約 147,374 件
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10063.html
前話 次話 京太郎インタビューその8 全国大会Bブロック準決勝を間近に控えた清澄高校。 二回戦で激戦を繰り広げた姫松高校だけでなく、シード校の臨海高校、瑞原はやりプロが注目する有珠山高校など、準決勝も波乱となるであろう。 SK君は次の試合、どうなると思いますか? 京太郎「清澄が絶対に勝つ! ……って言いたい所ですけど、正直分からないですね」 拮抗しててどう転ぶか分からないと? 京太郎「というか、次元が高過ぎて俺にはさっぱりって感じですね」 次元、ですか。 京太郎「部長とかは誰々にはこの牌が集まりやすいとか、この役で上がることが多いとか、こういう能力を持ってるとか当たり前に言うんですけど。和はそんなオカルトあり得ませんって言いますし、俺も懇切丁寧に説明されてもなんのこっちゃというか」 確かに超能力としか思えない打ち方をする選手は多く見受けられますからね。 京太郎「俺レベルだとテンパイ出来るだけで良く出来た方ですしね。ダブルリーチとか出した事もないっす」 宮永選手は良く嶺上開花で上がっていると思いますが? 京太郎「ええ。だからあいつもなんのこっちゃ枠ですね」 そう言えば、東京で知り合った選手達とは今でも連絡を取っているんですか? 京太郎「そうですね。頻度は個人差あるんですけど、大体全員と」 S君一人でそれ全部に応対するのは大変じゃありませんか? 京太郎「んー。まぁちょっと多いかもしれませんけど、元々空いた時間はダチと電話やらなんやらで駄弁って時間潰すタイプなんで、苦ではないですね」 リア充ですね。 京太郎「はは。これで彼女でもいたら完璧ですけどね」 いないんですか? 京太郎「出来たこともありません」 みなさん朗報です。S君は現在彼女募集中のようです。 京太郎「そういうのやめてくれませんかね!? 割と切実に!」 連絡頻度が一番高いのは誰ですか? 京太郎「やっぱ淡ですかねー。あいつ遠慮が無いですし、スマホ慣れしてるからかコメントが早い早い」 やはりドラゴ○ボールの話題ですか? 京太郎「電話では大体そうなんですけど、LINEだと他のしょーもない話が割合多めですね。お菓子送れーとか、構えー遊べーとか」 出来立ての彼女みたいですね。 京太郎「そんな甘い感じじゃ全く無いんですけどね。ナチュラルに人を傷付ける言葉も飛んてきますし」 連絡先を知った人とは直接会っていますか? 京太郎「いえ、この前誘われた一回だけです」 誘われた? 京太郎「あー……。昨日ですけど、宮守のみなさんがお礼も兼ねてということで、海に誘ってくれたんですよ」 海に、ですか。 京太郎「はい。なんでも、団体戦が終わってから個人戦までは東京で観光するという事になったらしくて。昨日は永水の人達と一緒に海にってなって、そこに俺もと」 永水というと、あの選手全員が巫女服を着ていて、シード校で清澄とも二回戦で戦った。 京太郎「その永水です」 いつの間にか宮守の方々と繋がりが出来ていたんですね。 京太郎「俺も経緯は知りませんが、何かきっかけがあったんでしょう」 男性も来る事に何か言われませんでしたか? 京太郎「いえ、事前に話は通してたみたいで、俺が誘われた時にはもうOK貰ってたみたいです」 とすると、宮守と永水の選手達と海に……。 京太郎「ええ、はい。流石に水着は無かったんで、自腹で買って行きました」 みなさんお美しいですから、水着姿は眩しかったのではないですか? 京太郎「そうですねー。目の保養になったのはいいんですが、それを見てナンパしようとするチャラい男もいましたから、追い払う為に何回も呼び出されましたよ」 もしかして彼氏のフリをして追い払ったんですか? 京太郎「あー……。そうですね。基本的にはそれで男連れと知って諦めてくれるんで。石戸さんなんかは傍に薄墨さんがいたからか「夫です」とか言ってて」 確かに身長差とか雰囲気諸々で親子に見えなくもないですね、あのお二方。 京太郎「薄墨さんはそらーまぁキレてましたね。ムキになって俺に「私の彼氏として振る舞いやがれですよー」って命令されてまして。何故か俺がしばらくそれっぽくすることに」 何回も「彼氏です」と呼び出されたということは、何人もの美少女を侍らせてる男の子と認識されていたのでは? 京太郎「周りから俺への視線が段々とキツくなってたので、多分そうかなって……」 基本的には諦めてもらえたとのことですが、諦めが悪い人もいたんてすか? 京太郎「ええ。ちょっと人数多くて、物陰に連れ込んで俺ぶちのめせば連れてけるんじゃね? って考えたのであろう乱暴者もいました」 大丈夫だったんですか? 京太郎「ええ。ハギヨシさんから護身術を学んでたお陰で」 護身術? 京太郎「カポエイラです」 カポエイラ。 京太郎「東京にボディガードも務めて行くなら、格闘技の一つでも身に着けた方がいいって言われまして。何がいいかと聞かれたら、じゃあカポエイラがいいと言ったんですよ」 何故カポエイラを? 京太郎「最近読んだマンガでバトゥ○キってのがあって、カッコイイなー強いなーと思って。まぁ影響受けてコッソリ動き真似してたんです」 中々マイナーな格闘技だと思いますが、教えてもらえたんですか? 京太郎「はい。ハギヨシさんって護身術として格闘技は大体修めてるとか」 護身術の域を超えていませんかそれ。 京太郎「しかもカポエイラ一つですらメストレ……道場で言う師範くらいのレベルは絶対にありましたからね……」 京太郎「まぁそんなこんなで、みんなが見てない所で応戦したんですけど、そんな人の教えもあって怪我なく撃退出来ました」 撃退ですか。 京太郎「と言っても向こうにも怪我はさせませんでしたし、ちょっとビビらせて帰らせただけなんで。喧嘩問題起こしたとか思わないでくださいね?」 分かりました。記事にする時は擁護の内容で書いておきます。 京太郎「喧嘩が起きた前提じゃないですかそれ」 そんなトラブルもあったそうですが、楽しく過ごせましたか? 京太郎「ええ。みなさん楽しくて良い人達でしたし、海でやるイベントは大体こなしてたので。スイカ割りとか、砂の城とか」 ラッキースケベとか。 京太郎「だからそういう方向に突っ走ろうとするの止めてくださいて」 起きたんですか? 京太郎「……ノーコメントで」 彼女達のナンパはS君が追い払っていたそうですが、S君は逆ナンとかされていませんでしたか? 京太郎「えー……? あったといえばあったような、無かったといえば無かったような……」 グレーな出来事があったんですか? 京太郎「えーと。年上の女性二人に「写真撮ってください」って声掛けられまして、海を背景に二人の写真を撮ったんですよ」 ナンパの常套手段の一つじゃないですか。 京太郎「やっぱそうなんですかね? それで、記念にとかで俺とも写真を撮ろうと言ってたんですが、撮る前に滝見がやってきて「……私の彼氏にちょっかいかけないでください」と言って引っ張られまして」 ヤキモチですか? ヤキモチですね? 京太郎「いえ。俺が翻弄されてたから助け舟出してくれたんだと思いますよ」 ……そうですか。 巫女さん特有の神秘的体験とかありましたか? 京太郎「わざわざ聞くようなことですか? ……まぁあったといえばありましたが」 ほほう。何があったんでしょうか? 京太郎「神代さんって仲間内では姫様って呼ばれてて、なんか神様を降ろすことが出来るとかなんとか言うらしくて」 神様を降ろす? 京太郎「なんか神様に憑依される感じらしいです」 神秘的ではありますが、それは中々……。 京太郎「まぁ俺も眉唾物だと思ってたんですけどね。その神代さんは普段健気で天真爛漫って感じの人なんですけど、ある時急に人が変わったみたいに顔つきが変わっちゃいまして、あまり喋らなくなったんですよ」 変わった、と言いますが、神様憑依とか言われましても……。 京太郎「それだけならそうなんですが、その状態の神代さんと力比べした時に、ちょっと元の神代さんだと考えられないぐらいの力で押し負けてたんですよ」 力比べって、何をしたんですか? 京太郎「あー……まぁ、腕相撲的な? 俺も突然の事態でよくわからんかったので」 はぁ……。 京太郎「それで、その神代さんは駆けつけてきた他の永水の人達に連れて行かれた後、しばらくして戻ってきた時にはケロッと元に戻ってて。さっきまでにあった事は全く覚えてない様子だったんですよ」 なにそれこわい。 京太郎「あれで演技とかドッキリとかだったら大したもんですけど、それだと普段の腹芸とか全く出来なさそうな雰囲気も演技って事になるので。それだったらまだ神様憑依とかの方が信憑性あるかなって感じで」 神様憑依の方が信じられるとか相当ですよ。 京太郎「まぁそれだけ不思議な体験だったってことで。宮守のみなさんとも楽しく遊んでたんですが、その日の出来事としては永水の人達がインパクト強めだったかな、と」 成程。ちなみに連絡先交換はしたんですか? 京太郎「ええ。宮守の人達は臼沢さんだけと交換してたんですが、その時には永水のみなさんも含め全員と」 関わり合った人とは今の所みんな連絡先ゲットしてますね。 京太郎「まぁ普段住んでる所が違うから、一期一会の気持ちでってのもあるんでしょう」 そうでしょうかね……。 京太郎「俺もそんな気持ちですから、そうじゃないですかね」 では、最後に何か一言。 京太郎「この季節の海はあっという間に焼けるので、焼けたくない人は日焼け止めを持っていきましょう」 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10057.html
前話 次話 京太郎インタビューその5 全国大会の開会式を終えた、各県代表の女子麻雀部、その精鋭達。 彼女等の青春を賭けた戦いが、始まろうとしていた。 これは、その裏で陰ながら彼女達を支える一人へのインタビューである。 京太郎「なんですかその漫画の紹介文みたいなの」 テコ入れは必要かと思いまして。 京太郎「はぁ……」 今回もよろしくお願いします。SK君。 京太郎「よろしくお願いしまーす」 本日は全国大会の開会式でしたが、どうでしたか? 京太郎「モニター越しですけど、錚々たる陣営って感じでしたね。雑誌や動画にも出てる人達が一堂に会してるって、なんか現実感が無いですよ」 SK君も雑誌や動画に出られてますが? 京太郎「あはは。俺なんか話の内容ばっかで写真は隅っこで小さくですし、動画だってほんの少しの一部の人にウケてるだけでしょう?」 ……ちなみに動画をご覧になった事は? 京太郎「まぁ、アップが始まってすぐにちょっとだけ。やっぱ自分の動画の全部を繰り返し見るとか精神的にキツイですしね」 ……成程。 開会式では、S君はどうしていました? 京太郎「例に漏れず、咲の奴が迷子になってたので迎えに行きました」 やはりですか。 京太郎「探してる時に穏乃から「京太郎君とこの宮永さん見た! すごいプレッシャーだったね!」ってLINE来て、大体どの辺で見たか教えてもらって、見つけたのはボイラー室ですよ」 何故そんな所に迷い込むんでしょうね……。 京太郎「あいつほんとは迷子になってるんじゃなくて、魔王オーラ撒き散らしに行ってるんじゃないですかね……」 魔王オーラ。 京太郎「って本人に言ったら「そんなわけないでしょ!」ですって。「じゃあただポンコツなだけか」つったらムキーしだしたんで、あいつ自身ポンコツなのは認めてきてるんでしょう」 それはただ怒ってるだけでは……? 京太郎「そういえば、開会式中でなんですけど」 はい。 京太郎「咲を送り届けた後、会場で調理出来る場所に行ったんですよ」 そんな所があるんですか? 京太郎「はい。もちろん無断では使えないんですけど、俺が会場内で調理出来るよう部長が許可をもらってきてくれて」 部長さんにも心境の変化が訪れたんですか。 京太郎「? さぁ。でもこの前「S君に雑用任せちゃうのは避けられないけど、せめてちゃんとした場を用意してあげないと」ってブツブツしてたのは聞こえちゃいましたね。部長もちゃんと俺の事気に掛けてくれてんだなーって思いましたよ」 成程……。それで、そこで何かあったんですか? 京太郎「えーと、そこでちゃんと調理出来るか確かめる為に、一度使ってみようとお菓子を作ってたんですよね」 作れるんですか? 京太郎「ええ。やっぱ女子の差し入れは甘い物が評判良いとの事で、一通りは。で、作ってたら突如部屋の扉がバーンと開かれて「なんか美味しそうな匂いがした!」と言って誰かが現れまして」 誰か、というと、誰だったんですか? 京太郎「それがなんと、開会式中の筈の淡……白糸台の大将の大星淡だったんですよ」 淡? 京太郎「あー。まぁまた話してる内に、ですね」 S君は他人と距離を詰めるのが上手いですね。 京太郎「どうでしょう。今回は向こうがぐいぐい詰めてきた感じだし」 それで、何故選手の一人が? 京太郎「あいつが言うところによると「他のとこのくじ引きなんてつまんなーい。うちはシードだし、どこと当たろうとうちらに勝てるのなんていやしないしー♪」つって、抜け出してきたそうで」 王者だけあって、自信に満ち溢れてますね。 京太郎「というか、あいつは普通に自信家なんだと思いますね。悪意は無いと思いますよ。多分ね」 それで、その大星さんが調理室にやってきたと。 京太郎「はい。んで、俺を見つけるなりあんにゃろう「あ! 長野のパシリのS!」とか抜かしやがりまして」 本当に悪意は無いんですよね……? 京太郎「誰がパシリだって返したら「えー。でもパソコン山に運ばせるとかありえなくない? パシリじゃないなら……先輩が鬼?」とか言うので、じゃあパシリでいいよと」 ああ、天然で人を傷付けるタイプですね。 京太郎「初対面がそんな感じだったんで、他校の選手といえどあんま礼儀正しくするのもアホらしくなってきたから、放っといてお菓子作りに集中しようとしたら、近付いてきて「ねーねー、何作ってるのー?」と」 お母さんの料理中に尋ねてくる子供ですか。 京太郎「印象はその通りでしたね。で、作ってるお菓子を答えたら「マジ!? 作れんの!?」って目ぇキラッキラさせてるんですよね」 尊敬の眼差しを向けられたんですね。 京太郎「いえ、あの目は「作れるんならこの可愛い淡ちゃんにも寄越せ!」っていうタカリの目でしたね」 キラキラした瞳で何を訴えてるんですか。 京太郎「あんまり嫌味を感じないのが不思議でしたねー……。とはいえ、部費で買った食材だったのもあり、そのままくれてやるのも癪だったので、欲しけりゃ食材買ってこいやって言ったんですよ」 乱暴な言い方ですけど、まぁ当たり前ですね。 京太郎「ところが予想に反して「わかった! 何買ってくればいい!?」と」 何故そこだけ素直なんですか。 京太郎「いや、多分あいついつも素直ですよ。自分の感情に」 京太郎「それで必要な食材と量を言ったら、スマホにキッチリメモってダッシュで買いに行きまして、近くに買える所があったので割とすぐ戻ってきました」 パシリ根性全開じゃないですか。 京太郎「どっちかと言うとお菓子買ってきていいとお小遣い渡されて駄菓子屋に向かう小学生のノリでしたね。まぁそこまでさせといて断る訳にもいかんので、追加でお菓子を作ってやったんですよ」 好評でしたか? 京太郎「そうですね。持ち帰る分とはまた別にその場で食べる分も作って食べたら、若干オーバー気味に美味い美味いってリアクションしてましたから」 それが切っ掛けで仲良くなったと。 京太郎「あー、いえ。それもですけどそれじゃなくて、ですね」 ? 京太郎「食べてる時に向こうが「ねーアンタさ、ドラゴ○ボール語れるってホント?」と」 大星さんもですか。 京太郎「まぁ世界的な漫画ですしね。ファン度が俺や穏乃と同じくらいだった淡なんで、同士と分かればそこから仲良くなるのに時間はいりませんでしたよ」 意外といえば意外な所で共通点が出来るものですね。高鴨さんと大星さんも相性が良いのかもしれません。 京太郎「うーん……。どうでしょうね」 ? 何か引っ掛かるものでも? 京太郎「いえ、同じ作品が大好きなのはそうなんですけど、その中でも違いってのはやっぱりありますから」 というと? 京太郎「ドラゴン○ールはですね、主人公とライバルが合体する時があるんですけど、その合体にもバージョンが2つあるんですよ」 合体元が同じならどちらも同じでは? 京太郎「それもそうなんですけど、やっぱり違うっていう意見もあります。俺もそうですし。で、この合体でどっちが好きかと言えば、穏乃は断然ベジ○トで、淡は絶対ゴ○ータって言ってるんですよ」 はぁ…………。 京太郎「というのもあくまで一例で、作品内でどういうカテゴリなら何が好きかってので、この二人ほぼほぼ噛み合ってないんですよ」 同じ作品が好きでも、そこで喧嘩は起こる可能性は有り得ると。 京太郎「まぁどっちとも俺と解釈違いなとこはありましたけど、それで楽しく語り合えたので、大丈夫だと思いますけどね」 S君から見て、大星さんはどういう方でしたか? 京太郎「まーアホで口悪いからあんまり理解されないかもしれませんが、話してみれば天然で純粋な奴なのは分かりますよ」 すっかり悪友みたいな口振りですね。 京太郎「それと、注目して見るとあいつ意外と女子力高いんですよ」 というと? 京太郎「家庭的とはまた違うんですけど、爪先が綺麗だったり髪の手入れが行き届いてたり。あと振る舞いですね。他の女子だったら意識してやってる事を無意識にやってる感じで」 S君が見てきた他の女子よりも、女子力が高いと? 京太郎「いや、女子力単体でなら和……はちゃっとズレてる所ありますけど、福路さんとかの方が高いと見てるんですがね。淡はギャップってのも相まって結構目につくんですよ」 ギャップですか。 京太郎「あとLINEのコメントやスタンプの使い方がいちいち可愛くて、逆に腹立つんですよね」 どういう感情なんですかそれ。 白糸台といえば……踏み込んだ質問になるんですけど。 京太郎「はい?」 女子高校生麻雀の王者、宮永照さんと、そちらの清澄におられる宮永咲さん。同じ苗字ですが、もしかして親戚なのでしょうか? 京太郎「ああー……。一応姉妹みたいですよ」 姉妹。 京太郎「と言っても、諸々込み入った事情があるみたいで、踏み込んだ事は出てこないですけどね」 宮永照さんの方とは面識があるのでしょうか? 京太郎「いえ。俺と咲が会ったのって中学だってのは言ったと思いますけど、その頃にはもう別居しちゃってたみたいで」 出会った頃の宮永咲さんが他人と関わりたくなさそうにしていたのも、そこに関係していると? 京太郎「さぁ? ただあいつ、昔から家族の事については父親の事しか話そうとしないんですよね。それでもあいつポンコツだから、話の節々から母親も姉もいるらしい事は伺えたんですけど」 その姉が宮永照さんだと知ったのは、いつ頃ですか? 京太郎「高校からですね。しかもあいつ、俺より先に和に話してたんですよ? 今では部活のみんなに知れ渡ってますし、中学からの腐れ縁相手に薄情だと思いません?」 S君だからこそ知られたくなかったのかもしれませんが……。 京太郎「まぁ今ここでこうして話してる俺が言えた義理じゃないけど、咲にしろお姉さんにしろ、家族の事情ですし話したくない理由もあるんだと思うので、あまり聞かない方がいいかと」 ですが、友人の家族関係が不仲に思えるのは気になりませんか? 京太郎「ならないといえば嘘になりますが、地雷踏むのもなと思いますし、咲自身もこの大会を通してお姉さんと向き合おうとしてるんで、余計な茶々は入れない方がいいかなって」 見守ろうと決めていると。 京太郎「ま、あいつが何か助けてほしい事があるなら、出来る限りはしてやろうとは思います」 では、最後になにか一言。 京太郎「俺の持ちキャラはバーダ○クです」 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10056.html
前話 次話 京太郎インタビューその4 全国大会へとやってきた清澄高校。そしてSK君。 今回から全国大会中の様子を高スパンでお送りする予定の為、インタビューの様子を動画で配信する事となった。 それに合わせて、以前より問い合わせの多かったSK君の素顔の公表についても交渉し、これを受諾。 彼の身内と取材陣しか知らなかったSK君の端正な顔立ちが、今明かされる。 まずは動画配信、並びに素顔の公表を受け入れてくださって、ありがとうございます。 京太郎「はい。といっても、そんなに需要があるとは思えませんけどね。このインタビューって、基本的にうちとかの女子選手達の裏側が知りたい人が見るものでしょうし」 ……需要しかないから問い合わせが殺到したのですが……まぁいいでしょう。 京太郎「それで、今回はどんな話をしましょうか」 それではまず気になった事なのですけど……気を悪くしないでくださいね? 京太郎「はい?」 良く来られましたね? 京太郎「? と言いますと?」 いえ、基本的に大会での遠征となると、選手や監督、コーチくらいのもので、それ以外の応援する部員となると、それこそ大手の学校になるのですよね。 京太郎「あ、あーそういう話ですか」 S君一人分にしても遠征費は馬鹿になりませんし、男子となるとまた別で部屋を押さえる必要があるので、それだけのお金を学校から出してもらえたということに……まさか自費ではありませんよね? 京太郎「それは無いですけど……うーんと。聞くところによると、どうやら学校としては元々俺も付いていかせるつもりは無かったそうです。理由はさっき言ってた通りで」 では、何故? 京太郎「俺ももっともな理由だと思ったんですが、部長がそれについて先生方に抗議したらしくて」 部長さんが、ですか? 京太郎「はい。なんでも「何言ってるんですか! S君がいなかったら咲は広い東京で迷子のまま帰って来なくなりますし、優希はエネルギー切れで行き倒れますし、和なんか道行くわるーいお兄さんに連れ去られて行方不明になるでしょーが!!」とか」 後輩達に対する信頼がまるでありませんね……。 京太郎「心配なんだと思いますよ。かくいう俺も同じ所で心配ですから。そんな訳で、応援兼ボディガード兼マネージャーという形で一緒に東京来る事になりました」 成程。 京太郎「咲は東京に着くまでの駅でも何度か迷子になりますし、優希は遠征に思ったより時間が掛かったせいでエネルギー切れて自分で歩かなくなりますし、和は俺と一緒にいる時にも遠目でジロジロ見られてたみたいで、付いてきて正解だったな……とは思いましたね……」 それはまた、予想を裏切らない方達ですね……。 東京に来た事はありますか? 京太郎「無いですねー。今の時代、電車やら新幹線やら飛行機やらでどこでも行けますけど、特別用が無いとそれだけの時間と金を掛けて出掛ける事無いですし」 長野から出た事も無い? 京太郎「いえ、家族旅行とか修学旅行とかではありますけど……、東京方面に行った事は無いかな」 どうですか? 東京に来てみて。 京太郎「圧巻、ですよね。色んな建物が所狭しと立ち並んでますし、何より人が多いのなんの」 初日にして東京の洗礼を浴びましたか。 京太郎「そうなりますかね。で、初日の昨日は遠征ってのもあってみんなは旅館で休んでました」 みんなは? 京太郎「俺も疲れてましたけど、みんな程じゃなかったし、ちょっと休んだらじっと落ち着けなくなって、周りの地理を把握する意味でもと思って散歩したんですよ」 迷子にはなりませんでしたか? 京太郎「旅館の名前やらはメモってたので、地図アプリを開けば場所は分かりましたから、特に問題ということは無かったですね。咲とは違うのだよ! 咲とは!」 それ以上は宮永さんに怒られそうですが。 京太郎「あいつ麻雀絡ませない限りは怒っても大して怖くないですしねー。で、テキトーにその辺をほっつき歩いてたら、「あ! え、S君だ!」って突然声掛けられまして」 目線を入れない素顔の公開は今回が初なのに、掛けられたんですか。 京太郎「ええ。誰だ? と思って見てみたら穏乃……阿知賀女子の高鴨穏乃でして」 阿知賀女子のというと、奈良県代表高校の? 京太郎「ええ。そういや雑誌でそんな高校もあったな、と」 穏乃……というと。 京太郎「あー。まぁ話してる内に思いの外仲良くなった、というか。その時は向こうも礼儀正しくして、「あ、あの! 私麻雀部で、奈良県から出場してる高鴨穏乃って言うんですけど! 長野で清澄高校のS君ですよね!?」って聞かれまして」 前から思ってましたが、物真似上手いですよね。 京太郎「そうですか? それで、そうだけどって返したら、どうやら和の昔の友達らしくて」 ほほう。意外な所に接点が。 京太郎「他にも和の友達がいて、今の和について聞きたいからっつって阿知賀の人達が泊まってる部屋に案内されまして」 ホイホイと連れ込まれてませんかそれ。 京太郎「まー普通なら警戒するとこでしょうけど、毒気が抜かれるというか危機感を持つだけアホらしいというか、これで騙されてたら俺の見る目を一生信用出来ないってくらい無邪気だったんで。大人しく連れていかれました」 それで、連れ込まれてからどうなりましたか? 京太郎「一応俺を連れてくるっていう連絡は事前に入れてたみたいで。部屋に入った時に紙袋を被った人に「ふっふっふ、良く来たのですSK君!」って出迎えられました」 紙袋。 京太郎「頭を覆い隠してた紙袋の穴から長い黒髪が伸びてましたし、他の特徴と阿知賀女子の人ってのと照らし合わせて正体は松実玄さんってのはすぐ分かったんで、指摘したら「はうっ!? な、なんで分かったの!?」って言った後にハッとして「ち、違うよ!? 私は謎の覆面女子高生MK! 奈良県代表阿知賀女子麻雀部先鋒で、旅館を経営してる松実家の次女で、ドラ保有率100%故に阿知賀のドラゴンロードと呼ばれている松実玄ちゃんではないのです!」なんて取り繕い始めまして。隣にいた鷺森さんに「玄。余計な事までバラしてる」ってツッコまれてました」 なんでそんな奇天烈な行動を……。 京太郎「さぁ……? ともかく正体バレバレなのが分かると松実玄さんは紙袋脱いで、阿知賀女子の四人の人と自己紹介しました」 四人、ですか? 五人ではなく? 京太郎「一人は男性慣れしてないとの事で布団に包まってました」 布団に包まって。 京太郎「……まぁ男慣れしてる人ってのは一人もいませんでしたが、特にって感じで。あと監督もいたそうなんですが、その時は席を外してましたね」 それで、その四人と原村さんについて? 京太郎「いえ、和の友達は五人の内三人で、内一人は包まってたので、穏乃と玄さんの二人と、ですね」 玄さん? 京太郎「あー。姉妹で一緒にいたんで、松実さんだと混ざるからって名前呼びするように、と」 阿知賀女子の方と仲良くなるスピードが尋常じゃないですね。 京太郎「俺も結構なものだと自負してますが、向こうも向こうでコミュ強でしたからねぇ……」 彼女等の部屋にいる間はその二人とずっと原村さんについて語ってたのでしょうか? 京太郎「それがそうでもなくて……しばらく話してる内に、話の流れで玄さんが「ええ!? S君、おもちに触った事無いの!?」とか言い出しまして」 おもち? 京太郎「直訳すると女の子の胸の事です」 何故そんな話の流れに……。 京太郎「なんだったかなぁ……。和は今あれだけ大きいけど、小学生の頃から凄かったんだよーって玄さんが語り始めたからだったような」 それで、それから松実玄さんが胸…………おもちについて語っていたんですか。 京太郎「いや、そこからは話すぐ終わったんですよね。……いや終わらせられたというか……」 というと? 京太郎「俺が触った事ないです、と返したら玄さんが「それは勿体無い! 大丈夫なのです! おもちは友達! 怖くないよ! ほら!」とか言って、俺の手を掴んで自分の胸を鷲掴ませまして……」 え。 京太郎「俺が呆気に取られて何秒かぐいぐいさせられたら、玄さんも自分のやってる事に気が付いたんでしょうね。一気に顔が真っ赤になって弁解らしき言葉を口にしようと」 かなりおばか…………勢いで生きてる方なんですね。 京太郎「あまり包めてませんよオブラート」 ちなみに鷲掴んだ感触は如何でしたか? 京太郎「………………………………ノーコメントで」 京太郎「で、なにか言葉になる前に新子さん……包まってた人ですね。が、「くーーーろーーー……?」って、笑顔で怒ってる感じで玄さんの後ろに立ってまして」 いつの間に出て来てたんですか。 京太郎「俺達が話してる内に顔だけはちょこっと布団から出してたのは見えてましたね。で、それ見て怯えた玄さんを「逆セクハラ娘は出ていきなさい!」つって部屋から蹴り出してました」 先輩に容赦がありませんね、新子さん。 京太郎「幼馴染みだと年の垣根ってあって無いものかもですね……。それで、閉め出された玄さんが部屋の外で「お、お゛ね゛え゛ぢゃああああん!!」って泣き叫びながら、何故か部屋から遠ざかっていって、その後で宥さん……姉の方の松実さんが「く、くろちゃー……」つって追いかけてって、まず松実さん二人が部屋から消えまして」 まず? 京太郎「その後、新子さんに助け舟出してくれた事にお礼を言ったら、聞いたことの無い悲鳴? を上げられまして」 悲鳴? ……具体的にはどのような? 京太郎「確か「ふきゅ!」だったかな?」 また新しい悲鳴ですね……。 京太郎「そんでまくし立てるように穏乃にあれこれ言った後、新子さんも部屋から出て行っちゃって、俺と穏乃と鷺森さんの三人が取り残されました」 それで、その場はもう解散となった? 京太郎「俺はそうかなと思ったんですが、穏乃的にはそうでなかったらしく、ちょっと言い辛そうな感じでもじもじしてたんですよ」 おや、面白そうな反応が……。 京太郎「俺がどうした? って聞いたら穏乃は意を決した感じで「あ、あのね!」つって」 これは、まさか……!? 京太郎「「S君ってドラゴン○ール読んでる!?」って」 ズコーッ! 京太郎「うわっびっくりした! なんですか急に顔面スライディングして!」 い、いえ……思ってた反応と違ってたもので……。 767名無しさん@お腹いっぱい。2021/07/01(木) 17 45 44.38ID PTFFyHFK0 京太郎「まぁ俺も唐突! とは思いましたけどね。どうやら穏乃ってドラゴ○ボールの大ファンなんですけど、周りにそういうの語れる人がいなかったらしくて。男で同年代で和の友達の俺ならもしかしたら、って思ったらしいです」 同年代の男の子ならともかく、原村さんの友達は関係あるんでしょうか……。 京太郎「ある程度信用出来る男って意味なら、あるかもですね」 それで、S君は読んでるんですか? ドラ○ンボール。 京太郎「そりゃあもう。漫画は読破してますし、アニメもDVDが全部家にありますし、ゲームも全部とはいきませんが古いのから新しいのまで揃ってます」 かなりのファン度ですね。 京太郎「穏乃はゲームこそ無いものの、数あるド○ゴンボール映画をコンプリートしてましたよ」 そうなると、とても話が合ったんじゃないですか? 京太郎「そうですね。俺は男友達にもファンはいますけど、穏乃はそうじゃなかったんで、今までに語れなかった分を語り尽くそうって勢いで話してました」 その流れで下の名前呼びになったんですか? 京太郎「ええ。そろそろ帰らないとって時間になって、語り足りないし連絡先交換しようっつって、その時に」 東京初日で女の子の連絡先ゲットしたんですね? 京太郎「言い方!」 では、最後になにか一言。 京太郎「東京でオススメの、テイクアウト出来るタコスが売っている店を知っている方がいらっしゃれば、どうかコメントの方お願いします」 晴絵「…………私がいない間に何やってんだあんたら」 穏乃「いやーごめんなさい! 初めての東京でテンション上がって、その辺をダッシュしてたら京太郎君ぽい人見掛けちゃって! 確認したら本物だったからそのまま連れ込んじゃいまして!」 晴絵「いやそれもだけどさぁ……見ず知らずの男を部屋に招くとかさぁ……」 穏乃「? 和の友達だし、見ず知らずじゃないですよ?」 晴絵「そーなんだけどさぁ……」 灼「ハルちゃん。穏乃には何言っても無駄……」 憧「しずもしずだけど、玄も玄よ。なんであんなに恥を晒したわけ?」 玄「言い方酷くない!?」 灼「須賀君が部屋にいる間、ほぼずっと布団に包まってた憧も大概だと思……」 憧「そ、それは仕方ないでしょーよ! 部屋でだらだら過ごしてたらいきなりしずから連絡来て「S君見つけた! 今そっちに一緒に向かってるー!」とか言うのよ!? 心の準備ってものがあるでしょ!?」 穏乃「でも憧、雑誌で京太郎君の写真とかコメントとか読んで、「ふーん。まぁ、悪い奴じゃないかもね」とか言ってたし、男の子苦手な憧でも大丈夫かなって思ったんだけど」 憧「……違うのよ……悪い奴どころか、本物見たら超タイプだったのが問題なのよ…………」 穏乃「へ?」 憧「と、とにかく! どーすんのよ玄。あの時の事が知られて、アンタこれから「初対面の男に胸触らせた痴女」って事になるんだけど?」 晴絵(動画のコメントだと「勢いで胸触らせちゃうおばか女子高生」って感じだけどな……) 玄「痴女!? ち、違うよぉ。私本当にそんなつもりなくて……」 憧「和だってそんなつもり無いけど、ネットじゃ「長野が生んだエロの化身」とか呼ばれてるわよ。そこ行くと玄は「奈良が生んだエロの化身」になるわね」 玄「うぇぇん! そんな渾名つけられたらもうお嫁に行けないぃぃぃ!!」 灼「そしてそんな化身と一緒に出場する私達……」 憧「言うな……言わないで…………」 玄「おねえちゃぁぁぁん!!」ビエー 宥「だ、大丈夫だよ玄ちゃん。その時は、ほら。責任を取ってもらう? って事で……」 晴絵「逆セクハラした立場でそれは難しくない……?」 穏乃(今度は和や清澄の人達とも一緒に話せたらいいなー) ちなみに、公表されたSKの素顔に注目が集まったので、阿知賀女子麻雀部の事柄はそれ程話題に挙げられなかったという。 カン 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10050.html
次話 京太郎インタビュー 西田「うーん……原村和さんのインタビューに成功したのはいいけど、必要最低限って感じだからもうちょっと何か欲しいところね。 チャンプの妹である宮永咲さんに取材出来たら良かったのだけど……ってあれは」 咲「京ちゃーん。これから部活ー?」 京太郎「あー、いや先に購買でシャーペンの芯買ってくるわ。ついでになんかあるか?」 咲「んー。それじゃあ……」 西田「すみませーん!」 咲「ひぇっ!?」 京太郎「ん?」 西田「少しお話いいですかー!?」 咲「あわわ、き、記者の人だ! ごめん京ちゃん後でね!」ビュー 京太郎「あ、おい! ……行っちまった」 西田「あら、逃げられちゃった」 京太郎「すいません、何か咲に用ですか?」 西田「ええ。清澄高校麻雀部のインタビューとして、あの子にもお話聞きたかったのだけど……あの様子じゃ無理そうね」 京太郎「そうっすねー。あいつ結構人見知りなんで、そういうのは無理かなって」 西田「姉妹でも、似ない所は似ないのね……」 京太郎「はい?」 西田「こっちの話。申し遅れました。私、西田といいます。よろしくね」 京太郎「あ、須賀です。よろしくっす」 西田「須賀君。君は彼女と仲良いの?」 京太郎「? ええ、まぁ」 西田「もしかして、彼氏……だったり?」 京太郎「いやいや、そういうのじゃないっすよ」 西田「あらそう。仲良さそうだったからつい」 京太郎「よく言われますけどね。それじゃ、俺もそろそろ行きますね」 西田「……あ、ちょっと待って」 京太郎「?」 西田「さっき清澄高校麻雀部のインタビューをしたいって言ったじゃない?」 京太郎「ええ、はい。咲にも話聞きたいって」 西田「良ければ、君の話も聞かせてもらえないかな?」 京太郎「お、俺っすかぁ?」 西田「ええ。選手達と関わりある、選手でない人の意見っていうのも、結構ネタになるからね。一応撮影はさせてもらうけど、そんなに時間は取らせないし、退屈もさせないから」 京太郎「んー……。まいっか。部長に遅れる連絡だけさせてもらっていいですか?」 西田「ありがと」 それじゃあ改めて、お名前から。 京太郎「清澄高校一年、須賀京太郎です。よろしくお願いしまーす」 清澄高校麻雀部とは、どういう関係で? 京太郎「関係っつーか、一応部員です。俺も」 一応、と言うと? 京太郎「いやー、他のみんなは大会に出て全国へー、とかってレベルなんですけど、俺だけ初心者なんですよね。高校に入ってから初めたばっかで」 周りは経験者ばかり? 京太郎「そうですね。と言っても、部員は大会に出た5人と俺の合計6人なんす。ハーレムってやつですよハーレムははは」 あまり嬉しそうではありませんね。 京太郎「……いや、部活で他が女の子だけって、どーしたって異物感出ますよねって話です……」 部室にいると気まずい? 京太郎「気まずいかって言われるとそーでもないんですよ。やっぱり女子だから男子だからで気を遣わなきゃいけない事はあるんですけど、そういう壁をお構い無しに仲良くなる奴もいますし、みんな良い人ですしね」 特に仲のいい部員といえば? 京太郎「やっぱ咲とタコス……あー、優希ですね。片岡優希。さっき言ったお構い無しの奴です」 同学年ですと原村和さんもいらっしゃいますが、そちらとは? 京太郎「仲が悪い、って訳じゃないですよ? ただ、和は二人よか真面目なんで、男女は適切な距離感を保つべきって考えがあるんでしょうね。二人と比べたら距離はあるかなって」 ガードが堅いと。 京太郎「そう………いや、あれで無防備な所もあるんで、身持ちが固いって言うべきかな。うん」 片岡優希さんは男女垣根無い方だそうですね。 京太郎「良い言い方をすればそうですねー。お子ちゃまとも言えますけど」 宮永咲さんは、そうではない? 京太郎「男女どちらとも人見知りするって意味なら、垣根無いとも言えますけどね。学校の友達は部内にしかいないみたいですから」 宮永さんとは、どのように仲良くなったのでしょうか? 京太郎「どのように、かー……。えーとですね、咲とは中学の時に同じクラスだったんですよ」 高校の部活以前に交流があった? 京太郎「そうですね。で、クラス委員を男女一人ずつ出さなきゃいけないってなった時に、ほぼ押し付けられる形で俺と一緒にクラス委員になったのが咲だったんですよ。俺は面倒だけどまあいっかーってノリだったけど、あいつは多分嫌だけど嫌って言って話し合いにもつれ込む方が嫌って感じでしたね」 その頃の宮永さんは、どんな人でした? 京太郎「ぼっちなのは変わらないんですけど、あの頃は人見知りってより、誰とも関わりたくないって言いたげなぼっちでしたね。委員で最初話しかけた時も挨拶だったかをボソッと喋るくらいで、暗いなーとか冷たい奴だなーとか思いましたし」 そこからどうやって仲良くなったのでしょうか? 京太郎「それが聞いてくださいよ! クラス委員の最初の仕事で、誰々の席がどことかの掲示を作るんですけど、出来た紙を先生に見せてくるつってさっさと教室を出て、しばらくしても戻ってこなかったんですよね」 その間、須賀さんは待ってた? 京太郎「掲示を貼るまでが仕事なんで、先に帰られるとは思わなかったですしね。で、暇潰しに携帯弄ってたら、先生が教室に来て「まだ出来ないのか?」って言うんすよ。あいつが行った筈って言ったら、いや来てないって」 入れ違いになってた? 京太郎「どころか咲の奴、校舎内で迷子になってたんですよ!」 迷子。 京太郎「信じられます!? 入学して一週間足らずとはいえ、一緒に行くと言った俺に「別にいいです」と言っておきながら! その棟の一階にある職員室までに辿り着けず! 俺と先生が探しに行って見つけたのが別の棟の3階ですよ!? しかも見つけた時にはトイレが限界近くて、涙目でプルップルしてやがったんすよ!」 京太郎「目視出来る距離にあった女子トイレに案内され、駆け込んで行く姿を見て、俺は確信しましたね。「ああ、こいつはポンコツだな」と」 ポンコツ、ですか。 京太郎「ええ。それからというものの、日常のあらゆる所でそのポンコツぶりを遺憾なく発揮して、クラスでの立ち位置は「一人になりたいぼっち」から「クールぶりたいポンコツ」に変わっていきました」 いわゆるマスコット枠、みたいなものですか? 京太郎「そんな感じですねー。それで、そのポンコツをからかいつつ話してたらいつの間にやら、という風に」 宮永さんはその頃、麻雀では 京太郎「あ、中学の時には麻雀やってなかったですあいつ」 やっていない? 京太郎「ええ。どうやら小学生の頃までに家族麻雀でやってたぐらいで、中学の時にはそういう話全くしてなかったです。俺もその頃はハンド部で、麻雀とか全然でしたし」 それで、団体戦の大将を任されている? 京太郎「びっくら、ですよねー。俺もまさかカモだと思って麻雀部に連れてきたポンコツが、麻雀では魔王に変身するとは」 魔王ですか。 京太郎「俺が勝手に呼んでるだけですけどね。あいつ麻雀やってる時、時たまスゲー形相というか、黒いプレッシャーぽいのが出るんすよ。部長とかは俺が気付いてるより多めにそういうの感じてるみたいです。それがもう魔王! って感じで」 萎縮してしまう? 京太郎「んー。そうなった時には「うわ怖っ」ってなるんですけど、「でもこいつポンコツだしなぁ」って考えると冷めた目になりますね」 麻雀をしている時と、していない時のギャップをどう思う? 京太郎「ギャップと言われても、みんなそういうもんじゃないですか? 咲のは極端な方だと思いますけど、俺だって家族と接する時と友達と接する時で違いはありますし。なんならもっと変わる人もいますしね」 現在の宮永さんを見てどう思いますか? 京太郎「俺以外にも友達出来てるし、前より明るくなったし、熱中するものが出来たしで、良い変化だと思います」 では、最後に何か一言。 京太郎「清澄はレディースランチが美味いですよ」 咲「ちょっと京ちゃん! これどういうこと!?」 京太郎「ん? ああ、この記事この前のインタビューの」 咲「私の中学時代の黒歴史が暴露されてるし、「ポンコツ魔王」とか呼ばれてるんだけど!? これ京ちゃんの仕業でしょ!? なんでこんなことするの!?」 京太郎「だってお前がポンコツなのは今でも変わりないし、魔王っぽいのは事実だし」 咲「ひどい!」 京太郎「ひどくない!」 久「和のでっかい写真のページに、事細かに書いてあるわねー。大将、宮永咲の素顔って」 和「何故か須賀君の顔写真付きですね。目線に黒線が入ってますけど」 優希「京太郎、お前ついに……」 京太郎「ついにってなんだよ! 容疑者の供述とかじゃねーんだよ!」 咲「話終わってないよ! どうしてくれるの!? 私全国の場でこれ読んだ人に「あ、ポンコツの人だ」とか「魔王の人だ」って思われるんだよ!?」 京太郎「逆に聞くけどお前、麻雀してない時でポンコツじゃない時あるか?」 咲「あるよ! なんかこう……京ちゃんより国語の成績良いとか!」 久「語る所がそれの時点でもうポンコツよね」 優希「しかも理数系はのどちゃんの半分以下だじぇ」 和「体育だと何もないところでずっこける運動音痴ですし」 京太郎「な? 咲。お前は誰もが認めるポンコツなんだよ」 咲「むきー!」 久「けど須賀君。今回はいいけど、メディアの場であんまりうちの情報ベラベラと喋らないようにね。ただでさえノーマークだった清澄が県大会優勝して注目を浴びてるんだし」 京太郎「大丈夫ですって。俺相手にそう何回も取材なんて来ないですし」 ガチャ まこ「おーい京太郎ー。前回のインタビューが好評だったから、おんしにまた取材したいと記者の人が来とるんじゃが」 京太郎「あるぇ?」 カン 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10051.html
前話 次話 京太郎インタビューその2 前回のインタビューにて、清澄高校麻雀部の大将・宮永咲さんについてのコメントを頂けたSK君。 女子麻雀選手の関係者で希少な男子生徒ということもあり、今までに無かった需要が増えているとのデータが出ている。 今回は、彼自身についてインタビューを行う。 というわけで、今回もよろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします……いや、まさか二回目があるとは」 とても面白いお話を聞けたのと、目線を隠しても分かる顔立ちの良さが人気を呼んだみたいで。 京太郎「話、はともかく、顔立ちですか?」 綺麗に整っているかと思います。 京太郎「あ、はは。あんまそっちで褒められた経験ないんで、反応に困るなぁ。でも、ありがとうございます」 それでは早速質問に入りますね。 京太郎「はい。あーでも、清澄の選手事情に関しては口止めされたんで、そこはちょっと……まぁ、聞かれても俺から有力な情報が出るとは思えませんけどね」 分かりました。それではまず、前回のインタビューで高校から麻雀を始めた初心者と言っていましたが、麻雀を始めたきっかけはなんだったのでしょうか? 京太郎「きっかけですか…….。ぶっちゃけちゃうと、麻雀そのものに興味が出て始めた訳じゃないんですよね」 と言いますと? 京太郎「入学式の日に新入生代表つって、麻雀で去年インターミドル王者になったっていう女の子、まぁ和なんですけど。その子が全校生徒の前で挨拶して、「高校でも麻雀を続けたいと思います」って言うんですよ。当時のうちは無名も良いとこだったんで、なんでうちに来たのかは謎でしたけど、部長も美人さんと噂だし、あの子が入るならやってみよーぜって男友達となってですね」 一目惚れした女の子が入った部活に、一緒に入ったということですか? 京太郎「そんな真剣な気持ちじゃないっすよ。青春に飢えた男子高校生が可愛い子とお近付きになりたいってあっさい考えで部活見学しただけです」 中学時代はハンド部だったそうですが、そちらを続ける気は? 京太郎「無かったですね。これでも結構良いとこまで行ったレギュラーだったんですけど、だからこそ情熱を費やしちゃったっていうか。なので、高校では何か違う部活をやろうって思ってまして」 入部希望者は他にもいた? 京太郎「いえ、俺と似たような事考えてた野郎共は結構いましたけど、他全員は部活見学の段階で辞めましたよ」 入部試験でもあったのですか? 京太郎「似たようなものですかねー。部室に入ってとりあえず打ってみようって事になったんですが、和はもちろんのこと、一緒にいたちんまいのに、元からいた部長や先輩が、これがまた強いわ強いわで。ちっとも歯が立たないし、全然上がれないし、そもそも麻雀自体がムズいしでどんどん来なくなって。部活見学期間が終わるまで残ってた男子は俺だけになりました」 何故そんなことに? 京太郎「後から聞いたんですけど。優希のやつが「のどちゃんに集ろうとする悪い虫は駆逐してるじぇ……! 一匹残らず!」って意気込んでたらしくて、未経験者相手に本気でやってたんですよね。こっちは役どころか牌の読み方も良くわからんのに、大人気ないったらありゃしない」 須……S君は悪い虫では無いと思ってもらえたと。 京太郎「そういうことになるんですかね。俺が入部届出した時に、したり顔で「お前中々根性あるな。よし、今日からはこのゆーき様の犬としてこき使ってやるじぇ!」とか言ってましたが」 犬。 京太郎「あいつなりの男友達って意味でしょう。俺もいつもタコス食ってるからタコスって呼んでますし」 他の子が辞めていく中、S君が残ったのは何故でしょうか? 京太郎「まぁ部活見学でひたすら打っていく内にですね。役の名前がオシャレーだとか、思ってたより奥が深いんだなーとかって、そういう所から麻雀の楽しさに目覚めたからってとこですね」 原村和さんの美貌に、他の男子達より惹かれてたのもあるのでは? 京太郎「いや、それは……まぁ……恥ずかしながら」 やはり彼女のスタイルは目を引かれるものですか? 京太郎「ぬぐっ!!」 恥ずかしがる事はありませんよ。うちの会社でも彼女はグラビア向きだともっぱらの噂で 京太郎「その分かってますよ感出すのやめてくれませんか!? そう言う人が本当に分かってくれてた試し無いですからね!? 男子高校生はみんなエロい事しか考えてないとかそういうのを理解するのも大人になるって事だとか言ってしょうがない生き物だって風に扱いますけど! そりゃあエロい事は考えますよ! 男の子ですもの! でもだからってそれしか考えてないとか言って、スタイル良い子が好みって言ったら女の子を身体しか見てないとか言うのはおかしいでしょ!? じゃあ言わせてもらいますけど! うちの麻雀部でも他の女子選手も好みのタイプは麻雀が強い人って大体答えてるけど、麻雀強ければ他はどうでもいいってのと麻雀が強い(ただしイケメンに限る)じゃ全然話変わってくるじゃないですか! ブサメンだろーが運動音痴だろーがクズであろーが麻雀が強ければそれでいいって人も中にはいるかもしれませんが、他にも前提や好みがあるのが普通でしょ!? 諸々考慮するけど麻雀強い人だとポイント高いよって話でしょうよ! だったら男も諸々考慮してスタイル良い子だとポイント高いよって女の子の好みを考えるのはそんなにいけないことですか!?」 落ち着いてください。 京太郎「ふー、ふー……、ふー…………。すいません、ヒートアップしました」 いえ、こちらも偏見を持ったまま深く考えずに発言しました。申し訳ありません。 京太郎「まぁ中には本当に女の子を身体しか見てない奴はいますからね。俺はそんなつもりないですし、男がみんなそうじゃないって分かってもらえれば」 原村さんが好みではあると。 京太郎「そうっすね。さっき言ったスタイルは置いといても、可愛いし、キリッとしてるし、最初見た時の印象はすごい良かったです」 現在の原村さんの印象はどうでしょうか? 京太郎「外見は変わらずなんですけど、中身の方。どういう女の子かってのは、結構見る目変わりましたね」 中身の印象、ですか? 京太郎「最初の頃はこんな完璧超人みたいな子が本当にいるんだなーって漠然と思ってたんですけど、世間知らずだったり結構抜けてる所があったりしてて。悪い意味じゃないんですけど、変な子だなって」 確かに。大会にぬいぐるみを持ち込むなど、目立つ部分はありましたね。 京太郎「一番驚いたのが私服ですね」 オシャレでない? 京太郎「そういうのじゃなくて、生地がやたら薄かったり、布面積がやたら小さかったりで……。それ夜のベッドで女が男を誘う勝負服だろってくらい扇情的だったんですよね」 原村さんにはそういう趣味が? 京太郎「普通に外で着る普段着の振る舞いをしてたので、本人的にはただのオシャレのつもりなんでしょうね……。真面目なんだけど肝心な所でガードガラ空きというか、無自覚無防備というか」 S君からそういう指摘はされたのでしょうか? 京太郎「俺じゃなくて優希の奴が「エロエロだじぇ」って感じで言ったんですけど、「いいじゃないですか。可愛いですし」と。いやそういう問題じゃねぇんだけどってツッコミ入れるのを必死にこらえてました」 S君は今年の大会には出られたのでしょうか? 京太郎「出ましたよ……一回戦で最下位でしたけど」 最下位。 京太郎「一度も上がれず箱割れです」 清澄で指導は受けているのでしょうか? 京太郎「んー。仲間内で人数足りない時とかに入るくらいで、指導とかは無いかな。一緒に打ってる相手にどうこう言われるのはありますが」 男子の育成に力を入れていない、と。 京太郎「うちは顧問やらコーチやらもいないですし、他のメンバーはみんな全国を目指すレギュラーですからね。入れようにも入れられないかなって」 悔しくはないでしょうか? 京太郎「悔しいといえば悔しいですよ。他のみんなはすごい人ばっかで県大会優勝までしてるのに、俺だけはって。 でもそれを指導してもらえなかったからとか、構ってもらえなかったからとか言って他人のせいにするのはカッコ悪いじゃないっすか。 第一、初心者の指導の為にレギュラーの少ない時間を削ってくれなんて言えませんし、言わずともしてくれたとして申し訳ないですよね」 大人ですね。 京太郎「いえ、そう考えるようになったのも割と最近で、それまではもう辞めちゃおうかなって思いもしましたよ」 何かあったのでしょうか? 京太郎「特別何かあった訳じゃないですけど、もう何やってんのか分かんないレベルの人等と一緒にいると、やっぱり劣等感っていうのですかね。俺麻雀向いてないのかなぁとか。俺が麻雀部にいる意味ってあるのかなぁとか。どころか俺がいても邪魔なんじゃないかって、一人で考えてると悪い方悪い方に想像しちゃって」 思い直せたのは何かきっかけが? 京太郎「部活の先輩がね、言ってくれたんですよ。俺も合わせて清澄麻雀部なんだって。実力あるのが集まっただけじゃチームとして成り立たない。清澄がチームになってるのは俺もそこにいるからって」 心に響く言葉ですね。 京太郎「ですよね。俺ちょっと泣きそうになりましたもん」 京太郎「まぁそんなこともあって、俺も実力が無いなりにチームとしてみんなに貢献しようと思ったんです」 成程。具体的にはどのような? 京太郎「一番変わったのはタコ……料理ですね」 タコ料理? 京太郎「あー……はい。他にも色々と、徐々にレパートリー増やしてる所です」 腕に自信の程は? 京太郎「いやいや、身近にお店で出してる人がいるので、自惚れるような腕じゃないのは身に沁みてますよ」 部内の人ですか? 京太郎「これがまた美味いのなんの。一度食べると病み付きです。料理での目標は、あの人くらいの味が出せる事ですね」 では、最後に何か一言。 京太郎「来年の大会でリベンジしてやりますよ。それこそ東○リベンジャーズのようにね!」 和「ちょっとそこに土下座してください」 京太郎「え? あの、和? 普通そういうのは正座とかでは」 和「顔を見てるとひっぱたきたくなります」 京太郎「…………」ドゲザ 和「はぁ……、須賀君。私が一体何に怒ってるかーーー」 咲「和ちゃん、顔真っ赤にして静かに怒ってるね」 優希「褒め殺しにされた上、好意をインタビューの場で赤裸々に語られて恥ずか爆死してるのと、えろえろ私服を暴露されて、ネットでキツめの呼び名がつけられた怒りとで錯綜してるじぇ」 まこ「『男を誘惑する魔性の乳』『淫乱ピンクのどっち』『天然痴女』……お、新たに『長野が生んだエロの化身』が追加されとるの」 久「ねぇ。同じ所で「こんな良い男の子を辞める寸前まで追い込むなんて信じられない!」「清澄麻雀部部長鬼畜説浮上」「鬼! 悪魔! 竹井!」とか書かれてるんだけど」 咲「京ちゃん……辞めようか迷うくらい思い悩んでたなんて……」 優希「染谷先輩の神フォローが無かったら、気付けないままだったじぇ……」 まこ「いや、わしも辞めようか迷ってたとまでは見抜けなんだな……。あの時のわし、ナイスじゃけえ」 久「聞いて」 和「大体なんですか辞めちゃおうかなって思いもしたって! そういう大事な事を何で一人で抱え込むんですか!?」 京太郎「い、いや、思ってただけで未遂だし、抱え込むって程深刻な段階でも無かったから」 和「思ってただけにしても深刻かどうかはあなただけで決めていい問題じゃありません! 私達の気持ちを勝手に決めつけないでください!」 京太郎「何故だか和に言われたくないんだけど」 和「私はいいんです! けど須賀君は駄目です!」 京太郎「理不尽じゃね!?」 和「顔を上げない!」 京太郎「はいぃ!」 一部反感を買ったものの、SKの主張は多くの共感を呼び、二度目のインタビューも好評となった。 あ、カン忘れてた。カン! 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10065.html
前話 次話 京太郎インタビューその9 本日はインターハイBブロック準決勝。 あと二、三時間もすれば試合開始ですが、その前にSK君に恒例のインタビューをしていこうと思う。 今回は特別にゲストの方が来ています。 本日はお二方、よろしくお願いします。 京太郎「よろしくお願いします」 由暉子「よろしくお願いします」 はい。SK君へのインタビューで初となるゲストは、有珠山高校の副将、真屋由暉子選手です。 由暉子「ご紹介に預かりました、真屋由暉子です。突然で驚きの方も多いと思いますが、以後お見知り置きを」 先程S君が真屋選手を連れてきて、インタビューに参加させてほしいと言われた時は驚きました。 京太郎「俺も驚きましたよ。さっき一人で歩いてたらいきなり有珠山の人達に出くわして「ユキをインタビューに参加させてくんない!?」ですもの」 彼と交渉してこの席を手に入れた訳ですか。 由暉子「はい。先輩が「頼むよ! なんでもするから! ユキが!」と言って、快く引き受けてもらいました」 京太郎「それあの人が勝手に言ってただけで、俺がそれを受け入れた訳じゃないからね?」 まぁ我々としては話題になるので、ゲスト参加は望む所ですが……、真屋選手は何故このインタビューに参加をご希望されたのでしょうか? 由暉子「目立てるからだそうです」 ハッキリ言いますね。 由暉子「現在この動画は指数関数的に視聴率を伸ばし、今やインターハイに参加、観戦、その他関係者の方々で見ていない人はいないと言われる程です。打倒はやりんを掲げる私達がこれに参加し、話題を掻っ攫わない手は無い。あと面白そうだから、一波乱起こしてやれ、との事でした」 京太郎「もう全部言うじゃん……」 打倒はやりんと言いますが、瑞原はやり選手を敵視しているのですか? 由暉子「敵視ではなく、尊敬しているが故に、ですね」 というと? 由暉子「はやりんはアイドル雀士として、アイドル活動に真摯に取り組みながら、プロ雀士としても第一線で活躍する方です。どちらかだけでも容易く叶えられる事ではない以上、そのどちらも叶えているはやりんは、普通の人には考えられないような、並々ならぬ研鑽を積んできたと思います」 確かにそうですね。 由暉子「そのはやりんをリスペクトするからこそ、打倒はやりんを掲げ、はやりんを超えたい。その意思を胸に、私は頑張っていたいと思っています」 成程。有珠山高校はそのようなお考えで打倒はやりん、と。 由暉子「いえ、先輩方はどうか知りませんが」 そこは嘘でもそうだと言いましょうよ……。 由暉子「根が正直なもので」 由暉子「ですが、動機がどうであれ私を含め先輩方も、打倒はやりんとこの大会に本気で打ち込んでいます」 そうですね。そうでなければ、インターハイ準決勝のここまで、コマを進めることなど出来なかったでしょう。 由暉子「この衣装も揺杏先輩の手作りなんです。どうでしょうか?」 大変可愛らしいかと。S君はどうですか? 京太郎「そうですね。元の素材が良いのもありますが、それを活かしたこの衣装は細かい所にまで手が行き届いていて、職人技が光っていると言えます」 由暉子「ピカピカですか?」 京太郎「ピカピカだな」 由暉子「ありがとうございます。とても嬉しいです。自分の事のように」ニコ あ、今の笑顔すごく良かったですね。 京太郎「おー……」 S君も見惚れちゃいますか? 京太郎「あ、はい。あんまり表情動かない子だと思ってたので、こんな顔もするんだなって」 S君と視聴者のハートをガッチリ掴む、強烈なスマイルでしたね。 さて、今回はどのようにお話を進めていきましょうか。有珠山高校の選手としては度々インタビューをされたでしょうし。 京太郎「そうですねー。この所立て続けだったので、その後印象的な事って言われても困りますし……」 由暉子「そんなこともあろうかと、私達の方でこんなものを用意しました」トン ……カンペ? 由暉子「本来ならパネルを用意したかった所ですが、予算と手間の諸々でこのようなものに」 京太郎「それでどうするんだ?」 由暉子「これは私とS君でこんな話題を話し合えば面白いんじゃないかと、先輩方と一緒に作り上げたテーマ集です」 つまり、話のお題をそれで出していって、それを二人で話し合うと。 由暉子「そういうことです」 京太郎「へぇー。なんだか番組めいてきたな。一昔前のバラエティ感あるけど」 由暉子「それでは早速見ていきましょう。最初のお題はこちら」ペラ 「そこでボケて!」 京太郎「出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは突然アドリブを振られた時の練習用に使ったカンペですね」 京太郎「ボケてが1ページ目に来る時点で完全にネタ用じゃねーか!」 由暉子「S君は、同年代の人にはそんな感じなんですか?」 京太郎「え? あー……喋り方の事か? まぁ年上の人相手に話してる時は敬語だけど、タメだとこんな感じ」 由暉子「そうなんですね。動画や雑誌だと基本的に敬語だったので、知りませんでした」 京太郎「あんまり馴れ馴れしいのが好かないなら、控えるけど」 由暉子「いえ。ふと気になっただけですので、お構いなく」 京太郎「逆に真屋の方はもっと崩してもいいと思うけどな」 由暉子「私は誰に対してもこんな感じですから」 京太郎「そっか。それじゃあ、気を取り直してお題の方を」 由暉子「はい。えー、これですね。改めて、最初のお題はこちらになります」ペラ 「今日の成香はくまさんパンツを履いている。○か×か」 京太郎「隙を生じぬ二段出オチ!」 由暉子「あ、間違えました。これは爽先輩が暇潰しに作って部内で回答した○×クイズ集でしたね」 京太郎「なんでそんなもん大会の遠征に持ってきてんだよ! しかもクイズに出るってことは、普段はそのパンツを履いてるっていう羞恥プレイじゃねーか!」 お二人の掛け合いで口を挟む余地がない……。 由暉子「それではまた改めて」 京太郎「大丈夫か? 3段ネタは銀○でもそうそうやらないぞ?」 由暉子「今度は大丈夫です。最初のお題はこちらです」 「家族構成は?」 良かった、今度はまともだ……。 京太郎「家族構成って、一緒の家に住んでる家族って考えでいいのか?」 由暉子「はい。私はマンション暮らしの一人っ子で、両親は共働きですね。S君はどうでしょうか?」 京太郎「俺も一人っ子なんだけど、うちって一つの家にじいちゃんから下の親戚が集まってる感じだからなぁ。兄弟姉妹はいないけど、一緒に暮らしてる従兄弟とかは多いってとこ」 どれくらいの人数で暮らしてるんですか? 京太郎「親世代が四人兄弟で八人いて、その下が俺含めて九人なんで、十九人いますね」 そんなに人数がいたら家が手狭になりませんか? 京太郎「うちの家は広々としてるんで、他の親戚が集まって一人一部屋使っても若干余るくらいなんですよねー」 ……もしかしてS君の家って、わりとお金持ちでは。 京太郎「んー。昔は地方の豪族だったとかなんちゃらで大きい家があるってだけです。龍門渕さんとかみたいに今でも大富豪って訳ではないですよ」 それにしてもその人数で生活するのは大変な費用では? 京太郎「あんまり気にしたことありませんが、親世代が結構稼げてるんで、家庭でお金に困ったことは無いですかねぇ」 由暉子「成程成程……」 由暉子「では、次のお題です」 「ペットは飼ってる?」 ペットですか。 由暉子「私は飼っていませんし、先輩方もそうだと思いますが、S君はどうでしょうか」 京太郎「ペットか。飼ってるよ、家に一匹。カピーっていうんだけど」 カピー? 京太郎「カピバラのカピーです」 カピバラ……というと、確かあの毛のある、大きなネズミみたいな。 京太郎「多分それですね」 由暉子「カピバラって飼えるものなんですか?」 京太郎「犬猫よりは準備とか色々必要になると思うけど、まぁうちは広いし、水場も池があるから1から全部って訳じゃあなかったな」 家に池とかあるんですか。 京太郎「はい。動物園だとカピバラは温水プールとか使ってますけど、温まる用なら温まる用でお湯を張った桶を用意するので、普段の水場はそうなります。冬場は小さい池を温められるようにしてますね」 一般家庭にはあまり馴染みのない家庭事情ですね……。 京太郎「手間やらなんやら色々大変ですけど、そこは当番制にしてますから。それにそれだけ愛着もわきますしね」 由暉子「3つ目のお題です」ペラ 「好きな衣装は?」 京太郎「一気に毛色が変わったな……」 由暉子「先輩方から一人一つお題を出してもらう形ですから」 京太郎「好きなって、他人が着てるのを見る分にはってことか? それとも自分で着る分には?」 由暉子「どちらも聞きたいですが、どちらかと言えば見る方ですね」 京太郎「見る方かー……」 由暉子「私は男性の衣装ですと、スーツのようなパリッとした格好が好きですね。カッコいいですから」 京太郎「それは同意するけど、手足が長くないと中々カッコよくならないから、平均的に短足が多い日本人男性だと難しいんだよなぁ」 由暉子「S君は長い方だと思いますが?」 京太郎「俺の男友達もこれくらいはあるけど、みんな背の順で並ぶと最後の方になるからなぁ」 基準にはなりそうにないですね。 京太郎「見る分で好きなのは、やっぱこう、女の子してる落ち着いた感じかなー。白いワンピースとか」 童貞っぽいですね。 京太郎「黙らっしゃい」 由暉子「男の人は肌面積の多い過激な衣装が好きだと聞きましたが?」 京太郎「まぁ大多数はそうだし、俺も好きだけど。個人的にはあえて主張しようとせず、清楚な雰囲気を醸し出してて、それでも尚隠し切れない身体の凹凸の存在感とかにグッと来るんだよ。ちょっとフェチっぽいけどさ」 由暉子「清楚な雰囲気と、隠し切れない凹凸の存在感、ですか」ムニムニ 京太郎「バッチリくっきり存在感出してるから、持ち上げて揺らすのは止めなさい」 由暉子「それでは最後の質問です」ペラ 「アイドルの恋愛について」 京太郎「めっちゃデリケートな質問来た!」 これ動画にして大丈夫なんでしょうか……? 由暉子「私はアイドルは恋愛御法度だと言われているので、そういうものだと思っているだけですが、S君はどうお考えでしょうか?」 京太郎「うーん……。俺は正直ファンって言える程アイドルに打ち込んだ事ないし、あまりアイドルが恋愛する事にアレルギー反応みたいなの起こす人の気持ちが分かんないかなー」 好きな人が実は彼氏がいたとか、嫌じゃないですか? 京太郎「そりゃあ嫌ですしショックですけど、一般的な恋愛とアイドルのそれは話が別だと思うんですよね。そもそもアイドルは歌やダンス、見た目の良さをエンタメとして提供する仕事であって、ファンがお金を出すのはそのエンタメに対しての筈ですよね? なのにファンがアイドルに求めているのはもれなく聖女みたいな感じで、いまいち共感を得られないというか」 まぁ、確かにそうですが……イメージというのもありますし。 京太郎「イメージで言うなら、逆に男性経験豊富なアイドルってのもキャラクターとしてはアリだと思うんですよね。俺に刺さるかどうかは別としても、需要はあるんじゃないかと」 ファンがアイドルに処女性を求めるのは間違っていると? 京太郎「間違っているとまでは言いませんけど、仮にアイドルが恋愛をしてたとして、それが真剣な気持ちならファンとしても応援してあげるべきだと思いますし、イメージと違ったからとファンを辞めるなら勝手ですけど、そのアイドルを非難するのは正直器が小さいんじゃないかなーって」 ファンになった経験無いとの事ですが、結構語りますね……。 京太郎「まぁーマンガとか読んでるだけでもそういう重めの話題とか出来事について考えさせられる機会はありますからね」 由暉子「S君としては、アイドルは恋愛をしてもいいだろうというスタンスですか?」 京太郎「ちょっと違くて、恋愛をするのは悪くないけど、自衛の為にはしないでいた方がいいって感じか?」 由暉子「? 自衛、ですか?」 京太郎「女の子は夜に一人で出歩くなって言われるだろ?」 由暉子「はい。言われますね」 京太郎「これは危ない人に襲われる危険があるから、女の子は出歩かないでおけっていう忠告なんだと思うけど。じゃあ夜出歩いてしまって、危ない人に襲われたとして、悪いのは出歩いてた女の子の方か?」 由暉子「いえ。その危ない人ですね」 京太郎「まぁ女の子も無防備だったのは否めないけどさ、そもそも夜出歩いてただけで女の子に襲いかかるような人間がいる事自体が問題なわけじゃん?」 由暉子「はい」 京太郎「けどその危ない人や心無い人は言うんだよ。「こんな夜中に出歩いてたのが悪い」って」 由暉子「ひどいですね」 京太郎「騙したのは自分の癖に「騙される方が悪い」とか言い出す人間の言い草なわけだよ。 アイドルだって恋愛禁止かどうかは事務所が決めるもので、ファンがどうこう言うのはイメージの押し付けじゃないかと思う。けど世間にはそれが正しいと信じてて、中にはイメージ裏切られたらアイドルを平気でバッシングしたり直接危害を加える人もいるもんだからな。 そういう人達から身も心も守る為に、そもそも恋愛しないってのが一番安全だと思う」 由暉子「成程……」 京太郎「色々言っちゃいましたけど、これ動画で流して良かったんですかね?」 どうでしょう。そのまま使うかは私だけでは判断出来ないので、こちらで相談して決めますね。 由暉子「一般的に正しいか正しくないかは私には分かりませんが、考えさせられる意見でした。ありがとうございます」 京太郎「真屋には今好きな人とかいたりするのか?」 由暉子「いいえ。今の所そういう対象はいないですね」 京太郎「まーアイドルともなれば言い寄ってくる男は多いと思うけど、アイドルの事情も考慮して誠実に付き合えるやつが見つかるといいな」 由暉子「どうでしょうか。恋愛そのものに憧れが全く無いわけではありませんが、先輩方と作り上げたアイドル像を捨ててまで、とは思えないので」 分かりませんよ? これからそれだけ好きになる男の子と出会うかもしれません。 由暉子「はあ」 では、最後に何か一言。 由暉子「それでこの後、私はS君に何をすればいいんでしょうか?」 京太郎「だからその話は無かった事にせいと言っとろーが!!」 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10052.html
前話 次話 京太郎インタビューその3 前回期せずして清澄高校の素顔を知ってしまった取材班。 SK君に取材すると、我々の知り得ない情報が出てくる。麻雀とは関係無い所だが、非常に興味深い。 今回は、彼から見た他校について窺ってみよう。 今回で三回目になりますが、取材には慣れて頂けたでしょうか? 京太郎「そうですね。現実感はまだそんなに無いですけど、最初よりは話しやすくなったかなと」 一度目でとても流暢に話せていたように思いますが? 京太郎「見た目だけですよ。俺、緊張すると自分でも考えずに喋って余計な事まで話しちゃうタイプなんで」 成程。では、お気に入りエキサイト本の隠し場所は? 京太郎「そんなとっておきの秘密をベラベラ話す程じゃないですよ!?」 冗談です。 京太郎「はぁ……。まぁ、こうやって話上手な人だとつい乗っちゃって口が軽くなるってのもありますかね」 ありがとうございます。それでは、質問に移りますね。 長野県県大会決勝、SK君も記憶に新しいと思います。 京太郎「おお……なんか凄かったですよね。特に大将戦とか」 清澄を除いた3校では、誰が一番印象的でしたか? 京太郎「衝撃的な印象って言えば、やっぱり天江衣さんですね。うちの麻雀部の中でも咲って麻雀ではとんでもない事やってくれるスゲー奴って考えてたので、その咲が最初全然歯が立ってなくて」 その強さに圧倒された? 京太郎「まぁその後またとんでもない逆転してたから、咲ってやっぱスゲー奴だなって思い直しましたけどね」 その高校生らしからぬ容姿と雰囲気から、巷では「ころたん可愛い」「ころたん天使」「ころたん! 最高!」「イエイイエイ! ころたん! 最高!」「オマエもころたん最高と叫びなさい!」ともっぱらの噂ですが。 京太郎「それころたん最高! って言えば出てくる悪魔かなんかですか?」 S君から見てはどうでしょう? 京太郎「はぁ……まぁ高校生らしからぬと言えばそうなんですが、うちにも似たようなのいますしね」 あまりお好みではない? 京太郎「年上なのは分かってますし、可愛いとは思うんですが、好きかどうかを議論すると俺が危ないですから。色んな意味で」 危ない? 京太郎「社会的生命だったり、物理的生命も何の前触れ無く終わったり……いや、やめましょう」 衝撃的な印象で言えば、と言ってましたが、他にも印象に残った選手がいたのでしょうか? 京太郎「そうですね。けどその人達はちょっと麻雀とは関係無い所で印象に残ったという感じなので」 良ければお聞かせ願えますか? 京太郎「えぇー……。じゃあ、どの高校の人から聞きたいですか?」 各校に少なくとも一人ずついる? 京太郎「そんなとこです」 それでは……風越女子からはどなたですか? 京太郎「風越の人だと、主将の福路さんになりますかね」 やはりそのスタイルの良さに見惚れましたか? 京太郎「ええ。存在感はありながら主張し過ぎず、あの人の清楚な美しさを最大限に表現する様は最早芸術てバカ!」 本音が思わず漏れましたか? 京太郎「ノリツッコミですよ!」 そういうことにしておきましょう。 京太郎「インタビュー重ねて遠慮が無くなってきたのはあなたの方では……?」 京太郎「で、何で印象に残ってるかって言うとですね。大会終わってからというものの、うちの部長と仲良くなってるみたいで、バイト先の雀荘で一緒に打っているのを結構見掛けるんですよ」 バイトをなさっているんですか? 京太郎「食いつくとこそこですか……? ええまぁ、女性の従業員はメイド服なんで、俺は執事の燕尾服を着させてもらって」 燕尾服。似合いそうですね。 京太郎「知り合いに比べたらレベルの低いコスプレみたいなもんですよ。それで、会話とかはしなかったんですけど、話し声が聞こえてきたり部長からどういう人か聞いたりで、芯のある優しい人なんだなってのが伝わってきまして。うちの先輩並に料理も美味いと聞きましたし」 料理の出来る子が好きですか? 京太郎「いいですよね、家庭的な女の子。家に帰ってきた時に「お帰りなさい」って温かく出迎えられるのは男の夢の一つですよ」 そうなると、福路さんはS君の理想に近い? 京太郎「それ以上ですね。美人で優しくて家庭的で……、そんな人二次元だけって思ってました」 福路さんと言えば、彼女は珍しいオッドアイを持っていますね。 京太郎「あぁはい。左は赤めですけど右は青いんですよね」 S君はどう思いますか? 京太郎「オッドアイについてですか?」 はい。 京太郎「オッドアイそのものについては、そうですね……。中二心を擽られるワードっていうか」 S君にもそういう所が? 京太郎「男にはいくつになっても決して消えることの無い14歳の部分があるんです」 そんなものですか。 京太郎「そんなものです」 福路さんのオッドアイについてはどうでしょう? 京太郎「んー……。福路さんがそれを普段隠しててコンプレックスに思ってるみたいなのは、あんまり良い気がしないですね」 と言いますと? 京太郎「ほら。俺ってタッパがデカくて金髪だから、軽いとかチャラいとか不良とか思われやすいんですよね」 私共からはとてもそうは思えませんが。 京太郎「話してるとイメージ違ったとかも良く言われます。で、軽いのはいいんですよ。自分でもそんな風に振る舞ってる所ありますし。けどチャラいとか不良とかって、金髪でデカいだけでそんな風に思われるのって良い気はしないですよ」 悪い偏見は気分良くないと。 京太郎「誰だってそうだと思いますけどね。福路さんが片目閉じてるのも、自分がそう思ってるだけなのか周りから言われたのかは分かりませんが、生まれつきの所でコンプレックス抱えて隠してるのだとしたら、周りがちゃんと変じゃない悪くなんかないって言ってあげないと」 S君もそうしてコンプレックスを乗り越えた? 京太郎「いやぁ、俺はコンプレックスって程でもないですし、図太い性格してるから開き直ってるんで。おう文句あっかって感じです」 その言い草は不良っぽいですね。 京太郎「あっはっは」 彼女の右の瞳についてはどうコメントしますか? 京太郎「澄んだ蒼い海のよう……なんてのは洒落過ぎなんで、とても綺麗ですって言いますかね」 鶴賀女子の方ではどなたでしょう? 京太郎「副将の東横桃子さん……まぁ同い年なんですけどね」 …………。 京太郎「? どうしました?」 いえ、あの……どういう方だったでしょう? 京太郎「記憶にすら残っていない!?」 いえ、鶴賀女子の副将と言えば、原村和さん含めた実力派揃いの中で活躍した方なのは知っているんですが、どんな顔だったかが思い出せず……。 京太郎「あー、そこなんですよね。気になった所」 記憶に残ってない事が逆に? 京太郎「いや、うちの部員も記者さんと似たような事言うんですよ。対戦してた和以外は「いつの間に!?」とか「今リーチしてたか?」とか言ってて。対局での流れとか正直分かんないですけど、その俺以上にみんなが東横さんの手を見てなかったんですよね」 ……S君には東横さんの手が見えていた? 京太郎「読めたとかそういうんじゃなくて、何捨てたとかそのレベルですけど……ええ。でも、みんな見えてましたよね? すっとぼけるみんなに、和もそんなオカルトあり得ませんって言ってたし」 ……………………ちなみに、S君から見て東横さんはどんな人でしたか? 京太郎「制服と黒髪で全体的に黒くて、和程目立つタイプじゃないけど、負けず劣らず可愛い子でしたよね」 ……………………そうですか。成程。はい。 京太郎「さっきから反応悪いですけど……どうかしました?」 気を取り直して……龍門渕高校だと、どなたが印象に残ってますか? 天江衣さん以外で。 京太郎「えー……これはほんとに個人的な話になりますけど、いいですか?」 お気になさらず。なんなら一目惚れしたとかの方が記事として面白いくらいあります。 京太郎「いやそういうんじゃないですけど…………。あそこだと、龍門渕透華ですかね」 ほう。副将戦で目立ちたくて目立ってたような振る舞いをしてたあの人ですね。 京太郎「それとは関係無い所でなんですけど、実はうち、長野の決勝で戦った4校で合宿したんですよ」 それは初耳ですね。 京太郎「初めて言いましたからね。で、まあ俺はその時お留守番だったんですけど」 ハブられたんですか? 京太郎「女子だらけのお泊りもする合宿に男連れてけってのも無理があるでしょ……。そんで清澄の部室でネトマしてたり友達と遊んでたりしてたんですが、ある日の朝部長から「須賀君、悪いけどうちにあるパソコン持ってきてくれない?」って連絡が入りましてね」 パソコン。 京太郎「持ってきてって言うから、ノートパソコンとかそういう持ち運び出来る軽いのを想像しますよね?」 ええ、それはもちろん。……ん? 京太郎「その時の俺もそうだと思って、軽い感じで「了解っす」って返したんですよ。で、部室の方に行ってそれらしき物を探したんですが、隅々まで探してもノートパソコンなんて影も形も無かったんです」 おや? 話が不穏な方向に。 京太郎「改めて部長に連絡してみて「パソコンどこですか?」って聞いたら、「いつもの机の上にあるでしょ?」って返されて。けどいくら見てもあるのはデスクトップのあるデカいパソコンだけだったんですね」 まさか……。 京太郎「で、気付いちゃったんですよ。「この人、このデスクトップパソコンを山にある合宿所まで持ってこいと言ってるな」って」 失礼ですが、部長さんは鬼ですか? 京太郎「いや、部長も多分無理だろうなと思って連絡したらかるーく請け負られたもんで、「あ、いけるんだ」って思っちゃったんでしょうね。放心して黙ってたら「あった? じゃ、よろしくー」つって通話切っちゃって、何回か掛け直したんですけど出なくなっちゃって。もうどうしようもないから、合宿所に行く事にしたんですよね」 大会後の炎天下の中、デスクトップを背負ってですか? 京太郎「まぁ、流石に直で歩きは無理なんで、電車とバスを乗り継いでですけどね」 ちなみにその交通費は。 京太郎「? 自腹ですけど」 …………そうですか。 京太郎「えっちらほっちら歩いてって、なんとか合宿所まで持って行って、受け取ってもらった後、そのまま帰ろうとしたんですけど」 待ってください。合宿所で休憩はしなかったんですか? 京太郎「いいえ? 玄関口で渡してそのまま」 ……はい。では続けてください。 京太郎「お互いのディスコミュニケーションのせいとはいえ、流石に疲れて心が荒みそうになって時に、後ろから「お待ちなさいな!」と声を掛けられまして」 ああ。ここで龍門渕さんが出て来るんですね。 京太郎「振り返る前にそうと分かって実際そうだったんですが、その人は腕組んでふんぞり返りながら「見た所疲労困憊の様子ですわね! そのような者を門前払いでそのまま帰らせたとあっては龍門渕の名折れですわ! というわけでハギヨシ。この少年を送り届けてらっしゃいな」と」 やだカッコイイ。 京太郎「ですよね。それで、指パッチンと同時に瞬間移動で現れたハギヨシさんが「承知しました」つってまた消えた後、すぐに黒塗りの長い、見るからにセレブ御用達の車に乗って来たんですよ」 もう色々ツッコみたい事ありますけど、それはいいです。 京太郎「そんで、あれよあれよとそれに乗せられて、現実味の無い車の中で現実味の無い接待を受けたんですよね。運転は別の誰かがやって、ハギヨシさんから直々に」 具体的にはどのような? 京太郎「横になって転がっても余裕で余りあるスペースに、車でこんなの使っていいの? ってぐらい柔らかいソファと、涼しくて気持ちのいい冷房を利かせて、車内冷蔵庫からキンッキンに冷えたジュースを取り出して、ワイングラスに注いでもらったりとか、ですね」 本当にあるんですね、そういうの。 京太郎「白昼夢でも見てて、現実の俺は熱中症で倒れたのかと本気で疑ったくらいですからね。頬抓っても痛いだけだったんですが」 そのように送り届けてもらった事から、龍門渕さんに良い印象を持ったと。 京太郎「大富豪さんの気前の良さって嫌味になることありますけど、あの人の場合は良い方向に発揮されてるなって思いました」 先程燕尾服は知り合いに比べたら、と言っていましたが、もしやそのハギヨシさんが? 京太郎「ええ。もう燕尾服と共に育って来たんじゃないかってぐらいに似合ってる執事さんでしてね。庶民の俺相手でも非の打ち所がない丁寧さで接待してくれたんですよ。かといってお堅い訳でもなくて、むしろちょっとユーモア出してこっちを楽しませてくれたり」 執事となるべく生まれてきたかのような人ですね。 京太郎「俺もそう思って似たような事言ってみたら「当然です。私は龍門渕家、透華お嬢様にお仕えする為に生を受けた身ですから」って」 そんな漫画みたいな。 京太郎「ところがそれが冗談でもなく、どうやらあの人の家って代々龍門渕家の人の専属使用人を輩出してきたとかで、使用人の家系らしいんですよね。ハギヨシさんは年の近い龍門渕さんにお仕えしてると」 となると、本当に生まれた時から執事として訓練を? 京太郎「俺もそれってどうなんだ? って思いましたけど、ハギヨシさんは「私自身この生き方しか知りません……と言えば不幸にも聞こえるでしょうが。執事として生きてきた事、これからもそうである事に悔いも歯痒さもありません。何よりお嬢様は素晴らしき御方ですから」って言うんですよ。それが本心から言ってるのは、見て分かっちゃいましたね」 生まれなど関係無く、性根から執事に向いていた……、と思えばいいんでしょうか。 京太郎「って言っても俺自身はちょっと納得いかないんで、帰り際寄り道させてもらって、ゲーセンに連れていきました」 それはまた何故? 京太郎「ハギヨシさんにも聞かれたんですけど、他の生き方を知らないままでいるよりも、知った上で龍門渕さんにお仕えする事を選んでるって思ってもらえた方が、龍門渕さんも気分良く主人として振る舞えるんじゃないかなって。なのでここは一つ、男子高校生の庶民的な遊びをと思いまして」 成程。それで、その執事の方はゲーセンでどのような様子でしたか? 京太郎「多分あの人こそ人間じゃないです」 人間じゃない。 京太郎「ゲームの説明は俺や機械から熱心に聞き取ってたんで初めての筈なんですが、スコア系のゲームは全国ランキング一位のパーフェクトゲーム。対戦型のゲームは俺やその場にいた腕自慢の人交えても無傷の完勝。メダルゲームやスロットでもちょっと目ぇ離した隙に容器の数が倍々に増えていくんですよ。それなりに時間経った今でもその伝説は塗り替えられてないんです」 天からいくつ貰ったんですかその人。 京太郎「それ全部を「執事ですから」で済ませようとしてたんで、あの人執事の常識が世間一般とはかけ離れてるかと」 完璧超人過ぎて少し変わった人なんですね。 京太郎「けどまぁ、結構楽しんでもらえたみたいなんで、それをきっかけに個人的に仲良くなりまして。それからちょいちょい連絡を取り合って教え合う仲になりました」 執事さんはそのスキルを、S君は男子高校生の遊びを教え合う。そんな関係になったんですね。 京太郎「まぁ教えた事の悉くが始めた時点で超えられますがね……」 では、最後に何か一言。 京太郎「もうすぐ全国大会なので、みんなを精一杯サポートしようと思います」 前話 次話
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1247.html
宥「あったか~い」 京太郎「……やっぱりこたつですね」 宥「うん……ストーブもホットカーペットもいいけど、こたつはまた別のあったかさがあるの」 京太郎「別の?」 宥「こたつだとね、みんな来るの。玄ちゃんも、灼ちゃんも、穏乃ちゃんも憧ちゃんも」 宥「……お父さんも、お母さんも、一緒に入って、あったかかったな」 京太郎「宥さん……」 宥「……そっち行っていい?」 京太郎「はい」 宥「ん……ふふっ。大丈夫だよ?」 京太郎「大丈夫って……」 宥「私が寂しがってると思ったんでしょ?京太郎くんがいるから、寂しくないし、あったかい」ギュッ 京太郎「……俺も、あったかいです」ギュッ 宥「うん……ねえ、京太郎くん」 京太郎「なんですか?」 宥「今日は、ずっとこうしててくれない?」
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3798.html
部室 ガチャ 塞「アレ?2人だけ?」 京太郎「はい」 胡桃「ん」充電中 塞「……胡桃は充電として、京太郎は何やってんの?」 京太郎「まだ時間あるんで今日出された宿題を…」 胡桃「そこ、間違えてる!」 京太郎「え、どこですか?」 ガチャ 白望「……ダル」 エイスリン「オソクナッタ!」 胡桃「別に大丈夫だよ」充電中 塞「ちょうど揃ったし打つ?」 京太郎「じゃ、俺が先に打ちますね?」 胡桃「りょーかい」 ガチャ 豊音「お、遅くなってゴメンね?」 胡桃「んー……いいよー」充電中 白望「それ、ロン」 胡桃「うっ……」 京太郎「あーあ」 豊音「お茶淹れるねー」 塞「じゃ、今日はここまでねー」 豊音「お疲れさまー」 エイスリン「オツカレサマ!」 胡桃「うーん、今日は勝てなかったなー」充電中 京太郎「そうですねー」 白望「…………いつまでやってんの?」 3人「!?」 胡桃「……あ!」 京太郎「しっくりきすぎて忘れてました……」 胡桃「充電しすぎたねー」 京太郎「ですねー」 4人(早く付き合えばいいのに) カンッ!!
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/10062.html
前話 次話 京太郎インタビューその7 全国大会二回戦の激戦を制し、見事勝ち残った清澄高校。 前回SK君と関わりがあった宮守高校は敗退してしまった。 勝者インタビューも兼ねて、SK君にはその事についてどう思っているのか聞いてみようと思う。 清澄高校の二回戦突破、おめでとうございます。 京太郎「ありがとうございます。いやー、正直ヒヤヒヤした場面もありましたけど、安定のポンコツ魔王でしたね」 私共から見ても、他三高を威圧してるように見えました。 京太郎「強そうな相手だと対局中に吐き気を催したり涙目でビクビクしてたりする癖に、なんなんでしょうねあいつ」 宮守高校の方々は敗退してしまい、残念でしたね。 京太郎「あー……。まぁみなさん三年生で最後ですし良い人達ですから、正直うちと一緒に勝ち残ってほしいなーと思ってたんですが、勝負の世界ですからね。代わりにどっちかに負けてほしいとかは無いんですけど」 大将戦の宮永さん、何やら宮守高校や永水高校の方を特に威圧していたように見えましたが、それについては? 京太郎「えーっと……本人にどうこう聞いた訳じゃないですし、俺にもなんでなのかは分かんないですね。多分あいつの中でそうする必要があったのかもしれません」 ……そうですか。 京太郎「それで、前回から今回までの話ですよね」 ええ。何かあれば。 京太郎「面白エピソードっていうと、そうですねー……。二回戦の前日に手が空いたんでゲーセンに立ち寄ったら、千里山の江口セーラさんと姫松の愛宕洋榎さんがガン○ムの格ゲーでガチバトルしてた事ですかね」 詳しく。 京太郎「格ゲーって言っても3Dフィールドで機体同士のガチンコバトルするアレなんですが、どうやら何かを巡って喧嘩してるらしく、平話的にゲームで決着着けようとしてるみたいで」 そこは麻雀じゃないんですね。 京太郎「それは大会で着けるつもりなんでしょう。で、大分前から台に張り付いてたみたいで「これで13勝や! さっさと負け認めぃや男女!」「うっさいわダアホ! 一勝リードしたくらいで調子乗んなや!」みたいな感じで罵り合いながら、ある意味仲良くゲームしてました」 迷惑行為ではないですか? 京太郎「それが二人共有名人で、しかも結構な腕しましたから、参加者も観戦者も盛り上がっちゃって。プチゲーム大会みたいな空気が出来てたので、迷惑にはならなかったですね」 それで、S君はそれに参加したと? 京太郎「いえ、ガ○ダムはやらないわけじゃないんですが、実力が劣りそうでしたし、熱狂してたので入りづらくて。そっちには入りませんでした」 あらら。 お二人がバトってるのを遠目に見た後、S君はどうしてました? 京太郎「太○の達人で遊んでましたね」 腕の程は? 京太郎「得意の曲なら「難しい」でフルコンボ出来るくらいです」 ほほう。結構な腕前ですね。 京太郎「ハギヨシさんは隠れの最高難易度初見で全曲ジャストタイミングフルコンボかましますけどね。しかも二面同時を片手ずつで」 それはきっと比べたらいけない領域の人です。 京太郎「ですね。で、まぁその時はもうちょいでフルコンボ出来そうな曲やってて、三、四回目ぐらいでフルコンボ出せたんですよ」 その時になにかあった? 京太郎「何かあったというか、ええ。フルコンボ出した直後に後ろから「うわすっご! 君めっちゃ上手いやん!」って声掛けられまして」 どなただったんですか? 京太郎「振り向いて見てみたら、千里山の清水谷竜華さんと園城寺怜さんがいましてね。ええ、びっくりしましたよ」 何故そのお二人がそこに? 京太郎「どうやら中々帰ってこない江口さんを迎えに来たそうなんですが、愛宕さんと決着着けるまでは意地でも帰らないっつって台に張り付いちゃって、仕方無いからそれまでそこで時間潰してる事にしたらしいんです」 意地っ張りなんですね。 京太郎「それで適当にぶらついて、太鼓の○人をやってる俺の後ろで順番待ちしてたみたいで」 有名人のS君のプレイを鑑賞してたと。 京太郎「いえ。プレイ終わって振り向いてから俺って気付いたみたいです」 知らない男の子にそんなフレンドリーに話し掛けたんですか。 京太郎「動画で知ってるにしてもちょっと無警戒かと思いますがね。で、まぁ俺の方も大会に出てる有名校の人はチェックしてたので二人の事は知ってて」 有名校と言っても結構な人数がいると思いますが、よく覚えていられますね? 京太郎「んー。まぁ印象に残ってる人なら出てくる程度で、そうじゃない人は自信無いって程度ですけどね。二人は印象に残ってる方でしたから」 美少女だからですか? 京太郎「それもあるんですけど、なんか噂とか部長の見立てとかで、麻雀の対局中に未来が見えるとかゾーンに入るとか聞いてまして」 あー……。 京太郎「本人にそれとなーく聞いてみたら「せやでー。あとうちはリー棒を縦に立てる事も出来るんや。すごいやろ?」って軽く言われたんで、更に困惑しましたね」 それで、その後その二人と遊んでいたんですか? 京太郎「そうですね。「これも何かの縁や。折角やし、セーラの方が終わるまでおねーさん達と一緒に遊ぶか?」と言われまして」 綺麗所のお二人に誘われたら、S君も断る理由が無いでしょうしね。 京太郎「偏見かもですけど、関西の人って初対面の人と距離を詰めるのが早いですよね」 平均的に言えば関東人より関西人の方がその傾向にあるかもしれませんが、その二人は中でも特殊かと。 京太郎「そうですよね、やっぱ」 あと距離を詰める云々についてはS君に言われたくないと思います。 京太郎「なにゆえ!?」 それで、どのようなゲームをしていたんですか? 京太郎「それはまぁ色々ですけど、例えばエアホッケーとかですね。2対1で二人を相手にしたんですけど、園城寺さんが両手持ちで中々的確なショット放つんですよ」 清水谷さんは豪快にショットして、その大きな胸も豪快に揺れたのが容易に想像つきますね。 京太郎「やかましいでーす」 京太郎「一番印象に残ったゲームは、ガンシューティングゲームですかね」 というと? 京太郎「最初は園城寺さんと清水谷さんでプレイしてたんですけど、ゲームの内容がゾンビとかのキモグロい生物撃ってくやつで、そういうのが苦手な清水谷さんは悲鳴上げながら滅茶苦茶に撃って、弾切れになってもリロードせず引き金引きまくって「きゃあああ! なんで!? なんで弾がでぇへんの!? いやぁ来んといてー!!」ってなって、そのままゲームオーバーしてまして」 傍から見てるとすごく面白いやつですねそれ。 京太郎「隣の園城寺さんも「リロードせんかったらそら弾は出んやろ……」って呆れてましたね……」 清水谷さんはそこで心折れちゃいました? 京太郎「ええ。へたり込んで「もういややー……なんでわざわざお金払って怖い思いせなアカンの……?」と割とガチ泣きで」 園城寺さんは耐性ある方でしたか。 京太郎「あの人によると「わかっとらんなー、竜華。怖いキモいグロい敵やからこそ、頭パーンさせた時にスカッとするんやで」とのことで」 見た目からは想像もつかないアグレッシブさですね。 京太郎「それで、俺が清水谷さんと交代して、園城寺さんと二人プレイで遊んでたんですが」 S君の腕の程は? 京太郎「まぁそれなりに。園城寺さんも結構なもので、途中まではいい感じに進めてたんですがね」 何か問題でも? 京太郎「10ステージある内の4ステージ終わった辺りくらいですかね。園城寺さんが「あ、あかん……! 腕が上がらなくなってもーた……!」と」 えぇ……。 京太郎「どうやら銃の重さに腕が長時間耐え切れず、画面に向けて撃てなくなっていたそうなんですよね」 それだけ長い時間、清水谷さんとプレイしていたんですか? 京太郎「いえ。ワンプレイで速攻終わってたんですけど。お二人が「ひ弱でごめんなー、ほら。うち病弱やから」「病弱アピールやめや! プレイ中なんやで!?」「うちはもう、戦えん……これは君に、託すで!」というやり取りをして、園城寺さんが持ってた銃を俺にパスして」 図らずも二丁拳銃スタイルですか。 京太郎「ステージが切り替わる場面で、戦闘中じゃ無かったのが幸いですかねー……」 急に二丁拳銃でプレイすることになったので、戸惑いませんでしたか? 京太郎「まぁ急に渡されたのはマジで!? って感じですけど、実はガンシューティングする時に二丁拳銃スタイルをちょくちょく練習してましてね」 何故? 京太郎「男だからです」 二丁拳銃って難しくないですか? 京太郎「これも実はなんですけど、俺両利きなんです」 両利き? 京太郎「ええ。まぁ普段使いは右なんですけど、同じくらいの作業は出来ますね。それもあって、まぁ結構ガンガン撃てるんですよ」 成程。それで、どのぐらいクリアできましたか? 京太郎「ギリギリでしたけど、なんとか全ステージクリアしました」 すごいですね。普段からガンシューティングは上手い方ですか? 京太郎「どうでしょう。いつもは最終ステージ中とかその前とかでやられるんですけど、その時は良いとこ見せたくて気合入ったかもしれませんね」 清水谷さんと園城寺さんの反応はどうでしたか? 京太郎「後ろのベンチで座ってて、清水谷さんは目をキラッキラさせて「すごいやん! かっこよかったでS君!」ってすごい勢いで拍手喝采を贈ってくれて。園城寺さんはその膝を枕に寝そべりながら「お疲れちゃんやー」とひらひら手を振ってましたね」 ゲーセンのど真ん中で膝枕されてたんですか? 京太郎「割と端の方でしたし、他の人はガンダ○の方に寄ってたんで、注目はされてなかったと思います」 そういう問題ではないのですが……。 京太郎「まぁ、二人にとっては日常的にやってることみたいなので、人目を憚るものでもないんでしょう」 京太郎「それで、ガ○ダムの方は決着着いてなかったみたいですけど、清水谷さんの方に連絡が入って、ぼちぼち帰らなきゃいけない時間になったみたいで」 その場で解散となったと。 京太郎「ええ。けど、お二人にまた遊びたいからと連絡先を交換しようと申し出がありましてね。もちろん喜んでと受けたんです」 着々と女の子の連絡先が増えていきますね。 京太郎「ですよね。一期一会とは言いますが、もう少し個人情報を大切にした方がいいかと」 それはS君にも言えることですが。 京太郎「俺はあれですよ。連絡先はとりあえず交換しておきますけど、相手が段々連絡してこなくなって自然消滅するタイプなんで」 残った人とは連絡をずっと取り合ってるんですか? 京太郎「そうですね。中々そういう人とはいないんですけど」 それでは、最後に何か一言。 京太郎「純粋に疑問なんですけど、愛宕さんと江口さんは何を賭けてあんなに熱くなってたんでしょうか?」 洋榎「なんっでウチには会いにきとらんねん!!」 恭子「江口セーラとゲーセンでバトってたって、あん時か……」 絹恵「お姉ちゃん迎えに行ったんは私やけど、S君もおったんやなー」 漫「主将、S君に会いたかったんですか?」 洋榎「乳もぐぞデコっパチ」 漫「なんでそこまで言われなアカンのですか!?」 由子「じゃあなんなのよー」 洋榎「おんなじゲーセンにいて、セーラんとこは会って、ウチらんとこは入れ違いになっとると、なんちゅーかこう……負けた気になんねん!!」 恭子「さっぱり分からん……」 恭子「というか主将。S君も言うてたけど、何をそないに熱くなっとったんですか?」 洋榎「それが聞いてや。セーラのやつが出会い頭、ウチに「30円返せや」ちゅーって喧嘩売ってきてな?」 漫「喧嘩も何も正当な要求やないですか……」 洋榎「何言うてんねん! 30円とかむしろウチが貸しとるくらいや! それをあの学ラン女はすーっかり忘れていけしゃあしゃあと!」 絹恵「あー、それで言い合いになってガン○ムに発展したんやな……」 由子「それで争った結果三千円も使ってたら本末転倒なのよー……」 洋榎「ウチが許せんのはなぁ! 金やないねん! 借りパクしといてそれを忘れて、逆に貸したよーな面晒して返せーっちゅう神経なんや!」 セーラ「つまり! あの三千円は、言うなりゃプライドを賭けた三千円なんや! 30円に賭けたもんやない!」 泉「30円を借りた貸したで賭けるプライドって……」 浩子「元が元じゃどっちにせよしょーもない争いですやん」 セーラ「しょーもなくないわ! 俺はな! 今回こそあのギャグ顔ポニテに負けを認めさせて「申し訳ありませんでしたセーラ様。ウチが悪かったです」と言わせるつもりで」 浩子「まぁそのしょーもない争いはさて置き」 セーラ「しょーもなくないて!」 浩子「お二人は雑誌や動画で噂のS君と会ったそうで」 怜「せやでー。セーラが喧嘩してる間、しっぽりと遊ばせてもろたわー」 泉「いや言い方……」 怜「カッコよかったでー? うちが抜けた後からゾンビがぎょーさん出るようになってきたんやけど、それを両手の銃でバンバンバンバン薙ぎ倒してってなー」 浩子「あそこのガンシューティングゲームはゲーマーの間でも難しい事で結構有名みたいやそうですけどね。全クリは中々いないと」 怜「やっぱあれが効いたんかなー」 泉「あれ?」 怜「きょーくんがプレイしとる後ろでうちがな。「クリアしたら膝枕したるでー。りゅーかが」ってゆうたら、気合入れ直して「おっしゃー!!」ってな。目に見えて殲滅速度上がってたんよ。動画では言っとらんかったけど」 セーラ「スケベ心全開やないか……」 怜「変にムッツリなんより、それくらいわかりやすい方が好きやけどなーうち」 浩子「で? したんですか、膝枕」 竜華「いや、それは……だって会ったばかりの男の子に膝枕するなんて恥ずかしいやろ……」 セーラ(人目も憚らず膝枕してるんは恥ずかしくないんか……) 泉(やっぱりなんかズレとるよなぁ、この先輩……) 浩子「それはそれは。S君もさぞやガッカリしたでしょうねぇ」 竜華「し、しとらんもん。須賀君も怜の冗談やって分かってくれたし……」 怜「内心ガッカリしとったのを隠してたやつやろ、あれ」 竜華「そないなこと言うても……」 怜「しゃーないなぁ。今度きょーくんに会うたら、りゅーかの代わりにうちが膝枕したるか」 竜華「ア、アカンで怜! 怜が男の子の頭を膝枕なんかしたら、怜の太腿が折れてまう!」 怜「うちの太腿どんだけスカスカやと思ってんねん」 某シューティングゲームにおいて全国ランキングに載ったSKと思しきスコアから、記念に越えようとするプレイヤーが増えたという。 カン 前話 次話