約 6,956 件
https://w.atwiki.jp/jinro/pages/25.html
◆村人◆牧師◆人狼◆狂人 役ごとの戦略-祈祷師 自分の正体を隠す 祈祷師はリンチ以外で唯一人狼を倒すことの出来る役職です。その為人狼や狂人はいつも祈祷師が誰かを探しています。 祈祷師になった場合、大事な事は自分の正体をさとられないようにすることです。 祈祷師に関するコメントは出来るだけ避けた方が良いでしょうし、人狼に襲って欲しいような素振りは見せないほうが良いでしょう。 カウンターを行う 祈祷師の能力であるカウンターを行うには人狼と思われる人と同室にならなければなりません。 一番簡単な方法は部屋割りの時に、死者を出した事がある人を選ぶことでしょう。ただし、人狼かもしれない人と好んで同室になろうとする人は祈祷師くらいのものです。 相手が本当に人狼だった場合、パスを使われる可能性がある事も考慮にいれておきましょう。 カウンターをする事が出来なくても、「祈祷師が生きているかもしれない」というプレッシャーは人狼側の食い選択に大きな影響を及ぼすことでしょう。 狂人に自殺された場合 弁明をする際に、素直に自分が祈祷師である事を言ってしまえば、人狼・狂人にマークされることになります。かといって村人と言ってしまったり、自分の正体をぼかす発言をしてしまうとリンチにあう危険性が高くなってしまいます。 なので、狂人に自殺された場合は自分が祈祷師である事を告げてしまいましょう。 カウンターをすることはほぼ不可能になりますが、自分と同室になることを避けようとする人や自分に容疑をなすりつけようとする人が人狼側である可能性は高くなります。 能力を使っていない祈祷師がリンチされることは、人狼側にとって大きなアドバンテージとなりますので、絶対に避けるようにしましょう。 祈祷師は村側の切り札です。上手くカウンターが出来るかどうかは、あなたが人狼が誰かを把握できるかにかかっています。能力を使わずにリンチされた時の落胆はとても大きいですが、自分の予想通りにカウンターが出来た時の喜びは特別です。 コメント 祈祷師がCOしても人狼にリンチされないようにする為に、村人を代わりにリンチするのは有効だと思いますか?真祈祷師が祈祷師COしても人狼にリンチされて村側が不利になることが多いようなので提案してみます。 -- (kenonu) 2006-08-01 21 45 37 狼が村人COをするのは考えにくいので有効ではないと思います。それなら、現在の容疑者へのリンチ投票を意図的に均等分割させてリンチを流す方がいいのではないでしょうか。人数が素数の時は全員に1票づつとかなり危険なことにはなりますが…-- (稲荷) 2006-08-03 20 23 54 微妙そうです。COした祈祷師が真祈祷師なのか判断が難しそうです。 -- (ひばり) 2006-08-05 13 40 08 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7191.html
前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア 53.護衛のアニエス 「えー、おほん。えへん。ごほん……」 何をすれば良いのか、そんなことは分かっている。でもできない。というよりしたくない。 エレオノールはルイズの使い魔によって回復した婚約者と、 両頬が赤くのびきっているルイズを前にして、わざとらしい咳払いを続ける。 ひとしきりその様を見たヴァレリーは、腹を抱えて笑いながら出て行った。 なんかあやまりたくない。自分が悪いとは分かっているが、 それであやまるのはどうなのだろうか。いや、 むしろあれはノックもせずに人の部屋を勝手に見たのが悪いのだから、 あやまる必要自体無いのではないか。 笑顔のカトレアがゆっくりと顔をエレオノールのそばによせる。 「姉さま。いいかげんにしないとやっぱりなしって言われるかもしれませんわ」 「……ごめんなさい」 やれやれと苦笑いするカトレアは、 マーティンにいつものことだと説明した。 場所が変わってもメイジがメイジであることに変わりはないらしい。 自分の非を認めたがらないのは、よくあるメイジの特徴だ。 「バ、バーガンディ。これからまたちょっと色々しないといけなくなったから、へ、返事は、えっと」 両手の指を絡ませて、顔を赤らめ視線を下へ向けるエレオノールに、 バーガンディは頷いた。 「休みに入ったら連絡をくれるかい?公爵様の所へ一緒に行こう」 「え、うん。そうね。そ、それじゃまた」 「ああ、それじゃ皆さん。ミスタ、さっきはどうも」 手を振りながら爽やかな青年は去っていく。 それを見て、女の子らしい感情がエレオノールの体を走る。 バーガンディと一緒にいたい。しかし今はやるべきことがある。 ぐっとこらえて仕事の顔に戻った。 「さて、ルイズ……さっきのことは水に流すとして、準備は良いかしら?」 気を取り直し、研究者の目でルイズに聞いた。 鋭い眼光は、ルイズを家族の一員としてではなく研究の対象として見ている。 「姉さま、私何をすれば良いの?」 「色々」 あいまい過ぎて意味が分からない。ルイズが首をひねると、 エレオノールはとりあえず一番やって欲しいことを言い始めた。 「『虚無』そのものについて研究する為の資料がまるで足りないわ。 当然よね?伝説や伝記にしか残っていないんだから。 あの時はちょっとはしゃいじゃったけど、あなたが『虚無』である証拠もあるわけじゃないし。 とてつもない力を持っているのは間違いないから、その時点で研究対象だけれど……」 ルイズは、アンリエッタからもらった祈祷書と水のルビーを荷物から取り出した。 「ああ、詩を詠みあげるのは聞いたわ。ちゃんとできたの?」 「これが証拠なの、姉さま」 水のルビーを指にはめて、何も書かれていない祈祷書を見るとブリミルの注意書きが見える。 エレオノールはそう聞いて、顔をしかめてちっと舌打ちする。 「前々から怪しいとは思っていたのよ。でもそういうのって調べられないのよね。 ブリミル教において重要な物だから、学術的に確かめたりとかできなかったのよ。ありがたいわね。 あなたがそれを持っているということは……」 エレオノールは研究者としての笑み、ルイズからしてみればちょっと怖いほほえみを浮かべている。 嫌な予感がした。姉関係では外れた試しが無い予感だった。 「あ、姉さま、ダメですからね?これ、お国の物ですから。私のじゃないですから」 「いいじゃない。減るものでもなし」 「いやいやいやいや、何かするんですよね?危ないことするんですよね?姉さま」 いつもなら頬をつねられているに違いない物言いだった。しかし少々機嫌が良いエレオノールは、 懐から一枚のカードを取り出してルイズに渡す。 「こ、これはトリスタニア一の菓子職人、サルモの店の年間無料パス!」 「報酬として用意しておいたの。クックベリーパイ、食べ放題よ?」 甘い物食べ放題。世の女の子にこれ以上の効果を持つ言葉はどれだけあるだろうか? 特に未だ色気より食い気のルイズにはなおさらだ。 ルイズの頭の中に天使と悪魔が現れた。誘惑を無視してお国に仕える立派な貴族になりましょうと働きかける天使ルイズ。 大丈夫、いくら姉さまでも丁寧に扱うからもらっちゃいなさいよと誘惑する悪魔ルイズ。結局のところ悪魔が勝った。 「……そうよね。ちょっとくらいなら大丈夫よね」 目にダメな光が輝き口元によだれがたれそうになっているルイズは、 ぼろぼろの祈祷書をエレオノールに渡した。 さすがお姉さんである。妹がどうすれば言うことを聞くのかよく理解している。 その割にこういった手段に出ないのは、もちろんルイズをつねるのが面白いからだ。 「それでこそ私の妹よ。それじゃついてきなさい。ああ、あなたもね。 ルイズから話は聞いているわ。その知識、ぜひ教えてくださいな」 エレオノールはマーティンを手招きして、軽い足取りで部屋から出て行った。 「さ、行きましょマーティン!」 「ん、ああ」 ルイズに押される形でマーティンも部屋からいなくなる。 残っているのはカトレアと、使用人の服を着ていたせいか視界にすら入れてもらえなかったシエスタだ。 「姉さまったらそそっかしいから。気にしないでね」 「はい……お掃除でもしましょうかね」 二人はエレオノールの部屋でのんびり過ごすのであった。 平和なトリステインとはうって変わって、アルビオンは首都ロンディニウムのハヴィランド宮殿では、 王政府から国を取り上げた革命者たちが会議を行っている。議題はトリステインをいつ攻めるか。 「やはり」 イスに座る将校の一人が口を開く。 「今すぐにでもトリステインを攻め落とすべきでは?ゲルマニアと同盟を組む直前である今を逃しては、 我々はあのゲルマニア艦隊を相手に戦わねばなりません」 国力を伸ばし続けるゲルマニアは、どこの国にとっても脅威になりうる存在だ。 歴史こそ浅いが、それ以外はほぼ揃っている。他国から色々な理由で逃げたランクの高いメイジ、 夢に騙され、ひどい環境で働く多くの労働力、そしてハルケギニア一の国土を持ち、 ブリミル教を国教としているのに、その教えを無視した魔法をあまり使わない工業力の高さ…… 噂ではエルフたちやロバ・アルカリイエの人々とも貿易を交わしているらしく、 相手にするには骨の折れる国なのだ。 「そんな不作法なマネができるか!」 老いた老将軍が立ち上がって怒鳴りあげた。トリステインとは少し前に不可侵条約を締結したばかりである。 生粋のアルビオン貴族で軍人からしてみれば、そんな行いはアルビオンの品位を汚すことに他ならない。 「落ち着きたまえ、ホーキンス将軍」 議長兼初代皇帝であるクロムウェルが手をあげて、激したホーキンスをなだめる。 老将ははっとした様子でイスに座った。 「閣下はどのように考えられておられるのですか?」 でっぷり太った将軍がクロムウェルにたずねた。 クロムウェルは口元に手を当て考える素振りを見せる。 「ふむ……たしかに、今攻め落とさねばゲルマニアと同時に戦わねばならぬな。 しかしかの国といえど、どこからやってくるか分からぬ艦隊と、 それに満載された彼らには勝てぬのではないかな?」 衛兵代わりのスケルトンを指差した。 疲れず、食料を必要とせず、不平不満を言わない上に常に命令通りに動く。 クロムウェルの秘書が使う東方の魔法は倫理的には問題しかないが、 こと人材の消費が激しい戦争においては、とても便利なものだった。 当然真っ当な軍人たちは忌み嫌うがが、文句をいう者はどういうわけかすぐにいなくなってしまう。 「どこからやってくるか分からぬ……?アルビオンは常に移動していますが、 一定のコースでハルケギニアの上空を周回しているのですぞ」 「うむ、そうだとも。では、それを変えられたらどうするかね?」 太った将軍の顔色が青ざめた。 「な……今なんとおっしゃられましたか?」 「なに、余の秘書は優秀でね。古文書に書かれた言葉を解読したところ、おもしろいことが分かったのだよ」 当然、古文書なんて無い。嘘っぱちでも信じ込ませることができるから、彼は今この役職でいられるのだ。 秘書という名のご主人様であるマニマルコは、ロンディニウムの地下にいた。 王城にある秘密の抜け道から通じるそこは、もしもの時の避難通路として作られたものだ。 だが、それだけではない。マニマルコはそう考えた。 何故この大陸は浮かんでいる?あらゆる物は重力で常に星の中心に引っ張られているというのに、 これだけはそれを無視し、風石が内包されているわけでもないのに悠々と空に浮かんでいる。 マニマルコはその答えを魔法だと考えた。 大きな力がこの大陸を空に浮かばせている。しかし誰もその正確な理由を知らず、 そして毎月規則正しく移動することから考えて、おそらく自動的にそう動くように制御されているはず。 では、その制御装置はどこにあるのか?おそらくこの大陸のどこかにあり、人目につかず、そして最も安全な所。 「ふむ……」 そうしてこのロンディニウムの地下通路を探り当て、 スケルトンを用いて何かないかと探索した結果、面白い物が見つかった。 抜け道の奥深く、たいまつでもなければ真っ暗な、 石造りの通路にボンヤリと光る小さな魔法陣。 ハルケギニアでは全く見られないそれは、マニマルコが見知った術式で作られていた。 はるか昔からタムリエルで使われている魔法で構成されていたのだ。 もうほぼ使われていない古代のエルフ文字で。 「この地にエルフの祖先がいたというのか?まさかここが……まぁいい」 魔法の明かりを灯して壁に書かれた魔法陣の周りをよく見ると、ほんのわずかではあるが亀裂がある。 通路が封印されているらしい。ふさわしい者以外を通さない為だろう。 「さて、開けるか」 マニマルコは魔法陣の前で呪文を唱える。 長々と「古き法」を唱え終わると魔法陣は輝いたが、そのきらめきは一瞬だった。 失敗だ。マニマルコですら外せない強固な魔術防壁で守られているのだ。 「正攻法では不可能か」 壁をスケルトンたちに壊させる方法もあるが無理だろう。 地下通路全体に強力な「固定化」の呪文がかけられている。 「おそらくこれを守る為にそうしたのだろうが……」 俺が入れないじゃないか。マニマルコが壁に向かってどうしようか考えていると、 スケルトンの足音が聞こえてきた。騒がしい少女の声もする。 「マニマルコ!クロムウェルが呼んでるよ……なぁに、これ?」 イザベラが触れると、急に魔法陣は輝きだした。紫色の円がひとしきり輝くと、 魔法陣が書かれていた壁は音を立てながら割れていく。 音が止むと、魔法陣が書かれていた壁から全く違う造りの遺跡が顔を出していた。 「えーと……なんか悪いことした?」 「そうでもない。むしろありがたいよ」 解除の鍵は王家の血か。マニマルコが優しくイザベラの頭をなでる。イザベラは嬉しそうに笑った。 「さて、中はどうなっているのか……ああ、クロムウェルにはもう少しかかると伝えてくれるかな」 返事がない。マニマルコがイザベラを見ると、彼女は開いた壁を興味深そうにのぞき込んでいた。 中からは青白い光が漏れだしている。アイレイドの遺跡で見かける、ウェルキンド石が放つ魔法力の輝きだった。 「一緒に来たい?」 「うん!」 スケルトン一体を代わりに送り、マニマルコたちはさらに奥深くへと進んでいった。 一方、トリステインの王宮。アンリエッタの居室では、 式でアンリエッタがまとうドレスの仮縫いでおおわらわであった。 大后マリアンヌの姿も見えた。彼女は純白のドレスに身を包んだ娘を、 目を細めて見守っていた。 アンリエッタの表情はまるで太陽のよう。仮縫いのための縫い子たちが、 袖の具合や腰の位置を尋ねる度に、鏡で自分を見ながら楽しそうに答えている。 「あ、母さま」 鏡の端に映った大后を見て、ようやく気が付いたらしい。 アンリエッタは振り向いた。 「愛しい娘や。ずいぶんと楽しそうね」 「それはもう」 その笑顔は年頃の娘のものだ。何も悩んでいるようには見えない。 縫い子たちが空気を読んで下がると、アンリエッタは母后の膝に頬をうずめた。 「望まぬ結婚だと思っていたのだけれど」 「そんなことありませんわ!アルは優しいし、ハンサムだし。 とっても頼りになりそうですもの」 「そう」 マリアンヌはとても寂しそうに目を下に向ける。 アンリエッタは不思議そうに尋ねた。 「母さま。どうかなさいましたの?」 「いえ、あの人と会った時を思い出して」 「お父さまのこと?」 マリアンヌは頷いた。 「あの人は遊び人で、呆け者で、約束をやぶってばかりでした」 静かに、アンリエッタは聞いている。 父王がアンリエッタに残した言葉は「わがままであれ」。 アンリエッタはずっと忠実に守っている。 「いつでも一緒にいると言ったくせに、先にいってしまうのだもの。酷い人でしょう?」 「母さま……」 アンリエッタは、悲しそうなマリアンヌに抱きついた。 「わたしは大丈夫ですわ。幸せになりますもの」 「いいえ。今は幸せでも、後で必ず悲しいことが起こってしまうのです」 アンリエッタは笑顔で母后を見る。 「たとえそうだとしても、乗り越えてみせますわ。だって、わたしはゲルマニア皇妃になるのですもの。 それくらいしないと、アルのお嫁さんは務まりませんわ」 「そう……強いのですね。アンリエッタ」 もしかしたら、わたくしもこうなっていたのかしら。 アンリエッタは寂しそうに笑うマリアンヌを見てそう思う。 ウェールズさまが死んでいたら、果たして今のようにゲルマニアに嫁げただろうか。 母さまのように過去に生きて、ウェールズさまを殺した相手への復讐心に駆られていたかも。 とりあえず、わたくしとウェールズさまにひどいことしたワルドは、見つけたら死刑。 未だ見つからない標的に思いを馳せるアンリエッタは、 段々とよい子の顔が崩れ、その口元に悪魔の笑みを宿らせる。 「……どうかしましたか?アンリエッタ」 「へ、いえ、なんでもありませんわ!今後のことを少し考えていましたの」 「そう。あなたは先に生きなさい。あなたの母親は、その生き方を忘れてしまったから」 アンリエッタは清らかな笑顔で答えた。 「はい。わたしは明日を生きますわ」 母娘はしっかりと抱き合った。 アニエスという女剣士がいる。世にも珍しい魔法を使う剣士である。 魔法剣士とでも呼ぶべきだが、ハルケギニアには普通いない。 メイジは剣を平民の武器と考え、杖を使うことをよしとするからだ。 そんな珍しいアニエスは、どういうわけか宮殿近くの衛士隊の練習場にて、 烈風と戦っていた。放たれた風によって上空300メイルまで吹き飛ばされるが、意識を失わずにフライを唱える。 「このっ!」 下降しながら、地上にいる相手にありったけの氷のつぶてを放つ。 しかし、全てブレイドがかかった杖で切り払われた。 飛行しながらの呪文使用は難易度が高く、あまり使えるメイジはいない。 実戦を通して、死にものぐるいで覚えた技がまるで通用しない相手にどう攻めるべきか、 地面に降りて剣を構えて考えていた。 「な」 音も立てず、目前の相手が消え去る。ふと、背後に気配を感じた。 アニエスは振り向く間も無く、エア・カッターの衝撃を受けて気絶した。 「わたくしに仕える気はなくって?アニエス」 リッシュモンを殺した夜、汚い宿屋にて。 目前にいる変装したアンリエッタに、ひざまずくアニエスは自分の耳を疑った。 自分はトリステイン王家に仕える貴族を殺したのである。 たとえそれが復讐の為であったとしても、許されるはずが無い。 王家とは始祖と同一で、侵してはならない。そういう教えの元で育ったからだ。 実際、アニエスは終わったら首を持って行って処刑されるつもりだった。 復讐を成し遂げることが、アニエスにとっての命題だからである。 「聞こえたかしら?」 「その、おっしゃる意味が……」 「仲の良かった女官が、アルビオンのスパイに殺されてしまいましたの」 アニエスはどうにも話が見えない。アンリエッタはやれやれと言いたげに続ける。 「それで、どうにもね。信用の置ける者が近くにいなくなったものだから」 「私を、信用なさるのですか?」 アンリエッタは慈悲深い笑みを浮かべている。 「リッシュモンの件は、本当に感謝していますわ。あなたのおかげで国益は守られました。 わたくしは彼が裏切っていることすら知りませんでしたし、 もし知ったとしても、そうそう行動に移せるものではありませんから」 アンリエッタはアニエスに近づいて、スベスベした美しい手で彼女の手を取る。 「あなたは、勇敢にも国の為にあえて汚れ役になってくれたのです。信頼しないはずがありません」 「ですが、それは結果の話です。私は……」 遮るように、アンリエッタは続ける。 「たとえ復讐であったとしても、あなたは殺された人々の無念を晴らしました。 これを誇り高きおこないと言わずして、なんと言えばいいのかしら?」 アニエスは日の当たらない人生を過ごしてきた。 復讐の為に生きることは、決して報われないものだろうと考えていた。 「……アニエス。どうかしたの?」 気付かぬ内に、アニエスの頬に涙が伝っていた。殺し、殺されの冷たい世界で生きたアニエスにとって、 今目の前で自分の手を取るアンリエッタは、あまりにも暖かい存在だった。 「私は、汚れています。日の当たらぬ世界で生きてきました」 「だからこそ、わたくしの見えぬ物が見えることもあるでしょう?」 アンリエッタはアニエスを抱きしめる。胸元にアニエスの顔が埋まる。暖かい。 人に抱きしめられたのは何年ぶりだろうか。久しく忘れていた様々な思いが、 アニエスにあふれ出す。視界がぼやけ、何も見えなくなる。 「その手で、私を守ってくださいますね?」 声を上げて泣くアニエスは、アンリエッタを強く抱きしめた。 了承の証だった。 そんなこんなで、アニエスはアンリエッタに拾われた。 アニエスが生かした男はグレイ・フォックスが引き取ることとなった。 何故生かしたのか、アンリエッタが尋ねたところ、 「彼らは軍人です。命令に従うのがその役目でしょう。 命令を下す者が、彼らの分の責を負うのが筋というものかと」 と迷いの無い目で返答された。正論だったがそこまで割り切れるものだろうか、 フォックスは不思議に思った。 シエスタは学院に戻り、ルイズの手助けをすることとなった。 後にアンリエッタ直々に書状が送られ、ルイズ専属の使用人になる予定である。 アニエスの今の役職は雇われ護衛とか、名無しの自由騎士とか、そんな感じだ。 理由は「わたくしが気に入りましたから」である。 お姫さまのわがままは今に始まったことでもない。 とはいえ、少し前にもワルドが裏切ったばかりだから、 どこぞの馬の骨など護衛として雇えるはずがない。 マザリーニが当然のように反対したが、アンリエッタはそれを拒否。 マリアンヌの前でも、珍しくその姿勢を貫いた。 困ったマザリーニは、正式なグリフォン隊の隊長が決まり、 やることが無くなって帰ろうとしていた烈風さんを呼び止め、様子を見させることにした。 マンティコア隊の隊長として一時代を築き、 身を退いた後も暇があれば隊員達を指導したカリーヌ・デジレに、 彼女が本当に大丈夫かどうか確かめさせることにしたのだ。 「気に入りました」 「は、はぁ」 頭に水をぶっかけられて起きたアニエスに、カリーヌ・デジレは微笑んだ。 雲の上の人の考えや言動はよく分からない。アニエスはここ最近ずっとそう思っている。 「今の隊員より筋が良い。姑息な手を使う者を長らく見てきましたが、 それをするわけでもない。どうにかして衛士隊に入れたいくらいです」 カリーヌは誰であろうと得物が何であろうと実力があれば認める。 自分もそうして認められたからだ。それにアニエスは礼儀正しく規律を守り、慎ましやかだ。 つまり、カリーヌにとても良い感じに見えている。 「は、ははは」 どうやって、あの人は魔法も使わずこの化け物と引き分けたのだろうか。 独り立ちするまで自分に剣を教えてくれた、武器屋の親父を思い出す。 魔法の使い方は幼い頃村で基礎を学び、本を読んで勉強した。そのおかげで現在の魔法が持つ重要な意味も理解できた。 「ところで」 カリーヌはどこか遠くを見るような目でアニエスにたずねる。 「お前に剣を教えたのは一体誰ですか?」 「あなた様と一度戦い、今も生きておられる方です」 ふむ、とカリーヌは頷くと、再び構えた。 「なら、まだ大丈夫ですね」 「へ?」 「エッシャーが雇ったあの男なら、これくらいで準備運動が終わったと言うでしょう」 アニエスにはカリーヌが楽しそうに笑っているように見えた。 規律によって、がんじがらめに縛られている獣の片鱗を少しではあるが覗かせていたのかもしれない。 飲まれるな、飲み込んでやれ。アニエスは立ち上がり、深く息を吸って剣を構える。 「さぁ、続きをしましょう」 アニエスは勢いよく、空元気で返事をする。 「お手柔らかに!」 吹き荒れる嵐の中、アニエスはそれを切り裂くように突き進む。 こんな暴風相手に魔法を使っても無駄だからだ。どちらが切り裂かれたのかは言うまでもない。 前ページ次ページジ・エルダースクロール外伝 ハルケギニア
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5158.html
前ページ次ページナイトメイジ 翌朝……。 礼拝堂の前に二人の男女が人目を忍んでそこにいた。 といっても、それほど色気のあることを話しているわけではない。 「すまなかったね。準備を手伝ってもらって」 「あなたもマメな男ね。こんな事までしてあげるなんて」 男はワルド、そして女はベール・ゼファー。 城の地下ではニューカッスルから疎開する人々がイーグル号と拿捕したマリー・ガラント号に乗船を始めている頃だがここまではその音も声も聞こえてこない。 「これからつらい運命を生きる二人のために何かできないか、とは思ってね」 「私はあなたの婚約者の好意を買うためにしているのかと思ってたわ」 ワルドは声をつまらせてしまう。 しかめた顔のワルドを見て、ベルが笑っていた。 「その下心……無いとは言えないな。それはともかく」 ワルドにとってはこの話はあまり愉快ではなかったらしい。 「君にはもう一つ頼みがある。イーグル号で先に出発しておいてもらいたい」 「それはちょっとひどいわね。ここまで手伝わせておいて、ルイズやアンリエッタの晴れ姿を見せてもらえないの?」 「すまないね。どうやらウェールズ王子は攻撃が始まる寸前までここにいたいようなんだ。フネはそれより早く出航する。僕たちにつきあっていたら君はここに取り残されてしまう」 「あなた達はどうする気なの?」 「僕の使い魔のグリフォンを使う。それに城に残っている最後のグリフォンも使わせてもらえる事になっている。僕とルイズ、それにウェールズ王子とアンリエッタ王女はそれでここからラ・ロシェールに行くつもりだ」 「私は同乗させてもらえないのね」 「グリフォンの飛行能力を考えると2人乗りが限度なんだ。それ以上乗れないことはないが、万が一を考えると3人はやめておいた方がいい」 ベルは諦めたのか大げさに肩をすくめ、ついでに大げさに溜息もついて見せた。 「それじゃ仕方ないわね。私の大切なご主人様のことは任せたわよ」 そう言うとベルは踊るようにきびすを返し、地下の港へ続く廊下に足を向けた。 「もう行くのかね」 「置いてけぼりはごめんだもの」 わざとだろうか。 足音を高く響かせ、去りゆくベルの背中をワルドはじっと見ていた。 そこには恐ろしいほどに鋭い視線があった。 イーグル号はそれから一時間も経たないうちに出航した。 靄が船体を隠してくれている。 未熟な水兵の操るレコン・キスタのフネでは拿捕や撃沈はおろか発見も難しいだろう。 そして、今は追い風。 イーグル号は帆を広げ、すばらしい速度でアルビオン大陸を後にした。 城から去る寸前。 礼拝堂に入ったルイズは小さく歓声を上げた。 祭壇とその回りはきれいに掃き清められ、その上には銀の燭台とロウソク。 周りには城の花壇から持ってきたのであろう花が飾られていた。 「これって……」 この様式は簡易ながらも結婚式のためのものだ。 新婦の冠、そして純白の乙女のマントまで用意されている。 「ワルド子爵、これは?」 続いて入ってきたアンリエッタとウェールズも同様だった。 この城の最後に作られた華やかな飾り付けに目を奪われている。 「ウェールズ王子。こんな時ですか……いえ、こんな時だからこそ了承していただきたい。私とルイズは今、ここで結婚式を挙げたいと思います。つきましては、その媒酌を引き受けていただけないでしょうか」 「こんな時に……かい?」 「ええ、最後に花を添えたく思いましたので」 この城……いやアルビオンの最後はそれは血なまぐさいものとなるだろう。 名誉、誇り。それを伴おうがそれは事実だ。 だがそこに、未来への希望となるものがあれば。 だからこそ王子はこう答えた。 「わかった。引き受けよう」 続いてマリー・ガラント号も出航を果たした。 ラ・ロシェールから出航したときに詰まれていた硫黄は船倉には一箱たりとも残されておらず、代わりに代わりにニュー・カッスルから落ち延びる人々、それに硫黄を売り渡した代金である相場の3倍の金を積み込んでいた。 商売としては大成功のはずだ。 それは間違いない。 それでもマリー・ガラント号の船長は大喜びはできなかった。 このフネの人々を無事送り届けるという使命感。 それを胸に船長は舵を切った。 頭上に冠を添えられたルイズは夢見心地だった。 こんな時であっても、胸の奥から幸せがあふれるように思えていた。 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」 「誓います」 重々しく、作法にかなった仕草でワルドがうなずく。 次はルイズの番だった。 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール、汝は始祖ブリミルの名においてこのものを敬い、愛し、そして夫とすることを誓いますか」 答えは決まっていた。 こんな時に結婚式というのに少し戸惑いはしたが、ワルドには何か考えがあるらしい。 それが悪いものであるはずがない。 「誓います」 この先にある幸せを信じてルイズはそう答えた。 城のホールには大量の樽が運び込まれていた。 樽の中には元は硫黄が詰め込まれていた。 今は、練金された火薬がつまっているはずである。 最後の一樽までそれを確認したパリーは、次にホール中央に置かれた机に向かった。 そこには戦装束が一式置かれていた。 「王子、これは貸していただきますぞ。返す当てはありませぬが」 パリーは元はウェールズのものであった戦装束を手にし、身につけ始めた。 婚姻の儀式はすべて終わった。 ルイズは綺麗にたたんだ純白のマントの上に冠を置き、それをウェールズに渡そうとした。 「さて、これからもう一輪の花を今度は王子と王女のお二人で添えていただけないでしょうか」 「もう一輪?それは……」 婚姻の儀式と言うことだろうか。 だが、それはできない。 アンリエッタはゲルマニアの王と結婚をしなければならない。 故にどんなに愛していてもウェールズとの婚姻をブリミルの前で誓うことはできないのだ。 「それはわかっています。ですが、婚姻によらなくともお二人が永久に互いを想い、気遣うことはできるはず。その誓いをブリミルが認めぬはずはございません」 窓より光が差し込んできた。 それに照らされたワルドは舞台の上で万民を引きつける役者のようでもあった。 「これを逃して他に機会があるとは想えませぬ。そして、これが私がお二人にできるすべてであります」 跪くワルドの前に立つアンリエッタは口をふるわせ、わななかせ、そして高鳴る胸を両の手で押さえた。 「子爵、あなたの忠誠、嬉しく思います。ウェールズ様。私からもお願いします。どうか、ここであなたとの絆を誓わせてください」 ウェールズがそれを断ろうはずもなかった。 ルイズのポケットの中にはお守りがあった。 それを渡したのは怪しげきわまりない少女ではあったが、それでもルイズの使い魔なのだ。 この旅の間、ルイズはそのお守りを離すことなくずっと持っていた。 そのお守りは悪魔の蝿という名前が与えられていた。 「ウェールズ・テューダー 。汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」 「誓います」 ワルド読み上げる詔が礼拝堂に響く。 それはいかなる聖典にも祈祷書にもないが、世界で最も神聖な詔。 少なくともルイズはそう確信していた。 「アンリエッタ・ド・トリステイン 、汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」 「誓います」 アンリエッタはその身分にふさわしいドレスも着ていない。 これが永遠を誓う儀式であることを示すのは冠のみ。 それでもこの儀式は万の黄金よりも価値があったのだろう。 ルイズは彼女の幸せを隠さない笑顔に歓喜し、涙を流した。 すべてはうまくいっていた。 仮面の襲撃者、海賊という困難を乗り越えここに来た。 手紙の処分も終えた。 アンリエッタもルイズも幸せを手に入れた。 ウェールズの将来が不安と言えなくもない。 だが、ここまでうまくやってこれたのだ。 必ずそれも何とかできる。 そうに違いない。 アンリエッタとウェールズのキスでこの儀式も終わった。 それは決して口外されることのないが喜びに満ちたものであった。 「ウェールズ王子、これでやり残したことはないでしょうな」 ワルドは飾りに持っていた祈祷書を閉じる。 杖の位置を確かめ、少し緩んだベルトを締め直した。 「君の心遣いに感謝するよ。もう、なにもない」 「それは……よかった」 ウェールズ胸を魔力の刃が貫く。それは、彼の背中まで伸びていた。 「ふふふ……予想通り、いえ、予想以上じゃない」 「きゃああああああああああああああああああああああああああ」 誰が叫んだのか。 アンリエッタ?それとも自分? 「アンリエッタの手紙、アルビオンやトリステインの命運。そんなものどうでも良かった」 いや、両方? どれでもいい。そんなことはどうでもいい。 それよりこれはどういう事なのだろう。 ウェールズは胸から血をまき散らして床に倒れる。 「ルイズにあげたかったものがあったのよ。それは、絶望という美酒」 血に濡れた魔力の刃を帯びる杖を持つのはワルド。 ──何が起こったの?何が起こったの? 誰も答えない。 目の前にある現実を受け入れるしかない。 ワルドがウェールズの胸を貫いたという現実を。 「その味を引き立てるため、アンリエッタを連れてきた。学友のギーシュ……は婚約者のワルドが来たからほっぽったのよね。二人の絶望はルイズのための芳醇な絶望を生む」 「ウェールズ、ウェールズ、ウェールズ」 同じ言葉しか話さないガーゴイルのようになったアンリエッタが倒れるウェールズを血にまみれるのもかまわず抱きしめた。 傷をおさえ、血を止めようとするがそんなことで止まるものでもない。 やっと手に杖があることに気づき回復の魔法を唱える。 「いやぁ!!止まって、お願い。あああぁあああっ」 水の秘薬も使わない回復の魔法にそれほどの力はない。 血と体温がウェールズの体から流れ出る。 「そして、ここに来るまでの困難をルイズ達が解決して、最良の結果が手に入るようにちょっとだけ手伝いもしてあげた」 アンリエッタの魔法など効かないとあざ笑うように血が脈動と共に吹き出した。 「死なないで。あああああっ」 アンリエッタのまとう乙女のマントは、その色を純白から真紅に変えていた。 「なぜって、そうしたらうまくできるって希望を覚えるでしょう。強い希望は絶望に最もあう酒肴なのよ」 「ワルド様。なんで、なぜ?」 理由を聞けば許せるのか? 許せるはずもない。 そんなはずなどない。 理由を聞けば許せるかもしれない。 矛盾した想いがルイズを支配する。 かすかな希望にすがりつき、ルイズは問うていた。 「もともとは城を壊してレコン・キスタを引き入れ、アンリエッタとワルドがその戦いで死んでいくところをルイズに見せるつもりだったんだけど……ふふ、もっといいことになったじゃない」 「レコン・キスタ完全勝利のためにはウェールズ王子の死に一片の疑いもあってはならない。だから、ここで死んでもらった」 希望は砕け散る。 修復など不可能なほどに。 「レコン・キスタ?なんで?裏切ったの?あの軍隊を見て?」 「僕はその前からレコン・キスタの一員だ」 希望など最初から無かった。 あえて言えば、砕くための偽物しかなかった。 「僕の目的は3つあった。一つはウェールズ王子を殺害すること。二つ目はアンリエッタの手紙を手に入れること。燃やされたからこれはもう手に入らない。だけど、もっといいものが手に入りそうだ」 ワルドはアンリエッタの髪をつかみ、引き起こす。 「いやああ。ウェールズ様が死んでしまう。あの人のところに!」 「しばらくお眠りを」 ワルドの右腕が走り、魔力を消した杖がアンリエッタのみぞおちにめり込む。 「ウェールズ……」 その言葉を最後にアンリエッタはぐったりと動かなくなった。 「生きたアンリエッタ王女を捕らえれば死体や手紙より役立つだろう」 ワルドはアンリエッタを肩に担ぎ、残った手をルイズに差し出した。 「親友は捕らわれ、その最愛の人は血にまみれた。その悲劇を起こしたのはルイズが幸せを託した婚約者。最高じゃない」 「そして、最後の3つめは君だ。行こう、ルイズ」 「いや、いやよ!行きたくない」 「いや、君は来なければならい。僕たちは婚姻をブリミルの前で誓った。それは誰にも覆すことはできない。心配することはない。行こう」 ルイズはただひたすら首を横に振り続けた。 そうすれば希望と幸せが戻ってくるとでも言うように。 「さあ、ルイズ。お膳立てはすべてできたわ。後はあなたの番。絶望を味わえば力が欲しくなる。その思いはあなたの力を目覚めさせるわ。さあ、見せて、あなたの力を」 むろん戻るはずもない。 「聞き分けのないわがままはやめるんだ。必ず君を幸せにしてみせる」 ワルドの手が差し伸べられる。 ルイズはそれから逃げたかったが、足が動くのを放棄していた。 「さあ」 遠くで音がした。 人々の雄叫び。戦いが始まったのだ。 爆音の連続。大砲の斉射だろう。 「え?あれ?ちょっと、待ちなさいよ。普通ならここでイヤー、ボーンて感じで秘めたる力が覚醒するものでしょ」 それもこれも今のルイズには幻想の彼方の出来事のようだった。そう思い込みたかった。 「始まったか……。時間もないな。ルイズ、いずれ君を迎えにいく」 「あー、ワルドもワルドよ。なに帰ろうとしているのよ。もうちょっと粘りなさいよ。あと2,3回つつけばきっとバーンてなるんだから」 マントを翻すワルドが走る。 すぐにドアを開く音と、遠ざかる足音が聞こえた。 「あーーー、行かないで。行っちゃだめーーーー」 ルイズは……その場に座こんだまま。 動いたらもっと嫌なことが起こるような気がしていた。 「行っちゃった……どうしよう」 前ページ次ページナイトメイジ
https://w.atwiki.jp/mking/pages/45.html
祈祷師 ナイトメア系 前の世代の武器 現世代 次の世代の武器 ハウレスの刀 祈祷師 無し ナイトメア系第3世代。 よく分からない謎な武器(?)。 祈祷師を操れるあなたは素晴らしい。 元々は合成武器の作成に必須だった武器であるが、レシピ購入制になった今、この武器を作ることにほとんど意味は無い。
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/9333.html
■NightWizard The 3rd Edition キャラクターシート■ 【パーソナリティ】 キャラクター名 ソフィーヤ=柚白 プレイヤー名 雪 種族 人間 ワークス アイドル/二つ名 第一柱の巫女の姉 年齢 18/性別 女 髪の色 銀 瞳の色 灰 肌の色 白色 【ライフパス】 出自(設定) スーパーアイドル/キーワード 人気者 目的 ハーレム体質 邂逅(設定) /貸しを作った 有為/対象 [[リオン]]=グンタ 印象 人気者 性格 ぶりっこに見えるが、実は性根が腐ってる コネクション/関係 リオン=グンタ/貸しを作った 【キャラクターデータ】 クラス 箒騎士→アイドル→電脳使い/異能者→同調者 レベル 18 属性 <虚>/<火> CF修正値 2 プラーナ内包値 5 能力 属性1 属性2 クラス1 クラス2 ボーナス 最終 筋力 1 1 3 3 2 10 器用 0 1 3 4 2 10 感覚 1 0 4 3 6 14 理知 1 0 3 2 0 6 意思 0 1 2 3 0 6 幸運 0 0 3 3 0 6 戦闘値 ベース クラス L V 特 殊 未装備 武 器 魔 装 防 具 他 合 計 ジャッジ 命中(筋+器)/2 09 00/01 +03 +02 15 -03 +02 -04 +00 010 +1 回避(器+感)/2 12 00/01 +00 +00 13 +00 +01 -07 +00 007 +0 魔導(理+意)/2 06 02/01 +06 +06 21 +00 -01 +02 +00 022 +0 物攻 -- 00/01 +03 +00 04 +22 +03 +04 +00 033 +11 魔攻 -- 01/01 +00 +00 02 +00 +14 +02 +00 018 +8 物防 -- 00/00 +08 +00 08 +00 +07 +19 +00 034 +8 魔防 -- 02/01 +07 +00 10 +00 +04 +20 +00 034 +8 耐久力(筋+属性) 25 02/03 +85 +00 114 +00 +00 +00 +00 114 +0 魔法力(意+属性) 15 03/02 +85 +00 115 +00 +00 +05 +00 120 +0 行動値(理+感) 20 01/00 +00 +00 21 -09 -06 -19 +00 000 +0 射程 -- --- - -- --- 遠※ 【特殊能力】 名称 SL タイミング 判定 難易 対象 射程 代償 条件 効果 汎用 月衣 - 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 所持品を隠せる,マイナーアクションで飛行可能(代償 1D6MP) 月匣 - 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 月匣を展開できる。 箒騎士 兵器所持 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし プリプレイに兵器1つ取得する(エンジェルシードⅡ) ヘヴィメタル(箒) 1/3 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 兵器の【物防】と【魔防】に+3(SL×3)、【行動】に-2(計算済み) 異能者 ネイティブギフト 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 特技の代償のMP-2(最低1) ブリンガー虚(超能力) 2/5 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 装備している魔装が虚属性なら【物攻】と【魔攻】ジャッジに+8(SL×4) バリアントウォール 3/3 DR 自動 なし 単体 近距離 10MP 超能力取得 20(SL×5+5)点ダメージを軽減する。 バリアントフィールド 1/1 効果 自動 なし 自身 なし なし 1シーン3回 《バリアントウォール》と同時に使用し、対象を範囲選択にする 同調者 メディウム所持 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし プリプレイにメディウム1つ取得する(近接防衛型) ゲームメイカー(魔術) 3/3 セットアップ 感覚 対決 単体 近距離 5MP 霊媒装備 対象の感覚と勝負し勝利したら、対象はこのRの回避-4(SL+1) メディウムカバー(秘技) 1/1 ダメージロールの直前 なし 自動 単体 魔装 5MP 霊媒装備 対象にカバーを行う、未行動でも使用でき、行動済みにならない デスオーダー 3/3 メジャー 命中 対決 単体 近距離 なし なし 《ゲームメイカー》の効果を受けている対象のみ、物理攻撃か魔法攻撃を行い、【物攻】か【魔攻】ジャッジに+30(SL×10)し、ダメージ軽減を行えない 仮面剥奪 1/1 オート 自動 なし 自身 なし 1Pr 霊媒装備 1シナリオ1回、行動終了となったら行動-5して未行動となる シルエットオーダー 1/1 ジャッジ直前 自動 なし 自身 なし 10MP 霊媒装備 回避判定を【魔導】で行う ワールドルーラー 1/1 ジャッジ直後 自動 なし 単体 近距離 なし 霊媒装備 1シナリオ1回、対象のダイスの片方の出目を1~6の任意1つに変更する チェイスオーダー(魔術) 3/3 ジャッジ直前 なし 自動 単体 近距離 10MP 霊媒装備 対象の【物攻】と【魔攻】ジャッジ+5(SL×5) 世界記憶(コピー) 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし <驚天宝貝>を代償にHP2追加し、使用条件:霊媒装備を追加する 驚天宝貝 1/1 ムーブ 自動 なし 自身 なし 2HP 霊媒装備 使用時に狼狽か放心を選び、メインで1点以上与えたらそのBSにする 世界記憶Ⅱ(秘技・コピー) 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし <小さな奇跡>を代償にHP4追加し、使用条件:霊媒装備を追加する 小さな奇跡 1/1 メジャー 自動 なし 自身 なし 4HP 霊媒装備 1シナリオ1回、願いを1つ叶える スプリットメディウム 3/3 オート 自動 なし 自身 なし 10MP 霊媒装備 1シナリオ3回、メジャーの特技と同時に使用し対象を(SL+1)体にする スマッシュオーダー 2/3 メジャー 命中 対決 単体 武器 なし なし 霊媒による魔法攻撃を行い、【魔導】ジャッジ-2し、【魔攻】ジャッジに+10(SL×5)する アイドル ミュージックスタート 1/3 セットアップ 自動 なし 場面選択 場面 10MP なし 1シーン中の攻撃の命中判定+2(SL+1) フェイバリッドコーデ 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし プリプレイに任意の防具と装身具選択肢、装備してるなら特技の代償を-2MPする ファイトソング 1/1 クリンナップ 自動 なし 単体 場面 1Pr 1シナリオ1回 自身不可、1シーンn回の特技の使用回数を1回復する 電脳使い サイバーブルーム 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし プリプレイにデッキ1つ取得する(ブルームソファ) バトルデバイス 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 【魔導】+(デッキのスロット数) ウォールクラッキング 3/3 ジャッジ直前 なし 自動 単体 近距離 なし デッキ装備 1シーンSL回、対象の【物防】と【魔防】ジャッジ-15(SL×5) オーバーライド 1/1 ジャッジ後 自動 なし 単体 近距離 1Pr デッキ装備 1シーン1回、命中判定後に使用する、Fでも可能、【絶対命中】にする ロールバック(秘技) 1/1 イニシアチブ 自動 なし 単体 近距離 1Pr デッキ装備 1シナリオ1回、対象の戦闘不能を解除しHP1、行動0で行動済みにする 一般 能力値UP:筋力 1/3 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 筋力能力値を+2(SL)する 能力値UP:器用 2/3 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 器用能力値を+2(SL)する 能力値UP:感覚 3/3 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 感覚能力値を+3(SL)する 能力値UPⅡ:感覚 3/3 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 感覚能力値を+3(SL)する 魔装剣 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし 魔装装備 物理攻撃の命中+1 シャープシュート 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし 器用10 射撃の物理攻撃の【物攻】ジャッジ+3 ハイパーセンス 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし 感覚10 【命中】と【魔導】+1 アサルトシンク 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし アバターの【物攻】+1 ビックマジック 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 近接防衛型の【記憶】+2【魔攻】+2【行動】-1 ビックマジックⅡ 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし <伝家の術式>で選んだ魔装の【記憶】+2【魔攻】+2【行動】-2 アルターリバイブ 1/1 クリンナップ 自動 なし 自身 なし 10MP 1シナリオ1回 治癒力(アバターの記憶)でHPを回復する アイテム ティアマトー 1/1 常時 自動 なし 自身 なし なし なし 射撃(砲)の命中ジャッジ+1 ロンギヌス戦闘制服 1/1 クリン 自動 なし 自身 なし なし なし 1シナリオ1回、治癒力20で回復ジャッジ キャンペーン専用 愛撫:尻 5/5 メジャー 命中 なし 単体 器用 なし なし 【器用】+5(SL)で命中、【意思】で回避、勝利時に(SL×10)点の【魔法力】を失う、【魔法力】0で【絶頂】 衣服攻撃 1/1 メジャー 命中 なし 単体 武器 なし 着衣所持 《着衣》を破壊し1シーン中は【行動値】ジャッジ-10 トランスエイジ 1/1 メジャー 命中 なし 単体 近距離 5MP なし 魔法攻撃を行い、ダメージの変わりに対象の肉体年齢を変更する ペトリフィケーション 1/1 メジャー 魔導 なし 単体 近距離 20MP 1シーン1回 【魔導】-5で魔法攻撃を行い、ダメージの変わりにBS固化を与える エクスタシー 4/5 メジャー 魔導 なし 範囲選択SL 近距離 10MP 催淫5以上のみ 【魔導】-5で魔法攻撃を行い、ダメージの変わりに【絶頂】を与える 【装備】 装備重量上限[【筋力】+CL] 28 魔装記憶上限[【意思】+CL] 24 名称 種別 重量 命中 回避 魔導 魔攻 物攻 魔防 物防 行動 射程 部位 備考 SAシールド 白兵(盾) -1 5 -4 1 【物防】と【魔防】ジャッジ+5 スターマグナム 射撃(銃) -1 13 -1 近 2 1シナリオ3回 超ロングレンジライフル 射撃(砲) -1 22 -4 遠※ 5 魔法ダメージ ロンギヌス戦闘制服 防具 1 +5 +7 -1 衣服 エンジェルシードⅡ 防具 18 -2 -5 +4 11 11 -12 他 スロット:8 ブルームチェア 防具 9 -2 -2 +2 +2 +4 +1 -6 他 スロット:5 近接防衛タイプ 虚 11 -1 -2 12 +4 +6 -7 近 他 ビッグファイター 射魔 4 +2 +2 +1 +2 +3 +1 +1 オ 回避でCなら達成値+3、スロット:2 合計 -5 -6 +1 16 29 24 26 -34 【箒】(エンシェルシードⅡ スロット8+1) 名称 スロット 効果 スターマグナム 2 計算済み 超ロングレンジライフル 5 計算済み 増設スロット 0 スロット+1 パラディンウォール 2 カバー時の【防御】と【魔防】ジャッジ+5 【箒】(ブルームチェア スロット5+1) 名称 スロット 効果 SAシールド 1 計算済み アバターデバイス 0 アバターを電脳世界以外でも装備可能 Dアース 1 アバターを装備中ならダメージ軽減+2 外道祈祷書 1 計算済み、【魔導】+1、【魔法力】+5、【行動】-2 増設スロット 0 スロット+1 ヒーリングデバイス 1 【治癒力】ジャッジ+3 ライフタンク 2 自分のHP回復の【治癒力】ジャッジ+5 【アバター】(ビッグファイター スロット2) 名称 スロット 効果 ハイレゾリューション 1 記憶+1、【物防】と【魔防】ジャッジ+3 ターゲットカスタム 1 記憶+1、【魔導】+1 【未装備】 フライトシューター タイプエクステンド:魔法 【所持品】 名称 種別 個数 効果 MPヒールポーション P 1 MPを0回復する HPヒールポーション P 2 HPを0回復する アンチパラライズ P 1 マヒを回復する アンチポイズン P 1 邪毒を回復する 情報ソース:調査 S 2 情報収集を【感知】で行う 【設定】 紅き月の巫女事件の第1の柱の巫女であるナターシャの異母姉妹の実姉。 ナターシャとは違い、夢使いの力はなく、変わりに蝋を自由自在に生み出し操れる異能者。 蝋によって自らの衣装や分身などを生み出し操る力をもつ。 夢使いの力をもっていなかった為に父の家から母と一緒に追い出され、母は病死し、その後は全てが投げやりになり性格が歪む。 性格が歪んでからはトップアイドルとしての表の顔と自分の年齢を変えて売春ブローカーや情報屋として裏で行動をする。 今でも父の家を恨んでいて、とくに夢使いの才能を持つ妹のナターシャや紅き月の巫女事件の関係者に対して強い憎しみを持つ。 一方で変質的なレズビアンでアイドルやウィザード・魔王ですらも性対象と見ており、着替えさせたりHしたいと思っている。 また男性に対しては調教の際の道具としか思ってない。 リオンには鉄道グッズの提供や七罪の宝玉探索の際に情報を与えている。 【外見】 体型:168cm 巨胸・巨尻・口に白桃色のリップ 髪:銀色のウェイブがかかったポニーを右肩に垂らす 瞳:にこにこした開いた瞳の灰色の瞳 インナー:銀色のラバースパッツと下乳を露出した銀のラバータートルネックチューブトップ 服:灰色のポンチョ(首に銀の大きな鈴)と胸元をあけたコート状のアイドル風純白のロングドレス 手:灰色のシルク手袋 足:灰色のニーソックスブーツ 武器:周囲に浮かぶ大小様々の白蝋の玉と蝋の地面と服からにじみ出る蝋 【セッション履歴】 1話:15点 2話:10点 3話:10点 4話:20点 5話:15点 6話:10点 7話:10点 8話:10点 9話:10点 10話:15点 11話:10点 12話:10点 【成長履歴(Lv)】 1Lv:バリアントウォール2・ブリンガー2・能力値UP感覚2 [[2Lv]]:バリアントウォール3・バリアントフィールド 3Lv:ヘヴィメタル1・異能者を同調者にCC [[4Lv]]:ゲームメイカー1・箒騎士をアイドルにCC 5Lv:ゲームメイカー2・メディウムカバー 6Lv:ゲームメイカー3・デスオーダー1 7Lv:フェイバリットコーデ・ファイトソング 8Lv:仮面剥奪・電脳使いにCC 9Lv:バトルデバイス:魔導・デスオーダー2 10Lv:オーバライド・デスオーダー3 11Lv:シルエットオーダー・ワールドルーラー 12Lv:チェイスオーダー1・ロールバック 13Lv:チェイスオーダー3 14Lv:ウォールクラッキング2 15Lv:ウォールクラッキング3・世界記憶Ⅱ(小さな奇跡) 16Lv:スプリットメディウム1・世界記憶(驚天宝貝) 17Lv:スプリットメディウム3 18Lv:スマッシュオーダー2 【成長履歴(経験点)】 入手:165点 使用:155点 未使用:5点 5点:魔装剣 5点:ハイパーセンス 5点:アサルトシンク 5点:アルターリバイブ 5点:能力値UP筋力1 5点:能力値UP感覚1 10点:能力値UP器用2 30点:能力値UPⅡ感覚3 5点:シャープシュート 5点:ビックマジック 5点:ビックマジックⅡ 2点:ペトリフィケーション 8点:エクスタシー4 10点:愛撫:尻5 10点:ロンギヌス戦闘制服(200万) 10点:ビッグファイター(150万)+ハイレゾリューション(50万) 2点:Dアース(25万)+アバターデバイス(5万)+情報ソース:調査(5万)×2 3点:タイプエクステンド:魔法(20万)+ヒーリングデバイス(15万)+ターゲットカスタム(25万) 5点:外道祈祷書(50万)+増設スロット(40万)+HPヒールポーション×2(3万×2)+アンチパラライズ(2万)+アンチポイズン(2万) 35点:増設スロット(40万)+ライフタンク(60万)+パラディンウォール(200万)超ロングレンジライフル(200万)+スターマグナム(100万)
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/4420.html
NIGHT WIZARD The 2nd Edition Character Sheet キャラクター名:槐 紫苑(さいかち・しおん:妹)/茉莉(さいかち・まつり:姉) PL名:氷神 種族:人間 ワークス:中学生 年齢:14 性別:女 髪の色:濡羽色 瞳の色:茶 肌の色:色白な黄色 身長:158cm 体重:49㎏ (79(C)-58-76) ウィザードクラス:夢使い 5Lv :落とし子 1Lv スタイルクラス :[[キャスター]] 0LV 総合レベル :6LV 未使用LvUP権利0 属性:虚/冥 使用経験点:65 未使用経験点:32 CF修正値:3 プラーナ 内包値:7+3 解放力:3 基本能力値 ベース 成長値 現在値 基本能力値 ベース 成長値 現在値 【筋力】 8 -- 8 【知力】 7 -- 7 【器用】 8 -- 8 【信仰】 4 -- 4 【敏捷】 11 -- 11 【知覚】 8 -- 8 【精神】 7 -- 7 【幸運】 10 -- 10(-5) 【戦闘能力】 :基本値(クラス修正)特殊能力 総合Lv=未装備 + 装備修正 戦闘値 命中値: 8 ( 0+ 0) =【 8】 - 2 【命中】 6 回避値: 9 ( 0+ 1) =【10】 - 1 【回避】 9 攻撃力: 8 ( 0+ 0) =【 8】 + 2 【攻撃】10 防御力: 5 ( 0+ 2) =【 7】 【防御】 7 魔導力: 8 ( 3+ 8) +4 +4 =【27】 + 9 【魔導】36 抵抗力:10 ( 2+ 2) =【14】 【抵抗】14 魔攻 : 9 ( 4+ 3) +3 =【19】 +20 【魔攻】39(72) 魔防 : 4 ( 2+ 2) =【 8】 【魔防】 8 耐久力:20 ( 2+ 2) -2 =【22】 【耐久】22 魔法力:27 ( 5+ 5) +5 =【42】 - 1 【魔法】41 行動値:10 ( 2+ 0) +2 =【14】 - 7 【行動】 7 移動力: 2 ス ウィ 【移動】 2 ■ライフパス 出自:聖痕者 特徴:聖なる傷/【魔攻】+2 【防御】【魔防】-1(基本値修正済) 生活:魔法使い(ウィザードとして訓練され、ウィザードとしての自覚がある) 特徴:魔法知識/ウィザードに関係する情報収集判定に+3 ■特殊能力 名称 :SL:タイミング: 判定値 :難易度: 対象 :射程: 代償 :効果 【汎用】 : : : : : : : : 《月衣》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :所持品を隠せる。マイナーアクションで飛行できる。(代償:1D6MP) 《月匣》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :イノセントを無力化できる 《伝家の宝刀》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :100万×(100万×SL)以下のアイテムをSL個入手(禁書アルカバルカ) 《伝家の術式》 :3: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :100万×(100万×SL)以下の魔法一つ入手(プリミティオブカオス) 《闘気の才》 :3: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :プラーナ内包値+SL 【キャスター】 《魔法攻撃力UP》 :自: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【魔攻】+[CL+3] 《マジックマスタリー:冥》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :冥属性魔法装備時【魔導】+[SL+1] 《サクリファイススペル》 :1: オート :自動成功: なし : 自身 :なし: 1P :発動魔法の代償無視。1シナリオに[SL+2]回まで使用可。 《魔力発動体》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :「種別:攻撃」の発動魔法の命中判定&ダメージロールに+装備修正。 【落とし子】 《完全なる瘴気》 :--: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし:4HP :そのメインプロセスで与えたバットステータスはRのクリンナップまで回復不能。1R1回 《侵魔の血》 :--: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【耐久力】-2 任意の戦闘値+2【魔導】指定 【夢使い】 《現の夢》 :1: イニシア :自動成功: なし : 自身 :なし: 1P :任意の戦闘値をシーン内[SL+2] 1シーン1回 《夢想の姿》 :--: イニシア :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :《現の夢》使用と同時に任意の装備に変更&姿チェンジ 《ブックオブドリーム》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【魔法力】+5 記憶容量+[SL×2] 《ぐるくる》 :1: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし: 4M :そのメインプロセスの【魔攻】の達成値に+SLし、対象に[狼狽]を与える。 《凍月》 :1: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし: 6M :そのメインプロセスの【魔攻】の達成値に+SLし、対象に[捕縛]を与える。 《幻夢奏者》 :--: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし:2M2C:夢使いの特殊能力を最低1つ使用し、マイナーを2回行う 《夢幻の抱擁》 :1: オート :自動成功: なし : 自身 :なし:3M1C:1シナリオに[SL+2]回まで行動以外の戦闘値判定を【魔導】で行う。 《紐ほどき》 :1: オート :【魔導】: 対抗 : 単体 :3Sq: 1P :魔法の使用もしくは攻撃魔装での攻撃に【魔導】で対抗。勝利すると打ち消し。1シナリオにSL回 《夢の摂理》 :--: オート :自動成功: なし : 単体 :5Sq: 5C :C<>F入れ替え 1シナリオ1回 《幻実死》 :1:メジャー : 魔・命 : 対抗 : 単体 :武器: 1P :対象に物理・魔法攻撃を行う。防御側のリアクション達成値を-10し、 1点でもダメージを与えた場合、放心・麻痺・狼狽を与える。1シーンにSL回。 【アイテム】 《禁呪詠唱》 : : 常 時 : : : : : :グレートスペルの効果を[CL+3]に変更し代償にH3を追加 《狂気の知識》 : : マイナー : : : : : :判定値0のジャッジを行い達成値分のMPを回復し、同じだけのHPを失う。シーン1回 《 》 : : : : : : : : ■魔法■魔法記憶容量[【知力】+総合レベル]:15(7+6+2) 名称 :LV:種別:タイミング : 判定値 :難易度:対 象:射 程: 代 償 :効果 リフレクトブースター :3:付与: オート :自動成功:な し:自 身:な し: 3MP :【行動値】+[【魔導】-13] プリミティオブカオス :6:攻冥: メジャー :絶対命中: 対抗 :単 体:6Sq:31M5C:未装備【魔攻】+33 1点でも通れば重圧。 1シナリオ1回。 (ヴォーテックスT) :4: : : : : : : : ■武装■重量上限[【筋力】+総合レベル]:12 ■魔装■装備可能レベル合計[【知力】+総合レベル]:13 【武装】 名称 :種別:部位:重量:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 呪刻 :本 :両手: 2:-1: : 2: : 3: : 3:-2: : : : : :禁書アルカ=バルカ マジカルリボン :防具:頭部: 1: : : : 1: : : 2: 2: : : : : : 喪服(ダンガルド製黒ローブ):防具:衣服: 2:-1: : : 1: 2: 1: : 2: : :-2: : : 外道祈祷書 : 他 :携帯: 1: :-1: :-2: 2:-1: 3:-2: : 10:-1: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 小計 : : 6:-2:-1: 2: 0: 7: 0: 8: 0: : 10:-3: : : 【魔装】 名称 :種別:部位:LV:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 カースドール :攻冥: : 3: : : : : 0: :12: : :- 8:-4: :2Sq:物理ダメージとなる。 ウィッチエンブレム :付与: : 5: : : : : 2: : : : :- 3: : : : 小計 : : 8: : : : : 0: :12: : :-11:-4: : : :命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 合計 : :-2:-1: 2: 0: 9: 0:20: 0: : -1:-7: : : ヴォーテックストライデント :攻冥: : 4: : : : : 0: :10: : :-12: -10: :4Sq:3体まで同時に対象とする。1R1回。 ■所持品■月衣収納上限[【筋力】×2+総合レベル]:19 名称 :重量:効果 スマート0-Phone : 0:携帯電話。《モバイルシステム》どこでもアイテム購入可 《メモリ領域》 MUGEN-KUN : 0:キャッシュカード 幸福の宝石 : 0:Fを打ち消し。1シナリオ1回 外道祈祷書 : 1:【幸運】-5 : : 残固定化P:190,200 ■設定 幼くして覚醒したウィザード…というよりも、 産まれるべくして産まれ損ねた“双子”の姉が裏界の魔王の“悪戯”で魂のみを現世に留めてしまった為、その存在と感応する事で目覚めた魔法使い。 “姉”はその存在故にか裏界との感応を起こしやすく、世界が脆く壊れやすい事を含めた真実を囁いて来る事も多く、 いっそ呪いとも言えそうな内容ですらも幼い頃から耳にし続けていた。 結果、年齢不相応に大人び、少女の潔癖さと妖女の怠惰を併せ持つ存在へと成ってしまっていた。 そうした事実から世の綻びを産む事に長け、逆にその世界結界の綻びを利用する術すらも身に着けていたのだが、 その“夢”を繰る能力は姉はその存在からして近く、長けており、能力を扱う時等、時折体を“明け渡す”事でその行使を容易にしている。 “姉”の側は年齢非相応の残酷性と妖艶さを兼ね備えてしまっており、纏う雰囲気も魔に拠る物。 “姉”の声は幽霊、と呼称できそうな存在故、聞こえる人と聞こえない人がおり、その才覚はウィザードかどうか、を問わない。 つまりウィザードでも聞こえない人には聞こえず、聞こえる人へは聞こえる、といった具合。 そんな珍妙なウィザードではあるがその能力行使を最初に覚えたのも魔王ベール=ゼファーからの手解きによるもの、という変り種。 だがアンゼロットに招かれ我妻市へと赴く頃を境に干渉頻度は減じており、時折思い出したかのように姿を見せてくる程度。 年齢にしては育っているのか育っていないのか怪しい程度の発育であり、衣服によって印象が変わる柔らかさ。 長く伸ばした髪は下ろせば背中を過ぎる程度はあり、柔らかな毛質故に風を孕むとふわりと舞う。 産まれの悪戯で刻まれた刻印は両手甲と左胸に刻まれた月の意匠。 また、姉はより濃厚な痕として眼球そのものが爬虫類じみた瞳孔を持つ事となり、“姉”に意識を渡した後の体は金色の蛇眼へと変質する。 刻印の影響なのか、はたまた生来の嗜好なのか『月光嗜好症』を自認する程に月光浴が好きであり、 それを歪にする赤い月は嫌う、故にフォートレスクラックなどの大きな目的の一つが「赤い月をひっこめること」 私服は喪服じみた黒を好み、シックと地味をぎりぎりの綱渡り。 唯一装飾と言えるのは魔を刻んだリボンであり、それはレースに縁取られたゴシックロリータの意匠。 “妹”の間はそれでポニーテイルをつくり、“姉”に変じると解き手首へと結ぶ癖。 妹の名前が花関連、と言う事で姉も同じ花からとった名前を自称、茉莉の花言葉は“官能” 妹の方は“追憶” コネクション:関係 ベール=ゼファー :借り(腐れ縁):“姉”の制御を戯れに教えてくれた魔王。“姉”をこうした魔王とは別―――らしい? [[郁咲胡鞠]] :秘密(代 価):不思議と食指が…お試し、と言う事でしたか…/鈍い、っていうのよねぇああいうの、やりづらいったら…… 雪緒・ステンノー :秘密(食 指):姉さんのお気に入り…とでも言うべきでしょうか。半魔、とは…/ダンピールの女の子…脆くてオイシソウ…… 叶 まりか :秘密(食 指):快活な人。年上の…すこし胡鞠さんに似た印象の方。/すこしづつ……堕としてあげないと、ね……? アーシェ :借り :我妻に夢の結界を作った魔王……何というべきか……/随分とすき放題してくれたけれど“ああいうの”なら…得意分野、ね? : : ※対人メモ※ [[天宮瀞]] :勝気な人。活動的な様で少しうらやましくもありますが…/焔使いの女の子…崩れた所も見てみたいわねぇ… シュナ・アンジェルス:理知的な方、有事の手並みは見事でしたが…/ナニカの判らない騎士の子。裏側を覗いてみたくなるわねぇ…? [[我妻 紗璃沙]] :なんというか…消極的なのか如何なのか。自棄、とも…評価の難しい/世界の操り人形さん?玩びたい娘だわ? ルイス=カーティス :一見するだけでしたら良識人、かと思いましたが……/マザコンなのかしらね?随分と懸想を持っているみたいだけれど? 日輪 一 :不可思議な印象を持つまっすぐな方。獲物には恵まれていないのかどうか…/ちょっと撫でたら騒がしくって…ふふ、面白そうよねぇ…? 日輪上総(アロンダイト) :不壊の剣、というだけの事はある様子ですが如何せん発言が……/面白い剣よね?ふふ、あそこまではっきりと欲望を持ってるなんて…? [[深山紅]] :病床の少年がウィザードに、と……長くはないと言ってましたが……/ベルがイラナイって言ってた新しい玩具の子?んふ……お迎え、ねぇ…? [[如月 悠]] :いまいち記憶に薄い方……何か暴れていた様な…/ユメで遊んだ貧乳剣士サン。美味しそうな記憶はあるのだけれど…… 吉良美里 :いまいち記憶に薄い方……大変な目に…?/ユメで遊んだちびっこさん。撮影会してたの、よねぇ……? 如月 汐音 :いまいち記憶に薄い方……音の響きが同じ名前/ユメで遊んだオトコノコ。剣士の子と仲良しだったと思うけれど… : 【セッションボーナス】 経験点45点(燐より移行) キツネさんGMセッション:経験点12点獲得 Lv権利+1 自GM経験点 :Lv権利+1 キツネさんGMセッション:経験点12点獲得 Lv権利+1 自GM経験点 :経験点16点獲得 Lv権利+1 くなーGMセッション :経験点12点獲得 Lv権利+1 【成長記録】 経験点10点消費⇒落とし子→夢使いCC 経験点35点消費⇒伝家の宝刀Lv1 伝家の術式3Lv 闘気の才3Lv 経験点20点消費⇒400万v 夢使いLv1⇒Lv5(魔導+5) 刻印図柄
https://w.atwiki.jp/vipkara/pages/23.html
かわいい 萌 ちょっと、そこの馬鹿犬 ちゃんと書かないとはいい度胸ね ルイズw CV釘宮 ライトノベル【ゼロの使い魔】のメインヒロイン。桃色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ、ヴァリエール家の三女で16歳。身長153サント、スリーサイズはB76/W53/H75と小柄で細身の為、スタイルの良い同性に対してコンプレックスがある。また、細身なのにも関わらず腕っ節が強い。 トリステイン屈指の名門貴族であるヴァリエール公爵家(始祖は王の庶子)に生まれ、トリステイン魔法学院に進学する。学院の進級時、使い魔召喚の儀式で地球人の才人を召喚してしまい、彼を使い魔とする羽目になった。「ゼロのルイズ」の蔑称は、幼少の時から魔法に失敗し続けたため、魔法の才能が皆無であるとされたことから付けられた。だが魔法が使えなかったのは、四系統のメイジとは異なる系統の使い手だったせいであり、幾つかの事件によって「水のルビー」と「始祖の祈祷書」を手にしたことから、「虚無」の魔法に目覚める。彼女の虚無は、ロマリアの教皇ヴィットーリオによると“攻撃”を司るもので、第17巻時点で使える魔法は「爆発(エクスプロージョン)」「解呪(ディスペル)」「幻影(イリュージョン)」「瞬間移動(テレポーテーション)」。強力な破壊力と威力を持つ一方、初歩の魔法でさえすぐに精神力が尽きるほど消耗が激しい。虚無に目覚めた後は、簡単なコモンマジックは使えるようになっている。 可愛らしい外見とは裏腹に、気位とプライドは非常に高い上、短気で癇癪持ちで気難し屋という厄介極まりない性格。また泣き虫という子供っぽい一面も見せる。出来の良い姉たちの存在や、魔法を使えないなどの理由から両親から全く期待されていなかったと思い込み、強いコンプレックスを抱いていた。そのため、他人に認められたいと思うあまり、物語開始当初は無茶をすることが多かった。第6巻では家族の反対を押し切ってアルビオン討伐の遠征軍に参加してもいる。しかし、その後は無茶をするのも貴族としてのプライドよりも仲間のためを理由にするようになりつつあり、第10巻ではアンリエッタに貴族の身分を返上し、ガリア王国へタバサを救出に向かった。第11巻でのトリステイン帰国後、タバサを救出したことにより、アンリエッタの義理の姉妹となり第2の王位継承権を得ている。 最初は才人のこともただの使い魔としか見ていなかったが、共に戦い続けて行く中で少しずつ惹かれていき、彼のことを1人の異性として強く意識するようになっていく。ただし独占欲と嫉妬心が強いため、才人が自分を馬鹿にしたり、他の女性と仲良くしたりするとキツイ罰を与えることから、才人には「こんな女と結婚したら大変だ」と思われている。現在では才人に依存している面が目立ち、才人に「自分がいなくなったら死んでしまうのではないか」と思われてしまうほどである[1]。第13・14巻で、才人が母親からのメールに涙を流しているのを見て「才人のために何かしてあげたことがあっただろうか」という思いに駆られ、「アクイレイアの聖女」になることの対価に、ヴィットーリオに世界扉を開かせて才人を地球に帰すことを決意したが、結局才人は帰郷しなかった。第16巻で屋敷の地下室で密会した才人とアンリエッタを偶然目撃し、自分が消えればみんな幸せになれると思い、家出した。第17巻後半で才人と合流し、元素の兄弟の次男を雑魚扱いするほどになった。。 好きな食べ物はクックベリーパイ[2]。趣味は編み物だが、かなり下手。特技は乗馬。嫌いなものはカエル。アンリエッタの幼少時の遊び相手で、彼女が女王となった今でも友人として想われている。しかし、ルイズはアンリエッタがいつも自分の人形を借りてはすぐに飽きるのを根に持っていたことが第17巻で明かされている。才人に「姫様は飽き性だからすぐに捨てられる」と言って、アンリエッタと喧嘩になった。キュルケとは顔を付き合わせれば憎まれ口を叩きあうが、陰湿な要素は無く、悪友とも言える関係である。 作者のあとがきによれば、『ダルタニャン物語』にも登場する実在の人物、ルイーズ・ド・ラヴァリエールをモデルにしており、片足が不自由という身体的ハンディキャップを負いながらも誇りを持って己の生き方を貫く、その姿勢を見習っている。 ――――引用 wikipedia ゼロの使い魔の登場人物 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールより ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルイズルイズルイズぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ルイズ・フランソワーズたんの桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! 小説11巻のルイズたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! アニメ2期決まって良かったねルイズたん!あぁあああああ!かわいい!ルイズたん!かわいい!あっああぁああ! コミック2巻も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら… ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハルケギニアぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のルイズちゃんが僕を見てる? 表紙絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!ルイズちゃんが僕を見てるぞ!挿絵のルイズちゃんが僕を見てるぞ!! アニメのルイズちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはルイズちゃんがいる!!やったよケティ!!ひとりでできるもん!!! あ、コミックのルイズちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあアン様ぁあ!!セ、セイバー!!シャナぁああああああ!!!ヴィルヘルミナぁあああ!! ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルケギニアのルイズへ届け!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6880.html
前ページ次ページ虚無のパズル トリステイン軍の立てこもるラ・ロシェールの街に向け、何百発もの砲弾が撃ち込まれた。 敵軍の艦砲射撃である。 アルビオン艦隊は、静々とこちらに向け行進してくる『レコン・キスタ』の軍勢の上空から、休みなくカノン砲を打ち込んできた。 重力の後押しを受けた砲弾が、トリステイン軍を襲った。 ラ・ロシェールの街を包む『天然の要塞』と呼ばれる峡谷が、砲弾の雨によってみるみる削られていく。 「あの距離から、砲撃が届くというの……?」 アンリエッタは、敵の艦隊が積む、新型の大砲の威力に青ざめた。 岩や馬や、人が一緒くたになって舞い上がる。圧倒的な力を前にして、味方の兵が浮き足立つ。辺りを轟音が包む。 「落ち着きなさい!落ち着いて!」 恐怖を押し隠しながら、アンリエッタは精一杯平静に見えるよう取り繕って、叫んだ。 隣に控えるマザリーニに小声で尋ねる。 「マザリーニ、なにか手はないのですか?」 マザリーニは素早く近くの将軍たちと打ち合わせた。 マザリーニの号令によって、トリステイン軍のメイジたちは、岩山の隙間の空に幾層もの空気の壁を作り上げた。 砲弾はそこにぶち当たり、砕け散った。 しかし、何割かは防ぎきれずに、空気の層を突き抜けて飛び込んでくる。 そのたびにあちこちで悲鳴が上がり、砕けた岩と血が舞った。 マザリーニは呟いた。 「この砲撃が終わり次第、敵は一斉に突撃してくるでしょう。とにかく向えうつしかありませんな」 「勝ち目はありますか?」 マザリーニは、砲撃によって兵のあいだに動揺が広がりつつあるのを見届けた。勢い余って出撃したが……、人間の勇気には限界がある。 しかし、忘れかけていた何かを思い出させてくれた姫に、現実を突きつける気にはなれなかった。 「五分五分、と言ったところでしょうな」 着弾。辺りが地震のように揺れる。 マザリーニは、痛いくらいに状況を理解していた。 敵は空からの絶大な支援を受けた三千。我が軍は、砲撃で崩壊しつつある二千。 勝ち目は、ない。 「なんで当たらないのッ!なんでッ!」 ルイズは焦った声で叫んだ。 五騎目の竜騎士を落としてからというもの、突然こちらの魔法が当たらなくなっているのだ。 先ほどまで、風竜のスピードと、軌跡の読めないルイズの魔法に翻弄されていたはずのアルビオン竜騎士隊は、一糸乱れぬ陣形を組み、逆にルイズたちを追いつめていた。 ルイズが呪文の詠唱を始めると、すかさず火竜のブレスが打ち込まれる。 ルネはブレスを避けるために、風竜の身体を右に左に大きく旋回させるので、ルイズは狙いを付けられない。 「こんなところで、足止め食らってられないのに……、あの艦を、止めないといけないのに……!」 ルイズは忌々しそうに背後の艦隊と、旗艦『レキシントン』号を睨みつけた。 艦隊は、ラ・ロシェールの街に向け、艦砲射撃を行っている。 ラ・ロシェールには、トリステインの軍勢が……、アンリエッタがいるのだ。 「ルネ!あの艦を追いかけて!」 「無理だよ、ルイズ!囲まれてる!」 ルネは慌てて叫んだ。 いつの間にやら、敵の竜騎士隊は大きく散開し、ルイズたちを取り囲むように陣を組んでいる。 ルイズは歯噛みし、背後に付いた火竜に向かって魔法を放った。 しかし、火竜はすぐさま身を翻し、ルイズの爆発から逃れた。 風竜を取り囲んだ火竜たちがブレスを吐きかける。 ルネはそれを必死で避けたが、避けきれなかった炎は風竜の尻尾の先を焦がした。 ルイズたちは、じわじわと追いつめられていた。 「ルイズ、さっきまでとは敵の動きが違う!もしかして、どこかに司令官が……」 そのとき、ふっとルイズの乗る風竜の上に、影が落ちた。 ルイズは思わず空を見上げる。太陽を覆い隠すように、大きな竜が、ばっさばっさと羽ばたいていた。 よく見ると、それは成体の風竜であった。火竜で構成されたアルビオンの竜騎士隊の中では、異質な存在に見えた。 そして、その背中には長身の貴族が跨がっている。黒いマントと、羽帽子を身にまとった貴族…… 「ワルド!」 ルイズはその貴族の正体に気付くと、杖を振るった。 今までより一回り大きな爆発が巻き起こる。ワルドの風竜はぐんと旋回し、爆発を避けた。 「魔法の軌跡が見えないなら、術者の杖の先を見ればいいのさ。ルイズ、きみの魔法は、もう通用しないよ」 ワルドは素早く呪文を唱える。空気の塊がルネの風竜を打ちすえ、羽を痛めた風竜は、きゅい!と悲鳴をあげた。 「ああ、ベルヴュー!」 「これでその風竜はもう、早く飛ぶことはできないな」 ワルドは残忍な笑顔を浮かべた。 「ルイズ。アルビオンでせっかく拾った命を、また捨てにきたか。一人で竜騎士隊に勝てると、まさか本気で思っていたのかな。『レコン・キスタ』に太刀打ちできると、本気で思っていたのかな。きみも、トリステインの貴族たちも、実に愚かだな」 ワルドはちらりと、トリステイン軍が立てこもるラ・ロシェールの街に視線をやった。ラ・ロシェールの街は、砲撃で崩壊しかかっている。 それから、ふいっとルイズたちに背を向ける。 「待ちなさい!この裏切り者!」 ルイズはワルドの背中に向かって叫ぶ。しかしワルドはもはや、ルイズたちに興味を失ったようだった。 ワルドはルイズたちから離れると、すっと杖を掲げ、振るった。 それを合図に、ルイズたちを取り囲む火竜が、一斉に炎のブレスを吐き出した。 四方から炎が迫り、ルイズとルネは思わず目を瞑った。 ルイズは悔しかった。こんなところで、裏切り者の手にかかって死ぬことが。アンリエッタの力になれなかったことが。シエスタの村を焼き払ったアルビオン軍に、一泡吹かせてやれなかったことが。 ルイズは思わず、手をギュッと握りしめる。 姫さま……、 シエスタ……、 ティトォ……、 アクア……、 キュルケ……、 タバサ……、 ギーシュ……、 父様……、 母様……、 姉様……、 ちいねえさま……、 ごめんなさい。わたしは、ここまでです……。 強い炎の光が、目の前を白く塗りつぶしていく…… 『立て、ルイズよ!』 突然の呼び声に、ルイズはハッと目を見開いた。 辺りは、まばゆい光に包まれている。 それは燃えさかる炎の暴力的な光ではなく、もっと美しく、神々しい輝きである。 ルイズが目を凝らすと、光の中に、一人の男の姿があった。 『そんな戦い方ではだめだ、ルイズよ。私が魔法の使い方を教えてやろう』 ルイズは放心したように、その男の姿を見つめていた。 長く美しい漆黒の黒髪。 異国の服に身を包み。 その面貌は眉目秀麗。 鋭い双眸には知性の光を湛え。 そして…… 「なんだ?なにが起こった!」 ワルドは光から目を庇いながら、叫んだ。 確かに今、ルイズと、ルイズを乗せた竜騎士は、火竜のブレスに焼き尽くされたはずだった。 しかし肉の焦げる臭いも、風竜の墜落する音も聞こえてこない。 それどころか、なんなんだ?この眩しい光は! 見ると、光の中に、一人の長身の男の姿が見えた。 異国の服に身を包んだ男は、ルイズの乗る風竜の前に並び立つように浮かんでいる。 その姿は、まるで…… 「なんなのだ?あの光は、いったい……」 アルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号艦長ボーウッドと、艦隊司令官サー・ジョンストンは、背後からの眩しい光に思わず振り向いた。 タルブの村の上空、竜騎士隊が戦っているあたりで、何かが眩しく輝いている。 水兵たちもその光を振り返り、砲撃の手が一瞬止まる…… 「あれは……?」 突然敵の砲撃の手が緩んだのを見て、空を見上げたアンリエッタは、思わず呟いた。 タルブの村の上空に、強い光が見える。 その光がやがて収まると、そこには空を飛ぶ敵の竜騎士隊と、それから味方のものとおぼしき一騎の竜騎士、 そして宙に浮かぶ、一人の男の姿が見えた。 タルブまでは遠く離れているというのに、なぜかその男の姿だけは、まるですぐ近くにいるように、はっきりと見ることができた。 その神々しい姿は…… 「ああ……、ああ!」 その男の姿を見ると、シエスタは感動し、はらはらと涙をこぼした。 それから、恭しく地面に膝を付き、祈りをささげる格好になった。 村人たちも次々と、手を胸の前で組み、膝を付く。 その男に向かって、タルブの村人全員が、まるで敬虔なブリミル教徒のように、静かな祈りをささげはじめる…… ルイズは放心したように、その男の姿を見つめていた。 長く美しい漆黒の黒髪。 異国の服に身を包み。 その面貌は眉目秀麗。 鋭い双眸には知性の光を湛え。 そして……、 前掛けに刺繍されたパイの絵。 首のチョーカーに刻まれた「ふわっとサクサク」の文字。 天使の輪のように頭上に浮かぶ銀のパイ皿…… ルイズは目の前のその男の姿を見て、いつかに聞いたシエスタの言葉を思い出していた。 ──気まぐれな神です。 いつ降りてくるかも分からない。 どんな天才でも達することのできない域。 パイ職人に突然降りてくる神── 『パイ神・降臨!』 今、ハルケギニアの大地にパイ神が降り立った。 「パイ神様!」 ルイズは思わず叫んだ。 「誰!?」 ルネとワルド、アルビオンの竜騎士隊、アンリエッタにマザリーニにジョンストンにボーウッドにその他大勢は、至極もっともな叫びを上げた。 「ええい、怯むな!撃て、撃てえ!」 竜騎士の一人が叫ぶと、竜騎士隊ははっと我に返り、ルイズとパイ神に向かって次々と火竜のブレスを吐きかけた。 『邪魔だ、下がっておれ!』 パイ神の腕の一振りで、びりびりと空気が震え、凄まじい突風が巻き起こった。 ルイズたちを取り囲んだ竜騎士隊はあっという間に遠くまで吹き飛ばされて、見えなくなってしまった。 『雑魚が……』 「強っ!」 ルネと、アンリエッタ、マザリーニ、ジョンストンにボーウッドにその他大勢は思わず叫んだ。 『さあルイズ、魔法を使うのだ。お前の力はそんなものではない、あの特訓を思い出すのだ』 ルイズは戸惑って言った。 「でもパイ神様、わたし、魔法の特訓なんて……、何度やっても、爆発しか起こらなくって……、原因がわからないから、がむしゃらにやるしかなくって、だからわたし魔法の使い方なんて、ほとんど分かってないんです……」 今の自分の爆発魔法にしたって、ティトォの魔法の副作用のおかげでコントロールが効くようになっただけにすぎない。 結局「なんでもいいから呪文を唱えれば爆発する」というだけの話だ。 他のメイジたちのように、きちんと呪文を理解して、魔法を組み立てるなんてことはしていないのだ。 『なにを言う、ルイズ。お前はしっかりパイ作りの修行をやっていたではないか。それは立派に魔法の鍛錬につながる』 「パイ作りの修行が……、魔法に……?」 ばっ!と羽ばたく音がして、そちらを見ると、ワルドの風竜の姿が見えた。 ワルドは『風』の障壁で、パイ神の一撃に耐えたのだ。 ワルドは血走った目で、ルイズを睨みつけている。 「神、だと?神を呼んだ?ふざけた真似を……、まやかしがッ!」 ワルドはサーベル状の杖を掲げ、風竜を加速させた。 ルネは息を呑み、風竜の手綱を引いた。風竜は反転し、逃げに回る。 ルイズは首を振った。 「だめよ、ルネ。羽を痛めたベルヴューじゃあ、ワルドから逃げることはできないわ」 「わかってる!でも、逃げるしかないじゃないか……」 慌てるルネとは対照的に、ルイズの心は落ち着いていた。 もちろん、ワルドへの恐怖はある。それでも、ルイズはきゅっと口を引き締めると、杖を握りなおした。 パイ真はおごそかに、ルイズの頭上に手をかざした。パァっと、ルイズの体が光りだす。 『今から私が教えてやろう。お前の才能の真の方向を……、力の使い方を──!』 ルイズはこちらに突っ込んでくるワルドの姿を、正面から睨みつけた。 『奴は、お前が倒せ!ルイズ!』 「はいッ!」 ルイズは力強く頷いた。 その声に答えるように、右手の『水のルビー』が激しく光りだし、ルイズの懐から『始祖の祈祷書』が飛び出した。 『始祖の祈祷書』はルイズの頭上に浮かび、ひとりでにページを繰りはじめた。 ばばばっと勢いよくページがめくられる。白紙だったはずの『始祖の祈祷書』は、全てのページに光り輝く文字が現れていた。古代ルーン文字……、始祖の時代の文字である。 ルネは風竜を操りながら、首を回して、その様子を呆然と見つめていた。 ルイズは目を瞑り、低い声で呪文を詠唱していた。こんな状況で、なんて子だ、とルネは思った。 その呪文は、今まで聞いたこともないような響きで、その詠唱は、とても長かった。 びりびりと、空気が震えているのがわかる。大気中に、魔力が満ちている。 『魔力を組み上げよ!今までのように力で強引にではなく、熟練した業で行うのだ!魔法の構築は、天性の才能や強大な魔力だけでなすものではない。ワザで補うのだ!ルイズよ、今ならできる!』 「魔力で強引にではなく……、優しく、繊細に組み上げる……!」 ルイズは、パイ生地作りに似ているな、と思った。 パイ生地作りには、多少の熟練が必要となる。バターを生地に練り込んでしまったり、作業中にもたもたして生地が暖まってしまったりすると、焼き上がりの軽い口当たりが損なわれる。 繊細に、手早く、大胆に……! ワルドはまっすぐ、ルイズたちに向け突撃してくる。ワルドが呪文を唱えると、杖の先に氷の矢が現れた。 いや、それは矢などというちっぽけなものではない。太く、大きな氷の槍。『ジャベリン』だ。 「虚無魔法、初歩の初歩……」 ルイズが呟く。 その瞬間、ワルドは『ジャベリン』を放った。 氷の槍は、背中からルイズの胸を貫き、そのままの勢いで、同乗する竜騎士の少年と、風竜の喉までもを刺し貫いた。 ワルドはにやりと笑い、墜落を始めた風竜を上から見下ろした…… すると、どうしたことか。確かに『ジャベリン』が刺し貫いたはずの風竜の姿が、ゆらりと揺らめいた。 竜の姿は霞のように掻き消え、そこにはなにも無くなった。 「なんだと!」 ばさっ、ばさっ、と羽音が聞こえ、ワルドは振り返った。 ワルドは驚愕に目を見開く。 「……虚無魔法、初歩の初歩。パート・フィユテ※1『イリュージョン』」 そこには、無数の竜騎士が飛び交っていた。その規模は数十騎……、いや、百騎を超えるかもしれない。 ワルドは焦ったが、すぐに奇妙なことに気付いた。 その竜騎士は、みな二人乗りで、おまけにみな羽を怪我しているのだ。 そして、風竜の背中に乗った二人は、全員がルネとルイズだった。 描きたい光景を強く心に思い描くべし。 なんとなれば、詠唱者は、空をもつくり出すであろう。 「幻覚、いや、幻影か!」 ワルドは『エア・カッター』を幻に放った。幻のルイズは、揺らめいて消えた。 しかし、これではきりがない。なにしろ幻は、百騎に近い数があるのだ。 「ならば、まとめて吹き飛ばしてやる」 ワルドの杖の周りを空気が渦巻いた。 空気の渦はどんどん大きくなり、巨大な竜巻となった。 竜巻の尾はついにはるか下方の地面にまで届き、凄まじい風の威力で大地をめくり上げた。 「『カッター・トルネード』!幻ごと吹き飛べ、ルイズ!」 巨大な竜巻が、幻の竜騎士隊に向かって飛んだ。竜巻の間に挟まった真空の層で、幻が切り裂かれる。 幻を飲み込みながら、竜巻はルイズの乗る風竜に向かって突き進んでくる。 ルネはもはやこれまでか、と目を瞑った。 しかしルイズは、すでに次の呪文を唱えはじめていた。 長い長い呪文を、ものすごい早口で唱えている。小鳥のさえずりよりもせわしない。 それを聞いてルネは、よく舌を噛まないなあ、などと、この絶体絶命の状況に似つかわしくない、とぼけたことを考えていた。 竜巻はますます勢いを増し、ついにルイズたちの目の前に迫ってきた。 その瞬間、ルイズの呪文が完成した。 「虚無魔法、初歩の初歩。フィユタージュ・ラピド※2『ディスペル・マジック』!」 ルイズは巨大な竜巻に向け、杖を振り下ろした。 荒れ狂う竜巻は光に包まれ、消し飛んだ。 「ばかな!」 ワルドは狼狽した。 『カッター・トルネード』は、この世でもっとも強力な呪文の一つ、スクウェアスペルだぞ! それをこうもあっさりと消し飛ばすとは……? 吹き飛んだ竜巻の中に、影が見えた。 それは、一騎の竜騎士だった。 竜の背中に乗ったルイズが、こちらにぴたりと杖を向けている。 「おおぉぉのれえええええ!!」 ワルドは激昂し、叫んだ。ルイズが小さく呪文を呟くと、ワルドの目の前が爆発した。 ワルドは風竜の背中から振り落とされ、まっすぐ地面に落ちていった。 ワルドとの戦いを終えて、ルイズはふうっと息を付いた。 いまワルドに向けて唱えたのは、『発火』の呪文。『火』系統の初歩の呪文だ。 しかし魔法は成功せず、爆発を巻き起こした。 ルイズはいつも、自分が呪文を唱えると、爆発していたことを思い出した。 そのたびに、意地悪なクラスメイトたちや、教師たちは『失敗』と言って笑った。 しかし、あれは……、失敗などではなかったのではないだろうか。 そう、あれは。 ルイズの頭上に浮かぶ『始祖の祈祷書』は、ページを繰るのをやめ、あるページを開いたまま止まっていた。 そこに書かれている文字は…… 以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を記す。 初歩の初歩の初歩。『エクスプロージョン(爆発)』 『虚無』。 それは、伝説の系統の名前。 ルイズは16年間目覚めなかった、自身の魔法の系統を理解した。 そして、この力があれば、アンリエッタを助けられるかもしれないこと、アルビオン軍を退けることができるかもしれないということにも、気付いた。 頭の中が、すぅっと冷静に、冷めていく。『始祖の祈祷書』を読むまでもなく、呪文のルーンが、まるで何度も交わした挨拶のように、自然と頭の中に浮かんだ。 やれるのか? いや、やるしかないんだ。 やってみよう。 ルイズはきっと、空に浮かぶ大艦隊を見つめた。 「ルネ、ベルヴューをあの巨大戦艦に近付けて」 「へっ?」 墜落する敵の竜騎士隊の大将・ワルドを、信じられないといった顔で見ていたルネは、急に声をかけられて、まぬけな返事を返した。 「いいから、あの艦に近付くの!」 ルイズは断固とした口調だ。 断ったらダメな雰囲気である。というか、今まさに、戦の追い風を背に受けているように感じられた。 ルネは相棒の風竜を見やった。 『風』の魔法で羽を痛め、身体のあちこちにブレスで火傷を負った、痛々しい格好だ。 しかしルネが見ているのに気付くと、風竜は、きゅい!と力強く鳴いてみせた。 「そうか……、よし、頼むぞ、ベルヴュー!もう少しだけ頑張ってくれ!」 ルイズとルネを乗せた風竜は、敵の旗艦『レキシントン』号に向かって羽ばたいた。 エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ ルイズは低く詠唱を始めた。 ルイズの中を、リズムが巡っていた。懐かしさを感じるリズムだ。 呪文を詠唱するたび、古代のルーンを唱えるたびに、リズムは強くうねっていく。 体の中に波が生まれ、それがさらに大きくうねっていくような感覚。 神経は研ぎすまされ、周りの雑音は一切耳に入ってこない。 オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド 『レキシントン』号に近付く風竜に向け、砲弾が飛んでくる。 左舷にも、船の真下にも砲身は突き出ていた。『レキシントン』号は、まるでハリネズミのように大砲を装備していたのだ。 ルネは『レキシントン』号に近付くことができずに、周りを飛び回ったが、やがて死角を見つけた。 艦の真上には、大砲を向けられないのだ。 ルネはすぐさま風竜を上昇させ、『レキシントン』号の上空に占位した。 ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ 長い呪文を唱えるうちに、ルイズは『エクスプロージョン』の威力を理解した。 巻き込む。全ての人を。 自分の視界に映る、全ての人を、物を、『エクスプロージョン』は巻き込む。 破壊すべきは何か。 何を殺すのか。何を殺さぬのか。 選ばなければいけない。 間もなく、呪文は完成する…… ジェラ・イサ・ウンジュー…… その時だった。 ぞくり、と背筋に寒いものを感じて、ルネは空を見上げた。 何かが、空の上から落ちてくる。 その『何か』は、ばたばたとマントを風になびかせて、ルネとルイズの乗る風竜の上に、ずだん!とすごい勢いで落ちてきた。 その衝撃で、風竜はきゅい!と悲鳴を上げた。 風竜の上に降り立ったのは、人間だった。羽帽子を被った、長身の貴族。 それは、先の戦いで墜落したはずのワルドであった。 その姿を見ると、ルネはほとんど反射的に、腰に差したサーベル状の杖を抜き放った。 しかし、ワルドは閃光のごとく杖を引き抜き、ルネの杖を切り裂いた。 返す刀で腕に斬りつけられ、ルネは小さくうめいた。ワルドは、そのままルネを竜の背中から蹴り落とした。 ルネの相棒の風竜が、慌てて投げ出されたルネの足を掴む。 ワルドは、杖に風の魔法を纏わせながら、ゆっくりとルイズに振り向いた。 ルイズは目を閉じ、集中している。ルイズの口からは低い詠唱の声が漏れ続けている。 「危ない、ルイズ!『遍在』だ!」 ルネの必死の叫びに、ルイズは目を開ける。視界に飛び込んできたものは、爬虫類のように冷たく光る目で、杖を振りかぶるワルドの姿だった。 ワルドはルイズの喉を狙って、杖を繰り出した。 ルイズは危ういところで、ワルドの一撃を避けた。杖の切っ先が、ルイズの首の薄皮を切り裂く。 そのままワルドはルイズに体当たりを食らわせる。ルイズは、げほっと息を吐いた。 一瞬ルイズの集中が途切れ、詠唱が中断された。 その瞬間、ルイズの杖の先に光の玉が現れた。光の玉はみるみる大きくなり、全てを包み込んでいく…… アンリエッタは、信じられない光景を目の当たりにした。 今までさんざん自分たちに砲撃を浴びせていた巨艦の……、上空に光の玉が現れたのだ。 まるで小型の太陽のような光を放つその玉は膨れ上がり、空を遊弋する艦隊を包み込んだ。 さらに光は膨れ上がり、視界全てを覆いつくした。 アンリエッタはとっさに目を瞑った。 目が焼けると錯覚するほどの、凄まじい光であった。 そして……、光が晴れたあと、艦隊は炎上していた。 巨艦『レキシントン』号を筆頭に、全ての艦の帆が、甲板が燃えていた。 あれだけトリステイン軍を苦しめた艦隊が、まるで嘘のように、がくりと機首を落とし、地面に向かって墜落していく…… 「な、なにが!なにが起こったというのだ!」 地響きを立て、次々と地面に激突する艦隊を見て、アルビオン艦隊司令官サー・ジョンストンは悲鳴を上げた。 伝令が泡を食って報告する。 「も、申し上げます!艦隊は帆を焼かれております!現在乗組員たちが必死で操舵しておりますが、体勢を立て直せません!」 「ばかな。乗組員を傷付けず、艦だけを燃やしたというのか……?」 『レキシントン』号艦長ボーウッドは、呆然として呟いた。 伝令が矢継ぎ早に、被害状況を報告していく。 二番艦以下、全ての戦列艦の『風石』が消滅。 三番・五番艦、不時着に成功。七番艦、撃沈。乗組員は『フライ』で脱出。 『レキシントン』号も、ほとんどの風石を焼き尽くされ、なんとか浮かんでいる状態である。 巨大な『レキシントン』号は、残った風石をみるみる消費していく。このままではいずれ、他の戦列艦と同じように船体を大地に沈めることになるだろう。 もはやこれまで。ボーウッドは、艦隊の敗北を悟った。 ボーウッドは乗組員たちに、脱出の指示を出しはじめた。艦内が騒然となる中、サー・ジョンストンは椅子に腰かけたまま、ぶつぶつとなにごとか呟いていた。 「ばかな……、クロムウェル閣下から預けられた艦隊が、全滅……?こんなことがあってたまるか……、神……、神の奇跡……?これが、そうだというのか?いいや、認めぬ!断じて認めぬぞ!」 ジョンストンは立ち上がると、操舵手のもとに駆け寄り、舵を奪った。 操舵手は突き飛ばされ、床に倒れる。 「サー、何を!」 ボーウッドは、尋常ならざるジョンストンのようすに叫んだ。 「何をだと?決まっている。このような無様で、クロムウェル閣下の『レキシントン』号を沈めてなるものか!」 「無茶を!もはや『レキシントン』号の風石は残りわずか!艦の沈没は避けられませぬ!サー、早く脱出を!」 ジョンストンは、血走った目で振り返った。口の端を吊り上げ、狂気じみた笑みを浮かべる。 「そうだな。きみの言う通り『レキシントン』号は沈む。だが、ただでは沈まぬぞ。この艦には、火薬と砲弾がしこたま積まれているのだ」 ボーウッドは、はっとなった。 「そうとも!ラ・ロシェールの街に、トリステインの軍勢の頭の上に、『レキシントン』号を墜としてやる!」 アルビオンの艦隊が次々と墜落する中、巨艦『レキシントン』号は、ゆるゆると動き出した。 竜の腕にぶら下がったルネを引き上げるのを手伝いながら、ルイズはそれを見ていた。 はじめ、ルイズは『レキシントン』号もまた、墜落を始めているのだと思った。 しかし、巨艦の進む先を見て、ルイズは青ざめた。 「大変」 ルイズはからからになった喉から、なんとか音を絞り出した。 やっとのことで風竜の背中によじ上ったルネに、掴みかかるようにして叫ぶ。 「ルネ、あの艦を追いかけて!連中、艦をラ・ロシェールに墜とすつもりだわ!」 ルネはそれを聞くと、顔色を変えた。 慌てて手綱を操り、風竜を全速力で『レキシントン』号に向かわせる。 ルイズは、心の中で悔しそうに呟いた。 仕留めきれなかった。 最後の瞬間、ワルドの『遍在』に呪文の詠唱を中断された。 不完全な状態で放たれた『エクスプロージョン』は、『遍在』を消し飛ばし、アルビオンの艦隊のほとんどを沈めたが、一番巨大な『レキシントン』号を沈めることができなかったのである。 見ると、『レキシントン』号から、ばらばらと『フライ』の魔法をかけたボートが飛び出しているのが見える。乗組員が脱出しているのだ。 『レキシントン』号は、まっすぐトリステイン軍の立てこもるラ・ロシェールの街に向け、墜落していく。 今度は、外さない! 「エオルー・スーヌ・フィル……」 ルイズは集中し、ふたたびルーンを唱えはじめた。 しかし。 「ヤルンサクサ……」 ルイズはふっと気が遠くなるのを感じた。慌ててぶんぶんと頭を振り、正気を保とうとする。 しかしルーンを一語唱えるたびに、ルイズの頭はずぐんずぐんと痛み、意識を保っていられない。 まさか。 精神力が、切れかかっている……! そう、『イリュージョン』『ディスペル』に続けて、あれほど強力な『エクスプロージョン』を放ったのだ。魔法を使うのに必要なルイズの精神力は、ほとんどゼロになっていた。 どんな強力な魔法も、術者の精神力がなければ、使うことはできないのである。 「ルイズ!どうしたんだ?」 異変に気付いたルネが、ルイズに声をかける。 「オス……、スーヌ……!」 ルイズはそれには答えず、身体中の気力を総動員して、ルーンをゆっくりと唱え続ける。 しかし、限界だ。 「ウ……、リュ」 急に、ルイズの全身からがくっと力が抜けた。同時に、『レキシントン』号の右舷に小さな爆発が起こる。 ルイズの残りの精神力を全てを使った『エクスプロージョン』だった。 ルイズは絶望した顔で、ラ・ロシェールに墜ちゆく『レキシントン』号を見つめていた。 そんな。 そんな。 ここまでなの? やっと、力を手に入れたのに。 姫さまを、助けられると思ったのに。 大事な人を守らなきゃいけないのに、なにもできない……、やっぱり、わたしは。『ゼロのルイズ』のままなの……? 精神力を使い果たし、ルイズの意識が遠くなっていく。 薄れゆく意識の中で……、ルイズは、パイ神の声を聞いた。 『大丈夫だ、ルイズ。そのためにお前には……』 ラ・ロシェールに向け墜落してくる巨艦に、トリステインの軍勢はパニックになった。 枢機卿マザリーニと将軍たちにより、速やかに退避命令が出されたが、峡谷に囲まれたラ・ロシェールの道は狭い。 退避は、間に合わない。 アンリエッタは混乱する軍の中、思わず始祖への祈りの言葉を呟いていた。 その時、アンリエッタは退避する軍の中、逆にこちらに向かってくるものがいるのに気が付いた。 カバだった。 背中に小柄な人間を乗せたカバが、土煙を上げ、こちらに向かってくる。 カバはアンリエッタの目の前で急停止すると、背中に乗せた人間を降ろした。 それは、青い服に身を包み、長い栗色の髪をふたつ括りにした、吊り気味の大きな目をした、小さな女の子だった。 「よーしよし、ご苦労さん」 少女はそう言って、カバを撫でてやる。少女の右手に刻まれたルーンが、ぼんやりと光っている。 アンリエッタは混乱して、言った。 「こ、子供?どうして子供がこんなところに?」 「子供じゃないよ」 少女は袖から棒付きのアメを取り出すと、ぺろりと舐めて、言った。 「大魔導士、アクア様だ!」 『そのためにお前には、友がいるのだから──』 アクアは、こちらに向かってくる『レキシントン』号の前に仁王立ちになった。 腕を振ると、大きな袖からばらばらとアメ玉が飛び出す。 「なんだか知んないけど、もうほとんど終わってんじゃないさ。ルイズの奴、ずいぶん派手にやらかしたね」 アクアはそうこぼしながら、手を振る。大量のアメ玉がぼうっと光り、アクアの周りを飛び回った。 キン、キィン、とかん高い音があたりに響いた。空中で、アメ玉同士がおはじきのようにぶつかりあっているのだ。 弾かれるたびにアメ玉の光は強くなり、魔力が大きくなってゆく。 アクアはニヤリと笑みを浮かべた。 「まっ、あたしの見せ場も残ってるみたいだからね。派手にぶちかますよ!」 アメ玉の魔力はどんどん膨れ上がる。アクアはその魔力を、狭い範囲に集中させた。 魔力がびりびりと空気を揺らし、アンリエッタは思わず顔をかばった。 そうしてアクアは、巨大な魔力の塊をつくり出した。 その形は、まるで巨大な槍。氷の魔法『ジャベリン』を思わせた。 だが、その魔力の槍は『ジャベリン』よりもずっと大きく、強力で、危険な輝きを放っていた。 ラ・ロシェールの峡谷を、すうーっと長い影が覆った。いよいよ『レキシントン』号が、ラ・ロシェールに墜ちてきたのだ。 ラ・ロシェールの空一面を、巨大な戦艦が覆いつくす。 アクアは、ぐんっと魔力の槍を『レキシントン』号に向け持ち上げる。 「闇よ煌け」 ばちっ、と空気が弾けた。 「マテリアル・パズル、スパイシードロップ……『ブラックブラックジャベリンズ』!」 凄まじい輝きと共に、破壊の槍が放たれる。 膨大な魔力が『レキシントン』号を呑み込み、巨大戦艦は跡形もなく消滅した。 アンリエッタは、雲ひとつない空を見上げ、しばし呆然とした。 空を覆っていた巨大戦艦はチリ一つ残さずに吹き飛び、見渡すと、地面に滑り落ちた艦隊と、『レキシントン』から脱出した空飛ぶボートが降下していく様子が見えた。 はっと我に返り、きょろきょろと辺りを見渡す。 カバに乗ってやってきた女の子の姿を探したが、見つからない。もうどこかへ行ってしまったようだった。 枢機卿のマザリーニは、ようやく状況を飲み込むと、大声で叫んだ。 「諸君!見よ!敵の艦隊は滅んだ!神の加護は我らにあり!」 「神だって?」 動揺が走る。 「さよう!諸君らも見たであろう、タルブの空に降臨した神の姿を!あれこそ伝説のパイ神様でありますぞ!トリステインが危機に陥った時に現れ、おいしいパイを焼いてくれるという……」 マザリーニは自分で言った言葉に、なんじゃそりゃ、と思わず疑問を持ってしまった。 「……ええ、おほん!それに、諸君らはごらんになったか?青い服を身に纏った天使様を!あれこそ始祖の御使い様ですぞ!トリステインに危機が訪れたとき、何処よりカバに乗って現れるという……」 仕切り直しに、敵の旗艦を消滅させた小柄なメイジの手柄を大仰に語ったが、なんだかどんどん胡散臭い話になってきてしまった。 「……うおっほん!とにかく、おのおのがた!始祖の祝福我らにあり!」 強引にマザリーニは締めくくった。 群衆はぽかんとしていたが、やがてあちこちから歓声が漏れ、すぐに大きなうねりとなった。 「うおおおおおぉーッ!トリステイン万歳!パイ神様万歳!始祖ブリミル万歳!」 アンリエッタはこっそりとマザリーニに尋ねた。 「あの……、その、あの。パイ神様って、なんだったのでしょうか?わたくし、そのような神の名は聞いたことがありませんが……」 マザリーニは、いたずらっぽく笑った。 「私もですよ。しかし、どのような神であれ、神が我らの元に降臨したということには変わりありませぬ。ならばそれを利用せぬと言う法はない」 「はあ……」 マザリーニは王女の目を覗き込んだ。 「好機は決して逃さぬこと。政治と戦の基本ですぞ。覚えておきなさい殿下。今日からあなたはこのトリステインの王なのですから」 アンリエッタは頷いた。その通りだ。 敵は頼みの綱の艦隊を失い、浮き足立っているに違いない。対してこちらは、神の加護を受けたと聞いて、戦意が高揚し、追い風に乗っていた。 今をおいて好機はない。 「殿下、では、勝ちに行きますか」 アンリエッタはふたたび強く頷くと、水晶の杖を掲げた。 「全軍突撃!王軍!我に続けッ!」 ルネは、気絶してしまったルイズを乗せ、風竜を飛ばせていた。 眼下では、タルブの草原に布陣したアルビオン軍に、トリステイン軍が突撃を敢行しているところであった。 トリステイン軍の勢いは、はた目にも明らかである。 数で勝る敵軍を、逆に押しつぶしてしまいそうな勢いであった。 すぐさま自分も加勢に!と思ったが、ルネは疲れていた。 アルビオンの竜騎士隊相手に、派手に空中戦を繰り広げたのだ。ルネも、相棒の風竜ベルヴューも、ぼろぼろであった。 それに、気絶したルイズを安全な場所へ降ろさなくてはいけない。 ルネは、戦場から離れた森の中に竜を降ろし、ルイズを木陰に横たえると、自分も半分倒れるようにして、草むらに腰かけた。 ルネは相棒の風竜に寄りかかりながら、、ルイズを見つめた。ルイズは気を失って、ぐったりと倒れていた。 しかし、その顔には何かをやり遂げたあとのような、満足げな表情が浮かんでいた。 ルネは、ぼんやりと考えた。ルイズの使った魔法……、あれはなんだったんだろう? 無数の幻影をつくり出し、敵の呪文を消滅させ、強力な光で敵艦隊を撃沈した。 そんな強力な魔法なんて、聞いたことがない。 もしかして、この子は……、本当に『聖女様』なんじゃないだろうか? それに、最後の瞬間、敵の巨大戦艦を消し飛ばしたあの魔法は……。 そんなとりとめもない考えが、浮かんでは消えていく。 まあ、いいや。とにかく、今は疲れた。 いろいろ考えるのは、一休みしてからでも遅くないさ。 ルネは優しく風竜を撫でてやると、その体に寄りかかって、うとうとし始める。 ふいに、がさがさと草をかきわける音がした。 「ああ、いたいた。やっと見つけたよ、まったく」 眠りに落ちる直前に、寝ぼけ眼でルネが見たものは、青い服の小さな女の子が、カバに乗ってカバカバとこちらにやってくる姿だった……。 その頃……、遠く離れた地で。 「おや?どうかしましたか、ジュリオ」 「よい知らせです。どうやらトリステインの『虚無』が目覚めたようです」 「おお、それは喜ばしい!しかし、ジュリオ。どうやらそれだけではないようですが」 「はい……、その『虚無』のすぐ近くで、何者かが凄まじい力を放出しました」 「凄まじい力?何者です?」 「御安心下さい。なにも恐れるほどのことではないですよ、ヴィットーリオ様。いえ……、ヴィットーリオ教皇聖下」 第三話:おわり ※1 パート・フィユテ:基本的な折パイ生地。本格的なパイやミルフィーユ・ガレットなどに使われる。 ※2 フィユタージュ・ラピド:速成折りパイ生地。ラピド(早い)の名の通り、パート・フィユテよりも早く作れる。 前ページ次ページ虚無のパズル
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7101.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 所変わって、城の中庭。 大きな池に浮かぶ小船の中で毛布に包まり、ルイズは泣いていた。 城の中から自分を探す声が聞こえる。 だが、この小船は小島の陰に隠れ、死角となっている為に、城からは目立たない。 お陰で、此処は幼い頃に使っていた時と同じように安全だった。 とにかく、今は一人でいたい…。それは彼女の心からの願いだった。 ルイズは毛布に包まり、泣きながら考える。 母と姉に好きな人が居ると言われた。 しかし、自分にはそんな人はいない。…いない筈だ。 なのに……何故だか、あの使い魔の顔が頭に浮かんでくる。 違う…、違う…、絶対に違う…。 ルイズは必死になって否定する。だって、ありえないから。 あいつは使い魔なのだ、自分が従えているだけの使い魔。 好き、とか…そんな感情を抱くはずがない。 あいつだって自分の事は何とも思っていない…はずだ。 大体だ、それ以前にあいつは―― (あいつには……もう、大切な人がいるじゃない…) そうだ…、既にあの使い魔には特別な相手がいる。いや、”いた”か…。 自分よりも優しそうで、あいつの事を理解していて、しっかりしていて…。 あの人に比べたら、自分なんか…ただの子供。あいつの言うとおりのガキだ。 性格だけじゃなく、胸などの体付きでも負けてるのだから…。 自分なんか…太刀打ちできるわけが無い。 ――考えれば考えるほど、情けない気持ちになってきた…。 ルイズは毛布を頭まで引っ被り、小さく蹲る。 小さな頃はそうすれば落ち着いた物だが…今はそうならない。 寧ろ、どんどん気持ちは沈んでいくようにも感じられた。 暫くそうしていると、中庭に人の気配を感じた。 土を踏みしめる音に続き、池の小島に続く木橋を渡る音が響く。 誰が来たかは関係無かった。 とにかく、見つかるまいと、ルイズは毛布に体を埋めた。 すると足音が小島で止まったかと思うと、一拍置いて小船が揺れた。 誰かが飛び乗ってきたのだろうか? だが、小島からはそれなりに離れているのだ。 そんなに運動神経のいい者がいただろうか? などと考える前に、毛布が引っぺがされた。 見つかった、とルイズは反射的に身を竦める。 「おい! 起きろ、クソガキ!」 聞き覚えの有る声に乱暴な言葉遣い。 目を開いて見上げる。 「ジャンガ…?」 「おら、行くぞ? 城の外でタバサ嬢ちゃんが待ってるからよ。テメェの荷物も一応持ってきてやったゼ」 言いながらズタ袋を一つ置いた。メダルとルビー、始祖の祈祷書とルイズの杖以外には特に入っていない。 ルイズはそれを一瞥し、しかし拗ねていたので顔を背ける。 「無理よ、許しをもらってないし…」 「ンなの、もうどうでもいいじゃネェか? テメェの頑固さの大元みたいな物なんだしよ…、 まともに話しで納得させるのは無理って物だゼ」 「…それだけじゃないわ」 「?」 「わたしが”虚無”の系統に目覚めた事も、色々頑張っている事も、何も話せないのよ? 誰が認めてくれるの? 誰も認めてくれない…、そう考えたら凄く悲しくなった…」 「カトレアの奴は色々感づいていたみたいだがよ?」 「ちいねえさまは鋭いから…当然よ。でも、母さまや父さま、 エレオノール姉さまは解ってくれないわ…」 「そんなの好きに言わせとけ…。外野が言ってる事を一々気にしてたらキリが無ェゼ」 「そんな風に割り切れないわよ…」 そう言ってルイズは寂しそうな表情で顔を伏せた。 そんなルイズを見つめながらジャンガは、やれやれ、と言った感じでため息を吐いた。 爪で頭をぐしゃぐしゃと、やや乱暴に撫でる。 「ひゃっ!? な、何よ!?」 「一人でも理解者が居るだけマシと思いやがれ。…それともテメェは本当の孤独を知ってるのかよ?」 ルイズは黙ってしまう。ジャンガがシェリーと会うまでの幼い頃を、孤独のまま過ごして来た事を思い出したのだ。 それに比べれば、カトレアと言う最大の理解者がいてくれた自分は恵まれている方と言える。 「…でも、やっぱり…」 「そうかよ? ならそうやって、ここでいつまでも拗ねてやがれ。 俺は行くゼ…、姫嬢ちゃんが奪われたままなのは我慢が行かないんでな」 そう言ってジャンガは立ち上がり、背を向けた。 「ま、待って!」 小島まで跳ぼうとしたジャンガの背にルイズは慌てて声を掛けた。 肩越しに振り返るジャンガ。 「ンだ?」 「……あ、あのね、聞きたい事があるの…」 「あ?」 「そ、そそ、そのね……あ、ああ、あの…」 もう、こうなったら後戻りは出来ない…、今この場で彼に聞こう。 自分が素直に彼について行けないのも、この疑問があるからだ。 だから、それを解決しなければならないのだ。 ルイズは恐る恐る口を開く。 「あ、ああ、あんたは…、そ、その…、わ、わわわ、わたしの事…、ど、どう思っているの?」 ジャンガは変わらない表情でルイズを見据える。 「どう、ってのは…何だ?」 「な、何って……その…」 ルイズはこれ以上無い位、顔を赤らめて口篭る。 実の所、ジャンガはルイズの質問の意味をほぼ完璧に理解していた。 だが、そこはジャンガである…、ルイズの慌てぶりが面白可笑しいので、わざとしらばっくれているのだった。 そんな事とは露知らず、ルイズは必死に自身のプライドと格闘していた。 一言…、一言尋ねればそれで全てが解決するのだ…。 だが、使い魔如きに貴族が…ラ・ヴァリエール公爵家の三女の自分が尋ねるような事なのか? そんな葛藤が心の中に渦巻く。 正直に言えば、聞かずに済めばそれでいい。しかし、このままで済ます訳にも行かない。 …悩みに悩んだ挙句、ルイズは意を決した。 「わたしとシェリーさんと、どっちが魅力的!?」 ――ド直球であった。 ジャンガは静かにルイズを見つめている。 ルイズは自分が言った言葉に顔を更に赤らめた。 暫しの沈黙。――唐突にジャンガが笑い出した。 「キ、キキ、キキキ…、キィ~~~キキキキキキィィィ~~~!」 「な、何が可笑しいのよ!!?」 ルイズは真っ赤な顔のまま叫ぶ。 ジャンガは笑いの発作と戦いながら言葉を搾り出す。 「キキキ…、いや、あんまりにもよ…キキ、お前がストレートな質問をするからよ…キキキ」 「そ、それが何よ!? わ、わたしには、せ、切実な疑問なんだから! で、でも…か、勘違いしないでよね!? わ、わたしはただ、少し気になっただけで…、 あんたの事なんか何とも思ってないんだから!!!」 必死の表情で否定するルイズだったが、真っ赤な顔で言われても説得力は皆無であった。 ジャンガはニヤニヤ笑いながら、そんなルイズの言動を見ている。 「な、何が可笑しいのよ!!?」 「キキキ、まァそんなに怒るんじゃネェよ…。テメェの質問にゃ答えてやるからよ」 ジャンガは座り込むと、ルイズと同じ目線で顔を覗き込んだ。 「正直に言ってやる。…テメェにはシェリーの様な魅力は欠片も感じねェよ」 ハッキリと否定され、ルイズは激しく落ち込んだ。 解ってはいた事だが…こう面と向かって言われると、やはり落ち込まずにいられない。 すると「だがよ…」と、言いながらジャンガはルイズの頭に手を置く。 「別にテメェの事は好きだゼ」 一瞬、ルイズは何を言われたのか解らなかった。 スキ? スキって…”隙”の事じゃなくて…”好き”って事? え、でもでも、こいつはわたしに何の魅力も感じないって今言ったんだし…、どゆこと? 考えが纏まらず、混乱するルイズ。 更にジャンガは話を続ける。 「テメェもお気に入りの玩具だからな。俺は気に入った物はどれも大好きだゼ? 女としての魅力が無ェ…、だから気に入らネェ…ってのは違うゼ」 ああ、なるほど…、とルイズは納得した。 要するにメイジが使い魔を大事にするのと同じような感覚なのだ。 そう理解した途端、ルイズの中に生まれた熱は一気に冷めた。 「そう…、そうよね…。わたしなんか魅力無いし…。シェリーさんやタバサなんかとは比べ物にならないわよね…」 「ああ、比べ物にはならネェよ。…テメェはテメェなんだしな」 「え?」 「カトレアの奴が言ってたゼ? そいつにはそいつの魅力が有る、ってよ…。 誰かと比べて劣ってるだとか、勝ってるだとか、そう言うのはバカらしいって事だな。 まァ、要するにテメェにはテメェの魅力が有るって事じゃねェのか?」 「わたしの魅力…? そんな物…無いわよ…。胸だって小さいし…、素直になれないし…、優しくないし…」 するとジャンガはニヤリと嫌みったらしい笑みを浮かべる。 「そうかァ~? じゃ、俺が確かめてやるゼ」 え? 何を? などと考える間も無い。 呆然とするルイズへとジャンガが押し倒す勢いで覆い被さって来たのだ。 抗いきれずに小船へと押し倒される。 「え!? ちょっ!? 何よ!?」 突然の事に暴れるルイズ。 そんなルイズをジャンガはニヤニヤ笑いながら見下ろす。 「ま、そんなに硬くなるんじゃネェよ。ちょっと確かめてやるだけだからさ」 「な、何をよ!? そんな事より、放しなさ――」 ルイズの言葉は最後まで続かない。 突然頬に走ったくすぐったい感触に全身を振るわせる。 「…キキキ、やっぱり予想通りマシュマロみたいに柔らかいゼ」 ニヤニヤ笑いを張り付かせたまま、ジャンガは感想を述べる。 ルイズの頬を舐めた舌を引っ込め、もごもごと口を動かす。 「甘いなァ~…」 「あ、ああ、あんた…何を…」 「味わってやってるんだよ、お前をよ」 「なななななな!?」 「シェリーとは違ってまだまだガキだな」 「悪かったわね…」 「だが、そこにあいつとはまた別の魅力を感じるゼ」 言いながらまた頬を舐める。 ベロリ、ベロリ、とアイスや飴玉を味わうように舐め上げる。 一回舐める度にルイズの身体が震えた。 「可愛いじゃネェか…、いつもの生意気なクソガキとは思えないゼ」 「褒めてるの、それ?」 「当然さ。そうじゃなけりゃなんだってんだよ?」 「いつもの悪い冗談だと思うわ」 「キキキ、そりゃそうだ」 ジャンガは笑った。 そして、一頻り笑うとまた舐め出す。 更には胸やらスカートの中やらに爪を伸ばしてくる。 頬や首筋を舐められてるだけで恥ずかしいのに、そんなふうに体中を好きにされたらたまらない。 「こ、この、や、ちょっと、あん、やん、ひゃうっ、ばか、やめ」 「好きだゼ~、ルイズ」 ――初めて、まともに名前を呼ばれた気がした。 それを自覚した瞬間、ルイズは全身から力が抜けていくのを感じた。 「テメェを女扱いするのは酔狂でしかないがよ、俺は好きだゼ~」 ああ、いつもなら微妙な評価に怒るところだが…今はそんな気になれない。 結婚しても三ヶ月はダメなのに……こいつは無遠慮に触りまくってくる。 そして、それに逆らえない自分。 だめだ~、とルイズは観念し、全身の力を抜いた。 ああ、もうだめどうしよう、お母さまごめんなさい、ルイズたぶん星になります…。 そんな事を考えながら、ルイズはジャンガがどんな顔をしてるか見てやろうと思い、 目を開くと――そこには素敵な光景が広がっていた。 船はいつの間にか岸に乗り上げていたのだが、その船の周りを取り囲むようにして使用人がズラリと並んでいる。 その中に強張った顔のエレオノールがいた。 卒倒しそうなほどに蒼白な顔の母もいた。 そして、そんな一同の真ん中には怒りを軽く通り越した顔で震える父がいた。 一瞬で熱から冷め、ルイズはジャンガを突き飛ばした。 突然の衝撃にジャンガは為す術無く、池に背中から落っこちる。 暫く落下した場所は泡立っていたが、水飛沫を上げながらジャンガが勢い良く立ち上がった。 ポタポタと雫を滴らせながらジャンガはゆっくりと顔を上げる。 「こんクソガキィ~…、人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって…。覚悟できてるのか、あン!?」 そこまで喋って、ジャンガは漸く中庭に現れた観客達に気が付いた。 「ンだ?」 怪訝な表情を浮かべるジャンガを尻目に、ラ・ヴァリエール公爵は小さく咳をする。 そして威厳のある声で言った。 「え~、ルイズを捕まえて塔に監禁しなさい。少なくとも一年は出さんから、 鎖を頑丈な物に取り替えておきなさい」 「かしこまりました」と執事が了解の意を示す。 そして、ラ・ヴァリエール公爵はジャンガを鋭い視線で睨み付ける。 「そして、あの亜人は打ち首にしなさい。腐るまで晒すから、丈夫な台を用意して置くように」 「かしこまりました」と再び執事は了承の意を示す。 その執事の言葉が終わると同時に、使用人達が一斉に鍬や箒やカマや槍や刀を持ち出し、一斉に襲い掛かってきた。 状況を把握したジャンガは爪で頭を掻き、ハァ~、と大きなため息を吐いた。 「ったくよ…、メンドくせェ…」 瞬間、使用人達全員が宙を舞い、次々に池へと落下した。立て続けに巻き起こる水飛沫。 その場には四体のジャンガ。一瞬にして分身したジャンガは使用人達全員を蹴り飛ばしたのだ。 目の前で起きた事に一瞬目を丸くするエレオノールと公爵。 公爵夫人だけが動じてなかった。 ジャンガは再度頭を掻きながらため息を吐き、公爵を睨む。 「人の楽しみ邪魔しやがって…、少しは場の空気ってのを読んだらどうだ、オッサンよォ~?」 「ふざけるなぁあああああああ!!!」 ジャンガの言葉に激昂した公爵は杖を引き抜く。 だが、ルーンを唱える事すら出来なかった。 「ん、ぬぐぉぉぉぉ~~!!?」 公爵は悶絶しながら地面に倒れ付す。 素早く近寄ったジャンガが股間を力一杯蹴り上げたのだ。 「ちったァ人様の迷惑も考えろや!」 倒れた公爵を見下ろしながらジャンガは吐き捨てた。 エレオノールが慌てて公爵に歩み寄る。 「父さま! しっかりしてください!?」 「う、はが、ぐぅぅぅ…」 公爵は呻くばかりで中々起き上がれない。 そんな二人には興味が失せたとばかりにジャンガは背を向け、ルイズの方に歩き出す。 その背に向かってエレオノールは叫びながら杖を突きつける。 「待ちなさい!! カトレアやルイズに手を出して、このまま返すわけには行かないわ!!!」 羞恥のあまり、ぽかんと口を開けて、呆然と小船の上に座り込んでいたルイズは、ハッ、と我に返った。 「ウルセェ…、人のやる事にケチつけんじゃねェよ」 ジャンガは肩越しに睨んだ。 エレオノールはその眼光に一瞬怯んだが、構わず杖を突きつける。 「やっぱり…あなたは危険ね」 「キ、仕方がねェ…。なら、夕べの続きといこうかよォ~?」 ジャンガはエレオノールに向き直る。 その背中にルイズが声を掛けた。 「ちょっと、ちいねえさまに手を出したって…どう言う事よ!?」 ジャンガはその言葉を無視した。 「ちょっと! 何無視してるのよ!? 答えなさいジャンガ!?」 徹底的に無視しながらジャンガはエレオノールを更に睨み付ける。 エレオノールの額に冷や汗が浮かぶ。 「お待ちなさい」 凛とした威厳のある声が静かに響いた。 その場に居た全員の視線が声の主に集中する。 視線の先には取り出した杖を構える、ラ・ヴァリエール公爵夫人の姿が在った。 公爵、エレオノール、ルイズ、そして池に浮かんでいた使用人達一同の顔に、何か恐ろしい物を見たような表情が浮かぶ。 公爵夫人は杖を構えながら静かに言った。 「エレオノール、お父さまを連れて下がってなさい」 「え? でも…」 「あのような凶暴かつ好戦的な相手に中途半端なやり方は通じません。ここはわたくしが相手をしましょう」 「は、はい…」 エレオノールは母の言葉に大人しく父を連れて下がる。 池に浮かんでいた使用人達も必死に我先にと池から這い上がり、住処を追われたゴキブリのように逃げ出す。 そんな周りの様子にジャンガは怪訝な表情をする。 ふと気が付くと、小船の上のルイズも震えていた。 その場だけ大地震にでも見舞われているかのような震えっぷりだ。 「どうしたってんだ?」 ジャンガの問いには答えず、ルイズは身体を震わせる。 「ジャ、ジャンガ!? い、今直ぐ謝りなさい! 土下座して! 地面に頭を擦り付けて! 早く!!!」 「何でだよ?」 ルイズは必死な表情で叫ぶ。 「いいからするのーーー!!! じゃないと、あんた本気で死ぬわよーーーーー!!!」 「ハァ?」 ジャンガは訳が解らないと言った表情を浮かべる。 ――突如、巨大な竜巻が巻き起こり、ジャンガを上空高く巻き上げた。 「な、んだああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!?」 絶叫を上げながらジャンガは竜巻の中で翻弄される。 ぐるぐると掻き回され、凄まじい風の力に身体が引き千切られそうに感じた。 デルフリンガーの鞘を背負っていた紐が千切れ、マフラーと帽子がすっ飛んだ。 デルフリンガーは小船の隣の地面に突き刺さり、マフラーはルイズの膝元に落ち、帽子は頭の上に被さった。 と、突然竜巻が消え去り、ジャンガは重力に引かれるままに、地面へ向かって自由落下を開始する。 瞬く間に地面が目の前に迫った。 「チッ!」 舌打しながらジャンガは空中で受身を取り、そのまま無難に地面へと着地する。 そのまま、ギロリ、と公爵夫人を睨み付けた。 「やってくれるじゃネェか…、テメェよォ~」 「あなたはわたくしの娘達に危害を加えました」 ジャンガの殺気を眉一つ動かさずに流し、公爵夫人は言葉を続ける。 「使い魔の躾は主人の役目…、それに失敗したのは娘の不始末であり、同時にその娘に教育を施したわたくしの責任」 鋭さを増した公爵夫人の視線がジャンガを捉えた。 「この”烈風”が直々に”躾”を施します。使い魔とはどう言う物かをよく教えてあげましょう」 ゆらり、と身体から強烈なオーラが陽炎の様に立ち昇る。凄まじいプレッシャーすら放たれている。 それらに晒されるジャンガは、それでも顔色一つ変えない。 寧ろ、背後にいるルイズの方が真っ青になっていた。恐怖のあまりカチカチと歯を噛み合わせている。 「ジャンガ……あなた死んじゃうわ…」 いつかの決闘の時のシエスタの様な台詞を口にする。 ジャンガは忌々しそうに鼻を鳴らす。 「ただの年増じゃねェのは解ってたがよ…、テメェの母ちゃん何もんだ?」 「母さまの本名はカリーヌ・デジレ…、先代マンティコア隊隊長”烈風”カリン…。 その風魔法は二つ名の”烈風”…と言うよりは荒れ狂う嵐…」 ”烈風”カリン――その名にジャンガは覚えがあった。確か何かの本で読んだはずだ。 ルイズの説明のように嵐の如き風を操り、その腕前は並みのメイジでは如何な数を揃えても勝てなかった程とか。 エスターシュと言う貴族の反乱は一人で鎮圧し、ドラゴンの群れは一人で一掃した、とあり、 ゲルマニア軍との小競り合いの時には”烈風が出陣した”と言う噂だけで敵が逃げ出した、ともあった。 その素顔は常に鉄のマスクで顔の下半分を隠していた為に解らなかったそうだが…。 「…まさか、こんなクソガキの母ちゃんだったとはな…」 世の中、何処でどんなレアムゥ…基、レア物に出会うか解らないものである。 「ジャンガ…解ったでしょう? あんたの性格は良く解ってるけど、母さまだけはダメよ! お願いだから謝って! ちいねえさまに何をしたかも気になるけど、今は謝って! お願いだから!」 ルイズは精一杯の願いを込めて必死に叫んだ。 ジャンガが決して頭を下げない奴である事は十二分に理解してはいるが、幾らなんでも相手が悪すぎる。 相手は母さま…烈風カリン…、万に一つも勝ち目が有るとは思えない。 ジャンガ自身、今の竜巻をまともにくらってその実力はよく理解出来てるだろう。 今回ばかりは大人しく頭を―― 「喧嘩売ったのはテメェだからな…、覚悟は出来てんだろうな、ああ!?」 ――下げやしねぇ…。 ルイズは顔面蒼白になった。今の言葉は十分過ぎるくらいに敵意が含まれている。 見れば母さまの発するオーラがより鮮明に見えるような気がした。 …そう言えば、こいつはあのエルフですら真正面からぶつかって倒したんだっけ? じゃあ無理だ…、などとルイズは強引に納得し、同時に諦めた。 見上げれば澄み切った青空が広がっていた。 ああ…今日は綺麗な青空だな…。 現実逃避を決め込んだルイズを他所に、その原因であるジャンガはカリーヌと互いに睨み合っている。 暫く黙って睨み合い、徐にジャンガは首をコキコキと鳴らす。 「俺はテメェが誰だろうが、関係無ェからな。邪魔する奴はあの世行き…ってのが決まりなんだ」 カリーヌは答えない。 「それが烈風だろうが、先代マンティコア隊隊長だろうが、王様だろうがな…」 ジロリと睨み付ける。 「この”毒の爪のジャンガ”様に楯突いたんだ…、テメェはあの世行き決定だゼ! 精々後悔しながら…くたばりなァ~~~!!!」 叫びながらジャンガは分身三体と飛び掛る。――直後、巨大な竜巻が生まれた。 ジャンガと分身は瞬く間に飲み込まれる。…しかも、それだけではなかった。 「な、ガァッ!!!?」 凄まじい激痛が全身を駆け巡る。 見れば体中に鋭利な刃物で付けられたかのような、切り傷が幾つも生まれていく。 分身も全身に傷が生まれ、瞬く間に消滅してしまった。 凄まじい痛みに気が遠くなりそうになる。だが、ジャンガは意識を保つべく唇を噛み締めた。 「あ…、ジャンガ!?」 茫然自失だったルイズも上空で竜巻に蹂躙されるジャンガの姿を見て、我に返った。 と、隣の地面に突き刺さっていた鞘からデルフリンガーが顔(?)を出す。 「『カッター・トルネード』…間に挟まった真空の層で相手を切るスクウェアスペル。 いやぁ…見た目の怖さ以上におっかない相手だね」 「ど、どどど、どうしよう!? このままじゃジャンガ、あいつ死んじゃうんじゃ!?」 「手加減されてるようだし、躾って言ってたんだから殺す事は無ぇとは思うが…確かに少しやばいかね?」 「どうすればいいの!? どうすれば!?」 「落ち着け娘っ子、ルビーと祈祷書は相棒が持ってきてるんだろ?」 ルイズは小船の中に転がっていたズタ袋からルビーと祈祷書を取り出す。 「これが何なの!?」 「とりあえずルビーを嵌めて祈祷書を捲れ。ブリミルは大した奴だ、ちゃんとこんな時の対策も練ってるはずさ」 言われるがままにルイズはルビーを指に嵌め、祈祷書のページを捲る。 しかし、エクスプロージョン以降のページはただの白紙だ。 「何も書いて無いわよ! 真っ白! 白紙じゃない!?」 「もっと捲りな。必要があれば読めるようになってるんだからよ」 更にページを捲っていく。すると、文字が書かれているページに行きついた。 そこに書かれているのは古代語のルーン…、エクスプロージョンとは別の呪文だ。 「…『ディスペル・マジック』?」 「それだ、『解除』だ! 理屈としてはこの前の惚れ薬の解除薬といっしょだ! それならあの『カッター・トルネード』も消せる!」 「で、でも、こんな長いの詠唱している時間は無いわよ!?」 「適当な所で切ればいいさ。あの呪文も手加減されてるんだから十分なはずだ」 「何よ…ハッキリしないわね」 文句を言いながらもルイズは急いで詠唱を始めた。 突如聞こえてきたルーンにカリーヌは眉を顰める。 顔を向けるとそこには杖を構えてルーンを口ずさむ娘の姿が在った。 そのルーンは聞き覚えの無い物だった。 風ではない…、土でもなく…水でもない、…ましてや娘が目覚めたと言っていた火ですらない。 考え込んでいると、娘が杖を振り下ろした。 自分が生み出したカッター・トルネードが光り輝き、消え去った。 カリーヌは一瞬たじろいだ。手加減をしていたとは言え、あのカッター・トルネードを消滅させたのだ…。 一体娘が唱えたのはどんな呪文なのだ?――そんな一瞬の悩みが烈風に決定的な”隙”を生んだ。 「ガアアアアアアアアァァァァァーーーーーーーッッッ!!!」 獣の雄叫びの様な絶叫が響き渡る。 血を撒き散らしながら紫色の風が走った。 赤い軌跡がカリーヌへと迫る。 カリーヌは瞬時にルーンを唱え、『エア・シールド』を作り出す。 真紅の爪が空気の壁に弾かれる。 だが、ジャンガは止まらない。血塗れの顔を怒りに歪ませながらもう片方の爪を振るう。 空気の壁の隙間からカリーヌの顔に叩き込む。 身を反らしてそれを避ける。爪に髪留めが裂かれ、束ねた髪が背中に流れた。 カリーヌはルーンを唱え、杖をジャンガに突きつけた。 ほぼ同時にジャンガの爪もカリーヌの喉下に突きつけられた。 ――両者の動きが止まった。 カリーヌは詠唱は既に終わっており、いつでも解放できる状態だ。 杖を突きつけた場所は心臓の上…、解放すれば間違い無く命を奪える一撃だ。 対するジャンガも爪の先には既に即効性の猛毒が仕込んである。 引っ掻き傷程度でも瞬く間に全身に毒は回り、十秒もすればアウトだ。 次に出す攻撃…それが一撃必殺だと言う事を悟った為、両者は動けなくなってしまったのだ。 互いの武器を突きつけ、睨み合ったまま微動だにしない両者の姿に周囲に緊張が走る。 「母さま! ジャンガさん! 止めてください!」 突如聞こえた叫び声。 その場の全員が、睨み合っていたジャンガとカリーヌも、声の方に顔を向けた。 そこにいたのはカトレアだった。血の滲んだ包帯を巻いた脇腹を庇うようにして、 フラフラとした危ない足取りで此方へと歩いて来ている。 その後ろには数人の心配そうな表情のメイドの姿も見えた。 「カトレア!? あなた、どうしてこんな所に!?」 エレオノールが叫ぶ。 「心配をかけて…ごめんなさい…、でも…気になったから…」 「気になったって…あなた、その怪我で無茶を…」 カトレアを心配そうにみつめ、直後険しい表情でメイド達を睨み付ける。 「あなた達! どうしてカトレアをこんな所に来させたの!?」 「も、申し訳ありません…。ですが、カトレア様がどうしても行きたいと申されまして…」 メイドの答えにエレオノールは深いため息を吐く。 カトレアは優しく微笑んで姉を見つめる。 「わたしは平気よ、姉さま」 そう言ってジャンガとカリーヌの方へと顔を向ける。 「カトレア…、あなたはそのような怪我で、どうしてこのような場所に?」 母に尋ねられ、カトレアは悲しげな表情を浮かべた。 「…誤解を解きたかったんです。…少し遅れてしまいましたが」 「誤解?」 カリーヌは怪訝な表情で聞き返す。カトレアは頷く。 「はい…、多分姉さまからお聞きになったのだと思います…。わたしの怪我がジャンガさんに襲われた物だと…」 その言葉にルイズは激しく反応した。 「ち、ちいねえさま!? それは一体どう言う事ですか!? ジャンガが一体何を!?」 「違うのよルイズ…、全部誤解なのよ…」 ルイズは訳が分からないと言った表情をする。 カトレアはジャンガとカリーヌへと再び顔を向ける。 「全ては誤解なんです…、だからこれ以上争わないでください。お願いですから…」 そこまで喋って体力が限界に近づいたのか、カトレアは地面に崩れ落ちる。 その身体を素早い動きで駆け寄ったジャンガが支えた。 「あ…、ジャンガさん…?」 「…前言撤回だ。テメェもあいつに負けず劣らずの無茶苦茶野郎だゼ…」 呆れた表情でそう言うジャンガを見つめながら、カトレアは蕩けそうな笑みを浮かべた。 その様子にカリーヌも静かに杖を収めたのだった。 その夜… ラ・ヴァリエール家の居間では静かな会談が行われていた。 カトレアの話を聞き、公爵もエレオノールもルイズも驚きを隠せなかった。 「病気を治してもらった…か」 公爵が呟くと、カトレアは頷いた。 「はい。お陰でこの怪我以外は、身体の調子が凄く良いですわ。ジャンガさんには感謝していますの」 言いながらカトレアは隣のジャンガに顔を向けた。 ジャンガはソファーに凭れ掛かりながら天井を見上げており、身体の所々には包帯が巻かれている。 カトレアが水魔法を掛けたりもしたのだが、”烈風”の魔法の威力の凄まじさを物語っていた。 「ちいねえさま、本当にお体は大丈夫なんですか?」 ルイズが尋ねる。因みに彼女はカトレアを挟んでジャンガとは反対の場所に腰掛けている。 タバサはジャンガの隣にちょこんと腰掛けていた。 彼女はあの後、巨大な竜巻を見て慌ててシルフィードと飛んできたのだ。 「ええ、こんな風に身体が良くなる日が来るなんて、夢みたいだわ。あなたの使い魔さんには本当に感謝をしているわ」 ニッコリと微笑む姉の言葉にルイズは嬉しくなった。 そしてジャンガを見る。 「ねぇ、ジャンガ?」 「ンだ?」 「…ありがと、ちいねえさまを治してくれて」 「礼言われる筋合いは無ェ…、俺が勝手にした事だ」 本当に可愛く無い奴だ…。だが、ルイズは自分が同じ立場だったらどうだろう? と考えて、 自分も同じような答えを返すかもしれないと思い至り、怒鳴らない事にした。 公爵は暫く口髭を弄っていたが、鋭い視線でジャンガを睨む。 「だが、あの小船の上での行為はどう説明をする気かね?」 小船の上…、その言葉にルイズは顔を染める。 するとカトレアが答えた。 「それでしたら、わたしの責任だと思いますわ」 「どう言う意味かね、カトレア?」 「『ルイズはきっと落ち込んでいるから慰めてあげてください』ってお願いしたんですの。だからでしょうね」 公爵の言葉にカトレアはコロコロと笑う。 対して公爵は苦い表情だ。 「慰めた? あれの何処が慰めだと言うのだ?」 公爵は何かしら呪詛のようにぶつぶつと言い始める。 カトレアはそんな公爵を宥める様に声を掛ける。 「父さま、何も深刻な表情をしなくても宜しいではないですか。 ジャンガさんはジャンガさんなりにルイズを慰めてくれてただけですし」 「だ、だが……む、娘が…大切な娘がそんな礼儀の一つも知らないような下賎な亜人と…」 「あなた、女々しいですわよ? ルイズの件に関してはカトレアの病気を治したと言う事で今回は不問としましょう」 隣のカリーヌに声を掛けられ、公爵は項垂れた。 カリーヌは小さく咳をし、ルイズを見つめる。突然母親に見つめられ、ルイズは緊張のあまりに硬直する。 「さて、ルイズ…あなたに聞きたい事があります」 「な、何でしょうか、母さま?」 「あなた…、目覚めた系統は火だと言っていたけれど、あれは嘘ですわね?」 ――場の視線が集中する。 ルイズは息を呑んだ。虚無だと言う事がバレてしまったか? 「ああ、そうさ。こいつが目覚めたのは伝説の”虚無”だゼ」 ジャンガがあっけらかんと答える。 その言葉にエレオノールも項垂れていた公爵も怪訝な表情を浮かべ、カリーヌは鋭い目を光らせる。 ルイズは頭痛に頭を抱え込みそうになった。 ギロッ、とジャンガを鋭い視線で睨み付ける。 その視線に気が付いたジャンガは鼻を鳴らす。 「フンッ、別に隠していても仕方ないだろうが。家族が知っていて問題でもあるのか? 娘が虚無だ…、って事を知って何か企む程度の奴等だったら、捨てればいいだけの話じゃネェか。 親の器じゃネェよ…」 「で、でもね…」 ルイズは反論しようとするも言葉に詰まってしまう。 隣のカトレアは驚いた表情を浮かべている。 「あらあら、まあまあ、伝説? 凄いじゃないのルイズ。何も出来ないと言われていたあなたが伝説なんて。 わたしの身体が治った事といい、あなたが伝説の使い手だと解った事といい、今日はとても素敵な日ね」 言いながらカトレアは微笑む。 カリーヌは目を閉じ、暫し考える。 「なるほど…、”虚無”…歴史の彼方に消えた伝説のみが伝わる系統。 ならば手加減をしていたとは言え、わたくしのスペルを打ち消したのにも納得が行くと言うもの。 あの見た事も無いような輝き……、あれが”虚無”なのね、ルイズ?」 母に尋ねられ、ルイズはゆっくりと頷いた。 「そうです、母さま」 娘の言葉にカリーヌは静かに目を伏せる。 公爵も黙ってしまう。 エレオノールは話の大きさについていけず、額に手を当てたまま倒れるように背凭れに寄り掛った。 「虚無か…。俄かには信じがたいが…やはり、あれを見てしまってはな」 公爵は暫く口髭を弄っていたが、徐に立ち上がるとルイズの下へと歩み寄った。 座り込み、ルイズの顔を真っ直ぐに見つめる。 「ルイズ、朝食の席でお前は父にこう言ったね…『目覚めた系統は火』だと。…あれは嘘だったのだね?」 「申し訳ありません、父さま。ですが、この事はどうしても言えなかったのです」 ルイズは謝罪し、頭を垂れた。 そのルイズの頭を公爵は優しく撫でた。 「よいかね、ルイズ? 父に嘘を吐くのは、あれが最初で最後にしておくれ。 ……それでルイズ、今一度聞こう。…お前は何の為にアルビオンへと行く気だね?」 公爵の言葉にルイズは目を見開く。 「父さま…?」 「質問は無しだ。早く答えなさい」 「……陛下をお助けしたいからです。それにわたしの”虚無”があれば、強大なレコン・キスタにも勝てるはずですから」 「誰かに言われてではないのだね? 自分で考え、決めた事なんだね?」 「はい」 そんな娘の顔を、ジッと公爵は見つめた。 やがて、公爵は娘の頭を優しく撫でた。 「父さま…?」 「大きくなったね、ルイズ。私のルイズ。この父親は、お前の事をいつまでも甘えが抜けない子供だと思っていたよ。 だが、私の知らない所でお前は既に巣立っていたのだね」 「…父さま」 「戦への反対は無謀だと言うだけではない。私達はお前が危険な目に遭わないか心配なのだよ…。 子を心配しない親などいないからな」 公爵の言葉を聞き、ギリッ、とジャンガは歯を噛み締める。 親に終始虐げられていたジャンガにとって、今の言葉は嫌悪感を覚えるだけの奇麗事でしかなかった。 怒りに震え…、その一方でルイズが羨ましくもあった。 自分が持っていなかった…持てなかった物を持っている彼女が、たまらなく羨ましかった。 「ルイズ、忘れてはいけないよ? お前の事をここに居る誰もが心配しているのだ。 危険な目に遭ってほしくないのだ。それを解っておくれよ…」 公爵の言葉にルイズは朝の事を思い返す。 思えば自分は家族の気持ちを考えずに、自分の意見を無理に押し通そうとしていただけではないか。 自分が危険な目に遭って家族が如何思うか…、それを考えた事は全く無かった。 だと言うのに、自分は己の意見を却下されて子供の様に苛立ち、駄々をこねていただけ…。 勝手に嫌われていると思われているだけだった…。 家族の愛の深さに触れ、ルイズは知らないうちに涙を流した。 「父さま…、ごめんなさい。我侭ばかり言ってごめんなさい…」 ルイズは公爵に抱きつく。 自分に抱きつく娘の頭を、公爵は優しく撫でた。 「お間違いを指摘するのが忠義、そして…間違いを認める事が本当の勇気だ。 ここに居る者は誰もがお前を気に掛け、愛しているのだ…。 ルイズ…それを忘れてはいけないよ? 小さなルイズ」 「…はい」 泣きながら頷くルイズの額に公爵は接吻をした。 「父からの餞だ。ルイズ、一つだけ父と…いや、お前の母と姉と全員と約束してくれ」 「何でしょうか?」 「絶対に無事に帰って来てくれ。…私達が願うのはそれだけだ。…この約束だけは決して破らないでおくれ、いいね?」 「はい」 力強くルイズは返事を返した。 暫しの沈黙が流れ…、唐突にカリーヌが、ぽんぽんと手を打った。 「カリーヌ」 「話は終わりのようですわね? では、遅くなりましたが夕餉にいたしましょう。 今日はめでたい日なのですからね。カトレアの病気が治り、そして…」 カリーヌはルイズに顔を向ける。 「娘の巣立ちの日でもありますから」 「母さま…」 「ルイズ、あなたはカトレアの事を頼みますわね。 エレオノール、あなたはホストを宜しくお願いしますよ」 「わかりましたわ」 エレオノールは了承の意を述べ、部屋を退出する。 カトレアもルイズとタバサに手伝われて退出していった。 それらを見送った後、ジャンガは大きく伸びをする。 首の骨をコキコキと鳴らし、ソファーから立ち上がった。 「そんじゃ、俺も行くか…」 言いながら退出しようとする。 その背にカリーヌが声を掛けた。 「お待ちなさい」 「…まだ何かあんのかよ?」 不機嫌な表情でジャンガは振り返る。 カリーヌは静かに立ち上がり、ジャンガを真っ直ぐに見据える。 「…何だよ?」 「あなたの戦い方には色々と無駄がありましたわね」 「無駄ァ~?」 ジャンガは怪訝な表情をする。 カリーヌは変わらぬ調子で言葉を続ける。 「激情に駆られてイノシシのように突進するだけでは勝てる戦いも勝てぬというもの。 そのような者が護衛では主人は常に危険に晒される事になります。 使い魔とは主人の盾も同然…、それが役目を果たせぬようではいけません」 「何が言いたいんだ?」 「あなたに稽古をつけようと言うのです」 黙って話を聞いていた公爵の背筋が震えた。 ジャンガは動じずにカリーヌを睨む。 「ハッ…、それはまたありがてェ事だな。で…、今からやるのかよ?」 「夕食の後で、先程の庭に来なさい」 それだけを伝えるとカリーヌは静かに退出していった。 それを見送りながらジャンガは、やれやれ、といった感じでため息を吐いた。 (親子だな、本当によ…) 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2132.html
「ああ、ああっ、こんなに大きくて白くて立派なフクロウの使い魔なんて、 きっと誰一人として連れてないね! 素晴らしいよ、素敵だよ! キミの名前はもう決めているんだ! ずっと前からこの名前にしようってね! クヴァーシル! お伽噺に出てくる、とても賢くて強い鳥の名前さ!」 トリステイン魔法学院の中庭でおこなわれていた春の使い魔召喚の儀式。 『風上』のマリコルヌは歓喜の声を上げていた。 風の属性のメイジが使い魔を召喚すると、多くの場合空を飛ぶ生き物が召喚されるが、 マリコルヌが召喚したフクロウは全身の羽毛が純白で、同族の成鳥よりも二回りほど大きな、本当に立派なフクロウだったからだ。 向こうの方で失敗を繰り返していた同級生が平民を呼び出したなどと声が聞こえたが、 そんな外野の騒音など気にならないぐらいに、マリコルヌは大喜びだった。 少年は小さくも鋭く尖ったクヴァーシルの嘴に、コンストラクト・サーヴァントの口付けをしようと顔を寄せる。 その時だ。 召喚されたショックでか、今まで閉ざされていたクヴァーシルの眼がギョロリと開いた。 真円を描く、二つの月にも似た、その血走ったフクロウの瞳。 マリコルヌは知らず。 そのフクロウこそは元の世界でミネルバと呼ばれた恐るべき魔鳥。 殺気を感じて身をかわし、あらゆる敵の牙が届かぬ高き空を音の速度で飛翔する悪魔。 太古の伝説にあるゴルゴン、バシリスクなどと言う怪物どもと同列にある純白の恐怖。 彼のルールは、たった一つ。 ……すなわち、見られた者は死ぬ。 【クヴァーシルは月輪に飛ぶ】 たった一つのルールをマリコルヌが理解し得たのかどうか。 一瞬の後には、ふとっちょの少年は目や鼻や口や耳、つまり顔の穴という穴から鮮血を噴出して絶命した。 誰かがそれに気がついて悲鳴をあげる。 空へと飛び上がったクヴァーシルの眼が、そこに並ぶ生徒達と使い魔を高みより睥睨した。 それだけで、虐殺は始まり、そして終結する。 苦悶の声を上げて、一人残らずバタバタと倒れる生徒達。 中には防御の魔法を織り上げる事に成功した者も居たが、そんな物など関係無しに死の視線が命を奪い取る。 異変を察して校庭に飛び出してきた教師。悲鳴に気がついて窓の外を覗いた生徒。 ありとあらゆる人間が、邪視の魔鳥に見られて死んでゆく。 わずか数分で、トリステイン魔法学院はその長い歴史に終止符を打った。 クヴァーシルは飛ぶ。 地上の事など何一つ気にならぬとでも言う様に。 それから数日でこの魔鳥の存在が知れ渡ると、人々は空を見上げる事を恐れるようになっていった。 クヴァーシルの存在を確認しようと、遠見の鏡などの秘宝を使ってその姿を見た高位の魔法使いも、バタバタと死んでしまった。 意気揚々と魔鳥討伐を宣言したトリステイン近衛魔法騎士隊の精鋭は、その出征セレモニーの最中飛来したクヴァーシルの視線に晒され、 隊長のワルド子爵を筆頭に、見送りの市民数千名を巻き込んで死滅する。 巨大戦艦『レキシントン』号をはじめとするハルケギニアの航空戦力は、空を飛ぶのに邪魔だとばかりに皆殺しにされ、 アルビオン王党派もレコン・キスタも関係無しに地に落ちた。 莫大な財力と未知の魔法技術で、かの鳥を討伐すると宣言した大国ガリアの国軍すらも、 国王ジョゼフ以下数万の兵が、一人残らず血を噴き出して死に絶える。 冥府で一足先に逝ったジョゼフの姪がその死を喜んだかは、さだかでは無い。 かくしてクヴァーシルは自由にハルケギニアの空を舞い、人々は鳥の羽音一つに怯える日々を送っていた。 市民は家を出ず、兵士は歩哨に立たず、猟師は弓を取らず。 日が暮れてフクロウの時間が来れば、誰もが視線の通らぬ壁の中で震えて朝を待つ。 そんな日々が、何ヶ月も続いた頃。 トリステインの王宮に、一組の男女が現われた。 奇怪な仮面にマントと杖を携える中年の男と、凍りついた雰囲気で長剣を抱えるように持った少女。 一人はラ・ヴァリエール公爵家息女、ルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール。 一人はトリステイン魔法学院教師、『炎蛇』のジャン・コルベール。 共に魔法学院での虐殺を生き延びた、たった二人のメイジであった。 婚約者であるワルド子爵を殺されたためか、氷のような瞳に情念の炎を宿らせたルイズは、 伝説の『始祖の祈祷書』と『水のルビー』の貸与をアンリエッタ女王に願い出て、 二つ名に相応しい蛇を模した仮面を付けたコルベールは、錬金の魔術を使える優秀な魔術師の協力を願う。 ただ一つの目的、魔鳥クヴァーシルの討伐のためにと。 「わたくしが生き延びたのは、身を盾にした使い魔によってとっさに守られた数秒の時間が有った事。 そしてその数秒が与えた猶予によって、防御の呪文を唱えられた事によってでございます、姫様」 「まぁルイズ。いったいどんな呪文を唱えたと言うの? あの恐ろしい鳥の視線にはどんな魔法の達人も耐えられなかったと言うのに!」 「姫様、わたくしは虚無の魔術師でありました。始祖より与えられし伝説の魔術。 虚無の力によって生まれた爆発が、かの魔鳥の視線から放たれる毒を打ち払ったのです」 名前も聞くことが出来なかった平民の少年によって守られ、生き延びたルイズは、 瀕死であったコルベールと共に魔鳥を追って、大きな街にたどり着いた。 クヴァーシルに一矢報いる武器を得んと、店主一家の死に絶えた武器屋に入り込んだ二人が見つけたのが伝説の剣。 デルフリンガーと名乗った剣に教えられ、ルイズは自分が虚無の魔術を操るメイジなのだと知ったのだ。 そしてコルベールは王女と宰相の前でこう語った。 「かの鳥を倒すのは、離れた相手を攻撃する事も出来ぬ剣や槍でも無ければ、 はっきりと視認できる距離でしか放てぬ魔法の力によるものでもありません。 火薬によって離れた相手に鉛の弾丸を飛ばす銃。 それも今までに無い、長々距離に弾丸を飛ばす銃を作り出さねばならないのです」 そう言って、王立アカデミーの研究院の協力をとりつけて新型長銃の開発を始めた。 『錬金』の精度を上げて銃身の強度を増し、装薬出来る火薬の量を増やす。 火薬そのものも湿気や温度変化に強く、より爆発力を高めたものに改良。 なにより、弾丸を正確に真直ぐ飛ばすために銃身の内側に正確な直線のミゾを入れた。 4本のミゾを入れた十字口、8本ミゾの八条口、更に十条口とミゾを増やしていったが、思ったほどの安定した弾道は得られない。 だがある時、偶然にも他の銃よりも安定した弾道をもった銃が製造される。 それは、製造工程のミスでミゾが捻れていた失敗作であった。 捻れ、つまり螺旋状に彫られたミゾこそが、弾丸に回転を与え、飛距離と安定性を生む。 こうして、正確な螺旋ミゾを彫るための試行錯誤が繰り返され、 ついに螺旋ミゾ――ライフリング――を有した長銃、トリステイン・ライフル壱式が開発されたのである。 最新式のフリントロック機構でありながら不発の可能性を極限まで減らしたライフル壱式、 そして始祖の祈祷書と水のルビーを携えて、コルベールとルイズはクヴァーシルを追って旅立った。 何百人のメイジが隊列を組もうと、クヴァーシルの視線の前にはひとたまりも無いのは既に証明されている。 ゆえに、最低限の人数で可能な限り近づき、そして狙撃する。 それこそが、二人の立てたクヴァーシルへの対抗法であった。 けれど空を飛ぶ仇の後を追うのは難しく、更に数ヶ月の時が過ぎ、更に多くの命が奪われていく。 反撃の機会はクヴァーシルの魔眼から運良く逃れたアルビオン皇太子ウェールズと、 彼の率いる『イーグル』号がルイズ達二人と邂逅した事から始まった。 周囲の生き物全てを滅ぼすクヴァーシルの出す羽音を拾って、正確に位置を探る魔術を開発したアルビオン空軍生き残り部隊と、その船に同乗していた、卓越した風竜の乗り手ジュリオ・チェザーレ。 多くのロマリア市民と教皇までもを殺害したクヴァーシルへの復讐を誓ったジュリオは、コルベールの願いを快く受け入れた。 それは、命がけの危険な作戦。 クヴァーシルの唯一の死角である頭上から、風竜での高速降下突撃による一撃必殺の狙撃だ。 失敗すれば大地に打ち付けられて死ぬであろう作戦に、しかし誰一人としてやめようと言う者は居ない。 誰もが決死の覚悟を決めて杖と剣と銃を打ち合わせた時、メイジの一人がクヴァージルを発見したとの報告を届けた。 イーグル号を降り、ウェールズ皇太子と共に馬でクヴァーシルへと近づくルイズ。 鬱蒼とした森の中では、上空から襲い掛かることなど出来ない。 クヴァーシルを挑発し、魔眼の鳥を森の外におびき出すのが二人の役目だった。 森の中で羽を休めていたクヴァーシル。 皇太子は小さな声で詠唱するのは、強力な攻撃のスペルだ。 だが呪文が完成するよりも早く、殺気を感知したクヴァーシルが目を開き、二人にむかって襲い掛かる。 迫り来る恐るべき速さの飛翔と恐るべき視線。 即死の邪視をルイズの放つ虚無がかろうじて受け止める。 どう! と倒れ臥す馬から飛び降りつつ謝罪の念を向けながら、皇太子とルイズは森を走った。 木が死ぬ。草が枯れる。リスが兎が狼がイノシシが死ぬ。森の命が滅びる。 あらゆる生ある物をことごとく死滅させつくして、クヴァーシルは森を飛んだ。 転がるように森を飛び出す二人。 追って現われたクヴァーシルの視線を、虚無の魔法が弾き飛ばす。 その瞬間こそ唯一の好機。 今度こそ二人を仕留めんと反転した瞬間のクヴァーシルへと、自由落下よりもなお早い速度でジュリオの竜が急降下した。 だが、魔鳥が気付く方が早い。 間に合わないと気がついて―― 否、始めから間に合わぬと知っていたコルベールは、既に『フライ』の魔法を唱え終わっている。 最高速にのった竜の背を蹴って、銃を構えたままで飛び出すコルベール。 銃口は邪視の鳥の眉間にピタリと合わせられ、引き金には人差し指がしっかと掛けられている。 「だめだコルベール師、まだ―――」 それでもなお、クヴァーシルの視線の方がわずかに早い。 「なに、これで間に合いますとも」 その時、あまりの風圧にコルベールの仮面が外れて飛んだ。 一年ぶりの外気に晒されるのは、ひどい火傷に崩れた顔面と白濁した眼球。 彼が魔眼の鳥から生き延びたのは、あの時自分の眼を自分で焼き切ったからであった。 目から体内に侵入して人を殺す猛毒の視線は、ゆえにコルベールを即死させない。 次の瞬間に蛇のように絡み付いて耳から侵入して炎蛇を殺すだろう。 それでも、わずか一瞬の差で銃弾は放たれるのだ。 コルベールの死を、代償として。 「だめよ! 死なないでコルベール先生! もう誰も私の目の前で死んで欲しくない……死なせないってアイツに誓ったから!」 ルイズの脳裏に自分をかばって死んだ使い魔の姿が浮かぶ。 咄嗟に唱えた呪文は虚無の呪文『幻影』であった。 脳裏に浮かんだ使い魔、平賀サイトという名の異世界の少年の姿が、コルベールの姿を隠すように現われる。 クヴァーシルのルールはたった一つ。 『見られたら、死ぬ』 ゆえに幻影の後ろにであろうとも、姿を隠したコルベールに死の視線は届かなかった。 銃声が一つ。 バツリと、鉛の弾丸がクヴァーシルの眉間を貫く。 クヴァーシルとコルベールは交差して、鳥は天へと、炎蛇は地へと。 魔法による制動が間に合わず地面に激突する寸前のコルベールを、ジュリオの風竜が間一髪で咥え取った。 「まったく、もう少し僕やコイツを信用して下さいよ、コルベール師」 「いやはや、また死に損ないましたか……」 「先生、クヴァーシルが!」 竜の口から開放されたコルベールが、ルイズに促されて見上げれば、青い月へと飛び続けるクヴァーシルの姿。 「まさかあの化け物、まだ生きているのか!?」 「いや―――鳥にまつわる、空の船乗りの間で知られている話がある。 強い気流のなかで絶命した鳥の中には、死んだ後もずっと飛び続けるものが居るのだ。 あの魔鳥もきっと―――」 慌てて風竜に乗り込もうとしたジュリオに語ったのは、ウェールズ皇太子。 王子の眼は、すべての終わりを見届けるように静かに澄んでいた。 四人の間に沈黙の帳がおりる。 その中で、コルベールが呟くように、唄うように、クヴァーシルを見送った。 「どこまでも飛んでゆきなさい、鳥よ。そこがあなたの場所なのだから。 鳥は空を飛び続け、蛇はまたこれからも地を這うのでしょう。 私がかつて奪い、今度もまた守れなかった幾多の命の分まで。 いつか、私がお前の場所に召されるその日まで……さよならですなクヴァーシル」 その言葉を最後として、ハルケギニアの住民を恐怖させた魔鳥の事件は終わりを告げた。 「さて、トリステインへ帰りますか」 「そうね、先生」 「では王都までイーグル号でお二人を送りましょう」 「僕も二人を見送ってからロマリアに帰還するかな」 四人はそれぞれの感慨を噛み締めながら帰路につこうとした。 そんな四人を、戦いの終わりを知ったイーグル号が迎えに来て、そして開口一番。 「船長! ゲルマニアの魔法学院で巨大で九本尻尾の白い狐の魔物が召喚されたそうです!」 「ガリアのリュティス魔法学院で死病をまきちらす自動人形の一団が召喚されたと連絡が!」 「我がアルビオンの魔法学院でも火を吹きながらジャンプする怪人が召喚されたと、いましがた緊急報告が!」 「ミス・ヴァリエール、コルベール師、帰国は一時中止だ! 協力を頼む!」 「やれやれ、ゆっくり休む間もありませんな」 「任せて下さい! こんどはもっと、ちゃんと戦ってみせますから!」 「もちろん僕も参加させてもらいますよ」 「総員配置に付け! イーグル号、発進!」 颯爽と飛び立つ空の帆船。 この年以後、ハルケギニア全土の魔法学院で使い魔召喚は禁止されたとさ。