも、先ほどまでと比べて大きく不利になっているはず。 「……何でだろうな。今のお前には、負ける気がしねえ。」 だけど、人間だった頃のクラウドの方が怖いと思った。今のクラウドは、独りだ。 (なあ、みんな。) 陽介は独りではない。たくさんの別れと共に、幾つもの想いを背負っている。 (俺、戦うよ。) その言葉の先は、完二であり、天城であり、ホメロスであり、そして、先輩でもあった。 望まずして命を絶たれ、その先の物語を紡げなくなってしまった者たち。 (だから……応援しててくれ。) 俺が今立っているこの地は、彼らの立てなかった場所だから。俺が生きる今日は、彼らが迎えられなかった一日だから。負けられない理由としては、充分すぎるものだよな。 その答えを見出した次の瞬間、身体中から力が湧き出てくるのに気付いた。 ――弱さを受け入れ、乗り越えた強い意志が、新たな力を呼び覚ます…… 「ペルソナァッ!!」 そして顕現したアルカナを力いっぱい、叩き付ける。同時に生じた破砕音は、この闘いの開戦の合図となった。 ■ Nの城を目指すトウヤは、特に急いではいなかった。ランニングシューズも無しに無闇に走ると足への負担が大きい。先のアンドロイドとの戦いのように、相手がポケモンではなくトレーナーである自分を直接狙ってくることもあるこの世界。体力を温存しておくに越したことはない。 確かに、この世界にはレッドやN、更にはレッドの手持ちかもしれないピカチュウなど、心躍るかもしれない相手が数多く存在する。もちろん、仮に彼らが死に瀕する事態が発生するとして、自分が急ぐことでそれに先立って彼らと戦える可能性はあるにはある。しかしその場合も、彼らを殺すに足る実力の持ち主と出会えることにはなり、それはそれで本望である。 そもそも、殺し合いというシステム上後になればなるほど強い相手ばかりが残ることになるのだ。それならばわざわざ急ぐこともあるまい。と、トウヤの思考はスタンスに照らせば合理的で、そして、或いは冷淡とも称されるものであった。 (後になればなるほど強い相手ばかりが残る……。つまり、弱いものほど先に死ぬということ。) 強い弱いというのも、実力の有無のみで語れるものではない。例えば先ほど殺したアンドロイドは、実力でいえば相当な強者だったが第一回放送を待たずして死んでしまった。生死を分けたのは、自分の勧誘への返答だった。あの時の選択次第では、まだ生き延びており共に戦いに身を投じていたはず。つまり、局面ごとに妥当な選択ができるかどうか、それもまた強さのひとつなのだ。 (そういう意味で言うなら、ベルなんかは真っ先に死にそうなものですが……) かつての旅で、ベルは実力もないのにプラズマ団の悪行を止めにかかったことは何度もあった。悪を許せない彼女のタチは嫌いではなかったが、少なくともこの殺し合いにおいては賢いとは言えないものなのだろう。ここでは実力がないまま他者と対立した者に待つのは死だ。 (まあ、どうでもいいですね。) と、考えをやめたその時。 ――もし、もう少し速く目的地を目指していたならば、出会えなかったかもしれない。 背後より、ひとつの影がトウヤに高速接近しているのを感じ取った。 「――!!」 参加者の襲撃か、それとも野生のポケモンか。トウヤにとってはどちらでもよかった。前者ならば楽しみであるし、後者であれば新戦力として期待できる。ダイケンキが死んだために空のモンスターボールがひとつ余っており、現在トウヤはポケモンの捕獲に挑める状態である。 答え合わせと、背後の影に向き直る。同時に、それはトウヤに攻撃を加えてきた。 (速い……!ㅤだが……) トウヤは率直な感想を抱くが、決して見切れない速度ではない。 「オノノクス!」 ドラゴンテールで応戦。敵の放ったリーフブレードと真っ向から衝突し、弾き合う。オノノクスの巨体が、こうかはいまひとつの技で押し勝てない点のみを見ても、敵がかなり強いのは明らかだ。 「……!ㅤまさか……。」 トウヤは敵の姿を確認し――そしてこの殺し合いの世界に来てからいちばんの驚愕の表情を見せた。そして次の瞬間には迷いなく、モンスターボールを足元に投げて瀕死のバイバニラを前に出す。そして一言、指示を出す。 「オノノクス。バイバニラに"きりさく"だ。」 その突拍子もない指示に、オノノクスは驚く。瀕死のポケモン――それも敵ではなく味方に牙を剥く行為など、かつての主であったアイリスの下でも行ったことがない。しかしモンスターボールの効力には逆らえず、その指示は一切の躊躇なく遂行される。瞬きするほどの間に両断されたバイバニラは無色透明が血液をその場に撒き散らすも、トウヤはそれを意にも介さず、空となったモンスターボールを手に目の前のポケモンと視線を合わせる。そして、かつて長く連れ添ったパートナーに告げる第一声としてはとても希薄かつ空虚な、"捕獲対象"への一言を投げかけた。 「あなた相手にボールひとつでは心許ないですからね。」 【バイバニラ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト 死亡確認】 全ての存在は、滅びるようにデザインされている。誰もがいずれ訪れる終わりに向けて歩み始め、その物語を遂げていく。 (――ありがとう。) それらは全て、かつて一度は終わった物語。 「吼えろ――スサノオ!」 しかし、終わりに続きを求める者がいる限り。 「さて。久しぶりですね――ジャローダ。」 彼らの物語はやり直され、生まれ変わって。 「もしこれが幻想だとしても、俺は俺の現実を創ってみせる。」 ……そして、リメイクされていく。 【E-4/一日目 午前】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]:健康 [装備]:龍神丸@龍が如く 極 [道具]:基本支給品2人分、不明支給品1~3個、グランドリオン@クロノ・トリガー [思考・状況] 基本行動方針:仲間と共に完二の仇をとる 1.魔軍兵士クラウドを倒す 2.死ぬの、怖いな…… 3.足立、お前の目的は……? ※参戦時期は足立との決着以降です。主催者陣営に足立がいることを知りました。 ※鳴上悠との魔術師コミュは9です(殴り合い前) ※クラウドの過去を知りました。 ※ペルソナ『スサノオ』を覚醒しました。 【魔軍兵士クラウド(クラウド・ストライフ@FINAL FANTASY Ⅶ)】 [状態]:HP1/2 [装備]:虹@クロノトリガー シルバーオーブ・LIFE@ゲームキャラ・バトルロワイアル [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:優勝してエアリスを蘇生する。 1.「……。」 ※参戦時期はエンディング後です。 ※花村陽介の過去を知りました。 ※シルバーオーブ・LIFEと融合しています。 ※クラウドの近くに、基本支給品、シーカーストーン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、空のモンスターボール@ポケットモンスター ブラック・ホワイトが入ったザックがホメロスの遺体と共に放置されています。 【E-3/草原/一日目 午前】 【トウヤ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:虚無感(僅かに回復) 疲労(小) 帽子に穴 [装備]:モンスターボール(オノノクス)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト、チタン製レンチ@ペルソナ4 [道具]:基本支給品、モンスターボール(空)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト×2、カイムの剣@ドラッグ・オン・ドラグーン、煙草@METAL GEAR SOLID 2、スーパーリング@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて [思考・状況] 基本行動方針:満足できるまで楽しむ。 1.ジャローダを捕獲する。 2.Nの城でポケモンを回復させる。 3.自分を満たしてくれる存在を探す。 4.ポケモンを手に入れたい。強奪も視野に。 ※チャンピオン撃破後からの参戦です。 ※全てのポケモンの急所、弱点、癖、技を熟知しています。 ※名簿のピカチュウがレッドのピカチュウかもしれないと考えています。 【ポケモン状態表】 【オノノクス ♀】 [状態]:HP1/2 [特性]:かたやぶり [持ち物]:なし [わざ]:りゅうのまい、きりさく、ダメおし、ドラゴンテール [思考・状況] 基本行動方針:トウヤに従う。 1.トウヤに従い、バトルをする。 【ジャローダ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:健康 [特性]:しんりょく [持ち物]:なし [わざ]:リーフストーム、リーフブレード、アクアテール、つるぎのまい [思考・状況] 基本行動方針:トウヤを殺す。 ※現在は野生のポケモンの扱いです 【支給品紹介】 【シルバーオーブ・LIFE@ゲームキャラ・バトルロワイアル】 シルバーオーブがいのちのたまと融合し、魔軍司令ホメロスがその身に宿していた時のオーブの状態が擬似的に再現されたもの。現在はクラウドの身体と融合している。原作のシルバーオーブ同様、クラウドを倒した時にドロップする。 Back← 085 →Next 084 拘束が緩む時は 時系列順 086 一難去って…… 082 虚空に描いた百年の恋(前編) 投下順 073 たたかう者達 ホメロス GAME OVER 花村陽介 096 No One is Alone(第一ラウンド) クラウド・ストライフ 070 新たなる好敵手 トウヤ 110 革新的に生まれ変われ 067 第一回放送 ウルノーガ 足立透
https://w.atwiki.jp/endlesswiki/pages/138.html
Office ENDLESS Produce vol.7 熱海殺人事件 2011.7.13~18 シアターカイ 【キャスト】 売春捜査官 木村伝兵衛部長刑事:田中良子 熊田留吉刑事:塚本拓弥 榊陽介刑事:榊陽介 容疑者大山金太郎:佐久間祐人 モンテカルロ・イリュージョン 木村伝兵衛部長刑事:村田雅和 速水健作刑事:加藤靖久 水野朋子婦人警官:中川えりか 大山金太郎:竹内諒太 ザ・ロンゲスト・スプリング 木村伝兵衛部長刑事:西田大輔 熊田留吉刑事:村田洋二郎 水野朋子婦人警官:福田真夕 大山金太郎:佐久間祐人 【あらすじ】
https://w.atwiki.jp/vv11/pages/84.html
【種別】 ドーパント(怪人) ガイアメモリ 【名前】 マグマ・ドーパント 【よみがな】 まぐま・どーぱんと 【身長】 235cm 【体重】 270kg 【ガイアメモリ】 マグマメモリ 【特色/力】 マグマの記憶による超高熱 【変身】 戸川陽介 【声】 YOH 【スーツアクター】 渡辺淳 【登場話】 第1話 【特徴】 地球の記憶のマグマの記憶を内包したガイアメモリのマグマメモリを体内にドーピングした戸川陽介が変身する超人形態。左腕の生体コネクタにマグマメモリを刺す事でメモリから地球の声ガイアウイスパーが「マグマ」と発し、体から炎を出しながらドーパントに変身する。 超高熱エネルギーを体から発し、あらゆるものを溶解してしまう。ビルの基礎でさえ溶かし崩壊させてしまうほどの力を持つ。体内から火山弾を作り出し敵に攻撃する事を得意とする。ガイアメモリの力が変身している戸川の意思をのみこみ暴走をしてしまう。 【仮面ライダーWとの戦闘】 サイクロンジョーカーと交戦するが、技を得意とした戦闘スタイルに対して体内から発射された超高熱エネルギーで応戦。近接戦闘を封じた。フィリップの提案でソウルメモリをチェンジしルナメモリを装填しハーフチェンジ、ルナジョーカーにボディチェンジしルナの神秘的な攻撃でルナサイドの右腕、右脚のゴムやムチのように伸ばし中距離からキック、パンチで攻撃した。とどめのメモリブレイクはサイクロンジョーカーにハーフチェンジしジョーカーエクストリームでマグマメモリを粉砕し倒した。 【関連するページ】 YOH ウインドスケール社 ウインドスケール社・支店ビル連続破壊事件 ガイアメモリ ジョーカーエクストリーム ドーパント マグマメモリ 戸川陽介 放映リスト 津村真里奈 渡辺淳 第1クール 第1話
https://w.atwiki.jp/3kshiki/pages/158.html
彼女がフラグをおられたらアニメ公式/Wikipedia 話数:全13話 放送時期:2014年04月~06月 関連作品: ■劇伴音楽 橋本由香利、川田瑠夏 ■主題歌オープニング主題歌 ▽第1話 なし。 ▽第2話~第12話 「クピドゥレビュー」(cv:悠木 碧) 作詞:藤林聖子 作曲・編曲:zakbee ▽第13話 なし。 エンディング主題歌 ▽第1話~第13話 「彼女がフラグを立てる理由(わけ)」YELL(菜波・K・ブレードフィールド(cv:木戸衣吹)/魔法ヶ沢茜(cv:茅野愛衣)/召喚寺菊乃(cv:阿澄佳奈)/盗賊山恵(cv:花澤香菜)/英雄崎凜(cv:日笠陽子)/忍者林瑠璃(cv:諏訪彩花)) 作詞:畑 亜貴 作曲:森 浩太 編曲:古川貴浩 挿入歌 ▽第1話 「1st Love(はつこい)宣言」吟遊院芹香(cv:悠木 碧) 作詞:藤林聖子 作曲:黒川陽介 編曲:成瀬裕介 ※OPのクレジットが流れる場面で流れた。 ▽第2話 なし。 ▽第3話 「1st Love(はつこい)宣言」吟遊院芹香(cv:悠木 碧) 作詞:藤林聖子 作曲:黒川陽介 編曲:成瀬裕介 ▽第4話、第5話 なし。 ▽第6話 「春風フラグメンツ」菜波・K・ブレードフィールド(cv:木戸衣吹)/魔法ヶ沢茜(cv:茅野愛衣) 作詞:RUCCA 作曲:山田智和 編曲:高橋浩一郎 ▽第7話~第10話 なし。 ▽第11話 「1st Love(はつこい)宣言」吟遊院芹香(cv:悠木 碧) 作詞:藤林聖子 作曲:黒川陽介 編曲:成瀬裕介 ▽第12話、第13話 なし。
https://w.atwiki.jp/game_rowa/pages/160.html
かつて、命の大樹から命のエネルギーを奪ったことで絶大な魔力を手に入れた魔王ウルノーガは、そのエネルギーを6つのオーブに注ぎ、『六軍王』と呼ばれる精鋭部隊に分配した。この殺し合いの各地に配置してあるオーブも、それと同じものである。 しかしかつてシルバーオーブを与えられた男ホメロスは異形へと変わったのに対し、クラウドをはじめとするこの世界でオーブを手にした者たちはそうならなかった。両者の差は、たったのふたつだ。 一つは、オーブとの融合を受け入れるかどうか。そしてもう一つは、体内に宿す命のエネルギーの量である。 ホメロスはウルノーガに与えられたオーブの力を受け入れ、自らの力とする意思があった。また、命の大樹崩壊時にウルノーガに同行し、闇のオーブを介して命のエネルギーを相応量吸収していた。この二つの要素を持っていたからこそ、ホメロスは魔物として勇者の前に立ち塞がった。 そして今、クラウドにもその両要素が与えられていた。 自らの死を望むシャドウを模した精神体のマナを拒絶し、クラウドはまだ終わらずに闘う道を選んだ。また、シルバーオーブ自体が共にザックに入れられていたもう一つの宝珠、『いのちのたま』と融合することで大量の命のエネルギーを吸収していた。 その結果生まれたのが――陽介の眼前に立ち塞がる、一体の魔物であった。全身に纏った禍々しいオーラが、先ほどまでのクラウドとは全く性質を異とするものであると、理解させられざるを得なかった。それに加えて、殺し合いの主催者ウルノーガまでもがこの場に存在している。今のクラウドと同じく、絶対的な敵対者。見ようによっては最終目標である主催者の一人を討つこの上ないチャンスなのかもしれないが、クラウドまでもを前にしてもそう言えるほど楽観的ではなかった。 「さあ、クラウド……否、『魔軍兵士クラウド』とでも呼ぶとしようか。どこぞの出来損ないに代わり、今からお前が我のジョーカーだ。さて、まずは手始めに……」 ジョーカー。この殺し合いにおけるその単語の意味は、すでにホメロスから聞いている。主催者の息がかかった刺客であり、殺し合いを円滑に進める役割を背負った参加者だ。つまり、ホメロスは切り捨てられたということ。ドラマとかだったら、そんな奴と、そしてそんな奴に手を貸していた奴の末路はもう分かっている。 「……奴らを殺せ。」 ウルノーガがたった一言、命ずる。そりゃそうなるか、と確定的な未来に納得すると共に、それに伴う死への絶望が襲ってきた。アメノサギリに身体を乗っ取られた足立とて、魔物そのものになったわけではなかった。クラウドはそれほどまでに陽介の常識を超えた存在であり、そんな存在を前にした陽介はもはやペルソナも出せないほど体力も精神力も消耗している。勝ち目なんてゼロに等しかった。 鋭い爪を備えたクラウドの腕が、陽介へと伸びる。 「――ペルソナッ!」 次の瞬間、掛け声と共にアルカナを割る音が響き渡った。 陽介の前に躍り出た黒い影が、クラウドの剛腕とぶつかり合い、そして弾き合う。黒い影は消滅して持ち主のアルカナへと帰り、クラウドはその身に生えた翼をはためかせて空中に留まった。 「何で……アンタが……」 それは、陽介が顕現させたペルソナではない。矢継ぎ早に起こり続けるハプニングに、もはや驚くことしかできなかった。 そしてそれは、見物していたウルノーガにとっても意外な出来事だったようで、珍しく不快感を顕にしながら口を開いた。 「何のつもりだ?ㅤ……足立。」 足立透。八十稲羽市で起きた連続殺人事件の真犯人であり、陽介にとってはかつての想い人の仇でもある人物。そんな奴があろうことか自分を庇うようにしてそこに立っていたのだ。 「あのさぁ、何のつもりってそれこっちの台詞。なに勝手に参加者の魔改造してくれちゃってるワケ?」 ウルノーガよりもさらにいっそう不機嫌そうに足立は返す。 「僕ね、フェアじゃないゲームが嫌いなんだよ。」 「フェアだとも。ジョーカーは参加者を殺さねばならぬ。代わりを任命し、この役立たずを退場させることこそが本来の形だ。」 両者の主張を、ただ眺めていることしかできなかった陽介。聞きたいことは幾つもある。しかし、そもそも参加者名簿に足立の名前は載っていなかった上、足立の首には参加者の証である首輪もない。そして現在交わされている、ウルノーガと付き合いがあるかのようなやり取り。導き出される答えはもはやひとつしかなかった。足立は、この殺し合いの主催者側にいるのだ。 ぽつぽつと怒りが湧き上がってくる。コイツらのせいで、完二も天城も死んだのだ。しかし満身創痍の陽介には怒りをぶつける手段はなく、そもそも足立に助けられたという事実もある。結果的に冷静にならざるを得なかった。 「クラウド!ㅤ元凶はウルノーガじゃねえか!ㅤまんまと言いなりになって、お前はそれでいいのか!?」 よって会話の対象は変わる。互いの過去を見たクラウドは、陽介にとっては足立よりも相互理解が望める人間だからだ。 「どっちだっていい。」 しかし、少なからず、クラウドのことを理解しているからこそ。 「俺の願いを叶えてくれるのなら、俺は悪魔にさえ祈ってみせる。」 それが確かにクラウドの言葉であることに、納得できてしまう。姿かたちが変わったからといって、人格そのものが大きく変わったわけではないのだと理解する。 「……まあ良いだろう。本来なら整合のため首輪を爆破してやるところだが……今回は貴様がそれを助けたことは不問にしてやろう。」 そして、ウルノーガは妥協を見せる。マナにも底が読めない足立と敵対するのは後々面倒だと感じたか。 「しかし、だ。ホメロスは助からぬ。手駒の分際で我に逆らった愚か者はこのゲームから排除するのみだ。」 ――或いは、折衷案として譲れぬ主張を通すためか。 陽介はウルノーガの初めて見せた殺意に凍りつくような恐怖を覚え、恫喝など慣れたものとばかりに足立は深い溜め息で返した。 「……そもそもが君の人選ミスだろ。典型的なクソだな。」 「黙れ。貴様の"お気に入り"もこうなりたいか?」 強行とばかりにウルノーガが杖を掲げると、地に伏していたホメロスの身体がふわりと浮き上がり、ウルノーガの眼前へと移動していく。陽介は動けず、足立も動こうとしない。当然、クラウドも黙って見ているのみ。ホメロスに明確に死が迫っているというのに、何も出来ない。 (ちくしょう……) 「死ぬがいい。」 ウルノーガはゆっくりと、手にした杖を振り上げた。 ■ (俺は……死んだのか……?) 気が付けばホメロスは、不思議な空間にいた。しかし当人の予測に反し、死んではいない。陽介のディアラマで死を回避して、現実の意識は戻らずとも夢の中で思考している状態。強いて名付けるのなら、精神世界とでも言うべきか。そしてそこには、あの男の姿があった。薄紫の長髪をなびかせ、黒色の鎧をその身に纏った男、グレイグ。ずっとホメロスが劣等感を覚え続けて止まなかった彼との関係は、死の間際にして遂に、ひとつの決着を迎えたはずだった。グレイグはずっと自分を認めていたのだと実感し、心の闇は晴れたはずだった。 それなのに精神世界のグレイグはこちらを見ようともせず、ホメロスの眼には背格好しか映らない。まるで、ホメロスのことは眼中に無いと言わんばかりに。 「グレイグッ!」 声を荒らげて叫ぶ。何度も、何度も。それでもグレイグは振り返らず、ホメロスの声にならない声が精神世界に木霊するばかりだった。 そして同時、理解する。結局、何年もかけて蓄積した鬱屈は、死ぬ直前にグレイグにかけられたたった一つの言葉だけでは完全には晴れなかったのだと。グレイグが前を行き、自分はその背中に羨望の眼差しを向け続ける、その関係に終わりはないのだと。 何故こうなったのか、答えはもう出ている。デルカダール王の立場を利用したウルノーガの手駒を得るための策によって劣等感を植え付けられたからだ。もしも運命の乱数が僅かにズレていたならば、コインの裏と表のように、始まりが違えばグレイグがウルノーガの配下に成り下がる未来だってあったかもしれない。この雪辱は、在るべくしてあったものでは無い。ただ理不尽に与えられ、押し付けられたものなのだ。 そして、だからこそ自分は復讐の道を選んだのだ。グレイグへの消えない劣等感の行き場を、全ての始まりである奴にぶつけることにしか生きがいを見出せなかったのだ。 憎い。ウルノーガが、憎い。 その感情を認めたその時、ホメロスは直感する。現実の、まさに眼前に、復讐の対象であるウルノーガがいることに。 憎しみに焦がれたホメロスの意識が、現実へと戻っていく。 ■ 「ウルノーガアアアッ!!」 鬼気迫る叫びと共に、ホメロスは意識を取り戻した。 真っ先に視界に飛び込んできたのは、杖を振り上げたウルノーガが驚き戸惑っている姿。ホメロスの一手分、隙が生まれていた。 ホメロスの腰には『虹』が納まっている。それはかの勇者の剣にも劣らぬであろう名刀だ。 仮にも相手は魔王。その一閃のみで殺すことは出来ないだろう。しかし、されど一太刀。無傷でいられるはずはなく、最期に大きい傷跡を残してやることくらいは出来る。元より無謀な復讐劇には充分過ぎる結果だろう。 居合い抜きの一撃に己の力の全てを込めるため、虹の柄を握り込む。 そしてウルノーガの身体に狙いを澄まし―― 「…………ッ!」 ――ホメロスはその手を止めた。 実際に復讐の対象であるウルノーガを前にして気付いた。自分の中の憎しみは、ウルノーガに対してさほど向いていないと。 湧かない。湧かないのだ。 仮にウルノーガが配下に選んでいたのがグレイグであったとしても。アイツが自分を超えるために追いかけて来るイメージが全く湧かない。 グレイグの目は常に民の方を向いていた。彼らを守るべく戦っていた。仮にどのような環境に置かれたとしても、それが民のためであるならば道を外すことはなかっただろう。自分が選ばれ、グレイグが選ばれなかったのはただそれだけのことだったのだ。 本当は分かっていた。本当に憎いのが誰なのか。どれほどウルノーガの策略が進行していようと。それがウルノーガに植え付けられた劣等感であろうと。最終的にウルノーガの囁きに耳を貸し、その身体を闇に堕としたのはホメロス自身なのだ。 その責任を、原因に過ぎないウルノーガに擦り付け、復讐に走る。それは何て滑稽なのだろう。グレイグを見る目も変わるわけがない。自己嫌悪に陥る自分の本心からも目を逸らしていたのだから。ああ、それならばまさに道化だ。本当に殺したかった相手は最初からここに居たというのに。 ウルノーガへの復讐という目的が失われ、この世への未練なるものが完全に無くなったと思えたその時。しかしホメロスは、気が付いた。もう一つ、たった一つだけ、守りたいものはあったのだと。 一度闇に堕ちた自分が、光の道を進めたのは何故だったか。考えるまでもなく、その闇を受け入れてくれた者がいたからだ。自分の築き上げてきた屍ではなく、自分という人間を、真っ直ぐに見てくれた者がいたからだ。何もかもを失い、遂に自尊心までもを失ったホメロスに、唯一残っていたのがその心。そしてそれこそが、グレイグにあって、自分になかったものだというのか。 (まさかこの俺に……) もはや必要の無い虹から手を離す。その重みから解放されたホメロスはもう一度、ウルノーガの眼を真っ直ぐに見据えた。許された行動は一手のみ。その一手の猶予を利用し、或る"呪文"の術式を組み立てる。 ("これ"を使う日が来ようとはな。) ホメロスの身体に激しく輝く光が現れる。それは怒りや憎しみとはほど遠く、優しく温かい光だった。 『――メガザル』 ホメロスが身に纏った光がバラバラに砕け散る。光の粒子が満身創痍の陽介と、瀕死のジャローダを包み込み、そして消えていく。何事か不思議に思う暇もなく、両者の負っていた傷は消え去っていた。 しかしその代償として、ウルノーガが手を下すまでもなくホメロスの命は失われた。結果だけを見れば、まさしくウルノーガの選定通りのホメロスの死。そしてウルノーガに見下されながら崩れ落ちていくその様は、まるで過ぎ去りし時を求めた後の彼の末路のようで――しかし一つだけ、決定的に異なる箇所があった。 ウルノーガの配下ではなく、一人の聖騎士として散れたこと。それはホメロスの本望であり、同時に自己嫌悪を晴らせる唯一の終わり方だった。なればこそ、最後を飾る言葉は憎しみなどではなく、守りたい誰かの盾となる聖騎士の心を思い出させてくれたことへの、率直な想いを込めた一言で締めよう。消えゆく意識の中、ホメロスは誰にも聴こえないほど小さく、呟いた。 (……■■■■■。) それを口にした瞬間、ずっと背中しか見えなかったはずの男が、心なしか振り返ったような気がした。 【ホメロス@ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて 死亡】 【残り52名】 「……つまらぬ。」 ウルノーガが吐き捨てる。自身の手で刑を執行することも叶わず、己の手駒であったことをも否定するような大往生に、ウルノーガの鬱憤が晴れるはずもなかった。 「もうよい。行くぞ、足立。」 「……はいはい。ってことだからさ、陽介くん。せいぜい頑張ってよ。」 「待てッ!ㅤまだ話は――」 まだ聞きたいことはたくさんある。ここで帰してはならないと、陽介は手を伸ばす。しかし足立が掲げたカエレールは陽介も知る通りに効果を発揮する。 「……真実を知りたければ、生き残ってみせなよ。」 最後にそう言い残して、足立はここではない何処かへ行ってしまった。ウルノーガの方も、陽介の知らない呪文で飛んで行ったようだ。 「くっそ……。」 足立を捕まえられなかったことに悔しがり地団駄を踏むも、その暇も無いことを思い出す。まだ何も終わっていない。それどころか、これまでに無い強敵が、まさに目の前に迫っている。 「クラウド……お前……心まで魔物になったわけじゃないんだよな……?」 見るに堪えない異形と化してもなお理性があるように見える目の前の敵に、対話を試みる。 「そうかもしれないし、違うかもしれない。」 クラウドは返す。 「俺は元々、心に魔物を買っていた。それだけはハッキリしている。」 クラウドの意識からは、深層心理で否定したそとによって殺しへの罪悪感というものが消えていた。そしてその罪悪感を担っていたのは、かつて取り戻した本来のクラウドとしての心だった。 「言ったよな。俺、お前が羨ましかったんだって。」 そして本来のクラウドというものを、陽介は知っている。星を救ったクラウドの周りには、たくさんの人がいて、その中心でクラウドは笑っていて。夢の中。そんなクラウドを陽介は、羨ましく思っていた。 「今のお前を、俺は羨ましいとは思わねえ。」 そして今。その感情は"リバース"した。ただただ冷淡に、先ほどにも増して人間味の欠片も見えなくなったクラウド。あの本来のクラウドの人格を失っていることは、本来の自分というものにずっと向き合ってきた陽介だからこそ分かった。 「俺は本当のお前に会ってきたんだ。今のお前は本当のお前じゃない。」 「……だったら全てを終わらせた後でもう一度俺を取り戻せばいい。」 クラウドはその場に落ちている『虹』を拾い上げる。リカームドラのような呪文を使って死んだホメロスが遺した武器。まさかクラウドに使われることになるとは思っていなかった。 「今の俺には、その力があるんだ。」 何度も命を救ってくれたホメロスの支給品、シーカーストーンの入ったザックもホメロスの遺体と一緒にクラウドの傍に置いてある。でもジャローダはモンスターボールから出てこっち側にいる。それならば、一緒に戦ってくれるはず―― ――などということはなく。 ジャローダはその場から、トラフーリばりのスピードで一目散に逃走を始めた。 「えっ……えええええっ!?」 その変わり身の早さに唖然とする陽介。ホメロスと共に行動していたことで自分にも何かしらの協調が生まれたような気がしており、肩透かしをくらったような気分だった。 しかしジャローダが逃げたのには、明確な理由があった。ジャローダの所有者であったホメロスが死んだ今、ジャローダの所有者は居ない状態――つまり、野生のポケモンである。しかしホメロスの身体が先ほどまでウルノーガの居た場所に引き寄せられたことで、ホメロスの支給品もクラウドのすぐ近くに落ちている。クラウドがそれを手にした瞬間に自分を捕まえていたモンスターボールは持ち主の譲渡が成立し、クラウドが所有者となってしまう。 先ほどの闘いで自分の奇襲を読んでいたクラウドは、少なくともモンスターボールの仕組みを最低限以上理解しているようだった。それがどこまでかは分からないが、もしホメロスのザックの中のモンスターボールをその手に取られれば、今度は自分が陽介に牙をむくこととなる。クラウドのような強者に着いていく方がトウヤへの復讐は果たしやすいのかもしれないけれど、それでもホメロスの仲間だった陽介だけは傷付けたくないから。 だからこそ、逃げ出した。所有者が変わる前に、モンスターボールの効力のある範囲から離れられるように。頑張って、と。ジャローダは陽介に伝わらない言葉を発した。 ジャローダが離脱した今、今度こそ陽介とクラウドは一騎打ちだ。クラウドの能力が強化されていることも、ホメロスやジャローダの支援が期待できないことも、先ほどまでと比べて大きく不利になっているはず。 「……何でだろうな。今のお前には、負ける気がしねえ。」 だけど、人間だった頃のクラウドの方が怖いと思った。今のクラウドは、独りだ。 (なあ、みんな。) 陽介は独りではない。たくさんの別れと共に、幾つもの想いを背負っている。 (俺、戦うよ。) その言葉の先は、完二であり、天城であり、ホメロスであり、そして、先輩でもあった。 望まずして命を絶たれ、その先の物語を紡げなくなってしまった者たち。 (だから……応援しててくれ。) 俺が今立っているこの地は、彼らの立てなかった場所だから。俺が生きる今日は、彼らが迎えられなかった一日だから。負けられない理由としては、充分すぎるものだよな。 その答えを見出した次の瞬間、身体中から力が湧き出てくるのに気付いた。 ――弱さを受け入れ、乗り越えた強い意志が、新たな力を呼び覚ます…… 「ペルソナァッ!!」 そして顕現したアルカナを力いっぱい、叩き付ける。同時に生じた破砕音は、この闘いの開戦の合図となった。 ■ Nの城を目指すトウヤは、特に急いではいなかった。ランニングシューズも無しに無闇に走ると足への負担が大きい。先のアンドロイドとの戦いのように、相手がポケモンではなくトレーナーである自分を直接狙ってくることもあるこの世界。体力を温存しておくに越したことはない。 確かに、この世界にはレッドやN、更にはレッドの手持ちかもしれないピカチュウなど、心躍るかもしれない相手が数多く存在する。もちろん、仮に彼らが死に瀕する事態が発生するとして、自分が急ぐことでそれに先立って彼らと戦える可能性はあるにはある。しかしその場合も、彼らを殺すに足る実力の持ち主と出会えることにはなり、それはそれで本望である。 そもそも、殺し合いというシステム上後になればなるほど強い相手ばかりが残ることになるのだ。それならばわざわざ急ぐこともあるまい。と、トウヤの思考はスタンスに照らせば合理的で、そして、或いは冷淡とも称されるものであった。 (後になればなるほど強い相手ばかりが残る……。つまり、弱いものほど先に死ぬということ。) 強い弱いというのも、実力の有無のみで語れるものではない。例えば先ほど殺したアンドロイドは、実力でいえば相当な強者だったが第一回放送を待たずして死んでしまった。生死を分けたのは、自分の勧誘への返答だった。あの時の選択次第では、まだ生き延びており共に戦いに身を投じていたはず。つまり、局面ごとに妥当な選択ができるかどうか、それもまた強さのひとつなのだ。 (そういう意味で言うなら、ベルなんかは真っ先に死にそうなものですが……) かつての旅で、ベルは実力もないのにプラズマ団の悪行を止めにかかったことは何度もあった。悪を許せない彼女のタチは嫌いではなかったが、少なくともこの殺し合いにおいては賢いとは言えないものなのだろう。ここでは実力がないまま他者と対立した者に待つのは死だ。 (まあ、どうでもいいですね。) と、考えをやめたその時。 ――もし、もう少し速く目的地を目指していたならば、出会えなかったかもしれない。 背後より、ひとつの影がトウヤに高速接近しているのを感じ取った。 「――!!」 参加者の襲撃か、それとも野生のポケモンか。トウヤにとってはどちらでもよかった。前者ならば楽しみであるし、後者であれば新戦力として期待できる。ダイケンキが死んだために空のモンスターボールがひとつ余っており、現在トウヤはポケモンの捕獲に挑める状態である。 答え合わせと、背後の影に向き直る。同時に、それはトウヤに攻撃を加えてきた。 (速い……!ㅤだが……) トウヤは率直な感想を抱くが、決して見切れない速度ではない。 「オノノクス!」 ドラゴンテールで応戦。敵の放ったリーフブレードと真っ向から衝突し、弾き合う。オノノクスの巨体が、こうかはいまひとつの技で押し勝てない点のみを見ても、敵がかなり強いのは明らかだ。 「……!ㅤまさか……。」 トウヤは敵の姿を確認し――そしてこの殺し合いの世界に来てからいちばんの驚愕の表情を見せた。そして次の瞬間には迷いなく、モンスターボールを足元に投げて瀕死のバイバニラを前に出す。そして一言、指示を出す。 「オノノクス。バイバニラに"きりさく"だ。」 その突拍子もない指示に、オノノクスは驚く。瀕死のポケモン――それも敵ではなく味方に牙を剥く行為など、かつての主であったアイリスの下でも行ったことがない。しかしモンスターボールの効力には逆らえず、その指示は一切の躊躇なく遂行される。瞬きするほどの間に両断されたバイバニラは無色透明が血液をその場に撒き散らすも、トウヤはそれを意にも介さず、空となったモンスターボールを手に目の前のポケモンと視線を合わせる。そして、かつて長く連れ添ったパートナーに告げる第一声としてはとても希薄かつ空虚な、"捕獲対象"への一言を投げかけた。 「あなた相手にボールひとつでは心許ないですからね。」 【バイバニラ@ポケットモンスター ブラック・ホワイトㅤ死亡確認】 全ての存在は、滅びるようにデザインされている。誰もがいずれ訪れる終わりに向けて歩み始め、その物語を遂げていく。 (――ありがとう。) それらは全て、かつて一度は終わった物語。 「吼えろ――スサノオ!」 しかし、終わりに続きを求める者がいる限り。 「さて。久しぶりですね――ジャローダ。」 彼らの物語はやり直され、生まれ変わって。 「もしこれが幻想だとしても、俺は俺の現実を創ってみせる。」 ……そして、リメイクされていく。 【E-4/一日目 午前】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]:健康 [装備]:龍神丸@龍が如く 極 [道具]:基本支給品2人分、不明支給品1~3個、グランドリオン@クロノ・トリガー [思考・状況] 基本行動方針:仲間と共に完二の仇をとる 1.魔軍兵士クラウドを倒す 2.死ぬの、怖いな…… 3.足立、お前の目的は……? ※参戦時期は足立との決着以降です。主催者陣営に足立がいることを知りました。 ※鳴上悠との魔術師コミュは9です(殴り合い前) ※クラウドの過去を知りました。 ※ペルソナ『スサノオ』を覚醒しました。 【魔軍兵士クラウド(クラウド・ストライフ@FINAL FANTASY Ⅶ)】 [状態]:HP1/2 [装備]:虹@クロノトリガー シルバーオーブ・LIFE@ゲームキャラ・バトルロワイアル [道具]:無し [思考・状況] 基本行動方針:優勝してエアリスを蘇生する。 1.「……。」 ※参戦時期はエンディング後です。 ※花村陽介の過去を知りました。 ※シルバーオーブ・LIFEと融合しています。 ※クラウドの近くに、基本支給品、シーカーストーン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、空のモンスターボール@ポケットモンスター ブラック・ホワイトが入ったザックがホメロスの遺体と共に放置されています。 【E-3/草原/一日目 午前】 【トウヤ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:虚無感(僅かに回復) 疲労(小) 帽子に穴 [装備]:モンスターボール(オノノクス)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト、チタン製レンチ@ペルソナ4 [道具]:基本支給品、モンスターボール(空)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト×2、カイムの剣@ドラッグ・オン・ドラグーン、煙草@METAL GEAR SOLID 2、スーパーリング@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて [思考・状況] 基本行動方針:満足できるまで楽しむ。 1.ジャローダを捕獲する。 2.Nの城でポケモンを回復させる。 3.自分を満たしてくれる存在を探す。 4.ポケモンを手に入れたい。強奪も視野に。 ※チャンピオン撃破後からの参戦です。 ※全てのポケモンの急所、弱点、癖、技を熟知しています。 ※名簿のピカチュウがレッドのピカチュウかもしれないと考えています。 【ポケモン状態表】 【オノノクス ♀】 [状態]:HP1/2 [特性]:かたやぶり [持ち物]:なし [わざ]:りゅうのまい、きりさく、ダメおし、ドラゴンテール [思考・状況] 基本行動方針:トウヤに従う。 1.トウヤに従い、バトルをする。 【ジャローダ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:健康 [特性]:しんりょく [持ち物]:なし [わざ]:リーフストーム、リーフブレード、アクアテール、つるぎのまい [思考・状況] 基本行動方針:トウヤを殺す。 ※現在は野生のポケモンの扱いです 【支給品紹介】 【シルバーオーブ・LIFE@ゲームキャラ・バトルロワイアル】 シルバーオーブがいのちのたまと融合し、魔軍司令ホメロスがその身に宿していた時のオーブの状態が擬似的に再現されたもの。現在はクラウドの身体と融合している。原作のシルバーオーブ同様、クラウドを倒した時にドロップする。
https://w.atwiki.jp/kwskp4/pages/24.html
概要 1番のアルカナ。 二つの眼の上に「∞」の文字、下に両手、そして中央に炎が描かれている。 「手腕」や「創造力」を象徴するとされる。 魔術師コミュ 花村陽介 魔術師ペルソナ ピクシー オロバス ジャックフロスト カハク ジャックランタン ディース ランダ ジン スルト マダ 魔術師シャドウ アブルリー(P4初登場) ハンド 手(レアシャドウ) マグス テーブル 霧雨姉妹の四女(P4初登場) 我欲のバザルト(P4初登場) 影 陽介の影 アルカナチャンス 正位置なら所持ペルソナのどれか1体のスキルの一つが上位スキルに変化し、 逆位置なら所持ペルソナのどれか1体のスキルの一つが下位スキルに変化する。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8519.html
前ページ次ページゼロのペルソナ タバサがアーハンブラ城に監禁されてから数日が経った。 出歩くことは当然許されない彼女の日課になったのは、母に『名も無き勇者』の本を読み聞かせることだ。 それはハルケギニアに広く親しまれている英雄譚である。 これと言った原点がないため、筋書きや登場人物が大きく違うものが多数存在する。 特に特徴的なのが、主人公であるはずの主人公が定まっていないことである。 平民であることもあれば、メイジであったり、青年の戦士であったり、平凡な少年であったり、人ですらないものも少なくないという。 まさしくタイトルどおり『名も無き英雄』である。主人公が違えば別の物語として認識されそうなものだが、共通点として3種の怪物と戦うことであろう。 そして一般的なものではそれらを倒して囚われの少女を救い出すことである。 『名も無き勇者』はタバサがよく母に読んでもらった本である。 幼いころ、むずかるタバサを寝かしつけるために枕元でよく本を読んでもらった。今とちょうど逆の立場で。 こうして本を読み聞かせているのは、そうしていると母が暴れないからだ。 母は人形のシャルロットがないと暴れ始めるのだが、なぜかこの本を読んでいるとなくても落ち着くようだ。 それに気付いて以来タバサは母に本を読み聞かせている。 エルフの心を狂わせる薬が完成するまでだが、それでも今までの暗い任務をこなしてきた日々よりもずっと有意義な時間に思えた。 母に読み聞かせながらタバサは昔を思い出していた。自分は昔この本を読みながら憧れた。 勇者にではない。助けられる少女に憧れた。楽しいながらも、退屈な日常から連れ出してくれる勇者を待ちわびた。 タバサは奇妙な感覚を覚えずには居られない。かつて憧れたものに自分はなっている。憧れの囚われの少女に。 違うのは自分を助けるものはいない、いや、いてはならないことだ。 それでも彼女の頭の中に使い魔の姿が思い浮かぶ。彼だって例外ではない。彼はエルフに敗れたではないか。 それでも……と本を読み、空想が得意な少女は仮定の話を想像してしまう。 もし自分を助け出してくれれば彼は勇者なのであろうか? 調子が良くて、力はあるはずなのにどことなく頼りない使い魔の姿を思い浮かべてタバサは心の中で苦笑した。 彼は勇者というがらではない。なんというか、そういうかっこいいものは似合わない気がする。 失礼なことを考えてると思う。しかし、使い魔のことを考えると心が暖かくなってきた。 その時扉が開いて、タバサと母だけの部屋にエルフが入って来る。 しかしタバサは突然の来訪者に構わず読み聞かせを続ける。 この数日間もそうだった。母との大切な時間をジャマされるつもりはない。 ビダーシャルは少し言いにくそうにしていたが、すぐに喋り始めた。 「薬の準備がじきに出来る。すぐにというわけではないが、もう長くはないだろう」 長くはないという言葉には主語に自分がつくことは言われなくとも分かった。 最後の正気でいられる時間を慮ったからなのかは知らないがそれだけ言うと彼はすぐに去っていった。 とうとう時が来たことを知る。もう自分が正気でいられる時間は長くないのだ。 だが、何も恐れることはない。これからはずっと母と一緒にいられるのだ。だから何も悪いことではない。 そう自分に言い聞かせながら本を読み続ける。 『名も無き勇者』を読んで、終ったら、また初めから読んでを繰り返す。それがもう何週目なのかわからなくなったとき、なにやら騒がしいことに気付く。 それでも読み聞かせを続けていたが、喧騒は大きくなり母は怯えてベッドの中にもぐりこんでしまった。 タバサは窓から外を見た。月が出ているとはいえ、もうすでに夜も更けている。 そのため見通しは悪いものの、松明がところどころあるため兵たちの様子が見える。なにやらいざこざが起きているらしい。 よく見てみると、他の兵士に殴りかかっている者も居れば、ぼーっとしているもの、なにかバラ撒いている者もいる。 その光景にタバサは既視感を覚え、すぐに思い出した。これはかつてアルビオンへ行く前にラ・ロシェールで襲撃を受けた際に見た光景に似ている。 その時、敵は味方を襲い所持金を撒いていた。そしてその状況を作り出したのは陽介であった。 彼が来ている。そう確信する。 急いで廊下へ出る扉に駆け寄るが、やはりロックの魔法がかけられていて出ることが出来ない。 タバサの手には杖がなく、杖がなければ北花壇騎士団として恐れられたタバサも扉一つ開けられない無力な少女でしかない。 きっと彼は自分を助けに来たのであろう。なぜ助けに来たのだろう。彼だってエルフに敗れたというのに。 焦燥に駆られながらも、心にかかる重石が軽くなったことに彼女は気付かないでいる。 アーハンブラ城が建つ丘の麓は活気のある町がある。それは初めは小さな宿泊所だったのだが、交易所になり現在まで発展してきたのだ。 もともとエルフに築かれたアーハンブラ城は幾何学的な模様が刻まれていて、双月が輝くときには人々の視線を集める美しい幻想的な城となる。 時刻は深夜。魅入られたわけでもないのに、その城を見つめる5人の集団がいた。陽介たちである。 「混乱しているわね」 キュルケはアーハンブラ城を観察していた。城内を1000以上の兵が暴れまわっている。 城に詰めていた兵たち以上の数の兵が暴れまわっているのだからこれ以上混乱しようがないほどであろう。 今、神秘的な城を襲っているのは陽介のテンタラフーとそしてルイズのイリュージョンだった。 イリュージョンとは本物に近い幻覚を作り出す“虚無”魔法だという。つまりルイズは虚無魔法の使い手というこただ。 本人がそう言い、デルフリンガーや完二や陽介が言ったため、信じてはいたつもりだ。そうでなければ親友を救うために連れてきたりはしない。 それでもやはり頭で信じるのと、見るのとでは違う。 「まさか虚無が、ルイズがねえ……」 同じく城の様子を窺っていた陽介が指示を出した。 「よし、んじゃ突撃すんぞ。あのエルフを見たら……わかってんな?」 全員が頷いた。 5つの影が混乱する城の中へと入っていく。 ガリア王の姪に飲ませるための薬が完成したとき、ビダーシャルは外が騒がしくなっていることに気付いた。 窓の外を覗くと多くの兵がなにやら暴れまわっているようであった。 彼はアーハンブラの城の土地と契約を交わしたので城内のことが感じられるが、ガリア兵300のほかになにやら妙な存在を放つものが現れた。 なにやら存在しているのかしていないのか判然とせず、しいて言うなら存在感のある霞のようなものであった。 ビダーシャルが今まで感知したことのないものに困惑していると次は別の5つの存在が城内に侵入してきた。 それらは間違いなく実体のあるものだった。その足取りは速く、なにかしらの目的があるのがわかる。 間違いなくシャルロット親子の奪還であろう。他にこの城に侵入する価値のあるものなどない。 どうやらガリア王の言ったとおりの展開になったことをビダーシャルは認めた。 そしてビダーシャルは自己の任務を全うするため部屋を出た。歩きながら5人の侵入者は途中で3組に分かれたことを察知する。 おそらくあの親子がどこに監禁しているのか知らないのであろう三方向別々の方向へ向かっている。 しかし3組に分かれたうち一人になったものは――おそらく偶然であろうが――監禁している場所へとかなり近いルートをとっている。最初に狙う標的をそれに定める。 ビダーシャルが幾つかの階段を下りて、廊下を歩んでいった。ビダーシャルの警備すべき対象と侵入者の奪還対象に向かう道合で男に出会う。 それは人の身でありながら使い魔と名乗った男であった。 「また貴様か。何の用があってここに来た」 尋ねられたほうは臨戦態勢で答えた。 「わかってんだろ?タバサを返せ」 「それは出来ない相談だな。早く去るといい。エルフは戦いを好まない。もし貴様がこのまま引き下がるなら何もしない」 「はい、そうですか。って引き下がれるわけねーだろが」 シャルロットに陽介と呼ばれた男はビダーシャルの申し出を跳ね除けた。 「交渉は決裂だな」 「当たり前だ。ペルソナ!」 陽介の背後に青いキャンドルに火をともしたような外見のなにかが現れた。 それはビダーシャルの目には亜人のように見えた。前回のときもそうであったが、おそらくあれは目の前の男の力なのであろう。 博覧強記なエルフであるビダーシャルもそれがなにかは知らなかったが、ただ自分の敵足り得ないことは前回の攻撃でわかった。 突然現れたそれは力をビダーシャルに向け放つ。光弾がビダーシャルに当たるが傷一つない。 次はビダーシャルの反撃の番だった。 「意思に潜む精霊の力よ。我は古き盟約に基づき命令する。礫となりて我に仇なす敵を討て」 ビダーシャルの周りの城が、城を作る石がめくりあがり空中で爆発して陽介へと飛んで行く。 その標的となった男は石の散弾をよく避けた。しかし全てはかわしきれず、いくらか石の散弾を喰らう。 「吠えろ!スサノオ!」 ダメージを受けつつも目の前の敵は再び炎の亜人のようなものを呼び出した。 ビダーシャルはこの城の全ての“精霊の力”と契約している。どのような攻撃も彼を傷つけることはかなわない。 無駄なことを。 しかし、そう思ったビダーシャルの体は疾風の刃で斬りつけられた。 「よし!」 陽介は疾風呪文ガルが通用したのを見てガッツポーズをとる。 エルフに攻撃が通じたの理由は最初にエルフに放った魔法がその答えとなる。 疾風ガードキル、ガードキルは敵のある一つの属性耐性を完全に打ち消すものだ。 陽介が疾風ガードキルを持っているように、クマは氷結ガードキル、完二は電撃ガードキルを持っている。 デルフンリガーに優れた使い手のエルフはあらゆる耐性を持っていると聞いて、二人に授けた秘策もこれだ。 疾風ガードキルはエルフの反射のうち疾風への反射を消滅させ、風の刃の通り道を作ったのだ。 その結果、魔法使いにどんな魔物よりも恐れられ、陽介を一度は退けたエルフは陽介に膝をついている。 「貴様……いったい何を……?」 そういった事情を知らないエルフは膝をついて息を切らしながらそう言った。 「教えてやってもいいけど、その前にタバサがどこにいるか教えてもらうぜ。あいつは今どこにいんだ?」 しかし、その質問に答えようとする様子はない。膝をついている男に近寄ろうとする。 しかし傷ついたエルフが指輪を触ったかと思うと彼の体が糸で操られた人形のように浮かぶ。 それから陽介を襲うためにつぶてとなったために穴が開いた壁から、浮かんだ体は飛んでいった。 しばらくポカンとして見つめていたが、自分のすべきことを思い出し、駆け出した。 突然爆発音のようにも聞こえる激しい音が聞こえてきた。 タバサは戦いの始まりを感じとる。 まさかビダーシャルが?そして戦っている相手は? 彼女は情報が欲しくて扉に耳をくっつける。それが囚われの彼女に出来る唯一のことだ。 爆発音は再び聞こえてくることなかった。じっと耳を扉につけてしばらく経って別の音が聞こえてきた。 それは足音だった。 風系統の使い手として鍛えられた耳を持つタバサの耳はそれを認識する。 エルフのものでも、兵隊のものでもない。 この世界のものではない足音。 ルイズの使い魔でも、キュルケの使い魔でもない。 珍しい靴の形。見たことも聞いたこともない、柔らかい足音の響く靴。 「タバサ!どこだタバサ!」 自分の使い魔の声、足音、彼の音。 「ヨースケ……」 タバサの喉からか細い音がもれる。 彼女を探す人物は気付かずにまだ彼女の名前を叫んでいる。 「ヨースケ!」 タバサは大声で自分の使い魔の名を呼んだ。自分でもこんな声が出るのかと驚くほどだった。 「タバサ!?どこだ、どこにいんだ?」 足音が近づく。 「ここ、助けて!」 タバサは自分の使い魔に助けを求めた。ドンドンとタバサは扉を叩いた。 足音はタバサのいる扉越しに立つ。 「待ってろよ、ぶっ壊すから離れてろ!ペルソナ!」 言われたとおりタバサは扉から離れる。 扉が強い衝撃を受けて真ん中から折れ曲がりながら吹き飛んでいく。 自分と母だけがいた部屋を、自分と母だけがいた世界を仕切っている扉が壊される。 扉の向こうに見えるのは、黒い服、首にぶら下げたよくわからないもの、そして茶色い髪。 彼が部屋に入って来るよりも早く、彼女は扉を、壊された扉を飛び出す。 「タバサ、無事か……うお!」 タバサは陽介に抱きついた。 そして子供の頃のように泣いた。忘れていた安堵の涙を流した。 おとぎ話のように捕らえられた少女。 少女を牢獄から連れ出したのは勇者ではなく彼女の使い魔だった。 前ページ次ページゼロのペルソナ