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映画館内にある、スクリーンルーム。 上映された映画が終わり、二人の男女が出てくる――といえば、まるでデートか何かのように思えるが、この二人を見てそう思える者はいないだろう。 白化粧に公家風装束とメイド服というとてもデートに行く外見ではないというのもそうだが、それ以上に二人の顔は仲良く映画鑑賞を楽しんだというそれではない。 「……なるほど。映画とやら、なかなか楽しめたでおじゃるな」 だが、マロロの口から最初に出て来た言葉がそれだった。 「それは良かったわ。私は、随分と疲れさせられたけど」 どこか機嫌の良さそうなマロロとは対照的に、咲夜はつい苦言混じりに言う。 それも無理はない。 何せ、そもそも映画という存在を知らなかったマロロに映画とはどういったものなのかを教え、さらに上映中にもちょくちょく補足説明を要求され、とんでもない手間をかけさせられた。 上映中のおしゃべりは禁止――などとは知らぬとばかりの状態であり、これがもし普通の映画館であれば周囲の目がとんでもない事になっていただろう。 もっとも、映画という存在すら知らなかったマロロにとっては関係のない事だが。 「にょほ、それは申し訳なかったでおじゃるな」 「まあ、言っても仕方がないわ」 これはマロロの不勉強などではなく、単に文明が違い過ぎただけだ。彼が悪いわけでもないし、変に知ったかぶりでもされた方が困る。 それに、マロロの自頭が良かったせいか、最低限の説明だけで理解できたのは不幸中の幸いといえた。 「それにしても、さっきのシャクコポル族の言っていた内容とは全然違ったでおじゃるな」 「ええ。もしかしたら、時間によって内容が変わるようになっているのかもしれないわね。あるいは、上映された場所が違っていたとか」 「それでも、興味深い内容だったでおじゃる」 そして肝心の映画の内容であるが、上映されていた内容は悪役令嬢の転生物語などとはまるで違った。 咲夜からすれば、カタリナ・クラエスも次の機会があれば始末しておきたい相手である以上、何かしら情報でも手に入ればと思っていたので当てがはずれたわけだが。 「それで、あの『すたんど』とやらは咲夜殿も知らないのでおじゃるか?」 「ええ、少なくとも私の知る限りでは」 上映されていた内容は、イタリアという国に存在するギャング組織『パッショーネ』に所属するスタンド使い達の抗争の物語。 国や街を裏から支配する『パッショーネ』に所属し、そこで成り上がる事によって組織を変えようとするジョルノを中心とし、入団試験、そしてボスの娘の護衛任務、暗殺チームとの戦い、そして組織からの離脱とボスへの反逆のストーリーだ。 だが、残念な事にその結末まで辿り着く事はなく、最終決戦の舞台へと向かうところで映画は終わっていた。 それでも、収穫は大きい。 この映画に出て来た登場人物の中での参加者名簿に載っているのは5人。 ジョルノ・ジョバァーナ。 ブローノ・ブチャラティ。 リゾット・ネエロ。 ディアボロ。 チョコラータ。 全員がスタンド使いと呼ばれる存在であり、この映画を見る限りいずれも油断して良い相手ではない。 派手さでいえば、あのヴライには劣るかもしれないが、スタンドの応用次第ではそれ以上の難敵となりえる。 「でも、あの兎が言うには、呼ばれた時期とやらが違う可能性もあるそうだけど」 「その通りでおじゃるな。特にリゾット・ネエロとチョコラータとやらは既に死んでいるようでおじゃるし、死ぬ前からと考えるべきでおじゃるか」 死者蘇生を公言している運営であり、時間差による召集の可能性も既に考えていた事もあり、特に驚く事はない。 「そのようね。でも、参加者である人物達の事を色々と知る事ができたのは僥倖ね」 「そうでおじゃるな。特にマロのような采配師にとって、チョコラータのような輩は面倒でおじゃる」 この映画を見る限りディアボロは、悪辣極まりない人物である事が分かるし、ブチャラティに「吐き気を催す邪悪」と称されるだけの男だ。 だが、危険度でいえばチョコラータの方が上だ。 何故なら、彼の行動指針は基本的に保身から来ること。 娘の抹殺を目論んだ事に関してもそうだし、以後の行動に関しても裏切り者達の粛清だ。 この殺しあいでどう動くか――おそらく、自身の生存を第一にした慎重な行動だろう。 そう考えると、ある程度は行動の予測はできる。 ディアボロはディアボロで油断できない相手ではあるが、完全に己の快楽のみを目的で行動するであろうチョコラータの方が読みにくく、危険だ。自分達と無関係のところで退場して欲しい相手である。 「そうね。私としてはあのディアボロとやらの能力の方が気になったけど」 何度か披露された、彼のスタンドである『キング・クリムゾン』。 ブチャラティやジョルノも戦うのではなく、撤退を余儀なくされた無敵のスタンド。 最も警戒すべき存在だろう。 自分とよく似た時間停止に近い気もするが、それとも微妙に異なるように見える。 (でも、もしそうならば何かしらの制限がかかっている可能性があるかもしれないけど) あの魔法学園での戦いで、自分の能力に枷がある事を確認させられた。 似たような類の能力であれば、咲夜と同様に制限がかかっている可能性は高い。 無論、楽観はできないわけだが。 「もう少し、詳しい事が分かれば良かったんだけど……」 とここでふと、チケットの自動販売機が目に入る。 それ自体は別におかしくない。自分達は無償で入っているが、本物の映画館は料金を払って入る場所であり当然の事。 だが、その販売機に書かれてある部分だ。 完全版チケット投入口:こちらに、完全版チケットを入れれば、完全版の映画を見る事ができます。 「これは何かしら?」 「完全版ちけっと、とやらは何の事でおじゃるか?」 「私に聞かれても……。ただ、完全版なんていう書き方からして、この戦いの決着まで書かれた映画が見れるって事じゃないの?」 この完全版チケットとやらがあれば、半端なところで終わったものと違い、『ボス』達との決着までの完全版が見れるという事かもしれないが、今の時点では推測止まりだ。 「いずれにせよ、この完全版とやらのチケットがないと無理ね」 誰かの支給品か。あるいは、宝物のように会場のどこかに隠してあるのか。少なくとも、ここまでにマロロと咲夜は見つけていないし、支給品としても与えられていない。 「まあ、ないものねだりをしても仕方がないでおじゃるよ」 それよりも、とマロロは続ける。 「この映画とやらからは予想以上に、情報が手に入ったでおじゃる。他の映画をやっているのならもう暫く、この地に留まり他のものも見て情報収集をするべきだと考えているでおじゃる」 情報戦を制する者が戦を制す――聖賢とうたわれし八柱将ライコウがよく言っていた事だ。 「これを利用すれば、色々とやれる事が増えるでおじゃるよ」 かつて、ライコウが「エンナカムイの惨劇」を多くの國に広めた事によってオシュトルらエンナカムイが孤立したように、情報をうまく使えば、特定の参加者を窮地に陥らせる事も可能だ。 ここで得た情報を利用して特定の参加者と知り合いだと騙る事ができるし、自分達のように臨時チームを組んでいるであろう参加者達に都合の良い事を吹き込んで疑心暗鬼にさせる事もできるかもしれない。 「なるほど、ね」 策としては悪くない。 ここで手に入れた情報が、思わぬ局面で役立つ可能性はある。 だが、いくつかの問題もある。 「私達が呑気に映画を見続けてる間に、他の参加者がここに来た場合は?」 「ここは、地図を見る限り、隅の方にあるでおじゃるし、この映画館の価値を知らなければこんな場所にわざわざ来たがる参加者はほとんどいないでおじゃる」 ヴライがオスカーや鈴仙らとこの近くで交戦したのは、初期位置の関係によるものが大きく、積極的に戦場になるであろう場所でもない。 「でも、私達のように映画の事を知って来る可能性もあると思うけど」 「確かにそうでおじゃるな」 マロロは、咲夜の言葉を首肯しながらも続けた。 「しかし、その場合はヴライのように暴れまわる類の参加者ではなく、情報収集が目当ての輩。どうにでも交渉のしようはあるでおじゃるよ」 わざわざ情報目当てで来るタイプの参加者であれば、先ほどのオスカー達のように無駄な戦闘は避けたがるだろう。 「なるほどね」 咲夜の方も、マロロの考えを認めつつも、最後の問題を口にする。 「それじゃあ、最後に一つ。まだ問題があるわ」 「にょほ? 何でおじゃるか」 「私としては別にいいんだけど、貴方には標的のオシュトルとやらがいるじゃない」 マロロと違い、咲夜は別に特定の参加者を始末したいという思いはない。 博麗の巫女の無力化も狙ってはいるが、それもできればの話であり、優先順位はさほど高くなかった。 「その人が、もし私達が呑気に映画を見ている間に殺されたりしたらどうするのかしら」 「……にょほ。そんな事でおじゃるか」 咲夜の言葉に、マロロはニィと微笑む。 独特な白化粧がよりいっそう、不気味なものとなり狂気すら感じるものへとなった。 「大丈夫でおじゃるよ。オシュトルは、きっと生き残っているでおじゃる。あの時、ハク殿を犠牲にして薄汚く生き延びた時のように、必ず」 にょほ、にょほ、とマロロは不気味な笑い声を出し続けている。 元の頼りなげでありながら優し気だった風貌は面影もなく、かつての仲間達が見れば信じがたいであろう鬼気迫るものだ。 その狂気に染まった采配師を見ながら、咲夜は冷静にもしもの時の場合を考える。 マロロはオシュトルへの復讐を最優先にしており、それは咲夜の目的とは相反していない。 それゆえの、これまでの同盟関係だ。 もし仮に、マロロがオシュトルが始末した場合であれば、気分良くその後も協力してくれる可能性はあるし、オシュトルの仲間達が残っていれば残党狩りという目的も残る。 だが、もし死亡者としてオシュトルの名前が呼ばれてしまえば、正直、マロロの行動に予想がつかなくなる。 行動の予測がつかなくなった味方など、敵よりも厄介だ。 もし、自分に不利益をもたらすようならば手を下すほかなくなる。 (その時は、悪く思わないでね。采配師さん) 最悪の場合を想像しながらも、咲夜は話を続ける。 「まあ、それならそれでいいけど、いつまで映画を見続けるつもりなの? 今後の方針は?」 「……その事でおじゃるが、この映画とやらをもう暫く見てから『大いなる父の遺跡』に向かってみようと思っているでおじゃるよ」 「理由は?」 大いなる父という言葉に関しては、マロロと色々と情報のすり合わせをしている時に聞いた。 どうやら、彼らの世界に存在していた存在であり、大古の世界を支配し、ヒトを創り出したされる者達を示す言葉らしい。 「咲夜殿によると、どうやら大いなる父はマロ達の世界の特有の存在のようでおじゃるし、奴らの一党が集結地にしそうな場所は他にない以上、ここにオシュトル達一味が集っている可能性が高いでおじゃるよ」 今となっては懐かしい話だが、かつてハクとその仲間達と共に『大いなる父の遺跡』へと赴いて調査した事もあった。 ここにあるのがまがい物である可能性は高いが、とりあえず知っている単語の場所へと向かおうとオシュトル達が考えてもおかしくはない。 その推測は正しい。 この二人が知らぬ事ではあるが、とりあえずの第一目標として自分達の知る名前の施設を目指した参加者は多い。 ゲッターチームは早乙女研究所を、災禍の顕主御一行はバンエルティア号を、「アイテム」メンバーが「アイテム」のアジトを目指したように。 「なるほど。当てもなく探し回るよりかは可能性があるかもしれないわね」 咲夜としても、特に反対する理由はない。 これが空振りに終わったとしても、咲夜からすればデメリットはない。 「待っているでおじゃるよ、オシュトル……」 呟くように仇敵の名を呼ぶマロロに、咲夜は促す。 「じゃあ、これからの話はこの辺りにして、次の映画を見る事にしましょう」 「そうでおじゃるな」 一通りの方針を決めたところで、スクリーン内へと戻っていく事にした。 公家風装束に、メイド服という映画館という場所ではどこかシュールな恰好だが、誰もつっこむものはこの場にはおらず二人も気にしなかった。 見る映画はどの世界のものでも良いが、警戒対象である間宮あかりや、琵琶坂氷至らのものでもあればなお良いと思いながら。 【B-2/映画館/一日目/午前】 【十六夜咲夜@東方Projectシリーズ】 [状態]:体力消耗(小)、全身火傷及び切り傷(処置済み)、胸部打撲(処置 済み)、腹部打撲(処置済み) [服装]:いつものメイド服(所々が焦げている) [装備]:咲夜のナイフ@東方Projectシリーズ(1/3ほど消費)、懐中時計@東方Projectシリーズ [道具]:基本支給品一式、不明支給品1つ [思考] 基本:早くお嬢様の元へ帰る、場合によっては邪魔者は殺害 0:映画館で情報収集を続けた後、大いなる父の遺跡に向かう 1:今後のことを見据え、遭遇する参加者については殺せる機会があれば殺 すが、あまり無茶はしない 2:取り逃がした獲物(カタリナ、琵琶坂)は次出会えば必ず仕留める 3:博麗の巫女は今後のことを考えて無力化する 4:マロロに関しては協力する素振りをしながらも探る。最悪約束を反故す るようであれば殺す 5:鈴仙達については暫く泳がせておき、琵琶坂達やヴライと潰し合っても らう。 6:余裕があれば完全版チケットとやらも探す。 [備考] ※紅霧異変前からの参戦です ※所持ナイフの最大本数は後続の書き手におまかせします ※オスカー達と情報交換を行いました ※『ジョジョ』世界の情報を把握しました。ドッピオの顔も知りましたが、ディアボロとの関係は完全には分かっておりません。 【マロロ@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]:オシュトルへの強い憎悪 [服装]:いつもの服装 [装備]: [道具]:基本支給品一式、不明支給品3つ [思考] 基本:オシュトルとその仲間たちは殺す 0:映画館で情報収集を続けた後、大いなる父の遺跡に向かう 1:ミカヅチ殿とは合流したい 2:ヴライには最大限の警戒を 3:十六夜咲夜はいい具合に利用させてもらう。まあ最低限約束(博麗の巫 女の無力化の手伝い)には付き合う 4:あの姫殿下が本物……?そんなことはあり得ないでおじゃる 5:間宮あかりとその一行を警戒 [備考] ※少なくともオシュトルと敵対した後からの参戦です ※オスカー達と情報交換を行いました ※鈴仙をシャクコポル族のヒトと認識しております ※『ジョジョ』世界の情報を把握しました。ドッピオの顔も知りましたが、ディアボロとの関係は完全に分かっておりません。 前話 次話 絶対絶望少女 投下順 最後に笑うは 前話 キャラクター 次話 混沌への導火線 十六夜咲夜 旅立ちの刻 混沌への導火線 マロロ 旅立ちの刻
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【名前】絶対負ける奴 【攻撃力・防御力・素早さ・大きさ】赤子並み 相手が自分より弱ければ相手の1000000000分の1の強さになる 【特殊能力】 試合前から自滅して死んでしまう。 【性質】 考察できる者がこいつの勝利を考察できず負け判定を下せば 自動的にこいつに勝利が訪れる。 なお『負けたら勝ちだから勝ち』という判定は含まれない。 設定やテンプレの変更・消去をされても、この性質は変更・消去される前から 既に発動されているので問題はない。 ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 254 名前:格無しさん 投稿日:2006/09/02(土) 12 09 46 ルール改変と試合前より前から動けて引き分けに持ち込める奴なら問題ないな。 どっかに穴がありそうな気がしないでもないけど。 297 名前:格無しさん 投稿日:2006/09/03(日) 16 06 29 絶対負ける奴考察 考察の結果負けたら勝ちなので基本的には尾張神やへっぽこと同じ。 「『負けたら勝ちだから勝ち』という判定は含まれない。」ということより、 同系統の能力などは無理か? 尾張神=へっぽこ>絶対負ける奴>ザ・エンド 総当たり考察戦
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憑依は疲れるんだぜ 【絶対護神】 周りにいる霊を自分の体に憑依させその霊の力を得ることができる 性別男 年齢17 能力分類 【特殊系】 能力属性憑依 誕生日8月7日 身長175 体重70 趣味壁殴り 好きな食べ物リポD 嫌いな食べ物栄養のない食べ物 得意スポーツアスリートの霊も憑依させられるため結構イケる 好きリポD 嫌いワルのり トラウマ悪霊に体を乗っ取られたこと 絶対護神についての報告 周りにいる霊を自分の体に憑依させその霊の力を得ることができる 例 ボクサー→反射神経、パンチ力増大 侍→剣の扱いが飛躍的に上達する など 装備 刀 特徴 短髪 黒いパーカーとジーンズ 普通に喋れる 刀を持ってる
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幻想入りに絶望した! 動画リンク コメント 幻想入りに絶望した! 作者 糸 色学 ひとこと やってみたくて、ついついやってしまいました。 殆ど絶望先生と生徒達が中心になってしまっています。 主人公 糸 色望 mylist/5756495 動画リンク 生存報告 新作 一話 コメント・レビュー 絶望先生 久米田 -- (名無しさん) 2008-06-26 02 24 15 7話再アップまってます! -- (名無しさん) 2008-06-27 20 28 29 もはや本人が書いてるとしか思えん。 幻想入りに絶望した!0話 URL http //www.nicovideo.jp/watch/sm2532988 -- (名無しさん) 2008-07-18 19 02 15 http //www.nicovideo.jp/watch/sm6564452 キッチリの戦闘力が異常なのは正しい -- (名無しさん) 2009-04-02 19 42 10 13のオチは秀逸 -- (名無しさん) 2009-09-27 02 30 32 原作やアニメを見た事無いけど そんな俺でもすんなり見れてギャグが面白いからお勧め。 コメントから察するにかなり原作の再現度が高いと推測。 たぶん版権知ってたらもっと楽しめるんだと思う。 どうしよう1巻くらい買おうかな… -- (名無しさん) 2009-12-24 03 43 10 最新話まだですか? -- (名無しさん) 2010-08-22 22 10 21 16話待ってます -- (名無しさん) 2010-10-12 23 40 50 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを書いてくれる方を募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
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なんて絶望感 ◆aCs8nMeMRg あれ? なんだかおかしな感じがして、あたしは目を覚ました。 気がつくと、あたしは立っていた。 両足を地面について、普通に立っていた。 目を覚ましたら自分の体が地面に対して縦の状態だったなんて、多分かなり珍しい体験だと思う。 これは夢? どうだろう? 体の感覚は、ちょっと……いや、かなりだるい感じ。 頭は……こっちもなんだかぼんやりした感じだ。 やっぱり夢かな? さっきは目が覚めたと思ったけど、実は夢を見ているだけなのかな? でも、その割に周りの景色は妙に現実感がある。 どこかの教会の礼拝堂って感じ。 もし夢じゃないとしたら、なんであたしこんな所で突っ立っているんだろう? 考えてみよう。 まずはお約束、あたしは誰? 田井中律だ。 よし、自分のことは分かる。 それじゃあ、眠る前の事を思い出してみよう。 眠る前に、何があったんだっけ? 実は、さっきから思い出そうとしているんだけど、これがなかなか思い出せない。 でもまあ、さっきは他の事も考えながらだったし。 よし、ちょっと集中して思い出してみよう。 …………ぐらぐら? ………ふらふら? ……くるくる? …ふわふわ? くらくら? うーん、なんか眠る前のあたしの記憶ってそんな感覚の事ばかりだった気がする。 じゃあ、その前は? その前って、何があったんだっけ? 確か……先生だ。 どこかで教師をやってるって言う人に出会って……、それでどうしたんだっけ? あ、懐中電灯。 暗かったから、懐中電灯を点けたんだ。 それで……。 そこまで思い出して、あたしは背筋に冷たいものが走るのを感じた。 嫌だ! もういい! 思い出したくない! そう思ったけど、そこまで思い出してしまったあたしの脳みそは、その先も芋づる式に思い出していった。 それで……その先生の顔に……三つ目の目が出来て? それから…それから、別の男の人が来て。 そうだ、あたしはその男の人に無理矢理麻薬を飲まされたんだ。 それでおかしな気分になって……。 寒気がして、あたしは今までだらりと下がっていた腕で自分の体を抱いた。 「あら、お目覚めかしら?」 「ひっ!?」 そんなあたしに、後ろから声がかかった。 驚いて振り向くと、そこには濃い紫色の服を着た女の人が立ってた。 あたし、この人知ってる。 確か、麻薬を飲まされたあとに出会ったんだ。 もしかして、麻薬を飲まされておかしくなっちゃってたあたしを介抱してくれたのかな? そういえば、今はあのくらくらする感じが引いてる。 薬の効き目が切れたのかな? それで、この女の人だけど確か他にもう一人、男の人と一緒に居てその男の人に呼ばれてた名前は……。 「えっと、キャスター、さん?」 「覚えていてくれたのね。嬉しいわ」 その女の人──キャスターさんは唇の両端を持ち上げて答えた。 フードみたいなのを被っているからハッキリと表情は見えないけど、声も嬉しそうだったし笑ってるんだと思う。 「ごめんなさいね、寝ているあなたも可愛かったけど、もっといろいろな角度から見てみたくなって」 「えっと、あの……」 え? ってことはあたしが立った状態で目を覚ましたのは、この人が寝ていたあたしを立たせて観察していたから? 方法は分からないけど、今のキャスターさんの言葉を信じると、そういうことになるのかな? 「キャスター、さん?」 「ん、なに?」 それで思い出した。 眠る前にあたしが考えていた事。 『注文の多い料理店』。 色々きれいにされたあとで、猫に食べられる話、だったと思う。 あたし、この人に食べられちゃうんだって思ったんだ。 「あの……あたし……食べられちゃうん、ですか?」 「あら、うふふ」 こんな事を面と向かって訊いてしまうなんて、やっぱりあたし、まだ頭がぼんやりしてたみたいだ。 少し後悔したけど、一度口にしてしまった言葉を元に戻すことは出来ないし、仕方ない。 それを聞いたキャスターさんは、笑いながらあたしの方へ近寄って来た。 食べられる!? 逃げなきゃと思ったけど、足がすくんで動かなくて、結局あたしは身を固くするくらいしか出来なかった。 そんなあたしの横を、キャスターさんはすーっと通り過ぎていった。 …………助かった? やっぱり人が人を食べるなんて、そんなことある訳ないか。 そんな風に考えて、あたしは少し緊張を解いたんだけど、 その時を狙っていたように、キャスターさんが後ろからガバッと抱き付いてきた。 「…………ッ!?」 あたしはあまりの驚きに悲鳴すら上げられなかった。 人間、本当に驚くと、声出なくなるんだな。 と、一瞬遅れてあたしの中のどこか冷静な部分が他人事のように考えてた。 「もしかして、食べてほしいのかしら?」 「いえ、そういうわけじゃ……」 キャスターさんは、あたしの耳元でそう囁いた。 それと一緒に、自分で自分の身を抱いていたあたしの両腕を、後ろからほどいていった。 まだ体がだるくてロクに抵抗できないあたしは、せめて耳元で囁くキャスターさんの言葉を否定しようと口を開いたんだけど……。 ──さわさわ 「あぅぅ」 不意に身体を襲った変な感覚に、思わず何の意味もなさない声を上げてしまった。 ──さわさわ 分かった。 キャスターさんがあたしの胸を触ってるんだ。 不意打ちでビックリしたあたしは、しばらくそのままキャスターさんに胸を触られ続けてた。 そうしている内に、キャスターさんの手はあたしの体の下の方へと移動してきた。 お腹の上を通って、おヘソ、そしてその下の部分へと……。 「……ひゃ…うぅ」 情けない声が出た。 仲のいい女の子同士ならじゃれ合って胸に触れるくらいはあるけど、あの部分は他の人に触られることなんてまず無い。 あたしは今度こそ抵抗しようと思って、背中のキャスターさんに振り返ろうとしたんだけど、 その瞬間に、キャスターさんの指があたしの太ももをツーっとなぞったせいで、あたしは脚から力が抜けて膝がカクッと折れた。 それで、気付けばあたしがキャスターさんに寄り掛かる体勢になっていた。 もうあたしは、ただでさえ、すごくだるかった体を自力で支えることが出来なくなってしまって、 そのままキャスターさんに、後ろから支えてもらうしか無かった。 「んっ」 キャスターさんは、そんなあたしの襟元に手を伸ばしてくると、 あたしの着ている服の襟をはだけてさせながら、ようやくさっきのあたしの質問に答えた。 「そうね、少し魔力を使っちゃったから、今のうちに補充しておくのも悪くないわね」 魔力? 補充? もしかして、キャスターさんは魔女とか吸血鬼とかそういう仲間なのかな? だとしたら、さっきあたしが目を覚ました時に立っていたのは、魔術とか妖術とかそういうので身体を操られていたせい? なんて考えてる間にキャスターさんは、はだけた服の襟をゆっくりと引っ張って、 露出したあたしの首と右肩の間あたりに、口を近づけてきた。 首筋にキャスターさんの息が当たって少しくすぐったい。 「あ……ぁ……」 続いて同じ場所に、何か固いものが当たる感触を感じた。 キャスターさんの歯が当たってるんだ。 きっとこの後、その歯があたしの皮膚を食い破って、それで血をたくさん吸われて、あたしの人生終わってしまうんだ。 あぁ……短い人生だったな。 死にたくないとは思う。 けど、きっと抵抗しても無駄だろうなとも思う。 今の体じゃあ、大した抵抗も出来ないし、 たとえ体が元気でも、この人が本当に吸血鬼とかなら抵抗しても無駄だろうし。 それに、もしこの場から逃げだせたとしても、あたしに麻薬を飲ませたあの男の人。 次にあの人に会ったら、きっとあたしは殺される。 カギ爪の男以外、全員殺せと言われたけど、一人も殺せてないし。 それに、多分あたしに人殺すなんて無理だし。 なんかもう、絶望的だ。 結局、あたしは死ぬしか無いのか。 それならいっそ、ここでひと思いに…………。 澪、ゴメン。せめて最後にもう一度会いたかったけど、無理みたい。 ………… …… …? 観念してギュッと目を閉じたあたしだったけど、いつまで経っても首筋に痛みは来なかった。 さっきから、キャスターさんの息が首筋にかかって、少しくすぐったいだけ。 「ふわ……ぁ……?」 あ、今のはたぶんキャスターさんに首筋を舐められたんだと思う。 濡れた首筋が空気に触れてひんやりする。 「安心して、まだ食べないわ。こんなに可愛いのに勿体無いじゃない」 キャスターさんが、また耳元で囁いた。 耳にキャスターさんの息が当たる。 くすぐったい。 「あぁ……ぁ…」 しかも、キャスターさんは囁きながら、さっき舐めたあたしの首筋に指を這わせている。 多分、本人はなでてるつもりなんだと思うけど。 「でも、もっと魔力が必要になったら、その時は遠慮なく頂くわね。いいかしら?」 「あ……はぃ……」 肯定してしまった。 だって、せっかく今は食べないって言ってくれたのに、ここでキャスターさんの機嫌を損ねて、やっぱり今食べる! なんて言われたら嫌だったから。 「フフッ、いい子ね」 その甲斐あってか、キャスターさんの声色はどこか満足気だ。 はだけてたあたしの服の襟を直して、その後頭までなでてきた。 「うぅ……」 何の解決にもなっていない気がするけど、とりあえず今は助かったみたい。 それが分かると、あたしは一気に緊張が解けてずるずると床に崩れ落ち、ペタンとお尻をついてしまった。 「あら、どうしたの?」 キャスターさんが少し心配そうに声をかけてきた。 いけない。 何とか立ち上がらなきゃと思うけど、脚がちっとも動いてくれない。 もしかして、腰が抜けちゃったのかな? 「あ……ごめんなさい。 脚に……力が……んっ………入らなくて」 仕方なく、あたしは正直に自分の状態をキャスターさんに告げた。 ここで嘘をついても仕方ないだろうし。 「あら、それは大変ね。そこで横になったらどうかしら?」 キャスターさんはそう言ってあたしに手を差しのべながら、もう片方の手で礼拝堂に並んでいる長椅子の一つを指さした。 「あ……はい」 断る理由も無いし、あたしはキャスターさんの手を借りてどうにか長椅子までたどり着くと、そこに腰かけた。 あたしに手を貸してくれたキャスターさんも、その横に並んで座った。 「さぁ、いらっしゃい」 「……え?」 そう言って、あたしの横に座ったキャスターさんが自分の膝のあたりをポンポンと叩いて何か誘っている。 なんだろう? 一瞬、キャスターさんの意図が分からなくて、あたしはキョトンとしちゃったんだけど、 続けて放たれたキャスターさんの言葉で、キャスターさんの行動の意味はすぐに分かった。 「ひ・ざ・ま・く・ら」 「あ……はい、ありがとう、ございます」 どこかウキウキした様子でそう言うキャスターさんの好意(?)を断ることは、今のあたしには出来なかった。 だって今、あたしの命はキャスターさん次第なわけだし、素直に言うこと聞くしかない。 普段のあたしなら、ゴロンとラフに寝っ転がるところだけど、今はなるべくキャスターさんに気に入られるように、 出来る限りお行儀良く横になって、キャスターさんの太ももの上に頭を乗せた。 それで、お腹の上で手を組んで、目を閉じて……どうだろう? ちょっとは可愛い感じになってるかな? なんて、そんな事を考えていたのもつかの間。 こんな状況だというのに目を閉じると猛烈な睡魔が襲ってきて、あたしはあっという間に眠りに落ちていった。 【C-5/神様に祈る場所/一日目/早朝】 【田井中律@けいおん!】 [状態]:睡眠中 膝枕されてる [服装]:ゴシックロリータ服 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式(懐中電灯以外)、九字兼定@空の境界、その他不明0~2個 [思考] 基本:澪に会いたい。 1:………… ※二年生の文化祭演奏・アンコール途中から参戦。 ※レイの名前は知りません。 ※ブラッドチップ服用後。 ※ゴシックロリータ服はけいおん!第6話「学園祭!」の際にライブで着ていた服です(ただしカチューシャは外してある) 【キャスター@Fate/stay night】 [状態]:健康、魔力消費(小) 膝枕してる [服装]:魔女のローブ [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2個(確認済み) 、バトルロワイアル観光ガイド 、さわ子のコスプレセット@けいおん!、下着とシャツと濡れた制服 [思考] 基本:優勝し、葛木宗一郎の元へ生還する 0:可愛い子…… 1:奸計、策謀を尽くし、優勝を最優先に行動する 2:『神殿』を完成させ、拠点とする。 3:黒桐幹也が探索を終えたら『死者の眠る場所』へと探索に行かせる。 4:他の参加者と出会ったら余裕があれば洗脳。なければ殺す。 5:会場に掛けられた魔術を解き明かす 6:相性の悪い他サーヴァント(セイバー、アーチャー、ライダー、バーサーカー)との直接戦闘は極力避ける。 7:優勝したら可愛い子をつれて帰ってもいいかもしれない……。 [備考] ※18話「決戦」より参戦。 時系列順で読む Back こんな俺に世界を守る価値があるのか Next 夜明けのゼロ 投下順で読む Back 不幸 Next 夜明けのゼロ 091 こんなに近くで... キャスター 123 夢! 091 こんなに近くで... 田井中律 123 夢!
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《絶望からの解放》 イベントカード 使用コスト5/発生コスト2/緑 [アプローチ/相手] 自分のポイント置き場にあるカード1枚をゲームから取り除く。 (あなたたちの祈りを絶望で終わらせたりしない!) 劇場版魔法少女まどか☆マギカで登場した緑色のイベントカード。 自分のポイント1枚を除外する効果を持つ。 相手ターンのアプローチ中に発動可能なポイント回復カード。 6ポイントの状態で相手がアプローチを成功しそうな時に発動すれば、敗北を間一髪防ぐことが可能。 ただしコスト5と非常に重く、さらに除外されてしまうので再利用できなくなる。 除外することにメリットのある鹿目 まどかなどを除外すれば無駄がない。 効果ゆえに気軽には使えないので、ここぞというときに使いたい。 カードイラストは最終話「わたしの、最高の友達」/[後編]「永遠の物語」のワンシーン。フレーバーはその時のまどかのセリフ。 関連項目 除外 収録 劇場版魔法少女まどか☆マギカ 03-117 編集
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絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM すっかり日も落ちて漆黒の夜の帳が下りるデスゲームの会場。 プレシアの手によって開かれたこの殺し合いも彼此20時間が経過しようとしていた。 ここまでの激戦で当初は60人いた参加者も既に生き残りは3分の1を切っている。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 そして今そんな過酷な環境の中で生き残った4人の参加者が紅蓮の炎に包まれたスーパーの前で対峙していた。 ここまでの激戦を潜り抜けて生き残ってきただけあって4人とも名うての兵である事に疑いはない。 時空管理局が誇るエース・オブ・エース、白のバリアジャケットに身を包んだ高町なのは。 天の道を往き総てを司る男、赤い装甲を持つ仮面ライダーカブトこと天道総司。 ソルジャー・クラス1st、黒の防具に白い片翼が映えるアンジール・ヒューレー。 無限大の未来を秘めた宇宙警備隊のルーキー、銀色と赤色という特異な姿のウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライ。 なのはとカブト、アンジール、メビウス/魔導師と仮面ライダー、ソルジャー、ウルトラマン。 ケリュケイオンを起動させてカブトに治癒魔法を行使ながら同時に周囲の様子を窺っているなのは。 体力の回復を実感しつつ意図がつかめない突然の乱入者を警戒するカブト。 弾かれたバスターソードを拾いながら自身の身の振り方に悩むアンジール。 自身の意を伝えた上での相手の反応を確かめようとするメビウス。 そんな三竦みの一翼を担うなのははこの場に飛び込んでからずっとある事が気に掛かっていた。 (もしかして銀色の鬼は殺し合いを望んでいない……?) なのはは当初問答無用にカブトを撃墜した銀色の鬼はアンジールの仲間かと思っていた。 以前仲間の弁慶や金居から「銀色の鬼は危険な存在だ」と聞かされていたのも、そのように判断する後押しになっていた。 だがその直後アンジールの攻撃を阻み、さらに戦いを止めろと言った行動を目の当たりにして銀色の鬼の真意が分からなくなった。 なのは達を欺く行動という可能性もあるが、このタイミングで仕掛ける意味がないのでその可能性は低い。 (それに、どういう意図か分からないのはもう一人いる) なのはが一瞬銀色の鬼から視線を外して新たに視線を向ける先には雑居ビルがあった。 実のところなのはは天道とアンジールの戦いに横槍が入る事を危惧していた。 その理由は周辺をサーチした時にその雑居ビルに誰か潜んでいる事を知ったからだ。 当初可能性として考えられたのはアンジールの協力者か、様子見の参加者だった。 もしも後者ではなく前者なら天道は罠が仕掛けてあるかもしれない場所に誘い込まれた事になる。 今でさえ互角であるところに横槍を喰らえば敗北は必至。 だからこそ雑居ビルに潜む第三者に注意は払って、いざとなればカブトを守るために戦場に介入するつもりだった。 ところが乱入してきたのは雑居ビルに潜んでいた者ではなく、別の方角から飛び込んできた銀色の鬼。 雑居ビルに注意を払っていたなのはとっさには対処する事ができなかったが、すぐさまカブトへ駆け寄り迎え討とうとした。 だが銀色の鬼は戦闘を止めようとしていると知って、しばらく様子見しようとして今に至る。 とりあえず雑居ビルに潜む者に関してはここまで何も行動を起こさない事からアンジールの協力者の線は薄くなっていた。 (じゃあ、いったいあのビルに潜んでいるのは――) だが悩むなのはを余所に今まさにこの均衡状態を破らんとする参加者が近付いていた。 それは雑居ビルに潜む者や銀色の鬼のような正体不明の者ではなく、なのはもよく知っている者であった。 ▼ ▼ ▼ 「さあ、みんなで協力してこのデスゲームから脱出しましょうか」 己の目的を軽く口に出して確認しながらクアットロは意気揚々と走っていた。 目の前に広がる光景は三者鼎立を形作る戦場。 普段なら遠くから眺めてちょっかいを出すところだが、今回のクアットロは果敢に飛び込んで行った。 なぜなら戦場と云っても悲観するほど最悪な状態ではないからだ。 その場にいる4人のうち高町なのはは無闇に戦いを求める性格ではなく、またアンジールも自分が説得すればひとまず矛を収めてくれるはず。 しかも先程の行動を見る限りでは正体不明の銀色の戦士は戦いを止めたいらしい。 ここまで御膳立てが整っているのなら、あとはクアットロが得意とする舌三寸で皆を説得して仲間に出来る可能性は高い。 ようやく運が向いてきたのか、お誂え向きの状況に思わず頬が緩んでしまう。 「アンジール様ー!」 まず声をかけたのは一番頼りになるアンジール。 この時既にクアットロは変装用に外しておいた眼鏡を再び付けて髪もいつものように両端で結んでいた。 ここに至って変装する理由はなく、特にこの場合は相手にすぐ自分が誰か分かってもらえる方がいい。 残念ながら服装はいつものスーツではなく学校の制服だが、それでも顔を見ればすぐに分かるはずだ。 もしかしたら高町なのは辺りは不審に思うかもしれないが、それくらい説明するのは造作もない。 「みなさ~ん!」 これで準備は整った。 あとはこれからの交渉次第――。 ▼ ▼ ▼ 「ダメだよ、そんなつまらない事したらさ」 ▼ ▼ ▼ 「――ッ!?」 それは突然の出来事だった。 4人がお互いを牽制して緊張状態に陥った戦場。 そこに乱入しようと走ってきたクアットロが――。 ――爆発と共に宙へと吹き飛んだ。 その背後では赤と黒の爆炎が立ち上っている。 さらに爆炎に煽られて大量の埃も舞い上がっている。 明らかに砲撃、しかも直撃だった。 その場にいた者は皆一様に突然すぎる出来事に注意を呼びかける暇すらなかった。 だがやはり最初に行動を起こしたのはクアットロと最も縁が深い片翼の戦士だった。 「うおおおおおおおおおおおおおおお」 この時当事者の一人であるなのはもまた突然の事態に一瞬動きを止めてしまった。 だが急転直下の戦場はなのはに考える間さえ与えてはくれなかった。 突然アンジールが悲しみの叫びを上げると、クアットロを抱えて戦線から離脱したのだ。 その様子から二人の間に並々ならぬ関係があった事は明白だが、とりあえず尋常な雰囲気ではなかった。 まだきちんと話し合いも出来てない上に負傷した身でクアットロを抱えてどこまで移動できるかどうか。 さすがにこのまま一人にするのは不味いと考えて、引き留めようとしたが――。 「アンジールさ――」 ――呼びかけようとしたなのはの声は無情に放たれた砲撃音でかき消されてしまった。 (くっ、これじゃあ……) 間断なく放たれる砲弾は着弾のたびに爆炎と爆煙を生み出し、なのは達を迂闊に動けない状態にさせるものだった。 砲撃が凄まじいといっても、なのはにとっては反射的に展開したシールドで防ぎきれる程度ではある。 だが爆発の影響で発生する炎と煙は想像以上に厄介で、一時的ではあるが視界は悪化してしまう。 そのおかげでなのはもカブトもアンジールの行方を完全に見失っていた。 それと同時にもう一人この場からいなくなっている人物に気付いた。 「おい、さっきの銀色の奴もいないぞ」 「たぶんアンジールさんを追いかけていったんでしょうね」 「お前もそう思うか。で、どうする?」 「あっちは任せましょう。私達は……」 「……この砲撃手をどうにかした方が良さそうだな」 先程の一件で銀色の鬼が実は殺し合いを望んでいない事は二人とも感じ取っていた。 伝聞の情報と直に見聞した情報では後者の方が信じられる。 それに伝聞情報の一端を要注意人物である金居が一助していた事も判断材料であった。 二人は自分達の判断を信じてこの場に残って砲撃手を倒す事を選ぶのであった。 「ん? 砲撃が止んだ……」 それはつまり反撃の時が訪れた事を意味していた。 ▼ ▼ ▼ (このままでは、終われませんわ……) 一寸先は闇。 数秒前までは意気揚々としていたクアットロは現在死に瀕していた。 至近距離で榴弾の爆発を諸に浴びた身体には目を背ける余地もないほど酷い火傷を負っていた。 艶やかだった栗色の髪の半分はざんばらに振り乱れて、もう半分は焼け爛れた顔に張り付いている。 最も爆発の威力を受けた部分には榴弾の破片が無数に突き刺さって、そこから吹き出す血は血まみれの身体をさらに赤く染めていた。 それも背後からRPG-7の砲撃を直撃したのだから当然の結果だった。 だがそこは戦闘機人。 もしクアットロが生身の身体なら直撃の時点で確実に五体は千切れて一瞬で死んでいた。 半分機械の身体だからこそ即死だけは避けられたのだ。 さらにとっさにデイパックを盾にした事も命を長らえた一因となっていた。 そのおかげでデイパックは木っ端微塵になってしまって、中身も大半が使用不能になってしまったが。 しかし即死こそ避けたとはいえ実際のところクアットロに助かる見込みはなかった。 戦闘機人ゆえに即死を免れたが、逆に戦闘機人ゆえに通常の回復手段は効果が薄いのだ。 唯一スカリエッティのアジトに行けばなんとかなるかもしれないが、どう計算しても時間的に着くまで生きている可能性は皆無だ。 一気に移動できる地上本部の転移魔法陣を使っても間に合いそうにない。 (なんで、私が、こんな目に……) 何が不味かったのだろうか。 アンジールと離れずに一緒に行動するべきだったか? シャマルと十代から目を離すべきではなかったか? もう少し違う形のアプローチをキャロに仕掛けるべきだったか? はやてを切り捨てずに利用し続けるべきだったか? ほんの少しでも『皆で協力してプレシアを倒す』などという虫の良い甘い考えを抱いてしまったのがいけなかったのか? (ははっ、いまさら悔いても仕方ないですね……そう、今はそれよりも……) もう首を動かすのも儘ならぬほど血まみれの頭を上げ、ぼんやりと霞む目を向けるとアンジールの姿が見えた。 先程から断続的に上下に揺れている自分の身体からもアンジールに抱えられている事は明白だ。 しかも背と膝下に手を入れているので、どうやら俗に云う「お姫様だっこ」という姿になっているらしい。 こんな状態でなければ何か特別な感情を抱いたのかもしれないが、今はただ虚しいだけだ。 いくら常人を遥かに凌ぐアンジールの脚力でも間に合う事は不可能だ。 なまじ頭が良いばかりにクアットロは自分が生き残る可能性が皆無である事に思い至っていた。 本当ならこのような不条理な状況に文句の一つも言いたいところだが、あいにくそんな余力も残っていない。 (いいですわ……それなら、それで私にも考えがあります……) だからクアットロは残り少ない命を糧にして静かに考えていた――どうすれば残りの参加者により大きな絶望を与えられるかと。 ▼ ▼ ▼ 「よし! 追い付けた!」 もう残り少ない変身時間を知らせるカラータイマーに焦りを感じ始めていたメビウスの目の前にはアンジールが立っていた。 あの騒動の中、メビウスは爆煙の切れ間から偶然にも戦場から離脱するアンジールの姿を見つける事が出来た。 そしてなのは達の方に目を遣って、一瞬迷った後に追いかける事にした。 確かに『銀色の鬼』と呼んできた別世界のなのはも気になるが、それ以上にアンジールが気に掛かった。 それは目の前で大切な人を失いかねないアンジールの姿にどこか不思議な共感を覚えたからかもしれない。 なによりあのような精神的に危うそうな状態で一人にする方が危険だと思ったからだ。 そのアンジールを見失う前に追いつけた事は辛い出来事が続いていたメビウスを安堵させるものだった。 「あの、すいま――」 だがすぐにメビウスは気付いた。 道路の真ん中で立ち止まっているアンジールの目の前には砲撃を受けた女性が横たわっている事に。 それが何を意味するのかは火を見るよりも明らかだった。 つまり必死の行動も実を結ぶ事はなく、ここへ来るまでに女性は息絶えてしまったと。 「そ、そんな……」 これで3度目だ。 1度目は赤コートの怪人と対峙した時に身を張って時間を稼いでくれたクロノ。 2度目はほんの少し前ゼロによって殺された壮年の戦士。 どちらもミライの目の前で死んでいった参加者――メビウスの力が、ミライの力が、後一歩及ばないばかりに。 実際どの状況でもミライのせいで二人が命を落としたとは言えない。 いつでもミライはウルトラマンとして、デスゲームを打倒する者として、精一杯やってきた。 しかし自分のせいではなかったとしても、心優しきミライは後悔してもしきれなかった。 既に先程までメビウスが抱いていた安堵は後悔へと変貌していた。 「くそっ……!」 小さな嘆きを口にしたきりメビウスはアンジールの背後に立ったまま黙っているしかできなかった。 こういう時は下手に言葉をかけるよりは黙っていた方がいい。 そう思った故でもあったが、それ以上に少し前にも同じ経験をした身としてかける言葉が見つからなかった。 静寂の暗闇の中でカラータイマーが点滅する光と音が一層虚しく感じられる。 やはりこういう時気の利いた事が上手くできない自分はまだまだだなと居たたまれなくなる。 傷心のアンジールの背中を目の前にしてメビウスは自分の不甲斐なさに打ちひしがれていた。 だから――。 「約束しよう、クアットロ」 ――その言葉と共にアンジールが振るった刃に驚かされた。 「!?」 急な下段からの斬撃に対してメビウスは反射的にメビウスディフェンサークルを展開した。 先端が欠けた大剣と光の盾がしのぎを削って拮抗状態になったかのように見えた。 しかし今のメビウスにとってその判断は誤りだった。 あまりの急展開にメビウスは失念していたのだ――変身時間の残りがもうない事に。 『ピコン、ピコン、ピ――』 刹那の拮抗を齎した∞のバリアはカラータイマーの沈黙と共にあっさり砕かれ、メビウスの変身が解けたミライに刃が襲いかかる。 バリアを張るために突き出していた右腕がメビウスブレスごとバスターソードで無残に斬られていく様子がひどくスローに見えた。 (なのはちゃん、ごめん……) 奇しくもバスターソードの描く斬撃はセフィロスの正宗が斬り付けた傷口と同じ場所をなぞっていた。 そして二度と奇跡は起きなかった。 ▼ ▼ ▼ 「アンジール、様……」 「クアットロ喋るな! 今すぐ俺達のアジトに――」 「もう、無理ですわ……この傷ではアジトまで、は……」 「そんな事はない! 俺の力なら――」 「アンジール様も、分かっているのでしょう」 「…………ッ」 「大丈夫です。私、寂しくはありませんから」 「そ、それは」 「アンジール様が生き返らせてくれる。私は、そう信じています」 「!?」 「私だけじゃありません。きっとディエチちゃんも、チンクちゃんも、そう信じているはずです」 「それは……」 「だからお別れは少しの間だけです。私達のためにも、アンジール様は……このデスゲームで最期の一人になってください……」 「……クアットロ」 「……またお会いできる時を楽しみにしています」 ▼ ▼ ▼ その瞬間が来るまでアンジールは自分の処遇を決めかねていた。 もちろんアンジールが悩む原因は天道だ。 決着は付かなかったとはいえあのままなら負けていたのは間違いなく自分だ。 しかも天道には自分と同じく妹がいるらしい。 その天道の言葉だからこそ少なからず共感できるものがあったのは事実だ。 だが一方で本当にそれでいいのだろうかという疑念も渦巻いている。 孤高を貫くか、手を取り合って協力するか。 アンジールはデスゲームに於いて重大な岐路に立っていた。 だが岐路を決するきっかけは呆気なく訪れた。 突如戦場に届いた新たな乱入者の声。 その声の主をアンジールは知っていた――いや知っているどころではない。 聞き間違えるはずがない。 それはまさしくアンジールが守らんとする者、もう唯一人となってしまった大事な妹の声だった。 だがその妹は突然の砲撃で瀕死の状態に陥ってしまった。 あの瞬間の紅い炎と赤い血を周囲に撒き散らせながら宙に吹き飛ばされるクアットロの姿が何度もフラッシュバックする。 近くにいたにもかかわらずアンジールは何もできなかった。 その直前まで天道の言葉に従うか悩んでいたせいで反応が遅れたからだ。 だから最初何が起こったのか理解できずにただ見ているしかできなかった。 そしてクアットロが地面に叩きつけられて、ようやく事態を理解した。 それからほとんど反射的にクアットロを抱えて走り出していた。 スカリエッティのアジトへ行けばまだ生きる望みはあると思ったからだ。 だが心の底ではアンジールも分かっていた。 いくらソルジャーの脚力を以てしてもクアットロはアジトに着くまでに死んでしまう。 それは逃れようのない事実だった。 だがそうだとしてもアンジールは立ち止まる気はなかった。 もう自分が知らないところで妹が死んでいくのは耐えられない。 だがそんなアンジールの行動も虚しくクアットロは最期の言葉を残して死んでいった。 クアットロの最期の表情は今まで見た事もないような笑みが浮かんでいた。 だからアンジールは決意した。 なんとしてもこのデスゲームの最期の一人になると。 それこそ自分が守れなかった妹達に出来る唯一の贖罪。 「ミライの旦那ぁぁぁ」 少し思いに耽っていると、突然それを中断させる声がした。 ふと見ると、今しがた斬り捨てた参加者のデイパックから持ち主を呼ぶ声が上がっていた。 どうやら醜い絵柄のカードからその声は発せられているようだった。 「なんで、ミライの旦那を殺したんだ」「そうだ、なんでだよ」「この鬼、悪魔」 しかし本来なら愛嬌あるその声は決意を新たにした今のアンジールにとって耳障りでしかなかった。 だから何の感情も宿さず右手を前に付きだすとアンジールはただ一言言い放った。 「ファイガ」 ▼ ▼ ▼ 全ての元凶は数時間前に遡る事になる。 「えー、なんだよ。俺が狙っていた奴ほとんど死んでいるじゃんか」 どこにでもあるような灰色のコンクリート製の雑居ビルの2階の主は3回目の放送が終わるや否や早速不満の声を上げていた。 声の主は最強のアンデッドを自負するキング。 コーカサスオオカブトムシの祖であるカテゴリーKは未だ放送前のメビウスとの戦闘の傷を癒している最中であった。 1万年ぶりの敗北を味わったせいかキングを着飾る赤ジャケットと色とりどりのアクセサリーもどこかくすんで見える。 だが不満の声が上がったのは敗北による不愉快に加えて先の放送が原因だ。 実はこの放送でキングが目を付けていた参加者が大量に死んでしまっていた。 浅倉にはもっと暴れてもらって是非とも非道な仮面ライダーとして天道と対決してもらいたかった。 ミラーワールドで新たな殺し合いを開いたまでの首尾は良かったが、どうやらその戦いで死んだらしい。 自分で開いた殺し合いで自分が死んでは洒落にもならない。 キャロもあそこまで追い詰めて覚醒させてから全く会えなかった。 出来る事なら天道と再会させたかったが、それももう叶わず。 ルーテシアとフェイトも伝え聞いた話や『CROSS-NANOHA』の内容から想像するに、キャロと同様に心を抉ればさぞかし面白いものになったかもしれない。 結局その二人には一度も会う事もないままどこかで死んでしまった。 そしてルルーシュとシャーリー。 せっかくゼロの格好を手に入れたのだから是非とも二人に会って反応を楽しみたかった。 特にシャーリーはどんな顔をするのか想像するだけでワクワクしていたほどだ。 だがそれも二人の死亡によって無駄になってしまった。 しかもこれで生き残っている参加者の中でゼロの事を直接知っている者は誰もいなくなってしまった。 なんともキングにとっては不愉快な事ばかりであった。 メビウスとの戦闘のダメージはアンデッドの回復力と手持ちの『治療の神 ディアン・ケト』を連続使用する事でほぼ回復した。 もうすでに普通に動く分には問題ないが、完全回復まではもう少しかかりそうだ。 もし今戦う事になれば雑魚相手なら支障はないが、メビウスやジョーカー相手だと少し厳しいかもしれない。 だが先程までと違って今のキングにはこれと言って急ぐ理由はなかった。 とりあえず反応が気になる参加者のほとんどが死亡した事で新たな獲物が欲しいところだ。 雑居ビルの近くをかなりの速度でアンジールが走り去っていったのはそんな時だった。 (へぇ、しばらく見ないうちに派手に戦っているじゃん) 大通りを一心不乱に北進するアンジールを追跡する事数十分。 追いついた先で繰り広げられていたのは仮面ライダーとソルジャーの戦いだった。 その様子をキングは近くの雑居ビルに潜んで観察していた――どうすればより面白くなるかを考えながら。 だがキングが介入する前に突然乱入してきた人物によって戦いは中断してしまった。 その人物はキングもよく知る人物。 放送前に一戦交えてキングに苦汁を嘗めさせたウルトラマンメビウスことヒビノ・ミライだった。 そのせいでこの場は膠着状態になってしまったが、その均衡は思わぬ形で崩れる事になった。 (ん、誰か来た?) 常人を遥かに上回るアンデッドの聴覚が捕らえたのはクアットロの足音だった。 クアットロに関しては『CROSS-NANOHA』で既に把握していたのですぐに分かった。 特徴的な敵方として、またある意味自分と似た者だったというのがすぐ分かった一因だ。 そのクアットロがどうして急いで戦場に向かっているのか、その理由はすぐに分かった。 『それから、あの銀色の……どうやらアレも殺し合いには乗って居ないように見えますけど……』 『――上手くいけば、この場の全員を仲間に出来る……?』 その言葉だけならまだ4人を騙して上手く取り入ろうとしているのかと思った。 だが次の一言でキングの行動は決まった。 『さあ、みんなで協力してこのデスゲームから脱出しましょうか』 そしてキングはクアットロを砲撃した。 理由は簡単。 あのままクアットロに説得の機会を与えればせっかくの火種が台無しになってしまうからだ。 そうなる前に自ら手を出して火種を作る方が面白くなりそうだった。 結果は上々。 クアットロはRPG-7の直撃を受けて死亡、アンジールはそのクアットロを抱えて離脱。 それを追いかけてメビウスも離脱。 ついでに殺害ボーナスも手に入った。 予想外に場が一転したのでキングとしては満足だった。 「さて、どうしようかな」 この場に残っているのは高町なのはと天道総司。 二人にとって今のキングが扮しているゼロは完全に敵だ。 しかもゼロの衣装を解いても放送でペンウッドとC.C.の名前が呼ばれた以上二人ともキングを味方とは思っていないだろう。 それにRPG-7も殺傷力のある榴弾は全弾使い切って残っているのは照明弾とスモーク弾だ。 それならそれでアンデッドの姿に戻って戦うのも一興だが、それでは芸がない気もする。 「なにか面白い物ないか……ん、あれって……」 銀色のトランクケース。 それは砲撃の影響で誰かのデイパックから零れたのかキングの足元に転がっていた。 さっそく中身を確認してみると、キングは思わず目を輝かせた。 そこに入っていた物は銀色に輝くベルトだった。 「やった、良い物見っけ!」 その笑顔はまさしく面白い玩具を見つけた子供のような純真な笑みだった。 【1日目 夜中】 【現在地 D-2 スーパー前】 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康、少し満足 【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード、デルタギアケース@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ボーナス支給品(未確認)、ギルモンとアグモンとC.C.のデイパック(道具①②③) 【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル 【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story 【道具③】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX 【思考】 基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。 1.デルタのベルトで遊ぶのも面白そうだね。 2.『魔人ゼロ』を演じてみる(飽きたらやめる)。 3.はやての挑戦に乗ってやる。 4.ヴィヴィオをネタになのはと遊ぶ。 【備考】 ※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。 ※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。 ※八神はやて(StS)はゲームの相手プレイヤーだと考えています。 ※PT事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康、疲労(小)、変身中(カブト) 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、カブトゼクター@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 1.砲撃手を倒す。 2.一応あとで赤と銀の戦士(メビウス)の思惑を確かめる。 3.高町と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを救出、何としても親子二人を再会させる。 4.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 5.エネルを捜して、他の参加者に危害を加える前に止める。 6.キングは信用できない。 【備考】 ※首輪に名前が書かれていると知りました。 ※天道自身は“集団の仲間になった”のではなく、“集団を自分の仲間にした”感覚です。 ※PT事件とJS事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 ※なのはとヴィヴィオの間の出来事をだいたい把握しました。 ※アンジールは根は殺し合いをするような奴ではないと判断しています。 ※ゼロの正体はキングだと思っています。 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、バリアジャケット展開中 【装備】とがめの着物@小話メドレー、すずかのヘアバンド@魔法少女リリカルなのは、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、弁慶のデイパック(支給品一式、いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER) 【思考】 基本:誰も犠牲にせず極力多数の仲間と脱出する。絶対にヴィヴィオを救出する。 1.砲撃手を倒す。 2.出来れば銀色の鬼(メビウス)と片翼の男(アンジール)と話をしたいが……。 3.天道と共にゆりかごに向かい、ヴィヴィオを探し出して救出する。 4.極力全ての戦えない人を保護して仲間を集める。 【備考】 ※金居とキングを警戒しています。紫髪の少女(柊かがみ)を気にかけています。 ※フェイトとはやて(StS)に僅かな疑念を持っています。きちんとお話して確認したいと考えています。 ※ゼロの正体はキングだと思っています。 【チーム:スターズチーム】 【共通思考】 基本:出来る限り全ての命を保護した上で、殺し合いから脱出する。 1.まずは現状確認。 2.協力して首輪を解除、脱出の手がかりを探す。 3.出来る限り戦えない全ての参加者を保護。 4.工場に向かい首輪を解析する。 【備考】 ※それぞれが違う世界から呼ばれたという事に気付きました。 ※チーム内で、ある程度の共通見解が生まれました。 友好的:なのは、(もう一人のなのは)、(フェイト)、(もう一人のフェイト)、(もう一人のはやて)、ユーノ、(クロノ)、(シグナム)、ヴィータ、(シャマル)、(ザフィーラ)、スバル、(ティアナ)、(エリオ)、(キャロ)、(ギンガ)、ヴィヴィオ、(ペンウッド)、天道、(弁慶)、(ゼスト)、(インテグラル)、(C.C.)、(ルルーシュ)、(カレン)、(シャーリー) 敵対的:アーカード、(アンデルセン)、(浅倉)、相川始、エネル、キング 要注意:クアットロ、はやて、銀色の鬼?、金居、(矢車)、アンジール それ以外:(チンク)・(ディエチ)・(ルーテシア)、紫髪の女子高校生、(ギルモン・アグモン) ▼ ▼ ▼ 赤く立ち上る炎を背に受けて天使の姿をした悪魔は歩き出す。 炎の原料となるのはファイガによって燃やされたカードと、その持ち主のなれの果てである死体と荷物。 「悪魔か、それでもいいだろう」 亡き妹達の願いを叶えるなら天使でも悪魔でもなんだっていい。 「悪魔なら、悪魔らしいやり方で叶えるだけだ」 もうこの手に誇りも夢もない。 その象徴だったバスターソードは最期の一撃で砕けてしまった。 今まで戦闘でそこまでダメージがあったのだろうか。 だが逆に踏ん切りがついた。 もう今の自分にはあの剣は似合わない。 今の自分にはこの『反逆』という名を冠する剣の方が似合っている。 そうだ、先程までの悩んでいた自身に反逆するには実に相応しい。 幽鬼のように歩き出した今のアンジールには夢も誇りもない。 今のアンジールにあるのは亡き妹の願いという名の呪縛だけだった。 【1日目 夜中】 【現在地 D-2 東部】 【アンジール・ヒューレー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使】 【状態】疲労(大)、深い悲しみと罪悪感、脇腹・右腕・左腕に中程度の切り傷、全身に小程度の切り傷、願いを遂行せんとする強い使命感 【装備】リベリオン@Devil never Strikers、チンクの眼帯 【道具】支給品一式×2、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS、グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本:最後の一人になって亡き妹達の願い(妹達の復活)を叶える。 1.参加者の殲滅。 【備考】 ※ナンバーズが違う世界から来ているとは思っていません。もし態度に不審な点があればプレシアによる記憶操作だと思っています。 ※『月村すずかの友人』のメールを確認しました。一応内容は読んだ程度です。 ※オットーが放送を読み上げた事に付いてはひとまず保留。 【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【ヒビノ・ミライ@ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 死亡確認】 【全体備考】 ※クアットロの荷物は砲撃で木っ端微塵になりました(それなりに強度のある物なら残っているかもしれません)。 ※D-2東部の路上でミライの死体と荷物が全て燃え尽きました。なお近くに折れたバスターソードが放置しています。 【リベリオン@Devil never Strikers】 アンジールのデイパックに転送されたボーナス支給品。 「反逆」の名を冠した大剣。 Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ 時系列順で読む Next H激戦区/人の想いとは Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ 投下順で読む Next H激戦区/人の想いとは Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ アンジール・ヒューレー Next Mの姿/鏡 Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ 高町なのは(StS) Next Mの姿/鏡 Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ 天道総司 Next Mの姿/鏡 Back Kな魔王/ミライノヒカリ キング Next Mの姿/鏡 Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ クアットロ GAME OVER Back Aの残光/夢と誇りをとりもどせ ヒビノ・ミライ GAME OVER
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《絶望の果て(ファイナルホープ)》 テキスト(推定) 通常罠 自分フィールド上に存在するモンスターが戦闘によって破壊された場合に発動できる。 次のターンのスタンバイフェイズに、デッキから破壊されたモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスター1体を特殊召喚する。 考察 第三十章で登場した通常罠。 自軍モンスターの戦闘破壊をトリガーに、デッキからモンスターをリクルートする効果を持つ。 モンスターが戦闘破壊されている為、基本的にアドバンテージの損失となる。 無駄なく発動する為にはリクルーターや《クリッター》等、戦闘破壊される事がディスアドバンテージに繋がらないカードと併用したい。 或いは下記のように、アドバンテージを失ってでも運用できるモンスターと組み合わせるのも良い。 指定は攻撃力のみと緩い為、様々な形での悪用が可能である。 デメリットアタッカーと組み合わせる。(例:《ジャイアント・オーク》の戦闘破壊から《軍神ガープ》を呼ぶ) 妥協召喚した《神獣王バルバロス》から好きな攻撃力3000以下のモンスターを呼ぶ。 類似カードと比較してもかなりリターンが大きく、上手く使えれば強力である。 その反面、基本的に「戦闘力では負けている」為、このカードを使ったところで逆転ができない場合が多いことに注意。 作中において 第三十章にてディズが使用。 《光纏いし者リンテンス》の戦闘破壊をトリガーとし、ルーシィのターンで《霞の谷の神風》をリクルートした。 関連項目 《デステニー・シグナル》 《ヒーロー・シグナル》 名前 コメント
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絶対階級学園 絶対階級学園 王様だーれだ 初回限定版同梱特典 類稀なるベルスーズ 公式特典 お祭りごっこ アニメイト限定セット特典 ドキドキ発熱デート ステラワース特典 ふたりきりのアジト Amazon特典 ドキドキのちハラハラ、ところによりウキウキ とらのあな特典 ラグー・ドゥ・プレ・オゥ・マイス 【鷹嶺陸&鷺ノ宮レイ篇】 ドラマCD どっちが好み?肉食系男子 【七瀬十矢&加地壱波篇】 イワシの頭の魔法陣 【五十嵐ハル篇】
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【声優絶対音感】 「エセ声優絶対音感」とも呼ばれる。 テレビ、CM、ゲームなどから流れる声を聴いただけで、その声を出している人物を即座に言い当てられるスキル。 主に声優が大好きな人(通称:声ヲタ)に備わりやすい。 発売前で声優名が公開されていないゲームのデモムービーや体験版、あと大人板の一部スレで偽名声優の表名当てなどが行われる際、このスキルを持っている人は重宝される傾向にある。 なおこのスキルには、ゲームやアニメを見ていても、内容よりまず声当てに熱が入ってしまい、肝心の内容が分からなくなると言う小さなデメリットも内包している。 アニメ系の人間からは別名『ダメ絶対音感』とも呼ばれる。 語源は、週刊●ンデーで好評(?)のうちに連載終了した、 久米田康治の『かってに改蔵』より http //7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=07136483