約 1,857,957 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/45.html
総括所見:韓国(OPSC・2008年) 第1回(1996年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)/第5回・第6回(2019年)OPAC(2008年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/KOR/CO/1(2008年7月2日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2008年5月23日に開かれた第1323回会合(CRC/C/SR.1323)において大韓民国の第1回報告書(CRC/C/OPSC/KOR/1)を検討し、2008年6月6日に開かれた第1342回会合(CRC/C/SR.1342)において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、時宜を得たやり方で提出された、締約国の第1回報告書および事前質問事項(CRC/C/OPSC/KOR/Q/1/Add.1)に対する文書回答の提出を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の代表団が、建設的対話のために必要な若干の情報を有していなかったことを遺憾に思うものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年1月15日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.197)および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2008年6月6日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/KOR/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的指針 A.積極的側面 4.委員会は、以下の立法上その他の措置が採択されたことに、評価の意とともに留意する。 (a) 性的搾取を禁ずる青少年保護法の改正(2000年)。 (b) 売春斡旋等行為の処罰に関する法律(2004年)。 (c) 売春防止および被害者保護等に関する法律(2004年)。 (d) 民法改正による最低婚姻年齢の18歳への引き上げ。 (e) 青少年有害環境総合対策。 5.委員会は、以下の機関の設置も歓迎する。 (a) 子どもの権利モニタリング・センター(2006年)。 (b) 売春防止および被害者保護等に関する法律に基づく「緊急電話1366」。 6.委員会はさらに、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書に加入したこと(2006年)、ならびに、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書ならびに陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書に署名したこと(2000年)について、締約国を称賛する。 II.データ データ収集 7.委員会は、締約国報告書および事前質問事項に対する回答で提供された統計データ(性的虐待の被害を受けた子ども、売買春に関与させられた子どもおよび犯罪者の訴追に関するデータを含む)を歓迎するものの、当該データが性別または年齢によって細分化されていないことを遺憾に思う。委員会はまた、委員会が入手した情報によれば子どもの人身取引は締約国に影響を及ぼしている問題であるのに、人身取引の被害を受けた子どもに関する統計的情報が何ら入手可能とされていないことも、遺憾に思うものである。委員会はまた、データの収集および分析に関して政府省庁間で調整が行なわれていないように思われることも懸念する。 8.委員会は、とくに年齢および性別によって細分化された児童買春および児童ポルノに関するデータが体系的に収集および分析されることを確保するため、中央政府機関内に包括的なデータ収集システムを設置するよう勧告する。これらのデータは、政策の実施状況を数値により評価するための必須手段を提供してくれるためである。データには、犯罪の性質によって細分化された、これらの犯罪の訴追件数および有罪判決件数も含めることが求められる。 III.実施に関する一般的措置 9.委員会は、選択議定書が施行されている国内法と同一の効力を有するとはいえ、たとえば児童買春および児童ポルノの分野において、国内法が選択議定書の規定に全面的に一致していないことを遺憾に思う。 10.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 自国の法律を選択議定書の規定と全面的に調和させるために必要な措置をとること。 (b) 裁判官および法律家に対し、選択議定書の規定に関する体系的研修を提供すること。 国家的行動計画 11.青少年保護5か年基本計画(2002~2006年)および国家人権対策基本計画(2007~2011年)が採択されたことには留意しながらも、委員会は、いずれの計画にも選択議定書にとくに関連する戦略およびプログラムが掲げられていないことを懸念する。 12.委員会は、締約国が、関係者と協議しおよび協力し、かつ、それぞれ1996年にストックホルムでおよび2001年に横浜で開催された第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された「宣言および行動綱領」ならびに「グローバル・コミットメント」を考慮に入れながら、議定書から生じる具体的義務の実施を自国の国家的戦略およびプログラムに編入するよう勧告する。 調整および評価 13.国務総理室に子ども政策調整委員会が設置されたこと(2004年)および3年間の試行事業として子どもの権利モニタリング・センターが設置されたこと(2006年)は歓迎しながらも、委員会は、選択議定書の実施に携わるさまざまな機関間の効果的調整を可能にする、機能中の恒久的機構が存在しないことを依然として懸念する。 14.委員会は、締約国が、選択議定書の実施における効果的調整を確保するよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、子どもの権利モニタリング・センターの全面的運用を可能にするため同センターに十分な人的資源および財源を提供するとともに、同センターを、選択議定書の評価および実施〔ママ〕を担当する恒久的機構とすることを検討するようにも勧告する。 普及および研修 15.委員会は、児童買春および児童ポルノに関する無数の広報キャンペーンおよびセミナーを組織すること等の手段により、選択議定書で対象とされている問題に関する意識を高めるために締約国が行なっている努力に評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、関連の専門家集団に対して選択議定書の全分野に関する十分な研修が体系的に提供されているわけではなく、かつ、これらの専門家集団および公衆一般の間で意識が低いままであることを、依然として懸念するものである。 16.委員会は、締約国が、全国のあらゆる関連の専門家集団(警察官、検察官、裁判官、医療スタッフおよび選択議定書の実施に携わるその他の専門家を含む)を対象とする研修資料および研修コースを開発するため、使途が指定された十分な資源を配分するよう勧告する。 17.さらに、選択議定書第9条第2項に照らし、委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび長期的意識啓発キャンペーン(メディアも含む)、ならびに、防止措置および選択議定書に掲げられたすべての犯罪の有害な影響に関する研修を通じて、選択議定書の規定をとくに子どもおよびその家族の間で広く知らせるよう勧告する。これとの関連で、コミュニティおよびとくに子どもの参加が奨励されるべきである。 資源配分 18.委員会は、選択議定書が対象とするさまざまな分野の実施のために配分されている予算についての具体的情報が締約国から何ら提供されなかったことを遺憾に思う。 19.委員会は、締約国に対し、とくに、防止、被害者の保護、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を目的とするプログラムの開発および実施ならびに選択議定書が対象とする犯罪の捜査および訴追のために必要な人的資源および財源を提供することにより、選択議定書が対象とするあらゆる分野の実施のために十分な資源が配分されることを確保するよう、奨励する。 独立機関 20.委員会は、韓国国家人権委員会(NHRCK)の独立を維持するという、締約国が2008年2月20日に行なった決定を歓迎するとともに、同委員会が、国の代理人による個別の子どもの権利侵害を監視する権限を有していることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、NHRCK内に、選択議定書の十分な監視および促進を可能にするであろう子どもの権利部局が存在しないことを遺憾に思うものである。 21.委員会は、第2回定期報告書に関する総括所見(CRC/C/15/Add.197、パラ18)で述べたことを繰り返しつつ、締約国が、NHRCKに対し、選択議定書を十分に監視しおよび促進し、ならびに子どもにとっての可視性およびアクセス可能性を高めるための意識啓発措置をとる子どもの権利部局を設置できるような、必要な人的資源および財源が提供されることを確保するよう、勧告する。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条第1項および第2項) 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 22.委員会は、児童買春および児童ポルノを禁ずる法律についての広報資料の作成といった防止措置のための取り組みを歓迎するものの、買春およびポルノを含む子どもの性的搾取の根本的原因、性質および規模に関する資料の記録および調査研究が欠けていることを遺憾に思う。 23.委員会は、締約国に対し、関連の防止措置を発展させる目的で、売春およびポルノを含む子どもの性的搾取の根本的原因、性質および規模に関する、ジェンダーに配慮したさらなる調査研究およびさらなる資料の記録を、とくにユニセフ、国際労働機関および国際移住機関ならびに市民社会組織と連携しながら行なうよう奨励する。委員会はまた、締約国が、使途指定をともなう予算資源を防止措置に配分するようにも勧告するものである。 24.委員会は、売春根絶特別委員会の性取引防止計画の一環として2004年に導入された取り組み「ジョン・スクール」に留意する。これは、子どもを買春のために使用したまたはその容疑を受けている男性が、裁判所の命令に基づき、義務的な更生プログラムを受ける施設である。委員会は、加害者がこのプログラムに参加すれば刑事判決を免除されることにより、売春者、とくに買春の被害者である子どもの勧誘を犯罪化する現行法の抑止効果が弱まる可能性があることを懸念する。 25.委員会は、締約国に対し、買春目的のための子どもの使用を犯罪化する現行法を厳格に適用しおよび執行するよう奨励しつつ、選択議定書に定められた性犯罪を行なった者を更生させるための努力を継続しおよび強化するよう促す。 26.委員会は、「大韓民国が、キリバスのような南太平洋島嶼国において子どもの人権を侵害している国のひとつに挙げられている」(締約国報告書パラ74)ことを懸念する。検察庁および警察庁の提携事業として国外買春対策特別班が設置されたことには留意しながらも、委員会は、子どもセックス・ツーリズムと闘うための具体的戦略が存在しないことを遺憾に思うものである。 27.委員会は、締約国が、とくにこの目的のための公的キャンペーンに追加的資金を割り当てることにより、セックス・ツーリズムを防止するためのさらなる措置をとるよう勧告する。締約国はまた、観光業界の従業員の間で世界観光機関の行動規範を普及し、かつ一般公衆向けの意識啓発キャンペーンを組織することによって責任ある観光を促進するため、関連の公的機関を通じ、観光産業、非政府組織および市民社会組織との協力を引き続き行なうべきである。 28.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪に関わるサイバー犯罪に対応するために締約国が行なっている努力に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書に掲げられた性犯罪のうちインターネットその他の形態の情報技術(携帯電話を含む)を通じて行なわれるものに対応するための、明確かつ包括的な戦略が存在しないことを依然として懸念するものである。 29.委員会は、締約国が、子どもの参加を得ながら、サイバー犯罪に対応するための現行の行動計画に選択議定書に関わる措置を含めるとともに、子どもおよびその親にインターネットの安全な利用について知らせる目的で一般公衆の意識啓発の努力を強化するよう、勧告する。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに関連する事項の禁止(第3条、第4条第2項および第3項、第5条、第6条ならびに第7条) 現行刑事法令 30.委員会は、とくに性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)ならびに売春防止および被害者保護等に関する法律および売春斡旋等行為の処罰に関する法律(2004年)の制定をはじめ、子どもの売買、児童買春および児童ポルノからの子どもの法的保護を強化するために行なっている努力について、締約国を賞賛する。にもかかわらず、委員会は、選択議定書第2条および第3条に掲げられた犯罪のすべてが締約国の立法で十分に網羅されていないことを、依然として懸念するものである。とくに、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 人身売買および人身取引に関わる犯罪は刑法第324条および労働基準法第113条で対象とされているものの、締約国の刑法には、人身取引を違法とする具体的規定であって、欺罔的計画、有形力その他の形態の威迫が用いられたか否かおよび金銭その他の報酬が提供されたか否かに関わらず、子どもの取引を犯罪とする規定が掲げられていないこと。 (b) 性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)に掲げられた児童買春の定義で、挿入をともなわない性的行為または子ども自身が性的行為の対価の支払いを受領する事案が対象とされない可能性があること。 (c) 売春者の斡旋に関する刑法の規定が、売買春のために子どもを使用するすべての事案に系統的に適用されるわけではないこと。 (d) 売春防止および被害者保護等に関する法律において、子どもを含む売買春の被害者が犯罪者として扱われていること。これは、売買春の被害者は処罰の対象とされない(第6条)ととくに定めた売春斡旋等行為の処罰に関する法律に矛盾するものである。 (e) 性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)第2条第3項に掲げられた児童ポルノの定義において、児童ポルノの単純所持、および、選択議定書第2条(c)で求められているようにあからさまな擬似的性的活動または主として性的目的で子どもの性的部位を描いた性的表現が対象とされていないこと。 31.委員会は、締約国が、国内法を選択議定書第2条および第3条(児童ポルノの定義に関する規定(第2条(c))を含む)と全面的に一致させるために必要な措置をとるよう勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准するとともに、選択議定書にしたがって子どもの売買および取引を適切に定義しおよび犯罪化するために必要な措置をとること。 (b) 売買春の被害を受けた子どもに与えられる保護を強化するため、性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)に掲げられた児童買春の定義を改正すること。 (c) いかなる手段によるかを問わず、性的搾取の目的で子どもを提供し、引き渡しまたは受け取るすべての行為を犯罪化すること。 (d) 売買春の被害者である子どもが処罰の対象とされないことを確保するため、関連の法律を改正すること。 (e) 選択議定書第2条(c)で求められているようにあからさまな擬似的性的活動または主として性的目的で子どもの性的部位を描いた性的表現を児童ポルノの定義に含めるため、性的搾取を禁ずる青少年保護法(2000年)を改正すること。 (f) 配布の意図を要件とすることなく、児童ポルノの所持を犯罪化すること。 32.委員会はまた、選択議定書に掲げられた犯罪に関わる法律の執行、とくに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関わる行為について責任を有する者の訴追および処罰が強力に行なわれていないことも懸念する。 33.委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられたすべての犯罪について効果的かつ迅速な捜査、訴追および有罪判決を確保するよう勧告する。 34.委員会はさらに、選択議定書第3条第1項に掲げられた犯罪についての法人の責任を定めるためにとられた措置に関する情報が締約国報告書に記載されていないことを懸念する。 35.選択議定書第3条第1項に照らし、委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられた犯罪についての法人の責任を定めるために必要な措置をとるよう勧告する。 養子縁組 36.韓国の子どもの国内および国際養子縁組が多数にのぼることに照らし、委員会は、締約国が選択議定書第3条第1項(a)(ii)について批准時に行なった宣言および条約第21条に付された締約国の留保に、遺憾の意とともに留意する。委員会はまた、締約国の法律において、選択議定書第3条第1項(a)(ii)で求められているように子どもの売買が犯罪とされていないことも、懸念するものである。 37.委員会は、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(a)(ii)に関する宣言および条約第21条に対する留保を撤回するとともに、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ第33号条約(1993年)の批准を検討するよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、選択議定書第3条第1項(a)(ii)で対象とされている行為が国内法においても売買として犯罪化されることを確保するよう、勧告するものである。 裁判権および犯罪人引渡し 38.委員会は、選択議定書第3条第1項に掲げられた犯罪に対し、当該犯罪が自国の国民もしくは自国の領域に常居所を有する者によって国外で行なわれる場合または被害者が大韓民国の国民である場合に裁判権を設定するためにとられた措置について、締約国から何らの情報も提供されなかったことに、懸念とともに留意する。 39.選択議定書第4条第2項に照らし、委員会は、締約国が、選択議定書に掲げられた犯罪に対し、当該犯罪が自国の国民もしくは自国の領域に常居所を有する者によって国外で行なわれる場合または被害者が大韓民国の国民である場合に域外裁判権を設定するため、必要な立法措置をとるよう勧告する。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条第3項および第4項) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 40.委員会は、締約国によれば売買春の被害者である子どもが訴追されることは「考えにくい」とはいえ、売春防止および被害者保護等に関する法律において、売買春の被害者である子どもがとくに犯罪者として扱われていることを、深く懸念する。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書に基づくいずれかの犯罪の被害者である子どもがそのこと自体を理由として犯罪者にも処罰の対象にもされないことを確保するために法改正を含むあらゆる必要な措置をとるとともに、このような子どもがスティグマを付与されかつ社会的に周縁化されることのないよう、あらゆる可能な措置をとること。 (b) 被害者である子どもの法的代理を向上させるため、権限のある公的機関に十分な財源および人的資源を配分すること。 (c) 選択議定書第9条第4項にしたがい、この議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保すること。 (d) 既存の子どもヘルプライン(1577、1391および1388)を合併させてひとつのヘルプライン(このようなヘルプラインは、十分な資金を提供され、子どもに対して全面的にアクセス可能とされおよび周知され、ならびに多言語様式で利用可能とされるべきである)にすることを検討するとともに、当該ヘルプラインと、子どもに焦点を当てた非政府組織、保健ワーカーおよびソーシャルワーカーならびに警察との連携を促進すること。 (e) とくに被害者である子どもに対して分野横断的援助を提供することにより、選択議定書第9条第3項にしたがって社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置を強化する目的で、使途指定をともなう資源の配分が行なわれることを確保すること。 刑事司法制度上の保護措置 42.16歳未満の子どもについて証人としての証言のビデオ録画が導入されたことを歓迎しながらも、委員会は、この実務が16~18歳の者には適用されないことに懸念とともに留意する。委員会はまた、選択議定書で対象とされている犯罪の被害者の地位が不明確であり、その結果、被害者が罪を犯した子どもと見なされ、かつそのために刑事司法制度において十分な保護を受けない可能性があることも、依然として懸念するものである。 43.締約国は、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(国連経済社会理事会決議2005/20)を指針とするとともに、とくに以下の措置をとるべきである。 (a) 被害者である子どもが罪を犯した少年と見なされまたはそのように扱われないことを確保するため、刑事司法制度における十分かつ明示的な保護をこのような子どもに提供することにより、被害者である子どもの権利および利益を保護すること。 (b) 被害者である子どもの個人的利益に影響がある手続において、当該子どもの意見、ニーズおよび関心事が提示されかつ考慮されることを可能にすること。 (c) 裁判手続中の困難から子どもを保護するため、子ども向けに設計された特別事情聴取室および子どもに配慮した事情聴取法を用いることならびに事情聴取、陳述および聴聞の回数を減らすこと等の手段によって子どもに配慮した手続を活用するとともに、これとの関係で、18歳未満のすべての子どもについて証人としての証言のビデオ録画を利用することを検討すること。 (d) 性的搾取の被害を受けた若年者について、疑いがあるときは成人ではなく子どもと推定すること。 被害者の回復および再統合 44.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪の被害者である子どもをリハビリテーションのための措置(2004年の売春防止および被害者保護等に関する法律に定められたものを含む)によって援助するために締約国が行なっている努力、および、売買春被害者のカウンセリング・センターの増設計画を歓迎する。しかしながら委員会は、被害者である子どもを対象として現在とられている社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置が不十分であり、かつこのようなプログラムを評価する機構が存在しないことを、遺憾に思うものである。委員会はまた、既存のプログラムおよびサービスが女性および女子の被害者のみを対象として、かつ韓国語のみで利用可能とされていることにも、懸念とともに留意する。 45.さらに、委員会は、性的搾取の被害者の回復およびリハビリテーションのためのプログラムであって、このような被害者を4週間以上、特定施設における「矯正教育」の対象とするものが実際のところ任意のプログラムなのかについて、締約国から十分な説明がなかったことを遺憾に思う。委員会は、このようなプログラムが、実際には性的搾取の被害者である子どもの心理的回復を阻害する可能性があることを、とりわけ懸念するものである。 46.委員会は、締約国に対し、選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けやすいすべての子どもを保護し、かつ被害者である子どもの全面的参加を得ながらその完全な身体的、心理的および社会的回復を図れるようにするため、十分かつ適切な行政上の措置、社会政策およびプログラムが整備されることを確保するよう、促す。これとの関係で、委員会は、締約国が、リハビリテーションのための措置を、女子のみならず男子に対しても、かつとくに人身取引および性的搾取の被害者である子どものもっとも一般的な出身国を考慮に入れながら多言語様式で、提供するよう勧告するものである。委員会は、締約国が、このようなプログラムが子どもの積極的参加を得ながら効果的に監視されかつ定期的に評価されることを確保するよう、勧告する。 47.委員会はまた、締約国に対し、性的搾取の被害者である子どもを対象とする「矯正教育」プログラムについての詳細な情報を次回報告書で提供するとともに、選択議定書第8条、少年司法における子どもの権利に関する一般的意見10号(2007年)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)にしたがい、当該プログラムにおいて被害者である子どもの権利および利益が優先されることを確保することも、要請する。 VII.国際的援助および協力(第10条) 多国間、地域的および二国間協定 48.委員会は、多くの国で行なわれている選択議定書の実施に関する国際協力プロジェクトへの締約国の支援を歓迎するとともに、締約国に対し、これらの国に関して委員会が採択した選択議定書関連の総括所見を考慮に入れながら、この点に関わる努力をさらに進めるよう促す。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 49.委員会は、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国務会議、国会議員および第1級行政区画の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 50.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を子どもおよびその親に周知させるよう勧告するものである。 IX.次回報告書 51.第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合報告書(提出期限・2008年12月19日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月18日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/111.html
総括所見:フランス(OPSC・2007年) 第1回(1994年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2009年)/第5回(2016年)OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/FRA/CO/1(2007年10月15日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2007年9月26日に開かれた第1270回および第1271回会合においてフランスの第1回報告書(CRC/C/OPSC/FRA/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の包括的な第1回報告書が提出されたことを歓迎するものの、当該報告書に海外県および海外領土についての情報が記載されていないことを遺憾に思う。委員会はまた、事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/FRA/Q/1/Add.1)も歓迎するともに、部門横断型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2004年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.240)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 A.積極的側面 4.委員会は、締約国が、選択議定書に関わる多数の法令を採択したことを歓迎する。これには以下のものが含まれる。 (a) 危険な状況に置かれた子どもの全国監視センター(Observatoire national de l enfance en danger、ONED)を設置する、子どものケアおよび保護に関する2004年1月2日の法律第2004-1号。 (b) 児童ポルノに関する刑法の一部規定を改正する2004年6月21日の法律第2004-575号。 (c) 養子縁組改革およびフランス養子縁組局の設置に関する2005年7月4日の法律第2005-744号。 (d) 子どもの性的搾取および児童ポルノとの闘いに関する欧州連合理事会枠組決定2004/68/JHAを国内法化する、2006年4月4日の法律第2006-399号。 (e) 性犯罪の被害を受けた子どもの事情聴取に関する2007年3月5日の法律第2007-291号。 (f) 子ども保護改革に関する2007年3月5日の法律第2007-293号。 5.委員会は、締約国が、選択議定書に関わる国際文書および地域文書を批准したことに、評価の意とともに留意する。これには以下のものが含まれる。 (a) 最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関第182号条約(2001年9月)。 (b) 国際組織犯罪防止条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2002年10月)。 (c) 国際組織犯罪防止条約を補足する、陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書(2002年10月)。 (d) 人身取引と闘う行動に関する欧州評議会条約(2007年5月)。 B.子どもの権利条約の一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 6.委員会は、選択議定書に基づいて締約国がとった実施措置において子どもの権利条約の一般原則が十分に考慮されていないことを懸念する。委員会は、空港の待機区域にいる庇護希望者および保護者のいない子どもに対応する方法について、とくに懸念を覚えるものである。 7.委員会は、子どもの権利条約の一般原則、とくに差別の禁止の原則を、選択議定書の規定を実施するために締約国がとるすべての措置(とくに司法上または行政上の手続)に包摂するよう勧告する。 II.データ 8.委員会は、危険な状況に置かれた子どもの全国監視センターが、子どもの保護に関わるデータ、研究、調査ならびに防止および介入のための実践例を収集し、分析し、評価しかつ普及するための機関であることに留意する。しかしながら委員会は、締約国報告書に、選択議定書が対象とする分野についてのデータおよび調査情報のいずれもがほとんど記載されていないことを懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、とくに年齢、性別および民族的または社会的出身ごとに細分化されたデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは政策の立案および実施のために必要不可欠な手段だからである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、関連する問題の概要を明らかにし、根本的原因を特定し、ならびにこれらの問題を防止しおよびそれらと闘うための効果的政策を策定する目的で、選択議定書が対象とする問題(売買、買春、ポルノおよびセックス・ツーリズムを含む)についての詳細な研究を行なうよう、奨励するものである。 III.実施に関する一般的措置 選択議定書の実施の調整および評価 10.委員会は、選択議定書の実施においてさまざまな省庁および省庁間委員会が果たしている役割、ならびに、この点に関する地域圏自治体の責任および市民社会の参加に留意する。しかしながら委員会は、選択議定書の実施の調整および評価を委任された特定の機関が存在しないことを懸念するものである。 11.委員会は、締約国が、選択議定書の実施の調整および評価を特定の機関に委任するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、この機関を通じて、選択議定書の実施の、国と地域圏間のならびに海外県および海外領土との効果的調整を確保するよう促すものである。 普及および研修 12.委員会は、選択議定書が対象とする分野についての意識を高めるために締約国が行なっている努力、および、とくに観光における子どもの性的搾取に反対するキャンペーンに、評価の意とともに留意する。 13.委員会は、締約国に対し、観光における子どもの性的搾取の分野での意識啓発キャンペーンを継続し、かつ定期的フォローアップを確保するよう、奨励する。さらに、委員会は、公衆の意識啓発キャンペーンに対し、かつ、子どもとともにおよび子どものために働く専門家(とくに法執行官ならびに議員、裁判官、弁護士、保健従事者、地方政府職員、メディア専門職、ソーシャルワーカー、教員、学校管理者および必要なときは選択議定書の実施に責任を負う他の者)を対象とする研修資料および研修コースの開発に対し、十分な資源が使途指定のうえで配分されるべきであることを勧告するものである。 資源配分 14.選択議定書の実施に関係しているさまざまな省庁が関連の活動に資源を配分するためにとっている措置(ホットラインおよび危険な状況に置かれた子どもの全国監視センターに振り向けられた予算を含む)には留意しながらも、委員会は、これらの資源が選択議定書の実施のために十分か否かについての情報がまったく入手できないことを遺憾に思う。 15.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関連する活動への予算配分について、より多くの情報を提供するよう奨励する。たとえば予算拠出金の使途指定を通じ、防止、選択議定書が対象とする犯罪の時宜を得た捜査および訴追ならびに被害を受けた子どもの保護、ケアおよび社会的再統合に資源を配分することに、特段の注意が払われるべきである。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 選択議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 16.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪を防止するため、専門家、非政府組織および市民社会と連携しながら締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、児童ポルノの問題を対象とする体系的かつ包括的な戦略が存在しないことを遺憾に思うものである。 17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 「インターネットの子どもたち-II:児童ポルノとインターネット上のペドフィリア」と題する報告(Les enfants du Net - II pedo-pornographie et pedophilie sur l internet、2005年刊)と題した報告書の勧告に基づく具体的措置を実施すること。 (b) 児童ポルノと闘い、かつインターネット関連のリスクに対応するための包括的プログラム(関連のパートナー、とくに子どもを対象とする情報提供および訓練も含まれよう)を発展させること。 (c) 子どもを描写した画像の流通の増加に見られるような、性的搾取を目的とする子どもへの需要の問題に対応するためのキャンペーンおよび特別教育プログラムを実施すること。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに関連する事項の禁止 現行刑事法令 18.子どもの売買、児童買春および児童ポルノを犯罪化するために締約国が行なった努力には留意しながらも、委員会は、不正規な国際養子縁組が子どもの売買として犯罪化されていない可能性があることを懸念する。 19.委員会は、国内法が選択議定書第2条および第3条にしたがうこと、とくに選択議定書に定められた売買の定義(第2条(a))および養子縁組についての同意の不正な勧誘(第3条1項(a)(ii))が法律に編入されることを確保するよう、勧告する。 選択議定書第3条1項に掲げられた犯罪についての裁判権 20.委員会は、児童買春および児童ポルノに関わる犯罪が域外裁判権の対象であることを歓迎する。しかしながら委員会は、域外裁判権が、選択議定書第4条で挙げられているすべての場合を網羅しているわけではないことを懸念するものである。 21.委員会は、締約国が、第4条に一致する形で、選択議定書に掲げられたすべての犯罪について裁判権を設定するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 22.委員会は、被害を受けた子どものうち、選択議定書第9条3項および4条に定められた回復のための援助および賠償を提供された子どもの人数についての情報が入手可能とされていないことを遺憾に思う。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 回復のための援助および被害賠償を提供された被害者の人数に関する、性別、年齢および地理的所在(海外県および海外領土を含む)等によって細分化されたデータを体系的に収集すること。 (b) 選択議定書第9条3項にしたがい、被害を受けた子どもが十分なサービス(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む)を利用できることを確保するため、非政府組織と連携すること。 (c) 被害を受けた子どもの保護に対応するすべての主体を対象とする、体系的かつ継続的な研修を確立すること。 (d) 選択議定書第9条4項にしたがい、被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保するとともに、被害を受けた子どものリハビリテーションのために必要なプログラムおよび措置に対して十分な資金を配分すること。 (e) 子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(経済社会理事会決議2005/20)を考慮すること。 24.委員会は、フランスの空港の待機区域に措置された保護者のいない子どもが直面している状況とともに、措置決定に対する異議申立てができないこと、特別管理人の選任に関する法的要件が系統的に適用されていないこと、および、搾取の被害をとりわけ受けやすいこれらの子どもが利用可能な心理的援助が存在しないことを、深く懸念する。委員会はまた、子どもがしばしば、諸条件についての適正な評価を行なわれることなく、搾取の危険に直面する国に送還されていることも懸念するものである。 25.委員会は、締約国に対し、待機区域への措置決定に対して異議を申し立てられるようにするための手続を整備し、特別管理人の選任に関する国内法を全面的に実施し、保護者のいない子どもが十分な心理的援助を利用できるようにする義務を履行し、かつ、とくにアクセスの厳格な監視を通じて、待機区域における搾取から子どもを保護する体制を整えるための措置をとるよう、促す。さらに、委員会は、締約国が、子どもの最善の利益を正当に考慮し、国際的保護を必要とする子どもおよびふたたび人身取引の対象とされるおそれがある子どもが、このような危険が存在する国に送還されないことを確保するよう、勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)を指針とするよう勧告する。 VII.国際的な援助および協力 法執行 26.委員会は、司法共助および治安協力の領域で締約国が調印したさまざまな二国間協定および了解覚書に、評価の意とともに留意する。 27.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノをともなう行為の防止、摘発、捜査、その責任者の訴追および処罰のため、とくにこの分野で問題に直面している国々の法執行機関との、二国間、地域間および多国間の協力を継続しかつ強化するよう奨励する。 財政援助その他の援助 28.委員会は、国際協力の枠組みおよび開発途上国との二国間関係における多数の取り組みへの締約国の支援に、評価の意とともに留意する。 29.委員会は、締約国が、国際的レベルでの選択議定書の実施を促進するための努力を継続しかつ強化するよう、勧告する。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 30.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、国民議会および上院ならびに地域圏および県(海外県および海外領土を含む)の当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 31.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.次回報告書 32.第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の報告書に記載するよう要請する。当該報告書には、フランスの海外県および海外領土における議定書の実施に関する情報が記載されるべきである。 更新履歴:ページ作成(2010年11月1日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/307.html
総括所見:ベルギー(第1回・1995年) 第2回(2002年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2006年)/OPSC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.38(1995年6月20日)/第9会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1995年5月31日および6月1日に開かれた第222回、第223回および第224回会合(CRC/C/SR.222-224参照)においてベルギーの第1回報告書(CRC/C/11/Add.4)を検討し、以下の総括所見を採択した [注]。 [注] 1995年6月9日に開かれた第233回会合において。 A.序 2.委員会は、締約国のきわめて包括的な報告書に対して評価の意を表するとともに、報告書の作成においてベルギー政府が開かれたかつ自己批判的なアプローチをとったことを歓迎する。委員会はまた、締約国に対し、事前質問事項(CRC/C.9/WP.4参照)に対する文書回答の提出および討議の際の追加情報の提供についても評価の意を表したい。 3.ハイレベルな代表団が出席してくれたことにより、委員会は、連邦および諸言語共同体レベルで条約の実施に直接責任を負う人々との率直かつ建設的な対話に携わることができた。 B.積極的な側面 4.委員会は、批准の際に付した留保の再検討について代表団が開かれた態度をとり、かつ、その撤回の検討に対して前向きな姿勢を見せたことを歓迎する。 5.委員会は、1992年の条約発効以来、子どもの権利を促進しかつ保護するためにベルギー政府がとってきた措置を歓迎する。これとの関係で、委員会はとくに、条約との全面的な一致を確保するために包括的な立法上の枠組みが採択されたことのほか、児童買春および児童ポルノの事件に関する国の裁判権を拡大して、「セックスツーリズム」の罪に問われたいかなる者も訴追することを国に認める法律が最近採択されたこと、民法第371条の改正により「親子間の相互の尊重」が規定されるようになる予定であること、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約の批准のための措置がとられたこと、条約第12条の精神にのっとり、養子縁組についての最低同意年齢を引き下げるための民法改正の意図が表明されたこと、ならびに、諸言語共同体によって子どもの権利の促進および保護のための機関および機構が設置されたことを歓迎するものである。委員会はまた、児童虐待およびネグレクトの防止のための意識啓発キャンペーンが開始されたことにも評価の意を表する。 6.委員会は、条約が自動執行的であること、および、その規定が裁判所において援用可能であり、かつ実際にいくつかの事件において援用されてきたことを歓迎する。委員会はまた、ベルギーが、法律の抵触の場合には国際人権基準が国内法に優越するという原則を適用していることにも、満足感とともに留意するものである。 7.委員会は、現在の景気後退の時期にあって、もっとも不利な立場に置かれた住民層、とくに子どもの社会福祉のための予算資源が締約国において削減されないことを確保する目的で公的機関が注意を払っていることに、満足感とともに留意する。 C.主要な懸念事項 8.委員会は、締約国が、条約の実施を調整するための全国的な常設機構の設置を検討するよう提案したいと考えるとともに、子どもの権利に関するデータ(とくに、とりわけ被害を受けやすい状況に置かれた集団に属する子どもについてのデータ)を連邦レベルで収集するための効果的かつ包括的なシステムを確立する必要があることに留意する。 9.委員会は、子どもの庇護希望者(保護者のいない子どもを含む)に関する法律および政策の適用について懸念を覚える。委員会は、難民申請を棄却されたものの18歳までは締約国に在留することのできる保護者のいない未成年者が、アイデンティティを剥奪され、かつ保健ケアおよび教育を含む権利の全面的享受を否定される可能性があることを、とりわけ懸念するものである。このような状況は、委員会の見解では、条約第2条および第3条との両立性について懸念を生ぜしめる。 10.条約第2条の規定に関して、委員会は、不利な立場に置かれた集団に属する子どもがより養護措置の対象とされやすいように思えることを懸念する。これとの関連で、委員会は、子どもの養育における家族の重要性を想起するとともに、家族からの子どもの分離の際には子どもの最善の利益が第一次的に考慮されなければならないことを強調するものである。 11.委員会は、青年保護法第38条で管轄権放棄が可能とされていることにより、16~18歳の若者が成人として裁判の対象とされ、したがって死刑または終身刑を科される可能性もあることについて懸念を表明する。委員会はまた、同法第53条の規定により、子どもを15日間刑務所に収容し、かつ隔離拘禁の対象にすることができることも懸念するものである。 D.提案および勧告 12.委員会は、締約国に対し、条約の批准の際に行なわれた解釈宣言を、その撤回の検討を目的として再検討することを考慮するよう奨励したい。 13.委員会は、子どもの権利条約が連邦および言語共同体双方のレベルで全面的に尊重されかつ実施されることを確保するため、締約国が、子どもの保護のための政策を調整し、評価し、監視し、かつフォローアップする常設機構の設置を構想するよう提案したい。これとの関連で、また子どもの権利を促進しかつ保護するための締約国の継続的取り組みの一環として、委員会は、締約国で子どもの権利の尊重の監視に携わる非政府組織と協力しながら、連邦政府および言語共同体政府との定期的かつより緊密な協力を促進するための方法および手段が確立されるべきことを提案する。 14.委員会は、締約国における子どもの状況を包括的に評価し、かつ条約の実施における進展および困難の包括的および学際的評価を確保するため、ベルギーが、連邦レベルで常設のデータ収集機構を創設することを構想するよう勧告する。 15.委員会は、条約との全面的一致を確保する目的で、とくに1965年4月の少年保護法第38条および第53条に関して、条約の規定と国内法を調和させるための取り組みがさらに追求されるべきであるとの見解に立つ。委員会は、締約国に対し、平時か戦時かを問わず死刑が廃止されることを確保するための措置を引き続きとるよう奨励したい。委員会はさらに、締約国に対し、家庭における体罰が禁止されることを確保するための法改正の検討を奨励する。 16.委員会はまた、条約第12条に照らし、とくに家庭生活、学校、地方レベルおよび司法制度での子どもの生活に影響を与える意思決定プロセス(子どもが証人として手続に参加する状況を含む)において、子どもによる意見表明およびその意見の正当な重視を奨励する手段をさらに検討することも奨励したい。 17.委員会は、締約国に対し、条約の原則および規定を子どもにも大人にも同様に広く知らせるための継続的かつ組織的なアプローチをさらに発展させるよう奨励したい。加えて、委員会は、条約の原則および目的がベルギーにおいて話されている言葉で広く知られようにし、かつ主要な難民および移民集団の言語に翻訳することを勧告する。国連人権教育の10年を宣言した総会決議49/184の採択に鑑み、委員会は、締約国に対し、この機会を活用して、子どもの権利条約についての教育を学校カリキュラムに編入することを促進するよう奨励するものである。委員会は、学校において用いられる教授法に、条約の精神および哲学ならびに条約第29条に定められた教育の目的が反映されることが重要であるとの見解に立つ。 18.教員、ソーシャルワーカー、ヘルスワーカー、出入国管理官、法執行官、裁判官ならびにケアのための施設および拘禁施設の職員を含むさまざまな専門職集団の研修プログラムに、条約の規定および原則についての教育を編入することが検討されるべきである。 19.委員会は、締約国に対し、難民および移住労働者の家族再統合を目的とした申請が積極的、人道的かつ迅速なやり方で扱われることを確保するよう奨励したい。 20.委員会は、ベルギー政府に対し、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約への署名およびその批准を検討するよう奨励したい。 21.最後に、委員会は、ベルギーの第1回報告書、委員会との会合の議事要録および同報告書に関する委員会の総括所見を刊行することに対してベルギー政府が前向きな姿勢を見せていることを評価するとともに、これらの文書がベルギーで話されている言語で可能なかぎり広く配布されるよう勧告する。 更新履歴:ページ作成(2017年3月31日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/138.html
総括所見:ウクライナ(OPSC・2007年) 第1回(1995年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2011年)OPAC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/UKR/CO/1(2007年6月28日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2007年6月4日に開かれた第1247回会合(CRC/C/SR.1247参照)においてウクライナの第1回報告書(CRC/C/OPSC/UKR/1)を検討し、2007年6月8日に開かれた第1255回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書の提出を歓迎する。委員会はまた、委員会の事前質問事項(CRC/C/OPSC/UKR/Q/1/Add.1)に対する文書回答および多部門型の代表団との建設的対話も評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2002年10月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.191)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、以下のことに評価の意とともに留意する。 (a) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取り扱いまたは刑罰に関する条約の選択議定書の批准(2006年)。 (b) 国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ第28号条約の批准(2006年)。 (c) 内務省における人身取引関連犯罪対策部局の創設(2005年)。 (d) 両親を失った子どもおよび親のケアを奪われた子どもの社会的保護のための組織的および法的条件(実施)法の施行(2005年)。 (e) 国際組織犯罪防止条約、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書および陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書の批准(2004年)。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 子どもの権利条約の一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 5.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて締約国がとった措置の立案および実施において、子どもの権利条約の一般原則が考慮されていないことを懸念する。委員会はとくに、子どもに影響を与えるすべての事柄(政策およびプログラムを含む)について子どもの意見が正当に考慮されていないこと、および、このような状態が、意見を表明しかつその意見を正当に重視される子どもの権利の原則が十分に適用されていないことの結果である可能性があることを、懸念するものである。 6.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の規定を実施するために締約国がとるすべての措置(司法上または行政上の手続を含む)に、子どもの権利条約の一般原則、とくに意見を表明しかつ聴かれる子どもの権利が含まれるべきことを、勧告する。 国家的行動計画 7.委員会は、子どもの権利条約の規定の実施に関する国家行動計画(2006~2016年)草案に留意する。しかしながら委員会は、選択議定書に関わる分野を網羅した特別行動計画が存在しないことを遺憾に思うものである。 8.委員会は、締約国が、国家行動計画を速やかに採択するとともに、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの犯罪を防止しかつ抑止するために必要な措置に関する特別行動計画を策定するよう、勧告する。その際、締約国は、第1回および第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議(ストックホルム・1996年および横浜・2001年)で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントを考慮しながら、選択議定書のすべての規定を実施することに特段の注意を払うべきである。 調整 9.委員会は、選択議定書の実施の支援に関して、人身売買または人身取引との闘いに関する調整評議会およびさまざまな省庁その他の中央行政機関が行なっている心強い貢献に留意する。しかしながら委員会は、同調整評議会が全面的に稼働していないこと、および、さまざまな関係省庁間で選択議定書の実施が十分に調整されていないことを、懸念するものである。 10.委員会は、締約国が、人身売買または人身取引との闘いに関する調整評議会に対し、子どもの権利に関わる政策および活動を策定し、ならびに締約国による選択議定書の実施を調整しおよび評価する権限を与えるよう、勧告する。さらに、締約国が、同評議会に対し、同評議会が全面的に稼働できるようにするための具体的かつ十分な人的資源および財源を遅滞なく提供することも、勧告されるところである。さらに委員会は、地方レベルの調整能力を支援しかつ発展させる目的で、同調整評議会が地方の公的機関と緊密に協働するよう勧告する。 普及および研修 11.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する多数の広報キャンペーン、会議、セミナーおよび研修が組織されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書に関する関連の専門家集団および公衆一般の意識を領域全体で高め、かつ選択議定書のすべての分野に関する十分な研修を行なうための努力が不十分であることを、依然として懸念するものである。 12.委員会は、締約国が、関連のすべての専門家集団(警察官、検察官、裁判官、医療職員および選択議定書の実施に従事する他の専門家を含む)を対象とする研修資料および研修コースを全国で開発することに対し、十分な資源を使途指定のうえで配分するよう、勧告する。さらに、議定書第9条2項に照らし、委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび長期的な意識啓発キャンペーン(メディアも含む)、ならびに、防止措置および選択議定書に掲げられたすべての犯罪の有害な影響に関する研修を通じて、選択議定書の規定をとくに子どもおよびその家族に対して広く知らせるよう、勧告するものである。これとの関連で、コミュニティおよびとくに子ども(被害を受けた子どもを含む)の参加を奨励することが求められる。 データ収集 13.委員会は、子どもの権利条約の実施および選択議定書で対象とされている具体的問題に関する統計データの収集、ならびに、国内のおよび国境を越えた人身取引の広がりに関する調査研究において、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関するデータが依然として不十分であることを、遺憾に思う。 14.委員会は、締約国が、ウクライナのすべての地域(さまざまなオーブラスチ〔州〕およびクリミア自治共和国を含む)ならびにコミュニティを網羅し、かつとくに年齢および性別ならびに都市部および農村部の別によって細分化されたデータが体系的に収集され、かつ適切な行動のために分析されることを確保するため、中央集権化されたデータ収集基盤を設置するよう、勧告する。委員会は、締約国に対し、問題の原因および規模を明らかにするため、あらゆる形態の子どもの搾取(買春およびポルノを含む)の性質および規模についての調査研究を行なうよう、奨励するものである。さらに委員会は、締約国に対し、行なわれたプログラムおよび研修の有効性および効率性に関するデータならびにこれらの活動に関与した子どもについての情報を収集するよう、奨励する。 予算配分 15.委員会は、締約国が里親養護支援プログラムに資金を配分していることには留意しつつも、締約国が家族支援に対しては十分な予算配分を行なっておらず、かつ、子どもを施設に措置するプログラムに対して不相応な配分が行なわれていることを、遺憾に思う。委員会はさらに、締約国が、選択議定書の規定を実施するための活動に対する政府の資金拠出についての包括的データを提供できなかったことを、遺憾に思うものである。 16.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施を目的とするすべての活動(家族への支援を含む)に対して十分な資源(予算の配分を含む)を速やかに提供するよう、促す。さらに委員会は、締約国が、子どもの権利条約に基づく次回の定期報告書で、選択議定書の規定を実施するための活動に対する政府の資金拠出(さまざまな政府省庁および地方当局による数値化可能な支出を含む)についてのデータを提供するよう、勧告するものである。 2.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止 現行刑事法令 17.委員会は、選択議定書が国内法に優越することに留意するとともに、子どもの人身取引、子どもの売買に関する刑事責任、子どもに売春を強要しまたは子どもを売春に関与させることならびにポルノ的資料の製造、販売および配布に関する規定が刑法に含まれていることを歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの禁止が選択議定書第2条および第3条に全面的に一致する形で刑法に含まれていないことに、留意するものである。 18.委員会は、少なくとも、選択議定書第2条および第3条に列挙された行為および活動が、これらの行為が国内でもしくは国境を越えてまたは個人的にもしくは組織として行なわれたか否かに関わらず刑法で全面的に対象とされることを確保するため、締約国が刑法の規定を改正するための措置をとるよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、国内法体系と議定書との不一致および乖離を明らかにするための法的研究を行なうとともに、国連児童基金その他の関連の国際機関の援助を求めるよう、勧告するものである。 3.刑事手続 裁判権 19.委員会は、双方可罰性に関する情報がないことを遺憾に思う。 20.委員会は、締約国が、国外で行なわれた犯罪に関する犯罪人引渡しおよび(または)訴追について国内法で双方可罰性が要求されないことを確保するよう、勧告する。 4.被害を受けた子どもの権利の保護 少年司法 21.子どもを専門に担当する裁判官制度の導入が予定されていることには留意しながらも、委員会は、選択議定書関連犯罪の被害を受けた子どもにも対応できる独立の少年司法制度が存在しないことを懸念する。 22.委員会は、締約国が子どもを専門に担当する裁判官制度を迅速に導入するよう勧告するとともに、子どもの権利条約に基づく総括所見(CRC/C/15/Add.191)をあらためて繰り返し、締約国に対し、国際基準にしたがった独立の少年司法制度を設置するよう促す。 23.委員会は、選択議定書で対象とされた犯罪の被害を受けた子どもがしばしばスティグマを付与され、社会的に周縁化されており、ならびに責任を問われ、審判および拘禁措置の対象とされる可能性がある旨の情報について懸念を覚える。 24.委員会は、締約国が、搾取および虐待の被害を受けた子どもが犯罪者としての扱いも処罰も受けないこと、および、これらの子どもに対するスティグマおよびその社会的周縁化を回避するためにあらゆる可能な措置がとられることを確保するよう、勧告する。 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 25.委員会は、売買、買春およびポルノの被害を受けた子どもの身体的および心理的回復のためのさまざまな措置が提供されていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書第8条の規定が締約国の関連の法律およびプログラムに十分に統合されていないことを懸念するものである。とくに委員会は、被害者の地位が刑法で十分に定義されていないこと、被害を受けた子どもの尋問中の身体的および心理的圧力について明確かつ十分な制裁が定められていないことを懸念する。さらに委員会は、十分な制裁が定められている場合でさえ、当該制裁がほとんど執行されていないことを懸念するものである。 26.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第8条1項に照らし、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(経済社会理事会決議2005/20)を考慮することによって、刑事司法手続のあらゆる段階で子どもの被害者および証人を保護すること。 (b) 選択議定書第9条3項にしたがい、被害を受けた子どもが、資格のある職員によって提供される十分なサービス(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む)を利用できることを確保するため、非政府組織および国際機関と引き続き連携すること。 (c) 心理社会的リハビリテーションサービスを提供している施設において敬意のある環境および子どもの権利の尊重が確保されるよう、これらのサービスの質を向上させるために十分な資金を配分するとともに、リハビリテーションサービスの業績成果および質を監視すること。 (d) 選択議定書第9条4項にしたがい、この議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保すること。 (e) 犯罪者が処罰され、かつ被害者が賠償を受けることを確保するため、法律の規定を十分に執行すること。 子どもオンブズマン 27.委員会は、子どもの権利条約およびその選択議定書の実施状況を審査し、または子どももしくはその代理人の苦情を受理しかつ検討する権限を与えられた独立の機構が存在しないことを懸念する。 28.委員会は、締約国が、パリ原則にしたがって、かつ子どもの権利の保護および促進における独立した国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(2002年)を考慮しながら、独立した効果的な子どもオンブズマンを設置するよう勧告する。当該機関に対しては、とくに、子どもおよびその代理人の苦情申立てに子どもに配慮した迅速なやり方で対応し、かつ選択議定書上の子どもの権利の侵害に対して救済を提供する任務が与えられるべきである。これとの関連で、委員会はさらに、この機関に対し、その任務を効率的にかつ迅速に遂行するための十分な人的資源および財源を提供することを勧告する。 5.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 養子縁組目的の売買の防止 29.委員会は、新養子縁組法および国際養子縁組の管理強化に関して行なわれている取り組みについての政府の情報に留意するとともに、締約国が、より多くの国内養子縁組を可能にする措置を導入したことに留意する。しかしながら委員会は、合法的養子縁組のための手続の透明性を妨げる汚職関連の要因がいまなお多数存在することを、遺憾に思うものである。 30.委員会は、締約国に対し、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)に加入するよう促す。さらに委員会は、締約国に対し、子どもの権利条約第21条、選択議定書第3条および国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)を考慮に入れることによって養子縁組のための子どもの売買と闘うため、汚職対策の措置を継続しかつ執行するよう勧告するものである。 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 31.委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪を防止するために締約国およびとくに内務省が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、子どもの搾取(買春、ポルノ、および強制労働に子どもを関与させることを含む)に対抗する、焦点の明確な防止措置ならびに問題の原因および規模を明らかにするための措置が依然としてとられていないことを、懸念するものである。 32.委員会は、締約国に対し、さらに焦点の明確な防止措置をとるとともに、選択議定書で対象とされているすべての分野に関する意識啓発キャンペーンの実施に関して国際機関および非政府組織と協力するよう、奨励する。とくに委員会は、締約国に対し、問題の根本的原因および規模を明らかにする目的で、これまでにとられた行動の効果ならびに子どもの搾取(買春およびポルノを含む)の性質および規模に関する調査研究を行なうよう、奨励するものである。委員会はさらに、締約国が、選択議定書で対象とされている分野におけるいっそう効果的な防止のため、国連児童基金その他の国際機関の技術的援助を求めるよう、勧告する。さらに委員会は、締約国に対し、インターネット上の児童ポルノに関するインターネット・サービス・プロバイダの義務についてとくに定める法律の採択を検討するよう、奨励するものである。 33.委員会は、全国で子どものためのシェルターが設置されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けるおそれがある子どもおよびその家族を対象とするヘルプラインおよび緊急の心理的援助その他の援助のような、防止のために機能しうる他のサービスが存在しないことを懸念するものである。 34.委員会は、締約国が、3ケタの番号で24時間かけることのできる、被害を受けた子どもおよびその家族を援助するためのフリーダイヤルのヘルプラインを設置するとともに、売買、児童買春および児童ポルノの被害を受けることから子どもを保護するための、容易に利用可能かつ十分な心理的援助および実際的体制によって当該サービスを支援するよう、勧告する。ヘルプラインに関して、委員会は、これが国全体で利用可能とされること、および、締約国が子ども関連のプログラムにヘルプラインに関する情報を含めることを勧告するものである。 6.国際的な援助および協力 法執行 35.委員会は、締約国が、いくつかの国と二国間協定を締結していること、および、この選択議定書で禁じられた犯罪との闘いに関する国際協力を増進させる目的で国連児童基金、欧州安全保障協力機構その他の関連の国内組織および国際機関と緊密に協力していることを、歓迎する。 36.委員会は、締約国に対し、犯罪を防止しならびに犯罪者を訴追しおよび十分な制裁を科す目的で、他の国々との法律上および実務上の協力を引き続き確立するよう、奨励する。委員会はまた、子どもの売買、児童買春および児童ポルノを防止しおよびこれと闘い、ならびに、適当なときは国外に連れ出された被害者および他国出身の子どもの補遺会社の送還およびリハビリテーションを援助する目的で、締約国が、他の国々および国際機関との地域的および国際的な司法共助、捜査共助および被害者中心の協力活動を強化することも、勧告するものである。 7.フォローアップおよび普及 フォローアップ 37.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の内閣、ヴェルホーヴナ・ラーダ(議会)、オーブラスチ(州)およびクリミア自治共和国に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 38.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 8.次回報告書 39.選択議定書第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される第3回・第4回統合定期報告書(提出期限2008年9月26日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年1月4日)。
https://w.atwiki.jp/childreninfukushima/pages/295.html
島根県が夏休みに福島の子供を受け入れ 島根県は、東京電力福島第1原発事故の影響で、不自由な生活を余儀なくされている福島県の子供たちに夏休みを楽しんでもらおうと、中学生以下の児童、生徒と保護者計約70人を対象に、夏休みI期間に島根県内に受け入れ、滞在費用を負担する。昨年に引き続いての実施となる。 今月20日~8月31日の最大9泊10日の日程で、参加者が指定された農村や漁村などの中から希望の場所に滞在すると、食費を含む滞在費などを県が負担する。移動に航空機を使う場合は、保護者と中学生は6万円、小学生以下は3万円の補助もある。 募集開始 7/4(水) 問い合わせ先 県しまね暮らし推進課((電)0852・22・5068) 情報元URL http //sankei.jp.msn.com/region/news/120702/smn12070202020000-n1.htm この情報に付けられたタグ 2012夏休み企画 リフレッシュ疎開 中国地方 島根県
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/4894.html
被災地の子供たちの健康 / いろいろブログ&サイト【福島県からの発信および福島県関連サイト】 ■ 近理多美さんのマイページ ■ 福島 信夫山ネコの憂うつ 「反原発」による「福島壊滅、逃げてください!」デマを除染するにゃ ■ 市民放射能測定所から結果がきた 「福島の現状をイラスト付きでおしえるよ(2012.6.1)」より 年、市民放射能測定所のホールボディカウンターで計った結果がきました。 今までの流れ http //fukushimajc.blogspot.jp/2011/10/blog-post_29.html http //fukushimajc.blogspot.jp/2011/11/blog-post_30.html http //fukushimajc.blogspot.jp/2012/02/blog-post_03.html 結果は、3人とも NDでした~!よかったです( ´∀`) ☆ 「福島県の子ども」の病死者数について-政府・人口動態統計から分かった事故後の変化-.pdf 「中手聖一2012/5/14」より 【福島県の子供たちの健康】 ■ 病死者数の統計発表。福島の子供たちの体に何が起きているのか? 「週プレNEWS(2010.6.10)」より 5月14日に「『福島県の子ども』の病死者数について」という報告書が発表された。政府の人口動態統計(出生届や死亡届などをもとに作成される)から集計したもので、文字どおり福島の子供の病死について述べられており、2010年3月から11月と、11年3月から11月の病死者数を比較している。 ■ 中手聖一氏の「札幌テレビ」仰天番組&「週刊プレイボーイ」デマ記事に見える 「反原発正義軍」の次の作戦 「福島 信夫山ネコの憂うつ(2012.6.12)」より 冒頭にも書いたが、この中手氏の「統計」は、悪質な「捏造」だ。 0歳児のデータをはずして、死者が増えているように操作した、犯罪的インチキなのである。こんな「断り」は偽善者の詭弁でしかない。そもそも全体を読むと、なぜこの「中手インチキ調査」が冒頭で取り上げられているのか、まったく意味不明だ。単に「タイトル」のためとしか見えない。記者が中手氏から売り込まれたのか?週刊プレイボーイなんていう「古のエロ本」程度が、「社会派」のふりすると、ろくなことにならない。 しかもこの「断り」の続きは、 もしもこの傾向が2012年も続いた場合は、“統計上の有意差”となりうるほどのハイペースで、子どもの病死者数が増加したことが分かりました。このような現象が起こることはとても稀なことで、全国でも僅かしかありません。宮城県や岩手県では起こっていないことです。昨年の夏以降に、福島の子どもたちの体に異変が起こっている可能性を疑わざるを得ません。 なのであり、あくまで中手氏は福島県民を脅しているのである。 「福島県内の高校生ふたりが急性心不全で突然亡くなったとか、小さな子供にいろんな異常が増えているという話は聞きます。でも、実際のところ、健康被害が発生しているかどうかはわかりません さまざまな事例を“異変”と断定するほどの裏付けがない」 という「話」も、すでにデマであることは明らかになっている。 http //togetter.com/li/260842 大体どうして「福島の子供たちの体に、いま何が起きているのか」をFoEなんていう東京にある「市民」団体にきくのか?支離滅裂の滅茶苦茶記事だ。FoEは何を知っているというのか?今頃こんな悪質なデマを持ち出して、「わかりません」と言うのには呆れ果てる。 しかし本心は「福島で放射能のせいで高校生が死んでいる」と騒ぎ、脅したいところだったのが、後半では「わかりません」まで「後退」しているのは興味深い。 ☆ 福島の子供の病死者数が前年比1.5倍 全国で実施されてる患者調査で福島は除外の為、偶然カモ… 「ログ速(2012.6.10)」より 8 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 2012/06/10(日) 21 15 00.18 ID cNTsMttf0 [1/4回発言] まーたデマか http //togetter.com/li/308924 さて、0歳児も含めた福島の19歳までの病死数グラフが出来ました。3~11月の総数は、2010年が50人、2011年が43人。なんとあのpdfの主張とは正反対に減っています。もちろん放射線で減ったわけじゃなく、こんなのはただのゆらぎ。 http //s1-05.twitpicproxy.com/photos/full/585217665.jpg さて、疾患別です。どう分類したかは図を参照。心臓の先天奇形は心疾患ではなく先天奇形として分類しています。原因不明の多くは乳幼児突然死症候群。こう見ると、先天奇形・周産期死亡・原因不明が相当減ってるんですね。でもこれもただのゆらぎ。 http //s1-01.twitpicproxy.com/photos/large/585233605.jpg 18 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 2012/06/10(日) 21 19 05.00 ID 4NqCw//G0 [1/1回発言] 子供っていうのは何才から何才までで、それは一括りに数えるべきものなのか? 1.5倍というが、比較した母数全体の数値は?何人だったのが何人になったんだ?それは特異な数字とみていいのか? とんでもない事はもう起きたんだが、次に起こることに対して何を予想して、どう回避すべきだと考えてるんだ? 「1.5倍」だけ振り回すから、いかにもプロ市民の数字マジックにしかみえないんだよ。 ちゃんとした意見にしてから世の中に声をだせよ。世の「なんちゃらネットワーク」だの「なんとかを守る会」だのの人さんよ 62 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です 2012/06/11(月) 08 59 53.69 ID 5VS/hAfWO [1/1回発言] 福島県から続々と医者が逃げ出し続けてる現実、 国内製薬各社で、甲状腺ガン治療薬の開発が活発化してる現実、 後は言わなくてもいいな? ■ 『福島のかなしみ』 /鈴木依古さん 「薔薇、または陽だまりの猫(2012.6.12)」より 環境が一変した。あれほど賑やかに美しい歌を奏でた小鳥たちがいない。いくら 近づいても花の香りがない。 洗濯物も布団も外には干せない。 庭の汚染は激しく、何の手入れもできない。近所から子供が去り、その家族も去 り、無残に荒れた田畑が残る。校舎も校庭も遊具も何もかもが汚染されている。 .
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/295.html
総括所見:ポーランド(OPAC・2009年) 第1回(1995年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2015年)OPSC(2009年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/POL/CO/1(2009年10月22日)/第52会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2009年9月22日に開かれた第1436回および第1437回会合(CRC/C/SR.1436およびCRC/C/SR.1437参照)においてポーランドの第1回報告書(CRC/C/OPAC/POL/1)を検討し、2009年10月2日に開かれた第1453回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、選択議定書に基づく締約国の第1回報告書および委員会の事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/POL/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、締約国の報告書が簡潔であり、さらに議定書に基づく報告についてのガイドラインにしたがっていなかったこと、および、事前質問事項に対する締約国の回答が簡潔であったことを遺憾に思うものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく締約国の第1回報告書に関して2009年10月2日に採択された総括所見(CRC/OPSC/POL/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 積極的側面 4.委員会は、18歳未満の者が義務的徴募の対象とされることはない旨を定めたポーランド法の規定(ポーランド共和国防衛のための一般的義務に関する1967年11月21日の法律第4条第1項)に、評価の意とともに留意する。 5.委員会はまた、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書を2005年2月に批准したことも歓迎する。 I.実施に関する一般的措置 選択議定書の実施の調整および評価 6.委員会は、教育省が選択議定書の実施を履行する担当機関であることに留意する。にもかかわらず、委員会は、選択議定書の規定が有する幅広い司法上および軍事上の側面を考慮するうえで教育省が課題に直面する可能性があることを懸念するものである。 7.委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関わるすべての主体(市民社会を含む)の関与を得た効果的な調整機関が教育省によって設置されることを確保するよう、勧告する。委員会はさらに、教育省が、選択議定書の遵守状況を評価するための定期的評価機構を発展させることも勧告するものである。 普及および研修 8.委員会は、セミナーの活用、ハンドブックの刊行および赤十字国際委員会との協力等を通じて選択議定書についての意識を高めるために締約国が行なっている努力に留意する。しかしながら委員会は、選択議定書に関する一般公衆の意識が低いままであることを懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、選択議定書の原則および規定が子どもを含む一般公衆に対して広く普及されることを確保するよう勧告する。 II.防止 志願入隊 10.委員会は、ポーランド共和国防衛のための一般的義務に関する1967年11月21日の法律の改正法案にしたがって志願入隊に関する最低年齢が18歳に引き上げられる旨の、締約国との対話の際に提供された情報を歓迎する。 11.委員会は、締約国が、志願入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げられるようこの法案の処理を速やかに進めることにより、18歳未満の者がポーランド軍に入隊しないことを確保するよう勧告する。 公衆の意識および平和教育 12.委員会は、選択議定書が、前期および後期の中等学校の必須カリキュラム科目「安全保障教育」に含まれており、当該科目において国際法および人道法についての学習に統合されていることを歓迎する。しかしながら委員会は、人権教育においてこの教科が本来あるべきほど重視されていない可能性があること、および、一般公衆が選択議定書についての意識を欠いていることを懸念するものである。 13.委員会は、締約国が、市民社会組織と連携しながら以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 紛争解決および平和に関する国際法および国際政策についての一貫したかつ包括的な情報があらゆる段階の教育制度で提供されることを確保するための、方法論的アプローチを発展させること。 (b) 平和の価値および人権の尊重を促進するための研修プログラムおよびキャンペーンを発展させかつ実施すること。 (c) 選択議定書の原則および規定に関わって公衆の意識を高めるための努力を強化すること。 III.禁止および関連の事項 現行刑事法令 14.委員会は、刑法第142条第2項が、軍隊への子どもの徴募を禁止して選択議定書の規定を部分的に実施していることに留意する。しかしながら委員会は、このような徴募および敵対行為への子どもの関与が法律で明示的に禁じられていないことを懸念するものである。 15.委員会は、締約国が、子どもの徴募および敵対行為への関与に関連する選択議定書の規定の違反を犯罪化する明示的な規定を刑法に設け、かつ、当該規定に敵対行為への直接参加の定義が含まれることを確保するよう、勧告する。 IV.保護、回復および再統合 身体的および心理的回復のための援助 16.委員会は、国外で武力紛争に関与させられた可能性のある子どもを特定するための措置に関する情報が少ないことを遺憾に思う。 17.締約国が、国外で武力紛争に関与させられた可能性のある子ども(子どもの庇護希望者および難民を含む)を特定するための機構を設置するよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な援助を提供するための措置をとるよう勧告するものである。 V.国際的な援助および協力 18.委員会は、国際連合の平和維持活動に締約国が積極的に貢献していることに、評価の意とともに留意する。 19.委員会は、締約国が、自国の要員が武力紛争に関与する子どもの権利を全面的に認識し、かつ分遣隊がその責任および説明責任について認識することを引き続き確保するよう、勧告する。 VI.フォローアップおよび普及 20.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、議会ならびに関連の国家当局および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 21.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 VII.次回報告書 22.第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2017年2月28日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/67.html
総括所見:ベトナム(第2回・2003年) 第1回(1993年)/第3回・第4回(2012年)OPAC(2006年)/OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.200(2003年3月18日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2003年1月22日に開かれた第848回および第849回会合(CRC/C/SR.848 and 849参照)において、2000年5月10日に提出されたベトナムの第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.20)を検討し、2003年1月31日に開かれた第862回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、委員会の報告ガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書の提出を歓迎する。委員会はさらに、事前質問事項(CRC/C/Q/VIE/2)に対する文書回答および最新の締約国報告書が時宜を得たやり方で提出されたことを歓迎するものである(これらの文書は詳細かつ豊かな情報を含んでおり、ベトナムにおける子どもの状況に関する理解をより明確なものとしてくれた)。委員会は、ハイレベルな部門横断型の代表団の出席が、締約国代表団との間に持たれた建設的対話に貢献してくれたことに、評価の意とともに留意する。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、子ども参加を支援しおよび促進し、ならびに子どもの権利政策の調整および実施を向上させるために締約国が行なっている努力を歓迎する。とくに委員会は、1994年の政令第118/CP号の制定により、子どもの保護、ケアおよび教育に関わる活動を監視しおよび調整する中央機関として子どもの保護およびケアのためのベトナム委員会(CPCC)(その後、2002年8月5日に人口・家族・子ども全国委員会に吸収された)が設置されたことに留意するものである。委員会はまた、CPCCおよび統計局によって具体的な子どもの権利指標が開発されたこと、第2次子どものための国家行動計画(2001~2010年)が編成されたこと、ならびに、飢餓撲滅、貧困削減および雇用〔創出〕に関する国家目標計画(2001~2005年)および売買春防止計画(2001~2005年)のような他のさまざまな特別プログラムが策定されたことも、歓迎する。 4.委員会は、締約国が、武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書を2001年9月〔12月〕に批准し、かつ、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約を2000年12月に批准したことを、歓迎する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 5.委員会は、市場経済への移行により経済成長が高まった一方で、たとえば保健サービスおよび教育サービスに関する世帯の金銭的負担が増えたことにより、子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施に悪影響も生じていることを認知する。 D.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/3/Add.4)の検討を受けて行なった懸念表明および勧告(CRC/C/15/Add.3)の一部、とくに経済改革が脆弱な立場に置かれた集団に及ぼす悪影響の緩和(パラ7)、少年司法制度改革(パラ8)および民族的マイノリティ間での条約の普及(パラ9)に関するものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。 7.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうちまだ全面的に実施されていないものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 立法 8.委員会は、国内法令および政令の多くの改正に留意しながらも、国内法が条約の規定および原則にまだ全面的に一致していないことを依然として懸念する。 9.委員会は、締約国に対し、国内法が条約の原則および規定と全面的に一致することを確保するための努力を、とくに少年司法の分野で引き続き強化するよう奨励する。 調整および国家的行動計画 10.委員会は、140の地方組織を有し、かつ条約の実施に関わるさまざまな部門横断型の活動を調整する明確な権限を与えられた人口・家族・子ども全国委員会の存在に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、これらの機関間ならびに子どもの問題に関わるさまざまな行動計画およびプログラムの間で重複が生じる可能性があることを懸念するものである。委員会はまた、人口・家族・子ども全国委員会に配分される人的資源の水準が不十分であることにも懸念とともに留意する。 11.委員会は、人口・家族・子ども全国委員会が、条約、子どものための国家行動計画(2001~2010年)ならびに子どもに関わる他のすべての国家的計画およびプログラムを実施するために活動しているすべての機関を効果的に調整しおよび監視できるよう、締約国が同委員会に対して十分な資源を配分するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、可能なときは調整活動の調和を図り、かつ調整システムを可能なかぎり透明化するようにも勧告するものである。 独立の監視 12.委員会は、人口・家族・子ども全国委員会の一部として査察制度が存在し、苦情を受理しかつ施設を不定期に訪問できることに留意する。この種の監視制度も重要ではあるものの、この制度は、国内人権機関の役割に関する委員会の一般的意見2号(CRC/GC/2002/2)でその概要を示した、子どもの権利の促進および保護のための独立した監視機関であるとは思われない。 13.独立した人権機関の役割に関する一般的意見2号で委員会が行なった勧告を考慮し、委員会は、締約国に対し、十分な人的資源および財源を提供され、かつ子どもが容易にアクセスできる、子どもの権利の促進および保護を監視するための独立したかつ効果的な機構を設置するよう奨励する。委員会は、締約国が、子どもオンブズマンを設置する試験的プロジェクトの開始を検討するよう勧告するものである。 資源配分 14.委員会は、子どものための資源配分が、子どもの権利の保護および促進に関する国および地方の優先課題に対応するには不十分であることに、懸念とともに留意する。とくに、遠隔地および山間部における保健インフラおよび教育の発展に対しては不十分な資源しか配分されていない。 15.委員会は、締約国が、「利用可能な資源を最大限に用いることにより、および必要な場合には国際協力の枠組みの中で」子ども、とくに経済的に不利な立場に置かれた集団に属する子どもおよび遠隔地または山間部で暮らす子どもの経済的、社会的および文化的権利の実施を確保するための予算配分を優先させることによって条約第4条を全面的に実施することに対し、特段の注意を払うよう勧告する。とくに、締約国は、ソーシャルワーク、子どもの保護およびカウンセリングの分野における熟練した人的資源の育成に配分される資源を増加させるべきである。 データ収集 16.委員会は、データ収集を向上させるために締約国が行なっている努力には留意しつつ、事前質問事項に対する文書回答で締約国が述べているように、児童労働または障害のある子どもに関するデータ収集システムが存在せず、かつ児童虐待に関して入手可能なデータが包括的でないことを懸念する。 17.委員会は、締約国がデータ収集システムを拡大して子どもの経済的搾取および児童虐待に関する統計も含めるとともに、必要であればこの点に関してILOの技術的援助を求めるよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、条約の効果的実施を目的とした政策、プログラムおよびプロジェクトの策定、監視および評価のためにあらゆるデータおよび指標を活用するよう勧告するものである。 市民社会との協力 18.委員会は、条約の実施に関する締約国と国際非政府組織(NGO)との協力が増えつつあることは歓迎しながらも、NGOが行なう活動の調整が十分な有効性を発揮していないことを懸念する。 19.委員会は、条約の規定の実施におけるパートナーとして市民社会が果たす重要な役割を強調するとともに、締約国が、このような協力をより効果的に活用する目的で、透明性を高め、かつ条約実施に関して国際NGOとともに行なわれている活動の調整を促進するよう勧告する。 普及 20.委員会は、締約国の活動にも関わらず、子どもおよび公衆一般ならびに子どもとともにおよび子どものために働くすべての専門家集団が、条約およびそこに掲げられた権利基盤アプローチについて十分に認識しまたは理解していないことを懸念する。 21.子どもの権利に関する情報を普及するためにNGOおよび国際組織が行なっている活動には留意しながらも、委員会は、締約国に対し、条約の原則および規定ならびに条約の実施に関する自国の報告書を広く知らせるという、第42条および第44条に基づく自国の義務を想起するよう求める。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 子どもともにおよび子どものために働くすべての専門家、とくに議員、法執行官、公務員、自治体職員、子どもを対象とした施設および拘禁場所で働く職員、心理学者を含む保健従事者、ならびにソーシャルワーカーを対象として、条約の原則および規定に関する研修を実施するための努力を引き続き行なうこと。 (b) 民族的マイノリティ集団の構成員への条約の普及に特段の注意を払うとともに、可能なときは常に、条約全文が地域言語に翻訳されることを確保すること。 2.一般原則 差別の禁止 22.委員会は、条約第2条に列挙されたすべての事由に基づく差別が国内法で具体的に禁じられていないことに、懸念とともに留意する。とくに、障害のある子どもに対する差別が明示的に禁じられていない。さらに、民族的マイノリティに関する開発指標がより低い水準を示していることは、具体的にはこのようなマイノリティによる保健および教育へのアクセスに関して、一定水準の社会的および制度的差別が存在することを明らかにしているように思われる。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国内法が条約第2条のすべての規定に全面的に対応すること、および、とくに障害を理由とする子どもへの差別が法律で明示的に禁じられることを確保する目的で、国内法を改正すること。 (b) 保健ケアおよび教育のアクセス可能性および質に関する、地域間および民族的マイノリティ間の格差を解消するための努力を強化すること。 (c) 民族的マイノリティの子どもがどの程度差別を受けているかを明らかにし、かつそのような差別の根本的原因に対応するための政策およびプログラムを発展させるため、民族的コミュニティの指導者と連携しながら研究を実施すること。 24.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち条約に関わるものについての具体的情報を次回の定期報告書に記載すること、および、その際、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号を考慮することを、要請する。 子どもの最善の利益 25.委員会は、子どもの最善の利益のために行動することが政府の優先課題とされているとはいえ、最善の利益の原則が子どもに関わるすべての法律に明示的に掲げられているわけではないことを懸念する。 26.委員会は、締約国が、条約第3条にしたがい、「子どもにかかわるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」ことを確保するために法律を見直し、かつ適当なときは改正するよう勧告する。 生命に対する権利 27.委員会は、交通事故のような事故または自然災害によって負傷し、障害を負いまたは死亡する子どもの人数が多いことを懸念する。 28.締約国の努力、とくに事故抑制のための国家行動計画(2000年)には留意しながらも、委員会は、締約国が、事故による死亡の規模および原因に関する調査を実施するとともに、とくに親、子どもおよび公衆一般を対象とした意識啓発キャンペーンおよび教育プログラムを通じ、事故関連の死亡を減らすための努力を強化するよう勧告する。 子どもの意見の尊重 29.委員会は、子どもに対する社会の伝統的態度により、家庭、学校および社会一般における子どもの意見の尊重がいまなお制限されていることを懸念する。加えて、行政上および司法上の手続においても、たとえば離婚に関する審判の場合に、子どもの意見を考慮に入れることが常に求められているわけではない。 30.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに親、教員、政府行政職員、司法機関および社会一般を対象として、自己に影響を与えるあらゆる事柄について意見を考慮されかつ参加する子どもの権利についての意識啓発キャンペーンを実施すること。 (b) 子どもが、自己に影響を与えるすべての裁判手続および行政手続において意見を表明し、かつ子どもに関わるこれらの意見を考慮される権利を認められることを保障するための立法措置をとること。 (c) 条約第12条にしたがい、裁判所およびすべての行政機関で、自己に影響をあたえるすべての事柄についての子どもの意見の尊重および子ども参加を促進しかつそのための便宜を図ること。 3.市民的権利および自由 名前および国籍 31.この点に関わって締約国が行なっている多くの努力は歓迎しながらも、委員会は、いまなおすべての子どもが出生時に登録されているわけではなく、かつ、とりわけ、親が必ずしも出生登録の必要性を認識していない遠隔地および山間部で暮らす子どもの出生登録に問題が生じていることを、懸念する。 32.委員会は、締約国が、農村部および山間部で暮らす子どもに特段の注意を払いながら、すべての子どもの出生登録を確保するための努力を継続しかつ強化するよう勧告する。 不当な取扱いおよび暴力 33.委員会は、締約国の子どもがさまざまな形態の暴力および不当な取扱い(児童虐待およびネグレクトを含む)ならびに体罰を受けていることを懸念する。 34.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 児童虐待およびネグレクトの苦情を受理し、監視しおよび調査しならびに必要なときは子どもに配慮したやり方で事件を訴追するための全国的システムを設置するため、法改正を含むあらゆる適当な措置をとること。 (b) 法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を対象として、児童虐待に関する苦情に子どもに配慮したやり方で対応する方法についての研修を実施すること。 (c) 暴力の被害を受けた子どもおよび犯罪の目撃者である子どもにカウンセリングおよび援助を提供するための、適切な人的資源および財源を備えたアクセスしやすい全国的システムを設置すること。 (d) 問題の規模を適正に評価し、かつそれに対応するための政策およびプログラムを立案する目的で、虐待およびネグレクトの加害者および被害者に関する、ジェンダーおよび年齢によって細分化されたデータを収集するための機構を確立すること。 (e) 家庭、学校およびその他のあらゆる施設における体罰を明示的に禁止すること。 (f) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンを実施し、かつ、体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態の規律およびしつけを促進すること。 4.家庭環境および代替的養護 35.委員会は、締約国報告書で認められているように、離婚を含む家族の解体が増加しており、法律に触れる子どもならびに路上で暮らす子どもおよび薬物を濫用する子どもの人数の増加を助長していることに、深い懸念とともに留意する。委員会はさらに、富裕家庭と貧困家庭の格差が拡大しつつあること、および、貧困により子どもが搾取および虐待を受けるおそれが高まっていることを懸念するものである。 36.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 包括的な家族政策を策定するための努力を強化すること。 (b) カウンセリングおよび援助を提供するための専門職化されたソーシャルワーカー制度をコミュニティにおいて確立することにより、脆弱な立場に置かれた家族への社会的援助および支援を向上させること。 (c) とくに農村部および遠隔地を対象とする開発計画および貧困削減計画の枠内で、経済的に不利な立場に置かれた家族への金銭的支援の増額を検討すること。 養子縁組 37.委員会は、国際養子縁組の件数が多いことを懸念する。これは、この形態の養子縁組が必ずしも最後の手段とされていないことを示唆するものである。委員会はまた、一部の国際養子縁組において国際基準が遵守されていないという報告があることにも、懸念とともに留意する。 38.委員会は、締約国が、養子縁組に関する国内法令を執行するための努力を継続しおよび強化するとともに、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年、第33号)を批准するよう勧告する。 5.基礎保健および福祉 39.委員会は、締約国における予防接種実施率がきわめて高いことに評価の意とともに留意する。妊産婦死亡率は減少しつつあるものの、委員会は、妊産婦死亡率、乳児死亡率および5歳児未満児死亡率が高いままであること、ならびに、子どもの栄養不良率が高いこと、妊婦の貧血が頻繁に生じていること、および、子どもを生後6か月間は母乳のみで育てる女性の割合が低いことを懸念するものである。全体的に、主として産前ケアのためのサービスおよびクリニックにアクセスできないことを理由として、産前ケアが不十分であるように思われる。加えて、委員会は、締約国でチフスおよびコレラが再出現していることに、懸念とともに留意する。 40.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに農村部において全国栄養戦略の実施を強化すること。 (b) 母親ならびに村のヘルスワーカーおよび伝統的助産師を対象として、生後6カ月間は乳児に母乳のみを与えることを奨励し、かつその利点について教育するための措置をとるとともに、たとえば国家的販売促進規則を策定することを通じ、乳児用調製粉乳の配布を制限するための措置をとること。 (c) 地区保健センターおよびコミューン保健ステーションが利用可能な資源を増やすとともに、これらの施設がとくに妊産婦保健および新生児ケアのための十分な人的および物的資源を有することを確保すること。 (d) 感染症、具体的にはチフスおよびコレラの蔓延を予防するためにあらゆる適当な措置をとること。 環境衛生 41.委員会は、環境衛生上の条件が劣悪であること、とくに、とりわけ農村部および山間部において安全な飲料水および衛生設備にアクセスできる住民の割合が低いこと、および、オレンジ剤その他の枯葉剤の影響が残っていることを懸念する。 42.委員会は、締約国が、農村地域および山間地域で上水設備および衛生設備を建設しかつ拡大することに優先的に取り組むとともに、脆弱な立場に置かれたすべての集団が安全な飲料水および衛生設備に平等にアクセスできることを確保するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が、国際協力も活用しながら、枯葉剤等の環境汚染が子どもに与える有害な影響を予防しかつこれと闘うための努力を継続するようにも勧告するものである。 障害のある子ども 43.委員会は、障害のある子どものうち学校に通っていない子ども、職業訓練または就労準備にアクセスできない子どもおよびリハビリテーション・サービスへのアクセスが限られている子どもの割合がとくに農村部において高いことを、非常に懸念する。 44.委員会は、締約国が、障害のある子どもに関する委員会の一般的討議(1997年)の勧告および障害者の機会均等化に関する基準規則(国連総会決議48/96)にしたがって以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害のある子どもの教育上および職業訓練上のニーズならびにリハビリテーションその他の社会サービスへのアクセスについて評価する目的で、障害のある子ども(現在通学していない子どもも含む)の人数についての包括的調査を実施すること。 (b) 経済的に不利な立場に置かれた障害のある子どもに対し、リハビリテーションのためのサービスおよび装備へのアクセスを確保するために金銭的援助を提供すること。 (c) 公共の建物および場所(学校およびレクリエーション施設を含む)に対する障害のある子どもの物理的アクセスを改善するための現行プログラムを拡大し、かつ初等前、初等、中等および高等教育段階における統合教育プログラムの数を増やすこと。 HIV/AIDS 45.委員会は、HIV/AIDSが蔓延しつつあり、かつ、子どもが自ら感染したことまたはこの疾病のために親を失った可能性があることのいずれかを理由として子どもにますます影響を与えていることを懸念する。 46.委員会は、締約国が、HIV/AIDSと人権に関する指針(E/CN.4/1997/37添付文書I)を考慮に入れ、かつ以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 差別の禁止(第2条)、子どもの最善の利益(第3条)、生命に対する権利(第6条)および子どもの意見の尊重(第12条)という条約の4つの一般原則をとくに重視しながら、HIV/AIDSに関する政策および戦略の策定および実施に子どもの権利の尊重を統合すること。 (b) HIV/AIDSに感染した子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもの施設措置を回避するため、あらゆる効果的な措置をとること。 (c) とくに公衆教育キャンペーンを通じて、HIV/AIDSとともに生きる子どもに対するスティグマおよび差別を防止するための効果的な措置をとること。 6.教育 47.初等学校段階での完全就学を達成しようとする締約国の努力には留意しながらも、委員会は、都市部と農村部または山間部との間で教育へのアクセスおよび教育の質に相当の乖離があること、および、学校制度がいまなお十分な訓練を受けた教員および教材の不足に苦しんでいることを懸念する。加えて、委員会は、初等前教育における就学率が低いこと、第1学年で留年する児童が多いこと、および、男女間で幼稚園就園率に相当の格差があることを懸念するものである。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくに女子についておよび農村部において初等前教育への就学率を高め、かつすべての子どもに対して良質かつ無償の初等教育に対する権利を確保するため、あらゆる適当な措置をとること。 (b) とくに農村部において、経済的に不利な立場におかれた家庭の生徒に提供される金銭的援助をあらゆる段階(初等前段階を含む)で増やすこと。 (c) あらゆる民族的マイノリティ集団出身の教員の採用人数および養成人数を増やすとともに、遠隔地および山間部で働く教員に対して引き続きインセンティブを与えること。 (d) 授業およびカリキュラムの質を向上させるための現行プログラムならびに学校インフラの建設および発展において、農村部ならびに遠隔地および山間部に優先順位を付与すること。 7.特別な保護措置 性的搾取および人身取引 49.委員会は、セックスワーカーの相当の割合が18歳未満であることに懸念とともに留意する。さらに委員会は、子どもの人身取引が相当の問題であることを締約国が認めていながらも、公式に報告される事件数がきわめて少ないことを懸念するものである。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 性的搾取および人身取引の防止に関する国内的および準地域的な戦略およびプログラムを引き続き強化するとともに、これらの戦略およびプログラムにおいて、それぞれ1996年および2001年に開催された第1回・第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で表明されたコミットメントが考慮されることを確保すること。 (b) 子どもに配慮したやり方で効果的に苦情申立てを受理し、監視し、調査しかつ訴追する方法について、法執行官、ソーシャルワーカーおよび検察官を研修すること。 (c) 人身取引、性的虐待および搾取の被害を受けたすべての者が、スティグマの付与につながらない、回復および再統合のための適切なプログラムおよびサービスにアクセスできることを確保すること。 (d) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。 経済的搾取 51.委員会は、締約国が、最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約を批准したことを歓迎する。しかしながら委員会は、農業部門ならびに金鉱山、伐採作業、サービス部門その他の民間部門企業において子どもの経済的搾取が依然として広範に行なわれていることを、依然として懸念するものである。委員会はまた、路上で生活しかつ働く子どもの人数が多いことも懸念する。 52.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 就業が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約を批准しかつ実施すること。 (b) NGO、コミュニティ団体、法執行官、労働監察官およびILO児童労働撤廃国際計画と連携しながら、農村部および都市部の双方を対象とする包括的な児童労働監視システムを発展させかつ実施すること。 (c) 「困難な状況にある子どものための国家行動計画」(1999~2002年)を引き続き強化するとともに、前回勧告したとおり、子どもが路上で生活しかつ働く理由について、この現象の根本的原因に効果的に対処するための戦略を策定する目的で研究を行なうこと。 少年司法 53.委員会は、少年司法の分野で行なわれた1999年の刑法改正に留意する。しかしながら委員会は、増加している青少年犯罪に少年司法制度が効果的に対応できておらず、かつ、罪を犯した青少年の更生および再統合のためのサービスが不十分であることを懸念するものである。 54.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(1995年)に照らし、少年司法に関する基準、とくに条約第37条、第40条および第39条ならびに少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)および少年非行の防止のための国連指針(リャド・ガイドライン)の全面的実施を確保すること。 (b) 少年司法に関する個別の法典の採択および少年裁判所制度の設置を検討すること。 (c) 少年拘禁センターの環境を改善するとともに、自由の剥奪が最後の手段としてのみ用いられることを確保すること。 (d) 更生および再統合のための適切なサービスを提供するシステムを迅速に発展させるとともに、罪を犯した青少年にこのようなサービスを提供するソーシャルワーク専門職の人数を増やすこと。 (e) 法律に違反したとして申し立てられたすべての子どもが弁護士による援助その他の適当な援助を受けることを確保すること。 (f) とくに国連人権高等弁務官事務所および「少年司法に関する技術的助言および援助についての国連調整パネル」の他の構成機関に対し、この分野における技術的援助を要請すること。 8.文書の普及 55.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 9.次回報告書 56.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第4回報告書の提出期限である2007年9月1日までに、単一の統合報告書として第3回および第4回定期報告書を提出するよう促す。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2011年9月9日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/56.html
総括所見:イギリス(OPAC・2008年) 条約:第1回(1995年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2008年)/第5回(2016年)OPSC(2014年) 英領香港(当時、1996年)/英領マン島(2000年)/イギリス海外領土(2000年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/GBR/CO/1(2010年10月17日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2008年9月24日に開かれた第1357回会合(CRC/C/SR.1357参照)において大ブリテンおよび北アイルランド連合王国の第1回報告書(CRC/C/OPAC/GBR/1)を検討し、2008年10月3日に以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、選択議定書で保障された権利に関して締約国で適用される立法上、行政上、司法上その他の措置に関する実質的情報を提供してくれる、締約国の第1回報告書および文書回答の提出を歓迎する。委員会はまた、高級官僚から構成された部門横断型代表団との率直かつ建設的な対話も歓迎するものである。 3. 委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第3回・第4回定期報告書に関して同日に採択された、CRC/C/GBR/CO/4に掲載された総括所見とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、英国軍への義務的徴募が1963年に廃止されたことを歓迎する。 5.委員会は、締約国が、子どもと武力紛争に関する国連作業部会のメンバーとして積極的に活動し、かつ、国際社会が懸念するもっとも重大な犯罪(子どもに対するものを含む)を審理する諸国際刑事法廷の活動を強力に支援していることを歓迎する。 6.委員会はさらに、締約国が以下の文書を批准したことを歓迎する。 (a) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約(2000年3月22日)。 (b) 国際刑事裁判所ローマ規程(2001年10月4日)。 1.実施に関する一般的措置 普及および研修 7.委員会は、選択議定書に掲げられた規定が十分に普及されておらず、かつ軍事学校のカリキュラムまたは軍の研修コースに統合されていないことを懸念する。委員会はまた、一部要員は選択議定書が対象とする分野についての研修を受けているものの、軍人および子どもとともに働く他の関連の専門家を対象とする、選択議定書に関する具体的研修は行なわれていないことも懸念するものである。 8.委員会は、締約国が、軍隊のすべての構成員(国際的作戦に従事する者を含む)に対して選択議定書に関する研修を行なうよう勧告する。委員会は、子どもの庇護希望者および難民とともに働く専門家、移民担当機関、警察、弁護士、軍事裁判官を含む裁判官、医療専門家、ソーシャルワーカーおよびジャーナリストを含むあらゆる関連の専門家を対象として、選択議定書の規定に関するさらなる研修が行なわれるべきであることを勧告するものである。 9.委員会はさらに、第6条2項に照らし、締約国が、選択議定書の規定が適当な手段によって子どもに対してもおとなに対しても広く周知されかつ促進されるようにすることを勧告する。 2.防止 敵対行為への直接参加 10.委員会は、議定書第1条に関する締約国の解釈宣言の適用範囲が幅広いことを懸念する。この解釈宣言によれば、18歳未満の者を配置して敵対行為に直接参加させる行為は、とくに配置前に子どもを除外することが実際的でない場合または作戦の作戦効果を損ねるおそれがある場合、排除されない。これとの関連で、委員会は、新たな指針および手続(作戦行動地記録(OPLOC)システムを含む)の導入によって敵対行為にさらされる可能性がある地域に配置される子どもの人数が減少し、かつ2005年7月以降は子どもは配置されていない旨の情報を歓迎しながらも、子どもが敵対行為地に配備され、かつ敵対行為に関与する潜在的可能性が残っていることを懸念する。 11.委員会は、締約国の政策および実務が議定書第1条に一致すること、および、子どもが敵対行為に直接参加する危険性にさらされないことを確保するため、締約国がこの解釈宣言を見直すよう勧告する。 志願入隊 12.委員会は、批准時に第3条について行なわれた締約国の宣言によれば志願入隊に関する最低年齢は16歳であることに留意するとともに、締約国がこれを変更する予定はない旨を明らかにしていることを遺憾に思う。 13.委員会は、締約国に対し、全般的により厳格な法的規準を通じて子どもの保護を促進する目的で、自国の立場を再検討することを考慮し、かつ軍への入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げるよう奨励する。 委員会は、この間、18歳に満たない者のなかから兵士を採用する場合には最年長の者を優先するよう勧告するものである。 14.委員会は、「ますます競争が激しくなる雇用市場で争うためには、英国軍は16歳以上の若者を惹きつけて軍隊でキャリアを追求するよう仕向ける必要がある」(締約国報告書、パラ18)という締約国の立場に留意する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 締約国から提供された数字によれば、18歳未満の新兵が英国正規軍の受入れ総数のおよそ32%を占めていること。 (b) 積極的新兵募集政策により、脆弱な立場に置かれた集団出身の子どもが標的とされる可能性が生じるおそれがあること。 (c) 親および(または)保護者は、新兵募集プロセスの最終段階で関わって同意を与えるにすぎないこと。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 軍隊に子どもを積極的に採用する政策を再検討するとともに、このような採用が民族的マイノリティおよび低所得家庭の子どもをとくに標的とするようなやり方で行なわれないことを確保すること。 (b) 新兵募集および兵士としての採用のプロセスの最初からおよびプロセス全体を通じて親が関与することを確保すること。 16.委員会は、子どもの新規採用兵の除隊権が入隊後6か月までに制限されており、かつ、18歳3か月未満の英国軍人であって18歳に達する前に自己の進路選択について明確な不満を表明していた者が求めることができるのは裁量除隊許可であることを、懸念する。 17.委員会は、締約国が、子どもの新規採用兵の「権利としての除隊」の要件を見直し、かつその行使を拡大するよう勧告する。 18.委員会は、18歳未満の新規採用兵が、成人の新規採用兵についての最低期間よりも2年間長い最低軍務期間を満たさなければならないと定めた規則がすでに失効したことを歓迎する。しかしながら委員会は、この新規則が2008年1月1日現在の新規採用兵にしか適用されないことを懸念するものである。 19.委員会は、2008年1月1日現在まだ18歳に達していなかったすべての者に対しても、最低軍務期間を着任初日から4年間に切り替える権利を認めるよう勧告する。 平和教育 20.委員会は、締約国が、市民社会組織と連携しながら、平和の価値および人権の尊重を促進する研修プログラムおよびキャンペーンを開発しかつ実施するとともに、平和教育および人権の科目を基本科目として教育制度に含めるよう、勧告する。 3.禁止 立法 21.委員会は、締約国の国際刑事裁判所(ICC)法に基づき、15歳未満の子どもを国の軍隊に徴兵しもしくは採用しまたは敵対行為に積極的に参加させるために使用する戦争犯罪を行なったいかなる者も、その者が英国民、連合王国の在留者または同国の軍事裁判権に服する者である場合には訴追できることを、歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が、選択議定書に反して子どもの徴募または敵対行為における使用を犯罪化する法規定を設けておらず、かつ、そのために18歳未満の子どもの徴募または使用の場合には裁判権を設定していないことになる可能性があることを、懸念するものである。 22.軍隊による子どもの義務的徴募および敵対行為における使用または武装集団による子どもの徴募および敵対行為における使用を防止するための措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書に反して子どもを徴募しおよび敵対行為に関与させる行為を法律により犯罪化し、かつその法律を実施すること。 (b) これらの犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を確保しかつ執行すること。 (c) 軍のすべての規則、教範その他の訓令が選択議定書の規定にしたがうことを確保すること。 4.保護、回復および再統合 23.委員会は、国外で徴募されまたは敵対行為で使用された子どもの庇護申請の処理に関して締約国が行なっている努力、および、連合王国国境局に課されている「子どもを危害から安全に保つための実務規範」の策定要件に留意する。しかしながら委員会は、個々の地方当局では連合王国に入国する移民の子どもを援助する支援サービスが整えられているものの、国外で徴募されまたは敵対行為で使用された子どもを援助するための具体的措置はとられていないことを懸念するものである。 24.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民のうち徴募されまたは敵対行為において使用された可能性がある者を特定し、かつこのような子どもに関するデータを体系的に収集するための措置を強化すること。 (b) このような子どもが、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための分野横断的な援助を含む適切なケアおよび処遇を受けることを確保すること。 (c) このような子どもからまたはこのような子どものために行なわれた庇護申請を処理するにあたり、とくにその帰還に関わる決定において、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保すること。 25.委員会はさらに、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)、とくにパラ54~60に留意するよう勧告する。 火器の使用 26.委員会は、連合王国の軍事施設の武装警備が17歳以降の軍人によって行なわれる場合があること、および、この活動には最低限、武器の取扱いの訓練および評価ならびに実力行使および交戦規定に関する指導がともなうことを遺憾に思う。 27.委員会は、選択議定書の精神にしたがい、すべての子どもについて火器の取扱いおよび使用を廃止するよう奨励する。 捕虜とされた子ども兵士 28.委員会は、締約国の軍隊がイランおよびアフガニスタンに駐留しており、かつ、紛争に関与した子どもが締約国の軍事当局によって拘禁される事例があることに留意する。これとの関連で、委員会は、捕虜とされかつ拘禁された子どもの取扱いに関する軍隊向けの指針が存在しており、そこでは、とくに、このような子どもは実際的に可能なかぎり迅速に赤十字国際委員会に移送される旨、定められていることに留意する。 29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの拘禁が最後の手段としてのみ、かつその年齢および脆弱性にしたがった適切な条件のもとで行なわれることを確保すること。 (b) 子どもの拘禁の定期的かつ公平な再審査を保障し、かつ、子どもについては当該再審査を成人よりも多い頻度で実施すること。 (c) 子どもが拘禁されているすべての施設に監視機関が妨げられることなくアクセスできること、および、子どもが独立した苦情申立て機構にアクセスできることを確保すること。 (d) 親または近親者に子どもの拘禁場所を通知すること。 軍事裁判 30.委員会は、18歳未満の軍隊構成員が成人と同一の軍事裁判制度の対象とされる場合があることを懸念する。 31.委員会は、締約国が、法律に触れた子どもがその行為の軍事的または民事的性質に関わらず常に少年司法制度において対応され、かつ、条約(第37条および第40条)に掲げられおよび「少年司法における子どもの権利」に関する委員会の一般的意見10号で説明されている基準にしたがって取り扱われることを確保するよう、勧告する。 武器輸出 32.委員会は、英国からのすべての輸出認可申請が、遵守すべき8つの基準からなる「輸出認可に関する欧州連合・国内統合基準(行動規範)」に照らして判断されることに留意する。しかしながら委員会は、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国への武器の販売が当該基準の一または複数に該当しうることを認めながらも、このような禁止規定が拘束力のある文書に明示的に含まれていないことを懸念する。 33.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは敵対行為において使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国への武器の販売を、自国の法律で明示的に禁止するよう勧告する。 5.国際的な援助および協力 34.委員会は、締約国が、選択議定書の実施のための技術的協力および財政援助(国連児童基金(UNICEF)および国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等の国連機関との提携によるものも含む)を提供し続けていることに留意する。委員会は、締約国に対し、選択議定書に反するあらゆる活動の防止ならびに選択議定書に反する行為の被害を受けた者のリハビリテーションおよび社会的再統合に関するものも含め、選択議定書に実施に関する二国間および多国間の協力を継続するよう奨励するものである。 6.フォローアップおよび普及 35.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を国防省、議会および地方分権政府の関連当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 36.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 7.次回報告書 37.第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年8月29日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/218.html
総括所見:スペイン(第1回・1994年) 第2回(2002年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2007年)/OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.28(1994年10月24日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 総括所見:スペイン(第7会期、CRC/C/15/Add.28) 1.委員会は、1994年10月6日および7日に開かれた第171回、第172回および第173回会合(CRC/C/SR.171-173)においてスペインの第1回報告書(CRC/C/8/Add.6)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)1994年10月14日に開かれた第183回会合において。 A.序 2.委員会は、締約国に対し、包括的な報告書に関して、および高級レベルの代表団を通じて委員会との建設的かつ率直な対話に携わったことに関して評価の意を表する。委員会はまた、事前質問票(CRC/C.7/WP.1)に掲げられた質問への回答として、スペイン政府による情報が会期前に文書で委員会に提供されたことも歓迎するものである。ただし、時間がなかったことにより、文書によるその情報は提出された原語でしか利用可能とされなかった。 B.積極的な側面 3.委員会は、条約第38条2項および3項の規定に関してスペイン政府が条約批准時に行なった宣言、ならびに、18歳未満の者の徴募および武力紛争への参加を許さないという締約国の決意に、満足感とともに留意する。 4.委員会はまた、スペイン政府が報告書の作成にあたってとった、開かれたかつ自己批判的なアプローチも歓迎する。 5.委員会は、少年裁判所が過去にしたがってきた手続が違憲であると宣言した、1991年2月14日のスペイン憲法裁判所の判決を歓迎する。委員会は、憲法裁判所の判決が条約第40条2項(b)の文言を全文でかつ明示的に取り上げ、かつ、とくにスペイン憲法に集約された基本的権利は未成年者に対する刑事手続においても尊重されなければならないという結論に達したことに、満足感とともに留意するものである。 6.委員会はさらに、スペインにおいて、公務員によって行なわれた差別的行為が法律で犯罪と見なされていることを歓迎する。 C.主要な懸念事項 7.委員会は、子どもの権利の促進および保護のための政策の実施にあたり、中央当局と広域行政圏および地方の当局との間における効果的な調整が全面的に発展していないことに留意する。調整は、子どもに関わる経済的、社会的および文化的プログラムの実施にあたって拡大している格差を避けることを目的とした監視のためにも必要である。 8.委員会は、高い失業率ならびに経済的および社会的環境の悪化が子どもの権利に及ぼす影響を懸念する。 9.委員会は、保護者のいない、難民としての地位を得ようとする未成年者の取扱いのある側面が、各事案は個別にかつ実体審査にもとづいて処理されなければならないという原則に矛盾する可能性があることを不安に思う。このような未成年者の出身国の当局に自動的に通知を行なう慣行は、政治的理由による当該未成年者自身またはその近親者の訴追につながる可能性がある。 10.さらに委員会は、スペイン民法第154条が、親は「その子に対して合理的にかつ適度に罰を与えることができる」旨の文言を定めていることに懸念を表明する。このような文言は、条約第19条に反する行動を許容していると解釈される可能性がある。 11.委員会は、ひとり親家庭の割合が高いこと、ならびに、そのような家庭の子どもに対して必要なケアを提供するために特別なプログラムおよびサービスが必要であることに、懸念を表明する。 D.提案および勧告 12.委員会は、子どもの権利条約が全面的に尊重されかつ実施されることを確保する目的で、締約国が、中央、広域行政圏および地方(自治州を含む)のあらゆる行政レベルにおいて、憲法上および立法上の枠組みのなかで設けられている調整機構を強化し、かつ評価および監視を発展させるよう勧告する。 13.委員会はさらに、同国における状況の全容を把握し、かつ条約の実施における進展および困難の包括的かつ他分野にまたがる評価を確保する目的で、スペイン政府があらゆる必要な情報を集めるよう勧告する。このような評価は、格差および根強く残る偏見と闘うための適切な政策の形成を可能にするようなものであるべきである。 14.締約国は、条約第4条の実施にとくに注意を向け、かつ、中央、広域行政圏および地方のレベルにおいてバランスのとれた資源配分を確保するよう勧告される。経済的、社会的および文化的権利の促進および保護のために配分される予算を決定するにあたっては、子どもの最善の利益が第一義的に考慮されるべきであり、かつ利用可能な資源が最大限に配分されるべきである。 15.社会部門をさらに重視する可能性について評価を行ない、かつもっとも貧窮している子どもに援助を振り向けることを目的として、締約国が国際協力プログラムの見直しを検討することが勧告されるところである。 16.条約に関する情報の普及および意識啓発を行ない、かつ、移民の子どもおよびジプシーを含む脆弱な立場に置かれた集団の子どもに対する差別的態度および偏見を防止するための措置がとられるべきである。この目的で、委員会は、条約に掲げられた基本的原則および規範に関する充分な研修を、法執行官、裁判官、司法運営に従事するその他の職員、および、さらに一般的に、条約の実施に関わる専門家に対して提供するよう提案する。 17.委員会は、子どもの権利の促進および保護に関わる活動およびプログラムへの公衆の参加を増進するため、締約国が、非政府組織および研究機関との既存の関係の制度化を検討するよう提案する。 18.さらに委員会は、スペイン当局に対し、国内法が条約の規定と全面的に一致することを確保するための法改正を継続するよう奨励する。これとの関連で、委員会は、法規定で用いられている用語を見直すこと、および、とくに、親は「その子に対して合理的にかつ適度に罰を与えることができる」と述べたスペイン民法第154条を見直して条約第19条に全面的に一致させることが法改正に含まれるべきことを、勧告するものである。 19.委員会は、締約国に対し、条約第15条に反映されている結社の自由および平和的集会の自由への権利も含む子どもの参加権を確保するため、法改正を検討するよう勧告する。 20.委員会はまた、スペイン政府が、国際養子縁組事案における保護のシステムを向上させるようにも勧告する。これとの関連で、委員会は、スペインに対し、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約の批准を検討するよう奨励するものである。 21.とくに第18条に照らし、双方の親が子育ての責任を遂行するにあたって援助を行なうシステムを強化するため、さらなる措置がとられるべきである。さらに、ひとり親の問題を研究すること、および、その特定のニーズを満たすための関連のプログラムを確立することが、提案されるところである。 22.委員会は、子どもの難民および庇護希望者ならびに保護者のいない子どもが子どもの権利条約で認められた権利を享受すること、ならびに、第10条にしたがって家族の再統合のための庇護の申請が積極的、人道的かつ迅速なやり方で扱われることを保障するため、スペイン政府があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 23.委員会は、スペイン政府に対し、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約への署名およびその批准を検討するよう奨励する。 24.締約国は、経済的搾取から子どもを保護することを目的とした条約第32条の規定の実施、および、締約国が批准した関連の国際労働機関条約の実施に、とくに注意を向けるべきである。 25.最後に、委員会は、スペインの第1回報告書、報告書が検討された委員会の会合の議事要録および同報告書に関する委員会の総括所見を刊行し、かつスペインにおいてできるだけ広く普及するよう刊行する。 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。