約 5,754 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3445.html
ゆっくりいじめ系2100 メタな人たち 前編からの続き 「ゆっ?まりさのかわいいかわいいあかちゃん?」 辺りを見回しても、あの小さな饅頭の姿はもう無い。 ただ赤れいむがいたと思しき場所に、人間さんの大きな足が、柱のように突き立っているだけだった。 飛び散った餡子の温もりだけが、まりさの頬にびちゃりと貼りつき、次第に乾燥していった。 「はーい駆除――――」 「ゆ?ゆ・・・?まりさのあかちゃんは?まりさのとってもかわいいあかちゃんどうしたの? どうしたの!!どこにいったの!!こたえてね!!ゆっぐりごだえでね!!!」 「削除しました。だからお前らの考えるゆっくりなんて偽者なんだって、全部嘘っぱち! ゆっくり出来なくなるためのゆっくりなんて、ゆっくりじゃないだろ? 赤ゆはその最たるもの。 偽善と欺瞞の塊である赤ちゃんがいなくなってよかったね。これで少しはちゃんとしたゆっくりに近づけたかな」 そう吐き捨てるお兄さんの顔には、何の感慨も浮かんでいない。 ゆっくりを虐めて楽しむ子供、或いは大人のような、明るい笑顔すら無い。 虫を殺したような……というよりむしろ、困っているお年寄りを助けた後のような、当たり前の顔をしていた。 そんな彼の姿を見て、お姉さんの方は眉を顰め、明らかに引いていた。 「うわあ、きったない……よくそんなの踏めるね。赤ゆなんて虐厨のオナティッシュみたいなもんじゃん」 「おい、ちょっとは発言に品性というものをな」 そう言いながらもお兄さんは慌てて足を持ち上げ、足首をスナップさせて靴にこびりついた餡子を跳ね落としていく。 砂と混じったその一かけらが、ぴしりとまりさの目元に当たる。そして、まりさはキレた。 「ゆがああああああああああ!!よぐもばりざのがわいいあがぢゃんを!! ぜったいにゆるざないがらね!!あかちゃんごろじだにんげんざんはゆっぐりじねぇぇぇぇ!!!」 全てのゆっくりを奪われ、完膚なきまでに追い詰められたまりさの身体を動かしたのは、 今までに感じたこともないような憤怒の感情だった。 全身の皮や餡子をフル稼働させ、ただ目の前の人間への悪意を体現する為、激しい体当たりを繰り出す。 赤ちゃんれいむの命を奪った憎き人間の足に、ぽすんぽすんと衝突を繰り返す。 ぶつかるたびに、まりさの顔も痛かった。大きな石さんにぶつかったような痛みだった。 しかしやめる訳にはいかなかった。まりさの心はその何倍も痛かったし、 無残に殺され、死してなおその命を侮辱された赤ちゃんの痛みは、その遥か上を行くはずだからだ。 「うわ、ほんとに全然効かないんだ」 「弱体化されまくってるからなぁ。俺の知ってるゆっくりだったら、俺なんて数秒で消し炭にしちゃうんだけどねぇ~」 「っていうかこんな風に怒りまくってる時点で、みんなが知ってるゆっくりじゃないし(笑) まりさ、ゆっくりしていってね(笑)」 「うるざいよ゛!!かってにしゃべらないでだまっでね!!ばりざにゆっぐりじないでやられてしんでね!! ばかなにんげんさんたちはさっさとじね!!ばりざだぢをゆっぐりざぜないばかはじねえええぇぇぇ!!」 まりさがもう何度目になるか解らない体当たりをする瞬間、お兄さんは足をひょいと上げ、 突っ込んでくるまりさの身体をかわし、そのまま通り過ぎていくまりさの後頭部をちょんと爪先で突いた。 勢い余っていたまりさは、コロコロと前方に転がっていった。 「ほ~ら出た、暴言、ゲス口調。何でそんなに口汚いの? 相手にゆっくりして欲しいんじゃないの?」 「多分、虐厨以外の普通の人でもムカつくゆっくり、ってのを演出したかったんでしょ。 その結果ゆっくりでも何でも無い生物になってちゃ世話ないけどね(笑)」 「悪口を言うだけの機械だな……ただ生きてるだけでもうゆっくりしてないじゃん。 こんな意味不明なもの虐待して楽しいのかね、キチガイどもは」 「・・・・・ふざけないでね・・・・まりさはおこってるんだよ・・・・・!!」 無様な前転から何とか身を起こしたまりさは、静かに怒りを口にした。 相手に手玉に取られたことで少し頭を冷やしてもなお、煮えたぎる感情は収まる気配を見せなかった。 「あかちゃんは・・・・あかちゃんはすごくゆっくりしてたんだよ・・・みんなまりさのあかちゃんがだいすきだったんだよ・・・!! それにもうすぐ・・・・かわいいかわいいいもうとがうまれるって、わくわくしてたんだよ・・・・・ りっぱなおねえちゃんになるって・・・・まいにちまいにち、ゆっくりがんばってたんだよ・・・・!! れいむのおなかにいるあかちゃんも、おねえちゃんにあえるのをすごくたのしみにしてたんだよ・・・・・・!! それを・・・・それをにんげんさんたちはぜんぶこわしちゃったんだよ・・・!!ぜったいにゆるせないよ!!」 そこまで言い切り、まりさは顔を上げ、ギッと人間を睨み付けた。 先ほど威嚇でやったように、無理に怖い表情を作ったのではない。それよりも恐ろしい形相が、自然と顔に浮かんで来た。 暴力の手段をあまり持たないゆっくりにとって、口上が持つ意味は大きい。 これがゆっくり同士の争いであれば、まりさの喋りは怒りと気迫を相手に伝える、かなり上出来のものと言えただろう。 良心を持ったゆっくりが相手であれば、場合によっては泣いて謝ってきたかもしれない。 しかし相手は、尋常ならざる人間。 情に駆られるなどというわけもなく、その表情はますます苛立ちを増した。 「あ……? もう一匹赤ゆがいんのか?」 その返事を聞いて、今度こそまりさの頭は完全に冷え切った。 人間さんは、まりさの話なんて全く聞いていない。 それだけならまだいい、まりさに都合の悪い情報だけはしっかりと聞いている。 害虫の羽音を耳にして、その意味や内容を考える人間は普通いない。黙って殺虫剤を取り出すだけだ。 ゆっくりの赤ちゃんへの嫌悪という殺虫剤が家族に向けられようとしているのを、まりさは感じた。 そして同時に悔いた。自らもまた、人間さんが赤ちゃんを嫌いだと言っているのに耳を貸さずに喋っていたことを。 「ゆ・・・・い、いないよ・・・・あかちゃんはここにいたおねえちゃんだけだよ・・・・・」 「え~もういい加減スルー推奨なんですけど。キリないじゃん」 「いや、俺は目の前に害虫の巣があると解ってたら、無視は出来ないタチなんだ」 まりさが家族を守るために吐いた嘘も、むなしく掻き消されていく。 人間さん達が赤ちゃんを殺すの、殺さないのという話をしている間、まりさの冷めた餡子は冷静に思考していた。 それは極限状況でのみ実現する、日常のまりさではありえない量と速度の思考だった。 (このままにんげんさんにつかまったら、おうちのばしょをいわせられるかもしれないよ。 ぜったいにいわないっていっても、いっぱいこわいめにあわされて、むりやりしゃべらせるかもしれないよ) (それともまりさをつかまえて、もりのなかからまりさのおともだちのありすやぱちゅりーをみつけて、 このまりさのおうちはどこ?ってきくかもしれないよ。ゆっくりできるひとのふりをされたらおしまいだよ) (おねえちゃんのかたきはうちたいけど・・・しんじゃったおねえちゃんよりも、 いきてるれいむと、うまれてくるあかちゃんのほうがだいじだよ・・・ごめんね、おねえちゃん!!) 数秒間のゆっくりとした思考の後、まりさは道から飛び出し、草むらに飛び込んでいた。 人間達はまりさが自分からその場を放棄することなど想定していなかったのか、やや驚いてそちらを見た。 実際にはまりさは、草むらを二、三歩進んだだけだ。 しかし生い茂る草さんに身を隠せているので、既に逃げおおせた気持ちで、その後の人間さんの声を聞いた。 「あ~らら、逃げられちゃった(笑)」 「やれやれ、しょうがないな。じゃあ森中探し回って、それらしい赤ゆを見つけ次第駆除していくか。 今の奴の巣をピンポイントで狙えれば良かったんだけど、仕方ないね」 (ゆゆ!?) とんでもないことを言い出した。 このままではまりさのせいで、森中のゆっくりがみんなゆっくり出来なくなってしまう。 いっぱい赤ちゃんが殺されて、次世代を失った群れはなくなってしまう……。 まりさは激しく動揺したが、しかし一方で冷酷に割り切ってもいた。 人間さんは、とても強い。人間さんがやろうと思ったことを止めることなど、とてもじゃないが出来ない。 それは先程本気で戦ったことで、無意識レベルまで徹底的に刷り込まれた。 それにそうでなくても元々、まりさは一人の弱いゆっくりだ。出来ることといえば、自分の家族を守ることくらい。 だから、人間さんを止めるなんて大それたこと言わない…… 愛するれいむだけでも、人間さんに見つかる前に安全なところに移す。 そう最終決定を下したまりさの行動は、文字通り速かった。 すばやく草むらの中を駆け、迷い無く一直線に、我が家へと向っていく。 狩りでどんなに速い虫さんを追いかけた時でも、これほどのスピードは出していなかった。 まりさは今、森で一番速いのが自分であるかのように感じていた。しかしそれでも、焦りに応えるには全然速度が足りなかった。 (れいむ、まっててね!まりさがぜったいにたすけてあげるよ!ぜっっっったいだよ!!!) 隠れ場所は、どこにしよう……小さい頃にかくれんぼをした洞穴にしよう。 あまりにも上手に隠れすぎて、お母さんもお姉ちゃんもまりさを見つけられず、一晩孤独に泣き明かした思い出の洞穴。 あそこなら絶対に人間さんも見つけられないはず、そこでゆっくり赤ちゃんを産んでもらおう…… そんな風に思案しながら、ついにおうちある木の根元に辿り着いたまりさの視界に飛び込んで来たのは、 滅茶苦茶に壊されたおうちの入り口と、その両側に佇む、赤ちゃんを殺した人間さん達だった。 「ゆっ・・・・!?ど、どうして・・・・」 「あ、ようやく来た。マジで遅いんだね虐待用ゆっくりって。一応ゆっくりしてるってことかな? こんなところばっかり都合よくゆっくりさせて、ゆっくりらしさを確保したつもりなのかね(笑)」 「行き先見てから先行余裕でした。ちょっと煽っただけですぐに自分から急所晒すんだよね。 ちなみにこの荒らしテクニックは虐厨に結構効果的なので俺はよく使ってる」 草むらに飛び込んでからほとんど動かなかったまりさの位置と動きは、完全に把握されていた。 まりさは未知のスピードの世界を体験していたが、それは人間からすればジョギングで追い抜ける程度のものだった。 まりさの向かう方向でそれらしいものを探せば、おうちを特定することは簡単だったのだ。 しかしまりさにとって、そんなことは今は問題ではない。 「な、なんでにんげんさんたちがばりざのおうちに・・・・・・ れいむ・・・・れいぶはどうじだのおおぉぉぉ!!でいぶうぅぅぅぅぅぅ!!?」 人間には脇目も振らず、ただ愛する伴侶の安否を確認するため、おうちに飛び込んでいくまりさ。 家族を失ったことで少し広々として見えるおうちの真ん中には、両目から涙を流すれいむが鎮座していた。 その涙の理由を考えるよりも先に、まりさはれいむが生きていることを喜んだ。 「れいむうぅぅぅ!!ぶじだったんだね!!まりさとってもうれしいよおぉぉぉぉ!!」 「ぶじじゃないよ・・・まりさ・・・ぜんぜんぶじじゃないよぉぉ・・・」 「ゆ・・・?」 再会を喜ぶすりすりをしようとして、まりさは気付いた。 れいむから流れ出しているのは、二筋の涙だけではないことに。 お腹の真ん中から生まれたての赤ちゃん特有の、サラサラとした液状の餡子が漏れ出てきている。 その流出源、れいむの産道からは、おそらく素敵なお帽子になるはずだった黒い襤褸切れの破片が覗いている。 「ゆ?れ、れいむ・・・・あかちゃんは・・・・・」 「もういきてるわけないでしょ・・・・にんげんさんにおなかをけっとばされてしんじゃったよ・・・・・ たすけて、たすけてってずっといってたのに、まりさはたすけてくれなかったよ・・・・・ にんげんさんは、おなかのなかのあかちゃんをちょくせつけりとばしたんだよ・・・ だからまむまむもずたずたになっちゃったよ・・・・もう・・・もうごれじゃにどとあがぢゃんうめないよおぉぉぉぉぉ!!」 れいむの慟哭が最高潮に達した瞬間、その頭上、巣の外では二人の人間達がハイタッチをした。 「ふぅ~、また一つ悪の根源を絶てたな」 「つーかぺにまむ付きゆっくりとかマジキモイよね。交尾の形態まで人間に似せないと気が済まないのかっていう。 まさに人間さんの醜い自己の投影のキワミ(笑)この世から消滅して欲しいわ」 「やれやれ、ちょっと虐待用ゆっくりという汚物を見すぎて目が腐りそうだわ。 帰ってニコニコ見ようぜ」 「そだね。mugenトナメのゆっくり無双動画でも見て今日の汚れを落とそうか」 「中和、中和ー」 そうして人間さん達が和やかに談笑しながらその場を去り、どこへともなく姿を消していく間も、 まりさは泣きじゃくるれいむの前で、ただただ呆然と、呆然としていた。 支えを全て失い、まりさの心は立っていられなかった。立っている意味が無かった。 赤ちゃんはみんな死んでしまった。もう赤ちゃんは生まれない。だからもうゆっくり出来ない。 いや、最初からゆっくりなど無かったのだ。結局、全てはあの人間さん達が言った通りになってしまった。 しかし、自分達がゆっくり出来なくなるために生まれてきたのなら。自分はその本懐を今、果たした。 「・・・ゆっくりのあかちゃんはしぬためにうまれてくるんだよ」 「・・・・ゆ?まりさ?」 「あかちゃんはころされて、おかあさんをうんとかなしませて、なかせるんだよ。 うまれるまえにおやくめをはたしたまりさのあかちゃんは、やっぱりすごくゆっくりしてるよ」 「まりさ?なにいっでるの!?しっかりしでね!ゆっぐりしていってね!!!」 「れいむ、はいきんぐにいったあかちゃんもちゃんとしんじゃったよ。 すごくたくさんゆっくりして、それがまるごときれいにつぶされちゃったよ。 れいむもそのぶん、いっぱいなきさけんであげてね。そしたらみんなゆっくりできるんだよ。 れいむ、これからもいっしょにゆっくりしようね。いっぱいゆっくりできなくなろうね」 「ばりざがおがしくなっぢゃっだよぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 滅びを受け入れたものから消えていく。 この森に住むゆっくりの群れは、このまりさを中心にして徐々にゆっくり出来なくなり、滅亡の一途を辿った。 自然に発生したゆっくり達がそれに取って代わり、以前からの住人のような顔をして群れを形成する。 そして森中に、幻想郷中に、約束された悲鳴を響き渡らせ、心を絶望のために消費していく。 そうしてこの世界は回っている。 了 あとがき: オチに悩んだ。そして悩むことをやめた。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1042.html
・人生初SSです。ためしに書いてみましたが、難しいですね・・。 ・短いです。 ・人間が出ます。 ・虐待はほぼしてません。 ・凄惨描写はあっさりです。 ・細かい設定は省きました。 「今日は暖かいな」などと思いながら小屋に入ると、 「ゆっくりしないででていってね!ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!」 などと大きな声で叫ぶ物達がいた。 大2匹、中2匹、小3匹か・・赤と黒だけだな。 相手にせず、やかんに水を入れ火にかける。 茶の用意をしつつ、再びそれを目を向けると、 「よわっちいじじいが、こわくてこえがでないんだね!」 などと言っていたそれが、 「じじい、さっさとあまあまよこしてでていってね!」 などと抜かすので、流し台に乗っていた昨日のカスを放り投げてやる。 「むーしゃむーしゃ、ぱさぱさー」 「まずいよ、もっとあまあまよこせじじい!」 といった言葉を聞き流しつつ、沸いた湯で茶を入れ、いすに座って一口すする。 ちなみに小屋の中は跨げる位の仕切りで区切られているので、それがこちらに来ることは無い。 一息ついた所で、それに話しかけてみる。 「お前達、どこから来たんだ」 「ゆっ!まりさたちははるさんがきたのにたべものさんがみつからないから、やまからおりてきたんだよ!」 今日は小春日和なだけで、真冬だからな。 * o + 飼われていたのでは無いんだな。よし。 塀を跨ぎ、それらのところに行く。 両手で赤ゆ1匹づつを掴み、茶の所へ戻る。 途中、「おしょらを・・」とか「おちびちゃんをはなせぇぇ!!」とか聞こえたが、気にしない。 いすに座り、一匹はどんぶりを裏返しにしてかぶせ、逃げられないようにしておく。 かすかに、「くりゃいよぉぉぉ」とか「だしちぇねぇぇぇ!」などと聞こえる。 いすに座り、親の黒いほうが仕切りにぶつかる音を聞きつつ、もう一匹を手に取る。 帽子を取って「おぼうし・・」顔面を下にし、 みかんを二つに割るような手つきで後頭部に両親指を当てる。 「にゃにするの!?おろしちぇぇぇ!!」 親指の爪を立て「ゆびっ!」、皮をめくるようにして左右に開き「ゆがが・・」裏返す。 「ちっ!失敗したか。餡子が皮にくっついちまった。」 歯でこそげ落とすように餡子を食べ、残りは仕切りの向こうへほうり捨てる。 「ゆっ!あまあまだよ。むーしゃむーしゃしあわせー」 茶を2口ほど飲み、もう一匹をどんぶりから出して、同じようにする。 「いもうちょはどきょ?」「ゆびゃ!」「いじゃいぃぃぃ・・」 今度はうまく行った! 丸く震える餡子玉を口に入れ、溶かすようにして食べる。 そうすることで、だんだんと甘くなってくるのだ。 「うまいなぁ」 残りは先ほどと同じように仕切りの向こうへ。 「ゆっ!またあまあまだよ!こんどはれいむのものだよ! むーしゃむーしゃ・・ゆゆっなにかはいってるよっ!ゆぺぺっ!」 「なんでちびちゃんのりぼんがはいってるのぉぉぉ!!!」 茶を飲み干し、服装を整える。 さっきの親が餡子をはいていたので、野菜くずを放り込んで畑仕事に戻る。 また明日から休憩時に餡子が食べられるな。前のが駄目になってから口寂しかったんだ。 髪飾り付きが混ざっているともっと良かったんだが、冬だし贅沢は言うまい。 今日の餌はねぎの皮だな。 (終)
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/849.html
『ゆ虐ツアー』 虐待普通 パロディ 小ネタ 現代 独自設定 初投稿です 本日は当方鬼月観光のゆ~楽満喫田舎体験ツアーをご利用頂きありがとうございます このバスはこれよりSS村へと向かわさせていただきます 2時間程ではありますが道中のお楽しみとして各座席前に今朝もぎたての新鮮枝付赤ゆをご用意させていただきました 新鮮な味を楽しむも良し 幼い鳴き声を楽しまれるのも良いでしょう 思い思いのゆっくりをお楽しみ下さいませ ではSS村までの時間を・・・・ 『ゆっくりしていってね』 「「「「ヒャッハァー!!」」」」 バスガイドに応える奇声と共に客らは赤ゆを手にする 目の前の椅子背には針や爪切りペーパーナイフに塩や唐辛子 ドリンクホルダーにはオレンジジュースと至れり尽くせりだ ちなみに車内は火気厳禁なので火を使ったゆ虐はできない 『キュピィ!ユックチヤメチェエ~』 『プスプスシャンハユックチデキナイ~』 早速あちらこちらの席から拙い悲鳴の心地良いBGMが流れる このツアーは過疎化に苦しむ田舎の起死回生の村興し事業で企画された 念のため擁護派に配慮してツアー名やガイドの台詞からはゆ虐色は出来るだけわかりにくくしてある このゆっくりとゆう生物は少し人が手を貸すだけで爆裂に殖える 自然しかない田舎でも事業資金に悩まずに殖やす事ができる しかもゆ虐用だから躾や品質を問われる事はない むしろゲスであればあるほど鬼井山に喜ばれるとゆうのだから楽なもんだ 山一つを柵で囲い、その中で繁殖させる 柵には網を張り既にヒャッハーされた個体の飾りを括りつけておけばゆっくりらは柵に近寄る事もなく逃げる事もない 山一つ分のスペースは幾つもの群を養うのに十分であった 後は彼女らの餌となる草のクローバーや蓬等の野草の種をばらまくだけで軟らかい草やそれを食べる虫が勝手に育ってくれる それらを食べゆっくりは育ち殖えてゆく 若者の少なくなった高齢化著しい村でも十分に対応出来る位に簡単な作業であった 『じじいはやくまりさにあまあまよこすんだ「うりゃ死ねぇ!」おそらをとんでる~ぐちぇ!』 『も゛っどゆ゛っぐぢじたかっだ』 まずバスを降りた観光客を出迎えるのは可愛いゲスゆっくり達 ウェルカムキックで軽く準備運動をこなし各自昼ご飯用の弁当やゆ虐キットの入った袋を受け取る 「えーこれより皆様にはゆっくり触れ合い体験をしていただきます。」 拡声器を持った案内人である男性の声に注目が集まる 「住まい訪問を希望される方はあちらの幟を掲げた係員が放牧場へご案内させていただきます。」 案内役の『ゆ愛』と描かれた幟を掲げた凛凛しい細身でありながら逞しい青年が手を挙げ山道へと歩きだし希望者がついて行く 「ふれあい広場を希望の方は私が案内をさせていただきます」 こちらの希望者はやや少ないようで大半は山へと既に移動している 案内役について行くとふれあい広場と可愛いらしく描かれた看板は廃校となった小学校のにあり校内には沢山のゆっくりが徘徊しているのが外からでも伺える 学校ならば広い敷地をしっかり囲われた壁があり門を閉めてしまえばゆっくりには逃げようのないうってつけの空間であった 「えー皆様ようこそゆっくりふれあい広場にお越しいただきました。」 広場入口にて敷地使用についてレクチャーを受ける ?火を使う場合はグランド中央にある煉瓦で仕切られた(あったかぷれいす)で使う事 ?水を使う場合はプール場の中で使う事 ?潰したゆっくりは係員が回収いたしますのでそのまま放置して下さい ?各種道具のレンタルは校舎にて無料にて受け付けています ?お持ち帰りはできません 以上が大まかな決まり事だそうだ 「では心ゆくまでゆっくり達とのふれあいをお楽しみ下さい」 「「「ヒャッハー」」」 客は奇声を高々とあげ校内をうろつくゆっくりへと駆け出してゆく よほど待ちきれなかったようだ それもそのはず、このツアーの客層のターゲットはズバリゆ虐をしたいけど世間の目が気になるとゆう人が中心 家では悲鳴が近所に響くし世間体も気になるためにじっくり愉しむ事ができないとゆう隠れ鬼井山ばかりである ここなら日頃の鬱憤を晴らせると今この時を心待ちにしていたのだからもう誰にも止められない 「まぅりぃぃさぁぁああああ」 一人の鬼井山が成体まりさに猛烈にダッシュ 『ゆゅ?おにいさんはゆっくりした・・・ゆゆゅ?』 駆け寄る鬼井山に不穏な空気を感じるまりさに対応させる事なくこの時の為に鍛えた必殺技が炸裂する 「ネオタイガーショット!!」 地面に爪先を引っ掛けて蓄えた力を一気に開放する ドゥォォーン 『ゆ゛ぅう゛う゛う゛』 解き放たれた力はまりさの右半身だけを木っ端みじんに吹き飛ばす 餡子脳では何が起きたのかは理解出来ないらしくしきりに剥き出しになった餡を地面に擦りつけながら懸命に舌を伸ばし半身と共に吹き飛んだ帽子を戻そうとあがいていた 『ば・・ばり゛ざの・・ぢゅでぎな・・・・お・・』 舌が限界ギリギリまで伸びたところに第2撃 「ヒャッハァァァ!!」 ブチュッ! 舌が下顎と一緒に吹き飛ぶ 後に残されたのは左目で砂糖水を垂らし生き絶える土饅頭であった 「これだぁ!この感触だ!もっとだ!もっと味わわせろ!ヒャッハハハハハハハハハハハァ!!」 初めてのゆ虐に感動に打ち震える鬼井山であった。 この叫びに合わせるが如くそこらじゅうから悲鳴と奇声と雄叫びがこだまする 『ゆ゛ゅ゛ゆ゛ゅ゛』 あったかぷれいすでは炉で真っ赤に焼けた鉄棒をあにゃるに突き刺されて声も出せずに中から焦げてゆくれいむやバットやハンマーで潰されたありす 『わがらないよぉぉぉぉ』 足に自信のあったちぇんは後ろから迫る足から逃げきれずに踏み抜くかれ死んだ 危機感の薄いゆっくりであっても流石にこの状況ではゆっくりできない様であった 『ゆゅ?これはゆっくりできないよ!れいむはゆっくりにげるよ』 『どぼじでとびらさんがとじてるの~』 『わがらないよ~ゆっくりしないではやくひらくんだよ~』 校門の前には逃げだそうとしたゆっくりが集まりだす 「おい糞饅頭」 門の施錠を担当の男性がゆっくりに声をかける 『ゆゆゅ?おにいさんれいむはゆっくりかえるからゆっくりしないでとびらさんをあけてね』 『じじぃははやくまりさをたすけるんだぜ』 『わがってね~』 口々に開場をせまるがいちいち取り合ずに男性はグランドを指さして尋ねる 「いいのかこんなとこに集まってて?」 『『『ゆゅ?』』』 指差す方向をみて驚愕する 「「「むふおぉぉぉ~!!」」」 興奮してまるでれいぱーの如く奇声をあげて獲物を求めて鬼井山達が走ってくるではないか 『ゆゆゆゆ!!!ゆっくりしないでれいむはにげるよ・・・・どぼちてとびらさんがしまってるの~』 慌てるゆっくり達 『みんなあっちににげるみょん!ここはみょんがひきうけたみょん!』 殿を引き受けたみょんにゆっくり達は驚く 『ひとさんとたたかったらだめだよ~えいえんにゆっくりしちゃうよ~』 みょんは引き止める仲間達に背を向けて答える 『みょんはれいむやありすにおおきなかりがあるみょん! みょんはこんなかたちでしかかりをかえせないゆっくりなんだみょん・・・』 言うやいなや鬼井山へと駆け出す 鉄棒のアシスト台を駆け登り大きく跳ねて鬼井山の上から襲い掛かった 『せめてあいうちくらいにはしてやるみょーん!!』 この高さから落ちればゆっくりではただでは済まない玉砕覚悟の一撃だったのだが 「うぬの動き見切ったわぁ!!」 ブゥワサァ 鬼井山は汗拭きに首からかけていたタオルを投げる 空中に投げられたタオルに絡まり身動きを取られるみょん 「死ねぇぇぇぇ」 ズブァァ 鬼井山の声に振り向いたれいむ達が見たのはあにゃるに人差し指を突き刺されてアヘ顔によがるみょんであった 『く・・・くつじょくだみょん・・みきられたうえにいかされてしまったみょん・・・』 ぺにぺにを震わせ快楽の中事切れるみょん 「むぅ!あれは補ゆ糖浸拳!」 思わず技に見とれてしまっていた他の鬼井山の一人が呟く 「知っているのか鬼井山?」 尋ねる鬼井山Cに鬼井山Bは頷く 補ゆ糖浸拳とはゆっくりを専門とするゆ菓子職人に伝わる一子相伝のゆ虐拳法である この拳法で死んだゆっくりは屈辱と恐怖と痛みによって余す事なく餡に滑らかさと味わい深さを増してゆくとゆう食用拳法なのだ 鬼井山達は怖れおののく 「「「なんて無駄に素敵な拳法なんだ・・・・」」」 他にもお飾りだけを集めて回る鬼井山やありすを揺らして発情させてにわかれいぱーに仕立てて襲わせる者 人のゆ虐をみてこっそりすっきりーする者も ふれあい広場を選んだ鬼井山は初心者が多く一撃で永遠にゆっくりさせてしまい悲鳴や呻きを楽しむ余裕のない鬼井山ばかりだった そんな鬼井山達の満面の笑みを遠目に眺めながら村長は満足毛に頷き役場職員に語りかける 「来月からはわしの山をもう一つ追加して狩場を倍にしよう、わしはこの村を日本一のゆ虐の村にしてみせるぞ!」 職員は 「それは素晴らしいですね」 と相槌を打ってはいたが内心では そんな精神病な村こさえてどうすんだよ?しかも日本一?そんな事したら廃人の集まる村として住みたくは無い村ランキングに載り続けるぞ・・・・・ はぁ~不景気でなけりゃこんな仕事即辞めしてやんのに・・・・・ と歎いていたのであった 澄み渡る快晴の山々に悲鳴と奇声が響いていた
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/24.html
ゆっくりたちの地雷行進 11KB 虐待 不運 番い 野良ゆ 現代 独自設定 ゆっくりが地雷で死ぬSS 加工所公式サイト、キッズページで「しゃかいこうけん」という項目をクリックすると、こんなページが出てくる。 【加工所はアフリカの土地で、ゆっくりを使った地雷除去を行っています】 ゆっくりんピースの活動などにより、一部では悪い印象を持たれているのも事実。 イメージ戦略の一環として、こういうこともしているようだ。 右下にはかわいくデフォルメされたれいむとまりさが、笑顔で喋っているイラストが付いている。 そのセリフは? れいむちゃん「れいむたちはみんなのためにがんばりたいよ!」 まりさちゃん「ゆゆ~ん♪ かこうじょのゆっくりはこんなところでもかつやくしてるんだね!」 ● どん、どん、どん、どん……。 ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。 太鼓の音が響く。 かつての内戦地。じりじりと暑く草一つない亜熱帯アフリカの大地にて。 横一列×十行に並んだゆっくりたちが一糸乱れぬ調子で前進していた。 ひとつドンと鳴るたびに一歩進む。機械のように、ただただリズミカルに進む。 (おちびちゃん! れいむは、れいむはぜったいにしなないよ……!) 横のゆっくりとの間に、スキマはまったくない。ほっぺとほっぺをくっつけて、決して遅れないよう進んでゆく。 どんどん。ドン! 「ゆびっ!!」 どんどん。ドン! 「ぼっぢょっっ!!」 どんどんどん。ドン! 「ゆがぼべ!!」 立て続けに三匹、永遠にゆっくりした。れいむの頬に、爆風と爆音。ゆっくりの断末魔が突き刺さる。 そして餡子の底から不快になる死臭が風に乗ってやってくる。 しかしどのゆっくりもまったく歩みを止めようとしない。 はねるたびに、大地の暑さによって染み出てきた汗がとびちる。 どんどんどん。 突然に、風が一吹きあった。 「ゆゆっ! まりさのおぼーしさん! まってね!!」 このまりさは、ただちょっとお帽子を取りたかっただけだ。 「ぺぎょっ!!」 そこで小さい爆風。まりさは中枢餡を爆破されこの世を去った。 止まったり列を離れたりしたゆっくりはどんな理由であれ、体内にうめこまれた爆薬でぶち殺されるのである。 自由な行動を許しては、地雷の除去はままならない。 どんどんどん。 一歩おきに、地雷に殺される可能性がある。その恐怖。 どのゆっくりも泣きそうな顔をして、死への道をただただ進むのだ。 顔を真っ赤にして号泣して、それでも死にたくないから止まれない。 「むっぎょおおおお!!! ぼういやああああ!!! ばちゅおうぢにがえるううううう!!!!」 また爆風。 このぱちゅりーのように恐怖のあまり狂って、走ったり暴れたりするゆっくりもいた。 恐怖に耐えられないゆっくりも、列からずれ次第爆破される。珍しくない出来事だ。 どんどんどん。 死と隣り合わせの極限状態。また。しずかに、ただ太鼓の音だけが響きはじめた。 れいむは祈りながら、一歩ずつ慎重に進む。地雷がないように、あっても何かの間違いで爆発しないように。 交通の発達とともに世界中に繁殖したゆっくり。 れいむはこの暑く草もまばらな土地から少し南の、あるジャングルで生まれ育ったゆっくりだった。 雨が多いことが熱帯雨林に住む上での唯一の難点である。 しかし食べ物が多く、なんといっても越冬する必要がないことがゆっくりの繁殖を許した。 それぞれの力は弱くても種全体としては力強いゆっくりは、凶悪な外来種としてここでも猛威をふるっているという。 そんなれいむが地雷除去ゆになったのは、人間さんたちのゆっくり狩りが原因だった。 豊富に繁殖した熱帯雨林のゆっくり。そこのゆっくりを使うのが量の面でも、コストの面でも良いと担当職員は考えたのである。 れいむは捕えられたあの時を、いつも反芻している。 あの時ふらんに捕まってさえいなければ、今だってゆっくりできたはずなのに。 ~~~~~~~~~~ ツルや低木がごちゃごちゃと並ぶ中、高い木の根元、そこに巣をつくってれいむたちは暮らしていた。 夫のまりさ、そして十五匹のおちびちゃん。食べ物は豊富で、最高にしあわせーな家庭であった。 「「おちびちゃんたち、おかーさんとおとーさんはかりにいってくるよ!」」 「「「「「ゆっくちいってらっちゃい!!」」」」」 天使のような子供たちの笑顔。れいむとまりさもついついにっこりしてしまう。 しかしこれが親子でした最後の会話となってしまった。 おちびちゃんとふれあったあの日々。れいむは、もうずいぶん前の事の様な気がしている。 育ち盛りの赤ゆを抱えたれいむとまりさ。沢山ごはんを採るため群れで有名な狩りスポットへ行こうとした。 ぱぱいやさんも生っているゆっくりした場所。しかしそれが運の尽き、そこはすでに地獄だった。 ゆっくりが集まることを見越して、捕獲用ふらんが大量に放たれていたのだ。 「しね! しね!」 「「「うー☆」」」 「ゆんやあああ!!! ありちゅをたべにゃいでええええ!!」 「おぢびぢゃああああああんんんん!!!!」 「ばりざおいしぐないよおおおお!!!」 「でがばらぢんぼおおおおお!!!」 「みんなあああ!!! みんなにげでえええええ!!!」 逃げ回るゆっくりはいとも簡単に捕まり、次々と巨大なバケツに放り込まれている。 重量がない子ゆ・赤ゆは軽過ぎて地雷除去ができないので、食べられるか殺されるかだ。 にげてと叫ぶ長ぱちゅりーも、まばたきした一瞬に連れ去られ、バケツ行きになった。 ふらんが群れのみんなを捕まえている! 捕まって食べられてしまう、そんなの冗談じゃない! れいむはまりさにふりかえった。 「ゆゆ! ゆっくりしないで、れいむたちもにげるよ!」 自分達も逃げないとゆっくりできない目にあいそうだ。はやく逃げなければならない。 しかしまりさの返答は、漢気あふれる勇敢な物。みんなのことを考え命を捨てる、そんなゆっくりにしかできない答えだった。 「まりさは……にげないよ! れいむとおちびちゃんたちだけでにげてね!! まりさはふらんとたたかって、むれのみんなをまもるよ!!」 「ま、まりさ!! なにいってるの!? いくらまりさがむれでいちばんつよいからって!」 まりさは成ゆ三匹を相手にしてなお無傷で立つ。この群れ十年に一度の戦士だった。 その自信もそこからきているのだろう。まゆげはキリリと伸び、表情は自信に満ち溢れている。 れいむは悲しくなり涙を浮かべたが、これが自分の愛したまりさだと思うと、それ以上止める気にはならなかった。 まりさならふらんたちを倒せるかもしれない。 「わかったよ……、でも、ぜったいいきてかえってきてね! まりさがしんだられいむもおちびちゃんもないちゃうよ!!」 「もちろん! しんぱいしないでね! ふらんなんてちょちょいのちょ……おそらをとんでるみたい!!」 まりさはキリリとした顔のまま、ふらんにおさげを掴まれあわれバケツ行きとなった。 「ばりざああああああああ!!!!」 れいむも同じ道をたどったことは言うまでも無い。 ~~~~~~~~~~ (ぜったいにいきのこって、おちびちゃんとゆっくりするよ! ぱぱいやさんをたべて、ゆっくりするよ!) つがいのまりさはあっけなく爆死したが、れいむはまだ死んでいない。 れいむは希望を持っていた。地雷除去ゆたちは、がんばったゆっくりから群れに帰れるとふきこまれている。 だが現実、ゆっくりがおうちに帰ることはは二度とない。 ゆっくりを働かせるための口実だろう。この土地の地雷処理が終われば次の土地に輸送されるだけである。 地雷を踏んでしまうその日まで、この地獄は終わらないのだ。 「Back!」 人間さんの鋭い掛け声とともに、ゆっくりたちは反転する。 Go aheadで進み、Backで戻り、Waitで止まる。その三つ以外の事は求められない。地雷処理ゆ全てだ。 (ゆふぅ、かわいいれいむはきょうもいきのこれたよ) 反転したゆっくりたちは、自分が歩いてきた土をまた踏むことになる。 念のためということで、一つの場所を何度も往復するのだ。 一度踏んだ土の下に地雷は無いはずだからと、ゆっくりたちもここにきてやっと安堵の表情を見せる。 ただ運よく何週間も地雷除去を続けているゆっくりはそんな簡単に安心できず、不安そうな顔をしている。 ここから死ぬゆっくりも沢山いるのだともう知っているのだ。 その瞬間、れいむの視界はスローモーションになった。 大きな音。大きな音。どこから? それは、れいむの下から。 「ぶぎょっ!!」 れいむの体の真下。餡子の重みで地雷が爆発した。 筋餡も中枢餡も、なにがなんだかわからないぐらいまざりあって、粉々にふきどんだ。 れいむは死んだ。走馬灯を見る暇すらなかった。 軍事上の理由から複数回踏まなければ爆発しない地雷、誤作動により爆発できなかった地雷。 二度目以降でも爆死するゆっくりはいる。 しかしなんてことはない。ゆっくりが死ぬのはいつものこと。 人間さんも、周りのゆっくりも、れいむの死などなかったかのように行進を続けた。 行進が終わったあと、残されたのは死んだゆっくりたちのバラバラになったおかざりと、ぶちまけられた大量の中身だけであった。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/549.html
『空へ続く風の階』 目次 prologue~ chapter 1 「暴君」 chapter 2 「別れ」 chapter 3 「森の賢者」 chapter 4 「裏切り」 chapter 5 「永遠の墓標」 chapter 6 「まりさ」 ~epilogue 【 prologue~ 】 そよ風が木々の間を抜ける。 枝葉を、草花をゆらゆらと揺らしながら。 地平線に接するように広がる青空のキャンパスに小さな黒い帽子が舞った。 「ゆんやぁぁ! まっちぇにぇっ! まっちぇにぇっ!! まりしゃのだいじにゃおぼうししゃんがぁぁぁ!!!」 それを追いかけているのはまだ赤ちゃん言葉が抜けきっていないゴムボール程の大きさの子まりさである。 子まりさをあざ笑うかのように風で運ばれる大事なお帽子。 風に攫われてしまったのだろう。 小さな体を一生懸命に動かし、草原の上をたむたむと跳ね続ける。 しかし、子まりさの帽子はなかなか地面に落ちてこない。 糸の切れた凧のように空を縦横無尽に泳ぎ続けていた。 疲れ切った子まりさが涙目になって上空の帽子を見上げる。 「ゆ……、ゆんやぁぁぁぁ!!!!」 「ちびちゃん。 どうしたの?」 叫び声を上げるのと同時に子まりさの後ろから声をかける者があった。 振り返るとそこにはサッカーボールほどの大きさにまで成長した成体ゆっくりのまりさ種が佇んでいる。 自慢の金髪とお下げを風になびかせ、見下ろすように子まりさを見つめていた。 「おきゃあしゃああああん!!!」 ぴょんぴょんとあんよで草を蹴り、その大きなまりさの元へと跳ね寄る子まりさ。 二匹は親子なのである。 親まりさは泣きじゃくる子まりさの頬をぺーろぺーろしながら優しく尋ねた。 「ちびちゃん。 なにがあったのか、まりさおかあさんにゆっくりとはなしてね……?」 「ゆぐっ、ひっく……まりしゃのおぼうししゃんが……いじわりゅしゃれて……ゆぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」 親まりさが視線を上に向けた。 あの高さまで飛ばされてしまった帽子を取り戻すのは、子まりさはおろか親まりさにも不可能だ。 子まりさが大泣きするのも無理はない。 ゆっくりにとって、リボンや帽子、カチューシャ、ナイトキャップは命の次に大事なものであるとされており、それらを失った ゆっくりは“ゆっくりできないゆっくり”として、生涯迫害され続けることとなる。 親まりさは子まりさの頬に優しくすーりすーりをすると、にっこりと笑って言葉を紡いだ。 「だいじょうぶだよ、ちびちゃん」 「ゆぇ……?」 「いつか、かならずおりてくるよ。 ふきやまない“かぜ”さんなんてないから。 ちびちゃんがそんなのじゃ、おぼうしさん がゆっくりおりてきたときに、つかまえられるものもつかまえられなくなくなっちゃうかもしれないよ?」 子まりさにその言葉の意味を理解するのは難しかったのか、首をかしげるような仕草をして困った表情を浮かべる。 親まりさは穏やかな笑みを浮かべると、 「ゆっくりしていれば、おぼうしさんもおりてくるよ。 ずっとあんなたかいところにいるのはつかれるからね」 囁くように呟いた。 やがて。 空を流れる風の道から外れた帽子がまりさ親子の元にふよふよと降りてくる。 子まりさは必死になってその帽子が落ちた先に向かって跳ね続けた。 ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。 やっとの思いで目指す場所にたどり着いた子まりさが小さな帽子をさらに小さな口ではむっと咥え、器用にそれを頭に乗せる。 子まりさが上目遣いで自分の元に帰ってきた帽子をチラリと見上げた。 帽子のツバに刺繍された真っ白なフリルが自分に微笑みかけてくれているような気がする。 「……ゆ、ゆっくち~~~!!」 子まりさの上げた嬉しそうな声に親まりさはにっこりと笑った。 戻ってきた子まりさの頬にすーりすーりをする親まりさ。 子まりさの方は泣いたカラスがどこへやら。 嬉しそうに親まりさの頬ずりに身を任せ、うっとりした表情を浮かべている。 一陣の風。 子まりさの頭から再び帽子が逃げ出そうとする。 親まりさがその帽子をそっと押さえた。 帽子が飛ばされてしまいそうになっていた事にも気づいていない子まりさは、嬉しそうに小さなあんよで一生懸命に地面を這っ ている。 親まりさの視線の先。 風に運ばれてどこまでもどこまでも飛んでいく緑色の葉っぱ。 親まりさはその葉っぱに向けて羨望の眼差しを送っていた。 「まりさたちは……おそらをとべないもんね」 呟く。 子まりさが親まりさの前でぴょんぴょん跳ねながら叫んだ。 「ゆゆっ?! まりしゃ、おしょらさんをとべりゅよっ!! おきゃーしゃん!! “たきゃいたきゃい”をしてにぇ!!」 はしゃぐ子まりさの笑顔を見ていると、願いを叶えてあげずにはいられなかった。 頭を下に向けて、子まりさを帽子のツバの上に乗るように促す親まりさ。 子まりさが定位置に着いたことを確認すると、親まりさは小刻みに頭を上下に揺らした。 帽子のツバがトランポリンの役割を果たし、跳ね上げられる子まりさ。 「ゆっゆーん!! まりしゃ、おしょらをとんでりゅみちゃいっ!!!」 親まりさが上下運動を終えると、子まりさが帽子のツバから原っぱに飛び降りた。 「ゆゆ……? もう、おわりにゃの……?」 「ゆぅ……ごめんね? ちびちゃんもおおきくなってきたから、ずっとおそらをとばせてあげるのはむずかしくなってきたよ」 「ゆゆっ!? じゃあ、まりしゃがもっちょもっちょ、おおきくなっちゃら、おきゃあしゃんを“たきゃいたきゃい”してあげ りゅにぇっ!!!」 「それはたのしみだね。 ゆっくりまっているよ」 「ゆゆーん!! ゆっくちりきゃいしちゃよっ!!!」 キリッとした表情になった後、勇んで親まりさの前を力強く跳ね続ける子まりさの後ろ姿。 親まりさはゆっくりと理解している。 大きくなればなるほど、空を飛ぶことが難しくなってしまうということを。 草原の遥か上空を数羽の鳥が横切る。 ゆっくりに空を飛ぶことなどできない。 それでも、親まりさは願う。 あの空へ羽ばたくための翼が欲しい……と。 【 chapter 1 「暴君」 】 森の中央に“お城”が佇んでいた。 その“お城”には一騎当千の力とそこそこの小賢しさを持ち合わせた一匹のゆっくりが住んでいた。 “お城”の主の名は“れいむ”。 ドスのように体が大きいわけでもなければ、他のゆっくりのように強い個性を持っているわけでもない一匹のれいむ種が、群れ 単位の数を誇るゆっくりたちを支配していた。 “れいむ”は人間の住んでいた街から逃げてきたらしい。 都会という荒波に揉まれ、それを乗り越えて森に帰還した“れいむ”にとって、野生で暮らすゆっくりたちは平和ボケした馬鹿 饅頭にしか見えなかった。 そんな“れいむ”にとって力で群れを支配するのは、いともたやすい事である。 平和的に群れを治めていたリーダーは“れいむ”によって倒されてしまった。 圧倒的な力による暴力の前に、森の中でのんびりと暮していたゆっくりたちの生活は激変してしまったのである。 “れいむ”に逆らったゆっくりたちは一匹残らず殺された。 自らを“最高にゆっくりしているゆっくり”と称し、森のゆっくりたちに自分に相応しいおうちを作らせた。 それなりに頭の良いぱちゅりー種に基本構造を練らせ、まりさ種、ちぇん種、みょん種が肉体労働。 ありす種が“れいむ”の趣味の悪い要望に無理矢理応えさせられて、“こーでぃねいと”を施した。 そうして完成したのが、岩山の空洞を利用した天然の要塞。 “れいむ”が誇らしげに言うところの“お城”である。 “お城”を作り上げるのには膨大な時間と労力を要した。 その作業の中で永遠にゆっくりしてしまったゆっくりの数は百や二百ではない。 逆に言えばそれだけの数のゆっくりを“れいむ”は力だけで支配していたのである。 「むきゅ……“れいむ”におこられないかしんぱいだわ……」 「なにをいってるのぜ……これいじょう、“れいむ”にごはんさんをむーしゃむーしゃされたら、まりさたちがゆっくりできな くなっちゃうのぜ……」 「しっ……。 “へいたい”にきこえちゃうわ……」 丁寧に編みあげられた草の籠に溢れんばかりの食料を入れて、ぱちゅりーとまりさが“お城”に向かっていた。 二匹は夫婦である。 “れいむ”は狩りをしない。 森のゆっくりたちに狩りを行わせて食料を得るのだ。 だからと言って“れいむ”は森に生息している大部分のれいむ種のように狩りが苦手というわけではない。 むしろ、森に住むどのゆっくりよりもその手の労働に長けていると言えるだろう。 「“れいむ”さまにごはんさんをもってきたみょん?」 “お城”の入り口で睨みを利かせているのは“兵隊”と呼ばれている“れいむ”の傘下に入っているみょん種だ。 みょんはじろじろとぱちゅりーとまりさを隅々まで眺めた。 “れいむ”は警戒心の強いゆっくりである。 それは都会で生き抜くために得た知恵であった。 “れいむ”は“お城”の“兵隊”たちに、少しでも怪しい素振りを見せたゆっくりはすぐに殺すように指示を出していたのだ。 そして、“れいむ”に対して無礼を働いたゆっくりを“お城”の中に入れた“兵隊”は、そのゆっくり同様に処刑される。 “兵隊”たちも必死なのだろう。 「“れいむ”さまと、ちびさまたちがおなかをすかせているからさっさともっていくみょん」 ぱちゅりーとまりさが、ずりずりとあんよを這わせて“お城”の中に入っていく。 “お城”の中は薄暗く注意をして移動しないとすぐに地面から隆起した岩に顔をぶつけてしまう。 凛とした冷たい空気が二匹を包み込んだ。 前へ進むたびに冷や汗が頬を伝う。 二匹が目指す場所はそこだけスポットライトが当てられているかのように照らされていた。 岩壁の裂け目から太陽の光が入り込んでいるのだ。 「ゆっくち……。 ゆっくち……」 どこからともなく赤ゆの声が聞こえてくる。 二匹を囲むようにその声の重なりが大きくなっていった。 カチカチと歯を鳴らして震えるありす。 「ごはんさんをもってきたの?」 ゆっくり特有の言葉が冷厳な口調で放たれた。 その瞬間、びくっと体を震わせてあんよを止める二匹。 そこには森の支配者である“れいむ”が悠然と佇んでいた。 顔中に小さな傷の跡が残されている。 それは“れいむ”が幾度となく修羅場を乗り切ってきた証なのだ。 “れいむ”はずりずりとあんよを這わせて二匹の元へとやってきた。 「ゆっくり……ごはんさんをもって、きたよ……」 まりさが咥えていた草のかごを地面に下ろす。 ぱちゅりーもそれに続いた。 “れいむ”は無表情のまま、かごに入った食料に視線を落とす。 「これだけなの?」 「ゆゆっ?!」 「これだけなの、ってきいてるんだよ? ばかなの? ……しぬの?」 お決まりのセリフも“れいむ”が口にするとその意味は大きく変化する。 「ご……ごめんなさいっ! みんな、おなかがぺーこぺーこで、ゆっくりできなくて、それで……」 “れいむ”が顔を勢いよく横に振って揉み上げをまりさの左頬に叩きつけた。 「ゆ゛ぎぃ゛ッ?!」 まりさの左頬が真っ赤に腫れ上がる。 そこから、じわりと痛みが広がっていく。 まりさは涙目にながら必死に「ごめんなさい」を繰り返した。 “れいむ”が溜め息をつく。 「みんなのおなかがぺーこぺーことか、れいむにはどうだっていいよ。 ごはんさんはこれだけしかないのってきいてるんだけ ど……りかいできる……?」 「できます!! りかいできまずぅぅ!!! これだけしかないでずぅぅぅ!!! ごべんな゛ざい゛ぃ゛ぃ゛!!!!」 「……ゆっくりりかいしたよ。 かわいいかわいいれいむのちびちゃんたち、ゆっくりしないで、でてきてね」 「ゆっくち~~~~♪」×108 「ゆ……ゆああああああああ!!!!」 叫び声を上げるぱちゅりーとまりさの周囲に集まったのは百八匹もの赤れいむの大群である。 どの赤れいむもかごの中の食料を凝視して、ぼたぼたと涎を地面に垂らしていた。 「さぁ、ちびちゃん。 ゆっくりごはんさんをむーしゃむーしゃしてね」 「ゆっくちりきゃいしちゃよっ!!」×108 円を描くように待機していた赤れいむたちが一斉に一点を目指し収束する。 赤れいむの波に呑まれた二匹は成体ゆっくりであるにも関わらず押しのけられてしまう。 百八もの赤れいむがかごの中に我先と頭を突っ込み餌を奪い合うその様は醜悪な光景だった。 「むーちゃ、むーちゃ、しあわちぇぇぇ!!!」 「うっめ! これめっちゃうっめ! ぱねぇ!!!」 ぐちゃぐちゃと不快な音を立てながらかごの中の食料を食い漁る赤れいむたちを“れいむ”が微笑みながら眺めている。 それも束の間。 鋭い視線をぱちゅりーとまりさに突き刺した。 「なにみてるの? れいむはまだごはんさん、むーしゃむーしゃしてないよ?」 「そ……それは……」 「れいむは、おんこうなゆっくりだから、おひさまさんがさよーならするまえに、ごはんさんをもってくればゆるしてあげるよ」 「で、でも……」 「ゆっくりしないでさっさとごはんさんもってきてね!!! ぷっくうぅぅぅぅ!!!!!」 「「ゆひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」」 “れいむ”のぷくーは、森のゆっくりたちにとって恐怖の象徴とも言える。 あまりの恐ろしさにしーしーを漏らしながら“お城”の外へと一目散に飛び出す二匹。 “れいむ”はそんな二匹の間抜けな後姿を見ながらゲラゲラ笑っていた。 「さぁ、ちびちゃんたち。 ごはんさんをむーしゃむーしゃしたら、ゆっくりすーやすーやしようね」 「しゅーやしゅーやすりゅよ……っ」 “れいむ”の声に一斉に寝息を立て始める赤れいむたち。 耳障りな寝息の音に混じってどこからかすすり泣く声が聞こえてきた。 暗闇の中、岩壁に頬を押し付けて涙を流す別の赤ゆたちがいる。 種類は実に様々で、まりさ種、ありす種、ぱちゅりー種、ちぇん種、みょん種、と勢ぞろいだ。 「まりしゃたちも……むーちゃ、むーちゃ……したいのじぇ……」 「わきゃらにゃい……わきゃらにゃいよぉぉ……」 “れいむ”はとりあえず赤れいむに餌を与えてから、残り物をその他の赤ゆたちに食べさせる。 当然、その量は赤ゆたちが満足できるようなものではない。 “お城”の中にいる赤ゆたちは驚くべきことに全て“れいむ”の子供である。 “れいむ”は群れのゆっくりたちの大半を“れいぽぅ”して自分の子供を作らせた。 子供を宿したゆっくりは“お城”の中に監禁し、子供を生み終えた後、即座に叩きだすのだ。 そして、れいむ種は“れいむ”の寵愛を受け、それ以外の種は凄惨な迫害を受ける。 “お城”の中で僅かながら共に過ごした母体のゆっくりは自分の子供が気が気ではない。 “れいむ”にとって赤ゆは、群れ全体の人質でしかなかった。 仮に人質が死んでしまったとしても、また別のゆっくりに子供を生ませれば良いだけの話である。 “れいむ”は自らの圧倒的な戦闘能力と群れ中のゆっくりの子供を盾にすることで強力な支配体制を確立させていた。 一度、成体ゆっくりたちが十数匹で徒党を組み、“れいむ”に戦いを挑んだが返り討ちにあっている。 その後、反乱を起こしたゆっくりの子供は例外なく皆殺しにされた。 つがいのゆっくりも死ぬまで“れいぽぅ”されて辱めを受けながらその命の灯を消す。 誰も“れいむ”に逆らえるゆっくりはいなかったのだ。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 巣穴の中にうっすらと光が差し込む。 小鳥のさえずりが外から聞こえてきた。 目覚めの朝である。 「ゆっくりしていってね!!!」 一番最初に目覚めた親まりさが元気に第一声を上げた。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 それに呼応するかのように目を開けたばかりの親ありすと子まりさが返事を返す。 ゆっくりの一日はこのやり取りから始まる。 もぞもぞと巣穴を這って朝食の準備を始めるのは親ありすだ。 巣穴の奥に敷いてある葉っぱの上に僅かながら備蓄された食糧を咥えて運んでいく。 一家は同様にしょんぼりとした表情を浮かべた。 皿代わりの葉っぱに盛られた食料は、育ち盛りの子まりさを含めた一家にとって十分な量はまかなわれていない。 親まりさと親ありすに促され、申し訳なさそうに木の実や雑草を口に含んで口をもぐもぐと動かす子まりさ。 「むーちゃ、むーちゃ、それなりー……」 芋虫などのご馳走は“れいむ”に献上しなければならない。 お世辞にも美味しいとは言えない食料を口にして、幸せな声を上げることはできなかった。 両親も後に続き同じ言葉を漏らす。 ゆっくりは基本的には雑食なのだが他の野生生物と比べて味覚が強く、無駄に味にうるさい。 口の中に入れてしまえばどうせ餡子に変換されるだけなのだが、それに気づいている者などいるはずもなく。 味にさえこだわらなければ何を食べても生きていけるのにも関わらず、それを頑なに拒むため短い寿命をさらに縮めてしまうこ とが多々ある。 ただでさえ脆弱な存在が自らの首を絞めるような真似をするので、ゆっくりたちは“動く死亡フラグ”などといった二つ名を与 えられてしまうのだ。 「ゆゆっ! ごはんさんをむーしゃむーしゃしたら、まりさはかりにいってくるよ」 「おきゃあしゃん。 まりしゃもがんばりゅにぇっ!」 この子まりさは風で飛ばされた帽子を追いかけて泣いていた子ゆっくりである。 子まりさには姉妹がいたが、みんな様々な理由で永遠にゆっくりしてしまった。 姉妹の思い出は少ない。 一緒に過ごした時間はあまりにも短すぎた。 「おちびちゃんはだめだよ。 ありすおかあさんといっしょにゆっくりおるすばんをしててね」 「どおしちぇぇ?! まりしゃだって、もうごはんしゃんをあちゅめられりゅよっ! ぷんぷん!!」 「ちがうよ。 まりさおかあさんがかりにいっているあいだ、ありすおかあさんをまもってあげてね」 ふくれっ面の子まりさに親まりさが穏やかな口調で言葉を返した。 それでも子まりさは納得がいかないらしい。 まりさ種が一人前として認められるのは狩りの腕次第なのだ。 生後二カ月弱の子まりさにとっては大事なことなのである。 そんなまだまだ幼さの抜けきらない子まりさに親ありすがそっと頬を寄せた。 「ちびちゃん。 ありすおかあさんをまもってくれないかしら……? とってもつよくて、とってもゆっくりしているちびちゃ んにまもってもらえたら、ありすおかあさん……すごくうれしいんだけどな……?」 「ゆ……ゆゆー……。 そ、それじゃ、しかたにゃいにぇ……。 ありしゅおきゃあしゃんのことは、まりしゃがまもっちぇあ げりゅよっ!!」 得意気な顔で体全体を“むんっ”といからせる子まりさ。 その様子を見て親まりさと親ありすは互いに目配せをしたのち、一呼吸置いて小さくクスリと笑った。 親まりさがぴょんぴょんと飛び跳ねて巣穴の入り口へと向かう。 子まりさは親ありすにぴったりと寄り添いその後ろ姿を見つめていた。 「ちびちゃん! ありすおかあさんのことをよろしくね!」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!!」 振り返りざまの親まりさの言葉に元気よく返事を返す子まりさ。 親まりさは自信に満ち溢れた覇気のある声を聞き遂げた後、森へ向けて力強くあんよを蹴った。 「ゆぅ……ゆっくりおそくなっちゃったよ……」 親まりさが出かけた目的は狩りではなかった。 今日は群れの一部のゆっくりたちと“れいむ”に対する会議を行う日だったのだ。 群れの疲労は日を追うごとに大きくなっていく。 自然の恩恵にも限界があるのだ。 それを“れいむ”が際限なく貪るため、その他のゆっくりへの被害は甚大なものである。 そこで、何度か“れいむ”を倒す話し合いを秘密裏に行ってきた。 正攻法でぶつかって“れいむ”を倒すのは不可能だ。 群れのゆっくりが総出でかかればこれを撃破することも可能だったか知れないが、“お城”は内部も入り口も狭く、一度に襲い かかることは難しい。 これに加えて“お城”の周辺には“兵隊”たちがいる。 怪しい動きを見せれば即座に捕えられ、“れいむ”によって処刑されてしまうだろう。 「ゆぅぅ……れいむは、もう、げんっかいっ!だよ……」 集まったゆっくりたちのうち、一匹のれいむが会議の第一声を上げた。 そのれいむ種はボサボサの髪に傷だらけの顔、大事なリボンもところどころ破れているという惨めな姿をしている。 “れいむ”とそっくりというだけで群れのゆっくりたちから迫害を受けていたのだ。 おかげでまだ若いゆっくりであるにも関わらず、友達を作ることも恋をすることもできずに一匹寂しく巣穴の奥で日々を過ごす。 暴君“れいむ”はあらゆる意味で群れにとっての癌そのものだった。 「むきゅっ……きょうはみんなにこれをみてほしいの……」 そう言ってぱちゅりーが取り出したのは赤トウガラシである。 初めて見る赤トウガラシに、集まったゆっくりたちは一斉に注目した。 しかし、見た感じではただの植物でしかない。 これを使ってあの“れいむ”をどうやって倒そうと言うのか皆目見当がつかなかった。 「いったい、これでどうするの……?」 「こんなものじゃあ“れいむ”はやっつけられないよ……」 「……とかいはじゃないわ……」 「わからないよー……」 それぞれが顔を傾けながら困惑の表情を浮かべ、赤トウガラシをつついたりしている。 「これを……」 「なにをやっているのぜッ?!」 説明をしようとしたぱちゅりーの声を遮るように“兵隊”まりさが集まったゆっくりに向けて怒鳴り声を上げた。 途端に顔面蒼白になり、震えだすゆっくりたち。 そこへ悠然と“兵隊”まりさがやってきた。 “兵隊”まりさはゆっくりたちの中央にポツンと置かれた赤トウガラシを見ながら、 「これはなんなのぜ?」 問いかける。 「……よければ、まりさもいかがかしら……? おしごとさんは、たいへんでしょう?」 ぱちゅりーが務めて冷静に言葉を返す。 “兵隊”まりさが「ゆふん」とわざとらしく息を上げ、偉そうに赤トウガラシの元へとやってくる。 そして赤トウガラシを口に咥え、可能な限り低い声で宣告をした。 「“れいむ”さまにかくれてごはんさんをむーしゃむーしゃするようなゲスは、“れいむ”さまにせいっさいっ!してもらうこ とにするのぜ!! げらげらげらげら!!!!」 笑い声を上げる“兵隊”まりさをよそに、俯き涙目でその場を一歩も動けないでいるのは集まったゆっくりたちである。 “兵隊”まりさが赤トウガラシを歯で噛み砕く。 口をもごもご動かしながら、 「むーしゃ、むーしゃ……ゆ゛ぶべばっはぁ゛あ゛あ゛ぇ゛ぉ゛ぁ゛あ゛ぁあ゛ッ???!!!!!!」 次の瞬間、飛び出さんばかりに目を見開き顔を文字通り真っ赤にしながら中身の餡子を大量に吐き出す“兵隊”まりさの姿があ った。 滝のように涙を流し、狂ったように草の上を転げまわる“兵隊”まりさはなおも餡子を吐き続けている。 やがて中身を失った“兵隊”が永遠にゆっくりしてしまった。 開いた口が塞がらないゆっくりたち。 「ど……どういうことなの……?」 「むきゅ……これには、ものすごい“どく”がはいっているのよ」 「……“どく”……ッ?!」 口を揃えて身を寄せ合いながら、赤トウガラシを改めて注視する。 「まだ、ぱちゅがあかちゃんだったころ……ぱちゅのいもうとがこれをむーしゃむーしゃして、えいえんにゆっくりしてしまっ たわ……。 これを“れいむ”にむーしゃむーしゃさせれば、“れいむ”をえいえんにゆっくりさせられるはずよ」 「と……とかいはだわっ! ぱちゅりー!! あなたはさいこうにとかいはなゆっくりだわ!!」 「わかるよー!! すごいんだねー!!」 「でも、ひとつだけもんだいがあるわ……」 表情を輝かせているゆっくりたちは裏腹にぱちゅりーの表情は暗い。 浮かれた声を出すのをやめて真剣な眼差しをぱちゅりーに送る。 「“れいむ”がこれのことをしっていたら……これをたべさせようとしたゆっくりが……“れいむ”にえいえんにゆっくりさせ られてしまうはずよ……」 ぱちゅりーの言葉に絶句する一同。 “お城”を築き、“兵隊”に守らせ群れを支配している“れいむ”のことだ。 赤トウガラシの存在を既に知っている可能性のほうが高い。 チラチラと互いの顔を見合わせる。 この危険な任務を自ら進んで請け負うような勇敢な者はいないだろう。 集まったゆっくりのどれもがそう思っていた。 「まりさがやるよ」 「――――ッ!?」 名乗りを上げたのは、子まりさに留守を任せ会議に遅れてやってきた親まりさである。 赤トウガラシに向けられていた視線が一斉に親まりさへと向きを変えた。 「まりさ……あなた……」 「だれかがやらないといけないんだよね? だったらまりさがやるよ。 ゆっくりまかせてね」 「……ま、まって。 そんなにかんたんにひきうけてもいいの?」 「まりさにはちびちゃんがいるんだねー……。 まりさになにかあったら、ちびちゃんがかなしむよー……?」 「………………」 「そんなにあわてるひつようはないのよ……? もっとよくしらべてからでもおそくはないわ」 「……でも、そのあいだにも“れいむ”は、むれのゆっくりたちにめいわくをかけるよ」 「まりさ……」 親まりさの決意は固い。 群れの疲労は限界が近かった。 手を打つのなら早い方がいい。 “れいむ”に群れを支配されてからの生活で、親まりさの子供は二匹も死んでしまった。 一匹は空腹に耐えることができず。 もう一匹は“兵隊”とぶつかったという理由だけで潰された。 親まりさはこの生活に終止符を打ちたかったのだ。 そして、それは群れの悲願でもある。 心配そうに見つめるゆっくりたちに親まりさは笑みを浮かべた。 「だいじょうぶだよ!」 「ま、まりさ……かんがえなおしたほうがいいわ……あなたには……」 「ちびちゃんのことならだいじょうぶだよ。 ちびちゃんは、もうりっぱな“おとな”だから」 ぱちゅりーから赤トウガラシを受け取る親まりさ。 親まりさはそれを器用に帽子の中に入れるとぴょんぴょんと跳ねて戻っていった。 残されたゆっくりたちが親まりさの後姿を見送る。 「……まりさは、やっぱりせきにんをかんじているのかしら……?」 「むきゅぅ……」 「あれはしかたのないことなんだねー……」 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「ゆっくりただいま!! 「ゆっくりおかえりなさい!!」 「おきゃえりなしゃい!!」 巣穴の中に戻ってきた親まりさを迎えるのは親ありすと子まりさ。 親まりさの顔についた汚れを舌で綺麗に舐め取る親ありす。 「まりしゃおきゃあしゃん!! ごはんしゃんはたくしゃんとれたにょ?」 親まりさはバツが悪そうに顔を横に振った。 子まりさがふくれっ面になって親まりさに文句を言いだす。 「ゆゆぅ! だかりゃ、まりしゃもいっちょにいくっちぇいったにょにぃ……!」 「ごめんね、ちびちゃん。 でもおみやげがあるんだよ」 「ゆゆっ?!」 子まりさの前に芋虫が置かれた。 まだ動いており鮮度は抜群である。 子まりさは久しぶりに見た御馳走を前にして思わず涎を垂らした。 芋虫と親まりさの顔を交互に見る。 「た……たべちょも、いいにょ……?」 「あたりまえだよ。 それはちびちゃんのごはんさんなんだよ!」 「ありしゅおきゃーしゃ……」 「よかったわね。 ちびちゃん。 ちゃんとまりさおかあさんに“ありがとう”してからたべるのよ?」 「ゆ……ゆわああ!! まりしゃおきゃあしゃん!! ゆっくち、ありがちょう!!!」 親まりさと親ありすが微笑む。 子まりさは芋虫を少しだけかじった。 弾力のある食感が歯と舌を通じて子まりさをゆっくりさせていく。 「むーちゃ、むーちゃ……しあわちぇぇぇぇ!!!」 涙目で叫ぶ子まりさ。 久しぶりにゆっくりたちの大好物である芋虫を食べさせてもらえて感無量のようだ。 与えられた芋虫を食べ終わった子まりさは、しばらく巣穴の中ではしゃいでいたが疲れてしまったのだろう。 いつのまにか、すーやすーやと寝息を立てていた。 親ありすは子まりさにそっと葉っぱをかぶせると、親まりさの方に向きを変える。 「それで……どうだったのかしら……?」 「ゆゆ……ゆっくりはなすよ」 親まりさは会議の内容をかいつまんで親ありすに伝えた。 まりさ一家同様に群れ全体の疲労がそろそろ限界に来つつあること。 赤トウガラシを使って“れいむ”を倒す計画。 そして、その計画の実行者が親まりさであること。 話の内容を聞いて、親ありすは静かに目を閉じ頷いた。 「……とかいはだわ。 ありすのだいすきなまりさなら、きっと“れいむ”をやっつけられるとおもうの」 「ありす……」 「はんたいするとおもったの? とかいはなありすは、まりさのことならなんでもおみとおしだわ」 「ごめんなさい……」 「……とかいはじゃないわ。 そんなにあやまられたら……なに、も……もんく……いえなぃ…………っ!!!」 気丈な親ありすがぽろぽろと涙をこぼし始めた。 親まりさが何も言わなかったのは、いや、言えなかったのは親ありすの瞳が滲んでいくのに気付いていたからだ。 “れいむ”を倒すための危険な賭け。 賭けに負ければ親まりさは間違いなく命を落とすだろう。 そして親ありすもまた、ただではすまないはずだ。 二匹の大切な最後の子まりさも。 「ありす。 それでも、まりさは……やるよ」 親ありすが泣きながら頷く。 親まりさと“れいむ”の間には因縁があった。 “れいむ”が初めてこの群れにやってきたときのリーダーは、親まりさの母親だったのだ。 “れいむ”はたった一匹でリーダー率いるゆっくりたちを叩きのめし、残るリーダーに戦いを挑んだ。 その力はほとんど五分と五分。 “れいむ”のほうがスタミナが勝っていた分、長期戦にもつれ込むにつれてリーダーの動きが鈍くなっていく。 このときの親まりさは、ちょうど今の子まりさぐらいの大きさだった。 リーダーの子供として様々なことを母親から教わっていたが、初めて目の当たりにした命のやり取りを前に、当時の親まりさは 一歩たりともあんよを動かすことができなかった。 もしも、自分がリーダーの加勢に入り、二対一で戦っていたら……“れいむ”を倒せていたのかも知れない。 そんな事を考えて毎日毎日巣穴の奥で泣いて過ごした。 群れ中のゆっくりたちが、「ちびちゃんのせいじゃない」と言ってくれてもその時の親まりさは聞き入れなかったのだ。 程なくして“れいむ”による恐怖政治が始まる。 “れいむ”は、あの日戦ったリーダーに子供がいたことは知らなかった。 だからこそ、親まりさは今日まで生きている。 暗い巣穴の中から、親ありすが外に引っ張り出してくれなかったら、一匹寂しく巣穴の中で生涯を終えていたことだろう。 「……わかってるから……。 だから、もぅ……なに、も……いわ……ないで……っ!!!」 泣き止まない親ありすの頬に自分の頬をすり寄せる親まりさ。 あの頃の、弱虫で泣き虫だった自分に手を差し伸べてくれた親ありす。 掴んだその手を今度は自ら離すのだ。 過去の自分と決別するために。 最愛の親ありす。 かけがえのない子まりさ。 二匹の永遠の幸せを願って。 【 chapter 2 「別れ」 】 あの会議の日から一週間が経過した。 “お城”に向かってずりずりとあんよを這わせるのは、親まりさと親ありすの二匹である。 “れいむ”は午前中と午後の二回、必ず食料を届けるように命令をしていた。 一日のうちに二家族が餌集めに奔走することになる。 子まりさは他のゆっくりたちと一緒に別件で狩りに出かけていた。 「…………」 二匹とも無言であんよを進める。 やがて、独立した岩山とその麓にぽっかりと口を開ける洞窟が視界に入った。 仇敵“れいむ”が誇る牙城である。 親まりさは誰にも気づかれないように唇を噛み締めた。 「まつんだねー!!」 “兵隊”のちぇんが二匹を呼びとめた。 親まりさと親ありすの周りをくるくると回り出す。 「とおっていいんだねー! わかるよー!!」 “兵隊”ちぇんが“お城”の入り口を顎で指して中に入るよう指示をする。 「そろそろくるかとおもっていたよ。 れいむをまたせるとかゆっくりしてないね」 思わず呆気に取られてしまった。 “れいむ”自らが“お城”の中から現れたのである。 “兵隊”ちぇんは突然キリッとした表情になり動かなくなった。 ……敬礼のつもりなのだろうか。 「ゆゆっ? そこのありすは、なかなかの“びゆっくり”だね。 れいむがすっきりー!してあげてもいいよ!!」 そう言って素早く親ありすの横に移動し頬に舌を這わせる。 「や……やめて……とかいはじゃないわっ!!」 あまりのおぞましさに思わず声を上げる親ありす。 “れいむ”は親ありすの嫌がる表情を見て陰鬱な笑みを浮かべた。 「ゆふふ……。 れいむはね。 むれの“りーだー”なんだよ。 “りーだー”はつかれるんだよ? だから、むれのみんなは れいむにやさしくしないといけないんだよ? れいむは“いやし”がほしいんだよ? りかいできる……?」 冷たく低い声。 親ありすを見て一瞬だけはしゃいでいた時の声と表情が嘘のようだ。 いや、こちらが“れいむ”の素顔である。 涙目になって“れいむ”から視線を外そうとする親ありすをますます気に入ったのか高らかに宣言した。 「ゆっ! ありす。 いまきめたよ。 きょうはありすとすっきりー!するよ」 「そ、そんな……っ!!」 「そんなにらんぼうなことはしないよ……。 じっとしていればすぐおわるよ……。 ……ゆふふ」 親ありすが涙を流す。 そこに親まりさが割って入った。 “れいむ”が訝しげな表情で親まりさを睨みつける。 (……れいむにむかってこんな、なまいきなたいどをとるゆっくりがまだいたんだね……) 親まりさが口を開く。 「“れいむ”さま。 おそくなってごめんなさい。 きょうのぶんのごはんさんをもってきたよ。 ゆっくりうけとってね」 「……ゆっくり、りかいしたよ」 “れいむ”の前に草で編んだかごを降ろす。 親ありすかごを降ろそうとしたとき、“れいむ”がその頬に自分の頬をすり寄せた。 「い、いや……っ!!」 「ありすは、“びんっかんっ!”なゆっくりだね……。 ……こんなかわいいゆっくりをひとりじめしている、まりさには“せ いっさいっ!”がひつようだね……」 「おかしなことをいわないでっ!」 「いちいちはんのうしないでいいよ。 ちょっとまりさがうらやましいな、っておもっただけだから。 ……えいえんにゆっく りさせてやりたいくらいに……」 冗談めかして冷え切った台詞を連発する“れいむ”に親ありすは生きた心地がしていなかった。 それでなくとも、今夜は“お城”の中で“れいむ”に“れいぽぅ”されてしまうのである。 気が狂いそうだった。 “れいむ”がかごの中の食料をチェックしていく。 やれ、「いもむしがすくない」だの、「きのみはかたくてゆっくりできない」だのと言いながら。 「……ゆっ?」 “れいむ”があんよを止めた。 口で咥えて引きずり出したのは例の赤トウガラシである。 親まりさと親ありすが表情を強張らせて“れいむ”の動きを注視した。 “れいむ”はそれを見つめながら、まるで匂いを嗅ぐような仕草をしたり舌の先をちょん、と当てたりしている。 親まりさの頬を冷汗が伝う。 「これはなんなの? はじめてみるたべものだよ」 「それはおいしいごはんさんだよ。 めずらしくてなかなかてにはいらないから、“れいむ”さまにもってきたよ」 「……ふーん……」 考え事をしている時の表情は他のゆっくりと対して変わらない。 “れいむ”はしばらく「ゆんゆん」唸っていた。 そして。 「ゆゆっ! そんなにおいしいものなら、ありすにたべさせてあげるよ! きょうはありすといっしょにすっきりー!するから いっぱいたべてげんきになってね!」 二匹の表情が凍りつく。 “れいむ”はそれを見逃さなかった。 ずりずりとあんよを這わせて親まりさの眼前へと詰め寄る。 「……どうしたの? ゆっくりできない……? おいしいごはんさんをありすがむーしゃむーしゃできるんだよ? よろこばな いの?」 「そ……それは……」 親まりさがしどろもどろになって俯く。 “れいむ”は赤トウガラシをそっと口に咥えた。 そのまま親ありすへと向き直る。 親ありすの表情が見る見る青ざめて行った。 “れいむ”が口元を緩める。 「さぁ、ありす。 たくさんむーしゃむーしゃしていいよ!!」 親ありすの口に無理矢理赤トウガラシをねじこもうとする“れいむ”。 親ありすはそれを必死になって拒んでいた。 それでも“れいむ”の力に抗うことができない。 同じくらいのサイズとは思えないほどの力だった。 歯に押し付けられた赤トウガラシが徐々にそれをこじ開けて行く。 「……んぅっ!! …………ゆ゛ぅ゛ぅっ!!!」 一瞬。 親ありすが目を丸くした。 「ゆ゛ぐぅっ??!!!」 “れいむ”の体が草むらの上を転がる。 親まりさは鬼のような形相で“れいむ”を見下ろしていた。 「ま……まりさっ!!!」 「ありす……ごめんね」 「どおしてこんなことするの? れいむ、すっごくいーらいーらしてきたよ。 まりさみたいなよわいゆっくりがれいむにはむ かうとかばかなの? しぬの? ……ゆっくりできない、まりさは……ゆっくりしんでね」 両者が互いの体をぶつけ合う。 勢いよく弾き飛ばされたのは当然親まりさのほうだ。 親まりさの攻撃は体当たりだが、“れいむ”の攻撃はぶちかましとでも言えばいいだろうか。 とにかく力の差が歴然だった。 一度不意打ちを食らっているはずの“れいむ”が一方的に親まりさを攻撃し始める。 「まりさがいけないんだよっ!! ……れいむにっ、ひどいことっ!! するからっ!!!」 感情的になりながら親まりさの顔に体当たりや踏みつけを繰り返す“れいむ”。 次第に親まりさの顔が変形していく。 それでも、歯を食いしばりながらワンサイドゲームの攻撃に耐えていた。 “お城”の中から“兵隊”たちが飛び出してくる。 あっという間に二匹は囲まれてしまった。 「ゆ……ゆあああああああ!!!」 親ありすが一直線に体を“れいむ”にぶつける。 「あ……ありすっ!!! やめてねっ!!!」 「いやよっ!!!」 ぽろぽろと涙をこぼしながら親ありすが“れいむ”を睨みつけた。 騒ぎを聞きつけた他のゆっくりたちも集まってくる。 “お城”の前が騒然となっていく。 ボロボロになった親まりさの姿を見たゆっくりたちが一様に“れいむ”を睨みつけた。 かつて自分たちのリーダーを理不尽に奪った暴君に、その忘れ形見まで奪われてなるものか。 「みんなっ!!! ゆっくりたたかうよっ!!!!」 群れ中のゆっくりたちが“れいむ”と“兵隊”たちに向かって突撃を開始する。 すぐに両陣営の先頭が激しくぶつかり合った。 その様子を見ながら“れいむ”が舌打ちをする。 親まりさは瀕死の状態で“れいむ”に笑顔を見せた。 「……ゆっくり、しんでね」 その笑顔に応えるかのように“れいむ”が穏やかな笑みを浮かべた。 親まりさがあまりにも自然なその笑顔に表情を凍りつかせる。 “れいむ”はぴょんぴょんと“お城”の中に入ると口に数匹の赤ゆを咥えて戻ってきた。 そのまま大声を張り上げる。 「みんな!!! じぶんたちがなにをやっているかわかってるの? ばかなの?!」 群れのゆっくりたちと“兵隊”がその場で動きを止め、“れいむ”へと視線を移す。 「おきゃああしゃああああああん!!!」 「たしゅけちぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆんやあああああ!!!!」 「ちびちゃああああああんッ!!!!」 赤ゆたちの悲痛な叫び声に一匹のゆっくりが悲鳴を上げた。 人質に取られた赤ゆの親なのだろう。 泣き叫ぶ赤ゆたちを見て金縛りにあったように動きを止めるゆっくりたち。 “れいむ”が不敵な笑みを浮かべた。 “兵隊”たちによって一方的に暴行を受けるゆっくりたちに抗う術などない。 赤ゆたちを盾に“れいむ”たちによる反乱の鎮圧が始まる。 その主たるメンバーは親まりさと共に会議を行っていたゆっくりたちが中心だ。 みんな、親まりさが心配でこっそりと後をつけてきていたのだろう。 リーダーの子である意識がそうさせるのか、泣きながら必死に仲間の命を助けるように懇願する親まりさを“れいむ”は嘲笑し ていた。 「ゆるすとおもったの? れいむをゆっくりできなくさせようとする、ゲスなゆっくりは……せいっさいっ!してやるよ!! げらげらげらげら!!!!」 「やべでぇぇぇぇぇ!!!」 そこに更に遅れて騒ぎを聞きつけたゆっくりたちが集まってくる。 その中には子まりさもいた。 親まりさの表情が青ざめていく。 子まりさはボロ雑巾のようになった母の姿を見てぷるぷると震えていた。 恐怖で声を発することができないのだろう。 それでいい、と親まりさはにっこりと子まりさに笑顔を向けた。 その顔が癇に障ったのか“ れいむ”が親まりさを潰さないよう注意しながら踏みつける。 苦痛に表情を歪めながらも決して子まりさから視線を外そうとはしない。 数匹の“兵隊”に押さえつけられた親ありすも子まりさをずっと見つめていた。 (ちびちゃん……。 ちびちゃんは……まりさのちびちゃんだから……そこからあんよをうごかせないはずだよ……。 でも、 それでいいよ……。 まりさやありすのことはいいから……せめてちびちゃんだけでもゆっくりして――――) 「おきゃあしゃんを……いじめりゅにゃああああッ!!!!」 懇親の叫び。 “兵隊”たちの怒号とゆっくりたちの悲鳴しか聞こえないその中において、突如上がった子まりさの絶叫は皮肉にも全てのゆっ くりの動きを止めてしまった。 “れいむ”が子まりさを睨みつける。 子まりさも“れいむ”を睨みつけていた。 両者の視線が空中でぶつかる。 親まりさと親ありすが思わず目を見開く。 全身を震わせてはいるものの凛と鋭い視線をぶつける子まりさの瞳に涙は滲んでいない。 目の前で繰り広げられる仲間たちの凄惨な最期。 見るに耐えない状態にまで痛めつけられている両親の姿。 それを目の当たりにしながら、子まりさは自分よりも倍以上のサイズを誇る“れいむ”を睨み続けていたのだ。 「……そこのちびちゃん」 ついに“れいむ”が口を開く。 親まりさと親ありすは子まりさの無事を願い顔面蒼白になり歯をカチカチと鳴らしている。 「……まりしゃは、まりしゃだよっ!!! ちびちゃんにゃんかじゃにゃいよっ!!!」 抜けきらない舌足らずな口調で子まりさが啖呵をを切った。 見下ろす“れいむ”。 見上げる子まりさ。 まるで吸い寄せられるように子まりさの元へと移動していた事に気づいた“れいむ”が思わず目を丸くする。 もしも、子まりさが成体ゆっくりであればこの一瞬の隙を突いて先手を打つこともできたかも知れない。 “れいむ”もそれに気がつき眉をしかめた。 バスケットボールほどものサイズの成体ゆっくりがソフトボール程度の大きさしかない子まりさに対して一瞬でも呑まれてしま った。 「おでがいじばずぅぅぅ!! ちびちゃんにびどいごどじないでぇぇぇぇ!!!」 動かしかけたあんよを止める“れいむ”。 戦いが始まっていれば子まりさは即死していただろう。 「おきゃあしゃん!! じぇったいにまりしゃがたしゅけちぇあげりゅよっ!!!」 悲痛な親まりさの声に応えるかのように子まりさが雄々しい声を発した。 それを取り巻く“兵隊”たちもゆっくりたちも、その親子の様子を無言で見つめていることしかできない。 群れのゆっくりたちが今にも泣き出しそうな表情で佇む。 諦めの念が見て取れる。 かつてのリーダーを殺され、その子供である親まりさも瀕死の重傷を負わされ、更に子まりさまでも殺されてしまうのか。 この、突然森に現れた残虐なる支配者。 暴君“れいむ”によって。 これから起こるであろう凄惨な結末を予測し、もはや己を奮い立たせるほどの心は持ち合わせていない。 「ちびちゃん……。 れいむはやさしいゆっくりだから、ちびちゃんにひどいことはしないよ」 「……ゆっ?」 「でも、れいむになまいきなたいどをとったゆっくりには、せいっさいっ!がひつようだよ。 りかいできる?」 「りきゃいできにゃいよっ!! せいっしゃいっ!されりゅのはれーみゅのほうじゃよっ! ゆっくちりきゃいしちぇにぇっ! !!!」 “れいむ”の揉み上げが勢いよく子まりさの頬を叩いた。 瞬間、「ゆぴっ」と短い悲鳴を上げる子まりさ。 ころころと草の上を転がりようやく止まった時には、既に起き上がり“れいむ”を睨みつけている。 打たれた左の頬を真っ赤に腫らして。 “れいむ”はそれ以上、子まりさに危害を加えるつもりはなかった。 子まりさを潰してしまえば、“お城”の中に監禁してある赤ゆたちも同様に潰されてしまっているということを周知する形にな ってしまうからだ。 “れいむ”の支配体制は赤ゆという盾があって初めて成立する。 盾が失われれば群れ中のゆっくりが玉砕覚悟で“お城”に攻め入ってくるだろう。 いくら“れいむ”でも一匹でその相手をするには手に余る。 狭い“お城”の中であれば戦いで負けることはないだろうが、体力的な問題で全てのゆっくりを返り討ちにするのは難しい。 「ゆんやああっ! はなしちぇにぇっ!! はなしちぇにぇっ!!!」 “れいむ”によって口に咥えられた子まりさが必死になってあんよを振る。 身動きの取れない両親がその様子を怯えながら見つめていた。 子まりさを“兵隊”のうちの一匹に預け、ゆっくりたちへ高らかに宣言する“れいむ”。 「みんな!! ゆっくりきいてね!! いまかられいむをゆっくりできなくさせようとした、ゲスなまりさをせいっさいっ!す るよ!!!!」 ざわつく群れのゆっくりたち。 会議に参加していたゆっくりたちは悔しさのあまりに唇を噛み締めた。 赤ゆたちさえ人質に取られていなければ。 暴君の言いなりになる必要もないというのに。 「ゆぐ……ゆっくり、はなして……っ!!」 二匹の“兵隊”によって親まりさが“お城”の近くに突き出た平たい岩の上に乗せられ、動きを封じられる。 “れいむ”は自分に対して無礼を働いたゆっくりをこの岩の上で処刑するのが好きだった。 より多くのゆっくりたちに制裁対象が潰される様を見せつけることができるからだ。 「いやああぁぁぁぁっ!!!」 親ありすが叫ぶ。 処刑台の上の親まりさはご丁寧に目の前に連れてこられた子まりさをじっと見つめていた。 「ちび……ちゃん……」 「おきゃあしゃん……っ!! おきゃあしゃん……っ!!」 風に舞う木の葉。 草木の揺れる音。 静まり返る群れ。 “れいむ”が親まりさの顔を何度も何度も踏みつける。 「ゆ゛ぶっ!! ぎゅべっ!! ゆ゛ぎぃッ?! ゆ゛ぼぉッ??!!!」 「ゆんやあああああああああああ!!!!!!」 「ちびちゃ……ゆ゛げぇ゛っ??!!!」 「まりさああああぁぁぁあぁぁ!!!!」 「ゲスはゆっくりしないでしね!!!!」 親まりさの顔が潰れ中身の餡子が飛び散った。 ぼさぼさになってしまった金髪が頭皮ごと地面にぱさりと落ちる。 飛び出した目玉がころころと転がり、子まりさの前でその動きを止めた。 “れいむ”のあんよにはべったりと餡子が付着している。 風に乗って辺りに死臭が漂い出す。 そのゆっくりできない臭いが、群れのゆっくりたちにかつてリーダーを失ったときの焦燥感をフラッシュバックさせていく。 子まりさは変わり果てた親まりさの姿を呆然と眺めていた。 穏やかな笑顔を見せてくれた母親の面影はそこにない。 ぐしゃぐしゃに潰された餡子まみれの皮が岩の上に張り付いているだけだ。 「うわああああ!!! ごろ゛じでや゛る゛ッ!!! じね゛ッ!!! でいぶぅぅぅ!!!! じね゛ぇ゛ぇ゛ッ!!!!」 親ありすが表情を破壊させながら“れいむ”に罵声を浴びせる。 “れいむ”は贈られる呪詛さえも心地よいと言わんばかりに口元を緩め、絶望に染まった子まりさの表情を眺めていた。 子まりさが一歩も動く事ができないのを確認すると“兵隊”に指示を出し、“お城”の中に運び込ませる。 “兵隊”の口に咥えられぷらぷらと揺れながら、子まりさは無言でぽろぽろと涙をこぼしていた。 その姿が親ありすの目に入る。 「はなしてえぇぇぇっ!!!」 一瞬の隙をついて“兵隊”の拘束から逃れる親ありす。 “れいむ”が振り返る。 親ありすは赤トウガラシを咥えていた。 子まりさを運ぶ“兵隊”もあんよを止めて視線をそちらに向ける。 「れいむ!! あなたなんかにすっきりー!させられるぐらいなら、えいえんにゆっくりしたほうがましよ!!!!」 「ありしゅ……おきゃ……」 「ちびちゃん。 ――――ゆっくりしていってね!!!」 親ありすが赤トウガラシを噛み潰し咀嚼する。 「むーしゃ、むー……ゆ゛があ゛あ゛ぁ゛あ゛ッ???!!!!」 顔を真っ赤にした親ありすの顔中に嫌な汗がぽつぽつと浮かぶ。 舌から全身に広がっていく熱と痛みが親ありすを蹂躙していく。 その痛みに耐えきれず、四方八方に転げ回り、何度も額を地面に打ち付ける。 半分飛び出しかけた目玉。 垂れ流される涙、涎、汗、しーしー、うんうん。 強く食いしばった歯が負荷に耐えきれず砕けて地面に落ちた。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛!!! い゛だい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!!!」 ゆっくりのものとは到底思えない禍々しい絶叫が響き渡る。 「お゛ぎゃあ゛じゃあ゛あ゛ぁ゛ん゛!!!! ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」 小さなお尻をぷりんぷりんと振って抵抗をしながら叫ぶ子まりさ。 恐ろしい形相で子まりさを凝視するその姿に、大好きな親ありすの面影は微塵も残されていない。 狂ったように歪み切った顔。 親ありすは最後の最後まで愛おしそうに子まりさを見つめていた。 しかし、見つめられた子まりさは恐ろしさのあまりにしーしーを大量に漏らしてしまう。 視界が暗くなっていく。 子まりさは親ありすが最後に呟いた唇の動きを見ることもなく、気を失ってしまった。 ――――だ い す き よ 。 ま り さ と あ り す の … … ち び ち ゃ ん 。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 闇に閉ざされた空間の中に子まりさがうずくまるような姿勢で転がっていた。 泣き疲れて眠ってしまっていたのだろう。 与えられた苦痛は肉体的にも精神的にも子まりさの心の限界を超えるものだ。 目尻から頬にかけて残る涙の痕が痛々しい。 その子まりさの後頭部付近に水滴が一粒、二粒。 「……ゆ……」 もぞもぞとあんよを動かしながら体を起こす。 なかなか開こうとしない目を懸命に開いた。 それでもその瞳に光は差し込まない。 子まりさは自分がどこにいるのかわからなかった。 その場で顔をひねりきょろきょろと周囲を見回す。 一面に広がる闇。 枯れ果てたかに思えた涙が自然に溢れてくる。 そのとき子まりさの頬に何かが触れた。 「ゆぴっ!」 短く悲鳴を上げる子まりさを制するように言葉をかけられる。 「まりしゃ……あんしんしちぇにぇ……」 「ゆぇ……?」 「まだおめめがみえにゃいんだにぇ……そのうち、みえりゅようになりゅよ」 子まりさが目をこらす。 まだ暗闇に慣れていない子まりさの目に声の主は一向に視界に映し出されなかった。 目の前にいたのは子まりさよりも少し小さいくらいのサイズのありす種のゆっくり。 その後ろに隠れるような形で赤ぱちゅりーが覗き込んでいた。 「むきゅ……まりしゃはあたらしくつれちぇこられちゃのかしら……?」 「ゆ……? ゆっくちまりしゃにおしえちぇにぇ……。 ここはどきゃにゃの?」 ようやく暗闇に目が慣れてきた子まりさが再び辺りに視線を泳がせる。 突き出した岩の壁。 ごつごつした岩の隙間に隠れるように何匹か別の赤ゆの姿が見える。 声をあげないようにすすり泣いているもの。 壁に顔を向けたまま無言で震えているもの。 その様子は様々であったが、一匹たりともゆっくりできていないことだけは理解できる。 子まりさが不安そうな表情を浮かべた。 赤ぱちゅりーがずりずりとあんよを這わせ子まりさの元にやってくると、 「まりしゃのおきゃあしゃんも……“れいむ”に“れいぽぅ”されちぇしまっちゃにょ……?」 瞬間。 餡子に刻まれた記憶がよみがえる。 “れいむ”によってぐしゃぐしゃに踏み潰されていく親まりさ。 赤トウガラシを自ら口に含みその命を絶った親ありす。 そして、それを目の前に何もすることができなかった自分自身。 子まりさがカタカタと震え始めた。 ゼンマイの切れかけたオモチャのように力なく震える子まりさを見て、二匹が頬をすり寄せて慰めようとする。 質問をした赤ぱちゅりーは涙目で謝罪をしながら、 「むきゅぅ……ごめんなしゃい、ごめんなしゃい。 ぱちゅ、しょんなつもりじゃにゃかったにょ……」 泣きながら謝る赤ぱちゅりーを見て申し訳なく思ったのか、子まりさが震えを止めて二匹に向き直った。 「まりしゃも……ごめんにぇ……。 ぱちゅりー、きにしにゃいでにぇ……?」 一呼吸置いて、子まりさが二匹に質問を始める。 「ここは……どこにゃの?」 「ここは“れいむ”の“おしろ”よ……みんにゃ、つかまっちぇいりゅの……」 「“れいむ”……!!」 「むきゅ……もしかしちぇ、“れいむ”をやっちゅけようとしたちびちゃん、って……まりしゃのこちょにゃのかしら……?」 「……まりしゃは、なんにもできにゃかっちゃよ……」 赤ありすと赤ぱちゅりーが互いの顔を見合わせた後、強い意志の宿った瞳で子まりさに視線を向けた。 「ありしゅやぱちゅのおきゃあしゃんたちが、“れいむ”にまけちゃうのは、ありしゅたちがここでちゅかまっちぇいりゅから にゃの……」 悲しみに暮れようとしていた子まりさが思い出していく。 あの時、確かに群れのゆっくりたちは両親に助け船を出そうとしていた。 それを見た“れいむ”は“お城”の中から赤ゆを咥えてきている。 すると攻撃を仕掛けようとしていたゆっくりたちはピタリとあんよを止めてしまった。 二匹の言うことは正しいのだろう。 一瞬だけ。 ほんの一瞬だけ、両親が殺されてしまった原因の一つが捕らわれの赤ゆたちだと気づき憎しみの感情がわいた。 しかしそれを責めることなどできない。 好きでこんなところにいるわけでもないだろうし、何より自分も今捕まってしまった。 苦しめ続けられている群れのゆっくりたちにとっての足かせになってしまったのだ。 「だかりゃ、にぇ?」 赤ありすと赤ぱちゅりーが顔をずいっ、と寄せて子まりさに告げた。 「ありしゅたちが……“れいむ”をやっちゅければいいのよ……」 表情は興奮している様子だったが大声を出せば“れいむ”に気づかれてしまう。 必死に声を抑えながら、それだけを子まりさに囁く。 「むきゅぅ……ぱちゅたちとかわらにゃいくらいのちびちゃんが、“れいむ”にむきゃっていったときいちぇ……きめちゃのよ ……」 「それはできにゃいよ」 ばっさりと斬り捨てる子まりさの一言に二匹が顔をしかめた。 「“れいむ”にはまりしゃたちみちゃいな、ちいしゃいゆっくりだけじゃ、じぇったいにかちぇにゃいよ」 「ゆぅ……」 赤ありすがしょぼくれる。 赤ぱちゅりーも諦めたように表情を曇らせた。 「だかりゃ……まりしゃたちをたしゅけちぇくれりゅ、みかたをつくらにゃいといけにゃいよ」 「「みかた……?」」 子まりさの言葉に二匹が口を揃えて問い返す。 「ときゃいはじゃにゃいわ……みんにゃ、“れいむ”にはさきゃらえにゃいわよ……」 「だから……“れいむ”のこちょをしらにゃい、ゆっくりにたしゅけちぇもらえばいいんだよっ」 キリッとした表情で子まりさが自分の意見を述べる。 「むきゅぅ……にゃにをいいだしゅのかちょおもえば……」 「まりしゃ? この“おしろ”からはでられにゃいのよ……。 もしでられちゃとしちぇも……おそとには“へいたい”しゃん がいるわ……」 反論する二匹の表情が暗闇の中でぼんやりと浮かぶ。 「さっきからうるさいよ。 ばかなの? しぬの?」 少し離れた位置から声が聞こえてきた。 空気がピンと張り詰めていくのが理屈でなく直感でわかる。 “れいむ”の声だ。 怯えて声の主へと顔を向けることができない赤ありすと赤ぱちゅりーをよそに、子まりさはじっと一点を睨みつけていた。 その視線の先には大好きな両親を死に追いやり、群れのゆっくりをゆっくりできなくさせているすべての元凶。 視線を外そうとしない子まりさの顔を見ながら二匹はなおも震えている。 こんな態度を取っていれば只では済まされない。 それを理解しているからこそ沸き上がる感情だった。 「ちびちゃん」 子まりさが一歩あんよを踏み出す。 「れいむがきらい?」 予想だにしない質問に思わず歯を食いしばる子まりさ。 それを見た“れいむ”が下卑た笑みを浮かべる。 「ちびちゃんのやさしいおかあさんを、えいえんにゆっくりさせてごめんねっ?!」 ゲラゲラと笑いながらそれだけ告げた。 「ゆがあああっ!!!」 雄叫びを上げて“れいむ”に飛びかかる。 子まりさの体当たりが“れいむ”の頬に当たるも当然びくともしない。 まるでまとわりつくハエを払うかのように子まりさを咥えて地面に投げる。 「ゆぴゃっ!」 子まりさの悲鳴に二匹がしーしーを漏らし始めた。 「ゆぐぅうぅ・・・っ」 「ゆっくちしんじぇにぇっ!!」 起き上がろうとした子まりさの周囲で蠢いている何かがそう叫んだ。 その正体は数匹の赤れいむたちである。 赤れいむたちは次々に子まりさに体当たりを仕掛けた。 からみつくように四方から攻撃される子まりさは身動きが取れない。 「ちびちゃん。 れいむのかわいいかわいいちびちゃんたちを、ひとりでもえいえんにゆっくりさせたら・・・こっちのちびち ゃんたちをえいえんにゆっくりさせるからね・・・?」 そう言った“れいむ”の傍らには赤ありすと赤ぱちゅりーがいた。 泣きながら子まりさを見つめている。 子まりさは歯を食いしばり赤れいむたちの攻撃を受け始めた。 子ゆと赤ゆでは大きさにそれほどの差はない。 その上、数匹がかりで飛びかかってこられては子まりさの受けるダメージも予想以上に大きく、ぶつかられた箇所がうっすらと 腫れていく。 自分よりも遙かに体の小さな赤ゆに痛めつけられる子まりさ。 「ゆっゆーん! れーみゅはちゅよいんだよっ!!」 「れーみゅたちよりも、おっきいまりしゃなんきゃにもまけにゃいよっ」 「れーみゅたちがきょわくて、まりしゃはにゃんにもできないんだにぇっ!!!」 嬉々として子まりさに襲いかかる赤れいむたちが口々に勝手なことを繰り返す。 子まりさがちょっとジャンプして踏みつければ即座に潰れて死んでしまう程度の存在が、まるで自らを最強の種族と言わんばか りに高笑いをする。 子まりさへの蹂躙は、赤れいむたちが疲れて寝息を立て始めるまで続いた。 薄汚れた赤れいむたちのあんよで顔を泥だらけにされた子まりさが俯いている。 「げしゅな……まりしゃを……やっちゅけ……むーにゃ、むーにゃ……」 夢の中ででも悪の子まりさを制裁する自分に酔っているらしい。 涎を垂らしながらヘラヘラと笑う赤れいむたちの顔はその筋の人間が一目見れば、たちまちこの場を地獄絵図に変えてしまうほ ど醜悪なものだった。 「ゆふふ……ちびちゃんたちとあそんでくれて、ゆっくりありがとう」 “れいむ”が赤ありすと赤ぱちゅりーを解放して子まりさの元へとあんよを向ける。 「……あしたも、よろしくね」 ギリギリと歯を食いしばる子まりさ。 そして。 「……やっと、ありしゅとぱちゅりーをはなしちぇくれちゃにぇ……」 「……ゆ?」 「ゆっくちしにぇっ!!!」 叫んで飛び上がる。 “れいむ”が目を丸くした。 それは子ありすと子ぱちゅりーも同じである。 「ゆぴー……ゆぴぶりゅぇ゛ッ??!!!」 ひと思いに。 あんよを踏み抜く。 赤れいむの餡子がどろりと地面に飛び出る。 水たまりのように広がる餡子の上に、子まりさがいた。 「ま……まりしゃ……」 がたがた震えながら赤ありすが子まりさを見上げる。 そのとき、“お城”の中がうっすらと明るくなった。 雲に隠れていた月が顔を出し、その光が岩の裂け目から入ってきたのだ。 子まりさはその一点を見つめている。 「この……くそちびがぁぁぁっ!!!!!」 気が狂ったように絶叫する“れいむ”。 それに呼応するかのように“お城”の外を見張っていた“兵隊”ゆっくりが六匹ほど入ってくる。 捕らわれの赤ゆっくりたちも一様に飛び起きた。 両者の視界に飛び込んだのはあまりにも意外な光景である。 般若のような表情の“れいむ”。 原型を失いひしゃげて動かなくなった赤れいむ。 その上で暴君を睨み上げる子まりさ。 差し込む光の角度はまるで三者の姿をその場にいた者に見せつけるかのように伸びていた。 「みんにゃっ!!! ゆっくちきいちぇにぇっ!!!!」 子まりさが高らかに声を上げた。 まどろみの赤れいむたち。 飛び起きた数多の赤ゆっくり。 呆然と立ち尽くす六匹の“兵隊”ゆっくりたち。 凄まじい形相で子まりさを睨みつける“れいむ”。 子まりさの言葉は捕らえられていた赤ゆっくりたちに向けられたものだ。 「まりしゃが・・・まりしゃが、じぇったいにみんにゃをたしゅけちぇあげりゅよっ!!!」 刹那。 “お城”の中に突風が舞い込んだ。 入り口から吹き込んだ強烈な風は子ゆっくりたちや赤れいむをころころと転ばせた。 子まりさが起き上がった瞬間、声が響く。 「まりしゃぁっ!! そこのあなしゃんからおしょとにでれりゅかもしれにゃいわっ!!!」 “兵隊”たちも“お城”の中だ。 赤ありすの言葉に子まりさが意を決する。 月の光が差し込む岩の裂け目に向かって、傷ついたあんよを蹴る。 「ぴょんぴょんしゅりゅよっ!!!」 「ゆゆっ!! みんな!! あのくそなまいきなちびをつかまえてね!! すぐでいいよっ!!!!」 “れいむ”の指示に“兵隊”たちが一斉に動き出す。 しかし。 「は・・・はなすのぜっ!!! なんなのぜっ??!!!」 「はなすんだみょぉぉぉん!!!!」 “兵隊”たちの髪の毛や皮に噛みついて動きを制しているのは赤ゆっくりたちだ。 “れいむ”が歯ぎしりをする。 「ゆっくちがんばりゅよっ!!!」 「まりしゃっ!! ちぇんたちのぶんまじぇ、がんばりゅんだにぇーー!!!」 赤ゆっくりたちが懸命に“兵隊”たちを抑えつけ、“れいむ”に対して威嚇を行う。 “れいむ”は激怒した。 しかし、目の前にいるのは群れを支配する為の盾だ。 易々と潰すことはできない。 “お城”の中に捕らわれている赤ゆっくりたちを大量に潰されてしまったとあれば、親ゆっくりたちは死なばもろとも最後の抵 抗を見せるだろう。 「ゆ゛んぎぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ッ!!!!」 岩の裂け目に到達した子まりさが“お城”の内部を見下ろす。 「ゆっゆっおー!」 「えいえいゆー!!」 どの赤ゆっくりたちも必死に戦っていた。 “兵隊”の一匹も倒すことはできないが、子まりさを“お城”の外に逃がすという目的だけで。 そして、赤ゆっくりたちはその戦いに勝利した。 子まりさは月の光に照らされている。 「みんな……ッ!!!」 “お城”の中のゆっくりたちが一斉に子まりさを見上げた。 「ゆっくち……ありがとうっ!!!!」 そう言い残して裂け目から出て行く子まりさ。 脇目もふらずに岩肌を駆け降りる。 固い岩を蹴ってあんよが痛みを訴えていたが気にしない。 自分を逃がすために命を賭してくれた仲間のためにも、弱音を吐くわけにはいかなかった。 月夜の森が子まりさを妖しく迎え入れる。 振り返ることもせず。 ただひたすらに。 「ゆっくりまつのぜ!!!」 「にがさないんだねー!!!」 「つかまえるみょんっ!!!」 追っ手が差し向けられたらしい。 まりさ種、ちぇん種、みょん種。 いずれもゆっくりたちの中では攻撃・移動に特化したメンバーだ。 子ゆっくりと成体ゆっくりというハンデを抜きにしても、この難を乗り切ることは厳しい。 それでも、子まりさはあんよを蹴り続ける。 目の前に川が飛び込んできた。 (そんにゃ……っ!!!) 「ゆっくりしねぇっ!!!」 “兵隊”まりさによって体当たりを受ける子まりさ。 宙に投げ出され草むらの上をごろごろと転がる。 ぶつかられた拍子に脱げてしまった帽子が川の端に着水した。 逆さになって水に浮かぶ帽子を見た子まりさが、反射的にその上に飛び乗った。 「ゆゆゆゆぅぅぅぅぅぅッ??!!!」 野生の水上まりさはなかなかお目にかけることはできない。 三匹の“兵隊”たちは水に浮かぶ帽子の上に乗るまりさ種を初めて見た。 ちぇんやみょんが、恐る恐るあんよを水につけるがとてもじゃないが無事でいられるようには思えない。 下流に向かって流されていく子まりさ。 ここに来るまでの疲労。 先ほど受けたまりさの体当たりなどにより満身創痍の子まりさは眠るようにその瞳を閉じた。 水の流れる音が心地よい。 どんどん小さくなっていく水上の子まりさを見つめながら呆然となる“兵隊”たち。 「ど……どうするのぜ?」 「わかるよー……あのちびちゃんは、かわにおちてえいえんにゆっくりしたことにするんだねー」 「さすが、ちぇんだみょん!!」 夜の冷たい風が子まりさの頬をそっと撫でる。 まるで、今はもういなくなってしまった親まりさと親ありすにすーりすーりをしてもらっているかのような感触に、子まりさは 思わず口元を緩めた。 【 chapter 3 「森の賢者」 】 「むきゅー……。 おかあさん。 このちびちゃんはだいじょうぶかしら……?」 「けがをしているようだけれど、えいえんにゆっくりしてしまうようなことはないわ……。 ちびちゃんがそばにいてあげてね」 「むきゅ……。 おかあさん。 ぱちゅ、もう、ちびちゃんじゃないよ……」 「むきゅきゅ。 それじゃあ、よろしくね。 ちびちゃん」 淀み、濁った意識の中に聞いたことのない声が届く。 子まりさは葉っぱで作られた布団の上に寝かせられていた。 重い瞼を開けることはできなかったが、自分の周りをずーりずーりと這う何者かの存在を感じる。 その正体は一匹のぱちゅりーだ。 まだ成体ゆっくりになったばかりのぱちゅりー。 子まりさよりも少し早く生まれたのだろう。 時折、子まりさの頬をぺーろぺーろしたり、顔色を窺ったりしている。 「ゆ……」 微かに子まりさのお下げが揺れた。 その反応を見たぱちゅりーが懸命に声をかける。 「むきゅっ! まりさ! まりさ! ゆっくりおきてね!」 今度ははっきりと声が届く。 子まりさがゆっくりと目を開いた。 それを見たぱちゅりーが嬉しそうに微笑む。 そんなぱちゅりーをようやく視界に入れた子まりさは安心したのか思わず。 「ゆ……まりしゃは……おなかがすいちゃよ……」 「わかったわ。 ちびちゃん、すこしだけまっていてね。 いまからぱちゅがおかあさんをよんでくるから」 「ゆぁ……」 ぴょんぴょんと飛び跳ねるぱちゅりー。 病弱で有名なぱちゅりー種にしては比較的元気な個体のようである。 それよりも、子まりさは“お母さん”という単語に反応し、小さな体をぷるぷると震わせていた。 目の前で非業の死を遂げた最愛の両親。 “お城”の中で自分を助けてくれた子ゆっくりたち。 全ての元凶である“れいむ”。 キリッとした表情のまま子まりさの頬を涙が伝う。 無言で涙を流す子まりさの元にぱちゅりー親子がやってきた。 子まりさの様子を見たぱちゅりーがぴょんぴょんと飛び跳ねて頬をすり寄せる。 「むきゅぅ……だいじょうぶかしら……? どこかいたい……?」 子まりさは何も答えない。 ぱちゅりーは悲しそうな顔で子まりさを見つめていた。 ずりずりとあんよを這わせ、少し皮の張りが衰えたもう一匹のぱちゅりー種が寄ってくる。 老ぱちゅりーは、子まりさの目の前に移動するとにっこりと微笑んだ。 「ちびちゃん。 なにもしんぱいしなくてもいいわよ。 ここにはちびちゃんをゆっくりできなくさせるような、わるいゆっく りはいないわ……」 「……まりしゃは……」 「「?」」 「まりしゃは……おかあさんたちを……えいえんにゆっくりさせられちぇ……。 ゆぐっ……ひっく……」 自分のこれまでを振り返るように呟く子まりさに、ぱちゅりーと老ぱちゅりーが思わず互いの顔を見合わせる。 「まりしゃを……“おしろ”からにがそうとしちぇ……みんにゃががんばってくれちぇ……」 流れ続ける涙。 「みんにゃ……すごく……ゆっくりしているゆっくりなのに……“れいむ”みたいな、わるいゆっくりのせいで……」 「ちびちゃん……。 よければ、ぱちゅりーにくわしいおはなしをきかせてもらえないかしら……?」 老ぱちゅりーが諭すように囁く。 子まりさはしばらく嗚咽を繰り返した後、顔を小さく縦に振った。 “れいむ”によって支配された群れ。 捕らわれの子ゆっくり。 目の前で殺された親まりさ。 自ら赤トウガラシを口に含みその命を絶った親ありす。 赤れいむたちによる集団リンチ。 “お城”からの脱出。 そして、何よりも強い想い。 「まりしゃは……“れいむ”をやっつけて、あのもりでみんなといっしょにずっとゆっくりしていきたいよ……っ!!!」 話を聞いていたぱちゅりーは目に涙を浮かべていた。 老ぱちゅりーも居た堪れない表情をしている。 泣きながら言葉を紡ぐ子まりさの意思は強いのだろう。 しかし、たった一匹で群れを支配するような“れいむ”に体の小さな子まりさが太刀打ちできるはずがないのだ。 大袈裟な言い方をすれば、蟻が象に戦いを挑むようなものである。 「ちびちゃん……?」 「まりしゃはまりしゃだよっ!! ちびちゃんじゃないよ!!!」 泣きながら叫ぶ。 自分とまったく同じことを言っている子まりさに思わず顔を赤らめて老ぱちゅりーの表情を窺うぱちゅりー。 老ぱちゅりーはクスリと笑った。 「むきゅきゅ……。 ごめんなさいね、まりさ。 たしかにあなたはちびちゃんじゃないわ」 「むきゅぅぅぅ?! どおしてぇ? ぱちゅだって、もうちびちゃんじゃないわよぉぉぉ!?」 本当に元気なぱちゅりーだ。 群れの中のぱちゅりーはみんな暗い表情をしていたように思う。 今にして思えばあれは“れいむ”によって支配されていたからだったのだろうか。 子まりさは百面相のように表情を次々に変える年上のぱちゅりーを見て思わず笑みを浮かべてしまった。 ぱちゅりーが目ざとくそれに気付く。 「むっきゅーー!! ちびちゃん!! いま、ぱちゅをわらったでしょ?! ぷんぷん!!!」 「ゆっくり……ごめんなしゃい」 「まだ、ちびちゃんことばもぬけてないのにぃぃぃ」 「……ゆふふ」 子まりさの笑顔を見て老ぱちゅりーが安心したような表情に変わる。 ぱちゅりー親子のおうちは穴を掘って作られたシンプルな巣穴だ。 巣穴の外は、子まりさが“お城”を脱出した時から丸一日が経過しているのか薄暗くなってきている。 三匹は少し早目の晩御飯を食べた。 夕食に出された芋虫を咀嚼しながら、お土産と称して親まりさが食べさせてくれた芋虫を思い出してまた泣きそうになったが、 ぱちゅりー親子に心配をかけるまいと堪えた。 「むーしゃ、むーしゃ……しあわせぇぇぇ!!!」 食事中、涙目になっての幸せ宣言。 嬉し涙を装い、子まりさは与えられた食事を次々に口の中に入れていった。 悲しみの涙を誰にも悟られるようなことがないように。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「せっせ! せっせ!」 サッカーボールほどの大きさにまで成長したまりさが森を駆け抜ける。 帽子の中には大量のキノコや芋虫が入っていた。 “お城”を脱出してから既に一月ほどが経過している。 ぴょんぴょんと力強く飛び跳ねながらぱちゅりー親子の巣穴へと向かう。 まりさはそこに居候をしていたのだ。 本当ならすぐにでも群れに引き返して“れいむ”を倒したいところだが、老ぱちゅりーによって制されていた。 “あなたのおかあさんたちが、いのちをかけてまもった、あなたじしんを……たいせつにしなさい” それを言われると言葉を返すことができなかった。 しかし、いつまでもこの巣穴で暮らしているわけにはいかない。 だから決意した。 “まりしゃが、もっとおおきくなっちゃら……じぇったいに“れいむ”をやっちゅけにいくよ!!!” 老ぱちゅりーは呆れたような顔をして何も言葉をかけてはくれなかった。 その日以来、まりさと老ぱちゅりーの会話が少なくなる。 板ばさみにされたぱちゅりーは戸惑うばかりだ。 まりさは毎日森に出かけて狩りをするようになった。 たくさん食べて早く大きくなること。 少しでも体を鍛えて“れいむ”に対抗するだけの力を身につけること。 無言で自分をおうちに置いてくれているぱちゅりー親子に美味しいものを食べさせてあげること。 理由はいくつかあれど、やはり最大の目的は“れいむ”打倒の下準備なのである。 あれから月日も流れ、体のサイズだけは“れいむ”と同じくらいにまで成長した。 毎日強く地面を蹴っているあんよの皮もちょっとやそっとでは傷つかない。 少なくとも小石を踏んだくらいで転げまわるようなヤワなゆっくりのあんよとは違う。 それでも、まりさはまだ“れいむ”を倒せるとは思っていない。 “れいむ”の顔には無数の傷がついていた。 多くの修羅場をくぐりぬけてきた証だろう。 それに比べて自分の顔のなんと綺麗なことか。 狩りは、食料に対しての一方的な暴力でしかない。 まりさには実戦経験が明らかに不足している。 百戦錬磨の“れいむ”を相手に満足のいく戦いができるはずがないのだ。 だからと言って、ぱちゅりーを相手に喧嘩の練習をするわけにはいかない。 元々ぱちゅりー種は大人しいゆっくりだ。 巣穴の中のぱちゅりーも、まりさが採ってきたキノコをもそもそと食べては老ぱちゅりーとお喋りをし、一日を終える。 「ゆっくりただいま!!」 「むきゅ。 ゆっくりおかえりなさい」 「きょうはたくっさんっ、きのこさんがとれたよ!!」 「おいしそうなきのこさんね。 まりさ、いつもありがとう……」 「ゆゆっ! まりさはぱちゅりーたちにおせわになっているんだから、とうぜんだよっ!!」 「むきゅぅ……ぱちゅのことは、ぱちゅとよんでちょうだい」 「ゆっくりりかいしたよ、ぱちゅりー」 「むっきゅぅぅぅぅぅ!!!」 ぱちゅりーは他のぱちゅりー種に比べれば活発なほうだった。 お姉さんぶって失敗することのほうが多く、まりさにもこうしてよくからかわれている。 老ぱちゅりーは頭の良いゆっくりのようだったが、子供のぱちゅりーにはあまり受け継がれてはいないようだ。 とは言ってもまりさよりは多くの知識を身につけている。 まりさはぱちゅりーとの会話の中で多くのことを学んだ。 その際に何度かぱちゅりーに“れいむ”を倒す方法について聞いてみたが答えは返ってこなかった。 「ぱちゅりー……。 ぱちゅおばさんはゆっくりできてる……?」 夕食の準備をしながらまりさがぱちゅりーに問いかける。 ぱちゅりーは黙って顔を横に振った。 老ぱちゅりーは天寿を全うしようとしていたのである。 短命な上にあらゆる死亡フラグを立て続けるゆっくりが、寿命で永遠にゆっくりしてしまうということは自然界では珍しい。 奇跡と言っても過言ではないだろう。 老ぱちゅりーはいつの頃からか眠っている時間が長くなった。 朝、目覚めの挨拶をしてもなかなか返事をしてくれない。 誰も何も言わなかったが、それぞれがどういうことかを理解していた。 老ぱちゅりーは自分の死期が近いことを。 ぱちゅりーは母親との別れが近いことを。 まりさは老ぱちゅりーがそう遠くないうちに永遠にゆっくりしてしまうのだろうということを。 「まりさ、がんばってごはんさんをたくさんとってくるよ。 だから、ぱちゅりーもげんきだして……ね?」 「むきゅ……ありがとう」 ぱちゅりーがわざと明るく振舞っていることにまりさは気づいている。 それが痛々しくて見ているのが辛い。 まりさはぱちゅりーから顔を背けながら葉っぱの上に芋虫やキノコを乗せていった。 「げほっ、げほっ……」 巣穴の隅で壁によりかかるような姿勢で眠っている老ぱちゅりーが時々咳き込む。 元から決して良いとは言えない顔色も心なしか悪くなってきている。 ぱちゅりーはまりさには絶対に悟られないように涙を浮かべていた。 「…………」 まりさはそんなぱちゅりーの後姿を見つめている。 理解していた。 ぱちゅりーが泣きたくて仕方がないのをずっと我慢していることを。 共に過ごした時間は短いが、まりさにはぱちゅりーの気持ちが分かる。 大好きな親を失う悲しみ。 心の中に風穴が開くかのような感覚は大切な何かを失った者にしか分からない。 それでもまりさはぱちゅりーに対して声をかけなかった。 本当なら優しい言葉の一つでもかけてあげるのが普通なのかも知れない。 しかし。 その悲しみを理解するまりさだからこそ、かける言葉が思いつかなかったとも言える。 まりさの言葉はぱちゅりーの心の奥深くにまでは届かないだろう。 「ぱちゅりー。 いっしょにごはんさんをむーしゃむーしゃしようね」 「ゆっくりりかいしたわ」 まりさにできることはあくまでぱちゅりーと自然に接することだけだ。 「むきゅ……。 まりさのとってくるごはんさんがどんどんふえていくわね」 「ぱちゅりーのおかげだよ。 ぱちゅりーがまりさにいろんなことをおしえてくれるからだよ」 「まりさ。 たまには……ぱちゅがきいてみてもいいかしら……?」 「ゆん? なに……?」 「……おかあさんが、えいえんにゆっくりしてしまったときは……かなしかった……?」 「…………!」 ぱちゅりーは真っ直ぐにまりさを見つめたまま動かない。 まりさもぱちゅりーの真剣な表情から冗談でこんなことを聞いているわけではないということに気付く。 いろんなことを知っていても、分からないのだろう。 当然だ。 かけがえのない存在を失うということの悲しみは経験して初めてわかるものだ。 それは知識として得るものではない。 どれだけ勉強をしても、決してわからないことがたくさん世の中にはある。 「ゆげぇっ!!! えれえれえれ……ッ!!!!」 老ぱちゅりーが辛そうに咳き込んだ後、その仲間を吐き始めてしまった。 まりさとぱちゅりーが互いの顔を見合わせる。 すぐに老ぱちゅりーの元へと駆け寄った。 まりさが俯く。 両親のことを思い出しているのだろう。 唇を噛み締めたまま、まりさはぱちゅりーの後ろをついていった。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 「ぱちゅりー……」 「むっきゅうぅぅぅ!! おかあさん!! おかあさん!!!」 弱々しくぱちゅりーを見つめる老ぱちゅりーの瞳。 老いのせいか少しだけ濁っているように見えるが、凜としたその眼差しはぱちゅりーを捕らえてしっかりと離さない。 ぱちゅりーは泣きながら老ぱちゅりーの頬にすーりすーりしたり、ぺーろぺーろしたりしている。 その様子を見てまりさが静かに目を閉じた。 不謹慎にも、“ぱちゅりーは幸せだな”などと思ってしまう。 まりさにはできなかったのだ。 親まりさにも親ありすにも、永遠の別れを嘆いて頬をすり寄せることや最期の言葉を交わすことが。 老ぱちゅりーはまりさに視線を移した。 瞬間、その瞳に吸い込まれるような錯覚を覚え、老ぱちゅりーから視線を外せなくなる。 森の賢者の瞳に、世界はどのように映し出されていたのだろうか。 最愛のぱちゅりーと共に二匹だけで過ごす決して長くはない時間。 「まりさ……ぱちゅのこえが……きこえるかしら……?」 静かに語りかけてくる。 「“れいむ”をやっつけようとするのは、やめなさい」 「?!」 まりさもそうだが、ぱちゅりーも目を丸くして老ぱちゅりーを見つめていた。 まりさがぴょんぴょんと老ぱちゅりーの元に駆け寄る。 今にも消え入りそうな命がつぶやくように言葉を繋いだ。 「“れいむ”にはかてないわ……あなたの、おかあさんの、おかあさん……。 ぱちゅのしっているかぎりで、もっともつよく てやさしい……あのむれのリーダーだったまりさ……」 「なにを……いっているの……?」 「あのまりさですら……“れいむ”にはかてなかったのだから……」 訝しげな視線を向けるまりさに淡々と昔話を語って聞かせる老ぱちゅりー。 「ぱちゅは……あなたとおなじむれでくらしていたのよ……」 「……?!」 「リーダーだったまりさと、およめさんのちぇん。 ふたりがまとめていたむれは、ぱちゅたちにとって、じまんの“ゆっくり ぷれいす”だったわ」 「まりさのおかあさんの、おかあさんが……むれの……リーダー……?」 「むきゅ……そうよ」 「まりさおかあさんも、ありすおかあさんも……そんなこと……いってないよ……?」 在りし日の両親の姿が瞼の裏から蘇る。 そういうことだったのだろうか。 群れのどのゆっくりも手を出せない状況の中で、それでも“れいむ”に挑み倒そうとしたの両親の行動は。 「……あなたのおかあさんがまだちびちゃんだったころ、おうちのなかでまいにちないていたわ」 「……どうして……?」 「リーダーのまりさが、“れいむ”とたたかっているとき、じぶんはこわくてなにもできなかった、って。 いっしょにたたか っていれば、“れいむ”をやっつけることができたかもしれないのに、って……」 「…………ゆぁ…………」 同じだった。 まりさも、目の前で親まりさがいたぶられている時、何もできない無力な自分を呪っていた。 「まりさも……おかあさんとおなじだよ……」 「……それはみんなおなじなのよ……。 “れいむ”におびえてリーダーといっしょにたたかうことができなかった。 ……こ ろされるのは、ほんとうにこわいことだから」 まりさとぱちゅりーが息を呑む。 老ぱちゅりーの言葉は二匹の心の奥深くを抉るに十分な迫力を持っていた。 まりさは考えていなかったのだ。 “れいむ”を倒すということ以外を。 “れいむ”に負けてしまった場合のことなど考えていなかった。 戦いに負ければ、自分は惨たらしく殺されるだろう。 まりさの体が一瞬だけ、ぶるっと震えた。 老ぱちゅりーはそれを見てにっこりと笑う。 「こわいでしょう……?」 「…………」 無言のまま、まりさが頷く。 「……それでいいのよ。 しんでしまうのはだれだってこわいわ。 ……ぱちゅだって、いま、こわくてたまらないのよ……?」 「……おかあさんっ!」 ぱちゅりーが叫ぶように老ぱちゅりーに呼びかける。 「まりさ。 こわがることは、すこしもはずかしいことじゃないのよ……?」 「……でも、……でもっ!」 「……こわがったうえで、“れいむ”にたたかいをいどみなさい」 まりさとぱちゅりーの動きが止まった。 老ぱちゅりーはまりさが無策で“れいむ”に戦いを挑もうとしていることを憂いていたのだ。 無謀と勇気は違う。 “れいむを倒す”ために戦うのではなく、“生き残る”ために戦うのだ。 その二つは似ているようで決定的に違う事だった。 まりさがしょぼくれた表情に変わる。 それを見た老ぱちゅりーは「むきゅきゅ」と笑いながら、なおも消え入るような声で言葉を紡いだ。 「がんばって。 ……“こわい”とおもいながらたたかうことができれば、きっとむちゃなことはしないはずよ。 それができ なければ、“れいむ”にかつことはできない……」 「……“れいむ”は、“こわい”なんておもってないのかな……? もし、そうなら……」 「いいえ。 “れいむ”はこわがりよ」 「?」 「こわがりだからこそ、“れいむ”はとてもつよいのよ……。 なにかおもいあたることはないかしら?」 まりさが思考を巡らせる。 群れのゆっくりたちに作らせた“お城”。 それを守る“兵隊”。 人質として捕まえた子ゆっくり。 まりさが悟ったように小さく頷いた。 それを見た老ぱちゅりーが満足気な笑みを返す。 「む゛ぎゅっ!!! げほっ!! げほっ!!!」 「お……おかあさん!!!!」 勢いよく咳き込む老ぱちゅりーに頬をすり寄せながらぱちゅりーが叫ぶ。 「むきゅ……きゅ。 ぱちゅは、しあわせなゆっくりだったわ……」 「むきゅうぅぅぅぅん!!! “だった”ってどういうことなのっ? ずっと、ずっと、しあわせなおかあさんでいてよぉぉ!!」 「ぱちゅりー……。 あなたも、……しあわせに。 ……ゆっくりしていってね……?」 「おかあさあああああん!!!!!」 「……まりさ」 ゆんゆんと大声で泣き続けるぱちゅりーをなだめながら、まりさに向けて唇を動かす。 「ぱちゅりーのことを、よろしくね」 「……ゆっくりりかいしたよ」 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― まりさとぱちゅりーは老ぱちゅりーの墓を作ってあげた。 二匹で一生懸命に小さな穴を掘って、その中に老ぱちゅりーの亡骸を収めた。 土をかぶせた後も、その場を凍りついたように動こうとしないぱちゅりー。 地面に頬をすり寄せては大粒の涙をこぼす。 寂しくて、寂しくて、堪らないのだろう。 まりさが声をかけてもぱちゅりーはそこを動こうとしない。 ぱちゅりーの気持ちが分かるからこそ、まりさは無言のまま巣穴へとあんよを向けた。 巣穴の中に集めていた食料を葉っぱでくるんだものをいくつか用意して、帽子の中に器用に入れて行く。 まりさは“れいむ”を倒すべく、あの森に帰ることを決意したのだ。 自分用に残していた芋虫を口の中に入れる。 それを飲み込んだ後、お決まりのセリフも言わずに巣穴の入り口へと這って進む。 「どこにいくの……?」 巣穴を出た瞬間、ぱちゅりーに声をかけられる。 泣き腫らした目でまりさを凝視するぱちゅりー。 「……まりさは、まりさたちのくらしていたもりに、かえるよ」 「……ぱちゅは?」 「ゆ?」 「むきゅぅ……。 ぱちゅのおかあさんにいわれなかったかしら……? ぱちゅのことを、よろしく、って」 「……“れいむ”はつよいよ。 ぱちゅりーをきけんなめにあわせたくないから、いっしょにいくことはできないよ……」 「まりさ」 ぱちゅりーは真剣な眼差しをまりさに向けていた。 まりさも、目を離したりはしない。 ぱちゅりーは老ぱちゅりーの墓を振り返ると、 「……まりさたちのむれでは……みんな、ぱちゅみたいにかなしいおもいをしているんでしょう……?」 「……そうだよ」 「それじゃあ、ゆっくりできないわね」 「……そうだよ」 ぱちゅりーがまりさへと向き直る。 「ぱちゅもいっしょにいくわ」 譲るつもりはないらしい。 「おかあさんがいっていたこと……」 かつてのリーダーを助けてあげられなかったこと。 老ぱちゅりーはずっと後悔し続けていた。 群れから、“れいむ”から、たった一匹逃げ出したことを。 ぱちゅりーはまりさの群れとは何の関係もないはずだ。 それでも、まりさと共に行こうとするのは母の遺志を継ぐためだろう。 老ぱちゅりーは、まりさに“れいむ”と戦うように言った。 まりさなら、それができると。 それがどういうことか。 老ぱちゅりーにとっても、“れいむ”打倒は悲願だったのだ。 「おかあさんがかなえられなかったねがいを……ぱちゅがかなえてあげたいわ」 過去、“れいむ”に挑んだゆっくりたちは例外なく戦いに敗れ、永遠にゆっくりさせられてしまった。 かつてのリーダーまりさも。 親まりさも。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 親子三代にわたる因縁のゆっくりである“れいむ”を討つべく、まりさは群れが暮らす森へとあんよを向ける。 その後ろをぱちゅりーがずりずりとついていく。 程なくしてまりさが流されてきた川へとたどり着いた。 目指すべき場所はこの川の向こうだ。 ぱちゅりーはまりさに川の上流へと向かうように伝えた。 ぱちゅりー曰く、上流に水深の浅い場所があり水面から顔を出した石の上を飛んで渡ることができる場所があるらしい。 二匹は並んで川沿いにあんよを進めた。 普通のぱちゅりー種であればこれほどの距離を進んできた時点で体力を使い果たしていてもおかしくないはずだが、意外なこと に平気そうな顔をしている。 水の流れる音を聞きながら真っ直ぐに進む。 出発してからそれほど時間は経過していないが、二匹はお互いに一言も口を利いていなかった。 ぱちゅりーの前を行くまりさは無言のままひたすら前へ、前へと進んで行く。 「…………」 特有のジトッとした目つきでその後ろ姿を見つめるぱちゅりー。 その表情は少しずつ訝しげなものに変わっていく。 ずりずりとあんよを這わせ続けるまりさ。 仮に今、ぱちゅりーがあんよを止めたとしてそれに気付くだろうか。 まりさは明らかに余裕を失っていた。 ただ一点を見つめて離さない。 ぱちゅりーはまりさの後ろで小さく溜め息をついた。 意を決して声をかける。 「まりさ」 呼ばれたまりさが一瞬だけビクッ、と体を震わせて振り返る。 少し強張った表情。 額にうっすらと浮かぶ汗。 定まらない視点。 「……どうしたの?」 努めて冷静に答えたつもりなのだろうが、その声は上ずっている。 まりさは不思議そうにぱちゅりーの顔を覗きこんでいた。 「むきゅ。 ちょっとだけきゅうけいしましょう?」 一瞬だけ間を置いた後、ぱちゅりーの申し出を承諾するまりさ。 休憩すらも聞き入れないような状態だったとしたらどうしようかと考えていたぱちゅりーが少しだけ表情を緩める。 「ぱちゅりー。 おうちからごはんさんをもってきたよ。 ゆっくりむーしゃむーしゃしようね」 「むきゅきゅ。 ゆっくりりかいしたわ」 声をかけられれば冷静になれるのだろう。 それならば少しはマシというものである。 しかし、やはりナーバスになっているのかキノコを口の中でもぐもぐさせていても、まりさの表情は固まったままだ。 ぱちゅりーが心配そうにそれを見つめる。 それに気付いたまりさが口を開いた。 「どうしたの……?」 「……むきゅう。 まりさ? おちついてきいてちょうだいね?」 「ゆっくりわかったよ」 「まりさ……すこしだけ、あわてていないかしら?」 「……まりさが?」 「むきゅん」 まりさは少し考え込むような仕草を取った。 これで思い当たる節がないと言うなら少し落ち着かせなければならない。 そんな事を考えているぱちゅりーに向けて、まりさは照れ笑いをしてみせた。 「ゆふふ。 そうだね。 もう、かわのむこうがわにわたることしかかんがえていなかったよ」 それからペロリと舌を出す。 思わず口元を緩めるぱちゅりー。 ぱちゅりーにとっては、まりさは年下だ。 種の違いもあって、物事を冷静になって考える力もぱちゅりーよりは遥かに劣って然るべきである。 しかし、このまりさはどうか。 指摘された事を素直に認め、自身を振り返ることができる。 まりさは改めてぱちゅりーに問いかけた。 「ぱちゅりー。 かわのむこうがわについたら、まずは“おしろ”とむれのみんながよくみえるばしょをさがすよ」 「そうね。 ぱちゅはまだ“おしろ”をみたことがないから……。 “れいむ”もそのなかにいるんでしょう?」 「よるはまちがいなく“おしろ”のなかにいるとおもうよ」 「むきゅぅ……」 「ゆ? どうしたの?」 「ぱちゅのかんがえをきいてもらってもいいかしら?」 「もちろんだよ! ゆっくりきかせてね!!」 まりさは嬉しそうにぱちゅりーへ向けて微笑んだ。 強い意志を内に宿していても、無邪気な表情はまだまだあどけない。 それもそうだろう。 成体ゆっくりになってまだ一カ月弱しか経っていないのだ。 それを思えば、二匹がこれから挑もうとしている“れいむ”は圧倒的に長く生きている。 生きている、と言うよりも生き残るだけの力を持っている、という言い方のほうが正しいだろうか。 ぱちゅりーの考えはこうだ。 “れいむ”、“お城”、“兵隊”を一度に相手にしては勝てる見込みがない。 まずはこの三つを分断する必要がある。 現段階で戦力はまりさと、ぱちゅりーの二匹。 “れいむ”はもちろん、“兵隊”を倒すことも難しいだろう。 となれば、まずはなんとしてでも“お城”を制圧する必要がある。 その中に人質として捕らわれている子ゆっくりたちがいるというのなら、なおさらだ。 “れいむ”が作り上げた盾を奪い去ることで、群れのゆっくりたちが反撃できる状況を生み出す。 群れ中のゆっくりたちが総攻撃を仕掛ければ、“兵隊”を倒すことができるだろう。 しかし、“れいむ”は別だ。 これまでの話を総合すると、“れいむ”の戦闘能力は桁外れに高い。 “兵隊”との戦いで疲弊しきった群れのゆっくりたちでは、数で勝っていても“れいむ”を倒すのは難しくなる。 この流れで戦いを挑むとすれば、やはり“れいむ”を直接倒すのはまりさとぱちゅりーの二匹になるだろう。 しかし、確実に“れいむ”を仕留めるための知恵が浮かばない。 まりさはここまでのぱちゅりーの案を聞いて、思わず呆けてしまった。 端的に言えば、まりさはぱちゅりーと二匹でどうやって“れいむ”を倒すかしか考えていなかったのだ。 “れいむ”を取り巻く環境から潰していくことなど、思いつきもしなかった。 ぱちゅりーはゆっくりであり、人間ではない。 人間であれば当たり前のように思いつく作戦ではあっても、ゆっくりがそれを思いつくというのは次元の異なる話だ。 そもそも、まりさが“お城”で捕まっていたとき、子ぱちゅりーと子ありすに何と言っていたか。 “まずは味方を作る”ようなことを言ってはいなかっただろうか。 まりさはそれすらも忘れていた。 無論、その後にまりさを襲った幾多の困難を思えば記憶から消えてしまっていても仕方がないのかも知れなかったのだが。 ぱちゅりーはやはり、森の賢者と称えられた老ぱちゅりーに育てられただけのことはある。 「できれば、かわさんをわたるまえに……“おしろ”をみておきたいのだけれど……それはむずかしそうね……」 「このあたりは、もりにかこまれてるから……“おしろ”はなかなかみえないとおもうよ……」 「むきゅ……こそーりこそーりすすむしかなさそうね……」 「ゆぅ……。 ぱちゅりーにはむずかしそうだね……」 「ど……どぉしてそんなこというのぉぉぉぉ??!!!」 まりさの一言に“むっきゅーー”とふくれっ面になって声を上げるぱちゅりー。 ぱちゅりーは冷静だが不意を突かれると感情が大袈裟に溢れだす。 ある意味、ゆっくりらしいと言えばゆっくりらしいのだが。 この辺りが老ぱちゅりーとぱちゅりーの決定的な違いなのかも知れない。 散々大きな声を出したあと恥ずかしそうに俯くぱちゅりー。 まりさがそれを見て小さく笑った。 小休止を終えた二匹が川の浅瀬にたどり着く。 ぱちゅりーが言うようにここからなら石の上を飛んで向こう岸に渡ることができそうだ。 既に空は薄暗くなりつつある。 一日で移動できる距離はこのくらいが限界だろう。 川の向こうは“れいむ”のテリトリーである。 疲労を溜めた状態でその中に飛び込むのは危険極まりない。 “れいむ”を倒すための決定的な策も見つかっていない状態ではここを越えることはできないのだ。 しかし、故郷の森は近い。 いつまでもこの周辺に留まっていては見回りに来た“兵隊”や捕食種に見つかってしまう可能性もある。 急ごうとすればするほど、目の前に深い霧が立ち込めていくような焦燥感。 それは、まりさもぱちゅりーも同じだった。 迂闊に敵の懐に飛び込むことはできない。 「……むれのゆっくりのふりをして……まぎれこむのはむずかしいわよね……?」 「ゆぅ……。 “れいむ”も“へいたい”もよく、ゆっくりのおうちをあらしにくるよ」 「まりさは……“れいむ”におかおをおぼえられているでしょうしね……」 木の根元を掘って作った即席の巣穴に身をうずめて話し合いを続ける。 二匹がやっと入れる程度の窪みでしかないが、野ざらしで夜を明かすよりは幾分かマシだろう。 明確な解決策を見いだせないまま、二匹は頭上に広がる星空を見上げていた。 ぱちゅりーが呟く。 「まりさ。 しっているかしら? おつきさまはおおきくなったり、ちいさくなったりするのよ」 「どういうこと……?」 「む、むきゅ……ぱちゅもよくはしらないのだけれど……。 ちいさくなったおつきさまは、ぱちゅたちからはみえなくなって しまうのよ」 「ふぅん……。 そういえば、きょうのおつきさまはちいさくて、くらいね。 まんまるなおつきさまのときはすごくあかるく てきれいなのに」 「おつきさまも、まいにち、げんきなわけじゃないのよね……」 「…………」 「むきゅ。 あしたはどうしようかしら……? いつまでもここにいるわけには……」 「ぱちゅりー」 不意にまりさが真剣な顔でぱちゅりーに向き直り呟く。 頬を染めるぱちゅりー。 しどろもどろで言葉を発する。 「な、なにかしら?」 「まりさが“おしろ”からにげだしたとき、“おしろ”のかべのすきまからおつきさまのひかりがはいってきてたんだよ」 「それがどうしたのかしら?」 「ぱちゅりーがいってたみたいに、おつきさまがみえなくなったときなら、“おしろ”のなかはまっくらになるはずだよ!!」 「…………」 「そのときに“おしろ”にしのびこめば……」 「だめよ」 「ゆゆ?」 「しのびこんでどうするの? “れいむ”もねむっているかもしれないけれど、まっくらのなかではたたかうこともできないわ。 もともと、“おしろ”は“れいむ”のおうちなのよ? “おしろ”のなかのことは“れいむ”のほうがくわしいから、こっちが まけてしまうかのうせいのほうがたかいはずよ」 「ゆぅ……」 「……まりさ」 ぱちゅりーが静かな口調で囁くように呟いた。 困ったような表情のまま、まりさが顔をかしげる。 「むれのゆっくりたちと、おはなしができないかしら?」 「ゆ?」
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2732.html
『こたつむり愛で完全版』 8KB 愛で 観察 考証 飾り 越冬 赤ゆ 捕食種 希少種 自然界 人間なし 創作亜種 独自設定 即興に加筆修正しました こたつむり愛で 完全版 *この作品は本スレに投下された即興に加筆修正を加えたものです。 *世界観はいつもの愛で特化世界にリファインされています。 *チート性能のゆっくりが出ます。苦手な方はご注意ください。 *こたつむりの絵を創造された◎あき様に最大級の感謝を捧げます。 *作者はウサミミ薬局あきです。久しぶりの小話ですね。 「♪ゆーんゆーんむーきむーき、こーたつむりー、なのじぇ♪」 冬、雪こそ積もっていないものの、寒風が吹きすさぶ森の中を1匹の赤まりさが這っている。 だが、その姿は通常のまりさ種とは大きく違っていた。 どこが違うかというと……お飾りである。 饅頭の身体をすっぽりと覆うように被さった「それ」は、日本人にはとてもお馴染みの暖房器具「こたつ」にそっくりだ。 ふわふわで暖かそうなこたつ布団と、その上に乗せられた板。オマケにみかんのようなオレンジの玉も乗っている。 これは、まりさつむりの亜種「こたつむり」 ごくごく最近になって発見された新種ゆっくりだ。 その特徴は…見たままの通り耐寒能力で、他のゆっくりが越冬している最中だというのに、この赤まりさは元気に活動している。 こたつ布団の断熱性と内部の発熱機能によって、中のまりさが完璧に守られているのは間違いない。 だが、どうしてまだ生まれて間もないであろう赤ゆっくりのまりさが、こんな外を独りで移動しているのか? 「まりちゃは もういちにんまえなのじぇ!だから、ひとりだちしたのじぇ!」 と、本ゆんは言っているが、実際はほとんど家出のようなものだ。 こたつむりは、その高い生存能力と独立心から、生まれてすぐに独り立ちする。 一説によれば、これは家族が食糧不足で越冬に失敗しないようにする為だという。 そもそも越冬中、それもこんな初期に子供が生まれる事が非常識である。自殺行為と言ってもいい。 だが、寒さや寂しさを紛らわせる為の「すーりすーり」が暴発してすっきりー!してしまうケースも稀にある。 そうなると、増えた子供の分だけ蓄えの食糧は減っていく。 2匹ならなんとかなる量の食料も、食い扶持が3匹以上になってしまっては、非常に生存は厳しくなるのは間違いないだろう。 そこで、冬に生まれたゆっくりの一部は「こたつむり」となり、家を出る事で親や姉妹を助けるようになっているのだという。 そして、そんな生い立ちがテンプレなせいか、こたつつむりは基本的にポジティブ思考が多い。 独りぼっちも、冬の寒さも、あまり気にしないようになっている。 まぁ、単純に生まれて見るモノ全てが珍しいから、という見方もあるが。 「はるしゃんがくるまで、まりちゃ がんばるのじぇ!(キリッ」 では、暫くの間、この「こたつむり・まりちゃ」を観察していくとしよう。 + + + + + + 「むーちゃむーちゃ、しあわせー♪」 真冬の森の中で、今日も元気な声が聞こえる。 家を出てから1週間目…まだまだ、こたつむりは元気だった。 今は食事を…森の土を食べている。 土と言っても、落ち葉が積み重なった腐葉土のようなものだ。味はともかく、栄養はある。 そして、こたつむりは排泄行為をほとんどしない。 土の栄養をほとんど取り込んでしまうので、捨てる部分がないからだ。 「ゆふ~、ぽんぽんいっぱいなのじぇ♪」 と、満足げなつむりのコタツ板の上にオレンジ色の玉がポコッと生まれた。 これはミカン玉だ。つむりの栄養を蓄えるタンクの役割をしている。 要はラクダのコブのような物だと思えば間違いない。 最大数は個体によって異なるが、大体は3~5個くらいだ。 栄養が満タンになると、更に湯呑みも生える。 「♪ゆっくーち、ゆっくーち、のんびーり、のんびーり、しょーだーんでっきりゅ、なのじぇ♪」 今日もつむりの暢気なおうたが森にこだまする。 基本的に「こたつむり」はおうたが好きだという。 独りぼっちである事が多く、あまり激しく動く事が出来ない彼女らの数少ない娯楽だかららしい。 そして、もう一つ… 「♪きょーのしょーだんは、にっちよーび「あたい!」……ゆゆ?」 不意に、声を掛けられてまりちゃは歌を中断し、そちらの方を向いた。 「みなれない まりさだね!あたいは ちるのだよ、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 声を掛けてきたのは、冬のゆっくりの代名詞とも言える ちるの種だった。 大きさはまだ子ゆっくり程度。それが高さ30センチほどの位置でふわふわ浮いている。 「まりさは ひとりなの?おとーさん、おかーさんは?」 「まりちゃは ひとりだちしたのじぇ!だから、ひとりなんだじぇ」 「ゆー、それはすごいね!さいきょーだね!」 「ゆっへん♪まりちゃ、さいきょーで ゆっくちできるのじぇ!」 どうやら2匹は早速仲良くなったらしい。 つむりのおうたは、このように他のゆっくりを呼び寄せる目的もあるという。 いくらポジティブ思考のつむりでも、やはり友達がいるに越したことはなく、仲間を探す為に歌を歌うのだ。 そして、ちるの種もまた他のゆっくりから敬遠されがちな種であるので、寒さを気にしない友達は重要なのである。 + + + + + + 更に1ヶ月が経過した。 あのつむりはどうしているかというと…… 「♪ゆっくちーしちゃいとー、こころからーおーもーっちゃー♪」 「まりさの おうたはゆっくりできるね!」 「くろまくー、くろまくー♪」 どうやら友達が増えたようである。 しかも、本来なら捕食種である れてぃ種だ。 普通なられいむ種やまりさ種といった通常種は、れてぃの食事として捕食されてしまうはずだが、こたつむりは例外らしい。 その理由として、れてぃ種もまた孤独になりがちな種である為に友人を欲しがるからだとも、 つむりのこたつ型のお飾りが美味そうに見えないからだとも言われており、まだ確実な説はない。 それよりも、つむりの方であるが…まだ赤ゆっくりサイズのままだ。 正確には、若干大きくなってはいるものの、まだまだミカン程度のサイズでしかない。言葉遣いも赤ゆ口調のままである。 どうやら、こたつむりは成長速度がかなりゆっくりであるらしく、成体になるまでに2年ほどかかると言われている。 体内発熱機能にエネルギーを取られる事と、そもそも消費エネルギー量を低く抑えておく為だというのが学会の定説だ。 「ゆふぅ♪おうたをうたっちゃら おなかすいたのじぇ。これから、まりちゃのすーぱーむーちゃむーちゃたいむ!なのじぇ」 高らかに宣言して、足元の土を食べだす つむり。食べる量は相変わらず少量で良いらしい。 「むーちゃむーちゃ、しあわせー♪」 「あたいも ごはんにするよ!」 「くろまくー」 れてぃとちるのは、それぞれ携帯食料を持参していたようだ。 太陽はちょうど真南に昇った頃、季節は冬の真っ只中にも関わらず、暖かなピクニックの情景であった。 そして食事が終わると、今度は3匹一緒に歌いだした。 「「「♪ゆっくちーなれたなら、もっとーすーなーおに ゆーっくちー♪(くろまくー♪)」」」 小さなコンサートはまだまだ続きそうだ。 + + + + + + 冬の森に、ようやく春の暖かな風が吹き始めた頃、冬のゆっくりたちのシーズンが終わる。 「れてぃ、まりさ、またふゆさんになったら あそぼうね!」 「やくそくなんだじぇ!きっとまたあそぶのじぇ!」 「くろまくー、くろまくー」 冬の寒さの中でないと活動できない れてぃは、春~秋にかけて眠りながら洞窟に篭る。 ここは近くの群れのゆっくりたちの氷室となっており、れてぃの発する冷気を利用して食料を保存するのだ。 どうやら、元々このれてぃは通常種を食べる個体ではなかったらしい。時折、このように群れに所属するれてぃもいる。 本格的な夏以外はまだまだ活動できる ちるのとは、暫くの間お別れだ。 そして、こたつむりも、れてぃと共にこの氷室で夏眠を取る事に決めたらしい。 当然ではあるが、耐寒性能に優れた こたつむりは暑さに弱い。 今までは身体の小ささを利用して木の根元や草むらの中でこたつに篭って寝ていれば良かったが、 さすがに春~夏にはそれでは対応できない。 ある程度の防水能力のあるこたつも、台風や集中豪雨クラスの雨には耐え切れないからだ。 ちるの種や れてぃ種の巣穴に仮住まいさせてもらい、彼女らの冷気を拝借して次の晩秋頃まで眠り続けるのが、 つむりの基本的な習性である。 まぁ、もちろん本ゆんにはそんな打算的な考えはなく、本能と友情によって導かれた当然の方法とも言える。 ぼよん、ぼよん 「ゆっ!れてぃ、そろそろ眠るの?また秋さんまでお願いするね!」 氷室に入ろうとした2匹の所へ、大きな身体のドスまりさがやってきた。 このドスは、れてぃの巣である氷室を管理している群れのサブリーダーである。 「ゆー?!おっきな まりさなんだじぇ!」 「ゆゆ?変わったまりさがいるね?れてぃのお友達?」 「くろまくー♪」 ドスがつむりについて尋ねると、れてぃが色々と事情を説明してくれた。 さすがにドスはれてぃの言葉が理解できるらしい。 「なるほどー。それじゃあ、このつむりもドスたちの群れに入るって事でいいかな?長に報告しないといけないからね」 「まりちゃは かまわないのじぇ!よろしくおねがいしゅるんだじぇ!」 「くろまくー」 「分かったよ、よろしくね、まりちゃ!そして、ゆっくり眠っていってね!」 「ありがちょうなのじぇ!」 ドスがまたぼよんぼよんと跳ねて行ってしまうと、改めて2匹は氷室の奥へと引っ込み、眠る事にした。 「ゆー♪またふゆさんに なっちゃら、ちるのとあしょぶのじぇ~」 「くろまくー♪」 「このどうくつしゃんは、とってもすずしくちぇ ゆっくちできりゅのじぇ~」 「くろまくー」 「ゆふふー、れてぃといっしょだから さみしくないのじぇ……ゆふわぁ~…むにゅむにゅ…」 「くろまくー……」 「ゆっくち…おやしゅみ……ね」 「くろ……zzz」 すっかりこたつの中に入ってしまった つむり。まるで、そこにはミニチュアのこたつが置いてあるように見える。 その隣で、穏やかな寝顔を見せるれてぃ。 今年の春は友達と一緒だから、とても楽しそうに眠っている。 きっと2匹は、夢の中でも一緒に遊ぶのだろう。 ゆっくりおやすみ。また次の冬に…… (おわる) 挿絵:○○あき
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/154.html
・餡子ンペ10夏作品 ・書いたのは麦茶あき ・餡子コンペじゃなくて餡子ンペだったんだねー間違えて恥ずかしいよ お兄さんはペットショップでれいむを買った。 れいむは嬉しそうに「ゆっくりしていってね!!!」と挨拶をした。 お兄さんもれいむに挨拶し、れいむはめでたくお兄さんの飼いゆっくりになった。 しかし、これが悲劇の始まりである。 れいむはいい飼いゆっくりさ 「おにいさん!れいむにおちびちゃんができたよ!!」 「ゆふ~ん♪れいむとまりさのおちびちゃんだよ、おにいさんはまりさをかいゆっくりにしてね!」 ある日お兄さんが家に帰ると飼っていた飼いゆっくりのれいむが妊娠していた。 相手は隣にいる汚いまりさだろう。 一発で野良だということがわかる。 窓は閉まっていたはずなのに開いている。 おそらくれいむが開けたのだろう、器用な奴だ。 れいむの頭には自慢のおちびちゃんとやらが実っていた。 全部で六匹。 植物型妊娠では多いほうである。 六匹の赤ゆっくりは幸せそうに眠っていた。 「おにいさん!まりさをかいゆっくりにしてほしいよ!」 「おねがいだよ!まりさをかいゆっくりにしてね!!」 どうやらこのまりさ飼いゆっくりになりたいがためにれいむとすっきりしたそうだ。 ちなみにれいむはまりさと自分の子供が欲しかったためすっきりーした。 もちろんお兄さんは・・・・ 「駄目」 「「どぼじでえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ????!!」」 当たり前である。 「なんで?!すっきりしたらかいゆっくりになれるんじゃないの??!」 「ゆゆ!!おにいさん!いじわるしないでね!!」 すっきりーしたから飼いゆっくりになれるとはどこまで餡子脳なのだろう。 もちろんそんなバカなことが起こることは一切ない。 後は飼い主の逆鱗に触れたまりさは制裁され、れいむは飼いゆっくりとしての価値を失い捨てられる。 というのが本来の筋書きなのだが・・・ このお兄さん、怒るどころか逆に喜んでいるように見える。 「まりさ、飼いゆっくりにはなれないけどこのれいむと番になることは許してあげるよ」 「「ゆ??!」」 お兄さんの予想外の言葉に戸惑う二匹。 どうやらこのお兄さん、飼いゆっくりになることは駄目と言ったがまりさと番になることは許すと言ったのだ。 れいむはそのことで喜んだが、まりさは飼いゆっくりになれないことに落ち込んでいた。 「なんでまりさはかいゆっくりになっちゃいけないの?!」 「まりさ、世の中にはそのまま人間に潰されるゆっくりだっているんだぞ。 君は運がいい立場にいると考えたほうがいい」 「ゆぅ・・・」 まりさは納得できなかったが、渋々お兄さんの言葉を理解した。 しかしこのお兄さんどういうつもりなのだろう。 「野良としての生活をまた送ってもらう、だがその代わりこちらから飯を食えるだけの食料を提供しよう」 「ゆっ??!いいの!?」 なんとこのお兄さん、まりさが野良のままでいる代わりに食べ物を分け与えようというのだ。 一体なにを考えているのだ? 「じゃあ、れいむもまりさと・・・」 「お前は飼いゆっくりのままだ」 「どぼしてええ??!」 れいむがまりさと共に行こうとしたがお兄さんに止められてしまった。 納得がいかないれいむ。 「なんでなの、おにいさん!!」 「お前はこのまま俺の飼いゆっくりだ。まりさとはいわいる別居生活だな」 「ゆ~・・・」 「別に会えないわけじゃない。別居してもらうだけさ、面会もさせてやる」 れいむはお兄さんの言葉に従った。 まりさとの生活が名残惜しかったが仕方が無かった。 「れいむ・・・・あしたあいにいくよ」 「わかったよ、まりさ」 まりさとれいむは互いに別れを告げそれぞれの家へ帰っていった。 まりさのお帽子には沢山のお菓子が入っていた。 れいむにはわからないことがあった。 何故まりさと一緒に居させてくれないのか。 お兄さんにその疑問をぶつけてもはぐらかすだけだった。 だがお兄さんは「れいむにはまりさとの子供がいるじゃないか」と言った。 そうだ、れいむにはまりさとのおちびちゃんがいた。 嬉しそうに眠っている自分のおちびちゃん。 そんな時お兄さんが「おちびちゃんに早く会いたくないか?」と言ってきた。 れいむ自身おちびちゃんにも会いたかったし、何よりまりさやお兄さんも喜ぶはずだと、 れいむはお兄さんにお願いした。 お兄さんはれいむにオレンジジュースを飲ませた。 これでおちびちゃんが早く生まれるらしい。 そして・・・・ プルプル・・・ ポテッ・・ 「「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」」」」 「ゆっくりしていってね!!!」 茎から子供が落ち無事に産まれた。 赤れいむ 3 赤まりさ 3である。 みな元気そうでゆっくりしていた。 れいむは自分の子供にす~りす~りをし、頭に生えていた茎を子供たちに与えた。 「「「「「「む~ちゃ、む~ちゃ・・ち、ちあわせー!!!」」」」」」 赤ゆっくりたちは初めて食べる茎の味に感激しながら食べていた。 れいむはそのことに喜びながら自分の子供を見つめていた。 だがその時一匹の赤ゆっくりれいむがお兄さんに持ち上げられた。 赤ゆっくりは「おしょらちょんでぇりゅみちゃい!!」なんて騒ぎ、 他の赤ゆっくりたちはそのことで羨ましがっていた。 れいむはきっとお兄さんが自分のおちびちゃんと遊んでくれるのだろうと思っていたが、 お兄さんのした行動はれいむの思考と180度逆だった。 お兄さんは赤ゆっくりを握りしめるような状態にして・・・ 力をそのまま入れた。 ギュウウウウウウウウウ・・・・・ 「ゆぎいいいいいいいいいいい!!!」 「おちびちゃああああああああああああああああああああんん??!!」 突然赤れいむが苦しみ始めた。 お兄さんが握り締めているせいである。 何故そんなことするのかれいむには理解できなかった。 「やめてね!!!いたがってるよ!!」 お兄さんはれいむを無視し、そのまま握り続けた。 ギュウウウウウウウウウうううう・・・・・ 「ちゅ・・・ぶれりゅうう・・・・・・!!」 「くるちい・・・・!!!」 赤れいむは握り締められて体が圧迫されている。 すでに顔は赤くなっており、口からは餡子が出ている。死の兆候だ。 「たしゅ・・・・け・・・!!」 「おにいさああああああああああああああん!!!やめてええええええええええええ!!!」 そして・・・ ブシュウッ!!! 「ゆべえ!!」 赤れいむの口、目、まむまむ、あにゃるから餡子が一斉に出た。 お兄さんは赤れいむだったものをれいむの目の前に捨てた。 れいむは目を開き、目の前で起きたことがわからなかった。 どうしておちびちゃんがしんじゃったの・・・? なんでおにいさんこんなことするの・・・? れいむ・・・わるいこと・・・した?? そんなことを思いお兄さんを見つめていた。 お兄さんはそんなことは知らずに次の赤ゆっくりを持ち上げた。赤まりさである。 「おきゃーしゃんたしゅけちぇええええええええ!!!」 赤まりさの助けの声で我に返ったれいむ。 必死で赤まりさを助けようとしたが高さがありすぎて届かなかった。 「はなしてね!!おちびちゃんをはなしてね!!!」 もちろんお兄さんは無視。 お兄さんは赤まりさを台所へ持っていくとコンロに火をつけた。 れいむはお兄さんが何をするか理解できた。 やめて欲しいと叫んだが無視された。 お兄さんは赤まりさを串に刺し、 ブスッ・・・ 「いじゃいいいいいいいい!!!」 そのままコンロの上へ持っていった。 「あじゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!いじゃいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「おちびちゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん????!!」 直火焼きのようである。 お兄さんは串を回し始め赤まりさの全身を焼き始めた。 赤まりさは「あつい!!」「やめて」と叫んでいたが全身が黒くこげかけた頃から段々と声が小さくなり、 「ゆ・・・・・ぇ・・・いじゃ・・・・・ぃ」 「・・・・・」 「もっちょ・・・・・ゅ・・・・・」 永遠にゆっくりした。 れいむにはわけがわからなかった。 優しいお兄さんがどうしてこんなことするのか全然理解できなかった。 れいむはお兄さんを非難しようとしたがれいむは見てしまった。 お兄さんの顔が笑っている・・・・ 何故笑っているんだ?? おちびちゃんを殺して何故?? れいむはわからなかった。 「どぼじてぇ・・・??」 「教えてあげようか?れいむ・・・・」 その声はいつもと同じ優しいお兄さんの声だった。 「なんで赤ちゃんを殺しちゃったか・・・・・それはね・・・俺がそうしたかったからさ」 れいむは驚愕した。 お兄さんがそんなこと言うなんて!!! 酷い、酷過ぎる!! 「別に侮蔑してもいいよ、やりたくてやってるわけだし」 お兄さんは赤ゆっくり全員を持ち上げれいむが届かない位置に移動させた。 れいむは助けようとしたが届かなかった。 赤ゆっくりたちはお兄さんに怯えていて一箇所に固まっている。 一匹はしーしーを漏らしてしまったようだ。 お兄さんは赤れいむを摘み、赤れいむを見て何か考えているようだ。 「さて、どうしようかな・・・・そうだ」 何か思いついたようだ。 お兄さんは引き出しの中から爪楊枝を出した。 「典型的な虐待だが・・・・エイッ」 ブスッ 「いじゃああああああいいいいい!!!!」 ブスッ ブスッ ブスッ ブスッ ブスッ 「いじゃいいい!!いじゃいいよ!!やめちぇえええええええ!!!」 「これだけ刺しているのに元気な奴だ」 お兄さんは赤れいむに爪楊枝を刺しまくり赤れいむを虐待した。 ある程度虐めたらオレンジジュースをかけてやり傷を治す。 そしてそれの繰り返し。 何度か刺していたら赤れいむは「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」と痙攣し、 「もっちょゆっくちしちゃかっちゃ・・・」と言って死んでしまった。 「おち・・・び・・」 れいむはもう放心状態になりかけている。 お兄さんは次に赤まりさを選んだ。 引き出しから霧吹き器を出したお兄さんは水を入れ赤まりさにかけてやった。 プシュッ! 「ゆ!!きょれおみじゅしゃんじゃ!!」 霧吹き器の霧をかけられた赤まりさは微妙に濡れた。 お兄さんは何度も何度もかけてやり赤まりさに霧を浴びせた。 すると大量に水分を吸ってしまった赤まりさの体が溶け始めて原型を保てなくさせた。 「ゆぎいぃぃぃ!!!とけちゃうううう!!!」 お兄さんはそれでもかけてやりその様子を見て嬉しそうだった。 赤まりさはもうほとんど溶けてしまっていた。 「ゆぅ・・・・ぎぃ・・・・・・・」 完全に溶けきり物言わぬ何かになってしまった。 「お前はこっちな」 お兄さんは最後の赤まりさを霧吹き器の中に入れた。 赤まりさはなんとか抜け出そうとしたが出れずに落ちてしまった。 そのまま水が溜まっているところに落ちるかと思ったが帽子が下に落ちたのでなんとかその上に乗ることができた。 赤まりさは自分の安全を確認するとお兄さんに「はやくここからだせ」と言ってきた。 だがこの状況はお兄さんにとっては好都合だった。 お兄さんは赤れいむを電子レンジの中に入れた。 レンジを操作し、作動させた。 ゆっくりが電子レンジの中に入って温めたらどうなるか・・・・ 答えは簡単だ。 「ゆ?なんだきゃあったきゃくなっちゃよ!」 それも今のうち・・・ 「あちゅいよ!!きょきょきゃらだちてね!!」 「あちゅいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!れいみゅちんじゃうううううううううう!!!」 「やじゃあああ!!!ゆぎいぃ??!ゆがが・・・!!!」 パンッ!!!・・・・ 赤れいむは電子レンジの高温に耐え切れず破裂してしまった。 中に餡子が飛び散りお兄さんは「しまった・・・」と後悔した。 赤まりさの方にも異変は起きた。 自分を支えてくれた帽子が溶けているのだ。 赤まりさは助けてくれと言ってきたが、 お兄さんは無視してどうなるか期待の目でまりさを見ていた。 赤まりさの帽子に水が入ってきてついにやばくなった。 赤まりさは「助けて!」「いい子になりますから!」と懇願してきた。 だがお兄さんはもちろん無視した。 帽子に水が溜まり赤まりさは水の中に落ちてしまった。 赤まりさは生きようと水の中で泳ぐが、そのせいで体の方が崩れてしまった。 「ぼか・・・・がぼ・!・・が・・・」 何が言いたかったかわからないまま赤まりさは溺れて溶けてしまった。 れいむは呆然としていた。 するとお兄さんが注射器のようなものを持ってきてれいむのまむまむに挿し込んだ。 れいむは自分のまむまむに異物が入ってきたことに嫌がっていたが、 お兄さんはまむまむに何かを注入した。 すると・・・・・ ニョキニョキ・・・・・ れいむの頭に茎が生えた。 「なんでれいむがにんしんしてるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 お兄さんが入れたものはゆっくりの精子餡だ。 当然そんなものを入れればゆっくりは妊娠してしまう。 お兄さんは先ほどのオレンジジュースをれいむにかけてやった。 すると茎についている実ゆっくりは次第に成長し始めた。 「成長剤入りと栄養剤たっぷりのオレンジジュースが気に入ったようだな」 実はこのオレンジジュースには実ゆっくり用の成長剤と栄養剤が混ざっているのだ。 そんなものを妊娠しているゆっくりに飲ませればどうなるかは一目瞭然。 実ゆっくりはすごい速さで成長し、 実ゆっくりは赤ゆっくりとなり生れ落ちた。 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」」 赤ゆっくりが元気に挨拶するが親であるれいむから返事が来ない。 れいむはハッと気づき赤ゆっくりたちに逃げるよう伝えた。 「おちびちゃんたち!!いますぐにげてね!!」 「「「「にゃんで??」」」」 赤ゆっくりにはわけがわからなかった。 何で自分たちが生まれたのに母親は挨拶をしてくれないんだろうと、 赤ゆっくりたちは怒り始めた。 「「「「ぷきゅー!!」」」」 「そんなことしてるばあいじゃないでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 れいむはわからなかった。 何で自分の言うことを聞いてくれないのか。 そんなあほなことしているうちにお兄さんが赤ゆっくりたちに近づいて・・・・ シュッ・・・・ 「「「「ゆっ・・・??!」」」」 最初赤ゆっくりたちは何をされたかわからなかった。 だが突然自分たちの体に激痛が走った。 「いじゃいいいいいいいいいいいいい!!!」 「くるちいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 「あっがががががg!!!」 「ゆびゃああああああああああああああ??!!」 赤ゆっくりたちは激痛でのた打ち回った。 お兄さんは赤ゆっくりたちに先ほどの霧吹き器をかけたのだ。 といっても中身が違った。 中に入っていたのは水で少々薄めただけの激辛エキスだ。 薄めているとはいえそんなものを赤ゆっくりにかければどうなるかはさっきの結果である。 お兄さんは赤ゆっくりたちにもう一度かけてやり反応を見た。 「いじゃ・・・・・・・・・ぃ」 「ゅ・・・・・・・ゅ・・・・・」 赤ゆっくりたちは激痛で動けなかった。 動かせるものはもう自分たちの思考だけだ。 なんでこんな目にあっているのかと赤ゆっくりたちは必死に考えた。 すると赤ゆっくりたちはれいむの方を見て・・・・ 「「「「ゆ・・・くち・・させて・・くれない・・おやは・・・・・・・・・ちね!!!!」」」」 そう言った次の瞬間お兄さんに霧吹き器をかけられ餡子を吐いて死んでしまった。 れいむは自分の目の前で起きていることに全く理解ができなかった。 お兄さんはそんな困っているれいむにこう答えてくれた。 「なんで赤ゆっくりにこんなことするか聞きたいかい?」 「なんで・・・???」 「それはね・・・・・・ 俺は赤ゆっくりが死んでいくのがみたいからだよ」 「・・・・・・・・・ゆえ??」 れいむはお兄さんが何を言ったか理解できなかった。 「俺はさぁ・・・こういう小さい生き物が死んでいくのを見るのが大好きなのさ。 おかしいだろ?ガキの頃はそうやって遊んでいたもんな・・・・・・・ でもさ、大人になっていくにつれそのことに罪悪感が芽生えてきたんだよ・・・何でこんなことしてるのかって・・・ でも俺はそう考えるのはやめたんだ。 考えるのやめたらなんかすっきりしたよ、むしろやっていく内に楽しくなってきてね・・・」 お兄さんはベラベラとれいむに話した。 その内容は最早狂気だ。 「一番楽しかったのはゆっくりだな、特に赤ゆ。 あいつら虐待していくとすごくすっきりできた。」 れいむはもうお兄さんが何を言っているのかわからない・・・ 「だかられいむを飼ったんだよ」 れいむはその言葉に耳を疑った。 そんな理由で自分を飼ったのか?! 「なんでれいむなの??!」 「その方が都合がよかったからね、赤ゆっくりを産んでくれるのに」 「??!」 「れいむってのはさ、他のゆっくりに比べて子供を産む数が多いんだよ、だからさ。 俺がより多くの赤ゆっくりを潰せるために沢山赤ゆを産んでくれるお前を飼ったのさ。 あとは妊娠なんだけど、どうしようかと迷っていたうちにまさかれいむから妊娠してくれるなんて思わなかったよ。 あのまりさにお菓子を与えたのもお礼のつもりさ、野良は金が掛からないしね」 れいむは自分がしたことに後悔した。 きっとお兄さんはまりさと勝手にすっきりーしたから怒っているんだと思っていた。 「ごべんなさいいい!!!もうまりさとあいません!!おちびちゃんはいりません!!!」 「何で謝るのさ、むしろ俺は大歓迎だよ」 れいむは必死に謝ったがお兄さんには伝わらなかった。 それどころかどんどんすっきりして子供を産んで欲しいとまで言ってきた。 「ごべんなさい!!!ごべんなさい!!!」 「だから謝る必要なんてないよれいむ。 これからもおちびちゃんを作ってね!」 「やだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 れいむはもう三回もすっきりーさせられた。 産まれた赤ゆっくりは当然のごとくお兄さんに殺されてた。 気がつけば次の日の朝になっていた。 お兄さんが「まりさが来たぞ」と言ってきた。 れいむは急いでまりさの元に駆け寄った。 自分の愛しのまりさ。 番のまりさ。 会いたかった。 れいむは相変わらず汚いまりさに挨拶し、す~りす~りをした。 そしてお兄さんが自分たちのおちびちゃんにやったことを全て話した。 だがまりさかられいむの予想もつかない返答をされた。 「しってるよ」 「ゆうう!!?ど、どいうことなの??!」 なんでまりさがそのことを知っているのかわからなかった。 「さっきおにいさんがおしえてくれたんだよ。まりさたちのおちびちゃんはころしちゃったって」 「だったらまりさ!れいむをたすけ・・「やだよ」ゆうぅぅぅぅ!!!??」 まりさがれいむを拒絶した。 なんで拒絶したかれいむには理解できなかった。 「まりさはれいむとのおちびちゃんをつくることであまあまをもらえるんだよ、そんなことできるわけないじゃない」 「ま、まりさああああああああああ!!!おちびちゃんがかわいそうじゃないのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」 「わるいけど、まりさがいきるためにひつようなぎせいだよ。そもそもれいむとすっきりーしたのもまりさがかいゆっくりになりたかったからだよ」 「れ、れいむをだましたの・・・?うらぎったの・・・??」 「さいしょからそのつもりだったけど、もうそのひつようはないよ。だってまりさはあまあまもらえてゆっくりできたから・・・ れいむにはすごくかんしゃしてるんだ。あとおにいさんにもね」 「こ、このゲスがああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「かまわないよ、のらのたいはんがみんなゲスだから・・」 れいむはまりさの裏切りに怒りを隠せなかった。 自分が愛した相手はこんな奴だったのかとまりさに怒りをぶつけた。 そんなことしていたらお兄さんがやってきた。 「こらこら、喧嘩は駄目だろ?・・・じゃあまりさ、頼むよ」 「・・・・・・わ、わかったよ」 まりさは少し怯えながらお兄さんの指示に従った。 まりさはれいむの後ろに行き、す~りす~りをし始めた。 「ゆ??!まりさなにしてるの?!」 「・・・・・・」 まりさは黙ったままれいむとす~りす~りし続けた。 やがて二匹とも顔が赤くなり激しく擦り合わせた。 交尾である。 「ゆぅぅぅぅっぅうううううううううう!!!すっきりーしちゃうううううううううううううううううう!!!」 「・・・ッ!!・・・・!」 二匹が絶頂を迎え・・・ 「「すっきりー!!」」 すっきりーした。 れいむの頭に茎が伸び始めた。妊娠したのである。 「ありがとう、まりさ」 「・・・・・・・ゆぅ・・」 「今度はお友達も連れてくるといい、いつまでも同じ種類じゃつまらないからね。 みんなの分のお菓子もあげるから呼んできてくれたまえ」 「・・・・・わかったよ」 まりさはお兄さんにお菓子をもらうと帰っていった。 すっきりーされたれいむは頭に生えた茎を見て絶望した。 また自分の子供にあんなことするのかと・・・ 「さて、始めよう」 「!!!」 お兄さんがオレンジジュースを持ちながられいむに近づく。 れいむはお兄さんに逃げるように後ずさるが壁にぶつかってしまった。 上を見ると、 お兄さんは笑っている。 その笑顔は穢れが無い笑顔に見えた。 「赤ゆ虐待♪」 「ゆわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 あれかられいむは何度もすっきりーさせられ妊娠し、目の前で赤ゆっくりを潰された。 すっきりーさせられる相手は野良まりさとその仲間だ。 お兄さんの家に上がらせてもらいれいむとすっきりーしてあまあまを貰っている。 今その最中だ。 「いやだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ずっきりいいじだぐないいいいいいいいいいいいいいい!!!」 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!すっきりいいいいいいいいいいいい!!!」 「わかるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!きもちいいんだねえええええええええええええええええ!!!」 「ビックぺにすううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!」 またれいむの頭に茎が生え始めた。 今度のは尋常じゃないほどの茎が生えてきた。 それもそうだ、3匹相手にすっきりーさせられたのだ。 お兄さんはれいむにオレンジジュースを浴びさせ実ゆっくりを成長させた。 その動作を続けながらまりさたちにお菓子を大量を与えていた。 「今日の分だ。仲良く食べろよ」 「「「「ゆっくりりかいしたよ・・・・」」」」 まりさとちぇんは帽子にお菓子を入れ仲間と共に帰っていった。 帰り際赤ゆっくりたちの悲鳴が聞こえたという。 「まりさ・・・・これでいいのよね」 「うん・・・れいむにはわるいけど・・・しかたないよ」 まりさたちはお兄さんのやっていることに怯えていたのだ。 自分の飼いゆっくりにあそこまで酷いことをやってきた人間は見たことが無かったからだ。 しかもその目の前で赤ゆっくりを虐待している。 そんな凶行にまりさたちはもう野良から飼いゆっくりになろうとは考えなくなった。 そんなことされる位ならまだ野良の暮らしの方がマシだからだ。 まりさたちは明日もそんなことを繰り返す・・・・ れいむは目の前で赤ゆっくりたちが殺されるのを見守るしかなかった。 今日大量に産まれた赤ゆっくりたちはお兄さんの手で殺し合い、共食い、すっきりをさせられた。 れいむの前には大量の飾りが積まされていた。 お兄さんはその様子を見て嬉しそうだった。 「もうやめてくださいいいいい!!れいむがわるかったです!!!!」 「悪いことなんてやってないじゃないか、だってお前は・・・ 俺をゆっくりさせてくれる素直でいい飼いゆっくりさ」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 れいむは子供が産めなくなるまでお兄さんの飼いゆっくりでいたという・・・・・・・・ おしまい
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2304.html
ゆっくりたちの地雷行進 11KB 虐待 不運 番い 野良ゆ 現代 独自設定 ゆっくりが地雷で死ぬSS 加工所公式サイト、キッズページで「しゃかいこうけん」という項目をクリックすると、こんなページが出てくる。 【加工所はアフリカの土地で、ゆっくりを使った地雷除去を行っています】 ゆっくりんピースの活動などにより、一部では悪い印象を持たれているのも事実。 イメージ戦略の一環として、こういうこともしているようだ。 右下にはかわいくデフォルメされたれいむとまりさが、笑顔で喋っているイラストが付いている。 そのセリフは? れいむちゃん「れいむたちはみんなのためにがんばりたいよ!」 まりさちゃん「ゆゆ~ん♪ かこうじょのゆっくりはこんなところでもかつやくしてるんだね!」 ● どん、どん、どん、どん……。 ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。 太鼓の音が響く。 かつての内戦地。じりじりと暑く草一つない亜熱帯アフリカの大地にて。 横一列×十行に並んだゆっくりたちが一糸乱れぬ調子で前進していた。 ひとつドンと鳴るたびに一歩進む。機械のように、ただただリズミカルに進む。 (おちびちゃん! れいむは、れいむはぜったいにしなないよ……!) 横のゆっくりとの間に、スキマはまったくない。ほっぺとほっぺをくっつけて、決して遅れないよう進んでゆく。 どんどん。ドン! 「ゆびっ!!」 どんどん。ドン! 「ぼっぢょっっ!!」 どんどんどん。ドン! 「ゆがぼべ!!」 立て続けに三匹、永遠にゆっくりした。れいむの頬に、爆風と爆音。ゆっくりの断末魔が突き刺さる。 そして餡子の底から不快になる死臭が風に乗ってやってくる。 しかしどのゆっくりもまったく歩みを止めようとしない。 はねるたびに、大地の暑さによって染み出てきた汗がとびちる。 どんどんどん。 突然に、風が一吹きあった。 「ゆゆっ! まりさのおぼーしさん! まってね!!」 このまりさは、ただちょっとお帽子を取りたかっただけだ。 「ぺぎょっ!!」 そこで小さい爆風。まりさは中枢餡を爆破されこの世を去った。 止まったり列を離れたりしたゆっくりはどんな理由であれ、体内にうめこまれた爆薬でぶち殺されるのである。 自由な行動を許しては、地雷の除去はままならない。 どんどんどん。 一歩おきに、地雷に殺される可能性がある。その恐怖。 どのゆっくりも泣きそうな顔をして、死への道をただただ進むのだ。 顔を真っ赤にして号泣して、それでも死にたくないから止まれない。 「むっぎょおおおお!!! ぼういやああああ!!! ばちゅおうぢにがえるううううう!!!!」 また爆風。 このぱちゅりーのように恐怖のあまり狂って、走ったり暴れたりするゆっくりもいた。 恐怖に耐えられないゆっくりも、列からずれ次第爆破される。珍しくない出来事だ。 どんどんどん。 死と隣り合わせの極限状態。また。しずかに、ただ太鼓の音だけが響きはじめた。 れいむは祈りながら、一歩ずつ慎重に進む。地雷がないように、あっても何かの間違いで爆発しないように。 交通の発達とともに世界中に繁殖したゆっくり。 れいむはこの暑く草もまばらな土地から少し南の、あるジャングルで生まれ育ったゆっくりだった。 雨が多いことが熱帯雨林に住む上での唯一の難点である。 しかし食べ物が多く、なんといっても越冬する必要がないことがゆっくりの繁殖を許した。 それぞれの力は弱くても種全体としては力強いゆっくりは、凶悪な外来種としてここでも猛威をふるっているという。 そんなれいむが地雷除去ゆになったのは、人間さんたちのゆっくり狩りが原因だった。 豊富に繁殖した熱帯雨林のゆっくり。そこのゆっくりを使うのが量の面でも、コストの面でも良いと担当職員は考えたのである。 れいむは捕えられたあの時を、いつも反芻している。 あの時ふらんに捕まってさえいなければ、今だってゆっくりできたはずなのに。 ~~~~~~~~~~ ツルや低木がごちゃごちゃと並ぶ中、高い木の根元、そこに巣をつくってれいむたちは暮らしていた。 夫のまりさ、そして十五匹のおちびちゃん。食べ物は豊富で、最高にしあわせーな家庭であった。 「「おちびちゃんたち、おかーさんとおとーさんはかりにいってくるよ!」」 「「「「「ゆっくちいってらっちゃい!!」」」」」 天使のような子供たちの笑顔。れいむとまりさもついついにっこりしてしまう。 しかしこれが親子でした最後の会話となってしまった。 おちびちゃんとふれあったあの日々。れいむは、もうずいぶん前の事の様な気がしている。 育ち盛りの赤ゆを抱えたれいむとまりさ。沢山ごはんを採るため群れで有名な狩りスポットへ行こうとした。 ぱぱいやさんも生っているゆっくりした場所。しかしそれが運の尽き、そこはすでに地獄だった。 ゆっくりが集まることを見越して、捕獲用ふらんが大量に放たれていたのだ。 「しね! しね!」 「「「うー☆」」」 「ゆんやあああ!!! ありちゅをたべにゃいでええええ!!」 「おぢびぢゃああああああんんんん!!!!」 「ばりざおいしぐないよおおおお!!!」 「でがばらぢんぼおおおおお!!!」 「みんなあああ!!! みんなにげでえええええ!!!」 逃げ回るゆっくりはいとも簡単に捕まり、次々と巨大なバケツに放り込まれている。 重量がない子ゆ・赤ゆは軽過ぎて地雷除去ができないので、食べられるか殺されるかだ。 にげてと叫ぶ長ぱちゅりーも、まばたきした一瞬に連れ去られ、バケツ行きになった。 ふらんが群れのみんなを捕まえている! 捕まって食べられてしまう、そんなの冗談じゃない! れいむはまりさにふりかえった。 「ゆゆ! ゆっくりしないで、れいむたちもにげるよ!」 自分達も逃げないとゆっくりできない目にあいそうだ。はやく逃げなければならない。 しかしまりさの返答は、漢気あふれる勇敢な物。みんなのことを考え命を捨てる、そんなゆっくりにしかできない答えだった。 「まりさは……にげないよ! れいむとおちびちゃんたちだけでにげてね!! まりさはふらんとたたかって、むれのみんなをまもるよ!!」 「ま、まりさ!! なにいってるの!? いくらまりさがむれでいちばんつよいからって!」 まりさは成ゆ三匹を相手にしてなお無傷で立つ。この群れ十年に一度の戦士だった。 その自信もそこからきているのだろう。まゆげはキリリと伸び、表情は自信に満ち溢れている。 れいむは悲しくなり涙を浮かべたが、これが自分の愛したまりさだと思うと、それ以上止める気にはならなかった。 まりさならふらんたちを倒せるかもしれない。 「わかったよ……、でも、ぜったいいきてかえってきてね! まりさがしんだられいむもおちびちゃんもないちゃうよ!!」 「もちろん! しんぱいしないでね! ふらんなんてちょちょいのちょ……おそらをとんでるみたい!!」 まりさはキリリとした顔のまま、ふらんにおさげを掴まれあわれバケツ行きとなった。 「ばりざああああああああ!!!!」 れいむも同じ道をたどったことは言うまでも無い。 ~~~~~~~~~~ (ぜったいにいきのこって、おちびちゃんとゆっくりするよ! ぱぱいやさんをたべて、ゆっくりするよ!) つがいのまりさはあっけなく爆死したが、れいむはまだ死んでいない。 れいむは希望を持っていた。地雷除去ゆたちは、がんばったゆっくりから群れに帰れるとふきこまれている。 だが現実、ゆっくりがおうちに帰ることはは二度とない。 ゆっくりを働かせるための口実だろう。この土地の地雷処理が終われば次の土地に輸送されるだけである。 地雷を踏んでしまうその日まで、この地獄は終わらないのだ。 「Back!」 人間さんの鋭い掛け声とともに、ゆっくりたちは反転する。 Go aheadで進み、Backで戻り、Waitで止まる。その三つ以外の事は求められない。地雷処理ゆ全てだ。 (ゆふぅ、かわいいれいむはきょうもいきのこれたよ) 反転したゆっくりたちは、自分が歩いてきた土をまた踏むことになる。 念のためということで、一つの場所を何度も往復するのだ。 一度踏んだ土の下に地雷は無いはずだからと、ゆっくりたちもここにきてやっと安堵の表情を見せる。 ただ運よく何週間も地雷除去を続けているゆっくりはそんな簡単に安心できず、不安そうな顔をしている。 ここから死ぬゆっくりも沢山いるのだともう知っているのだ。 その瞬間、れいむの視界はスローモーションになった。 大きな音。大きな音。どこから? それは、れいむの下から。 「ぶぎょっ!!」 れいむの体の真下。餡子の重みで地雷が爆発した。 筋餡も中枢餡も、なにがなんだかわからないぐらいまざりあって、粉々にふきどんだ。 れいむは死んだ。走馬灯を見る暇すらなかった。 軍事上の理由から複数回踏まなければ爆発しない地雷、誤作動により爆発できなかった地雷。 二度目以降でも爆死するゆっくりはいる。 しかしなんてことはない。ゆっくりが死ぬのはいつものこと。 人間さんも、周りのゆっくりも、れいむの死などなかったかのように行進を続けた。 行進が終わったあと、残されたのは死んだゆっくりたちのバラバラになったおかざりと、ぶちまけられた大量の中身だけであった。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2271.html
ゲス一家 case5 ~きしょうしゅ~ 7KB 虐待 小ネタ 不運 家族崩壊 番い 野良ゆ 子ゆ 希少種 都会 虐待人間 久しぶりの投下になります、希少種虐待描写ありますのでご注意を ・ゲス一家の続編になりますが、前作読んでなくても問題ありません ・前作同様、全編対話と独白のみでの構成になりますので若干判りづらい描写あるかもしれませんがご了承下さい ・注意したつもりですが、設定被り等ありましたらご指摘頂けるとありがたいです 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「はいはい、ゆっ・・・・・・まじかよ、野良のらんなんて・・・・・・っと、ゆっくりゆっくり」 「おにーさん、らんとちぇんのおちびちゃんをゆっくりみていってね」 「ゆゆーん♪らんはきしょうしゅにゃんだよ、めじゅらしいんだよ、きゃわいくってごめんにぇ♪」 「おにーさん、ちぇんとらんしゃまのおちびちゃんをみてゆっくりできたよねー?ならさっさとあまあまちょうだいねー、わかってねー」 「無理だな」 「「「どぼぢでぞんなごどいうのおぉぉぉぉぉぉーっ!?」」おにーさんはバカなんだねー、らんしゃまとおちびちゃんはきしょうしゅなんだよー!! めずらしいんだよー、たいせつにしないといけないんだよー、わかれよー!!」 「それは人間が決めることだ、お前ら人間の請売りでそう思ってるだけだろうが。おい、らん!!お前元飼いゆっくりだろ?」 「・・・どぼじでわがるのおぉぉぉぉぉぉーっ!?」 「んなモンお飾りからバッジ毟り取った後見りゃ大概分かるわ!!んでちぇん、お前は野良だな?」 「そっ、そうなんだよー」 「元飼いと野良、でもって二匹の間にチビとくりゃ言いつけ破ってすっきりーして捨てられたってオチだろ?展開がテンプレすぎるんだよ!! いくら希少種だろうとそんな阿呆に掛ける情けもくれてやるあまあまも俺は持ち合わせちゃいねぇよ!!」 「ぞっ、ぞんなぁ・・・・・・ならおでがいじばず!!ぜべでがわいいおじびじゃんだげでもゆっぐじざぜであげでぐだざい!!」 「ぢぇんがらぼおでがいずるんだよー!!わがっでよー!!」 「断る、要するに飼えって事だろ?出来損ないの餡統受け継いだチビなんぞ飼った所でお前らの二の舞演じるのは目に見えてるからな」 「ゆぐっ、ゆぐっ・・・らんがダベゆっぐりだがら・・・、どうバッジざんのダベゆっぐりだがらダベだんでずが?」 「なっ・・・、お前銅バッジだったのかよ・・・、信じられねぇ阿呆だな・・・ 普通希少種って言ったら基本種よか頭良い筈なんだぞ、銀バッジ位余裕で取れる頭持ってるんだぞ」 「ゆっゆっ、ゆびえぇぇぇぇぇぇーん!!おどーじゃーん!!おがーじゃーん!!ゆっぐぢじだいよおぉぉぉぉぉぉーっ!!」 「ごべんでぇぇぇぇぇぇー!!おぢびじゃん!!おがあざんがダベゆっぐりだがらゆっぐりざぜであげられだぐでごべんでえぇぇぇぇぇぇーっ!!」 「おぢびじゃんながないでねぇー!!おどうざんがべーろべーろじであげるがらながないでねぇー!!わがっでねえぇーっ!!」 「・・・・・・なぁお前ら、そんなにかってほしいのか? 俺は生憎とかう気はねぇが俺の知り合いに希少種をほしがってる奴がいてな、そいつならお前らの事かってくれるかも知れねぇぞ」 「ほ、ほんどうだんでずが!!おでがいじばず!!ぜひおでがいじばずうぅぅぅぅぅぅーっ!!」 「・・・・・・いいんだな、後悔しねぇな?なら付いて来いや」 *********************************************************************************************************************************************************************** 『ピンポーン』 「はいはい・・・っと、おぉお前か」 「約束どおり来たぞ、あいつ等あれからどんな感じだ?」 「まぁとりあえず上がれよ、それなりに面白くはなってると思うぜ」 あれから一週間後、俺はあのらん一家をかってくれた友人の元を訪れていた。 友人の先の言葉通り、一家はかなり面白い状況に置かれていた。 親らんは足焼を施されオレンジジュースの点滴を後頭部に突き刺された状態で涙を流していた。 そして額から大量の茎を生やし、その先には数こそ少ないものの数匹の赤らんが実っている。 茎の量に反して赤ゆの数が少ないのが気になったが、通常種のチビは間引いているそうだ。 友人は常々希少種の赤ゆを虐待してみたいと話していたので、今から楽しみでたまらないといった様子だ。 また、ある程度の数が見込めるようになったらゆっくりショップにでも卸して一儲けしようって腹積りのようだが、 加工所でも安定供給が難しいとされている希少種の繁殖、果たして只のゆ虐好きの素人の手で上手くいくかどうか・・・。 番のちぇんはかわれて三日目にすっきりーのし過ぎで永遠にゆっくりしたそうだ。 そして二匹目の番として野良のれいぱーありすが宛がわれたのだがこれも三日と持たなかったという事だった。 現在は三匹目の野良のまりさがその役割を担っているそうなのだがこれも果たしていつまで持つか・・・。 子らんに至っては透明な箱に入れられかなり面白い状態となっていた、油揚げの皮をひん剥かれて酢飯の塊と化していたのである。 それにくっついた目玉だけがギョロギョロと世話しなく動き、鮨酢の涙を流す様はまさしく異形であった。 当然風を受けただけでも激痛が走るらしく団扇などであおいでやることでその反応を楽しんでいるそうだ、相変わらずいい趣味してやがる・・・。 友人の話によると、一度だけ両親がすっきりーを拒否した際に見せしめとしてこのような姿にしてやったとの事だ。 そのため両親には並々ならぬ恨みを抱いており、時々生き残っている母らんに対面させてはその呪詛の言葉をぶつけさせ母親の反応を楽しんでいるそうなのだ。 因みに日に一度は酢飯を与えたり、鮨酢を霧吹きで吹いて与えてやればこのままでも生きてはいけるらしい。 まったくどこまでもデタラメな生き・・・じゃなかった、ナマ物だ。 俺の姿に気付いた親らんが泣きながら疑問の声をぶつけてきた。 お兄さんの嘘つき!!このお兄さんが飼ってくれるっていったのに・・・、どうしてらん達がこんな酷い目に合わないといけないの? なるほど尤もな疑問だ、だが俺は動じることなくこう答えた。 「お前また飼いゆっくりになれるとでも思ってたのか?おれはそんな事一言も言ってないぞ。 お前らがかってほしいって言ったから俺がお前らをこいつに売った、つまりだ、お前らはこいつに"買われた"んだよ。 お前らを飼いゆにするのも虐待するのもコイツの意思だが生憎とコイツは虐待お兄さんでな・・・、諦めろ」 そう、俺は友人にこの一家を五千円で売ったのだ。 俺はあくまでも「かう」としか言ってないがそれをらん達が勝手に「飼う」と解釈した、ただそれだけのことだ。 確かに俺のやったことは社会通念や道徳に照らし合わせると決して褒められたものではないだろう。 だが相手は希少種とは言え唯の動く饅頭の類に過ぎない、そんなものに人間の道徳が通用するとも思えない。 それとこれは俺の持論なのだが「騙す奴も悪いが騙される奴も悪い」 何と言うかまぁ、つまりはそう言う事だ。 しかしこの友人の家は数々の虐待道具で溢れかえっている、俺は元来道具を使った虐待があまり得意なほうではない。 だがゆっくりの苦しむ様を観るのは好きなので、時々こうして友人の家を訪問しそのゆ虐プレイを観賞させてもらっているのだ。 今日は中々面白いものを観る事ができた、たまにはこういうのもいいものだ。 ~終~ あとがき どうもご無沙汰してました、正確に覚えてないんですが約2ヶ月ぶり?の投稿になりますでしょうか。 底辺物書きだからって「あんた誰?」とか言わないでください、泣いてしまいます。 何気に実生活がゆっくりできない状態が続いてたもんで・・・ (お仕事の新規事業開拓とかそれに向けた資格取得研修とか戦車と人間と犬のRPGとか竜退治はもう飽きたとか今回改造費用高すぎとか・・・) あとこんだけ間が開いてしまったせいか書けない・・・、文章を上手く纏められなくなってたんだよぉ!! で、そんな中何とか書き上げましたゲス一家シリーズ待望(?)の続編なんですけど、正直このらん一家ゲスかどうか微妙なような・・・ 一応登場してくるお兄さんは共通の人物なので続編ってことでどうかひとつ。 鋼あきの過去作 餡子話 anko1461 ゲス一家 anko1501 ゲス一家 case2 ~とかいは~ anko1573 権利と anko1649 ゆっくりの耳掃除 anko1708 ゲス一家 case3 ~あまあま~ anko1729 ゆっくりを求めて anko1749 ゲス一家 case4 ~けんじゃ~ anko1764 儚き定めの anko1789 風に吹かれて anko1799 ぐんたいゆ anko1834 みょんとお話しよう anko1895 かなこと 感想はこちらまで http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1276780262/l50
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/138.html
加工所公式サイト、キッズページで「しゃかいこうけん」という項目をクリックすると、こんなページが出てくる。 【加工所はアフリカの土地で、ゆっくりを使った地雷除去を行っています】 ゆっくりんピースの活動などにより、一部では悪い印象を持たれているのも事実。 イメージ戦略の一環として、こういうこともしているようだ。 右下にはかわいくデフォルメされたれいむとまりさが、笑顔で喋っているイラストが付いている。 そのセリフは? れいむちゃん「れいむたちはみんなのためにがんばりたいよ!」 まりさちゃん「ゆゆ~ん♪ かこうじょのゆっくりはこんなところでもかつやくしてるんだね!」 ● どん、どん、どん、どん……。 ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ……。 太鼓の音が響く。 かつての内戦地。じりじりと暑く草一つない亜熱帯アフリカの大地にて。 横一列×十行に並んだゆっくりたちが一糸乱れぬ調子で前進していた。 ひとつドンと鳴るたびに一歩進む。機械のように、ただただリズミカルに進む。 (おちびちゃん! れいむは、れいむはぜったいにしなないよ……!) 横のゆっくりとの間に、スキマはまったくない。ほっぺとほっぺをくっつけて、決して遅れないよう進んでゆく。 どんどん。ドン! 「ゆびっ!!」 どんどん。ドン! 「ぼっぢょっっ!!」 どんどんどん。ドン! 「ゆがぼべ!!」 立て続けに三匹、永遠にゆっくりした。れいむの頬に、爆風と爆音。ゆっくりの断末魔が突き刺さる。 そして餡子の底から不快になる死臭が風に乗ってやってくる。 しかしどのゆっくりもまったく歩みを止めようとしない。 はねるたびに、大地の暑さによって染み出てきた汗がとびちる。 どんどんどん。 突然に、風が一吹きあった。 「ゆゆっ! まりさのおぼーしさん! まってね!!」 このまりさは、ただちょっとお帽子を取りたかっただけだ。 「ぺぎょっ!!」 そこで小さい爆風。まりさは中枢餡を爆破されこの世を去った。 止まったり列を離れたりしたゆっくりはどんな理由であれ、体内にうめこまれた爆薬でぶち殺されるのである。 自由な行動を許しては、地雷の除去はままならない。 どんどんどん。 一歩おきに、地雷に殺される可能性がある。その恐怖。 どのゆっくりも泣きそうな顔をして、死への道をただただ進むのだ。 顔を真っ赤にして号泣して、それでも死にたくないから止まれない。 「むっぎょおおおお!!! ぼういやああああ!!! ばちゅおうぢにがえるううううう!!!!」 また爆風。 このぱちゅりーのように恐怖のあまり狂って、走ったり暴れたりするゆっくりもいた。 恐怖に耐えられないゆっくりも、列からずれ次第爆破される。珍しくない出来事だ。 どんどんどん。 死と隣り合わせの極限状態。また。しずかに、ただ太鼓の音だけが響きはじめた。 れいむは祈りながら、一歩ずつ慎重に進む。地雷がないように、あっても何かの間違いで爆発しないように。 交通の発達とともに世界中に繁殖したゆっくり。 れいむはこの暑く草もまばらな土地から少し南の、あるジャングルで生まれ育ったゆっくりだった。 雨が多いことが熱帯雨林に住む上での唯一の難点である。 しかし食べ物が多く、なんといっても越冬する必要がないことがゆっくりの繁殖を許した。 それぞれの力は弱くても種全体としては力強いゆっくりは、凶悪な外来種としてここでも猛威をふるっているという。 そんなれいむが地雷除去ゆになったのは、人間さんたちのゆっくり狩りが原因だった。 豊富に繁殖した熱帯雨林のゆっくり。そこのゆっくりを使うのが量の面でも、コストの面でも良いと担当職員は考えたのである。 れいむは捕えられたあの時を、いつも反芻している。 あの時ふらんに捕まってさえいなければ、今だってゆっくりできたはずなのに。 ~~~~~~~~~~ ツルや低木がごちゃごちゃと並ぶ中、高い木の根元、そこに巣をつくってれいむたちは暮らしていた。 夫のまりさ、そして十五匹のおちびちゃん。食べ物は豊富で、最高にしあわせーな家庭であった。 「「おちびちゃんたち、おかーさんとおとーさんはかりにいってくるよ!」」 「「「「「ゆっくちいってらっちゃい!!」」」」」 天使のような子供たちの笑顔。れいむとまりさもついついにっこりしてしまう。 しかしこれが親子でした最後の会話となってしまった。 おちびちゃんとふれあったあの日々。れいむは、もうずいぶん前の事の様な気がしている。 育ち盛りの赤ゆを抱えたれいむとまりさ。沢山ごはんを採るため群れで有名な狩りスポットへ行こうとした。 ぱぱいやさんも生っているゆっくりした場所。しかしそれが運の尽き、そこはすでに地獄だった。 ゆっくりが集まることを見越して、捕獲用ふらんが大量に放たれていたのだ。 「しね! しね!」 「「「うー☆」」」 「ゆんやあああ!!! ありちゅをたべにゃいでええええ!!」 「おぢびぢゃああああああんんんん!!!!」 「ばりざおいしぐないよおおおお!!!」 「でがばらぢんぼおおおおお!!!」 「みんなあああ!!! みんなにげでえええええ!!!」 逃げ回るゆっくりはいとも簡単に捕まり、次々と巨大なバケツに放り込まれている。 重量がない子ゆ・赤ゆは軽過ぎて地雷除去ができないので、食べられるか殺されるかだ。 にげてと叫ぶ長ぱちゅりーも、まばたきした一瞬に連れ去られ、バケツ行きになった。 ふらんが群れのみんなを捕まえている! 捕まって食べられてしまう、そんなの冗談じゃない! れいむはまりさにふりかえった。 「ゆゆ! ゆっくりしないで、れいむたちもにげるよ!」 自分達も逃げないとゆっくりできない目にあいそうだ。はやく逃げなければならない。 しかしまりさの返答は、漢気あふれる勇敢な物。みんなのことを考え命を捨てる、そんなゆっくりにしかできない答えだった。 「まりさは……にげないよ! れいむとおちびちゃんたちだけでにげてね!! まりさはふらんとたたかって、むれのみんなをまもるよ!!」 「ま、まりさ!! なにいってるの!? いくらまりさがむれでいちばんつよいからって!」 まりさは成ゆ三匹を相手にしてなお無傷で立つ。この群れ十年に一度の戦士だった。 その自信もそこからきているのだろう。まゆげはキリリと伸び、表情は自信に満ち溢れている。 れいむは悲しくなり涙を浮かべたが、これが自分の愛したまりさだと思うと、それ以上止める気にはならなかった。 まりさならふらんたちを倒せるかもしれない。 「わかったよ……、でも、ぜったいいきてかえってきてね! まりさがしんだられいむもおちびちゃんもないちゃうよ!!」 「もちろん! しんぱいしないでね! ふらんなんてちょちょいのちょ……おそらをとんでるみたい!!」 まりさはキリリとした顔のまま、ふらんにおさげを掴まれあわれバケツ行きとなった。 「ばりざああああああああ!!!!」 れいむも同じ道をたどったことは言うまでも無い。 ~~~~~~~~~~ (ぜったいにいきのこって、おちびちゃんとゆっくりするよ! ぱぱいやさんをたべて、ゆっくりするよ!) つがいのまりさはあっけなく爆死したが、れいむはまだ死んでいない。 れいむは希望を持っていた。地雷除去ゆたちは、がんばったゆっくりから群れに帰れるとふきこまれている。 だが現実、ゆっくりがおうちに帰ることはは二度とない。 ゆっくりを働かせるための口実だろう。この土地の地雷処理が終われば次の土地に輸送されるだけである。 地雷を踏んでしまうその日まで、この地獄は終わらないのだ。 「Back!」 人間さんの鋭い掛け声とともに、ゆっくりたちは反転する。 Go aheadで進み、Backで戻り、Waitで止まる。その三つ以外の事は求められない。地雷処理ゆ全てだ。 (ゆふぅ、かわいいれいむはきょうもいきのこれたよ) 反転したゆっくりたちは、自分が歩いてきた土をまた踏むことになる。 念のためということで、一つの場所を何度も往復するのだ。 一度踏んだ土の下に地雷は無いはずだからと、ゆっくりたちもここにきてやっと安堵の表情を見せる。 ただ運よく何週間も地雷除去を続けているゆっくりはそんな簡単に安心できず、不安そうな顔をしている。 ここから死ぬゆっくりも沢山いるのだともう知っているのだ。 その瞬間、れいむの視界はスローモーションになった。 大きな音。大きな音。どこから? それは、れいむの下から。 「ぶぎょっ!!」 れいむの体の真下。餡子の重みで地雷が爆発した。 筋餡も中枢餡も、なにがなんだかわからないぐらいまざりあって、粉々にふきどんだ。 れいむは死んだ。走馬灯を見る暇すらなかった。 軍事上の理由から複数回踏まなければ爆発しない地雷、誤作動により爆発できなかった地雷。 二度目以降でも爆死するゆっくりはいる。 しかしなんてことはない。ゆっくりが死ぬのはいつものこと。 人間さんも、周りのゆっくりも、れいむの死などなかったかのように行進を続けた。 行進が終わったあと、残されたのは死んだゆっくりたちのバラバラになったおかざりと、ぶちまけられた大量の中身だけであった。 選択肢 投票 しあわせー! (114) それなりー (5) つぎにきたいするよ! (1) 名前 コメント すべてのコメントを見る