約 6,956 件
https://w.atwiki.jp/cw3rd-ed/pages/48.html
ステータスボーナス HP +6 SP +9 知力 +2 精神 +1 加護 +3 HP上昇 +3 SP上昇 +8 【装備適性】 《弓》 《弩》 《魔導具》 【クラススキル】 《龍脈の鎮守者》 SL上限 1 カテゴリ 自動 ブースト 属性 パッシブ 制限 - 自身の使用する《神憑》の効果に「「カテゴリ 支援」のスキルの効果に+5する」を追加する 《大祈祷 聖域》 SL上限 5 消費SP18 カテゴリ 選択 支援 魔術(光) 属性 セットアップ 制限 - 宣言後、自身は行動済みになる 視界内の任意のキャラクター全ての【防御力】と【特殊防御力】に+(SL+【加護】÷3)する この効果はラウンド終了まで持続する 《大祈祷 回帰》 SL上限 5 消費SP18 カテゴリ 選択 回復 魔術(光) 属性 セットアップ 制限 - 宣言後、自身は行動済みになる 視界内の任意のキャラクター全ての【HP】を((SL)D+【加護】÷2)点回復する ラウンド終了時、視界内の任意のキャラクター全ての【HP】を((SL)D+【加護】÷2)点回復する 《大祈祷 戦陣》 SL上限 1 消費SP18 カテゴリ 選択 魔術(地) 属性 セットアップ 制限 - 宣言後、自身は行動済みになる 戦闘に参加している全てのキャラクターは【前衛】に移動し、陣形変更を行えなくなる この効果はラウンド終了まで持続する 《大祈祷 護神》 SL上限 1 消費SP24 カテゴリ 選択 魔術(光) 属性 セットアップ 制限 シナリオ1回 宣言後、自身は行動済みになる 視界内の任意のキャラクター1体を選択し、対象が受けるダメージを適用段階で0にする この効果は戦闘終了、もしくは対象が1回攻撃を受けるまで持続する 《式神 強化弐式》 SL上限 3 カテゴリ 選択 属性 パッシブ 制限 - 自身の召喚する式神の【HP】および【最大HP】に+(SL×3+1)、【基本能力値】全てに+SLする 《式神 混》 SL上限 1 消費SP10 カテゴリ 選択 魔術 属性 効果参照 制限 - 《式神 召喚》と同時に宣言し、所持している「式神符」を2種類選択する その《式神 召喚》で召喚する式神は1体となり、選択した2種類の【基本能力値】【戦闘能力値】のそれぞれの値で高い方を適用し、両方のスキルを使用可能になる 《五行相生》 SL上限 3 消費SP16 カテゴリ 選択 攻撃 回復 魔術 属性 アクティブ 制限 - 単体に特殊攻撃を行う ダメージは2D+【特殊攻撃力】+(SL×3+1)となる この攻撃で対象に1点でもダメージを与えた場合、自身の【HP】を(2D+【加護】÷2)点回復する 《五行相剋》 SL上限 3 消費SP20 カテゴリ 選択 魔術 属性 ダメージロールの直前 制限 未行動 シナリオSL回 自身以外の単体が行う武器攻撃のダメージロールの直前に宣言する事で、その攻撃は対象の【防御力】【特殊防御力】を0としてダメージを算出する ダメージ算出後、自身は行動済みになる 《禹歩》 SL上限 3 消費SP4 カテゴリ 選択 属性 セットアップ 制限 - 自身は即座に陣形変更を行い、自身の使用する「カテゴリ 支援」のスキルの効果に+(SL+2)する この効果はラウンド終了まで持続する 《五行強化》 SL上限 5 カテゴリ 選択 属性 パッシブ 制限 - 取得には《五行合一 森羅万象》が必要 自身の使用する《五行励起》の効果に+SLする 《陰陽虚式》 SL上限 1 消費SP30 カテゴリ 選択 魔術 属性 アクティブ 制限 シナリオ1回 取得には《福音》5、《龍脈震天》5が必要 戦闘に参加している全てのキャラクターは「カテゴリ 妨害」を含むスキルを使用出来ず、既に適用されている「カテゴリ 妨害」の効果・バッドステータス・弱体効果も全て解除する この効果は戦闘終了まで持続する 《要石》 SL上限 1 消費SP15 カテゴリ 選択 召喚 魔術 属性 アクティブ 制限 戦闘中1回 取得には《大祈祷 聖域》5、《禹歩》3が必要 【後衛】に「要石」を1つ召喚する この「要石」はキャラクターとして扱うが、あらゆる行動と判定を行えず、あらゆるバッドステータスと弱体効果も受けない 「要石」が存在している間、自身の【防御力】と【特殊防御力】は2倍になる 「要石」は1回攻撃を受けるか、戦闘終了時に消滅する 《旋風の陣》 SL上限 1 消費SP14 カテゴリ 選択 属性 効果参照 制限 - 取得には《駿馬の陣》5が必要 《駿馬の陣》と同時に宣言する事で、その《駿馬の陣》の対象を「視界内の任意のキャラクター全て」に変更する 《軍神顕現》 SL上限 5 カテゴリ 選択 魔術 属性 効果参照 制限 シナリオ1回 取得には《式神 由良由良止布留部》、《式神 強化弐式》3が必要 《式神 召喚》と同時に宣言する事で、その《式神 召喚》で召喚する式神の【HP】および【最大HP】と【SP】および【最大SP】に+(SL×10)、【基本能力値】全てに+(SL×3)する ただし、自身は即座に「戦闘不能状態」になり、使用した「式神符」は戦闘終了後に失われる
https://w.atwiki.jp/monque/pages/91.html
祈祷師 レア度 ★2 属性 光 種族 人型 たいりょく こうげき ぼうぎょ そくど びょうかんダメージ Lv.1 144 16 19 3.37 1 Lv.MAX(40) 222 57 60 3.37 6
https://w.atwiki.jp/nobon/pages/126.html
祈祷札 材料 生産数 4 ヤマニシキギ材 6、牛毛筆 1 生産可能職 職業 技能 神主・巫女? 宝飾之か? 基本性能 分類 価値 重量 特殊効果 材料 主な用途 職業 技能名 生産品 僧 手芸之ら 道具入れ
https://w.atwiki.jp/81keys-imp/pages/31.html
祈祷師 ワッタの一次職、術師系。 二次を見越してステ・スキ振りをした方がいい。 参考メンバー: ステ振り:人それぞれ スキ振り:人それぞれ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8568.html
前ページマリア様が使い魔 薬を使うと、女性は直ぐに目を覚ました。 「ここは・・・・何処ですの?」 「ここはトリステイン魔法学院の救護室です。どこか痛い所はありませんか?」 「トリステイン魔法学院?」 「お名前と出身地を教えて下さいますかな?」 「小笠原祥子。出身は東京です。」 「トウキョウ?聞いた事の無い地名ですな。ひょっとして、東方の地名ですかな? ご自分が何をなさっていたのか、お話出来ますかな?」 「自宅で誕生日のパーティーをしていました。目の前にキラキラしている物が浮かんでた所までは覚えているんですけど・・・。」 と言って頭を抑えてしまった祥子にルイズは聞いた。 「貴方は貴族ですか?」 「貴族? 小笠原家は元は華族の家柄ですけど。ここイギリスですの? でも英語じゃないし、今私が話してるのは一体、何処の言葉ですの? もう何がなんだか・・・」と言って、祥子は泣きだしてしまった。 コルベールは「取り合えず。今日の所はミス・ヴァリエールにお任せします。落ち着いてゆっくり話をするように。」と言って出て行ってしまった。 その日の晩は祥子にとって試練の連続だった。魔法が存在する事を知って、うろたえたり、双月を見て卒倒しかけたり、使い魔に成れといわ れて憤慨したりと・・・・。しかし翌朝、祥子は立ち直っていた。 「昨日は随分と見苦しいところを見せてしまったわね。」 「まぁ・・・・異世界から来たって言うのが本当の事なら仕方ないわよ。気にしないで。」 「私に使い魔に成れって、言ったわね。条件付きで承知するわ。」 「条件?」 「そう条件。2つね。」 「言ってみなさいよ。」 祥子はまっすぐにルイズの目を見て言った。 「1つは小笠原家の娘として相応の待遇を保証してもらう事。」 「まぁ、サチコも貴族の家柄だって言うんだから当然よね。良いわ。」 祥子はルイズの頬を手で挟んで続けた。 「もう一つは・・・・・・ルイズ、あなた・・・・私の妹に成りなさい。」 「妹に成れ? あ・・姉なら実家に2人いるわ。間に合ってるわ。何を言い出すのよ!」 「私昨日一晩考えたの。この異世界で私が私でいられる方法を・・・・。支えに成る妹を作れば良いのよ。私だって祐巳と言う立派な妹がいるわ。 でもそれは異世界での話。」 「私はルイズを立派な淑女として指導するわ。それが姉の務めなのだから。ルイズは私を妹として精神的に支えて頂戴。これが条件よ。」 ルイズは「うー」と唸って座りこんでしまった。 「私が使い魔に成らなければ、退学に成るかも知れないんじゃなかったの?」 「判ったわ。妹に成ります。だから使い魔に成って。」 「契約成立ね。」 「んじゃ、使い魔の儀式を始めるから屈んで。」 「我が名はルイズ・フランソワ・ルブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」 ルイズのキスが終わると祥子の左手に激痛が走った。 「使い魔のルーンが刻まれるだけよ。直ぐ終わるわ。」 痛みが止むと祥子は言った。 「本当ならスールに成るにはロザリオを授受するのだけど、今のキスをその代わりとしましょう。これからは私の事を祥子お姉様と呼ぶように。」 「祥子お姉様?」 「あら、妹に成ったんだから当然でしょう。後、目上の者に話すときは基本敬語を使いなさい。」 「敬語?」 ルイズはまた「うー」と唸って座りこんだ。 「ところでルイズ。今日は授業は無いの?」 「今日は呼び出した使い魔と親睦を深める日なので授業はありません。さ・・・祥子お姉様。」 「そうなの。では学校の中を案内してくれないかしら? これから生活していくのだから、隅々まで知る必要が有るわ。」 ルイズは祥子を案内する事にした。意外な事に祥子が興味を示したのは、トイレや風呂・厨房・馬屋だった。 (文明レベルは中世ヨーロッパってところかしら・・・) 祥子は視察を終えると、空腹を覚えたので、 「ルイズ。お茶にしましょう。」といって中庭に案内させた。 中庭では、貴族たちが昨日呼び出した使い魔と過ごしていた。コルベールがルイズに近づいてきて、昨日の顛末を聞いた。 「ほう。異世界の貴族ですか・・・。ちょっとルーンを見せてもらえますかな? ほう・・・・見た事のないルーンですな。これは調べて見ないと。」 と言って、資料室へ去って行った。 「使い魔って、やっぱり動物ばっかりね。人間は私一人?」 「基本的に人間が呼び出されるなんて聞いた事がありません。」 「そうなの。ではルイズは特別な存在な訳ね。」 「特別なんてトンデモありませんわ。祥子お姉様。」 「あら、異世界へ扉を開いたんですもの。充分特別だわ。」 祥子とルイズが軽食を取っていると、騒ぎが起こった。ギーシュの二股がバレたのである。 「こっちの世界でも殿方と云うのは変わらないわね。」 祥子は感想を述べるとお茶を飲んだ。ふと見るとギーシュはメイドに八つ当たりをしているようだ。 「ルイズ。行くわよ。」 祥子はギーシュに近寄り言い放った。 「見苦しい八つ当たりはやめなさい。二股を掛けている男が悪いのです。発覚した原因など関係有りません。」 「君はルイズが呼び出した貴族じゃないか・・・・。いくら貴族でも使い魔風情に言われたくないな。」 「ギーシュ! 祥子お姉様に無礼な口を聞かないで!」 ルイズが叫んだ。 「お姉様? ルイズ・・・君は使い魔をお姉様と呼ぶのかい?」 「そうよ。祥子お姉様に無礼を働く輩は、ヴァリエール家に無礼を働く物と思って頂戴。」 普段ゼロのルイズと陰口を叩かれていても、ヴァリエール家の娘である。トリステインで暮らす者にとって、ヴァリエール家に逆らって良い事など 一つもない。 ギーシュは「まぁ・・・ルイズがそこまで言うのなら、この紅い薔薇の様な御婦人に免じて、このギーシュ・ド・グラモン、メイドの不始末を不問に処す 事に致しましょう。」 と言って引き下がった。 この瞬間を見ていた者に「祥子様=紅薔薇様」のイメージが焼き付いたのだった。 「あの・・・・助けて下さいましてありがとうございました。私はメイドのシエスタといいます。ご用がありましたら、何でも申し付けて下さい。」 「どういたしまして、シエスタさんね。それじゃ、早速で悪いんだけど・・・。着替えをしたいので服を用立てて下さらないかしら。」 祥子は昨日のパーティドレスを着たきりだった。 「学院の制服でよろしければ、合うサイズがあると思います。直ぐにミス・ヴァリエールのお部屋にご用意させて頂きますね。」 と言って、シエスタは服の調達に出掛けた。 「祥子お姉様、学院の制服で宜しいのですか? 別の服でも私が直ぐ用意させますけど・・・。」 「制服かぁ・・・・去年までは私も制服着てたし、懐かしいわ。」 ルイズは祥子の着てた制服の事を部屋に戻りながら、祥子と話した。 「祥子お姉様、起きて下さい。今日から授業が再開します。祥子お姉様。」 「誰? 瞳子ちゃん? 誰なの?」 「祥子お姉様、ルイズです。朝です。起きて下さい。」 「ルイズ・・・・あぁ・・・・そうだった。」 祥子は寝起きが悪い。異世界に来てもそれは変わりなかった。祥子とルイズは身支度を済ませると食堂に向かった。 「お早う。ゼロのルイズ。」 キュルケが挨拶して来た。 「ごごごご・・・御機嫌よう。キュルケ。」 ルイズはしたくなさげな挨拶をした。 「御機嫌よう? なにそれ?」 「挨拶よ。挨拶。祥子お姉様に挨拶は御機嫌ようで統一しなさいって言われてるの。」 キュルケは祥子を見て、 「はじめまして。私、キュルケ・フォン・ツェルプストーと申します。お見知りおきを。紅薔薇様。」 「御機嫌よう。キュルケ。私はサチコ・オガサワラと申します。魔法学校は初めてですから、よろしくお願いします。」 「紅薔薇様、もう一人妹を持つ気は有りませんか?」 「何よ、ツェルプストー。恋人だけじゃなく、お姉様までヴェリエールから奪うつもり?」 「おやめなさい。ルイズ。」 「残念ですが、キュルケ。妹は一人と決まっていますので・・・。」 「あら、ゼロのルイズなんかより、私の方が良いと思いますわ。紅薔薇様。」 「あんたなんか・・・あんたなんか。」 「行きましょうルイズ。朝食が冷めてしまうわ。では御機嫌よう、キュルケ。」と食堂に急いだ。 「ルイズ。淑女と言うのはそう簡単に感情を前に出す物では有りません。」 「でも祥子お姉様。ヴァリエール家とツェルプストー家は不倶戴天の敵同士で・・・。」 「因縁があるって訳ね。ま・・・・後で聞かせて貰いましょう。」 食堂には当然のように祥子の分も食事も用意されていて、当然のように祥子も貴族たちと同席した。 「偉大なる始祖ブリミルよ・・・・」食事の前の祈りが始まった。祥子は後でルイズに聞いた 「始祖ブリミルって言うのは誰?」 「神様の様な人です」 「私の世界のイエス様のようなものね。もっともリリアンではイエス様よりマリア様が信仰されてるけど。」 「祥子お姉様の世界では、神様よりも信仰を集めている人がいるんですか?」 「いえ、マリア様って言うのはイエス様のお母様なのよ。ルイズもいつも、ブリミル様のお母様に見られてると考えて行動しなさいね。」 「それがマリア様なんですね。わかりました。」 授業が始まった。 「本年度から土系統の魔法を教える。シュブルーズです。属性は土。二つ名を赤土のシュブルーズといいます。」 新任の先生のようだ。 「では誰かに錬金の魔法をやってもらいましょう。そこの貴女。」 ルイズが指名された。 「危険です。ミセス・シュブルーズ。ルイズがやる位なら私が・・・」 キュルケは言ったが取り合ってもらえなかった。 「錬金の何が危険なんですか。いいから貴女。やって見なさい。錬金したい金属を強く思い描くのです。」 「ルイズやめて!」 キュルケは叫んだが、ルイズは聞かなかった。 ちゅどーん! 爆発音が響いた。 「やっぱりこうなったか。」 ギーシュはつぶやいた。 ルイズの服はボロボロになり、先生は気絶していた。 「魔法って危ないのね。失敗すると爆発するなんて・・・。」 祥子は呟いた。 それを聞いていたキュルケは 「危なくなんかないわ。失敗して爆発起こすのはルイズだけの事よ。いつもの事だけど、全く傍迷惑だわ・・・・。ゼロのルイズ! 一体何回爆発 させたら気が済むのよ。」とルイズを非難した。 「失敗して爆発するのはルイズだけ? 他の魔法使いが失敗したらどうなるの?」 祥子はキュルケに聞いた。 「何の変化も起こりはしないわ。全く、未だに二つ名も持てないゼロのルイズは・・・・。」 キュルケは憤慨していたが、祥子は引っかかりを感じた。 (なんでルイズだけは失敗すると爆発するのかしら? 異世界に扉を開いたのと関係有りそうね。) ルイズは罰として掃除を命じられた。 「すみません。祥子お姉様にも手伝って頂いて・・・。」 ルイズは済まなそうに詫びた。 「気にする事はないわ。掃除なんて、高校時代に戻ったみたいで楽しいし。それよりルイズ。あなた、ひょっとしてとんでもない力を持っているので はなくて?」 「私の魔法はいつもこうなんです。必ず爆発して・・・・。今まで成功した事がありません。きっと出来そこないなんです。」 ルイズは涙を溜めて いた。 それを見た祥子は 「そんな事はないわ。だって貴女は異世界に召還のゲートを開いたじゃない。きっと魔力が有り余っているのよ。ところで、一体何を錬金するつもり だったの?」 「ゴールドですわ。祥子お姉様。みんなをあっと言わせてやろうと思って・・・。」 「金って・・・金を練成できるのは、スクウェアクラスだけだって、先生も言ってたじゃない。ルイズって度胸だけは一人前ね。階段は一歩づつ登ら ないと、踏み外して落ちるわよ。」 祥子は呆れて言った。 祥子は学院の授業に付いて一通り見てみた。魔法実技・方法論・幾何数学・音楽など魔法に関する事は一通りやっているみたいだった。 「でも音楽が魔法と関係あるなんて意外ね。」 「祥子お姉様。スクウェアクラスの巧みの技になると、音楽的要素が強くなるのですわ。だから音楽の授業は重要です。」 祥子は音楽の授業で使われている楽器を一通り見て見たが、驚いた事に地球で使われている物と寸分変りが なかった。(これなら私も楽器を使えそうだわ。楽譜は全く違うみたいだけれど・・・) 祥子は学院の視察を大方終えた。それでこの学院に何が足りないかを悟った。生徒は楽員の決めたスケジュールに参加するだけで、自分 から関りを持とうとしない。この学院には生徒会が必要であると祥子は考えた。 「その内で良いんだけど、学院長と少し話出来ないかしら。」 「学院長ならいつも暇してるみたいですよ。」 ルイズは答えた。 「そう、じゃぁ今から面談を申し込んで見るわ。」 祥子は宣言すると学院長室へ向かった。 「ちょっと祥子お姉様。何故に?」 「この学院に足りない物を創設するのよ。」 面談の申し込みはすんなり通った。オスマン学院長の方はコルベールからルーンの報告を受けて興味を持っていたからだ。学院長は祥子 の「生徒会設立」の話を一通り聞いた後、 「生徒の代表を選挙で選ぶとな? それはちと問題が有ろうて・・・。」と感想を漏らした。 「まず目立ちたい者が我こそはと、名乗り出る事になるの。それが生徒の間に要らぬ軋轢を生みかねん。どうしても生徒の代表が必要な場合は 学院の方から任命するのが筋ではないかの? それに滅多な者が生徒代表にでもなったら問題が生じかねん。君の国ではどうか知らんが、 このトリステインで選挙などと云う物を認めるわけには行かんぞよ。」 祥子は自分の認識の甘さを悔やんだ。ここは中世の世界なのだ。まだ選挙制が認められる筈が無かったのだ。民主制に慣れていた祥子の認識 不足だった。トリステインは王政の国なのだ。 「そうですか。では下がります。ご面談に応じて頂いてありがとうございました。」 祥子は引き下がる事にした。生徒会を立ち上げる為には、 生徒からの声が必要と思ったからだ。 「ときにそなた、武器は・・・・」 「武器?」 「あ、いや、その・・・なんでもないよ。」 学院長はルーンについて話をしかけてやめた。いずれ時が全てを明らかにすると思ったのだ。 学院長室を出るとキュルケとタバサがいた。 「御機嫌よう、紅薔薇様。」 「何よキュルケ。あんた立ち聞きしてたの?」 「偶然よ。学院長室に紅薔薇様が向かわれたのが見えたから、後付いて行ったら、丁度ミス・ロングビルが出て行ったんで・・・。」 キュルケは続けた。 「生徒の代表を選挙とか云うので選ぶんですか? なんか面白そうじゃない。」 「残念だけど、その話は潰されたわ。」 「ええ? そうなんですか。それは残念ですねぇ・・・。」 3人は歩きながら話を続けていた。3人が宝物庫の傍を通った時、祥子は大きな土ゴーレムを見て驚いた。 「ルイズ、あれ、何?」 祥子は震えてルイズに聞いた。 「土ゴーレムですね。トライアングルクラスの・・・。」解説を終えると、ルイズは叫んだ。 「あんた何やってるの? 盗賊ね! ファイヤーボール!」 ルイズのファイヤーボールは壁を爆破しただけで失敗に終わった。 「ファイヤーボールってのはこうするのよ!」 キュルケはゴーレムに向かってファイヤーボールを撃った。ゴーレムはモノともしない。 「ちっ、もう戻って来たのか・・・・。」 盗賊のフーケはそう漏らしたが、壁にヒビが入っているのを見てゴーレムのパンチを宝物庫に浴びせた。 フーケは宝物庫から出てくると、 「感謝するよ!」と、祥子達に向かって叫び、ゴーレムの肩に乗ったまま姿を消した。 「待ちなさい!」ルイズ達はフーケを逃がすまいとしたが、フーケは学院の壁を越えると土くれとなって消えた。 フーケが現れた事で学院は騒然となった。授業は自習となり、祥子・ルイズ・キュルケ・タバサの4人は目撃者と云う事で学院長室に呼ばれた。 「すると3人ともしかとは顔を見ておらんのじゃな?」 学院長は念を押して聞いた。 「はい。フーケは顔を隠していました。」 ルイズは代表して答えた。この時、ミス・ロングビルが入ってきた。 「この学院の一大事に何処に行って居ったのじゃ?」 学院長が聞くとミス・ロングビルは答えた。 「近所に聞き込みに行って参りました。それで炭焼き小屋に出入りしている者が、フーケではないかと云う情報を得ました。」 「ほぉ、流石、仕事が早いな。」 学院長は感心した。 「誰かフーケを捕らえて名を挙げようという貴族は居らんか?」 学院長は問うたが、誰一人名乗り出なかった。 「あの・・・・私が・・・・」 ルイズが杖を上げた。 「ルイズ、よしなさい。」 祥子はルイズを咎めたが、ルイズは 「私はフーケを目撃しておりますし、確認が取れると思います。」と言って聞かなかった。 「では私も;・・。」 今度はキュルケが杖を上げた。 「あんたはいいのよ。」 ルイズは嫌そうに言ったが、キュルケは 「ヴァリエールには負けられませんわ。」と言って引かなかった。次にタバサが杖を上げた。 「まぁ・・・いいじゃろ。君達に任せるとしよう。ではミス・ロングビル、彼女等をその小屋に連れて行くように。」と指示した。 炭焼き小屋へは馬車で向かった。 「祥子お姉様は来なくても良かったんですよ。」 「私はルイズの姉であり、使い魔でもあるのよ。ルイズが行くと言うなら、守りに行かないわけにはいかないわ。」 キュルケは祥子の世界に付いて興味深々で話を聞くのだった。 馬車が炭焼き小屋に着くと、ミス・ロングビルは周囲の偵察にいった。タバサとキュルケは炭焼き小屋の中に入って調べる事にした。しばらく すると2人が破壊の杖を持って出てきた。 「どういう事? 何で盗んだ物を放置してるのかしら?」 4人が思案していると、ゴーレムが現れた。 祥子は真っ先に避難した。キュルケとタバサは魔法をぶつけたが無駄であった。ルイズは逃げなかった。 「ルイズ! 早く逃げなさい。」 「ルイズ、逃げて。」 皆が勧めたが、ルイズは逃げなかった。 「魔法が使えるものが貴族なんじゃない。敵に後ろを見せない者が貴族なのよ。私はゼロなんかじゃないわ!」 ルイズはそう言って魔法を放った。しかし、いつもの通り小さな爆発が起こるだけだった。祥子はルイズの元に走りながら 「破壊の杖を使ってゴーレムを倒して!」と叫んだ。 キュルケは破壊の杖の箱をあけたが、そこにあったのは杖ではなかった。タバサはエアハンマーでゴーレムに打撃を与えつつゴーレムの気を 引いた。 祥子はルイズを伴って、キュルケに合流した。そして破壊の杖をゴーレムに向けると叫んだ。 「皆伏せて!」 破壊の杖は一撃でゴーレムを屠った。 「祥子お姉様、魔法は使えないんじゃなかったんですか?」 ルイズは祥子に問いかけた。 「それともこれ、マジックアイテムなのかしら?」 「何でこんなものがここにあるのかしら? 何で私に扱えたのかしら?」 祥子は自分の行為に驚き、破壊の杖を地面に投げ捨てた。 ミス・ロングビルがいつの間にか戻ってきていて、破壊の杖を手に取りながら言った。 「破壊の杖と言うだけの事はあるわね。私のゴーレムが一撃じゃないの・・・・。」 「私のゴーレム?」 ルイズは呟いた。 「そう。盗んだは良いけど使い方が判らなくてね。仕方なくこう言う手段を取った訳。動かないで!」 「あなたがフーケなのね。」 祥子は鋭い眼でフーケをにらんだ。 「そうよ。教師じゃなく、生徒が来たのは誤算だったけど、そのお姫様なら扱えると思ったわ。」 「ミス・ロングビルどうして貴女が盗賊を?」 ルイズは訊ねた。 「盗賊の方が本業でね。それではさようなら。」 フーケは破壊の杖を作動させようとしたが、破壊の杖は煙も吐かなかった。 「タバサ! エアハンマーよ!」 祥子の言葉と同時にタバサはエアハンマーをフーケに叩きつけた。 「どうして・・・・」 フーケは意識を失いかけながらも問うた。 祥子は 「これは魔法の杖でもマジックアイテムでもないの。ロケットランチャーっていう、私の世界の武器よ。あいにく、単発式なの。弾が無いからもう使え ないわ。」 学院に戻ると直ぐ学院長からお呼びがかかった。学院長は 「いや、フーケを捕まえるとはたいした手柄を立てたものじゃ。君達には王宮から恩賞が下るじゃろう。」といって皆を労った。 祥子は「少しお聞きしたい事が有るのですけど、どうして私の世界の武器があるんですか? どうしてフーケは私にこの武器が扱えると知っていた のですか?」と問い正した。 学院長は破壊の杖の由来を祥子に話し、祥子に刻まれたルーンが伝説の使い魔ガンダールヴの物である事、ガンダールブは全ての武器を扱っ てブリミルを守った事を話した。 「私がそのガンダールヴだとおっしゃるのですか・・・・。」 祥子とルイズは驚いた。 「今宵は舞踏会じゃ。たっぷり踊って、ゆっくり休むように。」 学院長はそう言って話を終わらせた。 舞踏会では大勢の男性からダンスの申し込みがあった。祥子とルイズはそれを全て断って二人で話した。 「祥子お姉様が伝説の使い魔だと云うのは凄いですね。流石は祥子お姉様です。」 「私を呼び出したのはルイズ、あなたよ。やはりあなたは特別だったわ。」 「それにしても全ての武器を自在に扱えるというのは凄いです。明日は虚無の曜日だし、早速武器を買いにいきましょう。」 「ルイズ。淑女というのは武器を扱えなくても良いのよ。」 「でも力が勿体無いじゃないですか。祥子お姉様、私の為だと思って付き合って下さい。」 「仕方ないわね。判ったわ。」 祥子は同意させられた。 「ルイズ、あなた踊らないの?」 「祥子お姉様だって申し込まれてたじゃないですか。なんで踊らないのですか?」 「私は殿方は苦手なの。これでも随分、殿方に免疫が出来た方なんだから・・・・。ルイズは何故踊らないの?」 「日頃、ゼロのルイズって馬鹿にしてる男達と踊る気にならないんです。」 「じゃ、私と踊りましょうか?」 「祥子お姉様と? それは楽しそうですね。」 二人はダンスを踊った。 「こうしていると、祐巳と踊った時の事を思い出すわ。あの時もとてもダンスが楽しかった・・・。」 ルイズは「私、祐巳様に嫉妬を覚えますわ。祥子お姉様、祐巳様の話をなさる時、とても幸せそうなんですもの。」と膨れた。 次の日、祥子とルイズは街の武器屋に来ていた。 店主は「貴族のお嬢様方。ウチは真っ当な商売をしておりますが、何の御用でしょうか?」と不審がって聞いて来た。 ルイズは「客よ。別に文句を言いに来たわけじゃないわ。祥子お姉様に相応しい武器を見繕って頂戴。」と店主に告げた。 「これは失礼しました。こちらのお嬢様にですか? そうですね。華奢だし、細身の剣なんてどうでしょうか?」 と言って装飾付の細身の剣を取りに行こうとした時、 「はぁ・・・女の身で剣を買うのかい? こりゃ次の戦争は負けだな!」 と声がした。 祥子とルイズは無礼な声の主を探したが見当たらなかった。 店主は「こらデル公! 商売の邪魔だ、黙って居やがれ!」と怒鳴った。祥子とルイズは声の主に気が付いた。 それは一本の剣だった。 「インテリジェンススォード?」 ルイズは手に取って見た。それは古くて錆も浮いたボロ剣だった。 「ルイズ、私にも見せてくれないかしら?」 祥子が剣を手に取って見ると、 「おでれぇた。おまいさん、女の身で使い手か! なら俺を買え! 俺はデルフリンガーっていう名の伝説の剣だ!」と、剣が喚いた。 「伝説の剣?」 ルイズは疑問を浮かべつつ店主の顔を見た。 「こりゃ、たまげた。デル公が俺を買えだとよ」店主は呆れ顔で言った。 「その剣なら、100で結構でさ。いつも商売の邪魔されて困ってたとこです。いい厄介払いでさ。」 「でもこんな錆だらけのボロ剣を祥子お姉様に買えるわけ無いじゃない。」 「錆だらけだと? よし見てな。」 デルフリンガーはそう言うと光り出した。光が止むと錆は綺麗になくなっていた。 「どうだ? 俺様を買えば手入れ要らずで便利だぞ。そら買え、俺を買え!」と喚いた。 ルイズは「どうします? 祥子お姉様。」と祥子に判断を任せることにした。 「私には重すぎると思うけど・・・・。」と祥子が言うと、デルフリンガーは、 「でえじょうぶだ。おまいさんなら片手で扱えらぁ。抜いて見ろ!」と喚く。祥子が言われた通り抜くと、確かに片手で扱える。 「あら、本当だわ・・・。じゃぁ・・・・これにしましょうか・・・。」 店主は「やいデル公! お前手入れ要らずの剣ならそう言えってんだ。100で売るって言っちまったじゃねぇか!」 と頭を抱えた。 ルイズは「100? 祥子お姉様に相応しい剣が100の訳無いでしょう? 500よ。500出すわ。」と勝手に値段を変えた。 店主は「貴族のお嬢様。ありがとうございます。」と頭を下げ、金貨500枚でデルフリンガーは祥子の剣となった。 「祥子お姉様、私達、ここで死ぬんですね。」 ルイズは表情も変えずに言った。 「そのようね。」 祥子は答えた。 「何故祥子お姉様だけでも逃げて下さらなかったんですか? 私、祐巳様に申し訳なく、辛いです。」 「妹を守るのが姉の役目、主人を守るのが使い魔の役目。2つの役目が一致してるんだから、逃げるわけには行かないでしょう。」 祥子はルイズをまっすぐに見つめて答えた。 「まぁ7万の敵って言ったって、各部隊は指揮官が倒れりゃ、後方に引いて再編成するんだ。指揮官を確実に倒せば、戦えない相手じゃねぇ よ・・・・。」 デルフリンガーは二人を励ました。 「ルイズ、祈祷書を見て使えそうな魔法を探してみなさい。」 ルイズは祈祷書の頁をめくった。 「テレポートの魔法が新たに見つかりました。」 「私を連れてどの位跳べるか、試して見て。」 ルイズは呪文を唱えた。 「ざっと100メイル程ですね。祥子お姉様。これでは逃亡用には使えませんわ。」 「それでも敵の指揮官の前に私を連れて行く事は可能ね・・・・。イリュージョンで相手の気をそらして、テレポートで指揮官前に出現、指揮官を 倒した後、テレポートで離脱。これを繰り返せば、7万の足止めと云う目的は達成出来るわね。虚無の担い手と虚無の使い魔の力を敵に見せて やりましょう。」 祥子は精一杯気を張って言い放った。そしてルイズと2人、7万の敵に向かって行くのだった。 「相棒! 足止めはもう充分だ。離脱方法を探した方がいいぜ。」 デルフリンガーは祥子に言った。 「そんな事言ったって、もう周りは敵で一杯だわ。」 「草の茂みでも良い。隠れられるところにテレポートするんだ。」 ルイズはデルフリンガーの言葉に従った。 「ここももって5分でしょうね。ルイズ、もう一度祈祷書を読んで見て。」 ルイズが祈祷書を読むと新しい魔法が見つかった。 「祥子お姉様、世界扉というのが見つかりました。」 ルイズが世界扉を唱えると、目の前に小さな穴が開いた。 「その穴に飛び込みなさい。早く。」 祥子がそう言うのと大量の矢が飛んで来るのがほぼ同時だった。祥子はルイズが逃げ延びるまで、矢の雨を食い止めたが、祥子が穴に飛び込もう とした瞬間祥子の胸に一本の矢が突き刺さった。 「祐巳・・・・・・」 祥子は消え行く意識の中で最愛の妹の名を呼んだ。 小笠原祥子が消えて半年、祐巳はリリアン女子大受験の為、最後の追い込みにかかっていた。現役のロサキネンシスが受験に失敗する 訳にはいかない。何事にも「平均点が売り」の祐巳にとって、受験は大問題だった。それでもどうしても考えてしまう。 「お姉様は一体何処に行ってしまったのかしら・・・・。」 今夜も受験勉強をしていても、お姉様の事が気になる。 「うーん。ちょっと一服しようかな?」 と伸びをしていると、背後でドサっと大きな音がして祐巳は振り向いた。 そこには桃色の髪をした女の子が、血まみれの黒い髪の女性に縋って呼びかけていた。 「祥子お姉様! 死なないで!」 「相棒!」 「祥子お姉様? え?」 祐巳は血まみれの女性が消えた小笠原祥子であると認識するのに時間がかかった。 「え? お姉様?」 漸く認識すると、胸の矢を抜こうとした。 「抜くんじゃねぇ! 失血死するぞ!」 男の声が祐巳を怒鳴った。 祐巳は慌てて、「えと、救急車!」と叫ぶと、携帯に手を伸ばした。 その晩の事を祐巳は断片でしか思い出せない。ルイズと名乗る女の子と一緒に救急車に乗って、病院に運ばれた事。あまりの事に、小笠 原家への連絡が遅れた事。連絡を受けて飛んで来た柏木さんの顔。蓉子様の蒼ざめた顔。瞳子の泣き顔。手術中の文字が灯ったライト。 数日後、祥子が意識を取り戻したとの知らせを受けて、祐巳はルイズと面会に行った。この半年、何があったのかはルイズから聞き出した。 信じられない話だったが、目の前でテレポートされれば信じる他無かった。 ドアをノックして祐巳とルイズは祥子の病室に入った。 「お姉様、無理はなさらないで下さい。」 祥子が起き上がっているのを見て祐巳は心配した。 「祐巳・・・・・・。やっとあなたに会えたわね。」 祥子は幸せそうに微笑んだ。 「相棒・・・。もうダメかと思ったぜ。」 デルフリンガーが言うと祥子は 「もう相棒じゃなくなっちゃったわ。」 と左手を見せた。ガンダールヴのルーンが消えていた。 「心筋に矢が刺さっていたから、心停止させて手術したって、お医者様が言ってらしたわ。」 祥子はルイズに「ごめんなさい、ルイズ。使い魔の契約が切れちゃった・・・・。」と笑って言った。 「いえ、祥子お姉様に生きて居て貰えれば、私はそれだけで・・・・。」 ルイズは涙を浮かべて言った。 「また召還のゲートが開いても、今度はもう入らないわよ。」 「はい。祥子お姉様はこの世界で祐巳様とお暮らし下さい。御機嫌よう、祥子お姉様、祐巳様。」 ルイズがトリステイン魔法学院に戻ると、大騒ぎになった。ルイズが殿軍を勤めた事を皆が知っていたのだ。生きて帰った英雄を皆が称えた。 しかし、ルイズはもうそんな事に興味はなかった。新しい使い魔を呼び出す気も起こらなかった。 ルイズは自分に必要な物が何かを悟っていた。そう、私も持つのだ・・・・・。妹を・・・・・。 前ページマリア様が使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1632.html
アルビオン侵攻戦争、通称白伐が正式発表されたのはそれから3日後、年末はウィンの月の第一週、マンの曜日のことであった。 文武百官が見守るなか、マザリーニの手により「出師の表」が読み上げられた。事実上の宣戦布告である。 トリステイン・ゲルマニア連合軍6万を乗せ、500隻を超える大艦隊がラ・ロシェールから出航した。 総指揮はマザリーニ卿であるが、本人は後方で輸送任務および糧秣調達を専門に行う。実際にアルビオンで指揮を執るのはシュゥユ・ド・ポワチエ提督である。 美周郎という異名をとる彼は、トリステイン武官の名門の出であり、艦隊戦の名手であった。 このド・ポワチエ提督をはじめ数名の将軍に、アンリエッタはルイズが虚無の使い手であるということを伝えてあった。 さらには孔明がなにやら秘策と授けたらしいのだが、真贋は不明である。というか、作戦が成功したら自分の手柄にしてそうだ。 ことここに及んでは総力戦である。コルベールからゼロ戦を、ショウタロウ翁からは鉄人を借り、バビル2世は自分たちの母艦となる、ヴュンセンタール号へ向かった。 ヴュンセンタール号はこの戦争のために急遽建造された、いわば航空母艦である。ゼロ戦用のフネであった。敵にはヨミがいる可能性が高い。 ロプロスを操られれば、小回りの効かない艦船は虫でも追い払うように落とされるだろう。 そのためゼロ戦を扱うしかなかった。といってもいざというときは、3つのしもべに頼らざるを得ないのだが。 「エレオノール姉さま…?ちぃ姉ちゃん…?」 ルイズはヴュンセンタール号で、自分を出迎えた2人を見て目を丸くした、というか混乱した。なぜならば、 「ちがいます。わたしたちは魔法少女アロンソ・キ・ハーナです!」 ブイっ、とピースサインを出すプリティ・コメット。いや、正体バレバレですがな。 「……エレオノール姉さまも、その格好…」 なるべく視界の端に逃げようと、逃げようとしていたメテオが声をかけられ、固まった。 「え、えれおのーるってどなたかしら?あかのたにんのことよ。いいわね、このことはわすれなさい?」 ギギギ、と首だけが回り、固まった笑顔でルイズを脅すピクシー・メテオ。ものすごく棒読みだが、怨念というか呪いがこもっている。 「わ、わかったわ。私のお姉さまたちじゃないのね?」 その言葉に必死に首を縦に振るエレオノールと、正体がばれてないわ、と喜ぶカトレア。 「それはともかく……2人はなぜここにいるの?」 3日前、従軍を認めない父の元からロプロスを使い脱出した。そのとき、アルベルトに後方をかく乱して簡単に追いかけて来れないように頼んだのであった。 そのときに姉は置いてきたはずなのだが… 「あらあら。せっかく、アルベルトさんに協力してルイズの脱出を手伝ってあげたのに…。ね、お姉さま。」 「……乗りかかった船だし仕方ないでしょ?アルベルト様がしんがりを勤めるって言うのに、なにもしないわけにいかないでしょ?」 「アルベルト様?」 なんだかおかしい敬称がまざり、おもわずルイズが聞き返す。 「あら、なにかおかしい?愛する殿方を呼び捨てにするなんて無作法を、ヴァリエール家の人間がするわけにいかないでしょう?」 もんなすごーくハッピーです、という感じで逆に聞き返すエレオノール。質問を質問で返すなと(ry 「イエ、ナニモオカシクナイデス…」 「うふふ、変な子ね♪」 なんだかものすごーく、優しい表情のエレオノール。あのS気たっぷりの姿を知っているルイズにとっては、逆におぞましい。 「ちぃ姉ちゃん…じゃなくてコメットさん。あの、メテオさんの様子、変じゃない…?」 幸せたっぷりのエレオノールに気づかれぬよう、こっそり耳打ちをするルイズ。 「小雪、ねぇちゃんはさあ。」とわざわざ声真似をしてコメットさんが返してくる。 「うふふ、エレオノールお姉さまは、Sの皮をかぶっていただけなのよ。」 「は、はあ?」 「つまり、自分よりも強い男性や、自分を支配下に置くような強力な男性が好みのタイプだったのよ。お父様みたいに、威圧感のある男性がストライクゾーンだったのよ。で、アルベルトさんに叱られちゃったおかげで乙女心がきゅきゅーんってしたみたいよ?」 でもアルベルトさんには載宗さんがいるのにねぇ、とちょっぴり腐るカトレア。 「でもずっと睨んでたような……」 「お姉さま、恋愛表現が下手だから、熱い視線を送っていたみたいよ?それに本人の前に出ると素直になれないらしいし……。ルイズにいじわるしてたみたいに、好きな人にはつい冷たくしちゃう性格なのよね、お姉さまは。」 ここにきてクロスカップリングかよ!と毒づくルイズ。だが安心して欲しい。アルベルトは目的遂行のためにのみ作られた人造人間、無性生殖人間なのだ。 生殖機能があるかどうか不明だし、そもそも恋愛という人間のような感情を抱くことはないのだった。 そんなわけで、船には残月をはじめ、アルベルト、カワラザキ、十常寺、さらには樊瑞まで乗っていた。孔明の手配によるものであった。 もっとも傭兵として名の知られているアルベルトとカワラザキは、むしろ大歓迎であったらしい。十常寺と残月も、怪しすぎるがまだ許せるレベルである。 問題は樊瑞だ。なぜかいつの間に10年も仲間だったかのように溶け込んでいた。 話を聞くとルイズの実家に帰っている間に、茶が気になって店を訪れたカワラザキと知り合ったらしい。 そこでバビル2世のことが話題になり、ならば我らは仲間も同然ついてくるが良い、とカワラザキが引っ張り込んでいたのだ。 この爺さん、茶飲み友達に餓えていたのだろうか? つまり船にはルイズ、バビル2世、カワラザキ、樊瑞、アルベルト、十常寺、残月、コメットさん、メテオさんとものすっごく濃いメンバーが集結していたのだ。 これだけ揃うと壮観である。この間違った濃さだけでアルビオンを落とせそうであった。 一緒の船に乗り込んでいる竜騎士が近寄りにくそうに、まばらに囲んでこちらを見ている。 さて、将軍たちに虚無としてルイズは紹介されることとなった。王女が正体を伝えた、数人の将軍たちだ。 互いの紹介と挨拶のあと、ルイズに下された命は、「虚無の魔法を用い、敵をひきつけてくれ」というものであった。 責任重大である。しかし、どんなものを求められているのかいまいちピンと来ない。迷っていると、 「強襲で兵を消耗すれば、ロンディニウムを落とすことは不可能。我らにはもうひとつ、孔明どのから託された策があるものの、それを実行するには艦隊線は不向きなのだ。上陸戦に持ち込むことさえできれば、我々は無傷で橋頭堡を築くことができる!それは間違いない。つまりきみには、敵艦隊を葬り去る手段のみを考えて欲しいのだ。」 ポワチエ将軍が補足した。しかし、ルイズは首を捻る。自分に求められたことはわかった。だが、もう一つの策とはいったい…。それによっては使うべき魔法も変わってくるではないか。 「それはまさに極秘情報であり、できれば戦後のことを考え最後まで温存しておきたい策なのです。ですから説明はできませぬ。ですから、虚無殿には敵を陽動することのみを考えていただきたいのです。」 少し考えるルイズ。そういえば、以前デルフが「必要なときに、祈祷書は読むことができる」と言っていた。ならばなんとかなるのではないか?そう思い、明日までに適合する呪文を探す、と答える。 おお頼もしい、とポワチエ将軍が微笑んだ。そえで、ルイズは用済みになったらしい。退室を促された。 「ダータルネスの港だ。」 ほぼ全速力を出し飛ぶこと1時間あまり。眼下に港が見えた。切り開かれただだっぴろい丘の上、空に浮かぶ船を係留するための送電線のような鉄塔。 与えられた特徴ピッタリの、ダータルネスの姿だ。 「上昇して」 ルイズの指令に従い、ゼロ戦が上昇していく。ある程度上昇すると、バビル2世はエンジンを切り、完全に動きをストップさせた。 ルイズが風防をあけ立ち上がることができるよう、精神動力でゼロ戦を浮遊させているのだ。 ルイズが呪文を詠唱する。昨晩、祈祷書とにらめっこをして発見した呪文だ。 初歩の初歩。 イリュージョン。 思い描くものを、宙に映し出す幻影の魔法であった。 空を飲み込み、幻の風景が膨れ上がっていく。そこには何百リーグも離れた場所にいるはずの、白伐艦隊の姿であった。 銃士隊が、学院へ現れたのは出師の表が読み上げられ、白伐艦隊が出航した翌日の昼であった。 アニエスはいなかった。王命による用事を済ませ、2日遅れでやってくるとのことであった。 銃士隊の用件は単純であった。残る女生徒も、軍士官として戦に借り出すため、軍事教練を行うというのである。 どうやら王政府は貴族という貴族を戦に借り出すつもりのようであった。オスマンやコルベールは反発したが、国家命令であればどうすることもない。 わずかに残っていた授業はたちまち軍事教練に書き換えられてしまった。 「遅くなってしまったな」 アニエスは学院へ馬を飛ばしていた。予定では3日遅れて昼には学院に着く予定であったのだが、遅れに遅れこのような時間になってしまったのである。 『それにしても、最近の私はどうかしている』 そう。ここしばらく、アニエスの記憶は非常に曖昧であった。自分の記憶と、周囲の証言がいまいち噛みあわないのである。自分は毎日銃士隊の本部へ顔を出していたような記憶があるのに、隊の出席表には「特別命令で出張」したときがあったり「王命で護衛中」など身に覚えのないことが記録されていたりしたのだ。 医師に聞くと、 「疲労で、記憶の混乱が起こっているだけでしょう」 とのことであった。それを知った王女が、王命による用事という名目で休暇を与えたのである。 アルビオン侵攻という重要な局面であるが、上陸に成功すれば休む暇などなくなる。それを考えての措置であった。 しかしアニエスは本来ならば5日というところを、無理矢理2日に縮めたのである。 そのうえいったんトリスタニアへ戻り2日間に溜まっていた決済などを片付け、予定の学院へ向かったのである。 それも翌朝に行けばよいという制止を振り切ってであった。だから遅くなってなどいないのだった。むしろ数時間も早かったりした。はっきり言って働きすぎだ。 馬が森を抜け、平原に出る。この平原の向こうに、学院があるはずだ。 「ん?」 丘を駆け上がったアニエスは、異様なものを目撃した。 魔法学院の上空に浮かぶ、一隻の小さなフリゲート艦。真っ黒に塗られたそれは、所属国を示す紋章もない。 「まさかっ!?」 アニエスは嫌な予感を抱き、馬を急がせた。 「なんだあの船は!?まるで、まるで、特殊工作船ではないか!」 アニエスが腰から剣を抜き、学院へそのまま突入しようとする。 だがそのとき、学院の複数で爆発音が立て続けに起こった。火の塔と風の塔が火を吹き、崩れ落ちていく。ただの炎ではない。あきらかに魔法による炎だ。 アニエスがギリッと奥歯を噛む。 火の魔法、それはアニエスにとってこの世でもっとも忌むべきものであったからだ。 「どけぇー!」 まさか外から誰かがやってくると思いもしていなかったのだろう。門周辺にいた傭兵が隙を突かれてあっというまに切り伏せられた。 またたく間に数人の首が宙に舞う。 その光景をみて、敵が浮き足立った。チャンスだ。敵は突然現れたアニエスを見て、まさかただ1人と思わず、大軍が救援に来たと思い込んだのだ。 「聞け!賊ども!我らは陛下の銃士隊だ!我らは一個中隊で貴様らを包囲している!」 チャンスを逃さず、アニエスがはったりをかます。あきらかに敵に動揺が見られた。 アニエスがギロッとあたりを見回す。賊の数は小隊程度。いずれも傭兵らしい、粗野な格好をしている。 どうやら首謀者は食堂の中にいるらしく、そこを中心に賊が集まっている。建物の影には、なんとか難を免れた学院で働く平民や、学生もいるらしかった。 「出て来い。おとなしく投降すれば、命までとはいわぬ!」 だが、食堂から発せられたのはげらげらと笑う声であった。投降する気などかけらもないらしい。 食堂から、男がのそりと姿をあらわした。白髪と顔の皺で歳は40あたりに見える。杖を下げているところを見ると、メイジなのだろうがそれを感じさせない鍛え上げた肉体を有している。まるで杖を持った剣闘士のようであった。 「一個中隊?そうは思えないな。人の気配がしない。」 男がにやっと笑う。爬虫類を思わせる、冷酷で不気味な笑みだ。まるで血が通っていないかのようであった。 「貴様は…まさか、白炎のメンヌヴィルか?」 その不気味な笑みを見て、アニエスは傭兵時代の噂を思い出す。人の焼ける匂いで欲情する、最低最悪の傭兵メイジ。白髪の炎使い。卑怯な決闘を行い、貴族の名を取り上げられた男。まるで爬虫類のように、熱で周囲を見分けるという男。 「ほう、よくご存知で。」 メンヌヴィルが、場に似つかわしくない優雅な会釈をする。 「ならばわかるだろう?私にはったりは通用しない。外に敵がいるかどうかなど、すぐにわかる。それに、だ。」 メンヌヴィルが、左腕を大きくかざした。 シュピン 何かが、通り抜けたような感覚。 「たとえ一個師団が」 水の塔が、真ん中からすっぱりと切断され、崩れ落ちていく。 「いたとしても、問題ではない。」 ふたたび、何かが通り抜けた。 見張りに立っていた傭兵の一部が、冗談のように真っ二つになって落下してくる。 「今日はわたしだけではないのだ。」 学院を守る塀の一部が、熱したナイフをバターに入れたように切り刻まれた。 「見よ!」 何かが、踊り出てきた。 炎の中、それは踊りながら、指を弾く。 食堂の屋根が消え去った。 踊り出た男が、優雅に舞う。 指を弾くと、銃士隊の一部が切り刻まれて肉塊となった。 炎に照らされ男が踊る。 踊り、指を弾く。指を鳴らし、舞う。なんという素晴らしい動きだろうか。敵ながら、思わず見とれてしまう動きだ。 「な、なにやつだ!名を、名乗れッ!」 普段は宝物庫の警備をしていた衛兵が、剣を構えて物陰から飛び掛った。 「よかろう。」 しゅん、と腕が衛兵の顔の前に突き出された。そして、指が弾かれた。 「私の名は、ヒィッツカラルド」 パチン、という心地よい音。衛兵の身体が、真っ二つになって崩れ落ちる。少し遅れて血しぶきが吹き出て、大地を真っ赤に染め上 げた。男は一呼吸置き、なにごともなかったかのように、 「素晴らしき、ヒィッツカラルド」 わずかに唇の端を持ち上げ、血しぶきを浴びたヒィッツカラルドが嗤った。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5061.html
前ページ次ページゼロのロリカード アルビオンとトリステインの決戦から三日。 学院では授業も再開され、つつがない日常が戻りつつあった。 「いやあ~スゴかったね!まさに奇蹟の光だったよアレはッ!!さすがはアンリエッタ女王陛下、聖女万歳!」 「ふゥ~ん、そんなに凄かったんだ?まあ奇蹟でも起きない限り、トリステインが勝てるわけないわよね~。ルイズとアーカードも見たんでしょ?」 キュルケの言葉にルイズはしどろもどろに頷く。 「へ?・・・ぁ・・・う・・うん。凄かったわよ・・・・・・うん」 「私は敵旗艦で暴れてたからなぁ・・・直接は見ていない。というか聞いている限りだと、件の光のド真ん中にいたことになるな。んむ、確かにアレは眩しかった」 広場に集まっているのは、ギーシュ、キュルケ、ルイズ、アーカード、そしてタバサである。 「敵旗艦で暴れてたって・・・何やってたのよ」 「敵艦を奪って騙撃を敢行してた」 フフンと鼻を鳴らしアーカードはVサインをする。 「あの敵艦対敵艦の。わけのわからない状況は君の所為だったのか」 ははぁと、ギーシュは唸り驚きアーカードを眺める。改めて喧嘩を売った自分、よく生きていたなぁと。 「さっすがね~、フーケのゴーレムを瞬殺したのも伊達じゃないわ。ルイズは何やってたわけ?」 いきなり自分に向けられた質問にルイズはドキリとするも、平静を装い答える。 「私は・・・姫さまと一緒にいたわ」 ルイズは悩んでいた。生まれて初めて成功した魔法、さらにはその系統が『虚無』だったということ、そして自分がもたらした戦果の大きさに。 あれから何度か、ちょっとだけ使おうと試しで詠唱をしたものの、きちんと『エクスプロージョン』を唱えきれたのは戦争の時の一回のみである。 それ以降は詠唱途中で必ず失神してしまう。恐らくは精神力が足らない為の結果だろう、それでも半端にでも発動するのは『虚無』ゆえか。 しかしコモンマジックなら、失敗なく唱えられるようになったのは嬉しかった。自分の中で、何かが変わり始めたのは確かであった。 「なんかさっきから変な態度よね、よそよそしいというかなんというか」 「べ・・・べべべっ別になんにでもないわよ!」 そんな様子を見てルイズ以外全員の目が細まる。 「まぁいいわ。話が変わるけどさ、この後はやっぱアルビオン大陸まで攻め入るかしらね」 「えっ?」 「へっ?」 思わずルイズとギーシュは揃って声をあげた。 「今トリステインは勢いに乗ってる。その可能性は低くない」 タバサが静かに口を開く。 「そうよね~。戦争下手とは言っても、ここで戦をやめる愚行は流石にしないだろうし。侵攻かしらね~、包囲する手もあるけど」 「私は断然侵攻がいいな。ふっふっふ・・・今から血沸き肉踊る、やはり戦は攻めてこそだ」 タバサ、キュルケ、アーカードはさも当然といったように話していた。 しかしルイズとギーシュは呆然としていた。 (そ・・・それもそうよね。敵の空戦主力はなくなったわけで、同盟国のゲルマニアもきっと正式に参戦してくるはず・・・。こちらから向こうに攻め入る可能性だって・・・) (ぁぁああぁあああ、また僕は戦場に行かなくちゃならないのかぁぁあああ・・・・・・。この前はたまたま生き残れたけど次も助かる保証なんて・・・) 「まっ、私は面倒だから戦争なんてゴメンだけどね」 「タバサは・・・・・・ん、興味ないだろう」 アーカードは思わず言いそうになったことを訂正して適当に流す、それにタバサは無言で頷いた。 タバサがガリア出身ということ、そして定期的に与えられている任務のことを思い出したのだ。 キュルケ達が話してる中、ルイズとギーシュは心の中で慟哭を上げていた。 (まずい・・・もうタルブの時のような『エクスプロージョン』は唱えられない・・・。折角メイジとしてこれから役に立てるかと思ったのに・・・うぅ・・・・・・) (ぁぁあああぁああぁぁぁぁああああああぁぁあああァァァァアァアァアアアアアアァァアア嫌だぁあああぁぁあぁあああああ) ルイズとギーシュ、二人の苦悩は続いた。 ◇ 「女王陛下か」 アーカードは部屋に招かれて開口一番そう言った。 「あはは・・・」 アンリエッタは少し困ったように苦笑いを浮かべる。 今部屋にいるのは、アンリエッタ、アニエス、ルイズ、アーカード。 アルビオン軍を撃退して一週間。戦争後のゴタゴタも少しずつ収束し、改めて話す機会を設けるために二人を呼んだのである。 タルブでの決戦。トリステイン軍はアルビオン軍をくだし、見事勝利を収めた。 城下はこれ以上ないほどの賑わいを見せ、アンリエッタは聖女と崇められた。 トリステインの民の誰もがアンリエッタ女王の即位を望み、そしてアンリエッタはその期待に応える形で戴冠した。 ゲルマニア皇帝との婚約も正式に解消となり、アンリエッタは女王として政をおこなっている。 「・・・こうして顔をつきあわせるのも、なんだかとても久し振りな気がします」 「そうですね。姫さ・・・いえ・・・陛下、とても忙しそうでしたから」 「やめてちょうだいルイズ、私がどのような立場になろうとあなたは大切なお友達です」 「ふふっ、わかりました。姫さま」 アンリエッタとルイズは互いに微笑み合う。 「そ~れ~で、まだまだ忙しいのだろう?無理に時間を作ってまで我々に構わなくてもいいのだぞ、のうルイズ?」 「はい、・・・姫さま。アーカードの言う通り、私たちの事ならお気になさらなくても結構です」 「確かにまだまだ忙しいです。心労も日に日に溜まっていくばかりで、とても大変です」 そこでアンリエッタは一拍置いた。 「しかし、先の戦での・・・二人の英雄に恩賞を与えないといけませんからね」 アーカードは眉を顰める。ルイズはアニエスへと目を向けた。 「二人?」 疑問を抱いたアーカードは思わず口に出た。 「はい、勿論あなたがた二人です」 あぁ、とアーカードは思った。使い魔の功績は当然主人であるルイズの功績だと。 「示威行動中の敵艦隊を落とし、レキシントン号を奪って援軍にきてくれたのはアーカードさん、あなたなのでしょう?」 「まあ、な」 「そしてタルブ上空に位置した、アルビオン艦隊を落としたと思われる謎の光球。あれはあなたね、ルイズ」 そう言われるもルイズは何も言わず黙ったままであった、しかし視線はアニエスへと向いたまま見つめている。 「申し訳ない、ラ・ヴァリエール殿。貴方に口止めされていたが、私は陛下直属の騎士だ。陛下に直接問い質された以上、言わないわけにはいかなかった。 それに・・・貴方がしたことは賞賛されることこそあれ、非難されるような事は何一つありません。心情もお察しするが、無理に隠すことではないと思った判断ゆえです」 ルイズは改めてアンリエッタを見つめる。 「あなたなのね、ルイズ」 「・・・・・・はい」 観念したのかルイズはそれを肯定し、アーカードは目を丸くしてルイズを見つめた。 「なに・・・?」 ルイズは少し恥ずかしそうに顔を下に向けていた。 「あれは・・・・・・そうか、主がやったのか。んむ、聞いてないぞ」 「そりゃ言ってないもの。なんというか、一回話すタイミングを逃しちゃったから今更言いづらくて・・・。 それにその・・・一旦落ち着いちゃったら、なんだか実感が湧かなくて・・・・・・まるで白昼夢を見ていたようで、まだはっきりと信じられないの。」 ルイズはゆっくりと語り始めた。 水のルビーのこと、始祖の祈祷書のこと、そこに書かれていたこと。 自分が魔法を使った時の状況、そしてその結果。 「なるほどのう、虚無か。私がガンダールヴであったのは至極当然の帰結だったというわけだ」 「あら、アーカードさんはガンダールヴだったんですか?」 アンリエッタの質問に、アーカードはうんうんと頷く。 「ふむ、凄いじゃないかルイズ」 ポンポンと、アーカードは素直に褒めてルイズの頭を撫でる。 「ちょ・・・ちょっとやめてよ、姫さまの前なんだから」 アンリエッタはその仲睦まじい様子を見て穏やかに笑う。 「あぁ、そうそう。裏切り者のワルドは殺しておいたぞ」 突然思い出したかのようにアーカードは口を開き、その内容にアンリエッタの顔が一瞬強張る。 「犬の餌になった、だからウェールズの時のように話すことは出来んのであしからず」 「・・・・・・そう、ですか」 沈んだ表情を見せたアンリエッタだが、すぐに気を取り直す。 ワルドの裏切りの件は既に殆どの決着がついている。 残っていたのは本人に対する粛清のみであったが、アーカードが殺したというのなら最早言うべきことは何もない。 「それで・・・恩賞の件なんですが、虚無は一国ですら持て余す非常に危険な力です。王宮内部も信用できる人間ばかりではありません。 故にその功績を白日の下に晒せば・・・・・・ルイズ、あなたに危険が及んでしまう可能性が多分にあります。だからその・・・――――――」 ルイズはアンリエッタの言いたい事を察して、首を振った。 「構いません、私の身とこの力は全て姫さまに捧げます。そこに見返りなんて求めていません、大切な友を助けるのは・・・当然ですから」 ルイズは笑ってそう言った、微塵の打算もない心からの言葉。 そんな純粋なルイズは、王宮内で揉まれるアンリエッタにとってこれ以上ない、何者にもかえがたいものであった。 「本当にありがとう、ルイズ」 ルイズとアンリエッタはゆっくりと抱き合い、その絆を確認する。 「アーカード殿」 アニエスが口を開く。抱き合う二人に向いていたアーカードの視線がアニエスへといく。 「本来ならば貴方の功績も隠匿すべきことなのだが・・・・・・その・・少々目立ち過ぎた」 ルイズとの絆を確認し終えたアンリエッタが、そこに付け加える。 「人の口に戸は立てられません。あなたを目の前にして逃亡した、と言うアルビオン兵士が多数いまして・・・」 「まあ、大分殺して回ったからの」 穏やかではないその言葉に少し緊張が走った。 殺すことになんの感慨も見せないようなその声色に、少女が化物なのであると改めて認識させられる。 「・・・えぇ、ですからアーカードさん。あなたには、『シュヴァリエ』の称号を授与します」 「実力で以って認められる騎士の称号だったな、ひいては貴族になるということか」 身近な存在としてタバサが挙げられる。目の前のアニエスもそうである。 「その通りです。破壊の杖奪還と、今は脱走してその所在が掴めないのですが『土くれ』のフーケ捕縛の件も含め、アーカードさんにはそれだけの資格がありますから」 「脱走したのか。まぁしかし異世界の吸血鬼が、名誉ある騎士の称号など・・・いいのか?」 「えぇ、問題ありません。そのことを知っているのは極一部だけでなのでしょう?」 アーカードは一瞬だけ考える、今現在に於いて自分を吸血鬼だと知っている者を頭の中で羅列する。 「そうだな、今のところ知っているのは一応信頼できる者だけだ。レキシントン号を旗艦とした艦隊の人間は皆殺しにしたしの。 タルブでは一応、人間の常識の範囲内で暴れまわったに過ぎんから、多分大丈夫だろう。銃を振り回し、嬉々として殺しまくってた程度の認識の筈だ」 「そ・・・そうですか」 アンリエッタは苦い顔をする。 とりあえずさしあたって問題は無いようなので、予定通りシュヴァリエを授与することにする。 一方ルイズはポカンとしていた、自分の使い魔がシュヴァリエを授与されるなんて・・・・・・でも当然といえば当然であった。 元々平民だからどうとか、吸血鬼だからどうだとか、そういう見方はルイズにはなかったし、なによりもとても名誉なことだ。 ルイズは素直に喜ぶことにした。略式だが叙勲式が行われる。アーカードにとっては手馴れたものなのか、滞りなくそれは終わった。 「ルイズ、あなたは私直属の女官とします。もしかしたらあなたたちにしか頼めないような事をお願いするかもしれません。不便がないよう、これを」 そう言うとアンリエッタは許可証をルイズに渡し、説明した。 「『始祖の祈祷書』もあなたが持っていて。・・・・・・本当は話したい事がまだまだあるのだけれど、女王になってからやる事が多すぎて・・・ごめんなさい」 「いえ姫さま、お気になさらないでください。また時間が出来た時に、昔のようにお話ししましょう」 ルイズの笑顔にアンリエッタもつられる。 目の前の大切な友人がいるから、様々な思惑が渦巻く王宮でも、つらい仕事が積まれても、自分は頑張れるのだと。 zero 「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール、シュヴァリエ・アーカード。あなたがた二人で、非公式ですが『王立虚無騎士団』をここに設立します」 ◇ 「王立虚無騎士団、通称『ゼロ』機関・・・ね、ははっ」 学院へと戻る馬車の中、アーカードは一人何かを思い出し笑う。 「しかし・・・この格好にマントは似合わんのう」 喋るアーカードの言葉も耳に入らず、ルイズは押し黙っていた。 「まぁ必要な時にだけ、出して着ればいいか」 なんのレスポンスも返ってこず怪訝に思ったアーカードはルイズへと目を向ける。 俯いたままずっと何かを考えているようであった。 「お~い」 「・・・」 「あるじ~」 「・・・・」 「ますた~」 「・・・・・」 「ルイズ~」 「・・・・・・」 全く反応のないルイズに対し、アーカードは思いついたかのようにキスをした。 俯いた顔に潜り込むような形で、素早くルイズの唇に己の唇を合わせる。 「んっむぐぅ・・!!??」 アーカードが押さえ込もうと手を伸ばした瞬間、ルイズは反射的に素早く身をよじらせて回避した。 それは過去の経験からか、本能からか、反射か、無意識か、いずれにせよルイズとアーカードの距離が開く。 暫しの沈黙が流れたが、ルイズはただ溜息だけをしてその様子にアーカードは首を傾げた。 「なにか反応してくれないとつまらないではないか、主に私が」 「ふぅ・・・、残念だけどもうキスくらいじゃ狼狽えないわよ。・・・・・・それに今はそんな気分じゃないの」 「何か悩んでいるのなら相談に乗ってやるぞ、私は主の使い魔なのだからな」 一転してアーカードは真剣な目でルイズを見つめた。 ズルイ。普段はおちゃらけたりからかったりする癖に、いきなり真面目になって。 変な包容力があるし、と思えば平然と人を殺す面も持ち合わせているし。 つくづく読めない使い魔である。雲のように霧のようにのらりくらりと・・・、掴めない性格だ。 (私が虚無の担い手でも、これからどれだけ修練を積んでも、きっとこの使い魔を御する日は永遠にこないんだろうなぁ・・・) ルイズは心の中で一人ごちる。でも、今の関係も悪くないと・・・どこかで思っている自分がいた。 「そう・・・ね、話せば少しは楽になるかもね。アーカードに隠していても・・・・・・しょうがないし」 憑き物が落ちたようにルイズは気の抜けた顔を見せる。次いでゆっくりと『虚無』のこと、そして自分の胸の内を語り始めた。 (・・・ちょろいもんだな) アーカードは一応真剣に聞きながらも、立ち直ったルイズをどうやって弄るかを考え始めた。 前ページ次ページゼロのロリカード
https://w.atwiki.jp/otassya2/pages/2298.html
宝飾之か 祈祷札 材料 生産数 4 ヤマニシキギ材 6、牛毛筆 1 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 宝飾之か 基本性能 分類 価値 重量 特殊効果 材料 主な用途 職業 技能名 生産品 僧 手芸之ら 道具入れ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8821.html
前ページ次ページデュープリズムゼロ 第二十二話 『帰還~邂逅』 ____ 魔法学園 中庭 『やめろっやめろ~!!やめっ!!!ギャアァァァァ~~~……………………!!!!』 魔法学園の平和な昼下がり…静寂を引き裂いて響き渡ったのは男の絶叫と一発の落雷の轟音。 「別に吸収出来るんなら良いじゃ無い。…で、実体を伴った衝撃までは消しきれないみたいだけど電撃何かは問題なしね。 これであたしの魔法も一通り試したけどあんた意外とやるじゃない。」 アルビオンでその真の姿を見せたデルフリンガー…ミントはその力をこの数日で試していた。友人となった他のメイジの魔法、自分の魔法。全て例外なくデルフリンガーは吸収してみせる。 相変わらず記憶は曖昧な為ブリミルや生きた古の情報は得られなかったが… 「褒めてくれるのは嬉しいがよ相棒。お前さんほんとやる事が無茶苦茶だぜ。何て言ったっけか?あの黒い大球『グラビトン』か…あれは流石の俺様もへし折れるかと思ったぜ。」 「何言ってんの、折れてないんだから良いじゃ無い。」 「ひでぇぜ相棒。」 「あ、居た居た。ミント~!!」 地面に突き立てられたデルフリンガーを引き抜きながらミントが満足そうに笑っていると少し離れた所からミントの名を呼びながら誰かが連れだって中庭へと歩いてくる。 「ん?キュルケとタバサじゃない。どしたの?」 「へっへ~、面白い物手に入れたからあんたに見せに来たのよ。きっとあんたこういうの好きだと思ってさ。」 言ってキュルケは近くに備え付けられたテーブルへと腰を落として手にした羊皮紙の束をミントに見せつけるようにひらひらと遊ばせる。 その直ぐ隣に腰掛けてタバサはいつもの如く本の世界へと意識を落とす。 「地図?」 「そっ、実家の息が掛かった商人から買い取ったお宝の地図。」 「お宝っ!?」 ルイズ、ミントがアルビオンでの任務を終えて魔法学園に帰還して一週間が経った。 あの後無事に帰還を果たしたルイズとミントはアンリエッタにはラ・ロシェールまでの道中からアルビオンで起きた全てを報告した。 アンリエッタは残酷な事実とウェールズの死に悲しみに暮れるように泣いたが既にレコンキスタの薄暗い陰謀が迫る以上事態はそれを許しはしない。嫌が応にもこの危機に立ち向かわなくてはならない。 「アンリエッタ…あたしがウェールズから貰ってた風のルビー、あんたにあげるわ。 その代わりと言っちゃ難だけど『遺産』『ヴァレン』『エイオン』『デュープリズム』これ等について調べて貰える? それとあたしが帰る為に貴女の力が必要な時は協力してもらいたいの…」 「勿論です。ミントさんはわたくしの為に危険を冒してまで尽力して下さった大切なお友達。今度はわたくしが手を貸す番です!!」 「アン…」 「ミントさん…」 そんなやり取りの結果ミントは当初の目論見通り、王女の全幅の信頼を手に入れた。望めば始祖の秘宝すら借り受ける事も可能だろう。 おまけに抜け目ないミントはアンリエッタに一筆を書かせることにも成功した。 【 この書を持つ女性ミントは王女アンリエッタ・ド・トリステインの盟友にして大恩ある恩人であり、その身は王家とヴァリエール家にて保証をする物也。 故に王女の権限においてこの書を持つ女性の活動に対し諸貴族は最大限の便宜を図るようお願いする物也。 アンリエッタ・ド・トリステイン 】 そんな常識外れな書を背中の鞄に収めてミントは今キュルケの手にした宝の地図に瞳を輝かせて注目する。 「タバサと何日か授業サボって宝探し行こうと思うんだけど、どうするミント?」 キュルケはミントの返答がわかりきった事を聞きながら悪戯に口角をつり上げた。 「行くにきまってるじゃない!!このあたしに掛かれば宝探しなんてどうってことないわ~!!」 「フフフ…だと思ったわ。やっぱり声かけて正解だったわね。」 「ルイズの許可は?」 揃ってノリノリで握り拳を天に振り上げたミントとキュルケにタバサがぽつりと呟くように問い掛ける。 「あ~そんなのいい、いい。そりゃ一声位はかけるけどあたしが行くって言ったらそれはもう決定なの。 ルイズ自身は腕の怪我もあるし何よりアンリエッタの結婚式の祝詞っての考えなきゃいけないからどうせあの子は図書館や自分の部屋に缶詰よ。あたしには関係ないわ。」 ___ ルイズ自室 「あ~…もうっ!!全ッ々思い浮かばないわっ!!」 備え付けのテーブルに座って白紙の書物と向かい合い、ルイズは降って湧いた名誉でありながらも厄介な事案に嘆きながら自慢のピンクブロンドの髪を掻き毟って項垂れる。 と言うのも数日前、ゲルマニアとの軍事同盟締結の為、アンリエッタ王女と皇帝アルブレヒト3世との結婚式がおよそ一月後に行われる事に決まった。 だが、アンリエッタからの直々の依頼によって伝統である祝詞の巫女にルイズが選ばれた。 それは良い、しかしオスマンを通じて渡された秘宝【始祖の祈祷書】は表紙以外は全て白紙という驚愕の仕様で秘宝と言う事で食いついたミントも一目でガラクタと断じた代物だ。 本番ではルイズは祈祷書を手に、あたかもそこに祝詞が記されているかのように自分で考えた詩を読み上げなければいけない。 そして、ルイズには残念ながらそう言った詩を謡う才能が決定的に無かったのである。 「うぅ…誰か助けて…」 ルイズは一人自室で誰とも無く恨めしげに助けを求めて深く溜息を溢す。因みにミントはルイズに対してはっきりと面倒だから手伝う気は無いと伝えていた。 ___ 中庭 「で、他には?あたし達だけなの?」 「一人メイドを連れて行くわ。偶然お宝の隠し場所の近くに実家がある子が居たから連れて行く事にしたわ。聞いてみたら地理にも明るいみたいだし、私達の食事の世話もして貰わないといけないしね。」 「へ~それは助かるわね。あ、それとそういう雑用なら一人連れて行きたい奴がいるんだけど大丈夫かしら?」 旅慣れているのかキュルケの以外に周到な段取りにミントは感心する。そしてミントの頭に一人お供として連れて行くのに最適な人物の顔が思い浮かんでいた。 「美少女に囲まれて冒険の旅だなんて…きっとあいつ泣いて喜ぶわよ~。」 ミントは言いながらにんまりと意地悪く微笑みを浮かべて食堂脇のテラスを見やる。 そこにはやはりというかこの後訪れる不幸などつゆ知らず、恋人であるモンモランシーと談笑しながら優雅に午後のティータイムを楽しむ男子生徒の姿があった。 「…少しだけ同情するかも…」 キュルケはそんなミントの視線の先に居るギーシュ(生け贄)のこの先の苦労を思うと思わず苦笑いを浮かべた。 ___ ウェストウッドの森 所変わってここはアルビオン大陸、サウスゴーダの街の外れにあるウェストウッドの森…今、この木々生い茂る深い森をローブを纏った一人の人物が歩いていた。 「ハァ~…ようやく戻ってこれたよ。ティファは元気にしてるかね~。」 独り言を呟きながら歩くのはかつてミス・ロングビルと呼ばれ、土くれのフーケを名乗り、マチルダ・オブ・サウスゴーダの名を隠した年…妙齢の女性。 「まっ、ラ・ロシェールの闘いであたしもレコンキスタから上手い事抜けられたしね、あのガキ共にしてやられたのは癪だけど御陰でこうやってここに戻って来れたってんだからあれも結果オーライって所だね…」 思い出すのはラ・ロシェールでのキュルケ、タバサ、ギーシュの三人を相手取ったあの夜の闘い…作り出した巨大ゴーレムは尽く氷と落とし穴の嫌がらせや足止めに会い、雇った傭兵は気づけば全滅。 マチルダの精神力が底を尽き始めた辺りで熱疲労と油の練金の合わせ技によってゴーレムを一気に崩され、最終的には意表を突いて風龍の背から飛び降りるように勢いを乗せて放たれたタバサのドロップキックでゴーレムの肩からぶっ飛ばされてしまった… 「あ~~~~っ!!!…思い出すだけで腹が立つ!!」 マチルダがそこまで思い出して一人森の中でストレスを発散するように叫んでいると不意に森の奥から人の気配を感じとり足を止める。 マチルダが今目指しているウェストウッド村はまだまだこの先でそこの住人というか子供達はこんな森の入り口付近にまで一人で出ては来ないよう教育されている。 「そこに居るのは誰だい!?出てきな!!」 マチルダは言ってタクト状の杖を抜いて油断無く構える。すると進行方向に生えていた桃林檎の木の陰から一人の男が静かに、だが堂々と姿を現した。 「(仮面?怪しい奴だね…)何者だい?」 マチルダの行く手を阻むように現れた男は主に目鼻を隠すような黒い仮面を付けていた。マチルダはつい最近共に仕事をしたあのいけ好かない白い仮面のメイジを思い出して警戒心をむき出しにする。 「悪いが名乗るつもりは無い。小娘、私はこれより先にはお前を進ませる訳にはいかん。 悪い事は言わん、このまま立ち去るならばそれで良し。立ち去る気が無いのならばこちらも少々強引な手をとらせて貰う。」 男の言葉にマチルダの表情は強張った… マチルダには自分がティファニアの元に帰る事を邪魔しようとする人物が居る事に心当たりがある。脱走まがいに抜けたレコンキスタの追っ手か…フーケ時代の追っ手か…それとも直接ハーフエルフのティファニアを狙う人物か。 マチルダは知らなかったがこの仮面の男こそは先日ティファニアが召喚した人物、ルシアンだ。そしてルシアン自身もマチルダの名前こそティファから聞いていたが目の前の怪しい女がそうとは知らない。 いわばこれは不幸なすれ違いによる事故なのだ。 「引く気は……無さそうだな。よかろう…」 マチルダの様子に引く気が無い事を悟り、ゆらりと流れるような動きでルシアンは戦闘態勢に移行して軽く足を肩幅に開き半身を前にだす。 (こいつ…強い!!) マチルダはその一動作だけでルシアンから発せられるプレッシャーを感じ、一瞬でルシアンの力を感じ取る。 伊達に荒事に身を置いていた訳では無いが杖すら持たずただ立っているだけでこれ程の威圧感を感じるなど尋常では無い。これが盗みの仕事なら逃げている所だ。だが、マチルダにはここで引く訳にはいかない理由がある。 次の瞬間、杖を振るったマチルダの足下の土は一気に隆起し、巨大な人型を形作りマチルダを肩に乗せた。これこそがマチルダの十八番の巨大ゴーレムだ。 ルシアンはマチルダのゴーレムが完成するまでの時間その様子を興味深げにただじっと見つめる。 「悪いけど、私の邪魔をするなら潰れて貰うよ!」 マチルダの意思に呼応してゴーレムがその豪腕を振り上げてルシアンへと一気に振り下ろす。しかし、ルシアンはそれに対して回避等の行動は一切行わなかった。 「わが魔力に挑むとは……無謀の極みだな。」 その代わり、ただ一言言って自らの左手をゴーレムの拳に向けて突き出し、手の平に魔力を集中させる。次の瞬間、それだけでゴーレムの拳はまるで何かに阻まれるようにルシアンの眼前でピタリと止まった。 「嘘、そんなっ…バカな!!一体何がっ!?」 どれだけ魔力を送り込んでもピクリとも動かなくなったゴーレムの上でマチルダは驚愕の声を上げる。ルシアンは杖すら持っていないし一言も呪文を唱えていない。ただ手を翳しているだけだ。 理解出来ないその現状にマチルダが混乱していると不意にゴーレムを押さえつけていた強力な力が消え去り、そのまま慣性に従いゴーレムは地面に拳を突き立てる。 予期せぬゴーレムの動きにマチルダの視界は揺れ、一瞬自分の足下だけを映す事になる。 ルシアンがどうなったかも分からず、まずは状況を確認しようと慌ててマチルダが再び顔を持ち上げ前を向くとそこにはマチルダにとって信じられない光景が映り込んでいた。 「これまでだ。」 目の前には杖も詠唱も無く、纏った甲冑法衣の飾り帯を毒蛾の羽のようにたなびかせて浮遊するルシアンの姿。 (あぁ…こんどこそ私もお終いね…ごめんねティファ…) そうしてルシアンの掌が閃光を発したと思った瞬間、マチルダの意識はまさに手も足も出ないまま衝撃と共に途切れたのだった。 「…う…ぅ~…ん…」 「あ、ティファ姉ちゃんマチルダお姉ちゃん目を覚ましそうだよ。」 一人のまだまだ幼い少女が簡素な木製ベッドに横たわるマチルダが僅かに声を上げた事に気が付いてティファニアを呼ぶ。 「ん…ここは…」 ようやく意識を取り戻したマチルダはぼんやりとした意識のまま見慣れた天井を認識し、上半身をベッドから起こす。と、そこに突然暖かく柔らかな衝撃がマチルダを襲い再びその身体をベッドに押し倒す。 「マチルダ姉さん!!」 しばらく耳にしていなかったその最愛の妹の声にマチルダの意識は一気に覚醒した。先程森の中で怪しい男に敗れ、気を失ったというのに目覚めれば自分の目指した目的地に辿り着いているのだから意味が分からない。 「ティファ…」 それでもマチルダは甘えるように自分に抱きついてきたティファを強く抱きしめ返し、絹糸のような金髪を優しく撫でてやる。その感触は間違いなく今が夢幻であるという事を否定していた。 「どうやら目を覚ましたようだな。」 そんな水入らずのやり取りを行っていた二人に部屋の扉の側から声がかけられる。 その声の主は仮面を外し素顔を晒したルシアンであり複数の子供達に法衣の裾を握りしめられている。その姿を認めたマチルダは分からない事ばかりだと無意識に表情で語る。 「先程は知らぬとはいえ悪い事をした、素直に謝罪させて貰おう。手荒い真似をしてすまなかった。」 「いや…え?あんたは一体何者だい?」 「姉さんこの人は……………」 マチルダの当然の疑問、それに答えたのはティファニアだった。 召喚の儀式から村の一員になるまでの経緯、狩りや子供達への教育、悪意を持って森に入り込んだ部外者を捕まえてはティファの元に連れてきたりと様々な面でウェストウッド村を助けてくれていると言う事。 そして人間では無いと言う事も… 「成る程ね…」 ティファの説明にマチルダは頷いて納得する。 今更亜人の類いだから等で差別をする気も無いし周りのルシアンに対する態度を見れば不器用ながらティファや子供達に対してどれだけ真摯に誠実に相対してきたかは覗える。 「分かったよ。これからこの国も物騒になりそうだからね、あんたみたいな強い男が側に居るなら私も安心だからね。よろしく頼むよルシアン。」 「あぁ、こちらこそよろしく頼む。マチルダ。」 言ってぎこちなく笑ったルシアンと優しくも厳しい姉然としたマチルダは堅く握手を交わす。 こうしてルシアンとマチルダはこの仮面を必要としない平和な村で互いにティファニアと子供達を守るという理念の元、少々のすれ違いを経て邂逅を果たしたのだった… 「所で……ルシアン、あんたティファに手を出したらぶっ殺すからね…」 「いらぬ心配だな…だが、心得ておくことにしよう。」 前ページ次ページデュープリズムゼロ
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/2440.html
宝飾之か 祈祷札 材料 生産数 4 ヤマニシキギ材 6、牛毛筆 1 生産可能職 職業 技能 神主・巫女 宝飾之か 基本性能 分類 価値 重量 特殊効果 材料 主な用途 職業 技能名 生産品 僧 手芸之ら 道具入れ 僧 手芸之お 背負子つづら 薬師 お守り作成ほ 荒神像 薬師 お守り作成と 安全祈願お守り 侍 籠手作成之ほ 皮の掴み手 侍 籠手作成之と 怪我避け手袋 神主・巫女 宝飾之よ 職人手ぬぐい 神主・巫女 宝飾之つ 馴染んだ手ぬぐい 陰陽師 裁縫之む 職人着 陰陽師 裁縫之や 作務衣 忍者 履き物作成ほ 職人わらじ 忍者 履き物作成と 滑り止め草履 鍛冶屋 鍛冶之へ 金槌 鍛冶屋 鍛冶之と 南蛮鉄の金槌 傾奇者 装飾之ぬ 職人被り 傾奇者 装飾之か 匠帽