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裏切者は誰? トレーラー 昨日と同じ今日。今日と同じ明日。 何か嫌なことがあったって、誰かと笑えば忘れちゃう。 そんな日常がずっと続くと思っていた。 きっかけは一件の爆発事故。 ぼくらのせかいがこわれたひ。 新たな世界が開いた日。 過去など忘れてしまえばいい。 無邪気に笑いあったあの頃に わたしたちはもう戻れない。 ダブルクロス The 3rd Edition Brave New World ダブルクロス――それは裏切りを意味する言葉。 ハンドアウト PC1 ワークス:UGNチルドレン 初期ロイス:PC2 ライフパス:出自/経験(UGN)にて「記憶喪失」を選択 ※出自に「記憶喪失」はありませんが、出自を設定しにくいハンドアウトのため改変していただいて構いません。 君は幼い頃に爆発事故に巻き込まれ、オーヴァードとして覚醒した。その後はUGNに保護され、UGNチルドレンとして生活している。UGNにおいて、PC2は君の親代わり/指導員である。なお、事故の衝撃によってか、事故以前の記憶を喪失している。 しかし時折なぜか君の脳裏には、おぼろ気な誰かの顔が思い浮かぶ。君はその顔に見覚えは無い......はずだ。 +8/19用 +8/27用 +9/9用 PC2 ワークス:UGNエージェント/支部長(任意選択) 初期ロイス:PC1 君はUGNに所属するエージェントであり、幼い頃にUGNによって保護されたPC1の親代わり/指導員を務めてきた。(任意選択、PC1PLとの相談は自由) 今回、君の支部の管理区域内にあるFHの拠点候補の一つで動きがあったとの連絡を受けた。急いで駆けつけなければならない。 PC3 ワークス:学年によって決めてください 初期ロイス:初期空欄 君はどこにでもいる一般学生である。学校が終わり、友達と別れて1人帰路についた時、ソレはいきなり起こった。 PC4 ワークス:UGN以外(イリーガル) 初期ロイス:賢者の石 / 依頼人(PC2/霧谷雄吾) 君はUGNからの依頼に応じて活動するイリーガルである。なお君は【賢者の石】と呼ばれる存在を知っており、それに興味を持っている。 今回の事件現場にて不思議な物質が見つかったと聞いた君は、その事件の調査依頼を受けることにした。 追加ハンドアウト 対象PCのPL以外は閲覧しないでください。PC番号を確認してからの閲覧をお願いします。 +PC2用追加ハンドアウト 君はPC1が保護されるきっかけとなった事件について知っている。 その事件が起こった建物はFHの実験施設であったと推測されており、PC1は倒壊した建物内で倒れているところを発見された。他にも生存者はいたようであるが、混乱に乗じて逃げたものと考えられている。君はPC1の親代わり/指導員であると共に、PC1の監視員でもある。 少なくとも現時点で、君はこれらのことをPC1に伝えていない。 +PC4用追加ハンドアウト 君はかつてFHに所属していた。 FHの研究所にて【賢者の石】の研究に関わっていたが、FHの管理下での研究(非道な人体実験、研究内容の悪事利用など任意)に嫌気が指していた。ある日、君の研究所に隣接する実験施設で爆発事故が起こり、研究所ごと建物が倒壊する。君はその混乱のなかで行方をくらませ、FHを抜けることとなった。現在の君はUGNに協力するイリーガルであり、かつて自分が研究していた人造レネゲイドクリスタルをFHから回収したいと思っている。 これらの事情をUGN側に伝えるかどうかは任意である。 レギュレーション等 使用ルールブック:DX3 ルールブック1,2 キャラメイク:各自事前 クイックスタート(サンプルキャラ使用)、コンストラクション、フルスクラッチ130点より選択 上記とは別にイージーエフェクトの取得を2つまで認めます。 ※レネゲイドビーイングはハンドアウトによっては少々改変が必要になるので、やりたい方がいらっしゃれば事前にGMへの相談をお願いします。 PC紹介 設置しておきますが、使用は任意です。DMの方で紹介をしてくださっても構いません。 事前に紹介をしていただけると設定が反映される可能性があるかもしれません。ただしダブクロ初心者なのであんまり期待はしないでください…… wikiにしろDMにしろ事前のキャラ紹介は任意ですが、キャラシは事前にDMにて共有していただけますとありがたいです。 +8/19用 +PC1 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +PC2 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +PC3 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +PC4 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +8/27用 +PC1 [部分編集] PL名:Katherine MacArthur PC名:八代魁人(ヤツシロ・カイト) コードネーム:音断つ大剣(サウンドレス・ブレード) シンドローム:ハヌマーン/ノイマン その他任意記述 邂逅:秘密 覚醒:死 衝動:自傷 17歳の高校二年生。身長169 cm(なお本人は170と主張している)。長袖が好きで、よく手袋をしている。 記憶を失っていることを除けば、普通のUGNチルドレンで、学校に通いつつ放課後に支部に寄っている感じ。 過去については、いつか向き合わないといけないと思いつつ、新たな情報がないと何もできないしな......って考えている。邂逅のNPCのローザ・バスカヴィルならば、有用な情報を入手するすべがあるのではないかと思い連絡を取っているが、性格的に合わないため、本人的にはだいぶやりづらい。 「記憶の中の誰か」への感情は、○会ってみたい/恐怖。何度も見る相手なのだから、きっとなにかあるのだろうけど思い出せず、興味は強いけれど、真実の内容によっては耐えきれないかもしれないという恐怖を抱いている。 データ的にはダイス数増加を少し多めに積んだ、白兵単体アタッカーです。攻撃力は市販武器のもので大したことないので、当日の出目に期待することとします。 ロマン要素として「ラストアクション」があります。 キャラシ https //charasheet.vampire-blood.net/3362551 裏というほどでもない設定 +... 事故の時に右半身への被害が大きく、オーヴァードの超再生力をもってしても治癒が不完全である。そのため、右耳が聞こえず、右腕に大きなやけどの跡がある。 +PC2 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +PC3 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +PC4 [部分編集] PL名: PC名: コードネーム: シンドローム: その他任意記述 +9/9用 +PC1 [部分編集] imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (https //picrew.me/share?cd=sxnSjiW0jl より) PL名:キョンキョン PC名:狭間 龍彦(はざま たつひこ) コードネーム:六冥府の蛇(ファラク) シンドローム:バロール/キュマイラ その他任意記述 経験:記憶喪失 邂逅:殺意- 伊庭 宗一 覚醒:死 衝動:殺戮 年齢:17歳 身長:178cm 面倒臭がりな性格。支部にいる時はよく宙に浮きながら寝ている。興味の唆られない任務が来そうになるとディメンジョンゲートでどこかに逃げるが、大抵PC②に引きずられて赴くことになる。 そんな彼の興味が唆られる任務は決まって非常に危険度の高い任務となる。彼が死の匂いを本能的に嗅ぎつけているのか、それとも死神の悪戯か、その真相は定かではない。しかし彼が「死の国に住う大蛇」「地獄を腹に宿し、そして守る者」ファラクの名を背負っていることは決して無関係ではないだろう。 異形の力を土産に冥府から蘇った彼は、今や自らが冥府であり地獄そのものとして人類の為に戦っている。 +サンプルボイス 「…………眠い。」 「えー……面倒臭い……。それ俺じゃなきゃダメなんすか……?」 「おおっと、よくここがわかりましたね。正解のご褒美に任務に赴いてあげましょう……いてててて!耳引っ張らないで!」 「俺は一回死んだ身だ。だから三途の川の案内人には丁度いいでしょ?」 「冥王の前だ。頭が高い」 「あんたは悪って今俺が決めた。だから飲み込まれろ」 「冥王が命ずる。"動くな"」 +コンボデータ 冥王降臨・・・完全獣化+破壊の爪+斥力跳躍 「選べ。蛇に飲まれるか、冥府で朽ち果てるかをな!」 バハムートのその先へ・・・コンセントレイト:バロール+漆黒の拳 「頭を垂れよ。そして死の国まで落ちていけ!」 ファラク-黎明-・・・時の棺 「冥王が命ずる。"動くな"」 +邂逅 悪人を落とす為の地獄がなきゃ、正義の味方も務まらない。 だから俺はこの 世界(じごく) を守る。罪のない人々が、何も知らない人々が、光の中で暮らせるように。 ……あんたが闇となるなら、俺はいずれそれすらも飲み込む冥王になろう。 闇を地の底に堕とし、そしてこの世界に夜明けをもたらそう。 だから、楽しみにしてろ。"狩猟者(プレデター)"。 ———— "六冥府の蛇(ファラク)" 狭間 龍彦、意識を手放す前に。 +PC2 [部分編集] PL名:まりも PC名:蛇喰麻瑚(じゃばみまこ) コードネーム:エキドナ シンドローム:オルクス/ソラリス +PC3 [部分編集] imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 PL名:りちょう PC名:嵯城 凛碧(さじょう りあ) コードネーム:決定論の亡霊(ラプラス) シンドローム:バロール その他任意記述 一人称:私(わたし) 語尾:~です、~なのです、~ですよ 伝統芸能(舞踊)の名家の娘。とはいえ、彼女自身が何かを継ぐ予定はない。立ち居振る舞いに若干育ちの良さが透けるくらい。 大人の前では成績優秀で大人しいお嬢さん。同年代の前ではぽわぽわした天然さん。その実、内心では冷静にソロバンをはじき、思索を巡らせている。いずれにせよ結構好奇心が強い。そして閉塞的な日常にちょっと飽き飽きしている。 夢はいつか生身で空を飛ぶこと。 まぁどうせ無理なので言ってみただけ。 「人間というやつは、機械が無いとお空を飛べないのです。はぁーあ、お空飛びたいですよぅ」 「……なーんてね。未知のものだから、出来ないものだから夢を見れるのです。手が届いちゃえば、何も面白くないのですよ」 思い出の品は、小学校の修学旅行の時、剣崎詩江(経験:転校で取ったロイス)とおそろいで買った扇子。上質な品ではないが、手になじんだので何かとよく持ち歩いている。 エフェクトを使うときは扇子を翻すのが合図。 +ラプラスの魔 『つまり、世界に存在する全物質の位置と運動量を知ることができるような知性が存在すると仮定すれば、その存在は、古典物理学を用いれば、これらの原子の時間発展を計算することができるだろうから、その先の世界がどのようになるかを完全に知ることができるだろう、と考えた。この架空の超越的な存在の概念を、ラプラス自身はただ「知性」と呼んでいたのだが、後にそれをエミール・デュ・ボワ=レーモンが「ラプラスの霊(Laplacescher Geist)」と呼び、その後広く伝わっていく内に「ラプラスの悪魔(Laplacescher Dämon)」という名前が定着することとなった。 この概念・パラダイムは、未来は現在の状態によって既に決まっているだろうと想定する「決定論」の概念を論じる時に、ある種のセンセーショナルなイメージとして頻繁に引き合いに出された。』 生まれて以降16年、彼女の世界は予測の範囲内。 昨日と同じ今日、今日と同じ明日。 厳格で保守的な家族、行動原理の見え透いた人々、代わり映えのしない暮らし。変化は少なく、酷く閉塞的で退屈。 良くも悪くも未来は変わらない。 「面倒だから」大きな変化は求めなかった。 綺麗な愛想を振りまいた。 いい加減飽きが来ていたところだった。 空に憧れたのは、未知を、予測不可能なものを見たかったからかもしれない。その意味では、別に空で無くても良かった。 そのはずだった。 オーヴァードになって数日で、全ては彼女の予測を超えた。 日常の裏に潜んでいた世界。超常の現象、未知の力。 決して望んで得た力ではない。 これまで以上に油断すれば足を掬われかねない。 それでもまあ、得てしまったものは使うのみ。生かすのみ。 慣れ親しんだ型に彩りを添え、改変を加え、新たな日常を始めよう。 溺れぬように、怯えぬように、世界と折り合いをつけながら。 敵の、味方の、そして自分の力の向かう先に目(魔眼)を凝らす。 予測困難になった明日を待つ。 もはや全てを予測は出来ない。一部を読み、操るので手一杯。 でもこれはこれで悪くない。 『20世紀初頭より勃興した量子力学によって、原子の位置と運動量の両方を同時に知ることは原理的に不可能である事が明らかになった(不確定性原理)。これによりラプラスの悪魔は完全に否定された』 故に彼女は決定論の“亡霊”。その残滓。 そこからの脱却は、もう始まっている。 ラプラスの悪魔は死んだ(・・・)のだ。 出典https //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%82%AA%E9%AD%94# +PC4 [部分編集] PL名:クロエ PC名:躑躅 莉緒(つつじ りお) コードネーム:ダブルディーリング シンドローム:サラマンダー その他任意記述 PCイラスト (https //picrew.me/share?cd=wid1kCynPjより) 出自:安定した家庭 経験:平凡(同僚) 邂逅:友人(敷島あやめ) 覚醒:無知 衝動:飢餓 設定 UGNに協力しているイリーガルである。普段は大学教授の助手をして賢者の石を探している。 賢者の石となると居ても立っても居られないこともある。 男性ではあるが日常的に女装をしている。趣味でしているというよりは、この方がいいと思ってしているところがある。 両目の色は普段からカラコンを入れているのでオッドアイだが、戦闘中はカラコンが無くてもオッドアイになる。
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信じる者、信じない者(Ⅱ)◆guAWf4RW62 住宅街の一角で、未だ周囲に立ち込めているドス黒い煙。 焼け焦げた肉より放たれる、酷く吐き気を催す悪臭。 激戦の傷痕が深く刻み込まれた地で、状況説明を受けた前原圭一は苛立たしげに声を洩らす。 「クソッ! 武さん、一体どうしちまったんだよ……っ」 先の死闘で、自分達は堅い信頼関係を活かして咲耶を打倒し、難敵佐藤良美すらも撤退せしめた。 倉成武は窮地に陥っていた自分を救ってくれたのだ。 その武が突如暴走し、事もあろうに手榴弾まで投げつけてきたと云う事実は、圭一に大きな衝撃を与えていた。 (焦るな……クールになれ、前原圭一!) 圭一は奥歯を噛み締め、ともすれば溢れ出しかねない感情の奔流を必死に抑え込む。 否定したかった。 武が仲間に攻撃を仕掛ける筈が無いと、全力で声を張り上げて主張したかった。 だが出会ったばかりの白鐘沙羅はともかく、遠野美凪が嘘を吐くとは考え難い。 それに何より焼け焦げた大地の惨状が、此処で爆発があったという事実を証明している。 今は目の前の現実を認め、的確に対処しなければならない時だ。 「ク……こうしちゃいられねえ! 早く武さんを探しにいこう!」 武を捜し出し、凶行の理由を聞き出す――それが圭一の判断だった。 だが駆け出そうとした圭一の後ろ手を、しっかりと沙羅が掴み取る。 「ちょっとアンタ、落ち着きなさいよ! 何処に行ったのかも分からないのに、無駄に走り回ってもしょうがないでしょ!」 「っ…………」 沙羅の言葉に対し、圭一は何の反論も返せなかった。 事実自分達は武を完全に見失っており、今何処に居るかまるで把握出来ていない。 そんな状況で闇雲に捜し回った所で、悪戯に体力を浪費するだけなのは明白だった。 圭一は今度こそ頭を冷やし、一つの結論を弾き出す。 「なら最初の予定通り神社に向かおう。俺達は、殺し合いに乗った土見禀を止めなくちゃいけない」 「倉成さんはどうするんですか?」 「……行き先が分からない以上、今は探しても仕方無い。神社で合流出来る可能性に賭けよう」 「……分かりました」 不安の種は尽きぬものの、まず神社に向かうという方針で一致する美凪と圭一。 だがそこでまたも沙羅が制止の声を上げる。 「それは危険なんじゃないの? 武は、圭一達が神社に向かおうとしていたのを知っている……。 もし武が殺し合いに乗ってるなら、待ち伏せされる可能性があるわ」 「な――! 武さんがそんな事する訳……」 「――無いとは言い切れない、でしょ? 私と美凪は実際に攻撃されたんだから」 仮にも探偵助手、予測可能な不安要素は決して見逃さない。 圭一の言葉を途中で遮り、己の心に沸き上がった疑心を吐き出す沙羅。 自分は何もしていないにも関わらず、問答無用に手榴弾で攻撃されたのだ。 運良く無傷で済んだものの、一歩間違えれば殺されてしまっていたかも知れない。 そのような蛮行に及んだ武など、信用出来る筈も無い。 同じ目に遭った美凪もまた、沙羅の言葉を否定出来ないまま俯いている。 だがそんな二人の疑心を吹き飛ばす程の勢いで、圭一は心の奥底から思い切り叫んだ。 「違う――――そんな風に考えちゃ駄目だ!! 武さんは殺し合いに乗ったりしない!!!」 圭一の心より溢れ出る怒号が、周囲一帯の空気を振動させる。 その凄まじい剣幕、凄まじい語気を目の当たりにし、思わず沙羅は息を呑んだ。 「いきなり攻撃された沙羅が、武さんを疑いたくなるのも無理は無いさ。でも……それでも! 皆で力を合わせなきゃ、この殺し合いは止められない! 信じるのは難しいけど、信じなきゃ始まらないんだッ!!」 それはループ世界での経験による恩恵か、もしくは彼自身が元より持ち合わせていた資質なのか。 美凪ですら疑心を捨て切れぬ今も尚、圭一は武を――仲間を信じようとしていた。 そして圭一の言葉は子供のような主張にも聞こえるが、道理が通っている部分もある。 実際問題この殺人遊戯を覆すには、出来るだけ多くの戦力が必要となるだろう。 その為には、己の内に巣食う猜疑心を捨て去らなければならないのだ。 迸る想いを真正面より向けられた沙羅は、呆れたかのような溜息を洩らす。 「はあ……分かったわよ。しょうがないから、アンタのやり方に付き合ってあげる」 未だ武への疑惑が晴れた訳では無いが、今の圭一を説得するのは不可能だろう。 それに何より――何処までも純粋な圭一の想いが、自分もまた人を信じてみようという気にさせる。 親しい人間を殺し尽くされてしまった自分にすら、そう思わせる。 「そうと決まったら、こんな所でグズグズしてても仕方無いよね。急いで神社に行こう」 「……サンキュー、沙羅」 「お礼なんて要らないわ。ほうもう、早く車に乗って!」 ぶっきらぼうな言葉を返す沙羅だったが、その表情は心無しか柔らかくなっている。 それは沙羅が、圭一を仲間として認めた証なのかも知れない。 沙羅達は手早く荷物を纏め、出立の準備を整えた。 まず最初に沙羅が運転席へと乗り込み、遅れて美凪と圭一が車の後部へと移動する。 「救急車なんて運転した事無いけど……何とかやってみる。圭一と美凪は後ろで休んでていいわよ」 「おう、悪いな」 「……ご苦労様で賞、進呈します」 特殊車両の操縦経験がある者など居ないのだから、誰が運転しても大差無いだろう。 故に運転は五体満足である沙羅が請け負い、疲労の色が濃い圭一達は後部座席で休憩するという形になった。 沙羅が慎重にアクセルペダルを踏み込むと、救急車はゆっくりと動き出した。 「ふう……ちょっと疲れたな……」 戦場を離れた事でやっと緊張が解けたのか、圭一は珍しく弱音を零す。 それも仕方の無い事だろう。 思えば第一回放送以降、緊張と戦いの連続だった。 佐藤良美と二度に渡る激闘を行い、病院では土見稟の襲撃を受けた。 その全てを仲間達とのチームワークで乗り切ったものの、流石に無傷という訳にはいかなかった。 ナイフで刺され銃弾で貫かれた左肩は酷く痛み、全身の至る所には細かい傷が刻み込まれている。 限界寸前まで酷使された圭一の身体は、満身創痍と表現するに相応しい状態なのだ。 圭一が憔悴し切った表情を浮かべていると、すぐ横から優しい声が聞こえてきた。 「……大丈夫ですか、前原さん? お疲れのようでしたら、もう少し眠りますか?」 「――遠野さん」 振り向いた圭一の目に飛び込んできたのは、気遣うような視線を送ってくる美凪の姿。 だが良く注視すれば美凪もまた、疲弊の色を隠し切れぬ様子となっている。 それは何故か――考えるまでも無く、先の戦いで名雪との激闘を繰り広げた所為だろう。 美凪は、圭一の周りには居なかったタイプの女の子。 底無しに優しい、お世辞にも戦いに向いているとは言えぬ女の子なのに、それでも懸命に戦ってくれた。 (こりゃヘコたれてる場合じゃないな……。こんなトコをレナや魅音に見られたら、絶対怒られちまう) そうだ――こんな時こそ男である自分が、周囲を元気付けてやらねばならないのだ。 圭一は己の心を強引に奮い立たせ、にこりと笑ってみせた。 そのままおもむろに手を伸ばし、美凪の艶やかな髪を無造作に撫で回す。 「平気平気。遠野さん、いつも心配してくれて有り難うな」 「え、あの……っ!?」 予期せぬ圭一の行動を受け、美凪は見る見るうちに頬を紅潮させてゆく。 圭一はその事に気付かぬまま、続けざまに口を開く。 「俺、この島に来てから何度も遠野さんに助けられた。レナや詩音が死んだ時も、遠野さんのお陰で立ち直る事が出来たんだ。 改まって言うのも何だけど、本当に感謝してる」 「……前原さん」 嘘偽りの一切無い純真な言葉が、疲弊した美凪の心を癒してゆく。 髪の毛越しに伝わる圭一の体温が、美凪の心を暖めてゆく。 美凪は圭一の手を優しく握り締めて、言葉一つ一つの意味を噛み締めるように、ゆっくりと想いを伝える。 「……私だって何度も前原さんに助けられました。 突然殺し合いを強要されて……それでも前原さんが居てくれたから、これまで生きてこれました。 だから、感謝してるのは私も一緒です」 殺人遊戯の開始以来、ずっと行動を共にし続けてきた二人。 その道中で二人はお互いに支え合い、庇い合い、信頼を深めていった。 今や圭一も美凪も互いに対して、仲間と云う枠組みを超越した感情を抱きつつある。 「…………」 「…………」 二人は顔を赤らめたまま、それでも笑顔を浮かべて見つめ合う。 互いの手を取り合い、様々な想いが籠められた視線を交錯させる。 それは傍目から見ればきっと、仲睦まじい恋人同士のように映るだろう。 だが――そこで圭一はある事を思い出し、運転席の方へと身体を動かした。 疑問の表情を浮かべる美凪を余所に、圭一はゆっくりと右手を伸ばし、運転中の沙羅の頭を撫で回す。 「沙羅も有り難うな。出会ったばかりなのに、もう何回か助けられちまった」 「ちょちょちょ、ちょっと圭一!? うう、運転中にそんな事したら危ないよ!」 「あ……そうだな。悪い悪い、運転に集中してくれ」 感謝の気持ちを伝えるのは大切な事だが、それが原因で事故を引き起こしてしまっては元も子もない。 運転の邪魔をするのは不味いと判断し、圭一はすぐに手を引き戻した。 再び視線を後方に向けると、そこでは何故か美凪が不機嫌そうな顔をしていた。 土見稟を止める為に、武との再会を果たす為に、神社へと向かう圭一達。 だが圭一達は知らない――武は未だ住宅街で気絶しているという事実を。 ◇ ◇ ◇ 多くの命が散った惨劇の地に、今尚留まり続ける一つの影。 血染めの巫女装束を纏った少女――佐藤良美は足音を押し殺し、住宅街を慎重に進んでいた。 民家の塀を存分に利用し、身を隠しながら目標地点に近付いてゆく。 良美の耳に爆発音が届いたのは、約二十分程前の出来事だった。 聞こえてきた方角、場所は、先程圭一達と一戦交えた地点の辺りだ。 (圭一君達どうしちゃったのかな? 誰か新しい襲撃者が現れたのかな? それとも――仲間割れしちゃったのかな?) 可能性は幾つか考えられるが、いずれにせよ爆発音が圭一達に関係しているのは確実。 これは自分にとって、またとない絶好のチャンス。 人数の面では圧倒的に不利だが、今の圭一達はこれ以上無い程に消耗し切っている筈。 そこを漁夫の利の形で急襲すれば、労せずして殲滅する事が出来るだろう。 (待っててね、圭一君。まだ死んじゃ駄目だよ……貴方は私が殺すんだから) 間もなく訪れるであろう再戦の時に思いを馳せ、良美は凄惨に口元を吊り上げる。 全てを失った良美にとって、未だ仲間と行動を共にする圭一は許し難い存在だった。 自分はもう二度と幸せになれぬと云うのに、何故圭一だけが次々と仲間を得ているのだ。 的確に動いてきた筈の自分だけが不幸になるなど、絶対に認めない。 ただのお人好しに過ぎぬ圭一が幸福になるなど、絶対に許さない。 どのように絶望させてやろうかと、どのように殺してやろうかと、そんな事ばかりが頭に浮かんでくる。 だがそんな良美の思考は、突如視界に入った男の姿によって中断される。 「この人は確か……武さん、かな?」 良美の前方10メートル程の路上に、圭一と行動を共にしていた男――倉成武が倒れていた。 見れば武は身体の至る所に傷を負っているが、生きてはいるようである。 恐らくは先の爆発音がした時に戦闘となり、必死に逃げてきたのだろう。 この男も圭一の仲間である筈だから、優先殺害対象だ。 手早く排除して、本命である圭一を殺しにいかなければならない。 そう判断した良美は鞄の中から地獄蝶々を取り出して、その切っ先を武の首に押し当てた。 そのまま武の首を貫こうとして――刹那のタイミングで、最高の名案を思い付いた。 ……思い付いてしまった。 「うん、そうだよね。このまま殺しちゃうなんて勿体無いよね」 自身が考え出した案に満足した良美は、嬉々とした様子で周囲の状況を確認し始めた。 付近を歩き回ってみたが、自分と武以外の人影は見受けられない。 耳を澄ましてみても何も聞こえて来ないのだから、この近辺で戦闘が行われているという事は無い筈。 恐らくはもう皆移動して、何処か別の場所に戦場を移したのだろう。 ならば無理に遠くまで移動する事もあるまい。 「うーんと……、やっぱり拘束する為の道具が欲しいかな」 幸い此処は住宅街、一般人が持ち得る範囲の道具ならばすぐ手に入る。 良美は近くにあった民家の小屋に侵入し、程無くしてロープを発見した。 それを用いて、武の両腕両足をしっかりと拘束する。 作業中に意識を取り戻してしまうのでは無いかと云う危惧もあったが、それは杞憂に終わった。 かくして全ての準備を済ませた良美は、おもむろに足を振り上げて――武の顔面を思い切り蹴り飛ばした。 ◇ ◇ ◇ 「……うがあああああッッ!?」 顔面を強打された武が、悲痛な呻き声を洩らしながら跳ね起きようとする。 だが両手両足を拘束されている所為で、起き上がる事は叶わず、ただ地面を転げ回るに留まった。 激痛に悶える武の視界に入ったのは、少し前に戦ったばかりの良美の姿だった。 「ぐっ……お前は、佐藤良美……!」 「――お早う武さん。駄目だよぉ、こんな路上で寝てちゃ」 のた打ち回る武を見下ろしながら、心底愉しげに微笑む良美。 慌てて武は臨戦態勢を取ろうとするが、縛られてしまっている以上それは不可能だ。 キュレイウイルスの恩恵で、常人より多少優れた膂力を持っているとは云え、力任せにロープを引き千切れる程では無い。 精々、倒れたままの態勢で相手を睨み付けるのが精一杯だった。 「畜生、こんな事になるなんてっ! 俺をどうする気だ……このまま嬲り殺すつもりか!?」 自分が気絶するまでの経緯は、朧げではあるが覚えている。 自分は一時の激情に身を任せて暴走し、圭一達の下を離れてしまった。 そして酷く消耗した状態での全力疾走が長続きする筈も無く、すぐに意識を失ってしまったという訳である。 恐らくはそこを良美に発見され、無防備のままに縛り上げられてしまったのだろう。 孤立無援、身動きが取れぬ状態での、殺人鬼との対峙。 掛け値無し、正真正銘の絶体絶命的状況だ。 しかし取り乱す武を余所に、良美は冷静な口調で話を進めてゆく。 「落ち着いてよ武さん。私のお願いさえ聞いてくれれば、別に何もしないよ?」 「お願い……? それはどういう事だ……?」 良美の意図を図りかねて、訝しげな表情となる武。 良美にとって自分は邪魔者でしか無い筈なのに、何故すぐ殺そうとしないのか理解出来なかった。 だがそんな武の疑問は、次の良美の言葉で一瞬にして吹き飛ばされる事となる。 「前口上なんて意味が無いし、単刀直入に言うね。武さん――――私の下僕として働いてくれないかな?」 「下僕……だと?」 「そう。私の命令通りに人を騙し、裏切り、殺し続ける操り人形になって? 勿論、ずっととは言わない。圭一君を殺すまでで良いよ」 武を眷族として従え、圭一やその他の邪魔者達を排除する――それが良美の目的だった。 そちらの方が、武一人を殺すよりも遥かに有益だ。 優勝を目指す上でも、圭一を苦しませて殺すといった意味でも、これ以上無いくらい最高の一手だ。 しかし当然武も素直に頷いたりはしない。 「ふん、馬鹿らしい。そんな条件、俺が呑むとでも思ってるのか?」 「まさか断る気? それなら此処で殺しちゃうよ?」 「……殺したきゃ殺せよッ! 俺はお前みたいな奴の悪事に加担する程、落ちぶれちゃいねえんだ!」 雛見沢症候群の影響もあり、冷静な判断力を欠いている武だったが、それでも我が身惜しさで屈服したりはしない。 たとえどれだけ痛めつけられようとも、道を曲げるつもりなど毛頭無かった。 だがこの武の反応は、良美の予想通り。 圭一と組むような偽善者の懐柔が容易で無いのは、火を見るより明らかだ。 故に良美は、間髪置かず本命の策を発動させる。 頑強な意思を秘めた人間さえも陥落させ得る、悪魔の策を。 「ふーんそっか、断っちゃうんだあ……。一つ確認するけど、貴方は武さんだよね?」 「ああ、そうだよ! 俺は倉成武、こう見えたって人並み程度の正義感はあるつもりだ! 絶対お前なんかに屈したりしねえ!」 良美の機嫌一つで殺されかねない状況だというのに、気丈に啖呵を切る武。 そして――良美の口より放たれる、武にとって最悪の言葉。 「そんな事言って良いのかな? もうちょっと慎重に発言しないと、貴方の大切な人まで死んじゃうよ?」 紡がれた言葉が鼓膜を震わせ、情報として脳に伝達される。 良美が言わんとする事を正しく把握するや否や、武は掠れた声を絞り出した。 「――――な……ん……だと……?」 大切な人とは誰か――そんなの決まっている。 自分にとって大切な人間は、何を差し置いてでも守るべき者は、小町つぐみ以外に存在しない。 良美は、そのつぐみの身に何らかの異変が起きたと示唆しているのだ。 武はカッと目を見開くと、あらん限りの声で絶叫した。 「お前、それはどういう事だッ!!! つぐみに……つぐみに何かしやがったのか!?」 「……だいぶ前に会った時、今の貴方と同じように拘束させて貰ったよ。 凄い分かり辛い場所に隠してきたから、誰かに発見されて殺されるって事は無い思う。でもね――」 言葉を途中で止めて、良美は鞄の中から島の地図を取り出した。 もう禁止エリアに指定された場所を指差しながら、何処までも愉しげに告げる。 「この殺し合いには『禁止エリア』っていうのがあるよねえ? 拘束された状態で自分の居る場所が禁止エリアになったら、どうなるかな?」 「――――――――!!」 そこまで聞いた武は、全身から血の気が引いていく感覚を覚えた。 実際に試した訳では無いが、主催者が嘘をついていない限り、禁止エリアに入れば首輪は爆発してしまう筈。 このまま放って置けば、いずれつぐみは禁止エリアにより殺されてしまうかも知れないのだ。 「『つぐみ』さんを助ける方法はたった一つ……ここから先は、わざわざ言わなくても分かるよね? もう一度言うよ――私の下僕になって。私の命令通りに動いて邪魔な連中を、圭一君を殺してよ」 「けど……お前が本当の事を言ってるとは限らない――あのつぐみがそう簡単に捕まるとは思えない」 「なら試してみる? 別に私はこの場で貴方を殺して、そのままつぐみさんを殺しに行っても構わないんだよ?」 「ぐっ…………!」 余裕の表情で見下ろされ、武は忌々しげに奥歯を噛み締める。 勿論良美が虚言を吐いているという事も考えられるが、真実である可能性もまた否定出来ない。 もし真実であった場合、この広大な島の中、巧妙に隠された人間を見つけるのはまず不可能。 そしてつぐみの居場所を知る人物は、今の所良美だけだ。 即ち良美の助力を得ない限り、つぐみは救えないという事になる。 此処で良美に従わなければ、自分は確実に殺されるだろうし、つぐみも死んでしまうかも知れない。 それでも――それでも、武は懸命に抗おうとする。 「それでも圭一を殺すなんて……そんなの出来る訳ねえだろ! 知らない奴を殺すのはまだ良いさ……。 だけど圭一は一緒に行動した仲間なんだ、裏切れねえよ!」 「へえ……」 正義感という名の城壁は、つぐみの命を握られてしまった所為で粉々に打ち砕かれた。 最後に武を支えるのは、これまで圭一と培ってきた信頼関係。 仲間として行動する事により育まれた、掛け替えの無い大切な友情だ。 だが良美は――少女の皮を被った悪魔は、それすらも易々と破壊してのける。 「本当に立派な心掛けだね。でも報われないと思うよ? 何しろ、圭一君は武さんを見捨てたんだから」 「何……? 圭一が俺を見捨てただと?」 「だってそうじゃない。何で武さんは、こんな所で眠ったまま放ったらかしにされていたの? 何で圭一君は、何時まで経っても助けに来ないの?」 「それ……は……」 武はどうにかして反論しようとしたが、適切な言葉が何も思い浮かばなかった。 良美の言う通り、誰も助けに来ないのはおかしいのだ。 確かに自分は信じられないような蛮行をしでかしてしまったし、美凪と沙羅に見限られるのは分かる。 しかし圭一には攻撃を仕掛けていないし、先刻の戦いでは命を救いもしてやった。 それならば当然圭一は、命の恩人である自分を信じようとしてくれる筈だ。 にも関わらずその圭一すらも助けに来ないのは、一体どういう事か。 「ま……まさか……圭一は……」 思い起こされるは、救急車のミラー越しに垣間見た圭一の表情。 悪鬼の如き笑みを湛えた顔。 そうだ――そうだったのだ。 あの時から感じていた圭一に対する僅かな不信感は、決して気のせいなどでは無かった。 あの時から既に、本当の意味では信用などされていなかった。 自分はこれまでずっと、騙され続けていたのだ。 圭一にとって自分は、生き延びる為の駒でしか無かったのだ。 「ふ、はははははは……そうか……そうだったのかっ…………。圭一は……ずっと俺を騙してたのか……! 善人面して、莫迦なお人好しを利用し続けてきたって訳か……っ!!」 そこまで気付いてしまえば、怒りよりも寧ろ笑いがこみ上げて来た。 年下の子供にアッサリと騙され、良いように利用された自分自身が、滑稽で仕方無かった。 傷の痛みも気にならなくなる程に、目に映る物全てを破壊し尽くしたくなる程に、可笑しかった。 最早良美の提案を拒む理由など、何処にも存在しない。 所詮こんな島で作り上げられた信頼関係など、偽物に過ぎなかったのだ。 見せ掛けだけで実の伴わぬ、薄っぺらいハリボテのようなものだ。 それは相手が宮小路瑞穂であろうが、涼宮茜であろうが、春原陽平であろうが変わらない。 共に死地を潜り抜けた圭一ですら裏切ったのだから、もう他人など信用出来る筈も無い。 どれだけ努力して信頼を得ようとしても、最後には裏切られてしまうだけなのだ。 信じられるのは自分自身と、愛しいつぐみのみ。 つぐみと共に生き延びる為ならば、誰だって殺してやろう。 一頻り笑い終えた武は、もう何の躊躇も無く、それこそ雑草を踏むくらいの気軽さで言い放つ。 「分かったよ、良美……お前の提案に乗ってやるよ。俺は絶対に圭一を殺す。 他の連中も全員殺して、つぐみと一緒に生き延びてやるっ……!」 とうとう放たれた服従の言葉に、良美は満面の笑みを以って応える。 「――うん、期待しているよ武さん」 良美は思う――予想以上に上手くいったと。 言うまでも無く良美はつぐみを拘束などしていないし、そもそも出会ってすらいない。 ただ適当な出鱈目を並べただけに過ぎぬ。 良美が行った作戦は、そう複雑なものでは無い。 あたかも相手の想い人の命を握っているかのように振る舞い、上手く行けばそのまま従属させる。 何らかの理由により目論見が失敗したならば、その場で撃ち殺してしまえば良いだけの事。 つまり良美はリスクの無い賭けを行い、そして勝利を掴み取ったのだ。 雛見沢症候群と良美の策略により、決して後戻りの出来ぬ道を選んでしまった武。 武は知らない――圭一は未だに自分を信じてくれているという事実を。 【F-4左 住宅街/1日目 午後】 【前原圭一@ひぐらしのなく頃に祭】 【状態:精神安定、右拳軽傷、体全体に軽度の打撲と無数の切り傷、左肩刺し傷(左腕を動かすと、大きな痛みを伴う)】 【装備:悟史のバット@ひぐらしのなく頃に】 【所持品:支給品一式×2、折れた柳也の刀@AIR(柄と刃の部分に別れてます)、キックボード(折り畳み式)、手榴弾(残1発)】 【思考・行動】 基本方針:仲間を集めてロワからの脱出、殺し合いには乗らない、人を信じる 1:まずは神社に向かう。 2:美凪を守る。 3:土見稟の凶行を止める。 4:倉成武との再会を果たす 5:知り合いとの合流、または合流手段の模索 6:良美を警戒 7:あゆについては態度保留、但し大石を殺したことを許す気は今のところない。 8:土見稟を警戒 9:ハクオロを警戒 【備考】 ※倉成武を完全に信用しています。 ※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました ※救急車(鍵付き)のガソリンはレギュラーです。現在の燃料は残り1/2くらいです。 ※沙羅の事は信用しています 【遠野美凪@AIR】 【状態:軽度の疲労】 【装備:包丁】 【所持品:支給品一式×2、救急箱、人形(詳細不明)、服(詳細不明)、顔写真付き名簿(圭一と美凪の写真は切り抜かれています)】 基本方針:圭一についていく 1:まずは神社に向かう 2:知り合いと合流する 3:佐藤良美を警戒 4:土見稟を警戒 ※倉成武を信用するかどうかは保留。 ※宮小路瑞穂、春原陽平、涼宮茜、小町つぐみの情報を得ました ※あゆのことは基本的には信用しています ※沙羅と情報交換しました。 ※沙羅の事は信用しています 【白鐘沙羅@フタコイ オルタナティブ 恋と少女とマシンガン】 【装備:永遠神剣第六位冥加@永遠のアセリア -この大地の果てで- ワルサー P99 (16/16)】 【所持品:支給品一式 フロッピーディスク二枚(中身は下記) ワルサー P99 の予備マガジン8 カンパン30個入り(10/10) 500mlペットボトル4本】 【状態:軽度の疲労・強い決意・若干の血の汚れ】 【思考・行動】 基本行動方針:一人でも多くの人間が助かるように行動する 1:まずは神社に移動する。 2:情報端末を探す。 3:首輪を解除できそうな人にフロッピーを渡す 4:前原にタカノの素性を聞く。 5:混乱している人やパニックの人を見つけ次第保護。 6:最終的にはタカノを倒し、殺し合いを止める。 タカノ、というかこのFDを作った奴は絶対に泣かす。 【備考】 ※FDの中身は様々な情報です。ただし、真偽は定かではありません。 下記の情報以外にも後続の書き手さんが追加してもOKです。 『皆さんに支給された重火器類の中には実は撃つと暴発しちゃうものがあります♪特に銃弾・マガジンなどが大量に支給された子は要注意だぞ☆』 『廃坑の入り口は実は地図に乗ってる所以外にもあったりなかったり(ぉ』 『海の家の屋台って微妙なもの多いよね~』 『H173を打たれても早めにC120を打てば症状は緩和されます(笑)』 少なくともこの4文はあります。 H173に基本的な情報や症状についての情報が載っています 場合によってはさらに詳しい情報が書いてある可能性もあります ※“最後に.txt .exe ”を実行するとその付近のPC全てが爆発します。 ※↑に首輪の技術が使われている可能性があります。ただしこれは沙羅の推測です。 ※双葉恋太郎の銃“S W M60 チーフスペシャル(5/5)”は暴発しました。 ※港には中型クルーザーが停船していますが、エンジンは動きません。 ※パソコンに情報端末をつなげるとエンジンが動くというのはあくまでも沙羅の推測です。 ※図書館のパソコンにある動画ファイルは不定期配信されます。現在、『開催!!.avi』のみ存在します。 ※図書館についてある程度把握しました。 ※隠しフォルダの存在を知りました。実際にパソコン内にあるかどうかは書き手さんにおまかせ。 ※武たちと情報交換しました。 ※圭一と美凪を信用しました。武については保留。 【F-4 住宅街/1日目 午後】 【倉成武@Ever17】 【装備:投げナイフ2本、永遠神剣第四位「求め」@永遠のアセリア】 【所持品:支給品一式 ジッポライター、貴子のリボン@乙女はお姉さまに恋してる、富竹のカメラ&フィルム4本@ひぐらしのなく頃に】 【状態:L5侵蝕中。中度の疲労。極度の疑心暗鬼。頭蓋骨に皹(内出血の恐れあり)。頬と口内裂傷。頚部に痒み。 脇腹と肩に銃傷。刀傷が無数。服に返り血)】 【思考・行動】 基本方針:つぐみ以外誰も信用する気はありませんが、人質を取られている可能性がある為、良美の指示には従う。 1:圭一を殺害する 2:良美の指示に従い、他の参加者達を殺害する 3:圭一の殺害後、つぐみを救い出す 【備考】 ※キュレイウィルスにより、L5の侵蝕が遅れています、現在はL3相当の状態で若干症状が進行しています。 ※前原圭一、遠野美凪の知り合いの情報を得ました。 ※富竹のカメラは普通のカメラです(以外と上物)フラッシュは上手く使えば目潰しになるかも ※永遠神剣第四位「求め」について 「求め」の本来の主は高嶺悠人、魔力持ちなら以下のスキルを使用可能、制限により持ち主を支配することは不可能。 ヘビーアタック 神剣によって上昇した能力での攻撃。 オーラフォトンバリア マナによる強固なバリア、制限により銃弾を半減程度) ※沙羅と情報交換しました。 ※キュレイにより少しづつですが傷の治療が行われています。 ※つぐみが捕まっているという話を、完全に信じた訳ではありません。 【佐藤良美@つよきす -Mighty Heart-】 【装備:S W M627PCカスタム(8/8)、地獄蝶々@つよきす、破邪の巫女さんセット(巫女服のみ)、ハンドアックス(長さは40cmほど)】 【所持品:支給品一式×3、S W M36(0/5)、錐、食料・水x4、可憐のロケット@Sister Princess、タロットカード@Sister Princess、 大石のデイパック、 S W M627PCカスタムの予備弾53、肉まん×5@Kanon、虎玉@shuffle、ナポリタンの帽子@永遠のアセリア、 日本酒x1(アルコール度数は46)、工事用ダイナマイトx1、発火装置、首輪(厳島貴子)】 】 【状態:軽度の疲労、手首に軽い痛み、左肩に銃創(出血は収まりつつある)、重度の疑心暗鬼、巫女服の肩の辺りに赤い染み】 【思考・行動】 基本方針:あらゆる手段を用いて、優勝する。 1:武を利用し尽くして、優勝を目指す 2:いつか圭一と美凪を自分の手で殺してやりたい 【備考】 ※メイド服はエンジェルモートは想定。現在は【F-4】に放置されています。 ※ハクオロを危険人物と認識。(詳細は聞いていない) ※千影の姉妹の情報を得ました(名前のみ) ※名雪の第三回放送の時に神社に居るようようにするの情報を得ました (禁止エリアになった場合はホテル、小屋、学校、図書館、映画館の順に変化) ※ネリネを危険人物と判断しました(名前のみ) ※大空寺あゆ、ことみ、亜沙のいずれも信用していません。 ※未成年が日本酒を飲んではいけません。 ※大石の鞄に、未確認支給品が1~2個入っています。 122 コンパスを失い道に迷った人間は、こんなにも愚かになるの 投下順に読む 125 魔法少女の探索。 126 私の救世主さま(後編) 時系列順に読む 125 魔法少女の探索。 120 サプライズド・T・アタック(後編) 佐藤良美 141 約束の場所へ 120 サプライズド・T・アタック(後編) 倉成武 141 約束の場所へ 120 サプライズド・T・アタック(後編) 白鐘沙羅 141 約束の場所へ 120 サプライズド・T・アタック(後編) 前原圭一 141 約束の場所へ 120 サプライズド・T・アタック(後編) 遠野美凪 141 約束の場所へ
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デイヴィッドソンの沼女 ◆JvezCBil8U 私達は、今回発生したケースを観察していくつかの疑問を得た。 魂とは、如何なるものなのだろうか。 個とは、自我とは何なのか。 己が己たる理由は何処にあるのか。 種属全体の記憶野――集合意識を持ち、情報の共有を行う私達には理解しにくい概念ではある。 ――固有の記憶、と答える者もいるだろう。 しかし記憶とは、それ程に確かなるものなのか? 容易にそれは改竄ができ、また忘却の海に沈めば二度と浮かんでこない事もまた多い。 思う故に我在り、とする哲学者も、私達の故郷に現れた異邦人の星にはいたらしい。 だが、集合的無意識が遍く生命に存在するとしたならば、どこからどこまでが個の意識として確立しているのか。 それだけではない。 同じ体の中に、一つの意志が配当されているとも限らないのだ。 例えば、狂信者の集団から選り抜かれた二重牙と死出の旅路のように。 個々の我の中にも、幾つもの相反する思考や選択肢は常に浮かび上がる。 もっとも単純なものでは、アニマとアニムス。女性的思考と男性的思考の仮面が挙げられるだろう。 そして、私達はここに来た事で――知ってしまった。 並行世界の存在を。 ここに仮に、二つの世界があったとしよう。 その二つは、とある時点まで全く同じ歴史を歩んでいたとする。 違うのは、たった一つの事項だけ。 その二つの世界のどちらにも住む、同じ名前と同じ記憶と同じ能力を持つ人間が――、 片方の世界では右手を、もう片方の世界では左手を、何気なしに上に挙げた。 それだけの違いだ。 ところで。 この、右手を挙げた彼と左手を挙げた彼は、本当に並行世界の同一人物と呼べるのだろうか? ここで魂の同一性を論じる事は、無意味だ。 もしここで例示した事象が彼の人生に大いに影響を与える事ならば、間違いなく最終的にはそれぞれの世界の彼は別人と呼んで差し支えなくなるのだから。 辿り着く先の性質で論じるならば、それぞれの魂は同一性を保てない。 ――逆に言えば。 その本質がどれ程異なる経験を経ても変わらぬほどに強固ならば、如何に違うペルソナを持っていようと――、 ***** どうして、いつもいつも間に合わないんだろう。 ちくしょう、ちくしょう。 ちくしょう……っ! オレ、なにやってんだろうなァ……。 ほっぺが涙でがびがびだ。 なっさけねえ、……なさけねえ! でもよ、こぼれちまうんだ。 涙だけじゃなくていろんなものが、オレからはこぼれ落ちちまう。 「……キリコの、おじさん」 ……この手の中には、もうなにも言わないおじさんがいた。 あの陰気だけど、どっか優しそうなおじさんは、もういないんだ。 ブラックジャック先生って人も、死んじまった。 立派なお医者さん達がどんどん先に逝っちまうなんて、ひでぇよ。 なんで、生きなきゃいけねえ人ばっかり死ぬんだよぉ……っ! キリコのおじさんはきっと、この診療所で治療をしてたんだ。 治せる限りは治すって言ってた通り、ここで助かる人を助けるつもりだったんだ。 なのにこれは……ひっでぇ、よ。 「ちくしょう……っ!」 ほんのりとだけど、おじさんの体はあったかい。 たぶん、こうなってから何時間も経ってねぇんだ。 ぎゅって歯を食いしばって、泣かないようにしても……駄目だった。 ……デパートに向かう前にこっちに来てたら、間に合ったのかなァ。 でも、聞仲さんが誰ひとり生きてはいない、って言ったのに、それに頷けなかったのもオレの正直な気持ちで。 桂先生と出会ってすぐにあのデパートが崩れて、心配になったんだ。 まだ生きてる人がいるんなら助けなきゃって、いてもたってもいられなかった。 あそこの近くはまだ危ないと思ったし、だからオレは聞仲さんに桂先生を任せて様子を見に行った。 けど……、やっぱり、誰ひとり生きちゃあいなかった。 筋肉モリモリで強そうな兄ちゃんは、言いたかねぇけど見ただけで吐きそうになっちまったし、 爆弾かなにかでぐちゃぐちゃになった死体もあった。動物と女の子の合体したような妖怪もいた。 瓦礫の下は……オレの力じゃあ確かめる事も出来なかった。 ひとりひとり、息がないのが悲しくって、せめて手を合わせて顔を覚えることにした。 そんな中で放送が始まって……、オレは、聞仲さん達の所に戻ったんだ。 聞仲さんが診療所に行けば生き残りがいるかもしれないっていってくれたのは、オレを気遣ってくれたんだと思う。 ……聞仲さんがデパートに行くなって言ったのは、きっとこうなるって分かってたんだろうなァ。 そんな優しさが胸に染みて、でも救えなかった事が苦しくって。 ほんの小さな希望を込めて、桂先生に肩を貸しながら診療所に来て……。 そしてオレは、キリコのおじさんが死んだ事を突きつけられた。 放送でもう死んじゃってるって分かってたはずなのに、知っている人の死体を見るのは……ツラかった。 もう、こりごりだ。 麻子ォ……、どうして、こうなっちゃったんだろうなァ。 蝉兄ちゃんの言葉が頭に浮かぶ。 『うしお、自分を信じて対決していけ』 ……ツレぇよ、蝉兄ちゃん。 自分を信じ続けるって、ツレェよ。 オレなんか、そんなにスゲェヤツじゃねえもん。 とらにも、流兄ちゃんにも、獣の槍にも見放されたんだぜ? フツーの、絵描きになりたいだけの、どこにでもいる中学生なんだぜ? こころがぼろぼろになって、壊れちまいそうだよ……。 ……白面、め。 ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう! 白面! どうしてこんな、殺し合いなんかさせるんだよぉ! 流兄ちゃんを殺し合いに乗らせて、何企んでんだよッ! ……そんな時だった。 オレの肩に、ポンと手が置かれたのは。 ***** 診察室の方をうしお達に任せ、待合室を探索しながら先刻の放送を回想する。 「……高町亮子も死んだ、か」 ――黙祷を捧げる。 せめて、あの高潔な少女の死が安らかで満たされたものであればいいと。 彼女の言葉が、脳裏に浮かんだ。 『……なあ、あたし達仲間だよな?』 仲間……か。 気の強さで言えば、どことなく朱氏を思い浮かばせる少女だった。 よもや今になって仲間という言葉に心震わされるとは、な。 それだけに――久しく感じた事のない感情が私の中にある。 この感情は何と言っただろう。 悲哀、と呼ぶべき気もするが、そうでない気もする。 一つ確かなのは我々生者はこの気持ちを決して忘れずに、抱えていかねばならないという事だ。 彼女の――、いや、彼らの死に応え、生きるべきものを還さねばならないと。 エドワード・エルリックは何処に居るのだろうか。 あの少年も、佳い気骨の持ち主だった。 うしおと年が近しいこともあって、彼の友となってもらいたいとも思う。 良き友の存在はそれだけで己を磨きあげる原動力となるが、それ以上に心の支えとして大きくなるもの。 ……私と飛虎のように。 幼き年頃ならば尚更だ。 彼らならば仲良くなれるだろうし、この無惨な場で互いの立って歩く力と成り得るはずだ。 うしおの人を惹き付ける才や器量は大したものだが、それでも未熟な精神には限界がある。 私のような年長者では癒せぬ傷も多かろう。 だからこそ。 だからこそ、あの少年とまた共に行動したいものだと思う。 そして、エドワード自身の身もまた、私にとっては案ずるべきものなのだ。 彼が私を奮起させたからこそ、私はまだこの場にとどまり、うしおと出会う事が出来た。 ……若者の力というものは、素晴らしいものだな。 新しい風。 それを食い潰すものがあるならば、この身などくれてやっても惜しくはない。 ……まったく、私はいつの間にこれほど老いたのだろうか。 時代の移り変わりは世の常。 それを理と知っていながらも、私は私自身が既に青くない事に幾許かの寂寥を感じずにはいられない。 やけに年代を経たように思わせる、その壁に架けられた絵のように。 「む……?」 かた、という音と共に手に取ったその額縁の中には、見知った顔が存在していた。 「これは……」 申公豹とムルムル。そして、他にも記憶から湧きあがる存在。 「…………」 鞄に収め、持っていく事にする。 これが此処にある、という事は、他に何かあるかもしれない。 待合室から通じる扉は、全部で3つ。 玄関と診察室に繋がる廊下。 便所。 そして、非常口。 便所を開けてもその先に見えるものは白い陶製の物体だけだ。 順序立て、非常口と書かれた扉に手を掛ける。 その向こうには、階段があった。 どうやら地下へと繋がっているらしい。 「……非常口、という割にはその役目を果たしそうにないな」 呟き、階下を覗き込む。 すると――深淵へと真っ直ぐに伸びる回廊が伸びているのが見えた。 どうやら、何処かへ向かう通路であるようだ。 警戒を深め、前方に意識を集中。 そのまま階段を降り目を凝らす。 遥か向こうに、今しがた潜った非常口の灯りと同じ緑色の光がある。 そこまでしか回廊は存在していないのか、それとも回廊の途中にまた扉があるのかどうかは此処からでは見て取れない。 ……シェルター、あるいは何処かに繋がる非常用通路。 そんな印象を与える場所だった。 「……一人では手に余る。向かうにせよ退くにせよ、単独行動は慎むべきだな。 探索はうしおたちと合流してからか」 背を翻し、階段を戻る。 ギィ、と扉を押し開け診療所へと足を踏み入れたその瞬間、気付く。 人の気配がない。 歯を、強く噛む。 「……ッ! 雌狐め、器の主を慮って寝かせておいたのが裏目に出たか……。 何を企んでいる……?」 誤算だ。 私を利用するつもりならば、こんなにも早く機嫌を損ねるような真似はしまいと読んだのだが。 知人の亡骸の前で泣き崩れるうしおの、一人にしておいて欲しいという言葉を飲むべきではなかった。 急ぎ診察室に入れば、そこにはすぐ戻るとの書置きが残されるのみ。 が、これを鵜呑みにして妲己とうしおを二人きりにしておけるほど、私は楽観主義ではない。 「……まだ遠くはないはずだ。急がねば……」 ***** 偶然、ここのすぐ近くを通りがかってくれるなんて、ねぇん。 ううん、わらわを探しているのかもぉん、やん、怖いぃん。 ……でも。潤也ちゃん、すごく、ステキよぉん。 あはん、ちょっとだけ見ない間にとぉっても立派に成長してくれて……。 わらわ……、アレ、欲しいわぁん♪ さっきのバケモノちゃんにそっくりで、器としてすっごく魅かれるモノを感じるのぉん。 でもぉん、聞仲ちゃんは何だかんだで優しいから、言ってもアレを確保してはくれないでしょうねぇん。 もっと無難なものを持ってきちゃいそうだわん。 そんなの、わらわ耐えられないぃん♪ わらわ、都合良く使えそうなモノの気配も、ちゃあんと感じ取れてるのん。 ビンビンって、すっごく、ねぇん。 くすくすくすくす……。 だから、頑張ってちょうだいねぇん。 う・し・お・ちゃぁん? ***** 「うー……気持ち悪っ! ちょっとあんた、二日酔いの人間背負って何してんのよっ! あ、あんまり揺らすとミソ出ちゃう……!」 マ、ズ……! また吐きそ。 ちょっとこのガキ、なんでこんな思いっきりシェイクシェイクしてくれてんのよ。 “たった今起きたばかり”でどうしてあたしゃこんな目に遭ってんのよー。 荷物と一緒くたにされて背負われてるってないわー、これでも女だっての。 ああくそ、全部日本が悪い、政治が悪い! 事業仕分けだとざっけんなー、教員への待遇改善を要求するー! ぽっぽっぽー、はとぽっぽー、支持率欲しけりゃ辞職しろー! 「ちょ、ちょっと何言ってんだよ桂先生ェっ! 知ってる人が“あそこ”に向かうのが見えたから急いで追ってくれって頼んだのは先生じゃねぇか。 それにミソなんて出ちゃったら大変だろ!」 おいコラだれがオミソだってー? そういうヤツこそがオミソなんだよーだ! 「つーか、知り合いって何よー。なんであんたの知り合い探しに付き合わなきゃいけないのよぅ……」 「だーかーら! 知り合いがいるって言ったのは先生だろ!? ふざけた猫撫で声で『わらわをあそこまで連れて行ってほしいのぉん』なんて言ったのはさ!」 「はー? なんだー? そんなん一っ言も言ってないわよー!」 「ああ、もう……! くそ、もうそれどころじゃなくなってるけどさぁ……」 ……ん? どーしたのよあんた。そんな……泣きそうな顔して。 走っている辛さだけじゃないっぽいぞ? 名前は……なんて言ったっけ。ちくしょー、頭ん中靄でもかかってるみたいで脳使いたくない。 ……けど。 子供がこんな顔してるのに放っておくほうが、キツいっしょ。 あたしだってセンセなんだから、さ。一応。 ……えーと確か、こんな名前だった……はず? 「……岡崎汐、だっけ?」 ん!? まちがったかな……。 いきなりガクンと体が揺れた。うげ、ま、また吐き気が……。 どこぞのお嬢様の詳しいジャンルっぽいなー。 「名字が違うって! なんか名前の漢字も違う気がする……」 まーいいや。 「あのさー、うしお。……なに、ムリしてんのよ」 「……え?」 うっわームカつく反応。 なによう、あたしだって真面目な時は真面目なんだぞ!? 「……先生って、ホントに先生だったんだな」 「そりゃああんたよりずっと長く生きてるしね。 で、どうしたのよマジで」 口を引き結んで、うしおは息を呑み込む。 ちらっと振り向いて向けた視線はあたしを通り越していってる。 「……後ろ、なんだけどさ」 ジャーンジャーン。 「げぇっ、関……じゃなくて何よアレ!」 うっわー、なぁによあのバケモン。 物騒なモン持ってこっちに突き進んできてる。 よーするに、アレがあたしたちを追っかけてるからこのコは逃げてるワケね。 でももーあんましないうちに追い付きそーな……。 ……って! んじゃあノンビリしてる余裕なんてないじゃん! ばしばしとあたしを背負ったうしおの背を叩く。 ハリーハリーハリー! 「…………」 ありゃ、反応がない。 「……うしお?」 呼びかけてみると、うしおは俯いてぼそぼそと何かを呟く。 「あいつ……元は人間なんだ、きっと」 「きっとって……」 ちょい待ち。アレのどこが人間だって―の。 体はなんかヒビ入ってるし、目は皿みたいにまん丸だし、歯は牙みたいにとんがってるし。 珍獣、なんていって見世物にすれば儲かりそうだわ。 「分かるんだ、あいつ……獣の槍使ってああなっちまったんだ。 ちくしょう……、オレが、獣の槍に見捨てられてなけりゃあ、あんな事にさせなかったのに。 どうしてか分からねえけど、獣の槍が復活してたのは、嬉しかった。 だけど、だけど……っ! 槍に魂吸われた人が他にもいるなんてよォ、酷過ぎるぜ……。 まさか……槍に命を狙われるくらい、嫌われてるなんて、思って……なかったんだ」 ??? うむ。何言ってるか全然分からん! 「……あのさー。よく分かんないけど。 あの槍はあんたのモンで、どうしてか分かんないけど、いまはアイツが使ってると」 でも、まあ。 話は分かんなくても、この子がどうすべきかってのはあたしにも分かる訳だ。 そして、見捨てるとか何とか命狙われるとか、その辺りにこの子が何か負い目を追ってるって事も、ね。 だから――、 「……うん」 頷いたうしおに、コツン、と軽くゲンコを落とす。 「こらこら、落ち込まない。 で、あんたはどうしたいの? 大切なモン奪われて、挙句の果てにそれ使って嫌がらせされて。 どうにか振り切って逃げ続けて、このまま泣き寝入る?」 ぶんぶんと、首を振るうしお。 「ジエメイさんの言ってた通り、もう二度と、憎しみなんかに負けたりはしねぇ。 ……ギリョウさんに、許してもらいてえよ。もう一度獣の槍と一緒に、闘いてぇよォ……っ! 槍を使ってる奴だって、助けたいんだよ! でも……槍が。それに、槍を使ってる奴も……」 あー、もー、めんどくさいなー。 他人なんて、存外あんた自身の事見ちゃあいないっての。 いちいちそんなの気にしてたら、本当にやりたいこと、手放したくないものまでどっか行っちゃうでしょーが! だから――怒鳴る! 「でも、じゃないの! 甘えんな! ……逃げてんじゃないわよ。立ち向かって、頬をはたいて、取り返してきんさい。 見限られたとかウジウジ思ってる奴と仲直りしたいなんて、あの化け物だって思うはずないでしょーが!」 「先……、生」 ごしごしと涙を拭いて、うしおはにかっと笑った。 「おうっ!」 ん、いい顔だ。 あと10歳……、いや、5歳あればいい男だったろうにねぇ。 「でも……どうやりゃいいんだろう。 今のオレじゃあ、真っ向から戦っても勝てねえよな……」 「んー、そうねぇ……」 ま、なんか良く分かんないけどガキの喧嘩でしょ、なんか良く分かんないけど! そして何かテキトーな言葉を返そうとして、気付いた。 口が、動かない。 ドクン、と自分の心臓の鼓動が、やけに大きく感じた。 そして――、あたしは、耳慣れないようで毎日付き合っている声を聞く。 「いい考えが、あるわよぉん……?」 理解。 ああ、これは――あたしの声だ。 勝手に口が動く感触がする。淫靡に。 キモッ。 そんな脊髄反射と共に、あたしの意識はどろりとした黒に呑み込まれていった――。 ***** 憎い……。 憎い……。 憎いぞぉ……。 世界が憎い。 肉親を殺した世界が憎い。 肉親を殺そうとする世界が憎い。 肉親の命で自分で遊ぶ、この殺し合いという環境そのものが憎い。 それを開いた悪鬼が憎い。 運命を弄ぶ神が憎い。 否、否、否! 神に非ず――人に非じ。 人心で粘土の如く遊び、魂を汚す存在など神でなし! 其は、バケモノ! 憎い、憎い、憎い。 バケモノが、憎い。 我が兄/妹を死に追いやりしバケモノよ。 全ての陰の気より生まれ出たバケモノよ。 貴様の名を我は叫ぼう。 そう――白面! 貴様を滅すまで、我は止まらぬ。 眼前に立ちはだかる如何なる肉の塊も殺し尽くそう。 嗚呼――兄貴/ジエメイ。 俺/我の大切な、掛け替えのない家族。 ×××を守る為ならば、獣になっても構わない。 進んで進んで進んで、諸悪の根源を、家族の脅威を討ち果たせ。 俺は、俺の名は何と言ったっけ。 頭の中に響く声に引きずられて、俺という名の器が崩れていく。 いちどけものになれば、にどとひとにはもどれない。 大切なものがぽろぽろ剥離していくのを感じる。 俺が俺でなくなり、どす黒い誰かと混ざり合う。 それでも憎いものを見据えて、走っていく。 「はぁぁぁああぁぁぁくめぇえぇえェェええエェん……ッ!」 そうだ……、全てが白面の仕業に違いない。 先ほどまみえた時も、かの女は言ったではないか。 兄の命が惜しくば――と。 白面、白面、白面、白面憎しィィィ! 白面さえおらねば、兄貴/ジエメイはァァアアァッ! そら、あそこに見えるが白面だ。 姿を変えたとて俺には分かる。 こちらに背を向け、無様に逃げ惑うかの醜女。 その心の臓腑に抉り込むまで、何人たりとも道を塞ぐこと許しはせぬ。 ジエメイ/兄貴の死の償いは、万死億死を以てでもまだ足りぬ! 貴様を殺せば兄貴/ジエメイとの生活が取り戻せるならば、 彼奴を庇う者も只では措かぬ。 立ち塞がるな、ニンゲンッ! そうする間にも俺の兄貴/ジエメイを堕とした根源が更に更に遠くへ進むッ! 交叉。 刃と刃とがぶつかり、俺の邁進が食い止められる。 ああ、ああ、この顔は、この子供は我に見覚えがあるぞ! 俺には覚えがなくとも我には分かるゥッ! 犬畜生めが、返すものかよ。卑しくも取り返しに来たのかよォォォッ! 返すか、返すか、返すか返すか返すか返すかッ! 兄貴を守れるこの力を、手放してなどやるものか! ……憎い。憎い! 憎いィィイィィッ! 力を奪い返そうとするこ奴が憎い! ならば振るえ。容赦なく振るえ。 今この槍は俺の力なのだッ! そう、容赦なく食らいつくせ、槍よ俺の魂をッ! 喩え蒼月(ツァンユエ)であろうと、薙ぎ払うまで――! 「憎い……憎い憎い憎い憎いィィィッ! 其処を、退けェッ!」 一撃、二撃、三撃四撃! 擦れ合い飛ぶ火花も今の俺には届きはしない。 そんな……紛い物の槍で止められるかァッ! 弾く。 踏み込む。 突き飛ばすゥッ! ははは、見ろ我/俺よッ! いぃぃぃい具合に子供が空を飛んでるぞォォォッ! 蒼月(ツァンユエ)、温しィィッ! 届く、届くぞ。我等は届く! もはや障害は眼前に非じ! あと十歩か九歩か七歩か六歩か! 五歩か四歩か三歩か二歩かァ! 女ァ、死ィィィィ……ねェェェッ! さあ、この刃を臓腑に抉り込もう。 一歩踏み込み、零を貫くぞォッ! 取ったァ……ッ! ザクリ。 ……なんだァ、この……感触……は……? ***** クソ……、ちぃっと目ェ離した隙に、やりすぎだぜママ。 躊躇いのないあんたの性格は分かってるし、だからこそもうちょい慎重に事を進めると思ってたんだが。 ま……、今のオレに、今のアンタをママなんて呼ぶ資格があるかどうかは疑問だけどな。 逆もまた然り、か、反吐が出るぜ。 ……参加者を弄るのはできる限り避けるとか何とか聞いてたんだがな。 まあ、魂魄の消滅の危機ってのは確かに焦る理由になるだろうから、不自然じゃあないといやあそうなんだが。 もし直接的に弄られてないんだとしたら、他に原因があるって事……か? 魂魄の在り様が良く似たモノに引き摺られた、とか。 考えても答えは出ねぇか。 ああ、ったく! オレの怠慢のせいってかよ。そりゃあ龍脈の乱れとやらは後回しにしていたがよ……。 こうなったのは参加者連中の暴挙の結果と、ついでに趙公明のヤローがスーパー宝貝なんざで更に空間を歪めたからってのもあるんだぜ。 本当にアンタは傲慢そのものだな、もうちょい客観的に自分を見つめる事をお勧めするぜ。 ……クソッタレ。 はいはい、やることやってくりゃあいいんだろ? ***** ……何だ。 何事だというのだ。 「一体これは……何が起こった!?」 目を凝らしても、現実は変わらない。 私の目の前に広がるは――、 バケモノ。 バケモノ。 バケモノ。 ――形容しがたい何か、異界の住人。 群れ、と称しても構わない数が眼前に遊んでいる。 優に百は超えるだろうか。 かつての姿を忘れ、もはや何と呼べばいいのか分からぬ実体なき肉塊たち。 明らかに人の営みの範疇の外にある存在達が、そこかしこに跋扈している。 「く……、うしおは、無事か!?」 間違いない。 あの雌狐が、現世と幽世(かくりよ)の境を掻き乱したのだ。 デパートとやらが崩れた時から、龍脈が乱れたことは感じていた。 恐らくそれを突いて何らかの干渉を起こしたのだろうが――、 「いや。考えるのは後にせねば……!」 駆ける。 と、無数の異形が得物を見つけこれ幸いと私に飛び掛かる。 腐臭にも似た血の香が、鼻に突く。 ギイギイと、言葉に満たぬ囀りが姦しい。 「雑衆が……、黄泉へと還るがいい」 擬なる禁鞭を掌に。 一振りで、二桁を超える妖物が宙に舞う。 二振りで、取りこぼしの頭蓋を砕き散らす。 三振りで、死せるも勢いづいたままの屍を薙ぎ払う。 爪を光らせ奇襲するモノを吹き飛ばし、 牙剥き低く地を蹴るモノを叩き潰し、 拳を握り猛進するモノを突き上げる。 鞭の暴風の前に万物は平伏し、私はその目と成りて屹立する。 贋作とはいえ、使い勝手は悪くない。 だがそれ以上に――こ奴らが弱過ぎる。 ……脆い。私の敵ではない。 このような者どもを呼び寄せて、一体狐は何を考えている? いや――、そもそも、連中は何処から湧き出たのだ!? この世ならざるものを蹴散らしながら掻き分け突き進み、しかし思考は止まらない。 幽世と現世が繋がったならば、本来異界の住人の質も量もこの程度で済みはすまい。 故に、掻き乱された幽世は、この閉鎖空間の内に異相として存在しているとは理解できる。 だが、ならば。 どうしておそらく“神”により創造されたと思しきこの空間に、幽世などというものが――幽世の住人が存在しているのだ!? 本来ならば、殺し合いなどとは無関係であろう存在が。 ……参加者の魂魄の成れの果てか? 可能性は、ある。 殺し合いに巻き込まれた悲愴なる魂の残滓が、この島の随所に刻み込まれていたとしても異論を持ちだすものはいまい。 だが、それにしては弱く、数が多すぎる。 明らかに放送で読み上げられた人員より多く、また古兵の強さも持ち合わせない。 此度の参加者には強き者どもが多くいる以上、彼らの末路とは考えづらい。 ならば、やはり最初の疑問は残る。 この輩は、何処から来たのか。 そして、太公望を始めとする強き者どもの魂魄は――何処に向かったのか。 ……前者と後者について、それぞれ思いつく可能性がいくつかある。 例えば前者は、“無数の人の魂魄を錬り成した物品”があったとすれば、説明はつく。 その物品がこの殺し合いの最中に消滅することがあったとするならば、解放された魂魄は幽世に辿り着いて鬼の形を取るだろう。 他にも、この殺し合いが幾度も繰り返された可能性も考えられるが――、“どうしてか”私はそれが正解だとは思えなかった。 後者に関しては、非常に単純な説明ができる。 封神台が機能していさえすればいい。強き者の魂魄を集めるならば、あれ以上の機構はあるまい。 ……強き者の魂を一か所に集める事に、如何なる意味があるのだろうか。 思索しようとしたまさにその時に、幸か不幸か私の目は求めるかの少年の背を探し当てた。 場所は――推測の通り龍脈の乱れの中心、デパート。 「……うしお!」 槍一本で応戦するうしおの、歳に似合わぬ立ち回りに舌を巻く。 が、見とれる訳にもいかぬか。 贋作を一閃。 四方からうしおを囲んだ禽獣が、ぎゃあと鳴いては千切れ飛ぶ。 「ぶ、聞仲さん!?」 一拍遅れたうしおが取るは、こちらを振り向きながらの前方への薙ぎ。 私の討ち洩らした一匹を斬り飛ばす。 ……いらぬ心配だったか。 私が贋作を振るわずとも、十二分にこの少年は場の打開を成せるのだ。 応と答えてその背に駆け寄る。 「……一体、何があった?」 「わ、分かんねぇ……。でも、桂先生の言う通りにしたらこうなっちまったんだ」 ――うしお曰く。 診療所の窓から、桂雪路が知り合いがデパートの方面に向かうのを見つけた。 急いでいるようで、酔いのまわった自分では追いつけないと判断し、うしおの背に乗って追うように頼んだ。 診療所を出てすぐの道中で、彼の愛槍たる“獣の槍”とやらに身を委ねた者が彼らを追い始めた。 彼の力は凄まじく、とても立ち向かえないと判断した二人は、桂雪路の策とやらを試す事にした。 うしおが時間を稼ぐ間、出力を絞った映像宝貝で桂雪路の幻を作り出し、それを囮にして隙を作り出す――と。 だが。 獣の槍の仮の主が幻を貫いたその時、空間そのものが罅割れるように開き、中から無数の彼岸の住人が溢れ出てきたというのだ。 ……狐め。 宝貝にも匹敵する獣の槍を用い、冥界の扉を開いたか。 成程、幽世と現世の境界の霞んだ中心部に己が幻を投影し、そこを切り裂かせるよう仕向ければ不可能ではないだろう。 恐るべきは――“獣の槍”か。 凄まじい力を持つ霊装のようだ。 ……だが、大き過ぎる力は必ず代償が必要となる、宝貝が仙人骨の力を原動力とするように。 獣の槍の力は何を由来としているのだろうか。 嫌な予感がする。それを知る事が真実に近づくと勘が告げるが、知らぬ方がよいとも警笛を鳴らしている。 うしおが本来の主だということだが、果たしてこの少年は何を犠牲に今まで戦ってきたのだろうか。 脳裏に纏わりつく疑問も、しかし今は瑣事だ。 あの狐の謀を暴かねば、どれほど自体は悪く回るか。 うしおに、問う。 「……その当人は何処に?」 「それも、分かんねぇ。 ……妖怪が溢れて、こうやって追い払ってたら、いつのまにか姿見えなくなっちまった。 くっそぉ、どうしてこうなんだよ! どうして、どうして守る事もできねぇんだよぉっ!」 嘆くな――と肩に手を置くも、慰めにはならぬだろう。 この少年は、心底真っ直ぐな気質を持つゆえに。 しかし折れぬからこそ、全てを抱え込む。 ……守らねば、な。 あの秋葉流の様に、嫉妬にこの身を焦がされる事もあるだろう。 だがそれでも、汚してはならない眩しさはかけがえのないものなのだから。 ……事態は刻々と過ぎてゆく。 いくら贋作を振るえど、異形はますます数を増す。 「……いくらやっつけても、キリがねぇ。 全部倒しても、すぐにあちこち埋め尽くしちまう……」 一体一体は紙の如く潰せるが、確かにこれでは終わりがない。 ……狐の企みが、読めん。 よもやこんな七面倒なだけの嫌がらせが目的ではないだろう。 奴の転生先にするためかとも思ったが、それ程の大物も見当たらない。 そんな不確実な博打を打つとも考えづらく、やはり何か起点となる存在がいる――と考えるのが妥当か。 思考がそこに辿り着くと、同時。 禽獣の海の一角が、盛大に爆ぜた。 「……あ、あ……、間違い、ねぇ。アイツ、だ」 うしおの呟きから、事態を把握。 即座にそちらに目を凝らす。 海を割りながら、衝撃が此方へと突き進む。 有象無象が一筋に、空を舞う塵芥と化した。 そして我々の眼前に現れた“それ”は――、 槍を手にした“それ”は――、 周囲の雑魚とは別格の、しかし確実に人ではない、“獣”としか呼べぬバケモノであった。 おそらく、言葉を解する事もできはしまい。 うしおが、崩れた。 「たったあれだけで……もう、こんなに魂を削られちまったのかよぅ……。 つい、さっきまで……少しは、話せそうだったのによ……」 歯噛みするうしお。その声は、もはや嘆きと呼んで差し支えない悲愴さを湛えている。 ……嫌な予感が的中したか。 これは、残骸。魂を失い、魄のみで動くヒトの末路。 確信を持って、私はうしおに問いを投げる。 「獣の槍とは――魂を喰らうのか?」 泣きそうな顔で、いや、涙で既に頬を濡らし、うしおはこくりと頷きを返す。 その手が、小刻みに震えていた。 もうこのバケモノを救う手立てはないのだと、語らずともその背が語っていた。 ***** あん……? なんであたしゃ、こんなとこにいるのよ。 つーかここ、どこよ。誰もいないし、変なお札がいっぱい浮いてるし。 なんか急に、力吸い取られたみたいに一気に意識がオチたのは覚えてんだけどなー。 ……あ、そっか。 夢だこりゃ。 ……夢ならまあ、心配する事ないか。 あの男のコ、すっごい思いつめてたからなー、現実だったら心配でたまんないわよ。 んじゃあ、もう少しゴロゴロまどろんでますかー。 二度寝って最高よね~。 時系列順で読む Back アダマと上天のスードパラドクス Next ミノタウロス殺しの船 投下順で読む Back アダマと上天のスードパラドクス Next ミノタウロス殺しの船 121 まっすぐに立っているか 蒼月潮 143 ミノタウロス殺しの船 141 ゾルフ・J・キンブリーの悦と憂鬱 安藤潤也 143 ミノタウロス殺しの船 121 まっすぐに立っているか 桂雪路 143 ミノタウロス殺しの船 121 まっすぐに立っているか 聞仲 143 ミノタウロス殺しの船
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Pico Magic Reloaded 2nd Pleasure CD --------------------------------- ...Reloaded 「もう一度やり直せるなら、もっと上手に生きられるますように…。」 黒の歴史が紡がれるより以前 零(ゼロ)の地平線に埋もれた物語 抑圧はいづれ解放に至る幻想 始まりの夜の狂気『屋根裏の少女』 喪失の詩の水面を流れながら 第三の地平線に埋もれた物語 愛しいものを奪い続げる幻想 繰り返される狂気『檻の中の遊戯』 Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La They just said "Reloaded"... Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La 窮地に瀕して読み込まれる魔法 新たなる地平線に描かれる物語 逃避出来ない運命を孕む幻想 終わらない夜の狂気『檻の中の花』 楽園を望みながら堕ちてゆく 第四の地平線に描かれる物語 限りなく同一に近づけるとう幻想 進行を贊美する狂気『Ark』 Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La They just said "Reloaded"... Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La 死の幻想に抱かれながら見る 第二の地平線に埋もれた物語 諦観とは現実を受け入れる幻想 覚悟にも似た狂気『輪廻の砂時計』 再度窮地に瀕して読み込まれる魔法 新たなる地平線に描かれる物語 崩壊の恐怖を導き出す幻想 降り止まない狂気『澪音の世界』 Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La They just said "Reloaded"... Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La Lu Lu Li La La 何時か見た 美しい 幻想に 翼もがれ 緋に抱かれ 火に灼かれ 最期まで… 空を往く あの鳥も 生きたまま 翼もがれ 地に堕ちて 血に濡れて 最期まで… 残酷な詩でさえ 君の為 僕は歌う この声が この闇が 最期まで… --------------------------------- 屋根裏の少女 薄暗い部屋で 鎖に繋がれた 屋根裏の少女 窓から見える世界は 蒼く歪んだ幻想… 薄暗い部屋で 狂人に飼われた 屋根裏の少女 差し込む月明かりが 細い指先を導く… 少女に与えられた 唯一の玩具は 白いキャンバスと 三色の絵の具 少女は 来る日も来る日も描いた 白いキャンバスの中には 全てがあるから 少女は 来る日も来る日も描いた 三色の絵の具があれば 全てを描けた… 少女に与えられたのは 躰を屋根裏に繋ぎ止める為の 最低限の食事 白いキャンバスと 三色の絵の具 少女の心は 白いキャンバスの中… 白いキャンバスは 少女の世界 何処へでも行くけたし 何でも手に入った 無邪気な欲望が キャンバスを埋めてゆく… 「私…お友達が…欲しいな…。」 柱時計は 午前零時を告げ 閉ざされた 少女の世界はやがて 右手に神を 左手に悪魔を宿した… 異変に気付いた 狂人が 死に物狂いで 少女の細い頸を絞める 「そんなに悲しそうな顔をして…どうしたのパパ? そうだ…パパの幸せを描いてあげる。」 薄暗い部屋で 埃をかぶった 屋根裏の… 赤いキャンバスと 空になった絵の具…。 --------------------------------- 檻の中の遊戯 薔薇を想わせる緋色の口紅(ローズレッドルージュ) 唇には嘘吐きな約束を 昇り詰めて崩れ堕ちた その夜に花束を… 檻の中の遊戯… 寂れた洋館 追い詰めた壁際 美しき獲物 檻の中の遊戯… 軋む床 浮き上がる身体 月明かり差し込む窓辺… 細い頸に絡みついた 浅黒い指先が 食い込んでも離さないで 最期まで抱いていた… 檻の中の遊戯… 仄蒼い庭 錆付いたスコップ 花を敷き詰めた棺 檻の中の遊戯… 突然の閃光 歪んだ銃声 眩い環状の終端… あの悲鳴は(うたごえが)葡萄酒(ワイン)のように 罪は月夜より甘く 堕ちてゆく詩は狂気(ルナ)を孕んで 闇を照らし躍らせる… 煌く瞬間(とき)の宝石(いし)を 集めては打ち砕く 忘れるまで思い出して 失うまで逃がさない… 檻の中の遊戯… 歪な螺旋 幾度目かの覚醒 あの笑い声が響く 檻の中の遊戯… 早くしなければ また夜が明けてしまう もう一度この手で彼女を… 懐かしい屋根裏の調べ… 追憶は甘い果実 水面に揺れる淡い月のように 檻の外へ手を伸ばしても 滑り堕ちる針は止められない 蛹はいづれ蝶になると知り 逃げないよう羽を毟る せめて愛し合った証が欲しい 永遠に消えない傷痕を… 忘レモノハ在リマセンカ…? 法が統べる檻の中で 終われない悪夢(ゆめ)を視ている 愛しい女性(ひと)を永遠(とわ)に渡り 殺め続ける物語… その檻の中にいるのは誰…? --------------------------------- 檻の中の花 殺戮の舞台女優『Michele Malebranche』 その生涯には、あまりにも奇怪な謎が多い。 彼女が犯罪史の表舞台に登場する事三度に渡り、 そのいずれもが狂気に満ちた幻想の戯曲として知られている。 (殺戮の舞台女優『Michele Malebranche』 彼女が犯罪史の表舞台に登場する事三度に渡り。 その短い生涯に於いては多くの奇怪な謎が残されたまま 今だ完全には解明されていないのである。) (初舞台「パパの幸せを描いてあげる…」en 21 Novermbre 1887) 実父『Joseph Malebranche』の凄惨な変死事件 証拠不十分及び、年齢に対する 殺害遂行能力に疑問の声が上がる。 現実と幻想の境界を認識出来ていない類の言動を繰り返し、 行動にも尋常ならざる点が多々見受けられた…。 (識られざる幕間劇) 鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ 街角の影(Silhouette)手招くのは 闇(Tenebres)を纏った貴婦人(Damenoble) 素早く抱き寄せ 首筋に熱い接吻(Baiser) 少年(Garcon)の液体(Sang)は仄甘に 血赤色(Rouge)の陶酔感(ゆめ)を紡ぎ 永遠(とわ)の夜(Nuit)に囚われた 花(Fleur)は咲き続ける… (二度目の舞台「もう一度この手で彼女を…」en 30 Juillet 1895) 養父『Armand Ollivier』の手による絞殺・死体遺棄未遂事件 深夜、半狂乱で笑いながら庭に穴を掘っている所を、 近隣住民の通報によって駆けつけた警察官に拠り逮捕。 その後、『Ollivier』は獄中にて完全に発狂した…。 (識られざる幕間劇) 鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ 街角の影(Silhouette)佇むのは 闇(Tenebres)を纏った令嬢(Mademoiselle) 激しく愛して 花弁(Un petale)が堕ちるまで 女(Michele)の勘を甘くみないで 貴方(Monsieur)が愛してるのは しなやかな若い肢体(Jeunesse corps) それは…『私』(Bobo)じゃない… (三度目の舞台「少年の液体は仄甘く」en 4 Fevrier 1903) 『Michele Malebranche』による青少年連続拉致殺害事件 『Rouen』郊外の廃屋にて多数の腐乱死体が発見される。 当時行方不明となっていた十三人の少年達は、変わり果てた姿で 干亁びたような老婆『Michele』の遺体に折り重なっていた…。 (自称…天才犯罪心理学者『M.Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』曰く) 「彼女がどんな魔法を駆使したのか、それは私が識り及ぶ所ではないのだが、 殺害動機という観点でのみ論じるならば、答えは明白である言わざるを得ない」 「彼女は、自らを閉じ込め狭い檻の中から抜け出したかったのでしょうな…それも極めて偏執的なまでに。 …しかし、残念ながらその願望は生涯叶う事は無かった。 …そして、死後一世紀を経過した今でも、彼女はその檻の中にいる…」 「…何故そんな事が断言出来るのか?…良い質問だ。よろしい、誤解を招く事を承知で、 この『Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』あえてここで公言しておこう。 我々もまた、彼女と同じ檻の中にいるからだと…」 (『Michele Malebranche』の手記に遺されていた詩の断片) 檻(Cage)の中で咲き乱れ 枯れ朽ち果てる前に 愛(Amour)を失くしたこの世界に… 捧ぐ…お別れの挨拶(Au revoir) ~連作幻想戯曲『檻の中の花』 (著)Noel Malebranche --------------------------------- Ark [Reloaded Ver.] 「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ 救いを求める貴女に<アーク>を与えよう」 <アークと呼ばれた物>(それ)は月光を受けて銀色に煌いた… 想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨 幸せだった二人 永遠(とわ)に届かなくなる前に… 「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに…」 涙を微笑みに換え詰め寄る <アークと呼ばれた物>(Knife)を握って… …愛憎の箱舟(Ark) 「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」 --------------------------------- 輪廻の砂時計 ──やがて訪れる朝陽 銀色の馬車が導く ひとつの終焉── 星屑を集めるように 朽ちてゆく世界で 零れ堕ちるまでの詩を綴る 美しく咲いてる花も 過ぎ去れば砂になり 静かなる終わりの場所へ落ちる 煌く星空を詰めた 銀色の砂時計 苦痛に身を委ねる 輪廻を信じて 微笑んだままで逝く…「私は生きてた」 最期の我侭が 通るならお願い 真夜中に逝くのは 寂しいから嫌だ 出来れば始まりの 朝の光の中で 新しい訪れの 息吹感じながら 笑いながら 歌いながら あなたの腕の中… 蒼く揺らめいて燃える 最期の焔は あなたの腕で消える…「私を愛した」 苦痛に身を委ねる 輪廻を信じて 微笑んだままで逝く…「私は生きてた」 La La La La La La La La La La... 「私を愛した」 La La La La La La La La La La... 「私は生きてた」 La La La La La La La La La La... 「私を愛した」 La La La La La La La La La La... 「私は生きてた」 La La La La La La La La La La... 「私を愛した」 La La La La La La La La La La... 「私は生きてた」 --------------------------------- 澪音の世界 荒れ果てた野を 一人の少女が往く 正確には一人と一匹 少女の右手には赤い紐 その先に結ばれたる首輪もまた赤く 黒銀の毛並みを持つ犬は 小さく吠えた 飼い主たる少女『澪音』に語りかけるかのように… 豪奢な廃墟に転がり 冷たい雨に怯える 輝ける名誉も権力(ちから)も 今ではもう過去の所有物(もの) 観測とは事実の側面を抉り取る刃物(ナイフ) その男は果たして…何を得…何を失ったのか… 奪いし物は奪われ 斯して世界は廻る 降り止まない雨の向こうに 何色の空をみる 代償(リスク)を背負うほど 加熱する駆け引きは 全て失くすまで気付かない 度し難い自我(エゴ)の下僕(しもべ)… 空虚な廃墟に転がり 冷たい雨に震える 帰る場所も待ってる人も 今ではもう過去の支配領域(ばしょ) 推測とは事実の背面を削ぎ落とす刃物(ナイフ) その男は果たして…何を見…何を悟ったのか… 奪いし者は奪われ 斯して時代は廻る 降り止まない雨の向こうに 何色の空がある 運命を捩じ伏せ 従える心算(つもり)でも 未来(とき)を掴もうと伸ばした その腕では短か過ぎた… 閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は 幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)を見る… ──澪音の世界 『死』とは…精神(こころ)に先行して まず肉体(からだ)に依存する感覚から朽ち果てるものらしい なればこそ人間(ひと)は散々忌避し逃避を企てながらも 招かれざる死の冷たい接吻(くちづけ)に耐え得るのだろうか… 絶え間ない恐怖感が雨となり降り続けるという幻想 それは…生きながらにして精神(こころ)を壊されてゆく苦痛 硝子球のように透き通った永遠の合わせ鏡 罪人は少女の瞳の中に唯『世界』を見るという… 百聞は一見に如かず 千聞とてまた然り 憐憫…侮蔑…的外れな嘲笑…謂わば対岸の火事 燃えるまでは熱さ解らず 燃えてからでは遅過ぎる この世界で何人が罪を犯さずに生きられると言うのか… ──澪音の世界 閉ざされた少女の瞳が開かれし瞬間(とき)世界は 幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を…残酷な死神(かみ)を見る… 薄氷色(アイスブルー)に煌く瞳が鮮やかに朽ちる世界と 堕ちてゆく狂夢(ゆめ)に唇を重ねて…残酷な死神(かみ)になる… 地に蔓延りし我ら罪人の群れ 願わくば…君が澪音の世界に囚われないことを… --------------------------------- ぴこまりんご飴☆ ぴこまり から始めて、ぴこまりを目指そう。 切なくも懐かしき、しりとりの歌。 ボーンゴレビアンコ! ぴこまりでっすっ! ぴこまじ で本編を乗っ取ったはずなのに、 ぴこりろ ではボーナストラックに逆戻り。 それでもめげずに、今回はしりとりに挑戦しちゃいますぞ。 はい!、今から歌うの覚えてください。 あん、でゅるー、っるあー、かく ぴこまり→りんご飴→メントール配合→ウェディングベル→ ルイヴィトン…のバッグ→軍備縮小→ 少年よ大志を抱け→形状合金→ (Please one more chance!) 建国記念日→ビントロサビ抜き→ キリンが逆立ちしたピアス→ スリジャヤワルダナプラコッテ→ 天涯孤独の身の上→ 遠近法をも無視した体型→ 引力発見したのはニュートン?→ (One more chance!) 犬神→ミサイル→瑠璃色→ロマンス→ 寸劇→キマイラ→雷神の右腕→ 電動→ウインク→黒猫→コマンド→ 毒蛇→ビニール→ルピー→ ぴこまりでっすっ! いぇーい!、無事ぴこまりに辿りつくことが出来ました。 もう一度歌いますので、次は ぴこ魔神 を呼び出せたあなたも、 呼び出せなかったあなたも、ぴこまりと一緒に歌ってくださいね。 はぃ! 困って無くても、唱えてください。 ウノ、ドゥレ、トレ、クアトロ ぴこまり→りんご飴→メントール配合→ウェディングベル→ ルイヴィトン…のバッグ→軍備縮小→ 少年よ大志を抱け→形状合金→ (Please one more chance!) 建国記念日→ビントロサビ抜き→ キリンが逆立ちしたピアス→ スリジャヤワルダナプラコッテ→ 天涯孤独の身の上→ 遠近法をも無視した体型→ 引力発見したのはニュートン?→ (One more chance!) 犬神→ミサイル→瑠璃色→ロマンス→ 寸劇→キマイラ→雷神の右腕→ 電動→ウインク→黒猫→コマンド→ 毒蛇→ビニール→ルピー→ ぴこりろでっすっ! ボン・ボン・ボンゴレビアンコ ボ…ボ・ボンゴレビアンコ ボ……ボ・ボンゴレ・ボンゴレビアンコ ボ…ボ・ボンゴレビアンコ ボン・ボン・ボンゴレビアンコ ボ…ボ・ボンゴレビアンコ ボ……ボ・ボンゴレ・ボンゴレビアンコ ボ…ボ・ボンゴレビアンコ ぴこまりから始めて、ぴこまりを目指そう。 切なくも懐かしき、しりとりの歌。
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本シナリオには1PLにつき3PCを投入することになる。 但し、各PLが同時に動かせるのは1PCまでである。各PLは、以下のタイミングでどのPCを使用するか選択し、交代させることができるものとする。 シナリオ開始時 登場を宣言するとき(登場判定を行う場合、そのPCの判定値を使用する) 戦闘中のクリンナップフェイズ 交代した場合、それまで登場していたキャラクターは即座に退場し、以降そのシーンで登場することはできない。死亡している場合《生命の水》などの特殊な方法を使用しない限り死亡が確定するので注意すること。 選択していない残り2PCは一切の行動を行うことはできない。GMの許可があれば演出として登場することは可能であるが、その場合はエキストラとして扱う。但し例外として加護のみは特別にいつでも使用できるとする(登場していなくても使用してよい)。もちろん、対象その他は適切なものでなければならない。 また、レイナが後方で治療を行っているので戦闘が終了するたびに全PCのHPとMPが全快するものとする。このため交代したPCのHPやMPを記録する必要はない。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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シン 「ただいまー」 ジュドー 「お、お帰りシン兄さん」 カミーユ 「遅かったな」 シン 「あれ、なんか今日人少なくない?」 シーブック「ああ、みんな用事があるとかで出かけてるんだよ」 シン 「ふーん……まあいいや、こたつこたつ……」 ウッソ 「冬はやっぱりこたつですね」 アムロ 「と言うか、やはりウチのこたつは規格外の大きさだな、こうして改めて見ると」 シン 「まあね。でも人が少ないとのんびりくつろげていいなあ」 ウッソ 「そうですねー……」 アムロ 「……」 カミーユ 「……」 ジュドー 「……」 シン (うとうと……) カミーユ 「(キュピーン!)なんだとジュドー!?」 ジュドー 「(キュピーン!)そっちこそ! やんのかコラ?!」 シン 「うわぁ、な、なんだ、どうしたんだ急に!?」 カミーユ 「(キュピーン!)……なんだ、そういうことか」 ジュドー 「(キュピーン!)悪い悪い、勘違いしてたみたいだ」 シン 「え、なに、なにがどうなって」 シーブック「(キュピーン!)ああ、そのことに関してはさ」 ウッソ 「(キュピーン!)なるほど。やっぱり工科の学生ともなると知識量も違うんですね」 アムロ 「(キュピーン!)こんなのはどうだ?」 シーブック「(キュピーン!)ああ、さすがアムロ兄さん」 ウッソ 「(キュピーン!)なるほど。この方がいいですね」 アムロ 「(キュピーン!)ははは、ここでマイがいたらこうなってるんじゃないか?」 シーブック「(キュピーン!)はは、そりゃあんまりだ」 ウッソ 「(キュピーン!)そうですよ、いくらマイ兄さんでもここまでは」 シン 「……」 シン 「……あのさ、俺たちってホントに兄弟だよな?」 キラ 「ど、どうしたの急に!?」 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ ガンダム一家 ガンダム家 キラ・ヤマト シン・アスカ ニュータイプ
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これはubuntuでのお話。 昔は右だったのになんで左にしたんだろう? 変更の仕方は以下のとおり。 ターミナルで、gconf-editorと入力。 (editorが立ち上がる) /apps/meacity/generalのbutton_layoutの値を変更する。 defaultの値は close,minimize,maximize これを menu minimize,maximize,close とすればいい。
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「徳江さん、アメリカ支部ってのはどこにあるんですか?」 「デトロイトだ。 あそこは第2の豊田市と呼ばれるほど機械工業が発達していて、民間人でも自衛のために 体をサイボーグ化しているものもいる。 エクソシストは9割方装備型で最先端の物をつかっているから油断はするなよ。」 「はい!」 二時間半ほどブロードウェイを走ると、支部に到着した。 「ここって……」 「あぁそうだよ。 教会だ」 荒野のど真ん中に、ドでかい城が建っていた。 「なんつー場違いな…」 「この支部は他と違って特殊でな。 教祖の水沢をトップとした宗教団体のようになっている。 エクソシスト界でも異端視されていて、最も特異な派閥のうちの一つでもある。」 「気を付けなきゃな。 教祖はサイボーグみたいなやつなのかなぁ」 「それが、信者はほとんどが装備型イノセンスなのに対し、水沢は寄生型らしく、能力も 未知のままだ。 だから私たちもいままでなかなか手を出せなかったんだ。」 「なるほど。 まぁ考えてみたらおれと徳衛さんならだれが相手でもヨユーですってえ!」 「はあぁ。 さぁ行くぞ! 気合い入れろッッッッ!!!」 「ウェイッッッッ」 扉の前につくと徳衛は目で第一部隊に合図して、扉を爆破した。 「とっっっつにゅう!!!!!」 合図と共に三つの部隊、総勢300人が教会に雪崩のように人一人がやっと通れる大きさ の扉へ押し掛けた。 中にはゆうに1000人を超える信者が全裸で文字通り『一つ』になっていた。 老若男女問わず全員が互いに肩を組み噛み合い触り合い刺しあい巨大な1つのやぐらを作 っていた。 その上に立っている、プロテスタントの礼服のようなもの着ているその男… 「なんですか騒々しいですねぇまったく。」 短いおかっぱヘアーにベルトに乗っかったたっぷりとした腹。 それになにより大きくつぶらな鋭い眼。 「あれが…水沢…」 がっきーは水沢の目力に気圧され後退りする。 「あぁ。なるほどなるほど。 間所の所のやつらだな? なるほどなるほど」 余裕たっぷりにそう言うと唇を捲りあげニヤリと笑った。 徳江は凡小な頭で少し考えた (ハッタリかけるか…) 「いやぁ、なになに。 実は手を組もうと考えておりましてね。 なにせこの支部はエクソシスト本部からの扱いも他の支部に比べて悪いとか… 特別な力に特別な思想を持っているからってそれではあんまりじゃあありませんか。 ですからエクソシストどもに従うのはもうやめなさい。 そこで協定を結ぼうと……」 「嘘だな」 キラリと水沢の目が光った 「な、なぜ嘘と…?」 驚きのあまり大きく目を見開く徳江。 「俺に嘘は通じないんだよぉ だろぉ? さぁ、じゃあ始めましょうか。」 そう言ってすべるように間所軍の兵士達の間に入り込むと 「おれぇぁね、こうみえても学生時代… 空手やってたんですよッ!」 その言葉と共に懐に隠し持っていたバドミントンのラケットを兵士の腹に打ち付けた。 「今は女バドの顧問なんですけどね。」 腹を打ち付けられた兵士を中心に円のような衝撃波が生まれ一気に50人ほどの兵士が倒 れた。 「やはりただものじゃないですね、あなた…」 水沢は技を決めると一瞬ドヤってしまうのだ。 その一瞬の隙をつき徳江が水沢の腹にねじりスクリューを差し込んだ。 「???」 しかり完全に刺さったかと思われた徳江の指は水沢のたぷたぷの腹に跳ね返された。 「学生時代腹に回し蹴りくらった事あるんですよ。 引退のきっかけになったその腹へのダメージ、痛み… その対処法として腹に肉と水を貯めて弾力をもつように育てる事にしたんですねぇ、えぇ 。」 懲りもせずドヤ顔をする水沢。 「おれを忘れてるみたいね」 水沢が下を見るとガッキーが水沢の腹に深々と磨螺鉈を突き刺していた。 ブッパァァァァァンっッっッつシャーーーー 破裂した水沢の腹から体液が飛び散りガッキーに降り注ぐ。 「なぜだっ、刃物であろうとも俺の腹に通じるはずはないっ!」 「俺の磨螺鉈は少しばかり手を加えてあるんですよ。 ギャッツビーのワックスを塗り込む事によって、硬度、切れ味、貫通力を格段にあげる事 ができるんですよ。」 「クッソッッッッッ」 最後の力を振り絞り水沢はガッキーの脳天目掛けて正拳突きを繰り出した。 バッギャギャギャギャ 弾けとんだのはガッキーの脳みそではなかった。 弾けたのは水沢の右手から肩にかけて… 「ぐぬぬぬわぁぁぁ 貴様…まさか…」 「そう、もちろん髪の毛にも塗ってありますよ… ギャッツビーのヘアワックス」 「ふんぬぁぁぁぁぁ し、シンクロリーディングッ!!!!!!!!」 水沢がそう叫ぶと10人ほどの信者が水沢のもとへかけよる。 そして水沢を教会の台座の上へのせた。 「えんち来いッ!」 「やだ」 水沢が全幅の信頼を置いているえ○ちは水沢を裏切った。 「ええぃ、だれでも良いから来い!」 すると一人の男が水沢のもとへ駆け寄り、隣に仰向けに寝そべった。 水沢はその男の乳首に吸い付き、円を描くようにゆっくりとスライドさせる・・・・・ 丹念に乳輪を舐め回し、右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左・ と、交互に繰り返す。 「ひぃぃぃん!ふひぃぃぃぃぁぃぃんっ!」 悶えよがる信者の男。 ぴんぴんにせり上がる乳頭、唾液にまみれてテカる胸元。 「下ごしらえはこのへんにしておこう。」 荒くなった息づかいを整えて 「では始めよう、 シンクロリーディング…フォレスト第286章、『ニプルファック』!!!」 と叫び自分のイチモツをしごきだした。 「たってからじゃないとシンクロリーディングはできませんからねぇ」 高く固く太くなっていく水沢ジュニア。 水沢はジュニアを信者の右乳首にあてがうとゆっくりと……… ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ 「ひぎゃゃゃゃゃああわわばばばばばば」 乳腺は破裂し血が溢れ出てきた。 水沢は腰を振り始めた。 徐々に激しくなる水沢の腰 ピッッタァァァーん!ピッッタァァァーん!ジュプ、ジュプ、ジュッップ、ジュッップ、 ピシャッーー はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ! はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ! べっちーーーっん、べっちーーーっん、べっちーーーっん、べっちーーーっん! 一心不乱に腰を振り続ける水沢・・・・高みへと駆け上がる時が来た! 「いいかぁぁぁーーーー!全力で受けとめやがれぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!! !!!!」 プッッッッッッッッッッッッッッッシャーー!ドベァジョアァァァァーーーーー!!!! !!!! 次の瞬間、大きな爆発が起こり、周囲にいた水沢信者、間所兵の大半の命を奪った。 砂煙の中、水沢は何やらぶつぶつと呟いていた。 そして、誇らしげな表情して、姿を現した水沢。 ジュニアは異様なほどに黒光りし、禍々しいオーラを放っていた。 「図に乗るなよ、間所。 そろそろ、俺のイノセンス、『フォレスト』の真の力を見せてやる。 開門!!!」 すると、周りにいた信者たちの股間についていた機械仕掛けの肉棒たちが、ヒュンヒュン ッと水沢ジュニアのもとへ集まってゆくではないか!! 「うぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」 ジュニアの黒色がじわじわと水沢の頭から爪の先までを染め上げた。 そして、水沢の体には何百もの肉棒がムクムクと生えてきた。 「うっうぼろろろろうぇにッッッび!!」 あまりの気持ち悪さにあきのりは嘔吐した。 徳江は恐怖のあまり、眼鏡をカタカタ震わせながら失禁している。 えんちは失神している。 「フォレストは名の通り、『森』なんだよ! そう、他のイノセンスを自分の体に集めることができる! すげぇだろ?だろぉ? しかも、それだけじゃない… その集めたイノセンスが寄生型と装備型だったらどうなるか… そう、そのどちらでもなく、新たな力が生まれる。 私のフォレストしか成し得ない力なのだよ! 野呂、貴様は確かこう言ったなぁ? 私たちが『エクソシストに従ってる』と… バカめッッッ!!! 私は、“装備型”、“寄生型”両方の力を得て、エクソシストというものを“超越”して いるのだよ! そう、私の力は“無限大”… “信じる者のみが救われる”ッッッ!!!!」 そうすると、水沢は体中のイチモツをミサイルのように全発射した。 発射されたイチモツは間所の手下の心臓を次々と貫いてゆく。 「フハハハハッ!!! 私に歯向かうものは全てこうなる!!! だろぉ?だろぉ?w フハハハハッ」 あきのりはギャツビーでコーティングした頭と磨螺鉈を駆使し、自らの身と、すくみ上が っている徳江をなんとか守っていた。 そして、徳江をなんとか安全な物陰へと移す。 「(俺がなんとかしなきゃ…)」 あきのりは決心した。 「フッハハハハブフッッッ!!!!」 高らかに笑い続ける水沢。 あきのりはその隙を見計らい、降り注ぐペニスミサイルをかいくぐり、水沢の背後へと回 り込んだ。 「全発射したのが仇になったな… くたばれぇぇぇぇええ!!!!」 そういうと、あきのりは磨螺鉈で水沢を真っ二つに切り裂いた。 「フッ…フッハハハハ!! 若ぞうよ、残念だったな。 それは私の“影分チン”だ。 さっきはよくも私の大事な右腕を剥いでくれたな。 この恩きっちりと返させてもらうぞ!!!」 気がついたときにはもう遅かった… あきのりの胸部は水沢の掌底により貫かれていた。 「(グッ…ここまで…か…)」 あきのりは意識を失った。 ~~~~~~~~~~~ 「あら、大丈夫?…」 目が覚めるとあきのりの目の前には茂子がいた。 どうやらバーに戻っていたようだ。 奥から間所がやってくる。 「まだ早かったみたいだ…」 間所はところどころ負傷していた。 「あきのり、徳江… 昨日で、私たちは自分たちの非力さを実感したハズだ… まだだ… さらに力をつけなくてはならない。 計画は二ヶ月先延ばしだ。 いいな?…」
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批判サイド 資料集 互いに矛盾する陰謀論を信じること 互いに矛盾する陰謀論を信じること University of Kentの心理学者Karen Douglasたちが、「権力が邪悪な目的を推進するために、巨大な欺瞞を行っている」という中心的な考えによって、陰謀論者が互いに矛盾する個々の陰謀論を支持する傾向があることを示した。 [ [Wynne Parry Contradictions Don t Deter Conspiracy Theorists http //www.livescience.com/18171-contradicting-conspiracy-theories-mistrust.html? (2012/01/27) on LiveScience ] 理論の矛盾は陰謀論者を思いとどまらせない ダイアナ妃は世間の目を逃れるために自らの死を偽装した? あるいは英国シークレットサービスのゴロツキに暗殺された? もし、これらの一方の説に同感するなら、たとえ、一方の説がダイアナ妃の生存を、もう一方が死亡を主張していても、両方の説を受け入れる可能性が高まることが、新たな研究でわかった。 ひとつの陰謀論を信じる人は、別な陰謀論も同様に支持する傾向にあることが知られている。しかし、新たな研究は、たとえ複数の陰謀論が互いに矛盾していても、同様の傾向にあることを示し、その理由を提示している。 「それらの説は、『権力は我々から情報を隠蔽している』という、ある種のカバーアップが存在するという包括的な説によって説明されている。これらの説を信じているのは、人々が騙されやすく、愚かだからではない。それらの説がすべて、ひとつの同じ説明にフィットしているからだ」と、この研究を行った、英国University of Kentの心理学准教授Karen Douglasは言う。 2つの実験の一つめで、Douglas准教授と共同研究者たちは、137名の学生に対して、1997年の自動車事故によるダイアナ妃の死亡にまつわる5つの陰謀論を、どれくらい信じるか尋ねた。 「ダイアナ妃が暗殺されたというい考えを支持する学生ほど、ダイアナ妃が生きているという説を支持する傾向が見られた。そして、ダイアナ妃が暗殺されたとは考えにくいという学生ほど、ダイアナ妃が生きているという説を支持しない傾向が見られた」とDouglas准教授は述べた。 彼らはまた、昨年のオサマビンラディンの死亡について、102名の学生に質問した。学生たちは次の趣旨の文について、どれくらい支持するか回答した。「ビンラディンは米国の襲撃で死亡した」「ビンラディンは生きている」「ビンラディンは襲撃前に死亡していた」「オバマ政権は襲撃についての情報を隠蔽している」 ここでも、「ビンラディンは襲撃前に死亡していた」を支持する学生ほど「ビンラディンは生きている」を支持する傾向が見られた。統計解析により、これらのリンクは「オバマ政権は襲撃についての情報を隠蔽している」を通じて説明できることを、研究者たちは示した。 研究チームによれば「権力が邪悪な目的を推進するために、巨大な欺瞞を行っている」という中心的な考えによって、陰謀論者が互いに矛盾する個々の陰謀論を支持するようになっている。 研究者たちは「ビンラディンが今も生きていると信じることは、ビンラディンが何年も前に死亡していることを信じることの妨げとはならない」と、水曜日(2012/01/25)にocial Psychological and Personality Scienceに掲載された論文で述べている。 まったく矛盾する陰謀論を支持できるかどうかは不明だが、何らかの陰謀論を支持する人は「権力が邪悪な目的を推進するために、巨大な欺瞞を行っている」と矛盾しない陰謀論はすべて支持できてしまいそうである。 なお、以下は原論文のイントロダクションの訳である。 イントロダクション 陰謀論は「強力な人々あるいは組織が秘密裡に協調して何らかの(通常は不吉な)目的を達成するために提案されたプロット」と定義されている[Coady, 2006; Douglas Sutton, 2008; Goertzel, 1994]。現代の人気の陰謀論には、「9/11攻撃が米国政府内の分子によって立案・遂行された[Ky 2011]」や「自閉症とワクチンの因果関係の証拠が悪徳医療業界によって隠蔽されている[Goertzel, 2010]」などがある。陰謀論の定義は間違っているかどうかにはよらない。実際、長年にわたり、本当の陰謀が白日もとにさらされてきた。民主党全国委員会本部での強盗にニクソン大統領の関与しているという疑惑は、一見風変わりな陰謀論として始まったが、真実であることが判明した[Bale 2007]。しかし、陰謀論の信念は、たとえ誤りだった場合でも、反証に強力に抵抗し、棄却された証拠の新たな断片を合理化すべく新たな陰謀の層を加えて、退化的研究プログラムとなる[Clarke, 2002, p. 136]。 新しいメディアの成長によっても拍車をかけられた陰謀論は、主要なサブカルチャー現象となった。この変化を学界は見逃していない。最近十年間に、陰謀論を信じることについての心理学研究が爆発的に行なわれてきた。これらの研究の多くは、個々の陰謀論信条の相関に関心を集中させてきた。そして、陰謀論の心理学研究が、もっとも一貫して見つけてきたことは、ある特定の陰謀論を信じる者は、たとえ表面上は無関係な陰謀論も信じる傾向があることだった[Douglas Sutton, 2008; Goertzel, 1994; Swami, Chamorro-Premuzic, Furnham, 2010; Swami et al., 2011]。たとえば、「米国政府が9/11攻撃の背後にいる」と信じる者は「ダイアナ妃が意図的に殺された」と信じる傾向がある。この陰謀論信条の連鎖について「ひとつの陰謀論が別の陰謀論の補強になっている」という説明が提唱されている[Goertzel, 1994]。加害者はそれぞれのケースによって異なる可能性があるにもかかわらず、ひとつの巨大で邪悪な陰謀が完璧に近い秘密裡に実行できるという事実は、同様なプロットが多く存在する可能性を示唆している。時間とともに、「世界が陰謀によって支配されている」という見方は、「あらゆる出来事について、陰謀がデフォルト説明になる」という「単一論理信念体系」として知られる「相互支援ネットワークの中で、複数の信念が一体化する、単一かつ閉鎖的世界観」へとつながっていく[Clarke, 2002; Goertzel, 1994; Swami et al., 2010, 2011]。 しかし、いくつかの陰謀論は、明らかに相互に支持していない。実際、多くの陰謀論はひとつの出来事に対して、矛盾する説明を与えている。複数の陰謀論の間にある矛盾が本論文の対象である。たとえば、ダイアナ妃死亡についての陰謀論は幅広くある。MI6に殺されたという説もあれば、Mohammed al-Fayedの商売敵により殺されたという説もある。さらにはダイアナ妃の死亡は偽装だと主張する者もいる。陰謀論を信じるオブザーバーは、これらの相反する陰謀論の存在とどう折り合いをつけるのだろうか? もし、複数の陰謀論が直接的に合致しているが故に、複数の陰謀論信条に相関があるのだとするなら、相互に排他的な陰謀論の間には相関は見られないはずである。 本研究では、我々は、「陰謀論支持者の信念体系が、一貫性がない個々の陰謀論の間の直接的な関係」によってではなく、「個々の陰謀論が世界についての高次の信念と合致している」ことによって駆動されているか判断しようとしている。たとえば、「権力は大衆に対する意図的欺瞞を行っている」という考えは、複数の陰謀論の中心であるため、陰謀論者の思考の基礎となる。非常に多くの陰謀論を信じている人々にとって、権力が根本的に欺瞞的であると考えるのは自然であり、そのような信念と照らし合わせれば、新たな陰謀論は尤もらしく見えるだろう[Read, Snow, Simon, 2003; Simon, Snow, Read, 2004]。実際、上述の自閉症/ワクチン関連性や、9/11政府工作のような陰謀論は、いずれも、その中心的な命題のまわりに展開されている。同様にダイアナ妃がMI6あるいはMohammed Al-Fayedの商売敵に殺されたと信じる人々は、カバーアップが両方の陰謀論を支持している(また逆に、両方のイン簿論の存在がカバーアップを支持している)と考えている。しかし、その2つの陰謀論(MI6あるいはMohammed Al-Fayed)は矛盾している。そのような矛盾は、より広い陰謀論者の世界観と整合していることによって解決され、両方の陰謀論を支持することになるのだろうか? ステレオタイプ化に関するいくつかの論文は、強く保持している世界観との整合性は、個々の信念の間の矛盾を解決するのに十分でることを示唆している。Adorno, Frenkel, Brunswik, Levinson, Sanford [1950]は、ユダヤ人に関する相矛盾する2つのネガティブなステレオアイプの支持に強い相関を発見している。きわめて偏見の強い被験者たちは「それら2つを、あまりに一般社会から乖離していて、あまりにも熱狂的である」と見ていた。Adornoは、この矛盾する認識が、ステレオタイプと自己矛盾と破壊性に反映している、相対的に盲目的な敵対性に根差すものだという考えを提唱した。それらの矛盾した性質にもかかわらず、ユダヤ人に対するネガティブな認識という、一つの共通する要素によって、2つのステレオタイプの両方ともが信頼できるものになり、強い正の相関をもたらう。同じことが、矛盾する陰謀論に対しても成立するかもしれない。陰謀論を主張する人々は、あまりに強く政府の公式説明に不信を持っているので、互いに矛盾していても、多くの陰謀論を支持できるのかもしれない。 全体的なコヒーレンスが局所的な矛盾を解決するという現象は、おそらく社会影響におけるThagard]1989]の説明的コヒーレンスモデル(ECHO)の文脈でもっともよく理解できる。説明的コヒーレンス理論では、説明とアクター及びイベントについて個々の証拠をコヒーレントであるか否かで特徴づける。これらの要素はコネクションネットワーク上のノードとして表現される。証拠ノード及び高次知識構造[Read, 1987]からのアクティベーションは、様々な説明へと流れ、コヒーレントであるか、矛盾しているかに依存して、それらの説明を励起あるいは阻止していく。この励起と阻止のプロセスは、システムが安定平衡状態になるまで続く。その時点で、最もアクティベートされた説明が採用され、そうでない説明は棄却される。アクティベーションは逆にも流れることも示されている。証拠や高次の知識構造の変化が説明認識を変える一方で、ネットワークに出現した結論が証拠の認識や広い世界観を変化させる[Read et al., 2003; Read Miller, 1993]。 たとば、ある人が強く陰謀論に傾倒していて、多様な陰謀論を強く信じているとしよう。権力が根本的に欺瞞的であるという見方と、すべての陰謀論はコヒーレントであり、それらからのアクティベーションの流れは、それら自体が強く保持された確信になるまで続く。新たな陰謀論が提示されると、それは強く保持している見方と合致し、権力の公式見解と不一致なので、ただちに信頼できるものだと見える。そのような高次の信条はあまりに強いため、既に信頼できると思っている陰謀論と矛盾していても、陰謀論者の世界観を持つ者から推奨されれば、権力の公式見解と反対の立場にある陰謀論を支持する。言い換えるなら、社会的説明への説明的コヒーレンスなアプローチの自然な帰結は、「敵の敵は味方」という原則の具現化である。 これは確かに、Heider[1958]の心理バランスの理論に直接的に見られる原則であり、説明的コヒーレンスと共通の基盤を共有している。心理バランスの理論では、対象物あるいは社会的アクターについての認識は、既に評価を定めている他のアクターとの関係性に影響を受ける。たとば、既知の信頼できる情報源から推奨された新製品についての人々の評価は、その信頼できる情報源がポジティブに評価していれば、ポジティブなものになり、ネガティブな場合はネガティブになる。陰謀論の場合にも、同様のメカニズムが働くと我々は提唱する。権力を欺瞞的なものと見ている場合、さらにはおそらく積極的に悪意を持っていると考えている場合、権力が推奨する説明は信用できないものに見える。一方、これに代わる説明は最初から信頼できるものに見える。説明的コヒーレンスは、心理バランスの理論が基礎とするゲシュタルト原則の多くを自然に起動するものであることを示している[Read et al., 2003]。また、心理バランスの理論が陰謀論信条の研究に使えることをInglehart[1987]などが指摘している。 従って、我々は「陰謀論の支持の世界観を持つ人々は、世界の出来事の説明にあたって、権力の欺瞞を前提とし、メインストリームの説明に反する、いかなる理論にもほぼ合意する」と予測する。この関連性は、「世界が陰謀によって支配されているという見方をしている人々が、同じ話題について相矛盾する陰謀論を支持する」ことを予測する。Adorno et al[1950]が相矛盾するステレオタイプの間に正の相関を発見したように、我々は同じ出来事についての相矛盾する陰謀論の支持について正の相関を見出すことを予測する。たとえば、ダイアナ妃やオサマビンラディンなど、人の死亡についての陰謀の中心にいる人物が権力の欺瞞を伴う形で殺されたと信じる人は、その人物が生存しているという陰謀論を信じる傾向がある。 [ Michael J. Wood, Karen M. Douglas, and Robbie M. Sutton "Dead and Alive Beliefs in Contradictory Conspiracy Theories", Social Psychological and Personality Science published online 25 January 2012, DOI 10.1177/1948550611434786 ]
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「何かさ、不毛って気がしてきた」 私はつい口にしてしまう。 気を悪くするかと思ったけど、和は微笑んだままで私の言葉に頷いてくれた。 「やっぱり情報が足りなさ過ぎるわよね。 情報不足でいくら推論を組み立てたって、真相に辿り着けるはずも無いわ。 昨日、律が資料を集めてきてくれなかったかしら?」 「すみません、真鍋生徒会長」 「それは冗談としても、とにかく推論は推論のままにしておくべきでしょうね。 可能性を論じる事は無駄じゃないけど、それに囚われ過ぎるのは無駄だと思う。 それに今はこの状況の原因より、これからどうするかの方が大切よ」 和らしからぬ発言だと思った。 何でも原因を確かめてから、その後に対策を立てるのが和の性格だと思ってたからだ。 首を傾げながら私がそれを訊ねると、和はまた軽く笑った。 「時と場合によるわよ。 情報が足りないわけだし、何にせよ、今はこの状況に適応するのが第一よ。 いずれは真相を明らかにしたくはあるけど、 真相を知った所でどうしようもない事もあるじゃない。 この状況に適応出来てない内にそんな真相に辿り着いてしまったら、 少なくとも私も冷静でいられる自信は全く無いわ」 「恐い事をさらりと言うよな、和も。 勿論、考えておかなきゃいけない事だと思うんだけどさ……。 でも、知った所でどうしようもない真相ってのは、例えばどんなのなんだ?」 「勿論、これも可能性なんだけど、こういうのはどうかしら? 私達はもう死んでいて、この世界は三途の川みたいな世界。 この世界は生前の罪や穢れや煩悩なんかを洗い流すための禊ぎの空間なのよ。 この世界での生活が何らかの形で終わった時、 私達は一つの生をやっと終えて、新しい輪廻の円環に至る……とか」 「うわっ……。 そりゃ確かに縁起でもないし、どうしようもないな……」 私が呟くと、「勿論、可能性よ」と和は付け足した。 可能性なのは私も分かってるけど、 その可能性が間違っていないとも言い切れない。 それは頭の片隅ででも、考えておかなきゃいけない事なんだ。 でも、まあ、今はまだいいだろう。 まずは和の指摘通り、私達がこれからここでどうやって生きていくかを考えるべきだ。 その答えは私にはまだ出せそうもないけど、 和に考えてもらいながら、少しずつ話し合っていければいいと思う。 にしても……。 私は感心して和に声を掛けていた。 「色んな可能性を考えるよなあ、和も。 流石は頭脳労働担当ってか?」 「律達に動いてもらってる分、色々と考えておかないと申し訳ないもの。 それが私に出来る事だものね。 でも、出来ればたまにでいいから律達にも考えてほしいわ。 私の頭は固い方だって自分でも思うのよ。 試験とかの決まり切った答えなら出せるけど、柔軟な発想じゃ唯達にはとても敵わないから」 「唯の発想と比べたら、誰の脳味噌も筋肉みたいなもんだと思うけどな……」 「それでも、よ。 唯ほどでないにしても、律も私には思いも寄らない発想をしてるもの。 そして、その発想を実践する行動力もある。 唯も発想力はすごいんだけど、突拍子が無さ過ぎて実践出来ない事があるものね。 だからね……、本当に頼りにしてるわ、律」 なるほど……。 和が私を頼りにしてるのは本当らしい。 その期待に応えられるかは分からないけど、出来る限り応えたいな。 私は親指を立ててウインクをして言ってみせる。 ウインクは苦手だけど、それは放置の方向で。 「頼りにされついでに、一つ私の推論を和にお聞かせしようじゃないか。 そうだな……、この世界から生き物が消えたのは火星人の仕業ってのはどうだ? UFOで皆をキャトってったんだよ」 「キャトってって……、キャトルミューティレーション? キャトルミューティレーションは家畜の事を指すから、 正確にはヒューマンミューティレーションになるわね……。 その可能性も無いとは言い切れないけど、 実際に火星人の仕業だったら律はどうする気なのよ? UFOを見つけ出して殴り込みでも掛けるわけかしら?」 「モチのロンよ! 私達の戦力では無理なんて心配はノープロブレム! 私達には音楽があるからな! 音楽で殴り込むぜいっ! 知ってるか、和? 火星人は音楽を聞くと頭が爆発して死ぬんだぜ?」 「あったわね、そんな映画……。 あ、でも、唯達はいいとしても、律とムギはどうするのよ。 ムギはキーボードを首から掛ければどうにか移動も出来るだろうけど、 律の方は流石にドラムを自由に持ち運ぶのは、やっぱり無理なんじゃないかしら」 「それもノープロブレム! ドラムを身体中に巻き付け、背中に背負って移動してやるからな!」 「何、その雷様……」 ◎ 時間は少しだけ前の話になる。 真夏の朝、私が一人で屋上を訪れていたのには、深いようで浅い理由があった。 そもそも自分でも真夏に屋上で佇むなんて、 風流どころか熱中症を心配したくなるけど、何故だかあまり暑さは感じなかった。 暑いはずなのに、暑さをあんまり感じないんだよな。 それは精神的な問題なんだろうか。 それとも本当に体感温度が下がってるのか? そういや、ヒートアイランド現象って言うんだっけ? クーラーやら何やらの排気熱のせいで、都市全体の温度が上がっちゃう現象の名前って。 今の状況、少なくともこの町では誰一人クーラーを使ってないはずだ。 私達も含めて、だ。 人が消えてから、ほとんどの電化製品は全く動かなくなった。 難しい話じゃなくて、単純に町全体に電気が通ってないだけだ。 だから、使いたくてもクーラーなんて使えないんだよな。 そういう意味で町全体の温度が下がっちゃった……、ってのはあるのかな? まあ、どっちでもいいか。 とにかく、電気が通ってないわけだから、電灯だって点かない。 そのせいもあって、何と私達は昨日は午後の九時に消灯……、じゃないや、就寝した。 九時だぞ、九時。 健全な女子大生が眠っていい時間じゃないよな。 でも、電灯が点かないんじゃ、 テレビゲームどころかボードゲームも出来なかった。 自宅や学校から集めてきた蝋燭を無駄遣いするわけにもいかない。 電池で動く電化製品は動くみたいだけど、 電池を消耗させてまで遊ぶ気力も度胸も残ってなかった。 結局、私達はそれぞれに寝る事しか出来なかったわけだ。 ちなみに全員がまとまって寝るのも手狭だろうって事で、 ひとまずの間だけど、私達は二つのグループに分かれて眠る事になった。 生徒会室で眠る事になったグループが私、和、梓、純ちゃん。 軽音部の部室で眠る事になったグループが唯、憂ちゃん、ムギ、それに澪だ。 勿論……、って言うのも変な話だけど、 私と澪が違うグループになった事は、梓と純ちゃんに心配された。 特に純ちゃんが必死な表情で、私を説得しようとしていた。 「澪先輩と一緒じゃなくていいんですか? よければ私が澪先輩と変わりますよ!」 って、そう申し出てくれた。 それだけ私達がいつも一緒に居るって思われてるんだろう。 一緒に居なきゃいけないんだって。 それはとても嬉しかった。 純ちゃんは本当に優しい子だ。梓と親友なのも納得出来るよ。 私はそんな純ちゃんに感謝しながら……、でも、ちょっと卑怯な事を言った。 「別に澪と一緒じゃなくても大丈夫だよ。 それとも、純ちゃんは私と一緒のグループが嫌なのか?」 我ながら卑怯な言い方だったと思う。 そんな事を言ったら、純ちゃんの方が引き下がるしかないって分かり切ってるのにさ。 予想通り、純ちゃんは「そんな事ないですけど……」と残念そうに引き下がってくれた。 気を遣ってもらいながら、純ちゃんには本当に悪い事をしちゃったと思う。 でも、今はまだ、面と向かって澪と話せそうになかった。 家に閉じこもろうとした澪の事を怒ってるわけじゃない。 澪の気持ちはよく分かるし、出来る事なら支えてやりたい。 だけど、澪に掛けられる言葉が見つからないんだ。 何を言っても、わざとらしい気休めになっちゃいそうな気がしてる。 私が澪に掛けたい言葉はそんな気休めなんかじゃない。 いや……、ひょっとしたら、気休めでもいいのかもしれなかった。 気休めでも何でも、とにかく澪に言葉を掛けるべきなのかもしれない。 少しずつ言葉を掛けていく内に、 本当に言いたかった言葉が見つかるものなのかもしれない。 頭では分かってるつもりだ。 それでも、身体と……、心が動き出せないんだ。 頭の中で見つけた言葉を喋ろうと口を開いても、 うるさく響く心臓の鼓動が、一瞬で私の言葉を消して口を閉じさせる。 恐いんだと思う。 澪を失うのが恐いんだ。 澪だけじゃない。 唯も、梓も、ムギも、和も、憂ちゃんも、純ちゃんも……。 皆を失うのが恐くてどうしようもない。 当然だけど、誰かを失うのはいつだって恐い。 大切な人達を失くしたくない。 こんな状況じゃなくたって、恐いに決まってる。 でも、今の世界がこんな状況だから、余計に私は動き出せなくなってる。 下手な事を言ってしまって、もしも誰かから少しでも拒絶されてしまったら……。 私はそれに耐えられる自信が全然無い。 今だって不安を必死に押し殺してるのに、 これ以上誰かを失ってしまうなんて、考えただけで身体が震えるのを感じる。 世界に私達以外誰も居ないこの状況。 こんな状況で仲間を失ってしまったら、その先にあるのは完全な孤独だけじゃないか。 馬鹿みたいだって自分でも思う。 『完全な孤独』だなんて、思春期の中学生かよ……。 私はもう大学生なんだぞ? 自分が誰からも愛されてるって考える事と同じくらい、 自分が誰からも拒絶されてるって考える事は馬鹿な事だって知ってる年頃だろ? そう思うのに、やっぱり動き出せない自分はまだ本当に子供だ。 少しは成長出来たつもりだったのに、本当に私はまだまだだ。 高校三年間、どうにか軽音部の部長をやり遂げられたと思ってたのにな……。 そんな事を考えてたせいだろう。 休みの日はかなり寝入っちゃう私なのに、今朝に限って早く目が覚めた。 寝袋の中から身体を引きずり出して、 家から持ってきた目覚まし時計に目を向けると、まだ六時にもなっていなかった。 勿論、早寝のせいもあるんだろうけど、 こんな早い時間に目を覚ますなんて滅多にない事だ。 周りを見回してみると、和と梓はまだ眠っていた。 和と梓は静かな寝息を規則正しく立てている。 でも、梓の隣の布団で寝ていたはずの純ちゃんの姿が無かった。 布団だけ残して、純ちゃんの姿は影も形も見当たらない。 部室の方にでも行ったんだろうか? 私もちょっと校内を散歩しようかな……? そう思いながら、生徒会室の扉を開いてみて……、私は息を呑んだ。 廊下、生徒会室から少し離れた場所に、純ちゃんの変わり果てた姿が転がっていたからだ。 昨晩、一緒に寝ていた時とは、明らかに違っている純ちゃんのその姿……。 髪型は無惨に乱れ、可愛いデザインのパジャマも見る影もなく……。 「純ちゃん……!」 小さく叫んで、私は廊下に転がる純ちゃんに駆け寄る。 駆け寄りながら、多くの事を一瞬で考える。 一体、何だってんだよっ? 誰も居ないはずのこの世界に、エイリアンみたいな奴でも居たってのか? エイリアンが純ちゃんを襲ったってのか? この世界から人を消したのもそいつ……? もしかすると、そいつは私達を一人ずつ狩るために世界をこんな風に……? 今もそいつは何処かで私達を監視して……? ああ、もう、とにかく! 今は純ちゃんだ! 私は仰向けに転がる純ちゃんの頭を抱え、自分の胸元に引き寄せる。 純ちゃんの肌は暖かかった。 でも、暖かいからって、安心出来るわけでもない。 喉から心臓が出そうなほどに緊張し、自分の手が痙攣しているのを感じる。 それでも、私はそれを必死に耐えて、 昨晩とは全く違ってる姿……、 パジャマも纏わず下着だけの姿になってる純ちゃんの異常を探る。 下着だけの姿とは言っても、 寝る前はパジャマだったわけだから、当然ブラジャーも着けてない。 そんなパンツしか履いていない姿の女子高生が、 学校の廊下に転がってるだなんて、そんなのただ事であるはずがないじゃないか。 「純ちゃん……! どうしたんだ、純ちゃん……!」 頭を揺さぶりながら、目を皿のようにして純ちゃんの全身を見渡す。 純ちゃんの裸を見るのは初めてだが、そんな事を言ってる場合でもなかった。 一見した限りじゃ外傷は無さそうだけど、 人は外傷が無くても死んじゃう事だってあるんだ。 もしも純ちゃんに何かあったとしたら、それは年上の私の責任だ。 そうだとしたら、後悔してもし切れない。 無事でいてくれ、純ちゃん……! 不意に。 私の後ろからとぼけた様子の声が響いた。 「あーあ、純ったら……。 あれだけ気を付けてって言ったのに……」 驚いて、私は声の方向に振り返る。 そこには寝ぼけ眼の梓が、呆けた様子で立っていた。 その梓の表情からは、驚いた様子は一切見受けられなかった。 何だよ……。 何を言ってるんだよ、梓は……。 「気を付けて」ってのは何の話なんだ? 梓は何を知ってるってんだ? 学校の中でエイリアンが歩き回ってる事を知ってたってのか? 「律先輩の声で目が覚めちゃいました……。 何があったのかと思ったら……、純のせいだったんですね……。 大丈夫ですよ、律先輩……。すぐ慣れますから……」 梓が何の感動も無く、淡々と言葉を続ける。 背筋が凍る気がした。 こんな異常事態に冷静でいられる梓の事が、心底恐ろしくなってくる。 慣れるってのはどういう事なんだよ。 また何度もこういう事が起こるって言いたいのか? それとも、梓はこういう事を何度も経験してきたってのか? 私は喉から声を絞り出して、 震える身体を抑えながら、掠れた声でどうにか梓に言った。 「大丈夫ってのは何なんだよ、梓……。 こんなのただ事じゃないだろ……。 だって、純ちゃんが……、純ちゃんが……!」 「確かにただ事じゃないですよね……。 純のこの寝相の悪さ……」 「寝相かよ!」 早朝の学校全体を震わせるくらいの声で、私は絶叫した。 朝も早くから申し訳ないが、絶叫せずにはいられなかった。 寝相って何やねん! その私の声で意識がはっきりしたのか、大きな目を見開いた梓が困った様子で囁いた。 「いきなり大きな声を出さないで下さいよ、律先輩。 和先輩達はまだ寝てるんですから、迷惑になりますよ」 「いや、でも寝相って、そりゃいくらなんでも……」 言いながら、恐る恐る自分の耳を純ちゃんの口元に近付けてみる。 耳を澄ませば、すぐに純ちゃんの口元から安らかな寝息が聞こえた。 それはそれは安らかな寝息じゃったそうな。 「本当に寝てるだけかよ!」 「だから、大きな声を出さないで下さいってば。 さっきからそう言ってるじゃないですか、律先輩。 純ってばいつも『気を付けて』って言ってるのに、全然寝相の悪さが直らないんですよ。 人の布団に入ってくるし、人の顔は蹴ってくるし……、 ひどい時は今みたいに寝ながら服を脱ぎ散らかしたりもするんです。 特に昨日はクーラーを使えなくて寝苦しかったんで、 パジャマを脱ぎたい気持ちはちょっと分かりますけど……。 まあ、もう『慣れ』ましたけどね」 「でも、廊下で寝るってのは、寝相にしてはひど過ぎないか……?」 「あ、いえ、寝相と言うのは言葉のあやですよ、律先輩。 多分、純は半分眠ってる状態でトイレに行って、帰り道で力尽きたんだと思います。 ほら、あそこにパジャマもありますし、蒸し暑いから脱ぎながら帰って来てたんでしょうね。 実は純にはよくある事なんです。 前に純の家に泊まった時の話なんですけど、 私と一緒に部屋で寝てたはずなのに、目が覚めたら純は何故か玄関で寝てましたよ」 仕方が無い子ですよね、と付け加えてから梓が苦笑する。 すげー……。 純ちゃんもすげーけど、それに慣れ切ってる梓もすげー……。 そういや、さっき私は今の純ちゃんの髪型を無惨とか考えてしまってた。 何かの事件に巻き込まれたのかと思ってたけど、 こうして眠ってるって事は、今の髪型は単なる寝癖だって事か……。 何か、ごめん……。 無惨な髪型とか考えて、本当にごめん……。 5