約 374,314 件
https://w.atwiki.jp/hoshinokaabyi/pages/113.html
デデデ大王 説明(カービィのエアライドより) バイクに乗ってデデデが走る。 大王さまだというウワサだ!
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/2790.html
※7/16 新たに巨大な宝具などに関するルールを追記しました。 ※9/12 逸れのサーヴァントは登場させないことにしました。ルールからも削除。 【企画名】 迷宮聖杯戦争 【コンセプト】 妄想聖杯戦争の第五弾。 複数階層の大迷宮で構成された“異界”で行われる「盈月の儀」。 参戦組数は13組、各陣営が各階層を踏破しつつ最深部に眠る「盈月」を巡り競い争いあってもらう。 【大雑把な概要】 迷宮内の勾玉を集めてからゴールしてね! 迷宮には色々なギミックがあるので注意して探索するように! 多数のエネミーが徘徊しているから、戦う・逃げる・隠れるを臨機応変に! + 以下、詳細なルールなどについて + 【舞台設定など】 【舞台設定など】 ・今回の舞台は大迷宮の“異界”。複数階層の迷宮を踏破して最奥に辿りついた最後の一組にのみ願望器「盈月」が授けられ、己が願いを叶えられます。 ・聖杯戦争の参加者は迷宮内に散らばる“勾玉”を規定数集めてゴールにあたる祭壇に奉納することでその階層をクリアとなります。 ・各階層でのゴールに必要な勾玉数、通過できる組数、勾玉の総数、ゴールの箇所数は以下の通り。 ・第一階層では勾玉3個がゴールに必要。通過できる組数は最大10組。勾玉の総数は30個。ゴールは3箇所。 ・第二階層では勾玉4個がゴールに必要。通過できる組数は最大7組。勾玉の総数は28個。ゴールは2箇所。 ・第三階層では勾玉5個がゴールに必要。通過できる組数は最大4組。勾玉の総数は20個。ゴールは1箇所。 ・第四階層では勾玉5個がゴールに必要。通過できる組数は1組のみ。勾玉の総数は5個。ゴールは1箇所。 ・いわば勾玉争奪戦、通過できる組数は限られるので勾玉を自力で集めるか他陣営から奪い取るかになります。 ・なお、必要以上の勾玉を持った状態でゴールした場合、余剰分は迷宮内に再配置されます。 ・ゴールした主従はすぐさま“ラダー”へと転送され、通過組数が揃うまでラダーにて滞在することになります。 ・ラダーは各陣営に1個ずつ用意されており、居住スペースで休憩などを行えます。また一部の資料を閲覧すること可能であり、それまでに遭遇できた迷宮内のエネミーの情報、迷宮にまつわる情報、などを確認することができます。 ・またラダーのライブラリで検索を掛けることでサーヴァント情報をある程度調べることができます。情報が少ないと類似例が列挙されて特定しにくいですが、上手く活用すれば真名を看破できる可能性もあります。 ・場合によってはゴールした主従がラダーへ直行せず、別の場所に転移した後にラダーに再転送させられることも、稀にあるかもしれない。 + 【迷宮について】 【迷宮について】 ・迷宮はほぼ真っ暗闇。たまに蝋燭などの光源がか細く灯っているのみ。 ・なので各陣営は最初から何かしらの光源アイテムを所持している状態でスタートとなります。 ・迷宮内の構造物はただ攻撃では破壊できないような概念が異界内にて働いています。とりあえず壁を破壊して強引に突破する、というのは不可能です。 ・宝具の真名解放による部分破壊~大規模破壊はできなくもないですが、すぐに構造物が修復されるので費用対効果が悪いです。また無秩序な破壊行為は場合によってペナルティの対象になりえます。 ・勾玉が置いてある部屋は特に強固にできているため、宝具による破壊も不可能です。 ・勾玉部屋の大半はギミックが存在しています。様々なトラップ、エネミー出現、一定条件の達成が必須、など。稀に何もなく勾玉を入手できる場合も。 ・勾玉部屋以外にも様々なギミックが迷宮内に存在します。何処かへワープする落とし穴、天井の落盤による通行止め、人間を襲う小さな蟲、隠れられるロッカー、近場のゴールを示す何か、など。 ・語り手の方でもやってみたいギミックがありましたら是非語ってみてください。 + 【決闘の間】 【決闘の間】 ・二組の陣営のみが直接対決をするために用意された特別な空間です。迷宮内の複数箇所に決闘の舞台へと転移する端末が存在し、またゴールである祭壇の手前にもその端末が配置されています。 ・端末がある空間に二組以上の陣営が存在する場合を条件とし、いずれかの陣営が“決闘”を宣言すると決闘する陣営が選ばれ決闘の舞台へと転移します。(宣言側が任意の陣営を選ぶことができます、選ばなければランダムに選出されます。) ・転移後に対戦する陣営同士で賭け内容を決めてから決闘が始まります。基本的には勾玉を賭ける事になりますが、勾玉を未所持、あるいは賭け数が足りない場合は勾玉以上の対価(宝具や命など)を支払うことでも成り立ちます。 ・サーヴァントの消滅、あるいはどちらかが敗北宣言をして10秒経過すれば決闘は終了となります。ただし、敗北宣言後の10秒以内は戦闘を続けることができ、追撃して対戦相手を倒す・殺すこともできます。 ・勝者は賭け分を獲得し、勝者と敗者は迷宮内の別々な場所に強制ワープさせられます。(敗者が死亡していた場合はワープしません) ・なお、決闘する二組以外の陣営は決闘の間に取り残されます。 ・また、同時期に決闘が二つ以上発生したとしても、それぞれの決闘は別々の場所で行われます。 + 【エネミー】 【エネミー】 ・迷宮内を徘徊するエネミーが複数存在します。その殆どが参戦作品に関係するエネミーとなります。 ・各エネミーは無秩序に動き回りつつ迷宮内を探索し、参加者を見つけたら襲いかかります。 ・エネミーの攻撃はマスターにとって致命的になりやすいです。サーヴァントも多少なりとも負傷する可能性があります。 ・エネミーは倒す事もできますが、マスターの技量によってエネミーの撃破は至難の業~ある程度対応可能と変わってきます。サーヴァントであれば対応可能。 ・ただし、戦闘音に釣られてエネミーがどんどん集まる可能性が高いです。なのでエネミーへの対応は慎重に、戦闘・身を隠す・逃走などを状況に応じて選択してください。 ・エネミーは階層を進む毎に性能がアップしたり、新エネミーが登場するようになります。 ・エネミーエネミーを調伏することもできますが、数体程度が限度になります。また上手く制御できるとは限りません。 ・語りの中で新たなエネミーを出してもok。ただし、度が過ぎない&一度に大量に出さないように。念のため仮投下を通してください。 + 【アイテム】 【アイテム】 ・迷宮内には少しだけアイテムを拾うことができます。それらを使って敵の誘導や危険回避、迷宮の探索などに活用してください。 ・注意点として、戦闘中に「実は○○を持っていた」という後出しはNG。使えるアイテムは語りの中で獲得を明記したものに限定します。 ・ゴールしてラダーに転移する際に一部のアイテムを没収されます。少なくともコンパスは持ち込めません。 ・なおキャスターは道具作成スキルを用いてアイテムを少しだけ改造したり、合成して別のアイテムを作成することも可能。ただし成功確率は道具作成スキルのランク次第である。 ・語り手側でも多少はアイテムを出してもok。ただし入手事態がレア、攻撃手段や回復手段となるアイテムは基本なしで。出す際には念のため仮投下を通してください。 以下、アイテムの一覧。 『爆竹』……大きな破裂音が鳴る。エネミーの誘導に有効。 『ひかり石』……仄かに光る石。地面に置いて目印として使用する。 『コンパス』……一番近いゴール地点への方角を指し示す。 + 『参戦条件』 【共通事項】 ・Fate作品やそれ他版権作品のキャラはOK。オリキャラやリピーター、二次創作出典はNG。 ・主従一組のセットをプロフィール記載の上でコンペを行います。 ・今回はエクストラクラスのサーヴァントもOK。 ・Fateシリーズの主従組み合わせはNGとします。(士郎&アルトリア、凛&エミヤ、など) ・なお、いままでの妄想聖杯で落選した主従を再利用するのもOKです。 【マスター】 ・なるべく切実なる「願い」を抱くキャラ、もしくは殺人も厭わないキャラを推奨。多少は該当しないキャラがいてもOKです。 ・引き続き、「沙条愛歌」のような他のマスターを凌駕し他のサーヴァントを手玉に取るようなチート過ぎるキャラはご遠慮ください。 【サーヴァント】 ・参戦できるサーヴァントのクラスは「セイバー」「アーチャー」「ランサー」「ライダー」「キャスター」「アサシン」「バーサーカー」、そして「エクストラクラス」から選択可能。 ・また今回から既存にないオリジナルの「エクストラクラス」のサーヴァントを作成して候補作にあげても良い事にします。 ・インフレ過ぎるキャラ厳禁。最低限同じ土俵で戦える英霊になるようにお願いします。 + 『コンペ』 【コンペ】 ・6月1日(土)~9月13日(金)の期間にコンペを行います。 ・投票場所はID表示のある避難所、「妄想ロワ投票所Part.9」でコンペの候補作を募集します。 ・基本的にはID認証を行った上で主従のプロフィールを掲載してください。 ・ただし今回はIDが不一致でもコンペ応募OK。同様に主従のプロフィールを掲載してください。 ・今回は一人につき何組でも応募可能。また一人で剣陣営を二組分投下するのもアリ。 ・コンペ期間中の8月10日(土)に第一回投票を行います。 ・投票権は候補作を投下した人のみ、第一回投票までに投下された候補作の中から7組を選んで投票してください。 ・投票結果が出た後に最初の7組を議論しつつ、最終的に企画主が選定します。 ・またコンペ終了後の9月14日(土)に第二回投票を行います。 ・コンペ期間中に投下された候補作の中から6組を選んで投票してください。(第一回投票で選出された候補作を除きます) ・あとは第一回投票と同じ、後の6組を選定します。 + 『プロフィール』 『プロフィール』 ・既存の聖杯戦争企画と同様に記載してください。 ・なおプロフィールを一部簡素化・省略して書くのもアリです。 ・また【筆者コメント】として「主従のコンセプト」を書くのもアリ。 【マスター】 ・プロフィールテンプレはこちらのページの下部に倣って自由に記載してください。(あるいは過去の妄想聖杯企画の候補作に倣ってみてください。) ・少なくとも【参戦時期】についてある程度明記してください。「参戦時期の指定なし」「○話~○話の間からの参戦」「△△状態の時期」など書き方は自由です。 【サーヴァント】 ・プロフィールテンプレはこちらのページの下部に倣って自由に記載してください。(あるいは過去の妄想聖杯企画の候補作に倣ってみてください。) ・【スキル】【宝具】の一部は周知のものであれば説明文の簡略化できます。(例:カリスマ、気配遮断、『約束された勝利の剣』など) ・逆に説明文が必要な【スキル】【宝具】は簡略化せずに記載をお願いします。(例えば「既存にない新スキル」「概念などを昇華させた宝具」「難解で多機能な能力」など) + 【黒幕・ラスボス】 【黒幕・ラスボス】 ・盈月の儀(聖杯戦争)を開催した側の一人にヒバナ@シャドーコリドーがいます。 ・ヒバナは他の黒幕に唆されて儀式を行い、床に伏したまま目覚めない母を元に戻すために「聖杯」を利用するつもりです。 ・他の黒幕については後日話し合いましょう。 ・余談ですが、運営側には「盈月」と「聖杯」の二つの願望器を所持しています。優勝者には「盈月」を渡す予定…? + 【追記・巨大な宝具について】 今回の舞台では大き過ぎる存在(MSなど)が活用しづらい状況なので、以下のルールを追加しました。 三つルールから使い勝手のいい方を活用して候補作を作成したり本編中で語ってください。 また三つとも採用して、本編中の語りにおいては状況に合わせて使い分けるのもオッケーです。 ①巨大な宝具等を持つサーヴァントは、決闘の間でのみ本来の大きさでの顕現が可能。 決闘の間以外で宝具を使うと迷宮の広さ相応、迷宮内部にて支障のない程度に身動きが取れるサイズにまで宝具の大きさが縮む仕様とする。 ただしサイズダウンに伴い本来のスペックよりも性能が落ちます。 ②巨大な宝具等を持つサーヴァントは、該当する物の顕現は決闘の間でのみ可能。 それ以外の迷宮内部では顕現不可能な代わりに、該当する物に付随する武装を魔力消費と引き換えに、使い手に合ったサイズで取り出せ行使可能な仕様とする。 こちらもサイズダウンに伴い本来ほどの出力が出ないものとします。 ③巨大な宝具等を持つサーヴァントは、決闘の間でのみ全身での顕現が可能。 決闘の間以外では所有する巨大な存在を部分的に顕現して攻守に使うことが可能となる。(首だけ、手脚だけ、上半身だけ、など) ただし部分顕現した身体は移動できないため攻撃範囲に限りがあり、場合によってはレスポンスが悪い可能性もあります。 【その他】 ・今回の妄想聖杯戦争では無関係なNPCは一切存在しません。 ・3陣営以上で戦闘する場合は決闘の間以外の場所で行ってください。 ・今回の舞台はヒバナが生み出した異界に聖杯の力も加わって様々な要素が組み合わさった感じです。 【日程】 6月1日(土) コンペ開始 8月10日(土) 第一回投票 9月14日(土) 第二回投票 9/15~9/20 予備の期間(エネミーについての協議など) 9月21日(土)~ 語り開始
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/263.html
673 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/16(土) 04 28 57 「ドラアッ!」 拾っておいた剣を投げつける。 だがそれが届く前に、ランサーが剣の先端を叩き砕き、男の外套を掠めて壁に命中して転がる。 そしてランサーは砕いた直後に槍で仗助の喉を狙う。 だがその一撃は、シュリフのステッキによって軌道を変える。 「さて、ではサーヴァントはサーヴァント同士で争うとしようか」 ダービーハットを片手で押さえたまま、不敵に笑う。 「ほう、それならマスターはマスター同士で殺し合うかね」 赤い外套を一息で脱ぎ捨てると杖を取り出す。 「君はいいのかね?」 「別に良いぜ、おりゃマスターだけど手品師じゃねーからよぉー」 「その物言い……実にグッド! だが態度は実に悪いね、年長者は敬う物だよ」 「例えそうでもよー悪党にはキチッとブッ飛ばしておくのが正義って奴だぜ」 「そうかね、では"ブッ飛ばして"みたまえ!」 対峙するサーヴァント二騎。 「マスターを信頼しているのかね」 紳士的に問う。 「二択ならばその通りと答えよう、貴君はどうか、紳士よ」 「信頼はしていないね」 紳士は笑う。 「だが"確信"はしているよ、私のマスターが勝つとね」 「それは大変だ、では、私の方は勝ってみせねばな」 槍兵も笑う。 槍と杖の戦いが始まる。 金属音が響く。 槍を叩き落としながら、杖の先端で喉を狙う。 杖を叩き落としながら、槍で心臓を狙う。 「紳士、貴君何者だ」 槍兵が問う。 「君こそなにかね、ランサーかと思ったが『宝具でもない槍』を用いるとは、迷彩かね」 紳士が問う。 「なに、有名すぎるのも考え物でね」 互いに笑う。 「お互い本気ではなさそうだが、本気でないなら」 杖を左手に持ち替える。 「私が先手を取ろう」 突き出されたそれは金属である。 それは金属を発射する筒である。 それに詳しい者ならば、その姿を見ただけで驚喜するだろう。 片手で突き出されたバントライン・スペシャル。 無造作に突き出されたその狙いは、眉間。 瞬きも許さぬ6連射。 「ほう、今のを回避する、さすが敏捷性に長ける槍兵」 「ふむ、銃兵か、紳士にありながら銃を持つとはな」 右後方へ飛び下がり、構えすら解いた。 「なに、これも護身用でね、私の時代の必需品だよ」 「ふむ、嫌な時代だったのだな、私の時代には合戦を左右する事はそうは無かった」 「それは良い時代だ」 スピードローダーによる再装填に手間はそうかからない。 再び拳銃はホルダーに仕舞われた。 「だがそれは貴君の宝具ではないだろう?」 「ふむ、それも見抜くかね、だが、切り札を見せるのには、死にかけるか許可がないとね」 「お互い、有名人は辛い物だな」 「まったくだ」 地面を杖で引っ掻く。 彼の魔術はただそれだけで完成する。 掻かれた軌道に沿って黒い衝撃波が生まれた。 単純にして明快、これが彼の得意とする攻撃魔術である。 衝撃波は砕かれた剣の先端を吹き飛ばしながら仗助に迫る。 「おいおい、こんな"スロー"な技じゃ、サーヴァントどころか俺にも余裕で回避されちまうぜ? オッサン」 ひょいと避け、その後方で壁が砕ける。 「その通り、こいつは実にスローな技だ、だが、こいつでどうかね?」 敗因はその瞬間に攻撃しなかったことだというように。 杖の先端が獣の爪のように展開する。 その数は、優に20を超えていた。 そうして発生する黒の衝撃波は、面の衝撃波となって仗助を襲う。 展開した数に応じた物なのか、速度も上がっていた。 「うおっと」 横に飛び去る。 だが次の瞬間には次の波が襲いかかる。 「うおおっ……」 近付くことさえ許さぬ連撃。 彼自身の能力は近接戦闘が原則だ。 故に近付くことが出来ねば力を完全に発揮することは出来ない。 「そらそらそら!」 「うっ……く」 爪先が巻き込まれ、体勢が崩れる。 魔術師は、勝利を確信して笑う。 そうして、ようやく仗助が笑う。 睡:「治す」それだけを口にした。 眠:「グレート……ベストポジションだぜ」体勢が崩れたまま、敵を指さした。 欲:「お前の次のセリフは『勝った! 死ねい!』だ」彼の父親のセリフを真似した。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/582.html
759 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:それぞれの世界が目指す物] 投稿日: 2006/12/22(金) 03 10 47 互いは無言のまま、先の展開を、一方は予測し、一方は計算した。 力点を変え、白羽取りしたままの拳銃を、白羽取りを継続したまま刀の持ち主へ向ける。 僅かに刀が下に向かって沈むが、この速度ではダメージは与えられない。 その判断が膠着した状況を一気に動かす。 刀身を弾き飛ばすように二挺拳銃が火を噴き、銃弾がセイバーの肩口を掠めた直後に振るわれる薙ぎ払いの一撃はバックステップで回避する。 体勢の関係で払いを中断しての突きは無い。 続く三度の剣戟は囮だと結論が出ている、回避する必要はない以上、バックステップで僅かに乱れた体勢を立て直す事と次の行動への計算に用いるが上策。 ただし四度目の剣戟は本命、回避し損なえば胴体であろうと鉄板だろうと確実に分断される。 二度目の払いが振るわれるまでに体勢は立て直される。 そして三度目、最後の囮が振るわれる直後のディスアーム攻撃で刀を奪うべく二挺拳銃で両の腕の終着点を狙う。 だがその払いは最後まで振るわれることはない、払いは中断される、足の運びでそう結論し、後方へ下がる。 必殺の意志を持って繰り出した剣先は何の感触もない、その事にセイバーは遂に驚愕する。 三度の払いによる目眩まし、当然予期される四度目の払いを裏切るような突きの一撃を見切ったのは、プレストンの技量故だろう。 総計しても僅か数秒の激突だったが、互いに敵の強さとその在り方に驚愕していた。 セイバーの剣術、『誰かが選択を間違った世界』にて戴天を名乗る流派の真骨頂は『敵の意を討つ』事にある。 攻撃には人の意志が伴う。 そしてその意志は実際の攻撃に先んじて発せられる。 その意志を察知し、その攻撃を待ち受けてさえしまえばどれほど早く、重い一撃だろうと必ず凌ぎ、倒すことができる。 一方、攻撃を意より早く放つ事ができればどのような存在であろうと攻撃を防ぐことはできない。 それを可能とするのが戴天の極意であり、その極意を得た者の前に立つことは死を意味する事となるだろう。 プレストンの戦術は、セイバーとは違う『誰かが選択を間違った世界』にてガン=カタを名乗る流派の真骨頂は『数式を持って戦う』事にある。 人という種の動きには限界がある。 それは例え間接を捨て、神経を捨て、思考を捨て、他の何を捨てようと、『人』という種から派生した以上必ず存在する。 そしてその限界を持った動きの中には特定のパターンが存在する。 算出されたパターンから己の安全圏、そして敵の移動予測位置を計算し、安全圏へ回避しつつ敵の移動予測位置へ発砲する。 その事によって最大限の殺傷効率を維持しつつ最も効果的な攻撃を可能にし、最も反撃を受けにくい位置へ移動する事が可能となる。 互いに全く異質ながら、背筋に冷たい物を感じ、互いの強さを認めるに至った。 その強さは、セイバーの脳内に僅かであったが、捨て去ったはずの生存本能を呼び覚ました。 その生存本能という感情に、プレストンは敏感に過ぎた。 それ故か、プレストンから全ての感情が完全に消え去った。 その直前、プレストンはあの時に戻っていた。 ――反逆者に浄火の紋章を そう思っていたあの時に。 760 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:堕ちた魔法] 投稿日: 2006/12/22(金) 03 11 58 爆風が起きた瞬間、視界が防がれる。 そう感じると同時にバックステップで退避し、そして爆風の先へガントを掃射する。 だが乱射されたガントは唯の一発も捉えることはなかった。 「よくも……」 声は空から。 見上げれば、シャルロットは宙に浮いていた。 「よくもやってくれましたね……この『魔法使い』の私を好き放題に!」 「魔法、使い……!?」 魔法使い。 現代技術では再現不可能なただ五つの神秘。 その使い手。 だが、『浮く』『飛ぶ』などというのは既に人類はダ・ヴィンチの時代、ライト兄弟の時代に到達している。 故に彼女は魔法使いではない。 「そう、我が家系はこの戦いに勝利して文明を滅ぼし、魔法使いの家系に戻る! その為に、消えなさい遠坂の魔術師!」 相手は魔法使いの弟子の家系であり、自分は魔法使いの家系。 つまり自分は魔法使いであり相手は魔術師なのだと、相手よりも格上なのだと彼女の自尊心が叫ばせた。 それと同時に上空より炎を撒き散らしながら飛来する。 凛本人は気付いていないがその速度は殆ど音速。 そこから撒き散らされる着弾時の爆発力はグレネード弾に近い。 「くっ……堕ちたとはいえ近代に堕ちた魔法だとすると……厄介なことこの上ないわね」 身に纏った氷結魔術は爆風から抜け出す直前に切れ、赤い服が僅かに焦げ落ちる。 「ああっ……このっ、高かったのに、これ……!」 言いながらガントを空中を自在に飛び交うシャルロットには掠りもしない。 「ハハハ! 形無しじゃないの!」 再び飛来し、炎を撒き散らす。 だがその狙いは先程と変わらず、凛に命中することも、教会内に炎が突入することもなかった。 「狙いが甘い……? 夜とはいえさっきよりは炎がある分狙いやすそうだけど……」 視線を離さず、それでも思考に没頭する。 その結論が出るまでの時間は極めて短い。 「もしかして……自分の魔術を使いこなせていない?」 そうなのかもしれない。 魔術の秘匿は大前提だ。 まして魔法ともなれば一族通して隠し続けたのだろう。 魔術回路は相続させられても経験までは相続させられない。 魔術そのものを完全に使えたとして、身体がそれを操りきれなければそれは使いこなせないことと同じ。 「だったら……」 再び強い意志で見据える。 使いこなせていない魔術相手なら、勝つ手段は幾つかある。 すぐに思いついたのは次の三つ。 消耗は極めて激しくなるが、真っ正面から宝石魔術で吹き飛ばす。 消耗を押さえつつ、敵の消耗を誘いながら接近を許さずガントで撃ち落とす。 近接戦の能力差と、魔術的な消耗をゼロにすることを考えるなら、敢えて接近を許し、目眩ましをくれて動きを止めてから拳を強化し、接近戦に持ち込めば今度こそ倒す事もできるだろう。 上空でシャルロットが反転し、向かってくるのが見える。 変わらずスピードは極めて速いまま。 機動力で劣る以上、作戦はすぐに決め、それに専念しなければならないだろう。 シャーテンブルク:宝石魔術で吹き飛ばす レンテンベルク:ガントで撃ち落とす ガルミッシュ:格闘戦に持ち込む 投票結果 シャーテンブルク:1 レンテンベルク:5 決定 ガルミッシュ:1
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/645.html
386 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:疑問提起とその解答、あるいは誤魔化し] 投稿日: 2007/02/15(木) 04 18 39 「それからもう一つ聞きたいのだが」 眼鏡を掛け直して続ける。 「ん?」 あと他に何かあっただろうか? 「なに、大したことではないのだがな、庭の荒れようはどうしたのだ? 爽やかな朝に縁側で伸びをする、というのは結構憧れた生活なのだが、庭に爆発跡のような穴があって驚いたのだが」 昨日まではなかったろう、と氷室。 ……そうか、すっかり忘れていた。 残骸はジェネラルがうまく片付けてくれたようだが、さすがに庭に空いた航空機の爆発跡は隠しようが無い。 幸い殆ど垂直に突っ込んだから範囲は決して広くないが、その分穴は深かったはずで、その穴はまるで塹壕のようだ。 「うん? 何を意外そうな顔をしているのだ、縁側を通って気付かなかったわけじゃないだろう?」 「まあ……そうだけど」 実際なんと言えば良いのやら。 爆発の類があった、とすれば『普通は』気付いてしまう。 だからその類の、『事故があった』などの言い訳は出来ない。 ならば適当で尚かつ誤魔化せる話ってなんだろうか、不自然でなく、大穴が空いていて問題のない言い訳は。 「木を植えるつもりなんですよ」 桜が咄嗟に答えた。 「昨日ちょっと話したらライダーが一晩でやっちゃったんです、先輩の許可も取ってないのに、ノリノリで」 「ライダーさんがか? 意外だな」 そう言うことをやりたがる人とは思わなかったと感心している。 「何か良いところを見せたかったんですよ、久々の妹さんとの再会ですから」 桜がちらりと目配せしてくる。 話を合わせろと言うことか。 「そうだったのか、でも植えるなら小さい苗木だろ? もうちょっと端の方に掘ってくれた方が良かったな」 「あはは、そうですね」 「妹? ライダーさんに妹さんが居たのか?」 どうやら彼女とは会って居ないらしい。 「ああ、まだ会ってなかったんですね、昨日来たんですよ、それで迎えに行ったときにノインちゃんを見つけたんです」 「む、そうだったのか……それは悪いことをしたかな、再開に水を差したり邪推したり、それどころか気付かず眠ってしまって」 「気にしないでください、そう言うことを気にする人じゃ無いと思いますし」 それに眠ったのは遠坂の魔術のせいだし。 ……なんだか無闇に話が広がっている気もするが、上手く誤魔化せたと思う。 昨日の行動の理由付けも一応出来たし、悪くはないだろう。 「じゃ、さっさと運んでしまおう、そこで二人を紹介するよ」 「うむ、そうしてくれると助かる」 三人でまとめて朝食を運ぶ。 台所から居間に向かうと ほのぼの:「おなかすいたー」和やかな笑顔が迎えてくれた カオス:空気が凍り付いていた 投票結果 ほのぼの 2 カオス 5 決定
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/626.html
952 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:切り札を切る] 投稿日: 2007/01/12(金) 05 34 58 引き金に込められた力を感じる。 ここで同じように引き金を込めていては互いに死ぬことになるだろう。 どちらかが生きる為には。 己が生き残る為には。 「投影、開始」 衛宮士郎の世界より、最善を引き出すのみ。 唯一にして最大の守り、アイアスの盾では防げない。 距離が近すぎる上に時間が足りない。 その上非効率的だ。 故に選択肢は攻撃一択。 ネイルガンを持たぬ、開いた左手に双剣の一つが出現する。 「な――」 その驚愕は何に対してか。 片割れの莫耶は、剣の丘より出現した瞬間に、銃を持つ右腕を貫通していた。 皮膚や筋肉はおろか骨や神経までを切り裂いて落とす。 傷つけられた筋肉と神経は咄嗟に引き金を引くが照準は大きく乱れた。 頭部を貫くはずの銃弾は逸れ、肩を貫通して抜けていく。 肩を抜く銃弾は、吸い付くように頭部を狙っていたネイルガンの照準を大きく逸らし、士郎の撃ち出した五寸釘は壁にのみ命中し僅かに突き刺さった。 激痛の中、一瞬だけ相手を睨み付ける。 互いに怯むことはない。 衛宮士郎は釘の切れたネイルガンを捨て去り、その手に干将を引き出し、斬りかかる。 相対する男は切り裂かれた腕の出血を利用して目眩ましを仕掛け、残った左腕でもう一丁の拳銃を取り出す。 「くっ……」 片方の眼に血が入り、視界を奪われる。 血を拭う時間は無い。 拭う間に、今度こそ頭を一方的に撃ち込まれて敗北する。 それをさせぬ為には、接近し銃弾を撃たせず、切り伏せる他ない。 先程の立ち会いから体術的にはそれほど差はない。 ならば片方の腕を奪った分だけ有利、休ませず、撃たせず、攻撃を続けるのみ。 干将の狙いは銃そのものと、それを握る左腕のみに絞り、首などの急所は莫耶で狙う。 銃弾が放たれる直前に振り戻す干将の峰が銃身を叩き、銃弾を逸らす。 「おおっ!」 戻しざま、相手の体勢を崩す為に体当たりを選択する。 壁にまで吹き飛ばせば一瞬であれ動きは止められる。 そうでなくとも、攻撃を続けるためには相手の動きを制限しなければならない。 踏み込む足は全力で、肺めがけて体当たりを敢行した。 声さえもまともに出せぬ程の会心の体当たり。 身体を壁に預けたまま、頭がぐらりと揺れた。 衛宮士郎に躊躇はない。 無差別の殺人を容認し、恐らくその為の手助けさえもした人物だ。 頭から壁にぶち当たり、意識さえ失いかけている無防備な身体に向けて、両の剣を突き出した。 その直後―― キリル:「え?」身体が宙を舞った バード・クーベ:爆風が巻き起こり、両者共に吹き飛ばされた アブシェロン:壁をぶち破り、セイバーが吹き飛ばされてきた。 投票結果 キリル:0 バード・クーベ:5 決定 アブシェロン:0
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1087.html
631 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/10/03(水) 04 20 33 怒りからだろうか、理不尽さによるものだろうか、この光景を見るに堪えず、その元凶を破砕してしまおうと思った。 思考に因らず、本能に因らず、もっと深いところにあるものが刺激されたように、ライダーは『あれを破壊する』という決定を下した。 本来の運動能力を発揮した彼女にとって、重力の縛りは殆ど存在しない。 足場さえあれば、上下左右関係なくその運動能力は発揮される。 彼女が重力を感じる時、それは即ち足場となるものが何一つ無い場所であり、それはこの地上に存在しない。 人海を避け、天井へと跳ぶ。 天井には人海は存在しない。 さすがに重力に真っ向から逆らえば僅かに機動は制限される。 だがそれは本当に僅かな、誤差で済ませられる程度でしか無く、他者への高いアドバンテージという面では変わりがない。 天井に着地し、重力に従うよりも早く数歩を駆け抜ける。 『敵』が椅子に座ったまま、息を飲んだのが見える。 だが既に遅い。 物理法則に従って落下する直前、自ら天井という床を蹴り敵へと飛び掛かる。 その速度と突きだした釘剣は脳髄を吹き飛ばすに十分な威力を有する。 だが魔術師は椅子ごと倒れ込み、その一撃を回避する。 「ッ!」 それによって開けた先にも少年少女達が居た。 既に足場から体は離れている。 故に軌道の変化は出来ない。 この速度でぶつかれば、それだけで少年少女達の骨や肉体を粉砕するだけの衝撃になる。 それだけのことを瞬時に判断し、釘の先端を天井に向かって投げ付け、鎖を引き無理矢理軌道を変える。 再び天井に着地し、視線を向けると、逃げ出す背中と、僅かに横顔が見え、耳には音が響いた。 耳に響いた指を弾く音と共に、男が歯を見せて笑った気がした。 その認識の直後、空気が変貌した。 『己達』への肉欲に満ちた空気が殺意に満ちた空気へと変わる。 その変化は急激で、動きを止めてしまっていた。 軌道を変えることもできず、重力に従って落下し、着地する。 そこに少年少女が殺到した。 少年少女の力も速度も、常人の物ではなかったが彼女にとってそれは障害になるレベルの物ではない。 只の数秒で蹴散らし尽くす。 だがその数秒で視界から完全に消え失せた。 舌打ちを漏らす。 蹴散らした少年少女達が立ち上がり、再び立ち塞がったからだ。 その眼は虚ろなまま、只殺すという意識に支配されているのが見て取れる。 「意識操作に、肉体強化……」 あの男を見逃すわけにはいかないが、かといって殺すわけにも行かない。 手早く片付けて後を追わなければならない。 蹴散らしながら脱出ポイントとして目指すのは―― モンスーノ:男の逃げた出入り口だ ターミナス:行動の選択肢の広そうなベランダだ スピアヘッド:もっとも手薄な小窓だ
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1064.html
728 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/24(火) 05 03 23 己の部屋に戻っても――正確には宛がわれた部屋ではあるが――落ち着きはしなかった。 むしろ逆に鼓動は早く、強くなっていく。 何しろ、その部屋は『あの部屋』だからだ。 衛宮士郎と間桐桜が、その……『していた』のを盗み聞いた部屋だからだ。 先程はまだ良かった。 己よりも先に倒れてくれた人が居たから。 そこで僅かながらも冷静になれたから。 だが今は、一人だから、どうしようもなく意識してしまう。 襖を見る。 その行為は疾うに終わっているのは知っている。 だが、それでも意識してしまう。 意識してしまうから、そして知っているから、襖を開けてしまった。 それはまるで禁忌を犯してしまうようで、そこに更に興奮した。 一歩目を踏み出す直前に、何かを嗅ぎ取る。 経験のない臭い、だが、想像は出来る。 これは男と女の混じり合った臭いだ。 「まったく、換気くらいしておけば良いと……ッ」 荷物のない部屋の奥、そう大きくない窓を開けに向かう途中で、足を止めた。 一度意識してしまえば意識の外に追いやれぬ強烈な臭いの中、『それ』が目に付いた。 それは皺だらけになったシャツだ。 どちらのものかは俄にはわからないが、それを手に取ってしまった。 ――衛宮の臭いがする 床に座り込み、ぼんやりと、そんなことを考えた。 そこに、常ならば存在する、才女と呼ばれるような判断力はまるで無い。 先程より、己の肉欲を止めきることが出来ていない。 その類の欲望をコントロールできないほどに若いのだと思う。 他人がどう見ようと、そういった欲望がある普通の女なのだと思う。 足を伝う熱い液体は、僅かずつ漏れ出し続けた。 一度トイレで拭い去ろうとしたが、それはただタオルを濡らすだけに終わった。 『解消』してしまわねばとも思うのだが、他人の家でそうする、というのはどうしても躊躇してしまう。 だがこの臭いと、目の前の物品は躊躇する背中を蹴飛ばすような効果があった。 ――もしかして私は衛宮が好き、だったりするのだろうか? 胸元のシャツを抱きしめる。 これが単純な欲望から来る物ならば、それはそれで構わない。 欲望をコントロールできないのは若さから来る物で、止めるのは極めて至難だ。 何かで読んだことがあるが、一度芽生えた性欲を忘れる為に苦行を始めた修行僧は、欲望に負け、抑圧されたそれは、害悪となるのだ。 ……これが恋慕の類から来る物であったならば、非常に危ない。 衛宮には既に間桐さんが居るのだ。 横恋慕、略奪愛は小説等では良くあることだが、その渦中に自分が居るなんて考えたくもない。 あのドロドロとした人間関係は、現実では興味よりも恐怖が勝る。 だから、だから…… 気付けば、目を閉じてシャツを抱きしめたまま顔に近づけていた。 じわりと、股の間から更なる性欲が漏れ出してきた。 そこに触れると、くちゅりと水音が聞こえてきた。 ――なんだ、アレは。 なんで俺の部屋に氷室が居たりするのか。 しかも、着替えた時忘れて放置されたままの俺のシャツを抱きしめて。 部屋は暗がりに占領されていたが、僅かに見えるその姿は非常に扇情的だ。 まずい。 何がまずいか分からんが非常にまずい。 もう出ぬといわんほどに絞り出したはずの性欲が息を吹き返そうとしている。 用心しながら、いや、もう何に用心しているのか自分でもまるで分からないが、とにかく用心して第一歩を踏み出す。 一体何をしているのか、と言葉を漏らそうとして出来ず、替わりに喉を鳴らした次の瞬間、不意に目があった。 「あ――」 「え――」 動きが止まっている。 沈黙があった。 実際にすれば数秒、決して分には満たない時間でしかない、何時間にも感じた沈黙が。 「えっと……」 その沈黙を破る。 飲み込んだはずの水分は、すっかりと干上がっていた。 ひとつ屋根の下:「夕飯の時間、なんだが」 私じゃなくても旺盛:「な、何してるんだ?」
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/539.html
427 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/29(日) 03 43 49 「おーいえみやー、私の部屋はどこだ部屋はー」 たっぷり三杯もおかわりした蒔が言った。 「蒔、君はもう少し慎みを覚えた方が良いだろう」 「いーじゃん、どーせ衛宮なんだぞー? あのお人好し超人だぞー」 「あー、桜、これ頼めるかな?」 鍋を掻き回している衛宮氏が間桐嬢を呼んだ。 「なんですか? これ」 「余ったスコッチエッグを醤油と砂糖で煮るんだよ、まっとうな料理じゃないけど、明日には味が染み込んで良い味になってるはずだ」 似た料理なら知っている。 余ったトンカツを同じように調理する物だったな。 確か蒔の大好物で、一切れで一杯いけると言っていたな。 「なるほど、分かりました」 間桐嬢から殺気が消えて笑顔になる、頼まれると信頼されていると感じられる、嬉しいのだろう。 鼻歌交じりに鍋の中の様子を確かめている。 「ああ、藤ねえ、丁度良かった、風呂湧かしておいてくれるか? 俺は布団敷いてくるから」 「ん、分かったー、すぐ?」 「すぐがいいかな? 夕食も食べたことだし、ああ、それとついでに浴衣も人数分用意しておいてくれると助かる」 「分かったー、そんじゃついでに軽くお風呂場を掃除しとくねー」 「ん、頼むー」 「三人とも、部屋はどこが良いとか希望はあるか? 一応洋室も和室もあるぞ、洋間はあと一つしかないけど」 そんな言葉と共に、タオルで手を拭きながら茶の間に姿を見せた。 「んじゃ私は洋間に一人が良い! マンション的に!」 この家は屋敷だが、薪の家は旧家だ、洋室に憧れているのだろうな。 「私は静かな部屋を頼みたい、騒がしくなければどこでも良いぞ、男性と相部屋でもな」 この家に夜這いをするような危険な男性はおるまい、家主殿はいうに及ばず、カール氏も六道氏も紳士であることは疑いないと思える。 「えーっと、私は、どうしようかな」 「あの、良ければ私達と一緒の部屋にしませんか?」 「なのはちゃん? 良いの?」 「はい、出来ればお話とかしたいです!」 「うん、それじゃそうしましょう」 年下に好かれる性格である由紀香はなのは嬢、フェイト嬢と一緒の部屋で寝るようだ。 由紀香のほんわかした雰囲気を褒めるべきかあの剣呑な状況下でそれを見抜いた二人の眼力を評価するべきか迷うところだ。 「ふむ……良い部屋だな」 通された和室は広さや雰囲気など、私の好みの部屋であった。 「まあ、俺の隣の部屋なんだけどな」 良いながら、手慣れた手つきで布団を敷いている。 「ああ、別に構うまい、君は騒いだり突如泊まりに来た隣の部屋の女性に夜這いをするような男では無かろう?」 「んなっ……当たり前だろ」 おお、赤くなる赤くなる。 時折床を共にするような恋人が居るであろうにこの性格は希少なものだな。 「シロウ、私ならいつでも夜這いしてきていいよー?」 いつのまにか背後にイリヤ嬢が立っていた。 そして襖の向こうに赤い服が見えている。 ……遠坂嬢も堂々と出てくれば面白いのだが。 「イ、イリヤ、女の子が冗談でもそう言うことを言う物じゃないぞ」 「え? 私は本気だよー? えいっ!」 そう言って思い切り飛びかかるイリヤ嬢。 「そうだ、シロウ、一緒にお風呂に入ろ! それとも私をたべるー?」 なんというか、猛禽類が補食対象を捕らえるときのような動きだった。 ……これは私が寝る布団なのだがこのまま床を共にする気なのか、イリヤ嬢は。 そして襖の向こうでも音がした。 ははは、イリヤ嬢は本気のようだ、さあ、間桐嬢はキッチンだが再び修羅場を観察しよう。 ネクスト修羅場:「し、士郎ー! なに押し倒されて鼻の下伸ばしてんのー!」遠坂嬢がとうとう踏み込んできた 天国のような地獄:「ううー、ひどいめにあった……」 夜は更けて:時刻は晩から夜へと変わろうとしている
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/259.html
611 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/15(金) 02 41 15 S市杜王町 教会近郊 「こいつぁーグレートっすねぇ」 制服の高校生が一人ごちる。 道路は抉れ、薬莢が多数落ちている。 血は撒き散らされ、多数の剣が地面、壁に問わず突き刺さっていた。 「とりあえずここでの戦闘は終わったって事でいいんすかね?」 ——そうだな、終わったと見て良いだろう……とりあえず薬莢と剣を一つずつ拾っておけ 独り言に応える声があった。 「どーすんだよそりゃ?」 ——友好的な相手がいれば協力関係になった時調べて貰えるかも知れんだろう、もしかしたら弱点を突けるかもしれん 「そりゃーいいんスけどね? 協力関係ったって会う奴会う奴攻撃しまくってくるじゃないすか」 ——当然、やる気満々の奴だって居るだろうな、というか協力的な連中に会える確率は低いだろう 「先週の"ライダー"はまあよかったけどよぉー、今週は"セイバー"、"アーチャー"って二日連続だぜ? 俺がモタねぇーっスよ」 ——確かに毎晩は子供には少々きついかもな 「おりゃ毎日ガッコーだってあるんスよ? 確かに来週から春休みだけどなぁー」 ——君の場合は補習だろう? ベンキョーしたまえ、ベンキョーを 「あーったく、オッサンはいいよな、英語勉強しなくて良いんだからなー」 彼、東方仗助の補習内容は英語である。 ——私も文法上の間違いはないように勉強位はしたさ、新聞記者だったこともあるしな 「へーへー、わーかったよ、じゃー明日位は見回りは良いっしょ? 今週末はテストだしよぉー」 ——ああ、それは良いが、構えろ、仗助、敵か味方かわからんが、サーヴァント連れが来たぞ 暗さに溶け込むような色彩の着衣をした、赤い大男が、仗助に向けて歩いてくる。 「……ふむ、これはどういう解釈をすれば良いと思うね? ランサー」 ——戦いの後を調べる学生、と言うことは無さそうですが 「まあそうだな、残留魔力も真新しい、落ちている血液も乾いてはいるが……臭いが残っている」 ——勝利はしたが傷だらけで動けなかったサーヴァントという辺りが妥当かと 「そうか、ならばトドメを刺しておくべきか、やるぞ、ランサー」 ——了解した、我が主 「おいおい、姿出しやがったぜオッサン」 ——ま、やる気と言うことだろう……槍を持っているからランサーか 「今日位はいい加減にしてほしーぜ、こんなことに巻き込まれて留年とかしたらオフクロに殺されちまうぜ?」 ——英語を勉強したまえ、時代は違うが、多少は教えてやれるだろう 「ありがとよ、オッサン」 ——いい加減、私の役職 クラス 位は覚えて欲しいね 「わーかったよ、行くぜ、保安官 シュリフ のオッサン」 学生服の仗助の背後から現れたのは、黒いスーツを着込んだ、ダービーハットを被るステッキの男だった。 「ったく、相変わらずジーン・バリー並の渋い恰好だぜ」 「学生程度の年齢ながらマスターとは珍しい、確認するが君はこの戦いに身を投じたマスターって事でいいね?」 赤い着衣の男が言った。 「違うって言ったら見逃してくれるって様子じゃなさそうだが? そこの所は、どうかね?」 「私は君に聞いてはいない、できれば直接君が答えて欲しいな、学生君?」 「正直に言や投じたかーなかったね」 頭を掻く。 「でもよー、街を守りてーって気持ちはあるぜ、こんな風に誰だかしらねー連中に街を荒らされたかーねーってな」 「フム、いわゆる正義の味方って奴かね、だが現実では往々にして無惨に死ぬのが正義の味方だ」 「ま、そーだったとしてもよ、例外もあるってゆーやつよ」 睨み合う。 「では、それを見せて貰おうか」 男が指を鳴らす。 同時にランサーが二人に向け跳躍する。 東:「ドラァッ!」クレイジー・Dでランサーと戦う 方:ランサーはシュリフに任せて敵マスターに殴りかかる 仗:二人がかりでランサーを攻撃する 助:拾っておいた剣を敵マスターに投げつける