約 22,967 件
https://w.atwiki.jp/touhoumtg/pages/774.html
不可視の河童/Invisible Kappa 不可視の河童/Invisible Kappa(1)(U)(U) クリーチャー - 河童 不可視の河童はブロックされない。 不可視の河童が呪文や能力の対象になったとき、不可視の河童を生け贄に捧げる。 3/3 参考 風神録-アンコモン
https://w.atwiki.jp/tokyobleachers/pages/65.html
東京都新宿区某所にある病院。 表向き普通の開業医であり、夜間も救急病棟として機能している。 その正体は河童一族の経営する妖怪向けの病院。 一族秘伝の膏薬はどれほどの重傷でさえ瞬く間に癒し、ケ枯れを回復させるという。 医師は全員てっぺんハゲでフランシスコ・ザビエルに酷似している。 人間の患者には『遺伝です』と説明している模様。
https://w.atwiki.jp/kotokoto2/pages/1880.html
所在地東京都府中市片町二丁目 開業日1928/12/11 接続路線南武線 隣接駅府中本町(南武線:川崎方面) 西府(南武線:立川方面) 訪問日2001/11/24 戻る
https://w.atwiki.jp/akbdata/pages/959.html
読み オオカワラ ノボル 提供リスト 2016年3月30日 チキンLINE(SKE48 19th single) 作曲 編曲 Is that your secret? 2017年4月12日 青春時計(NGT48 1st single) 作曲 編曲 青春時計 2018年8月1日 好きで好きでしょうがない(ラストアイドル 3rd single) 作曲 好きで好きでしょうがない 2019年2月13日 風を待つ(STU48 2nd single) 作曲 風を待つ 2020年9月2日 思い出せる恋をしよう(STU48 5th single) 作曲 青春各駅停車 2021年2月17日 独り言で語るくらいなら(STU48 6th single) 作曲 僕はこの海を眺めてる
https://w.atwiki.jp/rac-web/pages/41.html
2015年12月26~27日 八ヶ岳広河原沢 w/大谷耕、澤井(記) 積年の課題となっていた広河原沢へ。 土曜日にゲレンデで氷の感覚を取り戻してから、日曜日に左俣を目指す計画。 12月26日 土曜日はゲレンデなのでのんびり朝発。 舟山十字路には10台ほどの車が止まっている。 出遅れたか⁉と思ったけれど、二俣にはわずか2張。右俣へのトレースは薄かった。 6年前の記憶をひっくり返して、右俣に入る。 小氷瀑でアイゼンを履いて、越えていく。 武藤返しの沢へはトレースがないようだ。 一番近いし、大谷は今季初アイスなので、武藤返しの滝へ行ってみることにした。 ↑武藤返しの滝を貸切 快適なバージンアイスに、アックス・アイゼンを決めてトップロープをかけて遊んだ。 75度程度の階段状から細いけれども氷柱状まであっていろいろと楽しめた。 下山は記憶が蘇ったこともあって、さっくりと日暮れ前に降りられた。 12月27日 日曜日は広河原沢左俣へ。 無事大滝を越えて阿弥陀岳へと抜けられるか、身震いがする。 昨日と同じように、林道を辿り二股へと向かう。若干積雪があったようで、昨日のトレースは消えている。 二俣のテントは5張に増えていた。静かなもので、皆各々のルートへ出かけているようだ。 我々も左俣を目指す。 どうやら先行は1パーティーのようだ。 F1は氷結甘く、右岸から巻いた。 さらに氷結の甘い2~3の滝を巻いていき、大滝の連続エリアに出た。 ロープを出して、3つほどの10m程度の滝を越えた先に下の大滝が現れた。 ↑下の大滝。傾斜がなく見えるが、上部は85度位ある。 調子よくザックを担いだまま取りついたが、荷が重く途中でテンションが入ってしまった。 ガスも急速に晴れてきて、青空が我々を迎えてくれる。 何とか登り切って、左岸の灌木でビレイ。 つづくチョックストンの処理が若干悪かった。 すっきりとクライミングのみといかないところが、クラシックルートたる所以か。 ↑青空に向かってナメ滝を軽快に登っていく。 ようやく、上の大滝にたどり着いた。 先行パーティーが荷を下ろしてトライ中。 1ピンごとに交代でリードしているようだ。 ↑上の大滝は先行パーティーがトライ中。 時間もかかりそうだったので、左岸から巻くことにした。 上の大滝の上もさらに少しだけ遡行を続けてから、右岸の斜面に取りつき、灌木帯から少しハイマツを漕ぐと御小屋尾根の登山道に飛び出した。 阿弥陀岳山頂も近いので、山頂に登ってから御小屋尾根を下山。 ヘッ電のお世話にならずに車までたどり着いた。 ~参考記録~ 12/26 舟山十字路9 30~10 21二股~11 40武藤返しの滝14 40~16 15舟山十字路 12/27 舟山十字路7 07~7 57二俣~8 16左俣F1~10 56下の大滝12 06~12 57上の大滝~13 51御小屋尾根~14 30阿弥陀岳~16 58舟山十字路
https://w.atwiki.jp/rosania/pages/63.html
水晶霊災害:オンライン 水晶霊災害:オンライン
https://w.atwiki.jp/undercurrent/pages/230.html
【2ch】 278 名前: 本当にあった怖い名無し Mail: 投稿日: 05/11/11(金) 22 41 40 ID: 1Cg4OPbB0 11月4日の夜,岩手をドライブ中FM放送で聞いた話。 昔飢饉のため子供をやむなく川に流したらしい。石で頭をたたき割ってから。 だから遠野のカッパは赤いんだと。 しかし,その子供は死なず,川下で裕福な家庭に拾われて育てられたんだと。 そして,成長して真相を知り,自分を捨てた親を捜し当てた。だが,その家は未だ超極貧の生活。 その子は一週間とか十日おきぐらいに食料を自分を捨てた親の家にこっそりおいていったそうな。 これが遠野のカッパだとか。 悲しい話やのおー。
https://w.atwiki.jp/opedmiroor/pages/1864.html
蠱惑(こわく)に溺れし 哀れな縁(えにし)夢か現(うつつ)か 光か闇か天(あま)の言(こと)の葉 浮かんで消えて時の随(まにま)にゆらゆらと沙汰を語るは宵伽(よいのとぎ)晴らせぬ怨み 晴らします── とある高校の授業中。 多くの生徒たちが、机の下に隠したスマートフォンを操作している。 LINEの同級生同士のグループで、生徒への陰口が飛び交っている。 「毎日イモ」 「なんかクセー」 「ガス丸クセー」 「イモ食ってぷー」 「イモプー」 「毎日イモ」 「朝からぷー」 生徒たちは、小声で笑い合っている。 陰口の標的、真山静香は、会話には参加しないものの、膝の上のスマホの画面を見て、唇を歪めている。 隣の席の生徒が、床に落ちていた消しゴムを拾う。 生徒「真山さん、消しゴム落ちたよ」 真山「あ…… すみません」 「消しゴム落として気づかない」 「ガス丸トロい」 「しかもクサい」 「トイレ流しちゃおう」 「流すんだったら地獄だろ」 「イイネ!」 「地獄少女に頼もう」 「誰かよろしく」 夜。 真山は自室で、スマホで地獄通信にアクセスし、生徒の1人の名前を書きこむ。 地獄少女・閻魔あいが現れる。 あい「呼んだ?」 真山「地獄少女……?」 見えない聞こえない 真山「本当にいたんだ……!」 あい「迷ってる」 真山「えっ?」 あい「地獄へ流したいのは、本当にその子なの?」 真山「たぶん…… うぅん、間違いない。秋野さん、こっち見て笑ってたもん!」 あい「そう」 真山「あと、他の人もお願い!」 あい「他の人?」 真山「コメントしてるみんな! 井本くんも遠藤さんも緒方くんも……」 きくり「アンポンタン!」 きくりも現れる。 きくり「地獄流しは1人1回だ! 欲張るな、アンポンタン!」 真山「駄目なの!? 何とかならないの!?」 あい「行くよ、きくり」 きくり「うん」 あいときくりが、姿を消す。 真山「待って、待ってよぉ! 私を助けてよぉ!!」 きくりの声「頭冷して出直せ、ボケナス」 母がドアをノックする。 母「静香、どうしたの? こんな時間に大声出して」 真山「……何でもない」 母「『助けて』って、何かあったの?」 真山「何でもないってば! 放っといて!!」 翌日、学校での授業中。 「ガス丸靴下黄色」 「ダサ」 「ダサ」 「プーで色がついた」 「イモ食ってプー」 「プ~」 真山がスマホに気を取られ、消しゴムを落とす。 真山「あ、すみません…… へへ、またやっちゃった」 昨日拾ってくれた隣の生徒は、一瞥もしない。 「また消しゴム落とした」 「ガス丸ウザ」 「ウザ」 「触るとニオイ移る」 「病原菌」 「キモい」 「太ってる」 「イモ」 あいの使い魔、輪入道、一目連、骨女の3人が、その様子を監視している。 骨女「いつ頃からなんだい?」 一目連「1か月くらい前かな」 骨女「文字はキツいよねぇ、何度でも読み返せるから」 輪入道「『ガス丸』ってのは?」 一目連「あの子、小太りだろ? 『風船みたいにガスが溜まってるから、丸いんだろう』って」 骨女「それでガス丸かい? 可哀想に……」 輪入道「で、何をしたんだい?」 一目連「コメントの中に、理由らしいものは見当たらなかったよ」 骨女「きっかけなんて、大抵は些細なことだからねぇ」 「ガス丸んち、喫茶店だって」 「ママだけ」 「パパは?」 「逃げた?」 「マジで?」 「遺伝だからママも臭い」 「店も臭い」 「珈琲も臭い」 真山が我慢しきれず、「みんな死ね!」とスマホに打ち込むが── 教師「こら!」 真山が我に返り、入力を思い留まる。 教師「湯川!」 教師が別の生徒、湯川麻子のもとへ詰め寄る。 湯川は隠すことなくスマホを手にし、堂々とヘッドホンを付けている。 教師「授業中だぞ! 携帯やめろ!」 一目連「危機一髪。もし、あんなコメントしてたら」 輪入道「周りの思うツボだったな」 骨女「あの湯川って子のおかげだね」 昼休み。 生徒たちは教室で、弁当や雑談を楽しむ。 真山は1人、コンビニ袋を手に、無人の屋上の隅に座り込む。 傍らでは相変らず、スマホの画面で、生徒たちの陰口が飛び交っている。 湯川「コンビニなんだ」 隣に湯川が座り、弁当箱のサンドイッチを見せる。 湯川「食べる?」 真山「……」 湯川「私が作ったの」 湯川は弁当箱を、真山のそばに置く。 湯川「ここ、眺めいいじゃん」 真山「……」 湯川「あれ? 子供がいる」 校庭で生徒たちの中、きくりが三輪車を山童(やまわろ)に押させている。 きくり「ブルンブル~ン! ちゃんと押せ、わろわろ。遅いぞ!」 山童「ここは駄目ですよ、姫。みんな見てるじゃないですか」 きくり「減るもんじゃなし、見たいんなら見せてやれ~!」 山童「何言ってるんですかぁ!?」 輪入道「こらっ! 入って来るなと言っただろ!」 きくり「あっ、ハゲが来たぁ!」 湯川「プッ! あの用務員さん、ちょっと良くね? あ、いいよ、食べて」 真山「……」 湯川「不味くないと思う」 真山「うちのお母さん、お節介で鬱陶しくて、それでお昼はコンビニにしてるの」 真山がサンドイッチを口にする。 真山「美味しい」 湯川「そっか、良かった」 真山「美味しい……」 真山が涙をこぼす。 湯川が真山のスマホを取り、画面を消す。 湯川「見なきゃいいじゃん。なんで見るの?」 真山「気になるから……」 湯川「関ろうとするから、傷つくんだよ」 湯川がヘッドホンで耳を塞いでみせる。 湯川「こうすれば、誰とも関らなくて済むじゃん」 真山「でも……」 湯川「1人じゃ寂しい?」 真山「……」 湯川「だったら、私が友達やってあげる」 真山「えっ?」 湯川「真山なら、いいよ」 真山「……どうして? 誰とも関りたくないのに。どうして、私に」 湯川「わかんない」 真山「……」 湯川「似てるから、かな」 あいが彼方で、その様子を見つめている。 「地獄少女なんて、いらない」 どこがで少女の声がする。 あいが振り向くが、声の主は見えない。 真山の母が自宅で営む喫茶店。 母「いらっしゃい。──あら」 真山と湯川。 真山「ただいま」 母「お帰り」 真山「友達の、湯川さん」 母「こんにちは」 湯川はわずかに頭を下げただけで、目を合せず、スマホをいじっている。 真山「奥の席、行こう」 湯川は真山と談笑もせず、テーブルの上のパフェにも手を付けず、相変らずスマホを操作している。 真山「ねぇ、それ何やってるの? ゲーム?」 湯川「──ん? 何か言った?」 真山「あ…… うぅん、何でもない」 真山がカウンターの母に。 真山「コーヒー入れて」 母「ちょっと、何なの、あの子? 初めて友達連れて来たと思ったら」 真山「そんな言い方しないで」 真山がテーブルに戻る。 湯川「何だって?」 真山「えっ?」 湯川「気に入らないって? 私のこと」 真山「ち、違うよ。『飲み物はコーヒーでいいか?』って。いいよね、コーヒーで」 湯川「嘘つかなくていいよ。わかるから」 別のテーブルには、客に扮した骨女と一目連がいる。 骨女「微妙だね」 一目連「だな」 翌日の学校。 真山がトイレから出ると── 湯川「ちょっと来て」 湯川は、真山を屋上へ連れてゆく。 真山「グループ?」 湯川「そう、真山用に作ったんだ。リンク送ったから、見てみ」 真山のスマホに、「関わりたくない系」と題したグループへの案内が届いている。 湯川「気にするなって言っても、どうせ気にするだろうなって思ってさ。言いたいことがあったら、これからはここに吐き出せば? 溜めるから辛くなるんだし」 真山「良かった……」 湯川「ん?」 真山「嫌われたのかと思っちゃった」 湯川「なんで? 友達じゃん」 真山「友達…… そっか」 湯川も自分のスマホを手にして、画面を見る。 湯川「つっかさぁ、ハンドルネーム『ポンタ』って」 真山「あっ、昔飼ってた犬の名前」 湯川「ダッサ!」 真山「フフ…… あ、湯川さんのハンドルネームは──」 画面を確かめると、グループのメンバーは「ポンタ」「イヴ」「ナイト」の3人。 真山「あれ? もう1人いる」 湯川「私は『イヴ』。『ナイト』っていうのは、B組の横田」 真山「横田さん? 知らないけど」 湯川「私と同じ、関りたくない系。真山のことは話してあるから、大丈夫だよ」 真山「湯川さんの友達なんだ。じゃあ、後で挨拶した方がいいね」 湯川「LINEでね。直接は無し」 真山「えっ、でも……」 湯川「だから、関りたくない系」 真山「あ…… そっか、わかった」 イヴ「関わりたくない系のグループ作ったよ。よろしく♪」 ポンタ「ナイトさん。ポンタです。よろしく」 以来、真山は自宅でも登下校中も、「関わりたくない系」への書き込みに夢中になる。 下校時の駅のホーム、真山がスマホを手にしている姿を、あいたち一同は反対のホームから眺めている。 山童「何だか、楽しそうですね」 骨女「何書いてるんだろ?」 一目連「見てこようか?」 輪入道「いや、もういいだろう。潮時だ」 きくり「ちぇ~っ! 今回は空振りかぁ!」 イヴ「緒方は?」 ポンタ「死ねばいい」 イヴ「秋野は?」 ポンタ「死ねばいい」 イヴ「井本は?」 ポンタ「死ねばいい」 ナイト「どんな死に方?」 真山「えっ? そうだなぁ……」 線路に電車が入って来て、あいたちと真山との間を遮る。 電車の窓ガラス越しに、謎の少女・ミチルの姿が見える。 ミチル「閻魔あい── あれでいいの?」 あい「……」 ミチル「あなたなら、知ったことじゃないか」 きくり「誰だ、お前!?」 電車が発車し、ミチルの姿は見えなくなる。 骨女「消えた……?」 きくり「あい、今の誰だ!? 知ってるのか!?」 あいは、無言で歩き出す。 きくり「おい! 待て、こらぁ! どこに行くんだぁ!? 無視すんな、あい~!」 きくりが山童の脚を蹴飛ばす。 山童「痛っ! なんで僕なんですかぁ!?」 真山の自宅の喫茶店でも、カウンターで、スマホに夢中になっている。 母「良かったぁ……」 真山「ん?」 母「いい顔してる」 真山「そう?」 母「お母さん、安心した。ね、それ、相手はこの間の?」 真山「──ん、何か言った?」 母「うぅん、別に。邪魔してごめんね」 ナイト「流石ポンタw」 イヴ「神谷に仕返しするならどんな?」 真山「神谷さんかぁ……」 ナイト「ポンタエグイから」 ナイト「期待」 真山「フフ、期待された。神谷さん、そうだなぁ……」 翌朝、真山が登校する。 教室で、生徒たちが一斉に、白い視線を向ける。 真山の席にはパソコンが置かれ、その画面には── ナイト「秋野は?」 イヴ「いいね!」 ナイト「ポンタよろしくー!」 イヴ「どうします、ポンタさん?」 ナイト「そうそう、ポンタ様ぁ~」 ポンタ「ん~…」 イヴ「ゴクリ」 ナイト「ゴクリ、ゴクリ」 ポンタ「死ねばいい」 しかも、ポンタのアイコンには、真山の顔写真が表示されている。 真山「これ……!?」 生徒たちの方を振り向くと、皆の白い視線が突き刺さる。 真山「湯川さんがするはずない…… ナイト? 横田さん!?」 真山は横田がいるという、B組の教室へと駆け込む。 真山「あの、横田さんって、どの人?」 男生徒「えっ? あぁ。横田ぁ、お客さん」 談笑している女生徒の1人が振り返る。 女生徒「あぁ? 誰?」 真山「あ、あの…… 私、ポンタだけど!」 女生徒「はぁ? プッ! アハハハハ! ポンタぁ!? アハハハハ!」 女生徒たちが談笑相手と共に、涙が出るほど笑い転げる。 LINEでは、真山への陰口が加速している。 「ガス丸サイアク」 「許せねー」 「もう教室入れるな」 「退学させよう」 「でも何されるかわかんない」 「殺されるかも」 「こわい」 「こわい」 真山がとっさに、画面をスクロールし、生徒たちの陰口を過去へとさかのぼる。 イヴ「真山静香ってウザくね?」 真山「最初に書いたのは、イヴ!?」 教室に戻るが、湯川はいない。 誰かの投げた黒板消しが、真山の頭に命中する。 真山「誰!?」 「ほら! こわ!」 「こわい」 「こわい」 「こわい」 真山「誰よぉ!?」 「こっち見るな」 「見るな」 「見るな」 湯川が現れる。何があったのかわからないような表情。 「消えろ」 「消えろ」 「消えろ」 真山が湯川を突き飛ばし、走り去る。 その夜。 真山は地獄通信にアクセスし、湯川の名前を入力する。 あいたちが現れる。 あい「呼んだ?」 真山「今度は、ちゃんと1人だけ。騙されてた…… 許せない」 あい「輪入道」 輪入道「あいよ、お嬢」 輪入道が、藁人形に姿を変える あい「受け取りなさい。あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けばいい。糸を解けば、私と正式に契約を交わしたことになる。怨みの相手は、速やかに地獄へ流されるわ」 真山「地獄……」 あい「ただし、怨みを晴らしたら、あなた自身にも代償を支払ってもらう。人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に堕ちる」 真山「私も、地獄に……?」 あい「死んだ後の話だけど。極楽浄土へは行けず、あなたの魂は痛みと苦しみを味わいながら、永遠に彷徨うことになるわ。──あとは、あなたが決めることよ」 真山は夜の公園に、湯川を呼び出す。 湯川「そうだよ。クラスを煽ったのは、私だよ」 真山「どうして……?」 湯川「あんたが、ウザかったから」 過去の回想。 湯川がスマホを操作しながら、廊下を行く。 スマホに気をとられ、真山にぶつかり、真山のスマホが床に転がる。 真山「あ……」 湯川「……」 真山「す、すみません」 湯川「ムカついた。ぶつかったのは、こっちなのに。落ちたスマホだって、私のじゃないのに。しかも同級生に向かって…… だから」 イヴ「そういえばさ」 イヴ「真山静香ってウザくね?」 イヴ「同級生にすみませんとか言う?」 「あー言う言う」 「すぐ謝る」 「大したことなくても謝る」 「ごめんじゃなくてすみませんて言う」 「むかつく」 「ウザ」 イヴ「あいつの新しい呼び名」 イヴ「真山静香=ガス丸」 「ガス丸? なんで?」 「ガス溜まってるから」 「だから体が丸い」 「ガス丸だ」 「ガス丸ウザい」 「ガス丸クサい」 「イモ食ってプーするから」 湯川「でも、こんなことになるなんて思わなかった…… すぐ終わると思ってた。だから、悪かったと思って、それで、真山用にグループ作ったんだよ」 真山「悪かった……? よく言うね。別のところにアップして、私のこと笑ってたくせに」 湯川「あれは違う! 私じゃないよ」 真山「じゃあ、誰がやったの? 横田さん?」 湯川「そういうことに、なるかな……」 真山「私、会ったよ。横田さん」 湯川「──?」 真山「それでわかった。イヴもナイトも、あなたが1人でやってたのね」 湯川「はぁ!? 何それ?」 真山「嘘つき……! 信じてたのにぃぃ!!」 真山が藁人形を湯川に突きつけ、赤い糸を解く。 輪入道「怨み、聞き届けたり──」 湯川が気づくと、どこかの空間で、自分の顔がスマホと化している。 真山「な、何これ!?」 呼び出し音が鳴り、スマホとなった湯川の顔を、輪入道が耳に当てる。 湯川「え~っ!?」 輪入道「もしもし? もしもーし?」 湯川「やめてぇぇ!!」 輪入道「スマホはベッタリくっつくから、汗が噴き出して暑苦しいなぁ」 湯川「苦しぃぃ!!」 骨女がパソコンに向かい、一目連と山童が画面を覗きこむ。 骨女「このスマホ、なんか重くなったから、データを整理しとこうかねぇ」 画面の「麻子の臓器」のフォルダを開くと、中には様々な内蔵のアイコンがある。 山童「胃袋は壊れてるから、捨てましょう」 胃のアイコンをごみ箱に入れると、湯川の腹に激痛が走る。 湯川「うぅぅっ~っ!」 骨女「重たいから、肝臓も腎臓もいらないか」 山童「腸もデータが重すぎますね」 湯川「や、やめてぇぇ!!」 骨女「じゃ、最後に心臓を」 湯川「うぅぅっ~っ!」 あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて、罪に溺れし業の魂── イッペン、死ンデミル?」 身に纏った着物の蝶の模様が、無数の蝶と化し、湯川の視界を埋め尽くす── 三途の川。 あいの漕ぐ木舟の上で、湯川が泣き崩れる。 湯川「お願い、帰してぇ……」 ミチル「間違ってるよ」 川岸、賽の河原をミチルが歩いている。 ミチル「間違ってる」 あい「正しいとか間違ってるとか、そういうのは関係ない。これは仕事なの」 ミチルが霧の中へと消える。あいの木舟が、地獄へ通じる大鳥居へと向かってゆく。 あい「この怨み、地獄に流します──」 あくる日の学校。 真山は湯川のように、ヘッドホンで耳を塞ぎ、周囲に目もくれずにスマホを手にしている。 廊下で他の生徒にぶつかるが、スマホを見たまま、一瞥もせずに通り過ぎる。 新しいメッセージが届く。 ナイト「変わったね。何かあったの?」 B組の授業中。 教師「じゃあ、次を── 横田」 女生徒「はぁ~い!」 真山のハンドルネームを笑った女生徒が、元気に手を上げる。 教師「いや、お前じゃない方。おい、横田!」 机の下でスマホを操作していた男生徒が立ち上がる。 「あ…… はい!」 あなたの怨み、晴らします──
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/645.html
玄成_2話 鼠を雇っていて便利なことの一つは、卓越した危機感知能力である。 鼠達が何をどう感じ取っているのかは謎だが、六識の発達した狐をして及びもつかない程に危機に対して敏感である。 逢難狐衆の筆頭に対して刺客を仕向けるのは他の七狐機関の筆頭達の共通した趣味であるらしく、玄成も筆頭の地位に就いてからの二十年は刺客に困ったことがない。 ミネルヴァを雇う前は自前で気配を察知して撃退していたのが、今では小間使いの起き出す気配を察知するだけで良いのはありがたい。 以前はなんとか彼女より早く敵襲を察知しようと色々試していたのだが、手入れが面倒な上に誤検知が多いので結局は止めてしまった。 簡単に済むなら、それに越したことはないのである。 その日も、一番最初にそれを関知したのはミネルヴァだった。 怯えた小間使いが自分の部屋に向かって走ってくる足音を聞きながら、間の悪さに舌打ちする。 今は調剤の真っ最中である。 薬というのは古くなると薬効が薄れる物があり、それらは定期的に新しい物と替えてやる必要がある。 薬師はあくまで表向きの仕事とは言え、少ないながらも玄成を頼る患者は居るし、命に関わる事もある故に半端は出来ない。 集中を必要とする作業のため邪魔立てされたくはなかったのだが、刺客にそれを言っても聞き入れはするまい。 仕方がないので刺客を撃退してから作り直すかと諦観したところで、部屋の戸が開いた。 「玄成さ……! あ、その…… ごめんです」 勢いよく入ってきた声は、部屋の様子に気付いて萎んでいく。 普段から「調剤中は部屋に入るな」と言い聞かせてあるのを思い出したのだろう。 とは言え、今回ばかりは彼女を責めることも出来ない。 「構わん。外の馬鹿共をとっちめて来るから、怖ければ布団にくるまってろ。俺の部屋にいても良いが、薬には触るなよ」 怯える子鼠の頭を撫でながら、とりあえず壁に掛けてあった符帳を手に取る。 もう少し落ち着かせた方が良いかとも思ったが、敵が近づいてきたためそのままにして部屋を出た。連中、思ったよりも足が速い。 家の中の武器をかき集めて外にでると、刺客達は既に一町半(約160m)程の距離まで近づいていた。 最初の頃こそ色々と手の込んだことをしていたのだが、そもそも逢難狐衆の筆頭を暗殺で出し抜こうというのが間違いだと気付いたのか、最近の刺客は気配すら隠そうとしない。 町外れで周りに何もない一軒家だから良いものの、町中であんな物騒な連中を皆殺しにしたら薬師としての評判に傷がつきそうで嫌だ。 殺生与奪。自分で選んだとは言え、何とも因果な商売である。 敵は女三人に男四人の計七名。例え逢難狐衆の精鋭達であっても、玄成を相手にするには心許ない人数である。 恐らくは捨て駒で、斥候なり第二陣なりが控えているのだろうから、あまり家から離れるのは得策ではない。 敵が半町まで迫るのを待って、行動を開始した。 予め仕込んで置いた毒矢に飛鳥符を貼り付け、そのまま適当に放り投げる。どうせ符の力で飛ばすので、弓などは要らないのだ。 三十本程の矢を一斉に飛ばす。狙うは、毛皮に覆われていない女三名。術士を潰す意味でも妥当な選択である。 二十八本までは叩き落とされたが、二本はそれぞれ標的の股と背中に当る。残り五名。 続いては、間近に迫った男二名。槍を持ち、走ってきた勢いそのままに猛烈な突きを見舞ってくる。 馬鹿め。せっかく大人数でやって来たというのに、数を頼みにしないでどうする。しかも、槍は叩く物であって突きは最後の手段だ。 踏ん張りがきかずに体勢を崩した左の方の槍を掴み、そのまま間合いの内側に入る。ここに入られてしまえば、槍使いの取れる手立ては数える程しかない。 恐らくは蹴りを出そうとしたのだろう。槍から片手を離してこちらに向き合った相手の喉元に、符を貼り付けてやる。 『火符・緋牡丹』 パンッ! と小気味の良い音がして、符が爆発する。 通常であれば大怪我こそすれ大の男が死に至るような威力ではないが、流石に喉を吹き飛ばされれば話は別だ。 ぐらりと傾いだ相手から槍を奪い、ついでに右の男が性懲りもなく突きを見舞ってきたので盾代わりに死体を押しやる。 死体に槍をとられた男の首を槍で叩っ斬り、残りは三。ようやく追いついて来た鎖鎌男のどてっ腹に槍を投げ入れて二。 最後にやって来た刀の男は、傍目にも分かるほど動揺していた。あんなに及び腰では、刀など碌に扱えまいに。 一歩を踏み出すと、あからさまに狼狽えて辺りを見渡す。術士の女を捜しているようだが、残念ながら彼女は一人目の槍使いが殺された時点で逃走に入っている。 状況が理解できないのか、必死に辺りを見回す男の胸元に符を持った左掌を押しつけた。 『透勁・烈震掌』『木符・紫電』 併せて『木勁・紫電掌』 電撃と衝撃で心臓を破壊されて息絶えた男を見てやり過ぎたかとも思ったが、勁と符の併せ技はときどき使っておかないと勘を取り戻すのに時間が掛かる。 実戦と呼ぶには多々拍子抜けの相手だったが、そこは仕方があるまい。 逃げた女の気配はかなり遠くまで行っており、追いつけなくはないがミネルヴァを残していくのは少々不安である。 辺りに潜んでいる気配もなく、今夜の襲撃はこれで終わりだろう…… と考えたところで、重大な問題に気付いた。 「……もしかして、死体の始末は俺がやるのか?」 町外れとは言え巫女の結界の圏内であり、放って置いても黄泉帰る事はあるまいが、薬師の家の軒先に死体が転がっているのは世間体がよろしくない。 こんな事なら刀の男を生かして置いて死体の始末をさせれば良かったと後悔したが、もはや後の祭りである。 結局、十分足らずで拵えた死体を片付けるのに一刻(二時間)掛かった。 「また刺客…… ですか。今月に入ってからは特に多いですね」 昨夜の襲撃を華南に話した際の、相手の感想がこれである。 最初の頃こそ心配されて逐一安否を確かめられていたのだが、流石に慣れたのか最近は呆れたような返答が来るのみである。 玄成とて、好きで刺客の襲撃を受けているわけではない。 しかも、最近は相手も半端な諦めを覚えたらしく、やってくるのは昨夜のような手応えのない連中ばかり。 玄成にとっては雑魚でもミネルヴァにとっては十分な脅威であるため一応撃退はしているが、それにも正直飽きが来ている。 いっその事、用心棒でも雇おうかとも考えるが、それはそれで人選が面倒臭い。 自分の損得を第一に考えない狐というのは即ち『無能』の証拠で、有能な狐である程ミネルヴァと二人きりには出来ない。 他の種族を雇うにしても、狐耳の国には観光客以外の外国人は少なく、そこから留守を任せられる者を見つけるのは至難の業である。 護衛と言えば真っ先に思い浮かぶのは狼だが、狐の国に駐在している狼というのは殆ど居ない。 獅子と虎は傲慢で、良くも悪くも契約より『己の掟』を遵守する傾向があるため、金で雇う用心棒としては不安がある。 それ以外の種族となるとどうしても『抑止力』としての効果が薄いため、高い金を出して雇うのは躊躇する。 そもそも鼠を雇ったのだって賃金が安いのを考慮してのことで、彼女のために大金を出して用心棒を雇うのでは意味がない。 なんだかんだで、結局は玄成が対応するしかないのである。 「やはり、見せしめの意味でも報復を考えた方が良いのでは?」 「それも一度やってみたんだがな。連中、自分が七夕飾りになるよりも俺が生きてることの方が嫌らしい」 半年程前、ミネルヴァを人質に取って玄成と交渉しようとした愚か者が居り、その際に刺客を放った天狐衆の筆頭を始め七名を解体して竹林にばらまいたことがある。 玄成からしてみればミネルヴァを狙った時点で『逢難狐衆筆頭に対する刺客』ではなく『玄成に売られた喧嘩』な訳で、二度と立ち上がれないようにするのは当然の処置だったのだが。 どうも他の機関の人間にとっては相当の衝撃だったらしく、それ以来、放たれる刺客は裏を取られないように金で雇ったゴロツキばかりである。 馬鹿馬鹿しい話だ。どの機関が放った刺客か分からないなら、六機関の人間を均等にばらせば良いだけである。 逢難狐衆は司法機関ではなく、単なる私刑集団である。疑わしきは罰せず、等と言った生ぬるい論理は存在しない。 自分たちがやった証拠さえなければ報復されないと考えているのは、呆れるのを通り越していっそ愛らしくすらあるが。 「いっそ、六機関の人間を皆殺しにすりゃ刺客も来なくなるかね」 「……流石にそれは問題があるかと」 逢難狐衆は七狐機関の中では唯一、独自の情報収集能力を持たない。 そのため逢難狐衆の活動は他の機関が収集した情報を元に行われており、これを無くすのは自らの目耳をそぎ落とすのに等しい。 そもそも七狐機関の本質は情報機関であり、逢難狐衆はあくまで緊急用の安全装置に過ぎない。それが他の機関に害をなすようでは本末転倒である。 玄成としても、それが分かっているから今まで極力報復は控えてきたのだが。 「……あまり良い手ではありませんが、一つ策があります。何名か手勢を使わせていただければ、すぐにでも実行に移しますが」 「やるのは構わんが、三位と四位は残しておけ」 逢難狐衆の三位と四位は、実質的な現場責任者である。 三位が監督、四位が実際の暗殺業務を司り、特に四位はその時の最高実力者が選ばれる地位で、場合によっては筆頭よりも他の畏怖を集める。 玄成が筆頭にならされる前は伝統的に七位まで位階が定められていたが、入れ替わりが激しくて配置が面倒なため五位以下は廃止してしまった。 玄成も以前は四位を務めていたのだが、ある程度の裁量権を任されていながら余計な責任が無い分、筆頭よりも動きやすい。 こんな半分は私闘のような事態に逢難狐衆の面々を使うのも気が引けたが、現実問題として玄成の負荷は上がっており、これ以上刺客の相手をしている余裕はない。 位階持ちの人間は自身の裁量で人員を動かすことが出来るため、彼女達さえ残しておけば本来の任務に影響が出ることもないだろう。 策の内容は聞かない。聞いても理解できないことの方が多いし、華南が叛意を抱いているなら玄成に確認を取る前に自身の裁量権を発動すれば良いだけの話で、疑うのは時間の無駄だ。 何より、玄成が筆頭に任命された第一の理由は『絶対的な実力者として君臨できること』であり、部下の裏切りを恐れて身動きが取れないようでは意味がない。 「では…… 誰ぞある!」 「はいは~い。ちょいと待つさ。 逢難狐衆、橙咲(とうさき)。お呼びにより参上したっさ」 誰何の声に軽い調子で応えたのは、逢難狐衆には場違いな巫女装束の女であった。 名を橙咲といい、格好からも見て取れるように表向きの職業は巫女である。 元はと言えば逢難狐衆の動向を探るために送られてきた天狐衆の間諜なのだが、腕は立つし今の所は任務の妨害なども無いため使っている。 万年人材不足の逢難狐衆は、他機関への情報供与如きの理由では構成員を解雇できないのだ。悲しい話である。 とは言え、流石に今回の件で彼女を使うのは無理があると思われるが…… 「橙咲ですか。丁度良い。 任務を与えます。目標は天狐衆筆頭から七位までの殺害。期限は今日より三日間。手段は問いません」 「……はぁ?! っと、出来れば理由を聞かせて欲しいさ?」 「理由は逢難狐衆筆頭を謀殺せんとした咎によるもの。それ以上は機密事項となります」 何とも直裁的な命令である。しかも、巫女七名を三日で始末するのは玄成でも難しい。橙咲が驚くのも無理はない。 と言うか、それなら橙咲でなく玄成が直接手を下した方が良いと思うのだが、どうも華南の考えは良く分からない。 「……その件について、弁明させてもらっても良いさ?」 先程までとは打って変わった落ち着いた声で、橙咲が問いかけてくる。 彼女の内面で何が起きたのかは知らないが、どうにもおかしな方向に話が転がり始めているのだけは玄成にも分かった。 正直、弁明などは聞きたくも無かったのだが、華南の目配せで考え直す。 「良かろう。舌先三寸に命を賭すのも、狐らしい生き方ではある」 強めの語句を並べたのは、単なる嫌がらせである。どのみち、どんな言を並べ立てられようと玄成が自分の死を納得するわけがない。 力でもって押し通すなら分からないでもないが、虚言でどうにかなると考えているなら腹立たしい限りで、その時は華南の策を台無しにしてでも橙咲と天狐衆の首を賽の河原に送るだけだ。 「半年前の一件以来、天狐衆の上層部はその方面については穏健派に傾いてて、あちしの上司も穏健派の一人さ。 あちしの知る限りでは、この半年は天狐衆から親分に刺客が送られたことはなくて、今回の件も詳細は知らないけど恐らくは濡れ衣かと思うさ」 「話になりません。この半年に送られたのが全て天狐衆の手の者でない証拠はありません」 「では逆に聞きますが、この半年間に送られた刺客の中に天狐衆の者が混じっている証拠は!?」 「必要ありません。それが逢難狐衆です」 「……話は付いたようだな」 低次元の争いを聞くのは早々に飽いたので、強引に話の流れを切って立ち上がる。 子供の喧嘩にも劣る遣り取りだったが、逢難狐衆としての理は華南にある。 彼女の策が何を目指していたのかは分からないが、玄成にとっては拵える死体が一つ増えただけの、無益な時間だった。 「っ! お待ち下さい!」 制止の言葉は悲鳴に近かったが、構わず気を練る。 時間を掛けるのは橙咲への慈悲ではなく、単に周囲からの介入に備えて細心の注意を払っているに過ぎない。 恐れず、驕らず。相手を一撃で葬る準備が整った所で半歩を踏み出し―― 「天狐衆より護衛の者を出しまする!」 断頭の踵は直前で軌道を変え、罪もない畳を穿つに留まった。 橙咲も無事とは行かず、顔の端が切れて血が出ていたが、それには構わずひれ伏したまま言葉を続ける。 「天狐衆に掛け合い、おやぶ…… 玄成様の身辺に警護の者を付けさせまする。今回の件、それで平にご容赦を!」 「俺の身辺警護は要らん。鬱陶しい。……そうだな、屋敷と小間使いには人を割いて貰おうか」 「はっ! 必ずや!」 言ってからしまったと思ったが、もう遅い。橙咲はひれ伏したまま、こちらの言葉をじっと待っている。 護衛と言っても結局屋敷の周りを不審者がうろつくのに変りはないし、よくよく考えると問題を先送りにしただけのような気もするが、小間使いの寝不足が解消されるなら試す価値はあるか。 天狐衆の護衛というのは今一つ信用はならなかったが、それを差し引いても状況はさして変わらない。 雑魚の相手をしなくて良くなるならそれで良し。もし言を違えるなら、その時は改めて始末を付ければよい。 どうにも甘い裁定のような気はするが、華南の様子を見るに、まずまずの結果であるらしい。一旦は彼女に任せた件であるし、まずは様子を見るのも良かろう。 「そのまま動くな」 未だひれ伏したままの橙咲に声を掛け、腰に吊していた符帳から符を二枚取り出す。 『木符・賦活』『水符・癒潤』併せて『水木符・癒活』 符を押し当てると、顔の傷は目に見えて塞がっていき、ついには痕跡すら見えなくなる。 元々は重傷の患者に使う符で、たかが切り傷に使うのは大げさなのだが、場所が場所だけに跡が残って文句を言われても面倒だ。 角度を変えて傷跡が残っていないのを確かめ「行っていいぞ」と声を掛けると、橙咲はのろのろと立ち上がって出口へ向かう。 「橙咲。この件はあなたに任せます。他の五名と話し合い、最良の結果を出しなさい」 「っ…… 女狐ぇ」 橙咲の捨て台詞を聞き、華南は満足そうに微笑んだ。 「お前らしくない策だったな」 「……ですから、あまり良い策ではないと事前に申し上げました」 橙咲の気配が遠ざかってから声を掛けると、しばらく間を置いてから華南が答えた。 時間が許す限り事前の徹底した調査を行うことを好む彼女としては、やはり今回の策はあまり出来の良いものではなかったらしい。 橙咲の上司が逢難狐衆との対決も辞さない覚悟であれば結果は違っていたし、そもそも部屋に来るのが他の機関の間諜で無ければ意味がない。 「まあ、他の機関の間諜であればこちらの様子を窺うために近くには控えていたでしょうし、橙咲が駄目でも他の機関に脅しを掛ければ良いので、その点は大丈夫かと思ったのですが」 「もし、六つの機関が全て策に乗らなければどうした?」 「玄成様には申し訳ありませんが、死体を四十八拵えていただきます」 その答えを聞いて、満足した。
https://w.atwiki.jp/hotspas/pages/3011.html
楽天トラベル 楽天トラベルで湯河原温泉の温泉旅館・ホテルを探す