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アヴドゥルは暗闇の中、花京院と相対していた。 DIOの能力の秘密と引き換えに死んだはずだが、傷を負っている様子などなく佇んでいる。 「……は…………く……」 何か言っているようだが小さく聞こえ辛い。 意識し聞くため近づこうとすると、足が勝手に止まった。 『行ってはいけない!』はっきりとアヴドゥルを止める。 しかし、花京院も自分と同じような目にあい、生き返ったのかもしれない。 仲間への熱い思いが静止を無視し、アヴドゥルを先へと進めた。 「花京院!大丈夫か!?」 俯き加減で何か呟いていた花京院の肩を掴む。 反応はないが近づいたことにより、声が聞こえるようになった。 「アヴドゥルに『渋い男の世界』なんてありませんよ…ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」 「なッ!?」 いきなり一度やられる前まで、ちょっと意識していた『渋い男』を否定され驚きの声を上げるアヴドゥル。 「いきなり何を言うッ、花ky…「答える必要はない」 言葉に被せられ冷たく拒否される。 「『アヴドゥル』?『アヴドゥル』とはブ男のこと…『花京院』とは美形のこと……… 死に様を壮大に飾った者のことだ。過程は問題じゃあない。読者の心に残らず死んだ奴が『アヴドゥル』なのだ」 ガガガーーーーーッッッンン!!!!!? アヴドゥルに生涯最大の衝撃が襲い掛かった。 密かに気にしていた事を。 無駄死にキャラスレが立つ度、名前が挙がるのを気にしていた事を! 仲間である花京院から告げられた。 アヴドゥルは衝撃のあまり、立つこともできなくなり膝をついた。 (………何も言い返せん。) DIOというラスボスの秘密と共に散った花京院。 しかも途中に回想シーンまで付いて、辞世の名言と共に逝っている。 それに比べ自分はどうだ! 仲間の命は救った、しかし、相手は中ボス。 しかもその後、ポルナレフのために命を掛けスタンドを使ったイギーに完全に食われている! 愕然とした差に打ちのめされたアヴドゥルは、顔を上げることすら出来ない。 「しかし!」 花京院の強い否定の言葉が響く。 「アヴドゥルさん! あなたの命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ!」 前言と全く違う言葉にえッと、アヴドゥルは驚き花京院を見上げる。 「良いッ! ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に)良いですッ!良い死に様でしたッ!」 花京院の一転変わった暖かい言葉に思わず涙ぐみ、下を向いてしまうアヴドゥル。 完全に先ほどまでの罵声をわすれたようだ。 「…………なので」 ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…何かが外れる音が聞こえた。 続いて、ジィーーーーーッとジッパーを下げる音が響く。 先ほどの静止以上にアヴドゥルの脳内に警報が鳴り響いたが、ツンデレにやられてしまったアヴドゥルは気付かない。 上げた視線が花京院のモノと交わる。 いつの間にかベンチに座っていた花京院は、重く響く声でこう言った。 「 や り ま せ ん か 」 素肌に纏った学生服、そして最大まで降ろされたジッパーの中は……… 「ヤッダー バァアァァァァアアアアアッ!!!」 何故か出た謎の魂の叫びと共に、その場から少しでも離れようとする。 しかし、腰が抜けたのか這い蹲ってでしか移動できない。 ゆっくりと近づいてくる花京院を感じ、アヴドゥルは最後の叫びを上げる。 「わたしのそばに近寄るなああーーーーーーーーーッ」 自分の声を聞きながらアヴドゥルは、両手を天使に引っ張られているな感触を受け、夢から覚めた。 がばッ! 飛び起きたアヴドゥルは覚えてもいない夢に酷く恐怖した。 しばらく深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す。 (どんな夢だったのか覚えていない。だが一つだけいえることがある。) 心の言葉の最後を口にする。 「ツンデレは危険だ」 深刻な顔でツンデレと発現するアヴドゥル。 そして、正反対に毛布を少し跳ね除け、くー…くー…と涎を垂らし安眠するルイズ。 対照的なご主人様と使い魔の初めての朝であった。
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* * * 後ろで銃声が聞こえあたしが振り向いた時、ジョンガリ・Aの銃口はあたしを向いていた。 つまりジョンガリ・Aは、チャンスを見計らってあたしを殺そうとしてたってワケだ。 なるほど、やっぱりそういう腹積もりだったってワケかよ。 ただ、まだ疑問は残っている。 何であたしに当たらなかったんだ? 至近距離、あたしは殆ど動いていない。加えてコイツは銃のプロだと言っていた。 それなのに何であたしに弾丸が当たらない? その時、ホテルから二人の男が姿を現した。 一人は西部ガンマン風の男で、もう一人の男を置いて走り去った。 そして残されたもう一人の人間の姿を見てあたしは驚いた。 立っていたのは傷だらけの学生。 足下もおぼついていなくて、立っている事すら難しいように見える。 背後に男のスタンドが見える。多分アレがあたしを助けたんだろう。 「逃げろ!ヤツは未だ貴方を狙っている!」 男の声にジョンガリ・Aの方を向くと、 …確かにあたしを狙ってやがる。だが、 「うぜぇ」 ヤツが撃つ前にあたしがF・F弾を炸裂させた。 F・F弾をその身に受けたジョンガリ・Aは吹き飛ぶ。 「…ッ!!」 傷だらけの男の、息を呑む声が聴こえた。 ヤツが倒れたのを見届け、あたしは男に向き直った。 「何故あたしを助けた?」 コイツ達が何者かは分からないが、信用する訳には行かない。 が、あたしを助けてくれたのも事実だ。 (まあ、そんな事されなくてもあたしは全く問題無かったが) 借りが出来た以上、返さなきゃならんだろう。 「殺したのか?」 あたしの質問に、男は質問で返して来た。 「え?」 「何故あの男を殺したんだ?」 ここでウソを言うと、あたしの質問にもウソの答が返って来る気がする。 そう思ったあたしは、正直に答える事にした。 「殺らなきゃ殺られてた。それにコイツがDIOの仲間だってんなら、あたし達の敵だ」 「あたし達?DIOが…敵?」 「そう、あたしや徐倫、エルメェス、エンポリオ、ウェザー、アナスイ、…」 「…」 警戒を解かず私の答を淡々と聴いていただけの男の表情は、次の名を聴いた時一気に豹変した。 「…承太郎」 「…!!承太郎!?貴方は空条承太郎の仲間なのか!?」 「あ、あぁ」 男の勢いに、つい返事をしてしまう。こっちの質問に答えて貰って無いってのに。 「そうか、承太郎の…。しかし、僕が知らないと云う事は…」 そこまで呟いて、男は考え込んでしまった。 「おい、あたしの質問にも…」 「済みません、後二点質問させて下さい。 貴方のお名前と、貴方が承太郎と一緒に居たのが西暦で何年かを」 あたしの発言は遮られた。しかも何故か敬語になってるし。 「さっきからお前が質問してばっかじゃねぇか。あたしの質問にも答えろ!」 若干キレ気味に男に言うが、 「これで最後ですから」 と返答してきた。 「ったく。あたしの名はF・F。もう一つの答は2015年だよ」 「やはり、未来の仲間か…」 あたしの答に、ワケ分からない事を呟く。 「イイ加減答えろ!アンタ何モンだ?何故あたしを助けた?」 「名を名乗らず、礼を欠き申し訳ありませんでした。 僕の名は花京院典明。1987年、承太郎達とDIO打倒の旅に出た者です」 「1987年、承太郎と…?」 徐倫からその話は聴いている。しかしこの男が…? 「まあいい。で、何であたしを助けた?」 「あの、ジョンガリ・Aという名の男から DIOの情報を訊き出そうと思っていたのですが…」 「答になって無い」 あたしの射る様な視線を受け、花京院は顔を背け、 「こんな理不尽なゲームに付き合う必要は無い。 命を落とす人間は少ない方が良い。そう思いませんか?」 と言って来た。 そしてこいつの視線を追うと、その先には 瓦礫の下のガキを救おうとしている二人の男がいた。 その内の一人は、さっきのガンマン風の男だ。 なるほど、そういう事か。 あの二人はコイツの仲間なんだな。 「!!」 その時、瓦礫が崩れ二人の上に落ちて来た。 辛うじて二人は押さえたものの、岩盤を支えるだけで精一杯のようだ。 「ジョースター卿!!」 叫ぶ花京院に私は言ってやった。 「OKOK。あたしが援護に行ってやるよ」 「え?」 花京院が振り返る。 「あんたには借りがあるしな」 そうあたしが立ち上がろうとした時、 「待て!」 花京院がいきなり声を荒げた。 「な、何だよ。いきなり」 「ジョンガリ・Aが居ない!」 花京院の声にジョンガリ・Aの死体の方を振り向くと、 …ヤツの死体は消えていた。 * * * こいつはヤベェ!何でこんな事になっちまうんだよ! DIOからの伝言なら俺宛にもあるかも知れねぇ、 そう思って、この小僧を助けようとしたら…。 「ぐおおぉぉ……!!」 何でこのタイミングで瓦礫が崩れて来るんだよぉ! 「………ッ!!」 ジョースターも余裕は無さそうだ。 俺も全くねぇ。首を動かす事すらままならねぇ。 逃げることも出来ねぇ。そんなことしたら三人まとめて下敷きだ。 全く、利用価値があると思ってジョースターに付いてりゃ花京院を助けるし、 ジョースターの前じゃ殺せないからと花京院の手当てをすれば、その花京院のせいでこのざまだ。 どいつもこいつも恩を仇で返しやがる。 おい、花京院!お前、この状況見えてんだろ!さっさと何とかしてくれよ! * * * 「ハイエロファント・グリーン!」 花京院が叫ぶと、再びコイツのスタンドが出現した。 「法皇の結界!」 続く花京院の声に、スタンドがヒモ状に変化し、辺り一面がヒモで覆われる。 …まるでいつぞやのストーン・フリーの様に。 「F・Fさん。ジョンガリ・Aはあの背後に隠れている様です」 糸のスタンドから何かを感じ取ったのだろう、花京院はホテルの一角を指し、あたしに言って来た。 「さて、どうやって取り押さえるか…」 「あぁ、そいつなら問題無い。あたしがアイツから50m離れるだけで爆死する」 「え?」 「そういう腕輪が付いているんだ。ヤツには」 そう言ってあたしはヤツと逆の方向に走り出し、 「待て!迂闊に動くな!」 ドン! 制止の声と銃声が同時に聴こえ、あたしは吹き飛ばされた。 ―――後頭部を貫かれ。 * * * 辛うじて立っていた僕はF・Fさんが斃れる光景を目の当たりにし、 ずるずると壁をずり落ち、地べたにへたり込んだ。 最悪の事態になってしまった。 F・Fさんは凶弾に斃れてしまい、ジョースター卿達は救助の筈が二次災害に巻き込まれ身動きが取れない。 そして、放っておいたら僕達を皆殺しにするであろう、ジョンガリ・A。 ヤツを斃す事は不可能では無い。再び銃を撃つ前にエメラルドスプラッシュを叩きこめば良いだけだ。 しかしその後、ジョースター卿達の救出をする術が無い。 僕には岩を支える力どころか立つ力さえ残されていないのだ。 僕が長くない事は十分過ぎる位理解している。 つまり、数時間後に残るのは六人の死体だけとなってしまう。 もう全員死ぬしか道は無いのか?荒木の能力を知るものは居なくなってしまうのか? 「……ッ!」 僕は頭を振った。 そんな結果を受け入れる訳には行かない。 考えろ、考えるんだ。 最悪でも、あの三人だけは救出できる方法を! しかし僕の意志とは裏腹に、僕の体力はどんどん失われて行く。 それに呼応するかのように、法皇の結界の糸もその数を減らして行った。 兎に角、今僕が出来る事は時間を稼ぐ事だけだ。 緩めればすぐに落ちてしまう意識を気力のみで繋ぎ止め、僕はジョンガリ・Aに向かって言葉を発した。 * * * 勝負はついた。F・Fは斃れ、側の男、花京院という名のスタンド使いは瀕死状態。 残りの人間は崩れ落ちる瓦礫を支えるだけで精一杯。 …何もしなくても死ぬような連中ばかりだ。 弾を込め直している所に、花京院から声を掛けられる。 「お前のスタンドは見切った」 「…」 「お前のスタンドは弾丸を操る能力」 弾を込める手が止まる。そのままヤツは話を続けた。 「僕が知るスタンド使いに銃がスタンドという人間がいる。 そいつは弾丸もスタンドなので自在に軌道を操る事が出来る。 お前の場合は、あくまで銃は銃であり、弾丸もただの物質。 放たれた弾丸の軌道を変える事しか出来ない。しかも変えられるのは1回だけだ。 何回も軌道を変更出来るのならば先の一発で僕も一緒に撃ち抜かれている筈だからな」 「…」 「図星か」 若干の見当違いこそあれ、ほぼ正解のようなものだ。 しかし、俺の優位は変わらない。 「それが解ったからどうだというのだ?お前では俺を斃す事は出来ん」 「何故だ」 「お前が俺を斃せないほど弱っているからだ。 ほら、お前の糸のスタンド、時間と共に段々と量が減っているだろうが」 「…ッ」 花京院が息を呑む気配がした。 すかさずさっきの言葉を言い返してやる。 「図星か」 実際、スタンドの糸はかなり減ってきている。最早俺の周りに数十本在る程度だ。 恐らく花京院は意識を保つのすら厳しいのだろう。 俺自身も放って置いて良いケガではないが、 この場に居る全員を殺し、『ライク・ア・ヴァージン』を入手した後手当てするだけの余裕はある。 何せ相手は抵抗出来ないのだ。 悠々と弾を込める俺に又花京院が何か言い始めたが、もう無視する事にした。 やつを撃ち殺すのに不要な情報は遮断する。 耳に入るヤツの声も、消え行く硝煙の臭いも、口元にある糸くずの感触も、 胸元から流れ、止まりかけている血の感触も、 やつのスタンドが段々となくなる気配も…。 弾丸を装填し、マンハッタン・トランスファーに狙いを定める。 マンハッタン・トランスファーに当たり反射した弾丸は、確実に花京院の頭を貫く。 そう、F・Fのように。 「………」 暗殺時に相手に掛ける言葉など無い。 俺は無言で引き金を引いた。 「………?」 引き金は引いた。それは俺自身としては既に終えた作業の筈だった。 後はマンハッタン・トランスファーが反射した弾丸がヤツに命中するだけなのに…。 「!!…う、腕が…動かない?」 どういう事だ!?これは!! 動揺する俺に、壁越しに花京院の声が掛かる。 「相手のスタンド能力を知らずに闘う事は敗因へと直結し易い。 だからスタンド使い同士の戦いでは、相手のスタンドの能力を見極める事が最優先なのだ」 俺は、自分の意志と裏腹に銃を取り落とし、足が勝手に動いて花京院の前に姿を現した。 壁にもたれ掛かり俺を見る花京院は淡々と喋り続ける。 「法皇の結界は弱まって消えていたんじゃ無い。 より細い糸状になってお前の口から内部に潜り込んだんだ。 そう、お前に感知されない位細い糸になって…」 ま、まさかさっきの口元の糸くずの感触は…! そしてこいつがペラペラと喋っていたのは、それから俺の気を逸らすため…!? 「今、お前の体を操らせて貰っている。体内に潜り込んだハイエロファント・グリーンが…ね」 く、くそっ! 花京院の前に無防備に立たされる。最早俺に成す術は無い。 血の気を失った顔で、しかし冷静さは全く失っていない声で花京院は告げた。 「さぁ、お仕置きの時間だ」 * * * ジョンガリ・Aの自由は奪った。 この男の腕を内部から破壊し、銃を持てないようにしても良いのだが… 「さて、お前からは色々と訊きたい事があるが、それらは後回しだ。 先ずお前がやる事はジョースター卿達の救出。 その次にF・Fさんの埋葬だ」 「…ッ」 「行け!!」 弾かれた様にジョースター卿の下へ走り出すジョンガリ・A。 これで三人を助けられる筈だ。 警戒は解けないが、少々の安堵の息を吐いた。 と、 「あたしを埋葬する必要なんて無いぞ」 「!!」 死んだ筈のF・Fさんが起き上がりながら僕に声を掛けてきて、僕は驚いた。 「だ、大丈夫なんですか?」 「あぁ、あたしは頭を撃ち抜かれた位じゃ死なないからね。 死んだ振りして、ヤツが姿を現した時に殺ってやろうと思っていたんだが」 「貴方は一体…?」 唖然とする僕に、F・Fさんは 「お互い色々訊きたい事があるだろうが、まずはアレ、何とかした方がいいな」 と、親指でジョースター卿達を指した。 ジョンガリ・Aと組んでいたという不安要素は残るものの、 動けない僕の代わりに手伝ってくれると言うのなら有難い。 「…お願い出来ますか?」 「任せな。…っと、そうだ」 ジョースター卿の下へ走り出そうとしたF・Fさんはふと足を止め、僕に近付いて来た。 「な、何を…?」 警戒し、ハイエロファント・グリーンを出そうとしたが、その前に 「借り返しのついでだ」 そう言ってF・Fさんは僕の前にしゃがみ込み、傷口に触れた。 「え?」 彼女が触れた途端、傷が治って行く。 次々に傷を治しながらF・Fさんは言った。 「応急処置だ。傷口を埋めただけなんで痛みは残るが、出血したり、動く事で傷口が開いたりする事は無くなる筈だ。 このまま大人しくしていれば、直ぐにちゃんと動けるようになるよ」 確かに傷はなくなっていた。 暫く休んでいれば、体力も回復するだろう。 「あ、有難う御座います」 F・Fに礼を述べると、F・Fさんは 「これで貸し借りゼロだからな」 と言って、今度こそジョースター卿の下へ走って行った。 「…違いますよ」 もう聴こえないであろう、F・Fさんの背に向かって、僕は呟く。 「借りが出来たのは、僕の方じゃありませんか…」 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 66 激戦(前編)~背信~ 花京院典明 66 激戦(後編)~零れた笑い~ 66 激戦(前編)~背信~ ナランチャ・ギルガ 66 激戦(後編)~零れた笑い~ 66 激戦(前編)~背信~ ホル・ホース 66 激戦(後編)~零れた笑い~ 66 激戦(前編)~背信~ ジョージ・ジョースター1世 66 激戦(後編)~零れた笑い~ 66 激戦(前編)~背信~ F・F 66 激戦(後編)~零れた笑い~ 66 激戦(前編)~背信~ ジョンガリ・A 66 激戦(後編)~零れた笑い~
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その髪型は何処でカットしているのだろうか… 嗚呼…その冒険は何処までも奇妙… 「やぁJOJO!ホリィさんの息子よ、がっつくようだがそのチェリー、僕にくれないか。 ひきちぎられるとくるいもだえるが、ひきちぎってもくるいもだえる。BABY STAND…お仕置きの時間だよベイビー!」 冒険は何処までも続いてゆく → カイロの果てを目指して 先頭でグラサンの男が笛を吹く → 前髪をたなびかせて 冒険は何処までも続いてゆく → DIOの館を目指して 男の傍に立った法皇が潜む → レロレロの音に合わせて 心が折れるほどのヘド吐くような恐怖 抗えないカリスマ性… 「やぁポルナレフ!そのセリフはちがうぞ。 あだを討つ時というのは『野郎』なんてセリフを吐くもんじゃあない。 我が友人アヴドゥルとポルナレフの妹の為、彼らの無念…死をもってつぐなわせてやる!」 冒険は何処までも続いてゆく → カイロの果てを目指して 燃える紅い魔術師の男が踊る → 博識ぶり披露して 冒険は何処までも続いてゆく → DIOの館を目指して 《気味が悪い》首吊り道化師の幽波絞が笑う → 夢の国へご招待 みじめな僕になんて二度と戻らない 信じる仲間と共に… スタンド同士惹かれ合い 一人また一人列に並んでゆく やがてその一行は 墜落漂流して陸路でカイロ目指す… 喩えば友人を信じるブ男… 喩えば壮健な波紋のおじいちゃん… 喩えばブ男に捕まった犬… 喩えば妹を犠牲にされた兄… 喩えば星屑に守られた男… 誰もDIOとの因縁からは目を逸らさない… 「ごきげんよう、可哀相な読者の皆さん。奇妙な冒険へようこそ!」 法皇を操って 一人また一人ひきちぎってゆく やがてその結界は 決死の覚悟で「くらえ半径20mスプラッシュ!」 嗚呼…その冒険は何時までも続いてゆく… そのピアスは何処で買ったのだろうか…
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++第五話 メロンとメイド++ ルイズがめちゃくちゃにした教室の片付けが終わったのは、昼休みの前だった。 魔法を使わず、というか使えずに片付けるので、作業はなかなかはかどらない。おまけに、働くのはほとんどが花京院で、ルイズはいくつかの机を拭いただけだ。 不満ではないといえば嘘になるが、花京院はだんだんとルイズの性格を把握していた。 だから教室を掃除すると決まったときに、諦めている。 着替えるために部屋に戻り、それから二人は食堂に向かった。 授業が終わってから一言も喋らないルイズを横目に、花京院は考えていた。 魔法の成功の可能性、ゼロ。だから、ゼロのルイズ。 実際に、ルイズは魔法に失敗して机を爆発させていたから信憑性はある。 しかし、魔法が全く使えないわけでもないだろう。 もしもそうだったら彼女は貴族を名乗れないだろうし、爆発も起きない。 だとしたら、彼女はどれぐらい魔法を使えるのだろうか。 これから先、使い魔としてやっていくためには情報が必要だ。 「ルイズ。一つ質問があるんだが、君はどんな魔法が使えるんだ?」 「……」 「僕を召喚できたから召喚の魔法は使えているようだし、爆発の魔法も使えていた。他に使える魔法はあるのかい?」 「…………」 ルイズはさっきからずっと黙り込んでいる。 魔法に失敗して落ち込んでいるんだろう、花京院はそう思った。 「土属性の魔法は苦手そうだったからな。なんとなく風か水って感じがするが?」 「……」 「少しは答えてくれ。他に使える魔法がないってわけじゃあないだろう」 花京院が何を聞いても、ルイズは何も答えなかった。 いつものルイズなら何か文句を言ったり、暴力に訴えたりしそうなものだ。 無言を貫き続けるルイズは無気味だったが、気にしなかった。 だから、花京院は気付かなかった。 ルイズの右手が白くなるほど固く握られていることに。 食堂につくと、花京院はルイズのために椅子を引いた。 ルイズは相変わらず無言のままで椅子に座る。 ここまでは今朝の食堂と変わらぬ光景だ。 でも、少しだけ違った。 「僕の朝食は?」 床に置いてあるはずの朝食が無かった。 「……そんな物があると思うの? あんたに?」 ルイズは震える声でそう言った。 その声に花京院は聞き覚えがあった。 中学生の頃、先生に呼び出された時のことだ。 話の内容は花京院の生活態度について。もっと明るくしなさい。もっと友達に合わせなさい。いい加減、うんざりだった。 話を聞き流している花京院に業を煮やしたらしく、次第に教師は大声になってきた。 あまりにもうるさいので、「静かにしてください」と花京院が言った直後、教師は殴りかかってきた。 スタンドを使うまでもなく、花京院は当て身で教師を気絶させた。 ルイズの声はその教師の声と似ている。 最後に殴りかかってきたとき、教師が発した声と同じ震え方だ。 それから分かること。すなわち、怒り。 しかし、花京院にはなぜルイズが怒っているのかわからない。 「君は何を怒っているんだ? 僕が何かしたのか?」 「うるさい。そもそも、ここは使い魔が入っていい所じゃないのよ。早く出てって! 出てってよ!」 ルイズはがむしゃらにそう繰り返した。 突然の暴挙に花京院は戸惑った。そして、理不尽だと憤った。 ……怒るなら理由を言えばいい。納得できるなら謝るし、必要なら土下座でも何でもしよう。 でも、理由を言わなければどうしようもない。謝ることも、文句を言うこともできない。 それは卑怯だ。 頭に文句が次々に浮かび上がってくる。それは正論で、道理としてはこちらの方が正しい。 だが、花京院の冷静な部分は言っていた。彼女とここで関係を切るのはまずい。まだ帰る方法も見つけていないのだから、と。 花京院は文句の数々をぐっと飲み込んで、一言だけ言った。 「それで君は満足なのか」 ルイズは雷に打たれたように一瞬はっとした表情になった。 そして、何か言おうと口を開くが、そこから出る言葉は無い。 花京院はルイズに背を向けると、そのまま食堂を去っていった。 食堂を出て、しばらく歩いたところで、ぐぅとお腹が鳴った。 お腹に手をあて、花京院は顔をしかめる。 「少し足りなかったかな……」 昼食が無かったのに加え、朝食の少なさも影響していた。 いくら華奢な身体をしているとは言え、健康な高校男児の朝食が固くてまずいパンとスープだけでは足りるはずがない。 かといって、花京院に食事の当てはない。 花京院が困り果てていると、誰かの声が聞こえた。 「どうなさいました?」 声のした方を向くと、そこには一人の少女がいた。 大きな銀のトレイを持ち、カチューシャで黒髪をまとめた素朴な感じの少女だ。メイドの格好をしていて、心配そうな顔で花京院を見つめている。 「なんでもないよ……」 平然とした顔で、花京院は手を振った。 少女は花京院の顔を覗き込み、 「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう……」 「知ってるのかい?」 「ええ。なんでも、召喚の魔法で平民を呼んでしまったって、噂になってますわ」 少女はにっこりと笑う。 その素朴な笑みに花京院は少し見とれてしまった。 「ひょっとして君も魔法使い?」 「いえ、私は違います。あなたと同じ平民です。貴族の方々のお世話をするために、ここでご奉公させていただいてるんです」 平民じゃなくスタンド使いだったが、説明してもわからないだろう。 花京院は自己紹介していないことを思い出した。 「そうか……。僕は花京院典明。よろしく」 「カキョーインさん? 変わったお名前ですね。私はシエスタっていいます」 シエスタが片手を差し出してきたので、花京院もそれを握り返した。 その時、運悪く花京院のお腹が鳴った。 「お腹が空いてるんですね」 「実はそうなんだ……」 シエスタは思案顔で、少しの間沈黙した。 「あの、今お時間はありますか?」 「ああ。特に用事はないが」 「……じゃあ、ちょっとついてきてください」 シエスタは歩き出した。 その行動の意図がわからず、花京院は躊躇したが付いていくことにした。 To be continued→
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名前:N スタンド:Cruel Emerald よく使われるタグ:クルーエル・エメラルド、典子 声の特徴:ファルセットの効いた高音 作品の特徴・傾向 花京院 花京院 花京院 人物・その他の特徴 もともとコメント欄でMADに歌詞をつけていた歌詞職人 自作品には必ず自分で歌をつけてうp 動画 公開マイリスト のりあキッスを替え歌作った本人が歌ってみた 組曲「花京院 典明」 歌詞 のりあキッス~レロレロだも~ん アンインストール~花京院の~ 組曲「花京院典明」 関連動画(合わせてみた等) 【圧迫祭】うぇるかむASSASSINO【第一弾】
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ドガガガガッ!!! 無数の飛粒が荒木に降り注ぐ。 「なっ!!!」 そして荒木は蜂の巣にされていた。 尤も、穴の開いた体は一瞬にして元通りになるので致命傷どころかダメージにもなっていない。 しかし、俺はそんな事より遥かに重要な事に思考を奪われていた。 重要なのは攻撃した人物。 思い当たる人間は一人しか居ない。 まさか、そんな事が…。 そして、声の主であり荒木に攻撃を仕掛けた人物が、俺の前に姿を現す。 あぁ。やはりお前だったか。 「こんな時は『野郎』なんてセリフを吐くもんじゃない。こう言うんだ」 平均的な、ただ、俺達と比較すると華奢に見える体格、 「我等は荒木討伐零番隊」 転校したてで、ウチの学校の指定に無い学ラン、 「我が親友、空条承太郎を死の淵から救う為に」 特徴的な前髪、 「貴様の凶刃にこれ以上の犠牲者が出るのを防ぐ為に」 死んだ筈の、もう二度と会えないと思っていた… 「貴様の凶行を食い止めて見せる」 花京院典明だった!!! * * 「花京院…」 呼び掛ける俺の方を花京院は振り向く。 「危ない所だったな」 「!」 花京院。お前… 「これは驚いた。生きていたんだね」 吹き飛ばされた荒木が、立ち上がりながら花京院を見やる。 「!ハイエロファント…」 「おっと。又エメラルドスプラッシュを喰らって痛い目見るのは勘弁して欲しいからね。 ハイエロファント・グリーンは固定させて貰ったよ」 「…」 荒木の言う通り、ハイエロファント・グリーンはピクリとも動かない。 どうやら本当に固定されたようだ。 「さて、折角生きていたのに君にはすぐに死んでもらう事になる。残念だったね。 楽に死ねるとは思わない方が良い。 この、溜まり溜まった鬱憤は、じわじわと君を嬲らないと収まりそうに無いからね でも、その前に幾つか訊いておきたい事がある」 「…」 「僕の支配から逃れた人間は君だけではないようだね。 他に誰が居るのかな?」 「何故僕だけでないと言い切れる?」 「零番隊を名乗っている時点で一人でない事は容易に気付くだろう」 「それもそうか。 だが、零番隊は隠密部隊。極秘事項なのでそれを教える事は出来ない。 隊長の名位なら教えても構わないが。どうせすぐにお前に分かる事だし」 「聴かせて貰おうか」 「ならば教えよう。隊長の名は…」 そして花京院は、零番隊隊長の名を告げた———。 * * ………………え? 今コイツ、誰の名を挙げた? 「今、なんて言った?」 聴き間違いだろ?幾ら何でも。 F・Fが生きていたとしても、花京院が生きているのだから不思議は無い。 形兆が生きていたとしても、実際目の当たりにした訳ではないから、まああってもおかしくない。 だが、そいつは… 「何度でも言おう。零番隊隊長…」 …そいつは僕自身の手で葬った筈じゃないか!!! 「ジョルノ・ジョバーナ」 * * 胸を貫かれ、僕は完全に動かなくなった。 普通の人間なら此の時点で死んでいる筈、荒木も僕の死を疑わなかった。 併し、僕のスタンドは、荒木の考える以上の能力を持っていた。 僕は今まで自分の“生命、或いは其の一部を生み出せる”と云う能力を治療に用いていた。 だが、失ったものを再現するしか出来ない訳ではない。 僕の能力を用いれば、人間の腕を4本にする事も出来るし、目を縦に並べる事も出来る。 そして僕は、荒木に向かう直前、“脳幹の下辺りに仮の心臓を作っておいたのだ” その為、胸の心臓を破壊されても僕は生き延びる事が出来た。 仮の心臓は首の上にある為、首輪から脈等を察知される心配は無い。 頭を潰されない限り、僕は死ぬ事は無かった。 荒木が僕をどう殺すか、この点については賭けだったが、運良く奴は予定通りに僕を殺してくれた。 「…」 さて、残るはこの首輪だ。 「ゴールド・エクスペリエンス…」 久し振りに、この能力の初期の力を用いる。 先ず蔦を発現させ、首輪から守るように僕の首に巻きつける。 次に、同じく首輪にも蔦を巻きつけ、首輪を引っ張る。 首輪の爆発の衝撃を、全て蔦に吸収させる目論見だ。 そして… 「?」 首輪は何も起こらず、あっさり外れた。 どう云う事だ? まさか、首輪が爆発すると云うのは嘘だったのか? 爆発に注意しながら、首輪を調べてみる。 「…成程」 大体の予想はついた。 この首輪、ついている人間の死亡が確認されると機能が停止するようだ。 仮の心臓を動かしていた時、首輪は僕を死亡したと認識し、その機能を停止させたのだ。 この方法を使えば、他の人間の首輪も取る事が出来るな。 「さて…」 暫く何かが起きないか辺りを窺っていたが、特に何も起きないようだ。 荒木に気付かれずに済んだ………か。 僕は貫かれた胸を直す。 今度は此方の番だ。 荒木の弱点を見つけ、必ず斃す!!! * * 「………………!」 目を覚ました時、俺は蔦でがんじがらめに縛られていた。 何故こんな状態になっているのか、全く把握出来ない。 そもそも、俺は荒木に殺されたと思ったのだが…。 「目が覚めたか」 「!!!」 突然声を掛けられ、俺は声のした方を振り向こうとして…その先に、一人の少年がいた。 また、蔦は猿轡の役目も担っている為、声を出す事すら出来ない。 「先ず最初に言っておく。 僕達は“死んだ”と荒木に認識されている。 だから荒木に生存を悟られるような行動は決してとるな。 具体的には、大声を出したり、この部屋から出ようとする行為だ。 解ったか」 コイツが誰だか解らないが、今の所は言う通りにするしか術は無い。 俺は肯いた。 「良し。これから、お前に現状を説明する。 その後お前に何点か質問させて貰う」 もう一度肯く。 「恐らく此処は、教会で殺された人間を放り込むための場所だ。 僕は荒木と戦い、殺されたふりをして此処へ放り込まれた。 ゲーム開始時に殺された少年の死体も其処にある」 そう云えば、俺達が教会へ連れて来られた時、死体は見当たらなかった。 死体は此処へ放り、“掃除”をしていたと云う訳か。 そして、俺は目の前で話す少年の正体も読めた。 ジョルノ・ジョバーナ。 第二放送時、荒木自身の手で葬ったとの放送が流れた、その人物が彼なのだろう。 「お前達は、突然この部屋に投げ込まれた。 この部屋に扉は一つしかないが、其処から運び込まれた訳ではない。 バトルロワイアルで、この部屋に瞬間移動させられて来た。 その時のお前達は、既に致命傷を受け、呼吸も脈も止まっている仮死状態だった。 運が良かったな。 どうやら荒木は、お前達が完全に死ぬ前に『もう助からない』と考え、此処に放り込んだようだ。 一応、僕のスタンドは傷を治す事が出来るので治療してみた所、二人とも辛うじて命を取り留めたようだ。 もう一人はまだ目を覚まさないが」 もう一人が誰かは言われずとも解る。 セッコだ。 良かった。俺だけでなく彼も生きていてくれたか。 「起き上がって早々、お前たちと戦う訳にもいかないので、起き上がる前に縛り付けさせて貰った。 そしてお前が目覚めた、と、現状こんな所だ」 少年の説明を要約すると、俺達は少年に命を救われたという訳か。 「では、此方から訊きたい事がある。 これから口の蔦を外すが、間違っても大声を出したりして荒木に感付かれるような行動はとるな」 俺が肯くのを見て、少年は猿轡を外す。 これで俺は、自由に声を出せるようになった。 「先ず、お前の名は?」 が、それでも俺は声を出さない。 そう。俺が声を出すと、その声がエルメェスの元にも届くのだ。 それだけなら良い。 寧ろ、俺の生存を伝えられるのだから便利だ。 が、問題はエルメェスについている首輪から、荒木にも声が届いてしまうという事実。 荒木に生存を悟られない為には、俺は一言も声を発する訳には行かなかった。 「………」 口をパクパクさせて、自分が喋れない事をアピールする。 「どうした、答えろ」 『話せない』と、口だけ何度も動かす。 少年は直ぐに気付いたようだ。 「もしかして、お前、声を出せないのか?」 肯く。 少年は、紙とペンを俺の前に置き、 「これに書け」 と言って、右腕に巻きついている蔦を外した。 ……………… ……… … 「成程。大体の所は把握しました」 少年——やはりジョルノ・ジョバーナという名だった——と一通り話し合った所で、ジョルノ君はそう言った。 名前、スタンド、セッコとの関係、此処に放り込まれた理由、今までの経緯等を伝え終えた所で、 ジョルノ君は俺への態度を改め、と云うか警戒を解いていた。 何でも、ジョルノ君とセッコは敵同士らしい。 なので、俺の事をセッコの仲間と思って警戒していたようだ。 まあ、出会ってから共に行動している仲間である事に間違いはないが、ジョルノ君の敵ではない事は理解して貰えた。 セッコが目を覚ました後は俺が面倒を見る事を伝え、お互い位置している目的、『荒木の打倒』に向けて協力体制をとる事にした。 「………………ん」 そしてセッコが目を覚ました。 ……………… ……… … 目が覚めたセッコに、現状を説明して納得させるのには随分と時間が掛かった。 気性が荒いセッコは、ジョルノ君を見るなり攻撃しようとしたのだ。 “切り札”を使い、現状を根気強く説明してセッコが漸く納得した時には、既にセッコが目覚めてから1時間は過ぎていた。 そして、今俺達のしている事は…。 「で、どうだ。何処かに誰かいそうか?」 「うるせえぇなあああぁぁぁ。 今調べてんだから、だまってろよぉ」 ジョルノ君の質問に、セッコは文句を言いながらも調査している。 調査対象は、“俺達の同類が居ないか”だ。 死んだ事になっている人間なら、下手に表を歩けない。 と云う事は、屋内か地下に隠れている可能性が高いからと、地下の様子をセッコに探ってもらっているのだが。 「つ〜か、上でドンパチやってるせいで、よく確認できないんだよなぁ。 え〜っと。いいか。 東南東の方向の地下、かなり遠くに誰かいる“かもしれねぇ”」 「わかった。ならば南東へ向かおう」 「言っておくが、いるって決まったわけじゃねぇぞ。 俺だってそこまで耳がいいわけじゃねぇんだからな。 何も無くても文句言うなよ」 「あぁ。じゃあウェザーさん、セッコの能力で地面を柔らかくして、地中を進んで生きましょう」 「解った」 そうして俺達は東南東へ向かった。 * * * 「おい、花京院。スタンドを出してくれ」 アタシ達は今、ライク・ア・ヴァージンの爆発により生じた穴の中にいる。 爆炎を煙幕代わりにして花京院をここへ連れ込み、花京院の傷を治していたのだ。 しかしアタシ自身全身焼け爛れ、更に皮膚もしわくちゃになり、二目と見れない無残な姿となっていた。 何故自分の傷を治さないか。答えは明白だ。 水が足りない。 このままではアタシは持たないと考え、せめて花京院だけでも助けようと傷を治していた。 そして、ある程度の治療が済んだ時、花京院の目が覚めた。 そしてそれから暫くして、何やらハイエロファント・グリーンで何かしているらしい花京院に話しかけた。 小声で喋るのは、周りに聴かれたくない為だけではなく、アタシ自身が声を出せないからだ。 花京院は指示通り、ハイエロファント・グリーンを引き戻す。 「一部を紐状にしてくれないか?ほんの20cm位で良い」 花京院が言われた通りに指先の一部を紐状にすると、アタシはその端を掴んだ。 『…聴こえるか?』 「!!!」 『どうやら聴こえるみたいだな』 「これは一体…?」 『待て、お前もハイエロファント・グリーンから直接話してくれ。でないとあのアヴドゥルに気付かれる』 「…」 『ストーン・フリーって糸のスタンドがあるんだが、それを糸電話のようにして連絡する事が昔あってだな。 似たようなお前のスタンドなら可能だと思っていた』 納得したような表情の花京院に話を続ける。 『無駄話をしている暇は無い。取り敢えず最後にお前に話しておきたかった』 『最後?』 『あぁ、お前の傷を治すには水分が足りない。 ジョージさんが残した水も、アタシの体内にあった水も、全て使っちまった。 だからあたしのフー・ファイターズを全てお前の治癒に使う』 『!!!馬鹿な!止めて下さい!貴方の水分を全て治癒に使う必要は無い!』 『そうしないとアンタが死んじまうんだよ!アンタを死なせない為には仕方ないだろう!』 『水なら…ありますから』 そして、ハイエロファント・グリーンが(片方の腕で)それを2つ並べる。 それは、水の入ったポリタンクだった。 『………おい』 『何でしょう』 『お前…こんな物があるならとっとと出さねぇかぁ〜〜〜〜っ!!!』 怒りの声がハイエロファント・グリーンの糸を通して花京院に伝わる。 脳中にアタシの声が響き渡る頭を押さえ、花京院は説明してきた。 『いや、そこの家から保存水を採って来たんですよ。 貴方のその姿を見れば水が必要な事は一目瞭然ですし、目が覚めてからすぐハイエロファント・グリーンを探索に出したんです』 『ったく…。まあ、これなら問題なさそうだな』 そして花京院の傷を治し、自身の水分も補給する。 でも、アタシは一つ気になる事があった。 『なあ、花京院。アヴドゥルの相手、あたしに任せて欲しい』 『!どうしてですか!?』 『今までの戦いを見て解った事がある。アンタは自己犠牲が過ぎる上に甘い。 今お前とアヴドゥルをあわせると、その甘さを突かれ、殺されるのは目に見えている。 あたしはアンタに死んで欲しくないんだ』 『そんな事は…』 花京院の反論を遮り、言葉を続ける。 『それにその傷じゃロクに体を動かせないだろう?今ココで立ち上がれんのか?』 『…』 『アンタを動かないようにしてココに閉じ込めておいても良いんだが、アタシはそこまでしたくない。 頼む、あたしに任せてくれ』 『どうするつもりですか?』 『水があるからな。こうやってアンタに成り済ますさ』 そしてエートロの体からフー・ファイターズが抜け出し、2つ目のポリタンクを使い、花京院とアタシが合体したような姿になった。 『水が足りないから、二人分はなれないか』 『え?まだポリタンクに1/3ほど入ってますよ?』 『これを使ってハイエロファント・グリーンの真似もしようと思うからな。 それによく考えたら、水が無いのに普通に復活したらアヴドゥルが怪しみそうだし。 水が無いから合体したって方が説得力がある』 『でも僕の首輪が無いのは不自然ですね』 『それもそうだな。じゃあ、お前の首輪を取って付けるか』 アタシの言葉に、花京院はひどく驚いているようだった。 『どうやって!?』 『アンタの体内にかなりのフー・ファイターズが巡っているからな。こうやるんだ』 その直後、花京院の顔はベコッと内側にへこみ、アタシはそのまま首輪を抜き取る。 花京院の体内のフー・ファイターズ——まだアタシが動かせる奴——を操ったのだ。 『じゃあ、体はそこに置いて行くから宜しく頼む。くれぐれもこの穴から出ようとするなよ。 奴には炎の探知機が在るんだ。地中に居ないとお前の存在がバレる』 首輪を取り付けそう言うと、花京院に呼び止められた。 『待って下さい。御願いが2つあります』 『ん?』 『1つは、アヴドゥルさんに話をさせて下さい』 『だからそれは…』 『こうやって話すんですよ』 そして花京院は、アタシの作り上げた花京院人形の後頭部にハイエロファント・グリーンの糸を刺す。 『成程。糸電話の応用か。あたしはそれに合わせて口パクすれば良いんだな』 『はい。それともう1つ御願いが…』 『…?』 『僕も貴方に死んで欲しくありません。御願いします、生きて下さい』 『…分かった』 ……………… ……… … 雨だと思った。 それが勘違いだったと、『花京院』が撃たれたのだと気付いた時、アタシは咄嗟に行動に出た。 アタシが不意打ちを受けた事に気づいたら、花京院が地中から姿を現しちまう。 それだけは防がないと。 「!!!」 予想通り地中に隠れている花京院が動き出そうとする所に、人形に刺さってるハイエロファントの触覚を切って気絶させる。 重症の花京院は、触覚一つ千切られるだけでも意識が途切れるほど弱っていた。 そしてアタシは“演技”をする事にした。 此処で花京院が“死んだ”事にすれば、アイツはかなり安全な状況になる。 その代償として、アタシの命はコイツにくれてやらないといけないが、それでも構わないさ。 「うわああああああ花京院ンンンーーッ!!しっかりしろぉーーーッ!!」 花京院と、そして、アタシの大切な仲間さえ生き残ってくれれば…。 ……………… ……… … 口から何かを注がれている。 頬にも何か当たっている。 アタシが目を覚ました時、まず気付いたのはその事だった。 「良かった。やっと起きてくれました…」 その声の主は、言うまでもない、花京院。 そして花京院は…手首を切って、血をアタシの口に注いでいた。 「って、アンタ何をしてんだ!」 急いで身を起こし、フー・ファイターズで手首の傷を塞ぐ。 「僕が目を覚ました時、F・Fさんはやられていて、DISCしかなかったんです。 だから、僕の体内にあるフー・ファイターズを使うしかなくて…」 エートロの体にDISCを差し込んで、血を注いでたって訳か。 「またそんな無茶をして…」 「それはこっちのセリフですよ。 もうあんな無茶はしないで下さい。そして…」 その時、アタシは気付いた。頬に当たっているものが何かに。 「間に合って、良かった…」 花京院の奴………泣いていたのか。 ……………… ……… … で、他の人間に気付かれないよう地下を深く掘り下げ、まずは花京院に休んでもらった。 なにせ、花京院はどう考えても絶対安静の状態なのだから。 花京院の目が覚めた時には、あれから数時間が経っていた。 そしてアタシ達は、作戦を練り始める。 「やはり、直接荒木を叩くのが一番効率的でしょう」 「となると問題は、荒木が何処にいるか、そしてどうやって斃すか、だな」 「その作戦、一口乗らせて貰えませんか?」 「「!!!」」 突如割り込む声。 声のした方を向くと、其処には金髪の少年、全身をスーツみたいなものに包んだ男、そして… 「ウェザー・リポート!」 やっと会えた、アタシの大切な仲間が居た。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ
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君がそばにいたね 僕を支えてくれた 桜舞う季節 数え 君と歩いてた日々 君がそばにいたね 君が助けてくれた 心通う友 探して 君と歩き続けてた カイロの夜は どこか騒がしく 昔を思い出し 君を見つめていた 法皇の結界 心を決めた あいつを倒そう 二人で さあ 僕が秘密を暴く みんなを助けたいから 星のない街 駆け抜け DIOに とどめを刺そう ずっと 忘れないよ 僕のハイエロファント 最後の言葉を残そう みんなに伝えるために 放て エメラルドスプラッシュ Ah... 君がいる Ah... ずっと一緒 僕のハイエロファント... 原曲【河口恭吾「桜」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm2939576】
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ジョジョの奇妙な冒険×灼眼のシャナ STARDUST・FLAMEHAZE* 【CHAPTER#15 戦慄の暗殺者】 その日、疼く傷痕を押し、かなり遅れて学園に登校した花京院 典明は、 突如何の脈絡もなく出現した白い”封絶”を呆然と見上げていた。 「この能力は……!まさか、「あの男」が此処に来たのか……!?」 『狩人』フリアグネ。 そのあまりに純白な為に青みがかってみえる白のスーツを端正に着こなし 同じく純白の長衣を細身の身体に纏っていた、 まるで現世と幽界の狭間に立っているかのような虚ろな雰囲気の幻想の住人。 旅行先、エジプトでのDIOとの最悪の邂逅により「肉の芽」によって下僕にされ、 いつのまにか軟禁されていたDIOの館で命令を待っていた時、 壁に立てかけられたランプの灯火のみが光源の薄暗い地下の書庫でよく顔を合わせた。 ”紅世の徒”という『幽波紋(スタンド)使い』と同質の力を持つ、 異界の能力者の存在はDIOの参謀である褐色の麗人、 占星師エンヤから幾度か聞かされてはいたのだが 実際に逢ってみるとその容姿や外見は人間のそれと殆ど変わらないので 拍子抜けした憶えがある。 その地下の書庫でフリアグネは花京院に幽波紋(スタンド)と 同様の能力を持つという異界の神器、『宝具』を自慢したり、その宝具の能力や 上げた戦果の解説(というよりフリアグネが勝手に一方的に喋っていただけだったのが) をカルトコレクターにありがちな大仰な手振りと言い回しで花京院にしたりした。 どんな書物にも決して書かれていないそれら異界の住人の不可思議な話は、 フリアグネ自身の持つ神秘的な雰囲気とその語り口の巧さも手伝って 花京院の知的好奇心を大いにそそるものであったので、 花京院は手元の本に視線を落としながら適当に相槌を付く振りをして 毎回深く聞き入っていた。 そうやって何度かDIOの館の書庫で話を交わす内、 ある日、フリアグネは唐突に自分に「ある事」を告げてきた。 その時の言葉が花京院の脳裏に鮮明に甦る。 『どうだい?私と「友達」にならないか?』 靴も指もない肌色フェルトの喋る人形”マリアンヌ”を大切そうに胸に抱きかかえ、 いつもの通り愛用宝具の戦果を多少誇張して話し終えたフリアグネは、 いつもの通り黙って本に視線を落としながら話に聴き入っていた 花京院に向かってそう言い放った。 『君と私は良く似ている。その容姿も。性質も。能力も。 まるで現世と紅世の合わせ鏡の存在であるかのように。 そうは想わないか?花京院 典明君?』 フリアグネはそう問いかけながら豊かな頭髪と同色の 透き通るようなパールグレーの瞳で自分の瞳を覗き込んできた。 口元にナルシスティックな耽美的微笑を浮かべ、触れれば輪郭が掠れような 線の細い美男子の紡ぐ声は、何処か調律の狂った弦楽器のような奇妙な韻を含んでいた。 その怜悧な瞳に宿る淡麗な光が、今まで押し隠し続けてきた 自分の心の暗部を静かに照らし出し、そして無言のままに語りかけてくる。 「孤独なんだろう?」と。 「誰も自分の真の姿を知る事が出来ないから」と。 そして蠱惑的な誘惑と共に最後にこう語りかける。 「安心し給え。私には見える。『君の真実の姿』が。 私なら君と真に心を通わせる事が出来る。 世界中で私だけが君を理解してあげられるよ」と。 『……………………』 そのフリアグネのやや軽薄な見かけと口先とは裏腹の、 尖った鏃のように尖鋭な洞察力に花京院は反射的に警戒心を抱く。 その花京院の心情をその灰色の瞳で素早く見抜いた フリアグネはすぐに一歩引いて宥め賺す。 『おおっと、そう警戒しないでくれたまえ。別に疚しい下心や他意は一切無い。 君の高潔な知性と精神に対する純然たる敬意と好意さ』 そう言って大仰に開いた両手を演技っぽい動作で左右に振ってみせる。 その演技っぽい過剰なリアクションが余計に花京院の警戒心を尖らせた。 その花京院の様子を黙って見つめていたフリアグネの胸元で抱かれている人形、 ”燐子”マリアンヌが笑みの形で結ばれた口を一切開かず、 微かに蠢かせただけで花京院へと言葉を告げる。 『アナタ?何を勘ぐっているかは知らないけど正直それは無粋と言うものよ。 私のご主人様を信用なさい。ご主人様に好意を抱かれ友人に選ばれるなんて とても名誉な事よ?この方は誉れ高き紅世の”王”なのだから』 純白で鈍い光沢のあるシルクの手袋で覆われたフリアグネの華奢な手にスッポリ 収まってしまう程小さい人形マリアンヌは、その愛くるしい見かけには不相応な 清廉な声で花京院に言った。 その途端、 『マリアンヌ!!』 急に先程以上の芝居がかった過剰な演技で、フリアグネは右腕を 悩ましく折り曲げて額に手を当てる。 『よしておくれよ私のマリアンヌ!友人同士の信頼関係の前には そんな身分や肩書きなど障害でしかない。 私が望んでいるのはそんな低俗な関係ではないのだよ! 解ってくれるだろう?マリアンヌ?私の友人は君の友人でもあるのだから』 フリアグネは赤子をあやすような悲哀滋味た声でマリアンヌに告げる。 心なしかそのパールグレーの瞳が潤んでいるようにも見えた。 『申し訳ありません。ご主人様。出過ぎた真似をしてしまいました』 『謝らないでおくれ、マリアンヌ。先に君に言っておかなかった私も悪かったんだ』 フリアグネは今度は過度に優しい笑みを浮かべ、マリアンヌのフェルトの頬にそっと口づけた。 まるでコワレモノを扱うような繊細な仕草だった。 『……………………』 花京院は黙って表情を崩さずその二人のやりとりを見つめていた。 正直ついていけないと内心では思っていたが、目の前のこの二人(?)は 人間ではないので人間である自分の理で二人の品性を判断するのは あまり好ましくないという彼なりの美意識による無言の選択だった。 『おおっと、すまない。恥ずかしい所をみせてしまったね』 フリアグネはそう言って何事もなかったかのように純白の長衣を翻した。 『実は私はこのマリアンヌさえいれば他には何もいらないと今まで思っていたのだが、 「あの方」に出逢って以来少々欲張りになってしまったようでね。 「友人」も一人位いても良いかなと最近では思い始めているのだよ』 そう言ってフリアグネは今度は手品師のように両腕を大袈裟に広げてみせた。 『ところで敬意と言えば彼、何と言ったっけ?そうそう、 『亜空の瘴気』ヴァニラ・アイスと言ったか。 「あの方」の近衛騎士長であり『最強の幽波紋使い』というので興味が在ったのだが、 どうやら彼は私が嫌いらしい。特に気に障るような事をした憶えもないのだが…… でも残念ながら振られてしまったよ』 心底残念(本当にそう思っているかどうかは疑わしいが)といった表情で フリアグネは大袈裟に頭を垂れる。 胸元のマリアンヌもシルクの手袋に包まれたフリアグネの指に 頭を押されて一緒になって俯いた。 『彼はDIO様以外、誰にも心を赦さない』 よく喋る男だと思いながら花京院は腰の位置で両腕を組み簡潔に応えた。 ヴァニラ・アイスの、そのあまりに凄まじすぎる幽波紋(スタンド)の力は 正に一騎当千、並の『幽波紋(スタンド)使い』千人分に相当する。 その最大最強の幽波紋(スタンド)能力故にDIO様の傍に仕える者は 自分だけで充分だと常日頃公言している彼、DIOの幽傑の軍勢の中では 占星師エンヤと共に双璧を為すヴァニラ・アイスの事だ。 自分と同じようにDIOに心酔し、そして彼にはない柔らかな物腰と卓越した話術で DIOに接するフリアグネに良い感情を抱く筈はない。 おそらくはDIOとの謁見時、巧みな話術と豊富な話題で 統世王と言葉を交わすフリアグネに内心では歯軋りをしていた事だろう。 「君は彼の前ではDIO様の事は一切口にしないほうが良い。 「消される」ぞ。『冗談ではなく本当にな』」 今まで聞かせて貰った話の礼代わりに花京院はフリアグネにそう忠告した。 『そのようだね。私は彼のように古風な男も決して嫌いではないのだが、 おおっとすまない、終わった後朝(きぬぎぬ)の話を君にしても詮無き事だな」 そう言うとフリアグネは長衣を再び翻して、厳かに花京院に向き直る。 そしてその透き通るようなパールグレーの瞳で、 机の上に置かれたカンテラの灯火に反照する 花京院のライトアンバーの瞳を真正面から見つめてきた。 『さて?私の語らいに対する返答は如何に?流麗なる”法皇の翡翠”花京院 典明君?』 そう言ってフリアグネは、その硝子工芸の薄い切り口のように耽美的な口唇を 笑みの形に曲げた。 『……考えて、おこう』 花京院はその時それだけ告げてクラシックなデザインの椅子から腰を上げ、 フリアグネに背を向けた。 『では、明日また、同じ時間にこの場所で』 背後で先刻よりも調律の狂った声色がした。 『良い返事を期待しているよ。花京院 典明君。フフフフ……』 『ご主人様と一緒にこれからよろしくお願いするわ。 仲良くしましょうね。カキョウイン』 歩き出した花京院の背後から、喋る人形の声とその主である幻想の住人の声が 笑みと共に静かに自分を追いかけてきた。 エンヤを通してジョースター討伐のDIOの勅命が下ったのはその直後だった。 フリアグネには何も告げず(最もその暇もなかったが) そのままエジプトからエンヤ所有の個人機で直接故郷の日本へと向かった。 空条 承太郎を始末する為に。 もし、あと一日、勅命が遅れていたのなら。 もし、次の日に、あの男の前に立っていたのなら。 果たして、自分は、一体なんと答えたのだろう……? 脳裏にいきなり甦った答えのでない過去の疑問。 それは目の前の現実の疑問の前に花京院の頭の中から静かに掻き消えた。 「しかし、一体何故?学校で能力を発動させたんだ?」 白い封絶の放つ火の粉と気流で花京院のそのバレルコートのように長い、 細く滑らかな身体のラインに密着した手製の詰め襟の学生服の裾が靡く。 そのとき直感にも似た確信が花京院の脳裏を過ぎった。 「まさか!?空条が!今此処にいるのか!?」 驚愕に花京院のそのヘッソナイトの結晶原石のような琥珀色の瞳が見開かれた。 「信じられないがそれしか考えられない!全くなんてヤツだ! 僕の流法『エメラルド・スプラッシュ』の直撃を受けていながら その傷がたったの一日で完治したというのか!? そんな凄まじい耐久力と再生力を持つスタンドなんて今まで聞いた事もないぞッ!」 承太郎の強大なスタンド能力に驚嘆しつつも、 花京院の胸の内に言いようのない焦燥感が迫り上がってくる。 本人の自覚のないままに。 「空条ッ!!」 花京院は黄楊(つげ)の油で良く磨き込まれ、手入れの行き届いた学生鞄を 無造作に芝生へ放り投げると、耳元のイヤリングを揺らしながら 昇降口へと向けて足下のアスファルトを蹴った。 承太郎とシャナは木造旧校舎三階から新校舎とを繋ぐ噴水の設置された中庭を 軽々と飛び越え、新校舎とは別棟にある図書室の前に同時に着地した。 承太郎は足裏がスタンドとほぼ同化していた為、接地の瞬間派手な音を立てて 足下のアスファルトを陥没させ、シャナはその磨き込まれた体術により、 着地の衝撃をほぼ掻き消して落葉のように軽やかにアスファルトの上へと舞い降りる。 そのまま互いを一瞥し、そして無言のまま白い陽炎の揺らめく 昇降口に向けて共に全速で駆けだした。 高速移動によって発生した気流により承太郎の学ランとシャナの黒衣の裾が 地面とほぼ平行に舞い上がる。 瞬く間に白い陽炎が舞い踊る昇降口がカメラのズームアップのように 一挙に迫ってきた。 その距離が20メートルにまで縮まった時、承太郎が叫ぶ。 「シャナッ!!」 声とほぼ同時にシャナが承太郎の脇で共に疾走しているスタンド、 スタープラチナの肩に飛び乗る。 「解ってンなッ!!オメーは「上」!オレは「下」だッ!!」 「了解ッ!!」 「ッオラァッッ!!」 スタープラチナは黒衣の腰の辺りを掴むとそのまま片腕で 頭上の屋上に向けてシャナを真上に投擲した。 シャナも投げられる瞬間スタープラチナの腕を足で蹴って更に加速を付ける。 炎髪が火の粉を撒きながら、シャナは紅い流星のように天空へと 垂直に駆け昇っていった。 その様子を確認する間もなく承太郎は閉じられた昇降口のスチール製の扉を スタンドと自分の足で蹴破って新校舎の中へと突入する。 一瞬で下足箱を通りすぎ、軸足を右に反転させて二階へと続く階段へと駆けだした時、 閉じていた1年の教室の両開きの扉がいきなり中からブチ破られ、 そこからいつぞやの巨大な人形達が大挙して飛び出してきた。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァーーーーーーーーーッッッ!!!」 すぐさまにスタープラチナの音速の多重連撃が疾走したままの状態で射出され、 承太郎とスタンドは拳風の嵐と共に人形達の間を駆け抜ける。 『幽波紋(スタンド)』の操作に慣れてきた所為もあって拳撃の速度と軌道の精密さは 以前よりも格段に上がっていた。 足下を拳風によって巻き起こった一迅の気流が吹き抜けた直後、 背後で無数の拳型の刻印を全身に穿たれた人形達は衝撃と余波でその身を爆散させ 瞬く間にスクラップとジャンクの山と化す。 承太郎の足下に歯車やゼンマイ等のクラシックな機械部品が 白い火花を放ちながら転がった。 それらを一瞥し再び駆け出そうとした時、 今度は1-4と1-6のクラスの扉が同時に開いた。 そしてそこから先程の3倍以上の人形の大群が、ドアと壁とをブチ破りながら 再び承太郎とスタープラチナへと襲い掛かって来る。 その巨大な各々の手にはそれぞれファンタジー小説にでも出てきそうな 機能性を欠いた大仰な武器が握られていた。 「チッ!挟み撃ちかッ!」 咄嗟の事態に承太郎は自分を見失わずに冷静に対処した。 『多人数に襲われた時は4方向を同時に対処する』等という 都市伝説じみた俗説を信じたりはせず、瞬時にスタープラチナの白金の「眼」で 前方、後方の個体数を確認する。 (さっきのは「囮」……数は前が「12」後ろが「8」……「後ろ」だッ……!) 微塵の躊躇もなく刹那に決断を下すと、足下のリノリウムの床を スタープラチナの脚力で爆砕しながら踏み砕いて後方の人形達に迫り、 虚を突かれ廊下を押し塞ぐようにして向かってくる最前列の人形3体に、 先に床に接地した右足を軸にして足下に摩擦の火線を描きながら、 加速の勢いを付けた予備動作(モーション)の大きい右旋撃を周囲の空気を 捲き込みながら撃ち落とし気味に発射した。 「ッオラァッッッ!!」 前方3体の人形の眼前を白金色の閃光が斜めに駆け抜ける。 途轍もない破壊力とスピードにより衝撃でそれ自身が巨大な人形魚雷と化した 3つ巨体が後方に弾け飛び、後ろで構えていた人形を巻き添えにして5体全てを バラバラにする。 それらを耳だけで確認した承太郎は次なる戦闘の為、 フレキシブルに背後へと振り向く。 そこへ、 「エメラルド・スプラッシュッッ!!」 聞き覚えのある清冽な声と共に、輝く数多のエメラルドの飛沫が空間を隈無く 数直線状に滑走した。 死と破壊の煌めきを放つ、輝く無数の翡翠の光弾は承太郎の後方に居た 12体の人形達の巨体そのありとあらゆる部分を挿し貫き、 飛散する白い炎の破片と共にものの数秒で物言わぬ残骸へと化しめる。 人形達を貫殺した輝く無数の魔弾の群は、承太郎とスタープラチナには一発も着弾せずそして掠る事もないままに碧い煌めきの余韻に残しながら後方へと駆け抜けていった。 「無事か!?空条ッ!」 花京院は幽波紋(スタンド)『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』と 共に流法の構えを執り、額に透明な雫を浮かべながら承太郎に叫んだ。 「テメー……花京院……!」 予期せぬ侵入者に承太郎は鋭く瞳を尖らせた。 「……………………」 「……………………」 そのまま互いに無言のままそのライトグリーンとライトアンバーの 瞳に宿った光が交錯する。 交差する二つ視線の間では激しい観念の中での心理戦が行われていた。 相手との。そして自分自身との。 DIOの「肉の芽」で操られていたとはいえ嘗ての敵同士。 理屈で納得はしていても感情はそう簡単にはいかない。 しかし今自分が居る場所は戦場。どこかに敵が潜んでいる。 それは承太郎も花京院も充分すぎるほど熟知していた。 下らない私情で大局を見失う事があってはならないと。 沈黙の中、承太郎が静かに口を開く。 「傷は、もう良いのかよ?」 承太郎は左手をズボンのポケットに突っ込んだまま花京院に言った。 花京院は承太郎が負傷していない事に安堵の表情を浮かべると、 構えとスタンドとを解き静かに承太郎に歩み寄った。 「昨日「あの後」君の祖父、ジョースターさんに治してもらった。 『波紋法』という能力だそうだね?精神の力、『幽波紋(スタンド)』とはまた違う、 肉体の力を極めて編み出す超能力らしいが」 承太郎は無表情で、しかし複雑な心情で花京院を見つめる。 昨日の「あの事」を責めるべきか? それとも今自分を援護してくれた事に礼を言うべきか? そのどちらとも判断が付かなかったので承太郎は至極一般的な応えを花京院に返した。 「そうは言っても「アレ」は万能じゃあねーぜ。病み上がりは家で大人しくしてな」 サブヒルトナイフのような変わらぬ鋭い視線で承太郎は花京院に告げた。 ぶっきらぼうな言い方だが承太郎が自分を労ってくれた事を感じ取った花京院は、 微かな笑みを口元に浮かべて応える。 「大丈夫さ。多少痛みはあるが戦闘には差し支えない。 「あの時」君が猛りながらもちゃんと急所を外して置いてくれたからね。 お優しい事に」 花京院はそう言って顔の前で厳かに人差し指を直立させる。 「ケッ……」 と承太郎はその花京院の気取った仕草にそう吐き捨てた。 その承太郎の彼らしい照れ隠しの仕草にもう一度笑みを浮かべた花京院は、 次に自分が執るべき行動を頭に思い浮かべ表情を怜悧に引き締める。 「それより急ごう。もう知っているかもしれないがこの能力は発動させた「本体」が 倒されるまでは解除されない。時間を於けばおくほど他の生徒達が危険に曝される」 再びその視線を清冽に研ぎ澄ました花京院はそう言って承太郎を促した。 大体の予測はしていたが、胸の内の葛藤の為に完全にはその言葉を 素直に受け入れ切れない承太郎は共に駆け出そうと自分に背を向けた花京院に 己の疑問を包み隠さずに伝える。 「まちな。敵のテメーが何でオレを助ける?」 承太郎は鋭い視線のまま星の刻印(レリーフ)が浮き彫りにされた 指輪が嵌められた指先を持ち上げて逆水平に構え、こちらに向き直った花京院を差す。 その承太郎の問いに花京院は瞳を閉じ、肩を竦めて淡白に答える。 「さぁ?そこの所が僕にもよく解らないのだが?」 「……………………」 承太郎は鋭い視線を崩さないまま花京院を見つめた。 「君の御陰で目が覚めた……それだけさ……」 花京院は瞳を閉じまま今度は静かに重く、そう告げた。 「……………………」 そのまま、またしばらく花京院を指差したまま静止していた承太郎は やがてその差した指先をゆっくりと折り畳むと 「フン……なら勝手にしな」 と静かに、しかしはっきりとした口調で言った。 「!」 自分を信用してくれた承太郎のその言葉に、花京院は自分でも意外なほどに 衝撃を受け、その淡い琥珀色の瞳を見開くと 「あぁ!そうさせてもらうよ」 と穏やかな微笑を口元に浮かべた。 そして再び笑みを消して表情を引き締めると承太郎に問いかける。 「ところで空条?昨日君の傍にいたあの女の子、 マジシャンズは今日一緒じゃないのか?」 という花京院の問いに承太郎は 「ああ、アイツは今屋上にいる。「上」と「下」から追い込めば 親玉を燻し出して「挟み撃ち」に出来るというオレの判断だ」 と簡潔に答えた。 承太郎の言葉に花京院は顎に手を置いて少し考えるようにして俯くと 「悪くない手だとは思うが………………マジシャンズを「上」に行かせたのは ミスだったかもしれないぞ?空条」 と顔を上げて言った。 「……だと?」 予期せぬ花京院の言葉に承太郎は視線をより鋭く尖らす。 「実は、いま君達を襲ってきた敵を僕は知っている。 詳しい説明は省くが「フリアグネ」という僕と同じ遠隔操作系の能力を持つ 暗殺専門の能力者だ。その戦果の完全性から『狩人』の異名で仲間内では呼ばれていた」 「『スタンド使い』……じゃあねーな。人間じゃあねぇ特殊能力を 持つヤツら……”紅世の徒”とか言うヤツか?」 「その通りだ。今まで数多くの異界の能力者”フレイムヘイズ” を相手にしながらただの一度も敗れた事がないらしい。 それ故の”狩人”の通り名、又は『炎の暗殺者』とも呼ばれている」 「暗殺……」 承太郎はシャナのフレイムヘイズの戦闘能力と、ソレ専用に特化(カスタマイズ) された暗殺能力との相性をすぐさまに己の鋭い洞察力で分析し始めた。 そして弾き出されたその結果は………… 最低最悪。 一撃必殺の威力持つ大太刀『贄殿遮那』に加えそれを竜巻のように 縦横無尽に繰り出す強靭な身体能力と戦闘技術、 更に激しく渦巻く紅蓮の炎とを同時に操る能力を併せ持つシャナは、 一見して「無敵」かに想われる。 しかし、それはあくまで一体一、真正面からの力のブツかり合いでの話だ。 姿は解らないが今回のような相手。戦略と戦術とを戦闘の主体に据え、 正々堂々真正面からブツかり合う事を得策とせず、可能な限りリスクは最小限にし、 力の消耗を抑え、博打は避け、『目的の成就のみを』至上として 勝利へのコマを一手一手着実に詰めていく老獪な相手、 「暗殺者」はまさにシャナような近接戦闘を得意とする「戦士」にとっては「天敵」と言って良い。 シャナの戦闘能力は確かに凄まじい。 単純な殺傷能力だけで言うなら自分の『星の白金(スタープラチナ)』すらも 瞬間的になら凌駕するかもしれない。 しかし、強い力は、それに正比例してエネルギーも多く喰う。 つまり、持続力が短いのだ。 花京院は言葉を続ける。 「その狩人、フリアグネの必勝の秘密は彼の持っている「銃」にある。 スタンド能力ではないが特殊能力を持っているという点ではスタンドとほぼ同じだ。 その銃で撃たれた異界の戦闘者”フレイムヘイズ”は掠っただけでも 全身が己の炎に包まれて灰燼と化すらしい。 フレイムヘイズは自分の力に絶対の自信を持っている者が多いから 『拳銃如きには関心を示さない』という事が死角を生み、彼に倒されてきたようだ。 これは本人の口から直接聞いた情報だからおそらく本当の事だろう」 花京院はそこで一端言葉を切って承太郎に考えをまとめる時間を与える。 「……その紅世の徒、フリアグネとか言うヤツは今屋上にいる…… それで間違いねーのか……?」 そこまで考えが廻らなかった己の甘さを呪いながら承太郎は静かに言葉を紡ぐ。 この白い封絶を使う相手は自分では絶対に手を下さない 黒幕的な性格を持つ者であるという事にはとっくに気がついていた。 何よりDIOの配下の者であるという点で正攻法のやり方が通用しない等と いう事は類推して然るべきだったのだ。 「ああ。派手好みで高慢な男だったから彼の性格上「下」は下僕に任せて 自分は「上」で高見の見物を決め込むという可能性が高い。 マジシャンズは僕達『スタンド使い』とは違う異界の能力者、 その”フレイムヘイズ”だったな?だとしたら状況はヤツに有利だ。 『狩人』の能力で彼女を人質にでも取られれば君はヤツに手が出せなくなる」 花京院は残酷だとは想いつつも承太郎の考えを肯定する。 そうする以外何も出来なかった。 「クッ……シャナ……!」 思わず悔恨が口をついて出る。 シャナを一人にするべきではなかった。 承太郎の脳裏に己の紅蓮の炎に焼かれるシャナの姿が過ぎった。 「シャナ?マジシャンズの事か?」 花京院の問いに承太郎は視線だけで頷く。 そして苦々しい想いを噛み砕きながら花京院の考えを肯定した。 「花京院、確かにオメーの言うとおりかもしれねー。 そのフリアグネとかいうヤローはまず『オレじゃあなくシャナに狙いを絞ったんだ』 対複数戦の場合、倒せるヤツから着実に潰していくのは定石中の定石だからな。 アイツの能力はDIOを通して敵のヤツらに知れ渡っている。 つまり「弱点」までもだ!今まで倒したスタンド使いの事も含めて 『アイツの能力は敵に研究され尽くされて』やがる!」 承太郎はそう言ってささくれ立った神経を宥める為 煙草を学ランの内ポケットから苛立った手つきで取り出し、口に銜えて火を点けた。 細い紫煙が鋭く口唇の隙間から吐き出される。 彼らしくない、己に対する怒りを露わにした吸い方だった。 銜え煙草のまま承太郎は分析を続ける。 「そしてアイツは、一見冷静に見えて実は直情的で考えなしな所がある…… テメーに対する挑発は受け流せてもそうじゃあねぇ、例えば身内のヤツとかを 侮辱されたらカッとなって一気に相手の射程圏内に招き寄せられる可能性は大だ。 そうなりゃあもうその銃の餌食、イヤもう片足突っ込みかけてっかもしれねぇ……!」 苦々しく吐き捨てながら承太郎は煙草の色の濃いチャコールフィルターを噛み潰した。 (フリアグネ……ソイツはシャナを誘き寄せて秒殺する為に屋上で能力を発動させたんだ。 『上に来るのはオレじゃあなく身軽なシャナだという事まで先読みして』 クソッたれが!この空条 承太郎ともあろう者がまんまと 敵の術中にハマっちまったゼ……!) 吹き出した煙草の吸い殻を足下で乱暴に揉み消し、二本目を口に銜えた承太郎に 「君?随分詳しいんだね?マジシャンズ、イヤ、シャナ、だっけ?彼女の事に」 花京院が不思議そうにしげしげと自分を見つめながら言った。 「……………………」 まるで心理の虚を突かれたように承太郎は一瞬視点が遠くなったがすぐに 「詳しいのはオレじゃあなくてジジイの方だ。オレはヤローの話を又聞きしただけだ」 と銜え煙草のまま微塵も表情を崩さずに鋭い視線で否定した。 いつになく強い口調で承太郎が言ったので花京院は 「そう……」 と静かに呟き、そしてすぐに承太郎のライトグリーンの瞳を見つめ返した。 「でもこれで敵の狙いは読めた。『狩人』フリアグネはまずマジシャンズ、 シャナを捕らえた上でそれを罠(トラップ)に利用し、君を始末するつもりだ。 さあ!先を急ごう!『この人形達と他の生徒の事は僕に任せて』君は速く屋上に!」 「花京院……テメー……」 承太郎は花京院の言葉に思わず声が詰まる。 ただ「戦い抜く」事よりも『護り抜く』事の方が遙かに難しい。 自ら一番危険な役目を買って出たその花京院の気高い覚悟と決意に 承太郎の心は静かに震える。 花京院はもう一度口元に穏やかな微笑を浮かべると承太郎に背を向け、 「君は命懸けで僕をDIOの呪縛から解き放ってくれた! だから今度は僕が君を助ける番だッ!!」 と花京院は背を向けたまま偽りのない気持ちを 力強く承太郎に告げるとスタンド、『法皇の緑(ハイエロファントグリーン)』を 背後に出現させ学生服の裾を靡かせながら共に職員室の方へと消えていった。 それを黙って見送った承太郎は 「やれやれだぜ……死ぬんじゃあねーぞ……花京院……!」 銜え煙草のまま口元に仄かな微笑を浮かべ、学帽の鍔で目元を覆った。 ← TO BE CONTINUED……
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{※フリー二次創作ゲーム 7人目のスタンド使いの主人公から改変。 お相手は花京院(恋愛)と承太郎(友情)。 #FF0000} 呟いたネタまとめ→https //twitter.com/i/moments/856741746335559680 タグネタまとめ→https //twitter.com/i/moments/858969636431314944 イメージCV**:「パプリカ」千葉敦子のひと(アニメ、EOH) 「パイレーツ・オブ・カリビアン」エリザベス・スワンのひと(ASB) **イメージ曲**:「少女A」(中森明菜) 「本能」(東京事変) 「シンデレラグレイ」(米津玄師) 承太郎の幼馴染の少女。 いわゆる不良であり、武闘派。 スタンドは本編開始の数日前に発現した**「ディープ・パープル」**。 旅へ同行した理由は、承太郎の母・ホリィを慕っていたためである。 容姿** 髪型:黒のストレートロング。 OVAでは外巻きだったりするかもしれない。 顔立:目鼻立ちのくっきりしたキツめの美人。 赤い口紅をしている。 血色の透けにくい肌質ゆえに、色白。 服装:ロングスカートのセーラー服(所謂スケバンスタイル) アルバイト先ではバニーガール。 雰囲気は承太郎や花京院と並べても全く見劣りしない程イカツい。 スタンド** 7スタ公式設定に沿った「空気中の成分や密度を操作する」もの。 ※ただしデザインだけは女性的な体つきになっていたり、壺が香水瓶になっていたりなどの微改変有。 毒ガスを無害化する、水中へ泡の形で空気を持っていける、風を発生させて砂嵐を避ける、 空気中の酸素と水素を化合させて水を作る等が可能。 旅をするには便利なスタンドと言えるだろう。 性格** 鷹揚で屈託がなく、天邪鬼。 強いが故にテキトーだが、二度手間を嫌うのでやることは案外丁寧。 人並みに気遣いはするが、天邪鬼なので相手が感謝しなくてよさそうに見せかけたり、 そもそも自分の仕業だと気づかせないようにすることが多い。 **誤解上等。** 恋する相手には惜しげなく愛を注ごうとする……のだが、気遣いを自分からのものと気づかれたくない性格はここでも健在。 相手から愛情表現をされることにはあまり慣れていないが、突き放したりはしない。 とある理由で世間一般に好かれるような、いわゆる「正統派ヒロイン」タイプの少女が苦手。 ネタバレ とある理由 グレて地元の暴走族とつるんでいた中2~高1のうちの一時期、菫子はグループ内のリーダー格と交際していた。 しかし「清楚でか弱く女の子らしい」年下の小柄な少女に彼の気が移り、破局。 その際に暴走族を抜けた(もちろんリンチは受けた)。 最後に言われた「お前は一人でも平気だけどコイツは俺がいないと」という言葉が少々トラウマになっており、 「柔らかい」「儚げ」「か弱い」などの雰囲気を持つ正統派ヒロイン系の少女が苦手なのはこのせい。 なお元カレの事は黒歴史なので訊かれない限り話題にすることはないが、 幼馴染である承太郎はこのことを知っている。 ちなみにリンチを受けた菫子に呼び出されて駆け付けたのも承太郎。 /ネタバレ 家族構成など** 家族は両親と4歳上の姉。 一応、目立った問題のない普通の家族。 だが母は自身の経験から娘たちを淑やかな女性に育てようとしており、姉と違ってそれが肌に合わない菫子は反発している。 交友関係は性別は関係なしに広い方だが、この年頃の少女としては珍しくベタベタすることは好まない。 自称舎弟・舎妹も何人かいるらしい。 承太郎とは近所であることもあり、幼馴染。 彼の母・ホリィにも、第二の母親ともいえるほど昔から世話になっている。 ネタバレ ホリィとの過去 菫子は幼少期からかなりやんちゃで、中学年以降はいわゆる「ガキ大将」であった。 勝気な性格のせいで苦労した母は娘たちを淑やかに育てようとしたのだが、 姉の茉莉子はともかく、我の強い菫子の方は母の思い通りには育たなかった。 実は菫子も「お人形」「お化粧」「宝石」などのモチーフが嫌いなわけではなかったのだが、 やはり母や姉、世間が良しとする「少女が憧れるべきもの」とは少し違っており、そのことで劣等感や気恥ずかしさがあった為、 きちんと菫子の秘密を守ってくれるホリィと二人きりのときにのみ「女の子らしくふるまう自分」を許していた。 中学に上がってからは空条邸へ遊びに行くことも減ってしまったが、 菫子の心に深い傷を刻んだ事件(※前述)の際にもホリィは見舞いに駆け付けた。 その時に見舞い品として贈られた、「ホリィのものと色違いの赤い口紅」を、菫子は今も愛用している。 /ネタバレ お相手との関係** 花京院典明(恋人) こじらせ童貞×魔性聖母。 愛が重いのはお互い様なのでとても平和。 菫子の方が年上なこともあり、花京院が時折見せる生意気な態度も大抵は「可愛い」で片づけられる。 ちなみにハイエロファントも花京院と同等に可愛がられている。 空条承太郎(幼馴染) 菫子は親友のつもりだが、承太郎は悪友と定義している。 幼いころからの付き合いなので、感覚的には頻繁に会う親戚のようなもの。 お互い、異性であることをほとんど意識していない。 本編のあらすじ** ネタバレ プロローグ/連載1話~11話 本編の数日前にスタンドを発現。 突然自分の身に起きた怪奇現象を認識しても驚きこそすれ怯えることはなく、 むしろ楽し気にその力を試していく。 スタンドを発現した翌日にハイエロファントと仲睦まじく歩く花京院と遭遇。 彼らを「綺麗」と感じ、見とれているうちに気づかれてしまうが、 ジョースターの血族ではないため「スタンドが見える」ことを素直に喜ばれ、喫茶店デートをするなどする。 このため花京院の知人の少女から恨みを買うが、菫子は気づいていない。 /ネタバレ ネタバレ 日本~シンガポール/連載12話~36話 最初こそスタンドの見える菫子に強く惹かれていた花京院だが、肉の芽を抜かれるとその自覚は消えてしまった。 その一方で、菫子は「灰の塔」戦の鮮やかな勝利を目の前に、花京院への好意を自覚する。 いわゆる「進んだ」17歳である菫子は積極的にアプローチを仕掛けるが、 他者とまともな交友関係を持ったことさえない花京院にはなかなか通じない……という状況。 ちなみにハイエロファントの方は本体とは違い結構デレデレ。 本体の意に反しない程度に勝手に動き、菫子に構うことも。 これは本体の無意識の望みを汲んでいるだけなのだが、恋愛経験のない花京院は「スタンドが暴走した!?」と不安がっている。 /ネタバレ ネタバレ 未確定部分/連載36話~ 菫子が振り向いてもらえるのは死神戦。 仲間割れを嫌った(或いは面倒がった)菫子が「どの道見張りは要るしそれで花京院が安心するならいいんじゃない?」と助け船を出し、 花京院の腕の「BABY STAND」の傷もスカーフとスタンドで生成したオキシドールで手当てしたことで完全にオチる。 死神13を倒した直後花京院は夢の中で告白しOKをもらうが、**7スタ通りの共闘ルートではない**ので、菫子にその記憶は残らない。 その後ゲブ神戦で花京院が目をやられた際に、 「ジョースターさんも病院で襲われたわけで、血族ではないがDIO側からすれば 裏切り者である花京院を独りにするのは危ないのではないか」 という話になったタイミングでハイエロファントに手を握られ、入院に付き添うことを決める。 菫子の再合流のタイミングは7スタ通りの展開ではなく、花京院と同時。** 最終戦では(普段からすれば異様なほど無鉄砲な)花京院の行動に危機を感じた菫子が防御に回り、一緒に貫かれる。 吹っ飛ばされた瞬間に菫子が高圧空気でブレーキを掛けたため原作より衝撃が軽く済み、財団のチームの救急救命措置で蘇生。 /ネタバレ 本編以後** 原作以降は 両方生存 → 順当に結婚、二児をもうける。 両方死亡 花京院のみ生き残る → フランスへ渡り、ポルナレフと共に暮らす。 の3パターンが存在。 両方生存ルートの場合 菫子が一人暮らしを始めた時から花京院は彼女の家に転がり込むようになり、大学卒業のタイミングで結婚する。 1999年時点でふたりの間には幼稚園児の娘がおり、菫子は第2子(息子)を妊娠中であるため、**4部本編への参加は無し。** ネタバレ 【注意】花京院との子供の設定 c 109878[娘] c 109885[息子] /ネタバレ 両方死亡ルートの場合 原作ルートに合流。 しあわせに。 花京院のみ生存の場合(ブロマンスルート) 花京院のみの生存は、菫子の臓器を移植されたことによるもの。 細胞記憶によるものか、ディープパープルの小瓶だけが消えずに花京院の手元にある。 いけないと知りつつ持ち去った菫子の遺骨入りのマグカップが宝物。 大学在学中に日本にいる意味がないと感じて卒業後にフランスへ移り、ポルナレフと共に暮らす。 ちなみにポルナレフが花京院を側に置く理由は、「愛した女が逝ってしまった苦しみは、よくわかる」から。 花京院の心の傷が癒えたら、笑って送り出そうと決めている。 「菫子だけ生き残る」ルートはメタ的に存在意義がなくなってしまうため、なし。 うちよそ** {**藍子様宅/空条眞砂子さん** #0099e3} 承太郎の双子の姉。幼馴染設定で交流させていただいています。 彼女との関係はちびまる子ちゃんのまる子とたまちゃん、シュガシュガルーンのショコラとバニラのようなイメージ。 ネタバレ 詳細(以下敬称略) 先述の通り幼馴染。 眞砂子は一見菫子の苦手な「清楚でか弱く女の子らしい」娘にも見えるため何も知らない者は混乱するが、 実際の眞砂子は芯が強く大人びた性格な上、菫子も昔から彼女の本音を知っているので関係は非常に良好。 幼い頃は眞砂子とホリィのいる空条邸だけが菫子の「女の子」が嗤われない場所だったこともあり、特別な関係である。 (当時の二人と承太郎をまとめたモーメントはこちら→https //twitter.com/i/moments/877393624299847681 ) しかし中学からは状況が変わってしまう。 菫子が1年生の夏休み明けから長いスカートを穿くようになり、2年生からは暴走族とつるみはじめ夏にはメンバー入り、 3年生で暴走族のリーダーと付き合い始め……といった感じに順調にグレていったため、 3年生でやっと同じクラスになった際には既に非常に気まずい雰囲気になってしまっていた。 (ちなみに承太郎は2年生のときに同じクラスだったが、強く引き留められる間柄ではないので「やりすぎるなよ」と注意したに留まっている。) 中学を卒業すると眞砂子は違う高校へ進学する。 近所なので時折顔を合わせることはあり、その際は昔のように話すこともあったが、話題は軽い世間話程度。 当時失恋の兆しもあって非常に荒れていた菫子のほうは、「こんな野良犬がお姫様に話しかけるもんじゃあないわよね」と思っていた。 旅後は気まずさも無くなり、元の良好な関係に戻る。 それぞれが結婚してからも続く間柄。 /ネタバレ 3部スタクル夢主さんと一緒に旅をする等大歓迎です。 菫子には花京院ルート以外存在しないので同担の方はご注意ください。
https://w.atwiki.jp/acjojo/pages/339.html
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