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木曜の夜、信義から電話があった。内容は昼間真也に聞いたことと大体一緒だった。ただ、聞いてたのよりかなり状況は悪くて実際はいまの雹に幽鬼連合と喧嘩するだけの人数は残ってないらしい。つまり実質的には喧嘩にすらならない。ただ、このまま雹が潰されると俺達にもとばっちりが来ちまう。雹の地元には浜がある。ここを幽鬼連合に渡しちまうと、俺達県央地区を根城にしてる族の作った「浜に揉め事は持ち込まない」って不文律が破られる事になる。浜には週末になると県内や県外から毎週約200台近くの車が集まる。そんな所を局地戦なんかで使った日にゃ俺達がおまわりに潰される。一般人に怪我なんかさせた時にはなおさらだ。族の喧嘩は族同士で。いまも昔もこれだけは守られてきた。 「とりあえず明日一輝に直接聞かなきゃ何とも言えないな。集合8時だって言ってたから7時半頃に家まで迎えに来てよ。」 「わかった。明日な。」 いままでは自分達のプライド守ったりの喧嘩はしょっちゅうだったけど明確な何かを守るために喧嘩すんのは初めてだ。恨みや憎しみがない人を殴る。それがどんなに大変な事か。まだガキだからわからなかった。 次の日の夜、俺と信義はココスに向かう。ココスにはすでに一輝とナイトの健司、イーグルの江守と、各チームの頭が揃ってた。
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時間だ。加藤君の彼女がステージにあがる。俺はステージ裏に行く。加藤君の彼女のクソみたいな歌が始まる。ドアの前には女が一人立ってた。息を潜めて待つ。鍵に手をかけた。ゆっくり鍵を回す。「カチャ」ってなる瞬間捕まえた。 「はい、そこまで。そのまま外に出ろ。痛いの嫌だろ?」 チェックメイトだ。顔面蒼白の女をそのまま外に連れ出した。外では一輝達が暴れてる。 「残念だったな。お仲間はもー腹いっぱいで動けないってよ。」 3人いた男はみんなのびてる。加藤君が口を開いた。 「…なんでお前が…」 その女は加藤君の彼女の友達だった。 「…いつもチヤホヤされて気に入らなかっただけ。こんなの冗談でしょ?帰るから手を離して。」 俺は一輝に女を渡した。 「殴るなり輪姦すなり好きにしろ。後はよろしく。」 「なぁ、姉ちゃん。アンタ知らないかもしれないけどこの人ヤクザだ。」 加藤君を指差した。女は今にも泣きそうな顔だった。 「ごめんなさい、許して。ちょっとだけ脅かしてやろうと思っただけなの。お願いだから見逃して。」 「…ごめんな。かばいきれんわ。後は俺じゃなくてこの人と話してくれ。ただ、友達とか裏切ったらマズイだろ。ちゃんと償いな。」 女はなんか叫んでたけど一輝に無理矢理車に押し込まれた。 「どーもな。助かったよ。でもなんでわかったんだ?」 加藤君が不思議そーに聞いてきた。 「簡単っスよ。自分ならどーするか考えただけっス。手引きする仲間がいなきゃまずこんな計画立てないっスから。後は裏口見つけて張ってただけですよ。」 「そーか。いろいろありがとな。お前に頼んでよかったよ。また何かあったらお願いするわ。」 「暇だから手伝っただけですから。次は違う奴に頼んでください。血なまぐさいのはこりごりです。」 加藤君が封筒を出してきた。 「なんですか、これ?」 「気にしないで取っとけよ。ウチからの気持ちだから。」 「受け取れないですよ!なんもしてないじゃないですか!」 「いいから!貰ってもらわなきゃ俺が親父に怒られちまう。それよりお前、ウチに来ねーか?」 「それはいいです。ヤクザになるつもりはいまのとこないですから。じゃー気持ちの方だけ貰っときます。どうもありがとうございます。」 「もしヤクザやるときは声かけてくれよ。そんじゃまたな。」 加藤君は帰っていった。ようやく狂った夜も終わりだ。俺の無期停も来週で解ける。あと1年。俺達が遊んでいられる時間だ。でもこの1年が壮絶な修羅場になるって事はまだ誰も知らなかった。
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水曜の昼休み。俺達は1年に囲まれた。 「…なんだテメェら。」 「すいません、一緒に来て欲しいんスけど。俺達の頭とタイマン張ってください。」 「じゃーその礼儀知らずのバカに言っとけ。用があるときゃテメェで出向いてこいってな。」 「逃げんのかよ!」 俺はこんな事言われて黙ってられる程優しくない。でも今日は珍しく真也が先に手を出した。年下になめられたのがよっぽどムカついたらしく、ポケットの中から特殊警棒を出してその1年の頭を叩き割った。 「…だからテメェから来いって言ってんだろーが!いつでも屋上で待ってるからよ。わかったらコイツ、さっさと病院連れてってやれよ。」 真也が倒れてる奴を指差して言った。1年達はいなくなった。 「悪ぃ。やっちまった。明日には来るぜ。どーする?人数集めとくか?」 「ガキ相手にそんなカッコ悪りぃ事できねーだろ。来たらやるだけだ。いいよ。俺がやるから。お前は見てろよ。」 「大分余裕だな。勝つ自信あんのかよ?」 「いや、ないよ。だってソイツ鬼みたいに強えぇんだろ?」 「じゃーなんでそんな余裕なんだよ!」 「あのな、ヤクザの喧嘩じゃねーんだから命までは取られねーだろ?それに昔は名前売るためにいっぱい無茶したじゃん。自分より強えぇ奴とも喧嘩したし。阿弥陀とかと喧嘩してた事考えれば全然楽勝だろ。それと同じだよ。人間守りに入ったら負けだ。心配すんな、そんなガキ一撃で狩ってやるよ。」 真也は何か言いかけたけど黙って深いため息をついてた。 次の日の昼休み、ソイツは屋上に来た。 「昨日はどーも。俺の仲間が迷惑かけたみたいですいませんでした。どっちが斎藤先輩なんですか?」 「その前にテメェが名乗るのが常識だろ。」 「すいません。自分、1年の神田って言います。」 神田? 「斎藤先輩に殴られて姿消した“天地”の神田の弟です。その節は兄貴がお世話になりました。」 あの神田の弟か。最初から俺狙いじゃねーか。 「…俺が斎藤。なんだ、兄貴の敵討ちか?」 「そんなんと違います。ただ、やっぱり一番強い奴が学校まとめるべきだと思うんですよ。俺は誰にも負けた事ないんで。ちょっと早く産まれたぐらいでその下につかなきゃならないってのは我慢できないんで。」 「わかった。んじゃーどーする?いまからここでやるか?」 「いや、今日の放課後、反射炉でどーですか?ギャラリーいた方が燃えるし。」 「…勝手にしろよ。そしたら放課後な。」 「チョン高の崔、ぶっ飛ばしたの先輩ですよね。楽しみにしてますよ。」 神田は帰っていった。 放課後。俺と真也は二人だけで反射炉に行った。すでにギャラリーが30人近くいる。暇な奴が多い。ギャラリーの中に響子がいた。 「お兄さんが斎藤先輩だったんだね。騙されるとこだった。」 「最悪で悪かったな!ってかなんでいんだよ!」 「神田君に呼ばれた。神田君に先輩に勝ったら付き合ってって言われててさ。みんな神田君に賭けてるけど私だけ先輩に賭けてるから絶対負けないでね。私、神田君の事好きになれそーもないし。」 「勝手な事言いやがって。まぁいいや。神田どこ。さっさと終わらせて帰るわ。」 響子は一番奥を指差した。神田が座ってる。 「遅かったですね。逃げたかと思いましたよ!」 「テメェごときにケツまくる訳ねーだろ!さっさとかかってこいよ!潰してやる。」 俺は上着を真也に渡した。神田も立ち上がってこっちに向かってきた。 世代交代になるか。このまま暴君が君臨するか。どっちになるかわからないけどゴングがわりの乾いた音が反射炉に響いた。
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続々とおまわりが集まる浜を後にして俺達はクイーンに集まった。みんなボロボロだった。怪我してる奴もいるし、誰の単車かわからないの乗ってきた奴もいる。ただ信義以外は全員揃ってた。 「…信義が捕まった。いまはそれ以外わかんねえ。明日になってみないとな。今日はとりあえず解散だ。連絡するから。」 みんな悪ぃ。せっかくがんばってくれたのにこんな事になっちまって。 俺はすぐに香織に電話した。 「もしもし。こんな時間にどーしたの?もしかして私の声が聞きたくなったとか寒い事言うんじゃないでしょーね?」 「…悪ぃ。寝てたか?急で申し訳ないんだけど亜子ちゃんの番号教えてくれ。」 「どーしたの?なんかあった?」 「…信義が捕まっちまった。亜子ちゃんに教えてやらねーと。」 「…わかった。アンタから言える?声だけ聞いてるととてもじゃないけど言えない様な雰囲気だよ。亜子ちゃんには私から電話しとくから。詳しい事は後で聞くよ。」 「わかった。どーもな。」 そー言って電話切った。情けねぇ。女に心配されちまうなんて。自分じゃわからないけどかなり落ちてるらしい。あと一人。俺は真也に電話した。 「…もしもし。こんな遅くにどーし…」 「テメェふざけんじゃねーぞ!昨日から何してた!俺達が走ってるの聞こえなかったのかよ!!」 「ちょ、ちょっと待てって、何かあったのかよ!」 「…今日、幽鬼連合と喧嘩になった。そんで信義が逮捕された。取り乱しちまって悪ぃ。明日、みんなで集まるから。」 「信義が…。マジかよ。行けなくて悪かった。ただ、」 「言い訳は聞きたくねーよ!いまはお前と喋りたくない。とりあえずそーいう訳だから。また明日な。」 一方的に電話を切った。いまは誰とも話したくない。一緒にやってきた信義が逮捕された。これは俺の中じゃかなり大きい事だった。信義は俺達の頭だ。これからチームはだれがまとめてくのか。信義はどれくらいで帰って来るのか。考えるのが嫌になる。 俺が家に戻るとちょうど香織から電話がきた。 「…もしもし。」 「亜子ちゃんに電話したよ。」 「サンキューな。で、どうだった?」 「…泣いてるに決まってるでしょ。」 「…そーだよな。悪かったな。嫌な事頼んじまって。」 「なに落ちてんの!しっかりしろよ!下向いてないで前を見な!」 香織に怒られた。 「いまはアンタしかいないんだから。アンタがそんなんじゃ残ったみんなが可哀想だよ。私が惚れた男はそんなに弱くない。わかったらしっかりしろよ!」 「いろいろありがとな。気合い入ったわ。また後で電話する。」 胸に響いた。信義はいなくなっちまったけどまだ真也もいるし、何よりチームは潰れた訳じゃない。信義が戻ってくるまでがんばらなきゃ信義に顔向けできない。 だけど次の日真也は現れなかった。
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あれからまた数日。真也は相変わらず学校に来なかった。俺の電話も全部シカト。信義は拘留がちょっと伸びたらしい。鑑別所に行くにはあと1週間ぐらいかかるみたいだって信義の妹が言ってた。あと、学校クビになったって。 俺もこのままダラダラやってるのは嫌だ。真也が逃げ回ってるなら捕まえるしかない。チームの奴等に真也から連絡あったら俺に知らせてくれる様に頼んだ。もちろんジローや学校の奴にも同じ事頼んだ。でも網に引っ掛からなかった。そうこうする内にまた時間だけがムダに流れてく。神田が紹介してくれた奴にも会ったけど、やっぱり何も知らなかった。完全に手詰まり。真也の行方を知る奴がいない。誰かが手助けしなきゃここまで完璧に隠れる事はできない。 裏切り者は誰だ? 結果から言うと信義が捕まって1ヶ月過ぎた頃に連絡が来た。格さんから。 「真也の事探してんだって?ちょっと話あるから出てこれるか?」 俺は誘いに乗った。 まさかコイツが俺の事、裏切るとは思ってもいなかった。他の誰よりも俺の理解者で、気高く、そして親友だった男。 この日俺は絶望を知った。
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格さんと真也が裏切った。 いままで一緒にやってきた親友に裏切られるのは正直、キツかった。 残ってる奴が何人いるかわからない。まずそれを確認しなきゃ何もできない。 俺がいまからやらなきゃならないのは後ろを振り返る事じゃない。ウチのチームをなめた奴等を一掃する事。 信義がいないいま、俺が仕切ってやるしかない。 特攻隊の奴に電話して確認するとどーやらコイツラ以外はほとんど寝返ったらしい。ただ、コイツらが残ってるって事はまだなんとかなる。 真也達のチームは雹を名乗った。どーやら格さんが仁さんの組(雹のケツモチ)に話つけたらしい。そして雹の名前のおかげで人数は30人程に増えた。 逆に俺達は一気に人数が10人ぐらいになっちまった。 もーすでに「連合」ではなくなった。 俺達もチーム名を「日丸連合」から「日向一家」に変えた。もう未練はない。 俺達10人対雹30人まともにぶつかったら勝てない。 考えろ。いままでと同じやり方は通用しない。 お互い相手の出方を見なきゃ動けない。 1ヶ月が過ぎた。 にらみ合いは終わりだ。 そして戦争が始まる。