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書きたかった事 親は子を見限れるのか でぶれいむ。ぶよぶよ 注意点 口の中いっぱいに食べたら一日分の食事くらいの設定です 作者 チェンマガツ? 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 うららかな陽気に誘われてまりさとれいむ、そしてその子供達いずれもれいむ種の四匹が背の低い草が生い茂る原っぱで思い思いにくつろいでいる。 両親は子供達が遠くに行かないよう見守り、子供達は四匹仲良くかけっこや押し合いを興じている。 今年の冬も無事越す事ができ、順調にご飯も集まったことから早めの子作りをして番は群れのゆっくり達よりいち早く幸せそうな日々を送っている。 れいむが子供達を呼ぶとその小さな体で一生懸命に跳ねてくる。 そよそよと撫でるように静かに吹く風やその大きさの割にのっそりと動く雲のおかげでここはとてもゆっくりできる。 そして番と子供達は寄り添って昼寝を始める。 天高く昇った太陽が体を温めてぽかぽかと気持ちよく、日光はまるで餡子にまで染み渡るようだ。 そんなゆっくり達の平穏を破る者が現れた。 片手に鞄を持った人間だ。わざわざゆっくりがいる森の奧までハイキングをしてくるような変わった男である。 「ゆっくりしていってね!!」 無防備に眠っているゆっくりの家族に向かって男は挨拶する。 すると眠そうな目をしながら律儀に挨拶を返してきた。 「「ゆっくりしていってね!!」」「「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」」 「おにいさん、ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだからでていってね!!」 「まあそんな事言わずにここでゆっくりさせてくれよ」 「れいむたちはねむねむなんだよ? そんなこともわからないの?」 「せっかく君たちに美味しい食べ物を持ってきてやったんだがいらないのかい?」 男のその言葉に反応したのは子供達だ。今は睡眠欲よりも食欲が優先される時期なのだろう。 男の足下まで跳ねてきて、我先にとぴょこぴょこと垂直に飛び上がる。 「しょれってゆっきゅりできりゅ?」 「ああできるとも」 「れいみゅにいっぱいちょうらいね!!」 「れいみゅも!! れいみゅも!!」 「はいはい順番にね。お前達はいらないのかい?」男は番であるまりさとれいむにも呼びかける。 「ゆゆっ!! れいむたちにもちょうだいね!!」 「よしよし」 どうやら家族全員が男からのご飯に興味をもったようである。 男は手持ちの鞄から大きいおにぎりを一つ取り出しゆっくり達の背後に向かって放り投げた。 すると男の手を離れ放物線を描くおにぎりを家族全員が目で追う。 そしてゆっくり達は一目散に駆けだした。 おにぎりに一番近い位置にいるのは親であるまりさとれいむであり、あっという間におにぎりに食らいついていた。 それに遅れたのは子供達である。男の足下にいたうえ、親よりも移動速度も遅いのだ。 急いで跳ねていくがきっと辿り着いた頃には無くなっているだろう。 「にゃんでにゃげたのー!!」 「ゆえーん、いじわるしないでにぇ!!」 男に悪態を付きながら必死に跳ねていった。 そのうちの一匹の赤れいむが出遅れた。 男の足下で跳ねていて丁度着地してグニャっと変形しているときに男がおにぎりを投げた赤ゆっくりだ。 姉妹達の様子からようやくご飯が遠くにあることを知って、泣きながら後を追い始めたが完全に出遅れていた。 男はその赤れいむを見逃さなかった。 素早く背後から捕まえては叫ばれないように口に粘着テープで蓋をする。 さらに後ろ髪のリボンともみあげの飾りを奪って鞄の中から透明な箱を取りだしてそれにれいむを放り込んだ。 次に男が取り出したのは別の透明の箱でその中には飾りのない同じ大きさの赤れいむがいた。 そのれいむにこれまた素早く先程奪った飾りを取り付け、怪我をしないようそっとご飯の近くに投げた。 もちろんこの間の男の行動を家族のどのゆっくりも見ていなかった。それほど男の与えたご飯に注視していた。 そして男は静かにその場を去った。親であるれいむとまりさは自分の子供の中身がすり替わった異変に気が付くだろうか、いや気が付かない。 飾りで個体識別をするゆっくりにとってもはや本体は付属品なのだ。 まるでおまけ付きお菓子のような存在である。 余談はさておきゆっくりの家族の様子を見てみよう。 「うっめ、めっちゃうっめ」 男の投げたたった一個のおにぎりを親まりさと親れいむは二匹で食べ終えてしまった。 「おかーしゃん、おにいしゃんのごはんは?」 「ゆあああ、おいしくてぜんぶたべちゃったああああ」 「どおじでわけてくれにゃいのぉぉぉ」 「おかーしゃんのばきゃぁぁぁぁ」 「ごめ゛んね゛えええええええ」 泣き崩れて情けない表情の親子の元に男によって中身の変えられた赤れいむが近づいてきた。 「おなかへっちゃからごはんちょうらいね!!」 「ゆう?」親まりさは声のトーンが少し低いその赤れいむを少し不審に思った。 こんな声の子供がいたっけ。でも姿は間違いなくまりさの子供だし……。 だがそれ以上まりさは深く考えない。 「みんなおうちにかえってごはんたべようね!!」 「「「「ゆゆ~ん」」」」 親まりさは自分の気持ちを一旦押し込めて子供達のご飯を与える事を先決した。 どうせ気のせいだろう。よく思い出せば前からこんな感じだったさと何とも楽観的に考えながら家族仲良く帰宅したのだった。 「こんにゃのじゃたりないよ!! もっちょもってきてにぇ!!」 「おちびちゃんちょっとたべすぎだよ……」 親達が保管していたご飯を子供達に配り、皆で食べ終えさらに一匹だけおかわりをした直後の赤れいむの台詞である。 残り三匹の赤れいむはと言えば、お腹いっぱいで丸々としたその姿のせいかころころと巣の中を転がり回っている。 しかし残り一匹の様子がどうもおかしいのだ。 この一匹は親まりさが昼間の原っぱで異変を感じた一匹だったが、どこがおかしいのかわからないでいる。 「ゆゆっ……、しかたないからもうすこしもってくるね」 そう言って親れいむは食物庫に入っていく。食べ物の保管量に関しては申し分無いのでなんら問題ないが、今までに無い事態に少し戸惑っていた。 「れいむはそだちざかりなんだね!!」 親まりさはむしろそれを喜ぶ事にした。そうだ自分達が子供の頃もこれくらい食べたものだ。 いつも親の手を煩わしていた気もする。 そう思いこむ事にした。そうして問題を先延ばしにしてしまった。 「さあおちびちゃん、ゆっくりたべてね!!」 「はふはふ、むしゃむしゃ、がつがつ……」 「いっぱいたべてゆっくりおおきくなってね!!」 気持ちいいの食べっぷりに両親の頬は緩んだが、しかしそれを豹変させる台詞を赤れいむは吐く。 「まだしあわしぇーできにゃいよ!! もっちょちょうだいにぇ!!」 「「ゆ゛ゆ゛っ!!」」 結局その後普段の五倍の量を食べて赤れいむは渋々満足した。 あれほど食べたのにかかわらず体型が変わらないのが不思議なくらいだ。大食いの赤れいむの横で眠る姉妹はあんなにも丸々しているのに……。 そこには両親は気が付いていない要素があった。この赤れいむのサイズが一回り大きくなっていた事だ。 たった一回の食事で急激な成長をしたことになる。 中身の餡子が増えただけでは表皮が追いつかず破裂しかねないが、この赤れいむはその特異的な柔軟な皮のおかげで形を保っていた。 ようやく眠りについた赤れいむを見つめながら親まりさと親れいむは安堵のため息をつく。 しかしその安堵もその日の晩のご飯の時に打ち砕かれた。 再び大量のご飯を要求する一匹の赤れいむによりあれほど蓄えていた食料も残りわずかになってしまった。 「このちびちゃんはごはんをたべすぎだよ……」 「ゆゆっ……。まりさががんばってごはんをあつめるからだいじょうぶだよ!!」 就寝前に両親が一匹の赤れいむについての話をした。 ご飯を食べ過ぎる本人ももちろん心配だが、明日も明後日もこれから先ずっとこのペースで食べ続けられると家族全員のご飯が無くなってしまう心配があった。 翌朝、親まりさと親れいむが目覚めるといつもの挨拶を交わし合う。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!」」」 あれ?とまりさとれいむはどちらともなく思った。 そしてもう一度、今度は少し大きめの声で挨拶をする。 「「ゆっくりしていってね!!!!」」 「「「ゆっきゅりしちぇいちぇね!!!!」」」 まりさとれいむは巣の中をよくよく見回した。 そこにいるのは赤れいむが三匹だ。たしか自分達の子供はもう少し多かったような気がするのだが。 「おかーしゃんどうしちゃの?」 二度にわたる挨拶に赤れいむの一匹は不思議そうな顔をしている。 もう一匹は未だ眠そうな顔を、そして残りの一匹は朝からとても元気である。 「おなかへっちゃからごはんちょうだいね!!」 「そうだね、ごはんにしようね!!」 「れいむたちはゆっくりまっててね!!」 自分達の子供が一人減っている事に気が付かない親まりさと親れいむ。 ご飯の催促を受けてまりさが単身朝ご飯の調達に向かい、れいむは子供達と歌を歌ったり頬擦りをしながらその帰りを今か今かと待つ事にした。 所変わってここは町の加工場、ゆっくりたちの阿鼻叫喚に包まれるまさにゆっくり地獄と呼べる空間に冒頭に出てきた男が勤めていた。 男が勤務する部署は廃棄物処理の工程に携わっていた。 ゆっくり食品の製造過程においていくつか発生する商品適応外のものを処理することがメインで、その他にも繁殖、飼育中に出てくる残飯、発育不良品、死体等の処理も行うのだ。 この工場ではそういった物を一元化してゆっくりに処理させる工程にある方法を取っていた。 いわゆるゆっくりコンポストである。 コンポスト内には工場稼働中は常にゆっくりの餌となるものが流し込まれていった。 一般家庭や街角に設置してあるコンポストとは比にならないほどの処理効率を求められた内部のゆっくり達は、世代を経るたびにそこで生き残る術を身につけていった。 コンポスト設置当初は何度もゆっくり達は処理しきれない餌にまみれて死んでいき、工場全体の動きを停止せざるを得ない状況に陥らせた。 そこで男達が投入したのが表皮の伸縮性の高いゆっくりだった。 ゆっくりの食欲が完全に満たされるのは自分の体がパンパンになりこれ以上ご飯が食べられなくなったときだ。 つまりその状況までいかなければいくらでも食べ続ける事ができた。 そして通称コンポストゆっくりと呼ばれる大喰いのゆっくりが誕生した。 表皮が厚くさらにとても伸びるコンポストゆっくりはコンポスト内を溢れかえらすこともなく、その無限の食欲で廃棄物処理を行っていった。 このゆっくりは大喰いもそうだがやたらと成長が早いこともその特徴だった。 沢山食べるから早いのか、もっと沢山食べるために早く成長するのかは定かではない。 またコンポストを空にするのが彼らの目的であるためうんうんしーしーもきわめて少ない。 その体皮も手伝って体内の老廃物はすべて溜め込んでいるようだった。 結果コンポスト内では水ぶくれ気味で健康的なゆっくりからすればかなり太った体型となっていた。 男はこのコンポストゆっくりを興味本位で野に放ち、野生での適応は可能かを試してみる実験としてまりさとれいむの子供をすり替えたのだ。 そしてそのコンポストゆっくりの赤れいむはまさに猛威を振るっていた。 朝のうちから狩りに出かけた親まりさが昼ご飯も兼ねてかなりの量のご飯を取ってきていた。 昨日の昼ご飯、晩ご飯のことを考えれば二回の食事はこれくらいあれば食べ盛りの赤れいむも満足するだろう、そう思った結果である。 一般的なまりさからしてもとても優秀なご飯回収量といえる。 しかし、その大量のご飯はあっという間にコンポストれいむの食欲によって消費されることになる。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「「なんでええええええ!!」」 ゆうに一回の食事量の十倍は超えている、それも成体ゆっくり換算でだ。 見てみるとコンポストれいむの体高はすでに子ゆっくり並の大きさで、球体というより円柱に近い形をしている。姉妹と比べるとその異様さは目立つ。 たった一回の食事でここまで急成長し、さらにデブ体型である。コンポストれいむ恐るべし。 親まりさとれいむは戦慄した。このままでは親の威厳が保てないと感じた。 どこのゆっくりの世界に子供に満足にご飯を与えてやることのできないゆっくりがいるのかと。 子供をゆっくりさせてやれない親はゆっくりできないゆっくりだ。 なんとしてもゆっくりさせてやらねばならないというような変な責任感の元に朝ご飯が終わると両親揃って赤ゆっくりを巣に置いて狩りに出かけてしまった。 しかしここで妙な気合いを出すのは無駄な行為であるとはまりさとれいむは知る由もない。 それはいくらご飯を持ってきてもコンポストれいむに満足という言葉はないからだ。 太陽が空高く昇りきった頃、親まりさとれいむはその帽子と口に入るだけご飯を入れて自分達の巣に帰ってきた。 巣で待っていたのは同い年とは思えないほど体格差のあるれいむの姉妹が二匹待っていた。 「ゆゆゆっ!! れいむはどこにいったの!?」 親れいむは子供が一匹いなくなっていると気が付いた。この狭い巣の中では隠れようもないのでやはりいないのだ。 「しらにゃいよ!! おきたらいにゃかったよ!!」 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「もしかしておそとにでていっちゃったの!?」 「どおじですでまっでないのおおおお!!」 しかし赤れいむが巣から出た形跡は全くなかった。なぜなら巣に戻ったときに巣の入り口の偽装は破られてはいなかったからだ。 「ゆっくりはやくごはんちょうだいね!!」 「「れいむはすこししずかにしてね!!」」 両親はしつこく催促してくる赤れいむにご飯を与えて黙らせる。 その間に巣の周辺の捜索していなくなった赤れいむの行方を追った。 しかしどうしても発見できなかった。赤れいむの移動速度なぞたかが知れている。 ご飯を探している時間がかなりあったとしてもそれほど遠くまでいけないのだ。 それでも見つからないというのは捕食種に食べられたと考えるのが妥当だった。 「ゆあーん、おちびちゃんがだべられだあああああ」 「れいむしっかりするんだぜ、のこったれいむたちをゆっくりそだてればいいんだぜ」 「ばでぃざ、ごめんね゛ええええええ」 「れいむがあやまることじゃないんだぜ。ゆっくりすにもどるんだぜ」 子供が一匹いなくなったことを後悔するれいむとそれを何とかなだめようとするまりさ。すでにいなくなったのが二匹目であることはわかっていないようだが。 そんな二匹が巣に戻ると今度は驚く事態が発生していた。 「もっとごはんちょうだいね!!」 「「ゆがーん!!」」 あれほど集めたご飯がもうすでに消えていた。朝与えた量の二倍はあったのに。 さらに巣の中にあったなけなしの蓄えもすっかり消えていた。 丸々とした赤れいむとほとんど成体サイズに近い赤れいむの対比も両親を驚かせる。 たった二日ばかりでもうすでに自分達と同じ大きさまで育ってしまった。 しかし心はまだ赤れいむのそれである。 「「しゅーりしゅーり」」 隣にいる普通の赤れいむとはまるで親子のようなご飯後の頬擦りをする。 力加減を誤れば赤れいむが潰されそうな勢いで頬擦りするので両親は内心ハラハラしてそれを見守っていた。 そのうち昼寝の時間なのか二匹は寄り添って寝息を立て始めた。 それを確認するとまりさとれいむは巣を飛び出した。 この時間を見計らって両親は再び大量のご飯を用意しなければならないのだ。 両親が巣から出たあとしばらくするとコンポストれいむは目を覚ました。 その空腹から満足な睡眠をとることはできずたびたび起きてしまうのだ。 そしてその寝ぼけ眼に入ってくるのは美味しそうなご飯だ。 とても丸々として美味しそうなご飯。 その餡子に刻まれた記憶では丸々としたゆっくりはご飯でしかないのだ。 もはやその体格差から小細工など必要ないから姉と呼んでいた赤れいむを豪快に一飲みにしてしまった。 こうしてこのれいむは三匹の姉妹を寝ているときに襲っては食料にしていた。 両親が気が付かぬよう別段に気をつけていたということはないがたまたま見つからなかった、それだけのことである。 しかしそれはどこか自分が生き延びていくために行ったという自然な光景にも見えた。 自分に親が集めてきたご飯を集中させることが目的であるようなそんな光景だ。 とある群れのリーダーであるゆっくりぱちゅりーは最近起こっていたご飯泥棒をついに捕獲することに成功した。 自分達の群れには属さないが群れの近くで住んでいる薄汚いまりさとれいむの番だった。 大量のご飯を盗んでいるはずなのに本人達は痩せ細っているのが不可解だが盗みの現場を目撃した限りやはり犯人なのだろう。 「むきゅー、いままでもっていったごはんをかえしてもらうわ!!」 「ゆっくりりかいしたよ……」 「まりさたちについてくるんだぜ……」 ぱちゅりーが泥棒ゆっくり達にご飯の返還を要求すると二匹はそれにすんなりと応じた。 自分達の非を認める潔さがあるのに盗みを働いたことがなおさらぱちゅりーの理解の範疇を超えていた。 森の中を二匹を先頭に多くのゆっくりがぞろぞろと這っている。 自分達のご飯を返してもらうため二匹の巣に向かっているのだ。 かなりの量が巣に溜め込まれているとみて群れから成体ゆっくりのほとんどが駆り出された。 二匹の巣の前に到着すると不思議な物が目に入ってくる。 巣の前にうずたかく積まれた土の山である。 これだけの量があれば、山を固めてそれをくり抜く事で地上の巣を作る事が出来そうだ。 群れのゆっくりがゆっくりできそうな土の山に見惚れている間に、先頭にいたまりさとれいむは巣の前に着くと中に向かって叫んだ。 「「ゆっくりできるごはんだよ!!」」 「むきゅ、そのなかなのね!! みんなゆっくりとりかえしてね!!」 「「「「ゆゆ~!!」」」」 まりさとれいむの様子から巣の中に持って行かれたご飯があるものとぱちゅりーは判断して、群れのゆっくりに号令を掛けた。 その声に反応のしてゆっくり達が列になってぞろぞろと巣の中に入っていった。 これだけの土を掘り返した巣だ。中はきっととてもゆっくりできる空間になっているだろう。ぱちゅりーは巣の外から中の様子を予想した。 どんどん群れのゆっくりが入っていくがまだその流れは止まりそうにない。 二十はいた大人のゆっくりが巣の中に入っていた。それだけの数が入っても窮屈そうな声が聞こえてこない辺り、中の広さは予想以上なのだろう。 ぱちゅりーは巣の住人と一緒に巣の外で群れのゆっくりが出てくるのを待っていた。 しかしいくら待っても中に入っていったゆっくりが出てくる様子はない。 いくら広いと言ってもご飯の匂いを嗅ぎつけて食物庫に入り、ご飯を口に入れて出てくるくらいならそれほど時間はかからないはずだ。 「おかしいわね。ゆっくりしてないででてきてね!!」 ぱちゅりーは痺れを切らして自らその巣の中へと入っていった。 それほど広くない入り口付近のトンネルをどんどん奧に入っていくと急に柔らかい地面の部屋が現れた。 その空洞は部屋と呼ぶにはそれほど広くなく大人三匹が入れば窮屈になる部屋だ。 不思議なのはその狭さなのに群れのゆっくりはどこにもいないのだ。 「むきゅー、みんなはどこかしら。むぎゃ!!」それがぱちゅりーの最期だった。 突然部屋の天井が下がってきてぱちゅりーを押しつぶした。 すると天井は再び上がり、また下がってくる。そのうちぱちゅりーだったものは部屋の奥へと消えていき、群れのゆっくりと合流した。 いずれも完全に潰された形ではあったが。 「れいむ、あのむれのこどもたちをここにゆっくりつれてきてね。まりさはすをひろげるよ……」 「ゆゆっ、わかったよ……」 肉体的にも精神的にも疲れ切った二匹のゆっくりは一秒の時間も惜しいとばかりにすぐに動き始める。 自分達の子供をゆっくりさせるためだけの親と成り果てたゆっくり達の姿である。 結局自分の子供の異変に疑問を持つのは最後まで無かった。 むしろ自分達の不甲斐なさを呪うほど子供に傾倒してしまった。 自分達がゆっくりであるためには大喰らいの子供をゆっくりさせてやらなければならない。 もし出来なければ自分達はゆっくりできないのだ。 やはりゆっくりという生物はゆっくりできないようにできているようだ。 どこかで子供を見捨てれば別のとてもゆっくりできたゆん生があったのかも知れない。 しかしもしの世界は実現しない限りあり得ない話であったのだ。 そんなゆん生はこの両親にはこれからもなく、忙しなくご飯やときにはゆっくりをかき集める日々が死ぬまで続くのだ。 加工場の男は不幸な二匹が死に絶えるのを見届け、野生に放したサンプルに挨拶をした。もちろん巣の中に向かってお互いの姿は見えないままでだ。 「れいむ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!!」 巣の中からはれいむの重低音が響く声が聞こえてきた。この声はコンポストゆっくりが太りきったときの特徴でもある。 「そんなことよりもごはんちょうだいね!! まだしあわせーできないよ!!」 巣の中からご飯を求める声が聞こえてくる。 きっとこいつも最期までご飯を求め続けた事になるのだろうと思う。 幸せを知らぬまま死ねるのは不幸も知らないという意味で幸せなのかも知れない。 男は持参していたドスパークに用いられるキノコを巣の前に一山置き、中のコンポストれいむに話しかけた。 「巣の前にキノコを置いたから食べるといいよ」 「ゆっくりたべるよ!!」 その瞬間巣の中から大蛇のようなれいむの舌が伸びてきてキノコをかっさらっていった。 その様子を見届けると男はその巣を後にした。 男が森を後にした頃、木々を揺らす地響きと共に巣の中から黒い煙が吹き出した。 あとがき カッコウの托卵っぽいのをテーマに書いてみました。 自分より体の小さな親に育てられるカッコウの写真を思い浮かべて貰えると丁度そんな感じかも。 初期のありすが托卵で増えるという設定は今ならかなり面白そうな気がする。 コンポストれいむの成長と共に移動が困難になり、巣を拡張することで肥大による圧迫を防いだそうです。 巣の中にまりさ達が入るときは親であると叫びながら入っていったそうな。
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「今回の教訓だ。絶対にヤマオウムは挑発するな!」 "And what did we learn? Never taunt a porcuparrot!" イコリア:巨獣の棲処 【M TG Wiki】 名前
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そして冒険者は、旅に出る…… 冒険準備(る00) ┣ るしにゃんの大地(る01) ┗ 黒麒麟へ(る02) ━ どかん回避、再選択 ┣ EV107共和国内戦(強制イベント) ┣ るしにゃんの大地(る01) ┣ 小助との出会い(る06) ┗ 黒麒麟へ(る02) ┣ 王城へ(る03) ┣ 絶望的な休戦説得(る07) ┣ 荒野のただ中へ(る04) ┗ 王宮へ進軍(る08) ┗ ネコリスの森へ(る05) ━ 時間切れ褒美をもらう(る99) ┣ S43登場(る06) ┣ 荒野のただ中へ(る04) ┗ 王城へ(る03) L:冒険準備(る00)={ t:名称=冒険準備(る00)(冒険) t:要点=冒険者達,準備風景,お弁当 t:周辺環境=故国(ホーム) t:説明文 ={冒険者たちは冒険にあたって準備をしている} t:とれる行動={ t:この場面で得られる効果 =ここでは5AR分を使って冒険の準備が出来る t:この場面で選ぶことが出来る行動={ #行動名,リクエストされる能力,難易評価,消費AR,成功した場合の達成値 *パーティ分割(小部隊に分割するだけ),なし,なし,3,0 *冒険に有利そうなf:を通す,なし,なし,1,0 *フィーブル新聞社で情報収集,知識,10,3,30 *ISSと接触して支援を頼む,外見,12,3,40 *現地へ飛び、次の冒険のアイドレスを選んで開く,なし,なし,0,0 t:要求されるパーティロールプレイ=準備風景。 } t:→次のアイドレス =るしにゃんの大地(る01),黒麒麟へ(る02) f:PLAYER=ナニワI=D小隊 t:ナニワI=D小隊の編成=http //fs-cgi-basic01.freespace.jp/~arktos/wforum/wforum.cgi?no=978 reno=no oya=978 mode=msgview f:ISSのスポンサーであり、藩国民も加入している&ISS加入国民がパーティにいる=側面:あらかじめISSに黒麒麟に行く旨を伝え、もし黒麒麟に行った後に消息不明となった場合、ISSが調査を行う正当性がえられる。 ♯ISS隊員 サターン、乃亜1型、守上藤丸、久遠寺 那由他、やひろ 通った。現在国境は酷く緊張しており、武装して同国に行くのを強く止められた f:I=D変装用マントをI=D全機に装備させている=側面:I=Dの迷彩性が高くなり隠蔽率が高くなる #黒麒麟に侵入しないといけない時用にf:通しておきます。 #変装用マント:http //dorill.at.webry.info/200703/article_1.html 通った。 r:フィーブル新聞社で情報収集,知識,10,3,30 #特に黒麒麟藩国に関連するものを調べます。 #部隊の知識評価は19であり、差分+9 成功した。黒麒麟に行くのは罠だと確信した。 r:次のアイドレス「黒麒麟へ(る02)」を選択 貴方は得た情報で選択を変更できる。次の効果を選びたまえ f ナニワI=D小隊パーティロール={ /*/ ここはナニワアームズ商藩国大深度地下第3層軍事区画。 その片隅にあるI=D用ハンガー棟では今回のS43氏捜索を目的とする冒険の準備に勤しむ藩国士官達が忙しく立ち働いていた。 乃亜Ⅰ型:「休みの間も戦場だった気もしないでもないのだが。捜索となれば気合をいれずにはいられまい。 …となれば、腹が減ってはなんとやら。まずはみんなの弁当だな! なゆたんー、皮むき手伝ってくれるかな?」 どん、と9人+猫士6分の食材を整備台の上に取り出す乃亜。 久遠寺 那由他:(どうしよう、今回はマキセンパイとか整備の人たちいないしなあ。I=Dのこととかさっぱりなんですけど…) 等と思いながらハンガーの隅でうろうろしていた那由他は、乃亜の一言に尻尾をピンと伸ばすと勢い込んで整備台に駆け寄った。 久遠寺 那由他:「はいお姉様。やります!みんなのお弁当ですね!」 最近ちょっと料理に凝っている那由他には適任かもしれない。皮を剥くだけならいくら何でも出来るだろうし。 久遠寺 那由他:(それにしてもこの食材から一体何が?) 軍用の大振りなシースナイフを手にジャガイモの皮をむき始めた那由他の視線の先では乃亜がホワイトボードに大きく献立を書き出して満足げに頷いているところだった。 ・おにぎり ・ジャガイモとナス、怪獣肉の煮物 (猫士のためにレモンは使用しない) ・ヒヨコ豆とチーズの中東風コロッケ ・蜂蜜とナッツのお菓子 (ほんのりショウガ風味) ・オレンジジュースとミルクとお茶 この内容、このボリューム。流石である。 イズナ:「なにか、手伝える事はあるかね?」 乃亜Ⅰ型:「おお、背の高い人、ちょうど良いところに。イズナにはこの木ベラを授けよう。 鍋の底までしっかり混ぜて炒めるのだ」 ひとまず地吹の視認チェックを終えたイズナが声をかけると乃亜は巨大な木べらを手渡し、これまた巨大な鍋…というより大釜のような野戦用炊事器具を示した。 踏み台の上に乗った那由他がどざーっと皮を剥いた野菜を放り込む。 言われるがままに木べらで炒め物を始めたイズナと、ポテトマッシャーでコロッケ用にジャガイモを潰している那由他を満足げに眺めると、乃亜は揚げ物をしながらお付きの猫士に指示を出した。 乃亜Ⅰ型:「フェイアカッツ! こっちはしばらく手が離せない。I=Dのチェックは任せるぞ」 /*/ 蘭堂 風光:「冒険かあ。何というか冒険って響きに少しワクワクするねえ。 ふんふんふーんと。計器チェックOK、駆動系も異常無しっと。相変わらずうちの整備は優秀だな」 お弁当作成班から一つ失敬してきたおにぎりを頬張りつつ、下手くそな鼻歌混じりでターキッシュバンの動作点検をする蘭堂。その鼻歌に気づいてコックピットからやひろがひょっこり顔を出した。 おにぎりを食べている蘭堂を発見すると器用にコックピットから滑り降りて足元にまとわりつく。 やひろ:「ごはんのじかん?」 蘭堂 風光:「んぐっ…。 え、えーっと。そう、腹が減っては戦は出来ないっていうからね。これも立派な準備、つまり仕事のうちさ。決してつまみ食いじゃないよ」 輝くような笑顔でやひろに尋ねられた蘭堂はおにぎりを喉に詰まらせつつ二重に苦しい言い訳をして目を泳がせた。 語るに落ちるというか。 やひろ:「じゅんび……。 じゃあ、おれもじゅんびしてくるー!」 ご飯=準備!と理解したやひろは食欲全開のいい笑顔でお弁当作成班の方へ駆けていく。 /*/ サターン:「”S43氏探索のため、国民から情報提供のあった黒麒麟藩国へ調査に向かいます。もししばらくたっても戻ってこれなかった場合は、不足の事態に陥っている可能性がありますので、調査等対応をお願いいたします”…と。 うおーい、誰かこのISS宛の手紙ポストに入れてきてー」 製図机の上でISSに向けた事情説明用の手紙をしたためていたサターンが声をかけると、お弁当班方向に急行していたやひろは耳をぴくぴくさせて直角にターン、元気よく手を上げて立候補した。 やひろ:「はい!はーい!おれがいくー!」 手紙を受け取ると両手で頭の上に載せ、ハンガー棟の外に設けられた郵便ポストに向かってご機嫌でスキップしていく。 お使いに出掛けるやひろを見送ったサターンはこきこきと首をならしてから猫士達によって変装用光学迷彩マントを着装された今回の乗機達を見上げた。 サターン:「うむうむ。やはりマント装備はいいなぁ」 守上藤丸:「僕、実は冒険ってはじめてなんだよねぇ。 うーん。知恵者でも居る理由がわからないって言ってたのに本当に黒麒麟にS43さん居るのかな・・・。でもなぁ。」 人数分出来上がったお弁当を包んで背負い、出撃準備の整ったI=Dを眺めながら守上は誰にともなく呟いた。 冒険の行き先は謎の共和国天領・黒麒麟藩国だ。 /*/ ナニワI=D小隊あらため、冒険隊はまずフィーブル新聞社へと立ち寄った。 黒麒麟藩国でのなりそこないに情報がないか調べるためである。 守上藤丸:「・・・黒麒麟国内では目立ったニュースは報道されていなかった。・・・となると隠しているのか、そもそも居ないのか、それとも・・・。」 サターン」:「ま、とりあえず探してみましょーや。 直接的な情報はなくても、関連ありそうな事件・事故その他もろもろを探っていけばそのうち当たりに行き着けるかもしれん」 「少し昔の新聞から最新までざっと目を通してみますか。突拍子の無い不自然な報道とかないかなーっと。・・・ふむふむ。なるほど」時折顎を撫でつつ、色んな新聞を読み漁る。 乃亜Ⅰ型:「・・・地方記事に重点を置いて 再度の洗い出し」 } 通った。 現在の達成値は30 修正は隠蔽が2 トップへ ▲ 貴方は得た情報で選択を変更できる。次の効果を選びたまえ #とのことですので行き先再選択します r:次のアイドレス「るしにゃんの大地(る01)」を選択 トップへ ▲ L:るしにゃんの大地(る01)={ t:名称=るしにゃんの大地(る01)(冒険) t:要点=荒れ果てた大地,すこしの緑,暗い顔の人々 t:周辺環境=暗い空 t:説明文 ={るしにゃん王国は閉鎖的で、貴方がたを暗い目で見ている} t:とれる行動={ t:この場面で得られる効果 =ここではARの許す限りの行動が出来る。 t:この場面で選ぶことが出来る行動={ #行動名,リクエストされる能力,難易評価,消費AR,成功した場合の達成値 *パーティ分割(小部隊に分割するだけ),なし,なし,3,0 *冒険に有利そうなf:を通す,なし,なし,1,0 *現地で情報収集,外見,15,3,50 *ISSと接触して支援を頼む,外見,12,3,40 *S43ゆかりの場所を推測する,知識,20,3,50 *現地で人助けする,土木作業(筋力もしくは知識),15,3,0 #これによってEV105に10億にゃんにゃん相当の支援が出来る *次の冒険のアイドレスを選んで開く,なし,なし,0,0 t:要求されるパーティロールプレイ=荒れ果てた村と住む人々、そこへの感想 } t:→次のアイドレス =王城へ(る03),荒野のただ中へ(る04),ネコリスの森へ(る05) } <ナニワI=D小隊> 現在AR15 達成値30 隠蔽修正2 行動宣言を行います。 #行動宣言 r:”現地で人助けする,土木作業”を行う #判定は筋力で行います。 #部隊の筋力評価19。 差分4 90% ダイスロール MASTER◆芝村 > 1D100 → 44 = 44 (4/30-19 46 55) 成功した。 民衆の支持を得た r:冒険に有利そうなf:を通す #土木作業終了後にf:を通します f:土木作業を行い、復興活動に協力した=側面:現地国民にある程度の信頼を得られた f:簡単な炊き出しを行い、現地国民と一緒に食べた=側面:一緒に食事を取ることである程度、現地国民と打ち解けることができた 通った 修正は3 r:”現地で情報収集”を行う #主に国民への聞き込みなどで行います。 #部隊の外見は14。 修正5加えて19 難易は15 差分4 90% ダイスロール MASTER◆芝村 > 1D100 → 61 = 61 (4/30-19 51 12) 成功 民衆の後押しもあって達成値100を得た r:次のアイドレス”ネコリスの森へ(る05)”を選択 ナニワI=D小隊のロールプレイ={ #/*/ #土木作業前 サターン「…こういう暗いのはどうも苦手なんだよなー。とりあえず調査後回しで復興作業、やる」 蘭堂 風光:「うーむ、これは・・・、中々ひどいですね・・。よっし、俺達もイッチョ頑張りますか。 まいど~!!ナニワボランティアチームです。復興支援にまいりました~。」 大きな声で元気良く。 日和が悪いのと人相を考えてグラサンは無しです。珍しく生身です。 イズナ:「日和が悪いので怪我にご注意くださいよ~」 やひろ:「こんにちは! おてつだいしたいです!」 (機体内からアナウンス。できれば機体から姿を見せる、さらにできるなら、降りる) (コクピットから顔を出して、直に挨拶しようとします)(極力怖がらせないように、普段使わない丁寧語も使います。) 乃亜Ⅰ型:「隣国のナニワアームズです! お手伝いに参りました。力仕事はご入用ではありませんか?」 守上藤丸:「花や緑は踏まない様に!気をつけて動かしてくださいよー」 乃亜Ⅰ型:「了解。 ・・早く、綺麗な森に戻ると良いな・・」 #/*/ #土木作業中 守上藤丸:「これ、どこに運びましょうか?」 下っ端とはいえ星見司の資格を持っている為、少しの不安も与える事がない様にI=Dから一歩も出ずに作業を手伝う守上。 サターン「それはまだ建材として使えそうだからまとめて作業場につんどいて」 守上藤丸:「砂漠にだって草は生えるんですから、絶対緑は戻りますよ。・・・時間はかかるとは思いますが。花も、草も、頑張ってるじゃないですか。」 蘭堂 風光:「人型ロボットの本領発揮といった所ですな。」 久遠寺 那由他:「I=Dはこんな事も出来るんですね。ターキっしゃんはやっぱり働き者だなぁ」 水陸両用の特性を活かして架橋工事のお手伝い。周囲の安全確認のため外部映像をモニタリング。 遠景に河原で煮炊きをしている難民を見て見付けて少し表情を曇らせた。 あの時、エースによる対処が数時間遅れていたら、あの人達と同じ境遇に自分達がなっていたかもしれない。 久遠寺 那由他:「…それにしても変装用のマント、役立ちませんでしたね」 だが、何もしないよりは良い。 努めて明るくそう言うとモニタリングを再開した。 イズナ:「あ、力仕事は、あそこのハチマキの彼女に任せてくださって大丈夫ですから。えぇ全部、押し付けちゃってください」 蘭堂 風光:「この辺りで大丈夫ですかー?」外部スピーカーで外の現地の工事主任に確認を取る イズナ:「皆さんI=Dの足元に入らないで下さ~い。私はプロなので入っても大丈夫なのです。 ランドー!ここは十分だから、次はあっち掘ってみようか~」 #/*/ #現地作業者と食事 (作業人数を確認しながら、サターン藩王へ通信) 乃亜Ⅰ型:「失礼します。 飲料水が確保できれば、弁当のおにぎりを使って雑炊が炊けると思います。 ・・たくさんはありませんが、せめて今日だけでも分け合う許可を。」 サターン「残りは気にせず、必要なら全部使ってよし。なくなったら後で考える」 乃亜がお弁当を分解してささやかな炊き出しを始めると出発準備に続いてそのお手伝いを始めた。 久遠寺 那由他:「ここに黄色い奇跡(巨大プリン)があればなぁ…。 皆さんきっと甘いものはあまり口に出来ていないでしょうし」 イズナ:「皆さ~ん休憩に入りましょう」 サターン「ご苦労様です。少しですが食料も持ってきたので、よかったら一緒にお昼どうです?」 #作業を行ってる現地の人たちに やひろ:「みんなでたべた方がおいしいよ」 蘭堂 風光:「ふー。あっ、主任さんも一杯どうですか?」と一服しながらお茶を勧める 「(ずずーっとお茶をすすりつつ)なるほど、あっちの方に見えるのがネコリスの森ですか。」 イズナ:「ほぅ来週、息子さんの誕生日ですか、それはめでたい…(ズズッ あぁどうもです。甘いものには目が無いもので(ぺこぺこ ほぅそちらは復旧が終ったらご結婚を、それはめでたい…(ズビッ)」 #/*/ #土木作業後・情報収集など 食事の準備が終わり、藩王らが現地の作業者とささやかな会食を始めると、今度は藩士や猫士と共にターキッシュバンで水くみを始めた。 久遠寺 那由他:「この辺りの水は飲めるくらい綺麗になってしまっているらしいですから、きっとお風呂にも使えますよね」 水を満たしたドラム缶を放熱中のターキッシュバンにだっこさせるようにして暖めてお湯にする。 久遠寺 那由他:「今日一日の疲れを癒してくれるお風呂タイムになれば良いんですけど」 やひろ:「えっとね、さがしてるんだよ。えっと、うんと……」 上手い言葉が見つからずに、近くにいる人の顔を見上げる 久遠寺 那由他:「そういえば、この国の…なんといいましたっけ、最近姿が見えませんね。 ネコリスの保護や森林復興なんて一番にしてそうな人ですけれど」 S43さんの話題がタブーではないか作業者の反応を見ながらそれとなく話題にします。 やひろ:「にゃんにゃんちゅー?」 久遠寺 那由他:「あら、やひろさんが持っているのは何です?」 おにぎりを包んでくしゃくしゃになった紙を広げるとイクさんの描いたイラストと人種差別撤廃宣言のポスターだと解る。 やひろ:「わぁるどわいど、なんだって。 みんながんばってるから。ぜったい、はれるよ。 おれたちがとおってきたところも、はれてたから」 (あっち、といった感じで空を指しながら) 久遠寺 那由他:「ええ。きっと晴れますよ。止まない雨も、明けない夜も決してないんですから」 作業者達に向けて懸命に説明しようとするやひろの肩に手を置いて言葉を添えた。 } ナニワI=D小隊のロールプレイ=成功 修正2を得た 現在AR8 達成値130 修正5 隠蔽修正2 トップへ ▲ L:ネコリスの森へ(る05)={ t:名称=ネコリスの森へ(る05)(冒険) t:要点=誰もいない森,悲しさ漂う,誰かの視線 t:周辺環境=暗い空 t:説明文 ={そこにはすでに何もないように見える} t:とれる行動={ t:この場面で得られる効果 =ここではARの許す限りの行動が出来る。 t:この場面で選ぶことが出来る行動={ #行動名,リクエストされる能力,難易評価,消費AR,成功した場合の達成値 *パーティ分割(小部隊に分割するだけ),なし,なし,3,0 *冒険に有利そうなf:を通す,なし,なし,1,0 *手がかりを探す,感覚,20,3,100 *次の冒険のアイドレスを選んで開く,なし,なし,0,0 t:要求されるパーティロールプレイ=死の森とそこを調べる様子 } t:ィ次のアイドレス =S43登場(る06)#達成値150以上のときのみ選択できる,荒野のただ中へ(る04),王城へ(る03) } <ナニワI=D小隊> 編成:http //fs-cgi-basic01.freespace.jp/~arktos/wforum/wforum.cgi?no=978 reno=no oya=978 mode=msgview 現在AR8 達成値130 修正5 隠蔽修正2 行動宣言を行います。 #行動宣言 f:奇襲を警戒し、機体の隠蔽を行ってから探索を行う=側面:敵に発見されにくくなり、奇襲を受けにくくなる #判定があった場合に備えて評価値を出しておきます #幸運評価17。 通った 修正1 r:手がかりを探す #なるべく木を傷つけないように注意して手がかりを探します。 #部隊の感覚評価31。 自動成功 達成値を200得た r:次のアイドレス”S43登場(る06)”を選択 AR4 現在の達成値330 修正値+6 t:ナニワI=D小隊のパーティーロール={ /*/ #隠蔽ロール サターン「…とりあえず手がかりがないか探してみようか。その前に全機、隠蔽マント再装備。できるだけ目立たないようにしてから探索開始な」 サターン「ただし、極力自然を傷つけないように慎重にな。せっかく頑張って再生させていってるんだから台無しにするわけにゃいかん」 やひろ「はーい!」 sakaki「隠蔽マントっと ゆっくりやろうか~」 乃亜Ⅰ型:「そうだな。 枝に引っ掛けないように、裾に注意・・・」 蘭堂 風光「隠蔽マント再装備、確認っと。おっと、ホバーも切っておこう。」 イズナ「マントはペアで確認を頼む、頭かくしてナントヤラの冗談は、冗談に済まないと思われる。どうぞ」 やひろ「こちらばーみーずです。たーきっしゅばん4ごうき、いんとんおーけーです。どうぞ」 サターン「ご苦労さん。ちなみにそれを言うならいんぺいだなー」 久遠寺 那由他:「マントがこんな形で役立つなんて、流石我が藩王に先見の明あり、ですね」 久遠寺那由他:(我が藩王が偵察…会敵率上昇の兆し…?) サターン(ぶっちゃけ敵出るかもしんないしなぁ、半分偵察だし) /*/ #探索ロール sakaki「あ~あ空が真っ暗だ なんかいやな感じだな」 守上藤丸「森って・・・こんなに暗いものでしたっけ・・・。鳥のさえずりも獣の鳴き声もない。」 sakaki「おいおい森ってこんなに静かなものだったか?」 蘭堂 風光「なんとも言えない静けさだな。」ゴクリと唾を飲み込む 守上藤丸「僕、森の木漏れ日ってすっごい好きなんですよね。早く、光と緑のあふれる場所に戻って欲しいです・・・。」 サターン「…まぁ、とりあえず探索開始しようか」 守上藤丸「木を傷付けない様に動いてくださいよー。」 蘭堂 風光「ほい、了解。傷つけないようにそっとだな。そういう精密な操縦なら任せてくれ。」 イズナ「ここで襲撃を貰ったら森も傷付くな…。願わくば捕捉することも、されないことも祈る。」 (気配を感じてコックピット内を見回してみるが、何かいるはずもなく) やひろ「…………」 乃亜Ⅰ型:「・・・何もいない・・。 ・・・?」 久遠寺 那由他:「ええ、にゃんにゃんちゅ…もといネコリス一匹見当たりませんね」 蘭堂 風光「パッと見だと誰も居なさそうだけど・・。どうも変な具合ですな。久遠寺、そっちのセンサーはどう?」 久遠寺 那由他:「コピー。バックモニター監視続行します。 あ、そこの木陰には小さな花が咲いていますよ。避けましょう」 サターン(…なんだから見られてる気がするんだよなぁ。 …シーカー飛ばして警戒範囲広げよう) イズナ「…生き物の気配をまるで感じない。…怪しいじゃないか。」 守上藤丸「(・・・誰かに見られてる様な気が。)」(センサー類を再度チェック sakaki「しかし誰も居ないはずなのに誰かに見られてるような」 久遠寺 那由他:「…動体・熱源センサー、感無し。隠蔽中はパッシブセンサーしか使えないのが難点ですが、何もいないと判断します。 ただ、こううなじの毛がちりちりと、妙な感じです…」 乃亜Ⅰ型:「計器には異常なし。・・・だが・・」(考え込みます) やひろ「しんぞうがぎゅーってするよ。だれかないてるのかな」 乃亜Ⅰ型:「悲しい。 ・・悲しい、・・か。 失ったのが?それとも・・」 } 通った。 申し訳ありませんが時間切れです。判定はできません。 時間切れは失敗とみなして(る99)に飛ばされます。 次のアイドレスの効果にしたがって達成値を-50して宝を受け取ってください。 トップへ ▲ L:褒美をもらう(る99)={ t:名称=褒美をもらう(る99)(冒険) t:要点=冒険者達,賞状,記念撮影 t:周辺環境=都 t:説明文 ={冒険者たちは冒険を終えて帰還する} t:とれる行動={ t:この場面で得られる効果 =ここでは達成値に応じた宝を得られる。 時間切れになってここに飛んできた冒険隊は達成値を-50にして計算すること t:得た達成値={ 100以下 =残念何も得られない 101以上 =残念賞コインを1枚もらえた。 150以上 =10マイルをもらえた。 200以上 =30マイルをもらえた。 250以上 =90マイルをもらえた。さらに100億分の寄付をとりつけた。 350以上 =150マイルをもらえた。さらに200億分の寄付をとりつけた。 } t:要求されるパーティロールプレイ=喜びの風景。 } t:→次のアイドレス =なし。ゲーム終了 } <ナニワI=D小隊> 冒険終了時の状況:AR4 達成値280 修正値+6 隠蔽+2 r:達成値250以上=90マイルをもらえた。さらに100億分の寄付をとりつけた。 #100億の寄付はE105募金へと投下します。 r:次のアイドレス”ゲーム終了を選択 #判定ありがとうございました。お疲れ様です。 t:ナニワI=D小隊パーティロール={ サターン「時間切れか…もうちょい早めに動けばもう一歩いけたんだけどなぁ」 守上藤丸「あー、もうちょっとでS43さん、見つけれると思うのにー!」 久遠寺 那由他:「ああ、時間切れですね…。 目標完遂とは行かなかったのが残念ですけれど、欲張っても仕方ないですよね。 今は、るしにゃんの人のお手伝いが出来たこと、みんなが無事なことを喜びましょう」 乃亜1型「だな。 氏を見つけれなかったのは残念だが、 ま。とりあえずは部隊全員 怪我もなし、損傷もなしで良かった。」 サターン「まぁ、とりあえず儲かったから結果オーライということで。めでてぇー」 やひろ「めでてぇー!」(ばんざいして真似っこ) 守上藤丸「でも、ま。復興作業のお手伝いも出来ましたし、寄付も募れましたし、はじめての冒険にしては上出来ですよね。」 やひろ「うん! こんどは、みんなであそべるね」 乃亜1型「・・・・・・・・・・(実は私とsakakiは、初めてじゃない気が・・? あははははー・汗)」(←過去の結果は運が足りずに微妙でした・・) 守上藤丸「けが人なし、被害なし。皆さん、お疲れさまでした!」 やひろ「えっとね、おつかれさまでした!」 乃亜1型「お疲れ様。 ナニワに戻ったら整備の連中も交えて、改めてお祝いだな」 蘭堂 風光「そうそう、怪我もせず、復興支援もできたし、上々の成果ですよ。」 膝立ちにしたターキッシュバンをポンポンと叩き 蘭堂 風光「お前さんもご苦労さん。」 }
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"破壊の八極道"とは、極道斜陽時代を終わらせるための最後の灯火である。 輝村照の父、輝村極道が組織した忍者抹殺のための魔人集団。 道を極めるが故に孤独を強いられる哀しき極道者(ヤクザ)達の切り札。 極道にとっての救世主であり、忍者にとっての怨敵であり、堅気にとっての悪夢である八人。 しかしてその実力の水準(レベル)は決して一律ではない。 麻薬無しに忍者の殺害を成し遂げてきた"忍殺(ニンジャスレイヤー)"から、根性と侠気のみを寄る辺にする凡夫まで幅広い。 そこにあるのは確かな優劣――そしてその点で言うならば、今輝村照/ガムテが前にしている男は確実に彼よりも格下の存在であった。 「悲しいぜェ――殺島ァ。アンタのこと、これでも結構本気(マジ)に慕ってたんだけどなァ~~……」 殺島飛露鬼。通称を"暴走族神(ゾクガミ)"。 不良の歴史上類を見ないカリスマ性を以って、文字通り酔い痴れるような暴走を魅せてくれた男。 彼は八極道の中では明確に下から二番手だった。 直接戦闘に限るならば最弱に数えてもそう間違いはないだろう彼よりも、ガムテは確実に極道としてのステージで上に立っていたが。 しかしガムテの目に宿る敵意の中には、驕りも嘲りも微塵たりとてありはしなかった。 殺島と殺し合うとしたら、勝てる自信はあった。むしろ負ける可能性の方が少ないと認識していた。 だがそれは、あくまでも彼が人であった頃の話。 今の殺島は人ではない。人であるのは、ガムテの方だけだ。 かつてガムテが兄ちゃんと呼んで慕った男は――ガムテをただの子供と侮らずに居てくれた"不良(ヤンキー)"は今。 「良い絆(モン)持ってるじゃねえか、ガムテ。正直、お前が界聖杯(こっち)でも殺し屋の王子やってると知った時は冷や汗かいたぜ」 名実共に、人ではなくなった。 命を失い、魂となってガムテの前に立つ障害物。 道を極めた結果の、その成れの果て。 暴走族神は此処に在る。死の峠をすら超えて、地獄の果てから舞い戻ってきた。 ガムテの知る笑顔を浮かべて、ガムテの知る拳銃(チャカ)携えて。 ガムテと、その同胞である割れた子供達の精鋭集団を前にしながら――笑う。ただ、不敵に。 「勝てないよ、アンタは」 そんな殺島にガムテは酷薄にそう告げた。 それは頑然とした事実。警戒はしているし、侮りは最初から抱いていない。 だが勝利を疑う気持ちは微塵もなかった。 殺し屋としてのプライドが、たかだか英霊になった程度で自分とアンタの差は埋まらないのだとガムテにそう吐かせる。 「オレはアンタをブッ殺す。殺し屋の威信にかけてブッ殺す、八極道のよしみとして後腐れなくブッ殺す。 死柄木とかいうシャバい加齢臭野郎(オッサン)に着いたアンタには、もう欠片の魅力も感じねー」 「何だよ、そうなのか? 寂しいじゃねえか、ガムテ。 オレは今でもお前のことが好きだぜ。可愛い可愛い……オレの弟分さ」 その懐から取り出したのは、有刺鉄線だった。 それを、殺島は慣れた手付きで自分の額へと巻き付ける。 有刺鉄線の鉢巻。たかだか鉄線如きでサーヴァントの肌が破れる筈もないのに、その額からは血が滴り落ちた。 さながらいばらの冠。神の愛した独り子イエス・キリストをなぞるが如くに――暴走族神は君臨する。 「死ぬ気で来いよ、ガムテ」 戦力だけを見れば、取るに足らない相手だ。 殺島は技でも執念でもガムテに及ばない。 英霊故に物理攻撃が効かないという唯一の利点さえも、今のガムテは克服済みだ。 皮肉にも。必ず殺すと決めたクソババア――シャーロット・リンリンのお節介のおかげで。 今のガムテは英霊すらも殺せる。だから、殺島飛露鬼などという八極道の捨て石に負ける道理はない。 その筈なのに、ああ何故。 「――オレも本気で行くからよ」 血を滴らせ、二丁拳銃のみを携え立つその姿がこうまで大きく見えるのか。 後光すら幻視するような立ち姿に、ギリッとガムテは奥歯を鳴らす。 癪だった。かつて確かに勝っていた相手に怯まされかけたという事実が、彼のプライドを逆撫でした。 なればこそもう容赦はない。語るべき言葉も、もはやない。 抜刀――関の短刀(ドス)。 女王によって改造/改悪された凶器(ホーミーズ)。 見るだけで腸が煮えくり返りそうになるそれをなるべく視界の片隅に追いやりながら、ガムテは声を張り上げる。 開戦の号砲を鳴らせるのは、子供達の王様である彼だけであるから。 「総員、予定通りだ。――命令(オーダー)は一つ、この場の全員ブッ殺せ! どいつを殺してもMP(マサクゥルポイント)は言い値だ! どの首も値千金、殺し屋にとって最高の名誉だと思えッ!!」 狂気の形相を浮かべて、高らかに宣言する。 それと同時に鳴り響く咆哮、雄叫び。 溢れ出すは子供達。ガムテに付き従う幼い殺し屋達。心の割れた殺意の群れ。 本格的な混沌の幕開けが成った今。 ガムテが、その先頭へと躍り出る。 そこは彼にだけ許された位置、彼にしか許されない位置(ポジション)。 殺島飛露鬼――不動。 歯は見せず、あくまで不敵に口元に弧を作り。 殺し屋と偶像が……極道と極道が。 今、此処に、交差する。 「"破壊の八極道"――ガムテェ!!」 「"破壊の八極道"……いや。"敵連合"――殺島飛露鬼」 浮かべる表情は殺意と殺意。 それだけで十分、否それ以外にはない。 それこそが彼と彼が語り合うのに必要な、この世の何より雄弁な言語であるから。 「「――――ブッ殺す!!!」」 さあ、始めようか。 極道と極道。 どちらが生存るか、死滅るか……!! ◆◆◆ 「極道技巧――狂弾舞踏会(ピストルディスコ)」 想定通りの行動だった。 殺島飛露鬼は凄腕の銃手(ガンナー)だ。 殺し屋としてのステージで上に立つガムテであれど、銃の扱いでは殺島の影すら踏めない。 超人的なセンスと感覚によってのみ実現する自由自在の跳弾。 彼が人間であった頃でも十分に異次元の技巧であったが、英霊となった今の脅威度はもはやその頃の比ではない。 跳弾、跳弾跳弾跳弾跳弾―― 跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾跳弾。 ガムテの記憶に残っている殺島の拳銃の装弾数を遥かに超えた弾数が朝焼けの街並みに弾ける。 チッ、と舌打ちが漏れた。当たって欲しくない予想が的中したのを物語るリアクション。 改めて確信する。殺島飛露鬼はもはや単に銃撃の巧い極道の領分には留まらない。 致死の銃弾を際限なく自由自在に撒き散らす、魔弾の射手(カスパール)であると。 「(弾薬の補充を、マスターの魔力に依存してんのか……)」 その推測は的中している。 英霊と成った殺島に、弾切れの概念はもはやない。 撃てば撃った端から残弾がアイの魔力を源泉として補充されるのだ。 即ち、無限大。銃弾一発を生み出す際にかかる魔力の消費など極小であるのだから、そこの枯渇を期待するのは無謀だとガムテは即断する。 「おお――良いね。流石じゃねえか、ガムテ。間違いなく殺す気で撃ったんだけどなァ」 「そうだったのかよ、ごめんな兄ちゃんッ♪ せっかくサーヴァントにまでなったんだ、一発くらい嘘でも当たってやれば良かった!」 だが、ガムテは被弾しない。 短刀で斬り伏せ、あるいは純粋に避け、受け流す。 ほとんど生存する隙のない弾幕の中に強引に生存圏を作り出して、殺島にそのまま肉薄。 殺島は正確無比に、ガムテが振るう短刀の切っ先に弾丸を命中させる。 微かに逸れる軌道を良いことに、約半歩分の歩幅で回避――からの、至近距離からの銃撃。 過失(ミス)など一万回に一度だって期待出来ない。 視界を常にフル稼働させなければ死ぬのは此方だ。 クーポンをキメている極道を殺すのに、拳銃など本来は役者不足も甚だしいが。 極道の実用に堪える改造を施され、最上の担い手の腕で扱われる銃が吐き出すそれは最早弾丸(タマ)ではない。 ――魔弾(ギョク)だ。 「(サーヴァントの銃撃ってのがまず未知数だ。一発(テスト)だって喰らいたくねえ――)」 全弾回避した上でブッ殺す。 殺し屋の美学通りに刺して殺す。 意識を限界まで研ぎ澄ました今のガムテは、殺意という概念で形作られた一匹の獣に他ならなかった。 弾幕を切り払い、掻い潜り、縦横無尽に戦場を跳ね回る。 スーパーボールのように不規則な軌道でバウンドする小さなシルエットを、しかし殺島も見逃さない。 それどころか移動の先に配置するように跳弾を飛ばし、かと思えばストレートでの射殺軌道で発砲。 正攻法と搦め手を巧みなセンスで配分した、殺島飛露鬼だけが奏でられる鉄風雷火の極道多重奏(デクテット)。 認めざるを得ない。一人じゃ殺せない――独りじゃ命(タマ)取れない。 予想通りの事実という名の身の丈を受け入れながら、ガムテはしかし獰猛に笑った。 「アンタは凄えよ、殺島飛露鬼。あいつが見初めたのも分かるぜ」 弾幕の渦を抜け、殺島に迫るガムテ。 サーヴァントの魔弾雨を無傷で抜けて殺害圏内に入り込む時点で、マスターとしては破格の性能なのは間違いなかったが。 振るうドスに合わせて殺島も放つ。この至近距離で逐一ドスの動きに対応し、それを潰す形で射撃するのは並大抵の技術ではない。 まして殺島はそれを――あえて地面に弾丸を放ち、跳弾させることによるいわば"先置き"した迎撃という形で実現させていた。 異次元。常識外れ。まさに、神業。 改めてガムテは確信する。 自分は殺し屋として殺島より上だが、それは目の前の男が傑物でないことを意味などしない。 この男は間違いなく怪物だ。 しかし考えてみれば、それもその筈。 いかに自分と境遇が近くとも――殺しの王子様ともあろう者が、技も力もない凡夫に懐くなどあり得る筈がないのだから。 「だから……こっちも全力だ。オレに使えるモン、全部使ってブッ殺す!」 銃弾とドスが激突する。 最高の使い手により振るわれたそれらは、激突の瞬間に激しい衝撃波を生じさせ。 ガムテのみならず殺島さえもを、後退させた。 そして下がったその先で――殺島は瞠目する。 夜空を引き裂きながら自分に迫る、実に禍々しい球体があったから。 「黄金球(バロンドォォル)ッ!」 「応さガムテェ――オレは絶対外さねえ!」 サッカーボールを模した鋼鉄球。 クーポンによるブーストを受けた超脚力で蹴り上げられたのだろうそれは、時速数百キロを超える魔球だった。 そして何より驚くべきは、その表面に顔があったこと。 夜空を背にして微笑む球体は、まるで絵本の中にしばしば登場する人面の月のよう。 殺島の知る"彼"が使っていた球は、こうではなかった。 その上で。顔のある得物というモノに、今の殺島は覚えがあった。 ・・・ 「驚いたぜ。てっきりお前らは、あのババアのことは嫌いなモンだと思ってたんだが――」 四皇ビッグ・マムの能力。もしくは、宝具。 物体や現象に魂を与えることで誕生する、喋る人面の武器――ホーミーズ。 考えたものだと殺島は思う。確かにこの方法でなら。 肉体はクーポンで強化し、得物には魂を与えて極道の領分から英霊の領分まで押し上げるという手段でなら。 「嫌いに決まってんだろ、暴走族神(ゾクガミ)の兄ちゃんよぉ。 だけどオレらがアンタら英霊ブッ殺すには、こうでもしなきゃ届かねえんだろ?」 ――割れた子供達。彼らの凶器/狂気は、サーヴァントに届く。 「だったら嫌悪感(ニガムシ)噛み潰して嚥下(ゴックン)さ! 割れた子供達――"黄金球"! アンタのことは何だか嫌いになれねえが、ガムテのためにブッ殺す!!」 黄金球……割れた子供達が誇る"三凶"の一角。 膂力だけならば末席とはいえ八極道である、あの夢澤恒星にすら届くと聞いていた。 そんな使い手が、狂った母の力を授かり更に強化されているのだ。 これは既に、殺島をして脅威と呼ぶに値する暴力だった。 「極道技巧――"蹴球地獄変(ビバ・ラ・ファンタジスタ)"ァ――!」 縦横無尽にして変幻自在。 一度躱しただけでは終わらない、それは本来殺島の十八番である筈だったが。 躱したところでビルを削り取り戻ってくる、止まらない鉄球。 「(こりゃ……まともに食らうとちとマズいか)」 地面に潜り込めば、今度は殺島の足元を食い破るようにして飛び出してくる。 きゃきゃきゃきゃ、とまるで子供のような笑い声をあげながら跳ね回る黄金球の象徴。 純粋な火力で相殺するのが難しい分、ある意味ではガムテ以上に厄介な攻め手だった。 その上で、黄金球の技巧(スキル)も癖も傾向も全て知り尽くしているガムテは当然……この暴れ馬ならぬ暴れ球と、同時に彼を攻められる。 「笑顔(ツラ)が曇ったね」 「……おう、そりゃな。何だよお前ら、見ない間にずいぶんデカくなりやがって」 刃の雨霰が降り注ぐ中で、雷のようにやって来る蹴球を捌く。 並大抵のことではないが、それを可能にしている辺りはやはり彼も八極道である故だろう。 避けきれない分はしょうがないと弁えて、クーポンの再生能力で即座に追いつく分のみ選んで受け止める。 黄金球の鋼球を右手で受け止めれば、べきべきと音を立てて殺島の腕が内側から破砕した。 死地になる前に退いて――そのついでにガムテ、及び黄金球本人へ銃撃を見舞う。 黄金球は跳弾によって身体を貫かれていたが、彼は八極道にも届く剛の者(タフガイ)。 牽制程度の攻撃では、さすがの殺島も容易くは削り切れないらしい。 そしてそれは、サーヴァントとの戦闘経験がないガムテ及び子供達にとって値千金の情報だった。 「――嬉しいじゃねえか」 魔弾が、それを収める銃身が、火を噴く。 溢れ出す無尽蔵の弾薬、弱点を克服した無敵の二丁拳銃。 狂弾舞踏会の火力は、当然ながら装弾数の概念が破綻したことで天井知らずに上昇していた。 そして殺島ならば、視界に収まる全ての敵へ同時並行して"本気"の跳弾射撃をすることも――もちろん可能である。 顔の真横を通り過ぎていく鉄球にすら怯えず、臆さず、地を蹴って前に進む殺島の姿はまさに"極道"。 魔弾を断ちながら、ガムテが殺島と再度接敵する。 殺島ならこの距離でも自分を殺せると、近付かれたからというそれだけの理由で詰む雑魚ではないと、ガムテは確信していた。 やろうと思えば銃口を武器にして、物理攻撃で自分を殺しに来る可能性も十分にある。 あらゆる可能性を想定しながら、ガムテは彼と鍔迫り合いの状態になり。 殺島と奇しくも――いや、"当然"か。 同じ表情(えがお)を浮かべながら。 ガムテは欠けた歯を覗かせ、呟いた。 「今だ――オレごと爆(や)れ」 その指示の意味を殺島はすぐに理解したが、逃さない。 違う。逃げられないのだ。ガムテの言葉を受けた"彼ら"が行動を完了するまでの時間は、殺島が逃げの動作に移るよりも速いから。 55・39・78・89―― 呟く声は殺し合いの騒音に解けて、一切聞こえないまま。 気付いた時には既に、鍔迫り合う殺島とガムテの頭上から"それ"が墜ちていた。 「ッ……! 何だそりゃ……!!」 刀剣での近接戦が時代遅れに成り果てた現代の戦場にて、唯一使われ続けている"槍"がある。 神槍(グングニル)の如く雄々しいフォルムを持つそれは、しかし正確には槍ではなく"弾"だ。 名を徹甲弾。間違っても市街地でぶっ放すべき兵器ではないこれが、ガムテが託した"彼ら"の凶器(エモノ)。 極道技巧――"剛拳巨砲主義"。腕で殴り飛ばすという使用法で放たれた徹甲弾は、両者の丁度真ん中に墜ちて。 そして――――爆ぜた。 「……良いのか"司令(オーダー)"? 直接首ぶち抜いた方が確実に殺せたんじゃねえのかよ?」 「サーヴァントを舐め過ぎだ。欲を掻いて空振りに終わるよりは、殺し切れる公算が薄くても確実に"削る"方が理に適ってる」 殺島から距離を取った場所にて、四肢のない少年が盲目の相棒に背負われていた。 彼らは相棒(バディ)だ。割れた子供達の中でも最高精度の殺人(コロシ)を可能とする、以心伝心を地で行く戦闘人形。 本来なら、彼らは神槍を爆発物ではなく純粋に槍として用いて敵を殺す。 だが、ビッグ・マムの能力によりホーミーズ化させた神槍の爆発は――普段のスタイルを曲げてでも使うに足る"価値"がある。 確実に殺島を削りつつ、ガムテの体勢を立て直させて戦場をこちら有利の状況で仕切り直せるのだ。 「構えろ攻手。次は、いつも通りだ」 「了解だぜ……司令! やっぱりオレぁこっちが性に合う――景気良くブチ抜いてやるよォ!!」 更に―― 爆発が奪うものは、敵の体力や命だけではない。 誇りを曲げて手を染めた皇帝の力、魂を操る魔女の権能。 その炸裂はサーヴァントであろうと、一時的に聴力を奪われるほどの威力を誇る。 そしてそれだけの大爆発が生み出す爆炎、巻き上げる粉塵は――敵の視界までもを奪い去る。 「……チャチな真似するじゃねえの。目眩ましした隙に、訳も分からないまま削り切っちまおうってか?」 爆風が晴れるまで、数秒。 正しくはそれだけの時間があれば、サーヴァントの視界は平時と変わらない見通しを取り戻す。 それまでを勝機と見据えたことを確信しながら、殺島はまず手始めに銃乱射を開始した。 聴力はまだ死んでいる。だが殺島ほどの銃手になれば、弾丸が物体に衝突した感触を大気の震えから感じ取ることすら容易であった。 ましてや今、彼は不純物が大量に含まれた爆風の中に居るのだ。 感知の制度は、むしろ普段以上に良好でさえあった。 この状況にあって尚、殺島飛露鬼に隙はない。 その証拠に黄金球の鋼球を、まるで"見えている"かのように回避し―― 「で、上だな」 真上から飛来する攻手の徹甲弾(ミサイル)を察知し、一歩移動。 そのまま着弾に合わせて神槍を足場に跳び上がる。 真上へ。爆風の外へ。司令の状況分析から繰り出される、攻手の剛拳砲撃は言わずもがな正確無比の命中精度だったが、それですら不足していた。 此処が複雑でかつ逃げ場に乏しい建造物(ビル)の内側だったならば、いざ知らず。 周囲が開けている野外においては、彼らの精密砲撃の脅威度は目減りを強いられてしまう。 視界が開ける。 世界が、戻ってくる。 音も少しずつ、帰ってきている。 まずはガムテよりも、周りの子供達から殲滅するべきか。 そう考えながら数秒ぶりの世界を目の当たりにした殺島の表情が――凍った。 「――何……だ、こりゃ……」 そこに広がっていたのは――東京のコンクリートジャングルではなかった。 一面に広がる、湖。一目見ればどんな悩みも苦しみも忘れ果てるような、美しい湖だった。 流れる空気も、響く安らかな水音も、全てが静謐とした長閑さに満ちていて。 だからこそ殺島は一瞬、確かに呆気に取られた。 それを責めることはきっと、ガムテにすら出来ない。 何故ならこれは、彼の父であり。 破壊の八極道を組織した極道の救世主……極道の未来を担う孤独な男ですら、麻薬なしだったとはいえ初見では順応出来なかった技巧(わざ)。 白鳥の飛び交う麗らかな湖により、思考を空虚に染められたその一瞬を縫って。 殺島飛露鬼の肺が――鋭く、それでいて美しい一撃の前に突き破られた。 「ガ……ッ!?」 殺島の前に立つのは、一人の少女だった。 顔にガムテープを巻いた、割れた子供達の新参者(ルーキー)。 しかしその才能は、すぐさま彼女を三狂の一人にまで駆け上がらせた。 殺島は同じ破壊の八極道として、割れた子供達の構成員をいくらか知っている。 だが、それは決して全員ではない。 黄金球のように分かりやすく目立つ殺り方(スタイル)なら目に付くし、種も割れるが。 顔は知っていてもどういう技巧を持っているのかは知らない、そんな構成員が殆どだ。 彼女もその内の一人であった。 白鳥の湖を背にするに相応しい舞踏鳥(プリマ)――この世界の主。 「極道技巧――"夢幻燦顕視"」 夢幻燦顕視。 その効果は読んで字の如く、夢幻の展開。 標的に幻を見せながら、弛まぬ練習によって鍛えられた舞踏鳥の舞に載せた攻撃を打ち込み抹殺する美しき明晰夢。 人間の脳のキャパシティを、幻と割り切って尚無視出来ない迫真(リアル)な幻覚によって食い潰す、プリマに憧れた少女の狂気のかたち。 「……あのババアから貰った靴だなんて、死んでも履きたくなかったけど。 貴方を殺すために我慢してやったのよ。だから――私達の屈辱(イラつき)のためにも、ちゃんと此処で死になさい。オジさん」 それに殺島は、まんまと嵌った。 一度爆風で視界を奪われていたからこそ、完全に虚を突かれた。 結果として殺島の動きは止まり、舞踏鳥はそれを見逃さず彼の肺を破り。 ようやく幻覚に嵌められたことを認識し、反撃に転じようとする殺島の胴へ――追い打ちのように鋼球が食い込んだ。 「(ッ……視えな――)」 「視えないでしょう。それは当然。貴方は今も変わらず、私の極道技巧の中にあるから」 跳ね飛ばされ、殺島が背から倒れ込んだ。 そのまま地面を跳ね、車に撥ねられた歩行者のように転がっていき。 やがて大の字で横たわり、がはっ、と口から血を吐いた。 誰がどう見ても明白な、"敗北"の光景が――そこにはあって。 「――ガムテ。殺りなさい」 「最ッ高(グ~~ッド)、お前ら。イイ仕事してくれたぜ」 美しい青空を、幻の蒼穹を見つめながら、殺島は笑う。 そこに迫るのは、ガムテだ。 いざや止めを刺さんと、此処でかつての先輩(アンちゃん)ブッ殺さんと。 駆ける、迫る。死神の足音は、幻覚の中に居る殺島には聞こえない。 よって彼はこの瞬間、完全に詰んでいた。 "破壊の八極道"殺島飛露鬼は、同じく"破壊の八極道"ガムテと、その同胞達の前に敗れ去った。 極道は互いの目的のため、野望のため、面子のために殺し合う。 敗れた極道は全てを失うのが常だ。面子も、沽券も、信用も、部下も、そして命も。 殺島は極道としてガムテよりも下だと、完全に格付けがされてしまった。 「界聖杯(こっち)でもよ、運転手やってたんだ……」 殺島自身、そのことはよく分かっている。 悔しさもあったが、喜びも大きかった。 可愛がっていた後輩が、こうして自分を乗り越えてくれたのだ。 ガムテが殺島に懐いていたように、彼もまた、ガムテのことを快く感じていた。 根本の部分を理解することは決して出来ないだろうと察知しながらも、それでも、彼の前での殺島飛露鬼は確かに"兄ちゃん"だった。 強えじゃねえか、お前。 一人で戦わなければ卑怯だとか、そんな古臭い考え方に殺島は興味などなかった。 ましてガムテは殺し屋だ。ルール無用をこそルールとする彼は今、まさに最善を尽くして自分を倒してみせた。 そのことを嬉しく感じながら、殺島は血を吐きながら笑っていた。 そのスーツは黄金球の一撃を受けた時に大半破れ、もはや服というよりも不格好な外套のように成り下がってしまっている。 「けどよ――やっぱり極道やる時は、特攻服(こっち)の方が性に合うんだよなァ。礼服(スーツ)は、どうも堅苦しくってよ……」 ゆらり、と幽鬼のように立ち上がれば。 スーツだった布切れは、ずるりと彼の身体からずり落ちた。 それにより、スーツの下に着込んでいた衣服が露わになる。 特攻服(トップク)。暴走族のシンボルであるそれが、湖に吹く風によってひらりとはためいた。 「ようガムテ。それに友達(グラチル)のお前ら。 お前ら強えなあ。オレみたいな凡夫より、お前らよっぽど極道してるよ」 緩んだ冠を締め直す。 既に受けた傷はほぼほぼ回復していたが、力なく笑う姿は弱々しい。 つう、と顔を伝っていく血。 その顔に浮かぶ薄い笑みは、依然として崩れる気配はなく。 そして―― ぞわり、と悪寒を覚えた。 . 殺島が、ではない。 彼以外の全員が、だった。 黄金球も、舞踏鳥も。司令と攻手も。 そして、彼らの王子であるガムテ自身も。 誰もが背中に氷柱を直接突っ込まれたような、そんな悪寒に固まった。 どう考えても、自分達は勝っているにも関わらず。 あとは王将を圧殺すればそれで終わるだけの話なのにも関わらず――。 「だから、極道はもうやめだ」 何故、こんなに怖いのか? 一度倒し、地に臥させた男が、何故。 こうも底知れない、眩く輝く"何か"に見えるのか―― その答えが出るよりも前に。 舞踏鳥は、確かにそれを聞いた。 「え……」 穏やかにせせらぐ湖のほとりに。 この世界に相応しくない音が、響いている。 それはマフラーの音。違法改造された単車(バイク)の咆哮。 彼女が作り上げた舞踏(バレエ)の幻界を、無粋に塗り潰し掻き消すように。 白鳥たちが飛び立って湖から次々と消えていく、去っていく。 音は増え続ける。一台、二台、百台、千台、それさえ遥かに超える単車の騒音(ノイズ)。 「何よ、これ――」 殺島も、当然それを見る。 湖から白鳥は消え。 凪いでいた湖面は無粋な振動によって掻き乱される。 それと同時に、世界に罅が入った。 まるで砕け散るダイヤモンドのように美しく、夢幻が悲鳴をあげている。 「……ッ! ガムテ――早くトドメを刺しなさい! 今すぐにッ!!」 舞踏を変更――"白鳥の湖"から、チャイコフスキーの"くるみ割り人形"へ。 くるみ割り人形の兵隊が無数に具現化し、殺島を抹殺するべく行進を始める。 だが音は止まない。世界は、またしても罅割れていく。 あがく舞踏鳥を見やり、殺島はふっ、と笑った。 そこにはあの輝村極道ですら怯んだ、兵隊達の幻に対する恐怖や動揺など微塵もない。 「違う――退けお前らッ! 今すぐにッ!!」 舞踏鳥の声を、ガムテは否定する。 彼は既に分かっていた。これから何が起こるか、いや何が来襲(く)るか。 今選ぶべきは突撃ではない。最後の一手を此処で詰めるのは悪手の中の悪手だと、実際に"あれ"を見ているガムテには分かった。 今すぐ退かせるしかない。そうでなければ、負けるのは……失うのは此方だと理解していたからガムテは吠えた。 だが―― 「もう遅え。覚悟しろよ、ガムテ。 そんでもってしかと見てくれや。 オレにもお前に決して負けない、凄え仲間(ダチ)が居るんだ」 そう、遅い。 既に、招集は掛けられたのだ。 かつて彼がその一声で以って、世界中から彼らを呼び戻したように。 暴走(ユメ)の終わりから十年以上の年月が経っていたにも関わらず、誰一人としてその呼び声を拒む者など居なかったように。 彼らは必ず来襲る。 そこに、神が居るならば。 地獄の果て、地平の果てまでも先陣に立って自分達を導いてくれる、眩しく雄々しい現人神が、暴走族神(ゾクガミ)が居るならば。 彼らは来襲るのだ、それが何処であろうとも。 どんな世界であろうとも、敵が誰であろうとも。 忍者も閻魔も恐れない、大人になれない馬鹿共は。 いついかなる時であろうとも、騒音(エンジン)かき鳴らしてやって来る。 「来襲(く)るぜ、そして開闢(はじま)るぜ――――オレ達の黄金時代(オウゴン)が」 そしてこの瞬間を以って――かつて地獄と化した街(シンジュク)は、今度こそ焦土と化すことが確定した。 ◆◆ それは、一言で言うならば狂気だった。 轟く閃光、響くは騒音。 数十、数百、数千、数万――それですらまだ足りない熱狂の騎馬。 ある者は笑いながら、ある者は泣きながら、またある者は言葉ですらない音を吠えながら。 彼らは、新宿区の町並みを文字通り蹂躙し始めた。 爆走、暴走、疾走。果てしない熱病に浮かされた黄金時代(オウゴン)の亡霊達。 現代の日本に形をなしたワイルドハントが、明日も未来も知ったことかと全ての現実を拒絶しながら駆け回る。 道に人がいるなら轢き殺し。 車がいるなら撥ね飛ばし。 建物が遮るなら吹き飛ばし。 ビルが建ち並ぶなら、引き裂いて進む。 朝焼けの街を照らすヘッドライトは、"彼ら"の来襲る証。 地上の流星群は、辛くも新宿事変の大破壊から難を逃れた日常の残滓をすら無慈悲に、そして無造作に殺戮する。 ――事の序でに。"暴走"という目的の序でに、誰かの笑顔を轢き潰して進む狂った車輪。 彼らは誰もが夢を見ている。 夢を見ながら、人を殺す。 爽やかな気分のままに、荒れ狂う。 現世に甦った"神"の託宣に従い――地獄の釜から溢れ出た。 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 爆走(はし)る、 暴走(はし)る、 疾走(はし)る――この世に神を見出した者達。 悪童(ワルガキ)の群れ、総数十万! 吹き荒れるは死の嵐。青龍と鋼翼の戦争すら、世田谷消滅の激戦すら、純粋な規模で言えば上回り得る暴走の津波! 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 今宵――この街に理(ルール)は存在しない。 掟を定めた神そのものが、全ての無法を許すから。 彼らにとっての神である男が、彼らをこの地に招いたこと。 それは即ち、止まず終わらない暴走(ユメ)の幕開けに他ならないから。 暴走を神が赦す。殺害を神が赦す。 その暴走(ユメ)邪魔する全部――殺害せよと、神はそう望んでいる。 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 ――破壊の八極道は、神をも恐れぬ極道者の集まりだ。 忍者をすら殺す"番長"、救済を標榜しながら人を殺す"怪獣医"。 滅びの歌を奏でる"歌姫"、全てを笑覧する"脚本家"。 だが、彼らの中で最も英霊という形に向いている男は間違いなく"暴走族神"殺島飛露鬼である。 十万の軍勢を率いて忍者と戦った"伝説"。 二十年の年月を経て甦った"再生"。 全ての逸話が、この上ないほどに信仰の獲得に適している。 仮に他の八極道がサーヴァントになろうとも、殺島ほどの規模で悪事(わるさ)を働く宝具は得られまい。 こと語られること、崇められること、畏れられることにおいて暴走族神は間違いなく唯一無二。 そして今――極道・殺島飛露鬼は敗れ。現人神・殺島飛露鬼の"本気"が、割れた子供達の全殺しという目的のために新宿へ解き放たれた。 「暴走師団……聖華天……ッ」 ガムテは、それを知っている。 その筈だったが、しかし彼が知っているのはあくまでも"再生"した暴走師団の姿でしかない。 しかし今宵、此処に再現されたのは紛れもない全盛期の暴走師団。 忍者に半殺しにされ惨敗を喫したとはいえ、殺島の宝具として立派な神秘に押し上げられた彼らの疾走の脅威度は生前の比ではない。 ――ガムテの想定を、此処で殺島が超えた。 聖華天は無軌道の極みだ。 神の号令一つで、何にでも文字通り全力で取り組む馬鹿の集団だ。 笑いながら、吠えながら、悪童達に新宿が蹂躙されていく。 ――辛うじて難を逃れた都庁。 邪魔だとばかりに、単車の群れに食い破られた。 ――新宿中央公園。 ショートカットのために数千台の単車が通り、草木一本残らない轍の山と化した。 ――新宿ゴールデン街。 極道車の爆速大渋滞(スクランブル)で、平らな地平に均された。 ――避難民数千人が集まった避難所。 聖華天に認識されることすらなく、ものの十数秒で"全殺し"に遭った。 異常事態を中継しようとしていたテレビ局のヘリは、ウィリー走行で勢い余って天空に跳ね上がった一台で轢き潰され。 仮設の遺体置き場となっていた体育館は、暴走の余波で燃え上がり巨大火葬炉と化し。 今回の大戦争でサーヴァントを失った落ち武者マスターを狩るべく潜ませていた、"割れた子供達"五十三人が抵抗の余地も許されず粉砕された。 そのまま迫る、神の号令に応えるために。 "狩る側"を"狩られる側"へと変える鋼の軍勢が――ノスタルジアを超えた黄金時代(オウゴン)が。 大人崩れの悪童(ワルガキ)が、本当の悪童(チルドレン)殺すためにやって来襲(き)た。 「"今の"ボスに倣おうかね、オレも」 そして――殺島がその口に放り込んだのは、地獄への回数券。 既に服用している筈の麻薬(それ)を、追加で服用することの意味。 当然ガムテは、理解していた。 聖華天の出現以上の戦慄が走る。 クーポンの二枚服用(ギメ)が禁忌な理由は、一つだ。 人間の肉体は、如何にデフォで屈強な極道であろうとも二枚服用の負荷に耐えられない。精神も、また然りである。 只でさえ常軌を逸した薬効を持つ地獄への回数券のオーバードーズは、それ即ち数分後の死を約束するもので。 それだけに、極道としての仕上がりでガムテに敵わない殺島は生前――この芸当が不可能だった。 しかし今は違う。 肉の器から解き放たれ、魂の器となったその肉体(カラダ)に限界は最早なく。 精神だって、人間とは比較にならないほど高い次元にまで鍛え上げられている今。 殺島にとってのクーポン二枚服用は、"不可能"ではなく"可能"となり。 「完全解放だ――全部ブッ破壊(こわ)せ。アイツの夢見る地平(みらい)の、前夜祭と行こうぜ」 "無謀"ではなく――"切り札"と化した。 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 「暴走族神! 暴走族神! 暴走族神! 暴走族神!」 暴走族神・殺島飛露鬼。 今、改めて――悪童の王の前に、立ち塞がる。 →
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*イベント概要 本体を倒したはずなのに、霧賀火澄のイグドラシルにはS43がらみのイベントが次々出現していた。 これはまだ何か調べ損ねている部分がある、と宰相は秘密裏に共和国に共同戦線を持ちかけ、るしにゃん王国に敵捜索のための冒険隊を送り込む。 テンダイス記事/ゲームログ *スタート要求(る00ルート) スタート地点:故国(ホーム) 場面説明:冒険者たちはお弁当を作るなどの冒険準備をしている この場面でできること:ここでは5AR分を使って冒険の準備が出来る 次に選ぶことのできるルート:るしにゃんの大地(る01),黒麒麟へ(る02) *参加部隊 紅葉国混成部隊 FEG騎士団~草原の翼 土場混成中隊? 冒険騎士団? 是空とおる個人騎士団? ナニワI=D小隊? akiharu国士季号単騎部隊? 無名騎士藩国<ネイムレスロボッツ>? 鍋アビにゃん部隊? 世界忍者国部隊? にゃんにゃんちゅー隊? 越前藩国情報戦本隊?
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関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
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#blognavi お久しぶりです、ロニーです。 諸事情によりC21から離れていたら、生活のリズムがおかしくなり・・・OTL ロニーズキッチンも収録していないし・・・どうしよう( できる限り早く復帰しますね^^; カテゴリ [その他] - trackback- 2008年10月22日 05 54 53 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/ronaldinho/pages/1356.html
#blognavi お久しぶりです。 放置しすぎっすよねOTL 本当に申し訳ない^^; 3月中は金が無い+全てにおいてやる気が無いというすさまじい状態でした^^; 休んでばかりいるとニートになるんだなぁ・・・と少し感じました。 で、4月。 この辺でポケモンに復帰という(ry そしてC21のレベルキャップ解放。 学校も開始。 頑張るぜ! と思った時期が、僕にもありました。 C21 まさかのMサイズ終了のお知らせ。 OTL でも修正入るみたいなんで、修正後は様子見ながらで。 親戚関係 すさまじい問題発生。 ショックが大きすぎて学校サボりました。 いやもう、ロクでもないです、はい。 今後ですが・・・他にも(辛いこと以外にも)色々とあるので正直どうなることやら^^; 頑張ります・・・ カテゴリ [その他] - trackback- 2009年04月14日 00 22 17 取りあえず頑張ってまたかに鍋なロナさんが帰ってくるのを待ってますね~( ´∀`) -- TAKI (2009-04-15 03 35 48) 名前 コメント #blognavi