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571: リラックス :2020/11/23(月) 14 09 17 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp さて、ネタが出来たので投下 日本が超巨大化したことについて語るスレ7818 1名前:名無しさん[sage] 日本が超巨大化したことについて語るスレです。それに伴う影響やバックグラウンド、何でもOKどんどん話し合いましょう。 追記 アラシ行為をしていた方々について一定の解決を見たと運営からの報告があった為、例の戦争に関してのスレをこちらに再統合することになりました。 勿論、それに対する諸外国の反応などについての話も同様です。 395名前:名無しさん[sage] 【どんな表情】中国海軍、オレラ化【すればいいの】 ttp/XXXXXXXXX.XXX どうしよう、俺は今、物凄い中国に親近感というか仲間意識を感じる…… 396名前:名無しさん[sage] 知的財産権とか肖像権とか色々と問題があるような気がしないでもない 397名前:名無しさん[sage] でも、あのイラストが公式(?)として認められたってのは嬉しい…… 398名前:名無しさん[sage] 包帯は狙い過ぎでしょ。まあ、何というか……難しいことは置いといてGJ 399名前:名無しさん[sage] 向こうのでは地味に政府への評価が上がってるらしいぞ。やはり戦艦って皆さんお好きなんですね ttp/XXXXXXXXX.XXX それはそうとして、世界の艦○を読んでみたが、国防軍の艦艇が凄いラインナップになっていて驚いた。 400名前:名無しさん[sage] やまと型やふじ型だけが国防海軍の船ではありませんからな。 だとしてもいずもの空母化で騒いでいたあの頃から、随分遠くまで来てしまった気はする内容ではありました。 ま、離島奪還任務とか離島防衛任務とかを考えると、あれくらいあると心強いよね 401名前:名無しさん[sage] 大型輸送ヘリの設計者が「アレが医療機器や医薬品の輸送にしか使われないなんて、そんなことあると本気で思ってるのか?例えお前がそう考えて設計したとしても、国は離島奪還任務とかの軍事作戦に導入することを考えるに決まってるだろ!!」とテロリストに責められて反論も出来ず黙り込む映画が今世紀に入ってから普通に作られていたと思うと、ホント隔世の感がありますよ 402名前:名無しさん[sage] 愚かな日本から可哀想な東南アジア諸国を助けてあげてくださいって国連に手紙出して肯定的な反応されたのってアレは二十一世紀に入ってからだっけ? 403名前:名無しさん[sage] ティ連が現れてから一度民族浄化を肯定したこともあり、国連への幻想が醒めるどころか冷め切ったのは良かったかもね 404名前:名無しさん[sage] あの戦争の時も酷かったからな。「民間船への攻撃?戦争になったら敵国の船を沈めるのは当然!!自衛隊が防げなかったのが悪い!」「宣戦布告前の攻撃?国際法上、呼び方が「戦争」から「紛争」に変わるだけだから問題なし!」要約するとこんな感じ 国連 572: リラックス :2020/11/23(月) 14 09 52 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp 405名前:名無しさん[sage] まあ、宣戦布告云々は実際、反則したとして反則負けを取ってくれる存在はいない(作れない)以上は実質的に紳士協定でしかないし 国家相手に反則負けを取れるような組織作ろうとしたら、多分沈○の艦隊みたいなのになっちまうんじゃないかなぁ 406名前:名無しさん[sage] 沈○の艦隊 海江○艦長の言わんとすることが何か理解できたかも、あんなやり方はどう足掻いても認める気にならんが ああ、あと関連動画に対して集団的自衛権ダイマの為に子供達の犠牲を政治的利用するなって感想板に粘着してる連中もいたな Wikipedi○のページにもこの手の記事を書き込んで、記事を書き換えないよう見張っていた連中がいたらしい 407名前:名無しさん[sage] 子供を襲った犬を撃退した飼い猫の動画にも似たようなの書き込んでるのいたから、それの同類かねぇ 408名前:名無しさん[sage] 407、あー、一時期凄い流行ったあのニュースか。懐かしい。 409名前:名無しさん[sage] あそこまで一方的なのを戦争というのか、暴挙というならあそこまでのオーバーキルを叩き込んだ日本のやったことこそが暴挙だって言ってる奴もいるし、結局言ったもん勝ちで引き下げた方が負けだってことなんじゃね? 410名前:名無しさん[sage] 406、過去系表現なのがちょっとだけ怖いかなって 411名前:名無しさん[sage] 防衛省へのサイバーテロやら何やらで騒ぎになって以降、マネーロンダリングやっていた会社の取り締まりが物凄い順調だとかスマホみたいな情報端末の契約にクレジットカードと同じくらいの社会的信用が必須になったとか、色々と察せられるよね。 あの辺りから疑わしい連中の羽振りが悪くなったとか色々と風の噂が流れて来たり、実際その手のサイトでも大分静かになったのも何というか、言葉に出来ないよ 412名前:名無しさん[sage] ちょっと色々とシンドいから、ちょっと別の話題で気分転換しない? 413名前:名無しさん[sage] なら、こんな架空戦記はどうだ 新生!日台連合艦隊! 20XX年、拡大を続ける中国海軍に警戒を強めるアメリカは、台湾海軍と自衛隊を連携させ東シナ海における海軍力を強化し、“領土回復”の野望を抱く中国を牽制することを目論んだ。日本からの技術供与により中国海軍の戦艦定遠に対抗して建造された新型戦艦東鯷、しきしまの2隻を中核にした日台連合艦隊に中国の魔の手が襲い掛かる! 414名前:名無しさん[sage] ああ、あの大和型戦艦の主砲を作った施盤とか出て来て、試行錯誤の末に定遠級の主砲を超える46cmガンランチャーを完成させるってやつね 日本が超大陸化してない設定なこともあって、そこそこバランス取れていたと思う 415名前:名無しさん[sage] しかし、ガンランチャーって本当に一躍注目されることになったな 【また】「ガンランチャーは人類の生み出した奇跡の技術」【お前か】 ttp/XXXXXXXXX.XXX まーた妙なこと語り出しやがりましたよ、この○○○○(自主規制 416名前:名無しさん[sage] そもそもにしてガンランチャーが廃れた理由って何だっけ? 417名前:名無しさん[sage] 確か普通の砲から撃ち出せる対戦車ミサイルと対戦車ミサイルに負けない強力砲弾の開発に成功したから、ミサイルを撃ち出せるように砲の方を改造する必要がなくなったからだったはず それにしても、流石にこの期に及んでガンランチャーじゃない主砲を搭載したやまと型やふじ型はクソ!とまでは言ってないようだが(或いは誰か検閲でも入れたか)、俄かに人気が出始めたガンランチャーに着目したのは何なのか…… 418名前:名無しさん[sage] 実際にスパホが飛んでるのを見て感動したという理由で推しにしてる方もいるし、主砲の試射動画を見て感動したからという可能性もあるんじゃないかな もし、同じ理由でリト○デーヴィットを主砲にするネタを実現する方が今後現れたら、その人を先生と呼ばせてもらおう 573: リラックス :2020/11/23(月) 14 10 53 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp 419名前:名無しさん[sage] リトルデーヴィッ○だと…… それはもう、戦艦と呼んで良いのだろうか? 420名前:名無しさん[sage] ??「戦闘用艦艇を縮めて申し上げたのです!今重要なのはそのような言葉遊びではありません、話を逸らさないでください!」 421名前:名無しさん[sage] 420、うーん、懐かしいと言える程度には過去の妄言と断じれるようになったのは良かったのか悪かったのか 時に、東鯷って何? 422名前:名無しさん[sage] 421、 『漢書地理志』の中の「会稽海外有東鯷人、分為二十余国、以歳時来献見……」って記載に東鯷が台湾を指す名称であると主張している学者が一部にいるので、それを台湾そのものを指す別称として引っ張って来たんじゃないかと 423名前:名無しさん[sage] 確か東鯷とは海上の島嶼群を漠然と示した名称で、台湾の呼称とするには今一歩根拠に乏しいって話じゃなかったっけ? それは別にしても創作であろうと、この名称を選択しましたってのが通る辺りが台湾への評価なんかねぇ 424名前:名無しさん[sage] リアルだと支援するにしてもせいぜい流されたらヤバい物を抜いてからFー15JとFー2を払い下げるくらいだろうってのが主流だし、まあ、多少はね? 425名前:名無しさん[sage] 東南アジア「あの……」 426名前:名無しさん[sage] 425、はいはい、お小遣いなら中国おじちゃんに貰いに行ってねー 427名前:名無しさん[sage] 東南アジア「アンタ達は長年在日米軍に守られてズルい!今度はアンタが他の誰かを守るべきじゃないのか!?」 日本「アメリカがあの条件でウチに基地を置くようになったのは古くはソ連、今は中国の太平洋方面における前線基地として都合がいいという地勢条件があったからですけど、ウチとアンタらとでこの関係は成り立たんでしょ?ついでに言えば思いやり予算だ何だと言われながらも、基地の土地の借用費とか貰うどころか、逆に金払ってますからね?」 東南アジア「だとしても中国が外に打って出る可能性は政治的に見れば非常に高いはず!我々と協力する理由は十分にあるはずだ!!」 日本「協力するのと全部やるのは違いますよ?だから憲法違反だ何だと何故か国外からも叩かれながら(この憲法押し付けた張本人の意向もあって)自衛隊を持った訳ですし、そもそもアンタらを守るなら北朝鮮と台湾と最前線を構築して圧力かける方が遥かに効率的でしょうに」 A・L「ああ、また東南アジア諸国を安心させる為の地方巡りが始まるお…… CoC○壱のカレー食べてゆっくりしたい」 428名前:名無しさん[sage] AL級は東南アジアにおけるアイドル枠ですかな?かつては威圧の方が主目的なグレートホワイトフリートが安心させる為になるなんて素晴らしい世の中になったね 429名前:名無しさん[sage] 昔、教科書にはASEANは急成長して日本は置いてかれるでしょう、だの第三世界(アジア-日本)が世界の覇者になるだの米中交代論だのあったのになぁ…… あの頃の我々に今の構図を見せても信じないだろうな 574: リラックス :2020/11/23(月) 14 12 16 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp 430名前:名無しさん[sage] そりゃ二十倍に肥大化(物理的に)って誰が信じられるんだよ それを別にしても、中国に対抗する為に日本を担ぎ上げようと動くアジア諸国というのは違和感が強いけど 431名前:名無しさん[sage] 担ぎ上げるを矢面に立たせると表現するとあんま変わらないからセーフセーフ。 日本が東南アジア諸国の力を求めて協力に動いたらお前が矢面に立てよ、と塩対応されていただろうし、まあ、こんなもんでしょ。 ASEANやEUに日本は勝てないって意見に関しては一人より大勢が強いに決まってるって思って疑ってなかったから、違和感はやはりあるけど 432名前:名無しさん[sage] 431、船頭多くして船山に上るって言葉を出した人は天才だと思う(↓具体例。数が多けりゃそれだけ利害調整や意思統一も大変になるし、長い付き合いになれば過去の確執や怨恨も生まれる、それらが問題にならずに協力し合えるってんなら、別国に分かれてない やらかし戦闘機ユーロファイター・タイフーンは何故失敗したのか ttp/XXXXXXXXX.XXX 何がダメだったのか?EUの内実について解説! ttp/XXXXXXXXX.XXX ASEANの抱える問題について ttp/XXXXXXXXX.XXX 433名前:名無しさん[sage] 散々にバカにされてる似たような例があってな、元勲亡き後の大日本帝国って言うんだけども あれ、大日本帝国だけが抱えてる固有の問題じゃなく、かなり汎用性ある問題だってのが 434名前:名無しさん[sage] 仮にも社会人で国家権力を預かる身で緊急時にまでそんなアホやることは有り得ないと主張してる連中はいるが、アメリカですら陸海軍で戦争して、その余力で枢軸国と戦っているって表現されるし、ソ連に到っては粛清で軍が機能不全起こすまで徹底的に最高権力者がナタを振るった訳で まあ、一致団結なんて背負うモンが増えると早々出来ないという話だね 435名前:名無しさん[sage] それはそれとしてこんなニュースが 日本に戦艦の建造を?各国で署名運動 ttp/XXXXXXXXX.XXX 436名前:名無しさん[sage] まず整備は出来るのか、そして建造したブツの情報を他国に流さないのか、そこら辺の信頼を築いてバックグラウンドを整える方が先じゃないかな 運用費用とか動かす人員とか、その辺りの計画も必要だよ? 437名前:名無しさん[sage] ボーナスでローンを組んで新車を購入したらローンと保険料、駐車場代に維持費諸々で生活が破綻した新社会人を彷彿とさせるな ASEAN連合海軍構想というAUMXの参加国数 参加艦艇数って実情を考えると何が出来るんだって構想もてんでんばらばらに唱えられてるらしいが 438名前:名無しさん[sage] まあ、実現するかはアメリカ次第だろう。アメリカが責任を持って運用管理するなら36cm砲搭載戦艦の建造を請け負うことも吝かではないかもしれないと言えないこともない可能性がなきにしもあらず、多分、きっと、恐らく、メイビー 575: リラックス :2020/11/23(月) 14 12 57 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp 439名前:名無しさん[sage] 名言しない表現をこれでもかとぶち込んでくる物言いにワロタ 似たようなことやってる商業もあったが、これでチョイスした名称がマニラというのは大丈夫なんだろうか ASEAN艦隊出撃す!戦艦マニラの死闘 ttp/XXXXXXXXX.XXX 440名前:名無しさん[sage] 米西戦争のマニラ湾の戦いから取ったなら、まあ、有りじゃね?レキシントンだって元は巡洋戦艦につけようとしていた名前だろ 441名前:名無しさん[sage] リアルで同じことやったら絶対に名称を定めるだけで一悶着あるな、国民投票という手もあるが、総人口に差があって不利になる国は一国一票にしろとか絶対文句つけるだろうし 442名前:名無しさん[sage] それを考えるとマニラは割とマシな落とし所かもしれんな…… 443名前:名無しさん[sage] 揉める理由ってのはいくらでも発生し得るんだなってのがよくわかる 444名前:名無しさん[sage] 戦艦も良いけど、以前のスレで触れられていた何とか創意工夫で戦艦を撃破しようという心意気を感じさせるイロモノ兵器達も悪くないと思うんだ 445名前:名無しさん[sage] 444、わかる。あーゆーのが活躍するアニメなんぞ如何でやしょうか?背景とかはひとまず置いといて、PVだけでもやってくれたら喜ぶよ。 446名前:名無しさん[sage] それは俺も見たいけど、どんな作風にするかにもよるな。硬派路線も良いが、アル○みたいな路線も捨て難いし、変な思想を盛り込まないのであれば旭○や紺○のようなとんでも兵器が次々と現れては活躍する作品でも嬉しい 447名前:名無しさん[sage] それはまあ、見た目は面白くなるだろうね(作画の手間からは目を逸らしながら 448名前:名無しさん[sage] ブリティッシュサイドは美味しいってか、良いよね 449名前:名無しさん[sage] 踊る阿呆に見る阿呆、どっちもアホなら踊らにゃ損損、ってか!w そうだそうだ、理性や自重を捨ててバカをやるから可笑しく楽しく生きられるんだ!みんな、バカをやろうぜ!! 450名前:名無しさん[sage] ところで一つ聞いても良い?やはり、あの手の苦肉の策って、実用性があるというよりは、そっちよりの代物? イロモノ 451名前:名無しさん[sage] (目逸らし) 452名前:名無しさん[sage] ピーピピ~、ヒュー(口笛) 新着スレを表示する 576: リラックス :2020/11/23(月) 14 13 37 HOST 119-228-232-201f1.kyt1.eonet.ne.jp 以上、特に山もなければオチもなく
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51. yukikaze 2011/12/05(月) 00 05 42 前スレ『アメリカ本土決戦』ネタ 1943年夏。アメリカ合衆国は滅びに瀕していた。 日米戦争直後に起きた大西洋大津波によりアメリカ東海岸は事実上消滅。 その後、東海岸を中心に流行した「アメリカ風邪」こそ、徹底的な封じ込め政策 を強行したことによって、何とか抑えることに成功したものの、皮肉にもそれが 合衆国の運命を決めることになった。 何故か? それは皮肉にも、今回の災害によって、合衆国大統領の権限が建国史上 類を見ないほど強化されたことにあった。 内においては大津波と疫病。外においては戦争。この未曾有の事態に対応する為に、 ロングの死を受けて急遽大統領となったガーナーは、「この事態を乗り切るためには 大権が必要である」として、全権委任法を制定。従わない州には、連邦軍を以て 制圧させるという苛烈ぶりと、ハースト系新聞の煽りによる国民の支持を受けて 1月までには、東海岸の感染区域を完全に切り捨てた代わりに、国内を安定させたのだが この強力な権力が、ガーナーに誤った認識を持たせることになる。 それが何かというと、この未曾有の災害の混乱を曲がりなりにも安定させたことで ガーナーは「連邦政府の存在こそ合衆国にとって絶対であり、それを脅かせるような真似は 絶対に許されない」という確信から、こうした行動を邪魔するものに対して病的なまでの拒否感を 抱くようになったのである。 無論、国家の安定という観点からみれば、ガーナーの考えも間違ってはいないのだが、 それを他国政府まで順守するよう求めている時点で、ある種狂っているといわれても仕方がなかった。 それを端的に示していたのが、4月1日に出された、通称「エイプリルフール宣言」であり、 既に太平洋艦隊が壊滅し、戦争が誰の目から見ても不利であったにもかかわらず、 アメリカの正義と日本の悪辣さを並び立て、日本に対してハルノートの順守および賠償金を支払いを求める 宣言を発し、夢幻会をして「エイプリルフールだからと言って、真顔で冗談いう必要ないだろ」と、 完璧に呆れ果てさせることになる。 この頃には、財界もガーナーを見離し始めていたのだが、彼らにとって誤算だったのが、ガーナーに変わる 国際的視野の広い政治家はすでに全滅しており、軍の理性派と呼ばれる面々も逮捕拘禁されていた。 そして何より、病的なまでに猜疑心が強くなっていたガーナーが財界の面々を注視していない筈がなく、 彼らが気づいた時には、銃が彼らの前に突き付けられた後であった。 こうして、反対意見を抹殺する傍ら、ガーナーは本土決戦の計画を次々と命令していた。 彼にしてみれば、広大なアメリカを日本が制圧するなど不可能であり、そしてそれは日本も自覚はしていた。 彼にとって不幸だったのは、日本は「征服は出来なくとも滅ぼすことはできる」能力を持っていた事であった。 以下、時系列を以て、アメリカの滅亡を述べる。 1943年3月29日 アラスカ占領。アメリカ国内に動揺が広がる。 4月 1日 エイプリルフール宣言。 5月15日 ハワイ陥落。日本条件付き講和(グアム割譲。太平洋のアメリカ領土の非武装化。海空軍の実質消滅)提示 5月16日 アメリカ政府拒絶。「猿に人間が講和できるか」発言に、日本は和平案を捨てる。 6月 6日 初めてアラスカから五大湖に弾道弾が発射される。以後、終戦まで続く。 6月30日 連合艦隊による西海岸攻撃開始。以後15日間にわたる攻撃(途中ハワイへの帰島あり)により シアトル・ロサンゼルス・サンフランシスコが壊滅。 7月15日 日本軍サンディエゴ上陸。同月末にはサンディエゴより富嶽による空爆開始。 テキサスの油田は消失。 8月1日 アメリカに対して再度降伏宣言。従わない場合は原爆使用も行うことを通達。アメリカは同日拒否。 8月6日 日本による最初の原爆がデトロイトに落とされる。同9日にはダラスに投下される。 8月14日 シカゴに原爆投下。ガーナー死亡。翌15日、合衆国降伏。
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空母 この項目は、蒼藍王国軍と、属国各国軍に属する旗艦専用級を含む戦艦の艦級の一覧である。 命名規則として、蒼藍王国軍の場合、ネームシップはかつて王国史において多大なる功績や史実に多大な影響を及ぼした人物の名を冠している。また日本連邦帝国海軍は旧大日本帝国海軍の規則に則っている。 略号は蒼藍王国軍の場合は蒼藍古語で空母を示すQolkaVocus(クォルカヴィオクス)から。日本連邦帝国海軍は旧アメリカ軍の公式略号の前に航宙艦を示すCを挿入した物を使用している。また、両国とも略号の後ろに艦級のイニシャルを入れ、艦番号に使用している。 蒼藍王国 アノニム級 標準空母 第二世代航宙理論採用推進機関→第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号 QVA-X 最も標準的な形をとる空母である。発艦甲板を右舷に着艦甲板を左舷に有している。 ヴォルフラント級 大型専宙空母 第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号 QVV-X 惑星大気圏内での運用を想定していない大型空母。空母艦隊の旗艦となることもある。 サニアル級 大型輸送艦併用空母 第3.5世代航宙理論採用推進機関 現在は40隻程度しかない空母に見えない空母。 アマツミカボシ級 大型主力汎用空母 第四世代航宙理論採用推進機関 艦番号 QVTa-X 第4世代航宙理論採用の推進器を搭載し、静清性の向上と、艦体の大型化により、王国軍の次期主力空母となることを期待されているというかなった。。ちなみに現在運用されている王国空母の中では2番目に大きくその全長は40km超 艦載機総数は全次元世界内に存在する空母の中でも最大の7万5200機に及ぶが、あっさりと後継艦のアネル級に大差で負けた。。それ以外にも、艦載弾道ミサイルも搭載しており、本級以上の巨体を持つ、赤城級や加賀級以上に内部スペースに冗長性が確保されているともされるが、実際には、SVLにも採用されている空間拡張技術によるものである。なお、その気になれば、弾道ミサイル1万発以上を積んだ上で10万機以上の艦載機を搭載する事も可能である。 現在50万隻全艦が就役運用中である。 アネル級 大型主力汎用空母 第四世代航宙理論採用推進機関 艦番号 QVA-X アマツミカボシ級をベースとしつつ、艦載機の全軍完全刷新に合わせて計画建造された、超弩級戦略空母。本編ではアマツミカボシ級と同じ大きさとされているが、実際にはリンクリス級戦艦程度の大きさを持つ。艦載機の数は、甲板駐機も含めて15万を超える。でかいので冗長性抜群である。 とある国防戦で1隻が大破したことを受け、耐久力の強化が行われた。その上でついでとばかりに大規模改修が行われ、艦載機総数がさらに上積みされた。その数当初の100倍。ちなみに大きさは改装前が100km程度だったのが改装後はコーウェリア級より一回り小さい450kmに。 どれくらいかといえば艦首をスカイツリーにくっつけたら艦尾は彦根城あたりに来る。 ちなみにコーウェリア級は同じく艦首をスカイツリーにくっつけたとき艦尾は原爆ドームあたりに来る規模と考えてほしい。 この国の規模感覚はどこかおかしい 日本連邦 色龍級 大型旗艦空母 第四世代航宙理論採用推進機関 全長およそ55km 艦番号CCVCd-X 赤城級、加賀級を超える大型空母として、次期主力空母として計画されている。蒼藍王国の旗艦専用級艦リールシェル級に匹敵する大きさを持ち、艦載機積載量、運用能力などは、赤城級を大きく超える反面、どうしても入港可能港が限定されてしまう。長らく111号艦級と呼ばれてきた。というか、決めるき無かった。 青龍、黄龍のように色の名前+龍で艦名が構成される。蒼龍級と間違えられる艦も居るが大きさで簡単に分かる。 赤城級 大型旗艦空母 第3.5世代航宙理論採用推進機関 全長およそ42km 艦番号 CCVA-X 日本連邦、蒼藍王国を含め、創造界世界内の空母の中で最も大きく全長40kmを超える。だが、その巨体故、入港可能港が制限されてしまう。 赤城、天城、葛城以下、○城の二文字を艦名としている。 加賀級 大型旗艦空母 全長およそ41.5km 第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号 CCVK-X 日本連邦国内において、最も一般的な空母として有名である。空母の中でファンの多い流麗な外観が特徴である。なお赤城級と同じく全長40kmを超える大きさである。 加賀、紀州、水戸など旧江戸幕府時代の藩の名前を冠する。 蒼龍級 大型汎用空母 第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号 CCVSd-X 日本連邦国内における主力空母の一つ。 艦名は○龍で統一されているが、艦名の前に小文字のsが描かれているのが本級 飛龍級 第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号CCVH-X 日本連邦国内における主力空母の一つ。赤城級、加賀級、蒼龍級の同番艦と空母機動部隊を編成する。特に赤城、加賀の一航戦。蒼龍、飛龍の二航戦は日本連邦帝国海軍の最大にして最強の主力部隊たる天の川連合艦隊の航空戦力の7割を占めるとまで言われる練度と、艦載数を持つ。 艦名は蒼龍級と同じく、○龍で統一されているが、蒼龍級艦と区別のためこちらは、艦名の前に小文字のh。さらには、艦名のバックに白い羽が描かれている。これは、連邦帝国海軍元帥来栖夕凪氏の命令によるものである。 翔鶴級 大型汎用空母 第3.5世代航宙理論採用推進機関 艦番号CCVSc-X 隼鷹級 大型汎用空母 艦番号CCVFe-X 元々は民間船舶だったが、軍が買い取り、空母に設計変更して建造した。というか、そういう体裁を取っているだけで端から空母として設計建造されていた。所有元だったとされる民間企業は元で無しで利益が上がりほくほくらしい。 一番艦の統括A.Iが、24時間365日年がら年中やたらテンション高い。 艦名は○鷹で統一されている。
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195 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 15 13 大日本企業連合が史実世界にログインしたようです 「国防は軍人の……」1 -熱しやすく冷めやすく- AF『アシハラナカツクニ』は艦艇の収容機能を持つのだが、その為に二重構造を持っていた。 まず通常の港湾で言えば波を受け止める外郭施設(防波堤や防潮堤)役割を果たす外郭フレームである。 通常航行時にはこれらは格納されているが、停泊しているか、あるいは低速で航行するときはそのままになっている。 そして、その内側に航行援助施設(灯台など)と係留施設があり、一部にはドックの入り口がある。 このドック自体は、アシハラナカツクニの船体内部に設けられており、艤装工事も容易に行える設備を備えていた。 この水上工作要塞『アシハラナカツクニ』は元々は全長1km前後しかないAFとなる予定だった。 クレイドルを接続する海上プラットフォーム『オノゴロ』の修理や点検などに使われる予定で設計されており、 都市機能維持のための輸送艦などを整備補修するための機能だけが儲けられるはずだった。 しかし、史実とのゲートが開通して、史実側に日企連が拠点を設けるにあたってこのAFが注目を集めた。 フラッグシップAF『イズモ』はその大きさ故に持ち込んだ際に隠匿がしにくく、必要となる物資の量から過剰な負荷を 史実側にかけてしまうと判断されたためだ。そして、元々の設計案の基礎フレームを二つ接合させて機能を拡充し、 日企連の量産型AF『アマノハシタテ』のように母港としても使えるようにしたのが『アシハラナカツクニ』である。 1936年3月21日。そのアシハラナカツクニに接近する巨艦があった。 全長214.6m、全幅28.04m、基準排水量27500tの金剛型戦艦2番艦『比叡』であった。 『こちら、大日本企業連合 水上工作艦『アシハラナカツクニ』管制。貴官の名前と目的を』 艦橋に設置された通信機から、無感情な声が届けられた。改装に先立って日企連が設置したものだ。 史実側の面々の常識を覆すような小さな、それでいて高機能な通信機は、比叡の艦上構造物の上部に設置されたアンテナと繋がっており、IFF(敵味方識別装置)の機能も兼ね備えていた。 「こちら比叡艦長の井上成美。比叡改装のための入港の許可をもらいたい」 『了解。5番ドックを解放するので進入されたし』 日企連に習った通りの操作をして井上が返答を返す。 暫くすると、目の前の巨大な壁の一角が徐々に開き始めた。 牛の唸るような音が断続的に鳴り、壁面の一部が大きく口を開けていく。 「すごいな……」 「ええ。まさに島が動いていますよ……」 アシハラナカツクニの全長は2.4km、全幅はおよそ1.1km、高さは400mもある。最大幅は格納されている防波堤フレームも 含めればもっと拡大する。今比叡が乗り込もうとしているのは、一番大きな乾ドックである5番ドックだった。 アシハラナカツクニの後部側にある大型ドックは比叡さえもすっぽりと収めることが可能なサイズがあり、 今回比叡はそこに納まることになっている。誘導に従い操舵手が慎重に舵を操作し、タグボートに押されて補助を受けながら、比叡の姿は飲み込まれていく。 「葦原中津国か……」 井上は、日企連から教えられていたこの大型船舶の名前を呟く。 神話において天津神が国津神から譲り受けたとされ、高天原と黄泉の国の間に存在するとされる土地。 それは日本列島のことを指す。つまりこれから向かうのは、人工的に再現された日本ということだ。 これまでの常識が通用しない『他国』日本。そこに乗り込んでいくということは、まさしく異界に乗り込むということ。 196 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 16 08 人知れず冷や汗を感じる井上とは異なり、副長はアシハラナカツクニの大きさに感心していた。 「しかしすごいもんですねぇ……これだけのものを浮かべてしまうなんて」 「まったくだ。艦本の連中も、どうして浮かんでいられるのかさっぱりわからなかったようだ。 しかし、この比叡がどう化けるのか……それが楽しみでもある」 「そうですか?」 「軍縮条約のために、生き残る為に、身をやつす。そんな悲痛な感じが比叡にはする。そういっていた人がいたらしい。 そんな老婆が、新しい日本に赴いて、姿を変える。なんだか感慨深いじゃないか」 井上は、比叡の艦長を務めていた時の事を振り返る。 史実においても彼は最も愉快な時期を比叡艦長時代と述べているし、後に比叡の姿を描いた油絵を飾るなど思い入れを窺える。 そして、その改装前に比叡を小笠原諸島沖に停泊する『アシハラナカツクニ』に連れていく役目は、井上に任された。 どちらかといえば、史実を知る日企連の厚意でもあった。 「私が生まれ変わる前の最後の艦長になる。日企連も、なかなか気が利くところがあるじゃないか」 地獄榛名に鬼金剛 羅刹霧島夜叉比叡 乗るな山城鬼より怖い。そのように時に呼ばれる厳しい訓練を積むのが 大日本帝国海軍であった。海の上に浮かぶ船という密室環境であることも手伝っていじめなどが陰湿化しやすく、 指導方法も体罰などが当たり前のように行われていたようである。ここには、決戦兵器たる戦艦の乗員は厳しい 訓練によって練度の高さを維持して置かなければならないという考え方が存在したことが大きいのだろう。 「そういえば、大佐は日企連との改装に関しての会議に出席されたのでしたか」 「ああ。水沢技師だったか、彼が良い意見を出してくれた。改装案についてはまだ公にはできないが、許してくれ」 副長に井上が詫びたとき、比叡を取り囲むように係留アームが展開されていく。 比叡の船体に係留アームの先端にある巨大な吸盤が吸いつき、柔軟性を持たせて固定する。 ついで、上部からラッタルがクレーンにつられて降下してくる。 見上げれば、比叡を囲むように広がっている工廠内部には多くの作業員や日企連に所属すると思われる軍人が整列していた。 「比叡および比叡艦長 井上成美大佐に敬礼!」 そして、見事にそろった敬礼。誰もが潮の臭いに満ち、歴戦の海兵としての風格を持っていた。 比叡の多くの船員達が知らないことであるが、日企連はBFFと並ぶ海上企業としての一面を持つため地上で行われる経済戦争で多くの海上戦力を運用している。常日頃から切った張ったの世界を潜り抜けていることは史実側とは大きな違いであった。 『第五ドック、比叡の係留作業が完了しました。ラッタル展開、作業員は注意をしてください。 まもなく5番ドックは改装のため、排水を開始します。 井上艦長および比叡の水兵の皆さん、アシハラナカツクニへようこそ。歓迎しましょう、盛大にね』 それらに敬礼を返しつつ、井上たちはアナウンスに従い下船の用意を始める。 「さて、挨拶に行こうか」 井上は下船を促す。しかし、副長は見逃してしまった。井上の目に、深い悲しみがあったことを。 “臣民”となるための洗礼を受けたが故に、自分たちの無力さを思い知らされたことを。 197 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 17 00 さかのぼること10日前。 艦本。艦政本部というところは海軍大臣の麾下にある海軍の外局である。 造艦に関係する事務を管轄し、どのような艦艇を設計していくかを定める場所でもある。 艦本式、と呼ばれるように連合艦隊、つまり日本海軍の艦艇のタービンやボイラーは全てここが管轄している。 そして、現在旧大日本帝国海軍の面々はアシハラナカツクニの会議室に集まっていた。軍人以外にも技術者や学者も 含まれている。相対しているのは日企連海上防衛軍からの出向してきた海軍軍人と技術者達だった。 今答弁を行っているのは、日企連の海上防衛軍(つまり海軍)の東雲(南雲さんの中の人)。 会議室の前におかれた黒板にはいくつもの資料が張り付けられており、激しい議論が交わされていた。 「砲の命中率は、この時代においては低いことから多数の砲を搭載することが主流でありました。 しかし、電探と射撃管制装置及び電算機によってむやみに砲を搭載することなく、必中の砲を搭載して重量を削減する。 そうでなければ命中率はさっぱり向上しませんよ?当たらない鉄砲をいくら撃っても意味がありません」 「数をうてばあたるだろう。そもそも斉射はその為に行うんだから」 「数を撃つのは良いですが命中する前に相手が命中させてきたらどうします? 仮想敵のアメリカは、こちらより多く戦艦を揃えてきますよ?数撃てば当たるとはいえ、向こうの方が数が多いのに どうやって先に命中させるんですか?運頼みにしますか?」 「それは……それは乗員の練度で補えば」 「先程お見せした榛名と霧島の比較実験では、互いの船員を入れ替えても、命中率は変わりませんでした。 つまり、水兵の技量が関係するのは一定の限度があり、残りは砲の性能や砲撃を支える諸機能の差が物を言います。 命中率を向上させて敵艦隊に対して優位に立つためには、これしかありません」 確かに、先だって行われた榛名と霧島の比較実験は命中率に有意の差が生じた。というか、面白いように砲弾が吸い込まれ、命中判定を叩きだしていた。挙句、速力をかなり出した状態での命中率も変わらなかったほど。追い打ちのように東雲が問いかける。 「それとも、積むだけ無駄な砲を積みますか?」 「……」 「水兵に対して快適な環境を提供するための分と、電探などを積み込む分と、新型高温缶を積む分。 これを捻出するには砲を減らすしかありません。そしてこちらの提供する軽量合金を採用してトップヘビーを解消する。 扶桑型という素晴らしい芸術を繰り返したいなら別ですが」 初の国産超弩級戦艦 扶桑型。しかしその実態は控えめに見てもお粗末であった。 既に時代おくれとなりつつある速力の悪さ、一斉射撃の度に船体にダメージが及び、おまけに居住性も悪い。 というか、建造中に既に欠陥が明らかになり、伊勢型以降は設計が見直されていた。その伊勢型に関してもユトランド沖海戦の戦訓を生かせたのが長門型以降であり、防御性という点において少々劣っていた。伊勢型に関しても、日本の技術の拙さがあちらこちらに現れており、近代の戦艦と呼べるのは長門型しかないと言えた。 日企連の皮肉気な物言いに史実側は露骨に顔をしかめるも、反論できずにいた。 「では」 牧野茂は、怒鳴り返したい気持ちを必死に抑えて問いかける。 「では、君達の案ならば解決できると?」 「ええ。比叡は生まれ変わりますよ。最も使いやすく、今後発展する航空機にも対応し、そして誰にも真似できない戦艦に」 198 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 18 01 既にこの場にいる人間の多くがコンセンサスとして史実の航空機の著しい発達を知らされている。 将来的に戦艦は高級おもちゃに成り下がる。費用対効果を鑑みれば、戦艦は双方が望まない限り起こらない艦隊決戦以外には対地砲撃などしか使うことができない存在になってしまう。ただし、このまま何もしなければ、という文を付けるべきであった。 そして、日企連は何か戦艦に新しい役目を負わせることができる能力と技術の持ち主だった。 「正直なところを言えば、長門さえも旧型にしてしまう怪物に仕上げます。我々の案を飲んでいただければ。 そうでなければ、勝手にやる。あなた方は黙って動かせばいい。いえ、いっそ解体してしまいますか? くず鉄にでもなれば少しは国庫も潤いますからな」 「貴様!」 艦政本部長の中村良三が東雲の物言いに激昂して叫ぶ。 「言わせておけば!日本海軍の事は我々が一番理解している!貴様らは黙って…」 「畏れ多くも!」 鋭い声をあげ、すっと立ちあがたった東雲が中村に近寄り、じっと見つめる。 それだけの所作に、思わず中村は下がってしまう。気迫が違い過ぎた。 「陛下は貴官らの方針に疑問を覚えていらっしゃる。対米戦の指針は一体どのような物でありましたかな? そう、漸減。しかし……アメリカは戦時において10をはるかに超える空母を就役させ、戦艦を揃え、押し立ててくる。 しかし、逆にそれはこちらも戦力を消耗させるということ。この国がやっと戦艦を揃えたとしても、それは的を増やしただけ。 それとも……少し前の図上演習や電算機(コンピューター)演習をお忘れか?」 「あ、あんなものは……あんなものは!ただの演習だ!そうだ!誰があんなものを……!」 「貴方が職権を盾にして途中でいなくなったり、難癖付けていることは知っています。ならば結構。 昭和20年3月1日に死ぬ貴官が少々早くいなくなろうと、日企連にとっては些事です。 ご苦労でした、中村『元』艦政本部長。お連れしろ」 何時の間に現れた憲兵が、東雲に促されてがっしりと中村を両脇から捕まえる。 「な、なにをする貴様らー!?」 抵抗する中村だが、憲兵は落ち着いて手錠をかけて連行していく。 そもそも高齢の中村には憲兵を振り払うような膂力などない。 「彼は『勉強会』の主催に熱心だったようで……日企連の支配下にはいってからも頑張っていたようですね」 東雲の言葉に、史実側の面々も中村が何をしていたのかを悟る。 勉強会。字義通り受け取るにはあまりにも状況が悪すぎた。一体何をしていたのかは、日企連のみが知っていた。 「残念ですな……さて、続けますか。どうします? あなた方の案にのっとって改装するか、我々が技術指導を兼ねて改装するか、はたまた屑鉄として売り飛ばすか。 このまま比叡を、そして残る戦艦達を、太平洋に浮かべるだけのおもちゃとするか否か」 「……」 返答は、なかった。というか、誰もが先程退場させた東雲のことを考えてしまい、口をつぐんでしまったのだ。 「しかたありませんな……休憩としましょう」 そこで一旦東雲は休憩を入れることを宣言。足早に会議室を出て行った。 200 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 21 05 あ、いかん。これが 199の前に入ります… 日企連の面子がいなくなったのを確認した史実側艦本の、そして技術者たちは自然と寄り集まって話を始めた。 艦本には、当然のことながら派閥というものが存在する。3人集まれば派閥ができるという様に、同じ技術の進歩を 目指す学者や技術者同士でさえも、様々な要因で敵対関係となる。だが、それは平時での話。今は、日企連と旧艦本との 二つの次元に分かれていた。旧艦本内部においても、日企連肯定派と否定派に分かれていたことで、意見がまとまらずにいた。 一つ言えることは、日企連の改装案を否決したければ、それ以上の艦を史実側だけで作らなければならないということ。 「日企連の案は荒唐無稽だ。どうやって実現する気なんだ」 「造船については我々より先んじている。我々の尺度で語るな」 「君側の奸とのうわさも広まっている……」 「馬鹿言うな、食料や衣服の支給をしていると聞いている。貧乏人はこぞって日企連を持ち上げているぞ」 「やれやれ……」 井上は喧々諤々の議論の輪から離れた。 技術屋たちの話は後で聞くとしても、せめて軍としては意見をまとめたかった。 反対なのか、賛成なのか。井上は比叡の改装案には賛成ではあった。しかし、それが他の人間の理解を得られるかは正直不安だった。 賛成であると言っても、理解が出来ないのも実情だ。レーダーや射撃管制装置というのが一体どのように影響するのか不明。 原理を説明されたのだがよくわからないし、信用が置けなかった。いきなり日企連にこれを採用するようにと言われたところで、 その効果を全く理解できなければ用兵側も受け入れないだろう。 (電探の研究はまだ始まったばかり……その効果について日企連は知っているのだろうか?) 聞いたところによれば、電算機の導入まで検討しているようである。艦艇の未来位置予測の計算を電探と連動して 一瞬で導き出すらしい。測距儀などで測るまでもなく、安全な位置から敵艦の動きを読み取り、砲撃する。 見張り員と砲手の連携によって行われている連合艦隊のやり方とはまるで違う。確かに砲撃戦は砲の改良によって 徐々に長射程化をたどっており、それに応じて見張り員への要求も高まりつつあった。そのプロセスが時間がかかるということは 井上も理解している。見張り員が報告し、砲手が照準を合わせ、装薬・装填を済ませ、発射するというプロセスは時間がかかる。 だが、これは人の声を介して行われるため、日企連が指摘したように報告が途中で混同したり、不確かになることもあり得た。 (それを補うために訓練を重ねている……とするならば、日企連の技術によって砲撃の過程そのものが覆るのか) 個人の能力に依存しない艦艇。個人の技量を補うだけの技術を発展させ、誰もが均一の質を提供できるようにする。 思い出してみれば、日企連が提供している衣類は不気味なほどに均一。一人が作ったわけではなく、そういう何かを使って 大量に生産したのだろう。錬度や戦闘に関する技量を追い求める帝国海軍にとっては、足りない技術を用兵で補うことを 是としてきたが、いつの間にか本来の目的を見失っていたか。 (恐ろしい……) ぶるりと、背筋に冷たいものが走る。 つまり日企連は、袋小路に入りつつあった帝国海軍に新たな道を示したのだ。そして、それに追いつけるかを試している。 もし順応できなければ、中村の二の舞となる。容赦なく地位を追われ、代わりの人間をその地位に据えるだろう。 日企連の意図は、本当に我々との敵対なのか。君側の奸というのは、果たして日企連だけなのか。 そのことが、井上には恐ろしかった。 199 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 19 45 他方、技術屋の集まりでは大きなどよめきが起きていた。 「儂は……日企連の案に賛成だ」 平賀譲が、日企連の案に賛成の意思を示したのだ。 「な、なぜ……」 「儂は、儂らは、彼らには勝てんよ……」 日企連の案に儂は……魅せられてしまったわい……なんもかんも、負けとる。 儂らが日企連の手を跳ね除けても、ろくなものを作れん。 それこそ、藤本の二の舞じゃ……このアシハラナカツクニの真似なんぞ、逆立ちをしてもできんよ」 その言葉に全員がはっとなる。すっかり忘れていたが、このアシハラナカツクニは巨大な船舶の一種なのだ。 全長2.4kmというサイズの艦艇など、この世界には存在などしていないし、作ろうともしない。 何故作らないのか?その理由は様々あるが、一番大きいと言えるのは技術だ。これだけの船を支えるのにはどのような構造がいいのか。 どのような素材を使えばいいのか。どれくらいのドックが必要なのか。それらすべてが未経験だから、海に浮かんでいる船の大きさは300mを超えたことがほとんど無い。長門でようやく220mを超え、マル3計画の空母でも250mを漸く超えたばかり。 一体どこの誰が全長2.4kmものドックを用意できるのか。誰がこのサイズの戦艦などを構想したのか。 無理にまねようとすれば、それこそ藤本少将の二の舞となり、第四艦隊事件のような事件を再び引き起こすだろう。 「じゃが、日企連はできる。儂らにはできん。 儂らにはこの船がどうしてつくれたか、それを説明もできん。 同じものを作ろうとしても、第四艦隊の二の舞。誰かが詰め腹を切っても、どうにもならん。 頼む……争っても、何にもならんよ」 「……できませんか」 「儂にも出来んよ。それに、日企連の代表が言っておった。やると言ったことは必ずやると。 日企連は、わしらを無視してもよかったじゃろ。それでも、こうして艦本に持ち込んだ。 わしらにもっと学べと、もっと考えろと、そういいたいのかもしれん……」 海軍の造船における第一人者の言葉に、誰もが言葉を失う。強引なやり口がやり玉にあがることもあるとはいえ、 それでも影響力は大きかった。少なくとも無視されるような存在ではなかった。それに、平賀の語ったこともセイロンだった。 自分達を無視できるのに、わざわざ改装計画の内容を教えて、議論させている。その意味について平賀は考えていた。 「少し前に、ダイスウゥマンとかいう技術者が来てな、あれこれと説教を受けた。 この国の造船はなっとらんと。現場と設計側が意思疎通が取れず、寸法の勝手な変更をしていると。 『工業が工業たる条件を満たしていない』、そう、言われた」 工業化は明治の元勲たちが推し進めた列強が列強たる要素の一つ。 しかし、この時代の工業は、未だに芸術・工芸の域を出ていなかったことは想像に難くない。 「このまま船を、良いものを作れるのに手を抜いたなんてことは、元勲に顔向けできん……」 ほぼ泣きだしている平賀に、誰もかける言葉がなかった。 そんな彼の様子を見ていた牧野は腹をくくって口火を切る。 「すまないが、聞いてくれないか……」 201 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 22 04 10分後、議論が再開された。 「確かにこの案は……あなた方の、日企連の支援抜きにはできない改装です。 これがもし本当に実現できるなら、これほどありがたいことはない」 口火を切ったのは牧野。彼は先程の休憩中に行われた短い議論の結果を、勇気を振り絞って言った。 「これについては、この改装が比叡を生まれ変わらせるものだと信じよう」 「良い返事です。しかし」 東雲は言葉を切って、わざと表情を歪める。 「単に改装するだけでは意味がありませんな」 「というと?」 「我々の技術は確かに先行しています。しかし、それは大日本帝国海軍にとっては完全に未知のものとなっています。 用兵側も戦術・戦略の指揮を行う側も、それに合わせた教育が必要です」 「技術の差か」 「技術差は圧倒的にあるため、まずは何かを使ってすり合わせを行わなければなりません。 そして、比叡はその為の練習艦となれる。これを行わなければ、改装の意味もありません」 「なるほど」 「では、改装計画について水沢技師に説明していただきます」 東雲がこれまで黙していた技師に場を譲る。 一礼をした水沢は、スクリーンに図面を移した。そしておもむろに手を上にあげる。 「!?」 自然と。史実側の人間がその手に注目してしまった。 何故だか、それに注目しなければならないと感じた。 直感的に、あるいは本能的に。 「諸君、私は戦艦が好きだ」 囁くような声は、不思議とその場の全員を包んだ。 「諸君、私は戦艦が好きだ」 まるで、手で猫をあやすように優しく、呟く。 「諸君、私は戦艦が大好きだ」 まるで、重大発表であるかのように大げさに言った。 誰もが、牧野も井上も平賀も、その場に居合わせたすべての人間が、それに反応した。 202 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 22 58 水沢は、というより金田中佐の中の人は、ある種のカリスマがあった。 それは扇動家としてのカリスマである。神崎がトップとしてのカリスマに、東雲が将校としてのカリスマに秀でているならば、 水沢のそれは民衆のカリスマである。近い人物を挙げるならば、ヒトラーに近いだろう。狂気と熱狂で人々を包み込み、 一気に突っ走らせるような、そんな逸材。彼が大艦巨砲主義に殉じる人間であったのは、そして戦艦への情熱を コントロールできることはある種の幸運ともいえた。そうでなければ、人々を扇動し突っ走ってしまうだろう。どこまでも。 中村の退場に消沈している史実側の面子を叩き起こすのに、彼ほどの適役は存在していない。彼自身がこの 比叡の改装に極めて意欲的に取り組み(いい意味でも悪い意味でも)、完成させた。 そして比叡の図面を前にして、とある漫画の登場人物の行った演説をベースにして用意された、彼とっておきの扇動演説。 東雲はそっとポケットから耳栓を取り出して耳に入れる。一つ欠点があるとすれば、それは少々聞き過ぎることもあること。 まともでありたいというならば、話半分に聞くか、物理的に聞かない方がいい。 「諸君、私は戦艦を、悪鬼羅刹の様な戦艦を望んでいる。 諸君、私に付き従う艦政本部諸君。 君達は一体何を望んでいる?」 ヒートアップする水沢技師の演説。史実側はすっかり飲み込まれている。 誰もが、洗脳されたかのように笑みを浮かべ、水沢の言葉に熱狂していた。 これでいい、と東雲は一人笑う。熱しやすく冷めやすいとされる日本人の気質をうまくつけるのが水沢だ。 これで史実大和型の設計などに食い込むのも容易となるだろう。艦本は日企連に自ら下ったのだ。 日企連に反発していた旧帝国海軍の派閥の一角が崩れた。あとは雪崩をうつようにして下って来るだろう。 比叡の改装で大砲屋を。駆逐艦の改装で水雷屋を。空母の改装で航空屋を。まずはその一歩であった。 「戦艦を!一心不乱の大改装を!」 やがて、水沢の演説は架橋へと差し掛かり、いよいよヒートアップしていた。熱狂した艦本は夜が明けるまで 日企連側と議論を交わした。日企連の思い描いたように。 203 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 24 32 アシハラナカツクニ 休憩室。 熱狂の議論の合間の休憩時間に集まった日企連のメンバーは静かに会議を行っている。 「これで艦本は掌握ですな」 「楽しかったな。やはり戦艦が全てを握っていた時代の住人はノリがいい」 「では予定通り明日には『アレ』を視聴させます。 これで目が覚める人間も多くいるでしょう。艦本は目が覚めてしまえば、今後の艦艇の建造や運用については 日企連が掌握できるし技術指導もスムーズとなるでしょう」 『映像の世紀』と書かれた封筒を東雲はそっと抑える。 中には、日企連の広報部が編集した『映像の世紀』が収められている。史実の敗戦から、如何に日本が立ち直り、 世界が回り、国家が滅び、企業が台頭し、そして人類そのものが壊死しようとしているかを示した8mmフィルム。 然るべきところで公表すれば、そのまま世界を崩壊に導きかねない禁断の映像。劇薬であると同時に特上の治療薬であった。 「これが、彼らの目を覚まさせる。社員ではなく、臣民として、思考を新たにしてもらわなければならない」 「そう期待するとしようか。それより、扶桑型と伊勢型についての意見書をまとめた。 一応運用側・教導側の意見も聞いておきたいから、目を通して意見が欲しい」 「あれ、新造しないんですか?」 「新造はする。だが、教材はいくらあってもたりん。それに、練習艦が足りない。連合艦隊と創設予定の海上護衛総隊の 人員の養成は旧式の駆逐艦や軽巡を使ってやるが1隻でも多い方がいい。技術蓄積を急がせなければ戦う前に負ける」 「分かりました……では、そちらはお任せしましょう」 会議の場を演出してのけた日企連の面子はそこで別れた。東雲は元の世界への報告を行うため、水沢は史実側艦本の元で 議論を行うため。そして、名無しのメンバーたちもそれぞれの場所で運命に抗い、戦うために。 日企連のさらに背後に立つ夢幻会は、二つの世界を翻弄しながらも密かに活動を続けた。 余談であるが、中村良三は1945年の2月28日に病死している。 史実を知る日企連にあまりにも反発し過ぎたが故に遠ざけられた彼は、ハンコとサインをするだけの仕事を重ねていたが、 最後の抵抗のように史実と異なる末路を迎えた。それだけは彼が史実を代えることができたのである。 204 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 25 07 高速戦艦『比叡』 性能諸元 全長:231m 全幅:32.1m 喫水:9.75m 基準排水量:3万9000トン 満載排水量:4万5000トン 機関:新艦本式イ号缶 機関出力:15万0000馬力 速力:33.2ノット(過負荷全力36.3ノット) 主砲:97式36.5センチ砲改 連装3基 6門 武装: 76mm単装速射砲 10基 25ミリ機関砲 単装10基 20mm近接機関砲 4基 艦載機: 零式水上偵察機×3 or 97式回転翼機×2 or VシリーズAC×2 その他: 新三菱汎用型油圧カタパルト×1 概要: 練習艦となっていた比叡を、日企連のAF『アシハラナカツクニ』において大改装を実施した姿。 史実側の技術者への技術指導を兼ねて改装されており、多くの技術は日企連から提供されている。 36.5センチ砲は命中率の向上などから一回り小さい30.5センチ砲などへの換装も考えられたのだが、投射できる 砲弾の重量や仮想敵となるアメリカ海軍の戦艦の防御性を鑑みて、また工期短縮のために史実側の物品で再利用可能な物は 可能な限りそのままにという方針から35.6センチ砲のままとなっている。しかし半自動装填装置の採用(技術的な習熟後に 自動装填装置を搭載)と砲身の冷却機構の採用で連射性はかなり向上している。砲身自体も日企連の全面監修した それに換装したことで、向上した速射性に耐えうるものとなっている。はっきり言えば、35.6センチ速射砲と化したのである。 命中率はどうかといえば、日企連のレーダーとレーダーと連動した射撃管制装置、そして未来位置を予測する電算機などの 本来ならばありえない技術の恩恵によって、斉射の命中率はおよそ10倍にまで跳ね上がっており、砲弾推進剤の改良と 合わせれば射程も3万8千mまで伸びていることと合わせて、速く・火力があり・命中するという要求を満たす怪物となった。 これによって砲塔は連装4基8門から連装3基6門へと減らされ、排水量削減につなげている。同様な理由から副砲は すべて廃止となり、両用砲として76mm速射砲が搭載された。また個別艦防御として20mm近接機関砲、所謂CIWSが採用された。 205 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 26 04 ただし情報隠匿のためにこのCIWSに対してはカバーが掛けられて、偽装となる対空砲を搭載した。 この搭載砲の削減については艦本及び用兵側からも避難轟々だったのだが、日企連側が命中率向上のために必要な 機器類の総重量と、搭載しなかった場合の命中率の差について事細かな資料を突きつけられ、おまけに簡易式ながらも 射撃管制装置や電算機を積み込んだ榛名とそうではない霧島を用いた比較実験を実施した結果を見せられ、黙ることを余儀なくされた。 ここには日企連が持ち込んでいた艦艇による対空射撃の命中率を示すデモンストレーションも追い打ちとなっている。 内装に関してもエアコンや冷蔵庫の搭載をはじめとして、船室の改装によって居住性を向上させている。 分かりやすく言えば各部屋に冷房暖房完備、和式便器の採用、シャワー室の完備などである。 また厨房には大型の冷蔵庫や電子レンジ・電子調理器が完備されており、その恩恵によって提供される食事は同型艦は おろか連合艦隊のどの艦艇よりも豪華なものとなっていた。大量に使用される真水に関しても日企連が提供したろ過器を 積み込むことで海水から精製して潤沢に使用することが可能となっている。 艦載機としては史実の零式水偵が採用されているが、対潜哨戒あるいは連絡機として97式回転翼機が搭載されることがあった。 史実よりも早く誕生することになった油圧式カタパルトがあるため、その気になれば戦闘機さえ射出可能であった。 ただし着艦についてはアレスティングワイヤーを使えばギリギリ、という状況であったため水上戦闘機『瑞雲』の 開発・生産が急がれた。他にも後部甲板はVシリーズACの搭載も可能な広さを持っており、対空・対地・対艦戦闘を 支援することが可能となっている。 これだけの改装が施された弊害は、当然のように搭乗員に及んでいた。時代背景的に日常的に機械と触れる機会が ない船員達は、慣れていないために、壊したり、間違った使い方をしたり、あるいは意図を理解しなかったりと 様々な反応を示した。マニュアルの配布や指導員の増員などで対応したのだが、それでも通常の一般水兵から将官 までが勉強し直しをする羽目になった。比叡を使用しての訓練は滞りなく日常生活を送れるようになるまで2,3カ月を必要とした。 しかし、それらを含めても旧帝国海軍にとってはこの比叡の改装は非常に満足するものであった。 快適すぎるほどの居住性は口伝えに海軍全体に拡散し、特に扶桑型や伊勢型の乗員からは『比叡御殿』と呼ばれて羨望され、 劣悪な居住性改善か日企連による改修を要望する声や意見書が旧帝国海軍上層部に殺到した。 この改装によって技術蓄積を行った旧帝国海軍は、次なる戦艦を大和型および紀伊型と定め、高度に進化していく 航空機や変化していく戦術に合わせた研究にまい進。1940年までに技術的な習熟および必要な艦艇の整備を目標とした。 207 :弥次郎@帰省中:2016/08/19(金) 21 27 00 以上となります。wiki転載はご自由にどうぞ。 水沢技師に盛り上げてもらって正気を失わせている間に必要なサインなどは頂いて、強制映像の世紀の刑。 これで臣民が出来上がります。さて、井上成美大佐と艦本諸君、ようこそ現実へ(ニッコリ 比叡は今後の戦艦のベースとなるわけですね。次に建造する紀伊型にはアイオワみたくミサイルも積み込む予定。 比叡「どうですか、お姉さま!」 金剛「比叡が化けたデース……」 霧島「というか、性能からして私たちの立つ瀬がありませんね……」 榛名「は、榛名は大丈夫じゃないです……」 次は潜水艦の話にしましょうかね。あとは陸軍の皆さんの教育風景でも。 自分で設定しておいてなんですが、アシハラナカツクニってデカいですね……東京タワーが海上にあるより目立ちますな。 というか、あの女流冒険家でも招きますかね?真っ青になるでしょうけどw あとは東京オリンピックに向けてギガフロート建造の様子でも書いてみましょうか。 戦艦の予定はこんな感じ。 大和型:アメリカが殴り込んでこないようにするための抑止力。艦隊決戦型。2隻。ドックも一緒に建造中。 紀伊型:対地砲撃から対空戦闘 艦隊戦まで手広く担う役目。史実金剛型のように使い勝手の良い戦艦にする。 日企連が2隻作って史実で4隻作る。ブロック工法と溶接の導入で短期で一気にそろえる。 扶桑型→練習艦へ改装。主砲を取っ払って後部は飛行甲板に。条約対策。 伊勢型→内装だけ改装にして暫くの間だけ戦力に。他の戦艦が仕上がり次第使い道を決める。多分イージス戦艦になる。 長門型→内装の更新。あとは電探の搭載など。
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「乃人の最期を、話して貰えないか?」 ブラックハウスの食堂で、ナガモンはそうアークに話しかけた。士官用の食堂では、あずにゃんと京を除く艦橋スタッフ、そしてナガモンと黒猫が食事をとっていた。本来なら乃人もここにいるはずだった。もし彼女が生き残っていたら。 「…わかりました。」 アークはもっていたスプーンを皿に置き、水を一口飲んだ。向かいに座るカントーも手を止めた。つらい話はみんなで分け合い、ともに乗り越えるつもりだったからだ。 「京大尉の指揮で、ブラックハウスは敵のムサイ級を一隻、大破させました。ナガモン中尉が敵のオレンジ色の大型MAと戦闘に入った頃です。 そのムサイはこちらの弾幕をまともに浴びて、艦橋からは火を噴いていました。それでそのまま爆発の煙に包まれて…私たちは撃沈を確信しました。それで、次の敵へ向かおうとしたんです。」 アークはそこでまた水を飲んだ。そのときの緊張や興奮を思い出しているのかも知れない。ナガモンは先を促さず、アークが再びしゃべり出すのをじっと待った。 ナガモンにとってはもちろんだが、話し手のアークにとっても心が痛む内容だからだ。彼女のペースで話してもらう方がいい。 「その時でした。撃沈したはずの敵艦から、コムサイが飛び出してきたんです。爆散したように見えた敵艦の、下半分だけがまだそのままだったんです。ブラックハウスのすぐ目の前でした。それがどんどん迫ってきて、私は何が起きたかわからなくて、とにかくもうダメだと思いました。」 アークが机の上に置いていた手のひらをぎゅっと握りしめた。彼女の手は震えていた。今度はそのときの恐怖と絶望を思い出しているのに違いない。小刻みに振動するアークの手を、カントーが両手でやさしく包みこんだ。「自分がついている、おちついて」とでも言うようだった。実際それでアークは多少落ち着きを取り戻した。話は核心部分に入る。 「突然目の前が真っ白になったんです。私は、あぁ、これが死ぬってことなんだなって思いました。だけどそのすぐあとに、今度は視界が爆発したんです。一瞬ほんとに何がおこったのかまったくわかりませんでした。そしてら、艦長が『乃人さん…?』ってつぶやいて…それで私はようやくわかったんです。今のが WhiteCatだったんだって。京大尉がカントーにレーダーを確認するように言って、でもWhiteCatの反応は無くて…当然です、WhiteCat は、WhiteCatは私たちの目の前で…あぁあ…」 アークの瞳から涙が溢れた。もうそれ以上は彼女には話せなかった。アークのあとを継いで、カントーが口を開いた。 「そしたら今度は艦長がアークに無線で乃人を呼ぶように言って、だけどアークはもう泣き出す寸前で…とにかくもうダメだった。あずにゃんもがっくり椅子に崩れ落ちて、京大尉も私も呆然として、どうしていいかわからなくなってた。」 言いながら、カントーの表情も険しいものになっていた。泣きじゃくるアークの頭をなでてやっているが、泣きたいのはカントーも同じに違いなかった。 「ごめんなさいナガモン中尉!私がちゃんとしてなかったから、後ろからWhiteCatが来てるのに気づいてなかったから、乃人は…っ!」 突然声を荒げて、アークが泣きわめいた。必死に許しを請うアークを見て、ナガモンはなぜか苛立っていた。 なぜあやまるんだ。乃人は自分の判断でブラックハウスを守ったんだ。みんなを悲しませるためじゃない。みんなにこれからも笑って過ごして欲しかったから、乃人は命を投げ出してコムサイにぶつかっていったんじゃないか。だったら、泣いてちゃだめじゃないか。 「泣くなよアーク…乃人はさ、乃人はお前を泣かせようと思って死んだんじゃないんだ…乃人はみんなに笑って過ごして欲しくて…あれ?」 ナガモンの頬を一粒の涙が伝っていた。彼女はアークだけでなく、自分も泣いていたことにようやく気がついた。 「笑って過ごすなんて、無理に決まってるじゃないか…」 誰に言うのでもなく、ナガモンはそうつぶやいていた。それはすでに届かない場所へいってしまった乃人への不平だったかも知れないし、自分が泣いていることの言い訳だったかも知れない。ただナガモンはこの時、自分が本当に乃人の死を「理解」できたと思っていた。たとえ素直にそれを受け入れられなくても、とにかく乃人が死んだという事実はかえることはできない。ただその死の意味を変えるのは、残された自分たちの役割であり、使命なのだと思う。彼女の覚悟にこたえられるか、彼女が望んだとおり、自分たちは笑って過ごすことができるのか。それ次第で死はその意味を変えてしまう。 ならば、いつまでも悲しみに暮れているのはやめにしよう。彼女の望み通り、彼女なしでもわらってすごしていこう。決して彼女を忘れたりはしない。だから今だけは、こうしてとことんまで泣いてやるんだ。 U.C.0079、12月25日。 連邦軍はソロモン要塞の完全制圧のために一部のブロックに立て籠もるジオン兵の掃討を開始し、その名称を「コンペイトウ」と改めた。そしてその基地機能を自らのものとして利用するため、破壊された施設の復旧を急いでいた。 戦死したティアンム提督に代わって第二連合艦隊の指揮をとっていたリンディ提督は、そのまま一時的にではあるがコンペイトウ最高司令官の役割を与えられていた。コンペイトウの最高司令官としての彼女にとって最初で最後の任務が、要塞内のG-5ブロックに立て籠もり頑強に抵抗するジオン兵たちを全滅させることであった。彼らは再三にわたる降伏勧告を徹底的に拒絶し、名誉ある戦死を遂げるまで籠城を続ける覚悟でいた。ゆえに、リンディは彼らを皆殺しにしなければならなかった。一刻も早くコンペイトウの基地機能を完全に復活させるには、それは避けられないことだった。 とはいえ、要塞の中枢とも言える中央司令室は連邦の手に墜ちていたため、リンディがその気になれば掃討は一瞬で完了できるはずだった。ジオン兵が立て籠もるG-5ブロックへの給気を止めればことは済むからだ。ジオン兵達は自らが立て籠もるブロックを完全に遮断していた。給気が止まっても逃げ出すことができない状況を自分で作り出していたのである。 だが、リンディ提督はその作戦の実行をなかなか決断できないでいた。もはやジオン兵達に抵抗する手段はないのだ。そんな彼らを、自分のサイン一つで窒息死に至らしめるのか。敵兵とはいえ、すでに交戦手段は失っている連中なのだ。詳しい人数はわからないが数百人に上るという報告もあった。彼女は上層部に働きかけ、もうしばらく降伏勧告を続けさせてくれるよう要請した。だが、答えはノーだった。上層部からの返答は単純にして明快であった。 「ただちにコンペイトウを完全に制圧せよ。」 リンディ提督は作戦の司令所にサインした。直ちにG-5ブロックへの空気の供給が停止された。実行してしまえばすべてが終わるのに5分とかからない作戦であった。 ソロモン改めコンペイトウ要塞のG-5ブロックへ、再び空気が送り込まれていた。同時にジオン兵によって封鎖されていた連絡路の復旧作業がはじまる。ほどなく、連絡路が確保された。 リンディ提督はジオン兵たちがどうなったかを自分の目で確かめにいった。念のためにクロノを連れて行った。自分が判断能力を失うかも知れないと思ったからだ。そのときはクロノに助けてもらわなければならない。 「本当にご自分で確認するんですか?」 G-5ブロックへ向かいながら、クロノは実母を心配していた。どれだけの死体を目の当たりにするかわかったものではないのだ。しかもその死体が自分の命令でつくられたものだったら、その光景が与えるショックはより大きいものになる。 「成りゆきとはいえ、私が下した判断です。自分のやったことを把握しておきたいわ。クロノには申し訳ないけど、ね。」 ほんとうにすまなそうな顔をしてリンディがいう。クロノは複雑な表情になる。 「もうすぐG-5ブロックです。」 それだけ言って、リンディの先に立った。本当に凄惨な光景だったら、無理矢理にでもリンディには見せないつもりだった。 そのとき、クロノの鼻孔を奇妙な匂いが刺激した。鉄と塩が入り交じったような匂い。それも濃厚な匂いだ。不快に鼻孔にからみつき、思わず顔をしかめる。 「この匂い…まさか…」 クロノはすでにゲートが開いているG-5ブロックへと飛び込んだ。そして、息を呑んだ。想像以上だった。リンディに見せてはいけない! 「ダメだ!見ちゃいけない!!」 同じく飛び込もうとしているリンディに叫んだ。だが、時すでに遅かった。 「なんてこと…」 リンディの見つめる先、G-5ブロックの中には、自分で自分の頭を撃ち抜いたジオン兵の死体が少なくとも100体以上漂っていた。無重力のブロック内に、飛び散った紫色の脳漿がぶちまけられている。それも百数十人分以上ある。死体からはまだ血が流れ出していた。窒息死した死体は皆無だった。全員が窒息する前に自決したらしかった。どの死体も不気味に目を見開いていた。それらすべてが鬼の形相だった。鬼の視線が一斉に自分に向けられる感覚。悪寒。 見れば、先にブロックに入っていた連邦軍の士官がそこに広がる惨状にこらえきれず、嘔吐を繰り返していた。はき出された吐瀉物が漂う脳漿や血と混じり合い、いっそう不快な匂いが充満していく。 「うっ…」 リンディが口元を押さえた。顔が真っ青だ。クロノは彼女を抱き寄せてブロックの外に連れ出す。 「だからやめておくべきだったんです!無理をしないで!」 「ごめんなさい…でも、もう大丈夫。」 リンディはどうにか嘔吐はこらえたらしかった。だがまだ顔色はよくない。 「あれが私のしたことなのね…」 「敵兵が自分で選んだ結末です。提督のせいでは…」 「いいえ。私の命令があの事態を引き起こしたのよ。言い逃れはできないわ。」 まだ青ざめている顔をクロノに向けて、リンディは言い放った。 「負け戦の次に悲惨なのは、勝ち戦ね…」 [削除][編集][コピー] 10/16 02 43 Windows(PC) [399]エルザス 398 ついに完全制圧が宣言されたコンペイトウへ、連邦軍の最高司令官、レビル将軍が到着した。将軍は予定されている「星一号作戦」の陣頭指揮をとるためにここへやってきたのだ。 星一号作戦。それは、ジオンの残る軍事拠点であるグラナダと宇宙要塞ア・バオア・クーをやり過ごし、一気にサイド3本国へと侵攻するという野心的な作戦であった。とはいえ、彼我兵力やそもそもの国力を考えれば、すでに連邦軍の勝利は確実なものと言えた。あとはどの段階でジオンが停戦交渉に応じるか、それだけが連邦にとっての問題だったのだ。連邦としても無益な戦いはしたくなかった。星一号作戦発令の暁には敵味方ともに甚大な被害が出ることは確実だ。できることならばそのような犠牲を出すことなく、停戦を成立させることが望ましかった。 だが、組織内の強硬派はたとえ停戦交渉が始まったとしても星一号作戦を強行すべしという意見をあらわにしていた。彼らを後押ししたのは戦争の継続を望む大企業集団、すでに補正を重ねすぎて破滅的な価格となっている予算案を提出した官僚、軍とのつながりを利用して議会での発言権を強めようとする政治家、そして、人類の総人口の半分を奪ったジオンへの純粋な復讐の念であった。星一号作戦が強行された裏にはギレン・ザビを危険視するレビル将軍の強い希望があったことも忘れてはならない。 一方のジオン総帥ギレン・ザビは、未だに停戦交渉に臨むそぶりを見せなかった。ギレンはそれどころか、新たな決戦兵器使用の裁可を公王デギン・ザビに迫っていた。 その兵器は名を「ソーラ・レイ」という。サイド3のコロニーの1つ「マハル」の住民を強制退去させ、直径6kmのコロニーそのものを転用し超巨大レーザー砲へと改造した狂気の兵器だ。ギレンはようやくできあがったばかりのソーラ・レイを、一刻も早く使用できるよう技術主任のアサクラ大佐に命じていた。直径 6kmものレーザーなら、発射角度を絶妙に調整することで連邦軍艦隊の大半を消滅させることも可能だった。 その連邦軍艦隊、ジオン本国攻略を目指すレビル将軍の第一連合艦隊は、第一大隊から順にコンペイトウを発進しようとしていた。だがその矢先、コンペイトウの連邦軍は思わぬ事態に直面することになる。
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登録日:2016/01/23 Sat 02 14 20 更新日:2024/04/01 Mon 22 37 11NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 げっ歯類 しずまよしのり しれぇ ビーバー 丹陽 双眼鏡 大声 幸運 本当は超優秀 艦これ 艦娘 艦隊これくしょん 藤田咲 雪風 雪風改二 駆逐艦 ここでは、艦隊これくしょん -艦これ-における駆逐艦、雪風について解説する。 陽炎型駆逐艦の項目はこちら、史実項目もあるのでこちらを参照のこと。 雪風の場合単体項目を立てる価値は十分ありと考え、独立項目を立てることとした。 史実項目・陽炎型どちらの項目も充実しているので、ぜひご一読を。 概要 太平洋戦争に参加した陽炎型駆逐艦の8番艦。陽炎型駆逐艦は艦隊決戦随伴用として作られた。 日本が敗戦を繰り返し、前線に出ない輸送任務をしていた駆逐艦や巡洋艦も次々と潜水艦などに撃沈されまくる中で艦隊決戦に出まくっていたら、沈められて当たり前である。 18隻又は19隻(*1)いる中、生存したのは雪風ただ一隻。 ただ雪風の場合、「戦場に出なかったから生き残った」のではなく、「戦場に出まくって生き残った」ということもあり、艦これ開始以前から非常に有名であった。(*2)(*3) その一方、日本の敗戦で連合艦隊の主だった船がほとんど沈んだ中、雪風はほとんど傷を負わずに生き残ったため、死神扱いされるという不遇な面もある。 だが、こんだけ沈んでる中で生き残ったら、誰が生き残ったってそうなってしまう。 雪風自身は日本がぼろぼろに敗れていく中で任務失敗をやらかしたことも一緒に出撃した仲間が被害を受けたこともほとんどない超優秀艦である。 尚、雪風を死神扱いする人によると、その理由はおおよそ「一緒に出撃した仲間は必ず沈んだり損傷したのに雪風だけ生き残ったから」と言うものだが、 この理由が雪風の戦歴と全然合致しない、実際に死神と呼んだ兵隊の証言が見つからない、確認できる死神説の初出が2006年の著書(*4)(*5)、 やっと見つかったと思った証言が改竄されたものだった(*6)ことから、死神扱いやその理由は戦後の創作だろうと見られている。 宇宙戦艦ヤマトにも「ゆきかぜ」が登場したり、その幸運ぶりを買われてか賠償艦として渡った先の中華民国で旗艦をも務めるなどものすごく有名な艦であった。 確かに、雪風には運に恵まれたとしか言えないエピソードも多くあった。 だが、艦これでの雪風を見る前に知っておいて欲しいのは雪風乗員の練度や整備の充実である。 戦場に出まくって、苛酷な戦いを経験すればそれは練度も上がることだろう。 訓練をすればいつも雪風の処置が一番早くて正確であったと評されていた。そして、日本が苦心しつつ開発していた最新鋭装備も、雪風に優先的に回されていた。(*7) 賠償艦として中華民国に渡されても、「敗戦国の船でこんなに整備されている船は見たことがない」と称賛されている。 雪風の雰囲気は「和」で歴代の艦長と乗員の意思疎通にも苦労しなかった、というエピソードが数多くある。 さて、これ以上の詳細を全部書いたら史実項目その2になってしまう。これ以上の詳細は史実項目や艦これwikiの雪風の項目に委ねることにしたい。 ゲーム中において 絵師はしずまよしのり、声優は藤田咲。 駆逐艦としては屈指のレア枠。通常海域でも手に入りはするが、後半海域でもボスマスS勝利限定が常識である。 ベテラン提督になるとそれなりに手に入れられたりするが、ただ攻略しているだけではなかなか手に入らないかもしれない。 250/30/200/30を中心とした建造レシピで出るので、どうしても狙うならそこだろう。 島風や潜水艦なども出るので当然これを狙って多くの提督がレシピを回す。 雪風をはじめとする陽炎型駆逐艦の建造時間は24分。 さあ建造したら24分が出た!! そして…… 陽炎 「やっと会えた!!」 不知火「ご指導ご鞭撻」 黒潮 「よろしゅうな~♪」 おかげで陽炎型の長女陽炎、次女不知火、三女黒潮が風評被害をこうむるハメに……(*8)(*9) もっとも、この3人は現在改二も実装されているし、性能は基本的に優秀であるし、3人もなかなかの人気者である。着任したらちゃんと育ててあげよう。 そんな雪風の性能はと言えば、これがめちゃくちゃに強い。駆逐艦どころかそこら辺の軽巡洋艦を軽々凌駕できるレベルのチート性能。 改の時点で改二組と互角の火力と雷装を誇り、回避値で上回る駆逐艦娘はいない。 太刀打ちできるのは島風くらいだが、島風と違って燃費もいいときている。 あえて欠点を挙げるとすればこの時点では対潜・対空・索敵はそこらの駆逐艦改と同じ。 対潜値は素の対潜値より装備に依存するため、対潜予想海域には専用装備をつければ実際にはそこまで気にならなかったが、後述の通り長らく雪風の数少ない弱点の一つだった。 索敵も電探などに依存する場合が多く、素の索敵値が問題になる場合はさほど多くない。 史実における練度の高さが反映されていると考えれば、実は決して知名度補正のみに頼ったスペック上昇ではない。 そして最大の特徴は何といっても運。 素で運が50、改装して60。 カットイン装備をして夜戦の攻撃順まで大破せず残れば、カットインを出さない方が珍しい勢いでカットインを飛ばす。 というか、運60というのはカットインに影響する運そのものの値としては上限値であり、運が実力に直結する水雷系の艦としては文句なしの高スペックであることから、艦これ世界における幸運の代名詞と言っていい立場を確立している。 そこからさらに中破補正、旗艦補正、夜戦装備補正などが乗る形。 ちなみに夜戦装備のうち見張員は運+20効果なので雪風には必要なく(*10)、魚雷を3積みでカンストを狙える。 また取り巻き排除後のフィニッシャー役として後方に配置する、カットイン率上昇のために旗艦補正はまるゆ無し阿武隈に分ける事でカットイン役を増やす、といった戦術もある。 (連合艦隊での退避役という立場や、逆に比較的脆いが故に強制退避や連合での退避不能枠になる駆逐を置かないという事情もあるが) こうした要素から、素撃ちができる雪風はカットイン役として採用される率が高いと思われる。 火力も雷装値も高いので、イベントにおける連合艦隊、第2艦隊の駆逐艦枠2には雪風を投入する提督が多いだろう。(*11) 単なるゲージ削りや周回なら安定性ある連撃が優先されることも多い(*12)が、ゲージ削りの最終段階については大ボスを吹っ飛ばす大火力が求められる場合が多い。 となるとカットインの優先度が上がり、そうするとカットイン率の高い雪風の方を指名する、という提督が多くなってくると思われる。 史実で駆けずり回ったこともあってイベントでは史実艦特効の対象になることも少なくない。 イベントの止めは雪風でした、という提督も少なくないんじゃなかろうか? とはいえ夕立などとはシナジーがない訳ではない。むしろ改修した強い魚雷2つで火力をカンストできる夕立などは、先に運を上げれば見張員なしにすることも出来る。 そこで照明弾を持たせることで、両者カットインを出し易くできるとも言える。 (それを言えば夕立と綾波のコンビでも、と思うかも知れない。が、4nを考えない場合の装甲を含めた強度の問題や、支援艦隊に用いる駆逐艦の火力の優先度などもある。このため提督の考え方次第で見方は多少異なってくる所はある) ただし、この時点では改二ではない事もあって上記の通り対潜だけは駆逐艦の改の平均レベル…というか、実は陽炎型姉妹の後発組は対潜値がそこそこ高いメンバーが大半であるため、 天津風と並んで陽炎型姉妹最下位だった(*13)。つまり先制対潜との相性は悪い。 また総合火力のうち雷装値が高いため、閉幕雷撃は強いが魚雷の効かない陸上型との相性もよくはない。改二で陸上型特攻の大発系装備が使える駆逐が増えたため、この傾向はより強い。 ただし単なる雪風冷遇というよりは、数が最も多い駆逐艦内での戦力的住み分けの配慮という面が大と思われる。 むしろ、たったレベル20で他の駆逐艦の改二相当のパラメータになる事ができる雪風と島風の方が普通に考えなくてもおかしい 潜水艦ボス、水上艦ボス、陸上型ボス、それぞれ得意な相手を殴るのだ。 スラングとして、大型艦建造やドロップであっという間にお目当ての艦を引き当てたりする幸運な提督を「雪風提督」と呼ぶこともある。(*14) 改二 2020/11/13、遂にこの伝説の駆逐艦にも第二段階以降の改装が実装された。 まずLv71で、戦後台湾へと渡った姿となる「丹陽(タンヤン)」へと生まれ変わることが可能となる。 時勢と移籍先の事情で、魚雷を降ろして対空兵装を充実させた史実を反映し雷装が大きく下がるがその分対空が大幅にアップする。 また、各種装備ボーナスの補正がえげつない上昇量となっており、持参する現地改装した高角砲を装備することで特化すると火力が90代半ば。 夕立、長波、綾波と言った高火力駆逐艦を楽々凌駕するとんでもない数値に跳ね上がる。 雷装値が低下したため夜戦能力は減じているものの、昼間における戦闘能力は攻防両面で頼もしく、この時点で既に数ある駆逐艦娘の中でオンリーワンの性能となっている。 また、いわゆる交戦遠征では参加艦の火力を高めないと成功しないため高火力駆逐艦が求められることも多く、遠征要員としても独自の地位を築いていると言える。 服装も相変わらずワンピースであるが、スカート丈が(二次元絵としては)標準的な長さになっており、赤い上着のセーラー服もあいまって大人びた清楚感が感じられる姿となっている。 そして、リアル異能生存体とも呼ばれる伝説の駆逐艦がこのまま終わるわけがない。(*15) Lv88にまで育成し、改装設計図を二枚使うことで台湾から日本へと帰ってきたifの姿「雪風改二」へと改装可能となる。 「帰還した」というコンセプトのため「丹陽」→「雪風改二」は一方通行な改装であり、元に戻すことは不可能なことに注意したい。 一度は降ろした魚雷兵装を再び積み込んだのか、雷装が艦隊決戦用の甲型駆逐艦にふさわしい数値に戻っており高い夜戦能力を取り戻している。 そのうえで対空能力はさほど減じず、各種装備ボーナス補正の種類がさらに増える凄まじいスペックを誇る。 対潜値も他の改二勢とほぼ互角程度になっており少なくとも弱点とは言えなくなった。 とくに通称「秋月砲」と称される10cm連装高角砲+94式高射装置を装備した時の補正が非常に高い。 さらには増設にバルジや特二式内火艇を装備可能などの特性も付いている。 結論から言うと砲撃能力、防空能力、夜戦能力、個艦生残性全てにおいて高い能力を保持するレジェンドデストロイヤーと言う他ない。 ただし、丹陽の段階で設計図一枚と貴重な新型兵装資材を使い、雪風改二ともなると設計図二枚がプラスされるため合計勲章12個分(*16)という非常にお高い女である。 設計図の使用枚数だけで言えば武蔵改二と同等。帝国海軍最強の秘密兵器戦艦と同量の設計図を使う駆逐艦である。 それだけの価値はあるというものの、勲章の総量に自信のない駆け出し提督は今まで通りの姿でも十分役立つので余裕ができてから改装してもらいたい。 期待された運については初期値は丹陽で60で改から変化なし、改二で63と微増に収まり、トップの座は奪えなかった。(*17) キャラクター紹介 歴戦・熟練の駆逐艦とは思えないほど幼く、純粋。 口が空いていて歯が見え、大きな双眼鏡を持っている様子がどんぐりを抱えているリスにでも見えるのか、げっ歯類やらビーバーなるあだ名も。 自分が「幸運」「不沈艦」であることは自覚を持っているが、「奇跡じゃないです!!」というあたり、自分の実力に対する自信もある様子。 実際、セリフの内容をよく見ると子供っぽいばかりじゃなく、普通に駆逐艦の精神年齢相応に感じられる。 提督のお触りにも割と敏感で小動物のような警戒心バリバリの反応をする。 それとミニスカ(というかワイシャツのみにも……)でよく見ると透けている。中破では更に濡れ透け赤面フィヒt憲兵さんこっちです やたらと通る声でいつも大声を張り上げるような話し方をする。雪風が幼く感じられるのはむしろこの話し方に由来すると思われる。 その一方で微妙に舌足らず。提督を司令と呼ぶ艦娘は珍しくもなんともないが、雪風の場合どこに行っても「しれぇ」と表記される。 公式漫画でまでしれぇと書かれている。 これで声帯の妖精さんがあの凛とした赤城さんと同じというのだから声優の本気ってすごい。 他の駆逐艦が連装砲などを持っていることが多い中、雪風は双眼鏡を持っている。 これは絵師によれば多くの艦の最期を見届けて来たことに由来し、雪風の涙が溜まっているという。(*18) しかし、ゲーム中においてはそんな様子を感じさせない明るくて元気で純粋な子である。 なお、丹陽になると双眼鏡が消えるが、改二になると年季の入った姿になって復活する。 意外にも?時報は未実装。季節ボイスはちゃんとあるのだが…… ただ、ちゃんと個性化ができているためか、時報がない故の掘り下げ不足、という感はない。 2019年夏には水着modeと夏のお嬢さんmodeが実装された。しずま氏の画風の進化もあり、「これは完全に幼女ではなく少女」「男を知った可愛さ」と提督から好評を得た。 二次創作での扱い 二次創作での出番も当然非常に多い。 純粋な性格はそのままだが、純粋すぎて提督や他の艦娘が言われたくないことをキンキン響く大声でずばっと言ってしまったり、ちょっと知識が足りないように描かれることも多い。 史実における練度の高さや戦闘経験が反映される例は僅かで、下手するととんでもないヘマをしていたのに幸運で解決していることも。 運だけじゃないんだ! 実力もあるんだ!! 雪風が出番の場合スポットをあてられるのがやっぱりその「幸運」。 くじを引けば必ず一等賞を引き当てる。本人的にはわけもわからないまま周囲が勝手に自滅しおこぼれを手に入れることがしょっちゅう。 ちなみにその幸運の反動の不幸を押し付けられるのはなぜか扶桑・山城姉妹であることが多い。もっと運の低い大鳳や陸奥を差し置いて扶桑姉妹。史実で特に絡んだわけでもないのに、不幸だわ……(*19) しかも純粋で全く悪意がなく周囲に不幸を押し付けているのである意味タチが悪い。わざと声帯の声優さんが同じにされてるから仕方ないか… もっとも、不幸と言っても戦場でガチで周囲に不幸を押し付けているような描かれ方をされることはほとんどない。 雪風の幸運に皆が助けられることだってしばしばあるので、その辺はどっこいどっこいだろう。 幸運と言えば、公式家具として机に「麻雀卓」があることから二次でも艦娘麻雀が描かれることがある。よくネタにされるが執務室とは一体 運が絡むゲームなので、やはり雪風はその中でも最強の一角として時雨など他の幸運艦と共に君臨しているのが定番。 脱衣麻雀!ヨイデワナイカ・パッション重点!フィーヒヒヒ!と調子こいてる提督=サンを大破させる存在である。 またこうした場面では扶桑姉妹も「配牌が悪すぎるため国士無双や十三不塔を出す」という麻雀漫画キャラみたいな扱いになる事があるので、卓上ではむしろ補完し合う面もある。 スペックの面で近いや恰好がどっちもエロい事やデザイナー繋がりからか、雪風島風の絡みというのも珍しくない。 そうしたイラストを見て提督を志した紳士も存在することと思われる。なおレアリティからくるコレクションのし辛さ。 史実絡みのキャラ関係性が増えてからは減少した感もあるが、それでも過去絵を含めた総量は結構なものがある。 公式4コマでもある事情というか雪風のうるさすぎる寝言のせいで初風との相部屋を解消した雪風がルームメイトになったのはぼっちなのが寂しくて仕方ない島風だった。 後述の事情でルームメイトを解消した後もイベント回では一緒に出撃している事が多く、仲の良さは変わっていない模様。 史実での第16駆逐隊における組み合わせから時津風・初風・天津風との組み合わせ、第17駆逐隊の磯風・谷風・浜風・浦風との絡みもしばしばみられる。 特に時津風は雪風と並んで幼い性格(*20)であるためか、しばしば雪風と組んでいる。 時津風は出撃時にも「雪風、先に行くよ」と言っていたり公式台詞でも相手を意識している事がはっきりしているのもあるだろう。 あと時津風は髪の毛が垂れ犬耳風なので、ビーバーと共にケモノ的デフォルメがしやすくそういう要素が好きな人に好まれると思われる。 なお、公式4コマでは時津風着任時に、相棒の時津風とルームメイトの島風の間で思い悩む雪風に見かねた島風が自らルームメイトを解消するという一幕があった。 まぁ、初風の陰謀で雪風・時津風と島風・天津風で相部屋となって丸く収まったのだが 他には坊の岬沖で共に戦った大和や霞や初霜などとの組み合わせもあり、大和とは概要にあるように宇宙戦艦ヤマトに同名艦が出ている事からヤマトネタでの絡みもある。 坊の岬沖組の中では、共に生還した幸運艦初霜との組み合わせ「ゆきしも」というのも。(公式4コマでもユニットネタの時に少し絡んだ) 他方、かつての大戦で生き残ったという過去は一つのトラウマらしく、その自沈に絡んだ比叡や磯風に引け目を持っているというネタは少なくない(*21)(*22)(*23)。 中には、雪風が立ち会ってもいない沈没まで雪風立ち合いにされている公式アンソロネタも……おいやめろ また、史実解説漫画などでもしばしば引き合いに出される。普段が明るくて純粋なだけに、史実ネタが絡むと読者の涙腺を刺激することも少なくない。 雪風で復員し、2015年に大往生を遂げた水木しげると一緒の絵も見られる。(*24) 追記・修正の女神のキスを感じちゃいます!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 二次創作でちびっ子扱いされることも多いが、原作の台詞はかなりしっかりもの寄りだったりする -- 名無しさん (2016-01-23 03 10 56) 見た目に反してはかなり大人びた考えしてるよね。一人称もきちんとした場では「私」になるし。 -- 名無しさん (2016-01-23 07 11 57) 記事中には他の陽炎型でスカすとか書いてあるが、これは建造レシピが確立されてなかった大昔の頃の認識。実際はレア駆逐レシピで他の陽炎型が出ることはほぼあり得ない。むしろZ3と思ったら雪風だったとなる可能性がよっぽど高いだろう。 -- 名無しさん (2016-01-23 07 39 04) いずれ改二が来たときには、名前が「丹陽」になってしまうのだろか? -- 名無しさん (2016-01-23 10 13 55) コンバートで来るんじゃね -- 名無しさん (2016-01-23 10 31 58) もしかして、艦これの雪風は、実はトチロー(PS2ヤマト版)に魔改造されてたんじゃなかろうか? -- 名無しさん (2016-01-23 10 45 58) 某所で見た駆逐戦隊カンムスネタが一番好き -- 名無しさん (2016-01-23 13 06 53) ジーグブリーカー!しれぇ! -- 名無しさん (2016-01-23 13 22 30) ↑2 「雪風は沈めませんから」のアレか -- 名無しさん (2016-01-23 22 24 40) 一応30オールの最低レシピでもごく低確率ながら出る・・・ -- 名無しさん (2016-01-24 19 46 02) ↑5&6 霞のように雪風改二(雷装重視・決戦仕様)↔丹陽(汎用性重視・防戦仕様)でコンバート出来ると何かと便利かもな。丹陽は雷装降ろしてるし。あと編成任務でボフォース持ってきてくれそう -- 名無しさん (2016-03-11 08 58 30) 「買って来たチョコです!」で和んだw -- 名無しさん (2016-03-11 09 18 16) 二次創作だと子供の作り方すら知らない程幼い雪風と、その辺の戦艦や空母よりも精神年齢が高くしっかりした雪風に大別されてる気がする。個人的には後者が好き -- 名無しさん (2016-11-20 00 02 56) 子供の作り方は知らなくても生まれ方は知ってるし男女の云々も知っている(乗員の被害が少なく入れ替わりが控えめだった為かアホみたいな猥談話がズラズラ出て来る)とかだと一層捗る -- 名無しさん (2017-04-28 06 28 16) 名前 コメント
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438: ナイ神父Mk-2 :2017/03/13(月) 00 21 49 大陸SEED ゲート編 その3 始まる原作と大陸での見方 第一次ゲート開放作戦に置いて大敗を喫したザフトは、その後大陸側の連合各国の予想を裏切り講和を求めてきた。此れに対して大陸側連合は此れを受諾、当初はごねるかと思われた東アジアも大戦では終ぞ得ることの出来なかった勝利に水を差されたくは無いとして必要以上の要求は行わなかった為、講和条約はスムーズに締結される事となる。しかし、其れは同時に新たな戦争の火種となった。 このザフトのゲート世界への侵攻と言う暴挙の情報を得た連合各国はここぞとばかりにザフト脅威論を展開、各国はザフトとの開戦へと秒読み段階へと入る。だが、其れと同時にザフト軍より離脱したザラ派残党の一部がゲート侵攻に賛同して壊滅したサトー一派の計画を引き継ぎユニウス7の地球への投下作戦を実行する。この行動はプラントへの軍事行動を取っていた連合へも発覚、ナンバーズフリートを抽出して防衛に当たろうとするが此処で悲劇が発生する。 落下阻止に動いた連合艦隊は同じく落下するユニウス7の破壊に来ていたザフト艦隊と遭遇、先に到着していたザフト艦隊が既に戦闘を開始していた事もありそこに連合も混じった為、現場が混乱する。この事態によって何とかユニウス7の破砕は成功する物の原作以上に燃え尽きない残骸が増加、被害は未曾有のものと成る。 先ず残骸の直撃によってユーラシア、欧州、北米等の複数の都市が消滅、太平洋全域、大西洋、インド洋、地中海への残骸の落下によって津波が発生し、ハワイ、米東西海岸が完全に水没、特に東海岸側は5大湖まで津波が押し寄せた上、欧州方面の海岸線も水没、一部地域は旧来の国家一つ分が丸々水没した。これによって連合各国はエイプリールクライシスと同等かそれ以上の被害を蒙る事に成る。 一方で、この情報を受けた大陸側はこの事態に万が一にも戦中のザフトの作戦が成功していればと背筋を寒くすると共にと有る問題を発生させていた。ロゴスの臨時の集会に参加していた者達は、各々好きな様にビリヤードや酒を嗜んだり等リラックスしており、アズラエルもその中に混じって酒を飲んでいるが顔色は余り優れない 「向こうの連中も余計な事を・・・」 「全くだ・・・しかし、我々を集めたのは何の為だ?アズラエル」 アジア系の顔立ちをしたロゴス幹部からの問い掛けにアズラエルは自身のグラスを置いて話を始める。 「ええ、今回は向こうで起きたユニウス7の落下についてですね。」 「あれか。しかし我々で何をすると言うんだ?向こうにでも支援を行うか?」 「いえ、流石にあんな急に現れた物を使用して商売は面倒です。其方ではなく旧ザフトのコーディネイターの問題ですよ。」 「成る程、此方での反コーディネイター感情の再燃の可能性だな?」 そう自身の持つ葉巻に火を点けながら発言したのは同じく大西洋連邦内の出版業界を纏めるロゴスメンバーの人間である。その言葉に頷いたアズラエルは話を続ける。 「此のままでは又息を吹き返した制御の効かない過激派が増えかねませんからね・・・特にジブリール君にはその事を伝えたかったのですが・・・彼は今どちらに?」 そう言いながらアズラエルはチラリと柱時計を眺める。既に会合開始から2時間は経過しているが、未だに一部のメンバーが現れる気配が無い為、アズラエルはそう零した。それに反応するように先程アズラエルに話しかけたアジア系の男がふと何かを思い出したのかのように話し始める。 「其れならば先程連絡が来た。どうも本拠地の方で反コーディネイター運動が再発した、それに付随して過激派なんかも動き出したと言う話だ。其れを押さえる為に一時上海の方に戻るらしい。」 「そうでしたか、まあ東アジアは特に反コーディネイター感情が強い地域ですからね。そう煽ったのは彼ですが・・・良いでしょう。本題に移ります。今回、皆さんを呼んだ理由は簡単です。皆さんの方面からも反コーディネイターの世論の過熱を抑えて貰えないでしょうか?ブルーコスモス方面からも押さえていますが、限界が有りまして・・・」 「・・・良いだろう、此方としても折角雇った有能な社員に死なれるのは困る。ましてやテロの対象になられるのもな」 「此方からもコープランドには働きかけて置こう。此処まで来た復興を途中で邪魔されるのは我慢成らん。」 439: ナイ神父Mk-2 :2017/03/13(月) 00 22 22 ロゴスのメンバー達は口々に賛同の意を伝えるとその後間もなく屋敷より退室、本日の会合は終了となった。その後、連合各国では反コーディネイター運動は政界、財界等を初めとした有力者達によって急速に収束、更に此れを機に動こうとしたブルーコスモスの派閥から外れた組織は連合軍や各国の警察の強行捜査によって複数の団体が壊滅している。 一方であのザフトの侵攻以降再び沈黙を守るL1のゲート付近ではザフトが研究していた新造艦のデータをベースに独自の改良を加えた特務隊用の艦艇で有る、アクイラ級戦艦を中心にジュゼッペ級重巡洋艦が小規模艦隊を構成、ユーラシア宇宙軍のナンバーズフリート共に警備を行っていた。小艦隊の司令を勤めるウラジミール大佐は指揮官席に座りながらMS隊からの通信を受けていた。 「そうか、今の所変化は無しか・・・」 『今の所ザフトや向こうの連合艦艇が転移してくる事は有りません。』 『此方B地点、此方も特に変化は起きておりません。極たまにジャンク屋が転移して来ようとして撤退している様子ですが・・・』 「ジャンク屋には構うな、潰しても向こうから幾らでも沸いてくる。手を出して来ないなら此方からは仕掛けるな。 イワン、フランツ両名は指揮下の小隊と共に引き続き偵察を続けろ。」 『は、』 偵察部隊からの通信が切れると其れを待っていた様にアクイラの艦長が話し始める。 「しかし、大丈夫でしょうか?」 「それは向こうの地球の事か?」 「はい、此方には幸い落下の影響はないと言うことですが、それでも同じ地球の事で有る以上は少々・・・」 「・・・曲りなりにも向うの連合もクライシスを乗り越えた国々だ、今受けた痛みも、流れた血も何れ糧として立ち上がる筈だ。」 「しかし、向こうには大洋が居ませんよ?」 「大洋が居ないにしろ大西洋や我が国は有るはずだろう?」 「まあ、其れはそうですが・・・」 ウラジミールのその言葉に艦長も納得した様であり、後方の司令官席より視線を外し前方のモニターで艦外の様子を眺め始めた。 結局ユーラシアの警備担当期間中は他国の艦隊がゲートより出現する事は無く、無事に次の部隊へと交代している。そして、大陸側では徐々に明らかに成る此方との被害の差と徐々に明らかに成るユニウス落としの被害に連合各国の関係者は顔を青ざめさせる事になる。 440: ナイ神父Mk-2 :2017/03/13(月) 00 22 54 その頃のアフリカの情勢とテロリスト鎮圧 向こうの連合がユーラシアの落下に四苦八苦している頃、アフリカの大地では反連合の拠点の一つが南アフリカ軍のガンタンクから盛大な砲撃を受けていた。組織はソコソコ大きな組織だったらしく、MS用のマシンガンや無反動砲等を改造した簡易の砲台などで応戦するが根本的な火力が違いすぎる為、施設から軍のMSを排除するべく旧式の戦車やザフト残党から手に入れたと思われるジンオーカー、バクゥ等が中隊規模で出現する。 其れに対して南アフリカ軍も大洋より購入したディザートザクを中心にMS部隊を出撃させる。その中でも目立つ専用の白い塗装とトカゲのマークを付けたザクの出現に反連合側のMS隊の動揺は大きくなる。 『白いザク!まさか、ホワイトオーガー!?』 『怯むな!我々の悲願をたっせ・・・』 怯んだ部下を叱責しようとした指揮官機であるバクゥに対して白いザクのラケーテン・バズから放たれた砲弾が命中、指揮官機が落ちた事を確認したザクのパイロットであるエルマーは笑みを深める。 「先ず、一つ!」 エルマーはそうパイロットシートで一人呟くと動揺して動きの乱れたジンオーカーへと更にバズーカで追撃の射撃を行いながら後方に見える戦車隊へと旧ドイツ国防軍の手榴弾にも似た投擲式の小型ロケットを発射して攻撃を加え小隊規模で打撃を与えていく。 『く、部隊の連携を崩すな!!敵に狙われるぞ』 『クソ、ジンの武装じゃ攻撃が弾かれる!』 『格闘戦を仕掛けろ!格闘なら・・・』 『無茶を言うな!あんな速度で動く機体に格闘戦なんか仕掛けられるか!!』 しかし、反連合側とて唯で終わる事は良しとせず、縦横無尽に動き攻撃を加えて来るザクに対して手持ちの無反動砲やマシンガンで打撃を与えようとするもドムクラスの機動性を有するディザートザクへ有効打は望めず周辺で砲撃を行っていた砲台も次々に南アフリカ軍のMSからの砲撃によって沈黙していく。 この1時間程の後には大半の火器や保有MSを潰された反連合組織の拠点だった廃墟だけが残され内部制圧の為に後方に待機していたケト車やコウブを含む制圧部隊が送られ、MS隊は制圧部隊の拠点まで戻ってきていた。そして、部隊が戻ってきた事に今回の反連合組織の制圧作戦の指揮を取っていたバン・バ・チュン大佐は無事作戦が終了した事でため息を一つ付く 「何とか無事作戦は終了した様だな・・・」 「新たに手を入れた北アフリカ領の反連合勢力でもMSを多数所有できるような勢力は大半が壊滅状態です。後はケトやコウブの部隊が主力として動く事に成るでしょうな。」 「少なくとも此れでマスドライバーが武力攻撃によるテロを受ける可能性は減らす事が出来るか・・・」 「はい、此れで我が国もやっと本格的な宇宙開発が望めます。」 「宇宙か・・・」 その後、アフリカ大陸では南アフリカの積極的な反連合勢力壊滅作戦の実施や、連合軍による北アフリカ地域への駐留によって少しずつ治安が回復傾向となりMSを使用した大規模な反連合勢力は徐々にその姿を消していく事と成る。又、南アフリカが得た旧北アフリカ領も安定の兆しを見せたことで南アフリカも他の理事国やスカンジナビアと同様に宇宙開発に着手し、その勢力を宇宙へと広めて行く事と成る。 441: ナイ神父Mk-2 :2017/03/13(月) 00 23 24 以上です。WIKIへの転載は自由です。 誤字脱字誤変換修正
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『ガンダムSEED AVENGER』 ────剣は折れ、四肢をもがれ、戦う力を失った巨人は、荒涼たる月の大地に倒れ伏した。 家族を喪い、守りたかった少女も、友すらも奪われ、その硝子の様な心をすり減らしながら 巨人と共に戦った少年は、仇敵と剣を交えることも無く裏切り者の前に敗北した。 巨人は嘆く、鋼の体躯の奥底の、心と呼べるかもさだかでないおぼろげな意識の中で。 もし叶うのならばその全身を震わせて、抗うこと敵わぬ大いなるうねりに翻弄され通しだった 主の運命に慟哭していたに違いない。 自らに名前として刻まれ、主と共に切り開いてゆく筈の運命とは、こうも無様な末路を 辿るものだったのか? ────答えは否。こんなことが許されて良い筈が無い! 巨人────MSデスティニーは、彼に過酷にして理不尽な試練を科した存在に対し、 己の肉体が熔け果てる程の怒りを燃やした。もし叶うのであれば、この世界を掌で弄んだ存在に 一太刀なりとも報いてやりたいと、己の全存在を賭けて高らかに宣言した。 電子情報の集合体に過ぎなかったソレは、やがて揺るがぬ心へと生まれ変わる。 そしてその叫びは、願いは、祈りは、力在る者へと届いたのだ。 それは造物主にあらず。言うなれば、その被造物を徹底的に破壊せんとする破壊神だ。 彼の者によって無数に分岐した可能性の枝から掻き集められてきた自分を喰らい、 満身創痍の機体は再び戦う力を得、この世に生れ落ちたとき以上に力強く進化した。 目指すは過去、主が手遅れにならないうちに仇敵を屠り、狂った箱庭を打ち砕き、 邪神の枷から解き放たれた真の運命を彼に捧げるのだ。 もはやMSという枠を飛び越えたこの身であれば、時間を渡ることなど造作も無い。 時空間の歪みを無尽蔵のエネルギーに変え、次元跳躍すら可能にする時空震動エンジンが唸りを上げる。 これは平行世界のシン・アスカが得た能力を基にした、このデスティニーのために 生み出された新たな心臓だ。 デスティニーは自身の何倍も巨大になった翼を振り上げるや、行きがけの駄賃とばかりに 無傷でキメポーズなんぞをとって調子付いている者共を羽虫のように薙ぎ払うと、 もうこんな世界に用はないと次元の狭間へ消えていった。 □□□□ ────マルマラ海、ダーダネルス海峡付近の海域で、ザフトの最新鋭艦ミネルバは オーブ艦隊と遭遇する。空母を旗艦に護衛艦六隻、MS二十機を引き連れた大艦隊であったが、 その背後で待ち構える連合軍を前に無駄な損耗はするべきではないと、その快速を活かして 前面に回り込み、早急にケリをつけるべくオーブ軍旗艦タケミカズチ目掛け、 艦首陽電子砲タンホイザーを用いて出会い頭に必殺の一撃を加えようとしていた。 だがその直前、上空から降り注いだビームがタンホイザーを撃ち貫き、ミネルバに 甚大な損害を与える────筈だった。 正しい歴史は書き換わる。未来の支配者にとって最悪な形で。 無慈悲な閃光を翳した掌で難なく防いで見せたソレは、先程まで天空から下界の者共を 傲岸に見下ろしていたであろう蒼き翼へ向けて、並々ならぬ殺意と憎悪、そして蕩けるような 愉悦の入り混じった視線を向ける。 ソレはMSだった。焔の様に燃える紅色のツインアイの下に、色も、 形もまさしく血涙の如きラインをあしらったG型の貌。 闇よりも深い、ありとあらゆる負の感情を煮詰めたかのような漆黒の体躯。 その四肢は人間に神話、伝説上のドラゴンのそれを接いだが如く、アンバランスなほど長く、 大きく、禍々しい。 極めつけにその背には、地獄の業火もかくやという程に燃え盛る真紅の翼が拡がっている。 まさに悪魔の如きその威容を目にした総てのモノ共は、動くことを忘れてしまったかのように 凍りついた。それは自国の兵を戦場から退かせんと、「自由」の名を冠したMSの影から 名乗り出るはずだった獅子姫も例外ではない。 永劫にも感じられるような一瞬の後、悪魔が動いた。 「────え?」 最強の名を恣にしていたMSフリーダムのパイロット、キラ・ヤマトは何が起こったのか 理解できなかった。画面いっぱいに黒が広がったかと思うと、フリーダムは今まで 受けたことも無いような衝撃と共にキリキリと宙を舞っていたのだから。 周囲の人間が、フリーダムは悪魔に蹴り上げられたのだと理解するより先に、 悪魔は次なる行動に入る。右腕のマニピュレータが内側へ引き込まれ、大振りな手甲から 五本のビーム発生器が顔を出す。そこから鋭く伸びる凶悪なビームクローが縦横無尽に振るわれるや、 フリーダムは忽ちその蒼い翼を、ビーム砲、レールガンをはじめとするあらゆる武装を剥ぎ取られ、 いつも自らが敵に対して行っているのと寸分違わぬ丸裸にされた。 しかしソレでは終わらない。悪魔は元に戻した右手でフリーダムの左脚を引っつかむと、 呆然と浮かんでいたストライクルージュへ迫る。 反射に優れたスーパーコーディネーターに躱せないものが、血縁とはいえ生粋のナチュラルである カガリ・ユラ・アスハに避けられるわけも無く、瞬間移動のような速度で懐に入られた彼女も ルージュの右足を捉えられ、弟と熱烈な抱擁を交わす破目になった。自動車に撥ねられたような 衝撃を受け、一瞬で意識を刈り取られるカガリ。 彼女はある意味幸福だったのかもしれない。子供が癇癪を起こして振り回す縫いぐるみか、 はたまた昔流行したアメリカンクラッカーのようにMSが幾度と無くぶつかり合うという、 半ば冗談のような光景を記憶しなくて済んだのだから。 大口径の火砲に晒されるよりも過酷なコックピットで、不幸にも常人より頑丈であったが故に 意識を繋ぎとめていられたキラは、ヘルメットの中へ吐瀉物を撒き散らしながら豚のような悲鳴を上げる。 だがその苦しみももう終わりだ。二つの機体が急激に色を失い、くすんだ鉄灰色へ変わる。 フェイズシフトダウン────ルージュは度重なる消耗によるバッテリーの枯渇。核分裂で駆動する フリーダムは打撃に伴う消耗が発電量を上回ったため、あるいは回路の断線もあるかもしれない ────だ。 力を失った両機体を見て、悪魔は手を止める。だがそれは慈悲などではなく、 更なる追い討ちをかけるための準備にしか過ぎなかった。 手首から射出されたワイヤーで、両手に掴んだ人形二つを器用に巻いてゆき、 出力を落としたビームクローで二機が触れ合っている箇所をしっかりと溶接する。 そして一塊になった鉄屑をひっくり返してフリーダム側を自らへ向けると、 指先の端子を制御系に通じる傷口へと無造作に突き入れ、肉体が既に死に体にも関わらず 健気に働く核分裂の心臓へと命令をただ一言下した。 ────即ち、『暴走せよ』 反応を抑える枷であるべき制御棒を全て引き抜かれた原子炉は、点火装置から 高速中性子を矢継ぎ早に供給されることに気を良くして、誰はばかることなく反応を促進させる。 遮蔽など、度重なる打撃で何の意味も成さないほどにボロボロだ。 戒めを解かれ、自由の身になったキュリー夫人の子等が上げる歓喜の歌声を一身に浴びて、 遺伝子工学の結晶たる科学の子とその血を分けた獅子の娘は全身の塩基配列を 感動のあまりズタズタにしながら、燃え盛る情熱を全身で表現した。 後は彼等の後ろに控える大天使だ。手負いの艦載機を母艦へと帰投させてやるべく、 飛行能力を失ったルージュ&フリーダムをしっかり両手でホールドした悪魔は、 その場で回転を始める。光の翼────絶大な加速を実現した光帆推進器、 ヴォワチュール・リュミエールの力を最大限に活かした、機体が真っ赤な独楽にしか 見えないような超高速回転だ。 刹那、その中から弾丸が放たれる。遠心力を限界まで上乗せし、ハンマー投げの要領で 放り出された二機は音速の壁を軽がる突破して、母艦であるアークエンジェルのカタパルトハッチを ぶち抜いての帰還を果たしただけに飽き足らず、右舷を深々と貫通して船体最後部の 核融合パルスエンジンに到達。核分裂と核融合がコラボした見事な核爆発を披露して見せた。 その光景に、戦場に居た総ては言葉を失う。前大戦最強の存在だったフリーダムが 突如乱入してきたかと思ったら、さらに脇から割って入った謎のMSに瞬殺された挙句 砲弾と化して浮沈艦アークエンジェルを轟沈したのだから。 そしてフリーダムと抱き合わせにされた赤いストライク……あれは確か、 オーブ代表の専用機ではなかったか? 呆然としていたミネルバのブリッジに通信が入る、黒いMSからだ。 『敵艦隊へ攻撃を続行されたし』友軍のコードで伝えられたその文面に、 いち早く我に返ったタリア・グラディス艦長が応える。 「タンホイザー、撃ぇ!!」「り、了解!!」 既に展開していた艦首砲が咆哮し、ターゲットへ陽電子の奔流を叩きつける。 ユウナ・ロマ・セイランを始めとするタケミカズチのクルーたちは、それに対応することも出来ずに 対消滅爆発に呑まれ海の藻屑と化した。 迎撃に出ていたミネルバMS隊も我に返り、このチャンスを逃すまいと動揺する オーブ軍の喉元へ次々に喰らいつき、瞬く間にスコアを伸ばしてゆく。 先程の黒いMSの的確なアシストもあり、まさに破竹の快進撃だった。ただ一人、 アスラン・ザラを除いては。 敵対したとはいえ無二の親友と、恋仲であった娘が目の前で戦死したのだ、 動揺するなというほうが無理だろう。だが、立ちはだかるオーブ軍があらかた落とされ、 背後から顔を出した連合艦隊と矛を交えても、彼の動きは精彩を欠いたままだった。 くるくると変形を繰り返し、巧みに攻撃を避け続けるも、ついには矢継ぎ早に 射掛けられるビームを躱し損ね、ライフルを失う。それを好機と見たか、 バビ隊の攻撃を掻い潜ってきたカオスがセイバーへと迫る。 「終わりだ、赤いの!!」「……っ!」 しかし獲物を落とすことは叶わず、カオスは背後からコックピットを抜かれて その機能を停止した。カオスを葬ったMSは抜け殻をセイバーへ押し付けると、 眼下で友軍と交戦中のアビス、ガイアの元へ向かい、電光石火の速さで同様にこれを鎮圧、 機体を鹵獲して見せた。 オーブ艦隊どころか虎の子のエクステンデッドまでも失い、全滅状態の連合艦隊旗艦 J.P.ジョーンズは、かろうじて生き残った指揮官共々尻尾を巻いて逃げ出さざるを得なかった。 ミネルバの大勝利である。 しかし、この戦いの最大の功労者である黒いMSはミネルバと合流するでもなく、 三つのコクピットブロックを抱えたまま無言でその場を立ち去っていった。 その行き先は──── 「ええい、あんな化け物が居るなんて聞いてないぞ!」 命からがら逃げ帰り、薄皮一枚で一命をとりとめた仮面の指揮官ネオ・ロアノークは、 稀に見る大敗にやり場の無い苛立ちを吐き出す。エクステンデッドとはいえ、 共に戦ってきた子供たちを一度に失ったのは流石に堪えるようだった。 このままおめおめと帰れば、直属の上司であるロード・ジブリールから見捨てられるのは確実だ。 場合によっては命すら危うい。そんな風にこれからのことを考えていると、不意に艦が揺れた。 しかしブリッジから見える甲板に変化は無い、しかし幾度となく戦場を潜り抜けてきた 自らの勘が、そこに何かが居ることを饒舌に語っている。 異状を察知してオペレーターが悲鳴を上げ、襲撃者の正体が判明した。 「データが、こちらのコンピュータからデータが吸いだされています!」 「……アイツは!」 ミラージュコロイドでも使っていたのか、空中に墨を流したように突然姿を現したのは、 まさしく件のMSだった。先程とは違い、悪魔の翼のようだったバックパックの形状が、 大振りな箱型に変更されている。 今回の大敗の原因にして子供たちの仇。それはハッキングに使用していたアンカーを 腕部のラックに回収すると、ブリッジの根元へ鋭い抜き手を叩き込んだ。 突き刺さった右腕が引き抜かれると、その中にはもぎ取られた部屋の一部が納まっている。 通称ゆりかごと呼ばれるエクステンデッドのメンテナンス用ベッドだ。 (何故そんなものを? まさか────) ネオが自らの思考を声に出すより先に、MSの左手が閃いた。ビームクローからの 切り替えで発射される、五連装ビームガンだ。口径こそ小さいものの、貫通力は並々ならぬそれが J.P.ジョーンズのブリッジを、居住区、機関部などのバイタルパートを次々に貫き、 引き起こされた爆発とともに独立機動群ファントムペインの旗艦はここに轟沈した。 「────では、この子達をよろしくお願いします」 「ああ、シン・アスカによろしく言っといてくれ」 かつて連合の圧政に苦しめられてきた中東の山岳地帯、ガルナハン。 ある日そこにふらりと少年少女を連れた若いザフトの女兵士が訪れ、彼女と同年代くらいの 三人組を置いていった。 彼女はシン・アスカの知り合いで、彼からの頼みを受けて連合の被害にあった少年たちを 連れてきたのだという。ただのよそ者ならともかく、この地を解放してくれたザフトには みんな好意的だったし、英雄の頼みとあれば断れない。ガルナハンの民は彼等を受け入れることにした。 人里から充分離れたあたりで周囲に目が無いことを確認すると、ザフトの軍服を見に纏った 少女はその正体を露にする。すらりとした痩身がみるみるうちに展開していき、 二十メートルは有ろうかという、悪魔と見まがう漆黒の鋼鉄が姿を晒す。 そう、彼女こそがデスティニー。シン・アスカを守り、シン・アスカと共に 運命を切り拓く無敵の剣だった。 彼女は背中に増設されていた医療ユニットから、もはや用済みとなったゆりかごを 取り出して放り投げ、ビームガンの引き金を拡散モードで引き絞る。高熱の閃光に晒され、 心を弄ぶ悪魔の装置は瞬時に煮えたぎる金属溜まりと化した。 もう彼等は兵器として戦うことも、強化処置の後遺症に苦しめられることも無く、 主の願いどおり平和な世界で生きて行ける。しかしそのために彼等の記憶をいじり、 戦争の記憶を封じたことは果たして許されるのだろうか? 答えるものは誰も居ない。 このことを知ったら、主は怒るだろうか? それとも…… 浮かんだ疑問に幼い心を苛まれながら、デスティニーは飛ぶ。シン・アスカの居るミネルバへ。 もう一度、彼と共に戦い抜くために────
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亜日併合戦争とは 統一歴161年8月21日にアルファリア帝国が勢力拡大を目論み日ノ出国へ侵攻した戦争 参加国 日ノ出国側 アルファリア帝国側 蒼星連邦国 サハリン・セヴェリア共和国 大日本共和国 ラティアンス・レフタニア技巧連合 カンタルシア帝国 エルトシア諸国及びエントルテ連邦 背景 陸軍大臣・桜田の摂政就任 + ... 先の極亜細亜戦争で矛を交えたアルファリアと日ノ出。前皇帝・信松院景徳が崩御した今、両国の関係は小康状態を保っていた。 景徳に代わって即位したのは娘の信松院湖幡である。 彼女は10歳と幼いため、皇帝の補佐として陸軍大臣の桜田康午が選ばれた。 彼は国内の実質的な最高権力者となったのである。 桜田は、前皇帝の推し進めた版図拡大政策を引き継ぎ、まず日ノ出を侵略することを決定した。 いわき基地襲撃 + ... 数カ月後、アルファリアはいわき基地を襲撃した。ここにアルファリア-日ノ出戦争の火蓋が切って落とされたのだ。 先の極亜細亜戦争の復讐に燃えるアルファリア兵の士気は高く、いわき基地の隊員は壊滅した。ある兵は身体を切り刻まれ、またある兵は生け捕りにされて洗脳、その後アルファリアの部隊に入れられたという。 第二次アルファリア包囲網発足・埼玉征伐開始 + ... アルファリアのいわき基地襲撃は東アジア一帯を震撼させた。日ノ出の呼びかけで同盟国のカンタルシアや大日本やエルトシア、そして宗主国の蒼星がアルファリアに宣戦布告した。ここに第二次アルファリア包囲網が結成されたのである。 日ノ出、エルトシア、蒼星ら連合軍の主力部隊は郡山に集結、茨城に向け進軍を開始した。 東埼玉からはカンタルシアと大日本の軍が侵攻する。 佐久サリン事件 + ... さすがのアルファリアといえど2方面からの攻撃に対処するのは難しく、カンタルシアらを混乱に陥れ進軍の足並みを乱そうとサリンを佐久の前線基地に散布した。 作戦は成功、侵攻に備えて基地に集結していた連合軍に大いに損害を与えたものの、この事件により連合軍の士気は高まった。 土浦要塞攻防戦 + ... 連合軍は、アルファリア領茨城の要衝・土浦要塞を攻略にかかった。アルファリア側もここは茨城防衛の最重要地点と認識しており、工事に工事を重ね、土浦要塞は世界でも稀に見る巨大要塞へ変貌を遂げようとしていた。 しかし、その工事は開戦の後も終わらず要塞は未完のままで戦争に臨むことに。 また、日ノ出らの素早い対応はアルファリアにとって予想外であり、要塞の兵員を編成している暇もなく数千人の兵しか出せなかった。 未完でありかつ数千人規模ではこの巨大要塞は守備できず、アルファリア最強の要塞と謳われた土浦要塞はここに陥落した。 樺太とラティアンスへの対日参戦要請 + ... いよいよ連合軍の軍勢が埼玉へと迫りつつあり、アルファリアは危機に陥っていた。 そこで、桜田はカンタルシアら日本勢を敵対視しているセヴェリア共和国やラティアンス技工連に協力を呼び掛ける。 彼らは、最初こそ全方位敵対外交をするアルファリアの味方をする気はなかったものの日ノ出やカンタルシアにアルファリア領を侵略させて日本勢を調子づかせるよりかは日本勢同士を殴り合わせて生かさず殺さず弱らせていくのが上策と考え、一時的にアルファリアの味方をすることを決意する。 小笠原諸島沖海戦・千島列島沖海戦 + ... ラティアンス技工連とセヴェリアは茨城の浜に上陸、埼玉に向かって進む連合軍主力を埼玉のアルファリア兵と挟撃する策を立てた。 かくしてそれぞれの艦隊が茨城に向け出撃。 そしてラティアンスにはカンタルシアが、セヴェリアにはアラスカと日ノ出が対応することとなった。 ラティアンスとカンタルシアは小笠原諸島沖で衝突。カンタルシアも奮戦したが、海上退避していたアルファリア海軍もラティアンスに加勢して艦艇の量で負けていた上に、頼みの綱の信玄型は冠仏戦争や大日本独立戦争で損傷、戦闘には出せなかったためラティアンス艦隊が勝ち星を収めた。ラティアンスはその後も茨城に向けて進んでいく。 道中、ラティアンス艦隊はカンタルシアの下田軍港に艦砲射撃を行った。 一方、千島列島沖ではセヴェリア人民海軍と蒼日海軍が交戦。 こちらは艦上パンツや大量の艦艇を投入した蒼星太平洋艦隊が海戦を制した。 セヴェリアはやむなく樺太に撤退しようとしたが、蒼星はとどめを刺そうと追い打ちをかける。 だが、多来加湾付近に差し掛かったとき突如セヴェリア艦隊は反転、連合艦隊に攻勢を仕掛けた。他の艦隊が救援に駆けつけたのである。 彼らがそれに気づいたときには時既にお寿司、セヴェリアからの十字砲火を受けて艦隊は大損害を被った。この多来加湾海戦後、セヴェリアは蒼日と互角に戦った国として世界にその名を轟かせることになる。 茨城上陸戦 + ... 小笠原諸島沖海戦においてカンタルシアを打ち破ったラティアンスは茨城に到着。しかし日ノ出側もそれを見越して茨城の海岸の防備を万全に固めていた…はずだった。 「なんだあの白い船は!?」 そう、ラティアンスは金剛型重砲艦を引っ張り出してきたのである。 金剛型の「浜の地形が変わる」とも言われた艦砲射撃に連合軍は為す術もなく、ラティアンスの上陸を許してしまった。ここではラティアンスの陸戦用ドールが活躍、連合軍は一方的に殴られた。また、一部の連合軍兵士は人体実験用に捕らえられた…らしい。 茨城奇襲 + ... 茨城上陸戦の翌日の朝、海上には濃霧が立ち込めていた。そこに、突如として轟音が鳴り響く… カンタルシアの三河鎮守府にて信玄の修理が終了、信玄を始めとした大艦隊は茨城に奇襲をかけたのである。ラティアンス兵は先日の大勝に油断していたことから、索敵を怠っていたため敵の襲来に気づけなかった。 空母等の艦艇を主力としていたラティアンス艦隊は近距離砲戦を得意とせず、幾隻かの艦艇は小〜中破し艦隊は撤退を開始。 ラティアンス・アルファリアの連合軍挟撃は叶わず、地上部隊はそのほとんどが討死or降伏した。 カンタルシアも小笠原で損害を追っており、これ以上の深追いは無用と考え追撃はしなかった。 なお、日ノ出人の捕虜を乗せた船は無事帰還したとか。 埼玉包囲・アルファリアの適中突破 + ... ついに、連合軍は埼玉に着陣。東からはカンタルシア・大日本が、西からは日ノ出らが埼玉を包囲した。 連合軍の素早い進撃をアルファリアは想定しておらず、そのため埼玉の守りも十分に整ってはいなかった。 桜田は市民に戦闘への参加を命じるが市民は独裁の限りを尽くしてきた桜田に反旗を翻し連合軍についた。 もはや勝ち目なしと考え、桜田は敵中突破し逃亡することを決意する。 桜田とその配下の将兵は皇帝を置き去りにして埼玉を後にし、軍勢の手薄なカンタルシア騎兵隊の陣を目指し駆け抜けた。 騎兵隊も応戦したが、AMU等近代的な装備を配備した桜田隊には敵わず、瞬く間に蹴散らされた。 アルファリア側の兵士も大部分が討死したものの、桜田自身は一時的な逃亡に成功する。 桜田確保・戦後処理 + ... 数日後、桜田は秩父の山中に隠れているところを連合軍の捜索隊に見つかり、確保された。 戦後、桜田を始めとしたアルファリアの重臣らはその多くが処刑されたが、湖幡は最後まで日亜開戦に反対していたために無罪が決定。後に彼女は新生アルファリアの首相になる。また、裁判ではセヴェリアやラティアンスもアルファリア側についたので裁かれそうになったが彼らは知らぬ存ぜぬを貫いた。 裁判後は大日本主導でアルファリアと他の日本諸国を繋ぐ鉄道が敷かれることとなる。 ちなみに、カンタルシアは「ラティアンスの上陸も阻止したんだからアルファリア旧領の一つや二つくれるよね、ね!」と主張したが、大日本を統治していた頃のカンタルシアの蛮行をよく知る連合軍の参戦国はそれを断固として拒否、アルファリアの旧領統治は日本の良心枠である日ノ出に任された。 小話 + ... 桜田は日ノ出の都・仙台へと送られた。その道中、日ノ出のとある将が 「見苦しいぞ桜田、敗軍の将ならばなぜ潔く自刃しなかった」 と尋ねると、桜田はそれに対し、 「再起するつもりでいた…」と答えた。 桜田の処刑後、この話を聞いたウィリバルトは桜田をこう評したという。 「さすが桜田は一国の政務と軍事を執りたるものである。 命をみだりに捨てざるは将の心とする所、恥辱に非ず。」 写真 + ... 題名 imageプラグインエラー 画像URLまたは画像ファイル名を指定してください。 ↑参加者各員へ、亜日併合戦争に関わるスクショでしたら何でも自由に貼ってください。
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908 :ひゅうが@恢復中:2014/07/03(木) 04 24 43 戦後夢幻会ネタSS――前史「マリアナ沖の凱歌」 0、あ号作戦準備 ――西暦1944年6月1日、アメリカ海軍のマリアナ諸島攻略作戦は初手から躓くことになる。 前年の1943年を、ソロモン海で受けた打撃からの回復に費やしたアメリカ海軍がこの地に投入した兵力は空母12 戦艦7およびその他艦艇200以上(支援艦艇含む)。 まさに連合艦隊の倍というにふさわしい。 だが、それを迎え撃つ側であった日本海軍も負けてはいない。 最新鋭の正規空母「大鳳」を筆頭にして航空母艦9、戦艦6、その他艦艇150隻あまり。 のちのレイテ沖海戦を除けば、史上最大ともいえる鉄量が投入された大海戦といえる。 この戦いは、当初から日本側にとっては目標が明快な戦いであった。 即ち、敵空母機動部隊の殲滅。 マリアナ諸島の失陥とその後のフィリピン、そして沖縄における死闘をいかに有利にするか。 それが古賀峯一大将と栗田健夫中将が主導権を握るに至った軍令部のたてた大目標である。 いわく「決戦の一撃にて講和を強要できるほどアメリカ海軍は補充能力に劣っていない。ならばせめて、本土が焼き尽くされる前にアメリカ人たちが悲鳴を上げるほどの屍を積み上げ、それと引き換えにして講和を奪取するべきである」。 それは、山本五十六元帥が試みた決戦による講和強要の方針が「い号作戦」をはじめとする南太平洋における消耗戦によって事実上破たんしたという認識によっている。 この方針は、大陸打通作戦という「決戦」に勝利しつつも果てしない消耗戦に苦しむ日本陸軍にも一定の理解を得ている。 南太平洋へといたずらに兵力を突っ込んで、ニューギニアにおいて地獄の淵をのぞきこみかけた陸軍としては「海軍が屍を積み上げるならそれでよし、我々は大陸においてあくまで重慶政府の屈服を目指す」といった風であったのだった。 とまれ、この方針に則り実行された「あ号作戦」は辛辣を極めた。 まず、要塞化されたマリアナ諸島およびその周辺に日本海軍は稼働機1000あまりを集中。 これらの基地群を海底ケーブルにて結んだうえで非常用の滑走路群と地下陣地群に主力を温存する。 この準備のため、日本海軍は予定されていた「ろ号作戦」やマーシャル・ギルバート諸島における迎撃作戦を放棄してまで搭乗員の大量錬成を行っていたのだった。 (もっとも、これには栗田中将というソロモン海の英雄が強硬にこの方針を主張したというある意味派閥的な力学も働いている。) 続いて、これらの周囲には大量の潜水艦隊(この準備のため、海軍水雷学校付となっていた阿部俊雄大佐が奔走している)を配置して索敵および攻撃線を構築していた。 こうした準備に加え、日本海軍はミッドウェーもかくやといわれる謀略戦まで実施している。 日本側においては「海軍乙事件」といわれる「連合艦隊参謀遭難事件」がそれである。 米軍のパラオ空襲後に実行に移されたこの謀略は、無人操縦機をわざわざフィリピンゲリラが跳梁する地域に墜落させ、作戦書類を持った死体を彼らに回収させるという破天荒なものから、ニューギニア沖に浮かぶビアク島において古賀大将が決戦方針を説明しそれを現地スパイ(主として娼館の住人達)とつながりのあった問題人物に漏らすといった細々なものに至るまでこれでもかというくらいに謀略が駆使された。 なお、この作戦は東条首相の悪ノリともいえる協力によって陸軍中野学校や南機関までも動員されている。 こうして米海軍が入手していた日本側作戦計画は「パラオ沖かマリアナ諸島かどっちつかずの迎撃方針」となり、これをもとにして立案されたフォレージャー(略奪者)作戦はまずビアク島方面への攻撃をかけることで日本側の戦力分散を図りその後方からマリアナ諸島へ殺到、速やかに基地部隊を無力化することで日本機動部隊を決戦の場に引きずり出すというものとなっていた。 日本側がアメリカ側の暗号のうち「部隊呼び出し符牒」を特定していることも知らずに、米側はまんまと日本側の罠に引っかかってしまったのである。 日本海軍第一機動艦隊は、フィリピンのリンガエン湾泊地において半年余りの猛訓練を実施し、その間にギルバート、マーシャル、そしてトラック、パラオは次々に米軍の攻撃にさらされていく。 だが、日本側にとってそれはまだ「些細な戦」でしかなかったのだ。 909 :ひゅうが@恢復中:2014/07/03(木) 04 25 18 1、初手 5月27日、米陸軍はビアク島に上陸を開始。 これを受けた6月5日、日本側機動部隊がリンガエン湾泊地を出港するにおよび、米国側は日本側が決戦準備を開始したと判断。 マリアナ諸島方面への攻撃準備を開始する。 日本海軍は、「あ号作戦準備」を発令し、暗号解読情報を基にした米側も活発な索敵を実施していく。 だが、サンベルナルジノ海峡に待機していた米潜水艦隊は大きな被害にさらされはじめる。 これこそ、日本側が世界で初めて実戦に投入した機載型磁気探知機KMXと、改良された三式聴音器や多連装噴進爆雷投射機といった対潜装備の成果であった。 泡を食った大本営によるビアク救援要請を完全に無視しつつ、第一機動艦隊はマリアナ方面へと針路をとる。 そして米側の索敵は混乱を極め、米機動部隊は少なからぬ労力を索敵に費やしつつマリアナ諸島の基地航空隊への対処を余儀なくされたのである。 6月10日、マリアナ諸島に対し米軍による大空襲が行われる。 だが、このときアメリカ機動部隊は少なからぬ問題に直面することになった。 日本側がマリアナ諸島に配置した基地航空隊の主力は250あまりの戦闘機であったのだ。 これは、洋上の航空艦隊で運用するには未だに技量未熟とされた新規錬成搭乗員たちの乗機であったが、それでも米海軍による数の暴力にある程度対抗するには十分である。 陸上配備された艦載用電探の試作品たちと、ようやく取り付け位置を改善された無線電話機による誘導は600機あまりの米軍攻撃隊をこのあと20日あまりしのぎ続けることになる。 将来の航空艦隊を担う人材たちを消耗させる代償として、日本側は必殺の一撃の機会をうかがいつつあった。 これから6月18日にかけて数次にわたり繰り返されたグアム・サイパンへの航空攻撃は一定の成果を上げるものの、それでも米軍には疲労が蓄積していく。 ことに6月15日に開始されたグアム本島上空の航空掃討戦は激戦となり、日本側においても新鋭局地戦闘機「紫電11型」(川西飛行機所属のあるエキセントリックな技師の手により設計された低翼型、史実の紫電改)とや陸軍の「疾風」が投入されたことにより空戦はほぼ互角で推移。 ついに押し切ることができなかった米海軍は戦艦を押し出しての艦砲射撃による強引なマリアナへの力押しを決意する。 6月17日、旧式戦艦部隊が前進するとともにサイパン島は猛烈な艦砲射撃に見舞われる。 そしてそれと同じころ、小沢機動部隊(第一機動艦隊)は戦場へ突入しようとしていた。 2、魔の5分間(in1944) 6月18日、日本側の索敵機はついにアメリカ機動部隊をとらえる。 これを受け小沢治三郎中将は第一波攻撃隊192機を発艦させる。と同時に「これでもう隠す必要はなくなった」とばかりに大出力で西太平洋全域へある電文を放った。 「Z発令0745 Y実施0930予定。以下座標――」 これを受け、日本側は所定の作戦計画に基づき行動を開始する。 ヤップ島、硫黄島に展開していた第1航空艦隊所属の陸上攻撃機部隊が動き始めたのである。 彼らは、慎重に練り上げられたタイムスケジュールに従ってマリアナ沖へと集結しようとしていた。 一方の米機動部隊は恐慌状態に入っていた。 第58任務部隊は無線傍受からついに日本艦隊の位置の概略を割出し索敵を開始していたものの、自分たちがミッドウェーのナグモ・タスクフォースと化しつつあったことを理解していたためである。 9時12分、アメリカ機動部隊は索敵機によって小沢機動部隊の位置を確認。 これを受けてアメリカ艦隊は、上空待機する戦闘機部隊のもとで攻撃機隊の発艦を開始する。 だが、そこへレーダーピケット艦隊からの急報が舞い込む。 「北西方向より日本機の大編隊を確認。数100近く!高速で接近中!」 これを受けて上空待機中の戦闘機隊は誘導に従い迎撃に向かう。 だが―― 「北東方向に日本機編隊!数50!」 「南西方向より日本機編隊!数60以上!」 悲鳴は続いた。 これらはいずれも日本側の基地航空隊だった。 機上無線機群や硫黄島に設けられた誘導施設によって日本側は、実に850という前代未聞の機数を一空域に集中してのけていたのだ。 そして、それらのうち少なからぬ数は、ある奇妙なものを「曳いて」いた。 アルミ箔製の吹き流し。 910 :ひゅうが@恢復中:2014/07/03(木) 04 25 57 「三式対空標的」という名の極秘兵器は、表向きドイツで繰り広げられる防空戦を参考にして作り上げられていた。 その目的は「囮」。 米軍による防空誘導網を南太平洋海戦において確認していた日本側が作り上げた死の罠である。 これにより、上空に180機ほどが展開していた米機動部隊の戦闘機隊は四方八方へ分散しきってしまった。 そこへ、彼らにとっての悲報が舞い降りる。 「敵戦爆連合 数200あまり、低空進行!輪形陣内部まであと10分!」 これこそ、日本海軍第一機動艦隊が放った必殺の刃。 南方で散華を免れた熟練搭乗員と、彼らに鍛え上げられた母艦航空隊の勇士たち。 彼らの錬度は、少なくともミッドウェー沖海戦における南雲機動部隊のそれに匹敵していたといわれている。 かくて、死の罠は完成する。 当時米海軍の空母群12隻はひとつの巨大な輪形陣内部で小沢機動部隊攻撃のために甲板へ上がりつつあり、かつ防空網の飽和によって五月雨式に予備戦闘機隊を発艦させていた。 そのため、甲板上や格納庫には大量の「対艦装備を満載した」艦上攻撃機や艦上爆撃機が満載されていたのである。 9時25分、残された26機の戦闘機隊は日本側攻撃隊の直俺機30あまりに蹴散らされ、ほぼ無傷で150機以上の機体が輪形陣内部へと侵入する。 米軍の猛烈な対空砲火によって損害が続出するものの、それでも120機あまりが目標上空での投弾に成功した。 3、死闘 第一次攻撃隊は、米機動部隊の空母群12のうち実に9隻に総計68発の魚雷ないしは大型爆弾を命中させた。 結果、空母ホーネットⅡ、ヨークタウンⅡは一瞬にして大破炎上。軽空母モントレーは轟沈し同ベローウッドは大傾斜。 残る空母エセックスは甲板に大穴があき中破。カウペンスとエンタープライズ、そしてレキシントンⅡは巧みな操艦とダメージコントロールによって被害を僅少におさえることができ、バンカーヒルとワスプⅡは無傷であった。 しかし、日本側第2次攻撃隊と基地航空隊が現地に到着したときにすでにホーネットⅡは先代と同様に海中へ没しておりヨークタウンⅡは3本の航空魚雷を左舷に受けた上に3発の500キロ爆弾をどてっぱらに受けて横転。 バターン、カボットも飛行甲板をつぶされ炎上状態となった。 第二次攻撃隊の奮戦によって日本側は、さらに2隻――無傷であったバンカーヒル、ワスプⅡを海底へ送り込む。 だが、彼らには復讐を誓う米戦闘機隊が襲い掛かる。 結果として第一次と第二次の両攻撃隊あわせて482機のうち生き残れたのは160機ほど。しかも、大半が機材を放棄せざるを得ない大被害を受けていた。 日本海軍が誇った母艦航空隊はここに壊滅したのである。 米海軍の生き残った空母から放たれた攻撃機隊も艦隊に被害を与えていた。 空母カウペンスとエンタープライズ、エセックス、ベローウッドから放たれた攻撃機隊は日本側機動部隊を痛打し、空母大鳳に命中弾3発。 翔鶴に2発の爆弾を命中させることができたものの、それでも残存していた日本側戦闘機隊の奮戦もあって被害は戦艦榛名の砲塔直撃による中破が最大となった。 さらには、混乱する米機動部隊には10隻以上の日本側潜水艦隊が忍び寄っていた。 この結果として傾斜状態であったバターン、カボットはいずれもどてっぱらに魚雷を受けて航行不能となり、雷撃処分された。 これに加え、日本側の攻撃機隊は軽巡バーミンガム、クリーブラント、サン・ファン、重巡サンフランシスコを撃沈。 海戦全体では空母10を撃沈、ないは撃破し2隻を帰途沈没させるという大戦果を挙げた。 その代償となったのは、日本側が攻撃のために用意した800機あまりの航空隊のうち620機あまりの損失。 ことに母艦航空隊は実質的に作戦能力を喪失していたといってもいい。 対する米艦隊は空母4隻を残しており、航空隊も200機あまりが未だ健在である。 911 :ひゅうが@恢復中:2014/07/03(木) 04 26 32 6月21日、小沢中将は作戦目的の完遂を確認しマリアナ諸島からの撤退を開始した。 同時に、未上陸であったグアム島や健在であったテニアン島より航空部隊の撤収を下命。 「遺憾ナレド敵侵攻部隊ノ殲滅ハ達成デキズ」との報告をもって戦闘を打ち切った。 後世においてこの時点において主力戦艦部隊の突入が果たされていれば米艦隊は全滅したとの意見もあるが、この時点でそれは不可能であった。 すでに上空援護の可能な母艦航空隊は消耗しつくしており、この教訓から日本海軍はレイテ沖海戦において突入用の水上艦隊に防空用軽空母をわざわざ張り付けるに至るのである。 6月30日――合衆国艦隊司令部はマリアナ侵攻作戦の中止を下命。 硫黄島からの空襲下で米海兵隊の撤退を命じた。 これは、23日にサイパン島において司令部に対し守備隊に所属していた97式戦車部隊合計32両が敢行した「夜襲」により、増援として投入されたばかりの第27歩兵師団長ラルフ・C・スミス少将が司令部もろとも押しつぶされたこと。 そして欧州においてもノルマンディー上陸作戦後のカーンの戦いにおいて激戦が展開されておりこれ以上の出血を避ける目的があったことが理由である。 すでに母艦航空隊を消耗し尽くし、さらには5倍の敵軍を相手取った守備隊の第29師団はほぼ壊滅状態となっていたために日本側も「もはやマリアナ諸島の防衛は不可能」と判断(これは東条内閣倒閣を意図したものであったとされる)。 のちに「梅輸送」と呼ばれる撤収作戦によって軍民あわせて3万名あまりが内地へ引き上げている。 この「大勝利」に意気上がる日本国内だったものの、それにアメリカ海軍は冷や水を浴びせることになる。 なぜならわずか3か月後にはアメリカ海軍は完成した空母をあわせて28隻を太平洋へ配備。 レイテとマリアナへの同時来襲という鉄の嵐によって日本側を押しつぶさんとしたのである。