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タイトル:夢枕交差点 -ユメクロス- ジャンル:ファンタジーオムニバス系RPG 使用ツール:WOLF RPG エディター 解像度:640×480 ドットキャラサイズ:32×32 ゲーム概要 バクと共にゆめを旅する主人公のお話 絵本系オムニバスストーリー、見たい(攻略したい)ゆめを選択して進んでいく ある一定のサブゆめを攻略すると、メインの長編続き物ゆめが少しづつ攻略出来るようになり、 メインのゆめを全てクリアすることでEDとなる ストーリー いつものようにバクにゆめを食べさせては旅する主人公達 だがいつの間にやら毒に犯されていって、元気がなくなっていくバク 原因が分からない主人公はバクを元気づけようと、たくさん夢を食べさせるように奔走する しかしバクを苦しめる毒は散らばる夢の中にあった…… ※変更、追加などあるかもしれません システム 現段階で確実に決まっているのは「クリアしたゆめリスト」、かえるの絵本みたいな感じ モンスター図鑑みたいなのを改造すればいけないかなーとか ゲームフローチャート おおまかで雑い仮フローチャート、後々作り直されるかも EXCEL形式での間違いを修正、EXCEL形式からPNG画像に変更 無駄に大きいので注意(容量でなくサイズが)
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試しに。 コメントその1。 -- (結城) 2010-05-05 16 30 57 試しに。 コメントその2。 -- (結城) 2010-05-05 16 32 16 うん、OK大丈夫そう。 で、この機能使ってみるかい? -- (結城) 2010-05-05 16 32 41 うん、使いましょう。 もう少し機能を見ておくべきでしたねぇ…… -- (三日月) 2010-05-05 17 01 04 んじゃーそういう訳で、もう一回書いておくぜ。 俺の人物紹介ページみたいな簡単な絵でいいなら希望されれば書くぜ! ただし、期限とクオリティーに文句は言わないでくれー。 あと、ラフ画があると尚よし! ラフ画なしに他人の絵を描くのは意外と難しいぜ。 -- (結城) 2010-05-05 17 13 23 とりあえず主要な幻獣たちは更新したです。 次は主要な人物ーと行きたいんですが。 ・シャイニングジジイ ・羽月 ・闇鷹 は、僕が書くのにも限界があるので。 皆さんにお任せします。 白夜さん……まだ覗いてるんですかねぇ? -- (三日月) 2010-05-05 17 16 28 とりあえず三日月さんの絵は追加ー。 -- (結城) 2010-05-05 22 08 16 仕事早いですねぇ・・・・・・ GJです!! -- (三日月) 2010-05-05 22 10 51 おや、もう見てくれたのかい? あれでよかったかい? あと、あの絵のタイプは影を重ねて縫ったり、塗りむらを気にしたりしなくていいから結構さっと塗れるんだよ。 つまり、作業時間がかなり短縮されるのさ! -- (結城) 2010-05-05 23 17 09 特に細かい絵にする必要も無いですし。 充分だと思うですよー。 -- (三日月) 2010-05-05 23 18 53 おえび追加 -- (月夜) 2010-05-08 12 57 07 人物紹介ページ追加してみました。 中途半端ですがとりあえずここまで。 -- (唯) 2010-05-11 12 13 26 じわじわとできてきてるですねぇ。 お絵かき掲示板何てあったんですかぁ・・・・・・ やっぱりちゃんと昨日とかを確認するですかねぇ。 まぁ急いで完成させる必要も無いですし。 気楽に作っていくですよ~ さーて、僕も編集してくるですかねぇ -- (三日月) 2010-05-14 19 25 24 人物紹介ページ編集完了。 結城さんに唯の絵も書いていただけると嬉しいです。 -- (唯) 2010-05-19 10 40 03 およ、了解。 じゃあ唯さんのも描きますね。 がんばってみよー。 似てないとか、雑だとかそういう苦情は受けつけないぜー。 -- (結城) 2010-05-20 21 48 17 大丈夫! 結城さんの腕前なら苦情なんて出ないですよ!!(プレッシャー -- (三日月) 2010-05-20 23 42 16 概要説明を作ってみました。 色々と不安なので、見直しや手直し。 付けたし等をお願いします。 -- (三日月) 2010-05-22 00 48 49 結城さん、貴女は凄い。 ありがとう。感謝の極みです。 -- (唯) 2010-05-22 03 59 47 小説部屋設置です。 とりあえず僕の手元にある物だけ載せておきますね -- (三日月) 2010-05-28 22 50 40 三日月が復活してる!! -- (AB天) 2010-06-05 19 48 09 あ、ほんとだ。 復活おめー。 あとおかえり -- (結城) 2010-06-07 21 36 26 世界設定ページ、誤字修正と略図追加。 -- (唯) 2010-06-10 15 45 00 わ~すっげぇこれ。 ……オオ久しぶりです。 自分ところの部分も軽くまとめといて大丈夫ですか?あんまり参加できませんが真ぁ参加表明のようなものを一応確認しとくというか……。 -- (きりん) 2010-06-20 21 01 27 勿論です! 遠慮なんてしないで堂々と参加してください!! -- (三日月) 2010-06-21 21 42 22 結城さん、ちびキャラ私も書いてほしいですー -- (響) 2010-06-25 23 58 47 ○「鈍色交差点」編集指南 ○鈍色交差点型紙 上記2Pを開設、テンプレートは一通り作っておきました。 修正、及び指南の方宜しくですー -- (三日月) 2010-06-26 02 08 26 響さんでけた。 http //ciel.okitsune.com/CH/Hibiki.jpg これでおk? -- (結城) 2010-07-01 02 36 46 おげーっ!わーい白黒とモフモフつきだーvvv -- (響) 2010-07-01 20 58 48 いまさらながら、白黒の草が1枚というピクミン仕様になってる事に気付いた。 きっとピクミン実況見ながら描いたせいだorz ……これでもいいですか? -- (結城) 2010-07-01 21 31 19 あっ……保存したはずの絵が…絵が消えてる…… -- (響) 2010-07-11 15 11 42 課題レポートの山から逃げつつ、所有能力の辺りをちょっとだけ修正。 -- (唯) 2010-07-24 10 10 45 うーん、イベントの詳細を書いたですが不安です。 何か意見や指摘があればお願いですー -- (三日月) 2010-07-25 19 36 34 通常のダイスロールはいいのに、何故肝心のダイスロールが駄目なんだ……もしや本気でやれとの思し召しかっ!(勝ちロール的なものをやったせいでもあるような気もする -- (月夜) 2010-07-25 20 44 34 とりあえず本気でTRPGにしたいならステータス上限は決めるべき 後は筋力50で何ができるか? 等の指標が欲しいかな -- (ライン) 2010-07-26 19 23 38 TRPGとは言っても、皆さんが桁違いな規格外と言うことに沿ってやりたいので。 その辺を考えると上限なしのほうが良いかなと思いまして。 なので本格的に構築したのは別で使うつもりです。 設定や進行、判定のテスト運転とでも言いますか、そんな感じでやると思ってもらえば。 あくまで、僕は「あのチャットのイベント」がやりたいんであって、TRPGがやりたいんじゃないんですよ。 TRPGは別口でやりたいと思っているに過ぎないんです。 指摘感謝! 指標ですか。 了解です、近いうちに更新しますね。 -- (三日月) 2010-07-27 00 36 46 能力値の指標表を作って見した。 ただ、こう言うのは無い方が良いかなとも思います。 どう思いますか? もしくはルールを組み替えて使うべきでしょうか・・・ -- (三日月) 2010-07-27 21 45 54 一からキャラを作るならいらないけど、既存キャラを当て嵌めるなら必要かと 例えば、響さんが石壁を腕力で粉砕するのはおかしいが、木箱を持てないのもおかしい 基準が判らないと、そのあたりの調整が出来ない 他にはクロウが大地を腕力で地割れ起こすのは難しい(よね?)が壁程度は粉砕するっしょ? -- (ライン) 2010-07-28 07 26 35 んじゃ、このイベントでは使用。 オリジナルの方はまた考え直しですね。 -- (三日月) 2010-07-28 15 06 32 えーと、相談です。 イベント用TRPGの奴なんですが。 数値を小さくするつもりなんで・・・ それに合わせて能力値の大小に関係してできることが変わるのではなく。 一定以上の能力値を満たした場合、任意で行動範囲の広がるスキルを取得できる方式にしたらどうかと思うんですが。 どうでしょう、意見お願いします。 -- (三日月) 2010-08-09 15 23 44 よーわからんが、三階以上ある建物で行動値がたとえば5以上なら三階を探索できるが、5未満なら二階までしか探索できないとかそんな所? -- (ライン) 2010-08-11 07 55 46 えーと・・・ですね。 『幻獣解放作戦一覧表のページ』に記述した通りなんですが。 分かり難いですか? -- (三日月) 2010-08-11 16 11 08 あー、そっち覗いてなかったわ。 つか、他面子の意見もほしいね -- (ライン) 2010-08-11 19 50 20 ですねぇ・・・・・・ まぁ、チャットで聞いてみるですよ -- (三日月) 2010-08-11 21 00 44 誰か暇な人、Weekendの続き(最終回やらなにやら)書いてみてください -- (AB天) 2010-08-12 00 20 11 更新再開~です? まぁ、適当に書き進めますかね。 -- (三日月) 2010-11-30 23 19 50 響さんは昔から、ああだったんですねぇ・・・・・・ ん? 勿論姫的なって意味ですけど? 黒兎さん、何か物語り完結な風ですけど。 “黒兎さん”は集会所に戻ってくるんですかねぇ? -- (三日月) 2011-01-24 20 24 16 求む生存報告(一応ね -- (AB天) 2011-03-12 22 35 24 うっはー、すげー久々に来た。 生存報告求むってことだから、遅いけど、書いておこう。 -- (結城) 2011-07-28 22 11 25 ハルさんに向けたメッセージ TPRGのオンラインセッションはVCとTCがある。 後者のオンセに用いられているサイト(PC向け) どどんとふ(http //www.dodontof.com/) 割とここでやることが多い。 あるいはIRCというチャットシステム。検索かけたらでてくるんで。 前者はSKYPEを利用してダイススクリプトのみを他で代用する方法。 これは時間がかかりにくい まあ、いろいろあります -- (オーマ) 2011-08-07 01 08 53 ちなみにダイスを携帯でも振る方法はみっきーのチャット部屋を改造すると 「2d6」と入力するとダイス古のができるから、むしろそっちがいいのかも? ミッキー頑張ってくれー! -- (オーマ) 2011-08-09 00 01 53 今やってるイベントのBBS作ったからURLこっちに載せときますね。 http //hinatanoyuki.bbs.fc2.com/ リンク貼れてなかったらすいません -- (名城) 2011-10-27 13 40 30 じわじわ更新&整理再開。 イベントのためですが、情報を整えていきますよー -- (三日月) 2012-06-25 00 25 14
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0319:東京交差点~男と女~ 東京にて、妖艶な溜息を吐き捨てる美女が一人。 「はぁん……なんでだぁれもいないのよぉん」 美女の名は蘇妲己。彼女は日本列島を行き来する列車の旅をここ東京で中断し、仲間を求めていた。 東京といえば日本の首都。参加者名簿から見るに、このゲームには日本人が多い。 つまり、ここを目指そうという考えを持つ者が何人かはいるはず。そう考えてこの大都市にやって来たというのに…… 無人。普段人が所狭しと賑わうそこは、誰もいなかった。 「さて……これからどうしようかしらぁん」 仲間を集めたかったのに、当てが外れてしまった。 このままさらに当てなき旅を続けるか、それともいっそLか太公望と交信(コンタクト)を取るか。 先を考えれば後者の選択はない。だが、ならばどこへ向かえばいいというのか。 「う~ん、悩むわぁん……あら?」 次の行動を思案する妲己の目が、動く物体を捉えた。 屈強な肉体に強面を揃えた男。一見した印象は、『歴戦の勇士』という感じだった。 「あらあら、いたじゃな~い! イ・イ・オ・ト・コ!」 軽やかな足取りで対象に歩み寄る妲己。そこに恐れはない。 妲己が捉えた男の名はラオウ。肩書きは世紀末覇者。 誰もが恐れる拳王であり、強者であり、悪鬼。 この殺人ゲーム、中には恐れなく歩み寄ってきた変わり者もいたが、基本的に遭遇した者とは闘争が生まれていた。 それが拳王の生きる道。例えどんな傷を負っていようとも、例えどんな強力な武器を授かっていようとも、己の拳を頼りに戦い通す。 そんな男に声を掛けたのは、世界を手にすることを企んだ女狐。女性でありながら、高みを目指すその欲望は、ラオウと同種のものだった。 「ねぇねぇ、そこのあ・な・た・ぁ・ん」 「……失せろ」 声を掛けた妲己を、ラオウは一蹴した。 カズキや遊戯とはあまりに違う態度にカチンときた妲己だったが、それもそのはず。 拳王の称号を持つこの男が、たかが美女ごときに靡くはずもない。 妲己を無視したままその場を去っていこうとするラオウに、妲己はしつこく食いさがった。 「ちょっと待ってよぉん。こ~んなか弱いわらわを見捨てるのぉん? 女が夜遅くにこんなところにいたら、襲われてしまうわぁん」 妲己がやたら大げさなアクションを取りながら話しかけるも、ラオウは全く耳を貸そうとしない。 威風堂々悠々自適。ラオウの歩みは、色仕掛けなどでは止まらない。 「…………ムカ」 これには、さすがの妲己も我慢できなかった。 色仕掛けが効かないにしても、無視はないだろう。 あまりの扱いをされた妲己は、思わず戦闘態勢を取った。と言っても、取っただけ。本当の狙いはここで戦闘を起こすことではない。 妲己が一瞬だけ殺気を放つと、ラオウは僅かだがピクリと反応を見せた。やはり。 男には、二種類の人種がいる。 女好きな男と、女以上に好きなものが存在する男。 随分と偏った分け方だが、この場合はこの二通りで考えてみる。 この男、ラオウは間違いなく後者だ。 そして女より大事にしているそれは、おそらく『戦い』。先程妲己が放った殺気に反応したのが、その証拠だ。 要するに、戦闘馬鹿。この時点で妲己の仲間としては相応しくないことが明白である。 ならばどうするか。相手は一人で行動しているようだし、このまま人数減らしの一環として始末するのもいいが…… 「この拳王、女を殺す拳は持たぬ」 一言そう言い捨てると、ラオウは再び歩き去ってしまった。 応戦するかと思いきや、こちらが女であるという理由だけで交戦を拒否。 女から逃げるというのはどうなのか。プライドというものはないのか。 色々言ってやりたかったが、ラオウがあまりにも堂々としていたせいだろうか。 「……なによあれ。変な奴」 妲己は、それしか口にしなかった。 そして同時に、それ以上ラオウを追おうともせず、別方向へ歩を進める。 やはり、まずは新たな仲間を探そう。 奇妙な二人の出会いは、特に何事もなく終了した。 戦果といえば、妲己の持つ交信の対象者が一人増えたくらい。もっとも、この時点では妲己はラオウの名前すら知らなかったのだが。 再び会うことがあるかどうかは、誰にも分からない。 【東京/夜中】 【ラオウ@北斗の拳】 [状態]:胸元を負傷胸元を負傷(出血は止まったが、大きく傷跡が残る) 右腕にダメージ、右手ただれ・薬指小指喪失 [道具]:荷物一式、不明 [思考]:1.新たな強者を求めていく 2.いずれ江田島平八と決着をつける 3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先) 【蘇妲己@封神演義】 [状態]:少し精神的に消耗、満腹、上機嫌 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険 [道具]:荷物一式×4(一食分消費)、黒い核鉄Ⅲ@武装錬金、ドラゴンキラー@ダイの大冒険 黒の章&霊界テレビ@幽遊白書、千年パズル(ピース状態)、GIスペルカード『交信』@HUNTER×HUNTER [思考]:1.仲間と武器を集める 2.仲間が集まったらLか太公望と連絡をとる。 3.本性発覚を防ぎたいが、バレたとしても可能なら説得して協力を求める 4.ゲームを脱出。可能なら太公望も脱出させるが不可能なら見捨てる 時系列順に読む Back 頼れる存在 Next 清里高原大炎上戦① 投下順で読む Back 集う男達 Next 死神交響曲第十一番第三楽章『王者』 287:掃除屋達の慕情【後編】 ラオウ 330:受け継がれる魂 299:コンタクト 蘇妲己 322:黒猫の心は黒に蝕まれ
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「……分かれ道ですね、どっちが街でしょうか?」 「どっちに行っても街はあったろ。近い遠いの差はあるだろうが……」 この男……名前は確か篠原とか言ったか。さっきまで肩を借りていたが、今は自分で歩いている。 ここまで来るまでにずいぶん気分が良くなかったが、なんとか普通の状態まで持ち直せた。 いつまでも肩を借りていては、自分の行動に支障が出てしまう。そう思い、途中から自分で歩くようにした。 それに、身代わり過ぎないこいつに、もしもの時情けをかけてしまう可能性も考えてのことだった。 「どっちが近いんでしょうか?ちょっと調べてみます」 「ああ……」 そう言うと、デイパックからPDAを取り出し操作し始める。 地図には、大した機能も付いていない。調べるのは、1分とかからずに終わったようだ。 「西の橋を通っても、このまま東に行っても街がありますよ。距離は……どっちが近いんだろう……」 「どっちでもいい。結局、両方とも街なんだからな」 「確かにそうですね」 出来る事なら、あまり会話を交わしたくない。前にも言ったが、もしもの時にこいつを盾にできなくなってしまうのは困る。 ……自分の目的は、優勝することだ。そのためには、他者を利用することも厭わない。 だから、他人と必要以上に深く交流する必要はない。 「……じゃあ、橋を通っていきましょうか」 「分かった」 言われるがままに、橋の方へ歩き出すが、自分の気持ちは、また別の方向に向いていた。 ……武器の確保がしたい。 やっぱり、警棒ではこころもとない。もし、銃を持っている相手に出くわしたらどうする? 1度は篠原で防げるかもしれないが、2回目は防げない。そうなると、自分自身が戦うことになる。 もちろん、戦わずに逃走する手もある。だが、敵の前で背後を晒すのはリスクが高い。 しかし、手持ちの武器でそんな脅威に対して対処するのも、またリスクが高い。 (……せめてこいつが、銃でも持ってればな) せめて銃をこいつがもっているなら、上手く言い包めて銃を自分の物にすることもできる。 だが、持っていない物はどうしようもない。道端に、銃が落ちている可能性も限りなく低い。 さっきの放送で、デイパックが会場内にあるとか言ってたが、この辺りにはそんな物はない。 結局、今の段階ではいい武器を入手することは、結局不可能だと言うことになってしまう。 (あーあ、本当盾くらいにしかなんねえなこいつ) まあ、何の役にも立たないよりはマシだ。そんな奴、ただの足手まといでしかない。 足手まといと一緒に同行するくらいなら、1人で行動する方が生き残る可能性が上がる。 自分が最後まで生き延びて優勝するためなら、仲間を切り捨てることも厭わない。 例えそれが――自分と同じ書き手さんであっても――倒す。 「行かないんですか?さっきからずっと立ち止まってますけど……」 「ああ、行くよ」 ◇ 「結構歩いたのう……」 「そうでもないやろ?」 森を抜け、街を抜けて、やっと橋へ辿り着いた。そのまま、欄干に寄り掛かり一息入れる。 自分は、別に街の方に用はなかったが、この男が「どうしても調べたい」と言うから渋々付き合った。 しかし、どうやら探していた奴は見つからなかったようで、ションボリしてはいたが、今はもう立ち直っている。 ……この男が探している奴とは、一体どんな奴なのだろうか?街を探し回るほど、信頼されているのだろうか。 だとしたら、かなりの信頼関係が2人の間にある事になる。 「さっき探していた奴は、一体どんな奴なのじゃ?」 「そうやなあ……強くて、情に篤うて、スゴいで」 短く、シンプルな答え。 だからこそ、どんな人物なのかが良く分かる。強くて、情に篤く、スゴい。自分も、そいつに会ってみたい。 しかし、今どこにいるのかは分からない。 (……いつか、会えるとよいのじゃが) 「そろそろ行くで、ボサッとしとったら、ここに置いてくで……!」 「遅れは取らぬわ……む」 僅かながら、殺気を感じ取る。それは、この男も同じようだった。ぎこちない手つきて銃を構え、男の方は、ドスを構える。 辺りは未だに暗闇。所々に街灯がある以外は、明かりはない。 懐中電灯を使うことも考えたが、もしそこから相手に自分の詳しい位置を悟られては困る。 なので、多少リスクを負うことになるが自分の感覚に頼る事にした。多少の衰えはあるが、使えない程では無い。 「……どこにおるんじゃ」 「……分からん。気ぃ付けえよ」 一時たりとも気を抜けない。 敵は、どこから来て何を持っているのかすら分からないのだ。注意する以外出来る事がない。 近くまで来ているのか、遠くでこちらがどう出るのか待っているのか……。全く分からない。 緊張状態が続く中、時間だけが無情にも流れて行く。 いい加減、警戒を解いて早足でこの橋を渡ってしまおうか?と思っていた矢先のことだった。 小さな破裂音の直後、何かが橋の欄干に当たりどこかへ跳ねて飛んで行く。 「逃げるぞっ!!」 「分かっとるわ!!」 この間にも、依然何発もの弾丸が自分たちの周りを空気を切りながら飛んでいる。 どこから飛んで来ているのかが分かれば、そちらの方に銃撃を加えて止めさせることもできるのだが。 それができない以上、今の自分には逃げる事しかできない。 「卑怯な……むうっ!」 気ばかリ焦っていたせいだろう。足がもつれ、気が付くと勢いそのままに欄干から中空へ飛び出していた。 一瞬、何が起こったのか分からなかったが、そのまた一瞬後に全てを理解できた。 ……自分は今、橋から落ちようとしている。そして、もうこれを食い止める術はない。 「うああああああ……………」 ◇ 「さっきの音って、こっちですよね?」 「そうだろ、多分」 やっと橋の上に乗ろうか、と言ったところで橋の端の辺りから銃声らしき音が聞こえてきた。 最初は自分も篠原も動けずにいたが、音が止んだのを確認してから音源の方向に行くことになった。 正直、自分はあまり乗り気ではなかったのだが、断るのも何だったので付いて行くことにした。 ……詳しい訳ではないが、銃声の間隔から見るに、連射の効かない銃ではないかと思われる。 連射の効く銃なら、銃声の感覚は必然的に短くなる。しかし、音と音の感覚は長かった。 (あってせいぜいサブマシンガンくらいだろう……) その程度なら、1度人体を通せば威力はガタ落ちする。篠原を盾にしている内に、自分は逃げてしまえはいい。 それで、自分の命は守れる……簡単なことだ。その時、音のした方から男が走ってくる。 見た目は、まんまヤクザと言った風貌で、どう見ても善人には見えない。 「あの、向こうで何が……」 「そこどけや!!邪魔すんなや!!」 「うわっ!!」 何か聞こうとしていたようだが、その前に会話を遮られ、その上突き飛ばされまでされた。 ヤクザ風の男はかなり急いでいたようだ。おそらく、あの銃声と何らかの関係があるだろう。 しかし、あの男は銃を持っていなかった。と言う事は、あの男は襲われた側だと言う事になる。 襲撃者から何とか逃れ走って逃げて、ここで俺達に会った、と言った所だろうか。 (まあ、興味なんて微塵もねえけどな) むしろ、その時に殺されなかったのを残念に思うくらいだ。あのヤクザは、多分強い。 そんな強い相手が、自分が戦う前に殺されるのは、やはり好都合だろう。 一応、さっきのヤクザ風の男がどこに行ったか聞いてみる。 「さっきの奴は、どこに行った?」 「土手を降りて行きました」 土手に……。 追っ手から逃れるためだろうか?それとも、武器を川に落としてそれを回収するとかか? ……こんなことを、自分が考える必要はない。わざわざ、他人の心配をする必要はない。 しかし……さっきから妙に人の事を気にしてしまうのは気のせいなのだろうか? (チッ、何やってんだ俺) その時。 再度、銃声が聞こえてきた。しかも、今度はかなり近い。もしかして、こちらに気が付いている? まだ辺りは暗く、この辺りには街灯の明かりは届かない。従って、こっちには気づかな……。 いや。違う。 ……篠原は、懐中電灯を付けている。つまり、相手にはこっちの位置が筒抜けになっている。 しかし、自分は懐中電灯を付けていない。今なら、闇に乗じて逃走することもできる。 「銃の音ですよ!近くに、誰かいます!」 「ああ……分かってる」 分かりきったことを大きな声で言うなんて……。この声を聞いた相手は、間違い無く警戒心を抱いたろう。 相手も、こっちがどう出るか見ているはずだ。この状況で逃げ出せすのは、頭のいい判断ではない。 暗いとは言え、激しい動きをすれば、それだけ目立つ。つまり、自分が格好の的になる可能性もあるのだ。 そんな事を考えている内に、相手がようやく視界に入ってきた。 (……クソッ) さりげなく、かつ自然に篠原の後ろに回る。そして、肩ごしに向こうを覗き見てみる。 ……予想通り、拳銃らしき物を持っている。今、弾はどれくらい入っているだろうか? 「死んで貰うぜ、お前ら」 「……じゃあな」 相手が銃を構えると同時に、篠原の背を押して相手の方に押しやる。 その隙に、闇に乗じてとりあえず東に向かって全速力で走り出す。 橋から遠ざかって行くと共に、篠原の悲鳴と銃声も、まただんだん小さくなっていく。 (……何だ、この何かが腑に落ちない感覚は) 【一日目・黎明/C-3の端】 【◆8nn53GQqtY@途中参加者】 [状態]:健康 [装備]:特製特殊警棒 [所持品]:支給品一式、消毒用アルコール [思考・行動] 基本:表面上は乗っていないように偽る。 1:時間はこれで稼げた、今の内に逃げるか 2:……何か腑に落ちない ◆ 自分の足元に転がる、日本人らしき死体。 こいつの名前など知るよしも無いが、今の自分に会ったことが運の尽きだったのだろう。 あの時、懐中電灯を最初から消していれば、こうならないで済んだだろうに……。 死んでしまった今となっては、全てが手遅れだが。 「何か武器持ってるかな……変な機械しか持ってねえじゃねえか」 変な機械を放り出し、辺りの様子を伺う。 ……もう1人いたやつは、既に何処かに逃げてしまったようだ。今からでは、もう追えないだろう。 こいつを殺す前に襲った2人組も、どこにいるか分からなくなってしまった。 かすかに水の音がしたから、どちらかが川に落ちたと思うのだが、もう片方の奴が助けに行っている可能性がある。 それにしても、全く自分はついてない。さっきの戦闘で、手持ちの弾をかなり消費してしまった。 今残っている弾は、銃の中に装填されている1発と、マガジンに残っている3発。 自分の考えていた計画では、殺した相手の武器を奪ってだんだん武装を強化したかったのだが……。 肝心の殺した奴が武器らしい武器を持っておらず、自身も調子に乗って弾丸を無駄使いしてしまった。 (予備の弾が欲しいが……無理だろうな……) そうそう銃弾なんか落ちているはずがない。こんな状況で落ちてる物は、使えない銃弾か薬莢くらいだろう。 そんなものを拾ったところで、せいぜい投げて敵を陽動するくらいにしか使えない。 「……北上してみっか」 なんとなく、北上してみることにする。 ただ、なんとなく北上する。 自分の心を満たすために。 自分を、満足させる為に。 【一日目・黎明/C-3】 【ガイエル・アゼリン@途中参加者】 [状態]:健康 [装備]:FN ファイブセブン(4/10) [所持品]:支給品一式 [思考・行動] 基本:とりあえず、優勝を目指す 1:とりあえず北上してみる ※アノーマリー探知機の存在に気づいていません。また、ルールを確認していません 【篠原一弥@絶体絶命都市2 死亡】 死因:射殺 ◇ 「ここら辺のはずなんやが……」 川の中を、濡れることも厭わず探し回る。 暗いので良く分からないが、さっきあの爺さんが落ちた場所はこの辺りだったはずだ。 改めて川に入ってみると、結構深かった。正確な深さまでは分からないが、おそらく4~50センチはある。 (……流されたんやろうか?落ちた衝撃で気絶でもして) もしそうだとしたら、もう見つけることはできないだろう。 下流の方まで流されたとしたら、どこにいるのかを知ることは不可能に近い。 「……やっぱり……流されてしもたんやろか……」 「………勝手に決めるでない」 背後から、あの爺さんの声。驚いて振り向くと、橋の柱に寄り掛かり立っている爺さんの姿が。 生きていた。どうやって助かったのかは分からないが、とにかく生きていた。 ホッ、と無意識に胸を撫で下ろす。 「おう、生きとったんか。一体、何が起こったんや」 「ふむ、そっちでは目に付くからのう。橋の下に隠れるとしよう」 (川ん中におったら、そら目立つわな……) 爺さんから聞いた話をまとめると、こんな感じだった。 あの後川に落ちはしたが、日頃の鍛錬のお陰でなんとか助かった。もちろん、少し腕を痛めたが。 それから、何とか立ち上がりもしも奴が追ってくると困るので橋の下に隠れ、じっと気配を探った。 何度か銃声が聞こえ、誰かの叫び声や悲鳴が聞こえてきた後、静かになった。 そろそろ出て行っても大丈夫だろうか……と、思っていた時に自分が探しに来た。 「もう少し川が浅ければ危なかったがのう……」 「ま、川に感謝するんやな。……そろそろ、川から上がらへんか?」 【一日目・黎明/C-3:橋の下】 【真島吾郎@龍が如く2】 [状態]:健康 [装備]:長ドス@龍が如く2、Mama sBeads@S.T.A.L.K.E.R. [所持品]:支給品一式 [思考・行動] 基本:桐生チャンを探して戦う。他はどうでもええ。 1:爺さんが助かって良かったわ 2:この爺さんといっしょに行くか 【藤波栄太郎@途中参加者】 [状態]:健康、ずぶ濡れ、右手打撲 [装備]:ベレッタM92(15/15)@その他 [所持品]:支給品一式 [思考・行動] 基本:ゲームには乗らないが、襲い掛かる者は斬る。 1:この者と一時行動 2:2人が気になるのう…… ※ルールを確認していません
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冒頭 俺の世界は―――無くなった。 違う。俺が俺の世界からいなくなったのかもしれない。 そして俺は俺が存在するべきでない場所にいる。 幸せ。・・・そう思える。 正しさの交差点wikiへようこそ ここはいずれ作成するであろう「エタバトRPG」のwikiです。 製作者の趣味、妄想で始めたものなのであまりよくはないでしょうが、使っていってください。 なお作成途中ですらないので予告なく変更などがあります。 そこら辺はご了承くださいませ。 脱退・名前変更者について 名前を変更した方の扱いですがストーリーを書き直すのが大変な作業なのでそのまま進めます。 また、脱退者についてはこの作品からも除外することにしました。 ご了承くださいませ。 追記 脱退者についてですが脱退報告文に 「帰ってきたときは~」や「戻ってきたら~」 などと記入している場合帰還の可能性があると見、作品からは除外されません。 戻ってくる余地がある以上、除外の必要はないと判断しました。 原作者 耶麻斗 22章までうp パスはあおからに聞いてください。信頼出来る人にのみ教えます http //maglog.jp/aosakura/Article471173.html オーディオファイルが別に入っているので↓をDLして解凍した後にツクールのデータの中に入れてください (パスは同じく聞いてください)(すまない、3回解凍するんだ) http //toku.xdisc.net 8080/Sn4/rew/hg9908.zip.html 正しさの交差点with一筋の閃光 機種:パソコン 値段:無料 発売日:未定 OPテーマ「RISING FORCE」(JAM Project) EDテーマ「モザイクカケラ」(SunSet Swish)
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大見出し パズルのように組み立てたささやかな日々
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タグ レア度7 丸形 規制標識 青地白記号 2013年6月に施行された規制標識。 「ラウンドアバウト」と呼ばれている。某アニメのEDは関係ない。 この標識がある環状交差点では右回り(時計回り)に通行しなければならないという意味がある。 描かれている矢印は「ロータリーあり」のものを回転させたものだと思われる。 施行されて6年以上(ページ作成時)経っているが、設置場所は限られると思われるため今後もレア度は高いと思われるであろう。 (管理人撮影) 番号 327の10 分類 規制標識(丸形、青地白記号) レア度 7 コメント 2020/4/22 画像を追加しました。 -- 近鉄 (2020-04-22 16 35 50) 名前 コメント
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ヤサコ「コイルスの資料によると、ヌルキャリアははじめ、心のかけらを集める探査装置だったそうです」 女子生徒「あの子、ミチコさん呼び出そうとしたんだってー。本当なの?ヤサコ」 ヤサコ「う、うん。よく知らない。」 ヤサコ「前、マユミが言ってたはざま交差点。教えて欲しいの。どうやって行ったの?」 マユミ「今さら」 ヤサコ「どうしても、必要なの。友達の、命がかかってるの」 マユミ「それって、本当に友達?」 ヤサコ「えっ?」 マユミ「私の時と同じで、あなたが友達のフリしてるだけなんじゃないの」 ヤサコ「マユミ」 マユミ「あの時は、聞きたくないって言ったくせに。 みんなと一緒に私のこと無視したくせに。ミチコさんに呪われるとか言ってさ」 ヤサコ「怖かったの。だから」 マユミ「あなたは、いつだってそう!表向きはいい顔して、裏では友達を呼び捨てしたりしてる。ちゃんと知ってるんだから。ずっと、ずっとあなたのそういうところが嫌いだった。優しいフリして、でも困った時には助けてくれなかった。だから私は、自分でなんとかしたわ。あなたもそうして」 ハラケン「おばちゃん怒ってるだろうな。……あった!ヤサコの通った道筋だ。にしても、おばちゃんのメガネ、くせが強いなー」 おばちゃん「くせの強い女で悪かったわね。私をなめるんじゃないわよ。自分のハードの位置くらい3分で分かるわ」 ハラケン「ヤサコはあのマンホールの場所に行くつもりなんだ。止めないと」 おばちゃん「あの時の、ケンちゃんみたいに?」 ハラケン」「ハッ」 おばちゃん「はー。この中継モードをあげれば、もっと精度が上がるわ」 ハラケン「あ。おばちゃん?」 おばちゃん「ヤサコは何か自分で手がかりを見つけたのよ。彼女にかけるしかないわ」 ヤサコ「聞こえない……もう道が分からない」 マユミ「だから私は自分でなんとかしたわ。あなたもそうして」 ヤサコ「マユミの言う通りだ。……痛い。この痛みの先に答えがある。 あ。霧だ……。えっ……」 猫目「金沢にもコイルシステムがあったのか。今もし小此木が天沢を連れ帰ったら空間を維持できなくなる。早く始末をしなくては」 タケル「兄ちゃん、あの子は何も悪くないんだ。ひどいことをしないで」 猫目「ああ、分かってるさ」 ヤサコ「通路だわ。マユミが見たのはこれだったんだわ。……あ!」 カタカタ ヌル「デバイスID、確認されました。小此木先生、試験領域にアクセスしますか?」 ヤサコ「小此木先生?」 おばちゃん「意識を失ったイサコの主治医は小此木医師だ。彼は、コイルスの電脳技術を引き継ぎ、解明しようとしていた。まさかここまでとは思っていなかったけど。おそらくヌルの正体は、コイルスの作ったヌルキャリアという乗り物だ」 ハラケン「ヌルキャリア?」 おばちゃん「本来は、あっちから情報を引き上げる探査隊だったらしい。でも、改造を加えるうちに、電脳コイル現象を利用して、あっちへと意識を送り込み、電脳の乗り物として、使われるようになったのよ。今までの事故は、放棄したヌルと通路との結果なのよ。でも、本来の機能通りに使えばおそらく。あの野生化したヌルと同じく、通路に入れるはずよ」 ハラケン「じゃあ、ヤサコはそれを」 おばちゃん「コイルスは私有地に試験用の交差点を設置していた。古い地名から名前をつけてね。それがはざま交差点。コイルスの金沢支社のあった場所に、今もあるはずよ。そして、おそらく通路も」 ハラケン「もうすぐだ! !ヤサコ!」 おばちゃん「遅かった……あ!」 ハラケン「ヌル!?」 おばちゃん「大丈夫。正常なヌルよ。先にこの子が入ったわね」 カチカチカチカチ ヌル「小此木先生が、試験領域に、ログインしています」 おばちゃん「やはり」 ハラケン「ぼくが行く!ヌル、ぼくを触ってくれ!」 ヌル「デバイスIDが一致しません」 おばちゃん「コイルスのメガネでないと入れないんだわ」 ヒョーーーーン おばちゃん「あ!2.0!」 猫目「内部からも破壊する気か!くそっ、こうなったら。足跡は残るが、強硬手段で行くしかない!」 ハラケン「どういうこと?」 おばちゃん「本社が動き始めたんだわ。こうなったら」 ペシッ おばちゃん「タマ、ヤサコを追うのよ!」 カタカタ、カタカタ サッチー「ぼく、サッチー」 おばちゃん「本社が、イマーゴと電脳コイルの問題が世間に知られるのを恐れている」 ハラケン「じゃあ!」 おばちゃん「あっちの中心よ。ヤサコごと消す気だわ」 ハラケン「そんな?」 ピュイーーーーーンカッビシシシシシシシ! ハラケン「ああ!」 ピュイーン 猫目「くそ、遅かった」 ピュイーン……カタカタカタカタカタ、カタカタ。ピューン 猫目「コントロールは奪った。もみ消し、頼みます」 ピ 猫目「次は内部の2機だな。あとは、あの子供さえなんとかすれば!」 タケル「お兄ちゃん」 ハラケン「おばちゃん、ヤサコが中に!」 おばちゃん「落ち着いて。タマのパネルを繋いでみるわ」 ヤサコ「あ……あ」 ヒュオーン ヤサコ「あ!」 ヒューーーーー ヤサコ「あ!」 カタカタカタカタ 猫目「よーし、こちらもなんとか間に合った。さあ、あの子はどこだ。チッセンサーがうまく働かん」 タケル「に、兄ちゃん。やめようよ。あの子は」 猫目「だまれ!いい加減にしないとその口をふさぐぞ!」 ヤサコ「ハアハアハアハア、あ!あ…… あ。うっ。痛いわ」 ヒュイーン 猫目「見つけたぞ!」 ヒューンビジジジ!バアアア! ヤサコ「ああ! っ!」 ビジッ 猫目「くそお、こしゃくな。タケル、手動で修復だ!」 タケル「わ、わかったよお兄ちゃん」 カタカタカタカタ ヒューンヒュイーン ババババ ヤサコ「サッチー!?」 サッチー「ぼくだ、ハラケンだ!」 ヤサコ「ええ!?」 ビジジジ!バウン! ビョビョビョビョ ヤサコ「ええ!?うへっ」 コポッ ヤサコ「あっ」 ウィイーン ヤサコ「うわあ!」 おばちゃん「ヤサコ聞こえる?」 ヤサコ「あ、おばちゃん!」 おばちゃん「ふ。うまく行ったわ」 ヤサコ「どうしてタマが?」 おばちゃん「私のアカウントは消去されたけど、ケンちゃんの裏口が気づかれずに残ってたの」 ハラケン「ヤサコ、ぼくだ!」 ヤサコ「ハラケン。よかった、目が覚めたのね」 ハラケン「うん。ぼくのことは、もう心配ないよ」 ヤサコ「飛んでる」 おばちゃん「持ち出す時、いろいろ手を加えたのよ。大人としては、後が大変だけどね」 ハラケン「でも、どっちに迎えば」 イサコ「ここは……お兄ちゃん。そうだ、この階段の上、そこにいるのね、お兄ちゃん!」 イサコ兄「ユウコ、ユウコ」 イサコ「見て、お母さんが作ってくれたの。このお人形は、お兄ちゃんと私。だから、私のこと、忘れないでね」 イサコ兄「忘れないさ。勇子こそ、ぼくのこと忘れるなよ」 イサコ「お母さん、時々怖いの。私のこと、ぶつの」 イサコ兄「泣いちゃだめだ、イサコ」 イサコ「イサコ?」 イサコ兄「ああ。秘密の暗号名だ。勇子の勇は勇ましいの勇。だからイサコ」 イサコ「うん!」 イサコ兄「ぼくだけがそう呼ぶ秘密の暗号だよ」 イサコ「じゃあお兄ちゃんの秘密の名前は?」 イサコ兄「そうだな。ぼくは4423。」 イサコ「44、23」 イサコ兄「さあ、もうすぐお別れの時間だ。上で遊ぼう、イサコ」 イサコ「うん!」 イサコ「はあはあ……お兄ちゃん」 ハラケン「ヤサコ、どうしたの?」 ヤサコ「胸が、心が痛い 天沢さん。天沢さんなの?」 ミチコ「迷ってはだめ。そのまま進むのよ、勇子」 イサコ兄「お帰り、勇子」 イサコ「お兄ちゃん」 ヤサコ「この方向。タマ、この方向に進んで?」 ハラケン「ヤサコ、何かわかったの?」 ヤサコ「きっと、きっとこの先に天沢さんがいる。胸が痛みを感じる方向に」 ハラケン「痛みを感じる方向?」 ヤサコ「なぜだか分からないけど、天沢さんにもらったキラバグが胸側の私にそう教えるの どうなるか分からない。でも、私しかもう天沢さんを助けられない」 ハラケン「ヤサコ」 ヤサコ「私が、天沢さんがまだ生きていることを信じられなくなったら、天沢さんは本当に戻れなくなる。私だけが」 ハラケン「わかったよ、ヤサコ」 ヤサコ「ハラケン」 ハラケン「でも約束して。必ず戻るって。イサコも連れて、絶対戻って来るって」 ヤサコ「うん、約束する。急いで、タマ!」 うにゅーん、ゴー! おばちゃん「全く、あんたたちの保護者やるのも大変だわ」 ハラケン「でも、出口はあるのかな」 ゴーー ヤサコ「この感じ。これは天沢さんの気持ちなの?こう、悲しくて切ないような」 ハラケン「ヤサコ、反応が出た!下だ!」 ヤサコ「あ。あっちだわ。 ここも無人の街だわ ここ、大黒市?」 ハラケン「逃げろ、ヤサコ!」 ひゅーん、ドーーーーーン!!! ヤサコ「うわわ!」 ヒュオオ、ズババ ドドドドドドオン!!! 猫目「やってくれるな珠子。すぐに手を回して逮捕してやる。だが、そのくたびれたポンコツに、性能の差を思い知らせてやる!」 アイキャッチ ヒューンドドドドドドドドオン!!! ヤサコ「きゃああ!」 ハラケン「ヤサコ!」 猫目「この旧式が!」 ヒューーーーン ドオーーーン!!! ズオオオオ ヤサコ「あ、タマ? タマー!」 猫目「ちっ、こうなったら限定フォーマットで。ああ!? く、くそお!」 ドゴーーーーン 猫目「取り逃がしたか」 ジジジッ 猫目「タケル、お前何かしたのか?」 タケル「ヤサコ、殺す気だったんだね」 猫目「父さんと母さんのためだ。父さんは、イマーゴを開発して、世界で初めて人間の集合無意識を電脳空間化したんだ。それなのに、メガマスはその発明を奪って、ゴミのように捨てた。ぼくら家族全員を! それに、病気の母さんを救うには、父さんの名誉を取り戻すしかないんだ。お前だって分かってるだろう!」 ミチコ「この世界は、もうすぐ滅ぶはずだったの。あちこちが壊れ始めて、私も兄弟たちもみんな死んでいく運命だった。でも、あの人は助けてくれた。」 イサコ「あの人?」 ミチコ「宗助よ。この世界を守るために、何が必要かを教えてくれた」 猫目「復讐してやる。メガマスをズタズタにしてやる!そのために、ミチコが必要なんだ」 タケル「何を、するつもりなの?」 猫目「あのアバズレを利用して、世界中のイマーゴのガキどもを、意識不明にしてやるんだ」 タケル「そんなこと!」 猫目「あの空間を維持しなければならない。そのために、勇子をミチコにくれてやったんだ。 全部、メガマスのせいにしてやる!これでやつらも終わりだ!」 タケル「兄ちゃん。ぼくは、もう手伝えない!」 猫目「待て、タケル!馬鹿め、父さんの仇を討ちたくないのか!」 メガばあ「ううん、それにしても、この空間は一体……」 イサコおじ「そのことで、お話しがあります」 メガばあ「あっ」 イサコおじ「先生の奥様ですね。ご葬儀の時、一度」 ミチコ「でもあなたは何も気にしなくていいのよ。 この空間が、一体何のためにあるのか、何故できたのか、私にも分からない。でもあなたはここでお兄さんと一緒に幸せに暮らすことで、この世界は守られる。永遠に」 ヤサコ「ここだわ」 タッタッタッタッタ ヤサコ「鳥居の、階段だわ!」 イサコ「お兄ちゃん、ずっと一緒だよね」 イサコ兄「ああ。ずっと一緒だ」 イサコ「あ」 イサコ兄「どうしたの?」 イサコ「わかんない」 ヤサコ「天沢さん!」 イサコ「はっ!」 ミチコ「ダメよ勇子」 イサコ「誰かが、呼んでるの」 ミチコ「それは空耳よ」 イサコ「違うわ」 ミチコ「耳を傾けてはだめ勇子。あれはあなたたちの幸せを壊す声」 ヤサコ「はあはあはあはあ。いる、そこにいるのね。天沢さん、答えて!」 イサコ「誰?誰なの?」 ミチコ「勇子、勇子」 ズゴゴゴゴゴ ミチコ「どこに行くの?この空間が壊れたら、あなたのお兄さんも死んでしまうわ。勇子、あなたはこの世界を守らなくてはいけない。あの女は、お兄さんと幸せに暮らせるこの世界を壊そうとしているのよ」 イサコ「そ、そんなこと」 ミチコ「御覧なさい、勇子。何故あなたがあの子を嫌いなのか。何故あの子を拒絶しなくてはならないのか。名前をもらったのは、あなただけじゃなかった。あなたにイサコと名付けたように、あの子をヤサコと名付けた」 イサコ「やめて!」 ミチコ「それだけじゃない。あなたの大事なお兄ちゃんを、あの子は奪ったのよ。あなたがお兄ちゃんを取られたくないという気持ち。あなたがあの子を憎む気持ち。その気持ちから私は生まれたの」 イサコ「思い出した」 ミチコ「この世界だけが、あなたを優しく包んでくれる。あの子はそれを壊そうとしているの」 イサコ「そんなこと、させない」 ヤサコ「誰?」 イサコ「来ないで!」 ヤサコ「天沢さん! 天沢さん帰りましょう!?今なら間に合う!」 イサコ「帰って!私の居場所はもう、ここしかないの! 戻っても、私はお兄ちゃんを死なせた馬鹿な妹になるだけ!」 ヤサコ「天沢さん!」 イサコ「いや!ここでお兄ちゃんと暮らすの、ずっと。 もう来ないで!大っ嫌い!」 ミチコ「それでいいのよ。あの子を憎むのよ」 ヤサコ「あ、誰?あなたは誰なの?天沢さん、その子の言うことを聞いちゃだめ!」 イサコ「帰って!」 おばちゃん「コイルドメインが、崩壊する!」 ハラケン「ヤサコ!」 ヤサコ「はあはあはあはあ。ああ!」 ドオン!バキバキバキ! ヤサコ「あ……あ。ああ!」 リーン ヤサコ「あ」 リーン ヤサコ「あ」 リーン ヤサコ「えいっ」 バキバキバキ イサコ「ううっ、うっ、ううっ」 ミチコ「これでよかったのよ。これはあなたが、勇子が望んだことなのよ。ここで一緒に暮らしましょう。3人で永遠に」 イサコ「違う。何かが、違うわ」 おばちゃん「リンクが途切れた」 ハラケン「そんな!空間は!」 おばちゃん「分からない。でも今は、完全にリンクが切れている」 ハラケン「じゃあ、ヤサコはどうなるの?」 おばちゃん「ヤサコとのリンクも、切れたわ」 ハラケン「ヤサコ。ヤサコ!目を覚まして!」 ヤサコ「ハアハアハアハアハア」 リーン リーン ヤサコ「あ!」 ヤサコ母「おじいちゃんのプレゼントよ?」 ヤサコ「うわあ!」 おばあちゃん「かわいそうにねえ、やっと孫が来たのに」 クゥン ヤサコ「あー、可愛い!」 ハッ、アウーン!アウー、アウーン ヤサコ「大好き!」 ヘッヘッヘッヘ ヤサコ「うんちー」 ヤサコ「はあはあはあはあ」 ヤサコ「デンスケ」 アウーン ヤサコ「どうしよう、迷っちゃった。ここ、さっきも通ったわ」 ヤサコ「これは、私の記憶だわ。記憶を見てるんだ。あっ」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ヤサコ「あの時の。これってl、ヌルキャリア?」 イサコ「思い出した。あの時、私はお兄ちゃんと」 ミチコ「勇子」 イサコ「消えそうになってた。そうだわ。全てはあのまま、消えるはずだった」 ミチコ「思い出してはだめ」 イサコ「お兄ちゃん」 イサコ兄「もうじきぼくは、君のお兄ちゃんではいられなくなる。これからは、ぼくなしで生きていかなくてはならないんだ。」 イサコ「お兄ちゃん、別れたくない!」 イサコ「思い出した。私はお兄ちゃんと、さよならするはずだった。それなのに」 ヤサコ「この背の高さ、もしかして」 ヤサコ「あなたは何を探してるの?」 ヌル「4423」 ヤサコ「えっ」 ヌル「4423」 ヤサコ「兄さん?」 ヌル「私は、4423を探している」 ヤサコ「あっ……」 ヌル「そうだ、私はコイルスの医療器で4423を」 おばちゃん「相変わらずリンクが戻らない。このままじゃ メガばあ、何か手はないの?」 メガばあ「うん、今イサコの病室じゃ」 おばちゃん「なんですって?」 メガばあ「イサコのおじに呼ばれてな? 今全ての資料に目を通しておるわい。ん?信彦は4422?どういうことじゃ? それも死亡時期は交通事故の直後! これを見い」 シャ おばちゃん「これは、4423のカルテ。イサコの兄、天沢信彦のものね」 メガばあ「いいや違う。」 おばちゃん「えっ」 メガばあ「わしも見落としておった。患者の名前を見てみい」 おばちゃん「名前?」 ヤサコ「4423って、あのお兄ちゃん?」 ヌル「違う。私は4423を」 ヤサコ「えっ」 ヌル「天沢勇子を探している」 ヤサコ「ええっ」 おばちゃん「天沢、勇子?」 メガばあ「ああ、4423とは、イサコ自身だったのじゃ!」 ヤサコ「次回、電脳コイル、最終回 ヤサコとイサコ お楽しみに」
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符の参「街の運命の交差点」 前回までのあらすじ 辿り着いたは無人の廃校 そこには魔物が居た その最深部に居たはアフロ斉藤 魔理沙を味方に付け、フルボッコにする霊夢 そして、電気街には妖夢 霊:な訳で、電気街にやって来たわ 魔:来たぜ 出会いはいつも唐突ですねぇ 霊:人はそれを運命と呼ぶわ 魔:デステニーってやつだぜ デステニーヒーローディスクガイ!禁止おめ!ってね 霊:・・・何の話? こっちの世界のスペルカード(?)の話です 魔:そーなのかー そうなんだ 霊:さっさと行くわよ? 魔:合点承知の助! 志村!後ろ! 霊:え? ぷにっと 霊:夢想封印 ギャース! 魔:言葉で説明すると、後ろを振り向いた霊夢の頬にあいつの指が刺さったんだぜ っと、早速敵さんがお出ましですよ 霊:なんだ、ただの雑魚か 魔:マジックミサイル!ファイヤボルト!アイスチル!プラズマホール!ダイヤモンドスピア!RPGでは魔法のバリエーションが豊富だぜ! 霊:しかしまあ、このビルって言うの?無意味に多いわね これでも此処に住んでいる人の仕事場だったりするんですよ、幻想郷の建築物とはまるで違いますけどねぇ 魔:まずこんな鉄と石の塊に住むってのがよくわからないな。もっと温もりのある家を建てりゃ良いのに 耐震強度とかあるんですよ、鉄はやはり丈夫ですから 霊:まあ、日本は地震大国らしいしね 丁度、厄介な位置にあるらしいんですよ、これが 魔:へー プレートって言うですね、大きな大きな地面の板が丁度カオスな事になっている上に日本の列島があるんです。だからほぼ毎日そのプレートが動いて、地震が起こるんですわ 霊:詳しいのね、地質学者か何かなの? いえいえ、そういう学者の受け売りです。自分はただのEasyシューター兼寺子屋教師ですよ 魔:寺子屋なんてやってるのか? ええ、一応は 霊:そんなに教養がある様には思えないわね う・・・本当のことでも言わないでもらいたいぜ・・・ 魔:まあ、頑張れ あ、また敵来てますよ 霊:夢想封印! 豪勢に使いますねぇ 霊:一々作戦を考えたりするの面倒なのよ よっ!流石博麗の巫女!面倒臭がりの大雑把! 魔:その癖して金銭面に関してはケチだぜ 霊:何ですって? 魔:空耳だぜ っと、あからさまなボス扉がありますね。この先に待ち受けるは妖夢さんですか 霊:気合入れないとね 魔:マスパの準備もしとかないとな ・・・開幕マスパをされるつもりですか? 魔:戦闘は早期決着が鉄則だぜ! 確かにそうですけどね 霊:たのもーっ! 続く あとがき的八方龍殺陣 あんまり話は動いてないです と言うか、2回に分ける必要性は? よくわからない、それが俺クオリティ(意味がわからないにも程があるぜ Before 符の弐「アフロとマスタースパーク」 Next 電符「かもせ~」 Top 東方冥異伝日記 名前 コメント
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空気の読めない青空の真中で輝いている太陽が煩わしい。私の気分は絶賛どんより曇り空なのにも関わらず、あの空と太陽はそんな私を嘲笑しているかのようで、どうにもやるせない気持ちになった。 どうせなら、私の気分と同じでどんよりと湿っぽい天気になってくれたら幾らか楽になれるのに、ホント、最悪。雲一つ見当たらない空に向かって独り善がりな悪態を吐いて、憎たらしげに睨んでやると、種類も分からない私にとっては無名同然の鳥が視界を横切った。 あんたまで私の気分を害する気か。それとも、お天道様に向かって悪態を吐いた私を諌めたのか。ああ、それなら仕方ない。特別に、あの鳥は許してあげよう、ついでに、お天道様にも謝って、許して貰おう、なんて意味の分からない事を道端の真中でブツブツ呟きながら考えている私は傍から見たらどう譲歩したって変質者以上には見えないのだろう。 はあ、溜息が落ちる。遠くから段々とパタパタと焦燥感を滲ませた足音が近付いて来ている。盛大に溜息を再度吐き出しながら、私の名前が呼ばれる事を予見して、心底呆れた顔を作ってからゆっくりと振り向いた。 「おねえちゃーん!」 そんな大きい声を出さなくても十分聞こえるのに……、住宅街の真っ只中で行う迷惑行為は止めなさいよ。本人は百パーセント自覚無しでファイナルアンサーだろうけど。ほら、その証拠に私が呆れている顔をしているのが不思議なのか、眼を丸くして首を傾げてる。 まったく、少しは成長しなさいよ、と言おうと思ったら、突然マイシスターは盛大に噴き出した。そのお陰で私の顔面にマイシスター、もといつかさの唾液の飛沫が少なからずジャストミート。ピキッ。と私の眉間に青筋が出来たのが自分でも理解出来た。 「あは、あはは。おねえちゃッ。その顔っ……!」 結局何が言いたいのだろうか。そこまで笑われるような顔をしていた自覚はないし、こちらが訳の分からない状況に陥っているのに、眼の目で馬鹿笑いされると怒りが沸々と焚き上がって来て、あ、もうじき何かが切れるわ。ぴくぴくとこめかみの辺りが痙攣してるから、危険信号が発生しているのが分かる。私の脳内アラーとはマックス稼働中。つかさの危険探知センサーは動作が重いらしい。可哀そうに。 「その顔、面白過ぎるよ……っ!」 はい、ドーン。 「誰の所為だと思ってんのよぉオオ!!」 二人だけの交差点 今日未明、某市内で大規模な火山噴火が起こった模様で、辺りには警戒を呼び掛けると同時に、騒音警報が発令、付近の住民は著しい被害を受ける事となりました。現場に行っている、アナウンサーの柊さーん? はーい! ……馬鹿か私は。一人で意味の分からないワールドを脳内に形成して何が面白かったんだろう。今になってそんな事を思いながら、隣でしょげている様子のつかさを見てみる。 悲壮に伏せられた瞳、それは微かだけど、確かな潤いを持っていて、気を緩めたらたちまちに大粒の滴が落ちてしまいそうだ。顕著な体のラインはまるでガラス細工を思わすほどに儚げで、繊細に見える。チャームポイントで、何時もは立ちあがっているカチューシャ風のリボンも、つかさとシンクロしているかのようにくたびれていた。 少し大袈裟にマイシスターの解説をした所で、顔が何時の間にか熱くなっている事に気が付いた。オーマイゴット、私は何を考えていたんだろう。何か、とてもいけない事を考えていた気がするんだけど、それを思い出そうとするのは自粛しよう。主に私の尊厳の為に。 チラリ、もう一回つかさを盗み見る。あらあらあらまあまあまあ、そんな表情は反則だと思う私はアホですか? だって、私が丁度つかさの方を見た時に正にこれ以上にないくらいのタイミングの良さでつかさと目があったのよ。しかも、それに加えて遠慮がちに上目使いで私を見つめる仕草と言ったら、図らずともこのまま盗み見るだけじゃなくて本当に盗んで行きたいと思ってしまうわ。……色んな意味で。 「あの……お姉ちゃん?」 お願いだから、そんな表情で私を見ないで欲しい。危ないわよ、私の理性が。二人並んで住宅街を歩きながら欲情している私ってどうなんだ。健全と言うべきか、それとも変態か。頼むから前者であって欲しい所だけど、この答えをつかさに聞くわけにも行かず、私は口を噤む。 さっき危なそうな思考をしていた気がする、とかなんとか思っていた気がするんだけど、私は現在進行形でデンジャラスシンキングらしい。少しは自粛しろよ、私の理性。いや、本能か。 「お姉ちゃん……まだ怒ってる?」 指を胸の前で絡ませるつかさの姿は私の保護欲をどんどんと駆り立て――別の何かも同時に――私を次第におかしくしているように思えた。いけない、と分かっていても、このつかさの姿を見ていると否応なしに腕がギリギリと小さな抵抗を受けながらもつかさを抱きしめようと活動していた。つかさは眼を伏せている。やるなら、今の内。 「その……ごめんね、あんなに笑っちゃって」 「うひゃあッ!」 我ながら素晴らしい反射神経。何時もの三割増しに敏感だった。つかさの背中に回そうとしていた手は、某とっつあんに追われる某派手な泥棒よろしく神速の勢いで私の腰の横に、気を付け、の姿勢になって留まった。その代償に、私らしくない、いかにも女の子です、みたいな声を出しちゃったけど。 つかさがきょとんとしていて、余計に恥ずかしい。眼を逸らして、赤くなった顔を出来るだけ誤魔化そうとした。その行動がどれだけ無意味なのか分からない私ではないけど、まあ、要するに何かをしてなきゃ落ち着かなかったから。 「べ、別にもういいわよっ。元からちょっとイライラしてただけで、あれはその弾みと言うか――」 何故に私はこんなにどもっているのか、取り敢えず自分を地平線まで殴り飛ばしたくなったけど、何とか耐える。横には更に顔をきょとんとさせたつかさの姿があって、私の羞恥心を煽った。ますます上がる体温、膨れ上がる欲望。ヤバい、ヤバすぎる。臨界点突破、とか叫びたい。 本当に、何で私はこんな昼間から欲情してんのよ。しかも相手はつかさなのよ。同姓で、双子の姉妹で、そんなつかさに何で浴場してるのよ。 待て。 取り敢えず落ち着くんだ私。まずはこの火照った顔を冷やして、昂った感情を落ち着けて、そしてゆっくりと目を覚ませば、全ては元通りに戻るはず。そうだ、こんな時は深呼吸が良い。深く吸って、吐いて――。 「お姉ちゃん、大丈夫? 顔赤いし、何だか変だし」 「ぶほォッ! ごほ、げほ!」 深く吸った息がこんな形で仇となるとは思ってもみなかったわ。こんな不意打ち、全くの予想外。私にぎりぎりまで顔を近付けて、心配そうに瞳を揺らすドアップのつかさの顔は私にはクリティカルヒットに会心の一撃を掛けたような壮絶かつ一瞬で昇天出来る幸せを含んだ破壊力に感じられた。 もう止めて。私のライフはとっくにゼロだわ。何処かで聞いたようなセリフが頭を過り、消えて行った。 「ごほっ、だ、大丈夫。うん、ほんと大丈夫だから、気にしないで」 説得力皆無の私の言葉。せめてもの救いは家がすぐ間近にあった事ぐらいで、私は漸く平穏を手に入れる事が出来た、と心の中では歓喜の悲鳴を上げて、現実では小さく安堵の溜息を吐いた。つかさは納得いかない、といった表情で怪訝そうな視線を私に突き刺していたけど、気付かない振りを通してやり過ごした。 つかさには悪いけど、今日は自分を安静にしていよう。精神が凄く磨り減った気がするし、休みでもしなければどうにかなってしまいそうだ。と、そんな事を考えている内に、自宅は目の前に迫っていた。 「ただいま」 出来るだけ早く靴を脱いで、出来るだけ早く自分の部屋に向かう。後ろから、少し不機嫌気味なつかさのただいまが聞こえた。ごめん、つかさ。全ては私が悪かった。 少なからず苛立ちをぶつけてしまった事の罪悪感を覚えつつ、私は家の階段を早足で登った。 「お、あんた今帰ったの?」 ここでエンカウントとは、神様も随分と意地悪なようだ。それはもう、宝箱を取れる寸前で雑魚と遭遇して、その後宝箱を開けたら人食い箱でした、みたいなムカつくオチを体験させられたような感じだ。つまりは、面倒な事この上ない、って事。 「うん、ただいま」 特に刺激する事は言ってはいけない。そうなれば墓穴を掘ってしまうし、今私が最優先にやらなければならない事は自室に引きこもって頭を冷やす事だ。まつり姉さんに構って時間を浪費する事ではない。ただでさえ、些細な事で怒りだすんだから、こんな時に逆上されては敵わない。 「ちょっと、あんた顔色悪くない? どうかしたの?」 「え?」 「だから、顔。何だか赤いみたいだし、熱でもあるんじゃない?」 驚いた。この自己中心にして唯我独尊を貫く姉が私を真面目に心配しているなんて、明日は槍でも空から降って来るのでしょうか。いやいやまさか、何だかんだ言ったって姉妹なんだし、心配するのも当然よね。逆の立場だったら私だって心配するに決まってる。 「ううん、大丈夫。心配してくれてありがと」 「まあ、それならいいけど」 そう言ってまつり姉さんは階下へ降りて行った。何事も無くて良かった。今日何度目かになる安堵の溜息を吐きながら、私は自分の部屋のドアに手を掛けて、中へと入る。馴れしたんだ部屋の香りが与えてくれる確かな安心感を肌で感じながら、私は鞄を適当に放り投げて、机に着いた。 何で私はあの青空が空気の読んでいない色に見えたのだろう。頬杖を着いて、先刻に思った事について考えてみる。 そうか――原因は今日の学校生活にあったのかもしれない。私が不機嫌になった理由は、そこに。 今は夕暮れの茜色に染まりつつある空を眺め、地平線に段々とその身を沈めて行く太陽を見ながら、私は記憶の回廊を辿り始めた。 「お姉ちゃんって、好きな人居るの?」 思わず口から盛大に吐き出しそうになったつかさの弁当のおかずを必死に口の中に留めると耐えきれない苦しみが喉の奥から襲いかかって来た。派手に数十秒間噎せた私は息も絶え絶えにつかさが聞いた内容を反復した。 まさか、つかさの口からそんな質問が飛び出してくるとは思わなかったから。 「す、好きな人って?」 「好きな人は好きな人だよ。男の子とか、気になる人、居る?」 何故か諭されている私。悔しい気がしてならないけど、ここはグッと堪えて、冷静につかさの質問に答える。流石、私。返した言葉はクール極まりなく、微塵の動揺さえ窺う事は出来なかった――。 「い、いい居ないわよ、そんなの!」 ――ってのが理想だったんだけど、所詮現実とはこういうものらしい。自分のイメージした通りには行かないんだな、これが。私の場合、イメージとかけ離れ過ぎて悲しくさえなってくるけど。 「ほんと? ほんとにいない?」 珍しく積極的に問い質してくるつかさ、少しだけ身を乗り出して話している所から、よく分からないけど必死になっている気がする。 因みに、ここには何時ものメンバー四人の姿は無く、私とつかさしか居ない。こなたは一年生たちとの約束があったらしく、みゆきは何でも、黒井先生から何かの手伝いを頼まれたらしい。昼休みの始めに、困ったような笑みを浮かべたみゆきの顔が思い浮かぶ。 そんな訳で、何時も固まっている私達のグループには私達二人しか居ない。つまり、何時も飄々とした猫口顔で私を冷やかすこなたは此処には居なくて、少し様子がおかしいつかさの姿も手伝ってくれて、私は何時もよりも素直になる事が出来た。つかさの目をじっと見つめて、伝わる想いがあるのかどうか、探ってみる。 暫くそんな状態が続いた後、つかさは不思議そうに眼を丸くさせただけで、私の想いに気付いてくれる事はなかった。まあ、つかさも鈍感だしね。私はそう割り切って、椅子の背凭れに体重を預けた。ギシリ、と、少しだけ軋む音が聞こえた。 「居ないわよ、ほんとに、誰も」 そう言うと、つかさはみるみる内に表情を明るく輝かせて、いかにも喜んでます、と言った感じで椅子に座り直した。エヘヘ、と声に出している様には期待しても良いのかしら。ほんの少しの希望しか抱いていなかっただけに、そう思う。 そして、そんな事を考えていたら唐突に些細な好奇心が出来た。ポン、と頭から豆電球が出て来るみたいな、マンガでよくあるみたいに自然と湧いて出て来た疑問を、私はぶつけてみる事にした。少しの期待を密かに抱いて。 「つかさは? 居るの、そういうの」 極々自然な声音で尋ねて、私はつかさの反応を待つ、つかさは一瞬驚いたように豆鉄砲を食らった鳩みたいな表情を作ってから、ふっと意味ありげな笑みを零すと、言った。 それは到底予測していなかった出来事で、信じたくない現実だった。 つかさは、称えた笑みをそのままにうん、と言って頷いた。 「……まじっすか」 「……まじっす」 愕然とした。男の子がむしろ苦手な部類に入るつかさが誰かを好きになるなんて、思ってもいなかった。何時も私の背中を追いかけて来ていた子が、異性を好きになるだなんて、考えた事もなかった。 それだけにショックは大きかった。金槌で殴られたような衝撃の錯覚が私の思考をぐちゃぐちゃに混線させる。 私は茫然自失なな状態になりながらも、「誰?」と、小さく弱々しい声で尋ねていた。誰だって答える事を拒む質問なのに、それが分からないほど子供ではないのに、私は当り前のようにその言葉を紡ぎ出していた。 「うーんとね……」 人差し指を顎に当てて、つかさは暫くの間黙考する。その間に、自分の弁当箱の中身を見遣ってみると、半分も食べ終わっていなかった。昼休み終了十分前だと言うのに、何時ものペースからして今日のはかなり遅い。 午後が辛くなりそうだ、と先に不安を感じている時に、つかさは丁度考え――と言っても何について考えていたのか――を纏めたのか、笑顔を保ちながら嬉しそうに言った。 「今、近くにいるよ」 「え?」 慌てて私達の周囲を取り囲んでいるつかさ達のクラスメイトを見まわす。 後ろ――数人の女の子グループだ。 右――誰も居ない。窓の外に晴天が広がっているのが分かった。 左――ここでも、女子数人が話に花を咲かせている。 前――つまり、つかさの後ろ。騒がしい集団が眼に入る。つかさは分かった? とでも聞くような目で私を見つめている。少し、体をずらして、つかさの背後を窺ってみると、そこには何人かの女子に囲まれて、傍に男子も何人か引き連れて、その輪の中心に居る人物と、眼が合った。 顔は、多分格好良い部類に入ると思う。女子の中でも評判は決して悪くなかったと思う。それどころか、成績優秀、運動神経抜群の誰もが羨むスーパーマンと言う話だ。 「もしかして……」 震えた声で、確認を取る。指で示したり、名前で示したりはしていない。ただ、雰囲気だけで分かるような口振りで言った。否定して欲しかった。冗談だよ、と、つかさらしくなくても、冗談だと言って欲しかった。 でも、つかさは私の期待を裏切って、私の確認に対して肯定の意を示すように微笑んで、頷いた。何かが崩れる、そんな音がして、私は視線を手に持っていた弁当箱に落とした。色取り取りのおかずが、色褪せて見える。 つかさの後ろで騒いでる集団が、憎く思えた。 「そっか……つかさもそんな年になったんだな、って少し感動しちゃったわよ」 私は顔を上げて、今日一番の明るい声で、言った。つかさは心底嬉しそうに、喜色満面の笑みを浮かべながら、その色をより一層濃くさせた。そして、弁当箱からタコの形のウインナーを摘み上げて、口の中に放り込んだ。 耳に付いて離れない、昼休みの終了を告げるチャイムが校内に鳴り響く。私の何かを終わらせる残酷な鐘の音が私の胸を貫いた。 黙って、半分以上残っている弁当箱に蓋をして、包み用の布で丁寧に包み、私は席を立った。授業が始まってしまう、そう自分に言い訳をして、予鈴が鳴ったばかりだと言うのにこの教室を出て行きたくなった。 「じゃ、私はもう行くわ。次の授業、ちょっとは予習しておかないとヤバいし」 心にもないウソを吐いて、私は教室の出口へと向かう。一刻も早く、このクラスの喧騒から逃れたい。私の足は自然と早足になってしまっていた。 「あ、お姉ちゃん」 教室から出られる寸前、つかさに呼び止められた。私は後ろを向かないまま、つかさの言葉を待つ。やがて、恥ずかしそうに躊躇いながら、つかさは言った。 「今日、一緒に帰ろうね」 手を振って、了解すると、私は自分の教室へと戻った。正直に言えば、冗談じゃないと思った。私に対しての当て付けなのか、とも思ったし、断ろうとさえ思った。でも、私は承諾した。それは、未練がましい私の体が自然と選んだ選択肢なのかも知れない。元々有り得ない話であったのに、私は馬鹿だ。 窓の外に見えた景色は、私には場違いな澄み切った蒼だった。 ゆっくりと、意識が現実へと戻って来る。とっくに夜の帳が降りた外の景色は漆黒に包まれていて、何も映さない。ただ、寂しさを感じさせるほどに孤独に見えた月が、漆黒の海を切り裂く光を発しながらぼんやりと浮かんでいた。 「かがみー、ご飯、出来たわよー」 階下からお母さんの声が聞こえた。行かなくてはならないのは分かっていたけれど、こんな時に限って体が倦怠感に包まれて、上手く動かせない。それでも、重い体に鞭を打って、私は一階へと向かう。 また、つかさの笑顔を見なくてはならないのか、と思うと途端に倦怠感が増した気がした。 「どうしたの? あんた、さっきよりも具合悪そうになってない?」 一階に着いて、食卓の席に座ると、誰より先にまつり姉さんが私を気遣った。心配してくれるのは嬉しかったけど、今は放って置いて欲しいのが本音だった。暫くすれば治る、そう楽観的に考えていたから。 まつり姉さんに続いて、いのり姉さんやお母さんお父さんまで心配して来て、私は大丈夫と言い張るしかなく、食欲はあまり無かったけど、ちょこちょことご飯を突いていた。 何時もよりも暗い雰囲気の食卓で、つかさは一言も話さずに、ただ私の事をじっと見つめ続けていた。 「ごちそうさま」 何とかお椀によそられたご飯を食べ切り、おかずもそこそこお腹に入れて、私は自分の分の食器を流しへと持って行った。とにかく、今日は早めにお風呂に入って、何もかもを忘れて眠りに就きたい。私は早々にリビングからお暇すると、着替えやら何やらを持ってお風呂場へと向かった。 衣服を全て脱いで、適当に洗濯機の中に入れて、私は何となく鏡を眺めてみた。まつり姉さんが言う通り、少し疲れた表情をしているかもしれない。余程。昼間の出来事が精神的に堪えたのだろう、それが一目で分かる表情だ。 暫くぼーっとしていたら、寒気が急に襲って来て、何でこんな所で素っ裸で佇んでいるんだろう、とか自分が行っていた行動に腹を立てつつ、私はお風呂場の中に足を踏み入れる。まだ誰も入っていないお風呂場は、寒かった。 蛇口を捻って、お湯を出そうとしたら、最初は普通に水しか出なかったので、お湯に変わるまでの間、暫く待つ事にした。閉め切られたお風呂場のタイルに、シャワーが打ちつける音が響き、反響しては私に耳に五月蠅い音を届けた。 中々水がお湯に変わらない。未だ出て来る透明な液体は冷たいままだ。いい加減イライラしてきて、私は忌々しげに溜息を吐く。それと同時――お風呂場の扉がいきなり開け放たれた。 「は?」 一瞬、状況が読み込めず、私の頼りない脳は暫くの間思考を停止する。そこに立っていたのは、バスタオルを胸まで巻いた、まつり姉さんだった。対して素っ裸の私。幾ら家族で同性だからと言っても、背筋から這い上がる羞恥は抑えられなかった。頭に血が上る感覚と共に、顔がとてつもなく熱くなった気がした。 「あんた、ガス付けてなかったわよ? 水でも浴びるつもりだったわけ?」 「う、うるさいっ! 大体何でまつり姉さんがこんな所に居るのよ。今は私が入ってる真っ最中なんだけど」 「うん、だから一緒に入ろうかと思って」 「はァ?」 いまいち意図が読み取れない。つまりは一緒にお風呂に入る、という事なのだろうけど、なんの為にそんな事をする気になったのか、意図が図りかねた。取り敢えず、まつり姉さんがガスを付けといてくれたっぽいから、試しにシャワーから出ている液体に触れてみると、それは暖かかった。 すっかり寒くなってしまった体にシャワーを掛けると、心が洗われるような気分になって、とえも気持ちが良い。今の訳の分からない状況も忘れられる気がした。 「あたしも寒いんだけど」 「入って来たタイミングが悪かったのよ」 大体、私はタオルすらしてないんだから、少しは我慢してもらいたい。私は一通り体をお湯で温めると、まつり姉さんにシャワーを渡して、シャンプーを手に取った。数回プッシュして、手に乗せたシャンプーを頭へと。それはたちまちに泡立って、私の髪の色を白くした。 「じゃあ、たまには背中ながいてあげようかな」 「は? 別にいいわよ。それぐらい自分で――」 「はいはい、文句言わない。人の好意は黙って受け取りなさいよねー」 「……」 はあ、と溜息を一つ落として、私は頭を洗う。どちらにしろ、手間は減るのだし、任せても悪くないかもしれない。それに、姉妹でこうやってお風呂に入るのも悪くないかもしれないと、私は、背中に当てられたタオルの感触を心地よく受け取りながらそう思った。 「で、何かあったわけ?」 「……」 「ちょっと、黙らないでよ。それ聞いてあげる為に来たのに」 「だからってね……こんな事をする必要がありますか」 今の状況。湯船に浸かる私と姉さん。うん、ここまでは全然オッケー。じゃあ、次に、私達はどんな体制で湯船に入っているか。 元々、柊家のお風呂はそこまで広くないし、湯船は一人でも足が伸ばせないくらいだ。それなのに、私より体が大きいまつり姉さんと私が何故に一緒に入れているか。そんなのは思いつく限りで一つしかない。そもそも、思いつく以前に既に実行されているのだから何も言えないんだけど。 「だって、こうでもしなくちゃ一緒には浸かれないでしょ」 全くその通り。だから私も大人しくこうやってしている。 ……まつり姉さんに抱きかかえられる格好で。お風呂に入っている所為だけじゃなく、別の意味――主に羞恥――で顔が熱い。背中に感じるまつり姉さんの豊かすぎってくらいの胸が直に当たっていて、何とも言えない柔らかさを提供している。これだけでも顔から火が出るくらい恥ずかしいのに、まつり姉さんの腕が私のお腹に回されているとなっては余計に恥ずかしい。まるで、幼子に戻ったみたいな感覚だ。 「で、何かあったんでしょ。話してみなよ」 対して、恥ずかしさなど微塵も感じていないのか、何時も通りの調子でまつり姉さんが尋ねて来る。私は水面に映る自分の顔を見つめて暫く考えたあと、そのままの状態で話し始めた。何故だか、まつり姉さんになら話しても大丈夫な気がした。 「なんて言うか、その……間接的に振られたと言うか……」 歯切れ悪くなってしまうのは、相手が相手だからだろう。流石に事情を一気に全て話す気にはなれなかった。まつり姉さんは、マジで? とか呟いた後、私が此処でウソを吐く意味は無いと悟ったのか、腕に力を込めた。 「えーと、誰に?」 「……そ、それは……その……」 「言った方が、楽になると思うけど」 まつり姉さんが言う事も分かるけど、それを受け入れてくれる確証が無い以上、その相手を言うのは憚られた。それでも、一人で溜め込む事の辛さは嫌と言うほど、今日の午後の授業で味わった所為か、私はポツリポツリと話しだしていた。私の好きな人を、その名前を。 「……さ」 「え?」 「……かさ」 「……えーと、よく聞こえないんだけど」 「……つかさ」 何回かの同じやり取りが続いた後、私がはっきりと伝えると、時が止まった。 天井から滴る水滴が湯船に落ちる度に波紋が広がって、私の体に当たる。 たっぷり数十秒、私に不安を与える間を空けて、まつり姉さんは唐突に笑いだした。それは大爆笑と言って差し支えない、豪快な笑い方で。 「意味が分からないんだけど。何でそこで笑うのよ」 普通はもっと深刻なシーンになると思うのだけど、まあ、この人に深刻なシーンなんて似合わないか、と自己完結しつつ、それでも怪訝な視線は変わらず、私は出来る限り首を後ろに向けてまつり姉さんを睨もうとした。しかしながら、角度的にも人間には限界があるもので、私は耳元で姉の馬鹿笑いを聞く羽目になった。 「あ、あんた……ぷぷっ!」 だからそこで噴き出す意味が分からん。ふざけているのかからかっているのかはっきりして貰いたいんだけど、それはそれで腹が立ちそうだ。 「ま、まあ、そんなに気にしなくても良いわよ。なるようになるって」 「はあ?」 今日のまつり姉さんは本当に訳が分からない。なるようになる、って一体何が? 今日何回目だろうか、盛大な溜息を思い切り吐き出して、私は眼を閉じた。 ――もしかしたら、まつり姉さんに話したのは墓穴だったか? とか、失礼な事を思ったりしながら。まあ、気分転換にはなったけど。 「じゃあ、お遊びタイムと行きますか」 「は? ちょ、何すんのよ! って、そこは……っ!」 突然胸に感じた違和感に、瞑っていた眼を更に堅く瞑る。まつり姉さんの手が、卑屈な動きで私の胸を水中で弄んでいた。意識している訳でも、そこまで欲望を持て余しているわけでもないのに、口からは嬌声が出てしまう。 風呂場の外に聞こえないように抑えたのに、狭い密室であるここでは小さな音も大きい音になってしまうので、私は声を抑えるのに必死になっていた。 「ほらほら~、どう?」 「くっ……ちょ……ほんとに、冗談やめてよ……!」 必死の抵抗を試みるも大した効果は得られない。それどころか。まつり姉さんの悪戯心を煽ってしまったらしく、まつり姉さんは悪戯っ子みたいな笑い方をして、その行動を更にエスカレートしていった。 熱い湯船の中で、体が溶けてしまいそうな感覚。まだ慣れないその感覚に身悶えしながら、私はまつり姉さんの愛撫に耐えていた。 そう、姉さんの気が済むまで――。 「やられた……」 ヤバい意味ではなく、してやられた、という意味で。お風呂から上がる時に浮かべたまつり姉さんの意地悪い笑顔が瞼に焼きついたようで、瞬きする度にその笑顔が見えてしまう。で、その度に腹が立っている訳で。 私は自分の部屋で、湯上りの所為だけじゃなく、別の意味でも火照った体をどうするか考えあぐねていた。 「何でこんな中途半端な……」 私だって、その、そういう行為をした事がないわけではない。だからこそ、これからどうするかを考えているのだけど、いざ決断しようとなると、どうしても私の中の何かがそれを邪魔してしまうのだ。 元はと言えば、お風呂場であんな悪戯をしておいて、物凄く中途半端な所で止めてくれた忌々しい姉に全ての非があるんだけど、またあの姉に会いに行ったら何をされるか分かったものではないし、進んで行きたいとも思わない。 「あー、このままじゃ眠れないじゃない……」 ベッドに座る。体が熱い。何時もはお風呂から上がるとすぐに冷めてしまって、寒ささえ感じるほどなのに。今は布団に入りたくないくらいに体が熱い。とてもじゃないけどこの状態で安らかな眠りに就けるとは思えなかった。 「あの、お姉ちゃん……。入って良い……?」 ふと、部屋の入口から控え目な声が聞こえた。 つかさだ。けれど、何かが違う気がする。何か、声が熱っぽいような――そんな違和感だ。気になるほどではないのだけど、どうしても引っ掛かった。 「良いわよー」 それにしても、今の私の状態でこの状況、私は耐えられるのだろうか。いや、私が、じゃなくて私の理性が。絶対大丈夫と言える確証がないだけに、自分が自分で怖くなった。 「あ、ごめんね、こんな時間に……」 「良いわよ、別に」 時計を見ると、短針が丁度11を指し示す頃だった。つかさはお風呂から上がったばかりなのか、頬を赤く上気させて、熱そうな吐息を小さな唇の間から切なげに漏らしていた。ヤバい、お願いだから耐えてくれ、私の理性。 「あの、ね、今日の事なんだけど……」 瞬間、昂りかけていた私の感情がサーっと水を掛けられたみたいに一気に熱を失うのが分かった。『今日の事』それは紛れも無く、つかさの好きな人について、の事なのだろう。忘れかけていたのに、折角全部忘れようとしたのに、嫌な気持ちも、全て思い出してしまった。 そのお陰か、私の理性は強靭になったみたいだけど。 「私の好きな人、誰だと思う?」 「……っ」 もう、聞かないで欲しかった。つかさが好きだと言った、あの男の人を思い出したくなかった。物音が私達の声以外に何も聞こえない家の中、つかさの声はあまりにもよく通っていて、嫌でも私に届いてしまった。つかさの口から、他の人の名前が出るのさえ嫌なのに、聞かない、と言う選択肢は用意されていなかった。 「……あの……つかさと同じクラスの、カッコイイ人でしょ。何でも出来る、って言われてる……」 つかさの顔は見ないで、私は言った。間違い無い事だと思っていた。だって、昼間に私が示した人物は確かにあの人で、つかさは頷いたから。明確な示し方なんてしなかったけれど、つかさになら伝わっていると思うから。 「違うよ」 つかさは余りに早く、そう言った。即答なんてものじゃない。まるで、予め私が言う事が分かっていたみたいに、私が言い終わる前よりも早く言われたような言葉だった。十分な意外性を持ったそれは、私の頭の中を揺さぶるには申し分ない威力を持っており、私は茫然としながらつかさを見つめた。 真摯な、つかさの瞳が細められる。優しい笑顔が、私の大好きな優しい笑顔を浮かべたつかさが、後ろで手を組みながら私に微笑みかけていた。 「私、お昼休みの時に、お姉ちゃんが正解を言ったのかと思って、嬉しかった。でも、お姉ちゃんはあんまり嬉しそうじゃなかった」 そうだ。想っている人に、私以外に好きな人がいるなんて聞かされれば、誰だって不機嫌を隠すのは難しくなる。私だって例外じゃなかった。素直なままに、感情を表面に出してしまった。 「だって、お姉ちゃんは私の事を見てたって、私の事を指してたって、そう思ったんだよ。眼も合ったし、きっとそうなんだろうな、って」 眼を見開いた。つかさは相変わらず穏やかな表情で私を見つめている。 じゃあ、私は勘違いをしていた? つかさとは意思の疎通が図れているだなんて奢りを持っていた所為で、全く違う事を考えていた? だとしたら、全ての辻褄が合う。あの後、つかさが凄く嬉しそうにしていたのも、私に怒られてあんなにしょげていたのも、全て。 「私が好きな人、お姉ちゃんだよ」 私が全てを理解する前に、つかさは言った。微塵の動揺も見られない、凡そ、つかさとは思えないほどに毅然とした態度で、つかさは私の眼を見つめながら、はっきりと伝わるように、そう告げた。 口が開かない。言いたい事は沢山あるのに、それを言葉に出来ない。 心臓が、痛い。痛いくらいに、暴れ回っている。今、この静寂に満ち満ちている今なら、この動悸の音がつかさにも聞こえるんじゃないか、とまで思った。 「お姉ちゃんは……どう、かな」 つかさが一歩一歩、ゆっくりと私に近付いて来る。私はベッドに腰掛けたまま、動けない。体を針で縫いつけられたみたいに、その場から体を動かす事が出来なかった。そんな中で近付いてくるつかさの笑みは、酷く妖美で艶やかだった。 湿った髪も、心なしか潤んだ瞳も、赤く上気した頬も、濡れた唇も、その全てがつかさの可愛らしさではなく、美しさを際立てている。 私は、息を呑むようなその光景に眼を奪われて離す事が出来なかった。 「私も……好き。つかさが、好きよ」 目尻から何かが落ちた気がした。心が、満たされた気がした。体が、求めている気がした。何かが、壊れる音がした。 体が急速に熱を取り戻す。冷めていた内面も、煮えたぎっていて、苦しいくらいに切なかい。つかさはすぐ目の前にいる。全てが愛しく、全てを求め、全てを求められている気がした。 気付けば、私の目の前には私と同じ、濡れた水晶のような目があって、両頬には暖かい手の感触があって、唇には熱いものが押し付けられていた。蕩けるような甘い口付けを、二人で気の済むまで堪能して、私達は顔を離す。 つかさの顔は、さっきよりも赤くなっていた。 「つかさ……」 名前を呼ぶ。 私の片割れとも言える妹の名を、囁くように。 「お姉ちゃん……」 名前が呼ばれる。 脳を溶かすような、甘い声が耳から入って、脳髄を刺激する。 もう、私達は止まりそうになかった。気持ちは溢れ出して、感情は抑えられなくて、それら全てがこの行為へと繋がっている。後悔なんてない。私は今この瞬間を最高に幸せだと感じている。今は、それだけで十分だ。 私は、つかさをベッドに寝かせ、私を誘うかのように揺れる瞳と、震える唇に導かれるがままに自分の唇をつかさのそれに重ねた。 先ほどのとは比較にならないほどに、濃厚で、甘いなんて領域を超越した何かが脊髄を走り抜ける。舌が絡み合う度に鳴る、水音も、私達を昂らせる媚薬にしかならない。どちらのものかも分からない唾液が入って来る度に、もっと欲しくなる。 私達は、飽きもせず、互いで互いを求め合った――。 ――end. コメントフォーム 名前 コメント かが×つか、も素晴らしい! 双子百合最高ッス!! -- チャムチロ (2012-09-06 21 55 09) お熱いですね~ -- 名無しさん (2011-04-17 13 37 54) 別視点とセットで楽しませてもらいました。描写細かいよ細かすぎだよ!ライトノベルしか読んでない私にはちょっと大変だったRよw しかも最後のアマアマ展開がエロくてけしからん!GJすぎ!ww -- 名無しさん (2008-02-21 05 35 40) これは素晴らしいこういう文体は大好きだ まつりさんのポジションもよかったし ご馳走様でした -- 名無しさん (2008-02-16 06 08 40)