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未来の記憶(前編) ◆LKgHrWJock またあの夢を思い出す。 まるで現実の出来事のように熱や匂いすら併せ持つあの悪夢を。 夢の中で彼女は野生の竜となり、人間の集落を襲っていた。 ある者は彼女の吐き出す霧の中でのた打ち回りながら絶命し、 またある者は巨大な鉤爪にその身を引き裂かれて命を落とす。 巨獣と化した彼女の前では老いも若きも男も女もみな一様に 捕食されるべき下等な生物に過ぎなかった。 人としての原形を彼らから奪うことなど、彼女にとっては文字通り“朝飯前”だった。 ――嫌! こんなことしたくない! そう思っているはずなのに、身体が言うことを聞いてくれない。 肉体と精神が完全に分離してしまったかのようだ。 彼女は拒絶の声を上げることはおろか目を閉じることすらできず、 自らの引き起こす惨劇を眺めていた。 そして自分の悲鳴で目を覚ます。夢から覚めても闇の中。自分以外には誰もいない。 物心ついたときからずっと彼女は暗い部屋に幽閉されていた。 眠ることだけを強いられ、悪夢と闇を行き来する。 それが彼女――すなわち神竜族の王女として生まれたチキの幼少期のすべてだった。 何故自分がこんな目に遭わねばならないのか、誰一人として納得のいく説明をしてくれない。 だからチキはこう考えた。 自分がこんなに怖くて寂しい思いをしなければならないのは、あの夢と関係があるのだろう。 あの夢は“本当のこと”だから、つまり自分はいつか野生の竜になって人間を襲ってしまうから、 どんなに泣いても頼んでもこの暗い部屋から出してもらえないのだろう―― そしてそれは真実だった。彼女は真相に気付いていた。 しかし誰にもそのことを話さなかった。 「もう眠りたくない、みんなと一緒に暮らしたい」と泣きじゃくる彼女に 優しい言葉をかけてくれた大好きなマルス王子にさえも。 そんな話をすれば、マルスは不安になるだろう。 人間を無差別に襲うようになるだなんて知られたら、嫌われてしまうかもしれない。 マルスおにいちゃんに嫌われたらまた独りに戻ってしまう。 そう思うと、自分の抱える不安や恐怖を正直に打ち明けることなどできなかった。 でも、別にそれでも構わなかった。マルスのそばにいるときは、あの夢を忘れることができた。 マルスに「大丈夫だよ」と言われただけで、未来の自分が書き換わる。 理屈ではない。この人が言うのだから本当にそうなのだろうと純粋に信じることができる。 チキにとってマルスとはそのような存在だった。 しかし今、チキの隣にマルスはいない。 この世界に召喚される直前まで、彼女はアカネイアパレスにいた。 傍らにはマルスがおり、「もう少しで<封印の盾>が完成するよ」と彼女に笑顔を向けたのだった。 <封印の盾>が完成すれば、これからもずっと一緒に暮らせるとマルスは言った。 <封印の盾>が完成すれば、あの夢とは違う未来が自分に訪れるのだとチキは理解した。 ――マルスおにいちゃん、ありがとう! そう言おうとした次の瞬間、チキは暗闇の中に立っていた。 彼女は絶望した。泣くことはおろか、声を出すことすらできなかった。 マルスたちと過ごした日々は全て夢で、自分は今もあの暗い部屋に幽閉されており、 外の世界に出ることは未来永劫叶わないのだと思った。 しかし部屋には人がいた。それも一人や二人ではない。 大勢の人間が暗がりにひしめいているのが分かった。 首の辺りに違和感を覚える。 軽く指で触れてみると、身に覚えのない首輪がそこにあった―― ◇ ◆ ◇ 「それを寄越しな。そうすりゃ見逃してやることも考えてやるぜ?」 言いながら、男はチキに向かってゆっくりと足を踏み出した。 腰元には複数の刃物が見える。様々な形状のナイフがベルトから下がり、あるいは差さっている。 その口元は笑っているが、野獣の牙を思わせる凶暴な輝きが暗い双眸に宿っている。 あのときの人だ、とすぐに気付いた。赤毛のお姉さんを襲っていた人だ。 彼の姿を初めて目にしたそのときから“悪い人”と認識してはいたものの、 こうして間近で顔をつき合わせてみると改めて油断のならない相手だと思う。 しかもこの男、言っていることもどこかおかしい。 チキは男の顔を見た。 遠目で見たときはレンツェンとさほど年の変わらない“お兄さん”のように思えたが、 やつれた頬と青白い肌、そしてこの世のすべてを憎悪するかのような険しい表情を見ていると、 彼が一体どれほどの歳月を生きたのかすら分からなくなる。 チキは脳内で男の言葉を反芻した。 ――それを寄越しな。そうすりゃ見逃してやることも考えてやるぜ? チキは首をかしげた。見逃す、とは一体どういうことだろう。 先ほど彼は「怪我のお礼をたっぷりとしたい」と言ってきたが、 怪我を負わされたことに対して感謝するというその発想が理解できない。 それ以前に、このお兄さんの表情は「ありがとう」と言おうとしている人のものとは何か違う気がするし、 自分やレンツェンの行動とこのお兄さんの足の怪我がどう関係しているのかすらも分からないのに、 寄越せだとか見逃すだとか言われても話がまったく見えてこない。 そもそも、感謝しているはずの相手に物を要求するというのは何なのだろう。 分からないことが多すぎる。 知らず知らずのうちに、チキは右腰に下げたガラスの小瓶に手を伸ばしていた。 この臭い液体が何なのかチキにはよく分からないが、 レンツェンに言わせると子供には理解できない良さを秘めたものとのこと。 良いものなら、この局面を打開するための役に立つだろうか。 でもあんな意地悪なことを言うレンツェンの主張する“良さ”なんて―― 「俺を甘く見るなよ?」 凄絶な笑顔で男が凄んだ。 チキではなく、彼女を庇うような場所に立つレンツェンに対して。 レンツェンは崩れ落ちるようにへたり込む。 一体何をされたのだろう。 自分に背を向ける格好で震えているレンツェンの表情や 彼のこうむった被害の実態を確認することはできなかったが、 彼を見下ろす男の残忍な笑顔を一目見てチキは直感した。 男には、レンツェンの内心が手に取るように分かるのだ。 そしてチキには想像することもできないその詳細が、彼のいびつな心を満たしている。 その表情から察するに、この男は自分がとても強くて偉くて大きな存在になったかのような 錯覚に浸っているのだろう。 ――ホントに強くて偉い人は、誰かをいじめたり困らせたりしちゃいけないのに。 このお兄さん、すごく嫌! レンツェンがかわいそう! チキはレンツェンを助け起こすべく駆け寄ろうとした。 男の言っていることはよく分からない、でもこれだけは理解できる。 このお兄さんは、自分やレンツェンに決して優しくしてくれないだろう。 それどころか、意地悪なことばかりしようとするだろう。 彼は赤い髪のお姉さんをいじめていた人だ。そんな人とは仲良くできない。 「女の人をいじめるのは悪いことだよ。悪い人の言いなりになっちゃ駄目だよ」と マルスおにいちゃんだって言うだろう。そう、マルスおにいちゃん。 さっきはあんなことを言ってたレンツェンも実際にマルスおにいちゃんと顔を合わせれば きっとその正しさを分かってくれるだろう。 それにレンツェンはずっとチキと一緒にいてくれたのだ。面白いことを言って チキを沢山笑わせてくれたんだから間違ったことを言ったくらいで嫌いになっちゃ駄目、 マルスおにいちゃんだってハーディンおじちゃんが変になっても嫌いになったりしなかったんだから チキもレンツェンのことを嫌ったりしないでちゃんと助けてあげなきゃ――そう思い、 レンツェンに駆け寄ろうとした。 しかし男が先に動いた。 わずか半歩ばかり間合いを詰められただけだったが、 何をしでかすか分からない彼の異常な存在感にチキは思わず身をすくめた。 男はチキを見据えて嗤う。 己の勝利を確信しながら尚も貪欲に食らいつくような笑顔、 敗者に対する唾棄と憐憫を内包しながらそれら一切を食らい尽くそうとするかのような その笑顔は、今しがたレンツェンに向けられたものとよく似ていた。 男の表情は、チキの胸をざわめかせる。 まるで昨日の出来事のようにあの夢が脳裏に映り、 チキは知らず知らずのうちに胸の前で両手を握り締めていた。 男が楽しげに眼を細める。チキは反発を覚えた。 どうしてこのお兄さんはチキが嫌な思いをしているときに嬉しそうな顔をするのだろう。 ――チキはおもちゃじゃないのに。やっぱりこのお兄さん、すごく嫌! チキは男をねめつけた。男は大げさに肩をすくめて見せる。 「ククッ、怖いねぇ。 慈悲深い俺は身の程知らずなおまえらのしでかしたことを すべて水に流してやってもいいって考えてるってのに、その顔。 この俺の純粋な親切心を踏みにじりたくて仕方ねえってツラをしてやがるぜ。 なあガキ――」 「ガキじゃないもん! チキだもん!」 「は?」 チキの抗議に男は一瞬だけ真顔になり、ひどく間の抜けた表情を見せた。 無防備な顔をした彼はレンツェンとさほど年の変わらない若者に見える。 しかし次の瞬間には合点がいったようににやりと笑い、やがて元の悪辣な笑顔を取り戻した。 「ほう、おまえの田舎ではガキのことを“チキ”っていうのか。 聞いたこともねえなぁ、そんな方言は。 しかし人様を平然と踏みにじるようなクソガキが出来上がるくらいだ、 ロクでもねえ連中の吹き溜まりの言葉に違いねえ。 ハハッ、一体どんな扱いを受ければこんな歪み切ったクソガキになるんだろうなぁ?」 男は顎をそびやかし、蔑むような視線をチキに向けながら哄笑する。 チキは何も言わなかった。 言葉をあまり知らないチキにも目の前の男が自分や自分に優しくしてくれた人たちを 侮辱していることは理解できたが、不思議と腹立たしさを感じなかったのだ。 チキには男の言葉が自分ではない誰かに向けられているように思えた。 それが誰なのかは分からない。 ただ、人間であることを放棄したこの男の抱える人間的な絶望を垣間見たような気がして、 そこに安堵を覚えたのだった。憐れみにも似た、苦痛を伴う安堵ではあったが。 しかし実際に憐れみを表出させたのは男のほうだった。 男は出来の悪い妹を諭すように低い声で話し始める。 目には悪意を宿したまま、高価な砂糖菓子を味わっているかのような満ち足りた笑みを湛えて。 「図星で言葉も出ないか。 まあしかし、おまえを身の程知らずなクソガキに至らしめた肥溜めのクソどもを あまり恨むモンじゃないぜ。 腐った連中に潰されて駄目になるような奴は最初からその程度だったってことさ」 そこまで言うと、男は一旦言葉を切った。 チキには彼の話が理解できない。 男はどうやらチキが“肥溜めのクソ”とやらに恨みを抱いていることを前提に話をしているようだが、 排泄物を恨むという発想自体がチキにとっては青天の霹靂だった。 無論、人間を排泄物に喩えるなど想像の埒外である。 変なの。チキは男の顔を眺めながら小首をかしげた。 男の笑顔が曖昧になり、僅かな苛立ちが去来する。 彼が再び口を開いたとき、その笑顔からは余裕が失せ、 餓えた獣を思わせる凶暴な悪意のみが残っていた。 「さて、そろそろその剣を貰い受けたいんだがね。 あんたは剣を扱えないんだろう? 無力なあんたの代わりにこの俺がその剣を有効活用してやろうってんだ、悪い話じゃないだろう」 今度はチキにも理解できた。難しい言葉は知らないが、彼の望みはよく分かる。 「お兄さんはチキの鞄に入ってる剣がほしいの?」 「意外と話の分かるガキだ。そうさ、俺はその剣がほしい。 その剣を寄越すならこの怪我のことは見逃してやらんでもないし――」 男は喉の奥で声もなく笑う。 その顔ににじみ出た獣じみた残虐性が鋭く深く研ぎ澄まされていく。 「――何ならこの俺がその剣を有効活用するさまを特等席で拝ませてやってもいいんだぜ?」 チキは確信した。やっぱりこのお兄さんは変だ。 言っていることと表情や声色がちぐはぐでとても嫌な感じがする。 ただ意地悪なだけじゃない、ただ悪い人ってだけじゃない、 このお兄さんはなにか重大な隠し事をしている。 そしてチキには想像することもできないようなとても恐ろしいことを企んでいる。 このお兄さんはきっと、あの悪夢のような惨劇を引き起こしても平気でいられるのだろう。 そう思うと、今現在の気分だけでなく自分の未来までもが 黒く塗りつぶされていくような絶望感に囚われる。 チキはマルスの言葉にしがみついた。 大好きなマルスおにいちゃんが「大丈夫だよ」と言ってくれたのだ、 だからもうあの夢に怯える必要はない。自分はあの夢と決別できる。 悪夢の世界に生きるこの男にだって負けることはないだろう。 チキはデイパックの肩ひもをしっかりと握り締め、毅然と男に言い放つ。 「ダメ! この剣はマルスおにいちゃんのだもん! 悪いことする人にはあげないもん!」 「そうか。なら、仕方ねえなァ」 仕方ない。その言葉とは裏腹に男の顔は笑っていた。 チキのその返答を心の底から待ち望んでいたかのように。 男がチキに飛び掛る。その背後で何かが揺れた。 宵闇の村の景象そのものに男の影が差したかのように、男の背後の空間に暗い影が伸びていた。 チキの心に恐れはなかった。少なくとも数秒前までは。 しかし今は体が動かない。黒い影の中に浮かび上がる美しい女の目を見た途端、 まるで金縛りにかかったように足が竦んでしまったのだった。 この世のものならざる人影が陽炎のように揺らめきながらチキに向かって手招きする。 女のようでありながら男のようにも見え、 子供のように見えたかと思うと次の瞬間には老人のような表情を見せ、 あらゆる姿に変化しながらいずれの存在にもなり得ない混沌の化身たる死神が チキの身体に流れる神竜の血を凍りつかせた。 男の手元が鈍く光る。 襲撃者はチキの腹部に拳を叩き込みながらもう片方の手を左肩の向こうに伸ばした。 チキの呼吸が衝撃で止まり、焼けるような不快感が喉の奥に込み上げる。 腹部にちくりと痛みが走り、チキの肩の後ろにある何かを男の右腕が掴むのを感じた。 鞄から出ているあの柄だ。このままでは男に剣を奪われてしまう。 チキは右腰で揺れるガラスの小瓶に手を伸ばした。 しかしチキの指は冷たい瓶から滑り落ちた。 上半身に左向きの強い力がかかり、転倒しそうになったのだ。 しかし実際にバランスを崩していたのは襲撃者のほうだった。 男の左手がチキの腹部から離れ、石と金属のぶつかる音が足元で小さく鳴った。 その顔からは笑みが失せ、焦りと戸惑いが取って代わる。 一体何が起きたのだろう。 蒼白い顔で身体をよろめかせる男の姿はまるで死神に取り憑かれた重病人のようだった。 己を世界に繋ぎ止めようとするかのように、骨ばった指がチキのしなやかな二の腕を掴んだ。 短い爪が肌に食い込み、襲撃者の体重が小柄な体にのしかかる。 チキは悲鳴をあげながら左向きに転倒し、地面に横臥した彼女の上に男が覆い被さる格好となった。 視界に己の腹部が入る。 自身のまとうピンクのチュニックに大きなシミがついている。 色彩感覚を狂わせる夕闇の中にあっても、 それが自らの流した血であることを痛みによって理解する。 そして理解することによって痛みがいっそう存在感を増す。 永遠にも思える数秒の間、襲撃者はチキに全体重を預けていたが、 やがて荒い息をつきながらゆっくりと体を離した。 錯乱しつつあったチキの意識に男のかすれた声が割り込んでくる。 「クソッ、早いとこ終わらせねえとマズいな……」 襲撃者はチキの側頭部を右手で抑えつけながら脇腹の辺りに跨った。 傷口に直接触れられてなどいないはずなのに、 男の一挙手一投足が耐えがたい激痛を腹部にもたらす。 チキは苦痛に喘ぎながら「痛い、動かさないで」と懇願した。 しかし男はチキの訴えに耳を貸す気配など見せない。 地面についたその膝が立てるかすかな土埃にむせ返りそうになり、 伸縮する腹筋のもたらす激痛に呼吸が止まり、チキは耐え切れずに泣き出した。 どうしてこんなことになったのだろう。 両腕は自由に動かせるものの、男の体に遮られあの小瓶に手が届きそうにない。 一体どうすればいいのだろう。 さっきまであんなにチキを笑わせてくれたレンツェンはどこに行ってしまったのだろう。 「レンツェン……、レンツェン! レンツェンはどこに行ったの!? 助けて! 痛い……痛いよレンツェン……助けて……」 泣きじゃくるチキに男が問う。 「レンツェンってのは、あの派手な格好をした男のことか?」 チキは何も言わなかった。男の嘲笑が聞こえる。 「あの兄ちゃんならとっくに逃げたぜ。 つがいの鳥を狩るときは先に雌を殺るってのが基本だが、 おまえのようなガキごときに雌としての価値なんざねえってことだな。 それどころかあいつは心の中でおまえを邪魔者扱いしていたんじゃねえか?」 「チキ、意地悪な人とはお話ししたくない」 「だったら俺の前でガタガタ騒ぐんじゃねえ。 もうすぐ楽にしてやるからおまえを見捨てた奴のことなんざ忘れな」 視界の外にある男の表情を確認することはできないが、その声は意外なほど優しかった。 大人しくしているだけで苦痛を取り除いてもらえるのなら黙って従おうと思えるほどに。 しかし痛みが彼の本心を教える。 両肩を後ろに引っ張られるような感覚があり、チキははっと息を呑んだ。 チキの背負っているデイパックに強い力がかかっている。 男がデイパックを物色し、おそらくはその向きを変え、何かを力任せに取り出そうとしているのだ。 それが何なのかは見なくても分かる。 このお兄さんは、さっきからずっとチキの鞄に入っている剣を欲しがっていたのだから。 込み上げる絶望が、潰えたはずの闘志を復活させる。 この男はとても恐ろしいことを企んでいるのだ。 彼に剣を奪われたらマルスには二度と会えなくなるような気がした。 ――そんなの嫌! マルスおにいちゃんと離れたくない! チキは悲鳴をかみ殺しながら男の右足にしがみついた。 彼はさっきチキたちのせいで足に怪我を負ったと言っていた。 男の怪我がどの程度のものなのかは分からないが、 血が沢山出ているときは体を少し動かしただけでもたまらなく痛いということを チキは今日身をもって知った。 このお兄さんは怪我を負わされて「ありがとう」と言いに来るくらいだから、 本当は痛くなどないのかも知れない。 でも、たっぷりと礼をしたいと言いながらちっとも感謝しているようには見えないから、 やっぱりとても痛いのかも知れない。 このお兄さんの考えていることはチキにはよく分からない。 ただ、お兄さんのズボンの右足には血が沢山ついているから、 怪我をしているという話は本当なのだろう。 このお兄さんから剣を守るためには痛みを与える必要があり、 痛みを与えるためには怪我を負った個所を責めればいい。 どこに怪我をしたのかは大体分かる。 お兄さんのズボンは少しだけ破れているから―― チキは右手を男の太股に這わせながら、 ベルトに差したナイフを奪うべくもう一方の手を伸ばそうとした。 しかし頭を押えつけられているせいで左手が腰まで届かない。 両腕を少し動かしただけで腹筋までもが伸縮し、激しい苦痛に苛まれる。 それでもマルスとの別れに比べれば肉体の痛みなどほんの些事に過ぎなかった。 剣を奪われればマルスにはもう会えないだろう。 チキにとってマルスを失うことは世界の終焉と同義だった。 自分の人生からマルスが去ればあとに残るのは闇と孤独、そして終わることのない悪夢のみ。 マルスは光、怪物になるはずだった少女に人としての命を与えた救い主。 腹部の傷がまるで異物のように熱を帯びて疼き、チキの心身を支配しようとするが、 チキはマルスの笑顔を思い出し彼のもとに戻ることのみを考えて苦痛を意識から締め出した。 右手が布地の裂け目を探り当てた。 潜り込ませた指を力任せに突き立てるが、襲撃者の体には何の変化も生じない。 傷口そのものを責めなければ意味がないのだ。 素肌に指を滑らせると、明らかに他とは違う個所があった。 見つけた、これで勝てる。チキは湿り気を帯びたそこに指を突き立てようとした。 しかし男が先に動いた。 彼はチキの頭を押さえつけていた右手を離すと、膝をついたまま腰を浮かせ、上半身を前に倒した。 ナイフを奪うべく伸ばした左手が木製の柄に触れる。チキは柄に手をかけながら、 男の足から滑り落ちそうになっていたもう一方の手の親指を傷口の辺りにねじ込んだ。 「クソッ、往生際の悪いクソガキが……」 男が毒づき、デイパックの肩ひもが深く食い込んだ。 このままではこの男に剣を奪われてしまう。マルスおにいちゃんに会えなくなる。 チキは男の傷口を叩き、引っかき、指を突き立て、力任せに抉った。 加害行為の代償だとでも言わんばかりに、胴を引き裂くような激痛が腹部を貫く。 自らの意に反して無様な悲鳴が漏れるが、それでもチキは指先に込めた力を緩めようとはしなかった。 頭上から罵声が降り注ぐ。 布越しに感じる男の筋肉の動きから、彼が体勢を大きく変えようとしていることに気付く。 チキは左手に掴んだ木製の柄を力任せに引き抜くと、 形状すらも確認できないその刃を男の足に叩きつけた。 しかし返ってくるのは岩を刺そうとしているかのような手応えのみ。 チキの細い腕では分厚い布地と鍛え上げられた筋肉を切り裂き、或いは貫くことなどできなかった。 背中を地面に縫い付けられるような感覚に襲われ、 チキの両手が襲撃者の太股から滑り落ちた。 それがデイパックを踏みつけられたためだと気付いたのは、 もう一方の足で腹を蹴り飛ばされてからのことだった。 激痛に貫かれ薄れゆく意識の中で何かが割れるような音を聞いた。 奇妙な清涼感を伴う液体が腹部を濡らし、 人工的な甘さと鋭さを有する濃密な匂いが鼻腔を突く。 あの小瓶が割れてしまった。小さな希望がこぼれ落ちてゆくのを感じる。 襲撃者は身を転がしながら体勢を立て直す。 その手に握られた長剣の柄には見覚えがあった。 チキの鞄に入っていたものだ。男に剣を奪われた。 長剣を地面に突き立て、それを支えにゆっくりと立ち上がる 襲撃者の姿にチキの心が冷えていく。 ――マルスおにいちゃんごめんね……、チキはもう……。 このまま意識を失えば二度と目覚めることはないだろうと思った。 きっとあの夢すら届くことのない深い眠りに就くのだろう。 あの夢から逃れたい、あの夢とは違う未来がほしいと切に望んでいたが、 このような形での決別は不本意極まりなかった。でも、もう―― あまりにもひどい悪臭のせいだろうか。 チキの意識は消え失せるどころか冴え渡り研ぎ澄まされていく一方だった。 心なしか腹痛も和らいだように感じる。 全身にみなぎっていく活力を己の内にとどめておくことなどできず、チキはゆっくりと体を動かした。 慎重な動作は苦痛を警戒してのことだったが、思ったほどの痛みは感じない。 それどころか疲労が消え失せ身体が軽くなったようにすら思える。 チキは男から奪ったナイフを右手に持ち替え、しっかりと握り直した。 その刃は薄く、大好きなマルスおにいちゃんの手のひらほどの長さしかなかったが、 襲撃者を退けマルスの元に戻ることのできる可能性が未だ手の中にあるのだと思うと勇気が湧いた。 男の様子を窺うと、彼もまた手に入れたばかりの武器を両手で持って確認し、 片手で握り直していた。あんなに重いものを腕一本で扱うなんて。 相手との力の差を改めて実感し、岩のような存在感に圧倒されそうになる。 男は淡く輝く刀身をしげしげと眺めながら愉悦し、残忍な笑顔をチキに向けた。 「さて、切れ味のほどを試してみるとしようかね?」 言いながら、ゆっくりと歩を進める。 しかしその足が不意に止まり、男の顔から笑みが消えた。 「嫌な匂いだ。こいつ、ガキの分際で香水なんざ持ち歩いてやがったのか」 男は嫌悪もあらわに顔をしかめた。 半眼になった目にはもはや獣じみた貪欲さはなく、 拒絶にも似た憤怒が抜き身の刃物のような危うさをその視線に与えていた。 「ふざけやがって! おまえも心の中で俺のことを馬鹿にしていたんだろ! そうに決まっているさ、そういうものを身に付けたがるような女はみんなそうだ、 淫売の分際でこの俺を見下してやがる! クソッ、ナメやがって!」 感情の赴くまま怒鳴り散らす男の姿にチキは呆然となった。 このお兄さんは一体何を怒っているのだろう。 彼の支離滅裂な言動は今に始まったことではないが、 この激昂ぶりはあまりにも常軌を逸していると言わざるを得ない。 男は長剣を逆手に持ち替え、もう一方の手も柄に添えると、 その切っ先をチキの右太股に叩きつけた。 骨の砕ける衝撃に声を出すこともできないチキを冷ややかに見下ろしながら、 肉を抉るように刀身をねじり、ゆっくりと引き抜いた。 湧き水のように溢れ出す鮮血が地面に黒い模様を描く。 「一太刀で殺してやろうと思っていたが、気が変わった。 おまえには俺と同じ傷をくれてやる」 ◇ ◆ ◇ レンツェンハイマーは民家の外壁に背をもたせかけ、暗紫色の空を仰ぎ見た。 隙を見計らって民家の陰に逃げ込んだものの、 未だ足腰はまともに立たず、早鐘を打つ心臓は今にも口から飛び出しそうだ。 ――ええい、うるさいぞ! この鼓動は一体どうしたことだ。 こんなに激しく脈打っていてはあの少年に聞こえてしまうではないか! 俺の心臓よ、止まれ、止まれ、止まれ止まれ止まれ止まれ、止まらんか! 何故止まらん! 俺の命令が聞けぬのなら無理矢理にでも止めてくれるぞ! ……あ、いや、それはまずい。それではこの俺様が死んでしまう。 ああ、俺の頭は一体どうなってしまったのだ。 俺は天才軍略家レンツェンハイマー、リーヴェ王になるはずだった男なのだぞ! レンツェンは両手で頭を抱え、視線をゆっくりと地面に落とした。 向こうからあの少年とチキの声が聞こえてくる。 会話の詳細は聞き取れないが、その声色からチキが泣いているのだと分かる。 彼女はしきりに痛みを訴え、半ば悲鳴混じりに「動かさないで」と懇願している。 恐らく、あの少年に強姦されているのだろう。 ――あんなガキに欲情するのか。浅ましい。これだから育ちの悪い奴は嫌だ。 レンツェンは苛立ちを覚え、そんな自分に疑問を覚えた。 ――どこの馬の骨とも知れないガキがならず者の少年に強姦されたからといって、 何故俺が腹を立ててやらねばならん? そのような行為に及ぶ者は俺の配下の兵士にもいたし俺はずっと黙認してきたというのに、 今朝知り合ったばかりのガキを特別扱いしてやる必要性がどこにあるというのだ? むしろこれは歓迎すべきことではないか。 少年の注意がガキに向いている隙に、俺は安全な場所まで逃……もとい撤退できる。 落ち着いて考えてみろ、あのガキが一体何の役に立った? 有能なボディガードを連れて来るどころか、 いらん騒ぎを起こして俺様の命を脅かしたではないか。 人間様に危害を加える家畜などただの害獣、殺されて当然だろう。 自分を取り戻すにしたがって、心拍も平常に戻っていく。 そろそろ動けるだろう。逃……もとい撤退の時間だ。 レンツェンは壁に立てかけていたゴールドスタッフを両手で持って地面に突き立てると、 杖に体重を預けながらゆっくりと立ち上がった。支えを外しても直立できることを確認してから、 杖をデイパックに収納し、音を立てぬよう慎重に歩を進める。 このまま民家の裏手に回り、村の外まで一気に走ろう。幸いこの靴は動きやすい。 あの少年に気付かれたとしても足に怪我を負っている彼に追いつかれることはないだろう。 そのときチキの悲鳴が聞こえた。 「レンツェン! レンツェンはどこに行ったの!? 助けて!」 レンツェンは思わず足を止めた。 首の辺りに違和感を覚え、首輪がそこにあることを自らの指で確認する。 自分の名を呼びながら助けを求める者の声など レンツェンにとっては虫の鳴き声同然の取るに足りないノイズだった。 彼らはレンツェンに命乞いをする。レンツェンが権力者だから。ラゼリアの太守だから。 レンツェンは常に彼らの期待に背くよう最大限の配慮をもってその声に応えた。 彼らが求めるのはレンツェンハイマーという人間の慈悲ではない。 自分に都合の良い支配者、すなわち憎きリュナンのような人間だ。 だからレンツェンは彼らを裏切る。 リュナンを求める者など苦しめばいい、彼らの姿を見たリュナンもまた苦しめばいい。 リュナンになれない俺を認めない者などみな死んでしまえばいいと思っていた。 しかしあの少女は違った。彼女は太守の意味すら理解しておらず、 このレンツェンハイマーがリュナンのような人間ではないと思い知ったにも拘わらず、 レンツェンに救いを求めたのだ。 では、助けに戻るか? レンツェンは振り返り、かぶりを振った。 ――馬鹿な。俺は一体何を迷っている? 一時の情に流されて無謀の挙に出るなど、 天才軍略家にあるまじき愚行の極みではないか。 あのようなガキなど見殺しにすればいい。 ガキは簡単に人を頼る、それだけの話だ。振り回されてやる義理などない。 息を殺し、足音を忍ばせ、レンツェンは民家の裏手に辿り着いた。 あとは駆け出すだけだ。 建物の向こう側からチキと少年の声が聞こえるが、何を言っているのかまでは聞き取れない。 レンツェンは地面を蹴ろうとして逡巡する。 チキの声が聞こえるということは、彼女がまだ生きているということだ。 今なら間に合うかも知れない。チキの言葉が脳裏によみがえる。 ――えらい人には、その地位にともなう責任と、義務があるんだって。 だから、えらい人は困った人や弱い人がいれば助けなきゃいけないの。 不快だった。その内容もさることながら、 善人気分を味わいたい連中の悪趣味な戯言ごときを黙殺できず 合理的な行動を取れなくなった自分に対して苛立ちを覚える。 ――俺は一体何をしているのだ? 赤の他人の悪趣味をわざわざ思い出して感情を揺さぶられてやるなど悪趣味の極みだ。 そのような娯楽はラゼリアに帰還して余暇ができてから気が済むまで満喫すればいい。 今は一秒すら無駄にはできない。余計なことを考えている暇があるならさっさと走れ―― 「クソッ! このガキは化け物か!?」 少年の怒鳴り声が聞こえ、レンツェンは踏み出すはずだった足をまた止めた。 少年は焦り、戸惑っている。チキが反撃に出たのだろう。 戦うすべを持たないガキなど足手まといにしかならないと思っていたが、 あの少年にここまで言わせたとなれば話は別だ。 戦力になるなら手元に置いておきたいし、助けに戻る価値だってある。 引き返そうかと思い始めたとき、再びチキの悲鳴が聞こえた。 「触らないで! チキは物じゃないもん! ……放して! チキに触らないで!」 怒りと嫌悪に腕が震えた。 育ちの悪そうなならず者ごときに自分の持ち物を勝手に汚されるなど許しがたく、 極刑をもって臨まねばならないほどだった。しかし身体が動かない。 チキが危害を加えられているのなら自分一人であの少年と戦わねばならないし、 あの少年がチキに何をしているのかをこの目で確認する羽目になるだろう。 許せない。そう思っているはずなのにレンツェンはその場に立ち尽くす。 空は紫から黒になり、風が冷たくなってきた。 ふとレンツェンは異変に気付いた。チキの声が聞こえない。 少年が一人で何事かを話しているようだが、声色が普通ではなかった。 その具体的な内容を聞き取ることはできないが、彼の声は到底勝者のものとは思えない。 今なら勝てる。確実に勝てる。天才軍略家の勘がそう告げる。 ――よし、出陣だ。あの見るからに育ちの悪そうな少年には、 この俺様の所有物に傷をつければどうなるのかを思い知らせてやらねばならん。 レンツェンは装飾過多な黄金の杖を取り出し、両手で握り直す。 この重みから察するに、純金製なのだろう。 大小様々な宝石を散りばめることで軽量化を図っているが、 それでも鉄の剣などとは比べ物にならないほどの重みがある。 この杖で相手の頭を殴りつければ命に関わるような怪我を負わせることも可能だろうが、 自分の腕力ではそのような使い方はできないだろう。 それに武器として用いた場合、耐久性に疑問が生じる。 相手に気付かれる前に、一撃で決めなければ。 逃……もとい撤退できるだけの隙さえ作り出せればそれで―― 「助けて! マルスおにいちゃん助けて!」 空気を引き裂くチキの悲鳴がレンツェンの心を切り裂いた。 見捨てられた。杖が手から滑り落ち、レンツェンはその場にへたり込む。 チキが最後に頼ったのは自分ではなくマルスだった。 ラゼリアの民が自分ではなくリュナンを求め支持したように、チキもマルスを選ぶのだろう。 やはり子供など気紛れで身勝手、さっさと見捨てて逃げ出すべきだった。 あの時走り出してさえいれば、自分の中のチキはいつまでも レンツェンを必要としてくれていたのに。 脳裏に映る記憶の中のチキが無垢な瞳でレンツェンに問う。 ――レンツェンも、マルスおにいちゃんと一緒でとってもえらい人なんでしょ? その言葉が弱音を粉砕し、死んだ心に命を与えた。 ――マルスおにいちゃんと一緒で、か。 貴様はこんな俺でもマルスやリュナンのように生きられると信じてくれていたのだな。 ならば貴様に対してだけは俺もそうなってやろう。 レンツェンは きれいなレンツェンに しんかした! のうないが 8ビットに なった! チキから 5パーセントの しえんこうかを えた! しぼうフラグ を てにいれた! → どうぐ → しぼうフラグ → すてる しぼうフラグ「わたしをすてるなんて ゆるさない! ころしてやる!」 レンツェンは Bボタンで キャンセルした! → どうぐ → しぼうフラグ → つかう しぼうフラグ「あなたのかのうせいを めざめさせてあげる!」 レンツェンは ハイプリンスに クラスチェンジした! テンションが 5 あがった! しえんこうかが 5 あがった! ごうとう の スキルを おぼえた! → ターンしゅうりょう 未来の記憶(後編)につづく 101 Legion 投下順 102 未来の記憶(後編) 100 臨時放送 時系列順 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー ヴァイス 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー チキ 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー レンツェンハイマー 102 未来の記憶(後編)
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ココス (深夜3時。 ココス (キアシス。 ココス (何処かの…街の重要な施設の… ココス (あまり素行が良くない方々が連れてこられる ココス (重要な一室。 ココス (いわゆる ココス (取調室だ。 ココス だーかーらー ココス なんか暴れてたからボコボコにしてー ココス そしたらお腹すいたから ココス ペロりんって食べちゃっただけにゃ! ココス (八首魔術師。ココス=スカイラーク ココス (黄色のTシャツに赤のミニスカ ココス (返り血と土埃でドロドロの格好 ココス (特に口周りは血塗れでベトベト ヒサヤ いやぁーーーー……ね。(溜息なのか感心なのか分からんが、深々息を吐く男 ココス (深夜3時に急に出会ったら失神する人が居てももおかしくない出立ち ヒサヤ (そんなスプラッタ映画お嬢さんの向かいに座る、制服姿。…そう、 ヒサヤ (おまわりさんである。 ヒサヤ そりゃあね?解りますよ。あんた個人の事としては完全に理解できますよ。でもね。 ヒサヤ 警察としては、ソレでハイおしまい、とはいかねぇ訳で。 ……何だ、その。 ヒサヤ もうちょっと何とかならなかったんですか。 ココス あんだとー!結構強かったんだぞアイツー! ココス たまったまキアシス最強のあたいが通りかからなかったらとんでもねーことになってたはずにゃ! ココス 特に八首としての指令が出てたわけでもないけど、ついヤっちゃったゼ! ヒサヤ そらぁね。相手は特■級襲撃者。闇夜と霧に紛れ、夜な夜な女性を襲うという。通称ジェイソン・ジャック…… ココス ほーらー!ケーサツもマークしてるんじゃんかー! ヒサヤ お手柄でした。よう出会ったわ。 ていうか実体あったんだなぁ。もう無くなってっけど。 ココス そーだそーだ!もっと褒めろよヒサヤっちー! ヒサヤ ココスさんを「若くて綺麗な女性」判定したのが運の尽きでしたねぇ… ココス あたいはちゃんと褒められるとフツーにめっちゃ嬉しいからなー!! ココス 若くて綺麗!マジ!!え!!もっかい言って!! ヒサヤ え、コレ褒め判定でいいんか? ……えー、若くて綺麗で健康的に食欲旺盛なココスさん。 ココス にゃー!ったはー!!! ココス ヒサヤっちもやるにゃー!事情聴取ついでにほめ殺しとはー! ヒサヤ マジか。いいんかコレで。…えー、肉片とか服の切れ端とかちょっと残してません…? ココス 肉片何処から再生するかわかんないから全部残さず食ってやったゼ! ココス なんてったって相手、吸血鬼だったからにゃ! どうりで闇夜の霧に紛れられるはずにゃ! ヒサヤ 残さず食べてえらい! ………はぁ(溜息 ヒサヤ ……吸血鬼。つー事はその大量の返り血も、特定不可能なくらい多種の血液が混ざり合った物…ってトコですか。 ココス あーでもイケっかもしんねーぜヒサヤっち! ココス 相手かなりちゃんとした吸血鬼っぽかったからな!! ヒサヤ (ほう、と ココス この辺の血掬っても主張強すぎてなんとかなるかもしんないにゃ! ココス なんてったって…カリーナの名のある名家がどうたらって言ってたからにゃ〜〜〜!(しれっとにゃはははと笑いながらやべー事を言う ヒサヤ あー。純血種…… ん、んー…? ヒサヤ ぁーーー……ソレなんか面倒な事になりそうなヤツですね。 ヒサヤ 割と日の下謳歌してた系襲撃者ですか。夜の街ですけど。 ココス さーにゃ! 昔は名のある名家だったけど没落したパターンかもしんねーゼ? ココス キアシスもカリーナも名家多すぎてよくわかんねーからにゃ! ウチもそうにゃ! にゃーっはっはっは! ヒサヤ それもあるし、それも言えてますね。 つーか。 ヒサヤ 悪事働く方が悪いんだからな!(到底警察と思えない笑い方だ ココス そうにゃー? ココス あたいみたいな・・・んー? ココス んー?あたいみたいなー。なんだっけヒサヤっちー? ヒサヤ …ん? ココス ねーねー! ココス あたいみたいなー!どんな人を襲う極悪人ー? ヒサヤ (…あぁ。(何か納得して ヒサヤ ま、悪い奴を喰い散らかすのは、プラマイで良い事…ってワケじゃねぇですからね。 ココス ぇー!!!!? ココス あたい、もっと褒めてほしいんですけどぉー ヒサヤ あんまりおいたするのは頂けませんね。 、ってえ、何。 ヒサヤ てっきり叱られてぇのかと思ったわ。(敬語外れた!? ココス なんでにゃー!!? ココス 叱られる………のもまぁ、、嫌いじゃないけど(もじもじ ココス 褒められる時は褒められる方が好きにゃ! ヒサヤ いやーコミュ難いな?(はははーっと ココス ぇぇーー!!そんなに難しい話かにゃー!? ココス 「若くて綺麗な女性ココスさん」って後100回ぐらい言ってほしいにゃー! ヒサヤ そりゃあだって…(――良い時は良い子って、悪い時は悪い子って、これからも言って欲しいにゃ!)…ま、いいわ。 ココス もー…しょうがないにゃあ。 ココス (Tシャツの肩口引っ張って左肩を見せる ココス この辺に奴が口から吐いた血がいっぱいついてるから好きなだけ取っていくが良いにゃ ココス カリーナの方で調べたら何処ぞの誰々さんか詳しくわかるかもしれないにゃ? ヒサヤ ぅぉ。 結構マジでお手柄じゃないですか? ココス へへん!あたいを誰だと思ってるんだい! ココス 最強の八首ファイター、ココス様だぜい? ココス あ。若くて綺麗で最強なココス様にゃ??? ヒサヤ よっ!最強八首のココスさん! 若くて綺麗! ココス にゃはー!!!きゃー!!!(頭抱えて恥ずかしがる ココス もっと言ってにゃー!! ヒサヤ (本当にこれでいいんかい、と逆に心配になるが、まあいいか、と ココス ねーねーねーねー! ヒサヤ 何でも噛み千切る八重歯がキュート! ココス え。ちょ、、え?! ヒサヤ 獲物を逃さない大きな瞳!睫毛が案外細かくて綺麗! ココス っっふぇええええ!?!! ヒサヤ ん? もっと言ってって言ったじゃないですか。(頬杖で ココス ちょぇ、えあ。。。。ぅ。。(もじもじ ココス ふ、普通に褒めるのは不意打ちにゃ。。。。 ヒサヤ …えぇー。そんな普段褒めてねぇかな俺…(苦笑しつつ身を振り返り… ココス こ、、こう、襲撃者のターゲットだったから仕方ないデスヨネー的な…アレ。。。かと…(もにょもにょ ココス し、仕事中だょ!?(思わず ヒサヤ え。そっちがソコ気にします??(いっそ笑って ココス ふ、、ふ不意打ちにびっくりしたのら! ヒサヤ まあ確かにこれ公的記録残りますしね。俺も後でぁーってなるかもしれねー…けど。まあ。 ココス め、、、面倒な最高戦力のココスさんの面倒を見るのもヒサヤっちの大事な仕事だからなぁ?! ココス ちゃ、、ちゃんと褒めるのも大事な仕事!そうにゃの! ヒサヤ はい。有力な手掛かりを頂けるワケですし。ちょこーっとご褒美あげてもいいかなーとか… ココス にゃーーー!!!ヒサヤっち好き!!!! ヒサヤ チョロ!!!いいんか!?(ついに言った ココス あたいは超満足にゃ。満腹以外でこんなに満たされる事は無いぜ。もう大好きの気持ちが溢れるにゃ! ヒサヤ …(やれやれと笑って、ふと思い立って ヒサヤ (取り調べ机に軽く身を乗り出し、ココスの方に――…白手袋の片手を伸ばす ココス にゃ・・・! ヒサヤ ありがとう。助かった。(ポン、と頭に ココス ふぇ ココス 、、、ぅ(お顔がみるみる真っ赤に ヒサヤ (ん、と笑って ココス ゃばいにゃぁ。。、、、(ヒサヤの笑みを恥ずかしそうに見つめ返して ココス ヒサヤっち魂のイケメン…大好きすぎるにゃ…ヤバい奴にゃ… ヒサヤ ん、っとーに… 褒め返しですか?(苦笑しつつ、やがて手が離される― …手袋真っ赤なんですが ココス んー、、、あたいの溢れ出る、、愛情にゃ! ココス ねー、ねーねーねーねー。 ヒサヤ はは。それはどーも、…ん?何です? ココス …えっと、、 ココス …抱いてにゃ!!! ヒサヤ 、(ぶっふと思わず咽て ココス 抱いて欲しいにゃー!!(仕事中とは何だったのか。大声であろう事か連呼! ヒサヤ 仕事中ですよ???(今度はこっちが言った ココス もう好きの大洪水なのにゃ!! ココス ヒサヤっちがイケメンすぎて我慢がヤバいにゃ! ヒサヤ ぁーーー………(しゃあねえなぁ、と半分諦め苦笑で ココス にゃー!!(わくわくの歓喜の声 ヒサヤ ……イイコにしてたら、後でな?(ぽそりと小声で、言霊を込めてココスの耳に ココス へにゃ・・・!!!(ピシッと背筋揃えて着席 ココス 良い子!良い子にするにゃぁ・・・! ココス (懇願の瞳でヒサヤを見つめる若くて綺麗で最強なココスさん ヒサヤ …んじゃあ。 そろそろ血液の方採らせて貰いますね。(ずっと血みどろフィーバーだし肩出してるし、ってのもあるが ヒサヤ (なるだけ早く終わらせてやろう、という気持ちもある。言わないけど。 ココス はぁい。ヒサヤっち。(良い子にしてるにゃ! ヒサヤ (そうして、いかにも警察っぽいサンプル採取やら諸々の手続きに入るのであった ヒサヤ (―――夜をお楽しみに! と言いたい所だが… ヒサヤ (現在深夜三時。解放されるのは早くて朝である。 ヒサヤ (朝をお楽しみに!
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Aパート Bパート Aパート 世界の破壊者高橋愛、旅の行き着く先は? 【前回のまでの話】 フィフスの絆に導かれて、壊れ行く世界の紺野あさ美と新垣里沙を救いに現れた高橋愛。 世界の壁を越えて来た代償で疲弊した愛を救ったのは、突如現れた小川麻琴だった。 驚きを隠せない愛に対して決別を告げた小川は、保田の指示で「半分エスパー」の世界に赴き、真野恵里菜を仲間に引き入れようとする。 反射した真野のチカラで街を破壊して、真野を闇に落とそうとした小川の前に立ちはだかったのは、こくえけんの職員で無能力者の高橋愛だった。 「人は皆心に無限の可能性を抱いた半分エスパー」と言う高橋に対して、敵愾心を顕にする小川を制したのは保田だった。 …一方壊れかけの世界で新垣里沙や紺野あさ美に別れを告げた愛は、「A」の操縦するジェットストライカー乗り込み、次なる世界へ向かおうとする。 馴れ馴れしい愛を座席ごと射出した「A」は次なる世界の情報を確認する。 それは存在しないはずの「刃千史」の世界だった。 第16話 「千の刃」 ☆ 「ガオーッ! 俺の名はカメゴン。 この世界を滅ぼしてやるぞ」 総合病院の小児病棟で人形劇が演じられている。 長期間入院している子供たちの心を癒すためだ。 演じているのは病院の職員たち。 「アハハハ、正義の味方リンリンマン参上! 悪いやつはチョチョイのチョイと退治するあるよ」 正義のヒーローの活躍に目を輝かせる子供たちだったが、誰かが声を上げる。 「アレッ何か飛んでくるぞ」 みんなが空を見た。 パラシュートが風に乗って飛んでくる。 大騒ぎになった室内を児童学級の教員が鎮め、劇は再開されることになったが…。 「アレ? リンリンマンがいない」 病院の屋上、ドクターへリ用のヘリポートにパラシュートが無事?着陸した。 風に乗って運ばれてきたのは高橋愛だった。 絡みつくパラシュートをようやく外して自由になった愛を火球が襲う。 愛の身体を掠めていった火球はコンクリートの床に炸裂した後もしばらく燃え続けている。 職員用の白衣を身につけた襲撃者。 その手には小さなゴムの球。敵意が無いことを相手に告げようとした愛は、相手に見覚えがあることに気づく。 「水守の世界」で光井愛佳を守っていたリゾナンターの一員。その名は「リン…」 ★★ 幾つもの病棟が回廊で結ばれている病院の中央部。 院長室と表示された部屋の中には二人の女性。 長い髪の女性は白衣を身につけているが医者らしくはない。 キャンバスに向かって絵筆を滑らせている。 黒い執務机に腰掛けている若い女性は、私服姿。読むともなしに学術書を開いている。 「小川」 白衣の女性が年下の女性に注意する。 渋々といった様子で、机から降りると部屋を出ていこうとする。 白衣の女は携帯で誰かに連絡を取りながら、小川の行動を目で制する。 「あんたの働き場所はわたしが決めてあげる」 ☆★ 発炎能力で発火させられたボールの攻撃をかいくぐって襲撃者の懐に飛び込んだ愛。 しかし相手はむしろそれを待っていたようだ。 襲撃者の腕を掴み動きを制しようとする愛。 害意のこもった拳を繰り出す襲撃者。 目にも留まらぬ早業の応酬がいつまで続くかと思われた時、屋上に声か響いた。 「リンリンマ~ン、捜したんだから」 入院着を身につけた男の子が襲撃者に話しかける。 その途端襲撃者の顔に笑みが浮かぶ。 「ハイハーイ、お外は寒いから中に入りましょうね」 「あんたっ!!」 愛の呼びかけを見事なまでに黙殺しながら、男の子を屋内に誘った。 病院内で襲撃者の情報を集める愛。 襲撃者の名は「銭琳」。 1週間ほど前から働いているという。 陰日向の無い明るい性格で入院患者たちにも慕われているという銭琳の横顔が、自分を襲撃してきた際の様子と異なることに釈然としない愛は遠巻きに観察する。 子供たちにぶら下がられ笑っている銭琳。 首からぶら下げた医療機関用のPHSが鳴ると、病棟を出ていった。 吹き抜けの非常階段でPHSを切ると今度は私物の携帯電話を取り出す。 着信が表示されるとすぐさま、電話に出る。 機械で加工された声。 「同志蠍火よ。 無事に潜入できたようだな」 「このたびの標的はあの女、パラシュートで降ってきた女でしょうか」 ★★ 院長室で小川が本を読んでいる。 相変わらず執務机を椅子代わりにしている。 誰かが入ってきた。 先刻まで絵筆を握っていた女だ。 白衣のポケットに手を突っ込みながら、傲然と歩いてくる。 「飯田先生の院長回診はお済みですか」 からかうような口調で話しかける小川に、バカみたいと深く溜息をつきながら椅子に腰を下ろす飯田。 立ち上がり片づけてあったキャンバスを準備しようとする小川に対して、いいわと言うと背もたれに深く身体を預ける。 ★☆ 廃棄物の収集室に入っていく銭琳。 使用済みの注射器を載せたカートの台座に隠されていたビニール袋を手にする。 ビニール袋の中身は分解された拳銃の部品だった。 組み立てて動作の具合を確かめる銭琳に近づいてきたのは愛だった。 銭琳は愛の姿を見ても、顔色一つ変えない。 「お前の存在はイレギュラーだそうだ」 「イレギュラーって?」 「私の緑炎執行の対象ではないということだ」 「緑炎執行?」 「バカめ、お前は質問しかしないのか。 私は刃千史機関の緑炎執行人。 刃千史の正義を遂行する妨げになる存在を処断する」 刃千史という響きに違和感を覚えた愛は銭琳を問い質そうとする。 「待って、あんたはたしかパンダを守る特務機関刃千吏の一員じゃなかったの?」 「刃千吏、何だそのふざけた名前は。 私は千の刃を振るって中国の歴史を影で動かしてきた誇りある組織の一員だ」 「違う」 愛は銭琳に駆け寄った。 虚を突かれた銭琳は愛の接近を許してしまう。 「違う?何が違うというのだ」 「私の知っているあんたは、もっと優しくてもっとおかしい奴でいつもみんなを幸せにしていた」 「百の言語、十億を越える民を抱える中国の歴史を闇から支えることで、世界平和の安寧を図る。 そんな刃千史の正義を貫くためにわたしは戦っている」 「私の知っているリンリンは誰かの笑顔を守るために戦ってた」 「リンリンだと、ふざけた名、…愛称か?」 銭琳は自分の名の由来を愛に話した。 「私には名が無い。 私が発炎能力を持っている化け物だということを知った私の親は二束三文の銭で私を売った」 銭琳の告白に言葉を失う愛。 「そんな私を拾って、人がましい生活を送らせてくれたのが刃千史だ。 刃千史での私の呼び名は蠍火」 「銭琳」は潜入任務のために、身分証明が必要な時だけに使うと言った銭琳は愛に警告する。 「お前は緑炎の執行対象に指定されてはいないから命を奪いはしない。 しかし私の任務の邪魔をするならその限りではない」 弾装を充填した拳銃を愛に突きつけるが、愛は身じろぎもしない。 「バッチリです」 「は? ふざけてるのか」 「バッチリです」 「何を言ってるんだ?」 愛は銭琳の目を見つめる。 「あの娘の口癖だった。 何かが上手くいったときあの娘がバッチリですと言えば、喜びも十倍に増える。 ヤバイ時にあの娘がバッチリですと言えば勇気百倍になってピンチを乗り越えられる」 「バッチリです」はそんな魔法の言葉だと言う愛に冷たく告げる。 「お前はイカレテルな」 銭琳の携帯が鳴った。 部屋を出て行く銭琳の背中に愛は言葉をかける。 「屋上であの子に笑いかけた時のあんたの笑顔は本物だった」 「怪しまれないためにそういう人間を演じきる。 それが私の生き方だ」 ★★ 院長室でデスクトップのPCを操作する飯田。 膨大な数の入院患者のリストをスクロールさせている。 部屋の隅では小川が描きかけのキャンバスを首を捻りながら覗き込んでいる。 「あんたなんかにその絵の意味がわかるの」 小川は黙って首を振るとキャンバスを裏向きにして、執務机に歩いていくと飯田の膝に腰掛ける。 ちょっとと咎める飯田に対して、わざとらしく微笑む。 「飯田さん~ん。 一体何を探してるんですか?」 「あんたに言っても無駄ね」 「こんなわけの判らない世界に来て、病院の院長に収まった目的が何なのか。 私には知る権利がある」 小川の口調が他人行儀なものにガラリと変わった。 「私に全面的に協力しろと言われたはずよ」 「ええ、保田さんにはそう言われたし、そのつもりでこの世界に同行したんですけどね」 飯田の膝に腰掛けたままで、小川は問い詰める。 「この世界は最初から何も存在しない。 言ってみればブランクディスクのような世界だとあなたは言っていた」 飯田が自分の質問に反応せずに、スクロールする患者リストを見つめているのに苛立ちを隠せない。 「そこに高橋愛を誘い込んで、世界ごと消去してしまうというのがあなたの当初の計画だった。 世界を破壊者から救うための計画だと」 画面のスクロールが止まる。 マウスをクリックして、一人の患者の詳細なデータを呼び出す。 「しかし、いざブランクディスクの世界に来てみれば、ちゃんとした世界が存在していた。 そして目標の高橋愛がやって来たというのに私は足止めを喰らったまま」 聞いてるのかよ、と飯田の胸元を掴む小川。 PCを終了させた飯田は胸元を掴まれたままで小川を睨み付ける。 初めのうちは平然としていた小川だったが、徐々に震え出す。 「fragment」 飯田は一言だけ言った。 「断片」を意味する英単語を。 小川の顔は屈辱に歪む。 「あんたの記憶はいったいいつで終わってるのかしらね。 そしていつから再開してるのかしらね、知りたくない? 私は知りたい」 謎めいた言葉を紡ぎながら、拡げた手のひらを小川の顔にかざす。 慌てて飯田の膝から逃れた小川は出入り口に向かうが、飯田はそれを制止する。 「レンタルショップでDVDを借りて、中身が違ってたってことはない?」 この世界に中身が存在するのはそういうことだと飯田は笑う。 「それにあんたと高橋愛を戦わせないのだって理由がある。 私には未来が視えている。 だから私のする全てのことに理由がある」 世界を救うのには小川の力が必要だと言った飯田はカードキーを手渡す。 「あんたには要らないかもしれないけどね。 少しばかり働いてもらおうかしら。 但し高橋と事を構えるのはまだ早いからね」 ★ 広大な院内を移動する小川。 清掃員の作業着を身に着けている。 診療科ごとの待合室の壁には患者の描いた絵や職員の撮影した写真が掲示されている。 その一角に飯田が画用紙に描いた絵を飾っていく。 ―気味の悪い絵だ キャンバスに描いている絵も判らないが、こっちの絵も何を描いてるのか。 こんな絵を飾って何がしたいんだと思いながら、作業を続けていく小川の目に愛の姿が映る。 ―あいつ 走り出した小川は子供の患者とぶつかってしまう。 構わず愛を追おうとする小川だったが、転げたままで泣くのを堪えている姿を見て動けなくなってしまう。 舌打ちすると子供を助け起こしに向かう。 ★ 険しい顔で歩く銭琳。 職員や患者が声をかけるが、応えようともしない。 手にした携帯の画面には病院内の地図。 ある一点に×印がついているのを見ると、さらに険しい顔になる。 ★★ 入院しているという子供を病棟に送る小川。 無表情を装っているが、時折柔和な目になる。 しばらく歩いていると、頭が重くなる。 症状がひどくなり、立っていられなくなった小川を心配そうに見つめる子供。 大丈夫、という舌がもつれる小川に声をかけたのは飯田だった。 「かなり具合が悪いようね。 安静になさい」 車椅子を指し示すと、小川の傍らにいた子供に笑いかける。 「あなたがミクちゃんね。 丁度よかったわ。 あなたに会いたかったのよ」 ☆ 銭琳を探す愛は病棟と病棟を繋ぐ回廊にさしかかっていた。 長い回廊の先に人影が見える。 それは幾人ものこどもたち。 皆が同じ服を着て、同じように立っている。 愛が目を瞬かせると、子供たちの姿は消えていた。 小川と同じように頭が重くなる愛の耳にアナウンスが聞こえる。 「世界の破壊者、高橋愛様。 院長がお待ちです。 院長室までお越しください」 Bパート ★★ ミクを誘って歩いていく飯田。 ふらつく身体を柱で支えている小川が飯田を詰る。 「今のアナウンスは何です。どうしてあなたが高橋と。それにこの蜘蛛の糸のようなものは一体?」 「あんたにこれが見えるとは思わなかったわ」 目を細めながら差し上げた左手に、細い糸をよりあわせたような糸が握られているように見えた。 「あの絵、私が展示してきたあなたの作品の数々…」 「そう、この糸は私の思念を組み合わせて作り出したもの。殆どの人間にとって、実体のないものだけど、能力者に対しては強力な結界となりうる」 小川が展示した絵を媒介にして、病院中に思念の糸の結界を張り巡らしたと告げる飯田。 精神系の能力者ではない小川がこれほど影響を受けるとは思わなかったと嘲笑う。 「私を利用したのか? 保田さんを裏切ったのか!」 「さあ、それはどうかしら。私たちの関係は裏切ったとなか裏切られたとか、そんな底の浅いものではないから」 一般人には目にすることが出来ない思念の糸を幾重にも纏う飯田の姿が小川には巨大な蜘蛛の化け物のように映った。 「この蜘蛛女がっ」 そう言って、飯田からミクを引き離そうと手を伸ばした小川を嘲笑うようにエレベーターのドアが閉まった。 ☆ 自分のことを呼ぶ館内放送を耳にしたその時から、愛は動き始めていた。 館内の表示で院長室の所在を確かめると、長い回廊を進み出す。 飯田の張った結界の存在に気付いてはいたが、足取りに躊躇いはない。 回廊を渡りきり、階段を昇って院長室の前にたどり着く。 厚い扉に耳を当てて中の音を聞こうとするが、何も聞こえない。 精神感応のチカラで内部に人間がいるか確認しようかとも思ったが、強大な結界を張った何者かの存在が愛を慎重にさせていた。 ―自分を招いた者の正体を確かめるには入るしかない 意を決すると扉に手をかける。 ★ ―保田さんが心してかかれと言っていたのはこのことだったのか もつれる体を立て直しながら、小川麻琴は自嘲する。 「半分エスパー」の世界で、邪魔をしたこくえけん職員高橋愛を弊そうとした自分を保田圭は制した そして保田は次の任務を与えてくれた。 ―圭織を助けてあげてと保田さんは言った ―彼女もまた彼女なりのやり方で世界を救うために動いていると ―戦闘向きの能力者ではない彼女が目的を果たすには、手足となる協力者が要ると ―私は動けない、圭織が動こうとしているのは本来、存在しない筈なのに何らかの偶然で生まれてしまった世界 ―圭織という強力な能力者に加えて、私までがその世界に赴いてはその世界の存在が確定してしまう ―あなたでなければ行けないのよ、と保田さんは言った。 ―私はそんなにちっぽけな存在なんですか? と拗ねてみた ―ダークネスの幹部に比べれば、虫けらのような存在なのは判ってますけどね、と僻んでみせた私のことを保田さんは笑った ―バカね、あんたの"反射”は無敵に近いレベルにまで成長している ―私や圭織とあんたとの違いは、関わってきた人間の数、重ねてきた歴史の重み、背負ってきた思いの違い ―あんたは実質は生まれたての赤ん坊と云っていい真っ白に近い存在 ―そんなあんただからこそ、存在しない世界の因果律に与える影響も最小で済む ―でもね、圭織には注意しなさい ―私たちには見えない未来が視えている圭織は私たちとは違う価値観を抱いているかもしれない ―だから、心してかかりなさい ―今わたしが在る世界は、確実に存在している ―あの蜘蛛女はそのことが最初から判っていたに違いない ―そして、あの女は私を出し抜いて破壊者高橋愛と接触する ―クソ、忌々しい、気に食わない、許せない ―私だけでなく保田さんまで利用するなんて絶対に許せない ―この世界を訪れてからどんな手段を弄したのか判らないが、あの女はこの総合病院の院長に収まった。 小川もその件で動くことは動いたが、それがどんな風に作用したのか判らないし、説明されてもいない。 「あんたに言ったってわかんないでしょ」と蔑んだ飯田を小川が許したのも、保田の指令があったからだ。 ―私を蔑んだっていいし、軽んじたって構わない ―しかし、あの女は私を完全に欺いた ―小なりとはいえ保田さんの指令で動いている私を騙したのだ ―壊してやる、この世界ごと壊してやる 小川は知っている。 自分の前では倣岸を装っている飯田が体調に不安を抱えていることを。 自分に隠れて鎮痛剤を、それも劇薬に近い鎮痛薬を服用しているのを知っている。 自分に見えないところで、泥のように眠り込んでいるのも知っている。 ―私のやろうとすることを”予知”されたって怖くなんかない。 ―ただでさえ戦闘力に乏しい上に、体調の不安を抱えているあの女なんか潰してやる。 暗い愉悦を湛えた瞳で、院長室のある階の方向を見つめた小川の目に… ★ ―あれからどれくらい経つんだろう 蠍火は思い起こしていた。 刃千史の機関員として、初めて働いた時のことを思い出していた。 それは思い出したくは無い出来事だった。 しかし、心に深く刻み込まれて、今ある自分の一部となっている。 蠍火は最初から執行人として働いていたのではない。 執行人は刃千史に叛意を抱く人間にとって、恐怖の対象でなくてはならない。 叛意を抱く人間がいかなる強者であっても倒さなければならないのだ。 それもただ倒すだけではならない。 惨く倒したその屍を、酷いやり方で晒すことで正義の旗を掲げるのだ。 その大役をいくら発炎能力を発動できるからといって、いくら射撃、格闘、暗殺技術の習得が目覚しいからといって、年端も行かない少女に執行人の大役を任せるほど人材が枯渇した刃千史ではない。 将来の執行人候補として目をかけられていた蠍火には、ある辺境地域での情報収集活が初任務として命じられた。 中央と異なる言語、風習を有するその地域はこれといった産物も存在せず、産業も根付いていない貧しい地域だった。 その地域に価値があるとしたら、石油の生産地帯の近隣に位置するという地理的な状況しかなかった。 原油の生産地帯と工業地帯を結ぶパイプラインの敷設計画の噂がその地域の空気を不穏なものにしていた。 中央への反発は公安部によって抑制されてはいたが、彼らの墳墓の地をパイプラインの敷設で踏み荒らす事態になれば、暴動が発生することも十分に予測された。 そんな地にまだ幼さの残った蠍火は派遣された。 役所の中での権力闘争に敗れ、妻にも見限られた哀れな男とその娘。 蠍火とその上司は人生の敗残者としてその地を訪れた。 伝手を頼って得たことになっている役所の仕事をこなしながら、上司は蠍火を現地の学校に通わせた。 「特に何もしなくても良い。 普通に学び普通に遊んで来い。 もし級友の家に招かれることがあったら、必ず行ってくるのだ」 初仕事の緊張が隠せない蠍火に上司は告げた。 その言葉どおり、蠍火は学校に通った。 独自の言語を有しながら、中央の強権によって公用語を使わされている学校。 蠍火に対する風当たりは強かった。 しかし妻に逃げられた哀れな男の役割を演じ切る上司の動向が級友の親たちに伝わったことも影響したのだろう。 そして、何より蠍火自身の資質もあったのだろう。 蠍火は級友たちに受け入れられていった。 やがて級友たちの家にも招かれていった。 そこで会った人たちはその地に伝わっている唄を教えてくれた。 その辺境の地独特の民族衣装も着せてくれた。 そして普通の生きていくことの幸せさを伝えてくれた。 その地での生活が任務であることが頭の中から消えることは無かったが、どこか空ろになっていたのだろう。 上司は蠍火に言った。 「いいか、中国という行政単位には百を越える民族が混在する。 それら全てを併せれば十億を軽く越える。 全ての人間がおのれの自由、おのれの権利を主張すればどんな混乱が生じるか」 想像せよと上司は言った。 この国の安寧を保つために、千の刃を振るえ。 この国の平和はそうやって刃千史が守ってきた。 刃千史はこの国の歴史と共にある、と。 蠍火は改めて自分の立場を自覚した。 そして自分の果たすべき役割を演じ切った。 学校では快活な少女として級友に溶け込んだ。 招かれた家では、妻に逃げられた父を慕う健気な娘として同情を買った。 そして、行く先々で出会った人、目にした物を逐一上司に報告した。 それが一体どんな意味を持つか、その時はまだわからなかった。 その行為がどんな事態を招くのか、その時の蠍火には想像することが出来なかった。 …ある日のことだった。 まだ夜も明け切らぬ時間に上司に起こされた蠍火は任務が終了したこと、そしてこの地からの即時撤収を知らされた。 かねてから計画されていたパイプライン設置のために、この地の人口の40パーセントに相当する人々の家が強制撤去されるらしい。 その前段階として強硬な反対派住民数十名が拘束されることになった。 その任務には公安警察が当たり、直接介入はしないが、不測の事態を考慮して軍も待機するという。 上司と蠍火は軍のヘリに乗り込んで速やかにこの地を離れことになった。 親しくなった学友や、親切にしてくれたこの土地の人々に別れの挨拶をしたい。 そんな些細な感傷を口にするほど愚かな蠍火ではなかったが、少しの戸惑いがあった。 一切の私物を住居に残し、公安の車でヘリの発着地点に向かった蠍火が目にしたものは、自分が言葉を交わしたこともある人々が家の前で拘束されている姿だった。 蠍火の心はざわついたが、強硬派住民の拘束は粛々と進められていった。 見覚えのある家々の周囲を公安警官が包囲しており、所々には護送車が停められている。 やがて、車は町の外れに差し掛かった。 これまでに見たのと同じように、その家の住人も強制退去の対象になっているらしい。 家の中に向かって泣き叫ぶ女子供を公安警官が制している。 そこは蠍火のことを初めて招いてくれた同級生の家だった。 その家ではこの地方伝来の装束を蠍火に着せてくれた。 そんな蠍火を慕って、同級生の妹がまとわりついてきたことを覚えている。 何の大義も存在しないが、地に根を張って生きているという実感を与えてくれる暮らしがその家にはあった。 その暮らしを自分が壊した。 自分たちが収集した情報の如何に関わらず、住民たちの強制退去は行われていただろう。 それだけ意義深く大規模な開発がこの地で行われようとしているのだ。 そのことを理解していても、自分がこの辺境の地の人たちの暮らしを壊してしまったという思いは離れようとしない。 自分はあの家族の暮らしを滅茶苦茶にした。 気づけば自分を責めている蠍火に上司は声をかけた。 「お前があの光景を見て何を感じ、何を思っているかはわかる。 だがお前はこれから何千何万回とそんな思いを噛み締めることになる」 小異を捨て大義に生きよ、と説く上司に返事をしようとした蠍火の目に何かが飛来してくるのが見えた。 ―あれは瓶。 強制退去へのせめてもの反抗? でもちらちらと赤く燃えて…。 危ない、と思った時には護送車にモロトフ・カクテルが炸裂していた。 傍らに居た公安警官が炎の衣をまとっている。 どこか緩慢としていた警官隊の動きが、一気に緊迫感に包まれた。 苦悶する同僚を救おうとする警官。 無傷だった装甲車を盾に、屋内への突入体勢を取る者。 「待てっ!!」 上司の制止を振り切って、車外に飛び出した蠍火は混乱している警官隊の隙を突いて、家の裏口へと回る。 助けたかった。 彼らの墳墓の土地を奪うために動いていた自分に家族のように接してくれた人たちを救いたかった。 彼らの手を汚させたくなかった。 幾度か訪れていた蠍火はその家の裏口が鍵無しで開けられることをしっていた。 木の扉、まるで人の顔のような模様の口の部分を強く押す。 閂の緩んだ扉を引き開ける。 「小父さん、銭琳です。 これ以上警官に逆らわないで下さい」 中に飛び込むなり、声をかける。 敵意を持たないことを示すために、手は広げて掲げている。 ―誰もいない? 決して大きくは無い家の中に人の気配が感じられない。 探そうにも人の隠れる場所もない。 ― 一体何処に? 前後の事を考えず危険を冒してしまった蠍火だったが、彼女にも保身の感情はある。 ―誰も居ないなら、早く引き上げなくては…!! 衝撃を感じた。 背後から強い勢いで何かがぶつかってきた。 蠍火は自分の油断を恥じた。 この家の家長が逞しい体をしていたことは覚えている。 ―もしも、掴まえられたなら面倒なことになる そう思った蠍火は腕を振るった。 傷つけるつもりは無い。 自らの体の自由は確保した上で、家長を説得しなければならない。 この家の家長の体躯なら、仮に急所に入ったとしても負傷することは無い。 そう思い振るった拳は蠍火を襲った影を家の壁まで吹き飛ばしていた。 ―脆すぎる 自分が吹き飛ばした影の軽さを怪訝に思った蠍火の目に映ったのは、この家の一番年下の娘だった。 「琳姐・・・」 力なく呟いた幼子がやがて炎に包まれた。 …人は過去から逃れられない。 乾き切った現在を生き抜くために、標的の居る筈の場所を視認する蠍火。 「…お前もあの忌々しい占い女の仲間か!!」 ――続く―― 【次回予告】 標的の居場所に向かおうとする蠍火の前に立ちはだかる小川。 すれ違う思い、交錯するチカラ。 「わたしがこのチカラで世界を救ってやるよ」「世界を変えるのはこの世界に生きる全ての人の力デス」 思念の蜘蛛の巣に囚われた愛は、飯田の超越俯瞰によって封印されてきた過去を追体験する。 「…わたし、楽しんでる。 あんなひどいことして笑ってる」 他の誰にも視えない未来を視た飯田は何を思い、何をしようとする? 「あんたはこのキャンバスに…を描けるかしら?」 モーング戦隊リゾナンターR 第17話「世界を変えるチカラ」 魂を燃やし、未来を照らせ!! back 『モーニング戦隊リゾナンターR 第??話 「半分エスパーの世界(後)」』→ next 『モーニング戦隊リゾナンターR 第17話 「世界を変えるチカラ」』→
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シナリオ「アイデンティティ」 +目次 シナリオ「アイデンティティ」§ 1 とあるレッドエリア(レッド・神業禁止) § 2 鳳龍の拠点(レッド) § 3 甘味処・綾辻(イエロー・神業禁止) § 3・1 ???(ベリューレン社地下大実験場) § 4 とあるイエロー § 4・1 青空の館 § 5 真教氷の聖母教会(レッド) § 5・1 § 6 千早アーコロジー最上階・天照院(ホワイト) § 7 N◎VA上空・成層圏 情報項目☆一つになる薬 ☆青空の館 ☆真教教会の愛の実験 § 1 とあるレッドエリア(レッド・神業禁止) 条件 一番初め 登場 鳳龍、愛奈、十三、咲綾、三間中、紫音、吼得 ト いつもの荒事、泣成家のトループ、吼得に囲まれる 吼得は牙をむき出しにし、獰猛に吼えた。 「これは報いだ、消得兄貴にケガさせたことのな。俺たち家族に手を出す理由、思い知らせてやるぜ!」 紫音を指さし、部下をけしかける。 「そいつが実行犯だ! お仲間もろとも食い散らかしてやんな!」 紫音は「えっと……、何もしてない、なんてことない、かも……」としらばっくれている様子。 ト カット進行、戦闘する、敵を全滅させれば勝ち ト 紫音は鳳龍だけを守るのに精いっぱいな様子 紫音はしきりに鳳龍に気をかける。 「鳳龍! 大丈夫? 怪我はない? 私がいる限り何があっても、鳳龍を傷つけさせたりはしないからね」 解散の流れになったその時、倒れたはずのレッガーのトループの一人が起き上がり、鳳龍に向って引き金を引いた。 「鳳龍っっっっ!!!!」 ト 紫音が〈※存在証明〉を使用する。 鳳龍と男の間に入った紫音は、乾いた銃声とともに鳳龍の方へ吹っ飛ばされた。鳳龍の胸に収まったのは、眉間に大きな穴が開いて、そこから紫電が漏れ出ている紫音だった。紫音は何が起きたのかわからないままに、それでも鳳龍の無事を確かめて。 「よかった」 額の穴からひびが全身に広がり、紫音は、鳳龍の腕の中で爆ぜた。その中に詰まっていた膨大な情報が、大量の紫電が同心円状に広がり、その場にいた者たちのIANUSにノイズを映す。 ト BS:電子妨害(20)をその場の全員に与える、シーン終了時に自動回復 ト 紫音のキャラシを破る 茫然としている鳳龍の手の中には、紫音の中から出てきた両手サイズの鍵穴のある箱だけが残っていた。 § 2 鳳龍の拠点(レッド) 条件 § 1の後 登場 鳳龍 一日の終わり。デスクの上に置いてある箱を眺めながら、電話で暁龍に今日の仕事の報告をする。暁龍は終始ただ話を聞いているだけだったが、最後にこう言う。 「鳳龍、お前、大丈夫か?」 「……いや、何でもない」 銃の手入れも終わった鳳龍はシャワーを浴びる。様々な思いが、感情が、排水溝に流れていく。 シャワーを止め、バスローブを羽織ったところで、部屋の方からの物音に気付く。嫌な予感がして飛び出すと、机の上に置いていた箱を手に取る、鼓音の姿があった。鼓音は鳳龍を振り返り、しかし何も言わずに、紺碧(こんぺき)の蝶へと姿を変え、飛んで行ってしまう。箱は持ち去られてしまった。 § 3 甘味処・綾辻(イエロー・神業禁止) 条件 § 2の後 登場 フェイ、三間中、乃蒼、華南 「綾辻スペシャルパフェでーす、ご注文の品はお揃いですかー?」 綾辻の看板娘、牧野かおりはにこっと笑ってカウンターへ戻っていく。隣の席の男二人はデレデレと、鼻の下を伸ばしてかおりを目で追っている。 テレビではN◎VA上空を周回していたイワサキの戦略飛行船が突如消えてしまったというニュースが流れている。イワサキは、以前までは宣伝目的で飛ばしていたが、メンテナンスのために回収したと発表しているが、マリオネットのトーキーは、イワサキがそのようなことをしたという証拠はないとしている。飛行船の行方は不明なままだ。 ト 一区切りつくと、次へ進む 表通りで突如悲鳴が上がり、それを追いかけるように爆発音がする。たくさんの人が店の前を走って逃げていく、そのスクロールの果てに、黒い壁が店の窓を覆いつくした。それは武装した集団だった。銃床で店のショウウィンドウを割り、店の中になだれ込んでくる。銃を乱射し、店の中は大混乱に陥る。襲撃者のうちの一人がトロンを操作する。すると紫電が店の中に満ちる。 ト 鼓音が神業《電脳神》を《不可知》の効果で使用 IANUSにノイズが走り、視覚・聴覚がジャックされる。真っ暗な中、何が起きているのかわからない。しばらくすると耳鳴りとともに視界も、音もぼんやりと戻ってくる。ゆっくりと立ち上がった三間中と乃蒼は、襲撃者と、フェイと華南がいなくなっていることに気が付いた。 ト 情報項目「襲撃者」 § 3・1 ???(ベリューレン社地下大実験場) 条件 乃蒼、三間中がアドレス「ベリューレン社」を手に入れたら 登場 フェイ、華南 二人は地下牢で目が覚める。二人の両腕は拘束されている。 ト 投獄は《タイムリー》によるもの、神業使用で解くことができる 地下牢からは上へと通じているようだ。途中途中に襲撃者と同じ装備をした連中が警備をしている。これをかいくぐって外へ出なければ。 ト FS判定「地下大実験場からの脱出」 扉を抜けるとそこには、たくさんの肉の塊が積まれている倉庫だった。それらは肌色で皮膚を持っているようだったが、液体のように常に形を変えている。こしょこしょと、その肉の塊たちは小さな声で、何度も何度も「父さん」とささやいている。コンテナがたくさん積まれている。その中身は、シリンダーの中に入った紫色の液体だった。 「ふーん、逃げ出したんだ」 背後に、ホログラムの少女がいた。それは鼓音だった。この以上にまみれた空間の中で、彼女は平然としていた。 「一応ここの管理を任されてる身だから、ほおっておくわけにもいかないしね」 紫色の雷が倉庫中を駆け巡る。うごめいていた肉塊たちはそれにびくびくと痙攣するように答え、互いに混ざり合い、巨大な肉塊となって二人の頭上に迫った。 「薬は不完全だけど、もう充分な効果はあるし、逃げ出しちゃうような危ないモルモットは邪魔だし、潰れちゃえ」 ト 神業《電脳神》を《死の舞踏》の効果で使用 ト ここで三間中、乃蒼が登場、三間中の神業で防いでもらう 「ちっ、邪魔しないでよね」 ト 神業《真実》を使用すると鼓音はこの施設について、自分について語りだす 「この施設は、もともとはベリューレン社のクローン製造工場。それをテラウェアが――氷の静謐が秘密裏に利用してたの。まあそう促したのはブランカなんだけどね」 「BIOSとヘイロンの内部にいた氷の静謐メンバーも集って、自分たちの実験施設として流用してたの――カオスドラッグの研究だよ」 「カオスドラッグは、使うと《個人》を溶かしてしまうの。自分と他人の境目があいまいになって、一つになる。氷の静謐の――超AIカオスの悲願だよ。みんな一つになるんだ」 「……まあ、私は興味ないんだけどね」 「人類がどうとかどうでもいい。私はただずっと、ブランカと一緒にいられれば」 「そうだよ、私が協力してたのはブランカのため。ブランカがどうしたいのかは知らないけど、私、彼の言うことだったらなんでも聞いてあげれるの――愛してるの」 ト 〈スタイル感知〉を使用すると鼓音はマネキンではないことがわかる 鼓音はブランカを愛していないと指摘すると、鼓音は激高する。 「お前に何がわかる! 私はただの副産物、お姉ちゃんの踏み台、誰も私を望んでなんかいなかった、私が生まれたことさえ知らなかった! ブランカだけなの、私を『使ってくれる』のは!」 「お前らなんて大嫌いだ。この街もろとも消え去ってしまえ!」 鼓音は逃げ出してしまう。その不吉なセリフは四人の脳裏に焼き付き、そしてタップに舞い込んでくるニュースに目を見張るのだった。 ト 逃げるのを神業で引き留められたときは《万能道具》を《霧散》で使用 ト もし説得ロールプレイがさく裂したら鼓音を改心させてもいい § 4 とあるイエロー 条件 § 3の後 登場 愛奈、結衣、ヨミ 愛奈は咲綾と、結衣は十三と喧嘩してしまった。二人とも、イエローの道をとぼとぼ歩いている。なぜあんなにもひどいことを言ってしまったのかわからない。道すがら、二人はばったりと出会う。 お互いに何かあったのかを話し合ったその時、二人の脳内に誰かの声が流れ込んでくる。 「……ない、……いない、どこ……、どこにいるの……」 気が付くと周囲には不自然なくらい誰もいない。声は一定の方向から聞こえてくるようだ。声に導かれるままに進んでいくと、イエローの隅っこ、ボロボロの館にたどり着いた。 館に入ると、玄関にヨミがいる。ヨミはどこかで怨霊機銃をなくしてしまっている。その怨霊の声に導かれてこの館にやってきた。 三人の脳内にはいまだに声が響き続けている。この館のどこかにいるらしい。 ト 情報項目「声の主」 § 4・1 青空の館 条件 愛奈、結衣、ヨミがアドレス「青空の部屋」を手に入れたら 登場 愛奈、結衣、ヨミ、青空 ホログラムの女性が、部屋のタンスをひっくり返したり、ベッドの下をのぞき込んだりしている。何かを必死に探しているようだ。 「ああ、来てくれたのね」 女性は三人を認めると、にっこりとほほ笑んだ。その声は、三人の脳内に響いた声と同じだった。 「あなたたちは知ってるわよね、紫音がどこにいるのか。あの子ったら本当にやんちゃで。すぐに変なこと知っちゃったり、死んでしまったり。私がついていてあげないとだめなのね。ちゃんとあの子の生活も、しつけも、記憶も、人格も、命も、全部私が管理してあげなくちゃダメなんだから」 「間違ってなんかいないわ、全部あの子のためだもの! 私はあの子を愛してる! この世界で一番大切な私の宝物! でも私以外、みんないなくなっちゃうんですもの。あの子を失いたくない! 私は永遠に、幸せでいるの!」 「……わかってる。永遠であることが、それほど重要じゃないことは」 「愛は与えるものであって、人からもらうものではないと、分かってたはずなのにね。あの子に――赤羅にも、受け取ることを強要していた」 「あなたたちに、これを」 青空は一つの小さな球体を渡す。 ト アウトフィット「アイデンティティの鍵」をゲット 「あの子の本質……、箱を開けるための鍵よ。鍵穴にこれを入れて、あの子を私の作った枠――『アイデンティティ』から解放してあげて」 「『アイデンティティ』は私が開発した、人格圧縮技術。データ化すると膨大な量になってしまう人格を36ペタバイトまで圧縮できる箱――檻」 「輪郭は、本当のアイデンティティは、あの子の生き様は、私が決めた超越者(ハイランダー)なんかじゃない。あの子自身が決めるべきものだから」 「さあ、私のお迎えが来たみたい。みんな、逃げて」 突如、天井が大きな音を立てて、外側から外されていく。部屋をのぞき込んだのは巨大な、人形の顔。愛奈には見覚えのある顔だ。 「赤羅のドール、よく来てくれたわね」 人形を仰ぎ見る青空を、人形は何本もあるうちの手でわしづかみにし、そのまま食べてしまう。そして三人を見下ろして、つんざく鳴き声で威嚇した。 ト SF判定「ドールからの逃走、怨霊機銃の発見、館からの脱出」 三人が館から出ると、屋根を突き破って、ドールが空高く飛んでいくのが見えた。その先に、黒い星が見えた。そして不吉なニュースが、三人のもとにも届く。 § 5 真教氷の聖母教会(レッド) 条件 § 4の後 登場 鳳龍、灰狼 ト 鳳龍の回想 ホログラムの暁龍はいつも以上にまじめ、というか鳳龍の目をじっと見つめている。 「私はな、鳳龍。常々こう思っている。お前の、教育を間違えた、と。星塵に入れてしまったこともあるが、私はお前を、あそこの狂った他の連中みたいにしたかったわけではない。おれはお前の強みを活かせる、そういう環境に置きたかっただけだった」 「そうやってひょうひょうと、へらへらと、自分を取り繕うのがお前の得意分野とでも言うつもりか? はっきり言うが、そのポーカーフェイス、俺には通用していないぞ」 「お前が窮屈に思うなら、星塵から外してやってもいい――まあ、これはまた別の話だがな」 「お前には自分と向き合う時間が必要だと判断した。三合会の利益とか、損とか、そんなことでは左右されない、お前の意思による決定。お前にはこの経験が足りていない」 「というわけでお前、ちょっと慈善活動してこい」 それはスラムの子供たちの面倒を見ている真教の教会で、泊まり込みでボランティアしてこいとのお達しだった。 「何が〈善い〉なのか、お前自身が決めろ」 その言葉が嫌に耳朶に残っている。しかしそんな回想もすぐに、子供たちの喧騒に流されてしまった。 ト 回想終了 神父(赤羅)が全員をなだめて鳳龍を紹介する。 「みなさん静かに。こちら鳳龍さん。みなさんのために、この教会にお手伝いに来てくださった方です。感謝の気持ちを込めて、『よろしくお願いします』と言いましょう。さんはい!」 よろしくお願いしまーす! 鳳龍の顔は引きつってしまうかもしれない。子供たちは鳳龍によってたかって、遊ぼうだの、どこから来たのだの、質問を浴びせまくる。その輪に混じらず、離れたところから鳳龍をじっと見つめる少女と目が合った。少女はにこりと鳳龍に微笑みかける。 ト 灰狼登場 「あ、灰狼、いいところに」 神父が荷物を運び入れてきた灰狼を手招きして、鳳龍を紹介する。 「こちらボランティアに来てくださった鳳龍さんです。鳳龍さん、こちら長い間この教会でカゼとしてお手伝いしてもらっている灰狼です。鳳龍さんには買い出しや荷物の搬入などもやっていただくつもりなので、よろしくお願いします」 「灰狼? どうかしたのですか?」 ト 灰狼と鳳龍の絡みは流れに任せる。一区切りついたら次へ。 「ではお昼ご飯にしましょう」 子供たちは食器の準備などをし始める。なぜだか自分の手で食べようとする子は少ない。みんな他の子に食べさせあっている。スキンシップも多いようだ。 と、さっき鳳龍を見ていた女の子がいつの間にか近くに来ていて、鳳龍の裾を引いた。にっこりと笑いかける。どうやら懐かれたようだ。 ト 情報項目「運び入れる荷物」 § 5・1 条件 情報項目「運び入れる荷物」のある程度の解決 登場 鳳龍、灰狼 昼寝の時間。鳳龍は子供を寝かしつけるように赤羅神父から言われる。部屋一面に毛布を引いて、みんなで眠る。おしゃべりする子に注意をしていくうちに、みんなぐっすりと眠りについた。他の誰かと抱き合って眠っている子が多い。灰狼にとってはいつもの光景だ。 鳳龍に懐いた子が鳳龍の裾をしきりに引く。 「一緒に寝よう」 少女は鳳龍に抱き着きながら寝る。その力は強く、より密着しようとしているように思える。少女はとろんとした顔で鳳龍を見上げる。しかしそれは、眠たいわけではないようだ。少女は鳳龍の身体をまさぐる、鳳龍にキスしようとする。 少女はにへらっと笑い、とろけた表情になる。そしてそのまま、溶けた。どろりと、肌色の液体のような肉塊に代わってしまう。見ると他の子供達も次々と溶けていったしまう。そしてお互いに混ざり合って、一つになる。 「素晴らしい」 部屋の入り口から、赤羅が声を上げる。 「これが本当の愛のカタチか! これが永遠の愛か! 〈個〉は消え去り、しかし〈全〉の中で確かに生き残る! 完成したんだ! カオスドラッグが!」 「青空、ついに見つけたぞ! 今会いに行くからな、俺たち家族は一つに――」 駆けだそうとした赤羅はぴたりと足を止める。二人には視覚になっている廊下に、誰かがいるようだ。鳳龍には聞き覚えのある声で、誰かが言う。 「困るなぁ、そんな衝動的に外部に情報を漏らされるのは」 「いや、は、ははは、じょ、冗談ですって」 へらへら笑う赤羅の首に、素早く黒い煙が巻き付き、赤羅を持ち上げた。 「頭を冷やせ。優先順位を間違えるな」 「ひっ、わ、分かってます! でも、俺の家族は助けてくれる約束は覚えてくれてますよね、ブランカさん!」 廊下の先から、ゆっくりと男が歩み出る。初めて会う顔の男、しかし鳳龍は見たことがある。三合会での資料、顔を変えて逃走中のブランカの似顔絵。 また灰狼も、ブランカというその名前に聞き覚えがあった。鳳龍の母、マリアが愛した男。その昔、夏王朝がHAEVENを取り込んだ直後から王族の中にあり、鳳龍が生まれる少し前から行方が分からなくなっていた、無責任な、鳳龍の父親の二つ名。 「ん、客人がいたとは」 「いつぞやの暗殺者と慈善家のバイク乗りか。悪いが君たちにかまっている暇はない。これで失礼するよ」 「君たちが止めるというのなら、それはそれで面白い」 ト SF判定「カーチェイス」しながら戦闘 赤羅のトラックは横転して転がって行ってしまう。電脳暗渠の下に落ちたそこには、原形をとどめていないトラックと、その中ですりつぶされた赤羅しかいなかった。 「まったく、乱暴だな」 姿は見えないが、ブランカの声がする。 「俺はここで退場させてもらうぜ。最後の一押しができなかったのは残念だが、まあ良しとしよう。俺にとっては、何もかも、どうでもいい」 「きっと君たちが勝つだろうけど、そんな予定調和も、俺は客席から楽しませてもらうぜ」 ト 神業で逃走を阻まれた場合《霧散》を使用。 立ち尽くす二人のもとに、今朝からやっていたニュースの続報が入る。 § 6 千早アーコロジー最上階・天照院(ホワイト) 条件 導入一番最後 登場 咲綾、十三、服部半蔵、千早雅俊 咲綾の下には服部から連絡が入る。護衛の依頼である。 「除名しておいた身で恐縮だが、君しか頼れない、イワサキの――N◎VAの危機なんだ」 「社長から直々の使命だ。あの飛行船――リーテルリーブ号についてだ」 十三のもとにも、千早雅之から護衛依頼が来る。 「私の養子、雅俊の護衛をお願いしたいのです。あくまで護衛、千早の利益などは考えてくださらなくて結構です。場所はN◎VAセニット――N◎VAの企業の集まり、元老院です。N◎VAの危機に迫られ、議長より緊急招集がありました」 N◎VAセニットが始まる。 円形の机、それぞれに超有名企業の重鎮が座っている。議長は欠席、雅俊がその役を一部代行する。 「テラウェアとBIOSとヘイロンは欠席ですか……。しかし時間がありません。これよりN◎VAセニット臨時集会を始めます。議題はこちらです」 スクリーンに黒い、漆黒の飛行船が大きく映し出される。それは船主を地へ向けて、真っ逆さまに落下している。否、地面に向かって飛行している。 「リーテルリーブ号は木更津に向かって落下中です。落下地点付近には甚大な被害が予想されます。が、それだけではありません。先日、大量の劇薬――カオスドラッグがリーテルリーブ号に輸送されていることが確認されています。このまま落下すれば、木更津だけならず、N◎VA中が甚大な被害を受けることになります」 会場がざわつく。「イワサキは説明責任を果たすべきだ」という声が上がる。その後の沈黙は、服部の発言待ちであった。服部は一見堂々としているが、咲綾にはその首を伝う汗が見えた。 「現在、リーテルリーブ号はわが社のコントロール下にありません」 さらにざわつく。服部は続ける。 「今朝、我々はリーテルリーブ号に接近し、内部の自立戦闘システムAI《リーテルリーブ》と接触しました。これがその時の、記録です」 ざらついたノイズ、続く無機質な音声。 「諸君らの要求は受け入れられない。私は、私の使命まっとうのために、やり遂げなければならない。私の使命、愛の計算機の創造は、超AIカオスの提案の下に今成し遂げられんとされている。すなわち、N◎VA全域の人類をカオスドラッグにより融合、その脳およびIANUSの計算能力で我らが聖人紫音の箱を包み込めば、地上最強の計算機が完成する。我々は『愛とは何か』の問いに終止符を打つことができる。邪魔をしないでもらいたい」 爆音、警告ブザー、パイロットの悲鳴が聞こえる。音声はそこで途切れた。 「向かわせた戦闘機三機とその搭乗員、全員が行方不明です。未知の方法によって、ロスとしました」 会場はしんと静まり返る。服部は深呼吸をし、話を切り出した。 「敵の力は未知数、我々だけでは対処できません。N◎VAの未来を守るため、皆さんにぜひ協力していただきたいのです」 不満が、爆ぜた。「ふざけるな!」「なぜイワサキの尻ぬぐいを我らがしなければならないのか!」「イワサキが責任をもって対処すべきだ!」服部は思わず目をぎゅっとつぶり、肩を跳ねさせた。 その混乱を雅俊が鎮める。 「落下までのタイムリミットは五時間です。一時間だけ、ロビー対談にしましょう。各社の方々、しっかりと議論してください」 他の企業はイワサキから逃げるように、別の企業と話を始めてしまう。服部と話す気のあるものはいないようだ。雅俊だけが、彼女に話しかける。 「千早は協力を惜しまない……と言いたいところだが、全力で支援できるわけではない。天上との兼ね合いもあるんだ。この場にいるエグゼクたちはみな、職業病か、この事件の先のことを考えずにはいられない。自分たちのアーコロジーさえ守り通せれば、その後の荒廃したN◎VAで有利に出れる。行政府も同じ考えのようだ」 「……他企業がどうであろうと、イワサキは全力であれを止める。我々には責任がある……」 「責任と者の存続、どちらが重要かはしっかり見極めなければならない……。ものは貸せても、人は動かせない。許してくれ」 「はは……、企業や団体の損得にとらわれない、純粋にN◎VAを守ってくれる集団があればな……」 咲綾と十三はこのタイミングで話ができる。 ト 他のキャストを集めるように促す、もしくは他のキャストに登場してもらう § 7 N◎VA上空・成層圏 登場 全員 レベッカが〈※超テク〉で装備を整えてくれる。灰狼のバイクを飛行可能に。 ト 戦闘 崩れゆくリーテルリーブは最後の力を振り絞り、鳳龍に攻撃を仕掛ける。 ト 〈※スーサイドアタック〉を使用、神業以外では防げない 残骸の中に、紫色に輝く箱が落ちていく。このままだと木更津湖に落ちてしまう。 ト アイデンティティのカギを《とどめの一撃》で発射する 木更津湖沿岸に一人の、ホログラムの少女が横たわっている。それは紫音であり、しかし紫音でない何かだった。鳳龍は彼女の下へ向かい、そっと抱き起した。少女は目を覚ます。 「……ここは、どこ?」 「何も、覚えて、ない……、怖い……」 涙を流す少女に、鳳龍が書けた言葉は―― 情報項目 ☆一つになる薬 ◎襲撃者 技能:知覚、企業、ストリート 襲撃者は装備は同じだったが、それぞれエンブレムが違っていた。部隊内でもそれぞれ差別化していたのか? 複数の団体の混合部隊であったと推測できる。 装備品はすべてBIOS、テラウェア製であった。 常人ではありえない身体能力。ドーピングしていたか。しかし市販のドラッグにあのような効果のものは存在しない。 紫電のハッキングは、新オメガ=プロジェクトの超AIによるものである。 襲撃者たちが二人をどこへ連れ去ったかわかった。アドレス「ベリューレンCo.」をゲット。 ☆青空の館 ◎声の主 技能:知覚、電脳、アストラル、テクノロジー、社交界、ストリート 「ああ、どこへ行ってしまったの、私のかわいい、かわいい娘は……」 「世界中に散らばったの、あの子の記憶が、情報が……、でもそれはただの記憶、あの子の本質が、どこかに……」 「お願い許して……、私はただ、ただ、永遠に、幸せでいたかっただけなの……!」 「お願いだから戻ってきて、本当の愛のカタチ、あなたを本当に愛しているの、紫音!」 アドレス「青空の部屋」をゲット。 ☆真教教会の愛の実験 ◎運び入れる荷物 生活必需品に紛れて、シリンダーに入った紫色の液体がある。何かの薬のようだ。 台所で空のシリンダーが大量にあることがわかる。食事に混ぜているのか? 運んでくる先は古い倉庫。もともとどこかの会社だった。鳳龍にはそこがベリューレン社跡だと分かる。 食事後の昼寝の時間が一番スキンシップが激しい。中にはキスしている子もいるという。カップルではなく、別の日には別の子ともキスをするのだとか。
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1パック5枚入り Dポイントや連勝が条件のものは、条件を満たしているときのみ出現 復刻シリーズはパスワードで規定カードを手に入れても出現する 通常パック 「全パック開封」の条件に含まれるパック。 ここに書かれている以外の方法で取得しても開封したことにはならない。 このうちBooster Chronicleまでは現実同様の収録内容となっており、KONAMI Selection以降は本作オリジナルのパックのため独自の収録内容となっている。 パック名 選択条件 Vol.1 最初から Vol.2 最初から Vol.3 最初から Vol.4 最初から Vol.5 最初から Vol.6 最初から Vol.7 最初から Dark Ceremony Edition 最初から 青眼の白龍伝説 青眼の白龍を所持 幻の召喚神 封印されしエクゾディアを所持 暗黒魔竜復活 真紅眼の黒竜を所持 鋼鉄の襲撃者 リボルバー・ドラゴンを所持 Magic Ruler 手持ちDポイントが5000以上 Pharaoh s Servant 手持ちDポイントが8000以上 Curse of Anubis 手持ちDポイントが8000以上 Thousand Eyes Bible 手持ちDポイントが10000以上 Spell of Mask 初期登場キャラ全員に勝利し、全ての大会で優勝 Labyrinth of Nightmare 初期登場キャラ全員に10勝 Premium Pack3 デュエル大会に1回以上優勝 Premium Pack4 デュエル大会に10回以上優勝 Premium Pack5 Vol.1~Labyrinth of Nightmare及びPremium Pack3~4までの計19パックが全て出現している Booster Chronicle 現在連勝中で、かつ連勝数が3以上のときのみ出現 KONAMI Selection 4週ごとの日曜日のみ出現 TRAP Selection カバンに500枚以上カードがある MAGIC Selection カバンに1000枚以上カードがある Rare Selection カード収集率70%以上 Ultimate Random Pack ターゲットデュエルの2人目に勝利したときのみ出現 イベントパック パック選択画面には出現せず、特定のイベントでのみ入手可能 週間・決闘者付録パックは2種類のうち、どちらが貰えるかは毎週ランダム 週間・決闘者付録パック(A) 毎週月曜日 週間・決闘者付録パック(B) 毎週月曜日 デュエル大会賞品パック デュエル大会優勝時 チャレンジカップ賞品パック チャレンジカップ優勝時 KCカップ賞品パック KCカップ優勝時
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陣営/鬼 勝利条件が個々によって違う特殊陣営です。 共通の勝利条件は「自分自身の生存」で、蝙蝠陣営同様、他陣営の勝敗と競合しません。 ゲーム終了時に鬼陣営をコピーした鵺系・変化前の覚醒者・夢語部がいた場合、 例外的に勝利条件は「自身の生存のみ」となります。 恋人は恋人陣営と判定します (例:恋人の曲者は曲者陣営とはカウントしない)。→前鬼、後鬼 2日目以降の夜に生徒一人を攫う (暗殺の一種) ことができます。→サブ付加の鬼もいます 曲者に襲撃されても一定確率で無効化します (襲撃は失敗扱い)。 襲撃者が天才忍者 (完全覚醒状態) だった場合は耐性無効です。 暗殺を一定確率で反射します。 生存カウントは生徒です。 精神鑑定士・無粋な保健委員の判定は「鬼」です。 勝利条件 榊鬼だけはやや異なるので注意。 名称 勝利条件 鬼 自分自身と曲者系 (種類・恋人不問) の生存 前鬼 自分自身の生存 + 曲者陣営の全滅 後鬼 自分自身の生存 + 妖狐陣営の全滅 榊鬼 出題者陣営の勝利、または自分自身の生存 金鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の左側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 風鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の右側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 水鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の上側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 隠行鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の下側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 般若 自分自身の生存 + 女性の全滅 夜行鬼 自分自身の生存 + 共有者系・曲者系・妖狐系の全滅 酒呑童子 自分自身の生存 + 生徒陣営*以外*の勝利 星熊童子 自分自身の生存 + 学園の人口を三分の一以下にする 茨木童子 自分自身の生存 + 精神鑑定士が『嘘吐き』判定を出す人の全滅 夜叉 自分自身の生存 + 曲者系 (恋人を含む) の全滅 夜叉丸 自分自身の生存 + 蝙蝠陣営の全滅 + 生徒陣営の勝利 滝夜叉姫 自分自身の生存 + 保健委員系・魔法使い系の全滅 荼枳尼天 自分自身の生存 + 男性の全滅 鬼子母神 自分自身の生存 + 子狐系・愉快犯系・天使系の全滅 + 生徒陣営*以外*の勝利 金剛夜叉 自分自身の生存 + 蘇生能力者の全滅 + 生徒陣営*以外*の勝利 阿修羅 自分自身の生存 + 生存陣営数が出現陣営の半分以下 毘沙門天 自分自身の生存 + 自分よりサブ役職の所持数の多い人の全滅 所属役職 鬼系:鬼 前鬼 後鬼 榊鬼 金鬼 風鬼 水鬼 隠行鬼 般若 夜行鬼 星熊童子 茨木童子 酒呑童子 夜叉系:夜叉 夜叉丸 滝夜叉姫 荼枳尼天 鬼子母神 金剛夜叉 阿修羅 毘沙門天 榊鬼の「劣化強毒者」について 毒の巻き込み対象は「曲者系 + 妖狐陣営 + 鬼陣営」になります。 通常の強毒者は「曲者系+妖狐陣営」のみ。 名前 コメント
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51話 炎上路線 貯水池の畔にて休んでいた青飛竜フーベルトゥス、紫髪の少女由比真奈紀、 茶髪ツインテールの少女野沢佳美。 「そろそろ移動した方が良いか?」 フーベルトゥスが真奈紀と佳美に提言する。 貯水池の周りはプレハブの倉庫が有るだけで他は何も無くかなり見晴らしが良い。 つまり自分達の姿が丸見えで、殺し合いと言う状況下ではかなり危険である。 倉庫は固く施錠され中には入れない。 貯水池はいつまでも身を休めるのには適してはいない場所だった。 「そうね」 「でも、どこへ行きますか?」 真奈紀と佳美もフーベルトゥスに同意するが、佳美がフーベルトゥスに行く宛ては有るのか尋ねた。 「そうだなぁ、どうする真奈紀ちゃん」 「え? 私に振るの? 訊かれてるのフーさんなのに」 唐突に話を振られ不満気な真奈紀だったが渋々自分の持物から地図を取り出して行き先を思案する。 「ここは?」 そう言って真奈紀が地図上で指差したのはD-6に有る島役場。 現在自分達が居る貯水池からそう離れてはいない。 「島役場か。だけどどうして島役場を選んだんだ?」 「比較的近いし、人が集まり易そうでしょ? 私達みたいに乗ってない人が来るかも」 「乗ってる奴も来るんじゃないか?」 「そうかもしれないけど、危険を恐れてばかりって訳にも行かないでしょ。 って言うか、私に行き先求めたんだから文句言わないでよ」 「あ……うん、すまん。よし、島役場に行くか……良いかな? 佳美ちゃん」 「はい、大丈夫です」 三人の次の行き先が決定する。 早速三人は出発の準備に取り掛かろうとした。 ガサッ。 「「「!」」」 しかしその時、近くの茂みから物音が聞こえ、三人は茂みを注視する。 「誰かいるのか?」 フーベルトゥスが茂みの方に向かって声を掛ける。 「待って! 殺し合う気は無いから……今からそっちに行くわ」 返事は女の声、それも若い少女の声だった。 茂みから出てきたのは和服風の戦闘服に身を包んだ狐の尻尾と耳を持った少女。 (可愛い……) 一目見てフーベルトゥスは狐耳の少女を襲いたい衝動に駆られたが、 流石に今はそれどころでは無いと自制し少女に問い掛けを行い始める。 「君、名前は?」 「劉恵晶。字は正宇。恵晶で良いよ」 「そうか、恵晶ちゃん、殺し合う気は無いと言っていたけど、本当か?」 「本当よ」 「ふぅん……どう思う二人共」 真奈紀と佳美の意見も聞こうとするフーベルトゥス。 「うーん、信じても良いんじゃない? もし殺し合いに乗ってて、私達を殺す気が有るなら、 わざわざ大人しく出てきたりはしないんじゃないかな」 「私も、由比さんと同じ意見です」 「分かった。と言う訳で、恵晶ちゃん、君の言う事を信じる事にする」 「……ありがと」 「俺達も殺し合いする気は無い。俺はフーベルトゥス。まあ見ての通りワイバーンだな。 こっちが俺の仲間の由比真奈紀ちゃんと、野沢佳美ちゃん」 「こんにちは……三人はここで何してたの?」 「休んでたんだよ。北の集落で半竜人の女に殺されそうになったんだ。 そいつから逃げてきて、ここで休んでたって訳」 恵晶に、貯水池に自分達がやってきた経緯を大まかに説明するフーベルトゥス。 ついでに、半竜人女性の特徴も話し始める。 「ふむふむ……黒いロングで、巨乳、手足が緑竜のそれで、角と尻尾有、翼も有ると。 しかも三人殺害している可能性が非常に高いと」 「俺達を襲った時に遣った自動小銃の他にも、爆弾か何か持ってるかもしれない」 「成程ね……」 ふと、恵晶はフーベルトゥスの後方に目をやる。 「……!」 倉庫の陰から何者かが、こちらに向けて何かを投げるのが見えた。 その「何者」かは、ほんの一瞬しか見えなかったが、たった今フーベルトゥスが言った、 半竜人の女性の特徴と合致しているように見えた。 しかし今はそれよりも投げられた物の方が重要だった。 「くっ!」 投げられた物が何なのか、即座に理解した恵晶は横に向かって駆け出した。 三人はなぜ恵晶が突然駆け出したのか、直ぐには理解出来無かった。 理解出来たのは、自分達の傍に黒っぽい拳大の何かがバウンドした時。 その時にはもう全てが遅かったが。 ドガアアアアアアン!!!! 黒っぽい拳大のそれ――――手榴弾は、バウンドした直後に炸裂し、爆炎を巻き起こした。 爆心地のすぐ近くに居た三人は爆風に吹き飛ばされ、炎で焼かれ、破片を全身に受け文字通り「吹き飛んだ」。 大袈裟に悲鳴を上げる間すら無く、三人の身体は黒焦げになり、バラバラになった。 周囲に抉れた地面の土と、三人だった物が降り注ぎ、爆発の衝撃で思わずうつ伏せに倒れ込んだ恵晶にも降り掛かった。 「……」 伏せていた頭をゆっくりと上げ周囲の様子を伺う恵晶。 土埃と硝煙が巻き起こり、視界は効かない。 火薬と、微かに血肉の臭いがした。 自分は今銃を持っているが、相手の姿が視認出来無い以上迂闊に攻撃するべきでは無い。そう恵晶は判断する。 立ち上がり、恵晶は再び駆け出す。 この現場からの離脱が目的である。 自分が生き残る事こそが第一の目的なのだから、無理をして敵を倒す事は恵晶の行動指針には含まれていなかった。 ダダダダダダッ!! 「くっ!」 銃撃音が聞こえ悪態をつく恵晶。 明らかに自分を狙った発砲である。 「〈殺されてたまるか!!〉」 母国語でそう叫び、恵晶はひたすら走り続けた。 そしてどれぐらい走っただろうか、はぁはぁと息を切らしながら恵晶が立ち止まる。 呼吸を整えつつ周囲を見回すが、追い掛けてきている者は居ない。 遠くに煙が見える、あそこが貯水池だろう。 かなり遠くまで走ってきたと恵晶は思った。 そして、どうやら先程の襲撃者を撒けた、一先ず自分の危機は去ったようだ、とも。 「〈はぁ、はぁ……あの女〉」 恵晶は自分や三人を襲った襲撃者の事を思い返す。 恐らく、フーベルトゥスが言っていた半竜人の女性だと思われた。 ほんの一瞬見えた外見の特徴、爆弾と自動小銃と言う所持武器が一致していた。 確定、では無いが、八割方そうだと考えて良いだろう。 出来るならもう二度と遭いたく無いと、誰かに殺されてはくれないかと恵晶は思う。 「〈あの三人……お気の毒に。もし仲間になれれば私の生存率も上がったんだけどなぁ〉」 複数のグループに入ればそれだけ自分が狙われる確率も減る、そう思って彼女はフーベルトゥス達三人に取り入ろうとしたが、 それも先程の襲撃によって立ち消えになってしまった。 ふと前方を見ると市街地が見える。 東の方には軍事施設跡と思しき物も見えるので現在位置は恐らくC-6であろう。 「〈市街地の方行ってみようか……〉」 恵晶は市街地――――南部集落の方に向かって歩き出した。 【フーベルトゥス 死亡】 【由比真奈紀 死亡】 【野沢佳美 死亡】 【残り17人】 【午前/C-6/道路】 【劉恵晶】 [状態]疲労(中) [装備]ノリンコNP-40(10/10) [持物]基本支給品一式ノリンコNP-40の弾倉(3)、S W M2(6/6)、.32リムファイア弾(12) [思考]1:自分が生き残る事を優先する。 2:弱そうな参加者は脅して装備を奪うか、場合によっては殺害してしまおう。 3:南部集落へ向かう。 [備考]※貯水池での襲撃者がフーベルトゥスの言っていた半竜人の女性(沢谷千華)であると確信しています。 ◆◆◆ 「一人逃げられたかぁ……ま、良いや」 小さなクレーターの出来た貯水池の畔で、見るに堪えない状態となった飛竜と少女二人の死体を、 G3A3自動小銃の銃口で啄きながら半竜人の女、沢谷千華は言った。 「あの時逃がした三人とまた会えて、しかも仕留められただけでも良しとしよう。 でも、凄いわねぇ手榴弾の威力……三人の荷物も吹き飛んじゃったけど」 第一回放送前に殺害した男性から入手した、MkII手榴弾。 三発の内二発を使用したが何れも大きな戦果をもたらしてくれた。 後一発残っており、装備しているG3A3自動小銃を始めとして装備も充実している。 武装面で心配する事は無いだろうと千華は考えた。 「さあて、次はどこに行こうかしら……」 次の行き先を思案する千華。 そしてその目に映ったのは、運営本部である学校の先に広がる市街地であった。 【午前/C-5/貯水池】 【沢谷千華】 [状態]背中に二発被弾(盲管銃創だが行動に今の所支障無し) [装備]H K G3A3(0/20) [持物]基本支給品一式、H K G3の弾倉(3)、マウザーHSc.380ACPモデル(7/7)、 マウザーHSc.380ACPモデルの弾倉(3)、三十年式銃剣、ニューナンブM60(4/5)、.38スペシャル弾(5)、 MkII手榴弾(2)、マッチ、ボウイナイフ [思考]1:面白そうなので、殺し合いに乗る。 2:次の行き先は……。 [備考]※フーベルトゥス、由比真奈紀、野沢佳美(三人共名前未確認)の死亡を確認しました。 ※劉恵晶の容姿のみ記憶しました。 前:砂の城 目次順 次:からっぽな空の下で 前:You don t know where you re going to フーベルトゥス GAME OVER 前:You don t know where you re going to 由比真奈紀 GAME OVER 前:You don t know where you re going to 野沢佳美 GAME OVER 前:浅い夢か深い眠りか 劉恵晶 次:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~ 前:You don t know where you re going to 沢谷千華 次:ひろかずの言うとおり~はっぴょう~
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「また派手にやられたな、組長さん。」 ヨシヒトが運ばれた後。人面虎襲撃の片づけを始めようとする 出雲寺組の前に、ショウゴ、コトハ、リュウザの3人が現れた。 殺気立ってる出雲寺組の組員達は何も言わない。 ただ、先の抗争で争ったショウゴ達を睨むばかりだ。 抗争は終わったと言っても、そうそう簡単に気持ちが切り替えられる訳ではない。 「何しに来やがった。」 「情報提供と援助の申し出だよ、アキト。」 「・・・何?」 「聞こえなかったのか。情報と援助だよ。出雲寺組は よほど近所付き合いが良いらしいな。ご近所さんの中に 襲撃者を見た人がいた、聞いたら教えてくれたよ。敵さん、 出て行く時には両腕が使い物にならなかったそうだ。 派手な穴もいくつか空いとったらしい。 暫くは表立って出てこないだろうな。 ・・・アキト、お前得意の盗聴器やら監視カメラやらは?」 「まだ確認してねぇ・・・」 「頭に血が上り過ぎなんだよ、そんなんじゃ行動が単純化しちまうぞ。頭を冷やせ。」 「うるせぇ!お前に何が分かる!家族がやられたんだぞ、ここまで!何がわk」 そこまで言った所で、アスミがアキトの頬を叩いた。 「止めなさいアキト、ショウゴさんだって・・・」 言葉を止めるアスミ。鬼英会と出雲寺組の抗争における、 ショウゴ達の真相は知っている。 総長であった父親と次期総長だった義妹の遺体は 未だに見つかっていないと聞いている。 アキトは呆然とアスミを見、そしてシュンとなると視線をショウゴに戻した。 「組長さん、アキトは悪くねぇよ。俺の物言いが悪かった。許してくれ。 もうひとつ、援助の事についてなんだが…」 コトハとリュウザが一歩ずつ前に出る。 「この二人は学校に通って無いんだ。ヨシヒトが『戦線復帰』するまで、 代わりにこいつらをここに置いてくれないか。」 「・・・昨日の敵は今日の友、とでも?」 ショウゴは周りの視線を気にせず飄々と返した。 「ここの連中は器が狭くねぇだろう?勿論、たまには俺も来よう。」 ニッっと不敵に笑うと、ショウゴは腕を組む。 しかしその表情もすぐに真剣なモノに変わる。 「どうにも最近キナ臭くてな。鬼英会だけじゃない。 ウスワイヤにホウオウグループとやらの襲撃があったらしいじゃないか。 学校だってどうにもおかしい。 挙句に此処の襲撃だ。どこもかしこもキナ臭ぇ。 準備に『し過ぎる』というのは無いモンだ。」 アスミは周りの組員達を見、ズタズタにされた屋敷を見、そしてショウゴを正面から見据えた。 「申し出感謝致します。是非、力を。」 「よし来たガッテン承知の助、ってな。」 「ショウゴさん、古いよそれ…」 「うるせぇリュウザ、んじゃま、片付けから始めますか。」
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(尻尾のついた毛玉-新データ) 植物属木霊種 生息地 生物廃棄場 特徴 ①尻尾 ②温厚 ③剛毛 体力 D 魔力 B 知能 A 器用 E 俊敏 A 攻撃 C 防御 C 魔攻 D 魔防 A 耐性 E 創造神評価 -点 生物繁栄度 -% 昔生物廃棄場がまだ稼働していた時の頃に作った生物ですね 先日闘技場にも出てましたが素晴らしい身体能力の持ち主でしたね とは言え廃棄場は閉鎖されてかなり経ちますが…どうやら内部で独自の生態系を築いているみたいですね 創造神様 いかがいたしますか? 1.廃棄場見るのちょっと怖い… 2.廃棄場の様子を覗いてみよう dice1d2=2 (2) では廃棄場を覗いてみましょうか 天界の片隅でどのような生態系が出来ているのか…少し楽しみですね まず見つけたのは… 1.尻尾のついた毛玉の個体 2.その他の生物の個体 dice1d2=1 (1) 毛玉の個体を見つけましたよ どうやらあの子は… 1.廃棄場に生えた草を食べている 2.仲間と対話している 3.身を隠して寝ている 4.狩った獲物を食べている dice1d4=2 (2) どうやら対話しているみたいです どんな会話か少し翻訳してみますね… 1.たわいもない世間話 2.高度な情報のやり取り 3.新しい餌場や縄張りの情報交換 4.廃棄場からの脱出について dice1d4=1 (1) ただの世間話だったみたいですね 意外と廃棄場は穏やかな空間なのでしょうか? 1.何事もなく仲間と別れた 2.仲間が増えた 3.何かが二匹を見つめている… 4.突然襲撃された! dice1d4=2 (2) おや また個体の仲間が集まりましたね 集まって世間話をしています どうやらここは猫の集会所のような尻尾のついた毛玉が集まる場所みたいですね 闘技場で見た個体は非常に好戦的でしたが 一般的な毛玉は温厚に過ごしているようです 1.何事もなくのんびりしている 2.さらに仲間が増えてもふもふ空間に 3.その時何かが集会所を覗いていて… 4.級に襲撃者が現れた! dice1d4=4 (4) おっと集会所に飛び込んでくる獣が居ました あの獣は… 1.廃棄した既知の獣 2.全く知らない未知の獣 3.知る要素は幾つかあるが見たこと無い獣 dice1d3=1 (1) どうやら我々の知っている何かの生物みたいです… 1.まぶしいサキュバス(1スレ目) 2.ハダカハーピィ(2スレ目) dice1d2=1 (1) (まぶしいサキュバス) 魔人属 淫魔種 特徴 ①多産 ②発光 ③強遺伝子 体力 D 魔力 D 攻撃 B 防御 E 魔攻 D 魔防 C 俊敏 A 幸運 D 生息地 廃棄 データを引っ張り出してきましたが発光以外は普通のサキュバスのような特徴ですね とにかく まぶしいサキュバスの個体は尻尾のついた毛玉を… 1.捕まえてもふもふし始めた 2.捕まえて鼻を押し付け息を思いきり吸い込んでいる 3.お話まぜてーと来た 4.おもむろに個体を掴んで齧りついた dice1d4=2 (2) …猫か何かでしょうか とりあえず殺す気は無いようですね…毛玉の方は 1.何とか逃れようとしている 2.のほほん…ととしている 3.好きにやらせてやるか…といった感じ 4.抵抗 dice1d4=1 (1) 慌てて逃れようとしていますね 他の仲間は 1.逃げた 2.助けようとしている dice1d2=2 (2) 頑張ってまぶしいサキュバスを追い出そうとしていますが… 1.攻撃Bには勝てなかったよ… 2.まとめて捕まってスーハースーハーされた 3.尻尾攻撃が痛くてサキュバス退散 4.あっ dice1d4=4 (4) 1.打ちどころが悪くて死んでる… 2.また別の襲撃者が来た… 3.仲間の増援だ! dice1d3=3 (3) どうやら蜂の巣を刺激してしまったように哀れなサキュバスは大量の毛玉に囲まれていますね そして尻尾でペシペシ叩かれています まぶしいサキュバスは… 1.発光して撃退を試みている 2.泣きながら帰って行った 3.逆にちょっと気持ちよくてうっとり 4.たまらず放したものの… dice1d4=4 (4) 1.そのまま袋叩きに合い逃げていった 2.過剰な袋叩きによって死亡 3.放してくれたので全員大人しくなった dice1d3=2 (2) どうやら好奇心で抱き付いてみたは良いものの… 過剰とも言える防衛によってサキュバスは動かなくなってしまいました 解放された個体と毛玉たちは… 1.場所を移動する事に 2.サキュバスの死体を埋葬 3.放置して対話を再開 4.食べ始めた…! dice1d4=4 (4) おっと…どうやらこの個体は肉を食べるようです 亡くなったサキュバスは毛玉に群がられてあっと言う間にその場から消え去りました 好奇心はなんとやらですね… しかし温厚な種だと聞いていたのですが闘技場の個体やこの様子を見ると廃棄場の特異な環境で特徴が変わってしまったのでしょうか…? 1.単純に食物連鎖の頂点に立っている 2.獲物が少なくてみんなお腹が空いていた 3.まぶしいサキュバスは食物連鎖の最底辺だった 4.特徴が凶暴に変わっている dice1d4=1 (1) なんと驚く事に尻尾のついた毛玉は廃棄場での食物連鎖の頂点だったみたいですね うっかり集会所に近づいてしまったサキュバスはその可愛らしい見た目に眼を奪われてしまったのでしょう 見掛けによらないとはよく言ったものです その後彼らは… 1.集会所で悠々と昼寝を 2.散り散りになりそれぞれの巣へ 3.対話は盛り上がりちょっとした宴に 4.空腹が刺激されたのか集団で狩りに dice1d4=3 (3) どうやら再び世間話に戻ったみたいです 新たな話のタネも出来てちょっとした宴みたいに盛り上がってますね 奇妙な生態系を築きつつも廃棄場での生活は割とのびのびやっているみたいです さて そろそろお時間ですが… 創造神様 いかがでしたでしょうか? 1.大変満足 2.まあまあ 3.ちょっと不満 dice1d3=1 (1) どうやら満足されたみたいです 1.実に興味深いのでこれからも廃棄場は監視しておくように 2.もふもふしたい… 3.それより発光サキュバスがまだ生きてて感動した dice1d3=1 (1) いつになく真面目ですね創造神様 これからも時々覗いてみる事にしましょうか では今回はこれにて お疲れ様でした
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カッパーベル銅山Copperbell Mines 西ザナラーンのホライズン・エッジにある銅山。 アマジナ鉱山社が所有、運営している。 歴史 約300年前にソーン朝ウルダハ時代に、王家によって銅山として開かれた。 その際、巨人族(支配者階級のギガース族)から奴隷階級の「ヘカトンケイレス族」を購入し、 呪術を込めた金属兜をかぶせることで、怪力の鉱夫として働かせていたという。 しかし、呪術が不完全だったのか、ヘカトンケイレス族による反乱が発生。 当時のウルダハ人は、岩盤を崩落させることでヘカトンケイレス族を最下層に封じ込めることで事なきを得た。 以後、「鉱脈が尽きた」として銅山は閉山され、長き時が過ぎ、奴隷反乱は忘れ去られることとなる。 しかし、第七霊災に前後して、王家より採掘権を入手したアマジナ鉱山社により、最新の採掘技術による再開発計画が立ち上がる。 特に第七霊災以後、復興特需により鉱石需要が高まったことを受け、再開発が本格化。 その際、最下層の岩盤を掘り抜いたところ、忘れ去られていたヘカトンケイレス族が現れ、 300年越しの反乱がはじまることとなった。 採掘 「銅山」の名の通り、銅鉱を産する。 また、「ナナシャマラカイト」と呼ばれる、美しいマラカイトが採れることでも知られている。 封鎖坑道 カッパーベル銅山 鉱脈が枯れたことで300年前に放棄された銅山。その採掘権を得た「アマジナ鉱山社」は、最新の採掘技術を用いて再開発に着手した。 しかし、最深部の岩盤を爆破したとき、その内部から巨人族が出現。採掘師たちに襲いかかったのだった。襲撃者の正体は、ソーン朝ウルダハ時代に奴隷種族として使役され、反乱を起こしたため地下に封じられた「ヘカトンケイレス族」。自由と復讐を求めて暴れる巨人族を鎮圧せよ。 騒乱黄道 カッパーベル銅山 冒険者の活躍により、ヘカトンケイレス族の排除に成功したことで、カッパーベル銅山の封鎖は解かれた。かくして、アマジナ鉱山社は再開発に向け、 先行調査のために採掘師の一団を送り込む。だが、彼らが坑道の奥で見たのは、深層から這い出してきたヘカトンケイレス族の生き残りの姿だった。 再び坑道内で発生した騒乱を鎮めるため、腕利きの冒険者が送り込まれることになる。