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Son屈弱orJ3攻>屈弱×1~2>屈中>屈強>ダッシュして起き攻め 基本コンボ。2割程度しか減らないがその後の起き攻めが鬼畜なのでなかなかの脅威。 (D屈弱>立ち弱>)>屈弱>D中orD強>タンデム(弱>中>強)×n>ちょっと歩いて回り込み>タンデムが残り1セットになるまで立ち弱×n>タンデムの終わりにJ弱>空中弱結界>立ち弱>ちょっと歩いて中&強結界設置>中結界発動と共に前J>D中>D中が当たったら強結界発動>ちょっと歩いて弱結界>中結界>タイラップ>D弱>近中*5>奥のほうにダッシュ>吹っ飛んできた相手が壁に当たらないように垂直ジャンプして頂点付近でSonにする>着地してから弱結界設置>起き攻め ちょっと長いけど基本コンボ。ダメージを取りたい時や起き攻めで攻撃を完璧に重ねてしまった場合は投げられ判定が無いのでタイラップを半径20mにしよう。 D屈弱>弱>Son弱>(D弱>弱)×n>立ち強一段>タンデム(弱>中>強)×n>上記参照 本体からスタンド状態へ移行するコンボ。Son弱は打点が高いので大半のキャラのしゃがみ状態には当たらない。 低ダJ攻>お仕置き 低ダは高すぎない限り落とされにくいのでこれで突っ込み、近距離で光ってからは回避不能のお仕置きを叩き込むというもの。コンボというより連携。低ダが膝位の高さならコンボにもなる? コンボパーツ J弱>空中弱結界>立ち弱 デム後のコンボを伸ばすために使う。猶予は長いので落ち着いて。 また、相手が屈状態のときは座高がやや高い相手にしか立ち弱が当たらないので注意。 遠中>D中 魅せコン用 SonD弱>弱>D弱>… 端に運ぶ時に使う?猶予は短い。 Son弱>強(一段目)>デム 上のコンボパーツと併用して使う。 たまにデムがS出に化けるバグあり。しかも1ゲージ減る。
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Soff Son Soff 技 解説 弱 ジャブ。屈状態の相手でも座高がやや高め以上のキャラには当たる。咄嗟の対空やタンデムの追撃に。 近中 ハイキック。結界コンボやタイラップ中の追撃によく使う。 遠中 キック。ヒット硬直が長いのでタイラップや半径20Mに繋がる。タイラップ中の追撃は近中よりもこちらの方が総ダメージは高くなる。 強 頭上からスタンドが攻撃。2ヒットする。発生は速いが、硬直が長く、空振った時は結界やエメスプでフォローしよう。単発ヒット確認からやJ強から繋げてタンデムへ。先端部分の判定は強い。打点は高くないので対空には不向き。 D弱 滑る弱。飛び防止に。 D中 滑る遠中。この技からタンデムへ。半径20Mを空中ガードさせた場合の追撃にも。 D強 滑る遠中。この技からタンデムへ。半径20Mを空中ガードさせた場合の追撃にも。D中と比較してこちらの方が威力が高く、その他の性能は同等なので基本的にはこちらを使おう。 屈弱 小足。コンボの起点。D中orD強に繋げてタンデムへ。リーチが短く、発生も速くないので割り込みとしてはあまり信用できない。 屈中 スタンドがニュッと腕を伸ばす。発生が速く、硬直、リーチ、威力もそこそこで使い易い技。近距離で差し込むように使う。 屈強 スタンドが足払い。2ヒットする。2ヒット目にダウン属性が有るが、下段判定は1ヒット目のみ。発生が遅く、何も考えずに密着状態から出すのは危険。相手クラッシュ時や結界ヒット時などに使って起き攻めに移行しよう。 D屈弱 滑る屈弱。コンボの起点。隙を見て差し込みたい技だが、発生がやや遅めなので割り込みには注意。 D屈中 滑る屈中。屈中よりも威力、Sゲージ削り値が高いが、何故か下段判定ではない。差し込みや相手のスタンドがクラッシュしそうな時などに。 D屈強 滑る屈強。相手クラッシュ時や結界ヒット時などに使って起き攻めに移行しよう。 J弱 横に手を突き出す。発生が速く、近間の相手に当てるように使う。他にもタンデム後コンボの初段に使う。DIO、両ジョセフに対して一応昇り中段になるので起き攻めで半径20Mを出してこの技で崩す使い方も出来なくはない。 J中 横に長いキック。少し遠めの相手や低姿勢の相手にも以外と当たる。判定も強く、持続も非常に長い。主に飛び込みで使う。お手玉の拒否やとどめの一撃にも向いている。ポルのSon4中に相打ちを取れたりすることも。 J強 空中で強。全キャラ中最高威力のJ攻撃であり、発生も速い、横の判定が非常に強い、Sゲージ削り値も異様に高いなど、インチキ性能。主に空対空や空中での追撃に使う。下の判定がほぼ無いので相手が低姿勢だと当たらず、上から被さるように出すと対空され易い。飛び込みで使う場合は体力に余裕のある時やSon時の相手に。 3中 少し前に進む屈弱。使わない。 S出 紐状のスタンドがシュルシュルと前方に現れて遠隔操作に移行する。攻撃判定は無いが、出現途中のスタンドには喰らい判定が無い。S出からお仕置きを繰り出せばそのまま無敵が続くのでたまに狙うと有効かも知れない。 GC Son4強と同じモーション。標準レベルで特に欠点は無い。本体はすぐ動けるので弱などで追撃が可能。 投げ 相手を掴んでエメスプを放ち、遠くまで吹っ飛ばす。受け身不能。有利時間が長く、起き上がりがかなり遅めのキャラならダッシュから結界二択が出来る程。また、起き上がりがかなり速めのキャラでもダッシュから二択が可能。 Son 技 解説 弱 ジャブ。打点が高いので屈状態の相手には当たらない。咄嗟の対空やゲージ溜めに。 6弱 レの字触手。上から被さるような高い飛びの対空や真上付近の受け身狩りに使う。対空性能はポルのSonJ弱に相打ちを取れるぐらい高いが、対空には弱や中が使われることが多いのであまり目立たない技。 中 斜め上向きの触手。前方2キャラ分をカバーするリーチと非常に速い発生を兼ね備えたカキョの主力技。牽制、対空、切り返し、飛び防止、受け身狩り、お手玉など様々な場面で多用する。本体J強を空中ガードさせてから確定を取る使い方も出来る。対空性能はポルの本体J中や誇ジョのJ強を落とせるぐらい高い。ただし、先端より内側に入り込まれた時はこちらに攻撃が届いてしまうこともあり、状況に応じた対空技の使い分けが重要。 6中 前方に長い触手。牽制やお手玉に。キャンセル不可だが、6中からそのまま強を出して1段目キャンセル結界とすることでフォローが可能。 強 前方に両腕の触手。3ヒットする。本体J強を上回る威力を持つ。根元部分の発生が非常に速く、密着状態からの割り込みや低ダ後に使う。しかし、2段目以降はキャンセル不可なので単発牽制で出す機会はあまり無い。打点も低いので対空にも不向き。弱から繋げて1段目キャンセルからタンデムへ。画面端の結界コンボにもよく使う。 4強 両腕両脚の触手。吹っ飛ばし属性。発生は遅いが、判定は強めなので中距離での置きの牽制に使える。画面端付近で当てた時は跳ね返ってきた相手をキャンセル弱結界で捕えてさらに追撃することも可能。持続も長めなので起き上がりによく暴れる相手に対して画面端付近での起き攻めに使うのも面白い。 D弱 滑る弱。コンボの起点。飛び防止やお手玉にも。D弱を続けて出すことで通常のダッシュよりも高速かつ滑らかに移動できる。 D中 滑る6中。奇襲や飛び防止、お手玉にも使えるが、キャンセル不可の上に6中のようなフォローもできないのでスパコンの割り込みに注意。 D強 滑る4強。発生が遅い分、ダッシュから早め出しをして先端を当てたり。4強同様、画面端付近で当てた時はキャンセル弱結界で捕えて追撃しよう。 屈弱 足元に触手。起き攻め二択の下段を担う技。 屈中 足元に長い触手。中が届かない距離での牽制や結界ヒット時の追撃に。牽制で出す場合は結界でフォローしないと飛び込まれた時に危険。 屈強 足元に超長い触手。全キャラ中最長リーチの通常技。ダウン属性。牽制や結界ヒット時の追撃に。持続が長く、起き攻め二択が間に合わない時の代わりとして使える。また、こちらに届かない距離で相手がJ攻撃を出した時に足元に敷いておけば確定する。出始め以外はキャンセル不可なので事前に結界を設置してから出すと飛び込まれても安全を確保出来る。近距離で出してガードされた場合は反撃確定なので注意。 D屈弱 滑る屈弱。屈状態でいることが多い相手に自分から触りに行く時に使う? D屈中 滑る屈中。かなり長い下段。屈中同様、牽制で出す場合は結界でフォローしないと飛び込まれた時に危険。 D屈強 滑る屈強。とんでもなく長い下段。屈強同様、出始め以外はキャンセル不可なので近距離では出さないように。 垂直J弱 横一直線の触手。発生が速く、リーチもそこそこ長いので空対空やSon時の相手への昇り中段などに。技後はキャンセル結界から空ダで展開していく。 斜めJ弱 横向きの触手。横への攻撃なのに空対空として強いわけでもなく、発生も遅いので使わない。 J中 下向きの触手。下だけでなく意外と横にも当たる。本体ジャンプからS+中の飛び込み、弱対空から空中での追撃、昇り中段などに使う。他にも連続低ダでの移動用に使ったり。 垂直J強 振り回す触手。垂直J弱と比較して威力は高いが、発生が遅く、リーチもやや短い。弱対空から空中での追撃に。 斜めJ強 斜め下向きの触手。主に低ダでの崩しに使う。低ダ強ヒット後はお仕置きに繋がる。J中とは違い、横の相手に当たることが無いので低ダ時に相手の飛びと重なった時は注意。全キャラに対して一応昇り中段になる。 J3攻 通称ドリル。起き攻め二択の中段を担う技。ジャンプ後すぐに出せば見えない中段として機能するので非常に強力。密着状態からの崩しにもかなり有効。基本的には速く鋭い強を使う。 GC 4強と同じモーション。標準レベルで特に欠点は無い。 投げ 相手を掴んでエメスプを放ち、遠くまで吹っ飛ばす。受け身不能。本体よりも有利時間は短いが、起き上がりがかなり遅めのキャラなら空ダor本体モードのダッシュから二択が可能。
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あの日恐怖に屈した自分 今の僕はどんな風に言い訳をすればいいのだろう 隠し切れない弱さ知って 優しく言い聞かすDIOに 反吐が出るほど怯えた僕を 今は深く呪ってる 揺るぎない自分、未来を誓って 初めての戦友(とも)というものを信じて 旅立ったあの日、孤独と決別した 引き返すことはしたくないだけ 思い返せば 共に戦い 共に笑う仲間がいる 日々すべてが大切だった それ故僕は口に出さず飲み込んでた想いの欠片 ほんの少しは彼らにきっと 伝わってたと信じてる 開けない心 孤独の檻の中 自問自答に埋もれてゆくばかり 今の僕なら あの頃の僕のように独りではないと 胸張って言えるから ふざけすぎたときもあった 傷ついてしまったことも だけどそう全部間違いじゃないから …そう信じてる 果てのない理想描いた世界を 辿ってこれた幸せな旅の果て この先に起きるどんな事柄にも この僕にはそう 後悔などない! 歩み続けた旅路の果てには こんな終わりが待っていたけれども 探し続けた答えはこの胸に 最後の最期まで 輝いているよ 原曲【樹海「ヒカリ」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm1802135】
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099 再会の物語 ◆QAGVoMQvLw 「……………………君、何か隠してないかい?」 「…………はい」 これからの行き先について問う暁美ほむらに対して、しばらく沈黙していた花京院典明は、 全く関係の無い質問で答えた。 しかしほむらはそれに頓着することなく、素直に返事をする。 その表情からは、ほむら固有の意思や生気が抜け落ちているように見えた。 「そうか……もし良ければ、何を隠していたか話してくれないかい?」 そんなほむらの様子を注意深く観察しながら、花京院は質問を重ねていく。 花京院がここで注意を払っているのは、ほむらの意識の状態である。 もしほむらが花京院の言動に、僅かでも不審を覚えるようなら、 それは花京院の失策を意味していた。 「…………はい」 しかし、ほむらは相変わらず機械的な返事を繰り返す。 それによって花京院は自分の策が成功したことを確信した。 暁美ほむらを『ハイエロファントグリーン』で操作することを。 ハイエロファントグリーンは花京院のスタンド。 狭い場所に潜伏することを好み、人間の体内に潜入すればその者を操作することができる。 そのハイエロファントグリーンをほむらの体内に潜入させることに成功したのだ。 ほむらは人間ではない魔法少女なのだが、問題なく操作できたらしい。 もっとも花京院はほむらが魔法少女であることに気付いていないが。 ほむらが何かを隠していることには勘付いていた。 「さあ、早く話してくれ」 「……………………」 「…………まあ、無理だろうな。自分のスタンドの限界は、自分が一番分かっている」 しかしほむらは自分の隠し事をそれ以上何も語らない。 ハイエロファントグリーンの操作は、あくまで相手の意識を奪って行うもの。 相手の意識は無いのだから、知識を引き出せる類のものではない。 先ほどのほむらの答えは、花京院が操作して応えさせたものだ。 花京院は幼い頃からハイエロファントグリーンを使役してきた。 能力はよく熟知している。その限界も。 先ほどの質問は、あくまでほむらを支配できたかを確認するついでに過ぎない。 「……相談相手もいなくなったことだし、早く方針を決めるか」 ほむらの意識が無くなったことで、花京院は独断で方針を決定できる。 花京院としてはDIOとの合流を優先したいから、まずDIOの館を目指したいところだ。 ほむらの話では北に飛べば、地図の南端に辿り着きそこからDIOの館に向かえるらしい。 しかし、花京院にとってそれはリスクが大きかった。 北の奈落を飛び越えるためには、マスティマで飛ぶほむらにつかまって行かなくてはならない。 しかし先刻マスティマで飛んで行ったほむらから、ハイエロファントグリーンが解除されていた。 花京院にその理由は不明。おそらくハイエロファントグリーンの射程から外れたのだろうが確かめる術は無い。 もしほむらにつかまって飛んでいる途中にハイエロファントグリーンが解除されたら、非常にリスクが高い。 下手をすれば奈落に突き落とされかねないのだ。 そもそもほむらはマスティマで、花京院を確実に運べるのだろうか? ほむらは自信ありげだったし、どうやら普通の人間より身体能力が高いのは確かなようだが、 途中で力尽きない保証は無い。 マスティマだって保つかどうかは分からないのだ。 奈落を越える前に、その辺で飛行実験をする手もあるが、 殺し合いの中でそれをするには、やはりリスクが高すぎる。 そうなると次に候補にあがってくるのは、コンサートホールだった。 コンサートホールにはおそらくエスデスが居る。 そこに向かうのは一見、奈落を飛び越えるくらいリスクが高い行為に思えた。 しかし状況的に考えればエスデスが先に居る場所に、後から訪れる形になる。 それは戦術的に考えれば花京院が優位に立てる形になる。 コンサートホールの正面から堂々と訪ねればすぐにエスデスと対面してしまうが、 コンサートホールの裏口や側面から潜行すればエスデスの状況を偵察することができる。 エスデスの戦力や目的を大まかにでも把握してから、そこを離れれば安全に情報を得ることも可能だ。 無論、容易に偵察を許すほどエスデスは甘くないだろう。 しかし仮に見付かったからといって、即それが命の危険に繋がるのかも疑問だ。 放送の前にエスデスを見かけた時、はっきりとどんな人物かは確認できなかったが、 誰かを連れ立っていたのは間違いない。 見付かっても、即危害を加えられるとは限らないと言うことだ。 それに今ならほむらを先行させることができる。 いざとなったら、ほむらを囮に逃げることも可能だろう。 それでもハイエロファントグリーンの射程内に花京院が付いていく必要があるが。 行き先として最後に候補に上がるのは、ほむらの言っていた廃教会となる。 しかし花京院としては、あまり気は進まなかった。 廃教会を目指す根拠となるのは、ほむらの知人が向かう可能性があるという情報のみだし、 もし今のほむらが知人と遭遇した場合、態度の違和感などから、 花京院がほむらの意識を支配していることが露呈するかもしれない。 いずれにしても花京院にとってメリットは薄い。 「……やはり最もリスクが少ないのは、病院で待つことかも知れないな」 どこにも行かず、病院で待機する選択肢もある。 地図の北西に位置するこの病院に人が訪れる率は、おそらくかなり低いだろう。 花京院は地図の北西部のかなり広範囲を動き回ったが、ほとんど参加者に会うことはできなかった。 ほむらもエスデス以外に出会ってはいないようだし、あわせて推測してみると、 どうやら北西部には参加者がほとんど居ないようなのだ。 そうなると、ほとんどの参加者にとって病院はかなり遠い施設となる。 参加者が病院を目指す理由となると、多くは治療や安全のためということになる。 しかし長距離の移動は様々な意味でリスクが高くなるのだから、安全性を考えればそれを避ける。 治療のための設備も、何も病院にしかないと言うことでもないだろう。 ましてDIOは吸血鬼。他の参加者を待ち伏せするつもりも無ければ、病院には訪れないだろう。 いずれにしても病院で待っていても、実りは薄いと予想できる。 その分、安全であるとは言えるが。 「…………肝心なのはわたしの安全ではない、DIO様の安全だ……」 花京院は自分が先ほどから、否、 殺し合いが始まって以来、自分の安全のことばかり考えていることに気付く。 元々花京院は慎重な性格の上、防衛本能が残っているため致し方ないことではあった。 しかし花京院は、それ以上に使命感の強い人間だ。 今の花京院の果たすべき使命はDIOの優勝である。それは自分の安全より優先される。 花京院はそれを思い出し、考えを改める。 どう行動したところでリスクを避けることはできない。 当然、危険はなるべく避けるべきだがDIOのためにならなければ意味が無い。 花京院のリスクとDIOのメリット。それらを天秤に掛けて、最も効率的にDIOの優勝に貢献する選択。 全てを考慮して取った花京院の決断は―――― ☆ 空条承太郎のスタンド『スタープラチナ』。 その特徴の一つに高い視力がある。 高速度カメラ以上の動体視力。望遠鏡以上の遠隔視。顕微鏡以上の精密さ。 それらを併せ持つ人知を超えた視覚、それこそスタープラチナの強さの所以の一つである。 承太郎は現在、コンサートホール内の客席に座っている。 そしてスタープラチナの眼で、コンサートホールの入り口の方を見ていた。 客席から玄関までには扉とホールがあるが、扉は開き入り口までの視界が通っていた。 もっとも客席から入り口まではかなりの距離があるので、肉眼ではほとんど何も視認できないが、 それはあくまで人間の話である。 スタープラチナの眼には、入り口前で話すエスデスたちの姿も、 そのエスデスが広げる地図も、そして地図上で指している部分も明確に視認できた。 エスデスが指している施設は能力研究所。 状況からおそらくエスデスたちはそこを目指すのだろう。 エスデスたちの目標を確認できた承太郎は、「やれやれだぜ」と小さく呟いて帽子を深く被り直した。 とりあえずエスデスたちの帰還が遅くなった時は、どこへ迎えに行けば良いのかが見当が付けられる。 そもそもエスデスが目的地や帰還する時間を予め相談していれば、こんなつまらない気の使い方をせずにすんだ。 やはりエスデスは頭は良いが、根本的に協調性が欠ける人間のようだ。 一緒に行かせた仲間を心配にすらなる。アヴドゥルのことだから、そう大過は無いとは思っているが。 それに承太郎にはエスデスの居ない所でしたい話がある。 そのために柄にも無い保護者の真似事をしたのだ。 やがて足立透がトイレに発ち、その際に扉を閉めたため入り口が見えなくなったが、 既にエスデスたちの行き先を確認しているため問題ない。 承太郎にとっては、上手く二人きりの形になれた。 客席に座る承太郎は、近くに座る鹿目まどかと向き合った。 承太郎の視線を受けて、まどかはどこか気後れしている様子だった。 先ほどまでと承太郎の様子が違うことに気付いているのだろう。 承太郎自身も今の状況で保護者役をやるつもりは無い。 本来の承太郎として、まどかと対峙する。 「……………………」 「……………………あ、あの人をその…………殺そうとしたからですか?」 気まずい沈黙を経た後、前触れも無くに口を開いたのはまどかだった。 話し始めるタイミングも言葉も脈絡の無いものだった。 しかし承太郎はその意味を理解した様子で返答する。 「おめーは、やはり奴を殺そうとしたんだな……」 まどかの言う”あの人”。そして承太郎の言う”奴”。 それは同じ人物、魏志軍のことを指していた。 先刻の放送から間もなく、まどかや承太郎たちは魏志軍と戦っている。 その時にまどかが魏志軍を明らかに殺害しようとしていた。 それ以来、二人は今までそのことを話題にはしていない。 しかし話題にこそならないが、蟠りのような形で二人の間の空気に残っていた。 「奴を殺そうとしたことを、どうこう言うつもりはねーぜ。敵を殺すってことには、俺も覚えはあるからな……」 承太郎はDIOの仕向けてくるスタンド使いの刺客と幾度も戦ってきた。 それは正に命の奪い合い。僅かな油断や隙が命取りになる世界。 その世界を生き抜いてきた承太郎は、場合によっては敵を殺す必要があることを知っている。 事実として承太郎とその仲間も、スタンド使いとは言え同じ人間である敵を何人も殺している。 「それじゃあ……わたしが…………変身できない振り……してたから…………」 口篭っているかのようなまどかの言葉。 そこからはどこか萎縮している様子が伺えた。 元々まどかは萎縮すると上手く口が回らなくなる。 逆に言えば今の承太郎は、まどかが萎縮するほどの威圧感を放っていた。 「『騙まし討ちをするな』なんてマヌケな説教をするつもりもねーぜ」 承太郎たちのスタンド使いとの戦い。それは僅かな油断や隙が命取りになる殺し合いだった。 不意打ちや騙まし討ちは当たり前。 敵は勿論、承太郎の味方も勝利のためにあらゆる手段を尽くす。 それがスタンド使いの戦いだ。 承太郎自身、ギャンブラーとの戦いではイカサマまで行っている。 いずれにしても、まどかの取った戦術それ自体を責められる立場ではないと承太郎は自覚していた。 「…………じゃあ、どうして怒ってるんですか?」 「だから怒ってるわけじゃあ無い。説教も責めるつもりも無いぜ。 おめーが騙まし討ちしようが、奴を殺そうが……俺を囮に使おうがな」 責めるつもりの無いと言う承太郎の言葉とは裏腹に、まどかは思わずビクリと身体を振るわせる。 承太郎は軽く嘆息してから、珍しく饒舌に話し続けた。 「奴との戦いで、おめーは変身しないで隙を伺っていた。 俺やアヴドゥルがどれだけ身を張って奴と戦おうが、奴が閃光弾を投げてくるまでな。 ……おめーはあの閃光弾を、最初は手榴弾だと思ってたな?」 「……………………」 まどかの無言は承太郎の問いに対する肯定を示していた。 魏志軍は承太郎たちとの戦いにおいてスタングレネードを使用している。 外見は変哲の無い金属製の筒であり、閃光を放つまでそれがスタングレネードだと分かる物ではない。 しかし承太郎とまどかには同じような投擲武器に心当たりが在った。それは二人が持つ手榴弾。 魏志軍がスタングレネードを投げた時、承太郎は咄嗟に手榴弾を連想した。 だからこそ防護体勢を取るために大げさにしゃがみ込んだのだ。その際、ついでに反撃のための石を拾っている。 まどかも、おそらく同じタイミングで魔法少女に変身をしている。 承太郎は変身の瞬間を確認していない。 しかし魏志軍の投げたスタングレネードが閃光を放つ前に、もう変身していたはずだ。 それで弓を構えて狙いを定めなければ、スタープラチナの投石とほぼ同じタイミングで矢を撃てなかった。 それはおそらく手榴弾の爆発に備えての変身。 まどかは人間より強靭な魔法少女である。 その肉体と魔法を駆使すれば、自分の身を守ることも比較的容易だ。 そして承太郎やアヴドゥルを手榴弾から守ることも。 結果的に承太郎とアヴドゥルは無事だったが、あの瞬間はかなり危険性が高かったことに違いない。 しかしまどかは承太郎やアヴドゥルを守ることより、魏志軍の隙を狙い撃ちすることを優先していたのだ。 それ以前に承太郎とアヴドゥルが参戦した時点で、魏志軍の隙を伺うことを止めて変身していれば、 二人のリスクは更に減っていた。 「俺もアヴドゥルも勝手に戦った。おめーに守ってもらおうとも思わねえ。 だが成り行きだろうと一緒に戦う仲間より、敵を殺すことをおめーは優先させた」 まどかは何も返答しない。 押し黙るまどかを見て、承太郎はまた嘆息を漏らす。 承太郎は他人からよく威圧的な人物だと誤解され易い。 今もまるでまどかを問い詰めているような雰囲気になっている。 承太郎としては戦いの中で感じたことを、まどかに確認したかっただけだ。 まどかが戦いの中で行った細かい行動や判断。 それ自体は、戦いの中での不確定要素と呼んで良いほど些細な部分だろう。 しかし命がけの戦いの世界を、仲間と共に潜り抜けてきた承太郎は、 僅かな挙動や表情から、その者が持つ戦いに対する云わば気構えのような物が見て取れたのだ。 それは承太郎という戦士として類まれな才能と感性の持ち主だからこそ読み取れた微細な襞。 まどか自身もまた、承太郎と立場は違えど戦いの世界に身を置く者である。 承太郎の話したような単純な二元論を意識した訳ではないが、 結果的にでも承太郎とアヴドゥルより敵を殺すことを優先したことは間違いないし、 何より短い付き合いだが承太郎と言う人物には、どんな言い訳も通用しないだろうことは感覚的にでも理解していた。 だからこそ何も言えなかったまどかだが、ようやく言葉を放つことができた。 「ごめんなさい…………わたし……承太郎さんとアヴドゥルさんのこと、考えてなかった……」 「考える必要も無いな。俺とアヴドゥルは別行動を取るんだ」 「そんな! ま、待って……」 立ち上がり荷物を纏める承太郎。 その言葉と態度からまどかとの決別の意思を示していた。 承太郎は最初からまどかの真意を確認するため、二人きりになるタイミングを見計らった。 エスデスが居る所で話をすれば、どんな余計な邪魔をされるか知れたものじゃない。 だからこそエスデスの目論見にあえて乗り、柄にも無い保護者役を請け負った振りをして、 わざわざまどかを気遣うようなことを言ってまで、留守番役を買ったのだ。 そしてまどかの真意が自分の想定通り、仲間を守るより敵を殺すことを優先するものだった。 ならば分かれて行動した方が良い。 そう判断して別れを告げるたのだ。 しかしまどかにとってはあまりに予想外で唐突な展開。慌てて承太郎を問い詰める。 「待って下さい!! い、今ここを離れたら……アヴドゥルさんともエスデスさんともヒースクリフさんとも、 会えなくなっちゃうんですよ!?」 「気に入らないのはおめーよりも、むしろエスデスの奴だ。アヴドゥルの行き先は分かってる。 今から追い掛ければ、すぐに追いつく」 承太郎はまどかに見向きもせず立ち去ろうとする。 まどかとの間にあるのは、戦い方での小さな行き違いだ。 どちらに非がある訳でもない相違。それゆえに話し合っても無駄だと考えている。 そして何より承太郎はエスデスの独善的な態度や行動が気に入らなかった。 おそらくこれ以上承太郎とエスデスが同行しても、衝突は免れないだろう。 それほど性格的な相性の悪さを感じていた。 だから今から能力研究所に向かうアヴドゥルに追い付き、エスデスとも別れ二人で行動しようと考えている。 その前にまどかに別れを告げたのは、承太郎なりに義理を果たしたつもりだった。 まどかはそんな承太郎の態度に、理不尽な物を感じていた。 承太郎とは殺し合いの中で最も長い時間を共に同行した相手である。 いつ命を落とすか分からない殺し合いの中で、何度も命を助けられた承太郎の存在を、 まどかはそうと意識しないまでも、内心とても頼もしく思っていた。 だからこんな形で突き放されたことで、意外なほどに動揺を覚えるし 碌に話し合いもしないで別れようとするのは理不尽だと感じたのだ。 まどかは初めて、自分がそれほど承太郎を頼りにしていたことに気付くが、 承太郎にとってはそんなことを知る由もないし、知ったところで決断が変わるわけでもない。 しかしまどかにとっては、自分のこと以外にも気掛かりなことはあった。 「きょ……槍使いの子に会ったら……どうするんですか?」 「さあな。会った奴が敵なら、ぶちのめすまでだ」 「こ…………殺しちゃうんですか!?」 「そうなっても、おめーに文句を言われる筋合いは無えよな」 承太郎はこれ以上、まどかと議論をするつもりは無かった。 ましてや指図を受けるなど御免だ。 それゆえに、あくまでまどかを突き放す。 承太郎にとっては面倒を避けたいだけで他意の無い言葉だった。 まどかにとってはこれ以上無く理不尽な態度だった。 まるで相談することも無く、立ち去ろうとするのみならず、 自分が佐倉杏子を気に掛けていることを知っているのに、それを無視するような態度が。 身勝手なのは、自分なのか承太郎なのかも定かではないが、 まどかは思わず怒りに駆られた行動に出た。 承太郎はまどかに目もくれず、客席の出口まで足を進めていた。 そして足立が閉めたドアに手を掛ける。 ドアが大きく音を立てて開いた。 承太郎の手に拠ってではない。 承太郎が持ったのと反対側のドアに桃色の閃光が刺さり、音を立てて弾け飛んだのだ。 ド ド ド ド ド ド ド ド まどかの方を見ると、閃光と同じような桃色を基調にした華美な衣装、 魔法少女の姿に変身して、弓を構えていた。 その眼は承太郎を強く見据えていた。 「……まだ…………話、終わってない…………」 「おまえ…………」 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 承太郎に当てるつもりの無い威嚇射撃であることは分かっていた。 それでも威嚇をされて大人しくできる承太郎ではない。 息を荒げて睨むまどかを、それ以上の鋭さで睨み返す。 緊迫した空気が二人を包み込む。 その緊迫を破ったのは―――― 「――――まどか」 ☆ 「ハァハァ……ようやく着いたな。これがコンサートホールと見て良いだろう」 特徴的な形状の建造物を前に、花京院は息を整える。 花京院の選択はコンサートホールに向かうこと。 DIOの優勝にとって、エスデスが大きな障害となるのは間違いない。 エスデスの戦力や目的などの情報を得ることができれば、DIOの大きなアドバンテージになり得る。 一方的にエスデスを偵察できる機会を逃さないためにも、花京院はコンサートホールを目指した。 奈落を飛び越えてDIOの館に向かうことともかなり迷ったが、 やはり得体の知れない翼で飛ぶ女子中学生につかまって奈落を越えるのは、リスクが大き過ぎると思えた。 当の女子中学生であるほむらは、自身と花京院の二人分の荷物を持って先を行っていた。 「しかし、君は息も乱さないんだな……」 二人分の荷物を抱えて先を歩いていたほむらだが、まるで疲労している様子は無い。 男子高校生である花京院は、決して体力的に同級生に劣るものではない。 そうでなければ過酷なエジプトへの旅を行うことはできなかったはずだ。 しかし自分の分の荷物まで持っているほむらと、明らかに体力的な差が出ている。 ほむらが女子中学生であるどころか普通の人間であるかも、本気で怪しく思えてきた。 これなら本当に、花京院を抱えて奈落を越えるのも余裕だったのかも知れない。 もっとも、コンサートホールに着いた今更予定を変更するつもりは無いが。 「まあ、『使える』と考えるのが前向きなんだろうな」 これからのことを考えても、ほむらの体力はありがたい面は大きい。 偵察中に敵に見付かった場合も、ほむら自身を戦力にできるのだから。 もっとも偵察と言う活動の要諦を考えた場合、ハイエロファントグリーンで操作する者は、 利便性が高いとは言い難かった。 ハイエロファントグリーンでの操作は、花京院が近くに居なければ行えない。 何しろ本人の意識が無いので、花京院が状況を認識した上であらゆる行動を逐一操作しなければならないからだ。 だからほむらを先行させるにしても、花京院も状況を確認できる位置で追わなければならない。 あるいはハイエロファントグリーンを解除してそれだけを潜行させた方が、偵察には有利かもしれないが、 今から解除した場合、意識を取り戻したほむらに状況の変化から怪しまれる。 ほむらの体力を知った今は、可能な限り敵に回すことなく、 できれば使い潰すまで戦力として手放したくないところだった。 コンサートホールは南側が正面だったらしく、花京院が着いた北側は都合良く裏面だったようだ。 民家のごとき無愛想なドアが一つ付いている。 しかし花京院はドアの近くにある、頭くらいの高さの小さな窓から入ることにした。 まず侵入するのはほむらだが。 ほむらはここでも、驚くべき身体能力を発揮した。 窓に飛びついたほむらは、鍵の開いていた窓を容易く通り抜けると、 片手で窓枠に掴まったまま、もう片方の手で花京院の身体を引き上げたのだ。 やはりほむらは、尋常の女子中学生ではない。 得体の知れない薄気味悪さすら覚えるが、戦力として考えれば頼もしい。 こうしてほとんど音も無く、コンサートホール内に侵入できたのだから。 にもかかわらず、直後に爆発じみた破壊音が鳴る。 驚き慌てる花京院だが、すぐに自分とは関係の無い音だと悟る。 どうやらコンサートホールの奥で何かが起きたようだった。 花京院は周囲に人の気配が無いことを確認すると、 ほむらを先行させて、音の方へと向かい廊下を進んだ。 危険性はあるがいざとなったら、ほむらを盾に逃げられる位置を保ちつつ。 花京院は知らなかった。 因果律をも 世界の理をも捻じ曲げる 人間の感情の極みを 廊下を進んだ先にコンサートホールの最も大きな部屋、おそらく客席があるようだ。 音はその客席の方からしているようだった。人の気配がする。 入り口の陰に身を隠しながら、客席の様子を探る。 南側の出入り口の付近で何か騒ぎが起こっておるようだが、花京院のいる位置からは遠過ぎて様子が見えない。 花京院は、ほむらを椅子に隠れさせながら先行させて、 騒動を視認できる位置まで移動させる。 異変はその時に起こった。 「――――まどか」 自分の名前を呼ぶ声がする。 鹿目まどかは、自分の名を呼んだ相手の方に振り向く。 殺し合いはまどかにとって、辛いものでしかなかった。 すぐに出会った者には頭を潰された。 手榴弾でも死なない怪物に襲われた。 尊敬する先輩の死を告げられた。 友達と会いたかった。 その友達の声がする。 「――――ほむらちゃん!!!」 自分を呼ぶ声に、まどかは呼び返す。 何故そこに居るのかは分からない。 そんなことはどうでもいい。 ただ、会えただけで嬉しかった。 しかし、ほむらにとってはその程度のことではなかった。 まどかに再び出会うことは、生きる目的とすら言えた。 そのためなら因果律をも、世界の理をも乗り越えられる。 これこそ人間の感情の極み 希望より熱く 絶望より深いもの 愛 (なんだ? あいつに何が起きたんだ!?) 隠れて様子を伺っていた花京院は困惑する。 ハイエロファントグリーンで操作していたはずのほむらが、勝手に立ち上がって姿を現し喋ったのだ。 花京院はそんなことを指示していない。 解除されたわけではない。ハイエロファントグリーンは、今もほむらの体内に存在する。 だからこそ、何故こちらの指示と外れた行動に出たのかが分からない。 (あいつは『何かを見て』反応した感じだった。『何を見た』か、確認するか) 夢にまで見たまどかに会えたほむらは、しかしすぐに困惑に襲われる。 自分は病院の付近に居たはず――ここはどこ? 自分の前に居たのは花京院だった――何でまどかが居るの? 状況が掴めない。 体内に何かが居る。 何か得体の知れない物が、ほむらの体内を動いていた。 それは確かにほむらの口の中から外を覗いている。 ほむらはデイパックからアヌビス神を取り出した。 アヌビス神の美しい刀身は、まるで鏡のように周囲の景色を映し出した。 ほむらの口中にあるそれも。 得体の知れない、筋のような緑色の光が走る。 その緑色には覚えがあった。 (これは花京院の”体質”!!) アヌビス神の長い刃渡りは、緑色以外にも覚えのある物を映し込む。 それは物陰からこちらの様子を伺う花京院の姿。 何か明確な根拠のある推測では無かった。 しかし状況の変化と意識の空白。 体内を動く花京院の”体質”。 そして 花京院のこちらを伺う視線。 それらが合わさって、ほむらに直感的な推測を与えた。 花京院がほむらを操っていたと。 勝手にアヌビス神を取り出したほむらの様子を見て、花京院は確信する。 ハイエロファントグリーンに取りつかれながら、ほむらは意識を取り戻していると。 花京院の不運は魔法少女という存在を知らなかったことだろう。 魔法少女とは魂を外付けにして、それが肉体を操作する存在。 ある意味ハイエロファントグリーンの操作と競合するシステムで動いている。 その性質ゆえ人間よりもハイエロファントグリーンの操作に対して耐性があるとも言える。 何より、ほむらの持つ常軌を逸したまどかへの情念。 それによってまどかに出会った際に極めて強い精神的な衝撃を受けたのだ。 意識を取り戻すほどに。 理由は分からずとも、花京院の注意深さは、 ほむらが意識を取り戻したことをすぐに察することが出来た。 意識を取り戻した以上、花京院に操られていたことにもすぐに気付く。 そうなれば花京院の敵に回るだろう。 花京院は即座にほむらを殺す判断をする。 ハイエロファントグリーンは未だほむらの体内に居るのだから、殺すことは容易なはずだ。 花京院の誤算はほむらの行動が更に早かったことである。 ほむらは瞬時に判断する。 花京院は敵だ。 体内に取り付かれている以上、自分を殺すことに手間は掛からないはずだ。 そして、今の状況でそうなれば自分だけの問題ではない。 まどかも危険に晒すことになる。それだけは避けなければならない。 まどかの安全が掛かっている以上、ほむらの決断に躊躇は無い。 ほむらはその手に持つアヌビス神を、花京院に向けて投げつけた。 魔法少女の力によって投げられたアヌビス神は、刺されば確実に命を奪う勢いで花京院に迫る。 こうなればもうほむらを殺しても遅い。アヌビス神を止めることは出来ない。 ほむらの誤算は花京院の判断が予想以上に早かったことである。 体内にある異物が消え去った。 緑色は花京院の前に現出する。 人の形を為したそれは、両手の前から閃光を発した。 閃光の正体は細かい宝石を弾丸のごとく射出した物。 それは飛来するアヌビス神を弾き飛ばした。 (まさか自分の安全を考えることなく、わたしを攻撃してくるとはな、 どうやら、ほむらを甘く見ていたようだ……) ほむらに攻撃された瞬間、花京院はハイエロファントグリーンを解除していた。 そして自分の元に戻し、エメラルドスプラッシュでアヌビス神を迎撃。 慎重な花京院は、いつでもハイエロファントグリーンで防御できるように心構えをしていた。 しかしこうなってはもう、ほむらに再び取り憑くのは難しいだろう。 いずれにしてもほむらは敵となったのだ。 早急に排除しなければならない。 花京院はもう一度、こんどはほむら自身目掛けエメラルドスプラッシュを放った。 「オラオラオラオラオラオラアッ!!」 しかしエメラルドスプラッシュは全て拳で迎撃された。 ほむらにでは無い。 筋骨隆々の青い戦士の拳がエメラルドスプラッシュの尽くを打ち落としたのだ。 そして青い戦士の傍らには、学ランを着た長身の男が立っていた。 「……ようやく会えたな、花京院」 「空条承太郎……!」 花京院はその男、承太郎をDIOの念写した写真で知っていた。 DIOの仇敵であるジョースター一族のスタンド使い。 しかし問題は出会ったことの無い承太郎が花京院を知っているらしいことだ。 「……偽者でなく、やはり肉の芽だったって訳だ。やれやれ……こいつは、ちと面倒な話になりそうだ」 「……何故、わたしを知っている?」 「おめー、俺に会ったこと無いってのか? ……なるほど、話が見えてきたぜ」 ほむらにハイエロファントグリーンを憑かせていたらしい花京院の姿を見た承太郎は、 スタープラチナの視力で額の肉の芽を確認する。 更に花京院は承太郎の仲間だった頃の記憶が無いらしい。 かつての仲間の無残で不可解な姿。 しかし承太郎はいかなる状況でも、冷静な判断が出来る男だった。 (どういう原理かは知らねえが、こいつは『俺とまだ出会っていない時』の花京院らしい……) 例えどういう状態であろうと、この花京院が本物である以上、 承太郎にとって救助対象だ。 まずは花京院から肉の芽を取り除く。話はそれからだった。 ――しかし彼女にとってはまるで違う対象だった。 ――思い出されるのは為す術なく死をもたらされた記憶。 ――自らに死をもたらす恐怖の対象。 「あなたは……花京院を知っているのね」 ほむらは自分と花京院の戦いに割り込んできた承太郎に話し掛ける。 承太郎が何者かは知らないが、助けられたのは事実だ。 今は花京院を排除するためにも承太郎とは共闘する形を取りたい。 そのためにほむらは承太郎に話し掛けた。 「おめーは暁美ほむらだな、まどかから聞いてる。 今からあの花京院を……避けろ!」 承太郎が叫ぶと同時に、ほむらが飛ぶ。 ほむらが居た位置をエメラルドスプラッシュが通り抜けた。 どうやら花京院は会話をする暇も与えないつもりらしい。 花京院のハイエロファントグリーンにはエメラルドスプラッシュが在る。 距離を置いた戦いでは、おそらく花京院の独壇場だ。 しかし今のほむらの位置は、ちょうど花京院を承太郎と挟む位置に居る。 承太郎と同時に掛かれば挟み撃ちに持っていける。 ほむらが承太郎に眼で合図を送ると、二人は同時に花京院へ飛び掛った。 次の瞬間、ほむらの脚に何かが巻き付いた。 見覚えのある緑色の触脚が座席の陰から伸びて来ている。 腕にも、胴にも見覚えのある緑色が巻き付いて、全身の動きが封じられた。 承太郎の方を見ると、現出さしているスタープラチナが同じような状態になっている。 ほむらはハイエロファントグリーンに拘束されたと気付く。 「接近戦を仕掛けてくると思っていたよ。挟み撃ちの形にすれば。 既にわたしの周囲には、ハイエロファントグリーンの『結界』が張られているとも知らずにね」 承太郎とほむらの二人を同時にするとなれば、花京院は戦力的に不利だと自覚していた。 それでも花京院には二つの有利な点があった。 一つは飛び道具の存在。 エメラルドスプラッシュを使えば、遠距離戦ならば一方的な戦いをする事が出来る。 しかしそれは敵も当然、承知している。 接近戦を挑んでくるのは目に見えていた。 そこで二つ目の有利な点。地の利を活かすことにした。 ここはコンサートホールの客席。 並ぶ座席がハイエロファントグリーンを隠すのに最適の死角を生んでいた。 ハイエロファントグリーンを触脚状に伸ばし、周囲に張り巡らして『結界』と為す。 そこに目論見通り飛び込んで来た二人を拘束した。 しかし触脚を伸ばして拘束している状態では、そこから更に攻撃することは難しい。 花京院はバックからベレッタを取り出す。 それでとどめを刺すべく、銃口をほむらに向けた。 ――花京院さんがわたしの友達に銃を向ける。 ――死をもたらすために。 ――その様はまるで悪魔か死神に思えた。 (触脚を伸ばして来ると思っていたぜ。接近戦を挑めばな。 今のおめーは『スターフィンガー』を知らねえからな) スタンドの全身を拘束された承太郎は、握っていた拳を開いて指は自由に動くことを確認する。 花京院の戦術を良く知っていた承太郎は、座席の陰に触脚を伸ばして拘束してくることを予測していた。 そうすれば花京院の油断を誘うことが出来る。 そして自由になっている指に力を溜めて、一気に打ち込んだ。 「流星指刺(スターフィンガー)!!」 ほむらにとどめを刺すつもりの花京院だったが、ベレッタの引き金を引くことは出来なかった。 自分の頭に向けて、スタープラチナの指が伸びて来たからだ。 不意を衝かれた花京院には反応できない速さで、スタープラチナの指が額に打ち込まれた。 そう思ったが、いつまでも痛みも起こらない。 スタープラチナの指は、花京院の額に在る肉片を摘んでいた。 承太郎の目論見は的中した。 花京院の隙を作り、額の肉の芽をその指に摘む。 承太郎はハイエロファントグリーンの性能を良く知っているが、花京院はスタープラチナを知らない。 それゆえに実行できた作戦。 そして肉の芽を摘むことが出来れば、スタープラチナのスピードと精密動作性で引き抜くことは可能。 何しろ承太郎には、一度それに成功した経験があった。 ただその時と違ったのは、 桃色の閃光が、スタープラチナの指の横を通り抜けたことだ。 閃光は花京院の額に突き刺さると、その頭を容赦無く破壊した。 肉が抉れ、 骨が砕け、 破壊は脳まで達する。 花京院の頭は肉の芽諸共、跡形も無く砕け散った。 ――まるで悪魔か死神のように見えた。 ――その男を殺さないと友達も、自分も死んでしまう存在に。 ――だから二人が男と戦っている時も、じっと息を潜めて待った。 ――魔法の矢でその男を射抜ける機会を。 「花京院!!」 ――承太郎の悲痛な叫びが聞こえる。 ――まるで冷や水を浴びせられたように、思い知らされた。 ――まどかは、自分が悪魔でも死神でもなく、人を殺したんだと。 【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 死亡】 【D-2/コンサートホール/一日目/午前】 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:精神的疲労(小) [装備]:DIOのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース [道具]:デイパック、基本支給品、手榴弾×2、穢れがほとんど溜まったグリーフシード×3、『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチ [思考・行動] 基本方針:主催者とDIOを倒す。 0:????? 1:まどかと別れてアヴドゥルと合流して、更にエスデスと別れて行動する。 2:情報収集をする。 3:後藤とエルフ耳の男、魔法少女やそれに近い存在を警戒。 まどかにも一応警戒しておく。 【備考】 ※参戦時期はDIOの館突入前。 ※後藤を怪物だと認識しています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 ※魔法少女の魔女化以外の性質と、魔女について知りました。 ※まどかの仲間である魔法少女4人の名前と特徴を把握しました。 ※DIOのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースが一本近くに落ちています。 ※エスデスに対し嫌悪感と警戒心を抱いています。 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:ソウルジェム(穢れ:中)、 精神的疲労(中) 全身打撲(中) [装備]:魔法少女の服 [道具]:手榴弾 [思考・行動] 基本方針:ゲームに乗らない。みんなで脱出する。 0:????? 【備考】 ※参戦時期は過去編における平行世界からです。3周目でさやかが魔女化する前。 ※魔力の素質は因果により会場にいる魔法少女の中では一番です。素質が一番≠最強です。 ※魔女化の危険は在りますが、適宜穢れを浄化すれば問題ありません。 ※花京院の法王の緑の特徴を把握しました。スタンド能力の基本的な知識を取得しました。 ※承太郎の仲間(ジョースター一行)とDIOの名前とおおまかな特徴を把握しました。 ※偽者の花京院が居ると認識しました。 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ(新編 叛逆の物語)】 [状態]:疲労(小)、ソウルジェムの濁り(小) 全身にかすり傷 [装備]:見滝原中学の制服、まどかのリボン [道具]:デイパック、基本支給品、万里飛翔マスティマ@アカメが斬る! [思考]: 基本:まどかを生存させつつ、この殺し合いを破壊する 0:????? 1:まどかを保護する。 2:協力者の確保。 3:危険人物の一掃 4:まどかの優勝は最終手段 5:DIOは危険人物ではない...? 6:信用を置ける者を探し、自分が魔女かどうかの実験をする。(杏子が有力候補) [備考] ※参戦時期は、新編叛逆の物語で、まどかの本音を聞いてからのどこかからです。 ※まどかのリボンは支給品ではありません。既に身に着けていたものです ※魔法は時間停止の盾です。時間を撒き戻すことはできません。 ※この殺し合いにはインキュベーターが絡んでいると思っています。 ※時止は普段よりも多く魔力を消費します。時間については不明ですが分は無理です。 ※エスデスは危険人物だと認識しました。 ※花京院が武器庫から来たと思っています(本当は時計塔)。そのため、西側に参加者はいない可能性が高いと考えています。 ※この会場が魔女の結界であり、その魔女は自分ではないかと疑っています。また、殺し合いにインキュベーターが関わっており、自分の死が彼らの目的ではないかと疑っています。 ※アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースが付近に落ちています。 【万里飛翔マスティマ@アカメが斬る!】 翼の帝具。装着することにより飛翔能力を得ることが可能。 翼は柱を破壊する程度の近接戦闘は描写から可能であり、無数の羽を飛ばして攻撃することも出来る。 飛翔能力は三十分の飛翔に対し二時間の休息が必要である。 奥の手は出力を上昇させ光の翼を形成し攻撃を跳ね返す『神の羽根』。 ※花京院典明の死体の近くに花京院の支給品(デイパック、基本支給品×2、油性ペン(花京院の支給品)、ベレッタM92(装弾数8/8)@現実、花京院の不明支給品0~2 まどかの不明支給品0~1)が落ちています。 時系列順に読む Back 正義の戦士たちよ立ち上がり悪を倒せ Next 間違われた男 投下順に読む Back 正義の戦士たちよ立ち上がり悪を倒せ Next 正義執行 090 足立透の憂鬱 鹿目まどか 106 お前がまどかを殺したんだな 空条承太郎 097 我が侭な物語 暁美ほむら 花京院典明 GAME OVER
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「エメラルド・スプラッシュッッ!!」 白い封絶の放つ光に幻想的に照らし出された廊下に響く、 清廉なる美男子の声。 その声の主、花京院 典明の「幽波紋(スタンド)」 『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』の両の掌中から滔々と流れ落ちた 高密度の緑色の液体が瞬時に畝って集束し輝く無数の翡翠の結晶へと変貌し、 そしてスタンドの手から発せられる眩い輝きを以て一斉に弾ける。 無より生み出された輝く翡翠の魔連弾は、即座に空間を隈無く疾走し 彼に向かって襲いかかってきていた巨大な武装燐子達の全身に隈無く突き刺さって 爆散させ瞬く間に貫殺する。 白い封絶に覆われた因果孤立空間。 学園中央部に設置された時計台の針が静止した世界。 まるで全ての時間が止まってしまったかのような無音の静寂。 その中で、細身の身体に狂いなくフィットした バレルコートのような学生服にその身を包み、 黄楊の油で綺麗に磨かれた淡い茶色の髪を揺らす中性的な風貌の美男子と、 異形の怪物達の死闘が絶え間なく繰り広げられていた。 「先刻の大爆発。どうやら戦局に大きな動きが在ったようだ。だがッ!」 ギャギィィィィ!! 華麗な体術で横っ飛びに中空を舞った花京院の、その1秒前までいた場所に 機能性を欠いた大仰な造りの無数の武器、剣や槍や斧などが突き立てられ リノリウムの床を打砕する。 「この人形達、そしてこの特殊空間を生み出す能力、”封絶”が 解除されてない処を見るとまだ決着はついてないようだな」 側方に一回転し、手をついて着地して冷静に状況を分析するその花京院の傍らで、 スタンド、ハイエロファント・グリーンが流法『エメラルド・スプラッシュ』を すかさず高速連続発射し、前方の巨大燐子3体を爆砕、存在の闇へと葬り去る。 リノリウムの床の上に舞い散る白い火花が消えると同時に訪れる沈黙。 次の刹那。 花京院の、その中性的な美貌が切なげに翳った。 「空条……君は……無事なのか……?」 脳裏に浮かべた、その神聖なる白金の幽波紋光で覆われた勇猛且つ高潔な姿。 そこへ。 (!?) 何故か、一人の可憐な少女の姿が重なる。 真紅の瞳。 真紅の髪。 小柄な躰に纏ったまるでマントのような黒寂びたコート。 その少女は、その彼の傍らで片目をこちらにベェッとやる挑発的な仕草で 花京院に向けて笑みを向けていた。 想像の中とはいえ完全に勝ち誇った表情で。 (!!) その事に何故か無性にカチンッときた花京院は怒りで一瞬思考が止まるが、 しかしすぐに己を自制して落ち着きを取り戻す。 体温の上昇による発汗作用により、彼が愛用しているライムオイルを基調(ベース)に した爽やかな香りのフレグランスが一際強く空間に靡いた。 「あと、一応、マジシャンズ、も」 (シャナ、だっけ?)と頭の中で付け加え、額に少々青筋を浮かべ、 若干苛立った口調で花京院は呟いた。 まぁ幼いとはいえ戦場で女性を蔑ろにした自分に非が無いわけでもない。 無意識に湧き起こる苛立ち故にあまり納得は出来ないが。 そんな、彼の気の休まる暇もなくいきなり調理室と美術室、その両開きのドアが一斉に開き、 その中から再び大小形態様々、フィギュアとマネキンとマスコットの武装燐子達が 大挙して花京院に押し寄せる。 「クッ!まだこんなに数が!これじゃあキリがない!」 一階部分の敵はこれで最後だと想いたいが、先刻からロクにインターバルもなしで 流法(モード)を連続して撃ち放っているので、己のスタンドパワーの残量は そろそろ半分を切る。 故にペース配分の事も考えなければならない。 そんな押し迫った状況の花京院とは裏腹に、武装燐子達は件の如くガラス玉の瞳と 耳まで裂けた口とで、まるで血に飢えた獣のような表情で花京院を見据えていた。 この動く人形達”燐子”は「存在の力」という人間の生命エネルギーに酷似した 力で動き、さらにソレのみを喰らう能力が在るとかつてDIOの豪奢な館の書庫で フリアグネから聞いた事がある。 そして今、この特殊空間の中で仮死状態のように静止している他の生徒達や教師達を 無視して自分のみを標的に絞って追撃をしかけてきているのは、 停止している生徒達よりも、その中で生き生きと動き回っている自分の方が 美味そうに見えるのからなのか?それとも或いは”動く者を優先的に攻撃しろ”と 遠隔自動操作されているからなのかもしれない。 物質の遠隔操作能力は自分の最も得意とする処。 自分が出来るなら、フリアグネにも出来る。 自分と同じ領域に、フリアグネもいる。 まるで合わせ鏡の如く、自分と酷似したその存在。 だから。 互い、に。 「クッ!!」 花京院は唐突に脳裏に浮かんだ、華麗な花々の香気にその身を包まれた 耽美的美貌の貴公子の姿を精神の力で無理矢理消し飛ばした。 (このボクとしたことが……こんなときに……うかつな……!) 両目をきつく閉じ、一度強く頭を左右にふってから、 花京院はそのままその脇にあった開いた窓からスタンド、 ハイエロファント・グリーンの右腕を細い螺旋の紐状に変化させ、 射程距離の延びたスタンドの触手をまるで登山用の ザイルのように三階に向けて伸長させて投擲し、その窓枠括りつける。 元々他の生き物やスタンドへの潜行、寄生を目的に生み出した能力なので その巻き絡める力は細い見た目に反して強力だ。 そのままの体勢で触手をクレーンのように巻き戻してスタンドと共に その本体である花京院の身体は、スタンド法則の影響で素早く上階へと昇っていく。 みるみる内に眼下で縮小されていく数十体の燐子の大群に、 「どうした!?このボクを喰らいたいンだろう!! だったら早くこの上まで追ってこい!!」 血気押し迫った声でそう叫びその静謐なライトアンバーの瞳で燐子達を見下ろす。 燐子達は一度戸惑ったように互いに顔を見合わせ、その位置を元に戻すと 無機質なガラス玉の瞳に白い小炎が宿りそれが次の行動命令の発動の合図なのか 上階に逃げた花京院を追ってその背後に有った階段に大挙して押し寄せた。 全身にかかる重力の魔をその肌に感じながら花京院は、 (これで、少しは時間が稼げる。その間になんとかヤツらを 一網打尽にする手を考えなければ。出来れば、 ”エメラルド・スプラッシュ” 一発で「全滅」出来るような手を) これから撃つべき戦術を脳裏で構成する為に、 その長い能力の修練で培われたスタンド操作の集中力を引き絞り始める。 その彼の眼前に、予期せぬ光景がいきなり飛び込んできた。 (ッッ!!??) スタンドを使った上空移動途中。 視界に入った2階の惨状。 時間的にはほんの数秒だったが、2階に存在するありとあらゆるモノが破壊されていた。 少なくとも花京院の瞳にはそう見えた。 蛍光灯が割れ、リノリウムの床の表面が剥がれ、壁が抉れ、 全ての教室のプレートが砕けていた。 そして、その周囲にもれなく数多の白い炎が類焼している。 まるで爆弾テロにでもあったかのようなその壊滅的な惨状。 問題なのはその惨状事態ではない。 その「状況」だ。 「誰が」そこにいたかだ。 花京院の鼓動がうるさいくらいに早鐘を撃つ。 その背筋に冷たい雫の伝う戦慄が走る。 「彼」は、そのとき、2階、に。 「く、」 震える花京院の口唇から、 「空条オオオオオオオオオオオオォォォォォォォッッ!!!!」 自分でも予期しない程の絶叫が飛び出した。 しかし、当然の事ながら「彼」の返事は返って来ず、 自分の望みに反して非情にも花京院は目的地である3階に到着する。 「空……条……」 半ば放心状態に近い状態でその淡く潤った花京院の口唇から、 普段の清廉な彼の雰囲気からは想像も出来ない程弱々しい呟きが漏れる。 そして。 すぐにもその身を翻して二階の窓から飛び込みたいという欲求が耐え難く 心の底から沸き上がってきた。 が、しかし、その強烈な感情を花京院は己の全精神力を総動員させて なんとか抑えつけた。 そして、爪が皮膚を突き破る程強く拳を握りしめ己がいま果たすべき 事を再確認し強い決意と覚悟と共に彼のいる筈の場所に背を向ける。 口内もきつく食いしばったのか、その口唇の端からも血が細く伝っていた。 (任せてくれ……空条!約束、したよな……? 今度はボクが君を助ける番だと。 『君がボクにそうしてくれたように』 例え、何が在っても絶対にッ!) 彼は、自分に他の生徒達の安全を託した。 自分を ”信頼” して託してくれた。 だから。 加勢になどは行かない。 否、行けない。 『そんな事をしても彼は決して喜ばない筈だから』 自分に出来る事は、ただ一つ。 信じる事だけだ。 『彼が、自分にそうしてくれたように』 だから、自分も、彼を ”信頼” する。 彼の頭脳を。 彼の能力を。 そして、何よりも。 彼の、その高潔なる「勇気」を。 こんな事で、自分を倒した彼がやられる筈はない。 遠く離れているのにまるですぐ傍にいるかのような、 そんな不思議で奇妙な感覚を花京院はその細身の身体に静かに感じながら 決意に充ちた瞳で顔を上げた。 その視線の先。 3階の惨状。 否、「状態」だった。 そこは。 『なんともなっていなかった』 「どういう、こと、だ?」 珊に足をかけ窓の縁に手で掴まったまま花京院が見下ろした3階の風景は、 白い幻想的な光に覆われていることを除けば平穏そのもの。 まるで黄昏時の放課後のように、沈黙と静寂とで包まれていた。 それが2階の惨状と反比例して余計に不気味さを増大させる。 優れたスタンド使いである花京院だけが感じ取る事が出来る、一抹の異和感と共に。 「一体、どういう事だ?2階はアノ惨状だったのに、 『何故3階はなんともなっていないんだ?』」 ”狩人”の余裕? 絶対に有り得ない。 あの純白の貴公子は、そのやや軽薄そうな見た目と甘い風貌とは対照的に、 度が過ぎるほどの完全主義者。 水も漏らさぬ完璧な戦略と、一片の解れも存在しない緻密な戦術で 今まで歴戦の強者達を闇に葬ってきた正に至宝の暗殺者だ。 その彼が最後の砦ともいうべきこの「場所」を無策のままで放置する事など 有り得る筈がない。 ならば。 どうする? もし、自分だったら。 どうする? (もし、彼にも、 ”アレ” が出来るのだとしたら……) 花京院は静かにスタンドの右腕を紐状に変化させ窓枠の下にタラリと揺らし、 その射程距離が通常の3倍以上に引き延ばされた拳を一度振り子のように 大きく揺らし素早い手捌きで封絶に煌めくリノリウムの廊下に高速で撃ち込んだ。 ズガァッッ!! 砕けて空間に飛散するリノリウムの青い破片。 その刹那。 (!!) 突如、そのスタンドの拳の着弾箇所に奇怪な紋章が刻まれた 小型の純白の方円陣が浮かび上がった。 そしてその円陣内部から夥しい数の人形の白い手が犇めき合って蠢き合い、 何もない空間を無造作に何度も何度も掴み合う。 「やはりッ!結界(トラップ)かッッ!」 驚愕の事態。 通常はその防衛本能故、反射的に背後に飛び去る処。 しかし。 花京院は。 逆に。 前方に向けて大きく跳躍し、本体と同化させたスタンドの足で着地、 そのまま鋭く床を蹴って全力で疾走(はし)った! 次々に3階の廊下の上に奇怪な紋章が刻まれた白炎の方円陣が浮かび上がり、 その内から再び漏れなくおぞましき人形の腕が飛び出してくる。 やがて、その手に標的が触れない事が解ると、白い方円陣の内部から 先刻同様大仰な武器を携えた大小性別種々様々な人形が次々に 現れ、花京院に向かって大集団で襲いかかってきた。 (やはり、いつもの言葉通り勝利の方程式は万全というワケか。 ボクが無防備にあのまま床の上に飛び降りていたら、 おそらくアノ「結界」の内部にある特殊空間に引きずり込まれていた筈だ。 もし空条かマジシャンズだったのならこの圧倒的数量の前に 相当自力を削られていた事だろう。彼らの能力は「近距離パワー型」 ソレ故に対複数戦には不向きな能力だ) 疾走しながらも花京院の集中力は極限まで研ぎ澄まされ、瞬時に状況を分析、 把握、そしてその対応策を紡ぎ出す。 (流石に「炎の暗殺者」の名は伊達ではない。 十重二十重で構築された完璧な戦略。戦う前から既に勝利が確定している。 特に空条は他の生徒達が人質に取られているも同然の状況の中、 例え殺されても逃げ出す選択だけは絶対にしないからその効果は絶大だ) 後方を仰ぎ見ると、廊下で犇めくその人形の数は目測で約60体以上。 始末し損ねた一階の人形達の数も合わせればその全体数は軽く100体を超える筈だ。 しかし、そのような窮地にあっても、花京院はその平静な美貌を崩さない。 (だが、そのような完璧な戦略は、ボクのような”異分子”の存在の前には往々にして その脆さを晒け出すモノ。ソレが解っていた、か?フリアグネ?) そう心の中で静謐に呟く花京院の琥珀色の瞳には、 スタンドの放つエメラルドの燐光をも上回る気高き光で満ち溢れていた。 (此処は ”敢えて” 一点外しておくべきだったな?そうすればこのボクを 疑心暗鬼に陥らせこの階に足止めする事も出来た。 この事は確実に君に不利に働くぞ? ”狩人” ) 花京院はその口唇にアルカイックな微笑を浮かべ、穏やかな視線で燐子達を見る。 疾走したその先。 3階東棟の突き当たり。 そこに設置された窓枠の外に、花京院はすぐさまに紐状に延ばした スタンドの触手を窓の外に打ち放ち、自分も同時に外部にその身を投げる。 そして、その背後で突き当たりの窓枠と壁とをブチ破って次々と 大地に落下しながら自分を追ってきた燐子達を空中で一瞥すると、 花京院は再度紐状になったスタンドの触手を旧校舎と新校舎とを 繋ぐ電線に巻き絡め勢いよく一回転して落下エネルギーを相殺する。 そして素早く触手を電線から振り解いてその細身の身体を廻転させながら 空中を飛翔し、周囲の空気を巻き込みながら渡り廊下に設置された床板を 踏み割って着地。 そのまま踏み切りのエネルギーを殺さずに目当ての『場所』へと 前方回転で受け身を執りながら転がり込む。 後は。 『この場所がこの時間に使われていない事を祈るのみ』 ゆっくりと視界を上げた先。 柱の無い開けた空間。 フローリング材の上にワックス剤が塗装された滑らかな質感の床。 花京院のその女性のように中性的な口唇に勝利の微笑が浮かぶ。 『賭けには、勝った!』 そう心の中で快哉を叫んだ瞬間、正面と両脇に設置された体育館の出入り口残りの 4つが破壊音を伴ってほぼ同時に開く。 その破壊された箇所からグラウンドを覗く事の出来る開けた空洞からの先から、 100体以上の武装燐子の大軍が多種雑多な足音を立てながら蠢き ゆっくりと中に入ってきた。 その耳まで裂けた口で、それぞれこれから始まる清廉なる存在の蹂躙への 悦楽の期待に、それぞれ下卑た笑みを零しながら。 その、無数の存在の巨大なプレッシャーが塊となって花京院に差し迫ってくる。 そのおぞましき人形の大軍に向かい、花京院は微塵も気圧される事もなく その勇壮な視線を燐子達に返した。 「……お前達……?まさか……このボクを追い詰めたと想っているのか……? 逃げ惑い袋小路に閉じこめられたか弱き兎、だと……?」 言葉の終わりと同時に花京院は敏捷な手捌きで左腕を真横に鋭く薙ぎ払い、 「ソレは違うッッ!!『お前達の方がこのボクに誘き寄せられたんだ!!』 我が最大流法(モード)が『最強の効果を発揮するこの場所になッッ!!』」 覇気に充ちた声で叫んだ。 「KYYYYYYYYYYY!!」 その花京院の頭上から、一匹の猿のような小型の燐子がいつのまに忍び込んだのか まるで網の目のように張り巡られた天井の鉄骨の上から飛び降り研ぎ澄まされた ナイフを両手で彼の白く細い首筋に振り下ろしてきた。 グァッッッッッギャンンンンッッ!! しかし。 その白刃が花京院の白い首筋に突き立つ前に、 刃自体がバラバラになって砕け散りさらに 「GYYYYYYYYYYッッ!!」 ついでその燐子もナイフ同様に粉砕される。 花京院は足下に薄白い火花を放ちながら転がる無数の機械部品を 冷静な瞳で見つめながら、 「フッ、愚かな。 『今のこのボクに』 攻撃をしかけるとは。 それとも、 『あまりにも疾過ぎて目に見えなかったのか?』 」 静かな声でそう告げた。 巨大な包囲網を組んだ武装燐子達の、その中心部。 花京院とその前方に位置する局部に白いプロテクターが嵌め込まれた 異星人のようなフォルムのスタンド、ハイエロファント・グリーン。 その二人の周囲を微か、本当に微かだが、エメラルドの結晶原石のような 微かな燐光がチカチカと数秒毎に煌めいていた。 そして。 その光の正体が静かに花京院自身の口唇から語られる。 「 ”サークリング・エメラルド・スプラッシュ(C・E・S)” 結晶化させた幽波紋光(スタンドパワー)を精神の力で遠隔操作し、 己の周囲円環状に集束、高速廻転させる。ソレは鉄壁の防御陣。 ボクとハイエロファント・グリーンを攻撃しようとすればお前達自身が 傷つく道理。正に攻防一体の”結界”だ」 そう花京院が己の能力を語り続ける間、そのエメラルドグリーンの 発光感覚が徐々に狭まってきた。 更にそのスタンドの光の強さも輝度を加速度的に増大させていく。 「そして!コレは!これから刳り出す我が最大流法(モード)の ”準備段階”にしか過ぎないッ!」 やがて、その発光間隔が限りなくゼロに等しくなり、 花京院の周囲360°全体が激しく輝くエメラルドグリーンのスパークの 洪水で満たされる。 スタンド操作の概念は、モノを扱う熟練度、 つまり原始的な経験則のソレに酷似している。 故にその本体の精神力と技術力次第でどんなスタンドでもその潜在能力を 無限にまで引き出す事が可能なのだ。 その法則一点にかけて、生まれついてのスタンド能力者。 いわばスタンド操作のエキスパートである花京院 典明の右に出る者はいない。 輝く翡翠の結晶が放つ光が花京院の全身を満たしていき、 やがてその姿は煌めきによって神聖なエメラルドのシルエットと化す。 その中心部分でスタンド、ハイエロファント・グリーンが周囲を廻る 夥しい数の結晶弾を爆発的威力を以てに全方位に向けて一斉総射する為に、 その前に構えた両の掌中で爆裂系能力発動の為のスタンドパワーを集束し始める。 そして花京院は、その長年の経験と技術によって研ぎ澄まされた 一切の無駄のない動作で、まるで拝火教徒が儀式の時に用いる印のような 形で結ばれた指先の左手を右肩口、そして右手を左脇腹の位置に置き、 厳粛に流法の構えを執る。 そして、その構えと同時に聖法を司る幽波紋(スタンド) 『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』は その爆発的パワーの余剰エネルギーでゆっくりと宙に浮き始める。 「ッッッッ!!!!!!!!!!!!!」 その事態にようやく危機感を抱き始めたのか、或いはたった一つの存在が放つ その巨大なプレッシャーに気圧されたのか、燐子の大軍の包囲網が徐々に後退し始める。 しかしそれより速く花京院の声が空間に木霊した。 「気づいた時にはもう遅いッッ!!異界の ”狩人” の下僕共ッッ!! 己が欲望の為だけに罪無き人々を無惨に喰い散らかし! 後に残された者達を絶望の淵に叩き落としたその赦し難き数多の「罪」ッッ!! 己が「死」を以て今こそ全霊で償えッッ!!」 まるで空間を揺るがすかのような反響で体育館全域に轟く花京院の断罪の叫び。 「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!」 花京院の叫びと同時にハイエロファント・グリーンの 平行に構えた両腕の掌中に集束したエメラルドのスタンドパワーが、 爆発的にエネルギーを円周上に放出する為うねるように凝縮し始める。 そして、その足下が花京院の視線の位置と重なった時、 その両腕を鋭く高速で左右に押し広げた。 そして。 閃光を伴い爆発的威力で放射状に弾けるエメラルドのスタンドパワーと共に 射出される結晶爆裂弾とほぼ同時に花京院の口唇から紡ぎ出される流法の深名。 それは。 哀別の言葉。 生まれて初めて出来た、異世界の友に対する最後の餞。 聖光寂寞。覇翔の浄裁。 聖法の流法(モード)。 『エメラルド・エクスプロージョンッッッッ(E×E)!!!!』 流法者名-花京院 典明 破壊力-A(結晶廻転により無限に増大) スピード-A(結晶廻転により無限に増大) 射程距離-A(結晶廻転により無限に増大)持続力-A 精密動作性-A 成長性-A(結晶廻転により無限に増大) ヴァッッッッッギャアアアアアアアアアアアァァァァッッッッッ!!!!! 超高速回転運動により爆発的な威力となって爆裂射出された 莫大な数量のエメラルド光弾の嵐。 そして、空間に満ち溢れるエメラルドグリーンの幽波紋光(スタンドパワー)の洪水。 その中心部、荒れ狂う翡翠結晶弾の爆心源。 強力な紅世の王、 ”狩人” フリアグネが評する処の流麗なる法皇の翡翠。 花京院 典明が操る幽波紋(スタンド)『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』 その必殺の流法(モード)。 次々と、それこそ無限を想わせる破壊力と回転力で武装燐子の大軍に 音速掃射されるエメラルドの結晶爆裂散廻弾。 精神の力によって次々に創り出される結晶の大きさはほぼ均等に揃っているが、 その翡翠の表面の精巧なカットが微細に違っているので爆裂廻転射出の際に 弾道に微妙な変化が起こり、ソレが結果として周囲の敵全てに微塵の隙もなく 弾丸の嵐が降り注ぐ。 『GAAAAGYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYッッッッッ!!!!!』 その周囲で木霊する、100体を超える燐子達の、阿鼻叫喚の地獄絵図。 その結晶のたった一つが当たっただけで、 その体積十倍以上の人形右上半身を削り飛ばす。 その結晶のたった一部が掠っただけで、 腕が頑丈な内部のスチール骨格ごと千切れ飛ぶ。 血の代わりに周囲に撒き散る白い炎の飛沫と流法の放つ輝きで 満たされたその空間は、その壮麗なる外環とは裏腹に、その内環は聖光の冥府。 そして、いつまでも止むことなく、まるで『複式回転機関砲(リヴォルヴァー・カノン)』のように 間断なく射出される凄まじい数量の廻転翡翠魔煉弾。 その直線軌道と、さらに頭上に張り巡らされた鉄骨とその両サイドに設置された スチール製の白い格子に弾き返って「跳弾」と化した結晶弾に加えて後続射出された ソレにも弾き返って跳弾が跳弾を呼び、反射弾幕の嵐に巻き込まれた 燐子の大軍はその身体のありとあらゆる部分をありとあらゆる角度から 蜂の巣にされ、次々に爆散、或いは、散滅する。 そんな煌めくエメラルドの暴風圏内の中でも、夥しい数の輝く翡翠の結晶弾は その流法行使者である花京院とスタンド、ハイエロファント・グリーンにだけは 微塵も掠りもせず全てその脇を除けて通る。 遙かな太古。 幾千の矢の豪雨の中にその身を晒しても、掠り傷一つすら負わなかったという 軍神アレキサンダーのように。 そこまで。 『弾き返る結晶跳弾の角度まで計算して花京院は流法を放ったのだ』 防御と攻撃力上昇を兼ねての流法(モード)から最大流法(モード)へと 瞬時に移項する正にその名の如く流れる清流ように完璧な 『幽波紋連携技(スタンド・コンビーネーション)』 全ては、スタンドの遠隔操作能力にかけて他の追随を赦さない 花京院 典明の極限の才能によるモノ。 やがて、全ての燐子が聖光の冥府に完全に呑みこまれ、その無惨な残骸が 大量の白い火花と共に体育館全域に散乱し、更に夥しい数の結晶爆裂弾連続射出の の結果として巨大な無数の弾痕である空洞が開け廃墟と化した体育館の中心部。 その細身の身体を左斜めに傾け、せめてもの情けか 燐子達の断末魔の姿からその視線を背けた美男子の姿が、 流法(モード)の発動の余韻である後屈立ちの構えで 両手を両足を八の字に開いた体勢でそのエメラルドのシルエットから ゆっくりと浮かびあがる。 開いた無数の弾痕から流れてきた渇いた風が、 花京院のその豊かで嫋やかな質感を持つ淡い茶色の頭髪を静かに揺らした。 その、無数の燐子達の死骸の中で。 「彼」の使役する存在の躯の中で。 花京院は静かに己の決意を心の中で「友」に告げる。 (フリアグネ……ボクは……君とは一緒に行けない……彼と共に…… DIOを倒さなければならないから……もう……そう決めたから……) 脳裏に、かつて一時、戯れに想い描いた映像(ヴィジョン)が浮かぶ。 DIOの館の瀟洒なヴァルコニー。 風に揺れるシルクのカーテン。 (だから……) 麗らかな太陽の光と海から吹き抜ける緩やかな風とが絡み合った清浄な大気。 その輝く太陽の下で。 吹き抜ける海風の中で。 彼、 ”狩人” フリアグネと、その従者 ”燐子” マリアンヌと共に 語らい合っている自分の姿が。 その時の自分は、果たして、微笑っていたのだろうか? きっと、微笑っていたのだと想う。 全ては、泡沫の夢。 消え去る寸前の、存在の飛沫。 今はもう。 あまりにも遠くなってしまった、存在の幻想なのだから。 花京院はその琥珀色の瞳を静かに閉じ、まるで哀悼を捧げるように 心の中の彼に呟いた。 (でも……君の気持ちは……嬉しかった……それだけは……嘘じゃない……) 体育館全域を封絶の放つ白い光が満ち、渇いた風が、あらゆる方向から吹き抜け 花京院の髪を揺らし、その身体を撫で、制服の裾を靡かせる。 まるで、運命の存在が彼を労るかのように。 凍った存在の結晶を、そっと融かし出すかのように。 その運命の交叉路の中心で。 その輝く白銀の旋風(かぜ)の中で。 花京院は。 「Au revoir(オ・ルヴォワール)…… 悠麗なる紅世の白炎…… ”狩人”……フリアグネ……」 おそらくは、彼の故郷であろう国の言葉を使い、静かに別れの言葉を告げた。 その、花京院の脳裏で、その耽美的な口唇に微笑を浮かべる幻想世界の住人の姿が甦る。 その、純白の長衣をその身に纏った幻想の貴公子は、花京院の心の中で たおやかに微笑んでいた。 手にした肌色フェルトの人形、マリアンヌと共に。 いつまでも。 いつまでも。 ←PAUSEッッ!! STARDUSTφFLAMEHAZE*
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ちょっと残酷なセブンティーン 枯れた絵具と筆で絵を描いて 継いで這い出また世界を 夜は何度も吐いてまた明日 影で糸を操るハイエロファント 僕の声と頭はがらんどう いつも最低な気分さ 君に救われたいと願ってた? ずっと病欠のセブンティーン 曇らないまま今日も砂漠で 夢の中ではラリホー 馬鹿みたいな事実に笑ってた あいも変わらずにハイエロファント 君を本当の嘘で騙すんだ 彼は友達だ 本当さ 君の目にはちゃんと見えるんだろ そんなこんなで歌っては 行進する十字軍だ 善いも悪いもいよいよ無い 閑静な街を行く 時計塔の言葉になれ それゆけ幽かな隙を探せ 世界線の門を壊せ 乗り越えた僕を信じてくれ 法皇よ結界を紡げ そこのけ粒子の出口隠せ 遠い昔の弱い僕が あんまり急に笑うので ちょっと脆弱なセブンティーン 今日も混濁とした夢うつつ 愛も絶え絶えの景色か? そこでどんな夢見てもしょうがない 走る騎士道のチャリオッツ 汚物、便器、公害、メランコリー 知ってほしいんだ全部 そう君の手を引き連れて戻すのさ そんなこんなで謳っては 目を剥く給水塔だ 腹も背中もいよいよ無い なら全部託して ワァワァワァワァ 白金よ怒鳴り散らせ 飛び込め一、二の三で殴って 世界線の門を潜れ いまわの僕を信じてくれ 冷静な頭使え ほれ見ろそんなにせぐりあげて 遠い昔の強い君が たちまちのうちにはびこれば 百年間の恨み放て 泣け泣け皆で花を手向け 『世界』 その門を壊せ 惨めな僕を殺してくれ 吸血鬼は怒り散らせ 見てろよ今度は灰に堕ちて 遠い昔の弱い僕が あんまりな嘘と知るのさ 原曲【ゴーゴー幽霊船(sm17024766)】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm25143929】
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※更新した際は、更新報告ページまで連絡お願いします。 ●目次● ●追加用テンプレ● 花京院典明 ⇔ 【花京院典明~vocal off~】 まっがーレロレロ↓スプラッシュ まっがーレロレロ↓スプラッシュ~ジョジョ3部偽キャラソン vol.1~ 勝手に合体 まっがーれ↓スペクタクル 「まっがーレロレロ↓スプラッシュ」に画をつけさせて頂いたッ! 勝手に適当ステレオ まっがーレロレロ↓スプラッシュ(同期修正版) まっがーレロレロ↓スプラッシュ~セブンズボイスに憧れて歌ってみた~ まっがーレロレロ↓スプラッシュ へたれが歌ってみた まっがーレロレロ↓スプラッシュ 女だけど歌わせていただいた のりあキッス ~レロレロだも~ん~ のりあキッス ~レロレロだも~ん~ 歌ってみた 勝手に合体その7。 のりあキッス のりあキッスを替え歌作った本人が歌ってみた 今更「のりあキッス」歌ってみた ハレ晴レユカイ 花京院典明ver. ハレ晴レユカイ~ジョジョ3部 花京院典明ver.(vol.1 c/w)~ 勝手に合体その6。 ハレ晴レユカイ 花京院の(アンインストール 花京院典明ver.) [ジョジョMAD]花京院の 命知らずが歌ってみた 花京院のアンインストールの替え歌作者がフルを作ってみた 花京院の 勝手にピアノVerにしてみたを更に勝手に自分が歌ってみた 花京インストール、歌ってみた~ 典明忘れちゃレロレロよ! 「典明忘れちゃレロレロよ!をキョンの妹風で歌ってみた」に画像つけた 典明忘れちゃレロレロよ!を歌ってみたVerペッシ 典明忘れちゃレロレロよ!歌ってみた(かきょーん成分含有) 典明忘れちゃレロレロよ!二人の声を合わせてみた Ark~ジョジョ3部~ Ark~ジョジョ3部~ 自分で歌った Ark~ジョジョ3部~[歌ってみた] 最強のりあき計画 最強のりあき計画を歌ってみた 最強ノリアキ計画 ver.ジョジョ3部 音痴が歌ってみた 組曲「花京院 典明」 組曲「花京院 典明」 のりらんぼ のりらんぼ を歌わせていただいた。 のりらんぼ 歌ってみた のりらんぼ 歌ってみました Beautiful World Beautiful World 【ジョジョンゲリヲン:主題歌?】(歌ってみた) Beautiful World 【ジョジョゲリオン:主題歌?】歌ってみた 【歌ってみた】ジョジョンゲリヲン・序序主題歌【Beautiful World】 君のチェリー貰ってあげる 『君のチェリー貰ってあげる ~ジョジョ3部 花京院』を♀が歌ってみた 「Shoot」ver.ジョジョ3部(花京院典明) 「Shoot」ver.ジョジョ3部(花京院典明)歌ってみたbyおぐ God knows ver.花京院 God knows ver.花京院 を歌ってみました God knows ver.花京院 を歌いなおしました ジョジョ初心者の俺がGod knows..ver.花京院歌ってみた God knows..ver.花京院 歌ってみました 花京院とパレード 花京院とパレード ジョジョ3部 歌ってみたorz 花京院とパレード ジョジョ3部 色々ぎりぎりで挑んでみました。 花京院とパレード ジョ/ジョ3部 歌ってみた【エセ男声入り注意】 法皇の緑紐 法皇の緑紐ジョジョ3部【良い歳した女が歌ってみた】 ワンダーカキョーイン ワンダーカキョーン ~花京院替え歌 全力で歌ってみた~ レロレロ☆ ロレロ☆ ver.ジョジョ3部 音痴が歌ってみた 【女声注意】「レロレロ☆」花京院替え歌歌わせていただいた 「実はよくわからないんだ」と僕は言う 【ジョジョソン】『「実はよくわからないんだ」と僕は言う』作る歌う その他 【ジョジョ】ハイエロファント外伝 すごいよ!!ノリアキさん 緑、結界、カイロにて へたれが歌ってみた チェリー(典明Ver)歌ってみた リリカルのりあきM(メロン)’s を更に歌わせていただいたッ!! 典明のなく頃に 【思いついて歌ってみた】 ムーンライト典明伝説 歌ってみた ハッピー☆エメラルド 【ジョジョ3部】承太郎【作って歌った】 『エメラルド』 花京院 【作って歌ってみた】 さくらん坊将軍~お仕置きの時間だよ~ (歌ってみた) Little Bird ~ver 花京院 典明~ (作って歌ってみた) 【テラ女声注意】『Star Climbing ~星に救われて~』歌ってみた 【花京院】「それでも勝利はやってくる」を全力で作って歌ってみた 【女声】レロレロにしてあげる♪【ジョジョ×ミク】 Stardast Crusaders(ジョジョ3部替え歌)結局歌ったorz アゲイン【ジョジョ3部 作って歌ってみた】 sign ver.花京院 を泣きながら唄ってみた 花京院とレロレロな仲間たちによる作業用BGM Resolution[作って歌ってみた] 【ジョジョソン】カキョイズム【歌ってみた】 【テラ女声注意】『桜ver.花京院』歌ってみた 「私と最後を」を花京院を想って歌ってみた。 【歌ってしまった】杜王町へ行ったら【女声注意】 テレンス、花京院 ⇔ 【テレンス、花京院~vocal off~】 「地下 ビーチ F-MEGAにて テレンスと」祝福しつつうりうり歌った。 追加用テンプレ 目次に新しいキャラクターの項目を追加したい場合は、 編集ページを開いて以下の『』内をコピペして使ってください。 『●キャラクター名●』 ◎→追加するページの番号 ○→ページ内でのキャラクターの順
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アヴドゥルは暗闇の中、花京院と相対していた。 DIOの能力の秘密と引き換えに死んだはずだが、傷を負っている様子などなく佇んでいる。 「……は…………く……」 何か言っているようだが小さく聞こえ辛い。 意識し聞くため近づこうとすると、足が勝手に止まった。 『行ってはいけない!』はっきりとアヴドゥルを止める。 しかし、花京院も自分と同じような目にあい、生き返ったのかもしれない。 仲間への熱い思いが静止を無視し、アヴドゥルを先へと進めた。 「花京院!大丈夫か!?」 俯き加減で何か呟いていた花京院の肩を掴む。 反応はないが近づいたことにより、声が聞こえるようになった。 「アヴドゥルに『渋い男の世界』なんてありませんよ…ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」 「なッ!?」 いきなり一度やられる前まで、ちょっと意識していた『渋い男』を否定され驚きの声を上げるアヴドゥル。 「いきなり何を言うッ、花ky…「答える必要はない」 言葉に被せられ冷たく拒否される。 「『アヴドゥル』?『アヴドゥル』とはブ男のこと…『花京院』とは美形のこと……… 死に様を壮大に飾った者のことだ。過程は問題じゃあない。読者の心に残らず死んだ奴が『アヴドゥル』なのだ」 ガガガーーーーーッッッンン!!!!!? アヴドゥルに生涯最大の衝撃が襲い掛かった。 密かに気にしていた事を。 無駄死にキャラスレが立つ度、名前が挙がるのを気にしていた事を! 仲間である花京院から告げられた。 アヴドゥルは衝撃のあまり、立つこともできなくなり膝をついた。 (………何も言い返せん。) DIOというラスボスの秘密と共に散った花京院。 しかも途中に回想シーンまで付いて、辞世の名言と共に逝っている。 それに比べ自分はどうだ! 仲間の命は救った、しかし、相手は中ボス。 しかもその後、ポルナレフのために命を掛けスタンドを使ったイギーに完全に食われている! 愕然とした差に打ちのめされたアヴドゥルは、顔を上げることすら出来ない。 「しかし!」 花京院の強い否定の言葉が響く。 「アヴドゥルさん! あなたの命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ!」 前言と全く違う言葉にえッと、アヴドゥルは驚き花京院を見上げる。 「良いッ! ディ・モールト、ディ・モールト(非常に、非常に)良いですッ!良い死に様でしたッ!」 花京院の一転変わった暖かい言葉に思わず涙ぐみ、下を向いてしまうアヴドゥル。 完全に先ほどまでの罵声をわすれたようだ。 「…………なので」 ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…ぷちッ…何かが外れる音が聞こえた。 続いて、ジィーーーーーッとジッパーを下げる音が響く。 先ほどの静止以上にアヴドゥルの脳内に警報が鳴り響いたが、ツンデレにやられてしまったアヴドゥルは気付かない。 上げた視線が花京院のモノと交わる。 いつの間にかベンチに座っていた花京院は、重く響く声でこう言った。 「 や り ま せ ん か 」 素肌に纏った学生服、そして最大まで降ろされたジッパーの中は……… 「ヤッダー バァアァァァァアアアアアッ!!!」 何故か出た謎の魂の叫びと共に、その場から少しでも離れようとする。 しかし、腰が抜けたのか這い蹲ってでしか移動できない。 ゆっくりと近づいてくる花京院を感じ、アヴドゥルは最後の叫びを上げる。 「わたしのそばに近寄るなああーーーーーーーーーッ」 自分の声を聞きながらアヴドゥルは、両手を天使に引っ張られているな感触を受け、夢から覚めた。 がばッ! 飛び起きたアヴドゥルは覚えてもいない夢に酷く恐怖した。 しばらく深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻す。 (どんな夢だったのか覚えていない。だが一つだけいえることがある。) 心の言葉の最後を口にする。 「ツンデレは危険だ」 深刻な顔でツンデレと発現するアヴドゥル。 そして、正反対に毛布を少し跳ね除け、くー…くー…と涎を垂らし安眠するルイズ。 対照的なご主人様と使い魔の初めての朝であった。