約 2,609 件
https://w.atwiki.jp/jyakiganmatome/pages/1673.html
深々。 降り積もる雪は白く、軽い。 夜の闇に雪の景色は、古ぼけた街道をモノクロに染めていく。 まるで褪せた写真のように味気ない背景は、時間の止まったような感覚すら覚えさせる。 冷えて行く温度が、周囲から全ての熱量を消し去るにつれて、現世からも隔離される浮遊感が、木製の建屋に染みていく。 町は眠っている。 何もかもを知らないで、ただいつもと同じだけの自分だと思っている。 その歴史情緒溢れる一角の、垣根の向こうに孕んだ物を知らないでいる。 きっと誰もが夢にも見ないのだろう。 変わることを。 変わってしまった事を。 止まる景色の中で、積み重なる白い嵩だけが、時間の経過を知って居た。 時計の音は小さく、意識しなければそのかち、かち、とした鼓動は聞き取れなかった。 どこまでも無音に思える周囲に、自分だけが溶け込んでいない。 灯りの無い室内は暗く、窓の外は白く。 まるで現実感を感じさせないものが、網膜を叩いている。 眠気が頭の中に広がってきたのを機会に、ようやく時計を確認して見たら、そろそろ日付の変わる頃合いだった。そろそろ明日の準備を済ませて、シャワーを浴びて髪の毛を乾かし、暖かいベッドに潜らなければ。だって明日だっていつも通りに学校はあるし、機能もあまり寝ていないし、大体、肌に悪い。 そもそもあまり几帳面な性分では無いし、片付けるのなら明日でもいいのではないか。 けれど床の汚れは今のうちに拭いておかないと、この年代物の畳に引導を渡してしまうだろう。第一これ、どうすれば取れるんだろう。染み抜きとか使ってどうにかなる物なのか、ちょっと解らない。 そこまで考えて、妙に冷えた思考に驚きを覚えては見たが、こんなものか、という白けた感慨が続けて出てきてしまうのだ。中々薄情な物ではないか。 そもそも悲しんだり驚いたりする資格などあるのだろうか。今更しおらしいリアクションをしてみた所で、多分、全て遅い。でもただ一つ、弁明が許されるとすれば、別にこういった事を望んだ覚えなど一度も無かった筈なのだ。 退屈が嫌いで、飽きが溜まらないのは確かで、常に変化を求めて生きて来た。 それは貪欲と言うべき程ではあったが、だからと言って日常に安らぎを覚えない訳では、勿論無い。平凡な女子高生で有るのだ。そんな大それたことを望みはしない。 ただ、珍しい服とか、好きな歌手の新譜とか、少しばかり大人の真似事みたいな恋だとか、そういう物に憧れた程度。料理に混ぜる鷹の爪くらいの刺激があれば、きっと満足だったのではないか。 けれど目の前に在るのは、まるで劇薬だ。 鍋の中にぶちまけられたのは、胡椒や塩ではなく猛毒だ。 与えられた刺激が最後、御馳走様が南無阿弥陀仏。 妙な笑いが、口から洩れた。 ぬるりとした感触を、右手の中で握りしめる。手にしっかりと馴染む、持ちやすい柄と、園先につながる銀色の刃がきらりと光る。 畳の上に横たわる、肉色のズタ袋。 顎の下をずたずた。 腹の上をざくざく。 十七年の生活の中で、一度も見た事が無い家族の表情。 歪んだ顔。 けれど、もう動く事もない。呻く事もない。 私の眼には真っ赤に映る。 純白の窓の外。漆黒の部屋の中。 目の前だけが、深い赤。 汚れたキャンバスに、勢い任せにぶちまけた赤い絵の具。 闇の中で色が見えるわけもないのに、とてもとても鮮やかに、深紅に映る。 綺麗な、赤。 生まれて初めて綺麗と感じた赤。 だけど少し錆びたような ―――赤銅の色。 ▼ 赤銅京都 ▼ 『赤銅色』 銅と金の合金である、赤銅を思わせる色。しゃくどういろ、もしくはあかがねいろ。 黒褐色肌や、髪の毛の色の形容として用いられる。 なお、赤銅に発熱処理を加えると、青紫がかった黒色に変色する―――――――― ▼ 青。 それが私にとっての絶対であり、崇拝対象となる。 かつてシャガールの絵を視た時、私の頭は青に染められた。 優れた芸術というのは、その凄さが言葉で説明できなくても、心に響き、魂を穿つと言う。 少なくとも小学生のころ、まだ存命だった父と共に訪れた美術館で、私はその間隔を確かに味わった。 マルク・シャガールとは、とてつもなく綺麗な青色を使う画家で、私の美的センスの根底を固めたのは、まちがいなく彼なのである。 それからというもの、私の中で「青」は新しい物。特別な、新鮮な色としてインプットされた。 青は私にとって特別な色であると断言する。 逆に古臭い物は、私の眼には赤茶けて映る。 まるで錆びた鉄のような、苦くて酸っぱくて、眼に痛い色。 鳥居の赤。夕焼けの赤。日の丸の赤。イライラする。 この街は真っ赤だ。大人も、子供も、同級生も、みんなみんな真っ赤な錆びだ。 新しい風の無い、死んだ空気の香りに、いつだって胸がむせる。焼けて焦げそうになる。 そんな赤さの象徴である私の名前など、最も強い嫌悪の対象でしかない。 赤石 紅子。 ふざけた様な名前だが、れっきとした私の本名である。 生まれた瞬間に「紅く在れ」と言われているとしか思えないようなこの名前は、勿論全く好き」ではない。 この名前、近所にある稲荷の千本鳥居で出会った両親が、それにちなんで神様の加護が有るように、と名付けたそうだ。 だが自分の名前にどんな意味や願いが込められていようと、流石に首をかしげたくなるようなセンスじゃあないか。 おかげで私は「あかちゃん」等と言う不快極まりない仇名を賜り、小学生の時点で既に、名前を変えたい一心で強い結婚願望を抱いてしまうほど 捻くれた人格形成に一役買ってくれた。 そういう訳で思春期の私は、信心深い両親が嫌いで、要らん縁結びをした神様が嫌いで、ついでに古臭いこの街が大嫌いだった。 ここは四季に色づく町、古都、京都。 山河とビルが同居し、和と洋の建築が適合する風景。 現代と歴史が手を取り合って、この街の絶妙なバランスは出来ている。 住み慣れた人間でこそ有り触れたものと感じるそれは、本来とても特別な空間。 かつての都であるその町の表情は、如実に季節の色を反映する。 「忘れられた日本の姿」というものがこの街のセールスポイントであり、周知の認識でもあった。 だとしても、である。 京都と言う町に生まれた人間が、古風に育つとは限らない。 そもそもこの街が人気を持つのは、ありふれた文明社会に飽きた人が、「古い」という「新しさを求めているだけに過ぎない。 それは街の歴史を懐かしむノスタルジイなんてものではなく、やはり自分にとって非日常となる体験の刺激でしかない。 そういう刺激を好むなら、そこが京都でもタージ・マハールでも、趣味にさえ合えば、彼らは関係ないのだろう。 結局人間なんていうのは、自分の日常から脱却して、常に新しい何かを求める生き物なのだ。 それならば、人を最も苦しめて死に追いやる毒は、「退屈」であると断言できるんじゃないだろうか。 だから、田舎の人間が都会の華やかさに憧れ、都会の人間が田舎ののどかさを愛するように、 歴史の街で生まれた私が「新しさ」を求めてるのは当然の事だろう。 正直言って私は、この街の古臭い空気やはっきりしない住民、辺りに漂う、まるで夕暮れ時のような後ろ向きさに閉口している。 この新しい世紀に、この街ときたら、未だに恥の美学やら、暗喩の奥ゆかしさなんてものを有り難がっているのだから救えない。 そのくせ礼儀作法に五月蠅い旧型人間どもは、人への不満だけは一人前にコレクションしているのである。 NOと言えない日本人と言うやつが見たければ、此処にわんさか生息していると観光客に教えて差し上げたい。 成長し、十七を数えた私は、この街からしてみればエキセントリックな人間といえる。 頭を茶髪に染め、海外のブランドを好み、常に先鋭的なファッションを好む様は、年齢的に珍しくはあるまい。 学生と言う人種はことさら、これらに敏感で、私にとっては正直、居心地のいい生活環境なのである。 赤石さんはいつもお洒落だね。 新しいことはいつも赤石さんが最初に見つけて来るんだよ。 しまいには、赤石さんが眼を付けた物は流行るとまで噂されている。 私自身、そう持て囃されることが嫌ではなかったのだが、だからといって皆の中心人物に祭り上げられると言うことはなかった。 それは私が積極的に、他人との関わり合いを避け続けていたからに他ならない。 だって、いくら学生で新しい物に憧れている連中だからと言って、根っこがやはりこの街の人間。 なぁなぁで周りに合わせ、空気を読み合い、異口同音で流行の尻尾だけ追っている。 真似をしても開拓しようと言う気持ちがさっぱりありゃしない。 なにせ、あいつら根っこが古臭いのだ。
https://w.atwiki.jp/tenisekai/pages/19.html
「テンイセカイって知ってるかい? つまりよ、すげえ食い物と金を持ってる連中が、俺らのお隣に引っ越してきたわけだ。 この砂漠の向こうによ、オアシスがチンケに見えるほどのデカい街ってのがあるってんだよ。 まさに殺り放題の奪い放題ってことよ。さあ、仕事の時間といこうじゃねえか!」 ―――サンダツ者ゲルゴーグ 略奪団長 「グロンダストだ。あそこで手に入る発掘兵器は、文明の遅れた我々が生き残るための、イチかバチかの賭けなのだ。」 ―――ある国の探検家 概要: 数百年前に勃発した全面核戦争により全ての文明が滅びた地域 住民たちは僅かに残ったオアシスや食料を巡り互いに争っている テクノロジーの名残である機関銃や装甲車両を駆使して略奪を行うオーク、 都市廃墟にてガラクタを拾い集めるゴブリン、その他放射能により変異した者たち… 彼らが元々どのような種族だったのかは今となっては知りようがない 詳細: 灰色の空に赤く焼けた砂に覆われた世界。都市の廃墟に残るのは僅かな水場と文明の残骸ばかり。 まさに荒廃したる、この地の名はグロンダスト。何故この地がそう呼ばれるのか。 超人種族が最初に降臨した都市のあちこちにある看板に、そう書いてあったからである。 (ところ変わればこの世界をグラバーンだのデフロストだのマケドナルドだのケンターキーだのと呼ぶ向きもあるようだ) 数百年前、この地球全土を巻き込む最大最悪の核戦争によって人類とこの世界は滅びてしまった。 跡に残されたのは高濃度の放射能に汚染された荒野と、完膚なきまでに破壊された都市の廃墟だけ。 しかしながら全ての生物が地球から滅び去ってしまったわけではなかった。 少なくともミミズとゴキブリは都市の下水道で無事に生き残ってしまったわけだが、 発達したバイオ技術はそれだけではないものを生き残らせてしまったのである。 超人兵士計画、そう呼ばれる極秘計画が核戦争前の世界に存在したかどうかは定かではない。 だが来るべき核戦争だか人類の終末だかを見越して、進化した人類を作り出そうという事業はあったはずだ。 人類の持つ肉体ポテンシャルを引き上げ、また放射能による汚染にも耐えられるように、 放射線から遺伝子を保護する特殊生体分子を組み込むなど、あらゆる遺伝子改造や実験が繰り返された。 そうして生み出された新人類のアーキタイプは世界が滅びた後、核シェルターの中で百年以上の時を過ごしたのである。 かくして先人たちの叡智と熱心な研究のおかげで、核戦争後の世界を逞しく生き抜く次代のミュータントたちが誕生した。 唯一の問題は、シェルターから自由になった彼らは、世界に人類の文明を復興させるという目的を完全に忘れてしまったことである。 おそらく寝起きに食べたグロンダスト社製のカンヅメが、脳の正常な発育に良くなかったのであろう… とりあえず不毛の大地でミュータント種が生き残れるように、先人たちは考えられる限りのサポートを尽くしたようだ。 その一つが放射線エネルギーで成長するスイバクキノコであり、栄養満点でゲロマズなミュータントたちのソウルフードである。 これらはグロンダスト社会における通貨としても使われ、大きさや色彩によって様々な値段のバリエーションがある。 またミュータントのメスは総じてたいへんカラダが丈夫であり、たった数日から数週間の妊娠で仔を産みなすとの噂である。 実を言えば、そういう特質を持ったメスでなくては、苛酷な環境における長期間の妊娠など肉体が耐えられないのだ。 結局、このイカれた世界で最もハバを利かせているのは、知性を持つミュータントの代表であるオークたちだ。 オークとは大概緑色か褐色の肌色をした大柄なミュータントで、全体的に人間を歪めたような凶暴な姿をしている。 背丈や体つきなど個体差の大きい彼らではあるが、でかい顔をしているのは決まってカラダのでかい奴だ。 彼らはそこらの廃墟から掘り出したナイフやら鉄パイプで武装して徒党を組んで他の弱そうなミュータント連中(同族含む)を 見つけては、襲い掛かってブチ殺して食料や武器を手当たり次第に奪い取るという生活を送っている。 そうして弱肉強食の世界で鍛えられたオークの徒党は、次第に凶暴さと武装にも磨きがかかっていくことであろう。 ついには武器工場から発掘したマシンガンなど、テクノロジーの残骸をも使いこなすいっぱしの超人兵士へと成り上がるのである。 廃墟や下水道に隠れ住む小柄なゴブリンは、非力だが悪知恵が働き、数だけは多いという連中である。 彼らはガラクタなら何でも拾い集めてくるという習性を持ち、それを他のミュータントに売りさばいて生活している。 ゴブリンたちの手で不定期に開かれる闇バザールは権威あるもので、オークといえども滅多に無体な真似はできない。 商人たちの方でもはぐれオークや他種族の奴隷といった頼もしい用心棒を雇って、お客様にニラミを利かせているのである。 ほぼ物々交換という形であれど、商取引と言う概念を存続させているのは彼らの数少ない功績ではあるが 同時に詐欺やギャンブルといった悪徳もしっかり伝えてしまっているのは科学者たちも予期しなかったことであろう。 顔面にたった一つの目玉しか持たないサイクロプスは、グロンダストの鍛冶屋とも呼ばれる種族である。 彼らの目玉は生物工学だかナノテクだかの真髄であり、サイクロプスは脳よりもまず目玉でものを考えるという。 実際、彼らは何か機械の部品やら残骸を目にしただけで、この材質が何で、どういった用途に適するのかなど、 工学テクノロジーに関する情報を、網膜の裏側でありありと見ることができるらしい。 ときには機関銃や装甲車両の設計図までもが詳細に浮かび上がり、彼らは実際にそれを製作してしまう。 その際は眼球から放射される種々の奇怪な光線、そういった超能力か魔法のようなものがたいへん役に立っているという噂である。 グロンダストで見かける新品の物騒なウェポンがあれば、サイクロプスの仕業であると見てまず間違いない。 ホフゴブリンは、痩せぎすの肉体と冷酷な知性を持ったミュータント種族で、気の長さと種としての統制は際立っている。 彼らは都市に居住することを好まずに、峡谷などに独自の小部族ごとにテントを張り、イバライノシシを飼いならして生活している。 雑多なミュータントたちの中では唯一と言っていいほど、彼らは真っ当に人類の文明をなぞろうとしているように見える。 もっとも、原始的な遊牧生活を始めた彼らが、無事に科学を発達させるまで順当に数千年の時がかかるだろうが… 巨大な体躯と再生能力を持ち食欲のまま彷徨い歩くトロルなどは、知性をまったく失ってしまったミュータントである。 (脳細胞が日々再生、再構築するという現象が、いかに記憶情報の保存に不向きかお分かりいただけるだろうか?) 彼らの皮膚に共生するカモフラージュ細胞は、環境に応じて如何ようにもその性質を変化させ、 砂漠にはサンドトロル、湿地にはスワンプトロルなど多様なトロルが存在するように見せかけている。 (肝心のカモフラージュ効果については、トロル本人が獲物を前にじっと身を潜めていないためいまいちのようである) さらに最悪なのは、核戦争で破壊されたと思われたインスタントバイオミキサーなる装置が、 どうやら何者かに発掘されて無事に稼動しているらしいということである。 バイオミキサーとは、要するに何かの生き物の遺伝子(大抵は血とか皮膚)を放り込むと、 自動的に欠損部分を補うように遺伝子がツギハギされ、その結果見たこともないキメラ的生物が誕生するという、 まさにLSDをやった科学者の悪ふざけとしか思えないようなシロモノである。 おそらくバイオミキサーには核戦争後の世界を新たな生命で満たすためという崇高な目的もあったのだろう。 ところが生み出された生物は、不細工なドラゴンや形の狂ったマンティコアなど凶暴で手のつけられない異形のモンスターばかり。 食事時になると飛んできて糞をばらまくハーピーなどは、マシンガンのいい射撃練習相手になっているようだ。 かくも有象無象のミュータントとバケモノ共に彩られるグロンダストがこの多元世界に転移してきたのは まさに他の国々や種族にとっては大いなる試練、あるいは神のありがたきイヤガラセであろう。 【補記】 元の国名は荒廃国家ゾーマでしたが、某魔王様と被ったために様々な案が出ました デフロスト、グラバーン、デファイロスト、グロンダストなどの案が出され、今のところ意味被りもないグロンダストを採用しています 名称変更など良い案があればスレで出してもいいし、必要なら投票で決めても良いと思います
https://w.atwiki.jp/kannjyoubousou/pages/27.html
◇ ―――感情よ、暴走せよ ◇ 目が覚めた時、世界は一変していた。 常識は霞のように消えてなくなり、理は深淵のなかへと沈んでしまった。 世界を支えていた基盤は一瞬にして全く別の何かへとすり替わる。 そうして人々は対面することとなるのだ。 人間の業。 決して拭い切れぬ漆黒により染め抜かれた欲望。 求め、願い、手を伸ばすが故に繰り返される希望と絶望に―――。 集められしは、世界を震撼すらさせる強大な力を有した数十人。それとほんの僅かな一般人が数名。 普通の人間とは掛け離れた人生を送り、その人生に見合うだけの能力を有する人々、そして何ら変哲のない平穏を送る人々であった。 彼等が一堂に介して開催されるは、己、もしくは他の命を救うためのゲーム。 勝者は一人。敗者はそれ以外の全て。 終わりのない戦い。決して抗いようのない状況から始まる遊戯で足掻く人々。 舞い降りるは救いか、全てを染め潰すような暗黒か。 駒は集められた。 あと必要なのは宣告の鐘だけだ。 開催を告げる、終焉を告げる、絶望を告げる前奏曲。 ならばここに記そう。始まりたる物語を、ここに。 その責任が私にはあるのだから。 私にしかできぬことなのだから。 絶望と希望が相まり、紡がれた物語。 その全てを今ここに記す。 そうして知ってほしいのだ。 彼らは、私たちは、矜持を貫いたことを。 その事実を、決して無かったことにしてはいけない。 誰でも良い。この物語を読んだ者は、どうか知っていて欲しいのだ。 決して絵空事ではない世界で、本当にあった戦いを。 ◇ 最初にあったのは暗闇だ。 1メートル先も見ることのできない程の、一切の光源も存在しない暗闇。 動かすことのできる首だけを回すも、見えるのは漆黒だけだ。 四肢は動かし方を忘れてしまったかのように、脳からの指令にぴくりとも反応しない。 動けず、見えず、まるで死んでしまったかのような状態。 そんな中で感じ取ることができたのは人々の気配だけであった。 異常な事態が肉体に影響して紡がれる多種多様の音。 荒い呼吸、すすり泣く音、助けを求める声。 そこには相当な数の人々がいるように思えた。 少なくとも十数人。程度の差はあれど、誰もが平常な精神状態からは逸脱していた。 当の私も混乱の極みにあった。 目を覚ましていきなりこんな状況にあったとして、冷静に思考ができる者などいるとするならば、その人物こそ異常である。 とはいえ、その異常に当てはまる人物が実際に複数も存在するのだから驚きだ。 今になってみても、彼等の思考は理解に至らない。 世の中には特異な人物がいるものだと、割り切るしかなかった。 閑話休題。 ともかく私は混乱の極みの中で時間の経過を感じていた。 何分、何十分、いやもしかしたら数十秒と経過していなかったのかもしれない。 事態の変容は唐突に現れた。 一斉に灯る人工の光。 天井や床の一面が白色の光に染め抜かれ、暗闇に慣れていた瞳に焼き付く。 網膜が傷付いてしまうのではとさえ思う発光の中で、この時ばかりは誰もが目を細めて暗闇を求めた。 「おはよう。みんな目が覚めたかしら」 そうしてようやく光に慣れ始めた頃、音が聞こえた。 透き通るような声であった。 女性のもの。落ち着きを含んだ大人びた声である。 人々は声のした方に視線をやり、声の主を視界に捉える。 そこには声の通り、妙齢の女性が佇んでいた。 「私の名前はプレシア・テスタロッサ。今回のゲームを取り仕切る者の一人よ。ゲームマスターといえば少し分かり易いかしら」 プレシアと名乗った女性は、一言で言えば奇抜な恰好をしていた。 胸元が大きく肌蹴たドレスからマントに至るまで、服装の全ては紫色に染められている。 それどころかマニキュアや口紅すらも紫色だ。 その名、その姿に集団の片隅で息をのむような音が聞こえるが、殆ど人々にそちらを伺う余裕はなかった。 誰もがプレシアの動向に興味を掻きたてられていたからだ。 ゲーム。 遊戯という意味合いの言葉もこのような異常下であれば、不穏な様相しか感じられなくなる。 「これから貴方達には殺し合いをしてもらうわ。元の世界に帰還できるのは、この中から最後まで生き残った一人だけ。 あとは何もルールなんて存在しないわ。どんな武器を使っても、どんな手段を使っても構わない。殺し、生き延びてちょうだい」 そして不安は的中する。 半分以上の参加者は、プレシアの言葉を殆ど受け止めきれずにいた。 あまりに日常から掛け離れた言葉に、理解の限度を越えて思考が止まる。 ポカンと呆けた様子でプレシアを見詰めるだけだ。 「おい、売女。そんなクソみたいなゲームに参加する奴がいると思うか?」 そんな中で、己を見失わずに一片の迷いもなく己を貫き通す者もいる。 動けぬ身体でもって叛逆の意志を告げた男は、プレシア以上に異常な面持ちを有していた。 ヒッ、と恐怖の声を漏らす者すらいる。 男は茶色のトレンチコートに、顔の全てを覆うようなマスクを被っていた。 白生地のマスクには、ちょうど人の顔が置かれる位置にインクを滲ませたような模様があった。 奇妙なことにマスクの模様は一定ではなく、意志を持つかのように蠢いていた。 「ロールシャッハね。あなたも貴重な被験者の一人よ。ゲームを楽しんで貰えると嬉しいわ」 「質問に答えろ。じゃないとその腐った乳房を切り落として喉に詰めるぞ」 「答えはイエスよ。このデモンストレーションを見たら皆こぞってゲームに参加してくれると思うわ」 「何を―――」 「そこまでだ。ロールシャッハ」 と、告げた瞬間だ。 マスクの男の身体が弾け飛んだ。 何の前触れもない。一人の人間の肉体を形成していたものは、今や赤黒のシミとなって周囲の参加者や床を汚すだけだ。 数秒の時間が経過して、ようやく人々も何が発生したかを認識できたのであろう、怒号が響き渡る。 狂乱の声。これまで積もり積もったものもあるのだろう。 人々は理性を失ったように叫び、恐怖を外へと吐き出していく。 「紹介するわ。彼は私の協力者のDR.マンハッタン。彼もゲームマスターの一人ね。役割は私と違うけど」 そんな恐慌状態の中、プレシアは新たな登場人物を紹介する。 何時の間にか、プレシアの横には存在していた一人の人間らしきもの。 全身がボンヤリと青白に灯されたそれは、姿形は人間ではあるものの到底常識からは掛け離れた存在でしかなかった。 「彼の役割はゲームの進行を阻害する存在の抹消。とはいえ、滅多なことでは彼は動かないわ。 今回もただ貴方達に現実を知らしめるためのデモンストレーションでしかなかった訳だし、あれくらいの反逆はこちらとしても大歓迎よ。 さてマンハッタン。彼を元に戻してあげて」 「分かった」 そうしてマンハッタンが手を翳した瞬間だ。 周囲を汚していたシミが消え去り、先程のマスクの男が現れた。 まるで何事もなかったかのように、だ。 「ここは……どこだ? 何だ。おい、どうなってやがる、DR.マンハッタン!」 叫ぶ男の声を、二人は聞き流す。 相対する人々は、今度こそ言葉を失った。 死した筈の人間が瞬きの間に元に戻り、動いている。 まるで夢でも見ているかのような出来事であった。 「さて、今からゲームの会場に皆をワープさせるわ。会場に降り立つと同時にゲームは始まりよ。 何をするのも自由。ゲームが始まれば私やこのDR.マンハッタンが手を下す事はないといっても良いわ。 ただゲームの会場に数十人が長期間過ごせるような物資は存在しない。当然資源は限られてくる。後は言わなくても分かるわね」 ……これが夢の中の出来事であったのなら、どれだけ救われたであろうか。 だが、そんな事はない。 全ては現実となって立ち塞がり、以後の私たちに強大な影響を与える事となる。 さぁ、綴りは始まったばかりだ。これから始まるは短く長い狂気の戦乱。 始まりの物語の締めくくりはこうだ。 最後にプレシアが紡いだこの言葉―――、 「―――さぁ、バトルロワイアルを開催するわ!」 上気した顔で、そう告げる表情は笑っていて、だが瞳は暗く濁っている。 こうして私たちの戦いは、始まった。始まってしまったのだ。 【ロールシャッハ@ウォッチメン 死亡】 【ロールシャッハ@ウォッチメン 参戦】 【感情暴走バトルロワイアル 開幕】
https://w.atwiki.jp/tekiyakusaikyou/pages/173.html
【ギャスケル大将軍】 【作品名】吸血鬼ハンターシリーズ(D-ダーク・ロード&D-邪王星団に登場) 【ジャンル】ラノベ 【名前】ギャスケル大将軍 【属性】貴族(吸血鬼) 【大きさ】2m超 【攻撃力】普通の吸血鬼以上怪力(数tを持ち上げ可能)で体格相応の剣を使う。 都から来た剣客も騎士も戦士も受け止められず塵になった。Dに受け止められ反撃された。 【防御力】 黒く染められた光装甲でできた甲冑装備。日の光の下で行動可能。Dの攻撃に耐えられない。 ギリス少将の攻撃を食らって行動不能になったが10分で復活。 貴族の再生能力は高出力レーザー砲で心臓を貫かれ、火薬式自動小銃で身体を裂かれ、 超音波砲で細胞をぐずぐずにされても再生する。砕けた骨がつながり、ちぎられた肉が癒着し、 破壊された眼球が網膜も水晶球も無から生み出される。 高度四万八千mから落とされ死ななかったが再生に数日かかる。その間に止めを刺された。 【素早さ】Dと互角。 Dの素早さ:移動速度は100mで5秒を切るぐらい。0.01秒で5m移動して相手に攻撃可能。 二段ジャンプ(仮名) 一瞬で大きさ3000mの巨人の胸ぐらいまでジャンプできる。 そこからの二段ジャンプで3000mまで到達可能。 マッハ3のライフル弾を剣で相手に跳ね返す。 5mの距離から散弾銃で撃たれたき、手に持った木の枝(葉っぱ付き)の一振りで弾を跳ね返した。 レーザーを剣で跳ね返す。 四方から迫ってくる雷を一瞬で切断できる。 【特殊能力】 天空から5000万ボルトの雷光を落とす。 妖気 万物の法則を狂わせ相手の五感を麻痺させる。 物質消失の法 あらゆる生命体、あらゆる物質を一切のエネルギー変換によらず消失させることができる。 最大射程は数百キロ。最大で千人単位で消すことができるがその場合行動に制限がでる。 任意発動。で所謂一瞬で消滅させたり目玉だけ空中に残しておくような消し方もできる。 効果範囲は体積で人間千人単位だから…成人男性の体積70リットルとして1000人だから70000リットル。 ttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B0%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83_%28%E4%BD%93%E7%A9%8D%29 参照にすると一辺10 mの立方体7つ分位。 隕石を呼び寄せピンポイント爆撃。直径5kmのクレーターができる威力。(到達速度不明) 地震、洪水、新種の妖獣や怪物の出現はお手の物。山一つ動かして村を一つ潰す。(発動速度不明) 【長所】物質消失の法等の豊富な特殊能力。 【短所】Dに滅ぼされるために神祖に復活させられた。 【性格】凶暴さ、残忍さ、冷酷さは並ぶものはない。 面白半分としか考えられないやり方で領民を苛み、彼だけが解読した超古代の技術を領民たちの身で試して虐殺した。 虐殺した人々の死体に防腐処置をしてピラミッド状に積み重ねると、その高さは500年で地上3000mに達する。 別銀河から飛来したエイリアンを初戦で破って貴族の間に「ギャスケル」ありと称えられた。 貴族を調べる人々に対するアンケートでは第三位を大きく引き離して「興味ある貴族」&「会ってみたい貴族」万年二位。 200年程前、人工血液と称して近隣の貴族に毒を送り全員を毒殺。 【備考】自分と同格の貴族三人でヴァルキュアと戦ったが負けそうになった。 D-ダーク・ロード本編で逃走、D-邪王星団しょっぱなにヴァルキュアの部下の一人にやられた。 主人公Dのかませ犬。 【戦法】相手が人並みなら物質消失の法。大きかったら隕石など使ってみる。 まとめ 【名前】ギャスケル大将軍 【属性】貴族(吸血鬼) 【大きさ】2m超 【攻撃力】物質消失の法:あらゆる生命体、物質を一切の消失させる。最大射程は数百km。 【防御力】超音波砲で細胞をぐずぐずにされても再生する。 高度四万八千mから落とされ死ななかったが再生に数日かかる 【素早さ】超光速 【特殊能力】万物の法則を狂わせ相手の五感を麻痺させる。 隕石を呼び寄せピンポイントで爆撃する。直径5kmのクレーターができる 【長所】物質消失の法 【短所】主人公Dのかませ犬 レーザー対応補足 Dとセルゲイの会話中、ローランド公ってのが地中からDの足元に登場、Dは飛びのいて回避、セルゲイはその場に尻餅。 その後セルゲイに向けてローランド公がレーザー(原文ビーム、吸血鬼ハンターD読本でレーザー)発射、 セルゲイの眉間30センチのところでDが刀身突き出して跳ね返した。跳ね返したビームをローランド公はぎりぎりで回避した。 参考 吸血鬼ハンターD読本 装甲甲冑:七人の「招きびと」のひとりゼノン公ローランドがまとう甲冑 ~途中省略~ 頭部にはめ込まれた二つの電子の眼からレーザーを放つ。 モーターによって装甲そのものが旋回し、地中深くもぐりこむことも可能。 ダーク・ロード2 レンズのはずの両眼が赤いきらめきを放った。 真紅の光条は、しかし、セルゲイの眉間まで30センチのところで遮られた。 真横に突き出されたDの刀身が跳ね返したのである。 ビームは甲冑を襲い、間一髪、神速の移動に、頭部の端を溶かしただけにとどまった。 あとDは盲目状態だった。 vol.106 843格無しさん2021/02/27(土) 15 35 37.47ID /fxLEPWw 868 ギャスケル大将軍修正 【素早さ】0秒行動可能なDと戦えるので0秒行動 再考察も行う ○スネ夫>ジャイアン>よっちゃん 消去勝ち △妲己 決め手なし ○サノス 消去勝ち △ネロ・オロトチ 決め手なし △シャナ 決め手なし △ある種族の進化の極限 物質ではないので消せないかな、決め手なし △ブラックミスト 同上 △ダークザギ 決め手なし △ガイオウ 同上 ○アカギ(ポケスペ) 消去勝ち (超常時能力の壁) ○ドロッセルマイヤー ふぁきあを消して勝ち △ポケモンハンターJ 消去と石化相打ち △キング・グッダー 消去と超新星相打ち △ギド 消去と女神の閃光相打ち △蝶ヶ崎 消去は押し付けられないか 消去と死の押し付け相打ち ×宇ヶ原 射程外、血颪千重塔負け ×ロンギヌスの槍=綾波レイ・No.カトル 射程外負け ×イシュタル>ミカエル 異次元からの干渉負け ×セフィロト 無理 蝶ヶ崎蛾ヶ丸>ギド=キング・グッダー=ポケモンハンターJ=ギャスケル大将軍 ドロッセルマイヤー 868格無しさん2021/02/28(日) 15 32 30.61ID rbNRAZl7 875 843 ギャスケル大将軍がDと戦えたって話だけど、Dの攻撃を防いだとかDの行動に反応できた描写はあった? あとDの素早さは神祖の参考テンプレとか一言書いておいて欲しい 875格無しさん2021/02/28(日) 19 13 32.70ID XZHrLXa0 868 わからないので考察は取り下げます 3スレ目 727 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2007/08/11(土) 07 30 10 ギャスケル将軍って最大どれくらいの大きさまで物質消去できるんだ? あと隕石落とすのにかかる時間は? 728 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2007/08/11(土) 07 42 59 1000人まとめて消せるから範囲としては直径30mとかそこからかね。適当だが 隕石は完全に情報待ちだな。 775 名前:格無しさん[sage] 投稿日:2007/08/11(土) 11 07 54 727 ギャスケル将軍って最大どれくらいの大きさまで物質消去できるんだ? 体積で人間千人単位だから…成人男性の体積70リットルとして1000人だから70000リットル。 ttp //ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%B0%E9%87%8F%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83_%28%E4%BD%93%E7%A9%8D%29 参照にすると一辺10 mの立方体7つ分でいいのかな? あと隕石落とすのにかかる時間は? 地震、洪水、新種の妖獣や怪物の出現はお手の物。山一つ動かして村を一つ潰す。 隕石を呼び寄せピンポイント爆撃。直径5kmのクレーターができる威力。 これ詳しい時間がわからないから考慮できない。テンプレから削除お願いします。 あと備考ちょっとだけ修正 【備考】自分と同格の貴族三人でヴァルキュアと戦ったが負けそうになった。 D-ダーク・ロード本編で逃走、D-邪王星団しょっぱなにヴァルキュアの部下の一人にやられた。 主人公Dのかませ犬。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1160.html
前ページ次ページT-0 目を開くと、摩訶不思議な光景が広がっていた。 まず、ぱっと目に付いたのは周りの風景。広大な大地の幾千先まで所狭しとゴミの山が積み上がっている。 網膜に入る光が極端に少ない、解りやすく言えば暗い。どうやら、今はまだ夜のようだ。 ここは明らかに自分の眠っていた部屋ではない、もはやトリステインですらないことは寝ぼけ眼のルイズにも直に解った。 しかし、なぜかルイズは慌てない。 確かに、どう反応していいのか困る事態ではあるが、不思議とルイズの心は落ち着いていた。 とりあえず、このままボーっとしていても仕方がないと考えたため、歩き出そうと一歩足を出してみる。 そして、その始めの一歩でルイズの心の落ち着きは崩壊した。 カシャン、と音がした。言うまでもなく、ルイズが一歩踏み出したところからだ。 ルイズは最初気にしなかった。周りを見て、コレだけわけのわからない――鉄のように見える――ゴミが四散しているのだ、 歩き続けていればゴミを踏んでしまう事ぐらいわかっていた。だからこの程度の雑音に心揺らされない覚悟はとっくにしていたのだった。 だが、足に何かが引っかかれば、それを見てしまうのは人の性だろう。 ルイズは足を止め、顔を俯かせて足元を覗き込み―――― 「――――――――ッ!?」 ――そして、息を止めた。冷たい汗が体中から一斉に噴き出した。 ルイズの足元には土や泥で汚く塗られ、風化したようにボロボロに朽ち果てた頭蓋骨たちが転がっていた。 「ひっ!?」 勢い良くのけぞったルイズは、その拍子に踵に引っかかった何かによって仰向けに転んだ。 背中に硬いものがちくちく当たる感触がする。そこから当たる物が何か予想したルイズは、恐る恐る首を振り向かせる。 そこにあったのも、やはり頭蓋骨だった。ただし、こちらのはルイズが圧し掛かったせいか所々欠けているものが多く、 その破片がルイズの背中をつついていたのだ。 気がつけば、ルイズは駆け出していた。 ――どこに? 自問自答する、行く当てなど無い。 それでも走らなければなれない気がした。そうしないと、この悪夢に精神がおかしくされそうだった。 走り行く中で気づく。周りに積み上がる鉄のようなゴミ山の中に、人――正確には、『人だったもの』――が多々混じっていることに。 引き千切られ、焼き焦がされ、皆絶望の顔のまま息絶えている。ひどいものでは、顔や体が一部なくなっている人もいた。 途端に吐き気が襲った。どうしようもないそれを何とか止めようと空を見上げたとき、ルイズはこの世界の真理を見た気がした。 「(――――夜なんかじゃない!)」 空はどす黒い雲で覆われていた。 暗黒の入り口と化した空を、奇妙な形の竜たちが爆音を轟かせて縦横無尽に行き交う。 そこに生き物の影は一つとして見られなかった。真っ暗な夜の砂漠のように、冷たい風がルイズの肌に吹き込む。 おぞましい惨状、ルイズは理解した。 この悪夢から逃れる術は無いと――――それは確信に近かった。 大慌てで踵を返し、再びがむしゃらに走った。もう、頭蓋骨を踏み砕こうが知ったことではない。 そのとき、視線の先に一人の人間が立っていた。距離にしておよそ10メートル。 助かった! ルイズは心の底から安堵した。誰かを見つけてこんなにうれしかったのは初めてだと思った。 人間は男だったが、そんなことはどうでもいい。考える余裕すらない。 出来る限り速く走り、息を切らした。距離にして後3メートルといったとき男が振り向く。 反射的にルイズの足は止まった。前のめりに倒れ、滑るように頭蓋骨の絨毯の上を転がる。 男は、昨日召喚したあの男だった。 無感情な鋭い目をルイズに落とし、闇を背景にして増幅させたあの威圧感をルイズに浴びせる。 それだけならまだいいだろう。ルイズもまだ、耐えれたかもしれない。 だが、彼女の繊細な意識は目の前の男の変化に、あっけなく弾け飛んだ。 男の顔は右半分の皮膚がズル剥け、銀色に光る頭蓋骨と赤く光る眼光がルイズを見つめていた。 ベッドから飛び起きた。 それはもう盛大に。木枠が軋み、床を強く衝いた。 額を拭うと、べたついた液体が手に張り付いた。寝ている間にぐっしょり汗をかいていたみたい。 「(無理無いわ。あんな悪夢、見たら誰でも絶対冷や汗かくわよ……)」 心の中でごちると、不意にあの夢が思い出されて体が震えた。風は入ってないのに、なんだか冷風を身に受けた感じだ。 それになんだか心臓がうるさい。出来れば体が落ち着くまで部屋で寝て起きたかったが、あいにくと授業を休むわけにもいかない。 大きく息を吸い、少しだけ気持ちを落ち着かせる。そして吐き出したときにはルイズの目に心が落ち着いた事を知らせる光が少ないながらにやどっていた。 ベッドから降りて服を取りにいく。 「――むぎゅっ!」 その途中、あるはずの無いところにある何か大きな壁にぶつかった。 「いた~、なんなの?」 片手で鼻っ柱を撫でるルイズはもてあますもう一方の手で黒い柱を触る。 硬くて、とても重い。自分の力なんかじゃ到底動きそうも無い。 ルイズの脳裏に次第に昨日の事が思い出されてきて、額から望まない汗がだらだらと溢れ出す。 顔を上げたくないが、ぺたぺた柱を触る腕が上に登るときつい同時に顔も上に上がってしまい―――― 「……………」 「……………」 直立不動に立ち、相変わらずの鋭い視線でルイズを見下ろしている男とばっちり目が合ってしまった。 ルイズの中で時間が停止した。厳密に言えば、錯覚なのだが。 機能停止したルイズの脳裏に、悪夢がよみがえる。 特に鮮明に映えるラストシーン。ハッピーエンドではなく、ルイズ的にバッドエンドな夢物語。 腰を下ろして目と鼻の先に移動した男の顔が、丁度ぴったりあの顔半分ただれた顔と一致してしまい、 「………………きゅぅ」 ショックのあまり、白目をむいて、ルイズは倒れてしまった。 「……え?」 ルイズの間の抜けた声が部屋に木霊した。 だが、目の前に立つ使い魔の男は依然として直立不動、無表情に鋭い視線を保っている。 なぜルイズが間抜けな声をあげているのかといえば、理由はごく単純だ。 気絶からしばらくして復活したルイズは(既に朝食はあきらめていた。間に合うわけが無い、と)とりあえず胸中でびくびくしながらも この使い魔のことを知ろうと名前を聞いてみたのだ。が、 「サイバーダインシステムズ・モデル101型 T-800」 淡々とした口調で表情一つ崩さない使い魔の答えは聞いた事も無い単語で、とてもふざけているとしか思えないような名前だった。 「なに? さいばーだうん? 101型T-800って? ……それがあんたの名前なわけ?」 「そうだ」 即座に、あくまで淡々と機械的に答える使い魔。 感情の篭っていない声は、普段のルイズなら苛立ちを感じるものがあったがこの状況と男の真面目な顔つきには それを通り越して呆れていた。 仮に偽名を使っているとしてもこんな名前は無いでしょう。と、それどころか男に対して多少なりに“ヒいていた”。 「(今時馬だって使わないわよこんな名前。だいたい、型ってなによ? 物や武器じゃあるまいし……なんでそんな数字がついてるの?)」 両腕を組み、むむ~っと頭を捻った。 こいつ、実は何かまずい魔法薬でも飲んでるんじゃないのか? とも考えたが、それにしてはロレツがはっきりしてるし、 常時やけに落ち着いた態度なのがその可能性が低い事を示している。 ルイズは今一度聞いてみた。ただし、今度の質問は問題を解くとき解らなかったら基本的なことに戻ってみるように、 もっと遡った原点回帰、というか、根本的な質問をしてみた。 「あんた、人間じゃないの?」 「ああ」 ……だめだ、こいつはやはり薬をやっている。 ルイズはため息をついた、今までさまざまなため息をついてきたこと(主に魔法の失敗)があったが、 今回は自分でも心底からの落胆の色がはっきり浮かんで見える。 せっかく、やっとの思いで成功した召喚の儀式で誕生した使い魔が、ただの……ううん、薬中毒の平民だったなんて。 ルイズはこの瞬間、自分はやはり落ちこぼれ何だと思い込んだ。 そして、全く事情を察してなさそうな使い魔に向かって、やけっぱちに言った。 「じゃあ、あんた一体何?」 使い魔は珍しく即答しなかった。 表情に変化は見られないが、どうやら返答に迷いを感じてるらしい。 少しの沈黙の後、使い魔はやや感情を込めた声で、言った。 「俺はターミネーターだ」 前ページ次ページT-0
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1605.html
954 :アトルガンの娘 ◆6/PgkFs4qM:2008/09/05(金) 00 19 24 それは人では成し得ない貴さと破壊を兼ね備える奇跡の具現だった。 目を眩ませる光芒は視界を奪うだけに留まらず、 無数の輝線は実体を持つに至り、 鋭利な針となって網膜の壁を幾重と焼き焦がしていく。 白き塊が天に弧を描いて降下していく様は、まさに流星の如く。 最速のサーヴァントの名に恥じないその姿は地を駆ける生物を超えて星となり、 天界を追放されたとはいえ、女神の名に偽り無い奇跡を体現していると言えただろう。 誰にも追い付けず。誰よりも貴く、速く。 それは騎兵の位を与えられた自負に勝る矜持であり、彼女自身、制御出来ない感情だったに違いない。 「――――、ア」 ならば、これをどう凌ぐ。 否、どう凌ぐかという問いは正しくない。 ランクAに相当する直感の技能は、予測や対策といった思考順序を飛ばして、 既に一つの結論に辿り着いていた。 “――――コンマ数秒の後に残される物は、深く抉れた地面だけ” これは回避が成功したという都合の良い未来じゃない。 私の姿が映っていない結果が示すのは、間一髪攻撃を避けて逃げ切ったという意味ではなく、 その真逆、一片の細胞も残さずに私の体は蒸発するという事実。 直撃すれば、残される物なんて欠片も有り得ない。 それがライダーの有する対軍宝具の威力だった。 ――――ならば、これをどう凌ぐ。 「……チャ」 間断なく視界を埋める光は尚も白く輝き、 目を刺す棘は時間を経るにつれて鋭く長く瞳の奥へと食い込んでいく。 滾る脳裏を掠めるのは、何時だったか、私を守る盾になると微笑みながら語ってくれた彼の姿。 なればこそ、その誓いを今。 成すべきことを成せぬまま、私はここで命をくれてやるつもりなどない。 「アーチャー! 盾を……っ」 「――――ああ、任された」 呼び掛けに応じて私から光を遮るかのように立ちはだかる大きな背中。 淀みなく寄越された返事が言い終わるや否や、四方に展開されていく七枚の花弁。 熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)。 攻防は一瞬。 一層深く煌く流星と花弁の衝突は、衝撃のみで周囲の木々を薙ぎ倒し、 盾を挟んで尚、その威力の一旦を垣間見せられる。 ぶつけ合う互いの一撃の威力は対城宝具の解放に引けをとらない。 宙を飛び交う野鳥の囀りもまた一瞬。 かつてトロイア戦争の英雄アイアスが所有していた七枚重ねの盾は、 光の威圧を完全に遮断し、迫る流星を花冠の如く包み込み、相殺することで己の役割を全うした。 畏怖すべきは対軍宝具をも受け止める盾の堅牢さか。 もしくは、音速で移動する私達から付かず離れず距離をとり、 あらゆる事態を想定して予め宝具を投影し終えていた弓兵の卓越した戦巧者ぶりか。 私ですら息を呑むその鬼気は、まさしく彼が一流の戦士であることの証明に他ならないだろう。 「生き残るのは……」 「…………」 「この世の真実だけだ。真実から出た誠の行動は決して滅びなどしない。 俺が英雄となった現在も。かつてのお前が己のマスターに抱いた想いも。 そして今のお前の行動が真実から出たものなのか? それとも上っ面だけの邪念から出たものなのか? それはこれからわかる……」 刻み込むは八節の詠唱。 投影から間髪を入れず咆哮する魔術回路。 「――――I am the bone of my sword.(体は剣で出来ている)」 「アーチャー!? 固有結界を使うのですか!?」 「Steel is my body,and fire is my blood(血潮は鉄で、心は硝子) I have created over a thousand blades.(幾たびの戦場を越えて不敗) Unknown to Death.(ただ一度の敗走もなく) Nor known to Life.(ただ一度の理解もされない)」 「チッ」 ライダーの頬から一筋の汗が垂れる。 宝具とは英雄それ自体を表現するシンボルだ。 彼の者が経てきた伝承や栄光、風聞が凝縮して形を得たと言っても過言ではなく、 それ故に、秘蔵の奥の手であると同時に自身の弱みを晒すという意味も含められている。 だが、その原則ですら、弓兵を躊躇させるまでには至らない。 彼を死角に追いやるものがあるとすれば、それは――――。 「む、これは……?」 彼方より響く八節の詠唱を妨げる法螺の音。 それが意味することは、一つの真実。 「終わりです。セイバー。アーチャー」 「どういう意味だ? ライダー」 「死者の軍が撤退していく様が見えます。 戦は終わった。どうやら今回の侵攻に皇国軍が耐え切ったということらしいですね」 慌てて皇都の方角を見据えれば、 戦の痕跡であろう黒い煙こそ幾つか立ち昇っていたが、 先程より耳を木霊していた怒号は嘘のように静まり返っていた。 知らずと内より生じる歓喜が、汗に濡れる頬を肩を柔和に緩ませる。 今回も皇国軍は勝利を手にすることが出来た。 そして、今私達が合い争う理由も最早…… 「いえ、それは出来ません。私には死者の軍に居続けねばならない理由がある」 「どうして!? もう聖杯戦争は終わったのですよ! 私と貴女が戦う理由など!」 苛々する。彼女という人間が、憎らしくて堪らない。 戦いたいなら戦えばいい。敵になりたいというのなら敵になればいい。 拒む理由など欠片もない。挑むのなら、一切の例外なく臆さず受けようではないか。 けれど、ただ一つだけ許せないものがあるとすれば。 どうしてそんなに―――― 「――――忘れませんか?」 ――――貴女は泣きそうな顔をしているのだろう。 「……何だと」 「今までのこと。聖杯戦争でのこと。 衛宮邸で過ごした日々。サクラのこと。士郎のこと。貴女のこと。 全て。何もかも……無かったことに」 「ふざけるな、ライダー。 その様な都合の良い解釈、私は決して認めない。私は……」 ライダーは答えず、言い終わるより早く木の頂へ飛び移る。 「サクラをお願いします、セイバー。 そして同じく伝えて頂けませんか。忘れて欲しい、と」 言いたいことは山ほどある筈なのに。 次の言葉は腹立たしい程に見つからず、 彼女は寂しげな笑顔を向けたまま、背を向けて風と消えた。 「…………」 「…………」 滑稽にも。 サーヴァントが二体も肩を並べる状況にありながら、 数分の時間を経た今でさえ出すべき言葉が見つからない。 果たして過ぎ去った危機に安堵すべきか。果たして抜け落ちた心の穴を嘆くべきか。 「……そういえば、礼がまだでしたね、アーチャー。 その、ありがとうございました。貴方が駆けつけてくれなければ、私は恐らく……」 「いや、ああ見えて危うかった。 ライダーの宝具を防ぐ際に私の魔力は使い果たしてしまったからな。 ハッタリでもしなければ切り抜けられない状況だったよ」 「ハ、ハッタリ、ですか? まったく、貴方という人は……」 「ふむ。呆れる前に、死にたくなければ薮に隠れろ」 「は……?」 彼の言葉を理解するよりも早く、直感は疲弊した身体を後方へ突き飛ばし、 次いで視線の先を追い求め、疑念の正体を確認する。 数多の樹林を越えた先に存在したのは、先程矛を交わしたラミアの群れとは一風違った、 全身を膨張した筋肉に包む妖精達の姿。 一匹……二匹……否、数を数えることなんて無意味な行いに過ぎない。 それは斥候などといった偵察に収まる数ではなく、 全身を覆う金属鎧然り、肩に担いだ巨大な両刃斧然り、明らかに侵攻を目的とする群れを成していた。 そして、その数は先程の死者の軍より勝るとも劣らない。 「馬鹿な……トロール傭兵団だと!? 有り得ない、死者の軍と連続して侵攻して来るだなんて……」 「だが現に奴等はここに居る。 以前より敵同士の連携が緻密になってきたのか? それは分からないにしても、我々が危地に陥っているという事実は変わらないが」 冷や汗が額や背中を不快に濡らし付ける。 宝具を展開したアーチャーは言わずもがな、ライダーとの戦闘を経た今の私共々、 この戦を乗り切るだけの残存魔力は涙が込み上げてくる位に乏しい。 このまま奴等に挑んだ所で返り討ちにされるのが関の山。 だが、だとすると同じく一つの戦を経て疲弊しているであろうアトルガンの人々は? 汗は留まることなく服に染みを広げていく。 我が主に再開しないまま、ここで死ぬつもりなど毛頭ない。 しかし、ならば私は一体、どうすれば……。 「このまま隠れてやり過ごすぞ、セイバー。 今出て行った所でむざむざ死にに行く様なものだからな」 Ⅰ:隠れる Ⅱ:皇国へ戻る 投票結果 Ⅰ:2 Ⅱ:5
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/442.html
第025話 「変調(前編)」 後ろ手でぴしゃりと扉を閉めると、ヴィクトリアはひどく荒い息をついた。 部屋の中から千里の声がした。心配しているのだろう。 それを何とか押し込めて部屋から出てこないコトを祈りつつ、ヴィクトリ アは自室に向かって駆け出した。 変調。 にこやかに話すだけだった平穏でちょっと蒸し暑いだけの夜が、一気に 激しい魔性を帯びて洗いたての肌にまとわりついてきた。 自室を目指してどうするのか。 早く武装錬金を展開して地下に潜れ。 最良の解決策はそれだけだ。 脳内で冷たい老婆の声がリフレインするが、彼女は何をどうすればい いかまったくわからない、取り乱しきった表情でただ自室に向かっ て走り続けた。 そう。老婆よりも若々しくも冷酷な声が背後からかかるその瞬間まで。 ただ茫然とアスファルトの上に立ち尽くす他ない。 心に芽生えた寂寥誤魔化し、夜空の星々見上げても、あぁ溢れる涙が 輝くスクランブルエッグを網膜に投影してくるだけである。 「えぇー。秋の日はつるべ落としと昔から申しますがまだまだ九月も初 頭の折り、無銘くんでいうなればくんすかくんすかすぴすぴと常に息づ くお鼻のように全くまだまだ先頭であるでしょう。しかるに思考に暮れて おりますれば夕日もまたいつやら暮れてすっかり空も濃紺色。あぁ、 やはり不肖は夜道を行くべきではなかったのです」 人気のない道路に佇む影は本当にどうしようもなく小さい。 タキシードを着てシルクハットを被っている、そんな風体は何かのサー カスで余興にマジックをやる子供よろしくいかにも「ペットに服を着せる 感覚で大人が子供に押しつけました」という雰囲気が漂っているが当 人自体は純然たる趣味で納得してその服を着ている小札はくすんと涙を拭っ て、わが身に振りかかった出来事を回想した。 「ダメじゃないか子供がこんな時間に歩いてちゃ」 「こらーっ! 小学生が夜遊びなんかするな!」 「家はどこだ。五時をすぎたら子供は家に帰るんだ」 「うぅ、警官の方々。職務に忠実なのはいいですが」 早く大きくなってほしいと願ってやまない手の甲でまなじりを拭ってから 「十八歳なのです不肖は」 小札は青菜に塩といった態をヤケクソ気味に誤魔化して考え始めた。 「さぁ気を取り直して議題に再挑戦! さてどうすれば早坂秋水どのを 捕まえられるのでありましょう! もりもりさんからのこの依頼、正面きっ ての正攻法ではとてもとても無理不可能危険無限の大・難・題っ! 不肖のマシンガンシャッフルがエネルギーを放つ以上、かのソードサム ライXなる日本刀に吸収されるは火を見るより明らか、そうしてバリアー を破られますれば不肖は逆胴を喰らい上下に景気よく真っ二つ……」 脳裏に去来するおぞましい光景に、小さな体の輪郭ががぴきぴきーっと 波を立てて震えた。 「まったく戦慄を禁じえませぬゆえに、策を練るのは正に必須! 香美 どのと貴信どのは先日の戦いにより療養中、無銘くんは武装錬金の特 性が割れた以上出撃しない方が得策、もりもりさんはきっと別な策を練 っているに違いありませぬ」 なお小札のいる場所から五分も歩けば寄宿舎に着くが、流石に単騎 殴り込んで秋水をかっさらうほど胆力は強くない。そんな胆力があれば 先ほどの警官に実年齢を強く主張して押しのけただろう。 「実力行使でそれが可能なのは鐶どのぐらい。ちなみに現実には”ウ ソをつくな”の一言で帰宅を命ぜられた不肖のトラウマいかにすべき なのでしょうか…… あぁ、ロバなのにトラウマ。不肖はちょっとしたキ メラ状態」 とても悲しい。キメラな自分よりも身長が伸びずいつまで立っても公共 交通機関を大人料金の半分で乗れる自分の方が悲しい。 「むむ。さてどうしたものか。お一人で外出してくれれば手の打ちようも あるのですが……ともかくも不肖は断言するのです、頑張らなくては! と。ウルトラマン超闘士激伝に出てきたマザロンみたく頑張らなくっちゃ ーと思うのですえいえいおー!」 後半の声はもうほとんど叫びで、「えいえいおー!」に至っては片手の マシンガンシャッフルが月に向かって大きく突き上がった。 まひろが月を見上げてしまったのは、カーテンが開けっ放しだったからだ。 自室に戻って電気をつけると窓だけ真黒だった。 閉めようとした。そしたら視線が吸い寄せられるように空を上っていき、 とうとう月を捉えてしまった。 ひどい心痛が走った。胸を押さえながら顔を俯かせ、痛みが過ぎていく のをひたすら待った。 一過性だ。文字通りの。 いまある痛みの激しさも、「痛みが過ぎていく」という感覚も、等しく一過 性の物で、月にいる大事な存在を取り戻さない限り完全に治らないのは 分かりきっている。 まひろは力なく首を横に振ってから、飛びあがらんばかりに驚いた。 「体調が悪いのか」 秋水の声だ。なんでいるのかとまひろは一瞬で五億回ぐらい反芻して 五億一回目で原因に気付いた。 (あ、そうだ。劇の練習についてきてもらったんだ) すっかり忘れていた。恐らくまひろの短期記憶についてはキャパシテ ィが極端に小さいか、それとも星のカービィSDXよろしく非常に飛びや すいかのどちらかだ。 だからかまひろは、自分の一連の動作を秋水に見られていたと気づく までさらに数秒を要し、それから固まった。 (……どうしよう。この前みたいにまた気を使わせちゃったら) 躊躇が逆に致命的だった。固まっている間にもカーテンは開けっ放し で、黒々とした外の気配が流れ込んでいる。 それは表情よりも明確にまひろの心情を秋水に伝達した。 剣において相手の微細な動きから次なる一手を洞察する秋水だ。 後姿といえまひろの首が夜空の上を見たのを目撃した後に、こういう寂しい 気配を見せられて大体の察しがつかない筈がない。 そも、何だかんだと縁を持っているのもまひろの思う「この前」、つまり 「月を見上げて泣いているまひろと遭遇」 したのがきっかけであるから、当然といえば当然か。 秋水もまた躊躇した。話題を避けるべきか否か。 ただし避けたとして解決にはなりえず痛みを後々まで引きずらすであろう コトは想像に難くない。 彼には桜花という大切な姉がいるが、二十年足らずの短い人生の中 で桜花を失いかけて絶望に暮れたコトが三度ある。 餓死、病死、失血死。いずれも思い出すだけで恐慌が走る記憶だ。 その痛みが秋水から取り除かれたのは、決して放置のおかげではない。 経験則からいえば具体的施策なくして心痛の除去は叶わない。 上記の考えを記憶と共にたぐるうち、もう一つ新鮮な映像が去来した。 「そういえば、キミにはまだ話していなかったな」 例のフザけた劇練習の後、今後の特訓の予定を聞きに防人を訪ねた 秋水は意外な話を聞かされた。 「武藤まひろは俺が戦士だというコトを知ってるぞ」 だから秋水と防人の特訓を見て、特に疑問を抱かなかったのだろう。 しかしどういうきっかけでなのか。カズキと斗貴子については例の銀成 学園での一大決戦時にまひろたちに戦士であるコトが知れ渡ったと聞 き及んでいるが…… 「戦士・カズキが月に消えた後だ」 その事実を防人はまひろと千里、沙織、そしてカズキの友人たちに伝 えた。 雨の日だったらしい。 夏に似つかわしくない寒々とした雨と同じように、まひろは普段の温厚 も明るさも忘れ去り、防人にすがって泣きじゃくったという。 「……正直、俺も辛くてなあ」 まひろは泣きながらなぜ防人がそういうコトを知っているのか、嘘では ないのかと必死に質問を繰り返してきて、その顔がむかし抹殺を告げた 時のカズキの顔と似ていてますます辛く、それでついつい自分の身分 を明かしてしまったと防人は語り、こう締めくくった。 「それでも、お前と仲良くなってからは幾分表情が明るくなってきている」 一体何をしてやれるのか。何をしてやれているのか。 見当はつかないし、全てを解決してやる術もない。 誇れるのはせいぜい剣技のみ。 それとてかつての主目的を達成させるに至らなかった。 けれど何かに突き動かされるように思っている。 どこか自分と似た境涯の少女に何かをしてやりたいと。 だから身一つで動くしかない。 実感の籠った言葉でせめて共感だけは伝えたい。 秋水は静かに言葉を紡ぎ出した。
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1025.html
ZombiU part68-457~460 457 :ZombiU:2015/12/27(日) 20 34 45.46 ID xxt9P0Pg0 ZombiUを簡単に 2012年wiiuで発売された3Dアクションのゾンビゲーム。 2012年の夜のロンドン、街中は荒れ死体だらけ、さらにゾンビがあふれかえっていた。 主人公(名前、見た目、性別、職業はランダム)はゾンビから逃げ回り、そして周りの道路を囲まれる。 そこにスピーカーから地下鉄に逃げ込めと男の声がする、言われるまま逃げ回り最後にダストシュートに落ちる。 気が付けばベッドの上。地下鉄のトイレ近くを改造したのであろう隠れ家。 いろんな荷物とともにパソコンや、いくつものディスプレイ、またアイテムを預けられるボックスがある。 またスピーカーから声が聞こえ、プレッパーと名乗る。彼はこの事態を知っていたと言い、備えていたのだと。 机の上にあるプレッパー・パットを貰う。これはマップを表示したり、レーダー機能や、ハッキングしたりできる。 また隠れ家近くにリュックを背負ったゾンビがおり、そいつをクリケットバットで殴り殺し、リュックを貰った。 これから生き残るために、彼の指示の下で物資や武器の調達、各地にあるカメラのハッキングなどを行っていく。 ゾンビは人間を食らい、音や光に反応する。 主人公はたいして強くない、死ぬとゾンビになり、別の主人公に変更される。別の主人公もまたこの隠れ家からのスタート。 アイテムなどはゾンビになっても所持したままで、倒して奪いにいかなければならない。 スーパーに調達に行く、途中でマンホールを開けておくと隠れ家から行き来できるようになる。 ここから戻るとゾンビが隠れ家に押し寄せるので退治。次に武器の調達の為、軍人が守っているバッキンガム宮殿へ行く。 守っている兵士は全滅しゾンビ化、女王などはすでに避難している。 宮殿内部では通信ができない。先に進むと、ピーター・ナイトという王室の医者と会う。 彼は隔離室でゾンビについて研究していた。主人公に治療の研究の為の本を取りに行ってほしいと頼む。 図書室から「秘伝療法」、続いてさらにロン・フリードマンの家から「感染の研究」の本。 それらを持っていき、ピーターが読むと治療薬が作れると言った。ジョン・ディーの手紙にそれが書いてあると。 レイブンズと呼ばれる者達が持っている手紙にコードがあり、それを七通集めてほしいと頼まれる。 ちなみにピーターはすでに半分ゾンビ化しており、薬で進行をとどめている。後半になると咳込み始める。 ここでのやりとりはプレッパーは知らない。 各場所で通信や、手紙から情報を集めていく。 四百年以上前に、ジョン・ディーと言う王室付きの科学者がいた。彼は予言者でもあり、様々な事を予言していた。 彼はかつてロンドンで発生した黒死病の治療薬「パナケイア」を作ろうとしたが出来なかった。 ジョン・ディーの予言から国を守るため昔、国はそのための組織レイブンズ・オブ・ディーを作った。 そして今回の腐敗病によるゾンビの大量発生も予言していた。しかしいくら組織が言っても国は信じない。 ジョンと呼ばれる男(プレッパーの事、おそらくロン・フリードマンの仇名)は銃を持って王家に行き、直訴しようとした。 しかしその前に兵士に銃で撃たれ、有罪判決。精神病院に入れられ、七年後に釈放される。 病院から出たジョンは性格が変わり、破滅的な思考になる。 レイブンズ・オブ・ディーの者達の考えでは、予言は警告であり、防げるものであると考えていた。 しかしジョンは予言は絶対であり、腐敗病によって世界は滅びかけ、少数だけが生き残るのだと考えた。 この考えの違いから軋轢が生まれ、ジョンは組織を追い出され、さらに同じ組織の恋人だったソンドラとも別れた。 458 :ZombiU:2015/12/27(日) 20 35 56.25 ID xxt9P0Pg0 その後、武器の調達の為、かつてプレッパーの上官の元に行く主人公。しかし大佐はすでに死亡していた。 そこでゾンビを撃っていたソンドラと会う。彼女はロンドン塔からヘリで脱出すると言った。 プレッパーはレイブンズは烏合の衆で頼るなと言われ、行くならもう助けないと通信を切る。 主人公はゾンビを倒しながら、ロンドン塔を登る。だが待っていたヘリに大量の烏がぶつかり、ヘリは墜落した。 他の脱出方を探し、見つかったら連絡するとソンドラは去る。 その後、プレッパーから通信が入り主人公を慰める。治療も避難もないが、主人公は生き残る事は出来ると。 次にプレッパーに言われヴィグラムの家に燃料を貰いに行き、そこで抗生物質がほしいと言われ近くの保育園に取りに行く。 ヴィグラムの家に戻るとゾンビ化しており倒して、燃料を貰って帰る。 途中でセント・ジョージ教会から助けを呼ぶ通信が入る。あそこは壊滅しているはずとプレッパー。 物資もあると言うので見に行く。生きた人間に後ろから殴られ主人公は気絶。 気付けば檻の中、出れば荷物を奪われ拳銃一丁だけ。ゾンビとの殺し合いのショウをさせられる。 スピーカーの話から何人もの人が犠牲になっているようだ、倒してもどうやら生きて返す気はないらしい。 しかし途中で観客していた者達の所にもゾンビが乱入し全滅。主人公はなんとか荷物を取り返し、逃げのびた。 レイブンズ達の死体からとか集めた七つの手紙をピーターに届ける。これで治療薬パナケイアができるとピーター。 時間がかかるらしいので、一度隠れ家に戻る主人公。 そこにピーターから通信が入る、治療薬ではなくワクチンだがパナケイアが完成したと苦しそうな声で言った。 それを聞いて怒るプレッパー、ワクチンなんてありはしないし、今回の問題を引き起こしたのは王国だと言い放つ。 人に隠れてこそこそと、そこに行くならコンビは解消だとプレッパーは言った。 バッキンガム宮殿の研究所にピーターはいない。レコーダーがあり、王室居住区にデータをバックアップしたとの声。 またパナケイアに関して誰かに通信したとも。探すとピーターはゾンビとなっていた、倒し眼球をもぎ取る。 網膜スキャンを使い、王室への扉を開ける。王室内の金庫内のパソコンから、USBを取り戻る。 警報が鳴りゾンビが増え、シャッターがいくつも降りてきた。地下下水道を通り脱出、途中で軍隊から空爆の警告が入った。 外に出るとソンドラから全国民に通信。最後の救助ヘリが来る、これが飛び去れば空爆を始めると言った。 ソンドラがパナケイアに関する通信を傍受していた。世界中の人が助かる、なんとかロンドン塔にきてと。 最後の隠れ家、プレッパーが罵倒する。自分の目に隠れてレイブンズと手を組んでいたのかと。 助けてやったのは誰だ、どいつもこいつも、最後まで生き残るのは私だ。 途中からスピーカーからではなく生の声となる。さっさと隠れ家から出て行って、死にやがれと言い放った。 ロンドン塔に向かう主人公。途中にゾンビがなぜかあふれかえっている。もう隠れ家には戻れない。 主人公が出て行くと、今まで隠れ家の開かなかった扉が開き、中から片足の男が現れる。 男はアイテムボックスから物資を取り、それを自分の部屋へと持っていき貯蔵する。 そしてたくさんのモニターに映るカメラの映像から、一人の新しい主人公に話しかけた。応答せよと。 スタッフロール ここから死ねばバッドエンドの一発勝負、なぜかゾンビがいっぱいのロンドン塔へ。 死んだらそのまま空爆。ヘリの場所にたどり着くと、梯子を上って助かる。そして空爆。 459 :ゲーム好き名無しさん:2015/12/27(日) 20 47 25.79 ID rhyOjobn0 乙 つまりプレッパーはずっと隠れ家にいて(片足だったから)、そこから見つけたから市民達(主人公達)に指示を出してたのか 目的は自分(と主人公の誰か)が生き抜けるだけの物資を蓄えることだったんだろうか 460 :ゲーム好き名無しさん:2015/12/27(日) 20 51 52.25 ID xxt9P0Pg0 書いといてあれだが、プレッパー=ジョンはほぼ確実だが、ロンかどうかは確実じゃない ロンの家に感染の研究の本、ジョンへの手紙があり、ソンドラが何度も通信していたのが根拠 でもプレッパーは、ロンは大ぼら吹き野郎で話を聞かないほうがいいとか言ってたし あと途中でゾンビの幻覚が見える。こっちに走ってきて消えたり、こっちが近づくとノイズが走って消えたり あれが何を意味するかは分からん。それとプレッパーが言っていた王室のせいでウィルスがばら撒かれた話 ジョン・ディーの正体とかも。続編でも出たらわかるかも
https://w.atwiki.jp/tamagrail/pages/45.html
『歌姫(ディーヴァ)プロジェクトだと…? 能力者の完全支配だと…? …くだらん』 紅白の甲冑を身に纏った少年は、そう吐き捨ててボクに銃口を差し向けた。 『皇神(ヤツら)のようなクズが、バケモノどもを律したところで―― その先に待つのは、破滅だけだ だからこそ…能力者(バケモノ)どもは一匹残らず根絶やしにしなければならない… オレたち“人間”が生き残るために…』 その瞳は憎悪に燃えている、何を言っても無駄だろう。 理解はできない。だが彼の言い分には理があり同情できるものだった。 「アスタラビスタ…GV」 彼は、正しかったのだろうか。 己の父とも呼べる人間から撃ち抜かれたボクは、そんなことを考えた。 胸から血がとめどなく溢れる。 「君もだ、シアン」 霞む意識の中、倒れこむシアンの姿が見えた。 彼女に渡しそびれた小さな宝石を、強く握りしめる。 ボクは彼女を守れなかった、それだけを考えてボクの意識は闇の中に沈む。 この悲劇は長きに渡る惨劇の始まりに過ぎない、そのことをボクはまだ知らなかった。 「あれ…ここは?」 聞き覚えのある声に呼ばれた気がして目覚めたボクの網膜に映るのは、目まぐるしく変わる窓越しの夜景と、眩しい蛍光灯。 がらんどうの電車の車内に、ボクはいた。 眼前で己の手を握っては開く。手の感覚はある。 窓ガラスを見ると、反射した己の蒼い目線と視線が合い、電車の動きに合わせて揺れる己の金の髪を見た。 影もある、間違いなく生きている。 先ほどまで見ていたのは、ただの夢だったのだろうか。 「ごめんなさい、起こしちゃった?」 横から聞きなれた声が聞こえた、目覚める寸前に聞こえたあの声と同じ声。 夢の中で倒れた彼女、シアンの声だ。 やはり、先ほど見たものはただの夢だったのだろう。 「大丈夫だよシアン、気にしないで。」 彼女に心配を掛けぬ様落ち着いて答えたが、一間あって返って来た彼女の声にボクは凍り付いた。 「シアン…って、誰?」 彼女は何を言っているんだ。 動悸が止まらない。何かを言おうとした口が開かない。 目の奥がチリチリする。 見てはならないものがボクの横に居る。ボクの第六感はそう告げていた。 「マスター?どうしたの?」 心配する彼女の声に応じて、ボクの首はようやく動いた。 顔を横に向けると、白い長い髪の少女が視界に入った。 ボクを見つめるその瞳は、シアンと同じ。いや、アキュラと同じ紅の美しい色をしている。 ボクの隣にはシアンとは違う少女がいた。 「ごめんキャスター、寝ぼけてたみたいだ。」 あれは、夢ではなかった。 死んだはずのボクは何故かこの東京に呼ばれ、そして彼女を召喚したのだ。 「…ミチル。」 アキュラの双子の妹、シアンの持つ電子の妖精のオリジナル。 それがボクのキャスター、神園ミチルだった。 「うなされていたけど、大丈夫?」 「夢を見ていたんだ。 アキュラに…ボクの大切な人。色々な人が出てきたよ。」 「アキュラくん、アキュラくんか…」 実の兄の名を彼女は噛みしめるようにつぶやいた。 僕とシアンの亡き後、何が起こったのかは先ほどと同じように夢を見て知った。 端的に言うと、悪夢は繰り返された。 「アキュラくんにはね、幸せになって欲しかったんだ。」 「うん。」 アキュラは、あの後戦い続けた。 例え己の敵を誹れる身体で無くなろうとも、例え父の無念を晴らせずとも。 自分の頭で考え、追い求め続けた。 「結婚して、家庭をもって…毎日笑顔で暮らせるようになって欲しかったんだ。」 「うん。」 そして、ボクが彼女(シアン)と出会った時から始まった全てに終止符を打ってくれた。 ボクにはできなかったことを彼はやってくれた。 幸せになるべきはボクのような孤独な人間ではなく、彼のような家族と、社会と、人類と関わって互いに支え合える人間だ。 ボクもそう思う。 「でも…私は足手まといで…。私のせいでアキュラくんも、人類(みんな)も誰も幸せになれなくて…世界が…無茶苦茶に…。」 そんなことはない。 その言葉が、喉で止まった。 その無茶苦茶になった世界で、誰よりも苦しんだのは他ならぬ彼女(ミチル)だ。 ボクが彼女(シアン)と出会って救われた一年にも満たない日々のために、あの果てしない地獄を肯定しろというのか。 気休めの言葉すらかけられず、ボクは沈黙したまま項垂れるしかなかった。 「…キミの本当の願いは何?」 「私が生まれてくると、みんなに迷惑が掛かっちゃうみたい。」 シアンにはほんの一時の安らぎしか与えられなかった。 アキュラとミチルにはボクとシアンの悍ましい再演を押し付けてしまった。 無能力者は淘汰され、能力者は万民頭の中の自由すら許されぬ管理が待っている。 彼女が言っていることは正しい。 「だから、私は…私を産まれてこなかったことにしたいの」 その選択であれば、確かに大勢の人間は救われる。 ただ、シアンと出会えないボク一人を残して。 目を瞑り、彼女に最後の問いかけをする。 「それが、キミの願いなんだね?」 「うん。」 耳に聞こえるのは彼女と同じ声。 ボクの戦う理由はそれで十分だ。 自分に言い聞かせるように、決意するように己の目をゆっくり見開いた。 「わかった。ボクとキミで一緒に聖杯を勝ち取ろう。」 ターゲットは電子の謡精(サイバーディーヴァ)。 人々の絶望の抹消。 けれど躊躇っているこの感情(ココロ)の残滓は拭い去れない。 いつかの日と同じように、電車は動き始めた。 【クラス】 キャスター 【真名】 神園ミチル@白き鋼鉄のX 【パラメーター】 筋力E 耐久EX 俊敏C 魔力A++ 幸運E 宝具A++ 【属性】 混沌・善 【クラススキル】 陣地作成:EX 自らに有利な陣地を作成するスキル。 電子の謡精の使い手たる彼女は、電脳空間上に謡精のライブステージを作成可能。 道具作成 A 魔力を帯びた器具を作成する。 宝具:兄妹を導く、青い鳥を探す童話(ガンヴォルトクロニクルス)により蒼き雷霆の使用者の装備を作成可能。 詳細は宝具欄にて記載。 【保有スキル】 セプティマホルダー:A++ 旧人類を少数派として駆逐した存在。 (サーヴァントを除く)人間属性に対する攻撃力が大幅向上。 恒久平和維持装置:A 世界のためにその命を捧げられた証。高度な再生能力を誇る。 このランクであれば頭部の霊核を粉砕破壊されるまで再生可能。 自己改造:A+++ 自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。 ランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。 【宝具】 電子の謡精(サイバーディーバ) ランク:A++ 種別:対精神宝具 レンジ:100 最大補足:7000000000 モルフォと呼ばれる蝶を模した電子と音波で構成されたビジョンを介して他者の精神に干渉する精神感応能力。世界を産み直すクイーン。 高次元の生命体・霊体の波長を感知・操作することが可能であり、無能力者の生きた人間であればモルフォを介した破壊能力で干渉するのみであるが、セプティマホルダーと呼ばれる人種であればソナーによりその所在を把握することや精神干渉を行うことが可能。 また電子的な干渉能力や高度な情報処理能力も兼ね備えており、能力範囲が届けば全人類規模の能力者の監視統括も可能とする。 これだけの干渉能力がある分、本体が弱いはずはなく電子障壁(サイバーフィールド)と呼ばれるバリアを張ることや魔力弾の発射まで可能であり、楽園幻想と呼ばれる広範囲の音波攻撃もSPスキルとして持つ。 兄妹を導く、青い鳥を探す童話(ガンヴォルトクロニクルス) ランク:A+ 種別:対雷霆宝具 レンジ:10 最大補足:7 数多の時代・世界で電子の妖精の守護者として立ちはだかる蒼き雷霆の使用者(GV・アシモフ・アキュラ・RoRo・ブレイド・他キャスターの観測外のため不明)を召喚する。蒼き雷霆版レジデントオブエデン。 本来は単独行動スキルを持たない蒼き雷霆の使用者を一時的に召喚し、能力者や機械であれば電子の謡精の能力で強制的に従属させる宝具だが、装備品のみを現界させることやマスターたるガンヴォルトに魂の断片たるABスピリットを憑依させることで各技能を使用させることが可能。 The One(ザ・ワン) ランク:- 種別:対命宝具 レンジ:100 最大補足:1 死に瀕した己の愛するものを蘇生させる電子の謡精の究極の力。 マスターたるGVはキャスターの愛するものではないため当然範囲外ではあるが、副作用である覚醒状態を呼び出すことは可能。 【サーヴァントとしての願い】 己の存在の抹消。 【マスター】 ガンヴォルト@蒼き雷霆ガンヴォルト 【weapon】 キャスターが作成する蒼き雷霆使用者たちの武器。 彼本来の武装としては避雷針を打ち出すダートリーダーである。 【マスターとしての願い】 キャスターに聖杯を捧げる。 【参戦時期】 蒼き雷霆ガンヴォルト ノーマルエンド後
https://w.atwiki.jp/captaintsubasa6/pages/13.html
【ゲームモード】 ストーリーモード:日本、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、アルゼンチン、ブラジルの強豪7カ国の中から国を選択、コンピュータと戦っていく。 フリー対戦モード:あらかじめ設定されたチームを選択、コンピュータ戦または2P対戦を行う。 オールスターモード:登場する選手たちの中から好きな選手を抜擢し、コンピュータ戦または2P対戦を行う。 【ストーリーモード】 ワールドカップ優勝を目指して戦っていく。 最初に選択できるのは日本だけ。 決勝トーナメントで戦うのは、強豪6カ国のうち4カ国で、2カ国とは戦わずにゲームを終える。 どの国と、どの順番で戦うのか、ラスボスはどこかは固定されない。 一度クリアすると他の強豪国でのプレイが可能。 また、日本で再度プレイする時に終盤でどの国と戦うか最初に指定できるようになる。 何周もしなければならないため、外国でのプレイでは試合数が少ない。(そのぶん、初期レベルが高くなっている) 最初の試合でイベントが多い試合を行う。新必殺シュート修得エピソードの紹介が主な内容。 それが終わるとすぐにワールドカップ地区予選に入り、グループリーグ、決勝トーナメントに進んで行く。 [成長の個別/均等] 通常は活躍した選手に経験値が多く入るが、その成長をチーム全体で均等化するシステム。 「ガッツが尽きた選手を交代させたいが、控え選手に経験値を与えるのはもったいないので、ガッツが尽きたまま主力を戦わせる」 「たまには控え選手を出したいが、レベルに差が付いてしまっていて試合に出してもどうしようもない」 という事態を解消できる。 しかし、「一度も負けずにクリアするため、主戦力を集中して育てたい」「好きな選手だけを使いたい。他の選手を使うことは無い」という場合には不都合である。 従来通り活躍した選手がレベルアップしていくか、均等に成長させるかを最初に選択する。 【フリー対戦モード】 ストーリーモードに登場する国から選択して対戦する。同一チームでの対戦も可能。 ストーリーモードをクリアすると使用可能なチームが増えていく。 一部の必殺技はストーリーモードで修得イベントを見るまで使用できない。 【フリー対戦モード用チーム】 ストーリーモードの進行によって使用可能になるチーム。 同一人物が複数のチームに在籍する場合もある。 チーム名 使用条件 備考 日本2 若島津をフォワードで起用して日本でエンディングを見る 若島津がフォワードになっている場合のチーム。 南葛 日本でエンディングを見る 翼、岬など南葛SC・中学・高校のメンバーを集めたチーム。正ゴールキーパーは森崎で、若林は控えにいるため初期配置に注意。 サンパウロユース ブラジルでエンディングを見る 翼、バビントンなど2~3のサンパウロFCのメンバーを集めたチーム。 サンパウロFC イタリアでエンディングを見る 翼、ストラットなど4のサンパウロFCのメンバーを集めたチーム。 ACミラン オランダでエンディングを見る ファンベルグ、ピピンなど4のメンバーを集めたチーム。 ヨーロッパ選抜 ドイツ、フランス、イタリア、オランダでエンディングを見る シュナイダーやピエールら翼と同世代の選手を集め、ファンベルグら年上の選手は入らない。 南米選抜 アルゼンチン、ブラジルでエンディングを見る ディアス、ビクトリーノ、カルロスら翼と同世代の選手を集め、バティンら年上の選手は入らない。 カンピオーネ 7カ国でエンディングを見ると対戦可能になり勝てば使用可能 5のラスボスチーム。新田やシニョーリはいない。 【オプション設定】 試合時間:0分~45分から、5分刻みで選択。0分にするといきなりPK戦。 同点の場合:延長戦、PK戦、ゴールデンゴール、引き分けから選択。 雨天試合:晴天、前半雨、後半雨、試合中雨の選択。フライハイトがいる時に重要な項目。 ガッツ無限:両軍の選手のガッツが常に全快に。 ノーガードマッチ:ゴールキーパーが一切シュートを防げなくなる。カバー、ゴールポストは通常通り。 イエローカード:敵を吹っ飛ばすとイエローカードが出されてしまう。2枚出されると退場。選手が足りなくなって敗北という惨事も!? フランス戦の審判:本当にオフサイドを取られる、ゴールした時にランダムでノーゴールにされる、など試合中に様々なアクシデントが発生。 【オールスターモード】 従来作のように1Pと2Pが交互に選手を選んでいくモードの他に、以下の選択肢を用意する。 【フリー選択】 相手が選択した選手でも選択できる。両軍に同一人物がいてもいい。 【レギュレーション設定】 合計能力値が高い選手のみ、低い選手のみ、必殺技を持たない選手のみ、等の条件付けの元に選手を選択する。 【チーム登録】 あらかじめ選手を選択して、ユニフォーム、BGM、チーム名を決めてセーブしておく。 プレイするたびに何度も同じ選手を選び直さなくても良くなる。 【オールスターモード用選手】 ストーリーモードの進行によって使用可能になる選手。 どのチームにも所属していないため、この形で登場する。 選手 使用条件 備考 片桐 日本でエンディングを見る 元・日本代表のストライカー。本来は目の負傷で現役引退したが、若き日の姿で登場。能力は高いわけではなく、必殺技も無い。彼が試合に出ている姿を見たいというファンサービス。 見上 日本でエンディングを見る 元・日本代表のゴールキーパー。引退後は若林を指導し、日本代表の監督としても活躍。若き日の姿で登場。能力は高いわけではなく、必殺技も無い。彼が試合に出ている姿を見たいというファンサービス。 ロベルト ブラジルでエンディングを見る 元・ブラジル代表のストライカー。網膜剥離を患い現役引退、大空翼を指導。若き日の姿で登場。ファンベルグと同様の最高のパラメータに輝くシュート、オーバーヘッド、さらに地上からゴールバーにシュートを当てて跳ね返ってきたボールをオーバーヘッドで蹴り返す「リバウンドオーバーヘッド」、翼とのツインシュート、ゴールデンコンビ、芸術的ドリブルを持つ。特殊能力として、接触プレイ時に吹き飛びと反則が発生しない。 ポブルセン(改心後) 日本かドイツでポブルセン改心イベントを発生させる ブラジルへの怨念を解消した「根はいいやつ」なポブルセン。必殺技から吹き飛ばし効果が消え、性能が向上した。 ジュスト フランスでエンディングを見る フランス、シャンゼリゼに所属するゴールキーパー。シャンゼリゼの森崎。 ブルノ イタリアでエンディングを見る イタリア、レッツェに所属するゴールキーパー。イタリアの森崎。 アルシオンクスタサビチェビッチ フリー対戦モードでカンピオーネを倒す カンピオーネの主力選手たち。勝つまでは使えない。 【オプション設定】 【コンビプレイの距離制限】 必殺ワンツー、ツインシュート、スカイラブブロックなどの必殺技が 参加する選手たちがワンツーができる距離にいないと発動不可能になる。 佐野とのコンビプレイ、ブースターシュート、パンサーストリームなど、制限されない技も一部存在する。 デフォルト設定は距離無制限。 制限ありにすると、立花兄弟の使い勝手がガタ落ちする。特に次藤まで参加するスカイラブツインはまず発動不可能。 【一部選手名の漢字表記選択】 中国、韓国の選手の名前を漢字か片仮名か選択する。 リ・ハンネ→李邦内 リ・バンクン→李邦坤 など。 日本の選手には影響しない。 【名前簡略モード】 重要でない選手の呼び名が「敵の○番」「敵のキーパー」に変わる。 誰が重要選手なのか一目で分かるという便利さがある。 【用語選択】 ロスタイム→アディショナルタイム パスカット→インターセプト など、変更された用語を当時のままにするか現代のものにするか変更可能。 必殺技「ムーンサルトパスカット」「スパイラルパスカット」などの名前も変化する。 【試合終了直前のシュートへの審判の対応】 時間切れの直前にシュートを撃つと、シュートの結果が出る前に時間切れになってしまう事がある。 この際の審判の対応を、「即座に笛を吹く」「シュートの結果後に笛を吹く」から選択。 前者は従来のゲームの通り、まだシュートが飛行中なのにいきなり時間切れになってしまう。 後者はシュートの結果がどうなったのか見てから笛を吹くようになる。 シュートが入らなかった場合は、ゴールキーパーがキャッチやパンチングをしてから、あるいはゴールポストに当たってから笛が吹かれる。 シュートが入った場合は得点にはならず、チャーリーの「ああっ!これはノーゴールの笛だァ!」の解説が入る。 多くの選手は「なにィ!」か「そ……そんなァ」の台詞が入るが、 翼「ノーゴール……」 日向「な……なんだと!!」 松山「そ……そんな」 次藤「あの審判、ワシが袋叩きにしてやるタイ!」 など固有の台詞を持つ選手もいる。 結局、試合の進行には影響は無く、ただ演出が変化するだけ。 【選手名鑑】 作中に登場する選手、人物の能力値や説明を閲覧するモード。 紹介文は自由に書き換える事ができ、プレイヤー各自が想像している内容を記載する事も可能。